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( ^ω^)マインドB!のようです
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私が ひとりぼっちにならないように
「羽生、どうした!?落ち着け!こ、こら……それを離すんだ!!」
「弟者!?……あんた、弟者……だよね?」
「ツン!どうした、しっかりしなさい!」
「ショボン……?ショボンなの……?」
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从;'ー'从「何も無かった?大丈夫??」
( ´_ゝ`)「……?」
しきりに、つーの―――しぃのことを心配する渡辺に、兄者は疑問を感じた。
まるで、もう少しで危ないことになりかねなかった先程の事件を
その場にいなかったにも関わらず、見越していたかのような口ぶりだ。
もしくは、何か大変なことがしぃの身に起きようとしていたことを、知っていたかのような。
(;゚∀゚)「な、なんもないよ」
大丈夫かと繰り返す渡辺にたじろいで、ぼそぼそと答えるつー。
从'ー'从「ほんと?……良かったぁ」
(;゚∀゚)「……」
その答えを聞いて、渡辺はほっと胸を撫でおろした。
从^ー^从「心配したんだよぉ。でも、何も無かったなら良かった」
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心配した?一体何を?
渡辺はしぃの親友だ。姿が見えなければ、探すのは当然だろう。
だが先程の様子は、とてもただ探していたという風ではなかった。
一体渡辺は何を案じて、しぃのことをそこまで必死に探していたのだろう……
从^ー^从「じゃあ、ほら!もう遅いし」
从^ー^从「帰ろ、しぃちゃん」
1人惟る兄者を置いて渡辺はつーに手を差し伸べる。
そうしてそっと、その手を掴んだ。
(;゚-゚)「!」
―――それは決して力をこめてはいなかったし、不意をつくような動きでもなかった。
だがその瞬間
つーの頭に、いつかの何処かでの光景が、フラッシュバックした気がした。
無意識に 反射的にその手を払いのける。
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从'-'从
(;゚-゚)「ぁ……」
驚く渡辺の顔を見て、つーの胸に後悔が生まれた。
そんなつもりは無かった、のに。
从;'ー'从「……あっ、ごめんねしぃちゃん。びっくりさせちゃった?」
(;´_ゝ`)「お、おい!つー」
(;´_ゝ`)「あ」
しまった、と兄者は顔に出したが既に遅かった。
从'ー'从「”つー”?」
渡辺が兄者の顔を見る。
きょとんとした顔で、その名を繰り返した。
そうして次に、目の前に居る―――親友によく似た誰かの顔を見つめた。
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(;゚-゚)「……」
从'ー'从「”つー”って、しぃちゃんの……」
最初の驚きが、ゆっくりと理解に変わっていく。
从'ー'从「……」
从'ー'从「もしかして……」
从'ー'从「あなたが、そうなの?」
(*゚-゚)「……」
(*゚-゚)「……あたし、しぃじゃないよ」
从'ー'从「……つーちゃん、なの?」
犯した罪を認めるかのように、ばつが悪そうな顔で つーは小さく頷いた。
怒られるとでも思っているのだろうか、緊張した面持ちで渡辺の反応を伺う。
傍で事の成り行きを見守る兄者も、どうしていいか分からずただ口を噤むしか無かった。
沈黙が流れる。
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(*。。)「……」
(;´_ゝ`)「……」
从'ー'从「……」
从*'ー'从「……そうなんだ!初めましてだね」
(;゚-゚)「へっ?」
渡辺はぱっと顔を輝かせた。
きょとんとするのは、今度はつーの番だった。
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从*'ー'从「しぃちゃんはあなたのこと、あんまり教えてくれないし……。
ずっと、会ってみたいと思ってたんだよぉ。
会って、お話したいなって」
(;゚-゚)「??」
从*^ー^从「やっと会えたね!つーちゃん。
私、しぃちゃんの友達の、渡辺っていうの。ナベって呼んでね」
(;゚-゚)
(;゚-゚)「……し……しぃじゃなくて、がっかりしないの?
……あたしのこと、怖くないの?」
恐る恐る、つーが尋ねる。
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从*^ー^从「がっかりなんかしないよぉ。こうして、会えて嬉しいもの。
だって、友達の友達は友達だもん。ですよね?兄者先輩」
(;´_ゝ`)「え?あ、はい!そう、そうだね!?」
どうやって上手くこの場を切り抜けようかと思考を巡らしていた兄者は
渡辺に邪気の無い笑顔を向けられ、思わず声を裏返した。
从*^ー^从「よろしくね〜、つーちゃん!」
(;゚∀゚)「あ、あひゃっ……」
(;゚∀゚)「あひゃひゃ……
へ、変な奴だなー。お前」
从*^ー^从「あはは、なにそれ。つーちゃんこそ、変わった笑い方〜」
(;´_ゝ`)(天然パワーすげぇ……)
思わぬ展開に面食らったが、兄者は安堵の息を吐き、つーは気が抜けたようだった。
どうやら、天衣無縫な性格の渡辺の前では
どんな思慮や誤魔化しも策するだけ意味の無いことらしい。
-
从*'ー'从「じゃあ、つーちゃん、兄者先輩。みんなで一緒に帰りましょ!」
(;´_ゝ`)「あ……ごめんナベちゃん。俺らちょっと、ブーン先生に用があって。
帰る前に先生んとこ行かなきゃいけないんだ」
从'ー'从「そうなんですか?じゃ、待ってますね!
ちょっとくらい遅くなっても平気ですよ私、門限ゆるいから」
(;´_ゝ`)「いやっ、でもあの、時間かかるかもしれないから。
ナベちゃんは、先に帰っててほしいなー。つーは、後でちゃんと送ってくからさ」
从'ー'从「えー、一緒に帰りたかったのに……」
(;´_ゝ`)「ごめんね。つーとはまた今度、仲良くしてやってよ」
从'ー'从「はい!
……じゃあまた今度、一緒に帰ろうね、つーちゃん。約束ね」
(*゚∀゚)「う……うん!」
少しまごつきながらも元気よく返事するつーは、どことなく嬉しそうだった。
-
( ´_ゝ`)「あ、そうだナベちゃん。
つーの……、しぃちゃんの鞄、どこにあるか知らない?」
从'ー'从「鞄?う〜ん、教室には無かったと思いますけど……」
( ´_ゝ`)、「そっかー」
从'ー'从「しぃちゃん、教室を出る時は確か持ってましたよ。無いんですか?」
(*。。)、「……あ、あたし……どこかに落としちゃったかもしれない。
……よく覚えてないんだ」
从'ー'从「そうなんだ。
大丈夫だよつーちゃん、落し物なら事務局に届いてるかもしれないし!
あたし、見てきますね兄者先輩。待っててください!」
( ´_ゝ`)「あ、じゃあ俺が行くよ。2人はここで―――」
( ´_ゝ`)「?……ナベちゃん、血が」
(*。。)「?」
(;´_ゝ`)「……ってナベちゃん!?怪我してるじゃん!」
渡辺が体の向きを変えた拍子に、スカートで隠れていた右足の膝が見えた。
擦りむき、皮の捲れた膝頭から血が出ているのを見て、兄者が驚きの声をあげる。
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<从;'ー'从「あっ、さっきちょっと転んじゃって〜……。えへへ、私っていっつもドジで」
(;゚∀゚)「大丈夫か!?ナベ!」
从'ー'从「へーきへーき、大したことないよ。今まで、痛いのも忘れてたくらいだもん」
兄者は慌てて、残っていたポケットティッシュを手渡した。
渡辺が軽く血を拭く。傷はほとんど乾いていたが、損傷箇所からはまだ血が滲み出ていた。
(;´_ゝ`)「保健室行かないと」
从;'ー'从「そんなぁ、大丈夫ですって。
それに、今の時間じゃ保健室もう閉まってると思うし」
(;´_ゝ`)「あ、そっか」
从^ー^从「それにほら、バンドエイド持ってるんですよ。女子力!
私しょっちゅうどこか怪我するから、すぐ無くなっちゃうんですけどね」
(;。。)「……ごめん、ナベ。あたしのせいだよな」
从'ー'从「ふぇ?なんで??」
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(;。。)「しぃのこと探して、走り回ってたんだろ?だから、こけたんだろ?
あたし……、あたしが勝手に、どこか行こうなんて思ったから……。
それで……」
从'ー'从「……つーちゃん」
つーは項垂れた。
ほら見ろ。いつだって、自分は人を傷つけてばかりいるじゃないか。
そんなつもりが無くたって、気づけばいつも周りの誰かを傷つけてしまう。
しぃが自分のことを恐れ、毛嫌いするのも当然だった。
こんな奴、いない方が良いに決まってる。
どうして自分はいつもこうなんだろう。
つー自身、どうしようもないこんな自分が大嫌いだし、悲しかった。
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从'ー'从「……」
そんなつーの顔をひょいと覗きこんで、渡辺は笑った。
从^ー^从「なに言ってるの、つーちゃん何も悪くないでしょ?
私が一人で勝手に慌てて、ぼうっとして転んじゃっただけだよ」
从^ー^从「つーちゃんは悪くないよ。だからそんな顔しないで」
(;。。)「……でも」
从'ー'从「ほらほら、元気出して。ねっ。
そうだ、可愛いお花柄のバンドエイドあげる。怪我した時使ってね」
そう言って、ポーチから取り出したポップな小花模様の絆創膏を優しくつーの手に握らせる。
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(*゚-゚)「……いいの?」
从*'ー'从「いいよ。お友達になった記念」
しばらく渡辺の顔をじっと見つめた後、つーは頷いて
貰ったそれを大事そうにスカートのポケットに仕舞った。
(*゚∀゚)「……ありがと」
渡辺もにっこりと微笑んで、擦りむいた膝小僧にぺたり、バンソウコウを貼りつける。
(*゚ー゚)「……」
(;´_ゝ`)「消毒とかしなくて大丈夫かなぁ」
从^ー^从「心配しすぎですよ〜兄者先輩。
こんなもん、唾つけときゃ治る!って昔、おばあちゃんも言ってたし」
(;´_ゝ`)「やだ、おばあちゃん男前……」
-
从'ー'从「あっ、そうだ。そんなことより、しぃちゃんの鞄」
( ´_ゝ`)「うん、俺見てくるよ。ナベちゃんはここで、つーと一緒にいてくれる?」
从'ー'从「でも、ブーン先生に用事あるんでしょ?
先にそっち行った方が良くないですか?」
( ´_ゝ`)「あ、確かに」
从'ー'从「でしょ?やっぱり私が……」
(*゚ー゚)「ナベちゃん」
从'ー'从「へ?」
兄者と渡辺がつーの方を振り返る。
彼女はどこかぼうっとした表情で、渡辺の方を見つめていた。
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渡辺いい子すぎる
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(*゚ー゚)「……?」
(*゚ー゚)「……あれ……、なんで」
从'ー'从「?」
( ´_ゝ`)「?どうした?」
声をかけても反応が無い。
まるで、たった今目が覚めたばかりとでもいう風に瞬きを繰り返し
呆然とした様子で、どこか視線を彷徨わせている。
不思議に思い、2人は顔を見合わせた。
( ´_ゝ`)「……」
从'ー'从「どうかしたの?つーちゃん」
(;゚ー゚)「え」
-
―――渡辺が何気なく名前を呼んだ瞬間、その表情が凍りついた。
从'ー'从「?」
(;゚-゚)「……!?」
(;゚-゚)「あ……」
(;´_ゝ`)(まさか)
明らかに、先程までのつーと様子が違う。
困惑し言葉を失う彼女を前に、渡辺は首を傾げ、兄者はドキリとした。
嫌な予感がする。
-
(;゚-゚)「うそ……嘘、なんで……」
(;゚-゚)「なんで?……そんな……嫌……!」
ほとんど聞き取れない独り言をブツブツと繰り返しながら
彼女は怯えたように、兄者と渡辺を交互に見た。
从'ー'从「……」
从'ー'从「……しぃちゃん?」
渡辺が不意に、彼女―――”しぃ”の名を呼ぶ。
从'ー'从「しぃちゃんなの?」
(;゚-゚)
ぎこちない動きでそちらへ顔を向けた、しぃの視線が
瞬間、渡辺の持っている、血のついたティッシュを捉えた。
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从'ー'从「大丈夫?……しぃちゃん」
(;゚-゚)「……血……!?」
(;゚-゚)「ナベちゃん、怪我……!?」
从'ー'从「え?ああ、これ」
从^ー^从「大丈夫、大したことないよ。少し血が出ただけ」
―――しぃの顔が一気に青褪めた。
目を見開き、ガタガタと震えだす。
渡辺の言葉も耳に入らないのか、恐怖に顔を引き攣らせた。
-
(|li゚-゚)「……うそ……」
信じられない思いで、小刻みに震える自らの手を見る。
瞬く間に、恐ろしい考えが彼女の頭を支配した。
(|li゚-゚)「そんな……!!」
从'ー'从「しぃちゃん……?」
(;´_ゝ`)「しぃちゃん、違う!違うよ!!」
咄嗟に兄者が弁明しようとする。だがその声は届かない。
しぃはただ力無く首を振り、拒絶するかのように2人から距離をとった。
-
:(|li゚-゚):「い、いや……」
从;'ー'从「しぃちゃん?どうし―――」
(|li -)「いやあああああぁぁっ!!!!」
从;'ー'从「あ……、待って!」
(;´_ゝ`)「しぃちゃん!!」
呼び止める声を振りきり、2人に背を向けて
認めたくない現実と心を襲う恐怖から、しぃは逃げ出した。
-
(|li;-;)「うそ、嘘だ……嘘だよ……、そんなの嫌……!!」
泣きながら、薄暗い廊下をふらふらと歩く。
どうして?何故急に、こんなことに??
1年A組の教室に辿り着いた。渡辺の姿を見つけて安心した。
そこから先の記憶が一切無い。何がなんだか訳が分からない。
茜色した陽は暮れて、校舎内は既に薄暗く
明らかに、あれから時間が経っているのが分かる。
移動した記憶も無いのに、全然違う場所に突然居た。
何故か渡辺も一緒に。そして。
そして彼女は、自分のことを”つー”と呼んだ。
ここまで条件が揃えば、何が起こったのか嫌でも理解してしまう。
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(|li;-;)(……ナベちゃんに見られた……!!)
ついに。とうとう。見られてしまったのだ。大好きな渡辺に。
これまで隠してきたことが、なにもかも無駄になってしまった。
一番見られたくなかった姿を知られてしまった。
信じたくない。しぃは顔を覆った。
それに、血。渡辺は怪我をしていた。
優しい彼女は平気だと言って笑っていたけれど、あれは……あれは、まさか。
(|li∩-∩)(嫌!)
認めたくない。理解するのが怖い。
だが、そうとしか考えられなかった。
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また―――やってしまったんだ。
中学生の時の記憶が、感情が、まざまざと蘇る。
耳を塞いでも、目を閉じても、何処に居ても逃げられない。
ざわざわ。ざわざわ。ざわざわ。
教室での事件を書き立てたスクープ誌。家に、学校にと無遠慮に押しかけるマスコミ。
“生徒4名・教師1名負傷” “凶暴な二面性” ”隠された裏の顔” “心の闇”
好き勝手噂を流し、興味本位で自分をなじる世間の人々の声が聞こえる。
まただ。あの時と同じ。2年前の悪夢と同じ。
知らぬ間に自分の世界はぐちゃぐちゃにされて、踏み躙られて、もう二度と戻ってこない。
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こうなる日が来ることを恐れていた。
ゆらゆらと不安定だけれどそれでも幸せで、満たされた平穏な日々を
大切なものを。また滅茶苦茶に壊されて、自分1人置き去りにされる日が来るんじゃないか。
それをずっと恐れていた。いつだって心の奥底で、ずっと、ずっと恐れ続けていた。
壊された。また、奪われたのだ。
親友の渡辺を。誰より愛情深く、暖かく笑いかけてくれる優しいあの子を。
“つー”が傷つけた。
許さない。
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(|li;-;)(許さない、許さない!!)
大切な、大切な親友だったのに。それなのに。
“つー”のことを知った彼女は、きっともう友達でいてくれない。
だって怪我までさせられたのだ。気味悪がって、距離を置いて当然だ。
しぃの世界が音を立てて崩れていく。
底の無い井戸に1人落ちていくような
どこまでも孤独で真っ暗な絶望が襲った。
頭の中で声がする。五月蠅い。五月蠅い!
(|li;-;)(消えて!お願い!!)
お前なんか知らない。
.
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救いを求めて、苦しみから逃れたくて―――
その足は無意識に、ある教室へと向かっていた。
開かれた扉。
何かの力が働いて、しぃはふらふらとその中へ誘われていく。
「やぁ、羽生さん」
救いを求める彼女に、闇の中から声がした。
天使のような顔をした男が、机に寄りかかり微笑んでいる。
( ・∀・)「迷いは消えたかな?」
.
-
(|li;-;)「”つー”を消して!お願い、今すぐ!!」
そう懇願した後すぐ、彼女は手で顔を覆った。
(∩-∩)「―――嫌だっ!嫌!やめろ!!」
(∩-∩)「お願い早く消して。早く!!」
( ;-;)「やだ!あたし消えたくない!!」
( ;-;)「早く!」
( ;-;)「兄者」
(∩-∩)「お願い!!」
( ・∀・)「いいだろう。”君の”願いを叶えてあげる」
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歪んだ三日月が、星ごと夜を飲みこんだ。
.
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( ^ω^)「?今、誰か叫んでるような声が聞こえなかったかお?」
(`・ω・´)「……いえ?僕は何も」
( ^ω^)「そうかお?」
(`・ω・´)「……」
(;´_ゝ`)「つー!!」
从;'ー'从「しぃちゃん!!」
兄者と渡辺が、横たわる人影を見つけその教室に駆けこむ。
仄暗くがらんとした広い空間の中心。
誰もいない教室で、しぃが。つーが。眠るようにして倒れていた。
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15話投下以上です。支援ありがとうございました!
次話は、今現在プロットしか書けていない状態です。
いつになるか未定ですが、一ヶ月超えるようなら報告に来まする
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来てた乙乙
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乙!ナベちゃんの天使ぶりに癒されたと思ったら、思わぬ落とし穴が…
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乙
ちょっとした行き違いで取り返しのつかない所まで……
お互いに対話できないのが辛いな
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おつおつ!かなり深刻な展開になってきた…
しぃとつーは大丈夫なのかな…
次も楽しみにしてる
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しぃもつーも悩んでることとか怖いこととか近いのになぁ
諸々の運が悪いしタイミングに恵まれ無い
しぃはもしも中学のいじめが無かったらマインドBは発症しなかった?
流石兄弟の過去話
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途中で送信してしまった
流石兄弟の過去話読んでるとあまり関係なく発症してそうな気もするけど
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おつ
えええええナベちゃん天使からのえええええええ
もう・・・どうなったんだよ・・・つー・・・
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乙!今回も面白かった
ナベちゃんは予知能力でも持ってるのか…?
>>797
でも兄者が言ってた、「わけがわからなくて怖かったこと」が気になるんだよなぁ
諸々の謎がどう明かされるのかすげー楽しみ!
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おつ
ナベちゃんは…って思ったけど予想は心の中だけでしとく
ほっこりとハラハラで続きが楽しみすぎる
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>>1って他にも何か書いてたりしてる?
あったら教えてほしい
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>>1です。乙や感想いつもありがとうございます
>>801
長編はこの作品だけで、他は短編や中編、祭参加作品等を6年程前からちょこちょこ書いておりました
一番最近ではGWのケツ祭で、片づけられない兄者と、種も仕掛けも無いようですというのを書きました
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>>802
あれ貴方か!どっちも好きだ
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>>802
なん……だと……
あれ同じ作者だったのか
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追いついたぞ面白いなこれ
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>>1です。もう7月も終盤なんて嘘みたいです。
今現在、16話の進み具合は半分とちょっとくらい。
次の更新は来月になります。できれば第二週目あたり……の予定
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待ってるぜい
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追いついた。面白い。モララーは子供たちも自分と一緒にしたいのかな
期待支援
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(‘_L’)「……と、いうことで……
今日は、ブーン先生の代わりに私が授業を担当します」
( ´_ゝ`)「……」
(`・ω・´)「……」
ζ(゚ー゚;ζ
(;^Д^)
短くそう告げた後、フィレンクトは手元のファイルから個々の教材を取り出した。
いつもブーンがやっているのと同じように、出席確認をし、授業を始める準備をする。
フィレンクトの立っている教壇を前にして
横に並んだ5つの机のうち、丁度真ん中の席だけは
授業が始まっても誰も座らないまま、空席となっていた。
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(‘_L’)「今から1人ずつ、今日の課題を配りますからね。
皆、いつものように自分の勉強に取り組んで……」
ζ(゚ー゚;ζ「先生!」
フィレンクトの声を遮って、唐突にデレが叫んだ。皆の視線が集まる。
ζ(゚ー゚;ζ「つーちゃんは?病院って……、どうしたの?病気なの?」
震える声。教室の空気が張り詰めた。
(‘_L’)「……」
少し間を置いて、フィレンクトが静かに口を開く。
(‘_L’)「……先生も詳しいことは分からないんですよ、デレさん。
ただ今、羽生さんは病院にいて、ブーン先生はそちらへ行かれています。
どうしてそうなったのか、何が原因なのか、現時点では確かなことは何も言えません」
(‘_L’)「羽生さんのことが心配なのは分かりますが、今は待ちましょう。
ブーン先生も、明日になれば学校へ来てくださいます。
何か分かればきっと、その時に皆さんに話してくださる筈です」
-
(;^Д^)「先生!昨日の放課後に羽生さんが倒れて、救急車で運ばれたって本当ですか?」
ζ(゚ー゚;ζ「!」
(;^Д^)「運動部の友達が、羽生さんが救急車で運ばれるの見たって……
それに今、意識不明の状態で、病院で眠ってるって、クラスのみんなが言ってました!」
(`・ω・´)「猫塚君。根も葉も無い噂を声高に口走り不安を煽るような真似はよせ」
隣の席のシャキンが鋭く制する。デレは不安気にタカラの方を見た。
(;^Д^)「で、でも。羽生さん、昨日は元気にしてたのに。
いきなり倒れるなんて……、救急車なんて……。一体、なにがあったんですか?」
(`・ω・´)「……先生方も調べている途中なんだ。詳しいことは誰にも分からない。
ブーン先生が病院の先生から話を聞いて、何か分かったならきっと
明日にも僕達に話してくれる筈だ」
ζ(゚ー゚;ζ「つーちゃんに何かあったの?デレ、つーちゃんが大丈夫かどうか知りたい!」
(;‘_L’)「デレさん、タカラ君、落ち着いてください。
今大事なのは、ブーン先生を信じて待つことですよ」
-
( ,,^Д^)「……兄者先輩。兄者先輩は何か知らないんですか?」
唐突に、タカラが席から身を乗り出して
廊下側の自分の席からは一番遠い、窓際の兄者へと声を投げかけた。
( ,,^Д^)「昨日の放課後、羽生さんと……
兄者先輩か、弟者先輩かわからないけど、一緒にいるの見たって。
救急車が来た時も一緒だったって、クラスの子が言ってました」
( ,,^Д^)「何か知ってるんですか?」
(`・ω・´)「猫塚君」
シャキンが再度、咎めの意味を込めてタカラに釘を差す。
それでもタカラは聞かずにはいられないようだった。
-
( ´_ゝ`)「……」
兄者は、教室に来た時から既に弟者と人格交代していて
その時から今まで、彼にしては珍しく無口を貫いていた。
縋るような気持ちで、デレも隣の席の兄者を見る。
だが兄者は、自分に向けられたそんな視線に応じる気も無いようで
何を考えているのか分からない表情で、ただじっと押し黙ったままでいた。
じれたタカラが、次の言葉を発しようと口を開く。その時
( ´_ゝ`)「……知らないよ」
タカラから若干顔を逸らして、彼は短くそれだけ答えた。
傍から見て、兄者が今その話題に出来るだけ触れたくない様子なのは明らかだった。
-
(;^Д^)「でも―――」
( ・∀・)「タカラ君。フィレンクト先生の言うとおり、今は勉強に集中することが大切だよ」
それまでフィレンクトの傍らに控え、沈黙を守っていたモララーが口を開いた。
優しい口調でタカラを宥める。
( ・∀・)「ブーン先生は今まで、自分がいなくても
皆がいつもどおりきちんと勉強できるように、一生懸命取り組んでこられたんだからね」
( ・∀・)「だから、ブーン先生が帰って来た時にがっかりさせないように
今は先生を信じて待っていようよ」
(`・ω・´)「そうだぞ猫塚君。今は騒いでも仕方が無い。
無意味に騒いで、デレやみんなを不安にさせるのはやめるんだ」
( ,,^Д^)「……おい、どういうことだよ」
急に低くなった声音で、唸るようにタカラが呟いた。
周りの皆がその顔を見やると、ガタンと席から立ちあがり誰にともなく尋ねる。
-
(;゚Д゚)「羽生しぃが倒れたって、どういうことだ?
クラスの奴ら、何の話をしてる?本当のことなのか?」
力のこもった話し方と強めの口調から
タカラに代わってギコがこの場に現れたことが分かった。
普段、他人や周りの状況にあまり興味を抱かないで、口数少なく無愛想にしているだけのギコが
この手の話題に反応して一方的に出てくるのは意外なことだった。
彼にしては珍しくショックを受けている様子で、顔に焦りを浮かべている。
急に現れたギコに戸惑うフィレンクトに代わって、シャキンは静かに諭した。
(`・ω・´)「……ギコ君、座りたまえ。みんなはただ憶測で不確かな噂を口にしているだけだよ」
(;゚Д゚)「意識不明で、植物状態だって、言ってるの聞いたぞ!おい、本当なのか!?」
(;‘_L’)「そんなの嘘ですよ、タカラく……、いや、ギコ君。落ち着いて。座りなさい」
(;゚Д゚)「?あんた誰だよ。あの先生、いねーのか?おい!なんでいねーんだよ?」
怒鳴るギコ。面食らった顔をするフィレンクト。
また話がややこしくなった、とシャキンは目を伏せて溜め息をついた。
-
ζ(゚ー゚;ζ「??しょくぶつ……?」
デレにはその言葉の意味は分からなかった。
ただ、その異様に緊迫した空気と、いつもと違う教室が怖かった。
マインドBの生徒を相手するのに慣れていないフィレンクトは
当惑しながらも、なんとかギコを落ち着かせようともう一度今の状況を説明する。
タカラの母親がブーンの元にギコを連れてきた時や、体験入学の手続きの際などに
フィレンクトはギコと何度か顔を会わせているのだが、彼はそのことを覚えていないようだった。
兄者は、一番離れた窓際の席からその様子を眺めていて
ギコの発する不穏な言葉の数々に人知れず眉を顰めた。
無神経なタカラにも、ギコにも苛立ちを覚える。
今日はここにはいたくない。そう思った。
-
( ・∀・)「ギコ君、羽生さんに何があったのか、詳しいことは先生もまだ分かっていないんだ」
(;゚Д゚)「……!モララ、先生」
( ・∀・)「確かなことはまだ何も言えないけどね。
羽生さんには今、ブーン先生がついているから大丈夫だよ。何も心配は無い」
(;゚Д゚)「でも!」
ζ(゚ー゚;ζ「ねぇ、あにーちゃん……本当に知らないの?
つーちゃん、どうしたの?病気なんかじゃ、ないよね?」
(;´_ゝ`)、
デレに心配そうな顔で詰め寄られて、兄者は困惑した表情を浮かべた。
迷いながらも口を開きかけて、結局、何も言えないまま居心地悪そうに目を逸らす。
安心させてあげたいと思ったが、「大丈夫だよ」などと無責任なことも言えない。
口は上手いしその場をしのぐ術にも長けているが、小さい子相手に嘘を吐くのは苦手だった。
とりわけ、昨日まで明るく笑っていたクラスの仲間の身を、心から案じている幼く可愛い子には。
不意に、目がぼんやりとして虚ろになり、後ろめたそうにしていた顔の表情が消えた。
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ζ(゚ー゚;ζ「ねぇ、あにーちゃん」
(´<_` )「……兄者は」
逸らされた視線がすっと正面を向いて、真っ直ぐにデレの目を見つめ返す。
(´<_` )「兄者は今、あんまり話したくないって。デレちゃん」
ζ(゚ー゚;ζ「弟者おにいちゃん?」
(´<_` )「うん。……だから、ごめんな。
つーちゃんのことは、今は聞かないでやってくれるか?」
ζ(゚ー゚;ζ「……」
それだけ言って、弟者はデレから視線を外した。
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(;‘_L’)「みんな、落ち着いてください。ギコ君も。さぁ、座って」
―――フィレンクトの努力も虚しく、その日の授業は成功とはとても言い難かった。
騒がしい最初の数十分が過ぎた後、ようやくそれぞれが自らの課題に取り組み始めたのだが
ギコもタカラも動揺していて、その後も無意識の人格交代を何度か繰り返し、どちらが
出てきたとしてもその度に不穏な言動を連ねて、デレをますます不安にさせるばかりだった。
皆が皆、集中力を無くし神経過敏になっていた。
教室は始終騒々しく、ついにはシャキンがギコに怒鳴りつける場面もあったし
兄者は結局、その落ち着かない場を弟者に任せ、誰が呼びかけても応えようとはせず
授業が終わってもそのまま戻ってこなかった。
学年主任としてブーンからクラスのことを任され、子供達を預かったフィレンクトは
混乱するクラスをなんとか纏めようと、2時間の間せかせかと動き回っていた。
が、実際は生徒達のなかで何が起こっているのかほとんどついていけておらず
自分自身も多少冷静さを失っていて、専門分野のモララーに頼るところが多かった。
-
チャイムが鳴り、授業が終わった後もごたごたが続いた。
デレは、不安や緊張からか上手く人格交代することができなくて
その結果ツンは次の授業に大幅に遅れることとなり、慌てて教室を飛び出していった。
タカラが普段以上に落ち着かない様子なのも、ギコの動揺が影響しているようで
このまま通常クラスに戻り授業を受けるのは難しいとして
モララーの判断で家に帰されることになった。
(´<_` )「じゃあ、八又先輩。俺、クラスに戻ります」
(`・ω・´)「ああ。何か言われても気にしないようにな」
(´<_` )「はい」
しぃの噂は1年生を中心にして密かに囁かれ、誰も正確には事態を把握しておらず
マインドBクラスの生徒達、皆が皆何かしらの不安を抱えていた。
.
-
(;^ω^)「一体何があったんだお?」
時は、昨日の放課後に戻る。
ブーンは、兄者と渡辺を相談室の椅子に座らせて2人から事情を聞いていた。
つーが倒れたと言って、血相を変えた兄者が相談室に駆け込んできたのが
ほんの数十分程前のこと。
彼女を乗せた救急車には教頭が付き添い
ブーンは事態を把握する為学校に残ったのだった。
今回の件とは直接関わりの無いシャキンは、先に家へと帰させた。
(;´_ゝ`)「つーが……、あいつ、1人で学校の外に出てて……」
兄者は、放課後に1人学校の外を歩いていたつーを見つけ、学校に連れ戻したこと
突然しぃが出てきて、渡辺の姿を見てパニックになってしまったことなどを
心もとない様子で説明した。
-
(;´_ゝ`)「……それで……、はぐれちゃって……。
……見つけた時には、倒れてたんだ」
从;'ー'从「……」
一通り兄者からの話を聞いたあと、ブーンは納得いかない顔で首を振った。
(;^ω^)「……つーは今日の授業中、いつも通りに見えたお。
急にそんな、切羽詰った行動を起こすなんて……」
(;´_ゝ`)「……」
(;´_ゝ`)「あいつ、言ってたんだよ。しぃちゃんの声を聞いたって。
いなくなればいいって、言ってたって……それで、すごく怖がってた」
(;^ω^)「!まさか。共在意識が芽生えたのかお?」
(;´_ゝ`)「だと思う。多分まだ、そんなはっきりしたものじゃないと思うけど。
声だけ聞こえたみたいだった」
(;^ω^)「それで……それでこんなことに?」
ブーンの脳裏に、期待に応えようと一生懸命努力していた つーの姿が思い浮かんだ。
-
人格間での共在意識を持つことは、マインドBにとって重要な意味を持つ。
別々の人間が、バラバラだった意識を繋ぎ合わせ、互いの情報を共有し
2人協力してコントロールできるようになれば、実生活においてかなりの手助けになるのだ。
しぃとの人格交代のルールを覚えて、次のステップへ進むこととなった彼女への課題。
ブーンはつーの為、しぃの為にそのやり方を教え、根気よく練習に付き添って
人一倍頑張り屋の彼女が、なんとかしてその方法を得ようとするのを見守ってきた。
元から何の問題も無く、人格同士お互いコミュニケーションをとれるケースもあれば
一生相手の存在を認知できないで、すれ違ったまま終わるケースもある。
しぃとつーはその後者のタイプだった。
みんなにはできることが自分にはできないと、頑張った分がっかりしていたつー。
諦めた訳では無いが、焦って片づけなければいけない問題でも無いと言って
自分が別のことに取り組んでいる間に、彼女が1人、密かに努力を続けていたのだとしたら?
健気な努力の末に勝ち得たチャンスが
傷つきやすい彼女を逆に追い詰めてしまったのだとしたら。
……それでこんな結果になったのだとしたら、つーが不憫でたまらなかった。
-
ブーンは項垂れた。
教師として、カウンセラーとして、こうなる可能性があることも考慮しておくべきだったのだ。
予測して然るべきだった。ブーンは、自分の考えが足りていなかったことを嘆いた。
自分は、良かれと思い彼女にチャンスを与えようとした。
だが、それは間違った考えだったのか?
(;´ω`)「……僕のせいだお……」
(;´_ゝ`)「先生のせいじゃないよ」
(;´ω`)「僕が……」
兄者と渡辺の目の前で、ブーンの目が内面を覗いているようにぼんやりし声無く唇が動いた。
彼くらい長年マインドBと付き合っている大人になると、人格交代する時でさえ
普段滅多に人前でその様子を出したりはしないのだが、今は動揺しているせいか
心のなかでの会話がブツブツと漏れ聞こえていた。
-
ぐいと、ブーンが身体の位置を変えた。
顔をあげ、2人を見る。その眼には鋭い光が宿っていた。
( ФωФ)「我輩はそれだけが原因とは思わんな」
意味ありげにそう言って、渡辺にもロマネスクだと分かる表情を浮かべる。
( ФωФ)「仮に、つーが急に共在意識に目覚めたとして
そこまで極端な行動に出るとは考えにくい」
从;'ー'从「……」
( ФωФ)「つーはああ見えて賢い子だ。
馬鹿ではあっても、愚かな真似はしない。そうだな?兄者」
兄者は強く頷いた。
-
( ФωФ)「確かつーは、しぃが自分を消したがっていると言って、怖がっていたと言ったな」
( ´_ゝ`)「うん」
( ФωФ)「我輩はそこに疑問を感じるのである」
( ФωФ)「しぃが日頃、つーの存在を恐れていたことは事実である。
だが、常日頃からそれだけ強い感情を、共在意識に目覚めたばかりのつーが
真っ先に受信してしまうような、それ程強い意識を
しぃは果たして、つーに対して常時抱いているものだろうか?」
(;´_ゝ`)「……どうかな。
自分に向けられた嫌な言葉とか、結構優先的に聞こえちゃうし……。
たまたま しぃちゃんも気分が落ち込んでて、そんなこと思ったんじゃ」
( ФωФ)「確かにそうかもしれん。
だが、それにしても偶然が過ぎると思うぞ」
( ФωФ)「しぃのことといい、つーの行動といい、何か違和感を感じるである」
深く腕を組み、宙を睨むロマネスク。
上手くできすぎている。彼はそう言いたいようだった。
-
( ФωФ)「しぃがつーのことを、強く意識することとなった何か。
つーがしぃの声を拾い、追い詰められた行動に出た何か……」
( ФωФ)「”なにか”きっかけがある筈である。思い当たることは無いか?」
(;´_ゝ`)「……」
(;´_ゝ`)「……わかんないよ。授業の後はしぃちゃんに会ってない」
从;'ー'从「あ、あのぅ」
それまで、思い詰めた表情で
2人のやりとりを聞いていた渡辺が、おずおずと口を開いた。
从;'ー'从「授業が終わった後なんですけど、しぃちゃん、用事があるっていって……
……1人でどこかへ行ったんです」
( ФωФ)「用事?」
从;'ー'从「はい。なんの用事かは言ってませんでした……。
それで私、教室で待ってたんです。でも、しぃちゃん帰ってこなくて」
-
( ФωФ)「兄者がつーを見つけたのは何時頃であるか?」
( ´_ゝ`)「えっと、ジョルジュとなおの補習終わった後だから……5時前だと思う」
( ФωФ)「6時限目の授業が終わって、HRが終わったのは3時半頃であるな」
从'ー'从「はい」
( ФωФ)「ということは、その1時間30分程の間
しぃが何処で何をしていたかは分からないということか」
( ´_ゝ`)「その1時間半の間にしぃちゃんに何かあったってこと?」
( ФωФ)「恐らくな。その”用事”というのが気になるである。
誰か事情を知っている者はおらんだろうか」
从'ー'从「えっと……しぃちゃん、いつ終わるかわからないって言ってました。
私、きっと誰か先生にお手伝いでも頼まれたんだと思ったんですけど……」
( ФωФ)「ふむ。どの先生か、心当たりはあるか?」
从'ー'从「うーん。担任の鈴木先生か……
あとは、古典の荒巻先生にも時々、コピーの手伝いとか頼まれてますよ」
-
( ´_ゝ`)「先生はずっと相談室にいたのか?」
( ФωФ)「いいや。あれは確かな……4時頃か?」
( ^ω^)「うん。4時までは職員室で作業していたお」
ブーンが出てきて答える。
心強いロマネスクの存在が影響してか
先程までの落ち込みようから幾分か回復したようだった。
( ´_ゝ`)「それまで、どの先生がいたかいなかったか、分かる?」
( ^ω^)「うーん……職員室は出入りが激しいからね。
非常勤の先生もいるし、放課後は部活動もあるし。
全員は把握できないお」
( ФωФ)「だが、先生のうちの誰かが事情を知っている可能性はあるな」
( ´_ゝ`)「生徒で誰か見てる奴がいるかもしれない」
( ФωФ)「ああ。それも含め、調べていく必要があるであるな……」
-
( ФωФ)「―――だが、いいか?原因を調べる必要はあるが
お前達に犯人探しのような真似はしてほしくないである」
( ^ω^)「だお。とにかく、僕とロマネスクはこの後 しぃの運ばれた病院へ向かうお。
しぃが意識を取り戻したら、何があったか直接聞くことができる」
( ^ω^)「だから今は、早まった行動はしちゃ駄目だお。兄者も渡辺さんも。いいおね?」
(;´_ゝ`) 从'ー';从
念を押され、神妙な面持ちで2人は頷いた。
(;´_ゝ`)「先生。……つー、大丈夫だよな?」
ブーンとロマネスクが一旦話を止めると、恐れを顔に出して兄者が尋ねた。
-
(;´_ゝ`)「あいつ、言ってたんだよ。”消えたくない”って。
目が覚めた時、もしも……」
( ^ω^)「……」
(;´_ゝ`)「……もしかして、つーが、いなくなったり……しないよな?」
从;'ー'从「……」
( ФωФ)(……)
( ^ω^)「……大丈夫だお。兄者。
先生、いつも言ってるお?マインドBだって1人の人間だって。
君達も、つーも。簡単に消えたり、いなくなったりなんてしないお」
( ^ω^)「きっとすぐに意識も戻る。そしたらまた、元気なつーに会えるお。ね」
兄者を励ますブーンの言葉に、微かに不安の色が仄見えていたのは気のせいだろうか。
-
(;´_ゝ`)「……」
( ФωФ)「ほれ、そんな顔をするでない。お前の行動は正しかったぞ兄者。
お前がつーを見つけていなければ、本当に危ない目に遭っていたかもしれん。
よくやった。偉かったな」
( ^ω^)「そうだお。それに、渡辺さんも。
しぃのこと心配して、必死に探してくれたんだおね。ありがとうだお」
从;'-'从「……でも」
从;'-'从「でも……、わ、私のせいで、しぃちゃん、びっくりしちゃって……
それで……それで、こんなことに」
いつも笑顔の渡辺が、泣き出しそうな顔で唇を噛み締めた。
从;'-'从「私が余計なことしたから……!」
( ^ω^)「……それは違うお。渡辺さんは悪くない」
( ^ω^)「悪いのは先生だお。しぃとつーのこと、もっと分かってないといけなかったのに……
こんなことになって、2人を巻き込んでしまって申し訳なく思うお」
-
( ^ω^)「だから2人とも、絶対に自分を責めたりしちゃいけないお」
(;´_ゝ`)「……」
从;'-'从「……」
( ^ω^)「……さ、兄者も渡辺さんも疲れたお?
今日はもう帰って、ゆっくり休むお」
ブーンの言うとおり、2人とも疲れた顔をしていた。
( ФωФ)「後のことは任せておけ」
( ^ω^)「また明日ね。暗いから気をつけて帰るんだおよ」
優しく促され、ブーンとロマネスクにさよならを言って
2人は相談室の扉をくぐり学校を後にした。
-
( ´_ゝ`)
別れ道、トボトボと帰路へつく小さな背中を見送る。
渡辺は、今回のことは自分のせいだと思い落ち込んでいるようだった。
兄者も後悔していた。ブーンはああ言ってくれたものの
つーのすぐ傍にいながら何もできなかった自分が情けなくて、悔しかった。
自分に泣いて助けを求めた、つーの声が、顔が忘れられない。胸が重く感じた。
( ´_ゝ`)「……」
「兄者」
( ´_ゝ`)
不意に、名前を呼ばれた気がして顔をあげる。
兄者は歩きながら、自分の内面に目を向けてその声の主を見た。
いつでもそこには弟者が立っている。
先程の話し合いの最中も、会話に参加してこないだけで
皆と同じようにそこに椅子をひいて座り、耳を傾けている姿が兄者だけには見えていた。
-
今は、まるで肩を並べて歩いているかの如く、すぐ隣に存在を感じるようだった。
探るような顔つきで、弟者が兄者に尋ねる。
(´<_` )「……モララー先生の教室で、しぃちゃんが倒れていたこと、気にならないか?」
意味深な物言いに、兄者は弟者の顔を見返した。といっても、心のなかでだが。
( ´_ゝ`)「……関係無いだろ?」
(´<_` )「ああ。確かに、関係は無いかもしれない。
でも、どうしてあの状況で、しぃちゃんはあの教室へ向かったんだろうな」
( ´_ゝ`)「……モララー先生が、なにか……関わってるっていうのか?弟者」
(´<_` )「そうは言ってない。
だが、兄者と別れた後、何故かあの場所で倒れていたのは事実だ」
-
だったらさっきみんなの前でそのことを言えば良かったじゃないか。
兄者はそう文句を言いかけたが、この慎重な弟が注意深く言葉を選び
何か考えを持ってあえてあの場に現れなかったことも分かっていた。
今になって、こうして自分にだけ耳打ちをするような真似も
今の時点ではあの場で持ち出すべき話ではないと彼が判断し、理解していたからこそ。
それも含め全てわかっている。わかっている、筈なのだが
今の兄者は弟のように冷静に物事を客観視するだけの
心の余裕を持ち合わせてはいなかった。
-
( ´_ゝ`)「……ロマ先生も言ってたろ。犯人探しみたいな真似はするなって」
(´<_` )「そんなつもりは無いよ」
( ´_ゝ`)「弟者は何か心当たりでもあるのか?」
(´<_` )「……いいや。だけど」
_,
( ´_ゝ`)「……」
尚も何か言いたげな弟から顔を逸らし、兄者はせかせかと歩を進めた。
何か考え込んでいるのかむっつりと黙り込んで、不機嫌そうに見える。
(´<_` )「……兄者、今日のことは」
(´<_` )「兄者のせいじゃないよ」
-
ふっと、兄者の姿が消えた。
顔をあげて見てみれば、見慣れた石垣に『流石』の文字。
気づけば弟者は自分の家の前に立っていた。辺りは日が落ちてすっかり暗い。
いつの間にか、もう家に着いたのか。
ここまで歩いてきた筈の兄者は既に隣にはいなかった。何処にも。
家の前に着いても何も言わないまま、ドアを開けて母者の顔を見る前に
帰宅が遅くなったことの説明を弟者に託して、兄者は意識の奥深くの世界へ引っ込んでしまった。
(´<_` ) =3
そんな彼の様子を察して、弟者もこれ以上何か伝えようと努力するのを諦めた。
今の兄者は、他のことに意識を向ける余裕が無いほどに
目の前で病院に運ばれていった つーのことを気にしているようだった。
(´<_` )「……ただいまー」
―――翌日になって登校しても、ブーンは学校に来てはいなかった。
代理のフィレンクトによれば、つーはまだ病院にいると言う。
彼女の意識は戻ったのか、今どんな状態なのかもわからない。
その事が、兄者をますます無口にし、彼の心中を曇らせた。
誰とも口を聞く気にはなれなかった。デレとも、弟者でさえも。
-
+ + + + + + + + + + + +
ミセ*゚ー゚)リ「ねーねー!トソっちー」
(゚、゚トソン「……なんですかミセリ」
机の下からぴょこんと顔を出し、意地悪い猫みたいにニタニタ笑うミセリ。
トソンはそんな親友の顔を怪訝そうに見返した。
自分でも、不貞腐れているのが分かっていた。
ミセ*゚ー゚)リ「へへへー。実はね?ちょーっとしたニュースがあるんだけどね?聞きたい??」
答えはNOだったが、どっちみちミセリが自分の返答など気にしないことは分かっていた。
(゚、゚トソン「つまらない話なら後にしてください。今そんな気分じゃないんです」
ミセ*゚ー゚)リ「まーまー聞いて聞いて!
あのねー?トソっちにはちょっとショッキングなニュースかもしれないんだけどー」
-
ほらね。聞いてない。呆れるトソンの前で、ミセリはへらへらと笑った。
どうやらこの友人は、その”ちょっとしたニュース”とやらを
余程自分に聞かせたくてたまらないらしい。
ミセ*゚ー゚)リ「実はね。ここだけの話……」
口に手をあて、一拍置いて、今の時間空席になっている とある席をチラと見やる。
じろりと睨みつけるトソンの視線を無視して、”ちょっとした”という言葉とは裏腹に
まるで、今世紀最大の重大発表でもするかのように、浅く息を吸い込んでミセリは言った。
ミセ*゚ー゚)リ「……弟者君って、B組の津田さんと付き合ってるんだってー!」
.
-
(゚、゚トソン「……」
ミセ*゚ー゚)リ「だってー……てー……テー……」←セルフエコー
(゚、゚トソン「……」
ミセ*゚ー゚)リ
(゚、゚トソン
ミセ*゚ー゚)リ
(゚、゚トソン「……」
(-、-トソン「……知ってますよ」
短くそう言ってトソンはそっぽを向いた。
-
ミセ*゚ー゚)リ「ありゃ?知ってたの??」
(-、-トソン「……」
予想に反してあまりに味気無いリアクションに、ミセリはきょとんとして首を傾げた。
それ以上何も言わないトソンを前にして、邪魔されないのを良いことに
彼女は楽しそうに話を続ける。
ミセ*゚ー゚)リ「この前の土曜日にね、シベリア駅で
こっそり待ち合わせしてるとこ見たって子がいるんだー。
2人とも私服に着替えて、仲良さそうだったってさ。確かな筋よ!」
(-、-トソン「……」
ミセ*゚ー゚)リ「うんうん。やっぱさー
同じマインドB持ちで、特別教室に通ってる者同士、気が合うんじゃないかな?
ほら、2人とも読書好きで、秀才タイプだし。お似合いだよね!」
わざとやっているのだろうが、やけに嬉しそうな態度に腹が立つ。
トソンは苛々とした溜め息を吐いた。わざわざ教えられなくても分かっている。
-
なにせ先日の放課後、廊下にて
2人で待ち合わせの約束をしているところを
運の悪いことに、ばっちり目撃してしまったのだから。
「じゃ、明日の放課後、公園でな」
「はいはい」
|゚、゚;トソン「……!」
ロッカーの影に身を隠し、弟者にもツンにも、誰にも気づかれないよう
一人その場から走り去り、泣きながら家へと帰った。
あんな光景見たくなかった。信じたくなかった。
その夜はあまりのショックに、家に帰ってからも涙で枕を濡らしたものだ。
-
―――あれから、今日でもう4日経つ。
流石にもう落ち着いて、いつもの冷静な自分を取り戻したとはいえ
廊下で見た仲の良さそうな2人の姿は、日常のなかフと脳裏をよぎっては
ギトギトとした嫌な気持ちを呼び起させ、決して平常心でいさせてはくれないのだった。
ミセ*゚ー゚)リ「それからね!これも噂なんだけど、弟者君たら1年の子とも……」
そんな胸中を知ってか知らずか、今日のミセリはやたらに五月蠅い。
これがもし、見たくない現実を直視してしまった最悪のあの日だったなら
目の前で愉快そうに喋る頭の足りない友人の細い首を
鶏を屠るようにきゅっと絞めているところだったろう。
実際今だってそうしてやりたいくらいだ。この能天気なお喋りミセリめ。
ミセ*゚ー゚)リ「〜〜〜、〜〜〜」
(゚、゚トソン「……」
(゚、゚トソン(……でも)
(-、-トソン(考えてみたら、当たり前ですね)
-
流石弟者はかっこいい。
鼻のすっと通った整った顔をしていて、身長も高いし、真面目だし
それに、少々無愛想ではあるものの、誠実で優しいのだ。
読書が好きでいつも本を読んでいるのも、共通の趣味で好感が持てたし
もしも一緒に好きな本のことなど語り合えたなら、きっと楽しいだろうなと思った。
実際話をしたことなんてほぼ無いし、一方的な片思いでしか無いのだが
そういう話に無頓着でうぶなトソンにとって、人生で初めての初恋の相手だった。
この際、突発的に騒々しい別人になることは置いておいて。
トソンの中で、弟者はまさに理想のタイプであり憧れの存在だったのだ。
-
……だからこそ、自分にとって理想の男性像である彼に
既に恋人がいるという事実を知っても、ああ、やっぱりか。
と、どこかで納得してしまっている自分がいる。
それに、相手はあの津田ツンだというのだから。
地味な容姿の自分と違って、彼女は学年の中でもトップクラスで可愛い。
性格は少しきつめだが、それを差し置いても男子の間で人気があるし、頭も良いので有名だ。
(-、-トソン(……それに)
(-、-トソン(同じようにマインドBを持っていて、同じ特別クラスに通っていて……)
ミセリの言う通り、これ以上無いほどにお似合いでは無いか。
心のなかで、人知れず乾いた笑いが出た。
-
ミセ*゚ー゚)リ「……だからさ、トソっち」
(゚、゚トソン
ズブズブと、泥のような深い思想に1人はまっていくトソンを現実に引き戻し
ミセリはずいと顔を近づけ、強めの口調で言った。
ミセ*゚-゚)リ「―――これできっぱり、諦めなね?」
先程までのふざけた態度を急に止め、やけに強く念を押してくる。
最初に弟者の名前が出た時も、彼女は決して良い顔はしなかった。
彼女は彼女なりに、自分のことを気にかけているということなのだろう。
(゚、゚トソン「……」
ミセリの言いたいことは分かっているつもりだ。
恋は盲目という言葉も知っているし、私だって馬鹿じゃない。
―――だが
(゚、゚トソン(余計なお世話よ)
休憩時間が終わり、席を離れていく親友の背を見つめながら
心のなかで舌打ちをした。
-
すいません、少し席外します
-
うおおおおきてる!しえん
-
待ってた!支援
-
やたー!!きてたー!!
-
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
-
やっべぇ普通に大文字の送り火忘れてたわ
ちょっと見て来ました。今年も相変わらず「K」にしか見えませんでした。
再開します
-
(-、-;トソン「はあぁぁ〜」
体操着姿でのろのろと階段を登りながら、トソンは盛大に溜め息を吐いた。
今は3時間目。体育の時間で、皆別館へと移動しているのだが
何故彼女1人だけが本館に戻り、のろのろと教室を目指しているのかというと
トソンは今日、自分が鍵締め当番だったことをすっかり忘れてしまっていたのだった。
普段は絶対にこんなミスしないのに。
体育館に移動し授業がはじまって、しばらくしてからやっと
誰1人として教室の鍵を閉めていないという衝撃の事実に気づいたのだった。
おかげで本館までの長い渡り廊下を逆戻りし
1人鍵を閉めに来なければいけない破目になった。
この時間はA組、B組ともに体育で、A組は南館、B組はグラウンドで授業が行われている。
その為2年生の教室が並んでいる廊下は、C組とD組の教室から先生の声が聞こえる以外
比較的静かなものだった。
-
(-、-;トソン「なにやってんだろもう、超ダサ……」
まったくもう。先程の休憩時間にした、ミセリとの会話を思い出す。
彼女が急にあんな話をするものだから、あれからそのことばかり考えていて
鍵のことなどすっかり忘れ、ぼーっとしたまま教室を出てしまったのだ。
自分が間抜けだったことは重々承知の上だが
こうもツいていないことが続くと、ついつい他人のせいにもしたくなるというものだ。
階段を登りきる頃には、疲労に心労も相まって どっと歳をとったように感じた。
誰もいない、静まり返った廊下を1人歩く自分は傍から見ればさぞ情けない姿に違いない。
-
(-、-;トソン「さっさと締めてさっさと戻ろう……」
(゚、゚トソン「……ん?」
その時ふと、トソンは足を止めた。
自分達の教室の前に、誰か立っているのに気づいたからだ。
さらに……よくよく見てみれば
遠目に見えるその人物には見覚えがあった。
(゚、゚トソン「あ」
(゚、゚;トソン「あれって……」
-
―――10分程前―――
ζ(゚ー゚*ζ「……あれ」
階段を降りている途中、デレははたと立ち止まった。
ζ(゚ー゚*ζ「あれ?」
段差に立って視線をめぐらし、上を見て、下を見た。
もう一度ゆっくりと、同じように辺りを見まわす。何度見ても、どう見ても階段だ。
それは分かる。分かるのだが。でも、どうして自分は階段を降りているのだろうか……。
-
デレはぼんやりと記憶を辿った。今はツンの時間の筈だ。
だって、ついさっき特別クラスで交代したばかりだもの。それは覚えている。
いつもより時間がかかってしまったので、ツンは次の授業に遅れると言って焦っていた。
ζ(゚ー゚*ζ「………」
ツンはどこにいるのだろうと思い、探してみる。が、彼女はどこにもいなかった。
名前を呼んでも、いつもみたいに返事してくれない。
いつもなら、困った時はすぐ助けてくれるのに。
ζ(゚ー゚*ζ
ζ(゚ー゚;ζ
どうしよう。
迷子になってしまったのだと理解して、途端に心細さがデレを襲った。
-
迷子になった時は、できるだけその場を動かないで
ツンが出てくるまで待つように言われている。それが一番安全だからと。
だが、早くなんとかしないとツンは次の授業に遅れてしまう。
自分のせいで彼女に迷惑はかけたくなかった。早く2年生の教室へ行かないと。
とはいえ―――デレは今、自分が一体どの校舎の、何階の階段にいるのかも分からなかった。
ζ(゚ー゚;ζ
おちつけ、おちつけ。パニックを抑え、自分に言い聞かせる。
……ツンは当然、次の授業の為に自分の教室に向かっていた筈だ。
どうして途中でいなくなってしまったのか、それはわからないが、とにかく
ツンがこの階段を降りていたのだから、このまま降りるのが正解だと思われた。
降りた先が全然見当違いな場所だったらどうしよう。
先生に見つかって、サボってると思われて怒られたらどうしよう。
不安を抱えながらも、デレは前へと進むことにした。
-
ζ(゚ー゚*ζ「!2年……D組」
階段を降りた先で、最初に目についた教室の札を読み上げ
デレはほっと胸を撫でおろした。どうやらここが2年生の階で正解のようだ。
辺りは静かで、誰の姿も見えない。
授業はもう始まっているようだ。急がないと。
ζ(゚ー゚*ζ「えっと……ツンちゃんは、2年B組だよね」
アルファベットは既に学習済みだ。順番も覚えている。
ここがD組で、確か、ツンの学年のクラスはDまでしか無い筈だから
D、C、B、Aと辿っていけば良い。デレは頭の賢い子だった。
D組の教室を通りすぎ、次に、隣の教室にC組の札を見つけた。
長い廊下を歩きながら、教室では無さそうな鍵のかかったドアは幾つか無視して
2年B組の文字を探し、きょろきょろと辺りを見渡す。
後ろを振り向くと、廊下を挟んで向い側に教室が2つ並んでいた。
デレは小走りに近寄り、ガラス窓をそっと覗きこんだ。
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