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( ´∀`)ブーン系小説&イラスト練習総合案内所
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( ´∀`)いらっしゃいモナ。ここはブーン系小説読み物イラスト練習&総合案内所だモナ
初めての方や馴染みのない方は以下のブーン系wiki、テンプレ等をよく読み、
理解と協力をお願いします。
・総合スレにおける最低限のルール、マナー
・よくあるQ&A
・作者様及び読者の方々への注意事項
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ブーン系wiki
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兄弟スレ ( ^ω^)ブーン系小説シベリア図書館のようです★42
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/siberia/1319164400/
( ^ω^)ブーン系小説板のようです(旧避難所、スレ立て上限に達した)
http://jbbs.livedoor.jp/sports/37256/
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俺が所属していた野球部は、特に伝統があるわけでもなく、過去に選抜出場が一回あるだけの普通の、地方の公立高校だ。
夏の甲子園に出場するのは、今回が初めてだ。
けれども、今年のチームが特別強かった訳でもなく。
俺はサイドスロー、いわゆる横手投げの投手だった。130そこそこの直球と、そこそこ変化するスローカーブ、シンカー。
…高津に憧れていたのは内緒だ。
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迎えた県予選。
何が起こったか 面白いように凡打の山を築き、打線が何とか一点をもぎ取る。そんな試合を繰り返し、チームは決勝にコマを進めていた。
今でも忘れない、決勝。
向こうのエラー、四球が重なり、サヨナラのチャンスが必然のように出現し、必然のようにそれが実現した。
どっかの野球漫画で聞きかじった気がする。
「野球に奇跡も偶然もない」
向こうの投手は泣き崩れていた。
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ーーーーーーーーキィン!
( ゚∀゚) 「痛烈ー!!1、2塁間抜けたあー!!」
相手側のアルプススタンドから歓声が湧き上がり、何度聞いたか分からない出塁テーマ。
いつだったかの甲子園で聞いた応援歌が間髪入れずに飛び込んでくる。ジョックロックだったか。 ガキのころはよく口ずさんでいた。
甲子園一回戦。和歌山の強豪と対戦した俺等は、虫の息だった。
バックスクリーンの得点が切り替わる。12ー1。
( ・∀・)「…」
マウンド上に高津の姿はなく、
そこには猛打の前に脆くも崩れ去った、惨めなサイドスローの投手が天を仰いでいた。
ーーーーーーーー
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ーーーーーーーー
( ・∀・)「…」コポコポ
麦茶をコップに注ぐ。特別美味いわけではないが、不味いわけでもなく。スタンダードな味が気に入っていた。
( ・∀・)「…」ゴクゴク
あれから5年の歳月がたった。
( ・∀・)「…」プハッ
一気に飲み干すとPCの横にある小瓶を見つめる。高校時代の夢の跡…というほどでもないか。
砂が入っている。甲子園の。
-
( ´∀`)「お前の責任じゃないモナ。皆の責任だモナ」
監督に言われた。
( ^ω^)「気にすんなお」
二番手投手に言われた。
(,,゚Д゚) 「援護できなくてごめんな」
4番打者に言われた。
( ・∀・)「…」
…やめてくれよ。
罵られたほうが気が楽だった。
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( ・∀・)「…」
この季節がくる度に思い出す。
俺は四季の中で夏という季節が
最も嫌いだ。
( ・∀・)「…」パチン
まーたこいつか。どうも俺は蚊に好かれる体質らしい。
こんなのに言い寄られるくらいなら勝利の女神に微笑まれたかったよ。…もう遅いけど。
( ・∀・)「かいーかいー」
ノートPCの前に座る。VIP板を開いた。特に意味はない。習慣というやつだ。
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( ・∀・)「…」カチカチ
めぼしいスレッドを探す。
夏の全国高校野球大会実況…
( ・∀・)「ッ!!」
ノートPCを勢いよく閉じて
頭を掻き毟った。
深呼吸をする。
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ーーーーーーくっそ!出てくんな…!
轟音が球場に響き渡り、内野の隙間をライナーで抜けていく打球。
安打に沸く相手アルプススタンド。聞き飽きた出塁テーマとジョックロック。
( ´∀`)『お前の責任じゃないモナ。皆の責任だモナ』
…い
( ^ω^)『気にすんなお』
…さい
(,,゚Д゚) 『援護できなくてごめんな』
( ;∀;)「うるぜぇっづっでんだろぉ…」
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俺は何をやっているんだろう。 たまにそう思う。
砂の入った小瓶は床にコロコロと転がっていた。
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今日が日曜日でよかった。平日なら仕事どころではなかっただろう。
( ・∀・)「…」
TVも高校野球一色。他の番組も退屈。今日は2chを見る気分でもない。
撮り溜めしていたはずのアニメのDVDもどこかへ消えた。どうやら俺は物に足を生やす才能があるらしい。
( ・∀・)「行ってきまーす」
誰も居ないはずの家にそう呟き、俺は玄関を出た。
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土手を歩く。プールにでも行くのだろうか、小学校中学年ほどの子供たちが俺の横をチャリで突っ切って行く。
( ・∀・)「…」テクテク
…まだ歩く。まだまだ歩く。
中学生ほどの見た目のカップルが、仲睦まじそうに会話しながら俺の真横を通る。
( ・∀・)「」
今日は外出しないほうがよかったかな。 いや、夏休み中はずっと。
ーーーーーーキィン!
真横のグラウンドから金属バットの音が聞こえた。なんつータイミングだ。俺のライフは0。
帰路につこうとしたその時。
( ^ω^)「あれ、モララーじゃないかお」
( ・∀・)「…よう」
-
( ・∀・)「どうだよ?調子は」
高校時代俺の控え投手だったブーンは地元の草野球チームのエースに成長?していた。出世したもんだ。
( ^ω^)「悪い…という訳ではないお。普通だお。いつも通りだお」
( ・∀・)「…そうか」
ブーンが加入する前のチームは、このブロックでは最弱のチームだった。なんとなく練習して、なんとなく試合に出て、なんとなく負けて。
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即戦力のブーンが加入したチームの士気は高かった。皆、心の底では勝利の味に飢えていたのかもしれない。チームは 徐々に力をつけ、半年後の大会のダークホースとまで呼ばれるまでに成長したーーーーーーらしい。
…ただ、
( ^ω^)「モララー、もう一度投げてみないかお?」
( ・∀・)「…」
現在チームが直面している壁は投手層の薄さ、らしい。 そこそこ粒は揃っているが押しが弱いようで。
( ・∀・)「何度でも言う。俺は投げない」
( ^ω^)「…そうかお」
ブーンは一瞬寂しそうな顔をしたが、すぐに持ち前の笑顔を取り戻した。
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一度は考えた。やり直そうと。
草野球で楽しく、ブーンやチームメイトと切磋琢磨しながら日々の練習をこなせば今までの空白はなかったことにできたかもしれない。
一度だけ投げた紅白戦で打者の膝下へテンポよく決まるシンカーは、スカッと気分がよく、虚しかった。
( ・∀・)「いつまで意地張ってんだろうな、俺」
噛んだガムを吐き出すように呟く。
-
あの甲子園での大敗以降、俺は卒業まで野球に一切関わらなくなった。
周りの同級生は引退したあともちょくちょく顔を出していたようだが。
( ・∀・)「ただいまー」
一人暮らしを始めたはいいが、
相変わらず誰もいない家。
伴侶が一人位欲しいところだ。
( ・∀・)「画面の中から出てこないかなーなんて」
ブツブツとくだらないひとり言を言いながら冷蔵庫からまた麦茶を取り出す。
-
( ・∀・)「…」ゴクゴク
( ・∀・)「ふうっ」プハッ
一気に飲んだ麦茶で喉を潤したところで、五年前の出来事に思いを馳せた。
凡打の山を築いた予選。
千載一遇で手に入れた甲子園のキップ。 トラウマになるほど滅多打ちにされた甲子園一回戦。
そんで、チームメイトの励ましの声。
( ・∀・)「…」
本当に投げたくないのか。
( ・∀・)「…違う」
本当はどうでもいいことをゴチャゴチャと考えてたんじゃないのか。
( ・∀・)「…」
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ーーーーーーーーーーーーーーーー
ガキの頃はじめて見た高津は、
当時最強の頭脳派捕手と呼ばれた古田とともにスワローズの黄金時代を築き上げていた。
しなやかでデケー体。堂々とした態度。サイドスローから繰り出される150近い速球、右打者の膝下にえぐい位に切れ込む高速シンカー。
全てが俺の憧れだった。
-
( ・∀・)「…」
TVをつけ、チャンネルを変える。
( ・∀・)「…」ポチッ
久し振りに見るプロ野球中継。スワローズ対ドラゴンズ。 3-2、スワローズが僅かにリードしていた。
( ・∀・)「なんだよ、勝ってるじゃん」
古田高津達の黄金時代が幕を降ろしたあと、スワローズは低迷していた。 俺の最近のイメージでは4~5位をウロウロしていたハズ、だった。
( ゚∀゚) 「さあスワローズ!この試合に勝利するとついに首位に躍り出ます!!」
( ・∀・)「っ!?」ブッ
…麦茶を噴いてしまった。
すっかりと強豪に返り咲いていたようだ。
-
( ゚∀゚) 「最後を締めるのはこの人!!イムチャンヨン!!」
今の守護神は韓国人らしい。
え、ちょっと待て。おいおいおい。
サイドスロー…
高津とビジョンが重なる。
それも、とびっきりの直球で。
( ゚∀゚) 「空振りさんしーん!!最後は152キロの直球!!スワローズ!見事首位に躍り出ましたっ!」
-
( ・∀・)「…」
ヒーローインタビューが終わり、中継が終わったあとも俺はボーッとしていた。
( ・∀・)「なんだよ…」
負けているスワローズを見にきたつもりだった。
( ・∀・)「なんなんだよ…」
認めたくなかった。逃げている自分を試合に負けているスワローズで誤魔化そうと思った。
違った。スワローズは逃げていなかった。 少しずつ力をつけて、強豪に返り咲いていた。
( ・∀・)「…」
俺は…
-
ーーーーーーーー
( ^ω^)「本当かお!?ほ、本当にチームに入ってくれるのかお!?」
( ・∀・)「そうだよ。何度も言わせんな。優勝するなら駒は多い方がいいだろう」
…素直になんねぇな、俺も。
捻くれた性格だけはどうにもならないらしい。
( ^ω^)「さっそく練習試合を組むお!」ダッ
…こいつもか。いや、いい意味で。
-
灼熱の太陽が照りつける球場の中、いい歳したおっさん共が童心にかえり、無邪気にボールを追っかける。
2-1。いいゲームだ。
試合は最終回。ブーンはここまで好投を続けていたが、制球を乱し、ピンチに陥っていた。
タイムがかかり、監督が投手交代を告げる。
(´・ω・`)「頼んだ、モララー」
( ・∀・)「…はい」
セットポジションから、相手の膝下にシンカーをブチ込むべく、俺はモーションに入った。
( ・∀・)横手投げの救世主のようです
おしまい
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乙!
よかった
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ご静聴ありがとうごさいました
評価等よろしくお願いします
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野球はわからんのだが、読みやすいね。
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面白かったよー
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なんですぐヤクルト怪我人出てしまうん?
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はじめての作品で内心ビグビクしてたんですが、やっぱり書くのは楽しいですね。
ご評価ありがとうございました
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所詮プログラムのようですの>>61へ
( ^青^)の作者別のとこの◆fG1I1UcIeIの人の
( ^ω^)ブーンは涙を流せないようです
作者が過去ログ申請しているのでこちらにも
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>>442
26 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/03/30(金) 02:01:53.37 ID:Mxnwh2Iz0
今創作総合で投下されてた野球の話イイネ
続きが気になる短編ってのがいい
誰か向こうに伝えてきてよ〜
俺規制されてるんだよ〜
( ^ω^)ブーン系を語るスレッドより
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投下させて貰います。
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叶わざる恋のようです
僕は君を恨んでいるよ。
誰よりも親しい、終生の友と誓った君。
僕の眠れない夜、頭の中をぐるぐると回って僕を苛むあの人の顔を、真近で見て、口付けする権利を得た君を。
どうして。なぜ君がそこにいるのか。
あの人を誰より愛したのに。
あの人は、幸せそうに笑っている。
穏やかに微笑む君に抱かれながら。
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ζ(゚ー゚*ζ 「皆ありがとう。花束まで‥卒業しても、絶対遊びに来るよ!亅
( ^ω^)「ショボン、先輩に会えるのは今日が最後だお。挨拶しなくていいのかお?」
(´・ω・`)「先月のコンパで済ませたよ。それに、あんなに囲まれてるところに行っても場違いだ。そうだろ?亅
( ^ω^)「ならいいお。けど僕は先月出席してないし、声かけてくるお亅
‥
ζ(゚ー゚*ζ 「‥ブーンくん!こっちおいでよ!また遊ぼう。それでまた飲みに行こうね!亅
( ^ω^)「是非とも!こうして集まれなくなると思うと寂しいですお。でも絶対また会いましょうお!」
また遊ぼう、飲みに行こう。またってなんなんだろう。無邪気に笑う二人の関係を疑う僕の心が、気に食わなかった。
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すみません、落ちます。申し訳ないです。
後日またお邪魔しますので、その時は宜しくお願いします。
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>>444 ありがとうございます
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総合は連載アカンで
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恋愛物を書きたくなった
お題プリーズ
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>>451
ペニサス
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>>452
流石にこの時間は少ないか 把握した
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>>453
巨乳も追加で
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1レスをどのくらいの文量とか行数にすりゃいいのかわからん……
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俺はだいたい行間含めて15〜20行前後にしてるな
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俺は基本的に行間込みで20行越えるくらいにしてる
それでだいたい1レス300字程度になってるよ
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一番手間どうのは行間の開け方だわ
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行間はアルファ方式の地の文3〜4で一区切り、会話は一行開けの30行弱かな
使い分けはするけど
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自分が読んだ作品の中で、読みやすかったやつの真似するとこから入るという手もある
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>>459
そうするようにしてるんだがどうしても
地の文→AA→地の文のループになってくどい感じがするんだよな
アルファのようにうまくいかんわ
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くどい、かぁ……。ずっとその形式で書いてきたからそんな風に考えたことがないけど
どうなんだろう。読んでる人もくどいなぁ……これ、とか思っているのだろうか。
心配になってきたじゃないですか!
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いや純粋に俺が下手なだけだwww
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会話文onlyで読者を惹きつけるって難しい・・・
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会話文でグイグイ引きつけるヤツは凄い
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最近の会話のみといったら、ちんゼロはすごいよな
あのペースで会話のみであんなに面白い
会話のみってダレるところとか出てきそうなもんなのに一切無いし
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遅れたけど絵題消化、全部擬人化注意。
>>90 ζ(゚ー゚*ζ
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_297.jpg
>>91 / ゚、。 /
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_299.jpg
>>93 ⌒*リ´・-・リ
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_298.jpg
>>94 从'ー'从
ttp://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_300.jpg
ロマネス子に関してはごめんなさい、描けなかった
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>>467
うますぎワロタ
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>>467
ハイクオリティってレベルじゃねーぞ!!
乙
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>>467
ワタナベさん天使過ぎワロロロン
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>>467
うめぇ
ダイオードちゃんはもらっていきますね
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>>467
リリは俺の娘だから
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>>467
すごすぎワロタwwwww
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うめえwwwwww
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サスペンスとかホラーでお勧めあったら教えてくれ
できれば最近のやつで
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GOTH
結構前に途絶えてるけど
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書き上がると投下したい症候群に駆られる
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>>467
わたなべエロ過ぎワロタwwwww
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>>476
ありがとう
読んでくる
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丁度今日中古でGOTH買ったわ
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投下しますわー
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幼少のころから、自分は少しおかしかった。
単純にそれが、他人とは違ったものなのだということが己の頭で判断が出来ていた。
( ^ω^)「…………」
物事の価値観。生命の意味合い。死の概念。
それらに対して、異常なほどまでに興味を持ってしまう自己意識。
( ^ω^)「……………」
──だが、それもまたオマケなようなものなのだ。
人が本来、タブーとされるものごとを根本的に『好き好んでいる』のは常識の範囲だろう。
……だから、僕は壊れてはいない。
( ^ω^)「おっおっお」
そう思うことが、個人的に大事なんだ。
──壊れていることを意識する生き方は、後に自滅をするのだから。
だからこそ、僕はちょっと昔のことを思い返そうと思う。大丈夫、ちょっとした思いつきで会って。
何ら意味なんてものはないのだから。
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目の前に、犬がいた。
小さなボロイ段ボールに入れられ、雑草が生え渡った空き地に、小さな声で鳴いている所を僕が見つけたのだった。
( ^ω^)「…………」
小さな小さな犬。雨風に汚れ、元は綺麗な茶色だったのだろうが今は薄汚れていたのを覚えている。
そんな一般的によく見る、捨てられた犬。
育てられなくなり、買う人間が身勝手に捨てた尊い命。捨てた人間は、今も知らぬ顔で日常を歩んでいるのだろう。
( ^ω^)「かわいそうに」
僕はそういって言葉を口にした。
──これもまた、誰もが口にする常套句に過ぎなかった。誰だってこの犬の様子を見れば、そう口にする。
だからこそ、僕も今、それを口にした。だって一般的だからだ。
从 ゚∀从「そうだよなぁ」
そういった僕の言葉に、隣にいる人間が返事を返した。
捨て犬から視線を外し、その隣に立つ顔に向ける。そこには髪を無造作に伸ばしたクラスメイトがいた。
-
そのクラスメイトは、僕と帰宅通路が一緒だということで、いつも帰っていた人物だった。
名前はそう──対馬 ハイン。変わった名前だということを頭が覚えていた。多分。
( ^ω^)「君もそう思うかお?」
从 ゚∀从「ああ、思うさ。だってこんな風にひとりぼっちでいるんだ。それはかわいそうだろ?」
同意を求めてくる瞳に、僕は頷いて返した。
当たり前だ。このように捨てられていれば、誰だってかわいそうだと思うだろう。絶対に。
( ^ω^)「んで、どうするお。見つけてしまったのがボクだったとしても……」
そう言い淀む僕。
この状況で僕はこの犬を拾うという行為に至りたくはなかった。
どちらにしろ──この犬の命など、どうでもいいと思っていた僕は、その答えを彼女にゆだねた。
この犬をどうするのか。君は拾うというのかと。見捨てるのかと。
从 ゚∀从「オレがひろうよ。こんなところにおいて行っても、しんじゃうだけだしな」
このへんは野犬も多いしと呟きながら、段ボールの中から拾い上げる彼女。
-
僕は横目で彼女の行動を観察する。
そっと抱え込み、大事そうに腕に抱き込むと───小さな笑みを浮かべ、子犬へと声をかけた。
从 ゚∀从「大丈夫だ、もう心配ないぞ。お前は生きてもいい」
まるで人へと告げるかのように思いのこもった呟きを零す彼女。
ブルブルと震える薄汚れた子犬は、彼女の腕の中でじっと息を潜めている。
大人しい犬だ、それとも彼女に抱かれて気分が安らいだのだろうか。
( ^ω^)「かわいいお」
从 ゚∀从「可愛いさ、小さい命はなんだって可愛いもんさ。そういうもんだろう?」
同意を求めるように視線を向けてくる彼女。
僕はそれに頷いて返す。身体が勝手にそう動いただけだった。
( ^ω^)「じゃあ僕は帰るお」
从 ゚∀从「ああ、じゃあな」
僕は唐突に別れを告げた。いつもこのような別れ方だったために、なんら疑問には思わない。
とりあえず、その子犬を拾ってどうするか、なんて事は聞かないでおいた。
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( ^ω^)「……」
そんなことを聞いてしまっても、何か現実が変わることなんてありはしない。
僕ら小学生の命と価値に決められた運命を変革させることなんて出来やしないのだから。
( ^ω^)「…」
家へと向けていた歩みを止め、そっと後ろへと振り返る。
从 ∀从「…」
今だにそこには子犬を抱え、言葉をかけつづけるクラスメイトが居た。
ここからは表情は伺えずにいたが、それでも彼女が醸しだす雰囲気は───
( ^ω^)「…どっちが子犬だがわからないお」
この土手もいずれ日は落ち、空は茜色に染まり、やがて夜が来るだろう。
( ^ω^)「……」
はたしてあのクラスメイトは何時まで。あの子犬と一緒に居続けるだろうか。
───空へと視線を上げる。どうやら夕焼け空にはならないらしい。
空を覆うように分厚い灰色の雲が、ゆっくりとなだれ込み始めていた。
-
次の日、少し遅刻して学校にいくと授業が潰れてしまっていた。
( ^ω^)「どうしたんだお?」
ξ*゚⊿゚)ξ「なんかね、わかんないけどね、同じクラスの子がね………」
取り留めのなく、まとまりのないクラスメイトの言葉を要約すると。
クラスメイトの一人が、昨日の夜から帰っていないらしいとの事だった。
( ^ω^)「それは恐いお」
ξ*゚⊿゚)ξ「だねー。へんなおとなについていっちゃったんじゃないかな〜」
そう心配そうに───していないクラスメイトに、僕はそうだおねと答えた。
当たり前だ、今目の前に居るクラスメイトと存在の消えたクラスメイトには交友がないのだから。
ただ単に、目の前の彼女は人が居なくなったという恐怖に怯えているだけだ。
時と場合が違っていれば、その条件は自分自身に当てはまっていたのかも知れないという恐怖に。
( ^ω^)「…」
そしてそれは、人の心を深く動かす力にもなっている。
答えを表すように現在の教室にいる人間全員が同じ話で持ちきりだった。
-
( ^ω^)「……」
恐怖は人を動かし闇へとつながり、そして残酷さへと終わりを告げる。
淡々と平凡な日常は過ぎていく。だがその流れに反した恐怖は面白さを生み出す。
( ^ω^)「……」
無邪気な恐怖ほど、これほどまでに残酷なものに繋がるのかと。
僕はいかにも無邪気とは程遠い関心で、ゆっくり周りを見渡していった。
川 ゚ -゚)「静かに」
ざわつく教室内に、一つの声が鳴り響く。
子供たちだらけの空間に歪と光る象徴が、教卓の上へと登っていた。
川 ゚ -゚)「皆さんはもう知ってると想いますが、行方不明になっていた
対馬 ハインさんですが」
今だに小声が飛び交う教室に、歪な存在は静かに答えを告げた。
川 ゚ -゚)「今朝、とある空き地で遺体となって発見されました」
-
〜〜〜〜〜
遺体というの、こうも惨たらしい状態で有るべきなのか。
( ^ω^)「…」
僕はいぜんとして小学生の身分だということは忘れてはいけない。
経験は浅く、見聞きした情報量は遥かに幼い。
だけども僕は、この死体を眼にして現実のものなのかと疑うのは。
( ^ω^)「…いいもんじゃないかって、思うお」
───空き地には、ひとつの死体があった。
それは明朝、いつもより早めに登校した僕の存在だけが見れたモノであって。
( ^ω^)「…対馬、ハイン」
そう呼ばれていたはずの存在を有無を確認できた最初の人物だったことは、間違いなかった。
( ^ω^)「……」
確認。そう、確認しなければならないのだ。
彼女は本当に対馬ハインなのかと、僕が知っている対馬ハインなのかと。
──遺体は食い荒らされていた。
-
目はなく暗闇が二つ、そこにはあり。鼻は食いちぎられ内部が露見し。
耳は噛み千切られボロボロと崩れ落ち。首は皮膚から飛び出した喉骨が突き出ていた。
( ^ω^)「………」
傷跡を見るからに、明らかにそれは襲われたのだろう。
人ではなく、犯行は野犬。もしくは他の動物の類に。
( ^ω^)「………」
服はボロボロに引き裂かれており、何度も何度も伸びきった鉤爪のような前足に削がれたのだろう。
四肢はいずれとして胴体にくっついたままであったが、それでも損傷はひどかった。
小学生という成長しきっていない柔らかな肉質はさぞ、噛みきり易かったに違いなかった。
( ^ω^)「……」
僕は足音を立てずに、遺体へと近づく。
しかしながらそれは遺体と呼んでもいいのだろうか。肉の塊のような外見となってしまった対馬ハインは既に。
命はなく形だけとなって、そもそもその形すら儘ならないものとなってしまっているのに。
( ^ω^)「別にいいんだお」
だが、そう思う自分が居たのだから。それでいいのかもしれない。
-
対馬ハインの側まで歩み寄ると、その場にしゃがみこみ顔を近づけさせる。
腹が食い破られていたためか、中から飛び出した細長い腸がキツイ匂いを発していた。
( ^ω^)「…」
ゆっくりと見渡すと全体の皮膚が濡れているかのように湿っていた。
──あたり前だろう、昨日は近年稀に見ぬゲリラ豪雨だったらしい。
( ^ω^)「……」
僕はそっと手を伸ばして、対馬ハインの髪へと指をかけた。
その髪は既に新鮮さは失くし、絡まるようにして四本の指に引っかかる。
( ^ω^)「……」
だが僕は気にせず指を無理やり突き通すと、対馬ハインの小さな頭蓋骨に指を突いた。
──そして僕は優しく頭を撫でる。愛でるように、まるで彼女が子犬を撫でている時のように。
( ^ω^)「………」
可愛いと言った彼女の言葉を体現するかのように、僕は彼女の頭を撫で続けた。
-
気が済むまで撫で続けると、僕は指に絡まる髪を解きつつ、頭から手を離した。
むせ返るような湿気を帯びた指先をポケットに入れ、指先をこすり合わせる。
( ^ω^)「…おっお」
ぬるぬるとした感触は彼女の漏れ出した体液のためだろうか。
知識の乏しい小学生である僕には、どう判断の仕様もなかった。
( ^ω^)「さて、僕は君が死んでいると思い……朝早くからここに来たんだ」
最初からそのつもりで目覚まし時計をいつもより二時間早めにセットしておいたのだ。
( ^ω^)「それに君と一緒に帰っていた理由も、近所だったからという利点だけじゃないんだ」
君の家庭環境を知っていたから、ご近所だったから知ることに苦労はなかった。
( ^ω^)「…君は両親に殴られることよりも、そうやって死ぬ方が望だったのかい」
そう聞いたとしても、もはや対馬ハインは答えてはくれない。
( ^ω^)「だが僕はしっている。君はそう死ぬということを望んでいた、
誰かのために死ねることを、他人に望まれて死ぬことを」
対馬ハインという名前を憶えていたことに、意味がないわけじゃない。
この僕が生きている存在に対して興味をもつことはないのだから。
-
( ^ω^)「君は生きている中で、誰よりも死を望んでいた」
死というものを恋焦がれる存在。だがそれは決して相まみえない。
( ^ω^)「だから僕に近づいてきた」
死というものを身を持って行う存在。だがそれは強く惹きつけあう。
( ^ω^)「…僕と同類、または近しい存在であったことはわかっていた」
死というものを理解しようとした───壊れかけた人間。
答えは見つけ出そうに見つけられないのに、見つけようとする壊れそうな人間。
そんな歪な人間は自然と近づき合う、まるでそれは自殺願望者かのように。
( ^ω^)「死ねてよかったね。対馬ハイン」
死を欲し理解しようとする人間はいずれとして───壊れてはいないのだ。
誰しも持つ死にたいする固執した興味。誰にだってある普通の考えなのだから。
( ^ω^)「だが実行したら」
もうそれは壊れた存在だ。誰もが認める存在、壊れた人間の出来上がり。
( ^ω^)「……」
───そして僕は、まだ壊れては居ない。
-
( ^ω^)「……お?」
近くの草むらが音を立て始めた。
僕は静かにポケットに入れていたナイフを握り締める、どう対処できるかは分からないが。
このような空き地であれば、『例え豪雨が降り注ごうが大声を出せば近所の家へと響き渡る』だろう。
( ^ω^)「…………」
息を潜め身を低くし身構える。
一秒という時が薄く伸ばされ、開かれた瞳が空気に晒され乾燥し始めた。
( ^ω^)「………」
───そして現れたのは、汚れきった子犬だった。
( ^ω^)「お前かお」
頼りない歩みで草むらから出てきた子犬は、もはや視界も定まらないのか何度も転びながらこちらへと近づいてきた。
( ^ω^)「…………」
僕はその小さな消え行く命を見つながら、ポケットの中のナイフをゆっくり握り締める。
子犬は依然として転びながらこちらへと近づいてくると、濁りきった瞳を動かし、はみ出された儘の下を動かして。
───対馬ハインの遺体を食べ始めた。
-
( ^ω^)「……」
小さく、小さく、ほんの小さく。
安易に噛み切れるほどに伸びきっていない歯を皮膚に突き立て、いまだに流れ出る血を必死に舐めとり。
( ^ω^)「……」
食すという行為に身体を揺らしながら、無垢な卑しさを醸しだしていた。
( ^ω^)「美味しいか」
つたわらないとわかっていても、僕はそう聞きたかった。
お前の命をつなぎとめた存在の肉というものはどういった味なのだろうかと。
( ^ω^)「教えて欲しい、君はどうして食べるんだ」
子犬。汚れた犬よ、お前はなぜ食べる。
まだ肉を食す身体ではないはずなのに、消化も儘ならないほどに弱りきっているはずなのに。
( ^ω^)「………」
───ああ、そうか。これは子犬が望んだことではないのか。
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この対馬ハインの遺体だってそうだ。
彼女を食した野犬も元は彼女など食べることはなかったはずだ。
( ^ω^)「望んだからか」
彼女が、彼女自身が元から望んだから。
死ぬことを、食べられることを、殺されることを。
( ^ω^)「なんだ、最初からわかっていたことじゃないか」
なにをそんなにも気にする必要があったのだろう。
僕は壊れていなくても、最初からわかっていたことだったじゃないか。
( ^ω^)「…………」
壊れた存在に、現実の価値観などもはや当てはまらない。真実は常に己自身のモノとなる。
通常の答えなんて意味はなく、常に不可思議がそこにはある。
───子犬は時間がかかりつつも、満足に至るまでに食したのか。
───地に伏せるようにして転がってしまった。
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( ^ω^)「……」
瞼は閉じられ、か弱い息遣いだったものは安らかに吐息へと変わり。
やせ細った腹にはぽっこりとしたでっぱりが出来上がっていた。
( ^ω^)「───……『大丈夫だ、もう心配ないぞ。お前は生きていい』だっけ」
唐突に対馬ハインが言った言葉を思い出しながら、寝転ぶ子犬を拾い上げた。
彼女がやったとおり優しく腕に抱きかかえる。これでいいのだろうか、僕にはまったくわからない。
( ^ω^)「……大丈夫、もう心配しなくてもいいお。お前は生きていいんだお」
何度も何度も呟きながら、僕はその場から立ち去った。
抱えた子犬は小さく息を漏らし、僕はそれを耳に聞き入れる。抱えている命は小さく、そして尊かった。
( ^ω^)「……大丈夫、大丈夫」
大丈夫だと、仔犬に言い聞かせる。僕はもう知ったのだから、大丈夫なのだと。
───壊れた人間というものを、それがなせる力というものを
( ^ω^)「……大丈夫、大丈夫……僕は……大丈夫…」
───僕はまだ、壊れることはない。普通の人間だ。
大丈夫、大丈夫なのだと……
あの時の対馬ハインのように、まるで自分に言い聞かせるかのようにしながら。
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はいおわり
なんというか感想いただけたら嬉しいな
えっと…話題に出てたんで言いますが、自分GOTH作者です…
久しぶりに練習がてら来たらなんというタイミング…
来月中にはきますのでしばしお待ちください!
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こういうふいんき俺は大好きよ
地の文もちょうど良く区切られてて読みやすかった
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乙
GOTHはよ
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明日のエイプリルは、嘘予告スレが賑わう事を願っている
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ハインはブーンが殺したってこと?
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嘘予告にしようかマジ予告にしようか迷ってるやつがあるわ
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嘘から出た真
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くそっ規制のせいで変な人の支援が出来ん!
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>>505
馬鹿だな、お前の分も俺が支援してきてやるよ……
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>>506
すまんッ…!支援はまかせたッ!
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VIPで絵題もらったんだが、最近総合を見かけないのでここに投下
オチェアーノの剣
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_304.png
ゲームほとんどしないので期待に添えてないかもしれない。済まない
マシンガン
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_305.png
Px4 Storm
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_306.png
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>>508
素晴らしい
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>>508
うっわかっけぇすげぇwwww
オチェアーノめちゃくちゃ満足っすwwww
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あなたの絵をブーン系で見られるとは
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>>508
クオリティ高すぎてびびった
絵柄からなんとなく予想つくけどブーン系以外でも描いてる人なのか
AAが好きな人が描く絵っていいな
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グウレイトの続き読みたい
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ほんの少しの書き出しは出来てるんだが、少し見てもらえることは出来ないのだろうか……
序章にもなりそうにない短さなんだが。
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