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( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
1
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:25:21 ID:UvGid7pw0
どうしようかなーと考えた結果短いけど投下します
2
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 21:26:22 ID:re327nns0
これは懐かしい
3
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:28:15 ID:UvGid7pw0
まとめさま
7xさん
http://nanabatu.web.fc2.com/boon/boon_persona.html
自分とこ
http://iaiapersona.web.fc2.com/persona/persona_main.html
4
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 21:28:28 ID:q9jEEhmYO
ずっと待ってました!!!!!!
投下の邪魔ごめんなさい
支援
5
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 21:35:42 ID:UvGid7pw0
それを形容する言葉は数多く在るであろう。
黒、漆黒、影。十人十色が示す答えは、果たして一色だけであった。
それ程に、それは闇そのものであるという印象を与えていたのだ。
ξ; ⊿゚)ξ「……?」
身を抉るような自責と共に、ツンは強く願った。
今まさにブーンたちへ迫らんとするエクストを倒したい、と。
その直後だ。
最初にショボンらを呑み込んだ闇が、己を創りだしたはずのエクストを呑み込んだのだ。
体は勿論、影すらも。字の如く彼の全てを呑み込み、今は闇の球体だけがそこに在る。
(;^ω^)「……どうして……」
絞り出したブーンの第一声が、それだった。
何が、と問う者────いや、“問うことができる者”はいない。
彼と全く同じ言葉が、心に浮かんでしまっているからだ。
『どうして、エクストは闇に呑まれてしまったのだろうか』
ブーンは次の言葉を発することができなかった。
隣にいたミセリが、動いたからだった。
6
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:38:01 ID:UvGid7pw0
ミセ*゚−゚)リ「ブーンさん、ツンさんを」
緊張を保ったままそう言った彼女の声に、ブーンは、はっと顔を上げ、
(;^ω^)「ツ、ツン!」
金縛りから解けたように、横たわるツンの元へと駆け出した。
ブーンの背を見、次にミセリは動かぬ闇の球体へと視線を戻す。
ミセ*゚−゚)リ(エクストが創り出した闇……どうして……)
少年の呟きと同じ言葉を、胸懐で重ね、
ミセ*゚−゚)リ(……いえ、まずはジョルジュさんたちを)
ミセ*゚−゚)リ(皆さんが受けた攻撃は、恐らく私がされたことと同じ、精神攻撃)
ミセ*゚−゚)リ(怪我などは負っていないはず……)
体には、と、一つの陰りを呟いた。
それを振り払うかのように、ミセリも足早にジョルジュらに近づいていく。
──自分は打ち破ったが、彼らはどうか──
四人が闇の中に居た時間は、ミセリたちよりも長い。
その間、ずっと彼らは見続けてしまっているはずだ。
──私と同じ、忌々しい、忘れ去りたい過去を──
ミセリはそれを思い、ぎ、と奥歯を噛み締める。
しかし、すぐに違うと思い直していた。
7
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:40:01 ID:UvGid7pw0
ミセ*゚−゚)リ(……違う。私の場合は、忘れてはいけない過去)
見せられた、という一点だけが、未だ彼女に怒りを覚えさせていた。
その所為で、忘れ去りたいなどという言葉を付加してしまったのだ。
闇を打ち破ったあの時、彼女は言った筈だった。
過去を、乗り越えなければいけない、と。
つまりは必然的に、それは忘れてならない過去だ。
但し、ミセリが思った通り、それは自分のケースに限ったことだ。
ジョルジュらが闇の中で見たものは、まさしく忘れ去りたい過去であった。
彼女がそれを知るすべは、ただ一つ。
ミセ*゚−゚)リ「ジョルジュさん、ジョルジュさん!」
横たわるジョルジュの真横に膝をつき、呼びかける。
知ろうと思えば、彼らを起こし、何を見たかと問えば解るのだ。
もっとも、そんなことをするミセリではないのだが。
_
( ∀ )「…………」
問いかけに、眉毛すらぴくりとも動かない。
ミセリは彼の鼻の下へ指先を運び、呼吸を確認した。
一定のリズムで、生暖かい空気が指先をくすぐることを確認すると、
ミセ*゚−゚)リ(呼吸は安定してる……これなら大丈夫)
安堵の直後、彼女はジョルジュの上体を起こし、そのまま彼の背後へと移り、
ミセ*゚−゚)リ「喝!」
8
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:41:43 ID:UvGid7pw0
_
ll
( ∀ )「ひゃるんっ」
突如発せられたミセリの大声に驚いたのか、妙な声と共に一瞬だけ全身を大きく震わせた。
彼女がしたことは声を出しただけではないのだが、効果は抜群だ。
ジョルジュは鳩に似た首の動きで、周囲をきょろきょろと見渡している。
ミセ*゚ー゚)リ「おはようございます、ジョルジュさん」
_
(;゚∀゚)「えっ、あっ、はい。おはようございます」
ミセ*゚−゚)リ「……具合はどうですか?」
_
( ゚∀゚)「バッチリです! 今すぐにでも戦えま……」
_
(;゚∀゚)「そ、そうだ、あの野郎は……」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫です。今は楽にしていて下さい」
え、と戸惑いを見せたジョルジュから離れ、次に彼女はショボンに近づいていく。
残りのショボン、ドクオ、クーを、ジョルジュと同じ様に起こすためだ。
ミセリにそう言われた彼であったが、彼の記憶は戦闘開始寸前で途切れたまま。
意識が覚醒していくにつれ、ぷつりと切れる直前の出来事が鮮明に思い出されていく。
エクストの姿、自身を覆った闇、そして、
_
( ゚∀゚)「…………」
闇の中で、見た、もの。
9
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:44:04 ID:UvGid7pw0
「おはようございます」、というミセリの言葉が、それが夢であったという感覚を強めさせた。
しかし、夢にしてはリアリティがありすぎた、とすぐに思い直す。
更に闇に覆われたという記憶が、何かしらの攻撃を受けたと彼に結論付ける。
ならば、あの敵はどうなったのか。
ミセリに問いたいことが次々と浮かび、最も知りたい事が、エクストの事だった。
(*'A`)「とぅっん」
悩むジョルジュを尻目に、ドクオが妙な声を上げて目を覚ます。
言わずもがな、ミセリが彼を起こしたようだ。
今は皆が起きるのを待つしかない、と、ジョルジュは一つ息を吐く。
_
( ゚∀゚)「……」
その後、彼の視線の先にはやはり、黒の球体が在った。
一体何が起きたのか。
ジョルジュがそれを知るのは、また少し後のことになりそうだ。
一方、
(;^ω^)「ツン! 大丈夫かお!?」
ジョルジュらの空白の時間を知るブーンは、
横たわるツンの傍まで駆け寄り、慌てふためいていた。
ξ;゚ー゚)ξ「ん……ちょっといろんなとこ、痛いかも」
(;^ω^)「ど、どこだお!? 立てるかお?」
10
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:46:30 ID:UvGid7pw0
ξ;゚ー゚)ξ「すぐには無理みたい……でも、怪我はペルソナで治るから……」
(;^ω^)「そうだお! すぐに治すんだお!」
ξ;゚⊿゚)ξ「……まだちょっと使えないみたい。……んっと、大丈夫だから、落ち着いて?」
(;^ω^)「……ほんとに大丈夫なのかお?」
ξ;゚ー゚)ξ「うん……ありがとう」
おろおろとするブーンの手は、ツンに触れることをためらうように震えている。
中腰で、ピアノを弾くような体勢でだ。
きっと、すぐにでも抱き抱えたいのであろう。
ξ;*゚⊿゚)ξ(……いいのに……)
(;^ω^)「お?」
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なんでもないから! なんでもないんだからっ!」
ツンは心で呟いたと思っていたが、残念ながらしっかりと声に出ていた。
力いっぱい否定した後、未だ挙動不審なブーンを見て、苦笑する。
それが、今の彼女にできる精一杯だった。
肉体的ダメージに加え、精神の消耗も激しい。ツンは疲弊しきっていた。
エクストが一体どうなったのかなど、考える余裕すらない。
今はブーンの顔を、瞳だけで見上げることしかできないのだ。
そして、暫くの後、ツンにも多少余裕が見え始め、
視界を広げればショボンたちが目を覚ましていることに気がついた。
11
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:49:18 ID:UvGid7pw0
闇に呑まれた面々は、どうやら無事のようだ。
疲労は、実際に戦ったブーンたちの方が大きいだろう。
ツンの元へ、というミセリの言葉に頷き、漸く全員が揃った。
ミセ*゚−゚)リ「ツンさん、すみません。お待たせ致しました」
そう言ってツンに近寄ろうとしたミセリだった、が、
ミセ;゚−゚)リ「……ぅ」
踏み出した一歩目で、動きを止めてしまった。
止まってしまった、が正しい。
_
(;゚∀゚)「ミセリさん! 大丈夫ですか?」
ミセ;゚−゚)リ「……だいじょうぶ、です」
だが、その言葉はこの場にいる全員が強がりだと解るものだった。
川 ゚ -゚)「ミセリさん、私に任せてくれ」
治癒はクーのペルソナ、タレイアでも行うことができる。
すみません、と言ったミセリに頷いて、クーがツンに近づき、屈んだ。
川 ゚ -゚)『ディア』
女神、タレイアから発せられた柔らかな光が、横たわるツンを包み込む。
ミセリほどの即効性はないが、次第に、確実にツンの表情が和らいでいく。
川 ゚ -゚)「ツン、大丈夫か?」
12
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:51:16 ID:UvGid7pw0
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう……クー」
川 ゚ -゚)「いや。これくらいしかできなくてすまない」
クーたちはまだ、自分らが攻撃された後なにが起きたのかを説明されていない。
だが、ミセリの疲弊具合とツンの状態を見るに、激しい戦いがあったことは充分に分かる。
すまないと謝罪したクー以外の者たちも、参戦できなかったことを申し訳ないと思っていた。
(´・ω・`)「ブーン、一体何があったの?」
(;^ω^)「お……僕もなんて言ったらいいか……」
何があったか、と問われたブーンの頭に、エクストが突如闇に呑まれたことが浮かんだ。
彼も混乱している。咄嗟に出た言葉は、ショボンの意図とは離れた答えだった。
ショボンはそれを冷静に処理する。
(´・ω・`)「質問が悪かったみたいだね。僕たちが攻撃を受けた後、どうなった?」
( ^ω^)「モミアゲ男と戦って……その最中にいきなり、あの、ショボンたちを襲った黒いのが……」
ミセリとクー以外の視線が、闇の球体に集う。
謎の闇は未だそこに在り続け、沈黙していた。
それを見つめたまま、ショボンが続ける。
(´・ω・`)「モミアゲ……確か、エクスト、と言っていたね」
( ^ω^)「そうだったおね。ハンパなく強かったけど、あれのお陰でなんとかなったお」
(´・ω・`)「あれのお陰って、どういうこと?」
13
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:54:54 ID:UvGid7pw0
_
( ゚∀゚)「てか、あの野郎はどうなったんだ? 倒したってことか?」
(;^ω^)「いや、あの黒いのがいきなり動いて……」
ジョルジュ、とショボンが制し、
(´・ω・`)「ブーンも混乱してるみたいだ。一つずつ訊こう」
_
( ゚∀゚)「あー……わりぃ」
(;^ω^)「ごめんお……」
と言ったものの、彼は順に尋ねられたとしても、説明できる自信が全くなかった。
あの時ブーンは、皆を閉じ込め、更にツンを傷つけたエクストに対し激昂していた。
ただでさえ周囲を見る余裕がなかったのだ。仕方が無いと言える。
そして、淡く求めた助け舟が、意外なほど早く現れた。
ミセ*゚ー゚)リ「私が説明します」
(´・ω・`)「ミセリさん……大丈夫なんですか?」
ミセ*゚ー゚)リ「はい。少し落ち着きました」
_
( ゚∀゚)「無理しちゃいけないぜ?」
ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫です。ジョルジュさん、ありがとうございます」
_
(*゚∀゚)「い、いいって」
14
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:57:12 ID:UvGid7pw0
ミセリは優しく微笑んだ後、皆から少し距離を置き、静かに説明を始めた。
その時には、ツンも体を起こせるまでに回復していた。
ミセ*゚−゚)リ「……強かったです。恐ろしく」
エクストの事を言っている。
ブーンとツンは戦いのさなかを思い出し、少しだけ顔を歪ませた。
二人の胸に浮く想いは、悔しさであった。
ツンは負傷し、戦線離脱を余儀無くされた。
ブーンは、あのまま戦えば恐らく負けていたと、認めてしまっていた。
冷静になった今だからこそ、より強く理解してしまっている。
悔しさは、当然と言えよう。
説明を続けるミセリは、二人の心境に気がついていた。
しかし、彼女はそれについて何も語らない。
────戦いは、まだ終わっていないのだから。
( ^ω^)はペルソナ能力を与えられたようです
第二十二話 『黒きトラペゾヘドロン──後編──』
15
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 21:59:15 ID:UvGid7pw0
※
もう一つの戦いは、未だ終わっていない。
期せずして、はたまた宿命だったのか。
かつての親友同士の戦いは、まだ、続いている。
( ´∀`)「…………」
決意を胸に、障壁となった友を倒すために。
その、友の姿は、漆黒のペルソナが立ち塞がりモナーからは視認できない。
<::::::::::>「…………」
アサピーの支配を以て顕現せし、魔王アザゼル。
ペルソナ使いが自らのペルソナに乗っ取られることは、決して少ないことではない。
モナーはそんな人間を、今までに多く見てきた。
そのどれもが、ペルソナを扱うに心が未熟であることが原因であった。
彼は神主という職業の裏で、その“手”の問題を解決することがある。
俗に除霊と言われているが、職業柄そのような問題を抱えた者、
或いは身内といった第三者から相談されることが多いのだ。
その“一般的な除霊”の中に、ペルソナ関係の件が紛れていたりする。
一つ、二つと問題を解決していくことで、“裏”の仕事が増えていったのだ。
ともあれ、モナーにとって専門分野であると言っても過言ではない。
ペルソナの暴走を止めるには、ペルソナを屈服させる以外に解決策はない。
文字通り、実力行使ということだ。
16
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 22:01:21 ID:UvGid7pw0
( ´_ゝ`)「……しかし、珍しいな」
(´<_` )「なにがだ?」
対峙しているモナーとアザゼルを、モナーの少し後方で見つめるのは流石兄弟だ。
アザゼルの隙を窺いながら、声のトーンを落とし兄者が言う。
( ´_ゝ`)「どうやらあの眼鏡は、ペルソナが暴走しているようだが……」
眼鏡とはアサピーのことだ。
二人の戦いに入り込む余地なしと判断した彼らは、冷静に状況を把握することに努めていた。
兄者の言葉に、やや間を置いて、
(´<_` )「覚醒したばかり、とも思えないな……神主もあのペルソナを知っていたようだ」
( ´_ゝ`)「流石だな、弟者」
兄者が言わんとしていることはこうだ。
ペルソナに目覚めたばかりの状態で、心が未熟、つまり自身の許容を超えた場合。
術者の意識を乗っ取り、暴走してしまう。
その、暴走に至るまでの時間は、ほぼゼロと言っても良いのだ。
( ´_ゝ`)「突如ペルソナがランクアップしたというセンも、外れだ」
(´<_` )「それならば、神主が“アレ”を知っているわけがない」
(´<_` )「……兄者の時は、ランクアップしてすぐに暴走したからな……」
( ´_ゝ`)「てへっ☆」
17
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:03:22 ID:0UV743Rg0
三国志でラジオばっかりしてて結局逃亡したペルソナさんじゃないですか!
18
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 22:03:52 ID:UvGid7pw0
気を取りなおして、
( ´_ゝ`)「まぁ、俺たちの知らない例外があるのかもしれんが……」
(´<_` )「あれほど強力なペルソナだ。そう考えるのが妥当だろう」
( ´_ゝ`)「うむ……完全に術者から独立しているようだしな……」
(´<_` )「狡猾な魔王だ。術者を乗っ取る機を窺っていたのか……」
それとも、
( ´_ゝ`)「それとも……何か、“切っ掛け”があった、か」
二人の推測はそこで終わる。
原因が分かったとしても状況を打破できるわけではないのだが、
単純にペルソナ使いとしての興味本位が、それを考えさせていた。
アザゼル顕現の“切っ掛け”を与えたのはモララーであったが、流石にそこまでは辿りつけない。
魔王に問うても、自尊心の高いアザゼルはそれを認めないであろう。
流石兄弟にとっても、専門としてきたモナーにとっても非常に稀なケースであり、
モナーにとり────同時に、最悪のケースと言える。
強力なアザゼルを屈服させることができるかどうか。
それに関して、モナーは特に問題にしていなかった。
できるかどうかではない。
しなくてはならぬのだ。
19
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 22:05:40 ID:UvGid7pw0
睨み合う、モナーとアザゼル。
高まる緊張と集中力が、モナーに時の歩みすらも遅く感じさせている。
( ´_ゝ`)「最後の衝突から、そろそろ五分か……」
呟きの、直後────
────それは、突如として起きていた。
(´<_`;)「ッ!」
咄嗟に身構えたのは、弟者だけではなかった。
兄者も驚きを浮かべた表情で、弟者と同調したように体勢を変えている。
注視は怠っていない。だからこそ、戸惑いを見せていた。
(;´_ゝ`)「翼が……増えた……」
二対四枚の翼が、アザゼルの背にあった。
しかし、いつの間にか更に二枚、翼が増えている。
ただ、それだけだ。
その程度のことなのに、兄者は確認するように呟いてしまっていた。
(´<_`;)「……」
20
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/10/31(月) 22:10:24 ID:UvGid7pw0
弟者が僅かに動いたことを、兄者は視界の端に捉えた。
その動きで、兄者は自分自身も一歩後退っていたことに気がつく。
気圧された理由は、決して外見の変化にではなく。
確かに、翼が増えたことで黒のシルエットは肥大化しているのだが、
(;´_ゝ`)(一瞬、巨大化したと錯覚するほどの……)
(´<_`;)(……冗談じゃないぞ……ついさっきまでよりも、更に……)
質量以外のものが、確実に増している。
足下から這い上がり、粘り、絡みつくのは威圧感。
その場に居るだけで、力が増したと認識できる程に。
しかし。
(;´_ゝ`)「ッ!」
威圧を、切り裂く、
(# ´∀`)『ビシャモンテン!』
翠緑の武神。
モナーの覇気に呼応し、ビシャモンテンが駆ける。
21
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:14:20 ID:77a1ax6c0
ペルソナァ!
22
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:19:30 ID:UvGid7pw0
ここまでです
この板はスレが残るっていうことを利用して、一定の周期で投下しようかなと
一ヶ月以上かけてこれしか書けなくなってる自分に驚いたけど、またぼちぼちやっていきます
次の投下は15日、但し9レス以下なら今月中
勿論、一話書ききることができれば余裕のある日に投下します
23
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:19:35 ID:gesZVKlUO
おおおっ!!ペルソナの人復活か!
待ってたよー
24
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:23:59 ID:q9jEEhmYO
>>22
乙です!!
ずっと待ってるんだからね!!!
25
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:27:58 ID:eyyqelCsO
ペルソナ!?ペルソナじゃないか!
おかえり!!
26
:
名も無きAAのようです
:2011/10/31(月) 22:29:00 ID:re327nns0
おつおつ
楽しみが1つ増えた
27
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 09:53:24 ID:vljoxgIg0
ラジオに出てる時間を執筆に回したら一話くらいすぐ書けたよね?
28
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 18:19:39 ID:EeVkQ2uMO
合作で投下ないのはアルファだけになったな
29
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 20:34:14 ID:6G1QSG3Q0
だからなんだよ
30
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 21:22:18 ID:JWof1kpg0
>>29
待ってるんだよ
言わせんな恥ずかしい
31
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 22:29:07 ID:959WcawA0
え?
退魔きたの?
32
:
名も無きAAのようです
:2011/11/01(火) 23:04:41 ID:KavdwqA20
エスカルゴに最新話あるよ
33
:
名も無きAAのようです
:2011/11/02(水) 13:15:40 ID:I2T68.5s0
復活したのか
乙
34
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/07(月) 00:14:22 ID:LY9oL2Io0
温かい言葉、煽り、ありがとうございます
投下したんだなぁと実感がわきました
10レス以上達成したので15日の投下が確定しました
まだ一週間と少しありますけど、一話書き切るのは厳しそうなので、
次も中途半端になりそうですがよろしくお願いします
次回分は今回分よりも多いです
35
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/08(火) 19:43:06 ID:.E4ZxMvQ0
15日に予定が入ってしまったので10日の夜に投下します
36
:
名も無きAAのようです
:2011/11/09(水) 19:52:02 ID:r.KM8OFI0
なんだ、失踪から帰ってきたのか
37
:
名も無きAAのようです
:2011/11/09(水) 21:26:07 ID:ZPefGbVkO
本物かよwwwwwお茶こぼしたじゃないか
とりあえず乙、読み返してくる
38
:
名も無きAAのようです
:2011/11/09(水) 23:50:59 ID:Iww2SqLgO
まだかな
39
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 20:49:32 ID:94JPCBgE0
投下します
>>20
の続きからです
40
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 20:51:06 ID:94JPCBgE0
自身の背丈をも凌駕する三叉の長戟、三叉戟を携え、それを握り絞る。
その先端は刺突、次点で斬撃に特化した武器だ。
但し、ビシャモンテンが振るう場合は、柄すらも凶悪な鈍器へと変貌する。
並の悪魔なら、叩き潰されるどころか、“柄”で“両断”されてしまうであろう。
且つ、今のモナーの精神状態は極めて高い位置にある。
ペルソナの力は即ち、意思の強さ、堅牢なる心に直結するのだ。
疾駆の勢いを乗せ、三叉戟を振りかぶり、鬼の形相でアザゼル目掛け振り下ろす。
<::::::::::>「…………!」
アザゼルはそれを、片腕で受け止めた。
回避ではなく防御をとった理由は、魔王の慢心に他ならない。
先ほどの衝突で黒衣を斬られたことで、確かにアザゼルは認識を改めていた。
だからこそ翼を増やし、“完全”な姿へと近づかせ、更に力を高めていたのだ。
それにより、モナーの攻撃を受け止めたのだが、自尊心は二度とも砕かれる結果となる。
防御に回している腕は今、片腕だけではなく、両腕になっていた。
赤黒い皮膚をさらけ出し、頭上で“X”の形に両腕を交差させ、受け止めている。
武神はそれ以上押せず、引けず。
魔王も押せず、受け流せず。
異なる神話の、神と魔王が交錯する画は、全くの、互角。
第三者がその画だけを見たならば、だが。
モナーは知っている。
ブーンたちに、はっきりと告げたのだから。
41
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 20:53:22 ID:94JPCBgE0
( ´∀`)「…………」
あの時は、アサピーもまだ味方であった。
そのアサピーも、モナーと同じことを話している。
アサピーはこう言った。
──私では、モララーを倒すことができません──
モナーはこう言った。
──私たちは、もう成長することができません──
共通していることは、己の限界を理解しているということだ。
今でこそ、モナーとアザゼルの力は拮抗している。
しかし、このまま戦えばどうなるか、彼にはそれが明確に見えてしまっているのだ。
魔王、アザゼル。
神話では六対十二枚の翼を持つと言われている。
変化を経て、それでも今は三対六翼でしかない。
“完全”には程遠い。
“完全体”のアザゼルが神話通りの姿をしているのかは、モナーは知らないが、
実際に翼が増えたことで力が増している現状を見れば、深読みせずとも辿り着く。
モナーは、アザゼルが今以上の実力を秘めていることを、充分に理解している。
かつてモナーは一度だけ、“魔王”と呼ばれる悪魔と交戦したことがある。
彼は当時の仲間たちと協力し、勝利することができた。
それが、今はたった一人────
モナーの打算では、流石兄弟は戦力に含まれていない。
急造の連携では、逆効果と判断した為だった。
42
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 20:55:05 ID:94JPCBgE0
それに、二人には託したことがある。
動くのであれば、今しかない。
( ´_ゝ`)「行くぞ、弟者!」
(´<_` )「了解だ、兄者!」
拮抗状態を保った、今が好機。
モナーの攻撃は、この瞬間を生み出すために行われたのだ。
図面上は通路だが、部屋と呼んでも差し支えのない広い空間。
その中央に、ビシャモンテンとアザゼル。
流石兄弟たちから見て、その後方にアサピーが立っている。
更に後方、突き当たり、重く閉ざされた電子ロック式の扉があった。
流石兄弟の思惑では、あの向こうに所長室があり、叩くべき敵がいると言う。
隙をつき、あの部屋へ侵入することが、二人がモナーに託されたことだ。
“今”、と判断した流石兄弟が、同時に飛び出した。
モナーの視線は動かない。アザゼルも動こうとしない。
組み合った互いの敵を、ただ一点だけを睨んでいた。
警戒しながら、流石兄弟はアサピーの真横を通過する。
アザゼルと同じく、彼も、
( ´_ゝ`)(……完全に抜け殻、か)
微動だにしなかった。
かくして二人は、拍子抜けする程にあっさりと目標である扉に辿り着く。
扉の前で顔だけを互いに向けて、一度、小さく頷いた。
43
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 20:58:40 ID:94JPCBgE0
頷き、全く同じタイミングでまばたきをした後、兄者は扉側を向き、弟者は逆方向を向いた。
電子ロック解除役と、見張り役に別れたのだ。
一瞬目を合わせただけで、だ。流石と言える。
モナーを含めた三名では、モナーの懸念通り力を発揮できないであろうが、
純粋に流石兄弟二人だけであれば、その力は加算ではなく乗算される。
極論を言ってしまえば、モナーも、兄者らも、互いが足手まといと言うことだ。
但し、流石兄弟にとっての“足手まとい”という意味合いは、少し違ってくる。
( ´_ゝ`)「所長室なら特別なロックがされていると思ったが……どうやら普通に使えるようだ」
電子パネルを操作し、入室PASS入力画面まで辿り着いた兄者が、そう言った。
関係者に配布されている入室コードは、所長室でも問題なく使用することができるようだ。
慣れた手つきで電子パネルに指を滑らせつつ、
( ´_ゝ`)「ま、開かなかったらペルソナでこじ開ければいいんだがな」
(´<_` )「また、プライドだけが傷つくかもしれないけどな」
研究所突入時のやり取りを皮肉る弟者。
そこまで言った後、弟者は未だ拮抗状態にあるモナーとアザゼルを見切り、
下方から徐々に口を開けていく扉へと向いた。
弟者の立ち位置は、兄者のやや斜め後方。
いつでも兄者をサポートできる位置に立っている。
そう、二人はこの先にエクストがいると思っているのだ。
扉が完全に開ききると、大人二人が並んで歩けるほどの通路が現れた。
蛍光灯に照らされた通路の壁には、大小様々な絵がいくつも飾られている。
描かれているものは、全てが不気味な悪魔の絵だった。
44
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 21:00:09 ID:94JPCBgE0
絵が漂わせる、侵入者を拒否しているような不穏な雰囲気の中を二人が進む。
警戒している為に、平常よりも歩く速さは若干遅い。
兄者も弟者も、視線は三十メートルほど先にある扉だけを見ていた。
( ´_ゝ`)(……相変わらず悪趣味な絵だな)
(´<_` )(本当にあの“力狂”のエクストが飾ったのだろうか……)
しかしどうしても、二人の視界の端には醜い悪魔が写り込んでしまう。
巨大な肉塊に無数の目が描かれただけのものや、無数の触手が生えた肉、
かと思えば、一般的に見て悪魔と判別できる容姿が描かれていたりと、様々だ。
その多種多様な絵の全てに、タイトルと思しき文字が外枠のプレートに綴られている。
流石兄弟が不気味さを感じている最大の理由が、それだ。
二人は初見こそ、絵の異様さに異を感じていたのだったが、
それを見た後は絵の存在など消え去るほどに、二人は“心を握られ”た。
今二人が視線を固定しているのは、絵ではなく、タイトルを見ない為だ。
この空間に入ると思い出してしまうがために、今の嫌悪感がある。
文字だけで、ペルソナ使いの二人にそこまでの畏怖を与えるもの。
飾られている全ての絵が、同一のタイトル。
プレートに綴られた文字は────……
『Nyarlathotep』
古の、旧支配者の名であった。
45
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◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 21:01:51 ID:94JPCBgE0
神話を知る者であれば、異なる絵にも成る程と頷いたであろうが、
流石兄弟にとってそれどころの話ではなかった。
常人の非日常を日常とするペルソナ使いにとって、神話とは薄氷隔てた現実に他ならない。
生誕、発祥、知覚情報などの類は、人間の界隈で語られている伝承通りであるかどうか、
それは当の悪魔のみ知り得る事柄ではあるが、大概がいわゆる“伝説”通りの姿をしている。
兄者と弟者も、覚醒した後は自身のペルソナがどのような悪魔であるか、神話を追った過去を持つ。
調べた結果は、限りなくそれ──神話──に近い姿をしていたのだ。
そして、“Nyarlathotep”
神話により名や外見が変わる神、悪魔は多くいる。
モナーのビシャモンテンがそうだが、文化や言語の違いで名称が変わる場合もある。
だが、“Nyarlathotep”ほどの名、姿を持つ悪魔は果たして存在するだろうか。
敢えて異なる絵を並べているのは、神話上の“彼”を視覚的に表現しているのであろう。
そういった様々な要素が、“Nyarlathotep”という言霊を際立たせ、
流石兄弟に畏怖を与えているのだった。
( ´_ゝ`)「弟者、開けるぞ」
一つ前の扉よりも、動きは早かった。
所長室の入り口に着くと、たった五秒ほどで解錠作業を終えていた。
後方に立つ弟者も、「あぁ」と最小限の返事で相槌を打つ。
( ´_ゝ`)「エクストの気配はないが……気を付けろよ」
言い、電子パネルのEnterを叩くと、兄者は少しだけ扉から離れた。
46
:
◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 21:03:23 ID:94JPCBgE0
所長室の扉は、一つ前の扉よりも小さい。
扉から一歩後退った兄者が動きを止める頃には、所長室内部が晒されていた。
正面に構えるのは壁に設置されている巨大なモニター一つ。
室内の証明はそのモニターが流す映像の明かりだけだ。
その、頼りない明かりに照らされている一人の人物に、兄者の目が止まった。
( ´_ゝ`)「なかなかそそられる光景じゃないか」
从;゚∀从「……ぶっ殺すぞ……」
両手足を縛られ、無造作に床に寝かされていた、ハインリッヒ高岡。
囚われの姫は、兄者の声に殺害予告で応答した。
もっとも、ハインリッヒは未だ流石兄弟のことを敵と認識しているままであるし、
兄者の言葉も悪役を匂わせることこの上なかったので、仕方がない。
(´<_` )「やはり、エクストはいないか」
言いながら弟者が入室すると、研究室の扉が自動で閉まった。
気配を感じなかった通りエクストはいない。
流石兄弟は知らぬことだが、彼は今、ブーンらと戦っているはずだ。
(´<_` )「兄者……どう思う?」
( ´_ゝ`)「ここにいないのは意外だったが……まさか、小僧たちの所か?」
(´<_` )「そうかもしれんな」
( ´_ゝ`)「ふむ……そうだとすると、少しヤバイ状況か……」
47
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◆iAiA/QCRIM
:2011/11/10(木) 21:04:51 ID:94JPCBgE0
二人は小声で、ハインリッヒに届かぬ声で話している。
从;゚∀从「なんだお前ら、アタシを牢屋にでも閉じ込めにきたのか?」
無力である自身への苛立ちが、矛先を流石兄弟に向けたようだ。
怒りが今の彼女から冷静さを失わせている。
初めてショボンらに出会った時の彼女ならば、そんな台詞を吐かなかったであろう。
( ´_ゝ`)「あー、違う違う。今はお前らの味方だ」
从;゚∀从「……味方?」
(´<_` )「俺たちはお前を助けにきたんだよ。まぁ、別に信じなくてもいいが」
从;゚∀从「…………」
味方と名乗る二人を前にして、彼女の脳が思考することを思い出させた。
理性が苛立ちを上回ったのだ。
一度そうなると、明晰な頭脳を持つ彼女は理解が早い。
从 ゚∀从「……なるほど。エクストは侵入者が十人って言ってたな……。お前らのことか」
ハインリッヒはブーンとツンにまだ会っていない。
だが、ジョルジュから二人のことを聞いていた。
神社で会ったミセリと、ブーンとツン、そして流石兄弟を合わせれば十人に到達する。
モショは頭数に入れられていないだろう、とも推測していた。
危険な上、この場所にトラウマを持つ彼女を連れてくるとも思えないし、
エクストならば“一匹”と表現するはずだと考えたからだ。
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