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【河川敷】 納涼夏祭り 短編・絵投下スレ
1
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 18:37:11 ID:83wVkMkM0
.
─ 河川敷では、やぐらの上の和太鼓を提灯が照らす ─
お題に沿って作品を投下するスレ。
今日のお題は「祭り」。 (短編上限…15レス)
同じブーン系好きなら、踊らにゃ損損!
.
30
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:31:46 ID:roGXc9to0
折角なので踊りに来ました
31
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:34:50 ID:roGXc9to0
川 ゚ -゚)「ふむ、やはり人が多いな」
道行く人々浴衣の袖を遊ばせて
祭囃子に誘われふらふらふらふら
(*゚Д゚)「ギコハハハハハ!!もっと飲めドクオぉ!ジョルジュゥ!」
赤い顔に射す橙
時は盆暮れ空は夕暮れ
(*´∀`)「わたあめ!焼き鳥!!水風船!!!なっつかしいモナ!!」
鳥居をくぐれば鮮やか異世界
目を奪われ心も奪われ
( ^ω^)「……まいった、ツンとはぐれたお」
気づけば相手を奪われ五里霧中
探せど探せど祭りの空気に蕩けるようで
32
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:36:02 ID:roGXc9to0
(*'A`)「あっはっははっは!!久しぶりだから飲んじゃうよ俺!!」
羽目を外して己を失う
はてさて酒の力か祭りの力か
ξ゚⊿゚)ξ「あいつ、皆で集まるのにはぐれるなんて!」
探しているのはこちらかあちらか
浮かれた下駄音全てをうやむや
(*゚ー゚)「ギコ君ったら、飲み過ぎよ」
囁きたしなめ鼓膜に届かず
笑い声しか頭に残らず
(´・ω・`)「おまたー、ってもう出来上がってるし」
祭りにかかれば全てが後手後手
だけども祭りにかかれば後手も先手に
33
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:37:09 ID:roGXc9to0
从 ゚∀从「ういーす、モナー様から焼き鳥の差し入れだぞー」
注ぐは油代わりの酒と飯
注がれるは愚かな酔っ払い
_
(*゚∀゚)「うえっへっへっへwwwwwしぃちゃんおっぱい揉ませてぇwwwwww」
逆らうは道徳、従うは欲望
酔いの力か空気の力か
(;・∀・)「おいおいお前ら、まだ全員集まってないんだぞ!飲むな!のーむーな!」
祭りの一角、一層騒がし一団体
一人奮闘、直に匙投げ酒に溺れて
ノハ*゚⊿゚)「あひゃひゃひゃひゃ!!迷子の迷子のぶーんが来らぞぉ!!」
喧騒に誘われ迷い人
迎える喧騒笑い人
響く乾杯、轟く花火に笑いを添えて
祭囃子は加速する
祭りはまだまだ終わらない
34
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:38:19 ID:roGXc9to0
以上、それじゃ
35
:
◆FBGlBPSpOs
:2011/08/29(月) 23:43:04 ID:kSr4wXqc0
さぁて踊りますか。投下しますか。
36
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:44:03 ID:kSr4wXqc0
始まりは、些細なことだった。
手をつないでるカップルを避けずに、その間を通ったのだ。
当然、カップルは俺を睨みながらも手を離した。
その時、なんていうか・・・その・・・下品なんですが・・・フフ・・・
勃起しちゃいましてね・・・
それ以来、俺はカップル、俗にリア充と呼ばれる人間に対する妨害活動に没頭しているのだ。
人は俺のことをこう呼ぶ・・・・リア充爆弾魔、と。
37
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:44:54 ID:kSr4wXqc0
時は夏祭り。
賑やかな声、立ち並ぶ屋台、そして独特の熱気。
('A`)
俺は単身この戦場に潜入していた。別に友達がいないわけではない。いや、マジで。ホントだって。人を疑うのは良くないと思うよ?
理由は当然リア充に対する妨害である。
俺の研究によると、毎年夏祭り会場には浴衣姿のナオンをはべらせたリア充が多数沸くのである。
これはまさに俺のための舞台ではあるまいか。
そう、クリスマス、バレンタインに続きカップル発生率が高いのである。
('A`) キョロキョロ
周囲に眼を走らせる。
俺は狩人。ハンターである。今なら念能力の一つや二つ使える気がする。
*(‘‘)*「ママー、あの人ひとりでなにしてるの?」
('、`*川「しっ!そんなこと言っちゃ駄目です!!」
雑音は無視だ。
38
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:45:36 ID:kSr4wXqc0
そうしていると、早速カモを見つけた。
爪'ー`)y‐
o川*゚ー゚)o
ガイアが囁いている感じの服装をしたタバコを吸っている頭の軽そうな男と
髪を茶色、否。うんこ色に染めた頭のチャラチャラした服を着た軽そうな女、否。ビッチである。
見たところ高校生くらいの、いかにもなカップルである。おそらく両者の脳味噌を足してもカニ味噌くらいの量にしかならないだろう。
ふむ、腕はこれ見よがしに組んでやがるから横断分離作戦は無理だな・・・
爪'ー`)y-
どうしようかと見ていると男が先程からやけにタバコをチラチラさせている。
高校生の癖にタバコを吸っているぜ俺、アピールか。ウザイな
大体タバコには良い思い出がない。煙を吹きかけられたり、火を押し付けられたり、買わされたりとまさに災厄の根源。
JTには謝罪と賠償を要求したい。あのような災厄の根源を売るとはどういうつもりなのか。
そのような災厄の根源は自らの手で絶つに限るな!
('∀`)「Let's hunt!!!」
39
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:46:22 ID:kSr4wXqc0
爪'ー`)y‐「でさー、そのセンパイがマジパなくてさぁー」(※会話はイメージです)
o川*゚ー゚)o「マジー!?チョーウケルンデスケドー」(※会話はイメージです)
( A )スッ
後ろから忍び寄る。俺の手に握られているのは花火広場に置いてあった消火用のバケツである。
それを天高く持ち上げ・・・・下げる。
ザッパァァァァアアアン!!!!
爪'ー`)「うおおおっ!!!」
o川*>ー<)o「キャー!!!!1」
男が自慢げに振りかざしていたタバコの火が消えた。フハハハハ。
どうせお前未成年なのにタバコ吸ってる俺KAKEEEEEEEEEEEEEE!とでも思っていた輩であろう。
タバコは二十歳になってからである。
爪#'ー`)「てめぇ!!待てコラッ!!!!!」
ガイア男が振り向き、俺の居た場所に手を伸ばすが、俺はもう人ごみの中である。
逃走スキルだけは高いのだ。学生時代に鍛えられたのは逃走スキルだけである。
花火が俺の顔を照らしたが、問題無い。俺は狩りを始める前に手前のお面屋に寄っていた。
ヤツからしたらゴーカイブルーに水のようなものをぶっ掛けられたとしか分からないだろう。
40
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:47:05 ID:kSr4wXqc0
爪#'ー`)「アイツぜってぇーブッコロス!マジワケワカンネー!!」
o川*゚ー゚)o「・・・・・なんか臭くない?」
爪'ー`)「・・・・?そうか」
o川*゚ー゚)o「・・・・フォッ君からする。余り近づかないでくれる?」
爪;'ー`)「えっ、ちょっ!!どうしたんだよ!!おい!!待てって!!!」
当然、リア充撲滅委員会会長の俺が水なんて生易しいものを使うわけが無い。
使ったのは・・・・まぁここで語るには適さないものだ。
人体から採れるとだけ言っておこう。
('∀`) ニヤニヤ
それを影から見てほくそ笑むのが俺の生き甲斐である。
無論、俺のジョニーはウェイクアップしている。これも、俺の性か・・・
*(‘‘)*「ママー、あの人ひとりで笑ってるよ?」
('、`*川「しっ!見ちゃ駄目!!さらわれるよ!!」
外野は無視だ。
41
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:47:47 ID:kSr4wXqc0
おっと、ジョニーをウェイクアップさしてる場合では無い。新たな獲物が既に眼前に居るではないか。
(,,゚Д゚)
(*゚ー゚)
初々しい感じのカップルである。初デートかもしれない。
あああああああああああああああああこういう感じのが一番見ててくるんだよなぁ!!!!!!!
(*゚ー゚)「ギコ君・・・・手、つなぐ?」(※会話はイメージです)
(,,゚Д゚)「え!?・・・あ、ああ。い、良いのか?」(※会話はイメージです)
(*///)「ギコ君なら・・・良いよ」(※会話はイメージです)
みたいなぁああああああああああ!ねぇえええええ!
おほぉおおおおおおおおおおお!!!!!らめぇえええええええええええ!!!!!
いかんいかん、いつからか和姦モノでは抜けなくなった俺には刺激が強すぎる。
では早速狩りを始めよう。
今回はどのように料理しようか・・・
('∀`)「Let's hunt!!!」
42
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:48:38 ID:kSr4wXqc0
まず手始めに、いつもの手つなぎ横断を行うことにした。
(,,゚Д゚)人(*゚ー゚)
シツレイシマス
(,,゚Д゚)('A`)(*゚ー゚)
そしてその時にどさくさにまぎれて、男の尻ポケットにある財布を抜き取る。
(,,゚Д゚)「じゃあカキ氷でも買おうか・・・あれ!?財布が無い!!」
(*゚ー゚)「えっ!!大変!!!どうしよう!」
金目当ての犯行では無い。俺は紳士である。
('A`)「あ、もしかしてコレですか?」
(,,゚Д゚)「あっ、はい。僕のです!ありがとうございます!!」
頭を下げる男。へっ、よせよ、褒められるような事はしてないぜ。
43
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:49:45 ID:kSr4wXqc0
(*゚ー゚)「中身は大丈夫かな?」
(,,゚Д゚)「ああ、そうだな。確認しないと・・・」
財布を開いた男。
そこには溢れんばかりのある"モノ"が詰まっていた。
四角い形に中央に丸い円のある独特のデザインの"モノ"。
私の地元では愛をこめて『近藤さん』と呼ばれていたモノだ。
(*゚ー゚)「え?・・・コレって・・・・」
(,,゚Д゚)「待ってくれ!!違うんだ!!!誤解だ!!!さっきの男のイタズr」
(*゚ー゚)「初デートでそんなこと考えるなんてサイテー!!!!!」パァン
(#) Д )
('∀`)
これだからリア充狩りは止められない。
44
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:50:35 ID:kSr4wXqc0
今日は実に大量だった。
最初の二件を皮切りに、
川 ゚ -゚)「話ってなんだ?」
_
( ゚∀゚)「実は俺・・・ずっと前からお前のことg痛っ!」
川 ゚ -゚)「・・・・どうしたんだ?」
_
( ゚∀゚)「いや、ちょっと待っt痛い!!!なんかコルクが飛んでく痛っ!!」
川 ゚ -゚)「・・・・ふざけてるのか?もう帰って良いんだな?」
_
( ゚∀゚)「ちょっ、待っ!!痛い!!!!!玉はナシ!!!」
射的屋の銃でリア充の卵をスナイプしたり
ξ゚⊿゚)ξ「花火きれいね・・・・」
( ^ω^)「ツン・・・君のほうが綺麗だお」
ソーッ('A`) ξ///)ξ「バカ・・・・」
( ^ω^)「でも花火とツンがまるで一つになってるみたい・・・って!!燃えてるお!!!髪!!!」
●゚⊿゚)ξ「え!?うわっ!!!なにこれ!!!!」
リア充を花火でライトアップしてあげたり
45
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:51:51 ID:kSr4wXqc0
从'ー'从「プギャー君遅いな〜何してるんだろ〜。あ!来た!」
@@@@@
( ^Д^)「悪い悪い!!なんか変な顔色悪い男に絡まれてさ・・・」
从'ー'从「・・・・・・・・アイパー?」
@@@@@
( ^Д^)「えっ?」
頭に綿飴をつけまくったり
( ・∀・)「おーーーーー」
ζ(゚ー゚*ζ「花火綺麗ですねー」
( ・∀・)「・・・・また来年も来ようね」
ζ(^ー^*ζ「そうですね・・・あっ、すごく大きい花火がこっちに・・・・」
(; ・∀・)「飛んできてる!!!!」
ロケット花火をリア充に打ち込んだりもした。
46
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:53:15 ID:kSr4wXqc0
―そして時は流れ
三年後、夏祭り
('A`)「お、貞子。浴衣似合ってるじゃん」
川*д川「そ、そうかな」
('A`)「さ、行こうか」
手を差し出す俺。
川*д川「うん」
握り返す貞子。ああ、まさに俺は今幸せの最中。人生の頂点。人類の覇者。この俺を止めることはだれにもできない。
見ろ、人ごみが俺達を避けていく。カップルという幸福絶対領域に押し負けるのである。カップルを止めることは誰にもできないのである。
よし、今日こそはこの勢いでホテルまで行き、長年埃を被ってきたジョニーに晴れ舞台を用意してやろう。
―――――ん?
一人の少年が、俺達を避けずに、なんと俺達の手と手を繋いでいる場所を突っ切ろうとしている。
しょうがなく手を離す俺。くそう、あのふわふわした手の感触が一時でも離れるのが口惜しい。
さて、少年も去ったことだし手を繋ぐか。
47
:
('A`)がリア充を爆発させるようです
:2011/08/29(月) 23:54:49 ID:kSr4wXqc0
その時だ。
ドバァアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!
俺の頭上から大量にカキ氷が降ってきた。なんと抹茶味である。俺のシャツが見事な抹茶色に染まる。男は抹茶に染まれ。
とっさに振り返る。ゴーカイブルーのお面を被った少年が、そこに居た。
少年は脱兎のごとく逃げていく。
俺は追いかけなかった。
川д川「あ、あの。大丈夫ですか?」
('A`)「ん・・・ああ」
('A`)「お前、帰って良いよ」
川д川「えっ」
('A`)「大切な用事を思い出したんだ。お前がいると邪魔なんだよ」
川д川「・・・・・・はぁ」
ポカンとしている貞子、否。ビッチを置いてけぼりにして、俺は周囲を見渡す。
あの少年のおかげで俺は大切な事を思い出せた。
こんな風に彼女とやらを作って夏祭りに行くことよりよっぽど面白いことだ。
さて・・・・今宵はどんな狩りを行おうか。
('∀`)「Let's hunt!!!」
(終)
48
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:57:03 ID:kSr4wXqc0
あい終わりー
良い汗かきました
ラムネでも飲みたい気分ですね
49
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 23:58:43 ID:2GS0vzB6O
夏祭り、クリスマスと言えばリア充破壊活動ですよねー!
いやー懐かしいわー!
50
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:04:05 ID:HlGjmWQI0
> ('∀`)「Let's hunt!!!」
イイ笑顔や……www
51
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:14:52 ID:Eh51fTYY0
壁|A`) ダレモイナイ...?
壁|A`) トウカスルナライマノウチ...
ヽ('A`)ノ トウカスル!
( )
ノω|
52
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:15:38 ID:Eh51fTYY0
彼の名は杉浦ロマネスク。悪の組織の博士である。兎を狩る時も全力を尽くす彼に一切の驕りは無い。
('A`) 久々の休暇が縁日と被るなんて運がいいや
('A`) ま、恋人がいるわけでも無いし一通り遊んだら帰ろう
( ФωФ) 一人で祭にくるとは寂しい男である
('A`) ……ミスター、何してるんですか
( ФωФ) 見てわからないであるか?
('A`) ある程度予想はできますが一応聞きましょう
( ФωФ) 出店の営業
('A`) なんのですか?
( ФωФ) 出店攻略グッズ
('A`) 世界侵略グッズ作れこのポンコツ
市民が憩う祭りの街道に今一頭の虎が牙を剥く。
杉浦ロマネスク、彼の野望は尽きることを知らない。
53
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:16:27 ID:Eh51fTYY0
これは
日本を舞台に繰り広げられる
正義と悪の戦いの物語である
( ФωФ)Mr.ギウラーの開発レシピ(夏)のようです
54
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:17:11 ID:Eh51fTYY0
祭り。それは夏の風物詩。
封鎖した街道を神輿と踊り子が練り歩き、沿道には様々な屋台が軒を連ねる。
無機質なアスファルトに溢れかえった人々はささやかな非日常に浮き足立ち、街はまるで生き物のように活気に溢れるのだ。
神輿の通る大通りに交わる沿道。最も屋台が多くならび最も多くの人が行きかう屋台激戦区である。
その外れ、祭りの中心地である大通りから最も遠い位置にその出店は存在した。
長机を組み白い布を被せただけの簡素な品台。
売り子の日よけに設置されたカラフルなビーチパラソル。
日の光を弾き輝く品台に並んだ用途不明の品々。
そしてパラソルの日影でアイスキャンディを三本同時に舐める売り子の男。
飢えた獣を思わせる見開いた目、愛嬌のある口元、少々丸みのあるボディ。
そう、彼こそが我らが悪の組織の幹部にして技術開発局最高責任者、杉浦ロマネスク。
人呼んで「Mr.ギウラー」である。
55
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:17:54 ID:Eh51fTYY0
('A`) もう一度聞きます
('A`) この店はなんの店ですか?
この、世の不幸を顔面に濃縮還元したような男の名は宇津田・B・ドクオ。
誉高き「超変身改造人間」シリーズのプロトタイプの一体であり、ロマネスク直属の保護者である。
( ФωФ) 出店攻略グッズ
('A`) さっぱりわかりません
( ФωФ) 簡単にいうと祭りをより楽しむためのアイテムである
('A`) さっぱりわかりません
( ФωФ) 論より証拠。試しに使ってみればいいであろう
('A`) 見た目はただの眼鏡ですよね
( ФωФ)いいから着けるである
56
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:18:36 ID:Eh51fTYY0
(∩0A0)∩ スチャッ
(-0A0) ………
……… ζ(゚ー゚*ζ
(-0A0) ………
ζ(^ー^*ζ
(*-0A0) 、
( ФωФ) 夏祭りエンジョイ恋愛シミュレーションメガネ、名付けて
( ФωФ) 「ナツプラス」である
(*-0A0) ミスター彼女は一体
( ФωФ) メガネから発せられる特殊なパルスが脳に干渉し幻覚を見せているのである
(-0A0) …幻覚?こんなにリアルなのに
ζ(゚ー゚*ζ 幻覚だなんて酷いなぁ
(-0A0)
(-◉□◉) しゃべったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!1!!
57
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:19:30 ID:Eh51fTYY0
( ФωФ) 大声をあげるでない
( ФωФ) 特殊パルスは五感全てに干渉するである
( ФωФ) 声はもちろん、感触匂い味全て感じることができるのである
ζ(^ー^*ζ そういうこと。分かった?
(*-0A0) は、はい…
ζ(゚ー゚*ζ じゃぁ行こっか
(-0A0) え?
ζ(^ー^*ζ どうせ一人なんでしょ?一緒に見てまわろ!
(*-0A0) は、はい!!
( ФωФ) …行ったか
( ФωФ) 我輩の心血を注いだ廃人育成システムの実験のためである
( ФωФ) 存分に死んでこい
( ФωФ) さて。我輩はナツプラスの説明でもするであるか
___________
58
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:20:27 ID:Eh51fTYY0
【ナツプラス廃人育成機能その① 〜精神支配〜】
ナツプラスは某ゲームを元に開発したリアルタイム、リアル感覚恋愛シミュレータである。
装着者の五感を支配し理想の恋人をさも現実のように作り上げる。
「偽物である」という認識は開始5分から徐々に封印。
30分も経てば彼女を偽物だと思うことは出来なくなっている。
なお、この機能はメガネを外せば自動的に解除されるので安心してほしい。
ζ(゚ー゚*ζ どっくんどうしたの?ボーっとして
(*-0A0) え、ああ。女の子と祭歩くなんて初めてだから
ζ(゚ー゚*ζ やだ、どっくん。去年だって一緒に歩いたじゃない
(-0A0) え?
ζ(^ー^*ζ ま、去年はまだ「友達」だったけどね
(*-0A0) そ、そうだったね!まさか付き合えるとは思ってなかったよ!
ζ(^ー^*ζ うふふ
さらにナツプラスのヒロイン達は過去を捏造する。これもパルスによって促進されそう思い込むように設定した。
ちなみに、幸せな思い出が少ない者ほど効果が大きいようだ。
故に大抵の毒男は①の機能で陥落する。
59
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:21:09 ID:Eh51fTYY0
【ナツプラス廃人育成機能その② 〜肉体的快楽〜】
先の機能により精神を陥落した後、さらに駄目押しとなるのがこの肉体的快楽機能である。
①でも述べたようにナツプラスは触角や嗅覚にも影響を及ぼす。
エロい、もとい賢い人間ならばすでに予測しているとは思うがヒロイン達の身体は触ることが出来る(触ったように感じる)。
触れるたびに脳内麻薬の分泌を促すよう設定したのでその幸福感、興奮度は現実の女以上であろう。
ζ(゚、゚*ζ どっくん、あのさ…
(-0A0) ん?どした?
ζ(゚、゚*ζ 手、繋いでもいい?
(*-0A0) え、あ……うん
ζ(゚ー゚*ζ えへへ、やった
(*-0A0) (手ぇやわらけぇぇぇぇぇ!!!)
お望みとあらば大人な快楽も味わう事ができるが、ヒロイン達から誘うことは無い。
故にユーザーが未経験である限りそこに持ち込むことは大凡不可能であろう。
もし出来たとして一人で宙空ににハァハァするという異様な空間が出来上がるのでオススメはしない。
60
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:21:52 ID:Eh51fTYY0
【ナツプラス廃人育成機能その③ 〜遊び〜】
さて①、②はどこにでもある一般的な恋愛シミュレーションの機能である。
ここでナツプラスの夏祭り特化機能を紹介したい。
今回の被験者にあてがわれたヒロインは金魚掬いのプロ。
彼女に金魚掬いのやり方を教わる、それが夏祭り特化機能である。
ζ(゚ー゚*ζ いい、どっくん
ζ(゚ー゚*ζ 金魚は影に集まるから自分の頭を使って影を作って集めるの
彼女達は後ろから覆いかぶさるように手を取り実際に手を誘ってくれる。
ポイの侵入角度や受けるお椀の位置、金魚の追跡の仕方。
耳元で細かな解説をしながら、胸を背中に押し付けながら、まさに手取り足取り教えてくれるのである。
(*-0A0) (むむむ、胸が!胸が!)
ζ(^ー^*ζ もー、どっくん焦りすぎ。もっと優しくね
(*-0A0) ひゃ、ひゃい!がんばります!
まぁ、周りからすればハァハァしながらテクニカルに金魚を掬う変人にしか見えないであるが。
61
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:22:35 ID:Eh51fTYY0
10
【ナツプラス廃人育成機能その④ 〜世話〜】
ナツプラスのヒロインは甘えるだけでは無い。甲斐甲斐しく世話もしてくれる。
良き妻がそうであるように、使用者が口にする前に気が付き行動を起こすのだ。
ζ(゚ー゚*ζ ちょっとそこのベンチで休もうか
(-0A0) そうだね
ζ(゚ー゚*ζ はい、さっき買っておいたラムネ
(*-0A0) え、あ、ありがとう
ζ(^ー^*ζ どう致しまして
(*-0A0) ぷは、うまい
ζ(^ー^*ζ うふふ。私冷やしパイン買ってくるね!
(*-0A0) うん
(*-0A0) …幸せだ
無論彼女が持ち出す飲食物もパルスが脳に干渉し見せた幻覚である。
周囲には笑顔で飲み食いのパントマイムをする変人にしか見えない。
が、実際に買って食べるよりも経済的なのでなんら問題は無いであろう。
62
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:23:24 ID:Eh51fTYY0
【ナツプラス廃人育成機能その⑤ 〜別れ〜】
出会いがあれば別れがある。一夏の恋とは駆け抜けるように過ぎ去るのだ。
そうした甘くほろ苦いチョコレートのような経験を経て少年達は大人になってゆく。
(-0A0) どうしたの?
ζ(゚ー゚*ζ ……どっくん私ね
ζ(゚ー゚*ζ 海外に引っ越すことになったの
(-0A0) !!
ζ(゚ー゚*ζ 本当は今日の朝だったんだけど、パパとママに無理言って、待ってもらったんだ
(-0A0) そんな…!
ζ( - ζ ごめんね黙ってて
(-0A0) デレちゃん…
ζ(^ー^。ζ 私のことなんかさっさと忘れてさ、いい人見つけてね!
(-0A0) ……待ってる
ζ(゚、゚*ζ え?
(-0A0) いつまでだって、君のことを待ってる
63
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:24:07 ID:Eh51fTYY0
ζ(;ー;*ζ ……ありがとう、どっくん…
『そして僕たち二人は強く抱き合い、全てを忘れるように熱く口付けを交わす。
絡みあった二人の唇が解けるころにはそこに彼女の姿は無かった。
僕は賑やかな人混みの中、そっと呟く。』
('A`) ずっと待ってるよ……
こうして使用者は別れを乗り越え一つ大人になるだろう。
正直な話、どうしても数時間でバッテリーが切れてしまうために苦し紛れにつけただけの機能なんであるが。
64
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:24:50 ID:Eh51fTYY0
__________
( ФωФ) どうだったであるか?
('A`) 素晴らしく、そして恐ろしいアイテムでした
('A`) 正直2〜30万くらいなら払える気分です
( ФωФ) このパルスは脳に負担がかかるから暫くは余韻が残ってそういう酔ったような気分になるである
( ФωФ) その隙に続きのデータチップと専用バッテリーを高額で売りつける
( ФωФ) 組織の資金繰りと一般人の精神破壊が同時に出来るである
('A`) なんか久々に恐ろしいアイテムを見た気がします
( ФωФ) であろう。さて、今日の営業時間は終わりである
('A`) あ、俺も帰ります
( ФωФ) あ、そうだドクオ
('A`) ?なんです?
( ФωФ)死ぬなよ
('A`) ?
65
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:25:39 ID:Eh51fTYY0
【ナツプラス廃人育成機能幻の⑥ 〜黒歴史〜】
ナツプラスから放たれている特殊パルスは脳にそれなりの負担をかける。
故に使用を辞め記憶が正常になったとしてもしばらくの間は地に足のつかない状態だ。
正常に見えて冷静さは無くどちらかといえばナツプラスをつけている状態に近いまま。
それ故に真実を思い出してもヒロイン達との幸せな時間をなんら問題無く反芻できる。
が。
(゚A゚) うぉぉぉおええええぁぁぁ!!!!!!!
(゚A゚) ぷゲラ!!ぷゲラ!!!
(゚A゚) おんぎゃああああ!!!
時間が経過し、全てが正常にもどれば別である。
誰も居ない空間に笑顔で話しかけ、誰も居ない空間に手を差し伸べ、存在しない胸の感触にニヤニヤとし、ありもしないラムネを飲んでゲップをし、挙げ句の果てには虚空に本気のキス。
しかも老若男女問わぬ大勢の人の前で。
('A`) …………もう、外になんか出られない
('A`) 鬱だ死のう
これこそがこのナツプラスの真骨頂と呼べるかもしれない。
66
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:27:07 ID:Eh51fTYY0
_______
彼の名は杉浦ロマネスク。
彼に人の情は無く。
彼に正義の心は無い。
彼の心にあるのは欲望一つ。
夜に響く叫びは子守唄。
天才は世界を征する夢を見る。
( ФωФ)Mr.ギウラーの開発レシピ(夏)のようです
おわり
67
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:28:37 ID:Eh51fTYY0
おわり
夏祭りなんかしばらく行ってねーよ畜生
68
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:28:59 ID:ShO9uFQk0
常用すれば⑤や⑥は避けられるということか・・・・
参考までにお値段はいくらですか?
いや、仮にあったとしても買うわけないですよ。ハハハ
69
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:31:17 ID:9ovtZovMO
乙!
いいから貸せよ……もとより羞恥心なんざ持ってねーよ……よこせよ……嫁くれよ……
70
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:34:36 ID:gY0np6FU0
投下するんよ
71
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:35:18 ID:gY0np6FU0
不敵な笑みを浮かべて歩く、浴衣姿の男。
( ^ω^)
夏祭りの露店が並ぶ歩道の中心を、男は歩く。
しかしその眼は、ただ、ある一点だけを見据え、周りの人や露店は眼中に無いかのようだ。
周囲の人々は、その男が放つ気迫に怯え、逃げるように歩道の端へと逸れてゆく、
結果、男の周りには不自然なスペースが出来あがっており、
それがまた、事の異常性を感じさせる。
_
( ゚∀゚)「なんだあいつは……? 雰囲気が只者じゃないぞ……!」
/ ,' 3 「ま、まさか……奴は!」
_
( ゚∀゚)「荒巻じいさん! 知っているのか!?」
露店を開いていた老人が、信じられないという表情で、体中を震わせている。
額に汗を浮かべ、青ざめた顔のまま、必死に声を絞り出した。
/;,' 3 「悪名高き金魚すくい荒らし……人呼んで『外来魚』!!」
72
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:36:14 ID:gY0np6FU0
_
( ゚∀゚)「が……『外来魚』……!?」
/;,' 3 「日本中の夏祭りに突如現れ、奴が去った後は一匹の金魚も残らないという……」
_
(; ゚∀゚)「なんだよそれ……! やべぇのか!?」
/;,' 3 「とうとうこの町にも現れおったか……!」
/;,' 3 「奴は金魚をすくった後、決まり文句のように必ずこう言うそうじゃ……、
『もう水しか残って無いお、カキ氷屋からシロップを貰ってジュース屋にでもなるといいお』とな、
隣町も奴の被害に悩まされているとか……」
_
(; ゚∀゚)「隣町の露店にやたらとジュース屋が多いのは奴のせいだったのか!?」
_
(; ゚∀゚)「たしかに、やけに生臭いジュースだと思ってたんだ……」
/;,' 3 「このままではこの町の金魚すくい屋が壊滅させられるぞ……!!」
_
(; ゚∀゚)「……俺、みんなに伝えてくる!」
73
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:36:55 ID:gY0np6FU0
…… …… ……
ノパ⊿゚)「あーッ!! 破れたァ!!」
ノハ;⊿;)「まだ一匹しかすくってないのにー!!」
( ФωФ)「泣くな泣くな……ほれ、一匹おまけしてやろう」
ノハ*゚⊿゚)「うおーッ!! いいのか!?」
ノハ*゚⊿゚)ノシ「おっちゃーんありがとなー!」
( ФωФ)「ハッハッハ、はしゃぎすぎて転ぶなよー」
_
(; ゚∀゚)「おーい! ロマネスクのおっちゃん!」
( ФωФ)「む、長岡のトコの坊主か、一回100円だぞ、やるか?」
_
(; ゚∀゚)「それじゃあ一回……って違う! そんなんじゃねえ!!」
_
(; ゚∀゚)「やべぇ奴が来てるんだ! 金魚を全部もってかれちまう!!」
( ФωФ)「……ほう、詳しく話してみろ」
74
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:37:38 ID:gY0np6FU0
_
(; ゚∀゚)「なんでも『外来魚』とかいう、とんでもない金魚すくい荒らしが来てるらしい!」
( ФωФ)「『外来魚』……? 聞いたことが無いな」
_
(; ゚∀゚)「俺、さっき見たんだ……すごい迫力で近づけなかった、
雰囲気で分かる! あいつは只者じゃねえ!」
_
(; ゚∀゚)「このままじゃここの金魚を綺麗さっぱり取られちまう……なにか対策を……!」
「対策ねぇ、でも残念ながら、もう遅いみたいだお?」
_
(; ゚∀゚)「あ……!」
( ФωФ)「……貴様か、『外来魚』とやらは」
( ^ω^)「ご名答」
75
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:38:18 ID:gY0np6FU0
( ФωФ)「……ふむ」
群青色の浴衣を着込んだ男、
少々小太りだが、腕の筋肉を見る限り、並の男では無いと分かった。
( ^ω^)「どっこいしょ、っと」
男はそれまで持っていたクーラーボックスを地面に置き、その上に座り込んだ、
椅子代わりにしているが、おそらくすくった金魚を入れるためのものだろう。
水槽いっぱいの金魚を全て持ちかえるとなれば、ただのボウルや袋では入り切らないからだ。
_
(; ゚∀゚)「……」
そして、その男を見定めるにあたり、なによりも一番気になるものがあった、
それは、男が背中側の帯に挿しこみ、背負っている──巨大な輝く“ポイ”だ。
ポイとは、プラスチックでできた輪に薄い紙が貼られた、金魚すくいに使う道具であるが。
男が背負っているそれは、晩ごはんに突撃する某番組のシャモジのように大きく、
さらに、全体が金でできているかのように光り輝いている。
( ФωФ)(ポイの形をした巨大なオブジェ……か?)
( ФωФ)(なんにしろ、それだけの自信や実力の現れだろうな)
76
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:39:28 ID:gY0np6FU0
( ^ω^)「さーて、この100円で、ぜーんぶ取らせてもらうとするお」
( ФωФ)「……ほう、100円で、か」
( ФωФ)「この大量の金魚を、一回だけですべてすくう気か?」
( ^ω^)「おっ、その通り、なにかおかしいかお?」
どうやら、相当の自信を持っているようだ、
もし話通りの実力の持ち主なら、本当に言った通りの事を実現してもおかしくはない。
( ФωФ)(すべての金魚を、ひとつのポイで、すくう……か)
( ФωФ)「……いいだろう、見せてみろ、その腕前」
( ^ω^)「おっおっ、話の分かる店主で良かったお」
_
(; ゚∀゚)「おっちゃん!! いいのかよ!?」
( ФωФ)「……もとより、相手が誰であろうと拒むつもりは無い」
( ФωФ)「だが……それよりも、見てみたくなったのだ、この男の自信の源……実力をな」
_
(; ゚∀゚)「……」
77
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:40:19 ID:gY0np6FU0
_
( ゚∀゚)「……分かったよ、おっちゃん」
_
( ゚∀゚)「おっちゃんが、そう言うなら、もう俺は止めはしねぇ」
( ФωФ)「ああ、それでいい」
露店の裏に置いてある、いくつもの箱、
『金魚すくい用ポイ』と書かれたその箱の中から、ポイを取り出す。
( ФωФ)「紙の厚さは……6号でいいか?」
( ^ω^)「あ、そういうのいらないお」
( ФωФ)「……なんだと?」
そう言うと、男は懐から何かを取り出した。
78
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:41:02 ID:gY0np6FU0
_
( ゚∀゚)「あ……あれは!!」
男が取り出した物、それは、
男のその余りある実力の秘訣であり、
男が編み出した金魚すくい必勝法、その、最重要アイテム――
_
( ゚∀゚)「サーティーワンアイスクリームの店員がアイスすくう時に使うでかいスプーン!!!」
( ^ω^)「このMyポイを使わせてもらうお!!」
( ФωФ)「いや、ダメに決まってんじゃん」
( ^ω^)「え!!?」
79
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:41:45 ID:gY0np6FU0
…… …… ……
(((( ´ω`) トボトボ…
_
( ゚∀゚)「い、行っちまった……」
( ФωФ)「なんだったんだ、あいつ」
かくして、脅威?は去っていった。
男は去り際に、「僕を負かしたのはアンタが初めてだお、このポイはアンタに相応しいお」
と言って、背負っていた巨大なポイを置いていったのだが。
( ФωФ)「これ、邪魔だな……捨てよ」
( ФωФ) 二三 ー⊂⊃ ポイッ
と彡
/ ,' 3 「ポイだけにポイってか! ガハハ!」 完!
80
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 00:45:28 ID:gY0np6FU0
そういやタイトル考えてなかった
81
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 01:09:16 ID:ceHagqxA0
よし、こそっと投下だ
82
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:10:14 ID:ceHagqxA0
―――夏、それは恋の季節。
それは前に座っている女子のブラ紐が気になる季節。
それは街の女たちが薄着になり、運がよければ海ではポロリが見られる季節。
そして、最も俺が鬱になる季節でもある。
| \
| ('A`) ドンドンピーヒャラキャッキャ
/ ̄ノ( ヘヘ ̄ ̄ /
('A`)「もう祭りの日だったっけ……ウツダシノウ」
外からかすかに聞こえてくる祭囃子……。
若い男の笑いと、女達のはしゃぐ声。
それが組み合わさると、ギシアンよりなお強力な催鬱効果がある。
リア充死ねえ!とか、そんな気力も奪われるくらいだ。
83
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:10:59 ID:ceHagqxA0
('A`)「あーあ、いきなり俺死なねえかな。
隕石とかがこの街に直撃したりして」
この時期に実家に帰ってくると毎回こんな気分になる。
……次回から帰省の時期をずらしてみようかな。
マジでこのまま祭りの音を聞いていると自殺してしまいそうだ。
('A`)「……ちょっと早いけど、抜いて寝るか」
PCを起動して、行きつけのアダルト動画サイトへとんだ。
……だがサイトのトップを一目見るなり、俺はブラウザを閉じることになる。
「夏祭り!人気女優特集!」という宣伝文がそこに載っかっていたのだ。
ファック。お、ちょっとうまかったかな。
('A`)「そうでもねえか」
('A`)「……どいつもこいつも浮かれ騒ぎやがって」
乱暴に電源を落とすと、俺はタオルケットを被った。
祭囃子は、無情にもその薄い生地を貫通して俺の耳に入り込んでくる。
お布団ちゃんが恋しい、ああ、俺にも彼女がいればこんな気分にはならないのに。
84
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:12:11 ID:ceHagqxA0
('A`)「はぁ」
コンコン
「ドクオ、起きてる?」
ため息をついた時、カーチャンがドアをノックした。
どうぞ、という返事の前にカーチャンは部屋へと入ってきた。
J( 'ー`)し「あら、ドクオもう寝るの?」
('A`)「……おう」
J( 'ー`)し「健康的でいいけど……ねえお祭り、行かない?」
(;'A`)「はぁ?」
あまりにも唐突な提案だった。
っていうか、一緒に行くのか?
(;'A`)「え、何?マジで言ってるの?
もう俺23だしさ、親といく歳でもねえだろ」
J( 'ー`)し「トーチャンがね、久しぶりにドクオとって聞かないのよ」
(;'A`)「トーチャンが?」
85
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:13:08 ID:ceHagqxA0
父がそんな風に祭りに誘うなんて何年振りのことだろうか。
それこそ、十年振りくらいだろう。
J( 'ー`)し「とにかく服着替えておいで、もうトーチャン玄関で待ってるから」
(;'A`)「え、あ、うん」
優柔不断な俺が、厳しい父に逆らえるはずもない。
俺は部屋着を脱ぐと、さっと着替えて玄関へと出た。
. _、_
( ー` )「来たか」
('A`)「うん」
J( 'ー`)し「あーいいわよねえ、このお囃子!
いくつになっても心踊るっていうか」
('A`)「……ああ」
父は着流しを着て、玄関の外で一人煙草を吸って待っていた。
煙草の香り、父の着流し、夜の香り。俺の脳裏に幼い頃の祭りの思い出が蘇ってくる。
……なんだか、妙な気分だ。
86
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:14:12 ID:ceHagqxA0
. _、_
( ー` )「じゃあ、行くか」
('A`)「そういえばさ、神輿ってトーチャンもう担がないのか?
毎年楽しみにしてたよな、この時期になると」
俺がふと思いついてそう言うと、カーチャンの表情が曇った。
J( '-`)し「……去年で最後だったのよ。
年齢制限みたいのがあってね」
. _、_
( ー` )「……俺ももう爺さんって言うわけだ。
少なくとも町内会の決まりじゃな」
('A`)「……そうか」
. _、_
( ー` )「でもさ、祭りの笛と太鼓聞いてるとたまんなくなっちゃってよぉ。
どうせドクオも行きたくないだろうが、ちょっと付き合ってくれ」
('A`)「そういやなんで俺もなんだ?
二人で行ってくればいいじゃん」
. _、_
( ー` )「いいじゃないか、たまの休みなんだから」
('A`)「……まあ、そうだな」
なんというか、今度は寂しそうな父の顔を見ると断れなかった。
それに、ちょっとだけ祭りにも興味が出てきた。
行きたい、と半分ぐらい思い始めていた。
87
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:16:33 ID:ceHagqxA0
祭りをやっている通りに着いてから、もっぱら家族三人で出店を回った。
……やはり祭りというものは一種独特の雰囲気を漂わせている。
色んなのぼりと、喧騒と様々な食い物の混じった匂いはいつの間にか俺を引きつけていた。
J( 'ー`)し「本当に久しぶりだねぇ、三人でってのも」
. _、_
( ー` )「最後はあれか?中学生の頃か」
('A`)「……」
. _、_
( ー` )「……ドクオ?」
(;'A`)「ん?ああ、そうだったと思う」
. _、_
( ー` )「……懐かしいな」
父は、懐かしげというより寂しげにそう言った。
……父の背中は、記憶の中の物より頼りなさ気に、そして小さく見える。
それでも俺の貧弱な体躯に比べれば相当に頑健だったが。
88
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:17:47 ID:ceHagqxA0
そのうち俺の住んでいる地区の神輿が、俺たちの前から現れる。
目の前を歩く父が、ぱたっと足を止めた。
. _、_
( ー` )
('A`)
J( 'ー`)し
神輿を担いだ男たちに、祭りの客達が何やら声をかけたりしていたが、
俺たち家族は黙ってそれが通り過ぎていくのを見送った。
父は、腕組みをして。
……ほかと比べて小さな神輿が人混みの中に遠ざかって見えなくなると同時に、
父がボソリと「なってねえな」とつぶやく。
それからふっ、と鼻から短く息を吐くとそのまま前へと再び歩き出した。
父がそれに関してなにか言ったのは、この時はこれだけだった。
('A`)「ん、そういえばいまどこへ向かってるんだ?」
J( 'ー`)し「ふふふ、楽しみにしてな」
このまままっすぐに進むと山がある。
あ、もしかすると……。
. _、_
( ー` )「まあ、行けば分かる」
89
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:18:29 ID:ceHagqxA0
祭りのただ中を抜けて、俺達が着いたのは神社の階段の前だった。
町内会の本部テントの中では、じいさんが椅子に座って居眠りをしていた。
. _、_
( ー` )「登るぞ」
J(;'ー`)し「ごめん、あたし疲れちゃった」
. _、_
( ー` )「うん?そうか、じゃあちょっと待ってるか?」
J( 'ー`)し「そうね、少し休んだら行くから先にドクオと行ってて」
(;'A`)「うわあ、ここ登るのかよ」
. _、_
( ー` )「……たまには体を動かせ」
(;'A`)「たしかに運動にはなりそうだけどさあ」
しぶしぶ、父の後ろについて階段を登った。
……案外登るのは苦ではなかった。
中学の頃は野球部の練習でここを登ったり下ったりしたっけなあ。
その時の貯金で、俺はなんとかやっていけてる。
そういえば野球部入部を勧めたのは父だったな。
病弱な俺を心配して、当時の担任で部活の顧問の先生に「どうか鍛えてやってください」。
と、家庭訪問の時に言っていたのを思い出した。
90
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:19:13 ID:ceHagqxA0
. _、_
( ー` )「なあ、ここ来たの覚えてるか?一回だけ二人だけで」
('A`)「え?二人で?どうだったかな」
. _、_
( ー` )「……ここの神社の前でキャッチボールしただろ」
('A`)「ああ」
. _、_
( ー` )「あん時は俺が取りそこねたボールが神社の方に跳ねてって、
ガラス割っちゃったんだ。それで二人して神主に叱られた」
(;'A`)「そんな事あったっけ?」
. _、_
( ー` )「なんだ、忘れてるのか?
あの時はなんというか情けなかったよ、我ながら」
('A`)「……それはたしかに情けないな」
. _、_
( ー` )「おいおい、フォローしてくれよ」
父の表情がほころぶ、それが提灯の薄明かりに照らされるのが見えた。
……長い長い階段と、提灯の灯、父の笑み。
なんだか夢のなかのような光景だった。
91
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:19:55 ID:ceHagqxA0
階段を登り切った先の神社の境内は静かなものだった。
こんな日は物陰でギシアンする連中がいる事が多かったのだが、珍しく誰もそこにはいなかった。
. _、_
( ー`;)「ふう、ひさびさだとこたえるな。
寄る年波ってやつか」
(;'A`)ゼエゼエ「安心しろトーチャン、俺も、しんどい、から」
. _、_
( ー`;)「あらら……しょうがねえな」
息も切れ切れに俺がそう言うと、父は首に掛けていたタオルを放ってよこした。
黙ってそれを受け取ると、俺はざっと顔を拭った。
そうして今度はそのタオルを俺が首に掛ける。
それから小さなベンチのところへよろよろと歩き、そこにどさっと腰をおろした。
父はまたその隣りのベンチに腰掛ける。
. _、_
( ー` )「だらしねえぞ、大の男がこのくらいで」
(;'A`)「悪かったな」
. _、_
( ー` )「……お前が小さい頃はカーチャンが心配したもんだ。
お前が元気に育つかとか、病気しないかとか」
('A`)「それはあなたもでしょ!……ってカーチャンがよく言ってるよな。
そういう話になると」
. _、_
( ー`;)「まあ、確かにそうなんだがな」
父は小さな声でそういうと頭をバリバリと掻いた。
92
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:20:39 ID:ceHagqxA0
. _、_
( ー` )「……お前があんまり何度も寝こむからここで願かけたりした。
酒を絶って、煙草やめて……最近は油断して煙草は吸ってるが」
('A`)「酒も飲んでいいよ、俺はもうたぶん大丈夫だから」
. _、_
( ー` )「いや、飲めんな。酒をもう体が受け付けねえんだよ。
まいったよな、好きだったのに」
('A`)「知らなかった。ありがとな」
. _、_
( ー` )「ん?いやいいんだ。酒豪ってわけじゃなかったから……」
('A`)「じゃなくて、願掛けの話だよ」
. _、_
( ー` )「お……話してなかったか?」
('A`)「うん」
. _、_
( ー` )「そうか」
思えば、あまり会話のない父子だった。
小さな頃は厳しい父に近寄りたくなかったし、
思春期になるといちいちうるさいのでそもそも家にあまり帰らなかった。
だから、こうしてじっくり話すのは本当に久しぶりのことだった。
93
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:21:20 ID:ceHagqxA0
それから父と、母が来るまでとりとめのない話をして過ごした。
ふたりとも口下手だったが会話が途中で止まることはなかった。
父は俺の小さな頃とかのことを本当にくだらないことまで覚えていて、
ずうっとそのことを喋り、俺はそれに相槌を打った。
時折、父は微笑み俺もそれにつられて笑った。
しばらくして母がのんびりと階段から姿を現した。
そして俺が父のタオルを首から掛けているのを見て、笑った。
J( 'ー`)し「はあ、遅くなっちゃった」
. _、_
( ー` )「大丈夫か」
J( 'ー`)し「平気、ところでまだ始まってない?」
. _、_
( ー` )「ああ」
('A`)「何の話?」
. _、_
( ー` )「三年に一度……覚えてないか?」
('A`)「……三年?」
('A`)「あ!」
94
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:22:23 ID:ceHagqxA0
その時だった。
やかんが湧いた時のような音が微かにして、ぱっと周りが明るくなる。
俺がはっとして上を見上げると頭上には大輪の花が咲いていた。
赤、緑と色を変えながら、一瞬の光輝は夜闇の中に姿を消す。
そして遅れて、腹に響くようなどおおんという音が響いた。
('∀`)「花火か……!」
. _、_
( ー` )「これを見せたかったんだ。
三年前はもうあっちに帰ってたからな」
J( 'ー`)し「きれいねぇ」
町が少なくない金を出して上げる、三年に一度のの花火だった。
かなりきちんとした花火師を呼んできて上げるので、市外からも人が来るほどだ。
子供の頃は毎回これを家族でここに見に来ていたものだ。
なんでいままで忘れていたんだろうか。
95
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:23:25 ID:ceHagqxA0
下の方からは花火が打ち上がるごとに歓声が聞こえてくる。
家で聞いたカップルの声と大差ないものだったが、いらつくことはなかった。
全く自分でも不思議なものだった。
. _、_
( ー` ) J( 'ー`)し
父と母の方を見てみると、二人は一心に空を見上げていた。
久しぶりに家族三人で見る花火だ。また格別のものがあるのだろう。
それは俺にとっても同じだった。
('A`)「……たまには悪くないな」
. _、_
( ー` )「ああ」
J( 'ー`)し「そうねぇ」
家族で祭りというのも悪くない。全く悪くない。
まあ、彼女とのほうがきっと恐らく楽しいんだろうが……。
ひとまず今はこれで満足しておこうか。それが俺相応ってもんだろう。
そうやって俺は一人で頷いた。
それを見ていたらしい父も、何故か頷いていたのがたまらなくおかしかった。
96
:
ドクオの夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 01:26:53 ID:ceHagqxA0
以上です
厳密にはもう30日だけど……堪忍してつかあさい
そしてここまでの主人公ドクオ率高いな
97
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 01:37:14 ID:kazgmsqoO
乙
>両スレとも、投下は18:00〜明け方頃までで
となってるから、時間はセーフだよ
98
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 02:44:38 ID:9ovtZovMO
書けたんで投下する。
リア充爆発しろ。冷房きかせた部屋で一人で食うアイス最高。でもリア充爆発しろ。
99
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 02:45:36 ID:9ovtZovMO
川 ゚ -゚)「……よし」
姿見の前で一回転すると、薄桃色の浴衣の袖がふわりと靡く。
帯のズレなども見当たらないし、どうやら満足に着こなせているようだ。
足の先まで確認し、前髪の些細なハネをしつこく気にしていると、チャイムの音が鳴り響いた。
川;゚ -゚)「ぬぅう! もう来たのか! まだ約束の時間ではなかろう!」
しかし時計を仰ぎ見るときっかり七時を指しており、
もうそんなに経っていたのかと、金魚の影絵の施された巾着をひっ掴み慌てて玄関に向かった。
('A`)「や、やぁ」
川 ゚ -゚)「わざわざ迎えに来させてすまんな」
('A`)「いや、人ごみで待ち合わせるよりいいよ」
そうか、と返事をして巾着を持っていない方の手を差し出す。
('A`)「じゃ、じゃあ、行こっか」
彼が私の手を取り、私たちはぎこちなく歩き始めた。
100
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 02:48:06 ID:9ovtZovMO
二人で来る初めての夏祭り。
そんなに大きなお祭りではないが、それでも小さな神社の境内は近所の子供たちで埋め尽くされていた。
('A`)「は、はぐれない、よう、手を握ったままでも、いいかな?」
断るわけがない。
言葉にする代わりに、私は彼の骨ばった手を握る力を強くした。
彼が、照れ臭そうに笑った。
色んな出店を見て回った。
彼も私もそんなに背が高い方ではないから、見えるのは人の背中ばかりだったけど、それでも楽しかった。
金魚すくいは二人とも惨敗で、来年に向けて特訓することにした。
私がベビーカステラを食べたがったら、綿あめを物欲しそうに見ていた彼は嫌な顔ひとつせずに一緒にベビーカステラを食べてくれた。
それから焼きそばも頬張る彼の横顔を見ながら、細っこくてもやっぱり男の子なんだなぁとしみじみ思った。
101
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:50:43 ID:9ovtZovMO
楽しい時間は早く過ぎるものだ。
話したいことや見たいものが、尽きるどころか増えていく一方だというのに、
だんだんと人がまばらになっていく。お開きの時間は近いようだ。
('A`)「……もういいかな」
彼が、私から手を離す。
もう、お別れなのかな。
……最後まで、浴衣のこと何も言ってくれなかったなぁ。
少し沈んだ気持ちでてこてこと歩いていると、ふいに足元でブツッという音が聞こえて、
川;゚ -゚)「えっ……」
とたんに私はバランスが取れなくなり、そのまま転んでしまった。
(;'A`)「す、素直さん!? 大丈夫!?」
川;x -゚)「つつ……あ、ああ、平気、だ。
……あ……浴衣が……」
綺麗な桃色は、砂ぼこりにまみれて見る影も無くなってしまった。
川 ゚ -゚)「……」
鼻緒が、切れてしまったらしい。
……こんなことになるなら思いきって浴衣の感想聞いておけばよかったなぁ。
102
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:51:22 ID:9ovtZovMO
(;'A`)「す、素直さん、ちょっとごめんね」
彼が青いハンカチで必死に汚れを擦り落とそうとしている。
しかし汚れは薄くなり広がるばかりだ。
川;゚ -゚)「もういい、帰って着替えるよ」
これ以上汚れた私を見せたくない。
別れも嫌だが、砂まみれのまま一緒にいるのも嫌だ。
だが彼は私の言葉を無視して、何度もハンカチを裏返し、砂を払い、畳み直し、汚れと戦い続けた。
川;゚ -゚)「もういいってば! 汚いから!」
(;'A`)「汚くない! 素直さんは綺麗! 輝いてる!」
川*゚ -゚)「なっ……」
(;'A`)「ただでさえ綺麗なのに、浴衣なんて着るから……俺なんかが隣に居て良いのかってくらい、今日の君は輝いてる」
(;'A`)「手を繋ぎっぱなしに……しとかなきゃ……
ほっといたら、他の男に連れてかれちゃいそうだった。不安だった」
突然何を言い出すのだろうこの男は。
急激なショックで心臓がはち切れんばかりに鳴っている。
いい意味で、死にそうだ。
103
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:52:07 ID:9ovtZovMO
('A`)「ごめんね……肝心なときに、手を離してて。
なにやってるんだろうね……情けないね。彼氏失格だ……」
川*゚ -゚)「……そう思うなら、名誉挽回のチャンスを与えるから、彼氏らしさをみせてくれ。」
(;'A`)「な、なに?」
川ノ*゚ -゚)ノ「だっこ」
(;*'A`)「え、ええぇえぇえ!?」
川*゚ -゚)「鼻緒が切れてて歩けんのだ。仕方なかろう。根性見せろ彼氏」
(*'A`)「が、がんばります」
そして、彼が私の背中と腿を抱えて持ち上げた。
女の子なら誰しもが憧れる、お姫さまだっこという奴だな。もう死んでも後悔はない。
……いや、キスくらいはしときたいな。まだ死ねん。
川*゚ -゚)「大丈夫か?」ギュッ
(;'A`)「お、おぉ、うん。平気、だ、よ」フラフラ
明らかによろめいている彼がなんだか可愛くて、顔がにやけるのが止められない。
どこまでもつのか見ものだ。
一秒でも長く、続けてくれるといい。
彼はゆっくりと、石段に向かって歩き出した。
104
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:52:54 ID:9ovtZovMO
川*゚ -゚)「浴衣、気合い入れて着てみたんだぞ」
(;'A`)「う、うん。かわい、いよ」プルプル
川*゚ -゚)「そう思ってるならもっと早くに言え! 会ってすぐさま言え!」
(;'A`)「ごめ、ん」フラフラ
川*゚ -゚)「なんとも思ってないのかと不安で仕方なかったわ!」
(;'A゚)「ごめ、ごめん。言うの……照れ臭……くて」ヒューヒュー
川*゚ -゚)「転ばなきゃ最後まで言ってくれなかったのか? これから何かと転んでやろうか?」
(;゚A゚)「そっ……そんな、やめて……あぶない……あぶない……から」プルプル
川*゚ -゚)「そう思うならもう少し口下手を直したまえ!」
川*゚ -゚)「でも、私は、言葉に出さずとも誰よりも私を想ってくれている、ありのままの君が大好きだよ」
川*゚ -゚)「……私は幸せものだ」ギュッ
もう心臓は限界値まで跳ね上がっている。これ以上ないくらいドキドキしている。
だから、少しくらい照れ臭いことを言っても、既に限界まで高なっている鼓動が更にヒートアップすることはない。
今なら、どんな恥ずかしいことも素直に伝えられる。
105
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:53:36 ID:9ovtZovMO
川*゚ -゚)「このまま教会まで運んでくれるか。浴衣で結婚式というのも悪くない」
(; A )「…………」ヒューヒュー
川*゚ -゚)「なぁ、それとも、地平線の彼方にでも連れ去ってくれるか?」
(; A )「…………すな、お、ざん」ヒューヒュー
明らかに異常な呼吸音に紛れて彼が私の名前を呼んでくれた。
ちらりと彼の顔を見る。
(;;゚;A'゚;;)
あ、さっきの青いハンカチのような色だ。
私は自然にそう思った。
(;;゚;A'゚;;)「ご……べん……げんか、い………」
それが私の聞いた彼の最後の言葉だった。
106
:
『青いハンカチのようです』
:2011/08/30(火) 02:54:53 ID:9ovtZovMO
石段の途中で力尽きた彼と縺れあうように転がり落ちた私は、全身泥まみれでそのまま救急車で搬送され、頭を五針縫う手術を受けた。
彼の方は骨を折ったらしく、お互いにベッドから動けず、
顔をあわせられないまま……彼は私のもとを去った。
看護師さんづてに受け取った手紙には、
('A`)『筋トレの旅に出ます。怪我させて本当にごめんなさい』
とだけ記されていた。
……来年の夏には、また迎えに来てくれるだろうか。
今度は見違えるようなマッチョになって。
川 ; -;)「それまでに……私もダイエットしておくな……」
そう一人ごちて口に入れたポテチは、コンソメなのに塩の味しかしなかった。
107
:
◆9KrP3RFuVo
:2011/08/30(火) 03:00:35 ID:9ovtZovMO
おしまい。
恋愛ものを書こうとすると全身に蕁麻疹が浮かび上がり、
奇声を上げながらのたうち回る羽目になる体質の俺でも楽しく参加できてる
少女小説
http://jbbs.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/13029/1314432856/
を夜露死苦、と浅ましく宣伝しておく。
リア充をお話の中で爆発させんの超楽しいね
108
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 03:05:21 ID:TnTl7f/MO
途中までニヤニヤしてたのに、後半でワロタw
乙!
109
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 03:33:25 ID:LKhVhGEM0
誰もいない内に投下する
「祭り」
110
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:34:49 ID:LKhVhGEM0
l从・∀・ノ!リ人「おまつりなのじゃー!妹者おまつり初めてなのじゃー!」
( ´_ゝ`)「いいか妹者、ちょっとだぞ。
ちょっと出店を見たらすぐ母者のとこ行くからな」
l从・д・ノ!リ人「えー・・・」
( ´_ゝ`)「父者達は一足先に病院に行ってるんだから、俺らもすぐ向かうぞ」
l从・д・ノ!リ人「・・・むう」
( ´_ゝ`)(本当は祭りに寄ってる時間などないんだが・・・
可愛い妹の頼みなら仕方あるまい)
( ´_ゝ`)(それにしても人が多い)
( ´_ゝ`)つ「ほら妹者、迷子になるからしっかりと俺の手を握ってるんだぞ。
兄との約束だ」
⊂l从・∀・ノ!リ人「やくそくなのじゃ!」
( ´_ゝ`)つ⊂l从・∀・ノ!リ人 ギュ
l从・∀・ノ!リ人「・・・のじゃ?」
ξ゚⊿゚)ξ
从 ゚∀从
(*゚∀゚)
111
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:35:31 ID:LKhVhGEM0
l从・∀・ノ!リ人「・・・」
( ´_ゝ`)「どうした?何故兄の後ろに隠れる」
l从・∀・ノ!リ人「ツンちゃんたちがいるのじゃ」
( ´_ゝ`)「ツンちゃん?
あー妹者のクラスメイトで抱き着いたら俺の息子に蹴り入れたツンデレ属性の縦ロールちゃんか」
( ´_ゝ`)「ケンカでもしたのか?」
l从・∀・ノ!リ人「・・・のじゃ」
( ´_ゝ`)「妹者が悪いと思ってるなら仲直りしておいで」
l从・∀・ノ!リ人「ヤなのじゃ。妹者わるくないのじゃ」
( ´_ゝ`)「妹者が仲直りしたいと思ってるなら、」
l从・∀・ノ!リ人「そんなことより兄者ー!お店がいっぱいなのじゃー!
金魚すくいするのじゃー!」タタタッ
(;´_ゝ`)「あっこら、勝手に出歩くな!」
l从・∀・ノ!リ人「みてみて!金魚さんをおたすけしたのじゃ!」
(*´_ゝ`)「おお、二匹も掬えたのか。よくやった、流石だぞ妹者」
l从・∀・ノ!リ人「わたあめも買ったのじゃ!」
(*´_ゝ`)「さっきの短時間でそこまでやってのけるとは、流石すぎるぞ妹者」
l从*・∀・ノ!リ人「えへへー!」
112
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:36:11 ID:LKhVhGEM0
( ´_ゝ`)「っと、もうこんな時間か。そろそろ病院に行くぞ妹者」
l从・∀・ノ!リ人「ヤなのじゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「あいたくないのじゃ!妹者はいかないのじゃ!」
( ´_ゝ`)「それ、母者が聞いたら悲しむぞ」
l从・∀・ノ!リ人「だって・・・だってぇ・・・」
l从 ∀ ノ!リ人「・・・」
l从 ∀ ノ!リ人「・・・みんなダイッキライなのじゃ」
( ´_ゝ`)「妹者?」
(;´_ゝ`)「おーい妹者ー!どこ行ったー!?」
l从・∀・ノ!リ人
l从・∀・ノ!リ人「・・・兄者?」
l从・∀・ノ!リ人「兄者がいないのじゃ。妹者が手はなしたから、はぐれちゃったのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「父者たちだって、わるい子な妹者のことなんてどうでもいいのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「ひとりぼっちになっちゃったのじゃ・・・」
「ひとりなんかじゃないよ」
l从・∀・ノ!リ人「?」
(´<_` )
113
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:36:51 ID:LKhVhGEM0
l从・∀・ノ!リ人y「・・・兄者?」
(´<_` )「・・・だ・・・・・・」
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ?とおくてなに言ってるか聞こえないのじゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「いまそっちいくのじゃ!兄者ー!」タタタッ
(´<_` )
―――ぐにゃり・・・
l从・∀・ノ!リ人「!?」
l从・∀・ノ!リ人(・・・え?)
l从・∀・ノ!リ人(どうなってるのじゃ?ここ、どこなのじゃ?)
l从・∀・ノ!リ人(さっきの神社?でも、まっくらなのじゃ)
(´<_` )
l从・∀・ノ!リ人「あ、兄者!いきなりまわりがまっくらになっちゃったのじゃ!
お店もちょうちんも、まっくらなのじゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「それに妹者たちしかいないのじゃ!みんなどこいっちゃったのじゃ?」
(´<_` )「・・・」
l从・∀・ノ!リ人「兄者?」
(´<_` )「俺はお前の兄者じゃないよ」
114
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:37:48 ID:LKhVhGEM0
l从・∀・ノ!リ人「のじゃ?そういえば兄者よりちっちゃいのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「ちっちゃい兄者?」
(´<_` )「妹者、神社だ」
(´<_` )「あそこの神社に行こう」
l从・∀・ノ!リ人「?」
⊂(´<_` )「手」
⊂(´<_` )「はぐれないように」
l从・∀・ノ!リ人「!」
l从・∀・ノ!リ人つ「やくそくじゃね!」
l从・∀・ノ!リ人つ⊂(´<_` ) ギュ
115
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:38:37 ID:LKhVhGEM0
(´<_` ) テクテク
l从・∀・ノ!リ人 テクテク
(´<_` )「・・・それ」
l从・∀・ノ!リ人「?」
(´<_` )「その手に持ってる物、何?」
l从・∀・ノ!リ人「これ?金魚さんさんと、わたあめと、リンゴアメなのじゃ!」
l从・∀・ノ!リ人「そうだ。ちっちゃい兄者にわたあめあげるのじゃ」
(´<_` )「何それ?」
l从・∀・ノ!リ人「食べものなのじゃ!ふわふわで甘くっておいしいのじゃよ」
(´<_` )「食べ物?」
(´<_` ) モグモグ
(´<_` )「・・・美味しい」
l从・∀・ノ!リ人「妹者もわたあめだいすきなのじゃ!」
116
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:39:18 ID:LKhVhGEM0
(´<_` )「それは?」
l从・∀・ノ!リ人「金魚さんなのじゃ!」
(´<_` )「それも美味しいのか?」
l从;・∀・ノ!リ人「食べちゃダメなのじゃ!!食べものじゃないのじゃ!」
(´<_` )「食べ物じゃないのか」
l从・∀・ノ!リ人「ねーねー、おまつりおわっちゃったのじゃ?まっくらなのじゃ」
(´<_` )「おまつり?」
l从・∀・ノ!リ人「きょうは神社で夏まつりなのじゃ!
お店がいーっぱい出て、はなびも上がるのじゃ!」
(´<_` )「夏まつり。楽しそうだ、俺も行きたい」
l从・∀・ノ!リ人「うん!ちっちゃい兄者も、次はいっしょに夏まつり行くのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「妹者といっしょにわたあめ食べるのじゃ!やくそくなのじゃ!」
(´<_` )「・・・残念だがそれは約束出来ない」
l从・∀・ノ!リ人「どうしてなのじゃ?」
(´<_` )
( <_ )「神社についた」
117
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:40:04 ID:LKhVhGEM0
―――バタン!!
l从・∀・ノ!リ人「!!」
l从;・∀・ノ!リ人(神社のとびらがひらいて中に・・・すいこまれちゃうのじゃ!!)
l从;∀;ノ!リ人「こわいのじゃー!ちっちゃい兄者ー!たすけてなのじゃー!」
( <_ )「・・・」
l从;д;ノ!リ人「うわーん!!」
「妹者ちゃん!!」
l从;∀;ノ!リ人「のじゃ?」グイッ
ζ(゚ー゚*ζ「妹者ちゃん!間に合ってよかった!」
l从・∀・ノ!リ人「ツンちゃん?」
从'ー'从「あぶないところだったねぇ」
(#゚;;-゚)「いっしょにあそぼ?」
l从・∀・ノ!リ人「ハインちゃんにつーちゃんも!」
l从・∀・ノ!リ人(でもやっぱりみんな妹者の知ってるみんなと、ちょっとちがうのじゃ)
118
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:40:46 ID:LKhVhGEM0
ζ(゚ー゚*ζ「妹者ちゃん、ごめんね」
从'ー'从「これからずぅーっといっしょだよぉ」
(#゚;;-゚)「ずっといっしょ。ずっといっしょ」
l从*・∀・ノ!リ人「うん!」
(´<_` )「妹者、帰らなくていいのか?」
l从・∀・ノ!リ人「・・・ぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「かえるの?どうして?」
l从・∀・ノ!リ人「えっとね、みんなが病院で妹者のことまってるのじゃ」
从'ー'从「ほんとはみんないっしょにおまつり来るはずだったんだよねぇ?
でもみんなは妹者ちゃんとの約束、やぶったんでしょ?」
l从・∀・ノ!リ人「そうなのじゃ。父者たちもいっしょにおまつりに来るはずだったけど、母者が・・・
でもヤだったから、病院にいきたくなかったから、兄者にわがまま言ったのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「ほんとはね、夏まつり、来ちゃダメだったのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人「妹者はわるい子なのじゃ」
119
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:41:41 ID:LKhVhGEM0
(#゚;;-゚)「妹者、わるい子」
ζ(゚ー゚*ζ「うん。わるい子だね」
从'ー'从「妹者ちゃんわるい子だから、みんな妹者ちゃんのこと、どうでもよくなっちゃうんじゃない?」
l从・∀・ノ!リ人「そうなのじゃ。みんな妹者のこと、どうでもいいのじゃ」
ζ(゚ー゚*ζ「みんなひどい人ね」
(#゚;;-゚)「妹者、かわいそう」
(´<_` )「だったら、ずっとここにいる?」
l从・∀・ノ!リ人「えっ・・・」
(´<_` )「妹者は望んでここに来た、俺の来ちゃダメだって声に耳を塞いで。
現実から逃げたくて、このあべこべの世界に来た」
(´<_` )「ずっとここにいる?
理想の友達がいる、この偽物の世界に」
l从;・∀・ノ!リ人「そ、そんなのイヤなのじゃ!!ほんと家族に会いたいのじゃ!
もしみんなが今までみたいに妹者のこと見てくれなくっても、それでもいいのじゃ!」
l从;・∀・ノ!リ人「ほんとのツンちゃんたちにだって、ごめんなさいしたいのじゃ!!」
120
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:42:36 ID:LKhVhGEM0
(´<_` )「ほら。やっぱり妹者は良い子だ」
l从・∀・ノ!リ人「いい子・・・?」
(´<_` )「うん。妹者は優しい子だよ」
l从・∀・ノ!リ人「妹者、いい子じゃない・・・でも、いい子になるのじゃ!
みんな大好きなのじゃ!だから、だからっ・・・」
l从 ∀ ノ!リ人「みんなにも、妹者のこと好きになってほしいのじゃ・・・」
(´<_` )「俺は妹者が大好きだよ」
(´<_` )「覚えてるかな。ずっと前、妹者が俺の事撫でてくれたんだ。
すごく嬉しかった。妹者はもう覚えてないかも知れないが」
(´<_` )「父者達だって、ツンちゃん達だって、お前の事が大好きなんだよ。
なのにどうでもいいなんて、そんな悲しい事言わないでくれ」
l从・∀・ノ!リ人「・・・ごめんなさいなのじゃ」
⊂(´<_` )「さあ、行こう。もう帰らないと」
l从・∀・ノ!リ人つ「うん!」ギュ
121
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:43:25 ID:LKhVhGEM0
(´<_` )「この神社の扉の向こうに行けば、元の世界に戻れる」
l从・∀・ノ!リ人(とびらにすいこまれるのじゃ・・・)
(´<_` )「手を、離すよ」
l从;・∀・ノ!リ人「ダメなのじゃ!!ちっちゃい兄者もいっしょに来るのじゃ!
こんなまっくらでなんにもないとこにいちゃダメなのじゃ!」
(´<_` )「きっとまた会える。八月・・・いつかの夏祭りで、また俺にわたあめ食べさせてよ」
l从;・∀・ノ!リ人「ヤなのじゃ!はなさないってやくそくしたのじゃ!
妹者はちっちゃい兄者ともいっしょにいたいのじゃ!!」
(´<_` )「・・・」
(´<_` )「・・・俺は、お前の兄者じゃないよ」
l从;・д・ノ!リ人「そんなことないのじゃ!!ちっちゃい兄者だって、妹者の・・・っ」
l从; д ノ!リ人(ああっ・・・とびらがとじちゃう・・・)
―――パタン・・・
l从 ∀ ノ!リ人
l从 ∀。ノ!リ人「・・・妹者の、お兄ちゃんなのじゃあ・・・」
「妹者!!やっと見つけた!」
l从・∀・ノ!リ人「兄者・・・ほんとの兄者なのじゃ・・・」
(;´_ゝ`)「早く病院に行くぞ!母者が・・・母者が・・・!!」
l从;・∀・ノ!リ人「!!」
122
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:44:08 ID:LKhVhGEM0
バタン!!
l从;・∀・ノ!リ人「母者ー!!」
(;´_ゝ`)「すまない遅くなった」
∬ _ゝ )「あんた達・・・遅かったわね・・・」
l从・∀・ノ!リ人「!!」
( ´_ゝ`)「・・・どうやら、間に合わなかったようだな」
彡⌒ミ
( _ゝ )「ああ・・・」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「もう産まれてしまったよ」
(;<_; ) ピギャー!ピギャー!
@@@
@#_、_@
( ノ`)「おや、妹者も来てくれたのかい。あんなに弟が生まれるの嫌がってたのに、嬉しいよ」
123
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:44:53 ID:LKhVhGEM0
(;<_; ) ピギャー!ピギャー!
(*´_ゝ`)「おお、俺に似てイケメンだな。将来が楽しみだ」
∬´_ゝ`)「ほんと兄者の生まれた頃そっくり。心の底から同情するわ」
@@@
@#_、_@
( ノ`)「さっきからなんでか泣き止まないねぇ」
彡⌒ミ
( ´_ゝ`)「きっと名前が欲しくて泣いてるんだよ。四兄弟の末っ子だから末者にしよう」
(*´_ゝ`)「ほーら末者ー、お兄ちゃんだぞー」
(;<_; ) ギャアアアアアアアアアアン!!
∬´_ゝ`)「兄者のドアップがそんなに衝撃的だったのかしら」
(iii´_ゝ`) ガーン
@@@
@#_、_@
( ノ`)「名前が嫌なんじゃないかい?」
124
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:45:42 ID:LKhVhGEM0
l从・∀・ノ!リ人
l从-∀-ノ!リ人
『俺は、お前の兄者じゃないよ』
l从・∀・ノ!リ人
l从・∀・ノ!リ人「・・・この子は妹者の弟なのじゃ」
l从・∀・ノ!リ人
l从・∀・ノ!リ人「この子は弟者。流石弟者なのじゃ!」
(;<_; )「ぎゃ・・・」ピタッ
(・<_・。)
(・<_・*) キャッキャッ
「あ、笑った・・・」
l从・∀・ノ!リ人「八月、いつかの夏祭りで」のようです 終
125
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 03:45:57 ID:9ovtZovMO
ピギャーwww
126
:
l从・∀・ノ!リ人はちがつ、いつかのなつまつりでのようです
:2011/08/30(火) 03:47:00 ID:LKhVhGEM0
以上です
流石兄弟の設定をまるっと無視したあばばばば
127
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 04:04:30 ID:TnTl7f/MO
乙!
まだ明け方じゃないよな…。投下しま。
128
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 04:06:51 ID:TnTl7f/MO
ほ、ほ、ほーたるこい。
こっちの水はあーまいぞ
ぞいがーには水のちっあ
ほ、ほ、ほーたるこい。
川д川「ほ、ほ、ほーたるこい。」
(-_-)「…何小学生と一緒になって歌ってんの、いい歳して。」
川;д川「いい歳って…私は永遠の高校生だよ?!」
(-_-)「どっちにしろ童謡歌うような年齢ではないでしょ…。」
川;д川「別にいいじゃない…、夏祭りぐらい。」
129
:
(-_-)ホタルのようです川д川
:2011/08/30(火) 04:10:14 ID:TnTl7f/MO
(-_-)ホタルのようです川д川
川*д川「それにしても、今年もホタル一杯いるね、ヒッキー君。」
(-_-)「そりゃそうでしょ、ホタルがメインの祭りなんだから。」
川;д川「…もうちょっとロマンとか無いの?ホタル綺麗だね、とか。」
(-_-)「ホタル嫌いなんだよ。」
川д川「なんで?こんなにきれいなのに。」
(-_-)「…ホタルってのは、じゃんけんで負けた奴がなるんだよ。」
川;д川「え?どういうこと?」
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