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【河川敷】 納涼夏祭り 短編・絵投下スレ
1
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/29(月) 18:37:11 ID:83wVkMkM0
.
─ 河川敷では、やぐらの上の和太鼓を提灯が照らす ─
お題に沿って作品を投下するスレ。
今日のお題は「祭り」。 (短編上限…15レス)
同じブーン系好きなら、踊らにゃ損損!
.
140
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:15:34 ID:ACguQOvE0
(#,,゚Д゚)「ゴルァッ! ゴルァッ!」
_
( ゚∀゚)「ひゃはは。死ね死ね」
( ∵)「ウゴ……」
集団のリーダー格であるギコとその親友であるジョルジュの攻撃は容赦なかった。
もし殺してしまったら……。そんな考えは彼らにはとても見受けられなかった。
一方的なギャクサツはしばらく続き、やがて亀みたいに地面に丸くなっているカチョウフウゲツはうめき声すらあげなくなった。
ここまでやれば仲間に対する体面は保てたということなのだろう。
カチョウフウゲツに対する暴力は止み、「これからは舐めた真似すんじゃねぇぞ」
と、ギコがカチョウフウゲツの脇腹に蹴りを入れた。それでその晩の"ヤキ"はおしまい。
ぴくりとも動かないカチョウフウゲツをぼくらは後にし、帰りにマックで夜食を食べてから各自家に帰った。
141
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:16:15 ID:ACguQOvE0
ぼくらがカチョウフウゲツに"ヤキ"をいれてから、夏の風物詩のひとつに"ヤキ"が加わった。
なにせカチョウフウゲツは懲りない。
いくら暴行を加えたところで自分の名前を叫びまくるという奇行を止めない。
市内の中高生はこぞってカチョウフウゲツをちょうどいいサンドバッグ代わりに殴った。
色々ある年頃だ。みんないらいらしている。
食事、睡眠、セックス、暴力。
人間の四大欲求。
暴力は社会に抑えつけられている。
いつだって爆発する時を待っている。
ぼくもギコ達に誘われて何度かカチョウフウゲツ狩りをやったが、中三の夏から参加するのをやめた。
どうせギコ達とは中学までの縁だ。
来年からはヤンキーに媚を売らなくても青春を謳歌できるのだ。
そしてぼくは地元のそこそこの公立高校に合格した。
毎年夏になるとカチョウフウゲツが騒ぎだすが、ぼくは決して関与しないようにと思った。
せっかくヤンキーと縁を切ったのに、その思い出をいまさらむし返すことはないだろう。
142
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:17:36 ID:ACguQOvE0
*
('A`)「よっ。ブーンだろ。久しぶり」
( ^ω^)「誰だお?」
二十歳になったぼくは成人式に参加するために地元へ里帰りをしていた。
大学は京都の私大。
成人式の終わった後での同窓会でぼくは見知らぬ男に声をかけられた。
中学を卒業してからもう数年経っている。
昔の同級生もみんな変わった。しかし面影は残る。それでおおよそ誰が誰か判断できる。
この男は誰だ? 左右の眼の高さの違うという顔の特徴をもった同級生はぼくの記憶にない。
('A`)「おれだよ。ドクオだよ」
ああ、ドクオか。パシリの。
ぼくは胸の中でぽんと手を叩く。
143
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 11:18:25 ID:ACguQOvE0
('A`)つ□「つもる話は色々あるけど。乾杯」
( ^ω^)つ□「お」
ドクオはぼくの隣の席に陣取ると、ビールと焼き肉をぐちゃぐちゃ喰い始めた。
別に隣が女じゃないと嫌というわけではない。下品な化粧と髪型の田舎女なんて心底どうでもいい。
しかしせっかくの同窓会だというのに隣がドクオではあまりに冴えない。
ぼくは周囲を見渡し、暇そうにしているやつがいないかと探す。
ジョルジュの周りに女が群がっている。やはり田舎ではヤンキーが強い。
( ^ω^)「あれ、ギコがいないお」
('A`)「ああギコね。ギコ。都落ちしたよ」
( ^ω^)「都落ち?」
('A`)「ギコの先輩のナントカって族のナントカさんの女をやっちゃったんだって。
土下座と三十万で済んだらしいけどそっから仲間からハブられてんの」
144
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:19:06 ID:ACguQOvE0
( ^ω^)「ふーん」
('A`)「アイツも今頃カチョウフウゲツだろうな」
(;^ω^)「は?」
こいつはいきなりなにを言いだすのだ。
('∀`)つ□「ちなみにおれも昔カチョウフウゲツだった。はいカンパ〜イ」
(;^ω^)つ□「???」
145
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:19:59 ID:ACguQOvE0
それからドクオは聞いてもいないのにべらべら喋り始めた。
カチョウフウゲツは人生の脇役が主役になる手段だと。
叫び回っていれば街の人間はカチョウフウゲツを嫌でも注目せざるをえないと。
血まなこになって追いかけてくるガキほど注目を欲しており、そういうガキほどカチョウフウゲツになりやすいのだと。
そして、カチョウフウゲツになった人間はほとんどの場合、マスカキを覚えたサルのように、殺されるまで行為を止めはしないのだと。
146
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:20:40 ID:ACguQOvE0
('∀`)つ□「つまりカチョウフウゲツを消滅させられるのはお前だけなんだよブーン。カンパ〜イ」
( ^ω^)つ□「わけがわからないお」
('A`)「だからぁ。嫌いって感情は好きに転じるものだろ。カチョウフウゲツを嫌っているやつほどなってしまう可能性が高いんだ。
無関心なお前ならカチョウフウゲツを完全消滅させることがでるかも、ってな」
('∀`)つ□「俺は駄目だ! 一回なっちゃったし! 眼をぶん殴られて正気に戻れたけどな! はいカンパ〜イ」
( ^ω^)つ□「注目の快感より死の恐怖が上回ったということかお。ヘタレらしいというか……」
147
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:21:33 ID:ACguQOvE0
( ^ω^)「そういえば何でギコがカチョウフウゲツになったと思うんだお?」
('A`)「あいつは人気者だったからな」
一度注目の快感に味をしめたら中毒になるってことか。
( ^ω^)「まぁいいお。暇だし、出来たら頑張ってみるお」
( ^ω^)「ドクオ?」
(-A-)zzz
( ^ω^)「潰れたかお」
148
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 11:22:14 ID:ACguQOvE0
*
二次会はパスすることにした。
ぼくは実家のベッドに寝ころんで考える。
カチョウフウゲツを消す方法。
そしてひとつの考えに至った。
ぼくの思いついたアイデア。それは。
149
:
( ^ω^)の街の怪人は夏季限定なようです
:2011/08/30(火) 11:23:13 ID:ACguQOvE0
( ∵)「これでオッケーだお」
京都の下宿に戻ったぼくはドンキホーテで買ったスクリームマスクを洗面台の前でかぶる。
ぼくはこれから京都の街をひんしゅくのドン底に突き落とそうと考える。
カチョウフウゲツの個性を根こそぎ削り取るつもりだ。
色んな土地で叫ぶつもりだし、季節は夏だけなんてケチなことは言わない。
カチョウフウゲツをありふれたものにする。
やっていても大して注目を浴びないような、日本中にカチョウフウゲツのブームを起こす。
( ∵)「おれはカチョウフウゲツだぞぉ!」
京都の市街を叫び歩く中でぼくは思いだした。
何でヤンキーの取り巻きなんてやっていたんだっけ?
ああそうだ。
人気者になれると思ったからだ。
150
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 11:24:47 ID:ACguQOvE0
以上
盆踊りの興奮がさめやらぬままビール片手にやる真昼の河川敷でのキチガイ踊りでした
151
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 11:31:17 ID:Eh51fTYY0
バット男って脚本思い出した
乙
152
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 11:52:55 ID:UVeOAjwAO
創作板に対する毒まみれだね。
こういう作品を投下すると規制されても文句言えないよ。
153
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 17:13:03 ID:ovRmn15k0
ここから見える夏祭り。そこは賑やかで楽しそうで妬ましかった。
なぜ、奴等はそんなに楽しそうなのか。
なぜ、奴等だけ楽しんでいるのか。
なぜ、私だけ苦しまなければならないのか。
私には理解できない。
だから私は此処から奴等を見る。
自分だけ楽しんでいる醜い奴等を、奴等の醜い本性を。
154
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 17:36:19 ID:ovRmn15k0
―从 ゚∀从―
从 ゚∀从「次どこ行くー?」
川д川「え・・・じゃあ、金魚すくい、とかかな・・・」
从 ゚∀从「よし、じゃぁ行こう!!」
私たちは小学校からの仲良しで、いつも一緒にいる。
皆は美人と根暗が一緒にいるなんて不思議、っていうけど。
私には彼女が必要。
だって私の可愛さを引き立ててくれるんだもん。
皆はちょっとだけ可愛い女と普通な女がいたらどっちを選ぶ?
もちろん可愛いほうだよね?
それってもう一人がブスじゃなくても元が可愛い人がもっと可愛く見えるらしいよ。
だからいつも一緒にいる。私を可愛く見せるために。
この夏祭りは男と出会うため。毎年来ているが声をかけてくるのは私目当てだ。もちろんサダコには誰も見向きもしない。
私はそんなサダコにいつも優しくしているように見せかける。
私だけが可愛く見えるように。利用する。
_
( ゚∀゚)「ねぇ君!そこの髪長い子!!」
え・・・・?私じゃない・・・・・・?
川д川「え・・・私、ですか?」
_
( ゚∀゚)「そうそう!君可愛いね!!アドレス交換しようよ!!」
川*д川「はっ、はい!!!喜んで!」
何で?何で何で何で?
从 ゚∀从「わ、私にも教えて教えてほしいなぁ〜?」
_
( ゚∀゚)「え?あー・・・・興味ないわ、それじゃぁ!!後でメールするね!」
川*д川「はい!!楽しみにしています!!」
155
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 17:42:30 ID:9e5gHbmMO
ニンゲンハカオジャネーヨ
156
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 17:48:50 ID:ovRmn15k0
从 ∀从「何で・・・・何で・・・・?普通私を選ぶでしょ?こんな根暗そうでブスなやつより・・・」
川д川「え?」
从#゚∀从「何であんたが声掛けられたんだよ!!おかしいだろ!私のほうが可愛いのに!!」
川д川「・・・・ハイン」
从#゚∀从「あぁ?何だよ!このブス!!」
川д川「それでも私を利用してたつもり?」
从 ゚∀从「・・・・え?」
川д川「あなた私を利用してたんでしょ?あなたの友達から聞いた。自分を可愛く見せたいとか・・・・」
从 ゚∀从「いつから気づいて・・・・?」
川д川「ずっと前から。あなたのその姿が滑稽でずっと黙ってた。でももう飽きちゃった。さっきのはネタバラシのための芝居。」
そんな・・・利用してたつもりだったが・・・気づいていたんだ。
だけどこいつがいなくなったところで何も変わりは無い。
私には友達が沢山いるがこいつにはほとんどいない。
今までと何ら変わりはない。
川д川「気づいて無いようだからいってあげるけど・・・・」
川゚д川「あんたもう友達いないんだよ」
157
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 17:56:59 ID:ovRmn15k0
ほらね?こんなに醜い。
友情、なんて言葉は奴等には無い。友達、なんて物は利用するためだけの物だ。
あの利用していたつもりだった女の子は翌日から学校に居場所が無くなりいじめにも遭うだろう。
人間の友情なんてそんなものだ。
グループの中心みたいな奴が誰かを嫌えばその周りは皆嫌う。
その中心の奴がいじめていれば周りもいじめる。
そのクズみたいな奴が、この世界には沢山いる。
また醜い奴等を発見した。
今度はどんな姿を見せてくれるのか楽しみだ。
158
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 18:02:50 ID:ovRmn15k0
―('A`)―
('A`)「ショボンー。違うとこ行こうぜー」
(´・ω・`)「うん。わかった」
('A`)「あ!わたあめ食いたいなー」
(´・ω・`)「あ・・・はい、五百円で足りるよね?」
('A`)「あぁ。じゃぁ買ってくるわー」
(´・ω・`)「うん」
('A`)「ショボンもいるか?」
(´・ω・`)「あ・・・い、いる!」
('A`)「おし、分かった。じゃぁ買ってくるわ」
159
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 18:08:01 ID:ovRmn15k0
('A`)「わたあめ美味かったな〜。悪いな、ショボン」
(´・ω・`)「いいよいいよ。だってドクオは僕を救ってくれた人だもん」
('A`)「そんな気にしなくていいのによ。もっと友達らしく!!」
(´・ω・`)「わ、わかった。じゃぁ・・・次どこ行く?」
('A`)「あ・・・その前に腹減ったし・・・焼きそばでもくわねぇか?」
(´・ω・`)「うん。千円あれば足りるよね?二人分」
('A`)「あぁ。(こいつは馬鹿だよな・・・良い金づるだ)」
160
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 18:32:35 ID:ovRmn15k0
(´・ω・`)「ドクオ」
('A`)「ん?どした?」
(´・ω・`)「僕、ドクオには感謝してる。いじめから救ってくれたし、毎日遊んでもらってるし・・・やさしいし」
('A`)「そんなの気にすること無いって!」
(´・ω・`)「いや、感謝してもしきれないくらいだよ。本当にありがとう」
('A`)「そんなこと言われたら照れるぞ・・・・」
(´・ω・`)「僕からのお願いなんだけど・・・これからも、いつまでも一緒にいてくれるかな・・・?」
('A`)「あぁもちろんだ・・・・だって」
('∀`)「友達、だもんな!!」
161
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 18:40:18 ID:ovRmn15k0
本当に醜い・・・祭りは色々な人の本性が手に取る様に見える。
私はこんな人間にはならない。だが今は、夢も希望も無い。
だってこんなにも醜い人間だらけの世界なのだから。
ならばどうするか・・・・
それは
(・∀ ・)「なら死ねば?」
( ・∀・)「・・・そうだな、この祭りの中に飛びこんで自殺してやるのもいい気分だ」
(・∀ ・)「そうだよ。だって希望が無いこの世界に生きてる価値なんて無いもん」
( ・∀・)「じゃぁ、行って来るよ。『私』」
(・∀ ・)「じゃぁね。『僕』。君は僕にとって本物の友達だったよ。」
( ・∀・)「そうか。なら君もあの人間達と同じってことだ。」
(・∀ ・)「そうだね。キミも同じじゃないかな?」
( ・∀・)「そうか・・・じゃぁこれ以上自分を汚したくないから、行って来るよ」
(・∀ ・)「またね」
( ・∀・)「さよならだ」
終わり
162
:
( ・∀・)の見る夏祭りのようです
:2011/08/30(火) 18:41:56 ID:ovRmn15k0
あとがき
あれ・・・祭り関係ないような・・・
こんな低クオリティの作品あげてすいません。樹海逝ってきます。
こんな作品を呼んでくれた方に感謝します。
それでは!
163
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:09:36 ID:TnTl7f/MO
あれ、今日「はなび」でいいんだよね…?!
http://g2.upup.be/d/JEV8sk3JSb?guid=ON
164
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:45:18 ID:gwweDKes0
そのはずだよ……!!
165
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:46:04 ID:gwweDKes0
人生は線香花火みたいなもんだと思う。
('A`)「え」
燃え始めはみんなに注目されて、線香花火もやる気を出す。
調子に乗ってハジケた音まで出しちゃう。
( ・∀・)「聞こえなかったかな」
次第に飽きられ、呆れられ。
いつの間にか早く終わらねーかなーなんて思われる。
('A`)「クビ……ですか」
そんでもってポトっと落ちればそれで終わり。
誰かに覚えられるのなんてどれだけの間か。
166
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:46:47 ID:gwweDKes0
( ・∀・)「そ、最近うちも不景気でね、本当に申し訳ないんだけど」
ちやほやされるのも最初のうち。
誰かの記憶に残るのはいつまでか。
('A`)「はぁ……わかりました」
でも夏になると飽きられもせずに線香花火は燃やされる。
線香花火としての単体は覚えられていなくとも、
「線香花火」というモノは覚えられている。
ξ゚⊿゚)ξ「お疲れさまです」
それなら俺は線香花火以下か。
俺の人生は線香花火にも劣るってわけか。
167
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:47:50 ID:gwweDKes0
川 ゚ -゚)「お疲れ」
('A`)「……お疲れ、クビだってよ」
川 ゚ -゚)「ふむ、そう気を落とすな」
('A`)「とは言ってもなぁ」
川 ゚ -゚)「なぁに、お前のその気持ち悪いほどの粘りなら再就職も簡単だよ」
('A`)「……褒めてんの?」
川 ゚ -゚)「称賛以外に聞こえたか?」
('A`)「気持ち悪いって修飾語は褒めるのには使わない」
168
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:48:58 ID:gwweDKes0
川 ゚ -゚)「まああれだ、たまに飲みに行こう」
川 ゚ -゚)「愚痴くらいは聞いてやるよ」
人生は線香花火みたいなもんだと思う。
でも、そんな人生でもアリだと思う。
('A`)「うるせーやい、ちくしょーめ」
誰かの線香花火として生きられるなら、
俺もまだまだ頑張れる気がするから。
('A`)「いつかお前に奢ってやるから覚悟しとけよ」
川 ゚ー゚)「ふふ、覚悟しておくよ」
俺に火をつける誰かがいるのなら、線香花火でもいいって気がする。
169
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:49:42 ID:gwweDKes0
以上
ありがとうございました
170
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 21:58:18 ID:TnTl7f/MO
タイプだわ。
最後の台詞すきだ
乙
171
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 22:33:25 ID:anNEQH3U0
絵投下ー
デレ
http://imefix.info/20110830/211091/
172
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 22:55:46 ID:cPZsd9WsO
>>171
デレかわいー!!
投下しますね
173
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 22:57:24 ID:cPZsd9WsO
もしも願いが叶うなら、あなたは何を願いますか?
一瞬の輝きを見せ、はかなく消えゆく流れ星のような
夜空を彩る打ち上げ花火に。
( ><)は打ち上げ花火に願うようです
174
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 22:59:09 ID:cPZsd9WsO
(* ><)「明日のお祭りのメインイベントといったら花火なんです!」
( ・∀・)「いやいや、女性の浴衣姿以外ありえないよ」
( ^ω^)「モララーは小学生なのにマセてるお」
( ・∀・)「なんだよ。どうせブーンは屋台がメインとか言うんだろ」
(;^ω^)「なぜバレたし」
( ><)「www」
僕はビロード。
VIP小学校に通う2年生なんです。
おマセさんなモララーくんと、食いしん坊のブーンくんと明日の計画を立てているんです。
何の計画かというと、明日あるお祭りについてなんです。
夏休み最後の日にお祭りとは、企画者も粋な計らいをするんです。
wktkが収まらない僕たちは、朝から公園に集まって明日の打ち合わせを進めていました。
(* ><)「楽しみなんです!」
175
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:01:03 ID:cPZsd9WsO
(* ^ω^)「ぶひひ、明日の祭り用にカーチャンからお小遣もらったおw」
( ・∀・)「あ、僕ももらった! ビロードは?」
( ><)「僕はお父さんからもらいました!」
( ・∀・)「なるほど、みんな準備万端ということだな」
( ^ω^)「だおだおwww」
( ><)「あ、そういえば」
僕は盛り上がっている二人に、大事なことを確認しました。
( ><)「二人は打ち上げ花火に何をお願いするんですか?」
( ^ω^)「……」
( ・∀・)「……」
なぜか場の空気が固まったんです。
176
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:03:10 ID:cPZsd9WsO
( ^ω^)「ぶっひゃひゃひゃひゃwww」
( ・∀・)「え、何ビロード、花火と流れ星を間違えてるの?」
一瞬の静寂を打ち破る二人の笑い声。
僕は何か変なことを言ったのでしょうか?
(;><)「お、お父さんが言っていたんです!」
( ><)「『打ち上げ花火が消える前にお願い事をすると叶う』って!」
( ^ω^)「ビロード、お前騙されてるおww」
( ・∀・)「嘘乙」
(;><)「嘘じゃないんです!」
(;><)「ぼ、僕は明日……」
((( 。><)))「打ち上げ花火に、お母さんが帰ってくるようにお願いするんです!」
三( 。><)「うわぁぁあぁぁぁん!!」
(;・∀・)そ「あ、ビロード!
(;^ω^)「どこ行くんだお!」
177
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:04:46 ID:cPZsd9WsO
僕は涙を堪えながらダッシュで家に帰ったんです。
意地悪なモララーくんとブーンくんなんて大嫌いなんです!
( ><)「……」
( ><)「お父さんは、嘘吐かないんです」
( ><)「だってお父さんはとっても物知りなんです!」
< ただいま帰りましたよー
( ><)「! お父さんが帰ってきたんです!」
( ><)「お帰りなさい、お父さん!」
( <●><●>)「ただいまです、ビロード。おばあちゃんは?」
( ><)「夕飯の買い物に行ったんです!」
( <●><●>)「そうですか。今夜の夕飯は何でしょうね?」
( ><)「鯖の味噌煮って言ってたんです!」
( <●><●>)「ふふ、おばあちゃんの煮物が美味しいことはわかってます」
178
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:06:16 ID:cPZsd9WsO
僕のお母さんは、3年前に重い病気にかかって死んでしまいました。
だから、僕の家でご飯をつくるのはおばあちゃんなんです。
おばあちゃんのご飯はとっても美味しいんです。
でも僕は、どの料理よりもお母さんが作ってくれた唐揚げの方が好きなんです。
( ><)「ねぇ、お父さん」
僕はおばあちゃんが作ってくれた鯖の味噌煮をつつきながら、お父さんに尋ねます。
( ><)「打ち上げ花火が消える前に三回願い事を言えば、お願いが叶うんですよね?」
( <●><●>)「えぇ、そうですよ」
( <●><●>)「流れ星よりも消えるまでの時間が長いので、のんびり屋なビロードでも
きっと願い事を三回言い切れるでしょう」
( ><)「はいなんです!」
お父さんが僕の頭を優しく撫でました。
僕はお父さんが大好きです。
179
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:07:17 ID:cPZsd9WsO
('、`*川「ビロード、私からも明日のお小遣をあげますね」
(* ><)「わーい! なんです!」
( <●><●>)「母さんったら、ビロードに甘いんですから」
('、`*川「ワカッテマスほどではないですよ」
('、`*川「さぁ、ビロード。ご飯を食べたらもう寝て明日に備えなさい」
( ><)「はいなんです! お小遣ありがとうなんです!」
('ー`*川「ふふ。ビロードはいい子だから、明日は打ち上げ花火がお願いを叶えてくれますよ」
僕は急いでご飯を食べると、お風呂に入って寝ることにしました。
明日の花火には、お母さんの唐揚げがまた食べたいとお願いするんです。
そしたら、きっとお母さんは僕に唐揚げを食べさせる為に帰ってくるんです。
180
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:08:49 ID:cPZsd9WsO
次の日。
( 。><)「うわぁぁぁん!! なんでお祭りやらないんですか!!」
('、`;川「泣かないでビロード、まだ花火大会もやらないと決まったわけじゃ……」
( 。><)「天気予報では今日一日雨なんです! 今年の花火大会は中止なんです!!」
外では朝から大粒の雨が降っているんです。
天気予報士のお姉さんが「今日の雨は明日まで続くでしょう」と言っていました。
僕の瞳からも大粒の雨がぽたぽたと落ちるんです。
( 。><)「うぅっ、打ち上げ花火にお願いできないんです」
( 。><)「もう、お母さん帰ってこないんです」
('、`*川「!」
おばあちゃんが僕の体をギュッと抱きしめます。
181
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:10:45 ID:cPZsd9WsO
本当はわかっているんです。
打ち上げ花火は、僕の願い事を叶えてくれないんです。
『打ち上げ花火が消える前に三回願い事をすると、願いが叶う』
これは、流れ星に願いを言い切れなかった僕に、お父さんがとっさに吐いた優しい嘘。
そして、例え流れ星に三回お願いを言えたとしても、お母さんは二度と戻ってこないんです。
( ><)「……」
( 。><)ぶわっ
でも僕は信じていたかったんです。
夏の夜空を埋め尽くす大きな花火たちが、天国のお母さんに願いを届けてくれると。
( 。――)zzZ
そうして僕は、泣き疲れていつの間にか眠ってしまいました。
182
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:12:38 ID:cPZsd9WsO
( ・∀・)「ビロード起きろ」
( ^ω^)「もう夜だお」
( 。><)「ふぇっ!」
寝ていた僕を起こしたのは、心の中で大嫌い宣告をしたモララーくんとブーンくんなんです。
外では相変わらず雨が降っています。
きっとまた、二人は僕を馬鹿にしに来たんです。
( ・∀・)「ほら、打ち上げ花火にお願い事するんでしょ」
( ^ω^)「はやく行くお」
(;><)「え、でも外は雨……」
( ・∀・)つ且「ほら」
( ><)「え」
( ^ω^)「これが本日の目玉、市販の打ち上げ花火ですお!」
二人が僕の手を引いて外に向かいます。
183
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:14:04 ID:cPZsd9WsO
外は昼間ほどではないですが、まだ雨が降っています。
その雨の中、モララーくんとブーンくんは傘を差しながら打ち上げ花火をセッティングしているんです。
僕はそれを黙って見ています。
( ・∀・)「ビロード」
(;><)そ「はいなんです!」
( ・∀・)「雨が降ってるから花火が上がるかわからないし、
花火が上がってもすぐ消えちゃうかも知れないから急いで願い事しろよ」
( ><)「……」
( ^ω^)「失敗しても泣くんじゃないお」
ブーンくんが花火に傘を差し、モララーくんが導火線に火をつけます。
とっても危ないんです。
火は順調に導火線から花火の筒へ移動していきます。
そして筒へ到達した瞬間
(;^ω^)「!」
ブーンくんが花火から傘を遠ざけました。
184
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:14:59 ID:cPZsd9WsO
ばひゅっと筒から音が鳴ると、光の球が漆黒の空を目指して昇っていきました。
( ・∀・)「いけ、いけ!」
白い煙を出しながら、光の球は上へ上へとどんどん昇っていきます。
( ^ω^)「おっおっw」
一定の高さまで昇ったそれは、雨の中でぱんっと弾けました。
( ><)
赤い光が四方へ広がり、綺麗な火の花を咲かせます。
僕はそれを眺めながら、また涙を零しました。
185
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:16:50 ID:cPZsd9WsO
( ・∀・)「……」
( ^ω^)「ビロード、願いは言えたかお?」
( 。><)「……」
( 。><)「もう、お願い事はいいんです」
(;・∀・)そ「!」Σ(^ω^;)
( う<)ゴシゴシ
( ><)「……」
( ><)「二人とも、ありがとうなんです!」
( ・∀・)「……いいのか?」
(* ><)「いいんです! 僕は、二人が僕の為に花火を上げてくれたのが嬉しいんです!」
(* ><)「二人とも、大好きなんです!」
(* ^ω^)「ぶひ……」
(* ・∀・)「……」
186
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:18:50 ID:cPZsd9WsO
('、`*川「あらあら、みんな濡れちゃって」
('ー`*川「今日は私がお祭りの御馳走を用意したから、みんな中にお入りなさいな」
( ^ω^)「ぶひ! 御馳走!!」
(;・∀・)「こら、ブーン!」
('、`*川「ふふ。お祭りの屋台と言ったら、タコ焼きにお好み焼きに焼きそば、
唐揚げですよね」
('ー`*川「りんご飴とかき氷も用意しましたよ」
(* ^ω^)「わーいだお!」
(;・∀・)「全部おばあさんの手づくりなんですか? ……すごいなぁ」
('ー`*川「さぁ、みんな体を拭いてご飯にしましょう」
( ><)「はいなんです!」
187
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:20:27 ID:cPZsd9WsO
(* ^ω^)「ハムッ、ハフハフッ! 美味いお!」
( ・∀・)「りんご飴って家でもつくれるのか」
('、`*川「いっぱいあるからゆっくりお食べ」
(* ><)「♪」
みんなで食べるご飯はとっても美味しいんです。
( ><)「……」
(* ><)(実は、こっそり打ち上げ花火にお願いしたんです)
( ><)(“来年も皆で一緒に花火を見られますように”って)
おばあちゃんの唐揚げは、お母さんの唐揚げと同じ味がしました。
( ><)は打ち上げ花火に願うようです おわり
188
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:21:36 ID:cPZsd9WsO
以上です
長々と失礼しました
189
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:29:30 ID:9xFZ6xRYO
投下乙
そろそろ祭りもラストスパートかな
投下します
190
:
( ^ω^)稲川ブーン二のようです
:2011/08/30(火) 23:31:35 ID:9xFZ6xRYO
( ^ω^)「夏も終わりですねえ。こんばんは、稲川ブーン二です」
( ^ω^)「最初に断っておきますとね、ええ、こういう話をしてると……寄ってくる、っていうじゃないですか」
( ^ω^)「世間に広まるのにはそれだけの理由があるもんで、これってあながちデマじゃあないんですよ」
( ^ω^)「だから聞いてる最中に、背後からじとーっとした視線を感じたり、背中にぞぞぞぞぞっと寒気が走ったら、ああ、出たんだなあって思ってください」
( ^ω^)「今回のお題は花火というわけですが、皆さんは花火を見るとき、どんな気持ちで見てます?」
( ^ω^)「楽しかったり、綺麗だなあ、なんつって思ったり。ええ、私もね、普段はもちろんそんな気持ちで見てますよ」
( ^ω^)「それがあの時だけは違ったんだなあ。安堵、という感情を味わったのは、後にも先にもこれっきりでした」
( ^ω^)「今回お話しするのは、そんな話です」
.
191
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:33:02 ID:9xFZ6xRYO
あれは私がまだ学生の頃なんですけどね、気心の知れた男友達で集まって、夜の街をぶーらぶーら遊び歩いてたんだ。
街っていっても昔の田舎でしたからね、遊ぶところなんてなーんにもない。
ええ、散歩みたいなもんですよ。それでも楽しいんだから、きっと若さってやつなんでしょうねえ。
('A`)「そういえば、今日花火大会だっけ」
なんてことを友達の、仮にドクオにしておきましょうかね。彼がいうんですよ。
(´・ω・`)「せっかくだからいってみる?」
もう一人の友達、こちらは仮にショボンにしましょう。
彼も乗り気だってんだから、私だけ反対するのもなんだってことで行くことになったんですよ。
だけどね、数少ない田舎の娯楽っていうのにはみんな敏感でねえ、もんの凄い数の人でごった返してるんですよ。
( ^ω^)「これじゃあ、ろくに近くで見れないお」
('A`)「俺、前に先輩から聞いたんだけど、すげえ穴場があるらしいぜ」
(´・ω・`)「僕も聞いたことある。あの山の神社のところだよね」
192
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:34:19 ID:9xFZ6xRYO
花火を打ち上げる川の、すぐ近くが山になってましてね。
その山ん中にある、管理人なんていやしないうらぶれた神社。
昼間でもそこは薄暗く、どーんよりとしてて気味が悪いってなことで有名で、地元の人は誰も近寄らないんですよ。ええ。
( ^ω^)「あそこはやめといた方がいいんじゃないかお」
('A`)「なんだブーン二、びびってんのか」
本当は行きたくなんかなかったんですけど、そうも言われちゃ売り言葉に買い言葉で、行ってやろうってなことになったんですよ。
ろくに整備もされてない道を登って神社に着いたわけですが、案の定というかなんというか。
あからさまにここだけふーっと空気が冷たいんですよ。
( ^ω^)「なあ、やっぱり――」
と口を開いた瞬間どおおおおおおんっと激しい音が聞こえる。
なんだと思って振り返ると、花火が始まったんですよ。
(´・ω・`)「立ちっぱなしも疲れるし」
結局、帰ろうなんていえる雰囲気じゃあなくなってしまいましてね。
ショボンの提案でお社の階段に座ることにしたんだ。
193
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:35:47 ID:9xFZ6xRYO
早く帰りてえなあ、腹へったなあ、いつまで続くんだろうなあ。
あーでもねえ、こーでもねえなんて考え事してたら
……ゴトッ
って後ろから何かが落ちたような音がしたんだ。
('A`)「なあ、今のって中からだよな?」
花火の音も大きかったんですけど、そらまあ近くでそんな音がしたら誰だって気付きますよ。
('A`)「おっ、鍵かかってないじゃん。入って見ようぜ」
社殿の中なんてそうそう入れる場所じゃありませんからね、好奇心を刺激されたんでしょう。
よせやーいっていう私の制止を振り切って、ドクオは社殿の中へ入ってった。
(´・ω・`)「あれ? 向こうも扉になってる」
仕方ないんで私達も続くんですがね、どうにもおかしい、なーんかおかしい、この神社変なんだ。
普通社殿っていったら御神体が飾ってあるでしょう。
それがね、何もないどころか、向こうも出口になってんだ。
194
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:36:47 ID:9xFZ6xRYO
('A`)「俺達、ここから入ったんだよな」
その出口から出ると神社の正面、入口から出たのと同じ景色が見える。
おかしなあ、嫌だなあ、怖いなあ、なんて話になりましてね。
丁度終わったのか花火も聞こえなくなってましたから、帰ることにしたんですよ。
ええ、入った方からではなく、向かいの出口の方から出てね。
そのことに私は、川沿いの道まで戻ってから気付いたんだ。
('A`)「関係ねえって。どっちでも一緒だろ」
なんてドクオは軽く言いますけどね、私にはどーも嫌な予感がする。
( ^ω^)「なあ、さっきまで凄い人込みだったのに、人っ子一人いないのはおかしくないかお」
そう、神社を出て以来誰とも出くわさないんだ。
初めは笑ってたドクオも住宅街に近付くに連れて、徐々におかしいって気付き始めた。
195
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:37:47 ID:9xFZ6xRYO
(´・ω・`)「ね、ねえ、向こうから誰か来るよ」
ショボンが指差す方向からペタッペタッと誰かが近付いてくる。
はああ、なんだ私の思い過ごしかあ。
なんてほっとしたのも束の間、私はあることに気付いた、気付いてしまったんだ。
駄目なんですよ、こんな住宅街でペタッペタッなんて、裸足で歩くような音がしちゃあいけない。
それに気付いたときには、その誰かはもう見えるところまで来ている。
川д川
ぼさーっと顔までかかるのような、長い髪の不気味な女。
その彼女がこっちを見て、
川д川「ジヒ、ジュヒヒヒヒヒ!」
耳障りな笑い声を上げながら走ってきた。
(;'A`)「うわあああああああああああああ!」
もう一目散で走って逃げる。
なりふり構わず走って走って。
196
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:38:51 ID:9xFZ6xRYO
そして、どこをどう行ったのか、気が付いたら例の神社の近くまで来てたんですよ。
(;´・ω・`)「はあ、はあ、ねえ、ドクオは!」
(;^ω^)「はあ、うくっ、はあはあ、わからない、無我夢中だったから」
さすがに探しに行かないと、と思ったら、
ジュヒヒヒヒヒ
もうそんな余裕はどこにもない。
( ^ω^)「神社に行こう!」
助けてくれ、助けてくれ、って祈るようにしながら全速力で走る走る。
でもそんな長時間走れるわけもなくてね、足が重くなってくるんだ。
川д川「ジュヒヒヒヒヒ!」
不気味な女の、異様にひやーっとした手が私の肩をかする。
うわああああああ、もう最後の力を振り絞って、なんとか神社の社殿へと転がり込んだ。
197
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:40:19 ID:9xFZ6xRYO
川д川
するとね、その女は社殿の中へは入ってこないんですよ。
しばらくじーっとこっち伺った後、女はすーっとどこかへ去っていったんです。
呆然としながら私とショボンは、元の入り口だった方から外へ出るとね、
どおおおおおおん
って花火がまだ続いてるんですよ。
(;´・ω・`)「た、た、助かった……」
安堵で二人してわんわんわんわん泣いてね、抱き合いながら崩れ落ちました。
だけどもドクオを放っておいていいわけがない。
私達は意を決してもう一度社殿へいくと、それが不思議なことにね。
……もう一つの出口なんてものは、どーこにもないんですよ。
.
198
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:41:32 ID:9xFZ6xRYO
( ^ω^)「その日以来、ドクオは行方不明になりましてねえ。今も彼は見つかっていないんですよ」
( ^ω^)「例の神社はそれから数年後に取り壊されました」
( ^ω^)「あれからも何度かショボンと訪れたのですがね、ええ、二度ともう一つの出口が現れることはありませんでした」
( ^ω^)「私が体験した不思議な世界、あれってなんなんでしょうねえ」
( ^ω^)「いやあ、それにしてもこういうことって、あるんもんなんですねえ」
199
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:43:26 ID:9xFZ6xRYO
これで投下は終わりなんですけどね、ええ、私は元々別の話を書いてたんですよ
レズエロ全開の馬鹿話ってな作品で、調子よく書けてたんですが、それがどう考えても15レスをこえる
困ったなあ、どうしようかなあ、なんてあーでもねえ、こーでもねえと考えてたら
そうだ、これを総合で稲川風のネタにしてやろう。なんて思い付いたんだ
総合でネタにしたらすーっとインスピレーションが沸きましてね、目が覚めるとこんな作品が生まれてました
それでこれを書いたのが昨夜の話で、
今朝になって起きると祖母が亡くなってたんですよ
通夜も終わって明日は葬式なんですがね
今になって考えると、この話は祖母が授けてくれたのかなあなんてね
いやあ、こういうことってあるんですねえ
200
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:49:53 ID:Eh51fTYY0
おばぁちゃんェ…
201
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:50:41 ID:TnTl7f/MO
>>199
なんてレスポンスすればいいかわからんけど、いいはなしだった
202
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:52:50 ID:cPZsd9WsO
>>199
ドクオがどうなったのか気になるな
面白かった
リアルもこっちも乙
203
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/30(火) 23:56:46 ID:9xFZ6xRYO
祖母は保って数日って言われてたから完全に偶然なんですけどね
強いて言えば今日は葬儀場に泊まることになったから
こーんな日は、何かあるかもしれませんねえ
204
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:15:28 ID:rR84dn8A0
日も変わってしまったし投下するお
205
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:16:13 ID:rR84dn8A0
い草の匂いがする。
線香の匂いがする。
少し遠くから母達の笑い声がして。
僕は暇を持て余して縁側で絵本を開く。
蝉の声。
誰かの足音。
日焼けした手と水色のアイスキャンディ。
その女の子は僕より少しだけ大人で。
僕はその笑顔を一つで全ての退屈を忘れていた。
胸を満たしたその感情の名前を僕は未だ知らない。
(,,゚Д゚)アイスキャンディを食べるようです
206
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:17:08 ID:rR84dn8A0
ラジオの天気予報。今夜は晴れ、風は弱いが放射冷却で比較的涼しい夜なるそうだ。
花火大会には適した天気。神様も年に一度の夜空の花を楽しみにしているらしい。
('、`*川 よかったねーフサ、つーちゃん。今日雨降らないって
(*゚∀゚) てるてる坊主いっぱい作ったもんね!
ミ,,゚Д゚彡 いっぱい作った!
妻の言葉に息子と従姪が興奮した顔を見せる。彼らは今朝会ったばかりだがすっかり意気投合したらしい。
二人で遊びまわった印に二人の服は薄っすら汚れている。大方大人達の話に飽きて裏山を駆け回って来たのだろう。
207
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:17:49 ID:rR84dn8A0
(*゚ー゚) あらあらすっかり仲良くなっちゃって
('、`*川 本当に。流石は親戚パワーだわ
(*^ー^) つーは近場に年の近い子ざ少ないから、フサくんに来てもらえてうれしいみたい
妻のペニサスと従姉のしぃが子供達を見ながら言葉を交わす。
彼女達もすっかり仲が良くなった。
初顔合わせは7年前だったがフサが産まれてからは今年が始めて。
元々面識が薄い上に五年ぶりのはずなのだがまるで旧知の仲のように息が合っている。
どちらも人当たりがいいので別段驚くことではないのかもしれないが。
やはり、彼女達は似ているのだろうか。
喉の奥で何かが動いた気がした。
僕は気付かないふりをして時計に目を遣る。
(,,゚Д゚) 時間的にそろそろかな
僕が呟くと同時に細く小さな花火が空を昇る。
花火大会の始まりの合図だった。
208
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:18:32 ID:rR84dn8A0
花火が上がり始めてからの子供達は一転静かになった。
しいの用意した夕飯にも手を付けず縁側に座り口を開けて空を見ている。
大人達はそんな子供を時々注意しながらささやかな晩酌を楽しんだ。
蚊取り線香の臭いに花火の香りがそっと混ざり始める頃、僕は夜空に遠い昔の事を思い浮かべていた。
____________
209
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:19:17 ID:rR84dn8A0
僕が初めてこの家を訪れたのは今のフサと同じ年、五歳の時だった。
そこで僕に笑顔でアイスキャンディが差し出して来たのがしいだ。
しいとは急速的に仲良くなった。
カブトムシやオニヤンマを捕まえるため野山を駆け回り泥だらけになってよく親にに怒られ。
夜には近隣の花火大会を縁側で見て、それが終わると手持ちの花火で遊ぶ。
風呂も一緒だった。今思い出すと少々恥ずかしい。
それから毎年、夏の花火大会に合わせてこの家を尋ねるようになった。
親が仕事の時に一人で電車とバスを乗り継いで来たこともある。
年に一度、しいと一緒に花火を見るのが楽しみで仕方なかった。
今思えば、初恋と呼ぶべきものだったのかもしれない。
ただ、僕は心のどこかでそれが恋ではないと思っていた。
しいに会うのは年に一度。それ以上の頻度で会ったことは一度も無い。
僕は多分、年に一度のしいの笑顔に愛や恋とは違う日常に収まらない何かを求めていたのかもしれない。
そして、多分、今も。
____________
210
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:19:59 ID:rR84dn8A0
ぼんやりとしている内に花火大会の終わりの合図が空に昇った。
手に持った缶ビールはすっかり温くなっている。
('、`*川 はいはい花火も終わったしお片付け手伝ってね
(*゚ー゚) 手伝ってくれたいい子にはこの花火セットをあげるよ
ミ*,゚Д゚彡 はいはい!!手伝う!!
(*゚∀゚) つーも!つーも手伝う!!
脳みそが浮いて居るようだった。
冷静に思い返せば長距離を運転したり墓参りに回ったり身体は疲れて居るのかもしれない。
('、`*川 洗い物私やりますよ
(*゚ー゚) あら。じゃあお願いしようかしら
ペニサスが台所に向かい水の音が聞こえ始める。
子供達は与えられた花火を持って庭先に出て行った。
すぐそこの庭に子供達がいるが座敷に残ったのはしいと僕の二人。
僕の喉の奥でまた何かが蠢いた。
211
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:20:40 ID:rR84dn8A0
(*゚ー゚) 久しぶりだね。こうしてギコくんと二人でいるの
(,,゚Д゚) もう子供じゃないからね
(*゚ー゚) ふふ、寂しいこと言うなぁ
しいが新しい缶ビールを開けて口を付けた。
顔を盗み見る。
子供達を見守る横顔は優しさが滲み出る母親の顔で。
アルコールで少し紅潮した肌はどうしようもなく女を匂わせていた。
ああ。脳みそが身体を離れていく。
212
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:21:26 ID:rR84dn8A0
(,,゚Д゚) しい姉
(*゚ー゚) うん?
(,,゚Д゚) しあわせ?
(*゚ー゚) …ギコくんは?
(,,゚Д゚) ………俺はしい姉のことが
空気を切り裂くような音が僕の言葉に重なり、それに続いて破裂音。
庭でワイワイと喜ぶ子供達が見えた。
僕の言葉はロケットに乗って空に消えた。
(,,゚Д゚) …俺は幸せだよ
(*゚ー゚) ……私も
(*゚ー゚) 旦那はたまにしか帰ってこないけど、それでもちゃんと私達を大事にしてくれるし
(*゚ー゚) つーもどんどん女の子らしくなって……
(*^ー^) ふふ、フサくんとつー、まるであの頃の私たちみたい
(,,゚Д゚) …そうだね
213
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:22:08 ID:rR84dn8A0
僕としいの間に沈黙が流れた。
しいの顔はいつも通りの笑顔に見えて、なんだか少しだけ違うような気がした。
(*゚ー゚) ……ギコくん
(,,゚Д゚) ん?
(*゚ー゚) ペニサスさんとフサくんと幸せになってね
(*゚ー゚) 私も旦那とつーと精一杯幸せになるから
(,,゚Д゚) …
しいと目と目が合う。
少し潤んだ大きな目。吸い込まれそうな綺麗な瞳。
あの日初めて見た少女のままだ。
僕は彼女から目をそらすことが出来なかった。
(*゚ー゚) 私もギコくんのこと好きだから
しいの顔が近づく。
しいの目が閉じる。
喉の奥に居た何かが背骨を駆け上り脳を突き抜けていく。
しいの唇は、夢見た以上に柔らかかった。
214
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:22:49 ID:rR84dn8A0
どれほどの時間そうしていただろうか。
子供達は花火に夢中だ。ちゃんと見ていないと危ない。
ペニサスは洗い物が早い。すぐにでも戻ってくるかもしれない。
ゆっくりとしいの顔が遠ざかる。
(*゚ー゚) だから、君も私も、私たちの大切な人も、みんな幸せになるように頑張ろう
力強い言葉だった。
昔から変わらない。
僕の気持ちなんか関係ない。
僕はこの人に逆らうことは出来ないのだ。
(,,゚Д゚) …うん
僕の返事の情けなさをロケット花火がまた切り裂く。
しいを見ると困ったように苦笑いを浮かべ一言だけ呟いた。
「ロケット花火がもう少し煩かったら、こんなに困らずに済んだのになぁ」
____________
215
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:23:33 ID:rR84dn8A0
しいの家から帰って二日。夏休暇最後の日。
フサはペニサスの携帯電話を使いつーと電話ばかりしている。
僕は時々フサをからかいながら横になり本を抱えてその様子をみていた。
ペニサスは先程済ませた昼食の片付けをしている。
いつも通りなんの変哲もない毎日だ。
しいとのキスだけが、僕の中にこびり付くように残っている。
迷いとも言える複雑な感情の塊として。
216
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:24:19 ID:rR84dn8A0
いや、僕がすべきことは家族を幸せにすること。
そして毎年あの家であの花火大会をみんなでみること。
それだけだ。
クーラーの当たる位置に座り直し本を開く。
蝉の声が窓を閉めていても聞こえてくる。
フサの笑い声。いつか彼も、つ僕と同じような感情を持つのだろうか。
ペニサスの足音。聞き慣れた、少し慌ただしい歩みで近づいてくる。
目の前に突然水色の物体が現れた。
クーラーよりもひんやりとした空気を放つそれを反射的に手に取る。
('、`*川 アイスキャンディ、食べるでしょ?
(,,゚Д゚) ……ペニサス
('、`*川 ん?
(,,゚Д゚) 愛してるぞ
('、`*川 え?
僕はアイスキャンディの袋をやぶった。
少しだけ赤くなったペニサスが戸惑いの視線を向けて来るのを横目にアイスキャンディに齧りつく。
冷たく甘い懐かしい感覚は静かに溶けて喉の奥へ消えていった。
(,,゚Д゚)アイスキャンディを食べるようです
おわり
217
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:26:31 ID:rR84dn8A0
愛してるよって言ってみたっていいよね
嫁どころか彼女すらいないけど
以上でしたー
218
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:39:18 ID:Zl5yHUVQO
>>217
乙
おれらの嫁なら画面の向こうにいるじゃないか…!
219
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:42:26 ID:Hwf1JG/o0
>>218
ξ ФωФ)ξ 呼んだかしら?
220
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:51:19 ID:EFW5roIA0
乙ー
んじゃ、自分も投下しますわ。
221
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:52:08 ID:EFW5roIA0
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」○○○○○○○○○○○
ξ゚⊿゚)ξ「……」○○○○○○○○○○○○○○○○
川 ゚ -゚)「……」○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
( ^ω^)「まあ、確かに? 持ってくる花火は各自の自由と言ったお」
( ^ω^)「それでみんなで集まって花火しようZE! って集まってもらいました」
( ^ω^)「そしたら何、この状況?」
(#^ω^)「何で全員、よりにもよって煙玉しかもって来てないんだお!」
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○( ^ω^)○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○(´・ω・`)○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○ξ゚⊿゚)ξ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○ブーンたちの花火祭りのようです○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○川 ゚ -゚)○○○○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○'A`○
222
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:53:06 ID:EFW5roIA0
ξ゚⊿゚)ξ「何でって言われても……」
(´・ω・`)「かぶっちゃったものはかぶっちゃったとしか言いようがないよね」
川 ゚ -゚)「うむ」
( ^ω^)「そんな冷静に仕方ないと言うれればそれまでだけども」
( ^ω^)「でもでもNE! どうやったらそんなもんがかぶるんだお?」
( ^ω^)「何故、全員煙玉一択なの?」
( ^ω^)「花火って、他にも色々あるよね?」
( ^ω^)「普通の花火に始まり、線香花火やロケット花火、打ち上げ花火にねずみ花火と多種多彩だお」
( ^ω^)「それが何?」
( ^ω^)「全員示し合わせたのかのように煙玉オンリー!」
223
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:53:51 ID:EFW5roIA0
( ^ω^)「何なのこの惨状?」
( ^ω^)「煙玉だけの花火大会って、どういうことだお?」
( ^ω^)「他の花火ならまだかぶっても楽しみようがあったかもしれない」
( ^ω^)「だが現実に、かぶったのは煙玉」
( ^ω^)「こんだけ大量の煙玉をどうせいっちゅーねん!」
( ^ω^)「煙幕だー! とか言って隠れればいいのかお?」
( ^ω^)「こんな夜中に、わざわざ煙焚いて」
( ^ω^)「逆に目立つわ!」
( ^ω^)「黄色とかピンクとかの煙出ても、夜だからわかり辛いお!」
224
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:54:39 ID:EFW5roIA0
( ^ω^)「大体、何で煙玉だったんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「それは……あ──何となく?」
(´・ω・`)「ウケるかなと思って」
川 ゚ -゚)「妹が大量に作ってくれたので」
( ^ω^)「そして、この煙玉大集合にそんな深い理由もないという」
( ^ω^)「つーか、クー、花火は勝手に作っちゃ駄目だお」
川 ゚ -゚)「うむ、だから証拠隠滅も兼ねて持って来た」
(´・ω・`)「それよりさ、二つほど気になってる事があるんだけど、いいかな?」
( ^ω^)「何だお?」
(´・ω・`)「みんなに集合かけたんだよね? ドクオがいないみたいだけど?」
(#^ω^)「あいつ、マンドクセって約束ぶっちしやがったお」
225
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:55:33 ID:EFW5roIA0
(´・ω・`)「まあ、ドクオだしね」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオならしょうがないわね」
川 ゚ -゚)「しょうがないな、ドクオだもの」
(#^ω^)「全く、協調性のないやつだお」
( ^ω^)「逆にこいつらは無駄な協調性見せてやがって煙玉祭りだけども」
( ^ω^)「もう、腹いせにドクオん家に煙玉全部投げ込んで来ようかお」
(´・ω・`)「まあまあ、落ち着いて」
(´・ω・`)「それよりもう一つの聞きたい事なんだけどさ」
( ^ω^)「何だお?」
226
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:56:24 ID:EFW5roIA0
(´・ω・`)「ブーンは何の花火持って来たんだい?」
( ^ω^)「……」
(´・ω・`)「……」
( ^ω^)「……あれだお、……何か火点けたら煙り出るやつ」
(´・ω・`)
ξ゚⊿゚)ξ
川 ゚ -゚)
( ^ω^)「……うん、煙玉だお」
(´・ω・`)○「……じゃあ、取り敢えず」○ シューッ
ξ゚⊿゚)ξ○「……点火と」○○○○○○ シューッ
川 ゚ -゚)○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ シューッ
(;^ω^)「ちょ、待つお! 僕の言い分も聞いて──」
227
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 00:57:12 ID:EFW5roIA0
__,,:::========:::,,__
...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
お し ま い
228
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 01:01:06 ID:EFW5roIA0
日付変わってから書き始めた割にはすっきりとまとまった深い話になったのではないでしょうか
いえ、なってません(反語表現)
何はともあれ、投下した皆様、お疲れ様でした
229
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 01:10:04 ID:rR84dn8A0
乙
なんか煙いな
230
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 02:33:13 ID:jMOdFgSQO
乙
なんというテロ
231
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:20:32 ID:urJy2tTI0
投下する
232
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:21:16 ID:urJy2tTI0
「…遠くで花火の音がする」
妹の話をしようか。
俺とよく似た双子の妹の話だ。
その子はずば抜けて頭が良いわけでも息を飲むほど美しいわけでもなかった。
町を歩けば人の波に溶け込んでしまうような、どこにでもいそうな普通の16歳の人間。
ただひたすらに、優しい女の子だった。
从'ー'从
妹の名前を…仮に「渡辺」としよう。
渡辺は夏を好んだ。花火の音が好きだったからだ。
夜空に咲いた七色の火花ではなく、爆発音のようなあの音が。
銃声のようなあの音に堪らなく惹かれるのだと。
思い起こせばそれは俺のせいかもしれない。
遠い昔の事、夜中に目を覚ました俺は妹と共同のベッドを抜け出して、寝ぼけ眼でトイレへと向かった。
帰りがけ両親の寝室から声がする事に気付いた。
あれ、と俺は首を傾げた。パパは仕事で明後日まで戻らないはずだ。
なのに何故、まっくらな部屋からは男と女の声がする。
何故、いつもは鳴る事のないベッドの軋む音が聞こえる。
全てを理解した脳から眠気が一気に吹き飛んだ。
新しいイタズラを思い付いた子供のような軽い足取りで、
パパの書斎の引き出しに隠してあった銃を持ち出して、
ママになりすましてる怪物と、怪物に覆い被さって腰を振ってる名も知らぬ男に向けて6発。
何も感じなかった。
233
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:22:20 ID:urJy2tTI0
『………』
从 从『―――ちゃん?』
暗闇を照らす扉から漏れる四角い光を人の形をした影が遮る。
それが誰なのかは振り向かなくても分かる。
『…渡辺』
从 从『いま、花火の音がきこえたみたい』
『………』
从 从『………』
『………』
从 从『まっかな花火、きれいだねぇ』
『………』
抑揚のない声からでは渡辺の表情が見えない。
一体妹はどんな顔をしてその言葉を言ったのだろう。
いつものように柔らかい笑みを浮かべてるのだろうか。
ごとり。
手から滑り落ちた銃の音がやけに遠く感じた。
234
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:23:17 ID:urJy2tTI0
その日の朝に二人で食べたブルーベリージャムを塗ったパンの味は今でも忘れられない。
まるで砂を食べてるようだった。
三枚を平らげると大切な物だけを持って、家から飛び出した。
从 从『―――ちゃん。ひっぱったらいたいよぉ、どこにいくのぉ?』
『』
なんて答えたかは覚えてない。
でもこの時確かに俺は笑ってた。
渡辺が花火を好きだと言い出したのはそれからだ。
何を意図してそこに行き着いたのかは分からないが、
ショックのあまり記憶が改ざんされたという仮説が一番有力だと思う。
235
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:23:58 ID:urJy2tTI0
…どこかで一度は耳にしたようなありがちな悲劇だろう?
あれから数年が経った。
渡辺は夏を好んだ。花火の音が好きだったからだ。
夜空に咲いた七色の火花ではなく、爆発音のようなあの音が。
銃声のようなあの音に堪らなく惹かれるのだと。
妹が真に聞き惚れてるのは花火ではなく、銃声そのもの。
俺がママを撃った時の、あの。
从 从『―――ちゃん』
『ん?』
从 从『夏が終わっちゃうよぉ』
『そうだな』
从 从『また花火の音が聞けなくなっちゃうんだねぇ』
从 从『寂しい…寂しい…』
『………』
視線は渡辺から外さない。
俺は妹とつないでない方の手で、路地裏で寝てた浮浪者を撃った。
あの時と同じ6発の銃声と、咲いた一輪の赤い花。
从 从
从^ー^从「まっかな花火、きれいだねぇ。ハインちゃん」
从 ゚∀从
从 ゚∀从(…ああ)
从 ー从(やっぱり、笑ってた)
久し振りに俺も、笑えた気がした。
236
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:24:49 ID:urJy2tTI0
俺が適当な場所で適当に人を撃ち殺す。
後ろで見てた妹がお決まりの台詞で微笑む。
从 ゚∀从「あとはもう、ただそれだけ」
从 ゚∀从
从 ゚∀从「あーついでに生活に困ってる時は金目のもんを奪う」
爪'ー`)y-「そっちがついでかよ」
从 ゚∀从「姉妹二人で生活していけるだけの金があればいい」
爪'ー`)y-「ははぁ」
爪'ー`)y-「だからこんな殺人現場にこの子を連れて来てるってわけか」
从'ー'从
爪'ー`)y-「人形みたいな綺麗な顔してやがる」
从 ゚∀从「妹に手を出すな」
爪'ー`)y-「今のは誉め言葉じゃねーぞ」
爪'ー`)y-「興味ねーよ。実の娘になんざ」
237
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:25:42 ID:urJy2tTI0
从 ゚∀从「娘?」
爪'ー`)y-「ああ。アヤカは俺の子供だ」
爪'ー`)y-「数年前に誘拐された俺の一人娘だ」
从 ゚∀从
爪'ー`)y-「お前誰だ?」
从 ゚∀从「お前こそ、誰だ」
爪'ー`)y-
从 ゚∀从
爪'ー`)y= スチャ!
从 ゚∀从y= スチャ!
―ドォン!!
238
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:26:29 ID:urJy2tTI0
从 ー 从
その夜響いた銃声はひとつだけだった。
いつもより5つ足りない。
おかあさんが死んだ時より、足りない。
从 ∀从
爪'ー`)y-
从 ー 从「…遠くで花火の音がする」
爪'ー`)y-
从^ー^从「まっかなハインちゃん、きれいだねぇ」
爪'ー`)y-
爪'ー`)y-「…壊れてやがる」
239
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/31(水) 03:27:12 ID:urJy2tTI0
爪'ー`)y-「………」
爪 ー )y-
爪'ー`)y-「…ほら、口を開けな」
从'ー'从
黙ったままの私に痺れを切らしたおとうさんが口に太い指を突っ込み、半ば乱暴に唇と歯をこじ開けた。
硬い何かが放り込まれる。
私のおとうさんがくれた初めてのキャンディー。
それはヴェルタースオリジナルで、私は16才でした。
それは甘くてクリーミーでこんな素晴らしいキャンディーをもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました。
今では私がおかあさん。
子供にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル。
なぜなら、彼もまた、特別な存在だからです。
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