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[SS]邪心マグヌスの邂逅
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初めましての方は初めまして
そうでない方も初めまして
今回は比較的短めのミステリー風のやつになっております
例によって前々々々作の勇者ヨシオの冒険と世界観を共有していますが読んでなくてもたぶん大丈夫です
それではどうぞよろしくお願いします
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マグヌス「くっくっく…」
怪しい笑みを浮かべて、CPUトナメ会場から出て来たのは、黄色ネスの邪心マグヌス。
この日、CPUトナメ会場にて、第六回から新たに参戦する選手への説明会が行われた。
会場の関係者通路傍にある多目的ホールでは、いくつか並べられたテーブルに、数人ずつの選手が座っている。
サムス「…以上。質問はあるか?」
その前で、CPUトナメのエージェントであるオレンジサムスが、第六回のルールについて説明していた。
内藤「フン、問題無い。有るとすればそれは、この程度の奴らではこの俺の相手にならず、客が退屈するのではないかという事だけだ」
ヤミ「クク…貴様は自分の心配をすべきだろう。これまでの試合記録を見た限り、貴様のような弱者では太刀打ちできんぞ」
内藤「そのセリフ、貴様にそのまま返す。ファイアフラワーが無ければ貴様など取るに足りんのだからな」
黒ドンキーのダーク内藤と、赤ピカチュウの魔炎師ヤミノツルギ†がいがみ合っている。
"魔の一族"と呼ばれる魔界出身の者たちだ。
デロイ「やれやれ…彼らは相変わらずだね…」
㌧「怪しい動きを見せたらすぐに止めに入りますよ。デロイも気を抜かないようにしてください」
隣のテーブルで二人を警戒しているのは、天界出身の"神"、白リンクの使者様㌧と、青リンクの△デロイ△。
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㌦「質問はありませんが…本当に危険はないんですね?こんな小さな子を出場させるのは、やはり気が引けます…」
コテツ「えー!?せんせー、さっきはゆるしてくれたじゃん!ていうかインテリくんたちももう出てるのに!」
㌦「…君は彼らに比べて、まだ未熟だからね…不安なんだよ」
コテツ「そんな〜」
錬金術師として魔法学校に勤める赤マリオの㌦ポッターに、その生徒の赤ヨッシー、ナウいコテツが抗議する。
サムス「観戦に来たことがある者なら分かるだろうが、ステージ上は完全仮想空間。試合中のダメージが現実に反映されることはない。…精神的ダメージは別だがな」
㌦「その最後の一言が心配なんですよ…」
ドドン「㌦さん、ちょっと過保護すぎじゃないかドン?コテツさんも俺たちと同じ、英雄の末裔ドン」
ポルス「そうドン。可愛い子には旅をさせろって言うだろドン?」
そこに口を挟んだのは、爆発をこよなく愛する紫フォックスの紫煙のドドンと、物真似芸人として活動する緑フォックスの三輪車乗りポルス。
ドドン「真似するなドン!」
ポルス「そんなこと言われたって俺は物真似が生きがいだからやめらんないドン!」
ドドン「まったく…久しぶりに会っても相変わらず変なヤツで安心したドン」
ポルス「ははは!ドドンがそれを言うかドン!」
勇者「ドドンさん、元気にしてましたか?」
後ろのテーブルから話しかけてきたのは、ドドンと同じく爆弾を使った戦闘を好む、青プリンの勇者ヨシオ。
ドドン「勇者さん!俺はもちろん毎日欠かさずドドンしてるドン!」
勇者「はは…ほんとに相変わらずですね…」
ドドン「勇者さんこそ元気だったかドン?」
勇者「はい!ドドンさんに教わったボム兵の作り方もマスターしましたし、爆弾抜きでも戦えるよう特訓してます。この大会でその成果を見せますよ!」
ドドン「おお、楽しみにしてるドン!」
無垢「わー、勇者くんのおはなしにでてきたひとがたくさん!あのおはなし、ホントだったんだね!」
勇者の隣に座っていたのは、緑プリンの無垢なるヨシオ。
勇者「あ、紹介します。この子はヨシオ族の里の友達で、無垢くんです」
無垢「よろしくね!」
ドドン「よろしくドン!俺は紫煙のドドンドン!」
ポルス「俺もドドンドン!」
無垢「え?え?どっちもドドンドン?え?」
勇者「無垢くんほんとに無垢なんでそういうのやめてください」
ドドン・ポルス「あ、ハイ」
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アマゾン「よーし!やっと無敵師匠と同じフィールドに立てるんだ!頑張るぞ!」
ライム「天下無敵さんは出られませんけどね…」
アマゾン「な、なんだってー!!?」
正義のヒーローを名乗る青ネスの少年★グレイトアマゾン★と、とある王国で暮らす黄色ネスの少年、ÅライムライトÅ。
★グレイトアマゾン★は旅の途中、同じ青ネスの歩く天下無敵と出逢い、師弟関係を築いている。
ライム「知らなかったんですか…同族同色の選手は出場できないんですよ」
アマゾン「頑張ってくださいって、他人事みたいに言ってたのはそういうことだったのか!!これは、師匠のぶんまで頑張らないとー!!」
ライム「そうですね。僕も負けませんよ!ヒーローさんやゲンさんと特訓してきましたからね!」
バーン「騒がしいな…こんな奴らと戦うのか俺は…」
ちょこ「あはは、いいじゃない、楽しくて」
短い脚を組んで斜に構えた黄色カービィ、バーンナックに、世界的アイドルでもあるピンクカービィのちょこにゃが笑い掛ける。
バーン「緊張感が無さすぎるだろ。これじゃまともな戦いができるのかどうか…」
ちょこ「うーん…そういう作戦、なのかもね?相手の毒気を抜いてそこを突く、みたいな?」
バーン「ちょこにゃ、君にも言ってるんだぞ」
ちょこ「あ、あはは、ごめんね…」
鋭い口振りに、ちょこにゃは苦笑する。
ドルコ「ウフフ♪アナタこそ、ちょっと余裕がないんじゃないかしら♪」
バーン「何?」
バル「もっと肩の力抜こうよぉ。すぐに試合があるわけでもないんだからさ」
ちょこにゃの両隣に座る白ファルコンのドルコリン♪と緑ピカチュウのバルザードたんが、苛立つバーンナックを諫める。
二人もちょこにゃと同じく、アイドルである。
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卍「子供に芸人にアイドル…よく分からん人選だな…」
聴牌「あら、油断は禁物ですよ」
その隣のテーブルでは、某国軍に所属する黒サムスの卍黒きムッコロズと、雀士としても名を馳せる赤サムスの天使の聴牌が、集まった選手たちを見定めていた。
卍「ああ、分かっている。あの戦いで一度は共闘したんだ。だが…やはり最も警戒すべきはあの男だろう」
ムッコロズの視線の先には。
玄酔楼「……」
腕を組みじっと座っている白ルイージの老人、玄酔楼。
今やCPUトナメの顔とも言える灼熱のレイアを育てた、最強の格闘家である。
ANAKIN「この人たち…何者だろうね…途轍も無く強いFOOSUを感じる」
YOODA「分からぬ…この宇宙には、ワシにも計り知れぬ者たちがいるようだ」
緑ルイージの◎ANAKINSUKAIWOOKAA☆彡と、緑ヨッシーの¶YOODA¶。
彼らは遠い宇宙でFOOSUという力を使い戦っていたところ、招待状が届き、エージェントたちによってこの星へ連れて来られたようだ。
Σ(俺からすれば、最も謎なのはお前たちだがな。FOOSUとは何だ?話を聞いている限り別の星から来たようだが…)
二人と同じテーブルで、腕を組んで聞き耳を立てているのは、紫ファルコンのΣデューレンファング。
誰とも関わりを持たず、素性は一切不明、謎の男である。
ポロロロン♪ ポロロン♪ ポロ…
勇者「ん?」
ホール内にずっと流れていたBGMが止まり、選手たちが振り返る。
シュバ「ふぅ…ちょっと一休み」
ホールの一番後ろでピアノを弾いていた青マリオの∮シュバルツ∮は、帽子を取って汗を拭った。
シュバ「ああ、失礼。どうぞ話を続けて」
帽子を被り直すと、またピアノを弾き始める。
勇者「あ、あの人も選手なのかな…」
㌦「ただのピアニストかと…」
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ガチャリ
ドンキー「ウホ」
そこに、エージェントドンキーがオレンジとりんごのジュースを持って入ってきた。
アマゾン「あ!ジュース!くれるのか!?」
ライム「あ!ちょっとアマゾンくん!」
グレイトアマゾンは席を立ち、ドンキーのところへ駆け寄る。
ドンキー「ウホ」
ドンキーはオレンジジュースを手渡した。
アマゾン「ありがとう!」
ライム「もう…行儀悪いですよ…あ、僕にもください」
ちゃっかりアマゾンについて来て、ライムライトもオレンジジュースを受け取る。
ヤミ「フン!貴様らは礼儀を知らぬようだな!まずはこの我に渡すのが常識だろう!」
ヤミノツルギ†はそう言ってヨダレを垂らす。
ドンキー「ウホ」
ドンキーはヤミノツルギ†のテーブルまで駆けつけ、ジュースを置く。
内藤「フン、俺はそんなものいらぬわ。失せろ」
ドンキー「ウホ…」
コテツ「ぼくもぼくも!あ!ぼくそっちのやつがいい!」
ドンキー「ウホ!」
コテツはりんごジュースを選び、受け取る。
ドンキー「ウホ?」
ドンキーはその隣に座る㌦ポッターを見て首を傾げる。
㌦「あ、僕ですか?いくらですか?お金ならいくらでも…」
ドンキー「ウホウホ」
㌦ポッターが財布から小銭を取り出そうとしたところで、ドンキーは首を横に振った。
㌦「そうですか。ではありがたく頂きますね」
㌦ポッターはオレンジジュースを受け取った。
シュバ「すみません、僕にも一杯頂けますか?」
ドンキー「ウホ!」
と、ドンキーがシュバルツの分を注いだところで、オレンジジュースの容器は空になった。
そしてドンキーは他のテーブルにも回っていき、ジュースが行き渡ると、はけていった。
それからまた十数分の説明や質疑応答がされた後、選手たちは解散した。
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二日後。
各選手たちの元にトーナメント表が届く。
リア「あ?なんで俺んとこに届くんだ?」
小さな古屋の郵便受けに届いた運営からの手紙を、青マリオの絶望のリア・リエが手に取る。
第一回から参戦している有名選手だが、今回は欠場予定だった。
リア「何…?出場予定だった∮シュバルツ∮が…腹痛で棄権…!?代わりに出ろって…もうあと数日で大会始まるだろ!?調整期間とか考えないのか運営は…」
レイア「召喚士のヤツから聞いたんだが、なんか説明会で出された飲みもんに毒が入ってたらしいぜ」
リア「うお!レイア!」
そこに現れたのは、赤ルイージの灼熱のレイア。
第一回CPUトナメで優勝し、誰もが知るスター選手となったが、かつてはリア・リエと共に修行に明け暮れていた仲である。
レイア「相変わらずこのボロ屋に住んでんだな」
リア「うるせえな…何しに来たんだよ」
レイア「今大会、師匠が出場する事になってな。集中力を高めたいから一人にしてくれっつって、山奥に篭っちまってよ。修行相手がいないんだ」
リア「付き合えってのか?ふん、俺なんかとやっても腕が鈍るだけだぜ…」
レイア「ハハハ!ほんと卑屈になっちまったよなお前は!だが、出る気なんだろ?顔見りゃあ分かるぜ、お前が前と違うってのは。何かあったか?」
リア「…まあな…少し掴めてきたんだ。俺の中の絶望の飼い方を」
レイア「何言ってんだお前?」
リア「お前に言うんじゃなかった」
レイア「よく分かんねえが、とりあえずやろうぜ!久しぶりの修行!」
リア「…ったく…熱苦しいヤツだ」
リア・リエは気怠そうに構えをとるが、その表情は笑っていた。
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魔法学校では。
昼間「具合はどうです?㌦」
㌦「く…あ…ぐふっ…!」
昼間「…まだとても話せる状態では無さそうですね…」
医務室のベッドで苦しみ続けている㌦ポッターの元に、茶色マリオの昼間の召喚士が様子を見に来ていた。
昼間の召喚士は㌦ポッターの師であり、同じく魔法学校に勤める召喚魔法の達人である。
ガラガラッ!
チェン「召喚士さん、㌦ポッター先生は大丈夫なんですか…!?」
そこに入ってきたのはヒゲを生やした少女。
ナウいコテツ同様魔法学校に通っている、赤マリオの早すぎた少女チェントゥリオーネである。
昼間「死にはしないでしょうが…結構な重症ですね。特殊な毒が使われているようで、魔法薬でも解毒できません」
チェン「そんな…!」
昼間「チェントゥリオーネさん、トナメ表は見ましたか?」
チェン「はい…㌦ポッター先生の代わりに私が出るってことになってますけど…でも…」
昼間「ええ。残念ながら㌦は出場できませんから、今回はあなたが出てください。㌦もそれを望んでいるはずです」
チェン「…わ…わかりました…㌦ポッター先生、私、先生のぶんまで頑張ってくるね…!」
チェントゥリオーネはベッドで苦しむ㌦ポッターに向けてそう言うと。
㌦「がん…ばッ…て…!」
㌦ポッターは声にならない声で応援を送った。
チェン「はい!」
そしてチェントゥリオーネは医務室から去った。
昼間「やれやれ…トナメ参戦が決まった時は、私も見た事がない程喜んでいたのに…生徒を応援しなくてはならないとは…教師も楽じゃないですね…㌦」
召喚士は溜息を吐く。
その表情は怒りに燃えていた。
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とある町の病院。
アマゾン「うぐ…し、師匠…僕の…ことは…いい…から…ッ…修行に…行って…!」
歩く「アマゾン君……分かりました。待っていてください」
★グレイトアマゾン★の師匠、歩く天下無敵はそう言うと、病院を出た。
昼間「アマゾン君の容体は?」
病院の外には召喚士が来ていた。
歩く「召喚士さんに頂いた魔法薬のお陰で、少しは症状が緩和されましたが…やはり今大会には出せませんね」
二人は第二回CPUトナメから参戦した同期ということもあり、良い友人関係を築いている。
昼間「そうですか…昨夜会場に行き調べたのですが、犯人の痕跡は見つかりませんでした。エージェントの二人も心当たりは無いそうです。相当隠密に長けた者の仕業でしょう…」
歩く「隠密…ということは、学校に潜む母さん…は、ないでしょうけど…味方殺しのような殺し屋でしょうか。新人潰しという意味で、動機もありますし」
昼間「いえ…彼のことはずっと魔法書で追跡していますが、第五回以降会場に近寄った様子はありません。それに彼が殺す気なら、遅効性の腹痛などではなく即死級の猛毒を、全ての容器に仕込んだはずです」
歩く「なるほど…確かに。となると、ますます犯人が分かりませんね。例の黒光さんならやりそうですが、彼に隠密性はありませんし…」
昼間「ええ。とにかく会場周辺でトナメ関係者の目撃例がないか、聞き込みをしていきましょう」
歩く「そうですね」
下目「へぇ…僕も混ぜてよそれ」
昼間・歩く「!!」
上の方から声が聞こえ二人が見上げると、建物の屋根の上に、赤カービィの悪魔の下目使いが立っていた。
悪魔の下目使いは二人と同じ第二回勢であり、ヤミノツルギたちと同じ"魔の一族"でもある。
昼間「どういうつもりです?」
下目「そのままの意味さ。うちのヤミも毒でやられてね」
歩く「! 敵討ちというわけですか…」
下目「そんなわけないだろ。ただ犯人に興味があるだけだ」
昼間「……まあいいでしょう。同じ二回勢のよしみです。人手は多い方がいい」
歩く「えっ」
下目「ふふ、そうこなくちゃね」
歩く(い、いいんですか?)
昼間(CPUトナメの影響か、最近は彼も落ち着いてきています。と言ってもまだまだ危険人物であることに変わりはありませんが…我々二人がいれば、万が一何かをしでかそうとしても抑え込めるでしょうし)
歩く(分かりました)
二人は小声で話をつける。
そして召喚士は懐から魔法書を取り出した。
昼間「空間移動で会場まで飛びますよ。下目使いさんもこちらへ」
下目「分かった」
三人が一か所に集まると、召喚士は魔法書を開いて、魔法陣を出した。
昼間「はっ!」
その魔法陣に向けて三人が魔力を込める。
シュパッ!
すると三人の姿が消えた。
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同じ頃、とある王国では。
ゲン「ライム…随分うなされているようだな」
ヒーロー「ああ。だが俺たちにはどうすることもできない…不甲斐ないな」
ヒーロー活動をしている黄色マリオの満たされないヒーローと、F ZEROレースで名を馳せる紫ファルコンの[世界第1位]ゲンが、病室の外で話していた。
ゲン「はっはっは!仕方ないさ。俺たちは医者でもなんでもないんだ。出来ることをやろうじゃないか!」
ヒーロー「そうだな」
ゲンは第三回から参戦しているものの今大会は欠場、ヒーローは未だ呼ばれず。
そんないまいち満たされない二人の前に。
ポイゾネ「ライムライトくん、腹痛で寝込んでるって、本当!?」
赤リンクの紅きポイゾネサスくんが現れた。
第一回からの人気選手であり、今大会も当然出場が決まっている。
ゲン「ああ。先日トナメ会場で行われた説明会で、何者かに毒を盛られたんだ」
ポイゾネ「えぇ!?」
ヒーロー「犯人はまだ分かっていないが、昼間の召喚士が調査に当たっているそうだ。当然エージェントたちも動いているだろう。会場内でこんな事件が起きては沽券に関わるからな」
ポイゾネ「そ、そっか…あのエージェントたちが犯行に気付かないなんて、相当な手練れだね…」
ゲン「そうか?アイツらも割りとポンコツじゃないか?」
ヒーロー「…ともかく今回はライムは欠場することになった」
ポイゾネ「うん。トーナメント表の名前もマグヌスくんに変わってたよ…やっとトナメでライムライトくんと戦えるってワクワクしてたのに、残念だな…」
ゲン「はっはっは!こうなってしまったものは仕方ない!君は出られないライムと俺たちの分まで頑張って来い!」
ポイゾネ「…分かったよ。それじゃあ特訓してくる!」
ポイゾネサスは去っていった。
ヒーロー「さて…俺たちも行こう。ここにいても何もできない」
ゲン「ああ!探しに行くぞ!最強の回復アイテム、ハートのうつわを!」
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ハートのうつわ。
あらゆる怪我や万病を一瞬にして完全に治してしまう奇跡のアイテム。
CPUトナメを知る者からすれば言わずと知れた回復アイテムであり、これまで幾度となく試合の命運を変えてきた。
しかし、それが何度も見られるのは仮想空間内だからこそ。
本来は超希少なアイテムであり、値段にして数十億は下らない。
ヒーロー「しかし探すと言っても…そう簡単に見つかるのか?」
病院から出て、ヒーローが言った。
ゲン「はっはっは!そんなわけないだろう。あれはまともに探して手に入るようなもんじゃあないぞ!」
ヒーロー「だったらどうするんだ?」
ゲン「はっはっは!まともに探さなければいいのさ!」
ヒーロー「はあ!?」
ゲン「忘れたのか?ヒーロー。絶望のリア・リエはかつてDr.神様によってハートのうつわを与えられ、重傷を回復してもらったことがある!」
ヒーロー「!!」
ゲン「はっはっは!気付いたか!そうだ!神々の住む村に行けば、きっとハートのうつわも手に入るだろう!」
ヒーロー「なるほど…!」
ゲン「さあ、早速向かおうか!カモン!ファルコンフライヤー!」
パチンッ!
ゲンが指を鳴らすと。
ゴゴゴゴゴゴゴ…!!
ハヤブサのようにも見える形状の宇宙船が、二人の前に飛んできた。
ヒーロー「ファルコンフライヤー…!あの時、自爆したはずじゃ…!」
ゲン「はっはっは!コイツは愛機ブルーファルコン同様、代々受け継がれてきたものだからな!当然設計図も残っている!時間は掛かってしまったが、先日ようやく完成したんだ!」
ヒーロー「そうだったのか…!」
ゲン「さあ乗り込め!出発だ!」
ヒーロー「ああ!」
そして二人はファルコンフライヤーに乗り、神や天使たちの住む、"アルティライトタウン"へと発進した。
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人喰い「今日も追ってこねえな…」
とある廃墟には、赤ピカチュウの人喰い軍曹が身を隠していた。
戦場で活躍していた頃、食糧難から仕方なく喰った敵兵の死肉の味が忘れられず、今では行く先々で人を襲う危険人物として知られている。
ミカ「アイツら、しつこいぐらいに追ってきてやがったが…確かにここ二、三日見てねえな」
そこには青ピカチュウの20人目の味方殺しも一緒にいた。
標的に味方として近付き、あらゆる情報や技術を盗んだ上で殺す、"味方殺し"専門の殺し屋である。
大犯罪者である二人は、正義感の強い歩く天下無敵と★グレイトアマゾン★の師弟にいつも追われていた。
人喰い「今回は弟子のほうがトナメに出るらしいからな。その稽古でもつけてんのかもしれねえ」
ミカ「あぁ、そういや…お前、トナメ表見たか?」
人喰い「いや、今回俺は出ねえぞ。ヤミノツルギのヤツが選ばれたんだ」
ミカ「あ?見てないのかよ。何人か事前発表と違うヤツがいるぜ。アマゾンの名前も天下無敵に代わってやがったな」
人喰い「なんだそりゃ。結局アイツが出るのか?」
ミカ「らしいな。あとヤミノツルギの代わりにお前が入ってる」
人喰い「はァ!?聞いてねえぞ!」
ミカ「いや、でも運営からの手紙届いたろ?」
人喰い「…あー…そういえば…間違いかと思って開ける前に破り捨てたわ…」
BJ「フフ…キミらしいネ、軍曹」
人喰い「!!」
そこに、黄色ピカチュウのξ黒きBlack Jokerも現れる。
第一回から参戦する人気選手で、"魔の一族"の中でも一二を争う実力の持ち主だ。
ミカ「BJ…何の用だ?」
BJ「ちょっと手伝ってほしいコトがあってネ」
人喰い「何?」
BJ「トナメの参加者が代わってるのは、ソイツらが毒を仕込まれて倒れたからだヨ」
人喰い「毒…?ああ、それでアイツら追って来なくなったって訳か?」
ミカ「ハッ、くだらねえな。毒なんざ消化すりゃあいいだろうが」
BJ「そんなことできるのは殺し屋の家系で育ったキミだけでショ…」
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人喰い「で、それがどうしたんだ?」
BJ「…ムカついてるんだヨ…ヤミとは一度魔界で戦って負けてるんだ。今回はそのリベンジができると思って楽しみにしてたのに…」
ミカ「あ…?まさかその犯人探しを手伝えっつうんじゃねえだろうな」
BJ「そういうコト」
ミカ「ざけんな。なんでオレらがテメエの言いなりにならなきゃいけねえ」
BJ「もちろんタダでとは言わないサ。そうだナ…手伝ってくれたら、あのネスたちを倒すのに協力するヨ。三対二なら楽勝でショ」
ミカ「いらねえよ。別にあんな奴ら、オレ一人でも殺れる。めんどくせえから逃げてるだけだ」
BJ「あっそ…軍曹は?」
人喰い「くく…俺はその条件でいいぜ。アイツの肉はずっと喰いたいと思ってたんだ…ジュル…」
BJ「交渉成立だネ。それじゃ行こうか」
人喰い「当てはあんのか?」
BJ「まあネ。昨日ヤミの体から採取した毒の成分を転校生に分析させたんだケド…使われてたのは魔界の毒だったんだ」
人喰い「魔界の毒?魔界はもう存在しないんじゃないのかよ」
CPUトナメが始まる少し前、世界は人界・魔界・天界の三つに分かれていた。
しかし全能神の力を手に入れたとある男の暴走により、世界は統一されたのだ。
人や神や天使や魔族が、こうして一つの世界に暮らしているのはその為だ。
BJ「うん。でも魔界出身ならそれを持ってるヤツもいるかもしれないし、自分で調合して毒を作ったのかもしれない」
人喰い「つまり…犯人は魔の一族の誰かってことか」
BJ「の可能性が高いネ」
ミカ「オイ、だったら話は変わってくるぜ」
BJ「ん?」
協力を拒んだはずの味方殺しが口を挟む。
ミカ「魔界の毒だと?ハッ、そんなモン、気になるじゃねえか。オレの殺しのバリエーションも増えるってモンだ」
BJ「じゃあ…」
ミカ「ああ。手伝わせてもらうぜ。ただし犯人からその毒の作り方を訊きだすまでだ」
BJ「フフ、ありがとうミカ」
味方殺しという職業柄、未知の知識や技術に対しては興味を示さずにはいられないようだ。
ミカ「で、まずはどこに行く?」
BJ「怪しいのは内藤だネ。ヤミによれば説明会でエージェントがジュースを配ってた時、アイツだけはそれを拒否してたらしいんだ」
人喰い「しかしあの巨体が、バレずに毒を仕込むなんて器用な真似できるか?一瞬でバレるだろそんなモン」
BJ「僕もそう思うケド、何かの手掛かりは見つかるかもしれない。内藤んトコにはアルベルトもいるはずだし」
ミカ「そうだな。魔の一族に限らずあの町にゃファイターも多い。何か知ってるヤツがいてもおかしくないだろうぜ」
人喰い「なるほどな」
それからピカチュウ三人組は、ダーク内藤たちの住む町へと向かった。
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その頃、昼間の召喚士たちは、三手に分かれて聞き込みを行っていた。
昼間「私の方はまだ手掛かりはありません。そちらはどうですか?」
歩く『こちらも今のところありません』
下目『コッチもダメだね。チッ…使えないヤツら…』
昼間「なんか言いました?」
下目『は?気のせいでしょ』
三人は魔力によって"念話"を使い、連絡を取っている。
昼間「少し場所を変えてみますか?」
歩く『そうですね。僕はもう少し西の方へ行ってみます』
下目『じゃあ僕も適当に場所変えとくよ。んじゃまた後で』
プツッ
昼間「ふぅ…それじゃあ私はあちらの方で聞き込みを再開しましょうかね」
召喚士が場所を移そうとしたその時。
ドォォォン!!!!
昼間「!?」
遠くで轟音が響いた。
その方向を見ると、白い煙が上がっている。
昼間「あれは下目使いの向かった方向…!馬鹿か私は…!二人がいればヤツを止められるなんて言っておいて、分かれちゃ意味ないじゃないか…!」
パチンッ!
召喚士は指を鳴らして空間移動魔法を使い、すぐに下目使いのところへ飛んだ。
歩く「召喚士さん!」
そこには天下無敵もすでに駆けつけていた。
昼間「天下無敵さん!すみません、軽率でした…!下目使いから目を離してはいけないと分かっていたはずなのに…」
歩く「いえ、僕も同じですから…それよりも…!」
二人は辺りを見回して、下目使いを探す。
辺りは白い煙で視界がほとんど塞がれていたが、魔力を感知できる二人はすぐに下目使いの姿を捉えた。
下目「ちっ…」
昼間「下目使い!」
歩く「一体何のつもりだ!今の音は一体…」
下目「僕じゃない。アイツの仕業だ」
歩く「え?」
二人は下目使いが指す方向を見る。
昼間「あ、あれは…!」
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奇跡「きゃは☆どうしたのみんな、こんなところで♪」
歩く「奇跡のヨシオさん…!?」
そこには青プリンの奇跡のヨシオが立っていた。
昼間「どうしたのって、こっちのセリフですよ…一体何をしてるんです?」
奇跡「いや〜それがね、奇跡ちゃん今回出られないでしょ?だから、もっとアピールしないと!って思ってぇ、ここで奇跡ちゃん的スペシャルフルコースを披露してるの♪」
昼間「ス、スペシャルフルコース…?」
奇跡「要するにぃ、すごい技のことだよぉ♪きゃはっ☆」
歩く「確かに凄い音がしてましたけど…それにこの煙も…一体どんな技を…」
奇跡「"はたく"だよぉ♪そしたらちょっとやりすぎちゃって、風船が破裂しちゃったの☆」
下目「要はでかい風船をサンドバッグにしてたんだよ、コイツ。さっきのはそれが割れた音。この煙はその中のガス」
歩く「そ…そうだったんですね」
下目「まったく…なんなんだよ。こんなところで誰にアピールするっていうんだ」
奇跡「会場の近くだしぃ、運営の人の目に止まるかなって思ってぇ。ちなみに許可は取ってあるよぉ♪奇跡ちゃんその辺はしっかりしてるから☆」
下目「もうトナメ表発表されてるし無駄だっつーの…」
奇跡「それでも次回に呼ばれるかもでしょ?奇跡ちゃんは諦めないのだ!諦めなければ奇跡は起こせるからね♪きゃはっ☆」
奇跡のヨシオは、にいっと笑う。
昼間「はあ…驚かせないでくださいよ。近隣住民の方にも迷惑が掛かりますし…アピールするにしても、常識の範囲内でお願いしますね…」
奇跡「はぁ〜い♪」
歩く「ちなみにそのアピールというのはいつから?」
奇跡「えっとぉ、一週間前から毎日やってるよぉ♪きゃは☆頑張り屋さんで思わずトナメに出したくなっちゃうでしょ?」
歩く「…ということは、説明会の日にもここにいたということになりますね」
奇跡「そうそう!新人のみんな、張り切ってたよぉ♪」
歩く「会ったんですか?」
奇跡「ううん、見かけただけだよ。奇跡ちゃんはアピールで忙しかったしネ♪」
昼間「そうですか。それで、他に怪しい人物などは見ませんでしたか?」
奇跡「怪しい人物…?あ!そういえば新人の子たちが来る前に、会場からマグヌスくんが出て行くのを見たよ!」
歩く「マグヌスくんが…!?」
昼間「まさか…」
下目「ふぅん…もう犯人決定だろ。アイツならやりそうだ」
昼間「ま、待ってください!いくらマグヌスくんと言えど……いや、ないとも言い切れませんが…」
歩く「とりあえず、話を聞いてみませんか?」
昼間「そう、ですね……奇跡さん、ありがとうございました」
奇跡「きゃはっ☆困った時はお互い様だよネ♪」
それから三人は空間移動で魔法学校へと飛んだ。
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魔法学校では。
コテツ「せんせー、だいじょうぶかなぁ」
チェン「きっとすぐ良くなるよ!召喚士さんもいるんだし!」
インテリ「ですね。コテツはそんなことより自分の特訓に集中したほうがいいです。弱いんですから」
幼き弟「そうだねぇ。僕からしたらコテツくんも十分すごいけど。トナメ選手はレベル高いからねぇ」
ナウいコテツ、チェントゥリオーネと共に廊下を歩きながら話しているのは、緑ヨッシーの嵐のインテリと、ピンクカービィの幼き弟である。
ソーセージ「僕たちは今回出られないからな。お前たちが頑張ってくれなきゃ怒るぞ」
幼き弟の股間からニュルリと顔を出したのは、幼き弟のソーセージ。
コテツ「う、うん!わかってるよ!」
チェン「私も先生の代わりに出なきゃだから、一緒に特訓しよ!」
コテツ「うん!」
暴力「こらーっ!!待ちなさーーい!!」
マグヌス「わはははは!追いかけてこい!」
ドドドドド!!
四人の後ろから走ってきたのは、邪心マグヌスと、それを追う緑ピカチュウの暴力委員長だった。
チェン「こらっ!二人とも廊下は走らない!」
暴力「はっ!!僕としたことがっ!!」
キキィィィッ!
暴力委員長は急ブレーキを掛けるが。
マグヌス「わははは!!てんさいてんさいてんさーーい!!」
マグヌスはそのまま駆け抜けていった。
暴力「あ!こら!止まりなさーーい!!…はあ…まったくもう…」
幼き弟「委員長も大変だね…」
インテリ「今日は何をしでかしたんですか?マグヌスのやつ」
暴力「魔道具庫の整理中に突然乱入してきて、魔道具を勝手に使用した挙げ句、ブッ壊しやがりました…」
ソーセージ「おいおい…最近更に酷くなってないか?」
チェン「確かに…」
インテリ「第三回での敗戦がよほどショックだったんでしょう。僕たちからすれば好成績でしたけど、あいつはずっと納得いってないって顔してましたからね…しかも四回、五回と出場できず、行き場のないモヤモヤをこうやって発散してるのかもしれません」
暴力「なるほど…でもだからって許すわけにはいきませんっ!」
インテリ「それはそうです」
ソーセージ「ま、あれだけ勝手してりゃいつか天罰が下るだろうさ」
インテリ「天界はもうないですけどね…」
コテツ「そういえば、マグヌスくんも第六回にでることになったんだよね?」
幼き弟「え?ライムライトくんが出るんじゃないの?」
チェン「ライムライトくんも先生と一緒で、毒にやられちゃったみたいなの」
幼き弟「そうなんだ…」
-
インテリ「…まさか…」
コテツ「ん?どうしたのインテリくん」
インテリ「…いえ…」
ソーセージ「…マグヌスが毒を仕込んだかもしれないって思ったんだろ?」
チェン「えぇ!?」
インテリ「はい…でもいくらマグヌスとはいえ毒なんて…考えすぎでしょう」
ソーセージ「さっき言ったように第三回での心残りがあるんだとしたら、動機はある。ライムライトを潰せば、自分が出れるかもしれないからな。実際そうなったようだし」
幼き弟「ひどいよソーセージ!マグヌスくんがそんなことするわけ……わけ…なくもないけど…」
インテリ「日頃の行いのせいですね」
暴力「自業自得ですっ!しかし決めつけるのもよくありません。マグヌスくんをとっ捕まえて、問いただしましょう!」
コテツ「さんせー!」
インテリ「いやだからコテツは自分の特訓に専念しろと言ってるでしょう…こっちは僕たちに任せてください」
コテツ「えー!」
チェン「コテツくん、私と特訓しよ!私も急に参戦が決まったから、急いで仕上げないと!」
コテツ「あ、うん!わかった!」
チェントゥリオーネとコテツは特訓のため修練場へと向かう。
ソーセージ「よし、そんじゃ僕たちはマグヌスを追うぜ!」
暴力「はい!」
そして暴力委員長、インテリ、幼き弟たちはマグヌスを追った。
-
マグヌスは校舎裏に出て、リュックからバナナのような形をした何かを取り出していた。
マグヌス「くっくっく…これはつまらなそうだから、アイツにはつかわないでやろう」
そこへ。
バババッ!!
昼間「マグヌスくん!」
トナメ会場から移動してきた昼間の召喚士たち三人が現れる。
マグヌス「ちっ、おもしろいヤツがきたな」
昼間「!! それは…魔導バナナ!」
歩く「魔導バナナ…?」
昼間「危険な禁止魔道具です!魔道具庫の禁止エリアから盗んだのですか!?」
マグヌス「ふん、あんなだれでもはいれるとこにおいとくからだ」
昼間「いや多重封印魔法を掛けてある筈ですが…」
歩く「マグヌスくん…相変わらずのようですね…」
下目「どうでもいい。会場で毒を仕込んだのはお前か?」
マグヌス「ドク?なんのことだ。ボクはなにもしらん」
下目「とぼけるなよ。本当のことを言わないなら叩き潰す」
下目使いはハンマーを取り出して言う。
マグヌス「ほんとのことしかいってないわ。うまれてこのかたウソなんかついたことないわ」
下目「は?」
昼間「…ではあの日なぜ会場に?奇跡さんが君を見たと証言しています」
マグヌス「は?よびだされたからいっただけだ」
昼間「呼び出された…?一体誰に…」
マグヌス「へんなこえだ」
昼間「声…念話のようなもので呼び出されたということですか?」
マグヌス「ああ」
下目「ふん、嘘だな。こんな捻くれたガキが呼び出されたからといって素直に従うわけがない」
マグヌス「は?」
歩く「落ち着いてください下目使いさん。結論を急いてはいけません。マグヌスくん、それで、会場では何を…」
マグヌス「わはははは!」
ムリッ!
マグヌスは魔導バナナの皮を剥いた。
昼間「!? まずいっ!」
歩く「な、何なんですかあれは…!?」
昼間「魔導バナナは皮を剥くことで強力な魔力アロマを発生させる魔道具です!!そのアロマを嗅ぐと、強い魔力を持つ者は暴走してしまう!!」
歩く「なっ!?」
下目「ちっ、どっちにせよこいつはとっとと潰すべきだったんだ」
ダッ!
下目使いはそう言ってハンマーを担いで、マグヌスに飛びかかる。
マグヌス「くっくっく…」
マグヌスはニヤリと笑った。
ドゴォッ!!!!
ハンマーはそのまま勢いよく振り下ろされ、轟音とともに土煙が舞う。
-
下目「…!?」
が、その下にいたのはマグヌスではなく。
ISAMI「グオオオオオオオッ!!!!」
青いドンキー、†KONDOUISAMI†であった。
昼間「ISAMIさん…!この雄叫び…!完全に正気を失っています…!」
歩く「魔力アロマを嗅いでしまったのか…!」
マグヌスに集中していた三人の後ろで、ISAMIが通りかかったのをマグヌスだけは気づいていたのだ。
昼間「暴走した者は魔導バナナの所持者に忠実なしもべとなる…!そして内蔵された魔力が尽きるまで、暴走は止まりません…!」
歩く「なっ…!!」
下目「でも所詮コイツは一触即死のザコだろ。すぐに退かしてやる」
昼間「違う!彼は唯一、我々のレベルと一触即死のレベルを自由に行き来できる存在です!第六回大会にも参戦が決まっている実力の持ち主です!」
ISAMI「グォォォオッ!!」
ズドォッ!!
下目「くっ!?」
シュタタタッ
ISAMIの繰り出した攻撃を下目使いは間一髪かわした。
昼間「手ごわい相手です…油断はできません!」
下目「ちっ…」
マグヌス「じゃあなてんさいども!わはははは!」
昼間「あ!待ちなさい!」
ザッ!!
インテリ「見つけましたよマグヌス!」
暴力「いい加減にしなさーい!!」
マグヌス「またおもしろいのがきたな…」
インテリ、暴力委員長、幼き弟たちがマグヌスの前を立ち塞いだ。
昼間「皆さん!」
インテリ「マグヌスは僕たちに任せてください!召喚士さんたちは、ISAMI先生を!」
昼間「分かりました!」
-
マグヌス「はあ?そんなにんずうでボクをとめるとか、ムリだろ」
幼き弟「やってみなくちゃわからないよ!いけっ、ソーセージ!」
ソーセージ「おう!」
ギンッ!!
幼き弟の股間からソーセージがそそり立ち、マグヌスへと飛びかかる。
マグヌス「よゆー」
ひょいっ
とマグヌスはそれをかわす。
インテリ「はあっ!」
その上から、嵐のインテリがヒップドロップを繰り出す。
マグヌス「ふん!」
バゴッ!!
マグヌスは頭突きでそれを弾き返した。
インテリ「ぐわっ!」
暴力「ピカァ!!」
バチバチッ!!
マグヌス「くっ!」
暴力委員長の電撃がマグヌスをとらえ、動きを止める。
ソーセージ「とぅ!」
ドゴッ!!
そしてソーセージのキックがマグヌスの背中に炸裂した。
マグヌス「うぼぉ!!」
さらに、吹っ飛ばされた先にはインテリが構えていた。
インテリ「はっ!!」
バガァン!!
マグヌス「ぐフッ!!」
インテリの頭突きがマグヌスの腹に直撃。
インテリ「全く…舐めすぎですよマグヌス!僕たちだってトナメ選手なんだ。三対一で敵うわけないでしょう」
マグヌス「ぐ…」
-
ドシャッ!!
マグヌス「!!」
膝をついたマグヌスの横に、ISAMIが吹っ飛んできた。
ISAMI「グ…グゴォ…」
ISAMIの体には光の鎖のようなものが巻きつけられ、動きを封じられている。
昼間「こちらも終わりました。さあマグヌスくん、詳しい話を聞かせてもらいましょうか」
六人がマグヌスを取り囲む。
マグヌス「ちっ、よってたかって…こんなコドモをいじめて、ずいぶんたのしそうだな」
暴力「好き放題やっといて何言ってるんですかー!」
ばちーん!!
マグヌス「ブッ!」
暴力委員長のビンタがマグヌスの頬に炸裂する。
インテリ「まったく…楽しいわけないでしょう…」
歩く「聞かせてください。あの日何があったのか」
マグヌス「…くそ……あのこえが、かいじょうにきたらおもしろいものがあるっていうからいっただけだ…でもだれもいなかったんだよ」
昼間「誰もいなかった…?ではその声の主は一体…」
マグヌス「しらん。おかしももらえなかった。それでだまされたとおもって、かえった。オワリ」
下目「はあ?今適当に考えただろ。やっぱりコイツが犯人だ。間違いない」
歩く「ま、待ってください!ウソだとしたら、こんなバレバレのウソをつくとは思えません!」
幼き弟「たしかに…マグヌスくん、バカだけど悪知恵は働くからね…厄介なことに…」
マグヌス「は?」
昼間「本当にそれだけなんですね?」
マグヌス「そうだ」
-
昼間「……分かりました。とりあえず保留にしておきましょう」
下目「はあ!?明らかに怪しいだろ!」
昼間「いえ、彼の言うことは本当ですよ」
下目「は?」
昼間「実は最初に質問する前の段階で、自白の魔法を掛けていましたから。彼は今ウソをつけないのです」
マグヌス「なに!?」
歩く「いつの間に…」
下目「…ちっ」
下目使いは不満げにハンマーを収めた。
昼間「しかし…その声の主はおそらくマグヌスくんを犯人に仕立て上げようとしたのでしょうが、手がかりが無さすぎる…振り出しに戻ってしまいましたね…」
歩く「とはいえ念話を使える人物となると、少しは絞れそうですね!」
下目「人間どもで念話ができるのはお前ら魔法使いくらいだろ」
インテリ「…ということは、魔の一族の仕業かもしれませんね」
下目「何?」
昼間「はい。下目使いさん、何か心当たりはありませんか?」
下目「ないよ。ないからこうしてお前たちなんかに協力してるんだろ…」
昼間「…それもそうか…」
歩く「困りましたね…とりあえずアルベルトさんたち辺りに訊いてみましょうか」
昼間「そうですね。行きましょう。インテリくんたちは、マグヌスくんをお願いします。ISAMIさんはその光の捕縛縄で魔力を吸収していますから、じきに正気に戻るはずです」
インテリ「わ、わかりました!」
暴力「任せてください!」
幼き弟「先生も、気をつけてね!」
昼間「ありがとうございます。行ってきます」
-
とある町。
ビルが建ち並ぶ都会で、多くの人々、多くの種族が暮らしている。
極道の事務所が偏在し、抗争が後を絶たないことから、極道の町とも呼ばれる。
片割れ「おうおうテメェら何の用件やコラ」
緑ピカチュウの極道の片割れが、三人のピカチュウと対峙する。
BJ「キミは確か…」
ミカ「片割れだな。この町で一番でかい事務所の若頭だったか」
人喰い「お前に用はねえよ。どけ」
片割れ「んな訳にいくかいボケ!この辺りはウチの組の縄張りや!テメェらみたいなのが踏み込んでいい領域とちゃうねん、魔族に殺し屋に殺人鬼!」
BJ「よく知らないケド、ヤクザも似たようなモンじゃないノ?」
片割れ「ちゃうわ!」
ミカ「軍曹はともかく、オレは依頼にないヤツを無闇やたらに殺すような快楽殺人者じゃねえよ」
人喰い「あぁ?俺だって喰いモンは選ぶっつうの。旨そうなヤツ以外には興味ねえさ」
片割れ「ええから用件を言えや!」
BJ「内藤に訊きたいことがあってネ。この町に住んでるんでショ?」
片割れ「内藤に?ったくしゃぁないのう。ちょっと待っとけ」
片割れはそう言うとスマホを取り出す。
プルルルル… ピッ
アルベ『アルベルトだ。どうした?』
電話の相手は魔の一族の黒ドンキー、疑惑の恋人アルベルト。
かつて戦いの中で片割れたちと交友関係を築き、今ではすっかりこの町に馴染んでいる。
片割れ「おうアルベルト。BJとその仲間たちが内藤に用があるみたいでな」
ミカ「誰が仲間たちだ」
アルベ『分かった。代わろう』
片割れ「おう、すまんな」
そして。
内藤『内藤だ。何の用だ?』
ダーク内藤はアルベルトと同棲中なのである。
ちなみに魔界でも同棲していた。
BJ「知ってると思うケド、次のトナメの参加者が何人か、説明会の時に毒を盛られてるんだ。魔界の毒をネ」
内藤『毒だと…?なるほどな。それで参加者が変わっていたのか』
ミカ「お前もその場にいたんだろ?何か知らねえか?」
内藤『フン、知らんな』
BJ「ヤミの話じゃ内藤だけジュースを飲んでなかったそうだケド」
内藤『この俺を疑っているのか?フン!見当違いも甚だしいな!まったく、下らんことに時間を使わせおって!』
ブツッ! ツーツーツー…
BJ「あ…切られた…」
-
人喰い「何か隠してるんじゃねえのか?」
BJ「そんな器用なヤツじゃないヨ…あの感じはたぶんホントに知らないんだ」
ミカ「ケッ、そんな曖昧な主観でよく信じられるな。敵なんかどこに潜んでるか分からねえぜ。俺だって同じ組織に五年潜入してたこともあるんだ」
BJ「…マァ、魔界でもそんなに親しかったワケでもないし…そう言われると確かに怪しい、気もする…」
ミカ「煮え切らねえな。ったく、いつもお前はどっか甘いんだよな。少なくとも会場にいたアイツなら、オレらの知らない何らかの情報は持ってる筈だ」
片割れ「ちょい待てや!町ン中にゃ入らせんぞ!」
人喰い「あァ?」
ミカ「めんどくせぇ。突破するぞ」
BJ「うん」
バチバチバチバチ…
三人は同時に戦闘態勢となり、放電を始める。
片割れ「ちょちょちょ待てってお前ら!電話繋いだったのに何考えとんねんアホが!」
ミカ「知るかよ」
ドゴォオオッ!!
上空から三本のかみなりが降り注いだ。
プスプス…
片割れ「お…覚えとけよお前ら…」
ガクッ…
片割れを倒し、三人はダーク内藤を探して町へと入った。
-
とあるビルの一室では。
内藤「フン…失礼な奴らだ。そもそも毒など盛ってこの俺に何の得があると言うのだ…」
アルベ「まあそう怒るな内藤。彼らも必死なのだろう。同じピカチュウ族のヤミノツルギも毒にやられたのだから」
内藤「あのクズどもに仲間意識などある訳がなかろう。下らん」
ピンポーン
アルベ「む、誰だ?まさかさっきの三人…」
アルベルトは玄関へ行き、ドアを開ける。
ガチャッ
昼間「こんにちはアルベルトさん」
アルベ「召喚士、天下無敵…それに下目使い?珍しい組み合わせだな」
下目「ふん」
アルベ「一体どうした?」
昼間「ダーク内藤さんはいますか?ダーク内藤さんに、二日前の説明会について話をお訊きしたいのです」
アルベ「…ああ、その話か。さっきBJたちからも訊かれたところだ。だが残念ながら内藤は何も知らん」
下目「だろうね。アイツ馬鹿だし」
アルベ「それに今は、疑われて拗ねてしまっているんだ。どっちにしろ質問に答えてはくれまい。そっとしておいてやってくれ」
昼間「そうですか…何か少しでも情報があればと思ったのですが…」
バリィィン!!!
歩く「!! な、何が…!」
部屋の奥からの音に四人は駆けつける。
内藤「貴様ら何のつもりだ!」
人喰い「テメェが何か隠してるんじゃねえかと踏んでな。悪いが力尽くで吐かさせてもらうぜ」
そこには窓を割って侵入してきたピカチュウ 三人組が立っていた。
歩く「人喰い軍曹!味方殺し!」
ミカ「あぁ?チッ…面倒なのがいやがる」
二人は目が合うやいなや、臨戦態勢をとる。
-
昼間「ストップ!こんなところで戦えば周りにも被害が出ます!ここは一旦落ち着いて!」
歩く「…!すみません…」
ミカ「…ケッ…」
人喰い「ったく、血の気の多い奴らだぜ」
ミカ「お前だけには言われたくねえよ」
BJ「で、どうなノ内藤」
内藤「…俺が何か隠しているだと?言ったはずだ。俺は何も知らんし、関係も無い」
昼間「私たちはあなたを疑っているわけではありません。会場で何か気付いたことがあればと思いまして…」
内藤「フン、無いわ!」
下目「ちっ、相変わらず使えない奴だ」
内藤「何だと!?」
BJ「…ってアレ?下目も一緒なノ?」
下目「ああ、うん。コイツらの魔法は犯人探しに使えると思ってね」
BJ「そっか。一昨日ヤミが倒れた後すぐ飛び出してったから、大丈夫かナって思ってたケド。そっちはそっちでちゃんと調べてたんだネ」
下目「まあね…」
下目使いは目を逸らす。
ちなみに召喚士たちと合流するまで下目使いはあてもなく彷徨っていた。
相当頭に血が昇っていたようだ。
昼間「内藤さん、アルベルトさん、ありがとうございました。他を当たってみます」
アルベ「ああ。力になれずすまないな」
歩く「次はどうします?召喚士さん」
昼間「そうですね…聴牌さんなら何か覚えているかもしれません。彼女の観察力はズバ抜けていますし」
歩く「なるほど」
昼間「行きましょう下目使いさん」
下目「うん。お前たちはどうする?」
下目使いはピカチュウ三人に目を向ける。
BJ「…コッチはコッチでやらせてもらうヨ」
下目「そっか。まあ何か分かったら念話で連絡してよ」
BJ「オッケー。ソッチも頑張ってネ」
シュパッ
召喚士たちはまた空間移動で消えた。
人喰い「…いいのかよ?こっちはもうアテなんかないぜ?」
BJ「いや、説明会に来てたヤツらは他にもいるでショ。第六回の新人の中で、頭のキレるヤツを一人知ってるんだ」
ミカ「誰だ?」
BJ「…勇者ヨシオ。かつて僕を、倒した男だヨ」
-
ヨシオ族の里。
勇者「へっくち!」
無垢「勇者くんどうしたの?風邪?」
勇者「うーん…誰かが噂してるのかも」
勇者と無垢の二人は、広場で特訓していた。
鳴りやま「ワハハハ!!まあ噂にもなろうよ!!あの戦いで大活躍した伝説の勇者こと勇者ヨシオがCPUトナメに参戦するとあっちゃあな!!そもそもなんで勇者より先に奇跡が参戦するのか不思議なくらいだったがな!!」
上機嫌に早口で話すのは、緑プリンの鳴りやまぬヨシオ。
二人の特訓を見学していたのだ。
勇者「伝説の勇者だなんてそんな…」
無垢「そういえば今日も奇跡さんは会場に行ってるの?」
鳴りやま「みたいだな!ま、頑張らねえと次回以降も勇者に出番を奪われちまうかもしれねえしな!!そういうイミじゃ俺もうかうかしてらんねえな!!無垢に負けないように特訓しねえとだ!!ハハハハ!!」
勇者「だったら見学してないで混ざりませんか?僕たちも同じ相手とばかりやっていたら動きがワンパターンになっちゃいますし。ね、無垢くん」
無垢「そうだねぇ。鳴りやまぬさん、いい?」
鳴りやま「おう!そういうことなら任せとけ!!先輩として胸を貸してやる!俺だってお前らにゃまだまだ負けねえぞ!!第三回じゃちょっと油断してクソビリになっちまったが、これでも一応殺意とも同世代なんだからな!!ダハハハハ!!さあ!どっちからやる!?」
無垢「はーい!僕からやりたい!」
鳴りやま「よっしゃ!!どっからでもかかってこいっ!!」
そして二人は手合わせを始めた。
勇者「ふぅ…今のうちにちょっと休憩しとこっと」
勇者ヨシオは近くのベンチに置いておいた水筒の水を飲みながら、空を見上げる。
勇者「今頃どこかで修行してるのかな…殺意さん。今度こそあなたに勝ってみせるよ…!」
-
その頃、神や天使たちの住む町・アルティライトタウンでは。
Dr.神様「久しぶりじゃのうおぬしたち。元気にしておったか?」
ファルコンフライヤーから降りてきたゲンとヒーローを、杖を持った茶色ドンキーのDr.神様が出迎える。
ゲン「はっはっは!もちろんだ!」
ヒーロー「神様たち、今日はお願いがあって来たんだ」
㌧「ハートのうつわ、ですね?」
ヒーロー「!」
㌧とデロイもそこに歩いてきた。
デロイ「やあ二人とも!話は聞いてるよ。あの説明会で毒が盛られたんだってね」
ゲン「ああ!話が早いな!」
ヒーロー「頼む!力を貸してくれないか?」
㌧「…しかし残念ながらそれは不可能です。我々の神としての力は、三界の統一から徐々に失われています」
ヒーロー「何!?」
㌧「力の大元であるSEFIROSU様の御力が失われたのですから、当然の事ですが…」
デロイ「今僕たちにできるのはせいぜい小さな結界を張ることくらいだよ」
そう言ってデロイは掌の上にキューブ型の小さな結界を作って見せた。
Dr.神様「かつて呼び出していたアイテムは、神の力の凝縮によって形成しておった。今の儂らに、そこまでの力は残っておらん」
ヒーロー「そんな…」
ゲン「くっ…」
デロイ「わざわざ来てくれたのに、ごめんね二人とも」
ゲン「…いや、謝ることはないさ…悪いのは犯人だ。そう言えば、二人は犯人について何か心当たりはないか?㌧とデロイはあの会場にいたんだろう?」
㌧「それが、我々は魔の一族の二人に警戒する余り、周りを観察できていなかったんです…アルベルトさんと仲の良いダーク内藤はともかく、ヤミノツルギは今でも危険な存在ですからね……しかし逆に言えば、あの日あの二人に怪しい行動はありませんでしたよ」
ヒーロー「そうか…㌧さんがそう言うならそうなんだろうな。犯人は魔の一族ではない…だとすると、素性の知れないANAKINやYOODA、デューレンファングなんかが怪しいか…?」
ゲン「確かにな。特に、この俺を差し置いて参戦したデューレンファングとやらはとても怪しい!会ったこともないがな!はっはっは!」
Dr.神様「こらこら、推理に私情を挟むでない」
ゲン「はっはっは!」
ヒーロー「あれ?そう言えば彼女はいないのか?天使の聴牌と言ったか。彼女も今大会から参戦するんだったよな」
デロイ「今日は見てないなぁ」
㌧「彼女なら何か覚えているかも知れませんね。彼女の未来予知は、鋭い観察力と緻密な計算から導き出されるものですから」
ゲン「どこにいるか分からないのか?」
Dr.神様「さあのう…じゃが彼奴のことだ。どこかの雀荘に入り浸っておるかもしれぬ」
ヒーロー「雀荘か。ありがとう神様たち!とりあえず俺たちも色々調べてみるよ。召喚士たちが既に調査してるらしいが、俺たちは俺たちで出来ることをやろうと思う」
㌧「そうですか。お二人とも、お気を付けて」
デロイ「がんばってね!」
ゲン「ああ!応援ありがとう!はっはっは!」
そしてヒーローたちは天使の聴牌を探しに町へ繰り出した。
-
ヒーロー「しかし彼らは特に自主的に調査をしたりはしないんだな。少し意外だ」
マックス「神や天使は基本的に人間同士の戦いには干渉しないのさ」
ゲン「マックス!」
そこに現れたのは、巨大な体を持つ白ルイージの巨大天使マックスだ。
ヒーロー「なるほど。あくまで魔族から世界を守ることが使命という訳か」
ゲン「それに、彼らもようやくトナメに参戦が決まったんだ。特訓を無碍にするわけにはいかんだろう」
ヒーロー「そうだな。こういうのは俺たちの役目だ」
マックス「俺も協力させてもらうぞ。今大会はあのジイさんに出場権を取られちまったんでな」
ヒーロー「え?でも天使は干渉しないって今…」
マックス「ハハ、そうだな。かつてはそうだったんだ。天界があった頃はな。だが今は違う…世界は一つになって、俺たちももう立派にこの世界の住人だ。だったら干渉したって問題ねえハズさ。ま、あくまで俺個人の考えで、他の神様や天使たちがどう考えてるかは知らねえけどな」
ゲン「はっはっは!そうか!恩に切るぞマックス!」
マックス「気にすんな。やりたくてやるんだ。聴牌を探してるんだろ?アイツの行きつけの雀荘に案内するぜ。ついてきな」
ヒーロー「おお!」
二人はマックスについていった。
-
マックス「ここだ。ん?」
ヒーロー「ん?どうした?」
マックス「いや、あれは…」
マックスは出入り口付近にいる三人に気付いた。
昼間「あ、マックスさん!ゲンさんとヒーローさんも、お久しぶりですね」
ゲン「はっはっは!お前たちもこの村に来ていたのか!」
ヒーロー「みんなは第三回大会で会ってるだろうが、俺だけ本当に久しぶりだな…」
ゲン「はっはっは!」
下目「チッ…相変わらず無駄にデカいな。生意気な」
マックス「あ!?お前が小さすぎるんだろ!つうか下目使い、なんでお前がいるんだ!?」
下目「ふん」
歩く「実は、かくかくしかじかで…」
マックス「…へぇ。敵討ちか。魔の一族に仲間意識なんかあったんだな」
下目「は?」
ゲン「はっはっは!そんなことより中に入ろうか!聴牌がお待ちかねだぞ」
ヒーロー「いや、俺たちが勝手に来ただけだし、待ってはないと思うが」
六人は雀荘へと入った。
聴牌「お待ちしていましたよ」
ヒーロー「待ってたのかよ!」
聴牌「全ては見えていました。皆さんがここへ来ることも。そして…この事件の真相も」
ヒーロー「何!?」
歩く「全て分かっていると言うんですか…!?」
昼間「流石は聴牌さん…」
ゲン「しかし、それならもっと早く教えてくれれば…」
聴牌「我々天使は基本的に人間同士の戦いには関与しません。マックスさんから聞いたと思いますが」
マックス「ああ。確かにさっき言ったが…そんなことまで分かるのかよ。相変わらずすげえな」
ヒーロー「予知とかいうレベルを超えてるな…」
-
下目「人間同士?魔の一族も巻き込まれてるんだよ。早く教えろ。犯人は誰だ?」
聴牌「…今はまだ、教えることはできません」
下目「は?」
歩く「今はまだ…って、一体なぜ…」
聴牌「全ては第六回大会が終わってからにしましょう。それまでは一旦忘れてください。私もこれから特訓に行かなければなりません」
昼間「…何か考えあっての事なんですね?」
聴牌はその問いに無言で頷く。
昼間「…分かりました。皆さん、ここは一度引きましょう。その代わり大会が終わったら、必ず話してもらいますよ、聴牌さん」
聴牌「はい、勿論」
下目「ふざけるな。納得できるか」
昼間「!!」
下目使いはハンマーを取り出す。
が。
バババッ!!
周りの五人は一斉に下目使いを取り押さえた。
マックス「確かにお前は強えが、さすがにこんだけファイターがいる中で暴れられると思うなよ」
下目「ちっ…」
-
ヨシオ族の里では。
BJ「どきなヨ、死にたくなかったらネ」
仮面「そうはいかないプリ」
ピカチュウ三人組の前に立ちはだかったのは、桃色プリンのヨシオ仮面。
ヨシオ族が、ヨシオ族の仮面をつけている。
果たしてつける意味はあるのか。
人喰い「なかなか美味そうな匂いがするぜ、コイツ…じゅる…」
ミカ「お前が美味そうっつーなら、まあまあ強いのか。ヨシオ族のクセに」
BJ「フゥン…殺意とどっちが強いかナ。僕アイツにリベンジしなきゃいけないからネ…練習台になってもらおうか」
仮面「痛い目見るプリよ!帰った方がいいプリ!」
殺意「あんまり挑発するなヨシオ仮面。三人相手じゃいくらお前でも無理だ」
赤プリンの殺意のヨシオがそこに現れた。
ヨシオ族の突然変異とも呼ばれる最強のヨシオ族だ。
仮面「さっ…殺意先輩…!」
BJ「殺意ィ…!」
バチバチバチ…
BJは敵意を剥き出しにする。
仮面「コラ!殺意先輩に失礼プリ!」
ミカ「いや別に俺らの先輩じゃねえし…なんだコイツめんどくせえな」
殺意「悪いな。最近入った新入りなんだ」
ミカ「ヨシオ族に新入りとかあるのか…」
-
殺意「…で、何しに来たんだ?」
人喰い「知ってるかどうか知らねえが、第六回の説明会で毒が盛られたんだ。ヤミノツルギもやられた。で、その時現場にいた勇者に話が聞けねえかと思ってな」
殺意「…なるほどな。でもヨシオ族の里にはヨシオ族以外を入れちゃいけない決まりだ。呼んでくるからここで待っ…」
BJ「ちょっとタンマ。念話だ」
殺意「は?殺すぞ」
人喰い「物騒だなオイ…」
ミカ「だからお前が言うな」
下目『BJ、調査は中止だ」
BJ「ハァ!?」
下目『僕も納得はしてないけど…聴牌のヤツが何か知ってるらしい。大会が終わったら全部話すってさ』
BJ「今すぐ話せないノ?」
下目『知らないよ。なんか事情があるんだろ』
BJ「無理やり聞き出せヨ」
下目『ふん…できるんならやってるさ。でもここは神と天使どもの拠点だ。安易に暴れたりはできない』
BJ「…下目…キミ、丸くなったネ」
下目『は?』
BJ「フフ…まあいいヨ。了解した。またネ」
下目『ちっ…』
BJ「…というわけだから、調査は中止だヨ」
ミカ「いやどういう訳だよ」
人喰い「お前にしか聞こえてねえんだからちゃんと話せや」
BJ「ええ、めんどくさ…」
それからしぶしぶ念話の内容を話すBJであった。
そして。
殺意「BJ」
BJ「は?なんだヨ」
殺意「またいつか殺り合おう。お前との試合は楽しかった」
BJ「フン、その余裕いつまでもつかナ」
ピカチュウ三人組は去っていった。
-
それから。
三ヶ月と、少し後。
ゲン「はっはっは!あの決勝戦、すごい戦いだったな!」
ヒーロー「さすがは玄酔楼と言うべきか…そしてそれに一度は勝利し後一歩のところまで追い詰めた天才もまた、異次元の強さだった」
マックス「ああ、まさしく武を極めた者って感じだったぜ。次の俺の出番はいつになることやら…」
三人は聴牌の通う雀荘へと向かっていた。
その途中。
歩く「マックスさん、ゲンさん、ヒーローさん!」
昼間「こんにちは、御三方」
マックス「おう。天下無敵、召喚士。もう来てたのか」
下目「僕もいるっつーの」
マックス「げっ」
下目「なんだよ」
マックス「な、何でもねえよ…㌦ポッターやアマゾンは元気か?」
歩く「ええ。アマゾンくん、すっかり元気になって、今日は一人で特訓中ですよ。リハビリも兼ねて」
昼間「㌦も完全に回復しました。今ごろは授業中でしょう」
ゲン「はっはっは!そりゃあ良かった!ライムライトもバッチリ回復したぞ!」
ヒーロー「今日はポイゾネサスくんと遊んでいるんじゃないかな。ヤミノツルギの方はどうだ?」
下目「ふん、知らないよ。花の世話でもしてんじゃない」
マックス「要は回復したんだな。素直にそう言えよめんどくせえ…」
昼間「さあ、着きましたよ。中へ入りましょう。聴牌さんがお待ちです」
ヒーロー「ああ」
そして六人は雀荘へと入った。
-
昼間「聴牌さん、約束の日です。あの事件の真相について聞かせていただけますか?」
聴牌「…いいんですね?天下無敵さん」
歩く「え?はい…なぜ僕に確認…」
聴牌「…」
聴牌は少し言いづらそうに顔をそむけ、ふうっと溜息をついた。
下目「どうした?早く言え」
聴牌「…★グレイトアマゾン★さんですよ、犯人は」
歩く「……え?」
昼間「…な、何を言ってるんですか…!?アマゾンくんは被害者ですよ…!?」
聴牌「ええ。それが狙いです」
ヒーロー「犯人だとバレないように自分も巻き込んだということか?」
ゲン「そこまでして狙いたいヤツがいたのか…」
歩く「そんな!アマゾン君はそんなことをする子じゃありません!」
マックス「大体アイツがそこまで頭が回るとも思えないぜ、悪いけど…」
昼間「そもそも一体どうやって…」
聴牌「被害者の五人はあの時配られた二種類のジュースから、オレンジジュースを選択していた。そのジュースに、真っ先に近づいたのがアマゾンさんでした。その時に毒を混ぜたのでしょう」
歩く「た、たったそれだけの理由で疑って…!?」
聴牌「いえ。あの日、以前にアマゾンさんと話した時より、声の高さが僅かに高くなっていたのです。これは緊張から来たものでしょう」
昼間「多くの猛者が集まる会場です。緊張してもおかしくないと思いますが…」
聴牌「彼はその程度で緊張する人ではないですよ。それは天下無敵さんが一番よく分かっているはずです」
歩く「…」
聴牌「そして天下無敵さんのおっしゃった通り、彼は相手が凶悪な人物でもない限りは他人を傷つけるような人でもない。だからこそ緊張したのです。本当にこんな事をしてしまうのかという葛藤があったのでしょう」
ヒーロー「同じヒーローとして信じたくはないが……」
ゲン「だがしかしアマゾン少年の狙いとは一体誰だったんだ?」
-
聴牌「彼自身です」
昼間「え…!?」
歩く「ど……どういうことですか…?なぜそんな事をする必要が…!」
聴牌「分かりませんか?天下無敵さん。自分が出場すれば同じ青ネスである貴方が出場できない…ならば自分が出られなくなってしまえばいい。彼は貴方に強く心酔していますからね。そう考えてもおかしくありません」
歩く「……!!」
聴牌「貴方はアマゾンさんを強く応援していましたね。そんな貴方の気持ちを考えれば、アマゾンさんは辞退などできない。だからこの方法を取った」
マックス「じゃあ、みんなを巻き込んだのは?」
聴牌「天下無敵さんなら、アマゾンさんが自分で毒を飲んだりすればすぐに気付くでしょう。そうなれば責任を感じて出場を辞退してしまう。それを避けるため他者を巻き込み、一被害者を演じたのです」
ゲン「なるほど…だから大会が終わるまで真相を隠していたんだな?」
聴牌「はい。これを話せば結局天下無敵さんは責任を取って辞退したでしょう。私はその必要はないと考えました」
歩く「そ、そんな………ぼ……僕のせいで……」
天下無敵は頭を抱える。
昼間「無敵さん…」
歩く「アマゾン君の気持ちも考えず…僕は全力で応援してしまった…!僕が追い込んでしまったんだ…!」
ヒーロー「…気にするなとは言えない…だがそれは、愛ゆえだろう?少しすれ違ってしまっただけだ」
歩く「しかし…!」
ゲン「はっはっは!幸い一人の死者も出ていないし、後遺症などもない。それに彼はまだ子供だ。悪意もなかったんだ。きっと誠心誠意謝れば、みんな許してくれるさ」
歩く「…!」
昼間「そうですね…誰にでも失敗はあります。その反省をして子供は大人になっていくんです。私も一人の師として、気持ちはよく分かります。でも貴方が落ち込んで塞ぎ込んでしまっても何も解決しませんよ。師も弟子とともに、成長していかなければね」
歩く「…はい……」
-
マックス「…あ!?おい、ちょっと待て!!下目のヤツがいねえぞ!?」
ゲン「何!?」
ヒーロー「まさか…!」
昼間「アマゾンくんが危ない…!!」
歩く「なっ…」
バチチチチッ!!
下目「ぎゃっ!!」
ヒーロー「!?」
ドサ!
下目使いが転がってきた。
聴牌「心配無用です。こうなることも予測済み。あらかじめ神様方に話し、外から結界を張ってもらっていました」
下目「ぐ…くそっ」
Dr.神様「すまんのう下目使い。仲間を傷付けられたおぬしの気持ちも分かるが、暴力はいかんな」
扉の外に杖を持ったDr.神様が立っていた。
下目「ふざけるな誰が仲間だ!だいたいファイターに向かって暴力がどうとか馬鹿馬鹿しい!」
Dr.神様「む…確かに…」
マックス「いやいや納得しないでくださいよ神様…」
歩く「…ごめんなさい」
歩く天下無敵は下目使いに向かって頭を下げた。
下目「は?」
歩く「僕の責任です。本当にごめんなさい」
下目「謝られても困るっつーの。お前には関係ない。アイツは潰す」
下目使いはハンマーを取り出す。
パチンッ!
昼間「やめなさい」
召喚士が指を鳴らすと同時に、下目使いのハンマーは召喚士の手元に渡っていた。
下目「ちっ、空間魔法か」
マックス「気にすることねえぞ天下無敵。魔族が人間たちに何したか忘れたわけじゃないだろ。因果応報ってんだこういうのは」
歩く「それでも…!今は関係ありません…僕の弟子が、人を傷付けてしまったのは事実…だから謝ります…ごめんなさい…!」
マックス「ったく…真面目っつうか頑固っつうか…」
ヒーロー「だが下目使いはそんなもので止まる相手じゃあない」
ゲン「はっはっは!まあここは俺たちに任せるといい!天下無敵、召喚士!君たちはアマゾン少年のところへ行くんだ!」
ばばばっ!!
下目「うわ!離せクズども!」
マックス、ヒーロー、ゲンの三人が下目使いを取り押さえる。
昼間「ありがとうございます。さあ、行きましょう天下無敵さん」
歩く「は、はい」
そして二人は空間移動でアマゾンの元へ飛んだ。
-
歩く「アマゾンくん」
アマゾン「あ!師匠!おかえりなさい!」
アマゾンは魔物を相手に特訓していた。
歩く「あの日…会場で毒を盛ったのはアマゾン君ですね…?」
アマゾン「え!?な、なんのことですか!?」
アマゾンは露骨に目を逸らし、滝のように汗を流す。
歩く「…そうなんですね」
アマゾン「……ご…ごめんなさいっ!!」
アマゾンはすごい勢いで土下座した。
歩く「アマゾン君…」
アマゾン「ぼく…師匠に大会に出てほしくて…!ごめんなさい!」
歩く「僕に謝っても仕方ないですよ。ついてきなさいアマゾン君。被害者の方々や、運営の方々に謝罪をしに行きます」
アマゾン「はい!!」
昼間(随分とあっさり白状しましたね…大会が終わったからでしょうか。まあこれで皆さんが許してくれれば、一件落着です)
BJ「ちょっと待ちなヨ」
歩く「!?」
ピカチュウ三人組が現れ、天下無敵とアマゾンの前を塞いだ。
ミカ「雀荘での話は全部盗聴させてもらったぜ」
人喰い「でもおかしいよなァ。重要なことを忘れてやがる」
昼間「重要なこと?」
ミカ「ケッ、馬鹿が。そのガキがどっから毒を手に入れたかに決まってんだろ」
昼間「!」
歩く「そういえば…アマゾン君」
天下無敵はアマゾンのほうを見る。
アマゾン「ゲイに教えてもらったんです…」
BJ「ゲイに…?」
緑ネスの綺麗なゲイ。
冷静で安定感のある戦法をとることで多くのファイターから一目置かれる、"魔の一族"の一人である。
アマゾン「まえにネス族であつまって合同訓練をしたんだ…師匠はいたから知ってると思うけど…それでゲイとなかよくなって、特訓につかえる魔物の呼び出し方とかも教えてもらったんだ。その時に…」
人喰い「クク、なるほどな。それで魔界の毒って訳か」
BJ「ゲイのヤツ、そんな事してたのか…」
アマゾン「…でも、ゲイはこんなに苦しい毒だなんて言ってなかった…意識は朦朧とするけどちょっと不思議な感覚になるだけだから大丈夫だって…でも調合をまちがえちゃったのかもしれない…」
-
ゲイ「いや、君は何もミスしていないよ」
ふわ…
すたっ!
突然上からゲイが現れ、天下無敵たちの前に着地した。
歩く「ゲイさん…!」
ゲイ「大会の出番が終わってから、僕も転校生とともに毒を調べたんだ。確かに毒は僕の教えた魔界のものだった」
人喰い「あ?じゃあお前とっくに犯人に気付いてたのか?」
ゲイ「まあね。だけど毒の一部がおかしな変化をしていてね」
昼間「変化…?」
ゲイ「フフ…僕も初めて見る現象さ。これはハッキリ言って、君たちの領分に近いかもね」
昼間「私たちの…というと、魔法ということですか?」
ゲイ「ああ。あの毒には規則的な魔力配列が、後から組まれていたんだ。魔の一族の魔力操作ではああはならない。アマゾンくんがやったのかとも考えたけれど、今の口振りからして違うようだし」
昼間「…だとすると…あの場にいた魔法使いは㌦のみ…一応コテツくんも魔法を習ってはいますが、使いこなすレベルには至っていません…しかし何にせよ二人がそんな事をする筈がないし、動機もない…」
歩く「魔法……まさかマグヌス君…?いや、そんな筈はないか…」
ミカ「なんであのガキが出てくるんだよ」
昼間「彼はあの日会場にいたみたいなんです。そう言えば変な声に呼び出されたと言っていましたね…」
アマゾン「呼び出された…?」
歩く「アマゾンくんが呼んだんじゃないんですか…?」
アマゾン「ち、ちがいます!呼んだりしてません…でもぼく、段取りを確認しようとおもって、ちょっと早く会場に行ったんです。そのとき、外から変な魔力を感じて、念話で、なにもないからこっちにくるなって言ったら逆にどんどん近づいてきて…」
歩く「…?マグヌスくんが言っていたのと違いますね…」
アマゾン「それでマグヌスに見つかって、やばいとおもって、持ってたお菓子をあげたんです…それから他のひとたちも来たから、マグヌスとはすぐわかれたんだけど…」
昼間「そんな馬鹿な…自白の魔法は確かに効いていた筈…」
歩く「…もし、自白魔法を無効化していたとしたら…?」
昼間「あ、あり得ませんよ…魔法の無効化は、同じ魔法で相殺するなど、不可能ではありませんが…あの子はまだまだ未熟…私の魔法を無効化などできよう筈もありません」
歩く「でも彼は、魔道具庫から魔道具を盗んでいましたよね…」
昼間「…!!」
BJ「なに。どうしたノ」
昼間「魔道具は道具自体に魔法が込められている…!持ち主の魔力とはほとんど無関係に力を発揮します…まさか…!」
-
その頃、魔法学校では。
幼き弟「いち、にー、さん…あれぇ?やっぱり一つ足りない…」
㌦ポッターと幼き弟が魔道具庫の整理をしていた。
㌦「どうかしたかい?」
幼き弟「あ、先生。この魔道具、リストには四つって書いてあるのに、三つしかないんです」
幼き弟はリストを手渡す。
㌦「なになに?これは、反転ランプか」
幼き弟「反転ランプって?」
㌦「このランプを擦ると魔法の煙が出るんだけど、それを吸い込むと、話す言葉が反転するんだ。たとえば熱いが冷たいになったりね」
暴力「あ!それマグヌスくんがこの前使ってたやつです!」
㌦「え!?」
たまたま魔道具庫の前を通りかかった暴力委員長が、ランプを見て言った。
暴力「第六回トナメの前です!あの時魔道具庫を整理してたらマグヌスくんが入ってきて、勝手に使ってました!でもランプから出てきた煙にびっくりしたのか、放り投げて壊しちゃったんです!」
幼き弟「あ〜!そう言えば魔道具壊しちゃったって言ってたね〜」
暴力「ごたごたがあって言うの忘れてました!ごめんなさい!」
㌦「そうだったんだ…ありがとう、大丈夫だよ。でもマグヌスくんは叱っておかないとね…幼き弟くん、少し離れるから、整理の続きを頼めるかい?」
幼き弟「はーい!」
暴力「僕も手伝いますね!マグヌスくんなら教室でインテリくんたちとケンカしてるころだと思います!」
㌦「はは…さすが委員長、みんなのことをよく見てるね。ありがとう。行ってくるよ」
そして㌦ポッターは教室へ向かった。
-
ガラッ!
㌦「マグヌスくんはいますか?」
コテツ「あ!せんせー!それがさっき急にとびだしていっちゃって…」
㌦「どこに行ったか分かりますか?」
インテリ「分かりません。でも早くしないとまずいです」
㌦「え?」
チェン「また何か企んでるみたいでした…!」
㌦「ふう…まったく…分かりました。すぐに探します」
昼間「私に任せてください」
㌦「うわあ!?召喚士さん!戻ってたんですか…」
昼間「ええ、たった今」
その後ろには天下無敵たちも一緒だ。
召喚士は魔法書を開き、校内全域を映し出した。
昼間「…いました!屋上です!飛びますよ」
パチンッ!
指を鳴らすと同時に、召喚士たちは屋上へ移動した。
-
㌦「マグヌスくん!」
マグヌス「…なんだ、もうきたのか。めんどくさいヤツらだ。くくく…」
マグヌスは爆弾のようなものを抱えていた。
昼間「何を企んでいるんです?」
マグヌス「これはこのまえのドクだ」
歩く「…!!やはり君が何かしたんですね…!」
マグヌス「わはははは!ボクはてんさいだぞ!マホウショとかいうのにかいてあったドクをシンカさせるマホウをかんぺきにおぼえた!」
ゲイ「毒の進化か…フフ、なるほどね」
昼間「禁断の書に載っている魔法です…!アマゾンくんに会ったとき、毒を進化させていたのか…!」
マグヌス「くっくっく!ボクはわるくないだろ!ソイツがドクをいれなきゃなにもおきなかったんだ!」
アマゾン「それは…そのとおりだ…」
歩く「でもなぜあの日会場に…?」
マグヌス「なんとなくだ!なにかおきたらおもしろいだろ!わははは!」
歩く「…偶然…」
ミカ「ハッ、違うな。アイツはそんな生温いヤツじゃねえ」
㌦「こうなると分かってたって言うのか…?」
BJ「そうじゃないでショ」
マグヌス「なにゴチャゴチャいってるんだ?わははは!まあいい!みんなドクをくらえ!」
昼間「やめなさい!」
パチンッ!
指を鳴らし、空間魔法を使おうとするが。
マグヌス「くくく!ムダだバカめ!ケッカイをはった!オマエのマホウはつかえないぞ!」
昼間「なっ…!?」
歩く「やめてくださいマグヌス君!僕とアマゾンくんと一緒に皆さんに謝りましょう!今ならまだ引き返せます!これ以上罪を重ねて何の意味があるんですか!」
マグヌス「わはははは!やだ!」
歩く「こんな事を続けてたら本当に一人になってしまいますよ!君にも家族や友達が…」
ミカ「ハッ、やめとけよ。説得なんざ無駄だ」
歩く「何…?」
-
ミカ「アイツは"邪心"マグヌスだ。前にアイツと組んだ時から思ってた。アイツは常に邪悪を振り撒いてる、純粋な悪だ」
人喰い「俺らと同類かと思ったが…ククク…ありゃもっとヤベエ何かだな。金の為に殺す、食う為に殺す、邪魔だから殺す、ただ殺したいから殺す。そんな軽いもんじゃねえ。あれに理由なんざねえんだ」
ミカ「お前らはもう気付いてるんじゃねえのか?教師ども。アレが止まれと言って止まるようなヤツだと思うか?」
昼間「それは…」
㌦「それを……それを止めるのが僕たち教師だっ!!」
ダッ!!
㌦ポッターはマグヌスに向かって走り出した。
マグヌス「くく、バカめ。もうおそい」
マグヌスは毒の爆弾を頭上に持ち上げ。
㌦「やめろーっ!!」
床に向かって叩きつける。
パシッ
マグヌス「え?」
爆弾は弾けなかった。
㌦「…な…何が…」
爆弾は宙に浮いていた。
そして次の瞬間マグヌスは消えた。
㌦「…何で僕たちこんなところにいるんでしょう?」
㌦ポッターと召喚士は顔を見合わせる。
歩く「…はっ!そうだ!謝りに来たんです!アマゾン君!」
アマゾン「あ、はい!㌦ポッターさん、本当にごめんなさい!!」
二人は勢いよく頭を下げる。
㌦「へ…?」
昼間「そうか…そうでしたね…」
㌦「えっと…どういう事ですか?」
アマゾン「あの日、毒を混ぜたのは僕なんです!!師匠に試合に出て欲しくて毒を混ぜたんです!!巻き込んでしまって本当にごめんなさい!!」
歩く「僕にも責任があります…!本当に申し訳ありませんでした…!!」
㌦「お、お二人とも落ち着いて…!大丈夫ですよ…大丈夫ですから…」
昼間「…しかし今一瞬…何かを忘れていたような…気のせいでしょうか…」
-
人喰い「デガワァ!!」
ドガァァァン!!!
歩く「うわっ!!」
アマゾン「な、なにするんだ!」
人喰い「じゅるっ…クククッ!そのガキが犯人なら丁度いいな!BJ!」
BJ「アァ、そうだネ。僕とキミの目的いっぺんに晴らせる」
昼間「はぁ…全く…学校内で暴れないでください」
パチンッ
BJ「うわっ!?」
人喰い「なっ…!」
BJと人喰い軍曹は一瞬で捕縛縄に縛られた。
ミカ「おいゲイ。毒の作り方、オレにも教えろよ」
ゲイ「ああ。良いけど、タダとはいかないね」
ミカ「ケッ、同族以外にゃ甘くねえってか。まあ良いさ。とりあえず交渉はこっから逃げた後でだ」
ゲイ「フフ…そうだね。彼はこの学校内じゃ無敵だ」
味方殺しと綺麗なゲイはすぐに魔法学校から姿を消した。
その後、BJと人喰い軍曹は召喚士によって魔法学校の地下牢に収監された。
天下無敵とアマゾンの二人は、毒で倒れた残り三人の元も訪れ、謝罪した。
ライムライトとシュバルツは快く二人を許したが、ヤミノツルギとはかなり拗れたのち、戦闘になった。
青ネス師弟と、下目使いとヤミノツルギのコンビの戦いはニュースにもなり、地元で話題になったが、激しい戦いゆえ誰も近寄れず、その勝敗は不明。
-
マグヌス「ここは…」
マグヌスは周りを見回す。
そこは薄いピンク色の霧が立ち込め、その他には何も無い、不思議な空間だった。
マグヌス「なにがおきた…」
そしてそこには一人の男が立っていた。
その右手には毒爆弾があった。
マグヌス「だれだオマエ…オマエがボクのじゃましたのか?」
???「フッ…」
男は微笑むと、爆弾をバスケットボールのように指先で回す。
するとやがて、爆弾は霧散した。
マグヌス「なんなんだ…オマエ…!」
???「幻想へようこそ…邪心マグヌス」
終
-
最後まで読んでくださったみなさまありがとうございます
というわけでマグヌスが誰かと邂逅を果たすお話でした
書いてて楽しかったです
もし気になった方がいましたら過去作もどうぞよろしくお願いします
それではまたどこかで!
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なんとなくしたらば開いたらリアタイ更新に出くわしました
とても面白かったです!
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面白かったです!勇者ヨシオの冒険の世界観めっちゃ好きです、次回作待ってます!
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