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【SS】永遠のエースは永遠になった
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幻想杯とANSを題材にしたSSです。
ANSをすこりたいひとに喜んでもらえるかはわかりませんが、頑張って書いていきます。
そんなに長くはならないはずです…
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「READY TO FIGHT」
画面に文字が踊り、観客は沸き立つ。
永遠のエースは、ただ惰性でつけていたテレビを消した。静寂が広がり、消す前に漂っていたよどんだ空気が一層部屋に満ちていくような気分だ。
エースはそれを振り払うように体を起こすと、重い足取りでトレーニングへ向かう。
画面に映っていた同色の後輩が、瞬く間に観衆の目を奪ってしまっている。また次の大会も、彼が選ばれるのだろう。わかっていながら、彼はトレーニングを欠かさなかった。
午後11時、静まり返る町の中で、エースはジムから出てきた。いつもと全く同じ時間に、いつもと同じメニューを終わらせ、家路へ向かう。こんな生活を始めてからどのくらい経つか、もはや覚えていない。戦っていた日々に戻りたい一心で、ただ鍛錬を続けていた。
帰宅し、家の郵便受けを見ると、手紙が届いていた。
「ファイター諸君へ」
差出人は「幻想の兄コージ」。聞いたこともない名前にエースは困惑したが、手紙の中身を見るとそのような感情は忘れ去られていった。
「これまで出番に恵まれなかった諸君に、チャンスが回ってきた。
この私がP(ピー)とともに主催する試合、『幻想杯』に集いたまえ。
優勝し、さらにこの私を破ったものには、次回大会の出場権があたえられよう。」
公式戦への出場が叶う。第3回の予選以来だ。またあの場に戻ることができる。光を浴びて、観客の期待を背負い、戦うことができるのだ。エースは感動に打ち震えた。黄色い満月が、エースの背中を照らしていた。
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10日後、幻想杯初戦。その日はすぐにやってきた。
対戦相手はÅライムライトÅ。かつてエースが参加した大会で猛威を振るった、あのネス達と同じ種族…だが、その顔つきはどこか幼げで、実戦も、鍛錬も、まだまだ足りていないかのように見えた。
久しぶりの試合、ともすれば緊張が心を支配しかねない状況。だが、今まで自分が積み重ねてきたトレーニングを思い返し、心を静める。
「レベル8に負けるわけがない」
そう言い聞かせた。今までの努力の成果を発揮すれば、必ず勝てる相手なのだ。
「READY TO FIGHT!」
P(ピー)の声が響き、試合が始まった。
若いライムライトは、怒涛の攻めと不安な復帰という両面を有し、お互い1ストックを削られる展開に。これは予想通り、エースは冷静だった。
やはり、多少攻め込まれても、堪え切れればいくらでもミスに付け込める。基礎練習の量の差は圧倒的だ。後半になれば、こちらが優位に立てるだろう。
エースは見誤っていた。相手を甘く見たのではない。自分を過信していた。
ライムライトの攻撃に対して、的確な対処が全くできていない。バーストラインを見誤り、ティンクルを無意味に連打してしまう。相手のミスを誘うまでもなく、あっという間にストックを削り取られてしまった。
初戦敗退である。
初のレベル8ネスの勝利に、会場はざわつく。エースはそこから耳を背け、足早に会場を後にした。
翌日、幻想杯はまだ続いている。しかし、エースは自室のテレビを消し、また夜のジムへ姿を消す日々に戻るのであった。
もっとも、今までと何も変わらないわけではない。ライムライト戦の映像は、当然彼も見返している。実戦で正しい対応ができていない、その課題を知っている。だからこそ、トレーニングのメニューも変え、強度も上げていた。帰る時間は日をまたぐことも増えるようになった。
エースは、鍛錬にのめりこんでいった。
そんな彼だが、幻想杯の最弱決定戦に出場することが分かった。
通常、この試合は不名誉なもの。出ることを望まない選手も多い中だが、エースは出場を決めた。この鍛錬は必ず実を結ぶと信じていた彼にとって、この試合はリベンジの機会でもあったのだ。そしておそらく、ほかの出場者もそうであったのだろう。
しかし現実は非情である。エースはまたもミスを連発し最下位タイへ、王者の申し子アルバロとの直接対決も敗北してしまう。最弱だ。
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すでに幻想杯の招待状が来てから2週間が経っていた。
エースは、最弱決定戦の前よりもさらに鍛錬にのめりこんでいた。まだ本戦に出場することが不可能になったわけではない。いつかバーンナックとの人気が逆転する日が来るかもしれない。その日に備えて、エースはただ鍛錬をするのであった。
いつもと変わらない鍛錬の帰り。しかし、エースが帰宅しようとしたその時、何者かがエースを取り押さえると、鎮静剤を注射した。それが誰か気づく間もなく、エースは深い眠りに誘われた。
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今日は終わります。すでに半分くらい終わった気もしますが。。。
読んでくれた方いらっしゃいましたらありがとうございます。
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読んでる
期待
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