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【SS】「聞きそびれた」

1 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 9dc3-f913) :2019/10/15(火) 00:33:53 OofPSMzc00
2次創作SSです。以下の注意点を読んだ上で、それでもいいよ!という方は暇つぶしにでも。

・短編です!(続くかも?)
・他SSや、なり垢と若干キャラ被りの可能性ありですが、オリジナル設定のためキャラ崩壊の可能性もあります
・紅きポイゾネサスくんとナザレンコが登場人物です
・本当は台本形式でやりたかったのですが、僕にはその才能がなかったので駄文が付いてきます


2 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 9dc3-f913) :2019/10/15(火) 00:35:01 OofPSMzc00


ある時。
一振りの剣と盾を携え、果てなき旅路の中で蔚然とした森林を進んでいた紅い青年は、突如として現れた次元の裂け目に身体が吸い込まれる。
目の前には、宇宙を連想させるような謎の空間が広がっている。
と思うや否や、どうやらそこには足場はないらしい。
異世界であるにも関わらず、重力というありふれた物理法則に従って絶叫とともに落下するという奇妙な状況に陥る。

??「…お前は…だ。せいぜい…するがいい」

落下する中で、正体不明の音声がぼんやりと紅い青年の脳内に響く。そして、紅い青年の左腕から根が生えるかのようにして正体不明の黒い腕輪が装着される。

ポイ「何者だ!?…これは、腕輪?くっ、外れない…!」

叫ぶ。その刹那、滝壺に飛び込んだような感覚を最後に、そこで一旦紅き青年の意識は途絶えた。
そして、曖昧模糊とした意識が次第にはっきりと「世界」を捉えていく。

ポイ「ここはもしかして!?…いや、何処だよ」

紅い青年は目の前に広がる光景を、つい先程まで自らが進んでいた森林だと誤認したが、直ぐに間違いであると気付く。

ポイ「明らかに景色が違う。俺がいた世界とは空気がまるで別物だ…。夢、というわけでもなさそうだし、とりあえず人を探してみよう」

適切に現状を認識した紅い青年は、情報を集めるために歩を進めることにした。
途中で何度か魔物に遭遇するが彼の敵ではなく、難なく斬り捨てていく。そうして森林を抜けると、そこは一面に広がる草原だった。心地良い風と開けた視界は、紅い青年の心を少しばかり落ち着かせる。
さらに進もうと草原に足を踏み入れようとした刹那。

??「もらったぁ!」
ポイ「!?」

後方からの敵意を感じ、紅い青年は持ち前の運動神経を活かして抜刀しつつ身を翻すと、首筋に「何か」が掠った感覚に戸惑う。
今まで体感したことのないものだったからだ。

ポイ「っ…君は…?」
??「俺はナザレンコ。戦芸人ナザレンコだ!この世界で最強の道化師の名前、よく覚えておきな!」

一挺の銃を携えた未知なる襲来者、赤みを帯びた狐の獣人のような姿をしている彼は、ナザレンコと名乗った。
その言葉に呼応するかのように、紅い青年の腕輪に赤字でCategory:Cと表示される。
どうやら、相対した者の何らかのステータスが表示される仕様らしい。

ポイ(この記号は…一体どういう意味だ?)
ポイ「ちょ!待って!何故君は、いきなり俺を襲うんだ!?」
ナザ「最強の道化師って言葉はスルーすんのかよっ!何でって、この世界では戦えばランクが上がって、一番上のランクになれば、神が何でも願いを一つ叶えてくれるんだぜ!そのために決まってるじゃねぇか!」

ナザレンコは俊敏な動きで熱線銃(ブラスター)を三連射して紅い青年を牽制する。
さらに、その身軽な身体を利用して紅い青年に急速に接近し、脚弾(レッグショット)を放つ。
それを肉眼で捉えていた紅い青年は、熱線の一射目と二射目を熱線を前転で回避し、三射目を盾で防ぐことに成功する。
そして、退魔剣(マスターソード)による一閃にてナザレンコの一撃を相殺しつつ驚愕する。

ポイ「え、願いが叶う!?」
ナザ「そうだ!…って、知らねぇのか?もしかしてお前、最近ここに来たばかりか?」

ナザレンコは銃を仕舞い動きを止める。敵意が無くなったことを感知した紅い青年も剣を鞘に納める。

ポイ「最近というより、ついさっき何者かに連れて来られたばかりだけどね。というか、正直言って分からないことばかりだから、良かったら色々教えてくれないか?」
ナザ「いいだろう。ただし、俺に勝ってからな。お前、名前は?」
ポイ「俺は、…ポイゾネサス。紅きポイゾネサスくんだ」
ナザ「紅きポイゾネサス、くん。随分と変わった名前だな。長いからポイゾネって呼ぶぜ。ふむふむ、来たばかりというのはどうやら本当らしいな。カテゴリーAだし」

紅い青年と同じように、ナザレンコの右腕にも黒い腕輪があった。
そこには、青字でCategory:Aと表示されている。

ポイ「好きに呼びなよ。それより、カテゴリーAって?」
ナザ「さっきも言ったが、俺が教えてやるよ。…この技を止められたら、な!」

ナザレンコへ未知のエネルギーが急速に集中していくのを感じる。次の瞬間、彼の身体は炎に包まれた。

ナザ「ファイアー!!」

炎を纏ったナザレンコは、そのまま紅い青年に突進する。そのスピードは疾く、回避は困難だった。
相対したのが紅い青年で無ければ、その突進が彼の最大にして最強の攻撃技、炎狐突進(ファイアフォックス)であると即座に気付き、対策することが出来たのかもしれない。
しかし、紅い青年には分かる筈もなく。

ポイ「ぐっ!?」

紅い青年は、数メートル先からの突進を盾の真正面で受け止める。
尋常ならざる力を受け、踏ん張る足が地面にめり込み、熱の影響で額には汗が滲む。

ナザ「この技を受け止めるとは、なかなかやるじゃねーか。だがいつまで保つかな?このまま降参してもいいんだぜ」
ポイ(って、あれ?もしかしてこれって…)
ポイ「よっ、と」

紅い青年は、力点を盾の中心部から左端へとずらすようにして盾ごと右横へ跳ぶ。
すると、ナザレンコは突進時の勢いを保ったまま、遥か彼方へ飛んでいった。

ナザ「ワーーーーーー!!」

見事な自爆っぷりである。


3 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 6d51-f913) :2019/10/15(火) 00:46:16 vITsSXEg00
見事に誤字ってしまった…。

熱線の一射目と二射目を熱線を前転で回避し→×
熱線の一射目と二射目を前転で回避し→◯

この技を止められたら→×
この技から逃れることが出来たら→◯


4 : ◆JFxYj/S602 (ラクラッペ e8f4-bd44) :2019/10/15(火) 01:07:02 TPiR4aCEMM
逆に台本形式じゃないと書けない勢なので地の文が書ける人が羨ましいです


5 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 43dd-f913) :2019/10/15(火) 01:27:04 Ts4r6v4E00
地の文と言っても間違いだらけで文才もないので、あたたかい目で見守ってやってくだせえ。
また誤字を発見、トホホ…。

身体が吸い込まれる→×
身体を吸い込まれてしまう→◯


6 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 9476-b9d3) :2019/10/15(火) 01:52:30 Anwk80v.00
ここで言うことじゃないんだろうが第8回の動画や当時のWikiのコメント見たときも思ったけどこのチームで優勝を成し遂げたわけでもないのにポインコくんだけいつまでも相方だの仲良しだのとコンビ扱いされすぎじゃねっていつも思う
ポインコくんじゃなくて単にポイゾネとナザレンコの二人が好きでこれを書いてるだけなのかもしれないけど


7 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ fe4f-f913) :2019/10/15(火) 02:26:27 9upbS9vI00
>>6
勿論ポインコくんも好きですが、ポイゾネとナザレンコはそれぞれ好きです。
なので、チームというよりライバルのような関係で考えてました。


8 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 6deb-f913) :2019/10/15(火) 03:29:44 9j31k0t.00
短編とか言いながら続くやつ。

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ポイ「…生き残れたけど、聞きそびれたな。追ってみるか」

紅い青年は、謎の獣人ナザレンコが自爆、もとい飛び去っていった方角へと歩き始める。
暫く歩くと、断崖絶壁が見えてきた。向こう岸まで数十メートル。

ポイ「俺のジャンプ力では届かないな。なら、こいつの出番だ!」

紅い青年は瞬間取寄(アポート)能力を所持しているのか、何処からともなく、鎖鉤飛突(フックショット)を取り出し、本体部の持ち手を握り締めて鉤を射出する。
さらに、鉤に連結されている鎖も、鉤が進むと伴に本体部から伸びていく。
暫くすると、向こう岸の樹木に鉤の先端が深く突き刺さる。
その衝撃が鉤から伸びた鎖を伝い、本体部が感知すると同時に、急速に鎖が本体部に収縮されていく。
そして、今度はその本体部が突き刺さった鉤を目掛けて、鎖を伝いながら飛んでいくのだ。
すると、本体部を握り締めた紅い青年の身体も、本体部と伴に飛んでいくので、崖を渡ることが出来るという寸法だ。

ポイ「流石にこの高さは怖いな。落ちたら一週間くらい動けなくなりそうだね」

崖の高さは、推定で数百メートルはありそうだ。
勿論、落ちたら無事では済まないだろう。
そんなことを考えながら、無事に向こう岸まで到達する。
急激に伸縮する道具を常に離さずに持つことの出来る、その握力は常人から見れば驚愕に値するものなのだが、彼にとってはどうでもいい話であった。

ポイ「よし、無事に着いた。…何だろう、草が焼けるような匂いと…ナザレンコがいる気配がする」

気配を感じることが出来た理由が、実は先程の戦闘により、原来紅い青年の持つ超感覚(センス)が磨かれたためであったのだが、彼には知る由もない。
自らの感性を信じて歩き続けること数十分。

ポイ「この辺かな」

見ると、プスプスと身体から煙を上げ、目を回して倒れている戦芸人がそこにいた。
紅い青年の気配に気付いたナザレンコは、

ナザ「よ、よう。まさかこんな方法で俺の必殺技が破られるとは。…まてよ、これはむしろ芸に利用出来るんじゃ…!?」

天啓を得た様子のナザレンコの呟きを遮るように、紅い青年は場都合が悪そうに苦笑しながら訊く。

ポイ「君の攻撃から生き残れたら、色々教えてもらう約束だったね。話してもらおうか?」
ナザ「ちっ、覚えてたか。覚えておくのは俺のことだけでいいんだぜ」
ポイ「はいはい。で、この世界はどこだ?帰る方法はないのか?神というのは何だ?カテゴリーとは?腕輪は外れないのか?」
ナザ「だー!一度に何個も質問すんじゃねぇ!順を追って説明するぞ」
ナザ「この世界が何かは、俺にもわかんねぇこともあるが、俺たちが元々いた世界とは別世界なのは間違いない。脱出は不可能だ。神ってのは多分だがこの世界を創ったヤツだ。目的は知らねぇ。ただ、一番上のランクにまで到達すりゃあ、神が現れて願いを一つ叶えてくれるらしい、そういう噂だ。武闘大会も月に一度のペースで開催されてっから、ランクや知名度を上げたいなら参加したほうがいい。ランクは、カテゴリーAからZまであり、Aは一番低くZが一番高い。大会で好成績を残したり観客を楽しませることが出来たりすればランクが上がっていく。大会以外でも、ファイターとの戦闘で勝利してもランクは上がる。そして、この腕輪は相手のランクを表示してくれる。腕輪は神経に直接結びついているから外すことは出来ねぇが、日付や時刻が表示されるからわりと便利だぞ」
ポイ「…要約すると、この世界から脱出するためには、大会などを通して最上位のランクに到達し、神に元の世界に戻すように願うしかない。しかも、本当に願いを叶えてくれるかどうかさえも分からないときたか」
ナザ「そういうことだ。飲み込みが早くて助かる。そういや、さっき俺を退けたから、ポイゾネのランクも少し上がったんじゃねぇか?」

ナザレンコの言葉を正しく理解した紅い青年は、腕輪に視線を向ける。
そこには、Category:Bと表示されていた。

ポイ「あれって、別に俺が倒したわけじゃないのにランクが上がるのか。なら意外と楽にランクアップ出来そうだ」
ナザ「元々、AからBへは上がり易い。自分で言うのも何だが、格上が相手だったことも原因だな。ランクが上がれば上がるほど、どんどん上がりにくくなっていくんだぜ」
ポイ「そう簡単にはいかない、か。色々教えてくれてありなとう、ナザレンコ」
ナザ「いいってことよ。まぁ、次に会うときは敵同士だがな。じゃあな、ポイゾネ」

そう言い残すと、ナザレンコは夕陽に向かって走り去っていった。
彼の姿が完全に見えなくなると、紅い青年は一瞬だけ寂寥感に捉われたが、再び彼と相見えることを願いつつ、その場を後にするのだった。

ポイ「って、この後どうしよう。何も考えていなかった…」


9 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 4fd5-f913) :2019/10/15(火) 05:42:10 zdFyilCA00
謎の腕輪には、自分のランクを表示する機能もあります。他にも、とても重要な機能があるのですが、それはまた後ほど見ることができます。

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紅い青年が途方に暮れていた、その一方で。
赤い獣人は、先程までの出来事を思い返しながら草原を疾走する。
手を後ろに突き出すように走るその姿は、まるで某忍者のようだが、勿論彼は忍者ではない。
これは、上半身の力を完全に抜き去り、身体に受ける空気抵抗を最小化することで少しでも疾く走れるようにしているのだ。
何処か巫山戯た走り方に見えるが、並々ならぬ脚力と運動神経を有する彼だからこそ可能な、特殊な走行方法である。

ナザ「アイツ…面白いヤツだったな。俺の炎狐突進を受け止めやがった」
ナザ「今までアレを受け止められたヤツなど、いなかったというのに」

正しくは、受け止められた者が存在しなかったのではなく、この世界の上位者にとってはそもそも炎狐突進を正面から受け止める必要性がなかっただけのことなのだが、彼がそれに気付くことはない。

ナザ「次は大会で、お互いに本気で戦えるといいな、ポイゾネ」

先程の戦闘では全く力を出していなかった赤い獣人。
例えるならば、本気の半分の力も出していない。
炎狐突進は、彼の最大の攻撃技として自他共に認識しているものの、本質は異なる。
彼の真価は、そのスピードに由来する。
彼が本来の力を発揮していたならば、紅い青年は赤い獣人の動きを認識することもなく、敗北していただろう。
出し惜しみなどではなく、単に新しい芽を摘み取りたくはなかったのだ。
紅い青年が成長した暁には、自分が本気で相手をしてやろうと考えていた。
紅い青年と相対した時に感じた、可能性。
あの紅い青年の本気が、真なる強さをこの目で見たい、と。

ナザ「ポイゾネはこの先もっと強くなるだろう。そうなれば、もう手を抜く必要もないしな。…俺もそろそろ、ランクを上げたほうがいいのかもしれねぇな」

赤い獣人の適正ランクはカテゴリーCなどではない。
しかし、特に叶えたい願いもなく、大会で観客の笑いを取ることに無心してきた結果、赤い獣人は実力に比してランクが低くなっていた。
しかし、ここにきて漸く、ランクを上げる理由が出来た。
ランクが同じであれば、それだけ大会で戦う機会が増えるからだ。
それに、自分が低いランクのまま、ランクを上げた紅い青年の相手をするのは、礼を欠いていると感じたのだ。

ナザ「アイツとはまた戦いたいもんだな」

赤い獣人は、そう遠くない未来に思いを馳せて笑みを浮かべると、陽が落ちる方角へと只管突き進んでいった。


10 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ c0d7-f913) :2019/10/15(火) 23:45:05 C35nAj1200


ポイ「お腹が空いて力が入らない…こんなことになるならナザレンコに村や街の場所でも訊いておけば良かった…ドジったよ全く」

独り言ちてフラフラと蹌踉めきながら、黄昏時の草原を彷徨う。
俯きながら歩いている様は、さながらゾンビのようだ。
おや、前方から人影が見えてきたぞ。
そろそろ魔物が出そうな雰囲気だが、こんなところに一体誰かいるのだろうか。
その人影…フードを被った人物が声を掛けてくる。

??「えっと、大丈夫?」
ポイ「君は、一体?いや、この際何でもいい。金は無いが俺に飯を食わせてくれないか?タダ働きでも何でもする」
??「あらあら?それじゃあウチにいらっしゃい。今日はもう遅いから泊まっていけば?」
ポイ「本当に!?ありがとう!」

空腹により冷静な判断が出来なかったのか、それとも形振り構わず一刻も早く食料に有り付きたかったのか、紅い青年は特に謎の人物を疑うことなく万謝の念を抱く。

ポイ「でも、この辺りに家なんてあるのかい?見た感じ何も無さそうだけど」
??「この辺りにはないわ。暗くなるし、早く移動しましょ」

謎の人物が上に手を翳すと、上空から天色の光が降り注ぐ。
光が身体に集まると次第に身体が暖かくなっていき、溶けていきそうな感覚を覚え、その心地良さに双眸を閉じる。

ポイ「暖かい…。何かが満たされていくような、不思議な感じだ…」

ふと目を開くと、民家の扉があった。

ポイ「…?ここは…」
??「私の家だけど?」

ポイ「え?もしかして瞬間移動したの?」
??「まぁ、そうなるわね。この世界ではこうやって移動するのが当たり前なのだけれど」

ポイ「そうなんだ。それって俺にも出来る?」
??「多分ね。いや、貴方なら出来る」

ポイ「本当に?だといいんだけどさ」
??「後で教えてあげるわ。とりあえず、お上がりなさい」
ポイ「お、おじゃましまーす」

紅い青年が扉を開けると、左手の腕輪から突然、ビビビビビ!!と音が鳴り響く。

??「…ごめんなさい」
ポイ「え?」

謎の人物の手刀を受けて、紅い青年は昏倒する。

??「案外、簡単だったわね」

謎の人物の右腕には、黒い腕輪が装着されていた。


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11 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ c0d7-f913) :2019/10/15(火) 23:45:56 C35nAj1200
数十分後。

ポイ「ん…ここは…っ…、そうか、俺は…フードを被った人に家の前まで連れてこられて…」

目覚めたと同時、先程殴られた部位の鈍い痛みに顔を顰める。
気付けば、地下室と思しき薄暗い檻の中に閉じ込められていた。

ポイ「くそっ…騙された」
ポイ「何とか脱出しないと…」
??「あら、もうお目覚め?」

いつの間にかフードを被った人物が檻の外から声を掛けてくる。その右腕に見える黒い腕輪を見た紅い青年は叫んだ。

ポイ「騙したな!その腕輪は…!」
??「あぁ、これのこと?こう見えて私もファイターなのよ」

??「檻の中で暴れても無駄よ?貴方のご立派なモノは没収しておいたから」
ポイ「甘いぜ」
??「!?」

紅い青年は、大切な武具を奪われたことにより仄かに怒りの感情を宿していたが、自分を見失うことなく冷静に飛去来器(ブーメラン)を使い檻の鍵を破壊した。
本来であれば、飛去来器は投擲すると弧を描いて手元へと戻ってくるという便利な飛び道具なのだが、今回は鍵のみを破壊するために敢えて手に持ちながら棍棒のように振るったのだ。
牢の鍵と言えども、その一撃に呆気なく破壊される。
そして、その勢いを殺すことなく体当たりで檻を突破することに成功する。

ポイ「俺の武器は剣だけじゃないんでね。さて、俺の大切な武具を返してもらおうか?」
??「分かったわ。ただし、この私、エロい姉をひぃひぃ言わせることが出来たらね」
ポイ「またこのパターンか、つまり勝てということ」
ポイ「というか、名前が際どいんだが…。ん?」

エロい姉、もといフードの女性が名乗ると同時に、紅い青年の腕輪には赤文字てCategory:D と表示されている。
紅い青年は飛去来器を手に、フードの女性へと振り下ろす。

ポイ「格上が格下を騙すようなやり方には感心しないぜ。それなりの実力だろうに、正々堂々と戦ったらどうだ?」

エロい姉が挑発に乗ることはなく、軽やかな動きで飛去来器を躱すと、フードの隙間から美しい金髪を靡かせる。
その姿に一瞬目を奪われた紅い青年に、フードの女性は麻痺光銃(パラライザー)を撃ち込むと同時に鞭のようなしなやかさを以って蹴りを入れる。

エ姉「実力では勝てないと踏んだからこんなやり方にしたのよ。機動鎧(パワードスーツ)を装着したとしても、ね。油断したところで檻の前に毒入りご飯を置いて確実に倒すつもりだったのに、失敗しちゃった」
ポイ「なにそれ怖い」

紅い青年は、麻痺光銃による一撃を飛去来器にて相殺しつつ、後方へ跳ぶことで蹴りを躱す。
バックステップの反動によりフードの女性へと一気に距離を詰め、麻痺光銃を叩き落とす。
そして、フードの女性の手首を掴み、飛去来器を振り翳すと。

エ姉「んー、お姉さんの負け。降参よ」
ポイ「全然まだまだ余裕がありそうなんだが…もう何も仕掛けてこないよな?」

紅い青年の見立てでは、この女性に飛去来器が直撃したとしても大したダメージは与えられない。
退魔剣でなければ勝てないと判断した。
そんな時に降参宣言が飛び出すとは、僥倖である。
フードの女性の言動に警戒しつつも、飛去来器を懐に納めて戦闘継続の意思がないことを示す。

エ姉「何もしないわよ、負けは負けだもの。むしろ貴方なら、私のことを好きにしてもいいわ」
ポイ「それよりもお腹が空いた。戦利品として食べ物が欲しい」
エ姉「本当にお腹が空いているのね…。いいわ、着いてきなさい」


フードの女性の際どい発言をスルーしつつ、紅い青年は階段を登っていく。
その途中、紅い青年は段差に躓き両手でフードの女性の豊満な双丘を揉みしだく、所謂ラッキースケベに遭遇することになるのだが、それはまた別の話。


12 : はいどうも名無しです (ワッチョイ a041-bd44) :2019/10/20(日) 20:59:07 tGktSG9o00
支援のドドンage


13 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 5a74-02e6) :2019/10/21(月) 03:11:17 mLuZaKOo00

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とある寒冷地帯。
当該地帯の大半は山岳部ではあるものの、比較的平坦な地形で構成それている「そこ」は、美しいダイアモンドダストが煌めき、何処か幻想的な様相を呈している。
そんな中、爆発が起こったかのような轟音が一帯に響き渡った。

ナザ「はぁ、はぁ、はぁ…っ…ちくしょう…」

赤い獣人は気息奄々で凍てつく大地へと斃れ伏す。
熱線銃による攻撃は最初から全てを読まれていたかのように、その悉くを躱され、脚弾も闘気(オーラ)に阻まれてまるで歯が立たなかった。
そして、クロスカウンターの如き鋭い一撃を受け、吹き飛ばされたのだ。
意識が朦朧とする中で自らの腕輪を確認すると、そこには真っ赤な色でランクが表示されていた。

ナザ「カテゴリー、Y…こんな化け物が…いたとはな…」

Category:Y。
この世界において、片手で数える程度しか存在しない、真なる絶対強者。
それが理解出来ぬほど、赤い獣人は無知ではなかった。
しかし、赤い獣人は確かに見たのだ。
戦闘が開始された直後は、確かに自分と同じくCategory:Cだった筈。
だからこそ、決闘を申し入れたというのに、気付けばこのザマだ。
まるで、「途中から別人へと変貌した」かのようだった。

??「……」

赤い獣人を返り討ちにするかたちで勝利を収めた謎の人物は、赤い獣人に対する興味を失ったのか、何も発することなく踵を返してその場を跡にする。
取り残された赤い獣人は、残る意識を振り絞り、自らの腕輪を操作する。
すると、赤い獣人の身体は天色の光に包まれていき、静かにその姿を消していった。

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14 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 5a74-02e6) :2019/10/21(月) 03:12:28 mLuZaKOo00
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ポイ「こ、これは…!」

紅い青年はフードの女性の家の居間で、木製の簡素な作りの椅子に座りテーブルを見ながら目を見開く。
そこには、自分が追い求めていた食糧が。
それも、調理済みである。フードの女性の手料理だった。

ポイ「めちゃくちゃ美味しそうなんだけど、毒とか入ってないよね?」
エ姉「入ってないわ。何なら、私が先に食べて見せようかしら?ついでに貴方のことも食べちゃうかもだけど」
ポイ「いや大丈夫、悪かったよ。いただきます」

警戒しながらも、紅い青年はテーブル上の食べ物へと手を伸ばす。まずはスープから頂くことにした。

ポイ「…すごく…美味しいです」
エ姉「そう?お口に合ったのなら良かった。ところで、貴方の名は紅きポイゾネサスくん、で良いのかしら?」
ポイ「あぁ、俺は紅きポイゾネサスくん。長いからポイゾネでいいよ…って何で名前を知っているんだ」
エ姉「あとで話すわ。それより、先に食べたら?冷めちゃうから」

他にもパンや肉料理などが並んでおり、勧められるが儘にその全てを平らげた紅い青年。
そして、改まったようにフードの女性へと向き直る。

ポイ「…美味しかったよ、ありがとう。だが、訊きたいことがいくつかある。質問しても?」
エ姉「どうぞ」

ポイ「まず一つ目は、何故、最初に俺を不意打ちで倒さなかったのか、だ。草原で俺を遠距離から不意打ちするなんて、楽勝だったんじゃないのか?って。二つ目は、一度は倒すつもりだった俺に、手料理を振舞ってくれたのか。料理に毒を、とか言ってたし、もともとは俺を倒すつもりだったんだろ?君には何のメリットもないはずなのに。そして三つ目は、剣と盾をどこにやったのか、だ。アレがないと落ち着かない。最後の質問は、ワープ?する方法についてかな」

エ姉「そもそも、倒すことが目的じゃなかったから。もともと貴方に興味があったの。実は、初めてこの世界に貴方が来たときから、貴方のことを見ていたのよ。この世界を根本から覆してしまうような、そんな可能性を感じながら、ね。貴方があの程度の罠で倒されるならばそれは見込み違いということで、私の経験値稼ぎとして利用させてもらう予定だったの。剣と盾は二階にあるわ、貴方が今日使う予定の部屋にあるから、安心しなさい。簡易転移のことね、あれは腕輪を持っていれば出来るわよ」

ポイ「俺のことを買い被り過ぎじゃないか?ちょっと強いだけの、一介の剣士だよ。とりあえず、転移のやり方について詳しく訊きたいな」

そうして、紅い青年は簡易転移についての説明を受ける。
どうやら、腕輪を操作することにより転移が出来るようだ。

曰く、戦闘時には転移不可。過去に一度自分が行った場所にしか転移不可。連続で転移は不可。一日に行える転移には回数制限あり。転移不能地域あり。ファイター、ファイターの所有物、若しくはファイターが触れた物体のみ転移可能。そして一番重要なことは、転移を行うことが出来るのは、直近3日以内にファイターと戦闘を行った者だけ、ということだった。
他にも様々な制約があるようだが、今の紅い青年が簡易転移を使用するメリットは特になさそうだった。
紅い青年は、とりあえず腕輪の操作方法をしっかりと記憶しておこう、と思ったのだった。

ついでに、浴室を借りて湯船に浸かり、戦いの疲れを癒す。腕輪が外れないのが少々癪に触ったが、滅多に湯船に浸かる機会など無かった紅い青年にとっては、まさしく至福の時間となったようだ。


ポイ「色々とありがとう、お風呂も貸してくれた上に、寝室まで使わせてもらえるなんて。ところで、君は何処で寝るつもりなんだい?」
エ姉「もちろん、貴方の隣でだけど?」
ポイ「えっ」
エ姉「えっ」

ポイ「…いや、おかしいだろ。俺は床で寝るから君はベッドで寝なよ」
エ姉「客人を床でなんて寝させられないわ。でもベッドは一つしかないし、仕方ないでしょう?」
ポイ「君は一つ屋根の下で、しかも男女が同じ寝室で同じ寝具を使うことに何の躊躇もないのかい?」
エ姉「?何故、躊躇する必要があるのかしら?」
ポイ「…もう何を言っても無駄かな」

紅い青年は半ば諦めたような表情で、フードの女性に部屋へと案内される。
部屋の壁に立て掛けてある退魔剣と盾を見て安堵するのも束の間。
どう見ても一人用の寝台に、果たして二人の身体はキチンと収まるのだろうか。いや、それ以前に、身体を密着しなければならないのでは?
彼女には羞恥心はないのか?
色々と疑問は尽きなかったが、寝具を床に敷き、そこで寝ることにしたのだ。

ポイ「じゃあ、俺は床で寝るから…」
エ姉「つまんないの。…じゃあ、これならどうかしら?」
ポイ「ちょ!狭いから!って、そういう問題じゃなくて、その、当たってるんですけど?」
エ姉「当ててるのよ」
ポイ「からかわないでください!」
エ姉「巫山戯てなんかないわ。今夜はお姉さんと激しい夜を過ごしてみない?」
ポイ「それはダメ!色々な意味で!」
エ姉「えー、ケチ」
ポイ「そういう問題じゃあない!」

金髪美女から突如、その豊満な胸を押し当てられた上での、この爆弾発言。誰だって焦るだろう。
こうして、フードの女性が先に寝るまで紅い青年は寝ることが出来なかったのだった。


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15 : はらへったーな ◆bkENYOud42 (ワッチョイ 5a74-02e6) :2019/10/21(月) 03:18:25 mLuZaKOo00
>>12
支援ありがとうございます。

ナザレンコをギャグ、ほのぼの担当に、ポイゾネをガチ戦闘担当にしようと思っていたはずなのに、どうしてこうなった…。


16 : retasu★ :2020/01/11(土) 07:26:19 ???00
更新の停滞が続いた場合、こちらで過去ログ送りにさせて頂きます

尚、再開すればこのレスは削除する予定です


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