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[SS]勇者ヨシオの冒険

1 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/19(土) 20:53:23 KQBOMQSA00
好きな選手をただただ出しまくる妄想でしかないSS書きます
途中までできてる書き溜めをちょっとずつ解放していきますが追いついちゃったら更新ペースががくっと落ちるかと思いますがゆったりと見守ってくれると嬉しいです
ちなみに今のところ勇者ヨシオはまだ出てきてません
よろしくお願いします


2 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/19(土) 20:58:57 KQBOMQSA00
これはCPUトナメが開催される、少し前のおはなし。

ある国は魔の者たちの侵略により窮地に立たされていた。

その国の西にある、とある村では。

村人「ヒィッ…!なんだあのゴリラは…!!」

???「我はキング・オブ・妖魔…!いずれ世界を我が手中に収める者なり…!」

キング・オブ・妖魔は幾匹かの魔物を従え、村を襲っていた。

妖魔「やれ!」

妖魔の合図とともに、部下の魔物たちが村人たちに襲いかかった。

???「はあああっ!!」

ドゴォッ!

そこに現れたのはピンク色の帽子を被った男。

妖魔「何…?我が部下を瞬殺…何者だ」


???「俺はレイア!ただの通りすがりのファイターだ!あんた、なかなか強そうだな…修行の相手になってもらおうか!」


3 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/19(土) 22:00:39 KQBOMQSA00

妖魔「レイア……まさか、灼熱のレイアか?」

レイア「ん?俺のこと知ってんのか?」

妖魔「修行と称して各地で我々魔の一族に戦いを挑み続け、侵略の邪魔をする厄介な男だろう…?魔界でもよく噂を耳にするぞ」

レイア「ハッ、そりゃ光栄なこったな!だったら話は早え!行くぜ!」

妖魔「やれやれ…舐められたものだ…」

レイア「!?てめえ、なに目を瞑ってやがる!?やる気あんのか!」

妖魔「無いな。我が貴様ごときの相手をしてやる道理など」

レイア「!!」

ドゴッ!


4 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/19(土) 22:05:52 KQBOMQSA00

レイアは間一髪、背後から現れた巨大な鉄槌をかわした。

レイア「危ねぇっ!まだ部下が残ってやがったか!」

???「よくかわしたね。僕は悪魔の下目使い。妖魔様の右腕だ」

レイア「へえ…あんたもなかなか強そうじゃねえか!」

下目「…全く…」

ガシッ ドカッ!!

レイア「ぐあっ!?」

下目使いは瞬時にレイアの体を掴み、地面に叩きつけた。


下目「人間ごときが僕を見下ろすな」


レイア(ヤベェ…反応できなかった…!マジで強いぞこいつ…!)


5 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/19(土) 22:23:19 KQBOMQSA00
下目「んじゃ、バイバイ」


バゴォン!!


下目使いは這いつくばるレイアに容赦なくハンマーを振り下ろした。


が。

下目「む…何だ?君は」

ギリギリのところで、青い帽子の男がハンマーを受け止めていた。

???「大丈夫か、レイア」

レイア「リア・リエ…!!」

リア「油断しやがって…お前はいつも一人で突っ走りすぎだ。大して強くもないのに無茶するな」

レイア「すまねえ…」


6 : はいどうも名無しです (アウアウ 7a5c-0378) :2019/01/19(土) 23:13:52 e1Ym2BikSa
下目と妖魔の立場逆転してて草


7 : ハイドンピー (ワッチョイ 8605-123e) :2019/01/20(日) 11:42:02 ljcFfJ.U00

妖魔「フン…仲間がいたのか…だが無駄なことだ。我ら魔の一族は強大なり。貴様ら人間が幾ら集まろうとも決して力の差が埋まることはない」

下目「そういうこと。アリを踏み潰すのに一匹も二匹も変わらないでしょ」

リア「言ってくれるな。だが、悪いが俺はレイアのように甘くねえぜ」

下目「ふーん、そう?」

下目使いはニヤリと笑みを浮かべる。

レイア「ハッ!リア・リエ!後ろだ!」

リア「!!」

ボオオオッ!!

背後から突如、通称炙りアイテム・ファイアフラワーによる火炎がリア・リエを襲った。


8 : ハイドンピー (ワッチョイ 8605-123e) :2019/01/20(日) 11:48:31 ljcFfJ.U00

リア「ぐああっ!!」


???「どう?僕の魔炎の威力は…ククク…」

その炙りアイテムの持ち主である、赤い帽子を被った黄色いハムスターは、下目使い同様悪魔のような笑みを浮かべた。

下目「ナイスだよ、ヤミノツルギ」

レイア「ま、まだ仲間がいやがったか…!」

ヤミ「クク…さあ下目使い、今のうちにやっちゃえ」

下目「んじゃあ遠慮なく」

炙られ続けて膝をついたリア・リエを見下しながら、下目使いはゆっくりとハンマーを担ぎ上げる。


9 : ハイドンピー (ワッチョイ 8605-123e) :2019/01/20(日) 20:50:41 ljcFfJ.U00

リア「くっ…!ひ…卑怯だぞお前らっ…!」

下目「褒め言葉どうもありがとう。そしてさよなら」


ドゴォォォン!!


二人はその一撃で彼方まで飛ばされてしまった。

妖魔「フン…所詮は人間か…」

下目「ほんと、愚かですね…妖魔様…」

ヤミ「……?」


10 : ハイドンピー (ワッチョイ 8605-123e) :2019/01/20(日) 20:54:41 ljcFfJ.U00



その頃、天界では。

数人の者たちが集まり、不思議な鏡で地上の様子を見ていた。

???「どうします?神様」

白い帽子の巨大な男が口を開く。

???「マックス…確かにこれは困ったことになったのう。まさか魔界の奴らが地上を攻めてくるとは」

神様と呼ばれる老人は長いヒゲを触りながら首を傾げる。

???「私が行きますよ!魔の一族なんてこのennjeruにかかれば…!」

今度はennjeruと名乗る緑の帽子の男が、自信満々の表情で言う。

???「お主ではまず無理じゃ。男爵と修行しておれ」

ennjeru「いやチンポコメロンの奴、この前の試合で翼を片方失ってリハビリ中ですし!」

マックス「ああ、そう言えば…」


11 : ハイドンピー (ワッチョイ 8605-123e) :2019/01/20(日) 21:03:32 ljcFfJ.U00
???「ふむ。ならばマックス、お主が稽古を付けてやれ」

マックス「俺が!?」

???「ああ。そして下界にはお主に行ってもらうとしよう、アントン!」

アントン「…………ん?えっ?僕?」

神様に指名されたのは、話半分でボケーっと聞いていた水色の恐竜のような生き物だった。

???「お主の実力ならば魔の者とも渡り合えるじゃろう。天空の蜂たちを従える力もあるしの」

アントン「そ、そうですか?でも神様が言うなら、僕がんばります、うん!」

マックス「その意気だアントン!じゃあennjeru、お前はこっちだ。ついてこい」

ennjeru「そんなぁ…下界行ってみたかったのに…」

マックス「そっちが本音か」


12 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 02:30:30 G/o1Qif.00
巨大天使マックスとennjeruは言い合いながら、稽古場へ向かった。

???「やれやれ…」

神様と呼ばれる老人は、そんな彼らを見て呆れたふうにため息を漏らす。

アントン「じゃあ神様、僕も準備してきますね!」

???「ああ。それと、下界に降りてもワシがテレパシーでナビゲートするから安心せい。何かあれば、出来る限り力も貸すからの」

アントン「ありがとうございます!がんばりますよ!うん!」

アントンは元気に言うと、準備をするべく自室へと走っていった。

これからどんな試練が待っているとも知らずに…。


13 : ハイドンピー (スプー 1bf2-28a3) :2019/01/21(月) 17:44:39 m0mfSe5ASd



同じ頃、魔界では。

???「キング・オブ・妖魔、侵略は順調か?」

暗闇の中に佇む男が、謎の念波のような力で地上のキング・オブ・妖魔へと話しかける。

妖魔『当然だ。我ら魔の一族が人間の世界を支配するなど造作もない事。だが全てを征服するのはなかなか骨が折れる。奴ら、数だけは多いからな。貴様こそ、少しは手伝ったらどうだ……Φデスエンペラー』

デスエン「興味が無いな。お前こそ、何故そんな下らん世界を征服しようなどと思ったんだ?」

妖魔『我とてこの世界そのものに興味は無い…ただ我は全ての頂点に立つ…それだけだ。当然この世界の全てを支配した暁には、天界へと侵攻する』


14 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 17:48:21 G/o1Qif.00

デスエン「フン、お前らしいな。だがあまり気を抜かない事だな」

妖魔『何…?』

デスエン「敵はどこに潜んでいるか分からんという事だ」

妖魔『それこそ下らん…人間の攻撃など、いかに不意を突かれようと我に効く筈がない。近頃魔界で噂となっていた灼熱のレイアとやらも、我どころか、下目使いの足元にも及ばん実力だった』

デスエン「そうか。だったら精々頑張るんだな」

プツッ。

そこでΦデスエンペラーは念話を終える。

デスエン「…フ、面白い事になりそうだ。妖魔にはああ言ったが…俺も地上へ出るとするか」


15 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 17:55:08 G/o1Qif.00




国の東のとある町。

この町はまだ魔の一族の襲撃を受けていない。

しかしすでに周りの町や村は侵略されており、いつ襲われてもおかしくない状況にあった。

そこで町の偉い人たちは腕っぷしに自信のある者たちを集め、戦闘部隊を作ることにしたのであった。

偉い人「みなさん、今日は集まってくれてどうもありがとうございます。お知らせした通り、みなさんにはこれから来るであろう戦いに備え、稽古をつけることになりました。ではお二方、どうぞ」

偉い人に呼ばれ、分厚いパワードスーツを纏った二人の教官が、集まった屈強な男たちの前に立った。

???「え、えーっと、どうも。みなさんに稽古をつけることになった、バロンムッコロス二等兵です。二等兵なんて頼りないかもしれませんが、僕にできることは精一杯教えますので、どうかよろしくお願いします」

???「同じくお前たちに稽古をつける、卍黒きムッコロズだ」


16 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 18:29:54 G/o1Qif.00

若者「おぉ、すげえ装甲だな!俺らにもくれよ!」

卍「それは無理だ」

若者「は?自分たちだけずるくねえか?」
ハゲ「たしかに…」
ガキ「大体ほんとにお前ら戦えんのかよ!」

いつ襲われるかも分からない不安や不信感から、集まった町民たちはざわつき始める。

???「全くもう、うるさいわね♪」

そこにその一言で静寂をもたらしたのは、屈強な肉体を持った、男のような女のような人物だった。

デブ「えっ、も、もしかして、アイドルのドルコリン!?デュフッ!マ、マジで!?」

ミシミシ…!!

次の瞬間には、その人物に抱きしめられてデブは泡を吹いて倒れていた。

ドルコ「てへっ♪ダメじゃない、ちゃんと"♪"をつけなきゃ♪」


17 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 18:47:20 G/o1Qif.00

ハゲ「や、ヤベェぞこの男…いや、女…?」

ドルコ「私はドルコリン♪アイドルをやってるの♪実はツアー中でこの町に訪れてたんだけど、戦力が欲しいと聞いて、居ても立っても居られず来ちゃったわ♪よろしくね♪」

青年「ド、ドルコリン♪ちゃん!まさかこんなとこで会えるなんて!俺、大ファンなんです!ライブも行きました!握手して下さい!」

ドルコ「あら、勿論いいわよ♪ファゥコォン、パァンチ!!」

ドギュゥン!!

青年は星になった。

ドルコ「かなり飛んだわね♪新記録かも♪」


18 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 20:31:49 G/o1Qif.00

あまりの衝撃に沈黙が訪れる。

そしてその沈黙を破ったのは。


レイア「うわあああああああああ!!!」


ドルコ「!?」

悪魔の下目使いによって空高くブッ飛ばされ、ようやく落ちてきたレイアとリア・リエであった。

卍「何だ…?人間…?」

バロン「あの高さから落ちたら死にますね…」

ドルコ「いらっしゃい♪私が受け止めてあげるわ♪」

???「いや貴方じゃ殺しちゃうでしょ!ここは僕に任せて!」


19 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 20:40:29 G/o1Qif.00

ドルコリン♪の前に現れたのは。

風船のような姿に青いリボンを付けた、小さな生き物。

その右手には爆弾。

ドルコ「な、何をする気?危ないわよおチビちゃん♪」

パクッ

ドルコ「え!?♪」

あろうことか、その爆弾を自らの口に放り込む。

と。

ボンッ!!!

爆音とともに、風船のように体が膨れ上がった。

レイア「何だァ!?」


20 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 21:03:41 G/o1Qif.00


ボヨヨ〜〜ン


二人はその巨大風船がクッションとなり、地面との衝突を免れた。

ドルコ「す、すごいわ…ッ♪」

レイア「な、なんだか分からねえが助かった…!」

卍「何者だ…あの生物は…!」

プシュゥ〜〜〜〜ッ

風船生物は口から煙を吹き出しながら、膨らんだ体を徐々に元の大きさへと戻した。

???「けほっ、けほっ……あ、良かった、上手くいきましたね!…あー喉いたっ…」


21 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 2ab3-940b) :2019/01/21(月) 22:33:05 LoQ8hqdUMM
全てが草


22 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 22:49:36 G/o1Qif.00

レイア「本当ありがとな!あんた名前は?」

???「ヨシオ…勇者ヨシオです」

レイア「…ゆ、勇者!?」

勇者「はい。あ、これ名前ですよ。勇太とかと似たようなもんです」

バロン「いやヨシオが名前じゃないんですか?!」

勇者「ヨシオっていうのは一族の名前ですね。別の国にヨシオ族の暮らす里があるんですよ。僕はそこの生まれです。この国には観光で来ました」

卍「ヨシオ族…聞いたことはある…だがとてつもなく弱いという話しか…」

勇者「はは…たしかにそういう風潮はあるし、実際弱いのかもしれません。でも僕はヨシオ族として誇りを持ってますよ」


23 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 22:53:45 G/o1Qif.00

ドルコ「ちょっといいかしら♪確かに勇者クンのことも気になるんだけど、それよりその死にかけの人の治療が先じゃないかしら?♪」

レイア「あっ!!そうだった!!俺も結構なダメージだがそれ以上に、リア・リエがハンマーの直撃食らってかなりまずい状態なんだ!頼む!」

バロン「病院はこっちです!急ぎましょう!」



数時間後。

リア「うぅ……あれ?ここは…」

レイア「目が覚めたか!」

リア「レイア…」

レイア「いやーいいドクターがいて本当良かった!この人がいなきゃ死んでたかもしれねえぞお前」

医者「まあそうですね」

リア「…それは…どうもありがとう…」


24 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/21(月) 22:58:39 G/o1Qif.00
レイア「ここは国の東の端っこの町だ。さっきの村が西の端っこだったから、国横断するぐらいブッ飛ばされちまったらしい」

リア「そう…か…」

レイア「…どうした?何か気になることでもあるのか?」

リア「……お前はなんとも思わないのか…あれだけの大敗を喫して…」

レイア「え?あー、まあそりゃ悔しいが、生きてりゃまた戦える!今度こそ勝つさ!」

リア「…俺は…無理だ…お前のようにはなれん…」

レイア「はあ?どういうことだよ」


リア「俺は……もう……戦えない……」

これがのちに化け物と化す、リア・リエが"絶望のリア・リエ"となった瞬間であった。


25 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 4a18-b2a5) :2019/01/22(火) 00:08:46 PQvyprEE00
勢いもすこだし、キャラ愛もすこ


26 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 03:50:00 J8j8ngV200




隣国。

まだこの国には魔の手が伸びていない。

だがこの国には、極道がいた。

???「オウオウ兄ちゃんどこ見て歩いとんじゃワレ」

緑の帽子にグラサンをかけた黄色いハムスターが、街中で青い服の青年とすれ違いざま、突然胸ぐらを掴んだ。

???「なっ、何ですか!?何もしてないんですけど!?」

???「ワシは極道の片割れっちゅうモンじゃ。今なんとなーく殺気感じたんやけど、兄ちゃん、なんか隠しとるんやないか?」

???「知りませんけど!?ただの大学生ですけど!?なんなんですか!?警察呼びますよ!?」

片割れ「ハッ!ただの学生がヤクザに向かってそんなデケェ態度とれるかいな!おもろいやんけ!」


27 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 04:21:51 J8j8ngV200
大学生「ああ!?いい加減ウゼェよブッ飛ばすぞ!?ドブネズミがよ!!」

シャキンッ

キレた青年は剣を抜き、片割れに斬りかかった。

片割れ「うおっと危な!…ホンマおもろいな兄ちゃん…壊れとるで」

僅かに掠った鋒により頬から出血しながらも、片割れは嬉しそうに笑う。

大学生「何笑ってんだキメェな!」

片割れ「ピカチュー!」

バチバチッ!

片割れの放った電撃が大学生を痺れさせた。

大学生「ぎゃっ!?何しやがったハゲ!」


28 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 04:25:19 J8j8ngV200

片割れ「何って挨拶や。挨拶は極道の基本中の基本やで」

大学生「ああ!?知るかよ!俺極道じゃねえよ!!尻尾引きちぎってトイレに飾ってやるよクソが!!」

ブンッ!ブンッ!

壊れた大学生は片割れに向かって剣を幾度となく振り回す。

片割れ「ハハッ!お前みたいなモンがまともな社会に出られるかいな!うちの組で預かったるっちゅうてんねん!」

そう、片割れは元々この辺りに出没するという危険人物の噂を聞きつけ、見回っていたのだ。

大学生「極道て!今時なにバカみてーなこと言ってんだジジイがよ!!その組ごと俺が潰してやろうか!?」

片割れ「オウ!そらおもろいな!出来るもんならやってみいや!」

二人の戦いが更に過激さを増そうとしていたその時。


???「そこまでだ!!」


29 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 05:18:08 J8j8ngV200

間に割って入ったのは大学生と似た緑の服の青年だ。

片割れ「邪魔や兄ちゃん!」
大学生「どけや雑魚!」

バキィッ!!

???「ぐわああっ!!止められないいいっ!!」

二人の攻撃で青年は吹っ飛び、空に消えた。

片割れ「何やったんや今の…」


???「☆本当にそこまでだよ、二人とも」


片割れ「!?」
大学生「ああ?」

今度は二人の間に、赤い帽子の少年が現れた。


30 : ハイドンピー (スプー 1bf2-28a3) :2019/01/22(火) 19:14:17 lvOY/nyASd

???「☆僕は☆爆走戦士エルバン。よろしく」

ゾクッ…

二人は突然、全身から冷や汗が噴き出すのを感じた。
その少年の計り知れぬ力を本能で感じ取ったのだ。

大学生「ケッ…!クソガキが!こんな時間に外歩いてんじゃねえよ!」

エルバン「☆心配してくれるの?優しいんだね!」

大学生「ちげぇよタコ」

エルバン「★でも大丈夫だよ、走ってるから!」

片割れ「そういうこっちゃないやろ…」

しかし何だかんだ言いつつ、二人の戦いの手は止まった。

エルバン「☆仲直りしたみたいだね。じゃあ僕の話を聞いて欲しい」

片割れ「いや仲直りってわけやないけども…何や?」

大学生「俺は聞かねえ!じゃあなバカども!」

???「おっと、行かせないぞ…オエッ」

大学生「は?」


31 : ハイドンピー (スプー 1bf2-28a3) :2019/01/22(火) 19:28:01 lvOY/nyASd

去ろうとした大学生の前に、今にも嘔吐しそうな紫のレーサーっぽい男が立ちはだかった。

エルバン「☆吐き気さんありがとう!★じゃあ話すね。二人とも、煙草マスターって知ってる?」

片割れ「知らんわ」

エルバン「★一言で言うと鬼なんだけど、まあ要はとんでもない強さを持ってるんだ。まあ僕も会ったこともないから聞いた話なんだけど」

吐き気「奴は…うっぷ…」

エルバン「☆あっ、吐き気さん無理して話さなくていいよ!★とにかくその煙草マスターっていう人がもうすぐ覚醒するらしいんだ」

片割れ「覚醒て、眠っとるんか?」

エルバン「★というより、封印されてるみたい。大昔の戦争でとんでもない大暴れをして敵味方関係なく殺しまくったんだって。★それで何とかっていう人が封印したらしいんだけど…その封印の効力がもう切れかかってるみたいなんだ」

片割れ「いやだいぶ説明雑やな!……で?その煙草マスターとやらの覚醒を止めるのを手伝えっちゅう話か?」

エルバン「☆そういうこと!二人ともかなりの実力者だっていうのは見ればわかるからね。☆仲間に加わってくれたらすごく助かるんだけど…」


32 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 19:34:45 J8j8ngV200

大学生「なんで俺がそんなことしなきゃいけねーんだよバカが。どけオッサン。帰る」

エルバン「☆まあ無理強いはしないよ。君はどうする?」

片割れ「…ワシもパスやな。こっちも抗争やら忙しいねん。悪いけど他の奴んトコ行ってくれや」

エルバン「☆そっか。残念だけど、しょうがないね。★行こう、吐き気さん」

吐き気「うっぷ…やる気になったらいつでも来い」

吐き気は片割れに自分たちの居場所を記したカードを渡し、去って行った。


片割れ(何やねんアイツら…間違いなく二人ともとんでもないバケモンやった…正直ビビるとかよりも、アイツらと一緒に戦えるんかと思うとワクワクしてしもうてたわ…しかし、ワシら極道がカタギの戦いに首突っ込むわけにゃいかんのや、すまんな…)

片割れは格好付けながら、事務所へ戻ろうと振り返った。

その視線の先に。


33 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/22(火) 20:19:25 J8j8ngV200


???「助けてお兄ちゃあああん!!」


ドドドドドドド!!


片割れ「今度は何やぁ!?」

ものすごい勢いで走ってくる赤い恐竜っぽい生き物。

そしてその後ろを追う巨大なゴリラ。


片割れ「一体この町はどうなっとるんやあああ!!」


34 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/23(水) 19:24:48 KESt5aEQ00




その頃、西端の村。

アントンは地上へ降り立っていた。

しかし、すでにこの村はキング・オブ・妖魔により完全に征服されてしまっていた。

魔物だらけでもはや足の踏み場も無いという感じである。

アントン「ひー、どうしよう!神様!」

天界の神様へと呼び掛けると、テレパシーを通じてアントンの頭の中に直接声が聞こえる。

???『慌てるなアントンよ。お主には天空の蜂がついておるじゃろう。そこに蔓延っている程度の魔物ならば簡単に蹴散らせるはずじゃ』


35 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 00:02:33 wLaUj8JQ00

アントン「そっか!よーし、来て!はちくん!!」

アントンは天界でいつも蜂と戯れていた時と同じように、ベロを突き出して尻をフリフリして脚をバタバタさせる"はちくん呼び出しポーズ"を取った。

しかし…蜂は現れなかった。

???『はっ、そうか…!うっかりしておった!下界に蜂を呼び出すにはモンスターボールというアイテムを使わなければならないのじゃった…!しかもモンスターボールからは何種類もの生き物が姿を現すことがあり、そこからランダムで引かなければならない!』

アントン「ええええええ!?」

???『済まぬがアントンよ!ここは一人で持ちこたえてくれ!』

アントン「ええええええええええええええ!?」

アントンの悲鳴に反応し、魔物たちは一斉にアントンを睨みつける。

アントン「ひいいいい!誰かああああ!」


36 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 00:04:23 wLaUj8JQ00

魔物たち「グオオオオ!」

怯えてうずくまるアントンを目掛けて、魔物たちが一斉に飛びかかる。


チュン!!チュン!!


魔物たち「ギャアアア!」

???「大丈夫?早くお逃げなさい。というか何でこんなトコにまだ住人が……って、見た感じただの住人じゃあなさそうね…」

アントン「……へっ?」

アントンが顔を上げると、紫色の服を着た3人の狐の顔の戦士たちが、ブラスターを放ちアントンに迫った魔物を焼き払っていた。

???「まさか宇宙での任務帰りに国が魔物に乗っ取られてるとは思わなかった…くっ…悲しみ…」

???「うおお大量ドン!これはドドンのしがいがあるドン!!」

???「ちょっとドドン、私たちまで巻き込まないようにね?」


37 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 00:09:20 wLaUj8JQ00

アントン「き、きみたちは…!?」

???「名乗るほどの者じゃないわ。さあ、か弱いトカゲさん、今のうちに逃げるのよ!」

アントン「か、か弱い〜!?そんなことないよ、うん!僕は天空の虫使いアントン!神様にも認められた天界の戦士なんだ!」

アントンもちょっと怒ったようで、魔物に立ち向かった。

???「ふふ、じゃあ私たちも名乗っておくわ。私はギルティースMkⅡ。一応最年長だから、仲間からはギル姐って呼ばれてる。そしてこっちの悲しそうな顔してるのが…」

???「パターソンだ…」

ドドン「んで俺はドドンドン!」

アントン「ギルティースさんにパターソンくんに、ドドンドンくんだね!覚えた!」

ドドン「いやドドンドンじゃなくてドドンドン!」

アントン「?」

パタ「プッ…」

ギル「…彼はドドンよ。語尾にドンってつけるのが気に入ってるみたいなの」

アントン「へんなのー」


38 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 00:57:02 wLaUj8JQ00

ドドン「チッチッ、これを変だと言ってるうちはまだまだ二流ドン。芸術が分かってないドン。魅せてやるドン!ドドンの真髄ドン!!」

ドドンは懐から大量のボム兵を取り出し、魔物たちに向かってばら撒く。

ギル「ドドンは変な子なのは間違い無いし、血の気…というか爆発の気がかなーり多いけど…」

ドドォォオン!!!

パタ「何気に普通に戦えるんだよなぁ」

ドドォォォォン!!!

ドドン「これで…終わりドン!!」


ドドドォォォォォン!!!!!


ものすごい爆発音が鳴り響き、あたりは焼け野原と化した。

アントン「ゲホッゲホッ!すんごい爆発…」

ギル「私たちを巻き込まないでって言ったでしょ!」

ガンッ!

ドドン「ごめんドン!」

脳天チョップを受け、涙目で謝るドドン。


39 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:00:03 wLaUj8JQ00

パタ「まあとにかくこれで雑魚は片付いたな…」

冷静にパターソンが見つめる先に。

下目「誰?君たち。せっかく魔界から大量に魔物を連れてきたのにぜーんぶぶち壊してくれちゃって…」

巨大なハンマーを担いで一人佇む、悪魔の下目使いの姿があった。

パタ「あとはあのボスっぽいのを倒すだけだ」

アントン「あっ、ちょっと待って!僕天界で見てたんだ!あいつはボスの仲間だけどボスじゃなくて、何とかヨーマみたいなゴリラが本物のボスなんだ!それと、まだもう一人仲間がいたハズだよ、うん…!」

下目「天界…?君もしかして天界の住人なの?」

アントン「えっ、そうだけど」

下目「よーし君からぶっ潰すことに決めたよ」

アントン「何でっ!?」

ギル「悪魔は天使が嫌いってことなんじゃないかしら」


40 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:12:13 wLaUj8JQ00

ドドン「まあ気にすることないドン!俺たちがついてるドン!」

パタ「よし…俺は遠距離からブラスターで援護しながら、周りにも警戒しといてやる…好きに暴れてこい」

ギル「任せるわ!行くわよドドン、アントン君!」

ダッ!

三人は一斉に地面を蹴り、下目使いに突撃する。

下目「何人で来ようが僕には勝てないよ!」

下目使いはハンマーを構える、が。


チュンッ!!

下目「チッ!」

パタ「ハンマーは使わせねえ…!」

ギル「今よ!」

ドドン「ファイヤァーッ!!」

ズギュンッ!!

下目「ぐうっ…!」


41 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:14:51 wLaUj8JQ00

ギル「はあっ!!」

ドガッ!!

下目「くっ…!」

アントン「やーっ!!」

バキィ!!

下目「ぐわあっ!!」


ドサァッ!

三人の猛攻は下目使いを一方的に追い込んだ。


ドドン「これで終わりドン!」

ドドンはボム兵を取り出し、下目使いに投げつける。


42 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:19:11 wLaUj8JQ00

パタ「待てドドンッ!」

ドドン「!? 間に合わないドン…っ」


ドドォォォォン!!!


下目使いに当たった瞬間、ボム兵の爆発範囲を遥かに超えた大爆発が発生し、ドドンもろとも爆炎に呑まれた。

ギル「ドドンっ!い、一体何が起きたの!?パターソン!」

パタ「よく見たらアイツ、お前らに攻撃されるたびに、赤いものが飛び散っていたんだ…!だが(CERO的に)血液が流れるわけがない…!何かおかしいと思って、よく見たらそいつ……表面に赤くペイントしていただけの別人だ…!!」

ギル「!?」

爆発の煙が晴れていく。

そこに倒れていたのは、赤ではなくピンク色のボールだった。

アントン「ほ、本当だ…!僕が天界で見た時は赤かったから…でもたしかに、なんか変だなーとは思ったんだ…!いくらなんでも弱すぎたし…!」

ギル「罠にまんまとハマっちゃったってこと…?」

パタ「らしいな…くそっ…」


43 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:22:22 wLaUj8JQ00


下目「せいかーい。そいつは雑魚1%っつーただの僕に似てる弱小魔族でした〜」


パタ「ッ!?」

バゴォン!!

いつの間にかパターソンの背後を取っていた本物の下目使いがハンマーをフルスイング。

パターソンはレイア、リア・リエ同様に、空の彼方へとブッ飛ばされた。

ギル「パターソンっ!」

下目「あの赤い特殊ペイントには爆発に反応してその規模を拡大させる効果を施してみたんだよね。フフ、まさかこんなに見事にハマるとは思わなかったけどね」

アントン「ど、どうしよう!パターソンくんもやられちゃったし、二人じゃ勝てっこないよ!」

ギル「…ここは私が囮になるわ!逃げてアントンくん!」

アントン「ええっ!でも…!」

下目「ヤミ!やっちゃっていいよ!」

ヤミ「クク…下目使い、ほんと酷い遊び考えるよねぇ…」

ボォォォォォッ!!!

ギルティースとアントンを囲むように炎の壁が噴き上がり、退路を完全に断った。

ギル「なっ…!まさかアントンくんが言ってたもう一人の仲間…!?」


44 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 01:39:40 wLaUj8JQ00

アントン「どうしよう!どうしよう!もうおしまいだー!」

ヤミ「ククク…このまま炎の壁を狭めていって、じわじわと炙りゴロしてあげるよ…」

ギル「くっ……!」

ギルティースとアントンに炎が迫る。

二人が諦めかけたその時。



???「へえ、面白そうなことやってんな」



下目「!?」

ヤミ「誰…?」

突如、ヤミノツルギと下目使いの前に、上空から降り立った狐の男。

ギル「て…天才…!?」

天才「久しぶりだなギル姐」

下目「…なんだか知らないけど、こいつらの仲間なら潰すだけだ。行くよヤミノツルギ」

ヤミ「そうだね」

天才「俺は15人目の天才!他のフォックスと馴れ合う気はないが、さすがに国を乗っ取られて何の抵抗もしないほど温厚じゃあねえぜ」


45 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 16:47:24 wLaUj8JQ00

下目「かっこつけてないでかかって来なよ!」

バゴォッ!!

下目使いは天才に飛びかかり、頭上からハンマーを振り下ろす。

天才「どきな」


ダンッ!!


下目「っ!!」

ハンマーを蹴り上げ、下目使いは弾き飛ばされる。

ボォォォッ!!

天才「おっと。お前はそれしかできねえのか?アイテム頼りだけじゃ俺には勝てねえよ」

天才は軽い身のこなしでジャンプし、ヤミノツルギの放った炎をかわす。

そしてすかさずブラスターを構え。

チュンチュンチュン!!

ヤミ「ぐぁッ…!チッ、面倒だね…」


46 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 16:54:13 wLaUj8JQ00



ギル「さ、流石天才…圧倒的ね…!」

アントン「あ、あの人、何者なの?」

ギル「15人目の天才…私たちフォックス一族の中には、千年生きて妖狐に昇華すると言われる一握りの天才が存在するのよ。歴史上その天才は14人しか確認されていない…彼はその長きに渡るフォックス一族の歴史の中でもトップクラスの才能を秘めて生まれた。今はまだ若いけれど、間違いなく千年生き続け妖狐になると言われているわ」

アントン「へ、へー…何言ってるのか全然分からないけど、なんかすごいんだね…」



下目「ふぅ…どうやら本当に今までの雑魚とは格が違うみたいだね」

ヤミ「うん。真面目にやらなきゃコッチがやられちゃいそうだ」

下目使いとヤミノツルギは口では天才のことを認めつつも、やはりその表情は不気味な笑みを崩さない。

天才「何だ?その余裕。まーた何か企んでんのか」

ヤミ「クク…さて、それはどうだろうね?」

天才(……?何かがおかしい……何だ…?)

天才は確かに何かに違和感を覚えていた。
だがその違和感が何なのかわからない。


47 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 16:59:31 wLaUj8JQ00

下目「はっ!!」

ドスンッ!!

下目使いは困惑する天才の真上に飛び上がってストーン化するも、当然かわされる。

天才「そんな見え見えの攻撃に当たるわけ…っ!」

バチバチッ!!

天才「ぐあぁぁっ!」

ヤミノツルギの放った電撃を浴び、隙が生まれる。
そしてそこにすかさず。

ドスンッ!!

天才「ゲフッ!!」

下目使いのストーンが叩き込まれる。

ギル「う、嘘…天才が押されてる…!?」

アントン「なんだか急に動きが悪くなってきてるような…」

ヤミ(ククク…これに気付けた人は今まで一人もいなかったし、無理もないさ)


48 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 17:34:08 wLaUj8JQ00



ドドン「……パ……」



意識を取り戻したドドンが、わずかに残る力を振り絞って、覇気のない声で呟いた。

ギル「ドドン!生きてたのね!パ、って何!?」

ドドン「……ン………ツ……」

ギル「パ…ン…ツ……パンツ!?貴方こんな時に何を言って…………はっ!?」

下目「まずい!ヤミ!あの死に損ないにトドメを!」

天才「フッ、なるほどな!もう遅えよ!」


ズルッ!!


天才は勢いよくパンツを脱いだ。

ヤミ「しまった!!」


49 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 17:37:16 wLaUj8JQ00

下目「魔のパンツが…!」

ギル「聞いたことがあるわ…!魔のパンツ…履いた者の力を奪って強くなる魔物の一種…!いつの間に…!」

天才「最初にハンマーで殴りかかった時か…!へっ、俺に気づかれずにパンツを履かすとは、なかなかやるじゃねえか」

するとパンツはヒラヒラと蝶のように空を舞い下目使いの手元へと戻ってくる。

下目「……まあいいか。魔のパンツにかなりの力を吸収させられたし、これでこっちの戦力もアップだ。ここらで退散するとしようか。楽しませてくれた君たちに免じて、この村は解放してあげるよ」

ヤミ「えっ!?いや下目使い、そんな勝手な事したら妖魔様に怒られるんじゃ…」

下目「心配ないよ。最終的にはこの世界ごと征服するつもりなんだ。こんな小さな村あってもなくても変わんないでしょ」

ヤミ「まったく…どうなっても知らないよ…」

天才「あっ、おい待て!」

ボウッ!

ヤミノツルギが黒い炎を吐き出すと、二人はそれに包まれ、次の瞬間には姿を消していた。


50 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/24(木) 18:24:21 wLaUj8JQ00

天才「逃げられたか…ま、とりあえずここは俺らの勝利だな」

ギルティースたちを囲んでいたヤミノツルギの炎も同時に消え、解放される。

村中に散らかった魔物の残骸も、ちりとなって消滅した。

ギルティース「ありがとう天才!貴方が来てくれなかったら私たち全滅してたわ」

天才「気にするな。俺だってドドンに助けられたぜ。つーかとっとと治療してやらねえとな」

ギルティース「ええ!それに飛ばされたパターソンも探さなきゃ!」

アントン(みんなすごいなぁ…!僕も頑張らないと!)


51 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 6aa8-714d) :2019/01/25(金) 01:09:44 W8P.YYuI00
魔のパンツの扱い流石に酷過ぎて草


52 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/25(金) 19:56:59 cBQRLPXo00




東端の町では。

妖魔「この国も残すはこの町のみ…さあゆけ、しもべたちよ!」

西端の村が解放されているとはつゆ知らず、キング・オブ・妖魔は大量の魔物を引き連れ、侵略を開始していた。

町民「うわあああああっ!!」

町民「つ、ついに魔物が来たぞおおお!」

一気に町が騒がしくなる。


その中に、ガチガチに武装した、あるいはガチガチに肉体を鍛え上げた集団が、戦いの準備を進めていた。

バロン「戦闘部隊のみなさん、準備はいいですか!ついに決戦の時です!」

卍「我々の教えたことを存分に発揮すれば、魔物なんぞに引けは取らないはずだ!行くぞ!」

集団「ウオオオオオオオオ!!!」


53 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/25(金) 20:00:26 cBQRLPXo00

町を守るため、家族を守るため、自分の強さを証明するため。

目的こそ違えど、彼らはこの大きな戦いを前に、一つになっていた。

ドルコ「さあて、ボスは私が頂くわよ♪」

勇者「僕も出来る限りのことを頑張るよ!みなさん、訓練の時も言いましたが、爆弾に巻き込まれないようにできるだけ僕には近づかないようにしてくださいね!」

レイア「俺も勿論参加させてもらうぜ!まだ本調子とは言えねえが、雑魚魔物ぐらいなら楽勝だ!」

魔物たち「グオオオオ!!!」

卍「来るぞ!!」


54 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 18:49:58 uihmrjGo00





隣国・北の町。

とても平和で治安の良い町である。

この町の学校にはある秘密があるという…。

ガラガラガラ…

???「みんなおはよー!」

赤い恐竜が元気に扉を開け教室に入る。

???「あ、コテツくん、おはよう!」

真っ先に挨拶を返したのは、ヒゲのはえた赤い帽子のおじさんだった。

コテツ「チェントゥリオーネちゃんおはよー!」

???「はあ、まったく朝からうるさいですねコテツは」

今度は奥の机で算数ドリルを解きながら、緑の恐竜がつぶやく。


55 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 18:53:09 uihmrjGo00

コテツ「あ、インテリくんもおはよー!」

インテリ「だからうるさいってば!もう!邪魔しないでください」

コテツ「ごめんごめん!それにしてもやっぱりインテリくんはすごいなー!ぼく、一問もわかんないや!」

インテリ「いや、コテツがバカすぎるんですよ…」

チェン「ふふ、私が教えてあげるよコテツくん」

コテツ「ほんと!?ありがとー!」

???「コテツくんおはよう!それより昨日のナザレンコが出てたテレビみた?」

ピンクボールも会話に混ざってきた。

コテツ「幼き弟くんおはよー!ナザレンコくん出てたんだー、みのがしちゃった」

幼き弟「そっかー、もったいないなー。モノマネ芸人のポルスも出てて、二人のコラボがすごい面白かったんだよー!」


キーンコーンカーンコーン♪


56 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 19:09:06 uihmrjGo00

???「さ!もう朝の会の時間だよ!みんないつまでも喋ってないで、早く席に着きなさーい!」

ドゴッ!!

緑のパーティー帽を被った黄色ネズミは、いきなりコテツに腹パンをかました。

コテツ「グフッ!!ご、ごめん暴力委員長〜!」

暴力「まったくもう……って、こら!マグヌスくん!イタズラやめなさーい!」

扉の上に黒板消しを仕込もうとしていた黄色い帽子の子供は、不服そうに暴力委員長を睨む。

マグヌス「ちっ、バレたか」

インテリ「何でうちのクラスはこう落ち着きが無いんでしょうね…はあ…勉強に集中できません」

チェン「それにしても、先生遅いねー」

幼き弟「何かあったのかなぁ?」

暴力「……じゃあちょっと見てくるから、みんなは静かに待っておくよーに!!」

コテツ「はーい!」


57 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 19:17:43 uihmrjGo00



それから十数分後。

チェン「遅いね…やっぱり何かあったんじゃない?」

マグヌス「フン、なにかあったのはオマエだろ。なんでオッサンががっこうにいるんだ」

チェン「な!?オッサンじゃないもん!」

マグヌス「どうみてもオッサンだ」

コテツ「マグヌスくん、女の子いじめるの良くないよ!」

幼き弟「そうだよ!」

インテリ「コテツはバカだけど、同意ですね。チェントゥリオーネちゃんは成長期が早すぎただけなんです。まだ女性ホルモンが十分に発達していないこの時期に急激に成長したせいで成人男性のような姿になってしまったけど、歳は僕らと変わらないんですよマグヌス」

マグヌス「いみがわからん…」


58 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 6aa8-714d) :2019/01/26(土) 19:48:33 k6rTmcx.00
マグヌス「いみがわからん……」
俺ら「いみがわからん……」


59 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:02:31 uihmrjGo00

コテツ「ぼくもむずかしいことはよくわかんないけど、とにかく嫌がってるからだめ!」

チェン「うう、三人ともありがとう…」

マグヌス「キモ…」


ドガァーーン!!!


コテツ「な、なに!?いまのおと!!」

突如、巨大な衝撃音が学校中に響き渡った。

幼き弟「やっぱり何かあったんだ…!見に行こう!」

全員、すぐに教室を出る。

するとそこには。

コテツ「委員長!」

暴力「は、はやくにげなさ…い…」

ガクッ

コテツ「いいんちょーーーーっ!」

幼き弟「い、いったいなにが…!委員長だけじゃない、ほかのクラスの子も倒れてる…!」

インテリ「みんな見てください!犯人はあいつらです!」


60 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:05:20 uihmrjGo00

インテリが指をさした先で、五匹の魔物たちが暴れていた。

魔物「グオオ…!」

コテツ「ひいー!なにあれ!?」

幼き弟「に、逃げよう!」

マグヌス「ふん、よわそうだな。あんなヤツらボクがぜんいんたおしてやる」

チェン「えっ!?あ、危ないよ!」

コテツ「あの委員長だってやられちゃったんだよ!?」

マグヌス「いや、いいんちょうはもっとよわいだろ…」

インテリ「まあ確かに委員長がやられたからといって僕たちが対抗できないとは言い切れません…しかし相手の力量がわからない以上、ここは迂闊に戦いを挑むのは避け…」

マグヌス「うるさい!」

マグヌスはクラスメイトたちの制止を振り切って、魔物へと飛びかかった。

マグヌス「PKファイヤー!」

ボオオオッ!!

魔物「ギャアアアア!!」

チェン「き、効いてる!」


61 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:07:36 uihmrjGo00

マグヌス「ヨーヨー!」

バコォォン!!

炎で動きを止めた魔物に、ヨーヨーの一撃がクリーンヒット。

遥か彼方へ飛んでいった。


幼き弟「すごい…!さすがマグヌスくん!」

コテツ「よーし!じゃあぼくもたたかうぞ!」

インテリ「コテツはやめといたほうがいいでしょう…でも今の感じだとどうやらそこまで強力な相手ではなさそうですね。僕も加勢します!」

チェン「私も!」

幼き弟「だったら僕も…!いけっ、ソーセージ!みんなに加勢してあげて!」

ニュルッと幼き弟の股間のあたりからソーセージのようなものが顔を出す。

ソーセージ「よかろう」

全員で協力し、魔物に立ち向かった。


62 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:11:34 uihmrjGo00

ドドドド…!

ガガガ…!

ズバババ…!


ドカーン!!


チェン「や、やったー!私たちで魔物をやっつけたよ!」

インテリ「フフ、たまにはみんなで協力するのも悪くないですね」

マグヌス「べつにボクひとりでもよゆーだったけどな」


ドスッ!!


マグヌス「……え…?」

ドサッ…

???「雑魚を倒した程度であまり調子にのらないでもらおうか」

マグヌスは突如として現れた白い剣士に腹を一突きされ、倒れた。

コテツ「マ、マグヌスくん!!」

チェン「だ、誰!?」

???「俺は無敵の剣士…いや、ここは学校だったな…フ…ならば、"無敵の転校生"…とでも名乗っておこうか」


63 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:16:57 uihmrjGo00

インテリ「…これは…まずそうですね…」

幼き弟「逃げよう!」

ソーセージ「ああ!」

全員、一斉に駆け出す。

が。

転校生「逃すと思うか?」

ドスッ!!

インテリ「ぐふぅっ!!」

背中から刺され倒れるインテリ。

転校生「悪いが逆らう者は皆殺しにするよう、妖魔様に命じられているんだ」

ザンッ!!

コテツ「ぎゃっ!!」

次はコテツが斬り裂かれ、地面を転がりのたうちまわる。

チェン「インテリくん!コテツくん!つ、強すぎる!」

転校生「うん?何だお前は…オッサンがなぜこんなところに…教師という感じでも無さそうだが……まあどうでもいいか」

バキッ!

ドスッ!!

チェン「ゴフッ!!」

チェントゥリオーネは止まらず逃げ続けるもブーメランで脚を狙われ、転倒したところを下突きで貫いた。


64 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:19:47 uihmrjGo00

幼き弟「み、みんな…!どうしよう…!ソーセージ!」

ソーセージ「お前は戦えないだろ…ここは僕が食い止める!逃げろ!」

幼き弟「そ、そんな…!」

ソーセージは振り向き、追ってくる転校生に立ち向かう。

転校生「何だ?諦めたのか?」

ズバァッ!!

ソーセージ「ぐはっ!」

しかしソーセージはあっさりと半分に切られた。

幼き弟「ソーセージぃぃぃ!」

幼き弟はショックのあまり、その場にへたり込む。

ソーセージ「ぐっ…!な、何してる弟……さっさと…逃げろ…ッ!」

転校生「遅い!これで終わりだ!」

剣を振りかぶる。


その時。


65 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/26(土) 20:28:31 uihmrjGo00


???「幼き弟!伏せなさい!」


転校生「!?」


バコォッ!!


幼き弟の後ろから飛んできたタマゴが、転校生の剣を弾いた。

幼き弟「い、今のタマゴ…!まさか…お母さん!?」

母「なんとか間に合ったわね…!」

幼き弟が振り返ると、そこにいたのはコテツと同じ赤い恐竜だった。

幼き弟「お母さん、どうして学校に…!」

母「あなたは気づかなかったかもしれないけど、実はお母さん、あなたが心配でいつも学校に潜んでいたのよ!」

幼き弟「えぇ…」

母「姉と違って弱いし、近所でも有名なワルガキのマグヌス君が同じクラスだなんてもう心配で心配で…!」

幼き弟「いやお母さん前見て!危ない!」

ギャリンッ!

母「!!」


66 : はいどうも名無しです (アウアウ 4aae-ca68) :2019/01/26(土) 23:52:48 Me.bW4F.Sa
本家ならマグヌス以外どうあがいても転校生に勝てなさそうな面子で草


67 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 00:39:35 pNHL6ELg00

母をクローショットが捕らえる。

転校生はそのまま引き寄せると首根っこを掴み、持ち上げる。

転校生「話の途中で悪いが、お前も歯向かうなら斬り捨てるだけだ」

ザンッ!!

母「かはっ…!」

幼き弟「お母さぁぁぁん!!」


転校生「さて…これで正真正銘、最後の一人だな」

ビクビク震える幼き弟の元へ転校生がにじり寄る。


???「不法侵入は褒められたことじゃないけど…よく時間を稼いでくれたね。礼を言うよ、幼き弟くんのお母さん」

プォーン!

チャリンチャリン!!

転校生「ぐおっ!!」

足元から突然アッパーが繰り出され、転校生は弾き飛ばされた。

転校生「チッ、また増援か…ワラワラと……というか今お前、どこから湧いて出てきた…!?」

アッパーとともに姿を現したのは、赤い帽子の男だった。


68 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 00:45:35 pNHL6ELg00

幼き弟「ド…㌦ポッター先生!」

㌦「遅くなってごめんよ。向こうにいたから気付くのが遅れてしまった」

幼き弟「向こう…?」

㌦「詳しい話は後だ。とにかくここは僕がなんとかしよう」

転校生「質問に答えろ!」

ドガッ!!

バキッ!!

ガキンッ!!

チャリン!!

ズドドドド…!!


幼き弟の前で、明らかにこれまでよりも一回りレベルの高い、激しい戦いが巻き起こる。

幼き弟「㌦ポッター先生…こんなに強かったのか…!」

㌦「感動してくれているところ悪いけど、思ったより手強いな…!一度撤退しよう!」

幼き弟「えっ!?」

㌦ポッターは転校生と距離を取ると、幼き弟の手を掴んだ。


69 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 00:51:27 pNHL6ELg00

転校生「逃がさん!!」

転校生は踏み込み、追撃を繰り出す。

が。



パチンッ!



㌦ポッターが指を鳴らした瞬間、その姿が消え、追撃は空を切った。

転校生「……な……何が起きた……?」

いや、㌦ポッター、幼き弟、それどころか。



学校そのものが、消えていたのだ。


70 : はいどうも名無しです (アウアウ e9a6-4cf3) :2019/01/27(日) 06:14:24 uQB9n4mkSa
この妖魔軍に所属する転校生と名乗る者は...あれじゃろうな...


71 : ハイドンピー (スプー 1bf2-28a3) :2019/01/27(日) 17:35:30 NDsnyYsESd




幼き弟「な、なにをしたの!?」

㌦「この学校にはある秘密がある…ってウワサは聞いたことがあるだろう?通っている生徒なら一度は耳にするはずだ」

幼き弟「う、うん…だけど秘密って…?」

㌦「それがここさ」

そう言われても幼き弟には理解できず、呆然と見回すしかなかった。

今、幼き弟の目に映っているのは、まるで巨大な城のような洋風の建物。

㌦「ここは"裏"の空間に造られた…魔法学校なんだよ」

幼き弟「魔法学校!?」

㌦「君たちがいつも通っているあの学校は、この魔法学校へのゲートになっているんだよ」

幼き弟「よ、よくわからないけど、僕たちはそれで助かったの?」

㌦「ああ。あの敵の剣士だけは向こうに置いてきたからね。それにゲートも完全に閉じたから、こっちに追って来る心配もない」

幼き弟「そっか…」

㌦「やられてしまったみんなもすでに魔法で医務室まで運んでいるよ。こちらの魔法薬を使えばあれくらいの傷ならなんとか治せるはずだ」

幼き弟「ほ、ほんと!?すごい!ありがとう!」

㌦「何、礼なんかいいさ。大事な生徒だからね」


72 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 17:43:17 pNHL6ELg00




その頃、ゴリラに追われていた赤い恐竜を助けた極道の片割れは。

???「助けてくれてほんっっとーにありがとう、お兄ちゃんっ!」

片割れ「ハァ…ハァ…な、何やったんやこのゴリラは…」

ゴリラは片割れの落とした雷により真っ黒焦げになって、気絶して倒れていた。

???「たしか、ダーク内藤?とかって言ってたような…魔界から来たって言ってたよ」

片割れ「魔界ぃ?…そういやニュースで隣の国がなんかそんな感じのヤツらにカチコミ受けたとか、やっとった気がするな…こっちの国にも攻めてきたんかいな…煙草マスターの件といい、なんや最近物騒やのォ……んで、お前は何なんや?」

???「あたしは妹だよっ!お兄ちゃんっ!」

そう言って赤い恐竜は片割れの腕に抱きつく。

片割れ「ああ!?誰が兄ちゃんや気色悪い!くっつくなや!」

妹「もしかしたらまた変なのが来るかもしれないから、もう少し一緒にいさせて…?」

[自称]妹は涙目を見せて懇願する。

片割れ「チッ…しゃあないなぁ…ったく…」

妹「ホント!?ありがとうお兄ちゃん!」

片割れ「だから兄ちゃんちゃうわ!!…にしてもお前、何で追われとったんや?」


73 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 17:48:08 pNHL6ELg00

妹「えっとぉ、なんていうかぁ〜、魔界がどうとか言ってすごいイタかったからぁ、からかってたらキレられた」

片割れ「自業自得やないかい!!」

妹「でもほっといても暴れてたよ、たぶん」

片割れ「まあ、それはそうやな…」

妹「それよりお兄ちゃん、とりあえずこのゴリラをなんとかしないと!」

片割れ「兄ちゃんちゃうわ。あー、拘束してどっかの地下にでも閉じ込めとくか」

そう言うと片割れはケータイを取り出し、どこかに電話をかけた。

片割れ「オウ。厄介なモン引き受けてもうてな。すまんけどちょっと来てくれるか?」

???『片割れか。また事件起こしたんじゃねえだろうな?』

片割れ「事件っちゅーほどのことやないわ。ただコイツデケエから運ぶのに何人か人手がほしいんや」

???『いや事件の匂いしかしないんだが?まあいい。だったら人間と行く』

片割れ「オイオイ人間てまさか使えない人間のことやないやろな…あんなヤツ寄越されても困るで…」

???『チッばれたか。まあ適当に新入り何人か連れてきゃいいだろ』

片割れ「おう頼むわ。ほなまた」

プツッ


妹「すごーいお兄ちゃん、さすがヤクザ!」

片割れ「やかましいわ!」


74 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 18:01:38 pNHL6ELg00


???「お前たち…うちのダーク内藤に何をした?」


片割れ「アァ!?」

妹「ゲッ…またゴリラ…」

二人の前に、再び別のゴリラが現れる。

その黒いゴリラは倒れたダーク内藤を抱え上げ、悲しげな表情で片割れたちを睨んだ。

???「私はアルベルト。よくもダーク内藤を黒焦げにしてくれたな…これではもう私との区別もつかない…」

片割れ「ゴリラはゴリラやろ…どっちでもええわ」

アルベ「この人でなしめ…ダーク内藤、待っていろ。すぐにお前の仇を取ってやる」

アルベルトは優しくダーク内藤を降ろすと、片割れに対峙した。


75 : ハイドンピー (ワッチョイ d7ca-28a3) :2019/01/27(日) 18:05:44 pNHL6ELg00

妹「な、なんかあの人さっきのゴリラより強そうだよ。気をつけて、お兄ちゃん!」

片割れ「兄ちゃんちゃうわ。しかし確かになかなか強そうやな…ワシが抑えとる間にお前は逃げときや!」

妹「うん!」

ドドドドドドドド!

一瞬の逡巡もなく[自称]妹は物凄い速さで逃げ去った。

片割れ「…………」

アルベ「逃がしても無駄だ。お前を潰した後で奴も潰す」

片割れ「ハッ…やってみいや!」


76 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/29(火) 03:50:33 Khv76U1600




妹「ふう…もうなんなのあのゴリラたち…」

隣町まで逃げて来た[自称]妹だったが。

ドカッ

妹「あっ、ごめんなさい!余所見してて…」

大学生「ああん!?どこ見て歩いてんだぁテメエ!」

妹「!?」

大学生「ケツみてえな頭しやがってよ!」

ガキンッ!!

壊れた大学生は剣を抜き、有無を言わさず斬りかかった。

妹「えぇー!?なんなのこの人!」

???「下がって!ここは僕が止めて見せる!!」

颯爽と登場した緑の剣士。

大学生「どけや雑魚!!」

バゴォォォーン!!

???「ぐおあっ!と、止められないいいいい!!」

空に消えた。

妹「何だったの…」


77 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/01/29(火) 20:08:58 Khv76U1600

大学生「ケケケッ…どこ見てんだクソゆるキャラがよぉ?その赤え体切り刻んで全身の血ィ抜いて真っ青にしてやんよ!!」

ブンッ!ブンッ!

妹「ひゃっ!?なんなのマジで!?ちょっ!やめて!!危ないから!!」

[自称]妹はなんだかんだ俊敏な動きで剣をかわしている。

と。


ゴンッ!!!


???「はぁ…こんなとこにいた…」

後ろから現れた白い服の剣士が、大学生の後頭部を剣の柄の部分でブン殴り、気絶させた。

妹「えっ…」

???「本当にすみません…この人壊れてるんです。僕は純白。一応この人の知り合いです」

そう言うと純白と名乗る青年は大学生を担ぎ上げる。

純白「…ていうか、怪我とか無いですか?」

妹「だ……」

純白「……だ?」

妹「大丈夫だよっ!助けてくれてありがとね!お兄ちゃんっ!!」

純白「へっ!?」

満面の笑みで純白に抱きつく[自称]妹。

妹「今からあたしはぁ、純白お兄ちゃんの、妹だからねっ!!」

純白「えええええええ!?ナニコレ!?」


78 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 5557-d9b1) :2019/01/30(水) 15:48:15 vJYahRHc00
妹がいいキャラしてるなぁ


79 : ハイドンピー (ワッチョイ a1ae-42a3) :2019/01/30(水) 16:36:46 ryU.4mGk00





東端の町。

キング・オブ・妖魔の元へ悪魔の下目使いと魔炎師ヤミノツルギが戻り、ついに本格的な戦争が始まろうとしていた。

妖魔「遅かったな下目使い、ヤミノツルギ」

下目「すみません。ちょっと厄介なキツネが現れたので。でもちゃんと倒したので問題ないですよ」

妖魔「フン、当然だ。我らに敵う者などこの世界に存在する筈もない」

下目「ですね」

ヤミ(い、いいのか…?バレたら絶対殺される…!)

妖魔「どうしたヤミノツルギ。口数が少ないな。それに何だ?その汗は」

ヤミ「い、いえ!西の村での戦いでちょっと魔力を使い過ぎただけですよ!すぐ回復します…」

妖魔「…ほう、そのキツネとやら、お前たちがそこまで手こずるほどの相手だったのか?」

下目「ええ、まあ」

下目使いはその後も妖魔へ適当な返事をする。

ヤミノツルギはそれを見るたび肝を冷やしていた。

そこへ。


80 : ハイドンピー (ワッチョイ a1ae-42a3) :2019/01/30(水) 16:39:24 ryU.4mGk00


ドガッ!!


倒された魔物が転がり込んで来た。

そして。

レイア「また会ったな、悪魔の下目使い!ヤミノツルギ!キング・オブ・妖魔!」

卍「お前が魔の一族の親玉か」

ドルコ「へえ♪逞しくてステキじゃない♪」

バロン「いやいや…」

灼熱のレイア、卍黒きムッコロズ、ドルコリン♪、勇者ヨシオ、バロンムッコロス二等兵の五人は、魔物を倒しまくり、ついにボスのところまでたどり着いた。

勇者「先手必勝ッ!」

ブンッ!

勇者ヨシオは爆弾を投げつける。

下目「そんなもの僕には効かないよ」

ドスンッ!!

バコォッ!!

下目使いは飛び上がってストーン化し、爆弾を上から粉砕した。

勇者「くっ…!」


81 : ハイドンピー (ワッチョイ a1ae-42a3) :2019/01/30(水) 16:41:35 ryU.4mGk00

レイア「俺が行く!はああああっ!!」

レイアは一人で下目使いへと突っ込む。

ヤミ「ククク…キミは学習しないなぁ」

レイア「!!」

ボォォォォッ!!

レイア「ぐ……ッ!そう来ると思ったぜ…!今だムッコロズ!ムッコロス!」

卍「ああ!」
バロン「ハイ!」


ドウッ!!!


レイアと勇者が注目を集めている間に、二人はビームをチャージしていたのだ。

そしてチャージしたビームがヤミノツルギへと放たれた。

ヤミ「まずい…ッ!」

炙りアイテムの発動中、別方向からの攻撃へは完全に無防備になる。


ドゴォォォン!!


82 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/01/30(水) 19:52:45 jvjfw25ASd

ヤミ「ぐあああああっ!!」

ヤミノツルギは空へと飛んでいった。


妖魔「ヤミノツルギ…!馬鹿な…まさか人間ごときに我が左腕がやられるとは…!」

下目「心配いりませんよ。まだ僕がいる。僕がいる限り魔の一族に負けは無い」

そう言うと下目使いはハンマーを取り出す。

が。

ドルコ「遅いわ♪」

下目「!!」

ギュッ!

ドルコリン♪が下目使いを抱き締めた。


ボォン!!


次の瞬間、爆発が起き、下目使いは吹き飛ばされる。

下目「うわっ」

ゴロゴロ…

その勢いで妖魔の足元に転がった。


83 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/01/30(水) 19:53:52 jvjfw25ASd

妖魔「下目使い…貴様まで何をしている…!」

下目「す、すみません。油断しました…」

妖魔「もうよい!我が自ら潰してくれる!何人集まろうと所詮は人間!この我の敵では無いわ!!」

妖魔は足元の下目使いを踏みつけ、吠える。

レイア「ついにボスのおでましか…!みんな気を引きしめろ!」

勇者「強そうですね…でも僕たちが力を合わせれば絶対に勝てる!」


全員が、これから始まるであろう激闘を想像し、息を呑んだ。


84 : はいどうも名無しです (オッペケ 5e88-d9b1) :2019/01/30(水) 21:54:47 A1BZNeS6Sr
いつの間にか勇者ヨシオが冒険してて草


85 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 16:23:50 4ufJCTsc00


が。



下目「おいゴリラ。今、誰を踏みつけた?」



妖魔「?」



ドゴォォッ!!!!


妖魔「…………ッ!?」


起き上がった下目使いが妖魔の背後を取り、脳天にハンマーをブチ込む。

その勢いで妖魔の体は地面にめり込んだ。

かろうじて頭だけが地上に出ているが、すでに気を失っている。

下目「あれ?一撃で気絶?つまらないな」


86 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 16:26:13 4ufJCTsc00

下目使いは全力で妖魔を見下し。

そして再びハンマーを構え。

ドゴッ!!

ドゴォッ!!!

バコォッ!!!

頭部を何度も殴りつけた。

妖魔の頭部は通常の三倍に腫れ上がり、もはや元の形も分からない。

下目「ふぅ〜、スッキリした!」


勇者「……な……仲間割れ…?」

レイア「えげつねぇな…!」

卍「だが…こちらとしては好都合だ」


下目「ずっとムカついてたんだ。お前はいつもいつも、上から目線で僕に命令してくる。知ってるだろ?僕は見下ろされるのが大嫌いなんだよ」

下目使いは埋まった妖魔の頭を足蹴にしながら言う。


87 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 16:35:00 4ufJCTsc00

レイア「今は戦いの最中だぜ!いつまで余所見してやがるッ!」

ダダダダダダダ…!

そこへレイアが仕掛ける。

下目「うるさいなぁ。せっかく人がいい気分に浸ってるっていうのに」

下目使いはハンマーを振りかぶり。

ブンッ!!

レイア「うおっと、危ねえ!だがもうそのハンマーの餌食になるつもりはねえぜ!」

レイアは緊急回避し、ギリギリのところでハンマーをかわした。

卍「レイア伏せろ!」

ドウッ!!

下目「ふん」

レイアの後ろから放たれたチャージビームだったが、下目使いはあっさりとジャンプで避ける。

が。

ドルコ「甘いわ♪」

ガシィ!

空中でドルコリン♪に捕まる。

下目「チッ」

ボォン!!

下目使いは吹っ飛ばされ。

さらにその先には。


88 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 16:37:03 4ufJCTsc00


ドォォン!!!


勇者「モーションセンサー爆弾を仕掛けておきました!」

下目使いの着地と同時に、爆発が巻き起こる。


下目「あー危なかった。こわいこわい」

勇者「え!?」

煙が晴れると、何事も無かったかのように下目使いが立っていた。

下目「ストーンにならなかったら死んでたな」

レイア「あのストーン化が厄介だな!やっぱり強え…!」

勇者「だけど五対一のこの状況、僕たちの圧倒的有利です!しっかり冷静にやれば勝てるはず!」

ドルコ「そうね♪さあ、みんな気を抜かず追い詰めていきましょう♪」

下目「うわぁ、気持ち悪…」


89 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 5557-d9b1) :2019/01/31(木) 20:59:45 rt3koQ3.00
妖魔やられてて草


90 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 23:19:19 4ufJCTsc00





その頃、天界では。

巨大天使マックスとennjeruが稽古を終え、更衣室で帰り支度をしていた。

マックス「はあ…神様には申し訳ないが…ennjeruお前マジで才能無いぞ…」

ennjeru「ええ!?」

マックス「俺だって正直ガタイ良いだけで戦闘技術が大したことないって自覚はある…だがお前はその俺にすら遠く及ばない弱さだ…これ以上稽古つけても、果たして伸びしろがあるかどうか…」

ennjeru「そんなのやってみなきゃ分からないじゃないですか!」

マックス「いや今日一日やってみた結果の感想なんだが…」

そこへ。


???『マックス、ちょっといいかの』

マックス「神様!?どうされました?」

突然マックスの脳内に神様からテレパシーが送られた。

???『実は、かくかくしかじかでの。アントンは今窮地に立たされておる』


91 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/01/31(木) 23:21:34 4ufJCTsc00

マックス「ええ!?神様そりゃまずいでしょう!アントン一人じゃ、あの魔の一族の奴らには到底…」

???『ああ。ずっと鏡から見ておったのじゃが、下界のフォックス一族の助けを借り、なんとかあの村は取り戻せたのじゃ。しかし彼方に飛ばされた仲間を探す途中で、また魔物どもに囲まれておる…』

マックス「なるほど…そりゃあれだけ国が乗っ取られてたら、いくらでも湧いてきますよね」

???『マックスよ、すまぬがお主にも下界へ降りてもらう。そしてアントンの助けになってやってくれ』

マックス「はっ!ではすぐに準備を整えます!」


ennjeru「マックスさんも下界行くんですか?」

マックス「ああ。言っとくがお前は連れて行かんぞ。足手まといにしかならん」

ennjeru「ひどい!」

マックス「そもそも天界の住人が下界に干渉すること自体が異例なんだ。今回は魔界の奴らがあまりにも目に余る行動に出やがったから、特例として俺らが行くことになったがな…」

ennjeru「それは分かってますけど…」

マックス「とにかくお前は、神様のサポートでもしていろ。あの人ももうお年だから、ボケ始めているのやもしれん。くれぐれも邪魔にだけはならんようにな」

ennjeru「へーい…」


92 : はいどうも名無しです (ワッチョイ daa8-37aa) :2019/02/01(金) 07:18:43 BVToiRGc00
かなりすこ支援のドドン


93 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 19:33:29 .EdGEJoc00




西端の村のはずれ。

パターソンを探していると、山に何かが墜落した形跡を見つけ、ギルティースMkII、天才、アントンの三人は調査に来たのだが。

天才「あーあー、こんなとこにまでいやがるのかコイツら」

天才とギルティースは大量の魔物に囲まれていた。

ギル「もし瀕死のパターソンがこんな魔物の中に落ちてたら危険だわ!アントンくんもはぐれちゃったし!急ぎましょう!」

魔物「グオオオオ!!」

魔物たちは一斉に飛びかかる。


チュン!チュン!

ズドドドド!!

ドカッ!!

バキッ!!


ギル「くっ、強いわね…村にいたのとは比べ物にならない…!」

天才「つっても所詮は雑兵だ。全部があの下目使いとかいうヤツぐらい強けりゃ、こっちも燃えるんだが…やっぱ雑魚掃除は趣味じゃねえな」

ギル「いや、それはちょっと想像もしたくないわね…」


94 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 19:58:49 .EdGEJoc00




そこから少し離れた位置では。

アントン「よーし!一人でもやれるってとこ見せてやるぞ、うん!見てる人いないけど!」

天才たちを取り囲んでいる数ほどではないが、魔物たちが、アントンを襲っていた。

魔物「キシャァーーッ!!」

魔物たちが飛びかかる。

アントン「いくぞっ!」




それから十数分後。

アントン「これで…終わりだーっ!」

バタバタバタバタ!!

魔物「グギャアッ!」

アントン「はあ、はあ、やったー!一匹倒したぞ!」

魔物「ギャオォォ!」

アントン「……まだいっぱいいるね、うん」

魔物「ギャース!!」

再び魔物たちがアントンを取り囲む。

アントン「ひい〜っ!ど、どうすれば…!」


95 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 20:05:21 .EdGEJoc00

コロコロ…

アントン「んっ?なんだろこれ」

アントンの足元に何かが転がってきた。

???『遅くなって済まぬ、アントン!』

アントン「こ、この声、神様!?」

???『ああ!そこに落ちているのはさっき言ったモンスターボールというアイテムじゃ!何が出るかはわからんが、神の力で数十個そこに転送しておいたから、とにかく投げまくるのじゃ!』

アントン「わー!ありがとうございます!」

アントンは大量のモンスターボールがあるのを見つけ、目を輝かせる。

そして両手いっぱいに抱えると、一気に投げた。

アントン「出ておいで!はちくん!」

「イワァーク!」
「ラーイライ!!」
「ドガァース」
「トッサキーントサキントサキン」

アントン「あ、あれ?でない…」

「ニャー」
「ラッキー!」
「ミュゥ…」
「ガメー!!」

アントン「ええー!なんで!?」

その後数十個のモンスターボールを投げたが、蜂が出ることは無かった。

ただし魔物は全滅した。


96 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 20:27:34 .EdGEJoc00


ギル「あっ、いたいた!アントンくん!」

アントン「あ、ギルティースさん、天才くん!」

ギル「無事みたいね!よかったわ!」

天才「へえ、この数を一人で倒したのか。案外やるじゃねえか」

アントン(ほとんどモンスターボールのお陰なのは黙っておこっと…)

ギル「でもパターソンはこの辺にはいなさそうね…一体どこまで飛ばされちゃったのかしら」

天才「まああのハンマーとんでもねえ威力だったしな。冷静に考えればこんな近くの山にゃいねえだろう。案外別の国にまでブッ飛んでんじゃねえか?」

ギル「いやいや、流石にそれは…ないわよ…ね…?」

アントン「あれ?でもだとしたら何かが落ちた跡って?」

ギル「……確かに」

天才「つーかよく見りゃこの山だけじゃねえ。ここら一帯の山に、流星群でも落ちたかってくらいの跡が大量にあるぜ」

アントン「ほんとだー。見て見て、あの山なんか半分消し飛んでるよ」

ギル「……これ、本当にパターソン見つかるのかしら……」


97 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 21:16:41 .EdGEJoc00





その頃、村では。

ドドンは治療を受けた後、病院のベッドで体を休ませていた。

ドドン「いやー、死ぬかと思ったドン。しかしあのドドンは気持ちよかったドン!」

下目使いの仕掛けた罠によりその身に受けた爆発の衝撃を思い返し、思わず顔が綻ぶ。


???「何だ?お前だけか?」


ドドン「だ、誰ドン!?」

男の声に反応し、ドドンはベッドから立ち上がってブラスターを構える。

そこには黒いレーサーの男が立っていた。

???「そう慌てるな。俺はこんなボロ雑巾相手に攻撃などしない」

ドドン「そうか、よかったドン」

ドドンは再びベッドに寝る。

???「素直な奴だな……まあいい。俺はΦデスエンペラー」

ドドン「…俺に何の用ドン?」

デスエン「…まあ、お前でもいいか…さっきの戦いを傍観させてもらった」

ドドン「そうかドン!どうだったドン?俺の大ドドンは!」

デスエン「フ、中々見事な爆発だったな」

ドドン「そうだろドン!いや〜照れるドン!」

デスエン「お前の爆弾を使った戦い方、面白かったぞ。そこでだ。俺とともに来ないか?」

ドドン「……?何処にドン?」


デスエン「勿論…これから起こる、戦争にだ」


98 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 22:52:58 .EdGEJoc00





隣国・北の町。

転校生「クソ…どうなっている…?建物ごと消えるなど…」

転校生はあまりの出来事に現実を受け止めきれず、立ち尽くしていた。

???「おーおー、こんなとこでなーに突っ立ってんだ?自称・無敵の剣士さん?」

そこに現れた、青い服の剣士。

転校生「…何だ、誰かと思えばゴキブリか。お前は南の町の担当だろう。なぜここにいる」

???「誰がゴキブリだテメエ。例の黒光様と呼べ。あっちはもう終わった」

転校生「チッ…俺がお前に遅れを取るとは…」

黒光「今更何言ってんだよ、いつものことだろ」

転校生「何だと?」

黒光「あーはいはい、いちいちキレんな。で?なんだよこのデケエ更地は」

転校生「チッ…ここには学校があった…はずなんだが。消えた」

黒光「はあ?意味がわからん」


99 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/01(金) 22:56:08 .EdGEJoc00

転校生「何を言っているか分からないだろうが…俺にも分からない…俺は反乱分子を始末し、最後の一匹も追い詰めていた。だが…そこに現れた奴が指を鳴らした瞬間、全てが一瞬にして消えたんだ」

黒光「つまり……逃げられた、ってことだな?」

転校生「…………」

黒光「はっ、ざまあねえな!妖魔にどう説明する気だ?」

転校生「なんとかするさ。奴らもいつまでも姿を消したままでは、この町の侵攻が進むばかりだと理解しているはずだ。いずれまた現れる」

黒光「だろうな。んじゃとりあえずここはほっといて町の制圧にでも行くか」

転校生「ああ…ってお前も来る気か?」

黒光「二人のが早えだろ。とっとと終わらせて、その消えた学校ってのを誘き出す」

転校生「…気は乗らないが…仕方ない、許可しよう」

黒光「なんで上からなんだよ…まいいや。んじゃ俺はこっちだ。向こうは頼む」

転校生「ああ」

二人は新たに呼び出した魔物たちを引き連れ、別々の方向へ侵攻を開始した。


100 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/02/03(日) 00:30:53 Tvvk83SU00




魔法学校のとある部屋では。

㌦ポッターは空間魔法を使い、無敵の転校生たちの動きを監視、警戒していた。

その監視映像を映し出すハードカバーの本を見た幼き弟が目を丸くして言う。

幼き弟「すごいねこれ!?どうなってるの!?」

㌦「空間の歪みを作って映し出しているだけさ。難しい魔法じゃあないよ」

???「どうやらこのままではあちらの世界が彼らの手に落ちるのも時間の問題のようですね…」

そこへ茶色い帽子の男が口を挟んだ。

㌦「そうですね召喚士さん。ああ、幼き弟くん、紹介しよう。この方は僕の魔法の師匠でもある、召喚魔法の達人、昼間の召喚士さんだ」

幼き弟「へー、よろしく!」

昼間「ええ、よろしく。君はたしかあちらの世界での㌦の生徒さんでしたか」

幼き弟「うん!幼き弟だよ!」

昼間の召喚士は優しく微笑みかける。

㌦「しかし困りましたね。正直あの二人かなり手強いですよ」

昼間「雑兵は魔法で簡単に倒せそうですが…彼らはそうもいきそうにありませんね。魔法学校と言えど戦闘に長けた教師は我々のみ…」

㌦「優秀な生徒もいるとはいえ…さすがに生徒たちに戦わせるわけにもいきませんしね…」


101 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/02/03(日) 17:52:23 Tvvk83SU00

昼間「仕方ありません…ここは私の召喚魔法で使い魔を呼びます。魔法陣を書くので少し離れてください」

幼き弟「ねえねえ、召喚魔法ってなに?」

昼間「フフ、見ていればわかりますよ。㌦は準備を手伝ってもらえますか?」

㌦「はい!」



それから数分かけて、二人は床に大きな陣を描いた。

㌦「完成ですね」

幼き弟「わー、かっこいい!」

昼間「では詠唱に移りましょう」

すると昼間の召喚士はブツブツと呪文のような言葉を呟き始めた。

幼き弟「ねえ、なに言ってるの?」

㌦「シーッ、集中してるから静かに…」

しんと静まり返っている部屋に。

タタタタタタタ…

外の廊下を走る音が聞こえてきた。


102 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/02/03(日) 17:55:36 Tvvk83SU00

そしてその音は部屋の扉の前で止まった。

幼き弟「? だれだろう…」


バンッ!!

マグヌス「ふっかーつ!!」

魔法薬による治療で回復したマグヌスが、ノックもせずに勢いよく扉を開いた。

幼き弟「わっ!マグヌスくん!もう治ったんだ!」

マグヌス「あたりまえだ!くそ!ぜったいぎゃくしゅうしてやる、アイツ!」

マグヌスは自らを不意打ちで倒した転校生への復讐心を燃やしていた。

㌦「静かに!」

幼き弟「ご、ごめんなさい!」

マグヌス「…ん?なんだこれ」

マグヌスは床に描かれた魔法陣に気付き、手で触れた。

㌦「わーーーっ!まずいよそれは!」

召喚士「!? み、みんな離れてください!」


バチバチバチバチ…!!


突如魔法陣から稲妻が走り、部屋中に広がる。

幼き弟「うわあっ!なに!?」

召喚士「召喚魔法陣は少しのズレが大きく影響します…今彼が触れた部分が掠れたことで座標が狂ってしまいました…!」


103 : ハイドンピー (ワッチョイ b408-9f68) :2019/02/03(日) 18:02:29 Tvvk83SU00

㌦「すみません、僕がちゃんと近づけないよう注意していれば…!」

マグヌス「ふはは、なんかしらんが、すごいことをしてやったぞ!」

幼き弟「いやマグヌスくん笑い事じゃないよー!」


ボォン!!


幼き弟「うわぁっ!」

魔法陣の真ん中に爆発が起こった。

㌦「な、何が…」

幼き弟「召喚?っていうのができたの…?」

召喚士「いや、失敗したはずです…召喚魔法は別の世界から使い魔を呼び出す、かなり繊細な魔法ですから、少しでも座標が狂えば召喚はできないのです」

爆煙が晴れていく。

召喚士の言う通り、やはりそこには何も無かった。

㌦「やはり…ダメでしたか…」

昼間「座標が狂うということは他の世界になんらかの影響を及ぼす可能性もあります…例えば全く無関係の人を別の世界に突然送ってしまうといったケースも、過去に存在します」

幼き弟「こわ〜!」

㌦「ほら、わかったら君たちは少し落ち着いて!」

マグヌス「うるせ〜!ちょっとたんけんしてくる!」

マグヌスは言い残して、また扉から勢いよく出て行った。

㌦「やれやれ…」

昼間「あちらの世界に悪い影響が無ければ良いのですが…」


104 : はいどうも名無しです (バックシ a463-6c4e) :2019/02/04(月) 00:14:48 MVPYcq9.MM
紫煙


105 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/02/04(月) 17:53:26 ExniQwx.Sd




時を同じくして、天界。

巨大天使マックスはアントンに加勢すべく、下界へ繋がるワープゾーンに来ていた。

???「準備はよいなマックス」

マックス「はい!神様!任せてください!」

ennjeru「いいなぁ…」

マックス「くどいぞ」

???「ではワープホールを開く!」

神様が杖を掲げると。


バチバチバチバチ…!!


稲妻が走り、マックスの体が光に包まれていく。

マックス「ぬおおおおっ…!ワ、ワープってこんなに負荷がかかるもんなのか…!」

???「い、いや、違う!なんじゃこれは…!」


106 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/02/04(月) 17:55:48 ExniQwx.Sd

ennjeru「何が起きてんですか!?」

???「何か…別の世界から干渉されている…!?このままではまずい!異空間に引きずり込まれるかもしれん…!マックス!早くそこを離れるのじゃ!!」

マックス「そ、そう言われましても…!ぐっ…立っているのが…やっとという感じで…!動けません…!」

ゴゴゴゴゴ…!!

物凄い震動が起こり、ワープゾーンを破壊していく。

???「くっ…!!仕方あるまい!!」

ダンッ!

ennjeru「神様!?」

神様は杖を投げ捨て、マックスの立つワープゾーンの中心部へ自ら飛び込んだ。

マックス「な、何を!!」


???「はあああああああっ!!」


ムキムキッ!!


神様は服の下から、巨大で毛むくじゃらな腕を出し、大きく振りかぶる。


ドゴォッ!!!!


マックス「ぐはあっ!!」

その巨大な腕でマックスをブン殴り、無理やりワープゾーンの外へと弾き飛ばした。


107 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/02/04(月) 17:57:19 ExniQwx.Sd

しかしその代わりに今度は神様がそこに取り残される。

ennjeru「なっ…!か、神様…そ、その姿は…!」

???「フッ…隠していてすまなかったな。そう、本当は儂は…」

纏っていた白い服が稲妻でビリビリに破けていき、神様の本当の姿が露わになる。

それは奇しくも、下界で暴れる魔の一族と同じ姿であった。


???「儂は……ゴリラだったんじゃ……」


バギュゥゥゥゥン!!!


神様はそう言い残すと同時に、大きく開いた空間の裂け目に吸い込まれ、この天界から消え去った。


ennjeru「神様ァーーーーっ!!」


108 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/02/05(火) 19:15:18 qBppmc.YSd




東端の町。

悪魔の下目使いは、早々にバロンムッコロス二等兵が弱いことを見抜いて仕留め。

更に緊急回避によってドルコリン♪と卍黒きムッコロズの同士討ちを誘って深手を負わせた。

勇者「くっ…この人数差でも対応してくるなんて!強い…!」

レイア「とはいえ向こうもダメージは負ってる!休ませず一気に畳み掛けるぞ!!」

下目「無理無理、君たちじゃ話にならないよ」

下目使いはそう言いつつも、流石にかなり汗をかいている。

すると。


ゴロゴロゴロ…


上空で雷鳴が鳴り響いた。

レイア「なんだ…?急に天気が悪くなってきたな」

勇者「…でも雲はないですよ?」

二人が空にほんの一瞬意識を向け、再び下目使いの方を見る。

が、そこには誰もいなかった。

レイア「何っ!?」


109 : ハイドンピー (スプー acb7-42a3) :2019/02/05(火) 19:19:10 qBppmc.YSd

勇者「え!?ど、どこに…!」

キョロキョロと辺りを見回すが、どこにも見当たらない。

レイア「いねえ…!どっかから不意打ちでもしようって腹か!?」

勇者「待ってください…!魔物たちの残骸が消えていってる…埋まってた妖魔の姿もありません…!これは…一体何が…」


下目「はあ。悪いけど、めんどくさくなったから帰るよ」


その声だけが聞こえた。

レイア「は!?お、おい!何のつもりだよ!逃げんのか!」


…レイアは叫ぶが、返答はない。

勇者「……ほ、本当に去ったみたいですね…でもひとまずこの町は守りきれた…ってことで、いいんじゃないですかね」

レイア「…勝ったとは言えねえが…まあ、良しとするか!とにかくみんなを病院に運ぼう!」

勇者「はい!」

二人は倒れた三人を抱え、病院の方を振り返る。

と。


110 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/05(火) 23:40:40 3BOWSU/A00


ピカッ!


ドォォォォン!!!!


強烈な光と、遅れて響く轟音。

レイア「んなっ…!」

勇者「びょ…病院に雷が…!」

レイア「やべえだろ!あそこにはリア・リエが…!それに今回の戦いで倒れた奴らも運び込まれてんだぞ!」

勇者「と、とにかく行ってみましょう!!」

二人は急いで病院へ向かった。




数分後。

二人は病院の前に着いた。

レイア「…見たところ何ともないっぽいが…」

勇者「入ってみましょう」

レイア「ああ」


111 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/05(火) 23:45:33 3BOWSU/A00

ウイーン

二人は病院に入り、中の様子を見渡す。

レイア「…特におかしいとこはねえな。病院に落ちたように見えたが、もしかして落ちたとこちょっとズレてたんじゃねえか?」

勇者「かもしれませんね…」

とりあえず二人は背負ってきた負傷者三人組をロビーの椅子に下ろし、奥へ進んだ。

その直後。


看護婦「ひいいいいっ!!」


レイア「!? どうした!」

廊下の曲がり角のところから走って逃げてきた看護婦と、レイアがぶつかりかける。

看護婦「ゴ、ゴリラが…!」

レイア「何!?」

レイアたちはすぐに看護婦の来た方へ向かった。

勇者「なっ!あれは…!」

そこには巨大なゴリラが、白衣を着て立っていた。

レイア「魔界のゴリラ!?病院にまで攻めて来てやがったのか!まさかさっきの雷もテメエの仕業か!?」

レイアは咄嗟に戦いの構えを取る。

???「待て待て!儂はただのゴリラじゃ。魔界産ではない」

レイア「はあ?」

勇者「な、何者なんですか…!?」

???「ふむ……神…と言っても信じられんじゃろうな…」

レイア「神ィ!?」


112 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/05(火) 23:50:34 3BOWSU/A00

???「とにかくお主らに敵対する意思はない。雷はおそらく儂が天界から落とされた時に発生したものじゃろう…」

勇者「どういうことですか?話が見えない…」


神様は天界でのことを話した。


レイア「…じゃあマジで神様だってのか?…正直魔界なんてもんがある以上、天界ってのも信じられない話じゃねえけどよ…」

勇者「でもなんでお医者さんの格好してるんですか?」

???「それは謎じゃ。儂は普通にゴリラの格好だったはずじゃが、気づいたらこの病院にいて、この格好になっておった」


マックス『神様!ご無事ですか!?』


???「む、その声、マックスか!」

レイア「ん?どうした急に?」

???「おお済まんな。お主らには聞こえんじゃろうが、天界からテレパシーが送られて来たのじゃ」

マックス『今神様の落とした杖を使ってテレパシーを送っています!下界にいらっしゃるんですね!?』

???「ああ。儂は無事じゃ。お主こそ無事か?」

マックス『はい!神様のおかげで助かりましたよ!ただ一つ問題が…!』

???「どうした?」

マックス『神様があの謎の空間転移に呑まれてしまった直後、裸にネクタイつけた変なおじさんが天界に現れたんですよ!医者だと名乗ってますが…』

???「…なるほど、そういうことか」

マックス『へ!?』


113 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/05(火) 23:55:07 3BOWSU/A00

???「単純な話じゃ。今、儂は病院で医者の格好をしておる……つまり、儂はその医者と入れ替わったということじゃ」

マックス『そんなことがあるんですか!?』

???「前例は儂も聞いたことがないが…実際に起こっておるからのう…」


リア「俺は見てたぜ…」

レイア「リア・リエ!」

リア「あれはちょうど、俺の検査を終えたドクターが病室を出た瞬間だった…いきなりドクターの体に雷が落ちてきて…気づけばドクターはゴリラになっていた…」

???「ふむ…やはりそうか…」

マックス『それで、どうされますか?ワープゾーンはさっきの衝撃でブッ壊れて使い物になりませんよ…』

???「じゃろうな。仕方あるまい。全く関係ない異空間に放り出されんかっただけマシじゃ。マックスの代わりに儂が戦おう」

マックス『神様が!?』

???「ああ。おぬしも見たじゃろう、儂の渾身のパンチを。もうジジイとはいえまだまだ儂も捨てたものでは無いぞ」

マックス『は、はあ。分かりました』

???「というわけでしばらくの間、お主たちに協力させてもらうぞ」

レイア「一緒に魔界の奴らと戦ってくれるってのか?そりゃ神様が味方につくってんなら心強えが…」

???「まだ信用ならぬか…こんな姿ではそれも当然か…ならば…」

神様はリア・リエに向かって両手を掲げた。

リア「な、なんだ…?」


114 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/05(火) 23:57:38 3BOWSU/A00

キュピーン!

突然、上からハート型の物体が現れ、リア・リエに触れた瞬間。

リア「……え…?か、体が…治ってる…!」

???「ハートのうつわという治癒アイテムを神の力で呼び出したのじゃ」

レイア「す、すげえ!」

???「とはいえ、杖が無ければこれが精一杯じゃがな…」

勇者「レイアさん、もう疑う余地はないですよね…!」

レイア「おう!よろしく頼むぜ神様!」

???「神様か…長いこと天界でそう呼ばれておったが…今の儂はただの一匹のゴリラ。そんな大層なものではないわい」

レイア「そうか?十分すげえけどな!んじゃあ、そうだな…医者の格好してるから…ま、"Dr.神様"ってとこかね!」

Dr.神様「いや、あまり変わらん気がするが……フッ、まあ、好きに呼ぶがよい」

勇者「じゃあ僕もそう呼ばせてもらいますね!Dr.神様、よろしくお願いします!」

Dr.神様「ああ!」


115 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 484b-33e4) :2019/02/06(水) 00:43:28 HExQXA3Y00
紫煙のドドン
一触即死勢が噛ませになるの草


116 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/06(水) 21:59:53 Dy8pb9N.00

レイア「リア・リエ!お前も来るよな!俺たちならきっと魔の一族を倒せるぜ!」

リア「……言ったろ。いくら体が回復したって俺の心は折れちまってんだ…悪いな…」

レイア「あーそうかい!じゃあ見てろ!俺たちが奴らをブッ飛ばすとこをな!」

レイアはそう言って病院から出て行った。




Dr.神様「…良いのか?」

追ってきた神様が訊く。

レイア「おう。アイツは俺の修行仲間で付き合い長えけど、あんな風になっちまったのは初めて見た……だからこそ今俺が頑張らなきゃいけねえ。俺たちの修行は無駄じゃなかったって、俺が証明してやるんだ」

勇者「僕も手伝いますよ!」

レイア「おう!サンキューな!俺たちでこの世界を救おうぜ!」


117 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/06(水) 22:03:49 Dy8pb9N.00




それからしばらくあと。

隣国。

とある森の奥に佇む祠の前に、☆爆走戦士エルバンと3億ドルの吐き気は立っていた。

エルバン「☆とんでもないエネルギーを感じるね…」

吐き気「ああ。結局仲間は集まらなかったが…俺たちだけでいけると思うか…?うっぷ…」

エルバン「☆正直不安だけど…☆まあやってみなきゃ分からないさ!」

吐き気「そうだな…オエッ…」

???『どちらさまで?』

祠の中から不気味な声がした。

エルバン「★封印されてても喋れるんだね。★もうすぐ目覚めるあなたを倒しにきたよ」

???『へえ、それはご苦労様。だけどどうだろうね』

吐き気「……?俺たちでは…うっぷ…お前には勝てないと言いたいのか?」


118 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/06(水) 22:16:31 Dy8pb9N.00

???『いやいや』


ボキッ!!


吐き気「ッ!?」


???「僕は本当に、"もうすぐ目覚める"のかな?」


吐き気の背後に何かが現れ、左腕をへし折った。

エルバン「☆吐き気さん!」

吐き気「大丈夫だ!」

ブンッ!

吐き気はすぐに振り返り、反撃の蹴りを繰り出す。

???「遅いね」

その蹴りを軽くかわしたのは、星の杖・スターロッドを持った、緑色の剣士であった。

エルバン「☆まさか…もう既に目覚めていた…!?」

???「ああ。来るのが遅かったね」


119 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/07(木) 17:29:34 5ZNwJEWASd

吐き気「……嘘だな」

???「何…?」

吐き気「あの祠からはまだ強烈な存在感を感じる。オエッ…お前は何者だ」

???「僕は煙草マスターだッ!!」

吐き気「はっ!!」

ガキンッ!!

同時に繰り出された二人の攻撃は相殺される。

エルバン「☆PKファイヤー!」

ボウッ!

???「くっ!」

隙を突いたエルバンの技を避けきれず、煙草マスターを名乗る剣士はのけぞる。

そこに。

吐き気「ファゥコォン…パァンチ!!」

ドゴォッ!!!

???「ぐあ…ッ!」

ズザザザザ…

剣士は大きく吹き飛ばされ、膝をついた。

吐き気「煙草マスターがこんなに弱いはずがない」

エルバン「★まあ普通の人にしてはかなり強いと思うけど…☆本当に何者?」

???「ぼ、僕は…煙草マスター…」

エルバン「☆それはもういいって…」


120 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/07(木) 17:42:04 5ZNwJEWASd

???「話は最後まで聞いてくれ。僕は…煙草マスターの…息子です…!」

吐き気「何…!?オエッ」

エルバン「☆こ、子供がいたの!?★それは初耳だな…!」

タバスコ「はい…たぶん誰も知りません…ある悪の科学者が、封印されている父さんの細胞をこの祠からこっそり盗み出して、それを元に造られたのが僕です」

エルバン「☆ってことは…正確には君は煙草マスターのクローン…?」

タバスコ「いえ…悪の科学者は研究の末、その細胞を精子に作り変えることに成功しました。そして眠らせて誘拐した女性に、強制的に人工授精させ、僕はその女性から産まれました」

吐き気「オエッ…酷い話だな…」

エルバン「☆でもじゃあどうして煙草マスターのフリなんかしたの?」

タバスコ「それは…自分の力を試すためです。父さんの血を継いだ僕が、今どれほどの強さを持っているか…」

吐き気「…なぜ強さを求める?」


タバスコ「父さんを、この手で葬るためです」


その眼光はエルバンと吐き気を怯ませるほどの迫力を纏っていた。


121 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/07(木) 19:29:26 5ZNwJEWASd

エルバン「☆…でも、今の君ではたぶん勝てないよ」

タバスコ「はい、それは分かります。だからこの噂を流したんです」

エルバン「☆噂って……も、もしかしてもうすぐ封印が解けるっていうのはデマなの!?」

タバスコ「はい。この噂を聞いたらきっと、強い人たちが父さんを止めに来る。そう思って僕はずっとここで待ち構えてました。強い人と戦えば自ずと僕も強くなれると思って」

吐き気「まったく人騒がせなヤツめ…オエッ…」

タバスコ「あなた方の前にも何人かここを訪れた人がいましたが、相手になりませんでした…」

エルバン「☆まあ今の君でも大抵の人よりは強いだろうしね」

タバスコ「あ、ちなみにあなた方が来た時に祠から声が聞こえたのは、録音して加工した僕の声です」

煙草マスターの子は祠の裏からプレーヤーを持ってきて見せた。

エルバン「☆なるほどね」

吐き気「だが…封印が解けないのならば、葬る必要はなくないか?」

タバスコ「いえ。近いうち封印が解けるというのは事実なんです…ただその時期より少し早い段階でこの噂を流しました」

エルバン「☆あ、やっぱりそうなんだ。だったら、僕たちと一緒に戦わない?★封印が解けるまでの間、特訓の相手をしてもいい」

タバスコ「それは…嫌です。父さんは僕一人の手で倒したい…!」

吐き気「フッ、強情なヤツだ…オエッ…」


122 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/07(木) 19:30:41 5ZNwJEWASd


???「やあ」


タバスコ「え!?」

エルバン「★誰!?」

気づくと祠の上に何者かが立っていた。

???「僕は悪魔の下目使い」

レッドボールが全力で三人を見下しながら、ニヤリと笑みを浮かべてそう名乗った。

下目「諸事情によりこの煙草マスターってのはもらっていくよ」

エルバン「☆もしかして、最近話題の魔の一族?」

タバスコ「させない!」

二人は同時に仕掛ける。

下目「行け、妖魔」


ボゴォッ!!

突如、煙草マスターの子の足元の地面が盛り上がる。

タバスコ「なっ…!」


妖魔「ヴォオオオオオオ!!」


そしてその下から勢いよくキング・オブ・妖魔が姿を現した。


123 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/07(木) 19:33:13 5ZNwJEWASd

ガシィッ!

タバスコ「くっ!」

妖魔はそのまま煙草マスターの子を鷲掴みにする。

エルバン「☆はっ!」

バコッ!!

エルバンはヨーヨーで妖魔の脚を狙うが。

妖魔「…効かぬ!」

ブンッ!

ゴシャァッ!!

タバスコ「うわっ!」

妖魔は一切怯まず、エルバンに煙草マスターの子を投げつけた。


吐き気「ファゥコンキィッ!」

二人が妖魔を相手する間に下目使いと距離を詰め、キックを放つ吐き気。

下目「おっと」

吐き気「くっ、今のをかわすか…オエッ…強いな…!」

下目「ふーん…じゃあ君にはコイツの強さを計ってもらおうかな」

吐き気「何?」

すると下目使いは謎の布を取り出した。

下目「これ、な〜んだ?」


124 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/07(木) 19:37:35 Ti851OoA00

吐き気「パ…パンツか…?」

下目「正解。でもこれは、パンツはパンツでも…魔のパンツだよ」

ヒラヒラ…

下目使いが手を離し、魔のパンツは地面に舞い落ちる。

吐き気「何の真似だ?オエッ」

下目「まあ見てなよ」


うにょうにょ…

ミシミシ…

バキバキ…

ムキムキ…


パンツは少しずつ姿を変えていく。

吐き気「これは…!」

下目「へえ…こんな形になるのか。実は僕も戦闘形態を見るのは初めてなんだよね」

魔のパンツは、吐き気と似た赤ヘルの青いレーサー姿に変貌した。

パンツ「ハジメマシテ…マノぱんつデス」

下目「あ、喋れるんだ。すごいカタコトだけど。とりあえずその人やっちゃって」

パンツ「リョーカイ」


125 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/08(金) 19:29:07 xCCjL2e.Sd



ダンッ!!


吐き気「!!」


ドガァッ!!


魔のパンツが飛びかかり、二人の肉体が激しくぶつかり合った。

吐き気「うっぷ…やるな…」

下目「へえ、思った以上の力だ。あの天才とかいうキツネから力を奪ったお陰かな。じゃあ後は任せたよ」

パンツ「マカセテクダサイ」


下目「さて…君はいつまで眠っているのか…なッ!」


ドゴォッ!!!


下目使いはハンマーを祠に叩き込む。


エルバン「☆くっ…!まずい…!」

タバスコ「封印を破る気か!」

妖魔「何処を見ている…貴様らの相手は我だ!」

ドゴッ!!

タバスコ「くそっ!邪魔だ!」

下目「ふん、無駄だよ。そいつは仮にも元魔界の王者。僕だって何年も隙を伺ってようやく見下せたんだ。まともに戦って勝てる生き物だと思わないほうがいいよ」


126 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 20:24:21 ZJYERDBA00

悪魔の下目使いは余裕の表情でそう言うと、砕けた祠の屋根を引っぺがす。

バキバキ…


下目「へえ、これが煙草マスターか…」


そこにはドス黒いオーラのようなものを放つ人間が立っていた。

その首と四肢には、青白い光の紋様が描かれた巨大な鎖が繋がれている。

タバスコ「あ…あれが…父さん…」

下目「意外と普通の人なんだね、見た目は。とりあえずさっさと起きてもらわないと」

下目使いはその封印の鎖を破壊しようとハンマーを構える。

吐き気「悪魔の下目使い…だったか?オエッ…その封印を解いたとして、煙草マスターがお前の軍門に下るとでも思っているのか?」

3億ドルの吐き気は魔のパンツの攻撃をしのぎながら、冷静に言う。

下目「従わせるさ」


ガキンッ!!!


吐き気の忠告も御構い無しに、下目使いはハンマーを振り下ろした。

ピキキ…

鎖にヒビが走る。

下目「一発じゃ無理か。えい」


バキンッ!!!


更にヒビが広がり、パラパラと破片が散らばる。
だがまだかろうじて鎖は壊れていない。


127 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 20:27:03 ZJYERDBA00

下目「結構頑丈だね。まあそりゃそうか」

再びハンマーを持ち上げる。

が。


???「ファイヤァーッ!!」


下目「!!」

ドゴォッ!!!

上空から炎を纏った何かが下目使い目掛けて降ってきた。

ゴロゴロゴロゴロ…ドシャーン!!

下目使いは咄嗟にかわし、それは地面に衝突して派手に転がった後、木にぶつかった。

エルバン「☆な、何…?」

???「イテテ…」

そしてゆっくりと立ち上がった。

下目「誰?」

???「オイオイ忘れたとは言わせねえぜ…悪魔の下目使い…!西の村であんたの不意打ちハンマーでブッ飛ばされて、そのまま衛星軌道上に乗ってこの星を一周して、ようやく落ちてこれたんだ…!」

下目「うーん…誰?」

???「こんなちゃんと説明してんのに分からないのか…悲しみ……俺はパターソンだ!あん時の恨み、晴らさせてもらうぞ!」

下目「めんどくさ…」


128 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 20:47:37 ZJYERDBA00




時を同じくして。

極道の片割れはアルベルトとの戦いを楽しんでいた。

片割れ「ハッ、やるやないか!内藤とかいうヤツとは大違いやな!」

アルベ「お前こそ、この私と同等に闘えるとはやるな!だがダーク内藤を侮辱するのは許せん!この拳で葬ってくれるわ!」

ブンッ!!

片割れ「パワーあっても当たらへんなら意味ないわ!ピカチュー!」

片割れはアルベルトの放ったパンチをかわし、電撃を放つ。

バチバチッ!

アルベ「くっ…さっきから何度も何度も…!この程度の技で私を倒すことなどできんと言っているだろう!」

片割れ「そらどうやろな!一発一発は弱くてもダメージは蓄積されとるはずやで!」


???「おい、何遊んでんだ片割れ」


片割れ「あん?」


129 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 20:49:45 ZJYERDBA00

そこに現れたのは、先程電話で呼び出した相手だった。

片割れ「おうナイフ!ようやく来よったか」

アルベ「仲間か。よく似ているが双子か何かか?」

ナイフ「はあ!?ふざけんじゃねえよ!種族が同じってだけで一緒にされちゃ困るぜ!切れちまったよ!切れたナイフだよ!!」

赤帽子のハムスターはいきなりアルベルトにガンを飛ばす。

片割れ「やめとけ。お前の手に負える相手やないでコイツ」

ナイフ「片割れ、お前まで俺を舐めてんのか!?見とけ!俺がこのゴリラを一瞬でブッ…」

バチンッ!

アルベ「少し黙っていろ」

ドガーン!!

ナイフは一発のビンタで百メートルほど横に吹っ飛んで建物に激突。
そのまま気絶した。

片割れ「あーあー…せやから言うたんや…」


130 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 20:53:02 ZJYERDBA00


???「おし!今度はオレが行きますぜアニキ!」


緑の帽子の男が現れて言った。

片割れ「使えない人間!?お前結局来たんか!?いらん言うたのに!」

人間「いや、なんか面白そうだなと思ってナイフのアニキを尾けてきました」

片割れ「アホか!つーかナイフも何尾けられとんねん!悪いこと言わんからとっとと帰れ!」

人間「はい…すんません…」

使えない人間はトボトボと帰っていった。

片割れ「あ、オイ!どうせならそこに倒れとるナイフも連れてけや!オーイ!…あかん聞いてへんわ…ホンマ使えんやっちゃな…」


アルベ「…漫才は済んだか?」

片割れ「はん、何やわざわざ待っててくれたんか?案外魔の一族とやらも優しいとこあるんやなぁ」

アルベ「私はお前を一対一で完膚無きまでに叩きのめしたいだけだ。それで不意を打たれたと言い訳されるのは御免だからな。さて、ではそろそろ続きといこうか」

片割れ「おう!来いや!」


131 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 484b-33e4) :2019/02/09(土) 21:42:36 QJOt2LF600
一触即死勢まとめ、カッコ内は初出

ennjeru(>>10)
・今出てる一触勢の中で一番出番が多い、天界勢。因みにマジで才能が無い、一触勢の宿命か

片翼のチンポコメロン∋男爵(>>10)
・出オチした

バロンムッコロス二等兵(>>15)
・二等兵と雖も稽古をつけれるくらいには優秀?一触勢最強か

止められないsuko-ruさん(>>28)
・争いを止められず出オチした。その後再び登場、やはり止められずオチた

雑魚1%(>>43)
・悪魔の下目使いに似ている弱小魔族、サイバイマンの如く大活躍した

使えない人間(>>73)
・あ ん な ヤ ツ

切れたナイフ(>>129)
・一瞬でブッされた


132 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 22:48:22 ZJYERDBA00

ダダダダッ!!

アルベルトは片割れへ突撃する。

しかし。


ドドォォン!!!


アルベ「がっ!?」

アルベルトの踏み出した足元が突如爆発した。

片割れ「すまんのォ。さっきナイフが喋っとる間にこっそり仕掛けさせてもろたわ、ドドンとこでこうたモーションセンサー」

アルベ「く、くそ…おのれ…!!」

片割れ「流石に効いたやろ?ホンマは抗争で使うために仕入れたんやが、お前さん相手に温存する余裕はあれへんからな」

アルベ「卑怯者め…!!」

片割れ「卑怯?ワシらは極道や」

カチャッ…

片割れは懐からレイガンを取り出す。

そしてその銃口を、大ダメージにより跪いたアルベルトの額に突きつけた。

片割れ「安心せえ、骨はアイツと同じとこに沈めたる」


133 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 22:49:56 ZJYERDBA00

アルベ「くっ…!!」

アルベルトは死を覚悟して目を瞑る。


バンッ!バンッ!バンッ!


三発の銃声が鳴り響いた。


アルベ「………………??」

が、何故かアルベルトは無事だった。

目を開けると、前に誰かが立っていた。

片割れ「…チッ、何や坊主」


???「弱い者いじめは良くないですよ」


不思議な光に包まれた青い帽子の少年。

レイガンの弾はその光に全て吸収されていた。


134 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 22:51:38 ZJYERDBA00

アルベ「わ、私が…弱い…!?」

片割れ「何言うてんねん。そいつはこの世界乗っ取ろうとしとる魔界の手先やで?」

???「関係ありません。これ以上やるというのなら、この歩く天下無敵が相手になります」

片割れ「……!」

片割れはエルバンの時と似たような悪寒を感じた。

アルベ「やめてくれ…その男の言う通りだ。お前のような子供にかばわれる筋合いはない」

歩く「お断りします」

アルベ「……っ!?な、なぜ…!」

その目には何者にも揺るがされない覚悟のようなものが宿っていた。



片割れ「……チッ。興が覚めてもうたわ」

すると片割れは倒れているナイフを担ぎ上げ、帰っていった。


135 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/09(土) 22:55:24 ZJYERDBA00


歩く「フゥ、行きましたか。良かった、無駄に血を流すことにならずに済んで」

アルベ「何のつもりなんだ…」

歩く「命は粗末にするものではありませんよ」

歩く天下無敵と名乗る少年は、ニコッと純粋な笑みを見せる。

アルベ「私はこの世界の敵なんだぞ…!?」

歩く「はい…でも、貴方を助けた事が間違っていようと。僕はただ、自分の信じた正義を貫いたに過ぎませんから」

アルベ「……!!」

歩く「では失礼しますね。これからやる事が山積みなので」

ペコリと一礼し、去っていった。


アルベ(に、人間に命を救われるなど…屈辱だ…!だが……かっこいい…!)


136 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 4c0b-6da2) :2019/02/10(日) 03:05:06 AtTLAFCQ00
ここで天下無敵が来るか


137 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 18:44:33 y4P1x7RE00




一ヶ月前。

歩く天下無敵は町を歩いていた。

歩く「ん?あれは…」


「ワハハ!ダセー!」
「何やってんだこのガキ!」
「うぜー」

町の不良がたむろして何かを笑っていた。
その視線の先には。


???「グレイトォォ!アーーーマーーーゾーーン!!」


天下無敵と似た姿の少年が吠えていた。

不良A「なんだよやんのか?コラ」

アマゾン「ぼくは正義の味方だっ!さっきお前たちが少年をいじめてお金をうばったのを見ていたぞ!こらしめてやる!」

不良B「少年て。お前のほうがよっぽどチビじゃねえか!ハハハハハ!」

アマゾン「何がおかしいっ!」

不良C「どうするコイツ、やっちゃう?」
不良D「いいと思うよ」
不良E「世の中舐めたガキにはしっかり現実を見せてやんないとな」
不良F「せやな」

不良たちはそう言って少年を取り囲む。


138 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 18:47:29 y4P1x7RE00


天下無敵は遠くからそれを見ながら、微笑む。

歩く「正義の味方、ね…僕にもあんな頃があったなぁ」


アマゾン「来いっ!PKサンダー!」

バチバチバチバチッ!

不良A「イテッ!!」
不良B「なんか出しやがったぞコイツ!」

アマゾン「ヒーローは強いんだぞ!さあかかって来い!」

不良C「チッ、舐めやがって!」
不良D「泣かす!」

アマゾン「PKファイヤー!!」

ボォォッ!!

不良C「ぎゃああああ!!」
不良D「アチっ!!」

不良E「ガ、ガチで強えぞこのガキ…俺らの手には負えねえ!」
不良F「リーダー!すんません!おなしゃす!」


???「…ったく、しゃあねえな。見てろ、これが地上最強の戦い方だ」


不良たちの奥で寡黙に座っていた緑の帽子の男が立ち上がった。


139 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 18:54:23 y4P1x7RE00

???「アマゾンとか言ったか?ガキ」

アマゾン「そうだ!ぼくは正義のヒーロー★グレイトアマゾン★!」

???「そうかヒーロー。俺は地上最強のチェマだ。お前をこれから一方的にボコボコにする事になるからしっかり覚えとけ」

アマゾン「ぼくは…負けない!たとえお前がどんなに強くても!ヒーローは負けな…」


ボゴッ!!


アマゾン「グフッ…!」

チェマはアマゾンの腹に大人げない飛び蹴りをかます。

チェマ「ほっ!!」

バコンッ!!

アマゾン「ぐわっ!」

今度はチョップで地面に叩きつける。

チェマ「いよっ!!」

ドゴォッ!!

チェマ「そいや!」

バキィ!!

チェマ「イヤッハー!!」

ドゥルルルルル!!

アマゾン「がああ…ッ!!」

チェマの攻撃が次々とヒット。
アマゾンはなすすべもなくそれを受け続けた。


140 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 19:52:39 y4P1x7RE00

不良D「ギャハハ!ざまーみろクソガキ!」
不良E「さっすがチェマさん!」
不良F「まじでフルボッコでワロタ」

チェマ「まあこんなところか。もう立ち上がれねえだろう」

アマゾンはピクリとも動かず地に伏した。


歩く(可哀相に…だけどこれで彼も学んだだろう…力無き者は無闇に正義を振りかざしてはいけないんだ)

天下無敵は視線をはずし、また歩き始める。

と。


アマゾン「ま…まだだ…!ぼくは…ヒーローなんだ…っ!!」


歩く「!!」

視線を戻すと、アマゾンはよろめきながらも立ち上がっていた。

チェマ「ほう?根性だけは認めてやる。だがもうよせ。俺には死体蹴りする趣味はねえ」

アマゾン「と…盗ったお金を…返して…少年に謝るんだ…!それ…まで…ぼくは…絶対に…倒れないぞ!!」

チェマ「……そうか」


ドゴォッ!!!


チェマは今までで一番強力な一撃をアマゾンの顔面に叩き込んだ。

ドサッ

アマゾンは完全に沈黙。


141 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 19:55:27 y4P1x7RE00

したかに思われたが。


ガシィッ!!


チェマ「!!」

アマゾンはチェマの脚を掴んでいた。

アマゾン「とりゃあああああっ!!」

チェマ「ぬおっ!?」


ブンッ!


ドガァッ!!!


アマゾンはそのまま立ち上がりチェマを投げ飛ばした。

チェマ「フッ、やるじゃねえか。まだそんなパワーが残っ……!?」

チェマは気づく。


チェマ「この野郎……立ったまま気絶していやがる…」


不良A「ヒャハハハ!馬鹿め!」
不良B「一生寝てろよ!」
不良C「ば〜〜〜〜か!!」

チェマ「黙らねえかお前ら!!」

不良たち「!?」

チェマの一喝で不良たちは静まる。

チェマ「このケンカ……コイツの勝ちだぜ」


142 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 20:01:36 y4P1x7RE00

不良A「え!?で、でも…」

チェマ「さっき奪ったカネ、よこせ」

不良B「あっはい…って、ま、まさかマジで返しに行くんすか!?」

チェマ「そうだ。それが漢のケジメってモンだ。お前らも来い。全員で土下座だ!!!」

不良たち「は、はいっ!!」

こうしてチェマと不良たちは去った。


それから程なくしてバランスを崩し、アマゾンは再び地に伏した。


143 : ハイドンピー (ワッチョイ c9d9-42a3) :2019/02/10(日) 20:04:32 y4P1x7RE00


歩く「…大丈夫ですか?」

歩く天下無敵は、気付けば★グレイトアマゾン★の元へ歩き寄っていた。

アマゾン「だ…だれ…だ…」

歩く「ただの通行人です。君の勇姿を見ていました」

アマゾン「は、はは…ひ、ヒーローは…すごいだろー…」

歩く「はい。君はすごいですね…心を打たれてしまいました。君を見習って、僕も信じてみようと思います」

アマゾン「しん…じる……?」

歩く「はい。僕の…正義を」

そう言うと天下無敵は笑みを浮かべた。



アマゾンを病院に連れて行った後、天下無敵はかつてやり残した事を思い出していた。

歩く(ありがとうアマゾン君…僕はもう迷わない)

ただただ歩いていた歩く天下無敵は、前を見て歩き始めた。


144 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/11(月) 15:55:10 QlXat0BMSd





そして現在。

片割れとアルベルトの戦いを仲裁した歩く天下無敵は、歩き続けていた。

歩く「感じる…!強力な力を…!」

自らに宿るPSIによってエネルギーを感知し、その方向へ向かう。

町を出て、しばらく歩いた辺り。


グチャ…グチュ…

???「あー、うめえ」


その男はいた。

血溜まりの中に、赤い帽子を被ったハムスターが。

歩く「何をしているんですか?」

???「ん?メシ喰ってるだけだぜ」

歩く「…何を喰っているのかと、訊いているんです…!」


???「ヒト」


赤ハムスターは血塗れの顔でニヤリと笑う。

歩く「やめてください」

???「喰うさ。だって俺は…人喰い軍曹だからなァ」

歩く「実力行使しかなさそうですね…」

人喰い「邪魔すんなら、オメェも喰うぜ」


145 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/11(月) 15:57:14 QlXat0BMSd

歩く「PKファイヤー!」

人喰い「ピカチュー!」


バリバリバリ!!!


激しい炎と電撃がぶつかり合う。

歩く「強い…!でも僕は絶対に君を止めてみせます!」

人喰い「強いな。そんなヤツの肉なら、さぞ美味えんだろうなァ…!」

ダッ!!

二人は同時に飛び出す。

攻撃がぶつかり合う、その直前。


ドドォォォォォォン!!!


人喰い「っ!?」

遠くから爆音が響いた。
人喰い軍曹はそれに一瞬気を取られ。

歩く「隙あり!」

バゴンッ!!

人喰い「グエッ!」

天下無敵はヨーヨーを使い人喰い軍曹を上空へ打ち上げる。


146 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/11(月) 15:58:49 QlXat0BMSd

歩く「まだだっ!」

さらに自身も飛び上がり。

ドゴッ!!

強烈な頭突きで追撃。

人喰い「ぐおっ…!だったら…これでどうだ?デガワァァ!!」

歩く「!!」


ゴシャァン!!!


人喰い軍曹の体に上空から雷が落とされた。

歩く「なんという威力…!気付くのが少しでも遅ければやられていました…!」

人喰い「チッ、はずしたか。だが、遅えな」


ガガガガガッ!!


歩く「うわぁっ!!」

人喰い軍曹は流れるような連撃を繰り出し、天下無敵を弾き飛ばす。

ドガッ!!

バチバチバチ!!

歩く「ぐうっ…!」

更に尻尾や電撃を使ったコンボで天下無敵を追い詰めていく。


147 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/11(月) 16:00:22 QlXat0BMSd

人喰い「どうした、もう終わりか?このまま喰っちま……うっ!」

ガクッ!

人喰い軍曹は突然膝をついた。

歩く「僕もただやられていたわけじゃありませんよ…!」

人喰い「ゲホッ…くっ…俺の攻撃を受けるたびにちまちま反撃してたのか…」

歩く「さあ、ここからが本番です!」

人喰い「望むところだ。くくくっ、いよいよ食欲が増してきたぜ…」





同じ頃、[自称]妹は。

純白「な、なんでついてくるんですか!?」

妹「なんでって、妹がお兄ちゃんについてっちゃだめなの?」

純白「だから僕は君のお兄ちゃんじゃないから!というかどう見ても種族が違う!!」

気絶させた大学生を背負って帰る純白をつけまわしていた。


148 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/12(火) 19:21:42 KNMMvLawSd

妹「やだなぁお兄ちゃんったら照れちゃって♡」

純白「ひいいい、何なんだこの子…!」

純白が嘆いていると。


大学生「う…」

純白「あっ、大学生、目が覚めた?」

大学生「……あ…え…?ぼ、僕は…何を…」

純白「また徘徊しちゃってたみたいだね」

大学生「ごめんなさい…ごめんなさい…」

純白「いいんだ。さあ、早く帰ろう」

妹「な、なに?なんか全然キャラ変わってない!?」

純白「…これが本性なんですよ」

妹「どういうこと?お兄ちゃん」

純白「受験に失敗して、八浪してようやく入れた大学でもいろいろあって、ある時精神が壊れちゃったんだ」

妹「何歳なの…」

純白「それが実は僕にも分からないんですよ。僕が大学生と知り合ったのは壊れた後だったから…壊れた理由ってのも本当かどうか…」


149 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/12(火) 19:22:47 KNMMvLawSd

大学生「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

純白「…普段はずっとこんな調子で、何かに怯えてるんです。それにたまに自分のことを僕だと勘違いしたりして」

妹「相当ヤバいやつじゃん」

純白「君がそれ言う?……で、少しでも目を離すとさっきみたいに、暴走して町を徘徊しちゃうんです…」

大学生「うぅ…クソ…クソが…クソがッ!!!」

大学生は暴れ出し、純白の背中から降りる。

妹「わぁ!?いきなり大声出さないでよもう!」

純白「だ、大学生!」

大学生「酒をよこせ…煙草…クスリ…」

純白「ダメだって!また暴れ出すでしょ!」

大学生「うるせえよ!誰だお前!なんで俺こんなとこにいるんだよ!」

シャキンッ!

大学生はいきなり剣を抜いた。

純白「ちょ、落ち着いて!僕だよ!」

大学生「知るかぁぁぁ!!」

問答無用で斬りかかる大学生。

純白「くそっ!」


ガキィン!!


二人の剣が交わる。

純白「もう!こんな町中で剣抜いちゃダメだって!捕まるよ!」

大学生「どうでもいいわ!もう逮捕歴二十回だよバーカ!」

純白「いや三十回くらいいってるよ!」


150 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/12(火) 19:24:06 KNMMvLawSd

妹「お兄ちゃん頑張って!」

純白「ありがとう!お兄ちゃんじゃないけど!君は早くここから離れてください!僕たちが本気で戦い出すと、たぶんここら一帯細切れになります!」

妹「わかった!頑張ってねお兄ちゃん!」

ドドドドドドドドド……!

[自称]妹は物凄いスピードで去った。

純白「だからお兄ちゃんじゃ…って早…」


大学生「なーによそ見してやがんだ真っ白野郎が!!!」


ガキィン!!


純白「くっ…本気の斬撃…!これはさすがに全力で止めないとまずそうだな…」

大学生「てめえが俺を止める前に俺がてめえの息の根止めてやるよ!!」

ブンッ!ブンッ!

純白「そんな単調な攻撃が僕に通用すると思ってるのか!」


キィン!!


大学生「んぬっ!?」

純白は大学生の剣を弾き飛ばした。


151 : ハイドンピー (スプー b9d7-95a1) :2019/02/12(火) 19:25:47 KNMMvLawSd

背を見せてそれを拾いに行く大学生を。

ギャリンッ!

大学生「!?」

純白はクローショットで捕える。

純白「はあっ!!」


ザンッ!!


そして引き寄せた大学生を切り裂いた。

大学生「ぎゃあっ!いてええええ!!」

純白「ご、ごめん!」

大学生「嘘だよばーーか」

純白「!!」


ボンッ!!


爆弾に着火し、自分ごと純白を爆発に巻き込んだ。

純白「ぐっ…!」


152 : ハイドンピー (ワッチョイ 6945-95a1) :2019/02/12(火) 19:27:59 Ql0YA4c600

大学生「でりゃぁっ!!」


ズバァン!!


純白「あぶなっ!」

純白は回転斬りによる追撃をギリギリでかわす。

大学生「チッ!何かわしてんだよクソが!」

純白「いやそりゃかわすでしょ!」

大学生「は?フツーはかわさねえよ!俺がこんなに頑張って戦ってんだぞ!?その努力に免じて斬られろや!!」

純白「メチャクチャだよ!」


153 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 484b-33e4) :2019/02/12(火) 21:15:54 FWmbBRq.00
哀れ大学生……
支援のドドン


154 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/13(水) 18:17:41 2/jF0jZMSd




その戦いをビルの上から眺めている観戦者が二人いた。

ドドン「なんか面白そうだからついてきたけど、こんな隣の国まで何の用ドン?」

デスエン「仲間探しさ。近々巻き起る戦争はこの世界と、天界、そして魔界による三つ巴の戦いになる。まあ人間と天界は手を組むだろうがな」

ドドン「あー、天界ってそういえば、あのアントンさんも天界から来たとか言ってたなドン」

デスエン「俺はそこに新たな勢力として参戦してやろうと考えているんだ」

ドドン「な、なんでドン?」

デスエン「フッ…単純なことだ。お前もさっき言っただろう?面白そうだからだよ…!」

ドドン「なるほドン。気が合うドン」

デスエン「ああ。だが流石に俺が単騎で突っ込んだとしても勝ち目はないだろう。だから仲間を探しに来た」

ドドン「仲間って…そんな雑な理由で戦いに手を貸してくれるかドン?」

デスエン「ブーメラン刺さってるぞお前」

ドドン「確かにドン」


155 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/13(水) 18:18:57 2/jF0jZMSd

デスエン「それに俺たち魔の一族は面白いことが好きなんだ。自分が面白ければそれでいい、そういう奴らの集まりだ。キング・オブ・妖魔はそんなまともに機能するわけがない奴らを力でねじ伏せて無理やり従わせている、正真正銘の化け物だ。まあ、かくいう俺も妖魔と同等の力を持ち、妖魔に従わなかった唯一の存在ではあるがな」

ドドン「やっぱり、そんな気はしたドン。初めて見たとき、天才にも引けを取らない迫力を感じたドン」

デスエン「そう褒めるな。まあそういうわけだから、奴らの興味を引くことができれば案外たやすく味方につけられるだろう」

ドドン「へぇ…ってことはあの剣士たちも魔の一族ドン?仲間割れしてるように見えるけドン」

ドドンは下で激しい戦いを繰り広げている二人を見て言う。

デスエン「そうだ。魔界じゃ妖魔の手下の二大剣士とか呼ばれて、まあまあ有名な方だぞ。白い方が無敵の剣士、青い方が例の黒光だったかな。あいつらは仲が悪くて割といつもあんな感じだ」

Φデスエンペラーは普通に勘違いしていた。

ドドン「ふーん…じゃあ取りあえずボム兵ブッ放してくるドン」

デスエン「待て、何故そうなる」

ドドン「え?何故って、俺のドドンを見ればきっとあいつらも興味を引かれて仲間になるかと思ったんだけど、なんかおかしいドン?」

デスエン「え…いや…うん…いいと思うぞ…」

ドドン「よし!じゃあ待っててくれドン!」

そう言うとドドンは自信満々の表情でビルから飛び降りた。


156 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/13(水) 18:23:21 2/jF0jZMSd




純白「やぁっ!!」

大学生「オラッ!!」

二人の剣が交差しようとしたその時。


ヒュ〜〜〜…


純白「!?」


ドドォォン!!


大学生「どわ!!」

落ちてきたボム兵が剣に接触して爆発した。

純白「ぐうっ…!だ、誰だ!」


ひゅ〜〜〜… スタッ

ドドン「俺は紫煙のドドンドン!!」


ドドンが恰好つけて着地し、待たせたとばかりに名乗る。


157 : ハイドンピー (ワッチョイ 0425-e782) :2019/02/13(水) 19:28:10 29DweOX200

大学生「ゲホッ、グェッホッ……クソが!ネズミトカゲと来て今度はキツネかよ!いつからこの町は動物園になったんだぁ?」

ドドン「さあ、俺はさっき来たばっかだから知らないドン。とにかく俺の話を…」

大学生「誰もしらねーよ馬鹿ギツネが!」


ブンッ!!


大学生がドドンに斬りかかる。

ドドン「おわっ!?いきなり何するドン!危ないドン!」

純白「それはこっちのセリフ…だけど、好都合かも。ドドンドンさん、少し手を貸して下さい!大学生はちょっと今話を聞けるような状態ではないんです!」

ドドン「わかったドン!ドドンドンじゃなくてドドンだけドン!」

大学生「は?二対一とかずりいだろ」

純白「悪いね。正々堂々とか、言ってられないんだッ!」

ビュンッ!

純白はブーメランを投げる。


158 : ハイドンピー (ワッチョイ 0425-e782) :2019/02/13(水) 19:30:11 29DweOX200

大学生「んなもん効くかよ!アホか!」

大学生はジャンプでかわす。

ドドン「はい、ドドン!」


ドドォォォォォォン!!!


大学生「ガァァッ!!」

ブーメランに意識が向かっていた大学生に、ドドンのボム兵が横からヒット。

ドドン「通常より火薬多めの特製ボム兵ドン!」

その爆音は、数十キロ離れた町のはずれで戦う人喰い軍曹も、思わず気を取られてしまうほどの大きさであった。

すでに純白との戦いである程度ダメージを受けていた大学生を行動不能にするには、十分な威力であった。


純白「ふぅ…ありがとうございますドドンさん!…流石にちょっとやりすぎだと思うけど…」

ドドン「なーに気にするなドン!」

大学生「く…クソ…」


159 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/14(木) 17:19:43 ZaDVctggSd

純白「で、話って一体…」

ドドン「ああ、実はかくかくしかじかで。俺たちと一緒に来ないかドン?」



純白は話を聞き、明らかに噛み合っていないことを理解した。


純白「……えーっと…たぶん人違いじゃないですかね…僕らこの町出身なんですけど…」

ドドン「え!?どういうことドン…」

ドドンはチラッとビルの上で見ているΦデスエンペラーを見る。

が、姿がない。


デスエン「どうした?」


純白「!?」
ドドン「うわ!いつの間にドン!?」

ドドンのすぐ横に立っていた。

デスエン「うん?あー、よく見たら別人だな。スマン」

ドドン「まったく、ドジだなぁドン」

デスエン「何、気にするな。こうすれば良い」

Φデスエンペラーは突然、手のひらに黒い炎を出す。

ドドン「それは…何ドン?」


160 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/14(木) 17:21:46 ZaDVctggSd


ドスッ!!


純白「ぶッ…」

その炎ごと純白の腹に、掌底を叩き込んだ。

ドドン「!? な、何してるドン!」

デスエン「魔の灯火だ。魂に魔のエネルギーを注ぎ込み、魔力を強制的に目覚めさせる。魔の一族の中でも限られた者にしか扱えない技だ」

純白「ぐ、ぐあぁっ…な、何だ…!?い、意識が…!」

純白は全身から黒いオーラを発し、フラフラとよろめく。

ドドン「せ、洗脳みたいなヤツかドン!?だとしたらやめるドン!」

デスエン「洗脳ではないさ。元々誰にでも魔力は宿っている。魔界じゃあそれが常識で、誰でも初めからそれを使いこなせるというだけだ。人間の中にもそいつを利用して魔法を使ったり、色々と技に応用したりする奴がいるだろう?お前も全身に炎を纏ったりしているじゃないか」

ドドン「えっ、あれ魔力使ってたドン!?」

デスエン「そうだ。だから俺はその元々ある力を増幅させたに過ぎない」

純白「ぐぅ…ッ…」

ドドン「け、けどめちゃくちゃ苦しそうドン!」

デスエン「フ、魔力に慣れていないとそうなる。しばらくすれば慣れるだろう」


161 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/14(木) 17:23:59 ZaDVctggSd

ドドン「ていうかそれ仲間になってくれるかどうかとは関係なくないかドン!?」

デスエン「言ったろう、魔の一族は魔力を使いこなせる奴らの事だ。つまり魔の一族になるんだよ、こいつは。そしてさっきも言ったが、魔の一族はどういう思考回路をしているかと言うと…」


純白「……ああ…良い気分だ…!」


Φデスエンペラーの話を遮る形で、純白は呟いた。

ドドン「な、なんか目つきがヤバそうドン…」

デスエン「純白と言ったか?どうだ、俺たちと来ないか?その目覚めた力を存分に堪能できるぞ」

純白「ふ…ふふふ…面白そうですね…その話、乗りましょう…ふふふ」

デスエン「そう言ってくれると信じていたぞ。よろしく頼む」

ドドン「なるほドン…魔の一族は面白い事が好きなんだったドン」

デスエン「そういう事だ。魔力とは人を変えるのさ」

ドドン「…ていうかそれってやっぱり洗脳と変わらないんじゃないかドン?」

デスエン「まあギリセーフだろう」

純白「…ふふふ…楽しみだ…早くこの内から溢れるパワーを解放したい…!」


162 : ハイドンピー (スプー f4db-e782) :2019/02/14(木) 17:34:26 ZaDVctggSd

大学生(なんかヤベー事になってんなァ。ククク、俺を止めようとしてた奴と同一人物とは思えねえや…すっかり闇に堕ちちまいやがった)

全身に大ダメージを受けて倒れ伏した大学生が聞き耳を立てていた。

デスエン「お前にもやろう」

大学生「!?」


ズドッ!!!


Φデスエンペラーはいつの間にか大学生の元に移動し、魔の灯火を叩き込んだ。

大学生「ぐおぉぉ…ッ!?」

ドドン「ええ!?そっちもドン!?」

デスエン「こいつには素質がある。戦場で相当暴れてくれそうだ」

ドドン「ま、まあ確かに手がつけられない感はあるけドン…」

デスエン「さて、次は本物の方に行くとするか」

ドドン「本物って、二大剣士のことドン?場所は分かってるのかドン?」

デスエン「ああ。ちょうど今見つけたところだ。魔の一族は他人の魔力を感知することもできるんだよ」

ドドン「へー、それはすごいドン」

デスエン「俺くらいになると星の裏側だろうが見つけられる。と言っても強い魔力を持つ者に限るがな」

純白「ふふ…僕たちと間違えたっていうその魔界の剣士たち、どれくらい強いんですかね…是非手合わせしたいものです。共に戦う以上、お互いの実力は知っておいた方がいいでしょう?」

デスエン「魔力が目覚めて万能感に酔いしれてるんだろうが、今のお前では勝てんよ。魔の一族は魔力を完全にコントロールし、自分の戦闘スタイルに合わせた使い方をする。お前はまだ赤子同然だ」

純白「なるほど…ふふ…今はまだ…ね」


163 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/15(金) 19:19:27 W1NS.4ngSd





北の町では。

黒光「はーあ、退屈だな。この町の奴ら全然抵抗してきやがらねえし、たまに来てもザコしかいねえ。ま、面倒くせえヤツに絡まれるよりはマシだがな…」

黒光は自分の担当した地区を着々と侵略していた。

が、そこへ。


???「ウフ、ちょっとおイタが過ぎるんじゃない?ボウヤ♡」


黒光「…なんだテメェ」

そこには艶めかしい体つきをした金髪美女が立っていた。

???「私はエロい姉。この町で一番強いわよ」

黒光「へぇ。つーことはテメェ倒せばもう終わりってことだな」

姉「ウフフ、貴方にできるかしら?」

黒光「ハッ、一瞬で終わるわ」


164 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 19:53:30 laY.yEHk00

姉「あら、つれないわね。ゆっくりじっくり楽しみましょう?それとも貴方もしかして、早ろ…」


ザンッ!!


黒光はエロい姉が喋り終えるのも待たずに斬りかかる。

それを緊急回避でかわす姉。

姉「あらあら随分分かりやすい攻撃。図星かしら?フフ」

黒光「気色悪ィ…!!」

姉「ウフフ、童貞クンなのね♡かわいいわ♡」

タンッ

黒光「何余裕こいてんだ」

黒光は一瞬でエロい姉の背後に移動した。

姉「!!」

黒光「遅えよ!」


ズバァッ!!


姉「あんっ♡」

黒光「チッ、浅いか」

姉「やだ…服が切られちゃったわ…」

黒光「いやガッツリ生身いっただろ。いつまでもふざけてんじゃねえよ。言っとくが俺に色仕掛けなんざ無駄だからな」

姉「あら、そうなの?ソッチの人?」

黒光「ブチ殺す」


165 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:05:45 laY.yEHk00

姉「はあ、それならしょうがないわね。平和的解決をしたかったんだけど……パワードスーツ!!」

ドドドドド…!

黒光「は?」

エロい姉の掛け声と共に、地響きが鳴る。

ギュォーン… バチン!!

グァーン… ガシィン!!

ギュイーン… ガチャンッ!!


姉「さあ、激しく体を交わらせましょうか♡」

どこからか飛んできたパワードスーツがエロい姉の体に装着された。

黒光「それが本気の姿ってわけか。ケッ、くだらねえ」

姉「行くわよっ!!」

ドシュッ!!

エロい姉はミサイルを放つ。


黒光「効かねえよ」


ザンッ!!


黒光はミサイルを剣で真っ二つに斬り裂いた。

更にダッシュで距離を詰め。


166 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:06:55 laY.yEHk00


ズガッ!!


姉「がふっ…!」

斬撃でエロい姉の腹部の装甲をえぐる。

黒光「チッ、アーマーが結構硬えか。まあこの分じゃ全部引っぺがすのも時間の問題だ。テメェに勝ち目はねえぞ」

姉「やだ…エッチ♡」

黒光「その余裕がいつまで保つかな」

更に追撃を仕掛けるため距離を詰める黒光。

姉「それはコッチのセリフよ」

黒光「!!」


ギュルルルッ!!


黒光「ぐっ!」

エロい姉は敵を巻き込み高速回転するスクリューアタックで黒光を弾いた。

姉「隙だらけね」

ギュゥゥゥン…

エロい姉の右腕の砲口に光が集まる。

黒光「チッ、ちょっと不意ついただけで何調子乗ってんだ?」


167 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:10:35 laY.yEHk00

ビュンッ!

黒光はブーメランを投げる。

タッ

姉はジャンプでかわす。

黒光「隙だらけなのはテメェの方だろ」

黒光はその隙に一気に近づき。


ザンッ!!


姉「ぐうっ!」

エロい姉の肩の装甲を破壊。

黒光「オラオラァ!」

バキッ!!

ドゴッ!!

更に連続で斬りつけ、装甲を削っていく。

姉「くっ…!」

ガシャッ…

エロい姉はさすがに装甲を貫通したダメージで体力を失い、膝をついた。

黒光「フン、所詮は魔力も扱えねえ雑魚か。んな機械に頼ってっからそうなる」

姉「…良いことを教えてあげる」

黒光「いらねえ。トドメだ」

黒光は剣を振りかぶる。

姉「どんな相手にも最後まで気を抜かずに全力を尽くしてイかせる!たとえ童貞クンが相手だとしてもッ!!」


ドウッ!!!


黒光「!!」

エロい姉は溜めていたチャージショットを放った。

姉「それが…戦い(セッ●ス)というものなのよ」


168 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:13:18 laY.yEHk00

黒光「ぐううううっ…!ふざ…け…ん…な…ッ!」

ズザザザザ…

黒光は剣で受け止めていた。

姉「なっ…この一撃を耐えるって言うの!?」

黒光「ケッ!こんなもん…弾き返してやるよ…!」


???「あまりしつこい男は嫌われるよ」


黒光「あぁ!?誰だ!」

黒光は振り返る。

と。


ドウッ!!!


背後に現れたもう一人のアーマー戦士は、無慈悲にも最大チャージショットを放った。

黒光「ぐうぉっ!?」

???「僕は揺るぎなきたまたま。覚えておくと良い」

黒光「ク…ソ…がああああ!!」


ドゴォォォォォン!!!!


双方から来るチャージショットの挟み撃ちを防ぐすべはなく。

黒光は爆散した。


169 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:22:49 laY.yEHk00


たま「大丈夫かい?ローくん」

姉「ウフフ、大丈夫よたまちゃん。ありがとね♡」

たま「そうは見えないな…怪我してるじゃないか。すぐに帰って手当てをしよう!」

姉「もう、心配性なんだから」

たま「心配にもなるさ!君はいつも自由奔放だからね…さっきだって弟くんが心配だ、って突然飛び出して。やっと追いついたと思ったら強そうな相手と戦ってるし」

姉「ウフフ、ごめんね♡…ってそうだったわ!さっきニュースでうちの弟くんが通ってる学校が襲われたって。早く向かわないと!」

たま「ホントに君はしょうがないなぁ。ま、そういうところが良いところでもあるんだけどね、フフ。僕も行くよ!」


170 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/15(金) 20:25:24 laY.yEHk00




一方、無敵の転校生の方は。

転校生「くっ…つ、強い…!!この俺が手も足も出ないなど…!こんな事が…!」

???「そんな事はない。なかなか歯応えのある戦いだった」

満身創痍の状態で跪いていた。

その前に立ちはだかるのは、白いレーサー服の男。

転校生「き…貴様…一体何者だ…!!」

???「名乗る程の者ではない。ただの一家の長男さ」

転校生「ふ、ふざけるな…!それほどの実力がありながら…一般人だと…!?」

???「…まあ…強いて言うならば、俺は理の外の存在…幻想の番人だ」

転校生「な…なんだそれは…」

???「フ…やはり言っても無駄か。とにかくこれに懲りたらもうこの町には来ない事だ。…と言っても、お前が次に目覚めた時、既に俺の事は覚えていないだろうがな」

男はそう言うと、次の瞬間まるで霧のように消えた。

転校生「ま、待て…!くっ…くそ…意識…が…」

ガクッ…

同時に無敵の転校生は気を失い、倒れた。


171 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 9bbb-bc03) :2019/02/15(金) 21:17:25 XfFWXZw600
支援のドドン
誰かは分からないけどお兄さん?も出してくれて嬉しい


172 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/16(土) 19:15:22 6h38NXUMSd




西の村。

すっかり日も暮れ、ギルティースたちはパターソンの捜索を中止して帰って来たのだが。

パターソンに次ぎ、ドドンまで病院から姿を消しており、混乱していた。

ギル「あーもう何やってんのよドドンは!アーウィンも無いし!」

アントン「も、もしかしてまた魔の一族が攻めてきて襲われてたりして…」

天才「まあまあ落ち着けよ。とりあえず端末で連絡取ってみろ」

ギル「そ、そうね…」

ギルティースはドドンに通信を試みる。

プルルルル…

ピッ

ドドン『ハイ、こちらドドンドン。どうしたドン?』

ギル「どうしたじゃないわよ!勝手に病院抜け出して!あんた今何してんの!?」

ドドン『今ドン?隣の国だけドン』

ギル「はあ!?何で!?」

ドドン『デスエンさんって人と知り合って、共に戦う仲間を探してるドン。ギルティースたちもどうドン?』

ギル「…なんでそんなことになってるのか分からないけど…とにかく急にいなくならないで!書き置きくらいしていきなさいよ!まったくもう!」

ドドン『す、すまんドン』


173 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/16(土) 19:17:02 6h38NXUMSd

ギル「分かればよろしい!あんたの場合ホントに分かってんのか分かんないけど!何にせよ無事なら良かったわ」

ドドン『ああ、あの爆発の怪我なら心配ないドン。慣れてるからもう治ったドン』

ギル「どういう理屈よ…ま、それじゃあ切るわね。パターソンについて何か分かったらまた連絡するわ」

ドドン『了解ドン』

プツッ

ギル「はあぁ〜良かった…」

天才「母親みてえだな…」

ギル「しょうがないじゃない!みーんな危なっかしいんだもの!パターソンもドドンも、芸人やってるナザレンコたちも、フォックス一族はみんなそう!天才、あんたもよ!」

ギルティースは溜まった鬱憤を吐き出すかのごとくまくし立てる。

天才「お、俺もかよ…」

アントン「あはは、フォックス一族のみんなは仲が良いんだね」

天才「そうでもねえよ。ギル姐が世話焼きすぎなだけだ」

ギル「何!?文句ある!?」

天才「無いです…」


174 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/16(土) 19:18:44 6h38NXUMSd




同じ頃。

東端の町を少し離れた、魔物に占領された町。

灼熱のレイア、勇者ヨシオ、そしてDr.神様の三人は、そこを取り戻すべく訪れていた。

レイア「ここは雑魚魔物ばっかりだな。すぐに終わりそうだ」

勇者「じゃあそっちはお願いします!僕はこっちを見てきますね!」

Dr.神様「なら儂はこっちじゃな。雑魚だからと言って気を抜くでないぞ」

レイア「おう!」

三人は三方向へ散り、手分けして魔物の討伐に当たった。


175 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/16(土) 19:20:17 6h38NXUMSd




それからしばらくして。

魔物「グギャアア!!」

ドドォォン!!

ズドォォン!!

勇者「ハァ…ハァ…よし!こっちは残り三匹…!早く終わらせてレイアさんたちの援護に向かおう!」

魔物「ギャァァ!」

魔物が飛びかかる。

勇者はまた愛用のポーチから爆弾を取り出そうとする。

勇者(ど、どうしよう…!)

そして勇者ヨシオはある事に気付く。


勇者(爆弾がもうない…!!)


ドガッ!!

勇者「うわぁっ!」

それは今まで爆弾頼りで戦ってきた勇者にとって、最大のピンチであった。

魔物「グオオオオ!!」

弾き飛ばされた勇者を、魔物たちは取り囲む。


176 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/16(土) 20:38:30 wzkjcEGg00

勇者「うぐ…!ヤ、ヤバイ!急に強そうに見えてきた!」

魔物「グキャキャキャキャ!」

魔物たちはもう勝ったとばかりに笑った。

勇者「か、完全に舐められてる…!」

魔物「グオォォ!!」

そして三匹が一気に飛びかかる。

が。


バチンッ!


魔物「グオッ!?」

魔物は弾き飛ばされた。

勇者「秘技・はたく!ヨシオ族に伝わる必殺技だっ!」


177 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/16(土) 21:13:07 wzkjcEGg00

魔物「ガルル…」

勇者「ってあれ?あんまり効いてない…?」

魔物「ギャオオオオ!!」

勇者「ひいいいい!!」

勇者は逃げ惑う。

そんなときだった。


住民「が、がんばれー!」


勇者「!!」

勇者の前に現れたのは、町の住民たちだった。

魔の一族の目的はあくまで侵略であり、殲滅ではない。

これまであまり描写されていなかったが、何処かに隠れていたり捕まっていたりしているだけで、魔の手に落ちてしまった町にも普通に生き残っている住民はいるのだ。

その住民たちは勇者の戦いぶりを隠れて見ていた。

男「あんたが最後の希望だー!」
子供「がんばって!風船さん!」
女「お願いします!うちの子も奴らに殺されました…!どうか仇を…!」

住民たちの声援が勇者に投げかけられる。


勇者「……重い…」

男「えっ」


178 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/16(土) 21:15:26 wzkjcEGg00

勇者「ゲームや漫画の勇者とかも、こんな気分だったのかなぁ…」

女「そんな、どうか見捨てないで!」

勇者「……僕は……弱いんです」

男「そんなこと…!」

勇者「何度やっても敵わなかった…あの人には…」

勇者ヨシオは里での記憶を思い出し、立ち止まった。

魔物「キシャアアア!!」

魔物たちはその無防備な勇者へと襲いかかる。


レイア「どりゃああっ!!」


ドゴォォッ!!

間一髪、レイアが現れ魔物を粉砕した。

勇者「レ、レイアさん!」

レイア「どうした、悩み事か?この戦いの最中で立ち止まるなんてよ」

勇者「す、すみません…!レイアさんの方は…」

レイア「ああ、こっちは終わったぜ!あとDr.神様の方も終わったっぽい」


179 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/16(土) 23:00:30 wzkjcEGg00


Dr.神様「ゼェ…ゼェ…フゥ…すまぬ、遅くなったな。儂ももう歳じゃから、あの数を相手にすると流石に体力が持たんわい…」

レイア「へへっ、なーに言ってんだ!横目に見てたが、良い戦いっぷりだったぜ!」

Dr.神様「フ、おぬしはまだまだ余裕そうじゃな…」

レイア「まあな!つうか勇者、なんか悩みあるなら遠慮無く言えよな!俺らは仲間なんだからよ!」

勇者「はい…僕は、ヨシオ族の里の出身だって言いましたよね」

レイア「ああ」

勇者「そこには最強のヨシオ族と言われる人がいるんです」

レイア「へえ!どんな奴なんだ?」

勇者「うーん、クールな人ですよ。僕はその人を超えるために、ずっと鍛錬を積んでいました。だけどどうやっても勝てなかった……だから僕は観光って名目で、他の国に逃げ出したんです…!こんな僕に、人を救う資格なんて…!」

レイア「何言ってんだよ?人助けるのに資格なんかいらねえよ」

Dr.神様「そうじゃな」

勇者「で、でも…」

レイア「俺は前の町での戦いも今回も、お前に助けられてるぜ」

勇者「それは…だけど僕は爆弾がなきゃ何もできない…!」


180 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/16(土) 23:03:05 wzkjcEGg00

Dr.神様「そんなことはない。儂は神様・アイで見た者の肉体強度を測ることができるのじゃが、おぬしはかなり強いぞ」

勇者「そ、そんなことができたんですか!?」

レイア「マジかよ!俺は!?俺はどんな感じだ!?」

Dr.神様「おぬしもかなり強いぞ」

レイア「おお!やったぜ!」

Dr.神様「じゃから大丈夫じゃ。おぬしは自分の力を信じ切れていないかもしれんが、儂らはおぬしの力を信じとる」

レイア「そうだぜ。お前も俺と同じように修行頑張ったんだろ?だったらもっと自信を持て!」

勇者「は、はい…」

レイア「最強のヨシオ族とやらに勝てないっつってたが、俺だってまだリア・リエに全然勝てねえし、下目使いにもボロ負けだった!けどそれで、今までしてきた修行の成果や戦いの経験が失くなるわけじゃねえ!そうだろ!?」

勇者「……!ありがとうございます…!なんか自信が湧いてきました!」

レイア「おう、その意気だ!」

Dr.神様「さあ、そうと決まれば次の町へゆくぞ!準備はよいな!」

勇者「あっ、ちょっと待って。爆弾補充しなきゃ」

レイア「そのスタンスは崩さないんだな…」

Dr.神様「ホホ、戦い方まで変える必要は無かろう。では準備が済み次第、出発じゃ!」

勇者「はい!」


Dr.神様(まあ、神様・アイなんか無いがの。立ち直ったならそれでよしじゃ!)


181 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/18(月) 19:52:59 JcjT2/nM00






天界・上層。

ここには天界の中でも極めて神格の高い者のみが住まう、全能神殿が存在する。

その玉座に、神々しい老人が座っていた。

胸の辺りを押さえ、とても苦しそうな表情をしている。

???「ぜ、全能神様!病室へお戻りください!」

白い衣服を纏った側近の男が、玉座を見上げて言う。

全能神「㌧…だが我がこの天界を統べる全能神である以上…このまま奴らを野放しにしておくわけにはいくまい…」

㌧「しかし…!全能神様はもうお力が…!」

全能神「…㌧よ、お前は我によく尽くしてくれた。もうよい」

㌧「え!?」

全能神「我はよく生きた!三千年もの間この天界の頂点に君臨した!だからこの残り少ない命をもって、天界に仇なす魔を葬り去る事にした!」


182 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/18(月) 19:53:44 JcjT2/nM00

㌧「ま、まさか死ぬおつもりですか!」

全能神「そうだ。放っておいても我はじきに力の全てを失い死ぬ。ならば最期は、この天界の未来のために尽くして死のうではないか」

㌧「……!!」

全能神「だからお前は、我の後継を探せ。異論は許さぬ」

㌧「…仰せの…ままに…!」

㌧は深刻ながらも覚悟を決めたという表情で、全能神の最期の命令を受け入れた。


ザッ

全能神は玉座から立ち上がり。

全能神「さて…果たして今の我にどれほどの力を出せるか分からぬが…世界を魔の一族の好きにはさせぬ…!」


183 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/19(火) 17:10:51 FRTBpC3kSd





隣国、煙草マスターの祠の森。

パタ「く…そ…ッ」

パターソンは下目使いに手も足も出ず、這いつくばっていた。

下目「さて、それじゃ続き続き。邪魔が入ったけど、さっさと目覚めてもらおう」

と、そこへ。


キィィィン!!


一筋の光が雲間から差し込む。

その光は丁度、吐き気と魔のパンツの戦っている場所に落ちた。

吐き気「何だ…?オエッ…この光は…」

パンツ「ぐ、ぐお…!」

すると突然、光を浴びた魔のパンツは苦しみ始める。

妖魔「あれは…!」

下目「何か知ってんの?妖魔」

妖魔「神の光…!!魔の一族を殲滅する全能神の技だ!我が数百年前に地上を攻めた時も、あの光によって妨害されたのだ…!忌々しい全能神め、まだ生きていたか!」


184 : ハイドンピー (スプー 5d99-e782) :2019/02/19(火) 17:13:38 FRTBpC3kSd

下目「全能神なんてのがいるのか。魔のパンツ!戻れ!」

パンツ「が…ぎ…ぐ…!」

魔のパンツは光の中でもがく。

妖魔「無理だ…あの光に捕らわれたが最後、逃れることはできん」

下目「へー、それはずるいな…じゃあ撤退しようか」

バッ!!

下目使いたち二人は一瞬にして消えた。

タバスコ「なっ…ふざけるな!」

エルバン「☆落ち着いて!煙草マスターの封印は解かれてない。追う必要はないよ」

タバスコ「……そうですね…でも、鎖がかなり壊されてしまいました…これじゃもう封印が解けるのは秒読み段階かもしれない」

吐き気「うっぷ…そうなれば仕方ない。俺たちでなんとかするしかないだろう」

エルバン「☆そうだね。元々僕たち二人でなんとかするつもりだったしね…★煙草マスターがあの妖魔っていうゴリラクラスの強さなら、正直勝ち目は薄いけど…」

タバスコ「…くっ…悔しいけど今の僕では天地がひっくり返っても勝てない……エルバンくん、吐き気さん!さっきは意地を張ってごめんなさい!僕に特訓をつけてください!」

煙草マスターの子は頭を下げる。

吐き気とエルバンは顔を見合わせ。

エルバン「☆もちろん!」

吐き気「俺たちは厳しいぞ…!オエッ…」

その頼みを快諾した。


その奥で魔のパンツは光に焼かれ消滅。


185 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/19(火) 18:54:28 xgdQkUDw00





また、各地で。



キィィィン!

レイア「うわっ!なんだこの光…!」

魔物「ギャアアア!!」

勇者「見てください!光で魔物たちが焼かれていく…!」

Dr.神様「こ、これは全能神様の…!」


186 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/19(火) 18:55:18 xgdQkUDw00




キィィィン!

転校生「な、なんだ…ッ!体が…焼ける…!ぐあぁっ…!」





キィィィン!

ドドン「おわっ!なんか光が降ってくるドン!何だドン!?」

ドドンはアーウィンをローリングさせ、その光をかわす。

デスエン「これは神の光か…俺を狙っているようだ。俺は一旦魔界へ避難させてもらおう。お前たちに害はないから、このまま北の町へ向かえ。俺も後から行く」

ドドン「了解ドン!」

ビュンッ

Φデスエンペラーは姿を消した。


187 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/19(火) 18:56:53 xgdQkUDw00




キィィィン!

内藤「グアアアアッ!!」

アルベ「内藤っ!くッ!なんだこれは…!」

内藤「来るな…アルベルト…!貴様も巻き込まれるぞ…!」

アルベ「だ、だが…!」

内藤「魔界へ逃げろ…!まだ攻撃は…続いて……グアァァァッ…」

アルベ「内藤ーーーッ!!」

ダーク内藤はアルベルトの目の前で消滅した。


188 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/20(水) 19:17:15 YyRm4CdQSd





とある南の島。

ムッコロズたちのチャージショットによりブッ飛ばされたヤミノツルギは海に落ち、この島に流れ着いていた。

ヤミ「うぅ…ここは…どっかの島…?」

ヤミノツルギは立ち上がり、辺りを見回す。

ヤミ「…やっぱり炙りアイテムは流されちゃってるな…魔炎がなきゃ魔界に帰る事もできない…とにかく、何処かで傷を癒さないと…」

途方に暮れていると。


キィィィン!


ヤミ「何だ!?」

ヤミノツルギは天から降り注いだ光を、咄嗟にかわした。

が、光は魔力に反応して追尾してくる。

ヤミ「クソッ!何なんだ一体!」


189 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/20(水) 19:19:15 YyRm4CdQSd



ヤミノツルギは必死で逃げ続け。

そしてしばらくすると、光は収まった。

ヤミ「ふぅ…ホントに何だったんだ……うぐっ…!傷が疼く…クソッ、あの人間ども…絶対に復讐…して…や……」

バタッ

体力が限界を迎え、気を失った。


そこへ。


???「ニョ?」

???「ケ?」


二体の恐竜が現れ、物珍しそうにヤミノツルギを囲んだ。


190 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/20(水) 19:24:50 YyRm4CdQSd






隣国・南の町。

例の黒光の手によって魔物に支配された町だが。


キィィィン!


ここでも同じく、神の光が魔物を焼き払っていた。

???「た、助かったのデスか…?」

そこにいたのは魔物たちに怯え建物に隠れていた、赤い帽子の男。

???「そ、そうみたいですね、♂maikeru♂さん…」

その横に、水色帽子の中年男性がもう一人。

♂♂「部長サン、顔色が悪いデース」

部長「あぁ、胃が痛い…魔物に会社壊されて…明日からどうすればいいんでしょう…」

♂♂「仕方ないデスよ…フカコーリョクってやつデース」

部長「そ、それはそうですが…」

二人は全くの赤の他人である。

この町にたまたま営業に来ていた、細々と芸能活動をしている♂maikeru♂。

この町の中小企業に務める部長。

二人は魔物から隠れようと建物の陰に入り込んだところ、ばったりと出会った。


191 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/20(水) 19:29:16 zqs7NxWQ00

♂♂「部長サン、ミーと違って繊細な人デスネ!とりあえず命が助かったんだから、喜ぶとこじゃないデスかー?」

部長「はぁ…確かに私は部下にも"一番繊細な部長"とか、影で言われたりしてるみたいですが…しょうがないじゃないですか。私には部長として部下を守る責任があるし、家族もいるんですよ…」

♂♂「オー、ソーリー!責めるつもりじゃないんデースよ!」

部長「あ、いや、こちらこそすみません。愚痴みたいになってしまって」

♂♂「それにしても何だったんデショウね、さっきのシャイニングは」

部長「まるで神様が助けてくれたかのような温かさを感じましたね…」

♂♂「やはりミーのスペシャル・ダンスが効いたんデショウか?」

部長(あ、さっきなんか凄い腰振ってたの、ダンスだったんだ…)

♂♂「とにかく生き残ってる人を探しに行きマショウ!」

部長「そうですね。家族も心配ですし…魔物がいなくなったことに気づかずに、まだ身を隠している人もいるかもしれません」

そして二人は建物の陰から出てきて、町を見て回った。


192 : ハイドンピー (ワッチョイ ac30-01f5) :2019/02/21(木) 19:24:19 Uopxs1Z.00



その数分後。

住民「ひいいいいいっ!」

♂♂「ホワッツ!?」

部長「今の悲鳴…!もしかしてまだ魔物が…!」

♂♂「あ、あれデス!」

♂maikeru♂が指差した先に、魔物に襲われる住民がいた。

部長「やはり魔物…!生き残っていましたか…!」

住民「た、助けてくれぇ!」

♂♂「部長サンはここにいてくだサイ!あれくらいならミーが倒して見せマス!腕には自信ありマース!」

♂maikeru♂は魔物に向かって突撃。


193 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/21(木) 19:28:47 bJ0OEowgSd

♂♂「ポゥッ!!」

叫びとともに渾身のパンチを放つ。

が。

魔物「グオーッ!!」


バキィ!!


♂♂「ギエーーー!!」

尻尾で顔面をはたかれ、空中で一回転して倒れる。

魔物「ガルルルル…!」

更に魔物は倒れた♂maikeru♂を踏みつけ、トドメを刺そうとした。

♂♂「ひっ…ソーリー!ストップ!ストップ!ノー!ヘルプミーーー!」

部長「♂maikeru♂さん!くっ!うおおおっ!」

部長は勇気を振り絞り魔物に飛びかかる。


194 : ハイドンピー (ワッチョイ 3536-01f5) :2019/02/21(木) 19:31:34 itfqRwEc00


ドガッ!!

バキッ!!

ズドドドッ!!


魔物「ピギャァ…!」

魔物は消滅した。

部長「大丈夫ですか!?」

住民「は、はい!ありがとうございます!」

♂♂「ミーも、なんとか無事デース」

部長「ふぅ…良かった…」

部長はハンカチで額の汗を拭きながら、胸をなでおろす。

♂♂「しかしすごいデスネ!まさか部長サンがこんなに強いとハ!魔物の攻撃を完全に見切ってマシタ!」

部長「いやぁ、とにかく必死で戦っただけですよ…」

♂♂「イヤイヤ!あの繊細な体捌き、そして魔物を討ち倒すパワー!普通の会社員じゃありえマセーン!何かヒミツがあるんじゃないデスか!?」

部長「いや、本当に何も………あ、もしかしたら筋トレが効いたのかも…私、繊細ですぐ落ち込んでしまうので、体を鍛えれば余裕が生まれるんじゃないかと、数年前から筋トレを続けていたんですが…」

♂♂「ホントにそれだけなんデスか!?部長サン、天才デスよ!!」


195 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/21(木) 19:36:51 bJ0OEowgSd

部長「そ、そんな大したものじゃ…」


???「いいや、アナタは天才だよ。僕にはわかる」


部長「だ、誰ですか!?」

部長たちの前に現れたのは、緑色の帽子を被った少年だった。

???「フフ…僕は綺麗なゲイさ。この町が魔物に乗っ取られたと聞いて駆け付けたんだけれど、既に終わっていたよ。たまたま生き残っていた一匹もアナタが倒してくれたしね」

部長「え、えっと、綺麗なゲイさん?あなたは、何者なんですか…?」

ゲイ「なに、ただの旅人さ。色んな人との出会いがあって楽しいんだ。フフ、今日もこうしてアナタという人に出会えた」

ゲイは部長を見つめ、頬を赤らめ微笑を浮かべる。

♂♂「あの、ゲイサン、部長サンには家族が…」

ゲイ「ああ、アナタも弱いのに良い気合いを見せてくれたね、フフ…」

♂♂「そ、そんな目で見つめられると…や、やめてくだサーイ!ミーはそんな軽い男ではありまセーン!」

ゲイ「心外だな。僕は"綺麗な"ゲイなんだ。フフ、勿論アナタも部長さんも素敵な人だとは思うけどね…そう誰にでも体を許すような男では無いさ」

♂♂「そ、そうデスカ…」

少しだけ残念そうな♂maikeru♂であった。


196 : ハイドンピー (スプー 5ca7-01f5) :2019/02/21(木) 20:19:05 bJ0OEowgSd

ゲイ「ただ、部長さん、アナタの肉体にはやはり興味があるよ」

部長「!?」

♂♂「やっぱり!」

ゲイ「いやいや、勘違いしないでほしい。言ったろう?僕はアナタが戦うところを見ていたんだ。フフ…僕に稽古をつけさせてはくれないかい?」

部長「え?そ、それはどういう…?」

ゲイ「アナタは今は魔界の雑兵を倒せる程度だけれど、本気で鍛えれば必ず更なる高みへ行ける。そう感じたんだ」

部長「そう言われましても…私はただの会社員ですし…」

ゲイ「家族がいるんだろう?これからたぶん、世界は荒れるよ。魔界や天界、それにこの世界各地でも強力なファイターたちが動き出している……護るための力が、欲しくはないかい?」

部長「……!!」

♂♂「な、なんか怪しくないデースか?それに稽古って、アナタほんとに部長サンより強いんデスか?」

ゲイ「フフ、確かめるかい?」


197 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 8fe2-8ee9) :2019/02/21(木) 22:36:31 plnNobEg00
ネス勢みんなキャラがたってて良いねえ


198 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/21(木) 22:38:47 NK.lQKOM00

部長「いえ。ゲイさん、あなたが強いのは雰囲気で何となく分かりますよ。確かにあなたの言う通りかもしれません。今の私では家族を護れない…まさに今、その状況にいます…あの魔物たちが攻めてきた時、私は隠れることしか出来なかった…家族が今どうなっているかすら分からない…」

♂♂「部長サン…」

部長「私も力が欲しい…奴らと戦える力が…!」

ゲイ「じゃあ…」

部長「ただ…少し待ってくれませんか?」

ゲイ「…勿論、すぐにとは言わないさ。よく考えて決めてくれ。はいこれ、僕の連絡先だよ」

ゲイは連絡先の書かれたカードを部長に渡した。

部長「あ、はい…!ありがとうございます!私はこういう者です」

部長は名刺をゲイに渡す。

部長「では、そろそろ失礼しますね。私はこれから家族の元に向かいますので!」

部長は爽やかに去っていった。

ゲイ「…アナタはどうする?」

♂♂「え…遠慮しておきマース…」

♂maikeru♂はそそくさと逃げていった。


199 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/21(木) 22:43:25 NK.lQKOM00



二人が見えなくなるまで見送ったゲイは。

ゲイ「フフ…さて、それじゃあ…」

左手を高く上げる。

そして。


パチンッ!


指を鳴らすと。


ドドドドドドドド…!!


ゲイの足元から黒いゲートが開き、大量の魔物が湧き出てきた。

魔物「ギャオオオオ!!」

ゲイ「僕らの本気を見せようか。天界の愚か者たちにね…フフ」

穏やかなゲイの目付きが豹変し、ニヤリと笑った。


200 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/21(木) 22:53:27 NK.lQKOM00





部長「みんな無事だろうか…早く行かないと…!」

部長は家へと急いでいた。

が。


ボォッ!!


部長「!?」

ゲイに渡されたカードが、突如真っ黒な炎を纏い、部長の体に燃え移る。

部長「ぐわああああああっ!!」

ボォォォォッ!!

黒い炎は更に勢いを増し、部長の全身を包み込んだ。

ギュオオオ…!!

そして炎は竜巻のようにうねって天へと昇り。

やがて天地をつなぐ炎の柱のようになる。


201 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/21(木) 22:54:56 NK.lQKOM00



ゲイ「フフ…あっちも覚醒が始まったね。さあ、終わりの始まりだ」

ゲイは遠くに立ち昇る炎の柱を見て笑う。




しばらくすると炎の柱は細くなっていき。

そして消えた。

その中心にいた部長には変化が起きていた。


部長「…フハハハハ!!皆殺しだあああ!!」


部長は高らかに笑う。

住民「うわ!なんだ!?」

部長「死ねええ!フハハハハ!!」

ボボッ!!

部長は掌から緑色の火球を放つ。

住民「うわあっ!!」

部長「くーっくっく…もう一番繊細な部長などとは呼ばせん!!オレは一番大胆な部長へと進化したのだあああ!!」

部長の目は赤く光り、町を破壊し始めた。


202 : はいどうも名無しです (アウアウ add6-e497) :2019/02/21(木) 23:11:45 5EpAQ4BISa
長イ脇ゲ結成フラg…なんだと!?
まさかの展開過ぎる


203 : ハイドンピー (スプー b750-01f5) :2019/02/22(金) 17:06:30 CtWuc/jwSd



そこへ。

♂♂「部長サン!?な、何をしているんデス!?」

炎の柱を見て♂maikeru♂が駆けつけた。

部長「♂maikeru♂…くくくく!オレは目覚めたのだ!!これがオレの真の力…!本当の姿だ!!フハハハハ!!」

♂♂「何を言ってるんデスか!?家族はどうしたんデス!」

部長「最高の気分だ!!さあ!お前もこの力の生贄となれええ!!」

♂♂「ダメデース…!話が通じマセーン!」

???「下がれ」

♂♂「ヘッ!?」


ドウッ!!!


部長「ぬっ!?」

ギュルッ!

突如飛んできた閃光を、部長は体をひねり回避する。


204 : ハイドンピー (スプー b750-01f5) :2019/02/22(金) 17:07:53 CtWuc/jwSd


???「あの者、力が暴走しているな」


その閃光を放ったのは、緑色のパワードスーツを纏った人物だった。

部長「ああ?誰だお前は?」

???「私は切れた脇役だ。国からの依頼を受けてこの町の魔物を掃討しに来たが…どうやらもっと面倒な事になっているようだな」

部長「脇役?フハハハハ!!だったら脇役らしく散れ!!」

ダンッ!

部長はいきなり仕掛けるが。

バンッ!!

部長「ぐおっ!」

切れた脇役はレイガンにより迎撃。

部長「クソッ!この程度でオレが止められると思うな!!」

部長は構わず突っ込んでくる。

ブンッ! ブンッ!

距離を詰め繰り出す拳を、脇役はするりするりと冷静にかわしていく。

脇役「単調な攻めだ。そんな大振りが私に当たるものか」

部長「クソッ!!なぜだっ!」


205 : ハイドンピー (スプー b750-01f5) :2019/02/22(金) 17:10:30 CtWuc/jwSd

脇役「冷静さを欠いているな」

♂♂「部長サン…!あの魔物を倒した時とは別人のような動きデース…一体どうしてしまったんデース…」

脇役「魔の一族に何かされたか」

部長「うおおおおお!!」

脇役「遅い!」


バンッ!バンッ!


部長「ぐあっ!」

二発のレイガンの弾が部長を仰け反らせる。

ギュゥゥゥン…

脇役はその隙にチャージショットをチャージし。


ドウッ!!!


部長「うわああああ!!」


ドガァッ!!

部長はブッ飛ばされ、ビルに激突した。


206 : ハイドンピー (スプー b750-01f5) :2019/02/22(金) 17:18:00 CtWuc/jwSd

♂♂「すごい…圧倒的デース…」

脇役「…エネルギー反応が止まった。気絶したか。これでしばらくは立ち上がれないだろう」

♂♂「脇役サン、ありがとうございマース!それにしてもあの温厚な部長サンがなぜ突然…」

脇役「ム…!近くに大量の魔物の反応があるな…また新たに魔界から現れたのか…」

♂♂「え!?ま、また!?」

脇役「お前はあの男の知り合いらしいな」

♂♂「ハ、ハイ、一応…」

脇役「ならば目覚めた時にまた暴れないよう、コレで拘束しておいてくれ。私は魔物の討伐に向かう」

脇役は♂maikeru♂に拘束具を手渡すと、走り去っていった。

♂♂「へ!?ちょ、ちょっと!……行っちゃいマシタ……ってアレ?あの方向ってまさか…ゲイサン…?」


207 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/23(土) 23:08:47 NfnX9TFQ00






魔界。

下目使いたちは魔力によって地上の映像を映し出し、地上の様子を伺っていた。

下目「あれ…あの町に映ってるのって…」

妖魔「ゲイだな。やはり奴は優秀な部下だ。全能神が戦いに介入してくることも読んでいたか」

下目「ふぅん…あの神の光ってのが来るまで身を潜めて、収まったタイミングで仕掛けることで、人間どもに休ませる暇を与えないってわけか。さすがだよ。だけど一つ間違ってるぞ妖魔」

妖魔「!!」

下目使いは全力で妖魔を見下す。

下目「今はアイツも僕の部下だ」

妖魔「ヒッ!!すまぬ!!」

妖魔は頭を抑えて丸まった。
完全にトラウマを植え付けられているのだ。


208 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/23(土) 23:09:51 NfnX9TFQ00

下目「…しかし、まさか二大剣士が両方やられるとはね。予想外だった。ヤミの方はなんか変なのに囲まれてるけど、一応光は回避したみたいだね。後で合流するか」

妖魔「…あ、あの国はどうするのだ…?神の光によって雑兵どもが、完全にとはいかないまでもほとんど殲滅された。これまで我が成した侵略は水の泡だ…」

下目「面倒だけどまた攻めるしかないね。雑兵はいくらでもいるし、全域に放って暴れさせればいい。どうせ人間どもはノロマだ。またすぐに見下せる」


デスエン「よう。やはりこうなったか」


妖魔「Φデスエンペラー!」

デスエン「油断したな妖魔。俺の忠告を無視するからそうなる。…剣士どもがやられたのは俺も予想外だったがな」

下目「何しに来たの?地上に興味ないんじゃなかったっけ?」

デスエン「…確かにそうだった」

下目「だった…?」


209 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/23(土) 23:11:09 NfnX9TFQ00

デスエン「お前たちがただ地上を無双していくのを見ていてもつまらんだろう。そんなものに興味はなかった。だが下目使い、お前の下剋上は面白かったぞ。そして人間の中にもごく一部ではあるが、強力な戦士がいるってことも分かった。ならば、俺もそこに参戦しない手はないだろう」

妖魔「貴様も手伝う気になったか…」

デスエン「フッ、まさか。俺は今、地上で仲間をスカウトして回っている。新たな勢力を作るんだ」

下目「ふぅん…つまり人間どもや天界の奴らだけじゃなく、僕たちまで敵に回すつもりなんだね」

デスエン「そうだ。いずれ戦場で会おう」

ビュンッ!

デスエンはそう言い残し、姿を消した。


下目「確かに、面白い事になってきたね…フフフ…Φデスエンペラーも、全能神とやらも、みんな僕が見下してやる…!さあ妖魔、僕たちも行くよ」

妖魔「ああ」

ビュンッ!

二人も再び地上へと向かった。


210 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/24(日) 20:49:29 5b4cQdMA00





天界・上層。

全能神殿で、全能神の側近である㌧はこの上層で次なる全能神を探すため準備をしていた。

㌧「全能神様のお力が感知できなくなった…全てを使い果たされたのか……くっ…この㌧、必ずや貴方の後継に相応しい者を見つけてみせます…!」

???「㌧、どうしたの?そんな怖い顔して」

そこへ青い服の青年が現れた。

㌧「△デロイ△…そうか、貴方はまだ力の感知までは覚えていませんでしたね。今しがた全能神様がお亡くなりになりました」

デロイ「え!?そんな、どうして!?」

㌧「下界に魔の一族が仕掛けてきたのは知っているでしょう。その侵攻を止めるべく全能神様は最後のお力を使われたのです」

デロイ「ぜ、全能神様が…うぅ」

㌧「泣いている場合ではありませんよ。この全能神殿の玉座をいつまでも空白にしておくわけにはいきません」

デロイ「ご、ごめん。…でもそれって㌧じゃダメなの?㌧は神殿の中でも一番優秀だし、相応しいと思うんだけど…」


211 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/24(日) 20:50:13 5b4cQdMA00

㌧「私には無理ですよ…人の上に立つのは苦手なんです。勿論次の全能神が決まれば全力でサポートするつもりではありますが」

デロイ「そんなことないと思うけどなぁ。人望もあるし頭もいいし…」

㌧「もうその話はおしまいです。とにかくこれから後継者を探しに下層へ降ります」

デロイ「え?上層にいる人じゃダメなの?」

㌧「私の知る限り、この上層に全能神様の後継に相応しい者はいません。私もデロイも、生まれた時からこの上層で暮らしてきて、下層の住人についてはほとんど未知でしょう。だから、知る必要がある。全能神とは上層・下層関係なく、全てを統べる者なのですから」

デロイ「そっか。確かに全能神様、下層や下界、それに魔界のことまで、全部気にしてたもんね。やっぱりすごいなー」

㌧「…それゆえに後継者などそう易々とは見つけられませんがね」

デロイ「たしかに…」

㌧「デロイ。私の留守中、神殿のことは頼みますよ」

デロイ「うん!じゃあ㌧、いってらっしゃい!」

㌧「行ってきます」

㌧は翼を広げ、飛び立っていった。


212 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/24(日) 20:51:07 5b4cQdMA00





魔法学校。

㌦ポッター、昼間の召喚士は魔物に対抗するべく、召喚魔法により使い魔を呼び出そうとしていたが。

㌦「どうやらあの二人の剣士は何者かが退治してくれたようですね…」

昼間「はい。これならもう使い魔を召喚するまでもないでしょう。私たちもあちらの世界に行き、残った魔物たちの討伐に当たりましょう」

弟「先生たち、向こうに戻るの?」

㌦「うん。ただまだちらほら残党がいるから、君たちはここにいなさい。僕たちが安全だと判断したら、またゲートを開くよ」

弟「はーい。がんばってね!」

㌦「ありがとう!」

昼間「では、行きましょう、㌦」

㌦「はい!」


パチンッ!!


昼間の召喚士が指を鳴らすと、二人は消えた。


213 : ハイドンピー (ワッチョイ 6a6c-e782) :2019/02/24(日) 20:51:58 5b4cQdMA00





隣国・北の町。

しゅたっ!

二人のヒゲ面が軽やかに着地する。

㌦「さて…」

昼間「やはりまだ僅かに魔力を感じますね。私はこっちに行くので㌦はあっちをお願いします」

㌦「わかりました」

㌦ポッターたちは二手に分かれ、討伐に向かった。


214 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 19:54:31 dnHIy0PE00




姉「あ、貴方は確か、弟くんの学校の…」

㌦「! 君は幼き弟くんのお姉さんだったかな?」

しばらく行った先で、㌦ポッターはエロい姉たちと鉢合わせる。

姉「ええ。学校が襲われたって聞いて。弟くんは無事なのかしら?」

㌦「ああ、心配ないよ。今は裏の空間に避難させてる。それと、お母さんも一緒だよ」

姉「お母さん…また学校に潜んでたのね…」

たま「フフ、ローくんのお母様、あいかわらずのようだね」

姉「…というか、裏の空間って?」

㌦「あ、いや、えーっと……そちらは?」

姉「何か隠したわね?」

たま「僕は揺るぎなきたまたまだよ。よろしく」

㌦「たまたまさん、よろしく。僕は㌦ポッター。……まあ、君たちになら隠す必要もないか…」

姉「?」


215 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:14:11 dnHIy0PE00

㌦「僕たちのいるこの世界や、魔の一族のいる魔界、そして神様や天使たちが住むと言われている天界…それだけじゃない。世界はいくつもあるんだ。裏の空間っていうのは、この世界にとても近い小さな世界のひとつ」

たま「パラレルワールドのようなものかい?」

㌦「まあ、そんなかんじ。僕たちは魔法を使ってその世界間を行き来することができるんだ」

姉「魔法!?」

㌦「そう。そしてその裏の空間には魔法学校があって、僕はそこでも教師をしている。錬金術のね」

たま「…ファンタジーだね…少し前なら信じられなかっただろう」

姉「魔の一族なんてのが出ちゃったから、そんな話でも信じられるわね…」

㌦「信じてもらえて良かった。とにかく学校のみんなは無事だから安心して。さあ、立ち話をしている場合じゃない」

たま「!」

気づけば数匹の魔物が㌦たちを囲っていた。


216 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:16:37 dnHIy0PE00

姉「ウフフ、これくらいなら私一人でも十分だけど…私、たまちゃんと一緒にイキたいわ♡」

たま「フッ、まったくキミという人は…良いよ。共同作業だ」

魔物「グギャオオオオ!」

㌦「来るよ!気をつけて!」


ドガァァン!!


三人は魔物たちに一斉に攻撃を放つ。

魔物「グオオ…!」

ドサァッ…

魔物たちは体を砕かれ、倒れた。


姉「…あら、もう終わり?」

たま「あっけないな」

㌦「うん。もうこっちの方には魔力を感じない。本当に今ので最後だったようだね」


㌦ポッターは昼間の召喚士の方の援護に行こうと振り返る。


217 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:18:32 dnHIy0PE00


ザッ


㌦「!!!!」

そこに、突如として黒い男が着地した。

それを見るやいなや㌦ポッターは滝のような汗を流した。


デスエン「よう」


㌦(な…なんて魔力…!駄目だ…絶対にこの人と戦っちゃ駄目だ…!)

姉「誰?」

ヒュンッ!

デスエン「魔の一族さ」

姉「!!」

Φデスエンペラーは一瞬のうちにエロい姉の背後に回り、言った。

たま「僕の目の前でローくんに近づくとはいい度胸だね!」

バッ!

揺るぎなきたまたまは咄嗟に砲口を向けるが。

㌦「よせっ!!勝てる相手じゃない!!」

たま「!」

㌦ポッターが叫び。

たまたまもその必死さから只事ではないと勘づき、構えた右腕を下ろした。


218 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:21:07 dnHIy0PE00

デスエン「…ほぉ、魔力を感知できるのか。流石は魔法学校の教師といったところか」

㌦「なっ…!そんなことまで…!」

デスエン「無敵の剣士との戦い、少しだが見ていたよ。あいつと互角に戦えるとはやるじゃないか」

㌦「……!」

たま「君は…何者なんだい?」

デスエン「俺は魔の一族のΦデスエンペラーという者だ。そういうお前たちは、黒光を倒した二人組だな。フッ、二対一とはいえ、素直に驚いたぞ」

姉「それはどうもありがとう…それで、何の用なのかしら、デスエンペラーさん?」

デスエン「実は、かくかくしかじかでな」

Φデスエンペラーは用件を話した。


219 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:30:55 dnHIy0PE00


たま「僕たちを…仲間に…?」

姉「ウフ、面白いことは私も好きよ♡だけど私にだってそれなりに正義感というのはあるのよ。アナタに加勢する気にはなれないわね」

たま「その通り。ローくんは僕のものだ。君には渡さないよ」

姉「やだ、たまちゃんったら、情熱的なんだから♡」

㌦「…僕も貴方につくことはできない…と言ったら…?」

デスエン「…ま、そう言うと思ったがな。そうだな…ならこうしよう。もうじき俺の仲間が丁度三人、ここへ来るはずだ。そいつらと戦い、勝ったら俺は身を引こう」

㌦「な…!」

デスエン「普通にお前らをブチのめして従わせることもできるが、それじゃあ面白くないだろう?」

たま「団体戦ってわけか…どうする?ローくん」

姉「ウフフ、面白そうね♡」

㌦「…分かったよ。というか断る選択肢はないんだろう?君と直接やり合うよりマシだ…」

デスエン「フッ、そう怯えるな。はっきり言ってあいつらはまだお前たちより弱いぞ」

たま「油断させるつもりかい?フフ、僕らは戦いに関しては手は抜かないよ」

デスエン「事実を言ったまでさ。現段階での話だがな。あいつらは今、成長途中なんだ」


220 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:36:16 dnHIy0PE00


そこへ。


キィィィン…


ゴゴゴゴ…

ガシィン!


ドドンたちの乗ったアーウィンが着陸した。

デスエン「ようやく来たか」

姉「あれがアナタのお仲間?」

デスエン「ああ」

パシュゥー!

コックピットが開き、ドドンたちが降りてきた。

ドドン「デスエンさん!なんで俺たちより早いドン!?この星にアーウィンより速い機体なんてそうそう…」

デスエン「魔界を経由したからな。一度あっちに帰れば再びゲートを開く時に座標を設定すればいい」

ドドン「そんなことできるんドン!?ずるいドン!」

大学生「つーかそれ最初からやれよ」

デスエン「フッ、地上の乗り物を体験しておきたかっただけだ。それに景色を眺めるのもなかなか面白くてな。何せ魔界はいつも暗闇、光などせいぜい炎や雷くらいのものだ」

割と普通に地上を楽しんでいるΦデスエンペラーであった。


221 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:40:35 dnHIy0PE00

㌦「か、彼が仲間…?見た目こそキツネだけど、ただの青年じゃないか…特に高い魔力も感じられないし…」

デスエン「言われてるぞ」

ドドン「失礼な人…っていうか誰ドン!?また関係ない人巻き込んでるドン!?」

デスエン「はっはっは、そう焦るな。今からお前たちに戦ってもらう。負けた方が勝った方の言うことを聞く。ちょっとしたゲームだ」

ドドン「なんかまた勝手に話が進んでるドン!」

大学生「クククッ、こいつマジで俺よりイカれてんだろ…」

純白「例の剣士たちはどうしたんです?」

デスエン「あー、あいつらは死んだよ」

純白「え!?」

デスエン「何を隠そうこの鎧戦士たちが、例の黒光を葬った張本人さ。無敵の剣士の方はさっきの神の光にやられたようだが」

純白「なっ…負けたのか…」

デスエン「ああ。つまりお前らより強い剣士たちより更に強い、こいつらを倒せってことだ」

大学生「はー?無理だろ馬鹿か?なんでわざわざ自分から負けにいかなきゃいけねえんだよ。俺は戦わねー」

デスエン「ならお前は不戦敗でもいいぞ。純白とドドン二人で三人を相手にすることになるが」

ドドン「えぇ!?さらに不利になってるドン!?」


222 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-01f5) :2019/02/25(月) 20:42:40 dnHIy0PE00

純白「僕はそれでも構いませんがね…ふふふ…」

ドドン「まあ俺も別に構わないけドン…」

㌦(なんか分かんないけどラッキーだ…!白い青年の方はともかく、キツネの方は大したことなさそうだし、これならいける…!)

たま「フフ、ならばこちらも僕たち二人でいこうか」

㌦「え!?」

姉「そうね。先生は下がってて」

㌦「いやいや!せっかくの人数有利を…」

たま「僕たちにもプライドがあるんだ、戦士としてね。ただの教師である貴方には分からないかもしれないけれど」

姉「そういうこと。ごめんね、先生♡」

㌦「くっ…わかったよ」

たま「ま、必ず勝つから安心して見ていてくれ」

姉「ウフフ、私たちのコンビネーションは無敵なのよ♡」

デスエン「…さて、選手は出揃ったようだな!」

ドドン「やるからには絶対に勝つドン!」

純白「ふふ…彼女らを倒せば、僕も例の剣士を超えたってことで良いんですよね…全力で倒しますよ…ふふ…」

姉「残念だけどさせないわ。一方的にイカせてあ・げ・る♡」

たま「そうだね」

デスエン「言っておくが勿論殺しは無しだぞ。審判は俺がやる。さあ……レディー・トゥー・ファイト!!」


223 : はいどうも名無しです (バックシ c26b-d64a) :2019/02/26(火) 00:08:27 JoZsaeu2MM
紫煙


224 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/02/28(木) 20:04:04 wrLVk6Pg00





その頃、灼熱のレイアたちは。

町を歩きながら、神の光を運良く逃れた残党の退治や、被害者の救助を行なっていた。

住民「あ、ありがとうございます!」

レイア「なーに、良いってことよ!」

住民「も、もう行ってしまわれるんですか?もう暗くなってきましたし、泊まっていかれては?何かお礼を…!」

レイア「俺たちは大したことしてねえって。感謝するなら、魔物どもを焼き払ってくれた全能神様にな!」

住民「は、はい…!では、お気をつけて!」

ある町の救助を終え、すぐに次の町へと旅立つレイア一行。



勇者「それにしても、あの数の魔物をほぼ全滅だなんて、とんでもないですね」

レイア「Dr.神様もそうだが、やっぱ神様ってのはすげえんだな!」

Dr.神様「全能神様は儂などよりも遥かに神格のお高いお方じゃ。比べるのもおこがましいぞい。しかし近頃、全能神様は体の容態が良くないと聞いておったが…」

レイア「神様でも病気とかするのか?」

Dr.神様「ああ。当然生き物じゃからな。神とはただの肩書きじゃ。それに、神はたくさんおる」

勇者「たくさん!?」


225 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/02/28(木) 20:05:36 wrLVk6Pg00

Dr.神様「天界には下層と上層があっての。上層に住まう者は全員が神なのじゃ。儂は天使たちを統率する務めを任されて下層に住んでおるがな」

レイア「へえ、神様にもいろいろいるんだな」

勇者「天使を統率なんて、やっぱりDr.神様もすごいじゃないですか!」

Dr.神様「よさぬか勇者…それよりも、全能神様はご無事なのじゃろうか…心配じゃ」

レイア「なんかこう、力を感じ取る、みたいなのはできないのか?」

Dr.神様「儂の神格は神の杖ありきのものじゃったからな…悔しいが今の儂では天界のことまでは感じ取れん…」

勇者「そうですか…」

レイア「確かに心配だが、今気にしてても仕方ねえ。今は目の前のことに集中しようぜ!」

Dr.神様「そうじゃな」

勇者「オー!」


ドガァァン!!


レイア「!?」

次の町で、大きな爆音が響いた。


226 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/02/28(木) 20:06:34 wrLVk6Pg00

勇者「なんだ!?」

レイア「急ごう!」

三人は町へと走った。



数分後。

魔物「ギャオオオオ!!」

住民「うわあああっ!」

町には数十匹の魔物が闊歩していた。

レイア「な、なんでこんなに魔物がいやがるんだ!?」

Dr.神様「まさか、再び魔界から呼び出したのか…!」


227 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/02/28(木) 20:07:27 wrLVk6Pg00

勇者「そんな…これじゃキリがない…!」

Dr.神様「恐らく魔の一族の頭が神の光から生き残っておったのじゃろう…頭を取らぬ限り、この侵攻は終わらぬ…!」

レイア「下目使いか…!!クソッ!」

勇者「あんなに強い上に、神の光から生き延びる悪運の強さまで持ってるなんて…」

Dr.神様「あやつがあの西の村に現れた時は、野心はあれど妖魔の陰に隠れた存在としか認識しておらんかったが…」

レイア「…へっ!なんて奴だよ、あの野郎!だが燃えてきたぜ!絶対に俺が止めてやる!」

勇者「!! さすがレイアさんだ…!逆境でこそ熱く燃える!よーし、僕も頑張るぞ!」

Dr.神様「フ…ならばそのためにも、まずはこの魔物どもをどうにかせんとな」

レイア「おう!行くぜ!!」


228 : はいどうも名無しです (ササクッテロ a805-3e4e) :2019/03/01(金) 00:47:17 XH/UMIskSp
見てるよ


229 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 00:45:37 Ay4pmczo00





とある村。

村人「うわあああ!」

魔物「グオオオオ!!」

ドガァァン…!

村のあちこちで建物が炎上し、地響きが鳴る。

下目「ま、こんなもんでいいでしょ」

下目使いたちは各地に魔物を呼び出し、国の再侵略を進めていた。

妖魔「フゥ……下目使い、流石に我使いが荒いぞ……いかに我が圧倒的な魔力量を持つとは言え、この短時間でここまで広域にゲートを開くのは骨が折れる…」

下目「キツくても無理ではないんでしょ?だったら僕に逆らうな」

妖魔「すっ、すまぬ…!」

下目使いに怯え、妖魔は慌てて頭を下げる。

下目「さて。じゃあ、向こうの続きといこうか」


ビュンッ!!

二人は姿を消した。


230 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:11:06 Ay4pmczo00





隣国・煙草マスターの祠。

エルバン「☆パターソンくん、目を覚まさないね…」

吐き気「ああ…オエッ…無理もない。あんな登場の仕方をした時点で、すでに大ダメージを負っている状態だった」

タバスコ「そんな体で下目使いと戦ったんですもんね…」

エルバンたちは戦いの疲れを取るため休んでいた。

が。

下目「妖魔!」

妖魔「ウオオオオオ!!」

ボゴォッ!!

地面の下から再びキング・オブ・妖魔が姿を現し、エルバンたちに襲いかかった。

エルバン「☆くっ、また来たかっ!」


231 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:13:16 Ay4pmczo00

バババッ!

三人は妖魔の第一撃をなんとかかわし、すぐに戦闘態勢になる。

吐き気「さっきと違って魔のパンツとやらはもういない…オエッ…三対二なら戦えないことはないはずだ…!」

タバスコ「じゃあゴリラの方はエルバンさんたちにお願いします!下目使いは僕が止める!」

エルバン「☆わかった!」

ダッ!!

煙草マスターの子は下目使いに斬りかかる。

下目「妖魔は無理でも僕になら勝てるとでも思ったのかな。流石に君じゃ僕は倒せないよ」

タバスコ「それはどうかな!」

ザンッ!!

下目「遅いよ」

タバスコの縦振りを下目使いは冷静にかわす。

タバスコ「これならどうだッ!!」


バシュンッ!!


下目「!」


232 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:14:58 Ay4pmczo00

タバスコのスターロッドによる追撃は下目使いを完全に捉えた。

ドガァッ!!

ズザザザ…

下目「クソ…はぁ…戦いの中で成長するタイプか。一番めんどくさいやつだね」

タバスコ「…君がそう言うんならそうなのかもしれない。だったら…このまま勝って、更に強くなってやる!」

下目「そういうのいいから」

タバスコ「!!」

下目使いはハンマーを取り出し振りかぶる。


ガキィン!!!


タバスコ「ぐわあっ!」

剣とハンマーがぶつかり合い、パワーで劣るタバスコが弾き飛ばされる。

下目「戦いの中で成長するなら、成長する前に仕留めるだけだよ」

ドゴォッ!!

タバスコが態勢を立て直す隙すら与えず、下目使いは一気に距離を詰めハンマーを振り下ろす。


233 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:16:12 Ay4pmczo00

タバスコ「くっ!」

タバスコはギリギリのところで横に転がって回避したが。

下目「とおっ!!」

バキッ!!

タバスコ「がっ!!」

下目使いの蹴りが炸裂。

更に、吹き飛ばされ跪いたタバスコの真上へと飛び上がり。


ズドォォッ!!!


タバスコ「グフッ!!」

タバスコはストーンと化した下目使いの下敷きとなった。

下目「はい終了っと」


234 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:18:51 Ay4pmczo00



ドガァッ!!

吐き気「ぐぁぁっ!!」

弾き飛ばされ木に叩きつけられる吐き気。

妖魔「フン、ゴミめ」

エルバンたちは妖魔にほとんどダメージを与える事もできず、一方的にやられていた。

エルバン「☆く…」


下目「そっちも終わったみたいだね」

妖魔「ああ。やはり人間など我ら魔の一族の敵ではない」

タバスコ「く、くそ…もっと…力があれば…!」

下目「…後々また厄介な相手になりそうだし、ちゃんと息の根を止めておくか。妖魔もちゃんとそいつら殺しといて」

妖魔「ああ」

下目使いはハンマーを再び取り出し、タバスコの頭に狙いを定め振りかぶる。


235 : ハイドンピー (ワッチョイ fb67-3fb9) :2019/03/03(日) 17:30:29 Ay4pmczo00

が。

下目「ゲホッゲホッ…なんだ?この煙…」

気づけば辺りに白い煙が充満していた。



???《力が欲しいか、わが息子よ》



下目「誰だ!」

エルバン「☆こ…この臭い…煙草…!?ま…まさか…」

タバスコ「…父さん…!?」


???《そうだ。己は煙草マスター…煙草を吸いすぎて、自らが煙草と化した存在…常に体から副流煙を垂れ流し、かつて戦場で多くの兵士を葬り去った》


タバスコ「た、煙草と一体化していたのか…!」

エルバン「☆それがかの…受動喫煙事変…か…!」


236 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/04(月) 20:39:57 2/zaPOmU00

下目「ゲホッゲホッ…ふーん…やっと封印が解けたんだ」

煙草《まだ完全ではない。思念を煙に乗せることで語りかけている。だがもうじきだ。封印の鎖は既に消えかけている》

タバスコ「さっきの問いかけは…一体どういう意味ですか…?」

煙草《そのままの意味だ。お前が望むならばくれてやろう…わが煙草の力を》

下目「は?」

タバスコ「な、何を言って…!」

煙草《お前達は勘違いをしている。己は悪人ではない…自分で言うのも何だが、かの戦争では英雄だったのだ》

エルバン「☆え!?」

煙草《だが、奴に……異次元の強さを持ったあの男に己は負け…封印された。恐らく、己を失ったことでその戦争も敗戦となり、己は戦犯として語り継がれたのだろう…》

タバスコ「そんな…じゃあさっき言ってた多くの兵士を葬ったっていうのは…」

煙草《敵兵の事だ。味方を巻き込むなどありえん》

エルバン「☆確かにこの煙、さっきから僕たちの方には寄って来ない…僕たちの味方…なのか…?」


237 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/04(月) 20:41:00 2/zaPOmU00

下目「…チッ、何だ、つまらないな。もういいや。妖魔、やっちゃって」

妖魔「ウオオオオオ!!!」

ドドドドドドド…!

妖魔は祠へ向かって突撃する。

タバスコ「!!」


ドガァァァン!!!


妖魔はその純粋たるパワーで祠を粉砕。

そして。

妖魔「くだらぬ」

ガシッ…

封印が解けかけ半透明になった鎖ごと、煙草マスターを掴み上げると。

妖魔「ふんっ!!」


バキィッ!!!


体ごと握り潰した。

タバスコ「と、父さーーーん!!」

タバスコは動かない体を無理矢理起こし、手を伸ばし叫んだ。


238 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/05(火) 19:23:35 6lmdL9pU00

下目「結局のところ復活したとしても、妖魔には及ばないだろうしね。僕たちに付きそうにないなら初めからこうするつもりだったよ」

下目使いは冷酷に告げる。

しかし、妖魔は違和感を感じていた。

妖魔「…おかしい。潰した感覚がまるで無いぞ」

下目「何?」


煙草《…どうやら今ので完全に封印が解けたようだ》


下目「!!」

気づけば辺り一面がホワイトアウトしそうなほどの、濃密な白煙で覆われていた。

タバスコ「な、何が起こってるんだ…!」

煙草《煙草とはいずれ燃え尽き灰になる運命を背負っているものだ。どうやら煙草と化した己の体は、長きに渡る封印の歳月を経て、すでに完全に消滅していたようだ》


239 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/05(火) 19:24:59 6lmdL9pU00

妖魔「ならば我が潰したものは…」

煙草《ただの残った灰だ》


バゴンッ!!!


妖魔「ッ!?」

突如妖魔の頭部を強力な打撃が襲う。

妖魔「ひぃっ!!」

トラウマを刺激されうずくまる妖魔。

煙草《もはや己に肉体は無い…この煙こそが、己そのものだ》

下目「まさか…!」

煙草《そう、この煙の中にいるうちは己の攻撃から逃れる事はできん》


バキィッ!!


下目「うわっ!」


240 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/05(火) 19:27:13 6lmdL9pU00

どこからともなく現れた打撃が下目使いを吹っ飛ばす。

更に。


ドガガガガガッ!!!!


下目「ぐああああっ!!」

妖魔「ぬおおおおっ!!」

全方位から夥しい連打が追撃を重ねる。

エルバン「☆つ、強い…!」

吐き気「圧倒的だ…オエッ…俺たちはこんな化け物を相手にしようとしていたのか…」


ズドドドド…!!


連打は継続し、下目使いと妖魔の体力は徐々に限界へと近づく。


ドガガガガガ…!


下目「…ぐ…クソッ…!…要はこの…煙をッ…なんとかすれば…いいんだろ…ッ!!」

タバスコ「!!」

下目使いの目の色が変わる。


241 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/05(火) 19:32:52 6lmdL9pU00

下目「フゥー…」

息を吐く。

グパッ!

そして大きく口を開け。


ギュオオオオオオオオオオオオオ!!!!


煙草《何っ!?》

物凄いパワーで煙を吸い込んだ。

タバスコ「こ、こんな技を隠し持っていたのか…!」

一気に辺りの煙が晴れていく。

吐き気「すべて吸い尽くす気か…!」

エルバン「★煙草マスターの力がどんどん弱まっていくのを感じる…★肉体を失った今、あの煙こそが煙草マスターの本体…!」

タバスコ「じゃあこのまま全て吸われたら…!」

エルバン「☆…たぶん…本当に消えてしまう…!」


242 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/05(火) 19:34:09 6lmdL9pU00

タバスコ「く…っ!させるかっ!!」

最後の力を振り絞って立ち上がり、下目使いを止めようと走る。

が。

妖魔「させぬわ!」


バキッ!!


タバスコ「ぐはっ!」

キング・オブ・妖魔が立ち塞がり、タバスコを片手で弾き返した。

妖魔「フン!死に損ないめが!下目使いがヤツを処理している間に、貴様らは我が処分しておいてやるとしよう」

タバスコ「クソッ…!」

エルバン「☆ここまでか…!」

三人はもう立ち上がる体力もなく、死を覚悟した。


チュンッ!!


妖魔「むっ」

横から飛んできたブラスターの弾が、妖魔の頬に当たった。


243 : ハイドンピー (スプー e199-cfc5) :2019/03/06(水) 19:11:58 KbcBGjxASd

パタ「…チッ…当然のように無傷か…」

そこには全身包帯で巻かれたパターソンが立っていた。

エルバン「☆パ、パターソンくん!まだ立てるような状態じゃないはず…」

吐き気「お前では無理だ!オエッ」

タバスコ「無謀です!に、逃げてください!」

パタ「くっ…全く信頼されてねえな…悲しみ…」

妖魔「…フン、そう言えば貴様もおったな。すっかり忘れておったわ。良かろう、そんなに死にたくば貴様から殺してくれようぞ」

パタ「…マジか…」

妖魔は方向を変え、ふらつくパターソンの元へと歩を進める。


244 : ハイドンピー (スプー e199-cfc5) :2019/03/06(水) 19:14:00 KbcBGjxASd


???「あれぇ?もー…何処ここ…」


妖魔「!!」


森の中から突然声がした。

???「全力で逃げてたら変なとこ迷い込んじゃった…ケータイも圏外だし…最悪ぅ…」

パタ「誰だ…!?」

???「え!よかった!誰かいる!」

ガサガサと音を立てながら、何者かが近づいてくる。

ガサッ!!

何者かは茂みをかき分け、勢いよく飛び出す。


???「お兄ーーちゃーーーーん!!」


がばっ!!

下目「!?」


245 : ハイドンピー (スプー e199-cfc5) :2019/03/06(水) 19:15:56 KbcBGjxASd

そこに現れ下目使いに抱きついたのは、赤い恐竜…[自称]妹であった。

エルバン「☆お兄ちゃんって…い、妹がいたのか!?」

下目「いや誰!?」


バキィッ!!


下目「ぶへっ!」

思わず吸い込みを中止してしまった下目使いを、僅かに残った煙からの打撃が襲った。

煙草《助かった…誰だか知らんが礼を言おう…》

妹「うわ!煙が喋った!?」

下目「クソ…妖魔!こいつを潰せ!」

妖魔「分かった」

ダッ!!

妖魔は再びターゲットを変え、[自称]妹に突撃。

妹「げっ!またゴリラ!?」


246 : ハイドンピー (スプー e199-cfc5) :2019/03/06(水) 19:25:51 KbcBGjxASd


バッ!!


間一髪、突撃を避ける[自称]妹。

エルバン「☆あ、あの子…状況が分かってないみたいだ…!」

タバスコ「そいつらは魔の一族だよ!逃げて!」

下目「もう遅い!」

妹「へっ!?」

下目使いは[自称]妹の避けた先に、ハンマーを振りかぶり待ち構えていた。


ドゴッ!!


妹「きゃっ!!」

[自称]妹は突き飛ばされる。

だが突き飛ばしたのはハンマーではなく、煙だった。

煙草《此奴は殺らせん》

下目「チッ、死に損ないが」

下目使いのハンマーは空振りに終わり、煙草マスターを睨む。


247 : ハイドンピー (スプー bcab-cfc5) :2019/03/07(木) 19:10:33 ..vgbQN.Sd

煙草《己を助けたついでにもう一つ頼みを聞いてくれ》

妹「え、なに、怖いんですけど」

煙草《一瞬だけ己が此奴らを食い止める…その隙にあの倒れてるのを拾ってここから逃げるのだ》

妹「はいぃ!?倒れてるの…って、三人もいますけど!?あれ全部背負って逃げろって!?このか弱い女の子に!?」

煙草《…頼む…己の最期の頼みだ…"妹"よ》

妹「!!」


248 : ハイドンピー (スプー bcab-cfc5) :2019/03/07(木) 19:11:26 ..vgbQN.Sd




[自称]妹は、平和な街の普通の一家に生まれ、平穏に暮らしていた。

だがある日ある事件が起き、家族は皆離れていった。

[自称]妹は特に懐いていた兄を探して世界中を旅して回った。

長い間孤独な旅を続けるうちに、いつしか心が壊れた。

兄を求めるあまり、無関係の人を兄と呼び困らせた。

そしてその困っている姿に、愉悦を見出した。

元々の軽い性格もあり、そうやって愉悦に浸っているうちは全てを忘れることができた。

だが、心の奥底ではまだ兄を探していた。

兄を求め続けていた。

他人を兄と呼び否定され続けることは、愉悦を感じると同時に。

[自称]妹の心を蝕んでいた。


249 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/07(木) 19:12:49 x7krLfMw00



妹「い、今…妹って…」

煙草《ああ。お前にしかできないことだ。妹よ》

妹「………!!わかった…!!お兄ちゃん、あたし頑張るね!!」

勿論、本当の兄でない事は分かっている。
だが少しだけ救われたような気がしていた。

ダダダダダ…!

[自称]妹は猛スピードで倒れたタバスコたちの元へと駆け寄った。

下目「逃がすか!」

下目使いはハンマーを担ぎ、追おうとするが。

バキッ!!

下目「チッ!」

煙草《行かせん…!》

煙が進路を妨害する。


250 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/07(木) 19:13:48 x7krLfMw00

下目「妖魔!!」

妖魔「ああ!」

今度はキング・オブ・妖魔が[自称]妹を追う。


チュンチュン!!


妖魔「!」

パタ「おい、俺を忘れるなよゴリラ」

横からブラスターで止めに入るパターソンだが。

下目「そんな雑魚に構うな!」

妖魔「分かっておる!」

妖魔はビクともせず、そのまま直進する。

パタ「くっ…止まらねえ…!だったらこれでどうだっ…!ファイヤァーッ!!」


ドガァッ!!


パターソンは残る力のすべてを振り絞り、炎を纏って突撃した。

妖魔「くっ、邪魔だ!」

バチィン!!

パタ「ぐあぁっ…!」

パターソンは地面に叩き落される。


251 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/07(木) 20:01:12 x7krLfMw00

やはり妖魔にはほとんどダメージを与えられず。

しかしほんの僅かだが、時間を稼ぐことには成功していた。

もわもわ…

妖魔「!!」

妖魔を煙が取り囲む。

煙草《大人しくしていろ》


ドガガガガガッ!


連打が妖魔を襲う。

妖魔「笑止!その程度のパワーでは我を止める事などできぬわ!」


ブォンッ!!


妖魔は両手を広げて体を回転させ、煙を吹き飛ばした。

煙草《く…!力を失いすぎた…!》


252 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/08(金) 19:13:44 FabruJWQSd


だがそうしているうちに[自称]妹はタバスコたちの元にたどり着いていた。

妹「さあ早くあたしに乗って!アイツが来ちゃう!」

タバスコ「ごめん!ありがとう…!」

エルバン「☆でも大丈夫?三人も乗れるかな…」

妹「大丈夫!」

ペロンッ!

吐き気「!?」

吐き気は食われた。

妹「行くよ!しっかりつかまってて、お兄ちゃんたち!」


ドドドドドドド…!!


二人を背に乗せ、一人を腹に入れたまま、物凄い速さで[自称]妹は去って行った。


253 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/08(金) 19:14:45 FabruJWQSd

妖魔「は、速い…」

妖魔はとても追いつけないことを悟り、足を止めた。

煙草《よくやったぞ…フ…希望は繋がった…わが息子はきっと…この世を救う英雄として…》

下目「黙ってろ」

スウッ

最後に残った煙をあっさりと平らげる下目使い。

下目「妖魔、何勝手に諦めてんの?まあどうせあれじゃ追いつけないか…全く、使えないな」

妖魔「す、すまぬ…」

下目「ふん、いいさ。結局あの怪我じゃしばらくはまともに動けもしないだろうし、僕たちの脅威にはなりえない。さあ、次はこの国を完全に支配しようか」


254 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/08(金) 19:20:04 FabruJWQSd


妖魔「……待て」

下目「は?」

妖魔「感じぬ…天の結界が…無いぞ…!」

下目「なにそれ。勝手に一人で盛り上がるな」

妖魔「神でも無い限り、下界や魔界から天界に行くことは勿論、様子を見ることすらもできぬのは常識だろう…それは全能神が常に天界に結界を張っていたからだ。だからこそ我々は先ずこの地上から攻めたのだ」

下目「ふーん、じゃあそれが無くなったってことは…」

妖魔「ああ。全能神は死んだ…!そうでなくとも殆ど力は残っておらぬ!先刻の神の光によって力を使い果たしたのだろう」

下目「へえ…ふふ、犬死にしたのか、馬鹿な奴だ。…じゃあ行こうか。僕が新たな神になって支配してやる…」

妖魔「だが…天界には全能神だけでは無い…他の神も多く存在しているのだぞ?」


255 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/08(金) 19:21:17 FabruJWQSd

下目「それがどうした。どうせいずれ全部見下すつもりなんだ。だったらこの機会を逃す手はないよ」

妖魔「……わかった。ならば天界へのゲートを開こう…!!」

妖魔が天に両手をかざす。


ゴゴゴゴゴゴゴ…


上空に暗雲が渦巻き、木々が揺れ、大地が震える。

妖魔「はあああっ!!」


グパァ!!


空間が裂け、ゲートが開いた。

下目「ふふふ…僕が全てを見下す日はもうすぐだ…!」


256 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 529a-bc06) :2019/03/09(土) 05:22:35 LT5vghFAMM
下目使いの最期に無様で無残な死に方しそうな小物感大好き


257 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/09(土) 19:59:47 /jYrM5PsSd






その頃、西端の村では。

天才「いやー、ギル姐の料理、久しぶりだな」

アントン「強くて料理もできるなんて、かっこいいね!」

ギル「フフ、そう褒めないでよ。照れるじゃない。さあ、遠慮なく食べてね」

三人は村にあるギルティースの家に招かれ、食卓を囲んでいた。

その時。


魔物「グオオオオ!!」


外から雄叫びが響いた。

この村でも新たに魔物が出現したのだ。


258 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/09(土) 20:01:30 /jYrM5PsSd

ギル「もう、何よ晩ご飯中に…」

天才「ったく次から次へと性懲りも無く雑魚を寄越しやがって。あんなのいくら出しても無駄だって分かんねえのか?あいつらは」

アントン「まあまあそう言わずに!キミたちにとっては雑魚でも、一般人からしたら十分怖いんだよ、うん!」


???「ククク…誰が雑魚だと?」


ギル「!!」


ズダンッ!!


三人が囲んでいた食卓に、突如何者かが着地した。

パリーン!

グチャァ…

天才「うっわ!何しやがるてめえ、料理がめちゃくちゃだ」

アントン「食べ物粗末にしたらダメだよ、うん!」

ギル「そ、そんなぁ…がんばって作ったのに…まだ一口も食べてなかったのに…」

ギルティースはショックのあまり膝から崩れ落ちる。

???「あっ、ごめんそんなつもりじゃなかった。かっこよく登場しようと思って…」


259 : ハイドンピー (スプー 2e24-cfc5) :2019/03/09(土) 20:03:30 /jYrM5PsSd

天才「…ん?よく見りゃお前、あの時の…」

その黄色い姿に既視感を覚え、天才たちはやっと気付く。

アントン「あ!!」

???「クク…そうだ。我は魔炎師ヤミノツルギ†…全てを焼き尽くす闇の破壊者だ!」

天才「…なんか雰囲気ちがくね?」

ヤミ「フン、おかしいとは思わなかったか?下目使いと同等の階級にいながら、昼間の我は奴には遠く及ばぬ実力だっただろう」

天才「まあアイツが主力でお前はサポートって感じだったわな」

ヤミ「クク…そう…あの時はな」

天才「は?」

ヤミ「我が魔炎は闇により力を増す…!日が沈み全てが闇に包まれた今の刻限にこそ、我が真の力が解放されるのだ!!」

アントン「夜になると強くなるんだね、うん…!」

天才「だからってキャラまで作らんでも…」

ヤミ「…何の話だ。これこそが我が真の姿なのだ!ククク…貴様らにはこれより我が魔炎の贄として絶望の淵に沈んで貰う!」

天才「いやさっき素に戻ってたじゃねえか…まいいや。ところでギル姐いつまで泣いてんだ。いい加減このネズミも痺れ切らすぞ」

ギル「な、泣いてないわよ!うぅ…!許さない…絶対許さないんだからぁぁ!!」

天才「…あーあー…怒らせちまったな。こりゃ地獄を見ることになるぜお前」


260 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/10(日) 18:33:47 XlLWnQVo00

ヤミ「フン、貴様如きが許すだの許さぬだの、滑稽な事よ。我が魔炎に散るがいい!!」

ヤミノツルギ†はその短い手をギルティースたちに向けると。

ギル「!!」


ボォォォッ!!!


炙りアイテム無しで魔炎を放ってみせた。

天才「よけろ!」

バババッ!

三人はなんとかかわす。


ズドォォォォン!!!!


その炎は直進して家の壁をぶち抜き、大穴を開けた。

アントン「ひぇぇ〜…」


261 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/10(日) 18:37:54 XlLWnQVo00

ヤミ「ククク!どうだ我が真の魔炎の威力は!怯え逃げ惑うがいい、弱き者どもよ!」

ギル「だー!危ないでしょ!火事になったらどうすんのよ!!」

アントン「いやそういうレベルじゃないよ!」

天才「頭に血が上りすぎだギル姐。さすがにありゃ当たったらひとたまりもねえな」

ヤミ「ククッ、言っておくがこれでもまだ最大出力ではないぞ!少しずつ追い詰めてその顔を恐怖に染めてやろう!ハーッハッハッハ!!」

天才「ったく調子に乗りやがって…結局てめえはそれでようやく下目使いと同等になっただけだろ?俺がアイツより強えってこと、忘れてるわけじゃねえだろうな」

ヤミ「クククク…馬鹿め!」

天才「!!」


ガッ!!


アントン「うわっ!?」

天才は突然アントンを蹴り飛ばす。

次の瞬間。


ペロンッ!!


262 : ハイドンピー (ワッチョイ f90f-28b9) :2019/03/10(日) 18:41:28 XlLWnQVo00

天才は背後から伸びてきた舌に捕まり。

天才「チッ…!」


パクッ。


そのまま、食われた。

ギル「天才!!」

アントン「な、なに!?」

???「フンフン♪」

それをやったのはあの南の島にいた、緑色の恐竜であった。

ギル「このッ!!」

カチャッ!

ギルティースはブラスターを向けるが。

ヤミ「遅い」

ボウッ!

ギル「!!」

恐竜の体を黒炎が包み込み、一瞬にして姿を消した。


263 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/11(月) 20:43:05 hzGFGPj600

ギル「やられた!まさか天才を攫いにくるなんて!」

ヤミ「ハハハハハ!!よくやったぞケよ!これで残りはカスだけだ!」

ギル「誰がカスよ!」

アントン「で、でも…どうしよう…!天才くんが僕をかばって…!」

ギル「天才ならたぶん大丈夫よ!天才だもの!それよりアイツをなんとかしないと!」

ヤミ「クク…この数を相手に、たった二人で何が出来ると言うのだ?」

アントン「へっ!?」

二人は周りを見る。


264 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/11(月) 20:49:07 hzGFGPj600


???「ケ」

???「ニョ」

???「フンフンフンフン」


そこには、天才を食った恐竜が、更に大量に出現していた。

ギル「なっ…!いつの間に…!」

ヤミ「其奴らは我が魔炎によりしもべと化した怪物"ケ"と"にょ"!!」

ギル「聞いたことがあるわ!どこかの島に住み着いている幻の恐竜一族…!!」

アントン「ギルティースさん、なんでも聞いたことあるね…」

ギル「ただの伝説だと思ってたけど…本当にいたなんて…!」

ヤミ「クク…さあ、ケよ!にょよ!愚かにも我に逆らいし弱き者どもを消し去るがよい!!」

ケ「フンフン」

ギル「な、なんなのこの奇妙な動き…!まるで読めない…!」

アントン「くっ…どれがケでどれがにょなのかわからない!」

ギル「いやアンタも似たような姿だけどね!?というかそこはどうでもいい!!」


265 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/11(月) 20:50:17 hzGFGPj600

ケ「フン!!」


ドガッ!!


ギル「ぐっ…!」

ケのヘッドバットでギルティースは突き飛ばされる。

ケ「フンフン」

ギル「こいつら一体一体がかなり強いわ…!アントン君、気をつけて!」

アントン「う、うん!」

にょ「ニョ」

にょがアントンにゆっくり近づいてくる。

アントン「えっ、すごい隙だらけなんだけど!」


バキィ!!


にょ「ワー!!」

アントンの尻尾攻撃がにょにヒット。

家の外までブッ飛んだ。


266 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/11(月) 20:52:46 hzGFGPj600

アントン「やった!?ギ、ギルティースさん!にょの方はそんなに強くないみたいだよ、うん!」

ギル「ありがとう!お手柄だわ!」

アントン「へへへっ!よーし、先ににょを片付けよう!」

ギル「……ってどれがケでどれがにょなのかわからないじゃない!!!」

アントン「どうでもよくなかったね、うん…」


ヤミ「ククク…この分ならば此奴らがケの餌食になるのも時間の問題だな。我は下目使いたちの元に向かうとしよう」

ボウッ…

ヤミノツルギ†は黒炎で自らを包み、姿を消した。


267 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/12(火) 20:36:32 y9slqD8Y00





天界。

㌧は下層に降り、天使を統率する神の元を訪れた。

マックス「全能神様がお亡くなりに…!?」

㌧「はい。私は全能神様からの最期の命令を受け、後継者を探して下層へ参りました」

マックス「そ、そうですか…」

㌧「ところで下層を任されていた神は…」

マックス「あ、その事なんですが、実はかくかくしかじかで…」

マックスは事情を説明する。

㌧「なんと!そうでしたか…結界が存在した状態でもこの天界に干渉できる者がいるとは…気になりますね…」

マックス「はい…あの時にはまだ全能神様は亡くなってなかったハズ…」


268 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/12(火) 20:37:49 y9slqD8Y00

ennjeru「…全能神様、一度も会ったことないんすよねぇ…」

マックス「当たり前だ!俺たちみたいな一介の天使が会えるようなお方じゃないわ!…すみません使者様、コイツとんでもないアホで…」

㌧「構いませんよ。しかし、その下界に落とされた神は大丈夫なのですか?」

マックス「はい、今のところは。鏡でずっと見てましたが、下界の民と協力して魔物たちの討伐をしてます」

㌧「なるほど、良い神ですね。下層を任されるだけの事はある。一度会って話がしたいですね」

マックス「え!それってもしかして、神様が全能神様の後継に…?」

㌧「いえ、勿論決定ではありません。ですが貴方の話を聞く限り、上層にいる誰よりも相応しい…天使たちからの信頼も厚いようですし」

ennjeru「はえー、流石神様!きっと使者様も気に入りますよ!」

㌧「そうだと嬉しいです。では、私はしばらく下層を回ってみますね」

マックス「はい!ご苦労様です!」

マックスは深々とお辞儀する。

ennjeruは突っ立っている。

バコッ!

ennjeru「痛っ!?」

マックス「頭下げろ!」

ennjeru「サーセン!」

マックス「いや俺にじゃねえよ!!」

㌧「ふふ、ではまた」

㌧は去って行った。


269 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/12(火) 20:39:03 y9slqD8Y00


マックス「…次期全能神候補…か……いやー、俺が褒められてるわけじゃないけど、なんか嬉しいな!」

ennjeru「マックスさん、めちゃくちゃ神様と仲良いっすもんね」

マックス「いやそんな友達みたいなもんじゃねえよ。だが俺の一番尊敬しているお方だからな」

ennjeru「あ、俺チンポコメロンの奴にも言ってきますね!アイツもかなりの神様ファンだし!」

マックス「ファンて!お前神様を何だと思ってんだよ!…ってもう行っちまいやがった、全く…」

マックスは呆れてため息をこぼす。

そして再び鏡を覗き、地上のDr.神様の様子を伺おうとした。

その時。



ドォォォォォッ!!!!



マックス「!?」

突如。

とてつもない轟音が天界中に響き渡った。


270 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/12(火) 20:40:06 y9slqD8Y00

それから続いて。


ennjeru「ひぎゃあああ!!」


悲鳴が響いた。

マックス「この声、ennjeru!?」

マックスは悲鳴の元へと急いで向かう。


そこに着くと、ennjeruは頭から血を流して倒れていた。

マックス「ennjeru!何があった!?」

ennjeru「マ……マッ…ク…ス…さん…」

マックス「しっかりしろennjeru!」

ennjeru「…うし…ろ…」

マックス「!!」


ドゴォッ!!


マックス「くっ!」

背後から迫った鉄槌を、マックスは間一髪でかわす。

マックス「お、お前は……!悪魔の下目使い!!」

下目「僕を知ってるのか」

マックス「当然だ!天界は下界を見守る役目を担ってんだ!」

下目「へぇ、ずっと見られてたってわけか。じゃあ分かるよね?君たちじゃ僕らには絶対に勝てない、ってこともさ」


271 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/12(火) 20:41:43 y9slqD8Y00

マックス「ふん、それはどうかな…!」

ヤミ「ククク、どう足掻こうとも貴様らに勝ち目などありはしない」

マックス「!! ヤミノツルギ…っ!」

振り返るとヤミノツルギ†が立っていた。

そしてその周囲にはすでに黒い炎が纏われている。

ヤミ「我が魔炎に散れ!」


ボォォォォォッ!!!


マックス「ぐああああああっ!!」

ヤミノツルギ†の放った炎がマックスを包む。

下目「さてトドメだ」

下目使いはハンマーを持ち上げ、振り下ろす。


ガキィィン!!!


下目「!!」

直前、ハンマーは剣によって弾かれた。

マックス「し、使者様…!」

㌧「音を聞いて引き返してみれば……貴方達は下界にいた魔の一族ですね?」

下目「まーた邪魔が入った…ワンパターンだなぁ……で、誰?」

㌧「私は㌧。すみませんがお引き取り願いましょう」


272 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/13(水) 19:19:01 L0mSdATkSd


ズギャンッ!!!


再びハンマーと剣が交差する。

下目「結構強いな」

ヤミ「ククク…だが一人で何が出来る」

㌧「…誰が一人だと言いました?」

ヤミ「何?」

下目使いたちは周囲に目を向ける。

下目「…チッ…めんどくさい事してくれるね…」

そこには無数の天使たちが、下目使いたちを囲んでいた。

㌧「ここは我々の世界…そこへその少人数で乗り込んで、無事で済むとは思わない事ですね」


273 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/13(水) 19:19:56 L0mSdATkSd

ヤミ「フン、所詮雑兵だろう!我が魔炎ですべて焼き払ってくれるわ!」


ギュオオオオッ!!


ヤミノツルギ†は魔炎の出力を更に倍増させる。

が。


バキッ!!


ヤミ「ぬっ!?」

ヤミノツルギ†の頬に強烈なパンチが決まる。

マックス「俺だって…まだ戦えるぜ…!」

ヤミ「貴様…!」

マックス「これでも神様の側近やってんだ!!魔の一族なんぞに引けは取らねえぞ!」

㌧「流石ですねマックスさん。ではそちらはお願いします!」

マックス「はい!」

ヤミ「舐めた真似を…」

下目「落ち着けヤミ。普通にやれば勝てる相手だよ」

ヤミ「当然だ!周りの雑魚諸共、我が魔炎の消し炭にしてくれるッ!」


274 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/14(木) 18:46:12 Ez2vX.ZISd






魔法学校。

㌦ポッターらによって治療された生徒たちも、数時間が経ち目を覚まし始めていた。

コテツ「う、うーーん…ここは…どこ?」

医務室のベッドで、ナウいコテツが目覚める。

弟「コテツくん!」

コテツ「あ、幼き弟くん、おはよー」

弟「おはよう!もう夜だけどね」

コテツ「ほんとだ。ってあれ?なんで寝てたんだっけ」

インテリ「全く、バカですね。覚えてないんですか?あの無敵の転校生とかいう剣士にやられたんですよ…」

インテリもコテツより少し前に目覚めていた。

コテツ「あー!そういえば!…あれ?でも怪我してないよ?」

弟「先生が魔法で治してくれたんだよ!」

コテツ「魔法!?先生、魔法つかえるの!?」

弟「うん!すごいんだよ!」

幼き弟は魔法学校のことを説明した。


275 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/14(木) 18:53:22 Ez2vX.ZISd



するとそこへ。


ばーん!


ドアを蹴っ飛ばして開き、ワルガキが勢いよく登場した。

マグヌス「よー!おきたかオマエら!」

コテツ「マグヌスくん!」

インテリ「マグヌス…キミもお腹刺されてたのに、なんでそんな元気なんですか…」

マグヌス「ふははは!オマエらがよわすぎるだけだ!ところでこれみろ!」

マグヌスは古い本を見せつける。

弟「なんの本?」

マグヌス「わからん!でもなんかすごそうなやつだ!」

インテリ「分からないのになんで自信満々に自慢してきたんですか…どれどれ、ちょっと見せてください。えーっと……悪魔の…召喚陣…?」

マグヌス「あくま!!」

マグヌスは目を輝かせる。


276 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/14(木) 19:34:37 j9/1lqYg00

インテリ「絶対ヤバいやつでしょこれ…何処から持ってきたんです?」

マグヌス「かいだんずっとおりたら、くさりでふさがれたへやがあったから、ヨーヨーでぶっこわしてやった。そんで、そのなかでみつけた」

インテリ「えぇ…何してんですか…もうイタズラで済ませられるレベルじゃないですよそれ…」

暴力「うーん……あれ…?ここは一体…」

部屋が騒がしくなってきて、隣で寝ていた暴力委員長も目を覚ました。

弟「あ、委員長起きたよ!…マグヌスくん、委員長におこられる前に戻しにいこうよ」

マグヌス「いやだ。これはボクのだぞ!」

暴力「…ん?何かまたマグヌスくんがやらかしたの…?」

コテツ「そうなんだよー。なんか、本とってきちゃったみたい」

暴力「もう…人のものをとったら泥棒!マグヌスくん!早く返してきなさーーい!!」

バチバチッ!

委員長は寝起きの雷を落とす。

マグヌス「ばかめ!オマエのこうげきなんかあたらないぞ」

マグヌスはスルスルと部屋の中を駆け回り、委員長の暴力をかわす。

暴力「こらっ!待ちなさーい!!」

マグヌス「わかった」

暴力「えっ!?」


277 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:14:11 u3rUjnUgSd

マグヌスは突然立ち止まる。
暴力委員長も釣られて急ブレーキをかける。

と、突然マグヌスが振り向き。

マグヌス「ふはは!これでもくらえ!」

バッ!

暴力「!?」

開いた本のページを委員長に向けた。


ピキィーーーーン!!!


するとそのページが光り出す。

暴力「うわっ!!」


278 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:15:00 u3rUjnUgSd

弟「なに!?」

インテリ「な、何してるんですかマグヌス!」

コテツ「いいんちょーー!」

強烈な光がそのまま委員長を呑み込む。

そして。


ボンッ!!


小さな爆発音とともに光が収まった。


そこには、変わらず黄色いハムスターの姿があったが…

マグヌス「あれ?しっぱいしたか…」

インテリ「なんなんですか…驚かさないでください…」

マグヌス「このページのまほうじんにいけにえをささげると、あくまのしょうかんができるってかいてあったんだが」

インテリ「しれっととんでもない事しようとしてますね!?」


279 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:16:23 u3rUjnUgSd


コテツ「…ん?ちょっと待って、なんか違うような…」

弟「…あ!!委員長がいつも被ってる帽子の色が…!!」

その帽子は赤く染まっていた。


人喰い「あ?どこだここは…」






その頃。

隣国の町はずれで人喰い軍曹と戦いを繰り広げていた、歩く天下無敵は。

突然視界を光が埋め尽くし、次の瞬間には戦っていた相手が別人になっており、ただただ困惑していた。

暴力「マ、マグヌスくん!……って、ここどこ?」

歩く「な、何が起きたんだ…」


280 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:17:04 u3rUjnUgSd

暴力「…マグヌスくんに似てるけど…別人…ですよね?」

歩く「僕は歩く天下無敵と言います。君は?」

暴力「暴力委員長です…」

歩く「委員長さんですか。よろしくお願いします。しかしその様子だと、君も状況を分かってないみたいですね…」

暴力「は、はいっ。北の町の学校にいたんですけど、魔の一族の襲撃に遭って……それから気付いたら別の場所に移動してて……クラスメイトの持ってた本が光ったと思ったら、またよくわからないままここに…」

歩く「災難でしたね…その本が何かの力を持っていたんでしょうか。僕は君と似た姿の相手と戦っていたんですが…」

暴力「うーん…」

歩く「…まあどちらもこれ以上の情報が無いなら考えても無駄ですね。ついてきてください。もう遅いですし、町で泊まれるところを探しましょう」

暴力「あ、はいっ!」

歩く天下無敵たちは町へと向かった。


281 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:18:20 u3rUjnUgSd





再び魔法学校。

人喰い「なんて事してくれやがった?もう少しでヤツの肉を食えそうだったのによォ」

人喰い軍曹とマグヌスは睨み合っていた。

マグヌス「なんだオマエ。ボクはごしゅじんさまだぞ」

人喰い「はあ?」

マグヌス「ボクがこのほんでオマエをよびだしたんだ」

人喰い「知るか。今すぐ元の場所に戻せ」

マグヌス「ふん、それは、むりだ!」

人喰い「あァ!?」

マグヌス「だって、ほんはさっきのしょうげきでボロボロにこげて、なにもよめなくなったからな!!」

インテリ「えぇ!?」

人喰い「テメェ…!無茶苦茶な野郎だな!」


282 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/15(金) 19:19:22 u3rUjnUgSd

弟「じゃ、じゃあ委員長ももう…」

インテリ「いや、落ち着いてください…えっと、元の場所に戻せって言いましたが、ここに来る前あなたはどこにいたんですか…?」

人喰い「あ?××町のはずれの道だが?」

インテリ「やっぱり!」

弟「へ?」

コテツ「どゆこと?」

インテリ「この人悪魔じゃ無いんですよ!その町は元の世界にある町ですから!委員長が消えて、この人が現れたわけだから、もしかしたらこの人と入れ替わりでそこに委員長が送られているかも!」

コテツ「おー!インテリくん、やっぱり頭いい!」

弟「う、うーん、でもそんな上手くいくかなぁ…」

インテリ「可能性の話ですよ。それに今はそれに賭けるしかないでしょう。マグヌス、その本を見つけたっていう部屋を教えてくれませんか?もしかしたら戻す方法があるかもしれませんし」

マグヌス「べー」

インテリ「…ぐぬぬ…仕方ありません。自分で探してきます」

コテツ「あ、じゃあぼくも!」

弟「僕も!」

インテリ「いや、幼き弟くんはここにいて下さい。まだ目を覚ましてないチェントゥリオーネちゃんたちが起きるかもしれないし」

弟「あ、そっか、わかった!じゃあ任せるね!」

インテリ「はい」

インテリとコテツは部屋を出て行った。


283 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 57cb-472e) :2019/03/16(土) 00:49:05 i.tVBF8200
だれかこのSSの登場人物の紹介してくれると嬉しいな←人任せ軍曹


284 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/16(土) 19:12:38 4VGBHugUSd


マグヌス「どうしてもボクにしたがわないきか」

人喰い「当たり前だろ。今の話聞いてなかったのか?要は悪魔かなんかを呼び出すつもりが失敗して、俺が巻き込まれたっつう事だろ」

マグヌス「よくわからん!とにかくオマエはボクのしもべなんだ!」

人喰い「チッ、姿は似てんのにアイツとは大違いだな…これだから話の通じねえガキは嫌いなんだ。肉もマズイしな」

睨み合い、二人の間に火花が散る。

弟「わー!ちょっと二人とも落ち着いて!ケンカよくないよ!」

人喰い「喧嘩?くくくっ、これからすんのはただの捕食だ」

マグヌス「ほしょくってなんだ…?」

人喰い「喰うって事だよ!」

ダンッ!

人喰い軍曹が仕掛ける。

人喰い「ピガァ!!」


バチバチバチッ!!


285 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/16(土) 19:14:03 4VGBHugUSd

マグヌス「うわあっ!」

マグヌスは電撃を受け叫ぶ。


ドガガッ!!


人喰い軍曹は更に尻尾で追撃。

マグヌス「があっ!」

人喰い「くくっ、やっぱりアイツと比べるまでもねえなァ」

弟「つ、強い…!……じゃなくて!ここ医務室だから!みんな寝てるから!」

人喰い「知った事じゃねえなッ!」


バチィッ!!


マグヌス「ぎゃあぁ!!」

ドガァッ!

マグヌスは吹っ飛ばされ壁に激突する。

人喰い「のろいなァ。やっぱりテメェの肉は不味そうだぜ」


286 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/16(土) 19:15:29 4VGBHugUSd

マグヌス「く…ぼくをほんきでおこらせたな…!」

よろめきながら立ち上がり、人喰い軍曹を睨みつけるマグヌス。

人喰い「ほぉ、根性はあるみてえだな」

マグヌス「いくぞ!!PKファイヤー!!」

人喰い「当たらねェよそんな技」

人喰い軍曹はジャンプでかわす。

が。

マグヌス「ばーか!ねらいはこっちだ!」


ドゴォ!!


人喰い「ぐおっ?!」

マグヌスのヨーヨーが、上空の軍曹を突き上げた。

ボコォ!!

軍曹は天井に勢いよく減り込む。

マグヌス「どーだ!まいったか!いっとくが、いまさらあやまってもおそいからな!」

弟「す、すごい…」


287 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/16(土) 19:18:16 4VGBHugUSd


ズボッ… スタッ

減り込んだ頭を引っこ抜いた軍曹が着地する。

人喰い「前言撤回…ジュルッ…なかなか美味そうじゃねえか」

マグヌス「まだやるきか!!」

人喰い「アァ。テメェが悪いんだぜ?くく…どうしてもテメェを喰いたくなっちまった…!」

マグヌス「ふははは!そうだろ!ボクがせかいでいちばんわるいからな!」


ドガガガッ!!!

バリバリバリ!!

ズドドドド!!



それから数分間、激しい戦いが続いた。


288 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/16(土) 19:20:26 4VGBHugUSd

しかし。

僅かに地力の優っていた人喰い軍曹が、少しずつマグヌスの体力を削り。

マグヌス「うわあっ!」

ドサァ!!

弾かれて倒れるマグヌス。

軍曹は倒れたマグヌスを見下し、ヨダレを垂らす。

人喰い「ジュルッ…くくく、それじゃ、そろそろ喰うとするか…」

マグヌス「く、くそ…」

弟「どどどどうしよう!僕じゃ止められないし…!」

人喰い軍曹はゆっくりとマグヌスに近づいていく。


インテリ「そこまでだーっ!」


インテリがそこへ駆けつけた。


289 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/17(日) 21:08:49 UO/TvNY200

その右手には一冊の本のあるページが開かれていた。


ピカーーーーン!!!


人喰い「何ィ!」

その本はマグヌスの本と同様に、光を放った。

インテリ「元の世界に帰れーーっ!」

人喰い「タイミング悪りィなクソォー!」


ボフンッ!


軍曹が光に呑まれ、小爆発が起きる。

そして光が収まると、人喰い軍曹は消えていた。


290 : ハイドンピー (ワッチョイ 5e61-cfc5) :2019/03/17(日) 21:09:29 UO/TvNY200

インテリ「ハァ…ハァ…なんとか間に合いましたね…」

弟「ありがとインテリくん!」

マグヌス「ちっ、オマエなんかにたすけられるとは。さいあくだ」

インテリ「な、何ですかその態度は!」

マグヌス「べーー!」

マグヌスはいじけて部屋を出て行った。

インテリ「まったく…」

弟「まあまあ…あれ?でも、委員長は…?」

インテリ「…残念ながら戻す方法はまだ見つかってません。今のはただの転移魔法陣…一方的に元の世界に戻しただけです」

弟「そっか…」

インテリ「コテツが例の部屋に残って探してますが、まあコテツじゃ見つけられないでしょうし、僕は戻りますね。幼き弟くんは引き続きみんなのことをお願いします」

弟「うん、わかった!」


291 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/18(月) 18:48:30 5A9Ujf7kSd






その頃、レイア一行は。

勇者「やあーっ!!」


ドドォォン!!!


ドサッ。

爆発を受け、魔物たちが倒れる。

勇者「ふぅっ!」

レイア「今のでラストか!そんじゃ、今日はこの村で休んでいこうぜ」

Dr.神様「そうじゃな」

勇者「いやー、もう限界ですよ…ぷはぁ…」

Dr.神様「儂ももう最後の方ほとんど役に立っておらんかったしのう…やはり歳には勝てんわい」


292 : ハイドンピー (スプー 2be1-3a0a) :2019/03/18(月) 18:49:38 5A9Ujf7kSd

レイア「ハハ、なんだよだらしねえなぁ…まあ今日は俺も疲れたぜ。んじゃ、宿を探すとするか」

勇者「そうですね」

三人が宿探しへ向かおうとしたその時。


ボンッ!!


勇者「!?」

三人の目の前で爆発が起きた。

レイア「! 何かいるぞ!」

Dr.神様「何者じゃ…!」

爆煙の中に影が見え、三人は咄嗟に取り囲む。



人喰い「…チッ、またよくわからねぇトコに放り出されたみてぇだな…」


293 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:23:16 DF7ZGXYw00


レイア「ネ、ネズミ…!?」

勇者「い、今喋りましたよ!?」

Dr.神様「いや、それは今更じゃろう…儂もゴリラじゃし…」

レイア「しかしヤミノツルギの奴に似てんな。魔の一族か…?」

人喰い「あァ?何なんだテメェらは…」

レイア「俺たちは魔の一族を倒すために戦ってる!お前こそ何なんだ、いきなり出てきやがって!」

人喰い「俺が訊きてえわ!!食事中に邪魔ばかり入ってきやがって!!」

レイア「はあ!?知らねえよ!とにかくお前は何モンなんだって訊いてんだ!」

人喰い「ポケモンだよ!!」


294 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:23:49 DF7ZGXYw00

勇者「……ま、魔の一族ではなさそうですが…」

Dr.神様「じゃがそやつからは邪悪な気配しか感じられぬ…それも魔の一族の幹部格に匹敵する程の…!」

人喰い「ケッ、くだらねェ……と、思ったが…」

軍曹は勇者をじっと見つめ。

勇者「な、なんですか…?」

人喰い「テメェじゃねえな」

次にDr.神様へ視線を移す。

Dr.神様「何の話をしておる」

人喰い「テメェでもねえか。つーことは…」

そして最後にレイアを見て、ニヤリと笑う。

レイア「なんだよ…!」

人喰い「やっぱりテメェか。この美味そうなニオイの正体は…ジュルッ」

レイア「!!?」


295 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:25:05 DF7ZGXYw00

ダンッ!


バチバチバチバチッ!!


レイア「っ!!」

人喰い「くくっ、今のをかわすか!流石だぜ!」

レイア「な、何しやがる!」

人喰い「テメェを喰う!それだけだ!」

勇者「く、喰う!?」

Dr.神様「お、思い出したぞ…天界から見た事がある…!」

勇者「知ってるんですか!?Dr.神様!」

Dr.神様「ああ、忘れておったが…奴はかつて隣の国の軍に所属していた男じゃ…戦地で食糧が尽きた際に、仕方なく敵兵の死体を喰い……そして、その味を覚えてしまった…!それから人の死体を喰い漁るようになり…付いたあだ名が"人喰い軍曹"…!!」

人喰い「ほぉ、俺のことを知ってるのか。まあどうでもいいがな」


ドガッ!!


レイア「ぐあっ!」

尻尾による攻撃がレイアを弾いた。


296 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:26:20 DF7ZGXYw00

Dr.神様「レイア!」

レイア「大丈夫だ!」

勇者「ぼ、僕たちも加勢しましょう!」

Dr.神様「ああ!」

二人は同時に飛びかかる。

人喰い「雑魚に用はねえ」

軍曹が両手を上げると、上空に小さな雷雲が生まれ。

レイア「ダメだ!止まれっ!」

勇者「!!」

人喰い「デガワァァ!!」


ドゴォォォォン!!!


軍曹の体に雷が降った。

勇者「うわあっ!」
Dr.神様「ぐおっ!」

その衝撃で二人は弾き返される。


297 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:27:05 DF7ZGXYw00

レイア「クソッ、よくも!」


ドゴッ!!


人喰い「ぶっ!」

レイアのパンチが軍曹の顔面をとらえる。

レイア「どりゃりゃりゃりゃっ!!」


バキッ!

ズガッ!

ドカッ!


追撃を重ね、軍曹を蹴り飛ばす。

人喰い「ぬうっ!いいぞ!それでこそ喰い甲斐がある!」

レイア「誰が喰われるかよ!」


298 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:30:13 DF7ZGXYw00

レイアは更なる追撃のため距離を詰めるが。

人喰い「デガワァ!!」


ドゴォォン!!!


レイア「くっ!危ねえ!」

人喰い「くく、いい反応だな!だが!」


バリバリッ!!


レイア「があっ!」

軍曹の放った電撃がレイアを襲う。

そして。

ガガッ!

ドドドド!

レイア「ぐはっ!」

今度は軍曹の方が連続攻撃でレイアを追い詰めていく。

人喰い「これで終わりだ!」

バチチチ…

頬に電気を帯電させ、トドメの一撃の構えを取る。


299 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:33:39 DF7ZGXYw00


勇者「させるかぁっ!!」


人喰い「!」

ブンッ!!

なんとか立ち上がった勇者ヨシオが、爆弾を投げつける。

人喰い「くくくっ、丁度いい!」

ガシッ!

レイア「なっ…!」

勇者「へっ!?」

ぐるんっ!

軍曹はレイアを掴み、飛んできた爆弾に向かって投げつけた。


ドドォォォン!!!


レイア「ぐあああっ!!」

勇者「レ、レイアさんっ!!」

Dr.神様「く…なんということじゃ…」

シュウゥゥ…

爆煙が晴れると、真っ黒に焦げたレイアが倒れていた。


300 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:34:53 DF7ZGXYw00

人喰い「ジュルッ…いい具合に焼けたなァ」

勇者「そ、そんな…」

人喰い「ようやくメシが食えるぜ…」

軍曹は倒れたレイアに近づいていく。

Dr.神様「させぬぞ!」

人喰い「邪魔だ」

バチバチバチッ!!

Dr.神様「ぐあっ!」

立ちはだかったDr.神様をあっさり退け、軍曹はレイアの元にたどり着く。

人喰い「くくくっ、いただきまー…」


ガシッ…


かぶりつこうと大きく開いた人喰い軍曹の口を。

レイアは両手で掴んでいた。

人喰い「あに!?」


301 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/19(火) 20:41:58 DF7ZGXYw00


ドゴォッ!!


そして軍曹を地面に叩きつける。

人喰い「ぐあっ!!」

レイア「油断したな…人喰い軍曹…」

ダッ!!

跳ね返り上空に舞った軍曹を追いかけるように、レイアも跳び上がる。

レイア「俺は灼熱のレイア!!どんな炎よりも!!爆発よりも!!俺の心と体は熱く燃えている!!!」

人喰い「なッ…!」


レイア「ブッッ飛べぇぇぇ!!」



ドギュゥゥゥン!!!!



レイアの燃えるアッパーが炸裂する。


人喰い「ぬあああアアァァ!!」


キラーン

人喰い軍曹は遥か上空へブッ飛ばされ、星になった。


302 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 02:16:59 1gFvdZs.00


レイア「はあっ…はあっ……やったぜ…」

バタッ…

全てを出し尽くし、レイアもそのまま倒れた。

勇者「レイアさん!」

勇者たちが駆け寄る。

Dr.神様「…無理もない。下目使いたちとの連戦、その後もほとんど休まず魔物たちとその身一つで戦い続けたのじゃ…」

勇者「くっ…僕の爆弾がなければここまでのダメージは無かったかもしれない…」

Dr.神様「そう落ち込むな。どちらにせよ儂らの疲労度のまま奴と戦っていれば、結局大きなダメージは避けられなかった筈じゃ」

勇者「…そうですね…」



それから二人はレイアを病院へ連れて行った。


303 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 02:20:25 1gFvdZs.00



一時間後。

勇者「先生、レイアさんの容体は…?」

医者「しばらくは立ち上がることもできないでしょう。絶対安静です」

勇者「そ、そうですか…」


二人はレイアの眠るベッドの前に立つ。

Dr.神様「もう、この旅に連れて行くことはできぬな…」

勇者「…僕が…レイアさんの分まで頑張ります…!レイアさんに比べたら頼りないかもしれません…でも…僕はもう立ち止まりたくない!!」

勇者ヨシオは決意の表情で告げた。

Dr.神様「ああ、その意気じゃ!勿論儂も全力を尽くす!」

勇者「きっとこの世界を、守ってみせます!!見守っていてください、レイアさん!」

勇者ヨシオは決意を固める。


こうして今、勇者ヨシオの冒険が始まった!



第1章 完


304 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 02:59:00 1gFvdZs.00
というわけでここまで読んで頂いたみなさま本当にありがとうございます。
支援やコメント本当に助かります。モチベに繋がってます。
情けない話、というか自分で風呂敷広げといて何言ってだこいつって感じですが、反応がないと正直心が折れて投げ出しちゃいそうなので、なんでもいいのでこれからもちょくちょくコメント頂けると嬉しいです。
今後あの人気選手やあの強豪選手もたぶん登場しますが、たぶん全キャラは参戦させられないことと、扱いが酷いキャラが出てきてしまうことは先に謝っておきます…(遅い
書き溜めに追いついちゃったのでペース遅くなってますが、これからも1日数レス分くらいは更新できるよう頑張ります。
長文失礼しました。


305 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 03:48:28 1gFvdZs.00
現在の状況まとめてみました
抜けがあったり分かりづらかったらすみません

○天界
・上層(神の世界)
デロイ(留守番)
・下層(天使の世界)
使者様㌧&マックスVS下目使い&ヤミ†
enjeru(気絶)、チンポコメロン(謎)

○人間界・とある国
・西端の村
ギルティース&アントンVSケ&にょ軍団
天才(ケに攫われ不明)
・東端の町
ドルコリン♪、ムッコロズ、ムッコロス(入院中)
・東端の町の近くの村
勇者ヨシオ、Dr.神様
レイア(入院中)、人喰い軍曹(星になった)

○人間界・隣国
・極道の町
片割れ、ナイフ、使えない人間(事務所)
アルベルト(不明)、内藤(神の光で消滅)
・町はずれ
天下無敵、暴力委員長
・北の町
エロい姉&たまたまVSドドン&純白
㌦ポッター、デスエン、大学生
黒光(姉たまに負け消滅)、転校生(神の光で消滅)
召喚士(たぶん魔物退治中)
・南の町
部長(暴走のち気絶)、maikeru
切れた脇役VS綺麗なゲイ&魔物軍
・煙草マスターの祠
煙草マスター(下目に吸われ消滅)
妖魔(不明)、パターソン(気絶)
・祠周辺
妹、エルバン、吐き気、タバスコ(逃走中)

○魔法学校
幼き弟、インテリ、コテツ、マグヌス
チェントゥリオーネ、母(寝てる)


306 : はいどうも名無しです (アウアウ 7896-fd2d) :2019/03/20(水) 04:00:42 Glw3USeoSa
大丈夫、皆魅入ってるだけだから
あとあまり作者以外か書き込むと邪魔になるんじゃないかって考えの人が多いんだと思う


307 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 04:25:46 1gFvdZs.00
>>306
ありがとうございます!そうだと嬉しいです!
私はコメントウェルカムですよ!ほんと一言でもすごく力になるので!


308 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/20(水) 04:26:55 1gFvdZs.00
>>305
東端の町の入院中のところにリア・リエを入れ忘れてました


309 : はいどうも名無しです (ワッチョイ d163-817e) :2019/03/20(水) 13:00:24 3UKyBEK.00
コンスタントに更新してくれてるから正直かなり楽しめてる
乙です


310 : はいどうも名無しです (アウアウ ea64-7d18) :2019/03/20(水) 14:15:08 ddnSmD7gSa
邪魔になると思って書き込んでませんでしたが、いつも楽しませていただいています!
意外なキャラが意外な立ち位置で出てくることあってすこ


311 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/21(木) 00:52:46 NBteiaew00
>>309
>>310
ありがとうございます!


312 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/22(金) 20:08:14 eQgHIKVA00
第2章



遠くの国。

ここはとても穏やかで平和な、小さな王国である。

城下町は今日も賑わっていた。

???「やあヒーロー、今日も人助けかい?」

真っ赤な服の青年は、黄色い帽子のヒゲ男とすれ違い、挨拶する。

ヒーロー「ああ。この国は平和すぎるよ。毎日毎日ちょっとした人助けをするだけで、悪者を退治することなんてない」

???「ふふ、でも慕われてるじゃないか。続けてくれよ、ヒーロー」

ヒーロー「辞めるつもりはないが…はあ…満たされないな。俺はこんな事をするためにヒーローになったわけじゃないのに…」

???「まあまあ、平和なのは良いことじゃないか」

ヒーロー「それはそうだがな…そういうキミは、今日も店の手伝いか?ポイゾネサスくん」

ポイゾネ「うん。うちの店ももう七十年続く老舗だしね。いずれはお父さんの跡を継がなきゃいけないから」

ヒーロー「大変なんだなキミも。ま、頑張ってくれよ。それじゃあそろそろ見回りに戻るよ。またな」

ポイゾネ「ごくろうさま。ヒーローも頑張ってね!」

ヒーローは走って行った。


313 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/22(金) 20:09:13 eQgHIKVA00


ポイゾネ「平和すぎる、か。でもニュースじゃ魔界の一族がこの世界に攻めてきたと大騒ぎしてる…この平和もいつまで続くか分かったものじゃないな…」

???「にゃー」

ポイゾネ「あ、ねこだ。かわいい。どうしたんだい?」

ポイゾネサスの足元に一匹のねこが寄って来た。

ねこ「にゃおー」

ポイゾネ「お腹が空いたのかい?」

ねこ「トマトください」

ポイゾネ「トマトね。わかった。ちょっと待ってて……喋った!?」

ねこ「どうも」

ポイゾネ「なんで!?ねこが喋ってるんだけど!!」

ねこ「ボクの国では動物がしゃべるのはけっこうふつうです。あと、ボクはただのねこではないのです。∮アルティライトねこなのです」

ポイゾネ「いや意味わかんない!」


314 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/22(金) 20:11:06 eQgHIKVA00

ねこ「まあまあ、とりあえずお茶でも飲んでおちついてください」

ねこは立ち上がると、どこからかお茶を取り出してポイゾネサスに渡した。

ポイゾネ「あ、ありがとう…」

ポイゾネサスはお茶を一口飲む。

ねこ「この国に危機がせまっています」

ブフッ!

ポイゾネサスはお茶を吹き出す。

ポイゾネ「ど、どういうこと!?」

ねこ「ボクはあの魔の一族に侵略された国からきました」

ポイゾネ「え、あのニュースでやってた…?」

ねこ「うん。ボクの住んでた村の人はみんな魔物にやられちゃったけど、運よく助かったボクは、この国にワープしました」

ポイゾネ「ワープ!?」

ねこ「要はめっちゃ頑張って走ってきたんです」

ポイゾネ「ワープじゃないじゃん!」

ねこ「ボク、昔から運がよくって、魔物たちにもまったくきづかれることなく逃げきれたんです。でも、この国に着いた時にボクきづいちゃったんです」

ポイゾネ「何に…?」

ねこ「ボクの運はある一定のラインをこえると、逆転してしまうんですね。それまでのラッキーをとりもどすように、とんでもないアンラッキーがくるんです」

ポイゾネ「ま、まさかそれがこの国の危機だと…?」

ねこ「うん」


315 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/22(金) 20:11:33 eQgHIKVA00

ポイゾネ「そ、それはいくらなんでも大袈裟じゃないかな?…ていうかなんでそれ僕なんかに言ったの」

ねこ「ボクの勘が、キミならこの国を救えるとつげました」

ポイゾネ「ええ!?ただの一般人だよ僕!」

ねこ「そうなの?うーん。ボクの勘はけっこうあたるんですけど。今回ははずれたかもです。ではさようなら」

ねこは去っていく。

ポイゾネ「あ!待って!」

ポイゾネサスはその背中に声をかける。

ねこ「なんですか?」

ポイゾネ「トマト、いる?」

ねこ「いる!!」

ねこは一瞬で引き返し、ポイゾネサスに飛びついた。


316 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/23(土) 19:28:49 JMZeDT7Q00





夜が明け。

隣国・北の町では。

ドドンと純白はまだ立っていた。

そしてその前には、這いつくばるエロい姉と揺るぎなきたまたまの姿があった。

姉「な…なんて強さなの…!」

たま「僕たちが…押していたはずなのに…気が付いたら押し返されていた…!」

デスエン「ここまでだな。この勝負、純白とドドンの勝ちだ!」

Φデスエンペラーが二チームの間に入り、決着が付けられた。

㌦「くっ…!」

観戦していた㌦ポッターは悔しそうに拳を握りしめる。

純白「ふふ…魔力が体に馴染んできたのを感じます…」

ドドン「いやーすごかったドン!途中から俺ほとんど見てただけドン!」


317 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/23(土) 19:29:59 JMZeDT7Q00

デスエン「フ、思った以上だ。一晩戦っただけで、すでにほぼ完璧に魔力を扱えるようになるとは…天才だな」

純白「どうです?もう二大剣士など敵ではないでしょう?」

デスエン「こんな戦いを見せつけられたら否定はできんな。間違いなく、お前はもうアイツらを超えているよ」

純白「ふふ…いずれは貴方も超えるつもりですよ」

デスエン「そりゃあ怖いな。…ところで、約束はちゃんと守ってもらうぞお前たち」

Φデスエンペラーはエロい姉たちに目を向け、言う。

姉「…当然よ」

たま「ごめんよローくん。僕が不甲斐ないばかりに…」

姉「ウフ、弱気になってるたまちゃんもたまにはイイわね♡」

たま「もう、恥ずかしいな…彼らが言うにはこれから戦争が始まるらしいけれど…ローくんのことは絶対に僕が守るから安心しておくれ」

姉「だったらたまちゃんのことは私が守るわ♡」

㌦(ああ…なんでこんなことに…!これじゃ生徒のみんなにも示しがつかない…!かと言ってこの状況でこの人らと戦うのは流石に分が悪すぎるし…)


318 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/24(日) 18:15:45 t0e1eUAs00

デスエン「なんだ?迷ってるのか?だったら魔の灯火で……と思ったが、そういえばお前はすでに魔力を使いこなしているんだったな」

純白「迷うも何もないでしょう。案外甘いんですね。約束は約束です」

㌦「わ、分かってる…君たちに従うよ…」

大学生「チッ、気色悪ぃ!んでこれからどうすんだよオッサン!」

デスエン「え、オッサンて俺のことか?」

大学生「たりめーだろ」

デスエン「フム、それじゃあお前ら、寝ろ!一晩戦って疲れただろう!」

大学生「は!?」

ドドン「おやすみドン!」

ドドンはいつのまにかアーウィンの中に入り、一瞬で寝た。

純白「あの人は何であんなに緊張感がないんでしょうね…ある意味大物かも…」


319 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/24(日) 18:17:12 t0e1eUAs00

たま「…どうする?ローくん」

姉「そうね、私たちも怪我の手当てをして休息をとりましょう」

たま「それじゃあ僕の部屋においでよ」

姉「ウフフ、熱い夜になりそうね♡ってもう朝になっちゃったけど」

二人はたまたまの家へ帰った。


純白「帰していいんですか?」

デスエン「ああ。俺は魔力で感知できるし、念話で話しかける事もできる。別に仲間になったからと言って常に行動を共にする必要はないだろ」

純白「まあそうですね。それじゃあ僕も睡眠をとらせてもらいますね」

純白は寝袋に入って寝た。

㌦「じゃ、じゃあ僕も帰らせてもらうよ」

デスエン「ああ。念話で呼んだらすぐ来いよ」

㌦「あ、ああ」

㌦ポッターはビビリながら帰って行った。


320 : ハイドンピー (ワッチョイ 41da-3a0a) :2019/03/24(日) 18:31:11 t0e1eUAs00


大学生「アンタは寝ないのか?」

デスエン「俺は睡眠など必要ないからな。そういうお前は、さっきの戦いの間どっかに行ってたようだが、何してたんだ?」

大学生「感知できるんじゃねえのかよ」

デスエン「いやー戦いが面白くてな。気にもしてなかった」

大学生「ケッ、適当な野郎だな!」

デスエン「で、何してたんだよ」

大学生「なんで教えなきゃいけねえんだよ黒ハゲ!俺が何しようが勝手だろうが!言っとくが俺は無理やり連れて来させられただけで、アンタの下につくなんて一言も言ってねえからな!?」

ジャキンッ!

大学生はまた癇癪を起こし剣を抜いた。

デスエン「フ、そう怒鳴るな大学生。お前の言う通りだな。もう詮索はしないよ」

大学生「何大人ぶってんだジジイがよ!中身はただ遊びてえだけのガキだろうが!!」


ブンッ!!


デスエン「ハハハハ!!よく分かってるじゃないか。俺は俺が面白いと思った事をやるだけだ!」

大学生「何笑ってんだクソが!!」

ブンッ!ブンッ!

Φデスエンペラーは大学生の斬撃を完璧に見切り、全てかわす。


321 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/25(月) 17:37:49 Kp8JZKVs00

デスエン「フッ、お前はどうなんだ?生きてて楽しいか?」

大学生「楽しいワケねえだろこんなクソみてえな世界!!!」

ヒュンッ

ボフンッ!!

デスエン「そうだろうなぁ」

バクダンもあっさりかわしながら、余裕どころか憐れむような表情で言う。

デスエン「周りに認められず歪んでしまったんだろう?可哀想に。だが俺はお前の力を評価してるぞ」

大学生「ケケケッ、なんだよ今更俺に取り入ろうってか!?兵士が欲しいだけだろ!!」

デスエン「ああ、優秀な兵士だ。お前は戦場でこそ輝く」

大学生「そんで死んだら使い捨てだろ!?くだらねえなぁ!?今時の若者は戦いなんざ興味ねぇんだよバカが!!」

デスエン「その喧嘩っ早さでよくそんな事言えるな…フッ、だがそれもお前の良いところだ」


322 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/25(月) 17:38:35 Kp8JZKVs00

大学生「キショイんだよ!!何があろうと俺はアンタの下になんかつきませ〜ん!!残念でした〜〜!!」

デスエン「ゲームをしないか?勝った方が負けた方に…」

大学生「しねえよ!!」

デスエン「分からせてやるしかないか。まあ、それも一興だな」

ヒュッ!



ズンッ!!!!



大学生「……あ?」

デスエン「あっ」

Φデスエンペラーの放ったパンチは、壊れた大学生の腹を貫通した。

デスエン「しまった…実戦は久しぶりで加減を間違えたか…こんな脆かったか、人間って」


323 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/25(月) 17:40:18 Kp8JZKVs00


大学生「ゴフッ…!」

白目を剥いて口から大量の血を吐く大学生。

デスエン「あー…これはもう助からんな。やってしまった」

デスエンは右腕を体から引き抜きながら、頭をポリポリ掻く。

ドサッ!

支えを失い大学生の体は地面に倒れこんだ。

デスエン「まあやってしまったものはしょうがないか!さて、次の仲間探しはどうしようかな」



純白「…何です?これは」


324 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/25(月) 17:41:46 Kp8JZKVs00

デスエン「ん?お前、寝たんじゃなかったのか」

純白「近くであんな大声で話してたら眠れませんよ」

デスエン「いや、大声はほとんどソイツ…」


純白「これは何かって訊いてるんだッ!!!」


デスエン「うお、お前もいきなり大声出すなよ」

純白「殺ったんだな!?お前が!!」

デスエン「あーそうだ。でもそんなつもりじゃあなかったんだよ」

純白「絶対に許さない!!」


ガキィン!!!


デスエン「危ないな」

斬りかかった純白の剣を、Φデスエンペラーは片手で弾いた。


325 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/25(月) 17:42:42 Kp8JZKVs00

純白「ぜりゃぁっ!!」

ビュンッ!!

続いてブーメランを投げるが。

バキッ!

蹴りで相殺する。

デスエン「なんだよ、お前たちそこまで仲良かったのか?勝ち目の無い相手に我を忘れて攻撃を仕掛けるなんてお前らしくもないな」

純白「殺す!!」

デスエン「…聴こえてないか。はあ、しくじったなぁ…」

ブンッ!!



ベギョンッ!!!



純白「…がッ…」

Φデスエンペラーの蹴りが純白の頭に炸裂。

首が折れ、倒れた。

デスエン「全く…なんでこんなに簡単に死ぬんだコイツら…」


326 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/26(火) 21:03:07 PdKW6R..00





隣国・南の町。

部長「うぅ…」

♂♂「部長サン!目が覚めマシタか!」

部長「…♂maikeru♂さん…?わ、私は何を…」

♂♂「良かった!元の部長サンデース!」

♂maikeru♂は泣きながら部長に抱きついた。

部長「ちょっ、何ですか!……たしかゲイさんに会った後、家に向かってて…そうだ…!変な炎に包まれて…!」

♂♂「そうデース…部長サンは魔の一族に操られていたんデース…」

部長「な、なんてことだ…!」

部長は頭を抱える。


327 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/26(火) 21:06:27 PdKW6R..00

♂♂「ぶ、部長サンは何も悪くないデスヨ!全ては魔の一族が悪いんデスカラ!!」

部長「…そう言えばあの時、炎は…ゲイさんのカードから発生していました…」

♂♂「やはり…!ゲイサンが魔の一族だったのデスネ…!」

部長「ゲイさんは今どこへ…?」


ズドォォッ!!


部長「!!」

町の奥で戦いの音が響く。

♂♂「恐らくあそこデース…もう何時間も続いていマスヨ…」

部長「ゲイさん…誰かと戦っているんですか?」

♂♂「ハイ。部長サンを救ってくれた、切れた脇役サンという方があちらに…」

部長「…!私も向かわなければ…!」


328 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/26(火) 21:13:45 PdKW6R..00

ガシャンッ

部長が立ち上がろうとするが、目覚める前に♂maikeru♂が着けておいた拘束具により阻害される。

♂♂「む、無茶デース!確かに部長サンは強いデスが、正直あの人たちはレベルが違いマスヨ!」

部長「だとしても加勢くらいはできます!♂maikeru♂さん、これを外してください」

♂♂「な、なぜそこまで…!」

部長「確かに私はみんなの言う通り繊細な人間です…でも、いや、だからこそ、恩人を見捨てるような人間にだけはなりたくない…」

部長は覚悟を決めた表情でそう言った。

♂♂「部長サン…」

部長「それに操られたとは言え私はこの手で町を破壊してしまった…その償いもしたいのです…!♂maikeru♂さん、どうかお願いします…!」

♂♂「わ、分かりマシタ…!」

ガチャッ!

♂maikeru♂は拘束具を外し、部長を解放する。

部長「ありがとうございます」

一礼し、脇役たちの元へと走って行った。

♂♂「部長サン…無事に戻ってきてくだサイ…!」


329 : はいどうも名無しです (ササクッテロ e82b-9e51) :2019/03/26(火) 22:46:16 LAGkVC86Sp
デスエンの底が見えないヒールさが良いね
全力を出していなくてもこれか


330 : はいどうも名無しです (アウアウ 4da8-fd2d) :2019/03/26(火) 22:55:28 10YEx3SkSa
それより長イ脇ゲが結成されるのかって方が気になる


331 : ハイドンピー (スプー 8269-1d1b) :2019/03/27(水) 19:21:32 /HI9ALwESd





一方切れた脇役は、綺麗なゲイの戦法に苦戦していた。

脇役「はっ!」

バンッ!!

魔物「グギャァ!」

ゲイ「フフ、はずれだよ」

切れた脇役の放ったレイガンを受けた魔物が倒れる。

脇役「面倒な真似を…」

ゲイの周りを魔物たちが囲み、攻撃を阻む壁となっていた。

更に脇役の周囲にもたくさんの魔物がおり、気を抜けば襲いかかってくる。


332 : ハイドンピー (スプー 8269-1d1b) :2019/03/27(水) 19:22:33 /HI9ALwESd

ゲイ「これが戦いというものさ。たった一人で僕を倒そうなんて舐められたものだね」

脇役「だが…お前も私へのダメージは大して与えられていないぞ」

ゲイ「そうだね。でも数時間この数の魔物を相手にして、もう体力は限界が近いんじゃないかい?」

脇役「……」

ゲイ「フフ、図星かな?ではそろそろトドメといかせてもらうよ。散れ、魔物たち」

魔物「グオオオオオ!」

魔物たちが散開する。

脇役「何のつもりだ」

ゲイ「フフ、久しぶりに楽しませてもらったからね。アナタは僕が直々に消してあげるよ」

ゲイは脇役に近づいていく。

脇役「お前こそ私を舐めすぎだ」


バンッ!バンッ!


脇役はレイガンを撃つ。


333 : ハイドンピー (スプー 8269-1d1b) :2019/03/27(水) 19:24:37 /HI9ALwESd

しかし二発の弾はガードされた。

ゲイ「それはもう見飽き…」


ブンッ!


脇役はゲイのガードが解かれるタイミングで弾の切れたレイガンを投げつけた。

が。

ゲイ「おっと」

それもかわされる。

ゲイ「無駄さ。アナタでは僕には勝てない」

攻撃の止んだ隙を突き、ゲイは一気に距離を詰める。


ビュゥン!


ゲイ「!」

脇役の伸ばしたロープ状のビームがゲイを捕らえた。


ブンッッ!!


そのまま前方へ投げ飛ばす。

ゲイ「くっ!距離を詰めるのを読んでいたのか…!」


334 : ハイドンピー (スプー 8269-1d1b) :2019/03/27(水) 19:27:54 /HI9ALwESd

脇役「はあっ!」

ダッ!

脇役はゲイを追って跳躍し、追撃のソバットを仕掛ける。

ゲイ「無駄だッ!!」


ドゴォッ!!!


ギリギリのところでゲイも反撃を繰り出し、両者共に吹き飛ばされた。

ズザァッ!

お互いに着地し、すぐさま体勢を整える。

ゲイ「フ…フフフ…僕とした事が油断したよ…!でももう大丈夫だ…全力でアナタを叩き潰す」


脇役「いいや、これで終わりだ」


335 : ハイドンピー (スプー 8269-1d1b) :2019/03/27(水) 19:32:40 /HI9ALwESd


ドウッ!!!


ゲイ「!!」


ズドォォォン!!!!


不意を突かれたゲイは、脇役の放った最大チャージショットの直撃を受けた。

ゲイ「ぐああああっ!!」

ブッ飛ばされ建物に激突。

そのまま壁をいくつか貫通し、沈黙した。

脇役「…フゥ…任務完了…いや、まだか…」

脇役は未だ周りを囲む魔物たちへ目を向ける。

ガラッ…

脇役「!」

瓦礫が崩れる音で視線を戻す。


ゲイ「ふざけるな…!!」


脇役「!! まだ立ち上がるのか…!」


336 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/28(木) 19:45:30 4V7nrUCY00

ゲイ「そう簡単にやられはしないさ…!」

そう言ってゲイが両手を広げると、周りの魔物たちは一斉に脇役の方を見た。

脇役「貴様…っ」


ゲイ「全 軍 突 撃」


魔物「グオオオオオッ!!!」


ドドドドドドドドドドドド!!!!


大量の魔物が同時に押し寄せる。

脇役「くっ…!」

ただただ単純な物量で攻められると、技巧派の脇役は逃げる事しかできなかった。

ゲイ「…この手は諸刃の剣だから使いたくはなかったんだけれどね…それにこんな勝ち方は美しくない。でも仕方ない、これは試合ではなく戦争なんだ。…さて、何処まで体力が持つかな?」

脇役「仲間同士で体がぶつかり合おうと御構い無しか…こいつら、完全に私を潰す事のみを考えている…!」

ドドドドドドドド…!!

まるで巨大な龍のように群れを成した魔物たちから、脇役はひたすら逃げ続ける。


337 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/28(木) 19:52:31 4V7nrUCY00



数分後。

ゲイ「…思ったより粘るね…フフ…」

ゲイは瓦礫に腰を掛けて休みながら、傍観していた。

圧倒的な力で無理やり従わせている妖魔と違い、魔力によって魔物を操っているため、ゲイもかなり消耗しているのだ。


脇役(…もう私の体力も残り僅かだ…どうする…!?)

脇役は何か切り抜ける方法は無いかと辺りを見回す。

そして気付いた。

ゲイ「ん?」


ドドドドドドドド…!!


ゲイも気付く。

脇役はゲイの方へと走ってきていた。

脇役「今度こそ終わりだ!」

ゲイ「道連れにするつもりか…!」


338 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/28(木) 19:54:34 4V7nrUCY00

ドドドドドドドド!!

ゲイ「止まれ魔物たちよ!」

魔物「グオオオオ!」

ゲイは命令するが、勢いがつきすぎてすぐには止まれない。

ゲイ「くっ」

フワッ

ゲイは飛び上がり魔物をかわそうとするが。

脇役「落ちろ」

ゲイ「!!」

脇役はゲイが飛ぶのを想定し、すでにゲイの上に跳んでいた。


バキィッ!!


ゲイ「があっ!」


339 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/28(木) 19:55:21 4V7nrUCY00

上から脇役が右腕のキャノンでゲイを叩き落とす。

脇役「くっ…」

しかし脇役も重力には逆らえずそのまま落下する。

そしてそこへ魔物が雪崩れ込んだ。


ドドドドドドドド!!!!


ゲイは魔物たちに巻き込まれ、圧し潰されていった。





そこへ。

部長「こ、これは一体…」

到着した部長は地獄絵図のような魔物の山を見て驚く。


340 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 7c92-bf7d) :2019/03/28(木) 21:12:56 23CvOvjUSp
ついに長イ脇ゲが揃ったか…


341 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/30(土) 20:02:23 fjoSjQ2g00

魔物「グギャァー!」

部長「はっ!!」


ドゴッ!!


その山の中から一匹の魔物が飛びかかったが、部長は繊細かつ強力な一撃で仕留める。

脇役「だ…誰…だ…」

部長「!!」

魔物の山の下敷きになっている脇役が、誰かが近くにいる事に気付いて言った。

部長「も、もしかして切れた脇役さんですか!?」

脇役「そうだが…」

部長「昨晩魔の一族に操られていたところをあなたに助けていただいたそうで…本当にすみませんでした…そしてありがとうございます…!」

脇役「…そうか、あの時の…正気に戻ったか……気にするな…私は自分の仕事をしただけだ」


342 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/30(土) 20:04:01 fjoSjQ2g00

部長「今この魔物たちをどかしますから、もう少し辛抱してくださいね!」

がしっ!ぽいっ!

がしっ!ぽいっ!

部長は上から魔物を引っぺがし始める。

脇役「よせ…何重にも重なって今は動けないようだが…まだ生きている魔物もいる…この数に襲われたら勝ち目は無いぞ…」

部長「それなら尚更、魔物たちが動けないうちにあなたを助け出します!じゃないとあなたが危険でしょう!」

脇役「…私は戦士だ…戦いの中で死ぬ覚悟は出来ている…だがお前は一般人だろう…」

部長「…そんなことを仰らないでください。大丈夫です、繊細な作業なら得意ですから!」

脇役「…言っても無駄か…」


343 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/30(土) 20:06:25 fjoSjQ2g00


その後も部長は慎重に魔物をどかしていく。

魔物「グアアアッ!!」

部長「やあっ!」

バキッ!!

時折襲いくる魔物も返り討ちにし、順調に脇役へと近づいていた。

部長「もう少しですよ!」

脇役「ああ…すまないな」


その時だった。


ゴゴゴゴゴゴ……!


部長「な、なんだ…!?」

上空を一瞬にして暗雲が覆った。


344 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/03/30(土) 20:10:07 fjoSjQ2g00

脇役「どうした…」

部長「いえ、急に空を雲が覆ったもので…もう朝のはずなのに、また夜が来たかのように真っ暗ですよ…」


ゲイ「…フフフ…!」


部長「!!」

突然ゲイの笑い声が近くから聞こえた。

脇役「ゲイ…!」

ゲイ「切れた脇役さん、アナタは強かった…フフ…負けを認めるよ…」

部長「ゲ、ゲイさんもこの下に…?」

脇役「ああ…私が道連れにしたのだ…」

ゲイ「フフフ…だけどさっき言った通り、これは戦争だ…確かに僕は負けた…しかし"僕たち"は勝ったようだよ…!」

脇役「どういうことだ…!」

部長「まさかこの暗雲は魔の一族の仕業だと…?」

ゲイ「その通りさ…フフ…感じないかい?大気に魔力が満ちていくのを…」

部長「…!」

脇役「な…何だこのエネルギー反応は…!」

ゲイ「これからこの世界は混沌に呑まれるだろう…フフ…」


345 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/31(日) 18:32:49 poXAChQg00






時は少し遡り。

天界・上層。

△デロイ△は㌧に任されて全能神殿を守っていたのだが…

「全能神様は一体どこへ行かれたんだ!?」

「側近の㌧もだ!何をしている!?」

「何が起こっているの!?天界はどうなってしまうの!?」

デロイ「み、皆さん落ち着いて!」

全能神の存在が消えたことに気づいた住人たちが殺到し、その対応に追われていた。


???「邪魔だ」


346 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/31(日) 18:34:15 poXAChQg00


ドゴォッ!!!!


住人「うわああっ!」

その巨大な腕の一振りで、神たちは吹き飛んでいく。

デロイ「え!?だ、誰!?」

???「知らんのか?この我を」

デロイ「…そ、その顔…まさか!キング・オブ・妖魔!?」

妖魔「その通り!」

デロイ「ど、どうやって上層に…!結界は張っておいたはずなのに…」

妖魔「フン、あれは貴様の仕業か。舐められたものだ。あの程度の結界で我を止めることなどできぬわ!全能神の結界とは天地の差がある!」

デロイ「くっ…で、でもここは通さないぞ!この全能神殿を護ることが僕の使命だっ!!」

妖魔「くだらぬ」


ゴォッ!


妖魔はパンチを繰り出す。


347 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/31(日) 18:35:22 poXAChQg00
が。


ズバッ!!


妖魔「むっ!?」

次の瞬間、デロイは軽やかにかわし、逆に妖魔の拳を斬りつけた。

デロイ「僕だって全能神様に仕えた神なんだ…!」

妖魔「ほう、少しは出来るようだな」

デロイ「はあっ!!」


ザンッ!!


妖魔「効かぬ!」


ドガッ!!


デロイ「うわっ!?」

ズザザザ…

妖魔はデロイの剣を素手であっさりと受け止め、弾き返す。


348 : ハイドンピー (ワッチョイ fb34-3f2d) :2019/03/31(日) 18:38:27 poXAChQg00

妖魔「フン、我が拳に傷を付けた事は褒めてやろう。だが調子に乗るな。全力を出せば貴様など容易く破壊できるのだ」

妖魔は跪いたデロイを一瞥し、神殿の奥へと向かう。

デロイ「くっ!行かせるか!」

ダッ!

デロイは再び妖魔に斬りかかる。

妖魔「ならば消えろ」


ズドオッ!!


デロイ「ぐはっ…!!」

妖魔の振り下ろした腕に、デロイは叩き潰された。

這いつくばるデロイに追い打ちをかけるように、妖魔は更に腕を振り回してパワーを溜め。


ドゴォォォン!!!!


妖魔のパンチでデロイは粉砕された。


妖魔「フン、羽虫めが」

それから妖魔は奥の玉座へとゆっくりと歩を進めた。


349 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/01(月) 19:58:55 YJHyvaFc00





同じ頃、下層では。

ガキィン!!!

ハンマーと剣がぶつかり合う。

下目使いと㌧は互角の戦いを繰り広げていた。

下目「ふぅ…強いな」

㌧「私はこれでも天界最強と言われた剣士です。魔の一族などに引けは取りません!」

下目「チッ…」


350 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/01(月) 20:00:03 YJHyvaFc00


ドサッ!

ヤミ「ぐあっ…!」

そこへヤミノツルギが転がってきた。

マックス「おっし!使者様、こっちは片付きました!あとはそいつだけです!」

下目「…何してんのヤミ」

ヤミ「くっ…天界は僕の魔炎とは相性が悪い…どんどん力が失われてる…!」

下目「えぇ…使えなさすぎるでしょ…」

㌧「どうやら勝負あったようですね。私とマックスさん、そして天使たち。この人数差ではいくら貴方と言えど勝ち目はありません」

下目「ク、クソッ…どうすれば…!」

下目使いは絶望的な状況に顔を歪める。


下目「なーんてね」


㌧「!?」


351 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/01(月) 20:02:34 YJHyvaFc00

下目使いはニヤリと笑ってみせた。

マックス「何笑ってやがる!」


ドガッ!!


マックスの一撃はかわされ、地面を割った。

マックス「くっ!」

下目「ほら立てヤミ。僕たちの勝ちだよ」

ヤミ「ああ」

㌧「はっ!!まさか!!」

下目「ふふ、多分その想像通りさ」

㌧「くっ!なんという事を…!」

下目「じゃあね」

㌧「ま、待てっ!」

ダッ!!

㌧は下目使いに斬りかかるが。


352 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/01(月) 20:04:43 YJHyvaFc00


ボウッ!


ヤミノツルギの魔炎が下目使いたちを包み、消えた。

㌧「やられました…!!」

マックス「ど、どういう事ですか!?」

㌧「奴らは既に上層に配下を送り込んでいたのです…!恐らくはキング・オブ・妖魔…下目使いたちが我々の目を引きつけている間に、全能神殿へ攻撃を仕掛けたのでしょう…」

マックス「そ、そういえばあいつの姿は見当たりませんでしたね…」

㌧「私も上層へ向かいます!マックスさん、ついてきて下さい!」

マックス「え!?ただの天使の俺なんかが…」

㌧「今はそんな事を気にしている場合ではありません!一刻も早く奴らを止めなければ…!もし玉座に奴らが座ってしまったら…この世は終わりです…!」


353 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/02(火) 19:30:30 wq0Hoxcg00





再び上層。

キング・オブ・妖魔は玉座の間を守る衛兵たちも軽く一捻りし、下目使いたちを待っていた。


ボウッ!


そこに魔炎が発生し、中から下目使いたちが現れる。

下目「よくやった妖魔」

妖魔「フン、この程度、我には児戯に等しいわ」

下目「ふふ…これが全ての頂点に君臨する玉座か…」

下目使いはその玉座へと進み。

ポフッ

下目「さて、これで僕を見下ろせるヤツは誰もいなくなった」

玉座に腰を下ろし、ニヤリと笑った。

すると。


354 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/02(火) 19:34:06 wq0Hoxcg00



ゴゴゴゴゴゴ…!!



ヤミ「!?」

その瞬間、下目使いの魔力が一気に倍増し。

その衝撃により、天界全体が震えた。

実際には天界どころか、下界にまでその魔力が満ちている。

下目「力が…溢れてくる…!」

妖魔「な、なんという魔力だ…我やΦデスエンペラーをも遥かに凌駕している…!」

下目「玉座に座ったことで全能神の力を引き継いだみたいだね…ふふ…!こんな力があれば人間も天使も、神すらも敵じゃない…!」


ボォッ!


ヤミノツルギは体から黒い炎を燃え上がらせた。

ヤミ「クク…!良いぞ…魔力が満ちた事で我が魔炎も真の力を…いや…魔界にいた時以上の力へと昇華した…!」

下目「調子戻ったみたいだねヤミ。ふふ、それじゃあ全能神としての最初の命令をヤミに与えよう」


355 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/02(火) 19:35:39 wq0Hoxcg00


バンッ!!


玉座の間の扉が勢いよく開き。

㌧「くっ…!間に合わなかった…!!」

マックス「さっきの揺れはコイツの仕業か…!?」

㌧たちが現れた。

下目「そいつらを殺せ」

ヤミ「ククク、良かろう!今の我ならば二人まとめて灰にする事も容易いわ!!」


ボオオォォォッ!!!!


マックス「!!」

ヤミノツルギ†の放った膨大な魔炎を、二人はギリギリのところで反応しかわす。

㌧「威力が増している…!」

マックス「こ、こんなの喰らったら即死だ…!」

ヤミ「クク!足を止めている暇は無いぞ弱き者どもよ!」


ボオオォォォッ!!!


再び魔炎を放つヤミノツルギ†。

㌧「くっ!」

二人はそれも何とかかわすが。

ヤミ「フハハハハ!!」


ボォオォォッ!! ボオオォォッ!!


その後も次々と魔炎が襲いかかる。

㌧とマックスは、ただただ逃げるしかなかった。


356 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/03(水) 20:51:44 CweAHpuo00





その頃、下界。

西端の村では。

ギルティースたちはケとにょの軍団により倒されていた。

ギル「…ぐ…アントンくん…生きてる…?」

アントン「い…一応…」

這いつくばっているが、まだなんとか意識は保っていた。


ドガァァン!!


住民「きゃーー!!」

破壊音と悲鳴が響く。

ギル「あ…あいつら…村の住人に…無差別に襲いかかってる…!止めないと…!」

ギルティースはボロボロの体で起き上がろうとする。

アントン「無理だよそんな体じゃ…!」

ギル「でも放っておくわけにいかないでしょ…!ゲホッ…」

アントン「ギルティースさん…」

そこへ。


357 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/03(水) 20:57:16 CweAHpuo00



???「ふむ。山籠りしとる間にこんな事になっとったとは。どれ、力を貸してやろう」



ギル「……!!」

現れたのは白い帽子の老人。

二人はその老人が只者ではないと一目で悟った。

アントン「あなたは…」


タッ!


老人は跳び上がり。


ドゥルルルル!!!


物凄いスピードで回転した。


ビュオオオオオオッ!!!


すると、その風圧により竜巻が発生した。

ギル「なっ…!」

アントン「すごい…!」

ケ「ケ!?」

にょ「ニョ!?」

ケ「フンフン!?」

竜巻にケとにょたちは次々と巻き上げられていき。

まとめて上空へと吹き飛んだ。


358 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/03(水) 20:59:47 CweAHpuo00

???「そこか」


ダンッ!!


同時に老人も跳ぶ。

そしてケたちと体が重なる瞬間。



ドドドドドドギュゥゥゥゥン!!!!!!



全員まとめて、燃えるアッパーでブッ飛ばした。

ギル「!?」

アントン「…じ…次元が…ちがいすぎるよ…うん…」


スタッ

老人は華麗に着地する。

???「さて…まだ何匹か残っておるな」

老人は凄い勢いで次の敵へと走って行き、あっという間に見えなくなった。


アントン「す、すごかったね、うん…」

ギル「何者なのかしら…」


359 : はいどうも名無しです (ワッチョイ afae-b58a) :2019/04/03(水) 22:51:57 9tODsk2.00
ついに老師がきたか…


360 : はいどうも名無しです (スプー 8312-f37d) :2019/04/04(木) 10:50:40 Kqax02/ESd
cv:衝撃のアルベルトがしっくり合うように思えてきた


361 : はいどうも名無しです (アウアウ 5300-f00f) :2019/04/04(木) 11:58:53 Typ7cZxUSa
爺様早速息をするように無双してて草


362 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/04(木) 20:05:23 VD4.f9eM00






隣国では。

歩く天下無敵と暴力委員長の二人は、町の宿で一泊し。

委員長を元の場所へ戻す方法を求めて、また町を歩いていた。

が。

歩く「!!」

暴力「ど、どうしたんですか?」

天下無敵が何かに気付いて立ち止まる。

歩く「分かりません…突然邪悪な魔力が町全体…いや、下手したら国ごと、覆い尽くしました…!」

暴力「え、えっと、つまり、まずいってことですか?」

歩く「はい、かなり…!しかしこれだけの魔力…一体何が…!」


363 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/04(木) 20:06:39 VD4.f9eM00


アルベ「どうやら私たちのボスが成し遂げたらしいな」


暴力「わっ!ゴリラ!?」

歩く「貴方は昨日の…!」

アルベ「アルベルトだ」

歩く「アルベルトさん…成し遂げたというのはどういう意味ですか?」

アルベ「私たちは元々この世界を侵略した後、天界へ攻める予定だった。天界の頂点に立つことはすなわち世界の頂点に立つということだ」

歩く「まさか…」

アルベ「ああ。我がボスであるキング・オブ・妖魔様がそれを成し遂げたのだ…それにより魔力が世界を覆ったというわけだ…世界は完全に魔の一族の支配下に落ちた」

アルベルトはまだ妖魔が下目使いに下剋上さらたことを知らないのである。

暴力「そんな…!」

歩く「防ぐ手立てはないんですか…?」

アルベ「さあな…私はこの地上に取り残された身…ボスが天界に行ったことすら聞かされていなかったのだ。フッ、使えない駒は切り捨てる。奴はそういう男だ…」

歩く「アルベルトさん…」


364 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/04(木) 20:29:48 VD4.f9eM00


エルバン「☆だったら僕たちと共に来ないかい?」


アルベ「!!」

そこにいたのは、煙草マスターの祠から戻ってきたエルバンたち四人だった。

暴力「だ、誰ですか!?…あ、コテツくんに似てる…」

委員長は[自称]妹を見て呟く。

歩く「…凄い力を感じます…!貴方たちは一体…」

エルバン「☆僕は☆爆走戦士エルバン」

吐き気「俺は…うっぷ…3億ドルの吐き気だ」

タバスコ「煙草マスターの子です。タバスコとでも呼んでください」

妹「あたしは妹……ってあの時のゴリラ!」

妹はササッと吐き気の後ろに隠れる。

アルベ「お前は…!」

エルバン「☆おや、顔見知りかな?★まあとりあえず落ち着いて、話を聞いてよ。☆僕たちは元々煙草マスターっていう凶悪な戦士を倒すために集まったんだけど、事情が変わってね」


365 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/04(木) 20:31:50 VD4.f9eM00

タバスコ「父さんは敵なんかじゃなかった…そして、今倒さなきゃいけないのは、魔の一族だ」

エルバン「☆だけどこの大気に満ちた魔力…正直、僕たちだけじゃ心もとない。☆一人でも戦力を増やしたいんだ。☆どうかな?」

歩く「…心強いですね。ぜひ僕も協力させてください」

エルバン「☆そっか!よかった!☆よろしくね!」

歩く「はい!僕は歩く天下無敵と言います。皆さん、よろしくお願いします!」

エルバンと天下無敵は握手を交わす。

暴力「あの、僕は暴力委員長です!皆さんのように強くはないですけど…何か出来ることがあれば協力しますっ!」

タバスコ「ありがとう!」


366 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 0a50-b58a) :2019/04/04(木) 21:32:47 63gMei5U00
吐き気すでに体調悪そうだな大丈夫か?ww


367 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/05(金) 20:42:01 mimtd2xw00

吐き気「お前はどうする…オエッ」

吐き気はアルベルトを見て言った。

アルベ「私は…魔の一族だぞ」

歩く「昨日も言ったでしょう。何者であれ、自分の正義を貫くことが、きっと大事なんですよ」

アルベ「…甘い男だ。私に正義などない」

タバスコ「正義っていうか、信念みたいなものじゃないかな?つまり、あなたが今何をしたいかってことだよ」

エルバン「☆目的は関係ないんだ。☆ただ同じ敵を相手にしているなら、それだけで共闘する理由になるよ」

妹「ま、お兄ちゃんたちがそういうなら、あたしも歓迎してあげてもいいよ」

アルベ「…私は…」


368 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/05(金) 20:44:08 mimtd2xw00

アルベルトは俯いたまま拳を強く握りしめる。

歩く「アルベルトさん…?」


アルベ「お断りだ!!何度考えてもお前たち人間に迎合するなど、ありえんッ!!」


ドゴォッ!!!


歩く「!!」

アルベルトは吼えた。

同時に両腕で地面を叩き割り、大きな地割れを起こした。

暴力「うわあっ!」

アルベ「全員道連れにしてくれる!!」

ゴゴゴゴゴ…!!

エルバン「☆くっ!」

しかしこの場の一人を除いた全員が強者であり、その地割れから難なく逃れていた。

唯一反応できず地割れに落ちそうになった暴力委員長も、天下無敵によって助けられた。

アルベ「く…!」

暴力「あ、ありがとうございます…」

歩く「いえ。でも…」


369 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/05(金) 20:44:54 mimtd2xw00

エルバン「☆残念だよ…アルベルトさん」


ボォッ!!


アルベルトの足元から火柱が立ち昇った。

エルバンのPKファイヤーである。

アルベ「うおぉっ!!」

更に。

タバスコ「はっ!」


ギャリンッ!


タバスコがクローショットでアルベルトを捕らえ、引き寄せると。


ズドッ!!


蹴りで前方向へ突き飛ばす。

アルベ「ぬうっ…!」

そして。

吐き気「ファゥコォン…!」

吐き気はトドメの一発を撃つべく、拳に炎を宿す。


370 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/05(金) 20:46:35 mimtd2xw00


が。


バコッ!!


吐き気「!?」

その拳が振るわれる直前、一発の蹴りがそれを咎めた。

歩く「待ってください皆さん」

その蹴りは天下無敵が放ったものだった。

エルバン「☆何のつもり?」

アルベ「……!!」

タバスコ「情が移ってしまったんでしょうか…だけどその人は魔の一族だ。僕たちとは決して相容れない存在…それが今はっきりしたじゃないですか」

妹「そーだそーだ!せっかくあたしたちが暖かく迎え入れてあげようとしたのに!サイテー!」

歩く「ですが…」

吐き気「憐れみか。戦場で突然敵対関係の相手にそういった感情が芽生えることは珍しくない…オエッ…だが…正義を語るなら、時には心を鬼にすることも必要だ」


371 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/06(土) 20:51:29 zWA8KmAk00

アルベ「…フン!やはり甘い!甘過ぎる!!ならばお前から地獄に引きずり込んでやろう!!」

ダッ!!

自分をかばって前に出た天下無敵に、アルベルトは背後から襲いかかった。

タバスコ「言わんこっちゃない!」

タバスコもそれを止めようと飛び出すが、間に合わず。


ドゴォッ!!


アルベ「!?」

アルベルトのパンチに対し、天下無敵はヨーヨーをぶつけ相殺していた。

タバスコ「ふー…ヒヤヒヤさせないでくださいよ…」

エルバン「☆今…彼は明確に拳を狙ったね…☆やろうと思えば一方的にカウンターを合わせることもできただろうに」

吐き気「ああ…奴は優しすぎる」


372 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/06(土) 20:53:01 zWA8KmAk00


歩く「…アルベルトさん…やはり貴方は今、自ら死を望んでいる」


アルベ「何…!?」

エルバン「☆え?」

タバスコ「ど、どういう事です?」

歩く「…ずっと気になっていたんです。昨日お会いした時、貴方の側にもう一人、ゴリラの方が倒れていましたよね?」

アルベ「…ああ…」

歩く「恐らくあの方はもうこの世にいないのではないですか?だからそんなに悲しそうな顔をしている…」

アルベ「だ、黙れ…!」

妹(え、あのゴリラ死んだんだ…)

歩く「この状況で僕たちに刃向かうほど貴方は頭の悪い人ではない筈です。普通の精神状態であればね」

エルバン「☆ま、まさかその仲間の後を追って…?」

タバスコ「魔の一族にもそんな愛情みたいなものがあるのか…」

歩く「貴方の本心を聞かせてくれませんか?」


373 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/06(土) 20:59:23 zWA8KmAk00


アルベ「…………そうだ……お前の言う通りだ。私はもう……生きていたくないんだ……」


歩く「ではやはりあの人は…」

アルベ「ああ…死んだ」

歩く「…そうですか……でも…貴方は生きなきゃいけない。あの人のために」


アルベ「生きて……生きて何の意味がある…!?」


アルベルトは涙を流す。

アルベ「この戦いは魔の一族の勝利だ!だがこんなにも虚しいのだ!私は何の為に戦った!?何故だ!!何故ここに!!ダーク内藤がいないのだッ!!!」

アルベルトは叫ぶ。

悲しみを吐き出す。

タバスコ「まるで人間だ…」

妹「ゴリラなのに…」

エルバン「☆だけど同情の余地はないよ。君たち魔の一族はそれと同じ事をこの世界の人たちに散々してきたんだから」

吐き気「ああ」

歩く「その通りです。だけど、きっとアルベルトさんはその痛みを知らなかったんです。友を、仲間を失うことが、どれ程大きな傷を心に残すのか」

アルベ「私はどうすればいい…わからないんだ…何も…」

歩く「なら僕たちと共に来てください。貴方が今感じている痛みを、多くの人々に与えてきた、その贖罪をするんです」

アルベ「……しかし…」


374 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/06(土) 21:32:59 zWA8KmAk00

エルバン「☆協力してくれるなら僕たちは歓迎するよ」

妹「えぇー信用していいのー?」

タバスコ「キミはブレないね…」

歩く「僕は貴方を信じます。痛みを知った貴方なら、きっと大丈夫ですよ」

天下無敵は優しく微笑みかける。

エルバン「☆そうそう、こんなに仲間もいるしね!☆キミは一人じゃないよ!」

アルベ「…………」

それでもアルベルトは俯いたままだ。


ばちーーん!!


アルベ「!?」

突如頬にビンタを喰らいビクッとなるアルベルト。

暴力「いつまでもウジウジしてないで、前を向きなさーーーい!!」


375 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/06(土) 21:35:35 zWA8KmAk00

歩く「委員長さん」

アルベ「な、なんだお前は…」

暴力「みんないつかは死ぬよ!!でもあなたは生きてるでしょ!!生きてたら近しい人の死に直面する!!だけどみんなそれを乗り越えてるんです!!そうじゃなきゃ死んだ人に失礼だから!!そして無理やりにでも前を向いていると、そのうち傷が癒えて、生きてることへの感謝や感動を覚えるようになるんです!!そうならなくても、そうなると信じることが力になるんです!!だからとにかく、今は前を向きなさーーい!!」

アルベ「……!」

アルベルトは顔を上げた。

暴力「生きていることはすごいんです!みんな、花丸ですっ!」

暴力委員長はにっこりと微笑んだ。

アルベルトはその無垢な笑顔を見て、腕でゴシゴシと涙を拭う。

アルベルト「…ああ…わかった……わかったよ……すまなかった!!」

ドゴッ!!

アルベルトは頭を自ら地面に打ち付けた。

歩く「!!」

妹「な、なに!?」

アルベ「私を…仲間に入れてくれ…!!」

エルバン「☆…!もちろん!」

吐き気「ああ。よろしく頼む…オエッ」

暴力「えへへ、もう大丈夫ですね!よくがんばりました!花丸あげますっ!」

アルベ「…ありがとう…!」


歩く(フフ、僕もまだまだだな…アマゾンくんといい委員長さんといい、子供たちから学ばされることばかりだ)


376 : はいどうも名無しです (アウアウ 9120-f00f) :2019/04/06(土) 21:58:28 CVQibd1ASa
委員長ええ子やなあ…


377 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 182f-c401) :2019/04/07(日) 01:21:07 RXjn3TGk00
委員長が良い子過ぎて泣いた


378 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/07(日) 20:01:14 MdXYL5oM00



???「茶番は済んだか?」



歩く「!?」

タバスコ「誰だ!?」

その声に全員が振り返り警戒する。

そこには緑色の帽子を被った男が立っていた。

歩く「…あ、貴方は…」

???「あん?どっかで会ったことあるか?」

エルバン「☆かなり強そうな佇まいだけど…知り合い?」


379 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/07(日) 20:03:02 MdXYL5oM00

歩く「確か…地上最強のチェマさん…ですよね」

チェマ「ああ、そうだが」

暴力「何者なんですか?」

歩く「この辺りの不良のリーダーのような人です。以前、町でお見かけしました」

チェマ「…フン…違うぜ、今はな」

歩く「今は?」

チェマ「やられたんだよ…アイツら全員、魔物にな」

歩く「えっ」

チェマ「絶対に許さねえ…アイツらバカばっかだったが、こんな俺を慕ってくれていた。割りと居心地が良かったんだよ…だが魔の一族はそれをぶち壊しやがった…!!この俺が根絶やしにする!!オイそこのゴリラ!!俺と戦いやがれ!!」

チェマはアルベルトを指差して言う。

エルバン「☆ま、待って…!」

アルベ「……良いだろう」

エルバン「☆えぇ!?君はもう僕たちの仲間に…」

アルベ「よせ。これは私がやらなければならない事だ。大丈夫、殺しもしないし殺されるつもりもない」

エルバン「☆…わかった」


380 : ハイドンピー (ワッチョイ d04d-1d1b) :2019/04/07(日) 20:06:31 MdXYL5oM00

アルベルトは前に出る。

チェマ「フン、魔の一族のクセにいい度胸だ。準備はいいな!」

アルベ「……すまなかった!!」

いきなりアルベルトは土下座した。

チェマ「あ!?」

アルベ「我々のせいで地上の多くの人々が犠牲になった!本当に申し訳ない!」

チェマ「何のつもりだゴリラ!」

アルベ「私は決めたのだ!彼らとともに世界を魔の手から取り戻すと!許さなくていい…必ず報いは受ける!だからどうか、それまで待ってくれないだろうか!」

チェマ「……!」

歩く「僕からもお願いします。彼の言葉に嘘はありません」

エルバン「☆僕からも頼むよ。☆一人でも仲間は多い方がいいからね」

吐き気「…まあもし裏切るような事があっても俺がボコボコにしてお前のとこに連れて行ってやるさ…オエッ」

頭を下げ続けるアルベルトをチェマはしばらく見て。


チェマ「………チッ…わーったよ。だが忘れるなよ。テメエは必ずこの俺がブッ飛ばす」

アルベ「ああ…!約束だ…!」

アルベルトはようやく頭を上げ、チェマを見上げた。


381 : ハイドンピー (スプー 2981-6d82) :2019/04/08(月) 17:49:42 NvT6IFgMSd


チェマ「で?何故俺を誘わねえ」

エルバン「☆えっ?」

チェマ「言ったろ。俺が魔の一族を根絶やしにすると。お前らだけに任せられるかよ」

エルバン「☆それって…」

チェマ「フン、俺は地上最強の男だぜ?これから戦争仕掛けようって時に、俺を仲間に入れない手はねえと思うがな」

エルバン「☆いいの!?勿論大歓迎だよ!」

歩く「貴方が加わってくだされば百人力ですよ。宜しくお願いします、チェマさん」

チェマ「おうよ!」

チェマは得意げに笑みを浮かべた。


382 : ハイドンピー (スプー 2981-6d82) :2019/04/08(月) 17:54:10 NvT6IFgMSd


ガチャリ

その時、横の建物のドアが開いた。


片割れ「なーんや事務所の前が騒がしい思ったら…こんなとこ集まって何しとんねんお前ら」


エルバン「☆あっ、昨日の!」

片割れ「おう。何なんやこの集まりは。ゴリラまでおるやんけ」

片割れは事務所の前にたむろする集団をじろじろと怪訝な顔で確認する。

チェマ「しばらくぶりだな片割れ」

片割れ「チェマ。お前またなんかやらかしたんか?」

チェマ「何もしてねえよ」

エルバン「☆知り合いだったんだね!」

片割れ「まあな。ここいらで有名な極道と不良っつったらワシら二人やしな」


383 : ハイドンピー (スプー 2981-6d82) :2019/04/08(月) 17:55:52 NvT6IFgMSd

暴力「に、似てる…」

片割れ「あん?ピカチュウ族もおるんか。この町じゃワシとナイフくらいのもんやと思っとったが…」

エルバン「☆僕たちは魔の一族を倒すために集まったんだ。☆キミもチェマさんの友達なら協力してほしいな」

片割れ「言うたやろ。ワシらは忙しいんや。ちゅうか友達ちゃうわ!大体、煙草マスターはどうしたんや?」

エルバン「☆その件はもう終わったよ」

片割れ「あ、そうなんか。そらご苦労さん」

チェマ「ったく小せえなあ…」

片割れ「…なんやと?」

チェマ「片割れ、俺は昔っから思ってたんだがよ…お前、自分より格上に挑んだりすることないよな。勝てそうな相手としか戦わねえ。ビビりすぎなんだよ」

片割れ「あァ!?」

チェマ「抗争だなんだと言ってる場合かよ?オメエだってさっきから漂ってるこの異様な気配くらい感じ取れんだろ?」

片割れ「…そらそうやが…」


384 : ハイドンピー (スプー 2981-6d82) :2019/04/08(月) 18:00:09 NvT6IFgMSd

チェマ「こいつを見ろよ。お前と同じネズミだが、まだガキだぜ?それでも勇敢に挑もうとしてる」

チェマは暴力委員長を指差して言う。

暴力「い、いや僕はそんな大したものじゃ…」

チェマ「何言ってんだ、胸を張れよガキンチョ。お前は度胸の座った男だ!…この腰抜けと違ってな」


片割れ「……ぐぬぬ……クソッ!しゃーないなまったく!オイナイフ!人間!留守番頼むで!」

片割れは事務所の中に向かって叫んだ。

エルバン「☆それじゃあ…!」

片割れ「フン!そこまで煽られて黙っとれるほど温厚ちゃうわ!ワシも戦ったろうやないか!!」

エルバン「☆ありがとう…!よろしくね!」


かくしてエルバンと吐き気の少数精鋭チームは、結構な大所帯へと成り上がった。

今、人類(?)による魔の一族への反逆が始まろうとしている…!


385 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/10(水) 19:20:21 92PV498YSd





その頃、勇者ヨシオ一行は。

勇者「いやー美味しかったですねここのラーメン」

Dr.神様「うむ。天界でもこんなに美味いものは食ったことがないぞ」

ラーメンを食べていた…!

今朝村を旅立ち、道中で発見した小さなラーメン屋に立ち寄っていたのである。


勇者「ごちそうさまでした!」

ラーメン屋を後にし、二人は再び旅路につく。

勇者「しかしDr.神様、さっき言ってた魔力って何だったんですか?」

Dr.神様「わからぬ…急に魔力が感じられなくなってしまったのじゃ。この下界に落ち、とうとう神としての力が完全に失われようとしておるのかもしれぬ…」

勇者「そ、そんなことがあるんですか…?」


386 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/10(水) 19:22:40 w5uc5Yxo00

Dr.神様「うーむ、儂とて下界に来たのは初めてじゃからな。不確定な要素も多い。じゃが案ずるな。儂はこれまでも神の力に頼らず、この腕力で戦ってきたのじゃ。魔物を討伐する上では大した問題ではないわい」

Dr.神様はムキっと筋肉を膨らませて、ドヤ顔をする。

勇者「そうですね…気にしすぎても仕方ありません!僕たちは僕たちのできることをしましょう!」

Dr.神様「うむ!」


バチバチバチバチッ!!!!


勇者「!!」

背後から迫った電撃を間一髪、勇者はかわした。


???「ヤァ…今の、よくかわしたネ」


Dr.神様「な、何者じゃ…!」

???「君たち、僕たちの敵でショ?消しに来たヨ」

そこに現れたのはヤミノツルギたちと同じ黄色いネズミであった。


387 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/10(水) 19:25:21 w5uc5Yxo00

勇者「魔の一族かっ!」

勇者は爆弾を取り出すが。


ヒュンッ!!


Dr.神様「き、消え…」


バチィッ!!


Dr.神様「ぐほぉっ!!」

勇者「Dr.神様っ!」

ネズミは一瞬にしてDr.神様の懐に潜り、電撃を浴びせた。

Dr.神様「だ、大丈夫じゃ…」

???「フゥン、ガタイが良いだけあってしぶといネ、無駄に」


ヒュンッ!!


再び高速で動き、勇者たちの視界から消える。

勇者「は、速すぎて目で追えない…!」


388 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/11(木) 16:57:47 nWKp5xLwSd


ドゴォッ!!


Dr.神様「がっ…!」


ヒュンッ!!


ズドッ!!


勇者「うわっ!」

???「遅すぎだネ」


ヒュンッ!!


ドガガガガガッ!!!!


勇者「うぐぅっ…!!」

ネズミの猛攻に勇者たちは手も足も出なかった。


389 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/11(木) 16:58:58 nWKp5xLwSd

勇者(このままじゃ二人とも消耗して終わりだ…!どうすれば…!)

勇者はガードしながら必死で打開策を考えるが。


バチバチバチッ!!!


勇者「うわぁぁっ!!」

電撃を受けて吹き飛ばされる。

Dr.神様「勇者!」

ガシィ!

それをDr.神様が受け止めた。

勇者「イテテ…あ、ありがとうございます…」

Dr.神様「気にするな…そしてすまぬ」

勇者「え?」


ブンッ!!!


勇者「おわぁっ!?」

突然、Dr.神様は掴んだ勇者をそのまま上空へと放り投げた。


390 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/11(木) 16:59:57 nWKp5xLwSd


???「何やってんだアイツラ…まあいいや、とりあえずデカいのから潰すヨ」


ヒュンッ!!


バチィッ!!


Dr.神様「グゥッ!!」


ズガガガガッ!!!


猛攻が更に加速し、Dr.神様は一気にダメージを負い。


ドサッ!


Dr.神様「ぐは…っ」

ついに体力の限界を迎え、倒れた。

???「さァ…トドメだヨ」


391 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/11(木) 17:33:24 x3KkFp/s00

ネズミはDr.神様の元へ歩み寄ってくる。


ひゅ〜〜…



ドドォォォォン!!!!



???「ぐあぁぁっ!!」

いきなり落ちてきた爆弾がネズミに直撃した。

Dr.神様「ぬぅっ…!」

爆風を受けDr.神様も吹き飛び、岩にぶつかった。


しばらくして、上空からフワフワと勇者ヨシオが降りてきた。

勇者「Dr.神様!大丈夫ですか!」

着地し、すぐにDr.神様のところに駆け寄る。

Dr.神様「問題ない、とは言い難いが…なんとか生きておるわ。それより、よくやったぞ勇者よ」

勇者「そんな、Dr.神様の作戦じゃないですか!完全に動けなくなった相手にトドメを刺そうとする時、どんなに速い敵でも必ず隙を見せる…そこに視界の外から攻撃を仕掛ける!」

Dr.神様「ああ…しかし何も言わずにいきなり投げ飛ばしてしまったからの。よくあれで作戦に気が付いたな」


392 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/11(木) 17:36:39 x3KkFp/s00

勇者「そりゃさっきのラーメン屋でラーメン待ってる間に"素早い相手と戦闘になった場合のイメージトレーニング"を行ったばかりでしたからね!」

Dr.神様「そうじゃったな…ふっ、とはいえイメージをすぐに形にできるとは流石じゃよ。やはりおぬしは天才じゃ」

勇者「や、やめてくださいよ。そもそもDr.神様の頑丈な体があってこそ成立する作戦なんですから…」


???「何をもう勝った気になってるんダ…?」


バリバリバリバリッ!!


勇者「!!」

爆煙が大量の放電によって掻き消され、中からネズミが起き上がってきた。

Dr.神様「ま、まだ動けるとは…!」

???「フン…なかなか効いたヨ……だが…一発で倒せるなんて、甘く見られたモンだナ…!」

勇者「くっ!でもその体じゃ本来のスピードは出せないはず…一気に終わらせてもらいます!」

ブンッ!!

勇者はよろよろのネズミに対し、容赦なく十数個もの爆弾を一気にぶん投げる。

だが。


???「無駄ダ」


393 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/12(金) 19:22:43 DNtEyPEMSd


バチバチバチッ!!


ボボボボボボボッ!!!


ネズミの放った電撃は見事に全ての爆弾を撃ち落とした。

勇者「なっ…!」


ヒュンッ!!


勇者「また消え…」


???「冥土の土産に僕の名を教えてあげヨウ…」

勇者「!!」

ネズミは一瞬で勇者の背後へ移動していた。

???「ξ黒きBla…」



ドドォォォォン!!!!


394 : ハイドンピー (スプー 5020-d30b) :2019/04/12(金) 19:23:46 DNtEyPEMSd


???「!?」

勇者「よしっ!」

ネズミの足元が爆発し、ブッ飛んでいく。

???「ぐおぉぉぉぉッ!!お、覚えておケ!僕はξ黒きBlackJoker!!絶対に逆襲してやるからナ、お前ラァァァァ!!」

キラーン

ξ黒きBlackJokerは星になった。


勇者「スピード系の人は背後を取りがち!イメトレ通りでしたね!モーションセンサー爆弾をあらかじめ仕掛けておいて良かった…!」

Dr.神様「フゥ…最後の一撃、真正面から来られていたら負けていたかもしれぬな…とてつもない強敵じゃった…」

勇者「はい…イメトレしてなければ勝ち目は無かったでしょう…」

Dr.神様「ああ…そうじゃな……ウッ」

ガクッ…

ドサッ

勇者「えっ!?ド、Dr.神様!?大丈夫ですか!?しっかりしてくださいっ!Dr.神様ーーーっ!!」

Dr.神様はとっくに限界を迎えていたが、アドレナリンでなんとか意識を保っていた。

戦闘が終わったことでそれがプツリと途絶えたのである。

倒れたDr.神様を、勇者はレイアの入院している病院まで運んだ。


395 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/12(金) 19:50:11 2DGE.wvI00




数十分後。

Dr.神様も入院が決定した。

Dr.神様「す、済まぬ勇者よ…次の町にたどり着くことすらできぬとは…情けない…」

勇者「そんな…!Dr.神様がいなければ、さっきのBlackJokerって人に手も足も出ませんでした…!」

Dr.神様「買い被りじゃ。おぬしはとても強い力を持っておる…勇者よ…おぬしなら必ずやり遂げられる…」

勇者「Dr.神様…」

Dr.神様「…とはいえ、流石に一人では荷が重かろう…仲間を探すのじゃ…!儂は天界で見ておったから知っておる…まだこの世界には…魔の一族に対抗しうる者たちがたくさんおるのじゃ…!」

勇者「…はい…!!」

Dr.神様「任せた…ぞ…」

Dr.神様は疲れからか、眠りについた。


勇者「Dr.神様…レイアさん…!皆さんの意志は僕が必ず果たしてみせます…!!」


396 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/13(土) 19:33:19 pAhYfMMw00







お昼を過ぎた頃。

隣国・北の町では。

ドドン「ふぁ〜あ…よく寝たドン」

デスエン「起きたか」

ドドン「あ、デスエンさん、おはようドン」

デスエン「ああ。次の目的地が決まったぞ」

ドドン「お!どこドン?」

デスエンは無言で上を指差しニヤリと笑う。

ドドン「上?えーっと…宇宙ドン?まあ確かに宇宙にはこの星以上に訳わからないヤツらがウジャウジャいるけドン」

デスエン「フ、それも面白そうだが…違う。天界だ」

ドドン「天界!?」


397 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/13(土) 20:29:33 pAhYfMMw00

デスエン「どうやら仲間集めなんて悠長なことをしている場合じゃなかったらしい。下目使いが世界の頂点に立った」

ドドン「え!?どういうことドン…?」

デスエン「ヤツが全能神になったということだ。人間たちや俺らとの戦争をすっ飛ばして、いきなり天界を攻めるとはな…やられたよ」

ドドン「…その割には楽しそうだなドン?」

デスエン「そりゃそうだろう。ククッ、見下すのが大好きなアイツは頂点に立ってさぞ気分が良いだろうからな…それを引きずり下ろした時のカオが、今から楽しみでしょうがない」

ドドン「あー、まあわかるドン」

姉「ウフフ、まったく子供ねぇ♡」

たま「ほんと、呆れるよ」

そこへ二人のアーマー女戦士たちと、㌦ポッターも合流した。

Φデスエンペラーがすでに念話によって呼び出していたのだ。

デスエン「来たか」

㌦「は、早いよ呼び出すのが…ほとんど休めなかった…」

デスエン「そうか?数時間はあっただろう。というかお前は別に戦ってないじゃないか」

㌦「そうだけど…」


398 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/13(土) 20:31:09 pAhYfMMw00

デスエン「さて、んじゃ早速行くぞ。本来なら天界には結界があって入れないんだが、下目使いはまだ全能神の力を使いこなせてはいないようだ。今なら普通に俺たちも天界に侵入できる」

ドドン「なるほど。…ところで、あの二人はどこドン?」

デスエン「二人?ああ、剣士たちの事か。アイツらは別のところに行ったよ。まあ気にするな」

ドドン「そうかドン」

デスエン「さあ、全員アーウィンに乗り込め」

Φデスエンペラーはそう言うと右手を開き、高く掲げる。

ゴゴゴゴゴ……

すると上空に暗雲が立ち込める。

ドドン「うおぉ…!なんかすごいドン!」

㌦「とてつもない魔力…!」

デスエン「ゲートを開くぞ」


ゴゴゴゴゴ…!


集まった暗雲が渦を巻いてゆく。

そして。


399 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-d30b) :2019/04/13(土) 20:36:32 pAhYfMMw00


グパッ!!


その中心部の空間に穴が空いた。

ドドン「あの中に行けばいいドン?」

デスエン「ああ」

姉「穴の中に…ウフフ…♡」

ドドン「どうしたドン?」

たま「気にしないでくれ」

ドドン「? あ、デスエンさんもアーウィン乗ってくドン?完全に定員オーバーだけど、上に飛ぶだけならいけるドン」

デスエン「おお、いいな!」

デスエンもアーウィンに乗り込み。

キィィィン…!

アーウィンが離陸する。

ドドン「よし!いくドン!」


ゴォッ!!


五人を乗せたアーウィンは上空の穴へと突入した。


400 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/14(日) 19:51:20 UTQTpMSI00







天界・上層では。

下目「いつまで遊んでるんだヤミ」

ヤミ「フ、少々魔炎の出力が膨大すぎてコントロールが効かなかったのだ。だがもう慣れた。此れで終わらせる」


ボォォォォォッ!!!


ヤミノツルギ†は大量の魔炎を放つ。

㌧「くっ!」

㌧とマックスはそれをかわす。


401 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/14(日) 19:52:49 UTQTpMSI00

マックス「ハッ、何だよ!今までと変わらねえぶっぱじゃねえか!こっちもいい加減よけるのに慣れてきたぜ!そろそろ反撃させてもらう!」

㌧「違う!後ろです!」

マックス「!?」

マックスは振り返る。

二人にかわされて通過した魔炎が、カーブして背後から迫ってきていた。


ダンッ!


マックス「うおっ!?」

ギリギリのところで跳び上がり、なんとか回避する。

しかし。

ヤミ「ククク!馬鹿め!空中ではかわせんぞ!」

魔炎は更にカーブし、空中のマックスへ襲いかかった。

マックス(ヤベェ!死ぬ!)

マックスは死を覚悟した。

㌧「間に合え…っ!」


ダッ!!


402 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/14(日) 19:53:40 UTQTpMSI00


ズオオオオッ!!!


魔炎はマックスに直撃したかに見えたが。

マックス「…し、使者様!!」

㌧がマックスを庇い、魔炎を盾でガードしていた。

㌧「ぐ…!長くは持ちません…!貴方は退いてください!」

ヤミ「フハハハハ!!言った筈だ!!此れで終わりだと!!」


ギュオオオオオオ!!!!


魔炎の威力が更に増す。

㌧「ぐあああっ!」


ドオォォォ!!


魔炎は盾を消し去り、㌧を呑み込んだ。


やがて魔炎が消えると、二人の姿は完全に消滅していた。


403 : ハイドンピー (ワッチョイ d1cb-6d82) :2019/04/14(日) 19:59:23 UTQTpMSI00


ヤミ「ククク…フハハハハ!!気分が良いな!これ程の出力が出せるとは!今なら、キング・オブ・妖魔!貴様にも負ける気がせんぞ!」

妖魔「何?」

下目「やめろ二人とも」

妖魔「はい…」

下目「…ふふ…これでこの上層で僕らに刃向かう奴はいなくなったかな」

ヤミ「正真正銘、我らが全てを支配したという事だな!ククク!」

下目「ああ。でもまだだよ。下にたくさんいる」

ヤミ「クク、反乱分子か。フン!恐るるに足りぬわ!総じて我らを脅かす程の敵にはなりえぬゴミばかりだ!」

下目「まあね。だけど念には念をだ。確実に全員仕留める。"今ヤミが逃したヤツ"もね」


404 : ハイドンピー (スプー 9d52-7f71) :2019/04/15(月) 17:35:31 OD1XjsdESd





天界・下層。

マックス「うわあああああ!!」

ボフッ!!

マックスは雲の地面に頭から落ち、突き刺さった。

スポン!

頭を引っこ抜き、辺りを見回す。

マックス「こ、ここは…」

???「下層です」

マックス「おわっ!」

すぐ横にピンクのパワードスーツを着た女が立っていた。


405 : ハイドンピー (ワッチョイ e0db-7f71) :2019/04/15(月) 17:36:59 i.5/FRok00

???「やはりこうなってしまいましたか…」

マックス「お前は…」

???「私は聴牌。下層の東地区に住んでいる天使です」

マックス「知ってるぞ…確か未来予知の力を持ってるとか…」

聴牌「予知…いえ、ただの予測ですよ。情報を整理しさまざまな確率を計算して、何が起こるかを導き出しているに過ぎません」

マックス「そうなのか…たしかその腕を買われて神様の直属チームに誘われたが、断ったらしいじゃねえか」

聴牌「ええ。私はこう見えても雀士ですから」

マックス「こう見えてもってそんなスーツ着てたら見た目分かんねえよ……って、んな話してる場合じゃねえ!」

聴牌「そうですね。では念のため確認させてもらいますが…貴方は上層で悪魔の下目使いから全能神の玉座を取り返すべく魔の一族と戦うも、魔力が倍増したヤミノツルギの魔炎によって倒される直前、使者様に庇われ、この下層へ逃がされた…で、あってます?」

マックス「あ、ああ。すごいな、その通りだ。…使者様はもう…くっ…!俺なんかのために…!」


406 : ハイドンピー (ワッチョイ 1c45-7f71) :2019/04/15(月) 17:38:14 iro9q64I00

聴牌「では私の予測通りですか…マックスさん、神様の杖は持っていますね?」

マックス「ああ」

マックスはポケットから神の杖を取り出す。

聴牌「こちらへ」

マックス「ん…?」

案内され少し先へと進んでいくと。

マックス「なっ…!下界へのゲートが開いている!?」

そこには数人の天使たちによってゲートが開かれていた。

聴牌「はい。全能神様のお力が感じられなくなった時から、こうなることを予測して準備を進めておきました。結界がなくなっている今なら、私たち天使の力でもゲートは開けますから」

マックス「え、だが、下界と繋いで何の意味が…」

聴牌「貴方も知っているはずです。下界には強力な戦士たちがいる…天界へ呼ぶのです。魔の一族と戦うための、仲間を!」

マックス「……!そうか!杖があればテレパシーで下界の人間に話しかけられる!」

聴牌「はい。まだ希望は尽きていません…!」

マックス「ありがとう聴牌、お前がいなけりゃ俺は諦めてただろうよ…!」

マックスはニヤリと笑う。

聴牌はそれを見てコクリと頷いた。


407 : ハイドンピー (スプー 9d52-7f71) :2019/04/16(火) 19:19:47 ONrjsnAwSd

マックス「よっしゃあ!そうと決まれば早速…」



ドォォォォッ!!!!



マックス「!?」

遠くで轟音が響いた。

マックス「今の音…下目使いたちが天界に現れた時と同じだ…!」

聴牌「別の魔の一族が侵入してきたようですね…とてつもない魔力を感じます…」

マックス「奴ら、更に援軍を寄越しやがったのか…!!」

聴牌「落ち着いてくださいマックスさん。確かに魔の一族の魔力も感じられますが…その他にも四人の気配があります…恐らくこの四人は下界の住人です」

マックス「ど、どういうことだ…?」

聴牌「分かりませんが…とにかくマックスさんは予定通り、下界の仲間を呼んでください。私はこの気配を観察してこれからの流れを予測します」

マックス「わかった…!任せたぞ!」

聴牌「はい!」


408 : ハイドンピー (スプー 9d52-7f71) :2019/04/16(火) 19:21:52 ONrjsnAwSd






下界。

ポイゾネサスたちの暮らす王国では。

ワアアアアア…

何やら町が騒がしくなっていた。

ヒーロー「一体何の騒ぎだ?」

満たされないヒーローはようやく出番かと、たむろする住民たちの隙間を抜けて顔を出す。

司会「優勝し[世界第1位]の座に輝いたのはやはり今回もこの男…ゲンだ〜ッ!!」

住民たち「うおおおおお!!」

司会の男が、筋骨隆々なレーサー服の男の右手を掴んで高く掲げた。


ゲン「ハッハッハ!!オレに勝とうなんて百年早いぞ!!」


409 : ハイドンピー (ワッチョイ 5c6a-7f71) :2019/04/16(火) 19:30:25 blydyuVw00


司会「おめでとうございます!これで五百連覇ですね!今のお気持ちは?」

ゲン「ふっ、当然の結果だ!だがみんなめげずにこれからもチャレンジしてくれ!このオレを楽しませてくれる挑戦者を、いつでも待っているぞ!!」

住民たち「うおおおおお!!」


ヒーロー「ああ、そうか…今日はエフゼロ大会の日だったか」

この町ではエフゼロというレース競技が流行っていた。


???「うわ〜、相変わらずすごい盛況ですね」


ヒーロー「ん?」

話しかけられて振り返ると、そこには黄色い帽子の少年がいた。

ヒーロー「おお、ÅライムライトÅじゃないか」

ライム「こんにちはヒーローさん。今日もおつかれさまです」

ヒーロー「はは、相変わらず何も起きないけどな」

ライム「平和なのは良いことですよ!ただ、少し気になることが…」

ヒーロー「気になること?」

ライム「はい。ちょっと前から、空気がピリつくというか。何だか異様な雰囲気を感じるんです…」

ヒーロー「どういうことだ?ライムの持つPSIとかいう力で感じ取っているのか?」

ライム「はい。最近話題の魔の一族とかいうヤツらの仕業でしょうか…」


410 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/17(水) 19:26:06 9hJXhQy200

ヒーロー「その発生源とか分からないのか?分かれば俺が行って調べてくるが」

ライム「いやそれが全く…本当に突然、世界全体が覆われたみたいな感じで…」

ヒーロー「そうか…報告ありがとうな!もしもまた何かあったらすぐに連絡してくれ」

ライム「はい!じゃあ僕はおつかいの途中なのでこれで失礼しますね!」

ヒーロー「ああ、気をつけてな」

ÅライムライトÅは去っていった。


ヒーロー「魔の一族か…この国にはまだ現れてないが…近いうち、ついに俺の出番が来そうだな……ん?」

ヒーローは足元にフワフワとしたものの感触を感じ、視線を落とす。

そこには一匹のねこがいた。

ヒーロー「なんだ、ねこか」


411 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/17(水) 19:27:04 9hJXhQy200

ねこ「こんにちは」

ヒーロー「…………………」

ねこ「?」

ヒーロー「どわぁ!?ねこが喋った!?」

ねこ「遅いよ」

ヒーロー「す、すまない。現実を受け入れるのに時間がかかった…」

ねこ「ボクは∮アルティライトねこです。よろしくおねがいします」

ヒーロー「あ、ああ…外国には動物が喋る国もあるんだよな…」

ねこ「はい。外国からきました」

ヒーロー「それで…俺に何の用だ?」

ねこ「実はこの国に危機がせまっています」

ヒーロー「何!?」

ねこ「さっき別のヒトにも言ったんだけど、そしたらアナタを紹介されました。ヒーローなんですよね」

ヒーロー「ああ」

ねこ「かくかくしかじか」

ねこはポイゾネサスに話したことをそのまま話した。


412 : はいどうも名無しです (ササクッテロ e84f-dbf6) :2019/04/17(水) 21:30:42 7yOwOTWUSp
たくさん下目が見れて嬉しい
今のところボスは下目だけなのかな


413 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/18(木) 17:34:45 mPOB6G.600


ヒーロー「…フム、なるほど。任せたまえ!もし何か起きたら俺が解決してみせる!」

ヒーローは親指を立ててニッと笑った。

ねこ「おー、たのもしいですね。じゃあよろしくおねがいします」

ヒーロー「ああ!」

ねこ(ちょっと不安だなぁ…)



ズドォォォォッ!!!!



ヒーロー「!?」

突如、ヒーローたちの後ろの方から凄まじい炎が噴き上がった。

住民A「な、なんだ…?」

住民B「花火かな」

住民C「まったくこんな街中でやるなんて困ったもんだな、ははは」

平和すぎるため全く危機感のない住人たち。


414 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/18(木) 17:36:39 mPOB6G.600

ヒーロー「いやどう考えても異常だろう!!みんな、ここから離れるんだ!!」

住民D「いやいやそんな大袈裟な」

住民E「どうせ子どもの火遊びだろう?はは、俺も昔はよくやったもんさ」

ヒーロー「だめだこいつら!」

ヒーローは避難させるのを諦め、炎の噴き上がった場所へと走った。



ヒーロー「ここか…」

そこに着くと、煙が充満していた。


???「ゲホッ、ゲホッ!いけたか…?」


ヒーロー「誰だ!」

煙の中に何者かの影が見え、ヒーローは身構える。

???「その声、人か…?てことは、地上に戻ってこれたんだな」

ヒーロー「何のことだ…!?」

???「ああ悪い、俺は15人目の天才。魔界から来た」

煙の中から現れたのは、ケに捕まり消えた天才だった。


415 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/18(木) 17:39:02 mPOB6G.600

ヒーロー「魔界から!?やっぱり魔の一族か!!」

ダッ!!

ヒーローは天才に飛びかかる。

天才「うお、ちょっと待て」


ピキンッ!


ヒーロー「うわっ!」

ドサァッ!

天才はリフレクターを発動し、ヒーローを弾き返した。

天才「落ち着け。違えよ。俺は魔界に連れ去られてたんだ。んで向こうで魔物ども薙ぎ倒して、ようやくこっちへのゲート開かせて、戻ってこれた」

ヒーロー「え?それじゃあキミは、この世界の住人…?」

天才「だからそう言ってるだろ」

ヒーロー「そ、それはすまないことをした!」

ヒーローは頭を下げる。

天才「分かりゃいいよ。ところで、ここどこだ?」


416 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/18(木) 17:42:13 mPOB6G.600

ヒーロー「ああ、王国の城下町だよ。ほら」

ヒーローが王国の名前が書いてある看板を指差す。

天才「あー、なるほど。結構離れたトコに出ちまったな。アーウィンも向こうにあるし……まあしょうがねえ。たまには歩いていろんな国巡りながら帰るってのも面白そうだ」

ヒーロー「体は大丈夫なのか?」

天才「ん?何が?」

ヒーロー「いや、魔界に連れ去られてたんだろう?何かされたりとか…」

天才「特にねえな。寄ってくる魔物をとりあえずぶっ倒しまくってただけだ。まあ多少疲れはあるが、雑魚しかいなかったしな」

ヒーロー「そうなのか…まあ無事ならいいんだが」

ねこ「もしかしてすごくつよいヒトですか!?」

ねこがヒーローの後から来て言った。

天才「うわ!ねこが喋った!」

ヒーロー「キツネのキミが言うか」

天才「なんか言っておかないといけない気がした」


417 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/19(金) 19:27:59 b8tuzcV200

ねこ「すごくつよいヒトですよね!?」

天才「…まあ弱くはねえと思うが。何なんだ?」

ねこ「やっぱり!ボクの勘はよく当た…」


ズドォォォォ!!!!


天才「うおおっ!?」


ねこ「!?」

ヒーロー「今度は何だ!?」

突如、天才の足元からピンク色のオーラのようなものが立ちのぼった。

天才「うぐうぅっ…!!マジかよ、クソ…ッ!!」

そのオーラは天才を包み込む。

そして。


ドガァァァン!!!!


そのオーラは爆発のように弾けた。


418 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/19(金) 19:29:54 b8tuzcV200

シュウゥゥ…


その中心にいた天才は、目を閉じて立っていた。

ヒーロー「だ、大丈夫か!」

天才「…………」

ぱちっ

天才は目を開ける。


天才「あう〜〜」


ヒーロー「!?」


チュンチュンチュンチュン!!


ドドドドドドドド!!!!


天才はブラスターで周囲を撃ち、町を破壊した。

住民たち「きゃああああ!!」

ヒーロー「なっ、何のつもりだ!」

天才「んあ?」

チュンッ!

ヒーロー「なッ!」

天才は何の迷いもなくヒーローへブラスターを放つ。

ヒーローは持ち前の反射神経でガードするが。

ヒーロー「しょ、正気を失っている!一体何が起きたんだ…!」


419 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/19(金) 20:06:20 b8tuzcV200

ねこ「勘は当たったけど…!なんでこうなっちゃうかな…」

天才「やー!」


ドガァッ!!


ヒーロー「ぐああっ!」

一瞬のうち間合いを詰められ、ヒーローは蹴り飛ばされた。

ねこ「やっぱりすごくつよい!」

ヒーロー「くっ…!まさかこれが…この国の危機なのか…!?」

天才「ぽよ?」

天才は逃げ惑う住民たちに目を向けた。

ヒーロー「住民たちを狙う気か!そうはさせない!お前の相手は俺だっ!」


ドゴォッ!!


天才「わー!」

ヒーローの飛び蹴りが天才の顔面に炸裂し、吹っ飛んだ。

ズザァ!

天才は着地すると、ヒーローを睨みつける。

ヒーロー「それでいい!ねこくん、みんなに避難するよう言ってくれ!この辺りにいると危険だ!」

ねこ「わかりました!」

ねこは頷き、走っていった。

ヒーロー「さて、とうとう満たされる時が来た!この町は俺が守るっ!!」


420 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/20(土) 19:43:09 MfFwjIGM00


バキィ!!


ヒーロー「ぐわあ!!」

再び天才はヒーローを蹴り飛ばした。


ダダダッ


ズドッ!!


更に距離を詰めて上空へと蹴り上げる。

ヒーロー「ぐっ!」


ズドッ!!

ズドッ!!


ヒーローはそのままお手玉のごとく何度も蹴り上げられた。

ヒーロー(ま、まずい…態勢を立て直さなければ…!このままでは星になってしまう!)


421 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/20(土) 19:44:18 MfFwjIGM00


ブゥーーーーン…!


ヒーロー「!? この音は!」

天才「ぽよ?」


ドガァァァン!!!!



天才は横から猛スピードで突っ込んできた"青い何か"に轢かれて吹っ飛んだ。

天才「わ〜〜〜!!」

ズボッ!

ゴミ箱に頭から落ちる。

ヒーロー「あ、あれはブルーファルコン!」

ゲン「ハッハッハ!苦戦しているようだなヒーロー!力を貸すぞ!」

ブルーファルコンと呼ばれる機体から、ゲンが現れた。

ヒーロー「ゲンさん!すまない、助かった!」

ゲン「ハッハッハ!なーに気にするな!オレもコースを壊されては困るからな!」


422 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/20(土) 19:45:35 MfFwjIGM00

ヒーロー「だが逃げてくれゲンさん、アンタも一般人だろう。ここは俺に任せるんだ!」

ゲン「なにぃ!?ハッハッハ!さてはオレをただのレーサーだと思っているな!?言っておくがオレの持つ[世界第1位]の称号には、エフゼロで最速というだけでなく、オレ自身の強さも含まれているんだ!」

ヒーロー「そんなわけないだろう!初めて聞いたぞ!」

ゲン「ハッハッハ!キミが知らないだけさ!とにかくオレも戦うからよろしくな!」

ヒーロー「遊びじゃないんだ!頼むから避難してくれ!」

ゲン「釣れない事を言うなあ!そもそもオレが助けに入らなかったらあのまま負けてたじゃないか!」

ヒーロー「なんだとぉ!?」

天才「まーまー…」

ヒーロー「!!」

天才が起き上がり、二人の間に入った。

ゲン「ハッハッハ!敵に宥められちゃったな!そう怒るなヒーロー、少なくともキミ一人でやるより勝率は上がるハズだ!」

ヒーロー「…くっ、仕方ないか…頼むぞゲンさん!」

ゲン「ああ!」


423 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 12c5-dbf6) :2019/04/22(月) 01:14:26 K1Ld5kYQ00
天才は下目に操られてるのかな


424 : ハイドンピー (スプー 1789-dbf6) :2019/04/22(月) 19:14:37 RG6OQQ52Sd




しかし二人掛かりでも天才には敵わなかった。

ヒーロー「く、くそ…」

ゲン「ハッハッハ……なんという…強さだ…」

ガクッ…

二人は意識を失った。

天才「ほあ〜」

天才は倒れた二人の息の根を止めようと近づく。

そこへ。

ザッ!

黄色い少年がやってきた。


425 : ハイドンピー (スプー 1789-dbf6) :2019/04/22(月) 19:15:08 RG6OQQ52Sd

ライム「間に合わなかったか…!」

天才「およ?」

ライム(とてつもない力を感じる…!あの人…めちゃくちゃ強い…!)

天才「とお!」

ヒュンッ!!


ドガァッ!!


ライム「ぐあっ!」

一瞬で距離を詰め、ライムライトを蹴り飛ばす天才。

ズザザザッ…

ライム「くっ!三人がかりならなんとかなるかと思って駆けつけたんですが…!二人がこうも早くやられるとは…!」

天才「ぽよ!」


426 : ハイドンピー (スプー 1789-dbf6) :2019/04/22(月) 19:16:44 RG6OQQ52Sd




その頃ねこは…

ねこ「たいへんですよ!」

ポイゾネ「うわ!また来た!」

近隣住民たちの避難を終えて、ポイゾネサスの元を再び訪ねていた。

ねこ「この国の危機がやってきました!」

ポイゾネ「えぇ!?」

ねこ「キミの力が必要なのです!きてください!」

ポイゾネ「いやだから僕ただの一般人だよ!?ていうかヒーローは!?会えなかったの!?」

ねこ「会えたけど、やっぱりあのヒトではダメそうです。とにかくきてください」

ポイゾネ「そんな無茶苦茶な…!」

ねこ「力の使い方はボクが教えます」

ポイゾネ「え!?いや、ねこじゃん!!」


427 : ハイドンピー (スプー 1789-dbf6) :2019/04/22(月) 19:17:46 RG6OQQ52Sd

ねこ「実はこれは仮のすがた…」


ピカァーン!!


ポイゾネ「うわっ!?」

ねこの体が突然光った。

そして数秒後、光が収まると。

ねこ「これがボクの真のすがたです」

ねこは黄色い恐竜っぽい姿になっていた。

ポイゾネ「え!?なっ…ど、どうやったの…!?」

ねこ「アルティライト・パワーです」

ポイゾネ「分からないよ!!」

ねこ「うん。だって今名付けたし、アルティライト・パワー」

ポイゾネ「テキトーかっ!!」

ねこ「テキトーです。これは戦いにはカンケーないので」

ポイゾネ「ないの!?」


428 : はいどうも名無しです (ラクラッペ db4a-dbf6) :2019/04/22(月) 20:34:56 ob5V7jUsMM
ポイゾネの主人公感めちゃくちゃ好きだ……!
支援のドドン


429 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 6ec8-dbf6) :2019/04/22(月) 21:16:21 hE2rDrZI00
天才は操られていておそらく全力ではないだろうにもかかわらずこの強さ
ポイゾネならなんとかなるか?


430 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/23(火) 19:19:15 lSwJ.tmM00

ねこ「はい。さあ、これをどーぞ」

ねこはどこからか剣を取り出し、ポイゾネサスに差し出した。

ポイゾネ「うわ!?どっから出したの!?お茶のときも思ったけど!!」

ねこ「アルティライト・パワーです」

ポイゾネ「…それ気に入ったの?」

ねこ「はい。とりあえずキミは剣が使えそうだから、どうぞ」

ポイゾネ「使ったことないよ…」

ねこ「大丈夫です。ボクの勘は当たるのです。きっとなんとかなります。さあ、さあ!」

ねこはグイグイと剣の柄を押し付ける。

ポイゾネ「わ、わかったよもう!」

ねこの圧力に負け、ポイゾネサスは剣を受け取った。

その時。


431 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/23(火) 19:20:49 lSwJ.tmM00



ズギュゥゥゥン!!



ポイゾネ「!?」

ポイゾネサスの頭に衝撃が走る。

ねこ「どうかしましたか?」

ポイゾネ「な、何だこれ…!うわああああっ!!」


ドドドドドド…!!


ポイゾネサスの脳裏に謎の記憶の奔流が押し寄せる。

大剣の大男。

豚の怪物。

数々の化け物たち。

大量に押し寄せるニワトリ。

ただの一般市民であるポイゾネサスが、経験したことなどあろうはずもない、いくつもの戦いの記憶が。



パチッ!



奔流が止み、ポイゾネサスの意識が帰ってくる。

ポイゾネ「はっ!い、今のは……!前世…いや、もっと…遥か昔の…先祖の記憶…?」


432 : ハイドンピー (ワッチョイ 2e2c-dbf6) :2019/04/23(火) 19:22:07 lSwJ.tmM00

ねこ「そっか。剣を手にしたのがトリガーになって…"見た"んですね」

ポイゾネ「へ?」

ねこ「昔ボクも見ました。赤い帽子のヒトを背負って、冒険したり、乗り捨てられたりする記憶を」

ポイゾネ「どういうことなんですか…?」

ねこ「ボクにも詳しくはわかりません。ただ一つ言えることは、それを見たヒトは例外なく…"ファイター"だってことです」


433 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/24(水) 18:56:58 KVvPq9L.00







その頃、隣国・南の町では。

がしっ!

部長「これで…終わりです!」

ひゅ〜〜 ドサッ

魔物の残骸が投げ捨てられる。

脇役「…!」

部長「さあ、手を!」

脇役「ああ…」

グイッ

部長は埋もれていた脇役をとうとう救出した。


434 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/24(水) 18:57:55 KVvPq9L.00

部長「ふうっ!」

脇役「助かった。礼を言う…」

部長「いやいやお礼なんてそんな!私はあなたに助けてもらったお返しをしただけですよ」

ゲイ「フフ…僕のことは助けてくれないのかな?」

部長「!」

脇役「放っておけ……それより…待っている人がいるんじゃないのか…」

部長「はっ、そうでした!では、失礼します!」

部長は去ろうとするが…


魔物「ガルルルル…」


部長「!!」

数十匹の魔物たちが目覚め、脇役を取り囲んだ。

脇役「どうした、早く行け…この程度の魔物…ぐ…っ!」

ガクッ…

脇役は膝をつく。

部長「む、無理ですよその体では…!」

脇役「くっ…」


435 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/24(水) 18:58:57 KVvPq9L.00

部長「任せてください!私が守ります!」

脇役「い、一般市民に…そこまでやらせるわけには…!」

魔物「グオオオオッ!!」

ダッ!!

一匹の魔物が脇役に飛びかかる。

部長「はあっ!」


ドゴォッ!!


魔物「ギャッ!」

部長のパンチにより魔物は吹っ飛んだ。

が。

魔物「グルルル…!」

魔物はすぐに立ち上がる。

その目は赤く光っていた。

部長「な、なんだ…!?今までの魔物と違う…!?」

ゲイ「フフ…この世界に満ちた魔力が、魔物たちに力を与えているようだね…!」


436 : はいどうも名無しです (ワッチョイ cd1e-32b7) :2019/04/24(水) 22:26:08 rt5/hjgY00
支援のドドン


437 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 2c27-32b7) :2019/04/24(水) 23:25:22 zMRhvIvc00
支援


438 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/25(木) 19:32:54 XS69SOCY00

部長「そんな…!いや、だとしても…!私が逃げるわけにはいきません…!」

脇役「よせ…!」

ゲイ「フフ…男らしい人だ…!敵でなければ惚れてしまうところだよ…!フフフフ…グハッ?!」

部長「!?」

ゲイの上に積み重なった魔物たちが蠢き始めた。


バキバキ…!

ベキベキ…!


脇役「と、共食いしている…!凶暴化の影響か…!」

部長「ゲイさん…!」

ゲイ「フハハハ!そうか…これが僕の最期か…!綺麗なゲイの名にあるまじき…最悪の死だ…!」

ゲイは笑った。


439 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/25(木) 19:34:13 XS69SOCY00


部長「うおおおおっ!!」


ズダダダダダッ!!!


ゲイ「え…?」

部長はゲイを喰らおうとする魔物の山を、怒涛のラッシュで吹き飛ばした。

脇役「何を…している…?!」

部長「…す、すみません…体が勝手に動いてしまいました…!」

ゲイ「…………!」

ゲイは呆然としていた。

部長「さあ、手を…」

ゲイ「!!」

部長はゲイに手を差し出す。

ゲイはその手を払い。

ゲイ「フフ…敵である僕を…助けるとはね…」

ムクリと起き上がる。

部長「敵だからといって見殺しにするなんて、私にはできません…」

ゲイ「フフ、全く……甘い人だッ!」


ボウッ!!


部長「!!」

ゲイは部長に向かってPKファイヤーを放った。


440 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/25(木) 19:36:07 XS69SOCY00


かに見えたが。


魔物「グギャァァァ…!!」

部長の背後に迫っていた魔物が焼かれ。

もがいた後、消滅した。

部長「ゲ、ゲイさん…!」

脇役「貴様…」

ゲイ「フフ…勘違いしないでほしいな。貴方たちに組みするわけじゃないさ。ただどうやらこの魔物たち、僕の命令ももう訊かないようだしね…そして何より、この綺麗な僕のカラダに傷を付けた…使えない部下は要らないのさ」

部長「助かりました…ありがとうございます」

ゲイ「…僕の話聞いてた?」

脇役「要は一時休戦ということだろう」

ゲイ「フフ、まあそういう事だね…」

部長「では私が撃ち漏らした魔物はお二人にお願いします!」

脇役「了解した」

魔物「グオオオオオオオオ!!!!」

魔物たちが三人に向かって飛びかかる。

三人も構える。

部長「うおおおおおおおお!!!!」


441 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 2c27-32b7) :2019/04/25(木) 22:11:57 VMsIkO8U00
長イ脇ゲきたー
何気に一番好きなトリオかも


442 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/26(金) 19:14:54 A60oGkY200






その頃。

エルバンたちは、話し合っていた。

チェマ「その天界ってのに行くにはどうすりゃいいんだ?」

アルベ「妖魔は恐らく自身の持つ膨大な魔力によりゲートを開いたのだろう。だがヤツほどの魔力を持つ者はいない…」

タバスコ「それ以外に方法は無いんですか?」

アルベ「幹部のヤミノツルギや綺麗なゲイなど、魔力量は多くなくとも、魔力の扱いに長けた者はゲートを開けていたな…と言っても魔界から地上へのゲートだがな。天界となるとまた勝手が違うだろう…」

吐き気「オエッ…魔力か…俺にはよく分からないが…エルバン、お前ならできるんじゃないか?」

エルバン「☆どうだろ…やったことないけど…」

歩く「PSIと魔力が同じものなら、僕とエルバンさんでなんとかなりそうですが…」

エルバン「☆とにかく試すしかないね」


443 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/26(金) 19:15:56 A60oGkY200



二人はアルベルトの指示で、ゲートを開くやり方を試した。

しかし。

エルバン「☆だめだ〜!」

歩く「…やはり僕たちのPSIでは開けませんか…」

アルベ「PSIとかいう力は魔力とは別物なのか…」

タバスコ「物語みたいに都合良くはいきませんね…」

暴力(物語……本……?あ…!)

妹「ん?暴力お兄ちゃん、どうかした?」

暴力「あ、あの…参考になるか分かりませんが…僕がこの町に来る時、変な本でワープみたいに飛ばされて来たんです…」

エルバン「☆本?」

歩く「そうか!その本の力があれば天界へ行けるかもしれません…!」

チェマ「マジか!」

歩く「あ、いえ、あくまで可能性の話ですが…ただ僕も委員長さんがワープして来たのはこの目で見ましたから、そういった力を持った本であることは間違いありませんよ!」

片割れ「その本ってのはどこにあるんや?」

歩く「それは…」

暴力「わかりません…ただ、僕が元々いたのはこの国の北にある町です」


444 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/27(土) 20:47:41 D84XtyW200

エルバン「☆北の町…行ってみる価値はあるかもね!」

タバスコ「ありがとう、委員長!」

暴力「いえ、そんな!」


『その必要はないぞ』


エルバン「!?」

チェマ「ん?今誰かなんか言ったか?」

妹「なんか頭の中に直接…気持ち悪い!!」

マックス『俺はマックス。天使だ』

タバスコ「て、天使!?」

片割れ「ホンマにおるんやなぁ…」

マックス『ああ。今、天界からテレパシーでお前たちに話しかけている』


445 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/27(土) 20:48:15 D84XtyW200

歩く「もしかして、僕たちをそちらへ送ってくださるんですか?」

マックス『ああ、話が早いな!お前たちの国の中心部にある、一番高い山にゲートを開いた。すぐに向かってくれ!』

エルバン「☆ありがとう!」

マックス『こっちもまずい状況なんでな。下界の民に頼るしかねえ…力を貸してほしい』

歩く「勿論です!」

タバスコ「僕たちが力を合わせなきゃ奴らは倒せない」

吐き気「ああ。全員、分かっているはずだ」

チェマ「おうよ!」

アルベ「当然だ」

妹「お兄ちゃんたちのためなら、頑張れるよ!」

暴力「か、覚悟はできてますっ!」

マックス『恩に着る!』

エルバン「☆さあ、いこう!」

片割れ「カチコミじゃァ!!」

九人のファイターたちは天界へのゲートを目指し出発した。


446 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/27(土) 20:49:06 D84XtyW200






その頃、勇者ヨシオは。

仲間を集めるべく旅立ち、隣の町へ到着していた。

勇者「…あれ?魔物がいない」

国の全域に出現したはずの魔物が、そこには一匹たりともいなかった。

住民「そりゃあそうさ!この町には世界のrekuiemuがいるからね!」

勇者「rekuiemu?」

住民「彼だよ」

勇者は住民の指差した方を見る。


reku「ラララ〜♪安らかに〜眠れ〜♪」


墓地で水色のボールが何かを歌っていた。

住民「今日も鎮魂歌を歌っているようだね。彼はとても優しい人でね、亡くなった人や、自身が倒した魔物にまでその歌を贈るんだ」

勇者「何者なんですか?」


447 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/27(土) 20:51:03 D84XtyW200

住民「それが、素性はこの町の住民も知らないんだよ。魔物たちが攻めてきた時、颯爽と現れてこの町を救った。以来、毎日あんな調子さ」

勇者「そうですか…ありがとうございます」

勇者はその話を聞き、rekuiemuを仲間に引き入れようと決めた。


勇者は歌っているrekuiemuに近づく。

rekuiemuはその気配に気づいて歌うのを中断した。

reku「…誰だい?キミは」

勇者「勇者ヨシオといいます。この国に巣食う魔物たちを退治する旅をしてます」

reku「へえ。ご苦労様だね」

勇者「お願いがあります。rekuiemuさん、どうか僕の旅に力を貸してくれませんか?」

reku「やだ」

勇者「へ!?」

reku「僕は戦うのは本当は好きじゃないんだよ。この前は目の前で人が襲われてたから、仕方なく戦ったけど…」

勇者「そ、そりゃ僕だってこんな戦いはしたくないですよ…!だけど終わらせるには戦うしかない!」

reku「僕がやらなくても誰かがやってくれるさ…」


448 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/27(土) 20:52:42 D84XtyW200

勇者「そんな…!目の前でなければ襲われてる人がいてもどうでもいいんですか!?」

reku「うん。人はいつか死ぬものだよ」

勇者「む……まあ、無理強いは良くないですね…すみません」

勇者は引き下がり、次の町へ向かおうとした。

reku「えぇ!?もう行っちゃうの!?」

勇者「はい!?」

reku「いやもっとさ、あるじゃん!なんか交換条件を出すとかさ!諦めが良すぎない!?」

勇者「え、えぇ…」

reku「なんかないの!?」

勇者「そ、そう言われても僕あげられるものなんて何も持ってないしな…あ、爆弾いります?」

reku「いらないよ!」

勇者「うーん…じゃあやっぱり何もないですよ。すみません。では失礼しますね」

勇者は再び行こうとするが。

がしっ!

rekuiemuに肩をつかまれる。

勇者「な、何なんですか…」


449 : はいどうも名無しです (ササクッテロ cd66-dbf6) :2019/04/28(日) 10:14:08 2lcoXTdMSp
勇シオくんは意外とアッサリしてるというか、淡白なんだな。
引き止めるrekuかわいい


450 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/29(月) 21:41:17 TLgo8JLs00

reku「まったく、そこまで言うならしょうがないなぁ!特別について行ってあげてもいいよ!特別に!」

勇者「えぇ?」

reku「何?嫌なの?」

勇者「い、いえそんな!一緒に頑張りましょう!」

reku「うん!」

勇者(変わった人だな…)

こうして世界のrekuiemuが仲間に加わったのであった。


マックス『勇者ヨシオ!聞こえるか!』


勇者「!? だ、誰ですか!?どこから…」

reku「?」

マックス『お前と直接話すのは初めてだな。と言ってもテレパシーだが』

勇者「あ、もしかしてDr.神様の仲間の…」

マックス『ああ。天使のマックスだ』

勇者「マックスさん、よろしくお願いします」


451 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/29(月) 21:42:55 TLgo8JLs00

マックス『神様は魔の一族にやられちまったらしいな。さっきテレパシーで話したが、まだとても動ける状態ではないと言っていた』

勇者「はい…僕がもっと強ければ…すみません」

マックス『お前を責める気はないさ。んなことしたら俺が神様に怒られちまう』

reku「誰と話してるの?」

マックス『お前は勇者の仲間か?』

reku「うわ!頭の中に直接声が…!」

勇者「そうです。こちらは世界のrekuiemuさん。今仲間になったばかりですが、この町を救った人なので、腕は確かなはずですよ!」

reku「まあそれなりにね」

マックス『なるほどな。よし、じゃあ二人とも、隣国の一番高い山は知ってるか?』

勇者「はい」

マックス『そこに天界へのゲートを開いているから急いで向かってほしい。今天界は…いやお前たちの世界も含めた全ての世界が、危機に瀕してるんだ』

勇者「え!?」

reku「…やっぱりか。なんだか嫌な雰囲気を感じてたんだ」

マックス『かくかくしかじかでな。正直もう絶望的な状況だ。だが諦めるわけにはいかねえ。隣国に集まったファイターたちも今そのゲートへ向かっている。他にも戦えそうなヤツがいたら誘ってみるつもりだ』

勇者「頼もしいですね!わかりました!僕たちもそのゲートへ向かいます!」

マックス『ああ!頼む!』

テレパシーはそこで切れた。


452 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/04/29(月) 21:44:07 TLgo8JLs00

勇者「さあrekuiemuさん、急ぎましょう!」

reku「うん。じゃあワープスターに乗っていこうか」

勇者「ワープスター?」

reku「ワーープスターーー!!」

rekuiemuが叫ぶ。

すると遠くから。


ピロピロピロピロ…!


何か黄色いのが飛んできた。

勇者「あ、あれは、流れ星…!?」

reku「あれがワープスターさ。僕たちカービィ族に伝わる乗り物だよ」

勇者「そうなんですか。カービィ族って初めて聞きました…ずっと思ってたんですけど、rekuiemuさん、下目使いに似てるんですよね」

reku「魔の一族の親玉か。そいつもカービィ族の末裔なのかもね」

勇者「そんなことってあるんですか?この世界の住人と魔界の住人で、同じ種族だなんて…」

reku「さあね。世界とは不思議なものだ。そんなことより、出発しようか。乗って」

勇者「あっ、はい!行きましょう!」

二人はワープスターに乗り、隣国へと飛んだ。


453 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/01(水) 20:31:05 fIOAxXH600





1時間後、隣国。

エルバンたちは、ゲートの開いた山の麓の町にたどり着いていた。

チェマ「なんだ?やけに静かだな」

妹「すっごい霧…前がぜんぜん見えないよ…」

すると先頭を行くエルバンが、立ち止まった。

エルバン「……☆何かいる」

歩く「はい…強力なエネルギーを感じますね」

吐き気「魔物か…?オエッ…」

アルベ「馬鹿な。この辺りにはまだ誰も侵攻していないはず…私が聞かされていないだけかもしれないが…」

歩く「魔物とは違う気がします…それにこの気配は前にもどこかで…」


???「PKファイヤー!」


歩く「!!」

プョン!

霧の奥から飛んできた炎に、天下無敵は咄嗟にサイマグネットを発動し吸収した。


454 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/01(水) 20:33:22 fIOAxXH600

エルバン「☆PKファイヤー…ということは僕たちと同じ、PSIの使い手か!」

技の衝撃で霧が晴れていく。

そこには天下無敵に瓜二つの少年が立っていた。

歩く「やはり…!!何故…!!」

チェマ「あ、アイツは…!」


アマゾン「ここはこの★グレイトアマゾン★が通さないッ!」


片割れ「なんや、知り合いか?」

チェマ「ヒーローを名乗ってたガキだ…前に町でケンカしたことがある」

歩く「何をしているんですかアマゾンくん…!どうしてこんなところに…」

アマゾン「誰だ!そのカッコウ、ぼくのマネか!?お前なんか知らないぞ!」

あの時、アマゾンは満身創痍で、ほとんど何も覚えていなかった。

チェマ「…俺のことも忘れたか?ガキ」

アマゾン「あ、お前はおぼえてるぞ!たしか……史上最高のヘマ!!」

チェマ「地上最強のチェマだ!!」

歩く「記憶はあるのか…敵に操られているわけではなさそうですね…でもだとしたら何故…」

タバスコ「まだ子供だし、何か適当なウソで騙されているのかもしれませんね」


455 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/01(水) 20:34:52 fIOAxXH600

エルバン「☆悪いけど君の相手をしている暇はないんだ。★そこをどいてほしいな」

アマゾン「だから通さないって言ってるだろ!ワルモノめ!」

エルバン「☆僕たちは悪者じゃない。この世界を救うためにこれから天界に行かなきゃいけないんだ」

アマゾン「ウソをつくな!ぼくは知っているんだぞ!お前たちは天界にいってしんりゃくするつもりなんだろ!」

歩く「なっ、誰がそんなことを…!」

アマゾン「ハカセだ!」

歩く「ハカセ…?」

アマゾン「知らないのか!ヒーローにハカセはつきものなんだぞ!」

歩く「…そのハカセとは、いつどこで知り合ったんですか?」

アマゾン「ふん!ワルモノに教えてやるギリはないっ!」

吐き気「時間の無駄だ。さっさと倒して先へ行くぞ…オエッ」

歩く「なっ…彼は一般人ですよ?」

エルバン「☆気絶させるだけさ。☆一刻を争うんだ。こんなところで足踏みしてるヒマはないよ」

歩く「それはそうですが…」

吐き気「やはりお前は優しすぎる…うっぷ…それでは…おぇ…いつか足元を…ッ…すくわれるぞ…ウボァ…」

片割れ「大丈夫かお前」


456 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/03(金) 20:45:05 Kbgy.OKE00

アマゾン「…だまって聞いてれば、なんて失礼なやつらだ!ぼくをたおせるぜんていで話をすすめるとは!」

チェマ「あ?俺一人にすらボコボコにされてたヤツがなーに言ってんだ?」

アマゾン「なんだと!ぼくが勝ったはずだろ!」

片割れ「負けたんかお前…アレに…」

チェマ「う、うるせえ!あん時は根性見せやがったからお情けで引き下がってやっただけだ!普通に実力は俺の方が上だよ!」

妹「お兄ちゃん、優しいところあるんだね!」

チェマ「うるせえっつってんだろ!」

歩く「しかし…確かにその通りです。彼の力は以前よりは増しているとはいえ、僕たちを退けるほどではありません…ハカセという人は、なぜ彼をここに仕向けた…?」

タバスコ「あなたを迷わせるためじゃないですか?」

エルバン「☆そもそも僕たちがゲートに向かってるのを知ってる人ってさっきのマックスさんくらいだよね。なぜそのハカセって人はここに来ることを知ってたんだろう」

吐き気「天使のマックスでも、こちらの様子を見ることはできるんだ…オエッ…ならば天界を制した下目使いたちとて、我々を監視していても不思議ではない…」


457 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/03(金) 20:46:10 Kbgy.OKE00

チェマ「どうせハカセってのも魔の一族だろうしな。結局、下目使いを倒しゃいいんだ」

歩く「本当にそうでしょうか」

片割れ「なんや、まだ迷っとるんか?」

歩く「何か…違和感があるんです…僕たちはマックスさんをあっさり信用しましたが、果たして本当にそれで良かったんでしょうか…」

エルバン「☆確かに、彼がそう名乗っただけで本当に信用に足る人物なのかは分からないね」

アルベ「だが…一刻を争うこの状況では、彼の言葉は信じるしかあるまい…」

歩く「山の上に開かれたゲート…それがもし、罠だとしたら…?ゲートは天界に繋がっておらず、僕たちを別のどこかへ飛ばす、或いは閉じ込めるようなものだとしたら…それこそ本当に終わりです…!」

吐き気「可能性はあるが…アルベルトの言ったように、他に打つ手がない」

歩く「しかし…」

アマゾン「いつまでウダウダ話し合ってるんだ!もう待たないぞ!」

歩く「!!」

アマゾンはPSIを発動し、攻撃の構えを取る。

チェマ「だとよ。まずはとりあえずアイツを黙らせる」


458 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/03(金) 20:48:16 Kbgy.OKE00

ダッ!

チェマがアマゾンに飛びかかる。

がしっ!!

が、その腕を天下無敵が掴み、引き止めた。

歩く「待ってください!」

チェマ「てめえ、いい加減にしろよ…」

歩く「すみません。僕も皆さんの考えは分かります。だからここは、僕に任せて先に行ってください」

チェマ「あ?」

エルバン「☆じゃあよろしく頼むよ」

タバスコ「戦力は減るけど、ここで仲間割れなんかするよりはマシですね」

吐き気「行くぞ」

チェマ「フン!まあいい、任せてやる」

歩く「ありがとうございます!」

アマゾン「だからぼくを舐めるなって言ってるだろー!」


ボウッ!!


アマゾンがPKファイヤーを放つ。

歩く「アマゾン君、僕が相手だ!」


ボウッ!!


天下無敵はそれをPKファイヤーで相殺した。


459 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/03(金) 20:49:27 Kbgy.OKE00

そして一気に距離を詰める。


がしっ!!


歩く「今です!」

天下無敵がアマゾンを取り押さえる。

エルバン「☆任せたよ!」

タタタタタ…

残る八人はその間に走り抜けた。

アマゾン「くそっ!!待てっ!!」

歩く「落ち着いてくださいアマゾン君」

アマゾン「どけっ!!」


ドガッ!!


歩く「ぐあっ!」

ズザッ!

アマゾンは天下無敵を弾き飛ばす。


460 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 634c-6b1b) :2019/05/04(土) 02:41:38 TEW0aHJo00
rekuiemuすこ


461 : ハイドンピー (スプー ee4f-32b7) :2019/05/05(日) 21:13:14 kTsjxDS6Sd

アマゾン「追わなくちゃ!」

歩く「行かせません!」

ザッ!

天下無敵はアマゾンの前に立ちはだかる。

アマゾン「しつこいぞ!食らえ、ヨーヨー!」

歩く「はっ!」


ガキィン!!


アマゾンのヨーヨーを天下無敵のヨーヨーが相殺した。

アマゾン「くっ!」

歩く「僕は君と戦うつもりはありません」

アマゾン「なめるなっ!ぼくはまだ本気じゃないんだぞ!」


462 : ハイドンピー (スプー ee4f-32b7) :2019/05/05(日) 21:14:32 kTsjxDS6Sd


ゴゴゴゴ…


歩く「!?」

突如アマゾンの周囲に黒いオーラが湧き上がった。

アマゾン「見ろ!これがぼくの本当の力だっ!」

ダッ!


ドガガッ!!!


歩く「ぐはっ!!」

ダッシュ攻撃により天下無敵が突き飛ばされる。
そのスピードは今までの数百倍に跳ね上がっていた。

アマゾン「まだまだ!」

歩く「!!」


カキィン!!!


アマゾンのバットによる殴打。

天下無敵はかろうじてガードするも。


がしっ!!


ブォンッ!!!


一瞬のうちに体を掴まれ、上空に投げ飛ばされた。


463 : ハイドンピー (ワッチョイ c317-32b7) :2019/05/05(日) 21:30:21 56BQjdjQ00

歩く(つ、強い…!この力…魔力か…!?だとしたらやはり彼の言うハカセとは、魔の一族…?)

アマゾン「とうっ!」

アマゾンは更にジャンプし、追い打ちをかける。


ドゴッ!!


頭による攻撃で天下無敵は突き上げられる。

歩く「ぐっ!!」

アマゾン「がっ!」

天下無敵も同時に下方向へ攻撃を出していた。

だがアマゾンは着地すると、すぐに立て直し。

アマゾン「ヒーローはこれくらいじゃ挫けない!」

歩く「!! 速い…っ」


ドゴォッ!!!


歩く「ぐあぁっ!」

アマゾン「このままブッ飛ばして星にしてやるっ!」

歩く(くっ!なんとかして落ち着かせなければ…!)


464 : はいどうも名無しです (ササクッテロ e2fe-32b7) :2019/05/05(日) 21:47:09 avd3ap3.Sp
おつ
黒幕は誰だ


465 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/06(月) 22:21:10 0c.oj0eM00





一方、ゲートへ向かったエルバンたちは、間もなく山の中腹に差し掛かっていた。

エルバン「☆かなり飛ばしてるけど、みんなついてきてる?」

チェマ「はっ、これくらいなんでもねえ」

アルベ「大丈夫だ」

吐き気「ああ、俺も問題ない…オエェ…」

片割れ「ホンマか…?」

タバスコ「あ、ちょっと待ってください!委員長、かなり苦しそうです!」

最後尾で暴力委員長がフラフラになっていた。

暴力「はあ、はあ…いえ、僕のことは構わず、行ってください…!追いつきますから…!」


466 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/06(月) 22:21:59 0c.oj0eM00

妹「暴力お兄ちゃん!あたしの背中に乗って!」

暴力「えっ!?」

[自称]妹は舌で委員長の体を持ち上げ、自分の背中に乗せた。

妹「さ、行こう!」

エルバン「☆うん!」

暴力「す、すみません…!」

妹「えへへ!いいんだよ!あたしお兄ちゃんたちのためならいくらでも頑張れるんだ!」

[自称]妹はにっこりと笑った。

片割れ「ワシん時はあっさり見捨てよったけどな…」

タバスコ「あ!あれがゲートですかね!」

タバスコが頂上の方に見える空間の歪みを発見。

エルバン「☆このペースならあと四、五分で着きそうだね」

チェマ「しかし天界に繋がってるっつう割には、随分と禍々しいな。マジで天下無敵の言う通り、変なとこに飛ばされんじゃねえだろうな…」

吐き気「アルベルト、お前は魔界からこの世界に来る時にもゲートを通ったんだろう?どう思う…オエッ…」

アルベ「見た感じでは私の通ったゲートと特に変わりはない。どこに繋がっているかまでは判断できんな」


467 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/06(月) 22:22:58 0c.oj0eM00

その時。


ピロピロピロピロピロ……!


ドカーン!!


妹「ぬわっ!?」

前方にキラキラと光る星のようなものが墜落した。

エルバン「☆何だ!?何か落ちたよ!」

タバスコ「い、隕石…!?」

八人はその落下地点へと駆け寄る。

そこには二人の風船が並んで顔面ダイブしていた。

チェマ「な、なんだありゃ…」

むくり。

二人は起き上がる。

勇者「ぶはっ!し、死ぬかと思った!」

reku「まったく、僕のワープスター一人用なのに、二人乗りなんてしたがるから!」

勇者「ええ!?rekuiemuさんが乗って行こうって言ったんじゃないですか!?」

reku「えー、そうだったかなぁ?」

勇者「何しらばっくれてんですか!」


468 : ハイドンピー (ワッチョイ 5b63-27c0) :2019/05/06(月) 22:24:20 0c.oj0eM00


エルバン「☆えっと…君たちは一体…」

勇者「ん…?」

二人が振り向く。

勇者「あ!もしかしてマックスさんの言ってたゲートに向かってるファイターたちって…」

タバスコ「たぶん僕たちのことですね!ということは、君たちも?」

勇者「はい!マックスさんに言われてここへ来ました!僕は勇者ヨシオ!」

reku「僕は世界のrekuiemuだよ。ま、よろしく」

続いてエルバンたちも名乗り。


エルバン「☆さて、それじゃ仲間も増えたところで、ゲートへ向かおう!」

勇者「はい!」


469 : はいどうも名無しです (ワッチョイ cd8c-27c0) :2019/05/07(火) 21:45:33 iTNVJmig00


これだけのファイターがいても普通に全滅もありうるのが怖いね
まぁ多分エルバンあたりは生きてるだろうけど…


470 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/08(水) 19:57:53 nurx1lZ600





三十分前、天界・下層。

マックス「ぐああっ!!」

ズシャァッ!

ヤミ「クク…こんなところに隠れていたか。我が魔炎から逃れられると思うな、弱き者よ!!」

マックス「く、くそっ!もうバレたか!」

聴牌「くっ…これも想定はしていましたが…!」

ヤミ「ククク!そう恐れるな!一瞬で消滅させてやろう!!」

マックス「ふざけんな!こうなったら俺がテメエを倒してやる!」

聴牌「む、無茶です!私の計算では勝ち目はありませんよ!」

ヤミ「クハハハハ!!面白い冗談だ!!やってみるがいい!!」


471 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/08(水) 19:59:09 nurx1lZ600

マックス「うおおおお!!」

マックスは全力でヤミノツルギ†に飛びかかる。


ボォォォォォッ!!!!


ヤミ「クク、残念だったな」

聴牌「っ…!」

ヤミノツルギ†の宣言通り、マックスは一瞬にして消滅した。

ヤミ「さあ、次は貴様だ!」

聴牌「はあッ!!」


ドウッ!!!!


ヤミ「!!」

聴牌はマックスがやられている間にチャージショットを溜めていた。

しかし。


ボウッ!!


ヤミ「クク、この程度の技、我が魔炎の前には無力!!消え去るがいい!!」


472 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/08(水) 20:00:20 nurx1lZ600

聴牌「うああああっ!!」


ズオッ!!!!


聴牌もヤミノツルギ†の魔炎によって消し去られた。

ヤミ「クク…もう僕無敵だな…負ける気がしないや」

天使「ひい〜っ!」

ゲートを開いていた数人の天使たちが、その光景を見て怯える。

ヤミ「そのゲートは下界に繋がっているようだな…ククク…!良き事を思い付いたぞ!!どけ!有象無象共!!」


ボォォォォォッ!!!!


天使「う、うわああああっ!」

ズオォッ!

天使たちは一人残らず魔炎に呑まれ、消滅。

ヤミ「弱き下界の愚者共など、我らが相手をするに値せん」

ボウッ!

ヤミノツルギ†がゲートを魔炎で包み込む。

ヤミ「座標を上書きさせてもらったぞ…クク!これで下界からこのゲートに入った者は全て、あのキツネと同じく、"あの場所"へ堕とされる!!フハハハハハハハ!!」


473 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/11(土) 19:52:52 Kj5E3ZW200





現在、下界。

エルバンたちは山の頂上に着いていた。

その眼前には大きな空間の歪みが広がっている。

エルバン「☆これが天界へ続くゲートか…」

吐き気「行くぞ」

暴力「あ、あの!」

暴力委員長がぴょこんと[自称]妹の背から飛び降りて言った。

妹「どうしたの?」

暴力「こ、こんな土壇場でこんなこと言うのは自分勝手だと思いますが…正直、僕が行っても戦力になるかわかりません…なので僕はここに残って、天下無敵さんを待ちたいと思います…!」

エルバン「☆いいね。もし僕たちに何かあったら、あとは彼に託さなきゃいけなくなるしね。力を貸してあげて!」

暴力「は、はい!」

チェマ「へっ、ここまで来ただけでも十分お前の気合は感じたぜ!サクッと世界救って来てやるから待ってな!」

暴力「はい!」

エルバン「☆うん。じゃあみんな、準備はいいね!」

片割れ「おう」

勇者「はい!」

reku「ま、全部僕に任せていいよ。戦いは嫌いだけど…本気を出せば魔の一族なんて一捻りさ」

妹「rekuiemuお兄ちゃん頼もしい!」


474 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/11(土) 19:56:44 Kj5E3ZW200

タバスコ「行きましょう!」

ザッ!

九人のファイターたちは一斉にゲートへと飛び込んだ。





エルバン「☆こ、ここが天界…?」

ゲートの先は、グツグツと煮えたぎるマグマに囲まれた真っ暗な場所に繋がっていた。

ところどころに足場が浮遊している。

空には暗雲が広がり、時々雷鳴を響かせる。

アルベ「い、いや…ここは…魔界だ…!!」

エルバン「☆えっ!?」

片割れ「まさか天下無敵の言うた通り、ワナやったんか!?」

reku「ちょっとかっこよくゲートに入ったのに!」


バチチチッ!!!


勇者「うわあっ!!」
妹「痛っ!!」

チェマ「どうした!」

勇者「ゲ、ゲートを引き返そうとしたんですが…!」

妹「なんかバリアみたいなのがあって弾かれるよ!」

吐き気「チッ、やはり閉じ込められたのか…オエッ…」


475 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/11(土) 19:59:41 Kj5E3ZW200

タバスコ「アルベルトさん、戻る方法は無いの?」

アルベ「ここは恐らく、魔界でも最も危険と言われる最深部だ…私も初めて来た…すまないが何も分からない…」

片割れ「なんや使えんやっちゃな!」

アルベ「…だが、私の暮らしていた場所から最深部へ行き、帰って来る者はいた。どこかに必ず戻る方法はあるはずだ」

勇者「そうですか!じゃあ手分けしてその方法を探しましょう!」

エルバン「☆…どうやらそう悠長なことも言ってられないみたいだよ」

チェマ「ああ。お前ら周り見ろ」

勇者「!!」


???「ぽよぉ!」


エルバンたちの周りを、ピンクボールの大群が取り囲んでいた。

アルベ「ざ、雑魚1%…!!そうか、最深部はコイツらの住処だったか…!」

reku「なーんだ、雑魚かぁ。おどかさないでよ」

エルバン「☆たしかに、この数にしては、感じるエネルギーはそれほど多くないね」

チェマ「フン!この程度俺一人で十分だぜ!」

ダッ!!

チェマは突っ走る。

片割れ「あ、オイ!手柄独り占めする気かいな!かっこつけよって!」

タッ!

片割れもそれに続く。

アルベ「ま、待てっ!!」


476 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/11(土) 20:01:57 Kj5E3ZW200


ドドドドドドドドドドッ!!!!


二人はアルベルトの制止も聞かず、一気に数十匹もの雑魚1%たちを蹴散らした。

吐き気「あのチェマという男、エルバンや俺程じゃあないにしても、地上最強を名乗るだけの実力はあるようだな…オエッ」

タバスコ「片割れさんも極道なだけあって強いですね!こりゃぁ僕たちの出番はなさそうだ」

妹「きゃー!お兄ちゃんたちかっこいいー!」

アルベ「違う!倒してはダメだ!止まれ!!」

しかし戦いの音によりかき消され、その声はチェマたちの耳には届かない。

勇者「な、何を言ってるんですか?アルベルトさん」

アルベ「奴らはこの最深部に生息する魔物の一種…!一体一体は見ての通り雑魚だ…だが…!奴らを倒すとその残骸が魔力となって、敵の体に入り込むのだ!」

エルバン「☆そ、それってまさか…」

アルベ「1%…それは奴ら一体一体の宿す魔力の量のこと…!つまり、奴らを百体以上倒し、体の100%が奴らの魔力に埋め尽くされてしまったら……その体のコントロールを奪われる…!!」

勇者「なっ…!」


477 : はいどうも名無しです (アウアウ e97d-ac8a) :2019/05/12(日) 00:08:54 q0nha0tISa
雑魚1%の使い方秀逸過ぎるwww


478 : はいどうも名無しです (ワッチョイ dae5-27c0) :2019/05/12(日) 04:41:19 I/2W2npI00
あー、天才が操られたのはこれのせいか


479 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/14(火) 20:13:09 fv5AtnKU00


チェマ「ぽよ?」


片割れ「あい!」


勇者「!!」

アルベ「くっ!遅かったか!」

二人はピンク色のオーラを纏い、正気を失っていた。

タバスコ「二人を元に戻す方法は無いんですか?」

アルベ「あのピンクに染まった魔力が完全に消えるまでは、暴れ続けるだろう」

勇者「え、えっと、それってつまり…」

吐き気「倒すしかないか」

エルバン「☆仕方ないね」

勇者「判断はやっ!つ、冷たすぎま…」


バチバチッ!!


勇者「!!」

片割れの電撃を、勇者は間一髪のところでかわす。


480 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/14(火) 20:16:24 fv5AtnKU00

片割れ「ぽよぉ…」

勇者「やるしかないのか…!」

タバスコ「見れば分かるでしょう。君も天下無敵さんと同じで、仲間とは戦いたくないって言うんですか?」

勇者「そりゃそうですよ…!くっ…でも分かりました…!せめて苦しまないよう、速攻で終わらせましょう…!」

エルバン「☆うん」

チェマ「あい!」

ダッ!!

今度はチェマが勇者へ飛びかかる。

勇者「はあっ!」

ヒュンッ!

勇者は爆弾を投げつける。

チェマ「とお!!」


バゴンッ!!!


チェマは片手に掴んでいた雑魚1%を壁にして、爆発を防いだ。

勇者「なっ!」


バキィ!!


勇者「うわあっ!」

勇者は殴られ吹っ飛ばされた。
そのまま崖から落ちそうになる。


481 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/14(火) 20:18:40 fv5AtnKU00

妹「お兄ちゃん危ないっ!」

ペロンッ!

ギリギリで[自称]妹が舌を伸ばし、勇者を助けた。

勇者「あ、ありがとうございます…」

妹「えへへ!」

タバスコ「何のためらいもなく仲間を壁に…!」

吐き気「まあハナから奴らにまともな思考など期待していない…うっぷ…」

ダンッ!

今度は吐き気がチェマへ仕掛ける。

片割れ「ぽよ!」


ビュンッ!!


片割れが邪魔に入るが。


エルバン「☆僕が相手だ」


カキィン!!


エルバンがバットで打ち返す。

片割れ「ぽよ!?」


吐き気「トゥ!」


ドゴッ!!


チェマ「わあっ!」

その間に吐き気はチェマを蹴り飛ばした。


482 : はいどうも名無しです (バックシ dc7b-4ebb) :2019/05/14(火) 22:38:45 /M3qnkoAMM
妹有能やな


483 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/16(木) 17:27:02 C5VPkRB600


ドドドドッ!!


ガガガガッ!!


更に二人は追撃を仕掛け、チェマと片割れをボコボコにした。

タバスコ「やっぱりあの二人、流石だ」

勇者「す、すごい…圧倒してる…」

アルベ「妖魔には及ばないにしても…恐ろしい強さだな…」


ズシャッ!!


猛攻を受け、チェマと片割れは這いつくばる。

チェマ「あぅぅ…」

吐き気「トドメだ。ファゥコン…パ」

エルバン「☆ストップ!トドメはまずいよ吐き気さん」

吐き気「ああ、冗談だ…オエッ」


484 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/16(木) 17:30:27 C5VPkRB600

エルバン「☆ふう…とりあえず二人の体から感じてた邪悪なエネルギーは減ってきたよ。雑魚1%の魔力はそろそろ尽きると思う」

吐き気「ああ。纏っていたオーラも消えかかっているしな」

妹「エルバンお兄ちゃんたち、すごかったよ!でもチェマお兄ちゃんたち大丈夫かな…こんなにダメージ受けたら、正気に戻れたとしても…」

エルバン「☆うん。敵の狙いはそれだろうね」

勇者「それにチェマさんたちが数を減らしてくれたとはいえ、まだ雑魚1%はたくさんいます…倒せばまた体を乗っ取られるし…どうすれば…!」

雑魚「ぽよぉ…!」

雑魚1%は次々に現れ、エルバンたちを囲んでいく。

タバスコ「倒してもキリが無さそうだし…逃げるしかないですかね」

吐き気「この数から逃げつつ地上へ帰る方法を探す、か……骨が折れそうだな…オエッ」

吐き気は倒れたチェマたちを片手で担ぎ上げながら言う。

アルベ「百体倒さなければ乗っ取られる事はない。どうしても退路の邪魔になるときは倒してもいいだろう」

勇者「だったらそれは僕が引き受けます!もしエルバンさんたちが乗っ取られたら勝ち目ないですし!」

アルベ「ああ。私も手伝おう」

エルバン「☆分かった。お願いするよ」

こうして、勇者とアルベルトが先導し、九人は雑魚たちから逃げ回るのだった。


485 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/16(木) 17:33:23 C5VPkRB600





その頃、地上。

王国では。

ライム「くっ……ここまで…か…」

バタッ…

天才の猛攻をなんとか耐えていたライムライトだったが、ついに体力も尽き、倒れた。

天才「ぽよぉ…?」

依然としてピンクのオーラを纏い続けている天才は、次なる敵を探して辺りを見回す。

ねこ「はっ!!」


ドスンッ!!


天才「わあ!」

上空からねこがヒップドロップを繰り出した。
天才は吹っ飛ばされ壁に激突。

天才「あぅぅ…」

ねこ「いまです!ポイゾネサスくん!」

ポイゾネ「ああ!」


486 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/16(木) 17:36:40 C5VPkRB600

ダッ!

よろめく天才に向かってポイゾネサスが剣を振りかぶる。


ブンッ!!!


が、剣は空を切った。

天才は回避し、後ろに回り込んでいた。

ポイゾネ「はやっ…」

天才「とおっ!」


バキッ!!!


ポイゾネ「ぐあっ!!」

天才の蹴りで今度はポイゾネサスが壁に激突する。

ねこ「ポイゾネサスくん!」

天才「あいやー!!」


ボォッ!!!


ねこ「うわあっ!!」

炎を纏った突進で、ねこも吹っ飛ばされる。

ポイゾネ「ぐ…や、やっぱり無理だよ…こんなの…勝てっこない…!」


487 : はいどうも名無しです (アウアウ b10d-f8b9) :2019/05/18(土) 14:44:30 0SucJ/JQSa
しかし雑魚パー厄介だな
倒せば倒すほど不利になる雑魚敵というのはありそうでなかったな
全然関係無いけどRPGでも一定数倒したらメンバーがランダムで死ぬ敵とかいると面白そう


488 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 5d84-5996) :2019/05/18(土) 19:24:06 FTmxYb9Y00
いまのところ対抗手段がない雑魚1%はたしかに厄介
弱点はないのかな


489 : はいどうも名無しです (アウアウ 787a-86fc) :2019/05/19(日) 08:54:00 vP.9KNWsSa
倒せばカウンター貯まるなら、ボコボコにされたらカウンター減るのかな?
まあ、雑魚にボコられるのは難しいだろうけど


490 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/19(日) 20:32:32 aPIotk3M00

天才「ぽよ!」


ドキュゥ!!


ポイゾネ「がぁっ!!」

起き上がったポイゾネサスを、天才は容赦なく蹴り上げる。


タンッ!


更に跳び上がり、追撃を繰り出す。


ドゴッ!!


ポイゾネ「ぐぅ…ッ!ちくしょう…!」

ねこ「く、いま、助けます!」

ねこは天才の着地の隙を突こうとしたが。


天才「ぽよぉ!」


ドガッ!!


ねこ「うわっ!」

返り討ちにあい、弾き飛ばされる。


491 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/19(日) 20:36:06 aPIotk3M00

天才「やー!」

そして一瞬のうちに、再びポイゾネサスへの追撃に移行する。

ポイゾネ「な、なんで…!なんで僕がこんな目に……」

空中で、ポイゾネサスは涙を流し。


ポイゾネ「あわなきゃいけないんだッ!!」


ギンッ!


次の瞬間ポイゾネサスの目つきが変わった。


ドスッ!!!


天才「わあっ!?」

ドシャ!

天才の蹴り上げに対して、ポイゾネサスは剣を突き立て、地面に叩き落とした。

ポイゾネ「ヤアアアッ!!」


ザンッ!!!


更に斬撃を放ち、天才はギリギリで回避するも。


ギャリンッ!

ガシッ!


クローショットで捕まえ。


ザシュッ!!


天才「ぽよっ!?」

上に向かって斬りつけた。

天才は大きく上空へ飛ばされる。


492 : ハイドンピー (ワッチョイ 7baf-9af7) :2019/05/19(日) 20:37:24 aPIotk3M00

ポイゾネ「…なんか体が軽い…!」

ねこ「か、完全に覚醒してますねこれは…いけそうです!」

ポイゾネ「負ける気しないや…!」

ニヤッと笑うとポイゾネサスは剣を構え。


ザンッ!!!


落ちてくる天才に合わせて切りつけた。

天才「わー!」

ポイゾネ「うぐっ!!」

しかし天才も同時に反撃していた。

二人は別方向に吹っ飛ぶ。


どんがらがっしゃん!!


ねこの元に転がってきたポイゾネはすぐに起き上がり、剣を構え直す。

ポイゾネ「イデデ…前言撤回、やっぱ負けそう…」

ねこ「いやいや!そんなことないですよ!向こうはひとしきり暴れたあとだから体力も消耗してるはずですよ!」

ポイゾネ「そうは見えないんだけど!」


493 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/20(月) 23:43:24 D8bT1K8I00


天才「ぽよよ…」

むくり

起き上がった天才はブルブルと首を振って砂埃を払い落とすと。


ギロッ


二人を睨みつける。

ポイゾネ「完全に怒ってるよね…」

ねこ「怒るってことは効いてるってことですよ!」

天才「とおっ!!」


ダッ!!


バキィッ!!!


ポイゾネ「ぐふ…ッ!!」

天才の超高速の蹴りがポイゾネサスの腹に直撃。

ドガッ!

ドガッ!

ドガッ!


ポイゾネサスはいくつも建物の壁に穴を開けながら飛んでいく。


ドスッ!!

ズガガガガッ!!


地面に剣を突き立て、ようやく止まった。

ポイゾネ「げほっ…な、なんて威力…」


494 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/20(月) 23:49:17 D8bT1K8I00

ねこ「ポイゾネサスくん、大丈夫ですか!」

ポイゾネ「な、なんとか…」

かと思いきや。

天才「ぽよっ!!」

ポイゾネ「!!」


ズドオッ!!!!


天才は一瞬のうちにポイゾネサスに追いつき、更に蹴りをぶちかます。


ビュオォォォ!!


凄まじい勢いで吹っ飛ばされ。


ポイゾネサスはしばらく地面と平行に飛び続けた。


ポイゾネ(空を飛びたいなんて夢みてた頃もあったけど…まさか…こんな形で叶うとは…)






ドゴォォン!!!


数十キロメートル先で、ようやく落下した。


495 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/23(木) 21:05:17 jyBqvQbg00


ゴロゴロゴロゴロ…


ドシャ!


何度も転がって岩にぶつかり、ようやく勢いが止まった。

もはや完全に町を離れ、荒野に放り出されたポイゾネサス。

ポイゾネ「…ぐ…ッ…!…な…なんで生きてんのか…わかんないくらい…吹っ飛んだな…」

ポイゾネサスは反射的に天才の蹴りを剣の腹でガードしていたお陰で致命傷にならずに済んでいた。

よろめきながらも、なんとか立ち上がる。

が。


天才「ぽあ〜〜」


ポイゾネ「!!?」


なんとその先にすでに天才が立っていた。

ポイゾネ「なんで!?」


496 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/23(木) 21:33:53 jyBqvQbg00

天才「やー!」

ポイゾネ「くっ!!」


ガキィン!!!


今度は天才の蹴りを剣で弾くことに成功した。

ポイゾネ「お、おかしいでしょ!なんでもう追いつかれてるんだ!」

天才「はぁい!」


キィン!!

ギャンッ!!

ズガッ!!


ポイゾネ「くっ!!」

天才の激しい攻撃を、ポイゾネサスはギリギリで受け流し続ける。

ポイゾネ(体力が消耗してるって、むしろ勢い増してるんだけど!?)

天才「とおっ!!」


バキィッ!!!!


ズザザザザ…!


ポイゾネ「けど…!」

天才「およっ!?」

ポイゾネサスは天才の全力の一撃をも耐え切り。

再びニヤリと笑った。


ポイゾネ「見えてきたよ…君の闘い方…!」


497 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/24(金) 23:04:37 aotfO6ms00





その頃、ギルティースとアントンは。

自分たちの応急処置を済ませた後、怪我人の救助に当たっていた。

アントン「ふう…この辺りはもう大丈夫そうだね、うん」

ギル「それにしてもさっきのお爺さん、誰だったのかしら…名前も言わずに走っていっちゃったし…」

アントン「あんなすごい人天界でも見たことないよ」

ギル「すごい人…と言えば、天才はどこに連れ去られたのかしら…天才のことだから無事だとは思うけど…」

ギルティースは端末を取り出し、連絡を試みる。


プルルルル…

プルルルル…

プルルルル…


ギル「…ダメね、やっぱり繋がらないわ」

アントン「心配だね」

諦め、切ろうとしたその時。


ピッ


???『もしもし?』


498 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/24(金) 23:06:03 aotfO6ms00

ギル「て、天才!?」

???『いや、違いますけど』

ギル「誰!?」

???『ねこですけど』

ギル「ねこ!?」

ねこ『ものすごく強いキツネのひとと戦ってたら、なにか落としたので、ひろってみたら通信が繋がりました』

ギル「ってことはそこに天才がいるのね!?」

ねこ『いや、すごい勢いでポイゾネサスくんをふっとばした後、すごい勢いでそれを追っていきました』

ギル「また知らない人の名前が出てるけど…どうして戦ってるの?」

ねこ『正気をうしなって、いきなり街中で暴れ出したので、ぼくたちはそれを止めようとしたのです』

ギル「…連れ去られた先で何かされたってことかしら…」

アントン「あの天才くんが敵に回ったとなると、厄介なんてもんじゃないよ、うん…」

ねこ『ほんとですよ。正直あのつよさ意味わかんないですよ』

ギル「と、とにかく私たちもそこへ向かうわ。場所を教えて!」

ねこ『はい』

ねこは王国の場所を告げる。

ギル「わかったわ!アントンくん、いきましょう!」

アントン「うん!」

二人はギルティースのアーウィンに乗り込み、王国へと飛び立った。


499 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 8efd-6473) :2019/05/25(土) 00:57:26 5XPfpLBU00

こっちのアントンはハチを出すのかな


500 : はいどうも名無しです (ラクラッペ a786-6473) :2019/05/25(土) 08:38:50 hKcSrMucMM
ポイゾネサスくんがカッコよすぎる……!
支援のドドン


501 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/25(土) 20:27:27 iBr3ao9M00





天界・下層。

ennjeru「うぅ……はっ!お、俺は一体…!」

気絶していたennjeruが今頃目覚めた。

どこかの広い建物に運ばれ、ベッドに寝かされていたようだ。
怪我の治療も施されており、頭には包帯が巻かれている。

ガチャッ


???「フン!ようやく起きましたか、ennjeru」


その部屋へ一人のマッチョマンが入ってきた。

その背には、右片方のみ天使の翼が生えている。

ennjeru「チンポコメロン!」

チンポコ「無礼者、私のことは男爵と呼べといつも言っているでしょう」

ennjeru「貴族だからってそりゃないっしょー。俺ら同期なんだから仲良くやろうぜ。つーか、ここは?」

チンポコ「フン、下層のはずれにある私の別荘ですよ」

ennjeru「はえー、どうりでクソ広いわけだ」


502 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/25(土) 20:28:35 iBr3ao9M00

チンポコ「倒れているのを拾ってやったのに礼も無しですか…」

ennjeru「あーすまん!ありがとな!で、状況はどうなってんだ?」

チンポコ「…魔の一族の親玉が全能神の力を手に入れたようですね…偵察隊によればマックス殿もやられたらしい」

ennjeru「ま、マジかよ!マックスさんが!?」

チンポコ「さらに下界からは魔の一族の率いる謎の集団が飛来しています。こちらはどうやら全能神になったグループとはまた別の勢力のようですが…今のところ目的は不明」

ennjeru「もうわけわかんねえな…どうするよ?」

チンポコ「私には神様に任された大事な役目があります」

ennjeru「え?そんなのいつのまに…」

チンポコ「私が生まれる前からですよ。代々チンポコメロン家当主に引き継がれてきた使命…」

ennjeru「何、チンポコメロンお前そんな重要なヤツだったの…?」

チンポコ「ハァ…今までにもお前には何度か言っていたはずですが…何も聞いてなかったんですね。本当に適当な男だ…全く…」

ennjeru「すまんすまん!で、その使命ってのは…」

チンポコ「それは…」


チンポコメロンはその内容を話した。


503 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/25(土) 20:29:53 iBr3ao9M00


ennjeru「あーーー!!」

チンポコ「!? な、何ですかいきなり!」

ennjeru「いや、それマジだったかよ!てっきり冗談だと思ってたわ!」

チンポコ「私が冗談など言うタイプに見えますか?」

ennjeru「いやまあたしかに、冷静に考えるとお前がそんな訳わからん冗談言うわけねえな…!しかし、そんなもん言われたって誰が信じるよ!?」

チンポコ「フン!まあお前たち庶民には理解できなくとも無理はないかもしれませんね」

ennjeru「…でもそれ大丈夫なのか…?」

チンポコ「何がです?」

ennjeru「だってお前……俺より弱えじゃん…」

チンポコ「なっ!」

ennjeru「そんなヤバイもん持ってるってバレたらどうする気だよ!絶対お前じゃ守れねえだろ!」

チンポコ「フン!お前に心配されるまでもありません。アレは絶対に見つからない場所に隠してあります」

ennjeru「ならいいけどさ…」

チンポコ「フン。お前は人の心配をする前に、まず自分のすべきことをするのですね」

ennjeru「お、俺のすべきこと?えーっと…何すりゃいいんだ?」

チンポコ「…少しは自分で考えなさいっ!」

バンッ!

ennjeru「あ、おいっ!」

扉を強く閉め、チンポコメロンは部屋を去っていった。


504 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/26(日) 18:11:27 UfeBetuU00


ennjeru「…いやそりゃ俺だって神様直属の天使なわけで…ヤツらと戦わなきゃいけないってのは分かってるけども……マックスさんですら歯が立たないような相手に、俺なんかが一体何をできるってんだ…」

部屋に残されたennjeruは一人、自分の弱さを嘆く。

そんな時。

コンコンッ

窓を叩く音がして、ennjeruは外を見る。

そこには一人の天使が立っていた。

ガチャッ

ennjeru「なんだ?」

天使「郵便です!ennjeruさん宛に!」

ennjeru「手紙か…誰からだ…?いや、つーかなんで俺がここにいるって分かったんだ…?」

天使「聴牌さんという方からです!どうぞ!」

ennjeru「聴牌?なんか聞いたことあるよーな、ないよーな…」

天使「では失礼します!」

ennjeru「おー、気をつけてな!」

郵便天使は一礼し、飛び去っていった。


505 : ハイドンピー (ワッチョイ bcd8-5996) :2019/05/26(日) 18:17:30 UfeBetuU00


ennjeru「さて」

ぴらっ

ennjeruは手紙を開け、読む。


ennjeru「…え!?」

その内容にennjeruは驚愕した。



ドタドタドタドタッ!

ennjeru「お、おいチンポコメロン!!」

チンポコ「何ですか、忙しないですね」

ennjeru「いいからこれ見ろ!」

チンポコ「手紙…?一体何だと…」


チンポコメロンはそれを読み、固まった。

しばらくして口を開く。

チンポコ「な……なんということだ…!差出人は…」

ennjeru「聴牌って人だ」

チンポコ「聴牌!?マックス殿と共にやられたと聞いていましたが…!彼女の未来予知は、そこまで見通していたというのか…!」

ennjeru「未来予知…あー、道理で聞いたことあると思った。あの有名人かー」

チンポコ「忘れてたんですか!?」

ennjeru「え?いやいやいやめっちゃ覚えてたよ、マジで」

チンポコ「………まあいい。とにかくこうしてはいられません!屋敷へ急ぎますよ!」

ennjeru「おう!」


506 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/27(月) 19:50:57 E0jK35VQ00





下界。

隣国・南の町では。

部長たちは魔物の大群のほとんどを倒し終えていた。

部長「はあっ…はあっ…あと少し…ですが…!くっ…!」

ガクッ!

部長も体力が底をつき、膝をつく。

魔物「グオオオオ!」

魔物がその隙を突いて飛びかかる。

脇役「はっ!」


ドウッ!!!


魔物「グギッ!」

間一髪、脇役のチャージショットが魔物を仕留めた。


507 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/27(月) 19:51:38 E0jK35VQ00

部長「す、すみません…」

脇役「気にするな。立てるか?」

部長「はい」

脇役の手を借り、部長はなんとか立ち上がる。

ゲイ「フ…残り十体か…終わりだね…!」

脇役「油断するな。こちらも体力は無い…」

ゲイ「だからそう言ってるんだ…終わりだ…この体力では…"アレ"には勝てない」

脇役「貴様、何を言って…」


魔物「グオオオオオオオオ!!」


脇役「!?」

残った十体の魔物たちが一斉に雄叫びを上げた。

そして一箇所に集まり始める。

部長「これは…一体…!」


508 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/27(月) 19:52:36 E0jK35VQ00

ゲイ「この魔物たちは魔界のジャングルの奥地に生息する種だ…見ての通り群れる習性を持つ…」


グチュッ

ベキョッ


魔物たちは密集し、互いを押し潰す。

そして飛び散った緑色の血液が、魔物たちを包んでいく。

脇役「な、何が起きている…!」

ゲイ「彼らは群れが十体以下になると、融合するのさ…種の存続のため、より強力な力を得るために…」

部長「ゆ、融合!?」


魔物たちを包んだ血液が固まっていき。

やがて大きなタマゴのようになった。


ゲイ「来るよ…」


ピキッ!

バキキッ!

バゴォォン!!


タマゴが内側から勢いよく破壊される。


怪物「ギャオオオオオオオッ!!!!」


509 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/27(月) 19:54:54 E0jK35VQ00

十数メートルはあろうかという巨大な怪物が産声を上げた。

パパパパリィン!!

その大声で周囲の建物のガラスが全て砕け散る。

部長「ぐぅっ!」

部長は思わず耳を塞ぐ。

脇役「で、でかい…!」

ゲイ「フフ…こうなると戦闘力は今までの比じゃないよ…まあ万全なら僕一人でも倒せる程度だけれどね…今の体力では、勝ち目はない…」

脇役「き、貴様…これを知っていてなぜ黙っていた…!」

ゲイ「フ…言ったとして、貴方は逃げたかい?魔物たちを放置すれば町を暴れまわる…」

脇役「…だとしても…なんらかの対策を練ることは…」

ゲイ「この満身創痍の状態で?あの凶暴な魔物たちを前に…?フッ…無理だね…そんなヒマは無かった…」

脇役「くっ…」


怪物「ギャオオオオオッ!!」


ブンッ!!!!


部長「うわあっ!!」

ドガァッ!!

怪物の尻尾によるなぎ払いで部長はビルの壁に叩きつけられた。

脇役「部長!」

怪物「ギャオオオオオオオッ!!!」


510 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/27(月) 19:55:35 E0jK35VQ00


ズオッ!!!!


更に怪物は八本の長い腕を振り回し、脇役とゲイを潰しにかかる。

脇役「くっ…!!ぐああっ!!」

ゲイ「ぐ…!」


ドゴォォン!!


二人とも攻撃自体は避けた…が。

その風圧だけで吹き飛ばされ、瓦礫の中に落下した。

ゲイ「…フ……世界に満ちた魔力の影響か…魔界にいた時よりも、遥かに強くなっているようだね…」

脇役「くそ…これまでか…っ」

怪物「ギャオオオオオオオッ!!!!」


511 : はいどうも名無しです (ワッチョイ ba55-6473) :2019/05/27(月) 20:35:22 q.UCvDag00
怪物強すぎィ!
リドリーかと思ったら全然違った


512 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/28(火) 20:07:28 EUKk9XRA00






宇宙のどこか。


ドドォォン!!


ズオォン!!


ダダダダダッ!!


キュイイィィン

ドオォォォッ!!!!


ゴガガガガガッ!!


バギュゥゥン!!!


ここでは星同士の戦いが繰り広げられていた。


その真っ只中に。

高速で飛び回り、敵機を撃墜していくアーウィンが二機。


513 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/28(火) 20:09:04 EUKk9XRA00

???「生きておるか起動戦死!」

???『……応答無し。ふむ、恐らく死んでおるな』

通信で会話をしているのは、緑の服を着たフォックス族たちだ。

???「まったく彼奴は本当に使えんな…また回収して修理に出してやらねば」

???『毎度これでは何のために造られたか解んな。いい加減あのポンコツAIも修正してもらわねば!』

???「ってさっきからいちいち我の喋り方を真似するなポルス!」

???『貴様が我の真似をしているのだろうアルバロ!』

アルバロ「ふぅ…まったくフォックス族は本当に変わり者ばかりだな。まともなのは我くらいだ」

ポルス『アンタも十分変わり者よ!』

アルバロ「ギル姐の真似か。まあ、確かにギル姐は比較的まともかもしれんな」

ポルス『おいおい稀代のエンターテイナーこと、このオレを忘れるんじゃねえぜ!』

アルバロ『崖を見るやいなやファイアフォックスで飛び込む奴が正気とは思えん』

ポルス『いやお前が言うなドン。結局、まともなのは俺だけってことでいいかドン?』

アルバロ「論外だ」

ポルス『まあ…ドドンは一番ヤバいわな…』

アルバロ「パターソンか…?あまり特徴がないが、そんな暗い話し方をするのは彼奴くらいだ」

ポルス『なんだよ、結構当たんじゃねえか…』

アルバロ「クイズだったのか!?…というかもうただ物真似したいだけだろう貴様!」

ポルス『何だと!?まったく貴様は否定ばかりだな!つまらん男だ!』

アルバロ「わ、我の真似をしながら言うでなーい!」

二人はそんなふざけた話をしながらも、立ちはだかる敵を撃ち落としていた。


514 : ハイドンピー (ワッチョイ b14b-6473) :2019/05/28(火) 20:34:50 EUKk9XRA00



それから数分後。

ポルス『大体片付いたようだな』

アルバロ「ああ。任務完了だ。起動戦死のボディを回収して帰還するとしよう」

ポルス『何処に落ちているか分からんがな…いつもこの作業で無駄に時間を食っておるな…』

アルバロ「全くだ…」

その時。


ピコン! ピコン! ピコン!


アルバロ「むっ!!」

突然機内についた赤いランプが点灯した。

アルバロ「救援信号…!ギル姐からか」

ポルス『ああ、此方にも来たぞ。何事だ?』

アルバロ「今は天才も星に帰還している筈だが…それでも我等に救援を求めるほどの何かが起きているというのか…!?」

ポルス『起動戦死の回収は後だ!とにかく急ぐぞ!』

アルバロ「ああ!」

二人はアーウィンのスピードを上げ、星を飛び立った。


515 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/29(水) 20:29:11 41sm/Kmo00





隣国・山の麓では。

歩く「うぐ…」

アマゾン「参ったかワルモノめ!じゃあそろそろひっさつわざでトドメだ!」

天下無敵はアマゾンの前に跪いていた。

歩く「ま…待ってくださいアマゾン君…!これが本当にヒーローのすべきことだと思いますか…?」

アマゾン「なに!?あたりまえだ!ワルモノを退治するのがヒーローだ!」

歩く「僕はそうは思わない…ヒーローとは…!全てを救う者…!」

アマゾン「どういういみだ!」

歩く「…あくまで僕の考えですが…善も悪もない…分け隔てなく…困っている人を助け…そして導く…!それがヒーロー…!敵を倒すことが全てではないのです…!」

アマゾン「ふ、ふん!それでもわるいやつはわるいやつだ!」

歩く「確かに…どうやっても変わらない相手というのは存在する……だけど…今の君はどうだ。誰かに言われたからと悪と決めつけ…相手の話も聞かず…!」

アマゾン「……!!」


歩く「はっきり言わせてもらう…!君は……ヒーロー失格だッ!!」


516 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/29(水) 20:30:32 41sm/Kmo00


バーーーーーン!!!!(アマゾンが衝撃を受ける音)


アマゾン「……た…たしかに…その通りだ…」

アマゾンは涙目になり膝をつく。

歩く「…分かってもらえましたか…」

天下無敵はホッとして、少しだけ笑みを浮かべた。

歩く「…ところでアマゾン君…もう一度お聞きします。ハカセとは一体誰なんですか?」

アマゾン「ハカセは…今日の朝しりあったおじさんだ…」

歩く「今日!?一体どこで、どんな経緯で…?」

アマゾン「ぼくは強くなるために修行の旅をしてたんだ…その旅先の町で、魔物と戦って、まけそうになったところを、すけだちしてもらった…」

歩く「助太刀、ということは、そのハカセ自身もファイターということですか」

アマゾン「うん。ハカセはめちゃくちゃ強かった…だから、でしいりをしようと思ったんだ。けど断られて、かわりにぼくに"まりょく"を教えてくれた」

歩く(魔物退治を手伝ったり、魔力の使い方を教えたり…悪い人ではないのか…?だとしたら、目的は何だ…?)


???『私の目的は君を止めることでした、歩く天下無敵さん』


歩く「!?」

アマゾン「あ、ハカセ!」

突如、二人の脳内に直接声が届いた。

???『よくやってくれました、アマゾン君。ありがとう』

アマゾン「はい!」


517 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 7d9f-551e) :2019/05/29(水) 20:35:12 IKbdW6bI00

ハカセとは一体何者なんだ


518 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/30(木) 18:41:06 hs1nuzIo00

???『良い返事…と言いたいところですが、私と話すときは声に出さないでくださいと言ったはずですよね?』

アマゾン(あっ!そうでした!ごめんなさい!)

アマゾンは慌てて口を押さえる。

???『よろしい。天下無敵さんもそれでお願いします。敵がどこから見ているか分かりませんからね…』

歩く(わ、分かりました…貴方は一体…)

???『私は昼間の召喚士。北の町の魔法学校で教師をしています』

歩く(魔法学校…!?)

昼間『正確には、北の町のゲートから入ることができる、ですかね。まあ今はそのゲートも閉じていますが。ハカセというのはアマゾン君が勝手に呼んでいるだけです』

歩く(な、なぜ僕たちのことを知っているんです?それにアマゾン君に嘘をついて…!)

アマゾン(ウソ…?どういうことだ…??)

昼間『すみませんでした。私にはこうすることしかできなかったのです…魔の一族と戦うには、天下無敵さん、君を失うわけにはいきません。それに君の今の実力を見ておきたかった』

アマゾン(へ?えーっと…つまりどういうことですか?ハカセ)

昼間『彼らが天界に侵略しに行くというのはデタラメで、彼らの言った通り、天界にいる魔の一族を倒しに向かっていた、ということです』


519 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/30(木) 18:42:31 hs1nuzIo00

アマゾン(な、なんだってー!?ぼくをだましてたんですか!)

昼間『はい…君を利用するような形になってしまって本当に申し訳ありません。ただこの役目は君の実力を信頼しているからこそ任せることができたのです…そこだけは、分かってほしい…』

アマゾン(ふ、ふん!まあいいでしょー!そのかわり、今度おかし買ってください!いっこじゃないですよ!さんこ!!)

昼間『分かりました。約束します。北の町にとても美味しいお店を知っていますから、期待していてください、フフ』

アマゾン(わははー!)

昼間『…話が逸れましたね…そして君たちのことを知っている理由ですが…暴力委員長くんを通じて見ていたからです』

歩く(委員長さんを…!?そう言えば彼はあの町へ飛ばされる前、学校にいたと言っていましたね…)

昼間『ええ。あの子は私の弟子、㌦ポッターの教え子です。直接の面識はありませんがね。私は魔力を辿って彼を捜索していました。その時、彼とともにいる君を見つけたんです』

歩く(…なぜ僕なんです…?実際に戦ったわけではありませんが、恐らく実力ではエルバンさんや吐き気さんの方が上のはずです)

昼間『そうかもしれません…だからこそです。彼らはあまりに強い。生身のままで、魔力を使いこなす我々を超えるほどの力を持っている。私には、"教えることができない"』

歩く(……!まさか貴方は僕に…魔力の使い方を教えるつもりですか…?)

昼間『はい。君はこの世界で最強の切り札になり得る存在です』


520 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/30(木) 18:45:31 hs1nuzIo00

歩く(……貴方は今どこに…?)

昼間『魔法学校です。が、魔力の使い方は念話でこのまま教えます。私は今ここを離れるわけにはいかないのです』

歩く(…そうですか……)

昼間『…どうしました?』

歩く(はっきり言いますが、僕は貴方を信用できません)

昼間『!』

天下無敵は、微かに怒りの表情を見せた。

歩く(…話を聞いた限り…貴方はとっくに僕たちのことは見つけていたんですよね?どうして今まで黙っていたんです?)

昼間『それは…』

歩く(僕たちには見せまいとしていましたが、委員長さんはずっと不安を抱えていたんです…!彼はまだ子供だ…見知らぬ土地に突然たった一人で飛ばされて、寂しくないはずがない…!それがこんな戦いにまで巻き込まれ…!)

昼間『申し訳ありません…』

歩く(僕に謝ってどうするんです…)

昼間『…はい、すみません。勿論彼にもきちんと謝ります。ただ世界を取り戻すためには、慎重に見極める必要があったのです…それに、他にやるべきこともありました』

歩く(やるべきこと…?)

昼間『ええ、全て説明します。君に信用してもらえなければ、何の意味もありませんからね…少し長話になりますが……』


521 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 78c6-551e) :2019/05/30(木) 21:58:43 5LlSKEoI00


まさかの召喚士だった


522 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/31(金) 17:50:51 MVLU3ziQ00




昨晩、北の町。

㌦ポッターと手分けして、神の光が撃ち漏らした魔物を討伐している頃である。

昼間「ふぅ。こちらの魔物は片付きましたかね…」

召喚士は周囲の魔力を探り、もう残党がいないことを念入りに確認。

そして㌦ポッターのほうへ向かおうとしたその時だった。

昼間「!!! なんだこの魔力は…!」

㌦ポッターのいる方角に突如、膨大な魔力を持つ者が出現した。

加勢に向かおうと急ぐが。


㌦『召喚士さん!来てはダメだ!』


魔法で㌦ポッターが脳内に話しかけてきた。

昼間(㌦!そっちで何が起きているんです!?)

㌦『魔の一族です…たぶんラスボスレベルの…!とにかくこっちは僕がなんとかするので、召喚士さんは向こうに戻ってください!』


523 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/31(金) 17:53:29 MVLU3ziQ00

昼間(大丈夫なのですか…?)

㌦『無事に帰れる自信は全くないですが…召喚士さんがいなくなったら誰が生徒たちを守るんです…!』

昼間(……分かりました…任せましたよ)

㌦『はい…!』

そこで㌦ポッターとの会話は途切れた。

昼間(これだけ離れていても気圧されるほどの魔力量…常識の範疇を超えている…くっ…私にもっと力があれば…!すみません、㌦…!)

パチンッ!

召喚士は指を鳴らし、消えた。




魔法学校。

昼間「…そろそろ㌦の生徒たちも目覚めている頃でしょうか…医務室に行ってみま…」


生徒「きゃああああっ!」


昼間「!!」

突然の悲鳴が校舎内に響き渡る。

昼間「どうしました!?」

召喚士はすぐに悲鳴の元へ駆けつけた。


524 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 5815-551e) :2019/05/31(金) 18:27:15 TMsEEpscMM
支援のドドン
ポルスアルバロ好き


525 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/31(金) 18:30:30 MVLU3ziQ00

するとそこに。

生徒「せ、せ、先生…あ…あれ…」

怯えながら生徒が指をさした、その先に。

召喚士「なっ…!」

魔法学校の教師が黒焦げになって倒れていた。

そしてその傍らに。


???「よう、召喚士先生…遅かったじゃねーか」


青い帽子を被った黄色いハムスターが一匹。

昼間「き、君は確かうちの生徒の…ミカくんでしたか…?まさかこれは君が…?」

ミカ「ああ、オレが殺った。"ミカ"…なぜオレがそう呼ばれてるか知ってるか?」

昼間「……いえ…」

ミカ「ははっ、まあ気にすることはねえ。隠してるしな。けどここで一番強えアンタには、特別に教えてやるよ…オレの真の名前はな、味方殺しってんだ」

昼間「み…味方殺し…!?」

ミカ「オレは殺し屋の家系に生まれた。殺し屋といっても色々あってな…その一つが味方殺しだ。ターゲットの元に味方として潜入するんだ。そして信頼を得た上で、そいつの持つ"技術"をもらう。んで、用済みになったら殺す。同じ技術を持っているヤツは、敵になりうるからな」

昼間「…!その技術というのは…」

ミカ「ああ、当然ここで得られる技術と言やぁ、"魔法"だ。向こうの世界で普通に生きてたら、魔力の使い方なんざ知りようがない。まー無意識に使っているヤツもいるようだが、自分の意思でってのはほとんどいねえ。だからこの魔法学校に潜入し、学ばせてもらった」

昼間「それで…技術を習得し終えたから、私たち教師を殺そうというわけですか…」

ミカ「まあな。だが殺すのはアンタらだけじゃねえよ」

昼間「え?」


526 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/05/31(金) 18:34:52 MVLU3ziQ00

ミカ「同じ技術を持つヤツは敵になりうる。この意味がわかんねえわけねえよな?」

昼間「まさか…教師だけでなく生徒たちにも手を出すつもりですか!」

ミカ「ああ…当然、皆殺しだ」

昼間「そんなことはさせません!」

ミカ「ケッ、残念ながら今更言っても遅えぞ。もうすでに19人殺してる。アンタで丁度…20人目だ!!」

ダッ!!

味方殺しが仕掛ける。

昼間「舐められたものです!」


パチンッ!


ミカ「!?」


ジャキンッ!!!


召喚士が指を鳴らすと、大量の剣や槍などの刃物が味方殺しの周囲に召喚され。

刃物は味方殺しを一斉に襲った。

ミカ「なっ…!?だがこの程度…!」


バチバチッ!!


味方殺しは刃物を電撃で粉砕。

ミカ「舐めちゃいねえよ!アンタが強えのは分かってるさ!」

昼間「私のことなど関係ない」

ミカ「あぁ?」


527 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/01(土) 21:47:47 UmoVUSAc00


パチンッ!


また召喚士が指を鳴らすと。


シャキンッ!!


砕け散った刃物はその一つ一つが小さなナイフと化し。

再び味方殺しを襲う。

ミカ「チッ!めんどくせえ!デガワァ!!」


ドゴォッッ!!!


味方殺しはかみなりで床を破壊。

下の階へと回避した。

が。


パチンッ!


528 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/01(土) 21:49:25 UmoVUSAc00


ミカ「なんだァ!?」

味方殺しが落ちると、そこはまた同じ階。

目の前には召喚士が立っていた。

パチンッ!


ズドドドドッ!!


ミカ「ぐあああっ!!」

ナイフが味方殺しの手足と耳を貫き、壁に張り付けられる。

昼間「"技術を習得し終えた"?おかしな事ですね…魔法を完全に極めた者などいない、この私ですらも」


パチンッ!


ブワッ!


今度は、表面に魔法陣の描かれた、黒く分厚い布のようなものが召喚される。

昼間「はあっ!!」

ミカ「うおおっ!?」


ギュルルルルッ!!!


召喚士が手をかざすと、その布は味方殺しの体に巻きついた。


529 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/01(土) 22:02:25 UmoVUSAc00

ミカ「クソッ!ふざけ…むぐっ!」


バシュゥッ!!


そして完全に包み込まれると、味方殺しは一切動かなくなった。

昼間「…封印魔法、完了……魔道とは終わりなき道のり…そう簡単に極められるものではありません。向こうの世界のゴタゴタが片付いたら、君は魔法裁判にかけ、きちんと罰を受けてもらいますよ」



それから召喚士は味方殺しに殺された人たちを確認して回り、負傷者の手当てなども行った。

召喚士「五名はなんとか治療が間に合いましたが…教師六名に生徒八名…くっ…あまりに大きい犠牲…せめて私か㌦のどちらかでもこちらに残っていれば…いえ…もしもの話をしても仕方ありませんね…」

遺体を前に、召喚士と残った教師や生徒たちが合掌している。

そんな時。


㌦『召喚士さん!』


昼間「㌦!」

㌦『どうやら直接の戦闘にはならずに済みそうです…ですが少々厄介なことに…』

㌦ポッターはΦデスエンペラーたちとのゲームについて説明した。



昼間「…そうですか。実はこちらでも色々ありまして…とにかく無事なら良かった」

㌦『はい。また何かあれば連絡しますね』

昼間「はい。気をつけて」


530 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/03(月) 20:09:38 3SF9KYLA00


ドドドドドド…!


昼間「!!」

今度は校舎内のどこかで、何かが暴れるような音がした。

昼間「い、今のは…医務室の方から…?」

召喚士は医務室へと走った。



昼間「一体どうしました?」

弟「あっ、召喚士さん!」

昼間「この荒れようは…マグヌスくんの仕業ですか…?…でも彼はいないようですが…それにあと何人かいなくなっていますね」

弟「えっと、それが…」

幼き弟は暴力委員長がいなくなったことや、マグヌスが人食い軍曹と戦ったことなどを説明した。


召喚士「そ、そうですか…ではインテリ君たちはあの部屋にいるんですね。マグヌス君はまた校内をうろついていると」

弟「うん…僕なんにもできなくて…ごめんなさい…」

召喚士「いいんですよ。じゃあ私はインテリ君たちを見てきますから、幼き弟くんは寝ている子たちをお願いしますね」

弟「う、うん!」


召喚士(ふぅ…まさかあの禁断の書庫に入ってしまうとは…侮れませんね、マグヌス君…)


531 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/03(月) 20:11:17 3SF9KYLA00



それから召喚士は地下にある書庫へ。

昼間「こんばんは」

インテリ「おわっ!」

赤と緑の恐竜二匹は、驚いた表情で振り返る。

コテツ「……だれ?」

昼間「私は昼間の召喚士。この魔法学校の教師で、君たちの先生の㌦ポッターの師匠でもあります」

インテリ「先生の師匠!」

コテツ「ってことは、きょうとう先生!?」

インテリ「いやそういう事じゃないでしょ…」

昼間「ここにあるのは禁断の書と呼ばれる、危険な魔法が書かれた本です。上へ戻りましょう」

インテリ「し、しかし委員長が…」

昼間「はい。話は幼き弟くんから聞きましたよ。大丈夫、私がなんとかします」

コテツ「はーい!じゃあもどろっかインテリくん!」

インテリ「えっ?は、はい。大丈夫かな…」

コテツ「きっとだいじょーぶ!ぼく、なんとなくだけど、この人のいうことはしんじられる!それに㌦ポッター先生のししょーだし!」

インテリ「…分かりました。じゃあ召喚士さん、委員長のこと、お願いします!」

昼間「任せてください!」

そしてインテリとコテツは書庫を出て、階段を上っていった。


532 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/03(月) 20:12:32 3SF9KYLA00


昼間「さて、とりあえずこの書庫を封鎖するところからですね…もう誰も入らないよう、更に強固な封印を施さなければ」

召喚士はそう言うと壊れた扉を魔法で修復。

そしてその上に複雑な魔法陣を書いていった。


それから約一時間後。

昼間「ふぅ…こんなものでいいでしょう」

召喚士は封印を終えた。

昼間「次は委員長君の捜索ですね。幼き弟くんから聞いた情報通りなら、おそらくマグヌス君の使った魔法は、こちらと向こうの世界で形と質量の近いものを強制的に入れ替えてしまう魔法…悪魔召喚の魔法陣を作るはずが失敗して、禁断の書として封印されていたもののはずです。だとすれば、委員長君は向こうの世界にいるとみて間違いないでしょう」

考えを整理するための独り言を言い終えると。


パチンッ!


召喚士は指を鳴らし、再び北の町へ移動した。


533 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/06(木) 19:04:30 KM6x4kyg00




昼間「…㌦の言っていた通り、あちらの方で戦いが始まっていますね…さっきの巨大な魔力とは別に、二つの魔力を感じる…」

召喚士は北の町に出ると、すぐに二つの魔力に気づいた。

そして目を瞑り、魔力感知を更に研ぎ澄ます。

昼間「片方はデスエンペラー程ではないにせよ、かなりの魔力の持ち主ですね…もう片方は…戦っていない…?いや、というか…」

召喚士は驚く。

その魔力の一つは、召喚士の方へと迫ってきていたのだ。

昼間「な、何だ…?私の存在に気づいた…!?かなり魔力を抑えている筈ですが…!速い…もうすでにこの近くに…」


大学生「お久しぶりです…召喚士先生」


昼間「!?」

気づけば召喚士のすぐ近くの電柱の上に、大学生が立っていた。


534 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/06(木) 19:07:28 KM6x4kyg00

ヒュー… スタッ

大学生は電柱から降り、召喚士の前に立つ。

大学生「俺のこと覚えてますかぁ?ケケッ、ンなワケないか。あれから九年も経つしなァ〜」

昼間「……き、君はまさか…あの時の…!?」

大学生「いや覚えてる振りとかしなくていいッスよ。俺めちゃくちゃ影薄かったしね〜」

昼間「いや、覚えていますよ…!影が薄かった?冗談じゃない…だって君はあの年、魔法学校を首席で卒業したじゃないですか…!」

大学生「へぇ〜マジで覚えてるモンなんだな。記憶するだけ無駄なのによくもまあ…クク…」

昼間「ど、どうしたのです?随分と雰囲気が変わりましたね?」

大学生「壊れたんだよ…まあそんなことはどうでもいい……あなたに頼みたいことがあります…」

昼間「頼み…?」

大学生「僕の友達を助けて欲しいんです」

昼間「友達を?一体何があったのですか?」

大学生「クククッ…純白っつう、壊れた俺のことをいつも気にかけてくれる人がいるんです。そいつが、あの魔界から来た黒いオッサンに、俺みてえに壊されやがったんだわ…クク、ざまあねえなァ」

昼間(人格が滅茶苦茶だ…一瞬昔の彼のような顔を見せたかと思えば、また凶悪な顔つきに…)

大学生「テメエも向こうのほうに感じてんだろ?異常にデケエ魔力…」

昼間「はい」

大学生「アイツが…魔の灯火とかいうのを使って、純白と僕の魔力を、暴走させやがった。まァ俺は元々扱えるから大して変わんねーんだがよ…しかし魔力なんざもう何年も使ってなかったから流石に応えましたわ、ケケケッ…」

昼間「なるほど…本来魔力とは時間をかけて少しずつ解放していくもの…それを純白さんは無理やりこじ開けられ、その副作用で感情をコントロールできなくなり、魔の一族のようになってしまった、というわけですか…」

大学生「話が早くて助かるねェ、流石は先生サマだわ…クククッ…」


535 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/06(木) 19:11:50 KM6x4kyg00

昼間「私もかつて師匠から魔法を教わった時、最初に魔力を暴走させられましたから…」

大学生「あ?」

昼間「勿論今のご時世ではこんなやり方はしませんが、昔はそうやって魔力の使い方を覚えたのです。魔力を暴走させ、感情をコントロールできなくなると、師が魔法で止める。魔力に慣れるまで、それを繰り返す。あれは本当に厳しい修行でした…」

大学生「誰もテメエの昔話なんか聞いてねえよハゲ。いきなり語り出しやがって。そんな時代があったんですね…」

昼間「…ですがそれは信頼する師匠がいたからこそ成立したやり方…純白さんにはそんな師匠はおらず、魔の一族に利用されている…であれば、許すわけにはいきませんね」

大学生「じゃあ…」

昼間「ええ。手伝いましょう。誰かが止めてあげなければいけません」

大学生「あ…ありがとうございます先生…!ケッ、くだらねえ!」

昼間「…ただ、そのΦデスエンペラーという男…魔力から察するに、果たして我々全員が協力しても勝てるかどうか、というレベルでしょう…今仕掛けても恐らくは返り討ちにあいます」

大学生「はぁ?んじゃどうすんだよ」

昼間「とりあえず今の戦いが終わるまで待ちましょう。あそこには私の弟子の㌦ポッターがいます。それに強力な魔の一族の幹部を倒したという二人の戦士もいると聞きました。なんとかしてΦデスエンペラーの隙を作り出し、そこを全員で叩く…念入りに準備をしなければならないでしょう…」


536 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/08(土) 19:23:26 dVBADSUA00

大学生「んだよそれクソめんどくせえ!大体アイツがそう易々と隙なんざ見せるとも思えねーわ。適当に言ってんじゃねえぞチビヒゲ!」

召喚士「チ、チビヒゲ…?…ま、魔の一族はどれだけ強くとも、本能の赴くままに行動してしまうという弱点があります。そしてその性質は魔力が大きければ大きいほど強くなる…君があの場からここへ抜け出して来れていることこそがその証拠ですよ。Φデスエンペラーはきっと目の前のゲームに夢中なのです」

大学生「んなこたぁ分かってますよぉ…それでも隙なんざ見つかんねーからこうしてアンタに相談してんだろうが脳ミソついてますかぁ??それで、作戦はあるんですか…?」

召喚士「はい。まあこれは博打のようなものですがね…あんな化け物を相手にするにはそうせざるをえない…」

大学生「話してください」

召喚士「はい…」


そして昼間の召喚士は作戦を伝えた。


大学生「…ひゃはは!ナルホドねぇ!良いんじゃねーの?クク…先生、すごい大胆な事考えますね」

昼間「よし、では準備を始めます!」

すると召喚士は地面に魔法陣を描き始めた。


537 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/08(土) 19:24:09 dVBADSUA00



そして数分後。

昼間「完成です。ではこの中心に立ってください」

大学生「へいへい」

描かれた大きな魔法陣の中心へ、大学生は気怠そうに移動する。

大学生「この辺でいいですか?先生」

昼間「はい。では…いきます」

今度は召喚士は両手をかざして、ブツブツと詠唱を唱え始めた。

しばらくすると、魔法陣が光りだす。

昼間「出でよ我が使い魔!魂を借りこの世へ顕現せよ!」

大学生「ぬぉぉっ!これ大丈夫なのかよ!」

光が大学生の体に集まっていき、大学生の体に衝撃が走る。

昼間「堪えてください!少しの辛抱です!」

大学生の体を完全に光が覆うと。


ミシミシ…


ベリッ!


大学生の体に張り付いた光が、脱皮をするように剥がれた。

その剥がれた光は大学生の形になっていた。

大学生「ゲェッ!きめぇ!」

昼間「型取り成功ですね」

光は徐々に収まっていき、やがてその姿は完全に大学生と同じになった。


538 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/08(土) 19:26:18 dVBADSUA00

昼間「目覚めなさい、我が使い魔よ」

召喚士がそう促すと、大学生の姿になった使い魔は、ゆっくりと目を開けた。

使い魔「……せ…先生…」

昼間「よし、声も同じだ。感じる魔力も遜色ない。これなら奴らに近づいても気付かれないでしょう」

大学生「マジかよこれ。マジで俺じゃんクソキモいなオイ。コピー使い魔の能力をここまで引き出すとは…やっぱりさすがですね召喚士先生…あなたを頼ってよかった」

昼間「とはいえいつまでも同じ魔力が二つ存在していると流石に気付かれます。君を裏の空間へ隠しますよ」

大学生「はい」

昼間「っと、その前にこれを」

大学生「おう」

召喚士は一枚の紙を渡す。

昼間「さて。向こうに着いたら私の職務室に待機してください。向こうも色々あって混乱してるので、他の教師や生徒に見つかると面倒な事になりかねない。くれぐれも、暴れたりしないでくださいね?」

大学生「あァ!?俺を何だと思ってんだよテメエブッ刺すぞコラ」

昼間「念のためですよ。大丈夫、信じてますよ。では行きます」


パチンッ!


召喚士が指を鳴らすと、大学生は姿を消した。


昼間「…では我が使い魔よ。何食わぬ顔でΦデスエンペラーのところへ向かいなさい」

使い魔「へいへい、行きゃいいんでしょ行きゃあ。ったくニセモンだからってテキトーに扱いやがってヨォ」

使い魔はブツブツ言いながら、純白たちの戦いが行われている場所へと走っていった。

昼間「上手くいくといいのですが……この事は㌦にはまだ言わない方がいいでしょうね。すぐ顔に出るタイプですし」

夜の町を駆けていく使い魔の背中を見送りながら、呟く。


539 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/09(日) 18:39:21 GasLTOs200


昼間(では私は委員長くんの捜索に戻りますかね。戦いはまだしばらく続きそうですし、終われば㌦が知らせてくれるはずだ)

パチンッ

召喚士はハードカバーの本を召喚し、手に取る。

バサッ

そして本の中の、魔法陣が描かれた一ページを開く。

召喚士はその魔法陣の上に手を重ねると。

昼間「暴力委員長くんの居場所を…映し出したまえ」

目を閉じ、念じた。



そして黙ったまま念じ続けること一時間以上…

昼間(少なくともこの町にいないのは間違いないですね…それなら三十分もかからず見つかる筈だ。私の魔力量では町の外まで捜すとなると、流石に骨が折れますが…諦めるわけにはいかない)

ツーっと頬を汗が伝う。

召喚士は、ふうっと一度呼吸を整えてから、再び目を閉じた。


540 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/09(日) 18:41:00 GasLTOs200



それからまた数時間。

夜明けも近くなってきた頃。

昼間(禁断の書と言えどあの程度の魔法なら、この国の外にまで効力が及ぶはずは無い…そろそろ見つかってもいい頃だと思いますが…)


スゥッ…


昼間「!!」

すると、紙面に徐々に映像が浮かび上がってきた。

そこにはベッドに眠る暴力委員長の姿があった。

昼間(思った通りだ!やはり国内…これは…宿屋か?流石にこの時間だと寝ているようですね。誰かと一緒にいるようですが…)

隣のベッドに眠る天下無敵の姿を発見する。

昼間(委員長くんも安心して眠っているようですし、悪い人ではなさそうだ。保護してくれたのでしょうか。良かった…)

ホッと胸をなでおろし。

昼間「しかし流石に遠すぎますね…ここから空間移動で飛ぶのは難しいか…」

召喚士はそう言うと。


541 : ハイドンピー (ワッチョイ 8f1a-551e) :2019/06/09(日) 18:42:04 GasLTOs200


パチンッ!


ボンッ!


指を鳴らし、バイクのようなものを召喚した。

昼間「これに乗るのも久し振りですね」

召喚士はそれにまたがり、ハンドルに魔力を注ぎ込むと、所々に入ったラインが青白く光り出す。

と。

フワッ…

バイクは浮き上がった。

昼間「全速前進!」


ゴォッ!!!


召喚士の掛け声とともに、後ろの部分から炎が噴き出し、それを推進力としてバイクは空中を走り出した。


542 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 2a61-bff4) :2019/06/10(月) 02:25:16 fsCg/BHk00
全速前進DA☆

乙です


543 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/10(月) 20:50:53 E18AyA4c00




数十分後。

ビュゴォォォ!

キキィーーッ!!

委員長たちのいる宿屋へ向かう途中の町で、暴れる魔力に気づき、召喚士は急ブレーキをかけた。

昼間「魔物か!……ん?しかし誰かがすでに応戦している…?」

召喚士の視線の先には、青い帽子の子供。

★グレイトアマゾン★である。

アマゾン「PKファイヤーーっ!!」

ボォッ!!

魔物「グギャァァ!」

アマゾンは魔物をPKファイヤーで燃やし。

アマゾン「とりゃぁっ!!」


ドゴッ!!


ヨーヨーで吹き飛ばした。


544 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/10(月) 20:52:10 E18AyA4c00

昼間「なかなかやりますね、あの少年…マグヌス君といい、近頃の若者は勇敢で感心します」

しかし…

魔物「グォォォォ!」

アマゾン「くっ!」

アマゾンは新たに現れた二匹の魔物に挟まれる。

昼間「む!感心している場合じゃない!」

ダッ!!

召喚士は咄嗟に、アマゾンと魔物の間に入った。

アマゾン「だ、だれだ!?」

昼間「話は後です。こちらは私が引き受けますから、君はそちらを」

アマゾン「わかった!」


ドガァッ!!!


魔物「ギャァァ!」

二人は同時に攻撃し、魔物を倒した。


住人「うわああああ!!」

昼間「!!」


545 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/10(月) 20:55:15 E18AyA4c00

アマゾン「今の声、あっちからだ!まだいたのかマモノめ!」


パチンッ!


召喚士は指を鳴らすと、一瞬でその魔物の上に移動した。

アマゾン「え!?あれ!?」

突然召喚士が消え、アマゾンは困惑し周りを見回す。

昼間「はっ!!」


ドゴォッ!!


魔物「グボォ!」

召喚士はそのまま魔物を上から殴り、地面に叩きつけた。

魔物はそのまま消滅した。

昼間「ふぅっ」

アマゾン「な、なんだ今の!?テレポート!?どうやったんだ!?」

後から駆けつけたアマゾンが興奮しながら言う。

昼間「ちょっとした魔法ですよ。…これで最後のようですね。魔力はもう感じません」

アマゾン「ま、まほう…!?まさか、おっさん、まほうつかいなのか!?」

昼間「まあ、はい。そんなに驚くほどの事ですか?君も似たような力を持っていますよね」

アマゾン「PSIのことか?これは昔から使えたからよくわからないんだ。さっきの瞬間移動みたいなのはできない」

昼間「そうなんですか?魔力とは違う力のようですが、鍛えれば似たようなことはできそうなものですがね…そういえば、似た力を持っていたマグヌス君も、君と似ていましたね。もしかすると君たちの種族にだけ伝わる力なのかもしれませんね…」

アマゾン「マグヌス…?しゅぞく…?よくわからん……そんなことより、まほうおしえてくれ!いや…おしえてください!師匠!」

アマゾンは頭を下げる。

昼間「いやいや師匠だなんて…頭を上げてください」

アマゾン「だ、だめですか?」

悲しそうな顔をするアマゾン。


546 : ハイドンピー (ワッチョイ 561a-75f6) :2019/06/10(月) 21:23:02 E18AyA4c00

昼間(この時間に着いても彼らはまだ寝ているでしょうね…まあ、少しなら大丈夫か)

昼間「ですが、魔力の扱い方は教えておいてもいいかもしれませんね。そのPSIという力を使いこなしている君なら、コツはすぐに掴めるはず…」

アマゾン「ほんとですか!!」

昼間「はい。ただし勿論これはあくまで魔物と戦うためです。悪用しないと約束できますか?」

アマゾン「あたりまえです!ぼくはヒーローですよ!!」

昼間「ヒーロー?なるほど、それで魔物と戦っていたのですね。いい心がけです。よろしい!魔力の扱い方を教えましょう……えーっと、そう言えばまだ名前を訊いていませんでしたね」

アマゾン「ぼくは正義のヒーロー★グレイトアマゾン★!アマゾンでいいですよ!」

昼間「私は昼間の召喚士。よろしく、アマゾン君!」


こうして召喚士はアマゾンに魔力の扱い方を教える事になった。


召喚士の予想通り、アマゾンは少しコツを教えただけで、魔力をあっさりと使えるようになった。

わずか一時間ほどの訓練で、基本的な技術である肉体強化や、それを応用したPSIの威力の強化までこなした。


547 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/13(木) 18:56:32 KTadWcqg00




そして、夜が明け。

昼間「ではアマゾン君、気をつけて」

アマゾン「はい!ありがとうございました師匠!」

昼間「だから師匠はやめてくださいよ」

アマゾン「じゃあ……ハカセ!ヒーローには天才のハカセがつきものですから!」

昼間「…まあ、師匠じゃなければ好きに呼んでくれて構いませんが…」

アマゾン「今度は瞬間移動とかもおしえてくださいね!ハカセ!」

昼間「ええ。かなり大変な修行になりますから、その時は覚悟してくださいね」

召喚士は微笑みかける。

アマゾン「ぼくはヒーローですよ!修行なんてだいこうぶつですよ!わはははは!」

アマゾンは笑いながら、大きく手を振りながら、また別の町へと旅立った。

召喚士がその姿を見送っていると。


㌦『召喚士さん!』


㌦ポッターからの念話が召喚士の脳内に響いた。


548 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/13(木) 19:00:57 KTadWcqg00

昼間「㌦。ゲームとやらは終わりましたか?」

㌦『は、はい…それが非常に言いにくいのですが……こちらの負けです…』

昼間「…! そうですか……すみませんがまた後で詳しく聞きます」

㌦『え?は、はい』

プツッ

昼間「…さて」

それから召喚士はさっきのハードカバーの本を再び取り出し、あるページを開く。

昼間「我が使い魔の視界を映し出したまえ」

するとそこに、使い魔の視点から見える風景が映し出された。

ドドンの眠るアーウィンや、腕を組んで立つΦデスエンペラー、寝袋に収まろうとしている純白の姿が見える。

そしてそれを見ながら。

昼間「出番ですよ」

召喚士は大学生に魔法で話しかける。

大学生『わかった』

大学生は召喚士に渡された紙を、机の上に広げていた。

そこには魔法陣が描かれている。

大学生『準備はできてますよ。っつーか紙広げただけだけどな』

昼間「では私の合図で発動してください」

大学生『へいへい』

それから召喚士は、使い魔にΦデスエンペラーの気を引くよう命令を送った。

Φデスエンペラーはあっさりその誘いに乗り、周りは全く見ていない。

昼間「よし!今です!」

大学生『ずぉりゃあああ!!』

合図とともに、大学生は魔法陣にありったけの魔力を込めた。

するとそれと同じ魔法陣が、寝袋で寝ようとしている純白の下に出現。

大学生の時と同じく、純白の体を光が包み。

純白の姿をコピーした。

そして本物の純白は、大学生の元の魔法陣に転送され、コピーだけがその場に残った。


549 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/13(木) 19:49:53 KTadWcqg00

大学生『すり替え成功!!は〜、さすが先生サマ、完璧っすねぇ〜ククククッ』

昼間「ふぅ、良かった…」

召喚士は本で様子を見ながら、Φデスエンペラーが気づいていないことを確認する。

純白『!? こ、ここはどこです!?なぜこんなところに…!』

大学生『ウゼェよ馬鹿が!黙って寝とけや!』

純白『大学生!なんで…というか何か知ってるの?』

大学生『知るかボケ』

昼間「㌦を向かわせますから、しばらく純白くんをお願いしますね」

大学生『はあ!?丸投げかよヒゲコラ…』

プツッ

召喚士は一方的に会話を終了した。


それから㌦ポッターにこの作戦の話を全て伝え、魔法学校にいる純白と大学生のことを任せた。

昼間「まあ㌦ならなんとかしてくれるはずです。そろそろ私も委員長くんのところへ向かわねば」

そう言って、召喚士は本を閉じようとしたが。

その直前、純白のコピーがΦデスエンペラーによって倒されたところを本が映していた。

昼間「…強い…コピーとはいえ身体能力や魔力は彼らと同じになっているというのに…こうもあっさりと…!彼らも決して弱くはないはずですが…」

召喚士はこの時点で、Φデスエンペラーという"個"に対抗するために、大きな"個"を探し出さなければならないと思い至っていた。

昼間「…おっと、それより今は委員長くんですね」

召喚士はバイクにまたがり、再び暴力委員長たちのいる宿屋へと向かった。


550 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 3ef7-f4bc) :2019/06/13(木) 21:01:44 h63SjOqk00
さすがデスエン、純白を一ひねりだ!(デスエン推し)


551 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 8774-1a22) :2019/06/14(金) 03:05:48 44Cip7EsMM
よかった……純白と大学生が生きててめちゃくちゃ安心した俺がいる←


552 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/17(月) 19:49:22 zRy4lRY600




数十分後。

召喚士は宿屋の前に到着した。

昼間「ふむ、少し早く着きすぎましたかね。まだ宿屋にいるようですし、近くで起きてくるのを待ちましょう」


召喚士は近くのバーに入った。

カランカラン

???「いらっしゃい。おや、見ないカオだね」

カウンターに立っていたのは赤毛のゴリラだった。

昼間「ええ、北の町から来たもので」

???「北の町…ああ、魔法学校があるっていう…」

昼間「!?」

???「フ、その反応を見るに、どうやら関係者かな?」

昼間「……な、なぜ魔法学校のことを知っているんです…?」

???「なに、聞いた話さ。一応本業は情報屋なんだ。特に女性についてはかなり詳しいよ。トップアイドルちょこにゃちゃんのスリーサイズから、この国最強の女戦士こと切れた脇役のスリーサイズまでね…ヌフフ」

昼間「スリーサイズばかりじゃないですか…」

???「フ、まあね。誇れたもんじゃァないが、常連や仕事仲間からはエロ過ぎるマスター、通称エロマスと呼ばれてるよ。お客さんのことも聞かせてもらえるかい?」


553 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/17(月) 19:50:16 zRy4lRY600

昼間「…ええ。お察しの通り、私はその魔法学校の教師ですよ」

エロマス「教師!すごいな。どんな魔法を教えるんだ?」

昼間「召喚魔法です。身近な物から使い魔まで、魔法陣の形によって召喚できる物は様々に変化する…かなり便利な魔法ですよ。魔力の使い方さえ心得ていれば、魔法陣だけで発動できますし」

エロマス「ほう、興味深いね。私にも手軽にできる召喚魔法なんか教えてはくれないかい?」

昼間「それは無理ですよ。召喚に限らず、魔法はこちらの世界では容易く使っていいものではありません。魔法学校を卒業し、ライセンスを取得することで初めて使うことが許されるのです」

エロマス「フ、ああ、知っているよ。ダメ元で言ってみたが、やっぱりそうか。どうだいお客さん、何か欲しい情報はないかい?話を聞かせてくれたお礼にお安くしとくよ」

昼間「いや…遠慮しておきます」

エロマス「そうかい。ま、それじゃ何か頼みな」

昼間「…ではミルクでも貰いましょうか」


554 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/17(月) 19:52:04 zRy4lRY600



それからしばらくして。

召喚士はまた本で北の町の様子を確認していた。

昼間(Φデスエンペラーたちにはまだ動きはないようですね…㌦たちの方は大丈夫でしょうか)

そして㌦ポッターに魔法で念話をかける。

昼間(㌦、そちらの様子はどうです?)

㌦『召喚士さん。特に何も起きてませんよ。夜通し戦ってたからか、純白くん、状況を話す暇もなく寝ちゃったので』

昼間(そうですか)

㌦『それと大学生くんにも休んでもらっています。ほんとは僕もそろそろ休みたいところですけどね…そちらの様子はどうですか?』

昼間(とりあえず宿屋の近くには着きましたよ。委員長くんが起きてきたらすぐに連れて帰りますから、もうしばらく待っていてください)

㌦『了解です』

プツッ


エロマス「お客さんそれ、もしかして魔法書ってヤツかい?」

昼間「ええ」


555 : ハイドンピー (ワッチョイ 1347-cb60) :2019/06/17(月) 19:53:08 zRy4lRY600

エロマス「ほう、実物を見るのは初めてだ。ちょっと見せてもらえないかい?」

昼間「ダメですよ。私以外が気軽に触ると魔法が暴発したり、魔力が吸われて最悪死にます」

エロマス「そんなに危険な物なのか」

昼間「勿論普通の魔法書なら大丈夫なんですけどね。これは私の使いやすいよう特別な魔法陣を組み込んだ魔法書で、私の魔力でのみ制御できるようになってるんですよ」

エロマス「なるほど…お客さん、さてはものすごい魔法使いだね?」

昼間「えっ?いえいえ、私なんてまだまだですよ」

エロマス「フ、あまり謙遜するな。良いものがあるんだ。これでも飲んで少し待っていな」

コトッ

エロ過ぎるマスターはミルクを一杯出すと、店の奥に引っ込んだ。

昼間(一体何でしょうか…)


556 : はいどうも名無しです (ラクラッペ ab83-ec5f) :2019/06/17(月) 20:01:33 nG9FlPEgMM
酒場でミルク…どこの蟹さんですかねえ…


557 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 592d-5730) :2019/06/17(月) 21:12:29 nepS4OYMSp
大学生ってデスエンにやられたと思ってたら生きていたのか
さすがはファイターだ


558 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-2146) :2019/06/19(水) 08:26:19 PyCU8ehI00



数分後。

エロマス「待たせたね」

その手には古い木箱を持っていた。

昼間「それは…?」

エロマス「いつか優秀な魔法使いが現れたら渡そうと思っていた」

エロ過ぎるマスターはそれをカウンターの上に置くと、パカっと開けた。

その中には古い小さなカギが入っていた。

昼間「カギ…?一体何の…」

エロマス「これは私の家が先祖代々守ってきたものだ。だが父から譲り受けた時、これの正体は何も分からなかった。長い年月と共にその本質が忘れられ、ただこれを守らなければならないという使命だけが、子孫に伝わっていたからだ。…だが、数百、数千と古い文献を調べ、仕事仲間から得た情報などを照らし合わせていくうちに、私はその正体に辿り着いた…」

とても真剣な表情でエロ過ぎるマスターは言う。

昼間「その正体とは…?」

ごくり、と召喚士は息を呑む。


559 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-2146) :2019/06/19(水) 08:28:06 PyCU8ehI00

エロマス「その正体は……有料だ」

エロ過ぎるマスターは手のひらを出して金を要求した。

昼間「…は、はい。まあ商売ですしね…」

召喚士はポケットから金を出し手渡す。

エロマス「そのカギは…世界を一つにするための扉を開けることができる」

昼間「……!?」

エロマス「魔法使いなら世界がいくつもあるというのは勿論知ってるだろう?人界・魔界・天界…そしてその大きな三つの世界に連なる、いくつもの小さな世界……その全てを、一つに統合する扉が存在するのだ」

昼間「…そ、そんな馬鹿な…そんなことができるはずがない。それはもはや神の領域…いや、神すらも超えた力ではないですか…!」

エロマス「いくつもの世界を一つにする…たしかに有り得ない話だ。だが、元々一つだったものを元に戻す、と言えば少しは信じられないか?」

昼間「え!?」

エロマス「かつて一つだったのさ、世界は。そこは平和な世界だった。だがある時そこに、魔力の扱い方を覚えた者たちが現れた。そいつらは魔力を使って暴れ回り、破壊の限りを尽くした。世界を治めていた全能神はそいつらを止めるため、世界を三つに分けたんだ」

昼間「な…!」

エロマス「全能神とその信頼における仲間たちは天界へ行き、その後神や天使となって世界のバランスを保つ役割を担った。魔力を扱い好き放題暴れ回ったヤツらは魔界へ堕とされ、魔の一族となった。そしてそれ以外の者たちは、この人界で平和に暮らした…まあ残念ながら平和を脅かす愚かな人間も大勢いるがね…」


560 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-2146) :2019/06/19(水) 08:35:06 PyCU8ehI00

昼間「だ、だとしたら、世界を分けるほどの力を持つ全能神とは、一体…!」

エロマス「……」

エロ過ぎるマスターは無言で手のひらを出す。

昼間「…はい」

召喚士はいちいち話の腰を折られるのに若干の面倒くささを感じつつも、再び金を手渡した。

エロマス「全能神の正体…それは私もよく知らない」

昼間「ええ!?」

エロマス「まあ慌てるな。よくは知らないが、何も情報が無いわけではないんだ。その全能神は、少年の姿をしていたという。そして、魔力とは違う力を持っていた」

昼間「少年の姿に、魔力とは違う力…?それはまるで彼らのような…」

エロマス「ああ、お客さんも会ったことあるのかい?魔力とは違う、PSIを使う彼らの種族は、"ネス"というらしい」

昼間「ネス…ですか」

エロマス「ただ、詳しいことは私も分からない。彼らのことを調べたが、数世代より前の記録が途絶えていたんだ。恐らくは全能神が隠したんだろう」

昼間「全能神に近づきすぎてはならない、という事でしょうか」

エロマス「さあね…正直、これらの情報は自分でも半信半疑だった。だが魔の一族が攻めて来た時、確信になったよ。違う世界に、同じ祖先を持つヤツらがいる。世界は一つだったんだ、ってね」

昼間「…なるほど……ところでこのカギで開くという、世界を統合する扉とは、一体どこに…?」

エロマス「分からない…が、恐らくは天界だろう。全能神もそんなものは近くに置いておきたいはずだしな」


561 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-2146) :2019/06/19(水) 08:39:04 PyCU8ehI00

昼間「そうですか…でも今更ですが、これを私に渡してどうしろと…」

エロマス「なに、別に使わなくてもいい。というかそうそう使う機会なんて訪れないだろうが…ただそのカギは魔力に反応して作動するから、私には扱えない。扱える者に託そうと思ったんだ」

昼間「たしかに魔道具のようですが…」

エロマス「フ、それにそんなものを持っていたら私もいつか命を狙われるかもしれんからな」

昼間「…それってつまり私に押し付けたってことでは?」

エロマス「ハハハハ、そうとも言うな。だが勿論お客さんの実力を信じて託すんだ。誰でも良かったわけじゃないさ」

昼間「責任重大ですね…ですがまあ、分かりました。これは私が預かります」

エロマス「ありがとう!……フ、しかしまさか魔法使いのお客さんが来るなんて驚いたよ。冷静を装ってるが、内心かなり興奮しているんだ。それを渡すことなんて一生ないと思っていたからね」

昼間「そんなに珍しいものでもないですよ。ただこちらの世界では隠しているだけで、私も生徒たちも本来はこちらの住人なわけですし」

エロマス「たしかに、私が気づいていないだけで、すれ違ったことくらいはあるのかもしれないな」

昼間「というかそう言う割にはきっちりお金請求してきましたよね」

エロマス「そこはほら、プロだしな、一応…」

少し気まずそうにエロ過ぎるマスターは頭をかく。

昼間「冗談ですよ。すみませんが、そろそろ行かなくては。ありがとうございました」

エロマス「ああ、こちらこそ。ミルクはサービスだ。また来ておくれよ」

昼間「勿論!」

二人は握手を交わし。

そして昼間の召喚士はエロ過ぎるマスターのバーを後にした。


562 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 34e8-5890) :2019/06/19(水) 12:23:39 uX5IWSNo00
種族名としてファイター名が出てくるのいいなあ


563 : はいどうも名無しです (ササクッテロ a056-cf88) :2019/06/19(水) 12:27:50 ZHT4ECE2Sp
全能神…一体何ロスなんだ…?


564 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-cf88) :2019/06/22(土) 20:40:34 L5DSokeM00


外はすっかり明るくなっていた。

通勤や通学中と思われる人々が次々通り過ぎていく。

昼間「少し長居しすぎましたか…」

暴力委員長と天下無敵の魔力が宿屋から消えていることを感知し、召喚士は急いで二人を追いかけようとした。

その時。


ピカァーーン!


突如、懐にしまったカギが光を放った。

昼間「カ、カギが…!……うわっ!」

すると光り出したカギはひとりでに浮き上がり、方向を指し示した。

昼間(あちらに何があるというんです…?特に魔力などは感じられませんが…)

しかしそれを無視することもできず、召喚士はカギの示す方向へと歩みを進めた。




しばらく歩き続けると、とうとう町はずれに出てしまった。

その先には、高く美しい山が見えた。

昼間(あれはたしか、この国一番の山ですよね…いや、だから何だと… !)

召喚士はその異変に気付く。

昼間(…あの頂上…時空が歪んでいる…?しかし…あれは裏の空間へのゲートとも、魔界から魔の一族が現れた時に開いたものとも違う……だとすれば…天界…か…?)


565 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-cf88) :2019/06/22(土) 20:49:00 L5DSokeM00

召喚士はすぐにその歪みの正体を推察する。

ただ召喚士も天界には結界があり干渉することはできないと知っているため、すぐに確信にまでは至らなかった…が。

昼間(このカギが反応しているということは、あの歪みの先に、例の扉があると考えるのが自然でしょう…となれば、やはり天界へのゲートである可能性が高い……しかしなぜ結界が機能していない…?結界を張っている天界の神に…いや、エロマスさんによれば全能神という存在がいるんでしたね…その全能神様の身に、何かが起きたということでしょうか……)

状況を黙々と考察していく。

そして黙ったまま、今自分が何を優先すべきか考え込んだ。


結論。


パチンッ!

ボンッ!


召喚士は指を鳴らしてバイクを呼び寄せ、それにまたがった。

昼間(すみません、委員長くん…!もうしばらく待っていてください…!)

召喚士はゲートを目指し発進した。


566 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-cf88) :2019/06/24(月) 20:06:24 JGfTsn.g00




数十分後。

キィィィッ!

召喚士はゲートの前に着いた。

昼間「!!」

ゲートの先に人影を見つけ、反射的に身構える。

聴牌「驚きましたね…こんなにも早くこのゲートに気づく人が現れるとは」

そこに立っていたのは赤いパワードスーツを来た人物だった。

昼間「だ、誰です…?」

聴牌「私は天使の聴牌と言います」

昼間「天使…ということはやはりこのゲートは」

聴牌「はい。天界と繋がっています。こちらから我々がゲートを開きました。貴方は?」

昼間「私は昼間の召喚士、魔法使いです。このカギに導かれ、ここへ来ました」


567 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-cf88) :2019/06/24(月) 20:07:25 JGfTsn.g00

聴牌「カギ…まさかそれは伝説の……いえ。今はそれより、状況を…」


ゴゴゴゴゴゴ…!!


昼間「!?」


一瞬の内に空を暗雲が覆い、世界におぞましい魔力が満ちた。

昼間「な……!!なんだ…この魔力は…っ!!」

全身から汗が噴き出す。

そして驚きや恐怖と同時に大きな違和感を感じていた。

昼間(異常だ……これはΦデスエンペラーのような存在の放つものではない…世界そのものが魔力に包まれているかのような…!)

聴牌「く…やはりこうなってしまいましたか…」

昼間「な、何か知っているんですか!?この魔力は一体…!」

聴牌「はい…状況をお伝えします」


聴牌は、あくまで予測ですが、と付け加えた上で、持ちうる全ての情報から導き出した現在の状況を話した。

全能神が死んだこと。
下目使いたちが天界を攻めてきたこと。

そしてたった今その全能神の座が奪われたことを。


568 : ハイドンピー (ワッチョイ 28fa-cf88) :2019/06/25(火) 20:39:10 r5Zo/zdI00


昼間「そんな…!ではもう打つ手は…」

聴牌「いえ。全能神の力はあまりに絶大…すぐにその全ての力を使いこなすことはできないでしょう。悪魔の下目使いが完全なる全能神となる前に倒すことができれば、まだ勝機はあります。だからこそ、このゲートを開いたのです。こうなることは予測できていましたが、だからといって天界にはもはや戦力はほとんど残っていない……下界の戦士たちの力をお借りしたいのです」

昼間「…なるほど……そのタイムリミットはいつか分かりますか…?」

聴牌「あくまで予測ですが…下目使いの魔力の使い方から考えて、恐らく明日の朝、日が登る頃には…」

昼間「およそ一日ですか…」

聴牌「はい。召喚士さん、貴方にも奴らと戦うための戦力を集めるのを手伝ってほしいのですが…」

昼間「勿論そのつもりですよ」

召喚士は即答する。

聴牌「ありがとうございます…!それともう一つ…私たちが奴らに見つかり始末された時は…貴方に、下界の戦士を天界へ導く役目をお任せしたい」

昼間「…確かに、その可能性もありますね…分かりました」

聴牌「ありがとうございます」

昼間「いえいえ、私もこの世界を守りたいですからね」

聴牌「私はエネルギーや魔力を感知する能力には長けているのですが、我々天使はあなた方のように念話は使えません。ですから、こまめに連絡をしてください。もし連絡が取れなくなった時は…我々は始末されたと考えてください」

昼間「はい。その時は私が必ず、役目を全うします。…しかしこんな状況だというのに、落ち着いていますね…」

聴牌「……怖いですよ……ですがそうも言っていられないでしょう。それは貴方も同じ…私たち自身に奴らを倒す力はない…しかし皆を導くことはできる。今は自分にできることをやるしかありませんから」

昼間「そう、ですね…私もただの強がりですよ。本当は全部投げ出して、逃げ出したい気分です…でも…やるしかない」

聴牌「はい」

二人は互いの真っ直ぐな目を見て頷き。

そして召喚士は手を挙げると。

パチンッ!

指を鳴らし、消えた。


569 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 02dc-cf88) :2019/06/25(火) 21:09:08 qcTK6kTM00

聴牌も召喚士もカッコいいなぁ


570 : ハイドンピー (ワッチョイ f745-bd7a) :2019/06/26(水) 20:37:12 PRX6kGTw00




召喚士は宿屋の前に戻ってきていた。

昼間(ここを発つ前に空間移動用の魔法陣を張っておいてよかった。戻るぶんには一瞬ですからね。まあ、簡易的なものですから一度使えばなくなってしまいますが)

召喚士はそれからすぐ天下無敵たちの魔力を探り。

昼間「見つけた!…何でしょう、人数が増えていますね…それにこの魔力は…魔の一族…!?なぜ彼らが魔の一族と一緒に…」

召喚士が感知した魔力はアルベルトのものである。

状況を確認するため、魔法書を開き様子を伺う。

昼間「戦っている…のか…?」

映し出されたのは、ちょうどアルベルトが暴れ、他数名がそれを咎めようと戦闘態勢に入ったところだった。


それから召喚士は一連の流れを観察し。

昼間「…なるほど…こちらに取り残された魔の一族と手を組んだというわけですか。それにしてもここまで戦力が集結するとは。これは探す手間が省けましたね…」

召喚士はエルバンと吐き気、タバスコに目を向ける。

昼間(彼ら、確かに強い…恐らくは私よりも…!しかし…それでもΦデスエンペラーと戦えるかと言えば…)

北の町で感じた膨大な魔力量を思い返し、大きく息を吐く。

次に歩く天下無敵へ視線を移す。

昼間(夜に見た時は暗くて気づきませんでしたが、あの姿、彼もネス族でしょうか……彼の動き、そして奥底にある高い魔力…何より、ただ情に厚いように見えて、冷静に物事を見極める判断力……魔力を使いこなすために必要な全ての要素を備えている…彼ならあるいは…!)

召喚士は天下無敵を高く評価し。

昼間(…とはいえ、私も冷静な判断をしなければ。彼が本当に切り札となりうるかどうか、見極める必要がありますね)


571 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 980c-bd7a) :2019/06/26(水) 20:43:52 v13S3Ggg00


なるほど、こうして天下無敵と出会ったのか


572 : ハイドンピー (ワッチョイ 7459-bd7a) :2019/06/28(金) 20:17:03 .Rcci7hg00

とその時。


㌦『召喚士さん!』


昼間(㌦、どうしました?)

慌てた様子の㌦ポッターから、念話が送られた。

㌦『いやどうしたって…この魔力、一体何なんですか…!?』

昼間(かくかくしかじかです)

召喚士はこれまでの情報を伝えた。


㌦『なるほど…そんな事が…』

昼間(ええ。ですがこちらは私に任せてください。㌦は引き続き純白君たちをお願いします。彼らを味方に引き入れられれば大きな戦力にもなりますしね)

㌦『了解で…』


デスエン『よう。お前魔法学校にいるのか?こっちに魔力を感じないから念話をかけるのに苦労したぞ、全く』


㌦『!!』

突如㌦ポッターに別の念話が送られてきた。


573 : ハイドンピー (ワッチョイ 7459-bd7a) :2019/06/28(金) 20:18:32 .Rcci7hg00

昼間(どうしました?)

㌦『いや、Φデスエンペラーから念話が…』

デスエン『うん?誰かと話してるのか?』

㌦『え、いや…』

昼間(…一旦切ります。話し終えたらまた連絡を)

召喚士は自分の正体がバレるのを防ごうと念話を切ろうとしたが。

デスエン『よう。お前はそいつの仲間か?』

昼間(!!)

デスエンは召喚士の方へ、直接念話を繋いできた。

デスエン『昨日俺たちが行った町にいるようだな。ほぉ、なかなか強そうじゃないか』

昼間(なっ…何故…!どうやって…!)

デスエン『フッ、俺くらいになると相手がどこにいようが魔力を感じ取れるのさ。お前みたいに魔力を使いこなせるヤツは特にな。赤いのと仲良しなとこを見るに、お前も魔法学校の教師かなんかだろう?』

昼間(くっ…思った以上ですね…!魔力の感知にはかなりの鍛錬と集中力が必要…それをここまで離れた場所に、一瞬で…!ただ魔力が膨大なだけでなく、その扱いも我々魔法使いと同等以上か…)

デスエン『はっはっは、褒めても何も出ないぞ?どうだ、お前も俺たちと共に天界へ来ないか?』

昼間(天界へ…!?)


574 : ハイドンピー (ワッチョイ 7459-bd7a) :2019/06/28(金) 20:24:00 .Rcci7hg00

㌦『き、聞いてないぞ!』

デスエン『ああ、それを言うために念話をかけたんだからな。俺たちはこれから天界へ行く。お前たちもこの魔力で気づいてるだろうが、下目使いのヤツに全能神の座を奪われた』

昼間(て、天界へ行ってどうするつもりです?いくら貴方でも、こんな魔力を持つ者が相手では勝ち目など…)

デスエン『フッ…それはどうかな。俺を見くびってないか?』

昼間(…か、勝つ算段があるということですか…?)

デスエン『いや別に特に何もないが』

昼間(えぇ!?)

㌦『い、犬死にするつもり!?何か作戦を立ててからじゃなきゃ返り討ちにあって終わりだよ!』

デスエン『はっはっは!だから面白いんだろう。絶体絶命の状況をひっくり返すその瞬間が。で、どうだ?一緒に来るか?』

昼間(…確かに、貴方ほどの人が味方になるということなら、我々にも利はありますが…そう単純な話だとは思えませんね)

デスエン『俺が裏切る可能性でも考えてるのか?まあ…気分次第だな。だが下目使いを倒した後、全能神の座を奪おうなんてことは全く考えてないから安心しろ。全部の頂点に立ったところで、何が面白いのかわからんしな』

㌦『気分次第って…』

昼間(…だとしても、私は遠慮させてもらいます。㌦のことは好きにしてください。ゲームに負けたのは事実ですからね)

㌦『ちょ…!』

デスエン『そうか、いいだろう。フッ、どうやら何か企んでいるようだな。その企みがどういう結果をもたらすのか見てみたい』

昼間(貴方をガッカリさせる結果にはならないと思いますよ)

デスエン『それは楽しみだ。さて、それじゃあお前、㌦だったか。とっととこっちに来い。全員揃い次第、天界へ行くぞ』

㌦『わ、分かったよ…』


プツッ

念話はそこで途切れた。


575 : はいどうも名無しです (アウアウ 301e-69af) :2019/06/28(金) 21:02:39 Piwkr6wwSa
このデスエンみたいな敵であるけど敵でも無い感じのキャラすこ


576 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 0a4f-bd7a) :2019/06/28(金) 22:47:05 l22Pm7x2Sp
>>575
めっちゃ分かるわ


577 : はいどうも名無しです (アウアウ 301e-733c) :2019/06/29(土) 01:52:20 isdzxYT2Sa
敵には間違いない無いんだが戦う理由が無いと向かって来ないっていうのかな?
まあ、このデスエンは自分が面白いと思う方に動くタイプの敵なんだろうな
こういうタイプは気まぐれでラスボスと思われてた奴をさらっとフルボッコにしてラスボスポジに収まる事が多いから期待


578 : ハイドンピー (スプー bde1-bd7a) :2019/06/29(土) 19:10:25 7qMO3XvUSd

昼間(ふぅ…仕方ありませんね…㌦の代わりに私が純白君たちを見ておかなければ)

パチンッ!

召喚士は指を鳴らし、魔法学校へと帰った。



召喚士の職務室。

㌦「しょ、召喚士さん!」

㌦ポッターはまだそこにいた。

昼間「㌦、助けられずすみません。大変でしょうが、我々が勝つために、今はΦデスエンペラーに従ってください」

㌦「はい…こうなったらもう、天界の魔の一族を全部倒して、僕が全能神の座についてやりますよ!」

昼間「確かに、㌦ならば人格者ですし働き者ですから、相応しいかもしれませんね」

㌦「…い、いや、冗談ですよ、僕なんかが…」

昼間「いやいや、本当にそれは有りだと思いますよ?魔の一族を全部倒す、というのは難しいでしょうが…Φデスエンペラーと共闘するのであれば、下目使いの気がそれているうちに全能神の座に座ってしまえば、その力を得ることができるかもしれません」

㌦「そ、そんな簡単にいくでしょうか…」

昼間「全能神の座に座れば全能神の力を継承できるというのは事実ですよ。先程天使の聴牌さんから聞きました」

㌦「…まあ、作戦の一つとして頭に入れておきます……しかし大層な肩書きの割に、随分その継承の方法は緩いんですね…座るだけなんて…」

昼間「確かに…その仕組みや理由までは聞けていませんが…」


579 : ハイドンピー (ワッチョイ 7459-bd7a) :2019/06/29(土) 20:04:43 Q1sjrrZE00

デスエン『おい、まだそっちにいるのか?』

㌦「わっ!分かってるよ、ちょっと準備してたんだ。すぐ行く」

昼間「またΦデスエンペラーですか」

㌦「はい。機嫌を損ねると何をされるか分からないので、じゃあ僕は行きますね。純白君たちをお願いします」

昼間「はい」

パチンッ!

㌦ポッターは指を鳴らして北の町に飛んだ。


純白「…貴方は…誰ですか?」


昼間「!! 純白君、起きたんですね」

ソファーに寝ていた純白が目覚め、召喚士の背後に立っていた。

ちなみに大学生は机の上に大の字になって寝ている。

純白「なぜ僕の名前を…?」

昼間「私は昼間の召喚士。そしてここは私の勤める魔法学校です」

純白「魔法学校…?」

召喚士はこれまでのことを説明した。


昼間「…というわけで、君はもうΦデスエンペラーに従う必要はなくなりました。安心してください」


580 : ハイドンピー (ワッチョイ 90e5-cf88) :2019/06/30(日) 20:49:41 xx9EII4A00

純白「へえ…あの人を出し抜くとはやりますね。というか大学生が魔法学校の生徒だったという事が一番の驚きですが…」

昼間「どうやら卒業後に色々あって、魔法を使う事もなくなってしまったようですがね」

純白「ふぅん…まあ、どうでもいいです。それにしても面倒な事をしてくれましたね…」

昼間「!」

純白「僕は天界へ行きますよ。こんなところにいてもつまらない」

昼間「…やはり感情のコントロールが出来ていないか……行かせません。本当の魔力の扱い方を教えてあげましょう」

純白「ふふ…できるものなら」

シャキン…

純白はニヤリと笑い、剣を抜いた。

昼間「こんなところで暴れられては困りますね…場所を移しますよ」


パチンッ!


純白「!?」

召喚士が指を鳴らすとともに、二人は大きなコロシアムのような場所に瞬間移動した。


581 : ハイドンピー (ワッチョイ 90e5-cf88) :2019/06/30(日) 20:53:29 xx9EII4A00

昼間「ここは魔法の修練場です。近年はあまり実戦用の強力な魔法は教えてないので、使われてはいませんが」

純白「今のが魔法ですか…へえ…思ったよりずっと凄そうだ…」

昼間「ここでなら思いっきり暴れて結構ですよ。私も全力で止めますがね」

純白「ふふ…ある意味、個人授業みたいなものですか…光栄ですね。では遠慮なくいきますよ」

昼間「どうぞ」

純白「はあっ!!」

ダッ!!


ズギャァァン!!!


純白「!」

純白の振り下ろした剣は空振り、床を叩き割った。

昼間「こっちです」


ボフッ!!


背後に回った召喚士は、手のひらから炎の球を放つ。


純白「馬鹿にしてるんですか?」


ザンッ!!


純白は振り向きながらファイヤーボールを斬り裂いた。

ドッ!

更にもう一歩踏み込み、召喚士へ追撃を仕掛けるが。

タンッ

召喚士は後ろへ跳んでそれをかわした。

昼間「やりますね」


582 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/03(水) 19:51:50 T4rVeaeQ00

純白「ふ…僕はもう完全に魔力をコントロールできる…魔法だってやり方さえ分かればすぐにマスターしてみせますよ…」

昼間「…全く…君もですか…やめてほしいものですね…私の前で易々と魔法を極めるなどとのたまうのは…」

召喚士の声色が僅かに低くなる。

純白「おっと、これは地雷でしたか?ふふ…」


パチンッ!


召喚士が指を鳴らすと、目の前に樽が現れた。

純白「…?そんなものを出して何を企んでいるんです?まあ何をしたところで僕は負けませんけどね…ふふ…」

昼間「よっ」

それを担ぎ上げ。

ポイッ

純白に投げつけた。

純白「こんなもの!」

バゴンッ!!

純白は飛んでくる樽を斬撃で破壊。

が。

昼間「ほっ!!」

純白「!!」


583 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/03(水) 19:52:57 T4rVeaeQ00


ドゴォッ!!


召喚士の跳び蹴りが炸裂。

召喚士は樽の陰に隠れて純白に接近していたのだ。

純白「チッ…!」

昼間「いい物が出てきましたね」

樽の中から現れたのは、三つのモンスターボールであった。

純白「それは…!」

昼間「ポケモンと呼ばれる生き物を召喚する道具…モンスターボールです」

ヒュンッ

パカーン!


「ガビゴーン!!」


純白「!!」

昼間「カビゴンですか。なかなか良い引きですね」

ボールから現れた巨体のポケモン・カビゴンは、そのまま高く上昇していく。

純白「……?」

昼間「これだけではありませんよ」

ヒュン!

パカーン!!

純白が上昇するカビゴンに気を取られている間に、召喚士は更にもう一つのボールを投げる。


584 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/03(水) 19:54:43 T4rVeaeQ00


ブゥン!


純白「なんだ!?」

モンスターボールから現れた蜂が突進し、純白は間一髪それをかわす。

蜂はそのまま真っ直ぐ飛んで行った。

昼間「スピアー!ゆけっ!」

するとその蜂のポケモン・スピアーの向かっていった方向から、スピアーの大群が押し寄せる。

純白「なっ…!増え…!?」


ズドドドドドッ!!


純白はスピアーたちに更に弾かれ、上空に投げ出される。

昼間「そろそろ落ちてきますよ」

純白「なん…」


ズドォォォォッ!!!


純白「があっ!!」

ちょうどいいところにカビゴンが落ちてきた。

純白は吹っ飛ばされ、壁に激突して跳ね返り。

ドシャァ!

召喚士の足元に転がった。

昼間「これが魔法の力です」

純白「ボ……ボールの力の…間違いでしょう!」

ガシッ!!

そこに落ちていたもう一つのモンスターボールを、純白が掴んだ。

昼間「しまった!」


585 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/03(水) 19:56:17 T4rVeaeQ00

純白「出てこい!僕のポケモン!」

ヒュンッ!

パカーン!


「トッサキィン…トッサキィントッサキィン」


ピチピチ…


現れたのは、ツノの生えた金魚のようなポケモン。

純白「……なんだ…これは…」

昼間「トサキントです」

純白「何を…しているんです…?」

昼間「何って、"はねる"ですね」

純白「……」

昼間「……」

純白「ふ…まあ僕には関係ないことです。こんなものに頼らずとも、貴方を倒してみせますよ!」

昼間「やれやれ…」


586 : はいどうも名無しです (バックシ 5efd-9223) :2019/07/03(水) 23:47:52 M2u0H8wAMM
アントン…


587 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/08(月) 01:43:02 USxb9ASQ00




数十分後。

純白は跪いていた。

昼間「落ち着きましたか?純白君」

純白「はぁっ…はぁっ……はい…よく分かりました…どうやら僕にはまだ、貴方は倒せないらしい…」

昼間「良かった…では戻って手当てをしましょう」

召喚士は胸をなでおろす。

が。

純白「このままでは勝てない…もっと…」

昼間「!!」


純白「もっと堕ちなければ」


純白はその白い装束とは裏腹に、ドス黒い殺気を放った。

昼間(なんだ…!?雰囲気が変わった…!)

純白「堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて堕ちて堕ち尽くして…本当の僕を吐き出さなくては」

邪悪なオーラを放ちながら、純白は剣を構えた。


588 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/08(月) 01:49:58 USxb9ASQ00


タンッ


純白が地面を蹴る。

昼間「…ッ!?」

そして気付いた時には。


ブシュゥッ!!


召喚士の体は斬り裂かれていた。

血が噴き出す。

昼間「み…」

ガクッ

召喚士は膝をつく。

昼間「…見えなかっ…た…」

チャキン…

召喚士を後ろから見下ろす純白は、首元に剣を突きつける。

純白「ふふふふ…ふふふふふ…!トドメは刺さないでおいてあげますよ。貴方は初めから僕を目覚めさせようとしていただけですし…僕が更なる高みへ行くのを手伝ってくれましたからね…ふふ…ありがとうございました」

そう言って、純白は剣を収めた。

昼間「……ど…どこか…違和感を感じてはいましたよ…考えたくありませんでしたが…やはり、そうだったんですね…君は…」

純白「ふふ…そうですよ。僕は別に感情をコントロールできていないなんてことはない。これが…本来の僕だ」

純白は剣を収めると、手を上に挙げた。

昼間「な、何を…する気ですか…!」

純白「ふふ…こんな感じですかね?」


パチンッ!


昼間「……!!」

指を鳴らすと、純白は消えていた。


589 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/09(火) 20:16:49 Grj8y4dg00

昼間「く…空間移動…!い、一度やってみせただけなのに………天才…としか言いようがありませんね…これは…」

大学生「ケッ…やっぱそうだと思ったぜ」

昼間「大学生くん…!み…見ていたんですか…」

大学生「アイツのうさんくせえ笑ったカオ、ムカついてたんだわいつもいつもよォ!!ヒャハハ!助けるつもりが魔法まで覚えさせちまって、むしろ敵を強化しちまったなぁ!?どうすんだこれ!アハハハハ!!ごめんなさい…ごめんなさい…!僕が…純白を助けたいなんて言ったから…」

昼間「…いえ…私の責任です…彼を止められなかった…面目無い…」

大学生「先生……僕は…どうすりゃいい!?」

昼間「とにかく…彼の飛んだ先を特定しましょう…恐らくはΦデスエンペラーの元…すなわち…天界でしょうが…」

大学生「は!?天界!?」

昼間「ああ…君はあの時寝ていましたね…」


召喚士は治癒魔法で傷口を回復しながら、これまでの事を端的に説明した。


590 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/09(火) 20:22:27 Grj8y4dg00


大学生「そうですか…じゃあこの漂ってる魔力はそういうことかよ。これと戦おうとするとかバカすぎんだろ」

昼間「ええ。しかし世界を諦めない限りは、私たちもこれに挑むことになります。まあ何の策も無しにいくのは無謀としか言いようがないですが…」

大学生「俺はこんなのと戦うのはゴメンだね馬鹿馬鹿しい!こんなクソみてーな世界、どうなろうが知ったこっちゃねーんだよ!」

昼間「勿論強要はしませんし、戦ってほしいとも思いませんよ。未来ある若者を危険なことに巻き込みたくなどないですから」

大学生「チッ、綺麗事抜かしやがって」

昼間「ただ…もし、彼…純白君のあの本性を知った上で、まだ彼を救いたいという気持ちが少しでも残っているのなら…手伝ってほしい」

大学生「……」

昼間「…いえ。すみません。困らせてしまいましたね」

大学生「ククッ、何勝手に諦めてんだ?タコ……分かりました。手伝いますよ。手伝ってやるよ!クソが!」

昼間「…よろしくお願いします」

召喚士は微笑んでみせた。


591 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/11(木) 19:49:39 wMBh5igQ00




それから二人は職務室に戻り。

昼間「君はこれを使って天界の様子を探ってください。結界が無い今なら見れる筈です」

召喚士は魔法書を大学生に渡す。

大学生「ああ」

昼間「私は純白君の追跡と…歩く天下無敵さんたちの監視です。そうだ、聴牌さんにも連絡を取っておかなければ」

召喚士は聴牌に念話を送る。

聴牌『召喚士さん…!今どこに…?』

昼間「魔法学校…裏の空間です。感知できませんでしたよね、すみません」

聴牌『いえ。それで、そちらに進展はありましたか?』

昼間「進展…と言えるかは微妙ですが、少しだけ。歩く天下無敵さんという方を見つけたのですが、彼に魔法を教え、強力な戦士に育てたいと考えています」

聴牌『魔法を…?しかしそんな時間は…』

昼間「大丈夫。彼はPSIという力を持っているネス族なので、魔力の扱いはすぐに覚えられる筈です。今朝、別のネス族の子にも教えたのですが、あまりの飲み込みの早さに驚いたものですよ」

聴牌『なるほど、ネス族…』


592 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/11(木) 19:52:15 wMBh5igQ00

マックス『名前まで詳しくは聞いてないが、そいつ、さっきのヤツらの中にいたんじゃないか?』

昼間「え!?ど、どなたですか!?」

突然知らない声が聞こえ困惑する召喚士。

マックス『俺はマックス!神の杖で念話に割り込ませてもらった』

昼間「か、神の杖って…神様ですか…?」

マックス『いやいや、なんか別の空間から干渉を受けて下界に落とされちまった神様の代わりに、俺が杖を預かってるだけだ。俺はただの天使だよ』

昼間「別の空間…?それっていつ頃の話ですか…?」

マックス『ん?確かありゃあ、昨日の夕方頃だと思うが…どうかしたのか?』

昼間「いえ…なんでも」

昼間(…完全にあの時の魔法陣の事故のせいでは…?神様を下界に落としたって、とんでもないことになってしまっているのでは…?…しかし今言うとややこしい事になりかねませんし…謝るのはまた後でにしておきましょう…)

マックス『話を戻すぞ。さっき何人かの強そうな集団がいたんでゲートに向かうよう頼んだんだが、もしかしたらそこに天下無敵とやらもいたかもしれん。ネス族ってのは帽子被った子供みたいなヤツだろ?』

昼間「はい。たぶんそうです…本当だ、町を離れてゲートの方へ移動してますね」

召喚士は魔法書で天下無敵たちの姿を確認した。

聴牌『こちらも今鏡で見ていますが、ネス族の方が二人いますね。どちらでしょう』

昼間「青い帽子の方です」

聴牌『分かりました。じゃあマックスさん、彼だけは下界に残るよう伝え…』

昼間「あ、いえ。待ってください。実は私も彼の力はまだ測りかねているんです。まだ全力で戦うところを見られた訳ではないですので…」

マックス『…なんか考えがあるようだな』

昼間「はい。それから、少し前に魔の一族のΦデスエンペラーという男が四人の人間を引き連れて天界へ向かった筈なんですが、感知できていますか?」

聴牌『はい。先程天界に現れた集団の事ですよね…今のところ動きはありませんが…一体何者なのですか…?』


593 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/11(木) 20:00:23 wMBh5igQ00

昼間「下目使いに敵対する魔の一族です。と言っても我々の味方というわけではないですが……それとは別に、今もう一人そちらへ向かったのですが、魔力を感知できませんか?」

聴牌『少し待ってください…………いました。そのΦデスエンペラーの近くに、かなりの魔力を持った者が』

昼間「やはり…!大学生君、Φデスエンペラーの周辺を探ってください」

大学生「もうやっとるわボケ」

マックス『随分ややこしい事になってきたな…聴牌、予測の方はどんな感じなんだ?』

聴牌『すみません、状況や情報の変化が激しく…私の予測にも限界があり…』

マックス『そうか。まあ仕方ねえ、気にするな。じゃあ俺はとにかくまた杖で下界を探って強そうなヤツをスカウトして回ってみる』

昼間「よろしくお願いします。ではまた後ほど」

プツッ

召喚士は念話を切り。

そしてまた別の人物へ念話をかける。


昼間「こんにちは、アマゾン君」

アマゾン『わあっ!?ハカセ!ど、どこにいるんですか!?』

アマゾンはキョロキョロと周りを見回す。

昼間「念話ですよ。魔法で脳内に直接話しかけているんです。近くにはいません」

アマゾン『ま、まほうか…すごいな…それで、どうしたんですか?ハカセ!』


594 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 833c-1b7c) :2019/07/11(木) 23:52:47 m7iAWsOI00
支援


595 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/13(土) 19:19:21 Rg8/Wc2E00

昼間「アマゾン君、今魔法書で確認しましたが、山の近くの町にいますね?」

アマゾン『えっ?はい』

昼間「では今からその山の麓へ向かってほしいのです」

アマゾン『なにかあるんですか?』

昼間「それが…」

召喚士は事情を説明しようとして、言いとどまる。

昼間(…アマゾン君は素直で正義感の強い子だ…天下無敵さんの力を試す為に戦ってほしいと言っても、本気が出せないかもしれませんね……ここは…)

アマゾン『ん?ハカセー、どうしました?』

昼間「いえ、実は…」


召喚士は天下無敵たちが天界を狙う敵であると嘘を言い、アマゾンをけしかけた。

アマゾン『てんかい?ってなにかわからないけど…わかりました!!とにかく、ワルモノならヒーローがやっつけないとですよね!任せてくださいハカセ!!』

昼間「ありがとうございます、アマゾン君。よろしくお願いしますね」

アマゾン『はい!』

プツッ


昼間「…ふう…申し訳ないことをしてしまいしたが…今は手段を選んでいる場合ではない」


596 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/13(土) 19:21:28 Rg8/Wc2E00

大学生「おいオッサン。見つけたぜ」

昼間「え?」

大学生「え?じゃねーよ!純白だ。やっぱり天界にいやがった」

昼間「本当ですか!」

大学生「ああ。黒いオッサンと一緒だ」

昼間「黒いオッサン…すでにΦデスエンペラーと合流したということですか」

大学生「ハッ、アイツらが組んだらいよいよ俺らじゃどうしようもねーなァ、ケケケ…」

昼間「確かに戦うとなれば勝ち目はないでしょうね…ですが㌦も一緒にいます。㌦なら上手く彼らと対立しないように立ち回ってくれる筈です」

大学生「ほーん、随分あのヒゲを信用してんだな」

昼間「ええ。㌦は唯一、生徒ではなく弟子として私が教えている魔法使いですからね。少し気弱なところもありますが、やる時はやる男ですよ」

大学生「ケケッ、そりゃ頼もしいねぇ…生徒として卒業した後の事は何一つ知られてねえ俺とは大違いだなァ!?」

昼間「!! そ、それは君があまりに優秀な生徒でしたから、その後の人生でつまずくような事があるとは、考えも及ばなかったのです……いえ…すみません。言い訳ですね…」

大学生「フン…で、俺はこれから何すりゃいーんだよ」

昼間「…Φデスエンペラーたちは今何をしていますか?」

大学生「あ?なんか羽生えたヤツらに囲まれて喋ってるが」

昼間「羽…ということは天使でしょうか…まあ魔の一族が天界に乗り込めば、天使が出迎えるのは当然といえば当然ですが」

大学生「あのバケモノを天使ごときが止められるとも思えねーがな」

二人は本に映るデスエンたちの会話に耳を傾ける。


597 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/14(日) 19:58:49 jdvchA6k00




デスエン『…というか純白、お前、俺が殺さなかったか?』

純白『ふふ…それは彼の残したニセモノらしいですよ』

デスエン『へえ…道理で脆すぎると思ったんだ。しかしお前、俺に気付かれずにすり替えるとは、案外やるじゃないか』

デスエンはそう言って㌦ポッターの肩に手を置く。

㌦『い、いや…』

デスエン『なんだ、お前じゃなくてもう一人の方か。フ、だったら尚更楽しみだな。アイツがどんな事をしでかしてくれるのか…』

純白『ふふ…僕は彼と直接手合わせをしましたよ…強かったなぁ…お陰で更に強くなれた』

デスエン『たしかにまた一段と魔力が強くなってるな。フ…いずれお前とも戦いたいもんだ』

純白『ふふふ…僕は今からでも構いませんがね…』

ドドン『なんか寝てる間にいろいろあったんだなドン』

天使『お、おいお前たち!なんなんだ一体!』

デスエンたちを囲んでいる天使の一人が言った。

デスエン『俺はΦデスエンペラー。そしてコイツらはその頼れる仲間たちだ』

純白『思ってもないことを…』

天使『お、お前は魔の一族だろう!?この天界へ何をしに来たんだ!』

デスエン『ちょっくら全能神をブッ倒しにな』


598 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/14(日) 20:00:38 jdvchA6k00

天使『な、何!?全能神様を…!?い、いや、全能神様はお亡くなりになられたと、さっき伝令が…』

デスエン『ふむ…末端の天使どもはまだ下目使いが全能神の座についた事すら知らないのか…』

天使『し、下目使い…?』

天使たちはざわつく。

デスエン『天界も随分混乱してるらしいな。まあ当然か』

姉『私たちを警戒してるようだけど、どうするの?』

デスエン『うん?別に俺に虐殺趣味はないしな。歯向かって来なければスルーでいいだろ』

たま『それじゃあこのまま、神の住む上層というところへ向かうのかい?』

デスエン『まあそうだな……ただ、向こうに今何か降りて来なかったか?』

㌦『確かに…とてつもない魔力を感じます…』

デスエン『行くぞ。付いて来い!』

六人はその方向へ走り出した。

天使『えっ!?ど、どこへ行くんだ!』

天使たちが追おうとするも、速すぎてあっという間に取り残された。

天使『なんなんだ…』




大学生「なんか動き出したぜ」

昼間「ええ。では彼らの向かう先を映してもらえますか?」

大学生「チッ、めんどくせえな」

大学生は愚痴りつつも、魔法書の映像を切り替える。

そこに映ったのは。

昼間「!! 聴牌さんたちだ…まさか…!」


599 : ハイドンピー (ワッチョイ f45b-4753) :2019/07/14(日) 20:05:12 jdvchA6k00



マックス『ああ!頼む!』

マックスが下界の勇者ヨシオとrekuiemuをゲートに向かわせている時だった。

聴牌『これで先程の九人と合わせて十一人ですか…我々や召喚士さんを合わせても、やはりまだ心許ないですね…』

マックス『おう。まだまだ強そうなヤツを見つけないとな。つってもあまりゲートから離れた場所だとすぐには来れねえだろうし、かと言って近くばかり探してもそうそう見つかるもんじゃないしな…結構難しいところだ』

聴牌『…!この魔力…っ!…魔の一族が現れました…!』

マックス『何!?どこにだ!』

聴牌『…ここです!』


ザッ!!


黄色いネズミが二人の前に降り立った。


ヤミ『クク…見つけたぞ』


マックス『あ!?』

そこに現れたのは、黒い炎を全身に纏ったヤミノツルギ†だった。

聴牌『マックスさん!伏せて!!』


ボォォォッ!!


マックス『ぐああっ!!』

ズシャァッ!




昼間「……!!これは…!くっ…!」

それから映されたのは。

ヤミノツルギ†によってマックス、聴牌、天使たちが次々と消され、ゲートが上書きされる様子であった。


昼間「く……こんなにもあっさりと…!」

召喚士は無力さを実感し、拳を強く握り締める。

大学生「はあーあ…何だよまだこんなヤベーのがいんのか……もう俺らなんかマジで出る幕ねーだろコレ」

昼間「……いえ…私は聴牌さんとの約束を果たさなければ…!諦めるわけにはいきません…!」


600 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/16(火) 19:38:32 z65RwQts00

大学生「…やーめたっ!俺はもう降りるわじゃーなチビヒゲ!一人で勝手にやっとけや」

昼間「あっ、大学生君!」

ギィィ

バタンッ!

大学生は職務室から出て行った。

昼間「…く……!」

昼間(しかしあんなものを見せられては、絶望してしまう気持ちも分かる…止めることはできません…)

召喚士はふうっと息を吐いて、席に座り。

再び開いた魔法書からヤミノツルギ†の様子を見る。



ヤミ『…何か此方に向かって来ているな…何だ?』

『……』

ヤミ『ほう、Φデスエンペラーか。クク、良かろう、相手にとって不足は無い』

『……』

ヤミ『クク…案ずるな。今の我に敵うものなどおらぬわ!見ているがいい。証明してやる。今の我が魔炎は、奴すらも消し炭にできるという事をな』



昼間(誰かと念話している…下目使いか…?だとすれば、下目使いはすでにある程度まで力をコントロールし始めている事になる…念話をかけるのには繊細な魔力コントロールがいりますからね……それに、Φデスエンペラーが来ていることまで気づいているという事は、ヤツはこの魔力が届く範囲全てを監視できるのかもしれない…)

それから召喚士は再びアマゾンに念話をかけた。

アマゾン『ハカセ!なんですか?』

昼間(アマゾン君、私と念話する時は声に出さないようにお願いします。念話は頭の中で考えるだけでも送れますからね)

アマゾン『そうなんですか!』

昼間(だから声に出さないで。やってみてください)

アマゾン『(は、はい。こ、こうですか?)』

アマゾンは手で口を抑え、頭の中で念じる。

昼間(うん、大丈夫です)

アマゾン『おー、ほんとだ!すごい!』

嬉しくなって声に出して喜ぶアマゾン。

昼間(こらこら…)

アマゾン『(あっ、ごめんなさい)』

アマゾンはすぐに口を抑える。

昼間(まあこちらの方まではまだ警戒していないでしょうが…もし敵に我々の動きがバレると面倒ですから、気をつけてくださいね)

アマゾン『(わかりました!)』


601 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/16(火) 19:43:27 z65RwQts00

昼間(では、さっき言った悪者の事、よろしくお願いします)

アマゾン『(はい!ハカセに教えてもらったまりょくで、コテンパンにこらしめてやります!)』

昼間(ええ。アマゾン君ならきっとできますよ。ではまた)

プツッ

召喚士は念話を終える。

と、天界の方でも動きがあった。



ザッ…

ヤミノツルギ†の前に六人が現れた。

デスエン『よう。この魔力はお前だったか。フッ…魔界にいた時とは別物だな』

ヤミ『ククク…魔炎は魔力を与えれば与える程強くなる!下目使いにより世界全てが魔力に包まれた今、Φデスエンペラー、貴様とて我には勝てん!!』

ドドン『昨日見た時とキャラ違くないかドン?』

姉『誰?』
たま『さあ?』

顔を見合わせるエロい姉とたまたま。

㌦『す、すごい魔力だ…!』

ヤミ『クク…兵を何匹か連れてきたようだが、我の前では無力!我が魔炎が一瞬で灰にしてくれよう!!』

純白『ふふふ…なんか粋がってますけど、下目使いの魔力で強くなってるだけですよね…その魔炎とやらは確かにすごいですけど、貴方自身から大した魔力は感じませんし』

デスエン『フッ…オイオイ、そんな本当の事を言ってやるなよ』

ヤミ『ぐぬぬ…貴様等……!…ククッ!ならば我が魔炎を浴びるがいい!!その余裕が何処まで持つか、見ものだな!!』

ボォォォッ!!

こうして戦いが始まった。



昼間(始まってしまいましたか…!このヤミノツルギ†というネズミ…Φデスエンペラーの勢力と一人で互角に渡り合っている…!これは㌦も危ないかも知れませんね…)


602 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 57ce-1b7c) :2019/07/16(火) 20:37:20 mWR4lqA.Sp
ヤミちゃんなんだかんだで強いな


603 : ハイドンピー (ワッチョイ 96a4-1b7c) :2019/07/16(火) 20:54:40 z65RwQts00


それから召喚士はいくつかの魔法書を机に並べ。

天界の戦いを見つつ、アマゾンの方も見ながら、天下無敵たちの動きも確認し。

十数分が過ぎた。

そして。

天下無敵たちがアマゾンのところにたどり着いた。




昼間『……というわけです』

歩く(なるほど…ではエルバンさんたちはあのゲートで魔界のどこかに?)

昼間『そうなります…ですが、彼らならきっと大丈夫ですよ。貴方はその目で彼らの強さを見たはずです』

歩く(でも委員長さんは…)

昼間『大丈夫、彼はゲートの前で貴方を待っていますよ』

歩く(そうですか…)

昼間『ええ。それから君たちの戦いを見て、君ならきっとこの戦いの切り札になると判断しました。魔力を扱うアマゾン君相手に、ダメージを与えないように立ち回り、技を相殺することで自らへのダメージも軽減させていた…そうですよね?』

歩く(はい)

アマゾン(えっ!てことは全然ほんきじゃなかったのか!)

昼間『そういう事です』

歩く(いや、結構ギリギリでしたけどね…)

昼間『天下無敵さん…全て話した上で、お訊きします。君の力が必要です。どうか協力してくださいませんか?』

歩く(…分かりました。それでこの世界が救えると言うのなら…!)

昼間『ありがとうございます!アマゾン君も、天下無敵さんの魔力を引き出すために手伝ってもらえますか?』

アマゾン(はい!もちろん!)

歩く(アマゾン君、よろしくお願いします!)

アマゾン(こっちこそ!)

そして召喚士の指示のもと、二人は魔力を覚醒させるための特訓を始めた。


604 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/18(木) 19:23:33 8N2w.R4Q00





その頃、魔界・最深部では。

勇者とアルベルトの先導により、エルバンたちは上手く雑魚1%の大群をかわしていた。

チェマ「…ん?」

吐き気「目が覚めたか…オエッ」

吐き気は肩に担いでいたチェマを下ろす。

チェマ「なんで俺気ぃ失って……あ、そうだ。たしかあの雑魚どもを倒して…」

片割れ「せや。どうやらワシらはその雑魚どもに意識を乗っ取られとったらしい」

チェマ「片割れ!」

片割れはチェマより少し前に目覚めていた。

エルバン「☆ほら二人とも立ち止まらないで走って走って!追いつかれて囲まれたら面倒だ!」

チェマ「お、おう…って体の節々がめっちゃ痛えんだが!」

吐き気「仕方ないだろう…うっぷ…暴走したお前らを止めるには倒すしかなかった」

片割れ「ほんまコイツら鬼やで…イテテテ…」

雑魚「ぽよぉー!」


ビュンッ!


チェマ「うおっ!」

背後から迫った雑魚1%の攻撃を、チェマは咄嗟にしゃがんでかわした。

チェマ「こんにゃろう!」

エルバン「☆反撃しちゃだめだって!」

エルバンはチェマの拳をなんとか制止した。


605 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/18(木) 19:29:10 8N2w.R4Q00

依然、大量の雑魚1%はエルバンたちを追い回している。

ボロッ…

妹「わっ!」

突然足場が崩れ、落ちそうになる[自称]妹。

ガシッ!

タバスコ「このへん、足場が崩れやすいみたいなので気をつけてください」

間一髪タバスコが手を伸ばし、引き上げる。

妹「ありがとうお兄ちゃん!」

勇者「しかし…どこまで行っても景色が変わりませんね…」

アルベ「魔界はどこもこんなものだ。だが大気を漂う魔力は僅かに増している気がするぞ…」

reku「いやそれダメじゃないの!?脱出どころか、更に深いとこに向かっちゃってない!?」

アルベ「ああ…どこかで道を変えた方が良さそうだ」

勇者「しかしこの状態で引き返すのは至難の技ですね…」

雑魚「ぽよぽよ!」

アルベ「振り返れば雑魚の大群…少しでも足を止めればすぐに取り囲まれるだろう」

タバスコ「…っていうか前!前!」

勇者「へ!?」

アルベ「なっ!!」

雑魚1%に気を取られていた勇者たちが視線を前に戻すと。

足場は、そこで途絶えていた。


606 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/22(月) 20:36:30 oEVajKVI00

reku「行き止まりじゃん!!」

妹「ど、どうするの!?やばくない!?」

勇者「やばいよ!!」

九人はそこで立ち止まるしかなかった。

しかし雑魚1%は容赦なく雪崩れ込んでくる。

吐き気「くっ…万事休すか…オエッ…!」

ガツッ!

片割れ「ん?…ってチェマお前こんな時に何寝とんねん!?」

片割れは足元に寝転がっていた緑帽子のヒゲ男を見て、全力でツッコむ。

チェマ「は?いや起きてるが」

チェマは片割れの後ろに立っていた。

片割れ「あん!?じゃあこいつぁ一体何なんや!」

チェマ「俺が知るか!!」


???「…ウゥン…」


その男は騒がしさに目を覚ます。

エルバン「☆き、君、大丈夫かい!?どうしてこんなところに…!」

???「…ユ…Youたちは誰だい…?僕のnameはSUKEBE heartだよ」

チェマ「は?」

勇者「スケベ…心…?」

するとその男は九人の顔をじっと見る。

スケベ「ンー… Ladyはまたいないみたいだね…HAHAHA」

片割れ「なんやこいつ…ただのスケベオヤジかいな…」

チェマ「こんなトコにただのスケベオヤジがいるかよ」

妹「失礼な!あたしは立派なレディーなんですけどっ!」

スケベ「…………sorry」

妹「何その反応っ!!」


607 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/22(月) 20:48:01 oEVajKVI00

エルバン「☆君は何者なの?」

スケベ「僕はこの"最果て"のguideさ…ほとんど誰も来ないけどね!HAHAHA!」

タバスコ「ガイド…!?」

エルバン「☆最果て…そうか、じゃあここがこの最深部の最奥部ってわけか…」

reku「やっぱり真逆に来てたんじゃん!どうすんの!?」

吐き気「待て。お前、ガイドと言ったな…うぷ…なら、もしかして戻る方法を知っているんじゃないか?」

スケベ「Of course!」

アルベ「…くっ!だったら早くしてくれっ!もう抑えきれんぞ…!」

雑魚「ぽよ〜!」

ズズズズ…

みんなが喋っている後ろで、アルベルトは押し寄せる雑魚1%たちを一人で抑え込んでいた。

エルバン「☆お願い!僕たちを地上へ帰してほしいんだ!」

スケベ「No!僕がguideするのはLady onlyさ!HAHA…」

ガシッ!

吐き気「急いでいるんだ」

吐き気はスケベ心の胸ぐらを掴み、睨む。

スケベ「Wow!?Sorry sorry!!すぐgateをopenするよ!!」

スケベ心は一瞬でビビり掌を返した。

吐き気「ああ、頼む…オエッ」

吐き気はその恐怖に震えるスケベ心を見て手を離した。

タバスコ「…確かに吐き気さんめちゃくちゃ強いけど、怯え過ぎじゃないですか?」

吐き気「少し睨みを効かせすぎたか?まあこんなところで気を使う必要あるまい…うっぷ…」

エルバン「☆いや、たぶん僕たちの来る少し前に誰かが来てたんじゃない?"また"って言ってたしね」

勇者「その誰かと戦ってたんでしょうか。よく見たら彼ボロボロだ…こんなとこに寝転がってたのも、ただ寝てたわけじゃなくて、力尽きてたと考えるのが自然ですね…」

片割れ「あァ、道理でチェマと間違えるわけや」

エルバンたちにボコボコにされて傷だらけのチェマと見比べながら、得心のいった表情をする片割れ。


608 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/22(月) 20:54:35 oEVajKVI00

スケベ「そのtalkはstopしてほしいね…あのFox man…strongすぎたよ…」

スケベ心はゲートを開くための魔力を溜めながら、愚痴るようにつぶやく。

勇者「キツネ…?」

スケベ「Zako1%を千体以上もburstしながらrunしてきて、僕のこともBOKO of BOKOBOKO of BOKOBOKOにしてgateを無理やりopenさせられたよ…」

勇者「せ、千体以上…!?」

エルバン「☆そんなことがあり得るの?百体倒せば乗っ取られるはずじゃ…」

アルベ「ま、まあキング・オブ・妖魔のような規格外の器を持っている者なら可能かもしれんが…っ!そんなことより早くしてくれ!」

スケベ「Yes!もうopenするよ!」


ギュオオオ…


バンッ!!


空間が裂け、その奥には地上の風景が映る。

勇者「おおっ!」

タバスコ「行きましょう!」

エルバンたちは開いたゲートに次々飛び込んでいった。


609 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 606f-c32c) :2019/07/22(月) 20:55:39 hdKXoMpISp

スケベ心は一体何と戦っていたんだろうな


610 : はいどうも名無しです (アウアウ 5976-bfec) :2019/07/23(火) 02:39:53 s09McK1sSa
天才じゃない?


611 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/23(火) 20:19:22 fLoIUYOg00



そして、八人がゲートをくぐり。

エルバン「☆さあ!アルベルトさんも早く!」

アルベ「ああ!」

アルベルトはまとわりついた雑魚1%振り払い、ゲートへ飛び込もうとした。

その時。


ガゴッ!!


アルベ「何っ!?」

タバスコ「足場が!」

アルベルトの元々の重さに、雪崩れ込んだ雑魚1%たちのエネルギーも加わり。

脆かった足場が崩壊を始めたのだ。

片割れ「アホ!はよこっち飛び込め!」

アルベ「ああっ!」


ダッ!!


アルベルトは足場を蹴り、手を伸ばすが。

アルベ「くっ!届かんっ…」


612 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/23(火) 20:20:26 fLoIUYOg00

妹「掴まって!」


ベロンッ!!


咄嗟に[自称]妹が舌を伸ばす。


ガシッ!!


アルベ「助かっ…!」

スケベ「Noooooo!Help meeeee!」

アルベ「な…!」

アルベルトの腰にスケベ心がしがみついていた。

足場を失って落下するのはアルベルトだけでなく、そこにいたスケベ心も同じだった。

妹「ぐうっ!重いぃ…!」

勇者「アルベルトさん早く上って!」

アルベ「くっ!離せっ!」

スケベ「Nooooo!」


ガンッ!!


スケベ「Ouch!!」

アルベルトはスケベ心の頭をブン殴り、突き落とした。


ボチャンッ!


アルベ「よし…!すぐ上る!耐えてくれっ!」

妹「う、うんっ…!」

しかし。


613 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/23(火) 20:25:11 fLoIUYOg00


ズズズズズ…!


エルバン「☆ま、まずい!スケベ心がマグマに落ちたからか、ゲートが閉じ始めてる!」

タバスコ「急げゴリラ!」

勇者「ダメだ、間に合わない!」

アルベ「くそっ!」


チェマ「チッ。しゃーねえな」


片割れ「は?オイチェマ何して…」


ダッ!


チェマはゲートに再び飛び込んだ。

アルベ「何!?なぜ戻って…」

チェマ「テメエがここで死んだら、俺がテメエを倒すって約束が果たせねえだろうが馬鹿野郎!!」


バキッ!!


アルベ「ぐはっ!」

チェマは落下しながら、アルベルトをゲートに向かって蹴り上げ。

チェマ「へっ…」

無事ゲートを通過したのを見て、笑った。

片割れ「チェマァァァァ!!」


バンッ!!!


ゲートはチェマを魔界に取り残したまま、完全に閉じた。


614 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/25(木) 19:19:35 82HoIzt.00

アルベ「な…なんということだ……馬鹿はお前だ!お前が死んだら意味が無いではないか…ッ!!」

ドゴッ!

アルベルトは地面を殴りつける。

片割れ「クソッ!何しとんねん…!最後までかっこつけよって…!」

勇者「チェマさん…」


エルバン「☆みんな、今は落ち込んでる場合じゃないよ!彼の分まで、僕たちが頑張らないと!」

片割れ「…あ、ああ……せやな…」

アルベ「くっ…!」

タバスコ「…分かってはいても、助けられたアルベルトさんや付き合いの長かった片割れさんにはショックが大きいでしょうし…そう簡単に切り替えられるものではないですよ」

吐き気「エルバン。誰もがお前のように突っ走れるわけじゃない…オエッ…決めた目標にどこまでも爆走するのは、お前の良いところでもあるが、悪いところでもある…」

エルバン「☆ご、ごめん…」

片割れ「…いや、すまんな。情けないとこ見せてもうたわ…坊主の言う通りや。さあ、お前もさっさと立て」

アルベ「ああ…」

二人は無理やり立ち上がる。

勇者「片割れさん…アルベルトさん…」


615 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/25(木) 19:22:56 82HoIzt.00


タバスコ「…しかし、地上に戻れたはいいけど…ここ、どこなんでしょう?」

タバスコが辺りを見回して言う。

そこは異様な静けさに包まれた町の一角だった。

reku「たしかに。僕らがゲートに入ったあの山とは全然違うところだよね」

片割れ「…ちょい待っとき。確認するわ」

片割れはケータイを取り出し、マップを開いた。


勇者「それにしてもまだ明るいのに、随分静かですね。誰も出歩いてない…それに色んなとこが壊れてるし…」

タバスコ「どうやらここでも何かあったようですね。周りの家の中から視線を感じます…かなり警戒されてるみたいですよ」

吐き気「スケベ心の言っていたヤツの仕業なんじゃないか…?雑魚1%の侵食を強靭な精神力で耐え…うっぷ…こちらへ戻ったはいいが、そこでとうとう乗っ取られてしまった…とかな」

アルベ「なるほど…ありうるな。どんなに強くとも限界は来るはず。…だが、だとしたらかなり厄介だ。雑魚千体分に操られたとすれば、ちょっとやそっとじゃ正気には戻らないぞ…」

勇者「ていうかその乗っ取られた人は一体どこへ行ったんでしょう…今も暴れてるとしたら、こんなに静かなわけないですよね…」


片割れ「オイ、分かったで。どうやらワシらのおった国とは随分遠い、別の国に飛ばされてもうたらしい…飛行機でもたぶん半日ぐらいやな…」

勇者「そんな!」

エルバン「☆うーん、困ったな…」


616 : はいどうも名無しです (ササクッテロ de3a-01fd) :2019/07/25(木) 20:24:36 bBWudeucSp

なるほど、そういうことだったのか

ってことは、先に天才が来てたのか
エルバン達より先に来て何をしようとしていたんだろう


617 : はいどうも名無しです (アウアウ 1962-9098) :2019/07/25(木) 22:32:29 ALLT1bVwSa
しかしチェマカッコいいな…試合でも絶好調だし
チェマの活躍の原動力はこのSS説まである


618 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/26(金) 20:43:33 pz7n7mK600

reku「王国…あ、ここ前にテレビで見たことあるよ。たしかエフゼロとかいう競技が盛んに行われてるっていう…」

rekuiemuが画面を覗き込んで言った。

吐き気「エフゼロか…」

勇者「知ってるんですか?吐き気さん」

吐き気「俺の先祖…キャプテン・ファルコンという男は、そのエフゼロのパイロットだったんだ…オエッ…」

妹「へえー、そんな歴史が長い競技なんだ」

吐き気「まあ俺も昔から吐き気が酷いんで、詳しいことは知らないがな…乗ってもどうせすぐに酔って……うっぷ……まずい、想像しただけで吐き気が…」

勇者「だ、大丈夫ですか!?」

吐き気「ああ…すまん…オエッ…」

片割れ「なんでこんなヤツが強いんや…」

エルバン「☆吐き気さんは吐き気を我慢することで強くなるんだよ!」

片割れ「いやどういう理屈や」


619 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/26(金) 20:45:41 pz7n7mK600


reku「ワーープスターーーッ!!」


妹「な、なに!?いきなり!」

reku「…さすがに遠すぎて届かないか…僕の乗り物を呼ぼうと思ったんだけど」

勇者「ワープスターもダメですか…」

妹「ああ!それってもしかしてあの時墜落した流れ星みたいな!」

reku「うん。それだよ」

妹「へえー今度あたしも一緒に乗せてね!rekuお兄ちゃん!」

reku「えぇ…?」

勇者「また墜落しますよ……それより、どうしましょう?」

妹「うーん、王国かぁ。あ!じゃあ王様に頼んで送ってもらうとか?王様だったら自家用ジェット機とかあるんじゃない?」

吐き気「オエッ…そう簡単に国王に会えるわけないだろう…」

タバスコ「そもそもあのゲートは罠だったわけだし、すぐにあの国に戻らなくちゃいけない理由はないですよね」

勇者「あ、そっか!それより、天界に行く方法を見つけないと…」

片割れ「でもゲート開けるヤツなんかこん中にゃおらんしな…」


620 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/28(日) 23:11:22 v/7XHnfQ00


???「うわあ!?つよそうな人がいっぱい!?」


エルバン「☆誰!?」

突然話しかけられ、全員が一斉にそちらを振り向く。

そこにいたのは黄色い恐竜だった。

妹「え、もしかして…ねこお兄ちゃん!?」

ねこ「うわあ!妹ちゃん!?」

タバスコ「何ですかこの騒がしい恐竜。知り合い?」

reku「同じ種族みたいだけど…」

ねこ「アッハイ。同じ村の出身なんです。ボクは∮アルティライトねこです。よろしくおねがいします」

妹「なんでこんなとこに…?あの村は…?」

ねこ「…魔物に襲われて全滅です。ボクだけ逃げてきました」

妹「そうなんだ…ねこお兄ちゃん、脚だけは速いもんね」

ねこ「失礼な!運もいいですよ!そのせいで今たいへんなことになってますが!」

エルバン「☆大変なこと?」


ねこは事情を説明した。


621 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/28(日) 23:16:53 v/7XHnfQ00


吐き気「…やはり予想通りか」

勇者「それで、その天才さんとポイゾネサスさんはどこへ行ったんですか?」

ねこ「ポイゾネサスくんが吹っ飛ばされて、天才くんもそれを追っていって…速すぎて見失いました。方向はだいたいわかるんですけど」

reku「ええ?じゃあなんで君はここにいるの?」

ねこ「応援を呼んだのでまってるんです。もうそろそろ来ると思うんですが」

と。


キィィィン…


勇者「わっ!あ、あれは…!」

遠くからアーウィンがすごい速さで飛んできた。

ねこ「おお、うわさをすれば」


ゴゴゴゴ…

ガシーン!


アーウィンは着陸し、中からキツネの顔の女性パイロットと、水色の恐竜が降りてきた。

アントン「ふうー…このアーウィンっていうの、速すぎてちょっと頭がくらくらするよ、うん」

ギル「あら、そう?飛ばしすぎたかしら…あ、待たせたわね!あなたがねこくんね?」


622 : はいどうも名無しです (バックシ c462-537d) :2019/07/28(日) 23:21:51 3GChwiaUMM
紫煙


623 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/28(日) 23:26:42 v/7XHnfQ00

ねこ「はい。ギルティースさんにアントンくん、よろしくおねがいします」

アントン「よろしく!…で、この人たちは?」

ねこ「彼らは、えーっと…そういえば、ボクもまだよく知りませんでした」

タバスコ「かくかくしかじかで…」


タバスコが経緯を説明する。



ギル「そう…もう世界はそこまで追い込まれていたのね…こんな大変な時だっていうのに、パターソンとドドンはどこかに行っちゃったまま連絡取れないし、天才は暴走…うぅ、同じフォックス族として情けない…」

ギルティースはそう言って頭を抱える。

エルバン「☆パターソン?」

吐き気「そう言えば、似ているな…あいつなら俺たちの国の森の中で寝ているだろう。下目使いたちに始末されていなければな」

ギル「え!?会ったの!?」

タバスコ「はい。下目使いたちとの交戦中に、空から降ってきた時は何事かと思いましたよ。なんでも星を一周してきたとか…」

ギル「ど、どんだけ飛ばされてたのよパターソン…」

タバスコ「とは言ってもほとんど話せませんでしたが。ただ、間違いなく彼がいなければ、今僕たちはここにいませんよ」

ギル「そう…まあ、今は無事を祈るしかないわね…」


624 : ハイドンピー (ワッチョイ d1e5-c32c) :2019/07/28(日) 23:37:20 v/7XHnfQ00

ねこ「じゃあ行きましょう」

ギル「そうね」

アントン「うん!」

三人は早速出発しようとするが。

エルバン「☆待って。僕たちも行くよ」

ねこ「え…?いいんですか!?」

勇者「正直天界へ行きたくても、何の手がかりも無しじゃどうしようもありませんからね…とにかく今できることをしないと!」

妹「お兄ちゃんが困ってるならあたしはいつだって力になるよ!」

reku「しょうがないなぁ…どうしてもっていうなら僕も手伝ってあげるよ。この世界のrekuiemuがね」

片割れ「なんでお前はそんなエラそーなんや…今んとこお前何の役にも立ってへんで…」

reku「ぬぁにをぅ!」

吐き気「それはお前も同じだがな…うっぷ…」

片割れ「おう、分かっとる…こっからワシの評価ひっくり返したるから期待しとけや」

アルベ「ああ。私も皆の力になれるよう…そしてチェマの為にも…全力を尽くすぞ」

ねこ「みなさん…ありがとうございます!じゃあ、行きましょう!」

ねこ、ギルティース、アントン、エルバン、吐き気、タバスコ、勇者、rekuiemu、片割れ、[自称]妹、アルベルトの十一人は、天才たちの向かった方へと走り出した。


625 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/30(火) 21:37:27 K9o./7V200





一方、その天才たちは…

ポイゾネ「どりゃあああっ!!」

天才「ぽよぉぉぉっ!!」


ズドドドドドド!!!!


地形が変わるほどの激しい戦いを繰り広げていた。

ポイゾネ(す、すごい…強さを何度も見極めたはずなのに想定を超えてくる…!この戦いの中で学習してるっていうのか…!?)

天才「とぉっ!」


ドゴォッ!!


ポイゾネ「ぐふっ!」

蹴りがポイゾネサスの腹に当たり、十数メートル飛ばされる。

ズザザザ…!

ポイゾネ「はぁ…はぁ…危なかった…余計なことを考えるな!集中しろ!」

ポイゾネサスは天才の動作にのみ意識を集中させ、剣を構える。


626 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/30(火) 21:38:28 K9o./7V200

天才「はぁ…はぁ…ぽよぉ…!」

ガクッ…

ポイゾネ「今だッ!!」

ダッ!!

天才が疲労の蓄積によりほんの一瞬よろけたところを、ポイゾネサスは見逃さなかった。

一気に距離を詰める。


ズバァッ!!


天才「ぽよっ!?」

袈裟斬りが決まる。

ポイゾネ「まだまだァ!」

更に踏み込み。


ドシュゥッ!!


突きが炸裂。

天才「あぅぅ」

ポイゾネ「!!」

しかし天才は僅かに急所をずらしていた。

タッ!

天才は体勢を立て直すべく、後ろに跳んで距離を取ろうとするが。

ポイゾネ「無駄だ!」


ダンッ!!


ポイゾネサスは更に強く踏み込み、跳び上がった天才に追いつくと。


627 : ハイドンピー (ワッチョイ 7a69-01fd) :2019/07/30(火) 21:39:55 K9o./7V200

ポイゾネ「終わりだァッ!!でやあああっ!!」


ギュルルルッ!!


ポイゾネサスは高速回転し、その勢いで強力な斬撃を繰り出した。


が。


天才「ぽよ…」


天才は体から力を抜くことで、僅かに自分の軌道を変えた。


ポイゾネ「!?」


勢いのつきすぎた斬撃は止まらず、盛大に空振りする。

…だけなら良かったのだが、その着地点は。


ポイゾネ「崖!?」


天才自身に意識が向かい過ぎていたのだ。

周りの情報を遮断し、天才の動作という一点にのみ脳を働かせていた。

ゆえに、地形を把握できていなかった。

ポイゾネ「うわああああああ!!」

いかに覚醒したポイゾネサスと言えど、空中ではなすすべなく。

崖下へと落ちていった。


628 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 540c-01fd) :2019/07/30(火) 22:12:51 Q4qdvoHc00


ここでドジっ子属性を発揮するあたりがポイゾネだな
まぁ普通に生きてるんだろうけど


629 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/02(金) 19:17:16 .P0Ad2MI00





隣国・南の町。

部長たち三人は、融合し怪物と化した魔物によって全滅していた。

怪物はその後町を破壊していき、町は半壊。

「うわああああ!!」

「きゃあああ!!

「助けてくれぇぇ!」

住民たちは完全にパニックになっていた。

♂♂「部長サン…やられてしまったのデスか…?くっ…!」

♂maikeru♂もそこにいた。

町を襲う怪物を前にどうすることもできず、立ち尽くしている。

そこへ。


???『おい!オマエ!』


♂♂「!?」

突然、脳内に念話が送られてきた。


630 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/02(金) 19:18:17 .P0Ad2MI00

???『どうなってるんだこれ!わははは!!おもしろいな!』

♂♂「な、なんデース!?子供の声!?い、一体何が起きてるんデース!」

???『オマエへんなしゃべりかただな!』

♂♂「ア、アナタは一体何者なんデースか!?」

???『ふん、しらないのか?ボクはじゃしんマグヌスさまだ!』

♂♂「じゃ、邪神…!?ミーに何の用デスカ!?」

マグヌス『ん?べつにようなんかないぞ。なんかうごくえほんみたいなのみつけたから、ひらいたらオマエがみえたんだ』

♂♂「絵本…?」

マグヌス『オマエ、ほんのキャラだろ!じかく、ないのか?』

♂♂「自覚って…いやいや、ミーは現実に居マスヨ!キャラではありまセーン!」

マグヌス『なにいってるんだ。だってほんにうつってるぞ。ばかかオマエは』

♂♂「ええ!?辛辣!何の本デスか!?いやいずれは本に載るくらい有名なダンサーになるつもりではありマースけど…まだそんな有名になってないデスヨ!」


631 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/02(金) 19:20:34 .P0Ad2MI00


???『オイクソガキ、そこで何やってんだ』


マグヌス『は!?だれだオマエは!』

♂♂「うわ!また別の人の声が…!」

???『あ?どっからどう見てもただの大学生だろうがブチのめされたいのか?』

ジャキンッ

大学生は剣を抜いた。

マグヌス『やるのか!?いっとくがボクはつよいぞ!』

大学生『知るかよクソが!今虫の居所がクソほど悪ィんだ!ガキだろうが容赦しねえぞ!』

ドガガガガガガ!!!

プツッ


♂♂「……アレ?聞こえなくなりマシタ…な、何だったんデショウ…」


怪物「ギャオオオオオオッ!!!!」


♂♂「ウォゥッ!?そ、そうデシタ!のんびりしている場合じゃありまセン!!」

♂maikeru♂は怪物にやられたであろう部長たちの安否を確認するため、部長の向かった方へと走った。


632 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/05(月) 21:17:22 sjVW2T7U00





魔法学校では。

ゴゴゴゴ…

弟「うわっ!なにこの揺れ…!」

インテリ「ま、まさかまたマグヌスが暴れてるんじゃ…」

コテツ「ひぃ〜、なんとかして止めないと!建物がこわれちゃうよー!」

母「もう、うるさいわねぇ…何時だと思ってるの…」

チェン「うぅん……今何時…?」

弟「あ!お母さん!チェントゥリちゃん!目が覚めたんだ!」

母「おはよう弟……ん…?あれ?ここはどこかしら…」

二人はキョロキョロと見回し自宅ではないことに気づく。

チェン「えーっと…たしか…突然学校に来た怖い人に剣で斬られて……あれ?でも傷がない…あれは夢だったのかなぁ?」

インテリ「いや、夢じゃないですよ。僕たちは先生たちに助けられたんです。ここは元の世界とは別の空間にある、魔法学校です」

弟「信じられないかもしれないけど、先生が魔法の薬で治してくれたんだよ!」

母「そうなの……信じるわ。みんな、無事で良かった!先生にお礼を言わないとね!」

弟「うん!」


633 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/05(月) 21:22:58 sjVW2T7U00

チェン「みんな、って……委員長は!?」

コテツ「それが、委員長はマグヌスくんのしわざでどこかにいっちゃったんだ…」

チェン「え!?」

インテリ「でもきっと大丈夫ですよ。昼間の召喚士さんっていう、㌦ポッター先生の師匠の人が探しにいってくれてます」

弟「でも夜に探しにいってから、もうお昼になっちゃったけど…大丈夫かなぁ…」

インテリ「…それは…」

母「大丈夫よ!㌦ポッター先生、学校に潜んでる時に観察してたけど、すごく生徒思いで優秀な先生だもの!その師匠なら、絶対に大丈夫!」

弟「学校に潜んでるとか堂々と言わないで」

コテツ「でも、弟くんのお母さんのいうとおりだよね。ぼくも召喚士さんのことしんじてる!みんなもしんじて待とうよ!」

インテリ「…そうですね」


ドガァァァン!!!!


チェン「な、なに!?」

何かがぶつかり合うような大きな音が校舎内に響き渡る。

弟「またマグヌスくんかな…」

インテリ「しかしいくらワルガキとはいえ、一人でここまで暴れるでしょうか…何かあったのかもしれません。僕ちょっと様子を見てきますね」

弟「あ、じゃあ僕も行くよ!」

コテツ「ぼくも!」


634 : ハイドンピー (ワッチョイ fd8a-0793) :2019/08/05(月) 21:31:05 sjVW2T7U00

母「待ちなさい。私が行くわ。危険なところへ子供たちを行かせるわけにはいかないもの」

インテリ「え、でも…」

母「でもじゃありません!全くもう!」

弟「お母さん、ほんと心配性だなぁ…まったくもうはこっちのセリフだよ!」

ソーセージ「そうだそうだ!」

ニュルッと、幼き弟の股間あたりからソーセージも顔を出して同意する。

母「な、なんですって!ソーセージまで!」

インテリ「ていうかソーセージも復活してたんだ…」

ソーセージ「おう。今朝目がさめたぜ。真っ二つにされたときはあせったけど、先生がくっつけてくれたんだぜ」

弟「僕とソーセージの命は連結してるから、どんな大きなケガをしても僕が生きてればソーセージが死ぬことはないし」

インテリ「どういう仕組みなんですか…」

チェン「謎すぎる…」

母「二人で言ってもダメなものはダメです!親の言うことは聞きなさい!」

弟「このわからずや!行こうインテリくん、コテツくん!」

コテツ「わっ」

幼き弟は二人の手を引っ張って医務室を出て行った。

母「あっ!こら!待ちなさーい!」

母もそれを追う。

チェン「……え、ちょっと、みんな行くなら私も行くよぉ!」

チェントゥリオーネも困惑しながらも追う。

結局全員でマグヌスを探すことに。


635 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/07(水) 19:15:44 1vRjn9ZQ00





そのマグヌスはと言うと。

魔法学校の校舎を探検中、あちらの世界と繋がる魔法書を見つけたが、そんなことは知るはずもなく。

そこに映る♂maikeru♂をその"動く絵本"の登場人物と勘違いして話しかけ。

ちょうどそこへ召喚士の職務室から抜け出してきた大学生が現れ。


ズギャンッ!!

大学生「オラァ!!なんでそんな強えんだクソガキ!まーた天才とかいうヤツかよふざけやがって!ホントクソ不公平な世界だなァオイ!」

ドゴォッ!!

マグヌス「ふん!オマエもおもったよりやるな!ボクのけらいにしてやってもいいぞ!わはははは!」

ザンッ!!

大学生「は!?ちょっとお世辞いったらコレかよキメえな!だから嫌いなんだわクソガキはよぉ!」

ガキィィン!!

マグヌス「おせじってなんだ!しらん!」

ズバァッ!!

大学生「ガキな上にバカかよ!ケッ!テメエなんざ勉強もせずに底辺みてえな学校行ってくだらねーゴミみてえな会社に使い捨てられて路頭に迷ってくたばってやがれ!」

マグヌス「わけわからん!」

二人は口喧嘩しながら本気で戦っていた。

校舎のあちこちがその戦いに巻き込まれ壊されていく。


636 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/07(水) 19:16:54 1vRjn9ZQ00


ドゴォォォン!!


また一枚、壁を破壊し。

その先には。

マグヌス「うわー!なんだこれ!ヤバそうなものみつけたぞ!くくく!」

大学生「チッ、んだこれ!邪魔なんだよクソが!」

黒い布でぐるぐる巻きにされている何かがあった。

二人の間に現れたそれを、二人は容赦なく。


ズドォォッ!!


攻撃。

その衝撃で布は弾け飛び、


ボンッ!!


同時に小さな爆発が起きた。

マグヌス「どわ!」

大学生「チッ」

二人は何かの気配を察知し、爆煙から距離を取る。


シュゥゥ…

ぺた

ぺた

と、煙の奥から小さな足音。

マグヌス「お!なんかでてきたぞ!」

大学生「あぁ?なんだテメェは」


ミカ「ははっ!今日は珍しくツイてるな。誰だか知らねえが、封印を解いてくれてありがとよ」


637 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/07(水) 19:18:22 1vRjn9ZQ00


布の中から現れたのは青帽子の黄色いハムスター…味方殺しだった。

大学生「いやテメェが誰だって訊いてんだよドブネズミが!あれか?ネズミだから人間の言葉わかんねーのか?」

ミカ「なんだコイツ」

マグヌス「またいいんちょうににてるヤツがでてきた!よし、きめたぞ!アイツのかわりにおまえをボクのしもべにする!」

ミカ「は?」

大学生「いいからさっさと答えろやネズミィ!」


ブンッ!!


ミカ「うぉっと!危ねえな!とりあえず落ち着けや。二人いっぺんに話すな」

大学生の斬撃を味方殺しは咄嗟にかわす。

マグヌス「おい!じゃまするな!コイツはボクのしもべにするんだぞ!」

大学生「あ?知るかよバカが。テメェはネズミでもねえのに言葉が通じねーのか?」

マグヌス「なんだと!じゃあさきにコイツをたおしたほうがかちだ!」

大学生「は?なんでそうなるんだよ。ケケケッ、やっぱ言葉わかんねーんだなこのガキは。いやガキっつーか赤ちゃんでちゅね〜」

マグヌス「よーいドン!はいスタート!PKファイヤー!」


ボウッ!!


ミカ「うおっ!?」

味方殺しはまたギリギリでかわし、さすがに余裕がなくなってきたので臨戦態勢をとる。


638 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/07(水) 19:22:52 1vRjn9ZQ00

マグヌス「オマエ!ごしゅじんさまにたてつくのか!?」

ミカ「誰がご主人様だよ」

大学生「ぶっ!ハハハハハ!くだらなすぎてなんかオモロくなってきたわ。オッケーわかった、とっととコイツブチコロして鍋に入れて、泣き喚いてるクソガキの顔面にぶっかけよう。決めた」

大学生はそう言って悪魔のような笑みを浮かべ、剣を構えた。

味方殺しは二人に挟まれる。

ミカ「…ったく…ツイてんのかツイてねえのか分かりづれえ展開だな…」

大学生「ツイてるわけねーだろボケが!」


ブンッ!!


ミカ「チッ」

味方殺しは大学生の剣をかわすが。

マグヌス「とりゃー!!」


ギュンッ!!


ズドォッ!!


ミカ「ぐっ!」

マグヌスのヨーヨーに突き飛ばされ、壁に激突。

大学生「オラァ!!」

大学生は更にそこへ追撃をしかける。

ミカ「ピッ!!」


ガギィン!!


味方殺しはそれを尻尾で弾いた。

大学生「テメェ!大人しく斬られやがれ!」

ミカ「オイオイ封印から逃れたと思ったらいきなりこんなんかよ。理不尽すぎんぞ」

自分のしたことは棚に上げて、嘆く味方殺し。


639 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/08(木) 19:39:21 tjEwmia.00

キンッ!!

キンッ!!

味方殺しは猛攻を全て尻尾でいなす。

マグヌス「PKファイヤー!」

ボウッ!

ミカ「ピカァ!」

タッ!

PKファイヤーもジャンプでかわし。

ミカ「あーもうめんどくせぇ!デガワァ!!」


ドゴォォッ!!


マグヌス「うわっ!」

味方殺しは召喚士の時と同じく、雷を落として床を破壊。

下の階へと離脱した。

大学生「ケケッ、逃げやがったか。いかにもネズミらしいな」

マグヌス「にがさないぞ!まてー!」

マグヌスも味方殺しを追って床の穴から降りる。

そこで。


インテリ「あ!いました!マグヌス!」


マグヌス「む!」

マグヌスを見つけたインテリたちが駆け寄ってきた。


640 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/08(木) 19:41:21 tjEwmia.00

コテツ「わあ!?天井に穴あいてるよ!?」

母「あなたがやったの!?もうイタズラじゃ済まないわよこれ!」

マグヌス「ちがうぞ。あのネズミだ」

マグヌスは逃げる味方殺しの後ろ姿を指差す。

チェン「あれ、委員長!?」

インテリ「いや、帽子が違います。また別人ですね…」

マグヌス「くっくっく。アイツ、ボクのしもべにするんだ!じゃーな!」

インテリ「あ!マグヌス!」

マグヌスは味方殺しを追いかけて走っていった。

母「お、思った以上に危険な子ね…あんな子とうちの子が同じクラスなんて…」

弟「い、いや、普段はあそこまで暴れないよ?たぶんだけど、あの無敵の転校生とかいう人にやられたのが相当くやしかったんじゃないかな…昨日のなんとか軍曹とも決着つかないまま終わったし…」

チェン「いつもブレーキみたいな役割してる委員長もいないしね…」

インテリ「まあともかく止めないと!僕たちも追いましょう!」

コテツ「うん!」

インテリたちもマグヌスを追った。


641 : はいどうも名無しです (ササクッテロ fc01-5ae3) :2019/08/08(木) 19:58:13 vUw8xvvUSp
デガワァ!!で草


642 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/09(金) 19:41:15 4oAy0MMY00


大学生(なんだあのガキども…揃いも揃って魔力がクソだ。そういやさっきのクソガキも魔力はほぼ感じなかったな。新入生…いや、外部の人間か?)

大学生は穴から下の階の様子を傍観していた。

パサッ…

大学生「あ?」

足元に何かが当たり、視線を移す。

大学生「あー、そういやあのクソガキ何か見てやがったな。これか」

そこに落ちていたのは、マグヌスの見ていた魔法書だった。

大学生はそれを拾い上げ、なんとなく開いてみると、南の町の様子が映し出された。

大学生「ケケッ、何だァこりゃ。怪獣映画かよ」

町では巨大な怪物がビルをなぎ倒している。

昼間『これは南の町ですか。先程ニュースにも流れていましたが、随分大変な事になっているようですね…』

大学生「うお!テメェ!見てやがったのかよ!」


643 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/09(金) 19:42:20 4oAy0MMY00

昼間『あれだけ騒がしくしてたらそりゃ無視できませんよ…全く…やってくれましたね。さっき君たちが封印を解いたあのネズミは、うちの生徒と教師を十四人も殺した凶悪犯なんですよ?』

大学生「あ?知らねーよバカが。だったらあんな適当な部屋に置いとくんじゃねーよ」

昼間『普通は入れないようになっているんですがね…壁を壊して入ってくるとは予想外でしたよ…』

大学生「ケッ、なんでもかんでもテメェの予想通りに行くと思ったら大間違いなんだよバーカ。ちょっと魔法が上手いからってカミサマにでもなったつもりかよ」

昼間『とにかく!早く彼を捕まえて、封印し直してください』

大学生「あ?なんで俺がんなメンドーなこと…」

ボフンッ!

突然大学生の前に、味方殺しを封印していたものと同じ黒い布が召喚された。

昼間『封印にはその布を使ってください。いいですね』

プツッ!

念話は切れた。

大学生「フン、誰があんなクソオヤジの言うことなんか聞くかよ。あー運動したらノド渇いたな。酒ねーのかよ酒は」

大学生は当然のごとく黒い布を素通りし、立ち去ろうとした。

が。

大学生「…あ?」

大学生は元の位置に戻っていた。

昼間『無駄ですよ』

プツッ

大学生「…クソが!空間魔法でなんかしやがったなヒゲェ!」

大学生がキレるが、反応はない。


644 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/09(金) 19:43:40 4oAy0MMY00

大学生「無駄はこっちのセリフなんだよ!なんか小細工しようが俺はテメェに従う気はねーからな!」

再び立ち去ろうとするが。

大学生「ぬああああ!こんのクソジジイィィ!!」

再び布の前に戻される。

しばらくそんな無駄なことを繰り返して。


大学生「チィッ!しゃーねえなクソ!わーったよ分かりましたよ先生サマよォ!あのドブネズミ一匹捕まえてコイツにブチ込んどきゃいいんだろォ!」

大学生はようやく布を拾い上げ、床の穴から降りて味方殺しを追った。




召喚士の職務室では。

歩く『召喚士さん、どうかしましたか?』

昼間「いえ、なんでもありません。魔力を操るのに集中してください」

歩く『それなら良いんですが……召喚士さん、話を聞いた限りだと恐らく一睡もしてないですよね?僕もアマゾンくんのお陰でだいぶ魔力のコツが掴めてきましたし、休んでいてもかまいませんよ?』

アマゾン『そうですよ!ハカセ、無理したらダメですよ!』

昼間「…ありがとうございます。ですが今は寝てる場合ではありません…明日までに下目使いを倒すには、少しでも多くの情報が欲しい…」

召喚士の机の上にはいくつもの魔法書が開かれ、そこには世界各地や天界の様子が映し出されている。

歩く『分かりました…では僕たちはその戦いを少しでも援護できるように、引き続き特訓を続けます!』

昼間「いえ、そこから少し南へ向かったところに町があるはずです。今そこで巨大化した魔物と思しき怪物が暴れています」

歩く『え!?』

昼間『犠牲者はどんどん増えています…急いで向かってください」

歩く『分かりました。町を救いつつ、実戦で魔力の扱い方を学ぶ機会でもある、ということですね。行きましょう、アマゾンくん!』

アマゾン『はい!』

昼間「よろしくお願いします」

天下無敵たちは南の町へと向かった。


645 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/10(土) 19:37:13 3t1cGHhY00


昼間「ふぅ…」

クラッ…

昼間「…!くっ…流石に疲れが溜まってきましたね…魔力も使いすぎたか…」

召喚士は一瞬意識が飛びそうになり、ぐっとこらえる。

昼間「……あれ?」

と、そこで召喚士は気づく。

昼間「な、無い…!そんな馬鹿な…!一体いつ…!?」

懐にしまっていたはずの"カギ"が無くなっている事に。


646 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/10(土) 19:38:20 3t1cGHhY00







天界・下層。

ヤミ「ククク…どうした!そんなものかΦデスエンペラー!貴様の集めた雑兵もゴミばかりではないか!」

ボォォォォォ!!

ヤミノツルギ†は自らの周りに魔炎を渦のように回転させる。

㌦「くっ!強い魔力の込もった焔…これじゃ近づけない!」

純白「ふふ…思ったより厄介ですね…」

ドドン「いや笑ってる場合じゃないドン!熱ッ!」

ヤミ「フハハハハ!!焼き尽くしてくれるわ!」


ボォォォォォッ!!


たま「くっ!」

エロい姉と揺るぎなきたまたまの方へ放たれた魔炎を、二人はかろうじてかわした。

姉「ダメね…!攻撃が早すぎてチャージする暇もない!まるでイキたいのに焦らしてくるたまちゃんのようだわ!」

たま「こらこらろーくん、あまり人前でそういう事を言わないでくれよ。恥ずかしいじゃないか」

ドドン「この人たちも緊張感なさすぎドン…!なんで揃いも揃って変人なんだドン」

㌦「君のその語尾もだいぶ変だと思うけど…」


647 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/10(土) 20:04:06 3t1cGHhY00

純白「で、どうするんです?」

デスエン「フッ、そうだな。確かにこの魔炎は強力だ。だが弱点を見つけたぞ」

純白「弱点?」

ヤミ「クク、弱点など有りはせん!貴様らは此処でこのまま灰となって消えるのだ!」


ボォォォオッ!!!


ヤミノツルギ†は更に魔炎の火力を上げると、今度は六人全員を炎の壁で囲んだ。

たま「囲まれた!」

ドドン「これはギルティースたちに使った技ドン…!ってぬあああ熱いドン!弱点あるなら早くなんとかしてくれドン!」

デスエン「㌦ポッター。お前は空間魔法を使えるな?」

㌦「え?あ、ああ…まさか!」

㌦ポッターはヤミノツルギ†の方を見て、気づく。

デスエン「そうだ。この魔炎は奴自身をも焼き尽くすほどのパワーを持っている。だから奴は自分の周囲に常に数十センチ程度の空間を設けているんだ。その中に魔炎が入ってくることはない」

ドドン「な、なるほドン!そこに入れば、魔炎で攻撃を防がれることもないのかドン!」

純白「流石の観察眼ですね…ふふ…」

㌦「それが分かれば!」

ドドン「これを使うドン!」

ドドンはボム兵を㌦ポッターに渡す。

㌦ポッターは受け取ると、右手のひらの上に置いたボム兵に、左手をかざす。


648 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/10(土) 20:05:56 3t1cGHhY00

㌦「はっ!」


フッ!


ボム兵が手の上から消える。

そしてそのボム兵はヤミノツルギ†の弱点である空間に出現した。

ヤミ「!?」


ドドォォォン!!!!


爆発した。

六人を囲んでいた魔炎も消えた。

姉「やったのかしら…?」

ドドン「ちょ、それフラグドン!」


ブアッ!


ヤミ「ククク…!!ゴミの分際で…我に一撃を入れたことは…褒めてやろう…!!」

爆煙を吹き飛ばし、中からヤミノツルギ†が現れる。

純白「まああの程度ではやれませんよね…というかあれで終わってたら拍子抜けもいいところでしょ…ふふ…」

ヤミ「もう油断はせんぞ…!瞬殺だ…!」


ボォォォォッ!!!


ヤミノツルギ†は津波のごとく膨大な魔炎を放った。

㌦「速…っ!」

ドドン「この量!避けきれんドン!」


649 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/10(土) 20:11:03 3t1cGHhY00

たま「ここは僕たちに任せてもらおう」

姉「ウフフ、さっきの隙に溜めておいたわ♡」


ドウッ!!!!


二人は同時に最大チャージチョットを放った。


ズァッ!!


チャージショットは魔炎の津波にぶつかると、大きな風穴を開けた。

ドドン「おおっ!」

㌦「すごい威力だ…!」

六人はその穴に入り魔炎をかわした。

デスエン「フ、流石は例の黒光を倒しただけのことはある。よしドドン、㌦ポッター、今のうちだ。もう一発と言わずもう十発くらいお見舞いしてやれ」

ドドン「わかったドン!」

ドドンは大量のボム兵を㌦ポッターに渡し。

㌦「はあっ!!」

それを㌦ポッターが空間移動でヤミノツルギ†の周りへ送り込む。

ヤミ「えっ、ちょっ」


ドドォォォン!!


ドドドォォォォン!!!


ドドドドドォォォォォン!!!!


ヤミノツルギ†はえげつない爆発に呑まれた。

というか六人も巻き込まれた。


650 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 2849-0793) :2019/08/11(日) 23:41:32 Scw/7FiY00
流石はボム兵選手の爆発力だな


651 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/12(月) 22:01:59 MqEklNiQ00



シュゥゥゥ…


デスエン「いやーすごい爆発だったな」

デスエンは体に付いたススを払い落としながら、遥か上空までモクモクと立ち上る爆煙を見上げる。

純白「ふふ…なかなかの威力でしたよ…」

ドドン「そう褒めるなドン!照れるドン!」

たま「ろーくん、無事かい?」

姉「ええ。ありがとたまちゃん♡」

㌦「ゲホッ、ゲホッ!なんでそんなピンピンしてるの…!?パワードスーツ着てる二人はともかくそこの三人!」

ドドン「まあ俺は爆発慣れてるしドン」

純白「剣と盾で防いだまでですが?」

デスエン「俺は普通に効かなかった」

㌦「えぇ…」

ドドン「まあとりあえずこれで幹部の一匹目は倒したわけだなドン」

デスエン「ああ。後は上層に上がって妖魔と下目使いをブッ飛ばして一件落着。さ、行くぞー」

ドドン「おードン!」

姉「えー、もう行っちゃうの?」

たま「ふふ、確かにこの天界の美しい風景をもう少し観ていきたいものだね。戦いが終わればもう来られないだろうし」

純白「神が住んでるってくらいだから上層の方がもっと綺麗なんじゃないですか?僕は興味無いですけど」

たま「ああ!確かに」

㌦「…いや軽いよ!!ノリが!!遠足じゃないんだから!」


652 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/12(月) 22:03:40 MqEklNiQ00

デスエン「何を熱くなってるんだ。別に世界を救おうってわけじゃあるまいし。遊びみたいなもんだぞ」

㌦「いや君は余裕かもしれないけどこっちは命かかってるからね!?普通に死にかけてるからね!?」

姉「ウフ、先生そう怒らないで♡こんな体験滅多に出来ることじゃないわよ?楽しみましょ♡」

たま「そうだよ。僕たちだって彼の駒にされるのは、気分の良いものではないが…こうなった以上は仕方ない。どうせなら楽しんだ方がいいじゃないか」

㌦「君たちまで……はぁ…分かったよ…もう好きにしたらいいよ…」

㌦ポッターはがっくりと肩を落とす。

姉「まあまあそう落ち込まな…」


ボォッ!!!!


姉「!」

たま「ろーくんッッ!!」

爆煙の中から飛んできた魔炎に、エロい姉は一瞬で全身を焼かれた。

姉「がはっ…!」

ガクッ…

ドサッ

そのままエロい姉は倒れる。

㌦「なっ…!」

ドドン「あの爆発の中心にいて、まだ生きてるドン!?」


653 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/12(月) 22:14:38 MqEklNiQ00

たま「貴様ァァァ!!よくもぉぉぉ!!」

ダッ!!

㌦「たまたまさん!待っ…!」

揺るぎなきたまたまは魔炎の飛んできた爆煙の中へ突っ込んでいった。


ボォォォッ!!!!


煙の中で炎の燃える音が聞こえる。

僅か数秒後。

たま「ぐあああっ…!」

ズザァァ!

たまたまが丸焼きにされて飛んできた。

㌦「くっ…!」

ドドン「煙に隠れて攻撃してくるドン!俺の爆発まで利用してくるとは、なんというヤツドン…!」

純白「魔炎とかいうのを分散させて、感知もできないようにしてますね…」

デスエン「相当なダメージが入ってる筈だが、まだ頭が回るようだな。フッ、流石は幹部と言ったところか」

ヤミ「ハァ…ハァ…貴様ら…如きに…この僕が…っ…負ける筈が…無いんだッ!」


ボォォォォッ!!!!


煙の中から再び魔炎が飛んでくる。


バシィン!


デスエン「…何だ?この弱々しい炎は」

デスエンは片手でその魔炎を振り払った。

純白「どうやら、かろうじて生き延びてるって感じですね…ちょっとは感心したんですが…ふふ…無駄な足掻きだ。爆煙に紛れて逃げればよかったものを。それとも、もう逃げる体力すらないんですかね?」

ヤミ「くっ……まだ…だ…!」


654 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/12(月) 22:18:02 MqEklNiQ00


ボォォッ!

ボォッ!


また煙の中からいくつかの魔炎を飛ばしてくるが、その勢いは更に落ちている。

ドドン「これくらいなら俺でもやれるドン」

チュン! チュン!

ドドンはブラスターでその魔炎を撃ち落とした。

デスエン「もういいだろう。出てきたらどうだ?」

デスエンは呆れたように言うが。

返答はない。

純白「いいですよ。僕がトドメを刺してきます」

純白はそう言うと爆煙の中へ入っていった。




しばらくして。


ドサッ!


純白「もう終わってたみたいです。トドメを刺すまでもなかった」

戻ってきた純白が、ボロボロになったヤミノツルギをデスエンたちの前に投げた。

㌦「…死んでる…」

㌦ポッターが脈を見て言った。

デスエン「そうか、あっけないな。ま、いいだろう。それじゃ予定通り上層へ行くとするか」

㌦「待って。エロい姉さんとたまたまさんを治療しないと。このままじゃこの二人もじきに死んじゃうよ…」

デスエン「そんな時間は無いだろう。ヤミノツルギ†が死んだとなればヤツらもかなり警戒態勢になるぞ。それとも一瞬でその大火傷を治す魔法薬でも持ってきてるのか?」

㌦「それは…ないけど…」


655 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/12(月) 22:21:00 MqEklNiQ00

純白「しかしそんな半死人がいても邪魔なだけですよ。どっか病院にでも預けてきたらどうです?」

デスエン「んー、まあ天界にも病院はあるだろうが」

㌦「分かった。じゃあ行ってくる」

デスエン「すぐ戻れよ」

㌦「わ、分かってるよ!」

パチンッ

㌦ポッターは二人を抱えると、病院を探すため空間移動で町へ飛んだ。


ドドン「いやーそれにしてもさっきの爆発は気持ちよかったドン。ギルティースたちにも見せてやりたかったドン。絶対喜ぶドン」

幸せそうな顔で言うドドン。

デスエン「そ、そうだな」

純白「なぜそんなに爆発が好きなんです?」

ドドン「え?爆発がキライな奴なんていないだろドン?」

純白「……」

ドドン「強いて言うならその芸術性の高さかなドン!爆発はその規模も形も色も音も、そして後に残る爆煙や、爆発によって破壊された物の形も、そのニオイも、毎回違う。全く同じ爆発は存在しないんだドン。たった一度きりその瞬間しか味わえない芸術がそこにはあるドン!一言で言うなら、"爆発は芸術ドン"!特に自分で苦労して作り上げたボム兵の爆発は格別ドン!命の危険もある細かい作業ですり減らした精神を、そのボム兵の爆発の衝撃がそれを吹き飛ばしてくれるドン!仕事で溜めに溜めたストレスを休日に趣味で発散するのに似ているかなドン。と言ってもまあ俺はボム兵を作る過程も楽しむタイプだけドン!それにボム兵は可愛いしなドン!任務で疲れて家に帰るとボム兵たちが出迎えてくれるんだドン!疲れを一瞬で吹っ飛ばしてくれるドン!やっぱり一家に十体はボム兵を置くべきだと思ってるドン!純白さんもどうドン?ちなみにうちにはボム兵だけじゃなくてモーションセンサー爆弾っていう設置型の爆弾もあって、これも結構よく売れるドン!極道の片割れさんってお得意様がいるんだけど、会うたびによく爆弾について語り合っ…」

純白「あ、もういいです…」

デスエン「愛が重い」

ドドン「そうかドン?普通のことを言ってるだけだと思うけドン…」


656 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 04:06:56 2ORMTI2k00

純白「それにしてもこの爆煙はいつまで残ってるんですかね…あれだけの規模の爆発だったとはいえ…」

デスエン「爆煙というかこれはもうちょっとしたキノコ雲だな。まだ数時間は残ってそうだ」

純白「煙たいし離れませんか?」

ドドン「ええ!勿体ないドン!この心地いい爆煙の香りを楽しまないとは!それに美しい形ドン!まるで巨大な大樹…!」

デスエン「……なんかだんだんウザくなってきたな…」

純白「なんでこの人連れてきたんです…?」

ドドン「大樹……あれ?あっちにもあるドン」

デスエン「ん?何がだ?」

ドドン「いや、だから大樹ドン」

ドドンが指差した方向をデスエンたちも振り返る。

純白「…何でしょうあれ…」

デスエン「わからん。だが、ただの樹じゃ無さそうだな」

その先には、百メートルはあろうかという大樹がそびえ立っていた。


657 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 04:09:07 2ORMTI2k00





一方、ennjeruたちはチンポコメロンの屋敷に来ていた。

二人の周りにはチンポコメロン家に仕える黒服の天使たちがついている。

ennjeru「うおー!久しぶりに来たけど、相変わらずデカいな!」

チンポコ「相変わらずって、そりゃ工事もしてないのに屋敷の大きさが変わるわけないでしょう」

ennjeru「いやそっちじゃなくて!いや屋敷もデカイけど…あの大樹だよ!」

ennjeruは屋敷の奥に見える巨大な樹を見上げて言う。

チンポコ「当然です。あれこそが私の使命の象徴…我々チンポコメロン家が数千年に渡って守り続けたものの結晶なのですから」

ennjeru「あの樹が俺たちに天使の羽を与えてくれたんだっけ?信じられないぜ…」

チンポコ「フン、喋ってないで行きますよ。世界の命運は我々にかかっているのですから」

ennjeru「我々っていうか、お前にな!俺はなんか流れでついて来ちゃったけど。ていうかマジで俺いる?これ」

チンポコ「今更何を言っているんですか…とにかく行きますよ」

二人が屋敷の奥へ進もうとしたその時。

黒服「旦那様!」

チンポコ「どうしました?」

黒服の一人がチンポコメロンにゴニョゴニョと耳打ちした。

チンポコ「…何!?それは本当ですか!?」

黒服「はい」


658 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 04:12:31 2ORMTI2k00

ennjeru「どうしたんだ?」

チンポコ「偵察隊からの連絡です…ヤミノツルギが倒されたそうです」

ennjeru「え!?あの魔の一族の幹部の!?やったな!」

チンポコ「…そうでもありません。それをやったのは、同じく魔の一族のΦデスエンペラーという男が率いる集団です」

ennjeru「はあ!?どゆこと?仲間割れしたのか?」

チンポコ「恐らくな。奴らは野蛮で身勝手な一族…支配権を巡って争うのも不思議ではないでしょう。実際下目使いがキング・オブ・妖魔に下剋上を起こしているわけですし」

ennjeru「そういやそうだったな…このまま勝手に潰しあってくれりゃいいんだけどなー」

チンポコ「フン、そう都合よくいくわけがないでしょう。Φデスエンペラーがいくら強いとはいえ、全能神の力を手に入れた下目使いはもはや無敵……力の差を見せつけられてすぐに軍門に下ることは想像に難くない。そうなれば奴らの戦力はダウンどころか、さらに増強されますよ」

ennjeru「マジかよ…」

チンポコ「しかしそれに関して我々に今できることはない。やるべき事をやるしかありません。行きますよ」

ennjeru「お、おう。これが上手くいきゃあ、奴らが何しようが関係ないしな!」

チンポコ「ハア…相変わらず楽観的ですね…」

ennjeru「こういう時こそポジティブにいかなきゃやってらんないっしょ!」

チンポコ「フン」

二人は奥へと向かった。


659 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 4708-14f4) :2019/08/15(木) 04:59:08 fgPnqpT2MM
駄目だ、真面目な話なのに「チンポコ」で吹くwww


660 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 19:52:14 2ORMTI2k00



そして数分後。

二人は大樹の麓の辺りに着いた。

ennjeru「うおぉ…近くで見るとやっぱ迫力が違うなー」

チンポコ「こっちです」

その近くにある小屋の中へ入っていく。

その中には小さな祭壇のようなものがあった。

ennjeru「何だ?これ」

チンポコ「フン、見ていれば分かりますよ」

するとチンポコメロンは手袋を外し。

ズバッ!

ナイフで指を切った。

ennjeru「ちょ!何してんだ!?」

チンポコ「だから見てればわかると言ってるでしょうがッ!」

ennjeru「すんません…」

チンポコメロンは祭壇の上に手を掲げ。

ポタッ…ポタッ…

そこに血が落ちる。

そしてチンポコメロンが合図をすると、黒服のうちの二人が祭壇の左右に立ち、向かい合った。

そして三人が同時に翼を広げて、祭壇に両手をかざすと。


キュイイイイイン!!


祭壇の前にゲートが開いた。

ennjeru「うおぉ!」

チンポコ「この儀式以外の方法では絶対にゲートは開かない。言ったでしょう。絶対に見つからないと」

ennjeru「すげーな」


661 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 19:56:24 2ORMTI2k00

チンポコ「このゲートはあの大樹…"生命の樹(セフィロト)"の、始まりの場所…つまりその"種子"のある空間に繋がっている。我々は"種子の間"と呼んでいます」

ennjeru「…てことはじゃあそこに…!?」

チンポコ「行けば分かることです」

ennjeru「あ、ああ…」

ごくりとennjeruは唾を飲む。

そして二人はゲートへ足を踏み入れた。



そこは淡い光で包まれた空間だった。

ennjeru「こ、ここが…種子の間…!よくわからんけどなんか神々しい感じがするぜ…」

チンポコ「当然です。生命の樹の内部なのですから。そしてあれが…」

その空間の中心に、五メートル程の巨大なクリスタルが浮いていた。

ennjeru「生命の樹の種子か…!?種子ってより水晶みたいだけど…」

チンポコ「ただの植物ではありませんからね。これは彼が眠りにつくための結界のようなもの…」

ennjeru「彼…はっ!マジだ!中になんか見える!」

ennjeruはクリスタルの中に、小さな人影を見つける。

チンポコ「はい。彼こそがチンポコメロン家が代々護り続けた存在……世界を三つに分けたとされる"始まりの全能神"…!!」

ennjeru「は、始まりの全能神…!天界じゃ知らない天使はいねえ。みんな小さい頃に親に聞かされる昔話だ…ただの伝説だと思ってたけど…!マジでいたんだな!」

チンポコ「これであとは、アレが届くのを待つだけです」

ennjeru「アレ?」

チンポコ「はぁ…お前は本当に阿呆ですね…この種子から彼を解き放つための、カギですよ」

ennjeru「ああ、そうだった!そもそも聴牌って人からの手紙にそのカギが見つかったって書かれてたからここに来たんだった!」

チンポコ「彼女の予知によれば、そのカギを持った者がここへ現れるはず…それに賭けるしかありません」

ennjeru「だな…でもこの中にいていいのか?」

チンポコ「外は黒服たちに見張らせています。それに手紙には中で待機しておくよう書かれていました。というかお前も読んだでしょう」

ennjeru「そうだっけ?」

チンポコ「はぁ…どこまでも適当な男だ…」


662 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 20:20:49 2ORMTI2k00





下界。

王国の城下町から離れた荒野。

エルバンたちはねこに案内され、ポイゾネサスたちが向かったとされるこの場所へ来ていた。

エルバン「☆あ!あれって…!」

勇者「な、何かが暴れたような跡…!ここで戦ってたんでしょうか…」

タバスコ「地形がメチャクチャになってますね…天才って人は勿論、ポイゾネサスさんもかなりの強者なのかも…」

ねこ「ポイゾネサスくんは今日はじめて剣をもちましたよ」

タバスコ「えぇ…」

ねこ「でも祖先の記憶を見たみたいだし、ファイターであることはたしかです。そうそう、ポイゾネサスくんはキミと似たすがたです。もしかしたらおなじ種族かも」

タバスコ「僕と…?ということは、リンク族ですか?」

ねこ「種族名まではわかりませんが…」

エルバン「☆祖先の記憶…?何の話?」

吐き気「エルバン、お前は見たことないのか?オエッ…」


663 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/15(木) 20:22:11 2ORMTI2k00

reku「僕は見たよ。ワープスターに乗って銀河を救う、星の戦士の記憶。ま、正義感より食欲のほうが強くて、僕とは正反対って感じだったけどね」

片割れ「お前から正義感なんて微塵も感じんのはワシだけか…?…まあそれはともかく、ワシもむかーし見たことあるで。赤い服着た子供と一緒に旅する記憶や」

アルベ「私はジャングルでワニの一族と戦う記憶だったな。植物などほとんど無い魔界にいたから、おかしな夢だとしか思わなかったがな」

ギル「私も子供の頃に見たわ。宇宙でアーウィンに乗って戦うの。まあこれ今でもそうだから、やる事は変わってないのね。フォックス一族の皆も似たようなのを見たことあるって話してたわ」

エルバン「☆ええっ、もしかして見たことないの僕だけ?」

吐き気「まあどうでもいいだろう」

勇者「ですね。見てなきゃファイターじゃない、なんてことはないですし」

タバスコ「僕たちの中でも図抜けてますからね、エルバンさん」

エルバン「☆うーん…なんか複雑な気分だよ」

天才「ぽよよ…」

勇者「……ぽよよ…?」

天才「ぽよ!」

みんな「!?」

ギル「て、天才!?」

いつの間にか天才が紛れ込んでいた。


664 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 4a39-3e21) :2019/08/15(木) 20:52:49 w2W5GANoSp


ポイゾネは崖から落ちたから天才1人で来たのか


665 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/16(金) 19:33:00 JXzRg/uI00


ばばばっ!!


十一人は一斉に天才から離れ、円になって取り囲む。

ねこ「町で暴れてたときよりボロボロになってますね…ポイゾネサスくんががんばってくれたみたいです」

勇者「でもこうしてここにいるってことは…」

ねこ「…負けちゃったみたいですね…ポイゾネサスくんならいけるとおもったんですけど…」

タバスコ「いくら才能があっても、いきなりキング・オブ・妖魔クラスの化け物が相手って、まあ、そりゃ厳しいでしょう…」

片割れ「今更やけど、妖魔ってのはそんなにヤバイんか?」

勇者「実は僕も戦う前に下目使いが妖魔を不意打ちで倒したから、実力は見れてないんですよね…」

タバスコ「ヤバイってレベルじゃないですよ」

アルベ「己の欲望にしか従わない魔族たちを、その強さだけで従えてしまう男だからな…」

エルバン「★僕が五十人いてやっと互角ってくらいの強さかな」

勇者「あ…なんかそれが一番分かりやすいかも…」

片割れ「次元が違うんは分かったが、想像はできへんな…」

吐き気「悠長に話しているヒマは無い…うっぷ…来るぞ!」

吐き気の言葉で全員が一斉に戦闘態勢をとる。

天才「ぽよぉぉ!!」


ダッ!!


天才が地面を蹴り、rekuiemuの方へ飛びかかる。

reku「えぇ!?僕!?…………ってあれ?」

が。


666 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/16(金) 19:36:16 JXzRg/uI00


ズッシャアアアアアア!!


天才はrekuiemuの元に到達する前に、盛大にズッコケた。

勇者「え…?」

全員警戒を解かず囲み続けるが。


天才は一向に起き上がらない。

エルバン「☆…どうやら、もう終わってたみたいだね」

天才の体からピンク色のオーラが抜けていく。

勇者「ポイゾネサスさんとの戦いですでに魔力を消費しきってたのか…!」

ねこ「おお!ポイゾネサスくん!やっぱりボクの目に狂いはなかったです!」

ねこは誇らしげに胸を張る。

ギル「て、天才!」

ギルティースは真っ先に天才へ駆け寄った。

ギル「天才!大丈夫!?」

肩を掴んでぐわんぐわん揺さぶる。

天才「ぐ…っ…!ん…?ギル姐…?なんだ、どうした…?俺は何を…」

ギル「天才いいい!!よかったあああ!!よかったよおおお!!」

ムギュゥゥゥ!

ギルティースは泣きながら天才を全力で抱き締める。

天才「いっ…!ちょっ!何だよ!つか全身痛え!」

ギル「あっ、ごめんなさい!」

天才「ったく……えーっと…?確かあの変なとこから戻ってきたはいいが、何かに意識を乗っ取られて……お前らが俺を元に戻してくれたのか?」

天才はわしゃわしゃと頭を掻きながら、自分を囲む十人を見回す。


667 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/16(金) 19:38:49 JXzRg/uI00

エルバン「☆察しが良くて助かるよ…と言いたいけど、君を救ったのはポイゾネサスくんだ」

天才「誰だよ…まあ俺を止めるっつーことは相当な強さなんだろうが。つーかアントン、お前もいたのか」

アントン「うん!天才くんが元に戻ってよかったよ、うん!」

天才「確か結構離れた国に来ちまってたハズだが…ギル姐とアントンがいるってことは、結構時間経ってんのか。状況はどうなってんだ?」

エルバン「☆…」

天才「ん?何驚いてんだよ」

エルバン「☆いや、あまりにも冷静だから、つい…すごい人だね。☆頼もしい限りだよ」

天才「ハッ、この程度でいちいち取り乱すかよ」

エルバン「☆そうだね。じゃあ状況を説明するよ」



エルバンたちは状況を説明した。


天才「…つまり天界に行くためには魔力ってのを使えるヤツが必要ってわけか」

吐き気「ああ」

アルベ「私はゲートの開き方は大体知っているが、魔力のコントロールが下手でな…コントロールが上手くなければゲートは開けん」

天才「アントン、お前は天界から来たんじゃなかったか?」

アントン「僕は神様の力でこっちに来たから…」

天才「そうか」

勇者「…やっぱり難しいですね…そもそもこの世界じゃ、魔力なんて知ってる人すらいないのに…」


668 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/16(金) 19:41:00 JXzRg/uI00


天才「うーん……こうか?」


ズゴゴゴゴ!


天才はゲートを開いた。

アルベ「!!??」

勇者「え!?」

片割れ「何や!?何したんや!?」

天才「ゲート開いたんだが」

ギル「何で!?一体いつの間にそんなの…!」

天才「さっきの、雑魚1%だったか?アイツらに乗っ取られたことで、奥底にあった魔力が解放されたっぽい。んで、魔界から戻ってきた時の感じを思い出して、やってみたら、なんか出来たわ」

タバスコ「……!」

reku「天才にも程があるでしょ…」

吐き気「ウッ…才能で酔った…オエッ…」

妹「もうこれお兄ちゃんとか気軽に呼べないんだけど…」

ねこ「ちょっと引きました…」

天才「何でだよ」

エルバン「☆す、すごいよ!これで世界を救いに行ける!」

勇者「ですね!天才さん、ありがとうございます!」

天才「フッ、礼なんざいい。とっとと行こうぜ」

勇者「は、はい!」


669 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/17(土) 00:56:30 u4Pi1/dU00

ギル「私の思ってた以上に天才が天才なのは分かったけど…体は大丈夫なの?無理しちゃダメよ」

天才「問題ねえよ。これぐらいすぐ治る」

タバスコ「えぇ…治らないでしょ…がっつり貫通してる刺し傷とかあるんですけど…」

アントン「ドドンくんもパターソンくんもそうだけど、フォックス一族のみんなはすごくタフだよね、うん」

ギル「いやいやほんと一部が異常なだけだからね!?」

ねこ「あ、ボクはポイゾネサスくんを探してきます。先に行ってください!」

エルバン「☆わかったよ」

勇者「天才さんとの戦いで深手を負ってるかもしれませんしね」

天才「もういいか?行くぜ」

エルバン「☆うん、行こう!」

片割れ「おっしゃ!今度こそほんまにカチコミじゃぁ!」

こうして、ねこが外れ、新たに天才を加えた十一人の戦士たちは、ついに天界へと乗り込んだ。


670 : はいどうも名無しです (ワッチョイ e106-3e21) :2019/08/17(土) 02:10:25 x.tfI84E00


ねことポイゾネは別行動か
そういやレイア達も別行動だったか


671 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/18(日) 19:49:28 xCZfbHxU00





その頃、魔法学校では、味方殺し、マグヌス、インテリたち、大学生の鬼ごっこが未だ続いていた。

マグヌス「まてー!」

ミカ「チッ、しつけえな。ピカチュー!」


バチッ!


味方殺しは振り向きざまに電撃を放つ。

マグヌス「きかーん!」

効いているが強がってそのまま突進するマグヌス。

ミカ「なんつーガキだよ…」

マグヌス「ヨーヨー!とりゃぁ!」


ブンッ!!


ミカ「チッ!」

味方殺しは間一髪ヨーヨーをかわし、再び距離を取る。

マグヌス「まだにげるのか、こしぬけネズミめ!くくくく、このじゃしんマグヌスさまにおそれをなしたか!だがにがさんぞー!」


672 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/18(日) 19:54:54 xCZfbHxU00


インテリ「こらマグヌスー!待てー!」

そこへインテリたちが追いつく。

マグヌス「む、クラスのバカどもがきたか。ふん、だがアイツらじゃボクたちのたたかいにはついてこれないだろーな。きにするまでもない」

弟「何言ってるの!ダメだよー!」

母「止まりなさーい!」

コテツ「まってよ〜!」

マグヌス「ふん、おってきてもムダだぞ!さっさとあきらめておうちにかえるんだな!」

ミカ「デガワァ!!」


ドゴォォッ!!!


マグヌス「うわあっ!」

マグヌスはかみなりに打たれて吹っ飛ぶ。

ミカ「舐められたもんだな。オレを追いながらよそ見とは」

マグヌス「オ、オマエ〜…ふいうちなんてずるいぞ…!」

ミカ「ふいうちじゃねえ、かみなりだ。ピカチュウはふいうち覚えねえし」

マグヌス「なにいってるんだ」

ミカ「知る必要はねえ。とりあえずここでテメエは殺すことにした」

マグヌス「なんだと?にげまわってたくせに!ごしゅじんさまにむかってそんなくちきくとは、シツケがひつよーだな!」


673 : ハイドンピー (ワッチョイ 4f41-5ae3) :2019/08/18(日) 19:58:36 xCZfbHxU00

ミカ「逃げてたわけじゃねえよ」

マグヌス「は?」

マグヌスは周りを見回し、広いホールに出たことに気づいた。

ミカ「ここなら本気でやれそうだ」

マグヌス「たたかいやすいとこにおびきだしたつもりか?くくく、そんなのイミないぞ!だってボクのほうがつよいからな!」

ミカ「ハッ、ねごとはねむり状態で言え」


ギュンッ!


バゴッ!!

ドガッ!!

バチチチッ!!!


マグヌス「ぐわっ!?」

一瞬にして距離を詰め、怒涛の空中攻撃を浴びせる。

インテリ「マ、マグヌスが押されている…!」

弟「つ、強い…あのなんとか軍曹よりも上かも…」

ミカ「死ね!デガワァ!!」


ドッゴォォォォン!!!


特大のかみなりがマグヌスに直撃。

ドガァッ!

ブッ飛ばされ、壁に激突する。

マグヌス「ぐ…はっ…!」

ドサッ!

そのままマグヌスは倒れた。

弟「マグヌスくんっ!」

チェン「う、嘘でしょ…」


ミカ「ケッ、昼間の召喚士は殺し損ねたが…コイツで20人目だな。魔力による身体強化も覚えたこのオレに死角はねえ。今度こそアイツを仕留めて、とっととこの学校からずらかるとするか」


674 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/20(火) 19:27:44 DKcOlQLE00


大学生「身体強化くらいでイキってんのかよ、ケケケッ…そりゃあのヒゲもキレるわなぁ」


ミカ「!」

大学生がそこへ追いついた。

大学生「ドブネズミ、テメエを捕まえて実験用のマウスとして飼う事にするってよ。テメエがボロ負けした昼間の召喚士サマからの命令だ。ケケケッ」

ミカ「……良いぜ、かかって来いよ。どうせこの学校の奴らは皆殺しにするんだ」

二人は対峙し、睨み合い。


ダンッ!!


同時に飛びかかる。


ドガガガガガガ!!!


激しい戦いが始まった。


チェン「マグヌスくん!大丈夫!?」

チェントゥリオーネは倒れたマグヌスに駆け寄る。

インテリ「チェ、チェトゥリオーネちゃん、そっちは危険です!」

チェン「でもマグヌスくんが!」


ドゴォォッ!!


チェン「へっ?」

チェントゥリオーネの頭上の壁に大学生が叩きつけられた。

大学生「チッ!やっぱヤクがねーと調子出ねーな」

ダッ!

大学生はすぐさま態勢を立て直し、味方殺しに再び飛びかかる。


675 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/20(火) 19:29:05 DKcOlQLE00


ガラガラガラッ


その反動で壁が崩れ、チェントゥリオーネを襲う。

インテリ「危ないっ!」

チェン「うわっ!」

母「任せて!」


ベロンッ!!


母は舌を伸ばし、チェントゥリオーネを救い出した。

チェン「あ、ありがとうございます…」

母「良いのよ。でも、マグヌスくんは…」

マグヌスまでは間に合わず、倒れた壁の下敷きになっていた。

弟「そんな…」

インテリ「マ、マグヌスなら大丈夫ですよ!あいつは体力だけは誰にも負けません!大体、自業自得なんですよ!」

コテツ「で、でも…」


バゴーーン!!


マグヌス「そのとーり!!ボクがこのていどでしぬかバカども!!」

インテリ「!?」

のしかかった壁を吹っ飛ばし、下からマグヌスが立ち上がった。

コテツ「ほ、ほんとにピンピンしてたー!!」

チェン「よ、よかったぁ〜!」

弟「インテリくん、わかってたの!?」

インテリ「え?は、はい!当たり前です!僕はインテリなんですから!け、計算通りです!」


676 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/20(火) 19:31:23 DKcOlQLE00

マグヌス「もーかんぜんにおこったぞ!ぜったいゆるさん!」

マグヌスは戦いを続ける二人に向かって叫ぶ。

ミカ「なんて野郎だ…」

大学生「まだ生きてんのかよあのクソガキ。ちゃんと仕留めとけやドブネズミが!」


マグヌス「ぴーーけーーーさんだーー!!」


ジジジジジジ… ドゴォッ!!


マグヌスは電気の球を操り、自らを攻撃。

その勢いで体当たりを繰り出す。


ババッ!


二人はそれを素早くかわした。

ミカ「ありゃ当たったら一溜まりもねえな」

大学生「俺まで巻き込もうとしてんじゃねーよクソガキが!テメーらで勝手に潰し合ってろ!」

マグヌス「ふん、オマエもてきだ!ふたりともたおす!」

大学生「クソめんどくせー!」

ミカ「デガワァァ!」


677 : ハイドンピー (ワッチョイ fd2e-3e21) :2019/08/20(火) 19:35:11 DKcOlQLE00


ズギャアアアアッ!!!!


三人が同時に攻撃を放った。

ミカ「ぬおっ!?」

大学生「チィッ!」

マグヌス「うわぁっ!」


カッ!!!!


ホール内はまばゆい光に包まれる。

インテリ「くっ!ど、どうなったんだ!?」

弟「すごい衝撃…!」

コテツ「マグヌスくん…!」


やがて光が収まると。

ホール内には誰一人いなくなっていた。


678 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/21(水) 20:11:05 mKcO8Bnw00





隣国・南の町。

怪物は未だ暴れ続けている。

そこへ。


ピキィィィィン!


怪物「グゴォ!?」

突然まばゆい光が現れる。

そしてその光の中から。


ミカ「うおおっ!?」


どさーっ!!!!


あのホールにいた八人が飛び出した。

母「ぎゃー!!」

コテツ「ぐえっ!」

インテリ「うべぇ!」

弟「ふぎゃ!」

チェン「あいたー!」

母は生徒たちの下敷きになった。

母「うごごご……!こ、腰が…!」

チェン「わ!ご、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

上に重なった四人がどき、母はヨロヨロと立ち上がる。

母「え、ええ、なんとか…それより…い、一体何が起こったの…!?」

母たちは、当然のように普通に着地したマグヌスたち三人の方を見る。

マグヌス「あ!あのかいぶつ、ほんにうつってたヤツだな!」

ミカ「何しやがったテメエら…」

大学生「知るかよ!チッ、コイツのせいか?普通の魔法書じゃねえのかよこれ」

大学生は持っていた魔法書を確認する。


679 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/21(水) 20:12:30 mKcO8Bnw00

マグヌス「あー!なんでそのほんオマエがもってるんだ!ボクのだぞ!」

大学生「あ?テメエが落としたんだろうが刻むぞクソガキ。そもそもテメエのでもねえだろうが」

大学生(そういやクソガキがこれ見ながら念話みてえのしてやがったな。だがアイツは魔力は扱えねー…つまりこの魔法書自体にその力が備わってたワケだ。要は映像映すだけじゃなく、この町に直接的に繋がってやがったんだ。んで俺らの魔力と反応してその繋がった孔が拡がって、こっちに飛ばされたってとこか)

大学生は脳内でざっくり推理を終えたところで、ぱたんと魔法書を閉じ、大きくため息を吐いた。

ミカ「チッ…どこの町だか知らねえが、こっちの世界に戻ったらあの学校の奴らを始末できねえじゃねえか。面倒な事してくれやがって…」

大学生「ホントーにな。全部テメエのせいだ。死んで詫びろやドブネズミが!」

ダンッ!

ミカ「はあ?何でそうなる」

ブンッ!!

大学生の斬撃を味方殺しがかわす。

マグヌス「おい、ボクをむしするな!」

そこへマグヌスも乱入。

再び三つ巴の戦いが始まろうとしたその時。


怪物「グオオオオオオオオオ!!」


怪物が吠えた。

大学生「うっっっさ!!」

インテリ「うぐッ…こ、声だけでこの衝撃…!」

チェン「な、なんなのあの大きい生き物!」

弟「うぅ!うるさすぎて耳が取れそうだよ!」

コテツ「みみどこ!?」

弟「わかんないけど!」

母「とにかくここは危ないわ!離れましょう!」

インテリたちは怪物から逃げる。


680 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/22(木) 22:04:16 .Li1ZJFI00

怪物「ギャオオオオッ!!」

ミカ「チッ、今からコイツら始末するんだよ…邪魔してんじゃねえぞ!」

大学生「クソ耳障りな鳴き声晒してんじゃねーよ粗大ゴミが!!」

マグヌス「うるっさーーーーい!!」


怪物「!?」



ズドォォォッ!!!!



三人が同時に攻撃を放った。

ドシャァン!

大学生が斬った手脚が落ち。

シュゥゥゥ…

体は味方殺しのかみなりで炭と化し。

ブシュゥゥゥゥゥッ!

マグヌスのPKサンダー体当たりで吹っ飛んだ首から、血飛沫が飛んだ。

大学生「ケケッ、雑魚が!」

ミカ「オレの邪魔をするからこうなる」

マグヌス「わはははは!なんだコイツ!よわいな!」

文字通り血の雨が降り注ぎ。

しばらくすると怪物はそのまま塵となって消滅した。


681 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/23(金) 21:30:40 bdTtPA/200


インテリ「…た…倒しちゃいましたけど…」

弟「嘘ぉ!そんなあっさり!?」

チェン「す、すごい…」

母「ヒイィィ!やっぱりキケンよあの子!あんな怪物を倒すなんて!」

コテツ「で、でもたすかったぁ〜…」


ミカ「ハッ、しかしテメエら、今のはなかなか良い一撃だったな」

マグヌス「くくく、オマエたちもいがいとやるな。まあボクにはかてないけどな」

大学生「ケケケ…俺の足引っ張らねーだけでもガキとネズミにしちゃ上出来だ」

三人は不気味な笑みを浮かべながら睨み合う。


インテリ「あれ?なんか知らないけどあの三人ちょっと仲良くなってます?」

チェン「仲良く…かは分からないけど、認め合ってる感じは…あるような、ないような?」

母「青春ね…!」

弟「そんなキレイなものじゃない気がするけど…」


682 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/23(金) 21:33:24 bdTtPA/200


ミカ「クク、どうだ?ここはオレと手を組まねえか?」

大学生「あ?いきなり何言ってんだコイツ尻尾引きちぎんぞ」

マグヌス「やっとボクのしもべになるきになったか!」

ミカ「いやならねえよ。だが、オレたち三人が手を組めば無敵だ」

大学生「ケッ、どうだかな」

ミカ「お前らがしつこいんでオレもつい熱くなって殺ろうとしちまったがよ、感謝してるんだぜ?あの忌々しい召喚士に施された封印から出してくれたんだからな」

大学生「そういや魔法学校のヤツらを何人か殺したとか言ってたな。コエーコエー。そんなヤツと手なんか組めるかよバーカ」

ミカ「ハッ、オレは味方には優しいんだよ。お前、召喚士にオレを捕らえるよう命令されたとか言ってたな。だがお前が他人に従うような奴には見えねえ。どうせ魔法かなんかで無理やり押し付けられたんだろ?」

大学生「…だからなんだよ」

ミカ「オレらが組めばあの野郎にも一泡吹かせられるぜ。勿論他のムカつくクソどもも片っ端からブッ潰せる。クク、ストレスフリーな人生を満喫しようじゃねえか」

大学生「……」

マグヌス「さっきからなにいってるんだ?しもべにならないならたおすぞ!」

ミカ「あー、しもべってのは無理だが、お前をオレらの切り札にしてやってもいいぜ」

マグヌス「きりふだ?」

ミカ「オレら二人が万が一やられた時、お前が颯爽と現れて敵を倒すんだ。お前はオレらの中でも最強だからな。ザコはオレらに任せな」

マグヌス「む…かっこいいな…」

ミカ(ガキは扱いやすくて助かるぜ)

大学生「ケケッ…まあいい。別に特にテメエに恨みがあるわけでもねーし。あのヒゲにこき使われるよりマシだわ。だが条件がある」

ミカ「何だ?」

大学生「最高に最低のバケモンみてーに強えハゲ野郎が天界にいる。俺はそいつを今すぐにでも斬り刻みてーんだよ。無敵だってんなら、付いて来い」

ミカ「天界だと…?天界にゃ結界があって行けねえと魔法学校の教師から聞いたが」

大学生「ケッ、その結界を張ってた全能神とかいうのが死んだんだよ。どうなんだ。この条件が飲めねーんなら俺はテメエらと組む価値もねーしここでブッ殺すだけだが」

ミカ「ハッ、良いぜ。面白そうじゃねえか」


683 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/23(金) 21:36:41 bdTtPA/200

マグヌス「おい、かってにはなしをすすめるな。なんでボクがオマエのためにたたかってやらなきゃいけないんだ」

大学生「ケケケッ、何だ?ビビってんのか切り札サマよぉ」

マグヌス「なに!?」

ミカ「助け合いだぜ。お前も何かやりたい事があればオレらが助けになる。それにオレらにとってお前の強さは必要不可欠、頼りにしてるぜ」

マグヌス「むむむむむむ……!くくく、そうだろう!わははは!まあボクがいけばそのハゲやろうとやらもしゅんさつだ!」

大学生(チョッロ)

マグヌス「さあ、いくぞしもべたち!テンカイへ!」

ミカ「いやしもべではねえよ」

大学生「黙ってろクソガキ。ゲート開くぞ」

ブンッ!!

すると大学生は剣を横に大振りして、地面を平らにした。

カリカリカリ…

そして剣を使ってそこに何か書き始めた。

ミカ「……何してんだ?」

大学生「ハァ〜〜…指パッチンするだけで空間移動したりゲート開いたり、誰でもできるとでも思ってんのかクソネズミ。テメエも魔法学校で魔法習ったんなら分かるだろーが」

ミカ「魔法陣か」

大学生はカリカリと地面に魔法陣を書いていく。

ミカ「…地味な絵面だな」

大学生「うっせえよドブネズミテメエの血で書いてやろうかクソが」


コテツ「あれ、なにしてるんだろー」

弟「三人のケンカはとりあえず止まったみたいだけど…」

インテリ「あの形、魔法学校で見ましたね。恐らく魔法陣ってやつでしょうけど…何をしようとしてるのか…」

チェン「あの怖い人も魔法使いなのかな…」




数分後。

大学生「出来たぜ。開くぞ」

ミカ「遅えぞ!このバカ魔法陣に落書きしようとしてやがる!」

マグヌス「はなせ〜!」

ジタバタと暴れるマグヌスをなんとか取り押さえる味方殺し。

大学生「ケッ、知るか」


684 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/23(金) 21:39:47 bdTtPA/200

大学生は魔法陣の前に立ち、手をかざして魔力を込めると。


キュイイイイイン!


バァン!!!!


魔法陣の上にゲートが開いた。

マグヌス「ヨーヨー!」

バコッ!!

ミカ「ぬあっ!?」

マグヌスは味方殺しをヨーヨーでどかし。

ダダダダダダダ!

マグヌス「わはは!ボクがいちばんだ!ついてこいしもべたち!」

猛スピードでゲートをくぐって行った。

ミカ「あんのクソガキ…!つうか切り札だっつってんのに何で真っ先に突っ込んでいくんだよ馬鹿が…」

大学生「ケケッ、あのクソガキにそんな知能あるかよ」

ミカ「ハッ、それもそうだな。オレらも行くぜ」

二人もゲートをくぐった。



弟「ちょっと!マグヌスくんなんか入っていっちゃったよ!?」

コテツ「あれなんだろー!」

インテリ「恐らくワープゲートのようなものでしょう…マグヌスを追うなら僕たちも早く行かなくては、あれを開いた本人がもう通ってしまったので、不要となったゲートはたぶん消えるでしょう」

母「ええっ!ダメよ!あんな得体の知れないものに近づくなんてキケンだわ!」

チェン「だ、だけどマグヌスくんが…」

インテリ「…まああのマグヌスなら一人でも大抵のことはなんとかしてしまいそうな気もしますが…」

弟「さっきの怖そうな二人もついてるしね…」


ズズズズズ…


そうこう言っているうちにゲートはどんどん小さくなり、消えてしまった。

コテツ「わーどうしよう!ゲートなくなっちゃった!」

母「これでいいのよ…あまり心配させないでちょうだい。危ないことは大人に任せておけばいいの!」

チェン「マグヌスくん…強いのはわかってるけど、やっぱり心配…」

弟「うん…」


インテリ「ところで……僕たちどうやって帰りましょう…」


685 : はいどうも名無しです (バックシ 184e-06c1) :2019/08/26(月) 01:31:27 d0xcDRzgMM
紫煙


686 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/26(月) 20:13:03 niMK6en600


と、そこへ。

歩く「怪物…見当たりませんね…召喚士さんからの連絡もしばらくありませんし…」

アマゾン「ハカセ〜!どうしたんですかー!」

怪物を倒しにやってきた天下無敵たちが到着した。

インテリ「あの〜…怪物ならさっき倒されましたよ」

歩く「え!?い、一体誰が……いえ、しかし被害が少しでも早く抑えられたのですから、感謝しなくてはいけませんね…」

母「実はその怪物を倒したうちの一人は、この子たちのクラスメイトなんですが…魔法のゲート?から、どこかにいってしまいました」

アマゾン「まほう…まさか、まほうを知ってるのか!?」

弟「知ってるっていうか…知ったばっかりで、使えるわけでもなんでもないんだけど…」

コテツ「ぼくたちさっきまでまほーがっこうってとこにいたんだよ!」

歩く「魔法学校!?北の町の魔法学校のことですか!?もしかして、昼間の召喚士さんをご存知ですか?」

インテリ「え!?召喚士さんの知り合い!?」

歩く「はい。僕たちは召喚士さんに言われてこの町の怪物を退治に来たのですが…」


インテリたちと天下無敵たちは、お互いに状況を説明し合う。


インテリ「じゃあ今暴力委員長は…」

歩く「山の麓の町の宿にいるはずです。僕たちが魔力の修行に入る前に預かってもらいました」

チェン「そっかぁ、良かった〜!」

歩く「それで、そのマグヌスさんはあの魔法陣でどこかに行ってしまったんですね?」

インテリ「はい」

天下無敵は大学生の書いた魔法陣の近くまで移動する。

歩く「ゲートが消えてしまっても、魔法陣が残っているなら、もしかしたらまた開けるかもしれません」


687 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/08/26(月) 20:20:28 niMK6en600

その上に手をかざし。

歩く「はあっ!」

魔力を込めた。

すると。


キュイイイイイン!


バァン!!!!


コテツ「わー!やった!ひらいた!」

弟「すごい!」

歩く「良かった。魔法陣を用いた魔法は初めてでしたが、上手くいきましたね」

アマゾン「無敵さんさすがです!」

歩く「本当なら召喚士さんと連絡を取ってからにしたいところですが…念話はまだ教わっていません…あちらからの連絡を待つしかありませんね」

アマゾン「いきましょう!無敵さん!」

弟「僕たちも…」

歩く「いえ、ここは僕とアマゾン君に任せてください。皆さんは委員長さんのところへ。一人で心細い思いをしているはずですから」

母「分かりました。子供たちのことは私に任せてください」

歩く「ええ、よろしくお願いします」

そうして天下無敵とアマゾンもゲートをくぐり、天界へ入った。


チェン「カッコいい人だったなぁ…」

チェントゥリオーネはその後ろ姿に憧れの眼差しを向ける。

インテリ「マグヌスと見た目は似てるのに…どうしてここまで差が出るのか…」


688 : ハイドンピー (ワッチョイ 8b3e-06ae) :2019/08/28(水) 20:22:01 cPqDSGjo00





天界・上層。

下目使いは全能神の玉座に座り、その横にはキング・オブ・妖魔が立っている。

下目「ヤミがやられるとはね…デスエン、面倒なヤツだ」

妖魔「彼奴が弱かっただけの事だ。我を超えるなどと息巻いておいてこの様とは笑わせる」

下目「どうかな。お前だってデスエン一人と互角なんだろ。あいつはそれに加えて何人か仲間も揃えてきてるぞ」

妖魔「フン、人間の仲間などくだらんわ。我からすればいないも同然だ」

下目「ふーん…すごい自信だな。ま、お前の強さは認めるけどね。ん?また雑魚が何人か天界に入ったね」

妖魔「また人間か?フン、我が下層へ降りて潰してやろう」

下目「いや、いい。お前はここにいろ。しかしだいぶ感知も研ぎ澄まされてきたな。少なくとも天界にいるヤツは全部感知できる」

妖魔「…それほどまでなのか…全能神の力とは…」

下目「ああ。今の僕なら、たぶんいけそうだ」

下目使いは前に手を出す。

妖魔「何だ…?」

すると。


ゴゴゴゴゴゴ…!!


その前の空間がぱっくりと割れ。

魔物「グオオオオ!!」

大量の魔物たちがそこから出現した。

妖魔「魔界と天界を直接繋いで魔物を呼んだのか…!」

下目「ふふ…下層にもこれと同じゲートを大量に出したよ。まだ僕が全能神になったことを知らない愚かな天使どもに、まずは教えてやる。ここはもう僕の支配下にあるってことをね」


689 : ハイドンピー (ワッチョイ 8b3e-06ae) :2019/08/31(土) 01:07:27 qlX0xQ3k00




天界・下層、南地区。

エルバンたちはゲートを通り、この地区に出ていた。

勇者「ここが天界…」

エルバン「☆すごいエネルギーを感じるよ…たぶん魔力だと思う」

タバスコ「下目使いに近づくにつれて魔力も濃くなってるってことですかね」

アルベ「恐らくな…この魔力の濃度…魔界以上か…」

アントン「こんな重苦しい空気…僕の知ってる天界じゃないよ、うん…」

reku「感知みたいな力が無い僕でも、この異常な空気は感じ取れるよ…これは…勝てる気がしないね…」

妹「ほんとなんか気持ち悪いっていうか…不気味な雰囲気だね…怖いよお兄ちゃん…」

[自称]妹は片割れにくっつく。

片割れ「くっつくなや気色悪い!…しかしこりゃ確かにとんでもないな。でもまだここ下層やろ?上層ってとこはどんだけヤバイことになっとるんや…」

吐き気「オエッ…戦いの前だ。あまり弱音を吐いてるといざという時に動けなくなるぞ」

天才「そういうこった。まあ、ビビっちまったんなら引き返せ。まだ間に合うぜ」

ギル「ちょっと天才、無神経よ!もう、そういうとこあるわよね!」

天才「甘ぇなギル姐。これからやるのは命の取り合いなんだぜ。足手まといならいらねえよ」

ギル「……」

エルバン「☆大丈夫!みんな覚悟はできてるよ!」

エルバンは確信を持った表情でそう言った。

天才はエルバンたちの顔を見回し。

天才「……フッ、そのようだな。確かに無神経だったわ。悪いな」

reku「ホ、ホホホホホントだよ全くもう!こ、この僕がビビるわけないじゃないか!」

片割れ「分かりやすすぎるやろお前…」


690 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/09/01(日) 20:58:37 qAENeCPM00

勇者「それじゃあ皆さん、上層へ向かいましょう!」

みんな「オー!」

だが、その時。


ゴゴゴゴゴゴ!!


勇者「!?」

突然その前にゲートが現れる。

そして魔物たちが姿を現した。

魔物「グオオオオオオオオオ!!!」

ギル「魔物…!私たちが天界に来たってもうバレてるの!?」

アントン「全能神様は天界から魔界まで、全てを見渡す力で世界の均衡を保ってるって、神様から聞いたことあるよ、うん…下目使いがその力を手に入れてるとしたら…」

勇者「僕たちの行動は全部筒抜けってことですか…!」

吐き気「見ろ…ここだけじゃないぞ…オエッ…恐らくこの下層全域に渡って魔物が現れている…!」

勇者「!!」

見渡すと、見える範囲だけでも百以上のゲートが確認できた。

アルベ「なっ…なんというゲートの数だ…!」

片割れ「こら完全に天界乗っ取られんのも時間の問題やな…」


691 : ハイドンピー (ワッチョイ a4df-b258) :2019/09/01(日) 21:01:05 qAENeCPM00

エルバン「☆ここは僕と吐き気さんで食い止める!」

吐き気「お前たちは先に行け!」


ズドドドドッ!!!!


魔物「グギャァァ…!」

二人は現れた魔物たちをなぎ倒していく。

天才「よし、行くぜ!」

勇者「はい!」

二人がこじ開けた道を他の九人が進み上層へ向かう。


片割れ「しかし上層ってどうやって行くんや?エレベーターでもあるんか?」

天才「アントン、分かるか?」

アントン「うーん…神様がたまに上層に神様会議に行く時は、杖でワープしてたから…」

タバスコ「ワープですか…じゃあ天才さんならゲートを開けるのでは?」

天才「そうしたいところだが…こっちに来るときはなんとなく天界のエネルギーみてえのを感じたんだが、どうも上層ってのは何も感じねえ。神の住処だからそういうフシギパワーで守られてんのか、それとも下目使いが結界みてえのを貼ってやがんのかは知らねえが…こりゃ無理だ」

ギル「天才でも無理なんて…」

妹「知ってそうな人探すしかないかなぁ」

アントン「神殿なら知ってる人もいると思うよ、うん。ここからだと結構遠いけど」

天才「んじゃあ行ってみるか。魔物も増えてきやがったし」

勇者「アントンさん、案内をお願いします!」

アントン「わかったよ、うん!」

そして勇者たちはアントンを先頭に、神殿へ向かった。


692 : はいどうも名無しです (ワッチョイ c5d8-e6c7) :2019/09/02(月) 03:07:18 khGASNfQ00
吐き☆そう☆戦士☆ゲロ☆バン


693 : ハイドンピー (ワッチョイ 8b3e-06ae) :2019/09/02(月) 20:44:27 rexlyreY00




同じ頃、天界・下層、北地区。

ゲートをくぐった天下無敵とグレイトアマゾンはこの地区に出ていた。

歩く「こ、ここは…天界のようですね…!」

周りにいる翼の生えた天使たちを見て、天下無敵は確信する。

歩く「なんという魔力…下目使いの力が及んでいるのでしょうか…」

アマゾン「無敵さん!あそこにいるのって!」

歩く「はい…高い魔力を持つ三人組…インテリさんたちの言っていた三人でしょう」


大学生「あ?」

大学生は二人の魔力を感知し、振り返る。

ミカ「なんだ?あの青いガキどもは。お前の知り合いか?」

マグヌス「は?しらないぞあんなやつら。あのカッコウ、ボクのマネか?」


そこへ天下無敵たちは歩み寄り。

歩く「僕は歩く天下無敵。こちらはグレイトアマゾン君です。マグヌス君、インテリさんたちに任されて、君を連れ戻しに来ました」

大学生「ケケッ、保護者かよ。こんなクソガキのお守りなんてテメエらも大変だなァ?」

マグヌス「ふん。あんなヤツら、どうでもいい!ボクたちはこれからようじがあるんだ。かえれ!」

アマゾン「そうはいかないぞ!ヒーローとして、きみのような子供をキケンなところへ行かせるわけにはいかない!」

マグヌス「オマエだってこどもだろ!バカめ!」

ミカ「ヒーローだぁ?こんなガキがよくそんな大口叩けるもんだな。まあどうだっていい。俺らの邪魔しようってんなら潰すだけだ」

歩く「…!強い殺意を感じます…アマゾン君、気をつけて!」

アマゾン「はい!」

二人と三人は同時に臨戦態勢に入る。

が。


694 : ハイドンピー (ワッチョイ 8b3e-06ae) :2019/09/02(月) 20:55:43 rexlyreY00


ゴゴゴゴゴゴ!!


魔物「グオオオオオッ!!」

ここでも下目使いによるゲートが開かれ、魔物が出現した。

歩く「魔物…!下目使いの仕業か…?」

大学生「チッ、気色悪い!ワラワラワラワラゴキブリかよクソが!」

ミカ「ハッ、丁度いいじゃねえか。このザコども押し付けて俺らは先に行くぞ!」

ガシッ

ドガッ!!

すると味方殺しは魔物の一匹を掴み、天下無敵たちに投げつけた。

歩く「なっ!?」


ドカッ!! ズドッ!!


続いて大学生とマグヌスも周囲の魔物たちを天下無敵たちに向かって投げつける。

歩く「くっ!」

バキッ!! ズガッ!!

天下無敵たちはヨーヨーやいろんな技を使ってその魔物を弾くが、三人は更に次々と魔物を投げつけてくる。

マグヌス「じゃーなバカども!わはははは!」

アマゾン「くそっ!まてー!」

三人はそのまま走って行った。

歩く「くっ…!これでは追いつけない…!それにこんな数の魔物を放置してはおけません!アマゾン君、とりあえずここはこの魔物たちを掃除しましょう!」

アマゾン「わかりました!」

歩く「天使の皆さん!すぐに頑丈な建物に避難を!戦える方は協力してください!」

周りの天使たちにも呼びかける。

天使たちも天下無敵から溢れる力を察知してか、指示通りに行動し。

二人の周りにすぐに数十人の屈強な天使たちが集まった。

そして天下無敵の指揮で魔物たちに立ち向かうのであった。


695 : ハイドンピー (ワッチョイ 4a9a-9030) :2019/09/04(水) 20:42:29 0v8tvfZ.00





その頃、魔法学校では。

召喚士は失ったカギを探すため、魔法書で今までに通ってきた場所を遡っていたが。

昼間「…な、無い…そんな…私のことを信じて託されたものなのに…これでは示しがつきません…」

ずーん、と落ち込んで膝をつく。

が、落ち込んでいる暇などないと思い出し、すぐに立ち上がり机の上に並べた魔法書を覗く。

昼間「…え!?天下無敵さんたちがいない…!というか㌦の生徒の皆がなぜ南の町に!?カギを探してる間に何が起きたんだ…!」

少し目を離した隙に、状況は二転三転していた。

昼間「天下無敵さんたちは…天界に行っている…!?近くにいるのは…大学生くん?と、マグヌスくんに味方殺し…くっ…いつの間に…!状況が変わりすぎている…!!ん?こっちに映っているのはエルバンさんたち…?もはや戦力のほとんどが天界に行っているのか…」

それから地上を映していた魔法書の映像を、全て天界に切り換え、様子を見る。

昼間「…この天界に開かれた大量のゲートは恐らく下目使いによるものか…だとすれば全能神の力のコントロールは更に強まっている…か…」

それから天下無敵たちに念話をかける。

昼間「天下無敵さん、アマゾンくん」

歩く『召喚士さん!?』

アマゾン『ハカセ!』

昼間「連絡が取れずすみません。こんな事なら念話を教えておくべきでした…」

歩く『何があったんですか?』

昼間「いえ、今は関係の無い話です。それより二人の状況を」

歩く『分かりました。実は、かくかくしかじかで…』

天下無敵は南の町でのことを話した。


696 : ハイドンピー (ワッチョイ 4a9a-9030) :2019/09/04(水) 20:44:29 0v8tvfZ.00


昼間「なるほど…魔物たちの強さはどれくらいですか?」

歩く『僕とアマゾン君は一撃で倒せる程度の強さですが…周りの天使さんたちにとっては厳しそうですね。今はここを離れられません』

昼間「…ではそこで魔物を掃討しながら魔力の経験値を貯めてください。アマゾンくんもよろしくお願いします」

アマゾン『りょーかい!』

歩く『しかしマグヌス君が…』

昼間「大丈夫そうですよ。魔法書で彼らの足取りを追っていますが、あの三人意外にも息ぴったりで、魔物を物ともせず進んでいます」

歩く『いや、そういう問題では…!』

昼間「ええ、分かっています。彼はまだ子供だと言いたいのでしょう。ですがそれはアマゾンくんも同じこと。彼は強いですよ。力を持っている者に過剰な心配をするのは、過保護というものです」

歩く『…彼らはどこへ向かっているんでしょう』

昼間「大体想像はつきます。何にせよしばらくは問題ありませんよ」

歩く『そうですか……分かりました。貴方が言うなら、信じます。何かあればまた連絡してください!』

昼間「ええ。ではまた」

プツッ


昼間(天下無敵さんの存在はもう下目使いにも気づかれているでしょう…今は私より少し魔力を持っている程度ですが、慣らしていけばΦデスエンペラーにも勝る力をつけるのは必然…そうなった時、下目使いに気づかれないよう意識を別のところへ向けさせておく必要がありますね…)


パチンッ


召喚士は机の魔法書と共に、少し広い部屋に空間移動した。

昼間「もうタイムリミットまで半日を切っている…手段は選んでいられませんね…」

そう言ってチョークを取り出すと、その床に魔法陣を書き始めた。


697 : ハイドンピー (ワッチョイ 4a9a-9030) :2019/09/04(水) 20:46:12 0v8tvfZ.00



数分後。

昼間「よし……次は詠唱ですね」

それから召喚士はブツブツと言葉を連ねていく。

そして。

昼間「…出でよ!我が最大にして最強の使い魔!」

魔法陣に手を合わせ、魔力を込めると。


ボフンッ!!


???「ヴォオオオオオオ!!!」


ボボボボボボボ!


青いゴリラが召喚された。

ゴリラはいきなり雄叫びを上げドラミングをかます。

昼間「静粛に!私の言うことを訊きなさい!」

???「フンガァァ!!」


ドゴォッ!!


昼間「ぐあっ!」

ゴリラは問答無用で召喚士を殴り飛ばした。

ズザザザ…!

昼間「くっ…!やはり彼は制御できませんね…!ですが…!」

召喚士は新たに魔法書を取り出し、開く。

昼間「これで…どうだっ!」

開いたページに書かれた魔法陣を、ゴリラに向けると。


ピカァァァン!!


???「!?」

激しい光がゴリラを包み込んだ。

昼間(頼む…!上手くいってくれ…!)


698 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/05(木) 20:29:05 ZHWyk92A00


シュゥゥ…

光が徐々に収まっていく。

ゴリラは立っていた。

外見に変化は無し。

だが。


???「む…此処は何処でござるか…?」


昼間「!!」

ゴリラは先ほどまでの野性が嘘のように、流暢に喋り始めた。

???「…お主は誰だ?何か知っておらぬか?」

昼間「私は昼間の召喚士と言います。お会い出来て光栄です…」

???「昼間の召喚士殿…それがしは何故このような場所におるのだ?それがしは処刑され死んだ筈」

昼間「降霊魔術により、あなたの魂をこの世に呼び戻し、ゴリラに憑依させました。どうか無礼をお許しください」

召喚士は頭を下げる。

???「ゴリラ…この猿のような身体の事か。ふむ…降霊術とは、優秀な僧でござるな。それは構わぬが…しかし何故それがしを呼び出したのだ?」

昼間「実は今この世界は、魔の一族という者たちによって危機に瀕しています。あなたのお力をお借りしたい……SINSEN組局長…KONDOUISAMIさん」


699 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/06(金) 20:15:11 t897.2fQ00

ISAMI「なるほど。戦力をお望みか。それも世界を救うという大いなる正義の為…フッ、であれば、このKONDOUISAMI、喜んで力を貸そうぞ!この慣れぬ身体で何処まで動けるかは分からぬがな」

昼間「ありがとうございます!」

ISAMI「うむ。して、それがしが死んでから一体何年経っておるのだ?」

昼間「およそ百五十年ほど…」

ISAMI「なんと!随分と未来に来たものだ。それがしらの世を経て、今の世を生きる者たち、そしてその景色はどのようになっているか…誠、興味深いな」

昼間「…申し訳ありませんが、そんな時間はありません」

ISAMI「む?」

昼間「KONDOUさんにはこれから天界へ向かっていただきたい」

ISAMI「天界…?また死ねと申すか?」

昼間「いえいえいえ!滅相もありません!そうではなく、実際に天界という世界が存在するんです。そして今この世界を支配しようとしている魔の一族はそこにいます」

ISAMI「なんと…そうでござったか…分かった。フッ、SINSEN組局長ともあろうそれがしをこき使おうとは、恐れ知らずな男よ」

昼間「も、申し訳ありません!戦いが終わった暁には…」

ISAMI「わっはっはっは!冗談でごさる。それがしはとうの昔に死んだ身。ならば、それがしらの紡いだこの世を、更なる未来へ紡いでゆく為に…全力全霊を尽くそうぞ!」

昼間「あ、ありがとうございます…!」

昼間(なんていい人なんだ…この歴史上の偉人をも呼び寄せる強力な特殊降霊魔術で、誰を呼び寄せるか迷いましたが…KONDOUさんを選んで正解でした)

ISAMI「礼など要らぬぞ。さあ、時間が無いのであろう?天界とやらへ向かおうぞ」

昼間「いえ、その前に作戦をお伝えしておきます」

召喚士は作戦を伝えた。


ISAMI「分かった。任せておけ!」

昼間「よろしくお願いします。ではゲートを開きます!」


キュイイイイイン!


バァンッ!!


召喚士の書いた魔法陣の上にゲートが開いた。

ISAMI「では行って参る!」

ISAMIはそれをくぐり、天界へと入った。


700 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 448b-9030) :2019/09/06(金) 21:03:59 CpMe0b4w00
KONDOUISAMIが普通にカッコいい


701 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/07(土) 20:26:30 19S9KpzE00





天界・下層、南地区。

エルバンたちは未だゲートから湧いてくる大量の魔物を倒していた。

エルバン「☆キリがないね…どうする?吐き気さん」

吐き気「この辺の居住区にいる天使たちも避難が終わったようだ…うっぷ…できるだけ魔物を引きつけて被害を抑えつつ、皆を追おう」

エルバン「☆そうだね!」

そして二人はその場を離れようとしたが。


バァンッ!!


吐き気「!!」

二人の目の前に突如ゲートが開かれた。

エルバン「☆誰か来る…!」

奥から歩いてくる大きな人影に、二人は身構える。


ISAMI「ほう、此処が天界か…召喚士殿の申した通り、おぞましい気配を感じる」


エルバン「★キング・オブ・妖魔!?」

吐き気「俺たちを潰しに来たか…!オエッ」

ISAMI「お主らがエルバン殿と吐き気殿だな?それがしはKONDOUISAMI。助太刀に参った」

エルバン「☆……え?妖魔じゃないの?」

吐き気「…うっぷ…ゴリラを見分けるのは…難しいな…」

エルバン「☆…え?ていうか今KONDOUISAMIって言った?あのSINSEN組の?」

ISAMI「うむ。SINSEN組局長、KONDOUISAMIでござる。召喚士殿の降霊術によりこの獣の体に憑依しておるのだ。此度の戦い、それがしも参戦させてもらうぞ」

エルバン「☆ほ、本物!?★…いやいや、降霊術なんてあるわけ…でも魔法とかも実際にあったわけだし…いやでも流石に…」

吐き気「何でもいい…うっぷ…戦力が増えるなら大歓迎だ。違うか?エルバン」

エルバン「☆…うん!その通りだね!よろしく、KONDOUさん!」

ISAMI「うむ、よろしく頼む!二人とも良い面構えでござるな。これは召喚士殿も一目置くわけだ」

エルバン「☆その召喚士さんって?」

ISAMI「ああ。それを説明するのもそれがしの役目。だがここに立ち止まって話すのも時間の無駄であろう」

エルバン「☆そうだね!じゃあ走りながら話してもらおうかな!」

三人は情報を共有しつつ、天才たちを追った。


702 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/09(月) 21:41:18 QbnLwT5.00





その天才たちは。

タタタタタタタタ…

神殿へ向かってノンストップで走っていた。

そこへ。

魔物「グオオオオ!!」

魔物の大群が押し寄せる。

アントン「うわあっ!」

天才「どけ」


ドゴォッ!!


魔物「グギャァァ!」

天才は一瞬でその大群を消し去った。

アルベ「つ、強い…!」

reku「もうこの人一人でいいんじゃないかな…」

アントン「見えてきたよ、うん!あれが神殿だよ!」

勇者「なんかすごい神聖な感じだ…!」

ギル「やっぱり神様の住んでるところは雰囲気が違うわね…」

片割れ「あの真ん中のタワー、一際たこうて目立っとるな。神様っちゅうんは目立ちたがりなんか?」

ギル「ちょっと!失礼よ!」

妹「そういえば天界の建物はどれも小さいよね。ビルなんかないみたいだし」

アントン「まあ下界より人口が少ないからね。人がたくさん住めるような大きな建物は、そもそも必要ないんだよ、うん」

天才「どうでもいいだろ。もう目的地が見えてんだ。さっさと行こうぜ」

天才は一人でさっさと進んでいった。

ギル「全くもう。協調性ないんだから…」

他の八人もそれを追って神殿へ。


703 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/09(月) 21:44:27 QbnLwT5.00




それから数分で神殿前まで着いた。

天使「アントンさん!お疲れ様です!」

門番の天使から勢いよく挨拶されるアントン。

アントン「おつかれだよ、うん」

天使たち「お疲れ様です!」

アントン「おつかれー」

その後もすれ違う天使たちから次々に挨拶される。


妹「…あのさ、もしかしてアントンお兄ちゃん、結構偉い人なの?」

アントン「まあ、神様直属の天使だからね、うん」

天才「そういやお前、地上の魔物を倒すために一人で送り出されて来たくらいだもんな…」

ギル「ああ、そういえば。頼りないから忘れてたわ」

アントン「ええ!?」

タバスコ「そんなことより上層への行き方を知っている人を見つけましょう。アントンさん、誰か心当たりはあるんですか?」

アントン「そんなこと!?…あ、うん、あるよ。こっちに優秀な天使たちの集まるところがあるんだ」

アントンの案内で天才たちは神殿の奥へと進んだ。


勇者「それにしてもこの神殿の中は屈強な天使がたくさんいますね」

アントン「そりゃそうだよ。世界の平和を守るために集められた天使たちだもの」

片割れ「さっきからエラい慌ただしいんは魔物の対処に行っとるからか。ご苦労やな」

reku「ん?だとしたらその優秀な天使たちは出払ってるんじゃないの?」

アントン「大丈夫。神殿は天界の中心だから、その天使たちが全員離れるなんてことはほとんどないんだよ、うん」

天才「神様がいねえ今、そいつらがこの下っ端天使たちの司令塔になってるってわけか」

アントン「だと思う」

勇者(神様……神様の分まで僕が頑張らなくちゃ…!)


704 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/10(火) 20:26:07 r4vq2bUM00



と、話しているうちに。

アントン「着いたよ!この中だよ!」

天才たちは、神殿の中心部にそびえ立つ大きなタワーの前に着いた。

勇者「外から見えてたのはこの建物だったんですね」

アントン「アントンです。開けてください」

すると。

ギィィィ…

大きな扉が開く。

そこには三人の天使が待ち構えていた。

天使a「アントン、おかえり」

金髪幼女の姿の天使がまず口を開いた。

天使b「アントン先輩!鏡で見てたっす!後ろの皆さんは下界からの増援っすね!よろしくっす!」

次に元気よく挨拶をしたのは、すらっとした長身のイケメン天使。

天使c「上層へ行くのだろう。我々に任せたまえ」

最後に、立派なアゴヒゲを生やしたおじさん天使がメガネをクイっとしながら言った。

勇者「この方たちは?」

アントン「マックスくんにも引けを取らない、"三天使"とも呼ばれる超優秀な天使!百年以上前から神様に仕える大ベテランのaさん!新人ながら圧倒的な才能で神様護衛隊長の座に就いたbくん!そして膨大な知識と経験と計算で天界を支えるcさんだよ!」

勇者「へぇー!すごい!よろしくお願いします!」

片割れ(そこそんな適当でええんか…?)

天使a「アントン言いすぎ。最近は神様も私よりマックスに信頼を置いていたし」

天使b「マックスさん自分では才能ないって言い張ってたけど、まー完全に天才っすよね!やられちゃったっすけど!」

アントン「え!?やられちゃったの!?」

天使c「ああ。数時間前、ヤミノツルギにな。君たちが入ったゲートが天界ではなく魔界に繋がったのも、ヤミノツルギが座標を書き換えたせいだ」

タバスコ「じゃあマックスさん自体が僕らを罠に嵌めたわけではなかったんですね」

アントン「あたりまえだよ、うん!」


705 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/10(火) 20:27:54 r4vq2bUM00

reku「ふぅん…天才ねぇ…」

rekuiemuは天才のほうを見る。

天才「フン、どうでもいい。上層への行き方を知ってんなら、早くしてくれ」

天才はあくびをしながら言う。

天使c「ああ、すまないな。皆、こちらへ」

三天使に連れられ、天才たちはタワーの階段を登っていく。



そしてタワーの屋上に出た。
そこは庭園になっていた。

アントン「わー!つい昨日までここにいたはずなのに、なんだかすごく久しぶりに来た気がするよ!」

片割れ「屋上庭園っちゅうやつか?こんなとこに何の用があんねん」

天使a「あの真ん中の柱」

勇者「柱?」

天使aが指差したのは、自然の広がる庭園に似つかわしくない、むき出しの角柱。

天使b「あれは生命の樹から作られたものっす!あれに天使の力を注ぎ込むことで、結界を無視して上層へのゲートを開くことができるっす!」

片割れ「なんや、そんな簡単に行けるんか」

天才「やっぱ結界があったんだな」

アントン「へえー、しらなかったよ、うん」

ギル「何で!?」

天使c「まあ、普通の天使では知らないのも無理はない。普段この柱には触れることすら禁じられているのだ。上層は神の領域だからな」

天使a「って言っても、アントンの地位なら知識として持っていてもおかしくないけど」

天使b「アントン先輩いつもボーッとしてるっすからね!」

アントン「ご、ごめんなさい」

片割れ「どうやってそんな地位につけたんやコイツ…」


706 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/10(火) 20:34:31 r4vq2bUM00

アントン「ふ、ふん!まーここにさえ来られれば僕は最強だからね、うん!」

reku「どういうこと?」

ギル「そういえば最初に会った時、何か名乗ってたような…たしか、天空の…ウシ使い?」

アントン「むーしーつーかーい!!」

勇者「虫?」

天使c「ああ。唯一アントンは天界に生息する蜂をコントロールすることができる、特殊能力を持っているのだ。それが神様に腕を買われた理由だ」

アントン「よーし!来て、はちくん!!」

アントンは"はちくん呼び出しポーズ"を取る。

すると。


ブゥン…!


アントン「はちくん!」

そこに巨大な蜂が飛んできた。

妹「ひぃっ!デカっ!?こわっ!!」

アルベ「見た目だけなら魔物の類にも見えるが…何なのだ…?」

アントン「はちくんだよ!大丈夫。僕の友達だからみんなに攻撃したりしないよ、うん」

片割れ「んー…なんや見覚えあるような…」

勇者「僕も…たぶん、ご先祖様の記憶の中で見たことがあります」

片割れ「それや!たしか、スピアーとか呼ばれとったな!」

天使c「たしか君たちはプリンとピカチュウという種族だな。プリンは現代ではヨシオ族とも呼ばれているようだが。君たちは更に大きな括りでは、ポケモンという生き物なのだ。そしてこのスピアーも、そのポケモンに該当している」

勇者「へえ〜!じゃあ僕たち仲間なんですね!」

勇者は蜂の頭を撫でる。

蜂はうれしそうだ。

アントン「わあ!はちくんが僕以外になつくなんて珍しい!ポケモン同士通じるものがあるのかな!」

妹「勇者お兄ちゃん勇気あるなぁ…あたし蜂とか絶対ムリなんだけど…」

タバスコ「でも、申し訳ないけどこの蜂一匹操れたところでそんなに大した戦力には…」

アントン「ふっふーん!一匹だけじゃないよ、うん!はちくん、みんな呼んできて!」

蜂はこくりと頷くと、ブーンとどこかへ飛んでいき…

ブブブブブブブブブーン!

大量の蜂を引き連れて戻ってきた。

妹「ぎゃああああ!!」


707 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/10(火) 20:39:47 r4vq2bUM00

勇者「おお…壮観ですね…!」

タバスコ「ええ。これなら戦力としても申し分なさそうです」

妹「ぎええええ!!」

片割れ「さっきからビビりすぎやろお前…そんなに虫苦手なんか?」

妹「いやいや蜂だよ!?毒持ってるよ!?お兄ちゃんたち肝座りすぎじゃない!?」

ギル「分かるわよその気持ち!うちの男子たちどっかネジが外れてるわよね〜!」

妹「ギルお姉ちゃん〜!ほんとだよ!蜂なんて害虫でしかないよぉ!」

勇者「えー、そんなことないですよ!ほら、撫でてあげてみてくださいよ!」

勇者は蜂の一匹を妹の前に連れてくる。

妹「いやあああ!」

ギル「ちょっと男子〜!」

アントン「流石にはちくんたちが傷つくからそろそろやめて…」

reku「このくだりいる?」


天使b「さて、アントン先輩も戦闘準備できたことっすし、雑談はそこまでにするっす!」

天使a「作戦だよ」

勇者「何か策があるんですか?」

天使c「全員で下目使いを引きつけて、玉座から引き離す。そして、お前たちの誰でもいい、全能神の玉座に座るのだ。そしてその力を継承する」

タバスコ「それはつまり…僕たちの誰かが全能神になれと…?」

天使b「そゆことっす!皆さんなら信頼できるっすし!勿論ずっと全能神として生きてけってわけじゃないっすよ!とりあえず下目使いを止めるためっす!この戦いが終わればまた別の後継者に引き継げばオーケーっす!」


708 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/10(火) 20:45:45 r4vq2bUM00

天才「なるほどな。単純だがそれ以外に無えってんならやるしかねえ。俺がその玉座を狙う」

タバスコ「まあ適任でしょうね」

ギル「ええ、天才のスピードならきっと隙をつけるわ!」

勇者「僕たちは全力で陽動ですね!頑張りましょう!」

天使a「じゃあゲート開くよ」

三天使は柱を囲むように立ち、翼を広げる。
そして柱に手を当てる。

「ひらけゴマ!」

三人は掛け声とともに天使の力を注ぎ込んだ。

すると。


カッ!!!!


柱が光り輝き、その光は天に高く昇った。

勇者「す、すごい…!」

天使c「今だ!この光に向かって飛び込め!」

片割れ「おっし!!カチコミじゃァ!!」

ダッ!

天使cの合図で、九人は一斉に光に飛び込んだ。


709 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/11(水) 20:15:48 nkUmci.c00





天界・上層。

住民「くそっ…キリがない…!」

魔物「ギャォオォ!」

ここの住民である神の一人は、光の槍を使って魔物たちに対抗していた。

そこへ。


ズオッ!!


地面から光が差し込む。

住民「うわっ!こ、この光は…!」

ザッ!

その光の中から、天才たちは現れた。

勇者「こ、ここが上層…!」

reku「うぐっ…なんだこれ…空気が重いなんてもんじゃない…!」

タバスコ「重力が何倍にも感じる…くっ…体が重い…!」

ギル「っ…なんて言ってる場合じゃなさそうよ…」

reku「うげ…下層より数多くない…?」

魔物の跋扈する真っ只中に出てきたことに気づき、天才たちは即座に戦闘態勢をとる。

魔物「グォォオ!!」

魔物たちが一斉に飛びかかる。

勇者「やあっ!!」

ドドォン!!

片割れ「フン!」

バンッ!バンッ!

天才「はっ!」

ドガッ!!



それから数分の戦闘の末、周囲の魔物たちをある程度倒し終えた。

住民「た、助かった…礼を言う…しかしお前たち…何者だ?」

アントン「僕たちは下目使いを倒しに来ました!」

住民「下目使い…?全能神の力を奪ったヤツのことか?あの化け物を倒してくれるのか…!?」

片割れ「おう!ワシらに任しときや!」

住民「だが…ヤツは神が数十人がかりでも倒せなかった…!下界の民が勝てるとは思えん…!」


710 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/11(水) 20:26:47 nkUmci.c00

天才「俺とそいつ…どっちが強えと思う?」

ゴゴゴゴゴゴ…

住民「…!!」

天才は魔力を全開にして威圧する。

住民「す…すごい力だ…!…だがそれでも、あのゴリラには及ばん…!」

天才「何だと?」

勇者「だとしてもこちらは一人じゃありませんよ!僕たち全員で協力して、絶対になんとかしてみせます!」

reku「そうそう。というかその人まだ成長途中だしね。魔力使えるようになったの、ついさっきだよ」

住民「何!?」

天才「ああ。別に誰に教わったわけでもねえが。真似してみたらできたってだけだ」

ギル「呆れるくらいの天才なのよ、コイツ」

住民「…なんと……そうか…それほどの男が下界にいたとは……分かった。お前たちを信じるとしよう…」

勇者「ありがとうございます!」

天才「分かったらさっさと全能神殿の場所を教えてくれ」

住民「ああ…!」

そうして天才たちは住民から聞き出した場所へと走った。




そして数分後。

アントン「見えてきたよ、うん!」

天才「お前ら、準備はいいな?」

reku「ふっ…当然さ。ついにこの僕が活躍するに相応しい舞台が整ってきたね…!」

片割れ「よー言うわビビッとったクセに」

ギル「ウフ、まあそれだけ軽口が叩ければ上等ね」

勇者「万端です!」

妹「あたしもいつでもオッケーだよお兄ちゃん!」

アルベ「ウム!」

タバスコ「何度も確認しなくても大丈夫ですよ」

天才「だな。んじゃあ行くぞ!」

片割れ「よっしゃァ!カチコミじゃァ!!」

reku「それ何回言うの」

ダダダダダダダ…!

九人は周りに出現し続ける魔物たちを倒しながら、駆け抜けていく。


711 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/11(水) 20:40:26 nkUmci.c00



そしてついに下目使いの待つ全能神殿の、門前にまでたどり着いた。

が。


ドシィン!!


勇者「!!」

その前にあのゴリラが立ちふさがった。

妖魔「フン!よくぞ此処まで辿り着いたな、下界の塵共!!そして死ね!!」

妖魔はいきなり拳を振りかぶる。

天才「させるかよ」

ダッ!!

天才は瞬時に妖魔の前に踏み込む。



バゴォォッ!!!!



妖魔の拳と天才の蹴りがぶつかり合う。

天才「うぉぉっ!?」

妖魔「ぬっ!?」


ズオォォォッ!!


衝撃波で周りの物が吹き飛んでいく。

勇者「くっ…!キング・オブ・妖魔…!!」

天才「コイツが妖魔か…なるほど…確かにヤベェなこりゃ」

妹「か、勝てるんだよね!?」

天才「一対一じゃどうだろうな…だが今はお前らがいる。勝てねえ道理はねえよ」

reku「フッ、当然さ」

片割れ「いちいちカッコつけんなや。だがまあ、そういうことや」

妖魔「貴様…そのパワー…魔力…!Φデスエンペラーに勝るとも劣らない力を感じる…何者だ…?」

天才「15人目の天才。下目使いとも一戦交えたハズだが、聞いてねえのか?」

妖魔「何…?そう言えばあの時…厄介なキツネが現れたとか言っておったか…そうか…貴様がそのキツネという訳か。確かにあの時の下目使いでは相手にならないだろうな」

天才「そりゃどうも」

天才はニヤッと笑う。

二人が話している間に勇者、rekuiemu、アルベルトの三人が妖魔の背後に回り攻撃を仕掛けていた。


ドドォォン!!!

バゴッ!!

ズドッ!!


それぞれの放った爆弾、緑のこうら、パンチが、同時に妖魔の背中に直撃した。


712 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/11(水) 21:03:35 nkUmci.c00


妖魔「…フン。効かんな」


勇者「なっ…!」

妖魔は何事もなかったかのように立っていた。


ブンッ!!


reku「うわあっ!」

振り向きざまに腕を一振りすると、三人は一気に吹っ飛ばされる。

ズザザザ…

アルベ「くっ…!やはりヤツは無敵か…!あの体にまとった桁外れの魔力…それが攻撃を全て受け止めてしまうのだ…!生半可な攻撃では傷つけることすらできん…!」

勇者「そんな…!」

妖魔「アルベルト。何故貴様がこんな塵共と群れている?我に逆らえばどうなるか、知らぬ訳ではあるまい!」

アルベ「私はもうお前の言いなりになどならん!ダーク内藤を失って気づいたのだ!大きな力に従い、戦いを強いられる…機械のように…!我らはとっくに死んでいたのだ!だから私は、生きるために戦う!」

妖魔「下らんな。人間共に懐柔され共闘するなど…魔の一族の誇りをも失ったようだな」

アルベ「私の誇りなどとうの昔に捨てている!魔界に産まれ落ちたその時から…!これはその誇りを取り戻すための戦いだ!!」

妖魔「フン。貴様如きがこの我に敵うものか…」


天才「いつまでそっち見てんだ」


バキィッ!!


妖魔「ぐっ…!?」

天才の蹴りが脇腹にヒットし、妖魔は僅かに仰け反る。

片割れ「おお!効いとる!流石や!ワシも行くで!」

片割れは仰け反ったその隙を突いて妖魔の懐へ潜り込むと。

片割れ「デガワァ!!」


ゴシャァァン!!!


かみなりを放った。

妖魔「ぐぉっ…」

根元の部分に直撃し、妖魔は更に怯む。

片割れ「今や!」

勇者「はあっ!」

アントン「はちくん!いくよ!」

そこへ全員が一斉攻撃を仕掛けた。


713 : はいどうも名無しです (アウアウ 1ef7-9ae7) :2019/09/11(水) 22:14:24 eCn5ISjESa
ここの妖まマジで強キャラだな…


714 : はいどうも名無しです (ワッチョイ b030-c509) :2019/09/12(木) 00:01:38 4FG4PyzM00
妖精とは大違いだ…


715 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/12(木) 20:22:51 JVbaOrt.00

妖魔「舐めるな!!塵共がぁぁ!!」


ギュルルルッ!!!


ドガガガガガッ!!!!


妖魔はその場で両腕を大きく広げ、凄い勢いで回転した。

勇者「うわぁっ!」

ギル「きゃっ!」

タバスコ「ぐっ…!」

ドサァ!

全員弾き飛ばされる。

天才「チッ!そう簡単にゃいかねえか!」

アントン「うぐぅ…そんな…はちくんの攻撃も効かないなんて…!」

妖魔「15人目の天才…やはり我の敵となり得るのは貴様だけのようだな」


片割れ「クソ…舐めよって…!」

タバスコ「だけどチャンスでもありますよ。完全に僕たちは妖魔の眼中にない。だから想定外の攻撃を食らわせられれば、きっとかなりのダメージを与えられるはず…!」

勇者「ですね!さっきの片割れさんのかみなりも効いてたみたいですし!僕たちの攻撃も全く効かないってわけじゃない!」

reku「数撃ちゃ当たるってやつかな?とにかく攻めて攻めて攻めまくろう」

ギル「魔力も無限ってわけじゃないでしょうしね!いくらすごい魔力を持っていても、いつかは必ず尽きるはずよ!」


妖魔「フン!我を前にしてそんな下らん作戦会議を開くとは笑わせる!確かに魔力を全開にして戦えば、どれ程の魔力量でもいずれは枯渇する。だがその作戦は此の戦いにおいて何の意味も無い!」

片割れ「何やとォ!?」

妖魔「貴様ら如き、魔力を全開にする迄も無いからだ!貴様らの技など、我が無意識に垂れ流している魔力だけで抑え込めるわ!」

勇者「?!」

アルベ「…たしかにヤツは…さっきから魔力を一切操作していない…!本来魔の一族が攻撃をガードする時、その受ける部分に魔力を集中させ、衝撃を和らげるのだが…」

妹「魔力が多すぎて何もしなくても全身ずっとその状態ってこと!?」

reku「いやいやいやいやそれは流石にチートじゃん…」


716 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/12(木) 20:31:08 JVbaOrt.00


タッ!

と、話しているうちに天才は妖魔の頭上に飛び上がり。


ズドォッ!!!


放った蹴りが脳天に直撃。
しかし。

天才(!? 何だこの手応え!)

妖魔「だが貴様は別だ」

天才「!!」

ガシッ!


ドガァッ!!!


妖魔は天才の脚を掴み、地面に叩きつけた。

天才「ぐあっ…!」

ギル「て、天才っ!」

天才「クソ…衝撃を和らげるってレベルじゃねえぞ!見えない泥沼みてえな壁に阻まれて、当たる前に足が止まりやがった!」

妖魔「死ね!!」

ダンッ!


ドゴォォォッ!!!!


天才「うおっ!」

天才はすぐさま立ち上がり、妖魔の追撃の拳をかわした。

ズドドドド…!!

妖魔の攻撃の衝撃により、巨大なクレーターが発生する。

勇者「さ、更に威力が増してる…!」

片割れ「ピカチュー!」

バチバチッ!

妖魔「効かぬと言ったはずだ!」

ブンッ!!

妖魔は電撃を片手であっさりと振り払う。

片割れ「ぬあっ…!」

更にその風圧で片割れは吹っ飛ばされた。

妹「お兄ちゃん!」

片割れ「アホ!目ェ離すな!」

妹「!!」

片割れの元に駆け寄った[自称]妹に、妖魔は飛びかかっていた。


717 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/12(木) 20:45:51 JVbaOrt.00


reku「とりゃぁ!!」


ドゴッ!!


妖魔「がっ…!」

間一髪、rekuiemuが妖魔の下に潜り込み、腹を蹴り上げた。

reku「ふぅ、全く。一つ貸しだよ」

rekuiemuはドヤ顔で言った。

片割れ「けっ、やるやんけ…」

だが。

妖魔「潰れよ!」

reku「!!」


ズドォォッ!!!!


妖魔はそのまま両腕を振り下ろす。

reku「あっぶなー…」

rekuiemuはその体の小ささに助けられ、運良く攻撃をかわした。

片割れ「クソッ!なんやねん!ワシらなんかどうでもいいんちゃうんかい!」

妖魔「フン…視界の端を塵がうろちょろと、鬱陶しいのだ」

片割れ「ケッ、要はワシらにビビっとるんやろ!」

妖魔「くだらん。だがこれで…完全に消し去ってくれるわ!」


ゴゴゴゴゴ…!!


妖魔は両腕に更にありったけの魔力を集める。

勇者「な、なんだこの震動…!どれだけの魔力が集まってるんだ…!」

アルベ「これは、まずい…!ここら一帯が消し飛ぶぞ!離れろ!」


718 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/13(金) 20:27:38 5PwWi9I600

天才「いいや、むしろチャンスだろ」

勇者「え!?」

天才は再び距離を詰め、妖魔の懐に入る。

妖魔「馬鹿が!!消え去れ!!」

天才「遅え!!」


バキィ!!


妖魔「ごぁっ…」

天才の蹴りがアゴにヒットした。

reku「入った!」

タバスコ「はっ!」


ギャリンッ!


そこへタバスコがクローショットでアゴを引っ張る。

更に後ろに回り込んだ天才が妖魔の頭を掴み。

妖魔「あがっ…!?」

上下から引っ張りあって、妖魔の口を大きく開けさせた。

そこに。

勇者「とりゃあっ!」


ズボッ!!


勇者が爆弾を突っ込んだ。

妖魔「!?」



ドドォォォォン!!!!



妖魔の口の中で爆発。

妖魔は白目を剥いて、全身あらゆる穴から煙を噴いた。

勇者「や、やった!今です!」

アントン「はちくん!」

ブゥン!


ドガガガガガガ!!


蜂が一斉に襲いかかり、滅多刺しにする。


719 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/13(金) 20:30:06 5PwWi9I600

妖魔「ぐ…はぁっ…!は…羽虫め…がァ…ッ!」

妖魔は腕をぶん回してなんとか蜂たちを振り払うが。

reku「とぉっ!」
ギル「ファイヤーッ!」
アルベ「ふんぬッ!」


ズドドドッ!!!!


三人同時の追撃が妖魔を吹っ飛ばした。

ゴシャァ!

妖魔「ゴフッ…!」

神殿の石柱に激突し。

ドサッ…

倒れた。



妹「や…やったの…?」

アルベ「ふむ…少なくとももう動けまい」

アルベルトは倒れた妖魔を指先でつついてみるが、ピクリとも動かない。

天才「多分だが、コイツは自分の魔力のデカさにかまけて、今までまともにコントロールしてこなかったんだ。自分と互角に戦えるヤツなんていなかったからだ」

タバスコ「ええ。片割れさんの電撃を手で弾いた時に気づきました」

勇者「そっか…!あの時妖魔は攻撃するために、拳に魔力を集めていたから…!」

アルベ「そもそも魔力をちゃんとコントロールできていたなら、天才の動きをガードで止めた時、その魔力の全てを一瞬で攻撃に回し、勝負は決まっていただろうな…」

reku「何にせよ、天才くんがいなかったらどうしようもなかったってわけだよね…そもそもコントロールする必要なんかなかったんだし」

ギル「まあまあ、いいじゃない勝てたんだから」

勇者「そうですね…!やったんですね、僕たち…!」

片割れ「喜ぶんはまだ早いやろ」

天才「ああ。ラスボスがまだだ」

勇者「そ、そうですね…行きましょう!」


720 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/13(金) 20:37:45 5PwWi9I600





下目『妖魔…何寝てるんだ?』

妖魔「…!」

妖魔の脳内に下目使いの声が響く。

下目『本当に使えないなお前は…力を引き出してやる』

妖魔「下目…な…何をする…ッ」

下目『お前の役目を果たせ』





ドォォォォッ!!!!!


天才「!?」

勇者「な、何だ!?」

凄まじい爆音と突風が押し寄せ、天才たちは振り返る。


妖魔「ウオオオオオオオオオオオ!!!」


そこには邪悪な黒いオーラを纏った妖魔が立っていた。

片割れ「何やあの禍々しいオーラは…!」

タバスコ「まだこんな力を隠していたのか…!」

妖魔「グギャオオオ!!」

reku「あの目…完全に正気を失ってる…!」

アルベ「この魔力……ま、まさか…自爆する気か!?」

アントン「え!?」

アルベ「自分の中にある全ての魔力を暴走させ、周囲の全てを巻き込み自分の肉体ごと破壊する、魔の一族の最後の切り札だ…!!」

勇者「なっ…!」

天才「クソッ!全員、離れろ!」

ダッ!!

九人は全力で逃げる。

アルベ「いかん!間に合わんぞ!妖魔の魔力量からして爆発はかなりの広範囲に及ぶ!!」

片割れ「言うてるヒマあったら走れやアホ!」


721 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/13(金) 20:45:15 5PwWi9I600

妖魔「ウオアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」



ドォォォォォオッ!!!!



妹「うわあっ!ホントに爆発した!」

アルベ「くッ!やはり…!」

爆発の勢いは凄まじく、逃げる九人との距離をどんどん縮めていく。

天才「チッ!まったくしょうがねえな!!」

ギル「へっ!?」


ズダダダダダダダ!!


勇者「ぐはっ!」

ギル「きゃっ!」

reku「いてっ!?」

アルベ「うぐッ!な、何をする!」

天才は勇者たちを蹴り飛ばし、一箇所に集めた。

そして。

天才「アルベルト、そいつら放すなよ!」

アルベ「は…!?」

アルベルトは訳もわからないまま、咄嗟に集まった七人を抱える。


天才「行けッ!!」



ドゴォッ!!!!



天才はそのアルベルトごと、更に遠くへと蹴り飛ばした。

ビュォォォッ!!

アルベ「ぐおぉっ!?」

片割れ「ワ、ワシらだけ逃す気か!」

タバスコ「なんて無茶苦茶な…!」

ギル「天才ーーっ!!」

ギルティースは手を伸ばして叫ぶ。

宙を舞いながら、ギルティースは爆発に呑まれていく天才の姿を見た。



ズザザザザ…!

アルベルトは上手く着地し、七人を降ろす。

アルベ「我々は助かったが…奴は…」

勇者「くっ…」

ギル「そ…そんな…」

アントン「天才くん…!」

タバスコ「彼抜きで下目使いと戦うとなると、更に厳しくなりますね…」

八人は意気消沈する。


722 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 2fe3-9ae7) :2019/09/13(金) 23:05:00 0zp9rZWEMM
天才なら普通に無傷な気がしてならない


723 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/15(日) 20:31:10 P5TYctjk00



片割れ「…オイ…待てや…」

勇者「え?」

片割れは爆発のほうを見て驚いていた。

勇者たちもそちらへ視線を送る。

妹「……う…嘘でしょ…!?」

reku「まじすか…」

タバスコ「ば…爆発の勢いが止まらない…!」


ズオォォォォ…!!!!


爆発は猛スピードで全てを呑み込んでいく。

片割れ「オイオイオイオイオイ!!どうすんねんコレ!!」

アルベ「馬鹿な!!どこまで広がるのだ!?」

ギル「天才が命がけで助けてくれたのに…!こんなのって…!!」

勇者「と、とにかく逃げましょう!」


八人は全速力で逃げるが、爆発はあっという間に追いついてきた。

アントン「は、速すぎるよ…!!」

タバスコ「ここまでか…!」

勇者「くそーっ!」


reku(こんな時…あいつがいれば…!)


その時、rekuiemuの頭によぎったのは。


先祖代々伝わる、小さな流れ星。



ピロピロピロピロピロ…!



reku「え!?こ、この音…!!」

勇者「まさか!」

reku「ワープスター!!」

八人の前に現れたのは、rekuiemuの相棒、ワープスターだった。


724 : ハイドンピー (ワッチョイ a4e9-9030) :2019/09/15(日) 20:33:31 P5TYctjk00


ギュンッ!!!


ワープスターは素早く八人を乗せ、爆発から遠ざかる。

みるみるうちにその距離は離れていった。



reku「ワープスター!どうしてここに!?」

rekuiemuは嬉しそうにワープスターに向かって話しかける。

片割れ「言葉分かるんか…?」

reku「さあ?」

片割れ「知らんのかい!」

タバスコ「でも助かりましたね…爆発も流石に収まってきたみたいです」

勇者「ふぅ…それじゃあ今度こそ、全能神殿に突入しましょう…!天才さんはいませんが…僕たちは諦めるわけにはいきません!」

ギル「そうね…今は落ち込んでる場合じゃない…!」

妹「あれ?でもあんな近くで爆発して、神殿大丈夫なの?」

アントン「そういえば…」

タバスコ「いや、神殿は壊れていたとしても、全能神の力を持った下目使いがやられたとは思えません。実際この上層に満ちた重々しい空気は全く変わってないですし」

reku「自分の部下の自爆に巻き込まれて死ぬとか、流石に馬鹿すぎるしね…そうだったら良かったのに」

片割れ「とにかく行ってみいひんことには始まらん!行くで!」

勇者「はい!」

八人はそのままワープスターで全能神殿のあったところへ向かった。


725 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/16(月) 20:23:59 sO7/f1jI00





数十分前、下界。

隣国・山の麓の町の、宿屋。

暴力「僕に何かできることはないんでしょうか…」

暴力委員長は、一人宿屋に預けられ、自分の無力さを痛感していた。

暴力「皆さんが頑張っているのに…こんなところでじっとなんてしていられません…!」

タッ!

暴力委員長は宿屋を飛び出した。


暴力「ん?あ、あれって…」

山の中腹に、何かが落ちたような跡があった。

暴力「そうだ!あの時勇者さんたちの乗ってた、流れ星みたいな乗り物…!あれがあれば、何か助けになるかもしれません…!」

暴力委員長は山を駆け上った。




それから十数分で山の中腹に到着。

暴力「あ、あった!」

暴力委員長はワープスターを見つけ、駆け寄る。

暴力「…でも…どうしよう……こ、壊れてる…」

ワープスターには大きなヒビが入っていた。

暴力「だけど、何かの役に立つ可能性が少しでもあるなら…!」

暴力委員長はその短い腕でワープスターを抱え上げ、麓まで持ち帰った。


726 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/16(月) 20:28:13 sO7/f1jI00



そこに。

コテツ「あーっ!!委員長!!」

チェン「よかったぁ!委員長、無事だったぁ!」

暴力「皆さん!」

南の町からインテリたちが到着した。

弟「ほんともう会えないかと思ったよー」

暴力「そんな大げさな…ふふ…」

暴力委員長はそう言いながらも、目にはちょっぴり涙を浮かべていた。

母「良かった…ひっぐ…良かったわ…ぐすん…ズビビ…」

母は号泣していた。


インテリ「委員長、それは…?」

暴力「あ。これは空を飛ぶ乗り物みたいなんです。でも壊れちゃってて…」

インテリ「ほう。見せてください」

インテリは眼鏡をスチャッと装着し、ワープスターを観察した。

インテリ「ふむふむ…」

暴力「な、何か分かりますか…?」

インテリ「全然分かりません」

暴力「ズコー!!」

弟「僕にも見せて!」

幼き弟がワープスターに触れる。と。


ソーセージ「うおおぉぉぉぉ!?」


弟「ど、どうしたの!?ソーセージ!」

突然股間からソーセージが立ち上がった。

ソーセージ「こ…こいつはワープスターだ…!僕たちのご先祖さまの乗り物だ…!」

インテリ「え!?」

弟「ご先祖さま?」

暴力「そ、そう言えばrekuiemuさん、幼き弟くんに似てたかも…色は違ったけど…」

母「カービィ族ね!」

ソーセージ「ああ。今ワープスターに触った瞬間、そのご先祖さまの記憶が見えたんだ…!」


727 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/16(月) 20:32:02 sO7/f1jI00

コテツ「直せるの?」

ソーセージ「ああ!まかせろ!」

ソーセージはそう言うと、ムクムクと大きくなった。

弟「な、なにしてるの?」

ソーセージ「僕の力を分け与える!ワープスターは乗り物だけど、生きているんだ!」

インテリ「ええっ!?そんな非科学的な…!」

チェン「それは今更じゃないかな…」

ソーセージ「ワープスターは普通なら強い衝撃が加わると、自分から砕けてそのダメージを逃がすはずなんだ。そしてしばらくするとその破片が集まって元に戻る。だがこいつは、それができない!」

弟「な、なんで?」

ソーセージ「たぶん持ち主が少食だからだ!ワープスターは持ち主と一心同体!ご先祖さまはとんでもない大食いで、その食ったエネルギーはワープスターにも分け与えられていたんだ!だがそれが今は無い…だから本来の力が出せないんだ!」

コテツ「そうなんだ!」

暴力「じゃあつまりその分のエネルギーを与えてあげれば…!」

ソーセージ「ああ!復活するはず!よし、いくぞ!」

ビュルッ!!

ソーセージは口から勢いよく白いエネルギーを吐き出し、ワープスターにぶっかけた。

すると。

ピロピロピロ…

コテツ「わー!なんか光り出したよ!」

暴力「この音…!あの時と同じだ!」

弟「ひ、光が集まって…ヒビがなおっていくよ…!」

インテリ「すごい…!」


やがてワープスターは完全に修復された。

ソーセージ「よし!上手くいったぞ!」

暴力「ソーセージくん、ありがとうございます!」

ソーセージ「へっ、今は持ち主が違うとはいえ、元はご先祖さまのモンだからな!」


728 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/16(月) 20:34:40 sO7/f1jI00

インテリ「しかし…これが直っても、そのrekuiemuさんという人に届けられなきゃ意味が無いですよ…」

暴力「そ、それは…たしかに…」

弟「しょ、召喚士さーん!」

召喚士ならどうにかできるのではないかと、呼びかけてみるが。

コテツ「だめだ〜。やっぱりいそがしいんだよ」

インテリ「まあ普通に考えて、今は僕たちのことを見ている場合では無いですよね…」

ソーセージ「そう慌てんなよ。言ったろ?ワープスターは持ち主と一心同体だ」


ピロピロピロピロピロピロ…!


ワープスターは突然浮かび上がった。

インテリ「こ、これは…!」

ソーセージ「強く望めば、こいつはどこにでも駆けつける!」


バビューーン!!


ワープスターはものすごい速さで上空へと飛んで行った。

弟「はやーい!」

コテツ「すごーい!」

インテリ「いくら速くても、天界って別の世界なんじゃ…」

ソーセージ「おいおい忘れたか?インテリの名が泣くぜ」

インテリ「え?」

ソーセージ「あいつは"ワープ"スターだぜ」


729 : はいどうも名無しです (アウアウ 2a4f-9ae7) :2019/09/17(火) 01:40:33 xvSqnpE2Sa
ソーセージから白いエネルギー(意味深)を出す


730 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/18(水) 20:14:13 eTOTV/yw00





現在。

ピロピロピロピロピロ…

八人はワープスターで全能神殿の近くまで引き返していた。

アントン「うわぁ、なんにもなくなってるよ、うん…」

アントンは辺りを見渡して言う。

建物も住民も魔物たちも、爆発に巻き込まれたものは全て消滅し、平地と化していた。

タバスコ「範囲だけじゃなく威力も規格外でしたね…」

ギル「ええ…なのにどうして……あんなに近くにあった全能神殿は無事なのよ…?!」

先に見える全能神殿は、無傷だった。

アルベ「下目使いが結界を張ったのだろう…」

タバスコ「あれ程の爆発でもビクともしないとは…全能神の力…とてつもないですね…」

と、その時。

グラグラッ!

妹「わっ!何!?」

ワープスターがバランスを崩し。

ピロピロピロピロピロピロ…

ゴシャァ!!

勇者「あうっ!!」

妹「ぶへぇ!」

墜落した。

reku「いててて…そりゃそうなるよ、一人用なのに八人も乗せたら…」

アルベ「しかしよく頑張ってくれたな」

片割れ「こっからは自分の足で行くしかないな」

勇者「はい」

タバスコ「そういえばエルバンさんたちはまだ下で戦ってるんでしょうか…彼らなら雑兵の魔物くらい簡単に片付けて追いついてきそうなものですが」

片割れ「アイツら無限に湧いてきよるからな…天使たちも正直頼りないしなぁ。あそこ離れようにも離れられんのとちゃうか」

アントン「そんなことないよ、うん!生身なら僕より強い人もたくさんいるし、あれくらいの魔物なら抑えられるはずだよ!」

タバスコ「だとしたら遅すぎませんか?」

ギル「少し心配ね…」


731 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/19(木) 20:32:20 lK8vNL1600





同じ頃、下層の神殿では。

「な、なんだヤツの魔力は…!?」
「じ、次元が違いすぎる!」
「我々では太刀打ちできないぞ!」


デスエン「はっはっは、世界を守る天使が聞いて呆れる弱さだな」

ガシィッ!!

デスエンは笑いながら近くの天使の頭を鷲掴みにする。

天使「ぐ…は、放せ…!」

デスエン「オイオイ、敵に放せと言われて放す馬鹿がどこにいる?自力で逃げてみろ。この一瞬のうちに逃げられればな」

ボウッ!

デスエンは右手に炎を纏わせる。

天使「ひぃっ…!」

デスエン「ファルコン・パンチ」

拳を振りかぶったその時。

ダッ!!

吐き気「ファゥコン!パァンチ!」

デスエン「!」


ドゴォッ!!!!


そこに吐き気が現れ、ファルコン・パンチがぶつかり合った。

吐き気「ぐっ…!」

エルバン「★吐き気さん大丈夫!?」

吐き気「ああ…なんとかな…オエッ…この男、何というパワーだ…」

ISAMI「あの男…只者ではないな…!」

デスエン「おー、お前たちか。実はお前たちのことも少し見ていたぞ。なかなかやるじゃないか」

エルバン「☆そういうキミは一体誰かな…」

デスエン「俺はΦデスエンペラー。これから世界を救うため下目使いを倒しに行くところだ」

㌦(また適当なことを…)

エルバン「★今のパンチは完全に殺意がこもってたように見えたよ」

デスエン「フッ、まあ細かいことは気にするなよ。そんなことよりお前たちも上層へ行くんだろう?」

ドドン「そうなのかドン!じゃあ一緒に行こうドン!」

吐き気「ん…?お前…フォックス族か…うっぷ…それに紫の服…もしかしてお前がドドンか…」

ドドン「え?なんで知ってるドン?」

エルバン「☆ギルティースさんが捜してたよ。☆まさか魔の一族と手を組んでるとはね…」

ドドン「ギルティースの知り合いかドン。もしかしてギルティースも天界に来てるドン?」

エルバン「☆うん。もう上層へ行ってるはずだよ」

ドドン「マジかドン!?俺もデスエンさんについて来なきゃ今頃上層に行けてたのかなドン…デスエンさんグダグダだしなドン…」

デスエン「オイオイそれは酷くないか…いやまあ確かに行き当たりばったりなのは認めるが…」

ドドン「はーあ…下目使いとの最終決戦…こんなでっかい祭りに乗り遅れるとは…なんで俺はこんなとこでモタモタしてるんだドン」

デスエン「じ、地味に毒を吐くのはやめろ!俺に効く!」

㌦(ほんとなんでドドン君こんなヤバい人相手にズバズバいけるんだ…)


732 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/19(木) 20:33:58 lK8vNL1600

デスエン「で?どうするお前たち」

エルバン「☆勿論お断りだよ。明らかに自分が楽しめればそれでいいって顔してるし。☆そんな人を連れて行くなんてリスクでしかないよ」

ISAMI「大義を持たぬおぬしらとは、それがしも相容れぬな」

吐き気「ああ。戦力は多いに越したことはないが…お前のような奴は別だ」

デスエン「フッ、つれないな。その見た目に、さっきのファルコン・パンチ。俺たちは同じキャプテン・ファルコンの末裔だろうに」

吐き気「先祖など関係ない…うっぷ…これは俺たちの問題だ」

デスエン「…ま、そうなるよな。しょうがない」

タンッ


ズドッ!!


吐き気「……!?」

デスエン「じゃあな」

目で追えないほどの速度で放たれたデスエンの拳は、吐き気の体を貫いていた。

ドサッ…

デスエンが腕を引き抜くと、支えを失い吐き気は倒れた。

エルバン「☆吐き気さ…」

タンッ

エルバン「!!」


ズドッ!!!


デスエン「お前もだ」

エルバン「…くそ…っ」

バタッ…

エルバンも同じように腹を貫かれ、倒れた。

デスエン「うん?さっきの妖魔に似たゴリラはどこに行った?」

デスエンはキョロキョロとISAMIの姿を探す。

ドドン「それならその赤い帽子の人がヨーヨーでブッ飛ばしてたけドン」

デスエン「ほー、やはりキレるな。あの一瞬で仲間を逃がすとは」

ドドン「周りの天使たちもだいたい戦闘不能にしといたけど、どうするドン?」

デスエン「あのタワーに用があるんだ」

そのままデスエンたちはタワーへ向かった。


733 : はいどうも名無しです (アウアウ 42ed-2c19) :2019/09/19(木) 21:31:52 asVCR9AoSa
ゲロバン退場ってマジか…


734 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 7530-6ab2) :2019/09/20(金) 00:03:10 bo39n9sg00
デスエンがやけに飄々としてるのが不気味だな


735 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/20(金) 20:26:19 Do2uQx0Q00





下界、隣国・南の町では。

♂♂「ぶ、部長サンっ!!」

瓦礫の中に倒れている部長たちを見つけ、♂maikeru♂は駆け寄る。

部長「マ…♂maikeru♂さん…ぶ…無事…でしたか……良かった…」

脇役「怪物を…倒せず…すまない…」

♂♂「お、お二人とも!ムリに喋らないでくだサイ!酷い怪我じゃないデスカ!!すぐに病院へ連れて行きマース!」

部長「あ…あの怪物は…どうなりましたか…?」

♂♂「街で暴れていマシタが…音が止んだのを見ると、もしかしたら誰かが倒してくれたのかもしれマセン…」

ゲイ「フ…この街にアレを倒せる人がいるとは、思えないけれどね…さっき不思議な魔力振動を感じたから、誰かが空間を超えて来た可能性はあるか…」

♂maikeru♂が振り返ると、ボロボロのゲイが立っていた。

♂♂「ゲ、ゲイサン!?」

部長「だ…大丈夫…です…彼はもう…私たちの…味方です…」

ゲイ「フフ…味方になった覚えはないよ…」

部長「!!」

脇役「き…貴様…!」

♂maikeru♂「な、何をするんデス!?」

カチャッ

ゲイはレイガンの銃口を部長に向けていた。

ゲイ「フフ…この死にかけの僕でも…引き金を引くことくらいはできるよ…」

脇役「よ…よせ…!」

ゲイ「来世で逢おう…二人とも」


バンッ!!バンッ!!


放たれた二発の弾は、部長と脇役の頭部を貫いた。

♂♂「そ……そんな……」

次にゲイは♂maikeru♂に視線を移す。

♂♂「! や、やめ…!」

ゲイ「何…すぐにまた会えるさ…さようなら」


バンッ!!


736 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/20(金) 20:31:49 Do2uQx0Q00





煙草マスターの祠の森。

ズル… ズル…

酷い怪我で倒れていたパターソンは、目を覚まし、残り少ない体力で地面を這っていた。

パタ「…ハァ…ハァ…クソ…やっぱ誰も来ねえか…そりゃそうだわな…」

ズル… ズル…

少しずつその体の力が抜けていく。

パタ「こんな…とこ…で……かな…し……」

ガクッ…

そしてとうとう完全に動かなくなった。


737 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 2f7e-2c19) :2019/09/20(金) 20:55:15 emStVeaQMM
ええ…死にすぎて辛い…


738 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 30ea-6ab2) :2019/09/21(土) 01:21:12 SoQRAnvY00
長イ脇ゲまでもが…


739 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/21(土) 20:19:42 4UWEd1gg00





天界・下層。


バゴォン!!


神殿のタワーの扉が叩き壊される。

デスエン「よう」

天使c「お…お前たちは…先程から天界をウロチョロしている魔の一族と、下界の民!」

天使b「一体何が目的っすか!?」

デスエン「フッ、そう慌てるな。俺たちは下目使いを倒しに来た」

天使c「何!?」

㌦「い、一応事実ですよ…ちなみに僕たちは彼に無理やり従わせられてるだけです…」

デスエン「いや無理やりってお前。俺たちがゲームに勝ったからだろ」

㌦「いやいや…そのゲーム自体がほとんど無理やり…」

ドドン「俺はただ面白そうだからついてきたドン!」

天使a「なんなのこいつら…」

デスエン「なあ、さっきこのタワーの上から光が昇っていくのが見えたんだ。あれは上層へ行くエレベーターみたいなものなんだろう?俺たちにも使わせてくれないか?」

天使b「さあ?なんのことっすかね」

デスエン「はっはっは、惚けるなよ。あの柱のことだ」

天使c「なっ…何故柱の事を知っている…」

デスエン「俺は念話が得意でな。こっそり聞かせてもらったよ」

天使b「き、気づかなかったっす…」

㌦「お願いします。この人の魔力を感じられるなら抵抗は無駄だって分かるはずです…」

天使a「…よくわからない人たちを上層に送ることはできない」

天使b「悪いけど帰ってもらうっすよ!!」

チャキンッ

天使bは腰にさした剣を抜く。

デスエン「うーん…別にお前たちと戦う気は無いんだがな…」


740 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/21(土) 20:26:26 4UWEd1gg00

天使b「問答無用っ!」

ダッ!!

天使bはデスエンに斬りかかる。


トンッ


ドサッ

デスエンはそれを見切って後ろに周り、首の後ろを叩いて気絶させた。

デスエン「お、今のはなかなか力加減が良かったんじゃないか?」

天使c「はああッ!!」


ドドドドッ!!


天使cは大量の光の球を作り出し、デスエンたちに向けて放った。

ドドン「ほい」


ピキィン!


ドドンはリフレクターを張り、それを全て跳ね返した。

ドガァァン!!

天使c「ぐあっ…!」

その一瞬で㌦ポッターは天使cに接近し。

㌦「はっ!」


ドゴォ!!

チャリンチャリンチャリン!!


天使c「ぐあああっ…!」

アッパーと同時にコインが散らばった。

㌦「ふぅっ」

ドドン「何ドン!?そのワザ!すごいお金が出てきたけドン!」

㌦「僕はこれでも魔法学校じゃ錬金術を教えてるんだ。今のはその一種だよ」

デスエン「しかし偉そうなヤツらな割には随分弱いな。長いこと平穏が続いたせいでレベルが落ちてるのか?」

ドドン「そうかドン?俺らが強すぎるだけドン」

天使a「く…!二人がこんな簡単に…」

㌦「諦めて僕たちを通してくれませんか?僕だって本当は戦いたくない」

天使a「むぐ…だめだ…通さない…」

ドドン「そりゃあ困ったドン…どうするドン?」

デスエン「どうするっつったって…上層に行く方法はあの柱だけなんだろう?妖魔は全能神の結界が切れてるうちに無理矢理行ったようだが…」

天使a「あの柱を起動するには天使の力が必要…私たちがいなきゃ上層へは行けない」

デスエン「天使の力か…じゃあその辺の天使捕まえてくればいいんじゃないか?」

ドドン「そうだなドン。この人は手伝ってくれなさそうだし、別の人に頼むのがいいと思うドン」

天使a「む…無駄だよ。私たち以外の天使では力を柱に吸われて終わり。力のコントロールが完璧じゃないと、無理」

デスエン「ほう。それが事実だとすればお前たちを従わせるしかない訳だな?それじゃあ…」

天使a「!!」


ヒュッ

ズドッ!!!!


天使「!!」

デスエンは一瞬で天使aの背後に回り、心臓を抉りとった。

デスエン「殺すしかないな」


741 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/21(土) 20:29:32 4UWEd1gg00

天使a「…ゴフッ…」

ドサッ…

㌦「えぇ!?なんでそうなるんだ!」

デスエン「フッ、俺にいい考えがあるんだ。一応こっちもやっておこう」

ボキッ! バキッ!

倒れている天使b、天使cの首をへし折る。

㌦「む…むごい…」

㌦ポッターはその光景に思わず目をそらす。

デスエン「ちゃんと死んだか?」

ドドン「え?えー…うん、死んでるドン」

ドドンが脈を確認して言った。

デスエン「んじゃあとりあえず柱のとこまで行くぞ」

デスエンたちはタワーを上った。




屋上に来たデスエンは柱の前に立つと。

デスエン「この辺でいいか。よーし準備完了だ」

㌦「じゅ、準備…?」

ドドン「何するつもりドン?」

デスエン「フッ…俺はΦデスエンペラー。つまり死の皇帝だぞ。死を司り、死を操る…ククク…そう、俺の能力は…」

ドドン「死んだ人を蘇らせてしもべにするみたいなやつかドン?」

デスエン「オイなんで先に言うんだ」

ドドン「あ、すまんドン。あってたのかドン」

㌦「し、死んだ人を蘇らせる!?そ、そんなの禁忌中の禁忌だよ!魔法学校の長い歴史の中ではその禁忌の研究をしてた人もいたみたいだけど、例外なく処刑されてる…!それに成功例は無いはず…」

デスエン「はっはっは。確かに俺にも簡単にできる訳じゃあない。この力は五十年に一度しか使えないんだ。それに蘇らせられるのはごく一部…五十時間以内に死んだ魔の一族と、魔の一族に匹敵する強力な力を持った者だけだ」

ドドン「なるほドン!じゃあつまりこの天使を蘇らせて…」

デスエン「いや、全部だ」

㌦「え?」

デスエン「誰か一匹を選んで蘇らせることはできん。この能力を使えば、その条件に当てはまる全ての者が蘇る」

㌦「なっ…!?一人蘇らせるだけでも有り得ないのに…!こ、この戦いで何人死んだと思ってるんだ…!」

デスエン「さあ?まあ、やってみれば分かるだろ。んじゃあ行くぞー」

㌦「ノリが軽い!!」


742 : はいどうも名無しです (アウアウ 84fc-2c19) :2019/09/21(土) 21:07:22 IBb7/YFgSa
あーだからポンポン死人出てたのか
でも散々苦労して倒した妖魔も復活しちゃうなあ…


743 : はいどうも名無しです (ササクッテロ e106-c509) :2019/09/22(日) 00:47:39 GoPWyrjgSp
さらっと流してるけど、これデスエンの仲間が増えるってことなのか
だからいままでわざと殺してきたのか


744 : はいどうも名無しです (アウアウ c882-9ae7) :2019/09/22(日) 01:58:01 Y4wYFp0wSa
あ、ホントだやべえ
つまりゲロバンとか下界で死んだ長イ脇ゲやパターソンがデスエンの僕になるのか


745 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 2fe3-558f) :2019/09/22(日) 15:39:58 2mQFzua2MM
今まで死んだキャラ全員下僕にするとかくっそチートで草
でもこの圧倒的強者感のデスエンが後にエルバンに4タテされたりソンソンの始祖になるのかと思うと面白いな


746 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/22(日) 20:36:03 WZdt63Ds00


ドドドドドドド……!!!!


デスエンの足元に黒い水たまりのようなものが現れる。

㌦「うわっ…!な、なんて濃い魔力なんだ…!」

そしてその中から。

ズブブ…


黒光「はぁ〜…オイデスエン…テメエ何勝手に蘇らせてんだ」

転校生「ここは…天界か…?この魔力…妖魔が成し遂げたのか」


まず現れたのは二人の剣士だった。

㌦「なっ…こ、こいつらは…」

転校生「!! 貴様!あの時はよくも…!」

無敵の転校生は㌦ポッターを見て剣を抜こうとするが。

デスエン「やめろ」

転校生「っ!?か、体が動かん…!」

黒光「チッ…めんどくせえ事この上ねえな。今オレらはこの馬鹿の手下ってわけか…」

デスエン「フッ、まあそういうことだ…馬鹿は余計だ」

ドドン「もしかしてこの人たちが魔界の二大剣士ってヤツかドン?」

デスエン「ああ」

そう話しているうちにまた続々とファイターが蘇ってくる。

人喰い「…あァ?なんだここは…誰だよテメェら」

レイアによって星にされた人喰い軍曹。

BJ「デスエン…フゥン…結局君もこの戦いに参戦したのカ」

勇者とDr.神様のコンビネーションに敗れたξ黒きBlackJoker。

内藤「そうか…Φデスエンペラーの能力か……ここにいないということは、アルベルトはまだ生きているんだな…良かった…」

片割れに敗北し、神の光に消されたダーク内藤。

ケ「フンフン」
ケ「フンフンフンフン?」
ケ「フンフンフンフンフンフン」

大量のケ。


747 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/22(日) 20:44:04 WZdt63Ds00

スケベ「What!?Where am I!?最果てにgo home したいよ!」

溶岩に落ちて死んだ最果てのスケベ心。

スケベ「…とthinkしたけど…ladyがいるじゃないか!Foooo!!Here is heaven!!」

スケベ心が目をハートマークにして見つめる先には。

聴牌「こ、これは…!一体何が…!」

マックス「お、俺たち、ヤミノツルギに焼かれて死んだはずだよな…」

㌧「まさか…死者を蘇らせたのですか…!なんと愚かな…!」

デロイ「か、体の自由が効かないよ…!どうなってるんだ…」

魔の一族に殺された二人の天使と、二人の神。

そして、その犯人である二人も。

ヤミ「…デスエン…この我を操ろうとは…!」

妖魔「貴様!!この我を愚弄するか!!」

デスエン「フッ、面倒臭いからお前らは口を閉じてろ」

妖魔「ムグッ!」


デスエン「しかし妖魔も死んでいたとはな。先に上層に行ったヤツらも思ったより頑張ってるようじゃないか」

ドドン「うおお、これは壮観ドン。すごい数だなドン…」

デスエン「ま、そりゃこの戦争中にこの力を使えばこうなるな」

㌦「妖魔やヤミノツルギすら従えてしまうのか…」


天才「何だこいつら…オイドドン、どうなってんだ?こりゃ。つーかお前は何をやってんだよ」

ドドン「って天才!!天才も死んだドン!?天才を倒せるヤツなんていたのかドン!?」

天才「あー、そこのゴリラにな。クソ、ムカつくぜ」

エルバン「★妖魔…やっぱり化け物だね…☆天才さんがやられたとなると、上層に行ったみんなは大丈夫かな…」

吐き気「かなり戦えるタバスコがいるとはいえ…あいつらだけではやはり心許ないな…オエッ…」

パタ「おぉ…お前らもいたのか…」

エルバン「☆あっ、パターソンくん。無事だったんだ」

パタ「いや死んだんだよ。あの森の中で、一人寂しくな…悲しみ…」

ドドン「まったく…パターソン、どこまで飛ばされてたんだドン。ギルティースが心配してたぞドン!」

天才「お前が言うな」


ポイゾネ「き、君はあの時の…!正気には戻れたみたいだけど…」

天才「あ?…そうか、お前が暴走した俺を止めてくれたっつう…」

エルバン「☆もしかしてポイゾネサスくん!?」

ポイゾネ「あ、うん。どうして僕のことを知ってるんだい?」

吐き気「ねこという奴から聞いた。天才とまともにやり合えるとは…オエッ…にわかには信じがたいが…」

ポイゾネ「はは…僕自身も信じられないよ…戦ったことなんてなかったし」

天才「もしかしたら俺以上の才能を持ってるのかもしれねえな」

ドドン「へぇーそっちもいろいろあったんだなドン」


748 : ハイドンピー (ワッチョイ f453-c509) :2019/09/22(日) 20:52:32 WZdt63Ds00


㌦「まあまあすごい状況なのに、なんでみんなこんなに緊張感がないんだ…」

デスエン「そういう猛者しか蘇らないようになってるんだから、当然と言えば当然だろうがな。そっちにいるのは綺麗なゲイか?」

ゲイ「フフ…礼を言うよΦデスエンペラー。貴方がこの力を使う事は予期していたからね。死ぬ前に戦力になりそうな二人も殺しておいて良かった」

デスエン「フッ、お前は流石に優秀だな」

部長「わ、私たちは生き返ったのですか…?ふ、不思議な感覚です…」

脇役「お前はこうなる事が分かっていたのか?」

ゲイ「彼がどのタイミングでこの力を使うかは完全に賭けだったけれどね。でもあの怪我の具合では、僕たちはあそこでゆっくりと息絶えて、何もできずに終わっていた。フフ、そんなのは面白くないだろう?」

部長「た、確かに怪我は治ってますが…」

脇役「魔の一族の配下として蘇っても嬉しくもなんともない…ふざけた男だ」


デスエン「まあそう怒るなお前たち。俺たちはこれから下目使いを倒しに行く」

エルバン「☆え!?」

ドドン「どしたドン?なんか問題あるドン?」

吐き気「…いや、目的が同じならば、好都合だ」

デスエン「来い、そこの後ろにいる三人」

デスエンは蘇った天使a、b、cを柱の周りに呼び出し。


カッ!!!!


上層への道を開かせた。

天使a「く…屈辱…」

天使b「こんなことができるヤツがいるなんて聞いてないっすよ!」

天使c「ああ…何という男だ…」

デスエン「さあ、ついてこい。いよいよ待ちに待った最終決戦だ」

㌦「別に待ってないよ…でも結局は世界を下目使いから取り戻さなきゃいけないし…頑張るしかないか…!」

ドドン「うおお!燃えてきたドン!」

そしてデスエンたちは蘇ったファイターたちを引き連れ、光の中へと入った。


749 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 2fe3-9ae7) :2019/09/22(日) 20:56:45 2mQFzua2MM
天才普通に死んだのか…


750 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/23(月) 20:48:17 YG.7tPtg00





上層。

勇者たちは全能神殿の門前に戻ってきていた。

勇者「この中に下目使いがいる…」

タバスコ「ええ。最後の戦いです。頑張りましょう」

reku「世界の命運は僕たちにかかってるんだね…」

片割れ「おっしゃ行くでー!」

片割れは我先にと門をくぐろうとした。

が。


バチッ!!


片割れ「どわっ!?」

ギル「ど、どうしたの!?」

片割れ「なんや見えへん壁みたいなモンが…」

タバスコ「はっ、そうか…結界…!」

アルベ「あの爆発で傷一つつかないほどの結界を張れるのに、私たちを通すはずもないか…!」

妹「なんで普通に入れると思ってたんだろあたしたち…」

片割れ「ここまで来て立ち往生かいな…」


と、その時。


ズオッ!!


地面から光が差し込んだ。

勇者「うわっ!こ、これって…!」

アントン「下層からの光だよ、うん!応援が来たんだ!」

タバスコ「じゃあエルバンさんと吐き気さんが…」

デスエン「よう」

タバスコ「誰!?」

ドドン「おー!ギルティース!ホントにいたドン!あ、片割れさんもいるのかドン!」

片割れ「お、おう…」

ギル「ドドン!?なんでアンタがここに…!っていうかこの人たちは誰よ!」

ドドン「ん?通信で言ったろドン。この人がデスエンさんドン。あとこっちはあの後仲間になった㌦さんドン」

㌦「ど、どうも。㌦ポッターと申します」

ギル「こ、これはどうもご丁寧に…じゃなくて!」

reku「ん?まだ出てくるよ」

デスエン「ああ。これが俺の仲間たちだ」

光の奥から、デスエンの蘇らせたファイターたちが続々と現れる。

天才「ようお前ら」

勇者「て、天才さん!?エルバンさんと吐き気さんも!」

ギル「嘘…どうして…!?」

デスエン「俺の力で蘇らせたのさ」

エルバン「☆遅くなってごめんね。ちょっと殺されちゃっててさ」

reku「殺され…!?ノリ軽くない!?」

㌦(ああ良かった…マトモな感性の人もいる…)

パタ「俺もいるぞ…一応…」

ギル「パターソン!良かったああ!生きてたのね!心配したんだからぁぁ!」

パタ「いや…だから死んだんだって…」

吐き気「蘇りはしたが…今はこいつの傀儡だ…オエッ…幸い目的は同じ、打倒下目使いのようだが」

デスエン「そういうことだ。お前たちも見覚えのあるヤツらがいるだろうが、俺の管理下にある以上、コイツらがお前たちを襲うことはないから安心しろ。協力してあの化け物退治といこうじゃないか」


751 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/23(月) 20:52:01 YG.7tPtg00

タバスコ「…それが、下目使いの結界が張られてて全能神殿に入れないんですよ」

ゲイ「フフ…だろうね。全能神の力を以ってして作られた結界は、並みの攻撃ではびくともしない」

デスエン「ま、確かに並大抵では無理だ。だが下目使いもまだ力のコントロールは完璧には至っていない。ここにいる最強の布陣で一点に集中攻撃すれば、突破できるはずだ」

バッ

デスエンが片手を挙げると、ファイターたちが一斉に攻撃の構えを取った。

デスエン「撃てっ!!」



ズドドドドドドドドドド!!!!!!



勇者「ぐぅっ…!す、すごい衝撃…!」



ドガガガガガガガガガ!!!!!!



ギル「一人一人がとんでもなく強いわね…!これなら…!」



ドゥルルルルルルル!!!!!!



reku「いける!」


ピキッ…


アルベ「ヒ、ヒビが入ったぞ…!」

ドドン「よっしゃ!最後は俺が頂くドン!」

ポイッ

ドドンはここぞとばかりにボム兵を投げた。



ドドォォォォォォォォォン!!!!!!



勇者「す、すごい爆発だ…!僕の爆弾なんか比にならない…!」

デスエン「フッ、やはり威力だけなら俺のパンチと良い勝負だな、あの爆弾は」

爆煙が晴れていくと。


ピシ…ピシッ…


パリィン!!


タバスコ「け…結界が…」

勇者「割れた…!」

デスエン「よし、行くぞ!突入だ!」

みんな「おおおお!」


752 : はいどうも名無しです (スプー 893f-c101) :2019/09/23(月) 21:49:02 fYoulgicSd
すんごくボスムーヴしてるけどデスエンだから微笑ましく感じてしまう
名前のとおり皇帝できてよかったなぁ


753 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 74e4-6ab2) :2019/09/23(月) 23:09:11 9MpHD6Eg00
しかし、ここまでしないと妖魔と下目には勝てないのかもしれない…


754 : はいどうも名無しです (アウアウ 37b9-a1fc) :2019/09/24(火) 05:36:42 rcZyny1QSa
これもし下目倒したらデスエンは蘇生した奴らをどうする気でいるんだろう?


755 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/25(水) 20:52:36 Tn.RX0Nk00


勇者たちが全能神殿に入ると、長い廊下が続いていた。

reku「広っ!!先が見えない…」

妹「なんかおかしくない?外から見たより中が広いように感じるんだけど…」

㌧「全能神殿は、それ自体が一つの小さな世界となっているのですよ。外と中では別の空間なのです」

片割れ「ほぉん…しかし、なんや薄気味悪いのォ。ぎょうさん兵士の人形みたいなん置いてあるし」

妹「突然動き出してきたりして…」

勇者「そんな、ホラー映画じゃないんだから…」

㌧「ありえない話ではありません…」

デロイ「うん。こんな人形、元々は無かったよ…」

勇者「下目使いが置いたってことですか…?」

天才「はっ、シュミの悪りぃヤツだ」

パタ「何にせよ、こっからはもう常識なんか通じないと考えた方が良さそうだな…」

タバスコ「ええ。モタモタしている暇はありません。急ぎましょう」

そして勇者たちは奥へと走る。



が、しばらくして。

妹「ハァ…ハァ…」

ギル「妹ちゃん、大丈夫?」

妹「う、うん。なんとか…」

勇者「…なんかこの中に入ってから、さらに空気が重くなった気がしますね…」

ゲイ「フフ…ここが独立した一つの世界だからだろうね…外に満ちた魔力はここから漏れ出た余波に過ぎないということだ」

㌦「異常な魔力の濃度だよ…海に呑まれたみたいな気分だ…」

㌦「感知も全く機能しないなこれは…」

ドドン「どこから敵が現れても分からないってことかドン」


756 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/25(水) 21:21:31 Tn.RX0Nk00

そこに。


ザザザザッ!!!


ギル「ひゃっ!?何!?」

デスエンや吐き気と同じく、ファルコンの姿をした軍団が現れた。

数は見える限りでも勇者たちのゆうに倍以上。

デスエン「魔のパンツの戦闘形態だな…」

吐き気「魔のパンツ…だと…?オエ…奴はあの時、神の光によって消滅したはず…」

アルベ「魔のパンツは魔の一族ではない。ただの魔物だ」

内藤「ああ。魔界にいくらでも生息しているぞ。何匹いようが不思議じゃあない。…とはいえ戦闘形態にまで成長した魔のパンツがここまで集まっているのは初めて見るがな…」

エルバン「☆そんな…!吐き気さんも苦戦してた相手だよ!?」

デスエン「ヤツら、俺の能力で蘇らなかっただろう?ヤツらは自分の力ではなく、奪った力によって強くなるからだ。前全能神がいないのも恐らく同じ理由だな」

㌧「そうか…全能神様は玉座からお力を得られていたから…」

ギル「でも、どうやってこんな数…!」

デスエン「今の下目使いならば、自分で穿いて脱げば一瞬で完成だ。無限に量産できるだろう」

勇者「そんな…!」


パンツ「シンニュウシャ…ハイジョスル」


ドゴォッ!!


タバスコ「くっ…!」

魔のパンツの一体が飛びかかり、タバスコは咄嗟に盾で防いだ。

片割れ「もう喋っとるヒマ無さそうやな…」

デスエン「フッ、数には数だ!行け、ケ!」

ケ「フンフンフンフンフンフン!!」


ズドドドドド!!!!


デスエンの合図で、ケの軍団が突進。

魔のパンツと激突する。

デスエン「よし、今のうちに抜けるぞ」

勇者「はい!」

勇者たちはその横から通り過ぎようとした。

しかし。


ケ「ワー!!」

ドガァッ!


勇者「うわっ!」

勇者の前にケが弾き飛ばされ、転がってきた。

デスエン「コイツらじゃ歯が立たないか。やるな」

アントン「うそーん!そのケって人、めちゃくちゃ強いのに!」

吐き気「ヤツらはそれ以上だって事だ…うっぷ…気をつけろ…!」

reku(人…?)


勇者たちと魔のパンツ軍団の戦いが始まった。


757 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 73e1-cee5) :2019/09/25(水) 23:20:39 U0aOtn5.MM
ラスボス?がパンツを高速で穿いて脱いでを繰り返してるとかシュール過ぎるwww


758 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/26(木) 20:43:55 tSabq3sQ00





その頃、下層では。

純白はデスエンたちと分かれ、単独で行動していた。

純白「あの大樹に反応してるのか…?」

それは純白が光るカギを手にしていたからだ。

魔法学校で召喚士と戦った際に、ちょろまかしたのである。

純白「まあとりあえずカギの指す方へ行ってみるか」

純白は何も知らぬまま、真っ直ぐチンポコメロンたちのいる生命の樹へと向かおうとしたが。


大学生「待てや白いの!」


純白「ん…?」

純白が振り返ると、大学生が立っていた。
その後ろにはマグヌス、ミカもいる。

純白「ふふ…大学生か。君の魔力を感じたから、天界に来てることは分かってたけど…僕に何か用かい?」

大学生「テメーを連れ戻しに来たんだよバーカ」

ミカ「連れ戻す?お前誰か倒してえっつってなかったか?」

大学生「…あァ、なんかソイツはどっか行ったわ。どうでもいい」

純白「Φデスエンペラーさんのこと?…ふふ…君たち程度が勝てる相手じゃないでしょう…」

マグヌス「なに!?ボクがまけるわけないだろ!」

ミカ「まあまあ落ち着けマグヌス。状況が飲み込めねえんだが、お前は何をやってるんだよ」

純白「君には関係無いでしょう。というか誰ですか…」

ミカ「オレはミカ。コイツらと手を組んで世界を牛耳ってやるつもりだ」

純白「…ふっ、無理ですよ。自分の力量すらわからないんですか?ふふ…憐れなネズミですね」

ミカ「あ!?テメエからブッ殺してやろうか?」

マグヌス「オマエ、ヒトにおちつけっていっといて、ちょうはつにのるなよ…」

大学生「ケケッ、阿保だな」


759 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/26(木) 20:50:46 tSabq3sQ00

ミカ「…チッ、うるせえ。つうかお前なんでこんなヤツを連れ戻すだの言い出したんだよ…」

大学生「フン、コイツにゃ借りがあんだよ!」

純白「ふふふ…そういうことね…今まで僕が壊れた君をどれだけ面倒見てやったことか…でも意外だな。大学生にも"借りを返す"なんて思考が存在したんだね…ふふ…」

大学生「ケッ、黙りやがれクソ闇堕ち野郎が。とっくに気づいてんだよ、テメーがずっと壊れてる俺を見下してたことにゃぁな。ケケッ、善人のエリート気取りでさぞ気分が良かったんだろうなァ」

純白「ふふ…あぁ…そうだよ。君は僕の引き立て役さ。だけどもういいんだ。そんなことをする必要も無くなったんだよ。ふふ…この力さえあれば僕は自由に生きられる…!」

大学生「自由だァ?ケケケッ!あのオッサンの都合のいいように使われることがか?それともその何かも知らねえカギをどっかに運ぶことがか?」

純白「…全てさ!何をするにも僕の思うまま!何者にも縛られない!邪魔なものはどかして進めばいい!」

ミカ「…あん?だったらオレらと同じ考え方じゃねえか。人間社会は自由に生きるには窮屈すぎる。だがその上の次元に立っちまえば、そんなことを気にする意味なんてなくなる…そうだろ?」

純白「ふふ…なるほど…君たちが組んだのはそういう事情でしたか。でも残念ながら君たちの力ではその領域には到達できませんよ。なぜなら…君たち三人が力を合わせても僕に勝てないからだ」

タッ!


キィンッ!!!


いきなり斬りかかった純白の剣を、大学生の剣が弾いた。

大学生「ケケケッ、あん時とは逆だなァ!?テメーは俺の暴走を止めようとしていやがったのによォ!」

純白「僕のこれは暴走なんかじゃないさ。言ったろう?邪魔なものはどかして進む!」

大学生「きっちり防がれてんじゃねえかバーカ!俺程度のザコにな!!分かってんだろ!テメーの力じゃまだあのオッサンにゃ全然届いてねえってことぐれえ!!」

純白「それがどうした!?ふははっ!僕は君とは違うんだよ!Φデスエンペラーも僕にとっては通過点に過ぎない!!すぐに超えて見せるさ!!」


ズギャンッ!!


大学生「ぐッ!」

強力な斬撃に大学生は弾き飛ばされる。

ズザザザ…

ミカ「オイ、お前の仲間だっつうから手出ししなかったが、向こうから仕掛けて来たんだ。反撃していいよな?」

大学生「ケッ、勝手にしろよ。別にハナっから止めてねえだろ」

ミカ「ハッ、そりゃそうだ…」


ギャリンッ!


ミカ「ッ!?」

純白のクローショットがミカを捕らえ、引き寄せる。

純白「でやぁッ!」


ズドッ!!


ミカ「かはっ…!」


760 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/26(木) 20:57:26 tSabq3sQ00

マグヌス「PKファイヤー!」

純白「効かないよ!」

カンッ!

純白は盾でPKファイヤーを弾き。


ヒュンッ!

ドガッ!!


マグヌス「ぐわっ!」

ブーメランで反撃した。


ブンッ!!


大学生「チッ」

背後からの大学生の不意打ちも空を切る。

純白「バレバレだよ」


ドガッ!!


大学生「グェッ!」

戻ってきたブーメランが大学生の顔面にヒット。

更に。

パチンッ!

純白は指を鳴らし姿を消す。

大学生「あ!?」

純白は空間移動で大学生の背後に移動していた。


ズバァッ!!


大学生「…ッ!」

ズシャァ!

背中を斬られ、大学生は倒れた。

純白「ふふふ…もう分かったでしょう。君たちみたいな弱者三人が組んだところで、僕一人にも劣る」

大学生「…ケケッ…バーーーカ」

純白「!」


ボフン!!


純白「ぐっ!」

いつの間にか足元に置かれていた爆弾が爆発した。

ミカ「デガワァ!!」


ゴシャァン!!!


純白「がぁぁぁっ!!」

瞬時に懐に潜り込んだミカのかみなりに打たれ。

マグヌス「たぁーッ!」


カキーン!!


純白「ぐあああっ!」

更にマグヌスのバットに打たれ。

ズシャァッ!

倒れた。


761 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/27(金) 20:15:20 zSwhUfWk00



ガッ!!


立ち上がった大学生は、倒れた純白の腹を踏みつける。

純白「がはっ…」

大学生「ケケッ…ワリィなァ。そこのドブネズミが言うには、俺ら無敵なんだわ。テメーごときに負けるワケねーだろ」

大学生はその喉元に剣の切っ先を突き付けた。

純白「無敵…?ふふ…これで勝ったつもりかい?」

大学生「あー。そのつもりだ」

パチンッ!

純白は空間移動で抜け出そうと、指を鳴らすが。

純白「!? な…なぜ魔法が使えない…?」

大学生「ムダだバーカ。テメー連れ戻すのに何の用意もなく来たと思ってんのか?だとしたら筋金入りの大馬鹿だな」

純白「なっ…!」

気づけば純白の脚に封印布が巻きつけられていた。

大学生「コイツは封印魔法に使う布だ…全身に巻きつけりゃほとんどの動きを封じれるが、ちょっと巻いただけでも魔力の流れを狂わせる。テメーはもう魔力は使えねえ。諦めろ」

純白「だ…大学生…」

大学生「さあ、帰ろう純白。僕は、いつもの君が好きなんだ」

純白「……!!」

大学生はその一瞬だけ、優しく穏やかな表情になった。

純白「…それが…本当の君なのか…?壊れる前の…」

大学生「は?何言ってんだ気色悪りぃ。いいからとっとと来いや。テメーにゃその過ぎたチカラは似合わねーっつってんだボケが」

純白「…僕には…自由に生きることすら許さないって言うのかい?君は…」

大学生「そうだよ、なーにが人間社会の上の次元に立つだよ中二病がよ!テメーみてえなクソ凡人は大人しく人間社会に呑まれてやがれや!」

ミカ(それ言ったのオレだが…)

純白「……ふふ……本当に…君は自由だなぁ…」

純白は哀しげな表情で、空を見上げて呟いた。

大学生「あ?」

純白「……僕はさ…君に憧れていたのかもしれない…理屈なんか通じない…いつも自分の感情のままに動く、壊れた君の姿に…」

大学生「は?いきなり何言ってんだコイツ」

純白「壊れて解き放たれた君みたいに…僕も堕ちて、解き放たれたいって、思ったんだよ」

大学生「あっそ」

純白「だから…ふふ…君がこんなところまで追ってきてくれたのが嬉しいんだ。僕にとっては、自由の象徴のような君が…」

大学生「あァーそれ以上喋んな気持ち悪りぃ!とっとと帰んぞ」

大学生は手を差し伸べた。

純白「…うん…!」

純白は純粋な笑みを浮かべ、その手を取った。


762 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/27(金) 20:22:03 zSwhUfWk00


マグヌス「なんだこれ」

マグヌスとミカは冷めた目でそれを見守っていた。

ミカ「ハッ、くだらねえ友達ゴッコかよ…寒気がしたぜ。だがこれで大学生、お前の目的は達成し…オレらとの同盟も正式に交わされたワケだな」

大学生「あー、そういうことになるな」

ミカ「だったら…」

パシッ!!

純白「わっ!?」

ミカは純白からカギをぶんどった。

ミカ「下界に降りる前に、コイツの指す方へ行ってみねえか?」

大学生「はぁ?」

マグヌス「なんでだ」

ミカ「ちょっと気になっただけだ。もしかしたら、オレの知ってる物があるかも知れねえ」

純白「どういう事ですか…?」

ミカ「かなり前の事だが、俺はある組織にいた。そこじゃ古に消された"真の歴史"ってのを研究してたんだよ。もしかしたらそれを解くカギなのかもしれねえと思ってな」

大学生「あ?その黒歴史とこの汚ねえカギがどう関係あるっつーんだクソネズミ」

ミカ「このカギをどう使うのかは分からねえが……"かつてこの世を統べた全能神は、魔族を封じる為、世界を三つに分かち、力尽きた。その身体は種子となり、選ばれし者に翼を与えた"っつうのを組織のデータベースで見た。このカギが指してるあのデケェ樹は、その種子から生えてきたモンなんじゃねえか、ってな」

大学生「ケケッ、うさんくせーハナシだな。そもそもテメー天界のことすら魔法学校で知ったんじゃ無かったのかよ」

ミカ「ハッ、所詮は依頼受けて潜入してただけだからな。当時は個人的な興味は無かったんだよ。だが実際に目の前にそれがあるかも知れねえってんだから、そりゃ気になるだろうが」

ミカ(その組織は抜ける時に殲滅したから、今これを知ってんのはオレとその依頼主ぐれえのモンだろうがな)

マグヌス「ボクはべつにいいぞ。くくく…なんかゲームみたいでおもしろそうだ」

純白「僕も少し気になります…」

ミカ「…だそうだが?」

大学生「フン、勝手にすりゃいーじゃねーか。好き勝手やるために組んだんだろ」

ミカ「ハッ、んじゃ決まりだな。行くぜ」

こうして同盟に純白も加わり、四人は生命の樹へと向かった。


763 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 9059-0eda) :2019/09/28(土) 02:15:34 PNRMedGQSp
下目がラスボスなのかな
まだ出てないキャラもいるし、なんともいえないか


764 : はいどうも名無しです (アウアウ 5e64-cee5) :2019/09/28(土) 05:57:40 PJUEOz06Sa
そういや殺意が出てない気がする
あとレイア一行とかまだ天界来てないような…見落としてたらすまん


765 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/28(土) 21:59:24 efac5UPY00





上層。

全能神殿・玉座の間。

バンッ!

デスエン「よう。久しぶりだな」

下目「やあ。神殿内にもかなり魔物を配置しといたはずだけど…早かったね、デスエン」

扉を破壊して入ってきたデスエンを、下目使いは玉座に座ったまま出迎えた。

デスエン「下目使い!お前に世界を支配などさせない!お前を倒し、平和を取り戻して見せる!」

下目「…プッ…ははははは!最高に似合わないセリフだな!」

デスエン「勇者みたいで格好いいだろ?」

下目「似合わなすぎてギャグにしかなってないよ」

デスエン「マジか」

ドドン「デスエンさん、なーにラスボスとコントやってるドン」

㌦「緊張感がないのは向こうも同じか…」

ドドンと㌦ポッターが少し遅れてそこへたどり着いた。

デスエン「はっはっは、魔界には娯楽などほとんど無いからな。魔の一族は挨拶がわりにいつもこうして冗談を言い合うんだ」

下目「適当な事言うな。そんな下らない事してるのはお前だけだ」

デスエン「ったく、ノリ悪いなぁ…」

デスエンは残念そうに後頭部を掻く。

下目「で、何しに来たの?」

デスエン「訊くまでもないだろう?さっき言った通りさ。お前を倒す」

下目「そんな人数で?全能神になった僕をか?」

デスエン「フッ、大事なのは…量より質だ!」

ダッ!!

デスエンが仕掛けるが。


バゴォッ!!


下目使いに届く前に、横から現れた巨大なハンマーによって吹っ飛ばされた。

デスエン「どわっ!」


766 : ハイドンピー (ワッチョイ 094f-0eda) :2019/09/28(土) 22:08:24 efac5UPY00

下目「無駄だよ。不意打ちしようとしてもね」

デスエン「!!」

気づけばそれと同じハンマーが、周囲にいくつも現れていた。
そして。


ズドドドドドッ!!!!


そのハンマーは壁や天井を叩き割った。

黒光「ぐあッ…クッソ…!」

転校生「な、なぜわかった!?」

そこにはデスエンの蘇らせたファイターたちが潜んでいた。

下目「魔力でバレバレなんだよ。僕は元々感知力は高かったけど、今はもう別次元だ。どれだけ魔力を殺しても、その小さな魔力すら当たり前に感知し、そいつが何をしているのかも鮮明に分かる」

ゲイ「フフ、当然だけどΦデスエンペラーをもゆうに超える性能だね…」

脇役「だが…そこまで感知できたとしても、この数ならば全てを把握するには思考が追いつくまい!」


ドウッ!!!


脇役はチャージショットを放った。

更に。


ボォォォォッ!!!


その対角にいたヤミノツルギは大量の魔炎を放つ。


ドガァァァァン!!


双方からの攻撃が、玉座に座る下目使いを捉えた。

しかし。

下目「ふふ…無駄だって。こんなの魔力をぶつけて相殺すればいいだけだ」

下目使いは無傷で座っていた。

㌧「すでに全能神の力をここまで使いこなしているのか…!」

マックス「クソッ…!あの炎に俺らは手も足も出なかったってのに…!」

下目「不意打ちはできないし、不意打ちじゃなければ僕に届きもしない。つまりどうやったってお前たちに勝ち目はないんだ」

㌦「そ、そんな…玉座から立ちさえせずに…!こんなの…どうすればいいんだ…!」

ドドン「デスエンさん、何か策があるドン?」

デスエン「勿論無い」

デスエンは即答した。

下目「もう一度だけ訊くよデスエン。そんな人数で僕を倒すつもりか?」

デスエン「ああ。ようやく面白くなってきたところじゃないか」

それでもデスエンはニヤリと笑っていた。

下目「…そう。お前は強いし、僕の下に付くんなら駒として使ってやっても良かったんだけどな」

デスエン「はあ?最高につまらなさそうだなそれは。死んでもあり得ん」

デスエンは何言ってんだと言わんばかりの呆れた表情で返す。


767 : はいどうも名無しです (アウアウ a09b-a1fc) :2019/09/29(日) 02:07:16 DCWiOsGkSa
あれ、このSSの主人公ってデスエンだっけ?(すっとぼけ)


768 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/29(日) 20:16:58 06U4URUA00


下目「…流石にその余裕はムカついてきたな。デスエン、見せてやるよ。本当の絶望ってやつを」


バサァッ!!


下目使いの背後に、巨大な翼が現れた。

形状は神や天使たちの持つ鳥のような翼よりも、蝶の羽に近い。
ガラスのような質感を持ち、さまざまな色に変化し続けている。

デスエン「全能神になって翼まで生えたのか?」

㌧「な、何だあの禍々しい翼は…!?」

デロイ「あんなの見たことないよ…!」

下目「ふふ…無理もない。これは僕の魔力と全能神の力が混ざり合ったことで生まれた、奇跡の産物なんだ」


ズズズズズ…!!


自分の体を包むように下目使いが翼を丸めると、そこに光が集まっていく。

㌦「な、何だこれは…っ!」

ドドン「うおお!!ヤバそうドン!!」

デスエン「何だか分からんが、そう簡単にさせると思うか?」

バッ!

デスエンは腕を振り上げ、ファイターたちに攻撃指令を出す。


ドドドドドドドド!!!!


ズガガガガガガガガ!!!!


ドドォォン!!!


すごい衝撃が起き、玉座の間はみるみるうちに崩壊していく。

が。


シュゥゥ…


周囲に浮いていたハンマーが盾となって、下目使いには一切届いていなかった。

下目「無駄だよ」

デスエン「ファルコン・パンチ」

下目「!?」



ズドォッ!!!!



下目使いの背後からデスエンが放ったファルコン・パンチは、玉座ごと下目使いの腹を貫いた。

一斉攻撃に紛れて、㌦ポッターの空間移動により下目使いの背後に移動していたのだ。

下目「かはっ…!」


769 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/29(日) 20:21:13 06U4URUA00


㌦「や…やった…!」

デスエン「フッ、決め技を用意していたようだが、それがアダとなったな。この俺の前でそんな溜めが必要な技を使うとは」

BJ「意外とあっさりだったナ。力に溺れたカ、下目…」


天才「…違う!やれてねえ!!そいつは…!」

デスエン「!!」


バシュゥッ


デスエンの貫いた下目使いの体が、霧のように消えた。

デスエン「…雑魚1%か…!!」


下目「ははははっ!さぞ良い気分だったろデスエン!雑魚を倒してさぁ!」


下目使いは天蓋の上に浮く玉座に座っていた。

デスエン「あれが本物の玉座か…」

部長「あ、あんな高いところに…!」

黒光「馬鹿と煙は…とか言ってる場合じゃねえかこりゃ」

転校生「俺たちは初めから、下目使いと戦ってすらいなかったというのか…!」

下目「クク…全能神となったこの僕と、同じ場所に立てるとでも思ったのか?」

ゲイ「そうか…そうだったね…君はそういう人だった…自分が全てを見下すためなら、どんな努力も惜しまず、あらゆる手を使って敵を出し抜く…」

内藤「雑魚1%は本来ほとんど喋れない魔物のはず…姿は元々似ているとはいえ、あそこまで自分に似せるためにどれほどの時間をかけて調教したんだ…」

下目「ふふ…いいぞ、もっと褒めなよ。今からでも僕に付けば許してあげないこともないよ。ああ、デスエンに操られてるから無理だったな、ククク…残念だよ」

と、上機嫌な笑みを浮かべた次の瞬間。


ブアッ!!


その背後に再び翼が出現した。

翼には既に、巨大な光が満ちている。

デロイ「なっ!?」

㌧「くっ!撃たせません!」

攻撃を止めようと、㌧とデロイの二人は翼を広げて下目使いに飛びかかる。

が。



下目「終わりだ」


770 : ハイドンピー (ワッチョイ cb90-6ab2) :2019/09/29(日) 20:23:38 06U4URUA00




ドキュゥゥゥゥン!!!!!!




下目使いが丸めた翼を開くと同時に、光が解き放たれた。

㌧「くっ…!!」

波動のように全方位へ広がっていく。

デスエン(これは…ッ!)

デスエンは咄嗟に全員に逃げるよう指示を送るが、間に合わず。


キュィィィン!


逃れるすべは無い。

波動に呑まれた者は光に包まれ。



そこにいた全てのファイターたちはフィギュアと化した。



下目「ふふふ…!ははははは!!はーっはっはっはっは!!デスエン!!初めて見せてもらったよ!お前の本気で焦ったカオ!!」

下目使いは笑いながら、偽の玉座の間に転がるファイターたちのフィギュアを見下す。

下目「歯向かってくる馬鹿な神どもを使って練習した甲斐があったな。全てをフィギュアに変える、最強の技…"OFF波動"…!!」

長い廊下に並んでいた兵士の人形は、下目使いに挑み敗れた神たちだったのだ。


771 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 8789-6ab2) :2019/09/29(日) 20:38:46 CSqcj7W2Sp
タブーの技を使えるのか…マスターハンドさんでも勝てませんねこれは…


772 : ハイドンピー (ワッチョイ 3210-0eda) :2019/10/01(火) 20:40:27 o9nvpGJk00





同じ頃、その廊下では。

勇者たちが未だ魔のパンツと戦っていた。

片割れ「クソ、あのデスエンとかいうヤツ、コイツら押し付けて先に行きよって!」

勇者「でもあと少しです!」

その足元には、力を失いパンツの形に戻った魔のパンツが大量に落ちている。

タバスコ「ふぅっ、あと五人!」

reku「って簡単に言うけど割りときついよ!一人一人がめちゃくちゃ強いし!こっちもかなり体力ギリギリだよ!」

ギル「はぁ…はぁ…あの数をここまで減らせただけでも奇跡ね…」

アントン「はちくんのお陰だよ、うん!ありがとう!」

ブーン!

蜂の突撃により隙を生み出し、そこを仕掛けることで数の不利をなんとか跳ね除けていた。

ドガガガガッ!!

パンツ「グアッ!」

タバスコ「でやぁーっ!」


ズバァッ!!


reku「とぉっ!」


ズドッ!!


アルベ「ハアッ!!」


ドゴォッ!!


パンツ「グワーッ!!」

ドシャァッ!

三人の攻撃が炸裂し。

シュルルル…

パサッ…

また一人、魔のパンツがパンツ形態に戻り、床に落ちる。

勇者「やった!あと四人!」


773 : ハイドンピー (ワッチョイ 3210-0eda) :2019/10/01(火) 20:44:21 o9nvpGJk00

パンツ「ファゥコンキィック!」


ドガッ!!


勇者「がっ!」

ギル「勇者くん!大丈夫!?」

チュンチュン!

勇者に詰め寄る魔のパンツを、ブラスターでギルティースが止める。

片割れ「数が減ったから言うて油断すんなや!敵が弱くなったわけちゃうぞ!」

勇者「は、はい!すみません!」

アントン「はちくん、お願い!」


ブーン!!

ドガガガッ!!


再び蜂たちが突撃し隙を作り。

勇者「よし!今だっ!」


ぽいっ!


ドドォォォン!!!


勇者の投げた爆弾の爆発が魔のパンツに直撃した。

が。

ブアッ!!

パンツ「ハイジョスル!」

勇者「なっ!」

魔のパンツは爆発を抜け、勇者に飛びかかった。

片割れ「ピカチュー!」

バチバチッ!

パンツ「グゴッ…」

勇者に魔のパンツの拳が当たる寸前、片割れの電撃がその動きを止めた。

ギル「はっ!!」


ズダンッ!!


痺れた魔のパンツをギルティースが高く蹴り上げ、天井にぶち当てる。

パンツ「ウ…ガ…」

シュルルル…

ヒラヒラ…

パサッ…

その魔のパンツもパンツ形態へと戻り、舞い落ちた。

勇者「た、助かりました。ありがとうございます…」

片割れ「オウ!気ぃ抜くなや!」

ギル「いいのよ、戦いは助け合いなんだから!さあ、あと三人よ!」

勇者「はい!」

勇者(僕の爆弾じゃ決定打にならないのか…!爆弾に頼りすぎちゃダメだ…もっと僕自身が強くならないと!)


774 : はいどうも名無しです (ササクッテロ 9059-0eda) :2019/10/01(火) 20:53:12 5IQvWYWYSp
そうか、まだユウシオくん達がいたな…
でもこのままでは…


775 : ハイドンピー (ワッチョイ e40f-baa7) :2019/10/02(水) 21:03:38 SkskkXdQ00


妹「ぎゃあああっ!こっちくんな変態!お兄ちゃんあたしも助けてぇぇ!」

勇者「妹さん!」

[自称]妹が魔のパンツに追われていた。

アントン「はちくん!助けてあげて!」

ブーン!

アントンの指示により蜂たちは突撃するが。

パンツ「サセナイ!」
パンツ「オマエタチノウゴキ、ミキッタ!」


ドガガガガガァッ!!


アントン「は、はちくん!!」

他の二人の魔のパンツが立ちふさがり、蜂たちを叩き落とした。

タバスコ「はっ!何だ…?パンツを被ってる…!?」

残った三人の魔のパンツは、よく見るとパンツ形態となった魔のパンツを頭に被っていた。

アルベ「戦闘形態の魔のパンツは仲間のパンツを頭に被ることで、その経験や技術を共有するのだ…!我々もここまでの戦いでかなり手の内を見せてしまっている…我々の動きが全て解析されてしまうぞ…!」

片割れ「なんやて!?」

勇者「そんな強力な能力が…!」

reku「そんなのどうやって倒せばいいんだ…」


妹「ひえぇぇぇ!」

[自称]妹は魔のパンツに追いつかれそうになっていた。

タバスコ「まあとりあえずあの子を助けないと!」

ダッ!!

タバスコは魔のパンツに斬りかかる。

パンツ「ムダダ」


ガキィン!!


魔のパンツは剣を片手で弾き返した。

タバスコ「くっ!」

パンツ「ファゥコン・パァンチ!!」


ズドォッ!!!


タバスコ「ぐあああっ!」

ドガァッ!

タバスコは腹を殴られて吹っ飛び、壁に激突した。


776 : ハイドンピー (ワッチョイ e40f-baa7) :2019/10/02(水) 21:06:16 SkskkXdQ00

妹「お、お兄ちゃんっ!!」

タバスコ「がはっ…くっ…」

タバスコは膝をつき、そこから動くことができない。

reku「まじ…?タバスコくん、僕たちの中じゃたぶん一番強いのに…」

パンツ「オマエタチモ、スグニアアナル」

魔のパンツたちは勇者たちを睨み、じりじりと距離を詰めてくる。

ギル「く…!」

ギルティースたちは思わず後ずさりしそうになる。

が、その前に、勇者が一歩踏み出した。

勇者「これまでの戦い方が通用しないのなら……それを超えるんだ!!」

アントン「勇者くん…!」

片割れ「せや!経験にない動きすりゃコイツらかて反応できへんはずや!」

reku「そうだね…!僕たちの底力を見せつけようじゃないか…!!」

みんな「オォォ!!」



しかし、勇者たちの体力はすでに限界が近い。

加えて魔のパンツたちは先ほどよりも強化されている。

根性だけでどうにかなる問題でもなく。


魔のパンツは勇者たちを蹂躙した。


777 : ハイドンピー (ワッチョイ e40f-baa7) :2019/10/03(木) 20:40:21 89Av41tg00



勇者「ぐぅっ…!」

ドシャァッ!

パンツ「アッケナイモノダ。ココまでヨクタタカッタが、オワリのヨウだな」

勇者たちは全員倒れていた。

片割れ「な…なんか…前より…流暢になってへんか…?」

片割れが倒れたまま言う。

アルベ「ゲホッ…なんという…成長速度だ……や…奴らの能力は…知っていたが…まさかこれ程とは…」

ドガッ!!

アルベ「ぐはっ!?」

魔のパンツがアルベルトの背を踏みつける。

パンツ「マダシャベる余裕がアッタか」

妹「ゴ、ゴリラお兄ちゃ…」

バキッ!!

妹「ぶへっ!」

パンツ「案外シブトイな」

もう一体の魔のパンツが[自称]妹を蹴り飛ばす。

パンツ「ヤハリ首を折ルのがイイのではナイカ」

パンツ「ソウだな。ソウしよう」

パンツ「アア」

三人の魔のパンツたちは勇者たちにトドメを刺すため、それぞれ倒れたファイターたちに近づいていく。

タバスコ(く…動け…僕の体…!!何のためにここまで来たんだ…!!)

タバスコは目の前で仲間が殺されようとしているのを見て立ち上がろうとするが、全く力が入らない。

ザッ…

ザッ…

ザッ…

妹「い、嫌…こ、来ないで…!」

ザッ…

ザッ……

魔のパンツの一人が、[自称]妹の前に到達した。

その首の真上に、脚を高く上げる。

パンツ「死ネ」

魔のパンツはそのまま勢いよく脚を振り下ろす。

タバスコ「動けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


778 : ハイドンピー (ワッチョイ e40f-baa7) :2019/10/03(木) 20:45:16 89Av41tg00



《力を使え、わが息子よ。既にお前の中にある筈だ》



タバスコ「!?」

突如、タバスコの脳内に声が響いた。

次の瞬間。



ズドォォォッ!!!!



妹「………え?」

パンツ「な…に…っ」

脚を振り下ろそうとしていた魔のパンツの体は、遥か遠くの柱にめり込んでいた。

シュルルル…

パサッ…

その魔のパンツはパンツ形態になり床に落ちた。

パンツ「オマエ…一体何をシタ…!」

パンツ「バカな!もうオマエは動ケナイはず…!」

二人の魔のパンツも思わず足を止め、振り返る。


タバスコ「これが…僕なのか…?」


タバスコは自分でも驚いたような顔でそこに立っていた。

妹「タバスコお兄ちゃん…い、今のって…」

シュウゥゥゥ…

片割れ「な、なんや…?周りに…なんか煙みたいなんが…」

《そうだ。それがお前の本来の力だ》

タバスコ「この声……父さん…!?」

煙草《ああ。あの時、お前の肺の中に己の一部を潜めていた。そして今まで、お前に眠る力を解き放つ準備をしていたのだ。そしてそれが今、完了した》

タバスコ「僕に眠る力…?この煙のこと…?」

煙草《そうだ。お前は己の血を引いている。すなわち己と同じ力を秘めているのだ》

タバスコ「でも父さん、煙草を吸い過ぎて自らが煙草と化した…みたいなこと言ってなかったっけ…僕は煙草なんて…」

煙草《己だ。この煙となった己自身が煙草代わりとなって、お前の力を呼び起こしたのだ》

タバスコ「…!」

煙草《その力は絶大だが、自らの身を削る諸刃の剣でもある…だがお前ならば、己以上に使いこなせるだろう…》


reku「だ…誰と喋ってんの…?」

タバスコ「え?この声聞こえないんですか?」

勇者「声?」

煙草《お前の中に潜めたのは己の僅か一部のみだ…最早お前以外の者に己の声は届かん。お前も己の力が薄れていくのを感じているはずだ…もうじきお前の中からも消えるだろう…》

タバスコ「そ、そんな…父さん…!」

煙草《フ…頑張れ息子よ。お前なら世界を救えると…信じて…いる…ぞ…》

そう言い残し、煙草マスターは消滅した。

タバスコ「…父さん…!」

タバスコは自分の中にいた父が消えたのを感じ取り、強く歯を噛み締めた。


779 : ハイドンピー (ワッチョイ e40f-baa7) :2019/10/03(木) 20:51:44 89Av41tg00

パンツ「何だか分カランが、コチラは二人。オマエは一人」

パンツ「少シばかり強クなったところで、勝チ目などナイぞ!」


ダッ!!


二人の魔のパンツが同時に襲いかかる。


スッ…


タバスコ「ありがとう…父さん」

タバスコはその二人の間を通り抜けるようにしてかわした。

パンツ「上手くカワシタか…ダガ…!」

パンツ「…!」

ドサッ

パンツ「エ?」

ドサッ

魔のパンツたちは突然倒れた。

シュルルル…

そのままパンツ形態に戻る。

ギル「な、何が起こったの…!?」

タバスコ「斬りました。この煙草マスターの力で」

reku「斬った…!?」

アルベ「け…剣筋など…全く…見えなかったぞ…」

タバスコ「はい。すれ違いざまに、見えない速さで斬りました。この煙が僕の身体能力をブーストしてくれているんです」

勇者「す…すごい…!」

片割れ「ハハ…コイツ…この窮地で一つ上の次元に行きよった…!」

妹「そ…その煙って…もしかして…あの時の…」

タバスコ「はい。父さんが僕に託してくれたものです…僕はその想いに応えたい。この力で、下目使いを止める…!」

reku「はは…頼もしすぎるよ…」

勇者「い…行きましょう…!」

勇者たちはタバスコの静かなる闘志に当てられて、立ち上がろうとするが。


ガクッ!

勇者「ぐっ…!」

片割れ「クソッタレ…体が言うこと聞かんわ…」

ギル「うぅ…情けない…」

タバスコ「皆さんはここで休んでいてください。僕はこの力に目覚めた影響か、体力も怪我も回復してる…下目使いを倒しに行ってきます」

アントン「そ、そんな…一人で行くの…?いくらタバスコくんでも無茶なんじゃ…」

タバスコ「大丈夫…とは言い切れませんが…それでも、僕たちは元々ヤツを倒すために来たんですから。それに、僕にもこの力がいつまで保つか分からないんです…今、行くしかない」


780 : ハイドンピー (ワッチョイ 2683-baa7) :2019/10/04(金) 20:59:02 XAXaqoP600

アルベ「くっ…この大事な局面で…力になれず…すまない…」

reku「ぼ…僕たちの想いも…君に託す…!勝ってくれ…!」

タバスコ「はい…!」


ダッ!


タバスコは力強く頷いて、下目使いの元へと走り出そうとしたが。


キィィィィッ!


急ブレーキを掛けた。

勇者「ど、どうかしましたか…?」

タバスコ「この音…」

耳をすますと。


ォォォォォ…


叫び声のような音がこだましていた。

妹「な、何…?」

片割れ「この奥に…パンツどもよりもっとヤバい魔物がおるんやないやろな…」

アルベ「あ、ありうる…下目使いは用心深い奴だ…」


ォォォオオオオオ…!


勇者「ち、近づいてきてませんか…?」

タバスコ「安心してください。皆さんは僕が守ります」

タバスコはそう言って剣を構える。


オオオオオオオオ…!!


ギル「え…?いや、この声って…」


ドドン「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」


ギル「ドドン!?」

物凄い勢いでドドンがブッ飛んできていた。

ドドン「あ、危ないドン!どいてくれドーーーーン!!!」

タバスコ「はあっ!」


ボフンッ!!


タバスコは煙のクッションを作り出し、ドドンを受け止めた。

ドドン「た、助かった…ドン…」


781 : ハイドンピー (ワッチョイ 2683-baa7) :2019/10/04(金) 21:06:05 XAXaqoP600

タバスコ「なぜ君が…奥で何があったんです?」

ギル「もしかしてパターソンみたいに下目使いのハンマーで…」

ドドン「違うドン。まあ下目使いに手も足も出なかったのは事実だけドン…」

reku「えぇ…?エルバンくんとか吐き気くんとか…天才くんもいたはずだよね…?」

アルベ「デ…Φデスエンペラー自身も圧倒的な強さを持っているはずだ…妖魔や…ヤミノツルギ…魔界の二大剣士に、綺麗なゲイ…ダーク内藤も…」

ドドン「ああ、それでも全く敵わなかったドン。そして下目使いが最後の技を放とうとした時…」



回想。


ズズズズズ…!!


自分の体を包むように下目使いが翼を丸めると、そこに光が集まっていく。

㌦「な、何だこれは…っ!」

ドドン「うおお!!ヤバそうドン!!」

デスエン「何だか分からんが、そう簡単にさせると思うか?」

バッ!

デスエンは腕を振り上げ、ファイターたちに攻撃指令を出す。


ドドドドドドドド!!!!


ズガガガガガガガガ!!!!


ドドォォン!!!


すごい衝撃が起き、玉座の間はみるみるうちに崩壊していく。



ドドン「はいここドン」

回想に口を挟むドドン。

reku「え?」

ドドン「この"ドドォォン!!!"ってとこで俺が離脱したドン」

ギル「なるほど…危機を察知して自爆したのね…!」

ドドン「いや、普通に戦う気マンマンだったけど、天使の人が撃ったビームが下目使いの盾に弾き返されて、それを天才がリフレクターで反射して、それを赤い剣士の人が盾で弾いたのが、俺の投げようとしてたボム兵にちょうど引火したドン」

タバスコ「そこまで状況見えててなんで避けないんですか…」

ドドン「いやー爆発できると思ったら躊躇っちゃって…でもそれがラッキーだったドン。ブッ飛びながらもなんとか状況を見てたんだけど、その後、すぐに全滅してたんだドン」

勇者「ぜ、全滅…?あの猛者たちが…?」

ドドン「うん。なんかこう、光の波動みたいなので全方向に攻撃して、それを食らった人はみんな人形に変えられてたドン。俺はその時はもうかなり離れてたから攻撃範囲の外だったけドン」

片割れ「に、人形て、その兵士みたいなんか…?」

片割れは廊下の隅に置いてある兵士の人形を指差す。

ドドン「そうそう、こんな感じだったドン!」

ドドンはその人形に近づく。

ずるっ!

ドドン「どわっ!?」

落ちていたパンツで滑り、ズッコケるドドン。

その手が、ちょうど人形の台座の部分に当たった。


782 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:15:50 Fr5JWd3200


すると。


キュィィィン!


タバスコ「光った!?」

ドドン「な、なんだドン!?」


神a「うぅ…い、一体何が…」


人形は色を取り戻し、動き始めた。

妹「ぎゃぁぁ!う、動いたぁ!ゲホッゲホッ!」

神a「な、何だお前たちは…羽も生えていない…下界の民か…?」

シャキン

状況が読めず混乱した神は剣を構える。

アントン「お、落ち着いてください…!この人たちは…敵ではないですよ、うん…!」

神a「お前は確か、下層の神の部下の…」

タバスコ「僕たちは下目使いを倒すために下界から来ました」

神a「下目使い…?そ、そうだ…!あの時我々は…奴を討とうとして…」

ドドン「もしかしてあの波動にやられたのかドン?」

神a「波動…そうだ…奴の放った波動に当たった瞬間、意識が失くなり…!」

アルベ「で…ではまさか…ここにある人形全て…下目使いによって人形にされた神なのか…!?」

神a「人形…?はっ…こ、これは…!」

そこでようやく神は周囲に自分と同じようにフィギュアにされた者たちがいることに気づいた。

タバスコ「どうやらそうみたいですね」

神a「あ、ああ…皆、私とともに下目使いに挑んだ者たちだ…」

ドドン「だとしたら…こうすればもしかして…」

ドドンはさっきのことを思い出し、同じように台座に手を当ててみる。


キュィィィン!


神b「…な、なんだ…?俺は…」

神a「も、戻った…!」

ドドン「おお!上手くいったドン!ここの台座のとこをタッチすれば元に戻るみたいドン!」

タバスコ「分かりました。神様方も手伝ってください」

神a「あ、ああ!」


キュィィィン!

キュィィィン!


タバスコたちは廊下に並ぶ神たちのフィギュア化を解いていった。


783 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:18:27 Fr5JWd3200



数分後。

タバスコ「…これで全員終わりましたかね」

片割れ「おぉ、こんだけの人数おればかなりの戦力になるんとちゃうか…?」

妹「みんな神サマだしね…!」

reku「でも…その波動とかいうのを食らったら…また全滅でしょ?」

タバスコ「ええ。何か策を考えなければいけませんね…」

神a「む…無理だ…奴は全能神の力を持っているのだぞ…!波動など遊びの一つに過ぎん…!そもそものスペックが違いすぎるのだ…!」

ドドン「…確かにそんな感じはしたドン。戦いになってなかったドン」

ギル「そ、そこまでのバケモノなの…?」

アルベ「まあ…冷静に考えれば、妖魔やΦデスエンペラーの魔力をもかき消すほどの魔力…勝ち目はないだろうな…」

ドドン「しかも感知能力で不意打ちも全部バレてたからなドン。㌦さんみたいな空間移動の魔法を使って遠くから攻撃できれば…」

reku「でもあの人ももう人形にされちゃったんでしょ…?」


下目『うん。お前たちもすぐフィギュアにしてやるよ』


みんな「!!?」

突然全員の脳内に念話が送られてきた。

下目『何驚いてんの?ここは僕の城だ。この中でそんな作戦会議なんかして、不用心だなぁ…ククク…』

勇者「し…下目使い…!」

アルベ「全て筒抜けか…!」

下目『ふん、まあどんな作戦を考えようが、僕が負けるわけないけどね』


神たち「はあああああっ!!!」


下目『は?』

突然神たちは、倒れている勇者たちとタバスコ、ドドンを囲み、手をかざして叫んだ。

勇者「な、何を…」


シュンッ


勇者たちは消えた。

神a「下目使い…貴様の思い通りにはさせん…!!」

下目『チッ、下界に逃がしたのか。面倒臭いなぁ…まあいいや。あんな雑魚共、放っておいても問題ない』

神b「余裕でいられるのも今のうちだ…!彼等ならば必ずや貴様を倒す力を付け、再びここへ来る!その時が貴様の最後だ!」

下目『何その根拠の無い自信…もういいよ、お前たちはただの練習台なんだから。OFF波動が完全に使えるようになった今、お前たちは要らない』


ゴゴゴゴゴゴ…!


すると神たちの周囲にいくつものゲートが開かれる。

魔物「グオォォォォ!!」

そして大量の魔物たちが出現した。
全て魔力によって凶暴化し、目が赤く光っている。

神a「くっ…!この数…!ここまでか…!」

神b「後は頼むぞ…下界の戦士たちよ…!」



それから程なくして、抵抗虚しく神たちは魔物たちによって倒された。


784 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:22:43 Fr5JWd3200





下界。

王国の町外れの荒野。


ドサッ!!


勇者「ぐえっ!」

そこに勇者たちは落とされた。

妹「いたたた……こ、ここって…」

アントン「僕たちが天界に行く前にいたとこだよね…?」

片割れ「あ、ああ…あの神様たちが逃がしてくれたようやな…」

reku「つまり…僕たちに世界を託したんだね…」

ギル「でも…どうやって下目使いを倒すって言うの…?」

ドドン「…あ!そう言えば、㌦さんは魔法学校の先生って言ってたドン。もしかしたらそこに空間魔法を使える人がいるかもしれないドン!」

タバスコ「なるほど…魔法学校…そんなのがあるんですね」

勇者「行きましょう!今は一つでも勝つ手がかりが欲しい…!どこにあるんですか?」

ドドン「…さあ?」

ギル「はあ!?」

ドドン「はっはっはっはっ!すまんドン!そこまでは聞いてなかったドン!」

片割れ「いや笑い事ちゃうやろ…」

ドドン「あ、でも㌦さんたちと会った町に行けば何か分かるかもしれないドン。アーウィンでい……」

ギル「…ん?どうしたの?」

ドドン「…アーウィン天界に置いてきちゃったドン」

ギル「えぇ!?何やってんのよアンタ!私のアーウィンじゃこの人数は乗せられないわよ!?」

タバスコ「…いや、皆さんはまず病院へ行ってください。その怪我じゃ戦えないでしょう。ドドンさん、ギルティースさんのアーウィンの操縦をお願いします」

ギル「え!ちょ、ちょっと!二人だけで行く気なの…?」

ドドン「まあ確かにそれがいいかもドン。ギルティース、アーウィンの鍵貸してくれドン」

ギル「で、でも…」

勇者「…ギルティースさん…気持ちは分かるけど…ここは彼らに任せましょう…悔しいけど今の僕たちじゃ、足手まといにしかならない…」

ギル「……分かったわ…ドドン、私のアーウィン爆発させたら許さないんだからね…!必ず手がかりを掴んできて…!」

チャリッ

ギルティースはドドンにアーウィンの鍵を渡した。

ドドン「おう!任せろドン!」

タバスコ「よし、行きましょう!」


ドドンとタバスコはアーウィンで隣国の北の町へと飛び立った。


785 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:24:09 Fr5JWd3200


アントン「行っちゃった…」

勇者「じゃあ、僕たちは町で体を休めましょう…」

アルベ「そうだな…体力こそ大きく削られたものの、幸い皆致命傷は負っていない。一刻も早く、戦線に復帰するためにもな」


勇者たちは傷を癒すべく城下町の病院を訪ねた。



ねこ「あれ、みなさん、なんでここに!?」

勇者「ね、ねこさん!」

病院でねことばったり会った。

ねこ「天界に行ったはずじゃ…」

勇者「それが…かくかくしかじかで…」

ねこ「なるほど…そっか、それで…」

片割れ「なんや、納得したようなカオして」

ねこ「実は崖下で倒れてたポイゾネサスくんを見つけて、酷い怪我で、呼吸も止まってて…急いでこの病院に連れてきたんです。そしたら急にポイゾネサスくんが消えて…」

アルベ「そうか…Φデスエンペラーの力で天界に復活したから、こちらに残った体は消滅したのだな」

reku「でも結局またやられちゃったけどね…」

ねこ「こまったもんです」

妹「あたしたちは今から体の治療に専念して次の戦いに備えるつもりだけど、ねこお兄ちゃんはこれからどうするの?」

ねこ「うーん……戦いに備えて、つよい人を探すとか…?」

reku「強い人…か…天才くんたち以上に強い人なんて存在するのかな…」

アントン「あ!そういえばあの人どこに行ったんだろ!」

妹「どうしたの急に大声出して…あの人って…?」

アントン「ぼ、僕たち、実はとんでもなくつよい人と会ってたんだよ、うん…!」

ギル「もしかしてあの時の白いお爺さんのこと?」

アントン「うん!天界でΦデスエンペラーが復活させた人たちの中に、ケって人がいっぱいいたでしょ?あの群れをぜーんぶ一人でやっつけちゃったんだよ、うん!」

勇者「あ、あの数をたった一人で…!?」

ギル「ええ…それも一瞬でね…私たちもあの時は目を疑ったわよ…」

片割れ「そんなヤツが仲間に入ってくれたら百人力やな!」

ねこ「わかりました!ボクその人を探してきます!」

ギル「たぶん私たちの国にいるはずよ!」

妹「どうせならアーウィンで一緒に乗ってけばよかったね」

ねこ「フフン、ボクはこう見えてもめちゃくちゃ足速いんですよ!まかせてください!」

勇者「お願いします!」


そしてねこはものすごい速さで走っていった。


それから勇者たちは病院で治療を受け、入院することになった。


786 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:28:09 Fr5JWd3200




ドガガッ!

バキィッ!!


勇者「ふぅ…こんなんじゃダメだ…もっと研ぎ澄ませ…!相手の動きを読め…!」

勇者は病院の裏庭の木に大きなタイヤを吊るして特訓していた。


片割れ「何しとんねん、こんなとこで」

勇者「片割れさん…」

妹「まったくもう!お兄ちゃんったら!安静にしてなさいって言われたでしょっ!」

ギル「ほんとよ。今は体を休めなきゃ」

勇者「妹ちゃん、ギルティースさん…す、すみません…じっとしていられなくて…」

reku「そういう君たちこそ、その格好、やる気満々じゃないか」

ギル「う、うるさいわね!」

よく見れば二人とも戦闘時と同じ格好をしていた。

そしてそれは皆同じだった。

アルベ「フ…考えることは同じか」

アントン「このまま足手まといで終わるのなんてイヤだもんね!」

勇者「み、皆さん…!」

片割れ「付き合うで、特訓!」

勇者「はい!よろしくお願いします!」


勇者たちは最後の戦いに向け、特訓を始めた。





第2章 完


787 : はいどうも名無しです (ササクッテロ d71f-0eda) :2019/10/06(日) 21:32:49 zrd7FHucSp
老師が来てくれたら心強いね
戦闘もだが色々と助言してくれそうで強大な戦力になってくれそう

一つ問題があるとすれば、年齢ゆえにスタミナが…


788 : ハイドンピー (ワッチョイ 65bc-0eda) :2019/10/06(日) 21:50:05 Fr5JWd3200
‪というわけで第2章終幕です‬!
ここまで読んでくださった方本当にありがとうございます!
‪書き溜めが全部なくなったので第3章はしばらくお待ちください‬


789 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 10fa-7ba3) :2019/10/07(月) 06:58:11 NcoYq8msMM
おお、まだ続くか!まあ、まだ出てないキャラいっぱいいるしなあ…
今後も楽しみにしてますので頑張って下さい!


790 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 368f-2e5b) :2019/10/22(火) 21:30:49 /9eZ.Zg600
ようやく追いついた
今後の展開楽しみだから支援のドドン


791 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 0b90-0a43) :2019/10/23(水) 12:42:23 cxyZjNRkMM
支援のドドンッ!!


792 : ななし (ワッチョイ 3348-2538) :2019/10/26(土) 14:25:57 xtr8UEbo00
お、追い付いた……
これからの展開に期待!自演


793 : はいどうも名無しです (ワッチョイ e3bf-aed9) :2019/10/27(日) 01:11:37 Pxz.lOF.00
やっと追いついた
大学生と召喚士の関係すこ


794 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fc0-5b65) :2019/10/27(日) 21:19:37 Os/CTfvA00
感想、支援、ありがとうございます。
大変お待たせしました。今日から更新再開します。


795 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fc0-5b65) :2019/10/27(日) 21:28:41 Os/CTfvA00

第3章



どこかの国。

街中には人だかりができていた。

そこではなにかの番組のロケが行われていたようだ。

???「おつかれさまでしたー!」

ピンクボールと緑帽子のピカチュウが元気に挨拶する。

男「いやー!すごい良かったよちょこにゃちゃん!さすが世界的アイドル!」

ちょこ「そんな!ふふっ、まだまだですよ!」

ちょこにゃと呼ばれたピンクボールは照れくさそうに微笑む。

アシ「か、かわいい〜」
カメラマン「か、可憐だ…」
見物人「やばい、目眩がしてきた…」

その一瞬で、周囲の人々はさらに彼女に魅了されていく。

???「ほんと、その場にいるだけで雰囲気が変わるもんなー!やっぱりちょこにゃちゃんはすごいや!」

男「いやいや!バルザードたんもすごい良かったよー!またお願いね!」

バル「そんなことないよぉ。ちょこにゃちゃんに助けられてばっかりで…ぼくももっと頑張らなきゃ!」

バルザードたんと呼ばれるピカチュウはそう言って、がんばるぞいのポーズで奮起する。


???「フッ、そう謙遜しなさんなちょこにゃちゃん、バルザードちゃん」


ちょこ「えっ?」

二人が振り返った先にいたのは、オレンジ色の服を着たキツネ男。

通行人「うお!ナザレンコ!?本物!?スゲー!」

ザワザワ…

それを見るやいなや、更に人だかりは増えていく。

バル「ナザレンコさん!?なんでここに!?」

ナザ「はは、実は今日は俺もこの近くで収録があってな。二人がいるって聞いて寄ってみたんだ」

ちょこ「そうだったんですね!」

ナザ「おう!しかし二人とも大きくなったなー!飴ちゃんいるか?」

バル「いるー!」

ちょこ「もうナザレンコさんったら、わたしもう子供じゃないんですよ!」

ナザ「ハハハ、すまんすまん」

三人の醸し出す和やかな雰囲気はその場にいた人々の表情をやわらげる。


796 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fc0-5b65) :2019/10/27(日) 21:30:53 Os/CTfvA00


ナザ「ところでお二人さん、気づいてるか?この異様な気配…」

ナザレンコは急に真面目なトーンに切り替わる。

ちょこ「はい…ロケ中も実はずっと気になってて…」

バル「ペロペロ…ニュースでやってた、まもの?ってやつなのかな…ペロペロ…」

ナザ「ああ。俺も仕事中で全然気づかなかったんだが、ギル姉から連絡が入っててよ。どうやらエライことになってるみてえだ」

ちょこ「行くんですか…?」

ナザ「おう!モチのロンよ!この大戦に参戦しないとあっちゃぁ戦芸人の名が廃るぜ!」

バル「だったらぼくも…!」

ナザ「おっと、そこまでだぜ。みんなのアイドルを危険な目に合わすわけにゃいかねえ」

ちょこ「で、ですが…」

ナザ「分かってる、二人もファイターだってことはな。だから二人には、そこの雑兵どもから一般の人たちを守るのを頼みたい」

バル「うわ!?」

気づけば、すぐそこに魔物が大量に現れていた。

ちょこ「も、もうこんなにたくさん…!」

ナザ「どうやら別のとこにコイツらの親玉がいるらしいんだ。俺が戦いに行く間、みんなを守るのも大事な役目だ。頼めるか?」

ちょこ「はい!」

バル「モチのロンだよ!」

ナザ「良い返事だ!おっしゃ!そんじゃいっちょ世界救ってきますか!」

ナザレンコは手元の端末のボタンをポチッと押した。
すると。


ゴゴゴゴ…!


どこからかアーウィンが飛んできた。

ダッ!!

ナザレンコは高く跳び上がり、そのままアーウィンに乗り込んだ。

ナザ「芸人一本に絞って早十年…フッ、まさかまたお前に乗る日が来るたあな」

キィィィン…!!

そしてギルティースたちの待つ王国へと発進した。


797 : ななし (ワッチョイ 3bec-03cb) :2019/10/27(日) 22:07:04 xMqOfobM00
ちょこにゃとバルたんキタ━(゚∀゚)━!


798 : はいどうも名無しです (ワッチョイ c80e-383e) :2019/10/28(月) 01:52:27 .G4h3BS.00
ナザレンコの良い人感すき


799 : ハイドンピー (ワッチョイ 84af-0a43) :2019/10/28(月) 20:29:04 z39.SiSg00





魔法学校。

召喚士は机に並べた魔法書に映し出した、天界各地の映像を見ていた。

下層の神殿の様子を映した魔法書に目を向ける。

昼間(く…やはり上層の映像までは映せないか…強力な結界が張られている…㌦とも連絡は取れませんね…)

天使a『誰かに見られてる気がする…』

天使b『何者っすか!?』

昼間(え…バレた!?)

デスエンによって復活した三天使たちも、ファイターたちには及ばないものの強い力の持ち主であり、召喚士の魔力に気付いた。

天使c『逆探知したぞ。一体誰だ?』

昼間「!!」

天使cは召喚士にテレパシーを送ってきた。

昼間「…天使はテレパシーは使えないと聞きましたが…使える方もいるんですね…」

天使c『以前神様に杖を研究させていただいたことがあってな。そんな事よりも、名を名乗れ』

昼間「これは失礼。私は昼間の召喚士と申します。こちらの世界で魔法学校の教師をしている者です」

天使c『昼間の召喚士…下界の腕の立つ魔法使いと聞くが…お前がそうか』

昼間「はい。光栄です」

天使c『それで、なぜ我々を覗き見ていた…?』

昼間「私は今魔法書を使い各所の状況を確認しています。状況の把握すらできていなければ、下目使いに勝つことなどできない…そうでしょう?」

天使c『…全て知っているというわけか』

昼間「はい。聴牌さんによればタイムリミットは明日の朝…ここからは更に慎重にいかなければなりません」

天使c『聴牌…未来予知の天使か。あやつとも交流があるとは…そうだな。確実に下目使いは全能神としての力を使いこなし始めているだろう…我々がこうして解放されているということは、我々を復活させたあのΦデスエンペラーという男がやられたということに他ならん…』

昼間「はい。正直、あの人なら何かしでかすんじゃないかと思いましたが…順当に終わったようですね…あなた方はかなり高い地位の天使みたいですが、上層の様子は見られないのですか?」

天使c『それは不可能だ…神の領域に天使の介入は許されていないし、そもそも下目使いの張った結界で完全にガードされている…』

昼間「やはりそうですか…今現在の下目使いの強さがどれ程のものかだけでも、目で見て確かめておきたかったのですが…」

天使c『ああ…それを見たところで更に絶望感が増すだけのような気もするがな…』

昼間「絶望などしている暇はありません。せっかくこうして念話が繋がっているので、これからは情報を共有しましょう」

天使c『そうだな』

それから二人は情報を交換し合った。


800 : ハイドンピー (ワッチョイ 84af-0a43) :2019/10/28(月) 20:31:15 z39.SiSg00


それぞれが今認識している、戦力となりうる存在はどれくらいいるか。

自分やその戦力が決戦においてどんな役割をこなせるか。

天界南地区では歩く天下無敵が魔物との戦いを繰り返し、順調に魔力を使いこなし始めていること。

召喚士の作戦において、KONDOUISAMIがどのような役割を持っているのか。


…あらかた話し終え。

昼間「…そしてこれも話しておいた方がいいでしょうね…"カギ"について」

天使c『カギ…?』

昼間「Φデスエンペラーの一団から二人のファイターが戦闘不能になり天界の病院にお世話になっていることは話しましたが…もう一人、離脱していることに気づいていますか?」

天使c『ああ。Φデスエンペラーほどの魔力は持っていないし、何か破壊活動をするわけでもなく…気にかけていなかったが…何か問題が?』

昼間「今その純白くんがカギを手にしています。三つの世界を統合すると言われるカギを」

天使c『…い…今何と…?』

昼間「三つの世界を統合するカギです。私が譲り受けたものを、彼が奪い去ったのです。彼は今、西の大きな樹へ向かっています」

天使c『ば…馬鹿な…!そのカギが存在する筈がない…!』

昼間「…え…?」

天使c『天界に伝わる遥か昔の史実だ…正しい歴史を知っている者は今は少ないが…あの生命の樹は、始まりの全能神が自らの命を賭して世界を今の形に保つために生み出した、楔だ…』

昼間「楔…?どういうことです?」

天使c『魔の一族によって崩壊しかけた世界を、始まりの全能神は三つに分かつことで救った筈だった…だが無理やり分かたれた三界はすぐにバランスを失い、再び崩壊の危機を迎えたのだ』

昼間「な…!…私の聞いた話とは違いますね…天界ですら知っている人が少ないのなら仕方ないかもしれませんが…」

天使c『そして始まりの全能神は深い眠りにつくことで、力の全てを、そのバランスを保つためだけに使った…いや、使っている、と言ったほうが正しいか…その眠りを妨げられぬよう、始まりの全能神は自らを多重結界によって厳重に包み込んでいた…それが種子となり、生命の樹が誕生した』

昼間「では…あの樹にはまだその始まりの全能神が眠っているのですか…」

天使c『ああ。だが…始まりの全能神は、外界で全能神の力以外では解決できないような重大な何かが起こった場合を想定し、有事の際にはその結界から自分を目覚めさせるためのカギを用意し、最も信頼していた者に渡していたのだ』

昼間「それは…」

天使c『昨日亡くなられた、全能神様だ。とはいえ当時はまだ人々は天使や神になっていなかった。ある時、生命の樹に果実が宿り始めた。それを食べた者が、翼と力を得た。瞬く間に天界の人々は皆翼を持つようになった』

昼間「そんなことが…天使も元は人間なら、なぜ天使にだけ翼があるのか不思議でしたが…」

天使c『そしてその中でも特に優れた力を持った者は神と呼ばれ、天使たちをまとめた。だが神は存外多く、それをまとめる者が必要だと判断した神たちは、"全能神"の名を借り、代表者を選出する…それが全能神様だったのだ』

昼間「なるほど……ん?しかしそれじゃあ全能神の玉座というのは…?」

天使c『玉座はそれが決まった後、生命の樹から作られたのだ。全能神様自らの手によって。そして玉座に座った瞬間、全能神様は全能神としての御力を得た』

昼間「生命の樹…たしか上層に行くための柱にも使われていると言っていましたね」

天使c『ああ。生命の樹には触れた者の持つ力を無限に倍増させる力があったのだ。全能神様の力は神聖なものだったのに対し、下目使いは正反対の禍々しい魔力を得たのも、このためだろう』

昼間「そうだったんですね…」

天使c『今では力は失われ、実もならず、ただの大樹となっているがな。恐らく役目を終えたのだろう。そうして、あらゆるものが比較にならないほどの強大な力を得た全能神様は、天界を下層と上層に分けたのだ』

昼間「…!世界を二つに分ける…それほどの力を持てば、どんなことが起きても自分が対処できる…最早、世界のバランスを失いかねないカギは…」

天使c『そうだ…その存在は危険でしかなくなった。そして全能神様はカギを完全に消し去ったのだ』


801 : ハイドンピー (ワッチョイ 84af-0a43) :2019/10/28(月) 20:38:40 z39.SiSg00

昼間「…で…では…あのカギは一体…」

天使c『だから分からないのだ…何者かがこの伝説を模して作ったレプリカか…あるいは全くのデタラメかもしれんが…』

昼間「デタラメということはないでしょう…あのカギはたしかに魔道具として機能し、事実、純白くんたちはカギの示すあの生命の樹に向かっている…少なくともなんらかの役割を持っている筈です…」

天使c『危険だな…偽物のカギで結界が解かれることなどないとは思うが…もし万が一、始まりの全能神を目覚めさせるようなことがあれば、世界は再びバランスを失い、崩壊を始めるだろう…』

昼間「早く止めなくてはなりませんね…!」

天使c『我々はもう向かっている。だが、ファイターという者たちは思っていた以上に強い…!我々では足止め程度にしかならないだろう…』

昼間「はい!すぐにこちらの戦力を送ります!」

と、召喚士は後ろを振り返る。

昼間「話は聞いていましたね?皆さん、準備はいいですか?」


レイア「おう!!」


そこには、入院していたはずの灼熱のレイア、卍黒きムッコロズ、バロンムッコロス二等兵、Dr.神様の四人が立っていた。

卍「凄いな。こちらの魔法薬とやらのお陰で完全に本調子だ。いつでも行ける」

バロン「ですね!僕は大した力にはなれないかもしれませんが、全力でサポートしますよ!」

Dr.神様「儂もじゃ。杖が無ければ儂などただの年老いたゴリラ…じゃが、天界、ひいては三界のピンチともなれば、じっとしてなどおれんわ!」

天使c『か、神様!?そこにおられるのですか!?』

Dr.神様「c、心配をかけてすまなかったのう」

昼間「私は聴牌さんから、レイアさんたちが入院していることは聞いていました。魔法書で皆さんの座標を特定し、召喚魔法を使って彼らを魔法学校に召喚…そして魔法薬による治療を行ったのです」

天使c『な、なるほど…!ま、まあ、ご無事で何よりですが……私が今話した話、神様から話されれば良かったのでは…!?』

Dr.神様「すまん。儂もそんな昔話忘れとったわい。テヘペロ」

天使c『えぇ!?』

レイア「おいおい…」

流石のレイアも少し呆れた様子である。

昼間「…で、ではこれから天界のゲートを開きます。準備はすでに整っています。皆さん、こちらへ」

召喚士は少し開けたところへ移動する。

そこには大きな魔法陣が書かれていた。

そして。


昼間「はあっ!」


キュイイイイイン!


バァン!!!!


召喚士が魔力を込め、天界へのゲートが開かれた。


802 : ハイドンピー (ワッチョイ 84af-0a43) :2019/10/29(火) 20:52:09 rkxaUWac00

レイア「よっしゃ行くぜ!」

レイア、ムッコロズ、Dr.神様の順に、ゲートへと飛び込んでいく。

そして最後にバロンムッコロスが通ろうとした時。


バツンッ!!!!


バロン「!?」

昼間「え…!?」

ゲートが突然勢いよく閉じた。

バロン「な、何するんですか!一歩早かったら真っ二つになってましたよ僕!」

昼間「いや私が閉じたわけではありません!こ…これは…!」

召喚士は机のところに戻り、魔法書を確認する。

バロン「ど、どうしたんですか…?」

昼間「て、天界の様子が映せない……くっ…!やられた…!間に合わなかったか…!」

バロン「それってどういう…」

昼間「下目使いがついに、下層にまで結界を張ってしまった…つまりもう私たちは…天界に一切干渉できないということです…」

バロン「えぇ!?」

昼間「くそっ…!こうなったらもうレイアさんたちに賭けるしかありません…!」

召喚士は机を拳で叩く。

と、その時。


バンッ!!


バロン「わっ!?」

部屋の扉が急に開かれた。

入ってきたのは魔法学校の教師だった。

教師「失礼します!召喚士先生!町に怪しいキツネの男と、剣を持った男が…!!」

昼間「キツネ…?」

召喚士は、魔法書で町の様子を確認する。

昼間「彼は…確かΦデスエンペラーと一緒にいた、ドドンとかいう…!そして隣にいるのは、タバスコくん…!?」

バロン「へ?だ、誰ですか?」

昼間「な…なぜ彼らがここに!?上層へ行ったはず…!い、一体何がどうなってるんだ…!!」

色々と背負い込みすぎた召喚士は、もう完全に頭が混乱していた。


803 : ハイドンピー (ワッチョイ 84af-0a43) :2019/10/29(火) 20:55:08 rkxaUWac00

昼間「と、とにかく確かめなければ……ドドンくん!タバスコくん!聞こえますか!?」

召喚士は念話を送る。

ドドン『うお!頭に直接声が聞こえるドン!』

タバスコ『もしかして魔法学校の人ですか?』

昼間「はい…私は昼間の召喚士。㌦ポッターの上司であり、魔法の師でもあります」

ドドン『おおっ!いきなりすごい人きたドン!』

昼間「お二人のことは知っています。魔法書を使って見ていましたから。ゲートを開くのでこちらへ来てください」


ばんっ!


召喚士は魔法学校と繋がるゲートをドドンたちの前に開いた。




ドドン「お、あんたが㌦さんの師匠かドン?」

二人はゲートをくぐり、召喚士たちの前に現れた。

昼間「ええ、よろしくお願いします」

タバスコ「そちらは?」

バロン「あ、僕はバロンムッコロス二等兵といいます!」

バロンムッコロスは敬礼する。

タバスコ「よろしくお願いします」

昼間「早速ですがお聞きしたい。私はずっと天界の様子を見ていましたが、上層の様子だけは、結界によって見ることができなかった…一体何があったのか、教えてくれませんか?」

タバスコ「分かりました。かくかくしかじかで…」


タバスコとドドンは上層での出来事を説明した。


昼間「そ、そんなことが…!」

タバスコ「はい。ですからあなたに協力してほしいんです。空間魔法というのが使えるんですよね?それに、もう一度天界に行くにも魔力を使ってゲートを開くしかありませんし」

昼間「…不可能です…天界に下目使いが結界を張ってしまった。一個人の魔力ではどうあがいても、これを突破することはできません…」

タバスコ「なっ…!」

昼間「…まだ天界に数人のファイターがいることはいますが…君たちの話を聞いた限り、勝ち目は無いでしょう…」


804 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/10/30(水) 20:54:14 2HgsDLkY00

タバスコ「そ…そんな…本当にもうどうすることもできないんですか…?下目使いの力のコントロールはまだ完全ではないんでしょう?」

ドドン「そうドン!俺らも上層で結界を一度破ってるドン!ボム兵なら俺んちにいくらでもあるし、デスエンさんのファルコンパンチにも負けないとお墨付きも貰ってるドン。火力という意味では問題無いはずドン!」

昼間「…目の前に結界があるなら、それも可能かもしれませんが…世界と世界の狭間にある結界にどうやって攻撃するというのです…?」

タバスコ「そ…それは…」

ドドン「気合いドン!!」

バロン「いやいや…」

昼間「もう手段がないのです…こうなってしまっては…」

召喚士は拳を強く握りしめ、うつむく。

タバスコ「そんな…せっかくここまで強くなれたのに…」

タバスコも意気消沈し、力が抜けたように数歩、あとずさる。

ドサッ

バラバラバラッ

高く積み重ねられていた本にぶつかり、散乱した。

タバスコ「わっ、すみません」

昼間「こちらこそすみません、散らかってて…各地の状況を見るため魔法書をいろいろ漁っていたんです…まあ、無駄になってしまいましたが…」

タバスコ「本…」

ドドン「ん?どうしたドン?」

タバスコ「本……本だ…!!」

昼間「魔法書がどうかしましたか?」

タバスコ「暴力委員長が言っていた本って、これのことだったのかもしれない!」

昼間「委員長くん…?あ、もしかして…」

タバスコ「委員長は不思議な本でワープさせられたと言っていました!そんなことができるのはこの魔法書くらいのもの!違いますか!?」

昼間「そ、それは仰る通りです……委員長くんは"マグヌスくんのイタズラ"で、禁断の書と呼ばれる魔法書によって"位置を入れ替えられ"、向こうに飛ばされてしまった。しかし、結界を超えてワープすることなどでき……」

召喚士の口が急に固まる。

タバスコ「…?」


805 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/10/30(水) 20:56:33 2HgsDLkY00


昼間「それだぁぁ!!」


バロン「うわっ!ビックリした!」

タバスコ「あ、あるんですね…!?天界へ行ける魔法書が!」

昼間「そんなものはありません!禁断の書といえど天界にまで干渉できるものなど存在しません!」

タバスコ「えぇ!?」

昼間「しかし、君のお陰で思い出しました!結界を超え天界に干渉する、唯一の方法を!!」

バロン「おお!」

タバスコ「そ、その方法っていうのは…?」

昼間「失敗です!!」

ドドン「どゆことドン!?」

昼間「昨晩、召喚魔法を使おうとした際、マグヌスくんのイタズラで魔法陣がかすれ、失敗したのです!その時、天界の神様が、地上のドクターと位置を入れ替えられて召喚された…!それを応用すれば…!!」

バロン「け、結界を超えられる!?」

タバスコ「しかし失敗した魔法って、つまり偶然なんですよね?もう一度それを起こすことなんてできるんですか?」

昼間「召喚魔法において魔法陣は絶対です!かすれ方一つ違うだけで全く別のことが起きかねない…ですが逆に言えば、完璧に再現すれば全く同じことを起こせるのです!」

ドドン「かすれ方一つって…どうやって再現するドン?」

昼間「校内は常に監視魔法で記録されています。その時の記録を遡り映し出せます!」

タバスコ「なるほど…!」

昼間「ただ再現するだけでは座標のズレで魔法は失敗するでしょう。それを修正し、座標を確定させるため新たな魔法陣を作成します!繊細な作業になるので、他の先生方の協力も仰ぎましょう!」

ドドン「おお!」

バロン「なんかいけそうな気がしてきましたね!」

昼間「時間がありません!早速準備を始めましょう!」

ドドン「んじゃあ俺はできることないし今のうちにうちに戻ってボム兵を補充してくるドン!天界で使い切っちまったドン!」

昼間「分かりました!バロンムッコロスくん、タバスコくんは私の手伝いをお願いします!」

二人「はい!!」


806 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/10/31(木) 21:18:32 KVBH6scc00





一方、天界に行ったレイアたちは。

レイア「おいおい!どうなってんだ召喚士!おーい!」

卍「…応答は無しか。ゲートの閉じ方が不自然だったな」

Dr.神様「恐らく…下目使いが結界を新たに張ったのだろう。儂はもう力を失い感じ取ることもできんが…」

レイア「ってことは、もう俺らだけでやるしかねえってことか!?」

Dr.神様「そうなるな…最早下界から増援が来ることはないと覚悟した方がいいじゃろう。生命の樹へ向かう者たちだけじゃなく、下目使いも儂らが止めるしかない」

卍「我々だけと言っても、天界には歩く天下無敵という切り札がいると召喚士が言っていた。他にもここにいる天使たちの中から戦える者を引き入れられれば、ある程度の戦力は確保できるだろう」

レイア「だな!天使だったらDr.神様が頼めばすぐ仲間になってくれそうだし、俺たちならきっとやれるさ!」

Dr.神様「それはどうじゃろうな…儂は天界ではゴリラであることを隠しておったからな…それにもう杖も無い…儂が神だとも気付かんじゃろう」

レイア「そうなのか!?いや、まあでも事情話せば分かってくれるだろ!天使って良い奴なんだろ?」

Dr.神様「そうじゃな…しかし、そもそもそれで下目使いと戦えるかと言われれば、難しいじゃろうが…」

卍「神ともあろう者がそう弱音を吐くな。我々が諦めない限り、可能性はゼロではないだろう」

Dr.神様「あ、ああ!そうじゃな…!」

レイア「おっし!んじゃまあとりあえず、こんなとこで話しててもしょうがねえ!今はあの生命の樹とやらに向かおうぜ!」

二人「ああ!」


そして三人は生命の樹へ向かった。


807 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/01(金) 20:22:18 6agwuH3I00





生命の樹の麓では。

純白「い、良いのかなこれ…不法侵入だよ…」

大学生「ケケッ、今更何言ってんだこの馬鹿。だったら一人でお留守番でもしてろや」

生命の樹はチンポコメロン家の敷地内に生えているため、純白たちは必然的にその中に侵入していた。

ミカ「あの小屋、あからさまに怪しくねえか?周りに黒服がウジャウジャいるぜ」

マグヌス「わはは!ボクにまかせろ!」

ダダダダダ…!

ミカ「あ、オイこらガキ!」

マグヌスは小屋に向かって突撃した。

大学生「なんであんな馬鹿ガキ連れてきたんだぁ?ドブネズミさんよォ…切り刻んで鍋に突っ込むか」

純白「まあまあ、落ち着いて…」

他三人も仕方なくそれを追った。


マグヌス「マグヌスさんじょう!」

黒服「何者だ!」

チンポコメロン家の黒服天使たちはマグヌスに向け銃を構える。

大学生「安心しろよ怪しい者だがオメーらじゃ相手にならねーから」

スパッ

黒服「なっ…!」

その銃を、大学生は一瞬で全て剣で破壊した。

純白「すみません、小屋に入らせてもらいます」

ミカ「ハッ、ただの銃でオレらを止められるワケねえだろう」


808 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/01(金) 20:26:29 6agwuH3I00


ドガガガガッ!!!


黒服「ぐはぁっ!」

四人は余裕で黒服を全員戦闘不能にし、小屋の中に入る。

純白「お、お邪魔しまーす…」

大学生「あ?ゲート開いてんジャーン。どこに繋がってんだ?オイ吐けよ十秒以内だ」

大学生は剣の切っ先を、ゲートを開いている黒服に向かって突き付ける。

黒服「な、なんだ貴様たちは!?」

ミカ「このよく分からんカギが指してる方に来ただけだ。そしたらここに着いた」

ミカはカギを見せる。

黒服「そ、そのカギは…!わかった、通るがいい…」

大学生「ぬぁーにが通るがいい…だよボケ!天使ってのはそんなに偉えのかぁ?そのハネか?ハネがあると偉えのか?あァ?だったら毟ってやるよ!」

純白「ちょ、落ち着いてよ大学生…通してくれるって言ってんだから」

ミカ「ハッ、いくらなんでもあっさり過ぎやしねえか?罠の可能性も…」

黒服「罠ではない…我々はそのカギがここへ来るのを待っていたのだ」

純白「え?待ってたって…僕ら勝手に来ただけなのに…」

黒服「未来を予知する天使がいるのだ。その天使の予知に従い、ここで待機していた。そして事実、今お前たちがここへ来た。さあ、早く中へ入れ。我らが主、チンポコメロン男爵がお待ちだ」

マグヌス「ブフォッ!チンポコって!すごいバカみたいななまえだな!わはははは!」

純白「ちょ、失礼だよ!」

ミカ「フン、まあ罠だろうが罠じゃなかろうが、どうせオレらをこんな天使どもがどうこうできるワケねえか。入ろうぜ」

味方殺しがゲートを潜ろうとしたその時。


天使c「待てっ!!」

ミカ「あ?」

三天使がそこに到着した。

天使a「チンポコメロンは勘違いしてる。目覚めさせちゃだめ」

純白「目覚めさせる…?一体何を…」

ミカ「ちょっと考えりゃ分かんだろ。全能神の眠る樹に、謎のカギ…要はこのカギを使えばその全能神を目覚めさせられるっつうことだ」

天使c「昔文献で見たものと同じカギ…!馬鹿な…!本物ということはないにせよ…」

天使b「流石に止めなきゃマズイっすね!」

大学生「だから何がマジィんだよ鳥人間どもがよ!」

ダンッ!!

大学生はいきなり三天使に斬りかかった。


809 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/02(土) 21:48:01 latojHPI00


バゴォッ!!!


レイア「ふうっ!なんとか間に合ったぜ!」

そこへ現れたレイアが拳で剣を弾いた。

大学生「あぁ?誰だクソヒゲテメー。ピンクの帽子とか被りやがって気色悪ィ」

レイア「き、気色悪いだとォ!?この燃えるようなピンクの良さが分からねえとは!」

Dr.神様「お、落ち着けレイア!」

純白「どちら様ですか…?」

天使c「か…神様…!」

ミカ「神様ァ?そのゴリラがか?」

マグヌス「ただのゴリラじゃん」

Dr.神様「そうじゃ。今の儂は神としての力も失ったただのゴリラ…何を言われても仕方ないわい」

天使b「そ、そんなことないっす!神様、ゴリラ姿もカッコいいっすよ!」

Dr.神様「お、おぉ、ありがとう…」

ミカ「それで、結局その全能神の眠りを覚まさせることの何が悪いんだ?」

天使c「三界のバランスが失われ、崩壊するのだ…!」

ミカ「はあ?」

大学生「ヒャハハハ!そりゃあいいな!俺だけが壊れてるなんておかしいじゃねーか!なあ!?何もかも壊れちまったら俺だけがイカれたヤツ扱いされずに済むぜサイコーだな!」

レイア「何言ってやがんだ!?世界が壊れたらみんな死んじまうんだぞ!」

純白「…彼らのあの焦りよう、嘘ではなさそうですね…ここは彼らに従いませんか?君たちも死ぬのは嫌でしょ?」

ミカ「あ?何仕切ってんだお前。ここまで来てなんで引き返さなきゃいけねえんだよ」

マグヌス「わはは!びびったか?よわむしめ!」

純白「ええっ!?」


810 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/02(土) 21:50:40 latojHPI00

大学生「ケケケッ、コイツらも大概壊れてんな!とんだ大馬鹿どもだ!残念ながら俺ら三馬鹿トリオにゃ常識なんざ通じねーらしいぜオイ!どうするよ常識人!?」

卍「常識がどうとか以前の問題だろう…狂っている…」

レイア「ま、話が通じねえんなら戦うしかねえな!しゃぁ!来いや!!」

レイアはそう言って戦いの構えをとる。

ミカ「ハッ、たった三人でオレら四人を止められるとでも思ってんのか?」

純白「え!?なんでナチュラルに僕もそっち側に入ってんの!?嫌だよ僕!君たちほど狂えてないよ!?」

ミカ「チッ!これだから常識人は!」

マグヌス「うらぎりもの!」

大学生「ケッ、所詮はマジメなフリしたヤバいヤツのフリした、クソマジメな一般人だからなコイツは。やる気がねーならとっとと帰ってママのパイオツでも吸ってろ」

純白「えぇ!なんで僕が悪者みたいになってるの…」

Dr.神様「いやまあおぬしが召喚士からカギを盗んで来なければこんなことにはなっとらんかったがの…」

純白「うっ…それを言われると…」

卍「フム…彼がこちらにつくなら、四対三になるな。それでもまだ余裕でいられるか?」

天使c「というか我々はもはや数に入ってすらないのだな…」

天使a「実際全く歯が立たないししょうがない…」

マグヌス「ふん、よゆーにきまってるだろ!オマエらなんかボクひとりでもらくしょーだ!」

ミカ「お、言ったな?んじゃあここは任せてオレらはゲートの先を見てくるとするか」

大学生「そうだな。ケケッ、せいぜい頑張れやクソガキ。死んだらどっかの公園の砂場にでも埋めてやるよ」

味方殺したちはそのままゲートへ入っていった。

レイア「なっ!?オイ待て!マジで行くのかよ!?こんなガキ一人置いて!」

レイアは追いかけようとするが。


ズドォッ!!


レイア「ぐおっ!?」

マグヌスのヨーヨーがレイアを吹っ飛ばした。

マグヌス「わははは!とおすわけないだろ、バカなやつだな!」

レイア「コ、コイツ…強えぞ…!」

純白「魔力なしであの二人と張り合ってましたからね…正直あの中でも一番強いかもしれません」

Dr.神様「あんな子供が…」

マグヌス「あたりまえだ!ボクはきりふだなんだからな!」

卍「これは…この人数差でも油断ならないか。真の強者には、付け焼き刃のコンビネーションなど容易く受け流される…」

ムッコロズは下目使いとの戦いでドルコリン♪と同士討ちにさせられたことを思い出す。

レイア「確か純白っつったか!?とにかく俺らで隙作るから、お前がアイツらを止めてくれ!」

純白「わ、分かりました!」


811 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/04(月) 20:26:19 ZlhKU/P.00

マグヌス「ふん!やれるものならやってみろ!」


ドウッ!!!!


ムッコロズはあらかじめチャージしていたチャージショットを放ったが。


ピュゥン!


卍「!!」

マグヌス「きかん!」

マグヌスはサイマグネットによりそれを吸収した。

レイア「どりゃあっ!!」


ギュルルルルッ!!


マグヌス「ふん!」


バゴォッ!!


レイア「ぐあっ!」

回転攻撃を繰り出したレイアも、マグヌスの頭突きにより高く突き上げられる。

Dr.神様「はあっ!!」

マグヌス「とうっ!」


ドガッ!!


Dr.神様「ぐふっ!」

神様もヨーヨーで弾き飛ばされる。

マグヌス「わははは!よわすぎるぞオマエたち!」


ブゥンッ…

マグヌス「むっ!!」

神様の後ろに隠れていたムッコロズが、ロープ状のビームでマグヌスを捕らえた。

卍「やはり子供か。この程度で油断するとは。隙だらけだ。はっ!」


ドゴォ!!


マグヌス「うわぁっ!」

そのまま投げ飛ばし、マグヌスは小屋の壁を破って外に放り出された。


812 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/04(月) 20:32:45 ZlhKU/P.00

卍「行け!」

純白「はい!」

その隙に純白はゲートを潜っていった。

マグヌス「くそ!さんたいいちなんてひきょうだろ!」

レイア「言ってることメチャクチャじゃねえか!」

卍「そう熱くなるな。子供の言うことだ」

レイア「熱くならなきゃ俺じゃねえよ!よーし分かった!だったらサシでやろうじゃねえか!」

卍「な!?」

マグヌス「ふはは!いいどきょうだ!」

レイア「二人も純白を追っていいぜ!コイツの相手は俺がする!」

卍「お前、何を言い出すんだ…」

Dr.神様「勝てるのか?レイア」

レイア「さあな!やってみなきゃ分かんねえさ!だが今はそんなことよりあの二人を止めるのが先だろ!純白一人じゃキツいかもしれねえ!行ってくれ!」

卍「…それもそうだな。ならばここは任せる」

Dr.神様「頼むぞレイア!」

そう言ってムッコロズとDr.神様もゲートを潜り純白を追った。


レイア「さあ来い、マグヌス!」

マグヌス「いくぞ!ださいピンクのオッサン!」

レイア「誰がださいピンクのオッサンだ!!俺はレイアだ!!それにまだ二十代だ!!」

マグヌス「ふん、やっぱりオッサンじゃないか!」

レイア「オッサン…いや、確かにあれくらいのガキから見たら二十代でもオッサンなのか…?…ってどうでもいいわ!!いくぞ!!」


ドガガガガッ!!!!


二人の激しい戦いが始まった。


813 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/05(火) 20:54:39 zG/iq2Sg00





生命の樹内部・種子の間。

ガキィィン!!

大学生「チッ!結局またテメーと斬り合うのかよめんどくせえ!」

純白「しょうがないでしょ!君たちが暴走しすぎなんだよ!」

大学生「当たり前だろバーカ!敷かれたレール通りに進む人生の何が楽しいンですかぁ?!ケケケ!どこまでだって暴走し続けてやるよ!!」

純白「かっこいいなちくしょう!!」

チンポコ「や、やめなさい!こんな狭いところで斬り合いなど…!始まりの全能神に何かあったらどうするのです!」

ミカ「ハッ、この程度でどうにかなる封印なら、カギなんざ要らねえだろ」

チャリッ

チンポコ「そ、そのカギは!そうか、聴牌の予知はやはり当たりましたか…!」

ミカ「しかしこれどうやって使うんだ?どっかにカギ穴でもあんのか?」

味方殺しはカギを片手に、巨大な種子を観察する。

ennjeru「俺たちもそう思って、待ってる間にカギ穴探してたんだけど、どこにも見当たらなくてさ…マジでどうなってんのチンポコメロン」

チンポコ「分かりません…私の使命はこの種子の間を守ること。中に入るのは数年に一度、異常が起きていないか確認する程度でしたから…」

ミカ「チッ、使えねえな」


卍「それなら好都合だ。今のうちに止めさせてもらおう」

そこにムッコロズとDr.神様が入ってきた。

ennjeru「か、神様!?」

Dr.神様「おおennjeru、男爵、無事じゃったか」

チンポコ「え…?神様って…え?」

Dr.神様「ああ、男爵にはこの姿を見せるのは初めてじゃったな…隠しておったが、儂はゴリラだったのじゃ」

チンポコ「そ、そうだったのですね…」

卍「今はそんなことはどうでもいいだろう。味方殺しとやら、そのカギを渡せ」

ミカ「ハッ、渡すかよ馬鹿が。つうかもう三人も通してんじゃねえか…マグヌスは何やってんだか」

大学生「ケケッ、ハナっからクソガキに期待なんざしてねーだろ!」

ミカ「まあな。にしてももう少し足止めくらいはできると思ってたぜ」


814 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/05(火) 20:57:25 zG/iq2Sg00

Dr.神様「残念ながらあやつは今頃レイアとのタイマン勝負に夢中じゃ。子供は気が変わりやすいからのう。おぬしら以上に読めんわい」

ミカ「マジかよ…」

大学生「だから何ッ回も言ったろーがクソドブネズミ…ぐあっ!?」

ズガァッ!!

純白「そんな喋ってると舌噛むよ!さっき三対一でも僕に押されてたの忘れたの!?」

大学生は純白の剣に弾き飛ばされる。

大学生「押されてたァ!?ケケッ!テメーフツーに負けたじゃねーか性格どころか記憶まで改竄する気かよ!?」

純白「いやあの布のせいでしょ!もう同じ手は通用しないよ!」

ガギィン!!

再び二人の剣がぶつかり合う。


ミカ「ハッ、そんじゃこっちも始めるか」

卍「いいだろう。Dr.神様、準備はいいな」

Dr.神様「勿論じゃ!ゴリラのパワーをとくと見よ!」

ズドォッ!!

バギィッ!!

ドガァッ!!


ennjeru「アワワワワ…なんてこった…」

チンポコ「これでは種子には影響は無くとも、この空間自体が崩壊しかねません…!」

ennjeru「こ、この空間って、つまり生命の樹が…?」

チンポコ「そうです…それだけは避けねば…!貴方達!戦うのをおやめなさい!!戦うならば外に出なさい!!」

ennjeru「…………完全に無視だな」

チンポコ「はあ…神様まで…まあこの戦いの最中で外野の声など気にする余裕がないのは分かりますが…」

ennjeru「終わるの待つしかなさそうだぞこりゃ…」

チンポコ「…いや、そもそもなぜ神様たちはカギをあの者たちから奪おうとしている…?始まりの全能神さえ目覚めれば世界は一つになり、そうなれば下目使いの持つ全能神の力も消えるはず…!」

ennjeru「あーたしかに」

チンポコ「まさかカギを使ってはいけないのか…?」

ennjeru「えぇ?それじゃ俺らがここに来た意味が…」


ミカ「ぐあっ!」


ドガァッ!!


チンポコ「ぐほぉっ?!」

ムッコロズの攻撃で吹っ飛んできた味方殺しが、チンポコメロンに激突した。

ennjeru「チ、チンポコメロン!!」

卍「すまない!お前たちは巻き込まれないよう隠れていろ!」

ミカ「チッ、邪魔だ雑魚ども」

ダンッ

味方殺しは一言吐き捨てると、またムッコロズたちに向かっていく。


815 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/05(火) 21:07:52 zG/iq2Sg00

ennjeru「だ、大丈夫か…!?あ、ダメだこりゃ」

チンポコメロンは目を回して気絶していた。

ennjeru「つうか隠れてろって言われても、隠れられる場所なんて……ん?」

ennjeruは味方殺しが何かを落としていったことに気づく。

ennjeru「ってこれカギじゃん!!」

ミカ「あ、落とした」

大学生「何やってんだボケネズミ」

Dr.神様「ennjeru!それを拾ってここから出ろ!こやつらは儂らが食い止める!」

ennjeru「えっ!?あ、りょ、了解です!」

ennjeruはすぐにそのカギを拾う。

すると。


ピカァァァン!!!


ennjeru「うわっ!?何だぁ!?」

突如、カギが光った。

Dr.神様「まさか…天使の力に反応しておるのか…!?」

ミカ「そういうことかよ。魔道具のクセに魔力をどんだけ注ぎ込んでも無反応だったが…魔力と天使の力が交わることでやっと起動するんだな」

ennjeru「い、いや、どうすりゃいいんですかこれ!?」

Dr.神様「とにかく早くここを出るのじゃ!」

ennjeru「は、はいっ!」

大学生「ケケッ、させると思ってんのかよ」

ダッ!!

大学生は標的をennjeruに変え斬りかかるが。


ギャリンッ!!


純白「こっちのセリフだよ!」

それを純白がクローショットで捕らえた。

大学生「あーメンドクセエこれでも食らってろよ」

ポイッ


ボフンッ!!


純白「同じ手は食らわないって言ったでしょ」

純白は爆弾を盾でガードしていた。

大学生「チッ」


そんなこんなで戦いの隙間をなんとか潜り抜け、ennjeruはゲートから出ていった。


816 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/06(水) 23:02:22 cBhDZpHI00




ennjeru「ふぅ…死ぬかと思った…」

???「やあ」

ennjeru「……!?」

???「どうした?驚いた顔をして」

ennjeru「いやアンタ誰!?」

そこには黒いローブを来たガタイのいい男が立っていた。

顔は隠れてよく見えない。

???「知る必要は無い」


ドゴォッ!!!!


ennjeru「うわああああ!」

ennjeruは殴られてブッ飛んでいった。


パシッ

男はennjeruの落としたカギを拾う。

???「ああ…ようやくだ。私の計画がようやく終わりを迎える時が来たのだ」


バンッ!


レイア「オイ!何だてめえ!?」

小屋の外でマグヌスと戦っていたレイアが、異変に気づき駆けつけた。


817 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/06(水) 23:08:42 cBhDZpHI00

???「灼熱のレイアか」

レイア「な!?なんで俺のこと知ってやがる!」

???「フ、驚くほどの事じゃないだろう。お前は魔物退治に東奔西走し名を馳せた、指折りのファイターだ」

レイア「それもそうか!ってんなこたぁどうでもいい!何してやがんだてめえは!」

マグヌス「PKファイヤー!!」

ボウッ!!

レイア「どわっ!?」

マグヌス「なにしてやがるはコッチのセリフだ!ボクとのたたかいのさいちゅうによそみをするとは、シツレーなヤツめ!」

レイア「くっそ!それどころじゃねえんだよ今は!」

マグヌス「しるか!とおっ!!」

バゴォッ!!

レイア「ぐあっ!!ちくしょう!とにかくマグヌスをなんとかしねえと!オイそこの怪しいヤツ!すぐ終わらせるから待ってろよ!逃げんじゃねえぞ!」

???「フ、私がそんなお人好しに見えるか?まあせいぜい頑張るがいいさ」

スゥッ…

レイア「!?な、何だ!?消えやがった!」

マグヌス「じゃまものがきえたか!ボクにおそれをなしたようだな!ふはははは!」

レイア「そういうこっちゃねえ…いやまあどうでもいい!んじゃそろそろ続きといこうか!」

マグヌス「べつにきゅうけいなんかしてないだろ!」

レイア「それもそうだな!!」

タッ!


ドガガガガガッ!!


レイア「どりゃりゃりゃあああっ!!」

マグヌス「うるさーーーい!!こうげきするのにいちいちさけぶな!!」

レイア「叫んだ方が力出るだろーが!!つうかお前も声デケェな!!」


マグヌス「わああああああああああ!!!!」


レイア「うおおおおおおおおおおお!!!!」


そして二人の戦いはなぜか大声対決に発展していく。


818 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/08(金) 20:49:06 jkGFzTM200





その頃、∫アルティライトねこは。

ねこ「はあ…はあ…つかれた…」

元の国にようやく帰り着き、とある村を訪れた。

そこにも他の場所と同様に魔物が現れていたが…


ズギュルルルルル!!!!

ドガァァァァッ!!!!

バギュゥゥゥン!!!!


激しい音と衝撃が辺りに響き渡り、魔物は消滅した。

ねこ「うーん、めちゃくちゃあのヒトっぽい…もはや災害レベル…」

やがて舞い上がった土埃が収まっていき…

その中心に佇むは、一人の老人。

ねこ「白い帽子にヒゲ…!そしてこのつよさ…!まちがいない!すみませんちょっとそこのすごくつよいヒト!」

???「うん?何じゃ?」

ねこ「ボクはねこです。よろしくおねがいします」

???「猫…?蜥蜴に見えるが」

ねこ「ねこっていう名前なんですー!あとトカゲじゃなくて恐竜ですー!」

???「そうか、それはすまぬ。それで何の用じゃ、ねことやら」

ねこ「あの魔物たちをあやつっているボスをたおすのを手伝ってほしいのです」

???「…魔物の親玉の居場所を知っておるのか?」

ねこ「はい。天界というところにいます」

???「ふむ…分かった。ならば共にゆこう」

ねこ「やったー!ありがとうございます!ところでおじいさん、何者ですか?」


819 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/08(金) 20:50:31 jkGFzTM200

???「儂は玄酔楼。武を極みを目指している」

ねこ「か、かっこいい〜!」

玄酔楼「ふ、格好良くなどない。儂にはこれしか無いだけじゃ」

ねこ「し、しぶい〜!」

玄酔楼「……ところでその腰にぶら下げておるのは何じゃ?」

ねこ「あ!そうだ忘れてた!連絡用に、たんまつっていうのをもらってたんでした!片割れさんに電話しないと!」

プルルルルル…

ポチッ

片割れ『オウねこ!』

ねこ「あっ片割れさん!アントンくんたちの言ってたつよいひと、見つけました!」

片割れ『何!?ホンマか!』

ねこ「はい!玄酔楼さんっていうひとです!戦ってるところ見ましたけど、やばいです!どんな敵でも勝てそうなかんじです!」

片割れ『そこまでか!んじゃソイツ連れてきてくれや!頼むで!』

ねこ「わかりま…えー!」

片割れ『えーって何やねん』

ねこ「いやボクここまでめちゃくちゃがんばって走ってきたんですけど…またひきかえすんですか…」

片割れ『しゃーないやろ。バラバラにおったらややこしくなるやろが。せっかくそんな強いヤツ仲間にしても一緒に天界に行けな意味無いで』

ねこ「それはそうですけど…みなさんがこっちにくるっていうのは…」

片割れ『ワシらもだいぶ回復してはきたが、完全とはいかんし、体力は温存しときたい。でもお前なら楽勝やろ』

ねこ「えー!?いやそんな買ってくれてるのは悪い気しないけど!」

片割れ『ほな頼むわ!ほな!』

プツッ

ツーツーツー

ねこ「き、切られちゃった…まあしょうがない!玄酔楼さん、ボクのせなかに乗ってください!みんなのところに行きます!」

玄酔楼「よいのか?」

ねこ「大丈夫です!これでもボクはヨッシーです!昔はひとをせなかに乗せて冒険していたしゅぞくですよ!」

玄酔楼「ヨッシー…聞いた事はあるな。儂の先祖も世話になっておったとか…」

ねこ「おお、じゃあそういう運命なのかもしれないですね!さあさあ!乗ってください!」

玄酔楼「ふむ。ならば失礼しよう」

玄酔楼はねこの背に跨る。

ねこ「しっかりつかまってください!」

ドドドドドドドド…!

そしてねこは再び王国を目指して走り出した。


820 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/09(土) 20:21:55 xBXfvqzs00

が。


キィィィィン!!


その上空を、物凄い速さで何かが追い越して行った。

玄酔楼「何じゃ…?」

ねこ「もしかして、アーウィン!?おーい!…って言っても聞こえるわけないか…」

玄酔楼「仲間か?」

ねこ「たぶんそうです。ドドンくんとタバスコくんがアーウィンに乗ってどこかに行ったって言ってましたから。たぶんドドンくんが操縦してるんだと思うんですけど…でももう見えなくなっちゃいましたね…速すぎです…」

玄酔楼「…いや、十キロ程先で速度を緩めたようじゃぞ」

ねこ「え!?見えるんですか!?」

玄酔楼「ああ。眼は良い方じゃからな。ふむ、今その下の村に降りたな」

ねこ「い、行ってみましょう!」

玄酔楼「ああ」

ドドドドドドドド…!

ねこたちはアーウィンの降りた村を目指した。


821 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/09(土) 20:24:06 xBXfvqzs00





その頃、王国では。

勇者たちは特訓や各自戦闘の準備をしていた。

その休憩中。
ベンチに腰を掛けた勇者ヨシオ、極道の片割れ、ギルティースMkII、アントンの四人。

勇者「例のお爺さん、見つかって良かったですね」

片割れ「せやな。しかしそれでも勝てるかどうかわからん。ワシらも万全にしとかんとな」

ギル「ええ。ドドンたちの方はどうなったのかしら。アーウィンの速さならもう向こうに着いてるハズだけど…連絡ないわね」

アントン「こっちからした方がいいんじゃないかな、うん。あの人すごいテキトーだし…」

ギル「タバスコくんもついてるのよ?さすがに……あぁでもなんかちょっと不安になってきたわ…」

ギルティースは端末を取り出し、ドドンに通信を繋ぐ。

プルルルル… ガチャ

ドドン『もしもしドン』

ギル「あ、ギルティースよ。もう町に着いてるわよね?どう?何か手がかりは見つかった?」

ドドン『応ドン!魔法学校で㌦さんの師匠に会ったドン!協力してくれるそうだドン!すぐには天界に行けないみたいだから、今はうちに帰ってボム兵の補給してるとこドン!』

ギル「え!?」

片割れ「そこまで進展しとるんか…思っきしワシらへの連絡忘れとるやんけ」

ギル「アンタねぇ!どうしていつもいつも…!」

ドドン『あー、すまんドン!忘れてたドン!』

ギル「…はあ…もういいわ。それで、そのお師匠さんの協力って、具体的には?」

ドドン『かくかくしかじかドン』

ドドンは魔法学校で召喚士の話していた通りに説明した。

勇者「なるほど…じゃあその結界を超える魔法陣が完成するまで、僕たちは何もできないんですね…」

ドドン『そゆことドン。だから今のうちにみんなもきっちり準備を整えておくといいドン』

ギル「ちょっと待って、私たちはどうやってその魔法学校に行けばいいの?アーウィンは無いし、普通の乗り物じゃ絶対間に合わないわ」

片割れ「せやな。次の朝がタイムリミットなんやろ?あと数時間しかないで」


822 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/09(土) 20:27:31 xBXfvqzs00

ドドン『召喚士さんが召喚魔法で魔法学校に召喚してくれるドン。…たぶん』

ギル「たぶんって何よ!?」

ドドン『いや、それは聞いてなかったからドン』

ギル「もう…」

ギルティースは頭を抱える。

ドドン『ははは、まあそう焦るなドン。実は魔法学校を出るときに召喚士さんといつでも連絡ができるように、魔法書っていうのを渡されてるドン』

ギル「なにわろてんねーん!!それを早く言わんかー!!」

勇者「ま、まあまあ落ち着いてギルティースさん…」

アントン「片割れさんの口調が移ってるよ…」


ドドン『おーい召喚士さん』

ドドンは魔法書を開き、話しかける。

昼間『はい。ドドンくん、どうしました?』

ドドン『かくかくしかじかドン』

昼間『なるほど、王国に……そうでしたね。慌ただしくてすっかり忘れていました』

片割れ「オイオイ大丈夫なんか…?」

昼間『すみません…』

ドドン『責めないでやってくれドン。この人も裏でめちゃくちゃ頑張ってるんだドン』

片割れ「フン、頑張ったから何やねん。結果出せな意味ないねん!ガッコーとちゃうねんぞ!社会舐めとんのかワレ!」

勇者「ちょ、だから落ち着いて!…それで僕たちはどうすればいいですか?召喚士さん」

昼間『そうですね…召喚魔法をするにも、魔法学校のゲートのあるこの町から離れ過ぎていると、多くの魔力が必要になります。そしてもう私は魔力をかなり失っている…他の先生方の力を借りても、この人数を召喚するとなると難しいでしょう』

ギル「…ってことは、その町に少しでも近づいていた方がいいってことね?」

昼間『はい』

勇者「じゃあすぐに出発しましょう!ありがとうございます!」

昼間『よろしくお願いします』

パタン

ドドンは魔法書を閉じた。

ドドン『そんじゃ、そういうことでドン』

プツッ ツーツーツー…


片割れ「結局ワシらも行かなあかんのか。ねこにも連絡せんとな」

ギル「そうね。すれ違ったら大変だわ」

勇者「僕みんなを呼んできますね!」


823 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/10(日) 20:57:49 MA/U7sQc00



それから七人が集まり、勇者が改めて説明した。

勇者「…というわけで、これから魔法学校のある町へ向かいます。さすがに着くのは無理でしょうけど、少しでも距離を縮めましょう!」

アルベ「そうか。急がねばな」

妹「でもどうやって行くの?車に乗るくらいなら走った方が速いし、新幹線は無さそうだし…やっぱり飛行機?」

reku「飛行機も手続きとか面倒でしょ。ていうかパスポートも無いしさ」

片割れ「パスポートて、今更そんなリアルなとこ気にするんか…」

reku「いやでも無いと乗れないし」

勇者「ていうかじゃあ今僕たち不法入国者なんですね…全然気にしてなかったけど…」

妹「そう言えばギルティースお姉ちゃんたちはどうやってこの国に入ったの?不法入国?」

ギル「私たちフォックスにはパスポートは要らないのよ。アーウィン自体がこの星の全ての国への入出国許可証になってるの」

reku「へー。やっぱり宇宙の平和を守るフォックス族ともなるとそんな特別待遇があるんだね」

ギル「ちなみに一緒に乗ってきたアントンくんは不法入国よ」

アントン「えぇー!?」

reku「まあそもそも星の人じゃないしね」

アルベ「で、どうするんだ?こんな話をしている間にも時間は過ぎているぞ」

勇者「は、走りましょう!全力で!」

片割れ「…ま、しゃーないか」

アントン「脚には自信あるよ、うん!」

妹「あたしも!疲れたら乗せたげるからね、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」

ギル「ふふ、頼もしいわね!」

七人が今まさに走り出そうとしたその直後。


???「待てっ!」


勇者「!?」

バサバサバサ…

片割れ「何や!?ビルの上になんかおるで!」


824 : ハイドンピー (ワッチョイ bcad-9324) :2019/11/10(日) 21:01:19 MA/U7sQc00

???「とうっ!」

ひゅーーー…

しゅたっ!

黄色い帽子と服を纏ったその男は、マントをたなびかせながら颯爽とビルから飛び降り、勇者たちの前に着地した。

???「俺は」バサバサバサバサバサバサ

片割れ「あァ!?なんて!?マントの音がうっさくて聞こえへんわ!」

???「ええい、邪魔だ!」

ブチブチッ!!

ポイッ!

勇者「ち、ちぎり捨てた…!!」

???「俺はヒーロー。この王国を守るため活動している」

reku「何事もなかったかのように名乗った…」

片割れ「ヒーローォ?なんやワレ、不法入国者を捕まえにでも来たんか?」

ヒーロー「いや、大体話は聞かせてもらった。移動手段が欲しいんだろう?」

勇者「あ、はい」

ヒーロー「俺の知り合いにとあるレーサーがいてね」

ギル「レーサー…?あ、そう言えばこの王国ってエフゼロのレースで有名だって…」

妹「も、もしかしてエフゼロのパイロット!?」


ゲン「ハッハッハ!そういうことだ!」


ゴゴゴゴゴゴ…!!


巨大な乗り物と共にゲンが現れた。

勇者「あ、あれがエフゼロマシンですか…!?」

片割れ「へぇ、なかなかカッコええやんけ」

reku「思ったより大きいんだね」


ゲン「俺は[世界第1位]ゲン!!そしてコイツは我が一族に受け継がれし宇宙船!!その名も、ファルコンフライヤー!!」


片割れ「…なんや、エフゼロマシンとちゃうんか…」

reku「エフゼロパイロットなのに宇宙船で登場って…」

ゲン「ハッ!?なんかガッカリされてる!?」

ヒーロー「すまない。俺の紹介の仕方が悪かったんだと思う」


825 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/11(月) 21:56:06 l7eiPs7Y00

ゲン「ハッハッハ!キミたち、何をガッカリすることがある!エフゼロマシンは一人乗りだ!それでは君たちを乗せていけないだろう!だがこのファルコンフライヤーなら、この人数も全員余裕で乗せてやれるぞ!」

勇者「確かに…!」

ギル「乗せてくれるの!?」

ゲン「勿論だ!平和を守るためならば何だってするさ!」

ヒーロー「ヒーローとレーサー、舞台は違えど人々の笑顔を守りたいという目的は同じだ。俺も微力ながら力を貸したい」

勇者「頼もしいです!よろしくお願いします!ヒーローさん!ゲンさん!」

アントン「やったね!仲間は一人でも多い方がいいもんね、うん!」

片割れ「フン。ま、ええやろ。この際選り好みはしてられへんからな」

妹「フフッ、まったくお兄ちゃんったら、素直じゃないんだから!」

片割れ「うっさいわボケ!」


ライム「じゃあ、僕も仲間に入れてもらえますか?」

七人の後ろから話しかけてきたのは、黄色い帽子のネス族。

ヒーロー「ÅライムライトÅじゃないか!もう怪我は大丈夫なのか?」

ライム「はい!ヒーローさんたちこそ、大丈夫ですか?」

ゲン「ハッハッハ!当然!俺たちももう全快さ!」

ゲンは親指を立ててニカっと笑う。

アルベルト「知り合いか?エルバンや天下無敵に似ているが…」

勇者「同じ種族なんですかね?だとしたら、間違いなく強いでしょうね!」

ヒーロー「ああ、この子は強いぞ!はっきり言ってヒーローであるこの俺よりもな。たまに特訓に付き合ってもらってるんだ。本当は俺が稽古をつけてたんだが、すぐに追い抜かれてしまったよ」

片割れ「町のガキより弱いヒーローて…それでええんかヒーロー…」

ヒーロー「ハハ、まあ少し複雑ではあるけどね」

ライム「僕もついていっていいですか?」

勇者「大歓迎ですよ!よろしくお願いしますライムライトくん!」

ライム「ありがとうございます!」

ヒーロー「親御さんにはもう挨拶したのか?」

ライム「はい。お弁当も作ってもらってきましたよ。みなさんの分もあるのでよかったら!」

アントン「わー!ありがとう!」

ギル「最近の子はしっかりしてるわねぇ…どっかのドドンなんて危なっかしくて見てられないくらいなのに…」

reku「おばさんみたいだよ」

ギル「あらやだ…」

ゲン「ハッハッハ!さあみんな乗り込め!全速力で飛ばして行くぞ!」

みんな「オー!!」

こうして勇者たちに三人の仲間が加わり、ファルコンフライヤーで飛び立った。


826 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/12(火) 20:21:36 SS69r.xk00





その頃ドドンは。

ドドン「よしっ!まあこんなもんでいいだろドン!それじゃあ戻るかドン!」

家からボム兵を大量に袋に詰め込み、再びアーウィンに乗り込もうとしていた。

そこへ。

ねこ「おーい!」

ドドドドドドド…

ドドン「ん?」

遠くから玄酔楼を乗せたねこが走ってきた。

キキーッ!

ねこはあっという間に近づくと、ドドンの前でブレーキをかけた。

ねこ「はあっ…はあっ……ド…ドドンくんですよね!」

ドドン「そうドン。あ、もしかしてねこさんドン?ギルティースから聞いてるドン」

ねこ「はい!そしてこちらが玄酔楼さんです」

玄酔楼「うむ、宜しくな。…狐族か…」

ねこ「玄酔楼さん?」

ドドン「フォックスに会ったことあるドン?」

玄酔楼「…大昔の話じゃ。おぬしらに話す程の事でもない」

ドドン「そうかドン」

プルルルル…

ねこ「わ!電話だ。ちょっと失礼しますね」

ポチッ

ねこ「はい、ねこです」

片割れ『おう。さっきああ言っといて悪いんやが、実は、かくかくしかじかでな。お前たちは魔法学校の町に向こうてくれ』

ねこ「えぇ!めちゃくちゃ頑張って走ったのに!」

片割れ『すまんな』

ねこ「まったくもう!でもちょうどよかったです。実は今ドドンくんといっしょにいます」

ドドン「俺がアーウィンで送ってくドン」

片割れ『おおそうか!ほんならよろしゅう頼むわ。ほな!』

プツッ

ドドン「よし、それじゃ二人とも後ろに乗ってくれドン」

ねこ「はい」

玄酔楼「失礼する」

三人はアーウィンに乗り込み、飛び立った。


827 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/12(火) 20:22:27 SS69r.xk00





天界・上層。

全能神殿・玉座の間では。


キュィィィン!


妖魔「はっ!?」

OFF波動でフィギュアとなっていたキング・オブ・妖魔が目覚めた。

下目「よう、妖魔」

妖魔「しっ…下目使い…!」


ドゴォッ!!


妖魔「ぐふっ!?」

下目使いは妖魔の頭にハンマーをぶちかます。

下目「まったく…あんだけ見下しまくってた人間どもには負けるわ、デスエンには操られるわ…」

妖魔「す、済まぬ…!油断していたのだ…!」

下目「謝って済むならケーサツは要らない。…魔界には元々いないけどね。許して欲しかったら下層のゴミどもを始末してこい。鬱陶しいんだよね、アイツら」

妖魔「わ、分かった」

妖魔は下目使いの開いたゲートを通って下層へと降りた。


828 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/13(水) 21:44:42 5BV4IQY.00





下層、北地区。

歩く天下無敵と★グレイトアマゾン★は、魔物たちを相手に戦闘を続けていたが。

魔物「ピギィッ!」


グシャッ!!


ゲートから新たに現れた数十匹の魔物が、一瞬で潰れて消滅した。

歩く「ふぅ…もうこれ以上は意味が無いかもしれませんね…宙を漂う魔力を震動させるだけで、魔物を押し潰せるようになりました」

アマゾン「さすがですね!でもどうするんですか?まものがずっと出てくるから、ここを離れるわけにはいかないし…」

歩く「ゲートを閉じます。魔力で開かれたゲートなら、同じく魔力で閉じる事だって出来るはず…」

アマゾン「なるほど!」

歩く「初めてなので上手くいくかは分かりませんが…天界へのゲートを開いた時の、魔力の流れを思い出して…」

天下無敵はゲートに向けて手をかざす。

歩く「はあっ!!」


ギギギギギ…!


ゲートは僅かに軋むような音を立てるが…

歩く「くっ…出力が足りないか…!」

アマゾン「ぼくのまりょくも使ってください!」

グレイトアマゾンは天下無敵の背中に手を当て、魔力を送り込む。

歩く「アマゾンくん…ありがとうございます…!はあああああっ!!」

アマゾン「はああああっ!!」


バツンッ!!!!


二人の協力により、ゲートは完全に閉じた。


829 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/13(水) 21:46:41 5BV4IQY.00

アマゾン「や、やった!やりましたね無敵さん!」

歩く「はい!ありがとうございます。君がいなければきっとできませんでした」

アマゾン「お礼なんてあせくさいですよ!もうぼくたちは仲間でしょ!?」

歩く「仲間…フフ、そうですね。それでは、この調子で他のゲートも全て閉じてしまいましょう。ここから感じ取れるだけでもあと十箇所はゲートが開かれています」

アマゾン「はい!」

歩く「それと…"汗臭い"ではなく"水臭い"ですよ」

アマゾン「なるほど!さすが無敵さん!」

歩く「……アマゾンくんは戦闘のセンスはずば抜けていますが…もう少し勉強もした方が良いかもしれませんね」

アマゾン「はーい…」

苦笑を浮かべる天下無敵から、アマゾンは目をそらす。

歩く「さあ行きま…」



ズドォォォン!!



歩く「!!」

アマゾン「なんだ!?」

何かが二人の前に落ちてきた。

歩く「こ、この魔力…只者ではない…!」

妖魔「ほう、魔力を感じ取る程度の事は出来るか。名乗ってやろう。我はキング・オブ・妖魔!」

歩く「妖魔…!貴方が…」

妖魔「我が手に直接殺される事を光栄に思うがいい。敗者共!!」


ドゴォォォッ!!!!


妖魔は有無を言わさず拳を振るう。

が。

妖魔「何…?」

歩く「良かった。どうやら僕の力は貴方に通用するレベルまでは達していたようですね」

天下無敵は妖魔の拳を両手でガードしていた。


830 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/14(木) 21:20:41 rk9I/Yg600

妖魔「馬鹿な…我が拳を受け止めただと…?」

アマゾン「すごい!」

歩く「今度はこちらからいかせてもらいます!」


バキッ!!


ヨーヨーを妖魔に叩きつける。

妖魔「フン、効かんな!!」

アマゾン「!!」

歩く「やはりこうなりますか…単純な魔力量の差…まともな攻撃ではダメージを与える事もできませんね…」

妖魔「やはり今のはまぐれか。ならばこのまま力に任せて殴り続ければ容易く綻ぶ!」


ドドドドド!!!!


歩く「確かに僕の魔力では何度も防ぎ続けることはできないでしょう。しかし、防ぎ切れないならば避ければいい」

妖魔「!」

妖魔の連打の先に、天下無敵はいなかった。

アマゾン「無敵さん!ぼくのまりょくを!」

歩く「はい!」

天下無敵とアマゾンは妖魔の背後に回り、技を撃つ準備をしていた。

妖魔「させぬ!!」

歩く「遅い!」


ズドッ!! バキッ!!


妖魔「ぐあっ…!!」

天下無敵の連撃が妖魔を仰け反らせる。

歩く「PKファイヤー!」


ボウッ!!


妖魔「ぐぬぅっ…」


831 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/14(木) 21:23:39 rk9I/Yg600

ガシッ

歩く「はあっ!!」


ブンッ!!


ドゴォォ!!


妖魔を投げ飛ばし、壁に叩きつけた。

アマゾン「やったか!?」

歩く「いえ、まだです…!」

ガラガラ…

瓦礫の下から妖魔が立ち上がる。

妖魔「フゥッ…貴様…この我を投げ飛ばすとは…!!絶対に許さん!!擦り潰してくれる!!」

妖魔は全身に血管を浮かべ、目を充血させて、怒りをあらわにする。

アマゾン「お、怒ったってつよくはならないんだぞ!毎日のじみちな特訓が人をつよくしてくれるんだ!」

歩く「その通り。僕たちには貴方や、エルバンさんのような才能はありません…でも特訓して強くなり、二人で戦えば、貴方にだって勝てる」

妖魔「この魔族の王たる我を貴様等の如き塵と一緒にするな!!!特訓だと!?そんなものは不要!!純然たる力の前には何の意味も為さぬという事を教えてやろう!!!」

アマゾン「っ…」

その迫力に、アマゾンは気圧される。

天下無敵はその背にそっと手を置き。

歩く「大丈夫…君の言った通り、奴は強くなってなどいません。今の僕たち二人が力を合わせれば、勝てない相手ではありません」

アマゾン「は、はい!」

歩く「来ますよ!」


ダッ!!


ドゴォォォォッ!!!!!


妖魔が二人に飛びかかり、両拳を振り下ろす。


ゴゴゴゴゴゴ…!!


アマゾン「ぐうっ…!なんて衝撃だ…!」

二人は間一髪かわしたが、その衝撃により生まれた風に吹き飛ばされる。

妖魔「躱したか…だがそれが何だ!寿命が数秒延びただけだ!!」


832 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/14(木) 21:26:22 rk9I/Yg600

歩く「アマゾンくん!僕を蹴り飛ばしてください!」

アマゾン「はい!」


ガッ!!


ギュオッ!!


妖魔「何!?」

アマゾンの蹴りにより加速し、一瞬で妖魔の懐に入る。

歩く「はあっ!!」


ズドォッ!!!!


妖魔「ゴフッ…!」

天下無敵の頭が妖魔の腹を直撃。

更に。


ドッ!!

ガガッ!!


上への攻撃を重ね、妖魔の体を高く打ち上げた。

妖魔「貴…様…ッ!!」

歩く「これで決める!!アマゾンくん!!」

アマゾン「はいっ!」

ギュルルルルルル…

二人は妖魔の落下点に入ると、ヨーヨーを回転させて力を溜める。

ヒュゥ〜〜〜…

妖魔「クッ…クソ共がァァァ!!」


バゴォォォッ!!!!


同時に振り上げられたヨーヨーが、落ちてきた妖魔を再び突き上げた。

妖魔は一瞬で見えなくなるほどに高く、ブッ飛んでいった。


アマゾン「…や…やりましたね!無敵さん!」

歩く「はい!アマゾンくん、ありがとう!」


833 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/15(金) 20:31:04 2TMYrXfA00


下目『チッ。たった二人で妖魔を倒すとはやるね…』


アマゾン「え!?」

歩く「こ、この声…まさか、下目使いか…?」

下目『正解〜。っつーわけで賞品をあげるよ』

歩く「!?」


バンッ!!!!


アマゾンの足元にゲートが開かれた。

アマゾン「うわっ!!」

歩く「アマゾンくんっ!」

バゴッ!!

アマゾン「ぐえっ!」

ドシャァッ!

落ちそうになったアマゾンを、天下無敵は咄嗟にヨーヨーで弾き飛ばして助けた。

が。


ズズズズズズズ…!!


下目『本当はこんな面倒なことしたくないんだけど、使えない部下ばっかでさ…嫌になるよねまったく』

歩く「ゲートが更に広がっていく…!アマゾンくん、一旦ここを離れましょう!全て呑み込む気だ!!」

アマゾン「はっ、はい!!」

タタタタタタタ…

二人は全速力で走る。

下目『ふふ…逃すわけないだろ?馬鹿か』


834 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/15(金) 20:33:38 2TMYrXfA00


ズズズズズズズ…!!


歩く「くっ…!どこまでゲートを広げる気ですか…!このままでは天界そのものが滅びかねませんよ!」

下目『だったら大人しく落ちればいいだろ?別に僕はどうだっていいんだ。天使どもの住処が消え去ろうがどうしようが、僕がすべてを見下すことさえできればね』

ガッ!

アマゾン「うわ!」

ズシャッ!

アマゾンがつまずき転ぶ。

歩く「アマゾンくん!」

天下無敵も立ち止まりアマゾンに手を差し伸べる。


ズズズズズズズ!!!


歩く「くっ…!間に合わない…!!」

アマゾン「くそー!!無敵さんだけでもにげて!!」

歩く「そんな訳には…くっ!!」

二人が諦めかけたその時。



???「イヤッハーーッ!!」



歩く「!?」

アマゾン「!?」

下目『…は?』


835 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/15(金) 20:38:33 2TMYrXfA00

突如、叫び声とともに、ゲートの中から何かが飛び出してきた。

シュタッ!

そしてその一人と一匹はゲートの外に着地した。

歩く「貴方は…!」

緑の恐竜に乗った、緑の帽子の男。


チェマ「待たせたな野郎ども!!地上最強のチェマ、復活だァ!!」


ケ「フンフン」


歩く「チェマさん!?」

アマゾン「お、おまえは…!」

チェマ「リアクションは後だ!掴まれ!」

歩く「は、はい!」

ガシッ!!ガシッ!!

チェマは二人の腕を掴む。

チェマ「ケ!全力ダッシュだ!」

ケ「フンフンフン!」


ドドドドドドドド!!


そのままゲートから一気に離れていく。


下目『なんで"最果て"に繋げたゲートから人間が出てくるんだよ…』


836 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/17(日) 20:27:39 XseySWcY00




数時間前、魔界・最果て。

チェマを残したまま、地上へのゲートが閉じた直後。

チェマはそのまま溶岩へと落ちていったが。

チェマ「無事にあのゴリラは戻れたか…だが俺もこんなとこで死ぬわけにゃいかねえ!」

チェマはすぐに体勢を立て直す。

チェマ「いけるか…!?」

タンッ! タンッ!

チェマは崩れていく足場を飛び移っていき。

チェマ「よし!あそこだ!」

ダッ!!

安定した足場を見つけ手を伸ばすが。

チェマ「クソッ!届かねえっ!」


ぺろんっ


チェマ「!?」

突如チェマの視界が真っ暗になった。


837 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/17(日) 20:31:06 XseySWcY00

チェマ「な、何だ!?何かに呑みこまれた!?クソッ、出しやがれ!!」


バコォッ!


チェマが暴れると、あっさりそれは砕けて、外に出られた。

チェマ「…な、何だ…?タマゴの殻か?これ」

周りに散らばった破片を拾い、訝しげに見つめる。


ケ「フンス」


チェマ「どわっ!?何だてめえ!?」

振り返るとそこにはケがいた。

ヤミノツルギに操られ天才をこちらへ連れてきた後、ケは地上に戻れず取り残されていたのだ。

チェマ「おい聞いてんのか?何モンだよてめえは!」

ケ「ケケケ」

チェマ「何笑ってやがる!」

ケ「ケ」

チェマ「…喋れねえのか?ケって名前なのか?チッ、どっちにしろ意思疎通はできなさそうな野郎だな…しかしコイツのお陰で助かったみてえだし、一応礼は言っとくぜ。ありがとよ」

ケ「フンフン」


ぺろんっ

バコッ!


チェマ「何だよ!食うな!タマゴにすんな!つうかどういう仕組みだよコレ!」

ケ「フンフン」




現在。

チェマ「…とまあこんなことがあってな。命は助かったんだが、地上に戻ることもできず閉じ込められてたんだ。そしたらいきなり上にデケェゲートが開いて、お前らの声がしたもんだから、こうして出てきたってワケよ」

歩く「なるほど…このケさんはどうやって操っているんですか?」

チェマ「操る?なーに言ってやがる。俺らは魔界にいる間ヒマだったから二人でずっとケンカしてたのさ」

歩く「ケンカ!?」


838 : ハイドンピー (ワッチョイ 77b7-9f47) :2019/11/17(日) 20:33:17 XseySWcY00

チェマ「おう。一度やりあえばもうダチだろ」

アマゾン「そ、そうなのか?」

チェマ「そうだよ。つまり俺とおめえもダチっつーことだな」

アマゾン「そうなのか!」

ケ「フンフンフン」

チェマ「ハハハ!まあコイツとは相変わらず意思疎通はできねえがな!」

歩く(争いはできるだけ避けて生きてきましたが…こういう人もいるんだな…)

下目『要はヤミの適当な仕事のせいか…まったく…本当に無能な部下を持つと苦労するな』


ズズズズズズ…!!


チェマ「チッ!どこまで追いかけてくる気だ!またあの何も無えトコに戻んのはゴメンだぜ!」

アマゾン「無敵さん!ぼくたちでこのゲートをとじましょう!」

歩く「…この勢いで拡大し続けるゲートを閉じるのは難しいかもしれませんが…何もしないよりマシですね。アマゾンくん、力を貸してください」

アマゾン「はい!」

アマゾンは天下無敵の右手を握り、魔力を送り込む。

そして天下無敵は左手をゲートにかざす。

歩く「はあああっ!!」


ズズズズズズズ…


下目『ハハハハ!無駄無駄。全能神の力に、たかが人間一人や二人の魔力で対抗できるわけないでしょ』

歩く「くっ…!」

チェマ「全く効いてねえな…ケ、三人乗せて走んのキツいだろうが、もうちょい飛ばしてくれ!」

ケ「フンフンフン!」

ドドドドドドドド!!

三人はケに乗り、ただひたすらにゲートから逃げることしかできなかった。


839 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/19(火) 21:27:45 hV7/SO7U00





その頃、種子の間では。

ミカ「はあ…はあ…何なんだよお前ら。もう目的のカギは手に入れたんだろ」

卍「ここで止めておかなければお前たちは追いに行くだろう。そうはさせない」

ミカ「ハッ、めんどくせえヤツらだ」


Dr.神様(…なんじゃ…?この妙な胸騒ぎは…神としての本能が何かを知らせている…?)

卍「どうした、Dr.神様」

Dr.神様「いや…何か嫌な予感がする…」

ミカ「何よそ見してやがる!」


バチバチッ!!


Dr.神様「ぐああっ!」

ミカ「まずは一匹!デガワァ!!」

シーーン…

ミカ「チッ、ここじゃ狭すぎてかみなりは使えねえか」

大学生「ケケッ、言葉が喋れても所詮ネズミはネズミの知能しかねーんだな!」

ミカ「ハッ、お前もヒトのこと言えねえだろ。いつまでソイツと戦ってやがる。こっちは二人相手にしてんだぞ」

大学生「そりゃご苦労様でぇーす!人間は人間、人外は人外同士でちょうどいいだろ!」

ミカ「ヘッ、口の減らねえヤツだぜ」


840 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/19(火) 21:30:25 hV7/SO7U00


ガキィン!!


大学生と純白の剣がぶつかり合う。

純白「またベラベラと…!大学生、やる気ないならもう戦うのやめない!?」

大学生「あぁ〜?テメーが斬りかかってくるからしょうがなく相手してやってんだろ?ケケケ」

純白「そ、それは確かに…でもそうしなきゃカギを追うでしょ!僕は世界が滅ぶとこなんか見たくない!」

大学生「ケケッ、知るかバーカ!」

純白「この先やりたいことはいっぱいあるんだ!その未来を奪われるなんてゴメンだよ!」

大学生「知るか!っつってんだろ!」


ガガガガッ!!!


大学生は連続斬りで純白を追い込んでいく。

純白「くっ…!でも君は僕を追って天界まで来てくれたじゃないか!」

大学生「は?言ったろ、借りを返しただけだ。もはやテメーにゃ何の興味もねーし最高に気色悪ィな」

純白「僕はそれでも君と一緒にいたいんだよ!そしていつかは友達になりたい!それもこの先やりたいことの一つだ!」

大学生「トモダチぃ?ブフッ!!ギャハハハハ!!テメーみたいなマトモなヤツが壊れた俺とトモダチになりたい?テメーもついに狂ったか?」

純白「さあね!でも別に今に始まったことじゃないよ!ずっと思ってたことさ!じゃなきゃ何年も問題起こしまくる大学生の面倒なんか見ないよ!」

大学生「ケケケケッ!そーかそーか、見下しながらもトモダチにもなりたかったと」

純白「そうだよ!だから君の前でも良いヤツを演じてた!ずっと!嫌われたくなかったからだ!全部見透かされてたけどね!」

大学生「ケケッ、トモダチになりてーってヤツに何を打ち明けてんだよバーカ」

純白「君にウソなんか通用しないって分かったからだよ…!だからもう、ウソなんかつかない…!全部本心だ…!」

大学生「…」

大学生の剣が止まった。

純白「大学生…」

大学生「……あーもういいや。飽きた。別にカギとか元々どーでもよかったしな俺は」

純白「大学生…!」


ミカ「うおい!!ってことはオレ一人対全員になんのか!?これ!!」


841 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/20(水) 21:15:21 xIvis6/Q00


???「そんな必要は無いさ。カギなら此処にある」


ミカ「!?」

卍「何!?」

Dr.神様「誰じゃ!?どこに隠れておる!」

???「此処だ」

ザッ…

種子の上に、ローブを纏った何者かが立っていた。

純白「い、いつの間に…!っていうか今透明になってませんでした!?」

卍「光学迷彩か…?」

ミカ「魔力も感じなかったぜ…そんなチャチなモンじゃねえよありゃ」

???「フ、どうした?カギは此処にあると言っているんだ。止めなくていいのかい?」

Dr.神様「!!」

卍「言われずともそのつもりだ」


ドウッ!!!!


???「ぐはあっ!!」

不意打ち気味に放ったムッコロズのチャージショットが、ローブの男を種子の上から吹っ飛ばした。

大学生「あ?普通にやられてんじゃねーか。ケケッ…」

???「く…予想外だった…攻撃される寸前にカギを起動して嫌がらせしようと思っていたのに…」

シュルッ… バサッ

ローブが剥がれ落ちる。

ミカ「…お…お前は…!」


842 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/20(水) 21:17:15 xIvis6/Q00

エロマス「…やあ、味方殺し…久しぶりだな」


その正体は、赤毛のゴリラ…エロ過ぎるマスターであった。

ミカ「あの時の依頼者…!!」

純白「依頼って…真の歴史を研究する組織に潜入したっていうアレのことですか…?」

ミカ「あァ…テメエ情報屋じゃなかったか?何でこんなとこにいやがる…」

エロマス「勿論このカギを使うためさ。全て私の計画通り」

Dr.神様「け、計画じゃと?おぬし何を企んでおる…!!」

エロマス「味方殺し、君があの時奪ってきてくれたデータを元に、このカギを開発したのさ」

卍「喋っているところ悪いが…」

ダッ!!

ムッコロズはエロマスに一瞬で近づき。

ブンッ!!

アームキャノンを叩きつける。

スゥッ…

しかしエロマスは再び消え、攻撃は空を切った。

卍「!!馬鹿な…」

Dr.神様「透明になったからと言って避けられるスピードではなかったぞ…まさか奴は…!」

エロマス「フ、その通り…このローブは私が開発した"ミニ異空間転送装置"だ。透明になるのではなく、小さな別の空間に移動する。どんな攻撃も通らないというわけだ。勿論こちらからはそちらを見えるようになっているがね」

純白「だから魔力すら感じなかったのか…!」

大学生「ケケッ、ゴリラのクセに発明家かよ」

エロマス「フ、そこにゴリラのクセに神を名乗るヤツもいるじゃないか。まあ、見ているといい…これからもっと面白いものを見せてやる」


ピキィィィン!!


エロマスは再び種子の上に姿を現し、光るカギを取り出した。


843 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/21(木) 20:18:27 67n1prU.00

純白「何をするつもりか知らないけど…思い通りにはさせない!とぅっ!!」

ブンッ!

ブーメランを投げるが。

エロマス「ふんっ!!」



ドォォォォン!!!!!



純白「うわっ!?」

カギがとてつもない光と爆風を放ち、はじき返される。


ドドドドドドドド…!!


Dr.神様「セ…生命の樹全体が震動しておる…っ!な、何じゃこりゃあ!」

卍「始まりの全能神とやらの封印を解いたのか…!?」

純白「そ、それじゃあこの揺れは…世界が滅ぶ前兆!?」

エロマス「ハハハハハハハハハ!!世界を滅ぼすだって!?私がそんな何の意味もないことをすると思うか!!」

ミカ「違うのかよ。じゃあ何なんだよそのカギは…」

エロマス「すぐに…分かるさ!!」



ズオォッ!!!!



純白「くっ…!!」

光が更に強まり、種子の間は完全に光に包まれた。


ヒュゥゥ…


そして徐々に、光と揺れが収まっていく。

Dr.神様「な…何が起きたんじゃ…」


844 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/21(木) 20:21:16 67n1prU.00

純白「!!」

ミカ「な…!!」

卍「何だ…!このエネルギー反応は…!!」



エロマス「どうだ?見違えたろう?」



そこには変わらず種子の上に立つエロマスがいた。

Dr.神様「…な…何も変わっとらんように見えるが…」

ミカ「はぁ!?馬鹿かテメエは!分からないのかこの異様な力が!」

Dr.神様「な、何!?」

純白「だ、ダメだ…これ絶対ヤバイヤツだよ…」

純白は震えて後ずさる。

卍「貴様…何をした…!!」

大学生「ケケッ、奪ったんだろ、始まりの全能神サマの力をよ」

エロマス「ご名答。このカギは始まりの全能神の封印を解くのではなく、その力を抽出するためのものだ。分かるかい?つまり私は今…全能神になったんだ」

Dr.神様「……!!」

純白「そ、そんなことが可能なのか…!?」

卍「だがそうでなければ説明がつかない…このエネルギーは…」

ミカ「ハッ、でもそれじゃあ結局世界は滅ぶんじゃねえのか?お前に力が渡ったってことは、始まりの全能神の力は失われたんだろ」

エロマス「またまたご名答だ。だがさっき言った通り、私は世界を滅ぼすなどと馬鹿げた事は考えていないさ」

大学生「ケケケ…こんなことやってる時点で馬鹿げまくりだろバーカ。結局何がしてーんだよテメーは」


845 : はいどうも名無しです (アウアウ eeff-910f) :2019/11/21(木) 23:53:41 2ASVioB.Sa
エロマスが大物感出してるの草


846 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/23(土) 21:04:38 XTOC8I5o00

エロマス「フ、私の目的はただ一つ…君たちには理解できないだろうがね…」

Dr.神様(薄ら笑いを浮かべてはおるが…よく見ればあやつの目…なんという暗い目をしておるんじゃ…!過去に余程の出来事があったのか…?だとすれば目的は復讐か…それとも…)

ミカ(あんな表情はオレら殺し屋界隈でもなかなか見ねえ闇の深さだぜ…相当ヤベエこと企んでやがるな…)

純白(くそっ…震えが止まらない…アイツの放つ絶大な力…いや、それ以上に、これからアイツが為そうとしてることを想像してしまってるのか…?恐怖なんて感覚じゃない…これは…生物としての本能…!)

卍(奴は危険すぎる…!或いは下目使い以上に厄介な男かもしれない…力を使いこなし始める前に、絶対に止めなくては…!!)

エロマス「私の目的…それは…」

バッ!!

エロマスは大きく両腕を広げて、言う。



エロマス「私の大好きな女の子だけを集めた、ハーレムワールドを創り上げる事だ!!」



シーーーン…



大学生「ケケッ、そんなこったろーと思ったぜ」

ミカ「…は?」

Dr.神様「い、今なんと…?」

純白「ほ、本気で言ってるのか…?」

エロマス「フ、予想通りの反応だな。やはりこの崇高なる目的を理解する事はできないか」

卍「ふざけるな!」


847 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/23(土) 21:05:40 XTOC8I5o00

エロマス「ハハハハハ!!ふざけてなどいないさ!エロは偉大だ!いつだって人々はエロの為に進歩してきたのだ!エロが無ければ生物は子孫を残す事すらできないだろう!全ての生物はエロの為に生きていると言ってもいい!」

大学生「ケケッ、何を大声で語ってんだゴリラ思春期のガキじゃあるめーし。と思ったがそりゃそーか、サルみてーなモンだしなゴリラ」

エロマス「そうは言うが、男なら誰だって一度は妄想する筈さ。君たちは思った事はないのか?ハーレムを築きたいと」

卍「…そうなのか?」

ムッコロズは男性陣のほうをチラッと見る。

純白「そ、そりゃあるかもしれませんが、そんなの子供の妄想ですよ!実際にやろうなんてとんでもない!」

ミカ「ハッ、あるのかよ。オレはないけど」

Dr.神様「儂もない」

純白「えぇ!?」

大学生「ケケッ、きっちり録音しといたぜ」

純白「何してんの!?」

卍「…どうやらやはりお前の考えは異端のようだぞ、エロ過ぎるマスターとやら」

エロマス「フ、まあいいさ。とにかく私は早速、新世界創造の準備に移る」

ミカ「かっこよく言うな」

エロマス「さらばだ諸君…もう二度と会う事はないだろう」

Dr.神様「なっ…!待て!世界を滅ぼす気はないのではなかったのか!?このままでは…!」

エロマス「ああ、その心配は無い。面倒だから再び世界を一つに纏める事にした。世界が滅べば女の子も居なくなってしまうからな。これからは三界ではなく、私の創る新世界と君たちの住む普通の世界、二界となるわけだ。フフフ…ハーッハッハッハッハッ!!」


ヒュゥッ…


高笑いしながらエロマスはどこかへ消えて行った。


848 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/24(日) 20:45:59 rV6VnsRc00


ミカ「なんつー野郎だ」

大学生「阿保すぎる」

Dr.神様「まさかエロの為だけにこれほどの事をしでかす輩がおるとは…」

卍「しかしどうなったんだ…?全能神の力を奴が手に入れたとなると、下目使いの力は消えたのか?」

純白「いや、まだ普通に魔力を感じます…今全能神は二人いるってことになりますね…」

ミカ「しかも両方ともロクでもねえ野郎だ。どうするよコレ」

大学生「ケケッ、テメーが言うか。何しれっと仲間に混ざろうとしてんだぁ?」

純白「まあまあ…今はそれどころじゃないよ…ていうか大学生もどっちかというとそっち側…」

Dr.神様「しかし、世界を一つに、か…確かに崩壊は止められるかも知れぬが…」

純白「天界も魔界も全部混ざり合うってことになりますからね…魔物たちが人々を襲うのは目に見えてる…」

卍「それを防ぐために始まりの全能神は世界を分けたというのに…たった一人の男の欲望の為に世界が混沌に陥れられるなど、到底許せるものじゃない」

ミカ「つってもオレらに打つ手なんか残ってねえだろ」

卍「それは…」


ゴゴゴゴゴゴ……


Dr.神様「!! こ、この揺れは…」

卍「まさかもう始まったのか…?世界の統一が…!」


???「いや、これはバランスを失った世界が、崩れようとしているんだ」


みんな「!?」

突然現れた少年の声に、全員が一斉に振り返る。

そこには赤い帽子のネス族がいた。

大学生「あぁん?何だこのガキムカつくツラしてんなァオイ。どっかのクソガキを思い出して斬りそうになるわ」

純白「こらこら…君は…?」

???「ぼ……余は、お前たちが始まりの全能神と呼んでいるものだ」

Dr.神様「!! ご無礼を…!」

バッ…

Dr.神様は膝をつき、こうべを垂れる。

???「よい。今は余もお前と同じ…力を失った身だ」


849 : ハイドンピー (ワッチョイ bdf4-b846) :2019/11/24(日) 20:46:52 rV6VnsRc00

ミカ「ハッ、なるほどな。力を奪われたってことは結界張る力も無くなったってことだ。だから封印が解けて目覚めたんだな?」

???「そうだ」

卍「始まりの全能神…こんな子供が…」

???「余がPSIの極地に至り、全能神の力を手にしてからは、姿は変わらなくなった。とうに百歳は超えている。眠りにつく前の時点でな」

純白「始まりの全能神さん…全能神の力を取り戻す方法は無いんでしょうか?」

???「…無くはない。が、相手に近づく必要がある。現実的ではないだろうな」

純白「そうですか…」

大学生「使えねーな。つうかいちいち始まりの全能神って呼ぶのもダルすぎるわ名前なげーんじゃボケ」

ミカ「お前名前で呼ばねえじゃねえか」

???「…ぼくは…いや、余のことは、そうだな…この生命の樹の主、SEFIROSUとでも呼ぶがいい」

純白「SEFIROSUさん、ですね。よろしくお願いします」

SEFI「ああ」

ミカ「…つうかさっきからなんで無理して余とか言ってんだ。別にかっこよくねえぞ」

SEFI「あやつが逝ったようだからな。余はあやつのように威厳を保たねばならん。それだけだ」

純白「あやつ?」

Dr.神様「前全能神様の事でしょうか」

SEFI「ああ。余がまだ子供だった頃、かつての世界で、あやつと共に旅を……よそう、昔話などしている場合ではなかったな」

大学生「あー興味もねーしな」

Dr.神様「いやそんなことはありませぬが…しかしこれからどうしたものか…」

卍「とりあえずいつまでもここにいても仕方ない。一度外に出よう」

純白「そうですね」

Dr.神様は倒れているチンポコメロンを抱え上げ。

七人はゲートをくぐり、種子の間を後にした。


850 : ハイドンピー (ワッチョイ 8a7d-eb03) :2019/11/26(火) 20:41:09 brN5KR4w00





その頃、天界・上層では。

玉座の間にて、全能神となった二人が対峙していた。

下目「何しに来た?」

エロマス「なに、同じ全能神として一言挨拶をと思ってね。フフフ…」

下目「挨拶…?結界を破って部下の魔物も全滅させておいて、よく言えたな。まああれくらいすぐ補充できるけど」

エロマス「おや、これは失礼。ここへ入る時何かピリッとしたが、あれは結界だったのか。ゴムのように薄っぺらで気づかなかったよ。向かって来たのは虫かと思って善意で掃除しておいたが、部下だったとは申し訳ない」

下目「お前…まあいい。さっさと要件を話しなよ」

エロマス「フ、君も聞いていたんだろう?私の大いなる目的。どうだい?共に新世界へ行かないか?」

下目「気色悪いし、興味も無い」

エロマス「フ、私は君に感謝しているんだがね。君たち魔の一族が地上や天界に攻めてきたお陰で、計画が実行に移せたのだから」

下目「くだらないな。まずその僕と対等みたいな話し方をやめろ。お前と一緒にするな」

エロマス「酷い言い草じゃないか。私も君と同じ力を持っているというのに」

下目「悪いけど僕はもうほとんど力を使いこなせるんだ。力を手に入れたばっかのお前とはレベルが違う」

エロマス「ほう?興味深いね。是非力の使い方をご教示いただきたいものだ」

下目「ふふ…いいよ」


バサァッ!!


エロマス「!? な、何だその羽は…!?私のデータには無いものだ…!」

下目「よーく見ときなよ。これが力の使い方だ」


ズズズズ…!!!


エロマス「光が集まっていく…!何をする気だ…!」

キュォォォン…!

エロマスは危険を感じ、結界を張った。


下目「OFF波動」



ドギュゥゥゥン!!!!!!


851 : ハイドンピー (ワッチョイ f59a-4dfc) :2019/11/28(木) 20:47:00 vJ.QCbjY00





同じ頃、歩く天下無敵たちは。

ズズズズズ…!!

ケに乗り、未だ拡がり続けるゲートから逃げていた。

チェマ「オイオイ後ろヤベエことになってんぞ!」

アマゾン「ま、まちがゲートに呑みこまれていってる…!!」

歩く「くっ…!本当にこの天界ごと魔界に落とすつもりですか…!」

ケ「フンフン…ハア…ハア…」

チェマ「クソッ!流石に三人乗せてっとケも疲れてきてやがる!このままじゃ俺らも…!」


ズズ……


ズ……


歩く「え…?」

アマゾン「ゲ、ゲートがとまった!」


シュゥゥゥン…


ゲートはそのまま収縮し、消えた。

歩く「た…助かった…のか?」

チェマ「下目使いも流石に諦めたか!ケ、よく頑張ったな!」

ケ「フンフン」

ぺろんっ

バコッ!

チェマ「だから食うな!」

アマゾン「でも…下目使いのまりょくはまだこんなに感じるのに…ほんとにあきらめたんでしょうか…」

歩く「確かに。僕たちを魔界に落とすだけなら他にゲートを開くなりして、さっさと落とせばよかったはず。それをしなかったのは、単純に面倒だったからでしょうけど…」

チェマ「何が言いてえんだ?」

歩く「あのオートで拡がり続けるゲート…恐らく下目使いはあれにほとんど意識を使っていなかった。放っておけばいずれ全てを呑み込むのですから。わざわざそれを解除する意味は無いはずなんです…」

アマゾン「じゃあ…下目使いがなにか別のことをたくらんでる?ってことですか?」

歩く「と言うよりは…下目使いの身に何かがあったのかもしれません」

チェマ「それって…つまり俺らの仲間が下目使いを追い詰めてるってことか!?すげえじゃねえか!」


852 : ハイドンピー (ワッチョイ f59a-4dfc) :2019/11/28(木) 20:47:52 vJ.QCbjY00

歩く「いや、しかし……っ!?」

アマゾン「…無敵さん?」

歩く「…何だこれは…!?ゲートに追われていて気にする余裕もありませんでしたが…!」

アマゾン「え…?」

チェマ「急にどうした?」

歩く「ぜ…全能神の力が二つに増えています…!!」

チェマ「は?どういう意味だ…?また下目使いが何かやってやがんのか?」

歩く「全能神が、二人いるということです…!」

チェマ「はあ!?」

アマゾン「ほ…本当だ…!下目使いのまりょくに混ざって、なにか別の力をかんじる…!」

歩く「この力の発生源は恐らく上層……二人が戦っているのか…?だからあのゲートを開く余裕すらなくなった…?」

チェマ「…まあ難しいことは分からねえが、とにかく今は助かったんだ。一旦落ち着け。それからどうするか考えよう」

歩く「は、はい。そうですね。すみません」


ゴゴゴゴゴゴ…!!


アマゾン「わっ!なんだ!?」

こちらでも世界の崩壊が始まった。

歩く「とにかく今の状況を確認しなければいけません…!」

チェマ「ああ。しかしケに任せて走り続けたが、まずここどこだ?」

歩く「…場所の確認からですね。急ぎましょう」

アマゾン「はい!」


853 : ハイドンピー (ワッチョイ f59a-4dfc) :2019/11/28(木) 20:50:02 vJ.QCbjY00





全能神殿・玉座の間。

下目「…お前…!なんでOFF波動が効いてないんだ…!?」

エロマス「さあ?なんでだろうね…?フフフ…」

下目「ふざけるな!!」


ドゴォッ!!!!


巨大なハンマーがエロマスを頭上から襲った。

が。

エロマス「ふぅ…びっくりしたじゃないか」

下目「な…!!」

エロマスは当たり前のように無事である。

エロマス「ハハハ、そうカリカリしないでくれたまえよ。そんな怖い顔をされると、つい目を逸らしてしまうじゃないか。君がせっかく全能神の力の使い方を教えてくれようと頑張っているのにさ」

下目「馬鹿にするな!!」


ドゴォォォッ!!!!


再びハンマーを振り下ろす。

下目「何なんだよお前…いきなり出てきてなんで僕と同じ力持ってるんだよ…見下させろ!!」


ドゴォン!! バゴォン!!


さらにいくつもの巨大ハンマーを召喚し、何度も打ち付けまくる。

しかし、エロマスは結界に守られびくともしない。

エロマス「フ、こちらとしては、君とは同じ全能神として仲良くしたかったんだがね。これから創る新世界に私が君臨し、余った方は君にあげようかと思っていたのに」

下目「だから僕と対等みたいな口振りをやめろって言ってるだろ!!」

エロマス「はあ…君はもう少し頭が良いと思っていたよ」

下目「は!?」

エロマス「生命の樹での一部始終を見ていたんだろう?ならば知っている筈だ。私のこの力は始まりの全能神から奪った」

下目「それが何だよ!!」

エロマス「私の力と君の力では、全く格が違うんだよ」


854 : ハイドンピー (ワッチョイ f59a-4dfc) :2019/11/28(木) 21:01:02 vJ.QCbjY00


ズズズズズズ…


下目「!!」

エロマスの両腕に光が集まっていく。

エロマス「この通り、君に出来る事は私にも容易にできる」



ドキュゥゥゥゥン!!!!!



下目「クソォォォ!!」

下目使いはエロマスの放った波動を受け。


キュィィィン!


ゴトッ…


フィギュアと化した。

エロマス「ふむ…OFF波動とか言っていたか。なかなか面白いじゃないか。これを使えば色々と面白いプレイができそうだ。夢が広がるねえ…ヌフフ…」

エロマスはニヤけながら、フィギュアとなり倒れた下目使いの元へ近づく。

エロマス「下目使い。何をしに来たのかと問うたね」

ゴッ!

エロマスは下目使いのフィギュアを踏み付けて言う。

エロマス「確かに、私がハーレムワールドを築くだけならば、わざわざ君と争わずとも、勝手に創世すればいい。まあ君たちに感謝しているのは事実だがね…フ…だからと言ってこんなところまで礼を言いに来るほど、私は律儀な性格でもないんだ」

エロマス「じゃあ、何故かって?」


エロマス「"嫌がらせ"だよ」

ニタァ…

エロマスは不気味な笑みを浮かべた。


855 : ななし (ワッチョイ 0595-23ea) :2019/11/28(木) 21:42:41 q1Dl4IXY00
なんかエロマスがラスボスになってて草


856 : はいどうも名無しです (アウアウ 0aea-38b4) :2019/11/29(金) 08:08:46 5MVejXVISa
強いのにエロマスだから笑えるの草


857 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 8fa1-1daf) :2019/11/29(金) 10:47:32 40ic6J.6MM
ええ・・・ここに来て下目がかませになるの?
まあエロマスだから許すけどwww


858 : ハイドンピー (ワッチョイ 3baf-b4af) :2019/12/10(火) 20:30:47 /xby7ovQ00





同じ頃、魔法学校では。

昼間「…よし!あとはダミーでテストをして、問題なければ完成です!」

バロン「おおっ!」

タバスコ「二時間くらいですか…思ったより早かったですね。これなら朝には間に合いそうだ」

昼間「はい。しかし本当の問題は天界へ行くことよりも、下目使いをどうやって倒すかです…」

タバスコ「ドドンさんの言ってた、空間魔法での不意打ちじゃダメなんですか?」

昼間「空間魔法も魔力の流れを感知されてしまえば気づかれます。簡単に防がれるでしょう。その作戦で行くとしたら、下目使いの意識を完全に引きつけなければなりません…」

タバスコ「周りを感知する余裕がなくなるくらいの力を見せつけろということですか」

昼間「はい。今のタバスコくんは確かに強力です。しかしそれでもキング・オブ・妖魔やΦデスエンペラーと同等か、僅かに上回る程度…全員がかりでも歯が立たなかったという下目使いの注意を引きつけるのは難しいでしょう…」

バロン「そんな…」

タバスコ「でも時間がありません…それ以外に方法があるんですか?」

昼間「…一応、一つだけ打っておいた布石は残っています。こちらも上手くいくかは分かりませんが」

タバスコ「布石?」

昼間「私の使い魔に降霊させた、KONDOUISAMIさんです」

タバスコ「KONDOUISAMIって…あのSINSEN組の!?」

昼間「はい。今は天界の下層にいるはずです。彼が本当の力を発揮すれば…」


ゴゴゴゴゴゴ…!!


タバスコ「!?」

バロン「じ、地震!?」

昼間「いや…これは…世界全体が震えています…!レイアさんたちが間に合わなかったのか…!?」

バロン「そんな…!ムッコロズさんもついているのに!」

タバスコ「始まりの全能神が目覚めて、世界のバランスが崩れたってことですか…!?」

昼間「恐らくは…!しかし何だ…!?徐々に下目使いの魔力が薄れている…一体何が起こっているんだ…!」


859 : ハイドンピー (ワッチョイ 3baf-b4af) :2019/12/10(火) 20:34:19 /xby7ovQ00


エロマス『初めまして、諸君』


昼間「え!?」

タバスコ「念話!?誰だ!?」

エロマス『今私は天界・下界・魔界の、全ての人々にこの声を送っている。私はエロ過ぎるマスター、通称エロマスという者だ』

昼間「エ、エロマスさん!?」

バロン「知り合いですか!?」

昼間「あのカギを、私に渡した人物です…!」

エロマス『中には私を知っている者もいるだろうが、今の私は君の知っている私ではない。私は今、全能神となったのだ』

昼間「な…!!」

タバスコ「まさか下目使いの魔力が消えたのって…」

昼間「エ、エロマスさんが…下目使いを倒した…!?」

エロマス『フ、まあ大多数の人々には何の事だか分からないだろうね。要は今、私が世界で一番強くて凄いという話さ』

昼間「い、一体何を企んで…」

エロマス『これから君たちの世界を一つに統合する』

昼間「!?」

エロマス『ほら、行くよ。3、2、1…』





パチンッ





エロマスが指を鳴らした音が、全世界に拡がった。



ゴゴゴゴゴゴ…!!!!



昼間「こ…これは…!!」

タバスコ「ま、窓の外を見てください!」

バロン「な、何だこれ…!?」


ドドドドドド…!!


大地がうねり、空がひび割れ。

その割れた箇所の向こうに、人界、天界、魔界の各所が覗いていた。


860 : ハイドンピー (ワッチョイ 3baf-b4af) :2019/12/10(火) 20:37:51 /xby7ovQ00

昼間「せ…世界の境界が破壊された…!?ほ…本当に…世界が一つになろうとしているのか…!!」

バロン「うわ!か、体が浮かび上がる…!なんですかこれ!?」

タバスコ「いくつもの世界が重なり合って、重力がめちゃくちゃになってるんだ…!」

昼間「…体どころか…この空間が持ち上げられています!向こうの世界に引っ張られているんだ…!くっ…!」

バロン「う、うわぁぁっ!」


ゴォォォッ!!!!


魔法学校のある裏の空間は、空のひび割れに吸い込まれていった。


861 : ハイドンピー (ワッチョイ e052-1b71) :2019/12/13(金) 20:51:10 .u0LB42U00





隣国・北の町へと向かっていたファルコンフライヤーの船内では。

片割れ「まさかあのエロマスが…」

妹「お兄ちゃん知ってるの!?」

片割れ「ああ…うちの事務所の近くで情報屋やっとったゴリラや。何度か会うたことある程度の仲やけどな」

ギル「でも世界を一つに統合ってどういうこと…!?大体、下目使いはどうなったのよ!?」

アルベ「そう思って魔力を探っていたが…下目使いの魔力が消えている…!」

片割れ「なんやて!?あいつが下目使いを倒したっちゅうことかいな!」


ゲン『オイみんな!これを観てくれ!』

操縦席のゲンが、船内のモニターに外の様子を映した。

片割れ「なんじゃこりゃぁ!?」

勇者「そ、空が…割れてる…!?」

ヒーロー「ひび割れの奥に何か見えるぞ…!」

reku「…なんだ…?薄暗くて…あの赤い光はみたいなのはマグマかな…」

アルベ「ま、魔界だ…!」

アントン「さっきのエロ過ぎるマスターって人のしわざ…!?」

ライム「これが世界を統合するってことなのか…」


862 : ハイドンピー (ワッチョイ e052-1b71) :2019/12/13(金) 20:54:43 .u0LB42U00

ヒーロー「何か出てくるぞ!」

アルベ「魔物だ!魔界の魔物たちが雪崩れ込んできている…!」

片割れ「そうか、世界が一つになるっちゅうことは、魔物も一気にこっちに現れるんか…!何してくれとんねんアイツ…!」

アントン「うわ!あっちのひび割れには天界が見えるよ!」

妹「天界も!?本当に全部ごちゃ混ぜにするの!?」

ギル「い、一体何が目的なのよ!」

片割れ「…たぶん…ただの嫌がらせや」

reku「はあ!?」

片割れ「アイツはそういうヤツなんや…アイツの常連の間じゃ、あまりの性格の悪さに情報の正否すら疑わしいと専らの評判でな。それでも情報の範囲がとんでもないんで、客足はまあまああったようやが…」

妹「ウソでしょ…そんなヤツが全能神なんかになったらヤバいんじゃ…!」

片割れ「せやから今めっちゃヤバいことになっとるやろ!」

ライム「と、とにかく魔物たちをなんとかしないと!流石にあの数は見過ごせません!一瞬で世界が乗っ取られますよ!」

ヒーロー「だな!」

妹「で、でもこんなところで止まってる時間ないんじゃないの?」

片割れ「アホ、天界も落ちて来とんねん!もはや結界がどうだの関係あらへんわ!」

ギル「そうね…もう魔法学校に行く意味もない…だったら今私たちにできることは、目の前の敵を倒すことだけよ!」

勇者「ですね!ゲンさん、あのひび割れのところに向かってください!」

ゲン『ハッハッハ!そう言うと思って、すでに向かっているさ!』

ヒーロー「流石は世界最速の男!行動が早いな!」

ゲン『さあ、すぐに着くぞ!準備はいいか!』

勇者「はい!」

片割れ「万端や!いつでもええで!」


863 : ハイドンピー (ワッチョイ e052-1b71) :2019/12/13(金) 20:58:08 .u0LB42U00

ゲン『よし!ハッチを開ける!』

ボシューッ!

ハッチが開く。

すると。

魔物「グオオオオッ!!」


ドドドドド…!!


reku「うわっ!一気に侵入してきた!」

片割れ「なんちゅう数や!」

ゲン『うおおお!俺の船が!』

ヒーロー「とにかく中に入った奴から片付けていこう!」

勇者「はい!」


ズガガガガガガ!!

ドドドドドドド!!

ドカーン!!


魔物「グアアアア!!」

魔物たちを倒していくが、次々に侵入してくる。

ギル「くっ!数が多すぎる…!このままじゃ押し潰されるわ!」

アルベ「外に出るぞ!」


ドガァッ!!


アルベルトは天井を殴って大穴を開けた。

ゲン『うわあああ!俺の船がぁぁ!』

アルベ「すまない!」

ゲン『ハ、ハッハッハ…き、気にするな…』

そして全員、その穴から外へ脱出した。

魔物「グォォォォオオオオオ!!」

片割れ「デガワァ!!」


ドシャァン!!


数十匹の魔物をまとめて倒すが。

魔物「ぐごぉぉお!!」

アントン「キ、キリがないよ、うん!」

勇者「でもここで食い止めないと下の人々が襲われます!なんとか持ち堪えたければ!」

reku「って言ってもここ以外にもひび割れ出来てるし、他のとこから来られたらどうしようもないけどね…」

片割れ「考えてもしゃあない!今は目の前に集中や!」

勇者「はい!」

勇者たちは無数の魔物たちを相手になんとか立ち向かうのであった。


864 : はいどうも名無しです (ラクラッペ d78c-ee46) :2019/12/14(土) 06:33:34 0oPnbWbUMM
更新ずっと全裸で待ってた!待ちすぎてインフルになった!
エロマステメェ!嫌がらせの規模がデカすぎるマスターで!?
…つかホントに下目使い死んだの?


865 : ななし (ワッチョイ 3360-f0e8) :2019/12/14(土) 06:58:52 UfZ.cXyw00
>>864 
波動食らったからフィギュアになっとるよ


866 : はいどうも名無しです (ラクラッペ 0f64-ad33) :2019/12/15(日) 03:29:58 oAUtHfLIMM
>>865
そうだった、忘れてた


867 : ハイドンピー (ワッチョイ aeac-d55f) :2019/12/19(木) 20:29:12 4Am0ysSc00





その頃、天界の天下無敵たちは。

歩く「そういうことでしたか…」

チェマ「よく分からねえが、下目はもうやられたのか?」

歩く「そのようです…目的は分かりませんが…しかし危機に変わりはありませんね…この空のひび割れ…」

アマゾン「あの奥にあるのって、ぼくたちの世界ですよね…?」

チェマ「ああ。それに、あっちの奥に見えてんのは魔界だぜ。エロマスとかいうヤツ、マジで世界を一つにしようとしてるらしいな…」

歩く「世界が混沌に陥れられるのを黙って見ているわけにはいきません」

チェマ「おう!ヤツは上層ってとこにいるんだよな?」

歩く「恐らく。上層へ行くには神殿の柱を通ると召喚士さんが念話で言っていましたが…」

チェマ「そうか!だったらさっさと行くぜ!」

アマゾン「急ぎましょう無敵さん!」

歩く「…いや、何の策も無しに勝てる相手ではありません。少し様子を見ましょう」

チェマ「何ィ!?てめえ、黙って見てるわけにゃいかねえっつったじゃねえか!あの山の時も思ったが、慎重すぎんじゃねえのか?」

歩く「慎重すぎるくらいでなくては勝てない。僕は犬死にするつもりはありません」

チェマ「チッ、だったらどうするんだ?様子見っていつまでやる気だ?」

歩く「世界が一つになるというなら、恐らく結界は消えているはずです。増援が来る可能性は十分にあります。それと、あの大きな樹の方にもいくつかの魔力を感じています」

天下無敵は生命の樹の方を指差した。

チェマ「あそこに誰かいるってのか?」

歩く「はい。うち三つはマグヌスくんたちだと思いますが…なんとか味方に付けなければ」

アマゾン「そんなうまくいきますかねー?あいつら、めちゃくちゃ自分勝手ですよ!」

歩く「確かに…ですが今は争っている様子はありません。さすがにこの事態を無視して暴走し続けるほど愚かではなかった…と信じたいですね…」

チェマ「んじゃあとっとと合流しようぜ!」

歩く「はい。行きましょう」

ケ「フンフン」

四人は生命の樹を目指し走り出した。


868 : ハイドンピー (ワッチョイ aeac-d55f) :2019/12/19(木) 20:30:33 4Am0ysSc00





その生命の樹の麓では。

レイア「おいDr.神様!どうなってんだ一体!?」

Dr.神様「かくかくしかじかでな…」

Dr.神様は種子の間での出来事を話した。

純白「エロマスが下目使いを倒したのは、新世界を創る上で邪魔になるからでしょうか…」

ミカ「ハッ、上層だけを隔絶して、後は全部一つにしようって魂胆だろ」

Dr.神様「ああ、恐らくな。新たに世界を創造するより、その方が手っ取り早いと考えたのじゃろう」

レイア「よく分からねえが、要するに俺たちが倒すべき相手が下目からエロマスに変わったってことだな!?」

卍「そういうことだ」


マグヌス「ん?なんだオマエ!ぼくのマネするなよ!」

SEFI「余はSEFIROSU。お前こそ…何者だ…?」

ネス族の二人が向かい合っていた。

純白「あ、その子はマグヌスくんです。たぶんあなたの子孫にあたるんじゃないかと思うんですが…」

SEFI「何を言う。余は子など作っておらん」

純白「え?」

ミカ「じゃあコイツは何なんだよ。どう見てもお前と同じ種族だろ」

Dr.神様「まあSEFIROSU様が世界を統治していた時代にも同じネス族はおったじゃろうし、別の者がその子孫を残したのじゃろう」

SEFI「…ネス族…?…何を言っておる…?」

Dr.神様「え?」

SEFI「余の本当の名前は"ネス"だ」

ミカ「はあ?」

SEFI「余以外にネスはおらん」

卍「…つまり、お前は俺たちサムス族にとってのサムスのような、先祖本人だということか…?」

純白「えっと…じゃあネス族なんて存在しないと?」

SEFI「ああ」

Dr.神様「存在しない筈のカギの次は、存在しない筈の種族…か」

マグヌス「ふん、なにをいってるんだバカめ。ボクはここにいるだろ」

ミカ「コイツだけじゃないぞ。オレらは他にも何人か同じ顔のヤツと会ってるんだ」

SEFI「…どういう事だ…?」


869 : ハイドンピー (ワッチョイ aeac-d55f) :2019/12/19(木) 20:36:23 4Am0ysSc00


大学生「ケケッ、んなクソどーでもいいこと話してる場合かァ?馬鹿しかいねーのかよここには」

レイア「そうだぜ!上層に行くには、確か神殿にある柱を通るんだったよな!行こうぜ!」

Dr.神様「…そうじゃな、すまぬ。急ごう」

純白「ま、待ってください!」

ミカ「あ?何だよまだ何かあんのか?」

純白「これは…四つの魔力がこっちに向かってきてます!」

ミカ「…ああ、アイツらか。エロマス戦のために合流しようっつう腹だろうな」

レイア「アイツら?」

卍「召喚士の言っていた、歩く天下無敵たちのことじゃないか?」

ミカ「ああ、そうそう、確かそんな名前だったな」

Dr.神様「c、テレパシーを繋げるか?」

天使c「はっ!やってみます!」

蚊帳の外にされていた三天使は存在を忘れられていなかったことに驚きながらも、やるべきことに集中する。


天使c「…繋げました!」

Dr.神様「おぉ、すまんな。聞こえるかおぬしら」

歩く『!! はい、聞こえます』

チェマ『うお!頭の中に…この感覚、マックスの時と同じ、テレパシー?ってヤツか』

アマゾン『だれだ!?』

ケ『フンフンフンフンフンフンフンフン』

Dr.神様「儂はDr.神様。今は生命の樹の麓におる」

歩く『感じていたのは貴方がたの魔力でしたか』

ケ『フンフンフンフンフンフンフンフン!!』

レイア「お前ら、天下無敵にグレイトアマゾンだよな?他二人は知らねえが…召喚士から話は聞いてるぜ!俺たちも一緒に戦うぜ!」

ケ『フンフンフンフンフンフンフンフン!!』

卍「そういうことだ。我々は神殿に向かうから、お前たちも来い。そこで合流しよう」

歩く『分かりました!』

ケ『フンフンフンフンフ…』

ボコッ!

チェマ『お前さっきからうるせぇ!』

ケ『ゴメン』

チェマ『うおっ!?お前喋れたのかよ!?』

ミカ「何やってんだコイツら…」

レイア「まあとにかくそういうことだからよ!また後で会おうぜ!」

歩く『はい!』

プツッ

レイア「よし!行くぞ!」

そしてレイアたちは神殿へと向かった。


870 : ななし (ワッチョイ 527d-d36d) :2019/12/19(木) 21:47:57 /qZThvLE00
ケが癒し


871 : ハイドンピー (ワッチョイ 9c72-e899) :2019/12/27(金) 21:51:10 7oq.VaOU00





その頃下界のドドンたちは。


キィィィン…!


ドドドドド!!


アーウィンで魔物を倒しながら、魔法学校へ進んでいた。

ドドン「すごい数ドン…」


ドガガガガッ!!


玄酔楼はアーウィンの上に立ち、撃ち漏らした魔物を全て蹴散らしていた。

ねこ「す、すごいですね玄酔楼さん」

ドドン「人間業じゃないなドン。飛行中のアーウィンの上に立ってるだけでも意味がわからないドン。お、見えてきたドン……!?」

ねこ「どうしました?」

ドドン「いや…なんかおかしいドン。魔法学校って別の空間にあったはずなんだけドン…」

町の中に、明らかに異質な巨大な建物があった。

ねこ「あ、あれが魔法学校ですか?」

ドドン「た、たぶんそうドン。さっきのエロマスって人の力で、こっちの世界に引き寄せられたんだドン…!」

ねこ「もう世界の統合は、はじまってるんですね…」

ドドン「とにかく行くドン!召喚士さんたちが心配だドン!」

ねこ「はい!」


872 : ハイドンピー (ワッチョイ 9c72-e899) :2019/12/27(金) 22:04:32 7oq.VaOU00




そしてドドンはアーウィンを魔法学校の近くに停め、三人は魔法学校の中へ入った。

ねこ「けほっ!うわ、すごい散らかってる」

中には物が散乱し、窓もところどころ割れている。

倒れている生徒も数人見られた。

玄酔楼「…大丈夫じゃ。息はある」

ねこ「ほっ」

ドドン「こっちドン!」

ドドンたちは召喚士のいた部屋へと走る。



タタタタタタタ…

バンッ!

ドドン「召喚士さん!いるかドン!?」

ドドンは勢いよく扉を開けた。

昼間「ド、ドドンくん…ええ、みんな無事です」

タバスコ「ふぅ、えらい目に遭いましたよ…なんとか僕の煙を使ってみんなを守りましたが…」

ドドン「良かったドン…さすがタバスコさんドン。あ、途中ねこさんたちに会ったから拾ってきたドン」

ねこ「はじめまして、ねこです。よろしくお願いします」

昼間「よろしく。私は昼間の召喚士です」

バロン「バロンムッコロス二等兵です!」

タバスコ「もしかしてそのお爺さんは…」

玄酔楼「儂は玄酔楼。…おぬし、何処かで…」

タバスコ「え?」

玄酔楼「いや…まさかな。何でもない。この空の様子では、儂一人ではどうにもならんところまで来てしまっておるようじゃ。力を貸してほしい」

タバスコ「いやいやそんな!こちらからお願いします!」

ドドン「覚醒したタバスコさんと玄酔楼さん、頼し過ぎる二人が揃ったなドン!」

昼間「ええ。大きな戦力となるでしょう。…さて、私も私の仕事をしなければ」


873 : ハイドンピー (ワッチョイ 9c72-e899) :2019/12/27(金) 22:13:10 7oq.VaOU00

すると召喚士は魔法書を開き、目を閉じた。


昼間「皆さん、聞こえますか?」


召喚士は生き残っているファイターたちへ、一斉に念話を送ったのだ。

勇者『この声…さっきの』

ギル『確か召喚士さんね?』

レイア『おぉ!召喚士!無事だったか!』

Dr.神様『そうか、結界が消えて念話が使えるようになったのか!』

昼間「はい。自己紹介は…必要無さそうですね」

ミカ『ハッ、オレにまで送ってくるとはどういう了見だ?』

昼間「今は戦力が必要です。君は戦いが終わった後できちんと裁かれてもらいますよ」

ミカ『チッ』

卍『済まない、召喚士。カギを使われた。エロマスはあのカギの力で全能神の力を奪い、新たな世界を創ると言っていた』

昼間「新たな世界…それが彼の目的ですか…」

歩く『今エロマスは上層にいます。僕たちは神殿でレイアさんたちと合流し、突入することになっています』

昼間「そうですか、ではそのまま向かってください」

片割れ『オォ!そんならワシらも行くで!』

ゲン『そうだな!あのひび割れに突入すれば、天界に繋がっているんだろう!?』

昼間「はい、お願いします。私たちも向かいます!神殿に集合しましょう!」

チェマ『そしたらいよいよ最終決戦ってわけだな!』

片割れ『ん!?その声…まさかチェマか!?』

チェマ『おうよ!へっ、この俺があんなとこで死ぬとでも思ったか!?』

アルベ『フッ…流石だな…』

卍『俺たちの知らないところでいろいろあったようだが…とにかくさっさと来い。俺たちはもうそろそろ着く』

レイア『あんまり遅いと置いていくぜ!』

歩く『その前に作戦を考えなければ、きっと全能神には勝てません』

昼間「ええ。まだ新世界が創られたという気配はありませんし、エロマスも力を手に入れたばかりで手間取っているのでしょう。そのためにも…」

レイア『要はとにかく急げってことだな!みんな!俺たちが集まりゃ全能神とかいうヤツにも勝てるはずだ!気合入れていこうぜ!!』

みんな『オォォォ!!』


プツッ

昼間「ふぅ…」

タバスコ「レイアさん…すごい…彼の熱気に当てられて皆さんの心が一つになっているような感じがしました」

バロン「僕たちの町に妖魔が攻めてきた時も、彼が中心になって、みんなが一丸になったんですよ!」

ドドン「それじゃあ早速俺たちも行こうドン!みんな、アーウィンに乗ってくれドン!」

ねこ「はい!」

昼間「私は少し準備があるので先に行ってください。すぐに追いつきます」

ドドン「わかったドン!」


876 : ハイドンピー (ワッチョイ 92fa-d438) :2020/01/01(水) 09:24:55 .zDYtfoo00



すべてのファイターたちが、天界の中心にある神殿を目指し、集結していく。




空のひび割れを目指す勇者たちは。

ゲン「くっ!これは困ったぞ!進路が魔物に覆われている!」

ファルコンフライヤーの前を、まるで巨大な壁のように魔物たちが集まり塞いでいた。

片割れ「そのまま突っ切れへんのか?」

ゲン「ファルコンフライヤーはただの宇宙船だ!突っ込んでも返り討ちにあうぞ!そもそもすでにボロボロだ!」

reku「確かに…墜落して全滅とか一番最悪なパターンだよね」

勇者「はあっ!!」


ドドドォォン!!!!


魔物「グオォォォォ!!」

アントン「はぁ、はぁ…ダメだ〜!多すぎるよ、うん!」

ヒーロー「くっ!みんなが待っているんだ!こんなところで足踏みしている場合じゃないというのに!」

その時。


ヒュン!ヒュン!ヒュン!!


ズドドドドド!!


魔物「グキャッ!?」

突如、数十匹の魔物たちが、後ろから飛んできた矢に貫かれて消滅した。

片割れ「なんや…!?弓矢…?」

ライム「あれは…」

アルベ「て、天界の天使たちだ!」

妹「そっか!魔物たちがこっちに攻めてくるのと同じように、天使たちだってこっちに来られるんだ!」

バサッ!バサッ!

天使「ここは私たちが食い止めます!行ってください!!」

reku「ありがとう!もうちょっと早く来て欲しかったけど」

ギル「アンタ、いちいち一言多いわよね…」

ゲン「ハッハッハ!さあ飛ばすぞ!全速前進だ!!」


そうしてボロボロのファルコンフライヤーは、空のひび割れへと抜けていった。



天使「ふぅ、無事に天界へ行けたようだな。さあ、俺たちも踏ん張らねば!」

それを見送った、白い帽子の天使。

見た目は巨大天使マックスによく似ているが、あの巨体には遠く及ばぬ人間サイズのごく普通の天使。

だが、その股間は、あまりにも巨大であった。


877 : はいどうも名無しです (アウアウ d1f6-31a6) :2020/01/01(水) 10:20:20 HMos.akcSa
ついにここにも巨根マックスがwww


878 : ハイドンピー (ワッチョイ 9c72-e899) :2020/01/05(日) 20:41:20 0jBz/sNc00





そして。

数十分後・神殿。

ついに全員が集結した。

レイア「…よし!その作戦で行こう!」

歩く「はい。これなら上手くいけば勝てるはずです…!」

勇者「いきますよ絶対!」

昼間「そうですね。むしろこれでダメなら打つ手はありません。皆さん、すべてを出し切るつもりで」

レイア「おう!!」

マグヌス「ふん、あいかわらずコエだけはでかいな」

天使c「では、上層への道を開くぞ」

三天使が柱を囲もうとした。

が。


バチッ!!


天使a「ぎゃっ!」

天使b「な、何っすかこれ!」

三天使は結界に弾かれ、吹き飛ばされた。

タバスコ「結界…!」

Dr.神様「か、考えてみれば当然の事じゃ…儂らはこれ以外に上層へ行く手段がないのじゃから…」

片割れ「おいおいどうすんねん!?出鼻挫かれとるやんけ!」

ケ「フンフン」

歩く「慌てないでください。召喚士さん、まだ他に方法があるんでしょう?」

昼間「ええ。ギリギリで間に合いました…結界をすり抜ける、最強の空間魔法陣です!」

バッ!

召喚士は魔法書を開き、そこに書かれた魔法陣を地面に映し出した。

昼間「拡大!」

召喚士は魔法書に手を当て、スマホで拡大するときの要領でグイッとやると、映し出された魔法陣が更に大きくなり。

その場の全員が入れるくらいの大きさになった。

大学生「何だァ?この魔法陣気色悪りぃカタチしてやがんな。法則性なんざあったもんじゃねー。ケケッ、気に入ったわ」

昼間「常識に囚われた魔法陣では結界を超えることなどできないのでしょう。マグヌスくんに助けられました」

マグヌス「は?たすけたおぼえないぞ」

昼間「行きますよ…はあっ!!」

マグヌス「ムシかよ」


ピカッ!!


レイア「うおおっ!」

足元の魔法陣が眩い光で全員を包み込む。


879 : ハイドンピー (ワッチョイ 9c72-e899) :2020/01/05(日) 20:44:01 0jBz/sNc00





ヒュゥゥゥ…

光が消え、辺りを見ると、そこは上層だった。

勇者「や、やりましたね!」

昼間「はい、成功です…!テストも一度しかできなかったので少し不安でしたが…」

Dr.神様「凄い…本当に結界を超えておる…!」

玄酔楼「此処が神々の住まうという空間か。成る程、神聖な雰囲気を感じる」

reku「そう?」

片割れ「気のせいやろ。今ここの主エロマスやぞ」

玄酔楼「…」

ケ「フンフンフンフン」


エロマス『やれやれ…柱を封じたというのに、何故来れたんだ?』


レイア「!!」

エロマスの声が上層中に響き渡る。

チェマ「エロマス…!」

昼間「魔法を舐めないでもらいたいですね。人々が千年研鑽し続けた、最も魔力を効率よくかつ効果的に引き出せる方法なのですよ」

エロマス『これはこれは。すまない、私は科学で魔力を解明した身なのでな』

ミカ「おい、挑発に乗んなよクソ魔法使い」

昼間「大丈夫、君に心配されるほど馬鹿じゃない。冷静ですよ」

ミカ「あ?どういうイミだコラ」

大学生「ケケッ、お前が馬鹿だってことだろ。こんなんでいちいちキレてちゃそりゃそう思われるわヴァ〜カ」

純白「こらこら!今ケンカしてる場合じゃないからホントに!」

エロマス『フ、しかし何故来た?君たちのような戦士がいなくなれば、あっという間に下界は魔物の手に堕ちるぞ?』

レイア「何言ってんだ?てめえ」

エロマス『…何?』

片割れ「ファイターはワシらだけやないっちゅうこっちゃ!」

昼間「皆さんのお陰で私も学びましたよ。全てを背負う必要はないということを」

勇者「世界は皆さんに預けてきました!」

歩く「僕たちの仕事は一つ!貴方を倒すことだ!」


880 : はいどうも名無しです (ワッチョイ d8aa-a10d) :2020/01/06(月) 18:15:20 Qhqeaw6600
面白くて一気読みしてしまった
予想を裏切る展開が多々あって面白いな
支援のドドン


881 : ハイドンピー (ワッチョイ 92fa-d438) :2020/01/06(月) 20:56:49 /hROgchc00




下界。


どこかの国。

ちょこ「ハァ…ハァ…す、すごい数だね…大丈夫?バルザードちゃん」

バル「だいじょーぶ!…って言いたいとこだけど…けっこーキツいかも…」

魔物「グオオオオオオオオオ!!」

ちょこ「どんどん増えてる…これじゃ私たちだけじゃ…もう…!」


???「もう♪アイドルがそんなカオしちゃダメじゃないっ♪」


ドゴォォッ!!!


ものすごい速さで駆け抜けてきた、白とピンクの男…あるいは女は、魔物たちを一蹴した。

ちょこ「ド……ドルコリン♪ちゃん!?」

ドルコ「待たせたわね♪」





王国の城下町では。

魔物「グオオオオ!!」

住人「うわあああ!」

ヒーローたちがいなくなり、戦う術を持たない人々は、危機に瀕していた。


ドドドドドッ!!!!


魔物「グギャアッ!」

突如魔物たちは上空からの射撃により一気に消滅した。

住人「た、助かった…!?なんだ!?」

キィィィン!

そこには一機のアーウィンが飛んでいた。

ナザ「まったくギル姉…呼ぶだけ呼んどいて自分は先に行っちまうのかよ」


882 : ハイドンピー (ワッチョイ 92fa-d438) :2020/01/06(月) 20:58:59 /hROgchc00





某国、東端の町では。

ドガァッ!!

魔物「グゴォ…!?」

住人「どうしたどうした!そんなもんかバケモンどもめ!」

住人「俺たちはそこらの町の住人とは違うぞ!!」

住人「ムッコロズさんやレイアさんに教わったことを今こそ生かす時だ!!」

住人「うおおおおおっ!!」


ドドドドドドドドッ!!!!


この町の住人たちは魔物たちに引けを取らず、次々に魔物をなぎ倒していく。

しかし。

魔物「グオオオオ!!!」


バキィッ!!


住人「ぐはぁっ!!」

住人「な、なんだアイツ!でけぇぞ!」

住人「ひ、怯むな!いくぞぉぉ!」


ドゴォォン!!!


住人「ぐああああっ!!」

魔物「ヴオオオオオオオオオッ!!」

住人「だ…ダメだ…アイツは俺らじゃ…!」


ズンッ!!


魔物「グォッ!?」

ドサァ

巨大な魔物は、青い帽子の男の一突きで倒れた。

住人「え…?」

リア「はぁ…全く…最悪だ。俺はもう戦わねえっつったのによ…こう目の前でボコボコにされてちゃ見てられねえ」

住人「あ、あんた確かレイアさんの仲間の…」

リア「フン…勝てないなら逃げろよお前ら。負ける勝負に挑むなんて、馬鹿のやることだ」

住人「なにぃ!?じゃあ強いヤツはあんたに任せる!雑魚どもは俺たちが掃除するからよ!」

リア「あぁ!?チッ、勝手な奴らだぜ。仕方ねえ…まあこの程度の魔物なら別に構わねえがな…」

魔物「グオオオオッ!!」

また新たに数匹の巨大魔物が現れ、リア・リエを襲う。


ギュルルルッ!!

ドガッ!! バキッ!!


それを一瞬で弾き飛ばす、リア・リエ。

リア「お前ら、覚悟しろよ…俺があの時味わった絶望……お前らにも味わわせてやる」


883 : ハイドンピー (ワッチョイ 5546-b118) :2020/01/09(木) 20:52:44 ehQECz8o00





天界・下層。

東地区のとある病院では。

医者「ま、待ちなさい!その怪我ではまだ!」

神様と入れ替わり天界に来た医者である。
彼はあの後、この病院に引き渡されていた。

姉「ウフフ、大丈夫よ♡みんなが頑張ってるのに私たちだけベッドで寝てるなんて、そんなことできないわ。ねえ、たまちゃん?」

たま「そうだねローくん」


バリィン!


魔物「グオオオオッ!!」

窓を破り、魔物が院内へ入ってきた。

医者「ひえぇっ!」

姉「はあっ!!」
たま「ていっ!!」


ドガァッ!!!


二人の蹴りで魔物は消滅した。

姉「本調子とはいかないけど、もう普通に動けるわね。ドクター、ありがと♡今度イイコトしてあげるわ♡」

たま「上層へ行ったみんなの分まで、ここは僕たちが守るよ。さあ、行こうローくん!」

姉「ええ!」


そして二人は外に出る。

辺りには魔物が数十匹。

たま「意外と少ないものだね。行けそうかい?」

姉「ウフフ、勿論♡たまちゃんと二人ならなんだってイけるわよ♡」


884 : ハイドンピー (ワッチョイ 5546-b118) :2020/01/09(木) 20:55:36 ehQECz8o00


ヒュゥ〜〜〜…


たま「!?」


ズドォン!!


姉「何!?」

そこへ何かが落ちてきた。


妖魔「クソ…人間如きが…!!この程度で…我を倒した…つもりか…!!」


たま「…誰だい?」

妖魔「我は…キング・オブ・妖魔!!貴様ら人間は…残らず…滅ぼす!!」


ブンッ!!


たま「おっと!…彼が妖魔か…」

姉「でも随分とボロボロね?すごい怒ってるし…きっと人間の誰かに負けたのね」

妖魔「黙れ…!それでも貴様ら如き…我の敵では無いわ!!」


ドガガガガッ!!


妖魔は地面を激しく叩き震動を起こす。

姉「!!」

たま「なんてパワーだ…!だけど当たらなければどうということはない!」

タンッ!

二人は高く跳び上がる。

妖魔「フン!馬鹿共が!」


ブンッ!!!


たま「うわっ!!」


ズガァッ!


妖魔は平手を振り、その風圧で二人を吹き飛ばした。

たま「だ…大丈夫かいローくん」

姉「ええ。当たらなくても強いわね…」

たま「うん。さすがは魔族の親玉…油断は禁も…」


ガシッ!!


たま「!!」

姉「なっ…!」

魔物「グギャギャギャ…」

背後から忍び寄っていた魔物たちが、二人を捕らえた。

たま「しまった…!妖魔に気を取られて魔物たちのことを忘れていた…!」

ザッ、ザッ、ザッ…

妖魔が近づいてくる。

姉「くっ…!」

妖魔「終わりだ」


885 : ハイドンピー (ワッチョイ 5546-b118) :2020/01/09(木) 21:07:13 ehQECz8o00


ダダダダダダ…


バコォン!!!!


妖魔「ぬおォっ!?」


キラーン

妖魔は星になった。


たま「…え?」

突然現れた助っ人の一撃で妖魔が消え、二人は啞然とする。

姉「な…何が起きたの…?」


ISAMI「なんとか間に合ったようでござるな。大丈夫かお主ら」


そこにいたのは、妖魔と同じ、青ゴリラだった。

たま「よ、妖魔!?」

姉「双子だったの!?いや、でも助けてくれたわよ!?どういうこと!?」

ISAMI「それがしは妖魔でも双子でもござらん。それがしはKONDOUISAMIと申す」

たま「KONDOU…って、あのKONDOUISAMIかい!?」

姉「な、な、でもあなたゴリラじゃない!KONDOUISAMIは人間のはずよ!それにもうとっくに死んでるわ!?」

ISAMI「わっはっはっは!驚くのも無理はなかろう!それがしとて、こうして再び此の世を歩けるとは夢にも思わなんだ。かくかくしかじかでな、それがしは戦う為に此処におるのだ」

たま「そ、そうだったのか…」

姉「でも、流石は歴史に名を残す人物ね。あの妖魔を一撃だなんて」

たま「確かに…だけど君からはエネルギー反応がない…何故だ?」

姉「そういえば妖魔も、あなたが近づいてくるのに全く気づいていなかったわね。やっぱり死人だからかしら…?」

ISAMI「えねるぎい反応?というのはよく分からんが…恐らくそれがしの力が此の体に馴染んできたからだろう」

たま「…?」

ISAMI「かつてそれがしはこう呼ばれておった。"一触即死の男"とな」

たま「一触…」

姉「即死…?」

ISAMI「左様。それがしの振るった刀は、当たりさえすればその一撃で勝負が決まる。OKITAやHIJIKATAのような剣技は持たぬ分、その一撃に全てを懸けた」

たま「えーっと…それとエネルギーとどう関係が…」

ISAMI「一撃を極めた結果、それがしは奇妙な力を会得した…それが"一触即死の力"でござる。此の力は如何様な相手でも一撃で葬る事が出来るが、逆に自分も動きが鈍く怠慢になり、相手の一撃で深手を負う…諸刃の剣だった」

たま「…つまり、とんでもない攻撃力へのバフをかけると同時に、防御力へのデバフもかかってしまうというわけか」

姉「だからプラマイゼロになってるってことね?」

たま「なるほど…エネルギーを感知できないわけだ」

ISAMI「ああ。すぐ近くをすれ違っても気づかぬ程にな。そして、それがしは更にその力を研鑽し続け、此の一触即死の力の"伝導"を会得したのだ」

姉「伝導?なんだかエッチな響きね♡」

たま「そうかい?」

ISAMI「つまりは此の力を相手にも与え…言わば、一触即死の世界へと入門させるのだ」

姉「入門…エッチな響きね♡」

たま「そうかい…?」

ISAMI「既に伝導は始まっている。じき、一触即死の力が世界中に拡大する」

たま「…じゃあまさか僕らも…?」

ISAMI「いや…お主たちはこんな力に頼らずとも、元々強い力を秘めているでござろう。それに入門するにはある条件が存在するのだ」

たま「条件…?」

ISAMI「それは…"闘士としての資質を持ちながら、その力を扱いきれぬ者"だ」


886 : ハイドンピー (ワッチョイ b51e-f60c) :2020/01/16(木) 20:12:08 rm37dxng00





同じく天界・下層のどこか。

ennjeru「はっ!俺はどこ!?ここは誰!?」

エロマスに殴り飛ばされ、気絶していたennjeruが目覚めた。

ennjeru「とか言ってる場合じゃねーなこれ…」

魔物「ガルルルル…」

ennjeru「すごい数だ…天使たちも応戦しちゃいるけど、完全に押し負けてる…」

魔物「グワオォォ!!」


ダッ!!


魔物がennjeruに向かって飛びかかる。

ennjeru「うわっ!!」


ズドンッ!!!


ennjeru「へ?」

魔物「ギャアアアア!」

魔物は遥か上空へとブッ飛び、消滅した。

ennjeruが咄嗟に適当に振り上げた拳が爆炎を上げていた。

ennjeru「い…今の俺がやったのか!?」

天使「あ、あなたはたしか神様直属天使のennjeru氏では!?」

近くにいた天使が駆け寄ってくる。

ennjeru「あ、うん。まあなんかの間違いで選ばれちゃっただけなんだけど…俺クソ弱いし…」

天使「そんなご謙遜を!今のとてつもないアッパーを見れば、選ばれるのも当然ですよ!」

ennjeru「え?じゃ、じゃあやっぱり今のマジで俺がやったの?」

天使「え?」

ennjeru「…いや、よし!分かった!一緒に戦おう!」

天使「おおっ!助かります!あなたがいれば百人力ですよ!」

ennjeru(マジかよ!まさかこんな日が来るなんて!なんだか知らないがこうなったらとことん活躍してやるぜい!!)


887 : ハイドンピー (ワッチョイ b51e-f60c) :2020/01/16(木) 20:13:19 rm37dxng00




神殿の中心部では。

天使b「どんどん魔物が増えてきたっすね…!」

天使c「くっ…この神殿はなんとしてでも死守せねば…!」

天使a「これじゃ私たちの力が尽きるのも時間の問題だよ…」

三天使が、神殿を襲う魔物たちを撃ち落としていた。

大魔物「グオオオオオッ!!!」

天使b「で、でかい!あれは流石にムリっすよ!!aさんなんとかしてくれっす!」

天使a「ええ?無茶振りでしょそれ」

天使c「言ってる場合かっ!」

大魔物「グオオオオ!!」

巨大な魔物は三人に向かって突っ込んでくる。

チンポコ「ふあぁ〜あ…よく寝た」


ドガァァァン!!!!


大魔物「グァァァ…!!」


ドシャァン…!


巨大な魔物は突然倒れ、消滅。

チンポコ「…ん?」

種子の間で戦いに巻き込まれて、今の今まで気絶していたチンポコメロン男爵である。

天使c「チンポコメロン男爵!?お前今何をした!?」

チンポコ「…え?何って…あぁ…寝起きのファルコン・パンチだが…?私の日課だ…」

天使b「あのでかい魔物倒したっすよね!?今!」

チンポコ「…んえ?いや、なんかに当たったな、とは思ったが……え?」

天使a「何が起きたの…?これ…チンポコメロンがこんな事できるわけないよね」

チンポコ「失礼な…」

天使c「これは…恐らく召喚士の言っていた、KONDOUISAMIによる一触即死の伝導…!そうか…ついに始まったか…!」


888 : ハイドンピー (ワッチョイ b51e-f60c) :2020/01/16(木) 20:16:10 rm37dxng00





そして下界でも。


隣国・南の町にて。

魔物「ギャオオォォ!」

ドドドドドドドド…

空の割れ目から、次々に魔物たちが町へ降りてくる。

♂♂「ど、どうすれば…!ミーのチカラではあんな魔物は…!」

♂maikeru♂は建物の影に隠れながら様子を伺い、うろたえる。

住民「う、うわあああ!」

魔物「グギャォォ!」

♂♂「なっ!」

もうすぐ近くにまで魔物が闊歩し、住民を襲い始めていた。

住民「いやぁぁぁ!!」

住民「ひぃぃぃ!誰かぁぁ!!」

♂♂(ミーは弱い…!勝てマセン…!無駄死にするだけデース…!無理なのデス…ミーでは助けられマセーン…!ソーリー…!ソーリー…!ソーリー…!)

頭を抱えてうずくまり、見つからないように少しでも体を小さくする♂maikeru♂。

住民「ぎゃああああ!!」

住民「助けてくれぇぇ!!」


♂♂「う…うおおおおおおお!!」


しかし気づけば魔物たちの前に立っていた。

自責の念からか、それとも先祖から伝わるファイターとしての本能によるものか。

♂♂「さあ!!かかって来なサーイ!!ミーが相手になりマース!!」

魔物「ギャオォォォ!!」


♂♂「ポゥッ!!!」


ドゴォッ!!!!


魔物「!?」

♂maikeru♂の繰り出した渾身の右ストレートは、魔物を粉砕した。


889 : はいどうも名無しです (アウアウ c2af-89fe) :2020/01/17(金) 16:31:03 xKOfCupMSa
ここにきて一触即死勢の覚醒は激アツ展開で!?

あと巨根天使マックスもゲスト参戦してて笑う


890 : ◆JFxYj/S602 (ラクラッペ 8a81-1c8d) :2020/01/18(土) 14:06:24 J.601mLAMM
即死勢が放つ技がほぼ即死ルールで強い技なの凄い


891 : ハイドンピー (ワッチョイ 9ad2-ac1e) :2020/01/22(水) 20:19:57 j.j3IxRQ00





極道の事務所の周辺にて。

魔物「ギャァァス!!」


バンッ!バンッ!


ヤクザA「チッ!数が多すぎる!」

ヤクザB「キリがねぇぜ!どうしやすかアニキ!」

ヤクザC「と、とにかく撃て!撃てーっ!」

暴れる魔物たちとヤクザたちが交戦していた。

ナイフ「何なんだよこりゃ!何が起きてるんだよ!?」

人間「いやオレに聞かれても困るんスけど…」

ナイフ「誰もお前なんかに聞いてねえよ!!切れちまったよ!オイ!」

人間「す、すんません…」

ヤクザC「オメエらも喋ってねえで撃てや!大体こんな時に片割れの奴はどこ行きやがった!」

人間「あ、片割れのアニキならなんか留守番頼むとか言ってどっか行きましたけど…」

ヤクザC「はあ!?何言ってんだオメエ!使えねえな!」

人間「えぇ…なんでオレが怒られるんスか…」

ナイフ「ブツクサ言ってねえでお前も戦え!」

人間「は、はい…」

人間はトボトボと魔物に向かって歩いていく。

ナイフ「いや生身で行くのかよ!!武器使え武器!!」

ナイフの呼び止める声も聞こえておらず、人間は魔物の目の前まで近づいた。

人間「せい!」


ドゴォォォッ!!!!


魔物「グギャァァ!!」

魔物は人間の繰り出したアッパーにより消滅した。

ヤクザたち「!?」

人間「え?」


892 : ハイドンピー (ワッチョイ 9ad2-ac1e) :2020/01/22(水) 20:23:11 j.j3IxRQ00

ナイフ「Y!!何でそうなるんだよ!?今お前何した!?」

人間「わ、わかりません…なんすか今の」

ナイフ「いや俺が知るか!もしかしてコイツら大したことないのか!?」

ヤクザA「んなわけねえだろ、チャカでブッ放しても中々倒れねえヤツらだぞ?」

ナイフ「あぁん!?今の見ただろ!この使えねえ人間が倒したんだぞ!?見とけ!俺もやってやるよ!!ゥオラァ!!」


バチバチバチッ!!!


魔物「ドギャァァ!!」

ナイフが繰り出した電撃は魔物を黒焦げにし、消滅させた。

ナイフ「ホラ見ろ!」

ヤクザB「マ…マジかよ…」

ヤクザC「ア、アイツらウチの組でも最弱のコンビだったハズだよな…?」

人間「そりゃぁっ!!」

ズドガッ!!

ボゴゴッ!!

ナイフ「デガワッ!!」

ドゴォン!!

二人は次々と魔物を消し飛ばしていく。

ヤクザA「マジで何がどうなってんだ…」

ナイフ「わっはっはっ!!最高の気ぶ…ッ」


バゴォン!!!


ヤクザたち「は?」

ナイフは魔物の一撃で吹っ飛び建物にめり込んでいた。

人間「ナ、ナイフさん!?どうし…」


ベゴォン!!!


続いて人間も魔物に突き飛ばされ、めり込む。

ヤクザA「え、えぇぇぇぇ!?」

ヤクザC「や、やっぱマグレだったか…」

魔物「ギャォォォ!」

そして気づけばヤクザたちは先ほどまでより数倍増えた魔物たちに囲まれていた。

ヤクザC「チッ!アイツらが暴れすぎたせいで魔物どもが寄ってきやがった…!」

ヤクザB「ど、どうしやすかアニキ!」

ヤクザC「ど、どうするったって…この数じゃぁ…」


???「ここは僕に任せてくれ!!」


893 : ハイドンピー (ワッチョイ 9ad2-ac1e) :2020/01/22(水) 20:27:19 j.j3IxRQ00

ヤクザたち「あ!?」

そこに現れたのは緑の剣士。

魔物「グオオオオッ!!」

魔物たちは一斉に襲いかかる。


???「爆ぜろ!!」


ドドドドドドォォン!!


魔物「グァッ!?」

魔物たちは大量の爆発に巻き込まれて、次々と消滅していく。

???「僕はリンク族として生まれながら…何の才能も無かった…!」

ヤクザC「な、なんだお前は…?」

???「僕はsuko-ru…どこからともなく現れることからそう呼ばれるようになった…ただ影が薄いだけなんだけど…」

ヤクザA「そういや聞いた事がありますぜアニキ…この辺りで争い事を起こすと、突然現れて止めようとするヤツがいるって…」

ヤクザB「ああ…あのウワサか…でもソイツめちゃくちゃ弱くていつも結局何もできずにブッ飛んでいくらしいぞ」

suko「そう…それが僕だ…僕はいつも何も止められない……!何の力もないのに、人一倍強い正義感だけは、先祖から色濃く受け継がれてしまったんだ…!」

ヤクザC「なんか語り出したぞ…」

ヤクザA「ま、まあアイツのお陰で助かってるし、聞いてやりましょうや…」

suko「だけど諦めなかった…死ぬ気で修行して、バクダンを無限に生み出す技を身につけたんだ…!それで争いを止められたことはなかったけど…」

ヤクザB「ダメじゃねーか」

suko「それでも僕は諦めなかった!!止められなくても、何度だって争い事に首を突っ込んで…今!!やっとその時が来た!!何が起きてるのかは分からないけど、僕の攻撃が急にあいつらに通用するようになったんだ!!」

魔物「グォォォ!!」

魔物が飛びかかる。


ドドォン!!


魔物「グギャ!?」

suko「無駄だ!!ここら一帯!僕のバクダンで完全に包囲してある!!」


ドドドォン!!!


suko「今の僕は!!誰にも!!」


ドドドドォン!!!!


suko「止められない!!」


894 : ななし (ワッチョイ bf9e-16e2) :2020/01/22(水) 22:11:02 00gP1OJg00
suko-ru……止まるんじゃねぇぞ!


895 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 4c28-c60d) :2020/01/23(木) 20:25:01 H0IeR3uI00
一触即死のネタを上手く使ってて面白すぎる


896 : ハイドンピー (ワッチョイ 09ac-e4b2) :2020/02/12(水) 12:48:01 1D5VoP9g00





山の麓の町では。

人々『うわあああ!』

魔物『グオオオオ!』

アナウンサー『ご、ご覧ください!空に突如として現れたひび割れから、次々と魔物が現れ!人々を襲っ…ぎゃああああ!!』

ガガガッ!

ピーーーー…

しばらくおまちください。

と、表示されたテレビを、暴力委員長たちは観ていた。

弟「ひぇぇ…す、すごいことになってるね…」

暴力「僕たちにも何かできることがあればいいんですが…」

母「ダメよ!戦おうなんて考えちゃ!私には保護者としてみんなを守る義務があるのよ!」

コテツ「でもぼくたち、学校にでた魔物はやっつけたよ?」

インテリ「とは言ってもあれはマグヌスの力が大きかったでしょう。それに今回は数が違いすぎる。僕たちだけでは、まともに戦えるかどうか…」

母「いやだから戦っちゃダメだからね!?」

チェン「そうだよ!危ないよ!きっと警察とか軍の人がなんとかしてくれるよ!」

弟「そ、そうだよね…」

ムクムク…

ソーセージ「フン、はたしてそうかな」

弟「ソーセージ!」

コテツ「どういうこと?」

ソーセージ「人のいないとこに現れた魔物なら、軍の兵器なんかでドカンと一気に吹っ飛ばせるだろう。だが街中にまで入ってきちまったらそれはできない」

母「そ、それは警察や機動隊の人たちが対処してくれるわよ!いくら魔物でも銃で撃たれて無事なんてことあるはずないわ!」

インテリ「…確かにそうかもしれません。でも南の町にいたような、巨大な魔物が出てきたら…」

ソーセージ「ああ。普通の人間にゃ荷が重すぎる」

暴力「そうですよ!だから今は…僕たちが戦うべきなんです!戦う力を持っているんですから!」

母「でもあなたたちはまだ子供なのよ!」

弟「大人とか子供とか、関係ないよ!戦わなければ生き残れない!」

ソーセージ「そういうこった」

インテリ「行きましょう!覚悟はできました!」

暴力「はい!」


897 : ハイドンピー (ワッチョイ 09ac-e4b2) :2020/02/12(水) 12:53:21 1D5VoP9g00

母「ダメよ!行かせないわ!どうしてもと言うなら…この私を倒してから行きなさい!」

母が委員長たちの前に立ち塞がる。


ドゴォォッ!!!!


母「ぎょええっ!」

母の後ろから、壁を突き破って魔物が現れ、母を吹っ飛ばした。

母は反対側の壁に激突し、気絶した。

インテリ「魔物…!ついにここにも…!」

チェン「うぅ…こ、こわいけどこうなったらしょうがない…私も戦うよ!」

コテツ「よーし!みんな、がんばろー!」

みんな「オー!!」


そして委員長たちは魔物たちと交戦する。

だが一人だけその戦場の中で棒立ちしている者がいた。

弟「ふぇぇ…」

ソーセージの主の、幼き弟である。
彼は何の力も持たない一般人なのだ。

魔物「グォォ!!」

一匹の魔物が、幼き弟へと飛びかかる。


バコォン!!


母「うちの息子に何してくれとんじゃーーい!!」

弟「お、お母さん!」

母「もーーー怒ったわ!!全然言うこと訊かないあんたたちにも、魔物たちにも!!後で説教してやるから覚悟しときなさい!!」


898 : ハイドンピー (ワッチョイ 09ac-e4b2) :2020/02/12(水) 12:57:21 1D5VoP9g00





北の町、魔法学校周辺では。

バロン「はあ…はあ…なんて数だ…何匹かは撃ち落とせたけど…」

バロンムッコロスは一人ここに残り、魔法学校の護衛を任されていた。

小さい竜のような魔物たちがその上空を飛び交っている。

魔物「グオオオオ!!」

バロン「げっ!気付かれた!」

数匹の魔物がバロンムッコロスに襲いかかる。


???「トウッ!!」


バォンッ!!!!


バロン「!?」

魔物「グギャァァ!!」

魔物が全て、突如として弾け飛んだ。

バロン「な…何が起きたんだ…?」

???「大丈夫か?」

バロン「何もしてないのに、魔物が勝手に消滅した…?」

???「…視えていないか…どちらにせよ俺の存在は記憶から失われる。関係無いな」

バロン「と、とにかくこれで、一応この町は助かった…のかな…」

バロンムッコロスは首を傾げながらも、ほっとしていた。

???「さて、まだこの世の平穏を乱す者の存在を感じる。この世の乱れは幻想の乱れ…番人として見逃す訳にはいかないな」


ダッ!!


バロン「おわっ!な、何今の音!?」

バロンムッコロスには見えない何者かが、地を蹴り、飛び立った。


その後彼は五億体以上の魔物を消し去り、いくつもの国を救うのだが、誰も知る由もない。


899 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 5b1f-8168) :2020/02/13(木) 18:42:34 0MDIyn1w00
コージ強すぎて草
まあ実力的にはそうなんだろうけどさ


900 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 6152-796c) :2020/02/26(水) 20:01:07 Dzm7W9W200
最近知って量多いから毎日少しずつ読んでたけど
面白すぎて途中から止められず一気に読んじゃった

元々喋らないキャラを喋らせてるので最初は抵抗感強かったけど
そこを乗り越えるとCPUトナメネタとの絡みが面白くて止められないsuko-ruさん


901 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 06:25:32 WLudt1JI00





天界・上層。

勇者たちは全能神殿を目指して走っている。

エロマス『…フ、確かに甘く見ていたようだ。魔物たちが瞬く間に消えていく』

しばらく下界の様子を見ていたエロマスが、その脳内に再び語りかける。

レイア「当然だ!次はてめえの番だぜ!」

エロマス『フ、それはどうかな。今の私は下目使いの力をも上回っている』

片割れ「それが何や!ワシらはそれも上回って勝つ!」

エロマス『無駄さ。なぜ全能神が何千年もの間この世界の形を保ちながら生きて来られたか、解らないわけではあるまい?』

SEFI「確かにその力は強い。だがそれは余や、彼奴という器が伴っていたからこそだ。貴様のような輩に、その全てを使いこなす事などできぬ」

エロマス『おや、これはこれは。始まりの全能神殿。随分と自分の力に自信がお有りのようで』

SEFI「余は数十年の鍛錬を経て、PSIを全能神の力と呼ばれる程に昇華させたのだ。そこまで至るのにどれ程の努力をした事か。その力を不純な動機で奪った貴様などが扱える筈があるまい」

エロマス『フフフ…努力か。私とて当然してきたのだがな。物心ついた頃から、利用できるものは全て使い、生きた時間の半分以上を研究に費やした。お前と一体何が違うと言うのだ?』

reku「いやぁ…流石にその理論は無理でしょ…」

ヒーロー「世界を守る為の努力と、自分の欲望の為の努力を一緒にするな!」

アマゾン「そうだそうだ!こっちはヒーローでお前はワルモノだぞ!」

歩く「…欲望の為の努力がダメとは言いませんが、貴方は方法を間違えた。それだけですよ」

エロマス『悪者か…エゴだな。そもそも一体善悪とは誰が決める?動物は食欲を満たす為、他の動物を殺すだろう。それは悪では無いのか?』

Dr.神様「…ありふれた問答など、もうよい…我らは貴様を討つ」

Dr.神様は珍しく怒りをあらわにしていた。

エロマス『フフ、そうか。ならば私はこの玉座の間で愉しみに待つとしよう』


ブツンッ


エロマスは念話を切った。

レイア「全く、気色の悪い野郎だぜ!」


902 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 06:26:37 WLudt1JI00

勇者「あ!見えてきましたよ!あれが全能神殿です!」

玄酔楼「フム…やはり神聖な力を感じる」

reku「また言ってるよこの人…」

ギル「でも確かに、下目使いの時みたいな空気の重さは感じないわ」

昼間「エロマスがどんな人間でも、奴が手に入れたのは魔力ではなく純粋な全能神の力ですからね」

片割れ「人間やなくてゴリラやけどな」

妹「でも…また神殿に結界が張られてたらどうするの?」

昼間「問題ありません。この魔法陣がある限り、どんな結界も無意味です」

ヒーロー「凄いな。魔法か…ヒーロー活動に生かせるかもしれない。今度教えてもらってもいいか?」

昼間「ええ、まあ、戦いが無事に終われば」

純白「僕たちがここへ来れている時点で、エロマスも恐らく結界は無駄だと分かっているでしょう」

大学生「ケケッ、だろーな。よっぽど馬鹿じゃなけりゃンな時間の無駄な事はしねーよ。まーよっぽどの馬鹿じゃなけりゃそもそもこんな事態にもなってなかったがな」

ミカ「チッ、にしてもあのカギの使い方さえ分かってりゃオレらが天下とってたかと思うとクソムカつくぜ…」

大学生「ケケケ、まーだゴネてんのかよこのドブネズミは」

マグヌス「いいかげんオトナになれ、バカめ!」

ミカ「何ィ!?」

純白「だから君たちすぐケンカしない!ていうかそんなんでよくこの三人で組もうと思ったね!」

アントン「ホントに大丈夫なのかなこれ…」

Dr.神様「うぅむ…ちゃんと作戦通り動いてくれればよいが…」

ケ「フンフン」


と、喋っているうちに、ファイターたちは全能神殿の前に着いた。

昼間「…やはり結界は無いようですね」

勇者「行きましょう!」

そして勇者たちは中へと足を踏み入れる。


903 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 06:29:05 WLudt1JI00


ドドン「それじゃあタバスコさん、頼むドン!」

タバスコ「はい」

するとタバスコは目を瞑り、


フゥーッ


息を吹く。

その息は白い煙となって、瞬く間に広がっていく。

片割れ「うお!これ、あん時の煙か!?」

卍「なるほど…この煙で神殿内の敵を感知するのか」

アルベ「大気中のエネルギー密度が濃いこの場所では、魔力での感知は出来ないが…煙という媒体を通すことでそれを可能にしているのか…!凄い…!」

昼間「タバスコさんは魔法学校にいる間、この煙を少しでも使いこなせるよう、ずっと練習していましたから。まだかなり集中しなくてはいけないようですがね」

reku「まあ彼ならこれくらいは出来ると確信してたよ。ふふふ、流石は僕が見込んだ男だね」

チェマ「何でお前がドヤ顔してんだ」

玄酔楼「煙草の煙…この力…やはり彼奴の…」

ねこ「何か知ってるんですか?たしか魔法学校でタバスコくんに会ったときもそんな反応を…」

玄酔楼「昔の話じゃ。今話すような事ではない」


ズドォン!!

バゴォン!!


妹「きゃぁ!?何!?」

突然廊下の奥の方から、何度も轟音が響いた。

それは数十発にもおよび、ようやく止まった。

片割れ「何やったんや…?」

ヒュゥゥ…

すると周囲に広がっていた煙が晴れ、タバスコは目を開けた。

タバスコ「罠が仕掛けられていたので破壊しておきました。敵はあちらの通路に数十匹の魔物、あちらには一匹の巨大な化け物がいましたが、それも煙で倒しておきました」

reku「有能すぎない!?」

ギル「すごいわ!」

妹「さすがお兄ちゃんっ!」

タバスコ「いや…父さんのお陰ですよ」

勇者「そんなことありません!使い方を習ったわけでもなくタバスコさんが自分で会得したんだ!誇っていいことです!」

タバスコ「…ありがとうございます。ただ、全能神の間には入れなかった。結界とは違う、純粋なエネルギーによって煙が押し返されて…」

歩く「やはり一筋縄ではいきませんか…」

レイア「でもこれで、後は一本道を突っ切るだけだ!」

勇者「はい!」

そして、勇者たちはエロマスの待つ全能神の間へと進んだ。


904 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:20:45 WLudt1JI00



バンッ!!


扉を勢いよく開け、真っ先に突っ込んだのは。

レイア「エロマス!倒しに来たぜ!!」

エロマス「灼熱のレイアか。フ、威勢だけは良いな」

エロマスは宙に浮いた玉座に座り、レイアを見下ろしている。

レイア「へっ!心で負けてちゃ勝てるもんも勝てねえからな!」

タタタタタ…

卍「全く…一人で突っ走るな。本当に落ち着きが無い奴だ」

レイア「悪い!」

遅れて他のみんなも全能神の間へ入ってきた。

エロマス「我が城へようこそ、諸君」

勇者「あ、あれがエロマスか…!」

エロマス「しかし真正面から入って来るとはな。不用心じゃないか?」

片割れ「ハン!お前こそ、こんだけのファイターたち前にして呑気にイスに座って、不用心とちゃうか!?」

エロマス「フ、まだ理解していないのか。私は用心などする必要がないんだよ。この場の全てが手にとるように分かるのだから」

ドドン「そうドン、下目使いの時もそうだったドン!やることなすこと全部見透かされてる感じで…」

エロマス「下目使い?フフフ…あんな紛い物の力と一緒にしないで貰いたいね。私の力こそが真の全能神の力だ」

reku「どうでもいいけど、いつまで喋ってんのっ!!」

ダッ!

こっそりとエロマスの後ろに回っていたrekuiemuが蹴りを仕掛けるが。


バチィッ!!


reku「!!」

その蹴りはエロマスに当たる前に弾かれた。

reku「結界か!」

エロマス「焦るなよ、世界のrekuiemu。私は君を評価しているよ」

reku「は…?」

エロマス「悪魔の下目使いと同等の実力を持ちながら、日々地獄のような特訓を繰り返し技を磨く。精神的にも、慈悲深くそれでいて強い自我も持っている。尊敬に値するよ」

reku「気持ち悪っ!何こいつ急に!」

片割れ「大体お前なんでそんなこと知ってんねん!?ワシらかてコイツんことよう知らんのに」

勇者「確かに…突然現れて、流れで仲間になったけど、僕たちrekuiemuさんのことあんまり知りませんね…」

reku「いや今そんなことどうでもよくない?」


905 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:24:29 WLudt1JI00

エロマス「フ、それは彼自身も知らないからさ。記憶が無いのだろう?」

reku「!!」

妹「そ、そうなの?」

reku「…まあね。かなり前の話だし、別に今となってはどうでもいいことだけど…」

エロマス「私は昔、この計画のために空間の歪みを計測する装置を作った。そしてある時装置が反応し、君が異空間からワープスターとともに現れたのを発見したのだ。その墜落による衝撃か、記憶を失ったようだ。それから私は君を監視していた」

reku「ストーカー!ストーカーだよ!」

ギル「なんかシリアスっぽい話してるのに緊張感ないわね…アンタ…」

チェマ「まああんなヤツの話マジメに聞くのもどうかと思うがな」

エロマス「エネルギー観測装置により調べていくと、君は別の宇宙からワープしてきた事が分かったんだ。それからは更に焦点を絞り君を詳細まで調べ尽くした」

reku「ホントに気持ち悪いんだけど!?やめてくんない!?まじで!!」

エロマス「カービィ族とは本当に謎が多い。中でも先祖からワープスターを受け継いだ君は非常に興味深いんだよ。恐らくカービィ族としてあの下目使い以上のエネルギーを秘めている事は間違いない。一端の科学者として是非研究させてもら…」


ボフンッ!!


エロマス「!」

突如エロマスの結界の内側に爆弾が現れ、爆発した。

大学生「ケケッ、気ッ色悪りぃゴリラだなよく喋りやがってよォ、人間様の真似事してんじゃねーよ動物園に帰りやがれ」

エロマス「ゲホッ、ゲホッ…喋っている最中に何をするんだ。君は確か、例の大学生だな。幼い頃に消えた親友を探し出すため魔法を学び、卒業後にその親友を…」

大学生「なーんのハナシしてんだこのゴリラ妄想も程々にしとけよバァーカ」

エロマス「!!」

大学生は話を遮り、爆弾を魔法陣に乗せてエロマスの結界内へと召喚した。

魔法を扱える大学生には、あらかじめ召喚士が結界を越える魔法陣を渡していたのだ。


ドドォン!!


しかし。

エロマス「フ、二度も通用すると思うな?結界を越えてくるのは分かっているさ。ならば越えた先に結界を張ればいいだけの話」

エロマスは爆弾そのものを小さな結界で包み込み、爆風を完全に抑え込んでいた。

ミカ「んなっ…!あの速さで結界を出せるのかよ…!」

エロマス「お返ししよう」

パチンッ

エロマスが指を鳴らすと、結界に入った爆弾が大学生の方へと送り返された。

大学生「!!」


ドドォン!!


大学生「ゲホッ、ゲホッ!…チッ…」


906 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:26:52 WLudt1JI00

昼間「これ程の精度で結界を操れるとは…これでは魔法陣も意味をなさない…!」

エロマス「バーで会った時はまさか君がそんな技術を持っているとは思わなかったよ、昼間の召喚士。全能神の結界を越えるなど、魔の一族ですら考えていなかったのだから」

昼間「元はただの事故でしたからね…偶然がここまで導いてくれた。でも、ここからは違います」

ドドン「くらえドン!」

ドドンが召喚士の開いた魔法書に向かってボム兵を投げた。

エロマス「無駄だと何度」

ボム兵はエロマスの結界内に召喚され、それを更にエロマスは結界で封じ込める。

昼間「はっ!!」

エロマス「!?」

しかしボム兵は再び消え、エロマスの眼前に現れる。


ドドォォォォン!!!!


結界内で爆発が広がった。

片割れ「よっしゃ!」

レイア「完璧に入ったぞ今のは!」


パリンッ!


結界が割れる。

勇者「結界が割れた…ってことは…力尽きた…のか…?」


エロマス「なるほど…魔法陣をボム兵本体に書き込んでおいたのか」


ヒーロー「!! しぶとい奴め…!」

アルベ「ドンキー族はしぶといことが大きな取り柄の一つ……とは言えあれ程の爆発を至近距離で受けて倒れないとは…」

シュゥゥ…

爆煙が晴れていく。


907 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:32:23 WLudt1JI00

レイア「…ん?いや、倒れてるぞ!?」

そこにはエロマスが焼け焦げて倒れていた。

ドドン「これは…下目使いと同じパターンドン…」

昼間「偽物か…!」

エロマス「フ…そういうことだ」


バシュゥッ!


倒れたエロマスの体が、玉座とともに消滅する。

エロマス「魔法を二重に掛けてくるとは予想外だった。だが、私は分かっていたよ。これだけのファイターたちが集まれば、こんな手品は容易に超えてくるだろうことは」

卍「上か!」

全員が一斉に上を見上げる。

そこには本物の玉座に座るエロマスがいた。

エロマス「だから人形を生み出しそこに置いておいた。人形遊びは愉しかったかい?ファイター諸君」

ミカ「テメェ…!用心はいらないんじゃなかったのかよ」

アントン「めちゃくちゃ用心されてたね、うん…」

片割れ「クソッ!アイツの性格の悪さ忘れとったわ!」

エロマス「フフ、それを君が言うか、極道の片割れ。これは戦いだぞ?」

エロマスはニヤニヤと勝ち誇ったように笑みを浮かべる。

片割れ「うっさいわ!」

チェマ「フン、だから言ったろうが。あんなヤツの話、聞くまでもねえ。惑わされるだけだ」

レイア「そうだな!おし!!それじゃ今度は俺らの出番だ!」


ダダンッ!!


レイア、チェマ、玄酔楼の三人は一斉に上空のエロマスへと飛びかかる。

エロマス「フ、肉弾戦など通じないと分からないのか?魔法を扱えぬ君たちでは、同じ土俵に立つ事すらできない」


ガンッ!!


チェマ「ぐっ…!」

三人の拳は結界に受け止められた。

レイア「こんなもんで俺の拳を止められるかぁぁっ!!うおおおっ!!」

レイアは叫び、拳を燃やすが。

エロマス「それは力や気合いでどうにかなるものじゃぁないんだよ。諦めたまえ」


908 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:36:15 WLudt1JI00


バチィッ!!


レイア「クソッ!」

スタッ

結界に弾かれ、三人は着地した。

玄酔楼「フム…このままではちと厳しいか」

すると玄酔楼は懐から何かを取り出す。

レイア「何だ?武器か何かか…?」

チェマ「…いや…コイツは…」

玄酔楼「酒じゃ」

キュポンッ

ゴクッ…ゴクッ…ゴクッ…

玄酔楼「ぷはっ」

レイア「何してんだ!?戦いの最中に!」

エロマス「フフ、酔拳でも使う気か?」

玄酔楼「ヒック…」

フラフラ…

レイア「うおい!大丈夫かよ!フラついてんぞ!」

玄酔楼「うぃ…もんらいない…ヒック…儂の心配より…しかと戦局を見ておけ…」


ヒュッ


エロマス(消えた…!)



バリィィン!!!!



エロマス「!!?」

次の瞬間、玄酔楼のパンチで結界が粉々に吹き飛んだ。


909 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:38:57 WLudt1JI00

レイア・チェマ「はあああっ!!」


ドゴォッ!!!!


エロマス「ゴフッ!」

その隙に二人が間合いに入り、燃えるアッパーを直撃させた。

エロマス「ぐ…な…何…だと…」

片割れ「今や!!」

ミカ「デガワァ!!」


ドガァン!!!!


エロマス「ぐぁああっ…!」

卍「はっ!!」


ドウッ!!!!


エロマス「ぐぅぅっ!!」

遠距離攻撃を持ったファイターたちが一気に畳み掛ける。

そして更にそこへ…

ポイッ

エロマス「!!」

大量のボム兵と爆弾が投げ込まれる。

大学生「死ねよバァカ」

勇者「行けぇっ!!」

ドドン「ドドン!!」



ドドドドドォォォォン!!!!!!


910 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:44:49 WLudt1JI00

巨大な爆発が巻き起こり、室温は一気に上昇、近くにいたファイターたちまで吹っ飛ばされる。

ズザザザッ!

片割れ「や、やり過ぎやボケェ!」

勇者「す、すみません!」

ゴォォォォ…!!

ギル「で、でもこれなら…!」

レイア「…いや…やってねえ…!」

ギル「え!?」

チェマ「当たった感触がしなかった!あの野郎、体に鎧みてえに結界を貼りつけてやがるぜ…!」

妹「そんな…!」

シュゥゥ…


エロマス「フ、どうだ?やられた演技、なかなか上手かっただろう?」

爆煙の中から平然と現れるエロマス。


ギャルンッ!!


ドゴォッ!!!!


玄酔楼「むっ…」

背後からの玄酔楼の攻撃を、エロマスは結界を何重にも重ねることで防いだ。

エロマス「不意打ちとは老獪なことだ」

玄酔楼「ヒック…此れは戦いじゃ…」

エロマス「フ、並の魔力しか感じない老いぼれと甘く見ていたが、結界を純粋な力と技のみで破るなど…完全に人間の領域を超えているよ君は。だが、初めに言ったろう?私にはこの場の全てが見えている。何処から何をしてくるか、分かっているのなら対処は容易い」

玄酔楼「…ならば…ヒック…反応れきぬ速され打ち込むのみ…」


ドガガガガガガガガッ!!!!


猛攻がエロマスを襲う。

次々と結界が破壊されては、新たに現れる。

バキバキッ…!!

メキメキメキ…!!

その余波で周囲の壁や床が剥がれていく。

片割れ「め、めちゃくちゃやなあのジイさん!」

Dr.神様「あ、あんな人間が存在したとは…!」

ヒーロー「おいおい!神殿が崩れるぞ!」

エロマス「それは困るな。ここは私のハーレム予定地なのだ」

パチンッ

エロマスはそう言って指を鳴らす。

玄酔楼「!!」

すると玄酔楼の足元にゲートが開いた。

エロマス「レッドカードだ…フフフ」


911 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:48:16 WLudt1JI00

玄酔楼「…!」

いかに玄酔楼と言えど重力に逆らう事はできない。

レイア「爺さん!」

ダッ!!

レイアとチェマは咄嗟に踏み出し、手を伸ばすが。

チェマ「くっ!間に合わねえ!」

玄酔楼はゲートへと落ちていった…

かに思われた。

しかし。


ギュルルルルルルルル!!!


エロマス「!!?」

玄酔楼「ヒック…危なかった…酒を呑んれおらねば間に合わんかったじゃろう…」

玄酔楼は両手を広げて高速回転し、浮かび上がってきたのである。

reku「う、浮いてる…」

片割れ「もうなんでもありかい!?」

エロマス「ま、まあ、この程度は想定済みだ…フ…」

片割れ「ウソつけ!」

エロマス「…君がいようがいまいが、関係無い。お遊びはここまでだ」


バサァッ!!


エロマスの背後に巨大な羽が出現した。

ドドン「あ、あの羽!波動が来るドン!!」

片割れ「フィギュアにするっちゅうヤツか!?下目使いの技とちゃうんかいな!」

Dr.神様「最初に編み出したのは下目使いかも知れぬが、その上位の力を持つ彼奴が、それを再現できても不思議ではない…!」

エロマス「その通り。今の私は文字通り、全能…!できないことなどないのだよ」


ギュォォォオオオオ…!!


羽に光が集まっていく。

アルベ「来るぞ!」

昼間「皆さん!アレを!」

勇者「はい!」


エロマス「OFF波動!!」



ドギュゥゥゥゥゥゥゥン!!!!



波動が拡がり、玉座の間全体が光に包まれる。

だが。

次の瞬間、勇者たちは玉座の間から姿を消していた。


912 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 07:56:21 WLudt1JI00

エロマス「……空間魔法で逃げたか。あらかじめ全員に簡易的な魔法陣を渡しておいたようだな。で、それが何になる?逃げているだけでは私は倒せまい」

エロマスは脚を組んでふんぞり返りながら、少し面倒くさそうに言う。


パチンッ


エロマス「!」

指を鳴らす音が聞こえると同時に、エロマスの周囲に炎の柱が現れた。

エロマス「フ、PKファイヤーを空間移動で送りつけて来たか。無駄な事を。別行動で数人、部屋の外から攻撃の機を伺っていたのも分かっているよ。出てきたまえ」

エロマスは結界で守られているため平然と玉座に座ったままだ。

純白「出てこいと言われて出て行く程素直じゃありませんよ」

姿は晒さず、声だけで返答する。

エロマス「強がっても意味は無いよ、純白。私には見えているのだ。君がそこにいる事も」

純白「!!」


ズァッ!!


突如純白の足元に炎の柱が現れる。

エロマス「お返ししよう」

歩く「ありがとうございます」

エロマス「!」


キュゥゥン…


炎が消える。

エロマス「サイマグネットで吸収したか。君は歩く天下無敵…だったかな?ネス族の末裔だな。他には、∫アルティライトねこに、ÅライムライトÅ、煙草マスターの子、ゲン、★グレイトアマゾン★…ケもいるな?」

アマゾン「げっ!ぜ、全部バレてる!?ぎょくざのまには入ってないのに…!」

エロマス「当然だ。この全能神殿にいる者は全て見えているさ」

ゲン「はっはっは、聞いてはいたがなんという力だ!」

ねこ「笑うとこじゃないですよ」

ケ「フンフン」

エロマス「お褒めに預かり光栄だよ」


913 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:02:28 WLudt1JI00

タバスコ「というか何故みんなの名前を…」

エロマス「私は全能神であり科学者である前に、情報屋なのだよ。特に私の研究に関係してくる、かつて世界が一つだった頃に存在した十一人の英雄…その子孫については、全て把握しているつもりだ」

ねこ「す、すべて!?」

エロマス「とは言え、カービィ族についてはまだ謎が多いがね」

純白「…それを言うならネス族もそうでしょう。始まりの全能神様は自分がネス本人で、子孫なんて残してないって言ってましたよ」

エロマス「知っているよ。ネス族の正体は始まりの全能神のクローンだ」

タバスコ「!?」

エロマス「私の家に代々伝わる家宝があってね。ああ、勿論あのカギの事ではない。先祖のサルの一匹が、かつてネスに貰ったというキングバナナの皮だ。そこからネスのDNAを解析し、クローンを作った」

ライム「ま、まさかあなたが…!?」

エロマス「そういうことになるな。フフ、パパと呼んでもいいぞ?」

アマゾン「だれが呼ぶか!!」

歩く「二人とも、惑わされてはいけませんよ。二人にもご両親がいるはずです。クローンなんてデタラメです」

アマゾン「はっ!たしかに!うちにママがいるし、ウソついてたんだなこのワルモノめ!!」

エロマス「フ、流石に冷静だな天下無敵。確かに私がパパだというのはウソだよ。何故なら君たちは、二世代目だからだ。私が直接造ったのではなく、君たちは私の造ったクローンの、その子供たちなのだよ」

ライム「あの人の言うことは何一つ信用する必要なさそうですね」

アマゾン「ふん!もう何を言っても騙されないぞ!」

エロマス「会ったことがないだろう?パパに」

ライム・アマゾン「!!」

ケ「ケ!?」

エロマス「受話器を取れば、連絡は取れただろう。だが会ったこともなければその顔も知らない。そうだろう?」

歩く「何が…言いたい…」

エロマス「あれは失敗作だった。PSIも使えないただの子供。だから解放してやったんだ。勿論監視は続けてね。そして十数年経つと、あれらは外で子を作った。するとどうだ。その子は完全なネスの力を持った個体だったのだ。それが君たちだ」

歩く「と…父さんと会ったことがないという話に…何故それが繋がる…?」 

純白「みんな落ち着いて!」

エロマス「フ、勘のいい君なら気付いているだろう?用済みになったから処分したんだ」

歩く「…お…前…ッ」

アマゾン「む、無敵さん…?」

天下無敵は怒りを露わにし、その魔力がジワジワと高まっていくのをアマゾンは感じていた。

エロマス「よく思い出せ。受話器で聞いた声を」

アマゾン「……!!」

エロマスの口から発せられる声が、受話器で何度も聞いた声と重なる。

ライム「そんな…本当に…!」

エロマス「そう、君たちがパパと信じて話していたのは私だ。そういう意味では、私がパパだと言っても間違いではないかもしれないな」

エロマスはニヤリと笑う。


914 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:09:26 WLudt1JI00


ダンッ!!


歩く「エロマスゥ!!」

天下無敵はたまらず飛び出す。

タバスコ「ちょっ!作戦と違っ…」

天界で鍛えた魔力により空間移動を使い、一気にエロマスとの距離を詰める。

エロマス「フ…ノコノコ出てきたか。まあ元々君たちの場所も分かっていたし、変わりはないがな」

歩く「お前だけは許さない…!PKサンダー!」


ジジジジジジ…


ドゴォッ!!!!


PKサンダー体当たりをエロマスに向かって放った。

が。


バチィッ!!


結界により、エロマスは指の一本すら動かす事なく、それを防ぐ。

歩く「く…ッ」

エロマス「フ、魔法とは不便なものだな。文字通り、魔力における法則であり理。その空間移動も、移動する先に"空間"が無ければ使えない。どこにでも移動できるのなら、私の体内に爆弾でも送り込めば済む話だったろう」

歩く「もう貴方は喋らなくていい…」


ジジジジジジ…


天下無敵は再びPKサンダーを放つ。

エロマス「血迷ったか。結界の鎧はそんな攻撃では何度撃とうとも……ん?」


ギュルァッ!!


エロマスの背後に玄酔楼が現れ、強力な蹴りを繰り出す。


バチバチバチバチ…!!


エロマス「やあ御老人。お帰り」

しかしそれも再び多重結界により防がれた。

タバスコ「玄酔楼さん!?」

エロマス「フ、戻って来たのは君一人だけかい?まあ君以外では私に太刀打ちできないだろうからね。正しい判断だよ」

玄酔楼「…ヒック…甘い」


ガガガッ!!


バリィィン!!!!


連打により結界が破壊される。

しかし。

エロマス「結界など無限に張れる。足りないなら増やせばいいだけのこと」

新たにいくつもの結界が現れる。


915 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:12:50 WLudt1JI00


玄酔楼「愚か」


エロマス「!!」

玄酔楼に意識が向いていたエロマス。

天下無敵の攻撃など、たとえ魔力で強化されたとしても自分の結界で止められるという確信があったからだ。

そしてそれは正しかった。

だがそれは魔力で強化されていただけならばの話である。



ズドォォッ!!!!



エロマス「ぐあぁっ!!」

天下無敵は結界をすり抜け、エロマスに体当たりを直撃させた。

ドシャァッ!

エロマスは玉座から弾き飛ばされ、地に落ちた。

アマゾン「や、やった!!」

ケ「フンフンフンフン!!」

純白「作戦とは違いますが、これで…!」

歩く「お前の野望も終わりです!エロマス!」

ストッ…

天下無敵はエロマスが退いた玉座に座る。

タバスコ「これで天下無敵さんが全能神の力を…!」


ズザ…

エロマス「ぐ…ぐぅっ…!ば、馬鹿な…!一体何が起きた…!?」

エロマスはよろよろと体を起こす。

ゲン「はっはっは、しぶといヤツだな」

エロマス「な…何をした…!結界を破壊したというなら分かる…それも本来は有り得ないが…まだ分かる…!だが、すり抜けた…!?」

歩く「すり抜けたんじゃない。"開いていた穴を通った"だけです」

エロマス「!?」

歩く「全能神の力は元々PSIだった…ならばサイマグネットで吸収できると考えました」

エロマス「そ、そんなもので結界が突破できる訳がないだろう…!!」

歩く「ええ。下層に張ってあった結界で試したところ、びくともしませんでした。ですがこれを魔力と組み合わせることで、小さな穴を開けることに成功した」

エロマス「な…何…?」

歩く「だから一撃目、無駄な攻撃と見せかけて結界を吸収し、本命の二撃目を放ちました。まああの時玄酔楼さんが来てくださらなければ、気づかれて再び結界を張られていたかもしれませんが…」

エロマス「…くっ…!!」


916 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:16:37 WLudt1JI00


純白「…ちょっと待って…おかしい…」

アマゾン「え?」

歩く「…全能神の玉座に座ってるのに…さっきから力が全く変わっていない…?」

タバスコ「まさかあの玉座も…フェイク…!?」

エロマス「…く…くくくっ…ハハハハハ!!既に全能神の力を手にしているこの私には何の旨味もない、相手を強化してしまうだけのクソアイテム!!どこにそんな危険な物を引っ下げてわざわざ敵前に姿を現す馬鹿がいるものか!!ハハハハハ!!!」

歩く「なっ…!」

ライム「じゃ、じゃあ本物の玉座はどこに…」

エロマス「どこにもないさ!本物など私がこの全能神殿を手に入れた瞬間に破壊したよ!最早私の力を上回る事は不可能だ!!」

ねこ「そんな…それじゃあ最初から…」

純白「…詰んでいたのか……!」

エロマス「フフ…!少々ダメージは受けたが問題無い…」

キュピーン!

エロマスの手の上にハートのうつわが出現した。

アマゾン「そ、そんな!無敵さんのつけたキズが治っていく…!」

エロマス「終わりにしよう」

玄酔楼「…!!」

ダッ!!

玄酔楼は嫌な予感がしてエロマスに飛びかかるが…


ズアッ!!!!


玄酔楼「くッ…!」

エロマスの周囲に衝撃波のようなものが発生し、玄酔楼を弾き返す。

エロマス「塵となって消えるがいい」

そう言ってエロマスは上に向かって手をかざす。


ゴゴゴゴゴゴ…!!


そこに黒い渦が出現した。

ゲン「な、何だあれは…!」


ズズズズズズズ…!!


周囲のものが吸い込まれていく。

タバスコ「ブ…ブラックホール…!?」

エロマス「これは使いたくなかったのだがね。何せこの全能神殿をも飲み込んでしまう。フ、私に一度でもダメージを与えたせめてもの称賛だ」

純白「そんな称賛いりませんよ!くっ…!吸い込まれる…っ!」

アマゾン「ど、どうしますか無敵さん!」

歩く「ブラックホールを消すしかありません!全能神の力で作られたものならサイマグネットが有効なはずです…!」

エロマス「フフフ、たしかにそうかもしれないな…試してみるといい。サイマグネットが届く距離まで近づけば、君たちの方が先に吸い込まれるだろうがね」

ライム「ぐぅ…!」


ズゴゴゴゴゴゴ…!!!


全員壁や柱につかまり耐えようとするも、すごい勢いで周囲が崩壊していく。

タバスコ「はあっ!!」


ブワッ!!


タバスコが全身から大量の白い煙を放出し、ブラックホールに向かって飛ばすが…


ギュォォォォォッ!!


タバスコ「くっ、やっぱりダメだ…!煙で破壊しようとしても全部吸われてしまう…!」


917 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:21:43 WLudt1JI00

ゲン「はっはっは!!ここは[世界第1位]であるこの俺に任せてもらおう!!」

ライム「ゲンさん!?」

ゲン「ポチッとな」

ゲンは取り出したスイッチを押す。

すると。


ゴォォォォォッ!!


全能神殿の入り口の方から、エンジン音が聞こえた。

エロマス「ファルコンフライヤーか。神殿の外に停めてきている事は分かっていたが、それで一体何をするつもりだ?」

ファルコンフライヤーは猛スピードでブラックホールに向かって突撃する。



ドドォォォォォォン!!!!!!



しかしファルコンフライヤーはブラックホールの遥か手前で大爆発した。

ゲン「な、何っ!?」

エロマス「何の考えも無しにこんなことをするわけがないからな。結界で止めさせてもらったよ」

ゲン「は…はっはっは!恐れを成したか!」

エロマス「しかし何かと思えばそんな事か。爆発の規模から察するに、中に大量の爆弾でも積んでいたようだね。ブラックホールにあえて飲まれて、中から破壊しようとでもしたのだろう。無駄さ。あの程度の爆発では壊れない」

ゲン「何ぃ!?」


ドドドドォォォン!!!!


アマゾン「なんだ!?」

今度は突然ブラックホールの内側から爆発が起きた。

ザッ…

大学生「ケッ、マジで効いてねーなコレ。その歳にもなってチート使ってイキってんの恥ずかしくねーのかクソゴリラ」

ドドン「俺のボム兵あれだけくらって消えないって…ヤバすぎるドン」

OFF波動をかわすために別の場所に移動していた勇者たちが、帰ってきていた。

と同時に、空間移動でドドンのボム兵をブラックホールの中へと飛ばしたのだ。

ライム「皆さん!」

昼間「遅くなりすみません。タイミングを伺っていましたが…作戦と違ったもので」

歩く「す、すみません…」

エロマス「フ、わざわざ倒されに戻ってきたのか。そのまま下界に帰って平和に暮らせばいいじゃないか。君たちならば魔物がいくら攻めてこようとも問題ないのだろう?私と戦う意味があるか?」

勇者「そんなのまやかしだ!お前の気紛れでどうにでもなるような世界で、本当の平和なんて訪れない!」

エロマス「フ、たとえ私を倒せても本当の平和など訪れないさ。人間たちは愚かなのだから」

レイア「んなこと分かんねえだろうが!勝手に全部分かった気になって決めつけてんじゃねえ!」

卍「大体お前はハーレムなどと言って女を力づくで自分のものにしようとしているだろう。野放しにしておけるか」

エロマス「そうか。それはいいが、果たしてこの状況をどう乗り越えるんだ?フフ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!


依然、周囲は飲み込まれ続けている。

玄酔楼「…ヒック…それは壊せるような物れはないのらろう…ならば簡単な話ら…ウィッ…」


ダッ!!


エロマス「フッ…」

玄酔楼「飲まれる前に貴様を倒す」


ズドォォオッ!!!!


エロマス「無駄だと何度言えば分かるんだ?やはり年寄りは頭が固いな」

結界が玄酔楼の拳を止めた。


918 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:23:34 WLudt1JI00

片割れ「頭固いんはお前も同じやろ!」

ミカ「死ねッ!!」


バチバチバチッ!!


アルベ「同じドンキーとして恥ずかしく思うぞ!貴様は最低最悪のゴミだ!」


ドゴォォッ!!!


エロマス「口だけじゃないか。君たちはこの老人にすら劣る無能だ。最初の贄となるがいい」


ズアッ!!!!


ミカ「うおっ!?」

エロマスは衝撃波を放ち、片割れたちを吹っ飛ばす。

宙に浮いた三人の体は支えを失い、そのままブラックホールへと吸い込まれていく。

アルベ「くっ、まずい…!」

妹「お兄ちゃん!」

ねこ「はい!」
アントン「うん!」


べろーん!

がしっ!


ねこ、[自称]妹、アントンは舌を伸ばし、それを阻止した。

ねこ「だいじょーぶですか?」

ミカ「ああ…」

片割れ「すまんな…」

妹「もー!しっかりしてよね!魔界の時もあたしが助けてあげたんだから!」

アルベ「すまない…だが仕事はした」

アントン「上手くいけば…きっと勝てるよ、うん…!」

玄酔楼「はあっ!!」


ズガガガガガッ!!!!


レイア「よし!俺たちも行くぞ!」

チェマ「ああ!」


ギュルルルッ!!!

ドガガガガッ!!!


マグヌス「わははは!ボクもまぜろ!PKファイヤー!」

ライム「僕も行きます!」

アマゾン「ぼくもまりょくで強くなったんだぞー!!とりゃあっ!!」


ボウッ!!

バチバチバチバチ!!

ズガァァァッ!!


919 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:27:02 WLudt1JI00

ヒーロー「食らえっ!ファイアーボール!!」

ギル「女の子を弄ぼうだなんて絶対に許さないわよ!はぁぁっ!」


ボッ!! チュン!チュン!


reku「みんなすごい大技で頑張ってるのになんか君たち技弱くない?」

ギル「うっさいわね!あんたも戦いなさいよ!」

reku「はいはい分かってますよっと!」


バキィッ!!!


純白「僕も加勢します!」

タバスコ「煙は使えないけど…この剣とスターロッドがあればまだ戦える!!」


ズバババッ!!!!


ドドン「どりゃぁぁあドン!!」

勇者「いけぇぇぇぇ!!」


ドドドドドドォン!!!!


エロマス「…なぜ諦めない?君たちに勝利は無いんだよ。私がこの力を手にした瞬間から既にね」

レイア「うおおおおおおっ!!」


ガガガガガガガガガガガガ!!!!


全員、攻撃の手を一切休めることなく、同じ方向から一気に攻め立てる。

エロマス「フ、何をしても無駄さ。この結界を超えることはできない。もう油断もない。たとえ破壊されてもその瞬間に新たな結界を張るだけだ」


ズズズズ…!


エロマス「……何?」

エロマスは自身が押されていることに気づく。

チェマ「結界は壊せなくても、足場やテメエ自身は違うだろ!」

エロマス「馬鹿な…ッ!!」


ドドォォォン!!!!


エロマスの足元が大爆発を起こした。

エロマス「がはっ…!?」


920 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:33:59 WLudt1JI00

昼間「そこに立っていられると言うことは、足元に結界はないということ…!」

片割れ「せやからお前にさっき攻撃した時設置しといたんや!モーションセンサー爆弾をな!!」

歩く「あなたを玉座から落としたのは、全能神の力を手に入れる目的だけじゃない。この手段が有効か見極めるためでした」

エロマス「ぐぅっ…!こ、小癪な…だがこの程度…私は一瞬で回復できるのだよ…!」

Dr.神様「むっ!!」


キュピーン!


エロマスは再びハートのうつわを召喚し、傷を治していく。

更に結界を大量に張り直し、完全防御態勢をとった。

エロマス「フ…フハハハハ!!馬鹿め!これでもう分かっただろう!私に勝つ事などできん!!」


バサァッ!!


エロマスは再び、OFF波動の翼を広げた。

reku「げっ!また来るよ!」

エロマス「最早君たちの魔力も底を尽きかけている!勝負を決めようと焦ったな!この人数を飛ばすことなどできまい!」

昼間「く…!!」

エロマス「これで終わ…り…………っ!?」


ぱちゅんっ!


ブラックホールが、突然何かに潰されたかのように消滅した。

エロマス「何だ…!?ブラックホールが消された…!?何だ…誰だ…!!この力は…!!」

ザッ…

ザッ…

ザッ…

何者かが奥から歩いてくる。


SEFI「エロマス。此処までだ」


現れたのはSEFIROSUだった。

その背には巨大な翼が生えていた。

エロマス「は……始まりの全能神…!!な…何故だ…!何故力を取り戻している…!?」

SEFI「サイマグネットによって力を取り返しただけだ。時間は掛かったが…皆が時間を稼いでくれた」

エロマス「何を言っている!わ、私は貴様に近付かれてなどいない!今もこうして全能神の力は私の元にある!!」

SEFI「あれだ」

SEFIROSUが指差した先には。

エロマス「し……下目使いの…フィギュア…だと…!?」

タバスコ「ここに入ってすぐに僕の煙で探したのは、敵でも罠でも、この玉座の間でもない。下目使いだったんだ」

歩く「玉座を破壊した判断は流石でした。でも、貴方は忘れていた。下目使いの中に全能神の力が宿っている事を」

エロマス「そ…それが何だ!!大体何故この全能神殿の中を、私に気づかれずに移動できたのだ!!有り得ん!!」

昼間「あなたは見たはずだ。だが"認識できなかった"」

エロマス「!!!」

SEFI「一触即死の力、と呼ばれておるそうだな。貴様が余の力をことごとく奪い尽くしてくれたお陰で、余も此の力の恩恵を受けられた」


921 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:36:54 WLudt1JI00

エロマス「ば……そんな馬鹿な話が…」

SEFI「その焦ったふうな演技も辞めろ。貴様の茶番には付き合い切れん」

エロマス「…フ…この戦いこそが茶番そのものだろう?フフ…君たち下等生物では私には勝てないのだから。何が起ころうともね。君が全能神の力を取り戻したと言っても、それはあくまで紛い物の力。この真の全能神の力には勝てない」

エロマスの翼が光る。

エロマス「話している間に準備は整った!!滅びるがいい!!OFF波動ッ!!」

SEFI「そうだ。貴様は最強の力を手にしている」


ビュゥン…


エロマス「!?」

SEFIROSUが手をかざすと、エロマスの翼と、周りに張られていた多重結界が一瞬にして消滅した。

SEFI「だが力は使い方次第だ。余はこの力を誰より長く使っておる。貴様が多少強い力を持っていようが、技でそれを超える」

エロマス「な…何だと…」


ドシャァッ!!


エロマス「ぐっ!」

その瞬間、玄酔楼がエロマスを取り押さえる。

片割れ「その力手に入れてもう勝った気でおったんやろ。ワシらのこと嫌がらせよう思いすぎて油断しとったな」

ドドン「うんうん。めちゃくちゃ用心深かった下目使いのほうがよっぽど怖かったドン」

エロマス「貴様ら…クク…油断しているのは今の貴様らの方だ!!馬鹿どもめが!!」

玄酔楼「!」


スゥッ…


突如エロマスの姿が消える。

レイア「あ、あれはあの時の!」

Dr.神様「異空間に姿を消す技術か…!」

エロマス「ワハハハハ!!さらば…」

SEFI「問題ない」

SEFIROSUはそう言って再び手をかざす。


パッ!


エロマス「!?」

するとエロマスがSEFIROSUの前に引き寄せられるように姿を現した。

SEFI「そんなもので余から逃げられると思うな」

エロマス「なっ…!!」

SEFI「その力は没収する」


ギュォォォッ!!


SEFIROSUはサイマグネットを発動し、エロマスの全能神の力を吸収していく。

エロマス「ぐ…うおおお…!!馬鹿な…!!私の力が…っ!!」


SEFI「貴様の力ではない。余の力だ」


922 : ハイドンピー (ワッチョイ f447-7037) :2020/03/02(月) 08:42:29 WLudt1JI00

ギュォォォ…!


ガクッ…

全て吸収し終えると、エロマスは膝をつき、うなだれる。

勇者「や…やりましたね!」

レイア「おう!俺たちの勝利だ!」

Dr.神様「凄い…流石は始まりの全能神様じゃ…!」

すると。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ…!!!!



勇者「な、何だ…!?」

卍「まずい…神殿が崩壊するぞ!」

エロマス「…フ……フフフフ…私が力を失えば…この上層は全て崩壊するようにプログラムされてある…!死ねぇ!全員道連れ」

ボコォ!!

チェマ「この野郎、とことんクズだな!」

チェマが後頭部をブン殴り、気絶させた。

SEFI「余に任せろ。今、結界を…」

ガクッ…!

Dr.神様「ぜ、全能神様!」

SEFI「くっ…体力…が……」

SEFIROSUは気を失った。

大学生「ケケッ、何千年もあんなトコ引きこもってりゃそーなるわバァカ」

ミカ「言ってる場合かよ!」

昼間「脱出しますよ!魔法陣を展開するので近くに集まってください!」

タバスコ「フィギュアにされた人たちは僕が煙で運びます!負傷者や足の遅い人はみんなで助けてあげて!」

勇者「はい!」

タタタタタ…

そして全員集まり…

昼間「行きますよ!」


ピカッ!!


足元に広がった魔法陣が光を放つ。

こうして、勇者たちは全能神殿を脱出した。




が。

その魔法陣で飛んだ先は暗闇だった。

勇者(え!?こ、ここって…)

勇者たちは辺りを見回す。

アントン(う、うちゅう〜!?)


923 : はいどうも名無しです (ワッチョイ b959-70b7) :2020/03/03(火) 02:15:34 yoNHmC/A00
エロマスなのに強かったなあwww
もうすぐ終わりかあ…どうなるんだろう


924 : はいどうも名無しです (ワッチョイ c3a3-f0d5) :2020/03/06(金) 16:41:29 GJd/NaZM00
設定が練られてて少年漫画みたいで面白い


925 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 3c61-fba4) :2020/03/07(土) 03:42:23 GD6W9/8.00
十一人の英雄…ってこれナチュラルにヨシオ族省いてねえか?wwwww


926 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 8576-9a04) :2020/03/07(土) 19:37:41 s897hB2g00
ヨシオ族
まだ勇者しかおらんのに終盤に入ってるから他はもう出ないのかな?


927 : ハイドンピー (ワッチョイ 2d96-be21) :2020/03/11(水) 20:43:30 87cyGeto00

そこは宇宙のどこかの星だった。

何も無い、生物もいない星。

上には星空だけが広がっていた。

昼間『こ…これは……魔法陣によって設定した場所とズレが生じてしまったようです…』

召喚士は念話を使い、みんなと話せるようにする。

片割れ『いや宇宙て!!何でやねん!』

ミカ『なにがどうズレたらこんな事になるんだよ』

昼間『わ、分かりません…ミスは無かったと思うのですが…!』

reku「これもどうせエロマスの仕業でしょ」

ギル『…アンタ普通に喋れるのね…』

reku「あ、ホントだ。カービィはワープスターに乗って宇宙を生身で飛んでたって言うし、まあそんなおかしなことでもないでしょ」

ギル『いやだいぶおかしいわよ!?』

レイア『んなことよりどうするんだよコレ!?』

ねこ『く…くるしい…』

妹『だ、大丈夫だよお兄ちゃん!また魔法でひとっ飛びすれば…』

昼間『…む、無理です…ここがどこかすら分からなければ、座標を設定できません…それにもう、魔力も…』

歩く『僕もアマゾンくんも厳しいですね…』

純白『…エロマスに総攻撃した時に全てをぶつけましたからね…』

大学生『ケッ、使えねーヤツらだ』

純白『大学生もでしょ』

チェマ『オイオイ魔法使える奴らが揃いも揃って…お前らあの慎重さはどこにいったんだよ』

アルベ『よせチェマ…SEFIROSUの行動がバレれば作戦は全て潰れていた。仕方ないだろう…そもそも魔法が無ければヤツの元に辿り着くことすら叶わなかったのだ…』

チェマ『…そうだな。すまねえ。だがどうする…?』

ゲン『はっはっは、ファルコンフライヤーさえあれば何とかなったんだがな』

ギル『アーウィンも天界に置きっぱなしよ…』


928 : ハイドンピー (ワッチョイ 2d96-be21) :2020/03/11(水) 20:47:09 87cyGeto00

どこかも分からない宇宙から、故郷の星へと帰る…

そんな方法はある筈も無かった。


キュィィィィン!


ドドン『デスエンさん。魔力を貸してくれドン』

デスエン『うん?何だ?どこだここ?』

ドドンはタバスコの拾ってきたフィギュアの中から、デスエンを復活させた。

昼間『デスエンさん!?ド、ドドンくん何をして…!』

片割れ『つーかタバスコも何そんなヤツまで拾ってきとんねん!?』

タバスコ『いや、みんな同じところにゴチャゴチャ積まれてあったから…時間も無かったし、全部持ってって必要な人だけ復活させればいいかと思ってたんですが……ドドンさん何してんの!?』

ドドン『いや、デスエンさんならたぶん余裕だと思ってドン』

デスエン『何だ?状況を説明しろよ。何で息ができないんだ?』

ドドン『宇宙だからドン。詳しくは省くドン。とりあえず今このままここにいると全員窒息死するから、助けてほしいんだドン』

デスエン『いやいや情報が少なすぎないか?まあいいか。んじゃあ俺やることあるし、先帰るから』


ビュンッ


デスエンは消えた。

ドドン『え…?ちょ!!待つドン!置いてくなドン!一緒に戦った仲間だろドン〜!?』

昼間『言わんこっちゃない…』

ギル『アンタほんと何してんのよ…』

歩く『…ですが案としては有りかもしれません』

昼間『え?』

歩く『フィギュアにされた中には天使や、魔力を扱える方もいるはずです。彼らを起こして力を借りることはできませんか?』

ギル『そっか!そうだわ!天才もいるはず!ナイスよドドン!』

ムギュゥッ

ドドン『すごい掌返しドン……つーか苦しいドン!タダでさえ苦しいのに!』

reku「そう言えば、神だって人もいたような…㌧とかそんな感じの名前の」

Dr.神様『㌧殿が!?上層でも最も神性が高いとされていた方じゃ!』

勇者『そ、そんなすごい人だったんですか!?なんか気品のある人だなーとは思ってたけど!』

アントン『し、知らなかったよ、うん』

片割れ『いやお前は知っとけよ!?まあええわ。ほな早速復活させて、助けてもらおうやないか!』

ガサゴソ…

片割れ『お。おったで!』

片割れはフィギュアの中から㌧を見つけ、

キュィィィィン!

㌧『!……ここは…』

昼間『実は、かくかくしかじかで…』

召喚士がすぐに事情を説明する。


929 : ハイドンピー (ワッチョイ 2d96-be21) :2020/03/11(水) 20:50:04 87cyGeto00

㌧『なるほど…ゲートが開けませんね…魔界も天界も一つになっているからでしょう…とにかくまずは呼吸を確保しましょうか』


バサァッ!


㌧が翼をはためかせると、そこにいる全員を包むくらいのドーム状の結界が張られた。

㌧「これでひとまずは大丈夫です」

その内側では息ができるようだ。

アントン「ぷはぁっ!!し、しぬかと思ったよ、うん!」

勇者「た、助かりました…!はあ…はあ…ありがとうございます…!」

㌧「いえいえ。それよりもどうやって帰るかですが…」

片割れ「何や、神様パワーでなんとかしてくれるんとちゃうんか!?」

㌧「申し訳ありませんが…私程度の力では、ここがどこかも分かりません」

ねこ「そんなぁ…」

ギル「しょうがないわよ…宇宙ってほんと広いんだから…」

チェマ「つうかそう考えるとΦデスエンペラーの野郎、マジで底が知れねえな…」

ケ「フンフン」

reku「㌧さんでも無理となると、やっぱり天才くんかな?」

キュィィィン!

rekuiemuは天才をフィギュアから元に戻す。

天才「……ん?なんだお前ら、みんなしてジロジロ見やがって」

昼間「かくかくしかじか…」

天才「…なるほどな。ま、とりあえず試してみるか」

天才は目を瞑り集中する。


が。

天才「…ダメだな。全く何も感じねえ。近くに生き物がいる星でもありゃその魔力を感じ取れたかもしれねえが…俺ら以外なーんもいねえぞ…」

ギル「嘘でしょ…?」

片割れ「ど、どうすんねん!?」

reku「ここでこのまま飢え死に!?やだよそんなの!!」

妹「た、助けてお兄ちゃーん!」

タバスコ「手当たり次第に兄認定してるから誰のことだか分からないよ」


930 : ハイドンピー (ワッチョイ 2d96-be21) :2020/03/11(水) 20:53:58 87cyGeto00

昼間「皆さん慌てないでください。とりあえず㌧さんのお陰で呼吸は確保できています。あとは、全能神様が目覚めれば、きっとこの状況も何とかしてくれるはずです」

マグヌス「くくく、だったらとっととたたきおこせばいいだろ!」

大学生「ケケッ、バーカんなコトしたって意味ねーって分かんねーのかよクソガキよぉ」

マグヌス「なに!?」

ライム「全能神さんは体力が無くなったから眠りについた…無理やり起こしても回復していなければ意味はない…ということでしょうか」

ミカ「ハッ、同じ黄色いガキでも、あっちのほうがだいぶ優秀みたいだな」

マグヌス「むむむむ…!やい!そこのオマエ!ボクとどっちがつよいかしょうぶしろ!」

ライム「え!?いやいや!今はそんなことしてる場合じゃないですよ!」

マグヌス「しるかー!PK…」

アマゾン「いい加減にしろー!」


バキッ!!


マグヌス「ぐべっ!」

アマゾンはマグヌスの後頭部を蹴っ飛ばし、気絶させた。

アマゾン「ふう、まったく!」

大学生「ケケッ、白目剥いてやんの。ざまぁ見ろクソチビがそのまま一生起きなくていーぞバーカ」

歩く「貴方たちもです。マグヌスくんを煽るようなことを言って。お二人とももう子供じゃないんですから、少しは落ち着いて、輪を乱すようなことは謹んでください」

ミカ「輪ァ?ハッ、何でオレらがお前らの輪の中に入れられなきゃいけないんだ?オレはただエロマスがウザかったからお前らを使っただけなんだよ」

大学生「なんかネズミがイキがってらぁ状況分かってンのかよ今コイツらに見放されたら宇宙のド真ん中で死亡確定だぞ?ケケ…」

ミカ「お前こういう時だけ冷静だよな…」

大学生「はぁ?俺はいつも冷静だろまー小動物の小せー脳味噌じゃわかんねーだろうーけどな」

ミカ「ああ!?どうやらお前から宇宙の藻屑にされてえらしいな!」

バチチチ…

大学生「ケケケッ、出来るモンならやってみりゃいーだろブァーーカ」

チャキッ…

両者が睨み合い、構える。

純白「ストップストーップ!!こんな狭い結界の中で何始めようとしてんの!!」

片割れ「気ぃ抜くとすぐコレかい。ホンマ物騒なヤツらやな…」

妹「極道のお兄ちゃんが言うって相当だね…」

reku「で、話逸れちゃったけど、結局今は全能神様が目覚めるのを待つしかないってことでいいの?」

㌧「そうなりますね」

チェマ「全くエロマスの野郎、めんどくせえことしてくれやがって!」

卍「だが、我々は勝った。あとはこの世界に侵攻する魔物たちを倒すだけだ」

勇者「そうですね!その時のために僕たちは今のうちに少しでも体を休めておきましょう!」

こうして勇者たちはしばらくこの星で時が経つのを待つことになった。


931 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:04:32 UQl8yl0.00





その頃。

ギルティースの救援信号を受け、星へ向かっていたアルバロとポルスは…

アルバロ「な…何だこれは…!?」

ポルス『分からん!だがとてもまずい気がするぞ!どうする!』

もう星のすぐ近くまで来ていたのだが。

その周囲には、黒いもやのようなものが大量に渦巻いていたのだ。

アルバロ「ど、どうすると言われてもな…ここまで近づいてもギルティースとも他の仲間とも連絡が取れんとは!」

ポルス『…不用意に突っ込むのは得策では無いだろうな…!』

アルバロ「これが本当に我らが故郷なのか…!?とにかく何処かに穴が無いか探るぞ!」

ポルス『ああ!』

二人はアーウィンでぐるぐると星の周囲を回り、星に入れる場所を探した。




そして三十分後。

ポルス『アルバロ!見て!何かあるわ!』

アルバロ「急にギルティースに変わるな!って何だアレは!?」

ポルス『でけぇな。アレを墜とすのはなかなか骨が折れそうだぜ』

アルバロ「今度は天才か!?いやふざけておる場合か!」

そこには青白く光る、直径数キロメートルはあろうかという巨大な球体が浮いていた。

黒いもやはその青白い球体を中心に拡がっているようだ。

アルバロ「どうやらアレがこのもやを吐き出しておる犯人のようだな…」

ポルス『ここまで大きいとドドンのしがいがあるドン!よっしゃー!ボム兵百連発いくドン!』

アルバロ「だからふざけておる場合ではなーい!!というかボム兵は積んどらんだろう!!」

ポルス『いや、あるドン』

ポルスはボム兵を取り出しアルバロに見せる。

アルバロ「ええ!?貴様、物真似のためだけにわざわざそこまで用意しておるのか!?」

ポルス『アーウィン改造して撃ち出せるようにまではしてないから、ただ持ってるだけだけドン』

アルバロ「意味無いではないかー!!」

ポルス『…我としたことが…こんな手抜きを…くっ!すぐに改造してくれるわ!』

アルバロ「やめい!とにかくさっさとアレを片付けるぞ!」


932 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:11:00 UQl8yl0.00


ドドドドドドド!!!!


二人はアーウィンで撃ち落とそうと試みる。

しかし。

ポルス『まるで効いておらんようだな…』

アルバロ「この手応えの無さ…そもそも破壊できるようなものではないのかもしれん…」


デスエン『おお、よく育ってるじゃないか』


アルバロ・ポルス「!?」

ポルス『な、何だ貴様は!?何処から入ってきた!?』

Φデスエンペラーはポルスのアーウィンの中に、唐突に現れた。

アルバロ「誰だ今の声は!ポルス!何があった!?」

デスエン『俺はΦデスエンペラー。よろしくな』

アルバロ「貴様がこれをやったのか!?一体アレは何なのだ!?」

デスエン『アイツはこのもやの中にある魂を吸い込んで大きくなる。そして冥道を通じてその力が俺のものになるというわけだ』

ポルス『いや意味わからんドン!』

デスエン『ん?その喋り方、もしかしてドドンの真似か?まあフォックスだし知り合いでもおかしくないか。それにしても似てるな』

ポルス『いやぁ照れるドン!…じゃなくて!』

アルバロ「貴様ドドンを知っておるのか!?」

デスエン『ああ。アイツなら今五千万光年くらい先の小さい星にいるぞ』

ポルス『ごっ…五千万光年だと!?アーウィンでもそんな遠くまでは行けんぞ!!何を言っておる!!』

デスエン『んな事言われても俺は知らないぞ。目が覚めたら俺もそこにいたんだ』

アルバロ「わけのわからんことを…!とにかくアレを止めろ!魂を吸うだと!?」

デスエン『ああ。面白いだろ?試してみたかったんだ。アイツに星一つ吸わせたら、一体どれ程の力が手に入るのか…』

アルバロ「何も面白く無いわ!何という自分勝手な奴だ!」

デスエン『自分勝手に生きなきゃ勿体ないぞ?宇宙の平和を守るなんてカッコつけたことやってないで、お前らも自分を解放したらどうだ?』

アルバロ「カッコつけてなどおらんわ!我らは自分の選択でここにいるのだ!」

デスエン『本当にそうか?フォックスとしての使命感みたいなものがそうさせてるんじゃないのか?』

ポルス『…仮にそうだとしても、貴様には何の関係も無いわ!我のアーウィンから失せろっ!!』


ブンッ!


ポルスはデスエンに蹴りを繰り出すが。

デスエン『おっと』


ガシッ


デスエンはそれを片手で掴んだ。

ポルス『何っ!』

デスエン『強さはドドンと同じくらいと言ったところか。だがボム兵のないドドンなんざ…』

ポルス『ボム兵ならあるドン』

デスエン『!?』


ドドォォォォン!!!!


ポルスは持っていたボム兵を起爆した。


933 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:13:26 UQl8yl0.00

アーウィンは大破し、ポルスとデスエンは宇宙に投げ出され…

ガシッ!

アルバロ「全く無茶をする!」

アルバロはポルスを自機の中へ回収した。

ポルス「た、助かったドン…でも俺のアーウィンが粉々に…クソッ!」

アルバロ「自爆しといて!?」

デスエン「オイオイ、本当にムチャクチャしやがるな。フォックスはみんなこうなのか?」

アルバロ・ポルス「!?」

二人の後ろに、またしてもデスエンが唐突に現れる。

デスエン「何驚いてるんだ。最初アーウィンの中に俺が来た時点で、何らかの特殊な移動法を持ってることは分かってたはずだろ?」

アルバロ「くっ!テレポーテーションというヤツか!」

デスエン「うーん、まあ若干違うが大体そんな感じだ」

ポルス「い、一体何が目的なのだ!?アレで命を吸ってそれを貴様の力にするとか言っていたが…!」

アルバロ「貴様はすでに強いではないか!ここまでして、一体何を求めると言うのだ!」

デスエン「何を求める、か。そうだな…誰も見たことのない世界だ」

アルバロ「何?」

デスエン「未知であればあるほど面白い。そう思わないか?」

ポルス「見解の相違だな!既知のものの模倣を極めることこそ、我が生き甲斐だ!貴様にとっての面白さが未知を追求することだの言うなら、世界の全てを見て回ったらどうだ!世界は広いぞ!」

アルバロ「珍しく良いことを言うではないかポルス!そりゃそうか、我の真似をしているのだからな!はーっはっは!!」

デスエン「はあ…まあ確かに面白いって感覚も人それぞれだよな。面白そうだとついてきたドドンも純白も、結局は俺の感覚とはズレていた。お前らにはうんざりだ」


ドゴォッ!!


アルバロ「ぐふぅっ!!」
ポルス「うげぇっ!!」

デスエンは二人まとめて蹴り飛ばした。

デスエン「じゃあな」


ポイッ


倒れた二人を、コックピットの外へ放り投げる。

アルバロ「くそ…っ…」

二人はそのまま重力に引かれ、もやの中へと落ちていった。


934 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:19:32 UQl8yl0.00





その頃、そのもやの下では。

ソーセージ「ハァ…ハァ…少しは魔物の勢いが落ちてきたな…」

コテツ「ぼ…ぼく…十ぴきくらい、たおしたよ…!」

チェン「わ、私も役にたてたかな…!」

暴力「もちろんです…!一人でも欠けていたら…ここまで戦えなかった…!」

母「はぁ…そ…そうね…はぁ…はぁ…あと…少しの…辛抱よ…!」

母はめちゃくちゃつらそうにしている。

インテリ「だ、大丈夫ですか…?」

弟「ごめんみんな…戦えなくて…」

母「いいのよ!下がってなさい!あなたは私が絶対守るわ!」

コテツ「わー!きゅうにげんきになった!?」

チェン「あ、愛の力ってやつかな…?ふふ…それにしても…真っ暗だね…」

ソーセージ「曇ってるからだろ…?」

インテリ「…いえ…だとしても余りにも暗すぎます…もう陽は登っている時間…世界が融合しようとしている影響でしょうか…それとも…何者かがあの黒い雲を操っているとか…?」

コテツ「なにものか…?」

暴力「エロマスさんって人…かなぁ…?」


ドサッ


母「…え?」

母が振り返ると、幼き弟が白目を剥いて倒れていた。

母「幼き弟っ!!どうしたの!?」

ソーセージ「オイ!!お前が倒れたら…」

ボロンッ

ソーセージも主人を失い、倒れる。

暴力「い、一体何が…!?」

コテツ「まものもいないのに、いきなり…!」


935 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:20:50 UQl8yl0.00

母「幼き弟っ!!幼き弟ーっ!!」

母は幼き弟の体を何度も揺さぶるが、全く反応しない。

インテリ「すみません」

インテリは母をどかし、脈を測る。

インテリ「……し…………しんでる……」

みんな「!?」

チェン「そ…そんな…悪い冗談は…!」

インテリ「…ほ…本当です…」

母「嘘よ!!!そんなわけないでしょ!!!ふざけたこと言ってんじゃないわよ!!!医者でもないくせに!!!」

母はブチギレである。

インテリ「ぼ…僕だって信じたくなんかない…!」

暴力「し、心臓マッサージをしましょう!まだ間に合うはずです!」

暴力委員長も駆け寄り、

グッ グッ グッ グッ

何度も胸の辺りを押し込む。

バチバチバチ!

電気ショックも与え、蘇生を試みる。

暴力「起きてください…!!幼き弟くん…!!寝てる場合じゃ…ないですよ…!!」

コテツ「幼き弟くん!!がんばれー!!」

チェン「お願い…!起きて…!」

しかし現実は非情である。

母「う…うそ…」

ガクッ

母はショックのためか、気絶し、倒れた。

コテツ「幼き弟くんのおかあさん!!」

暴力「し、しっかりしてください!!」

インテリ「みゃ…脈が無い……そんな…!こ…こちらも…死ん……」

バタッ

暴力「インテリくん!?」

コテツ「インテリく…」

ドササッ

暴力委員長、コテツも、続けて倒れる。

チェン「…な……なに……?何なの…?何なのよ…!こ……こんなのって…」

ガクッ…

ドサッ…

全員が倒れた。

インテリたちだけではなく、この町の全員…そして攻めてきた魔物たちも例外なく、死んでいた。




そして各地でも同じく、人々は魂を吸われ、死んでいっていた。


936 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:24:38 UQl8yl0.00

極道の町では、緑の剣士が呼吸を止めて横たわり。

その南の町では、魔物の残骸の中に赤い帽子が埋もれ。

北の町では、魔法学校に似つかわしくない機械仕掛けの鎧が転がり。

王国の街中では、操縦者を失ったアーウィンが墜落し。

どこかの国では、三人のアイドルが。
某国では、青い帽子の髭男が。
天界から降ってきた天使たちが。
魔界から這い上がった魔物たちが。




どこかの国の、小さな里では…

???「クソ…ふざけるな…何が起きてるんだ…?みんな…死んでいく…」

赤いリボンのピンク風船が恨めしげに呟く。

その周りには同じピンク風船が何体も倒れていた。

???「誰だ…誰の仕業だ………殺してやる…殺してやる…殺してやる……!……クソッ…」

しかし彼もまた自らの意識が薄れていくのを感じた。

???「…そうだ…アイツはまだ…無事か…?」

赤リボンは、里から逃げるように旅立った青リボンの同族を、脳裏に思い出す。

???「クソ…僕はもう…ダメみたいだ………もし生きているのなら……お前が……殺せ……!!」

ドサッ…

力尽き、倒れた。


937 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:36:01 UQl8yl0.00




そして圧倒的強者だけが、未だ地に立っていた。


妖魔「な…何だ此れは…?」


キング・オブ・妖魔。

KONDOUISAMIによってブッ飛ばされたが、まだしぶとく生きていた。

そして三界の融合によりこの星のとある国に落ちたのだ。


ザッ!!


妖魔「!!」

そこに何者かが降り立つ。

???「あれが何か分かるか?」

白いレーサー姿の男は、空を見上げて言う。

妖魔「チッ、人間如きが気安く我に話し掛けるな…あんなもの見た事も無いわ」

空に浮く、もやを吐き出す球体。

???「魔界の王でも知らないか。このままでは俺もお前も死ぬだろう」

妖魔「何だと…?」

???「死にたくなければ協力しろ。あれを破壊する」

妖魔「誰が人間と協力などするか!!」


ヒュッ!!


妖魔「!!」

男は一瞬にして妖魔の眼前に拳を突き出し、寸止めした。

???「そんな体で俺と戦えると思うなよ。争っているヒマはない」

妖魔「貴様…っ…!チッ!何を協力しろと言うのだ…!」

???「俺をあの球体に向かって投げてくれればいい。お前のパワーならあそこまで勢いを保ったままで飛ばせるだろう。後は俺がやる」

妖魔「フン!馬鹿が!あんな巨大なものを貴様一人でどうにか出来るとでも思っているのか!?」

???「出来る出来ないじゃない。俺は幻想の番人として…調和を乱すものを排除する役目がある。ここで諦めることは俺の存在そのものの否定なんだ。だからお前のような奴でも利用させてもらう」

妖魔「下らんな。ならば勝手に死ぬが良い!!」


ガシッ!!


ブンッ!!!!


妖魔は男を球体に向けてブン投げた。

妖魔「…ん?今我は一体な…に…を……」

ドサァッ

そこで妖魔も力尽きた。


938 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/01(水) 20:37:52 UQl8yl0.00



???「凄いパワーだ…流石に魔界を一人で治めていただけのことはある…これならちゃんとあの球体に届きそうだ」

男は高速で一直線に球体へと飛んでいく。

そしてやがて男は拳に炎を纏い…炎は全身へと広がっていき…

その姿は炎のハヤブサのようになった。

???「ファルコン・パンチ!!」



ズオォォォオッ!!!!



球体の中央に放たれたパンチは、その表面に大きな穴を開けた。

かに見えたが。

???「何だ!?当たっていない!かわされたのか…!?」

パンチをかわすために球体が自ら口を開けたのだ。

そして。


ゴクッ!


男は球体の中に呑まれた。


939 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 9c31-8a5f) :2020/04/02(木) 14:40:34 Xk0D5sEY00
一段落したと思ったらまたデスエンが暴れてダークな雰囲気に・・・
だが良い展開だ、これくらい展開が読めない方が面白い


940 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/03(金) 20:05:09 SdK5ZVRA00





遥か遠い宇宙に取り残された勇者たちは。

㌧「おかしいですね…」

歩く「はい…」

勇者「え?な、何か問題が…?」

マグヌス「わははは!ばかだなオマエたち!きづかないのか!コイツ、ねむったらなおるとかいっといて、さっきからぜんぜんなおってないぞ!」

マグヌスが突然起き上がって、腕を組んで得意げに言う。

みんな「!?」

昼間「ど、どういうことですか…!?」

歩く「そのままの意味です…始まりの全能神様の力が、ここへ来た時から一切変わっていません…」

㌧「何も無い宇宙で時間感覚が狂ってしまっているかもしれませんが、あれからもう一時間以上経っています。皆さんの魔力も少しは回復しているはずです。しかし、始まりの全能神様の御力だけは何の変化もない…」

片割れ「なんでやねん!」

reku「またエロマスの仕業!?あいつどんだけ嫌がらせしてくんの!?」

㌧「…いえ…分かりませんが……そもそも"全能神の力"というものに、限界が来ていたのかもしれません…」

純白「限界…!?」

㌧「言い換えれば寿命のようなものです…力をただ使い果たしただけならば、休息を取れば回復する。しかし、どんなものにも終わりは訪れます…」

ドドン「なるほドン。充電池も何回も充電繰り返してたら使えなくなるしなドン」

ギル「例えがひどい!」

㌧「私の仕えていた全能神様も、ここ十数年で一気に老け込み、衰えていました…その御力で保っていた若さを、抑えきれなくなっていたのでしょう…」

Dr.神様「何千年もの間、一人で世界の土台を支え続け、それが今回の騒動で決壊してしまったというわけか…限界などとうに超えていたのじゃ…当然の摂理かも知れぬな…」

勇者「僕なんかには想像もつかないほどの硬い意志があったんですね…なんというか…すごい方です…!」

レイア「ああ。立派なヤツだぜ…!!」

勇者たちは眠ったままのSEFIROSUへ、尊敬の眼差しを向けた。

ミカ「立派なヤツだぜ…じゃねえよボケども!何いい話みたいにしようとしてやがんだ!?これからどうするつもりだ!?」

卍「ああ。㌧の力もいつかは尽きるだろう。食糧もない。このままでは死を待つのみだ」

大学生「最悪肉はネズミとキツネとトカゲでいーがな。流石にヒトとゴリラは勘弁だぜ、ケケケ」

アントン「ひ、ひいっ!?食べる気!?」

妹「怖いこと言わないでよね!?」

片割れ「食えるもんなら食ってみいや」

バチバチ…

片割れは頬から小さく電気を放つ。

マグヌス「…まて、ネズミもトカゲもまずそうだぞ」

ギル「キツネは!?」

ミカ「ああ、確かにネズミとか変なウイルス持ってそうだしな」

純白「いや何真面目に考えてるの…ていうか君ネズミだからね?食われそうになってる側だからね?」

reku「僕たちはどっちの括りなんだろう」

勇者「…」

ケ「フンフンフンフン」


941 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/03(金) 20:10:54 SdK5ZVRA00

ライム「って皆さんそんなふざけてる場合じゃないですから!」

タバスコ「うん。どうやって帰るか考えないと…」

reku「いやぁ、もうこれ詰んでるんじゃない?天才くんとか㌧さんですら無理なら、もうどうしようもないでしょ」

レイア「何諦めてんだよ!きっとまだ方法はあるはずだ!」

Dr.神様「落ち着けレイア。熱くなっても仕方が無い。…正直、もう打つ手がないのは事実じゃしのう…」

レイア「オイオイDr.神様まで何言ってんだ!神様が聞いて呆れ……ん?」

勇者「あ…」

Dr.神様「ん?」

レイア「神様ならもう一人ここにいるじゃねえか!!」

みんな「!!」

全員の視線がDr.神様に集まる。

Dr.神様「ま、待て待て!言ったじゃろう!儂は神の杖が無ければただのゴリラも同然なのじゃ!」

勇者「神の杖って…確かマックスさんが持ってるんじゃなかったですか?」

㌧「! マックスさんなら私たちと共にΦデスエンペラーによって復活させられたはずです!」

アントン「そういえば!」

昼間「しかし彼は一度ヤミノツルギによって焼かれ、完全に消滅させられていました…杖が無事かどうか…」

㌧「それを言うなら私も同じです。あの魔炎で全てを焼き尽くされましたが、身に付けていた衣服や武器は無事ですよ」

片割れ「どっちにせよ復活させてみりゃ分かることや!」

昼間「そ、そうですね…!」

アントン「あ!いましたよ、うん!」

アントンはフィギュアの山の中に、一際背の高い天使を見つける。

キュィィィン!

マックス「…うん…?ここは一体…って、神様!?」

Dr.神様「かくかくしかじかでな…マックス、儂の杖は持っておるか?」

マックス「杖…あ!ありました!」

マックスはポケットから杖を取り出し、Dr.神様に渡した。

Dr.神様「でかしたぞマックス!」

勇者「やった!これで帰れますね!」

レイア「頼むぜ神様!」

Dr.神様「ああ!」


バッ!!


Dr.神様は右手に持った杖を高く掲げる。

………しかし。

Dr.神様「…駄目じゃ…やはり届かん…」

勇者「え!?」

大学生「ケケッ、そりゃそーだろなんでイケルと思ったんだよバーカ。そこの白いのでも無理だったんだから同じ神でも無理だろーよ。ファイターだの名乗るだけあって脳みそ筋肉ばっかかよコイツら頭使えや」

reku「すごい言われようだけど、一理ある…」


942 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/03(金) 20:14:33 SdK5ZVRA00

㌧「まだやれる事はあります!」

ガシッ

すると㌧が神の杖を握る。

Dr.神様「㌧殿…」

㌧「私の力も分け与えます」

Dr.神様「よし…もう一度試してみよう……はっ!」


バッ!


再び杖を掲げる。

が。

Dr.神様「く…これでも足りぬか…!」

ヒーロー「神様が二人がかりでも駄目だと言うのか…!一体どれほど離れた場所に放り出されたんだ俺たちは…」


キュィィィン!


ガシッ!


デロイ「三人ならどうかな?」

㌧「デロイ!」

マックスがデロイと聴牌も復活させたのだ。

マックス「三人と言わず、俺たちも力を貸します!」

聴牌「ただの天使の力なんて、神様方に比べたら小さなものかもしれませんが」

アントン「うん!」

三人の神に、三人の天使も加わる。

Dr.神様「おぬしたち…!よし!もう一度じゃ!ゆくぞ!!」


バッ!!


三度高く掲げられた杖は、その瞬間強い光を放つ。

チェマ「うおおおっ!!」

レイア「きたあああああっ!!」



バビュンッ!!



次の瞬間、勇者たちは別の星にいた。

勇者「こ、ここは…」

Dr.神様「月じゃ」

レイア「月!?」

片割れ「なんで直接星に帰らへんのや!?そこまで来たらもう誤差の範囲みたいなもんとちゃうんか!?」

Dr.神様「よく見ろ……あれが…おぬしたちの星じゃ」

Dr.神様が杖で指し示す方向へ、みんなの視線が移る。

片割れ「んな……なんじゃありゃぁ!?」


943 : ハイドンピー (ワッチョイ 9fdc-cf3a) :2020/04/03(金) 20:20:21 SdK5ZVRA00

ギル「真っ黒じゃない…どうなってるのよ…!」

ドドン「黒くて丸い…あれじゃまるでボム兵ドン」

大学生「脳みそ爆弾畑かよ」

純白「あ、あの感じは…デスエンさんだ…!」

チェマ「はぁ!?どういうことだ!?あの黒いのが全部デスエンの仕業だってのか!?」

妹「で、でもあいつが先に帰るって言って消えてから、まだ一時間ちょっとなんでしょ…?そんな短時間でこんなこと…」

昼間「そもそも、あそこから魔力は全く感じませんよ…?」

純白「はい…でもなんか分かるんです…たぶん僕がデスエンさんの魔の灯火で魔力を解放されたからかもしれません」

天才「ああ。俺にも分かるぜ。アイツに蘇らされたからだろうな」

㌧と聴牌もそれに頷く。

アルベ「しかし、だとしたらあのもやは一体何なのだ…?」

ミカ「ハッ、少なくともあの野郎が絡んでる時点で、オレらにとっちゃ厄介なモンだろうよ」

ギル「駄目…星にいるナザレンコにも通信が通じないわ…」

reku「…ねえ、アレ何だろう」

みんな「!」

rekuiemuは黒いもやの中に青白く光る球体を発見。

歩く「見た感じ、アレがもやを出しているようですが…」

アマゾン「ア、アレがデスエンの本当のすがたってことですか!?」

デスエン「ハッハッハ、そんなわけないだろう」

reku「デスヨネー…って…」

みんな「!?」

㌧の張る結界の中に、唐突にデスエンが出現。


ダッ!!


ドガァッ!!!


真っ先にレイアが飛び出し、デスエンはその拳を片手で受け止めた。

レイア「デスエン!!てめえ何をしやがった!?」

デスエン「何も?ただ育っただけさ。最初に地上に来た時…ドドンに会う前に撒いておいた、種がな」

レイア「種だと!?」

デスエン「あー別に植物の種じゃないぞ?お前頭悪そうだから一応」

レイア「うるせえ!だったらどういうことだよ!」

デスエン「ククク…アイツは俺の故郷にいた化け物でな。魂を吸いその力を奪う、危険なヤツだ。それを人工衛星に置いておいたんだ。星の周りを飛びながら少しずつ力を奪って、今ではこんなに立派に成長してくれた」

歩く「魂を吸う…!?ま、まさか…」

デスエン「ああ。星ん中にいるヤツはたぶんもうほとんど死んでるだろう」

レイア「てめえ…!!」


944 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 11:41:37 F0QJqHsg00

片割れ「下目使い倒すとか言うてワシらに協力するフリして、ウラじゃこんなこと企んどったんかい!」

デスエン「別に何も企んでいたわけじゃない。ただどうなるか見たかっただけだ」

タバスコ「余計にタチが悪い!」

卍「下衆が…!」

デスエン「すまんすまん。俺の能力の性質上、どうしても死生観みたいなもんが欠如してしまってな」

チェマ「舐めやがって…!」

ケ「フンフン」

㌧「アレを止めてください。さもなければここであなたを斬る…!」

デロイ「いくら強くても、この人数には勝てないよ!」

デスエン「それはどうだろうなぁ。アイツが吸い取った力は全部俺に流れてくるように調教してあるわけだが」

Dr.神様「何じゃと!?」

ミカ「ハッ、大ボラ吹いてんじゃねえよ。お前の魔力はさっきと全く変わってねえだろ。気づかれねえとでも思ったか?」

アマゾン「ほ、ほんとだ!騙されるところだった…!」

㌧「いや…これは…」

デロイ「どうしたの㌧」

㌧「魔力とは別の何かが…」

デスエン「あー…まあいいかもう。実は俺は魔の一族じゃないんだ」

大学生「あ…?」

デスエン「俺は冥界から来た」

㌧「冥界!?」

Dr.神様「冥界じゃと!?」

デロイ「そ、そんなはずが…!」

reku「え?なになに?ここに来てまた新しいの出てきたんですけど…」

デスエン「つまり俺がアイツから得ているのは魔力じゃない。"冥力"だ。お前たちには感知できないだろうがな。分かったか?」

マグヌス「まったくわからん。なにいってるんだオマエ」

アマゾン「メイカイって、なんだ…?」

歩く「死した魂が行くと言われる場所…端的に言えば、あの世です」

アマゾン「えぇー!!ゆ、幽霊だったのか!?」

ヒーロー「本当にそんな場所が存在するのか…!?」

デスエン「あるぞ。なあ?神ども、お前らは知ってるんだろう?」

㌧「はい…知識としては…ですがそもそも全能神様ですら干渉できないほど離れた世界だと…」

デスエン「チッチッ、違うんだよこれが。全然離れてない。冥界ってのは、この世界に重なる形で存在してるんだよ」

昼間「…禁断の書で、見た覚えがあります…しかし、霊魂を扱う魔法に関しては未だ謎が多く…」

デスエン「だろうな。基本的にこの世のものがあの世のものに干渉することはできない。㌦の奴も言ってたが、魔法学校では死者蘇生の魔法は禁忌らしいな?だがそれ以前に成功例は存在しないとも言っていた」

レイア「それが何だよ!さっきからベラベラと!あの丸いのをなんとかしやがれ!」

デスエン「まあ聞けよ。回復魔法や降霊魔法みたいなのも生まれている中で、なぜ死者蘇生だけが成功しないのか。なぜ禁忌とされたのか」

妹「そりゃ、倫理的な意味でまずいからじゃないの…?」

デスエン「ククク…魔法なんて非常識的な力を手に入れた奴らが、倫理観なんざを気にして死者を蘇らせようとしなかったと思うか?いいや。いつの時代も、多くの馬鹿が研究していたはずさ。だが死者は蘇らない。そんな方法はそもそもこの世に存在しないからだ」

昼間「…はい…まともな魔法では死者が蘇らないことは明らかだった。しかし諦めきれない人々は研究のため、その素材として人を殺すことをやめなかった。それが禁忌となった理由です。それゆえに、魂だけを呼び起こし他の者に宿らせる、降霊魔法というものが生まれた…今ではそちらも禁じられていますがね…」

デスエン「フッ、そうだろうな。できないことほどやりたくなるモンだ。だって、もしできたら面白いだろ?」

歩く「そんな浮ついた目的ではないと思いますが…」

ギル「死んじゃった家族や友達に会いたいとか、きっと悲しい理由があったはずよ。やり方は間違ってしまったかもしれないけれど…じゃなきゃそんなことしないわ」

大学生「ケッ、くだらねーな」

ドドン「ギルティースは相変わらず純粋だなドン」

ギル「何よ!ドドンまで!」

デスエン「それだけじゃない。天使も魔の一族も、神すらも、死者を蘇らせることに成功した者はいない…だよな?神ども。当然だ。絶対的な世界の仕組みを揺るがすことなどできるはずがない。…その中で俺だけが、それを可能にした」

Dr.神様「お…お主は一体何者だというのじゃ…!」


945 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 11:44:55 F0QJqHsg00

デスエン「俺は冥界で生まれたんだよ」

昼間「冥界で…生まれた…?」

大学生「…ケケッ、死んだヤツが行くトコじゃねーのかよデタラメ言いすぎてワケわかんなくなってんぞクソハゲがよぉ」

デスエン「魂ってのは、ほとんどのヤツは小さいゴミみたいなモンだ。それが戦争やらで一気に冥界に雪崩れ込み、ぶつかり合って溶け合うと、たまにそうなる。この姿で生まれたのは、その中にファルコン族の魂でも混ざってたんだろう」

聴牌「貴方の能力で我々のような力を持った者だけが蘇るのは、その"ほとんど"に含まれない例外的な魂を持っているからですか…」

デスエン「そういうことだ。察しがいいな。で、まあ冥界ってのはそんなゴミみたいなもんしか無い、退屈なところでな…だから興味本位で冥王をブッ殺したら、その力を乗っ取ったらしく、この世に干渉できるようになったんだ。原理は知らん。そういうモンだとしか言いようがない。そして魔界に来た俺は妖魔と出会い、何度か殺し合った。魔力の使い方もその中で覚えた」

㌧「…!!そうか…あらゆる生き物に宿る魔力と…死者だけが持つ冥力…相反する力を…」

デスエン「そう。俺の中でそれを融合させてみた。すると死者を蘇らせる能力が手に入ったって訳だ」

天才「ハッ、冥力ね…どうりであの黒いの見てお前の仕業だと分かったわけだ。魔力とも天使とも違うこの感じは、お前からしかしないからな」

昼間「本来この世の住人には感じることができない冥力も、魔力と融合したお陰で感じられるようになったというわけですか…」

デスエン「らしいな。魔の灯火も死者蘇生もほとんど使わないから、そうなるとは知らなかっ…」

レイア「だあああああああああっ!!!!ゴチャゴチャうるせえっ!!何言ってんのか分からねえし!!それ今重要な話なのか!?」

reku「あ、爆発した」

勇者「さっきからワナワナしてたのは視界の隅に映ってたけど…」

ケ「フンフン」

レイア「神様たちも何乗せられてんだ!!こういうヤツらの話にゃ耳貸すだけ無駄だ!!エロマスん時もそうだったろうが!!惑わされるだけだ!!」

Dr.神様「す、すまん…」

大学生「ケケッ、言うほど惑わしてきてねーよ。そもそもこの黒ハゲはそこまで頭良くねーよ馬鹿がハナシ理解できずにキレてるだけじゃねーか」

レイア「うるせえっ!!惑わすとか惑わされないとか、関係ねえんだよ!!」

大学生「…」

レイア「これから戦ろうって時にベラベラ喋るのがそもそもよくわかんねえんだよ俺は!!行くぞっ!!」


ダッ!!


ドガガガガッ!!!


デスエン「フッ、面白い!だがお前じゃあ俺の相手は務まらない!」


バキィッ!!!


レイア「ぐあっ!!」

卍「レイア!」


946 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 12:01:18 F0QJqHsg00

レイア「くっ!まだまだぁッ!!」


ダンッ!!


デスエン「おいおい…しつこいな」

デスエンは再び迎撃の構えを取る。


ガシッ!


デスエン「!!」

その両腕を、背後から近づいていた玄酔楼が捕らえた。

レイア「ぅおらあっ!!」


ドゴォッ!!!


レイアのパンチがデスエンの腹にクリーンヒットする。

しかし。

デスエン「ククク…こんなもんか?」

レイア「効いてねえ…!?」

デスエン「ふんっ!!」

ズッ…

玄酔楼「!」

デスエンは両腕を玄酔楼ごと持ち上げ、


バゴッ!!


レイア「ぐあっ!!」

玄酔楼「くっ…!」

レイアに向かって叩きつけた。

片割れ「うせやろ!?あの爺さんをブン投げよった!!」

ドドン「食らえドン!」


ブンッ!!


デスエン「!!」

ドドンはボム兵を投げつける。

ギル「馬鹿!ドドンっ!こんな結界の中でボム兵なんか使ったら!」

Dr.神様「ハアッ!!」

その瞬間Dr.神様の杖がまたしても光り、デスエン以外の全員を結界の外へと瞬間移動させた。


ドドォォォォン!!!!


結界内でボム兵が炸裂する。

移動先に㌧は再び結界を張る。

片割れ「ドアホ!投げるならなんか合図くらいせぇや!」

ドドン「いや、そんなことしたら避けられるだろドン」

片割れ「ワシらが避けられへんやろうがっ!神様が反応してくれはったからよかったものの!」

ドドン「え?避ける必要あるかドン?せっかくドドンできるのに」

片割れ「爆発して喜ぶのはオマエだけやっ!!」

reku「もしかしなくても一番ヤバいのこの人では?」

歩く「…ですが一理あります。合図なんて出す暇はない…それに恐らくあれではまだ、倒れては…」


デスエン「その通り。残念ながら無傷だ」


爆煙の中からデスエンが姿を現す。


947 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 12:12:08 F0QJqHsg00

アルベ「くっ…妖魔と同じだ…!並大抵の攻撃は勝手に無効化されてしまうぞ!」

ドドン「そんな!!」

デスエン「フッ、並大抵でなければ通じると思ってるのか?」


ガガッ!!!


天才・玄酔楼「!!」

爆煙に紛れて天才と玄酔楼が左右から攻撃を仕掛けたが、デスエンはそれぞれ片手で受け止めた。

純白「げ、玄酔楼さんのパンチを片手で…!?」

Dr.神様「馬鹿な…!奴は一体どこまで強く…!」

デスエン「俺はたしかに魔力量が普通の数百倍あった。だが、そこに冥力も加わえたとしても、妖魔はその更に数段上を行っていたんだ。俺から見てもアイツは化け物だった。じゃあ、何で俺はアイツと渡り合えていたと思う?」

天才「…魔力量に頼り切っていた妖魔に対し、テメエはコントロールも抜群だって言いてえのか?」

デスエン「正解!」


ドガガッ!!!!


天才「がっ!!」
玄酔楼「ぐ…!」

デスエンは二人を弾き飛ばす。

デスエン「そう、ただでさえ強かったこの俺がだ、更に妖魔の魔力を軽く上回る冥力を手に入れたとしたら、どうなるか分かるか?」

レイア「知るか!!」

チェマ「もうベラベラ喋るターンは終わったんだよ!!」


ズガガガガガガ!!!!


今度は爆煙の中からレイアとチェマの二人がデスエンに連打を打ち込む。

デスエン「ハッハッハ、そこの二人ですら駄目だったのに、お前らのヌルい技が効くわけないだろう」

レイア「こ、この野郎…!!ガードすらしてねえのに…拳が届かねえ…!!」

チェマ「クソッ!どうなってやがんだ!!」

デスエン「アルベルトの奴が言ってたのを聞いてなかったのか?お前たちは」

大学生「ケケッ、馬鹿らしすぎるわあんなもんに勝てるわけねーだろ。戦いにすらなってねー。ここで人類滅亡バッドエンドでいーだろもう」

大学生は諦めたように座り込む。

reku「まあね…結界とか関係なく攻撃が通じないんじゃ、どうしようもなくない…?」

ミカ「ハッ、結界超える空間移動だので誤魔化せる相手じゃねえわな。結局一番厄介なのはただただ単純に強えヤツなんだよ」

マグヌス「わははは!なにあきらめてるんだオマエら!ださいな!」

片割れ「せや!ここまで来たら最後まで足掻かんかい!」

ミカ「ケッ、口だけじゃねえか。だったらお前らもあっちの結界に飛ばしてもらったらどうだ?」

reku「てかその言い方、もう勝てると思ってないやつだよね」

片割れ「ぐ…う、うっさいわ!よっしゃ神様!ワシもアイツらんとこに飛ばしてくれ!」

マグヌス「おい!ボクがさきだぞ!」

Dr.神様「わ、分かった」


ヒュンッ


Dr.神様は杖により二人をデスエンのいる結界へと飛ばした。

デスエン「あのなぁ…忘れてないか?結界が爆煙で満ちてるからって隠れてるつもりかもしれんが、俺には普通に感知できるんだぞ?」


ドゴゴッ!!


片割れ「がはっ…!?」
マグヌス「ぐえぇっ!」

二人は爆煙の中から一瞬で見つけられ、蹴り飛ばされる。


948 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 12:17:57 F0QJqHsg00
デスエン「勿論この爆煙の中に別の煙が混ざってるのも見えてるぞ」


ブアッ!!!


タバスコ「くっ!」

蹴りの風圧で周りの煙を弾き、そこに紛れていたタバスコを炙り出す。

次の瞬間にはタバスコの背後に回り…


ズガァン!!!


デスエン「…ふぅ、潰さないように倒すのも慣れてきたな。血で汚れんの気持ち悪くて嫌なんだよなぁ」

ドドン「あ、ホントだドン。前は攻撃するたびに血塗れになってたもんなドン。デスエンさんも成長したなドン」

デスエン「いや何で上から目線なんだよ」

ドドン「うお!?」

デスエンは一瞬にして元の結界から消え、ドドンたちのいる結界のほうに現れた。

㌧「くっ…私程度の結界は平気で超えてきますか…!」

デスエン「ああ。冥道っつう冥界の道を通ったのさ。コイツを通れば魔界経由よりも遥かに早く移動できる」

アルベ「冥界がこの世と重なる形で存在するからこそできる芸当か…」

純白「それであの遠い宇宙からも簡単に戻って来れたのか…!」

デスエン「そゆこと。本当はあの全能神の結界だってコイツを使えば普通に通り抜けられるんだが、それじゃ面白くないだろ?」

純白「なっ…!」

大学生「だったらなんで今はいいんだよそれ最後まで貫けやハゲ」

デスエン「お前たちに失望したからだ」

ミカ「はあ?」

デスエン「この世に来れば面白いものが溢れていると思っていた。だがお前たちはことごとく俺の予想の下を行った。面白くないんだよ」

アマゾン「なんだとー!?」

ドドン「え?結構楽しそうに見えたけどなドン…」

デスエン「それは俺の勘違いだった。確かに何人か、イカれたヤツや変わったヤツはいたが…結局そいつらは俺と同じ次元には立てない。ドドン、せめてお前が妖魔クラスに強ければ、俺はこんなことをせずに済んだのに…」

ドドン「済んだのにって、別にしなくてもいいだろドン!そんなに強くなっても、ますます周りとの差が開くだけじゃないかドン!」

デスエン「関係ないさ。俺はもうこの世界を捨てた」

純白「捨てた…?どういう…」


デスエン「クク…俺はこの力を以って、独立した新たな世界を創るんだよ。俺の理想の世界をな」


デスエンは、ドヤ顔で言い放った。

そしてみんなはこう思った。


(エロマスとカブってる…!!)


大学生「ケケッ、エロマスとカブってんぞハゲ猿と同レベルじゃねーか」

デスエン「え?誰だそれ」

reku「なんか、後から出てきたラスボス。始まりの全能神の力乗っ取って、下目使い倒して全能神殿に居座って、まあなんやかんやで僕たちが倒したんだけど」

デスエン「ちょ、ちょっと待て聞いてないぞ?お前らが下目使いを倒したんじゃないのか?俺の楽しみを奪いやがってと思ってたのに…」

ドドン「説明する前にデスエンさんが先帰るから、とか言って消えたんじゃないかドン!」

妹「いやお兄ちゃんは元々説明する気なかったでしょ!?」

デスエン「チッ…何だよ…だがどちらにせよそのエロマスとやらを俺抜きで倒した罪は重いぞ!残念だがお前たちには消えてもらう!」

reku「えぇ…」

純白「ふぅぅん…そう…そういうことですか」

デスエン「?」

純白「つまりあなたはあれだ…最終決戦の場に自分が居合わせられなかったことに、嫉妬してるんですね…フフフ…」

デスエン「ハッハッハ!嫉妬だと?俺がお前らみたいな…」

純白「何が"面白くない"ですか…あなたは下目使いに負けて獲物を逃した。僕たちはその尻拭いをしてあげたんですよ…フフ…」

ヒーロー「な、なんかキャラが変わってないか…?」

ミカ「ただの本性だ」


949 : ハイドンピー (ワッチョイ 1f09-9bf5) :2020/04/11(土) 12:24:03 F0QJqHsg00

デスエン「クク…下らんな。何が言いたい?」

純白「あなたは結構頻繁に面白いって言ってるじゃないですか…フフフ…結局あなたは、何が面白くて何が面白くないのか、自分でもよく分かっていないだけなんですよ…」

デスエン「クク…だとしたら何だ?俺はただその時面白いと思ったらそう言うだけだ。よくよく考えれば大して面白くなかったなんてのは、ある話だろ?そして気づいたんだよ。結局この世界に俺を満たせる奴なんていないってことにな」

純白「フフ…一番面白くないのは、あなた自身だ」

デスエン「は?」

純白「あなたは空っぽだ。赤ちゃんと同じですよ…ただ何も知らないだけ…そして何も知ろうとしない…だから芯がない…フフ…下らない。理想の世界を創る?フフフ、それはさぞ退屈でつまらない世界でしょうね…」

デスエン「それはやってみなけりゃ分からないさ。だからこそ面白い。俺は誰も知らない世界に足を踏み入れたいんだよ」

大学生「ケケケッ、誰も知らない世界?めでてーアタマしてんな。てめーが創る世界にはてめーの知ってるもんしか生まれねーんじゃねーか?」

㌧「そもそも…貴方の力ではほんの小さな世界しか生み出せませんよ。いくら強力な力を得たと言えど、全能神の力には及ばない」

デスエン「…ククク…ハッハッハッハッハ!!…どうとでも言えばいい。俺はただやりたいようにやるだけだ」


ドガッ!!


㌧「ぐはっ…!」

Dr.神様「㌧殿っ!」

デスエン「だが邪魔者は消しておくに越したことはないからな」


ドガガガガッ!!!!


デスエンは一瞬にして結界の中の全員をパンチやキックで叩きつける。

マックス「…ぐッ…つえぇ…!」

デスエン「ほぉ、まだ意識があるとは。ただデカいだけじゃないようだな」

ドドン「げほっ、手ぇ抜いてるからだドン…」

アルベ「さ…流石に舐めすぎだ…!」

続々とファイターたちは立ち上がってくる。

デスエン「おや…確かにちょっと力を抑えすぎたか。慣れてきたと言っても連発でやるとやはり難しいな」

ミカ「ケッ、何が血で汚れるのが嫌だ…戦いだぜこれは」

ケ「フンフンフン…」

デスエン「ああ、そうだな。じゃあもうやめだ。一思いに全員殺してやるさ」

ザッ…

デスエンは再び攻撃の構えを取る。


ズズズズズズズ…!!


その周囲を黒いオーラが覆い、徐々に形を変えて、ハヤブサのようになった。

デスエン「フッ、これなら返り血なんぞ一瞬で蒸発するだろう」

Dr.神様「来るぞ…!」

ライム「ど、どうすれば…!」

ドドン「ボム兵ももう無いドン!」

reku「あ、ダメだこれ…さすがに死ぬやつ」

妹「ぐぅ…悔しい…」

ヒーロー「クソッ…さっきの攻撃で…体も動かない…」

デスエン「フッ、もはや立っているのがやっとのようだな」

卍「諦めるな…!勝機はあるはずだ…!」

デスエン「無駄だ。すでに勝負はついたようなモンだろ……ん?」

デスエンはあることに気づき、足を止めた。

デスエン「…何人か減ってないか?お前ら」

大学生「ケケッ、気のせいだろ脳みそまでハゲておかしくなってんじゃねーか?オマエ」

デスエン「いや明らかに減ってるだろ!というか今更だがハゲてないからな!?ヘルメット被ってるだけだろどう見ても!」


バシュッ!!!!


デスエン「…は?」

その瞬間、デスエンが纏ったハヤブサオーラが弾け飛んだ。


950 : はいどうも名無しです (ワッチョイ 9c31-f034) :2020/04/12(日) 14:02:59 jJ7AI/PM00
一見強キャラっぽいのにどこかかませ臭いデスエンすこ


951 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:29:58 YBVmAykU00





数分前。

ドドンがデスエンにボム兵を投げた直後まで遡る。


ビュンッ!


黒いもやを吐き出す青白い球体の付近。

そこに数人のファイターが瞬間移動で現れた。

ファイターたちは結界によってすぐに囲まれ、呼吸できるようになった。

アントン「え、え〜〜〜!?なんで僕たちだけこんなとこに!?」

デロイ「とりあえずみんな、大丈夫?」

勇者「は、はい!ありがとうございます!」

ギル「大丈夫…だけど、なんか息苦しいわね…」

デロイ「ごめん…まだ㌧みたいに上手く結界張れなくて…」

ギル「あっ、ごめんね!いいのよ気にしないで!」

昼間「私たち五人だけ…アレを我々でどうにかしろということでしょうね…」

勇者「デスエンを倒せないなら、その力の元を断てというわけですね…!」

アントン「ぼ、僕たちだけで!?」

デロイ「やるしかないよ。㌧と下層の神様が僕たちを選んだんなら、きっと何か方法があるんだ」

ギル「ここまで星に近づけば、もしかしたら…」

ポチッ

ギルティースはジャケットの内ポケットに入れていたスイッチを押した。

アントン「何のスイッチ…?」

ギル「アーウィンを自動操縦でパイロットのところまで飛ばすスイッチ。この世界と天界が融合してるなら、私のアーウィンもこっちにあるはずでしょ?」

すると。


キィィィィィィン…!!


ギル「来た!」

勇者「魂は吸っても機械にまでは干渉できないみたいですね!」


952 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:32:57 YBVmAykU00

昼間「機械に干渉できない……はっ!それなら…!」

バッ!!

召喚士は懐から魔法書を取り出して、魔法陣の書かれたページを開く。

アントン「な、なに!?」

昼間「デロイさん!力を貸してください!」

デロイ「え、僕?もちろんいいけど、何をすればいいの?」

昼間「今の私の魔力ではこの魔法陣を発動できません…デロイさんの魔力を貸してもらいたいのです」

デロイ「魔力…?でも僕はそんな力使えないよ?」

昼間「使い方を教えます!ネス族のアマゾンくんや天下無敵さんはPSIを応用し、すぐに魔力を使えるようになりました。そして神や天使の持つ力は、ネス族の持つPSIから生まれたもの…ならば、神であるあなたにもできるはずです!」

デロイ「う、うん!わかったよ!やってみる!」

そして召喚士はデロイに魔力の扱い方を教える。


アントン「…ぼ、僕たちは何をしたらいいんだろ…」

勇者「召喚士さんの考えを信じて待つしかありませんね。今は何もできないし…」

アントン「え〜!」

勇者「僕にはこの爆弾で戦うことしかできません…けど、Dr.神様や㌧さん…みんなが、僕たちに託したんです。だから信じましょう!みんなが信じてくれた自分の力を!」

アントン「…そ、そうだね、うん…!僕たちがやるしかないんだよね、うん!」

ギル「そうよ!私たちならきっとできるわ!」

昼間「その通り!」

デロイ「はぁぁぁあっ!!」


ピカッ!!


アントン「わ!魔法陣が光った!」

勇者「もう魔力を扱えるようになったんですか!?」

ギル「すごいわ!さすが神様ね!」

デロイ「まだコントロールとかの次元じゃなくて、ただ注ぎ込んでるだけだけど!」

昼間「召喚魔法は魔法陣さえあれば、それでいいのです!」


ボボボンッ!!!


デロイ「やった!」

そこに現れたのは…

ギル「何…?このボール…」

三つの、赤と白のボール。

アントン「モンスターボール!!」


953 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:34:57 YBVmAykU00

勇者「ご先祖様の記憶の中で見た覚えがあります!」

デロイ「ポケモンを出すボールだ!」

昼間「ええ!機械が無事ということならば、このモンスターボールの中にいるポケモンたちも恐らく生きている!私の倉庫に保管してあったのはこの三つだけでしたが…ここからは賭けです!アントンさん!」

アントン「僕!?え!?何!?」

昼間「スピアーを!!出してください!!」

アントン「ス、スピアー…!?えっと、はちくんのことだよね…?」

勇者「そうか!あの魔のパンツたちも圧倒したスピアーの大群を出せれば、球体にもダメージが与えられるかもしれない!」

ギル「虫使いの本領発揮ね!」

昼間「モンスターボールから出てくるポケモンはランダム…!ですがあなたならきっと、引けるはず!」

アントン「わ…わかったよ、うん!」

アントンは自信無さげにモンスターボールを拾い上げ…

アントン「出て!!はちくん!!」


ブンッ!!

パカァン!!


一つ目のボールを投げる。

「トッサキィン…」

現れたのは赤いきんぎょポケモン。

昼間「…トサキントですね…はねることしか出来ないポケモンです…」

勇者「でもまだ二個あります!大丈夫ですよ!」

ギル「がんばって!」

アントン「よ、よし…今度こそ…!出てきてはちくん!!」


ブンッ!!

パカァン!!


「ガメー!」


現れたのは大きな青い亀。

デロイ「おぉ!スピアーではないけど、強そうだよ!」

ギル「すごいじゃない!このポケモンも戦力になるんじゃない!?」

昼間「カメックス…水を出しながら落ちることしか出来ないポケモンですね…」

ギル「…」


954 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:42:51 YBVmAykU00

アントン「うわああああん!!やっぱりムリだよぉぉ!!」

勇者「ど、どうしたんですか急に!」

アントン「この前もダメだったんだよー!めちゃくちゃいっぱいモンスターボール投げたのに、一回もはちくん来てくれなかったんだよー!誰か代わってよー!」

ギル「この前って、もしかしてあの山でのこと…?」

アントン「そうだよー!言わなかったけどホントはあれ全部ポケモンのお陰なんだよー!」

ギル「そうだったのね…あの数の魔物をよく一人で倒せたなーとは思ってたけど…」

アントン「うわーん!!どうせ僕は天空だけの虫使いなんだよー!天界じゃなきゃはちくんは来てくれないんだー!!」

アントンは号泣する。

勇者「アントンさん…」

昼間「…仕方ありませんね…一人に責任を押し付けるような形にしてしまいすみません。やはりここは私が…」

ギル「待って」

昼間「?」

ギル「アントンくん、あなたは天空の虫使いなのよ」

アントン「わ、わかってるよ!だから…」

ギル「天界の虫使いじゃない。天空の虫使いなのよ!周りを見なさい!ここはどこ!?」

アントン「どこって……宇宙…………!」

ギル「そうよ!ここは天空!天界よりももっと広い、天空なのよ!」

アントン「…うん…!」

ギル「さあ!立ちなさい!アンタなら絶対にできる!」

アントン「うん!!」

アントンは腕で涙を拭い、モンスターボールを握りしめ…

アントン「行けぇぇ!!モンスターボーーール!!」


ブンッ!!


パカァン!!


現れたのは…

アントン「はちくん!!」

ブゥン!

はちこと、スピアーだった。

デロイ「やった!!」


955 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:43:58 YBVmAykU00

勇者「やりましたねアントンさんっ!」

アントン「うん!さあはちくん、力を貸して!」

ブゥン…!

スピアーはコクリと頷くと…


ブブブブブブブブブブブ…!!


どこからか大量の仲間を呼んできた。

アントン「はちくん!あのでっかいのに突撃ー!!」


ブブブブブゥン!!!


スピアーたちは一斉に球体へ向かっていった。

昼間「やりますねギルティースさん。あれだけぐずっていた彼をすぐに立ち直らせるとは」

ギル「フフッ、伊達にフォックス族の年長者してないわよ!さ、私も行くわ!」


ゴォォッ!!


ギルティースはアーウィンに乗り込み、突撃する。

デロイ「僕たちも行こう!結界ごと移動するよ!あんまり速くは動けないけど!」

勇者「お願いします!」

結界も少しずつ動き出し、球体に近づいていく。


ドドドドドドドド!!!!


ギルティースはアーウィンで大量の弾を撃ち込むが…

ギル「…!?効いてない!」

アントン「はちくん!ストーップ!!」

アントンの合図でスピアーたちは動きを止める。

デロイ「あ、あれ、攻撃を弾いてるわけじゃなくて、すり抜けてる…!?」

昼間「ええ。恐らく、冥力によって形作られたものなのでしょう…」

勇者「じゃ、じゃあアレを倒す方法は無いんですか!?デスエンの言ってたことが事実なら、僕たちは冥界の存在に干渉できない…」

昼間「いや、そんなはずはありません。あちらがこの世界に干渉してきている以上、逆もまた然り。Φデスエンペラー自身が何よりの証拠です」

デロイ「うん。たぶんどこかに弱点があるんだと思う!」

アントン「よーし!はちくん、あのでっかいのの周りを探って!何か見つけたら教えて!」

ギル『私も探してみる!』


956 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:46:46 YBVmAykU00



そして…

ギル『みんな!何かあったわ!こっち来て!』

デロイ「わかった!」

デロイはアーウィンの方へ結界を移動していく。

昼間「あ、あれは…!」

アントン「割れ目…?」

球体の表面に、三つの大きな割れ目があった。

デロイ「なんか…顔みたいだね」

(-_-)こういう感じである。

勇者「…!」

昼間「顔……そう言えばΦデスエンペラーはコレのことを化け物と呼んでいた…兵器や災害のようなものだと思い込んでいましたが…生きているのか…?」

アントン「い、いやいやまさか…こんな大きい生き物がいるわけないよ、うん」

デロイ「でもそうだとしたら、目や口の中は弱点かもしれないよ!」

ギル『撃ち込んでみるわ!』


ドドドドドドドド!!!!


ギルティースは目と思しき割れ目の中へ集中砲火する。


ぐりんっ!!


ギル『!?』

その瞬間、球体が動きギルティースに向かって口を開けた。


ビュゴォォッ!!!!!


勇者「ギルティースさん!」

ギル『そ、操縦が効かない!吸い込まれてる…!!』


ごくんっ!!


ギルティースはアーウィンごと球体の中に呑まれた。


957 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:49:16 YBVmAykU00

勇者「そ…そんな…」

アントン「ギルティースさーーーん!!」

ギル『何よ!』

アントン「わー!生きてた!?」

ギル『…まだ、ね。魂を吸うって言ってたけど、肉体ごと呑まれたからかしら…?』

昼間「機体に包まれているのも要因でしょう…しかし…そのまま中に居続ければ…」

ギル『ええ、分かってるわ…すでにちょっと意識が朦朧としてきてるもの…』

勇者「は、早く助け出しましょう!待っててくださいギルティースさん!」

ギル『ダメよ!』

勇者「え!?」

ギル『さっきの見たでしょ、アーウィンですら逃げられないくらいの吸引力。私なんかのためにそんな危険を冒す必要はないわよ』

アントン「で、でも…!」

ギル『今私にできるのは、この中に手掛かりがないか探って伝えることだけ!よーく聞いておきなさい!』

昼間「…分かりました。お願いします」

アントン「えー!冷たいよ!そんなあっさり…」

昼間「ギルティースさんの覚悟を無駄にするつもりですか?」

アントン「うぐ…」

ギル『フフッ、そうよ。私にもカッコつけさせなさいよね』

勇者「…くっ…悔しいけど…ここは抑えて、絶対にコイツを倒しましょう!」

アントン「…うん…!」


ギル『…あ!何か見えるわ、中心の辺り……小さくて丸い…何かしら、アレ…』

昼間「この球体のコアでしょうか…だとすれば弱点となりうるかもしれません…!」

ギル『ええ…近づいてみるわね』

ギルティースは球体の中心部へと向かっていく。

ギル『青…というか水色?外にもあった目と口みたいなのもついてるわ…小さい手足も生えてる…』

勇者「…え…それって…」

勇者は巨大な球体の目口を見た瞬間、それが頭の片隅に過ぎっていたが、気のせいだと思い過ごした。


958 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:50:40 YBVmAykU00

ギル『…rekuiemuくんみたいね…』

アントン「へ?ど、どういうこと?」

ギル『分からない…さっきまで私たちと一緒にいたんだから、本人なわけはないんだけど…』

昼間「たしかによく考えてみると、相手を吸い込み、自分の力に変える…完全にカービィ族の特徴と一致しますね…」

ギル『…だけど今は気にしてる場合じゃないわ…!撃ってみる…!』


ドドドドドドド!!!!


ヒュッ!


ギル『…!!か…かわされた…!?』

昼間「かわすということは…」

デロイ「間違いない!それが弱点だよ!」

ギル『この距離じゃまだ狙いにくいわ…もっと近づい……っ…!』

アントン「ギルティースさん…?」

ギル『…ゴメン、もう限界みたい…手が動かないの…!』

勇者「ギルティースさん!」

ギル『…後は……任せる…わ…』

アントン「ギ、ギルティースさん!?そんな…ギルティースさーん!!」

返事はもうない。

ギルティースはそのままコックピットの中で息絶えた。

昼間「…くっ…恐らく中心部の本体へ近づけば近づくほど、魂を吸い取る力が強くなるのでしょう…」

デロイ「でもギルティースさんのお陰で弱点がわかったよ!」

勇者「はい…あとはどうやって本体を倒すかですね…」

アントン「はちくんなら一気に真ん中まで飛んでいけるよ、うん!」

昼間「しかし…ギルティースさんはアーウィンで近づいた瞬間、一気に力を奪われたような感じでした。本体の周囲は相当な防壁が張られているとみていいでしょう。スピアーでも同じく本体に届く前にやられます…」

デロイ「僕の結界で防げないかな…?」

昼間「無理でしょうね…Φデスエンペラーもあの時㌧さんの結界の中に瞬間移動してきた。冥界の存在は結界を無視する方法を持っていると考えられます」

デロイ「で、でもやってみなくちゃ分からないよ!たとえば、僕が一人で行って試すとか!」

昼間「あなたがやられたら我々は全滅です…」

デロイ「あ、そっか…」


959 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:52:42 YBVmAykU00

勇者「空間移動で僕の爆弾を送り込んで、本体に直接攻撃するのは?」

昼間「敵の位置が分からないとどうにも…」

勇者「ギルティースさんの魔力は感知できないんですか?」

昼間「…魔力とは生き物に宿る力…死んだ瞬間にその力は消え失せます。最後にギルティースさんのいた場所はなんとなくは分かりますが…確実性に欠けるでしょう。相手はアーウィンの弾をかわすほどの機動力も持っているのですから。そんなところに攻撃を仕掛けても意味がありません」

勇者「だったら…僕が行きます!」

昼間「はっ!?」

勇者「僕ごと送り込んでください。そして敵を視認した上で、爆弾を投げます!」

昼間「いやいや!言ったでしょう!アーウィンの弾をかわす素早さを持つ相手に、爆弾を投げて当てるなんて…無謀です!」

勇者「だ、だけど他に方法は…!」

ブゥゥン…

アントンの耳元へスピアーが寄り、何かを伝える。

アントン「…え!?…は、はちくんたちが、行きたいって…」

勇者「え!?」

デロイ「スピアーが…?でもそれは無理だって、召喚士さんがさっき…」

昼間「そうか…!」

デロイ「なにが!?」

昼間「数十匹のスピアーたち…彼らの魔力を辿っていくのです…!」

勇者「どういうことですか…!?」

昼間「スピアーを一匹ずつ送り込むのです…!本体を視認し、前進する…!倒れたらそのスピアーの元へ、次のスピアーを送る…そうやってバトンのように繋いでいく…!そうすれば確実に本体に近づき、攻撃することができる…!」

アントン「で、でもそれじゃあはちくんたちは…!」

昼間「はい…かなりの犠牲を払うことになるでしょう…」

アントン「はちくん…それでいいの…!?」

ブゥゥン!

スピアーたちは羽音を激しく鳴らし、覚悟をアピールする。

アントン「…分かった…!はちくんが覚悟してるんだ…虫使いの僕も覚悟を決めるよ!この作戦でいこう、うん!!」

昼間「分かりました…!」

パララッ…

召喚士は魔法書の中から、空間移動の魔法陣を開く。

アントン「はちくんたち!こっちに一列に並んで!」

ブゥゥン…

魔法陣の前へスピアーたちが並ぶ。


960 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:53:45 YBVmAykU00

昼間「時間はありません。相手が動ける以上、のんびりしていれば警戒され、こちらの攻撃は更に当たりにくくなるでしょう。次から次へと送り込むことになります」

アントン「みんな、準備はいいね?」

ブブブブブゥン!

アントン「うん!みんな大丈夫みたい!」

昼間「デロイさん、魔力を貸してください!」

デロイ「うん!」

昼間「行きます!」


カッ!!


魔法陣が光り、一匹目のスピアーが送り込まれる。

が、僅か数秒後。

昼間「魔力が消えた!やられたようです!次のスピアーを!」

アントン「はちくん!」


カッ!!


すかさず二匹目のスピアーが送られる。

そして、三匹目、四匹目、五匹目…


次々とスピアーが送り込まれては、散っていく。


961 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:55:44 YBVmAykU00




球体の中では。

???「…?」

球体の本体が、現れては散っていくスピアーを見ていた。

???「なんだろう?ちかづいてくる。おかしいな、ちかづけるはずないのに」

???「まあいいや。なにがきても、たべちゃえば」

???「ぜんぶ、たべちゃえば、なんとかなるよね」


ブーン!!


ついに球体の元へ辿り着いたスピアーを、球体はかわすでもなく。


パクッ…


食べた。


ブブブブブブブブーン!!!!


???「わ」

そこへ大量のスピアーが一斉に出現。
球体へと襲いかかる。


ドガガガガガガガガッ!!!!


???「うぐぐ…なんだ…いたい…」

全方位からの攻撃に球体はなすすべなく縮こまるしかない。

が、すぐにスピアーたちは勢いを失い。

???「…ふう。びっくりした」

???「でも、これでしずかになった」


パッ!


その背後に、勇者ヨシオが現れる。

手にはボム兵。


勇者「終わりだぁぁっ!!」



ドドォォォォォォン!!!!


962 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 21:58:12 YBVmAykU00





球体の外では。

昼間「…消えていく…!」

青白く光る球体の表面にヒビが入り、徐々に霧散していく。

デロイ「もやも晴れていくよ!やったんだ!勇者くん!」

アントン「…はちくん…」

昼間「犠牲はあまりにも大きすぎましたね…これで素直に喜べるかと言えば…」

召喚士はアントンの肩に手を置き寄り添う。

デロイ「!! 見て!」

アントン「…え?」

キラキラと輝くチリのようなものが、球体の内側から弾け、星全体へと広がっていく。

昼間「これは…まさか…!!」


キィィィィィィン!!


その中から一機のアーウィンが、結界に向かって飛んでくる。

ギル『よくやったわ、みんな!』

デロイ「ギルティースさん!」

昼間「やはりあの輝きは、球体に吸われた魂たち…!?」

アントン「ってことは、はちくんも…!!」

勇者『あ、スピアーたちならどこかへ飛んで行きましたよ!』

ギルティースのアーウィンに回収された勇者が言う。

アントン「えぇーー!!?」

昼間「モンスターボールで呼び出したポケモンは、役目を終えると再びモンスターボールの中へと戻り、世界のどこかに再出現する。スピアーたちも例外ではありません。ですが…」

アントン「…うん!生きてればきっとまた会えるよね!!待っててねはちくん!またきみたちを出してみせるよ、うん!」

勇者『ただ、一つだけ…悪い知らせが…』

デロイ「え?」

勇者『あの球体の本体に…逃げられました…致命傷は与えたんですが…』

昼間「!!」

勇者『突然どこからか、ワープスターが現れて…本体を乗せて消えたんです。どこへ消えたのかは分かりません…冥界に行ったのかも…』

アントン「そんな…」

ギル『大丈夫よ!私たちがいるんだから!もしまた現れたってなんとかなるなる!』

デロイ「そうだよ!」

昼間「…ええ、そうですね。みんなの魂も戻ってきたことですし、今は素直に喜びましょう。フフ」

アントン「うん!」

勇者「はい!」


963 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 22:00:52 YBVmAykU00





そして、月面では。

デスエン「な、何じゃこりゃあ!!ち、力が消えていく!」

Dr.神様「勇者たちがやってくれたようじゃな!」

ヒーロー「見ろ!星の黒いもやが晴れていくぞ!」

ゲン「はっはっは!後は俺たちがコイツを倒すだけだな!」

ドドン「俺の貸したボム兵、役に立ったかなドン」

デスエン「クソッ!馬鹿なっ!俺の完璧な計画がっ!」

大学生「ぎゃーっはっはっは!!計画て!!ぬぁーにが知らないものほど面白いだよブァーーカ!!どうせあの玉も全能神と戦う上での保険だったんだろクソビビリハゲがよぉ!んで使う前にフィギュアにされたモンだから八つ当たりで始めたのがゴリラと丸かぶり!つまんなすぎて逆に笑えるなァオイ!!」

デスエン「なっ!!」

歩く「煽るのはそれくらいにして、さっさと片付けますよ」

reku「まあ言ってることには全面的に同意だし、清々しい煽りっぷりで気持ちいいけどね」

デスエン「お、お前ら…!何を勝った気でいるんだ!?いくら俺の力が元に戻ったと言っても、そもそも俺に勝てる奴なんぞこの中にはいないはずだ!」

天才「そいつはどうかな」

デスエン「!?」

もう一つの結界のほうから聞こえた声に、デスエンは驚きながら振り向く。

玄酔楼「中々美味いのう、このトマト。今度酒の肴にしてみるか」

そこにはデスエンに一撃でノックダウンされたファイターたちが、Mと書かれたトマトを食いながら立ち上がっていた。

ねこ「でしょ!ぼくの大好物です!持ち歩いててよかったです!」

レイア「おいデスエン!!覚悟しろよ!!」

デスエン「んなバカな…」

Dr.神様「はっ!」

Dr.神様が杖を掲げ、レイアたちを再びこちらの結界へと移動させる。

その中でも一際強い玄酔楼、天才、タバスコが、デスエンを完全包囲した。

タバスコ「妖魔をも圧倒した煙草マスターの力…見せてあげますよ」

シュゥゥゥゥ…!

タバスコの体から煙が溢れ、デスエンを取り囲む。

デスエン「くっ…ここまでか…」

ガクッ!

デスエンは両手を挙げ、膝をつく。

レイア「何だぁ!?諦めやがったのか!」


964 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 22:23:43 YBVmAykU00


デスエン「なぁ〜んちゃって!」


フッ!


デスエンは消えた。

純白「なっ!?」

㌧「しまった!冥道に逃げたのか!」

天才「任せな。コツは掴んだ。もう遅れは取らねえよ」


フッ!


ドドン「ぬぁ!?天才も消えたドン!」

聴牌「冥道に入ったのでしょうか…!?何という人だ…!たしかに一度冥界に行った我々にも、冥力が宿っていてもおかしくはないかもしれませんが…!」


フッ!


ドシャァッ!!!


デスエン「ぐえぇ!!」

天才が再び現れて、デスエンを地面に押さえつけた。

天才「捕まえたぜ」

reku「天才すぎる…」

ミカ「全部コイツ一人でよかったんじゃねえか?」

天才「んなこたぁねえよ。多分な」


ポキポキ…

チェマ「覚悟、できてんだろうな?」

レイア「ブッ飛ばす!!」

拳を鳴らしてデスエンに近づくチェマとレイア。


ズドゴォッ!!!!


デスエン「ぐおぉっ!?」

強烈な一撃がデスエンの腹に入る。

タバスコ「はぁぁっ!!」


ドガガガガガッ!!!!


更に剣の一振りで煙が一斉にデスエンを襲う。

デスエン「ぎゃあぁぁぁあ!!」

ドドン「デスエンさん、仲良くなれるかと思ったけドン。悲しいなドン」


ダダダダダッ!!!


デスエン「ぐぁぁっ…!」

ドドンは容赦ない連続蹴りを喰らわせる。

片割れ「よっしゃ!ワシらも行くで!」


バチバチバチバチ!!!


妹「やあっ!!」


ドドドドドドドド!!!


歩く・アマゾン「はっ!!」


ズガガッ!!!


デスエンに向けて、大量の攻撃が繰り出される。


965 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 22:41:19 YBVmAykU00

デスエン「グ…グギギ…」

ピクピク…

玄酔楼「止めじゃ」


ズドッッ!!!!


玄酔楼の拳は、デスエンの腹を貫いた。

デスエン「か…はっ…!」

奇しくも、デスエンが何度も相手を葬った形で、自らがトドメを刺され。

そしてデスエンはやがて動かなくなり。

チリとなって消えた。

Dr.神様「フゥ…これで…全て終わりじゃな」

reku「…デスエン…」

片割れ「何やお前、微妙なカオしよって」

reku「うーん…何でだろう」

㌧「今デロイと連絡が取れました!あの球体を倒した結果…吸われていた魂が解放され、みんな蘇ったとのことです!」

アマゾン「おお!!」

歩く「ということは…」

レイア「俺たちの完全勝利!!だな!!」

みんな「うおおおおおおお!!」


こうして、戦いは幕を閉じた。


966 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 23:25:33 YBVmAykU00





???「なんだろう…」

???「ぼくはだれ?」

暗闇の中に、球体はいた。

???「きみはだれ?」

自分を乗せてどこかに飛ぶワープスターに話しかける。

???「きみは……だれ?」

今度はワープスターではない誰かに話しかける。

球体のかすかな記憶に残っていた、誰かに。



昔、冥界の何も無い暗闇の中で、その男は唐突に現れた。

???「凄いなお前。どれだけ魂を喰えば気が済むんだ?このままじゃこの世界ごと無くなっちまいそうだな」

???「きみは、だれ…?」

???「誰…?そう言えば名前なんか考えてなかったな。この前冥界の王を殺して力を手に入れたし、二代目冥王ってことになるのか?」

???「めいおう?」

???「うーん、でもヒネリがないな。死の皇帝、デスエンペラーってのはどうだ?かっこよくね?」

???「ですえんぺらー…」

デスエン「お前は?一体何者なんだ?」

???「わからない。ぼくは、きづいたらここにいて、おなかがすいたら、たべるだけ」

デスエン「へえ。俺と同じだな。俺もこの冥界で生まれたんだ。最初は何も分からなかった」

???「そうなんだ」

デスエン「まあ、分からないなら俺が教えてやるさ。えーっと……今まで一人だったから気にしなかったが、やっぱり名前がないと不便だな」

???「ぼくのなまえ?」

デスエン「ああ。何か好きなものとかないのか?っつってもこの何も無い世界でそんなもんあるわけないか」

???「うた…」

デスエン「歌?歌なんか歌えるのか?何も分からないって言ったくせに」

???「うん。わからないけど、いつもあたまのなかに、ながれてるんだ。たべてると、そのうたがおおきくなって、いいきぶんになる」

デスエン「へぇ…お前を形作った魂の一部に歌好きなヤツでもいたんだろうな。じゃあこういうのはどうだ?世界を食って魂を鎮める…世界の鎮魂歌(レクイエム)」

???「れくいえむ…」

デスエン「かっこいいだろ?」

???「うん。きにいった」

デスエン「よし!レクイエム!お前は今日から俺の仲間だ!」


967 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 23:27:08 YBVmAykU00




そんな過去の記憶を思い出し、球体は目を覚ます。

???「そうだ…ですえんぺらー。ぼくの…なかま…」

デスエンは球体を利用しようとしか考えていなかっただろう。

だが球体にとっては、唯一の存在だった。

???「ですえんぺらーに、あいたい…」


パッ!


願った瞬間、球体は消えた。

ワープスターが持ち主の望む場所へとワープさせたのだ。




???「…これが、ですえんぺらー?」

そこにはチリのように小さな魂がいくつもあった。

死んだデスエンは、結合していたいくつもの魂が剥がれ、元の普通の魂に戻ったのだ。

???「ですえんぺらー……」

???「ぼくを、ひとりにしないでよ。なかまでしょ」

球体はその魂たちをかき集め、再びワープスターに願った。


???「もどして…もとのかたちに…」


ワープスターは球体とともに、再びワープする。


968 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 23:29:19 YBVmAykU00





ピロピロピロピロピロピロ…


ドガァーン!!


そしてワープして落ちた先は、数年前の世界だった。

時を超えるなど本来ワープスターにはできない。

限界を超えたワープにより、座標は乱れ、球体は記憶を失い…

???「ここは…どこだ…?」

???「分からない…」

???「何か大事なことを…忘れてしまった…気がする…」


通行人a「何か落ちたよな!?今!」

通行人b「何か倒れてるぞ!おい!どうした!?何があったんだ!?」

???「分からない…」

通行人a「しっかりしろ!」

通行人b「この辺じゃ見かけない種族だな!名前は!?分かるか!?」

???「な…名前…?ぼ…僕の名前は……」

???「…世界のrekuiemu」



第3章 完


969 : ハイドンピー (ワッチョイ 9238-6349) :2020/04/17(金) 23:32:11 YBVmAykU00
ここまで見ていただきありがとうございます
あと後日談がちょっとあると思います
まだ全然書けてないのでまたしばらく間が空いてしまいますが最後までお付き合いいただければなと思います


970 : はいどうも名無しです (アウアウ 03d9-6d37) :2020/04/18(土) 02:16:45 e.bvtxb6Sa
成る程、そう繋がるのかあ…本当に設定凝ってるなあ


971 : curimia ◆1ol9efWRHA (アウアウ e90d-6349) :2020/04/18(土) 08:57:36 RE394LsoSa
お疲れ様でした
ほんとに素晴らしい作品でした。
自分も頑張ってもっと書きます!


972 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:35:24 sx5ZQT1200
エピローグ





戦いから数日。

勇者ヨシオは、ヨシオ族の里に帰還していた。

勇者「みんな、ただいまー」

???「おーす!!」

勇者「あ、鳴りやまぬさん!」

そこには緑のリボンのヨシオ族がいた。

鳴り「ちょっと旅行行ってただけなのにやけに久しぶりに感じるな!!どうだった!?おもしろかったか!?ってかこの前魔物が攻めてきたり空にヒビ入ったり急に全員ぶっ倒れたりしてマジでビビったわー!!ニュースでもやってたけど結局その後音沙汰ないしあれ何だったんだろうな!!もしかしてお前も旅行先で倒れてたりしたのか!?だとしたらマジ災難だなオイ!!ハハハハハ!!それにしても」

勇者「ストップストップ!!鳴りやまぬさん、相変わらず鳴りやまないですね…」

???「きゃはっ☆勇者クンおかえりぃ!」

勇者「奇跡さん、ただいまです」

今度は勇者と同じ青リボンのヨシオ族が寄ってきた。

奇跡「なんかぁ、勇者クンちょっと顔付き変わったぁ?逞しくなったよねっ♪」

???「たしかに〜。旅先でなにかあった〜?」

またもや緑のヨシオ族が現れる。

勇者「とろけるくん。まあ、そうだね。色んな出会いがあったよ。成長できたかは分からないけど…すごく良い旅行だった」

???「ふん、我らヨシオ族のナンバーツーともあろう者が旅行などと…あまり浮かれるなよ、勇者。彼奴にさらに差をつけられるぞ」

今度はリボンを付けていないヨシオ族。

勇者「はは…気をつけるよ、㌍ちゃん…」

㌍「"ちゃん"は寄せと言っているだろう!私は誇り高き聖騎士なのだぞ!」

勇者「ごめんごめん」

㌍「全く…」

聖騎士㌍は腕を組んだまま通り過ぎて行った。


973 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:37:22 sx5ZQT1200


???「お帰り、勇者」


勇者「!!」

建物の屋根の上から、プレッシャーのある声で呼ばれ、勇者は素早く振り返る。

そこには赤いリボンのヨシオ族が立っていた。

奇跡「きゃはっ☆殺意クンもお出迎えに来たのぉ?なんだかんだ仲良いよね、二人♪」

鳴り「そうか!?そんなことないだろ!殺意はただ里の中じゃ勇者ととろけるくらいしかまともに渡り合える相手がいないってだけだろうし!勇者も勇者で殺意には尊敬とか恐怖はあるだろうが仲良くしようって感じには見えねえな!!勘違いだったらすまんけど!!ハハハハ!!もしかして殺意は成長して帰ってきた勇者に早速…」


殺意「うるさい黙れ。勇者…旅行は楽しかったか?」


勇者「…はい。楽しかったです」

勇者は、謎のプレッシャーに緊張しながらも、目を見て堂々と答える。

しばらく視線を合わせ続け。

殺意「……そうか。ならいい」

ザッ…

殺意はそのまま帰って行った。

とろける「…なんだったんだろ〜。ほんとにただ出迎えにきただけ〜?」

奇跡「殺意クン、なんかちょっと嬉しそうだったよねぇ♪」

勇者「そうですか…?正直まだ殺意さんの考えることはあんまりわからないや…」

鳴り「ハハハ!!俺と奇跡と殺意は同い年だしな!!長い付き合いだから分かることもあるんだよ!!にしてもあの目力マジ半端ねえよな!!あれだけはいつまで経っても慣れねえわー!!この鳴りやまぬことで有名な俺が一瞬にして黙らされちまったよ!!」

とろける「割と簡単に鳴りやんでる印象しかないな〜」

奇跡「だよねぇ♪きゃはっ☆」

鳴り「な、なんだとぅ!!」


勇者(殺意さん…僕はもう逃げないよ。いつか必ず、あなたを超えて見せる…!!)

勇者は、帰っていく殺意の背中を目で追いながら、自分の心に硬く誓った。


974 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:40:38 sx5ZQT1200





とある山奥では。


ドガガガッ!!


巨大な大木に向かって連撃を打ち込むリア・リエの姿があった。

レイア「よう。心折れたっつう割には、修行は続けてんだな」

リア「レイア…チッ。ただの日課だ。今度ああいうヤツらが攻めてきても俺は関わらねえぞ」

レイア「あーそうかい!じゃあ俺は今のうちにもっと鍛えて、お前なんか一発で倒せるくらいになってやるぜ!じゃあな!」

レイアは引き返して行った。

リア「…ん?オイ、レイア!ここで修行しに来たんじゃないのかよ!?」

レイア「ああ!!前の戦いでいい師匠と巡り会えたんでな!!」

言い残して、レイアは全速力で去って行った。


リア「…何だよアイツ……クソッ…」

リア・リエが絶望から抜け出すには、まだ少し時間がかかりそうだ。


975 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:43:21 sx5ZQT1200





隣国・極道のいる街では。

チェマ「おォし!!これで十五勝二敗!!まだまだだなアルベルト!!」

アルベ「クソッ!もう一度だ!」

チェマとアルベルトが道路のど真ん中で戦いをちょうど終えたところだった。

今、二人は良きライバル関係になっていた。

内藤「はあ…魔界ではあの男のポジションは俺だったのだがな…」

妹「まあまあ、元気出しなよダークお兄ちゃん!弱いんだからしょうがないじゃん!」

内藤「慰める気ないだろう貴様」

ケ「フンフン」

ガチャッ

その隣の建物のドアが開き…

片割れ「くぉらぁ!!お前らまーたこんなとこで戦っとんのか!!街中でやんな言うとるやろ!!ええ加減にせえよホンマ!!」

そこは極道の事務所だった。

チェマ「お?今度はお前が相手か?いいぜ!久しぶりに戦ろうか片割れ!」

片割れ「アホか!!なんでや!!つうかワシに勝てると思っとんのか!?」

ナイフ「オイオイ片割れ、カタギの喧嘩に首突っ込む気かよ?」

人間「さすがにマズイっすよ兄貴〜…」

片割れ「うっさいわボケ!コイツらはカタギとちゃうわ!」

チェマ「へっ!乗り気みてえだな!よっしゃ!どっちがこの街で一番強えか決めようじゃねえか!」

ケ「イイネ」

suko「待てっ!こんな道の真ん中で喧嘩なんてダメだぞ!僕が止めてみせる!」

そこに颯爽と登場するsuko-ru。

チェマ「どけっ!ジャマだ!!」

バゴォォーン!!

suko「ぐあああっ!!やっぱり止められないいぃぃい!!」

キラーン


純白「ふふ、またやってますね」

そこへ純白と大学生が通りかかる。

妹「あ、純白お兄ちゃん!おはよー!」

純白「おはよう妹ちゃん」


976 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:47:56 sx5ZQT1200

大学生「ケケッ、ずっと考えてたんだがよぉ、やっぱネズミよりはこっちのトカゲのほうがまだ旨そうだよなぁ」

チャキンッ

大学生はいきなり剣を抜き、切っ先を[自称]妹の首元に突きつける。

妹「ひえっ!?」

純白「はいはい分かった分かった。ほら大学行くよ。遅刻しちゃう」

大学生「チッ、どうでもいいだろそんなもん…」

純白「よくない!」

純白はなんとか大学生を引きずっていった。

アルベ「しかし…平和になったものだな…」

妹「どこが!?」

アルベ「あれから僅か数日…天使やファイターたちの協力で、この世界に現れた凶暴な魔物たちの駆除も進み…こうして普通の日常が送られている」

妹「…まあ、あの時に比べればね。こんな日々がずっと続けばいいのになぁっ。あとあの大学生は死ねばいいのにっ。ウフフッ」





その北、魔法学校のある街では。

母「気をつけて行ってくるのよー!」

弟「ってどうせ学校までこっそりついてくるんでしょ!」

母「あら、バレた?」

姉「もう、お母さんったら、本当過保護ね。大丈夫よ、私とたまちゃんがついてるんだもの」

たま「その通りさ」

三人の向かう先は同じ、魔法学校だ。

本来そこにあった学校は世界の統合によって消滅したため、魔法学校に通うことになったのである。


977 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:50:48 sx5ZQT1200



ISAMI「それがしを雇ってもらって恩に着るぞ!おぬしら!」

㌦「いえいえ。あなたを降霊させたのは我々…というか召喚士さんですから…こちらこそすみません、これからずっとその体で生きていくことになるなんて…」

KONDOUISAMIは呼び寄せられた魂に過ぎず、本来なら時間が経てば降霊魔法も効力を失い、魂は冥界に帰るはずだった。

しかしあの球体によって一度その魂が肉体から離れ、再び宿ったことで、完全に定着してしまったのだ。

ISAMI「よいよい!もう慣れたわ!お、子供たちが来たようだぞ」

㌦「みなさんおはようございます」

弟「㌦先生!ISAMI先生!おはよー!」

コテツ「おはよー!」

インテリ「コテツ、鞄はどうしたんですか?」

コテツ「へ…?あー!!忘れてきちゃった!!」

暴力「家を出る前にちゃんと確認しなさーい!!」

ドゴォ!!

コテツ「ぶへっ!ご、ごめんなさーい!」

チェン「あはは…鞄忘れるってコテツくん、さすがに心配になってくるよ…」

マグヌス「オマエはじぶんのヒゲのしんぱいでもしてろ!わはははは!」

タタタタタタタ…

暴力「あ!こらマグヌスくん!廊下は走っちゃいけませーん!!」




そんな子供たちの光景を魔法書に映し出し、昼間の召喚士は職務室から見守っている。

昼間「やれやれ…マグヌスくんは相変わらずか…しかしちゃんと毎日登校してくるのは、なんだかんだクラスのみんなのことが好きなのかもしれませんね、フフ」

コンコン

昼間「どうぞ」

ガチャッ

卍「失礼する」

昼間「ムッコロズさん、ムッコロスさん」

バロン「電話で話した通り、地下監獄の確認に来ました!」

昼間「ええ、お待ちしてました。こちらです」

パチンッ

召喚士が指を鳴らすと、机がパカッと開き、地下へ続く階段が現れた。


978 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 02:53:41 sx5ZQT1200

三人は階段を下っていく。


そこにはいくつもの厳重な牢獄があった。

ミカ「オイ、いつまで俺をここに閉じ込めとくつもりだ?」

そこには味方殺しも捕まっていた。

昼間「決まっているでしょう。あなたは魔法裁判の結果、魔力完全剥奪及び絶対的終身刑が決まった。一生そこから出ることはできませんよ」

ミカ「チッ…」

バロン「あ、これは…」

昼間「はい。魔の一族たちです」

全能神殿から持ち帰られた魔の一族たちは、フィギュアのままの姿で投獄されている。

ついでに魔の一族ではないが大犯罪者である人喰い軍曹もその中に入れられている。

なお、人に危害を加える前に片割れに倒されたことや、アルベルトの強い要望から、ダーク内藤は例外的に復活している。

同じく最果てのスケベ心も人に何の危害も加えていないため解放されたが、町で女性にしつこく声をかける事案が発生し、後に逮捕された。

昼間「彼らもここから出ることは永久にないでしょう。この牢には魔力の働きを阻害する特殊な加工を施してありますし、毎日異変がないか欠かさずチェックしています。そもそもフィギュアになっている時点で何もできないでしょうがね」

卍「凄いな…これなら何の心配もいらなそうだ」

昼間「…そして、こちらが…」

監獄の一番奥で召喚士は立ち止まった。

バロン「エロマス…!」

最奥に位置する牢獄に囚われていたのは、エロ過ぎるマスターだった。

目と口を塞がれ、両手足も完全に拘束されている。

昼間「すでに自白の魔法を使っています。では目と口の封を解除しますよ」

バロン「お、お願いします…!」

パチンッ

召喚士が指を鳴らすと同時に、エロマスの顔を覆っていた拘束具が消える。

エロマス「…隣国の軍人が私に何の用かな?」

数日間完全に拘束されていたとは思えない余裕の表情で、エロマスは言う。

卍「お前のラボを調べさせてもらった」

エロマス「ほう。私の技術力を兵器にでも使う気か?フ、愚かなことだな」

バロン「違う!お前を裁くための証拠を収めるためだ!異空間を作ったり世界を一つにしたり、とんでもないことをしたにもかかわらず、今の法律ではどれも犯罪には当たらない…!」

エロマス「当然だな。だからこうして表には知られていない地下監獄に監禁されているのだろう?」

昼間「ですが、天界であなたは言っていましたね。ネス族の父親を殺したと。それが本当なら、あなたは立派な犯罪者です」

バロン「そうだ!その証拠を掴むためにラボを隅々まで調べたんだ!…でも…」

エロマス「何も出なかっただろう?フハハ…そりゃあそのはずさ。あれは真っ赤なウソだからな」

エロマスはニヤリと悪い笑みを浮かべる。

卍「何?」

エロマス「フ、気づかなかったのか?そこに並んでいるフィギュアの中に、綺麗なゲイというネス族がいるだろう。本当に私がこの世界でネス族を生み出したのなら、魔の一族にネス族がいるわけがないだろう」

昼間「では電話で彼らの父親のフリをしていたというのはどういうことですか?たしかにあなたの声だったと…」

エロマス「電話越しの声などで判断できるものか。思い込みを利用したまでさ。特に彼らはスマホも普及しているこの時代に、音質の悪い黒電話などを好んで使っていたからな」

バロン「嘘をつくな!ネス族のみんなから聞いてるけど、あの戦いを境に父親との電話が繋がらなくなったんだぞ!」

エロマス「自白魔法を掛けているんだろう?私は天才的頭脳を持っていること以外はただのゴリラと変わらない。この状況で嘘などつけるものか」

バロン「じゃ、じゃあなんで電話が繋がらないんだ!」

エロマス「知らないな」

昼間「…ではあなたは、本当にネス族とは関係ないのですか…?」

エロマス「そうは言い切れない。家宝のキングバナナの皮は実際に持っていたからね」

卍「持っていた?」

エロマス「ああ。昔、名も知らぬフォックス族に渡したのさ。計画に必要だった、別の星でしか手に入らない素材と引き換えにね」

バロン「まさかその知り合いがネス族を…!?」

エロマス「さあ…彼とはその後連絡が取れなくなっているからね…ただ一つ言えるのは、彼はクローン技術の研究をしていたということだ」


979 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 03:11:23 sx5ZQT1200





歩く「…はい…はい…そうですか。分かりました。ありがとうございます」

歩く天下無敵は★グレイトアマゾン★とともに修行の旅をしていた。

アマゾン「けっきょく、エロマスは僕たちのパパとは関係なかったんですね」

歩く「はい。あのエロマスのことですから、まだ何か隠しているかもしれませんが……謎のフォックス族…気になりますね。何か関係していることは間違いないでしょう」

アマゾン「でもギルティースさんがフォックスの最年長っていってましたよね?とくになにも知らないみたいだったし…」

歩く「フォックス族は宇宙を駆ける種族…別の星に、別のコミュニティがあっても不思議ではありません」

アマゾン「そっか…ハァ…本当にどこでなにをしてるんだろう、パパ…」

歩く「…考えても仕方ありませんね。さあ、旅を続けましょう。僕たちにできるのは、この手が届く人たちを助けることだけです」

アマゾン「はい!最高のヒーローになるために!がんばるぞー!オー!」





南の町では。

♂♂「部長サン!今日は見に来てくれてありがとうございマシター!」

一番繊細な部長は♂maikeru♂のダンスのステージを見に来ていた。

部長「いえいえ、楽しませてもらいましたよ」

部長(言えない…家族も一緒に来てたのに飽きて帰っちゃったなんて言えない…)

♂♂「でも本当に良かったデスネ!ご家族みなサンご無事で!」

部長「ええ、お陰様で。会社は壊されてしまいましたが、社員のみんなも無事でしたし、また新たなスタートで頑張っていくつもりです」

♂♂「オー!応援してマス!そう言えば、切れた脇役サンも誘っておいたのデースが…来てくださってないようデスネ…」

部長「彼女はとても忙しいようですからね。仕方ないですよ」

部長(来てたけどあまりの退屈さに帰っちゃったなんて、口が裂けても言えない…)

♂♂「そうデスネ!でも部長サンだけでも来てくださって嬉しいデース!今はまだ小さなステージデスが、きっといつか大きな舞台で、何万人もの前でダンスを披露して見せマスヨ!!」

部長「ええ、楽しみにしていますよ」

部長(言えない…半分寝てたなんて絶対に言えない…!)


980 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 03:14:22 sx5ZQT1200





∫アルティライトねこの故郷では。

Dr.神様「すまぬな、ねこよ」

ねこ「いいですよ。一人で住むなんて寂しいですから」

㌧「お世話になります」

住民の多くが魔物たちにやられて、空き家だらけとなったこの村に、ねこは住処を失った神や天使たちを受け入れていた。

SEFI「下界の町並み…懐かしいな」

ねこ「まあ魔物にこわされてボロボロですけどね」

デロイ「こんなにたくさん天使が住めるってことは、あの戦いでそれだけ犠牲が出たってことなんだよね…」

アントン「僕がもっと強ければ…」

ねこ「もー!その話は済んだでしょ!暗い話はキライです。きっとみんな、自分の住んでたとこに神様や天使が住むなんて、驚きですよ」

マックス「そうだな。死んじまった奴らの分まで俺らがこれから頑張って行かねえと!」

ennjeru「さっすがマックスさん良いこと言う〜!」

チンポコ「フン、全く、軽薄な奴だ。だが、お前の能天気さに救われる者もいるかもな」

ねこ「よーし、それじゃあ村の復興作業はじめましょう!」

みんな「おー!!」


㌧「…実際のところ…立て直せるでしょうか。今回は色んな幸運も重なり、なんとか乗り越えられましたが…もし再び大きな敵が現れた時、我々はどう立ち向かうべきか…」

聴牌「大丈夫ですよ、きっと。たとえ何が起きても、この世界にはたくさんのファイターがいますから」

SEFI「それは得意の未来予知か?天使の聴牌」

聴牌「いえ…ただの、女の勘ですよ。ふふっ」





王国の城下町では。

広場に住民たちが集まり、その前にヒーロー、ゲン、ライムライト、ポイゾネサスの四人が立って話している。

ヒーロー「ここからこう敵が来たら、あっちに逃げて俺たちの登場を待つんだ。分かったか?」

住民「はーい」

今まで保たれてきた国の平和が脅かされたことによって、緊急時の行動を確認しているのだ。

ゲン「はっはっは!なーに臆することはないぞ!今回はあまり活躍できなかったが、これからはエフゼロと並行して、戦闘訓練もこなすつもりだ!史上最速のこの俺が鍛えれば、どんな敵も瞬殺だ!」

住民「ウォー!」
住民「期待してるぞー!」

ポイゾネ「あはは…さすがゲンさん、盛り上げ上手だね…僕こういうとこに立つことないから緊張しちゃうよ」

ライム「何言ってるんですか。ポイゾネサスさんはもう国一番のファイターなんですから、しっかりしなきゃ!」

ポイゾネ「だ、だよね。がんばるよ…」

ヒーロー「そう気負うことはない。俺たちがついているんだ」

ゲン「さあ!この国の英雄ポイゾネサスくんに盛大な拍手を!」

住民「おぉぉぉぉ!!」

パチパチパチパチ!!

ポイゾネ「ちょ、やめてくださいよ英雄だなんて!」

ゲン「はっはっは!期待しているぞ!」

ポイゾネ「もー…分かりましたよ…その代わり、戦闘訓練覚悟してくださいね!手抜きませんからね!」

ゲン「はっはっは!望むところだ!!」


981 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 03:19:47 sx5ZQT1200





遠く離れた国の、ジャングルの奥地では。

エルバン「☆ふうっ!今日はこれくらいにしておこうか、二人とも」

吐き気「そうだな…オエッ…もう疲れて吐きそうだ…」

タバスコ「ハハ、いつもでしょ」

この三人もまた、更なる強さを求めて修行を続けていた。

エルバン「★Φデスエンペラー…とんでもない強さだった。☆もっと強くならなくちゃ」

吐き気「ああ。同じファルコン族として俺も負けていられない」

タバスコ「まあまあ二人とも、そういう話はまた明日ってことで」



それから三人は近くの小屋へ帰り、何かニュースは無いかとテレビをつける。

そこに映っていたのは。


バル『いやーいいねぇあのダンス!ぼくも見てて踊りたくなっちゃったよぉ』

ちょこ『ありがとう!ドルコリン♪ちゃんとたくさん練習しましたから!』

ドルコ『ウフッ♪というわけで来週木曜発売のちょこリン♪セカンドシングル、"パンチング・ダンシング"よろしくお願いね♪』

ちょこ『ダンスはもちろん、歌もすごくいいものに仕上がってます!是非買って聴いてみてくださいね!』

バル『というわけで、今週のバルザードたんののんビリTVはここまでです!ゲストはぼくも大好きな先輩アイドルの、ちょこリン♪のお二人でしたぁ』

ちょこ『ありがとうございました!』

ドルコ『CD買ってねー♪』


エルバン「☆へぇ…アイドルってやつですか?」

吐き気「なんでこの空間にファルコン族が混ざってるんだ…?オエッ…場違いすぎるだろ…」

タバスコ「二人ともほんと疎いですよね…さすがに僕でもちょこにゃちゃんくらいは知ってますよ。一番人気のアイドルです。ドルコリン♪さんに関しては僕も何故売れてるのか全く分かりませんけど」

エルバン「☆カービィ族にファルコン族に、ピカチュウ族だよね。☆もしかして戦えたりするのかな?」

タバスコ「さあ…どうでしょうね…」

ピッ

チャンネルを変えると、今度は。


ナザ『ん?ポルス?っかしいなー、どこ行きやがった?』

ポルス『ほんとどこ行っちまったんだアイツ』

ナザ『うわっ!?…はははは!鏡かと思ったぜ!似すぎだろお前!服まで揃えやがって!』

ポルス『なーに、このスーパーエンターテイナーにかかりゃこんなもんよ!』

ナザ『いやどっちが喋ってんのか分からなくなるじゃねえか!せめて服は変えてこいよ!』

ワハハハハ…

ポルス『俺が本物だからな!みんな、騙されんなよ!』

ナザ『いや、だから!カメラさんもそっちばっか映してんじゃねーよ!ちょっと!?オーイ!』

ワハハハハ…


エルバン「☆フフフ、面白いねこの人たち。☆タバスコくん、知ってる?」

タバスコ「まあ有名人ですしね。たしか芸人のナザレンコと…誰だったかな。僕もあんまりバラエティとか観ないので」

吐き気「フォックス族だな…うっぷ…コイツらも戦えたりするんだろうか…」

タバスコ「あんたら戦うことしか頭にないんですか!?」


982 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/23(木) 03:24:23 sx5ZQT1200





どこかの国の、砂漠の真ん中では。

reku「僕は何者なんだろう?」

世界のrekuiemuは、一人、旅をしていた。

いや、正確には一人ではない。

reku「ワープスター、お前何か知ってるんじゃないの?」

相棒であるワープスターとともに。

reku「ま、いっか」

rekuiemuは歩き続ける。


983 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 01:30:43 XYOoi0WA00





宇宙のどこかでは。


キィィィィィィン!


四機のアーウィンがどこかの星に向かって飛んでいた。

ギル「はあ…ポルスもとうとう引退か〜…」

アルバロ『まったく勝手な奴だ!何が"アーウィンも無くなったし丁度いい機会"だ!!何が"本当に大事なものに気づいた"だ!!何が"これからはこの三輪車が俺のアーウィンだ"だぁぁあ!!』

パタ『まあまあ…元々芸人一本でやっていきたかったんでしょあの人も…カメラ回ってなくてもずっと物真似してたし…』

アルバロ『彼奴はΦデスエンペラーにまんまと乗せられたのだぞ!三輪車乗りだけにな!!フォックス族としての使命感だけで仕方なく任務をやっているんじゃないか、などと誑かされてな!ふざけるなよ!』

パタ『な、なんで俺が怒られるんだ…悲しみ…』

ギル「ほんと、任務をなんだと思ってるのよ!ナザレンコもポルスもドドンも…」

ドドン『俺も!?俺フツーにちゃんとやってるだろドン!?』

ギル「どこがフツーよ!!アーウィンは好き勝手改造するわ味方巻き込むのも気にしないでボム兵そこらじゅうに投げるわ!!」

ドドン『ちょっと何言ってるかわからないドン』

ギル「分かれよ!!!」

パタ『おいおい、もうそろそろ着くぞ…ギル姐もそろそろ抑えて…コイツにはいくら言っても無駄だって分かってるだろ…』

ギル「はあ……ほんと大変…」

アルバロ『フン。結局、あの戦いが終わっても、真の宇宙平和には程遠いな』


ピコン!ピコン!ピコン!


アルバロ『!?』

突然アルバロのアーウィンにアラームが鳴り響く。

ギル「ん?何?どうしたのアルバロ」

アルバロ『こ、これは…起動戦死の反応!?』

パタ『起動戦死?それってたしか前に宇宙の露店で買ってた、フォックス型ロボットだっけか…』

ギル「あはは、そうそう。元は機動戦士として売られてて、アルバロが高いお金出して買って、起動した直後に壊れたのよね。それでついた渾名が起動戦死」

ドドン『プッ…あの時のアルバロの顔思い出すと今でも笑えるドン』

アルバロ『う、うるさいわ!まったく、あんな不良品だとは思わなんだ!』

ドドン『もしかしてまた壊れたのかドン?』

アルバロ『ああ…回収する途中でギルティースの救援信号に呼び出され、すっかり忘れておったわ。そう言えばこの星域に放置しておったな』

パタ『もう別に無視していいんじゃねえか…?役に立たねえんだろ…』

アルバロ『…まあ、それもそうだな!ここで貴様とはお別れだ起動戦死よ!ふはははは!』

ギル「ちょっと、ダメよ!捨てるならちゃんと粗大ゴミとして処理しなきゃ!」

パタ『庇うわけではないのか…』

ドドン『でもたしかに勿体ないドン。俺にくれないかドン?改造してフォックス型爆弾にしてやるドン!』

アルバロ『貴様えぐいこと考えるな…フン、まあ貴様たちがそこまで言うなら仕方ない。回収してやるか』

ギル「私たちは先に任務に向かっとくわよ」

アルバロ『ああ、すぐ追いつく』

そして紫フォックスたちと別れて、アルバロは起動戦死の反応を追った。


984 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 01:31:59 XYOoi0WA00



アルバロ「この辺りだな」

ゴゴゴゴゴゴ… ズシィン…

アルバロは反応の近くにアーウィンを着陸させる。

アルバロ「おーい!起動戦死!返事をしろ!……返事もできぬほどに壊れておるのか?全く、世話を焼かせるなポンコツめ」

タタタタタタッ

アルバロ「誰だ!」

バッ!

足音に反応し、素早く振り返りブラスターを構える。

そこには壊れた起動戦死が倒れており、足音の主と思われる何者かは去っていく。

アルバロ「貴様…!待てっ!!」

タタタタタタッ!

アルバロも追いかけるが、岩壁を曲がった先で見失った。

アルバロ「今のは……フォックス族…?」

僅かに見えたのは、特徴的なキツネの尻尾。

アルバロ「くっ!まだ近くにおるはず…!何処に隠れた!?」


ゴゴゴゴゴゴ…!

キィィィィィィン!


アルバロ「!! アーウィンだと…!?」

謎のアーウィンはその上空を飛び去っていった。

アルバロ「一体何者だ…はっ、そう言えば彼奴、起動戦死に何かしておったな…」

アルバロは引き返し、起動戦死の元へ駆け寄る。

アルバロ「これは…!メモリーが抜き取られている…!?」


985 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 01:34:53 XYOoi0WA00






遠い星。

???『メモリー回収成功。これより帰還する』

???「ああ。ようやく…これで我が復讐が果たされる…」

車椅子に座る緑フォックスの老人。
その体はほとんどが機械化されている。

そしてその前には、そのクローンと思しきフォックスが緑色の液体に浸かっていた。

???「ネス…そして我が戦友、煙草マスターの擬似クローン生成も成功し…その力の継承も、全て上手くいった。魔界に送り込み、魔の一族として魔力を扱う事も可能と分かった。そして起動戦死から回収した、フォックス達の戦闘データ…これら全てを、我がクローンのDNAに刻み込み…最強の私を完成させる…!…私はもう寿命が近い…だが"ロハス"は死なぬぞ」

その後ろには数百ものクローンが立っていた。

???「我らロハスが…貴様を追い詰めるのだ…玄酔楼…!」


986 : はいどうも名無しです (アウアウ 447f-c869) :2020/04/24(金) 03:37:51 GqmEPrNYSa
魔の一族とかは封印されたままなのか…
ここからファイターとして出てくるようになるんかな?


987 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 20:56:44 XYOoi0WA00







それから再び月日は流れ。


大量のクレーターが作られた山奥で、師匠と共に修行していたレイアの元に。

レイア「何だコレ?招待状…?」

どこからか一枚の招待状が届く。

レイア「来たる七月一日より、CPUトーナメントを開催する。この世界に存在する十一英雄の末裔から、此度の戦いにおいて特に活躍した各一名を選出し、最強を決める。よって、ルイージ族からは貴殿を招待する。会場については追って連絡する。以上……って何だこりゃ!?」

玄酔楼「フム…最強を決める、か」

レイア「おかしいじゃねえか!師匠の方が遥かに活躍してたろ!俺にゃまだパンチだけで山消し飛ばしたりできねえぞ!」

玄酔楼「確かにお前は未だヒヨッコじゃが…早くから魔物退治を行っていた事や、皆の意思を一つにし先導した事が評価されたのじゃろう。あれは儂にも真似出来ん」

レイア「し、師匠…!よっしゃ!そんじゃあいっちょやってみるか!!」




同じく、リア・リエの元にも招待状が届いていた。

リア「最強、か…下らねえ……だが…この暗闇から抜け出す糸口が掴めるのなら…」




同じく、ねこの元に。

ねこ「うーん…こんなすごそうな大会、僕なんかが出てもいいのかなぁ…」

㌧「あ、裏に大会で使用されるアイテムが載っていますね。マキシムトマトもあるみたいですよ」

ねこ「出る!!」


988 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 20:59:04 XYOoi0WA00




エルバンの元に。

エルバン「☆修行の成果を見せられるいい機会だね。★他のみんなとも戦ってみたいと思ってたし。フフフ」




ギルティースの元に。

ギル「な、なんで私!?普通天才でしょ!?」

パタ「え…うーん…やっぱアレだろ、最後命がけでラスボスの弱点見つけたのがデカイんじゃねえか…?たぶん…」

ドドン「いや、なんかの間違いだろドン」

ギル「だよね!?天才に連絡してみるわ!」


天才『ん?別にいいんじゃね?出てみろよギル姐。期待してるぜ』

ギル「ええっ!?」




ポイゾネサスの元に。

ヒーロー「おおっ!やるなポイゾネサスくん!リンク族も結構いたはずだが、その中から選ばれるとは!」

ライム「みんなで応援に行きますね!」

ポイゾネ「ありがとう。少し緊張するけど、みんなとの訓練の成果を出せるよう頑張るよ」




物語には登場しなかったが、遠い国で現れた雑魚1%の大群を倒しまくり、操られし黒いゴリラの元にも。

???「ぽよ?」




遥か遠い宇宙で、人知れず戦っていたサムス族の元にも。

???「…こんな辺境の星に、招待状…?不思議なこともあるものですわね…競技大会…時間が許せば、久しぶりに故郷へ帰ってみるとしましょうか」


989 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 21:00:47 XYOoi0WA00




地下監獄に囚われしξ黒きBlackJokerの元にも。

昼間「え!?」

㌦「どうしました?召喚士さん」

昼間「地下監獄に何者かが…!」

㌦「そんな…一体どこから…!?」

昼間「分かりません…!一切感知できなかった…!」

???「この世のものではない」

昼間「!?」

㌦「だ、誰だ!?」

二人が振り返ると、サムスとドンキーの二人組がそこに立っていた。

サムス「我らはCPUトーナメントから送られしエージェント。そして全ての始まりの存在」

㌦「はあ?何を言って…」

ドンキー「ウホウホ!」

サムス「このピカチュウのトーナメント参戦が決まった。回収させてもらう」

昼間「!!」


ドゴォォォン!!!!


…数十分後、二人が目を覚ますと、捕らえていた者たちは全て消えていたという。


990 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 21:01:59 XYOoi0WA00




そして、世界のrekuiemuの元にも。

reku「種族ごとに選抜ってことは…あれでしょ?天才くんとか玄酔楼さんとかタバスコくんとかも出るってことでしょ?…無理ゲーじゃん…」

rekuiemuは招待状を捨てようとしたが、あることに気づき、ギリギリのところで止まった。

reku「…あれ?二枚ある」

封筒の中にはもう一枚の招待状が入っていた。

一つはrekuiemu宛て。

もう一つは。

reku「…え?」

???「フッ…どうやら俺も呼ばれたようだな、そのCPUトーナメントとやらに」

reku「!? ワ、ワープスターが喋った!?」

ワープスターがキラキラと光り出す。

???「ワープスターじゃない」

その光はワープスターから離れ、一箇所に集まる。

そして人型を形成していく。


デスエン「よう、久しぶりだな、レクイエム」


reku「デ、デスエン!?」

デスエン「ふう、ようやく復活できた。お前が散り散りになった俺の魂たちをかき集めて過去に飛んでから、ずっとワープスターの中で眠っていたんだよ」

reku「はあ?な、何言ってんの?」

デスエン「ああ、記憶がないのか…少し寂しくはあるが…ま、自業自得か。しかしお前がレクイエムだったとはな。すっかり大人びていて全然気づかなかった」

reku「いや意味分かんないから!つーかレクイエムって誰!?rekuiemuなんですけど!」

デスエン「フッ…そうだな。今や俺とお前は相容れない。コイツは貰っていく。また会おう」

デスエンはいつの間にかrekuiemuの手から自分の招待状を奪っていた。

reku「あ!?」

デスエン「じゃあな」

reku「ちょ!待て!」

デスエン「…………あれ?」

デスエンは首を傾げて立ち止まる。

reku「??」

デスエン「…冥道が開けない。つうかなんか冥力がなくなってるわ…一回死んだからか?魔力も普通レベルになってるし」

reku「…ふぅん、それは良いこと聞いたな」

デスエン「げ」

reku「今からボコるから覚悟しろよデスエン」

デスエン「ちょ!タンマ!ずるいだろ!なんでだ!仲間だろ!?おい!」

reku「しるかー!!」

デスエン「うおおおおお!!」

ドドドドド!!

その後CPUトナメが開催されるまでの数週間、二人は地獄の鬼ごっこを続けたのだった。


991 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 21:03:33 XYOoi0WA00




勇者ヨシオの元には。

勇者「うん。今日もいい天気だなー」

招待状は来ていなかった。

当然である。ヨシオ族は十一人の英雄の中には数えられていないのだ。

が、しかし。


「あの時共に戦った勇者ヨシオ…そんなに強いわけではなかったが、なかなか根性のあるヤツでな」

「勇者くん、あの子ちっちゃいのに勇気あるのよ!」

「同じ爆弾を愛する者として鼻が高いドン!」

「本当にすごかったんだよ、うん!上手くいくかも分からないのに、自分からあの球体の中に向かっていったんだから!」

「アイツがいなけりゃ俺は死んでたよ…命の恩人だ…フン、俺なんか生きてたって仕方ねえがな…」

「初めて会った時、勇者はただの名前だなんて言ってたけどよ、アイツは間違いなく、"勇者"だぜ!」


勇気ある彼のことを、関わったファイターたちが周りに話し。

その名は風の噂で広まっていった。

結果。


ヨシオ「ん?なにプリ?これ」


ヨシオ族の里に住む、リボンを付けていない一般ヨシオの元に、招待状が届いていた。

ヨシオ「えーっと…き、きどの?の活躍を多くの人々が、称賛している。よって、例外的に、きどのをCPUトーナメントに招待する…?ん〜…よくわからないけどおもしろそうプリ〜!いってみるプリ!」

噂というものは得てして間違って広まるものである。

"勇者"はただの肩書きだと勘違いされ、ヨシオの名だけが人々に覚えられていた。


殺意「いいのか?勇者」

勇者「へっ!?何がですか!?」

殺意「あそこではしゃいでるヨシオ…あの招待状に書かれてるのって、お前のことだろ」

勇者「!」

殺意「…やっぱりか」

勇者「…いいですよ。今の僕の実力じゃどうせ勝てないし。里の外で思い知りました。僕はまだまだ弱いってこと。そして…もっと強くなれるってことも!」

殺意「…そうか」

???「なになにー?なんのはなしー?」

緑のリボンを付けたヨシオ族が、無垢な瞳で勇者たちを見つめる。

勇者「無垢くん。この前の旅行の話だよ」

無垢「えー、ぼくもききたいな!」

殺意「ああ。僕も聞きたいな。何がお前をそこまで成長させたのか」

勇者「…!」

鳴り「お!なんだなんだ!旅行の話聞かせてくれるのか!」

とろ「お〜、僕も気になります〜」

ヨシオ族たちがわらわらと集まってくる。

勇者「はあ…しょうがないですね。長い話になりますけど、いいですか?」

鳴り「はははは!鳴りやまない俺の話に比べりゃどんな長話も大したことないわ!さあ話してくれよ勇者!こんなにギャラリーが集まってるんだぞ!」

勇者「分かりましたよ…じゃあ…」


勇者「勇者ヨシオの冒険の、はじまりはじまり〜!」





勇者ヨシオの冒険 完


992 : ハイドンピー (ワッチョイ dfcf-7ca2) :2020/04/24(金) 21:07:57 XYOoi0WA00
くぅ〜疲れましたwこれにて完結です!(以下略)
ここまで読んでくださった方本当にありがとうございました!!


993 : はいどうも名無しです (ワッチョイ ae8c-459b) :2020/04/25(土) 09:29:08 kCevln7k00
お疲れ様でした!練りに練られた設定から繰り出される神展開の連続で毎回楽しく読ませていただきました!
最後封印された奴らどうなるんだろ?と思ってましたが納得の展開でした
公式の選手からファンの間の俗説で出て来るキャラ(老ロハス等)まで満遍なく登場してるのホント凄いと思います・・・


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