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ダンゲロスSS5 雑談スレ

10516BIT:2018/04/29(日) 19:52:18
古めかしい、うす暗い洋館、ここでファイヤーラッコと恵撫子りうむが対峙していた。
「いやだー今は戦いたくないー!さっきの戦いでめっちゃ消耗したんだもん!」
一人は駄々こねていた。
「だめですよ!というか、私の方がずっとつかれたんですからね!」
「そ、そうか!敵が消耗した今こそがチャーンス!絶対いまやる!」
ラッコのモチベーションがウナギのぼりだ!
「ふふふ...そうはいきませんよ.....ジャジャーン!」
「あっこれは!」
りうむが提示したのは、宝石の詰まったトランクだ!ラッコの謀略、ここに無意味と化す!
「さーて、どの能力にしましょうか.....」
「お、おのれー!こうなったら....俺は変身バンクでも平然と襲いかかるラッコ!」
彼は変身バンクでも平然と襲いかかるラッコ!
「きゃあっ!」
ラッコがりうむに、炎をまとった右ストレートをしかけ....













「はい!突然ですがここでアテクシ時間スキップ太郎の出番デンガナ!」

(時間スキップ太郎は、肝心の戦闘描写をスキップする戦闘描写補完SSにあってはならない形而上存在です!)



(例のコピペゾーン、取り消し線が表示されてなくて悲しいです)

106井戸浪濠:2018/04/30(月) 02:31:42
『ファイヤーラッコ+りうむTV』井戸浪濠編


「こんにちバーニング〜! ファイヤーラッコだ!」

「ハローワールド! りうむちゃんです!」

「今俺たちはミズリーの本社ビルの前にいるぜ」

「そうなんです! 『ファイヤーラッコ+りうむTV』記念すべきひとり目……トップバッターといえばこの人、井戸浪濠さんに会いにきました!」

「りうむちゃんは『グロリアス・オリュンピア』の2回戦で戦ったんだよな?」

「ええ。色んな意味で、辛い戦いでしたけど……」

「プロフィールは……と。井戸浪濠、飲料水メーカー最大手のミズリーが誇るハイエンド営業マン、か」

「ところでラッコさん、ミズリー社の方にアポは取っているんですか?」

「……」

「……」

「ふっ、俺の知名度なら顔パスよ」

「だめじゃないですかーっ!」

「な、なんだよ……別にいいだろ……。受付の人に説明して、そのシーンはカットする方向で……」

「あっ! そう言ってる間にちょうど井戸浪さんが社屋から出てきました!」

「ほっ、ほら! GO決勝まで駒を進めた俺の悪運なら、こんなもんよ!」

「久しぶりだな、恵撫子りうむ」

「井戸浪さん! ハローワールド!」

「元気そうで何よりだ。ところで今からこの水を……」

「高額で売り付けようって言うんでしょう? ノーサンキューですよ!」

「大丈夫、新製品の試供だ。お代はいらん」

「えっ、じゃあ頂きます! ごくごく……うん、確かにおいしいですけど……ごくごく……新製品といっても……ごくごく……別に変なところは……」

「い、いや、おかしいだろ。なんでりうむちゃんが飲めているんだ!?」

「えっ……あ!」

「その水は、我が社の新製品『おいしい形而上水』だ」

(『おいしい形而上水』とは、井戸浪濠が提案してミズリーの優秀な開発部隊に作らせた、形而上存在でもおいしく飲める形而上の水です!)

「なんですかそれーっ!!!」

「私は気付いたのだ。形而下の存在は有限。ならば売上にも限りがある。だが形而上存在にも水を売ることができれば、理論上無限の売上に結びつく」

「気付いたとしても! やってできることと、できないことがあるでしょーがっ!」

「すげーな……どうなってるんだミズリー……さすが大企業……未来を見据えている……ってことでいいのか?」

「ま、まあ、ともかく! こんな調子で、『ファイヤーラッコ+りうむTV』続けていきます! 次はあなたの街に、ハローワ……」

「こんにちバーニング〜、するぜ!」

「ヒトの台詞取るな〜っ!」

「ふっ、この前のお返しさ」


『ファイヤーラッコ+りうむTV』井戸浪濠編・完

107九暗影:2018/04/30(月) 12:33:18
『Q:これは飯田秋音のエピローグ?』


『ファイヤーラッコーTV♪ エブリディ♪』

「こんにちバーニング〜! キュートでパワフル、ファイヤーラッコです〜!」
「ハローワールド! わたしは恵撫子りうむ。親しみをこめて、りうむちゃんとお呼びください! さて本日も始まりましたファイヤーラッコTV、はい、ということで本日は大会参加者、九暗影さんのその後についてインタビューしたいと思います!」
「りうむちゃんさー」
「はい、司会進行も完璧なりうむちゃんに何の御用ですかラッコさん」
「これ住所あってる?」
「合ってますよ」
「いや元々おかしいなーと思ってたんだけどさ……ここ霞ヶ関じゃん」
「霞ヶ関ですね」
「経済産業省別館、資源エネルギー庁舎ってあるんだけど」
「ありますね」
「九ちゃんって官僚なの?」
「えーと、多分そう……?」

「はい」

スーツスタイルの少女が、重ねるように答える。
その風貌は、大会参加者の九暗影に相違ない。

「ちゃんと自己紹介したほうがいいよね? 資源エネルギー庁職員、飯田秋音」

 元々、彼女が通常任務に舞い戻るパターンはいくつかあった。
 グロリアス・オリュンピアの中で埋没してしまうようなら、何食わぬ顔で復帰させればよし。鮮烈な印象を残してしまうようなら、九暗影という人物を資源エネルギー庁がスカウトし、飯田秋音という名を与えて迎え入れたことにする。
 そのどちらでもなく、正体を知った上で、その情報を利用するものが現れた場合は、要求の大きさと彼女の価値を天秤にかけたまま、どこにも真には戻れない日々が続くことになる。
 本来であれば、そのはずであったのだが。

 切っ掛けとなったのは、準決勝:希望崎学園STAGEでの、ある人物の宣言だった。
 資源エネルギー庁部なる機関は、当然日本政府のどこにも存在しない。だが、“資源エネルギー庁部師範代”である、などという宣言をした人物が現れてしまった以上、対応をせざるを得ない。むしろ、対応に動いていた、というパフォーマンスが出来るほうが望ましい。

「私は、茂部安康という男の調査のため、エネルギー庁から派遣されてた」

 そういうことになっている。
 留学生と大陸の暗殺者の二重カヴァーを持った九暗影の正体が、密命を帯びた資源エネルギー庁のエージェント、飯田秋音である。この事実を、公言しても問題ない状況が生まれていた。

「その後も警察に協力したり、“色々”していたんだけど。あなたが暴いてくれたおかげで、全ては収束した。そういう意味では、ファイヤー……ラッコ、さん……? あなたに、感謝してる」
「へへっよせやい……あれ、でもそれって俺があいつに……ううっ、思い出しそうだ、吐き気が……オッ……オゴッー……!」
「ちょっと止めてくださいよラッコさん! 吐かれてもわたし逃げ切れないんですからね……! ギャー! やめろクソラッコ! わーん! りうむちゃんはヨゴレで売る気はないのにー!」

 カメラワークは手慣れたもので、二人のドタバタを上手いこと汚いところをお見せしないように撮り上げている。

108九暗影:2018/04/30(月) 12:34:00

「ふう落ち着いた……やっぱり落ち着くにはガス代の事を考えるに限るな……今月どうすっかな〜……ええどうすんだこれ……ガス代やばくない……?」
「うう……危うくゲロボーイの一部太郎レディになるところだった……」

「これ、私が居る必要ないよね……?」

呆れ返ったように、秋音がこぼす。

「あ、そうですよ!ラッコさんインタビューインタビュー! せっかくエリート官僚様にお越し頂いたのにご機嫌を損ねちゃまずいですよもう!」
「お前権力にちょいちょい弱いよな……よし、インタビューな、任せろ! 完璧!」

ラッコは一瞬、神妙な顔つきになり、問いを走らせる。

「彼氏いるの?」
「いいえ」
「よっし!!!」
「ナンパしに来たんですか! 違うでしょ!」
「好きな人はいるの?」
「はい」
「よっ……くない! クッソ!!!」
「あの、あれですよ九ちゃんさん、こんなクソラッコさんの質問なんて『セクハラに答える必要、ないよね?』とかでかわしちゃって全然いいんですからね!? これweb放送しちゃいますからね? 大丈夫ですか?」
「うん。だから都合がいいな、って」
「あっ女のしたたかさ……」


 私は今まで、彼の迷惑にならないように必死だった。厳しい訓練にも、必ず喰らい付いたし、どんな困難な任務だろうと、すべて成功させてきた。
 真野金という男の戦いで、それが一度、全て崩れ落ちて。初めての敗北を喫したどころか、それを延々と利用される状態という、彼にたくさんの迷惑を掛けるような状態になった。

 それがどうだ。迷惑を掛けたと思ったあの人は、今やモブおじさんのせいで比べ物にならない迷惑を被って事後処理に奔走している。危険な願いを持つ危険因子を討ち取るためと、勝利のために必死になって望んだグロリアス・オリュンピアは、私の勝敗なんかとぜんぜん遠いところで決着して、しかも決勝戦に出てきた二人はこのザマだ。危険な願いとは縁遠く、悪く言えば俗っぽいというか。

 なんだか今はそれが、ひどく馬鹿馬鹿しくて。
 もう、彼への迷惑(アプローチ)をいくらかけたって、構わない。

 インタビューも佳境。私をそっちのけでまたコントを始めた2人を尻目に、私は2つの問いを走らせる。


(Q4――彼は私のことを愛してはいないよね?)
(Q5――それはこれからもずっと?)

「はい。分からない」

 これが今の私の、最高の答えだ。

----

Q:これは飯田秋音のエピローグ?
A:いいえ。これは九暗影のエピローグにすぎない。

----

109夕二(ゆうじ):2018/05/12(土) 13:36:44
tps://game.nicovideo.jp/atsumaru/games/gm6896?link_in=users

ダンゲロスSS5〜サンプル花子は逃げ出せない〜

ダンゲロスSS5がついにゲーム化しました。

ツイッターでリクエストして頂いた魔人とSS5の参戦魔人が他多数登場!!
みんな大好きサンプル花子を操りクリアを目指してください。

みんなのプレイ報告お持ちしています。

110津軽あまに:2018/05/13(日) 15:19:54
幕間SS エプシロン・スプレッドをめくって4

「戦いは終わり、儀式は完遂。これにて、全てのアルカナの位置は定まった」

 アルカナの担い手たる少女は、空白だった二つの枠に、残る2枚のカードをかざす。

「エプシロン・ワールド。そが示すは我らが世界の存在。寿ぎたまえ。3の勇者の導く瞬きよ」

 ――消滅を示すは、決勝、洋館の敗者。ファイヤーラッコ。背負う数字は10、銘は『運命の輪』。位置は正。
   表すは、運命、宿命、定められた未来。敷かれたレールは消滅し、誰もが地図なき道を歩くだろう。

「エプシロン・フェイト。そが示すは我らが宿命。寿ぎたまえ。1の勇者の導く瞬きよ」

 ――宿命を示すは、決勝、洋館の勝者。恵撫子りうむ。背負う数字は 、銘は『  』。位置は逆。

 そう。
 本来ありえざる、数合わせのための23枚目。
 白紙こそが、この戦い、運命を意味する優勝者(カード)となったのだ。
 
「世界の運命は見通せず。世は全てこともなし、ですか」
「嬉しそうですね」
「先の見えない明日を享受できる幸せは、手から零れ落ちそうなときにだけわかるものですよ」
「それは、実体験から来たものですか?」

 銀髪の少女の言葉に、ピャーチは、真正面からその顔をのぞきこんだ。
 不敬である。
 主である、フェム=五十鈴=ヴェッシュ=イプシロンに対し、従者であるピャーチがそのようなことをするはずがない。

 ――ならば。

 その事実が示すことは一つしかない。
 今、かりそめの玉座に座り、『グロリアス・オリュンピア』のVIP席でタロットを繰るこの少女は、

「ねえ、 ――りうむちゃん」

 ――王女ではない。つまりは、そういうことである。

「ぴゃあ!? なんでばれたんですか!? 赤髪一房はリボンで隠してたのに!」
「どれほど似ていても、お二人は別物ですよ」
「う……それはその……嬉しいような……悔しいような」
「で、本物の王女はどちらへ?」
「ラッコさんとだべってますよー? ええと……ああ、今、選手控室にいますね。ああ、真歩さんが警備についてるから、偽花火さんの警戒はたぶん大丈夫だと思います」

 いつの間に入れ替わったのか。
 おそらくは、優勝者謁見の際だろう。油断も隙もあったものではないと、ピャーチは溜息をつく。

「りうむちゃん」
「う、お説教の予感」
「いい予測です。さすが『グロリアス・オリュンピア』優勝者」

 ピャーチは一つ咳払いをすると、人差し指を立てて、りうむに詰め寄った。
 フェム王女が見れば、彼女が本気で相手を叱るときのポーズだと理解したことだろう。
 今までの対戦者とはまた違う迫力に押され、りうむは口をつぐんだ。

「あなたは、自分を雑に扱い過ぎです。もしかして『自分は王女の願いを叶えるために生まれただけの人形だから、傷ついても消えても誰も悲しまない』とか思って戦っていませんでしたか?」
「……う」
「あなたは、自分が思っているよりも、皆に愛されていたんです。まあ、この大会で一番……ではないでしょうけど、二番目くらいには、人気のある女の子だったんですよ? 自覚はなかったでしょうけど」
「マジですか!? さすがりうむちゃんカワイイ!」
「真面目に聞きなさい」
「あ……はい……」
「確かにあなたは、白紙かもしれない。けれど、それは、無ということじゃない。空しいということでもないんです」

 ピャーチは、言いながら机の上のカードを一枚ずつ手にしていく。

「旧き戦場にて、『白紙』のまま降り立った『愚者』は、『節制』を識った」

 それは、戦場跡の記録。

「無胎告知の生命が、『女帝』の試練を超え、戦場という子宮にて再誕した」

 それは、体内の記憶。

「そして、崩壊という『運命の輪』を、浄化の炎を潜り抜けて、打ち破った」

 そして、洋館の追憶。

「あなたの手の中にあるその白紙は、何物をも書き込める、そんな可能性の空白です。だから……」

 ピャーチは、白紙のカードを、りうむの手へと握らせた。

「あなたは、自分を生きなさい。自分の欲望のままに。自分を主人公として。
 それこそが……エプシロン・スプレッド……あの人の未来を寿ぐ、白紙の運命になるのですから」

 りうむは白紙のカードを手元のポシェットへとしまうと、大仰なドレスを脱ぎ捨てた。
 その下にはいつもの、簡素の白のワンピースがあった。

「……感謝を。ピャーチさんのくれたきんぎょの通帳から、りうむちゃんの物語は始まったのですから」
「ではこちらからは、餞(はなむけ)を。王女の孤高は、あなたという存在で、確かにほんの一時、紛れたのですから」

 二人は、まるで鏡写しのように、優雅に礼を交わしあった。
 スカートの裾をつまみ、ドレープを美しく見せつけながら。

111夕二(ゆうじ):2018/06/10(日) 20:53:40
tps://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=69165930

おまたせしました。
ダンゲロスSS5
ボードゲームカード化しました。

112さささ:2018/06/25(月) 21:23:07
暗黒騎士ダークヴァルザードギアス 真・エピローグ
「無邪気・自由・可能性」

「アナスタシア。黄金の蔵に残りし金貸はいかほどか」
「はい、暗黒騎士ダークヴァルザードギアス様。いちじゅう……一億四千九百七十二万飛んで七百六十四円です」
「……減らぬな」

 暗黒騎士主従は、本拠地であるアパートの一室……もとい城の一角で、やけに桁の多い通帳の残高と睨み合いをしていた。

 事の発端はグロリアス・オリュンピア。勢いで参加し、勢いのまま二回戦で敗退した彼らであったが、どういうわけか観戦者からの人気を得ていたらしい。大会の最終日に突然、合計で一億五千万円もの賞金が振り込まれた。

 軍資金であるぞ、とわりと素直に喜んでいた暗黒騎士ダークヴァルザードギアスだが、その使い道については頭を絞る必要があった。

 ある程度はふたり分の生活費として残す必要がある。あとは、まず打ち上げとして駅前の焼肉屋の上コースを食べて、侍女・アナスタシアの服を揃えて、自分は一万円以上するジーンズを初めて買って、職場のシフトに穴を空けたお詫びに銘菓『グロリアス・オリュンピアに行ってきました』を買って配って、地元の両親に旅行券と冷凍の蟹を送って、ミズリーランドで一日遊んで、アナスタシアが海を見てみたいと言うので二泊三日で伊豆に行って、欲しかったプラモデルと塗料をいくらか買って、募金は積極的にするようにして。

 減らない。暗黒妄想力はたくましくとも、贅沢をするという点において暗黒騎士ダークヴァルザードギアスの想像力はどこまでも庶民の範疇に収まっていた。投資とかそういうのは、ちょっと失敗しそうで怖い。

「かくなる上は、アナスタシア。我が真の野望を解き放つ刻が来た」

「真の野望ですか」

 アナスタシアは真面目な顔でうなずいた。車でも買うのだろうか。その前に免許を取りに行くのかもしれない。

「この城には長く留まったが、あくまでかりそめの地」

 彼は住み慣れた狭い部屋を見渡す。台所の隅には、売りつけられたミズリー社の『おいしい水』が箱で置いてある。おかげで余計に狭くなった。

「我が名を世に示すためには、真なる暗黒魔炎城をうち建てることこそが肝要。そうではないか」

「仰せの通りです。暗黒騎士ダークヴァルザードギアス様」

 それでこの間から不動産屋のチラシを取ってあったんだな、と思った。

「そこで」

 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは、床に丸めて置いてあった模造紙を取り出す。そこには、マジックで『暗黒魔炎城ルヴィアダル・ヴラムス』と記され、設計図のように見えるあまり上手くない絵が描かれていた。

「我が手ずから描いたものだ。まずここが地下の亡者ひしめく魔牢であるが」

「暗黒騎士ダークヴァルザードギアス様」

 さすがに……さすがのアナスタシアも声をかけずにはいられなかった。

「日本の現行法では、おそらく亡者ひしめく魔牢は許可されないのではないでしょうか」

「……そうか? 総理に頼んでも?」

「亡者をひしめかせなければ、あるいは」

「ではそれで。次に門前は強大なる獅子、頂は俊敏なる大鷲が守りを固め、訪う者の臓腑を喰らい尽くすであろう」

「宅配便が届いた時に困りませんか? それに、ハナさんやりうむさんが遊びに来るかもしれません」

「ぬ」

 暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはしばし考えを巡らす。友人がいない方なので、その辺はあまり考えていなかったと見える。

「犬ならばどうか」

「さすがです、暗黒騎士ダークヴァルザードギアス様。犬なら頭もいいし、かわいらしいです」

 後はずっと同じ調子だった。暗黒騎士ダークヴァルザードギアスは凶々しき城のビジョンを語り続け、アナスタシアはそれに対して感想と意見を述べる。ふたりの暗黒魔炎城は、少しずつ、少しずつ形を確かにしつつあった。

 こんななんでもない時間が、彼らは何よりも好きだった。ある意味では、賞金そのものよりもよほど。

「——あ」

 壁の時計を見て、アナスタシアが声を上げる。

「そろそろお時間です、暗黒騎士ダークヴァルザードギアス様」

「ああ、我らが客人の訪いか」

 示し合わせたように、インターホンが少し壊れた音を立てる。外には、見知った顔が訪ねて来ているはずだ。

『こんにちバーニング〜!』

『ハローワールド!』

 外から聞こえる賑やかな声に、暗黒騎士ダークヴァルザードギアスはゆっくりと、かりそめの城の門を開いた。


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