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ダンゲロス冥王星祭応援投稿スレ

41松堂弾三&折橋千種:2017/01/13(金) 10:49:57
 夜道に格闘するものあり。よだれを垂らして、女ににじり寄る。女は手首のない右腕で回転エレボーをかます。亡者の群れを一体ずつ撃破していく。
「セイ!」
 折橋千種の細く伸びる黒ずんだ脚が、ゾンビィの柔らかな頭を打ち砕いた。
 肩幅に体を開いて、構え、残心。呼吸を整え、吸血鬼の下僕どもの死体の山々が動かないことを、確認した。
 ひび割れた岩肌のような腕をおろし、息を深く吐いた。
「これで17体目……」
「こっちは11体倒しましたわ」
 折橋千種が振り向くと、そこには折橋千種がいた。彼女らしい、真っ黒の装束を身にまとっている、本来の折橋千種だ。
「まったく醜い……私が着せてあげたものはどうしたんですか?」
「邪魔くさいから脱いだよ」左手で首筋をぽりぽりかきながら、あっけらかんに千種(偽)が言う。「あんなん、着たくないもん」
 千種(真)は眩暈がするほど怒りを覚えた。
「そんな風に生きてられるか!」
「死んだように生きてどうなる!」
 二人の千種が、額をぶつけ、にらみ合い、対峙する。お互い、たかぶりすぎている。
 千種(真)が大きく手を振って、ビンタする。
 千種(偽)は屈んでかわし、肩の根元を抱いて、ひねる。そしてケツを蹴りとばす。
 痛みと怒りに顔を上気させ、奥歯噛み締めて振り向いた千種(真)は、思わずぽかんと口を開けてしまった。
 千種(偽)が服を破る。下着姿だ。まだ暗いとはいえ、ゾンビィ狩りを終える頃合いだ。朝は近い。
「バカ!汚いものを見せるな!」
「自分を汚いとか言うな!」
 襲ってきた千種(真)を、千種(偽)が抱きしめる。強く抱いてやる。千種(真)は肩を噛んでくる。それでも体は離さない。血がとろとろ流れ出て、浅黒い皮膚と白すぎる皮膚に赤がコントラストを作る。
 噛み、爪立て、頭をぶつけ、そして泣いた。千種(真)の衝動は収まり、その内的風景は焼け跡の寂しさだけが残った。

 ''殺意のないものを殺したくなる''のが千種の癖である。それは、''太陽を嫌うもの''として変身した松堂ニセ千種にも引き継がれている。
 優しく抱きしめていた腕はサブミッションに変わる。
「噛んだりしてんじゃねーよ吸血鬼かよ血ぃ出てんぞぶっ殺すぞ!」
「あだだだだ、やめ、やめ」
「やめてやるよ、このやろ」
 絡めていた腕を引き抜く際、千種(真)の黒装束を引き裂く。
「やめちまえ、そんなしみったれたカッコ」
「ちょっとは気に入ってるんですよ深窓の令嬢的な」
「自分で言うなタコ」

 二人の千種はそうして朝までじゃれあっていた。


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