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ダンゲロスSSドリームマッチ幕間スレッド

18対馬堂穂波:2016/01/30(土) 18:06:34

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「――感謝しないと。ようやく、私よりも下に立ってくれて」

穂波は勝ち誇るように、スカートの裾をつまみ上げてお辞儀。

「解放(オープン)。――貴方が私より下に来れば、その時点で私の勝ち」


蠍の群れが、一斉に消失した。



――どういう意味だ?

そう訊き返そうとしたが、声にはならなかった。



「ガエッ……!ガフッ!クフッ!ガ……ア……」

平霧は声にもならない、呻きを漏らす。


対馬堂穂波が解放(オープン)した兵器は、神経ガス。
彼女の能力は、スカートの中に兵器を産み出す。
取り出した際には、本来そこにある、周囲の空気は押し出される。
無限に神経ガスを生み出し続けるならば、無限に神経ガスを押し出し続ける。

一瞬にして急速蔓延した神経ガスが、呼吸困難に陥らせ、さらには、全身の筋神経を麻痺しきらせる。
無論、それは平霧のみに起こるわけがない。

「コ……カッ……」

対馬堂穂波も既に膝を折り、悶絶するように砂面に倒れこんでいる。


二人の少女は、もはや全身を動かせない。


これでは千日手――ではない。


蟻地獄は、徐々に中心へと獲物を滑り落ちさせる。
当然、飲み込まれればエリア・オーバー扱いだ。

どちらの蟻が、先に中心へと呑まれるか。立ち位置からして、それは明白だった。

動かぬ少女二人が、じりじりと砂に沈んでいく。
蟻地獄の戦闘は、既に決している。

砂の流れる音と、苦痛に咽ぶ少女らの呼吸だけが、すり鉢の戦場に幽かに響いていた。



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対馬堂理玖は、夢を見る。
姉から奪った瑞夢(あくむ)ではなく、姉、穂波の夢の戦いを。

思い返し、糧にするのだ。彼女には経験も素養も足りない。

――穂波(お姉ちゃん)の技を全部盗んで、穂波(あたし)になる。

対馬堂穂波は、密かに独り、決意した。


幕間戦闘SS『夢はきっといつかの』 終


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