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サトシ「俺の未来と過去」

3名無しのデデンネ:2015/03/07(土) 02:35:23 ID:WVIWsqbI0

 その翌日からは、本当に大変だった。遅れていた勉強を取り戻すためにひたすら机に向かった、学校の特別プログラムに入り、必要最低限の部分を学んだにすぎないが、勉強の苦手な俺にとってはまさしく地獄の日々だった。わからないところは博士やシゲルに聞き、必死に頑張って勉強して、中学に入り、高校生活を送り、大学に入って数年、俺は大人と呼べる年齢になっていた。
 もちろん、ずっと勉強をしていたわけではない、学校の友達と遊んだり、ゲットしたポケモンのみんなとキャンプに行ったり、かつての旅で出会った人たちと休みに会ったりもしていた、何が言いたいかっていうと、忙しくも充実した毎日だったというわけだ。
 だが、大学の卒業があと半年ほどになったこの時期に俺には悩みができてしまった。
 それは就職について、もっと言うなら自分の未来についてだ、さっき話した通り俺は忙しい毎日を送ってきた、その日のことでいっぱいいっぱいだった俺は、あまり自分の未来を考えないままここまで来てしまった。一応自己弁護すると、何も考えなかった訳ではない、ただ漠然と「ポケモンに関わる仕事がいいなぁ」とか考えていただけだった、具体的では無かった、それだけなのだ。そしてそのことに困った俺は人生の先輩であり、祖父のようなオーキド博士に相談に来た、というわけだ。

 「なるほどのぉ、そういうことか」と博士はやや苦笑気味に笑った。
「笑わないでくれよ、俺は真剣に悩んでるんだよ。」と、俺が言うと博士は
すまん、すまんとまた笑いながら言った。そして「サトシよ、ポケモンに関わる仕事をしたい、ということはこのマサラタウンからは出ていくという事かな?」と俺に聞いてきた。

4名無しのデデンネ:2015/03/07(土) 02:35:50 ID:WVIWsqbI0
実をいうとこのマサラタウン、まともな就職先はほとんどない、フレンドリーショップもポケモンセンターも隣町のトキワシティまでいかないとないのだ、田舎にも程がある。そんなマサラタウンの数少ないまともな就職先がこのオーキド研究所なのだ、ならここに就職すればいいではないか?と思う方に聞こう、俺が研究者とかになった姿に違和感を感じないか?それが答えだ。ならポケモンセンターはと言われると、残念ながら特別な資格がいるらしい、今現在、俺がポケモンセンターに勤めることはできないのだ。
 「いっそ、この時点での就職は諦め、ゆっくり考えるのも手じゃろう」 
俺が質問に答えられないでいると博士が言った。
「この手を取る学生も少なくは無い、バイトでもしながら自分の将来についてゆっくり考え、その後動くというのも悪くはないと思うがのぉ」と続ける。
確かにそれも一つの手だ、きっと母も俺が家に残るといえば喜ぶだろう、だがしかし・・・
「駄目だよ、博士」
それは選べない、なぜなら俺はすでにみんなと比べて数年の遅れがあるのだ、そうポケモンマスター目指して旅をしていたあの数年分の・・・だから俺はこれ以上の遅れをとるわけにはいかないのだ、そう博士に伝えた。すると・・・
「そうか、遅れ、かフーム・・・」と博士は考え込み俺にこう言ったのであった
「おまえが旅で得たことは決して無駄ではない、確かに勉学としてでは皆に遅れをとったかもしれん、じゃがサトシ、お前は机にかじりついていては決して学べないことを学び成長してきた。案外おまえの未来は過去の自分が切り開いているかもしれんぞ」と。

5名無しのデデンネ:2015/03/07(土) 02:37:10 ID:WVIWsqbI0
過去の自分、旅の経験、出会いと別れ、研究所を出てから、俺は考え続けた、家に帰り布団にもぐりこみ、長年の相棒ピカチュウにつぶやく、「なぁ、俺はあの旅でどんなものを得たんだろうな・・・?」思いつくものはたくさんある、かけがえのない経験もたくさんした、目の前にいる最高の相棒との絆だってそうだ、だがそれが今の自分に活かす事が出来ているのだろうか?
 そんな俺の不安を感じ取ったかの用にピカチュウは俺に寄り添ってくる、まるで
「どんなことがあっても自分は必ずそばにいる」とでもいうように。そんな相棒の温もりと優しさに感謝を覚えながら、俺は眠りにつくのであった

6名無しのデデンネ:2015/03/07(土) 02:39:15 ID:WVIWsqbI0
今日はここまで、できる限り早く続きは書き込みたいと思います。
何か感想、もっとこうした方がいいというアドバイスがあったら書いてくれると嬉しいです。

7名無しのデデンネ:2015/03/07(土) 08:20:36 ID:yq0NCRrI0
お疲れさまです。

文章自体は結構いいと思う。

段落や「」が入るときにもう一行空けておくと読みやすくなると思うよ。

今のだと字が固まってて少し読みにくいかな

8名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:21:39 ID:GDuSz59Q0
>>7
アドバイスありがとうございます。少し調整してみました。
続き投下します。

9名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:22:26 ID:GDuSz59Q0
もう一度、僕とポケモンマスターを目指してみないか?」

そんな驚愕の一言が俺に告げられたのはその翌日のことだっだ。

 大学も休みに入り、やることが決められない俺は気分転換に散歩に出ることにした、そこで出会ったのが親友シゲルだった。

 シゲルは休みだというのに疲れた顔をしていた、だがその表情には確かな充実が見て取れた。

 シゲルは俺がマサラタウンに帰って来たときにはオーキド博士の助手として研究の手伝いをしていた、今もそれは変わらず卒業後の進

路も当然研究所に所属し、研究者となることだ。勉強もでき、社交的な性格も合わさって学校の内外ともに将来を期待される、いわば未

来のマサラタウンを「背負って立つ男」それがシゲルだ。

 そのシゲルから、話があると家に招かれこんな話を切り出された俺の顔はきっとコイキングより間抜けだったろう、そんな俺とは対照

的にシゲルは大まじめな顔で俺の目をじっと見ていた

10名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:23:31 ID:GDuSz59Q0
サトシ、今のポケモントレーナーたちを見て君はどう思う?」

冗談だろ?と聞く俺にシゲルはこう質問してきた。
「どうって・・・」

「君はポケモンバトルをテレビで見ているかい?」

「・・・最近はあんまり、進路で頭がいっぱいで」

「そうか、ならこれを見てくれ」

そう言ってシゲルは手に持った液晶パネルを俺に向けた、そこには6匹のポケモンが写っていた。

「なんだこれ?」

「少し前にテレビ中継された大会の優勝者のポケモンさ、そして・・・」

続いて2位、3位、4位とシゲルは入賞者たちのポケモンを俺に見せた

「これを見て、思うことはないかい?」

「・・・なんか使ってるポケモンがかぶってるな。」それが俺の感想だった。

むしろ、それしか思いつかなかったのだ。だがそれが正解だったらしい。

「そう思うだろう、入賞者全員がガブリアスを使いほかのポケモンもマリルリ、ファイアロー、バシャーモ、ゲッコウガ、と被っている

ものばかりだ」

「それがどうかしたのかよ、全員強いポケモンだろ?重なるのも仕方がないだろ」

というとシゲルが悲しそうな顔を俺に向けた、そして

「この大会の参加者のうち大半が同じポケモンを使っていても君は仕方ないと思うのかい?」

といい詳細なデータを見せてくれた、そこには大会出場者のポケモンとその重複がチェックされていた。

結果は・・・なんと7割の人間がほとんど同じポケモンを使っていることが示されていた。

11名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:24:30 ID:GDuSz59Q0
「なんだって、皆同じポケモンを使いたがるんだ?こんなの偶然じゃありえないだろ。」


 さすがの俺だってここまでくれば事の異常さがわかる、このデータが正しければこの世のトレーナー達は皆同じようなポケモンで旅を

していることになる、そんなの俺が旅をしていたころは絶対にありえないことだった。


 俺の疑問にシゲルは神妙な顔のままその答えを語り始めた、そして俺もすぐに理解した。理由は単純、ただ 「バトルに勝ちたいから

」 それだけだった。


ポケモンには当然種類がたくさんいて、それぞれが違う個性を持っている。
力の強いもの、素早いもの、体の硬いもの、それぞれ違いがあるのが当然だ、今のポケモントレーナーはそういった個性の中から強い個

性を持つポケモンを選びそれを使って戦う、さも当然のことのようだがこれがこの不自然な現象の答えだった。


簡単に言えば 
「ポケモンを強くして戦う」 のではなく、 
「元から強いポケモンで戦う」 という事だ。


かつてのライバルの一人シンジが似たようなことをやっていた。
だが、あいつはいろんな種類のポケモンの中で強い個体を探していた、決して一つの種類にこだわらず、様々な形で勝利に近づくための

努力をしていたといえるだろう、それと今のこの状況とは少し・・・いや大分違うような気がした。

12名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:26:44 ID:GDuSz59Q0
「サトシ、僕たちが旅をしていたころはこんなんじゃ無かったよな。」


シゲルは昔を思い出すような顔をしながら続けた、


「僕たちは、すべてのポケモンとの出会いや別れを糧として、辛いこと、楽しいことをポケモンと分かち合って共に成長してきた。それ

なのに、今はのトレーナーは・・・」


 シゲルの言いたいことはよくわかった、初めてゲットした時のわくわくした気持ち、バトルに負けて悔しかった時の何とも言えない感

情、そして別れの時の悲しさ。
 それらすべてがあったからこそ、俺は旅を後悔せずに終わりを迎えられたんだと思う、バトルに勝つのは嬉しい、けどそれだけじゃ、

本当の意味での旅の幸せはわからないと思う、それはシゲルも同じ思いだったようだ。


 「僕はね、バトルはポケモンとの関わり方の一つであり、それ以上のものではないと思うんだ、バトル以外にも例えばコンテストだっ

たり、仕事を一緒にすることだったりと色々あるわけだ、それら一つ一つはそのポケモンのことを理解するための、いわば分かり合うた

めの方法だというわけさ。」


「バトルが全て、と考えるのはおかしい!ってことだろ?」


俺の言葉にシゲルは大きくうなずいた。

13名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:27:44 ID:GDuSz59Q0
なんとなくだか、シゲルの言ったことの意味が分かった気がした。
 

 今現在強いポケモンを使い、ワンパターンな戦いだけのポケモントレーナーたち、そんな中に一般的に 「強くないポケモン」 を使

うトレーナーが現れ、リーグ優勝したらどうなるか・・・
 

 みんながもう一度ポケモンとの関わりを考え直すいい機会になるのではないか?
シゲルはそう考えたのだろう、そしてその協力者に俺を選んだ。そういう事だ。
 俺のこの考えをシゲルに伝えると、奴は満足そうに


「君にしては理解が早いじゃないか」


と、言いやがった、ムカつく。
 

「君のガッツ、意外性のある戦略、そしてポケモンたちとの深い絆、それは悔しいが僕にはないものだ。だが僕にも君にはない武器だっ

てある。
お互いに協力して補い合えば、僕たちならできる目標だと思わないか?」
 

 シゲルは茶目っ気のあるいつもの顔でウインクしながら俺に言った。

14名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 01:28:37 ID:GDuSz59Q0
俺も正直、悪い話では無いと思う、俺一人では困難だが、目の前にいるライバルと協力すればできなくもない話だ。もう一度夢を追いか

けたいとも思う。


 それに何より、このまま同じポケモンばかりのバトルが続き、それが当たり前になってしまったら、将来ポケモンマスターになろうと

する子供たちが悲しむのではないか?という思いがあった。
 
 
 様々なポケモンが全く違う戦い方をする、その興奮。
 
 
 そしてポケモンに指示をだし、ともに戦うトレーナーへの尊敬の気持ち。


 このままでは、今の子供たちからそう言ったものがなくなってしまうかもしれない、そんな心配が生まれたのも確かだ。
この提案にのる価値は十分にある。そう思った。


 考えてみてくれ、と話すシゲルに疑問をぶつけてみた、なぜ俺なのか?という事だ。


 俺のようなトレーナーはきっとたくさんいる、それこそ引退して十年近くたっている俺よりも頼りになるトレーナーはたくさんいるだ

ろう、なぜ俺なのか?
 

その疑問に親友は少し照れたようにこう答えた、


 「簡単なことだよ、君と僕がライバルで、親友で、同じ夢を追いかけたもの同士だからさ、サ〜トシ君」
 

かつての小ばかにしたような呼び方をする親友の笑顔は輝いて見えた。

15名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:34:57 ID:GDuSz59Q0
シゲルの家を出てからも、俺はさっきの話について考え続けた。

「別に強制ではない、君以外のトレーナーのつてもある。

 ただ、君に真っ先に話しておきたかっただけさ」

 とシゲルは言っていた、つまりシゲルは自分の考えを曲げずにもう一度ポケモン

マスターを目指すつもりなのだろう。十年前とは違う目標を持って。

 他にやりたいことがないなら、俺もこの話に乗ればいい、そう思うのだがいまい

ち踏ん切りがつかなかった。いつの間にか、俺は臆病になっていたようだった。

 そうこう悩んでいるうちに家の前についてしまった。庭ではバリヤードが箒を手

に掃除をしていた。ドアを開け、家に入るとキッチンから母が顔を出した。

「お帰りなさい、サトシ。お客さんが部屋で待っているわよ。」

16名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:38:19 ID:GDuSz59Q0
客?いったい誰だろうか?階段を上がり、部屋のドアを開けると色黒で

柔和な顔をした細めの男がこっちを見て微笑みながら手を挙げた。


「お邪魔してるぞ、サトシ。」 


「久しぶりだな、タケシ」


そこにいたのはかつて一緒に旅をした仲間の一人、ニビシティに住むタケシだっ

た。

17名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:39:03 ID:GDuSz59Q0
「そうか・・・シゲルがそんなことを・・・」


 「ああ、嬉しいんだけどいまいち踏ん切りがつかなくって・・・」


 タケシとは長い付き合いになる、最初の旅の仲間であると同時に最初のジム戦の

相手でもある。旅をしていたころはタケシの作る料理が毎日の楽しみだった。


 タケシは今、故郷のニビシティでポケモンドクターとしての活動を始めたばかり
だ。


俺たちとの旅を終えた後、ニビシティに帰ったタケシは俺なんかが目じゃないほど


の努力をしていた。


 ジムリーダーとしての仕事をこなしながら、幼い兄妹の面倒を見る日々、その間


のわずかな時間を使って、自分の夢をかなえるための勉強を続けた。


 そして、一番下の兄弟が中学校に入学したのを期に、ジムリーダーを引退して


ポケモンドクターになるための資格を得る研修に行き、試験に合格。


その後大きな病院で経験を積み、一年前にニビシティに帰ってきてそこで念願の


病院を開いた、というわけだ。

18名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:39:45 ID:GDuSz59Q0
職員はまだ一人だけ、兄弟が手伝ってはくれるものの忙しい日々らしいが


夢をかなえたタケシはそんな日々に満足しているらしい。


 マサラとニビは比較的近い、タケシが帰ってきてからは頻繁に会うようになり


色々相談をしたり、されたりする仲だ。今回も俺の相談に乗ってくれている。


さっそくシゲルとの話について相談すると、タケシは少し意外そうな顔をした。


「昔のお前なら、すぐに乗った話だろうに、変わったな、お前も、俺も。」


「タケシは変わらないよ、努力家で、優しくて、家事もできる。あとは恋人


くらいだな!」と俺が笑うと


「お前だってそうだろうが!」と笑いながら俺の頭をはたいた。


  変わらない、俺たちの関係を表しているようだった。

19名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:40:53 ID:GDuSz59Q0

「シゲルは、サトシのポケモンに対する姿勢を高く評価していたんだな。」


ひとしきり笑った後、タケシはそう呟いた。


「どういうこと?」


「強さだけじゃなく、ポケモンの色々なことを知って、一緒に成長する。


簡単じゃないことを当たり前にやってのけるサトシを、シゲルは尊敬していたってことさ」


タケシの言葉に俺はなんだか不思議な感じを覚えた、尊敬されるということへの


気恥ずかしさ、旅で培ったことが無駄になっていないことの安堵。そういったものが


全部まじりあったような、そんな感覚だった。

20名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:41:27 ID:GDuSz59Q0
「結局どうするかは、決められないか?」


 「ああ。すごく悩むよ、こんなに考えるのいつ振りだろう?」


 タケシに相談しても答えは見えない、当然だ、俺の未来なのだから俺が納得して


決めなければならない、それができるのは俺以外にいるはずがないのだから。


 「なぁ、サトシ」


 悩み続ける俺にタケシが話しかけてきた。そういえばきっとタケシも何か用が


あって俺のところに来たのだろう。相談してるばかりではタケシに悪い、タケシの


話もきかなくては。


「なんだよ、タケシ」 そう返事をした俺に向かってタケシは真剣な目をして


「俺は今からお前をもっと迷わせるようなことを言うぞ。」といった。


「なんだよ、それ。」困惑する俺に向かってタケシが発した台詞は、宣言通り


俺をさらに悩ませるものだった。


「お前、ポケモンドクターやってみないか?」

21名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 02:46:52 ID:GDuSz59Q0
今日はここまでです。空白を多めにして読みやすくしたつもりですがどうでしょうか?

次回はタケシとの話し合いと、ヒロインを一人出すところまでを予定しています。

こんな感じで進むので、グダグダするかもしれませんが、お付き合いくだされば光栄です。

感想、アドバイス等も書き込んでくださると励みになります。どうか皆さん生暖かい目で見てやってください。

以上>>1でした。 名前って付けた方がいいんですかね?

22名無しのデデンネ:2015/03/08(日) 08:25:03 ID:LghuGqz60
乙。

面白かった。

文章が続いているところで突然字が切れると読みにくくなるから「」の終わりや句点で改行するといいよ。

補足だけど句点で区切る場合は「。」がある度に改行しなくてもいいからね。内容の繋がりがあれば続けて書いても大丈夫だからね。

どのタイミングで改行するのがいいかは決まってないし、場面によって違ってくるから慣れてくしかないかな。まあ、むずかしく考えなくていいんだけど。

参考までに、この掲示板に『ダークライ「君を愛してる」』っていうSS があるからおすすめ。

改行の使い方がうまいのもあるけど内容も面白いし飽きないと思う。

23名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:25:38 ID:/uP9aQFQ0
 アドバイスとおすすめSSの紹介ありがとうございます。

SS面白いですね!途中までですが楽しく読んでます。

 指摘された改行に気を付けて続き書き上げました。またいろいろ言ってくれると嬉しいです。

では、続きあげていきます。

24名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:26:25 ID:/uP9aQFQ0
大真面目な顔をしてそう言ったタケシはどうやら冗談ではなく本気で俺をポケ
モンドクターに誘っているらしい。その好意はありがたいが答えは決まってい
る。

「無理だって、絶対に俺には無理だよ。」そう言って俺は首を横に大きく振った。

考えてみてほしい、普通のドクターは人間の体や、病原菌などについてあらゆる
知識を学ばなければならない、命を預かるのだその位するのは当然だといえる。
しかしそのドクターでさえ 「人間」 という一つの種類の生き物を学べばいい
のだ。だが、ポケモンドクターは違う、全部で500種類を超えるであろうポケ
モンすべての生物的特徴を記憶していなければならない、お世辞にも学業の成績
が良いとは言えない俺だ、そんなことは無理に決まってる、そもそもその過酷さ
を知っているタケシなら予想位つきそうなものだが・・・

25名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:29:02 ID:/uP9aQFQ0
「サトシ、俺はお前にポケモンの病気や、怪我を治す治療をして欲しいと言っ
ているわけじゃない。あ、いや、治しては欲しいんだが、そうじゃなくって
な・・・」
 
 タケシはしばらく一人で混乱していたが、急に大きく咳払いをしたかと思うと

再び俺の目をまっすぐ見てこういった。
 
 「お前に治してほしいのは、ポケモンの 心の傷 なんだ。」

 「心の・・・傷・・・?」

 「ああ、そうだ。人間を信じられなくなってしまったポケモンたちの心を解き
ほぐす役目をお前にやってもらいたいんだ。」

 タケシは熱く、それでいて俺にもわかるように、落ちついて話を進めていった。

 「病院に来るポケモンたちの中には、心無い一部のトレーナーによってひどい
仕打ちを受けたものだっている。そういったポケモンは人間を信じなくなってし
まっているんだ。」

 「あるポケモンは人が近づこうとすると威嚇してそばにも行けない。
またあるポケモンは、ずっとおびえていて治療どころじゃない。
他にも、病院から逃げようとするポケモンもいるんだ。」

 「なんだよそれ!いったいどんなことをしたらポケモンがそんな風になるんだ
よ!」

 俺は怒りと悲しみのどちらの感情とも取れないような思いを感じてつい叫んで
しまった。ポケモンの性格をそんなに変えるようなことをするトレーナーがいる
なんて信じられなかった。

26名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:32:21 ID:/uP9aQFQ0
怒る俺をたしなめながら、タケシは続けた。
 
「そういうポケモンにはな、まず俺たちが信頼できる人間だってことを分かってもらうところから始めるんだ。だがそれは、非常に困難なことでもある。時間がかかりすぎると手遅れになってしまうことだってあるんだからな。」

 「その役目を俺にやって欲しいって事か?」

「もっと言うなら、治療中のポケモンの心の支えになって欲しいんだ。
 信頼できる人間が一人でもいるのと、一人もいないとじゃ雲泥の差だからな。病は気からってよく言うだろ?」

「でも、俺なんかじゃ・・・」

「ヒトカゲ、ヒコザル、ポカブ、皆トレーナーに心無い仕打ちを受け傷ついたポケモンたちだ。
けど、お前は皆を癒し、立派に信頼を築き上げたじゃないか。」

27名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:34:55 ID:/uP9aQFQ0
タケシの言葉に俺は三匹のポケモンのことを思い出した。
この三匹は皆トレーナーに捨てられ、俺のもとに来たポケモンたちだ、そのことで悩んだり、苦しむ事も俺を含めてあったりもした。
けど、最終的にはタケシの言うとおり信頼を築き上げ頼りになる仲間として俺とともに戦ってくれるようになった。

 「俺はお前のその優しさと、心の強さがたくさんのポケモンを救ってくれると信じている。お前もポケモンの優しさに救われたこともあっただろう。
その優しさで俺と一緒にポケモンドクターをやってみないか?」

 「もし、自信がないなら、俺だってできる限りの協力はする。本格的に免許をとりたくなったら、勉強にも協力しよう!
俺のこの信頼は、自分を信用するには足りないか?」

 タケシのこの言葉に、俺の目頭は熱くなった。こんな俺をここまで信頼してくれている・・・
そのタケシとともにポケモンを救う道を歩むのも悪くないと思った。何より旅の中で、ポケモンに励まされたり、助けられた恩を返せるこの道は
素晴らしいとも思った。

28名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:37:16 ID:/uP9aQFQ0
「興奮してしまったが、お前がシゲルと一緒に行くのも、ほかの道を選ぶのも、かまわないと思っている。
お前の人生だ、サトシが選んだ夢を、俺は精一杯応援するよ。」

 優しく微笑むタケシはいつだって頼りになる、こいつと友達になれて本当に良かった。そう思った時だった。

 「ちょっと待った!!!」

 慌ただしい足音とともにドアが開き、部屋中に響いた声の主に俺とタケシは同時に顔を向けた。

29名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:38:48 ID:/uP9aQFQ0
そこにいたのは、健康的なスタイルにオレンジ色の髪をした、しっかりとした意志と強さを感じさせるまなざしを持つ女性。
かつての旅で最初にできた仲間・・・懐かしさを感じながら俺は彼女の名前を呼んだ。

 「元気そうだな、カスミ」

 「当然でしょ、あんたも元気そうで安心したわ。」

 カスミはそう俺に言うと間髪入れずに次の言葉を発した。

 「まだポケモンバトルに興味があるなら、サトシ、あんたジムリーダーになる気はない?」

 いたずらっぽく笑うカスミの発した言葉は、ズバットのちょうおんぱと同じ効果を持っていたようだ。

            おれ は こんらんしてしまった!

30名無しのデデンネ:2015/03/09(月) 19:42:35 ID:/uP9aQFQ0
ここまでです。あげながら気づいたのですがメモ帳からのコピペだと、ここの行数に合わなくて変になるのですね。

途中で気づいてこっちで調節してみました。

 次回、できる限り早く書き上げたいと思います。感想などアドバイスなどあったらお願いします

31名無しのデデンネ:2015/03/10(火) 04:19:19 ID:OIKDpwpk0
「ちょ、ちょっと待ってくれカスミ。俺、何がなんだか・・・」

「ま、シゲルやタケシとかとバトルとかしてるみたいだし、興味があるのは間違いないわよね、問題はそのレベルだけど・・・」

「いや、待てって、何がそうなってこうなるんだか、俺にも説明をだな・・・」

「タワータイクーンに、おお!元ジムリーダーの人たちまで、なかなかいい勝負ね、うん、腕は落ちてないじゃない。」

「おう、ありがとう!じゃなくって何勝手に俺のバトルビデオ見てんだよ!俺の疑問に答えろって。」

「これなら問題ないでしょ!いやー、よかったわねサトシ!パッと見だけど合格ラインはクリアよ、あとは性格と容姿と礼儀と・・・雰

囲気だすためにこれくらい意識しとかないとね!」

「だーかーら!!!」俺はとうとう大声を出してしまった。こんな急展開、説明もなしに理解できるはずもない、とにかく説明を・・・

32名無しのデデンネ:2015/03/10(火) 04:21:34 ID:OIKDpwpk0
ふーん、そうですか」だが、カスミは不機嫌そうにこっちを見ながらそう呟いた、そして

「じゃあ、とりあえず、大切な旅の仲間で比較的近くに住んでいる私に便りの一つも寄越さなかった理由をお聞かせ願いましょうか?」

と逆に俺に聞いてきた。

「今それ関係ないだろ!」

「なくない!手紙も読んでるのよね?返事の一つくらい寄越しなさいよ!」

「俺もいろいろ忙しかったんだよ!」

「ハルカやヒカリ、タケシとは会ったり、手紙送ったりしてるのに?なんで私だけ除け者なのよ!」

「なんでそこで二人が出てくんだよ!たまたま偶然俺とお前の予定が合わなくって会ったりできなかっただけだろ!それは悪かったって

。」

「誠意が足りない!!!」

「それじゃどうすりゃいいんだよ!」

「ふっ、あはははは」

「「笑うな!!!」」

俺とカスミは笑い出したタケシに向かって同時に怒った、それを見てタケシはニヤニヤしながら

「お前ら、大人になってもあの頃と変わらないやり取りしてるぞ。」

と言ってまた笑いだしたのであった。

33名無しのデデンネ:2015/03/10(火) 04:30:07 ID:OIKDpwpk0

「まぁ、サトシ、お前が忙しかったのはわかるが手紙の一つ位返してやってもばちは当たらないと思うぞ、俺は。」

 タケシはしばらく笑い続けた後、俺に向かってそう言った。そしてカスミにも

「カスミ、お前の気持ちもわかるがあの態度は良くないな、そこは反省するべき所だと思うぞ。」

と注意した。俺とカスミは顔を見合わせて・・・

「ぷっ、くふふ」 「あはははは」

同時に笑い始めた。タケシはそんな俺たちを見て困惑していたが、

「悪い悪い、タケシの言うとおり俺たちあの頃と変わってないなと思ってさ」

「私たちが、ケンカする所も、タケシが仲裁に入ってくれるところもね」

という、俺たちの説明を受けて納得したようだった。

 俺、カスミ、タケシ、このメンバーで集まるのは本当に久しぶりで懐かしかった。思い出話に花を咲かせたい所だが、さっきのカスミ

の話が気になる。

 俺とカスミは互いに謝罪した後、タケシも交えてカスミの説明を聞くことにした

34名無しのデデンネ:2015/03/10(火) 06:38:03 ID:REzWBhLc0


35名無しのデデンネ:2015/03/10(火) 14:43:42 ID:.mFjmjTc0
乙かれ

だいぶ見やすくなったと思うよ。

36名無しのデデンネ:2015/03/11(水) 03:56:19 ID:7JXLFtNo0
「簡単に言えばね、大規模な人事整理がポケモンリーグ主導であったのよ。」

 カスミの言ったことをまとめるとこういうことだ。

 四天王の一人キクコさんが年齢を理由に引退することになった。その後釜のトレーナーは慎重に選出された、当然の話だ、四天王のキ

クコといえば尊敬するトレーナーも多い、下手な選出をしたらバッシングをうけるのは間違いない。ポケモンリーグ運営も頭を悩ませた

だろう。結果、かなりの人員が動く結果となった。

 「じゃあ、移動であいたジムにサトシが行くことになるのか?」

 「いいえ、そうじゃないわ。サトシがいくとしたら新しくできるジムのジムリーダーになってもらうわ。」

 カスミはタケシの質問に答えた後、話を続けた。

 大幅な人員整理の結果、ポケモンリーグは、いくつか新規にポケモンジムを新しく設立することにした。あまり人がいない町にジムを

設立することによって、旅をするトレーナーを中心に人の来る機会を増やすのが目的だ。
 
 その一つに俺がジムリーダーとして就任しないか?というのがカスミが持ってきた話だ。けど、俺には分からないことが一つあった。

37名無しのデデンネ:2015/03/11(水) 03:58:17 ID:7JXLFtNo0
「なぁ、カスミ、ジムリーダーになるのにはたしか資格が必要なんじゃなかったけ?」

 そう、ジムリーダーになるにはポケモンリーグが主催する試験に合格して手に入る資格を持っていなければならないのだ。しかもそれ

が大前提という話で、持っていれば誰でもなれるわけではない、非常に厳しい職業だったはずだ、当然俺はそんな資格は持っていない、

今からとるのも無理な話だ、それをカスミは忘れているのではないか・・・

 「いや、サトシ、実はそれ以外にも方法はあるんだ。」

 その疑問に答えてくれたのはタケシだった。
 
 「一つは、家族がジムリーダー、もしくはそのジムで一定期間の修業をすることで実力テストのみで資格を入手する方法。
これは俺やカスミが使った方法だな。」

 「じゃあ、それは無理だよ、俺はどこのジムにも所属してないし、家族もジムリーダーじゃない。」

 「わかってるさ、どちらかといえばこれは緊急用さ、ジムリーダーが急病とかでしばらく役目を果たせない時に代役としてジムリーダ

ーをこなすようかな。サトシの場合はもう一つの方法、ほかのジムリーダーからの推薦じゃないか?カスミ」

 「正解よ、これは新規のジム・・・正確には、家族や弟子のいないジムリーダーが引退もしくは死亡した時にとられる措置の一つなん

だけど、複数のジムリーダーの推薦があれば実力テストのみで資格を得られるようになっているの。」

 「そうなのか、じゃあカスミが推薦してくれたのか?」

 「ええ、でも私だけじゃないわ、カントーのジムリーダーは全員あなたを新ジムリーダーにすることをポケモンリーグ運営に推薦して

くれたし、ホウエンからはセンリさん、イッシュからはデントが、そしてカロスからはシトロンが私の意見に賛同する書類を送ってくれ

たの。」

 「みんながそこまでしてくれたのか・・・」

 デントとシトロンは昔一緒に旅をした仲間だった。ジムリーダーである二人とは激しいバトルし、熱い友情を築き上げた。
センリさんは旅をしたわけではないが、その子供である兄妹と旅をした際、何かと力になってくれた、皆元気でいるだろうか・・・

38名無しのデデンネ:2015/03/11(水) 03:59:00 ID:7JXLFtNo0
「ポケモンリーグも条件として補佐役につく人間がいればあんたのジムリーダー就任を認めるって回答が来たわよ」

 もちろん試験の後でだけどね、とカスミが付け足しながら言った。だが、カスミの様子だとどうやら俺が試験に落ちるとは思っていな

ようだ。

 「そっか・・・俺がジムリーダーかぁ・・・」

 「大きな壁としてトレーナーの前に立ちはだかり、その実力を見極める。難しいけどやりがいのある、なによりあんたにぴったりの仕

事だと思わない?」

 「そうかもな・・・」

 「あんたがその気なら、私も補佐役として一緒に行く予定だから、そこんとこヨロシク!」

 「はぁ!おまえハナダジムどうすんだよ?」

 「お姉ちゃん達がいるわよ、末っ子にばかり苦労を押し付けるんだから、少しくらい大変な目にあったほうがいいのよ。」

 「お前なぁ・・・」

39名無しのデデンネ:2015/03/11(水) 04:01:47 ID:7JXLFtNo0
「サトシ、私はあんたに期待してるのよ。」

 突然、カスミはまじめな口調で俺に言った。

 「あんたは、たくさんの人に影響を与えて、その人の人生を変えてきたわ。そんなあんたがつまらない仕事について、無駄に時間を浪

費するなんてことあっちゃいけないと思う。」

 「買いかぶりすぎさ、俺は・・・」

 「信じなさすぎなのよあんたは、自分自身を」

 カスミはその強くきれいな目で俺のことを見ながら、そう言った。

 「私は、私が期待するあんたが一生懸命頑張って未来に進むというなら、それを全力で支えるわ。それが期待するって事でしょう?
だからあんたも自分を信じて、自分が選んだ道を突っ走りなさい!それがどんな道でもあんたは進み続けることができる。私が保証する

わ!」

 「カスミ・・・」

 「で、どうするの?大変かもしれないけど、充実した毎日は約束するわよ、さらにこんな美女までついてくる。こんなチャンスそうは

ないんじゃない?」

 カスミは少し照れたように、そしてそれを隠すようにして俺に聞いてきた、きつい時や苦しい時、何度カスミに発破をかけられ進んで

きただろう。子供のころは気が付かなかったが、あれはカスミの優しさだったのだろう。

 そして、その優しさは今も変わらずに俺に降り注いでいた。まるで温かく、涙を隠してくれる雨のように。

 答えは今は出せない、でも今言わなくちゃいけない言葉はわかる、俺はカスミの目をまっすぐ見て

 「ありがとう、カスミ」 感謝の気持ちを伝えた。

 「お礼なんかいらないわよ、サトシが立派になってたくさんの人に認められれば、私だって自慢できる。自転車を壊された甲斐があっ

たってものでしょう?」

 そういってカスミは今までで・・・少なくとも俺が知る中では一番きれいな笑顔を見せた。

40名無しのデデンネ:2015/03/11(水) 04:05:30 ID:7JXLFtNo0
今回はここまで、あと5、6人の登場人物を予定しています。長くなりますがどうかお付き合いください。

皆様からの感想、アドバイス、お疲れの一言、すべてが自分の励みになります本当にありがとうございます、これからもがんばっていきますので皆さんも楽しんでくれれば幸いです!

41名無しさんは餅つきのようです ◆E3LyYie3H2:2015/03/14(土) 09:39:12 ID:w8QjS4aE0
面白い支援

42名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:43:21 ID:H2wyNmx.0
三人で話しているうち、気が付けばもう夕方になっていた。タケシもカスミもどうやら今夜はうちに泊まっていくようだった。

 夕食つくりの手伝いに行ってくるといったカスミは、俺とタケシを置いて下に降りて行った。

 「で、お前どうするつもりだ?」ふたりきりになった瞬間、タケシが聞いてきた

 「すぐに決めらんないよこんなこと」そもそも今日は混乱しっぱなしだ、いきなりスカウトだらけの一日を送って、普通にしていられる人間はそうはいないだろう、俺はタケシにそう

答えた。

「俺だったら、ジムリーダーの話に乗るけどな、バトルの腕は確かだし、過去の経験も活きる、何より恋人どころか嫁さん候補までついてくるんだからな!」

 
 「嫁さん候補?」「カスミだよ、カスミ」 タケシの言ったことが理解できず、怪訝な顔をした俺にタケシは言った。

43名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:43:58 ID:H2wyNmx.0
「わざわざ、生まれ育ったハナダシティを離れてお前についていくんだ、相当の決心だろう、今料理の手伝いに行ったのも案外家事ができるというアピールだったりして・・・」

 ニヤニヤしているタケシは完全に妄想の世界へ行ってしまったようだ。かわいそうに、酸素欠乏症にでもなったのだろうか?

 「ないない、ありえないって」 俺はタケシに必殺目覚ましパンチを食らわせ正気を取り戻させてから言った。

 「大方、俺一人じゃ心配だからーって昔のおせっかい癖が出たんだろうよ。それに、厄介ごとを押し付けてくるお姉さんたちから離れられるいい理由ができたからついでに・・・って

ところだろうよ。」

 「・・・お前、昔から変わらないところもあるのな」 タケシはため息とともに俺にむかって言った。

 「どうゆう意味だよ!」 「いや、カスミも大変だなぁと思って」 ・・・よくわからないが馬鹿にされてるのはわかる。

 こうなりゃタケシを残して下に行ってしまおう。一人さみしく部屋に残るがいいさ!そんなことを考えながら1階に降りたとき玄関のチャイムが鳴った。

44名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:44:53 ID:H2wyNmx.0

 「サトシごめん、今お料理で手が離せないから、代わりに出てくれる?」

 「わかった!」母に応え玄関のドアを開けるとそこには2人の人が立っていた。

 「サトシ!とっても久しぶりかも!」 一人は赤い上着に、活動しやすそうなズボンとスパッツをはいた頭にリボンをまいたややテンションが高めな女性だった。

 「かも、じゃなくて本当に久しぶりよ。あたしたちなかなかカントーまで来る時間がなかったもの。」そう言ったもう一人もまた女性だ、長く美しい黒髪をカチューシャでまとめてい

る。服装は白を基調にした上着と、黒いミニスカートだ。

 「驚いたな、来るなら言ってくれれば良かったのに。」まさかこの二人がいきなり家に来るなんて、驚きながらも嬉しい俺は2人を大喜びで歓迎した。

 「いらっしゃい、ハルカ、ヒカリ」 なお、余談ではあるが、サトシの後ろからタケシが「こりゃ本当に大変だなカスミ」とか言っていた声はサトシには聞こえなかったようである。

45名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:45:34 ID:H2wyNmx.0

 「でもまさか、二人がそろってくるなんてどうしたんだ?」

 ハルカとヒカリはどちらも俺と旅した仲間だ。旅をしていたころはトップコーディネーターを目指して旅先のポケモンコンテストに出場していた。そして今、数々の2人は難関を乗り

越え、夢であったトップコーディネーターとなった。

 ホウエンとシンオウと地方の違いはあるが、どちらも各地方を代表するコーディネーターとして共演することも多い、いわば超売れっ子2人組みなのである。そんな2人が俺のところ

に来るなんていったいどういう事だろうか?質問に答えたのはヒカリだった。

 「実はこっちで大規模なコンテストが行われることになってね、あたしもハルカもゲストとして呼ばれたのよ。」

 「で、予定より早く着きすぎちゃってどうしようか相談した結果、サトシのところにやって来たってわけ!」ハルカがそのあとを継いで答えた。

 「そっか、わざわざありがとうな、とりあえずあがれよ。」俺は2人を家に入れてリビングにむかった、どうやら母さんは2人の分の料理も作ってくれているようだった。

 「こっちはもう少しでできるから、お話でもしててくださいな」そう言った母にむかってお礼を言った2人は俺に向き直って口を開いた。

 「サトシ、オーキド博士から聞いたんだけど、進路で悩んでるそうね。」

 「う〜ん・・・そうといえばそうだけど・・・」俺は今日のことをかいつまんで話した。2人は俺の話を聞いた後、お互い顔を見合わせて少し笑った後再び俺のほうを向いていった。

46名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:46:18 ID:H2wyNmx.0
まさか、こんなにライバルが多いなんてね。」 「これはさすがに予想外かも。」

 「ライバル?予想外?」いまいち訳が分からない俺は2人におうむ返しすることが精いっぱいだった。

 そんな俺に対して二人は、ぜひサトシに就いて欲しい職業があるんだけど!と声をそろえて言った。

 「・・・コンテスト関係は無理だぞ」ポケモンバトルは得意でもコンテストは俺には無理だ、と言おうとした俺にむかって二人は、「ちがうわよ」とこれまた声をそろえて言った。

 「コーディネーターよりもやって欲しい仕事があるのよ」 「それも私たち二人が別々のものをもってきたわ!」

 もういっぱいいっぱいだ。正直もういいだろう神様。こんなにあっても選べねぇよ。心の中で悪態をつく俺だったが2人の真剣な目を見た後はそんな思いは消え去った。少なくとも二

人は俺のために真剣に考えてきてくれたのだろう。ならば・・・

 「わかった。話をきくよ。」その気持ちに応えるために俺が今できるのはちゃんと話を聞くことぐらいだ。二人の話を聞いて真剣に考える。それしかできないが、2人の思いに応える

ためにできることをしようと思った。

47名無しのデデンネ:2015/03/17(火) 06:48:51 ID:H2wyNmx.0
間が空いてしまいすいませんでした。次はできるだけ早く書き上げます。

 アドバイス、感想ありましたらどうかコメントお願いします!

48名無しさんは餅つきさん ◆E3LyYie3H2:2015/03/17(火) 17:16:01 ID:P.qg5mhE0
面白いね

49名無しのデデンネ:2015/03/19(木) 16:40:19 ID:HysvN.Eo0
面白いゾ

50名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:32:18 ID:wJ0bSgXM0
「で、どっちが先に話しましょうか?」

 俺は2人を家の中に迎え入れ、リビングで話を聞くことにした。料理のいいにおいがお腹をすかせるが、それはまず我慢。二人の話を

聞くことが先決だ。

 「お先にどうぞ、ヒカリ」 「じゃあ、お言葉に甘えて」 どちらから話し始めるか相談していた2人だが、どうやらヒカリが先に決

まったらしい。テーブルに身を乗り出しながらヒカリは少し緊張した顔で話し始めた。

 「サトシはPKM36の事は知ってるわよね?」 
 
 「ああ、もちろんさ。最近ニュースで騒がれてるもんな。」

 ヒカリが話題に出したPKM36とは、今世間を騒がせているポケモンコーディネーター兼アイドルグループのことだ。メンバーは研

修生を含めると100を超える大所帯であり、その一人一人がかなりの腕を持つコーディネーターでもある。

 彼女たちの最大の特徴はコンテストライブだけでなくアイドルとしての活動にもパートナーとなるポケモンを連れていることだ。

 写真集や映像はもちろん、CD、コンサートにもポケモンとともに出演するのだ、数年前に当時無名だったメンバーの一人がパートナ

ーポケモンと共にドラマに出演し、そのコンビネーションや自然にポケモンと人間が演技をできている事に注目した監督がPKMメンバ

ー数人を主役としたミニドラマを制作、放送し、そのバラエティーの多さと、彼女たちとポケモンたちの可愛らしさが評判となり、一躍

芸能界でトップに躍り出たアイドルたちだ。ちなみにタケシは大ファンだったりする。

51名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:33:36 ID:wJ0bSgXM0
 だが今彼女たちが騒がれているのは決していい話題ではない。彼女たちがニュースで取り上げられている理由、それはメンバーの中に

ポケモンを密猟者との取引で手に入れたものが居るからである。

 この数年間、彼女たちに憧れてPKMメンバーになろうとする女の子は増えていった。だが、先ほども言った通りグループは100人

以上のライバルがいる大所帯だ。その中でチャンスを手に入れるのは並大抵のことでは無理だろう。
 
 メンバーはそれぞれ自分ができる努力をした、あるものは自分のレッスンを倍にした、またあるものはパートナーとの信頼を深めるた

めにポケモンの勉強をした。そして、またあるものは自分が目立つ方法を考え続け、答えを出した。

 「そうだ、珍しいポケモンを使えばいいんだ」それが彼女たちが出した答えだった。

 珍しいポケモン、例えば森林地帯で保護されるような個体数が少ないポケモン。またあるいは、通常とは違う体の色をした通称「色違

いポケモン」そういったポケモンを使えば、確かに目立つだろう、だがそれは非常に困難なことだ。

 俺だって色違いのポケモンを持っているがそれは非常に幸運だったとしか言いようがない。旅の中でそう言ったポケモンを見たのは多

分両手の指で足りる数だろう。

 だが、そんな少ない可能性を彼女たちが待つわけがない。そのたくらみを企てたメンバーのうち、裕福な家の女の子が両親に頼み、ポ

ケモンハンターから珍しいポケモンを入手し、アイドル活動をしていた。

52名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:34:49 ID:wJ0bSgXM0
当初の予想通り、彼女たちは有名になっていった。グループも大きくなり順風満帆・・・と思われた。

 だがしかし、悪いことはいつかばれるもの、仕事を依頼したポケモンハンターが警察に逮捕され、その取引情報が調べられた結果彼女

たちの罪も明るみになり、今世間を騒がせている。ということだ。

 「そのことがあってから、ポケモンの保護活動に大きな動きがあったの。」

 ヒカリが続けた話の内容はこうだった、今まで各地方でばらばらに作っていた人工的なポケモンの保護地域を一つの大きな保護施設を

造ることによって、警備や観察員の集結を図る、という計画が実行されることになった。計画はおおむね上手く進行していきあとはポケ

モンを移送するだけ、という段階で問題が発生した。それは、職員の情報統制がうまくいかないことだった。

 どういう事かというと、カントーやシンオウなど数々の地方からやってくるポケモンたちの情報を各地方の職員が理解できていないと

いう事だった。いまだかつて見たことがないポケモンはどんな生態なのか、夜行性なのか、主食は何なのか、そう言った情報をまとめき

ることができなかったのだ。あまりにも多くのポケモンが集結するからこそその情報を完全に理解できる人間は限られた人数しかいない

という事になってしまったのだ。

53名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:35:50 ID:wJ0bSgXM0
「ポケモンのことを完全に把握できなきゃ保護活動なんてできやしない。どこかにたくさんのポケモンを知ってる、若くて体力のある

人間はいないものか・・・ってそこの責任者さんが言ってるのを聞いてね、サトシを推薦しておいたの」

 ヒカリは話し終えた後、俺の顔を覗き込みながら言った。俺の考えはこうだ

 十分に有りかもしれない。ポケモン図鑑の情報、今までの経験、そして体当たりでぶつかっていく根性。それをフルに使えばこの仕事

もこなせなくはないだろう。ピカチュウたちもきっと力を貸してくれる。そう思えば無理なことではない、そう思った時だった。

 「ヒカリ、一つ聞いていい?」 カスミが横から会話に入ってきた。そして

 「なんでサトシなの?」という質問を投げかけたのであった。

 「今言ったことなら、かつて旅に出た、若い人間なら誰でもOKってことになるわ。サトシである必要はないでしょ?なぜサトシでな

きゃだめなのか説明してくれない?」

 「カスミ、そんな言い方は・・・」止めようとした俺をタケシがさらに止めた。驚く俺にタケシは

 「カスミはヒカリがサトシをどう思ってるか知りたいんだと思う。サトシにどんなふうに信頼を置いて、何を期待して、未来のサトシ

に何を見ているか、それを知りたいんだと思う。」

 そう言ったタケシからヒカリへと視線を移すと、ヒカリはまっすぐカスミを見ながら話を始めるところだった。

54名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:36:41 ID:wJ0bSgXM0
「あたしは、サトシならみんなの考え方を変えられると思うの。」

 「考え方?」「うん」 ヒカリは続けた

 「なんで珍しいポケモンを狙う人間がいるかって聞かれたら、それはそのポケモンが特別だって思われてるからだと思うの。
だってそうでしょ?草むらを歩けばすぐに出てくるポケモンと伝説級って呼ばれてるポケモン。どっちがすごいかって話ならそりゃ伝説

のポケモンってみんな答えるわ。でも、すごいって事と特別って事は別のものだと思うの。」

 「特別とすごいは別・・・?」そう呟いた俺にヒカリは質問を投げかけた。

 「ねぇ、サトシ、サトシにとってピカチュウは特別な存在?」 「当然だろ!」

 「それは何で?強いから?」

 「違うよ、たくさんの楽しいことや辛いこと、一緒に乗り越えてきた大切な親友みたいなものだからだよ」
 
 俺の答えにヒカリは満足そうに笑うと

 「そういうことだよ」と一言言った。

55名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:37:25 ID:wJ0bSgXM0
「当たり前の事だけどね、最初から特別なものなんてこの世界に無いの。ポケモンも人間もそう。最初からすごいものはあるよ、でも

特別っていうのは、一緒にいて、たくさん分かり合って、たくさん思いあって、心の中にしっかりと残る。そういうものだと思うの。」

 「あたしは、もしポッチャマと伝説のポケモンを交換しようって言われても絶対にしない。だってポッチャマは私にとって、辛い時や

悲しい時支えてくれて、楽しい時や嬉しい時の気持ちを分け合った、特別なポケモンだから。」

 ヒカリは立ち上がり大声で続けた。

 「みんなそうなんだよ、そばにいるポケモンがたとえどこにでもいるようなものでも、その人がいっぱいいっぱい思いを注いで、何か

を一緒にやろうと思えば、時間がたつとともにそのポケモンがその人にとっての<特別>になるはずなんだよ。何と引き換えにしても離

したくない、そんなかけがえのない存在になるはずなんだよ。」

 俺も、皆も、ヒカリの話を黙って聞いていた。

 「世界中の人たちがそのことに気が付けば、きっと珍しいポケモンを狙う人もいなくなるよ、だってみんなのそばに、もう特別なポケ

モンならいるんだから。そうすればこんなことで悩む必要も、ポケモンがおびえる必要も無くなるんだよ」

56名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:38:17 ID:wJ0bSgXM0
そしてヒカリは俺の手を取って思いっきり自分のすべてを出すように俺にむかって言った。

 「きっとサトシならみんなにそのことを伝えられるよ、今そばにいる、すべてのポケモンを特別だって思えるサトシなら、そんな幸せ

な世界をきっと作れる、大丈夫!あたしが保証するよ!」

 そう言って俺を見るヒカリの目にはひとかけらの疑いもなかった。

 「これが、あたしのサトシじゃなきゃいけない理由。カスミ、これでいい?」

 「・・・わかったわよ、でも、いったいいつまであんたらは手をつないだままでいるわけ?」

 カスミのその言葉に俺とヒカリはお互い見つめあい、手を見て、同じタイミングで慌てて、手を放した。

 「ごめん、サトシ!あたし夢中になってて!その・・・」

 「いや、俺も気にしてないし!全然!これっぽちも!」

 「・・・そこまで言われると傷つくなぁ。」

 どうやら俺は地雷を踏んだようだ、ヒカリが小さくなっていくのが分かる。攻撃が当たりにくくなるからやめてほしいんだが・・・

57名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 06:39:23 ID:wJ0bSgXM0

 「でも、ありがとう。そんな風に思っててくれたのは本当に嬉しいよ」

 せめて、お礼はちゃんと伝えようと思ったが、ヒカリは下を向いて何やらボソボソ言っているだけだ。やむなく耳を近づけてみたが、

 「あた・・サトシの・・特・・に・・」

 だめだ、訳が分からない、ふと振り返るとそこにはなぜか不機嫌そうなカスミと、ニヤニヤしたタケシがいた。なんなんだこれは?

 ほどなくして復活したヒカリは、皆に迷惑をかけたことを謝って、カスミと楽しそうに言い争いを始めた、何で争っているかはわから

ないが仲良きことはいいことだ。

 「胸を借りるつもりでかかってきなさいヒカリ!」

 「・・・胸ならあたしの方が勝ってるかな!」 「・・・あぁんですって!」

 訂正。ハブネークとザングースみたいになった。にらみ合う二人は俺には止められそうにない、いったいどうするか、そう考え始めた

時だった。

 「え?それで決着つけて良いの?」とぼけた一言に反応した二人は、声を発した人間を見て、視線を下に送り、この世の不条理と不平

等に絶望した顔をして、争いをやめた。

 「さ、次は私の番だよサトシ!」

 元気いっぱいにいうハルカを前に俺は、晩御飯の食べられるのはいつになるのかが心配になってきたがそれよりもハルカが大事だ。

 さあ、この話を聞いて腹いっぱいご飯を食べるぞ!決意を新たに俺はハルカの話を聞き始めた

58名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 12:33:56 ID:GkgG..Js0
支援

セリフの途中で途切れるのが無ければもっといいと思う

59名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 13:38:50 ID:SLnWw5ak0
携帯から、失礼します。1です。
ご指摘ありがとうございます。pcで見る限りは問題はなかったと思ったのですが、携帯版だと妙なところで改行されていますね。これ、何が問題だかわかる方はいらっしゃいますか?できたら教えて頂けると嬉しいです。
因みに自分はpcのメモ帳にssをかいて、そこからコピペで投稿しています。このやり方に問題があるのでしょうか? できたらお答えを頂けると改善策を作れますのでどうかお願いします。

60名無しさんは餅つきさん ◆E3LyYie3H2:2015/03/20(金) 17:34:39 ID:A5vigwP60
>>59
pcのメモ帳にssをかいて、そこからコピペで投稿しています
だからだよ

611:2015/03/20(金) 20:56:13 ID:SLnWw5ak0
59さん つまり、この問題を解決するには、この欄に直接書き込むしかないということでしょうか?メモ帳以外の機能を使えば改行されるのは治りますかね?質問ばかりですいません。

62名無しのデデンネ:2015/03/20(金) 21:23:54 ID:ZQFXdVe60
専ブラ導入してみたらどうかな?
メモ帳とかEvernoteで打ってJaneStyleにコピペしてるけど改行が変になったことないよ

63名無しさんは餅つきのようです ◆E3LyYie3H2:2015/03/20(金) 21:34:51 ID:A5vigwP60
>>61
直接は面倒だからコピペして最終チェックはどう?

641:2015/03/20(金) 21:56:33 ID:SLnWw5ak0
回答ありがとうございます、こんなに早くお答え頂いて驚きです。
皆さんの意見を参考に専ブラのダウンロードと、最終チェック試してみます。早ければ今夜じゅうに続きのアップができそうなので、そこで自分の携帯からも見てみたいと思います。
迅速かつ沢山のご意見本当にありがとうございます。頑張って皆さんが読みやすいように調整してみます!

65名無しのデデンネ:2015/03/21(土) 03:19:51 ID:uaFXngPQ0

 「胸を借りるつもりでかかってきなさいヒカリ!」

 「・・・胸ならあたしの方が勝ってるかな!」 「・・・あぁんですって!」

 訂正。ハブネークとザングースみたいになった。にらみ合う二人は俺には止められそうにない、いったいどうするか、そう考え始めた時だった。

 「え?それで決着つけて良いの?」とぼけた一言に反応した二人は、声を発した人間を見て、視線を下に送り、この世の不条理と不平等に絶望した顔をして、争いをやめた。

 「さ、次は私の番だよサトシ!」

 元気いっぱいにいうハルカを前に俺は、晩御飯の食べられるのはいつになるのかが心配になってきたがそれよりもハルカが大事だ。

 さあ、この話を聞いて腹いっぱいご飯を食べるぞ!決意を新たに俺はハルカの話を聞き始めた
 
すいません、使い方を調べるために再アップしてみました、これで問題なければ近いうちに続きあげます。

66名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:34:35 ID:yFBmEt/Y0

「さてと、さっそく話しちゃうけど私がサトシにやって欲しいことっていうのは先生なの」

「先生?先生ってあの、学校とかで授業する?」

「そう、それ!」俺の質問にハルカはにっこりと嬉しそうに笑って答えた。

「そういえば、ホウエン地方には大きなトレーナーズスクールがあったな!もしかしてハルカはサトシにそこで働いてもらいたいんじゃ

ないか?」

「大正解!さっすがタケシ、カッコいいかも!」 「・・・そこは言い切って欲しかったな」

 2人の会話を聞いてやっと俺も思い出した、確かにホウエン地方には有名なトレーナーズスクールがある。洗練された町並みのカナズ

ミシティの中心部、そこには有名トレーナーを何人も輩出したスクールがあり。町のシンボルの一つとしてホウエン以外の地方でも有名

である。そんな所に俺が就職か、しかも教師として・・・なるほど、うん

 「「「できるわけないだろ(でしょ)!」」」 俺、カスミ、ヒカリの声が家じゅうに響いた。

67名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:36:14 ID:yFBmEt/Y0
「あ、やっぱそんな反応だよね。」 

 「当然でしょ!サトシの頭で有名学校の教師なんて勤まるわけがないじゃない!」 ・・・泣くぞカスミ

 「バトルならまだしも、座学を教えるのはサトシじゃ無理だよ!むしろ生徒に教えられる側だよ!」・・・人のこと言えるのかヒカリ

 「自分で聞いといてなんだが、絶対無理だと思うぞハルカ、俺が保証する」・・・お前もかよタケシ

 「ハルカちゃん、用務員さんとかに変えられない?」 母さん、とどめを刺しに来ないでよ

 「そもそも校長先生とか、理事長的な偉い人が許すわけないじゃない!」カスミの意見はごもっともだ、俺なら許さない。

 「でも、校長先生とかは文句言えないと思うよ。推薦してくれる人が人だし」

 「推薦?誰が?もしかしてセンリさん?」

 「ううん、パパじゃない」「じゃ誰?」

 「ダイゴさんとダイゴさんのお父さん」その一言で家は静まり返った。ハルカはマルマイン級の爆弾を投下していったのだ。

68名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:37:11 ID:yFBmEt/Y0
わからない人のために説明すると、ダイゴさんはホウエン地方のチャンピオン、そのお父さんは大会社の社長だ。そんな2人の推薦を

断れる人間はホウエン地方にはいないだろう。断言する、絶対無理だ!

 「そもそも今回の話は2人から頼まれた話なの」さらに爆弾投下、超VIPと言っていいお二人がなんで俺なんかに・・・?

 「おもにお父さんの方がね、今の学校の教育方針に納得していないみたいなんだ」 ハルカの話を要約するとこうだ。

 かつてのトレーナーズスクールは生徒1人1人と向かい合い、その長所を伸ばし、個性を尊重していくという教育方針だった。
それゆえ、実は強いポケモントレーナーは数が少ないのである。

 だがしかし、卒業生は自らの個性を生かし、それぞれの道で成功を収め有名となった人が多くいるのである。それはこの方針が決して

間違いでないことを示していた。ポケモンをバトルの道具ではなく、人生のパートナーとして見てほしい。そういった思いが込められた

この教育方針を支持している人間は多い、ダイゴさんのお父さんもその1人だというわけだ。

 だがしかし、いつからか方針が変わり今のトレーナーズスクールはバトルに勝つ方法を徹底的に教えているらしい。
それは決して悪いことではない、だが・・・

69名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:39:11 ID:yFBmEt/Y0
社長室の窓から学校を見るたび、ダイゴさんのお父さんは心が苦しくなるらしい。
かつてのトレーナーズスクールに通う生徒はみんながみんな個性的だった。美化された思い出かもしれない、だが、そんな彼らを見るたびにそれぞれが放つ未来の可能性を感じずにはいられなかった。

まさに、無限の未来が彼らの行く先にはあるかのような。そんなまぶしい表情を生徒の誰もがしていた。



 だが今はどうだろうか?今の生徒はなぜか一本道を歩いているようにしか見えない。ポケモンバトルという一本道を。
このままいけば、卒業ののち多少なりともポケモンバトルの世界で結果を出せるようにはなるだろう。だが、それでいいのだろうか?

本来学校とは生徒の可能性を引き出すことが目的なのではないのだろうか?

学校の看板のために生徒の未来を狭めてもいいのだろうか?

これは本当に教育なのだろうか?大人のエゴではないのだろうか? そんな悩みを抱えるようになった。

70名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:40:36 ID:yFBmEt/Y0
今のトレーナーズスクールには、ポケモンバトルが強くなりたい人間だけが入ってくればいい。そういってしまえば済む話だ、でもそうじゃない、子供たちにはもっとたくさんのことをこの学校で学んで欲しい、もっと大切なことに気が付いて欲しい。



そんな思いを持ったお父さんはたくさんの人に呼び掛け、案を募った。そして出た結論が、「今までとは考え方の違う教師を雇う。」という事だったというわけだ。



 「じゃあ、ハルカはお二人からのスカウトをサトシに伝えにきたってことか。」

 「正確に言えば、私が二人に推薦したんだけどね」

 タケシにこう答えたハルカはここからは自分の考えだという事を前置きしてから話を続けた。

 「私がサトシを推薦したのは、サトシがまだまだ勉強しなきゃならないことがたくさんあるからだとおもったからなの」

71名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:42:39 ID:yFBmEt/Y0

 「生徒と一緒に、サトシ自身も先生として成長していく、そういうのもありかなって。そんなの変だ!って言われるかもだけど私は、なんでも知ってます!って顔して偉そうにしている先生よりそっちの方がいいと思うし。それに・・・」


 ハルカは一度言葉を切って、また続けた

「サトシは、そんな先生よりもっとたくさんのことを知ってると思うんだ!授業じゃ教えないような、一見無駄なようなことでも、サトシが旅の中で学んだことをみんなに伝えられたら、きっとみんなの未来が少し広がるような気がするんだ。」



「サトシから何かを学んで、考え方が変わって、自分の本当にやりたい事を見つけて、それにむかって努力する。都合のいい話かもだけど、先生って本来そういうものでしょ。」

ハルカは悪戯っぽく笑って、皆にむかって話し続けた

「サトシなら、一緒にいる生徒のみんながなにか悩んでるならきっと一緒になって考えて、出た答えを後押ししてくれる。そんな先生になれる、みんなもそう思うでしょ?」

72名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:44:25 ID:yFBmEt/Y0
その言葉にみんながうなずくとハルカは今度は俺だけにむかって言った。

「もちろん、勉強を教えるんだからそれなりの努力はしないとね!もしサトシがそのつもりなら私が勉強教えるよ、推薦した責任もあるしね。」


「ハルカが?勉強できるの、お前?」

「パパに教えられましたので!それにほかにもいろいろ教えられるかもよ?」

「色々って?」 「たとえば・・・恋愛とか?」

「はははっ、面白いなそれ!」俺はハルカの冗談につい噴出してしまった。きっと俺をリラックスさせてくれようとしたんだろう、ありがたい。

「ちょっと鈍感すぎるかも。」「?」「なんでもない!」 気のせいだっただろうか、ハルカが何か言った気がするんだが?

73名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:47:19 ID:yFBmEt/Y0

「それに、もしかしたらサトシの教え子から未来のポケモンマスターが出てくるかもしれないよ!そんな風に、誰かに自分の夢を預けるのも良いかなって思ったかも。」


「そんなこと、考えてくれてたのか。」正直ハルカに言われるまで思いもしなかったが、そんな可能性もあるのか

「大変だと思うし、苦労もいっぱいすると思うけど、でもきっと・・・ううん必ずサトシならやれるよ!これはかもじゃないかも!」

「結局言ってるじゃないか!」という大方の突っ込みに、頭をかきながらハルカは笑っていた。

そんなハルカを見ながら、俺を二人に推薦するときどんな気持ちだったかのを考えてみた、きっと緊張しただろう、それでも俺を信頼して名前を出してくれた。


そう考えれば、さっきの言葉は照れ隠しで、本当は、本当に「かも」じゃないと思ってくれているのだろう。

74名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:49:09 ID:yFBmEt/Y0
「ありがとう、ハルカ、皆も。こんな俺にここまでしてくれて・・・本当になんて言っていいのか・・・」

「違うさ、サトシ」泣きそうになった俺の肩をたたいて、タケシが言った

「ここにいるみんな、お前が自分のやりたいことに向かって頑張ってる姿が大好きなんだよ。

その姿をもう一度見たい、一緒にまた夢を追いかけたい、そう思ったからここにいて、お前と話してるんだ。


もし、そのことを感謝するなら、どんな道でもいい、お前が選んだ道を一生懸命走って行ってくれ。それが俺たちへの恩返しになるからさ。」



 タケシの言葉にやっぱり俺は涙を流しそうになった。そこへ、

「まったく、大人になって親の前で涙を見せる子供がいますか。サトシ、皆、ご飯お待たせ!おかわりもあるからたっくさん食べてね!」と母さんがシチューを持ってやってきた。

75名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 04:58:03 ID:yFBmEt/Y0
中途半端なところですが今回はここまでです。
專ブラを使ってみましたが携帯で読んでいる方は読みにくいところがあったかもしれません。もう少し工夫してみます。
皆さんのアドバイスのおかげでSS初投稿の自分のSSも最初のころと比べてだいぶ読みやすくなっていると思います。(最初がひどかっただけかもしれませんが・・・)
まだまだ問題点やつたない文章など改善すべきところは多々ありますが皆さんに少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。

76名無しのデデンネ:2015/03/22(日) 09:35:37 ID:WcqdowjA0
個人的には今のままでも好きよ

77名無しのデデンネ:2015/03/24(火) 21:06:51 ID:xp/96tp.0
支援

78名無しのデデンネ:2015/03/28(土) 04:49:00 ID:h885h9FM0
「サトシ、せっかく皆が集まったんだ、辛気臭い顔するなよ。」

「そうよ、今日は楽しんで、明日悩んで、答えを出せばいいじゃない!そん時に感謝してくれればいいわよ」

 二人の言葉に俺は涙を拭いて、顔をあげて答えた。

「ああ!せっかくだ、皆で盛り上がろうぜ!」

 それからは皆で母さんが作ってくれた料理を食べながらいろんな話をした。

 かつての旅の思い出、出会った人たちのこと、今の仕事の話、これからの目標。そんな他愛のない話をして時に盛り上がり時にしんみりとした雰囲気にもなった。でもやっぱり皆と話す時間は楽しくて、かけがえのないもので、そしてそういう時間ほど早く過ぎてしまう

のであった。

 翌朝。タケシが帰り、カスミが帰り、ハルカとヒカリが仕事のために俺の家を出た後、俺は皆の残してくれた資料を見比べながらベットの上で唸っていた。どの道に進むのが良いのか、そしてその後どういう人生を歩むのか、悩みは尽きない。
 
 相棒のピカチュウは昨日の疲れが出たのか俺の横でぐっすり眠っている。その横顔を見ていたら俺もだんだんと眠くなってきた。

「少し眠ろう・・・」だれが聞いてるわけでも無いのに俺は一人呟くとベットに潜り込み目を閉じた・・・その時だった

79名無しのデデンネ:2015/03/28(土) 04:50:02 ID:h885h9FM0
 正直に言って面倒くさい、せっかくひと眠りしようとしたところなのに・・・相手には悪いがここは狸寝入りさせてもらおう。そう考えた俺だったが母の次の言葉で飛び起きることとなる。

「サトシ、聞こえないの?セレナちゃんからあなたに電話よ!」
 
「なんだって!?」聞くが早いが、俺はベットを飛び出し、一階のテレビ電話のあるリビングへ向かった。

「来たわね、待たせてごめんね、今代わるから。」そう言って母さんは俺に受話器を渡し、リビングから出て行った。気を使ってくれたのだろうか?ともかく俺は受話器を取り、テレビ電話の画面に視線を向けた。

「久しぶりね、サトシ」「ああ、その、久しぶり」画面に映るセレナは十年前とあまり変わっていなかった。だが格段にきれいになっているのは俺でもわかった。

 そう、十年前。それから俺たちは顔を合わせたことはなかった。なぜなら・・・セレナも俺と同じ夢を諦めたものだったからだ。

80名無しのデデンネ:2015/03/28(土) 04:51:30 ID:h885h9FM0
すいません、続きも急いで書き上げております、なんかすごい中途半端でちんぷんかんぷんな終わり方ですが、どうかご容赦を・・・

81名無しのデデンネ:2015/04/02(木) 05:19:23 ID:UOPPfMpk0
生存報告です。しばらく暇がなく思うように続きがかけない日々が続いています。でも、頑張って完結させたいと思うので、もう暫しお待ち下さい。

82名無しのデデンネ:2015/04/02(木) 09:06:40 ID:9HNIckoQ0
無理せずにな〜


支援してる。

83名無しのデデンネ:2015/04/06(月) 03:06:21 ID:LXJWOhdI0
今から十年ほど前、ポケモンマスターを目指した俺の旅は、カロス地方で終わりを迎えた。当時一緒に旅をしていた仲間、先に話題に出たシトロンとその妹ユリーカは残念そうにしていたが、俺の決めたことならば、と納得してくれた。

 だが、セレナは最後の最後まで俺を説得しようとしていた、ある時は俺に発破をかけるためにバトルをしかけてきたり、またあるときには正面切って話し合い、あの手この手で俺の考えを変えようとしてきたのだった。正直に言えば気持ちが揺らいだこともあった、だが

俺もセレナと話し合い、ぶつかり合い、気持ちを伝えあった。その結果、ついに彼女も俺の旅の終わりを納得してくれたのだった。

 別れの日、セレナは俺にむかって「私がサトシの分まで夢を叶える!」と宣言してきた。セレナの夢、ポケモンパフォーマーとして認められる日が来ることを信じ、大粒の涙を流しながら別れを告げる仲間たちを背に、俺は船に乗りこのマサラタウンに帰って来たのであった。

 マサラタウンに帰って来た俺は、勉強に勤しむ傍ら、たびたびトライポカロンの結果をチェックしていた。

セレナは頑張っているだろうか?その努力は報われているだろうか?期待と不安の入り混じる気持ちで俺はカロス新聞を読んでいたものだ。

 最初の頃、セレナは優秀な成績を残し期待の新星として注目されていた。大会に出て優勝することも珍しくなく、セレナが夢を叶える日は遠くないと思っていた。だが・・・

84名無しのデデンネ:2015/04/06(月) 03:07:36 ID:LXJWOhdI0
コンテスト結果でだんだんとセレナの名前を見ることが少なくなっていった。本当に少しずつ、徐々に徐々に順位を下げていくセレナに対して、俺はきっとまた盛り返すはずだと信じて疑わなかった。

 しかし俺の願いも虚しくとうとうセレナが入賞者に名前を連ねることはほとんどなくなり、新聞やテレビで新たなパフォーマーが取り上げられるようになった頃、セレナの母親からセレナが旅を終えたことを電話で知ったのであった。

 普通ならそこで慰めの言葉をかけたりするのが仲間、友達というものだろう。しかし・・・俺はできなかった。
なぜなら俺自身に負い目があったからだ。もしかしたらセレナは俺との約束にプレッシャーを感じていたのかもしれない、順位が下がり始めたときも一度心をリセットして仕切りなおすことだってできただろう。だが、俺との約束がセレナにそれを許さなかったのではないか?急ぎ順位を立て直さないといけない、盛り返さなければならない。そんな思いがセレナを追い詰めていったのではないか?

 そんな思いが俺がセレナに声をかけることをためらわせた。それに俺だって夢を諦めたものだ、そんな俺が何を言えばいいのだろう?むしろ惨めな思いをさせるだけじゃないのか?そんな言い訳を重ねてセレナと会話する機会から逃げてしまっていたのであった。

 今、セレナとこうして話をするのはそんな自分にけじめをつけるためであり、そしてセレナにも謝る機会が欲しかったからだった。

 こうしてテレビ電話とはいえセレナと面をむかって話すのは緊張する、何か・・・何か話さなくては・・・気まずい沈黙を払うために必死に言葉を探す俺だったが、そんな俺にセレナはたどたどしく緊張した顔で予想を超える言葉をかけてきた

「サトシ、その、えっと・・・本当にごめんなさい。ずっとずっと謝りたかったの。」

85名無しのデデンネ:2015/04/06(月) 03:08:21 ID:LXJWOhdI0
本当に予想外だった。それは俺が言わなければならない言葉だ。なぜセレナが俺にむかって・・・

 「代わりに夢を叶えるとか言っておいてその、こんな風にその、えっと・・・」

 「そんなことない!謝るのは俺の方だ!」セレナの言葉を切って俺は叫んだ、そして俺が思っていたことを全部ぶちまけた。謝らなきゃいけないと思うことも、自分の負い目も、すべて。セレナは黙って俺の言葉を聞いてくれた。そして俺の話が終わった後、セレナは一言「同じだよ、私も」と呟いた。

 「夢を叶えられなっくてあわせる顔がないから、とか言ってずっとサトシから逃げてたの。本当はただこんな情けない姿サトシに見られたら嫌われちゃうんじゃないかって不安で、謝ることもしないで、それで・・・」

 セレナはそういって涙を流し始めた。俺がマサラタウンに帰ったあの日のように。

 「結局さ、俺たち同じこと思ってたんだな。お互い相手のことを考えてたけど怖くってあと一歩が踏み出せなかったんだ。」

 「そうだね、本当に馬鹿みたい。」
 
 「でも今こうやって最後の一歩をお互い踏み出して言いたいこと言えて、また目を見て話せるようになって・・・また昔みたいに話せるようになったんだからさ、それでいいじゃん」

 「うん!本当に良かった!」セレナはそう言って俺に笑顔を見せてくれた。またこの笑顔が見れるようになってよかった。俺は心からそう思った。

 それから俺たちはたくさんのことを話した、旅を終えてからあったこと、昔の思い出、カロス地方のみんなはどうしているのか?など本当にたくさんのことを話した、まるで十年間話せなかったことを埋めるように。

86名無しのデデンネ:2015/04/06(月) 03:09:23 ID:LXJWOhdI0
 「シトロンから聞いたよ、サトシ色々なところからスカウト来て大喜びだって!」

 「そんなこと・・・あるけどさ、けど一気に来られても迷うし、悩むよ、もちろんみんなの好意は嬉しけどさ」

 俺は正直な感想を伝えた、普通そうだろ?そしてもちろん今度は俺がセレナに聞く番だった。

 「セレナは?今何してるんだ?」「え?ええっとねぇ・・・」いやに歯切れが悪い、まさか・・・

 「まさかセレナ、俗にいうニートってやつになってるんじゃ・・・?」「違う!失礼な!」良かった、最悪のパターンは回避したようだ。

 セレナはこほん、と咳払いをしてポケットから一枚の紙切れを取り出した。

 その紙には「カロスマッピングブック出版 代表 」という肩書と共にセレナの名前が印刷されていた。

 「ええっとね、その、私!企業いたしました!」ハイパーボイス級の大声でそう言ったセレナは照れ臭そうに顔を赤くしていた。

 俺?ああ予想の斜めどころか次元を超えるレベルの衝撃事実にひんしになりかけた。うん、割とマジで。

87名無しのデデンネ:2015/04/06(月) 03:19:36 ID:LXJWOhdI0
大変お待たせしました、前回より約2週間ぶりの投稿です。楽しんでいただけたら嬉しいです。

支援してくださった方ありがとうございます。あともう少しで終わりになると思いますので、また感想等を聞かせていただけたら嬉しいです

あとこれはあまり関係はないのですが、アイリスが好きな方々お詫びします、このSSアイリスを出す予定がありません、ヒロインのなかで唯一出番が作れず申し訳ないです。

続きは近いうちにアップ予定ですのでまたご覧になってください。それでは

88名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:33:23 ID:t/bbNoCM0
「起業って会社作ることだよな?ってことはセレナは社長ってことか?」

 「そうだけど、別に全然大したことじゃないよ!社員私一人だもん。」
 
 「そこじゃなくて、会社を立ち上げることがすごいよ!いったい何をする会社なんだ?」

 俺の質問にセレナはやや誇らしげに説明を始めた。

 「うーんとね、簡単に言えばタウンマップ作ってる会社だよ。」タウンマップとは名前の通り地図のことだ、冒険をするうえで欠かせないものだが、最近はデータ化して手持ちの携帯機器にダウンロードする方が主流だ、なぜそんな会社を作ったのだろうか?

 「正確に言えばガイドブックの方が正しいかも、それにその町までの詳しい行き方、道中のポケモン紹介、観光名所やらトレーナーとして覚えておきたい施設の紹介などなど、いろいろ盛り込んであるのが私の出してる本かな。実はポケモンリーグの推薦図書の一つだったりするんだよね、これが」

 「すごいじゃないか!推薦図書だなんて!でもいったいなんでそんな会社を作ろうと思ったんだ?」

 「それは・・・私たちと同じ夢を追いかける人の応援がしたかったからだよ。」セレナは一度言葉を切ってそう答えた。

 「旅に出るってさ結構勇気がいるじゃない?家族と離れて心細くて、大変なことも自分で乗り越えていかなきゃいけない。そう考えて旅に出ることをためらってる人って結構いると思うの、だからその不安を少しでも取り除いてあげたいと思って、つまり旅の一歩目を踏み出す勇気をあげられたらなって。」

 セレナの言うとおり、旅には危険がつきものだ。そういったリスクを恐れて旅に出れない人間もたくさんいる。だが情報や困ったときにどうすればいいかなどの知識を得られれば話は別だ、準備がしっかりしていれば別に恐れることはない。そういう知識を得れば勇気もでる、セレナが言いたいのはそう言う事だろう。セレナが話す話を俺は黙って聞き続けた。

89名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:34:38 ID:t/bbNoCM0
「旅に出た後も、何に注意すればいいか、困ったときどうするのがベストなのかっていう紹介と説明。あと旅に出てるんだもん、楽しめる施設とかの紹介もしてるから普通の旅行にも使えるんだよ。そっちは女に人に人気だね。あとあと、ユリーカにも手伝ってもらうこともあるんだけど、その時の企画も面白いのよ!こないだなんて<町で見た!兄のためにキープしたい美女美少女ベスト10!>なんてものを書いて掲載したんだけど、ものすごい反響でね!才能あるわよユリーカ!」

 「ははは、シトロンも苦労してそうだなぁ。」「本当にね」かつての仲間の話をして昔を思い返した俺たちは少し黙った。

 「・・・でも一番この仕事をしようって思った理由は、皆の夢を叶える手伝いをしたいなって思ったの。」

 セレナは急に真面目な顔をして俺に言った。

 「自分がうまくいかなかったからこそ夢を叶えることの難しさはよくわかってる。でもこれから夢を叶えようと頑張る人のために何かできないかって考え続けて、それでこの仕事をやってみようって思ったの。最初の一歩と、途中までの道。そこを進むために必要なことを一つでも教えられたらなって。」

 「そうだな・・・」俺は答えながら改めてセレナを尊敬した。行動力や経営手腕ではなくだれかの役に立つ仕事をしよう!と思っていられるその優しさは本当にすごいと思った。俺なんか自分のことで手一杯なのに・・・

 「それでねサトシ・・・」俺が落ち込んでいるところにセレナは声をかけてきた。

 「じつはカントーのシルフカンパニーの協力でカントー版の本を出すことになったの!その手伝いをしてほしいんだけど、そのえーっと・・・ええい直球勝負!わが社の社員になりませんかサトシさん?一気に副社長に迎えるけど!」

 「ちょ、落ち着けセレナ!てかまたこのパターンか!」俺はセレナをたしなめながら自分自身にも落ち着くように言い聞かせた。

 数分後、落ち着いたセレナは俺に謝ったあと、再びスカウトを始めた。

90名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:36:37 ID:t/bbNoCM0
「サトシはカントーだけじゃなくてほかの地方も旅をしてその特色をつかんでるし、顔見知りもいっぱいいる。調査がやりやすくなるのは間違いないわ。私もサトシは信頼してるしこれ以上いい条件の人材どこ探してもいないのよ!」

 「なるほどなぁ」俺は納得しながらうなずいた。今までは旅で得た何かを評価されてきたが、今回は旅に出たこと自体が評価されているようだ。そう考えると俺の旅には本当に無駄なものは一つも無かったんだな、と思えた。

 「もちろん、サトシが良ければの話だよ。ほかのみんなの話と併せて考えてみて。」

 「わかった。ありがとうセレナ」セレナと一緒にたくさんの人の夢を叶える手助けをする。悪くない、むしろいい感じだ。自分が得たものを伝えるための場所にもなる。こうしてまた一つ俺に新たな道が示されたのだった。

 「いやーでもサトシがうちに就職したら今度は私と二人きりの旅になるね!」「え、あ、ああ、そうだな」

 「二人きりで色々な街をまわって行くわけでしょ。周りの人にはどう見えるかなあ・・・?」

 「セ、セレナ?」雲行きが、いやセレナが変だ!

 「いや、私と彼はそんな関係じゃ・・・でもこちらとしてはそっちの方が・・・2人きりなら芽生えるものもあるだろうし・・・」

 「もしも〜し、セレナ、もどってこ〜い」「えへへへへ、えへへへへへ」だめだ。セレナは壊れた。夢の世界へ飛び立った彼女を見ながら、こんな社長がいる会社は大丈夫なのだろうかと、俺は別の意味で頭が痛くなってきたのであった。

91名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:37:21 ID:t/bbNoCM0

 この一日だけで数多くの進路の紹介を受けた俺、だが驚くことになんとそこから一週間の間にさらにスカウトに来る人が現れ続けたのだった。

 バトルフロンティアからリラとジンダイさんがやってきて新たなフロンティアブレーンとして俺をスカウトしに来たり。

 P-1グランプリで知り合ったアノキさんが「オコリザルの子供であるマンキーを一緒に育てて世界を目指そう!」とやってきたり。

 リザフィックバレー管理人のジークさんがやって来て「将来自分に代わってリザフィックバレーの管理人になるつもりはないか?」と聞いてきたり。

 ハンサムさんが一緒に私立探偵をやろうと言ってきたりもした。丁重に断ったが。

 今ここに挙げたのはほんの一例であり、もっとたくさんの人たちがおれに会いに来て話をし、未来を語り期待の言葉をかけてくれたのだった。これはとても嬉しい事だ、それに間違いはない、だが俺は困ってしまった。ほんのすこし前までは未来が見えず悩んでいたのが今や示された未来が多すぎて悩んでいるとはこっけいな話だ。

92名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:38:36 ID:t/bbNoCM0
やりたいことをやればいいと皆が言う。もちろんその通りなのだが、俺はわがままなのか、馬鹿なのか、すべてに挑戦してみたいと思ってしまっている。トレーナーとしての挑戦、ポケモンを守る活動、後進の育成。そのすべてに全力で取り組んでみたい・・・だがそれはできない、できるはずがない。どんなに悩み迷おうと俺は決めなければならない、たった一つ、自分が人生をかけて進む道を。そしてその道を全力で進んでいかなければならない。それが俺がみんなにできる唯一の感謝を示す方法だった。

 でも決められない、時間はあるが決して長くはない。一人で悩んでいても仕方がないと悟った俺は再びオーキド研究所の扉を叩き、思うことすべてを博士に打ち明けた。博士は黙って俺の話を聞き、少し考えたようなそぶりを見せるとこう言った。

 「サトシよ、その悩みに応える前にわしの話を聞いて欲しい。…安心してくれ、何も意味のない話にお前さんを付き合わせる訳じゃあない。わしが話したいのはこの爺がなぜポケモンの研究者になろうと思ったのか、そのきっかけとそこから何を思い今日まで生きてきたのか?ということじゃ。少し長くなる、それでもかまわんかね?」

 俺がかまわないと答えると、博士はミルクの入ったマグカップを俺に渡し、どこからか古いアルバムを持ってきて俺に見せてから自身の昔話を始めた。

93名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 06:46:32 ID:t/bbNoCM0
短いですが続きを更新しました。このオーキド博士の話が最後の山場となります。ここもあと少しで書きあがるので少々お待ちください。皆さんに最後まで楽しんでいただけるよう頑張ります!

94名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 08:51:32 ID:MTmE8PhQ0
乙!

期待してるぜ!

95名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:19:39 ID:t/bbNoCM0
わしがなぜ研究者になったのか、それを決めたのはわしが12歳のころ、お前さんと同じくポケモンマスターを目指して全国を旅しておったころじゃった。

 当時のわしはそりゃあ強かった。嘘ではないぞ!ライバルの女の子がおったのじゃがその子もかなりの強さで大人も顔負けだったのじゃが、わしにだけは勝てなかったんじゃからな。まぁ、その話は置いておいてわしは強く、周りも「きっとポケモンマスターになるだろう!」と口々に誉め囃したもんじゃ、わしもその気じゃったし、そのための努力を欠かさなかった。

 ある日のことじゃ、わしはポケモンによって受けるわざのダメージに差があることに気が付いたんじゃ。今当然とみなに知られている「タイプ相性」のことじゃな、当時は研究も進んでおらずそんなことは知られずにただただポケモンによって攻撃力と防御力に差があるとしか考えられていなかったんじゃ。

 わしはこの謎を解くために実験を始めた。手持ちのポケモンのわざを調べ、そして撃ちあったんじゃ。結果手持ちのポケモンがどんな攻撃に強く、そしてどんな攻撃に弱いかという事はわかったんじゃ。だがポケモンの数は当時でもわかっているだけで100を超えておった。そのすべてを調べることは不可能だった訳じゃな。

96名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:21:06 ID:t/bbNoCM0
そしてわしはポケモンについていろいろと考えるようになった。「ポケモンにも得手不得手があり、生態があり、相性があり、それぞれのルールがある。人間と同じように生活する彼らのことをわしらは何も知らない、それでよいのか?」とな。

 そしてわしの旅がセキエイ高原にたどり着きポケモンリーグに挑戦する寸前になったときわしは自分の旅を終えることを決めた。このままポケモンのことを何も知らないいまま、ただ勝負に勝っただけで「ポケモンマスター」という称号を得ることに疑問を持ったからじゃ。むろん止める人も数多くおったよ、特にライバルの女の子は大変な騒ぎ様でな、「私に負けるのが怖いのか!」とすごい剣幕じゃったよ。

 ・・・思えばその子はわしに勝つために努力を続けておったからの、きっとわしが勝ち逃げすることが許せなかったのじゃろうなぁ。いや、ライバルを失うのが惜しかったという方が彼女らしいかの、・・・目を閉じればゴーストタイプを使う彼女のことが今でも思い出せるわい。

 ああ、すまんの脱線してしまったな。話を戻そう、その後わしは再び旅に出た、ポケモンの種類とその相性、今でいうタイプじゃな、それを調べるためにな。多くのトレーナーや野生のポケモンと出会い、調べ壁にぶつかり、それを乗り越えわしはポケモンのタイプの分類を詳しく分けそれを調べられる装置を作った。今ポケモン図鑑の中にも入っているものの基礎となった物じゃな。・・・知らなかった?お前のぅ、少しは賢くなったと思ったが変わらんのぉ。

 まぁいい、わしはその頃にはいいおっさんになっておった。そしてポケモンのタイプとその相性を学会に発表して一躍有名研究者の仲間入りをした、というわけじゃ。じゃがまだまだわしには知りたいことがあった。この世の中にはどんなポケモンがいるのか?どんな生態をしているのか?それを調べることが生きがいになってたわけじゃな。

97名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:21:50 ID:t/bbNoCM0
それを調べ続けわしはとうとう自身の集大成と呼べる物を完成させた。ポケモン図鑑じゃな。これを使えばポケモンの情報が捕まえるだけでわかる。わしが知りたかったこと、皆に伝えたかったことが全てわかる!そう意気込んだわしは再び旅に出ようと思った・・・じゃができなかった。・・・わしはいいおっさんからじじいになっておったんじゃ。わしがポケモンのことを知りたいと思ってからあまりにも長い年月が経っておった。もうわしに旅に出る体力は残ってなかったんじゃよ。

 わしは絶望した。過酷な道を切り開き、ここまで来たが、今ここから!という時に道が絶たれるとは・・・わしは力なく座り込むことしかできなかった。そのときじゃ

 わしの後ろから現れた人間がな、わしが進むことを諦めた道に飛び込み、そして道を作り始めたんじゃ。それも1人2人ではない、100、1000、いやもっと多くの人々が先に進もうと飛び込み、そして己の道を切り開いていった。わしはその人たちが作り上げた道を進みその先でわしの夢の結晶、完成したポケモン図鑑を見つけられたんじゃ。

 わしの後ろから現れた人々、誰だったと思う?それはサトシ、お前さんたち若い世代の人間じゃよ。

98名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:22:29 ID:t/bbNoCM0
彼らは「オーキド博士に憧れて研究家を目指しました!」という人もいれば、関係なくポケモンマスターを目指す人間もいた。じゃが共通して皆わしのおかげだ。と言っておった。

 ある人間はわしのタイプ研究をもとに新しいタイプを発見し、またある人間はポケモンの生態研究を元にポケモンの誕生、「タマゴ」について研究しタマゴグループというものを発表し、またある者は進化のさらなる可能性を追求し「メガシンカ」を見つけ出した。全てわしの研究がもとになってのものだった。

 わしはその時になって初めて気が付いたんじゃ、わしの進んできた道は「わしだけが進む道」では無かったことにな。わしが切り開き、進んできた道、その道を通って新しい世代の人間がさらに道を切り開く、その繰り返しじゃよ。誰だって自分だけの人生を進む人間はいない。誰かが開いた道を進み、誰かと共に人生の道を進み、そして誰かに道を譲ることになる。

 わしが言いたいことは2つじゃサトシ、お前さんが進もうとする道どれもが素晴らしい、きっとお前さんがこれから切り開く道は先の世代の人々の進む道になる。今はどの道に進めばいいかわからなくてもきっと時が来ればわかる。その日はそう遠くはないじゃろう、今は悩め、それで良い。そして・・・

 そこまで話すと博士は俺に深く頭を下げそしてこう言った。

99名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:22:56 ID:t/bbNoCM0

 「わしの夢を叶えてくれて本当にありがとう

100名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:23:27 ID:t/bbNoCM0
博士との話を終え家に帰った俺は博士の言葉をずっと思い返していた。自分だけの人生を進む人はいない、俺もこれから先俺を誘って

くれた人と共に人生の道を歩むことになる、隣でともに歩む人、それは誰なんだろう?
「ピカチュウ、お前俺の人生のパートナーわかるか?ああ、お前はもちろんだけどそれ以外な!」
「ピィカ?」ピカチュウもわからないようだ。まぁ当然だよな。俺はピカチュウにおやすみと告げ一緒にベットに潜り込んだ。

 気が付くと俺は道の真ん中に立っていた。見当もつかない場所、周りを見渡していると自分が経っているのは分かれ道の入り口だとい

う事が分かった。

 どの道へ行けばいいのか?普通なら止まっていた方がいいのだろうが、なぜか進まなければならない気がした。
でもどの道を進めばいいのだろう・・・?迷う俺の肩を誰かが叩いた。そして

 「一緒に行こう、サトシ」

101名無しのデデンネ:2015/04/13(月) 23:24:22 ID:t/bbNoCM0

 再び気が付くと俺はピカチュウと同じベットの中にいた。
「今のは・・・夢か。」そう気が付いた俺だったが。眠る前とは違うことが一つあった。

 すぐにベットをでて居間へ向かう。電話を前に再び自分に問いかける。この道で良いのか?と、答えはYESだ。

 目を覚ました時、自分の進む道が決められた気がした。解ったんじゃない、決めたんだ。これから進む道も、一緒に歩く人も。だからすぐに伝えよう、博士の言っていた「わかるとき」が来たのならすることは一つ、全力で進む、それだけだ。

 かつての旅の中、俺は新しい世界に進む鍵をいつの間にか手に入れていたらしい。それを使ってこの先の未来に進む。みんなと一緒に。それを最初に伝えるのはこれから先、一番近くにいてくれる人だ。電話をかけてしばらく待つ。まだ朝早いが出るだろうか?

 きっとこれから先、大変なこともあるだろう、でも一人じゃないなら大丈夫だ。ピカチュウたちもいる、皆で切り開いていく道はきっと素晴らしい未来につながっているだろう。いつか道の先で俺達の過去が誰かの未来につながっていく事を夢見て、生きていく。

 電話が繋がり、相手の声が聞こえる。さあ、伝えよう、自分の決意を、自分の言葉で。

 俺達の進む未来が今、ここから始まった。

102名無しのデデンネ:2015/04/14(火) 04:44:34 ID:YxwvIDeI0
なんだかはっきりとしませんがこれで完結です。サトシがどんな未来を選んだのかは皆さんのご想像で・・・と言うマルチエンディングでいかがでしょうか?

もともとこのSSを書こうと思った理由はアニポケを題材としたSSでサトシがまともな大人になっているものがほとんどなかったからです。
それが悪いとかではなくて、単純に幸せな未来を過ごしているみんなを書いてみたくて無謀にもこのスレを立ち上げてみました。自分が書きたかったものが書けてひとまずは満足しています。サティスファクション!

 ここまで読んでかださった方、または感想やアドバイスを下さった方々、本当にありがとうございました。ここまで書き上げられたのは皆さんのおかげだと思いますし、アドバイスのおかげで読みやすく楽しめる内容になっていたと思います。
もう一度、本当にありがとうございました。

 これでもうSSは書かないのか?と聞かれるとそうではなくまた別の作品を執筆中です。こっちでも皆さんに楽しんでいただけたら嬉しいです。また、リクエストがあればこのSSの続編も書いてみたいと思っています。その際はどれか一つのルートを決めて書くことになると思いますので良ければリクエスト気軽にお声掛けください。

 ここまで長々とお付き合いありがとうございました。また次のスレで会えるのを楽しみにしています!ではこの先の未来でまた会いましょう!


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