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動作テストスレッド

29タカハシ ◆2yD2HI9qc.:2009/03/23(月) 13:40:22
● 対峙

扉の奥にある真っ直ぐで不気味なレリーフの階段を、何段駆け上っただろう。
果たして本当に終わりがあるのかさえわからなくなるほど、長い距離と時間を駆けている。
先が真っ暗で何も見えないせいもあるとは思うが、実際にはたいした間ではなかったのかもしれない。

ついに、ここで答えが出る。
この世界へ来てずっと、この瞬間の為に暮らし戦ってきた。
随分と年も重ねた気がするし、考え方もすっかり変わった。
トルネコと一緒の旅は、とにかく勉強の連続であのまま商人になってしまうのではと本気で考えたし、世界についてたくさん学んだ。
ネネというトルネコ最愛の人にも会い、勇者という重たい重圧の中、その事を表には出さないが時々ふと見せる表情が、今も忘れられない。
暖かく俺を見守ってくれた、この世界での親みたいなものだった。
テリーとは戦い三昧の旅をした。
こうしてここに居られるのは、あの時に教えてもらった実践的な戦いのおかげだ。
年の近い友達と本気の旅は本当に愉快で面白く、ここにきてのマジャスティスにはとにかく驚かされた。
メイとは…… 一番長く旅をした。
女の子と旅をするなんて考えもしなかったけど、とにかく頭が良くて明るくて俺を元気にしてくれた。
魔法の素晴らしさも教えてもらい、ふとした事の楽しさまでも教えられた。
それは恐らく、俺の気持ちのせいなのだけれど、そうした全部は魔王によって──

良くない気持ちは、持たなかった。
魔王を倒せば全ては元の通りになるという、精霊達の言葉があったからだ。
トルネコもテリーもルビスも、メイだって──
俺がうまくやればみんながまた元の、平穏な暮らしに戻ることが出来るのだと考えると、一気に気力が充実してくる。
俺も全く帰れないというわけではないらしいから、とにかくやるしかなかった。

真っ直ぐ伸びる終わりの無い階段だと思ったが、そのうち目の前にぽっかりとした穴があいた、奥の間へと続く入り口を見つけた。

「まるで空気が違う──」

これまでとは明らかに違った気配と、べとつく様なべったりとした圧迫感。
始めて魔王と対峙した時とは別格だった。
あれから魔王は、相当に強大に成ったとも言える。

ここまで来たんだ。
もう何も、考えたって仕方が無い。
出来る全てを魔王にぶつければいい。

入り口をくぐるとこれまでと違う、闇が広がっている。
じわりと、一歩を踏み出したその時──

「我が元へ、よくぞきた。待ち侘びたぞ」

魔王の声とともにボボッと明かりが灯され目の前を真っ直ぐと照らし出す。
その先に、魔王── ゾーマの姿を見た。

「さあ。ここまで来るがよい。
 ここまできて細工など何も無い」


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