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動作テストスレッド

22タカハシ ◆2yD2HI9qc.:2009/03/23(月) 13:32:45
そんな風に変わらない気持ちで鍛錬しているつもりだった。
けれどこの日に限ってからっぽの気持ちを抱き、力はすんなりと思う通りとなり、抑える独特の震えに怯えることも無かった。
昨日までは鍛錬をしていても、どうしたって様々なことを考えていたというのに。
どうしても身体はこれまで以上にすいすいと動き、曇りなどなくなったように明るい。
だが、これで魔王に太刀打ちできるかと言えば、はっきり無理だろうと言える。
この幾日か、これ以上は強くなれないのではないかと考えていたが、ついにここが自分の限界なのかと悟ったその時──

「……やっと極めたな。我々はずっとお前を見つけ、起こるその瞬間を待っていた」

意識へと語りかけてきたソレが、どこからという間も無く身体へと流れ込んでくる。
どこにも気配や姿など見えず、卑怯なくらい一方的なソレが容赦なくチクチクと背中のほうへ刺し込む。
激しくもがき抵抗するも、ついにはとうとう、入られてしまった。

「なにものなんだ?!」
「案ずるな。我々はルビス様に仕える最後の精霊。
 お前の中にある"希望"を開放させるため、ここまで様々な地を探しお前を見つけた」
「何を探してどうして俺なんか」
「オリハルコン──
 どうしても必要な物だというのにお前は手放し深い暗闇へと堕ちた。
 まったくそれは鍵となるのだからどうしても手に入れなければ成らなかった。
 そのために仲間の精霊が二人も犠牲となったのだ」
「そのオリハルコンがどうだっていうんだ。手にして戦っていたって魔王には一切が通じやしなかった」
「オリハルコンはお前の中にある"希望"…… ルビス様の言う"真の力"を起こすために必要なのだ」

突如現われた声に、入り込んできた精霊達の言う言葉に、まったく嫌気が差す。
オリハルコンは真の力を発揮するのに必要なんだと、ルビスからはすでに聞いている。
だが真の力を発揮した結果は散々たるもので、結局メイを死なせルビスまでも土へ返してしまったではないか。
今更そんな事を言われてもまったく、聴く耳も持たない。

「お前達の言うことはルビスから何度も聞いているし、結果こうなっているじゃないか」
「あの時点で魔王がお前の元へ現われるなど、我々の予想出来なかった事なのだからそれはどうしようもない。
 お前はなにも、間違ったことなどしていないのだ。
 自分の限界を知った今、ようやくオリハルコンによって真の力を発揮できる本当の準備が出来たと言える」
「信じられないな。ここまで生き残りオリハルコンをどこからか見つけてくるくらいに強いお前達が、世界を救ったらどうなんだ」
「……それは出来ない。我々はすでにオリハルコンとの融合を終えルビス様の息のかかった者としか接触できない。
 実体はすでに無いのだ。剣を扱うことも魔法を使うことも出来ない。
 もし実体を保っていたとしても、真の力を秘めるお前にしかやはり、世界は救えないだろう」
「……お前達が今の俺に入れば真の力が発揮できると、そうなのか」
「そうだ。ただし、オリハルコンは使えない。状況が変わってしまったのだから併せて状態も変えなければならない。
 お前は、魔王の元へと赴き魔王の力を弱める必要がある。それが真の力を開放する条件でありお前のするべき仕事だ」
「じゃあ…… ルビスが強くなれといっていたのは、魔王の力を弱めるためだと。
 そうすれば隠された真の力が発揮できるのだと、そういう事なのか」
「その通りだ。お前がこれまで真の力だと考えていたのは不完全な、お前の感情に反応するオリハルコンの特性から無理に引き出された、中途半端な力だ。
 ルビス様はお前の気を削ぎたくないと、伝えてはいないようだが。
 さあ、我らを連れて進むのだ。お前の今の力で十分、真の力を解放する可能性は残されている」

これが限界で明らかに魔王になど立ち向かえないというのに、それでも真の力が発揮されるという。
これ以上どうしようもないというのに、俺は最早その時になると別の生命体にでもなるというのだろうか。
それでも、俺にはなにも見えていないから、精霊達に従って動くしか先が無い。
だが、進み始める前に確かめておきたいことがあった。

「……わかった。いう通り魔王の元へいく努力をしよう。
 だが解るなら教えて欲しい。どうして俺がここにいるのかを」


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