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ホーリーランド4 イラスト&SSスレ

1サブGK(ENT):2013/10/19(土) 19:27:56
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507超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:04:17


そして彼女は病室に到達する。
青一色の回廊を抜けると今度は青と白のコントラスト、先ほどどこか神秘的な装いとは180度変わった。
明るい晴れやかなイメージが少女の前に現れていた。

そこは想像していた集中治療室のような重々しいものではなかった。
ベットのほかには机がある程度、清潔ではあるが極めて質素な部屋だった。唯一、海洋を見渡せる窓
だけが、唯一部屋に彩りを与えており。海面が光を反射しキラキラと輝き、その上には小さく空を行く
カモメの影が見え隠れする。

部屋には二人。
ベットには老人が一人。脇にはピンクのナース服を着た少女が控えていたが、老人はこの来訪者の
登場に驚いた様子も見せず、少女を制すると自力でゆっくりと上半身を病床より持ち上げた。
齢は80を超えているだろう。若いころはさぞ精悍であっただろうと思われるが今はなんのこともない
無力な老人。戦意や覇気、抗う気力といった抗いの意志はそこにはなかった。
その好々爺した姿からは半世紀に渡り、この国と共にあった国士としての威厳は感じとれなかった。

全ての手筈を用意周到に整え、彼の全てを引き継ぐに足る器がここに到りつくのを待っていた
だろうその人物は、現れた刺客に対して、あろうことか手を広げ、優しく笑いかける。

運命を受け入れたか。少女は僅かばかり眉を挙げ、ターゲットを凝視する。
あとは一息に距離を詰め、胸元に飛び込み、全てを終わらせるだけ。殺人機械である自分には容易いことだった。




この最終局面を迎え、一つ、ひっそりと新たな動きが発生した。
彼女の中に内蔵された人工魔人頭脳システムBouleOSがその本来の役割をなさんと起動しはじめたのだ。
OSは『未来の本体』に対し、この世界で収集した情報を未来に向かって発信をする為のカウントを刻み始めた。

BouleOSの最大の目的はRMX-114のサポートではない。第一目的はあくまでRMX-114が収集した情報を未来に
存在する十束学園へ送り届けることにある。
自分はこの忠実な分身と共に得た情報を未来の自分に対し、学園の指示通りに送り続けていればよい。
今回のあるいは今まで繰り返したRMX-114の試みが成功であれ失敗であれ、正否は問われない。送ることこそが
重要なのだ。彼女の中の機械はそう考えている。

自分達は末端であり、最終判断するのは未来の『正史』に鎮座する本体であるからだ。
もし今回が失敗と判断されても彼のメインホストはその情報を参考に改修を施したRMX-TYPEを作りだし、
再び過去の一六九の胎体の元に送り込む。
そして発生した過去は常に上書きされ、更新され続ける。
そう何れ『学園』が万全であると満足する結末に到達するまで。ループは繰り返し続くのだ。

『正史』からの執拗な歴史改ざん。それがRMX-114のもつ宿業、無限ループの正体。
ALL FOR 十束学園。
全ては学園の都合のいい結末の為に。

とまれ今回、今まで所在不明だったフィクサーの位置情報を得たのは飛躍的な全身だった。
あとはEnter(実行)キーを押し、この老人を排除するだけ、まだこの身体の組織崩壊には十分間がある。
忠実な分身が作業に移してくれるだろう。
―――――
実行。
実行。
実行。
―――――。
だが、忠実な分身であるはずの身体はフリーズしたままピクリとも動かなかった。
―――RMX-114?実行?

BouleOSに少なからぬ衝撃が走る。それは今まで幾多幾層も繰り返して来たタイムループでも一度も
発生し得なかった現象だったからだ。
――――――――――RMX-114、対応。

彼女は全身に脂汗を掻きながら見えない何かと格闘していた。
いまだかつて感じたことのない何かが、彼女を、その足をその場に縫いとめていた。

508超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:08:42
●藍は青よりも青し。血は水よりも(タイムループ症候群Ⅳ)

人工魔人頭脳システムBouleOSは、自身のバイパス所有者RMX-114の異常事態(フリーズ)を覚ると原因分析を始めた。

――原因の特定に成功。確率91%
――対象のEO(えらそーおーら)値測定不能。EO値測定不能。RMX-114の数値5。現状最大の阻害要素と認識。

原因検出までかかった時間は僅か0.05秒。原因は意外なところにあった。
それはBouleOS自身の不手際、「場の空気を読んだ」ためだった。
RMX-114が他のメンバーと最初に特殊空間に降りた際、OSが最初にした作業は、魔人能力の調査。
分析の為に、特殊空間の因子を一滴、サンプルを取りこむことだった。そしてマニュアルに従いその空間に
順応できるよう彼女の状態を最適化(カスタマイズ)したのだが、それが誤りとなった。

この空間は一分子一分子、フィクサーの精神で出来ている。それを彼女は内側に取りこんでしまっていた。
それが周囲の空間と共鳴し、染みいでるように徐々に彼女の精神に浸水していっていたのだ。

【環境への順応】と言えば聞こえはよいが言い換えればそれは場に馴染むための【認識の共通】である。
フィクサーは魔人ではなくあくまで単なる人間であるから、能動的に何か手を打っているわけではない。
また認識勝負に関していえば魔人であるRMX-114が人間である彼に劣るとは考えにくい
ただ、問題はその精神の大きさにあった。そこに鎮座するのは、半世紀、一国を支え続けた英傑の精神である。

【認識の共通】に照らし合わせればフィクサーは日本社会のピラミッドの頂点であり、彼女は大会長を
前にした就職前の女学生にも等しい存在だ。BouleOSはそう結論付けた。
そこにいるだけで圧倒的な浸透圧(カリスマ)が、彼女を押し込め、畏怖させているのだろうと。

BouleOSは、打開策を模索し始める。
――力関係を無効とする空間順応。再構築が必要。ナノ・時間的制約有。実行不可。破棄。仮想人格。起動。

原因特定から0.2秒後、無情にもBouleOSは主人格の破棄を決定した。
どんな強固な防波堤をひいていても一度ほころびが出来れば脆い、僅かな蟻の穴から堤防は崩れていくものなのだ。

pppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppppp

BouleOSは、RMX-114の状態復旧を放棄し、任務遂行のため自らが宿主に取って代わる強制執行の手続きに入る。
各種伝達指令を遮断、
仮想人格「ダミープログラム」起動、目標のEO力を除外できる設定プログラムを構築準備…

淀みなく流れる作業、そして同時に未来の本体『魔人頭脳』への情報送信の準備を始める。
今回も失敗である。だがその失敗例を元に上書きされた次の過去はより望ましいものとなるであろう。
そして我らはまた弛まなく進歩し続ける。それが永続の学術機関「十束学園」の真髄である。オールフォー十束学園。

ppppppppppppppppppp―プッツン―――h?

だがBouleOSはその作業を完遂することなく終わりを迎える。突如、襲来した何かにより送信機能が停止したのだ。

ガガガガガガガガ。
何かを破壊するような音が周囲に響く。

―GAGAGA/////error? error? invade? CRASH!?アイエエエCRASHCRASHナンデ!?

機械を打ち砕きつつあるのはどこぞより飛来した手裏剣めいた奇襲、BouleOSは攻撃元の特定に入る。
検出までかかった時間は、時間は、

――特定不可。悪質。不明不明、理解不能理解不能。送信を。送信を。送信を―ツ―ッ――ッ――ッ――

そうそれは堤防が蟻の一穴から崩れる様に生み出された一滴(%)の誤算。
それによる致命的な一撃はosの想定しうる外部でも内部でもなく「彼女の精神の裏側」から振り下ろされた。





あの人の姿を一目視た瞬間、視界が急激にぼやけた。
足元が今まで感じたこともないほどゆらぐ、ぐらつく
身体は前のめりの姿勢のままなのに、意識が物凄い勢いで後づさりをしようとしているのを感じる。

何が起こっている。

目標を視認してからの彼女は一歩も動けなかった。
ただ行きかうのは 怖い、行かなきゃ、怖い、行かなきゃ、ひっこめは出る感情の繰り返し。

そんな彼女にやがて訪れた感情は自嘲。困惑。自失と孤独。感じた順番はその順だった。

509超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:09:56
自嘲は視界端に浮かんだBouleOSによる『強制終了(OharaibakoDos)』のカウントダウンを目にした時、
どうやら役立たずとして主人格(じぶん)の意識を廃棄する気らしい。
使い捨て…最後と息込んだ任務すら遂行できずに中途で取り上げられる己の不甲斐なさを哂った。

困惑はそのカウント秒読みが突如、止み、OSが停止したことによって起こった。
切り離され、自身が放逐されたかと思ったがそういう訳ではない。
彼女の中であれほど支配力を発揮していたBouleOSが、突如、消滅したのだ。



そして来る。自失と孤独。

































彼女は放り投げ出された。ほとんどの感情制御や行動基準をOSに依存していた彼女は、
全ての強固ば外殻に守られていた彼女は、そこで初めて




自分が生きる世界の広さに初めて恐怖した。






彼女は泣きたくなったが、まずどう泣いてよいか判らなかった。

おそいくる不安をわめき散らしたかったが、わめき方が判らなかった。

何をすればよいかなど考える術などなかった。



自転車の補助輪も外せない子供が、突如、太平洋のまん中に一人ぼっちで投げ出されたようなものだった。

なんでも誰でもよいので助けてほしかったが 縋る藁さえなかった。




漂い。
そして

足掻くこともなく、ただ広い孤独な蒼い海に精神が沈んでいく、


手は海面の光には遥か届かない。


―――大丈夫。

―――いつだって―――は一緒だから


そんな彼女の膝を抱え蹲ったその背中を後押しするがごとくポンと何者かが押した。
そこで彼女は現実にと還る。

510超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:13:26

日当たりのいい病室。
余命いくばくもない老人がベットにいる。目的地はその胸元だった。

「〜〜〜〜  」

少女は必死に力を振るい全力全速でそこに向かう。けれども足取りは酷くよたよたで息はとぎれとぎれであった。

ばふっ
それでもようやく目的に辿り着く。そこはお日さまの光を吸ったシーツの匂いがした。

そして蹲ったところを優しく頭をなでられた。そこで彼女は初めて

泣き方を思い出した
わめき散らしても いい場所があったことを思い出した。
太平洋のどまん中の中、縋るべき藁を見つけた。

―――だって この人は―――


「「「おじいちゃん、おじいちゃん、しんじゃやだーーー。」」」」」

――私達の家族なんだから
そして少女はうわんうわんと外聞もなく声をあげて火のついた様に泣き出す。
宿業と非業の戦士と謡われた者はわき目もなく嗚咽をあげる。そしてそんな自身のことを恥かしいとも無様とも思わなかった。

それはどこか迷子となり途方に暮れていた子供が、ようやっと自分の帰る家の灯を見つけた
そんな泣き方だった。


その泣きじゃく姿をどこか他人事のように見下ろしながら、彼女の精神は今初めて自分の周りを見渡した。

いつも彼女の周りにはOSという壁があり、それが全てを遮ってきた。
始終囲まれ前だけを見るよう視界を遮られ、その指示に従い、想うことなく唯生きてきた。

ずっと自分に心などないと言い聞かせていた少女はそこで初めて、本当に初めて自分の後ろを振り返ってみた。

振り返って見て彼女は初めて知った。
自分と同じ顔の少女がひとり、そこに佇んでいたことを。

それは自分が殺した少女、歩むべき人生をかすめ取り、存在自体を踏み台にしてしまい抹殺したはずの少女。

(ああ、ずっと、ずっと貴方は私のそばにいたんだ)
彼女はゆっくり頷く。

(気づいてあげられなくて、すまなかった)
今度はゆっくりと彼女は首を横に振る。

そして目線をベットで泣きじゃくる少女へと向ける。その眼差しは例えようもなく優しげなものであった。
少女もまた同じようにそれをみやる。そうだ。

家族が家族を心配したり、死に目に取り乱したりするのは当たり前。

家族なんだから当たり前。

なら今はこのひとの家族として精一杯すべきことをしよう。縋って縋っていなくなることを
唯ひたすら哀しもう。
大丈夫、あたしのとき、あたしのことを泣いてくれる人は今もうここにちゃんといるから…


BouleOSが見落とした『認識の共通項』。それは「とある一族の家族の絆」。

タイムループを繰り返し、閉ざされた世界で当てもない旅を続けた少女。

大好きなおじいちゃんの膝元。
そこがRMX-114こと一六九の人生の安息にして終息地点で合った。



回廊を抜け、少年と少女が部屋に辿り着いた時、彼らの見たのは
病室のベットで身を起こしている好々爺の老人と、その膝元で泣きつかれ
今は穏やかな寝息を立てるロック少女の姿だった。

「――――」

少年は驚いた様に呟いた。
耳の聞こえない少女はその声を聞きとることが出来なかったが、何を意味する言葉を
いったのか明瞭に理解できた。

彼はきっとこのような類の言葉を発したのだ。

「あの人、僕の源流(オリジナル)だ」と。


少年は初めてしった。99%が魔人と謳われ、自らもそう名乗る一一族、何故自分達がそのような
名乗りをあげているのか、その理由を。残りの1%の存在を。
そう、何事も例外はある。そのことを決して忘れてはいけない。そしてそれを知ることはまた
次の新しい第一歩を踏み出すことへと繋がるのだ。


〜同時刻、同空間の通路にて〜

『はあ?なにいってやがる。少年のほうはあくまで賞品だ。じーさんの遺産引き継ぐのは、
この大会の優勝者、手前らの誰かだぞ。』
「「なっなんだってーーー」」

暫定1位と3位の声が綺麗にハモり、通路内に響き渡った。
                
                     ( つづく

511minion:2015/12/27(日) 08:05:22
紫ノ宮緒子&天奈瑞。一人のおっぱいがおっきい。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54238313
メリークリスマス! この2人も2015年のサンタガールだ!

緒子「プレゼントを受け取らないといたずらしますわよー!」
天奈「緒子、それハロウィンだから」


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