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ホーリーランド4 イラスト&SSスレ

1サブGK(ENT):2013/10/19(土) 19:27:56
ホリラン4の作品はこちらにお願いします!

407超時空軽空母『綾鷹』DEATH:2013/12/07(土) 12:43:07
†††

―― 病院中庭 ――――

『シスター・マリー。

お前は見事”才”を開花させた。
戦うことでしか、発揮せえぬ”鬼の力”という才を。
ただそれだけでは駄目だ。”才”に見合った”業”をトモなわなければ、ただの修羅のまま終わってしまう。

己の業と才の全てを「恋愛」と言うファクターに食いつぶされたチョロイン達と同じ轍を踏むことを意味する。

そうではないと示さなければいけない、費やした覚悟と勇気のみが、己が業と才いう力を制するのだということを。

そして、そのことを『スポンサー』に示してほしい。
それを持ってわらわの今回の『仕事』は終了することとなるのだから。

――――で、さてと、
後の問題は…然したる目的もなく明日なきまま修羅道まっさかり爆走中の高学歴おっぱいどもになるわけだか、
コイツら本当にどーすっかね。
カジノに来ると想定すると紫ノ宮やマリーの転校生戦の邪魔にならないようわらわがコイツの足止めするのが
正しい流れだ。ただ生憎と最悪のタイミングで膝に矢を受けてしまっている。
今のわらわじゃ奴らにとって美味しい『鴨』でしかないわけだ…矢鴨かよ。足止め役すらできんじゃねーか』

黒帽子は”本人にも”聞こえない独り言を呟く。
月の巫女の退場による余波は思わぬところに波及をしていた。ここに来て聴覚の治療までも出来なくなったのだ
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
回避が出来ないということはアンラクシ―の攻撃を全弾防御できないということと同義なのだ。
しかも相手のほうが反応値が高く、逃げ切ることも難しい。狙われたらその時点で勝ち目はほぼゼロなのだ。
はち合わせた時点で『綾鷹』の優勝の目はほぼ消えるといっていいだろう。だが…

『だが、それはまあいい――こっちは少年を確保した誰かがトータルで1位と2位を押さえ優勝すればそれで『勝ち』なのだから。
どちらにしろ、この世界の以降の命運はお前らに託すしかないのだし。
ただアンラクシ―の奴は勝てばいい理論だから少年を転校生に取られても、気にしねーだろう…そこがな…。
お、うのみの線もあるか。ギリはどうかな。

さて、じゃわらわは今の自分で何が出来るか。もうちょい考えてから行動に移すとするか…。』


そして
各々の思惑の元、大会は運命の最終日を迎える。

(大会7日目採点結果)

シスター・マリー  100点満点(最大成果・花マルの◎)
超時空軽空母『綾鷹』 0点  (自己採点・勝てない戦にて痛恨の一打。大×)


                          (Battle Cinderella〜sea side episod05【業と才】〜了)

408ラ・ピュセル:2013/12/07(土) 15:48:30
〜〜これまでのあらすじ〜〜


第1ターン行動提出内容「リスクを極小に、リターンを極大に」
第2ターン行動提出内容「リスクを極小に、リターンを極大に」
第3ターン行動提出内容「リスクマネジメントは無し、リターンを極大に」
第4ターン行動提出内容「目立ったリスクは無し、目立ったリターンも無し」
第5ターン行動提出内容「目立ったリスクは無し、目立ったリターンも無し」

そして……


■■■


〜〜今回のあらすじ〜〜


第六ターン行動提出内容「リスクを極大に、リターンは……特に無し!」

「――さて、言い訳を聞きましょうか」
「待ってくれ。その剣をしまってくれないか」
「前回の反省会で、あからさまに不穏な発言をしていた理由がこれだったのですね」
「勝てたのだから良かったじゃないか!」
「結果的にはそうですが、しかしリターンをわざわざ捨ててまで」
「まあ聞いてくれないか。事前にイラスト・SSスレの >>259 ツールを使ってしっかりと勝率は調べてあったんだ」
「――聞きましょう」
「ちゃんと勝算はあったんだよ。実際のところ、模擬戦でもちゃんと君が4勝も勝ち星をあげたさ」
「――10戦中、ですか?」
「………………25戦中(ボソリ)」
「では」
「待った待った週刊少年ジャンプで絶賛連載中のワールドトリガーのメガネ君よりはちゃんと勝つ見込みがギニャー!!」

ホーリーランド4応援と漫画のダブルステマ。


□□□


白い壁、白い天井、白い机に白い蛍光灯。

「その上、白い包帯……なんてシャレにならない状態にならなくて本当に良かったよ」
「ゲーム世界内では『私自身が考えてとった行動』ですからね。少し大目に見て加減しておきました」

いつもの部屋で、いつもの軽口。
冒頭から死ぬかと思った私だが、まあラ・ピュセルの剣は本人が非力なだけに超軽量の武器。
叩かれたくらいなら『イタイ!』で済むからこうして無事な訳だ。

「どちらにせよ、後半のここまで来て――私にも貴方の狙いは分かってきました」
「行動提出のかい?」
「三回目の反省会で仰られていましたね、『第1〜8ターンの行動提出に一本の意味は持たせる』と」
「ああ、言ったね。……あれからもう結構な時間が経ったものだね」
「行動提出内容を戦術的なものから刹那的なものへ。流れで見るとそうやって変遷させているのですね」
「うん、正解。その通りだ。ガチガチの戦術から、ノリ重視の行動へ。
 特に今回のターンは終盤を前に、初のリターンよりリスクが大きくなるターニングポイントだったからね。
 アイテムを使ってまでリターンを削り、インパクトの演出も加えての行動提出になった訳だよ」
「3ターンに一回、行動提出内容を切り替えているようにも見えますが、
 この6ターン目にそのポイントを持ってきた理由はあるのですか」
「前回のホーリーランド3を鑑みれば、おそらく次ターンにラスボス登場だろうとヤマを張れたからね。
 それまでに行動提出を完全パーティームード仕様にしておこうってね」

残すところも数えるばかり。
長く楽しませてくれたこのゲームもゴール地点が見えてきた。
一ヶ月以上に渡って付き合ってきた私とラ・ピュセルだ。こうして大会を振り返る話にも熱が籠ろうというもの。

「行動提出の仕様が変わっていくのは――私の心情の変遷に重ねあわせての演出、ですね」
「そうだね。せっかくの長期ゲームだからとストーリー仕立てのキャラクターを作ったんだ。
 それなら、応援SSや行動提出SSの中でストーリーを展開するのではなくて、ゲームシステムに直接関わる、
 行動提出内容でもそのストーリーを演出したかったからね。まあ、そういう試みだ」
「メタ視点を持たない、ゲーム内での私は、確かに周囲の影響でその心情を変化させていますからね」

だから、

「ただ、当初の予定では君の心情変化にメインで関わるのが『その名はラ・ピュセル』登場人物の岸君だったのだけれど、
 運命の巡りあわせでトラロック選手がその役を全部引き受けてくれたものだから……あっちの進行が……いやあ……」
「二章から進んでいませんね」
「ちゃんと完遂する予定だよ!?
 そう、メノウさんの製作者様。暖かいお言葉をありがとうございました。励みになっております」

色々な不安もあるけれど、

「あら――お湯が沸いたようですよ」
「ナイスタイミングだ電子ケトル。それじゃあインスタントだがコーヒーを淹れて――」

一ヶ月の積み重ねを明日に繋ぎ――――第6ターンの反省会、開催。





■■■ ダンゲロスホーリーランド4 〜Battle Cinderella〜 ライク・ア・カレーのゲーム日記(6) ■■■


<5行の空行を挟んで続く>

409宇多津 泡沫:2013/12/07(土) 16:26:12
ん〜〜〜〜。最後の最後になっちゃったけど、今まで応援で出してくれたみんなありがとうね〜〜〜〜!
頑張ってコメントしていくことにするよ〜〜〜〜。
寝てる場合じゃないもんね〜〜〜〜。

>>74
あはは〜〜〜〜。ゲロまみれにされてる〜〜〜〜。
でもあの戦いは本当あっけなかったもんね〜〜〜〜仕方ない仕方ない〜〜〜〜。
リオレイアちゃんにも悪いことしちゃったね〜〜〜〜。お詫びしようかな〜〜〜〜って思ってたら
いつのまにかいなくなっちゃってたのが残念だよ〜〜〜〜。

>>82
いや〜〜〜〜。あのときはビックリさせちゃったかな〜〜〜〜?
でもさ〜〜〜〜、睡拳使いが『起こして』なんてまだまだ甘いよ〜〜〜〜?
私みたく、寝ながら移動するとかコメントするとかしないとね〜〜〜〜……Zzz……
あ、言っておくけど感想は寝言じゃないからね〜〜〜〜?

>>98
えへへ〜〜〜〜、研究されちゃってたとはね〜〜〜〜。
でもまあ、私も数胴ちゃんに変身したことだし〜〜〜〜お互い様かな〜〜〜〜?
ちなみにね〜〜〜〜、あたしの夢遊睡拳は元々命を狙われることの多い大名とか武将が
睡眠中という最大の隙を克服するべく編み出したのが元らしいんだよ〜〜〜〜。
そのへんを説明したプロローグも書いてたらしいんだけど〜〜〜〜今更出すのもアレってことで〜〜〜〜。
現代じゃ〜〜〜〜寝込みを襲われる奴なんてそうそういないけどね〜〜〜〜。

>>131
あはははは〜〜〜〜あたしはただの夢遊睡拳使いだよ〜〜〜〜。
それにそんなセコいことするくらいなら〜〜〜〜もっとぐっすりじっくり寝てるよ〜〜〜〜。
でも確かに目立たないほうが逆に怪しく見えることってあるもんね〜〜〜〜。そのへんは私も反省かな〜〜〜〜。
あたしも拳法家廃業して、探偵になろうかな〜〜〜〜?寝てる間に何もかも解決してる、眠りの名探偵〜〜〜〜……
あれ……なんだか首筋がチクッと痛くなってきたような〜〜〜〜…… Zzz…… ……なんちゃって〜〜〜〜。

410宇多津 泡沫:2013/12/07(土) 16:54:13
>>159
えへへ〜〜〜〜、なんだか照れるな〜〜〜〜。別にあの寝言は変な意味じゃないんだよ〜〜〜〜?
どういう意味かは言わないけどね〜〜〜〜?ご想像におまかせしちゃうよ〜〜〜〜、ふふふ〜〜〜〜。
ちなみにこの枕〜〜〜〜、お母様から譲り受けたものなんだよ〜〜〜〜。代々宇多津家の女子が使ってたとかで〜〜〜〜。
でもどう使うかは寝てて聞いてなかったから〜〜〜〜、今回武具として持参した次第だよ〜〜〜〜。

>>167-168
そして戦いの描写だね〜〜〜〜、いや〜〜〜〜嬉しいな〜〜〜〜。
実際あのときは天王星ちゃんのトラウマがすごかったからね〜〜〜〜……あとなぜかはわからないけど
頭とか腕とか尻尾とか壊されたり剥がされたり斬られたりする夢を見ちゃったんだよね〜〜〜〜ってある意味当たり前なのかな〜〜〜〜?
ともあれ、お相手してくれた上にこんな素敵なSS書いてくれてありがとうね〜〜〜〜。えへへへへ〜〜〜〜。

>>169
Zzz……なんか見られてるな〜〜〜〜って思ってたらいつのまにかイラストになってたよ〜〜〜〜。
普段寝てるし目もだいたい閉じてるから自分の姿ってあんまりまじまじと見ないけど〜〜〜〜なかなかの美人だね〜〜〜〜えへへ〜〜〜〜。
私だけじゃなく参加者のみんなも描いてるとか凄いな〜〜〜〜、あたしも見習いたいね〜〜〜〜。
あ〜〜〜〜、でも寝ながらのお絵かきってなんかアレな響きだよね〜〜〜〜。そういうのが好きな人もいるらしいけど〜〜〜〜。

>>170
……なんだかあたし、一発KOってとこばっかりクローズアップされてないかな〜〜〜〜?
でもまあ仕方ないか、あはははは〜〜〜〜。天王星ちゃんのあの一発は凄いしね〜〜〜〜。
名前はある意味有名になってるわけだし〜〜〜〜そう考えればこれもまた良しってね〜〜〜〜。
お母様あたりが聞いたらすご〜〜〜〜く怒りそうだけど〜〜〜〜。

>>180-181
いや〜〜〜〜、悪かったね〜〜〜〜。でもさ〜〜〜〜こっちだって嫌な思いはしたんだよ〜〜〜〜?
あたしの変身能力は一応『負ける直前まで』完璧だからさ〜〜〜〜、わかっちゃったんだよね〜〜〜〜……
君の『正体』。……本当は直々に戦いたかったんだけどね。
ま〜〜〜〜、あたしがゴロゴロしてる間にバッドエンドとか〜〜〜〜正体バレたりしたみたいだし〜〜〜〜言ってもしょうがないかな〜〜〜〜。

>>209
きゃ〜〜〜〜、こっちも可愛いな〜〜〜〜!しかも目を開けて立って起きてるとかレアシーンだね〜〜〜〜。
しかもこれ、TV局前の戦いだからみんな見てたんだろうな〜〜〜〜。いや〜〜〜〜照れちゃうな〜〜〜〜〜〜〜〜。
パルプちゃんもマリンモンキーも可愛いし〜〜〜〜ほっこり癒されるね〜〜〜〜。いい夢見られそうだよ〜〜〜〜。
ストーンゴーレムの盾もなんかカッコいいね〜〜〜〜……ストーンゴーレム……? ……Zzz……

411ラ・ピュセル:2013/12/07(土) 17:04:11
>>408 から引き続き

「いやいやしかし、もういよいよ終盤戦に入ったんだねえ……」
「長い戦いも、そろそろ幕引きですか」
「色々あったし、トラロック選手や鏑木選手との関わりもあったし、この反省会でも色々と言ったね」
「私というキャラクターの作成舞台裏など、ですね」
「そうだったね。ううん、思えば、行動提出に通した一本筋を今回語ってしまった以上、
 これで君の作成裏話はとうとう全て語ってしまった事になるのかな。これで君の体組成は完全公開という訳だ」
「変な表現を使いますね。――ああ、いえ。まだ聞いていない事がありますよ」
「うん? 何かな?」
「キャラクターの顔と言える、私の名前の由来をまだ聞いていませんが」
「ああ、『ラ・ピュセル』」
「はい」
「そういえばそうだったね」
「まさか意味無く、などという事はありませんよね」
「もちろん意味はあるさ」
「では」
「だけど……そうだね。その理由は8回目の反省会にとっておこうかな」
「もったいぶる内容なのですか」
「タイミングが意味を持つ理由、とだけ言っておこうかな」
「はあ」

思い返せば、日記と名乗ってキャラクターメイキングからゲームプレイスタイルまで、書き連ねてきたこのゲーム日記。
これを書くのも残るは二回。今回を入れても三回きり。感慨深い、とでも言うのかな。
話せるだけの事は話した、この前口上。最後のネタは最後にとっておいて、では、

「今回の前口上はこのくらいにして、そろそろマッチングから見ていこうか」

反省会、今度こそ開始。





○マッチング

「それでは」
「スキル無効化アイテムを装備して、単身で成長強化スキル持ちの転校生に挑む、だね」
「――今回の最大の問題行動であるマッチングですね。理由は」
「猫耳の効果がスキル無効化だった。それが手に入った。
 自分に有利なスキルを無効化という無駄行動が一番に頭に浮かんだ。だからやった」
「若手芸人ですか」
「的確なツッコミをありがとう。このネタを実践するまでがやりたかった」
「……まったく」
「ついに表情だけでなく言葉にも出るようになったね。いや、すまない。
 もちろん、結構なこだわりもあって実行したんだけれどね。それは個別の試合のところで語るとして、
 ここで補足するとしたら、もし他に同じ転校生を狙う選手がいた場合の戦闘順だけれど、
 本当は一番手を希望したかったのだけれど……
 他に成長強化を狙っている選手がいたら囲んで棒で叩かれそうだったからね。一応、最後にしておいた。
 結果的にタイマンで勝負できたから、ベストな状態だったね」
「移動先を公園にしたのは行動提出SSで書いた通りですね」
「PC転校生のドロップアイテムが統一されている事と、これまでのPC転校生の登場地形を見れば、
 PC転校生は初期位置が公園で固定されている――簡単な推察だったからね。正に計画通りってやつだった」
「計画が綺麗にはまりましたね」
「ダイスが絡まなければこんなものさ……なんてね」





○ VS <無垢なる導き手>

「そして転校生戦ですね」
「この選手は師匠ポジションのキャラクターだったから、私としてはなんとか自分で倒したいと思っていたんだ」
「早速、アイテムを使った理由の話ですか」
「そう。私はドラゴンボールの時代から師匠キャラが大好きでね。亀仙人は至高の師匠キャラだと今でも思っている」
「はあ」
「それでね、私のこだわりとして、師匠キャラというのは弟子に負けてはいけないんだよ」
「はあ」
「師匠というのはいつか弟子に追い越されるもの。それは正しい。
 だがね、それはいつの日か自然と察せられるべきなんだ。
 亀仙人で言えば、悟空がレッドリボン軍の基地を破壊した際、悟空がチャパ王を倒した際、
 そんな折りに弟子の成長に気付き、師匠はそっと身を引いていく。それに対して弟子もまた」
「長いです」
「ごめんなさい」
「――ともあれ、それで成長スキルを放棄したのですね」
「勝てなくとも、私には弟子ポジションで勝負を挑むなんて事は出来なかったからね」
「幸運に恵まれて勝つ事ができたのは、そうすると僥倖でしたね」
「まったくだよ。まあ……まさか本当に勝てるとは思っていなかっただけに……ちょっと問題もあったけれどね」
「問題ですか」
「君のストーリーが完結してしまったんだよ……いや、この辺は次回の反省会にまわそうかな」
「あら」


<5行の空行を挟んで続く>

412宇多津 泡沫:2013/12/07(土) 17:15:48
>>213-215
いや〜〜〜〜、疑われてるね〜〜〜〜……下着放送は事故だったんだけどな〜〜〜〜。
あたしの変身が戦闘終了直後に解けるタイプのやつで良かったよね〜〜〜〜?
……しかし、マタンキとかいうオッサンは本当クズだな。そんなクズに一時的にでも化けていたかと思うと……
…………Zzz…… ともあれ、済んだことだしね〜〜〜〜。

>>268
あははは〜〜〜〜、寝る子は育つっていうし〜〜〜〜、すぐそんな壁なんか越えちゃうんだよ〜〜〜〜。
いざとなったら変身で〜〜〜〜、未来の自分を前借りすればいいだけだし〜〜〜〜。そんなこと出来るかどうかはともかくとしてね〜〜〜〜。
……寝てばっかりいるのに、とか思った人は〜〜〜〜…… あとでちょーっと布団に来て貰おうかな?

>>289
パルプちゃん……頑張ったね〜〜〜〜。疑われるのはまあ気にしないよ〜〜〜〜。
あたしってば、何故か逸脱者?って人と縁がやたらあったしね〜〜〜〜。しまいには勝手に逸脱者扱いされるんじゃないかって
ヒヤヒヤしてたよ〜〜〜〜……あはは、寝てるだけの奴をそこまで警戒しなくてもいいだろうにね〜〜〜〜。

>>320>>322
睡拳使いとして、拳を合わせるのは必然……なーんちゃって〜〜〜〜。
アイテム貰ったり、二人がかりで戦ったりとかしたけど〜〜〜〜、どうしても戦いたかったからね〜〜〜〜。
『転校生同士の戦い』になったのはあたしも予想外だったけどね〜〜〜〜。おかげで引き分けたし、いい勝負だったよ〜〜〜〜。
……ん〜〜〜〜、天王星ちゃんと最後の決着つけるのも悪くないかもね〜〜〜〜?

>>349
再生怪人……まあ言わんとしてることはわからないでもないかな〜〜〜〜。
本当はもうちょこっと転校生に化けるチャンスがあってもいいかな〜〜〜〜と思ってたんだけどね〜〜〜〜。
まあ何故かここまで逸脱者の割合が多かったから、そういう意味ではちょっとホッとしたんだけどね〜〜〜〜……
でも対戦相手が逸脱者だったから一緒か、あはははは〜〜〜〜。


……Zzz…… なんか寝てただけで大会終わりそうなワリに
いろ〜〜〜〜んな人があたしのこと見たり書いたり描いたりしてくれてたんだね〜〜〜〜。
もっかい。ありがとうね〜〜〜〜。

413ラ・ピュセル:2013/12/07(土) 18:03:15
>>411 から引き続き

○ VS アン・ラクシー

「このターンの連戦相手は、個人的に大会選手でイチオシのアン・ラクシー選手だったね」
「イチオシだったのですか」
「それはもう。全選手中唯一の所持スキルゼロでの参戦キャラクターだからね。
 そういう試み、私は大好きだ」
「なるほど」
「成長した後も『闘いの年季』を取らずに立ち振る舞っている辺り、
 強い美学とこだわりが感じられてディ・モールト良いよね」
「そういうのが好きなのですね」
「でなければ自分のキャラにロマン砲なんて採用しないさ」
「それもそうでしょうか」
「高体力に信頼できる反応、発勁による堅実なダメージ。実に強い選手性能だしね」
「あえなくやられてしまいました……」
「防御ががっつりと上昇したし、君も良く闘ったよ」






「さて、反省会はこんなところかな」
「今回の成長は防御+4、精神+1でしたね」
「カウンター性能がかなり伸びただけに、そろそろカウンタービームも現実味を帯びてきたんじゃないかな」
「35%の確率で防御できるようになりましたからね」
「残り2ターンでその様子を目にする事ができるのか――期待だね」
「そうですね――私も、転校生を倒す事ができたのですから、もう少し夢を見てみましょうか」
「そう、その意気込みさ」
「人事を尽くします」
「よろしく頼んだよ。と、そういったところで反省会も終了」
「はい」
「続きは次週……といきたいところだけれど」
「6ターン目の反省会投稿が遅れてもう7ターン目の処理まで終わっていますからね」
「急いで7ターン目の反省会準備に取り掛かろうか」
「お茶のおかわりを汲みましょうか」
「おおっと、助かるよ。うん、それじゃあ、そういう事で」

近いうちに、また、次回。

414天王星ちゃん:2013/12/07(土) 21:28:28
応援SS:「七日目の朝 –side Pluto-」
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3140594

415数胴兵香:2013/12/07(土) 21:52:56

>>414
冥王星ちゃんやはり不穏な計画を…!
でも躊躇する心も生まれている。
天王星ちゃんは再起不能にならず、無事に帰って来ることができるのだろうか

416ぽぽ:2013/12/07(土) 22:35:41
賞品の少年
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40152090

417ほまりん:2013/12/07(土) 22:44:44
狂気の魔女vsバジル(第4T)
tp://pic.twitter.com/0Q2vxU05CU
・ルフトライテルさんが「これって実家の前で家族で口喧嘩してただけですよね」って解説してたのがすごく面白かったので描きました。

418ラクティ☆ほまりん:2013/12/07(土) 22:46:47
>>417
名前欄ミスった。「魔技姫ラクティ☆パルプ」で集計おねがいします。

419数胴兵香:2013/12/07(土) 23:05:50
>>417
家族で口喧嘩カワイイヤッター!

420紫ノ宮 緒子:2013/12/07(土) 23:10:09
カツッ カツッ カツッ
トコ トコ トコ

……

カツッ カツッ カツッ カツッ
トコ トコ トコ トコ

〜〜っ!

カツッカツッカツッカツッカツッ!
トコトコトコトコトコ!

「〜〜っ! あーもう! 何で付いて来ますの?」

===========================

〜〜とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)〜〜

5ターン目『少年(であい)』

===========================

何でこんな事になったんだっけ。
季節はもう冬。
吹き抜ける風は些か肌寒いが、身を貫くような冷風は頭をスッキリとさせてくれる。
考え事には向いているのかもしれない。
ひんやりとしたベンチの座り心地を感じながら、視線を宙に泳がせる。

確か……。
初戦はリオレイア希少種。
竜の猛攻を耐え凌ぎ、蹴り倒した。
次いで、猛信寺うのみ。
噂に名高い雪合戦部の実力者であったが、どうにか辛勝。
うん。ここまではOK。
分からないのは――――

「……?」

宙に泳がせていた視線を遮るように、隣に座る少年が、不思議そうに顔を覗き込んでくる。
その顔立ち。
その声。
その仕草。
一見、可愛らしい少女に見間違う程であるが、確かに男の子である。
年は自分と同じくらい、もしくは若干年下であろうか。
にこにこと絶やされない笑顔は、より幼い印象を与えてくる。
分からないのは――――
――――何で自分はこの少年に懐かれているんだろう、ということだ。

421紫ノ宮 緒子:2013/12/07(土) 23:11:23
<続き>


「はい、どうぞ。キミの分」
「ありがと……ですわ」

ビニール袋から取り出されたお茶とおにぎりを受け取りながら、緒子はある一つの事実に気づく。

……。

…………。

………………。

(このおにぎり、どうやって開けるのでしょう……)

コンビニのおにぎりを初めて食べる緒子にとって、
正しい開け方等知る由も無く。
見よう見まねで開けてみようとするが――――

「あっ……」

――――海苔が破けるだけであった。それはもうビリッビリに。

「さ、流石にその開け方は大胆すぎるんじゃないかな」
「う……、うるさいですわ! 初めてなんですもの。 仕方無いでしょう!」
「コンビニのおにぎりが初めてって……。どこまでお嬢様なの」

少年は笑う。
くっくっと。
緒子は怒る。
ぷんぷんと。

「――――いいよ。 ちょっとゴメンね?」

そういうと少年は、覆い被さるように緒子の背中に身を預け、背後から回した腕で真っ白な緒子の両手を掴んだ。

「ふぇっ!?」

「まず、ここのビニールを引っ張るでしょ?」
「……こ、こうですの?」

「うんうん、上手だよ。次に手を持ち替えて、こっち側の包装を引っ張る。力は入れなくていいからね」
「力は……入れずに……」

「凄いね。初めてとは思えないよ。最後は、また手を持ち替えて、反対側の包装を剥くだけ」
「手を持ち替えて……さっきと同じように……で、出来ましたわ!」

見よ!
このキレイなおにぎりを!

「うん。とってもキレイだよ」
「お、煽てても何も出ませんわよ!」

緒子は、久しぶりに笑った。
熾烈な戦闘を繰り広げてきた緒子が、久しぶりに見せた笑顔。
束の間の安息。束の間の休息。
この時ばかりは、戦いの事など忘れ、一人の少女へ戻ったのだろう。
―――近づいてきた彼女の存在に気づけなかったのだから。

「――――大会中に逢引とは。紫ノ宮嬢も隅に置けない」

422紫ノ宮 緒子:2013/12/07(土) 23:12:03

<さらに続き>

「……お久しぶりですわ。生徒会長さん?」

天奈瑞。
黒に身を包んだ男装の麗人。
妃芽薗学園生徒会長にして、大会随一のトリックスター。
そして、緒子にとって、苦い敗戦の味を教えた女性。

「ああ、久しぶりだね、紫ノ宮嬢。仲の宜しいことで、全く羨ましい限りだ」

背にもたれた少年の腕をゆっくりと払い。
緒子は静かに立ち上がる。

「……ちょっとだけ下がっていて欲しい。ですわ」

少年が黙って頷くのを確認し、緒子は構えを取る。
その姿は、鞘に収めた刀に手をかける動作に等しい。
いつでも抜ける。
張り詰められた緒子の緊張感を断ち切ったのは、意外すぎる一言。

「……いや、今日は止めておこう。 私は立ち去ることとするよ」
「……ふぇ?」

「聞こえなかったかな? 君とは戦わないと言ったんだ」
「……どういうつもりですの?」

「君は傷ついているからね。お互い万全な状態でぶつかりたいものだ。それに――」

黒の麗人は淡々と言葉を続ける。

「それに――――私は君の事が好きだからね。嫌われたくない」

真剣なのか、冗談なのか。
その声色からは感情を読み取らせない。

「それともう一つ。 昔から良く言うだろう? 人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んでしまうからね。最も――」
「――最も、蹴ってくるのは馬ではなく、君だろうけどね」

皮肉めいた冗談を残し、天奈瑞はその場を立ち去っていった。
いつかまた、彼女と決着を着ける時が来るのかもしれない。
否応にもそんな思いを胸に抱かせる。

「……ね、ねえ? 今の人は……?」
思いつめた顔の緒子を、心配そうに覗き込む少年。

「天奈瑞。喰えない女性、ですわ」
「……天奈瑞。そっか。 そう言えば、君の名前も教えてよ」

ああ、そうだ。
そう言えば、自己紹介をしていなかった。

「緒子。紫ノ宮 緒子ですわ」
「緒子。可愛い名前だね」

ああ、そうだ。
そう言えば、この少年の名前すら知らなかった。

「僕? 僕の名前はね――――」

ああ、そうだ。
これを機に――――。

これを機に――――
緒子の物語は大きく変わっていったんだ。

423シスター・マリー:2013/12/07(土) 23:56:57
「不死の霊薬?」
琥珀色の液体の入った小瓶をつまみ、シスター・マリーは尋ねた。
「……ええ、それは月に伝わる伝説の秘薬。予め飲んでおくだけで、如何なる怪我や病に掛かろうとも息を吹き返すこと請け合いです」
後頭部にできたコブをさすりさすり、月の巫女は病院の廊下でうつ伏せで答える。

第7ターン2戦目終了。
誇り高き吸血鬼を倒したマリーに間髪入れず襲いかかった月の巫女は、十字架による殴打で脳震盪を起こして伸されていた。
乱入者を倒した場合、何かしらの特殊なアイテムを貰えるとのことだった。
万能薬など存在しない……と普通なら思うところだが。

「あんたの魔法みたいな治療は、オレも身をもって体験してるからなあ」
2ターン目にアン・ラクシーに切断された左脚が、一夜の間ににょきにょきと生えてきたことを思い出し、さらに
「あー、そういえば貴女、腕も折れていたでしょう。オマケで治しておきましたからね」
いつの間にか痛みの引いている左腕に気づき、マリーは疑うことを諦めた。

「……なあ、この薬、万能薬なんだよな?」
「ええ」
「もし重病人に飲ませたら……治るのか?」
ふとした思いつきだった。だが、声が震えているのが自分でも分かった。
「そうですね。ゴクリと一服飲み干せば、如何な怪我人重病人といえどもたちまち息を吹き返します」

目の前がパアッと明るくなった気がした。
未だ目を覚まさない、危険な状態にあるエルザを助けることができる!
いや、その前に
「!!! そうだエルザは無事か!?」
脱兎の如く駆け出すマリー。

「大事に使うのですよー。あ、あと」
遠ざかる片翼の背中に向かって、月の巫女は声を掛けた。
「誰か人を呼んでくださると……あれ、あれぇ……」

********************

そんなやりとりを、綾鷹師匠がいなくなった病室で思い出す。
ポケットに入れた不死の霊薬の感触を確かめ、未だ目を覚まさぬ親友の顔をじっと見る。
『目覚めるのを拒否している』
師匠はそう言っていた。

霊薬に頼って無理やり意識を回復させたところで、果たしてエルザはそれを喜ぶだろうか。

『お前にしかできん仕事だ』

そうだ。オレはこいつの親友だ。

「エルザ、お前には言いたいことが山ほどあるからな」
小瓶を取り出し、親指に力を込める。
キュポン! と小気味良い音が響き、フタが外れた。

「だから……」
不死の霊薬を一気に喉に流し込む。
地球上のどんな液体よりも滑らかに、その薬はマリーの身体に染みこんでいった。

「賞品の少年とやらをとっ捕まえて、すぐに迎えに行ってやるよ」

********************

「クシュン! ……冷えてきましたね」
「風邪は万病の元と言いますし、冷たい床に転がっているのもいい加減飽きました」
「とは言え脳震盪で動けませんし」
「鉢子ー! 衣ー! 玉枝ー! 誰でもいいから居ませんかー?」
「…………」
「……グスン」

424紫ノ宮 緒子:2013/12/07(土) 23:58:36
「ふむ。コンビニのおにぎりと言えど、侮れんものだな」
「ねー。それに、やっぱり、みんなで食べるご飯は美味しいよ」
「…………」

「ど、どうしたの? 緒子? 梅干、嫌いだった?」
「む、ならば私のたらこと交換するか? 遠慮はいらんぞ、紫ノ宮嬢」
「……ですの」

「……??」
「……??」
「……何なんですの、この状況」

===============================

〜〜とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)〜〜

6ターン目『休息(おこ と てんなみず と しょうねん)』

===============================

「ふむ。状況把握は大事だ。流石は紫ノ宮嬢」
「緒子は流石だね」
「私と君。 ここの戦闘で勝ち残ったのは二人。だが、私は君とは戦いたくなかったのでね」
「緒子、格好よかったよ」
「すでに時刻は昼を回っていたのでね。こうしてご同席させていただいている訳だ」
「やっぱり、ご飯はみんなで食べた方が美味しいもんね」
「その通り。やはり食事は、誰かと取った方が美味しい。君は良く分かっているな」
「えへへ……」

もう、なんだか、考えるのがバカらしくなってきた。
というか、いつの間に仲良くなったんだお前ら。
思考を放棄し、おにぎりを剥く。
美味しい。

「…………何ですの? 人の顔をジロジロ見て。 マナーがなってませんわよ?」
「いや、失敬。つい、ね」
「うん。やっぱり緒子は、笑ってる方が可愛いなって」

===============================

コクリ、とお茶を一口。
暖かく香り高い液体が、乾いた喉を潤してくれる。
深い息と同時に、感情の波まで吐き出しているかのようだ。
一息付くとはこう言う事であろうか。
とても時間が安らかに感じられる。
だから。
だから、今まで見た事の無い天奈瑞の真剣な面持ちには、酷く驚かされた。

「つかぬことを聞くが……。君は追われているんだね?」

おにぎりを持つ少年の手が、一瞬、しかし確かに強張る。

「……何でそれを?」

「……私はサイコメトリー能力者でね。素手で触れたモノの記憶を読み取れることが出来る」
「普段はこの革の手袋で遮断しているのだが、おにぎりを食べるにはいささか邪魔だったものでね。……いや、言い訳にしかならないな。君の記憶を除き見たことには違いない」

「そっか……。うん、僕は、追われる身なんだ」
何故だろう。
胸がチクリと痛む。

「……不礼の侘び代わりでは無いが。私が君を守ろう」
「あはは。ありがとう。天奈会長」
何故なんだろう。
胸がチクリチクリと痛む。

「……でも、僕は――――」
「――――緒子に守ってもらいたい」

どうしてなんだろう。
胸が。
胸が、こんなにも湧き立っている。

425ぽぽ:2013/12/07(土) 23:58:49
財前さん
途中
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40154782

426紫ノ宮 緒子:2013/12/07(土) 23:59:00
<続き>

「ダメ……かな?」
捨てられた子犬のような目で。
少年が覗きこんでくるものだから。

「……えーえー。分かりましたわ。貴方のことは、私が守ってさしあげますわ」

そんなぶっきらぼうな返事しか返せなくて。

「ありがとう! 緒子、大好きだよ♪」
「……はいはい。私も、大好きですわよー」
「うわっ、テキトーな返事」

そんな風にしか返せなくて。

「ふふふ。振られてしまったかな。それでは、私は紫ノ宮嬢を守るとしよう」
「期待してますわー。生徒会長さん」
「ああ! 任せていたまえ!」

そんな束の間の休息が楽しくて。

緒子は。
緒子は、自然と笑顔が零れた。

「ふふふ。うん。やっぱり緒子は、笑ってる方が可愛いな」
「ありがと……ですわ」

「ねえ、緒子」
「何ですの?」

「また、こうやって、みんなでおにぎりを食べようね」
「……そうですわね。それもいいですわ」
「うん!約束だよ!」
「ええ。約束……ですわ」


緒子と天奈瑞と少年。
束の間の休息は、ゆっくりと流れていった。

――――その小さな約束は、緒子の胸に確かな軌跡を残して

427ラ・ピュセル:2013/12/08(日) 00:33:56
『黒幕会議』


光量の抑えられた灯りが、絨毯の敷かれた床と、壁に掛けられたフラワーアレンジメントをしっとりと照らす。
いかにも高級なホテルといった趣きの廊下。落ち着いた雰囲気の漂うその一角に、革張りの重厚な扉が一つ。
全ての物音を閉ざすその扉の内側で、今日この日、密やかに物語の黒幕達が会議を進めていた。





「では始めようか」

ガラス製テーブルを挟んでゆったりとした革張りソファーが二つ。
机の上には沢山のクッキーが入ったボウルが中央に置かれ、会議参加者それぞれのカップがそこここに置かれている。
毛足の長い絨毯に足先を沈め、テーブルの脇に立つその人物が、ソファに座る参加者達を見回して会議開始を宣言した。

議長、ぶかぶかのパーカーに鉢巻き姿。いかにも業界人のいでたち、三越シュウ。
右のソファにはこの部屋の主であるラ・ピュセル。そして衣紗早雨衣。
左のソファには無垢なる導き手、クェル・クス。その弟子、バジル。そして鏑木諒子。

これは物語を作る黒幕達の会議。
密やかに行われた舞台裏の饗宴。
世界格闘大会には直接まったく関係ない、そんな出来事。

「OVA版『ラ・ピュセル』の企画会議だ」





――やっぱズガガーっとエフェクトとかつけて派手にやっちゃうんだよね!
――アニメ用に脚色はするさ。敵もそれらしく悪の組織でも用意しようかな。
――ちょっと待った! ところでアンタ誰なのさ? 大会では見ない顔だけど。
――私のアニメの制作をしてくれた方ですよ。今回の大会に私を参加させてくれたのもこの方の手配でした。
――ふーん、ま、いいか。
――クェルは何を すればいい?
――私はお師匠さまと一緒に出して頂ければ。
――シリーズのラスボスとか、構成はどんな感じになるの? 私はいい役あるかな?
――確かに巨悪役を選手の方にするのも申し訳ないでしょうか。
――ねえ、私の店の宣伝って出来るの? そんな話聞いてきたんだけど。
――タイアップは以前のアニメでもやっていましたから。今回も実在のお店を出しても問題ない……ですよね?
――クッキーひとつ いただきます。
――そーだ! ラピちんどうせなら敵組織の内輪もめとかでさ、三つ巴戦とかやったら盛り上がるんじゃないかな!
――ラスボスの話ですか?
――敵は強大だった! だが、所詮は悪の組織、結束が脆い! ラ・ピュセルがそこに辿り着いた時、敵は内戦中だった!
――なんともこれは 美味しいな。
――お師匠さま、気に入られたのならこのクッキーは私も持っていますから後でおすそ分け致しますね。
――私は派手に殴りあう感じでやらせてもらえりゃなんだっていいよ!
――大会でもそれっぽいイベントを演出しましょうか。
――ん? ラピちんの頷いたのってどの案の話ー?
――ちょっと話にまとまりが無さ過ぎますね……。

パン、パン――と手を打ち鳴らす乾いた音が部屋に響き、会議をしていた面々が一斉に顔をそちらへ向けた。
難しい顔をした三越が、仁王立ちした状態で見返していた。
流石に話が混沌とし過ぎていたか。そう考えるラ・ピュセルと、他の面々に、三越は言い放った。

――よし、敵組織の名前は涼春機関にしようか。

ああ、これはこのまま勢いで全てが決定されるな。ラ・ピュセルがそう確信した瞬間であった。





世界格闘大会が終わった後日、そっと世間に発売されたOVA版『魔法騎士 ラ・ピュセル』全8話。
そこそこ売れたその作品の売上は、友情出演となった各大会選手達へと少しだけ分配される事となった。
その祝勝会の席。奮発して良い材料を買ってきたという三越お手製のビーフストロガノフは、とても好評であったとか。

428メインGK(minion):2013/12/08(日) 07:36:07
【SS・感想】
>>393 >>395
ラ・ピュセル 6点+7点=13点 トラロック 3点 クェル・クス 1点
>>394
魔技姫ラクティ☆パルプ 7点 シスター・マリー 1点
>>397-398
超時空軽空母『綾鷹』DEATH 5点+5点=10点 生方キリエ 1点
>>399
鏑木諒子 1点+1点=2点
>>404
天王星ちゃん 1点+1点+1点+1点+1点+1点+2点+1点+1点+1点+1点=12点
>>405
数胴兵香 7点+7点=14点 天王星ちゃん 1点 墓森アラシ 1点 鏑木諒子 1点 葦原美代子 1点 
>>406-407
超時空軽空母『綾鷹』DEATH 8点+5点=13点 シスター・マリー 4点 紫ノ宮緒子 1点 アン・ラクシー 1点
鴻畔 1点 猛信寺うのみ 1点 玖波瀬ぎり 1点
>>408 >>411 >>413
ラ・ピュセル 5点+5点+3点=13点 トラロック 1点 鏑木諒子 1点 クェル・クス 1点 アン・ラクシー 1点
>>409-410 >>412
宇多津 泡沫 1点×15=15点
>>414
天王星ちゃん 7点+6点=13点
>>415
数胴兵香 1点
>>417
数胴兵香 1点
>>420-422 >>424 >>426
紫ノ宮 緒子 7点+9点+7点+9点+8点=40点 リオレイア希少種 1点 猛信寺うのみ 1点 天奈瑞 4点
>>423
シスター・マリー 7点 ルガー 1点 アン・ラクシー 1点 超時空軽空母『綾鷹』DEATH 1点


【イラスト・その他】
>>396
アン・ラクシー 8点 魔技姫ラクティ☆パルプ 4点
>>402
魔技姫ラクティ☆パルプ 7点+7点+7点=21点 ルガー 3点
>>403
アン・ラクシー 7点 天王星ちゃん 3点
>>416
アン・ラクシー 8点
>>417
魔技姫ラクティ☆パルプ 7点+7点=14点 バジル 3点
>>425
アン・ラクシー 7点 財前倉持 3点

429メインGK(minion):2013/12/08(日) 07:38:52
>>426までが採点集計対象となります。>>427以降は採点集計対象となりませんが、引き続きご投稿をお待ちしております。

430ゆとりのぽこぺん:2013/12/08(日) 09:35:09
【怪盗マタンキの最後】

ガチャリ。

「たまき選手、検温をしにきました・・・きゃあー!」

病室の扉が開き入って来たナースをマタンキは押し倒した。
倒れたナースのスカートがめくれパンツが見える。

「な、なにをするんですか!」
「フッフフ、正体がばれた以上どうなるか分からないからね。
あんたの姿を借りてこの場は脱出させていただくってわけよ」

最後の戦い、少年とめがみ相手に無傷の勝利をしていたマタンキは天狗になっていた。
ラバースーツの女相手でも勝てると油断しきっていた。
その結果正体はあっけなく知られ、ファンからはボッコボコ、乱入してきた外人レスラーや
本物のたまきやたまきを工場から救出した道家やらに散々殴る蹴るされた後、
選手用の病院に搬送されたのだった。今のマタンキは全裸で満身創痍のオッサンである。

「ここに留まっていても何されるかわかったもんじゃないからね。さあその服いただくわよオカマッ」

ずりおろされるナースのパンツ!パンツの下から現れたのはテープを貼られたモリマン!

「・・・え?」
「どうしたんですかぁー?私の服を奪って逃げるんじゃなかったんですかぁー?ほらほら」

ナースが下品な笑みを浮かべて腰をクイクイと突き上げる。その度に股間が震える。
マタンキが恐る恐るテープを剥がすと、割れ目が徐々に広がっていき中からチンチンが飛び出した!

「アバー!私の変装術!ナンデナンデ?」
「あんたはマタンキとして本当によくやってくれたわ」
「ど、どういう事よ!」
「廃工場の改装、女体化薬製造、正体を隠して大会への参加、全部自分一人でやれたとでも?」

言われてマタンキは初めて気づく。自分の記憶への違和感の正体を。
二か月前の偵察の記憶、たまきとしての4日、そしてマタンキとしての3日。
それ以外の記憶がほとんど思い出せない事に。思い返せば、パルプへの推理を
整理していた時も、一か月前の記憶がおぼろげだった。

431ゆとりのぽこぺん:2013/12/08(日) 09:35:34
「そんな、私は確かに怪盗マタンキで」
「じゃあ、あなたの本名は?マタンキを名乗る人物、その本名は?」
「あ、あれ。私の名前は」
「さようなら、自分を天才的な怪盗と思い込んだ変態さん」

ズボォ!
マタンキの口にナースのチンチンが捻じ込まれる!
そして勢いよく射精!呼吸を封じられたマタンキは精神的ショックも手伝い気絶!

ナースはマタンキの気絶を確認すると外で待つ者達に声をかけた。

「おい、もう入って来ていいぞ」
「はーいかしこまりました五三九二(ごみくず)様」

わらわらと10人ほどのナースが部屋に入ってきて全員がパンツをおろしてテープを剥がしチンチンを出す。

「放り出せ」
「はーい」

ナースのうち二人が窓を開け、残りがマタンキを持ち上げ突き落とす。

ドコーン!

どう聞いても助かってるはずのない落下音がした直後、その場所にハゲタカの様にマスコミが集まった。

「最終日を迎え、世間はこの大会に混じりこんだ異物及びそれを招いてしまった運営への批判へ集中する。
計画通りだ。これで、この大会は、『ぶち壊されずに済む』」
「しかし、本当にこれで良かったんでしょうか?」
「私に与えらえれた任務はこの大会の運営を他組織に乗っ取られるのを防ぐ事、
及びそうなってしまった場合にその事実を外部に漏らさない事。
だからこれでいい。これから批判が集まるからそれの尻拭いが終わるまでは
他組織が取って代わろうとはしないはずだ」
「魔法少女とかかませ犬商会の人とか、多くの敵を作ってしまいましたよ」
「全ては最悪を回避する為だ、私は最悪の回避を命じられたならばその過程でなんだってしてやる。
今回の最悪は組織の手から大会が奪われる事、その為のリスクとして我が組織がどれだけ弱体化しようとも
どれだけ他人を不幸にし恨まれようと、私は真の破滅だけは回避してみせる」
「もう少しマシな手はなかったんですか」
「文句は私に命令した奴らに言ってくれ。私はこういう習性を持つ人間なんだ。
ああ、いい事をした日は気持ちいいなあ、チンコの勃起具合も一味違う。お前らちょっとケツ貸せ」

(マタンキの推理と人生終わり)

・一 五三九二(にのまえ ごみくず)
今大会の語られざる裏方。格闘大会への他の組織の介入を防ぐ事を目的に結成された
暗躍部隊を任せられていたが、数多くの組織の介入をシャットアウトするのは無理と
即座に判断し、怪盗マタンキという存在を混ぜ込む事で情報戦のノイズを生み出し、
今大会で暗躍する各組織の動きをぼやけさせ、さらにマスコミに対するスケープゴートとした。
『最悪の事態を防ぐために二番目に悪い状況を引き出す』という行動理念とそれに準ずる能力を持ち
それ故に同族から疎まれているが、最後の保険役としての信頼は高い。
なお、今回の行動はやはり身内からも不評であり、相談も無しにこれだけの事をしでかした責任を後に追及される。
普段のズリネタは小学生の道徳の教科書と女装した自分が正体ばれていく過程を録画したもの。

432メインGK(minion):2013/12/08(日) 21:09:11
無垢なる導き手ことクェル・クス。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40174038

健全です。

433ラクティ☆パルプ:2013/12/09(月) 08:25:19
【さらば怪盗マタンキ!だがその雄姿は少女たちの胸に刻まれた!永遠に!】

二人の手から、ティーカップが滑り落ち、ジャージの膝に淹れたてのダージリンがあびせられる。
「キャーッ!」「あちちーっ!」
女子中学生2名が軽いやけどの大惨事である。
だが、二人が見ていたノートパソコンの中に映された光景はそれ以上に悲惨な有り様だった。
女性だと思われていた迷ド探偵たまきの股間から、あってはならないモノが飛び出したのだ。

2人の名は静穂と瑠璃奈。パルプの友人である。
襲撃事件の手懸かりを求めて試合映像をチェックしていた所だ。
襲撃犯がマタンキである可能性もあるので、たまきの試合は非常に集中して観てたため精神ダメージは大きかった。
「わたし静穂だけど、たまきさん本人が……マタンキだったってこと……?」
「わたし瑠璃奈だけど、被害者だと思ってたら犯人だなんて酷いマッチポンプね!」
「あーあ……服びしょびしょ……」
「お風呂にしよっか」
「入らずんばね……」



妃芽薗中等部寮浴室!
20名程が無理なく同時に入れる程の広さがある、清潔で快適な大浴場だ!
部活や委員会で遅くなる生徒もいるので、夕方から深夜の間で割と好きな時に入れる!

「あ……やったぁ2人で貸し切りだよ!」
と、細身ながら出るところはしっかり出てる長身の静穂。

「おー、ラッキー! みんなさっき公開された試合結果の配信観てるのかな?」
と、小柄で肉付きも将来に期待してあげたい瑠璃奈。なお、パルプと比べれば凹凸はある。

「神崎先輩は退場しちゃったけど、天奈会長とパルプちゃんが頑張ってるもんね」
「あと、今日現れた〈終末を担う者〉って、六九さんじゃないかって噂だよ」
「えっ……六九さん!? それ本当……?」
「噂だけどね!」
「危ない所を助けてもらったことあるから、応援したいな……」
「でも何で大会に乱入しに行ったんだろ?」
「六九さんも大納言先輩の敵討ちかな……?」
「だといいねー」
シャワーで汗を流しながらお喋りする2人。
それにしてもこの世界格闘大会、妃芽薗学園からの出場者が多い。

434ラクティ☆パルプ:2013/12/09(月) 08:30:42
そして、暖かい湯船に浸かって一息ついた少女たちの話題は、やがてマタンキのことになっていった。
記録映像に大写しとなったマタンキの股間は、LoverSuitの女との脱衣バトルで興奮して完全態となっていた。
一六九に助けて貰ったお陰で、2人とも臨戦態勢の男性自身を見るのはこれが初めてだった。
「それにしてもアレ……グロかったね……」
「男の人って、みんなあんな風になるのかなぁ?」
「あ……ルリったらやらしいコト考えてる……!」
「考えてない!」
「ふーん……? じゃあ調べてみよっかなー」
「わっ、ちょっ、シズ! コラ、やめっ!」



風呂から上がり、パジャマに着替えた2人は相部屋に戻った。
「ふー……いい湯だった」
「そういえば、マタンキの動き、ずいぶんぎこちなかった気がしない?」
「足を引きずるようにしてたね……」
「あれって昨日パルプちゃんと戦った時に怪我したんじゃないかな」
「もし本調子だったら今日もマタンキ勝っちゃったかも……?」
「つまり、怪盗マタンキ事件をラクティ☆パルプがばっちり解決!」
「えー……それは無理あるんじゃ……?」
少し苦しいけど、十一月の難題『怪盗マタンキ』はこれで一応解決である。

「あのさ、マタンキを見て閃いたことがあるんだ」
「襲撃者のコト……?」
「うん。私達は大納言先輩について、知らないことが多すぎると思わない?」
「まぁ、仮面を被ってて素顔も知らないもんね……でも恥ずかしいのはしょうがなくない?」
「顔は別にいいの。問題は、大納言先輩の能力のコト」
「え……短距離瞬間移動能力じゃないの?」
「あれは能力じゃないよ。フェイントを駆使して相手の意識をすり抜けるから、瞬間移動に感じるだけ」
「そうなんだ……あの動きを努力で身に付けたなんて……すごい……!」
「うん。毎晩夜遅くまで独りで練習してて、すごいよね。でも、大納言先輩の練習には不可解な点があるの」
「不可解な点……?」
「多分、大納言先輩の能力は――」

そして、瑠璃奈は推理を語った。
静穂は驚いたが、なるほどと思った。
そして、ハルコが戻ったら相談してみようと決めた。

「あっ、パルプちゃんの試合結果が配信されたみたい」
「相手は財前社長か……今日のパルプちゃん気合いがスゴく入ってたからきっと勝ったよね……」
「もちろん! 絶対勝って帰ってくるよ!」

435ラクティ☆パルプ:2013/12/09(月) 08:54:56
>>433
誤記訂正: 神崎先輩 → 神足先輩

436ラ・ピュセル:2013/12/09(月) 23:14:58
西暦2013年、平成25年の12月9日。日本の一地方都市にある、一つの書店の片隅にて――――

その人物は本棚から一冊の文庫本を抜き出し、愛おしそうにその表紙を指先で撫でた。

本棚に挟まれた通路を歩き、レジへと真っ直ぐ歩む。

手に持った本を店員へと差し出し、懐から財布を取る。

会計を済ませると、その人物は店員の元気な挨拶を背に、店を出た。

路上。手提げ袋に入った本をもう一度確認し、そこにある質量に対し、満足気に口の端を持ち上げた。

空を見上げる。

冬の快晴が、その人物の遥か頭上に、どこまでもどこまでも伸びていた。――――今日は良い日だ。


■■■


「待たせたね」
「ゆっくりでしたね」

白い壁、白い天井、白い机に白い蛍光灯。
見慣れたいつもの自室と、大きな鈴を鳴らすような、涼やかな声が迎えてくれる。
手提げ袋から買ったばかりの本を取り出し、白いPCデスクの右奥隅に、そっと置く。

「これが、そうですか」

真っ白なPCデスクの右奥隅には、黒い表紙の本が五冊、積まれていた。
買ってきたばかりの本をその上に重ねたため、今は六冊。
どの本も、黒い背景にきらびやかな衣装をまとった少女達が、瞳に星を散らして描かれている。

「これがそうさ」

この本こそが、全ての始まり。
この本こそが、最後の大ネタ。
この本こそが、ラ・ピュセルをホーリーランド4に送り出した、最大の理由。

「「これが――」」

声が重なり、ラ・ピュセルがそっと口を閉じる。目配せでこちらに言葉を譲る。
頷き、一人で言葉をつなぐ。
これがラ・ピュセルの名前の由来。

「本日より全国の書店にてシリーズ最新巻の六冊目が発売スタート。
 可憐に華麗な少女が織りなす、魔法と拳のバトルロイヤル。
 ラ・ピュセルの元ネタとなった同名の魔法少女も活躍する、華やぎ血煙る能力バトル。
 『魔法少女育成計画』――ちょうどホーリーランド4と同じ美少女達の闘う話。
 今、私がイチオシしている小説だ」

二ヶ月。時間を掛けて、語り続けた。
前回の反省にて、ラ・ピュセルは聞いた。自身の名前の意味と意図。
それの答えが今日この日。

そう、つまり。
この日この時、この瞬間に。
この発言を、せんがため。

これが最後の大ネタで。
これが名前の意味と意図。
平たく言えば、要するに。


「つまり――――ステマだ」


魔法少女育成計画 limited (後)。このライトノベルがすごい!文庫より、2013年12月9日、販売開始。





■■■ ダンゲロスホーリーランド4 〜Battle Cinderella〜 ライク・ア・カレーのゲーム日記(7) ■■■

437メインGK(minion):2013/12/10(火) 00:38:19
【R-18】ルーシーVS秩序の守り手。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40197485
2ターン目の事なのでもう記憶が曖昧なのですが、確かこんな感じだったような気がします。

ちょっとえろいのでwikiには載せないか、アドレスだけ転載の方針で……。

438庵 白彩:2013/12/10(火) 00:59:16
【5回しかガチャしてないのに81が2回出るのはおかしいと思うんですよ最終ターンSS】
「清々しいほどに無理だったな、倒れそうにない」
「少なくとも大会参加者3人で撃破できる相手ではなかったのです」

後半開始後3日間拠点にしていた刑務所を離れ前半戦で使用していた宿泊施設へと戻った庵白彩一行、
世界格闘大会7日目、終末を背負う者へ庵は全力で挑み全力でふっ飛ばされた。
しかし彼女の闘志の炎は一層燃え、そして剣筋は最終日を前に更に鋭くなっていた、

「・・・しかし大会中に負傷や精神的な問題で大会を去っていった参加者が
 操作していたガイノイドのを私が思いっきり真っ二つにしてしまった北部明日子含め計20人、
 その内いつの間にか転校生として大会に乱入するようになったのが先程知らされた2人含めて計9人」
「あと女装して参加したのがバレて大会を追放された迷ド探偵たまき、
 自分から大会を去っていったリオレイア希少種を含めると22人が大会からいなくなっているのです」
「大会が始まる前から師匠や友達からこの大会は危険だとは聞いていたが・・・
 それにしても異常な大会に参加してしまったものだな・・・
 ここまで来たのだから大会終了まで戦い続けるがな、逃げては武闘者として恥だ」

「ところで一つ問題があるのです」
「ん?もう月の巫女に怪我の治療をしてもらえないそうだが私は問題ないぞ?
 この程度なら剣筋は衰えないし高速移動に関しても全く問題は無い」
「いや、大会最終日に残っている参加者は18人なのですけど白彩は現時点でその中で賞金ランキング11位なのです、
 最終的に18人からどれだけ残るかは分からないにしてもこのままでは
 白彩は『最後まで残った中では弱い方』として分類されてしまうのです!」
 
目立つ試合はあったとはいえ総合で弱い方に分類されては『光る所はあったが所詮そこまでの格闘家』でしかない、
勝利の栄光を掴めるのは唯一人、そしてその栄光に照らされ語り継がれるのは『上位陣』のみである。
(続く)

439庵 白彩:2013/12/10(火) 00:59:53
(続き)
「・・・えっ?中々順位が上がらないとは思っていたがそんなに私順位が下だったのか?」
「白彩はとにかく相手の間合いまで飛び込んで斬りに行くから怪我が多すぎるのです、
 しかも毎度毎度重傷を負っているから幾ら転校生に勝とうが賞金が治療費で吹っ飛ぶのです!
 というかそもそも賞金自体治療費抜いてもトータルで650万円しかゲットできていないのです!」
「あ、あー・・・たしかにこの大会始まってからどれだけ負傷したか分からないな・・・
 だが私の格闘スタイルは『超高速移動から繰り出される無限の剣閃』と言えば格好良いが、
 とどのつまりはひたすら回避に専念しながら超高速でヒット&アウェイを繰り返しているだけだ。
 MAP兵器軍団や脱衣四天王、そして転校生の様な奇抜で圧倒的な攻撃手段は私には無い。
 だからそういった連中に勝つにはできるだけ接近して強力な一撃を与えないと勝ち目は無い」
「そして攻撃手段が乏しい故に紙一重の勝負をものにできない・・・というわけなのです?」
「そうだ、大会の中で己の技に更に磨きをかけることができたとはいえそれは他の参加者も同じだ」

「うーん・・・なら最終日はできるだけ賞金を稼ぎ続けたいけどそうなるとどうしても怪我が響くのです・・・
 そうだ、ならアレを持ってきて白彩に使えばいいのです!」
「アレ?また何か不思議道具があるのか?正直またコスプレはしたくないのだが・・・」
庵の話を聞く前にぷらずまは通信機のようなものを出すとどこかへ通信をかけると、
数十分後庵達の部屋にぷらずまとよく似た少女が到着したのであった。
「いかずちよ!私に任せて!」
「紹介するのです、ぷらずまの姉妹艦のいかずちなのです!」
「お前姉妹いたのか・・・それでアレって何なんだ?」
「それはこれよ!佐世○鎮守府謹製医療用合法ドラッグ通称『バケツ』!」
「いやちょっと待てそんな堂々と薬物持ってくるんじゃない後なんだその量の多さは」
「大丈夫よ!これを使えば怪我していても何も気にならなくなるわ!」
「明らかに危ない代物じゃないか!私は薬物中毒にはなりたくないぞ!」
「大丈夫なのです!艦娘はみんな使ってるし依存性はないのです!」
「いやちょっと待てやめて無理矢理打とうとするな!やめてくれ!」

そのまま『バケツ』を使われ強制的に寝させられた庵白彩、果たして最終日を無事生き延びられるのだろうか・・・

440ラ・ピュセル:2013/12/10(火) 01:50:25
>>436 から5行の空行を挟んで引き続き

「ダイレクトマーケティングですよね」
「おおっと」

そんなこんなでラ・ピュセルのキャラクターメイキング舞台裏も全て公開となったこのゲーム日記。
とうとう数えること七回。いよいよラストも目前と相成りました。
もう前口上を長引かせる理由も、必要も、ネタもない。

「と、言う事で」
「早速、始めるのですね」

七度目の反省会、いってみよう。





○マッチング

「ネットワーク上のゲームに参加しているのだから、他のプレイヤーと絡んでナンボって奴だね」
「使用アイテムがアンダーリム……特に試合に影響は与えませんね」
「貰ったからには使う。当然だね」
「果たし状も頂いた訳ですが、せめてそちらを使おうとは考えなかったのですか」
「……考えた……が、導き出した最適解があまりに酷くてね。お蔵入りとなったんだよ」
「酷い、ですか」
「7ターン目に一攫千金を狙うなら、紫ノ宮選手を公園に呼び出して、ラスボスも公園に引っ張ってきて、
 自分は焔狐に勝負を挑む――焔狐とならタイマンで勝てるからね。
 そうやって賞金を稼ぎつつ、怪我を防ぎつつ、あわよくば連戦でも勝ちを拾う。これが魅力的な考えだった。
 実際のところは他に同じ転校生を狙う選手が二人もいたから実践したとして奏功したかは怪しいけれどね。
 まあ、でも紫ノ宮選手は伝言掲示板で声を掛けられていたからね。掻っ攫うのは申し訳ないと自重した、という訳だ」
「しかし紫ノ宮選手は最終的に伝言掲示板で断りの言葉を書いていましたが」
「……うん……そうなんだが……その書き込みの存在に気付いたのはだいぶ後だったんだ……。
 近頃は携帯端末からしか掲示板を見れていないんだが、どうもここのところレスが抜ける怪奇現象に悩まされていてね」
「なるほど」
「ラスボスを狙ったのは、もう拘ってやる事が無くなったから、折角なら一度は闘っておかないと、という理由だね」
「わかりやすいですね」





○ VS <終末を背負う者>

「ラスボス戦だ」
「ラスボスとして至極妥当なステータスでしたね」
「タイマンではとても勝てない強さではあったが……だが!」
「どうしました? ずいぶんと語調が強いですが」
「君の素晴らしい闘い……しかと見せてもらったよ! ありがとう!」
「私の、ですか……負けてしまいましたが」
「だが! 君は見せてくれた! カウンタービームクリティカルという最高のロマンを実際に!」
「あ――そうでしたね。確かに、貴方の最終目標を実行に移したとは言えるのですね……スキルで100ダメージでしたが」
「300という数字を叩きだせなかったのは惜しいが、しかしロマンが実現したんだ。胸が熱くなったよ。ありがとう」
「少し胸につかえるものもありますが……どういたしまして」





「このターンは1戦だけだったから、これで振り返るのも終わりだね」
「最後までステータスは全体的に満遍なく伸びましたね」
「防御も回避も、随分と強くなったものだね」
「パワーアップイベントSSでは、成長理由を死亡フラグと受け取れるようなものにしていましたので、正直不安でしたが」
「そうだったね。本当はあそこから怪我の治療を一切しないで大会を終えようなんて考えていたのだけれど……」
「そこもロールする予定だったのですか」
「流石に君の代名詞であるロマン砲が撃てないで最終ターンは寂しいしね」
「なるほど――ところで」
「なんだい?」
「冒頭で明かされた私の名前の元ネタですが、先日は明かすのを8回目の反省会にすると言っていませんでしたか」
「ああ……うん。すまない、最終ターンの行動提出締め切りを1日勘違いしていてね。日曜で締め切りかと思っていた。
 締め切り前に行動提出内容を事細かに書いた日記を出すのはどうかと思うし、
 かと言って折角の宣伝書籍の発売日を過ぎてからステマをするのも遅きに失した感があるだろう?
 だから、予定変更で日曜に投下予定だった7ターン目の反省会を今日に持ってきたんだ」
「しっかりしてください」
「ごめんなさい。
 ――と、まあ、今回の反省会はこんなところかな」
「七度目にして最も反省会の名前通りの内容になりましたね」
「そうだねぇ……これまでフリーダムにやってきたものだけれど、付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして――どうしたのですか、改まって」
「もう最後だからね」
「――もうそんな時期ですね」
「うん、楽しかったよ」
「では私も――こちらこそ、ありがとうございます」
「ああ、それじゃあ……」

また、次回。

441ラ・ピュセル:2013/12/10(火) 03:21:24
中庭に設えられた特設のバトルフィールドが、病院というこの場所を考えるとひときわ異彩を放っている。
魔人格闘家が動きやすいよう充分なスペースをとった空間を中心に、円形に簡易の観客席が並び、マスコミ席もある。
退屈な入院生活に飽きた患者達が賑やかな客席の中にちらほらと混ざり、黒い群衆に白い患者服が点々と斑を作る。

これまでとは少し変わった客層の間を、賑わいの中心に向かってラ・ピュセルと雨衣は歩いていた。
ざわざわ、がやがやとした喧騒を右に避け、左に躱し、ほどなく二人は客席の最前列に辿り着いた。
雨衣はここで足を止める。ラ・ピュセルは軽く頷き、そのまま群衆の視線の中心へと進む。

世界格闘大会8日目。大会最終日。最後の大一番である。
雨衣は、戦場に向かうラ・ピュセルの背中を見送り、どうか格好良く勝てますようにと祈った。
頭の中での祈りを終え、さて席に座ろうと空席を探す雨衣に声がかかったのは、その時であった。

「雨衣さーん! こっち空いてます!」

聞きなれない少年の声。しかし確かに自分の名前を呼んだ。雨衣は首を巡らし、声の主を探した。
客席の最前列に、こちらに向かって手を振る少年がいた。年頃は小学校高学年か、せいぜい中学1年生といったところか。
改めて見ても見覚えのない相手ではあったが、雨衣はひとまず呼ばれるままに少年の元へ向かい、隣の空席に座った。

「この前はごめんなさい」

どなたでしたっけ、と聞こうとした雨衣の言葉に先んじて、少年が謝罪した。
はてな、と首をかしげる雨衣に、ああそうでした分かりませんよねと少年が頷く。

「僕が『ヘタレの方のラ・ピュセル』です」

照れくさそうにそう言った少年を見て、

「ああーーー!!」

雨衣は、得心がいったと大声をあげた。





「私の本当の名前は――」
「ベルよ。よろしくね、雨衣」

大会初日の夜。既に日の暮れた夜空が窓から臨める病室。
アニメや自身が手がける衣装の話で盛り上がっていた雨衣が、最後にラ・ピュセルに対して本当の名前を聞いた時。
囁くように、名前を名乗ろうとしたラ・ピュセルの背後から、突如としてもう一つの名乗りがあがった。

「あっ」
「えっ」

ラ・ピュセルと雨衣が同時に声をあげた。
ラ・ピュセルはまずい、といった面持ちで、雨衣は信じられない、といった面持ちである。
そこにいたのは、もう一人のラ・ピュセルであった。ラ・ピュセルの背後にラ・ピュセル。雨衣は混乱した。

「こんなところにいたのね」
「ご、ごめんなさい」
「覚悟を決めた相手には、相応の敬意と、覚悟を持って相対するべき――なんて、もう言われてしまったわね」
「はい……」

同じ顔が、同じ服装の相手に説教を始めた。
先ほど声をあげた時のまま、あんぐりと口を開けていた雨衣に、後から来た方のラ・ピュセルが頭を下げた。

「驚かせてしまってごめんなさい」

後から来た方――――頼りになりそうな方のラ・ピュセルが、それから現在の状況を語ってくれた。
ラ・ピュセルは姿を継承して、受け継いでいく『名前』である事。
自分がアニメのモデルになったラ・ピュセルで、もう一人は修行中の弟子であり次のラ・ピュセルである事。

「この変身装置を使って、ラ・ピュセルの記憶も少しは伝えてあったのだけれど……まだ未熟でね」
「あーそっかー! 道理でこのラピちんちょっとヘタレだなーとか思ってたんだー」
「あう……」

明日、改めて挨拶に来ると言って、ヘタレのラ・ピュセルを連れたラ・ピュセルが病室を出る際。

「あ! ショックで忘れてたけどいっこいいかな!」
「なんでしょう」

雨衣はグッとサムズアップして、ウィンクした。

「ベルって名前、すっごく似合ってるよ! 鈴みたいな声してるもんね!」

442ラ・ピュセル:2013/12/10(火) 03:22:11
>>441 から引き続き




「それじゃ君が噂のファンの少年君だったんだー。だからラピちんってば私はすぐ会えるなんて言ってたんだね」
「僕の名前は岸颯太って言います」
「おーおー颯ちゃんかー。私の知り合いに同じ『そうちゃん』っているけど、君もなかなかイケメンじゃん」

一週間前からを振り返り、雨衣がそういえばと手を打った。

「そうだよ! それじゃお友達の女の子は大丈夫なの?」
「あ……えっと……」

颯太が上体を引くと、颯太を挟んで雨衣と反対側の席に座っていた女の子がこちらに首を伸ばし、会釈した。

「妃芽小雪って言います。あの、ラ・ピュセルといつも一緒にいる人ですよね!」
「おお! あなたが小雪ちゃん! あれ? って事は」
「手術が成功して、今は少しなら出歩けるくらいになりました!」
「わあお! おめでとー! えっ、ラピちんももう知ってるの!?」
「はい。僕がすぐに知らせたんで」

ざわざわとした観客の喧騒が、いっそう強く音色を高めた。
雨衣達が客席で話をしている間に、ラ・ピュセルの対戦相手が試合場に姿を表したのだ。

「ラ・ピュセルー! 頑張ってー!」

小雪の声援に、ラ・ピュセルが振り返る。
颯太と小雪の顔を見比べ、颯太に向かって声を返す。

「颯太! 困難は乗り越えられましたか!」

夏の風に、鈴の音が乗る。
ラ・ピュセルの問いに、颯太は頬を染めて照れながら、小雪の方を窺った。
小雪はそれに気付くと、にっこりと笑って颯太の紅い頬に唇を当てた。

「ひゅー!」

雨衣が歓声をあげ、

「宜しい! これからは貴方がラ・ピュセルです!」

ラ・ピュセルが祝福の言葉を投げかけた。





「なんだか賑やかでいいですねー」
「一部ではそれなりに有名人ですので」
「私も衛星……ゴホン、お友達が応援してくれてますけど、嬉しいですよねー」
「そうですね。励みになります」

観客席から、観る者と闘う者とに隔てられた闘技場の中心。
かつてラ・ピュセルと名乗っていた女騎士と、ほのぼのとした雰囲気を発散する大会最重量級選手、天王星ちゃん。
二人は大会最後を締めくくる闘いとして、互いに申し合い、この場に集った。

「それでは、大会の最後を飾るに相応しい煌めきを」
「よろしくおねがいしまーす!」

二人が向き合い、闘いの幕が開く。
その瞬間。
二人の選手を応援する観客達の大声援が、渦となって立ち昇る。

「せーの」
「「「ベルっちガンバ!!!」」」

割れんばかりの大声援の中。
それでも、ベルの耳には、応援してくれる友人達の声がしっかりと届いていた。





<世界格闘大会最終日、ラ・ピュセル&トラロック&ベル、大会に星を咲かす>

443無垢なる導き手:2013/12/11(水) 07:30:55
>>432
わあーい 素敵なクェル・クスだ!

あどけなさを残しつつも 凛々しい戦士の
眼差しが眩しい表情も
露出度は高めながら 性的な印象は
抱かせない見事な民族衣装も
締まるところは締まり けれど肉感的な
太腿が眩しい理想的なw ボディも
健康美を際立たせる ほのかに焼けた肌も
どれをとっても 非っ常に素晴らしい! です!

・・・実を言うと エロいイラストを描かれる
転校生ズを見ていて
「ああ ウチの子もお嫁に出したばっかりに
 あのように辱められてしまうのだろうか・・・」と
戦々恐々としていたのですがw
蓋を開けてみれば 疑っていたことを
焼き土下座したくなるくらい 素敵なものを
頂いてしまい ただただ嬉しい限りです!

お礼が遅れてしまったことも含めて
本当に申し訳ありませんでしたっ!
最高のイラストを どうもありがとうございます!
不束な子ですが よくしてやってくださいw

444未来支配者:2013/12/11(水) 08:16:06
【謎の襲撃者、その正体】

真木ハルコは帰ってこなかった。
魔技姫ラクティ☆パルプは帰ってこなかった。
病院で財前倉持に敗れ、転校生〈未来支配者〉として再び姿を見せた後、どこに行ったのかはわからない。
静穂と瑠璃奈は、自分たちだけで事件の幕を引く決意を固めた。
追い詰められた真犯人が口封じを図ったら――?
その可能性は低いと思われたが、もしそうなったら2人の命はないだろう。
だが、2人はパルプの意志を引き継ぎ、危険を冒すことにしたのだ。
パルプの思いが人を動かし、誰かが最終的に未来を切り拓く。
それが、パルプの『ばっちり解決』なのだから。

夜。2人は病室の扉を開き、解決編を宣誓する。
「犯人は――」
「あなたです……!」

まだ戦いの傷が癒えず、左腕に点滴をつけた『犯人』はゆっくりと半身を起こして2人を迎えた。
「やっと――辿り着いてくれたのですね。もっとも、来るのはラクティさんだと思っていましたが……」
その声は悲しげだった。

「ラクロスと格闘技に取り組む、先輩の真摯な姿勢は尊敬しています」
「でも……あなたは『やりすぎた』。そうですね……大納言先輩」

「なぜ私自身が犯人だと考えたのか、聞かせて貰えるかしら?」
襲撃事件の『犯人』、大納言蘭は努めて平静を装って尋ねた。
だが、フルフェイスヘルム型アイガードの奥から響く、その声は震えていた。

「パルプさんがいくら調べても、参加選手の中に犯人らしき人物はいませんでした」
「先輩の言葉に嘘がないなら……犯人は『選手なのに大会に参加していない選手』」
「『被害者自身が真犯人』――私たちは迷ド探偵たまきさんの正体を知って、この発想に至りました」
「大納言先輩、あなたの真の能力は『コピー能力』……違いますか?」

「正解よ。よくわかったわね」

「先輩は、毎晩遅くまで独りで熱心に練習をしてました。でも、先輩の練習には不自然な点があったのです」
「フェイント、パスワーク、対人格闘……先輩の得意技は、独りだけで練習するのは難しいものばかりです」
「先輩の能力は――『望む人物のコピーを作り出し練習相手とする能力』!」

445未来支配者:2013/12/11(水) 08:19:06
「そうです。能力名『シャドウ蘭にゃん'sメイト』。孤独な私が生んだ寂しい能力――誰にも知られたくなかった……」

「あの夜。光璃さんと別れた先輩は、腕試しがしたくなり光璃さんのコピーを作り出し戦った」
「でも……光璃さんは想像以上に強く、先輩は大怪我をしてしまう……」
「そこに勘違いしたパルプさんが現れて先輩を助けた」
「能力を隠したい先輩は咄嗟に被害者のフリをして……そのまま本当の事を言い出せなくなってしまった……」

「全部……全部あなたたちの推理通りです……」
大納言蘭は、フルフェイスヘルム型アイガードを脱ぎ、静穂と瑠璃奈に素顔をさらした。
ユノハナガニのように白い肌。ユビワサンゴヤドカリのように可愛らしい瞳は涙に潤んでいた。
大納言先輩の素顔は、2人がしばらく言葉を失うほどに美しかった。
「私のせいで……私が本当の事を言えなかったせいでハルコちゃんは……」
大納言先輩はぼろぼろと涙を流した。
煌めく涙が頬を伝い、白いシーツを濡らしてゆく。

「先輩! 泣かないでください!」
「大丈夫……きっと、ハルコは大丈夫です……!」
「先輩も見たでしょう?〈未来支配者〉のことを。大人の姿になってたけど、あれは間違いなくハルコだった!」
「あの強さ……気品あふれる毅然とした振る舞い……」
「たぶん、格闘大会の中で、ハルコは大切なものを見つけ出したんです!」
「だから大丈夫……! 先輩も、そんなに気に病まなくていいんです……!」

「そうなの……かしら……?」
そうなのだろう。
〈未来支配者〉は、今までのパルプ以上に希望に溢れ輝いていた。
ハルコが何を見つけたのかはわからない。
でも、私たちがするべきことは、後悔ではなく応援なのだろう。
ハルコは、魔技姫ラクティ☆パルプは、きっと今もどこかで誰かのために戦っている。
たとえ遠く離れても、ハルコは妃芽薗の仲間だ。

「というわけで……」
「大納言先輩襲撃事件!」
「ラクティ☆パルプが……」
「ばっちり解決! だね!」
静穂と瑠璃奈は、ハイタッチした。
楽しげな2人の様子を見て、大納言蘭ももう泣くのはやめた。
そして、窓の外に輝く星空に目を移し、ハルコの幸福を祈った。

(おわり)

446紫ノ宮 緒子:2013/12/12(木) 01:50:48
(おとうさま、おとうさま)
(どうしたんだい? 緒子?)
(おこは、おおきくなったら、■■■■になりたいですわ)
(緒子ならきっとなれるよ。 でもね、緒子。 そのためには、緒子は強くならなきゃいけないよ?)
(つよく……?)
(ああ、そうだとも)
(だったら、おこは、つよくなりたいですわ。せかいでいちばん、つよくなりたいですわ)
(おこは。 おこはつよくなって、■■■■になりたいですわ)

===============================

〜〜とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)〜〜

7ターン目『夢(たったひとつのおもい)』

===============================

天井一面に広がる真っ白なタイル。
身を包む毛布は、冷え切った身体を優しく抱きしめてくれる。
少しだけふらつくのは、差し込む光のせいだろうか。
朦朧とした意識の中、再びまどろみの海へ落ちそうになるが、
頬を撫でる隙間風がそれを許さなかった。

(懐かしい夢を見ましたわ……)

幼い頃の自分。
純粋に、無垢に。
絵空事のような夢を信じていた自分。
自分は……何になりたかったんだっけ?

「おー。起きたか、シノミヤ」

ふいに投げかけられた言葉は、冷水を浴びせられたかのように意識を覚醒させる。
声はすれど、その姿は見えず。
申し訳程度におかれた簡易カーテンを挟むように、声の主は居るらしい。
どこか、どこか聞いたことのある声だった。

「鏑木さん……ですの?」
「おー。大正解、私だ」

447紫ノ宮 緒子:2013/12/12(木) 01:51:15
=================================

「ビックリしたぞ。シノミヤが運び込まれてきた時はな」
「ここは……?」

「病院だな。それすら覚えてないの?」
「……」

そうだ、自分は敗北したんだ。
分かっていたはずだ。
気づいていたはずだ。
自分が討ち倒されたことを。
少年はもう、傍に居ないことを。

「全く。肩を並べて戦った二人が、同じ部屋で横になってるとはなー。 知ってるか? あたしら、バカ1号と2号って呼ばれてるらしいぞ?」
「……ふふふ。 返す言葉もありませんわ」

その通りだ。
自分は大バカだ。
約束したのに。
”守ってみせる”という、たった一つの約束も守れずに。

「転校生を守るとか、確かに真っ当な考え方じゃないよなー」
「でもなー、シノミヤ。 私はバカでいいと思ってる。 この性格は生まれつきだからな。 変えるつもりもない」

「どうせなら、世界一かっこいいバカになってやるさ。 なんたって私は、ヒーローだからな!」

……
…………
………………
……ああ。
そうか、そうだったんだ。
何でこんな簡単な事を忘れていたのだろう。
幼い頃の夢だけれど。
幼いからこそ純粋で。
幼いからこそ真っ直ぐで。
その思いは、決して間違っているわけなんか無いと信じていたから。

「鏑木さん……ありがとう、ですわ」
「おー。……なんだもう行くのか? 良かったら今度、うちの店に来てよ。ラーメン奢ってやるよ」
「ふふ。楽しみですわ」

=======================

ゆっくりと閉められた扉。
音は、やけに廊下に響き渡った。
長く、冷たい廊下を歩く。
でも、決して下は向かず。
真っ直ぐに、前だけを見て。
きっとこの道は、間違っていないと信じているから。


紫ノ宮 緒子、最後の戦いへと足を運ぶ。



(おとうさま、おとうさま)
(おこは、おおきくなったら――――)

(――――ヒーローになりたいですわ)

448ぽぽ:2013/12/12(木) 01:53:17
アン・ラクシー
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40231611

449メインGK(minion):2013/12/12(木) 22:22:47
>>443
SSにもイラストにもご丁寧な感想ありがとうございます。
色々勝手な設定やデザインを足したり引いたりしましたが、ご容赦ください。
クェル・クスは性的な感じよりも躍動感のある健康美が合いそうなのでそうなりました。
但し、今後については保障できません!w

450メインGK(minion):2013/12/12(木) 22:24:27
魔技姫ラクティ☆パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40242083
魔法少女です。

451メインGK(minion):2013/12/13(金) 23:02:32
紫ノ宮緒子&賞品の少年。一夜を過ごした二人、いったい何をしていたのか……その答えはこちら。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40259229

緒子ちゃん「絶対に負けたりなんかしませんわ!」

緒子ちゃん「ふぇぇ……どうしても勝てませんわ……」

452そーラン:2013/12/14(土) 01:24:06
>>446-447

諒子ちゃんのバカで真っ直ぐな生き方が、夢を思い出すきっかけになれたのなら幸いです。
緒子ちゃん優勝できるといいですね!

453ぽぽ:2013/12/14(土) 21:22:09
描いた絵を全部並べてみた
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40269614

454超時空軽空母『綾鷹』DEATH:2013/12/14(土) 21:47:19
【 Battle Cinderella『女王』の敗北 〜姫騎士たちの散華〜part4】

――地下カジノ跡地  最終日――


「今更、何をおっしゃってるのです!聞く耳持ちませんわ!どきなさい!」
『何言ってるかわかんね―けど、お前、端から人の話きかね―じゃないか』

優勝候補たる上位ランカー達が激しくぶつかり潰し合うこととなった最終日
その幕開けは奇しくも互いに聴覚喪失に陥ったこの二人だった。

偶発的な遭遇。そして戦いは―

火力で勝る紫ノ宮 緒子が超時空軽空母『綾鷹』を順当に下し、そのコマを進めた。


†††

………。

『やれやれ、負けた負けた。最後はみんな大好きおこちゃんとのバトルか。
最後まで噛みあわなかったが、お互い耳が聞こえない現状じゃそこはしゃーねか。』

地に伏した彼女は、対戦相手が、次の相手を求め、移動するのを確認するとゆっくりと起き上る。
まず自身の身体の状態をチェックし、深刻なエラーが発生していないかを確認。
ついで、ぐーとの身体を反らし、ついで清々しくひとのびをした。
それは肉体ダメージだけでなく精神ダメージまでもまるで感じさせない動きだった。
この大切な優勝決戦戦、初戦で敗退し脱落することとなった立場にしては…

『おーし、最後は気持ちよく負けたことだし。わらわもラストミッションいこう。よっと。』

全然堪えてなさそうだった。

『強めの気配を幾つか感じるな。こちらの戦いの推移を慎重に伺ってる感じだ。目的は少年の確保…。
恐らくは運営側の人間だな。主催者にも内緒で…案の定、運営側も腹に一物あったってことか』

主催者側と運営企画側は一枚岩の存在ではない。ある意味当然の成り行きであるともいえる。
もし手をこまねいてそれに云い様にやられるとしたらそれはされたほうが悪いのだ。
そして、それは”運営”側にも”主催者”側にもいえることなのだ。だからこそ彼女もそのラストに
備え、歩を一歩踏み出す。

その眼の前に突如、羽根を生やした少女が、ぽむっと擬音を立てて現れた。完全に血相を変えている。
現れた暇もなく彼女に向かいこう叫んだ。

「女王つつつつ、大変大変〜へんたいへんたい〜で、エライことに」

それはマリーの夢の中でファルコネンの聖霊を名乗っていた綾鷹そっくりの少女だ。
そのまま軽空母の頭上をぐるりと飛び回る。
綾鷹はその様子に軽く顔をしかめると素早く周りに目をやる。周囲に人の気配はない、それを
確認してからゆっくりと口を開いた。

『たく落ち付け。わらわは今耳が聞こえない設定だ。急に会話しだしたら、変な奴に思われるだろうが。
で、どうした?緊急通信てことは依頼人(クライアント)の”じじい”がついにくたばったとかの朗報か?』

今更、世間体を気にするキャラでないだろうに女王と呼ばれた軽空母『綾鷹』は余裕綽々の態度で
全然洒落になってない冗談を言う。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。

その軽口に対して妖精はこう真顔で答えた。

「いや、それだったら、まだ世話ないんけど。違うの。」

お前のほうもそれはいいのかよ。依頼人に対する敬意が足りてないんじゃなかろうか。

「大変申し上げにくいんですが…実はこっち方面でね。大会選手の誰かが、”ラバースーツの痴女”に
ちょっかいかけたみたいでして…。その魔人能力の発動の影響でですね。今度は病院地域一帯が陥没しは…」

反応は劇的だった。妖精さんが云い終える間もなく、強烈な怒声と舌打ちがニトログレスリン級の威力を
持ってあたり一面になり響いた。

『ッ〜〜どこのアホウの仕業だッ! 状況は!」

私にいわないでよー。
頭ごなしに怒気を喰らうことになった妖精さんはその衝撃にふらふら揺れながらも端的に答える。

「依頼人のほうのセキュリティーは端から万全だから問題なし。
ただエルザさんの一般病棟の状況は不明。
私も手が離せられないから、そっちのほうがどうなってるかまで掴めてないデス。」

その返事を聞きながら、綾鷹は再度舌打ちを行う。
今からマリーをつれ、おっとり刀で戻ったとして間にあうとも思えない。完全に予測外の事態であった。
綾鷹は頭の中で素早く計算を組み立てる。ならば取る手段は一つだ。

『どーせ最後だ。こうなりゃ纏めて片づける。
まず賞品の少年を連れて”そっち”に跳ぶ。んで”二人”を会わせた後、エルザの元に駆けつける。
それが一番早いはずだ。
連チャン使用になるからな。準備しっかりしておけよ、お笑い二等兵』
「アラホラサッサー。」

勇猛果敢な上官のこの命令に妖精さんは最敬礼で答えた。

455紫ノ宮 緒子:2013/12/14(土) 22:02:45

物語も終わりを迎える。

これは、少女達の戦いの軌跡。

少女は戦う。勝利の美酒に酔いしれるまで。
少女は戦う。敗北という泥を啜ってまでも。

ある者は欲望のため
ある者は名誉のため
そしてある者は、誰かのため

これは、とある少女の物語

===============================

〜〜とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)〜〜

最終話『とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)』

===============================

勝利を確信したのは、膝に確かな手応えを感じたからだった。
零距離からの膝蹴りが、女王蜂の膝蹴りが。
超時空軽空母『綾鷹』DEATHの顎を撃ち貫いた感覚が確かに残っていたからだ。

「貴方は強く、聡明で。 確かにランカー1位に恥じない方でしたわ」
「それでも……。それでも、”女王”を名乗るには、些かおこがましいのではなくて?」

糸の切れた人形のように力無く崩れ落ちる、超時空軽空母『綾鷹』DEATH。
一瞥も無く彼女に背を向けたのには理由があった。
『綾鷹』に、問いに返答する意思も意識も無い事も理由の一つではあったが――――。
乱れた髪を。
乱れた服を。
乱れた呼吸を整える間も無く。
――――見知った少女が眼前に立ちふさがっていたからだ。

「おー。シノミヤ。また会ったな」
「……ええ。随分と早い再会でしたわ。鏑木さん」
「ははは。そう言うなって。それじゃ、始めようか? 最強のバカ決定戦だ」

荒い呼吸を隠そうともせずに、眼前の少女は続けた。
乱れた髪。
血で塗れた服。
ひしゃげた岡持ち。
彼女もまた、数多の傷を負っているのだろう。
――――恐らく自分よりも。

きっと、これが彼女の最後の戦い。
だから、きっと、これが彼女の最後の一撃。
だから、私は、彼女の一撃に真正面から応えなければならない。

「ははは。流石シノミヤ。やっぱりバカだなー。 ……サンキュ」

岡持ちを握る手が。
鞘に納められた足刀が。

僅かな沈黙。
抜かれるは同時。
ぶつかり合うは一瞬。

決着もまた――――。

===============================

456紫ノ宮 緒子:2013/12/14(土) 22:03:56
傍らで眠る少女に、僅かばかりに頭を下げる。
気を失っているのだろう。
だが、その顔は満足そうだ。
見入る気持ちを邪魔するかのようにかけられた声は、酷く、

「緒子…………?」

酷く、懐かしく感じられた。


「え……緒子? どうして……?」
「えー、えー。 緒子ですわよー。 緒子ちゃんですわよー」

弾む心を抑え、冷静ぶろうとする自分が、今は怨めしい。
本当は――――。

「まったく。 いつの間にかどこかに行ってるだなんて。 ファックですわ、マジファックですわ」
「あ、あはは……。お、緒子、怒ってる?」
「激おこですわ。全く」

――――本当は、泣きそうな位に嬉しいのに。

457紫ノ宮 緒子:2013/12/14(土) 22:04:11
「緒子……。ただいま」
「う”…………」

全く。
こいつは。
可愛い顔して。
女の子みたいな顔して。
でも、強くて。
そこはやっぱり男の子で。
いつの間にかドアをノックしてきて。
いつの間にか心に入り込んできて。
トランプが強くて。
トランプが楽しくて。
一緒に居ると楽しくて。
それでも、一緒に居たいと感じさせて。
それでも――――。

「……約束しましたものね。”守る”って」
「ふふ……。それじゃ、帰りますわよ。もう一つの約束……私達と天奈さん、3人でおにぎりを食べるんでしょう?」
「…………うん!」

そういうと少年は。
子犬のような笑顔で手を差し出してきた。

「……なんですの?」
「えへへ。手、繋いで帰ろう?」
「ふぇっ!? な、何言ってますの!?」
「……だめ?」

お願いだから。
お願いだから、そんな捨て犬のような目で見ないで欲しい。

「……急にそんなこと言われても、あ、いや、ダメって訳では無いのですがそれでも……」
「ふふふ……えいっ!」

胸の前で弄んでいた指を強引に掴まれる。
少年の、その見た目には似つかわしくない強引さで。

「ふぇえっ!」
「嫌だったら、振りほどいてもいいからね」

卑怯だ。
この少年は卑怯だ。
答えなど、分かりきっているくせに。

熱い。
顔がやけに熱い。
こんな顔、見られたくない。
だから。
だから、ふいに投げかけられた言葉は、冷水で顔を洗ったみたいに頭をスッキリさせてくれた。

「せんせー。こっちも手、つなぎますー?」
「この戦いが終わったらね」

ランカー2位。アン・ラクシー。
かつて、緒子に敗北を植え付け。
かつて、緒子の左足を破壊した女医。

「どうやら勝ち残ってるのは私達だけみたいだからね。ラストバトルだ」

震える。
手が震える。
勝てなかった。
勝つことが出来なかった。

「……緒子」

強く。
繋いだ手が、強く握られるのを感じる。
そうだ、今は違う。
今は――――2人だから。


繋がれた手が解かれ。
硬く握られた拳から、真っ直ぐに中指がそそり立つ。
そして、その手を包むように、少年の手もまた、ゆっくりと中指が――――。


これが紫ノ宮 緒子の最後の試合
これが紫ノ宮 緒子の最後の戦い

これが最後の――――

「ファックですわよ!」


〜〜これは、とある少女の物語〜〜
〜〜これは、とある少女と少年の物語〜〜

<完>

458天王星ちゃん:2013/12/17(火) 00:37:52
天王星ちゃんエピローグ-side Pluto-

「ただいまー」
「おかえりなさい!」

天王星ちゃんが帰ってきた。右腕骨折という怪我を負いながらも、それでも元気に帰ってきた。

「結局再起不能にならずに済んだね―。お疲れ様!」
「わわっ。またそうやって抱きしめる―」
「だって可愛いんだもんー。」

殺そうだなんて思っててごめんなさい。
殺さなくても、私がずっと地球で養えばいいんだもんね。
私のとりあえずの目標は、天体としての彼女を宇宙にいさせないことだから。

「もー。賞金、10万円しか稼げなかったよ―」
「じゃあそれは骨折の治療に使おうか。普通のお医者さんなら10万も使わずに済むでしょ。」
「えー。じゃあ余ったお金は焼き肉にでも使おっか。」
「お?焼き肉かー。行っちゃう?」
「行っちゃお行っちゃおー!」

こんなに自然に笑えたのはいつぶりだろう。
吹っ切れたからかな?
あぁ、焼き肉楽しみだなぁ。

【END】

459メインGK(minion):2013/12/19(木) 23:17:56
精気を啜るモノことルガー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40370411
吸血鬼から吸精鬼への変身は正直予想外でした。

460メインGK(minion):2013/12/24(火) 23:59:49
緒子ちゃん優勝おめでとうございます!

というわけで、紫ノ宮緒子&賞品の少年。ヒーローとヒロインらしい立ち位置で。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40483284
ステータスは順に、防御力・技ポイント・HPとなります。

461メインGK(minion):2013/12/27(金) 02:58:40
【R-18】絡新婦の仔こと鴻畔。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40536430
ちょろいん化+7ターン目の結果を考慮に入れた結果、これしかないという結論に達しました。

462メインGK(minion):2013/12/28(土) 00:49:01
未来支配者こと魔技姫ラクティ☆パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40559247
未来の姿。クリックで本気の衣装。

463メインGK(minion):2013/12/28(土) 21:45:29
シスター・マリー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40577134
暴力不良シスターです。おっぱいがややおっきい。

464メインGK(minion):2013/12/30(月) 23:21:59
【R-18】LoverSuitの女こと神藤振子。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40623028
対魔忍ではありません。クリックでちょっと変わります。おっぱいがおっきい。

465メインGK(minion):2014/01/01(水) 05:46:52
『”The Transfer”No.9』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3238430
<未来支配者>参戦SSです。

466ほまりん:2014/01/01(水) 09:50:50
【さようなら、六九さん】

ごめんなさい。私はあなたを救えない。
私は、あなたが消え失せようとも構わないと思った。
それが、愛するあの人を護るただ一つの道だったから。

あなたは私の友達、静穂と瑠璃奈の危機を救ってくれた恩人なのに。
たとえ任務の一環だったとしても、恩人であることに代わりはないのに。

私は、《未来視》の力によってマッチングに介入し、最適な展開を紡いだ。
平和な未来のために? ……それもないわけじゃない。
でも、一番の理由は、私自身の想いのため。愛する人を護るため。
私は、あなたに、最後の戦いの場すら与えず、惨めに消えてもらうことを選んだ。

さようなら、六九さん。
あなたは、私の友達を救ってくれた恩人です。
感謝しています……でも、さようなら。

――《未来支配者》パルプは、己の手の平を見つめた。
最終ターン、二人の選手を打ち倒し、六九から任務達成の機会を奪って滅ぼした。
酷く汚れてしまったこの手は、あの人と繋ぐのに相応しくないとパルプは思った。

(だから、今は見逃してあげる)
賞品の少年と手を取り合って去っていく優勝者の後ろ姿を、パルプは黙って見送った。
胸のチクチクする痛みにこらえ、襲い掛かって略奪したい気持ちを抑えつけながら。
(でも、いずれ奪いにゆきます。マジカニアの未来と、私のために)

かくして、魔技姫ラクティ☆パルプの世界格闘大会は終わりを迎えた。
パルプは何度も傷つき、倒れ、絶望も味わった。
しかし、それを乗り越え、大きく成長し、そしてなにより大切な想いを手に入れた。
これからも、少年を巡るパルプの戦いは続くだろう。
だが、ひとまずは、お疲れ様でした。

467ほまりん:2014/01/01(水) 22:41:39
>>465
ヤッター! パルプの参戦SSが新年SS第一号だ! ヤッター!
ルガーさんと仲は悪くないけど対抗心はばっちりな良い関係ですね。
ルガーさんはホリラン4開始前にpixivにアップされてた絵を見た時からのお気に入りキャラなので、偶然にも大会中に縁があってとても楽しかったです。
脱皮とか雄探しとかのマジカニア人の生態についてもばっちり汲み取ってもらえて嬉しいですね!
ちなみに、冬場は繁殖期ではないので排卵はありませんが、貯精嚢に蓄えることができるのでバレンタインとかにも受け入れOKです!
いや、エロいのかいて欲しいわけじゃないんですけど、自由度が高い方が可愛がってもらえるかなーって……。
素敵なイラストとSSありがとうございました!
今年はいい年になりそうな気がする……!

468メインGK(minion):2014/01/02(木) 21:08:56
『My dear...』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3244221
紫ノ宮緒子エピローグSSです。

469メインGK(minion):2014/01/03(金) 22:47:38
シスター・マリー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40734424
暴力不良シスターです。少し年齢低目に修正されました。おっぱいも修正されました。

470メインGK(minion):2014/01/05(日) 22:41:14
『Next battle』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3257837
紫ノ宮緒子 VS 女王蜂、エキストラターンSSです。

471メインGK(minion):2014/01/06(月) 22:45:25
天奈瑞。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=40805943
た、多節棍……。おっぱいがおっきい。

472メインGK(minion):2014/01/08(水) 22:34:37
『End & Start』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=3269308
初期転校生とかNPCとかのエピローグSSです。
最後はホリラン4には直接関係のないロリカワイイ子が締めます。

473魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/10(金) 06:16:07
「まだ終わっていません!」
バーン! 謎の襲撃者を操っていた真犯人、大納言蘭の病室に現れたのは……
「ハルコ!!」
瑠璃奈と静穂が同時に叫び、パルプのもとに駆け寄って我先にと飛びついた。

【魔技姫ラクティ☆パルプ・エピローグ「リミラヴが使い魔になった日のこと」】

「心配したんだよ!」
「本当に……。どこで何をしてたの……?」
2人とも涙声だ。
帰ってきた友人を二度と失うまいと、強く強くすがりついている。
「ごめんね。実は……ホテルで寝てたの」
パルプは決まり悪そうに答えた。
「なんだよ! なんなんだよその理由は!」
「えー……寝てたって……」
2人は口々に非難の言葉を述べるが、嬉し涙はとめどなく、しがみついた腕は固く離さない。

「みんなも見たかな? 私、未来の姿になったんだけどね、それがとてもキツかったらしくて、ぐっすり寝たなーって思ったら4日も経っててもうビックリ!」
「ホントにビックリだよ!」
「良かった……戻ってきてくれて……!」
言われて見ればパルプの姿は〈未来支配者〉ではなく、見慣れた魔技姫ラクティ☆パルプだ。

「ごめんなさい……ハルコちゃん……私のせいで辛い思いをさせてしまって……」
蘭は涙ながらにパルプへ謝罪した。
「えっ、どなた様……でしょうか?」
見知らぬ美人に突然謝られて、パルプは驚き聞き返した。
蘭は傍らのフルフェイスヘルム型を手に取って見せる。
「あっ、大納言先輩! いいんです。先輩のお陰で、私は素晴らしい出会いを得ることができましたから」
そう言ってパルプは、ラクティ☆ロッドを掲げた。
ロッド先端の星形のレリーフが輝き出す。

「謎の襲撃者は、先輩自身が生み出した神足光璃さんのコピーでした」
「……はい。……その通りです」
ロッドの光が強まり、神妙な顔をした蘭のことを照らす。

「先輩は言われました。『仇を討って』と」
「……はい。……えっ?」
更にロッドの光が強まる。蘭は嫌な予感がして表情を曇らせた。

「ラクティ☆パルプがばっちり解決致します!」
「えっ? えええっ!?」
パルプは光輝くロッドをラクロススティックのように振り下ろす!
ロッドの先端から光弾が放たれ、ベッド上の蘭に目掛けて飛び……命中炸裂!
「シャイニング☆ピュリフィケイション!」

474魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/10(金) 19:12:42
光に打たれた蘭の身体から、線虫様の生物が弾き出され病室の木の床に落下した。
「クリスタル☆アクアリウム!」
そして光のケージが赤白い虫を捕獲する。

「この虫は一体……?」
気味悪がる蘭の疑問に、パルプが答える。
「これはマジカニアの魔法生物『リンガ虫』。人の弱い心を増幅して操る厄介な生き物です」
「この虫のせいで私は……ううん、違う。悪いのは私。悪かったのは私の弱い心……」

「人は誰しも弱い心を持ってます。でも、自分の心としっかりと向き合えば、弱さは弱さではなくなります。先輩はいつも自分自身を見つめ、技を磨いてきました。だから大丈夫。これからも」
パルプは長くて短かった世界格闘大会を振り返る。
戦いを通じてパルプは自分自身の弱さを何度も思い知らされ、遂には心折れ倒れた。
しかし、絶望の淵でパルプは心の奥底にある強い想いに気付き、立ち上がることができた。
強い想いがあれば、誰だって変われるし、何度負けても決して負けない。

「でも……なんでこんな虫が妃芽薗に……?」
静穂が問う。その胸は中学生としてはかなりのものだが、大納言先輩はもっとすごかった。
「心当たりがあります。――これから、その虫を先輩に寄生させた真の黒幕に会おうと思います」
パルプは毅然として言った。

「また危ないことする気なの! ダメ! 行かせない!」
瑠璃奈が血相を変えてパルプの腕を掴み、引き止めようとした。
一度言いだしたら誰もパルプを止められないことは解っていたが、それでも引き止めようとした。
瑠璃奈の胸についてはノーコメントにしてあげるのが優しさだろう。
脱皮して成長したパルプにちょっと負けてる気味なのだから。
「心配しないで。危ない相手じゃないから。あのね、黒幕はね……」

◆ ◆ ◆ ◆

妃芽薗の森の中にある大きな池。
下弦の月に照らされた静かな水面に向かってパルプは呼び掛ける。

「大納言先輩に虫を仕込んだ理由を、聞きに来ました」
……返事はない。
「《未来視》からは逃げられませんよ。姿を現しなさい。私の使い魔、リミラヴよ!」

475魔技姫ラクティ☆パルプ:2014/01/11(土) 00:19:31
池に細波が起き、観念したマリンモンキーがゆっくりと姿を現した。

「教えて。大納言先輩に虫を仕込んだ理由を」
「……」
「教えて。私が財前さんに負けたとき、どうして私を置き去りにしたのか」
「……」
「教えて。なぜ臨海学校にクラーケンを呼び寄せたの」
「……」
「教えて。五月病の呪いを私に掛けた目的を」
「……言わなくてもわかっとるんやろ? それに、《未来視》で視たらええやん?」
「うん。だいたいわかってる。でも、リミラヴから聞きたいの」

「しゃあない。じゃあ言うで。ぜんぶ姫はんに絶望を味わってもらうためや。人間界修行で絶望を乗り越えてはじめて、女王になる資格を得られる決まりやねん」
「やっぱり、そうだったんだ」
「そのために一番の理解者ヅラして近くに居り、裏でコソコソ試練を招き、そんで最も辛いタイミングを狙って裏切る。これがリミラヴの役目や」
「……」
「姫はん、なかなかしぶとかったから難儀したでホンマ」
リミラヴは精一杯冷淡ぶって笑って見せた。

「……大変だったね。辛い仕事だったでしょう」
パルプはしゃがみこみ、リミラヴをぎゅっと抱き締めた。

「やめてや! 裏切り者に優しい言葉なんかいらへん! それにな、リミラヴは姫はんの使い魔ちゃうねんで!」
「えっ……!?」
「びっくりしたやろ、リミラヴは宮内庁直属の特務ファミリアや! 姫はんに絶望を与えたらそれでオサラバ! 最初っからぜーんぶウソだったんや!」
「……リミラヴのウソつき」
「その通りや!」
「ぜんぶウソだなんて、そんな下手なウソ信じないよ。あの時リミラヴは言ったもん。私のこと大好きって」
「う……あれはやな……」
「許さない。もう私の前から消えるなんて絶対に許さないんだから。マジカニア第一王女、パルピューラ・マジカニア・レガリスの名において命じます――汝リミラヴ、我が使い魔として仕えるべし!」
「ほんまに……ほんまにええの……? ウソつきで……裏切り者やのに……」
「私にはリミラヴが必要なのです。それに、あの人を狙うライバルを蹴落とすためには……あなたの悪知恵が役に立ちます」
「おおきに……姫はん……ほんまおおきに……!」

こうして、リミラヴはパルプの本当の使い魔となりました。
少年を巡るパルプの戦いはこれからが本番ですが、これにてひとまずばっちり解決です。

(おしまい)

476超時空軽空母『綾鷹』DEATH:2014/01/12(日) 14:47:26
[ Battle Cinderella〜sea side episod06【業と才】〜]

●招待
しかし、なんという十日間だったのだろう。

少年は嘆息する。

思えば最初からクライマックスだった。そして最後まで”とんでもない”展開だった。
ある日訳も判らないまま浚われたのを皮切りに、見張りのお姉さんに逃がしてもらい脱走、
仲間たちとの合流もままならないまま
学園の先輩に助けられ、病院でひとりの少女に出会った。そして離れ離れに。

そして彼女は再び彼の前に現れた。
その彼女は着衣の乱れを治すと改め、こちらをくるりと向うとくすりと笑った。
『蹴り』が突きましたよ、そんな顔だった。

たぶん今のが最後の戦いだったのだろう。
周りにはその決着を見届けようと、たくさんの女性達が集まってきていたからだ。
決着はどこかの誰かを彷彿とさせるひざ蹴りだった。
(なお、この場に男性はいない、軽く運命淘汰された)



そして自分へと歩を踏み出す出会いの少女。

対戦相手の女医さんとそこに慌て駆けよる看護師さんの姿。
少し距離を置き壁に手をつき、何かを思慮気に呟く、彼の妹。
横になんか凄い水着姿で駆けて来るシスター。

まるでスローモーションのようだった。
その全ての動きがまるでコマ送りの映像のように、少年の眼には酷くゆっくり鮮明に映っていた。

あまりに唐突で衝撃過ぎる、その最後の出会いによって

『じゃ  ラストステージにご案内するか、少年少女 』

少年へと皆駆けよる中、全員の中心点に、まるで割り込むような形で、頭から真っ逆さまに、

 
      少年の『同級生』が天上から落ちてきた。

「へ?のもっ…」

いや死んじゃうでしょて落下シーンの彼女と視線が合った瞬間、彼は笑いを含んだその言葉を確かに聞いた。


――――――― ☆ ☆ ☆  D P 戦 略  ☆ ☆ ☆   ―――――――――

と。

ポーポー。
どこかで汽笛のなる音が聞こえてきた。

●間奏曲『Dangerous crossover』    
                     
Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!

   ☆!Ole!☆

TOKYOのとある夜〜 ”彼”が倒れた時から

オレ達はひとつ 同じ夢を追いかけ始めた

宗教者も政治家も 科学者も予言者も〜

もう誰も明日さえ見通せなっている、暗い暗い闇の時代が続くけど〜

だけど、だから、「少年(おまえ)」に愛に行く。

Rock!Rock! ROCK in the heart

Rock!Rock! ROCK in the heart

   ☆☆☆

Dange-rous crossover!
Dange-rous crossover!
Beyond this point.no life is in danger ahead!!

さあ!南から北まで さあ!東から西まで、右も左も関係ねぇ〜
オレと楽しまないか?

心に不満を抱いて ため息も飲み込んで
ただ、このまま だらだら Choro-in(おちて)いくつもりかい?

熱く熱く燃えてお前と踊りたい
夢を夢を抱きよせ踊りたい。

Rock!Rock! ROCK in the heart

Rock!Rock! ROCK in the heart

運命を!サダメを!塗りつぶせーーーーー!

Rock!Rock! ROCK in the heart

477minion:2014/02/03(月) 23:27:43
【R-18】魔技姫ラクティ☆パルプ&ルガー。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=41374221
恵方巻きおいしいなー。

478minion:2014/02/12(水) 02:13:47
バジルこと一 ○○(にのまえ・ばじりすく)。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=41562915
おっぱいがおっきい。

479minion:2014/03/14(金) 00:51:43
紫ノ宮緒子&賞品の少年。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=42217494
>>420-422の挿絵です。

480超時空軽空母『綾鷹』:2014/03/17(月) 07:27:06
sea side episod【業と才】の続きです。書く内容はきまってるのでこっそりちまちま続けます

●例によって謎のDP空間

『きっと何者にもなれぬお前たちに告げる。ってーーーーーーーーー』

マリン・ブルー。
そこはどこまでが青と僅かばかりの白という2色の空間だった。
床一面だけでなく天上までもが青で統一され、中央にある白い階段だけが入道雲のように
浮き上がっていた。

その声はその白の最上位の平台から発せられた。
一人、下方を見やる黒帽子の姿、能力「DP戦略」を発動させた『綾鷹』だ。
彼女はいつものように階段から特殊空間に召喚された対象に見やり、少し首をかしげる。
そして次の瞬間、盛大な呻き声をあげたのだ。

『あああんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』


人物     位置
・アン先生 (→)
・ナス子  (↓)
・マリ   (←)
・一六九  (↑)
・おこちゃん(騎乗位)

・そして(中央)玉座に少年。

以上、4身+プラス1が見事にまでこんがらかり、あられもない姿でそこにあった。
頭は両側から胸に圧迫され、手や足は都合よく女体の神秘へと伸びけしからん接触を引き起こしている。
どうしようもなくTOLOVEるな状態になっていた。

なんと、うらやまけしからん状態。では能力発動の瞬間をもう一度VTRでみてみよう。

少年は落ちていた同級生を助けようとおこちゃんの袖をひっぱり着崩れていた
助けに入ろうとし近づいたマリは、音もなく近づいていた一家の六九お嬢さんと接触。
ナス子は先生に肩を貸したバナナの皮に滑って、助けた先生ともども超すっころびスライディングでGO。
そんなこんでアレがソレした結果、物理的にありえない現象が起きたのだった。

『…あ、ありえん”全員連れてきた”だと…通常連れてこれても精々一人、本人と一番運命の
結びつきが強い人間だけなのだぞ。それを手当たり次第って、このケダモノめ。』

きっと彼の運命の赤い糸は下方で示されているような、くんずほずれつの痴態を演じているのだろう。
そのもつれが奇しくも然様に作用した。そんなこんなのTOLOVEる展開だった。

(あれ師匠。無事…それにここは前の砂浜のときと微妙に違う様な。って水着のひもがぁ…)
(魔人能力発動確認―分析中。)
(…なんかロンダルギアから海っぽいとこ落とされましたよ、先生。)
(いや海じゃねぇ。見おぼえがある…恐らく市内の病院だ。)
(ふぇぇぇぇ、ふっぁくですわ。)

かくて一か所にどさりと揃って落ちる羽目になった一行だが、それぞれの思惑の右斜め上をいくように
何かがひょんと飛来してきた。
その飛行物は銀色の粉をまきながら頭上を旋回すると中央に位置するToLOVEるの主に声をかける。

「うひょー、いっくんー相変わらずだねー」

少年がぱちくりと目を瞬きする。大きさは違えど綾鷹そっくりの少女だった。
マリがいつぞや見た聖霊を名乗った妖精さんだ。思わず頭上の妖精と階段の綾鷹とを見比べる。

「あれ?のもっちゃん。え、こっちが本物?」
「オーイエス。おひさしぶり〜☆」
「って、アレ?じゃ、あちらの怖い顔でふんぞり返ってる、のもちゃんは…え、アレ』
「あ、アレは『女王』様だよ。」

希望崎学園のクラスメート、久方の再開であった。

481超時空軽空母『綾鷹』:2014/03/17(月) 07:28:46
†††

のんきな同級生同士の会話が交される一方、召喚された中で予想外の危機にあえいでいる少女もいた。

(ううううううう、マジー)

一番被害が大きかったのはマリだった。
不死の霊薬を飲み一時不死化して転校生に挑んだまではよかったが、チョロインの未来女王に
よる魔法で逆襲をくらい。マイクロビキニに着替えさせらるという謎の恥辱による敗北を
くらっていたからだ(これはマリ視点から見たら裸同然の痴態であり、戦闘続行不能となった)

残った布をかき集めて最終戦に駆けつけたは駆けつけたが、こんどは落下の衝撃と少年の
魔の手により上下とも紐が切られるという大凶事に遭遇したのだ。不幸体質としかいいようがない。

もう一人は紫宮緒子。
元々着崩れていたところを少年に引っ張られたため、マリほどではないが半ら状態だった。
なんで裾を引っ張られただけでそこまで脱げるんだよというツッコミがあるかもしれないが
事実として彼女のAカップ専用ブラは確かに少年の手にあった。

(ふぇぇぇぇぇ)

『たく、これから面会だってのに。でこ娘のけ。』

綾鷹はその惨状どもに軽く舌打し、妖精に指示を出すと自らの黒マントを翻す。
するとマントは舞い降りるにつれ風呂敷大から網のように大きく広がり、下手にいる
一同をまるごと覆い隠した。


(「「「    」」」」」)

『ワン,ツー,スリーで…ほい「無限1UPの術」。』

そしてマジシャンのように一気に引き上げる。

「「「!!!!!!」」」」

マントが引き揚げた後の彼らの変化は劇的だった。
シスターマリーはひもだけ状態から、修道服姿に
紫音は紫のドレスに、汚れたパーカー姿だった少年は礼服に代わっていた。
アン先生とナス子は白衣にナース服姿は変わらなかったが、コスチュームは
リニューアルされていた。
当の綾鷹は各人の出来栄えを順番に目で追うとゆっくりと階段を下りていく。

「師し…」
師匠の助け空母で、窮地脱出。救命処置に感激し感謝の声をかけようとしたマリーだが、
綾鷹の思いのほか鋭い目線の返しに言葉を飲み込んだ。
綾鷹は彼女を見る際に知らんぷりをするよう視線で促した。その際、彼女にだけ
判るよう一瞬だけ別の人間に視線をズラして見せてだ。眼だけで視線の先を追うと―
――その先には乱入者の少女。

(彼女だけ衣装が変化していない?)
確か少年の一家の一族とかカジノの戦いでちらり聞いた覚えがある。まだ全ては
終わってないということなのか?
(おおっと。…この乱入者さんに目を光らせろってこと…なのかな。だけど、この子…)


†††

まだ終わっていないと残心に心努める者がいる一方、さっさとことの全てをもう終わらせて
しまいたい者もいた。
本大会、最初から最後まで訳わからないまま、巻き込まれまくったアン・ラクシ―先生その人である。

なんか終わった見てーだから、あとはホテルに戻ってシャワーひと浴びして、ビール飲んで寝よう、
そう思ってた矢先。最後の最後にこれである。
額にひとさしゆびを当て、ひとつ息を吐く

一応、案としては2つだ。
プラン1:このアキ缶娘をソッコーでぶちのめして、ささっと返してもらう。
プラン2:相手の話をテキとーに聞き流し、満足するまで喋ってもらったらささっと返してもらう。


プラン1の実行を考えるに当たって重要なのは頭勘定だ。この案に皆が賛同してコイツをフクロに
してくれるなら、問題ないが、あのシスターはなんだかんだとアキ缶娘側に廻りそうだ。
そして紫宮も正々堂々正面突破の性格だったはず、のってくるとは思えん。それに…アンは紫宮を
見てプラン1を完全に諦めた。

彼女はキラキラしていた。
一見、少年を守ろうと周囲警戒を怠ってないよう鉄壁のガード、そしてシリアス面を装おうとして
いたが、話している少年(おうじさま)と妖精さんを見る目が完全にメルヘンモードになっていた。
あの完全にキラキラした眼をみれば、別の意味で戦闘できる状態じゃないのはマルわかりだ。

先ほど自分と引き分けた乱入者はまだ余力を残しているようだが、さりとて急に共闘体制とれる
とも思えない。それに今は、彼女からあの殺気だった冷徹な感じを受けなかった。寧ろなんというか…、これだから、…は。

482しらなみ:2014/04/16(水) 05:35:18
●一・六九は綴らない(タイムループ症候群)
「達成は困難…」
人工頭脳BouleOSの作動により特殊空間の分析を完了した一・六九こと、十束学園の派遣兵力
RMX-114は瑠璃色に囲まれ閉ざされた空間の中、自らが導き出した結論をポツリつぶやいた。

ターゲットである少年が連れ去られる瞬間、同じ異空間に潜り込めたことは僥倖だった。
本来ならば引きつづき武力に訴え、少年の強奪作戦を継続したいところであったが…、
彼女は、左手を下げたまま指先を軽く振り自身の状態を確認した。

殲滅戦(みなごろし)が可能かどうか。
今この場にいるのは彼女を含め、7名。
ご丁寧に部外者である自分以外、大会ランキングの暫定一位から四位が勢ぞろいした形となっている。
故意か。
偶発か。
いずれにしろ下手に動けば囲まれ棒で打たれることになるだろう。
流石にここを力押しで通せると断ずるほど、彼女は己の力に自惚れてはいなかった。

―――RMX-114は訥々と思考を続ける。
むしろ問題は作戦方針を”強硬”から”懐柔接近”へと切り替えた場合の己が力量だ。

そう思い至った時、彼女はぶるりと身を震わせた。

自分は何もできなかった。
少年の頭を股間の間に挟み込むほど密着していたにも関わらず、自分はそこから哀しいほど
何もできなかった。
抱きかかえることもすり寄ることも喘ぐこともなく、ただ、身を縮こませていただけだった。

冷や水を浴びた様な不思議な感覚に襲われる。冷徹な装いを続ける彼女の精神の外装が剥がれ、
何かが彼女の中に浸食し始めたのだ。
RMX-114、今からでも遅くない、一・六九として彼の所有権を主張し紫宮やその他の女どもの
接近を牽制すべきなのだ。腕を組みにいってもいい、情に訴えてもいい
与えられた”家族”と言うアドバンテージ最大に使って、硬軟交えた選択肢を取るべきなのだ。
・・・・
・・・
・・・・
・・・・不可能事項。

彼女は頭から否定する。何故なら自分は”本物”の家族ではないからだ。
本物でないから、
だから家族である自分の元からあっけないほど離れ、彼は今、別の輪の中心にいるのだ。

それは人工物(ドール)としてのアイデンティティしか持ち得ていない彼女の哀しさだった。
単純な戦闘力ではズバ抜けていたのだが、元々、要人暗殺の要員として設定されていた存在故に
彼女は対人要素に関わる駆け引きには恐ろしいほど稚拙であった。
自分は未来から送り込まれた超機関の孤独なソルジャー、本来の六九という存在を踏み台にして存在
している異物。

”だから”
”だから”
自分はどうしてもあの人へ向かっての一歩を踏み出せない…。

それはあまりに臆病で飛躍した結論。
彼女は抜けだせない迷路を常にぐるぐると廻っていた。
そしてその『結論』はRMX-114の与えられた”特殊任務”、救世主生誕の『妨害』というミッションに
重大な齟齬を生じさせていた。

(まだできることは…ある…。私の身体はまだもう少し持つ…死滅前に…。)

RMX-114は少年と少女を油断なく見据えながらも、自らの体内の戦闘残量を図る。
戦うだけに存在する機械は戦いの中に散る覚悟を決めた。
もし、この場所が人工頭脳の”分析通りの存在”であるなら、自分にもまだ任務達成の最後の
チャンスがある。その場合「鍵」になるのはタイミングだった。

任務は遂行する。

(しかし、ここに来てから情緒が不安定化している。なんだこのザワザワした感覚は)
定められた命しかない自分のナノ細胞、その壊死による近づく自己崩壊。
高まる胸騒ぎと中二力。
そのざわつきを、胸騒ぎの正体を一族の者ならこう称しただろう。

虫の知らせと。

彼女は己がシステムBouleOSの予測すら上回る”予兆”が起きていることにいまだ気づいていなかった。

†††

「せ、先生みてくださいよ」
「知るかボケーーーーー」

アンは新調されたピングの看護服を見せびらかしてきたナス子にとりあえず定番の蹴りを一発入れ気を
落ちつけさせると綾鷹のほうを見上げ、忌々しげに毒づいた。
「…シンデレラの魔女か…テメェーわ。」

生々独り言としては大きい呟きだった。毒つきを聞きとめた綾鷹が段を下りる足を止め、
面白そうにアンラクシ―のほうを見やった。

『…シンデレラの魔女?ああ、童話の登場人物のことか。それで「合ってる」な。わらわが
本大会で与えられた役割はそれだったからな。上手いこと例えるじゃないかーアンラクシー。』

好・感・触。

(ま、かなりの喋りたがりな感じだしプラン2で問題なくいけそうだナ…むしろ、好感触って
なんだよ、電○少年とかネタ古すぎだロ、最近の若い奴はしらねーんじゃねえか…ってオイ。)

483超時空軽空母『綾鷹』:2014/04/16(水) 05:37:00
アンは自分で振っておきながらアキカン娘から返ってきた返答に軽く舌打ちした。
おかしい。本来綾鷹は前日の鼓膜破けて”耳が聞こえなくなっている”はずなのに”聞こえて”やがるのだ。
選手の治療役だった月の巫女は前日にシスターマリに倒され、病院送り。条件が皆同じなら
通常手段では治療できないはずだ。実際に紫宮は聞こえないまま、この場にいる。

「お前、一体、何者なんだ。何が目的だ。」

苛立ちからでた言葉。これは本心からの問いかけだった。
このアキ缶娘にはなんだかんだで大会初日から絡んでたが、行動と言動とも不可解、極まりない。
別段、大会の裏事情などとかどうでもよかったが、自分に関わった範疇程度は
すっきりさせておきたいところだった。
そしてその答えは存外にあっさり返ってきた。

『ああ、わらわは主催者のツレだ。』

†††

『わらわは大会主催者の知り合いだ。命運尽きそうなじーさんに”今際の際のお願い”っての
個人的にされたので、ちょいと捻じ込んで大会参加させてもらった。
ここの主催者は「缶むす」のスポンサーでもあるからなら、それほど無理な話でもないだろ。』

大会主催者と缶娘の出資者が同一。
その言葉に六九と耳が聞こえない紫音以外の全員が顔を見合わせた。あまりに意外な、いや賞金に
一兆円だす酔狂な大会運営だ。意表はついていても意外ではないかもしれない。
 六九は”じーさん””今際”という言葉に僅かに反応した後、ただ黙し、己が身をより深く
周囲の青に馴染ませていっていた。マリは見合わせついでに少し、位置を変える。

『んで、じいさんが最後に「賞品の少年」に会いたいってんで身柄の確保もかね”ここ”に
連れ込ませて貰った。全員ひっついてくるとは流石のわらわも吃驚だったが』

ここで一度言葉を切ると全員を綾鷹は見渡し、にやりと笑う。

『ただお前が知りたいのはそんなことではないだろう。知りたいのはどっちかというと
自分に関わること、この大会は”何だった”のか、そして自分達がどういう立場に立っていた
のかというようなことのはずだ。』

そして彼女は目の前にある黄金の扉を指差した。

『答えはこの先にある。』

扉?全員最初何を言われたのか判らなかった。そして何時の間にか彼女の前に現れた扉の存在に
気づき、全員の口があんぐりと開かれる。
さきほどまでそんなものは存在しなかったはずだ、なんだこの無茶苦茶な空間は?

その扉は両手を広げたより更に広く、閂(かんぬき)がかかっている重厚なものだった。
こうなると扉と言うより門に近い。
綾鷹は自分の頭に輝く『綾鷹』と書かれたプレートを差しぬくとそのまま表札の位置に差し込む。

「パスワードをどうぞ」『”選ばれたのは綾鷹です”』「確認しました封鎖解除します」『うむ』

(ネタ用の装飾具と見せかけて!)(IDカードだったのかアレ!)

『そこの少年。 』

綾鷹は扉のロックが解除されたのを確認すると背を向けたまま、少年に声をかけた。
少年からは表情は見えない。

「は、はい。」
少年は姿勢を正すと改まった声で返答を返す。この呼びかけに何か逆らえない重いモノを
感じたからだ。その声を聞いた綾鷹は厳しめだった声を少しだけ和らけて続けた。

『…じーさんに会っていけ。答えはその先にある。
ただ病人相手だから、面会の同伴者は一人までとさせてもらう。誰にするかはお前が選べ』

ボクが選ぶ?
少年は一瞬、戸惑った。会うべきなのだろう。そこは判る。

主催者が自分に会いたがっているとは先ほどの会話にも出てきた。
自分に会うことが主催者に「最後に」「予定されていたこと」だというのなら寧ろ絶対に会わなければならないだろう。

彼に拒否という選択はない。

ここで逃げ出すことは自分が被った被害はおいておくとして、この騒動に翻弄された多くの人達の為に、
自分が何かできる機会を逃すことになる。
そして次の機会は自分には、そしておそらく主催者にもないのだろうから。

もう一人、選ぶ
少年は、ごく自然な動作で自分の横にいる少女を見やった。ここ数日、共に過ごした少女を。

彼女は不思議な人だった。胸もそれほど大きくないのに、どんな困難な状況であろうと恐れず立ち向かい
決して怯むことがない。
どんな苦難であろうと伴に乗り越えようと思えてくれる、そんな勇気をくれる力強い眼をした人だった。

少年は頷く。
一緒にいこう。
そう彼が口を開き、手を伸ばした瞬間、一陣の風が彼の顔を撫でる。凶風が開き始めた扉の前を立つ綾鷹を襲ったのだ。

484超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 06:54:28
●自重、自ら沈む重み(タイムループ症候群II)

予兆は波紋だった。
綾鷹は振り返ることなくサイドステップを踏み、大きく左へと飛びのいた。



機構少女・RMX-114は究極の初見殺しである。
予備知識無く対した武術家、格闘の達人は、例外なく瞬殺の憂き目に会う。
彼らは目前に飛来した死神をただ茫然と眺め、己に振るう手刀を眼に焼けつけながら、
無為のまま地に伏すという恥辱を経験することとなるのだ。そこに慈悲はない。

例え、目の前に現れたこの小柄な少女を全力で警戒し、万全の構えを取っていた
としても、同じだ。その急接近に応えること叶わず彼女に先手をとられる。後の先はない。

その秘密は初期加速の術(すべ)にあった。
彼女の背部と脚部に搭載されたイオンエンジンによる推進システム「飛燕」の力である。
ホバリングで浮き上がり、そこからノ―モーションで爆発的な初期加速を得る。
それが動きを『読み合う』武術家達にとって致命的遅れを生み出す。

筋肉であれ自重であれ、動作には予備動作が伴う。その予兆を見落とさないよう
神経を研ぎ澄まし日頃から備える彼らだからこそ、見落とす。
”動きがない”移動に。

神速を誇るRMX-114ではあるが、音より早く動けるわけでもなく、眼にもとまらぬ
速さと言うわけでもない。
だが、彼らの眼にはこの小柄の少女の身体がまるで突如膨張したかのように映るだろう。
そして
拳から発せられる強力な電撃が、彼らの今までの修練をあざ笑うかのように凪ぎ倒しにかかるのだ。
まるでガトリング砲を喰らった御庭番衆のような顔をして。

無動作による動作、武術が目指す一つの究極を為し得たのは、単なる機械技術だった。

そう私は機械だ。奴は機械、自分達は人間、兵器と武術を混合してはいけない。同列に
語ってはいけない。そういい合い己を慰めているがいい、人間どもめ。



RMX-114は初動の為のホバーリング作動を開始した際、床の表面が自分中心に漣たっている
ことに気が付いた。
それはほんの僅かにささくれだった波紋ではあったがまるで水面上にいるかのように、薄く、
淡く青一色の床を広がっていっていた。浮力を得るための震動がそのまま床に伝わっているのだ。

RMX-114は疑問に思い、記憶を探ったが、他の人間が動いた時そのような波紋現象は起きていな
かった。では自分だけ何故起こっているのか…彼女は続いて自身と他者の差異点を探った。
そして思い至る。綾鷹が放った『コスチューム変更』の術だ。あのとき自分だけが対象外だった。
アレがもしこのフゥロワーにおいて油膜のように働くような性質だったと仮定したのなら、
現行の現象の説明が付く。
綾鷹に目を向ける。彼女は背を向けたまま、扉の前にいた。視線の向きは―不明だ。
初動を見抜くため、波動を見ているのか。
味方の態勢立て直しだけでなく、こちらの動きを把握するための工作を労したというのか。

綾鷹は当然として、周りの連中もこの現象に気づいている可能性も高い。
それならそれで、いいだろう、腕の一本くらいはくれてやろう。
RMX-114は心の中でそう結論づけた。

485超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:01:37
†††
綾鷹はその身を一瞬沈ませたかと思うと振り返ることなくサイドステップを踏み、大きく
左へと飛びのいた。
予備動作がほとんどないスムーズな動きだった。達人たちが使う自重を利用した加速での
動きだが、特記すべきはその回避のタイミング、RMX-114が推進をかけるのとほぼ同タイミングだった。

―純粋な読み勝負になればあちらが上―

となれば当然空振り。扉へ向かい突進した先に当然、綾鷹は居なく、振り下ろすべき先の
ない手刀も空を切るしかなくなる。
しかも、今の二人の両者の距離は測ったようにエネルギソードによる電撃を浴びせれるギリギリ
の間合いとなっていた。

―攻撃を誘っている…。カウンター狙いか…―
恐らく振りあげた掌”雷神”をそのまま切り返し”しならせて”対象に放ってもすり抜けられる。

全く持って予測の範疇だった。
影は突進した姿勢のまま、左手を振り切らず、手にした武装を敵にも放たず、ただ”カチリ”と水平に構えた。

腕にあらわれた武装の名はWOZ-068「裂光」。
彼女の左手に常備されている対転校生用を想定して作られた大型レーザーライフルである。
彼女が形成していた武器は近接用の雷神ではなかった。
そしては彼女は本来の射程、用途を完全に無視し、その銃口をレーザー剣のようにふるい綾鷹とその周辺をぶった切ったのだ。

この距離なら、あえて狙い定める必要はなかった。ただ凪ぎ払い、撃ち尽くすことで事足りる。
GOOWWW
床を撫でる光線、立ち上る蒸気。
手ごたえはあった。だが、その成果を確認することなく、銃を撃ち終えた機械の少女は次なる危機に直面する。
それは死角より放たれた刺客の十字架。
彼女ほどの者ですら感知しえない、故に対応もできない。宙を舞う天使による迷いのない一撃が振り下ろされたのだ。



マリーは元来、不器用な性質である。
後にブラッディーマリーという不名誉な二つ名を頂くことになる彼女だが、その主因は
その不器用さによるところが大きい。
彼女の戦闘原理は単純である。相手の隙とか急所がなんとなく分かるので”これ”という
ところに思いっきり武器を振り下ろす。もしくはそこに至るまでの『線』が、やはり
なんとなく見えるのでそれに沿って動く。

基本それだけなのだが、相手側にして見るとこれらが非常に巧妙な攻撃として映る。
こうやられたら嫌だなとかここがヤバいと考えているところ、またはまるで意識していない
回避できない死角のド真ん中に彼女はドンと十字架を打ち込んでくるのだ。やたら的確に。
その容赦のなさが大会後期の再起不能者の量産という時点に発展するのだが、マリーの立場としては
「すんません実はそれ以外できないんっす」ということになる。
彼女とて負けるわけにはいかない理由があるのだ。それが彼女を敗者から勝者に変えた。

マリーが少女を視て、まず感心したのはその肝心の付け入る『ライン』が全く見当たらなかった
ことだった。全く隙がない。少なくとも自分では崩せないレベルに彼女はいる。
周囲への警戒を怠ってないということもあるだろうが、確たる拒絶といった印象が深い。
攻撃どころか会話のとっかかりすら見えないほどの頑迷さであった。色々事情が合ってやって
来る孤児院の子供たちでもここまでガードの固い、頑な相手はそうはいなかった。
マリーは唸る。苦手なタイプだった。そして、そういうとき孤児院で突破口を開くのは
いつも同じ(エルザ)だった。甘えてまかせっきりだったのは大いに反省すべき点かもしれない。

彼女は全員が視野に収まるよう位置取りを変え、それから綾鷹の動きに視線を注いだ。
そもそも、やることは共同戦線。しかも合図してきたのは綾鷹側だ。
下手なことは考えず、彼女がどう動きどうしたいのかを捉え、その動きに併せ行動すればいい。

そう思って改めて彼女のほうを見ると、これ以上無いくらいハッキリと線がある。というか
やたら太い上にでかでかとデッカイ矢印で「welcome!」とかいてあるのが見えるくらい
ハッキリ見えた。
そういうところは彼女の親友にそっくりかもしれない。笑いだすのを堪えるのがちょっと大変だった。

486超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:04:05
(それじゃお任せコースで)
自分はサポートに徹する。
彼女の動きに併せ、あとは身体が自然に動いた。

戦鬼ブラッディ・マリー。
その最たる才は『共感』
相手の死線を突く死神の顔はあくまで、一つの側面でしかなかった。
彼女の才能の本来の活かし方は、相手と共鳴しそれを感じとる力。対極にあった。

そして相手の意識を汲み取り行動するその『共感』という名の才は
時に親友の助け船を得ながら、複雑な事情を抱える子供たちと不器用ながらも接して、
修道院生活の日々の中で少しづつ、培われていったものだった

才は神から授かったモノかもしれない。だがそれは同時に間違いなく子供たちとエルザからの贈り物でもあった。




誰であれ攻撃する瞬間は隙が発生する。
完全に死角をついたマリーの攻撃に、RMX-114は全く反応できなかった。
なので次に起こった出来ごともあくまで『偶然』の出来事だった。

マリーの振るう十字架の前に「裂光」があらわれたのだ。
「なっ」
予想外の迎撃に驚きの声を上げるマリ。
無分慮の砲撃が原因だった。我が身を顧みないRMX-114、その暴発気味な一撃に振り回された銃身が
発射の反動と慣性に沿って上へと跳ねあがり、振り下ろした重十字架「ファルコネン」と交差する
形で、衝突したのだ。
その動きは意図したものではない偶意。だがそれは我が身を捨て貫く覚悟がなければ決して
起らぬ偶然でもあった。

はじき飛ぶ裂光。
受けによるブレは僅かコンマ数秒、だが冷徹なる機械にとってその刹那で充分であった。
彼女は左肘から先の回収を諦め、次の動作に入る。

タイムブースター「闇掌」作動。
あとは、ちょっとしたタイムブースターシステムの応用だった。RMX-114は刹那、受けた
衝撃に千倍速度の踏み込みを加え軌道修正を行いながらロケットのように後ろ向きに弾きとぶ。

向かう先は半開きの扉。

発生した衝撃を十字架を盾になんとか受け流すマリー。死線を追った彼女が視た時には
影は捻じ込むように自らを扉の中へと押しこみ、その姿を消していた。
機械の執念が、天賦の才を凌駕した。

487超時空軽空母『綾鷹』:2014/05/01(木) 07:04:33


『追え。少年』
突然の事態に固まっていた少年は蒸気のなかから発せられた鋭い叫びに我へと帰る。
だが、足は止まったままだ。
砲撃を受けたらしい綾鷹を捨ておいて、自分の家族を追いかけていっていいのか、迷ったのだ。

むしろ、声に忠実に反応したのは少年よりも耳の聞こえない紫宮だった。
”追いかけないと良くない事が起きる”彼女の感性がそう判断したのだろう。
戸惑う少年の手を掴むと励ますように一度力強く握った後、自分のほうに手繰り寄せた。
確かな進むべき道への意思表示。選んだのは少年ではなく少女のほうだった。
二人は消えた影を追い、扉へと消えていく。

マリーは、身をくるり翻し十字架が受けた衝撃を吸収しながら床にすたりと着地する。
彼女は影が消え去った後の扉に暫く視線を向かわせ考えていたが、振り返り、声をあげた。

「師匠。アレでよかったんですか」
呼びかけた先は、いまだ煙幕の中にいる綾鷹だった。
自分も追わなければと一度、扉に足が向かいかけたが綾鷹の「少年」という指定に
思いとどまった。追えと言われなかった、寧ろ追うなという制止に聞こえたくらいだ。

爆煙が立ち消えた後、お師匠さんは左手を前に付きだした奇妙な構えで立っていた。
直撃を受けたように思えたが目立ったダメージはなさそうだ。
なんだか酷く不貞腐れたご様子で左手を軽くふるう。その一振りで彼女の周りに
舞っていた銀粉が左手に吸い込まれるように収束していった。

『…………前云わなかったか?ガキの相手は苦手だって』
「オレだって苦手ですよ。そこらへんとこはエルザにまかせっきりでしたし」

「やれやれ呑気な連中だな。」
そう声をかけたのはアンだった。
急いであの人たち追いかけましょう!と今にも駆けだしそうだったナス子の首を
ひっ掴むと綾鷹たちの元にのんびり刀でやってきた。
彼女には加勢する義理がなかったので、ゆっくり見に廻っていたのだ。
鼻を鳴らして左手を見る。

「今度のはなんだ?ウィザード」
「先生!!ごぞんじないのですか!?あれこそが、あらゆる異能を消し去るという
伝説の能力、その名も神殺s…ひげぶ」
「お前、ちょっと黙ってろ」

ナス子のあまりに危険が危ないまぜっかえしにアン先生のマジカル☆ニーが
炸裂した。本日2度目の膝で有る。
ウィザードと呼びかけておいてシャイニングウィザードをかます芸達者。
なお一度目の膝は先ほどの何者だテメエ発言の後、ナス子が
「先生!!ごぞんじないのですか!彼女こそ台役からチャンスを掴み、ランキング街道を
駆けあがった超時空缶隊アイドルの缶娘さんじゃないっすか!」
と茶々入れをかました時、我々の見えない角度で放たれていた。
アン先生の慎み深い教育的配慮の結果だった。
(ん、まあ、おかげで今まで感じてた違和感の正体はだいたい見えてきたわけだが)

綾鷹は掛け合い漫才を始めた二人から目を離すと、宙を飛ぶ中継妖精に声をかける。

『でこ娘、じいさん起きたか』
「YES、起きたよ―」
それを聞き、ちっと何故か舌打ちをする綾鷹。
これで自分のやれることは全部やり終えたということだ。後は任せるしかない。

『じゃ、伝えとけ。孫どもが二人ほどそっちむかった、後はじーさんに任せるってな』

488minion:2014/07/06(日) 21:16:53
庵白彩。それと剣士繋がりで八一八ちゃんも。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44543763

489minion:2014/07/24(木) 01:05:33
【R-18】ラクティ・パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=44893121
甲殻類特有の求愛行動なので、猥褻さはありません。そんな気がする。

490minion:2014/08/02(土) 22:24:04
『緒子ちゃん、らあめんを食べる』
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4121927
メインヒロイン:紫ノ宮緒子
客演:鏑木諒子

tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=45086906
挿絵です。ポニーテールカワイイ。

491そーラン:2014/08/04(月) 23:42:32
>>490

諒子ちゃんは俺が初めてダンゲロスに投稿したキャラでとても気に入っている子なので、minionさんのお話の中に出演させて頂いてすごく嬉しいです!
あと緒子ちゃんも結構好きなキャラだったりするので、諒子ちゃんや一君との絡みを読んでほっこりニヤニヤしてしまいました。本当にごちそうさまです!

キャンペーンが終わってもうだいぶ経ちますが、改めて言わせて頂きます。本当に楽しいキャンペーンをありがとうございました!!

以上、そーランでした。

492 ◆GhoRCJOIk2:2014/12/06(土) 11:22:12


493 ◆mh1YVqhd4o:2014/12/06(土) 11:24:44
t

494 ◆K2NBYFDuyQ:2014/12/06(土) 11:25:11


495minion:2015/01/02(金) 22:42:20
【R-18】賞品の少年&数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=47948933
生意気系ボクっ娘後輩に口の利き方を教えるのは先輩の務めです。

496ロリバス:2015/01/14(水) 22:50:50
手慰みに書いたので今更公開、財前倉持プロローグ

――深夜
――東京23区 某所 駅前

深夜ともなると、オフィス街の駅前と言えど眠りにつく。
住民が極端に少なく企業ビルが集まるため昼夜人口の差が激しいここは、普段であれば0時を回るとゴースト

タウンと化す。

――だが、今宵は趣が異なった。

駅のロータリーには人だかりができ、普段は深夜営業など行わない飲食店にも明かりがともっている。テレ

ビカメラも居るようだ。
集まった人々の目とカメラは、全て駅のロータリーに佇む2人の女性へと向けられている。

一人はパンツスーツ姿の美女だ。
年齢は20代後半から30代前半と言ったところだろうか。
地が整っているのだろう、ナチュラルメイク・上品だが飾り気のない眼鏡・パリっとしたスーツ。
華やかさとはほど遠いはずのそれらが、彼女の美しさをきわだたせている。
おそらく、彼女の顔を一度もみたことがないという者は少数であろう。
仮に名前を知らぬとあっても、どこかで一度は見たことがあるはずだ。
新聞・ビジネス紙・テレビに講演会。何気なく生活していても、彼女の写真を見る機会はあちこちに転がっ

ている。
彼女の名は財前倉持――今をときめく大企業 ケジメ・マネージメントの若き女社長だ。

だが、彼女の知名度とてもう一人と比べれば劣るだろう。
財前に対するのは大柄な女性だ。
こちらも顔立ちは整っているが、化粧っけのなさとぎらぎらした瞳、そして柔道着の上からでも見て取れる

圧倒的な筋肉量ゆえに感じられるのは凄味だ。

――彼女のその瞳に沸き立たなかった人間はどれほどいようか。

柔道世界大会5連覇
ニューヨークオリンピック屈辱の銀メダル
そして――
悲願の大阪オリンピックの優勝と、翌日の魔人化検査により剥奪された幻の金メダル。

元柔道日本代表
現魔人格闘団体『M-ARTS』代表にしてベルト保持者。
当代最強と唱われた柔道家。
"鬼殺し”入江早織、その人である。
 
互いに著名であるものの、接点があるとは思えない二人。
その二人が、なぜビジネス街の駅のロータリーなどで対峙しているのか
その理由を語るには、少々時間をさかのぼらねばなるまい―――

497ロリバス:2015/01/14(水) 22:53:42
手慰みに書いたので今更公開、財前倉持プロローグ

――深夜
――東京23区 某所 駅前

深夜ともなると、オフィス街の駅前と言えど眠りにつく。
住民が極端に少なく企業ビルが集まるため昼夜人口の差が激しいここは、普段であれば0時を回るとゴーストタウンと化す。

――だが、今宵は趣が異なった。

駅のロータリーには人だかりができ、普段は深夜営業など行わない飲食店にも明かりがともっている。テレビカメラも居るようだ。
集まった人々の目とカメラは、全て駅のロータリーに佇む2人の女性へと向けられている。

一人はパンツスーツ姿の美女だ。
年齢は20代後半から30代前半と言ったところだろうか。
地が整っているのだろう、ナチュラルメイク・上品だが飾り気のない眼鏡・パリっとしたスーツ。
華やかさとはほど遠いはずのそれらが、彼女の美しさをきわだたせている。
おそらく、彼女の顔を一度もみたことがないという者は少数であろう。
仮に名前を知らぬとあっても、どこかで一度は見たことがあるはずだ。
新聞・ビジネス紙・テレビに講演会。何気なく生活していても、彼女の写真を見る機会はあちこちに転がっている。
彼女の名は財前倉持――今をときめく大企業 ケジメ・マネージメントの若き女社長だ。

だが、彼女の知名度とてもう一人と比べれば劣るだろう。
財前に対するのは大柄な女性だ。
こちらも顔立ちは整っているが、化粧っけのなさとぎらぎらした瞳、そして柔道着の上からでも見て取れる

圧倒的な筋肉量ゆえに感じられるのは凄味だ。

――彼女のその瞳に沸き立たなかった人間はどれほどいようか。

柔道世界大会5連覇
ニューヨークオリンピック屈辱の銀メダル
そして――
悲願の大阪オリンピックの優勝と、翌日の魔人化検査により剥奪された幻の金メダル。

元柔道日本代表
現魔人格闘団体『M-ARTS』代表にしてベルト保持者。
当代最強と唱われた柔道家。
"鬼殺し”入江早織、その人である。
 
互いに著名であるものの、接点があるとは思えない二人。
その二人が、なぜビジネス街の駅のロータリーなどで対峙しているのか
その理由を語るには、少々時間をさかのぼらねばなるまい―――

498ロリバス:2015/01/14(水) 22:54:05
◇◇◇

――――女子柔道家 入江早織
人間時代の華々しい成績と、突然の魔人化によるメダル剥奪の悲劇については知らぬ者はいないだろう。
だが、その後の彼女の経歴についてはどうだろうか?

魔人化したスポーツ選手は、活躍の場を著しく奪われる傾向にある。
当然であろう、人と魔人を同じ枠で競技に参加させることはできない。
かといって魔人の競技スポーツを運営しようにも、魔人の能力に耐えられるだけの施設や競技人口の少なさといった問題が浮上する。
必然的に、活躍の場はスポーツからエンターテイメント――格闘家であれば、魔人プロレスなどということになる。

――だが

たとえば、それまで世界の第一線で活躍していて
たとえば、ルールの枠内であらゆる手をつくして勝利することが求められる業界にいて
たとえば、それがいきなり客受けする興行をしろ、といわれて対応できるものだろうか。

最初の試合は超満員であった。悲劇のヒロインをみるため、会場からあふれるほどの観客が訪れた。
しばらくたつと、会場は満員になった。販売開始5分でチケットが売り切れなくなった。
そのうち空席が目立つようになった。ニュースで試合についてとりあげられることも少なくなった。


そして、最後には、試合すら、組まれなくなった。


その後、彼女は所属団体を脱退し新団体「M-ARTS」を組織する。
コンセプトは「世界最高峰の真剣勝負」魔人同士の真剣勝負を標榜した団体である。
口さがのない人々は言った――体の良いリストラだと。事実、それは正しかった。
彼女をはじめとして、所属している選手は団体の持て余した問題児ばかりだったのだから。

必然、人気は出ない。
所属選手で知名度があるのは彼女ぐらいであったし、彼女とてすでに「つまらない試合をする選手」という評価が確定しつつあった。

資金繰り、選手集め、広報。
もはや何一つといって順調ではなく、新団体は解散は秒読みであった。

そんな時……

「ホーリーランドに参加しませんか?」

突然ジムにやってきた、スーツの女は名刺を渡すなり入江にそう打診してきた。
名刺には『ケジメ・マネジメント エンターテイメント事業部』と書かれている。
いぶかしげな表情を浮かべる入江をよそに、女はニコニコと話を続ける。

「ホーリーランドについてはご存じでしょう?」
「ああ」
「我々がスポンサーについて選手を出そうという話になりましてね。その候補として、入江選手、あなたがあがったのです」
「……客寄せパンダとして、か?」

入江の言葉に、社員の表情が僅かに動く。どうやら図星であったようだ。
彼女に見抜かれていることを察したのだろう、社員はほんの少しだけため息をつき、話を続ける。

「ええ、確かにその通りです。実力・知名度は十分。そして……試合のスケジューリングも容易。これだけ条件が整った候補はほかに居ませんからね」

言いながら、女は入江から視線を外し、ジムの中を見回す。
ジムの中には申し訳程度の古びた機材が転がり、それすらもあまるような人数でトレーニングが行われている。

「報酬は充分にださせていただきます。それだけではない。本格参戦が決まれば、宣伝番組を組む予定もある……全国ネット番組にも、もう随分久しくでていないのでは?」

入江は憎悪を込めた視線で女を見返した。その通りであったからだ。
人間だったころに散々向けられたカメラは、もはや頼んでも入江を写してくれることはない。
試合さえ見てもらえれば新団体の理念も理解してもらえる。彼女はそう信じていたが、その機会さえ与えられなかったというのが現実だ。

「いかがでしょう、悪い話ではないと思いますが?」

許されるなら、この女を縊り殺してやりたい。
自分が誰を前にそんな口を聞いているのか……誰を見下しているのか思い知らせてやりたい。
だが、そうすれば入江と『M-ARTS』の未来は完全に閉ざされることとなる。
彼女が格闘家であり続けるためには、選択肢など残っていなかった。

「……受けよう」

入江の言葉を聞いて女が笑顔を浮かべる。

――この時、入江はオファーを承諾したことに対して笑顔を浮かべていたのだと思った。だが

「ありがとうございます!……あ、ただ説明が遅れましたが一つ条件がありまして……」
「何?」
「予選、といいますか……エキシビジョンを兼ねて、本格参戦の前に戦っていただきたい相手がいるのです。そこで勝てたら入江さんで本決まりということになります……」

――女の浮かべていた笑顔は『罠にかかった獲物を見る笑顔』であったと、後に入江は思い知ることとなった。 


◇◇◇

499ロリバス:2015/01/14(水) 22:54:23

――そのエキシビジョンの相手が、財前倉持だと?

柔道家・入江早織は対峙する相手を睨みつける。
財前倉持、ケジメ・マネジメント社長。面識こそないものの入江とて知らぬ人物ではない。
10代の頃から経営に携わり、大学卒業と同時にケジメ・マネジメント社長就任。
その後、飛ぶ鳥落とす勢いで同社を飛躍させた立役者。天才的な経営者だ。

だが、格闘家としての才能があるようには思えない。

スラリとした体躯はどう見ても筋力不足だし、高すぎる重心は入江にとってたやすく倒せるものとしか見えない。
そもそも、眼鏡をつけたまま、というのが舐めている。まさか、そのまま戦うつもりか?

「改めまして、当社のオファーを受けていただきありがとうございます。入江選手」

くい、と眼鏡を直しながら財前は入江に声をかけてきた。
表情は穏やかで、これから戦うことに対する緊張感は全く感じられない。

「構わんが……本当に、やるのか?」
「ええ、だって入江選手が久々に表舞台に出るんですよ?大々的にやったほうが、話題になるでしょう?」

確かに天才起業家と天才柔道家の組み合わせは否応にも話題になるだろう。
それだけの理由でこの女は入江早織と戦うというのか。
微笑む財前の表情から真意は読み取ることができない。

「手加減はできないぞ」
「大丈夫!我が社は蘇生能力者を始めとした医療スタッフもそろっております。入江選手は心配せず、存分に実力を発揮してください」

なぜこの女はこうも笑顔でいられるのだろう。
入江早織を舐めているのか、終わった選手だと思っているのか。
あるいはスポンサーという首輪をつければ、無茶はしないとでも思っているのか。

――その笑顔を、ぶち壊してやる。

入江早織はそう決めた。
どうせ、もう契約は締結してある。いくらワンマン社長とはいえ反故にすることはできないだろう。
この試合が始まる前の念書にも怪我や死亡に対して責任を負う必要はないことは書かれていたし、蘇生能力者についても確認してある。

――ならば、遠慮は必要ない。この女に、世界に……『入江早織』を思い知らせてやる。

ビルを背に、財前は悠然と立っている。
何も考えていない位置取りだろう、それでは背後に逃げることも出来ない。
開幕と同時に突っ込み、投げ飛ばす。
それで頭蓋を叩き割ってやってもいいし、背骨を砕いてから絞め落としてやってもいい。
どちらにせよ、五体満足では帰さない。

つとめて冷静な表情のまま入江が戦意を燃やしている一方で、財前は今だ微笑むばかりだ。
彼女が時計を確認すると、

「では、始めましょうか」

入江早織は財前倉持のスーツを掴んでいた。
財前に背を向け、膝をつき、重心を低く落とす。
腰を中心に回転させながら、相手を投げ飛ばす。
財前倉持は今だ掴まれたことすら認識していないだろう。
これが入江早織の必殺技、世界を征した背負落である。

「あら、せっかちですね」

ギシ……と音を立てて財前のスーツが軋む。それだけだ。
入江早織は、財前倉持を持ち上げることができない。
重いどころの話ではない。まるで岩か鉄でもつかんだかのように、微動だにする気配すらない。

「どうせなら見せ場を持たせてあげたいと思っていたのですが……早い展開が好みなら仕方ない」

財前の背後、何かが音を立てて動く。
入江は背負落の形のまま地面に視線を向けていた。そのアスファルトに、大きな影が落ちる。

「依頼は依頼とはいえ……どうせ大会にでるなら、話題にしたいじゃないか」

アスファルトに落ちる影が大きくなる。
何か大きな力で、財前を掴んでいた手が無理やり引き剥がされる。指が折れる。
地面に落ちる影が大きくなる。何かが、何かが入江の背後から迫ってくる。

「ええ、あなたは中々大人物だ。なにせあなたを倒すのに……5000万もの資産を使うことになったのだから」

入江はなんとかして財前を向き直る。
彼女の目の前に迫り来るのは、巨大な、ビル。
財前倉持の背後にたっていたビルを、財前は引っこ抜き。入江に叩きつけようとしていた。

ごォン!

駅前ロータリーに轟音が響く。
一瞬前まで入江がいた場所に、ビルが突き刺されている。
ビルの下からは、そこに入江が確かにいた事を証明するように血液があふれていた。

「『デッド・キャット・バウンス』資産価値がなくなった株とて、最後に価値を生み出すことがあります」

財前倉持はその血だまりに笑顔を向け

「ありがとうございます入江さん。充分に、話題を作ることが出来ましたよ」

凄絶に、微笑んだ。

予選 入江早織●―財前倉持○ 決まり手 デッド・キャット・バウンス

500minion:2015/03/28(土) 00:13:03
【R-18】ラクティ・パルプ危機一髪。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=49503080
魔法少女といえば触手。

501minion:2015/09/22(火) 00:26:01
紫ノ宮緒子VS伊藤風露。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=52623771
名探偵の追及の手が犯罪者に迫る。その時彼女は……?

502minion:2015/10/01(木) 07:07:48
『渚のハイカラ魔法少女』魔技姫ラクティ☆パルプ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=52797464
プリンセスフォームの圧倒的輝きオーラ……これが年下組筆頭ヒロインの実力ってやつだ!

503minion:2015/10/16(金) 00:45:04
『退魔巫女兵香ちゃん』数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=53036975
人に悪さをする妖怪を追い詰めた巫女の兵香だったが、いざとどめというところで一に制止される。彼の真意とは……?

504minion:2015/12/07(月) 01:42:48
『新婚生活×2』守口衛子&数胴兵香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=53880225
先輩後輩の貧乳コンビでW裸エプロン新婚生活。仲が良いので一緒に嫁でも問題ないし、嫁なので裸エプロンにしても問題ないので二重に大丈夫です。

505minion:2015/12/19(土) 01:44:33
天奈瑞。Eカップなのでおっぱいがおっきい。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=54055665
ダークスーツを着ていると言っても、たまにはジャケットを脱いでいても良いのでは?

506超時空軽空母『綾鷹』:2015/12/19(土) 19:03:50
1年何か月ぶりの投稿。完結まではもう少しありますけど、とりあえず切りのいいところまで

=====================================
●トリニティ・ラブ(タイムループ症候群III)

ほとんど吹き飛ばされる形で扉を潜った少女は、薄く蒼光りする通路に投げ出される。
そこは吸う空気までが蒼く映えるかにみえる回廊であった。
マリン一色、部屋よりも一段濃暗が濃かったため、それがまるで水中の中にとびこんだ
様な錯覚を彼女に与えた。

ドルフィンのような華麗な身の捌きで空中で身を捻ると少女は着地する。
着地同時にナノの一部が彼女の失った左手先から漏れ出し、水しぶきの様に跳ねあがった。

組織の崩壊はもう止まらない。あとは崩壊が先か目的達成が先か、ただ走りぬけるまでだ。
(ここは?)
――記憶回路。映像。回避の必要はない。奥へ進め。

持ち前の解析力を活かし即座に分析を終えたBouleOSから指示が下る。
回避?
彼女の目に最初に飛び込んできたのは『居合蹴りを鮮やかに放つ紫宮のビジョン』だったからだ。
それは現実の紫宮ではなく壁に映った映像ではあったが、思わず飛びのきたくなるほどの
映像とは思えぬ迫力を兼ね備えていた。

無表情にその映像を受け止めると、彼女は顔を回廊のより奥へと向けた。
そこには流れ作業のように幾つもの映像が消えは現れ、連なり、次々と映し出されていた。
なるほど記憶か、少女は一呼吸置くと回廊の壁に映し出された画像群を確認しつつ奥へと走り出した。

―七日目―
最初の角を曲がると電光を構え猛烈なスピードでこちらに迫る自分自身の姿が其処に会った。
そう『あの時』の映像だ。少女は頷く。

足を止めることなく直進、そこからはらせん状の下り階段となっている。映像は続く。

―六日目―
次に映ったのは貼り付けにされた女神と豪勢なフロワー、そして映像の中に映し出される
複数のTV画面。なるほどこれなら各地の戦闘状況が一挙に見て取れる。

―五日目―
ラバースーツ姿の美女の巨乳が揺れる。おっぱい。

―四日目―
突進し、画面一杯に広がるスズハラの眷属。それは踵落としをくらいアスファルトに激突した。

―三日目―
砂浜での戦い。シスターの十字架が砂塵を捲き上げる

―二日目―
闘いの末、倒れた女王蜂にかけよる選手たちのシーン。

―初日―
再び砂浜。野外ステージ場には肉食系OLと簀巻きにされた雑誌記者…、記者に関するデータ―はない。

映像を流し見つつ少女は無言のまま、駆け抜ける。下へ下へと。

そして回廊の終り、
―零日目―
終着であろう扉に映っていたのは、覗きこむように顔を近づける缶を被った娘の姿。
不敵に笑うその様は紛れもなく綾鷹本人に違いなかった。

数千の魔人サンプルを有するBouleOSの見立てによれば
ここはあの自称軽空母の魔人能力によって作られた空間であり、私達は今「奴」の心の中にいることになる。

彼女の魔人能力で有るなら、この空間を構築しただろう当の術者本人が何故映っているのか、
先ほどの一連の映像はなんだったのか。
答えは明白、OSの指摘した通り彼女の眼を通して見た「記憶」だからだ。ただし、零日目だけは違う
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
この記憶は綾鷹のモノではない、これは綾鷹の眼を通し彼女の見ていたものを視ていた人物の記憶だ。

フィクサーだ。フィクサーはこの大会の一部始終を参加者視点という特等席で視ていたのだ。
命尽きる前に魔人能力を用いて魔人空間に退避したのだ。恐らくは全ての顛末を最後まで見届けるために。

本大会主催者。大会発表後、世界中の機関が束になっても居所すら掴めぬこの国の影の支配者。
「救世主プロジェクト」の元凶。
「少年」と「少女」をひきあわせ掛けあわせた、未来における学園の災禍の全ての元凶。十束学園・第一級暗殺対象。
超時空軽空母のツレ(?)。

RMX-114は笑った。元凶が直ぐそこにいる。もはや『少年』に拘る必要はない。
実際、金星大きいのだ。
十束学園側からすれば対処すべき優先順位は「フィクサー」のほうが「少年」より上位に当たる。
用意された”引き継ぎ”が行われる前に「彼」を消し去ってしまえば、未来における自分達の災渦は
発生しないからだ。
元々要人暗殺用として用立てられたRMX-114にとって。暗殺行使へのミッション切り替えに是非もなかった。

――そうなの?

不意に湧きあがった疑問に「そうだ、それが与えられた使命だ」と少女は自ら言い聞かせるよう独り呟いた。


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