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ダンゲロス流血少女III -Wail of Valkyrie - 生徒会応援スレ

7流血少女サブGK:2013/07/29(月) 01:27:39
ここまでの合計:146点

■エピソードSS
流血少女エピソード-斗羅宇魔子- 7点
流血少女エピソード-角月こもら- 2点
流血少女エピソード-諫早ゆかり- 3点
流血少女エピソード-唄子さん- 9点
流血少女エピソード-煉獄夏辺那- 2点
流血少女エピソード-股ノ富士ちゃん- 12点
流血少女エピソード-常磐数夜- 2点
流血少女エピソード-一十- 8点
流血少女エピソード-白河Zwei- 9点
流血少女エピソード-鬼姫災禍- 3点
流血少女エピソード-マスケ・ラ・ヴィータ 言祝- 13点

■エピソードイラスト
流血少女エピソード-股ノ富士ちゃん- 3枚で35点
流血少女エピソード-一十- 11点

エピソード合計:116点

合計:262点

8流血少女サブGK:2013/07/30(火) 00:20:06
>>2 5点
>>3 8点
>>6 5点

■今回採点分 18点
■累積点数 280点

9ライク・ア・カレー:2013/07/30(火) 19:43:10
【恋のキューピッド】

「恋のキューピッドって本当にいるのかなあ」

麗らかな春の昼下がり。
年頃の少女達がそこここを歩き、または座り談笑しているここは学校。
手に持っていた本から目を離し、メガネの少女がほうと溜息をついた。

「どーしたのよハルってば。また白馬の王子様でも探しているのかなー?」
「からかわないでよアキったら」

少女の名はハル。大人しい性格で読書が好きな、メガネっ娘である。
もう一人はアキ。ハルの同級生で、ハルと仲良しの元気っ娘だ。

「でもさ、ねえアキ。もしもいたら素敵だと思わない?」
「白馬の王子様?」
「キューピッド!……そりゃあ王子様も素敵だと……思うけど……」
「ハハッ!ハルは本当に可愛いねえ。
 そんなだから先輩のお姉様方に狙われるんだよ」

今日も今日とて二人は会話で盛り上がる。
主題はもちろん恋の話だ。
何せ年頃の少女達。甘いモノが大好物なのだから。

「ああ、でもさ!」
「なあに?」
「ハルがそんなに可愛いから、
 きっと神様だって天使だっていい相手見つけてくれるよ」
「そ、そんな……私なんて目立たないし、その……アキのほうが……」
「ハルは自信持ちなって!私が可愛いのは当然だし、ハルだって可愛い!」
「アキったら……ふふっ」
「ハルの読んでる恋愛小説に出てくるような素敵な恋人見つかるよ!」
「あうっ!?ここ、これはそのそんな変な本じゃないよ!?」
「アハハハ!私一言もそれが変な本だなんて言ってないよー?」
「うう……あ、そ、それじゃ私、寮に帰らなきゃ!」
「はーい。また明日ねー!」

本を胸に抱え、とたとたと慌てて駆け去るハルの背中を見送るアキ。
アキは知っていた。
隠してはいるが、ハルが読んでいる本が官能小説である事を。
近頃めっきり色気づいてきた親友を思い、アキはどうしたものかと思う。
親友の幸せを祈り、どうかキューピッドさん。早く運命の人を射止めてと。
なぜなら――――

「あの子……先輩にも後輩にもすごい人気だからなあ……
 早く相手見つけて落ち着かないと誰かに押し倒されちゃうよ」

そう。ハルは極度の鈍感であるため気付いていないが彼女は人気者なのだ。
それを一番の身近でよく知るアキは、
ハルが爛れた生活に引きずり込まれないよう、いつも気を揉んでいた。
だから思うのだ。
運命の相手を射抜くというキューピッドさん。
早く仕事をしてください、と。

「……というか、むしろあの子がキューピッドかなあ」

そこまで考えて、ふとアキは呟いた。
周囲に恋の矢を放つ天使キューピッド。
本人は、盲目であるという伝説だ。
もしかすると、恋の騒ぎを周囲に振りまきつつ、それに気付かないハル。
彼女こそ、キューピッドそのものなのかもしれない――――なんて。



「はあ……運命の人かあ……」

アキと別れたハルは、ぼんやりと歩きながら呟いた。
寮に向かう途中、弓道場の脇を歩いていると、足元に弓と矢が落ちていた。
誰かが片づけ忘れたのだろうか。
生真面目なハルはそれらを拾い、道場へ片づけに入った。

「誰もいない……」

人の居ない弓道場。
少し離れた場所にならぶ白黒の的。
ハルが今、手に持つのは弓と、矢。
恋の天使が持つアイテムと同じだ。
少し、ハルの心にイタズラ心のようなものが湧く。
特に弓道などやったこともないハルであるが――――

「どうか、私の運命の人を射抜いてくれますように――――」

構えもなにも知らないが、矢をつがえ、弓をひきしぼり、放つ!

ヒョウ――――

放たれた矢は、なんと過たず中央の的の、中心をばしりと捉えていた。

「あれ……あたっちゃった……?」
「す、すごい!貴女中等部!?高等部!?」
「えっ!?」

ハルが振り返れば、そこにはいつの間にか立っていた弓道部主将。

「貴女ならすぐにでもうちの戦力になれるわ!入部しない?するわよね?」
「え、え、ええっと……?」

弓月張(ゆみつき はる)、まだ魔人能力に目覚めぬ頃の思い出。
キューピッドの矢は、想い人の胸を射たかはわからない。
だが、弓道部の主将の胸を射た事だけは、確かだったらしい――――<了>

10鳩子:2013/07/30(火) 21:25:16
鮫氷しゃち
tp://sasimi-mazui.sakura.ne.jp/dng/e/ryuuketsu3/syachi.jpg

11しお:2013/07/30(火) 21:37:19
諫早ゆかり
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=big&illust_id=37427893

12ライク・ア・カレー:2013/07/30(火) 23:08:44
【花を贈ろう】



『素敵な恋の仕方を教えてください!』

放課後の、斜陽が机や椅子を橙色に染める教室で、少女が訊いてきた。

『素敵な恋、したいの?』
『はい!それで、唄子さんみたいに格好良い大人になりたいんです!』
『あら、ありがとう』
『唄子さんはいっぱい素敵な恋をしてきたんですよね?』
『そうね……』

鈴を転がすような少女の声が、私と生きてきた時間の違いを際立たせる。
真っ直ぐに見つめる瞳。指先を軽く絡め、胸の前で合わせる期待の仕草。
恋に希望しか見いだせない、純粋無垢な――――恋に盲目な少女。
恋は綺麗なだけじゃない。
けれど、今はそれでいいとも思う。若いのだから。
これから恋を経験して、大人になっていけばよいのだから。
だから、私はあえて希望を穢しもしない。煽りもしない。
ただ少し、大人からのアドバイスをするだけだ。

『昔の人の言葉でね』

教壇に軽く手をつき、体重を預けて、少女に向かって身を乗り出す。

『別れる相手には花を贈ろうって言葉があるの』
『別れる相手?……花?』
『そう。それも花屋でしか見ないようなのじゃなくて道端でよく見る花』
『……?……どういうことですか?』
『そうすればね。
 別れた相手はその花が咲く季節が巡ってきて、
 その花が咲くのを見るたびに、
 貴女のことを思い出すだろうから――――って』

なんとなく納得したような、不満のような、少女の表情。
眉根をよせて、なんとも言い難いと文字で書かれているかのような顔だ。

『なんだか気持ちはわかりますけど……ちょっと暗い話ですね』
『そう思う?』
『はい』
『そう……』
『それに、私は別れるときより、付き合う時のことが知りたいんです!』

予想通り食い下がってくる少女に、私はうんうんと頷いてやった。

『そう……だからね。
 良い人を見つけたら、できるだけ一緒に色んなものを見るの。
 特別に気合をいれなくたっていいから。
 いつも見かける風景の中で、いつもするようなことを一緒にする』
『あ――――』
『そう。
 そうすれば貴女も、お相手も、ちょっとしたことで恋人を思い出せる。
 一緒にいるときでも、いないときでも、相手のことを思っていられる』
『わあ!なんだか素敵ですね!』

話をする内に、教室の外の夕日は、橙色から濃い赤色に変わっていた。

『そうですね……そっか。やっぱり緊張してばかりじゃ駄目ですよね!
 ありがとうございました!私も頑張ってみます!』

そう言って頭を下げ、勢い良く腕を振りながら教室を出て行った少女。
若さの象徴とでも言えそうな、瑞々しい輝きを全身から放っていた。



その少女の墓代わりの瓦礫に、咲いていたツツジの花を供える。
妃芽薗学園旧校舎跡のハルマゲドンの犠牲者には、瓦礫しか墓標がない。

「若い子ばかり先に死なせているわけにはいかないね。
 大丈夫。来年の春に、またツツジが咲いたら供えにくるよ」



<了>

13流血少女サブGK:2013/07/31(水) 01:25:41
>>9 7点
>>10 9点
>>11 4点
>>12 15点
片心叶美エピソード 15点

■今回採点分 50点
■累積点数 330点

14ぽぽ:2013/07/31(水) 01:46:11
天和七対子
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37435929

15アギト:2013/07/31(水) 14:51:03
鬼姫災禍のSSみたいなモノをば。

tp://m.pixiv.net/novel/show.php?id=2634243&PHPSESSID=5af3951f26de8e31bf574a043c843cba&guid=ON

作戦とか全然お役に立てないので、応援で頑張りたいと思います(汗)

16煉獄夏辺那:2013/07/31(水) 21:12:41
信じていた仲間は全員死に、敵の銃火の嵐がまさに襲いかかろうとしていた。
銃を扱う術すら知らない少女、煉獄夏辺那にとってそこは死地そのもの。
数多の弾丸のうち1つが彼女の片眼に地獄の炎を叩きつけたとき、夏辺那の脳裏に浮かんだものは強者の存在に対する怒りであった。

内戦に巻き込まれ、両親を失った夏辺那はとある傭兵部隊に拾われた。
女性の傭兵だけで構成されたその部隊は歴戦の勇士というに相応しい腕前を誇っていた。
傭兵というこれまで会ったことのない人種に戸惑いを覚えた夏辺那であったが、彼女たちの気風の良さに徐々に心を許していった。
戦いに加わることはなかったが、食事の準備や洗濯、医療行為など自分にできることで貢献しようと夏辺那は努力した。

夏辺那が部隊に拾われて数年後、ある依頼が部隊に舞い込んだ。
普段の作戦となんら変わらぬありふれた依頼だったが、その依頼は部隊と夏辺那の運命を変えることになる。
単純に言えば、傭兵部隊の存在を疎ましく思った者たちが仕掛けた罠だった。

金にものを言わせた最新鋭の装備の前に仲間たちは次々と倒れていく。
これまで部隊が屠ってきた数々の兵士のことを考えれば、この結末は因果応報と言えるかもしれない。
しかし、目の前で繰り広げている光景はおおよそ戦闘と呼べるものではなかった。
強者による一方的な虐殺。
勝つことが至極当然であるかのように振舞う敵兵士の表情は、夏辺那がこれまでに見たことのない醜悪なものであった。

―かつてアインシュタインは言った、「神はサイコロを振らない」と。
―もしも死ぬ前に願いが1つ叶うならば・・・・・・
―「神よ!サイコロを振れ!」

叫んだ者の名は、確実を許さない魔人、煉獄夏辺那。

17ぽぽ:2013/07/31(水) 22:56:23
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37453665
大宇宙意志子

18ライク・ア・カレー:2013/08/01(木) 02:37:34
【脱衣ポーカー】


――――力が欲しいか。敵を打ち倒す、大きな力が。

「……僕は……僕は力が欲しい!」

その瞬間、言祝(ことぶき)は全裸になった。

* * *

「ポーカーでもいかが?」

始まりはレディー・ジョーカーのその一言だった。
全国に広まる踊り場の鏡の噂。それに引き寄せられるように集められた少女達。
見ず知らずの者達が集まり、突如として陣営を分けられ、命懸けの闘いを行う。
ここは妃芽薗学園・旧校舎敷地。またの名を第二・七指定区域。
呪われた、異常の地であった。
そのような環境において、まっとうな精神を保てる少女は数える程度であった。
このような異常事態に落ち着いていられる人間のほうが、むしろ異常であった。
だが、そんな常・異常を問答している場合ではない。
この場所は、そんな状態でありながら、自分が所属する陣営を勝利に導かねばならない。
なぜならば、陣営の勝利のみこそが、この呪われた地から脱出する術なのだから。
そうした理由からか――――この状況下で落ち着いている少数派、ジョーカーは動いた。
曰く、気晴らしにポーカーでもしないか、と。
闇のギャンブラーとして名を馳せるジョーカー。
このような状況でもトランプを肌身離さず持ち歩いていた。
自陣の勝利のために、まず味方同士の心を和らげ、出来るなら結束を強めよう。
それがジョーカーの狙いであった。
そしてポーカー勝負の幕が開ける。

* * *

「では、次は僕が」

ジョーカーは強かった。
当たり前である。生粋のギャンブラーと、そこいらの女子高生達。勝負にならない。
ポーカーという運の要素が強い勝負で、それでも勝利を重ねるからこそジョーカーだ。
辺りには悶える着ぐるみや、95%の賭けに敗れた者や、敗者達が連なっていく。
次々と勝利を重ねるジョーカーに、続いて挑んだのは言祝であった。

「どうぞ」

言祝は配られた手札を見る。ブタである。運が悪い。
これはどうしようもないだろうかと仮面の下の表情を曇らせる言祝。だが、

「そろそろ私と交代してくれる子はいないのかしら」

ジョーカーの余裕の笑みを見て、ふと普段から世話になっている『英雄』を思う。
あの人ならば、こんな勝負でもファイブカードなど最高の役を作って勝利するだろうと。
そしてまた思う。自分もそんな風に勝利をおさめられる人物になりたいと。

――――勝ちたい。

言祝は強く願った。この前哨戦に勝てずして、この後のハルマゲドンを勝てるものか。
実際のところ、ジョーカーは味方なのでそのように考えるのも変な話ではあるが、

――――勝ちたい!

それでも、言祝はそう願わずにはいられなかった。
その時である。

――――力が欲しいか。敵を打ち倒す、大きな力が。

不意に言祝の頭に、そんな声が響いた。
誰の声であろうか。疑問も湧いた。だが、それ以上に、勝利への渇望が勝った。

「……僕は……僕は力が欲しい!」

言祝がそう言い終わった瞬間である。

――――では、力を授けよう。お前の服と引き換えに。

言祝(ことぶき)は全裸になっていた。
――――はっ!?一瞬、唖然とする言祝。
ジョーカーは眼前の事態にもポーカーフェイスである辺り、流石だった。

「くっ!……でも、ドローだ!」

そして言祝もまたその瞬間は勝負師であった。
訳の分からない事態に陥ったが、よく考えてみれば災難はいつもの事である。
それよりも、今は勝利だけを目指して――――

「勝負!僕はワンペアだ!」
「私はフォーカード。私の勝ちね」

あっさりと玉砕したのであった。

* * *

「あっはっは。面白いものが見れた」

一連の事態を遠巻きに、眼帯の少女、天和七対子(あまわ なつこ)満足気に言った。
言祝の衣服を剥いだ張本人である。天和の能力は遠距離で他人を全裸にするものである。
結果的に、防御とFSが0となることでワンペアを作らせることに助力はしたが、
結果的に、だからといって言祝がジョーカーに勝てるわけでもなかった。
しかし、天和は自分の行いが無駄ではなかったと確信していた。
何故なら、ポーカーが始まった目的、結束の強化には貢献できたに違いないのだから。

「でも、これであの子たちも裸の付き合いってやつができたでしょ!」<了>

19しらなみ:2013/08/01(木) 06:13:52
【 白河 Zweiの人間体験その1
          〜斗羅 宇魔子は穏やかに暮らしたい〜】

(このSSは白河はじめの学園での日常をゆんるりゆりゆりと描くSSです。
完結に関する過度の期待はしないでください。)


―妃芽薗学園・早朝―

妃芽薗の朝は早い。全寮制で有るこの女子校では悠長に寝坊を仕出かすもの等
そうそういない、それぞれが朝食までの時間、思い思いの早朝を過ごす。
ガ―ディングに水をやる者、武芸に勤しむ者、清掃に心がける者、ニンジャ。
それぞれが思い思いの朝を過ごす。そんな裏側で一つの戦いに決着がつこうとしていた。

そこは暗く薄汚れた小屋であった。

「シュシュシュ。シュシュシュ。」
独特の呼吸音を放ちながら、迫りくる白い影に、白河はじめは選択を迫られていた。

即ち、

―右か左か―

それは『カウンターラビット』ペィン=サンへの対応。

―右だ。―

白河はじめが反射的に右へと舵を切ったその腕は、スカッと空を切った。

妃芽薗学園ウサギ小屋在宅のペィンさん(三才♂)は、とぉうとかけ声をあげ
頭から突っ込んできた白河を華麗な左サイド・ステップですり抜ける。
確保に失敗した白河はじめは、そのままツッぷし動きを止めた。ナムサン!

ヒャハハー!
これで彼の行く手を防ぐものは何もなくなった。
ペィンさん(三才♂)は歓喜に身を躍らせながら、脱兎のごとく
見えない未来に向かって駆け抜ける。そう目指すはウサギ小屋唯一の出口だ。

だが、その快進撃は自ら急カーブをかけ、現れた少女の懐に飛び込む
ことで終わった。少女の手にはなんということだろう、アレが携えられていたのだ。

ヒャハー!餌だー
ぽりぽりぽり、自由への渇望を忘れ、愉悦のまま『ニンジン』を齧るペィンさん
なんという畜生道。まさに世紀末的生きざま。

「確保完了。ちょっと大人しくしていてね」
扉の向う側にいたのは血色の悪い一人の少女だった。長髪を後ろ結びにし、
地味で近寄りがたい印象を与える。懐に飛び込んできた飼育対象を優しく
ひとなですると小屋で頭からつっぷしたままの白河を冷たく見やる。

「無様。」
その声はまさにツンドラ大陸、ただ只管冷たかった。
その声に何かを感じたのか白河のわたわたと手だけが動き、大きめの立派なお尻を
押さえる。
ペィンさんがもし言葉をはっせれたなら、こう感想を持ったかもしれない。
―へへへ、ねぇちゃん、ええけつしてまんな―
あえていうならば、パンZweiまる見えであった。

「このこたちが心許すのは私だけ。貴方では力不足。永劫に。無駄無駄」
兎を撫でながらぼそぼそと呟く陰気な少女。
白河はゆっくりとした動作で起き上ると彼女と向かい合う。

「いやさっきからニンジンだけでなく、ムッチャ斗羅さんの指も噛んでますけど
その兎。」



なんというKY。しばしの間。斗羅さんと呼ばれた少女は

「…これは愛情表現。それにペィンさんはモヒカンザコだから…しょうがない。
…もう帰って。いつも通り私一人で掃除や世話は全部やるから。貴方は邪魔なだけ」

そう切り返した。
そういいつつも彼女は扉の中にはいってこない。白河が中にいるからだ。
その距離はきっちり3m。それ以上は彼女は決して自分に近寄ろうとしない。
それが同業としてコンタクトを取ろうと色々試みた白河のこの一週間の『実績』
だった。冷たい『拒絶の意志』だけを彼女はこちらに伝えていた。

「はい。すいません…斗羅さん、後はお任せします。」

傍目から見てもわかるがっくりさで白河は白旗を上げ、すごすごとウサギ小屋
から引きさがりにかかった。斗羅と呼ばれた少女は後ずさって、それを
睨むように見送る。それはなんとも奇妙な風景だった

そう、あの少女を知る者が見れば、驚愕と奇異の念を抱くだろう。―この一部始終
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
あの斗羅 宇魔子が他人とまともにコミニケしているなんて、一体どんな異常事態なんだと。

20しらなみ:2013/08/01(木) 06:17:00
†††

先天性魔人である斗羅 宇魔子は知っている。
自分が最初から致命的に間違ってしまっていることを知っている。

最初からというのは、この世に生まれてきてしまったことではない。
致命的な間違いは、それよりも、もっと前
備わった先天性の魔人能力からして誤ってしまっていて、まはや
取り返しがつかなくなってしまっていると今ではもうそう考えてしまっている。

彼女の能力は一種のテレパス&テレパシー能力だ。
対象の心を読み、刺激することで特定の感情を引き出せるというもの。
問題はそれがヒトの地雷部分。相手の心の奥底、一番触れてほしくない、
直視できないものしか引き出せないことであり、
そして、それを”つい”相手に反射してしまう性質も備えてしまっていた。

たぶん、この能力は元々用途が違うのだろう。
例えば相手を直観的に深く理解したり、悩みや問題点を指摘して導いたり
キュピーンとか宇宙空間で魂の会話を行ったりとそういう風に使われるべき
そんな正の方向性を『期待』されて備わった能力なのだろう。そんな

だが自分の能力は負の連鎖しか起こさない。怒りしか。
期待はずれの欠陥品なのだ。人間社会に対して只管、不適合なのだ。
既に終わっているのだ。製品規格外としてその生涯を。
だから彼女はヒトとまじり合うことをもう望まない。

学園でも自身の能力で人払いすることで彼女は動物たちといる小さな自分の
居場所を確保した。
邪魔な人間(同僚の飼育委員達だ)にはこの居場所自体トラウマを想起させる
キーになるようしてある。もう近寄れない。
そして彼女らがどう壊れようが宇魔子には興味がなかった。


だが、奴が来た。そして、追い払おうとしたが失敗した。
何故かアイツだけ上手くいかなかった。

≪白い花が咲く小さなお花畑≫

トラウマのビジョンからしてよくわからなかった。なんだ≪アレ≫は
トラウマのキーとなる言葉も上手く紡げない。
どうしていいか判らなかった。数多くの人間を覗いてきた彼女にしても
かなりレアなケースだったのだ。

そして
能力で彼女の中を覗きこんだ瞬間、彼女もこちらを見た。

気取られた。自分はそう直観した。そして今も確信している

その上でアイツは

――
―――と、斗羅さん…あの、よければ飼育のコツ教えて貰っていいですか?

普通に話しかけてきやがった。

爪をかむ。
なんでアイツのトラウマが上手く言語化できないんだ。
こんなの最近では一度もなかったのに
しかも見えたビジョンが『お花畑』とかフザケてる。トイレの隠語か、黄金体験か
違う違う…思い返せば何か人影が映ったような…なんだアイツは…
なんだあの映像は…このままではこのままでは…私の居場所が…

「…なんとかしなくてはなんとかしなくてはなんとかしなくては、
なんとかしなくてはなんとかしなくてはなんとかしなくては、
なんとかしなくてはなんとかしなくてはなんとかしなくては、
なんとかしなくてはなんとかしなくてはなんとかしなくては…」

只管同じ言葉を繰り返し始めた彼女の瞳に今まで以上に
危険な光が宿り始めていた。


†††

寮への道をとぼとぼと戻る白河。
空を見上げる。まだそれほど熱くはなく、夏の朝の日差しは心地よい。

「うーん距離感が、なんだかなぁ」
何気にぼやく。
その時には既に彼女は背後から迫ってくる気配を感じていたが、取り合えず
見知った”気配たち”だったから危険はないと放置しておく。
そして背後から左右同時に腕を取られ、両腕とも拘束されている形になった。

「とととと」
白河は、たたらを踏むふりをして支点をキープ、絶妙にバランスを取る。
そして倒れないよう両脇からの勢いを調整しヤジロベーのようにぐらりと
大きく揺らいだ。彼女はわりかし長身で有るため、反動で腕に取りついた
二人も若干振り回されることになったが、そちらも慣れたもののようで
まるで気にしていなかった。

「ういーす、はじめちゃん」
「どうかしたかね、悩める青少年」
先ほどとは打って変わって賑やかで華やかな印象の両名。二人は彼女の同級生。
名を神足跳瑠と夢見崎ロルラという。

                            (その2へ)

21ぽぽ:2013/08/02(金) 00:20:18
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37483187
斗羅 宇魔子

22ぽぽ:2013/08/02(金) 00:23:05
>>21
未完成を投稿してしまったのでナシで

23ぽぽ:2013/08/02(金) 00:30:04
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37483569
斗羅 宇魔子

こちらで

24流血少女サブGK:2013/08/02(金) 01:38:03
■生徒会
>>14 7点
>>15 5点
>>16 7点
>>17 5点
>>18 5点
>>19-20 6点
今回採点分35点
累積点数 365点

25米ット:2013/08/02(金) 02:45:57
生徒会一回戦スタメン&控え(巨乳の女神像以外)詰め合わせ
tp://www1.axfc.net/uploader/so/2982381

26ライク・ア・カレー:2013/08/02(金) 04:09:04
【とある少女の恋物語】


彼女は愛子といったろうか。恋子だったか。あるいは花子かもしれない。
黒髪だったか、茶髪だったか、眼鏡をかけていたか、背は高かったか。
どれでもあったかもしれないし、どれでもなかったかもしれない。
どこかのだれか。そんな言葉がぴったりな少女がいた。

彼女はごく平穏な日常を、あるいは苛烈な日常を送って育った。
まだ何も知らない無垢な頃。幼馴染の少女と将来を誓う、そんな日常。
恋愛物の物語を読んでは、自分の恋を夢想する、そんな平常。
同性が恋愛対象であるという以外、まさしくスタンダードな生き様だった。


* * *


「ハイッ!***ちゃんにコレあげる!」

幼稚園に通っていた頃、彼女は手作りの首飾りを幼馴染に贈った。
幼馴染の少女は破顔して、それを首にかけて、一緒に笑いあった。

「***ちゃんだーいすき!しょうらいは***ちゃんとけっこんする!」
「わたしもー!」

その当時は、世間を知るには、少女達二人共、幼すぎた。


* * *


小学生になり、彼女はたくさんの友達をつくった。
幼馴染の少女も、たくさんの友達をつくった。
男の子の友達も、たくさんできた。
自分の住む世界を広げ、彼女は自分の恋愛観の『異常』に気づいた。

「***ちゃん、また明日ね!」
「じゃあね***さん!***君、一緒に帰ろー」

彼女は一段、大人への階段を登った。


* * *


中学生になり、彼女は幼馴染の少女と別の学校へ通うことになった。
家が近いため、道端で出くわしたり、休日に遊んだりはする。
しかし、会う時間は確実に減った。
けれど、それでよかったのかもしれない。
彼女は恋愛小説を読み、フィクションの恋物語に浸りながらそう思った。

ある日、彼女が二階の自室の窓から外を見下ろすと、幼馴染を見つけた。
幼馴染の少女は、楽しそうに男の子と並んで歩いていた。
彼女はベッドに潜り込み、無言で枕に顔を埋めた。
その日以来、彼女の休日の読書時間が長くなった。


* * *


「うっそ……***ちゃん!?」
「あれ!?***さんも妃芽薗!?」

再会は唐突だった。
彼女と、なんとなく疎遠になっていた幼馴染との再会は、高校。
その日から、二人はまた一緒に同じ学校で生活することになった。

「***さん!また一緒によろしくね!」
「……うん。……よろしくね!」

高鳴ってしまう自分の胸が情けないと、彼女は心底、思った。


* * *


それから一年――――
女学生の園で、彼女は幼馴染と不自由ない生活を送った。
移転したばかりという綺麗な妃芽薗の学舎。綺麗な先輩達。
そしてそこには、彼女が求めてやまなかった、『異常』への理解があった。
本の中でしか起きないと思っていた恋愛が、現実でも起きていた。
彼女は強く勇気づけられた。

綺麗な月が空にかかる夏の夜。
貧しい少女の願いを叶えるという女神像の建つ、泉のほとり。
彼女は幼馴染と水面を眺めながら、語らっていた。
この日まで、彼女はゆっくりと幼馴染にアプローチをかけていた。
学園で貰った勇気を、振り絞り、優しく迎えてくれる幼馴染へ注いでいた。

この日も、夜まで付き合ってくれる幼馴染に、彼女は胸を熱くしていた。
そして、彼女は気づいた。幼馴染が首にかける、簡素な首飾りに。
それは彼女がかつて幼馴染と将来を誓った時の、あの、約束のペンダント。

「***ちゃん……キスしてもいい?」

彼女の口から、思わず言葉が零れていた。


* * *

27ライク・ア・カレー:2013/08/02(金) 04:09:39


何を言ってしまったのかと、彼女は酷く赤面した。
確かに、自分が幼馴染に向けるこの思いは本物だ。
高校生になり、自分の恋愛観の『異常』にも向き合えるようになってきた。
同じ思いを味わってきた先輩達から、アドバイスも貰ってきた。
そしてそれら全てを、穏やかに、けれど確実に幼馴染に向けてきた。
それらは確かなことである。彼女はそう思った。

だが、それでも彼女は、現在の二人の関係性が崩れるのを恐れた。
もしも幼馴染に拒絶されてしまったら、二度と二人一緒にはいられない。
そう思うと足がすくみ、どうしても今まで最後の一歩が踏み出せなかった。

これまでも何度か告白をしようと思ったことは、あるにはある。
だが、いつもその直前に何かが邪魔をして、成功することはなかった。
いや、彼女自身が何かのせいにして、告白から逃げていたのだ。

そんなことをずっと続けて、微妙なバランスを保ってきたのに、どうして。
彼女の思考は加熱し、高速で回転する。
火が出そうな程に顔面が熱く、視界も赤く歪んでいるように感じていた。

――――ああ、どうして私はあんなことを口走ってしまったのだろう。
――――目の前が真っ赤だ。顔も真っ赤だろう。
――――二人きりなのに、水面に白フードの女の子が見える気さえする。
――――それにしても、言ってしまったものはもうどうしようもない。
――――***ちゃんの反応は……?

無限に思える程の刹那の時間を過ごし、彼女はついに顔を上げた。
自分の告白を聞いた幼馴染の返答を聞こうと、意を決してのことだった。
そして顔を上げた先、彼女の視界の中の幼馴染は――――いなかった。

「え……!?」

彼女の口から、再び思わず声が漏れた。
慌てて立ち上がり、辺りを見回す。
すると、彼女は異常事態に気づいた。

自分のいる場所が、さっきまでと違うのだ。
そこは綺麗に整備された新生・妃芽薗学園の敷地内ではなかった。
崩れた学舎。荒れた花壇。
月明かりに浮き上がるその光景は、陰鬱なものであった。

「これは……もしかして神隠し……?」

彼女は学園に広まっていた噂を思い出していた。
鏡にうつる少女。学園で起こる失踪事件。学園七不思議。
何度も目をこすり、頬をひっぱり、彼女は確信した。
自分が失踪事件の当事者になってしまったのだということに。

「嘘……」


* * *


荒れた妃芽薗学園旧校舎を歩きながら、彼女は思う。
もうすぐハルマゲドンが始まる。
なんとか生き延びて、もう一度、幼馴染のもとへ帰ろうと。

そして、もう一つ、思う。
もしもこの宇宙に意志があるとして。
あの時、その大宇宙の意志が、自分の告白を拒んだのだとして。
自分の想いは遂げられないものだと、大宇宙の意志が決定したのだとして。
だとしても――――

「告白しようとしたらハルマゲドンに召喚とか流石に理不尽過ぎるよ……」

この宇宙は理不尽だ、と。<了>

28股ノ富士ちゃん:2013/08/02(金) 17:16:52
まんが「股ノ乳」(4P)
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37495769

女神像や天和七対子せんぱいが出てきます

29唄子:2013/08/02(金) 19:44:48
「これはいよいよ困った事になった」
目の前で断固として歩く事を拒否している小型犬の事ではない。
彼を抱えて家まで帰るのもそれなりに大変ではあるが、本当に厄介な問題は別にある。

さかのぼる事10分前、犬の散歩に行くため玄関で靴を履いていた時の事。
「正臣君、明日何の日か覚えてる?」
「勿論、覚えているとも」
「なら良いんだけど。じゃあいってらっしゃい」
「行ってきます。おいで、七輪(犬)」
(明日?何の日だったっけ?)

そして現在。
「まいったなぁ、歩いているうちに思い出すと思っていたんだが……」
あれこれ記憶をたどるものの、未だ答えに辿りつけずにいる。
「もし、なにか大切な日だったとしたら唄子さんに嫌われてしまう」
唄子さんはああ見えて記念日だとかそういうのには、すこしだけうるさい。私は一度だけ結婚記念日をすっぽかして、同僚と飲み歩いていた事があった。

「結婚記念日は何月何日?」
「……8月19日です」
「今日は何月何日?」
「8月19日の、26時です」
「……」
「……」
「8月20日でした。すいません……」

右腕で七輪(犬)を抱えながら、声を出さずに呻いていると、正面から2人の女学生が歩いてくるのが見えた。
どこかで見たような制服だ。などと考えていると、左側の子が声をかけて来た。

「あ、正臣さんこんにちは」
「ん?コンニチハ」
「覚えてくれてたんですね」
「勿論、覚えているとも(たぶん、唄子さんの学校の友人だろう)」
「誰?」
「唄子さんの」
「ああ、この人が?」

少女たちと会話するうちに、何か思い出せそうな気がして来た。
あと少しで思い出せる。あと少し、あと少し……
「あ、弓月さんだ!」
「はい?」
突然手を叩いて自分の名を呼ぶ私に、少女は首をかしげた。
なんだ、思い出せそうだったのは、この子の名前か。
「いや、顔は覚えてたんだけど、名前をド忘れしててね」
「あはは、そうなんですか?」
慌てて取り繕う。そして、私は良いアイデアを思いついた。
もしかしたら、彼女たちが唄子さんから明日が何の日か聞いて知っているかもしれない。
「そういえば唄子さんは学校で私の話とかするのかな?」
「ん〜あんまりしない……かな?」
「そうなの?たとえば明日は何の日だ。みたいな話とか……」
「いやぁ、聞かないっす」
「そ、そうか……」
「そんなガッカリしないでくださいよー」

「困った、明日は本当に何の日なんだ」
少女らと別れて、いよいよ散歩コースは我が家まで残すところ100m足らずである。
「最後ぐらい自分で歩きなさい」
七輪を地面に下ろしながら、これからどうすべきかを考える。
「やはり、素直に謝るのが一番だなぁ」
「……そうしよう」

「ただいま」
「おかえり。遅かったね」
「ああ、弓月さん(だったっけ?)たちと会ったんだ、ところで……・」
「すまん!」
「は?なにが?」
突然目の前で頭を下げる私に唄子さんは驚いたようだった。
「実は、明日が何の日だったか、私は全然覚えていないんだ!」
「……」
沈黙がわが身に圧し掛かる。やはり、何か大切な日だったのか?
「いや、明日は町内会のお掃除の日だけど……」
「は?」
「別に、何かの記念日とかそいうのでは……」
「な、なんじゃそのベタなオチは!?」
いつの間にか唄子さんの腕に移動した七輪のやつが私に向かってバカにしたように舌を出している。
間の抜けた安堵に包まれる私に、唄子さんがにやりと声をかける。
「ところで、結婚記念日は何月何日だったかしら?」
「そりゃ、勿論覚えてるとも、八月の……」
……あれ?八月の何日だっけ?
「……」
「や、これは本当にド忘れで!本当についさっきまでは覚えてて!」

30ぽぽ:2013/08/03(土) 03:13:21
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37503846
角月こもら

31アギト:2013/08/03(土) 04:18:55
【後輩二人が鬼畜過ぎる件】


「脱衣麻雀やんね?」

「……………はっ?」

同級生であり、生徒会の仲間である天和七対子のとんでもない提案に呆れていたが、面子を聴いた私は…………

「今すぐやろう!!」

はい、私は馬鹿です。


七対子と私の鬼畜三年組、後輩の弓月と常磐のツインメガネーズ、どちらのチームが総合得点が高いかと言う単純ルール。

端から見て勝敗は明らか、こっちには妃芽薗の雀鬼(ジャンキー)七対子が居る、それに、彼女程では無いが私も麻雀はイケる方なんだ。

「待て待て、そう焦るなよ」

そうだ、今はまだ"生徒会"の勤務時間、ましてや自分は生徒会、建前上"生徒会"メンバーが職務を法規した挙句、後輩達と"脱衣麻雀"をするなど……………。

「やっぱし今やらない?」

結局は生徒会の仕事が終わる迄、私は蛇の生殺し為らぬ"鬼"の生殺しに遭うのだった。

時計は18時を回り、私と七対子は彼女の寮室へ向かった。


「お待たせ〜、待った?」
七対子が自室の扉を開けると既にツインメガネーズが雀卓を囲んでいた。

「いえいえ、私達もちょっと前に来たばかりです」

「…………………」

弓月の隣で、この面子内で最年少の常磐が[猿でも解る麻雀ガイド]なる本を黙々と読んでいた。

私達も雀卓に座り、改めて簡単にルール説明と禁止事項、七対子の゙"雀鬼眼"禁止等を決めた。

ちなみに--------

※一発ハコテンを喰らった奴は即全裸

※不正行為を行なった奴は即全裸
(発覚した場合のみ)

親(東)はあたしに決まり、順に(南)常磐→(西)弓月→(北)七対子。

ジャラジャラと牌を混ぜる小気味の良い音が部屋に響き、カツッカツッと静かに牌を列べる……………。

「(マズマズの手牌か……)」

私の手牌は字牌"東"が二枚、萬子の137、筒子の445、索子の4578だった。

「(ここは堅実に一萬と東牌を捨てて、立直、門前、断九、平和って所か…………)」

私は数秒思案し、東牌を切るのだった、が…………

「あ、災禍さんソレ和了です」

「「えっ?」」←※災禍と七対子

満面の笑みを浮かべる弓月の手牌はこうだった………………

1萬1萬東東南南南西西西北北北


そう、既に彼女の手牌は和了牌待ち状態で、災禍は一萬を捨てても東牌を捨ててもツミ状態だったのだ!!

「弓月ちゃん、大四喜ってえげつないな………」

「い、一発ハコテン……」

焦る私とは対象的に苦笑を浮かべる七対子、お前仲間だろ…………

この状況を見兼ねたのか最年少の常磐が立ち上がった。

「これでは災禍先輩が可哀想です!!」

「常磐ちゃん……」

後輩の優しさに感動を覚えていたが、次に発せられた言葉は余りにも衝撃的だった。

「全裸では可哀想です、全裸で"首輪"を嵌めて頂きましょう!!」

お前は馬鹿かぁ〜!!


結局は七対子が仇を取り、後輩達は瑞々しい裸体を晒す事になるのだが、その間、私は"全裸"に"首輪"と言うマニア受けする姿で過ごす羽目になったのは言うまでも無かった。


「先輩、良かったら犬尻尾(アOルビーズ付)も着けません?」

「私は犬耳を………」

「なぁーーーーーー!!!!!!(涙)」

<和了>

32あやまだ:2013/08/03(土) 06:52:23
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2645539

マスケ・ラ・ヴィータ言祝さんのエピソードの勝手にスピンオフ。
こちらを読むより先に当該エピソードを読んでおくといいと思います。

33ライク・ア・カレー:2013/08/03(土) 06:54:26
【天奈瑞のお悩み相談コーナー】


生徒会長、天奈瑞(てんな みず)。
呪われたハルマゲドンを迎える上でのリーダーとして選ばれた少女。
触れたものの心を読み、押しも強く、面倒見もよい。
天奈はトップとしてうってつけの才能を持っていたのだから当然だった。
これは、そんな少女が陣営勝利のために奔走する物語。

* * *

天奈は考えた。現在の生徒会陣営のことである。
妃芽薗学園の生徒が多いため、面識ある者同士もそこそこいる。
しかし、急ごしらえの寄せ集め集団であることに違いはない。
となると、まずそれぞれの人となりを知り、うまくまとめるのが先決。
急場にまず人となりを知る――――常人ならばそんな悠長なと思うだろう。
だが、読心術を持つ天奈には、それが物事を解決するいつもの近道だった。

「それじゃあ後輩達の様子でも見ていきましょうか」

こうして、天奈は生徒会の面々を深く知ることになる……。


* * *


「グドン一匹見たらツインテール二十匹は近くで生息してるって――」
「ああ、うん、はい」

角月こもら。怪獣が(性的な意味で)好きな少女。
なかなか話が弾まないから、読心で得た怪獣の話題について振った結果。

「スペシウム光線って響がエロいよねぇ。スペシウムって……グフフ」
「ああ、うん?」

天奈は頭を抱えた。

* * *

「カキコは別に悩み事なんてないの」
「カキコちゃんはなんでも知ってるんだね。戦闘では頼りにしてるよ」

匿名図書館カキコ。妃芽薗七不思議の一つ、匿名図書館の端末。
端末ってなんだ。端末って。読心すると情報量が膨大で頭が痛い。

「天奈さんは女性なの?」
「うん?ああ、この格好は似合うと思うからしているだけで、女だよ」
「どれどれ、ちょっとお胸とか触らせて舐めさせてもらいますなの」
「ちょ!?」

* * *

神足跳瑠(こうたり はねる)。陸上部は棒高跳びのホープである。
少々、非行のきらいがあるものの、これまでと比較すれば真っ当な……

「ちょっと聞いてよ会長!武々花(ぶぶか)なんだけどさあ」

多居炭(たいたん)武々花とは神足と同じ棒高跳びの選手だ。

「胸!胸のせいでアタシより目立ってさあ!」

胸――――年頃の少女にとってセンシティブでナイーブな話題だ。

「腹立つから巨乳の女神像にアタシも巨乳にしてって頼んだらさあ」

巨乳の女神像とは妃芽薗七不思議の一つ、胸を大きくするという銅像。

「『俎板は私の力も及ばない』だって!!!もー腹立つってーの!」

それは私の手にも余る。天奈はなんと慰めるか頭を捻った。

* * *

「どうすれば私、モテるんですか!?」

頑張れ。読心でどうにもならない質問ばかりするな。
天奈はベテラン失恋ニスト、片心叶実(かたうら かなみ)に思った。

* * *

「えっ?キムチ?」

何をどうすればそう聞き間違えるのか。大宇宙の意思恐るべし。


* * *


「私、リーダーとしてやってけるのかなって……」
「大丈夫よ。しっかり皆から頼られてるじゃないの」
「先輩としての自信ちょっと無くしそう……」
「落ち込まないで。ほら、これでも飲んで」

その日の夜。
天奈は唄子さんの元で飲み明かしましたとさ。


<了>

34あやまだ:2013/08/03(土) 16:59:08
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2646804

多居炭武々花さんと神足跳瑠さんをお借りしました。
艦これネタ。

35流血少女サブGK:2013/08/03(土) 17:04:56
ここまでで、一旦採点を中断させていただきます。
これ以降投稿された作品については、前半戦終了後から採点を再開させていただきます。

36流血少女サブGK:2013/08/03(土) 20:52:30
■生徒会
>>23 6点
>>25 0点
>>26-27 12点
>>28 44点
>>29 9点
>>30 6点
>>31 6点
>>32 9点
>>33 8点
■今回採点分 100点
■累積点数 489点

37流血少女サブGK:2013/08/03(土) 20:54:45
■訂正
■生徒会
>>23 6点
>>25 0点
>>26-27 12点
>>28 44点
>>29 9点
>>30 6点
>>31 6点
>>32 9点
>>33 8点
>>34 6点
■今回採点分 106点
■累積点数 495点

38ぽぽ:2013/08/04(日) 00:24:11
雨竜院雨
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37532990

39立川:2013/08/04(日) 00:52:45
20分で書いたー。
私の中で御厨くんは、以下のようになっています。

=======================


「キムチでもいい……?」

喧騒たる戦場に響く言葉。
弾けるは大宇宙の意思。
飛び散るは鮮血。

そして男は、ある決意をする。


御厨くんは、操心術士の一族、御厨一族の青年であった。
その長けた弁舌で、優秀な人材を迎え入れ、一族を繁栄させる。
それが彼の使命であった。
いつしかそれは、彼にとってかけがえの無いものとなった。
彼は――家族が欲しかった――


D3.
怯え、泣き、憔悴しきった少女達の姿がある。
無理も無い。
彼女達は皆、年端もいかない少女なのだ。


御厨くんはゆっくりと辺りを見回すと。
冷たく重い鉄の扉が、ゆっくりと開かれる。

「僕の欲しいものは――――もう手に入っているから―――」

微かに。

微かに――はっきりとは見えなかったが――確かに

「――家族のためだから――」

彼は笑ったんだ。


=======================

40ぽぽ:2013/08/04(日) 01:45:52
ホワイトゴールド
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37535612

41ぽぽ:2013/08/04(日) 16:38:45
股ノ富士ちゃん
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37546738

42アギト:2013/08/04(日) 18:34:48
【天和七対子】
tp://m.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37549077&PHPSESSID=6a85d646ad710e9b9d90a8dd3a185038&guid=ON

鉛筆の落書き程度で申し訳ないですm(__)m

43しらなみ:2013/08/04(日) 21:20:35
【 白河 Zweiの人間体験その2
          〜アンバランス・テンバランス〜】

白河はじめに背後から襲いかかり腕を取ったのは2名。
黒髪ストレートを揺らしながら白河の左手に取りついた少女の名は神足跳瑠(こうたりわたる)。
ランニングの帰りなのか薄らとシャツが汗に濡れており、そこを通して
陸上の選手らしい引きしまった身体が伺える。その胸は平坦でった。

「ういーす、はじめちゃん。おはようさん。今日で飼育部一週間目だね!どうよ」
返答はない。
沈黙で有る。思わず目を瞬かせる跳瑠。対象に黒い暗雲がたっているようにもみえる。
「…ホントどうかしたのかしらね。ため息がこっちまで聞こえてきたわ。」
これは少し跳瑠に遅れてぐいっと右腕を引きよせた夢見崎ロルラの声、
そして腕に当たるその胸の感触は確かに平坦であった。

図らずも両手に花という形となった白河だが、なんと答えていいのか困った様子だ。
その様子にお互い顔を見合わせる跳瑠とロルラ。
ロルラが少し眉をひそめて言う。
「これはちょっと情報交換必要そうね。女子高生同士による相互情報循環交換!」
「なにその表現…まあでもロルラと同意見というか。そもそもなんでハジメ、飼育部
になんて入ったんだ?飼育委員会とかぶってるせいか、ほとんど潰れてるやん、あそこ」


†††

3人は道を外れ、近くの芝生にハンカチをひくと4人全員で座りこむ。
白河は縮こまって両手の人差し指をもじもじと合わせると今回の経緯の説明を始めた。

(動作が古典的スグルだろ…)
(コレはくるわね…)
両者の感想はさておき、本題である。
「今回の話はどちらかというと、その委員会絡みでして…。
前からなんですが、原因不明の不調を理由に飼育委員のひとが立て続けに委員会を
止めちゃっう事例が発生してたんですよ。それで…
人手不足を理由に、天和部長が、風紀委員会に人員『調達』の襲撃にきたんです。」
「あー」
「あー」
天和部長という言葉に反応し異口同音に同じ声を発する。
「天和部長の”鳴き”が入ったってこと?」
「…そいや先輩、飼育委員か。じゃうちらレベルじゃどうしようもないじゃんソレ」
二人のその声には多分にそれならしゃーねや諦めろというニュアンスが混じっていた。
白河が真面目な顔で頷く。

天和 七対子(あまわ なつこ)。風を切って歩く麻雀部部長。
現在の妃芽薗学園で学園『最強』と目される人物の一人だ。
2年以下の生徒から見ると三号生筆頭といっていい存在である。その能力は論理能力らしく
ほとんどの人間が認識できていない。いつも後に残るのは単に彼女が麻雀勝負に何かを
賭けて勝ったという『現実』だけなのだ。

無敗。故に最強。

今回でいえば風紀委員会に人員を借りるための麻雀勝負を仕掛け勝ったということ
なのだが、発端は少しばかり特殊でもあった。

「目的は?」
「…えーと」
口ごもる白河。コレは彼女らにはちょっといえないことであった。ククク。まあ私は
判っていますがね。白河さん(注1
「とりあえず斗羅さんに付いて仕事とコミニケーションとるように言われてます。
貴方達二人一緒にいればバランスとれるからって」

斗羅という名前を聞いて再び顔を見合す跳瑠にロルラ。
「天和部長から肝入りって時点で選択肢はないとはいえ、はじめちゃんには
ハードな相手だわね。」
「それで毎回なんだかんだいって全部上手くいくのが先輩の凄いところでもあるけど。
流れを読む力半端ないというか。たぶん目的は飼育小屋周辺で起こってる怪奇現象。
新七不思議絡み…ってことかしら。」
ロルラのほうは何某か合点がいったようで独り頷く。
「しかし、バランスねー。」
跳瑠のほうは全然、納得がいかないらしく正面からじろじろと白河の制服姿―
芝生に座っているボブカットの女子高生姿を上から下にと無遠慮に眺める。

44しらなみ:2013/08/04(日) 21:21:01
「はじめちゃん、よくミス・アベレージ(平均点娘)とか言われてるけど、
押しが弱いせいで目立たないだけで、実際は運動神経悪くないし、普通に
そこそこテストの成績いいし、普通に気立ていいし…、そこそこ家事もできる
何気に。まあ一点、納得がいかないことがあるとすれば

フーンク!!」

突如いきり立ち、仁王立ちになり指を白河に付きだす跳瑠。
その剣幕に思わずビクッとなる白河(弱気)。
「娘!何故、貴様、胸だけ平均値を遥かに上回っている!!
なぜそこは平凡そこそこくらいに慎まない!半分くらいよこせよこせ」

そうクローンである白河の胸はオリジナルと同じく豊満であった。
奇声を発し息が乱れた跳瑠にロルラが手持ちの水筒からお茶を継ぎ、はいと差し出す。
ごくり。
「美味い。」
「そうよね、ハジメさん、色々やってるようだけど、特定の恋愛や交友に花咲かす
わけでも一つのスポーツ勉学に打ち込むわけでもなく、なんかいつもこうふらーと
いってふわーと元の定位置に戻ってきてしまうのよね。まるでヤジロベイみたいに。
――で何時くらいからなの?」
相槌を打ちつつ、突如の急降下、彼女はいきなり話しの核心をついてきた。
夢見崎はある種、その道のプロである。白河は諦めて正直に答えることにした。

「半年ほど前からです。」
そう、あれは雨降る日のことでござんした。ちょっとチョロイン入ってましたわね。
メーター高めです。

「こればっかりは何か切っ掛けを待つしかないわね。念のため意志子も見てあげてて
でも余計なことしちゃ駄目よ。」
「はい。」
はいな。でも残念、私、パッシブなもので自動発動なのよね。
「???…ん、何の話」
「なんでもないわ。あ、ワタル。バナナ食べる?」
「フーンク!」

†††

2人は白河はじめと分かれるとそのまま来た道を歩き出す。

「運動の後のバナナ、ウメー」
「いやさ、アンタ、人からモノ貰っといてウメーじゃないでしょ。」

礼はという問いに薄い胸を踏ん反り返していばる跳瑠。
「私の辞書にギブ&テイクはないのよ。ただ貢がせるのみ。それが我が覇道よ」

友人の台詞に呆れたような声を上げるロルラ。
「そこだけはお互い相容れないわよね。交換こそが最高の友情のかたちなのに。
まあワタルに関してはその主義を尊重して言葉のキャッチボールだけで
満足してあげるわ。」
「フーンク!」
「ボケとツッコミの相互循環交換イイ!ってこれだとWボケよねー」
キャイキャイと騒ぐ二人。

「あ、そうそう新七不思議といえば、願えば巨乳にしてくれるって女神像の
噂って聞いたことある?なんでもこれはギブは要求されないらしいよ。」
「うむ、それは当たる価値ありですか。いっちょ、いってみますか。」
「じゃ、放課後再合流ね。」

ラジャー。そういって彼女たちは手を振り、それぞれの自室に向かう
それはいつもと変わらない何気ない日常、そんな日がいつまでも続くと信じていた。

そう、その日、旧校舎に潜む死神と彼女たちが、出会う、その瞬間まで。



             (「アンバランス・テンバランス」了 その3へつづく)


注1:『大宇宙意志子』の発言。
  ナレーションは『大宇宙意志子』でお送りしております。

45ぽぽ:2013/08/04(日) 23:03:59
鬼姫災禍
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37557721

46股ノ富士ちゃん:2013/08/05(月) 01:26:15
天奈 瑞
tp://twitpic.com/d6i221/full

47立川:2013/08/05(月) 02:09:00
<<流血少女3 前半戦終了SS>>


「まどかちゃん……キスしてもいい……?」

「どうしよう……だってすごく良い雰囲気だったから……!」(ドキドキ
「色々妄想がふくらんじゃって……つい……ポロッと……!」(あぁぁ〜
「どうしよう 絶対変な子だって思われた……」(ドキドキ

「突然……キス……だなんて 絶対ヒかれた……」(チラッチラッ

「まどかちゃん なんで さっきから何もしゃべんないんだろ……」(ドキドキ



「……………ハッ!?」(ビクン

(……………)

「おお……イカン 俺、今消えてたのか。 すまん俺、パッシブで死亡非解除だから」

(……………)(クッ……


――その時、大宇宙の意思が弾け――
――辺りは一面のブラックホールに包まれた――



鮫氷しゃち「…………」

「まさかあんなこと言うなんて……」
「『キムチでもいい?』なんて……もっと真剣な話をしてるかと思ったのに……どんな会話してたんだろ……」

〜〜〜〜後半戦へ続く〜〜〜〜

ダンダンダン! To Be Continued……!

48アギト:2013/08/05(月) 02:32:00
鬼姫災禍[角有り.ver]

tp://m.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37564697&PHPSESSID=b5da6578e384bc02ece852ab0383f9d2&guid=ON

49ももじ:2013/08/05(月) 23:13:12
鬼姫災禍
tp://0006.x0.to/oo/gif/onihime.jpg

50不暮真知子:2013/08/05(月) 23:35:17
片心叶実
tp://twitpic.com/d6nl2i

天和七対子
tp://twitpic.com/d6nl9l

ウーヨン
tp://twitpic.com/d6nln1

白金神無
tp://twitpic.com/d6nlub

51流血少女サブGK:2013/08/06(火) 01:49:50
■生徒会
>>38 7点
>>39 10点
>>40 8点
>>41 11点
>>42 6点
>>43-44 6点
>>45 7点
>>46 6点
>>47 4点
>>48 4点
■今回採点分 61点
■累積点数 556点

52流血少女サブGK:2013/08/06(火) 01:51:55
>>51 訂正
■今回採点分 69点
■累積点数 564点

53マスケ・ラ・ヴィータ 言祝:2013/08/06(火) 02:16:49
○ Postlude
「……そして誰もいなくなった」
「そして誰もいなくなった――っスね」

本を手に、少女と大人の中間を漂う年頃の人物が囁いた。
本から目を離さず、同じ年頃のもう一方の人物も呟いた。
言祝が帰らなくなり、だいぶ時間の経ったある日のこと。

「遭難、死亡はもう確定だろうね。『lost』する前に救助隊を組もうか」
「私は焚きつけた立場っスから、行かないわけにもいかないっスね」
「……愛読家を失うのはもったいないから……私も」
「荒事担当も欲しいっスね。あの子、前の遭難じゃゾンビになって――」
「マッコォォォイ!マッコォォォイ!」
「うるさい」
「あ、それじゃあ僕が行こうかな?可愛い後輩達の為だしね」
「では私も行こう」
「先輩は二次遭難するのでやめてください」

小声のやり取りを皮切りに、その場が騒々しさに包まれる。
言祝の家の、言祝の部屋に集まり、語りあうその面々。
希望崎学園迷宮探索同好会のOB・OG達であった。

それは『流血少女』の仇名を持つ妃芽薗学園・ハルマゲドンが明けた日。
いつまでも帰らぬ迷宮探索同好会の後輩を案じた者達の集い。
これは、言祝の冒険譚によって生まれた、もう一つの冒険譚の始まり。

「……一人くらい無事かしら」
「無理だろうね。あの子達で駄目だったのなら、そこそこの危険地帯だ」
「『最低でもそこそこの危険地帯』っスね」

世間に広まる噂話の真相を知りに出かけ、帰らぬ人となった言祝。
呪いの戦場へと駆りだされ、惨劇の末に命を落とした言祝。
時はすでに妃芽薗学園の旧校舎跡にて、言祝の冒険譚が完結した頃合。

古い仲間を失い、新しい仲間を失い、己の命を失い、勝利を失った。
後の冒険史に綴られることもない、ごく平凡な冒険者の死であった。
それが、言祝の冒険の末路であった。

それは、無意味な死。
それは、無様な冒険譚。
それが、無情で無慈悲な冒険の現実。

「離脱能力も籠城能力も継戦能力もOK!」
「……妃芽薗でしょ?高二力フィールドの対策も必要ね」
「物もしっかり背負ったっスよ」
「待ってろよぉ後輩ども――うん、まあ、死体でも」

そして、それを、この場に居る者達はおよそ想像により理解していた。
それでも、冒険者達は迷うことなく、後輩の救助隊を組んだのであった。
それが、冒険者達の、後輩達への、想いだから。

「――よし、それじゃ出発だ!」

全ての準備が整い、出発の時。
重装備に身を固めた救助隊メンバーが、並び立った。
冒険者達の前には、一人の女性。

「――ありがとう。私は今、ここを離れられないから」
「アイツ絡みで間が悪いなんていつものことじゃないですか」
「……あの子、運の悪さは折り紙つきだから」
「まあ待っててくださいっス。私達がちゃんと連れ帰ってくるっスから」

言祝が『英雄』と慕う女性に見送られ、救助隊は出発した。
留守番役になった他の同好会面子も、出発する者達へ発破をかける。
新たな冒険譚の始まりは、それは賑やかなものであった。



――――人生の価値は、その人物の葬式に集まる人の数でわかる。
そんな言葉がある。

言祝は迷宮を探索する冒険者として死んだ。
その死出の旅路の餞に、こうして多くの人が集まった。

言祝は生前、自分は運が良いと、よく口にしていた。
その言葉に反して、言祝の生きる道は不運の星の下に伸びていた。

だが、こうして集った冒険者仲間達を見て、その道を振り返ると――――

「それじゃ『可愛い後輩救出作戦』――開始ッ!」
「ラジャー」
「……おー」

成程、もしかしたら、言祝は運が良かったのかも――――知れない。



ダンゲロス流血少女Ⅲ -Wail of Valkyrie- Side 言祝……The End.

54マスケ・ラ・ヴィータ 言祝:2013/08/06(火) 02:18:01







―――――――

―――――

―――







深く、青く、澄み渡った夏空に、大きな入道雲がムクムクと白く光る。
溌剌とした空模様とは対照的な、騒乱の続く、妃芽薗学園旧校舎跡敷地内。
その片隅で、風変わりな仮面を着けた亡霊が、一人、雲を見上げていた。

いくつかの雲が重なり、纏まり、一つの大きな雲になる。
そんな雲の流れを、仮面の下、生者の臭いのない目で追う。
しばらくそうしていた後、亡霊はぽつりと、呟いた。

「寂しいな――早く誰か、来ないかな」



<了>

55あやまだ:2013/08/06(火) 04:20:22
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2658180

不暮真知子さんをお借りしました。その他、過去キャンペーンのキャラがちょこっと出てます。

56不暮真知子:2013/08/06(火) 23:32:27
不暮真知子
tp://twitpic.com/d6to6w

57ぽぽ:2013/08/06(火) 23:51:14
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37609491
マスケ・ラ・ヴィータ 言祝(ことぶき)

58鳩子:2013/08/07(水) 03:12:47
白金神無
tp://sasimi-mazui.sakura.ne.jp/dng/e/ryuuketsu3/sirogane.jpg

59たびびと:2013/08/07(水) 18:22:08
弓月張
tp://p.twpl.jp/show/orig/QDB05

股ノ富士ちゃん
tp://p.twpl.jp/show/orig/pvUMk

白金神無
tp://p.twpl.jp/show/orig/DWsS6

角月こもら
tp://p.twpl.jp/show/orig/mGSVM

60流血少女サブGK:2013/08/07(水) 23:29:15
■生徒会
>>49 2点
>>50上から 6点
8点
9点
10点
>>53-54 9点
>>55 13点
>>56 7点
>>57 10点
>>58 13点
>>59上から 7点
10点
7点
8点
■今回採点分 119点
■累積点数 683点

61ライク・ア・カレー:2013/08/08(木) 02:32:06
【死者の盆踊り】



「私ばかりおめおめと生き延びてしまった……」
「誰も貴女を恨んでいないから。生き延びたのは幸運だったと思って」

二回に分けて行われるハルマゲドンの前半戦が明けた夜。
十三人の少女が戦場へ向かい、帰ってきたのは三人のみ。
敗北――――生徒会にとって、それが前半戦で得た結果であった。

前半戦の面子を率い、リーダーとして立った天奈瑞(てんな みず)。
リーダーを脇から支えた生徒会の良心、唄子さん。
生存者の内の二人は、憔悴しながらも自陣営に帰り着いていた。

リーダーとして敗北の責任感に沈む天奈と、慰める唄子さん。
かつては賑やかだった、今では空白が目立つ生徒会の陣営。
生徒会は、打ちひしがれていた。



* * *



「おつかれさん。後は私に任せておきな」
「戦士にも休息は必要でゴワス。今はゆっくり休んでください」

だが、そんな生徒会にも、まだ心強き者が残っていた。
百戦錬磨の麻雀戦士にして雀鬼眼使い、天和七対子(あまわ なつこ)。
身体は少女となれど国技相撲で鍛えた力士股ノ富士(またのふじ)ちゃん。

彼女達はまだ信じていた。
自分達がいれば生徒会はまだ負けはしない――――と。
天和達は死闘を終えた天奈を労い、後は任せろと胸を張った。

「そうか……すまない」
「私達も追いつけるようなら、後から行くわ」
「任されたよ。番長の奴らに敗北の味を思い知らせてやるさ」
「自分は自分の相撲を取るだけっす」

こうして、生徒会長の座は譲られた。
後半戦生徒会陣営リーダー、生徒会長、天和七対子。

「いくよ、股ノ富士ちゃん」
「お、オッス……お姉さま……」

天奈達の、また死んだ者達の思いを継ぎ――――後半の死闘は幕を上げる。



* * *



「先の闘いで何かあったのかもしれないのだけれど、
 高二力フィールドが弱まってきているの、気づいている?」
「私の力もだいぶ発揮できるようになっているね」

そして――――

「特に魔人能力が使われた闘いの跡地ならフィールドも弱い。
 貴女も本来の力が発揮できると思うのだけれど……」
「私に頼み事?」
「……貴女にしか頼めない事」

前半の死闘は、まだ終わってはいなかった。
後半の死闘は、表に見える場所だけでは収まらなかった。

「鬼姫さん。生徒会で一番身体能力が高いのは貴女。だから――」
「死んだ子達の幻影がこっちに来ないように、しんがり役……?」
「ええ」
「そっか……」
「あの子達が今、幻影を見たら、きっと平静ではいられないから……」
「わかった。大丈夫、私ならやれる。鬼らしい仕事だしね」
「ごめんなさい。ありがとう」

表の死闘に向かう天和達の裏で、鬼姫災禍(おにひめ さいか)も、また。

ここで死んだ者は呪縛される。
死者の幻影は魔人能力が通じない。
死者の幻影は――――生者を殺そうと襲ってくる。

「唄子さん!帰ったら一緒に呑み明かそうか!
 良い日本酒あったら私にも教えて!楽しみにしてるよ!」



こうして――――



天奈達の、また死んだ者達の思いを踏み躙る、呪いの舞台が幕を上げる。



<了>

62流血少女メインGK:2013/08/08(木) 03:29:40
【白金神無】(採点外)
tp://www18.atwiki.jp/drsx2?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=sk.jpg

63HIGE:2013/08/08(木) 12:57:50
上げ方があっているか分かりませんが…><

【後半戦メンバー】
tp://uploda.cc/img/img52031696a4308.jpg

祝後半戦メンバー決定!
勝手な主観&殴り書きで申し訳ない…orz

64たびびと:2013/08/08(木) 17:51:14
マスケ・ラ・ヴィータ言祝
tp://p.twpl.jp/show/orig/2LImc

片心叶美
tp://p.twpl.jp/show/orig/vDvZb

65あやまだ:2013/08/08(木) 23:18:26
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2669024

股ノ富士ちゃんと愉快な仲間たちのSS。言祝さんのエピソードは最後まで読んどいたほうがいいかも。

66流血少女サブGK:2013/08/09(金) 02:27:36
>>64まで採点。
700点を超過するので、以降は陣営掲示板に採点結果を掲示します。

67ももじ:2013/08/09(金) 22:32:41
天奈瑞
tp://0006.x0.to/oo/gif/tennna.jpg

68天奈:2013/08/09(金) 22:37:41
tp://0006.x0.to/oo/gif/u-yon.jpg

ウーヨンちゃん

69ももじ:2013/08/09(金) 22:52:34
片心 叶実
tp://0006.x0.to/oo/gif/kataura.jpg

70ももじ:2013/08/09(金) 23:11:34
久我原 史香
tp://0006.x0.to/oo/gif/kugahara.jpg

71ももじ:2013/08/09(金) 23:28:39
一十
tp://0006.x0.to/oo/gif/ninomae.jpg

72minion:2013/08/09(金) 23:30:46
ろりせんせーこと久我原史香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37685919

73minion:2013/08/09(金) 23:48:02
白金神無。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37686888

74天奈:2013/08/09(金) 23:56:20
一十

tp://0006.x0.to/oo/gif/kurosu.jpg

75minion:2013/08/09(金) 23:57:10
一十×久我原史香。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37687160

76minion:2013/08/10(土) 00:17:48
片心叶実。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37688279
チャームポイントは瞳です。

77minion:2013/08/10(土) 00:28:22
一十×白金神無SS『一十は百合ではない 2』。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2673010
挿絵。背景は百合ですが百合ではありません。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37688768

78ライク・ア・カレー:2013/08/10(土) 01:33:28
【Cross My Heart】


「聞きましたか?」

幾本ものナイフを手に弄び、常磐数夜が言った。

「この殺しあいはDPというポイントを多く稼いだ陣営が勝つそうです」

どこまでも人の命をお遊びみたいに使って、と、不服を述べる数夜。

「けれど、相手を殺さなくとも勝てると考えれば――」

少しは救いがあるんじゃない? と、桜色の髪を揺らす一十が言った。

「私の力を使えば、或いは誰も死ななくとも――」
「そう、それもです。十さんの能力で生まれるポイントの計算も不服です」
「私の能力の……ポイント?」
「あの『案内人』……本当に嫌らしい点数をつけて。遊んでますよ」
「そう……?」

薫る風に鈴の音が響きわたるように、少女達の細く高い声が踊る。
夏の木々の深緑に、ギラリと光る金属光沢と、桜色の華が二つ咲いていた。


* * *


妃芽薗学園の旧校舎跡にて死闘が始まり幾日かが過ぎ。
生徒会陣営に割り当てられた数夜は大いに不満を抱えていた。

これまで特に不自由なく暮らしてきた令嬢である数夜。
天才的数学のセンスにより、若くして数学者となり勉強の日々。
ドジなところもご愛嬌と、順風満帆な人生を謳歌していた。あの日まで。

あの日――――踊り場の鏡の噂を聞いて、気づいたら旧校舎に居た日。
それまで、自分が紙の上に書き出す、数式のように整然としていた世界が。
理不尽で、因果が伴わず、意味不明に、混沌の世界へと塗り替えられた。

そして始まる殺しあい。
新しく顔見知りとなった者達も、その多くがすぐに命を落とした。
解が無い。不快。意味のない命の奪いあい。頭の中に式が成り立たない。

数夜はこの日々に、うんざりとしていた。
ただ一つ、近くに居ると心が浮き立つように、落ち着くように、和らぐ……
一十という少女との出逢いにだけは、少しだけ感謝をしていた。


――――――


「十さんの傍に居ると、少しだけ気持ちが明るくなれる気がします」
「あらそう? 確かによく言われるけれど……」
「これは恐らく『百合力』です。私も量子力学は門外漢ですが、
 察するに貴方の発する百合粒子が励起状態に――」

どんな地獄にも、僅かながらの救いがある。数夜は実感していた。
殺伐とした殺しあいの場で、このような出会いに恵まれて、助かったと。
十の放つ独特の雰囲気と、その気さくな性格のおかげで、救われた。

死闘の最中で、十と数夜は言葉を交わし、親交を深めていった。
そして、その親交を起点に、数夜は生徒会メンバーと徐々に仲良くなった。
数夜は十に感謝していた。
この地獄に、多くの出会いを作るきっかけをくれてありがとう、と。

十の能力を軽く披露してもらい大変な事態になった事には目を逸らしつつ。


――――――


だから、生徒会の半数近くが死んだ戦闘を終え、数夜は憤慨していた。
せっかく得た友人をむざむざと失った不条理に。理不尽に。己の無力に。
戦闘の勝敗を分けたのは、相手を無力化した際に数えられるDPという点。
友人の命を1点、2点と数えられた。
数字を恨めしく思ったのは、生まれて初めてだった。

抑えきれない想いは吐き出すしかない。

こうして――――
数夜は、共に生き残った十を相手に、無力な言葉を吐いていたのだった。


* * *

79ライク・ア・カレー:2013/08/10(土) 01:34:02


十は、数夜の嘆きを静かに聞き入れていた。
それが今、自分がすべき最善の事であると考えていた。

「納得がいきません。十さんの能力射程はおよそ……これくらい」

数夜の手が閃き、一本のナイフが綺麗な二次関数曲線を描き、地に刺さる。
それは大概の魔人の身体能力を持って、一息で走破できるちょうどの距離。

「戦闘中は敵に殴られないよう、両陣はこれくらいの距離を保っています。
 十さんが走って敵に近づいても、敵も同じだけ離れてしまいます」

ナイフが煌めき、銀色の筋をひいて、先程と倍離れた場所に着弾する。

「そして、能力はDPで負けている時にしか使ってはならない。
 最低でも敵と1点差です。更にここから、能力使用でDPを最低でも2失う。
 つまり、十さんの能力を使って戦局を五分にするには、
 敵を三人能力射程におさめなければなりません。
 戦局を好転させるなら四人です。敵も考えて動くのですから、
 そんなのどう考えても不可能ですよ」

そんな取り決めさえなければ、十の能力が使えれば。数夜は歯噛みした。

「そうかな? 私は――」

だからこそ私に相応しい判定だと思っている、と、十は微笑み返した。
いぶかる数夜に、十は白く細長い指を立て、唄う。
その所作は、心を痛めた数夜の不安を拭うように、明るく、暖かい。

「例えば、敵を全員ガムテープで縛ってしまう能力者が味方に居れば」
「例えば、私を野球の球のように敵陣へ飛ばしてくれる能力者が居れば」
「例えば、周囲の敵を不思議な声で全員呼び寄せる能力者が居れば」

不可能も、可能になる――――

ポカンとした表情の数夜へ、十はウィンクして見せた。
闘いは、一人でやるものではないのだ。
『心剣士』たる十は、パートナーと協力してこそ真価を発揮するのだから。

「でも……そんな人は、私が知る限り、味方にいないじゃないですか……
 何人か、まだ能力を見たことがない人も居ますけれど……」
「貴女がいるじゃない、常磐さん」
「……え? ……ええっ!? 私ですか!?」
「貴女と、白金さんの二人なら、敵の動きをコントロールできるでしょ?」

だからこそ、十はパートナーたる他者をいたわり、常に気遣う。
だからこそ、十はこの時、数夜を奮い立たせる事が最善であると判断した。
この日の会話は、そうして生まれた一時の場であった。

そして、それ以上に、十はただただ単純に――――

「一緒に頑張ろうね!」
「ええええっと……はい!」

優しい少女だった。


* * *


「気をつけてね」
「はい! 行ってきます!」

二度目の死闘が始まる、その直前。
数夜と十が、一時の別れの挨拶を済ませていた。
数夜は戦場へ。十は本陣の殿と、そしていざという時の遊撃手。

「私が絶対に、十さんの最適解となる敵陣営の配置に誘導しておきます!
 ですから、その時はお願いします!」
「頼りにしてるね。うん、その時は任せておいて」

真夏の深緑に、ギラギラとした金属光沢と、桜色の華が交錯する。

「そうだ。それと、全部終わって帰ってきたら」
「はい? なんでしょうか?」
「もう少しフレンドリーに話してくれないかな? 数夜ちゃん♪」
「うぃっ!? あ、か、考えておきま……きゃんっ!」

ずり落ちた眼鏡を抑えようとして、足をもつれさせた数夜と。
倒れそうになった数夜を素早く抱きかかえ、支える十と。
艶やかな華が二輪、交差する。

「――生きて帰ってこようね」
「――はい。それは誓って」

そんな、嵐の前の、最後の穏やかな一時であった。


<了>

80minion:2013/08/10(土) 07:05:55
一 三九六。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37694249
水着はお兄さんの趣味です。

81minion:2013/08/10(土) 07:13:00
常磐数夜。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37694286

82あやまだ:2013/08/10(土) 07:38:59
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=2674343

一十さんをお借りしました。時系列的には、片心叶実のエピソードの2章と3章の間らへんです。

83HIGE:2013/08/10(土) 08:53:24
殴り書きですが…^^;

股ノ富士ちゃん
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=7444820461.jpg

紫央物理
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=2905561858.jpg

常磐数夜
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=5446876969.jpg

天保七対子
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=5398007437.jpg

斗羅宇魔子
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=3436140789.jpg

白金神無
tp://www.fastpic.jp/images.php?file=6552108780.jpg

84ライク・ア・カレー:2013/08/10(土) 10:25:37
【その1点に愛を込め】



少女は一心に己の手の先を見つめていた。
そこにあるのは二本の糸。それが縒られ、一本の糸に変わる。
そこにまた別の糸が編みこまれ、少女の小さな手先で、糸は大きくなる。

少女は編み物をしていた。
自分の想いを糸に込め。自身の全霊を糸に編み。
珠のような汗が、少女の丸い顔の上で光った。

それは少女からの、心を込めた贈り物。
未だその気持がなんなのか、言葉にもできない想いを抱くあの人への。
あの綺麗な人を飾るに相応しい、綺麗な物を――――

「できたっ! ――――でゴワス!」

少女、股ノ富士ちゃんは、自らの女子力をその日全開にしていた。



* * *



「天和お姉さま……」
「どうした股ノ富士ちゃん?」

そして決戦。
股ノ富士ちゃんは天和七対子と対峙した。

「どうかこれを……受け取ってくださいっ!」
「こ……これは!」

股ノ富士ちゃんが手に持つその美しい編み物。
和風の雅やかな景色を繊細な意匠で表現し、同時に力士の力強さを見せる。
そこに鮮やかに、達筆に描かれる文字は堂々たる『天和七対子』の文字。
化粧まわしである。



* * *



けしょう‐まわし〔ケシヤウまはし〕【化粧回し】
相撲で、十両以上の力士が土俵入りのときなどに用いるまわし。
前垂れようのものがあり、それに金糸・銀糸の刺繍(ししゅう)などを施す。



* * *



「お……おう」

受け取り、天和は思った。
重い。
いや、愛が重いとかそういう話ではなく、物理的に重量が半端じゃない。
たぶんこれ10kgくらいはある。

「自分はこれくらいしかお姉さまに出来ることもありません。
 ですが、それならば出来ることをやろうと精一杯やらせて頂きました!」

股ノ富士ちゃんはあくまでも真っ直ぐだ。
天和も伊達を知る者。好意を無碍にしては勝負師の名が廃る。

「ありがとうな、股ノ富士ちゃん」
「オッス!」

前垂れを背中に羽織り、格好をつけてみる。
そして、最後に一言。やられっぱなしでは勝負師の名が廃る。

「だが、私は服を着るより脱がす方が好みだったりするんだけれどなあ」
「ま、また脱衣麻雀ですか!?」

慌てふためく股ノ富士ちゃんを見て、天和はカラカラと笑った。



* * *



□イベント:股ノ富士ちゃん・天和七対子 終了□
〜〜成果報告〜〜
・プレゼント:股ノ富士ちゃん・天和七対子の親密度が1上昇した。
・ウェイトトレーニング:天和七対子の体力が1上昇した。



<了>

85ぽぽ:2013/08/10(土) 10:27:42
鮫氷しゃち
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37695770

86ぽぽ:2013/08/10(土) 11:07:36
紫央 物理
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37696192

87ぽぽ:2013/08/10(土) 11:56:25
匿名図書館カキコ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37696771

88流血少女サブGK:2013/08/10(土) 12:05:16
採点対象となる応援投稿を締め切らせて頂きます。多数のご投稿ありがとうございました。
なお、採点対象外とはなりますが応援自体の募集は継続しております。お気軽にご投稿下さい。

89しらなみ@白河:2013/08/10(土) 12:46:07
キャー間にあわなかった決戦前SSです。


==============================

決戦前幕間SS『天和通りの闇に降り立っちゃった生徒会長、
〜あま・みず剥いちゃいました〜』


―ハルマゲドン後半戦開始前 生徒会控室―

天奈瑞より自陣営のリーダー、生徒会長の座を譲り受けた天和七対子は己が
方針を示すために最初の仕事に取り掛かった。

それは―前生徒会長、天奈瑞の処遇。
先ほど帰還した彼女らを労り、優しげな声をかけた笑顔のそのまま、
彼女は前生徒会長にこう宣言した。

「うんでも、まあ、それはそれとして。信賞必罰は世の理…敗戦の責をとって
瑞ちゃんには罰を受けて貰わないとネ。」
「えっ」
「ほら哀しいけどコレ、ダンゲロスだから」

パチン、指を鳴らす音と共に、天和の瞳が天奈を射ぬく。次の瞬間、彼女は
全裸四つん這いの姿勢で新生徒会長の前に屈していた。

なんということでしょう、かの男装の麗人は一瞬で靴下に全裸リボンのみと言う
あられもない恰好で裸足で投げだされた新生徒会長の足置き場となっていたのだ。

屈辱の絶対服従姿勢にうち震える元リ―ダ―に新生徒会長は甘く囁くように諭す。

「瑞ちゃんは^^覚悟している人間よね。もし皆を率いてハルマゲドンに負けたら、
マッパになって新生徒会長の踏み台として一生過ごしてもいいもいい…そんな覚悟
をしている人間だわよね。」
(いや、そんな覚悟してるわけないでしょ)×全員

なんという屈辱(おうごんたいけん)。
天奈は恥辱に身を震わせ、居合わせた一同は、この新生徒会長のあまりに身勝手な言葉に
戦慄する。だが、異論の声は上がらない。そう足置き場となった彼女からも。

これは明らかに通過儀式、新生徒会長は自らを当てはめこう雄弁に語っているのだ。
己が将として出る以上負けはない、もし敗するようなら、今の彼女と同様に誹りも恥辱も
全て受けようと。

何故ここで敗者をむくのか、それは常人には利にも理にも充て嵌らない不条理の極み。
だが何故ここで全てはぎ取るのか、その理由は非常にはっきりしている。

それは彼女が『博徒』だから
全てがダイス目次第、負けたらすっからかんとなるのが鉄火場の鉄則。

『博徒』『博徒』『博徒』。そう『博徒』
超超超々超超超々超超超々的に半か丁、それが全て。彼女は圧倒的に『勝負師』なのだ。

(オネエサマ…この状況においても自らの主義と趣味は押し通すなんて
そこに痺れるッ憧れるッ!)
この新生徒会長にはやはり不敵に笑うドSの表情がよく似合う。
何人かが心の中で喝采を挙げた。
天和は裸足のまま、親指で器用にのの字を書く。びくりと震える天奈。

「瑞ちゃんはホントよくやった…スゲーよくやったと思うのよ。どちらが
勝ってもオカシクナイ勝負だったわ。」
そう甘い言葉とともに彼女はゆっくりとその足先を前後させる。
「あ、く」
「派手に動いて厨二力も満たしてくれた。不確定要素のステルスも排除してくれた。
彼女たちの死は決して無駄じゃない。
勝機は常に死線の先にある。それを潜ってこそ、
その先にある『流れ』を手繰り寄せることができる。」

そう次の一手、それをツモルことができる。

―ぬるりと来たぜ―
それを感じた彼女はそう呟いた。彼女の手に白い薔薇が舞い込んできたのだ。

90しらなみ@白河:2013/08/10(土) 12:48:06
「いらっしゃい。遅い到着ね。白河さん」
白い薔薇と共に彼女の前に1人の少女が現れていた。

白ドラ2 2000オール。

†††
生徒会室に舞い散った白い薔薇の花弁、その場にいる生徒会メンバーが
気を取られ目を離したのはほんの一瞬だった。
その瞬きに満たない後、一人の少女が彼女達のリーダーの目の前に立っていた。

現れた少女はマントを羽織り、仮面舞踏会もかくやという仮面を付けていた。
彼女たちから背を向けた状態で顔を知れないが、全員がその只ならぬ気配に
息をのむ。
その全身に猛烈な勢いで白い炎が立ち上っているのが見えたからだ。
それは気迫というレベルではなかった。それは怒り。
純粋な怒り、それが怒天破ついている。

「貴方は、この中の何人巻き込んだ。」
その目に見える怒りの激しさに対して声は途轍もなく冷たく、全員の体感温度を
急激に下げつつあたりに響いて散っていった。

天和はそのあまりにも真っ直ぐな想いに苦笑する。
白河と呼ばれた少女は疑っているのだ。天和が、十束学園の末端構成員である
自分をこのハルマゲドンに招き寄せるために…つまり組織を裏切らせるために
意図的に彼女の友人―大事な人達を巻き込んだのではないかと。

「貴方の性格だとそういう風にとるのもしょうがないけど、誓って言うわ。
ここにいる全員は、全員ともここに来る『流れ』だったわ。

死んだ貴方の友人も、今生きてる貴方の友人も
貴方の想い人も全員ね。
私が『流れ』を操作して手繰り寄せたのは鬼姫さんと白河さんあなた方二人だけだわ。
ほら転校生って凄く『鳴き』やすい性質だから、遣り易いのよ」

「転校生」という言葉に、場が親のリーチ一発目でドラを切ったかの
ようにどよめいた。マントの少女が沈黙する。

「それとも前みたいにクラスメイトの死を後で知って部屋の隅でシーツ被って
自分の無力さにガタガタ震えながらめそめそなく。」

次の言葉にマントの少女が大きく揺らいだ。
―雨の日に―
その背中を見ていた『赤い本』を抱えた暗い印象の少女が俯き、目線を反らした。

「もう嫌でしょ。でもどうしていいか自分だと判らない。
あんまりにもいじらしいかったんで、お姉さんポンと『鳴い』ちゃった。」
「私は―
私は白河一などという人間ではない。運命の至る場所から招かれた転校生だ。
生徒会長、そういうことでえーとお願いします。」

前半の言葉の強さは徐々に立ち消えていき、最後のほう微妙に卑屈になっていた。
なんともダメ臭い。やはりこちらのほうが地らしい。

「ん、別にいいけど。じゃ貴方のことなんて呼べばいいかしら?」
「…”ZWEI”と」
会長の問いに彼女は返す。それが十束学園より与えられた彼女のコードネーム。
何者でもない自分に与えられた味気ない記号。意味は…。
生徒会長はちょっと小首をかしげて笑った。

「なかなか美味しそうな名前ね。じゃ、ズワイガニちゃん。質問いい?」

その呼びかけに少女の身体がまた大きく揺らいだ。
場にも声にならない悲鳴が響く。。
(オネエサマーーー数字ぃぃぃぃそれ、きっとドイツ語の数字だからぁぁぁ)
(なんでこの展開で蟹連想するんだ、先輩逆にスゲー)
(はじめちゃんが更に白く、なんか白くなってる…)

ざわざわざわ。
ざわつく周囲を右手のヒト振りで生徒会長は制すると決定的な一言を放った。

「私の問いは一つだけ。貴方は知っているはずよ。答えなさい。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
この終りのない煉獄のゲーム自体の脱出手段。ゲームマスター相手に本当の意味で勝つ手段を。」

彼女は左目のパッチを左手でつつくと、反対側、右目だけで目の前の少女に語りかけた。
右目で流れを読み、左目で運命を手繰り寄せる脅威の『雀鬼眼』。そのひとにらみはコミック30巻分に相当する。
白河は彼女の片目だけ開かれた眼を改めて見る。

「ここの気は淀み過ぎていて私の能力との相性があまりに悪すぎる。そのことも察しはついていた。
だから私はここに来る前に、なるべきようになるように『雀鬼眼』で、出来うる限り
運命の糸を手繰り寄せておいた。」

91しらなみ@白河:2013/08/10(土) 12:48:22
そう語る彼女の目は己が愚さをよく知っている者の眼だった。
そして、それは覚悟を決めた人間の眼だった。そこには己の愚かさと業に殉じようという強い意志があった。
zweiは思う。おそらくこの人は自分ひとりだけだったら死のゲームと言う
『運命』から逃げることができたのだろう。
だが彼女はゲームを前に背を向けることを潔しとしなかったのだ。

そして彼女はこの場にいる。
何故なら彼女は学園最強の『勝負師』だからだ。運命と言う勝負からオメオメ逃げるわけがなかった。
zweiは頷いた。

「2つあります。一つ目の手段はこれからの勝負に勝利することが前提条件。」
決断の時だ。
zweiは言葉を紡ぐ。
いまがその時。それで大切な者が守れるのなら安いものだ。自分の命などダース単位でくれてやろう。

「”just 10minutes”
それが『終りの始まり』です。」
                            (白河zweiの人間体験〜決戦前〜・了)

92流血少女サブGK:2013/08/10(土) 18:08:51
採点終了

93ぽぽ:2013/08/11(日) 00:34:03
レディー・ジョーカー
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37712357

94ぽぽ:2013/08/11(日) 01:35:58
天和七対子死亡!!
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37713989

95アギト:2013/08/11(日) 07:05:51
【死者たちの盆踊り】からの続きを災禍視点で勝手に書かせて頂きました(汗)


【狂宴(まつり)】


「殿(そっち)は任せたよ災禍」
「こっちは私(あたし)向けの仕事さね」

全く、私向きの汚れ仕事だな。さっきまで仲間だった奴等の"後始末"とは、因果応報って奴か………。

「"幻影(おんりょう)"は片付けとくから、必ず生きて帰って来いよ七対子!!」
「バ〜カ、雀鬼眼ナメんなよ」
「御姉様、そろそろ行かないと………」

後輩の股ノ富士ちゃんに急かされる様に、七対子は戦場へと向かって行った。覚悟に充ち溢れたアイツの背中は不思議と安心出来た。

「唄子さんも早く!!天奈を連れて生徒会室で手当てして貰って」
「ごめんなさい………」

仲間が死に、独り生き残った事への後悔や自分の不甲斐なさ、天奈の"心情"は痛いほど理解出来るよ。

「気にすんな天奈」

私は優しく天奈の頭を撫でてあげ、そして唄子さんに一言『頼むよ』とだけ伝え、二人を生徒会室へ向かわせた。

"ここ"から"先"は"彼女達"には見せられないもんな……………。

「鬼は鬼らしく、か…………」


* * * * * *  * * * * * ** * * * * *


『あ、災禍さん!!』
『災禍先輩ー』

唄子さん達を最後に見送って数時間、七対子の"予想通り"だ。彼女達の"幻影"が現れた、確かに"生前"の彼女達と姿形は変わらない。

だけど--------------

彼女達から漂う"死臭"と"怨恨"は嫌でも理解(わか)っちまうんだよ。


畜生!!


『先輩そこ通して下さいよ〜』

神足。お前は快活でお調子者で憎めなくて馬鹿な奴だったよな…………。

『災禍さん死んで下さい』

意思子。お前は何時も宇宙について楽しそうに話してたよな…………。

『災禍さんの"皮"を剥いで着ぐるみにするの』

角月。お前は怪獣に成りきって、光の巨人に虐められるのが夢だったな………。

『カキコ、災禍さんを殺したいの!!』

カキコ。お前は好奇心旺盛で、図書館の本を全部読破してたよな………。


お前等みんな良い"仲間"だったよ。"鬼"の[私]を優しく迎え入れてくれた。"転校生"の[私]を受け入れてくれた。

だからさ--------------

「私からせめてもの手向けに………」

お前達をもう一度"殺して"やるよ------------


『ぴぎぃっ………』

私はまず一人、神足"だった者"の頭を拳一振りで粉砕した。

次は----------

『あ゛っ』
『!!』

叶実と文香を躊躇い無く"殺した"。

三人を"殺した"あたりから、"鬼角"が二本生え出し、気付けば私は本能の赴くままに"殺戮"へ興じていた。

"悲しい"筈なのに----------------

"殺したくない"筈なのに----------------

今は------------------

彼女達を"楽しくて"、もっと"殺したい"気持ちが強くなる。

もっと------------

"殺戮(あそび)"たい------------


<つづく>

96アギト:2013/08/11(日) 07:13:39
>>95訂正


【狂宴(まつり)】-前編-


「殿(そっち)は任せたよ災禍」
「こっちは私(あたし)向けの仕事さね」

全く、私向きの汚れ仕事だな。さっきまで仲間だった奴等の"後始末"とは、因果応報って奴か………。

「"幻影(おんりょう)"は片付けとくから、必ず生きて帰って来いよ七対子!!」
「バ〜カ、雀鬼眼ナメんなよ」
「御姉様、そろそろ行かないと………」

後輩の股ノ富士ちゃんに急かされる様に、七対子は戦場へと向かって行った。覚悟に充ち溢れたアイツの背中は不思議と安心出来た。

「唄子さんも早く!!天奈を連れて生徒会室で手当てして貰って」
「ごめんなさい………」

仲間が死に、独り生き残った事への後悔や自分の不甲斐なさ、天奈の"心情"は痛いほど理解出来るよ。

「気にすんな天奈」

私は優しく天奈の頭を撫でてあげ、そして唄子さんに一言『頼むよ』とだけ伝え、二人を生徒会室へ向かわせた。

"ここ"から"先"は"彼女達"には見せられないもんな……………。

「鬼は鬼らしく、か…………」


* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * 

『あ、災禍さん!!』
『災禍先輩ー』

唄子さん達を最後に見送って数時間、七対子の"予想通り"だ。彼女達の"幻影"が現れた、確かに"生前"の彼女達と姿形は変わらない。

だけど--------------

彼女達から漂う"死臭"と"怨恨"は嫌でも理解(わか)っちまうんだよ。


畜生!!


『先輩そこ通して下さいよ〜』

神足。お前は快活でお調子者で憎めなくて馬鹿な奴だったよな…………。

『災禍さん死んで下さい』

意思子。お前は何時も宇宙について楽しそうに話してたよな…………。

『災禍さんの"皮"を剥いで着ぐるみにするの』

角月。お前は怪獣に成りきって、光の巨人に虐められるのが夢だったな………。

『カキコ、災禍さんを殺したいの!!』

カキコ。お前は好奇心旺盛で、図書館の本を全部読破してたよな………。


お前等みんな良い"仲間"だったよ。"鬼"の[私]を優しく迎え入れてくれた。"転校生"の[私]を受け入れてくれた。

だからさ--------------

「私からせめてもの手向けに………」

お前達をもう一度"殺して"やるよ------------


『ぴぎぃっ………』

私はまず一人、神足"だった者"の頭を拳一振りで粉砕した。

次は----------

『あ゛っ』
『!!』

叶実と文香を躊躇い無く"殺した"。

三人を"殺した"あたりから、"鬼角"が二本生え出し、気付けば私は本能の赴くままに"殺戮"へ興じていた。

"悲しい"筈なのに----------------

"殺したくない"筈なのに----------------

今は------------------

彼女達をもっと"殺したくて"、もっと"楽しくなりたい"気持ちが強くなる。

もっと------------

"殺戮(あそび)"たい------------


<つづく>

97流血少女メインGK:2013/08/11(日) 16:13:22
天和七対子 (採点外)
tp://www18.atwiki.jp/drsx2?cmd=upload&act=open&pageid=46&file=an.jpg

98しらなみ@白河:2013/08/11(日) 20:07:35
【 白河 Zweiの人間体験その3
          〜白河 Zweiには先がない〜】

=================================
『ズワイガニ 』
学名 Chionoecetes opilio (O. Fabricius, 1788)
英名 ”Snow crab”

ズワイガニ は十脚目ケセンガニ科に分類されるカニ。
深海に生息する大型のカニで、産まれてから親ガニになるまでに約10年を要し
11齢で漁獲可能サイズの90mmを超える。最終齢からは4年程度生存する。
最終齢までは脱皮すると損傷した足が再生する。重要な食用種であり、
近年養殖にも成功している。

=================================

十束学園クローン Zweiの寿命は、最終生成からおよそ4年である。
彼女は今年2017年で5年目を迎える。

学園が白河一の代替として用意した実験体「Zwei」は通常人間が10年かけて
成長する幼年期を培養液の中で僅か1か月ほどで終え、妃芽薗学園に送り込まれた。
活動は中学初期から始まり、現在は高等部2年あしかけ5年となる。

既にロストの予定日数を1年オーバーしているわけだが、それでも彼女が
生存できているのは心臓代わりに彼女に埋め込まれた『黄金時計』の効果だ。
オリジナルが所有するS級神具『時の導き手』のレプリカとして作成された
それは時空固定効果と言う特性を持ち、時空を行き来する『時の導き手』と
真逆の働きをする。
それが不安定な転校生の存在と力を抑え込み、彼女の生命活動を維持し
続けている。逆に言えばそれを喪うことは生体活動の停止を意味していた。

当初、彼女は専用カルキュラムを組まれている昔の白河本人と入れ替わりつつ、
特殊カルキュラムをこなす予定だったが、十束学園の妃芽薗学園の実権を
握ってからは入れ替わり自体がなくなっていた。
そしてZweiに「6つのスキル」を習得させるカルキュラムのみが続行になった。

彼女のオリジナル『ストレングス・テン』白河一。
彼女は別格だった。

『偽装』
『武芸』
『戦闘狂』
『猟奇殺人』
『エスパー』
『転校生』
六つものスキルを所有し、それを使いこなすスーパービルド。
ただ彼女は元々強力な魔人能力を所有していたわけではなく、あくまで後天的な
努力によりその才能を開花させていた。

クローンだからオリジナルと同じ素体、同じ条件。
”だからこそ””できるはずだ”同じ環境と適切なプログラムがあれば『スキルの習得』が。

それが研究者たちの馬鹿げた理屈だった。

隠語で「養殖」と言われたその特殊カルキュラムの目的は、ただ一点。
『転校生』クローンに後天的なスキルを賦与させること、その成功にあった。
個々で発現内容が安定しない魔人能力を切り捨て、「スキル」による
『安定した戦力』を学園に提供すること。肥大した期待と過大な顕著欲。


そして
彼女は期待された『スキル』に関して何一つ開花させることができなかった。

馬鹿だよな。
モノを考える習慣がないZweiでさえ、そう思った。

オリジナルを一目見れば誰だってわかるのだ。
その成果(スキル)は彼女だけの花(もの)なのだと
彼女がスキルを開花させたのは必要だったからなのだ。何かを誓い、ただ真摯に
向かい合い弛まぬ修練の末、為し得た彼女だけの花。

それに対し、あまりにからっぽな自分
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
それにこの実験の成功は彼女たちの量産化を意味する。

そして

ある日から彼女に何も指示がこなくなった。

時折指示が来ても誰それや死体をあそこに運べ、調達しろなど凡そ『任務』
とはいえない内容だった。偶々そこにいる下請けの現場スタッフに仕事を
だすようなそんな適当な指示。指示系列が変わっていた。

廃棄や処分を覚悟していた彼女は、やがて気づいた。
自分が計画の破棄に伴い、放置されたどうでもいい存在だということを。
わざわざ処分するのすら面倒だと

それからの彼女は毎日の誰も見てもいない定期報告と、本来は予備行動
だったはずの旧校舎やその他十束学園システムの巡監、整備メンテナンス
をして過ごすことになる。
空いた時間、彼女は旧校舎の屋上にいることが多くなった。

―空には済み渡る青空―
けれど彼女は上ばかりでなく下ばかり見ていた。

ちなみに私達が知り合ったのはこの屋上。
あの頃の彼女、今と違って中身なかったからねー、キムチるまで導くの
大変だったわ(しみじみ。
あ、このSSのナレーションは引き続き大宇宙意志子でお送りしております。

99しらなみ@白河:2013/08/11(日) 20:14:49
†††
Zweiは一日の予定を終えると跳瑠とロルラと早朝した会話を思い出しつつ、
自室の扉をくぐった

―ピッシッ―

通り過ぎる時、結界を超える独特の感覚があった。
彼女は部屋に入るとそのまま机に置いてある時計のスイッチをひねり、
機械的な声で言葉を発する。

「問題事項、異常ともなし。」

まだ死んでないという生存確認。強いて言えば、それが彼女の「十束学園」
構成員としての業務だった。
そこにはいつもの凡庸とした白河の表情すらなく、ただただ無表情にこと
を済ます空虚さだけが存在していた。

そして彼女は机の引き出しを開け、中から『赤い本』を取り出すと、
机に向かい、本日あった日々の出来事を書きこんでいく。日課だ。

「ん?」
そして、そこに一枚の封筒が挟み込んであることに気づく。
開けると何枚かの大きめの紙が入っている。マジマジとその紙を見るZwei。

そしてメモ。
そこには彼女だけが見える字で『旧校舎、よろしく』とだけ書かれていた。

思わず苦笑が漏れた。
部屋に戻って初めて、彼女に人間らしい表情が戻った。


††††
―翌日 旧校舎―

今日も暑い日が続く。
彼女は旧校舎に向かうと施設の定期点検と与えられた「仕事」をこなすため
校舎廊下を巡回していた。そして学級掲示板の前で足を止め、手元にある
紙を取り出すと丁寧にそこにはり出す。
その作業があるところでぴたりと止まった。視線を感じたのだ。

足音はしなかった。
ただ白河が動きを止めたのは一瞬だった。

やはり”しった気配”だったので相手が話しかけて来るまで、アクションは
取らず黙々と作業を続けることにしたのだ。そして

「はい、はじめちゃーん、こっち見て」

突如聞こえた明るい声に振り返るとパチリとシャッター音。カメラを向けられていた。
白河は笑顔で答えた。
「ごきげんよう。泉谷さん。精がでますね」

そこには、かつて死んだ少女がいた。
いるかいないか判らない少女。だが、彼女は確かにそこにいた。

                               (その4へ)

100しらなみ@白河:2013/08/17(土) 11:44:37
【 白河 Zweiの人間体験その4
          〜フレンドリーイマスタリ・ライン〜】
存在と非存在との合間
そう、たしかに彼女はそこにいた。

「はいはい〜はじめちゃん、なにしてるの」
そういって、ぐいっと白河に身を近づけると彼女は先ほどまで掲示板に
貼り付けていた張り紙を覗きこむ。

白河は真近でもう一度彼女を見やる。
彼女の名前は泉谷夕真。見た目、白河と同じくらいの年齢の女子高生だ。
手にカメラを持っている以外はとりあえず普通に見える少女。

他の生徒と少し違うのは彼女が正式な妃芽薗学園生徒ではなく、幽体
であり、既に何者かに殺されている存在であるということだ。
 彼女は執着する捜し者があるため、基本、その活動範囲の旧校舎内
から外へ出てこない。それゆえ存在を知る者自体ほとんどいないの
だが、白河は旧校舎を定期巡回しているうちに自然に知り合い、
なんだかんだで彼女とはもう数年の付き合いとなっていた。

とはいえ最初の1年あたりは『まったくこちらに気づいてももらえ
なかった。by泉谷』だったらしい。まあ当時のはじめちゃんじゃねぇ…

「なになにシークレットライブ開催…
”自称・超有名シンガーソングライター登場予定!見逃すなッ”
ふーむ、なるほど、ところで」
内容を読み上げ頷いていた泉谷が白河のほうを向く。
「シークレットライブってよく聞くけど具体的に何が秘密なの?」

おや、確かに言われてみると自分もハッキリ意識したことがない。
白河は考える。えーと確か…シークレットライブとは…

(選択肢)

⇒・場所とか人物が秘密  ピッ
 ・魔人能力が秘密
 ・スカートの中の秘密

「色々だけど大抵はライブの場所やアーティスト名かな。それらが
公開されなければシークレットってことになるはずだよ。
ヒントとかは書いてあるけど。これも実際いつやるか明記されてないし」

ふむふむ、頷く泉谷
     (ーー好感度UP!!)

「流石、真実は常に一つの金田一はじめちゃん名回答。よしその調子で
親睦を深めて学園中の超高校級スキルを皆に教えて貰うのよ、いい?」
「それは(ゲームが)違うよ。」

思わずCV:高田みなみでツッコミを入れる白河。
「そう?でも私の人探しに付き合ってくれてるじゃない。私的には
超高校級にお人好し認定してるんだけど」

そう、そんなこともあった。付き合いの良い(主体性がまるでゼロと
もいえるが)白河は学園のあちこちにひっぱりだされる合間に
その手の情報も集めていっていた。が、白河は真面目に首を振る。
「お互い様…だと思う。旧校舎での仕事かなり助けて貰ってるから」
その返答にくすくす笑った。
「確かにここの仕事手伝う上で私って色々便利よね。
あ、そうだハジメちゃん機械いじり得意なんだし、カメラどう?」
「…」
沈黙する白河。機械と言っても特殊装置やら爆発物処理などと
カメラ撮影さんを同列扱いにしていいのだろうかと考えたのだ。

「まあまあ、深く考えない。何か撮りたいモノある。
実はそれが一番大切なことだったり」
その問いに白河は学園での生活を思いだしながら
ぼんやりと呟いた。
「撮るなら…皆の集合写真を取りたいかな、泉谷さんも含めて」
その返答に目をまるくする泉谷。
「私も含めて?全員揃って?」
白河は頷いた。
「それが私の『希望』だから」

101しらなみ@白河:2013/08/17(土) 11:51:53
†††
今日はなんだか、あわただしい一日だった。
泉谷と分かれた直後、旧校舎をワンダーリンクしていたプラズマ先生と遭遇。
新型プラズマ探知機の始動実験をしていたらしく、何故か探知機に自分が
引っかかりその後、保健室で精密検査を受ける羽目になった
(まあ探知機に引っかったの私なので完全にとばっちりだけどね。)
その後、泉谷に撮ってもらった写真に青白い手(ぶっちゃけイグなんとかさん)
がピースサインで映っていたことが発覚、オカルト研究部に連れ込まれ
魔法陣の真ん中で正座したまま1時間、入念なジョレイ儀式を味わうことになった。

色々な意味で疲れた。白河は自室の扉を潜る。
部屋に入るとそのまま机に置いてある時計のスイッチをひねり、
彼女は言葉を発する。
「問題事項、異常ともになし。」

そしていつものように机から『赤い本』を取り出すと、最後の仕上げとして
机に向かい本日あった日々の出来事を書きこんでいく。

だがその日はそれで最後ではなかった。

―コンコン―

「?」
誰かがドアを叩く音がしたのだ。
寮の彼女の部屋を尋ねるものはそう多くない、疑問に思いつつも扉を開ける。

―決して警戒していなかったわけではない、
だがそこに彼女が見たものは意外なものだった。それ故に虚を突かれた。

そこにはフードを被った少女が立っていた。

噂好きの少女たちなら、七不思議と合致させ恐怖の叫びをあげるだろうが
にぶちんである白河は不思議そうに首を捻っただけで言葉を続けた。

「あれ、うまこさ…」

次の瞬間、
ぱふっっ、フードを被った少女は扉を開けた白河の胸に飛び込んできた。
感じる。やわらかい血の通った感触。

「!!!????」
あまりの急展開に状況が把握できず茫然自失する白河。
そして対象をしっかりホールドした斗羅 宇魔子は己の魔人能力を発動させたのだ。

「―心斬逝天(トラウマイン)― 」

†††

斗羅 宇魔子は能力「心斬逝天」の発動を確信した。

彼女の魔人能力は言葉を打ち込むことでトラウマ現象を引き起こす、一種の
テレパシー能力だ。
ただ、白河はレアケースだったため、上手くトラウマ現象をおこせず
飼育小屋への長期の滞在を許した。許した憶えなどないが。

白河が無生物のようにトラウマや感情がないわけではない。
ネックは言語化、爆弾の導火線の部分。
トラウマのはずなのにこの女の映像は何故かふわふわして、彼女には
上手く掴むことが出来なかったのだ。これも許すまじき出来事だった。

だが、対処法がないわけではない。
方法は簡単なことだ、接近して直接流し込めばいい。直接対象に触れて
トラウマ映像を流し込む。無論、威力も比較にならないくらい強力だ。
確実に廃人になるだろう。

他人の身体と心に直接接触するなんて『反吐が出る』
でも、
手段を選んではいられなかった自分の領域を冒すものを、彼女は

排除する。
排除する。
なんとしてでも排除する。

コイツが旧校舎に出入りしているのを見かけた。しかも複数の目撃と心霊現象
の類までついているという。またとないチャンスだと思った。

102しらなみ@白河:2013/08/17(土) 11:52:09
『旧校舎』
『心霊現象』
潰してフードの死神の仕業にしてしまえばいい。もし今、彼女の心が
壊れたところで、『旧校舎』というキーワードがあれば全員、
七不思議のほうに目がいく。

(これで第三部完。明日から…元通りの平穏…が)

ほくそ笑んだ斗羅の

がしッ。

腕が何かに掴まれる感触があった。掴まれたのは”流し込んだ”部分だ。
こいつの心に接触した腕が”何か”掴まれた。
はっと仰ぎ見るが白河は既に意識を失っているようだ。

(なっッ…
何かに引きずりこまれる。な、なんだこれは…いったい、なんなんだ。)

そのまま二人は抱き合った形で床に倒れこむ。そして落ちていく。

DEEP・FOREST より深き森の中にへと。

(『流血少女2「ごきげんようで始まるDP戦略〜秘密の花園〜』及び
 「生徒会陣営敗北SS「久我原史香の後悔実験」へつづく)

103しらなみ@白河:2013/08/17(土) 21:21:21
番長勝利生徒会敗北SS「久我原史香の後悔処刑その1」

―7ターン目体育館前―

そのわがままボディを活かして一足早く現場に辿り着いた
死榴美亞は、崩れゆく目の前の『現実』の前に茫然とつぶやいた。

「いったい何が起こっているというの」

†††


閉鎖空間には見渡す限り白い薔薇が咲き誇り、それはまるで死者たちを
弔う手向けの花のようであった。

そして

リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ。

そして、いずこからか僅かながらベルの音がとだえることがなく成り
響いている。その鈴虫のごとき音色は、儚さをもちながらも白い
バラの園とよく似合っていた。

生徒会陣営と番長陣営の戦いは熾烈を極めた。
勝利をおさめた番長陣ですら数多くの者が心なし半ばで倒れ、傷つき、
五体満足の者など数えるほどしか残っていない。
瀕死の者に肩を貸し、精神に失調の者を取りなし、彼らは目的の
場所に向かう。
生き残りのメンバーが、戦場より戻った一三九六、喜田邑紫の姿を
見つけて安堵の声を上げる。

そこで彼女らは奇妙な行動に出る。喜びもそれぞれが胸から一枚の
薄い紙をみせ、互いに示し合ったのだ。頷く少女たち。
やはり同じ現象だ。
とある現象が彼女たちを一つの場所へと導いていた。

『タイクカンへムカエ』

それは戦いの前に焼き増しされ、皆に配られていた。
番長陣営が皆でとった『集合写真』だ。
「熱っ」
そういって取り出したのは誰だったのか、後半戦終盤、ベルの音が
響いたと同時に胸ポケットに仕舞ってあったそれが突如、熱を帯び
始めたのだ。
取り出すとまるで焙りだしのように焼けた文字が浮かび上がっていた。

どう見ても得体の知れない心霊現象、それでも彼女たちがその指示
に従ったのはひとえにその写真をとった少女への信頼感だった。
死んだはずの彼女。だけれども彼女は最後まで私達のことを想って
いた…だからこそ必ず何か意味がある。

目的地に向かう中途、轟音があたりに響いた。前方に立ち上る黒煙。
五体我儘ボディの死榴美亞が、皆を制すると丘を転がるように
…いや実際、転がっていたのだが…駆けだす。
ハヤイハヤスギル死榴美亞さんが、あっという間に見えなくなる。

「しかし今の爆発はなんだったのかな。体育館で怖いことまって
なければいいんだけど」
「安心しろ脱出路だ。」
おどおどとした金雨の声に返答があった。
突如、背後からした聞きおぼえのある声に金雨が失禁しそうになる。
咄嗟に戦闘態勢を整える少女達、

生徒会陣営!
しかも、それは先ほどまで戦場にいた天奈・瑞の声だった。
緊迫する一同に対し、天奈(注:制服着用済)は肩に荷を担いだまま、
戦意はないことを示すため、手を挙げた。

「戦うつもりはない。”忘れ物を届けに来ました”といえばいいか、
おいてきぼりにしちゃ恨まれるぞ」
苦笑した天奈だが、一同はその荷を見て呆気にとられる。
そして”荷”を担いでいる人間がもう一人。
「年寄りにはキツイ荷物だわ…全く最近の子は発育がいいわ」
現れたのは唄子さん(64)
こちらも想像を絶する大荷物を抱えている。
少女たちの敬老精神が期待される場面だが、一同は絶句したまま
動くことができなかった。
二人とも少女を担いでいた。
彼女らはそれぞれの肩に少女を背負っていたのだ。

104しらなみ@白河:2013/08/17(土) 21:45:58
「都獅子春に…、とまれ…、二人とも死んだはずじゃ!」

羽根の生えた都獅子春、2m超える長身の危険田とまれ、二人の
独特のシルエットを見間違えるはずがない。

被りをふる唄子さん(64)。
「二人とも死んじゃいない。
白河の魔人能力で”止まっていた”だけだ。直ぐに息を吹き返す。」
「…。」

正確には『黄金時計』の固定能力だが、あとの説明も含めると
ややこしくなりそうなのでとりあえずそこは省略する。
天奈はため息をつく。さてどこから話をしたものか

「時計が鳴っている間だけ”出口”が出現する。揃ってそこから出る」

もう一度顔を見合わせる番長陣営の少女達。
だが、彼女たちは気づかなかったその時点でいるべき人間が一人だけ
欠けていることを。


†††

―B5 開始10分前―

マジスゲーよアンタら。
それが、妃芽薗学園を訪れた久我原史香の彼女らに対する率直な感想だった。

「妃芽薗学園におけるハルマゲドン。殺し合いの最高峰、血の惨劇、
流血少女、色々噂に聞いてたけど実際来て観て見て、聞きしに勝る戦いぶり
っていうか、揃いも揃って互いに殺すも殺したりって感じじゃねぇかー。
両方合わせて20人以上死者でるんじゃない?
うはー数えるのもめんどくさくなるくらい死んでる。いや『命令』とは
いえマジきてよかったと思えるわ。」

久我原史香は頬杖をつきながら、腰かけ、上目遣いで対象に語りかける。
よほど機嫌がいいのか鼻歌でも歌いだしそうな勢いだった。
口調も妙に砕けたフランクなものいいだった語りかけた相手からは
ただ、ぐぐぐぐとくぐもった返答があるだけだった。

「しかも、管理用の転校生”亡霊まどか”とか
乱入してきたシャチとかいうわけわかんねー奴とかも、きっちり
始末して殺してる。うひひひひひ、スゲースゲーこんなの先生初めて
マジホントリスぺクトものだわ。」

ぐぐぐぐ。
…。…。

「アンタもね。いい線いってたとは思うわ。
”一人で来い”って死んだ上司から手紙が来た時は、そりゃ内心
びびってたんだぜ。うひょー夏の風物詩・怪談話キターって感じで」

ぐぐぐぐが。
…。…。…。

「だけど『幽霊の正体見たり枯れ尾花』。
終わってみれば真っ赤な『偽物』だったわけだけど。
っていうか改めて考えてみればお前しかいねぇよな、私の上司騙れる
やつって。なにせ本人様として学園に暮らしてる”成り済まし”
なんだからその手の手紙出せても全然可笑しくないものな。」

ぐぐ。
…。

「しかし、この私を誘い出して嵌めようって考えてたんだから恐れ入るわ。
結局、誤算が誤算を呼んで全部ご破算になっちまったようだけど、
おいどうするんだ、この顛末?おい?おい?おいって。」

久我原史香はより笑みを深くし、地に生えた白薔薇を黒手袋で毟ると
刺が刺さるのもお構いなしにぐしゃぐしゃに握りつぶす。

「クローンごときが…よう。
私を謀って楽に死ねると思うなよ。白河zwei?」

視線の先には、両手両足をへし折られ『転校生』に首を掴まれ、吊り
下げられた苦悶の声を上げる白河zweiの姿が映っていた。

             (「久我原史香の後悔処刑その2」へつづく)

105アギト@鬼姫:2013/08/18(日) 01:09:00
【"雀鬼眼"奪取】


「棄てるには惜しいわ………」

妃芽薗学園教師"久我原史香"は十束学園側の構成員だ。彼女に与えられた"任務"は-----------

「死体回収………ですか?」

十束学園は魔人(死体)を回収し能力の復元(コピー)ないし人造魔人(クローン)の精製を行なっていた。

十束学園としては、"魔人"より"転校生"の死体を欲していたのだが------------

「"転校生"の死体が欲しかったんだが、仕方ないな………」

死亡者36名、内2人は"転校生"なのだが、どういう訳か死体は消滅しており回収する事は出来なかった。

「"雀鬼眼"、これは"眼球"だけ回収すれば良いわね…………」

史香は"綺麗に整えられた"天和の"死体"から"雀鬼眼"を抉り出す。


グチュ----------


「綺麗な"眼球(ひとみ)"をしてるのね天和さん………」


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 

久我原史香は気付いていない----------

史香が回収した"眼球"、それは"雀鬼眼"では無く、ただの"眼球"なのだから。

では----------

"本物"の"雀鬼眼"は"何処"へ行ったのか…………?


☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ 

伽藍とした生徒会室、其処には見慣れた"眼帯"をした災禍と白河の二人----------

「どうですか災禍さん?」
「大丈夫、違和感は無いよ………」

「"雀鬼眼"は強力な運命操作能力を持つ"魔眼"です、災禍さんに移植しても発動するかは…………」

「別にこの"眼"を使いたくて移植して貰ったたんじゃ無いの、アイツの意思を無視して悪用されるのが許せないだけさ…………」

「これからどうするんですか災禍さん?」

「そうだなぁ〜…………」

(了)

106minion:2013/09/11(水) 23:38:49
常磐数夜。眼鏡で水着。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=38447938


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