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すぱろぐ大戦BBS・SS投下スレ

137Your Body:2008/01/28(月) 14:00:46 ID:8d0pWAYw
「……ふう。まあ、そんな事は良いとして、俺は今回の件で確信したよ」
「「はあ?」」
 煙草の煙を吐きながら、若干遠い目で先生はごちる。今回のフー=ルーとの一件で得たモノ。先生はそれを語ろうとしていた。

「いや、どうも俺はイロモノと呼ばれる類の女に懐かれる体質らしい」

「い、イロモノ!?」
 カルヴィナが驚く。イロモノとは中心から外れ、重要とは考えられない分野を専門とする人達の事を指す。
 俗に言うお笑い野郎とか芸人とも取られるその言葉はあんまり好意的ではない。しかも、更にそれが悪くなるとヨゴレとさえ呼ばれるのだ。
 そんな人間に先生は好かれていると言うのだ。
「まあ、女に限って話ではなく、男に対してもそうだがな。ただ女の中では、色目を遣う者さえ現れる。
……俺の周りを見ろ。そんなのばっかりだぞ。案外、蛾や蟻んこの様にフェロモンでも出しているのかもな俺は」
 恐らく、先生の言葉は正しい。或る意味、アラドのそれの改悪版だ。アラドもどうしてか年上に可愛がられ、お姉さんばかりにもてる。
 だが、先生の持つそれはアラドのそれに輪を掛けて性質が悪いものだ。その効果は老若男女、種族や生まれた星の違い、世界の枠すら問わないのだ。
「イロモノ……うーーむ、成る程」
「何で私を見るのよアル!」
 その先生の言葉に感じ入った様にアル=ヴァンは自分の内縁の妻を見た。……彼女こそイロモノの典型だと言いたげに。当然、カルヴィナは否定的に叫んだ。
「……む?では私もイロモノの一員だと!?」
「いや、お前は苦労人の常識人だ」
「……ほっ」
 そして、アル=ヴァンが次にはそう思い至っていた。私は違うぞ、とそんな表情もしていた。だが、先生がアル=ヴァンの望む言葉を掛けると彼は安堵した顔で溜息を吐いた。
「だが、カルヴィナと一緒だとイロモノに見られるだろうがな」
「・・・」
「だから何でそんな目で見るのよ!?止めてよちょっと!」
 再び、アル=ヴァンの視線がカルヴィナを捉える。先程とは打って変わり、汚物を見る様な目と顔だった。

「まあ、俺が健常人だと言いたいのではないさ。俺は寧ろ、イロモノを越えたキワモノで……更におげちゃだからな」
 先生は言葉を紡ぎ続ける。その言葉の全てからはゲロ以下の自虐の臭いがぷんぷんしていた。
「「おげちゃ!?」」
 この男は何を言うのか?……そんな顔を二人はしていた。若し、先生がおげちゃならば、この世界の人口の半分はそれ以下と言う事になるからだ。
「そんな存在の価値すらない塵芥と同列の人間に引っ掛かる輩が居るとは、見る目が無いのか自暴自棄になっているだけか……兎に角悲しい事だ。
俺に感ける暇があるなら、真っ当な人生を歩んで欲しいものだがな」
「「……(泣)」」
 ……この男は何処まで自分を貶める台詞を吐くのだろう。しかも、それには全く躊躇が無い。アル=ヴァンもカルヴィナもホロリとさせられ、先生のその肩に揃って手を置いた。
「ちょ、こら!肩に手を置くな!同情する様な目で見るな!」
 だが、何故自分が憐みを受けているのか判らない先生は口を尖らせた。

「少佐……貴方はキワモノでもおげちゃでもありません。益荒男です。漢です。ワカメですが美形です。ミスター先生です。
……ちょっと変態ってだけで(涙)」
 カウンターでその話を聞いていたショーン副長はハンカチで流れる涙を拭った。恐らく、彼のその台詞が他の何よりも正しいのは間違い無いだろう。


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