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FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門〜

1名無しの勇者:2006/07/12(水) 21:32:41
FFDQなんでもあり部門の小説専用スレです。
シリーズ、作品の枠を超えた作品を投稿する時はこちらで。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。

*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*

ネタスレについては>>2以降(テンプレ考案中)

80続きを待つ間に小ネタ:2007/02/01(木) 20:40:45
3主「おうちにかえろ〜ぉぉ♪シチューをた〜べ〜よぉ……ん?」

3主「台所の方からよからぬ声が聞こえる……」

5主「もうこんなにきゅっと締まって。そろそろいいだろう?」
7主「まだです……待ってください」
3主(ちょ、若妻プレイktkr!(;゚∀゚)=3ハァハァ)
5主「ああ、赤くなってる。とても魅力的だ」
7主「あの……」
5主「こりこりと歯を立てて、吸い付きたいな」
3主(おおっ、エロスエロス!)
7主「5主さん……」
3主(焦らすなあ、早くやっちまえよ)

7主「そんなにサロンにぶちこまれたいんですか?
   たかが魚介類で興奮しすぎです」
5主「グランバニアは漁業が発達していなくてね。ああこのエビのぷりぷり感!」


        ∧∧
       ヽ(・ω・)/   ズコー
      \(.\ ノ
    、ハ,,、  ̄

1主「なにしてんだご先祖。お、今日はシーフードカレーか」
3主「俺溜まってんのかなー……」

81名無しの勇者:2007/02/02(金) 00:04:04
84エロGJ!!!!1!!
為すがままな4主がエロス!!
小悪魔な4主も魅力的だが
無自覚フェロモン天使な4主もイイ!

82名無しの勇者:2007/02/02(金) 23:52:25
>>80
珍しくサロン大王がミスリーディングをする側になってるwww
3主! 素直に言えば相手は周囲にいくらでもいるじゃないwww

83【Ligament】[4] 0/4:2007/02/03(土) 01:24:26
3主×4主←(?)8主fromDQ主雑

4主「まずは御礼、>>71様、>>72様、レス感謝です」
3主「>>81様、こんなうちの小悪魔を気に入っていただいてありがとう」

4主「それにしても……つまんないなあ」
3主「なにが」
4主「誰かさんがカイショーなしだからさぁ。ちーっとも発展しないんだもん」
3主「そりゃお前、あんまりあからさまに迫られても可愛げっつうもんがさ。
   かえって引くっていぅぶぼべあ!」
4主「サンちゃんのバカぁ!!」ダダダダ!!
3主「……ちょ……一撃でHP1……誰か……ベホマ……」

8主「4主さん!? どうしたんですか!?」
4主「……あ、あれ? いや何でもない」
8主「でも泣いてるみたいじゃないですか!」
4主「いや本当に大丈夫。なんかお前の顔見たら落ち着いた」
8主「え? もう4主さんったらぁ、実は僕のこと信頼しまくってるんですね。
   顔を見たら落ち着いた、なんて」
4主「そういうのでもないんだが……うん、冷静になった。ありがとな」
8主「いいんですか? ま、困ったことがあったらいつでも相談に乗りますよー」

4主「サンちゃんゴメンね、やりすぎた」
3主「いや、俺も悪かったよ」
4主「うん♪」

8主「なーんか大きなチャンスを逃した気がしてしょうがない……。
   ひとまず本編スタートです」

84【Ligament】[4] 1/4:2007/02/03(土) 01:25:09
最近4主の方から誰かに絡むことが多くなった、と7主から相談された。
「エロ撲委としては見過ごせないんだけど、なにせ4主さんが相手だから」
怖くてお得意の羊軍団も呼べないそうだ。
そもそもこのスレでエロ撲委は無謀じゃないかと思ったが、それ以前に、
4主がサロン発言を他の連中の前でもしている、という事実が気になった。
――俺のこんな姿を見せるのはサンちゃんだけだよ。
アイツはそう言っていたんだが。
「わかった。この件は俺に任せとけ」
「ありがとう3主さん。僕、今日はフィッシュベルに戻るから、よろしくね」
彼はわざわざそう断って、俺の部屋を出て行った。
自室に引きこもっていることが多い俺は気づかなかったが、
7主が一日でも宿舎を空けるのをためらうほど、深刻だということか。

その日の夕方。廊下に出ると、階下から6主の歓声が聞こえた。
「いいぞーやれやれー!」
リビングの方らしい。行ってみると、4主がソファに1主を押さえつけていた。
「なんで嫌がるんだよー、こういうのを期待したんじゃねえの?」
マウントポジションで哄笑する4主。6主の他に5主と2主がいる。
「俺が悪かったって! ちょっとからかっただけだろう!?」
1主のほうは「どうしていいかわからない」という表情だ。
4主が彼の胸のあたりをまさぐりはじめると、本気で怯えの色が混じった。
テーブルの上では、ローラフォンが悲鳴のように鳴り続けている。
最初こそはやし立てていたらしい面々も、戸惑うように顔を見合わせた。
「なんか4主、いつもと違うぞ」
2主が救いを求めて周りを見る。5主がひきつった笑顔で4主の肩に手を置いた。
「4主、サロンは僕の特権だよ? 君のキャラじゃないでしょ」
それをうるさそうに跳ね除けて、4主は1主の身体をさらになぜ回す。
「嫌ならこっから出て行けよ。俺は楽しみたいの。ああ、コレうるさいな」
ローラフォンを手に取った4主は、そのまま片手で握りつぶしてしまった。
トラックが轢いても壊れないという最高強度のローラフォンを、素手で。
――どうする? 俺は頭をフル回転させた。とにかく皆の気をそらさないと……

85【Ligament】[4] 2/4:2007/02/03(土) 01:25:30
「そんなに溜まってたんなら僕がお相手しますよ?」
4主がハッとしたように顔をあげた。リビングの入り口に8主が立っていた。
一瞬、俺の方を見て目だけでうなずくと、ツカツカとソファに歩いていく。
そしてわざとらしく音を立てて、4主の頬にキスをした。
「スキあり♪」
カァっと4主の頬が赤くなった。パァン!という景気のいい音が響き渡る。
「この変態クソドラゴン! 何しやがんだてめぇ! 表ぇ出やがれ!」
「野外プレイですか、4主さんもいいご趣味で……おっと! はははーこっちですよ」
8主と4主はすっかりいつもの様子で、リビングを飛び出していった。
残された人間たちも、今ので普段の空気を取り戻したようだ。
「まさかホントにチューまでするとは、8主も4主イジメに命かけてるねぇ」
5主がソファに腰を下ろし、1主の背中をポンと叩いた。
「だから4主もストレス溜まってキレやすくなるんだよ。許してやりな」
「マジびびったよ。俺、女家庭教師とかいいねーって言っただけなのにさ」
「でも近いほうのご先祖、4主は女装が似合うとかいろいろ、ずいぶんしつこかったぞ」
「まあ俺もちょっとくどかったな。しかしローラフォンが……信じられねえ」
「あいつ対ドラゴンなら20000以上のダメージ叩き出せるしなwww なあ3主?」
「だな。お前の頭が潰されなかっただけマシだったんじゃねえの?」
「ひぃぃ(((((( ;゜Д゜)))))ガクガクブルブル」
8主の機転のおかげで、4主の奇行についてはうまく流されたようだ。
俺はほっとしつつ、リビングを後にして二人を追った。

案の定、二人は最上階の共有テラスにいた。
テラスといっても、屋上の入り口から屋根がせり出してるだけで、
洗濯物を干すとかの用事でもない限り、あまり訪れる理由のない場所だ。
「あ、来ましたね。あんな感じで良かったです?」
「助かったよ。お前の方も変な誤解はされてないぜ」
「そうなるように計算しましたからね……」
そう言って奥に目を向ける。4主は屋上の手すりに寄りかかって遠くを眺めていた。
「本当のことを教えてください。あの人に何が起きてるんですか?」
俺はすぐには答えられなかった。

86【Ligament】[4] 3/4:2007/02/03(土) 01:25:54
「実は4主は……」
俺が言いかけたときだ。
「待て、俺から説明する」
4主が俺を手で制した。黙っていてくれと目で訴えっている。
確かに本人が告白すべきことだろうと、俺は一歩下がったが……。
「男同士だから言うがな、実は最近シンシアとご無沙汰でさ」
……は?
「あーそれは、その、そういう意味で?」
「そういう意味で。いい加減この宿舎だけで2年たってるんだぜ、
 いまだにプラトニックって方がおかしいだろ?」
ちょっと待て。いけしゃーしゃーと嘘をつく4主に、俺は呆然とした。
8主は疑いもせずにうなずいている。
「理解できますよ。ちょっと想像はできませんけど」
「でも今は消えるの消えないのって、それどころじゃない時期だろ?
 そんな時に1主が、やれお前は男らしくないだの、女装しろだのと」
「なるほどね。それはキレても仕方ないですよ。うん」
信じられなかった。
あの時は8主の方が先に勘違いをしたから、咄嗟に話を合わせたんだろうけど。
今は4主が自主的に8主を騙そうとしている……シンシアをダシにして。
まるで彼女のせいだ、というようにさえ聞こえてしまう、そんな嘘を。
「それでシンシアさんの方は、どうなんですか?」
「とりあえず、今は落ち着い……」
4主が、そこで言葉に詰まった。俺のほうを見て目を見開く。
――同時に周囲の温度が、下がった気がした。

だが彼はそのまま言葉を続けた。“彼女”が見えないのをいいことに。
「今は……村の方にいて、4女が様子を見てる」
何かが俺の横を通り過ぎ、階段を駆け下りていったような気配を感じた。
4主はうつむいたまま、じっとしている。
8主は当然だが、誤解したままの解釈で、彼に慰めの言葉をかけている。
おいおい、追いかけなくていいのか? 今のお前は正気なんだろう? 
あれほど大切にしていた彼女だろ? あんな風に傷つけたままで平気なのか?

87【Ligament】[4] 4/4:2007/02/03(土) 01:26:16
「――まあ8主の言うとおり何とかなるよな。ところで3主、
 あとでパソコン教えてくれないか? わかんないとこがあって」
「はぁ〜?」
いきなりそう声をかけられて、俺はつい頓狂な返事をしてしまった。
8主は「ではまた。気を落とさないでくださいね」とか何とか言いながら、
すでに戻っていこうとしている。
黄色いチュニックが見えなくなってすぐ、俺は4主に詰め寄った。
「なに言ってんだよ、いいのか? 今彼女、ここにいたんだろ?」
「へえ、わかったんだ。確かにいたよ、今も、あそこに」
4主は再び屋上の手すりに寄りかかると、誰もいない庭を見下ろした。
視線が、宿舎の入り口からゆっくりと外に向かって動いていく。
彼女の姿を目で追っているのだろうか。
「シンシアのことはね、もう振ったんだ」
俺は開いた口が塞がらなかった。
だが4主の表情を見て、のど元まで出掛かった言葉はすべてかき消された。
「振ったんだ。――こないだ、俺、彼女を消し飛ばしそうになって」
もう近くにはいられないと、堪え切れなくなったように、4主は泣き崩れた。
「4女に任せてるのは本当なんだ。もう宿舎には来るなって言ったから。
 俺どんどんおかしくなってる。急に血が見たくなったりして、本当はピサロも……」
殺しかけたんだ。4主は言った。俺が話し合いの場を作った、あの日に。
「みんなが帰ってから、最初は談笑していたのに、気が付いたらあたり一面、
 赤とか、青とか、絵の具をぶちまけたみたいになってて」
デスパレスにいたモンスターを、ほとんど皆殺しにしていたのだという。
「これでチャラだろって。もしまた仕返しを考えるなら……ロザリーを殺すって。
 俺そう言ったんだ。そんなこと、平気で言ったんだ俺!」
そっと触れようとしたら、4主は俺にしがみついた。
「こんなの誰にも言えない。俺、ここにいたいんだ。みんなと一緒にいたいんだ……!」
震える少年の肩を、俺は強く抱きしめた。途端に彼の方から唇を重ねてきた。
「お願い、抱いてよ。怖いんだ」
俺はもう、はぐらかしたりはしなかった。
――腕の中の彼がクスッと笑ったことにも、本当は気付いていたけれど。

88【Ligament】[4] おまけ:2007/02/03(土) 01:26:55
4主「“おまけ”じゃNeeeeeeeeeee!!!! どこでブチ切ってやがんだテメエ!」
3主「誰に言ってんだ? あとそれ>>29さんのパクリだろ。って聞けよ」
4主「こっからがイイとこじゃん! ようやく本格エロじゃん!
   さあ張り切ってコクメイな描写いってみよっかぁ?って時に!」
3主「コラ襲い受け魔王、0/4の反省はどうした」
4主「でもさ〜、早くサンちゃんとイイことしたいし〜」
ピサロ「その前に私に何か言うことはないのか?」
4主「あーごめ」
ピサロ「軽! 誠意まるでナシ! 貴様いい加減に」
4主「きゃーぴさろにおそわれるたすけてはっしゅ〜」
8主「SHTギガスロー!! 大丈夫ですか4主さん!?」
4主「ありがとはっしゅたすかったよ」
8主「4主さんってばすっかり僕に頼るようになりましたね。
   もうヘタレの汚名も返上ですね!ッグ!」
3主(いや、ヘタレです。しっかり騙されてるお人よしのヘタレです)
ピサロ「ちょ……ひどくない? ねえ?」

4主「ちなみにデスパレスのモンスターの方々ですが、
   俺のザオラル&ピーちゃんのザオリク連打でちゃんと生き返らせました」
3主「なんだ意外と優しいじゃないか」
4主「そしたらまた殺れるしさ♪」
3主「……そうか」

89名無しの勇者:2007/02/03(土) 11:24:56
GJ! だんだん4主の魔王化が進んでたねー。超wktkしてまっせ!
最近、本編よりレス0番とおまけの方が楽しみになりつつあるww

90名無しの勇者:2007/02/03(土) 13:53:56
ピーちゃんかわいそうwwww
ものすごい被害www

91名無しの勇者:2007/02/04(日) 11:16:43
GJGJGJ!!!!
ひょっとして次は34エロですかー?!!(*゚∀゚)=3

92ひどい下ネタです。一応13か31:2007/02/05(月) 01:09:06
3主「俺欲求不満なんだ。誰かいれさせてくれないかなあ」
1主「身も蓋もないな。俺がご先祖にいれるんだったら別に良いぜ」
3主「アホ!尻が痛いだろが。4主、そのへんどうなの」
4主「実際問題痛いよ。相手も痛いし。慣れるまでは本番にいたらないで別のもんでもいれといたら」
3主「さすが4主!いいアドバイスだぜ。1主!おいで」
1主「えーっなんで俺なんだよ」
3主「ゆくゆくは俺お前につっこむつもりなんだから、ちゃんと慣れとかなきゃ痛いだろ。
何がいい?じゃあこのエアコンのリモコンでもいれとく?」
4主「バカ!リモコンがなきゃ困るだろ」
1主「全くだ。第一嫌だよ俺…ご先祖もいれるってんなら何か入れといてもいいけど…」
3主「んー?まあ1主につっこむためならその位の苦労いとわないぜ。何入れたらいい?」
1主「このカップラーメンとかどう?ご先祖ラーメン好きだろ?」
3主「好きだけど流石にでかすぎると思うぜ。お前俺の尻を破壊する気か」
1主「じゃあこのテレビのリモコンとか…」
4主「バカ!リモコンがなきゃ困るだろ」
6主「お前らー、こののりとテープどっかにしまっといてくれる?悪いな」
13主「あっうんしまっとくしまっとく」


1主「どう?ご先祖…」
3主「うう…すっごい痛い…1主のテープはどう?」
1主「痛いとかじゃないよ…死にそう…動けない…」
3主「俺ものりで死にそうだけど…痛がっちゃってる1主見れて萌えーwwだからいいやwハァハァ」
1主「俺も痛がっちゃってるご先祖見れて萌えー!wwハァハァ」
4主「ははは幸せそうだなお前ら」

93名無しの勇者:2007/02/05(月) 02:15:54
ホントにヒデエwww
あんたらまさかバージンをテープとのりにやっちゃったんじゃないだろなwww
そして4主が何やらすごい経験豊かな口ぶりwwwww

94名無しの勇者:2007/02/05(月) 22:09:42
本家スレみたいなノリですごい笑った!
やってることはめちゃくちゃおバカなのに
平和なやりとりが可愛らしいね〜
そして4主・・・・いろんなモノ入れられちゃったの?
玩具ネタ布石ktkr!?

958主→4主[2] 0/4:2007/02/07(水) 03:06:14
>>74-77
の続きです。
前回はレスたくさんいただけて、ありがとうございました(´∀`*)

やまもおちもいみもないわりに、まだ続きます。

968主→4主[2] 1/4:2007/02/07(水) 03:07:28
唇を触れさせると、くちゅ、と音がした。
なんか、やらしい。
そう思いつつ舌も触れさせ、絡ませ、口に含み、更にその卑隈な音を増やす。
静かな部屋に水音と荒い息遣いとくぐもった矯声が響く。
音が聴覚を愛撫する。
きもちいい。
どこを触られてるわけでもないのに、舌が触れて、粘膜が擦れて、
それだけで、背筋がゾクゾクするほどきもちいい。


熱いため息を吐く。
吐息が声になりかけるのを危ういところで止める。
この状況で声を出すのは、ちょっと格好悪い気がする。
少なくとも4主さんには聞かれたくない。
でも、実際声が出るくらい気持ち良い。
口でされるのってこんなに良いんだ。熱い粘膜が絡み付いて、
しかもそれが4主さんの、あの4主さんの口で、
あの妖艶な舌で一生懸命僕のものを舐めてくれてるなんて、
それだけでもう頭がおかしくなるほど興奮する。

そっと翠の髪に触れる。
ぼんやりと濁った紫の瞳が、行為を中断しこちらを向く。
優しく撫でると、ふにゃ、と気持ちよさそうに目を細めた。
「止めないで。続けてください」
囁くと、そのまま舌の動きが再開される。
かわいい。
髪を梳くと、くすぐったそうに身をよじった。
鼻にかかった甘ったるい声が洩れる。
それが、どうにも嗜虐心をそそる。

978主→4主[2] 2/4:2007/02/07(水) 03:08:52
「何がそんなに良いんですか」
柔らかい髪が指先に絡み、サラリとほどける。
「気持ち良さそうな顔してますよ。目がトローンとして。
 好きなんですか?しゃぶるの」
「……すき、っつーか……」
なんか、口ん中きもちいい。
たどたどしく呟かれる。
指先がギシリ、と強ばる。
「……口の中が気持ち良いんですか」
「ん……」
「……へぇ」
「んー」
「舌とか、唇とかも?」
「ぅん……んっ?!」
「……こういうのも、感じちゃうんですか?」
「んッ!!……んぐ……ぅ、」
頭を押さえ付けて奥まで突き入れる。そのままガクガクと揺する。
苦しそうな悲鳴に一瞬罪悪感が霞めるが、止まらない。
引き抜いて、また思い切り突っ込む。
熱い粘膜が絡み付き、思わず声が洩れる。
だって、これは絶対4主さんが悪い。
というかおかしい。いくらなんでも、普通口の中は感じない。
あの唇が、いつもゾクゾクする程色っぽい声を出す唇が、煽情的な赤い舌が、
実はこんなことで感じちゃうなんて、そんな、ああ、もう。
さっきキスしておけば良かった。

「……っ、く、は!…はぁ……ぁ……てめ…8主……!」
無我夢中で射精を終える。すごい目で睨まれた。
ゲホゲホと苦しそうに咳き込んでる。ちょっと泣いてる。
ああ、飲んでくれたんですね。嬉しいなあ。
「好きで、っは……飲んだ…わけ、じゃ……ッケホ、」
どうやら声に出してたらしい。

988主→4主[2] 3/4:2007/02/07(水) 03:09:53
「っは……ぁ…、し、死ぬかと思った……」
「大丈夫ですか?」
「死ね」
「あ、先っぽに残った分も吸いとってもらえます?」
「死ね。氏ねじゃなく死ね」
「字面が浮かぶから嫌ですよね」
飲みきれなくて溢したのか、唇から顎にかけて白いのがべったりしてる。
息が荒い。口は悪いし目つきも悪いのに全然怖くない。
ぐったりしてうるんだ瞳は、どう見ても欲情しているそれだ。
促すと、心底嫌そうな顔でこちらを睨みつつも、それでも、ゆっくりと唇を近づ
「いいいいいい!いた!いた!痛い痛い痛い!!!
 ちょ、や、か、噛まないで下さい!そこ!!
 つ、使いものにならなくなっちゃいますよ!」
「望むところだ」
「4主さんだって困るでしょう!」
「困んねえよ」
「え、だって」
抱き上げて、ベッドに乗せる。
うん、やっぱり、床でっていうのはどうにも色気が足りないですよね。
「これから、4主さんの方を気持よくしてあげないといけないでしょう?」
は?
意味がわからない、といった顔をして、しばらく間があいて、
赤く蒸気した顔がサッと青ざめた。
「え、お、おい、それって……ん…っ」
細い顎をクイと持ち上げて、唇を塞ぐ。
歯茎に舌を沿わせただけで簡単に甘い声を洩らす。
減らず口は叩けても、体はもう限界らしい。
深く重ね、舌を絡める。向こうからも、甘えるように絡み付けてくる。
腕の中で背筋が跳ねるのがわかる。
口の中に所々残ってる粘り気と苦味はすごく嫌だけど、
4主さんとキスできて、しかもこれだけ可愛い反応を見せてくれるなら
そのくらい全然構わない。

998主→4主[2] 4/4:2007/02/07(水) 03:10:55
「……っぷは!…は、……ぁ…。な、なぁ……」
「どうしました?」
さっき一瞬だけ青くなった顔は、もう首まで赤くなってる。
「え、あ、あの……さっき言った、その、気持ちよく、って……」
「ああ、大丈夫ですよ。ちゃんと気持ちよくしてあげますから」
「いや、そうじゃなくて、」
「すみませんね、僕だけ先に気持ちよくなっちゃって」
バサリと残りの服も脱いで、4主さんの服にも手をかける。
泣きそうな顔で、や、とか抵抗するけど気にしない。むしろ興奮する。
「やめ、ま、待てって!おい!……ん…ッ!
 お、おま……俺が気持ちよくなるのとお前のそれが、ぁ、ふ……、
 ど、どんな関係が……ぁ……」
「聞きたいですか?」
「!?ば……!ち、ちょ……どこ触っ……んっ」
「ちゃんと慣らさないと痛いですからね」
「な、慣ら?!何を……ぅ、あ!あ、ぁ、や、やだ!やだやだやだ!!
 そこは、や……ぁ、」
指一本でも結構きつい。初めてなんですね。良かった、嬉しい。
張りつめた先端にちゅ、と口付けると、声に甘味がかかる。こっちはもうベトベトだ。
優しく舌を絡ませてあげると、口の中でビクンと脈打つ。いい加減限界に近いらしい。
一度出させて、それからほぐすか、もしくは先に後ろでイくまで追い詰めてみるか。
どっちにしようかな。どっちもいいなあ。夜はまだ長い。

100名無しの勇者:2007/02/07(水) 21:46:28
ちょ、エロキター>>96
超gj!!

101名無しの勇者:2007/02/08(木) 06:25:09
84のエロさ具合はもはや異常
GJGJ!!

102名無しの勇者:2007/02/08(木) 09:58:15
夜はまだ長いって8主!ちょっ!!
なだ覚醒していない(性的な意味で)4主にあんなことやこんなこと!?
・・・!!!GJ!!!

103【Ligament】[5] 0/4:2007/02/12(月) 18:42:08
3主×4主←(?)8主fromDQ主雑

3主「恒例サンクス、>>89>>90>>91様!」
3主「……」
3主「ん? いつもは俺にベッタリの変態半魔王はどこにいったんだ?」

5主「はい? え? 今なんて言ったの?」
4主「だーからぁ。相手がなかなかソノ気になってくれないとき、どうする?って〜」
5主「パ……」
4主「パ?」
5主「パデキアはドコー!? 4女ちゃんパデキア! 4主がおかしくなったー!!」
4主「ま、俺って生真面目な優等生イメージが強いから、当然の反応だけどね」
3主「コラ4主、見境なく正体を出すな。俺の前だけにしとけ」
4主「おお? それって独占欲? 俺の4主だ宣言? 離さないよマイハニーな感じ?」
3主「ここの生活管理をやってんのはお前だろ。その状態だとまったく仕事しなくなるからダメだ」
4主「なにその事務的な言いぐさ〜」
3主「宿舎が混乱すると、ここを居住にしてる俺が困るんだよ。というわけでホレ」
  つ8主
4主「……おや? そういえば先週の家計簿つけるの忘れてた。
   あと2主の新しい問題集も作らないとな。ちょっと行ってくるわ」
3主「ハイいってらっさい」

8主「もはや僕アイテム扱いですかそうですか。
   もう本編も好きにしやがれってんだはいスタートですっ」

104【Ligament】[5] 1/4:2007/02/12(月) 18:42:42
「ねえ、サンちゃんの部屋に行こう?」
「ああ……」
請われるままに、俺は彼の手を引いて自分の部屋に向かった。
部屋に入ると、鍵をかけるのすら待てない様子で、4主は俺の腕をひっぱった。
そのまま自分のベッドに押し倒される。
4主が俺の上にまたがり、もどかしそうに服を脱ぎはじめたのを、俺は黙って見上げていた。
――心臓が鳴っている。口の中が乾いて、いがらっぽい唾を無理に飲み込んだ。
別に自信がないわけじゃない。旅の間、実はけっこう女遊びはしていたりする。
世間体ってのがあるから奥手を演じていただけで、色を好まない英雄がいるもんか。
だが今は……。
「どうしたの、ねえ? サンちゃんも脱いでよ。それとも俺が脱がせる?」
上半身を露わにした4主は、言ってるそばから俺の服に手をかけた。
押さえの飾りベルトを外して、上着をたくし上げながら頭側から引き抜く。
とりあえず相手がしやすいように合わせてやっているが、
ダメだ、気の利いたセリフ一つ出やがらねえ。なんだか頭が回らない。
今度はインナーのボタンが外された。
俺の首筋に顔を埋めるようにして、少年が熱っぽくささやく。
「好きにしていいんだよ? 優しくなくてもいいから」
絹糸のような翡翠色の髪が香る。白磁の肌。繊細な肩のライン。
細い指が俺の前髪を顔の上から優しく払いのけた。
軽く相手の腰を抱くように手を回したら、男とは思えないほどに細い。
「ねえ……?」
麻薬めいた甘い声。間近で俺を覗き込む青紫の瞳は、猫のような縦長で。
薄く開かれた唇がぺろりと舐められて、さらに艶やかさを増す。
天空人というのは、みなこうも優美でたおやかで……妖艶な生き物なのか?

俺は気がついたら、少年の後頭部をつかんで、自分の顔の上に引き落としていた。
息を継ぐ間も与えないほどに、夢中でむさぼっていた。
俺の中のどこかが、激しく警鐘を鳴らしている。行くな、戻れと、繰り返し訴えている。
だが、理性が利かない。本能が聞かない。
今にも、溺れてしまいそうな……。
あとはもう、なんだかよくわからなくなった。

105【Ligament】[5] 2/4:2007/02/12(月) 18:43:18
激しいキスは好きだけど、さすがに息苦しくなって俺は3主の肩を叩いた。
ようやく唇を解放された。つうっと間で銀色の糸が引く。
「さ、サン…ちゃん……?」
彼は無言で俺の身体を抱き込みむと、自分の上から横に投げた。
危うくベッドから落ちそうになったが、彼は俺を軽々と中心まで引き戻して、覆い被さってきた。
――3主の瞳からは、今にも理性の色が消えかかっている。
彼の下に組み敷かれながら、俺はそれを冷静に観察していた。
さて、ようやくありつけそうだ。極上の……に。

「クスクス……慌てないでさ。まずは脱いだら?」
俺の言葉に、彼は思い出したように自分の衣服を脱ぎ捨てた。
履いていたままだった俺のズボンを引きずり下ろそうとして、なかなかうまくいかない。
じれったくて自分で脱いであげたら、彼は何か言いたげに俺を見た。
考えるのも面倒だから横を向く。
彼は再び俺に覆い被さって、首に、胸に、痣がつくようなキスを落とし始めた。
「ぁ……」
彼の舌先が俺の乳首を愛撫する。背中から下腹部にかけて、痺れるような快感が走る。
俺の下半身に彼の手がのびる。いきなり強く掴まれて「ひっ!」と声が漏れた。
「ああ……やぁ…っく…ぁ…」
彼の男っぽい手が、俺のを乱暴にもみしだく。すごくいい。もっと責め立てて。
と思った矢先に、戸惑うように動きが止まった。
もしかしてわかんないのかな。男を抱いたこと、無いみたいだから。
「あのね……」
仕方ない。最初だから教えてやるよ。
俺はそっと相手の肩を両手で押して、密着していた身体を離させた。
それから自分の足を後ろから抱え上げて、よく見えるようにしてやる。
3主がごくりとのどを鳴らした。
「指、濡らして……中に、ね? ゆっくり、ほぐすようにして……」
「……ああ」
俺が促すと、彼は自分の指を舐めてから、おそるおそる言われた場所に持って行った。
「慣らさないと、俺もサンちゃんも……痛いから……そう…いいよ……あっ…ぅん……」
理屈がわかれば飲み込みの早い彼のこと。最初は静かに、段々と性急に――
指の本数を徐々に増やしながら、俺の中をかき混ぜ、柔らかくしていく。

106【Ligament】[5] 3/4:2007/02/12(月) 18:43:41
3主は、今度は俺のを丁寧に舐め始めた。
先端に軽く歯を立てたり、時々強く吸ったり――指はずっと、中で動かしながら。
空いてる方の手は胸を刺激していて、なんかさすがに、余裕なくなりそうかも。
そろそろ欲しいな、と思った時。
「もう…いいか……?」
目を開けて下を見たら、物欲しそうに俺を見上げる3主がいた。
ぬれている顎のその向こうに、たくましい胸板があって、さらに向こうには、
今にもはち切れそうなくらい、膨張してる彼の下半身が見えた。
そう言えば俺の方からは何もしてやってなかったなぁ。
なのに、そんなになってくれてるなんて、嬉しいじゃん。
「俺もサンちゃん……欲しいよ」
3主がへらっと笑った。おあずけ食らっていた犬がよしと言われた瞬間のようで、カワイイ。
先端が当てられた。ゆっくりと進んでくるそれの大きさが、少し入っただけで予想できた。
だいぶ慣らしてもらったけど、それでもキツイかも。なるべく身体の力を抜く。
「あ!……んぅ……ゆっくり……」
それは時間をかけて、静かに、だが確実な力で押し入ってくる。
異物が挿入される感覚に、全身の肌が泡立つ。中で、彼のものが脈打ってるのがわかる。
……進入が止まった。ようやく根本まで呑み込んだみたい。
このまま突き破られるんじゃないかと思うくらい、奥の奥まで届いていた。
互いにふっと息をついてから、少し間を置いて、今度は静かに抜かれていく。
内側が擦られる感触に合わせて、繋がっているあそこも、身体全体も、ビクビクと痙攣した。
彼は途中でまた戻ってきて、そして最奥に届くと、また引き抜いた。
何度も繰り返す……だんだん間隔が早くなる。
ずりゅっずりゅっと卑猥な水音がしてる。
俺の身体から出てるんだと思うと、それがまたゾクゾクするくらい気持ちいい。
「いいっ……あう!……いいよ…ぉ……!」
物理的に満たされる充足感が、無意識に言葉になって出て行く。
突き上げられるたびに、激しく刻まれる快感。頭が真っ白になる。
今の俺は、色んなものが決定的に足りないのだけれど、それが全て満たされていくようで――。
「あう! あ、あ、さんっ…しゅ…ぅう……!」
なにかが吹っ飛んで、そして一気に弾けて。
同時に中に熱いものが注ぎ込まれた。
それから、がくりと3主の身体が俺に倒れ込んできた。

107【Ligament】[5] 4/4:2007/02/12(月) 18:44:07
隣で3主が寝息を立てている。先に目を覚ましたのは俺の方だった。
「…よ…ん……きれい…だ……」
3主の低くかすれた声が聞こえた。寝言らしい。俺は思わず吹き出しそうになった。
いまさら夢の中で、そんな睦言を囁かれてもなぁ。
彼としては、本当はもうちょっと余裕をかました一夜を過ごすつもりだったんだろう。
ま、相手が悪かったんだと思うよ?
俺は最初にやってあげたように、彼の前髪を顔からそっと払ってあげた。
「あのねサンちゃん、嬉しいけど、それあんまり自慢にならないんだよね」
俺がキレイなのは当然。天空人はみな、そういう風にアイツに造られているんだから。
もっともハーフの俺には、いまいち神聖性が足りないらしいけれど。
教会の聖像のような、美しくも近寄りがたい生粋の天空人とは違って、
奴らが内心で“汚らわしい”とか思ってる下界の人間にも、俺の翼は簡単に開かれる。
まして、俺はもう死んじゃってるしねぇ。
窓の外が徐々に白んできた。朝が近い。
「じゃあ行くね」
眠ったままの彼の額にキスをして、俺はベッドを降りた。
ポットの水で濡らしたタオルで簡単に身体を拭いて、服を着る。
「また『喰わせて』ね」
あんたは俺の……極上の、餌だから。

そうして3主の部屋のドアを開けた、その時だった。
バタバタと、廊下を走っていく足音がした。
薄暗い中でも目立って見える黄色い姿が、角を曲がってすぐ見えなくなる。

――しまった、と。そう思った。

ふわふわしていた頭が、芯から急速に冷えていく。
俺の中を満たしていた狂気の霧が、一気に取り払われていく。
戻ってくる……『人間としての俺』が。
そうして思い出す。自分が何をしてしまったのかを。
それでもまだ、さっきまで幅を利かせていたもう一人の俺が、
心の隅でニヤニヤ嗤っているのを感じながら――俺は8主の後を追った。

108【Ligament】[5] おまけ:2007/02/12(月) 18:44:29
4主「いや〜喰った喰った。ごちそーさまっっ♪♪ツヤツヤ」
3主「喰われました……orz もうさ、表記4主×3主の方が合ってないか?」
4主「読者にどっちが攻か受かをお知らせする表記なんだから、そこ変えちゃダメだろ」
3主「知るか。しかも異常な疲労感が……俺マジでなんか喰われてる気がするんだが」
4主「さあねぇ? ハイな時の俺って何考えてるか自分でもよくわからんし〜」
8主「なんで僕が出歯亀なんですか〜〜〜!!!!!!!」
4主「おや変態覗き魔8主じゃないか」
8主「ヒドス!……いくら僕でもいい加減ホントに泣き入りますよ?゚・(ノД`)・゚・。ウエエェェン」
4主「ごめんてば、機嫌直せよ。次回はなんかお前との絡みらしいし」
8主「キ……キター・*:.。. .。.:*・゚・*:(゚∀゚):*・゚・*:.。. .。.:*・!」
3主「いきなり次で浮気するんかお前!!」
4主「展開しだいじゃアリかも……?」
3主「うわっこの淫乱魔王最低最悪だこんなDQ4男主人公世界中どこ探してもいねえぞ!」
8主「うおっしゃ淫乱魔王大いに結構恋人は奪ってなんぼのDQ8張り切って行きまっせ!」
4主「淫乱淫乱ってお前らなぁ……言っとくけど、俺今回が初めてだったんだけど?」
38主『―――――――――――――――――――――――――――――(゚д゚lll)(゚д゚lll)マジ?』
4主「知識だけでもヤれることはヤれちゃうもんだね。うん」
8主「どうぞ3主さんと仲良くしてください僕とてもお相手する自信ありません」
3主「いや8主に譲るから頼む持ってってくれ俺これ以上付き合えばたぶん死ぬ」
4主「ふぅ。俺もそろそろいつものテンションに戻りたいかも」
38主『ぜひそうしてください魔王様』

109名無しの勇者:2007/02/12(月) 19:18:14
ああ、魔王様…!!
萌えたり燃えたり大忙しですな。
続きも楽しみにしてます!

110名無しの勇者:2007/02/12(月) 22:58:20
GJ…!激しくGJです!!
覗き見8主に期待
いっぱいいっぱいな3主かわいいよ(*´Д`)=3

111名無しの勇者:2007/02/13(火) 00:09:49
GJGJ!!
3主色んな意味で喰われちゃったよハァハァ
もう8主は可哀相で当たり前になってきてるw

1128主→4主[3] 0/8:2007/02/16(金) 06:56:15
>96-99の続き投下します。完結です。

1138主→4主[3] 1/8:2007/02/16(金) 06:57:26
視界がまわる。
さっきからあっちこっちにひっくり返されて、自分の体が今どうなってるのかわからない。
眩しいから、多分仰向けになってるんだろう。そういえば天井が見える。
見慣れた天井がギシギシと揺れる。揺れにあわせて体が溶ける。
触れられる度熱く溶かされる体は、ひょっとしたらもうどこも残っていないかもしれない。
どこかで話し声が聞こえる。話し声、ではないかもしれない。
片方は楽しそうに話しているが、その返事は言葉にすらなってない。
ただ壊れたように湿った声を垂れ流すだけで、その媚るような甘ったるい音は妙に淫隈で、
頭の奥まで響いて、火照る体を更に熱くさせた。
「痛くないですか?」
「……ふぁ…っ…あ、……」
「今、指三本入ってますよ。結構きついですけど」
「ぁ、あ……んぅ……」
話し声がうるさい。何を言ってるのかわからない。
体の奥が熱くて、ドロドロに溶けて、疼いて、おかしくなりそうだ。
「ていうか、時々きゅぅ、って締め付けるんですよね。
 むしろ気持ちよかったりします?」
「…あ、…あぁ…んっ……」
「ですよねー、さっきこっちでイっちゃいましたもんねー」
「あ………あ、ぁ、」
「……ねー」
視界が暗くなる。頬に触れる。つめたい。なのに、あつい。
「ね、4主さん」
いま、俺の名前を呼ばれたような気が、
「4主さん、ってばぁ」
「ん……」
唇を塞がれる。軟らかいものが奥まで入ってくる。口の中を好き勝手蹂躙する。
歯茎の付け根とか、上顎の裏とか、気持ちいいとこばっか狙って這いまわる。
息ができない。

1148主→4主[3] 2/8:2007/02/16(金) 06:58:00
「…んっ……んー…」
「……」
「んー!んんーっ!」
「……」
「…ぷはっ」
ようやく開放された唇で、肺いっぱいに酸素を吸い込む。
数回繰り返すと、ボヤけた視界が大分鮮明になった。
見慣れた男の顔が映る。見慣れない表情でこちらを覗きこむ。
「……なんだよ…」
「あ」
嬉しそうに笑う。
「良かった、やっとまともに喋ってくれましたね」
「はぁ……?」
「ね、4主さん」
ちゅ、と音をたてて唇が触れる。
「気持ちいいですか?」
「ん……っ、ぁ…」
「ここも、ここも、4主さん相当好きですよね。覚えましたよ」
「ば……!…ぁ、や……っ」
「こういうときの声は可愛いんですね」
「……っ!!」
「ね、4主さん」
「……っ…ん……」
「痛かったら言って下さいね」
いくら痛いっつっても嫌だっつってもやめなかったくせに
ここにきて妙に殊勝なことを言う。
散々いじくられたそこに、また何か入り込む。きつい。
体が悲鳴をあげる。ギチギチと音を立ててめりこんでくるそれに、唇を噛みしめる。
今度は何本入ってんだか知らないが、いい加減限界だ。壊れる。
内臓まで圧迫されるような苦しさに涙がにじむ。体が、満たされる。

1158主→4主[3] 3/8:2007/02/16(金) 06:58:58
「きつ……」
「く……っ」
「…大丈夫ですか?」
苦しそうな、のぼせたような顔で頬に口付ける。髪を撫でる。
「今、半分くらいですよ」
「も……むり……」
「大丈夫ですから、力抜いて」
大丈夫じゃねえし。無理っつってんのに。まだ入ってくる。
粘膜をこそがれるような感触に悲鳴が漏れる。
苦しいのと、痺れるような快感に。
胸板を叩くと手首が取られ、枕に押し付けられた。
空いた方の手があやすように頬を撫でる。

……空いた方の手?

「4主さんの中、きっつい……」

吐息が頬を霞める。
体内に入る何かが、届くはずのない奥まで届く。なのに、まだ進もうとする。

「……な、ぁ…」
「え……?」

声が乾いているのが自分でもわかる。

「い、いま…なに……入っ…」
「あぁ」
腰がぐい、と持ち上げられる
「……っ!」
「見えます?ほら、あと少しですよ」
うまく見えないけど、それは、確実に

1168主→4主[3] 4/8:2007/02/16(金) 06:59:40
「う、嘘…うそ……ぁ……っ」
「……っはいりましたよ…」
「ふ……!ふざけ……」
「大分慣らしたつもりだったんですけど、きついですね」
「や……あ……」
「きつくて、熱くて、すっごく気持ちいいですよ」
動いてもいいですか、なんて尋ねておきながら、返事も待たず抽送が始まる。
グチュグチュとかきまわされ、粘膜がえぐられる。そこが、燃えるように熱い。
「やだ……ぁ、ふ……っ…」
「な、泣かないで下さいよ!」
「そこ……いれるとこじゃ…ねぇ、って……」
「……でも、気持ちいいんでしょう?」
「なわけ……な……ぁ…や……」
「またそんなこと言って」
声も、顔も、すっごい気持ち良さそうですよ。
熱っぽい声で囁かれ、ゾクリと震える。思わず顔を隠そうとすると、
手首を掴まれ邪魔された。
「駄目ですよ、顔隠したら」
「や、ぁ……ん、ぅ…っ」
「声も。抑えないで下さいよ」
「ん……っ…ん、く、…っ!」
「ほら、ここ、いいんでしょう?」
「あ…!ぁ……っ…あ、ぁ、あ、」
体内を深くえぐられ、頭が白くなる。
逃げようと身をよじると、腰を掴まれ強く打ち付けられた。
その激しい動きに、また意識が遠のく。気持ちいい。こんなことされてるのに。
こんな、こんなところに突っ込まれてんのに、きもちいい。
もっと欲しい。
「あ…!ん、ぁあ……っ」
「……ん…っ……」
「やぁ……あぁ…ん……」
「……」

1178主→4主[3] 5/8:2007/02/16(金) 07:00:17
「ん……あ!あ、ぁ、んん……っ!」
「……4主さん…、ちょっと、声大きい」
好きで出してるわけじゃねえ。
「我慢できないんですか」
「ん……く…っ、あぁ……っ!」
「隣の部屋に聞こえちゃいますよ」
「……っ!ん…んん……っ、あ、ぁ、あ!」
「仕方ないですねぇ」
その割りに妙に嬉しそうな声。
「指咥えさせてあげましょうか?あ、肩に噛みついてくれても良いですよ。
 ついでに背中にギューってしがみついて、爪立ててください」
背中に手がまわるように、腰を抱かれる。
角度がかわり、より深く挿される。
また悲鳴があがりそうになり、余裕もなくしがみつき肩口に歯を食い込ませる。
痛そうなうめき声が聞こえた。ざまあみろ。もっと痛がれ。
やつあたり気味に指先に力をこめ、掻き抱き、その後のことは覚えていない。

1188主→4主[3] 6/8:2007/02/16(金) 07:00:53
吐精の名残でボヤける頭のまま、抱きしめる腕に力をこめる。
腕の中の可愛い人が、んぅ、とうめき、虚ろな目でこちらを見る。
涎でベトベトの唇に触れ、髪を撫でる。
深く重ねると、隙間から吐息が洩れた。
唇を塞がないように気をつけながら、軟らかい舌を絡めとる。
白い肩が時折ピクリと震える。声が洩れる。
まだ薬が効いてるのか。あれだけイったのに。元気なもんだ。
歯茎をくすぐり、背筋を撫で、敏感な反応を楽しんでいると、
入れたままだったそれがズルリと抜けた。
まだ抜きたくなかったのに。なんとなくしょんぼりしながら後始末をする。
肌の触れ合う感触が名残惜しい。さっさと終わらせてまた抱きしめよう。

「……なぁ」
「あれ?」
いつの間に気が付いたのか、4主さんがこちらをじっと見てる。
「いつから起きてたんですか」
「寝てると思う人間に悪戯すんなよ」
「反応が可愛かったので」
「それはどうでもいいんだが」
あれ?
「どうでもいいんですか?」
「それ」
「え?」
「ゴム。お前、いつも持ち歩いてんの?」
ギク。
背筋がヒヤリとする。まさか、色々用意してきたこと、バレた?
「え、えーっと……」
「まだ残ってる?」
……は?
「どうなんだよ」
「……え、今ですか?」
「あぁ」

1198主→4主[3] 7/8:2007/02/16(金) 07:01:14
「あります、けど」
あったらどうだというんだ。
「よし」
良いのか。何が良いんだ。
「もう一回やろう」

……………………。

「…………はい?」
「まだ起つよな?」
「……た、多分」
「起たせろ。何なら手伝ってやるから」
「て、手伝っ……っ?!」
「……なんかさぁ」

視線を外してつぶやく。こころなし、頬が赤い。

「気に入った、かも」
今の。すごい、良かった。

しばし沈黙が流れる。

「え……あの……」
「あ、起ったな」
「あ」
「よし。ほら、ゴム貸せ」
「あの……」
「ん?」
「手伝いは……?」
「は?もう必要ないだろ」
「えー!」
なんか、すごく勿体無いことした。

1208主→4主[3] 8/8:2007/02/16(金) 07:01:41
「ちょ、ちょっと萎えさせるんで待って下さい」
「何を言ってんるんだお前は」
「だ、だって!」
「いいからそれは入れさせろ。で、イったらまたしてやるから。
 手でも口でも好きなとこで」
「……そんなに何回もやる予定なんですか?」
「ん?」
既に限界を感じはじめている腰に不安を感じつつ恐る恐る尋ねると、
ゾクリとするような妖艶な笑みで返された。

「満足させてくれるんだろ?」




「というかなんでまだ満足してないんですか」
「なんでだろうな。どっちかっていうと淡白な方なんだが」
「……多すぎたか」
「あん?」
「い、いえ、なんでもないです。なんでもないですってば!
 ほら!さっさとしますよ!」
「あ、……ん…っ!……な、に……ワセリン…?
 なんでそんなものまで持っ、ふぁ!!」
「ほら、集中して!今夜は寝かせませんよ!」
「あ、ぁ……ん…っ……後悔すんなよ…それ……」

本気で後悔するのはその後、空が白みはじめた頃。

121名無しの勇者:2007/02/16(金) 12:30:50
……逆転したぁ!wwww
やっぱ天空の勇者、負けてないしw
GJGJ!!アーンドお疲れ様でした!!

122名無しの勇者:2007/02/16(金) 13:23:47
エロスの連続投下にハァハァが止まりません(;゚∀゚)=3

123名無しの勇者:2007/02/16(金) 20:27:50
5主とは逆方向に最強になりつつあるwwww

124名無しの勇者:2007/02/16(金) 21:19:49
GJ!GJ!!
何かもう色々だだもれそうだ…
萌 え つ き た

125主雑より:2007/02/18(日) 21:12:35
ほのぼの系?

5勇「4主さん4主さん」キャッキャ

5主「最近息子が4主にべったりでね パパサミシス」
1主「お兄ちゃんが出来たみたいで嬉しいんじゃないのか?
   俺も子供の頃兄貴が欲しかったから、気持ちはわかる。
   4主は面倒見もいいしな」
5主「ある意味親戚のお兄ちゃんとも言えるしね…でもパパテラサミシス」
1主「…微妙にループするの止めてくれないか?
   話も合うんだろ。直角二等辺三角形とか」
5主「あれね…僕には理解できないからね…」
1主「まあ、微笑ましくていいじゃないか」
5主「パパサミシス…」
1主「だからループ止めろって」

5勇「ねえ4主さん」
4主「何だ?」
5勇「僕が大人になったら結婚して下さい!」

4主&5主&1主「!!!???」

126名無しの勇者:2007/02/18(日) 23:06:40
思わぬところにライバルが!!!(´Д`*)

127名無しの勇者:2007/02/18(日) 23:12:10
これはいいほのぼのだ(*´∀`)
天空の勇者コンビいいなあ

128名無しの勇者:2007/02/19(月) 02:38:51
かわいい〜
5勇と4主が手とかつないでるとこ脳内変換。
うわ萌え〜

129125続き:2007/02/20(火) 23:12:08
調子に乗って続き書いてみた



5勇「ね、ね、いいでしょ4主さん!!」
4主「…(子犬に甘えられてる気分だな)」
5勇「ねえ、4主さん…ダメ?」

4主「そうだな…
   5勇が大人になってもまだそう言ってくれるなら考えよう ワシャワシャ」
5勇「やめてよ、髪がグシャグシャになっちゃうよ!!」
   …4主さん、もしかして誤魔化そうとしてる?」
4主「そんな事はない。
   ちゃんと大人になるまで待っててやると約束する」
5勇「ブゥ…
   僕、ちゃんとカッコイイ勇者になるよ!
   世界一直角二等辺三角形の似合う男になるから、覚悟してね!」
4主「はいはい。じゃあオヤツにするか?
   あっちにいる5主と1主を呼んできてくれ」
5勇「わぁい! お父さ〜ん、1主さ〜ん、オヤツだって!
   …ってうわあ、何でお父さんまた石になってるの!?」

4主「子供はテンション高いなあ…」
4主(そのまま変わらずいてくれよ、5勇)

130名無しの勇者:2007/02/21(水) 00:45:06
5勇かわいいなあ(´∀`*)
直角二等辺三角形どうしなかよくしたらいいよ

131名無しの勇者:2007/02/21(水) 12:08:32
 妹 |ω・`) <チョッカクニトウヘンサンカッケイナカマ…



 妹 |彡 ピャッ

132名無しの勇者:2007/02/22(木) 02:04:30
6主乙

133名無しの勇者:2007/03/02(金) 02:27:47
リガメントの続きが気になって仕方がない…困ったww
待ちながら小ネタ(8×4)


8主「4主さんを掘るのはいいんですが、それをヤオイと称されるのは気に食わないですね」
4主「俺は掘られる所から既に気に食わない訳だが」
8主「4主さんの中に入れて、達して、抜く。この一連の作業の中にヤマもオチも意味もないと、そう言ってるんでしょう?」
4主「正しい呼称だね」
8主「バカ言わないでください。むしろこれ程までにヤマもオチも意味もある行為ありますか!?どうです!ほら!」
4主「わわっ何だよ…だってさ、常にいれて、達して、抜く訳だからそんなにヤマもオチも意味もないだろ?」
8主「僕にとってはそれが最大限に意味があるんです」
4主「僕は別にないです」
8主「わかりましたそこまで言うのなら、ヤマと、オチと、意味を作ってしまいましょう。ちょっと3主さん」
3主「ん、何」
8主「なんか四コマみたいなことをして下さい」
3主「よ、四コマ…?あ〜…(起)ふんふ〜ん今日もいい天気だなぁ〜…」
8主「さぁこの3主さんのわきでジョブをすれば、僕達の行為は晴れてヤマもオチも意味もある事柄になる訳です!」
4主「な、ならない…特に『意味』が…わぁやめろ!服を脱がせるな!」
3主「(承)ってうひゃぁ!なっなんだ!?…」
8主「この短時間でやるのは少々きついですが…いきますよそれっ」
4主「ぐぁ!いてぇwwwもうこの時点でムリwww勘弁してww」
3主「(転)うわぁ〜落とし穴に落ちちゃったよ〜誰か〜…」
8主「いたたたっさすがに僕も痛い!ちょ…抜きますねいったん…」
4主「うっ…い、痛かった…」
3主「(結)ってルーラで抜けれたwwえへww」
8主「…ヤマ・オチが出来てもいつも以上に意味ありませんでしたね。やはり大切なものは、何でもない些細な時間に
   こそある、と…」
4主「このアホネタを綺麗な言葉でまとめようとするな。それよりこの状況下で普通に四コマやりきる3主に感心」

134名無しの勇者:2007/03/02(金) 14:34:25
マジ3主に感心w

135名無しの勇者:2007/03/02(金) 15:01:48
3主素敵だw
仕事をやり抜く人が好きだからマジ惚れしかけたw

136【Ligament】[6] 0/7:2007/03/03(土) 06:02:00
3主×4主←(?)8主fromDQ主雑

4主「今回は3主がすーっかりダウンしちゃってるので、俺と8主でサンクスコールいきます。
   >>109>>110>>111様、レスありがとうございます!」
8主「>>133様、お待たせいたしました。今回もお楽しみいただけるよう祈りつつ……
   【Ligament】第6部、本編スタ

4主「ちょっと待て、俺たちまだなんもコントやってないぞ」
8主「え? 0番ってコント用の枠なんですか?」
4主「なんか本編よりこっちのが楽しみという方もいるじゃないか」
8主「でも……僕と一緒にいる4主さんじゃあ」
4主「三日寝ないで考えたボケはホイミンだっつってんだろ、何度も言わすな」
8主「僕もパトハッシュ役は、3主さんと半魔王の4主さんあってこそですからねぇ」
4主「つまり俺らだけじゃつまらんということだな。
   もういい、お前とは二度とコンビ組まん!」
8主「え?え?え? ちょちょちょっと待ってください!
   わかりました! 今すぐ! 何かネタ考えますから!」
4主「よーし。つまらんかったら一生奴隷な」
8主「ちょwww小学生並の発言でもマジなりそうで怖いってかそれリスク大き過ぎwww」
4主「バーカ、おもしろかったら逆になるじゃん」
8主「――――――まさか、4主さんが僕の性奴隷に!?」
4主「勝手に文字を足すな。鼻血を出すな。
   何モーレツな勢いでコント系のFlashかき集めてんだよ」
8主「武○伝!好きだけどちょっと古いかな!欧米か!こないだ本スレで使ったしな!
   ちょっとちょっと!は無理だ僕たちじゃ美形過ぎる!えーとあと何があったっけ!
   温故知新か!ドリフか!タライと白鳥プリマか!僕脱ぐか!脱がせたいのは相方だ!」

4主「おーい、もう次いくぞー。おーいってば。聞いてないな。
   なんかすみません。それでは本編スタートです」

137【Ligament】[6] 1/7:2007/03/03(土) 06:02:26
 階段のところまで来ると、踊り場の隅の壁に背をつけて座り込んでいる8主がいた。
 立てたひざに顔を埋めている。俺は8主のとなりに、同じように腰を下ろした。
「すみません」
 ようやく顔を上げた8主は、俺の方を見ようとしない。
 目の端が光っているのに気づいて、ギシリと胸が痛んだ。
 あの日を境に動かなくなってしまった、心臓の辺りが。
「すみません。最初、あなたの部屋に行ったんですけど、いなくて。
それで、パソコンがどうとか言っていたから、3主さんの部屋にいるかなと思って」
 確かに言った。あの時、わざとそういうセリフで8主を誘導したんだ。
 ――見せつけて、傷つけて、それを楽しむつもりで。最低だ、俺は。

 そうして怖くなる。
 コイツが近くにいたのにも関わらず、俺はスイッチが切り替わっていた。
 もうこの男がそばにいても正気を保てないということなのか。
 "俺" が消えてしまう……。

「助けてくれ」
 俺は思わずそう言っていた。あのときのように。
「8主、頼むから俺から距離を置こうとか思わないでくれ。そばにいてくれ」
「どうしてですか? 僕は別に、お二人の邪魔をしようとか、そんなことは……」
 俺のすがりつくような言葉に、8主は困惑と切なさがない交ぜになった表情を浮かべた。
 当然の反応だとは思うが、今はそんな色恋うんぬんの甘い話をしてるんじゃない。
「聞いてくれ8主。そうじゃなくて。俺、その、実は死んでるんだ」
「は? 死んでる…って、それはどういうことなんですか」
 8主は今度こそ怪訝そうな顔になった。
「世界樹でお前たちと戦った時にな。少なくとも心臓は動いてない」
「あの、よくわからないんですが……」
 ますます混乱している様子の8主に、俺は内心で舌打ちをした。
 回転の速いコイツにしては察しが悪い。

138【Ligament】[6] 2/7:2007/03/03(土) 06:02:53
「だから死んでるんだよ。昨晩のことも、実はそれに関係があってさ」
 8主が目を見開いた。恐る恐ると言った感じで聞いてくる。
「昨晩のことって……アレ、が?」
「もちろん3主のことは嫌いじゃないが、ああいうのを望んでたわけじゃない」
「じゃあ、なにかその、3主さんとのことには……訳があったっていうんですか?」
「さっきからそう言ってるだろ!」
 イライラしてきた。いつもと違ってえらく鈍い。コイツこんなにバカだったっけ?
「ったく、本人にそんな話をあんまりさせんなよ。嫌がらせか?」
「いや、僕はそんな」
「俺がこんな必死になってんのに、少しは協力しようって気はねえのか」
「す、すみません。あの協力って何を……」
 ――さっき「そばにいてくれ」って頼んだばかりなんですけど。
「お前、ワザとか?」
「え?」
 普段はケンカばっかしてても、イザとなりゃ助けてくれると思ってたんだがなー。
 なんだかなぁ。もういいや、やっぱコイツ嫌いだ。マジヌッコロしてえ。
「っつーか殺すか、もう」
「……4主さん?」
 考えてみりゃ、コイツがいるから俺がどっちつかずで混乱するんだもんな。
「そうだよな、てめえが消えればスッキリする話だ。よし、協力しろ」
 俺は8主の前に回って、相手の襟元をつかんで壁に押しつけた。
「ちょ、どうしたんですか4主さん……痛いですって」
「おとなしくしてろよ、すぐ済むから」
 大丈夫、いくら8主でも仲間なんだから、苦しませるつもりはないさ。
 ちょっと手を差し込んでひねってやればスグだ。
「うん? それよりは、首をねじ切っちゃう方が早いかな。その方が痛くないか」
「な、何を言ってるんですか? い…ッ苦しいですってばっ」
「安心しろよ、俺の料理の腕は知ってるだろ? ちゃんと全部、喰ってやるから」
 二度と生き返らないように、引き千切って、バラバラにして、トロトロに煮溶かして。
 今晩のメインディッシュだな。もちろんみんなにも喰わしてやろう♪
「4…主さん…く…苦し……4主さんヤメて!!」

139【Ligament】[6] 3/7:2007/03/03(土) 06:03:19
「あ……?」

 唐突に理解して。
 同時に絶望する。
 8主から手を放すと、彼はゲホゲホと咳き込んだ。
「ケホッ……よ、4主さん?」
 8主はようやく息を整えた様子で、俺を見る。
 目が合う前に、目をそらした。恐怖?侮蔑? どんな目で俺を見てる?
「4主さん、待って」
 あとずさった。逃げたかった。違う――死にたかった。
「4主さん、落ち着いてください、大丈夫ですから」
「う……うう……」
 不快感。吐き気がする。視界がゆがむ。
「うううっ……」
 絶望が切望に。
「僕は大丈夫だから、落ち着いて!」
 死への切望に。
「あああ……ああああああ!」 
「4主さん!!!」
 
 押さえつけられて、抱きしめられた。 
 叫び出しそうになった俺の口を、8主がふさいでいた。
 ――彼自身の口で。
 
 ヒューズが飛んだように、唐突に、荒れ狂っていた何かが落ちた。 
「ごめんなさい。でも落ち着かせるときは、こうしろって指示でしたよね?」
 ようやく焦点の定まった俺の視界に、今にも泣き出しそうな8主の顔が映った。
 彼の手が、俺の胸のあたりにそっと置かれて、ある瞬間にビクッと引っ込められる。
「ああ……本当に動いてないや。なんでいつも――あなたばかりが」
 乱れた俺の髪をそっとかき上げて、耳にかけてくれる。
 そのまま俺の顔を両手でつつんで、そして、もう一度唇を重ねてきた。
 壊れ物でも扱うみたいな……とても静かな口づけだった。

140【Ligament】[6] 4/7:2007/03/03(土) 06:03:43
 薄暗い階段の片隅で、二人とも無言のまま、身体を寄せ合ってじっとしていた。
 8主は、自分の胸に頭をあずけてぼんやりしている俺の背中を、優しくあやすように
とん、とんと叩いてくれている。
「……潮時かな」
 呟いた俺に、8主はあまり抑揚のない声で「なにがですか?」と聞いてきた。
 俺は自分でわかってる範囲のことを、今度は正直に、そのまま告げた。
「俺は今、あの時と同じような化け物になりつつある。あの黒い羽の化け物に」
「あの時の――でも4主さんであることには変わりないでしょう?」
「さっき本気でお前を殺して喰ってやろうとしたんだぜ? 化け物だろ」
 小さく息を呑み、8主は黙り込む。
「3主のこともだ。あれは――SEXの形を取った "食事" だ」
 直截的な単語に青年の身体が一瞬こわばったが、俺は気づかないフリをして続けた。
「ああいう形で摂取したのは初めてだったが、俺はたぶん行為を通して、
あいつの生命力みたいなもんを喰ってたんだと思う」
 まるで吸血鬼だよな、と俺は苦笑した。天空の勇者もずいぶんと堕ちたものだ。
「じゃあ、さっきのキスで、僕のも?」
「違う。お前には、俺のそういう変化を抑える力があるみたいなんだ。
今もそばにいるから、俺もまだまともでいられる」
 もう近くにいるくらいじゃ、効かなくなってきているけれど。
 少し身体を起こして、8主を見上げた。彼は目を細め、頭を巡らせている。
 真剣な表情をすると、けっこう男っぽくて格好いい。とか少し場違いなことを思う。
「それってつまり……」
 俺の言葉の意味を、8主はゆっくりと別な言い方で繰り返した。 
「僕があなたを抑え続ければ、あなたは人間のままでいられるけれど、死んでしまう。
 そして僕がいなくなれば、あなたは人間以外の何かに変化して、でも生き続けられる」
「ただし俺の『人間以外の何か』ってのは相当ヤバイ。その選択肢はあり得ないぜ」

 アレがなんなのか、俺にもよくわからない。
 やたらハイな気分で、何でもできる気がして、実際とんでもなく能力値が跳ね上がる。
 本物の魔王が……桁外れな強さを持つアイツでさえ、化け物と呼んだのだ。
『お前はこの世にあってはならない存在だ』
 俺に半殺しにされて、俺の足の下で血を吐きながら、そう言ったのだ。

141【Ligament】[6] 5/7:2007/03/03(土) 06:04:08
 ダメなものはダメだな、と今度は素直にそう思った。
「悪かったな。お前に選ばせるつもりはないさ、自分の始末は自分でつける」
 潮時だ。さっきとは違った緩やかさと確実さで、俺は消える決意を固め始めていた。

 ――と、立ち上がりかけた俺の手をつかんで、8主がグイッと胸の中に引き戻した。
 もう一度ぎゅっと抱きしめられる。
「こぉら、また一人で抱え込んで勝手に決めようとしてるでしょう」
 見上げると、まるっきりいつも通りの笑みが返された。
 いつもの、ちょっと意地悪な感じの、でもなんか憎めないあの笑顔で――
「言ったでしょう? ちょっと死んでるくらいなんだって。
ずっと一緒にいる、こんなに大切な人を、僕は簡単に諦めたりしません」

 ……ここにアホがいるよ。
 こんな俺でも、まだ大切だとかぬかしやがりますか、このアホは。
「僕たちこれでも、世界を救ってるんですよ? 必ず何か方法はあるはずです」
 8主が自信満々の口調で続ける。俺はほうけたように「うん」とうなずいていた。
「それで、まず確認したいのですが」
 青年は今までにない真剣な顔で、俺を見つめた。
「…………………………………その『食事』って、僕じゃダメ?」
 おい。思わず腕を払って身体を起こしたら、8主はやっぱり真剣な顔で詰めてくる。
「どうなんですか? ただの食事なんでしょ? 僕でもいいんじゃないんですか?
HPの高さには自信ありますし。あ、MPも。なーにちょっとやそっとじゃ参りませんって」
 お前ポジティブすぎ。っつうか俺の身体が目当てですか? 姫さんに言いつけるぞ。
「ダ〜メ。お前の場合、混ざってるその力と反発するから。食あたりする」
「そうですかぁ……しゅん(´・ω・`)」
 しゅんとか声に出すな。顔文字ヤメレ。

 なんだかなー。今けっこう悲愴な決意を固めて、
 どこでくたばろうかとか真剣に考えちゃってたのに。やる気無くした。

142【Ligament】[6] 6/7:2007/03/03(土) 06:04:35
「お前、実は真性のバカだろ?」
「なんかものすごい言われようですが、今日だけは許してあげます」
 8主がニヤリと笑う。立ち上がって、う〜んと背中を伸ばした。
「こんなとこに座ってたからおしりが痛くなっちゃいましたよ。
しかも徹夜ですよ、完徹。あーあ、ほんとこの人は手がかかる」
「すんませんね。昼まで自分の部屋で寝てろよ、起きたらなんかメシ作ってやる」
「お優しいことで。でも離れていいんですか?」
「お前なんかとそんな始終ベッタリしてられっか」
 それに、今日は村に戻ってシンシアに謝って来ないとまずいからな。
 彼女を振った、だと? んなことありえねえだろ。
 3主をひっかけるために勝手なこと抜かしやがって、あのヤロー。
 いや、アレも自分には違いないんだけども。
「俺も用事があるし、たぶんこの調子なら半日くらい大丈夫だと思う。
昼には戻るから、その時にメシ食いながら今後のことを話したい」
「わかりました。でも、おかしいなと思ったらすぐ呼んでくださいね。
ケータイまくら元に置いておきますから」

 俺は8主とわかれて、階下に向かおうとした。
 と、「4主さん」と再び呼び止められた。
 振り向くと、相手はちょっとためらったあと、言った。
「僕の今の位置づけとか、聞いてもいいですか」
 あ〜……意外と乙女思考なんだなぁ。その辺ハッキリさせなきゃダメなタイプ?
「シンシアは恋人。絶対領域だから何人たりとも立ち入ることは不可能」
「そりゃそうでしょう、僕もミーちゃん絶対領域だし。3主さんは?」
「今さらトモダチとは言えんしなぁ。まあ強いて言うなら、愛人ですかね」
「僕は?」
「お前は……主治医?」
「うは!」
 あ、喜んだ。
「オーケー了解です! じゃあ一眠りして "治療法" を考えますよ。では後で!」
 微妙にアイツの思考回路は、よくわからん。

143【Ligament】[6] 7/7:2007/03/03(土) 06:05:03
 村に戻ると、家のドアを開けた途端に、待ちかまえていた4女に蹴りをかまされた。
 階段の下まで転がり落ちる。手加減まるでナシだ。
「これ以上やったら、ますますシンシアが泣くから勘弁してやるけど」
 恐ろしいオーラを立ちのぼらせて、コメカミのあたりをピクピクさせている。だが、
「あたしは外に出てるから。終わったら呼んで」
 多くは言わず、スタスタと俺の横を通り過ぎていった。
 自分の分身みたいなものだが、なかなかイイ女だと思う。
 もし彼女が俺だったなら、こんなことにはならなかったのかもしれない。

 シンシアは奥の寝室で、ベッドに突っ伏していた。カーテンを締め切っていて薄暗い。
 肩に触れると、ガバッと胸に抱きついてきた。
「ごめんな、シア」
 小さく首を振る。――私が悪いの、約束を破って宿舎に勝手に行ったんだもの。
「でも、俺いろいろ、裏切ってる」
 また首を振る。――全部わかってるわ、あなたが昨日……何をしていたのかも。
「やっぱりか。じゃあ俺はどうすればいい?」
 彼女が顔を上げた。――あなたが死なないようにすること。それだけを考えて。
「マジ? うわゴメン、危うく自殺するとこだった」
 軽く頭を叩かれた。――悪い子ね。知ってるでしょ? 私が怒るのはそこだけなのに。
「わかった。8主とか、他の連中に相談してみる。前向きにさ」
 彼女は小首をかしげた。――8主さん? でも彼がいると、あなたは死ぬじゃない。
「まあ、そうだけど」
 俺の耳元に唇を寄せて、そっと囁く。――ダメよ、せっかく目覚めかけているのに。
「どういうこと?」
 彼女が笑った。とても美しい笑顔で。――8主さんを消してしまいましょう。
「……それが、最善なの?」
 彼女は、はっきりうなずいた。

 俺は急いで部屋を出て4女を呼び戻し、入れ替わりに外に出た。
 最近ようやく使い慣れてきたケータイの短縮8番でヤツを呼び出す。
 ワンコールですぐ出た相手に、俺は叩きつけるように言った。
「今すぐ全員を連れて逃げろ。今度は……止められそうにない」

144【Ligament】[6] おまけ:2007/03/03(土) 06:05:34
3主「はい一回休み! いいなぁ、のんびりできて」
8主「ふふん、負け惜しみですか?」
3主「お前そんな余裕かましてていいのか? なんか死亡フラグ立ってるぞ」
4主「さーつじんき〜殺人鬼〜♪ BL展開どこいった〜♪ 次のぉ回にはヤりたいな♪」
38主『なんちゅー歌だ!』
4主「だってさー。なんかバトロワっぽくなってきてイヤーンなんだもん。
   まあサンちゃんの寝こみ襲ってもいけどさ。俺そろそろ腹減ってきたしぃ♪」
8主「あ、あれ? 僕ここにいるのに、正気に戻らない?」
4主「しょーきってなぁにィ? ……まぁた俺の邪魔する気ィ?」
3主「ちょwwwおいおい、しまえその剣」
4主「サンちゃんも、邪魔するなら、殺すよ?」
3主「マーダー化ktkr」
4主「なぁに勝手なこと言ってんのさー。ねえシンシアちゃん?」
8主「いらっしゃってるんですか!?」
4主「当たり前じゃん。ようやくこうして一緒にいられるの、超シアワセ♪」
3主「おい、なんか言ってることおかしくないか? いや普段もおかしいけど」
8主「っていうか――あなた、『誰』ですか?」
4主「俺は俺だろ。みんなのアイドル4主クンだよ。
   ちょっとばかしマイナーチェンジしてるけど」
3主「マイナーチェンジってレベルかよ、ほとんど機種変だ!」
4主「ま、謎は次回で明らかに?」
8主「このシリーズもいよいよ佳境に突入でしょうか」
3主「さあねえ。っつーか、ちゃんと収拾つくのかね」
48主  「それは禁句www」

3主「↑この空白はもしや……(((((( ;゜Д゜)))))」

145名無しの勇者:2007/03/03(土) 14:15:46
>>137
相も変わらず素敵な燃えをありがとう!
wktkしながら続き待ってます!

146名無しの勇者:2007/03/03(土) 16:02:31
もう萌えと燃えで前が見えない
乙&続き期待してます!

147名無しの勇者:2007/03/03(土) 17:06:05
8主が4主好きすぎて健気すぎて可愛くて泣けてきた
4主がなんかもう痛々しくて泣けてきた

148名無しの勇者:2007/03/03(土) 23:52:47
乙ったら乙!!!1!!
4主は一体どうなるの!?教えてエロイ人ーーーっ!

149133:2007/03/04(日) 01:49:12
キターーー!!
でも…ダメだ余計に続きが気になって仕方なくなりましたw
GJです!!

150名無しの勇者:2007/03/11(日) 13:58:33
こんにちは〜。こちらには初めてカキコさせていただきます。
今回、久々に【Ligament】を読んだらなんと、
まさかこんな展開になっているとは! 驚きました〜w
4主クンどうなっちゃうんでしょう、激しく気になります。

あとおっしゃる通り、文体とかクセが私と少し似てるかもですが……
私なんかより全然うまいですよ! っもう、うらやましいってばw
連載は大変だと思いますが、頑張ってください。ではでは〜。

151名無しの勇者:2007/03/11(日) 17:59:52
元祖ネ甲キタ―――!!

152名無しの勇者:2007/03/11(日) 19:11:03
うわ〜、まさかこちらに書き込みいただけるとは!
ありがとうございます! そしてすみません! こんなに内容変えちゃって。
うまいなんてとんでもないです。元ネタに恥じないよう必死です。

あと、自分が言うのは本当におかしな話なんですが、
どうかご無理はなさらないでください……全部自分の責任なんで(いやマジで)

153名無しの勇者:2007/03/12(月) 00:53:06
大丈夫ですよー、今はだいぶ耐性がつきましたし!
チューくらいなら平気になりましたwwイエー!

実は私、あんなもん書いてる割に基本的にはBLダメな人間なんですよwww
便乗願いを頂いた時、てっきり普通の避難所への投下だと思いこんでまして、
なんとリガメントも4話まで進んだあとに勘違いに気付いたのでしたw
(あのあたりのやり取りは今思い出しても笑えますよね、靱帯さん?w)

というわけで、こちらへの書き込みはあまりしないと思いますが、
リガメントは全面的に応援してますので! もう好き勝手やっちゃってくださいね!
ではお邪魔しましたー ノシ

154【Ligament】[7] 0/5:2007/03/16(金) 15:40:57
3主×4主←8主fromDQ主雑

4主「恒例サンクスコール行っきまース! >>145-149の皆様、レスありがと♪」
3主「そして恐れ多くも元祖、ご本人様にご支援いただいて、大感謝です」
8主「苦手分野にも関わらずカキコありがとうございます。いや〜しかしホント、
   あの時のやり取りは一生忘れられそうにないですよ」

 --------以下、実話を元にした再現VTR--------
元祖「え、BL……ですか?」
靱帯「ええ。なので普通の避難所には間違っても落とせないっていうか……あれ?
   最初のメールで投下先のURL書きましたよね?」
元祖「そこページが無くて、でも普通の避難所だと思ってたんでいつもブックマークから
   通ってたんで、ちゃんと確かめてなかったんです。ごめんなさい」
靱帯「あ、URLのコピーをミスってました! こちらこそすみません」
元祖「BL……BL……それって当然……ブルース・リーの略じゃないですよね?」
靱帯「アチョー!ですか!?燃えよドラゴンですか!? そんな男らしいパロ自分には書けません!」
元祖「そうですよねー。うんうん」
靱帯「あの……もしかしてもしかしますが……BL……ダメ……なんですか?」
元祖「あはははは。実は」
靱帯「あはははは。なるほど」
元祖「………」
靱帯「………」

靱帯「うわーーーー!!! どうしよマジごめんなさいすぐ連載中止しますぅぅぅ!!」
元祖「落ち着けー!! 気にしなくていいから全然平気だから大丈夫だから続けてー!!」
 --------再現VTR終了(ご本人様の承諾を得ております)--------

3主「なんつーか、自分アホですみません。その後も何度も励ましていただきまして」
4主「お陰様で、今ではもう好き勝手やらせてもらってます、はい」
8主「拙筆ながら頑張りますので、元祖様と読者の皆様方、今後ともよろしくお願いいたします。
   それでは、【Ligament】第7部 本編スタートです!」

155【Ligament】[7] 1/5:2007/03/16(金) 15:41:25
  <8主>
「3主の様子がおかしい」
 5主さんが僕の部屋に飛び込んできたのは、4主さんの電話が切れた直後だった。
「どういうことです!?」
 かけ直そうとしていた手を止めて、思わず大声で問い返した。思い当たることが
あるだけに、僕も冷静ではいられない。5主さんは、むしろ自分を落ち着かせる
ためのように、殊更ゆっくりと言った。
「血の気がなくて、体温が異常に低い。ぼうっとしていて呼んでも反応がないし」
 3女さんが発見して、ロト組の階は大騒ぎになっているという。
 僕が甘かった。まさか「喰われる」ということが、これほどの負担だったなんて。
「パデキアを飲ませようにも4主が見あたらないんだ。携帯も一回目は話し中で、
次からは電源が切れちゃってて繋がらなくて。今1・2・6主が探しに行ってるが、
君は彼の居場所を知らないかい?」
 携帯の電源が? じゃあかけ直しても無駄か。どうしよう……。 
「もしや何か知ってるのか」
 彼の視線は、携帯を持ったままの僕の手元に注がれている。「さっき4主が
話していた相手は君だったのでは?」と、言外で問うている。あの不思議な瞳で
見据えられ、出かかったごまかしの言葉ものど元で止まった。
 さすがだな。僕ごときじゃ、真剣モードの5主さんをはぐらかすのは無理だ。
「言います……が、くれぐれも4主さんのことを考えてあげてくださいね」
 それが条件。正直、この一連の問題は、僕の判断には余ることだと思っていたんだ。

 手短に今までのことを説明する。
 5主さんは最初こそ驚いていたけれど、話終わる頃にはしっかりとうなずいてくれた。
「事情はわかった。安心しなさい、絶対に悪いようにはしない。4主も3主も――君も」
 やっぱり大人なんだな、と思う。普段はアホなことばっかり言ってるエロキングだけど、
こういう時は頼もしい。
「まずは3主を回復させないとな。呪いかなんかだったら1回死んでもらってザオリク
するかなーとか思ってたんだけど、そういう話じゃ直らなそうだしね」
「いやちょっと、もう少し命を重視した方法を考えましょうよ」
「しかも4主クンとヤったのか……いいなぁチクショー。天罰だ」
 頼もしいという評価は早計だったか。
「ここにいたの! 早く来て、あのバカが起き上がったの!」
 3女さんが飛び込んできた。目に涙をいっぱい溜めている。よっぽど心配なんだな。
「行きましょう」

156【Ligament】[7] 2/5:2007/03/16(金) 15:41:52
 女性の前では話しづらいことなので、3女さんには部屋の外で待っててもらう。
彼女も何となく悟っていたみたいで、素直に従ってくれた。
 3主さんはベッドの端に座って、ぼうっと床を見ている。パジャマを着てたことに
ホッとした……のもつかの間。首の辺りに小さな赤いアザを発見してしまった。
 あの人に付けられたんだろうか。昨晩のことが蘇ってきて、胸が痛い。
 でもそれは仕方のないことだったんだからと、自分に言い聞かせる。
 ――と、放心状態だった彼の口から、小さく言葉が漏れた。
「……チクショウ」
「ん? 何か言ったかい3主?」
 5主さんが3主さんの前に膝をつき、頬に手を伸ばした。
 のろのろと視線が動き、5主さんを見て、それから後ろにいる僕を見る。
 3主さんはそこで、ようやく表情らしい表情を浮かべた。――苦笑。
「ここまで根こそぎ…取られるとはな。しかも、刷り込んで……いきやがった」
「刷り込む?」
 前半の意味はわかるけど、後半は何のことかわからない。二人で顔を見合わせると、
彼はこめかみの辺りを押さえてうめいた。
「ひでえ二日酔いみたいだ……頭の中に…ガンガン響いてる。8主を…殺せって」
「僕ですかぁ!?」
「おうよ……よっぽどお前が邪魔みたいだな。くそ、気を抜いたら……流されそうだ」
 ひぃい、勘弁してください。4主さん、エッチはただの食事だなんて嘘ばっかり!
「いやでも、僕に『逃げろ』って電話して来たんだし。近づくと殺すぞーっていう
警告で、本気じゃないんですよね、きっと」
 僕がそう言うと、5主さんは神妙な顔で腕を組んだ。
「そんな連絡を受けたら、8主は当然、事情を知ってる3主のところに向かうよね?
3主が強い精神力で自我を保ってたから良かったものの、下手したら同士討ちに
なってたんじゃないの?」
「で、でもあの人の声、必死な感じで、とても演技とは思えませんでしたよ?」
 つい4主さんを庇ってしまう僕だったけど。
「それも計算の内だとしたら?」
 5主さんの言葉にゾクリとする。
 正気に戻った時の自分の行動パターンさえ計略に練り込む……どこの夜神Ligjtだ。
 ――忘れてましたよ、相手は4主さん。天才指揮官にして、稀代の策士。
「もちろんザオリクってものが存在している以上、決定打にならないけど。
こういう細かい仕掛けも含めて君の殺害を考えているんだとしたら、厄介だよ」
 真っ向勝負でかかって来られてもかなりの強敵なのに、頭脳戦も絡めてくるか。
 あー、ワタクシ8主の人生、ちょっと終わっちゃったかもw

157【Ligament】[7] 3/5:2007/03/16(金) 15:42:16
  <7主>
 僕はそのとき、宿舎に向かって森の中を歩いているところだった。午前の柔らかい
日差しが、木漏れ日となって周囲や僕を斑に光らせている。
 釣り道具一式を持って山に向かったのは、今日の早朝、というより夜中の3時頃。
昨日の晩、6主さんが「たまには川魚料理もいいな」なんて言い出したからだ。
 他でもない6主さんの頼みとあれば、夜中に起き出して渓流釣りに挑むのも仕方ない。
 戦利品は40センチもあるイワナが3匹。イワナのフルコースが作れるだろう。お造り、
塩焼き、お吸い物、皮の炒め、骨酒なんかも付けようかな。
 正直、川魚の調理は4主さんの方が得意なんだけど――今回は譲れない。
 まったく6主さんったら「最近4主のヤツ妙に色っぽくなったよな」なんて。確かに
綺麗な人だとは思うけど、僕はむしろ、最近よけいに4主さんが怖くて仕方ないのに。
 ……失礼なのはわかっているんだけど、どうしてか彼には、まるで肉食獣にでも
狙われているような、そんな不安を感じてしまう。
「おう7主、ちょうどいいところにいた。頼む、少し手伝ってくれないか?」
「うわあ!」
 いきなり声をかけられて、僕はマジメに死ぬかと思った。
 振り返ると、4主さん当人がきょとんとした顔で立っている。なんだこのタイミング。
「なんだよ、また怖がってるのか」
 4主さんは数歩手前で立ち止まり、僕の反応をうかがっている。
「違うよ、ごめん考え事してたんだ。――で、手伝いって何?」
 僕が平静を装って問い返すと、4主さんは追いついて来て一緒に歩き出した。
「いや〜ガチでタイマン張ったらやっぱお前が最強じゃん? だから最初に頼もうと思って」
 なんだろう。またマスドラ打倒作戦でも考えてるのかな。
「悪いけどケンカの手伝いをする気はないよ? 僕はこれでも平和主義者なんだ」
「いやいや、ちょっと借りたい物があるだけだって〜」
「借りたいって、なんかの特殊アイテム?」
「はずれー。アイテムじゃないよん」
 ニッコリ笑う4主さん。なんか妙に明るいノリで変な感じだ。
「じゃあなにさ」
「――アルテマソードと、マダンテ」
「え?」
 瞬間、視界が回転した。

158【Ligament】[7] 4/5:2007/03/16(金) 15:42:41
 足払いをかけられて転ばされたんだ、というのはすぐに理解できたけど、同時に
4主さんが覆い被さってきて、僕はパニック寸前になった。
「マホトーン♪」
 耳元で囁かれて、まるっきり体勢のできてない僕はあっさり呪文を封じられてしまう。
「え?え? ちょっ」
「どうするナナちゃん? 俺は奉仕されるのが好きだけど、今回はやったげてもいいよ」
 フーっと首筋に息を吹きかけられて、僕は全身から血の気が引いた。
「ななな、なんのお話しデスカ!?」
「ヤラシイことしようよ、ってハ・ナ・シ☆」
 言うなり、僕の唇に彼のそれが重ねられた。舌が押し入ってきて、それだけ別の
生き物みたいに僕の口の中を動き回る。柔らかく絡め取られて、吐息とともに、何かが
吸い出されていく感触に、身体から力が抜ける。ちょっと待って、なにが起きてるの?
「ぷはっ……ふ…ぁ……」
 ようやく解放されたときには、僕は息も上がっていて。
「ねえナナちゃん。人間がもっとも無防備になる瞬間って、いつだと思う?」
 問いかけられた言葉も、頭の中に入ってこなくて。
「寝てる時って意外にガード堅いんだよね。物理的には無抵抗だけどさ、精神的には
オープンになってるわけじゃない。催眠術だの自白剤だのは、強引に記憶を引っ張り
出してるだけで、内側に入り込むのとは違う」
 楽しそうに、歌うように、4主さんは話し続ける。
「完全な無防備……直に魂に触れ、その瞬間に相手の全部がつかめるような、そんな状態」
 なに? なにを言ってるのこの人?
「ま、答えは簡単なんだけどさ。要は――イかせちゃえばいいのね」
 とんでもないワードが出てきて、混乱が一気に恐怖に変わる。
 それは「僕は今襲われている」という強烈な認識に至り。
「わー! 待ってよ! 4主さんにはちゃんと恋人がいるじゃないか!」
「それは大丈夫、公認だから♪」
「えーっ!!?? いやそれでも、僕の特技を借りるのとコレと、なんの関係が……!」
「ヒントは『サンちゃんで実験済み』と、『俺はマホトーン使えましたか?』の二つ」
 そう言えば……4主さんはマホトーンを使えなかったはず。
 "サンちゃん" ってのが3主さんのことなら、確かに彼の方は封呪魔法の使い手だけど。
 つまり4主さんがさっきから言ってる「借りる」とは――。
 能力の、コピー。

159【Ligament】[7] 5/5:2007/03/16(金) 15:43:06
「本当はこんなん面倒なんだけどさぁ。前に覚醒したときは、ほとんどの呪文も
特技もプリインストールされてる状態だったのに、あのバカが初期化しやがって」
「覚醒。あの、黒い翼の……?」
 極大呪文を楽々と連発し、僕をあっさりと殺した、アイツ。
「そう。だからまず最強ワザから回収しようと思って。その二つさえあれば
他はいらんし。というわけで大人しくしろよ? 楽しませてやるからサ♪」
 4主さんは僕の首筋に唇を寄せた。

「い――――。いい加減にしてよっ!」
 叫ぶと同時に、僕はメラミをたたき込んだ。
 反射的に離れようとした4主さんは、避けきれず至近距離から火の玉を腹に
くらって後方に吹っ飛んだ。木の幹に背中から叩きつけられて、ズリ落ちる。
 マホトーン。使い慣れてないから忘れてるようだけど、僕や8主クンはある
程度時間が経つと呪縛が解けるんだよ。神秘的な力を借りる先の精霊が世界に
よって違うから、とかなんとかって小難しい仮説は、よくわからないけど。
 密着してると特技系は失敗しやすいから、このチャンスを待っていたんだ。
「そうやって他のみんなからも奪い取るつもりなの!? そんなことしたら、
今度こそ仲間じゃいられるなくなるよ!?」
 みんな必死に戦って、4主さんが死んだと思った時は本当に絶望して、助かったと
知った時には心の底から喜んで。
「みんな必死にあなたを助けようとしたのに! また負けちゃったの? 目を覚まして!」

 木の根元にへたり込んだまま、4主さんはクックックと低い声で笑った。
「密着状態では自分が巻き込まれるのを避けるために、火炎系は使わないもんだが。
俺が距離を取るのも計算して、あえて一点集中型で発動の早いメラミを選択したわけだ」
 4主さんがスウッと顔を上げる。ザワリと、周囲の空気が蠢いた。
「DQ界屈指の戦闘能力はダテじゃないか。せっかく穏便に済ませようと思ったのになー」
 彼の背後に、半透明の黒い翼が開かれていく。そして瞳は猫のような縦長の瞳孔に。
「お前は弟みたいで気に入ってるんだが……仕方ないね。少し、痛いよ?」
 そいつがゆっくりと僕に近づいてくる。さっきとはまるで違う威圧感に、僕は動けない。
 なんとかひれ伏すのだけは堪えている――そんな感じで。
「や…だ……」
 怖い――。怖い助けて。怖い怖いコワイ、いやだ、助けて!
 6主さん……!

160【Ligament】[7] おまけ:2007/03/16(金) 15:43:32
7主「キャー! いや…やめて!……あ…ふ…ぅあ…!」
4主「ククク、嫌がっていても身体は正直だよね……ほら、ここをこうすると」
7主「あん!……あ、あ、ダメ…そこは……爪はダメなのー!」
3主「爪?」
7主「左足の親指の爪はダメなのー!」
4主「ふっふっふ、それとここ……右手の中指の第2関節をモミモミ……」
7主「あーん! もう許して……!」
8主「ちょっと待て」
4主「可愛いよナナちゃん、もっと乱れてよ。ほら、左腕のひじの内側をキュウっと」
7主「はう! ソコは……そんな強く押さえないで……!」
3主「どう見ても『はい採血しますよー。グーしてください、痛くないですよー』
   の場面にしか思えないのだが」
8主「ナースコスの4主さんならメッサ萌えますけどね〜」
7主「あぁ、あ…っく……はう!…ガクッ」
4主「おやおや、もうイっちゃったの? ここが一番カンジちゃうんだね……鼻の頭」
3主「いやこいつの性感帯おかしいだろ!」
8主「そしてなんでそこ的確に知ってんですか!」
4主「アハハハー! あいつもナナちゃん満足させんのは大変そうだなー♪」




6主「7主…………orz」

161名無しの勇者:2007/03/16(金) 19:50:50
続きキテターー!
なにげに6×7ぽい表現が入っててテラウフフ

162名無しの勇者:2007/03/17(土) 10:59:31
Ligament続き待ってましたー!
どうなるのか続きがマジ気になる。
これからも頑張ってください!

163名無しの勇者:2007/03/17(土) 14:09:28
続きキテタ―――!!
相変わらず4主がテラエロスで8主がテラケナゲス
それに加えて7主可愛いよ7主

164【Ligament】[8] 0/5:2007/03/20(火) 14:37:54
3主×4主←8主fromDQ主雑

3主「ういーっす、毎度お騒がせしておりますリガメントです。それでは恒例の」
8主「サンクスコール行きます。>>161・162・163様、レスありがとうございます!」
4主「そのあたたかい一言が、ウラン以上の核燃料になります、ハイ♪」

3主「ところでこのシリーズも8回目か。ちょっとダレてきた気がするな」
8主「そうですか? みなさん楽しみにしていただているようですし、
   中の人もヘタっぴなりに展開を頑張ってるみたいですが……」
4主「実はそう思って、今回はちょっと変わった趣向にしてみたぞ?」
8主「さすが4主さん、用意がいいですね! で、どんな趣向ですか?」
4主「おう! 今回は――ちょっとスプラッタな映像が入りまーす。
   血とか痛い話が苦手な方は、ご注意くださいネ☆」
3主「ススス、スプラッタだとぉ? 今度はなにをやらかしたんだお前はぁ!」
4主「ちょっぴり残虐なだけで、別にそんな大したことしてないって〜」
8主「残虐のどこが大したことないんですか!? 誰を殺ったんです!?」
4主「それは本編を読んでのお楽しみじゃねーの?」
3主「いやだからお楽しみにならん苦手な人はどうするんだと小一時間(ry」
4主「問題のシーンは3/5にあります。苦手な方は、
   最後の「おまけ」にそのシーンの簡単な説明文を載せておりますので、
   3/5の代わりに「おまけ」を読んでから、4/5に進んでください」
8主「スプラッタであることを示しているだけで、嫌な人がいるかもしれませんけどね」
4主「それはそれ、仕方ないよネー♪」
3主「HAHAHAHAHA……もう俺の手には負えなくなってきますたw」

8主「というわけで、もはやBLというよりBRになりつつある
   【Ligament】第8部 本編スタートです。誰かこの人を止めてください」

165【Ligament】[8] 1/5:2007/03/20(火) 14:38:22
  <6主>
 3主の状態は異常だった。
 まずは万能薬バデキアだと5主に言われ、4主の部屋を訪ねてみたが留守。確か
今日は村に戻る日ではなかったはず……と疑問に思ったが、考えても仕方ない。
「3人でぞろぞろ行っても意味ないし、パデキアはお前に頼む。その間に、俺と
2主は何か栄養のあるもんを買ってくるよ」
 1主の提案で俺たちは宿舎の前で別れ、俺は一人で4主と4女ちゃんが暮らす
山奥の村に向かった。

 そこで俺は、滅多に見ない物を見てしまった。
 俺の妹レーダーにこそひっかからないが、可愛くていつも明るい4女ちゃんが。
 本当はなかなか芯の強いしっかり者で、滅多なことでは負けない彼女が。
 庭先に一人、地べたに座り込んで、声を殺して泣いていた。
 小さく、繰り返しつぶやいているのは――。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
「どうしたんだ4女ちゃん! どっか痛いのか? 誰かにイジメられたか!?」
 駆け寄って彼女を揺すると、4女ちゃんは俺を見て、くしゃっと顔をゆがませた。
「……まさか本当に……ことは進んでるのね」
 脈絡がつかめない。ただ、絶望を悟ったような、胸の痛くなる表情だった。
 俺は迷った。もちろん普段なら、一も二もなく女の子を優先するところだが……。
(まずは3主さんの方が先だよ)
 もう一人の俺が心の中でささやく。表から見ればどちらも6主だが、俺たちの中で
役割分担は割と明確にできている。
 こういう時の冷静な判断はこいつに任せた方がいい。
「すまん4女ちゃん、今すぐ手助けしたい気持ちは山々なんだが、3主が大変なんだ。
パデキアを分けてくれないか? 宿舎に届けたらすぐ戻ってくるからさ」
 ああ――と彼女はうめくようにうなづいた。
「今ここにはないわ。全部アイツが持ってっちゃった。きっと邪魔になるから」
「邪魔になる? どういうこと」
「ごめん。あたしには何も言えない。シンシアが決めたことだから……ごめん」
 瞬間、彼女はルーラの詠唱を始めた。バチッと空気が弾けて、俺が移動呪文の
対象外に指定されたことを知って慌てて距離を取る。対象外指定されているのに
近くにいると、半端に巻き込まれて時空の狭間で身動きが取れなくなるのだ。
「たぶんアイツは、宿舎の近くにいると思う。でも絶対アイツには近づかないで。
そしてもし会ってしまったら……」
 彼女は意味深なメッセージを残しつつ、光に包まれて上空に姿を消した。

166【Ligament】[8] 2/5:2007/03/20(火) 14:38:50
 4女ちゃんを見送ってから、俺は宿舎の近くの森を捜索することにした。
 会うなと言われても、4主がパデキアを持っているのなら探すしかない。
(4女さんの言ってたこと、みんなに言った方がいいのかな)
 もう一人からの問いかけに、俺はうーんとうなった。4女ちゃんの言うことを
全面的に真に受けるワケではないが、なにも知らないまま4主とばったり会うのは、
やはり良くない気はする。
 彼女が去り際に残していった言葉が、俺の頭でぐるぐると回っている。
「アイツに会ってしまったら絶対に逆らわないで。でなきゃみんな殺されるよ」
 殺される……か。
 蘇生呪文、という究極の超自然現象を操ることができる俺たちにとって、生き
死にはどうしても軽いものになりがちだ。
 だがこないだの4主の事件で、俺たちはザオリクが決して万能では無いことを
思い知った。たとえば、自殺はザオリク対象外の死であるとか。実際のところ、
ザオリクが成立しない条件の方が、成立する条件より圧倒的に多いのだという。

 あの事件のあと、5主は「この際だから」と改めて全員に蘇生呪文について
講義してくれた。城での勉強の時間はいつも居眠りしている俺だったが、事が事
だけに、あの時は真剣に聞いたものだ。
「呪文という一連のプログラムを実際に形として成しているのは、この世界全てに
溶け込んでいる不定形のエネルギー体……エーテルとか呼ばれている……が働いて
いる結果だ、というのは今さら言うまでもないよね?
 精霊神ルビスやマスタードラゴンなどの神格級の存在も、人間より高度にこの
仕組みを使いこなせるという点で、上位者にいる者達だ。
 ここでザオリクの話に戻るけど、これら蘇生呪文を構成するプログラムには、必ず
『対象となる生物の死因』が組み込まれるという特性がある。『死因』つまりその
生命の故障過程の情報を受け渡さなければ、ちゃんと修復できないからね。
 ところが『死因』によっては、自然の摂理を大幅にねじ曲げるプログラムができて
しまい、世界の基礎を構成するエーテルそのものが処理できないケースが出てくる。
例を挙げると『自殺』もそうだし、他にも――」

 そこまで思い出したとき、ふと前方の茂みの上に帽子が引っかかっているのが
目に入った。緑色の頭巾、間違いなく7主のものだ。
 そういえばあいつも今朝から姿を見ていない。まずいな――妙な胸騒ぎを覚える。
 と、人の声がした。低くくぐもった笑い声と、かすれるようなうめき声。少しでも
距離があれば、気づかずに通り過ぎていただろう。

 通り過ぎていたのなら、俺は7主のあんな姿を見ずに済んだのだろうけど。

167【Ligament】[8] 3/5 (ちょっと痛い話です):2007/03/20(火) 14:39:15
  <7主>
 ピチャピチャと、犬が水でも飲んでいるような音が、僕の身体から発せられている。
 4主さんに散々いじられ、えぐられ、かき回されたそこが、とてつもなく熱い。
 動けない僕を樹に寄りかからせ、4主さんは恍惚とした表情で作業を続けている。
 僕が見つめているのに気がついて、彼はぬらぬら光る指先を僕の頬に滑らせた。
「ナナちゃんの中、いいよ。あったかくて、柔らかくて、最高だ」
 何度目かの口づけを受けた。ねっとりした液体が流れ込んできて、あまりの気持ち
悪さに吐き気を覚える。どうして4主さんは、こんなものを美味しいと言えるんだろう。
「大丈夫、最後はきちんとしてあげるから安心しなよ」
 なにが大丈夫なんだ。ちっとも大丈夫じゃない。そんな単語が当てはまる状況は、
あなたに会った時点から銀河の彼方じゃないのか。

 気持ち悪い。自分の――血のにおいが気持ち悪い。
 あたり一面に立ちこめる鉄サビのにおいが嫌だ。すぐ目の前から漂ってくる、
僕の内臓の生臭いにおいが嫌だ。さばいた魚の方がずっとマシだ。僕は魚以下か。
「気にするなよ、人間なんてみんなこんなもんだ」
 僕の心を読んでいるのか、4主さんがなだめるように言う。きれいな顔の半分
以上を血で汚し、髪の毛まで赤黒いまだらに染まっている。8主クンが見たら
きっと「どこの原住民のコスプレですか」なんてツッコムところだろう。
 それでも彼は、壮絶に美しい。
 恐怖はとっくの昔に消えている。最初に、あんまり簡単に利き腕を飛ばされた
あたりで諦めたように思う。残りの手足も、今はどこにいったかわからない。
 僕のお腹に顔をうずめて、4主さんはまた僕を丁寧に貪り始めた。
 クチャクチャ。ピチャピチャ。グチュリ。別に痛みはない。4主さんが言うには、
恐怖も極限を通り越すと、アドレナミンやドーパミンといった脳内麻薬がバンバン
出まくって麻痺するんだそうだ。なんかイっちゃった時みたいになるらしい。
 別に気持ちいいって感じはしないけどね。むしろ、やっぱり気持ち悪いよ。
 ただ、もうじき死にそうだなぁとか、冷静に考えられるのはそれのお陰なのかな。

「ふぅ。あー喰った喰った。ごちそうさま♪ ――おっと、お客さんだ」
 チュッと僕の額にキスをして、彼はおもむろに立ち上がった。一歩横にどける。
 今来た相手に、僕がよく見えるように。僕が相手をよく見えるように。
「ちょっと遅かったね――ロクちゃん」
 ブラックアウトしかかっている僕の視界に、一瞬青い色がかすめた。
 あの人の声が僕の名を絶叫する。それを最後に、僕の意識は戻ることはなかった。

168【Ligament】[8] 4/5:2007/03/20(火) 14:39:40
  <4主>
「アルスーーーー!!!!!!!」
 叫びながら猛然と突進してきた青髪を、俺はバックステップでヒョイっと避けた。
二人の時はその名で呼んでたのか。ほほう、さてはこいつらデキてたな?
 6主は俺のことなどアウトオブ眼中で、動かない7主にすがりついた。
「アルス! アルス! っく……In spirits of the dead Rubiss's name, Return
your soul. The earth makes body, The water makes blood, The flame makes
temperature, The wind makes pulse, and The light falls on eyes.....」
 ほとんど聞き取れないほどの早口で、一切の乱れもなく回復系の最高等位呪文を
練り上げていく。とてもそこらの神父じゃマネできない正確無比の詠唱。
 普段のバカチン王子とはほど遠い真剣な表情に、この俺でさえちょっと見とれて
しまいそうだ。
「――My shadow changes into the wing, flies about the nether world, and
leads you to me.――Revival cantrip Zaoriku!!」
 最後の実行キーが唱えられ、呪文が発動する。
 しかし、彼の渾身のザオリクは奇跡を見せず。
「……何を……した」
 ゆらりと立ち上がった6主は、ここでようやく俺を見た。
「見ての通りおいしくいただきましたが、何か?」
「本当に……喰ったのか!?」
 見りゃわかるでしょうに。俺は自分の手の甲についてた7主の血をペロッと舐めて、
肯定してみせた。
「だからナナちゃんは生き返らない。5主の授業は覚えてるだろ?」
 ザオリクが効く死に方と、そうでない死に方の違い。
 後者に当てはまる死因の一つに、食うための殺害が含まれる。考えてみれば当然の
話、殺して食べた家畜にザオリクが効くようじゃ、農業が成り立たないもんねえ。
「この……化け物がぁ!」
 ラミアスの剣を振りかぶり、6主は素晴らしい動きで斬りかかってきた。
 おお、なんか初めて面と向かって化け物呼ばわりされたな。自分では散々言ってる
けど、いざ仲間に言われると結構グッと来るなぁ。
「死ね! 化け物! よくも、よくもアルスを!」
「生き返らせる方法、無くはないよ?」
 ザン! 俺の首のあたりをかすめるようにして、ラミアスの剣が木の幹に突き刺さる。
ほんの少し横にスライドさせるだけで俺の頭は胴体から離れるわけだが、剣を持つ手を、
もう一方の手が必死に押しとどめていた。

169【Ligament】[8] 5/5:2007/03/20(火) 14:39:58
「落ち着け……僕」
 6主の口から聞き慣れない一人称が出た。そういやもう一人この場にいたな。
「悔しいけど勝てる相手じゃない。それに、アルスを助ける方が先だろ」
 もう一人の彼はなかなか冷静だ。もし彼が止めなければ、6主は俺のアルテマ
ソードで粉々になっていただろう。
 発動しかかっていた最強特技をキャンセルし、硬直している6主の身体を押し
やる。変わり果てた少年の遺体のところへ戻り、彼を振り返った。
「物理的に全部はムリだから、こんな風に喰い散らかしちゃってるけどさ。
大事な物は……魂とか、なんかそういうの?は全部ここにしまってある」
 俺は自分の胸を押さえた。ここに7主の意識が眠っている。たまにフニャっと
寝返りをうつような感覚があったりして、穏やかに寝てるみたいだ。
 殺害と摂食は、決して混じり合えない他人に対する、最大の干渉行為だ。
 死ぬ間際から徐々に拡散していく精神や魂を、一切漏らさずに移し取るためには、
喰うのが手っ取り早いってワケ。あんまりスマートな方法じゃないけどさ。
「これさえあれば生き返る。潰すこともできるけどね。さて、どうする?」
「だから俺に、言うことを聞けってのか?」
 再び主権を交代したらしい6主が、射殺さんばかりに睨みつけてくる。
「まぁさか。そんな面倒なこと言わねえよ」
 わずかに怪訝そうな顔をする6主に、俺は彼が取るべき行動を教えてやった。
「俺の望みを考えて動け。俺が気に入るようなことを死ぬ気でやれ。いちいち
指示しないが、ミスったらナナちゃんは戻ってこないから、そのつもりで」
「……殺してえ」
 6主がギリリと音が聞こえるくらい歯を食いしばった。あはは、耐えてる耐えてる。
 さて、落ち着いたところで残骸を片付けよう。これを放っておくのも迷惑だろうし。
「せっかくだから試し撃ち〜♪ ――マダンテ!」
 辺り一帯を巻き込んで、7主だった物が跡形もなく消え去った。快調だ。やっぱり
神域クラスの呪文や特技となると、本人ごと取り込んでしまった方が間違いないな。
 なんか後ろで青髪が騒いでるけど、無視してルーラの詠唱に入る。
 そろそろ身体をきれいにしたいんだよね。ナナちゃんの血が乾き始めてて、カピカピ
して気持ち悪いんだもん。

170【Ligament】[8] おまけ:2007/03/20(火) 14:40:25
8主「0番レスでお伝えした通り、痛いお話が苦手な方のために、
   スプラッタな3/5の内容をここで簡単にご説明いたします」

   7主さんは4主さんに生きたままムシャムシャ食べられてしまいました。
   出血多量で死ぬ間際に6主さんがその場に現れました。以上です。
   それでは4/5へお進みください。 →4/5へ
   (これ以降は通常の「おまけ」となります。)


4主「カニバリズム〜やっほい♪」
3主「やっほい♪じゃNeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!!!!!!」
8主「食べちゃったんですか!? 本当に7主さん食べちゃったんですかぁ!?」
4主「うん。でもほとんど残しちゃったからなぁ。もったいない」
7主「そうだよ4主さん、食べ残すのは行儀悪いよ」
8主「ちょwww被捕食者登場wwwww」
4主「時間あったらちゃんとサバいて、レバ刺しにしたりモツ鍋にしたんだが」
7主「まったくだよ、こんなにいい食材を無駄にして」
3主「やめろぉ! 二度とモツ鍋が食えなくなる……ウプッ」
6主「4主ヌッコロス!」
4主「おやロクちゃん」
6主「今すぐ屠りてぇ! おいお前ら! この期に及んでまだこの化け物に
   肩入れする気じゃねえだろうな!?」
3主「いや、実は少し考えを改めようかと思っている」
8主「右に同じく」
7主「僕はさっさとリタイアしちゃったしなぁ。6主さんが必死になってくれて
   ちょっと嬉しかったけどね。じゃあ次の出番まで寝てるね。オヤスミー」
4主「はいオヤスミ〜。じゃあ行こうかロクちゃん」
6主「ちくしょ〜。絶対ブッ殺してやる」

8主「……どうなるんでしょうね、これから」
3主「……俺に聞くな」

171名無しの勇者:2007/03/20(火) 19:22:09
うおお何か怖いけど展開気になりすぎ!
(いつもそればっかですみません…)

172名無しの勇者:2007/03/20(火) 19:25:49
続きキター!
カニバリズムは私は大丈夫なので楽しめました
BRスレも好きだったりするもので
しかし怒り心頭な6主がカッコイイです
続き楽しみにしてます!

173名無しの勇者:2007/03/20(火) 22:38:52
こんな大変な状況なのに
6×7に萌えています。

174名無しの勇者:2007/03/21(水) 00:46:07
同じくBR好きだったりしますw
むしろ自分がナーナを美味しく召上りたいなと思ったのは内緒(ェ?

ロト紋的な詩のような詠唱も好きですが英語もなかなかオツですね。
では、今後も頑張って下さい。

175名無しの勇者:2007/03/22(木) 01:52:32
ひどいことになってるのに67に萌える萌える
すっかりBR状態だけどおまけの7主の軽いノリのおかげで案外平気で楽しめました

176【Ligament】[9] 0/4:2007/03/22(木) 04:35:42
3主×4主←8主fromDQ主雑

4主「それでは恒例のサンクスコール >>171>>175の皆様、レスありがとう!」
8主「4主さんの暴走のお陰でどういう評価が来るかとハラハラしてましたが」
3主「大丈夫そうで良かったです。ですが不快に思われた方には、改めてお詫び
   申し上げます。これも一つの表現として、お許しいただければ幸いです」

8主「ところで前回6主さんが唱えてた呪文って、出展元あるんですか?」
4主「なんか台本にほめろ!ってあるから適当にヨイショしといたけど」
6主「台本っておまwww 一応中の人が無い頭で考えたみたいだぞ」
7主「最初は普通に日本語で考えて、あとから思いつきで英訳したらしいね」
3主「舞台裏っぽい話題でいいな。元の文はなんだったんだ?」
6主「えーと。ありがちだな――
   精霊ルビスの御名において 汝が魂を喚び戻さん、
   地は肉に水は血に炎は温もりに風は鼓動に 光よ降りて瞳に宿れ
   我が影は冥府を巡る翼となり 我が前に汝を導く 蘇生呪文ザオリク
   ――だってさ」
8主「なんだ、ほとんどそのまんまじゃないですか」
7主「でもこういう呪文とか考えるのって、ちょっと楽しいよね」
3主「つい凝っちまって、これだけにやたら時間かかったりなw」
4主「でも大したことないからやっぱり無駄じゃん」
8主「それを言ったら可哀想ですよw」

3主「お、そろそろ時間か。
   たまにはこんな穏やかな会話で始めるのもいいだろう」
8主「ですねぇ。中身は緊迫しまくってるから、0番枠くらいはのんびりと♪
   それでは【Ligament】第9部 本編スタートです!」

177【Ligament】[9] 1/4:2007/03/22(木) 04:36:12
  <3女>
 あたしは今、宿舎の裏口の外階段に座っている。5主と8主に遠回しに席を外す
よう言われて、行く場所がなくて、仕方なくここで時間を潰している。
 別にすぐ戻っていいよって話だったけどね。でも言外の雰囲気は、最初から最後
まであたしが邪魔みたいだったから、ここは気を利かせないと。
 だいたい、自分が好きになった相手が、実は兄貴と付き合ってたってどうよ。
どんなに鈍い神経してたって、いたたまれないっつーの。
 ――失恋したんだな、というのは、意外とあっさり納得できた。
 最初から叶わないと知っていたから。あの緑髪の奇麗な男の子には心に決めた
女性がいて、そして彼から彼女を引き離すことなど、誰にもできはしないのだ。
 だけど、次点の愛人の立場でもいいんじゃマイカとか思い始めた矢先に、よりに
よって分身にそのポジションをさらわれるとは不覚だったわ。ホント失礼な話。
性別以外まったく同じ二人の人間を前にして、わざわざ同性に走りますか、普通?
 なんてね。それが実はあたしを守るためだってこと、わかってるから許すけど。
 あいつは――兄貴は、あたしの身代わりになった。自覚あるかどうかちょっと
微妙だけど、あたしが前に「彼」への想いを匂わせたとき、ものすごく反対した
から、「彼」という存在に関わることの危険性は悟っていたはずだ。
 あの翼を持たない天使は、とてもあたしなんかの手に負える相手じゃない。
 あーあ、あたしが1主や2主のご先祖ってのは、ほぼ確定だわね。いいわよ、
うんっとイイ男見つけて、シアワセになってやるわよ。そっちはせいぜい、泥沼の
中でもがいてろっての。バーカバーカ。
 いかん、涙出てきた。誰に対して泣いてるんだあたしは。
 あの人に? 兄貴に? それとも自分に? わかんないけど、ただ、悲しい。
「3女ちゃん……」
 呼ばれて顔を上げたら、4女が立っていた。問題児、だけどあたしの親友。
「いこっか」
 手を差し出されて、あたしは素直に握り返した。どこへとは聞かない。
「あんたも、失恋したのね」
 代わりにそう聞いたら、彼女は泣き笑いみたいな顔で、こくりとうなずいた。
 彼女もずっと、絶対に叶わない恋をしていて、そしてとうとう諦める日がきた。
 仕方ない、失恋二人組で傷心旅行といきますか。
 彼女のルーラの詠唱を聞きながら、あたしは宿舎を振り返った。あとは任せたよ、
兄貴。あたしたちが戻ってくるまでに、しっかり終わらせといてよね。

178【Ligament】[9] 2/4:2007/03/22(木) 04:36:43
  <3主>
 ごめんな――。急速に遠のいていく分身の気配に、俺は心の中で詫びた。
 緑髪の少年があの子の想い人というのは知っていた。でも決して許すことは
できなかった。ヤツが抱えている闇はあまりにも深すぎて、あの子をみすみす
不幸にするわけにはいかなかったから。
 幸い例の事件以降、ヤツの関心はすっかり俺の方に移った。だから好きに甘え
させておいた。俺自身の気持ちがどうかと聞かれれば、実は今もよくわからない。
 だが責任は取る。お前が戻ってくるまでに、きっちりカタをつけてやる。

 冷え切った心と体を温めてくれる優しい感触の湯の中から、両手を持ち上げる。
手を開き、握って、もう一度開く。だいぶ力が戻ってきた。ここまで回復すれば、
剣くらいは振れるだろう。
「どうだい、効いてる?」
 浴室のドア越しに5主に聞かれ、俺は「ああ」と短く答えた。バスタブ一杯に
アモールの水を沸かし、大量の万能薬を溶かし込んだ即席の「回復の泉」だ。
「病気じゃないなら、別にパデキアじゃなくてもいいんですよね?」
 と、8主が機転を利かせて用意してくれた、普段なら絶対にやれない贅沢な
一風呂だ。そこらの温泉よりよっぽど効くな。
 あのうるさく響いていた「声」も、体力の回復とともに自力で打ち消した。
 まだまだ本調子ではないが、いつまでもヘバってはいられない。あのバカが
取り返しの付かない事をしでかす前に、止めてやらなければ。

 浴室から戻ってみると、我が子孫たちがそろってリビングで待っていた。
「大丈夫か遠い方のご先祖!」
「なんか作るか? 果物とかヨーグルトとかも買ってきたんだが」
 5主と8主が目だけで「どうする?」と聞いてくる。まだ事情は話していない
ようだ。なにも知らないこいつらにとっては、今のところ、ご先祖がタチの悪い
インフルエンザにかかったようだとか、そんな平和な話でしかない。
 ひとまず栄養のあるものを、と買い出しに行ってくれた1主と2主。そんな
普通の気遣いが急に愛おしくなって、俺はソファに崩れるように座った。
「すまん。初代としては、あんまり情けないな」
「オイオイどうしたんだよ、ご先祖らしくもねえな。風邪で気が弱ったか?」
「遠い方のご先祖、バナナあるぞ! ごはん食べれば元気になるぞ!」
 こいつらには、俺からきちんと説明してやらなくては。俺の子孫なんだから。
「実はな……」
 言いかけたときだ。玄関の方からドアが開く音がした。

179【Ligament】[9] 3/4:2007/03/22(木) 04:37:04
 さっと緊張が走る。決して鈍くはない子孫たちは、俺の警戒心を感じ取った
途端にスッと臨戦の構えをとった。
「俺が見てくる」
 5主が席を立つと同時に、向こうからリビングのドアが開いた。
「6主? いつの間に戻って……」
 今度は5主が息を呑んだ。キッとにらみつけるような目で、俺たちを見渡す
6主。いつものハイテンションなお兄ちゃんキャラは、微塵もうかがえない。
「4主から伝言だ」
 今にも爆発しそうな感情をギリギリで押さえ込んでいるような声だった。
「“今夜遊びに行くよ。8主は一番いい服を着て待っているように。どっちに
着くかは各主に任せるけど、ちょっと考えればわかるよね?”――だとさ」
 5主は天井を仰いで、しまいに苦笑した。
「さすが4主クン、常に先手を打ってくるな」
「なんだ? 4主はでかけてて、夜に戻ってくるのか? 遊び?」
 オロオロしている2主の肩を、1主がぽんぽんと軽く叩いて落ち着かせる。
「もしかしなくても、あいつまた魔王化したのか?」
「魔王? ただの浅ましい怪物だ、あんなのは」
 6主が吐き捨てた。彼らしからぬ辛辣な言いように、再び全員が押し黙る。
「アルスが……7主が人質になってるから、俺はあっちに着く。でも最後は、
絶対に俺がこの手で殺してやる。あいつはな――」
 握りしめている両手がブルブルと震えている。
「7主の手足を引き千切って、生きたまま内臓を喰ってたんだ」
 ガシャン!と後ろでハデな音がした。8主が壁に背中をつけ、そばのサイド
ボードの下に花瓶が砕けていた。
「喰った……?」
「それも、うまそうにな。あれをまだ仲間だと思える方が異常だぜ」
 それだけ言って、6主はまたリビングを出て行こうとする。
「どこに行くんだい?」
 5主に問われ、6主は振り向かずに言った。
「ヤツの着替えを取りにきたんだ。ここから2キロくらい東に泉があるだろ?
あそこで7主の血を洗い流してる」
 ドアがしまり、階段を上っていく足音。
 6主が再び階段を下りてきて、そして玄関を出て行くまでの間、誰一人、口を開く
者はいなかった。


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