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FFDQかっこいい男コンテスト 〜なんでもあり部門〜
1
:
名無しの勇者
:2006/07/12(水) 21:32:41
FFDQなんでもあり部門の小説専用スレです。
シリーズ、作品の枠を超えた作品を投稿する時はこちらで。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。
*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*
ネタスレについては
>>2
以降(テンプレ考案中)
291
:
4主と8主を同じ部屋に閉じ込めてみた 1/2
:2007/06/05(火) 19:00:52
4主「くそっ!何だここは!?」
8主(4主さんと二人っきりのシチュキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!! )
4主「ドアも窓も開かないなんて…」
8主(これからは4主さんと一緒に寝起きして、一緒にご飯食べて、誰にも邪魔されずお話できるなんて……(*゚∀゚)=3 )
4主「どうにかして脱出する方法はないものか…?」
8主(あぁん、幸せ過ぎ(*´д`*) このままずっと二人で閉じ込められていたい!)
4主「……あ。そういえばこの最後の鍵でドア開けられるかも」
8主「させるかぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」
パシッ
4主「なっ!!?」
8主「どうりゃああああああああああああああああああ!!!!
スーパーハイテンションギガスロォォォォォォォォォォォオオオオオオオッ!!!!!!!」
パリ――――ン!!!! ←(窓ガラスが割れた音) キラ―――ン +
4主「………( ゚д゚)ポカーン 」
8主「……ぜぇ…はぁ……ぜぇ…はぁ……」
4主「は、8主……お前…」
8主(例え4主さんに怒られたって構わない!このまま二人っきりでいられるなら!!)
4主「8主!お前でかしたぞ!!」
8主「……へ?」
4主「お前が割ってくれた窓から脱出できるな!」
8主「……え?」
4主「よく見てみたらこのドア鍵穴無かったしな。
お前が窓破ってくれなかったら一生閉じ込められてたままかもしれなかったぞ」
8主「ええぇぇぇぇーっ!?そ、そんな……orz」
4主「……?何ガックリきてんだよ?ほら、さっさと出るぞ」
8主「は、はい……('A`)」
292
:
4主と8主を同じ部屋に閉じ込めてみた 2/2
:2007/06/05(火) 19:01:40
4主「……よいしょっと。ここ割れたガラス片が落ちてるから気をつけろよ、8主」
8主「いっそガラスが刺さって死んでしまいたい……」
4主「……?」
8主「はぁ……('A`)」
4主「……なぁ、8主」
8主「……はい、何でしょう?('A`)」
4主「さっきはアリガトな。いつもは変なことばっかするヤツだけど
いざって時に頼りになるな、お前(^ー^)ニコッ」
8主「.。゚+.(・∀・)゚+.゚!!!!」
8主(4主さんに……4主さんに笑い掛けてもらえた!!ヽ(*´∀`*)ノ )
4主(さっきからニヤニヤしたり落ち込んだりニヤニヤしたりと忙しい奴だな…)
293
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 20:12:49
3主が可愛すぎて困る
294
:
6主と7主を同じ部屋に閉じ込めてみた 1/2
:2007/06/05(火) 20:15:57
7主「どうしよう、6主さん。僕達この部屋から出られないみたいだよ?」
6主「うーむ、こういうときは…」
7主「こういうときは?」
6主「寝る!」
7主「ちょ、それ何の解決にもなってないよ!」
6主「すぴー……むにゃむにゃ……」
7主「しかも早いよ!……ってか、本当に寝ちゃってるし!」
6主「Zzzz……」
7主「おーい、6主さーん!」
6主「Zzzz……」
7主「完全に寝ちゃってるなぁ…」
6主「Zzzz……」
7主「むー……」
6主「Zzzz……」
7主「6主さーん。早く起きてくれないと寝込み襲っちゃいますよー」
6主「Zzzz……」
7主「……」
6主「……むにゃ………ターニアたん……」
7主「……6主さん、また妹さんに会いに行ってるのか……」
6主「Zzzz……」
7主「で、僕はこっちの世界に置いてけぼり、と……」
6主「Zzzz……」
7主「こんなに可愛いショタっ子と二人きりなのに、無視ですか、そうですか」
6主「Zzzz……」
7主「あーあ……何で僕ってこう難儀な人を好きになるかなー?」
6主「Zzzz……」
7主「……まぁ、いいや。とりあえずご飯でも作ってあげよっと」
295
:
6主と7主を同じ部屋に閉じ込めてみた 2/2
:2007/06/05(火) 20:16:41
6主「んん〜〜。ふぁあああ。良く寝たー」
7主「あ、6主さん。ようやく起きたみたいだね」
6主「おう、7主!おっはー!」
7主「時間的には、こんばんは。だけどね。……はい、これ。夕飯作っておいたよ」
6主「おー!さんきゅー!」
7主「一応この部屋には生活する為の必要最低限のモノは揃ってみたいだね」
6主「ふーん、そっか」
7主「とは言ってもいつまでもここにいるワケにはいかないしね。
明日からは脱出する方法考えなくっちゃ」
6主「まあ、俺はターニアたんといつでも会えるからこのままでもいいけど」
7主「そりゃ6主さんは、ね……」
6主「んー、それにしてもこのサバの味噌煮うまいなー」
7主「…………」
6主「こっちのおひたしもウマー」
7主「……ねぇ、6主さん」
6主「……ん?」
7主「僕、いつか絶対に6主さんのこと萌やしてみせるからね!」
6主「……へ?燃やす??………………メラゾーマっすか!?」
7主「絶対だから!覚悟しといてよね!!」
6主「え?なになに!?Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) 俺、何か7主を怒らせるよーな事したか!?」
7主「……さぁ?どうかな?」
6主「あれ?もしかして夕飯作らせたの怒ってる?
ごめんね、ごめんね。お兄ちゃん謝るから。だから機嫌直してよ、7主〜」
7主(ったく、鈍感なんだから。何でこんな人好きになっちゃたんだろ…?)
296
:
5主と2主を同じ部屋に閉じ込めてみた
:2007/06/05(火) 20:17:46
2主「ん?ここは何処だ?」
5主「どうやら僕達は閉じ込められてしまったようだね」
2主「なるほど。オレたちは閉じ込められてしまったのか!」
5主「それにしてもこの組み合わせ……カップリングからあぶれた二人を
とりあえず閉じ込めてみたようなテキトーさを感じる……」
2主「???」
5主「……だが、しかし!余りモノには福がある。という言葉がある」
2主「あ、そうだ…」
5主「現にここにいる2主はFC版。7主顔負けのショタっ子じゃないか」
2主「んーと、たしか…」
5主「この部屋ならエロ撲委も邪魔はできまい。
つまりショタっ子2主にあーんな事やこーんな事もし放題!」
2主「……おっ、あったぞ!」
5主「さぁ、2主!パパと一緒に大人の階段上りましょ〜ね〜」
2主「ごめん、5主。これからロンダルキア攻略に行ってくるから、階段上るのはまた今度な」
5主「……え?だって僕達閉じ込められてるし、どうやってここから出る気なんだい?」
2主「これを使うんだぞ!」
ピッ ピッ ピッ
どうぐ>キメラのつばさ>つかう
5主「え、ちょ、待って!こんな室内でキメラの翼使っても…!」
2主「じゃあなー、5主ー!」
ばひゅーん…
5主「あ、あれ……?」
*DQ2は街中なら屋根のある建物の中でもキメラの翼が使えます
5主「…………」
シ―――ン…
5主「え……えっと……」
5主「もしかしてこれ…………僕が一人寂しく取り残されるってオチ?」
5主「…………」
5主「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
297
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 20:34:55
割り込んでいたようですね
すみませんでした。
298
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 20:45:52
>>297
いえいえ。48投下した後に全員分作ったほうがいいかなーと
67と52を書き足したんで…
レスありがとうございます!
299
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 20:55:31
これは新しい解釈!
まんべんなく萌えさせていただきますた
300
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 21:24:51
パトハッシュかわいいよパトハッシュ健気だよ(*´д`*)ハァハァ
301
:
名無しの勇者
:2007/06/05(火) 21:50:25
3主4主6主に萌えて淡々とした2主にワロタw GJ!
302
:
ベタな勘違いネタ(67)
:2007/06/07(木) 17:38:20
2主「大変だ4主!」
4主「血相を変えてどうした2主?」
2主「7主が病気なんだ!」
4主「なんだって!?」
2主「7主の部屋の前を通りがかったら7主のうめき声が聞こえてきて……
で、部屋を覗いてみたら7主が苦しそうにしてたんだ!」
4主「それは大変だな!」
2主「6主が看病してたけど全然よくならないみたいだった。
だから4主、パデキアで7主を助けてやってくれ!」
4主「よし分かった。たしかパデキアの予備が…………ん、あった!」
2主「よかった!これで7主が助けられるぞ!」
4主「確か7主は自分の部屋にいるんだよな?」
2主「おう、そうだぞ。早く助けに行ってくれ!」
4主「ああ!……7主、待ってろよ。今助けに行く!」
7主「……うぅっ……いた…い……」
6主「大丈夫か、7主?何処が痛むかお兄ちゃんに教えてくれ」
7主「……お兄ちゃん……お腹が…痛いよぅ……」
6主「……ここか?」
7主「ううん…………もっと……下……」
6主「じゃあ……ここか?」
7主「違うよお兄ちゃん……もっと下のほう……」
6主「じゃあ……ここか?」
7主「……あっ……うん……そ…こ……」
6主「これは大変だ。患部が熱をもってるじゃないか!」
7主「お兄ちゃん……苦しいよぉ………身体が…すごく……熱いんだ……」
6主「こうなったら注射を打つしかないな。お兄ちゃん特製の太くてデッカイ注射を」
7主「……うん……お願い………お兄ちゃんの注射……僕に…打って……」
6主「ああ、分かった。今お兄ちゃんの注射を用意するからな」
7主「あっ……んんっ………お…兄ちゃ……ん…」
4主「……( ゚д゚)ポカーン 」
7主「あれ?どうして4主さんがここにいるの?」
6主「おいおい、出刃亀かよ。お前結構ムッツリだな」
4主「…………………………お、お前ら……」
7主「Σ(((゚Д゚lll))))) ビクッ!! 」
6主「ちょっ、4主??」
4主「紛らわしいプレイすんならせめてドアに鍵掛けてからにしろ!この大馬鹿ヤロ――――っ!!!!」
6主「ぎゃー!早まるな!ギガソードはやめてぇぇぇぇぇっ!!!!」
7主「ひぃぃっ!!4主さんの顔、超怖いよおおおおっっ!!うわ―――――ん!!!!」
2主「……あれ、何で4主は怒ってるんだ?それに7主も元気そうだし。オレよく分からないぞ」
303
:
名無しの勇者
:2007/06/07(木) 20:29:50
お兄ちゃん台詞がベタすぎwww
304
:
名無しの勇者
:2007/06/08(金) 00:57:29
なにがキレたって、2主の教育によろしくないからだと思われww
305
:
24 0/2
:2007/06/09(土) 11:40:27
>>304
教育によろしくない、ということから妄想。
たぶん24。5がセクハラ王。
微妙に女体化を想像させる記述があるので、苦手な方はご注意ください。
306
:
24 1/2
:2007/06/09(土) 11:41:07
5主「2主の性教育について」
4主「ギガd」
5主「ストップ4主君。これはそれなりに真面目な話なんだ」
4主「どこがどう真面目なんだよ」
5主「君は2主が王様になるために必要となる知識を教えているんだろう?」
4主「まあな。最近はどっちかというと一般常識のレベルだが」
5主「落ち込まない落ち込まない。そこで王に必要なのは、何かってことだ」
4主「……で?」
5主「何より重要なのは子孫を残すことさ」
4主「納得いくようないかんような」
5主「だから4主、これ」
4主「AVかよ!」
5主「実際にしてるのを見るのが一番だろ。顔赤くなってるよ、4主」
4主「赤くもなるわ!しかもなんだこのラインナップ、女教師ものばっか!」
5主「そこで作戦第2弾、ここで重要になるのが君のモシャスだ」
4主「……は?」
5主「女の子に変身!4主先生の実施教育☆」
4主「…〜!!(へなへな)」
5主「実際にさせるのが一番だろ。腰砕けちゃったの?4主」
4主「アブノーマルもいいとこだろ!教育になってねえ!」
5主「難しい問題を解いてしまえば後々楽だよ。まさか女の子に頼むわけにはいかないしね」
4主「そりゃそうだが、なんで俺が」
5主「だって4主が先生じゃないか。もちろん僕が教えてもいいんだけどね?」
4主「んだと?」
5主「まあその場合男同士にしかならないけど、2主君ならいいかなあ」
4主「……」
5主「ちなみに4主も大丈夫だよ。守備範囲内、むしろストライクゾーン?」
4主「こ・ん・の、ばっかやろう!!ギガデイン!!!」
5主「ぬ、ぬわー!」
307
:
24 2/2
:2007/06/09(土) 11:41:45
4主(……ったく、5主は調子に乗ると性質悪すぎだ)
2主「4主ー?」
4主「あ、ああ。2主か」
2主「顔が赤いぞ」
4主「なんでもない、なんでもないから」
2主「そういえば、さっき5主にあったらほんのりこげてた」
4主「そうか。大変だな(棒読み)」
2主「それで、今日4主が特別授業してくれるって言ってた」
4主「なっ……」
2主「子供の作り方を実施で教えてくれるって言ってた」
4主「ああああああんの野郎!」
2主「4主、顔が怖いことになってるぞ」
4主「よし。とりあえず5主の言ったことは忘れてくれ。で、特別授業は変態さんの倒し方にしよう」
2主「4主ー」
4主「止めるな、これは勇者としてやらなきゃならない仕事だ」
2主「あのな、俺、子供の作り方なら知ってるんだ」
4主「……へ?」
2主「王族にはひっすのことだって教えてもらったんだぞ」
4主「そ、そうなのか」
2主「……4主が教えてくれるって言われて、ちょっとどきどきしたんだ」
4主「えっと……2主?」
2主「5主の冗談だったんだな」
4主「あ、ああ。その。すまん」
2主「いいんだ。俺はまず、ハーゴンをたおさないとな」
4主「うん……そうだな。がんば、れっ?!」
ちぅー
4主「ぶはっ、ちょ、に、ににに」
2主「へへ。クリアしたら覚悟しといてくれ!じゃ、行ってくる!」
4主「……うっわ…勘弁してくれよ」
1主「2主はいっつも元気だなあ。ん、4主どうした、顔が赤いぞ」
4主「ほっといてくれ。……いや、1主にはむしろ王族の義務について小一時間ほど問い詰めたい。
とりあえず表に出ろ」
1主「え?ちょ、俺もしかして地雷踏んだ?つーかそれ使う相手が……タスケテローラァ、ゴセンゾサマー…」
308
:
名無しの勇者
:2007/06/09(土) 19:28:12
2主脳はピュアピュア派だったけど新たな境地が開けました(*゚∀゚)
むしろそれでもピュアラブに見えるのが2主クオリティ
309
:
名無しの勇者
:2007/06/09(土) 22:14:44
ああんもょかわいいよもょ(*´д`*)ハァハァ
310
:
名無しの勇者
:2007/06/10(日) 00:01:12
何この新たな萌え開拓……!!!いざ新境地へ…!!
2主可愛いよ。ロンダルキア雪原のように真っ白でピュアピュア。
でも攻め。 そ こ が 萌 え た。
2主相手だと素直で初心になっちゃう4主が堪らん!!!!!
311
:
名無しの勇者
:2007/06/10(日) 00:16:38
2主にはデレデレのニコニコの親バカ化しててべったべたに過保護な4主
4主に構ってもらうためなら命も賭ける体も張る日常的に殺される8主
8主に大ボラ吹き込まれては素直に「8主はすごいな」とか言っちゃう2主
なんだこのジャンケンのような三すくみ。ハァハァ
312
:
便乗スマソ上6←7←下6
:2007/06/10(日) 00:40:46
7主「……という話なんだけど、確か6主さんも王子だったよね?」
6主「なんだ7主はエロい子だな。思春期? このエロガキ! マセガキが! どうしようもないメスブタ!」
7主「言葉責めはいいから。なんか違う方に行ってるよ」
6主「いや最近マゾっ子成分が足りないかと思って。えーと、あったかも知れないけど覚えてない。
まあでも下の俺なら普通にやったんじゃね?」
6下(ちょwwwなすりつけktkr! 7主くんに嫌われる……!)
7主「今の6主さんは? どうなの?」
6下(あれ、スルー? スルー?)
6主「覚えてない、けど、体はあいつのだしなあ。ドの字は卒業してるかもなはっはっは」
7主「そう……だよね」
6下(違うんだ、誤解だって! あれは必要だから仕方なく)
6主「およ、なんか沈んだ? ははーん、さては脱☆童貞がうらやましいんだろう」
6下(上のボクー! 泥沼! 泥沼!)
7主「ち、違うもん」
6主「あり? ……マジ涙目? いやほら、あれだよ、素人童貞ってやつじゃねーの?
まあでも気持ちよかったんだろうなー、覚えてないのはもったいな……」
7主「……うええええええん(つд⊂)」
6主「おわっ、何泣いてんだよ! お兄ちゃんなんかしたのか? なんか最近わかんねーよ!
どうした7主〜。ハッスルダンスしてやろうか? それともぱふぱふ?」
7主「うええええええええええん……ひっく……ぱふぱふ……」
6主「おっしゃぱふぱふだなどんとこい!」
7主「ひっく……6主さん乳首丸出し……」
6主「乳首も出さずにぱふぱふができるかソイヤー!!! 男のぱふぱふとくと見ろ!」
7主「ふええええええん(……喜んでいいのかどうかわからない……)」
6下(orz)
3主「……で、あれはなんだ」
5主「ちょっと僕にも掴めない世界だね」
1主「2主は見るなよ」
2主「ちょっと見てみたいぞ」
8主「4主さん僕この前ゼシカにぱふぱふ教えてもr」
4主「だ が 断 る」
313
:
名無しの勇者
:2007/06/10(日) 09:28:09
ちゃっかりぱふぱふを要求する7主萌えw
あと下6主のヘタレっぷりが可愛い過ぎ(*´Д`)
314
:
名無しの勇者
:2007/06/10(日) 18:22:45
もょ4…萌えるわ和むわ、もうどうしたら。
315
:
名無しの勇者
:2007/06/19(火) 10:46:16
お邪魔しまーす。
某スレで、靱帯さんのサンクスコールの形式をお借りしました。
前から一度やってみたかったんでw
(だいぶ前ですが、別スレでご本人様に承諾もらってました)
もし見かけて「おや?」と思うことがありましても別人です。
それにしても忙しいみたいですね靱帯さん……。
316
:
名無しの勇者
:2007/06/21(木) 00:39:08
根暗・シリアス・悲恋ものってスレ違いかな?
13なんだが、今までの明るく楽しくくっついてんのを、
真っ向からブチ壊す話が浮かんでしまった。
317
:
名無しの勇者
:2007/06/21(木) 01:48:37
とりあえず投下お願いいたします
318
:
名無しの勇者
:2007/06/21(木) 09:28:16
>>316
そういうのも良いと思うよ。ぜひ!
319
:
1×3暗め [0]
:2007/06/21(木) 17:36:29
>>316
です。
なんか1主が悪男になっちゃったなぁ……。
それでは投下します。
320
:
1×3暗め [1]
:2007/06/21(木) 17:36:54
今日もうちのバカご先祖はパソコンでカタカタやっている。
こないだ強引にコタツを片付けさせたので、部屋の中は少し広くなったが、
やってることは相変わらずだ。
一日何時間も画面を見つめ続けてて、目は疲れないんだろうか。
「あん? それはねえなぁ。やっぱ勇者ともなると視力もいいのかも」
「勇者かどうか関係ない気もするが。ってか勇者と名乗れるのかその状態で」
「うるせえよ。それよかメシ作ってくれ」
「またかよ。なに食いたいんだ」
「オムライス」
「ガキくせえ食いモン好きだよな……」
「なんだと! オトナだってオムライス食うだろ!」
オトナとか言ってる時点でガキっぽい。
まあなんというか、そういうところが可愛いなぁ、と思ってしまうんだが。
「10分だぞ、10分で作れよ」
「そりゃちとキツイぞご先祖」
「ダメ、10分しか待てない。腹減ったー!」
下手をすればローラよりワガママなんじゃないか、こいつ。
「じゃあ10分過ぎたら食わないんだな?」
「食う! なんだよ1主、なんか意地悪いぞ」
足バタバタさせんな。ホコリが立つだろ。
「はいはい、わかったからおとなしく待ってろ」
「うい〜……」
口を尖らせるな。上目遣いにこっちを見んな。
――そういう仕草のひとつひとつが、俺的にかなりヤバイ。
わかってんのかこの人。
321
:
1×3暗め [2]
:2007/06/21(木) 17:37:11
とりあえず、キッチンに朝炊いた米がまだ残ってたんで、10分でオムライスは完成した。
持って行ったらご先祖はえらく喜んだ。本当に腹が減ってたんだな。
「さすが俺の子孫! ちゃんと約束を果たすとは感心だ」
偉そうなセリフ吐いてるが、「プワ〜ン」とした笑顔はやっぱり子供っぽい。
ニコニコしながらオムライスをつついている。
「ウマイかご先祖?」
「うむ!」
口の周りがケチャップだらけなんだが。
「ほら、ついてるって」
テーブルの向かいから手を伸ばして、ティッシュでぬぐってやる。
素直に顔をふかれているご先祖が、ふと、眉をひそめて俺の手をつかんだ。
「1主、指」
「あ……?」
ご先祖が見つめている俺の人差し指が、赤茶色に染まっている。
明らかにケチャップのそれとは違うものだ。血?
急いで作ってるうちに、包丁で切ったのか。気付かなかった。
「たいしたことじゃ……って、え!?」
――指先を、口に含まれた。
ほんの一瞬のことだったが、俺はその場で固まった。
「意外におっちょこちょいだなぁ。ホイミ〜っと。気をつけろよ」
なにごとも無かったみたいに、ぽい、と手を返される。
322
:
1×3暗め [3]
:2007/06/21(木) 17:37:40
それからほどなくオムライスは片付けられたが、俺はまだ固まっていた。
食べ終わったご先祖が、すぐにパソコンに向かおうとしてから、首をかしげた。
「1主?」
「……あ、なんだ?」
「んーと。俺、また口の周りについてる?」
ふいてくれないのかよ〜。
言外の意味を読み取る。
俺は半ば自動的に、もう一度ティッシュを箱から引き出して、ご先祖に近づいた。
ヘラっと笑う彼。
あどけないその目が、どこか媚びているような、
誘っているような、気がして。
「え……?」
気がついたら相手の唇に、自分のそれを押しつけていた。
いや「気がついたら」というのは言い訳がましい。
俺はそんなガキでもウブでもない。
身体全体は火照っていても、頭の一部は冷静だ。
その氷の理性が主導権を握っていて、俺の行動を決定づけている。
この人が、前から欲しかった。
今がいいチャンスだ。宿舎は今、他に人がいない。
なに、所詮「女」さえ知らない子供だ。
なし崩しで、なんとでもなる――と。
323
:
1×3暗め [4]
:2007/06/21(木) 17:37:55
「なにすん……や! なにすんだよこの……!」
「しーっ。静かに。動かない、動かない。暴れるとかえってつらいから、な?」
「…な…なに言ってやが……あっ……!」
極力「無理やり」という感じを出さないようにする。
相手をおびえさせないように、でも素早く確実に、動きを封じていく。
抱きしめるように見せて組み伏せ、キスをして、その隙に足の間に身体を割り込ませる。
「大丈夫、怖くないから。腕とか足とか、もっと力抜いた方がいい」
「…やだって言って……ひぁ!?」
速攻で仕掛けるときは、行為そのものは焦らさない。
煽るだけ煽ってしまえば、すぐ抵抗できなくなる。
もともと相手にその気が無いときでも、俺は苦労せずにありつけるタチだった。
いや、散々ローラに苦労させられたから鍛えられた、というべきだが。
ごめん、ご先祖。そういうわけで。
もう逃げられないよ。
「やぁ……やめ、あっ……!」
「かわいいな。大丈夫、力を抜いて。ゆっくり息、吐いて」
間近で見ると、本当にきれいな肌してるなぁ。
未開発の身体は反応する部分が少ないから、さっさとポイントに直行する。
だが服の上から軽くさすってやるだけで、背中がビクッと跳ね上がった。
感度、いいかもしれない。
「…はぅ……おかし…い…って…! …こんな…だって……ぅあ…!」
「おかしくない。ほら、気持ちいいだろ? ここ……意識、集中してごらん」
「さわ……さわんなよぉ……やだぁ……」
目の端から涙が流れていく。
混乱した視線が、必死に俺を避けて、あちこちに飛ぶ。
324
:
1×3暗め [5]
:2007/06/21(木) 17:38:33
「ご先祖――3主、俺を見て」
なるべく優しく言いながら、あごをつかんで、こっちを向かせた。
すがるような黒い瞳。もうどうしていいかわからないんだろう。
「平気だから。なにも怖いこと、ないから」
ゆっくり、あやすようにキスをする。
やがてフッと、相手から張り詰めていた空気が消えた。
少し身体を起こすと、なにかを諦めたような表情の少年が、俺を見つめている。
それでも迷いに迷っている相手を辛抱強く待つ。
――向こうからキスをしてきた。
思ってたとおりだ。あんまり手こずらずに落ちたね。
こんなことなら、もう少し先に取っておいても良かったかもしれない。
少し惜しいような気持ちで、俺は行為を進めていった。
325
:
1×3暗め [6]
:2007/06/21(木) 17:49:33
・
・
・
眠ったのはご先祖が先だった。
というか、途中で気を失ってしまったのだ。
起こそうか迷ったが、さすがに可哀想で、そのまま寝せておいた。
だからというわけではないだろうが、先に起きていたのもご先祖の方だった。
すでに服を着ていて、毛先が濡れて垂れている。シャワーも済ませたらしい。
ぺたんとテーブルの前に座り込んでいた。
「おはよ、ご先祖」
なるべく普通に、爽やかに声をかける。
行為に対して、それをあまり特別に思わせ過ぎるのはよくないからだ。
「……おはよう」
ちょっとよそよそしいが、ちゃんと挨拶を返してきた。
大したことじゃない、オトナなら普通のことだと、そういう態度でいるほうが、
相手も素直に受け止められるものだ。
といっても、俺にも良心の呵責はある。
合意なんてあって無いようなものだったからな。
「ごめんなご先祖。大丈夫か?」
「ああ。別に」
首を振って、それから彼は、なにかを差し出してきた。
326
:
1×3暗め [7]
:2007/06/21(木) 17:49:47
うっ。ローラフォン……か。
「これ、一応マナーモードはあるんだな。ずっと鳴ってたみたいだぞ」
知ってました――ご先祖はそれどころじゃなかっただろうけど。
取り込み中だったので無視してたんだよなぁ。
ごめんローラ。
「あー。悪い、かけてくるわ。じゃあ後でな」
どうせ長くなるに決まってる。
俺は、座り込んだまま俺を見上げているご先祖に、もう一度キスをした。
ローラへの言い訳を考えながら慌てて服を着て、部屋を出た。
そんなんだったから、俺は気がついていなかったのだ。
彼がその時点で、すっかり変わってしまっていたことに。
――つづく
327
:
名無しの勇者
:2007/06/21(木) 19:45:37
おわあああああああああああ
なにこれモエス(*´д`*)ハァハァ
続きが気になる!
328
:
名無しの勇者
:2007/06/21(木) 20:38:40
何これ1主テラカッコヨス!!3主もかわいいなあ(*´Д`)
GJです!
329
:
名無しの勇者
:2007/06/22(金) 02:04:51
テラモエス!!
めちゃくちゃ続きが気になる!!(*゚∀゚)=3ハァハァ
330
:
1×3暗め [8]
:2007/06/23(土) 00:17:57
(
>>326
の続きです)
昼飯の頃には、すでにほとんどの住人が宿舎に戻っていた。
泊まりがけで旅行に行っている3女と4女が帰ってくるのはもう2日後だが、
やっぱりここは賑やかな場所だと思う。
昨日から今朝にかけて、宿舎には俺とご先祖しかいなかったわけだが、誰か彼かが
出入りしているここでは、ちょっと珍しいことだった。
――考えてみると、それで俺も少し焦ってしまったかもしれない。
時間がたつにつれ、俺はなんとなく不安になってきた。
俺はご先祖には、今までそんなそぶりを一度も見せたことがなかったのだ。
いきなり抱いたのは、まずかっただろうか。
あとでもう一度謝っておこう。
ダイニングキッチンからいい匂いがしてくる。
行ってみると、6主が相変わらずのテンションで歓声あげていた。
「シーフードピザかぁ! うまそうじゃん!」
「でしょ、実家から持ってきた新鮮素材だからね」
7主が手際よくサラダを盛りつけている。
「熟成チーズもタップリとね」
そういう8主は、大きなピザを慣れた手つきで人数分に切り分けている。
それぞれが暗にお国自慢をしているのが微笑ましい。
ここの宿舎は、本当「食」に関しては恵まれている。
「うまそうだぞ! 遠い方のご先祖を呼んでくる」
立ち上がりかけた2主を、俺は手で制した。
「いや、俺が呼んでくるよ」
丁度いい。俺は再びダイニングを出て、ご先祖の部屋に向かった。
331
:
1×3暗め [9]
:2007/06/23(土) 00:18:22
彼の部屋の中はまだ薄暗かった。カーテンを締め切ったままだったのだ。
ご先祖はテーブルの上でノート型のキーボードをカタカタ叩いている。
「おいおい、カーテンくらい開けろよ」
「うん」
カタカタカタカタカタ……
「昼飯だって。みんなと一緒に食うだろ?」
「うん」
カタカタカタカタカタ……
「ご先祖。あのさ、やっぱ、怒ってるか?」
カタ
手が止まった。パソコンをパタンと閉じて、ご先祖が立ち上がる。
「怒ってない」
抑揚のない声だ。俺の方を見ようともしない。
やっぱり怒ってる。というか、拗ねてるのか。
そりゃそうだ、朝はなんの余韻も楽しまないうちに、ローラの電話に対応してたから。
ご先祖は俺の横をすり抜け、さっさと廊下に出て行こうとする。
その腕をつかんで、抱き寄せた。なんの抵抗も無かった。
上を向かせて、唇を重ねる。少し長めに、優しく。
それから耳元で囁いた。
「ごめんって。な? 拗ねるなよ」
「拗ねてない」
やっぱり声が固い。どうしたもんか。
332
:
1×3暗め [10]
:2007/06/23(土) 00:18:43
……そう思ったら。
「今夜はどうするんだ」
いきなり聞かれた。
「ええ? あ、実はその、ローラが……」
バカか俺はっ。予想外に誘いをかけられて、思わず余計なことを口走る。
「わかった」
みなまで言わさず、彼は俺の胸のあたりをグッと押して、身体を離した。
一瞬、また怒らせたか、と思った。
だがそんなに乱暴な仕草でもなく、ただ離れた、という感じだった。
今度こそ部屋を出ようとしたご先祖が、ふと、立ち止まった。
「ローラ姫はお前のことが大好きなんだから、泣かせたらだめだ」
内容だけ聞けば、よくある嫉妬の裏返しの言葉だろう。
だが、その声はあまりにも普通で――というか冷静すぎた。
「な、泣かせねえよ、あとがコワイし……。いやっ、ご先祖のことも大事だけど」
またもや、しどろもどろになっている俺。
彼は背中を向けたまま、
「わかってるなら、いいんだ」
そう言った。やっぱり冷静な声だった。
なんか調子狂うな。
333
:
1×3暗め [11]
:2007/06/23(土) 00:19:00
ダイニングに戻る。
遅い! と全員に毒づかれた。ピザは冷めたらおいしさが激減するからな。
俺とご先祖が席に着くと同時に、「いただきます」の声がそろった。
王族出身の多いこの宿舎は、基本的なマナーに関しては割ときっちりしている。
「……8主、お前それ、辛くないのか?」
「4主さんこそ、そんなんで物足りなくないんですか?」
見ると、8主のピザは真っ赤だった。
激辛の粉チーズをバンバン振った上に、これでもかとタバスコをかけている。
「甘ったるいくらいのプリンやケーキなんか好きなくせに、極端だな」
味覚おかしいんじゃねえか、とあきれる4主。
「田舎くさい精進料理がお好みの4主さんにはわかんないでしょうね」
いつも通り倍にして切り返す8主。
「んだとコラ――」
もはや習慣だな、こいつら。
「そんなんじゃ足りないでしょう! そりゃ!」
「やめろ! 俺の生バジルの香りが死ぬだろ!」
相手の皿に激辛粉チーズを振ろうとする8主と、必死に防ぐ4主。
そうかバジルはヨンシュ村産か。
無論、8主は本気ではない。4主もわかっている。だから誰も止めようとしない。
残すようなことになったら、食材を用意してくれた7主にも失礼になるからだ。
「こらこら君たち、もう少し落ち着いて食べたらどうだい?」
「ほんと子供なんだから〜」
みんな大笑いだ。
334
:
1×3暗め [12]
:2007/06/23(土) 00:19:18
これだから、ちょっと無理してでも、みんな宿舎に集まるのだろう。
特に一人旅が長かった俺は、こういう空気がいとおしい。
誰かが笑っていると、こっちも楽しくなる――
瞬間、俺は目を見開いた。
この中で一番笑っていてほしいと思う相手が……まるで無表情だったからだ。
(ご先祖……?)
「うわ、しまったぁ!」
俺が驚いて立ち上がりかけたのと同時だった。
ポーン、と赤い缶が頭上に飛んだ。
一回転してる間にフタが開いて、ご先祖の皿に逆さまに突き刺さる。
激辛粉チーズの中身が、ばっさりとかかっていた。
「あ……ご、ごめんなさい、手が滑って……」
謝りつつ、8主は大防御の姿勢に入る。
他の人間もギガデインの余波を食らわないよう、咄嗟に金属製のフォークから手を放す。
だがご先祖は、手に持っていた1枚目のピザを、ただ黙々と食べ続けている。
それから、皿の上の2枚目に手を伸ばした。
引っ張り上げただけで、ザラッと赤い粉がこぼれるようなソレを、口に運ぶ。
見ている全員が、言葉もない。
モソモソと無表情で食べる様は、なんだかウサギに餌をやっているみたいだ。
335
:
1×3暗め [13]
:2007/06/23(土) 00:19:38
「ちょ、3主くん、辛くないのかい……?」
向かいの席にいた5主が、おそるおそる尋ねる。ご先祖は答えない。
前方の一点を見つめたまま黙って食べている。
――と、
「けほ」
むせた。
「けほ……けほっ、こふっ……」
「バカ、なにやってんだ! 吐き出せ!」
4主がご先祖の手からピザを取り上げて皿に戻し、空いてる手で背中を叩いた。
「はいお水! 3主さんダメだよ無理したらぁ」
7主から水を渡されて、ご先祖はそれを口に流し入れた。
それもどこか機械的な動作だった。飲めと言われたから飲んだ、というような。
「すみません。僕の1枚あげますね、まだ手つけてないし、なにもかけてないし」
8主も慌てて自分の皿を差し出すが、ご先祖は首を振った。
「いらない」
「で、でも……」
尋常ではないご先祖の様子に、みんな戸惑っている。
当たり前だ。
個性豊かなこのメンバーの中でも、喜怒哀楽が激しい方の彼が、こんな様子なら。
「大丈夫か遠い方のご先祖。どこか具合悪いのか?」
2主が素直に心配を口にする。
いつもだったら俺が真っ先に駆け寄っているところだが、できなかった。
今、俺がなにを言っても白々しくなってしまう。
ご先祖がどうなってしまったのかはわからないが、原因は明らかに俺なのだ。
336
:
1×3暗め [14]
:2007/06/23(土) 00:20:59
「なんでもない」
ご先祖が答える。
刺激物のせいでややかすれた声だが、静かな声音だった。
「寝不足なんだ。気を遣わせてごめん」
「そ、そうか……」
受け答えはまともだから、2主もそれ以上は詰められない。
ご先祖は席を立つと、自分の皿とコップをシンクに持って行った。
生ゴミ入れに赤いピザを捨て、スポンジで皿とコップを洗って、水切りかごに置く。
それもいつも通りの行動だ。
おふくろさんの躾なのか、自分の部屋で食事を済ませたときはロクに始末しないが、
こうして全員で食べるときは、ちゃんと最後まで後片付けをする。
だからみんな、普段はニートだなんだとバカにしていても、決して彼を本気で見下す
ようなことはないのだ。
「部屋で休む」
作り物のように表情のないままで、彼はダイニングを出て行った。
誰も追いかけようとはしなかった。
――つづく
337
:
名無しの勇者
:2007/06/23(土) 00:22:52
リアルタイム遭遇キタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!
3主せつないよどうなっちゃうの3主…!
338
:
名無しの勇者
:2007/06/23(土) 15:41:31
つ、続きが気になる!
339
:
名無しの勇者
:2007/06/23(土) 16:09:32
続きktkr
3主大丈夫かー!
340
:
名無しの勇者
:2007/06/23(土) 19:31:49
うわっは続きキターーー!
更なる続きをwktkしながら待ってます!
341
:
名無しの勇者
:2007/06/23(土) 20:17:18
今更sage忘れに気付きましたすみませ…!
342
:
1×3暗め [15]
:2007/06/24(日) 02:45:00
(
>>336
の続きです)
たまりかねて俺も席を立った。
「ちょっと俺が見てくるよ。すまんが、これ……」
「俺が食べるからいいぞ、近い方のご先祖」
2主が気をきかせて、俺の皿を手前に引っ張る。
大食漢な印象の強い2主だが、やはり王子だ、実はそんなにがっつく子じゃない。
ちょっと多いな、と思ってるのが見て取れたが、ここは任せることにした。
「頼んだよ1主」
5主にうなずいて、俺はご先祖を追った。
彼には、廊下ですぐ追いついた。
やや乱暴にその肩をつかんで、こちらを向かせる。そして、
「あぶね!」
そのまま倒れそうになったご先祖を、俺はとっさに支えた。
力が入りすぎてしまったか? 違う。
相手にまったく抵抗する気がないから、簡単によろけるのだ。
「いったいどうしたっていうんだ? 俺が悪いなら言ってくれよ。な?」
我ながら必死だ。
ご先祖はうつむいたまま、ただ首を振る。
「ちゃんと言えよ!」
つい怒鳴ってしまった。
理不尽だと自分でもわかっているが、感情が先に立ってしまう。
それは「不安」だった。
あんなにクルクルと表情の変わる、情緒豊かだった少年を、こんなになるまで
壊してしまったということに対しての。
343
:
1×3暗め [16]
:2007/06/24(日) 02:45:22
……でも、なにもここまで激変することは、ないんじゃないか?
俺の中で、利己的な部分が疑問を投げかける。
芝居なんじゃないのか。俺を騙そうとしてるんじゃないのか。
そうであってほしい。そうなんだと、信じたい。
「本当は怒ってるんだろ? な?」
「怒ってない」
「でも、ローラのことだよな? そうだろ」
「うん」
肯定された……!
俺はごくりと唾を飲み込んだ。
「そうか……。でも、すまない、ローラと別れるってのは無理だ」
嘘は言えないと思った。
傷つけてしまった相手に、もう不誠実なことはできない。
「でも絶対にご先祖を軽く扱うことはしない。信じてくれ、頼む」
本心だった。
ムシのいい話だとしても、俺はご先祖のことも大好きなのだ。
「わかった」
少年がぽつりと言った。
「ローラとは別れない。ちゃんと、大事にするんだな」
「? ああ、そうだが――」
なにか言ってることがおかしい。
これでは「ローラの方を心配している」ようにしか取れない。
いや、そう言えば最初から、彼はそう言っていたか……?
344
:
1×3暗め [17]
:2007/06/24(日) 02:45:45
「なら、いいんだ」
少年が、顔を上げた。
――その目を見て、俺は今度こそ言葉を失った。
ガラスのような目、という表現があるが、そんなもんじゃなかった。
虚無だ。
きれいなオニキスの瞳には、確かに俺が映っているのに。
まるで、深い、昏い穴をのぞき込んでいるような――。
「今朝、少し電話で話をした。お前のことをすごく心配していた」
絶句している俺に、ご先祖は淡々と続ける。
「あんなに大事に思ってくれる人を、裏切ったらだめだ」
言葉はしっかりしている。内容も。
でもあの少年が発しているとは思えないくらい、無感情で。
「それがわからないようなら、俺の子孫とは認めない」
立ちつくしている俺に、彼は背を向けた。
「ゆっくり眠りたいから、みんなに起こさないよう言っておいてくれ」
去っていく彼を、もう追いかけるだけの気力はなかった。
俺の前で、ご先祖は自分の部屋に戻り、パタンとドアを閉めた。
345
:
1×3暗め [18]
:2007/06/24(日) 02:46:05
「……なんかご先祖、やっぱ具合悪かったみたいで。寝るから起こすなって」
他に言いようがない。
俺の報告に、落ち着かない様子でリビングに集まっていた面々もとりあえず納得した。
「じゃあ俺、パデキア煎れとくわ」
4主が再びキッチンの方に消える。
「言ってくれれば良かったのに。僕も卵がゆでも作っておくよ」
すぐに7主も立ち上がる。
サッと行動に移るあたり、さすがそれぞれの世界で主役張ってるだけはある。
「近い方のご先祖」
2主が寄ってきた。不安げな眼差しだ。
「こんな時だけど、俺……」
ああ、ロンダルキアか。
責任感の強い子だから、仲間との先約を破ることができないんだろう。
「安心して行ってこい。なにかあったらすぐ知らせるから」
邪教の総本山に命懸けで戦いに行く相手に、「安心して」というのもおかしいが。
「わかったぞ」
ホッと息を吐いて、2主はいつもの道具入れを背負って玄関に向かった。
真っ直ぐ目的に向かう子孫の後ろ姿が、その時、俺は少し羨ましかった。
今の自分が、ひどく薄汚れた存在に思えた。
ご先祖が起きてきたら、今度こそちゃんと謝ろう。
土下座してでも許してもらおう。
もう一度笑ってくれるまで、何度でも。
346
:
1×3暗め [19]
:2007/06/24(日) 02:46:28
その日の夕方。
俺は頭の中で何百回もシミュレーションした謝罪の文句をひっさげて、
ご先祖の部屋に向かった。
この時間なら一眠りした頃だろう。
無理に起こす気はないが、聞いてもらえそうなら早い方がいい。
ところが、先客が来ていた。
4主が湯気の立つティーカップを持って、ドアの前に突っ立っている。
「そんなところでなにやってんだ?」
正直(申し訳ないが)邪魔だなと思いつつ、顔に出さないように聞いた。
4主は俺を見ると、困ったようにもう一度ドアに目をやった。
「いや、そろそろ1回起こしてもいい頃かと思ってな。先にパデキアだけでも
飲ませておこうと持ってきたんだが」
なるほど、そういう気の回し方は4主も俺と近い。だから重なったんだな。
「でも、ずいぶんぐっすり寝てるみたいで、いくら呼んでも出てこねえんだよ」
「そうか……じゃあ今は、静かにしてた方が良さそうだな」
謝りに来たから起きろ、というワケにもいくまい。
ここは素直に、俺は4主と一緒に引き返すことにした。
だが、ご先祖は。
翌日の朝になっても、昼になっても――夜を迎えてさえも。
部屋から出てこなかった。
――つづく
347
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 03:30:05
寝る前にのぞいてみたら続キターーーーーーーー!
最高潮に続きが気になる!モエス!
348
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 08:48:35
この締め付けられるような胸の痛みは……萌えですねっ!
349
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 13:21:05
切ない…続きが気になって仕方ないです!
350
:
1×3暗め [20]
:2007/06/24(日) 22:25:46
(
>>346
の続きです)
普段から籠もりがちなご先祖だが、さすがにこれは異常だ。
戻ってきた2主も、話を聞いてまた不安な顔をする。
「そろそろ様子を見に行った方がいいかもね」
5主の言葉をかわぎりに、今度は全員がご先祖の部屋に向かった。
「3主さん、起きてる? 3主さん!」
7主がドアを叩いても、当然のように反応はない。
「開けるけど――いいよな?」
最後の鍵を持った4主が、一同を見回した。
実家のある俺たちと違い、ご先祖は宿舎に居住している。
旅先の宿で仲間の部屋に訪問するのと、他人の家に上がるのとでは違うように、
勝手に鍵を開けるのはためらいがあるのだろう。
「非常事態だからね、仕方ないよ」
責任は自分が取るから、というように、5主が4主の肩に手を置いた。
緑髪の少年は、思い切ったようにガチャリと鍵を開けた。
外は夜だが、思ったより明るかった。
カーテンが開けっ放しで、月明かりが直に差し込んでいたからだ。
窓の端にきちんと紐で結われている……俺が開けたときのままってことだ。
「あれ、いなくね?」
6主が首をかしげる。ベッドを見ても、枕に例のツンツン頭は見あたらない。
そう広い部屋ではないから、他に隠れるような場所もない。
もしや、いつの間にかでかけたのか?
351
:
1×3暗め [21]
:2007/06/24(日) 22:26:16
「いや、いますよ。寝てます」
8主がベッドの端に片手で乗って、そっとかけぶとんをめくった。
――いた。
真ん中に小さくまるまって、ご先祖は静かに寝息を立てていた。
いつもは大の字になって、ふとんは常にベッドの下に蹴落としている。
そんな先入観があったから、いないと錯覚してしまったのだ。
「ご先祖、起きろよ」
肩をゆすってみる。なんの反応もない。
「起きてくれ、みんな心配してるぞ」
無反応。
せめてむずがるとかするならまだしも、これでは死んでるみたいだ……。
「ご先祖、ご先祖ってば!」
「落ち着くんだ1主」
逆に俺が5主に肩をつかまれた。
「4主くん、ザメハってあったよね?」
「わかった」
4主があまり聞かない詠唱を口にする。寝ている人間を強制的に覚醒させる呪文だ。
だが。
「……効かない? そんなはずねえんだが」
まさかこのまま目を覚まさないなんてことはないよな――。
352
:
1×3暗め [22]
:2007/06/24(日) 22:26:43
ゾッとした俺に追い打ちをかけるように、7主が叫んだ。
「うわ、なにこれ!」
ご先祖のパソコンの画面を、おびえているような目で見つめている。
「どうしたんだ」
思わず「遺書でも書いてあるのか」とバカなことを考えた。
画面の中を見た俺は、二の句が継げなかった。
遺書の方が、まだマシだった。
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snmc,vrjgdfkgjkddcngkfjgajfxairjgec,q4t jigraefkdlvjknjrkgmdfbnjiergjfnbr
igvcoeghfkm.............................
「全然わかんないぞ……」
横からのぞきこんだ2主も、怖い物を見たみたいに引く。
とても意味があるとは思えない。だからこそ不気味だ。
しかも使っているソフトは、ただ書くためだけの基本エディタ、メモ帳だ。
Yahoo!の画面や2chあたりが開いていたなら、まだわかるが――。
353
:
1×3暗め [23]
:2007/06/24(日) 22:27:10
と、6主が割り込んできた。
「あっちだとなんて書いてんのかな」
彼だけはいつも通りの様子で、画面を見ている。
「あっち?」
4主がいぶかしげに尋ねると、6主はこともなげに言った。
「こんなもん、寝ぼけて打ったに決まってんじゃん」
「はぁ?」
「なんだいそれは」
5主と7主が顔を見合わせる。俺もよくわからない。
そこで48の頭脳派コンビが、「あっ」と声を揃えた。
「つまり夢の世界では、意味がわかるってことですか?」
8主の言葉に、6主は軽く肩をすくめた。
「夢ってのは、基本的に理想を具現化する場所だからさ。
たとえば、本当は全っ然わかんねえような難しい課題とかもスラスラ解けたりするんだけど、
それを下の世界……つまり現実に持って来ると、こんな風に意味不明の文章になってたりするんだ。
現実には解けないんだから当たり前だが、でも夢の世界では確かにちゃんと形になってんだよ」
珍しく理路整然と答える6主。
こと「眠り」に関しては、彼の右に出る者はいない。
「それに」
6主はご先祖のところにいくと、眠り続ける少年の顔のそばに耳を寄せた。
「やっぱりな。俺も起こされたくないときにたまに使うんだけど、こいつ、
自分にラリホーをかけ続けてる」
「じゃあザメハも効かないんじゃなくて、即座にラリホーが上掛けされてたのか」
「そゆこと」
354
:
1×3暗め [24]
:2007/06/24(日) 22:27:27
ふと6主が、もう一度ご先祖の顔を近くで見て、小さく呟いた。
「でもここまで拒否るってことは……よっぽど起きたくない事情でもあんのかね」
心臓が。
握りつぶされるような気がした。
「どうやったら起こせる!?」
俺は思わず6主に詰め寄った。
きょとんとしている6主の表情が、ほんの一瞬だけ、険しくなる。
(お前が原因か?)
目だけで問われ、俺はうなずいた。
「ハッハッハ、1主は本当に心配性だな〜」
6主はすぐにいつものハイテンションお兄ちゃんに戻って、俺の肩をバンと叩いた。
「別に悪い夢に捕まってるって感じでもないし、大したことないだろうけどな」
「なんだ、じゃあ心配するようなことでもないのかい?」
宿舎の夢診断士がそう言うのなら、とみんな安心したように顔を見合わせた。
そこで6主がニヤッと笑う。
「でもこのまま掃除当番もメシ当番もサボられるのはムカつかね?」
「あ、そうですよね! まったく人に心配かけといて、その上サボられたらたまりませんよ」
「だろ? 1主、ちょっと起こしてこいよ」
グイッと俺の手を引いて、6主は眠っているご先祖の手に重ねた。
355
:
1×3暗め [25]
:2007/06/24(日) 22:27:49
「こうやってコイツの手ぇ握って……って、コラ気持ち悪いとか言うな」
言ってない、と返しそうになって、口をつぐむ。
そういうことにしておけ、ということか。
「俺がこいつの夢の中に通してやるから、引っ張り出してこい」
「へ〜、そんなことできるの?」
半分あきれてるような7主に、6主は派手なウィンクを返した。
「お兄ちゃんだからな。はいはい、気が散るからみんな出てってね〜♪」
・
・
・
ドアが閉じられ、俺と6主と、ご先祖だけになった。
6主が明かりを消す。パソコンから溢れるぼんやりした光だけになる。
「――なにがあったかは、聞かねえけどよ」
いつもと違う、まじめな声だ。
「夢の中ではそいつの本音がわかる。ちゃんとしてこいよ」
「……恩に着る」
気の回るお兄ちゃんに心から感謝しつつ、俺は自分に催眠呪文をかけた。
――つづく
356
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 23:25:29
こ、これは続きが気になる!!
3主何考えてるの3主
357
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 23:28:05
1×3の話に対する感想としてアレだけどお兄ちゃんかっけー!
358
:
名無しの勇者
:2007/06/24(日) 23:50:40
ようやく3主の気持ちがわかるのか…
お疲れさまです。続き待ってます
359
:
1×3暗め [27]
:2007/06/25(月) 13:22:14
(
>>355
の続きです)
次に目を開けたとき、俺は思わず「はぁ?」と間抜けな声を出していた。
宿舎だった。それもご先祖の部屋の前だ。
まるで時間が巻き戻ったような気分だ。
中からは、この部屋の主がゲラゲラ笑っているのが聞こえる。
「年金問題で怒らないのはお金を払ってないニートだけですね、だって! うまいな」
テレビのニュースにでも突っ込んでるのか。
おいこら、「うまいな」なんて感心していい問題じゃないだろうが。
「なにバカなこと言ってんだ。働けこのニート勇者」
俺はいつものように突っ込みを返しながら、ドアを開けて中に入った。
……え?
部屋の中は、まるで様相が違っていた。
テレビもベッドもない。タンスも本棚もない。
窓も、壁すらなく、ただ一面まぶしいくらいの真っ白な空間が、どこまでも広がっている。
その中にちょこんと小さなテーブルがあり、ノート型パソコンだけが置いてある。
ご先祖はそのテーブルに頬杖をついて座っている。
「なんだよー、子孫のくせに偉そうにすんな。俺は勇者だからいーの!」
ご先祖がベーッと舌を出す。
それから少し間をおいて、首をかしげる。
「いや、実はよく知らねえ。お前はどうしてんの?」
また少し間をおいて、今度はいきなり声を上げて笑った。
「あはは! それだったら、お前だって滞納してるってことになんじゃねえか?」
いつもの屈託のない笑顔だ。
360
:
1×3暗め [28]
:2007/06/25(月) 13:22:29
彼は――。
入り口に呆然と立ちつくしている俺には目もくれず。
誰もいないテーブルの向こう側に向かって話しかけている。
心から楽しそうに。
俺が大切に思うあの笑顔を、惜しげもなく見せて。
「ぷはw ほらまた鳴ってるぞ、ローラフォンw」
ご先祖がテーブルの上を指さす。
そこにはなにもない。当然、着信音も聞こえない。
「俺のことばっか構ってるから、ローラも面白くねえんじゃねえのぉ?」
からかうような笑みを浮かべて、見えない相手が電話を切るのを待つ。
「終わったか〜? これ見てみろよ、俺ちゃんと考えてんだぞ、結婚式のスピーチ」
パソコンを開いて、それを反対側に回してみせる。
ああ、あの意味不明な文字列は、俺とローラの結婚式用のスピーチだったのか。
「実は楽しみにしてんだぞ。やっぱ子孫が幸せになんのは、俺も嬉しいからな!」
少年は一人で盛り上がっている。
悲しいまでに滑稽な一人遊びだった。
彼の目には、彼が望むとおりの俺が映っているのだろう。
普段のままの、世話焼きで心配性で、ちょっと神経質な年上の子孫が――。
「ご先祖」
俺はそっと、彼の後ろから、その肩に腕を回した。
「ごめん、3主」
涙が溢れた。
361
:
1×3暗め [29]
:2007/06/25(月) 13:22:49
ご先祖が口を閉ざした。
唐突に、静寂に包まれた。
「だって」
やがて彼が、小さくつぶやいた。
その頬を透明なしずくが滑り落ちていく。いくつも、いくつも。
「……だって……お前は……好きって言ってくれたのに……」
しゃくりあげる合間に、少年の本心が漏れる。
「……俺は……違う、から……」
ああ。
「……俺も、好きだけど……そういうのとは……違う気がするから……」
そうか。
「だから……傷つけるかなって……でも……ローラは優しいし……」
優しいのは、この少年こそが。
「きっとローラなら……ローラのところに戻れば……大丈夫かなって……」
だけど、優しすぎたから。
「でも、やっぱり俺、好きなのかなって……段々、わかんなくなって……」
その純真さ故に、混乱して、自分の感情すら把握できなくなった。
「……自分のことも……わかんなくなって……どうしていいか、わかんなくて……!」
「それがあなたの、答えなんだね」
362
:
1×3暗め [30]
:2007/06/25(月) 13:23:13
今まで通りの関係が、彼の一番の望みだったのだと。
ただ楽しく話していられれば、それで良かったのだと。
これは最初から……俺の失恋だったのだと。
今になってようやく、俺は、思い知らされた。
なのに――俺は気づかないままに。
まだろくに恋愛を知らない少年の心を、無理やり変えようとしてしまった。
まだなんの汚れも知らない無垢な躯に、リアルな事実だけを刻みつけてしまった。
そして、追い詰められた彼は。
感情を殺して、意識を殺して、夢の中に逃げ込んでしまったのだ。
もっと、強く抱きしめる。
その華奢な背中は、小刻みに震えていた。
「すまない。――本当にごめん。ごめんな」
それから、どれくらい過ぎたのか。
ある瞬間に、彼は聞こえるかどうかの小さな声で、囁くように言った。
「忘れても、いい……?」
俺の答えは決まっている。
「いいよ――忘れてくれて、いい」
363
:
1×3暗め [31]
:2007/06/25(月) 13:23:28
パソコンが四散した。
テーブルが溶けて消える。
空間がそのものが白い粒子となって飛び散り、そこに現れた真っ暗な闇に呑まれていく。
【ピッ!】
場違いな甲高い音が響き渡り、視界いっぱいに、巨大な白い枠と文字が浮かび上がる。
闇を背景に展開されたそれは――ウィンドウ。
黒地に白文字、右向き三角のカーソル。
コマンドはただ一つだけ。
【わすれる】
「1主……ごめん」
謝るのは俺の方だろ、ご先祖。
ああ、本当にこの人は、こんなときまで優しすぎる。
だから好きになったんだな、俺は。
・
・
・
364
:
1×3暗め [32]
:2007/06/25(月) 13:23:45
今日もうちのバカご先祖はパソコンでカタカタやっている。
「外は天気もいいってのに、少しは表に出たらどうなんだ」
「あん? 特に用事ねえもんな。だいたい1主、ジャンプの発売はあさってだぞ」
「威張って言うなっ」
俺が殴るマネをすると、ご先祖は笑いながら頭を抱える。
「あ! やべえ!」
なんだ唐突に。
「背中かゆい〜!」
「そんなことでいちいち騒ぐなよ!」
「だってかゆいんだもん! しかも自分じゃ届かない真ん中あたり! ちょ、掻いて」
「だぁあああ、もうあんたって人はぁ……」
世話が焼けるなぁと思いつつ、もぞもぞ変な動きをしているご先祖の背中に手を伸ばす。
――その指先が触れそうになった瞬間。
不意に恐ろしくなって、俺は手を引っ込めてしまった。
「んにゃ? どうしたんだよ」
「……いや、なんでもない。動くなってほら! ここか?」
ガリガリ掻いてやる。ご先祖は「ふにゃ〜ん」と顔を弛緩させた。
「あ〜いい。ありがとな♪」
いつもの笑顔だ。前と同じ、なんの翳りもない明るい笑み。
もうすっかり、元通りになった。……違うのは俺だけだ。
俺の内側に、あの時の闇が抱え込まれていること。
胸の痛くなるような彼への想いと一緒に、それは静かに重く、横たわっている。
――おわり
365
:
1×3暗め [-]
:2007/06/25(月) 13:25:13
これで終わりです。
暗くてごめんなさい。
366
:
名無しの勇者
:2007/06/25(月) 15:15:00
ウィンドウ出たところで鳥肌立った!乙です
367
:
名無しの勇者
:2007/06/25(月) 15:56:37
わかるなー自分もドラクエな雰囲気にホレた!
乙でした、感動でした
368
:
名無しの勇者
:2007/06/25(月) 19:01:12
めちゃくちゃ萌えました。1主切ないなー…
本当にGJです!
369
:
名無しの勇者
:2007/06/25(月) 19:40:00
超乙です!!
あますことなく萌えさせていただきました…!
370
:
1×3暗め [--]
:2007/06/25(月) 23:34:41
いや〜、あんまり間あけすぎたもので、ちょっと顔が出しづらくてですね。
おみやげ代わりの一作でした(^_^;
その割りにはなんか暗いからどうかなと不安でしたが、萌えてもらえて良かったです。
さてと、一作仕上げて気合いも入ったことだし。
本当に休載状態になっちまった長編の方、頑張らないとなぁ。
ということで【Ligament】続編、今週末を目処に続きあげます。
いろいろリアルで事情がありまして、なかなか執筆できませんでした。
お待たせして本当にすみません。
以上、靱帯でした!
371
:
↑
:2007/06/25(月) 23:38:37
黙って投下も考えたんですが、ちょっとしたサプライズということで。
うざくてすみません……orz
372
:
名無しの勇者
:2007/06/25(月) 23:48:40
あ、やっぱり靭帯さんでしたか!そうだと思ってましたよ〜
長編の方も楽しみに待ってますw
373
:
名無しの勇者
:2007/06/26(火) 02:56:17
超〜乙です!!
1主テラ切ナス(TДT)
2主がピュアなのは、遠いご先祖が隠れピュアピュアだからなのね。
374
:
↑
:2007/06/26(火) 02:57:32
sage忘れスマソ。
375
:
名無しの勇者
:2007/06/26(火) 20:05:56
ギャー靱帯さん復活ktkr
大変楽しませていただきました。
続くLigamentも楽しみにしていますw 復習しなきゃー!
376
:
【Ligament】[11] 0/6
:2007/07/02(月) 01:40:25
3主×4主←8主fromDQ主雑
3主「……いや〜、本当に休載状態になっちまったな」
4主「えー、仕事で抱えていた大きな案件がようやく落ち着きまして、
これからはまたちょこちょこ書けると思います」
8主「お待たせしてすみませんでした。今後ともよろしくお願いします」
3主「んで、もういっこ謝ることが……」
8主「すみません! 恒例サンクスコールは次の時にまとめて送らせていただきます」
4主「いや〜、ぶっちゃけ今週もいろいろと……もう……あの取引先殺してぇ……」
8主「ひとまず本編スタートです」
377
:
【Ligament】[11] 1/6
:2007/07/02(月) 01:40:50
<6主>
奥にもう一つ部屋があった。目測ではさっきの部屋の半分もないだろう。
ここは外に面していて2方向に大きな窓がある。
自然の外光で照らされた明るい室内には、壁際に小さな机と椅子のセットが一つ。
窓がない壁側に簡素な寝台があり、その横に鏡台と、小さなタンスがあった。
「シンシアの部屋さ。てっきり森の中で妖精みたいな不思議な生活をしてると思ってたから、
ここを見たときはおかしくなったな。普通じゃん、みたいな」
ベッドに腰掛けて、ヤツは隣をポンポンと叩いた。一瞬迷ったが、俺もそこに座った。
窓から差し込む陽光に、細かなチリが光るのを眺めながら、ヤツは静かに語り出した。
「ある日、世界中の名だたる識者の元に、神より勅命が下った。
いずれ目覚める地獄の帝王を滅ぼすために『勇者』を用意せよと。
必要な道具も実験素材もすでにこの地に用意されていて、選ばれた者たちは、
その栄光と誇りに懸けて大いなる研究に心血を注いだ。
素材の提供者だった地元人が実験に反対し、通電実験の最中に助けようとして
巻き込まれて死んだ、って事故あったが、それ以外はおおむね順調に進んだ」
……雷に打たれて……父親は……。
「俺の育ての親は、本職は心理学者だったそうだ。勇者として適正な人格を作る、
その教育プログラムの考案と実施が担当だった。強い正義感を持たせるのは当然だが、
潔癖すぎてもいけない。守るべき人間にも、醜い部分はあるからな」
徹底した情操教育と訓練、そして本人の知らぬところで繰り返される生体実験。
のどかな山村で育った4主が、そうとは思えない高い教養と礼儀作法を備えていることに
以前から疑問はあったが、これなら納得もできる。
ヤツはまるで他人事のように言葉をつむいでいく。
「結論を言えば、実験は失敗だった。もっと早くそれがわかったなら、さっさと廃棄処分
にして、新たに作り直した方が早かったはずだ。だけど……間に合わなくて」
あの運命の日が訪れる。魔王の襲来。
378
:
【Ligament】[11] 2/6
:2007/07/02(月) 01:41:07
「もし実験がうまくいっていたなら、きっとみんなを守ることができたと思う。
守るべき人間が死んで、道具だけが残るなんて、本末転倒もいいところだ」
自分を道具と言い切るヤツの目に、その思いに、嘘は見えない――。
ちょっと待て。待ってくれ!
「お前はなんとも思わないのか!? そりゃ命がけで守ってもらったかもしれないが……」
「彼らの愛情に疑問を持たなかったのかって? でもな、俺を守ってみんなが死んだのは
事実だ。それが実験動物に対する憐れみでも、研究成果を残したいという学者としての
意地だったとしても。責められるべきは、彼らの生前に何一つ期待に応えられなかった、
できそこないのこの俺なんだよ」
「いやおかしいだろ。エスタークは倒したし、ピサロも改心させて、悪の元凶のエビル
プリーストも闇に葬ったんだ。与えられた使命は全部、果たしたじゃねえか」
その瞬間だった。ヤツを取り巻いていた愁然とした空気が、急に濁ったのは。
肌の裏がザラつくような不快感。
目つきが変わる。7主を喰っていた時に見た、飢えた獣のそれだ。
「俺の使命は、そんなくだらないことじゃない」
思わず立ち上がりかけた俺の腕を、ヤツはグイっとつかんで引き寄せた。すごい力だった。
指が食い込む。ミシリと音がして、俺はぎりぎりで悲鳴をかみ殺した。
「俺の使命はシンシアの望みを叶えること。彼女が目指した『究極の生命』に、進化することだ」
「それは手段であって目的じゃないだろう!!」
怒鳴った俺に、ヤツはくすくすと笑った。それから、つっ……とある方向をあごで示す。
つられてそっちに目をやったが、なにもない。
「本人がそう言ってるんだ。間違いないよ」
は……?
4主はその方向をじっと見ている。俺ももう一度目をこらした。
ある瞬間、スウッと、半透明の女性の姿が浮かび上がる。
エルフらしい清楚なたたずまいの美しい女性だ。
だが――その彼女の笑みは硬質で、実験動物を眺める観察者の顔に他ならなかった。
379
:
【Ligament】[11] 3/6
:2007/07/02(月) 01:41:26
<3主>
「でりゃぁああああああ!!!!!」
2主がつっこんで行ったあとには、魔物の死骸が累々と横たわっている。5主は顔を
しかめていたが、俺が見ているのに気付くと、いつもの飄々とした様子で手を振った。
「いいよいいよ、緊急事態だからね。ちんたら説得してるヒマはないだろうし」
「すまんな」
正直、魔物を人間と同等に考えられる5主の気持ちは、俺にはいまいちわからない。
厳しい一人旅を続けてきた1主もそうだし、普段は穏和な2主も、あれで意外と向かって
くる敵には容赦しない戦士の一面を持っている。
アレフガルドは2度に渡って大敗を喫している。闇に閉ざされ、飢えと寒さに多くの
人間が死んだ。ようやく平和を取り戻したのちも、ムーンブルクという大国が女子供も
関係なく一晩で焼き払われた。
ロトの血族にとって魔物とは、人間という種族の生き残りを懸けて滅ぼすべき敵なのだ。
害意が無いなら捨て置くが、一度剣を向けた相手に、安易に情をかけるような考えはない。
だから――、
(3主なら、ちゃんと殺してくれると思ったから)
4主も俺を選んだのだろう。
「ご先祖ー! 5主ぅ、なんかいるぞぉ!」
2主が遠くで叫んだ。この場合の「なんかいる」は、アレ以外には考えられない。
俺と5主は一瞬顔を見合わせてから、急いであとを追いかけた。
果たして、なんともトリっぽい魔物と、タマゴっぽい魔物が、くだらない議題を
熱く語り合っている。どうやら例の問題は、未だに解決していないらしい。
できるだけ多くの敵を弊すために、無駄な戦闘を避けるのもロトの兵法だ。
さて、穏やかな話し合いの上で黄金の腕輪を渡してもらえるといいんだが。
「元祖魔物使いのお手並み、拝見させてもらうぜ?」
「うーん、自信ないけど、まあやってみるよ」
言葉とは裏腹に、5主は不敵な笑みを浮かべた。
380
:
【Ligament】[11] ■/6
:2007/07/02(月) 01:43:40
本日はいったんここまでです。半端なところでごめんなさ〜い。
ちなみに■/6の四角は、停止ボタンの四角です(誰も聞いてないか)。
381
:
名無しの勇者
:2007/07/02(月) 19:16:12
連載再開ktkr
つか、益々続きが気になる展開だw
4主どうなるんだろう…
靱帯さん、お仕事お疲れ様でした!
今後の更新も楽しみにしています。
382
:
名無しの勇者
:2007/07/03(火) 02:25:37
靭帯さんキタ―――!!!!
もういろんなこと頭ん中いっぱいで言葉が浮かばない。
怒涛の展開ですねぇ〜
4主が可哀想で早く救ってあげたい…でも(Ligament)終わらないでほしい。
ああアンビバレンツ!!
383
:
名無しの勇者
:2007/08/05(日) 22:36:49
みなさん靭帯さんまちでジリジリしているようなので(自分もその一人www)
ちょっとオツマミ投下していきますね
世にも珍しい4主と5主の絡み 苦手な人はヌルーおね
384
:
【1】
:2007/08/05(日) 22:37:28
”悪夢なんてもう慣れた”
と、言うのはやはり幻想だ。少なくとも俺はそう思った。
夢と分かりきってても、あの日の惨劇は生々しく蘇る。
家畜や人の悲鳴、魔物の興奮した鳴き声、生き物も家も何もかもが焼ける匂い。
記憶にこびりついたそれが、あたかも今、目の前に起きている事のように再生される。
何度も見た夢だ。始めから最後まで全部一緒。だからこの先の展開まで全て分かっている。
−ここからでちゃダメよ?−
そういって気丈に微笑み、そして僕の身代わりになった少女の最後のあの笑顔。
「 シンシア 」
そして俺はまたここで現実の世界に引き上げられる。
385
:
【2】
:2007/08/05(日) 22:38:04
あの夢は何度も見ているが、やはり慣れない。
過去の記憶だと解っていても、俺の心がそれを拒絶する。
見るたびに後悔と自責が押し寄せてくる。あの日、何も出来なかった非力な自分が恨めしいからだ。
あーもう寝汗がぐっちょりできもちわるい。喉もカラカラに渇いて張り付く。
だから悪夢なんていやなんだチクショウ。
とりあえずシャワーを浴び、べったりとした汗を流した。
「そーいえばこの間買っておいた珈琲牛乳が・・・」
頭をタオルでガシガシ拭きながら冷蔵庫に向かう。
だがいざ空けた瞬間、そこにあるはずのものは無かった。
仕方が無いことかもしれない。複数の人間が一つ屋根の下で生活する場合、
誰が買ったかわからないものを、これまた誰かわからないものがうっかり飲み食いしてしまうことがある。
とくに2主は風呂上りのイッキ飲みが日課の奴だ。うっかり飲んでしまったという可能性もある。
半ば仕方ないなぁと諦めかけた瞬間、視界にあるものが飛び込んできた。
空の瓶だ。その瓶の下には見てくれ、と言わんばかりのメモ帳が敷かれていた。
〜 4主さんへ
コーヒー牛乳とっても美味しかったですwww ごちそうさま^^
親愛なる8主よりw 〜
手の中で紙がひしゃげる音がするがキニシナーイ。
先ほどの悪夢も。就寝前に8主から嫌がらせされたことが原因かもしれない。
くそう、あのクソドラゴン。 明日起きたらプチころしてさしあげますわよ、っと。
386
:
【3】
:2007/08/05(日) 22:38:37
最悪な気分のまま、ダイニングのソファーに向かった。
あのコーヒー牛乳攻撃が地味に効いたらしく、全ての気力を失ってしまった。
あー 部屋に帰るのもマンドクセー
ので、とりあえずダイニングのソファーで寝ようと思ったのだ。 が。
「今日は厄日ですかそうですか。」
ソファーには5主が腰掛け、何かをしているようだった。
よく見ると本を読んでるらしい。どうせ5主のことだエロ本の類なんだろうよ。
あーあ、えらく真剣な顔しちゃって。なんかメガネまでかけてるし。
だが普段とは違い、物静かで落ち着きのある5主を見るのはこれが初めてかもしれない。
姿勢の良い、だが張り詰めたわけでもなくゆったりとした座り方。
サロン送り寸前のエロワードがいつも紡がれる口はきりりと閉まっている。
そのせいか妙に気分がざわついてきた。
・・・ん? なんか俺ときめいてません?
いやいやいやいや ないないないない
387
:
【4】
:2007/08/05(日) 22:39:01
「私でなくとも無言で、しかも背後の方から見つめられるのはあまりよろしくない気分なんだが?」
こちらを振り返らずにかけられた声に心臓が跳ね上がった。
一応気配は隠していたのだが、やはり相手も一応は歴戦の戦士。ばれていたみたいである。
「まぁ何時までも突っ立ってないで、座ったらどうだね?」
栞を挟んでぱたんと本を閉じ、5主はすこしだけ首を振り返らせ、こちらを向きながら
自分の隣を手のひらでトントンと叩く。ようは此処に座れ、ということだろう。
べつに反抗する理由も無いのでどっかりと座り、背もたれに両腕をかけ、足を組んだ。
隣の5主に比べればかなりだらしのない姿勢だ。
「んで、なにがあった? 恋の悩みか、それとも8主のいやがらせか?」
どこかおどけたように言う5主だが、単に喉が乾いたーなどといった類の穏やかな理由で俺がここにいるのでは
ないということに気付いているらしい。血のせいか、それとも経験からか。
とにかくこういった感情変化に変に鋭いからあなどれないんだ。まったく。
「べつにー?急にソファーでくつろぎたくなったら変態な先客がいただけですぅ。」
「はははあんまり嬉しくない冗談だな。」
棒読みと乾いた笑いの5主。
唇を尖らせていってみるがコレはどう見ても子供が拗ねているのと一緒ジャマイカ。
388
:
【5】
:2007/08/05(日) 22:39:26
「んであんたはどうなの?」
「ん?何がだい?」
「こんな時間に本読んで。しかも普段かけないメガネなんかかけちゃってるし」
わざわざ本を読むためにこんな深夜にこんな所にいるって言うのは不自然だ。突っ込んで言えば、本なんて
自室で読めばいいことだし、一応子持ちであるせいか以外にも夜更かしをしないのだ。5主は。
そんな5主が自室でなく、しかもこんな夜更けに本を読んでいるのだ。めずらしすぎる。
「案外君と同じ理由かもしれないぞ?」
「またそんな風にはぐらかしやがって」
誤魔化されたような気がしたので悪戯でメガネを奪う。しかし悪戯されても5主はこらこら、と言うだけで、
まるで子ども扱いだ。緩く微笑んでさえいる。ちくしょーめ。
弄っていたメガネを5主に返す。5主は苦笑しながらそれを受け取った。
「最近書類が片付かなくてね、深夜まで食い込むからどうも寝不足で。そのせいか若干視力が、ね。」
「老眼鏡じゃなくてざんねーん。」
その言葉に一応こいつが王であることを思い出した。
普段の行動にまったく王族らしいものが含まれていないせいだ。もうちょっと普段からまじめにしてりゃーいいのに。
389
:
【6】
:2007/08/05(日) 22:39:52
何をするでもなく、しばしの沈黙が流れた。
「ここにいる理由は、ちょっと部屋にいるのが息苦しくなってね。」
その穏やかな沈黙を、5主は穏やかな声で破った。
「昔の夢を見たんだ。私が己が王であることを知ったころよりもっと昔のころの。
親友と二人、あの石の牢獄に閉じ込められていたときのころの。
あのころは本当酷くてね、四六時中怒鳴り声、病人怪我人のうめき、鞭の音しかしなくて。
昼間は炎天下の中石を引きずって、夜は狭く、薄暗い所に押し込められて眠って。
でも昼間より、むしろ夜になったときの方が辛くてね。
だれも彼もが疲れ果て、たまには重労働のため死に至る者までいて。
明るいうちは働くことでいっぱいだけど、夜になって監視者の声がしなくなったとき、
暗く狭いそこでは聞こえるのはうめきだけ。視覚が塞がれている分それが克明になるから。
逃げ出した後、あの場所以外で得た初めての眠りに、夜とはこんなに穏やかなものなのかと感動すらしたよ。」
どこか遠くを見るよに5主は淡々と続ける。俺は食い入るように5主を見つめながらその話を静かに聞いていた。
「だから目が覚めたとき、部屋にいるのがちょっと辛くてね。」
ここなら広すぎるくらいだし、ちょっと電気代もったいないけど。
そういって5主は何時ものようにおどけて話を締めくくった。
390
:
【7】
:2007/08/05(日) 22:40:12
他の連中に言わせれば、俺とこいつは相等悲惨な部類に入る過去を持っているらしい。
だが、こうして5主の過去を聞いたのはこれが初めてかもしれない・・・。
「ふーん。あんたも相当苦労してたんだなァ・・・」
「ふふっ、君ほどでもないさ。」
「それにね、正直一人ぼっちでいるのには心細かった。だから僕は何度もあの親友に感謝したよ。
そして今も、ね。詰まり何が言いたいかというと・・・」
そういって5主は突然俺の体を引っ張った。予期してなかったその行動にアレはあっさりと引き倒されてしまう。
はっと気付いたときには5主の膝の上に、仰向けで頭を預けていた。
俗に言う膝枕である。
「こんなときぐらい、誰かに甘えてもいーんだよ、って事さ。」
「は!? え、ちょwwwうぇうぇwwww」
こんなことになろうとはまったく予想だにしてなかったうえ、恥ずかしいやら情けないやらで俺はもうメダパニ状態だ。
なんだこれ?何この展開???
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