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FFDQかっこいい男コンテスト 〜ドラゴンクエスト6部門〜

1名無しの勇者:2002/10/18(金) 20:17
DQ6の小説専用スレです。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。

*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*

26勇者×テリー:2002/12/21(土) 20:43
「おい」
耳元で囁くように声を掛けられ、テリーは震えた。
「何、ぼーっと突っ立ってるんだよ。もう、魔物は倒したじゃないか…お前の大活躍で」
大活躍の部分に力を込めて、ラダルが言う。
「お前のドラゴン斬りがヒットして、魔物が倒れたんだ」
すごかったぜ〜、とハッサン。そうそう、とバーバラも頷く。
「あなたがこんなに強くなっていたなんて…嬉しいわ」
姉のミレーユの言葉に、テリーは微笑み返した。
あの魔物は、最愛の姉を真っ先に狙って来たのだ。ミレーユが呪文を唱える間もなく、だった。ほとんど無意識に飛び出していたので、ドラゴン斬りを繰り出していたことなど、テリーは覚えていない。姉のいるラダルのパーティに合流したのはつい最近だが、みんなはもうテリーを仲間として受け入れてくれたようだ…ただ一人を除いては。
「…お前が世界を救う勇者だったらよかったのにな」
みんなに聞こえないくらいの小さな声でラダルはつぶやく。微笑んではいるが、瞳は笑っていなかった。剣技では彼に勝てるかもしれない。だが、彼のこの瞳に打ち勝てるか、と問われると、テリーにはなんとも答え様がなかった。さらにラダルは、テリーの最大の切り札を握っていた。
「今夜、お前に話があるから」
ラダルの言葉は命令だ。テリーは黙って頷いた。

36勇者×テリー【2】:2002/12/21(土) 21:24
レイドック城の夜は長い。テリーは与えられた自室で入浴を済ませ、服を着替えると、更に上の階にあるラダルの部屋へと向かった。彼の部屋へと続く長い回廊を歩きながら、テリーはふと窓を見る。城下町の灯りがまぶしい。ハッサン、バーバラ、そしてミレーユは、酒場へ繰り出すと言っていた。何でも、よく当たる占い師が来ているらしい。女性二人は占いを、ハッサンは大方酒と踊り子といったところだろう。目的はどうあれ、今夜姉が留守なことにテリーは安心した。自分がラダルの部屋でしていることを知ったら、姉はどう思うだろうか。
「おや、テリーではないか」
「…国王陛下…」
テリーの物思いを破ったのは、レイドック国王。ラダルの父である。最近は城下町を眺めていることが多い、とは聞いていた。よりにもよってラダルの部屋近くで会ってしまうとは、とテリーは内心舌打ちした。
「城下町の灯りを見たか。民の楽しげな様子を見るのが私の今の喜びだ」
もちろん、そなたたちの様子もだが、と国王は微笑んで言うと、すぐに顔を曇らせた。
「その…ラダルのことだが…そなたには何か話していないだろうか?」
「え?」
「実は、最近ラダルの笑顔を見ていない気がしてな。ただの気のせいだとは思うが…。
そなたたちに助けられているとはいえ、ゼニス王に選ばれた勇者としての重責が、ラダルにのしかかっているように思えたのだ」
「ラダルは俺にそんなこと、話したことはないです」
あのラダルが――気紛れに自分を翻弄する彼が、そんな悩みを抱えているとは思えない。
「そうか…私の思い過ごしかもしれんな。それはそうと、これからラダルの部屋へ行くのだろう?引き止めてすまなかった。テリー…あいつが何か思い詰めていたら、力になってやってくれ」
父親としての頼みだ。そう言うと、国王は去っていった。

46勇者×テリー【3】:2002/12/21(土) 22:11
「起きろ…おい」
頬をパシンと叩かれ、テリーは目を覚ました。ラダルが自分を見おろしている。
国王との立ち話のあと、ラダルの部屋に着くなり「遅くなった罰だ」と、扉に押し付けられ、立ったまま背後から貫かれた。慣らされないままだったため、かなりの痛みを伴ったが、その内に意識が飛んでしまっていたらしい。ベッドにはラダルが運んだようだった。
「まだ夜中だ。これで終り、じゃないぞ。今日の分はまだだ」
「…ぁッ」
ラダルのものを受け入れていた場所をなぞられ、テリーは喘いだ。その反応に気をよくしたのか、彼は更に指を挿れてくる。
「…や…んッ…あ、やだ…ラダル…」
「何が嫌なんだよ。指を締め付けているくせに」
もう1本、また1本とラダルは更に指を増やしてくる。気持ちではラダルを受け入れたくないのだが、テリーの身体は彼を受け入れ、喜び喘いでいる。
「お前のが勃ってきてる…気持ちいいんだろう?」
「…よくない…っ…んん…」
「嘘をつくなっ」
容赦なく頬を叩かれた。ラダルは指を抜き、お前が正直に言わないから、と、ベッドサイドに置いてあった黒いリボンを手にとり、テリーのものに結びつけた。先走りの雫を零していたテリーのものは、突然の拘束に萎えかける。
「やっ…何、ラダル…外して…」
「嘘つきには罰を与えなければな。お前がちゃんと言えば、こんなことはしなかったのに」
「は…んッ」
「苦しいか?じゃ、僕が言うとおりにお前も言えよ…ラダルのもので、達かせてください、って」
「!!」
そんなこと、テリーに言えるはずもなかった。気持ちでは彼を受け入れたくないのだから。
彼を本当に欲しいわけではないのだ。だが、身体は達したがっている。萎えかけたはずのテリーのものは拘束されているにもかかわらず、ラダルの言葉に煽られ、再び力を増してきていた。
「先っぽから零れてきてるぞ。いいのか?このままで」
ラダルは指で、テリーのものをなぞる。ひぁんッ、あられもない声が、テリーの唇から零れた。このままでは朝まで縛られたまま、気紛れにいたぶられるだけだ。
「…せてくださ…い…ん」
「聞こえないよ。もっとはっきり言え」
「ラ、ラダルのもので…達かせてくだ…さい」
恥ずかしさを堪えながらつぶやいたテリーに満足し、ラダルはすぐに突き入れた。
――勇者としての重責が、ラダルに重くのしかかっている――
責められている中、テリーはふと国王の言葉を思い出したが、視界が真っ白になり、またしても意識を手放してしまっていた。

5雫夜:2002/12/21(土) 22:18
836さんのレスで書き込む決心がつきました。
私もとりあえず、前半を、ということで。DQ6をクリアしたのがもう大分前なので、
間違ったところがあったらスミマセン。
前スレでFF書きたいとか書き込みしたのですが、気付いたらDQ書いてました(w
最後になりましたが、836さん、続き楽しみにしてます!!

6836:2002/12/22(日) 02:38
雫夜さん、お疲れ様です!早速読ませていただきました。
6ですね。久々に見たような気がして新鮮です。ちょい鬼蓄な勇者が…!
続き待ってますので頑張ってください!

76勇者×テリー【4】:2002/12/24(火) 20:55
「好きな人がいるの」
ヘルクラウド城での戦いから数日後、姉ミレーユからテリーが聞いたのはこの言葉だった。
上の世界にゼニス王の城を復活させたことを報告するため、レイドック城へと向かっていたラダル一行。お互いの近況を話しながら並んで歩くテリーとミレーユの先を、ラダルは歩いていた。ゆうしゃさま〜!!村の子供達が声を掛けるのに応え、彼は微笑みながら手を振っている。そんなラダルを一瞬見つめ、ミレーユはすぐ視線をそらした。テリーは姉の眼差しを見逃してはいなかった。
「姉さんの好きな人って…ラダル?」
「ふふ…」
白い頬を薄紅に染めてミレーユが頷く。
「彼、ラダルはね、あなたが生きていることを最初に信じてくれた人なのよ」
グランマーズの家でテリーの消息を旅人に尋ねる日々を送っていたミレーユに、ラダルは一緒にテリーを捜そう、と言ってくれたのだそうだ。もうほとんど弟の生存を絶望視していた彼女はラダルに勇気付けられ、旅立ちを決めたのだった。
「まさかラダルが王子様だったとはね…でもそうなっても彼は変わらない…みんなの勇者さまだわ」
「そう…姉さん、ミレーユもいい人に出会ったんだね」
ガンディーノで横暴な国王に差し出され不幸な日々を送っていたミレーユには、絶対に幸せになって欲しい。このときのテリーには、ラダルと姉の出会いが本当に嬉しかった。

「…夢、か」
テリーは自室のベッドで目覚めた。窓からは朝日が差し込んでくる。昨夜2度目に意識を飛ばした後、再度ラダルに叩き起こされ腰が立たなくなるまで犯され続けた。やっと開放されたと思いきや、歩くことがままならずラダルに抱えられ、風呂に入れられた。
先程まで無理な行為を幾度も強いていた男と同一人物とは思えないほど、テリーを優しく清め柔らかな布で包む。そんなラダルに戸惑いをおぼえながらも、身体を動かすのがつらく黙って彼に従った。すっぽり包んだテリーを再度横抱きにすると、ラダルはテリーの部屋に向かった。整えられたベッドに静かにテリーを下ろすと、ラダルは耳元で優しく冷たい言葉を囁いた。
「ミレーユには言うなよ…姉さんの幸せは、お前にかかっているんだからな」

86勇者×テリー【5】:2002/12/24(火) 20:58
ミレーユが自分に寄せる好意など、とうに気付いていた。初めてラダルに身体を拓かれた日、そう言って彼は薄く笑った。いつも人の好さそうな笑みを浮かべているラダル。今の笑みにどことなく違和感を覚えながらテリーは訴えた。
「ミレーユは真剣にあんたが好きなんだ…」
だから受け止めてやって欲しい。普段は頭を下げるようなことはしない。全ては姉のため。
自分が生きていることを信じてくれていたミレーユのために。
「…いいな、おまえは」
「…?」
ラダルの瞳はテリーを過ぎ、遠くを見ているようだった。
「お前は僕にないものをたくさん持っている」
どういう意味だ?聞き返そうとしたテリーの言葉はすぐにラダルに遮られた。
「そうだな…お前が僕にしかできないことをするなら、ミレーユのことは良くしてやってもいい」
その夜のことは今もあまりよく思い出せない。覚えているのは剣を置いて床に這え、と命令されたこと。抵抗したら耳元に優しい声音で囁かれたこと。
「姉さんの幸せがお前の喜びなんだろう?僕は将来レイドックの王になる…もしかしたらミレーユを王妃に据えることができるかもしれない…どういう意味か分かっているな?」
それはラダルに抱かれ続けるということ。何も言わずにいるテリーに気を良くしたのか、ラダルは続けた。
「レイドックでも屈指の戦士が、夜は僕の下で喘いでいる…たまらないな」
くっくっと笑う彼に、テリーは屈辱で身体が震えた。思わず床に置いた剣に手を伸ばすが、それを振り上げることはできない。ミレーユを盾にされれば、テリーには従うほかはなかった。

深く考え込んでいたせいか、誰かが入ってきたことにも気がつかなかった。
「テリーさん?」
戸口でチャモロが部屋を覗き込んでいる。
「…何だ…戻ってきたのか、お前」
「ええ、祖父の病状が思ったより良かったので。それよりテリーさん、サンマリーノ付近の森を荒らしていた魔物をドラゴン斬りで倒したそうですね。ハッサンさんが興奮して話していましたよ」
「……」
チャモロは祖父が倒れたとの知らせで、数日前からゲントの村に帰っていた。どうやら今朝戻ってきたらしい。もともとテリーが無口なことは知っているせいか、チャモロは特に気に止めず話を続けた。
「朝食にいなかったので、みなさん心配していましたよ。あ、実はラダルさんからテリーさんを呼んでくるよう言付かったんです。国王陛下のところに新たな陳情がきたらしいですよ。何でもレイドック北東の山間の村に現れた魔物のことで」
「…分かった。すぐ行く」
腰にはまだ痛みが残っていたが、歩けないほどではない。テリーは立ち上がった。

9雫夜:2002/12/24(火) 21:01
…チャモロ忘れてました。で、【5】に登場させてみました。
あと少しで終われそうです。

10名無しの勇者:2002/12/24(火) 22:09
続きキタ…!
鬼畜主人公と姉思いテリーが(・∀・)イイ!!

116勇者×テリー【6】:2003/01/18(土) 02:00
山間の村に現れた魔物を倒して欲しい、というのが陳情の内容だった。狐が畑をあさっているのだとのんびり構えていたところ、その狐は1週間ほどで村で最も高い木を越える大きさに成長してしまったのだという。このままでは村が年を越せなくなります、と涙ながらに訴える村長に根負けし、国王は陳情を受けた。
サンマリーノ付近の森に現れた魔物を倒した後、すぐにでもはざまの世界に向かうはずだったラダルたちだったが、急遽予定を変更し山間の村へ向かうこととなった。ただ小さな村であること、夜にしか活動しない魔物であることから、最小人数のパーティを組むことになり、選ばれたのがラダル、チャモロそしてテリーだった。
昼に出発ということになり、城門まで国王と留守を預かる3人が見送りに出た。
「あなたの腕ならラダルと協力して、魔物もすぐに倒せるわよ。頑張ってね」
ミレーユがテリーに励ますように言う。テリーは、ありがとうとつぶやいただけだった。
ラダルはかなり大胆で、人前にもかかわらずミレーユを抱きしめ「では、留守を頼む」と微笑みながら囁いていた。きゃ〜!!とバーバラたちの歓声が上がる。突然の行為のためかミレーユはほんのりと紅く頬を染め、恥ずかしそうに視線を足元に向けていた。昨夜息子の様子に心を痛めていたレイドック国王も、ラダルに美しい想い人がいたことに嬉しそうな様子だ。しかしどうしたのだろう、とテリーは不思議に思う。あの男はミレーユの気持ちを知ってはいても、あんなにあからさまな行動はしなかったはずなのに。
「あの、ラダル…弟をよろしくね」
はにかみながらミレーユが言う。彼女の様子にいかにもほほえましげな顔で、ラダルも言葉を返した。
「ああもちろん。彼は戦士としても優秀な仲間だ。僕の方が助けられている」
弟を褒めるラダルの言葉に、ミレーユは嬉しそうに微笑む。しかしそんな姉の様子を見つめるテリーの胸中は何故か複雑だった。この男は本当はそんなことなど、少しも思っていない、逆に自分を疎ましく思っているんだ、そうミレーユにそう告げてしまいたくなった。

村長の案内で、夕暮れには村に着くことができた。歓迎の宴を、という村長の申し出を断り、魔物が出るという村外れの畑までラダルとテリーは偵察に出た。村長の話によれば、魔物は火を怖がるらしい。チャモロが覚えているメラ系の呪文を切り札にし、テリーとラダルで斬りかかる作戦を取ることにした。だが呪文を使うとなるとただでさえ収穫が落ちている畑に火が燃え移り、さらに被害を与えてしまう可能性がある。そのため魔物を呼び込める手頃な場所はないか、というのが偵察に出た理由だ。場所が見つかり次第、早ければ明日の夜には作戦決行の予定である。偵察には当然チャモロも来たがったが、呪文を唱えるのには精神力が一番大切だろう、とラダルが説き伏せたため村長宅で留守番となった。
村から畑に続く道は草が生い茂り、前方は良く見えない。魔物騒ぎになってから誰も畑に近づかないため、草刈りをする者がいなくなってしまったからだという。二人の腰までの高さまである草を剣で払いのけながら、先へ進んだ。

「…静かだな」
最初に沈黙を破ったのはラダルだ。
「魔物の気配なんて全く感じない。本当にいるのか?村長の奴、嘘を言ったんじゃないだろうな」
「…」
「自分達で解決しようともせず、すぐに『勇者様』に厄介ごとを持ちかけてくる…」
全く、とラダルは大げさにため息をついた。
ラダルの勇者らしからぬ発言にテリーは閉口する。そんなテリーの様子を感じ取ったのか、ラダルは別の話題を持ち込んだ。
「腰は大丈夫か?」
暗闇なのでどんな顔で言ったのかは分からないが、この男がそんなことを聞くとは、とテリーには意外だった。
「何故?」
「無理をさせてしまったからな…だから今日は、ミレーユを喜ばせてやった」
「……」
だから、か。なぜかほっとしている自分に気付き、テリーは内心舌打ちする。この男はやり方を選ばない、どこまでも卑劣な奴だ。こんな奴こそ魔物にやられて――死んでしまえばいい――。
「ウオーンッ!!」
魔物とおぼしき獣の声が上がったのはその時だった。慌てて前を見ると、身体は既に木の高さを越した、熊のような獣がこちらに腕を振り下ろそうとしていた。咄嗟に身体を避けたテリーに、ラダルは一瞬遅れた。その遅れの為にラダルは右手足に獣の攻撃をまともに受けそうになっていた。
「危ない!!」
先程まで死んで欲しいと願っていたはずなのに――気が付くとテリーは剣を抜き、ラダルをかばうかのように、獣に向かっていた。

126勇者×テリー【7】:2003/01/18(土) 02:01
テリーが意識を取り戻したのは、村長宅のベッドの上だった。うっすらと瞳を開けると、傍らに控えていたらしいチャモロがほっとした声を漏らすのを聞いた。
「テリーさん!!心配したんですよ。どうして二人だけで魔物を倒そうとしたんですか?村長さんが、火の呪文を使える人を連れて行った方がいいって言っていたじゃないですか!!ラダルさんはただ偵察に行くだけだって言っていたのに!!」
テリーが目覚めたことに安堵したのか、一気にまくし立てる。チャモロは涙を堪えているような顔だった。何と言ったらいいのか。テリーはやはり感情を言葉にするのが得意ではなかった。
「…すまない」
とりあえず一言謝り、付け加える。
「ところでラダルは?」
傷が思ったより深くて、別室で絶対安静です、と何故か不服そうにチャモロは答えた。

2人が発見されたのは夜明け前。偵察に出かけた二人が戻らないことを不審に思ったチャモロが、村人を伴い村外れ近くまで捜しに来たのだという。「ぎにゃぁあ!!」という魔物の断末魔の声を聞きつけ、慌てて向かった彼らが見たのは、テリーの剣が背中に突き刺さったまま事切れた魔物と、その傍で仰向けに倒れているテリー、更にその上に覆い被さるようにうつ伏せに重なっていたラダルだった。ラダルは左肩から背中にかけて魔物の爪にやられたと思われる傷を負っていたが意識ははっきりしていて、村人達に意識を失ったままのテリーを先に運ぶように告げたという。ラダルは詳しくは語らなかったが、テリーが魔物に剣を突き立てるのとほとんど同時に、魔物も腕を振り上げたらしい。チャモロによればラダルの負った傷は、テリーを庇った際にできたものではないかということだった。
「…そうか」
奴が。自分をモノ扱いするあいつが、何故自分を生かしておこうとしたのか。ラダルが自分を嫌っているのは、彼に抱かれているときでさえ伝わってくるし、ミレーユをネタに自分と関係を続けている以上、ミレーユを悲しませたくないから、という理由でもないだろう。ラダルの真意は謎だ。そして自分の真意も、とテリーは思う。ラダルに会えば分かるだろうか。テリーはラダルの部屋へ行ってみることにした。

136勇者×テリー【8】:2003/01/18(土) 02:04
何故か、自分も一緒に行くと訴えるチャモロを説き伏せて、テリーはラダルの部屋を訪れた。扉の前で一応ノックはしてみたが、返事はない。一呼吸置いてから扉を開いた。
部屋の真中に置かれたベッドの上に、ラダルはいた。背中が痛むせいか、半身を起こした状態である。明らかにテリーの気配を感じているはずなのに、ラダルはこちらを見ようともしない。カーテンが開かれた大きな窓に映る外の景色を眺めている。
「村は無事に収穫できそうだな」
外には久々の野良仕事に向かう村人達の姿があった。魔物が消え、再び畑に行けるようになった彼らの表情は明るい。
「…何故僕を助けた?」
ラダルは突然、つぶやくように問い掛けた。
「僕は奴の気配に気付くのが一瞬遅かった。見殺しにすることだってできたはずだ」
「……」
テリーは何も言えなかった。あの一瞬、彼の死を願ったのは本当だから。その意に反して彼を助けたのは、ミレーユを悲しませたくなかったから…そう思っていた。考えれば考えるほど分からなくなる。でもラダルも自分を助けたじゃないか。それは何故だ?そう言おうとしたテリーより早く、ラダルが自嘲気味につぶやいた。
「ミレーユのことなら、たとえ僕が死んだとしても世界中が同情するだろうさ。『ミレーユ様は勇者様に別れも言えずに…お気の毒に』って」
「ミレーユは勇者だからっていう理由であんたを好きなわけじゃない!!」
テリーの先程の沈黙を、どうやら姉のことを考えているものと捉えたらしいラダルの言葉に、テリーはすぐに言い返した。どうだかな、と更にテリーを煽るように吐き捨てると、ラダルは続けた。

「なあ、お前はミレーユが僕たちの旅について来た理由を知っているか?」
「…あんたが、オレがどこかで絶対生きているはずだから一緒に捜そうと言ってくれたって…」
「ああ、確かにそう言った」
ラダルはくっくっと笑った。
「僕はお前が生きてるなんてこれっぽっちも思わなかったよ」
身体を震わせ、なおも笑いつづけるラダルに狂気じみたものを感じ、笑うのをやめさせようとテリーはベッドに近づいた。だが一歩踏み出したその瞬間、強い力で腕を引っ張られ、バランスを崩したテリーはベッドに押し倒された。いつの間にか笑うのをやめたラダルが、テリーの腕を押さえつけ、冷たい瞳で彼を見おろしている。
「僕はずっと壊してやりたかった…」
「…?」
何のことを言っているのか理解できないテリーに構わず、彼を見据えたままラダルは続けた。
「ライフコッドでその日のことだけを考えて、ターニアとのんびり暮らしていたかったのに、突然『下の世界』に落ちて、その世界にある国の王子だと知らされ、気が付いたら世界を救う勇者だと言われるようになって…何故、僕なんだよ!!」
「…ラダル…」
夢の世界のライフコッドで暮らしていたラダルにターニアという『妹』がいたのは、テリーもミレーユから聞いて知っていた。大変可愛がっていたことも。
「僕はいつだってライフコッドに戻りたかった…だがみんなは期待に満ちた瞳で僕を見て『勇者様、この世界を救ってください』と訴える。村に引き止めてくれると思っていたターニアでさえも、僕に行って来いという…だから壊したかったんだ…人々が僕に向ける『希望』を…」
言い終えて、テリーの両腕を押さえつける力を強める。その痛みにテリーはうめいた。
テリーを見おろす瞳は相変わらず冷たいままだが、その中に哀しみがみえたのは気のせいだろうか。それを見るのが何故かつらく感じ、テリーは瞳を伏せた。
「そんなときに生死もわからない弟の生存を信じるミレーユに出会った。そう、彼女を旅に連れ出したのは『弟は生きてなんかいない』って現実を突きつけてやろうと思ったからさ」
「……」
「でも、お前は生きてた…。ミレーユの希望を打ち砕いて、こなごなにしてやりたかったのに…『希望』を持つことなんて虚しいだけだって分からせたかった…でも、お前らはあきらめなかった」
頬に暖かな雫を感じ、テリーは伏せていた瞳をゆっくり開いた。ラダルが涙を流している。
テリーは彼にも泣くほどの感情あったのだと今更気付いた。彼はテリーが驚いているのを見て初めて自分が泣いていることにきがついたらしい。決まり悪くなったのか急にテリーを拘束していた腕を放すと起き上がり、ベッドサイドに腰掛けうつむいた。

146勇者×テリー【9】:2003/01/18(土) 02:04
「ラダル…」
少し遠慮がちに、ラダルの背中に声を掛ける。
「…ミレーユのことを持ちかけて犯しても、お前はミレーユを憎んだりしなかった。ミレーユの幸せをいつも一番に考えていて…そんなお前をめちゃくちゃに壊してやりたかったのに」
失敗した。吐き捨てるようにラダルはつぶやく。ラダルの背中が震えているような気がして、テリーはほとんど無意識に指先で彼に触れた。しかしその手をラダルは軽く弾く。
「僕に触れるなっ!!」
「…」
「僕の弱みを握って嬉しいんだろう?僕が皆の思い描いている『勇者様』じゃない、汚い人間だと分かってどうだ?」
自嘲気味に言うラダルの表情は背中を向けているせいで、テリーには見えない。しかしその背中は間違いなく震えていた。
「…僕は自分の平穏に暮らしたいという望みが絶たれてから、この世界が、人々が疎ましく感じてばかりだ。考えているのはおよそ勇者らしくないことなのに…誰も皆の『希望』から僕を解放してくれない…」
「……」
嗚咽をこらえているラダルの背に、テリーは再び手を伸ばした。今度はラダルも拒もうとはしない。そのまま両手で背中からラダルを抱きしめる格好になる。
死んでしまえばいい――確かにそう思っていた。まだ心のどこかでは彼を憎んでいる。だが――とテリーは思う。ラダルも『希望』を奪われた一人の人間だった。彼が内面に大きな傷を抱えていることを知り、不思議な親近感も感じた。いや、親近感というよりも何かもっと別な『痛いけれどあたたかな』感じのモノ。この感覚は――。
「テリー…」
出会ってから初めてラダルに名を呼ばれ、テリーの思考は中断した。初めて自分の名を呼んだラダルの声にも先程と同じような感じを受けた。
「もう少し、このままでいてくれ」
「……」
そう言ってラダルは自分を抱きしめるテリーの指先を握る。テリーの戸惑いは増すばかりだった。でもそれが何なのかは、これからゆっくり考えればいい――と無言で瞳を伏せた。

15雫夜:2003/01/18(土) 02:09
何とか終わりますた…が、まだミレーユのこととか、お互いの気持ちとか…全然解決してないでつ。
近いうちに続きが書けたら、と思います。今回は第1部ということで。
次回はチャモロ視点で明るいお話を書いてみたいでつ。

16名無しの勇者:2003/01/18(土) 17:54
乙です〜
個人的に6が一番好きなので、続きもぜひがんばってくらさい

17Sweet Honey Cookies【1】:2003/01/28(火) 22:31
――おじい様。ボクが行くまでは死なないでくださいっ!!
レイドック城で祖父の危篤の知らせを受けたのは昨日。急いで故郷の村に向かったチャモロを待っていたのは、何故か元気に茶をすすっている祖父だった。

勇者一行は最終戦の舞台である狭間の世界に向かうべく、最終調整していた。その矢先に祖父の危篤の知らせ――この世で唯一の肉親である祖父に一目会うべく、帰宅したチャモロだったが――。
「…お見合い、だったとは…」
くそじじいめ、と普段は絶対口にしない言葉を心の中で呟き、昨日の一件を振り返る。
ベッドで伏せっている祖父の姿を想像していたチャモロは、元気な様子の祖父に一瞬言葉を失った。
「…おじい様〜!!」
「おおチャモロ、お帰り。腕が震えているが、何かあったのかの?」
「…おじい様が危篤だって聞いて、ボク…」
祖父がすすっていた茶の銘柄が、チャモロの苦手な匂いのきついトルッカ産だったことも、彼の怒りを増大させた。そんなチャモロには気付かないふりで、祖父は立ち上がると、いそいそと客間の扉を開けた。
「こ、こんにちは…っ」
中からそっと出てきたのは、銀色の髪を腰まで伸ばした青い瞳の女の子。状況を理解できないでいるチャモロと目が合うと、女の子は頬を染めて微笑んだ。
「おじい様、どういうことですか?」
「実はのう、こちらのお嬢さんはゲント族と古くから親交のあるレーデル族の族長の娘さんでな。先日、その族長さんとお互いの孫の話になって、ちょうど同い年の15歳だから会わせてみようということになってのう…」
つまりはお見合いじゃ、とにやにや微笑む祖父をチャモロは鋭く睨みつけた。祖父はやはり気付かないふりで、2人を強引に向かい合わせに座らせ「お見合い」を始めたのだった。

18Sweet Honey Cookies【2】:2003/01/28(火) 22:32
「それにしてもあの子、テリーさんみたいだったな…」
祖父が企てた『お見合い』相手のレーデル族の女の子は、外見が驚くほどテリーに似ていた。特に髪の色や瞳が。
――最初の話題もテリーさんの時と同じで、『ゲント文字の変遷』についてだったし。
レーデル族の女の子は意外に博識で、文学について深く勉強していなければ分からない様なことでもすぐに話が通じた。ちなみにパーティ内でこんな話ができるのは、勇者ラダルとテリーのみである。女の子には祖父が席を離れた時を見計らって、やんわりと断りを入れた。
女の子が帰っていった後、祖父は自分が嘘を吐いてチャモロを呼び出したことは棚に上げて、お見合いを断ったことをぐちぐち言い出した。
「チャモロよ。お前もワシの跡を継いでゲントの長になるなら、そろそろ身を固めることを考えなくてはの」
「あの〜おじい様、ボクはまだ15歳で、世界を救う旅の途中なんですが…」
「なぁにを言っとるか!!ワシがばあ様と出会ったのは14の時だったぞ。それにお前は旅に出るのをかなり嫌がっておったくせに…」
祖父はその後も、レーデル族のお嬢さんみたいな人にはもう2度と出会えん、旅が終わってからもう一度お見合いをさせるといきまいた。その件で今朝方まで祖父と喧嘩し、最後には半ば強引に約束させられ、やっとレイドックに帰ることを許されたのだった。

19Sweet Honey Cookies【3】:2003/01/28(火) 22:33
日が沈んだ頃、やっとレイドック城が見えてきた。今日はよく当たると有名な占い師と美人の踊り子が城下町に来ているはず。そのせいか街の灯りがいつもよりまぶしい。
――テリーさんに、おじい様の策略でお見合いさせられそうになったこと、話してみよう。
ボクはまだそんなこと考えたくないのにって言ったら、分かってくれるかな。ついこの前パーティに合流したばかりのテリーは、チャモロにとって憧れの対象だった。輝く銀の髪、透き通った青い瞳。そして流れる様な剣さばき。兄弟もなく、本の虫だったチャモロには同じ年頃の遊び相手は村にはいなかった。勇者一行に加わってからも、肉体派ではないためか仲間とは話が合わず、なんとなく疎外感を感じる日々。そんなチャモロにテリーは普通に接してくれた。
――『ゲント文字の変遷』か。それ、面白いよな。
宿屋で一人離れた場所で本を読んでいたチャモロに、テリーはそう話し掛けたのだった。
彼にしてみれば別にチャモロに気を遣ったわけではなかったのかもしれない。だが嬉しくなったチャモロは、その後ことあるごとにテリーと話す様になった。無口なテリーも嫌そうにはせず、ぽつぽつと自分のことを語ってくれた。自分も姉を捜す旅に出る前、暮らしていたガンディーノで学校に通って、剣術と同じくらい文学や語学については一通り勉強したこと。ゲント文字については特に興味を持っていたこと。モンスターとも会話できること――。
「…早く逢いたいなぁ」
全く無意識でチャモロは呟く。
今まで、誰にもこんな気持ちになったことのないチャモロにとって、テリーはまさしく『初恋』の相手だった。

20雫夜:2003/01/28(火) 22:38
チャモロのお話でつ。タイトルはチャモロから想像したイメージで。何となく、甘いお菓子のような感じがしたので。
あぁスペル間違ってそうだ…。
で、この話>>2-14の6勇者×テリー話と時間がかぶってます。チャモロ視点からあの二人の様子を書くのが今回の目標のひとつなんでつが。
次回はすぐに書き込めそうでつ。

21Sweet Honey Cookies【4】:2003/02/18(火) 23:15
――帰ってきたと思ったら、真っ先にテリーの居場所を聞きたがるなんて、アンタってまさか…ホモ?きゃはは〜。
 ラダルとテリー以外は皆、城下町の方に繰り出しているらしい。
 酔っ払いのバーバラにからかわれてムッとしたが、テリーが向かった先はしっかり聞き出した。
「ラダルさんの部屋…か」
 できればテリーと二人で話したかった。多分この旅が終わったら、ゲント族長の孫として一族をまとめていかなければならない。まだ族長を補佐できる器でもない。―そんな日頃の悩みを打ち明けたとき、自分の過去の失敗から色々アドバイスをくれた彼。彼なら、今回の騒動の顛末を真剣に聞いてくれると思ったから。
 だが勇者にも、今日中に帰還報告はしなければならない。一石二鳥だと思うことにした。

 ラダルの私室は3階奥だ。大広間から2階まで大階段を駆け上がり、3階のラダルの私室に続く階段をゆっくり昇る。3階まであと2段というとき、ラダルの私室の方から、誰かのくぐもった声が聞こえてきた。
「…っあ、は…や…」
「…えが…るい…だ」
 男性の声。ひとりは低く、もうひとりは息があがったような声だ。テリーとラダルだろうか?
 チャモロは最後の2段をゆっくり昇り、踊り場の壁際からそっとラダルの私室の方へ目を向ける。そこにはチャモロの予想通りに、テリーとラダルがいた――テリーがラダルに抱きすくめられている形で。

22Sweet Honey Cookies【5】:2003/02/18(火) 23:16
「な…ん」
 目と鼻の先で繰り広げられている光景が信じられず、とりあえず落ち着こうとチャモロは床に座り込んだ。
――何でテリーさんは、ラダルさんに抱きしめられているんだ?と疑問が頭の中を駆け巡る。
 テリーはチャモロに背を向ける形で立っており、彼の様子は全く窺えない。だが照明の光を受けて輝く銀色の髪と、漏れ聞こえてくるかすかな喘ぎ声はテリーのものだ。
「いや…だ。はぁ…ん、っ…さわん…な」
「こんなに濡れて硬くしているのに…やめていいのか?」
 テリーの耳元に息を吹きかける様に、ラダルは囁く。
「…ふ…ぅあ…ん」
 が、テリーからは言葉にならない反応しか返ってこない。彼が答えられないと分かっていて、わざと訊いたようだ。
 濡れている、硬くしているとラダルが揶揄しているのが、テリーの身体のどの部分かチャモロはやっと気付いた。
 同性で愛し合う人々がいることは『知識』として知っている。だがテリーとラダルがそういう関係だとは、俄かには信じ難かった。

23Sweet Honey Cookies【6】:2003/02/18(火) 23:18
「あ…ぁん…っ」
 テリーの喘ぎが激しくなってくる。併せて聞こえてくる、ぐちゅぐちゅと濡れた音に、チャモロは自分の身体の中心が反応していることに気が付いた。
――なんなんだよっ!!
 そこに触れたことなどないから、鎮める方法などチャモロには思いつくはずもない。ただ緩く勃ち上がったものが下着を押し上げ、先が少し濡れているのが分かった。そんな自分の状態を自覚したせいか、吐く息がいつもと違って熱を帯びている感じがする。
 幸いテリーたちは、見られていることにまだ気が付いていない。屋上で身体を冷ませば鎮まるかもしれない、と考え、チャモロは痛みを感じ始めた下肢を庇いながら、音を立てないようそろそろと歩き出した。
 屋上へと続く階段は、チャモロがいた踊り場に繋がっている。何とかその階段のところまで辿りついて、二人からは死角になるところまで来ると、気が緩んだせいか深呼吸をしかけた。まさにそのときだった。
「――ッ!!」
階段の方の暗闇から伸ばされた手に、背後から腕を取られ、チャモロは身体のバランスを崩した。叫び出しそうになった彼の口を、さらに現れた手が塞いで、チャモロは暗闇に身を潜めている人の胸に倒れこむ形になる。
「…チャモロ、か?」
こんな野太い声をしているのは、彼が知る内ではひとりしかいない。

24Sweet Honey Cookies【7】:2003/02/18(火) 23:19
「ハッサンさんっ!!」
 どうしてここに、と彼の方を振り向き、口をパクパクさせながら訊くチャモロに、ハッサンは人差し指を唇に当て、静かに、という合図をする。
「久々に城下町に出て、今街に来てる踊り娘と遊んでたら、呑みすぎちまって…頭がガンガンするもんだから、屋上に涼みに行ってたというわけだ。そしたら…こんな状況でよ」
 そう言ってテリーたちがいる方向の壁を指差す。
「お前、じいさんは無事だったのか?」
「おかげさまで」
チャモロはこの男―ハッサンが大嫌いだった。会話をすればいつの間にか『ぱふぱふ』の話になっていくし、食事は大声で喋りながらガツガツと食べる上、汚れた口元など全く気にしない。更に魔物との戦いでは、ラダルが立てた作戦を無視し、素手で突っ込んでいくことが多い。全てにおいて自分と、そして憧れのテリーとは正反対だった。旅の目的が同じ以上、仕方なく付き合ってはいるが、役目を終えたら一番先に別れたいのがこの男である。
 階段から細く差し込んできた月明かりにハッサンの姿が浮かび上がった。こんな間近で見たくない、とチャモロは内心ひとりごちる。
「テリーに会いに来たんだろ、お前」
 残念だったなぁ、とニヤニヤしながらハッサンが言う。
「あなたに関係ないです」
 そう言って、腰に回されたハッサンの両腕を振りほどこうとする。身体を捩っているうちに、ハッサンの手がチャモロの中心―勃ち上がっていた部分を掠める。
「…ひぁっ」
 チャモロがおかしな声を出したせいだろうか、ハッサンは不審そうにその部分を弄った。彼に触られたせいでその部分の痛みが更に増し、それに堪えるかのようにチャモロの息は荒くなっている。
「…チャモロ、お前もしかして…勃ってる?」
ハッサンの問いにチャモロは答えられなかった――股間の痛みに息を吐いているのが精一杯だったから。

25雫夜:2003/02/18(火) 23:22
久々のDQ6です。
明るいほのぼのSSを目指していたのに、本編の二人が出てきたせいか、暗くなってしまいますた。
…タイトルが浮いてます。
続きは近いうちにうpします。

26 Sweet Honey Cookies【8】:2003/02/26(水) 22:28
 ハッサンの太い指が、服の上から下肢の形を確かめるようになぞって、その直截な感触にチャモロは悲鳴をあげる。
「やっ…い…たぁい…っ」
 あまりの苦しさに、チャモロの瞳から涙が零れた。ハッサンはそんな彼の様子から、チャモロが自慰すらしたことがないのを悟ったらしい。喘ぎながらすすり泣くチャモロを宥めるように優しく囁く。
「心配するな。いったん抜けば痛くなくなるはずだ」
 俺がやるから、お前はじっとしてろ――ハッサンのいいようにされるのは嫌だったが、自分ではどうしたらいいのかわからないのだ。チャモロは覚悟を決めて、おとなしく身を任せる。
 それが合図だとばかりに、段差に腰掛けたハッサンは自分の膝の上にチャモロを座らせると、彼の踝まであるローブをめくりあげた。下着の中で先走りを滴らせていたチャモロ自身を両手で掴み、ゆっくり上下に揺すって扱き始める。
「ふ…んっ…あ…はぁ…」
「…自分でしたこと、ないんだろ?なのにこんなに濡らして」
 ハッサンはチャモロに聞こえるよう、わざとらしくぴちゃぴちゃと音を立てて指先を動かした。
「ぃや…やだぁ…ん…っ」
 彼が自分を揶揄していることが分かって、チャモロは顔を紅くした。背後から抱かれる形で良かったと思う。
 恥ずかしいことをしている自覚はあるが、痛みを少しずつ快感に変えてくれる指先から逃れることができない。魔物相手には洗練された動きを感じないハッサンの指が、こんなに優しいのは何故だろうか。

27 Sweet Honey Cookies【9】:2003/02/26(水) 22:29
「やぁん…っ」
 チャモロの下肢を責めていたはずの左手が、乳首の先端を掠め、彼はその甘い刺激に声を漏らした。
 普段胸を触ったところで何も感じないのに、この指に触れられただけで喘いでしまったのはどうしてだろう。
 感じやすいんだな――何気ないハッサンの一言で更に顔は紅く染まり、悪いことをしているような気持ちが膨らむ。
「乳首、すごく感じてる。硬く尖って、ぷくってしてるぞ。…暗くて見えないけど、多分すごく紅くなってるだろうな」
「はぁ…っ、あっ…ん、あぁっ、あ…ぅ」
 言葉では意地悪いことを言いながら、指先はあくまで優しい。下肢から伝わってくる痛みも、徐々に胸を触れられた時のようなもの――甘い刺激に変わってきた。
 チャモロが感じているのが痛みから快感に変わったことを悟ったハッサンが、不意にチャモロの下肢を扱くのをやめ、手を止めた。ただし指先はチャモロの先端にあてがったままで。
「やっ…」
 どうしてやめるの?と、目尻に涙の浮かんだ瞳でハッサンを振り返るチャモロは、自分がどうして欲しいのか、言葉にはできない。
「苦しいか?」
 分かっているくせに、訊く。
「じゃ、俺の言う通りに言ってみろ…達かせて下さい、お願いします、ってな」
 達かせるっていうのは、今俺が押さえてるお前の先っぽから、白い液体を吐き出させることな――あまりにも直截的な物言いに、チャモロは耳を塞ぎたくなった。

28Sweet Honey Cookies【10】:2003/02/26(水) 22:31
「そ、んなこと…言いたくな、い…です」
「じゃあこのままだな」
 平然と言い放つこの男が、少し前に『俺に任せろ』と言った男と同一人物とは思えない。少しの刺激でも喘ぐチャモロを見て、普段お高くすましている奴をいじめるチャンスだと思ったのだろうか。
「こんなに濡れて、達きたそうにしてるのに…やめるか?」
 そのハッサンの物言いが、先程踊り場の壁際で見た勇者そっくりだった。
 ――こんなに濡れて硬くしているのに…やめていいのか?
 そんな意地悪な問いに、テリーが喘いでばかりで答えられなかったのを思い出す。あの時は男同士なのに、と半ばショックで二人の様子を見ていたはずが、いざ自分の身に起こると思考が上手くまとまらない。それどころか、あの時のテリーと同じようになりたい、という欲求が強くなる。
 結局『達きたい』という欲求が募り、とうとうチャモロは口にした。
「お、お願…っ…します。ん、いっ…達かせてくださ…いっ」
 ふふ、と頭上でハッサンが笑った気がして、むっとしたのは一瞬だった。
 ハッサンが先端を押さえていた指を少しずらして、軽く爪を立てただけで、チャモロは達してしまった。
「あぁ…ぅ、あ…あぁ…んっ」
 自分のローブとハッサンの掌を、どろどろに濡らして。

29名無し犬:2003/04/05(土) 23:40
   |. \_/|
   | ▼|_/
   |皿 / ダレモイナイ・・うpスルナラ イマノウチ
   |⊂
   |
       
流れに逆らってハッサン×主人公


「では神の前でこれまでの行いを告白なさい。」
「…はい、神父様。聖ルビス様…聞いてください。」



俺は昨夜、とんでもない事を仕出かしてしまいました。
そうしてしまった理由は、結構前に遡ります。

俺は一緒に旅をしているハッサンという男が前々から友達としてではなく、性的対象にできるという意味で好きでした。
初めてレイドックで会った時、胸の高鳴りが止まりませんでした。
多分その時から好きだったのだと思います。
初めのうちは自分が男に恋するなどありえないと思い、その気持ちを真っ向から否定していました。
その為か、よくその男に突っかかったりして喧嘩ばかりしていました。
でも、そんなにムキになって否定するのは、本当にそいつのことが好きだから、とだんだん分かってきました。
そうやって一度自分の気持ちを認めたしまったら最後、気持ちがどんどん膨れ上がってきました。
恥ずかしいことに、それからというものいつも一人でする時は、そいつをおかずにしていました。
その内に、実物がすぐ近くに居るのになんで一人でこんなことしているんだと、どうしようもなく空しい気持ちになってきました。
相手は普通の女が好きなことは分かっています。
というか、自分もハッサン以外の男に性的興奮は感じません。…多分、今のところは。
しかも、ハッサンはもう一人の仲間のミレーユという女の人が好きだったのです。
その人は、俺もびっくりしたほど美人でした。
なんというか、街でちょっと振り返るほどの美人とか、そんな次元の美しさじゃないのです。
俺もハッサンが居なかったらその人の虜になっていたことでしょう。
そんな彼女に、ハッサンはそれこそ会った時から心を奪われていました。

30名無し犬:2003/04/05(土) 23:41
そりゃもう、端から分かるほどに。

それからというもの毎日ハッサンのミレーユに対する切なる思いを聞かされ、かなりのダメージを受けました。
ただでさえ形勢不利な俺は友情と愛情の挟間に揺れ動き、眠れない毎日を過ごしました。
唯一の救いはというと、当のミレーユはハッサンに全くなびいていないということでしょうか。

そんな中で、俺は遂に我慢しきれなくなりました。

昨日の朝、行動に出る事を決心した俺は、いつもより頭が冴えていました。
その日は、装備品やら何やらを揃える為近くの町に寄ってそのまま一泊することになっていました。

一通りのものを揃えたら、夕食まで自由時間にすることにして、各自思い思いの場所に散らばりました。
とは言ってもハッサンはミレーユに着いていきましたけど…。
友情より愛情を取るのかよ。クソッ!
ああ…すみません、俺にとってはその方が都合が良かったのですが、やはり少し腹が立ちました。

俺は一人になって、いかにもなぁゃtぃ薬屋に入り、あるものを調達してきました。

そうしているうちに、夕食の時間になり、宿屋に集合しました。

酒場では久しぶりの酒ということもあり、俺もハッサンも他の冒険者に混じって歌ったり
ベリーダンスを見たりバカ話をしたりして大いに楽しみました。
ミレーユはというと当然の様にそういうものに混じらず、さっさと自分の部屋に籠ってしまいました。
まぁ、いつものことなのですが。

31名無し犬:2003/04/05(土) 23:42

そして俺は頃合いを見計らって、ハッサンの酒にあるものを盛りました。

それから半刻もしないうちにあるものは効いてきた様で、ハッサンは呂律が回らなくなってきました。
俺はザルなのでいくら飲んでも潰れたりはしないのですが、ハッサンも俺ほどでは無いにしろ結構強い方なのです。
そのハッサンがこれだけでべろべろになるとは、あるものの効き目はかなりのもののようでした。
俺は酒場に居る今まで一緒に騒いでいた冒険者たちに別れを告げ、阿呆みたいに重い千鳥足のハッサンを支えながら自分たちの部屋に向かいました。

部屋割りは、いつもの如く俺とハッサンが二人部屋で、ミレーユが一人部屋でした。
いつもハッサンがミレーユの着替えを覗こうとして、ミレーユからのヒャドを顔面に食らったりしていました。
こういうことはしてもすぐばれるということは誰かさんが体で示してくれたのに全く役に立ってないですね。
あれ、誰かって誰だっけ?
俺もミレーユの着替えに興味がない事は無いのですが、一応自粛しています。

部屋に着いてハッサンをベッドに寝かせ、ハッサンが完全に寝入っているのを確認すると、俺は早速行動に移る事にしました。

先ほどハッサンに盛ったあるものとはぁゃtぃ薬屋に、特別に調合してもらった媚薬+眠り薬のなんとも胡散臭いものでした。
こんなぁゃtぃ薬盛ってごめんな、ハッサン☆

32名無しの勇者:2003/04/10(木) 22:04
6はネットであまり見かけないからうれしいyo!
お二人の作品とも続きを楽しみにしてまつ。

33 Sweet Honey Cookies【11】:2003/04/20(日) 22:59
 習慣というのはそう簡単に抜けないもので、ハッサンにいたずらされたにもかかわらず、翌朝チャモロはいつもどおりの時間に目覚めた。ベッドから起き上がり、服を着替える。いつものローブは汚してしまったので、今日は違う色のものを身に付けた。
 昨夜は散々だった。部屋にある大きな姿見で服装を整えながら、チャモロはひとりごちる。『もう、できない…』と涙ながらにハッサンに懇願するまで、彼の指先はチャモロを翻弄し続けた。よろよろとふらつく身体をハッサンに支えられて部屋にたどり着いたのは、深夜を少し過ぎた頃。ラダルとテリーも廊下から消えていた。
 鏡越しに首筋に付けられた赤い痣を見つける。ハッサンに執拗に噛まれた個所だ。まだ熱を持っているような気がして、指先でそっと触れてみる。
「…んっ」
 痛いはずの痣から感じたのは鋭い快感。恥ずかしい喘ぎ声が押さえられず、嫌だと言っているのに、ハッサンは唇を放そうとはしなかったのだ。その時の自分の乱れた様を思い出して、チャモロは顔を赤らめる。
「これから皆に会うし…とりあえず昨日のことは忘れよう」
 火照った顔を冷たい水で洗ってから、チャモロは部屋を出た。

34 Sweet Honey Cookies【12】:2003/04/20(日) 23:00
 食堂でチャモロに最初に声を掛けたのはハッサンだった。
「よぅ!!…その、身体は大丈夫か?」
 心配そうに訊いてくる。忘れようと決めたそばからこの人は、とチャモロは内心ため息を吐いた。
「一応…それより、テリーさんは?」
「あいつならまだ部屋で寝てるみたいだぞ。そうそうテリーといえばなぁ、昨日は魔物にドラゴン斬りでとどめをさして――」
 ハッサンはチャモロがいなかった昨日のサンマリーノ付近での戦闘の様子を語っていたが、チャモロは既に聞いていなかった。自分の席に座り、ちょうど向かい側にあるテリーの席に目を向ける。
(まさか昨日、ラダルさんに色々と無理強いされた、とか)
 テリーの席の隣に座るラダルは、彼の不在を特に気に留めた様子も無い。微笑を交えながらハッサンの話に耳を傾けている。
「あーっ!!」
 バーバラがチャモロを指差し、突然叫んだ。皆の目がチャモロに集中する。
「ちょっと、ソレ…キスマークでしょ?」
 ぐふふふ、アンタもそういうことする女のコがいるのねえ、といやらしい笑いを浮かべて言うバーバラにチャモロは慌てた。
「ちがっ、違いますっっ!!」
 掌で首筋を覆い隠す。
「あの、それ俺…」
「ハッサンさんは関係ないでしょうっっ!!黙っててくださいっ!!」
 ハッサンが口を出したら余計に皆の好奇心を掻き立てるだけだ。そんなことも分からないのか、という意味も込めて、チャモロは彼を睨みつける。
「ボク、テリーさんの様子を見て来ますっっ!!」
 不自然なのは十分承知だが、とりあえず逃げることにした。

35Sweet Honey Cookies【13】:2003/05/04(日) 16:26
「チャモロ、ちょっといいかな」
 逃げるように広間を飛び出してきたチャモロを追いかけてきたのはラダルだ。昨夜の一件があって、チャモロは少したじろぐ。
「…何ですか?」
「実は――」
 ラダルは国王のところに寄せられた陳情について話し始めた。レイドック北東にある山間の村に魔物が現れ、それを退治して欲しいと村長が直々に城を訪れたらしい。魔法が良く効くらしいので、君にも参加してもらう、とラダルはチャモロに告げた。
「テリーにも伝えてくれ。村に行く準備をするようにと。魔物の規模からいって彼の力は不可欠な気がする」
 そう言うラダルの口元に自嘲的な笑みが見えたのは、気のせいだろうか。まるで昨夜、テリーを犯していた時のような顔。
「多分、昨日の戦闘の疲れが残っていて、まだ眠っているかもしれないけど」
 こう続けて言うラダルは、いつもの彼に戻っていた。
 だが、先程彼に感じた違和感――普段、温和で人当たりも良く、世界中で勇者として慕われている彼の背後に何となく怖いものを感じた。テリーさんも感じたのだろうか。
「実は今朝、朝食の前にテリーさんに会って来たんです」
 もちろん嘘だ。彼への『違和感』が本物かを確かめたかったのだ。
「昨日のサンマリーノ付近での戦闘で腕を酷使していたみたいです。だから、山間の村での戦闘に耐えられるかどうか――」
「嘘だな」
 チャモロの言葉を遮るように、ラダルは言った。
「えっ…」
「あいつは自分が傷を負っていたら逆に隠すだろう。隠してでも戦闘には参加する――そういう奴さ。ミレーユはもちろん、人々が安心して暮らせること、『希望』を叶えることがテリーの望みだろう」
 『希望』という言葉を発するとき、ラダルの口元が歪んだ。勇者らしくない感じ。これが彼に感じた『違和感』の正体だろうと思う。
(早く離れたい)
 何だか怖かった。
 チャモロは声が震えないように一言、わかりましたと告げて、テリーの部屋へ向かった。

36Sweet Honey Cookies【14】:2003/05/04(日) 16:27
 出発前に見た地図ではレイドックとさほど離れていない気がしていたのに、長い山道が到着を遅らせているように思えた。
 だがチャモロは山育ち、テリーとラダルも旅慣れているため、ほとんど休むことなく歩き続けている。この旅路はチャモロにとってテリーと邪魔されずに会話できるチャンスだった。祖父に仕組まれた『お見合い』のこと、『お見合い相手』の女の子のこと、自分はまだゲント族をまとめる器にはなっていないこと――テリーは嫌な顔ひとつせず聞いてくれた。
「って、本当は昨日帰ってきてすぐお話したかったんですけど…」
 言ってちらりと、傍らに並んで歩くテリーを見上げる。テリーの顔が一瞬、固まった。
「…すまなかったな。昨日は疲れていて、すぐに寝てしまって」
「…いえ」
 自分でも意地悪なことを言ってしまったと思う。テリーが望んでラダルに付き合っているはずはない。
 ふぅ、とため息を吐くチャモロに、テリーは曖昧な笑みを浮かべた。
「ところでお前、いつの間にハッサンと仲良くなったんだ?」
 あんなに嫌っていたのに、とからかうように言う。
「違いますっ!!昨日のことがあってから、ますます嫌いになりましたよっ!!」
「昨日のこと?」
 不思議そうにテリーが尋ねたせいで、自分が口を滑らせたことに気付いた。
「え、えと…何でもありません」
「でもお前、沈んだ顔してる…やっぱり何かあっただろ?」
 ぽんぽんとチャモロの頭を撫でてくれる。まるで子どもをあやす仕草みたいだ、と思ったけれど、チャモロにはテリーのその心遣いが嬉しかった。
 自分につらいことがあっても、この人は他人の様子に敏感なのだ。普段は無口だから、あまり分からないけれど。
(あいつは自分が傷を負っていたら逆に隠すだろう。隠してでも戦闘には参加する――そういう奴さ)
 でもラダルは知っていた。そういうテリーを。

37Sweet Honey Cookies【15】:2003/05/04(日) 16:28
「ゆうしゃさまだ〜!!」  
 夕暮れ近くにやっと村に辿り着き、子どもたちの歓声に迎えられた。ラダルの活躍はこんな山奥にも伝わっているらしい。子どもたちに囲まれ質問責めに遭っているラダルを、年頃の娘たちが頬を染めて遠巻きに見ている。
「ステキねぇ」
「剣の腕も素晴らしくて、王子様で顔も性格も良くて…あの方の奥様になれる方が羨ましいわ」
 口々に囁きあうのが、少し離れたところにいるチャモロとテリーにも聞こえてきた。
 あら、お付きの方々も素敵――ある村娘の言葉に、全員がこちらを振り向く。二人は慌ててラダルの後を追った。


「ミレーユは…幸せになれるだろうか?」
 ぽつりとテリーが呟く。彼の視線は、案内人の村長と並んで歩くラダルに向けられていた。
 子どもたちにもみくちゃにされたにも係らず、嫌そうな素振りはない。こちらで休んでください、と案内された村長の家に入っていく。
「もちろんですよ。ラダルさんは勇者で世界中から期待されているし、国王としての将来も約束されているし――」
 彼の性格がいいとはあえて言わない。
 だが旅立つ際にラダルが皆の前でミレーユを抱き締めていたのは、自分の恋人だと知らしめるためだったと思う。ラダルの父である国王も、そんな二人を祝福していた。
 ではラダルは何故、テリーを抱いているのだろう――そんな疑問がチャモロの頭をよぎる。
「そうか、そうだな。ラダルなら…姉さんを幸せにしてくれる」
 そんなテリーの銀色の瞳が一瞬揺れたように見えたのは気のせいだろうか。左手を強く握り締めたように見えたのも、やはり――。
 だがチャモロは何も言わなかった。いや、言えなかった。

38Sweet Honey Cookies【16】:2003/05/04(日) 16:29
「昨日はすまなかったな」
 今日の旅立ちにあたり国王と留守番の皆に挨拶をしていたチャモロを、ハッサンは強引に皆から見えない場所に連れ出した。手首を強い力で掴まれ引っ張られていくチャモロに、バーバラだけは意味深な笑いを浮かべていた。
 ハッサンがまず発したのは無理矢理連れ出したことではなく、忘れたかった昨夜のことに対する謝罪。
 解放された右手首は、掴まれていた部分が赤くなっていた。チャモロはキッとハッサンを睨みつける。
「何で皆さんの前で目立つようなことをするんですか?」
 朝食時に続いて、この男は『学習』することを知らないのかと、チャモロは内心ため息を吐いた。
「でもお前、ああでもしなけりゃ話してくれそうになかったし」
「当然ですっ!!」
 昨夜のことは忘れようと決めたのだ。今までバカだと見下してきたハッサンに、いやらしいことを色々されて感じてしまったことは、絶対に記憶から消してしまいたい。
「あの…ごめんな。俺もやり過ぎた。だけど…」
「忘れてください。ボクも忘れます」
 ハッサンのしどろもどろの弁明を遮るように、チャモロは言う。
 その時、城門付近で歓声が上がった。ひときわ甲高いそれはバーバラだろう。見るとラダルがミレーユを抱き締めている。いつの間にかテリーもいたらしい。ラダルとミレーユを見ているのか、チャモロには彼の後ろ姿しか見えない。

39Sweet Honey Cookies【17】:2003/05/04(日) 16:30
(そろそろ出発かな)
 ざわめきが収まり、テリーとラダルも城門を出ようとしていた。
 これ以上ハッサンと話すことはない。もう行かなくては。
「お話は以上ですよね?ではボクもテリーさんたちが待っているので、失礼します」
 踵を返して彼らの元へ向かうチャモロにハッサンは言った。
「テリーを好きでも、報われないぞ」
 アイツは自分の気持ちに気付いていないだろうけど、多分アイツは――チャモロはその言葉に振り向き、遮った。
「ラダルさんを好きなわけないでしょう。あんな、あんなことされてるのに」
 何か脅されているんだ、テリーさんは。ハッサンさんはバカだから、そんなことにも気付かないんだ。
「とにかく早いトコあきらめた方がお前のためだ」
「うるさいっ!!」
 普段、こんな乱暴な物言いをしたことはない。ハッサンが目を丸くする。ハッサンよりも言った自分の方が驚いていた。
 だがハッサンが悪いのだ。テリーはラダルが好きだからあきらめろなんて言うから。
 おい、と近づくハッサンの腕を振り払って、あとずさる。
「ハッサンさんのことが…もっともっと嫌いになりましたっっ!!」
 彼の顔を見ようともせずに捨て台詞を吐いて、逃げるように城門へ向かったのだった。

40Sweet Honey Cookies【17】:2003/05/04(日) 16:30
(そろそろ出発かな)
 ざわめきが収まり、テリーとラダルも城門を出ようとしていた。
 これ以上ハッサンと話すことはない。もう行かなくては。
「お話は以上ですよね?ではボクもテリーさんたちが待っているので、失礼します」
 踵を返して彼らの元へ向かうチャモロにハッサンは言った。
「テリーを好きでも、報われないぞ」
 アイツは自分の気持ちに気付いていないだろうけど、多分アイツは――チャモロはその言葉に振り向き、遮った。
「ラダルさんを好きなわけないでしょう。あんな、あんなことされてるのに」
 何か脅されているんだ、テリーさんは。ハッサンさんはバカだから、そんなことにも気付かないんだ。
「とにかく早いトコあきらめた方がお前のためだ」
「うるさいっ!!」
 普段、こんな乱暴な物言いをしたことはない。ハッサンが目を丸くする。ハッサンよりも言った自分の方が驚いていた。
 だがハッサンが悪いのだ。テリーはラダルが好きだからあきらめろなんて言うから。
 おい、と近づくハッサンの腕を振り払って、あとずさる。
「ハッサンさんのことが…もっともっと嫌いになりましたっっ!!」
 彼の顔を見ようともせずに捨て台詞を吐いて、逃げるように城門へ向かったのだった。

41Sweet Honey Cookies【18】:2003/05/04(日) 16:30
(う〜っ…)
 色々考えていたら寝付けなくなってしまった。魔物との戦いは明日なのだ。精神力を主とする魔法を使う自分にとっては睡眠不足は大敵である。寝なければならないと思うのに眠れないのはハッサンのせいだ。
(テリーを好きでも、報われないぞ――)
 分かってはいるけど、認めたくないのだ。あんな人とテリーが――なんて。
 村長宅で与えられた部屋は、テリーと同室だった。しかし彼はラダルと偵察に行くと言い残して出たまま、戻ってきていない。それにしても帰りが遅い。既に真夜中である。嫌な予感がした。


 バタバタと階段を駆け下りるチャモロに村長は驚いていたが、事情を説明すると村の若者も捜索に協力させると言ってくれた。
(もしかして二人とも、魔物に…)
 もしやと思って覗いたラダルの部屋も、室内は暗いままで誰も居なかったのだ。
 この村に巣食っている魔物は炎系の魔法に弱い――だから炎系はもちろん回復系の呪文も使える自分が同行したのだ。二人の剣技は、達人の域ではあるが。
「…テリーさん…」
 間に合うと良いけど――内心の不安を押し隠して、チャモロは村長宅を飛び出した。

42Sweet Honey Cookies【19】:2003/05/11(日) 22:28
「こっちです!!」
 先導する村人に従い、チャモロは走っていた。畑作の村のため、住宅地よりも圧倒的に畑が村の土地を占めている。魔物のいる村外れは、この畑を越えた先にあった。さらに道も舗装されたものではなく、いわゆる畦道のため、とても走りにくい。転びそうになりながらも、チャモロは何とか間に合いたいという一心で、ひたすら走り続けた。
「ぎにやああ!!」
 人間ではない何かの奇声が響き渡ったのは、村外れまでもう少しという頃だ。
「あの声…」
 もしかして魔物だろうか、そう思う間もなく、チャモロたちは村外れに辿り着いた。
 辺りには血の匂いが立ち込めている。外はまだ暗くはっきりした様子は分からないが、激しい戦闘があったことは予測できた。
(やっぱり間に合わなかった…)
 思わず放心しそうになる自分を何とか奮い立たせながら、たいまつを掲げ、テリーとラダルを捜す。
 夜明け近くなった頃だろうか。村人が自分を呼ぶ声に気付き、チャモロは彼に近づいた。
 村人が立っている側には、背中に剣を突き立てられた巨大な魔物が倒れていた。その剣が致命傷だったのだろう。魔物は既に絶命していた。
「あ…っ」
 そのすぐ側で折り重なって倒れているのは、捜していた二人だった。
「テリーさんっ!!ラダルさんっ!!」

43Sweet Honey Cookies【20】:2003/05/11(日) 22:29
 チャモロに揺さぶられて、テリーを庇うように倒れていたラダルがゆっくりと瞼を開いた。
「チャ、モロ…か?」
「あぁ、ラダルさん!!」
 ラダルは村人に抱えられるようにして起き上がった。左肩から背中半ばまで、魔物の爪によるものと思われる鋭い傷を負っていたが、意識はしっかりしているようだ。痛みに顔をしかめながら、ラダルはたどたどしく言葉を発した。
「テ、リーは…無事、か?」
「特に外傷はないみたいなので…多分気を失っているだけだと思います」
 テリーは村人数人に抱えられ、畑脇の草地に移動していた。
「…そう、か」
 ラダルは安堵したせいか、うっすら微笑んだ。
(…何で嬉しそうな顔をしてるんだろう)
 テリーを脅かしている人が、彼の無事を喜んでいる。チャモロは釈然としない。
 俯いてしまったチャモロに、ラダルはぽつりと言った。
「僕と…テリーのことで…何か知ってるだろう?」
「えっ!!」
 慌てて顔を上げる。図星だと言わんばかりの素早さだった。

44Sweet Honey Cookies【20】 (加筆修正分):2003/06/15(日) 01:19
 村人の手を借り、ラダルとテリーを村長の館へ運ぶ。ベッドに寝かされたテリーにはほとんど外傷は見受けられず、ただ深く眠っているだけのようだった。チャモロはひとまず胸を撫で下ろす。
 勇者様が目覚めた、と村人がチャモロを呼びに来たのは数分後だった。テリーの心配をしているあまり、ラダルのことは意識から抜け落ちていた。慌てて彼のいる部屋へ向かう。
「ラダルさんっ」
「チャモロ、か…?」
 ラダルは彼に付いていた村医者に抱えられるようにして起き上がった。部屋に入ったチャモロに、医者はラダルの容態を伝える。左肩から背中半ばまで、魔物の爪によるものと思われる鋭い傷を負っているが、意識はしっかりしているとのこと。あまり興奮させないように――と医者は言い置き部屋を出て行った。
 医者がいなくなるのを見届けて、痛みに顔をしかめながらラダルはたどたどしく言葉を発した。

45Sweet Honey Cookies【21】:2003/06/15(日) 01:20
「テ、リーは…無事、か?」
「特に外傷はないみたいなので…多分気を失っているだけだと思います」
「…そう、か」
 ラダルはチャモロから視線を逸らす。
(ラダルさんが悪いんじゃないか)
 チャモロは内心毒づく。偵察に行くと最初に言ったのはラダルだった。
(テリーさんが生きていたから良かったものの…)
 俯いてしまったチャモロに、ラダルはぽつりと言った。
「僕と…テリーのことで…何か知ってるだろう?」
「えっ!!」
 慌てて顔を上げる。図星だと言わんばかりの素早さだった。
「そうか――」
 ラダルの言葉からは、チャモロが知っていたことに対しての驚きや戸惑いは感じられない。
 それが逆にチャモロには居心地が悪かった。

46Sweet Honey Cookies【22】:2003/06/15(日) 01:21
「あ、あのボク…」
「…何で、テリーは僕を助けたんだろう」
 狼狽するチャモロの言葉を遮り、ラダルは呟いた。
(え、助けたって…テリーさんがラダルさんを?)
 テリーはラダルに脅されているとばかり思っていたのに――チャモロは混乱する。
「僕は魔物の気配に気付くのが一瞬遅かった。テリーが剣を抜かなかったら、僕は魔物にやられていた」
「そう…だったんですか」
 っ…、とラダルは小さく呻いて顔を歪めた。背中の傷が痛むようだ。そういえば庇われたはずの彼が背中に傷を負っているのは何故だろう。
「ラダルさん…その傷って――」
「君が考えている通りだ」
痛みに顔をしかめながら、チャモロの言葉を遮ってラダルは言う。
「僕もどうして助けたのか分からないんだ。魔物が腕を振り上げたのと、テリーが剣を突き立てたのはほぼ同時だった…だから見殺しにもできたはずなのに…」
「ラダルさん?」
「あいつは嫌いだ…だけどあの一瞬、僕はテリーが死ぬのは嫌だと思った」
認めたくはなかった、という表情でラダルは言った。

47Sweet Honey Cookies【23】:2003/06/15(日) 01:22
(この人もしかして――)
チャモロの脳裏に、レイドックを立つ際のハッサンの言葉が蘇る。
(自分の気持ちに気付いていないだけだ)
 テリーの内面を深く理解していたラダル。見殺しにできたはずの彼を庇ったテリー。『なんとなく』テリーを護ったラダル――自然にお互いを深く想っている二人――ハッサンは早くから気付いていたのだ。
「…く」
 くそっ、と普段なら使わない言葉が口をついて出そうになる。ただそれはラダルに対してというよりも、二人の――特にテリーの――想いに気付けなかった自分に、だ。
(ボクは本当に何も分かっちゃいなかった…)
 
「君から見たら、僕は『テリーを虐める酷い奴』なんだろうな」
「あ…いや」
 慌てて否定してみても、彼には通じなかったらしい。
「ふふ…」
 いいさ――ラダルは微かに口元だけで笑って、窓を見る。
「ラダルさん?」
「『希望』を信じている奴が嫌いだ…テリーだけじゃない…」
 窓に映る彼の表情は思い詰めたように暗い。旅立ち前に感じた『違和感』がよぎって、チャモロは彼に掛ける言葉が見つからず、ただ静かに部屋を後にした。

48Sweet Honey Cookies【24】:2003/06/15(日) 01:24
 レイドック城の屋上でチャモロは星空を眺めていた。山間の村から戻ったのは少し前。久々の仲間達との夕食を抜け出して、彼はここに来ていた。
 ゲントの村にいた頃から考え事がしたくなると、星空が綺麗で静かな場所でひとりで何時間も過ごすのが常だった。
 失恋したんだ――としみじみ思う。魔物を倒したあの日以来、テリーとラダルが二人だけで会話をしているのは見ていなかった。今夜の夕食時も隣同士に座りながら、二人は会話をするどころかお互いを見ることもしなかった――だが感じる。二人の間に流れるものが以前とはどことなく違うことを。
 あの日の翌日、意識を取り戻したテリーが謝罪の言葉と共に発したのはラダルの安否。
 それに軽く嫉妬して、テリーには意地悪く『ラダルは絶対安静』だと告げてしまったけれど――。
 城への帰り道、テリーとは色々話したが、テリーとラダルのことについてはお互い触れなかった。ラダルに関しても同じで、彼はチャモロに「色々とすまなかった」と一言謝っただけだ。

49雫夜:2003/06/15(日) 01:29
 チャモロ話うpしますた。が、ここでお詫びを…。
既にうp済みの【20】(>>43)ですが、今回大幅に加筆修正して再うp致しました。
>>43の6勇者にもにょってしまったので…自分で書いておきながら…すみません。
次のうpでチャモロ話完結になります。当初から考えていたEDに持っていけそうです…ヨカタ。

50Sweet Honey Cookies【25】:2003/06/29(日) 00:19
「…初恋は実らない、か」
 昔の人はすばらしい格言を残したものだと皮肉に思う。
(でもテリーさんが幸せなら、いいか)
 でも心の中のどこかがそれを喜べていない。どうしてだろう。
 それを無視して、自分を無理に納得させようとする――そんなチャモロの葛藤を破ったのは野太い男の声。
「チャモロっ!!ここにいたか!!!」
「…ハッサンさん」
 この男は何故いつも自分の邪魔をするのだろう――チャモロのため息に気付かないのか、ハッサンは両手に抱えていた籠をそっと下ろす。
「お前あんまり夕食食べてなかっただろ。だから持ってきた」
 ふたを開けると、まだ温かい料理が少量ずつではあるが中に入っていた。チャモロの好物であるプリンは、温まらないよう別にしてある。

51Sweet Honey Cookies【26】:2003/06/29(日) 00:21
「…お腹、空いてませんから」
 ハッサン相手にはやっぱり素直になれなかった。プリンは本当は嬉しかったのだけれど。
「そ、そうか?だけど夕飯、ほとんど手ぇ付けてなかっただろ?」
 ちゃんと食わねぇと、身体に悪いぞ――かいがいしく世話を焼こうとするハッサンを、チャモロは冷たく一瞥する。
「そんなことしなくても、あの日のことは、ボク、もう何とも思っていませんから」
 だから放っておいて欲しいと言外の意味を込めて告げても、ハッサンは気付かないふりで屋上を出ようとはしない。
「…お前、ホントはとってもムカついてるだろ?」
「は?」
 どうして突然、この男はそんなことを言い出すのだろう。確かに軽い嫉妬はしたが、『ムカつく』なんて子どもみたいなことは思っていないのに。
「ボクは別に――」
「俺があいつらの気持ちに気付いていたことが悔しいんだろう? お前にすれば俺なんか『低脳の野蛮人』だろうからな」
 ただお前より長く生きてる分、物事に関してお前以上に分かる部分もある――ハッサンはニヤリと笑う。
「……」
 当たり障りのない接し方をしてきたつもりだったが、陰でハッサンを見下していたことまで知られていて、チャモロは気恥ずかしくなり視線を足元に落とす。そんな彼に微笑んで、ハッサンは続けた。
「お前が分かってないことで、俺が気付いてることはもうひとつある」
 言うなり彼は両腕を広げて、俯いたままのチャモロをガバッと抱き寄せた。

52Sweet Honey Cookies【27】:2003/06/29(日) 00:24
「げほっ…いきなり何するんですか?!」
 突然のことに驚く間もなく、チャモロはむせてゴホゴホと咳を繰り返す。頭上のハッサンを見上げて睨みつけても、彼はやはり微笑んだままだ。
「お前は悲しいんだよ――テリーがお前の気持ちに気付いてくれなかったことが」
「そんなことないです。ボクはテリーさんが幸せなら、それでもう――」
「本っ当に、『良い子』だなぁ。お前って」
「どういう意味ですかっ!!」
からかうように言うハッサンにむっとしてチャモロは声を荒げる。だが彼は全てを心得たような表情を浮かべたままだ。
「そうやってテリーが幸せならいいとか言って、自分の気持ちを押し込めようとするところとか――ま、そこがお前のかわいいトコでもあるけどよ」
「…やめて下さい」
 言いながらチャモロは、心の中のどこかが喜べていなかったのは、ハッサンが言う通り悲しかったせいなのか、と思う――認めたくはなかったけれど。

53 Sweet Honey Cookies【ラスト】:2003/06/29(日) 00:25
 そんなチャモロの心の内を見抜いたかのように、悲しかったら泣くって決まっているんだ、とハッサンは優しく呟く。
「だからお前も…泣いていいんだぞ」
「別に泣きたくありません」
 憮然とした表情で告げれば、ハッサンは、やっぱ可愛いわ、お前、と掌でチャモロの頭をぐりぐり撫でつける。痛いという抗議の声にも、ハッサンは笑うだけだ。

 ひとしきりじゃれあった後、二人して床に座り込んだ。
 レイドック城の夏夜はまだ肌寒いのに、ハッサンの腕の中はとても温かい。
(この人のこと…大嫌いだったのに)
 彼の腕を抜け出さない自分が不思議だった。テリーとは違った意味で居心地良く感じていることも。
(何でだろう…ま、いいか。明日考えれば)
 見上げればハッサンはしっかりチャモロを抱いたまま、寝息を立てている。
 以前なら嫌だったはずの彼の吐息に何故かひどく安心して、チャモロも目を閉じた。

54雫夜:2003/06/29(日) 00:34
初うpからちょうど五ヶ月と一日かけて、チャモロ話終了です。
お付き合い頂きありがとうございました。
次の6は主テリ第二部ですね…本当にお待たせしました。
タイトルは『楽園――paradise lost――』になります。
そして恐ろしいことに6主視点の予定(w
次回うp時もよろしくでつ。

55名無しの勇者:2003/07/11(金) 23:42
ハッサン×主人公 マダー?(AAry

56名無しの勇者:2003/07/27(日) 16:07
デュラン×テリーって無かったっけ?どっかで途中まであったような気がするんだけど…

57名無しの勇者:2003/10/06(月) 17:02
チャモロ主役の小説、楽しませてもらいました。
萌え萌え。またなにかかいてください

58名無しの勇者:2003/10/10(金) 22:55
>54
今日、はじめてここに辿り着きました。
…禿スィく萌えました、雫夜さんっ!
主テリが切なくていろっぽくて萌。
チャモロが健気で可愛くて萌(チャモロに萌える日がくるとは…っ!)
ハッサンが男前でかっこよくて萌(ハッサンに(ry

主テリ第2部めちゃくちゃ楽しみでつ。
がんがってくだちい。

59雫夜 </b><font color=#FF0000>(hW4/gY3U)</font><b>:2003/10/31(金) 23:57
4の勇クリ最終話、うpりました。

>>57-58
レスありがとうございます。
主テリ第2部は今書いてます。早くうpれるといいなぁ。

60名無しの勇者:2004/04/05(月) 23:04
>>56
デュラン×テリー?!
禿しく読みたいハァハァハァハァ(´Д`*)

61名無しの勇者:2004/04/19(月) 22:41
FFDQ千一夜物語でテリー受に目覚め、DQⅥを再プレイしましたよ。
主人公×テリー デュラン×テリー ドランゴ×テリー ブラスト×テリー(*´д`*) ハァハァ

>>59 うp楽しみにしておりますよ〜 がんばってください!

62名無しの勇者:2005/01/20(木) 16:57
ハッサン×チャモロにハァハァしたいのですが、かまいませんね

63名無しの勇者:2005/03/26(土) 01:04:44
是非!ハッサン×チャモロでGo!でげす。
カードダスの絵で、チャモロがハッサンに肩車されてるの見て萌えたんですよね〜。
エンディングでハッサンと別れる時も
チ「……」
ハ「そんな顔すんなよ。いつでも会えるじゃねえか」
みたいなこと言ってませんでした?(詳細忘れました)

64名無しの勇者:2005/04/29(金) 00:17:19
流れ読まずにハッサン×主人公エロです
リクスレに挙がってたカプとうまいこと嗜好が合致しますた。
主人公の名前は小説版のイザを拝借してます
一応ギャグのつもりですがほとんどやってるだけです。なのに無駄に長い
軽いノリが苦手な方はスルーでお願いします

65ハッサン×主人公(1):2005/04/29(金) 00:18:40
 キングスライムの体内に完全に呑み込まれたところで目が覚めた。
意外にぬくいスライムの体温。まるで人肌……ああ、思い出しただけでもぞくぞくする。
陰鬱な夢を恨みつつそれが夢だったことに感謝しながら、俺は辺りの様子を窺った。
まだ夜は明けていないようで、薄暗い宿の室内の、多少勝手の知った部屋の様子が視界に広がってくる。
しばらくすると目が暗闇に慣れてきて、ようやく俺の意識も覚醒した。
「……………………」
……覚醒した、はずだが、俺の体は動かない。
えーと、これ、金縛りってやつか?
首を振った。うん。頭は動くぞ。目も動かせる。鼻の穴も開くし。
「チャモロの帽子かぶりたーい」
声も出る。
だが、目を擦ろうと腕を上げようとすると、何か硬いものが邪魔をして動きを遮られる。
……何か?何かってなんだ。
しかもなんだ、この暑苦しさは。
夢のせいで汗でもかいてるんだろうと思ったが、どうやらそうでもないようだ。
耳元に断続的にかかる、湿っぽくて生ぬるい風。
色っぽくもベッドの中で、俺の体は、背後から何者かの太い腕に抱き込まれている。
ものすごい馬鹿力で、正直息をするのもつらい。
今日相部屋だったのは、確か……。
…………。
……とりあえず、俺の耳元で大イビキをかいてなかったってことだけは、褒めといてやろう。
さようなら、友よ。君のことは多分いつか忘れるだろう。
俺は奴の手首を両手で掴むと、全身に力を込めた。……そして。
「うぉおおおりゃあぁあああっ!!」
俺の気合の掛け声とともに、ハッサンの巨体が宙を舞う。形だけなら美しいムーンサルト。親切にも掛け布団のおまけ付きだ。
自分では先日習得したばかりの巴投げのつもりだったが、はたしてこれが正式な巴投げの型になっているかどうかは分からなかった。
まあ、投げは投げなんだから問題ないだろう。
布団がクッション代わりとなり、それほど乾いた音を立てるでもなくハッサンは仰向けに床に落ちた。

66ハッサン×主人公(2):2005/04/29(金) 00:19:41
 自由になった手で部屋の明かりを点ける。
過去にも何度かこういうことがあって、その度に、奴には新しく覚えた技の実験台になってもらった。
まあ、俺の回し蹴りが運悪く奴の股間にクリティカルヒットしたときは、さすがに可哀想になってとどめをさしてやったが。
……しかしこいつの寝相の悪さも甚だしすぎる。一体どういう寝方をしたらこんな数メートル離れた他人のベッドに潜り込めるんだ。
前世あばれ牛鳥じゃねえの。
ねがえり→ねがえり→たいあたりのコンボで。
……寝相とかそんな次元じゃないか。俺のこと、抱き枕か何かだと思ってるのかもしれない。
色々考えてるうちにふつふつと怒りがこみ上げてきて、俺は思わず床に倒れた肉塊を睨みつけた。
…………。
寝てやがる。
なにその顔。
なにその幸せそうな顔。
俺、お前のせいでキングスライムに食われたんだけど。
こうなったら、意地でもこの馬鹿を起こさないと俺の気が済まない。
この時代にテンションシステムがないのは残念だが、そこはそれ、お前の悪運が強かったということにしておこう。
俺はベッドから下りて、正拳突きの構えをとった。
どこに叩き込んでやろうかと、ハッサンの巨獣のような体を見回す。
…………と。
「………………」
奴の股間に、ピラミッドをちょっぴり高くしたようなテントが張っている。
……いい身分だな、コラ?
こっちはお前のせいで完全に目が覚めちまったってのに。
お前は一人夢の中でエッチなことしてんのか。されてんのか。えぇ?
羨ましい、じゃねえ、ここは月に代わって大自然のお仕置きだな。
その身の程知らずの親不孝者に制裁を加えることにした。
ベッドの傍に脱ぎ捨てていたブーツを右足だけ履く。
足音を立てないように歩み寄って、ハッサンの大きく開いた両足の間に立つ。
生まれ変わっても、また一緒になれるといいね。
俺は右足の膝を腰の辺りまで上げた。……そして。
「南無」
奴のテントめがけて思い切り踏み下ろした。
「ぐぅおああぁああああああンくぁwせdfrtgひゅじこlp;!!!!????」
人間のものとも思えない断末魔(だといいが)の絶叫が響く。
これぞまさしく急所突きだな。
正確には突いてはいないんだが、まあ急所は急所なんだから問題ないだろう。
俺はブーツを脱いで、しわくちゃになったシーツのベッドに腰を下ろした。

67ハッサン×主人公(3):2005/04/29(金) 00:20:42
 股間に両手を当ててぴょんぴょん飛び跳ねるハッサン。
「……なにお前、それ、ホッピング?」
「いっ、イザ…………てめぇよぉ…………」
涙目で跳躍しながら俺を見つめるハッサンは、気持ち悪いのを通り越してどっかの宗教団員のようだ。
「寝起きいいじゃん。今度からこうやって起こしてやろうか?」
「イザぁ」
ようやく痛みの治まったらしく、ハッサンは世にも情けない顔をしてその場に座り込む。
「もうお前相部屋禁止。今度から一人部屋な。それか馬車」
「俺人肌の温もりがねぇと寝られねえんだよ」
「抱き枕買え」
「人肌って言ってんだろぉ」
「じゃあ人肌の抱き枕買え」
「お前じゃなきゃ駄目なんだ」
「じゃあ俺の」
………………俺の抱き枕なんてねぇか。
…………………………。
待て。
「お前今なんつった」
「お前じゃなきゃ駄目なんだよ」
「何で俺じゃなきゃ駄目なんだよ」
「分かんねえよ」
ふと落ちる沈黙。つるり、と背中に汗の滴が伝うのを感じる。
床に正座した恰好のままのハッサンの視線が、真っ直ぐに俺の瞳を捉える。
微妙な上目遣いが正直気色悪い。
「……なんか、さ、お前いっつも先に寝ちまうじゃん?だから、つい、ちょっと、お前の寝顔、見ちまうわけよ」
「…………何の話だ」
先に沈黙を破ったのはハッサンの方だった。
俺の身の危険センサーがほんの少し反応している。
「お前、普段はさ、こう、髪、ぐわーって、超サイヤ人みたいにおっ立てて、チンピラみてえじゃん」
ぐわーって、と言いながら、ハッサンの両手が対空版ガチョーンのような動きをする。
つーか、チンピラ…………お前こそ人のこと言えねえだろが。
「……話が見えねえんだけど」
「でもよ、お前、風呂入った後は整髪料使わねぇから、髪が、こう、さらさらーって、なってるんだよな」
どうやら話に夢中になりすぎているらしく、俺のつっこみも奴には聞こえていない。
「……まあ、なぁ」
「それでよ、お前の寝顔見てるとよ、睫毛とか長くてよ、やっぱこいつ王子様なんだわーって、思うんだよな」
「…………それで?」
「それで、変な気持ちになる」
「…………………………」
ハッサンの話はそこで唐突に終わった。
俺の身の危険信号を、オレンジ色くらいにまで染めたまま。

68ハッサン×主人公(4):2005/04/29(金) 00:21:45
 相変わらず真面目な顔で、ハッサンは俺の顔を見つめている。
しかもおい、なんか心なしか赤くなってねえか。
「……つかぬことを伺いますが」
「なんでい」
俺にはもう奴につっこめるほどの余裕はなかった。
床に足をつけて、いつでも逃げ出せる体勢に入る。
非常通路の確認。OK。非常口の確認。ああしまった。敵はちょうどドアの前にいる。
ギリギリまで引きつけてかわすか……。
俺は大きく息を吸い込んだ。
「……その、変な気持ちってのは、どういう……?」
言わずにはいられなかった。
俺は阿呆だったのだ。その時既に、気付いていたはずなのに。
ハッサンの、……“そこ”の、異様な膨らみに。
俺がこのあんよで踏みつける前の、おそらく当社比二倍くらい。
あの、股間にツチノコでも飼ってるんですか。
そう素で聞いてしまいたいくらいのものが、あの腰布の中に、収まっている。
しかもご丁寧に発射準備OKいつでもいけます隊長な臨戦態勢。
ゆらり、とハッサンが立ち上がった。奴の動きに合わせてテ○ドンも横揺れした。
かかとを引きずるようにして、巨獣のような体が一歩ずつ近づいてくる。
俺は座ったままの恰好で思わずベッドの上に後ずさった。
一方的な攻撃はできても、タイマンの真剣勝負となれば力馬鹿のハッサンには到底敵わない。
た、助けて神様ロト様ルビス様!!
「イザ…………」
やめろ。そんな目で俺を見るな。俺を呼ぶな。
俺が腰を浮かすと同時に、ハッサンに腕を取られた。
……さようならきれいな俺。こんにちはウホッイイ男…………。
父上や母上の笑顔が走馬灯のように浮かんでくる。ああ、こんな時に出てこないでくれターニア。
お前の天使のような笑顔が、今ではこんなにも胸に痛い。
俺は目を瞑った。眩暈がしそうなくらい、強く。
ハッサンの顔が近づいてくるのが気配で分かる。
奴の吐息と共に、耳元で低い声が響いた。
「………………イザ…………頼む。抜いてくれ」

69ハッサン×主人公(5):2005/04/29(金) 00:22:44
「……………………」
俺はゆっくりと目を開けた。眉をハの字に歪めたハッサンが、潤んだ瞳で俺を見つめている。
……ちょっとこの顔は、アップで見たくない。
俺は目を逸らした。
そして、肩の力を抜いた。つーか、抜けた。
……てっきり、そのまま唇を奪われて組み敷かれて強制ウフンアハンな状況になるとばかり思っていたのだ。
なんだ、その図体に似合わず結構紳士的なとこあるんじゃん。
神様ありがとうああよかった俺の考えすぎかあははははははははh…………じゃなくてさ。
キレイに(?)決まったノリツッコミをよそに、俺の顔からみるみる血の気が引いていくのを感じる。
ハッサンに手首を掴まれたまま、ギギギギ、と油の足りない機械のように顔を動かして、奴の方に向き直った。
「…………抜くって、何を」
「ナニを」
「…………何で、俺が」
「お前じゃなきゃ駄目なんだ」
くそ、またこのパターンか。
「頼む、この通り」
「嫌だ」
頼まれてやるもんじゃないだろう、そんなのは。
「ちょっとだけ。な、な?」
「い・や・だ」
何がどうちょっとだけなんだ。
「いいじゃんよ〜。俺たち親友だろ〜?」
「絶・対・嫌だ!」
親友ってのは理由にならねえだろ!
「お前のシモ事情に俺を巻き込むな便所行け馬鹿」
「一生のお願い。何でもするから。な?な?」
ここで一生のお願い使っちゃうか……。
半ば呆れつつも、“何でもする”にちょっとだけ揺れた俺がいた。
揺れるな、バカ!
俺の頭の中では二人のイザが言い争っている。……くそっ、俺はどれだけ分裂すれば気が済むんだ。
「……何でも、する?」
「するする」
「ほんとに?」
「ほんとほんと」
「絶対?」
「インディアン嘘つかない」
とりあえずお前はインディアンじゃない。
「じゃあ今日から魔王倒すまで、全員分の武器の手入れと、飯の準備と、その他雑用全部。……してくれる?」
「するする。喜んで」
俺はあっけなく堕ちた。二人のイザの片割れ(多分白い羽生やしてる方)が、捨て台詞を残して消えていった。
“リーダー”とは名ばかり。その実情は単なる雑用係だ。
戦いが終わって皆が休んでいる間、メンバーの武器を磨き、買い物をして、野営の時はごはん作って……。
そんな生活に、俺はもうすっかり嫌気がさしていたのだ。
「……分かった。約束は、守ってもらうからな」

70ハッサン×主人公(6):2005/04/29(金) 00:23:43
 よっこいしょ、とハッサンがベッドに乗り込んだ。
二人分の体重を支えようとしたベッドが悲鳴を上げて沈む。
「おっさんだな」
「ほっとけ」
腰布を器用に外して下着を脱ごうとするハッサンの手を、俺は黙って制した。
「……なんだよ。今更待ったはなしだぜ」
「……途中で萎えたとか言われても、俺は責任取らねえからな」
「ああ。大丈夫大丈夫」
何がどう大丈夫なのかは考えたくなかったが、まあ萎えたら萎えたで、それはそれで都合がいい。
そうでなくとも、とにかく一発抜いちまえば、少なくとも今現在俺の貞操の危機だけはどうにか免れるわけだ。
さらにはパシリ生活にさよならのおまけ付き。
……手の平の処女喪失はこの際仕方ない。背に腹は変えられないとは正にこのことだ。
ハッサンが勢いよく下着を下ろす。奴の服の中でさんざんうごめいていたものが、ようやく顔を出した。
赤黒く屹立するそれは自ら意思を持つ生物のように、ハッサンの呼吸に合わせて小さく揺れている。
「やっだー。キモーイ」
俺が今風のギャルを意識して言うと、ハッサンがこの世の終わりのような顔をした。ちょっとキツすぎたか。
「ごめんごめん、冗談……じゃないけど。えーと、男らしくて、いいと思うよ」
何で俺がお前のチンコのフォローしなくちゃなんねんだ。
なあ、何。何なの、それ。
人としてあり得ねえだろ。
俺のが仮に標準サイズだとして、奴の棍棒は軽くその二倍くらいはある。
あの腰布が実はハッタリで、実際アポロチョコみたいなんが出てきたら思いっきり笑ってやろうと思ってたのに。
「……何食ったらそんなでかくなんの」
聞かずにはいられなかった。
「……でかいか?」
自覚のないのがさらに悔しい。
体がでかい分ナニもでかい。奴にしてみりゃただそれだけのことなのだ。
えーと、これはもう貞操の危機とか言ってる場合じゃない。こんなもん尻に入れたら命に関わる。
早急にこの毒牙の呪縛から抜け出すべきだろう。
ゆっくり右手を近づけると、奴のソレから放たれる蒸気のような熱が触れてもいないのに伝わってくる。
俺は躊躇した。
だがもう後には引けない。
どうか、新しい自分に目覚めませんように。
眼球が痛くなるくらいきつく瞼を閉じて、俺は奴のツチノコを握りこんだ。
うっわ……すげえ熱い。
ハッサンの小さな呻きが洩れる。……聞きたくない聞きたくない。
できるかぎり五感に意識を向けないようにして、右手を上下に動かす。
最初は軽く。徐々に強く。カリの辺りを親指と中指で捻るように撫でながら、先端を人差し指でぐいぐい押さえる。
先から吐き出される透明な粘液が指に絡み付いて、ぐちぐちと嫌な音を立てた。手洗いたい。
「……うめえじゃん」
「…………そりゃ、まあ、男ですから」
所詮同じ雄同士。感じるポイントくらいは大体知ってる。
ああなんかすげえ悲しくなってきた。
俺は一体何やってんだろう。仮にも一国の王子が、マッチョな兄貴に手コキ大サービス……。
ちょっと、レイドックの将来が心配になった。

71ハッサン×主人公(7):2005/04/29(金) 00:24:43
 俺が聞こえるようにため息をついてやろうと息を吸い込んだときだった。
ハッサンの手が突然こちらに伸びて俺の後頭部を掴むと、手前に押さえ込むように力を込めた。
「!?…………ハッサン!?」
「悪ぃ、イザ……なんか我慢できねぇ」
ハッサンが俺に何をさせようとしているのか……俺は自分の勘の良さを呪いたくなった。
「嫌だ!絶対嫌だ!はっ……離せ、離せよっ、ハッサン!」
俺の意思に反比例して、奴の膨れ上がった一物が眼前に迫ってくる。
信じらんねえ。嘘だろ。夢だろ。そうだ、確かこっちは夢の世界の方だったはず……。
先端が口に触れた。俺、唇の処女喪失。目頭が熱くなるのを感じた。視界もぼやけてきた。
「口開けてくれよ」
あーん、なんてすると思うか。
「ほら…………お前のも抜いてやるからよ」
「!?」
ハッサンの余った方の手が、こともあろうに俺の下半身に伸びてくる。
俺の両腕は背中で一纏めにされていた。正座でハッサンの股間に顔を埋めるような恰好で、身動き一つとれない。
骨ばったハッサンの指が探るように下着の奥に侵入し、俺の性器が直に握りこまれた。
「っ!?……いやだ、ハッサ…………ぐっ」
思わず嬌声を吐き出した俺の口内に、この隙を逃さぬとばかりハッサンの怒張が差し込まれる。
「ん、ぐぅ……ううっ、んん……」
「なんだ、お前も感じてんじゃん……もうここぬるぬるだぜ」
俺は勃起していた。奴のものに触れたときから、体中の熱が、血液が、下半身に集中していくのを感じていた。
言い訳の代わりの涙がぼたぼたとシーツに染みを増やしていく。
口いっぱいに広がる汗臭い匂い。生々しい質感。体温。
思い切り歯を立ててやろうと思ったが、できなかった。理由は考えたくなかった。
ハッサンが腰を上下に揺らす。俺はいつの間にかそれに自ら舌を絡め、夢中で貪っていた。

72ハッサン×主人公(8):2005/04/29(金) 00:25:33
「とりあえず喉越しは最悪だ」
「すまん」
「お前は初めての相手に顔射すんのか」
「悪かった」
「お前は初めての相手に飲ませんのか」
「この通り」
濡らした布で、手や顔に残ったハッサンの欲の残骸を拭き取る。
「あーあ、服にも付いちまってら……まあいっか、備え付けのやつだし」
宿の主人には悪いことをしたが、自前の服でなくてよかったと心から思った。
「……お前も結構ノってたくせに」
「何か言ったか」
「いいえ何も。ところで王子、その腰のものはどうなさるおつもりで?」
「………………」
そうだった。
ハッサンの手でイけなかった俺の息子は未だに天を仰いだまま、独り虚しく空を見つめている。
「……っくそ、大体お前がヘタクソだからさぁ」
「あ、俺のせい?」
「当然」
俺は何も悪くない。完全な不可抗力だ。しかし……。
「……便所行ってくるわ」
立場柄、続きをせがむわけにもいかず。
ベッドから立ち上がりかけた俺の体は、腕をきつく引かれて再びスプリングに沈んだ。
「……何だよ」
ちょいちょい、と。
ハッサンの示す指の先にあるもの。
「………………!?」
第二砲発射準備完了。いつでもいけます隊長。
「悪ぃ」
「ばけもん……んがぁっ!?」
そのままベッドに押し倒され、組み敷かれる。待て。待ってくれ。まだ心の準備が……。
「俺今ドラゴンだからかなぁ、もうビンビンでさ。全然物足りねぇ」
それは多分関係ない。


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