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第2回東方最萌トーナメント 39本目

280 お前”も紅”色に染まれ 9 :2005/02/21(月) 01:20:05 ID:UUpV92/2
言うべきかどうか、迷っていた。

また、あの日の繰り返しになるのではないかと不安だった。

それでも。

「お前が一体、何処でどの様にして日々を過ごしているのかは知らない。
 ……だが、もし。もしよかったら、私達と一緒に集落で暮らさないか?」

一番最初に出会ったときの、あの遠ざかっていく小さな背中に。
私は、どうしてももう一度手を伸ばしたかった。

「言ったとおり、どうも物騒な雰囲気になりつつある。……心配なんだ、お前のことが。
 お前が集落にいてくれれば、私は安心して原因を突き止めることが出来るし――それに集落の者達は、皆いい人ばかりだ」
「うん……そうね。貴女がそこまであの人達を好きになる理由も判る。外の人間より、ずっといい人たちだと思ったわ」
「なら――」
「でも、駄目」

はっきりと。
彼女は首を横に振った。

「それだけは――どうしても、駄目なの」
「…………そうか」

こうもはっきりと、断わられてしまっては。
私にはそれ以上、何も言うことなど出来なかった。

言葉が途切れ、ゆっくりと空の闇が濃さを増していく。

「――ねえ」

夕日を見つめながら、彼女は口を開く。

「貴女は、なんで――夕日が好きなの?」

唐突な言葉だったが。
何も話す事が無くなってしまった今は、それが有難かった。

「……夕日は、私にとって母親代わりだったんだ」

彼女と同じように、私も夕日を眺める。
今日も夕日は、その紅の腕で、世界を暖かく包み込んでいた。

「誰も彼も差別する事無く、沈む夕日は暖かい輝きを私達に投げかけてくれる。
 私が一人だったときから、ずっと夕日だけは……私をあの紅で包み込んでくれたんだ……」
「……そっか……」
「……変、か?」

ふるふると、首を横に振る。

「……私が、夕日を嫌いなのはね」

もう、沈もうとする紅を――同じ色をした瞳で見つめて。

「――世界が、血の色に染まったように見えるから」

酷く乾いた笑みを、浮かべていた。

「草も。木も。家も。街も。山も。
 私の体の隅々までもが、血で染まったみたいに見えて。酷く、気持ち悪くて……嫌いな色」

椿の紅を思わせる着物を、その身に羽織り。
夕日の事を『嫌いだ』と告げた少女。

「でもね」

そっと、私のほうを振り向いて。

「夕日が好きだっていう、貴女は――嫌いじゃないわよ」


紅に染まった少女の笑顔が、鮮烈な茜の斜陽のように――私の心に残っていた。




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