したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

第2回東方最萌トーナメント 39本目

275 お前”も紅”色に染まれ 7 :2005/02/21(月) 01:18:58 ID:UUpV92/2
「……どうしたの? そんなところでぼうっとして」

唐突に声をかけられ、はっと顔を上げる。
かち合ったのは、怪訝そうに私を覗き込んでいた――夕日のような紅の瞳。

「こんなところで、ずっと俯いて……どこか体の具合でも悪いの?」
「いや……そうではない」

椿の着物の少女の言葉に、私は軽く首を振る。
平常は人間の姿とはいえ、これでも私の体は人間の何倍も頑丈に出来ている。
暑さ寒さに耐える自身はあるし、風邪を引いたり腹痛を起こしたという経験も一度も無い。

「それより、珍しいな……お前から私に話しかけてくるとは」
「俯いたまま何時間もじっとしたままでいる貴女のほうがよほど珍しいわよ。
 いつからそうしてたのか知らないけど、もう日も暮れるわよ?」


なに――?
私の知る限り、今日の太陽はまだ南天に高く上っていたはずだ。
そんなに時間が過ぎていたのかと空を見上げれば、太陽はもう山の向こうに最後の紅を投げかけようとしていた。

半日もの間、私はなにをするでもなくぼうっと突っ立っていたというのか。
「――本当に疲れてるんじゃない?」
くすくすと笑う彼女に――返す言葉も無かった。

「いや、まあ……ちょっと、考え事をしていてな」
「考え事……?」
「ああ……まだ噂の域を出るものではないんだが……どうもまた集落が脅かされそうな事態になりそうでな」

私の白沢としての能力は個体としての力も強く、極めて柔軟な使用法も出来る優れたものであることは自覚している。
しかし歴史の操作とは、少々乱暴な言い方をすれば超強力な催眠術のようなものに近い。
こちらの力の総和を軽く捻るような圧倒的な実力の持ち主や、極めて高い幻視力の持ち主などには全くもって通用しないのである。
基本的には抵抗したり、抗ったりできる類の力ではないために、効く相手と効かない相手で真っ二つに割れるとも言える。

普通、歴史の修正が通じないような圧倒的な実力を持っているならば、周囲の妖怪を引き連れ王のように君臨するか、
はたまた世俗と一切の関わりを絶ち、誰にも知られない場所に自らの安息を求めるのだろうが――ここは外ではなく、幻想郷だ。
人間を相手に『からかう』妖怪達の中で、私が危惧するほどの圧倒的な能力を持っている者にも思い当たりがあった。

これが私の杞憂に終わるのならばいい。
「無駄足だったな」と苦笑するだけで、平穏が続いてくれるのだから。
何か被害があってからでは遅い。こういった際の準備というのは、無駄になってしまうことが一番幸せなのだ――


「ちょっとちょっと、顔、顔」


とす――と、眉間の辺りに、少女の人差し指が突き立てられる。
知らずのうちに随分としかめっ面になっていたことに気付き、私は思わず苦笑してしまった。




■ したらば のおすすめアイテム ■

飼育少女(1) (モーニング KC) - 仲川 麻子

KENZEN! マジ、KENZEN!

この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板