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第2回東方最萌トーナメント 39本目

270 お前”も紅”色に染まれ 4 :2005/02/21(月) 01:16:12 ID:UUpV92/2
目を細め、夕日を眺めていたその少女は、今まで一度も会ったことが無かった。
一目見てそう判断できるほど――その少女の持つ印象は独特で強烈だった。

一番最初に感じたのは、少女の纏う不思議な雰囲気。

年の頃は、見たところ、外見的な意味で私と同じぐらいだろうと思う。
ただ、それにしてはあまりに、少女の纏う雰囲気は落ち着き払ったものだった。
その立ち姿といい、浮かべた表情といい――まるで何百年もの間を生き、老成したような印象さえ与える。

一瞬、妖怪かとも思った。
それも、数百年を生き続ける大妖怪の貫禄と余裕を備えているように見えた。

しかし、彼女から感じる『匂い』――これは紛れなく、人間のそれだ。


だからこそ、不思議だった。


肌も髪も、色素が薄い。
そういった髪は、普通は茶色や鬼子の様な金色になることが多いのに、彼女のそれはうっすらと蒼みがかっている。
太陽の光など知らないと言わんばかりに、血の色が透けそうなほど白い肌を包むのは、椿の花を思わせるような深い紅色の着物。
整った面持ちは、良家の子女を思わせるようでありながらも、どこか達観した老女のような雰囲気さえ感じる。

彼女の美しさを例えるなら、薄氷で作られた細工。
ほんの少し触れてしまうだけでも、すぐに粉々に崩れてしまいそうな――酷く不安定で、儚げな美しさ。

しかし。


「……私に、何か用?」


夕日から私へと――向けられたその瞳は。
空に輝く夕日をそのまま嵌めこんだかのような、見事な紅。
儚げでおぼろげな印象を軽々と覆してしまう、苛烈なまでの意志の強さと、生命力に満ち溢れていた。

その射抜くような視線に、一瞬気圧されそうになりながらも――私は口を開く。

「いや、特に用というわけではないが……この辺りは、日が沈めば妖怪の領分になる。人間が一人でいていい場所ではないぞ」
「そう……それは、怖いわね」
瞳から感じた苛烈な気配がふっと消える。
つい、と逸れた視線といい、素っ気無いその言葉といい――私の言葉にまるで興味が無いといった様子だ。
それは、いかにも幻想郷の住民らしいといえばそうなのだが、恐らく彼女は――
「……不思議な場所ね、ここは。ちょっと見ただけだけど、ここでは妖怪と人間が共存している……何故?」
やはり、生粋の幻想郷の住人ではなかった。
私の記憶力も、まだまだ錆付いてはいなかったようだ。

幻想郷に来れば誰もが一度は口にする疑問に、同じように幻想郷の住民として一度は言うべき言葉で答える。

「それはここは『幻想郷』――幻想の生物と人間達が共に過ごす場所だからだ」
「……幻想、郷……」

自分の口から零れたその名前を、吟味するように少女は考え込み――

「……なるほど、言いえて妙、か……」

答えに一人で納得すると、少女はそのままふらりと私に背を向け、ふらりと歩きはじめる。




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