したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

第2回東方最萌トーナメント 五本目

384 STR「或る魔道書の履歴」1/2 :2005/01/28(金) 01:43:06 ID:wSogJFAQ
 私に能力があるとすればそれは
 ――運命に操られる程度の能力
 と、いうべきものかもしれない
 何せ私ときたら、一から十まで
 すべて創られたものなのだから


 私の前世(というのもおかしいが)元の姿は、一冊の魔道書だった。
 誰が書いたものか、記憶にはない。
 何しろ私がこうした意識というものを持ち始めたのは、
 せいぜいここ数百年ばかりのこと。
 それ以前のことは、まるで憶えていないのだ。
 少なくとも、今の私の所有者ともいうべき、
 魔術者パチュリー師でないことは、確か。
 べつだん、興味があるわけではない。
 人間のように、父や母があるわけでなし。
 私にとって、過去は過去にすぎず、要るものではなかった。

 だから――ふいに訪れた『過去』は、私を戸惑わせずには、おかなかった。

『見つけた』

 彼女は、そう言った。
 一見すれば、幼い少女。
 身体に不釣合いな、大きな本を抱えたその風体は、愛らしくさえある。
 けれど、私の羽根は開ききり、すべての毛が逆立っていた。
 私は、知っている。この少女を。
 意識は知らなくとも――肉体が。

『こんなところに、「あった」なんてね。
 ……木の葉を隠すなら森の中、ってやつかしら』

 クク、と喉の奥で笑いながら、歩み寄ってくる、彼女。
 危険だと、本能が告げていた。
「――っ」
 放っていた。魔力塊。
 飛散する、熱量。

『あらあら。悪い子』

 顔色ひとつ変えず、少女はそこに居た。

『それが「親」に対する、態度かしら』

「…………あ」
 私は、戦慄とともに、理解した。
 この少女。いや、少女の姿をしたものは。
 私の――私を――

『さぁ……そんな無粋な姿はおやめなさい。
 愛らしい背表紙を、手触りのいい表紙を。
 あなたの本当の姿を、見せて頂戴』

「わた――私――は――」
 私 私は……
 わたしは 書物
 わたしはまどうしょ
 ワタシハ グリモワール
 ワタシ……ワタシ……ハ……
 ワタ…………シ…………


「新手とはね」


 貫くような声が、私の意識をつなぎとめた。
「ただでさえ、本盗人に苦労させられているっていうのに」
 ゆるゆると飛揚してきたのは、この書斎の主――
 パチュリー師。




■ したらば のおすすめアイテム ■

踏み出せば何かが変わる - 三浦 大輔


この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板