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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

327 ◆21RFz91GTE:2008/07/11(金) 01:53:27 ID:n19Iy/ug0
「ん?」
「アデルはどうしたんですか?あの夜から全く姿が見えないのですが。」
今まで真面目な顔をしていたアレンはその言葉を聞くと一度だけ表情が歪んだ、同時にいらつきを表情に出しそれを落ち着かせようと懐からタバコを一本取った。
「用事があって出かけた、明日の朝には戻るそうなんだが…今朝方アデルの使い魔から連絡が来た。」
「何と?」
「「呪いの墓は何処だ?今どこかの浜辺に来ている。お土産に蟹とクラゲを持って帰ろう。」、だとさ。」



 「マスタ。」
会議終了後ガズルがアレンの部屋を訪れていた、ドアをノックして中に入る。
部屋の中にはカーテンを開けた窓のすぐ側にアレンが立っていた、窓から見える古都は静かでまるで早朝の古都を眺めて居るようだった。
「ガズルか、どうした?」
「…双子のランサーの事なのですが。」
被っていた帽子を左手で取り胸の前に添える。アレンは懐からタバコを一つ取り出して咥えた。
「あの子達も戦わせるのですか?」
「…あぁ。」
ガズルの口から出た言葉に咥えたタバコを落しそうになる、火をつける直前での事だった。帰ってきたアレンの言葉にはどこか悲しい意味あいも含まれているような。そんな感じだった。
「本当なら戦わせたくないさ、でもあの子達の意思だ。」
「しかし…。」
「ガズル、君が何を言いたいのかは分かる。」
「では何故。」
「…それ以上、言うな。」
背筋が凍るというのはこう言う事なのだろう。とても冷たい目でアレンはガズルを睨んだ。その目にはどんな意味が込められているのだろう。感じ取れる感情からは蛇の肌より冷たい殺気にも似た目をしている。
「あの子達の生立ちは聞いています、母親に捨てられそこに通りかかった英雄に育てられた。報告書を見ているのでしたら何故…。」
「…。」
冷たい表情のまま暫くガズルを睨んでいたアレンはタバコに火をつけるために右腕を前に持ってきた。そして指をこする摩擦熱を利用してタバコに火をつける。
「アレは最前線には出て来ないだろう、向こうからすれば切り札のようなもんだろうからな。」
「ですが、勝ち進めば必ずぶつかる壁になります。」
「…その時は。」
再び窓の外を眺め咥えているタバコを左手で取った。煙を吐きながら右手で握りこぶしを作りプルプルと振るえていた。
「その時は、俺がケリを付けるさ。」
「マスタ…。」
「それに…俺たちの全滅だって有りえる話だからな。アデルが間に合えばいいんだけど…。」
握りこぶしをほどき、再びガズルに顔を見せた。そこには何時もの笑顔で優しいアレンの表情があった。内心は砕けそうになりそうな感情と戦い、押し潰されそうな重圧に必死で耐えて居るような。そんな表情は一切出さずに居た。
「…お察しします。」
「あぁ、すまない。」
「いえ、マスタの仰せのままに…。」
ガズルは一度深くお辞儀して部屋を後にした。パタンと音を立ててしまったドアを見つめながらアレンは近くの机に向かう。机の上には一枚の報告書が置かれている。それに何度も目を通し、そして右手で握りこぶしを作っては机を殴った。
「なんで…なんでこんな事に…。」



Act.13 The Beautiful World 1
To be continues...


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