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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】
25
:
姫々
:2008/05/07(水) 00:29:37 ID:VbnAj5DM0
きっと凄く心配させていたのだろう、1年も前に突然いなくなったんだから仕方ない。
「こんな仕事やってて、失望したよね‥‥ごめんね‥‥。」
「え‥‥、何で?」
この姉さんは妹が山賊業をやっている事を何とも思っていないのだろうか、ありえるがそこから踏み込む
のは怖かった。
「けどあの口調は驚いた」
「子供だからね、せめて口調位は変えておかないと舐められちゃうから」
抱き合ったまま話す、泣き顔は見ないで欲しいと言うだろうし、私も眼はあまり見せたくなかった。
「ん‥‥、姉さん痛い‥‥」
抱きしめる力が強くなってきたのでそう伝える。姉さんもハッとした様子で力を抜いてくれた。
「ごめん‥‥」
「あ、いいよ。そんなに痛くなかったし」
「違う、私の事、嫌いになったよね。だから、ごめん‥‥」
「私が?何で姉さんを嫌うの?」
まず第一にさっき以上に驚いた。その次に突飛な言動は変わっていないな‥‥と言う感想が出た。
「だって、あの時守ってあげれなかった。ごめんね‥‥」
溜息が出る理由だった。さっき私が逃げてしまったのがいけないのだろうけれど、それで姉さんを嫌うはずがない。
よい意味でも悪い意味でも、最上級のお人よし――それが姉さんなのだから。
私自身がそれを早く思い出しておけばきっとすれ違う事もなかったのだろう。
「そんな事気にしちゃダメだよ姉さん。私は姉さんが大好きだから、絶対に嫌いにならないから‥‥。」
「本当に?」
訊ね返されても気持ちは変わらないのだが、それでもさっき逃げたのがそれだけ応えたのだろう。
「さっきはごめんね‥‥。それより姉さんは?私の事嫌いになっちゃう?」
「まさか、タスカちゃんは私の妹だから、嫌うはずないよ。」
安心した。一番聞きたかった言葉だから。
それに、私の居場所はまだあると確信できたから。
「いつか、私の力を自分の物に出来たら・・・、その時は家に帰っていいかな・・・?」
訊ねると姉さんの首が縦に動いた。
「ありがと。っと、姉さん離れて。」
「え、あ‥‥ごめんね」
「いや、違うの。狼がここまでおりて来てる。姉さんも気づいてるでしょ?」
今微かに遠吠えが聴こえた、すぐそこの山から恐らく下りてきたのだろう。狼が洞窟の中に入ってくることは
それほどり無いが、全く無いというわけでもない。もしもの事は起こってから対処していては遅い。
「え?」
「え?って気づいて無いの?」
「うん‥‥、魔物の気配は無いと思うんだけど‥‥」
おかしいな、遠吠えは確かに聞こえた。
まあ何にせよ夜明けまで見張りをしておけばいい。無粋な狼だとは思うけど向こうも食べ物が無いと生きて
行けないのは一緒なのだからこればかりは仕方ない。
「うーん‥‥私には聞こえたんだけどな。それより顔洗って皆の所に行けばいいよ、きっと歓迎してくれる」
「うん、わかった。見張り頑張ってね」
目元を手で拭って言う。
「大丈夫、狼程度には負けないから。部屋の場所は入り口の近くの松明の下辺りを調べたらすぐ分かると思う。」
それだけ伝えてその場を離れる、顔は笑ってたか泣いてたか分からない、けれど悲しい気持ちではなかった。
通路を抜けポータルを抜けて、外に出ようとする。
「待てよ」
と、出口のすぐ傍で呼び止められた。特に急ぎというわけではないので振り返る。
私の目線の先、男が一人、立っていた。
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