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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 二冊目【SS】
1 名前: 名無しさん[TRACKBACK] 投稿日: 2005/09/27(火) 15:32:59 [ SlysJ37g ]
書いた赤石サイドストーリーをひたすら揚げていくスレッドです。
技量ではなく、頑張って書いたというふいんき(ry)が何より大事だと思われます。
短編長編はもちろん関係ありませんし、改変やRS内で本当に起こったネタ話などもOKです。
エロ、グロ系はなるべく書き込まないこと。エロ系については別スレがあります。
職人の皆さん、前スレに続き大いに腕を奮ってください。

【重要】
このスレッドは基本的にsage進行です。
下記のことをしっかり頭にいれておきましょう。
※激しくSな鞭叩きは厳禁!
※煽り・荒らしはもの凄い勢いで放置!
※煽り・荒らしを放置できない人は同類!
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。
※どうしてもageなければならないようなときには、時間帯などを考えてageること。
※sageの方法が分からない初心者の方は↓へ。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r562

【過去のスレッド】
一冊目 【ノベール】REDSTONE小説うpスレッド【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/

関連サイトや過去の職人さんたちの連載作品などは>>2-3あたりで紹介

2 名前: 名無しさん[TRACKBACK] 投稿日: 2005/09/27(火) 15:33:21 [ SlysJ37g ]
【まとめサイト】
◆dGkqy8VIyg さん
http://ponkin.fc2web.com/matome/

【過去の作品 〜500 (個人別)】
(***)という数字は、初レス時の番号です。
名無しさんとなっている方々には、勝手にレス番号をつけさせてもらいました。

(149) ◆21RFz91GTE さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r968

(204) S.T さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r969

(252) 252 ◆j9cST1xRh2 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970

(258) 258 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r971

(274) 指示待ち代理人 ◆fwIjiQIcRk さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r972

(290) 290 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r973

(295) 295 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r974

(308) 作文屋 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r975

(386) ◆ypgWyZmY9U さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r976

(389) FAT さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

(446) i さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r978

(455) ◆G9MWvNHx3. さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r979

(470) 470 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r980

3 名前: 名無しさん[TRACKBACK] 投稿日: 2005/09/27(火) 15:33:44 [ SlysJ37g ]
【過去の作品 500〜 (個人別)】

(507) 507_8 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r981

(509) BD さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r982

(526) ナンバーズ ◆RD3530l4BQ さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r983

(533) 533 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r984

(543) カイギネス さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r985

(551) Feru さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r986

(563) LB さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r987

(599) 赤:S,N
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r988

(601) あ〜 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r989

(623) ユキサキ さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r990

(642) ロマ村物語考えてる人さん さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r991

(644) 名前がない@戦士見習い さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r992

(690) 変な生き物 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r993

(836) 暇人A さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r994

(850) 復讐の女神 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r995

(891) サマナの人 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r996

(894) 894 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r997

(960) 960 さん
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r998

4 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/27(火) 15:53:46 [ SlysJ37g ]
スレ被ったorz

5 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/27(火) 15:58:03 [ wusClzP2 ]
>>960
>>961
すごく感動的なお話でした(パチパチ
一番最後の「俺達はこの世界で。確かに生きていたのだから」という部分がすごく印象深いです。
でも、二人の亡骸を見ると、悲しくなります。
最後の最後で、あのキングベアーを倒して、木の根元で手を取り合いながら横たわってるなんて・・・
まるで某アニメの最後みたいです(・_・、) グスン

>>955
すごくつらい境遇ですね・・・
愛されるはずの母親からは虐待され、生まれて初めて優しくしてくれた犯罪者集団の一人からは、左眼をくり貫かられ、久しぶりに帰ってきたら母親に平手打ちを食らわされるなんて・・・
どうして、ここまでこの人がつらい目に会わなければならないといけないのでしょうか?
両親からは愛され、素敵な友人に囲まれ、いかんなく自分の能力を発揮している人がいるというのに・・・
でも、最後の最後で、左眼に宿ってる龍が助けにきてくれてホントよかったです。
捨てる神あれば拾う神ありですね。

>サマナの人さん
風邪? 頭痛? 虫歯? 労咳? 梅毒?・・・
一体どこをどうみればそんな言葉が出てくるんですか!
あまりの想像力にみてるこっち側がぎゃくにびっくりしてしまいました

6 名前: FAT 投稿日: 2005/09/27(火) 17:42:58 [ as6YKKyo ]
キャラ紹介です。


主人公

フラン=サーヴェリー(18歳)
:父親譲りの天才肌で6歳で召喚成功。その年には2体召喚にも成功している。
フプレの双子の姉。純サマナー。

ウィスパー
:耳打ちが出来る謎の召喚獣。ケルビーとヘッジャーを召喚でき、更には合体させられる。

ナイトバーズ
:火、水、土、風の精霊が合体して出来た闇の神獣。


フプレ=サーヴェリー(18歳)
:二重人格。フランの双子の妹。ただ今牢獄中。弱いモンスターや動物と会話ができる。
純テイマー。

シエル
:フプレの別人格。性格難。ありえない魔力を持つ。

メラー(137歳)
:サラマンダ。メラーを殺し、シエルにスパルタ調教を受け下僕に。

クラープ(?)
:ホワイトシェード。フラン殺害容疑でシエルにスパルタ調教を受け下僕に。


メインキャラ

タカルート=アングラ(タカさん)(27歳)
:普段は無口なビショップ。少し寂しがり屋な追放天使。

レニィ=ストラフス(21歳)
:自称エリプト帝国王族の末裔。男ランサー=アーチャーで、魔法が得意。ブルネン
シュティグ自警軍所属。ジョーイを尊敬している。

ジョーイ=ブレイズ(25歳)
:隻眼の竜騎士。本名はジョン=エルフェイエンというが、ヒーリィにより改名された。
レニィを尊敬している。


マリス=アーモナシー(26歳)
:親友、テリーナの仇を討つため、悪魔(ネクロマンサー)に心を売った女武道家。フプ
レ(シエル)を殺すため、生きる。

テリーナ=ベイルナ(25歳)
:ランサー。オート地下監獄でシエルに恋人を殺され、自身もあとを追うようにシエルに
殺される。後に、ネクロマンサーの力で復活する。

スレイ=クライムス(44歳)
:狼男兼魔法使い。

アンメル=シウタ(24歳)
:戦士。テリーナの恋人。オート地下監獄でフプレ(シエル)に惨殺される。
ネクロの力で復活。

ネクロマンサー
:死霊を操り自身の魔力を人形に送り込んで強化することができる。神出鬼没。




メイン機関

リンガ村
:ロマ村、ビスルから少し離れたところにあるフランとフプレの故郷。

ブルネンシュティグ自警軍
:白銀のコート、白い鎧、灰色のブーツと、白が基調の軍。警察のようなもの。
実質上古都を掌握している。




サブキャラ

メイ=サーヴェリー(42歳)
:主人公の母。ぶっきらぼうな言い方をするがやさしさにあふれている。

ゴラン=サーヴェリー(45歳)
:主人公の父。無鉄砲で、好奇心が非常に強い冒険家。テイマー、サマナーの
どちらの能力をとっても優秀。

メラー=イルハム(当時9歳)
:9歳にしてサラマンダに殺される。

トマクス=ラハース(長老)(31歳)
:31歳の名テイマー。ペットの力を引き出すのがうまい。リンガ村の長老だが
偉そうな態度を一切とらない。

ポトフ=ジャンクス(68歳)
:崩れた王宮の宿主。優れたシーフでもある。普段は人のいいおじいさん。

アルスェス=ウェッシュ(56歳)
:ブルネンシュティグ自警軍の長。聖剣士。

クレナ=ストラフス(18歳)
:レニィの妹。軽装備で戦場を軽やかに駆けぬける魔法槍兵。やや皮肉屋。

ヒーリィ=サインエクジェ(24歳)
:ジョーイの名付け親にして恋人だったアーチャ−。病により他界。

エイミー=ベルツリー(28歳)
:バーのピアノ弾き。不思議な魅力を持ち、双子の姉妹とお互いに惹かれあう。

7 名前: FAT 投稿日: 2005/09/27(火) 18:16:15 [ as6YKKyo ]
>>1さん
スレ立て&まとめお疲れ様です。どちらが使われることになるかはまだ分か
りませんが、新スレを立てたお二人ともご苦労様でした。

>>5さん
感想ありがとうございます。まだまだ続くと思うので新スレでもよろしく
おねがいします。

>>前スレ960-961さん
死ぬためにやってきたのに生きる希望を目の前にして奮起する二人。しかし
それもまたすぐに絶望へと変わる。でも最後は希望を胸に特攻。
激しく感動しました。あぁ、泣きそう・・・・。

>>名前がない@戦士見習い さん
白薔薇姫と悪魔の間に産まれた子供・・・・地上に追放されたということは
・・・・まさか!?

8 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 00:33:57 [ vVAZc7E6 ]
前スレの>>960です。
>>961の○○と書いてあるところには「ガレフ」が入ります。
修正するのを忘れておりました。申し訳ありません。

そして感想をくださった皆さんありがとうございます。
お見苦しい文章でしたが読んでいただき、ありがとうございました。

9 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 00:48:46 [ uHzSPeNA ]
皆さんの小説や、ついさっきでは野ブタをぷろでゅー(ry)を読んで、
なんとも言え無い気持ちになったので下手ながら頑張って書いてみます。
面白いと言ってもらえたら続きを書いてみようと思います。


俺は今まで、小さい村で魔法使いと育てられた。
金がどうのこうのとか、小さい喧嘩はあっても喧嘩で怪我をするなんて無かったぐらい平和な村。
村の外に出るときは、村の人の誰かが
「頑張ってね」
「いってらっしゃい」
と声をかけてくれた。
隣に住んでいる同年代の女の子は、
「はいっ、これお守り!」
と言って綺麗に光る砂の入った瓶をくれた。
そんな皆の支えがあったからだろう。
火の玉はおろか、火すら出せなかった俺は、
微弱な効果ながら努力の結果、火の玉を飛ばすファイアーボルトを習得した。

小さなことながら喜びを噛み締めながら家に戻る見慣れた家路。
「お前は立派になった、体だって成長したし、何より心が強くなった。」
一人っきりだったはずなのに、親父の声が背後から聞こえた。
気配を全く感じさせずに親父が後ろに立っていたのだ。
その親父は、いつもの優しく、そして厳しい親父では無かった。
俺の親父は、俺の目を見つめ、今までに無かった真剣な顔で立っていた。
「お前は大人になったんだ。もう・・・、この村にはいられない。」
本気の目。
冗談を言っている顔ではない。
どうして?とか、いやだ、そんな言葉を言わせてはもらえなかった。
親父の真剣な言葉に圧倒され、言葉が出なかった。
否、俺は悟っていたのかもしれない。
何を言っても無駄なのだ、と言うことを。

言われたことを理解した後の行動は早かった。
村にはいられない・・・、村を出ろと言うこと。
すぐに身支度をし、深夜に村を出た。
離れたくないと言う思いが強かった。
悲しい、と言う感情で胸がいっぱいになる。
村に出るときの挨拶、もともと人の少ない村だったから一人一人に別れを告げた。
村のおばさんはそれを聞くと、少し曇った表情を見せ、あわてた様子で
「いってらっしゃい、またいつか戻ってくるんだよ」
と明るく言った。
隣の女の子には貰ったお守りと同じような物を作りそれをあげた。
女の子は肩を震わせて泣いていた。
特に慰めの言葉があるわけでもなく、ただ
「ありがとう・・・」
とだけ言ってきた。


村を出たくない、と言う気持ちは強かった。
ただ、魔法使いとして育った俺は村に留まるわけにはいかなかった。
だから・・・、悲しいと言う感情で心をいっぱいにしながらも、苦しいと言う感情で心をいっぱいにしながらも、村を出たんだ。

10 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 10:34:14 [ fKKN0LnY ]
>>942 >>953 >>965 名前がない@戦士見習いさん
(*´∀`)アラステキ
地上に追放されてしまった子供が主人公なんでしょうか?
ああ、気になる…オルロワージュの話しの続きが気になってしょうがないです。
期待してます。

>>946 >>957さん
(*´∀`)アラステキ
主人公の能力がスゴイですね。魔力を搾取する能力ですか。ユニークですね。
どんな風に話が展開していくのか楽しみです。
設定に載っていた他のキャラ達が登場するのも楽しみにしてます。

>>947 ナンバーズさん
(*´∀`)アラステキ
ついにRSの世界にまでHGの影響が及んできたのか…事件ですね。
ブーンのクオリティはHGより上ですか…ブーンいいねぇブーン。最高です。
ゴワス口調の友人とのバトルお疲れさまです。

>>948-949 252 ◆j9cST1xRh2さん
(*´∀`)アラステキ
・・・・・・あれ?何だか物語が変な方向にすs(ry
いや、252さんのことですから何か意味があるにちがいない!
このあとどんな展開になるのか楽しみです。
>メリック〜・・・・
>メ、メリック・・・・立てないの・・・・
(*´∀`)かわいい…

>>951 サマナの人さん
(*´∀`)アラステキ
準備?フィーナは一体何の準備をするんでしょう?
言い訳をして誤魔化してまでやることはいったい…気になります。
>梅毒?
おっ、女の子がそんなことを言うもんじゃありませんよ!

>>955-956 FATさん
(*´∀`)アラステキ
うぅ......なんて悲しい過去なんだ.......ジョーイには頑張ってもらいたいものです。
頑張れジョーイってことで今後の展開に期待してます。

>>9さん
(*´∀`)アラステキ
大人になったら村を出なくてはいけないんですか…悲しいですね
さて、村を出た主人公の前にはどんな世界が広がっていくのでしょう。
続きに期待してます。

11 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/28(水) 10:58:41 [ alxjCE5. ]
>>1さん
スレ立ておつです。至れり尽くせりとはこのことですねー
もう一方のスレ立ての方もお疲れ様です。

前スレ
>>960-961さん
あう、泣けた……
こういう、微笑んで死んでいくってのに弱いです。
短いですが、ぐっと魅せてくれますねぇ〜

>>FATさん
おお、いい感じにまとまっててわかりやすいです。
寂しがりやな天使様かわいい

>>9
魔法使いの男の子……生まれ育った村を離れなければいけないのには、なにか理由があるのですかね?
続きが激しく気になります。
あと幼馴染はイイネ!>ワ<

>>(*´∀`)アラステキさん
あ、梅毒ネタに反応してもらえたw

12 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/28(水) 10:59:22 [ alxjCE5. ]
 ――Hiiiigyaaaahhh!!

 ガラスを爪で引っかいたような耳障りな悲鳴を上げ、ゴーストが数体まとめて消滅した。
 だが、その隙を突いたかのように、天井から落下してきた蜘蛛がその牙を突きたてようとする。
 その毛むくじゃらの腹部めがけ、ミーア直伝の直蹴りを叩き込み、相手が怯んだその隙にバックステップで距離を取る。
 そして笛を口元にあて、一気に吹き鳴らすと同時、飛び込んできたケルビーがその体をばらばらに引き裂いた。

 そこまでやって、あたりにいたモンスターたちはまさに蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
 小さな広場とも言えるフロアから、魔物の気配が遠ざかる。
 フィーナはそれを感じ取り、安心したかのようにむき出しの地面に座り込んだ。
 そんな彼女を守るかのように、ウィンディとケルビーがその傍に待機する。

「はぁ、きっつー……」

 やはり、ここはどうやら普通の墓所ではないらしい。
 墓所であるなら当然現れるはずの、ゾンビや骸骨といったモンスターがまったくいないのだ。
 出てくるのはワームやスパイダーといった暗所を好む魔物と、瘴気に惹かれて集まってきたゴーストの類。

「やっぱり、なんかおかしいわよね。ここ」

 入り口でも感じたことだが、この墓所は間違いなく、外ではなく内側へ向けて封印がなされている。
 所々に罠らしきものや扉が設置されていたが、それらはすべて中にいるものを外に出さないためのものだ。
 それに、入り口からここまでの道から類推できるこの墓所自体の構造も、それを意識しているらしく感じられる。

 極めつけは時折左右に存在する「それ」だ。

「ケルビー、ちょっとそっち照らして」

 フィーナの言葉に、ケルビーが炎の灯った尾を、入ってきたほうとは逆の通路へと向ける。
 そこにあるのは、石でできた人型――ロックゴーレムだ。
 だがそれは、フィーナたちが近づいてもまったく動く気配がない。

「うーん、殴ったら動くかな?」

 ちょっと気になって、ぶんぶんと笛を振り回す。
 と、その袖を必死になってケルビーが咥える。

「ああ、冗談、冗談よ。イフリィトには手を出すな、ってね」

 微笑んで手を下ろし、かわりにケルビーの頭をぽんぽんと叩いてやる。
 すると、嫉妬したのかウィンディがフィーナに向かって「撫でろ」とでも言うように頭を垂れる。
 まるで普通の生物のようなその態度に、フィーナは苦笑。
 その頭と喉元あたりを撫で、ついでにふかふかしてから放してやる。

「さ、あんまり休んでるとまたモンスターが寄ってくるし、そろそろ先に行こうか」

 言って立ち上がり、ばふばふと服についた埃を払う。
 光源はケルビーの尾の炎のみ。
 あたりは薄暗く、通路の先は闇に呑まれている。

「コロッサスが出るかレイスが出るか……開けてびっくり宝箱ってね」

 先の見えない通路を睨み、フィーナは悪戯っぽく微笑むのだった。

13 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/28(水) 11:05:32 [ alxjCE5. ]
あ、忘れてた;;
>>名無しさん@戦士見習いさん
ふと思ったのですが、「アルセス」ではなく「アセルス」では?;;

14 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/28(水) 12:58:26 [ wd/Hd0mc ]
 墓地最下層。
 モンスターたちを何とか退け、そこへ辿りついたフィーナの前には、予想だにしなかった光景が広がっていた。
 直径15ヤードほど、高さ4ヤードほどのホールのような空間。
 周囲の壁には至る所にルーン文字が書き込まれており、また床面は、水路を流れる地下水を利用し、入り口にあったのとよく

似た紋章が描かれている。
 魔力の影響か、床の紋章と壁のルーン文字からほのかな青白い光が放たれており、室内は薄暗い、神秘的な明るさを保って

いる。

 そして何より、部屋の中央。
 そこには、厳重に鎖で封印された、二振りの剣があった。

「何、これ――!?」

 あまりに予想外の、神秘的な部屋の様子に思わず息を呑む。

「表の封印も、この墓地の構成も、全部これを封じるため……? でも、宝物を封じるなら、封印を内側に向けるはずがない…

…封印される必要があったってこと? この剣に――」

 ゆっくりと、罠や術を警戒しながら剣に近づいていく。
 だが、警戒していたようなトラップは一切なかった。
 本当に純粋に、この墓地はこの剣を封印する、そのために造られたらしい。

「綺麗……」

 フィーナが今までに見たどの剣より――そう、彼女の家に飾ってあった、それでも一振り数十万ゴールドは下らないと父が言

っていた精緻な細工の施された儀礼用の剣などより――それは美しかった。

 刀身を構成するのは、鉄ではなく水晶。
 内側に淡い魔力の光を湛え、それがなければ向こう側が透けて見えそうなほど。
 さらにその刀身を、精霊銀と紫金、白金で補強し、柄に填まっているのはそれ自体が高い魔力を持つといわれる稀少石だ。
 片方の剣には紅の稀少石、もう片方は蒼の稀少石。
 蒼の稀少石は、フィーナがつけているイヤリングについているものと同じものだ。

 如何なる美術品にも勝るとも劣らない、しかし純粋な戦闘用の剣。
 そこには、洗練された殺戮兵器だけが持つ、一種の美も兼ね備えられている。

 ふと気づけば、フィーナは思わずその剣に手を伸ばしていた。

 いや、誰も彼女を責められまい。
 これだけ美しい剣、どれほどの聖人であろうとも、無関心でいることはできないだろう。
 そう、例えるならば、倒したモンスターが伝説の武器や防具を隠し持っていたのを発見したときのように。

 剣を繋ぎ止めていた鎖は、フィーナの手であっさりと外れた。
 おそらくそれ自体がある種の術的存在であったのだろう、外された鎖はその瞬間、光となって消え去る。
 瞬間、フィーナのイヤリングの輝石が、その光を反射してわずかに煌く。

 そして、ゆっくりとその剣を手に取った。
 1ヤードよりわずかに短い刀身を持つその刀は、驚くほど軽く、しかし軽く振るとしっかりとした手応えが返ってくる。

「重量制御術……剣本来の重さはそのままに、ただ持ち手にはそれを感じさせない……」

 驚くべき技術だ。
 これだけの名剣だ、どこかに製作者を示す刻印でも入っていないかと剣を調べる。

 そして、その刻まれていた銘に気づいた。

「ヴェイア=ザノス=クランバーク――!? 嘘、これって英雄ヴェイアの……まずい!!」

 慌てて剣を元あったところに戻そうとするが、既に遅かった。
 次の瞬間、凄まじいまでの瘴気が爆発した――

15 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 16:37:21 [ RNukKI.I ]
>>13
いや、きっとわざとですよww
さすがにすべてそのまんまじゃ製作元に訴えr(ry

16 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/28(水) 17:39:34 [ hNlLsBE2 ]
>>13
アセルスがオリジナルなんですが
アセルスで登場させてしまった!そんな失敗です
まぁ気にせずに

17 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/28(水) 17:43:37 [ hNlLsBE2 ]
訂正
アセルスで登場させてしまった!そんな失敗です

アルセスで登場させてしまった〜
です

18 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 17:43:47 [ RNukKI.I ]
む、下げるの忘れてしまいましたorz
次回からは気をつけますね^^;

ここは、古都ブルンネンシュティグ。
フランデル大陸極東部を中心に活動する冒険者達が最初に訪れる町であり、
その冒険者達が最も多く集まる都市である。
そんな古都の表通りを重い足取りで歩く1人の戦士と、その戦士に語りかけているウルフマンの姿があった・・。

「まったく、帰ってきた早々に呼び出しとはリリィも人使いが荒い・・。」
そうやって俺は溜め息混じりに愚痴をこぼした。
「そら、自業自得やな、ジャック。」と、アニーは言った。
「あんた、いくら蜥蜴共を1匹1匹相手すんのが面倒なんは分かるけど、『あれ』は無いやろ、普通。」
「仕方ないだろう。あれだけの数、寝起きで1匹ずつ倒していくのはごめんだな」
「それに、あの時は余計な魔力を吸っていたしな。」
俺がそのことを言うとアニーは、
「それは分かってる、でも加減っちゅーのがあるやろ?」
まぁ、それを言われると痛いんだが。
「あんたの能力のことはよう知っとる。周りから無制限に魔力を搾取するんやろ。でも、搾取した魔力は『他人のもの』で『自分のもの』やない。せやから、よっぽどのことが無いかぎり体が拒絶反応を起こすんやろ?」
「あぁ、その通りだ。もっとも、拒絶反応を引き起こすほど搾取することはまず無い。」
そのくらいの制御はできる。それに、アニーは「拒絶反応」と言っいたが厳密には違う。
確かに吸ってきた魔力が合わなくて目眩程度は起こすこともあるが、それより問題なのは搾取してくる量だ。
真実、無制限なのだ。俺の体の魔力保有限界量なんてお構い無しに搾取してくる。
すなわち、「拒絶反応」とは搾取してきた魔力そのものに対するものではなく
搾取してきた量に対して起こる。早い話がゴム風船に空気を送り続けるようなもんだ。
限界を超えた風船は破裂する、それを防ぐために魔力量が危険域に突入したときに
能力を強制的に封印することが、アニーの言う「拒絶反応」だ。
「ほんま、難儀な能力やな。えらい使い勝手悪いやん。」
「まぁ、万能な能力なんてこの世に有りはしないさ。」
そういって俺たちは表通りを歩いていった。

っと、紹介が遅れたな。
俺の隣にいるウルフマン、名前をアニー・ブレスティ。
名前の通り、正真正銘の女だ。まぁ、普段から獣化してるんで初見の奴はまず気づかない。
(そんなこと本人の前で言ったら、生きては帰れんがな・・。)
喋り方が独特な奴でな、こいつとはギルド創設以来の付き合いだ。

「なぁに、明後日の方向向いて喋っとるん?ほら、ついたで!!」
っと、気づいたら俺らのギルド「クサナギ」が事務所用に借りてる建物の
入り口についていた。
「中でリリィ・・、マスターが待っとる。さっさと行きや。」
そう言われちゃあ、入らんわけにはいかんだろうな・・・。
(まぁ、中に入ったら入ったでマスターの癇癪を食らうことになるんだがなぁ。)
そうして俺は、嫌々ながら事務所の玄関に向かっていった・・。

19 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/28(水) 19:10:51 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ
第十二回目 *Memento-Mori*part3
部屋に戻ってベットで寝てるとアルセスが部屋の外から俺を呼ぶ
「暇だろう?城下町でも案内するぞ」
「酒が飲みたいからバーへ連れて行ってくれ」
ドアを開けて目の前に立っているアルセスに言う
「いい店に連れて行ってやるよ」
そう言って歩き出すアルセスについていく
城を出て五分ほど歩く、大きな建物に入りそこから地下へ入る
奥には「ミリオンダラー」と書かれたトビラがある
中は洒落たジャズピアノが置いてあるバーだ
カウンター席に座るとバーテンがやって来る
「おや、隊長お久しぶりですね、そちらの方は?」
「知り合いでね、いつものヤツ頼むよ、お前は?」
「適当に強いやつ頼む、それとピスタチオあるかい?」
バーテンが三回うなずいてから酒を出して奥へと引っ込む
グラスに注がれた酒を一気に飲み干す、熱い感覚が喉から胃へ移動する
おかわりを瓶ごと頼みピスタチオを食べる
瓶に口をつけてラッパ飲みをする、バーテンも周りの客もアルセスでさえも呆気に取られた表情でこちらを見ている
気にせずに飲み続けて三分の一ほど飲み干す、流石に辛かったが早く酔いたい気分だった
ピスタチオの殻を片手で割って食べる
それから再び酒を飲む、随分と強い酒だが気にしない
残りを三分の一ほどにする、ピスタチオが無くなったので摘みにサンドウィッチを作ってもらう
鮭と玉葱のサンドウィッチを食べ、酒を飲み干す
トイレに行こうとして立ち上がると、世界がグルグルと回っている
気が付くとベットで寝ていた。気持ちが悪い、洗面台で吐く
うがいをした後にまた吐く、幾分すっきりした所で冷たい水を飲む
何故かさびしかった

20 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/28(水) 19:20:38 [ hNlLsBE2 ]
二時間本屋めぐりしてもお目当ての本が見つからない
読書の秋ですね

>>18
関西弁な雌狼ですね 斬新だと思います

>>9
なにやら悲しい話ですね、

>>10
アラステキさん
毎回感想をありがとうございます
追放された子供は次回、正体が分かります

>>サマナの人さん
梅毒ネタつっこんで良かったんですね
続きに期待です

21 名前: 前スレ252 ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/28(水) 21:04:00 [ QCDtDubI ]
どうも、前スレ252であります。
FATさんの希望(?)の恋模様にはならないですね、しばらくは……。
この頃だんだんとネタが捻り出せるようになってきました。しかし筆が遅いので結局いつもと同じように遅くなりますorz
アラステキさんにそこに気づいてもらえたのはとても嬉しかったです。自分で言うのもなんですが…かわい(ry
 
これからはこまめに感想を書いていきたいと思っています。(実行できるかどうかは別問題としておきます。)
 
>LBさん
激しく変態扱いですね……。なのに赤髪の男はとことん冷静。
どんな厄介事が待ち受けているんでしょうか。
 
>507_8さん
WRTコンテスト…最後のTが鳥人間というのは微妙な壷でした。
サスガさんは流石でしたね。しかし怪我までしてしまい残念でした。
そして死体を装ってまで見にくるとは尊敬してしま(ry
Vol.03を心待ちにしています。
 
>あ〜さん
クラースの心を変えてしまう出来事とは?そして3人は無事に戻れるのでしょうか。
行方不明の父親のストーリーなども気になるところです。
 
>サマナの人さん
嫉妬したウィンディが可愛く思えました。そして「ふかふかした」がとても気になってしょうがない自分は……。
英雄ヴェイアとはなんぞや?などという気持ちを押さえつけ、爆発に巻き込まれたフィーナは無事なんでしょうか。
メイドさんことミーアの言う準備とは?謎は深まるばかりです…。

そして非常に遅いですが、梅毒といえば梅毒スピロヘータに限りますよね。(限らないが)
…専門的過ぎますね、はい。
 
>FATさん
ネクロもマリスもいい味が出ていると思います。
ネクロ…すごいですね。実装は来年以降になりそうですが、実際のスキルもこういうものがあると面白そうです。
それに平行してジョーイの過去も明らかに…自分には考えられないような話です。自分がその立場だったら発狂してるでしょうね……。
 
>名前が無い@戦士見習いさん
天上界が地上より貧しいとは。全く考えてもいなかったことです。
天上といえば天国と想像してしまいますし。
ちなみに私はスウェブタワーなんていけるLvじゃないです(´Д`;)
 
>946さん
おぉ、今回は蜘蛛料理が発見されましたね…じゃなくて。
アンクティオスもなかなかあくどいですね。赤石には女性の魔法使いのNPCはいますが、ウルフマンのNPCは男性でもいないですね。
口調も独特の関西弁、創造すると可笑しい感じもしますね。
 
>960さん
なんだか感動してしまいました。とても読みやすくてよかったと思います。
この文章で色々な方向から見ることのできるストーリーが印象的でした。

22 名前: ◆j9cST1xRh2[TRACKBACK] 投稿日: 2005/09/28(水) 21:05:10 [ QCDtDubI ]
前スレ968さんのようにまとめてくれる方がいると本当に助かります。
 
 
あるウィザードが残したもの
表紙〜七頁目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970
 
八頁目 帰路にて − 2
 
目を開くと、さっきよりも月明かりがまぶしく感じられた。
多分目の慣れというやつで、短い瞬間とは言っても空間を移動するのだから、いくつかの副作用というものが起こるのだろう。
少し歩くと今まで森に包まれていた視界が開けてきた。左側の木と木の隙間から、照明と思われる光が薄っすらと零れてきていた。
(ブルンネンシュティグ南東端には…製鉄所があったはず。その明かりなのかな。)
冷や汗を袖で拭いながら、私はその光の元が何なのかを考えてみる。
川を渡ってから一度も、私の前の二人はお互いに一言も話をしなかった。
道が広くなるにつれて、上からのまばゆい光で周りのものがくっきりと浮かび上がる。
その中でも、二人の輪郭だけがいやにくっきりと目に残る。何故だろうか?
 
いきなり影の一つが揺らめき、地面にしゃがみ込んだ。もう一方の影がすぐにそれに気づき、振り向いて尋ねた。
「…ん?どうかした?」
しゃがみこんだのはリフだった。額には大粒の汗が浮かび、右手でぐっと左腕を押さえつけている。
左腕…彼女の左腕。そうだ、丁度今押さえているところだ…。
メリックはただ事でないことを悟り、さっと近くにしゃがみこんだ。
「大丈夫かい?左腕が痛むのかい?」
リフが一回頷く。月光によく合った長い銀髪が少し揺らめいた。
月明かりの影になっているメリックは、そのブルーの目だけがくっきりと見える。それは明らかに怪しい光を放っているようにも見えてくる。
彼は何も言わず、リフが自分で押さえつけている右手を静かにはがした。そしてリフの腕に巻かれている包帯をゆっくりと巻き取っていく。
「大分腫れている……。治療が必要かもしれないな……。
……?これは……。」
傷跡のような十字の赤い線、その上に描かれた六つの輪郭のみの黒い円。十字の真ん中に一つ、それを中心として囲むように赤い線上に一つずつ。その四つの円のそれぞれの中心を通って、一つの大きな円が。そして十字の真ん中の円の内側には、はっきりと薄い緑色の髑髏が描かれていた。
 
メリックの額にも汗が浮かぶ。自分のコートの内ポケットを探りながら、リフに話しかける。
「……これは刺青などではないね。刺青だとしても矢を放つほうの腕に装備するはずだ。
 これの正体が何なのか知っているかい?」
リフは今度は首を横に振る。メリックの懐の手が止まった。
「呪いだ。それもかなり強い力を持っているようだ……。
 これで消えるかどうかはわからないが、痛みは弱まるはずだ。」
そう言い終えて、メリックは何かを取り出した。薬瓶のようだが、中身は一つの濁りもなく澄んでいる液体が入っている。
リフが紅い目を薄く開いた。メリックは瓶の蓋を開け、リフの腕の紋章に液体を静かに滴らせた。
水が紋章に流れ込んでいくようだった。肌が液体のように水を受け止め、一滴一滴が毒々しい緑色の髑髏にぶつかっていった。
が、その液体は腕から地面へと落ちていった。どうやら目の錯覚だったらしい。
最後の一滴がリフの腕を蔦って落ちたときには腕からいくらか腫れが引いていたが、あの不気味な紋章は全く消えていなかった。
「聖水でも効果がないか…こいつは相当厄介そうだ……。
 今はこれだけの持ち合わせしかないけど、家に戻れば一瓶くらいはあったと…?」
突然、リフがメリックの胸によりかかってきた。メリックの顔色が再び赤らんでいくのがわかった。
「え、ちょっとリフ…一体……。」
明らかに動揺している。メリックは両手でそっとリフを支えた。
メリックは呼吸を確認してみた。息はしているようだ。激痛から開放されたことによって、気を失ってしまったらしい。
「………。」
メリックは頬を赤らませたまま、初めて困ったような顔を見せた。その表情はなかなか可愛いものだった。

23 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/28(水) 21:06:04 [ QCDtDubI ]
 
「(なんだか…あったかい……)う…んん……。」
「あぁ、気がついた?よかった、ずっと目を覚まさないかと思ったよ。」
左にはさっきの明かりの出所があった。現代の製鉄所とは比べ物にならないほど新しい。
「…え?…何?今はこれ…。」
リフはまだ状況を把握できていないようだ。ぼんやりとしていて、おぶられていることにすら気づいていないように見える。
メリックはそこから右へ曲がったが、凸凹に剥がれた石のタイルに躓きそうになった。
「っと…君が気絶したからおぶって移動してきたんだよ。腕は大丈夫?」
「うん、腕…おぶる?……大丈夫。…や、ちょっとおろし…」
「おっと、暴れないで…はい。」
もがくリフの腕をかわし、メリックは簡単にリフを下ろした。
「……えっ?」
「気がついたなら自分で歩いてもらわなきゃね。さ、もう少しだ。」
リフが不思議そうな顔をしていて何も言わないので、メリックはリフから目を逸らしながら話を続けた。
「それにいつもよりずっと腹が減ったよ。なかなか大変な仕事だったよ?君をおぶって歩くのは…」
「……っ!失礼ね、そんなに太ってなんか…」
メリックの冗談口調にも関わらず、リフは真剣に怒り出す。私ならその気持ちがわかるが、果たして彼にはわかっているのだろうか。
二人の目が合うと、メリックは思い切り笑い出した。
「冗談冗談っ!ははは、簡単に本気にしちゃうんだなぁ、はははは…は…?」
(はぁ、やっぱり……こりゃだめだ。)
私は右手で頭を抱えた。リフは泣き出してしまっている。
「酷いわ…そんなのって…あんまり…」
「あ、いや、その…あの、つまり…」
メリックはかなり慌てた様子だったが、すぐに同情的な口調に切り替えて話しかけた。
「ごめん、本当に冗談のつもりだったんだ。本当は…」
リフは両手を下ろした。…うそ泣きだ。いきなりメリックの額をピシャッと叩き、すぐにヒラリとメリックの背後に回った。
「あははっ、すぐに本気にしちゃうのはお互い様ねっ!」
そう言ってメリックの後頭部にパンチをかまし、リフはそのまま真っ直ぐ走っていった。
メリックは少しの間呆然としていたが、ため息ひとつのあとに微笑み、彼女の後ろ姿を追いかけていった。
 
秋風が身に染みてくる。感覚までこの世界の虜となってしまったのだろうか?
それでもいい、この夢を見続けていたい。
現代に帰る方法を父が残さないはずがないだろう。今は余計な心配は必要ないと感じる。
 
 
……それにしても、この二人は一体何を考えているんだろうか。

24 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 22:34:22 [ RNukKI.I ]
>>20-21
感想ありです。
さて、ことのほかアニーに対する感想が多いですね。
まぁ、性別もへったくれもなさそうな犬なのに、女性な上に関西弁だからでしょうかね?
あ、ちなみに自分は関西圏ではないのでイメージで彼女に喋らせています^^;
あと、アンティクオスのくだりの感想をいただけて個人的にはタイヘン満足です^^

25 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 22:45:15 [ xWu69qKU ]
>>10-11
>>20
感想ありがとうございます。
感想すらもらえないかも、とも思ってたぐらいなので嬉しいです。
幼馴染が良いってことなので・・・、入れちゃいますね(笑
ということで>>9
の続きです。
少しだけ長くなるのかもなのでコテハンに・・・、名前の意味は無いです。

ただ、書いてるうちに変になってきました。
昨日はテンションが低かったためにどんよりとした話になり、
今日テンション高かったためになんだか明るくなってしまいました。
簡単に読めそうな展開もあれですが宜しくお願いします。



村を出てすぐ二週間がたった。
一人っきりでの狩りは、急速に俺を成長させた。
ファイアーボルトを取得した後、
複数の火の玉を浮かばせそれを一気に放つファイアーボールを扱えるようになった。
しかし、俺は一人で生きていこう、と思っていたために、
援護射撃的なこれらは向かないと思った。
だから、杖に冷気を宿し、敵を殴ると同時に一気に冷気を放つ、チリングタッチを習得した。
チリングタッチは扱いに慣れるほど杖に宿せる冷気を増やすことができ、
早い段階から強い魔法で、威力の増加も良いものだった。
その分、威力の限界も多少早い魔法だったが・・・、一人でやるにはこれが最適だと思った。

一人の狩りでは敵の攻撃を急所に当たらないようにうまく自分から当たるようにして、自分を鍛えた。
この鍛え方で、敏捷性は上がったし、敵の攻撃にもある程度耐えられるようになった。
これだったら一人でも結構行けるな、と自分自身の成長、習得したスキルの選択に満足していた。

だったのに・・・、
「ねぇねぇ、最近私のケルビ毛並み良くなったと思わない?愛情だよね多分!」
そんな言葉に反応したのか、言われたケルビが尻尾を振り、鼻を鳴らした。

隣にいるこのサマナー。
実は村を出るときに泣いて見送ってくれたはずの隣の女の子で。
名前はルシファー。
これはこれで嬉しかったのだが、いくらなんでも謎が多すぎる。
何故わざわざここまできたのか。
村にいたときは普通の女の子だったのに、何故いきなり召喚獣なんて出せるようになったのか。
本人曰く、神秘の力だとか。

彼女の体は小柄で、いかにも戦いには向いていないようだが、さっきも言ったように魔物を召喚する事ができる。
その召喚した魔物が今尻尾を振っているケルビー。
犬のような形で、体は大型犬程度だがその力は強く、自分の体より何倍も大きい相手と互角に戦う。
そのため、召喚師のサマナーである彼女に求められる力はその召喚獣を従わせる力。
・・・もっとも、従わせるというより懐いてしまっているが・・・。
「エルー、ほんと最近毛並み良くなったんだよー、触りなよー!」
俺はエルロナと言う名で、彼女はそれを略しエルと呼んでいた。
ケルビーがこっちを見つめているので、頭を撫でてやる。
嬉しそうに尻尾を振るケルビーは、召喚獣と言うより召喚された犬とでも言うか。
狩りの時に力を見せられるとやはり圧倒されるが、こうしてみると愛くるしい。
「ま、まぁ良くなったんじゃないのかな・・・?」
と、曖昧な返事を返すとむぅーっと言う反応をされた。

今は魔物の出ない所で休憩していた。
前にいた洞窟は出て、森で狩りをしていた。
今いる森は、村の近くにあった薄暗い森とは大分雰囲気が違っていた。
木には緑が生い茂り、木の葉の隙間からすーっと光が差し込んでくる。
土は腐葉土で湿っていて、木の根や石が光で光っている。
この妙に明るく神秘的な森が、逆に気味悪くもあり、実際出てくる魔物は悪魔系のファミリアと言う敵だった。
見た目は何か布のような物を被った感じで、顔はよく見えない。
槍を持ち、一心に突いてくる。
以外に動きが早いのも侮れない。

そんな休憩の中、いきなり、
「よし・・・、ふぅー・・・。」
と、ルシファーが深呼吸する。
目を瞑り、持っている笛を構え・・・、
「はぁっ」
と小さく力を込めると、一瞬閃光が出現し、その中から召喚獣が現れた。
「これ、ウィンディって言うんだよ。」
ウィンディと呼ばれた召喚獣。
ケルビーの見た目で何と特定できるような姿はしてなかった。
風の精霊と言うのか・・・、いや、そうとしか言えない。
新しい召喚獣の召喚に喜んでいる。
「危ないっ」
俺は反射的に声を上げた。
声を上げたのにも関わらず、何が起こったのか理解するには少し時間がかかってしまった。
何が起きたか・・・、いきなり、ウィンディに矢が飛んできたのだ。

26 名前: てるてる 投稿日: 2005/09/28(水) 22:47:20 [ xWu69qKU ]
>>25
名前入ってなかったようです、何か名前ないかなって思った所でふと、
てるてる坊主を思い浮かべたのでこれで・・・。

27 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 23:05:51 [ RNukKI.I ]
>>18
自分で読み返して脱字ハケーンorz
正しくは、
アニーが「拒絶反応」と言っていた
です^^;

28 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/28(水) 23:38:24 [ RNukKI.I ]
>>18
ドアを開けて事務所に入る。
ギルドの事務所って言っても、実際ここでの仕事をしているのは街で雇った人達だ。
そもそも、事務所を持っているギルドはうちくらいなものだろう。
しかし、いざ事務所を開いてみると確かに便利だった。
特にクエスト・・、依頼が安定して受けられるようになったことは大きい。
依頼する側の人達にとっては、請け負ってくれる冒険者をただ待っているより
こうした事務所などを通して依頼しておいたほうが確実だ。
また依頼される側である俺達にとっても、自分の実力に見合った依頼を探す手間や
一緒に遂行する仲間も見つけやすい。
また、個人で活動している冒険者では扱いがたい大口の依頼も入ってくるようになった。
(ま、PT組んでの遂行が前提だからふざけた内容のものが多いんだけどな。)
さて、事務所のことはこのくらいにしてマスターの部屋にでも向かいますか。

マスターの部屋に続く廊下を歩いていると、見知った顔を見かけた。
(・・、アニーが来てるんだから当然か。)
どうやら、あいつも俺のことに気付いたようだ。
「ジャックか・・。また厄介ごとでもやらかしたか?」
「ヒース、久々にあったダチに対して開口一番にそれはないだろ・・。」
「ふむ、否定しないという事は図星だな。なら、急いだ方がいい。リリィ嬢が大層ご立腹だったぞ。」
「俺のツッコミはスルーか・・。まぁ、お前がそう言うのなら急いだ方がよさそうだ。」
こいつ、ヒースは「クサナギ」創立当初からのメンバーで頼れるビショップだ。
また、追放天使としての能力を活かして敵の居場所を探るのも得意だ。
余談だが、アニーとは恋人同士だ。まったく、あの暴走女のどこがいいのだか・・。
「む、なにか自分に対して失礼なことを考えていなかったか?ジャック。」
「いや、気のせいだろう。それより、リリィが相当キテるんだろ?道を空けてくれないか。」
そうしてヒースは、仏頂面を作りながら道を空けてくれた。

29 名前: てるてる 投稿日: 2005/09/29(木) 00:01:56 [ xWu69qKU ]
>>25
読み返したら漢字の誤字とかおかしなところばっかり・・・。
脳内変換お願いしますね。
特にわけわからないのが、
ケルビーの見た目で何と特定できるような姿はしてなかった。

ケルビーのように見た目で何と特定できるような姿はしてなかった。
おかしなところばっかりですが宜しくお願いします○| ̄|_
そして感想・・・、
>>22-23
呪い・・・、聖水でも痛み止めにしかならないのですね。
まさに呪いと言うか・・・。
個人的にリフのキャラが好きです(笑
後、終わり方に惚れますた。
>>28
アニーさん恋人いたんですね、それはそれは・・・(笑
それで思ったのですが、アニーさんって特別な時はやはり人になるのでしょうか・・・。
普段獣化ってことは、じゃない時もあるのかな?
相当キテしまっているリリィ嬢も一体・・・。
続きが気になります。

30 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/29(木) 00:25:19 [ RNukKI.I ]
>>28
さて、マスターの部屋の前に着いたのはいいのだが・・、
「少しは怒気くらい抑えろ、ダダ漏れだぞ・・。」
扉越しでもこの部屋の主がどれだけ怒っているかが手に取るように分かる。
ここまでの怒りを感じたのは久しぶりだ。いつぞやのネクロ討伐を無理矢理
押し付けてきた時とそう変わらな・・、いや、それ以上だ・・。
しかし、ここで引き返しても状況が悪化することは明白だ。
コン、コン
腹をくくって扉をノックする。
「どうぞ・・。」
・・・、不機嫌さを微塵も隠していない返事が返ってきた。
意を決して扉を開ける。とりあえず形式に則って俺が挨拶するより先に、
「遅いですわ!!!!!!今まで何処で油を売っていらしたのかしら!!!!」
我らがマスター、リリス・R・ミネルヴァの怒鳴り声が迎えてくれた・・。
「〜〜〜っ、挨拶をする暇も無しか・・。」
「当然です。私(わたくし)は大至急といったはずですよ!」
と、俺より頭2つ分低いところから俺を叱咤しているのがリリィこと、リリス・R・ミネルヴァである。
小っこいなりした見た目15,6の少女に見えるが、立派にリアルでも酒が飲める歳である。
「まぁ、いい。それで、俺が何をやらかしたことになってるんだ?」
「ことではくて、実際にやったのでしょう?まったく・・。」
呆れながらリリィは俺を睨みつけた。(誤魔化しはきかねぇか・・。)
「貴方、今朝バヘル大河のリザードマン出没地域に居たそうですね?
それで、貴方がそこを離れた後、その周りを巡回していた衛兵団の方
から面白い報告をもらいましたの。」
いやな予感がする・・、
確かに結構派手に魔力を放出したから地面が抉れるくらいの状況にはなっているだろう・・。
「対岸の森が根こそぎ吹き飛ばされた上に、多少地面が消し飛んだそうです・・。」
「・・・・!!」
いや、まいった。まさかそれほどの事になったいたとは・・。
だが、俺はそこまで魔力を放出した覚えは・・・。
あ、もしかして二日酔いが原因か?
「さて、理由を聞かせてもらいましょうか?貴方が何故、この程度の加減も
出来なかったのか・・。」
「すまん、二日酔いでうまく制御できなかった。」
ここまで来たら正直言うしかあるまい。
「・・・・、ジャック・・・。」
まずい、完全に怒らしてしまったようだ・・。

31 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/29(木) 07:15:11 [ 5i86gEkQ ]
久しぶりに早く目が覚めて再確認したら…誤字脱字はもちろん(?)ですが、大変失礼なことをしていました。
 
>てるてるさん
前回の感想が抜けてしまっていました。本当に失礼しました。
チリに走る主人公、そして隣の神秘の力を手に入れた少女。
別れは悲しいですが、次に再開したときの喜びを増やすためだと思えば耐えられますよね。(どうかな…)
ファミリア出現の森ですか…まさかルシファーがファミリアをテ(ry
そして矢は何者に放たれたものでしょうか。
 
>>28,>>30さん
BISのヒースと狼のアニーの組み合わせ……いつか派手に喧嘩してしまわないか心配です。
そしてジャックとリリィの組み合わせも案外…いや、今の状況なら不可能ですね……。
正直に言っても逃げ場のないジャックが少し可哀そうです。
自分より背が低い人に怒られても怒られている気がしませんが、リリィに怒られたなら足竦んじゃうだろうな〜。

32 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/29(木) 14:21:18 [ ddu4l7OQ ]
厨ニモ負ケズは素晴しいなb

33 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/29(木) 17:09:47 [ hNlLsBE2 ]
厨ニモ負マケズ・・・・
久しぶりに聞いたなぁ
宮沢賢治全集でも読むかなぁ・・・・

34 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/29(木) 19:00:11 [ RNukKI.I ]
>>31
感想ありです。
ヒースとアニーの喧嘩ですか・・、機会があったら書いてみましょうかね?(マテ
あと、リリィが怖いという感想もありましたが・・。実際怖い子ですよ、リリィはw

35 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/29(木) 19:05:27 [ RNukKI.I ]
>>29
あぶね、忘れてたw
アニーが獣化を解く機会ですか・・。
貴方が考える特別な状況というのがあえて聞きませんが(オイ
とりあえず、狩場じゃない所で二人きりの時は人間に戻ってるかもしれませんねw

36 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/29(木) 19:25:39 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十三回目 *Memento-Mori*part4
天井をじっと見ていると、朝食の準備が出来た、と言う声がトビラから聞こえる
昨日は、何時ベットに入ったか分からないくらい自分は飲んだらしい
扉を開けて女中についていく、テーブルについて少しパンを齧るが食欲が出ない
昨日のアルコールの残りが体中に漂っている
水を飲んでから席を立つ、同席しているのは今日はアルセスだけだ
「付いて来い」そういわれて後を追う、昨日と同じ場所に案内される
魔法陣に乗ると、部屋に移動するオルロワージュが先に待っている
「昨日は何処まで話したかな?」
「白薔薇姫が自害した所だ」
ふぅむ、と息を吐き出してオルロワージュがミスリルの天使像に触る
「白薔薇の子供はな、地上に追放された、何万年も前の話だ、普通なら死んでいる
だが、神は悪戯が好きらしくてな、その子供は吸い込まれたのだよ
レッドストーンに、レッドストーンに吸い込まれて普通は消滅する筈だった
だが、ちょうどレッドストーンは火の神獣を宿しているところだった
中に入った白薔薇の子供は、火の神獣と一つになった。そしてある日
レッドアイの作った石が世界に現れたときに、力のバランスが崩れて
外の世界にはじき出された。ちょうど地球で言うアウスダクとブリジヘッドの間に
そして、そこには孤児院があった。今は無く、八年前に焼き討ちにあった孤児院にだ」
思わず拳を握り締める、唇をかみ締める。
「俺に、俺に羽があるのは天使の子供だからか?腕を砕かれても再生するのはレッドストーンに取込まれたからか?
そうなのか?そうなんだよな?俺は人間じゃないんだな、そうか、そうだったのか・・・・・・・」
オルロワージュがこちらを向く
「そうだ、君に翼があるのは天使と悪魔のハーフだからだ
強力な再生能力はレッドストーンの魔力の力だ
今、世界は危機に瀕している、偽のレッドストーンは目覚めかけている
天使とレッドアイが手を組んで、世界は壊れようとしている。
君はゴーファの希望に選ばれた、だから世界を守らねばならない。
世界は君を必要としている、力があるのは君だけだ。」
拳を作り、壁を殴る。何度も、何回も、手の皮が破れて血が出てくる
「あんたがコピーを壊せばいいだろう?あんたの方が力もある、そうだろう?」
悲しげな目でオルロワージュがこちらを見る
「駄目なのだよ、君にしか出来ない、君にしか出来ない理由がある
ゴーファの希望をぬいてみなさい」
言われたとうり剣を鞘から抜く
「よく見てなさい」
そう言ってオルロワージュが剣身に軽く触れる、その瞬間
パン!と乾いた音がしてオルロワージュの腕がはじけ飛ぶ
「ゴーファの希望は君を選んだ、他の者が触るとこうなる」
あまりの出来事に呆然とする
「そろそろ地上に戻る時期だろう、レッドアイはおそらくブリジヘッドを襲うだろう
海の神殿が目的だろう、それとこれを持っていきなさい」
オルロワージュが天使像から羽をはずす、すると羽は光って刺青に変化する
「セラフの加護が君に訪れることを祈る、さぁ行きなさい」
黙って魔法陣に乗って部屋を出る
オルロワージュは羽の無い天使像に語りかける
「白薔薇、安心して眠ってくれ」
そう言ってから、像の足元に白い薔薇の花束を置いて立ち去る

37 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/29(木) 21:22:19 [ RNukKI.I ]
さて、ここらで自分も小説の感想でも書き込みましょうかね。
>>てるてるさん
再開した2人忍び寄る怪しい影・・。
矢を使ってきてるって事は、ハンター系のモンスターかあるいは弓兵の仕業でしょうか?気になります。

>>名前が無い@戦士見習いさん
自分の生い立ちを知ったアルセス、そして世界の崩壊を目論む、天使とレッドアイ。
シリアスの名に恥じぬ重厚かつ切ない展開が期待できそうですね。

38 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/30(金) 10:43:46 [ hAUv8Vgc ]
ニートじゃないよ、休講だよ?

>>j9cST1xRh2さん
うむむ……らぶらぶ?(ぇ
なんつーか、いちゃついてますなぁ……テラウラヤマシス(′・ω・)
自宅で鳥を飼っているので、ウィンディの態度はそれを元にしています。
ホントに、撫でてくれーって来るんですよ〜
しかもふわふわのもこもこです。
>梅毒スピロヘータ
パリダちゃん……菱沼さん?

>>てるてるさん
エルロナ……略しかたを間違えると大へ(Panpanpan
チリ+FB……こうして考えると相性いいかもですね。遠近対応ですし。
紙じゃないのはとてもよいことです(苦笑
あと、毛並みのよいケルビ萌え〜
ペットにせよ召還獣にせよ、愛情を持って育てることが大事ですよねー

>>18 >>28 >>30さん
なんてお呼びすればいいのでしょうか?o(・ω・o)

それはさておき、女性ウルフ……ウルフウーマン? ウルフレディ?
人間に戻っても耳と尻尾がそのままだったらドキドキですね?(ぇ
リリィ嬢……初っ端のですわがツボにきました。
見た目少女ということは、職業はテイマかサマナ……意表をついて魔女っ娘とかかな?
ジャックにどんなお仕置きがなされるのか、今からとても楽しみですw

>>戦士見習いさん
明かされる真実……気になるのは、何ゆえ神に仕える天使が世界を壊そうとしてるのかってところですね。
ひょっとして堕天使かなにかなのでしょうか……
なんとなくレッドアイが実はすべてを操ってそう……
ほら、なんかレッドアイって、特撮ものの悪の首領っぽくないですか?^^;

39 名前: サマナの人 投稿日: 2005/09/30(金) 10:44:46 [ hAUv8Vgc ]
〜断章・Ⅰ ヴェイア=クランバークの詩〜

 かつて、一人の剣士がいた。
 普通の剣士は右手に剣を、そして左手には盾か短剣を持つ。
 だが彼は、左手にも剣を持つ二刀流の使い手だった。
 彼の右剣が振るわれるたび十人の敵兵が斬り裂かれ、左剣が振るわれるたびにまた十人の敵兵が薙ぎ払われたと言う。


 彼には、将来を誓い合った恋人がいた。
 ブルンネンシュティグの貴族の娘であり、下位とはいえ王位継承権すら持つ名家の娘だった。

 だが、時はブルン王国全盛期。
 いかに腕が立つとはいえ、一介の剣士と貴族の娘の間には、埋められぬほどの身分の差があった。

 そして、ある時。同じく王位継承権を持つ貴族の家から、彼女の家への縁談が持ち上がった。
 無論、家柄を増すための政略結婚だ。

 共に逃げよう。そして誰も知らない異国の地で、二人で静かに暮らそう。
 女はそう男に言った。
 だが、実直な男は、首を縦に振らなかった。
 もともと男は女の家に雇われていた剣士だ。
 剣士の仁義として、世話になった主に逆らうことなどできなかった。

 だが、救いの手は意外なところから差し伸べられた。
 女の父、剣士の主人でもある男が、ある日言ったのだ。

 ――国王陛下に対しての謀反の計画があるらしい。貴公の手で、その反乱を止めてみせよ。そうすれば、貴公と娘の婚姻を認めよう、と。

 その言葉を信じ、男は戦場に赴いた。
 かつて妖精の女王から与えられた、水晶でできた二振りの剣を携えて。

 だが、そこにいたのは反乱軍ではなく、彼の主人と娘の婚約者の家が雇ったならず者たちだった。
 彼は嵌められたのだ。
 もとより娘を彼に嫁がせるつもりなどなく、かと言ってこれだけの腕を持った剣士が政敵の側に回ったら恐ろしい。
 だから、抹殺しようとした。

 かくして戦いが始まった。
 絶望的なまでの大軍を相手に、しかし彼は奮闘した。

 彼の剣が振るわれるたび、ランサーの槍は砕け、ウルフマンの毛皮が朱に染まった。
 魔術師の炎を撃ち払い、アーチャーの矢を紙一重でかわし、襲い掛かる召喚獣を一刀の元に斬り捨てた。
 だが、やがて限界がやってくる。

 疲労と血糊に足を取られた瞬間、暗殺者の刃が彼の右足に突き刺さった。
 右足が動かなくなってもなお、彼は片方の剣を杖に、左手の刃を振るった
 さらに数人の敵を斬り殺したところで、戦士の振り下ろした大剣が左腕を切断した。
 腕を使えなくなった男はそれでも口に剣を咥え、その戦士の喉笛を斬り裂き、だがそこで力尽きた。
 無様に地面に転がった男めがけ無数の剣と槍が突き立てられ、その死体は首を切り取られ、体は戦場に晒された。

 首は男を殺した確かな印として貴族に献上され、男は王国に叛旗を翻した謀反人とされた。
 女は親の決められた許婚と結婚し、一子を儲けるものの心を壊し、数年後に病で亡くなったという。

 そして数年後王都に、輝く双剣を携えたアンデットが現れる。
 男の無念によって産み出されたそのアンデットは女の家とその許婚の家の者を、生まれたばかりの女の子供のみを残して虐殺し、王都の近衛隊と神聖都市の僧侶たち、スマグの魔術師らによって、その双剣とともに封印されたという。

 彼の怨念と双剣がどこに封印されたのか、唯一生き残った女の子供はどこへ行ったのか。
 それは今となってはわからない。

 これが、世に言う英雄ヴェイアの悲劇である。

          〜〜とある吟遊詩人の詩より

40 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/09/30(金) 17:05:21 [ RNukKI.I ]
>>サマナの人さん
感想ありです^^
というわけで名前を付けてみました。(ネタ元にはあえて突っ込まないで下さい^^;)
さて、とりあえず通常時のアニーにはそのようなオプションは付いていませんww
(脳内設定では、通常時は眼鏡愛用者です。)
あとリリィの職業ですが、この子は自分の中でもかなり癖のある設定ですので
一筋縄では分かりませんよww(皆様に受け入れてもらえるかは分かりませんが^^;)

41 名前: 龍馬 投稿日: 2005/09/30(金) 17:56:24 [ hNlLsBE2 ]
>>サマナの人さん
もしかして生き残った女の子はメイドさんでしょうか?

>>てるてるさん
ケルビーかわいいですね

>>南東方不勝さん
対岸の森が吹き飛ばされる、すごいっすね

42 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/30(金) 17:57:26 [ hNlLsBE2 ]
>>41は私です
コテハン間違えたって愚痴・・・・orz

43 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/09/30(金) 18:38:01 [ vPf6u3r. ]
とりあえず一言
21Rさん消えた?>By 21Rファンより

44 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/30(金) 18:52:12 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十四回 八つの指輪
魔法陣に乗って部屋の外へ出る、アルセスが柱に寄りかかっている
「行くのか?」無愛想な声だ
ああ、そう言って前を通り過ぎる
「付いて来い、これからお前に八つの指輪を預ける」
すたすたと歩いていくアルセスについて行く、城門を出て近くの屋敷に入る
門番がアルセスに敬礼して扉を開く、屋敷の中は木で作られている
地下室に入る、宝物庫のような場所だ、アルセスが小箱を取り出してこちらに渡す
小箱を開けると中に八つの指輪が入っている、どれも独特の輝きを有している
「これは魔力の篭った指輪だ、普通に指にはめても相当な力を得る
だが、真の力は力を解放したときだ。これらはある力を持つ」
話を聞きながら指輪の一つを観察する
「所持者が何かを攻撃したときに、相手の魔力の一部を吸い取って指輪の力に変えることだ
ある程度魔力が貯まれば、指輪の真の力が現れる、さぁ説明は終わりだ、地上へ戻ろう」
小箱を鞄にしまってから屋敷を出る、城下町から外へ出て、すこし歩いてから魔法陣に乗る
一瞬、めまいのような感覚に襲われるが、気が付くと地上に戻っている
場所は、おそらくスマグだろう、見覚えのある噴水がある
とりあえず適当に歩き出す、運がよければギムレットとシェリーにも遭えるだろう
街を見てみると随分と印象が変わっている、襲撃にあって4ヶ月くらいのはずだが復興が随分と進んでいる
ぶらぶらしていると厳つい声が後ろから聞こえる
「おい、貴様、ここで何をしている?怪しいやつだな、何処から来た?」
振り返ると、鎧を着込んだ厳しい男が三人、それぞれハンマー、槍、剣を持っている
「何処からって・・・・・・・」
そう呟いてから気が付く、まさか何も知らない一般人に(地獄)から来た等とは言えない
「怪しいやつだな、大人しく縄に付け」
あっという間に手錠をかけられてしまう
「とりあえず、御領主様の所へ連れて行こう」
事態が飲み込めないまま、誰かの屋敷に連れて行かれる、位置的にはシェリーの屋敷があった場所だろう
薄汚い部屋にぶち込まれて、三時間ほどになるだろうか、鎧を着た男が現れ出てこいという
「御領主様に謁見するのだ、失礼の内容にな」
黙ってついて行く、手錠をはめられた手が痛い
大広間のような所に連れて行かれる、屈強そうな兵士達が整列している
奥には玉座のような椅子に座った男が居る
顔を上げろ、と兵士に小突かれて椅子に座った男を見る
目線を合わせた瞬間、自分と相手から「あ」と同時に声が出る
「ギムレット、お前何してんだ?」
「ジン、お前こそ、3年間、何処へ行ってた?」

45 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/09/30(金) 19:02:58 [ RNukKI.I ]
>>37
アルセスじゃなくてジンでしたねorz
申し訳ございません^^;

46 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/30(金) 20:27:44 [ 8KIS/kFw ]

>名前が無い@戦士見習いさん
地獄で過ごした短い日々は地上での3年もの月日とは…これぞ浦島マジ(ry
オルロワ−ジュが自分の腕を犠牲にしてまで主人公にそのことを伝えるところに事の重大さが伝わってきますね。
ところでシェリーは何処に行ってしまったんでしょうか。次の波乱の予感がしてきます。
 
>サマナの人さん
>>梅毒スピロヘータ
>パリダちゃん……菱沼さん?
うお、このネタを知っているとは思わなかった。一昔前のコミックですからねぇ、動ぶt(ry
ヴェイアの悲劇、まさしく悲劇ですね。実直な部分を利用され、嵌められてしまうとは…。
ただ、生き残った少女はどこに行ったのか、それが物語に関係してきそうな気がします。
 
>>43
21Rさんは書き終えるまでは引退などはなさらないでしょう。
何か事情があるのかと思います。

47 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/09/30(金) 21:09:07 [ Z/KHKVbg ]
えーまいどでございます、変な生き物です

PCのHDがクラッシュしやがりましたOTZ
おかげで小説の続きアボン、友録40人あぼんでもう泣きたいぽ O...TZ
続きを書くのは遅れるかもしれません…
しかも最初の作品を無視した新作になるかも O......TZ
とにかくまぁ再開できるようになったんで報告します、今まで連絡できなくてゴメンナサイ

48 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/09/30(金) 21:17:40 [ RNukKI.I ]
誤字脱字に気をつけて書きたいと思います。

>>30
「・・、どうして・・・。」
そろそろ来るぞ・・・。
「どうしていつも貴方はそうなんですの!!!!!」
リリィの「本気」の怒鳴り声が部屋中に響き渡る。
「〜〜〜〜っ!」
それと同時に俺の体が痺れる。
(ったく、説教をするときに「ウォークライ」を使う剣士なんてこいつくらいだろうな・・。)
そう、リリィは女でありながら剣士を職業としている。
それだけでも珍しいのに、こいつの場合は「ランサー」から「剣士」に転向したという経緯がある。
その経緯こそこいつの強みなのだが、今はそれを話している暇は無い・・。
「たかだかリザードマンごときを始末するのに、地形を変えるとは何事ですの!!
私が『ブルン自然保護を訴える集い』の皆様にどのくらい頭を下げたかわかっていらっしゃるの!!」
「いや、それを言うならアニーだって・・」
「言い訳は聞きませんわ!!!!!アニーと貴方では回数と規模が違いすぎるんですの!!!」
「それも、『二日酔いでうまく制御できなかった』ですって?その程度で制御しづらくなるなら
不用意に使わないでくださる!!大体、あなたの魔力保有限界量はそこら辺にいらっしゃる
ウィザードの比じゃないでしょう!!!そりゃ、貴方の戦闘時における冷静さは認めていますわ。
ですが、この程度の加減ができないなんて浅慮にもほどがありますわ!!それに・・・」
(こりゃ、長丁場になりそうだ・・。)
最低でも30分くらいは、リリィのウォークライ(=説教)くらうことになりそうだ。

(甘かったか・・・。)
説教が始まって早1時間。リリィの説教は未だに止まらなかった・・。
「・・・それとジャック、貴方この間の定例集会にまた顔を出しませんでしたわよね!!
もう少し副マスターとしての自覚を持ってくださる!!平時における貴方の行動は少々
自己中心的過ぎですわ!!あと、先日アリアンのバンセへル様がお送りになってくださったケーキ、
それを1人で食べるとは何事ですの!!!」
「いや、その件ならアニー・・」
「お黙り遊ばせ!!!!」
・・・、俺に言論の自由は無いのか?マスターよ・・。
さて、これ以上ウォークライをくらい続けると流石にやばい。
搾取してしまえば楽なのだが、この状況で使ったら殺されかねん・・。
そうして俺は、部屋の隅で困ったように姉(リリィ)を見つめている
ゲイルに目配せした・・。

49 名前: ◆j9cST1xRh2[TRACKBACK] 投稿日: 2005/09/30(金) 21:40:10 [ 8KIS/kFw ]
さて、人と人との会話が多くなると上手く書けない◆j9cST1xRh2です。
今回は四人なのにこれじゃあ……先が思いやられますorz
 
あるウィザードが残したもの
表紙〜七頁目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970
>>22-23 八頁目 帰路にて − 2
 
九頁目 長い夜 − 1
 
私自身の後ろには血の流れる人工の水路が流れていて、道は左右に伸びる一本のみ。
目の前にはそんなに大きくない家、その裏には畑が広がっている。
白いペンキ塗りの家に正面から月光が当たり、見ているうちにますます明るく綺麗な白に見えてくる。
外から見ると二階建てだが、屋根に窓がついているところを見ると、どうも三階部分に『屋根裏部屋』なるものがあるようだ。
「ここが僕の家さ。あんまり広くはないけど、母さんが綺麗好きだから中身は綺麗なはずさ。」
「新築みたいね。お母さんと二人暮しなの?」
リフが塀や壁を見ながらポツリとつぶやく。
「うん、前の家は2年前に悪魔の襲撃で潰されてね。」
モンスターの襲撃という言葉に、リフはわずかに体を振るわせた。
「家族は父母に妹が一人。今年で魔法学校を卒業する予定だから、その後は遊び仲間と一緒にフランデル中を見に旅にでも出てみようと思ってる。」
「旅に……そんなのもいいかもしれないね。」
「そう思う?うん、まあ…
 それより外で突っ立ってても意味がない、さあ入って。」
メリックは門といえないこともないような低い門を開け、リフもそれに続く。メリックはそのままドアノブに手をかける。鍵はかかっていなかった。
「ただいま、実は今日…」
玄関の電気をつけながら家の中に向かって叫ぶ。電気がつくと、すぐに一人の人間がドタバタと走り出てきた。
「あ、馬鹿兄貴がやっと帰ってきたか。飯ならもうとっくにできてるんだ。自分で飯作るのが嫌なら早く入りな!
 …あれ、そっちの女の人は誰だい?見慣れない顔だけど?」
唖然としたのはリフも同じだったようだ。

50 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/30(金) 21:41:54 [ 8KIS/kFw ]
茶色の目をしていて銀色で長めの髪、活発そうなその服装。これが男なら全く不思議ではないだろう。
だが目の前に立っているのはどう見ても少女。身長は150前半という小柄な体格だ。
「…ユナ、こっちはお客さん。今日は家に泊まることになった。
 それと今日ぐらいはその言葉遣いをなんとかしてくれないか。少なくとも馬鹿兄貴ってのは…」
「だって本当に馬鹿じゃんか。夜は毎日遊びに出かけてるしね。この間なんか火炎瓶を火薬倉庫に投げ込んで、そりゃぁもう大騒ぎ…」
少女がジェスチャーまでつけて話し始めようとすると、メリックはそれを遮りながら呻いた。
「あー、その話はもういいだろ。それを聞くと頭が痛くなってくる。母さんの手伝いでもしていてくれ、すぐ行くから。」
「あ、そっ。はいはい、どうぞご勝手に。」
少女はそれだけ言うとリビングに走っていってしまった。驚きの表情を隠せないリフに、メリックが呆れた表情で説明した。
「今のはユナ、一応妹。だけど髪を短くしたら弟みたいなもんだ…。顔はなかなか可愛いとは思うけど、あの口調に勝気な性格だよ。
 もう16歳だし、母さんもずっと困ってる。小さいころはとても病弱だったのに、どこで間違えてああなったのかな。」
「妹さんなの……。でも、本当に驚いちゃって……。とっても賑やかそうね。」
「無理もないさ、あんなのを見せられちゃ誰でも驚くと思うよ。さ、あがって。」
二人に続いて私も家へあがらせてもらう。すると今度は奥から大人の女性が出てきた。
「おかえり…あぁ、すみません。いきなり娘が失礼なことを叫んで……。
 ささ、とりあえずあがってください。」
ユナと全く同じような質の銀髪だ。優しい顔つきは他の人の心を和ませてくれる気がする。
そして何か…私が今まで出会ったどの女性とも違う雰囲気を感じる。もっとも、そのことについてはあまり関心をよせなかった。
だが、顔色はあまり優れていなかった。多分馬鹿息子が心配ばかりかけさせているせいだろう。
「こっちは母のクレア。母さん、彼女はリフ…あれ?なん…」
「リフィーナ=ミラルダです。
 今日だけでも泊めていただけないでしょうか。」
「ええ、もちろんいいですとも。子どもたちもそのほうが嬉しいでしょう。」
メリックがまた頬を赤くした。
「え?それは…。そうだ、僕は使ってない部屋を整理しておくよ。
 ユナ、ちょっと手伝ってくれ。」
メリックが台所に向かって叫ぶと、すぐに返事が返ってくる。
「今晩飯の後片付けを手伝ってるんだよ、だから無理。大体兄貴が母さんを手伝えって言ったんだからね。」
「あー、失敗したな……。でも、考えてみれば一人でやったほうが楽か…。
 うん、リフは一階で食事でも取ってて。」
舌打ちを一つしてメリックはそう言い、二階への階段に足をかける。
「ええ、おじゃまします…。」
リフは少々緊張気味のようだ。階段を上るメリックに、クレアが思い出したように言った。
「あ、そうそう。メリック、今日はジェイが帰らないはずだから、あなたの分をリフィーナさんにご馳走するわね。
 料理なら作れるんだから、たまには自分で作って食べなさいね。」
まぁ…返事は無い。当然といえば当然だが。
とりあえず私はメリックについていくことにしよう。
今は父の部屋というものを見てみたいという気持ちが膨れ上がってきている。
魔法使いの部屋とはどんなものなのだろう。やはり奇妙なものが大量に溢れかえっているのだろうか。

51 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/09/30(金) 21:45:14 [ 8KIS/kFw ]
>変な生き物さん
それは大変でしたね、お疲れ様です。ダメオンマジックよりも酷いですね…。
友録がなくても運命的に再び集まることを祈りまs(ry
>PCのHDが〜
一瞬「PCのHGが〜」に見えてしまいましたorz(投稿してから)吊ってきます…。
 
>南東方不勝さん
槍から剣へ、赤石の性別の選べない点を覆す物語は爽快です。
そして新しい人物が?リリィに弟(妹?)がいるとは。
八つ当たりに怒りの矛先が向けられるのは主に兄弟ですし、リリィより年下の兄弟になったのは不運ですね…。
リリィの弟(妹?)ゲイルはジャックを助けてくれるんでしょうか。
 
今回はテキトーな終わり方に収めてしまいました…。
それに物語を切る場所を間違えたみたいです。バランスが悪いな〜。
とにかく次に気をつければいいか。(そう考えていると次も失敗する可能性大だが)

52 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/09/30(金) 22:05:03 [ RNukKI.I ]
>>48
僕が姉さんの部屋に入ったときには姉さんの癇癪・・、
もとい「説教」はメテオシャワーの如くジャックさんに降り注いでいた・・。
(これは、今話しかけたら僕も巻き込まれそうですね・・。)
そうして僕は、姉さんのウォークライの射程外から姉さんが落ち着くのを待っていることにした。

(・・ん?ジャックさんがこっちを見てる・・。)
時計を見てみると、すでにこの部屋についてから30分。ジャックさんにとっては都合1時間
姉さんの説教をくらっていた計算になる。
(そろそろ、大丈夫かな・・?)
説教の内容が、ギルドのことから自分が楽しみにしていたケーキのことになったのが
姉さんのジャックさんに対する、説教の種類がつきかけている証拠だ。
(わかりましたよ、ジャックさん)
僕はそう、疲労困憊しているジャックさんに目配せをした。

(ふぅ、これで一安心だな。)
ゲイルから承諾のメッセージを受け取った俺は内心ほっとした。
(あとは、ゲイルがリリィを落ちつかさせてくれれば・・。)
リリィの説教が弱まった隙を突いて、ゲイルがリリィの横に向かっていった。
「・・まだありますわ、ジャック・・、」
「そこまでだよ、姉さん」
「用事なら後にしてくださる?私は今ジャックと話している最中・・、
あらゲイル、いつからそこにいましたの?」
「ついさっき。もっとも、この部屋に入ってきたのは30分前だけどね。」
「えっ・・!?」
そうしてリリィが慌てながら部屋の時計を見る。
「まぁ、もうこんな時間・・。ジャックが悪いんですのよ、いつも何か
やらかしてくるのですから・・。」
「姉さん?」
ゲイルが怪訝そうな顔をしてリリィを見る。
「分かってますわ、ゲイル。さて、ジャック。」
リリィがさっきとはまた違った真剣な顔して俺を見据えてきた。
「貴方には罰として、これからこの依頼をこなして来てもらいますわ。」
そう言ってリリィは、今回の依頼の資料を突きつけてきた。
「何々、オート監獄北西部におけるホワイトシェード大量発生に関する依頼書・・。」
ふむ、ホワイトシェードか・・。確かに、大量発生したら厄介だな。
こいつらの光線には、数多の冒険者達が犠牲になってきたからな・・。
「まだ、監獄内にはびこっている程度ですが街道に出てくるのも時間の問題ですわ。」
(なら、説教をもっと短くしろ・・。)と内心で悪態をつくと、
「なにか・・?」
「いや、なんでもない」
「ふぅ、まぁいいですわ。ともかく急を要することですので大至急現地に向かってくださる?
あと、少々時間がたってしまいましたので私たちのほかに現地に冒険者がいることが考えられますわ。
その際は、その冒険者と協力して『周りへの被害』を最小限に止めて下さいね。」
「周りへの被害」を強調してリリィは指令を下した。
まぁ、リリィの説教のおかげで二日酔いは吹っ飛んだようだ。
「分かった、とっと済ましてこよう。」
そういって俺は部屋を後にしようしたときに、
「そうでしたわ、ジャック。」
リリィに呼び止められた。
「なんだ、まだ言いたい事でもあるのか?」
「私はそれでも構いませんけど・・?」
「いや、遠慮する・・。」
「ふん、ならそのようなことはおっしゃらないで下さる?貴方宛に荷物が届いています。
ハノブの鍛冶師の方からでしたから、『あれ』の修理が終わったのではないかしら。」
「おぉ、そうか。」
丁度いいタイミングだ。あの爺さんいい仕事してくれるな。

53 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/09/30(金) 22:08:12 [ hNlLsBE2 ]
どーでもいい話ですが
毎回話をUpするときに一番考えるのに苦労するのは皆様どんなところでしょう?
自分は話の書き出しが一番苦手だったりします

>> ◆j9cST1xRh2さん
三年もたってるのは実は浦島マジックでなく
アインシュタインの相対性理論だったりします(違いますけど

>変な生き物さん
お悔やみ申し上げます
友録復活を地味に祈ってます

>>43
そのうち戻ってこられるかと・・・・・

>>南東方不勝さん
ウォークライで怒鳴られるのは恐ろしいですね
リリィは剣士だったんですか・・・・幼女だと思ってましたorz

54 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/01(土) 10:30:12 [ yjeR6NtI ]
「きゃうっ!」

 爆発的に膨れ上がった瘴気が、剣を手放したフィーナの体を宙に巻き上げる。
 あわや壁に叩き付けられる――というところで、すかさずその体をウィンディが捕まえた。

「あ、ありがと、ウィンディ」

 どういたしまして、というようにウィンディが鳴く。

 そして、どうにか地に降りたフィーナの前、瘴気が渦を巻き二刀へと集束する。
 渦がやんだとき、そこには一体の骸骨の姿があった。

「英雄ヴェイア……まさかここがヴェイアの墓所だったなんてね。道理で封印が内向きなわけだ」

 背筋に冷たい汗が浮かぶのがわかる。
 さすがに伝説として誇張されている部分はあるだろう。
 だが、あれだけの名剣を使う剣士が、ただの剣士であるはずがない。
 その実力は推して知るべし、である。

「ケルビー、ウィンディ。警戒態勢」

 フィーナの小声の命令に、二匹が彼女の傍で身構える。

 骸骨剣士――ヴェイアが、ゆっくりと剣を構え、そしてフィーナの方を、見た。
 ぽっかりと空いた虚ろな穴が、しかしその視線は間違いなく彼女を捉えている。
 その気迫だけで圧されかけ、しかし踏みとどまって声を上げる。

「ケルビー、ウィ――っ!?」

 爆発的な剣気が迸り、フィーナの眼前からヴェイアの姿が消えた。
 次の瞬間目に映ったのは、目の前で両断されるウィンディの姿。

「ぁ……っっ!!」

 フィーナの知覚を遥かに超える速度でヴェイアが動き、唯一その動きについていけたウィンディが、その身を以って彼女を庇ったのだ。
 斬り捨てられたウィンディは血を流すことなく、ただ元の風となって消え去る。
 ウィンディが体を張って作ってくれた一瞬の隙。

「Aaaaaaaaaaaahhhh!!」

 血を吐くようなフィーナの叫びとともに、ケルビーの周囲を炎の輪が包み込む。
 爆発的に広がった炎を、しかしヴェイアは爆風に乗るようにしてトンボをきり、効果範囲から飛び退る。
 だがフィーナは、攻撃をかわされたことには構わず、続けて召喚に入る。

「Ia、Ia! スウェルファー!!」

 床面を流れる地下水が爆散し、飛沫を周囲に撒き散らしながら水の魚、スウェルファーへと変化する。
 召喚されたスウェルファーは高らかにその尾を一振り。
 撒き散らされた水滴が毒性の泡へと変わり、ヴェイアの動きを阻害する。
 それだけでは終わらない――

「スウェルファー、Act2!」

 フィーナの発した気が装甲へと変わり、スウェルファーを強化。
 さらに雄々しく立派になった尾を振れば、先ほどの泡より強力な爆発性の泡が生まれる。

 再び切り込もうとしたヴェイアが泡に接触し、激しい爆発が巻き起こった。
 爆風がさらに他の泡を動かし、次々と誘爆する。

「やった――?」

 警戒と、わずかな希望をこめてフィーナがつぶやく。
 だがその時、イヤリングをしている左の耳に、チリチリと砂が擦れるような感覚が走る。
 瞬間、再び背筋がぞくりとするあの感覚が体を包み、フィーナは反射的に感覚のする方向に向けて笛を構え――

――ビシィッ!

 鞭で叩いた時のような鋭い音を立て、ヴェイアの剣とフィーナの笛が噛み合った。

「ぁうっ――!」

 重い一撃に、受け止めた腕に痺れが走った。が、気合で堪え、二匹に命令を出す。

「Ya――Ya――Yahaaaaah! E’eeejahaaaaaah!!」

 スウェルファーの体が大きく膨らむ。
 鋭い棘がフィーナを守り、同時にヴェイアの体を刺し貫ぬこうとした。
 ヴェイアはとっさに残るもう一方の剣で棘を切り払う。
 そこへ、ケルビーの放った火弾が直撃。
 堪らずヴェイアが後ずさり、そこへスウェルファーの体当たりが炸裂し、その体が吹き飛んだ。

 フィーナが痛む腕を下ろし、大きく、鋭く息を吐く。
 対するヴェイアは宙で一回転。すたりと足元から着地した。

「……やるな、少女よ」

 頭に直接響くような、しかし落ち着いた男性の声。

「嘘――、喋った!?」

55 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/01(土) 11:30:43 [ RNukKI.I ]
>>サマナの人
いや、ヴェイア強い上にかっこいいですね。(ゲームのほうの骸骨もコレくらい強ければ・・)
そして開幕早々に、切り捨てられたウィンディに合掌^^;

>>戦士見習いさん
基本的に授業中暇なときに大雑把にあらすじとか書きたい場面をもうs(ry
もとい、構成しているので長くても1時間半くらいでうpできますね。
まぁ、誤字脱字オンパレードですけどorz

56 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/01(土) 14:13:57 [ yjeR6NtI ]
 確かに一部のモンスターの中には人語を解するものもいる。
 だが、相手は元人間とはいえ、怨念によって悪霊化したアンデットだ。
 普通は既に思考など破壊されていると言われる。
 しかし、もし意思疎通が可能ならば……

「あのさ、眠ってたところを起こしちゃったのは悪かったけど、出来ればもう一度眠ってもらえないかな?
暴れたりしないで、おとなしくさ。
何だったら寝るまで子守唄歌ってあげてもいいし……私、結構歌うまいのよ?」
「ふむ……確かに再び眠りにつき、このまま時の果てまでまどろみ続けるのもよいかも知れぬ……」
「だったら――」
「だが断る! この胸の中で燃える怨念が、我を殺し、愛する人を奪った彼奴らへの憎しみが! これが晴れぬ限り、再び眠りにつくことなど出来ぬ!!」

――やっぱ無理か……交渉で何とか戦闘を回避できないかと思ったんだけどね。

 再び笛を構えなおす。
 今の対峙で気づいたことがある。
 確かにヴェイアの剣の腕も、そしてそのスピードも、並の剣士をはるかに凌駕している。
 だが、こと単純な打撃力と耐久力は、決して化け物じみたものではない。
 攻撃力を手数と武器で、耐久力をそのブロッキングで補っているだけだ。
 つまり、小細工が通用しないほどの強烈な打撃を叩き込めば、勝機はある。
 問題は――

「悪く思うな、少女よ!」
「スウェルファぁぁーーっっ!!」

 ヴェイアが再び斬りかかってくる。
 フィーナはすばやくスウェルファーに指示を飛ばし、その援護をすべく笛を奏でる。
 が――、

「――――!?」

 音程が外れる。

「ファの音が出せないっ!」

 先ほどヴェイアの剣を受けたからだろう。
 笛の一部に傷がついており、そのせいで一部の音が出せなくなっている。

「サマナーにとって、笛はその力の発動体。笛がなければ効果的に能力を発揮することは出来まい!」

 スウェルファーの泡をかいくぐり、ヴェイアの姿が迫る。
 その狙いは、フィーナの笛。

「っ!? ――IiiiYeaaaahhhh!」

 ケルビーの体が再び炎の輪に包まれ、ヴェイアの動きを妨げる。
 だがその炎はやはりヴェイアを焼くことなく、再び両者の距離が離れる。

 問題は二つ。
 まず一つは、フィーナの持つ最大威力を持つ術――ゲイルパンチを撃つために必要なウィンディが既に倒されてしまっていること。
 生物でないゆえ、死ぬことこそないものの、一度倒された召還獣を再召喚するためにはしばしの時間が必要だ。
 だが、この状況ではそれまで保たない。
 実はもう一つ、破壊力を持った攻撃があるにはあるが、そのためにはもう一つの問題を解決する必要がある。
 即ち――それだけの隙をヴェイアが見逃してくれるか。

 もっとも、今のヴェイアの動きで一つだけ光明が見えた。
 限りなく分の悪い賭けになるが。

――けど、キングベアーの巣穴に入らなければ、キングベアーの仔は手に入らない!

 左手で胸元のペンダントを握り締め、二匹に指示を飛ばす。

「ケルビー、スウェルファー――攻撃態勢」

 再びスウェルファーが泡を吐き、そしてケルビーと共に低く身構える。

「ほう、覚悟を決めたか。いいだろう、決着をつけよう」

57 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/01(土) 14:14:20 [ yjeR6NtI ]
 無数の泡のカーテンに遮られ、お互いに見えない状態。
 だがヴェイアは戦士の勘とも言える感覚で、フィーナの位置を捉えていた。

――いい少女だ。もうしばらく経験を積めば、優れたサマナーに成長していただろう。

 胸の中に燃える怨讐の炎がわずかに弱まる。
 なぜだろうか、あの少女を見ていると不思議と心が落ち着くのだ。

――だが、容赦はせん!

「オォォォォォォォォッッ!!」
「Eehjahaaaaahh!!」

 ケルビーの火槍とスウェルファーの毒泡が一斉にヴェイアへと襲い掛かる。
 対するヴェイアは、その左手の剣をフィーナへ。渾身の力で投擲した。

「――――っ!?」

 疾風を纏って放たれた剣は、火槍を打ち抜き、さらにはその風によって泡を吹き飛ばす。
 が、わずかに狙いは逸れ、フィーナの左を掠めて後方の岩壁に突き刺さった。
 フードが切り裂かれ、収められていたくすんだ金髪が、洞窟の冷えた空気に晒される。

 だがそれだけでは終わらない。
 投擲した剣に併せるかのようにヴェイアが疾走。
 泡のカーテンは既に吹き飛ばされ、二人の間を阻むものは何もない。

 ケルビーとスウェルファーが主を守ろうと駆け出すが、ヴェイアの方がわずかに速かった。

 乾いた音。
 フィーナの右手から、真っ二つに断ち切られた笛が弾き飛ばされた。
 ヴェイアは背後で、召還獣二匹が力を失い、消滅したのを感じ取る。

 フィーナは蒼白な表情で、左手を口元に当てている。

――悪く思うな……

 そして、ヴェイアが残る一刀を振り下ろした。

58 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/01(土) 14:52:46 [ RNukKI.I ]
>>18,>>28,>>30,>>48,>>52

受付で鍛冶屋のおっさんからの荷物を受け取る。
体の調子が悪い、とか言っていたが目の前にある「これ」を見ると嘘をついていたんじゃないかと
勘ぐってしまうほどいい仕上がりだった。
「・・しかしここ最近、この手の依頼が多いような気がするな。」
「なにか言ったすか、ジャックさん?」
俺の呟きが聞こえたらしく、受付係の人が俺を見上げてきた。
「いや、独り言さ。気にするな。」
そういって、受付から離れる。
ここ半年の間、古都周辺におけるモンスターの大量発生が頻発している。
しかし、ホワイトシェード等といった俗に言う「大物」の発生例は今回が初めてだ。
「この現象を考えるにしても、情報が足りないな。」
そう呟いて俺は思考を切り替える。
いくら俺が放出された魔力を搾取、つまり「魔法」さえも吸収できるとはいえ
油断はならない相手だ。それに、相手の数によっては吸収しきれずに押し切られるかも知れない。
「ったく、俺が適任とはいえ少し厳しすぎやしないか・・」
愚痴をこぼしながら俺は、事務所を後にした。

ジャックが事務所を後にする、約1時間前・・。

「はぁ、なにかこう、ぐぐっとオイラの好奇心をくすぐってくれる依頼はないもんかねぇ・・?」
遅い朝飯を済ませたオイラは特にすることも無く古都をぶらついていた。
(なんか今日はいまいち狩りに行く気にもなれねぇし、かといって秘密ダンジョンは昨日行ったから行きたくねぇし・・。)
しかし、昨日の秘密ダンジョンで稼いだ金は、新調したハーフプレートメイルの代金と
朝飯に消えた。
「・・とりあえず、今夜の晩飯代は稼がねぇと。」
そうなればオイラの行動は早い。持ち前の「直感」を使って進むべき方向を決める。
(・・・・よし、今日は左だ。)そう、オイラの「シックスセンス」が道を示した。
しばらく歩いていくと、冒険者と見るや否や依頼を頼もうとしている初老のお爺さんを見かけた。
「なるほど、あのお爺さんの頼みを聞いてやれってことか・・。」
なら、さっさと頼みを聞いてやらなくちゃな!
「はぁ、困ったのう・・。」
「どうしたんだい、お爺さん?」
「あんた・・、シーフのようだね。突然で済まんが・・」
「みなまで言うなって、引き受けるよ。」
「わしはまだ何も言っておらなんだが・・、まぁいいわい。引き受けてくれるなら聞きはせん。」
「で、内容は?」
「オート監獄は知っておるな?そこの北西部で『ほわいとしぇーど』じゃったかな・・?
ともかく、危険な魔物が大量に生息しておるんじゃ。あんな奴らが街道に出てきたら、
わしらみたいな一般人はおいそれと他の街にいけなくなる。そうならない内に・・」
「そいつを退治してくれる冒険者を探してた、ってわけだお爺さんは。」
「うむ、今しがたそこのギルドの受付にも依頼して来たのじゃが・・、数が数じゃて。
そのギルドも今のところ、受けられるとすれば1人しかおらんと言うし・・。」
「じゃ、少なくともオイラ1人で相手しなくていいんだね?」
よし、面白そうだ。それにご老人の役に立てるのなら一石二鳥じゃないか!
「まぁ、お主のような若者に会えて運が良かったわい・・。そうじゃ、名はなんと言うのじゃ?」
「名前かい?オイラの名前はギル、ギル・ヒュプノス。お爺さんの様なご老人の役に立ちたい変わり者だよ。」
そういってオイラは、お爺さんの言う現地に向かった。

59 名前: RED STONE小説・長編物(PF) 投稿日: 2005/10/01(土) 18:07:52 [ I8e/LIbY ]

 RED STONE

それは一説では神が人間へ送った秘宝、人間を進化させる石
至高の栄光を得るための鍵、万物を作り出す賢者の石
など様々な事が言われている絶大な力を秘めた魔石………。
だがその正体を知る者は居ない
それは神でも同じ事
赤き石とは既に神ですら本質がわからぬ存在であった。

正体を知る者も、赤き石を持つ者もいないが
赤き石を発見した者達は確かにいた。
そして彼らの口からは必ずと言っていいほどの共通点がある

「あれは悪魔の石だ」 と
だが、発見した者は居るものの未だその本質を知る者はいない
今も数多くの冒険者達が赤き石、RED STONEを求めて旅をする。
数多くの冒険者がその赤き石を求め
そして数多くの者が挫折し、数多くの者が命を落した。

そんな中、その赤き石に運命を翻弄された者達が歩み出す。

ある者は一族の復興の為に
ある者は己の存在を知る為に
ある者は死して散った仲間の為に
ある者は復讐の力にする為に
ある者は己の体を取り戻す為に
ある者はその本質を知る為に



人は誕生して以来、数多くの力を手に入れ
その力に導かれ文明は歩んできたと言われている
ではRED STONEほどの力はどのような文明を導くのだろうか?
それは全てが終わってみなければわからないだろう。

赤き石を追い求めし冒険者達に、神の導きがあらんことを

            〜吟遊詩人の詩 『赤き石』読み人知らず〜

60 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/01(土) 18:13:29 [ I8e/LIbY ]
えー、変な宗教集団に拉致されたり
北海道で熊に襲われたり
女吸血鬼に血を吸われたりしてたりしなかったりする変な生き物です。

結局元のデータも残ってないので最初から仕切りなおししました、小説
一作目の続きを待っていた…人なんかいないだろうけど
とにかく待っていた方、御免なさい一作目は脳内削除してください。 orz

っていうかプロローグだけです今回
ええ時間ないんですよ時間ないのよウワァアアン  orz=3  ....33
明日には続きを作れるかもです、でわ

61 名前: FAT[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/01(土) 19:10:47 [ as6YKKyo ]
キャラ紹介
>>6

前作まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977



テリーを抱きしめ、悔しさを噛み締めていると、ネクロは親切にも
アンメルまで蘇らせてくれた。
そして遂にあたしの番が来た。ネクロは大きな手であたしを包むと
例の不思議な光を放出した。それがあたしの体に巻きつき、沁み込
んでいく。あたしは、過去に体験したことのないほどの活力を感じ
た。
すごい、こいつは本物だ!!
ネクロが力を注ぎ終わるとあたしは自分の体を覆っている膜のよう
なものに気が付いた。ネクロに言わせればそれは魔法の膜で攻撃力、
防御力共に飛躍的に上げてくれるということだ。
一通りお礼を言うとネクロは去っていった。
最後に、ネクロはハノブで待っていれば復讐の機会を与えてくれる
と約束してくれた。

現在地はオート地下監獄より少し南東に位置する墓地。裸の二人に
あたしの服を着せるが、なにせ体の大きさが段違いだ。テリーはな
んとか着れたがアンメルのほうは今にもはち切れそう。
「おいおい、これじゃ笑いものだよ。」
情けない顔をしてアンメルは服を引っ張ってみせる。

・・・テリーにしろアンメルにしろ、話し方や身振りなどは生前と
全く変わらない。それが、余計にあたしの心を苦しめた。


「これじゃあ変態一味だわ。マリー、一度古都に行かない?」
あたしの顔がこわばった。古都にいる両親がこのことを知ったらど
うなるだろう?喜ぶ?いや、きっとあたしと同じようにつらい思い
をするだろう。この子たちを古都に入れちゃいけない。
「ちょっと待ってて。あたしが全部用意してくるから、テリーはア
ンメルと仲良くここで待っててよ。ね、あたしがいると邪魔だから
さ。じゃ!」
そういうとテリーが何か言い返す前に駆け出した。わけも分からず
涙がこぼれた。

一通りのものを揃え、墓地に戻ってくるとテリーとアンメルが楽し
そうに会話をしていた。その光景は、ここが墓地であるということ
を除けばあたしの知っている仲の良い結婚間近の恋人たちだった。
二人はあたしを見るなり駆け寄ってきて口々にお礼を述べた。

あたしはこの二人が本当に生き返ったんだと思い込むようにした。
そうすれば、以前のような幸せな気持ちで日々を過ごせるから・・・。

「さぁ、マリー出かけましょう!ハノブでいいのよね?私いい近道
を知ってるわ。」
軽快に足を弾ませて、テリーはあたしたちを先導する。
木々の間をすり抜けながら、テリーはあたしの買ってきた長槍を操
り、道を作っていく。
「この槍、私にぴったりだわ。さすがマリーね。頼れるわ。」
褒められて少し得意げに鼻先をこすってみせた。だんだんと心にか
かっている靄が取れてきたように感じる。

62 名前: FAT 投稿日: 2005/10/01(土) 19:12:07 [ as6YKKyo ]
ふと、テリーは足を止めた。
「どうしたの?」
「誰か戦ってるわ。ほら、あの家の前。」
見るとそこでは毛むくじゃらの大男が人間二人を相手に苦戦してい
るようだった。
「助けてあげましょ。私たち、こういうことは放っておけないもの
ね。」
うん、と頷き一斉に飛び出す。
「一対二なんて卑怯なマネは止めなさい!!」
威勢よくテリーが叫ぶ。
「なんだあんたたちは?仕事の邪魔だ!!どいてくれ!!」
敵対する女剣士が咆哮する。
「弱いものいじめが仕事?笑わせないで!!ここは退かないわ!ど
うしてもっていうのなら私たちを倒しなさい!!」
気迫のあるテリーの怒声と、数の上での圧倒的不利を悟った二人組
みは森の中に消えていった。

「済まない、どこの誰だか知らないが助かった。礼をしたいのだが
家に上がってくれないか?」
あたりも薄暗くなってきているし、腹も減っているので喜んで好意
を受け入れた。
家に入り、暖かい飲み物をいただくと、それぞれ自己紹介をした。

毛むくじゃらの男の名はスレイ=クライムス。

狼男の父親と魔法使いの母親との間に生まれ、自由に変身が出来る
という。狙われている理由は分からないが、とにかく今回はやばか
ったと胸をほっと撫で下ろしていた。
私たちは変身に興味を持ち、やってくれないかと打診してみた。す
るとおもむろに彼は立ち上がり、上着を着た。スレイが静かに目を
閉じると全身の毛が体内に引いてゆき、色白の肌があらわになった。
獣のようだった顔も、目元に少しのしわのある、威厳ある父親とい
った感じのダンディーな風格を漂わせ、強い癖のある白髪交じりの
髪は頭の真ん中で分けられ、肩まで伸ばされている。背はやや高め
で少し痩せている。一言で言うと素敵なおじ様といったところか。

6人の子供たち(狼)を交えて食事もいただき、久しぶりに楽しく
時を過ごすことができた。ただ、食欲がないなどと一口も食事を口
にしないテリーとアンメルのことが気がかりではあったが・・・・。

朝、家の外が慌ただしい。ベッドから跳ね上がると急いでドアを開
け家を出る。するとテリーとアンメルの二人が昨日の女剣士、男魔
法使いに新たに加わった斧戦士と戦っていた。あたしも参戦しよう
と飛び出すとどこからか矢が飛んできて足元に刺さり、爆炎を巻き
起こす。素早く飛び上がり、回避したが、爆発によりスレイの家に
着火した。追い討ちをかけるようにあたしが地面に着地するとほぼ
同時に空から大量の火矢が家に降り注ぎ、遅れて子狼たちが逃げ出
してくるのが見えた。

危ない!!

そう思ったときにはもう遅かった。家を飛び出した順に射られ、更
に上空からは止めどなく火の雨が降り続け、子狼たちを火葬した。
無事子供たちを全員家の中から非難させたと安堵したスレイは目の
前の悲劇を見た瞬間発狂した。

63 名前: FAT 投稿日: 2005/10/01(土) 19:12:31 [ as6YKKyo ]
・・・ベルセルクという言葉を聴いたことがある。スレイは、まさ
にベルセルクとなり、混戦の中突っ込んでいくと、男魔法使いの首
に噛み付き引きちぎろうとする。しかし突然背中に突き刺さった矢
に力を失いよろめく。
じゃまな弓兵め!
目を閉じ心眼を開く。たいして遠くはない木の上にその存在を確認
すると全速力で駆け寄る。相手は気付かれたのを感づき木から木へ
と飛び移る。しかし今のあたしには全ての動きがスローに見える。
すぐに追いつくと彼女の登っている大木を思いっきり蹴った。
・・・自分でも、ここまで威力があるとは思わなかった。
馬車の車輪ほどもある大木は、あたしの一蹴で根元から折れ、大胆
に地面に倒れた。弓士は激しく地面に叩きつけられ、ぴくりとも動
かなくなった。

テリーは女剣士と激しい攻防を織りなしていた。盾を持つ剣士は身
を守りながらテリーの一挙一動をよく観察しスキあらば反撃を繰り
出し、テリーはそれを紙一重でかわしている。

アンメルは斧を持った相手に苦戦していた。アンメルの剣は細身の
長剣なので、攻撃をいなすにしても、相手の破壊力が勝り、体のバ
ランスが崩れてしまう。
今まさに倒れこんだアンメルに最後の一振りが下ろされようという
とき、斧戦士の首に鋭い牙が突きたてられた。それはなんとか魔法
使いの動脈を噛み切ったスレイの渾身の攻撃だった。背に刺さった
矢からは血が滴り、彼は意識がなくなりそうになりながらも必死に
首に喰らい付いていた。この好機にアンメルは軽やかに剣を振るい
相手の両手首を落とす。斧を持った手が地面に落ち、血の花を咲か
せる。多量の出血により、斧戦士は首に意識を失ったスレイをつけ
たまま自身も地に身を捧げた。

テリーと剣士の女の戦いは剣士の辛勝に終わっていた。盾をおとり
に踏み込んだ剣士の突きが深々とテリーの左胸を捉えていた。剣士
は素早く身を翻すと次なる敵に対し攻撃をしかけようと盾と剣を構
える。
しかしそのとき違和感を感じた。
あれ?私の背はいつの間にこんなに縮んだんだ?
まるで子供の視線のように低い位置から世界が見える。自分のひざ
から先がなくなっているのに気が付くのに、そう時間はかからなか
った。
「うわあぁぁぁぁあ!!」
剣士が痛みに声を上げるとテリーは冷たい―そう、あたしもみたこ
とのないほど、冷血な、残酷な、凄惨な顔でその首を刎ねた。

・・・あたしは、遠くで泣いていた。やはり“あれ”はテリーでは
なくネクロのおもちゃなのだ。今も奴はどこかで眺めてはニヤニヤ
しているに違いない。でなきゃあの優しかったテリーがこんな残忍
なことをするはずがない・・・。
転がった生首を哀れに思いながらあたしは少しずつ、あのフプレと
いうテイマーだけでなく、ネクロマンサーをも恨むようになってい
た。

64 名前: FAT 投稿日: 2005/10/01(土) 20:12:17 [ as6YKKyo ]
>> てるてる さん
ルシファーとケルビのほのぼのがいい感じで好きです。ストーリー的には
続きが気になる場面で終わっているので次回の展開が楽しみです。

>> サマナの人さん
ヴェイア補足説明が間に入っていたので、彼にも感情移入してしまっています。
悲劇の英雄、切ないですね・・・。
でもフィーナがやられるのもあれですし、二人の無事(?)を期待してたり・・・。

>> 名前が無い@戦士見習いさん
ジンは本当に神以上ですね!!自分を知ったジンはこれからどうするのでしょう
か?そして3年の間になにが起こったのでしょう?

私が一番考えるのに苦労するのは妄想を文章化するときですね。
文が頭の中のものと一致しない・・・・・。小説ってやっぱり難しいですね。
余談ですが、最近戦士見習いさんの作品にも参考にされているあのゲームに
はまってしまいました。もちろん主人公はアセルスで。

>> 南東方不勝さん
説教中のジャックの姿を想像したら情けなくて泣けました。
ギルといえばキャラ紹介にあった人物の一人ですね。ジャックとの出会いが
楽しみです。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
なんだかいい感じの家族ですね〜、ユナのような明るい人物がいると話全体
が明るく見えて和みます。メリックとリフは順調(?)ですし、平和な流れ
がすごい素敵です。メリックの部屋は気になりますねー、妖しい物がいっぱ
いあるといいな・・・。

>> 変な生き物さん
大災難でしたね・・・。でも帰ってこられて嬉しいです。
前作は廃棄というのは残念ですが、新しい作品楽しみにしています。

>> RED STONE小説・長編物(PF)さん
おお!新たな長編作家さんですか。本格的な赤石ストーリーになりそうですね、
お互いがんばっていきましょう。

65 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/01(土) 20:19:14 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十五回目 ダークエルフ王宮

不思議な静けさを持つ森の中で、アルセスは一人、エルフが現れるのを待つ
木の木陰に入り、木に寄りかかって目を閉じる
「高貴な匂いがする、貴方様はどなたでしょう?」
目を開くと金髪、細身の女のエルフが立っている
「御名前を御教えください、高貴な方。」
「アルセス」
「アルセス様‥‥ 気高い響き‥‥」
「私は近衛兵隊総指揮官だ、悪魔の君オルロワージュ様からの詔で来た。王宮まで案内して欲しい」
「!!悪魔の君オルロワージュ様の詔を!! 御許しください、御無礼を御許しください。」
エルフが頭を地面にこすり付ける
「案内を頼む」
「かしこまりました」
エルフが呪文を唱えると、目の前の景色が歪み、目の前に均された道が現れる
そこを少し歩き、再びエルフが呪文を唱えると、煌びやかな王宮が出現する
城門に立つエルフに身分を明かし中に入れてもらう
玉座の間に入り、ダークエルフキング、別名、時の君に会う、
何故そのような名前が付いたかは知らないが、天使とエルフが戦ったときについたと言う
「時の君、我が君の命により参上しました」
「ご苦労だったなアルセス、オルロワージュは変わりないか?」
玉座に座る青年のエルフが美しい声を出す、不老不死のエルフならではだと思う
「はい、我が君も変わりありません、本日参上したのはゴーファの希望の事についてなのです」
「うむ、少し二人で話そう、お前達下がれ」
時の君が侍女と近衛兵に命じる
「天使と一部の人間が手を組み、ゴーファの希望とレッドストーンを手に入れようと画策しております。
いずれ戦争になるのは必死、どうかお力を貸していただきたいのです。」
「それは私も前々から考えていた、手は貸そう、だが私はこの目でゴーファの希望を見てみたい
連れて来てはくれぬか?アルセスよ」
「分かりました、ゴーファの希望を必ずや連れて来ましょう、それでは御免」
「ふぅむ、待てアルセス、お前、人間の娘を一緒に連れて行ってくぬか?
3年前、一人の人間の娘がここに迷い込んでな、そろそろ元の世界に返す頃なのだよ」
「分かりました、で、その娘は今何処に?」
「訓練部屋だろう、今呼ばせる、誰かシェリーを呼んで参れ」
少しすると、人間の若い娘が部屋に入ってくる
「及びでしょうか?時の君?」
「この男はアルセスと言ってな、信用の置ける男だ、そちもそろそろ下界へ戻り
目的を果たすときだろう、槍の腕前も相当上がったはずだ、アルセス頼んだぞ」
エルフの森を出て、ひとまず古都ブルネシュティングへ向かう
ゴーファの希望には、すぐに会える気がした

66 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/01(土) 20:19:24 [ I8e/LIbY ]
えー、あれ、前言撤回かも

>>2でまとめサイトがあったおかげで名前&設定確認できますた
っていうかダイジェストがちゃんとあるし




ええ、こんな大馬鹿を許してくださいおねえさま神様人間様兄貴ぃ o...rz
とりあえず始まり方は違うけど再スタートさせてもらいましたわ。
意外と早く作品が出来そうですわ では

んでもってどうやら問題があるようです
今度から名前が小説のタイトルで
横に【変】があったら俺の小説ということになりますわ
・・・まぁようするに。

>>59は俺の小説でございます o===== rz
なんつうかアレ、もうね、ぬるぽ。
やっぱり自分である証つけとくべきでしたね、ゴミンナサイ。

67 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/01(土) 20:30:01 [ hNlLsBE2 ]
先に一言
あれ?どっかのゲームで見たことある台詞・・・・
とか言わないで下さい、と先に断っておきます

>>FATさん
ネクロはやはり悪人ですね、まぁ当たり前といえばそれまでですが
結局、フプレと武道家は激突してしまうのでしょうか?
ちなみに某ゲームはT260G編も面白いと思います

>>南東方不勝さん
キャラ紹介にあった人物登場ですね
続きを楽しみにしております

>>サマナの人さん
ヴェイアとの勝負、どうなるのでしょうか?
そして、ヴェイアの恋人の忘れ形見の女の子とは?

68 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/01(土) 22:09:47 [ QnyLWUVQ ]
デイゴ〜の花が咲き〜♪
風を呼び荒らしが来た〜♪
っと。
どうも、無事沖縄修学旅行から帰還しましたナンバーズです。
(コラ!ナンバーズ荷物お前も持てでごわす!)
しばらく見ないうちにスレかなり伸びてますね…
非常に嬉しいです。
(いいから早く手伝うでごわす!)
あ、後ろで叫んでるのは気にしないでくださいね^^
ドカッ!!ゴスッ!!
 
 

とりあえず続きうpするでごわす。
疲労で今回はうpだけにさせてもらうでごわす。
誠に申し訳ないでごわす。
では続き逝くでごわす。

69 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/01(土) 22:49:07 [ /2n.TPdU ]
今回からサブタイつけよっかな
■RED STONE 第四章■
〜この世界の真実〜
前回までのあらすじ
ブーンがHGのサングラスをブ(ry
スナッチ『とにかく!これからの動向をきめるぞ!』
ブーン『マスター、ちょっとまってくれ。』
めずらしくブーンが真面目な顔してるね。ま、副マスなんだからいつもしっかりしてほしいなぁ。
ブーン『漏れはとりあえずスマグに向かいたい。』
漏れって何(ry
アーク『…なんで?こんな時に自己厨発言しないでよ!』
アーク恐い…
スナッチ『…知っているか?この世界の大半の冒険者はこの世界の者ではないことを。』
な、なにぃぃぃ!全然知らなかったよorz
スナッチ『皆ある時空の扉を通ってパラレルワールドからやってくるんだが、この扉を作った会社がスマグにある。』
クイーザー『株式会社DAME ON。だろ?』
なんで兄貴知ってるんだ?
ブーン『…僕の父はこの会社の社長やってるんだ。』
その時点でお察しだね。
アーク『家族を守りたいって事?』
スナッチ『それもあるが一番重要なのはその扉を破壊されると他世界から来たものが皆消えてしまう。
つまり町を守れるものが殆ど居なくなるということだ。』
クィーザー『ならスマグを狙われるとまずいな。すぐに移動しよう。』
うぇぇ…あそこ遠杉。
ブーン『ああ、さっきムーンストーンをブーンしたからすぐにワープできるぉ』
喜ぶべきか呆れるべきか…
スナッチ『全員戦闘態勢でいろよ!…ワープ!!!』
■つづく■

70 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/01(土) 23:23:00 [ RNukKI.I ]
感想ありです。とりあえずギルを出すのに結構時間がかかってしまいましたorz
レナのほうは早い段階で日の目を見ることになるでしょうけど、ミシェルに
関しては結構遅くなるかもしれません^^;

>>FATさん
さて、マリー嬢は今回のことでかなり精神的に堪えたかと思います。確かに力を与えたとはいえ
ネクロにとっては所詮「サンプル」の一つに過ぎない、ということが改めて実感できました。
あと、自分のアニーとリリィの設定ですが、FATさんのレニィさんを参考にさせていただきました。
ご報告遅れてすみませんorz

>>戦士見習いさん
やっぱ、あのゲームを語るにはレッドとクーンの二人は不可欠でしょう?(イッテヨシ
さて、3年の月日の間にシェリー嬢がエルフの所で武者修行(マテ
していたようですね。どのくらい強くなったのか楽しみですw

71 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 00:34:53 [ RNukKI.I ]
SSを書いているうちに追加出演となった、クサナギメンバーの設定を置いておこうと思います。
脳内補完の助けになれば幸いですw

名前 リリス・R・ミネルヴァ
性別 女
職業 剣士(ランサースキル使用可)
主要スキル ウォークライ・グレートガッツ・トワーリングプロテクター・シミターカッティング・スウィングインフィニティ
      パラレルスティング・ラピッドスティンガー・ダミーステップ・ミラーメラーミスト・エントラップメントピアシング
      オーサムフォートレス・信念・突き
1人称 私(わたくし)
ギルド「クサナギ」のマスター
癇癪持ちで怒り易いのが玉に傷。
(癇癪の被害にあっているのは主に、ジャック・アニー・ゲイル)
剣士とランサーのスキルを扱えるため、単純な戦闘力ではギルド内最強。
愛称はリリィ

名前 ゲインハルト・S・ミネルヴァ
性別 男
職業 ウィザード
主要スキル ファイアーエンチャント・ミスティックフォッグ・ファウンテンバリア・レビテイト・テレポーテーション
      ライトニングサンダー・ヘイスト・グラビティアンプリファー・アースクエイク・アースヒール
      ロックバウンティング
1人称 僕
リリィの双子の弟。もっとも他人から見ればリリィが妹に間違えられることが多々ある。
姉とは違い気性は穏やかかつ冷静。
戦闘時には、数々の補助魔法や相手の動きを阻害する魔法で仲間を支援する。
愛称はゲイル

名前 アニー・ブレスティ
性別 女
職業 ウルフマン
主要スキル アイアンクロー・グランドクロー・チェーンドクロー・バウンシングリニア・ハウリングブラスト
      アイオブザビースト・ビーストベルセルク
1人称 ウチ
「クサナギ」随一の女傑。
ジャックに次いで「ブルン自然保護を訴える集い」の皆さんにあまり良い印象を持たれていない。
(激昂時にハウリングブラストを暴発させるのが原因)
大食漢であると同時に太りづらい体質らしく、1軒のメニュー全てを完食することもざらである。
(リリィ曰く「大変羨ましいですわ」とのこと)
口調も独特なもので、また通常時には眼鏡をかけていることはあまり知られていない。

名前 ヒース(名字が無いのは天使時代の名残)
性別 男
職業 ビショップ兼追放天使
主要スキル シールドフラッシュ・ミラータワー・リザレクション・パーティヒーリング・プロテクティングエビル
      ブレッシング・ディバインアーチ・コーリング・ディテクティングエビル・ジャッジメントデイ
1人称 自分
「クサナギ」の筆頭ビショ。
真面目で嘘をつけない性格のため、メンバーから信頼されている。
また、アニーと恋人同士だが回りは未だに意外に思っている。(ミネルヴァ姉弟以外)
追放天使としても優秀だが、何故か洗濯等といった家事も得意である。

72 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/02(日) 11:40:14 [ hNlLsBE2 ]
>>南東方不勝さん
クーンとレッドですか、クーンはモンスター変身システムが良く理解できなかった記憶が・・・
ブルー編も密かに好きです

>>ナンバーズさん
お帰りなさいませ、自分も来年は沖縄に修学旅行です

73 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/02(日) 12:42:40 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十六回目 CROSS ROAD

手錠を外されてギムレットの部屋に入る
「三年間、何処行ってたんだ?シェリーも俺も心配していたんだ」
「話すと、長い話になるんだ」
「端折って話せよ」
「端折ると意味が無くなるんだ、それよりも頼みたいことがあるんだ」
「何だ?」
「俺と一緒にブリジヘッドに来て欲しいんだよ、ブリジヘッドが近いうちに襲撃されるんだよ」
「何でまた?襲撃って、ここを襲ったやつ等にか?」
「ああ、しかも今回は相当危険だ、レッドストーンに関わるからな」
「なぁ、本当に何があったんだよ、レッドストーンは伝説だろう?」
怪訝な顔をして聞いてくる
「レッドアイって組織と天使たちが手を組んだ、各地にある遺跡から魔力を抽出して、レッドストーンを作ろうとしてるんだよ」
ギムレットはまだ理解できないみたいだ
「とりあえず、全部俺に話せ、それからだろう?」
椅子に座りなおしてから、地獄で聞いたことを話す
何時間たっただろうか?太陽は完全に沈んで、夜の帳が街を覆う
「証拠はあるのか?」
ギムレットが遠慮がちに聞いてくる
鞄から刺青を二つ取り出す、それを背中に付け、意識を少し集中する
背中から黒い悪魔の羽と、雪よりも白い純白の翼が出てくる
合計四枚の羽が背中から生えている状態だ
「信じてくれるか?」
ああ、と静かにギムレットが呟きをもらす
羽を封印して刺青に戻す、鞄にしまってから椅子に座る
「街も復興したし、シェリーも探さなきゃいけないからな・・・・・行くか」
「シェリーを探す?」
「お前が消えてから一年目に手紙を置いて消えたんだ、力をつけたい、そう書いてあったんだ
あのときの襲撃で、家も、親も、全てを失ったからな」
「とりあえず明日ここを出てブルネシュティングへ向かおう」
「ああ、街の維持は秘書と役員議会に任せることにするよ」
次の日の早朝、スマグを出て、とりあえずハノブまで向かう
延々と道を歩きながらハノブへと向かう

74 名前: RED STONE小説・長編物(一章・上) 投稿日: 2005/10/02(日) 17:59:15 [ 6P6s4.7Q ]
(プロローグ)>>59 作者:変な生き物

古都・ブルンネンシュティグ 民家通り

赤色の屋根、二階建てとごくごく普通の庭無し一軒家。
そんな一軒家の風呂場で湯に浸かるウルフマンが一匹...じゃなくて一人
くぁぁーと大きく欠伸をしながらふと湯に写る自分の顔を見て軽く思いふける。

この姿になってから軽く2年はたったか?早いもんだ。

そんな事を考えながら軽く背伸びをしてから再びゆったりと湯に浸かっ
「おーいルエアス!いー情報を仕入れたz ブッ!!」
勢い良く出てきた男の顔面に勢い良く木製の桶が直撃した。


「ったく人が風呂に入ってるときに馬鹿かお前は、いやむしろアホか」
体をタオルでガシガシと拭きながら勢い良く出てきた男をどついた。
「いいじゃんかー、もう一緒に生活して2年はするんだし」
「よくねぇって」
「それにもう男同士の同居で2年だろ、そろそろGライン突っ走ってもよ」
なんていうかもう溜息しか出なかった、正直このノリにはついていけない。

あー、この軽石が頭になってそうな男…
いや軽石が頭になってる男の名前は『リディス・ボルウィン』
この家の持ち主で旧知の仲、こんな軽石頭だが一応シーフだ
で、俺は『アーネイト・ルエアス』
訳あってここに住まわせてもらってる狼男(ウルフマン)だ
以上、色々言いたいがこいつ止めないと暴走しそうだからここでやめ。

「……で、その話題はいいからさ、さっきの「いー情報」ってのは何だ?」
腰を振って暴走しそうなリディスをなだめて話題を振った。
「ああ、クエストだ、それも『赤き石』について、な」
「…内容は?」
「ハノブ高台望楼のB3で赤き石を持った者が暴れているらしい
 半端じゃなく強いから今はハノブ高台望楼への立ち入りを禁止されてるそうだ」
少し真剣な顔をしてからリディスは軽く笑った。
「なーに、クエストはもう受けてあるし横取りはまずない、依頼主から
 転送魔石を貰ったから行くのも一瞬さ、念入りに準備しようぜ」
「了解、まずはとっとと武具防具の点検をするぞ」
テーブルの上に置いてあるリンゴを大きな口でかじりながら準備を始めた。


 ハノブ高台望楼1F

ワープした先はいきなり建物の中だった、後ろには扉があるが
厳重に何個も鍵がつけられて外からでは開けられなくなっている。
「ふー、いきなり高台望楼内とは親切じゃねぇなー、ルエアス」
「ああ、だが危険はなさそうだ …今のところはな」
アーネイトが首を向けた先には通路が続いてる
だが通路には何体もの魔物が惨殺されていて血生臭い異様な空間となっていた
二人はその魔物の死体を調べながら通路を進んでいった。

「なあルエアス、気になる事が…」
「…死体の傷、だろ」
魔物の死体を眺めながら続けた
「矢が突き刺さり、槍で突かれたような傷…」
「絶対魔物一体の攻撃じゃねえよな」
そんな話をしてる最中、天井から凄まじい音が響いた。
爆音、何かが吹き飛ばされる音、そして何かが切られる音
今まさに交戦中のようだ。
「二階か、いくぞリディス!」
「りょーかい」
二人は血生臭い通路を走り出した
途中、血溜まりで派手にこけながら。

75 名前: RED STONE小説・長編物(一章・下) 投稿日: 2005/10/02(日) 18:03:37 [ 6P6s4.7Q ]
 ハノブ高台望楼2F

二階についたが既に戦いの音はなく周囲には魔物の死骸しかなかった
二人は周囲を警戒しながら部屋を回った。
アーネイトはその狼男特有の鼻でこの空間に漂う臭いを嗅いている

血の臭い、魔物の臭い、鉄の臭い…濃い血の臭い…!
濃い血の臭いがする方向を向くと凄まじい勢いで槍が飛んできたが
間一髪、槍を避け、槍は壁に突き刺さった。
「どうしたルエイス…ッ!!」
今度はリディスめがけて矢が一本、頭をかすめて壁に突き刺さる
あの時アーネイトの方へ一歩進んでいなかったら間違いなく一撃死だろう
「これは…『スカルペネトレータ』!」
物陰から二人を狙っていた血生臭い臭いを放つ者が出てきた
全身返り血を浴びていて鎧が赤く染まっているが体は間違いなく人間の女性
そして鎧の中心部に赤く輝く石がついていた。

「ウゥウゥァアァァアアアアア!」
人外の唸り声を上げながら矢を地面めがけて一直線に放った
矢が突き刺さった場所に大爆発が起きた、恐らくランドマーカーだろう。
「おいおい、冗談きついぜお嬢様…」
「正気を失ってるな、…あの『赤い石』…あれが怪しい」
女性の鎧についている赤く輝く石、彼女が攻撃を出す度に光を強める
二人は飛んでくる矢を置いてある机で防ぎながら作戦を練った。

「俺は女性相手にナイフを投げる趣味なんかないんだが…どうしようかねぇ」
「あの赤い石、あれさえなんとかできればひょっとしたら…」
「弱体化できるかもな、あーあんまりやりたくないけど武道家として頑張りますか」
ナイフをポーチに放り込み、グローブをせっせと装備し
アーネイトはアームプロテクターにつけてた仕込み鉄爪を外した。
「女性を傷つけずに赤い石を奪う、だな」
「よし、それじゃあ作戦決行 ってどわっ!」
机を槍で真っ二つにして一気に突っ込んできた
どうやら壁に突き刺さってた槍を引っこ抜いてきたようだ
そのまま凄まじい勢いで突っ込んできたのを爪で鍔迫り合いに持ち込んだ。
「落ち着けって…なんだこの馬鹿力!ぬぐぐぐぐぁぁ!!」
圧倒的な力でゴリゴリと押されてしまい弾かれた、まさしく鬼神の如き力で
体勢を崩すも素早く立て直すが、彼女も凄まじい勢いで突いてくる。
必死で避けるが突く速度は相当な速さである
しかも徐々に壁際にもっていかれる、そして槍が徐々に体に当たるようになってきた。

「チッまずいな、……リヴァス!」
「了解!準備できたぜ!」
さっきからまるで出番のなかったリヴァスが後ろから走ってくる
それに気がついた狂気の女性が槍を振るうが飛んで避けられた
そして女性の動きが止まった
周囲に張り巡らされた無数の鉄線によって動きを束縛されたのだ。
「あー準備すんの大変だったぞ!暴れる前に武器と『赤い石』を!」
急いで走り出して鎧にめり込んでいる赤い石を全力で引き剥がした


引き剥がされた赤い石は強い光を放ち、そして一瞬にして消えた。
そして先ほどまで鬼神の如くの動きをしていた彼女は意識を失った。
「あー疲れた…、どうするこの女」
「そりゃあもちろんお疲れのお嬢様は宿に連れて帰るだけさ」
「じゃ、運ぶの宜しく、あー傷がいてえ」
そういってそそくさと帰っていくアーネイトを見ながら
薄情だなぁレディを前に…などブツブツいいながら女性を抱いた。

「ぐあっ、お、重い…アーネイトて、手伝ってくr うわっ」

76 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/02(日) 18:53:33 [ 6P6s4.7Q ]
あー終わった、終わった疲れたorz
小説下手だな俺、文才ないし
カキコしてみたら無駄に長いし(´・ω・`)
ひたすら精進して書きつづけます
もう勢いで一作目書いたから勢いで書かないと潰れるかもん o rz

77 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/02(日) 19:00:56 [ 6P6s4.7Q ]
ぶ、今更間違い発見orz
べつの小説のキャラ名前が混じってるぅうううう rz

78 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/02(日) 19:45:40 [ NcJmxYJ2 ]
>>76
作品自体の批評は抜きにしても。
最後の自虐めいたコメントは絵といい…創作物を作って発表する者としては頂けないと思います。
読む側は書き手のそんなコメントを見ると次回から読もうという気がしてこなくなります。

79 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/02(日) 20:32:21 [ hNlLsBE2 ]
>>変な生き物さん
おそらく誰でも書き手はコンプレックスがあるので
気にしないのが一番かと

80 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 20:35:30 [ RNukKI.I ]
>>戦士見習いさん
武者修行に向かったシェリー嬢を探しにスマグを発つジン&ギムレット
果たして、無事に再会することは出来るのでしょうか?

>>変な生き物さん
そこまで酷くないと思います。いや、むしろシーフの彼のキャラは好きな部類
に入りますよ。続編期待しています。

81 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 21:14:06 [ RNukKI.I ]
>>58
お爺さんと別れてから街道を走る事10分、そこから監獄内に入り中を散策すること20分。
問題の場所をオイラは見つけた。
「ひゅ〜、ほんとにいっぱいいるなぁ・・。」
今オイラが見える範囲だけでも、少なくとも10体くらいは動き回ってる。
部屋の規模を考えると、奥にもう5体くらいはいるだろう。
「さて、どうしたもんかな・・。」
爺様直伝の「シャドウスニーキング」を使ってる今なら、すぐに気付かれることはないだろう。
かといって、それを利用して1体ずつ始末しようにも恐らく1手目で奴らに気付かれる。
(問題は気付かれた後、再度潜伏する時間が取れるかどうかかな・・。)
その時間が取れるなら、後から来るという冒険者を待つ必要は無い。
1体ずつ確実に誘き寄せて始末すればいい。
「・・でも、取れなかったら狙い撃ちになるよなぁ・・。」
いくらオイラの家系が、古代エリプト時代に暗殺を生業とし全ての暗殺術の源流であっても
この状況は正直厳しい。
「とはいっても、こいつら確実に出口に向かってるしなぁ。」
オイラがどう攻めあぐねるか考えている間、ホワイトシェードの群は確実に監獄の出口に向かって移動している。
「しゃあない、覚悟を決めますか・・。どうせ、増援が来ることは確定事項だし。」
そうしてオイラは、愛用のブラック・ソーンを握り締めた。
「さぁ、暗殺(殺し)の時間の始まりだ・・!」
音も立てずにオイラは、奴らの死角に滑り込んだ。

「・・、北西部はここら辺か。」
古都から現場に付くまでにかかった時間は20分、リリィの説教が無ければもう少し早く辿り着いていただろう。
(さて、まずは問題の群を探さねば・・・)
・・っ、この感覚は間違あるまい。
「どうやら、先客がいたようだな・・。」
しかも、どうやら群全部を相手にしているらしい。
「はっ、団体さんかもしくは相当滅茶苦茶に強い奴だろうな・・。」
今すぐにでもその場所に駆けつけたいが、焦ってはいけない。まずは、「解放」が優先だ。
「・・・・・。」
精神を集中する。そして自分の体の中にある「扉」に閉じている「閂」を引き抜く・・!
「・・・っ、よし行くか・・!!」
俺は先客が楽しんでいる、パーティ会場に駆け出した・・。

82 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 21:43:17 [ RNukKI.I ]
>>81
「っ、今のは危なかったぁ。」
オイラに向かってきた光線を紙一重でかわした。
ホワイトシェードの群に挑んでから早50分。
辛うじて奴らの進行は止まっているが、オイラの体は流石に疲労の色が隠せなくなってきた。
「・・っ。元々1対多数は、暗殺者の戦い方じゃ無いっつーの・・!」
奴らの死角に滑り込んで、そこからダーティー・フィーバーを放ち、死角からの攻撃に怯んでいる隙に再度潜伏・・。
オイラの戦法は今のところこれしか選択の余地は無い。
とはいっても、いつも以上のスピードで潜伏を実行しているので完成度の低い潜伏ではすぐに気付かれる。
「・・・っ!!」
避け切れない光線は、婆様直伝の「白羽取り」で弾く。
現代の主流になっている型は弾丸性の魔法を受け止めるものだが、源流を使っているオイラにとっては
魔法を「受け止める」のではく「弾く」という技術である。
「・・、うおっ。」
だが、それでも数が多すぎる。光線はそれこそ雨のように飛んでくる。
(一旦、物陰に隠れたほうがいいかな・・・。)
そうしてオイラは一番近いところにある柱に向かって走り出した。
「・・・っ!!!」
直感がざわつく。オイラはとっさに左に飛びのいた。瞬間、オイラが隠れようとした柱ごと光線が貫いた。
「やっべ、進退窮まるってこういうことか・・。」
後ろは壁でもう下がれない。奴らもそのことに気付いたらしく、今まさにその口から光線を吐き出そうとしている。
(やっぱ、無理は禁物だわ・・。)
そうオイラが諦めた時、その人はオイラの前に現れた。

83 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/02(日) 21:51:56 [ 2stRlcag ]
>>78-80
そうっすかぁ
やっぱり自虐めいてますか
…まぁ仕事で疲れてましたお陰で気分がズンドコになってて
なんというか、その

御免なさい

今後とも良い作品を作るため
前向きに精進していきます

84 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 22:26:01 [ RNukKI.I ]
>>82
・・、間に合ったか。
どうやら今までこいつらを止めてたのは、俺の後ろでへばってるシーフの小僧のようだった。
(ふむ、俺の見立てでは15体くらいの群かと思っていたが・・。)
目の前にいるホワイトシェードの気配は10体、どうやら5体ほどこの小僧が仕留めたようだ。
「あんた、誰だ・・?」
「ん、この仕事をギルドから任された者だが。」
「へぇ、あんたが・・・。っ、あぶねぇ!!」
「あ?」
おぉ、どうやら撃ってきたみたいだな。まったく相手が俺じゃなかったらそれだけで事が済むんだがな。
「黙ってみてろ、小僧。」
そうして俺は、受付で受け取った「ザウバモルダー」を抜き放つ。
「ウィザード殺し」の二つ名が示す通り、この大剣は絶大的な対魔力を持つ。
「魔力喰い」(フォースイーター)の俺が持てば、相乗効果で絶対的な対魔力を持たせる事が可能だ。
剣自体だけでなく俺自身にも、だ・・!

「・・すげぇ。」
目の前に降り立った戦士の戦いは、圧倒的だった。
向かってくる光線を左手の大剣で露の如く切り払い、右手の斧でホワイトシェードを切り潰す・・!
その姿はさながら、羊の群に襲い掛かる狼の如き荒々しさを彷彿させた。
「小僧、動けるのなら手伝え!!こう見えて、ダメージはしっかり食らってるんだ!!」
「・・・っ、あぁもちろんさ!!」
そう言われちゃあ、手伝わないわけにはいかないよな!!

「ほぉ、小僧。中々やるじゃないか・・。」
「当たり前さ。伊達に暗殺一家の末裔じゃない。」
「そうか、ならさっさと片をつけるぞ。残りも2体になったわけだからな!!」
「オーケー、旦那・・いや、兄貴!!」
俺が小僧と合流してから5分、ホワイトシェードの群は残り2体となった。
この小僧、俺が光線を弾いた後、一気に距離をつめて連打と急所攻撃の連携を
入れたと思ったら、向かってきた光線を避けて上に周りにいる奴らに手裏剣を
叩き込む離れ業を見せ付けやがった。(まったく、末恐ろしい小僧だな・・。)
奴らの光線は、俺の搾取によって小僧に当たることはない。
放たれたとしても、俺に吸い寄せられるからだ。
「兄貴が右、オイラが左。依存は無いよね?」
「もちろんだ・・!!」
それぞれの標的に向かって駆け抜ける。その瞬間小僧の気配が消えたかと思ったら、
「〜〜〜〜〜〜っ!!!」ホワイトシェードの断末魔が聞こえた・・。
(潜伏と暗殺か・・、この二つに関してはとんでもねぇ技量だな。)
そうして俺は、光線をザウバモルダーで弾き
「持ってけ、ディレイクラッシング・・!」
右手の斧で完膚なきまでにホワイトシェードを斬り潰した。

85 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/02(日) 22:31:23 [ RNukKI.I ]
はぁ、勢いに任せて一気に書いてしまった^^;
誤字脱字等ありましたら、容赦なく指摘してくださいorz
さて、テイマ育てなきゃ(爆

86 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/03(月) 00:40:46 [ CBajl6wk ]
さっそく感想逝きます
>>@戦士さん
なるほど、天使と悪魔の力を持つからあんなに主人公は強いんですね。
一つだけ気になるのは本来セラフの加護とウィンタークロウは本当は入れ墨ではないことなんですが…まあキニシナイ!!(゚з゚)
>>変な生きものさん
ウルフマンとシーフのコンビですね。
HG入ってるシーフに女性に優しいウルフマン…
多分ナイスコンビw
その後の書き込みについてですが気にしなくていいと思います。
ここに書いてるのは自己満足だという人もいるし、あくまで"掲示板""アマチュア"。
この二つをわからない人だと思いますね。
(あういう事わざわざき書込む人には逆に作品見てもらいたくない)
自分はそういうの見てても楽しいです。
長文スマソ
>>南東方不勝さん
ダークネスフィン(ry
どうもクサナギといいミネルヴァといいガン〇ム思い出す自分は負け組。
しかしこちらのシーフも強いw
多分俺のシーフの10000倍位強いかな。うん。ちなみにLv49。
 
 
激しくorz
では続き逝きます

87 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/03(月) 01:56:10 [ fzElx4WI ]
■RED STONE 第四章■
〜合流〜
ここで視点はレオンに移る。
ウィッシュ『さっきは感情的になってすまなかった。気にしないでくれ。』
ベルフェ『…いいんだ…俺は殺されてもしかたない男だ。俺が…俺のせいで…』
ガンツ『その辺でやめときな。お前のせいではない。それに…』
レオン『RED STONEがある。まだ終わりじゃない。諦めた時が終わりなんだ。』
そう。希望はあるんだ。
未来へと続く希望は。
ナヴィ『とりあえず次の目的地はどこ?』
ガンツ『じゃあ古都にでも…』
ベルフェ『しまったっ!もうすぐ大襲撃の時間だ!』
ウィッシュ『な、なにっ!詳細キボンヌ!!』
…キボンヌ?
ベルフェ『まずスマグのDAMEONゲートを破壊。
鯖破壊で冒険者を減らし、その上で骸骨で小規模な町を破壊し3つの町を残し破壊し尽くす作戦なんだ!』レオン『スマグどころかフランデル大陸全体が危ない!ウィッシュ!タウンポータルを!』
ウィッシュ『わかっている!ワープ!!』



ドサッ!!
スナッチ『とうちゃ…ぐわっ!』
レオン『到着っと。なんか足場柔らか…』
スナッチ『降りろボケ!!』
どうやら人の上にワープしたらしい。
レオン『すまない…君はスナッチ!!』
スナッチ『まさか…レオンか?3年振りだな!』
僕らは幼い頃よく遊んだ友達なんだ。しばらく話をしていると話題がここの防御戦に移った。
スナッチ『とにかくスマグを守らないといかん!協力してくれないか?』
レオン『もちろんさ!こちらのPTMも合流させるよ。』
…向こうでなにか騒いでいる。
(コラーー!!ドラケ返せ!!)
スナッチ『…』
(私の萬波息笛返して!!)
スナッチ『……』
(俺のデンスフォーグ〜!!)
スナッチ『………』
(泥棒!サップ返せ!)
スナッチ『…………』
なんだかスナッチから恐るべき殺気が出ている。
ブーン『⊂二二(^ω^ )二二二⊃』
多分あのWIZ死んだな。
■つづく■

88 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:14:56 [ M8smiGao ]
>>南東方不勝さん
ホワイトシェード大増殖!!
一匹だけでも恐ろしいのに、大群だなんて(ガクガクブルブル)
と思えば、二人とも強っ!?
暗殺シーフ……まさかここまで恐ろしいとは。
光線を手で弾いたり、剣と斧の二刀流とか……カコイイです。
勢いは大事ですよー?

>>FATさん
ネクロマンサー……さすが悪魔というか、やはり親切に見えてえげつないですね……
ウルフマンの方は、一種の魔女狩りですかね……悲惨ですが、こういう場合って加害者の方もまた、普段は普通の人だったり……
難しいです

>>戦士見習いさん
時の君キタ――>ワ<
原作では鬼のような性能の彼でしたから、ダークエルフキングといわれても頷ける……

>>変な生き物さん
何はともあれ復活おめでとうです。
いきなりHGネタ……まさか、時代はHGなのかっ!?
いそいそと武器を持ち変えるリディスがなんかお茶目。
人間相手でちゃんと鉄爪をはずすアーネイトとか細かいところがいいですねー。
でも、女性に対して重いなんて言葉は禁句ですよ?
はてさて、女性を操っていたと思しき石は本当にレッドストーンなのか、そして女性は何者なのか。
続きが楽しみですねー

>>ナンバーズさん
な、なんだってー �熙研研�
ついに明かされる真実……でも、ブーンが相手だとなんか緊張感が(笑
ムーンストーンをブーンしてたあたりは、お、役立つじゃんとか思いましたが、直後に連続Uブーン(爆笑
とりあえず、なーむー

89 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:16:50 [ M8smiGao ]
>>12 >>14 >>39 >>54 >>56-57

 必殺のはずの一撃が、しかし突如として眼前に聳え立った岩塊に阻まれる。
 何!? と思う間も無く、正面だけでなく周囲までもが岩塊によって封鎖。

 ヘッジャーヘッジング。
 地の精霊、ヘッジャーのスキルであり、対象の動きを岩塊によって封じる技だ。

――だが、彼女の持っていた笛は破壊したはず。

 そう。力を失い、召喚されていた召喚獣も消え去っていたはずだ。

――否!

 そこで気づく。
 一度召喚した召喚獣は、召喚者が召喚を解くか、あるいは強制的に存在を破壊されない限りいつまでも存在し続ける。
 たとえ、召喚者が死んでも、だ。
 つまり、笛を失った程度で、召喚が解けることなどありえない。
 彼女が意図的にそれを行ったのではない限り。

――つまり、誘われたということか!?

 だが構わない。
 この程度の岩塊で阻めるほど、自分の剣は、怨念はちゃちなものではない。

「覇ぁぁぁぁぁぁーーーーっっ!!」

 気合一閃。
 眼前の岩塊があっさりと砕け散る。
 そして目の前には予想通り、召喚されたらしいヘッジャーと、そしてサマナーの少女の姿。

――今度こそ、終わりだ!

 剣を振り上げ、だがその視界に小さな、しかし見覚えのある光が映る。
 フードを裂かれ、露出した彼女の耳に光る、輝石のはまったイヤリング。
 彼の剣にはめ込まれたのと同じそれは――

「イライジャ……!?」


 その刃が振るわれる寸前、フィーナは口元を隠すように左手に握りこんだペンダントに唇を当てる。
 そこから奏でられるのは、小さいが鋭い笛の音だ。
 犬笛にも似た、小さな小さな笛。
 普段はペンダントとして彼女の胸元を飾るそれこそ、最後の切り札だった。

 笛の音に導かれるように土のモグラ――ヘッジャーがその姿を現す。
 同時、床が膨れ上がり、岩塊となってヴェイアを束縛。

 そして、フィーナは己に残ったすべての魔力を、ヘッジャーへと注ぎ込む。
 注がれた魔力に反応し、ヘッジャーが第二段階へと進化。
 だがその後もなお、フィーナは魔力を注ぎ続ける。

――お願い、間に合って。

 だが、フィーナの予想より速く岩塊が打ち砕かれる。

――嘘、早過ぎる!?

 フィーナの眼前でヴェイアは剣を振り上げ、しかし動きを止める。
 誰かの名を呼んだ気がするが、フィーナはそれを認識しなかった。
 かわりに、その一瞬の隙に、一気に魔力を注ぎ込む――

「イア! ヘッジャーAct3――神獣形態!!」

 魔力が爆発する。
 ヘッジャーが内側から弾けるように変化。
 そこに存在したのはもはやモグラではなく、莫大な魔力を湛えた魔人だ。

 召喚獣の第三段階。
 それは、もはや獣ではなく、魔人や神獣と呼ばれる存在へと、召喚獣を進化させること。

「く、しまった!」

 ヴェイアが我に返り、その刃を振り下ろそうとするが、ヘッジャーの一撃のほうが速かった。

90 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:17:56 [ M8smiGao ]
 崩れ落ちる岩塊のごときその拳は、ヴェイアの一撃をぶち抜き、その体に突き刺さる。
 まるで嵐の中の木の葉のように軽々と浮き上がった彼の体へ、更なる連打が放たれる――

「Ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――
Ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――
Ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――
Ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――ya――
Ya――ya――ya――yaaaaaaaaaaaaaaaahhhhhhhhhhhh!!」

 フィーナの叫びに呼応するかのようにヘッジャーの拳が速度を増す。
 もはやヴェイアは防御姿勢を取ることすらできず、拳打の嵐に翻弄されるのみだ。

「'EH−Y−YA−YA−YAHAAH――E'YAYAYAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaa!!!」

 止めとばかりの打撃が、ヴェイアの体を祭壇へと叩き付ける。
 叩きつけられたヴェイアの手から剣が落ち、そしてそのまま動かない。

「っく、はぁ……はぁっ……」

 フィーナの体も限界に近かった。
 魔力の供給を失ったヘッジャーはもはや魔人でなく、もとの小さなモグラとなってフィーナの足元へ戻る。
 だが、それでも左手のペンダントを握り締め、ゆっくりと倒れたヴェイアの元へと歩いていく。

 いつの間にか、彼の眼からは狂おしいほどの憎悪が消えていた。

91 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:21:29 [ M8smiGao ]
しまった、分割の仕方間違えた;;
わかりにくいですが、ヴェイアが剣を振り下ろす直前の台詞「イライジャ……」の次は、僅かに時間が戻ってます
ちょうどフィーナの目の前でヴェイアの動きが止まるところが、ちょうど「イライジャ……」の台詞にあたります
わかりにくくて申し訳ない

92 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:41:48 [ M8smiGao ]
「ヴェイア=ザノス=クランバーク……双剣の英雄……」

 フィーナの呟きに、ヴェイアが静かに声を発した。

「少女よ、お前の名は……?」
「フィーナよ。フィーナ=ラフィーナ」

 言ってフィーナは小さく首を振り、

「ううん。フィーネンエージュ=セリエナ=フィラデルフィア。それが私の……本当の名前」
「フィラデルフィア公爵家か……道理で」
「……私の家を知ってるの?」

 ふ、とヴェイアが小さな笑みを漏らす。

「ブルンの古き貴族……イライジャの娘が引き取られた先、我が殺したイライジャの家に列なる者の親類がフィラデルフィアと……確かそんな名だったはずだ」
「あ――」

 そこで思い出す。
 フィーナの曾祖母は、フィラデルフィア家に養女として引き取られたという。
 そして後に、共に育ったフィラデルフィア家の嫡男と結婚し、そうして続いているのが今のフィラデルフィア家だと。

「嘘……じゃあ、私の先祖が……?」
「ああ。お前の耳に光る、そのイヤリング。それはかつて、我がイライジャに送ったものだ」

 だから、あの時ヴェイアの動きが止まったのだ。

「はは、危うく我は、愛した女性の子孫を殺すところだったわけだ」

 自嘲気味の微笑み。

「だが礼を言おう。我が愛しき人の子孫よ。お前のおかげで、我が胸で燃えていた妄執の炎が収まった」
「……私は何もしてないわ。もし、貴方の心が癒されたというなら、それはきっと、このイヤリングのおかげ」

 フィーナが静かに髪をかき上げる。
 イヤリングが揺れ、周囲にいまだ漂う魔力の光を受けて小さく輝く。

「――これからどうするつもり、ヴェイア?」
「さぁな……このまま眠りにつくのもいいかもしれないが……」

 フィーナは僅かに眼を伏せる。
 そんな彼女に、ヴェイアは静かに語りかける。

「頼みがある。止めを――刺してもらえないか? 今度こそ、眠りにつくために。
あれだけの殺戮を重ねた身だ。眠りについたとて、彼女と同じ場所にいけるとは思っていないが……」

93 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/03(月) 14:42:10 [ M8smiGao ]
「嫌」

 即答だった。
 それまでのしんみりとした空気が一気に霧散するかのような、身も蓋もない拒絶。
 だがフィーナはそんな雰囲気の変化には構わず、ずかずかとヴェイアに近づき、その虚ろな瞳を覗き込み、

「ね、ヴェイア。私と一緒に来ない?」
「……何だと?」
「ほら、ビーストテイマーはモンスターを味方にすることができるのは知ってるでしょ。私はどういうわけか、道端のモンスターを手懐けたりはできないけど、多分貴方が受け入れてくれれば、他のビーストテイマーみたいにできると思う」
「何故だ。何故そんなことを言う?」

 問われ、僅かに考え込む。

「んー、取り立てて特別な理由はないけど……なんとなく?」

 言ってふと思い出したように、

「あ。違う。あれだ――。
私さ、昔からファンだったのよ。貴方の」

 思い出す。
 子供のころ、英雄ヴェイアの詩をはじめて聞いたとき、なぜか胸が熱くなった。
 家に旅の吟遊詩人が来るたび、何度も何度もその話をせがみ、ついには父の書斎の本まで読み始めた。

「多分、父さんは知ってたんだ。貴方の話のこと。フィラデルフィア家がヴェイアの詩に列なる家系であるってことを。
だから、あの話を熱心に聴いてた私に、家に伝わってたこのイヤリングをくれたんだと思う」

 イヤリングを渡すとき、父は何も教えてくれなかった。
 由来も、これが英雄の遺物であると言う事も。
 けれどなぜか手放せなくて。
 だから家を出るときも、これだけは身に着けてきた。

「ひょっとするとさ、私の中のその――イライジャさんって人の血が、そう言ってるのかもね」

 フィーナの言葉に、ヴェイアは沈黙する。

「それに、ほら。イライジャさんの子孫ってことで、きっと私もその人に似てるだろうし。貴方としても恋人のそっくりさんと一緒にいられるって言うのはいいんじゃないかなーって」
「違う」

 軽口を叩くフィーナの言葉を、今度はヴェイアが断ち切った。
 わずかな沈黙が流れ、そして彼は至極まじめな声で、

「イライジャは……そこまで貧相ではなかった」

 フィーナの胸元を見つめ、言う。
 瞬間フィーナが爆発した。

「な、何よっ! 私だってあと5年もすれば――」
「イライジャはお前くらいの年から大きかったぞ」
「むきーっ!!」

 そして、二人で顔を見合わせ、笑う。

「そういうわけだ。これからよろしく頼むぞ。フィーネンエージュ。イライジャの遠き子孫よ」
「こちらこそよろしく、英雄」

 握ったヴェイアの手は、やはり骨だけに乾いていたけれど。
 だけど、どこか温かかった。

 と、広場の入り口の方から無数の足音が響いてくる。

「何だ?」
「あ――」

 思い出す。
 ここに来るまでにみた、無数のトラップとロックゴーレムを。

「なるほど、我をここから出さないための封印か」
「ちょっと数が多いわよ。平気?」

 ベルトにスタックしていたポーションを飲み、体力と魔力を回復させる。
 まだ疲労は残っているが、不思議と気合はみなぎっている。

「ふ、英雄をなめるな。まあ確かに、一人では少しは苦戦するだろうがな。
だが、我ら二人なら――容易い事だ」

 フィーナが再召喚したウィンディが、壁に突き刺さっていたヴェイアの剣を引き抜き、手渡す。
 再び手元に戻った剣を、感触を確かめるかのように一振り。

「Yes! それじゃあ、ちゃっちゃと片付けて、クエストクリアと行きましょうか――!!」

94 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/03(月) 17:38:45 [ RNukKI.I ]
>>ナンバーズさん
いや、そこでガン○ムを思い出すのは自然な流れかと・・ww
(道理で、ミネルヴァ姉弟の後にすんなりギルド名が決定したわけだw)
それにしてもブーンはいいキャラしてますね、こういう破天荒なギャグキャラは
大好物ですw

>>サマナの人さん
ヴェイア合流キター。カコイイ上に笑いも取れるおいしい方ですね。
そして、フィーナ嬢の思い切りの良さには脱帽ですな。
はてさて、離脱したメイドさんはどうしているんでしょうか?

95 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/03(月) 17:41:37 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十七回 掌

ハノブについてからすぐにテレポーターの元に行き古都まで運んでもらう
夕方になると古都も人通りが少なくなり、段々と喧騒が薄れていく
適当な宿を探すと後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた・・・・気がする
振り向いて見るが誰も居ない、安そうな宿に入ってとりあえず荷物を置く
頭の中がザワザワする、トイレで用を足しているギムレットを部屋において、街の中心の噴水に行ってみる
噴水につくとそこにはアルセスと女が居る
「ジン・・・・・・・?」
女がかすれた声で呟く
「シェリー?か?」
「お前を探していたんだ、急な話だがエルフの王宮に来て欲しい」
「ねぇ、ジン貴方いったい何処に行っていたの?ギムレットは?彼貴方のこと心配していたのよ」
何がなんだかよくわからないがとりあえず二人を宿に連れて行く
ギムレットは部屋でパンを齧っていたがシェリーの顔を見てパンを手から落とす

シェリーに今までの経緯を話し終えたのは夜中の十時ごろ、そのあとアルセスと一緒に宿のバーへ行く
ソルティードックを飲みながら話を聞く
「エルフ王宮に居る、ダークエルフキング時の君に会って欲しい
お前を見定めたいそうだ」
「別にいいけど、俺はブリジヘッドに行かなきゃ行けないんだ、あそこが襲撃されるんだろう?」
「ああ、時の君にあった後は私の魔法でブリジヘッドに連れて行ってやるよ」
ソルティードックを飲み干し、席を立つ
新しく部屋を取ってギムレットとシェリーとは別の部屋に入る
ベットに入っても何故か眠れなかった

地獄、と呼ばれる世界の果ての果て、そこには一匹の龍が封印されている
オルロワージュは鎖につながれた龍を見ながら呪文を唱えている
次の瞬間、一条の光になってオルロワージュに吸い込まれる

朝、アルセスにたたき起こされて目が覚める
顔を洗い、コーヒーを飲む、飲み終わるとアルセスが魔法陣を描く
それに触れ、一瞬光に包まれた後目の前に煌びやかな宮殿がたたずんでいる
王宮に入り大広間へ行く、玉座には若いエルフが座っている
「なかなかの面構えをしている、それに相当な腕前だ。ゴーファの希望よ
お前には少し話しておかなければいけないことがある」
そう言って時の君と称されるエルフは語り始めた

96 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/03(月) 18:07:39 [ /59Es3hw ]
アチャのランドと武道家のスキル関連(のグラフィック)がよくわからないせいで戦闘場面に入ることができない◆j9cST1xRh2です。
というわけで、最近弓と武道家を作り始めました。そしてさらにリアルの時間が(ry
 
>南東方不勝さん
ギルもジャックも強いなぁ…ザウバモルダーは近頃めっきり見なくなったな〜。
暗殺は恐ろしいですね。育ちきるまで時間がかかりますが。
もしかするとギルもクサナギの一員になったりしますかね?
 
>サマナの人さん
つながりがあったからこそ理解しあえたんですよね。これはテイムというべきですかね?
しかし…英雄はイライジャのことをそんな目で見てたんですね。失望の他に連帯感が生まr(ry
 
>FATさん
スレイは気絶しただけで無事なんでしょうか。子供たちまで殺されるということは、彼にはよほどの過去があるんでしょうか。
いつかはくるフプレとマリスの対決が待ち遠しいです。どっちを応援するべきか…迷います(汗
 
>名前が無い@戦士見習いさん
再会とはやはり良いものですね〜。時の君の話とは、そして夢の意味とは…。
ジンの翼が空を舞うのが近いような気がしてきます。
 
>ナンバーズさん
姓からして何か怪しいかと思っていましたが(本当は忘れてry)、社長の息子だったとは。
そしてここから一章と二、三章が繋がってきましたね。ブーンの腕は一流です。知恵は0ですが。
 
>変な生き物さん
女性が襲ってくるのは怖いよなぁ。知らない人ならなおさらです。レッドストーンを持っていたこの女性の正体は…。
それにリヴァスの人の良さに感心。ですが力がないですね。(汗汗

97 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/03(月) 18:12:24 [ ipn.sE8A ]
80オーバーしたので流石にage

98 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/03(月) 21:41:53 [ RNukKI.I ]
>>82
地下から地上へと戻る。
依頼の対象であったホワイトシェードの群は、俺と小僧でとりあえず始末できたようだ。
「さて・・。一時の共同戦線とはいえ、このまま名前も知らないまま別れるのは納得できねような。小僧?」
「オイラも同感だね。それに小僧、小僧って言ってるけど、オイラはこれでも19だ。」
「俺からすれば充分小僧だよ、俺は24だ。」
「大して変わらねぇじゃん!!」
おっと、怒らせちまったみたいだな。
「悪かったな。俺の名は、ジャック・ウルフェンだ。」
「おいらの名前は、ギル・ヒュプノスだ。」
ヒュプノス・・。あぁ、古代エリプト史に度々出てくる暗殺一族の名字だな。
「なるほど、かのヒュプノス家の末裔ならあの動きも納得できる。」
「そういう兄貴だって、その名字はあの『氷結狼』(フェンリル)と同じじゃないか。」
「あぁ、それは俺の親父だ。」
「な・・・っ!!」
俺の家系は元々、ウィザード等いった「魔道」に携わる者を輩出してきたが・・、
「ま、世の中には俺みたいな例外がいるんだよ。ギル。」
余談だが、俺の親父が持つ「氷結狼」二つ名の由来は、親父の得意としていた魔法がチリであることは言うまでもない。
「とりあえず、依頼が終わったことをお爺さんに伝えなきゃ。」
あぁ、そうだな
と言いたいところだが、そういう訳にもいかねぇようだ。
「そんなに急いでどうした、アニー?」
そういって俺は急いで走ってきたのか、息があがっているダチにそう語りかけた。
「ジャック・・、依頼が・・終わったところで・・悪いんやけど・・、手伝って・・くれへんか・・?」

99 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/03(月) 22:18:25 [ 7wSYUJVQ ]
古都日報No1

本日動物虐待容疑で武器商人のチョキー氏が逮捕されました。
容疑の内容は数百にも及ぶ犬の処分に困り古都南に生息する蜘蛛の生息地帯にて犬を放置した模様。
その後冒険者を募りその骨の処分を供養と称して回収させていたとのこと。

逮捕の決め手はチョキー氏が店を開いている背後の池に数百匹と見られる犬の骨が見つかったことが
切欠で今回の逮捕劇につながりました。
なおチョキー氏は常に自分を見ていてほしかったとの理由で池に埋葬したとのことですが特定された
骨の中に他人の飼い犬と思われる遺骨やウルフマンの遺骨もあり場合によっては殺人罪も視野に入れて立憲を進めるとの発表もでております。

今後の流れに期待しますが有名な集合場所の一つが潰れるとあり古都内の冒険者からは不評も出ている模様です。

100 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/03(月) 22:20:58 [ 7wSYUJVQ ]
スレの雰囲気にはまってついつい書き込んでしまいました。
神々が多すぎるので…一言。
「皆さんの作品で貴重な休日が潰れたぞこの野郎!」



シリアス物にも挑戦してみたいん…。

101 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/03(月) 23:54:18 [ RNukKI.I ]
>>99-100
チョキー・・、信じていたのにwww
こういうギャグ物は好きですねぇ。いつか、ジャック達で挑戦してみるか。
そして、荒々しくも温かい?感想ありです。

102 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/04(火) 00:44:55 [ RNukKI.I ]
さて、続きを書く前に感想の返事を書かねば(オソイ
>>jpさん
ギルのクサナギ加入ですか・・、ソノトオリデスガナニカ?orz
まぁ、先読みしやすい展開が続くかもしれませんのでご了承ください^^;

>>18,>>28,>>30,>>48,>>52,>>58,>>81-82,>>84,>>98
「とりあえず内容を言え、内容を・・。」
手伝ってやることは、俺の中では決定事項だが内容によっては対応を変える必要がある。
(最悪、ギルに頼んでリリィ達を呼ばねばならんかも知れん・・。)
む、どうやらアニーの方は落ち着いたようだな。
「はぁ、やっと落ち着いたわ。それで、内容を言えばいいんやな?」
「あぁ。状況によってはギルに伝令を頼まねばならんかも知れんしな。」
「ギルって・・。あぁ、そこにおる坊ややな。」
そういって、アニーはギルのほうを見つめた
「兄貴、このウルフマンとどういう関係だい?」
「同じギルドの仲間、ダチと言っても過言じゃねぇな。」
そういうとギルは納得したようだ。
「それで、内容は?」
「あぁ、かいつまんで説明するわ・・。」

それから5分後・・、
「・・っとまぁ、こんなとこやな。」
「枯れ木も山の賑わいって言葉がぴったりな状況だね、兄貴。」
「あぁ。」と俺は相づちを打つ。アニーの説明によればハノブ北の鉄鉱山・・、(廃坑にコロッサスを狩りに行く冒険者が良く通るあそこだ。)
そこで問題が起こったらしい。
この件も最近話題の大量発生の類だが・・、
「流石にロックゴーレムとはいえ、5百体ってなんだ、5百体って・・。」
まさに枯れ木も山の賑わい、規模が今までの比じゃないな。
「あの数には、ウチもヒースもビビったわ。」
その数を見てビビらないほうがどうかしている。
「じゃあ、そのヒースって人は?」
ん、そういえばヒースがいねぇな。
「あぁ、ヒースなら現地で待っとる。あの人、頑丈やからロックゴーレムの攻撃くらいなんともあらへん。」
そういうアニーの目には、若干の心配の色が伺える。
なら、早めに行った方がいいな。心配してるアニーなんざ、気持ちが悪い・・。
「おし・・、とりあえずさっさと行くぞ。ギル、お前とはここでお別れだな・・。」
「なぁに言ってんのさ、兄貴が『ダメ』って言ってもオイラは付いてくよ。
助けられた恩も返してないし、なにより兄貴の人柄に気に入った。」
・・、この手の奴には言っても聞かねぇな。
「おし、分かった。だが、条件として家のギルドに加入してもらうぞ。」
「そんな条件なら、大歓迎!ほら、狼の『旦那』も急いで。」
・・・っ!!あいつなんて事を・・。

103 名前: RED STONE小説・長編物(一章・上) 投稿日: 2005/10/04(火) 01:24:26 [ MpRVTE1M ]
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75作者:変な生き物

・鉱山町ハノブ 宿屋

「ん、………ここは?」
「おっ、気がついた、気分はどーだい」
先ほど暴れまわっていた女性はベッドの上でむっくりと起き上がった
ベッドから降りようとしたがめまいが起きてベッドから降りられなかった。
「おいおい無茶すんなよ、あんだけ暴れりゃ疲労も溜まってるだろ」
「暴れる…?あの、私をどこで見つけたんですか?」
「俺らが見つけたのはハノブ高台望楼の2階、君は大量の魔物を倒してたぜ
 …ついでに俺らも倒そうとしてたけどな」
「え?でも私は確かにハノブ高台望楼の地下3階で赤い石を拾って…
 ……あれ?拾った後が思い出せない?え?え?」
「どーやらこりゃ『赤い石に操られて記憶がない』って奴か、なぁリディス」
部屋に入ってきたリディスの方を見て自分の意見を言ってみた
が、当のリディスはそんなこと聞いてないようだった。

「目を覚ましましたか、体調はどうですか?」
「ええ、疲れが少し残ってますが大丈夫です」
今までとはうってかわって紳士的なリディスは
ベッドの側まであっというまに駆けつけて彼女の側に来た。

あー、またコイツのアレが始まったか…
アーネイトは額に手を当てながら椅子に腰掛けた。
「それはなによりです、ところで貴方様のお名前は?」
「セナ・フェネスティラ、あなた達は?」
「おお、実に素晴らしいお名前!あ、私の名はリディス・ボルウィン
 でコイツがアーネイト・ルエアス」
「なんでそこだけ言い捨てなんだよ」
「それにしてもセナさん、なんでハノブ高台望楼なんて危険な場所へ?」
「それは…えっと」
つばが悪そうになってる所にアーネイトが割り込んできた。
「今聞くのはそれじゃない、一番聞きたいのは『赤い石』についてだ」
「私が見つけたあの石…?」
「そう、君が2階で暴れてたときその石をつけていた、鎧についてて
 無理矢理引き剥がしたら消えて君が気絶したんだ」
彼女は記憶の糸をひとつひとつたぐりよせながら考えた
そして全てを思い出した。
「赤い石はハノブ高台望楼の地下3階の祭壇上に置かれてて
 なんとなく惹かれたから手にとったの、そしたら意識が薄れていって…」

「で、操られたと言う事ですか、忌々しい石ですねぇ
 宝石のように美しいセナさんを操るなんて、まさしく外道!」
一人憤慨するリディスをよそにセナはふと自分の服装を見てから
ポケットやベルトポーチの中を捜してから喋った
「あれ…ない!形見のネックレスがない!私がつけてたんだけど…知らない?」
「わからん、俺が見た時はつけてないし少なくとも2階ではネックレスは見なかった」
「どうしよう、大切な物なのに…」
「それほど大切な品ですか、ふむ」
リディスがもったいぶってからまた紳士的に喋った
「それでは私が探してきましょう」
「本当ですか!?」
「じゃあ俺も援護するk...」
「いや、ルエアスはセナさんの看護をしていてください、私一人で十分です」
その様子を見て軽く溜息をついてからアーネイトは少し真顔で言った。
「当然、お前を残したら間違いを犯しそうで怖いっての」
「それではあの夕日が沈む前にネックレスを持ってきましょう!では!」
そう言ってかなりの速さで部屋から飛び出し、かなりの速さでハノブから出て行った。
「…大丈夫ですか?一人で」
「あー大丈夫、あいつなら心配ないぜ」
二人は宿屋の窓から顔をだしてその様子を見ていた
そして張り切るリディスを眺めながらこう呟いた。
「なんせ女性がらみだからな」

104 名前: RED STONE小説・長編物(一章・中) 投稿日: 2005/10/04(火) 01:25:32 [ MpRVTE1M ]
・ハノブ高台望楼B2
『抜き足差し足忍び足っと… セナのネックレスはどこだぁ?』
リディルはシャドウスニーキングでコッソリと地下通路を移動していた
その潜伏の上手さは確かなもので、側に魔物が近づいてもばれることはない。
…だが、魔物達も先ほどのセナの大暴れにより警戒していて
いつもより数が多く、守りが厳重である。
『ネックレスネックレスーってこの階にもないっぽいな』
一通り探索した後にさっさと下の階へ行こうとした、が
階段の前で仁王立ちする大型骸骨達、無駄に大きくてスキマすらない。
『しゃーねーなぁーいっちょお仕事します、か』

そう言って素早く大型骸骨に近づいた後、凄まじい速さで一体を暗殺した
それに気がついた大型骸骨は仲間を呼ぼうとする、が鉄線で縛られて身動きが取れない。
『じゃーねー、いい夢見ろよ』
そう小声で言った後、残りをまとめて始末した。
『じゃさっさとペンダントを探して愛のラブロードといきますかフフフハハハハハ-!』
何事も油断するなかれ
始末する際に使った鉄線を張りっぱなしで先へ進んでしまった。

・鉱山町ハノブ 宿屋
「なになに、シーフ装備の相場値上げ…今後下がる気配無し
 動物虐待容疑でチョキー氏逮捕ぉ?俺が参加した奴か、あー怖い怖い」
のん気に新聞をペラペラと読んでくつろいでいるアーネイト
だけどセナは外を見ては横になり、と落ち着きがなかった。
「アーネイトさん」
「ん、リディスの事か」
大きく欠伸をしてから続けた
「あいつなら平気さ、あれでもあいつは凄腕のシーフだ」
「ならいいんですけど…」
「援護しに行きたいんだな?体調は大丈夫か」
軽く言い当てられて慌てるセナ、少したってから返答した。
「体は大丈夫です、私は貴方達に迷惑をかけてしましましたし
 それに、…ただ待ってるのは嫌なんです」
少し沈黙が流れた、セナの顔は少し険しかった
それを見たアーネイトは悟ったかのように小さく口を開いた
そして外を見てから溜息をついた。
「あーもう夕日が完全に沈んでるじゃないか、あいつドジったな」
椅子から立ち上がり大きく背伸びをした、そして防具を装備し始めた
「あいつは時間は絶対守る奴だが、こりゃ何かあったに違いない
 一緒に迎えに行くか?」
軽く笑ってセナに問い掛けた、セナはもちろんと言わんばかりにベッドから降りた。

・ハノブ高台望楼B3
拝啓、未来のマイハニー セナへ
ハニーの恋人、俺は今とってもピンチです
いや、ネックレスを見つけたんだけどさ、それがネクロの足元にあってさ
かがんで取ったんだが頭がネクロにぶつかってバレたぜハニー
それになんか知らないけどB2の魔物もこっちに来てる
今必死に隠れてるけど連中はシラミツブシに探してるぜHAHAHA
っていうか今目の前に骸骨戦士が、あーお願いそんなところをアーレー
誰かお願いタスケテクレ−

105 名前: RED STONE小説・長編物(一章・下) 投稿日: 2005/10/04(火) 01:27:48 [ MpRVTE1M ]
「うおぉおおぉおおおおおおおぉぉぉ!!!!」
「やあああ!」
迫り来る大型骸骨やスケロ、ゴーストを次々と薙ぎ払い強行突破した
セナは先ほど購入した新着の鎧をつけて新品の槍を振り回す
さっきの戦いほどの力はなかった、だが十分なほどの力を発揮している。
『…結局、あの赤い石は謎のままだな
 赤い石があのバカ力を生み出していた…結局あれはなんだろうな』
「ふう、疲れた… にしても随分敵が少ないねぇ」
「本当だな、…なーんか嫌な予感がする」
そんな事を考えながら地下への階段前についた
そしてそこには沢山の鉄線が張られっぱなしだった、そりゃあ見事なまでに。
「ね、ねぇアーネイトさん、リディスさんって凄うd」
「言うな」
そそくさと下の階に降りていった、嫌な予感むんむんで。

ハノブ高台望楼のB3は実に愉快だった
B2の敵がわざわざ来ていて
そして遠くで爆音と叫び声が響くという実に愉快な光景だった
一人と一ぴ、いや二人は見事に魔物の群れに囲まれた。
「さーてどうしてくれようかあんのバカ」
「と、とにかく急いで救出しましょう!」
ジリジリと迫ってくる魔物の群れに狼っぽく軽く唸ってから吠えた
「さぁどいつもこいつもまとめて相手してやらぁ!!」

一方ネクロに追いかけられてるリディスはというと
「チクショー!火属性耐性装備がなきゃ死んでるぞコラ!!」
ヒーヒー泣きながら物陰でポーションを火傷した場所に塗っていた
相手が様子をうかがってる最中に作戦を考えている。
「あんな奴俺の実力じゃ倒せねぇって、奴の大きさからして階段は上れない
 どこかで鉄線を引いて足止めすれば…!!」
そう思ってる矢先に相手がいきなり攻めてきた、先手必勝がモットーのようだ。
急いで逃げ出して柱と柱の間へ突っ走る、ひらめいたようだ
間へ入った瞬間素早く鉄線つきの短剣を両方の柱へと投げつけセットする
そして見はしなかったものの何かが鉄線に絡みつく音がした、成功のようだ。

あとは道を走って走って走って、隠し扉の鍵をあけて階段へ走る!
「ルエアス!なんでここに!ってセナさんまでっ」
「お前の帰りが遅いからわざわざ来てやったんだよ、それになんだそのザマ」
「あ、セナさんこれ!見つけましたよネックレス!ドジ踏んじゃいましたけどね」
そう言いながら素早くネックレスを渡し、ダンジョンから三人は逃げ出した


「ネックレスを取り戻してくれて有難う御座います、リディスさん
 もうなんとお礼を言ったら…」
「いえいえ、こんなの朝飯前ですよハハハハ」
あのあとリディスを連れて宿屋に戻り、リディスはあっというまに寝てしまった
そしてもう朝、そうクエストも終わりハノブに用はない、別れの朝だった
「じゃあな、達者で」
「セナさんまたいつかご縁があったら会いましょう!あ、この機会に住所を
 ってちょ、ま、ワープするの早ッ」
二人はテレポーターの前で挨拶をしてからセナと別れた
セナは雲ひとつない青空を見上げながらネックレスを握り締めた。

「あーやっと帰ってきたぁあああ」
「あー住んでる場所聞き損ねたぁぁぁぁ」
一人は家の前で大きく背伸びをし、もう一人は縮みこんだ、結構ショックだったようだ
そんな彼の肩に手を置いて慰める人がいた。
「きっとまためぐり合えますよ、きっと」
「ソウデスネー ってセナさんッッっっなん@pa:どe/buふじこ!?」
普通にビビってパニくるリディスを横目にアーネイトは笑いながら言った

「あー、言い忘れてた、聞いた話だとセナさんの家はお前の家の側だったな」
リディス曰く「今日は人生最高の日だ!ララララン」と語っていたそうな

106 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/04(火) 01:54:00 [ MpRVTE1M ]
コンナ時間でお邪魔させてもらってます、変な生き物です。

>>南東方不勝サマ
いつも楽しく拝見させていただいておりますワ
相変わらず小説が上手い事上手い事。
>先読みしやすい展開
それほどしっかり小説が構成されてる証なんですよきっと
私なんかイキアタリバッタリですから自分でも予測不能ですわァ。

>>ナンバーズサマ
毎度毎度笑わさせてもらってます。
ある意味これが真のRSなのかなと思っております
とにかく社長の息子、ブーンがどんな波乱を呼ぶか非常に楽しみであります
多分、死なないでしょう彼なら…w

>>サマナの人サマ
戦闘シーンが迫力満点で何度見ても飽きません
そして最後のマンザイのようなやり取りとか、もうスゴイッス。
どうなることかと思ったけどヴェイアを仲間にできてホっとしました
…あ、なんか、なんでもかんでもモンスターを倒すのが残酷に思えてきたよパパン
>HG
テレビで出てたからつい…今は反省はしている
だが後悔はしていなry

>>名前がない@戦士見習いサマ
おおおキタキタキター!続きが楽しみすぎてゴメンもう待テナイヨパパン
何を語るか!?何を語るか!?気になるんですけど。

>>◆j9cST1xRh2サマ
>女性が襲ってくるのは怖いよなぁ
怖いデスヨネー、そりゃリディスじゃなくても「冗談よしてよ」とか言いたくなるわな
>それにリヴァスの人の良さに感心。ですが力がないですね。
まるっきり力に関してはないです、素早さと機転は利くんですが
力にかんしてはもう完全なドベというもやしっ子です。

>>99-100サマ
なかなか面白い記事でしたよー、次回を楽しみにしてます
…そしてスミマセンその記事を使ってしまって。 orz
新聞になにを書こうか迷ってた時に見たんです、反省してますこのとーり
でも後悔はry。

107 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/04(火) 01:56:19 [ wA1424Gk ]
■RED STONE キャラ紹介■
〜補足、改訂ver.〜
◇スティード・ライアン(故)
JOB:壁剣士
所持U:オールド・ガーマ、デバイン・フォートレス
特徴:冷静で趣味は読書だったらしい。親は剣の聖人と言われていた。Gvでの高い生存率から"不死身のスティード"と呼ばれていた。
◇ベルフェゴール・ライアン(22)
JOB:火力剣士
所持U:レムフェア・バルター、ドラケネム・ファンガー
特徴:火力剣士に多い左手剣をつけていない。インフィニのプロ(?)。戦士スキルも使える。Gvでの暴れ方は凄まじく、その性格と相まって"暴君ベルフェ"と呼ばれていた。
◇ユライス・ライアン(故)
JOB:知識戦士
所持U:ペティグリード
特徴:比較的おとなしめ。この3兄弟は年子。Gvではドラツイの威力の高さに"優しき悪魔"と呼ばれていた。
◇レオン・クリスト(20)
JOB:万能型戦士
所持U:ビック・セイジ、ゴールデンクリーパー
特徴:AC、WB、ディレイ、ドラツイと多彩な技を持つ。好物は八ッ橋(生)。Gvの活躍はイマイチだった。
◇スナッチ・トレジャー(21)
JOB:シーフ、武道家
所持U:飛虎、ドラゴンクロー、スプリッター、大道無門
特徴:暗殺、格闘、探索、罠、何をやっても一流の実力を持つ。リーダーとしての能力も一流。ただ猫だけは苦手。
◇ウィッシュ・ウェイン(22)
JOB:BIS、追放天使
所持U:ブランブルサップ
特徴:天界を追放された天使の末裔。ちなみに母は人間。支援系のエキスパートでGvではその老け顔と相まって"厄介なおっさん"とよばれていた。
◇ブーン・ダーオメン
JOB:⊂二(^ω^ )二二⊃(チンコWIZ)
所持U:ブーンしまくったのでいっぱい。
特徴:株式会社DAME ONの社長の息子。知恵0、知識4000という神的な数値を誇る。他はみんなブーンした120固定品ですませているらしい。ちなみにWIZ全スキルをマスターしている。(なぜかあまり使わない。)Gvでは相手が使おうとしたアイテムを片っ端からブーンするため"クソチンコ"と呼ばれている。
◇アーク・ヴァリー(19)
JOB:GPマシンアチャ
所持U:スクリューフライヤー、シャープ・ベンダー
特徴:なぜか効率の悪いGPマシン。真剣に再振りを考えているらしい。Gvでは全然目立たない。
◇クィーザー・クルアルス(故)
JOB:ウルフマン
所持U:なし(あえて言えば自分)
特徴:糞真面目の熱血漢。いつも言動はアツイ。死に際に自分の魂を愛用の牙に封じ込め旅に同行する。

◇カイル・クルアルス(17)
JOB:わんこ
所持U:クルアルス・クィーザー
特徴:泣き虫弱虫のわんこ。Gvではいつも真っ先に殺される。いつかは強くなるのだろうか。
◇ガンズ・レーン(23)
JOB:パラディン(剣士+BIS)
所持U:エクスカリバー、フォースフィールド、デンスフォーグ
特徴:アウグスタ聖騎士団副隊長。剣士のスピードにBISの回復力を持つ最強職。パラディンになれるのは厳しい試験に受かったものだけ。
◇ナヴィ・レーン(18)
JOB:サマナー、テイマー
所持U:萬波息笛、エリプト・スタイル、ファインウィスパー
特徴:召喚獣にペットを計8体召喚できる。ペットはエルフ戦士長x2、ファミリアEXx2。
◇エラン(253)、ルファ(246)
エルフ戦士長。レーン家代々に伝わる召喚獣でもある。Lvは最近600を超えたらしい。
◇ファミル(8)、ファミレ(7)
ごく普通のファミリア。
◇ヴァレンタイン・ホワイト(?)
詳細は不明。
◇フォビア・リファ(19)
JOB:ネクロマンサー
所持U:ネクロキャビティ、ホロウサークルズ
特徴:幼い頃のトラウマで人間を憎むようになった。いつかは改心するのだろうか。
◇ナンバーズ
JOB:多分戦士
所持U:一つもない
特徴:めんどくさがり。名前の由来はロトからなんとなく。RSの本名は秘密
◇ナンバーズ?
JOB:多分BIS
所持U:同じく一つもない
特徴:語尾に"ごわす"とつく。謎の人物。
 
作るのに2時間かかったorz

108 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/04(火) 10:27:10 [ x1HPIr3w ]
第一章〜 旅立ち 〜

西暦2102年、それは全ての災いの元だった。
天上界から”赤石”が奪われ、地上に悪魔と天使が降りたことからだった。
世界中の人々は見たこともない羽を持つその生き物を見て唖然とした。
次第に人々は、悪魔が持ち降りた”赤石”を求め始める。
これが元で再び起きてしまった「戦争」。
科学の進歩を示すそれぞれの武器の破壊力は、開戦後3日としないうちに
世界を破滅へと追い込んだ。





「さて、そろそろ行くか。」
大きな期待を胸に今日私は旅立つ。私の名は"オルファード"
通称"オル"。ブリッジヘッドの南東に位置する島にある街
”コークタウン”私はこの街に生まれた。
幼い頃に両親を亡くし、何故か街の人々には”悪魔の子”などと呼ばれ
今まで避けられていた。そんな私が旅立とうと決心したのには
2つの理由がある。
一つは、私が9歳の頃、島の南のほうへ行ったときのことである。
突如現れた”ガーゴイル”初めて見るモンスターの恐ろしさに、
私は動くことすらできなくなってしまっていた。
私は恐怖のあまり、死を覚悟し目を閉じた。しかしいつまで経っても
私の意識が途切れることはない。不思議に思いおそるおそる目を開けてみた。
そこには一人の天使が立っていた。いや、天使ではなかった。
天使とは天から授かった不思議な力を使って戦うものだと聞いていたが、
その天使らしき人の手には、この世で作られたであろうと思われる
剣が握られていた。私は人目でその人に憧れた。
その美しい羽に、その透き通った目に、その強さに。
その人のように強くなりたい。これが私の旅立つ理由の一つ。
もう一つの理由は、両親の死と、自分が何者なのかを知るため。
何故私の両親は死んだのか。何故私はこれほどまでに嫌われるのか。
街で誰かに聞いても誰も耳を貸してはくれなかった。
ならば、自分の力で調べるしかない。でもこの理由は正直どうでもよかった。
街を出てしまえば、嫌われていたことなど忘れてしまうだろう。
そう自分で確信していた。

私は旅立つ前に、一人の男にだけ手紙を残した。
『親愛なる”ルーク”へ。 私は今日、西暦2214年10月4日をもってこの街を去る。
        またいつか、必ず、どこかで会おう。今まで本当にありがとう。』

そう手紙を残し、私は月に一度しか来ないブリッジヘッドからの船に乗った。
街を離れるが、悲しみはない。新たな土地への期待だけが私の中にあった。
自分が本当に”悪魔の子”であることも知らずに。。。

「ブリッジヘッドまでは早くても1日はかかるかな・・・ゆっくり休むとしよう。」
私は深い眠りに入った。


第一章〜 旅立ち 〜 END

109 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/04(火) 19:04:44 [ RNukKI.I ]
>>変な生き物さん
感想ありです。拙い駄文ですがそう言って貰えると書き甲斐がありますw
さてリディス、いつでも何処でもナイスな3枚目っぷりですね。
そして、そんな彼に対して時には冷酷(マテ
なツッコミをいれるルエアス、このコンビ好きだなぁw

>>108さん
新連載ですねw主人公の職業が気になります

110 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/04(火) 20:33:14 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十八回目 風の歌を聴け

「こちらへ来たまえ、ジン君」
そう言って時の君が歩き出す、ついていった先は王宮の頂上だ
周りの森を見渡せる場所で、色々なものがそこから見えた
「この景色を見て君はどう感じる?」
「綺麗だな」
「そうだ、私達エルフは木と繋がりの深い種族だ。私はこの森をとてもいとおしく思うよ。
エルフは基本的に争いを好まない、だがこれから起こる戦争は仕方ない事だろう。
ただ一つ覚えていて欲しいのは、敵にも守りたいものがあるという事だ。
人は誰もが生きている。生きてくワケがある。私達はそのワケを奪おうとしているのだよ。
一度全てを失った君ならこの意味が分かるだろう?」
時の君の顔を見るが何も言わないことにする
「それと、天上の街に行ったときに大きな樹を見なかったかい?」
「見たような気がするけど、それが?」
「そうか、何か気がついたことはなかったか?何でもいいんだよ。」
「いや、特には…………」
「その樹はセフィロスと言ってね。神木なんだ、人の感情だとか魔力だとか
そういう物を栄養にして生きているんだよ。だがね、誰かが手入れしないと樹はパンクするんだ
昔は、悪魔と天使の戦争が起きる前は私達が手入れしていたんだがね。」
「手入れって何をするのさ?」
「これを使って魔力や感情を吸い出すのさ、吸い出したのはこれが空気中に放出してくれる。
エルフにしか仕えない特殊な魔法でね」
そういって時の君は赤い石を取り出す
「これは、まさか・・・・」
「そう、レッドストーンだ。オリジナルのね。君に渡そうと思っていたんだ。
君が持つべきものだと思うし、君なら有効に使えるだろう」
手渡された石をじっと見つめる
「さぁ戻ろう、ブリジヘッドへの襲撃は近い。急がないといけないからね」
そう言って時の君は王宮の中に入る

二日後、ブリジヘッドに移動したとき、天使たちが殺戮をしている真っ最中だった

111 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/04(火) 20:39:44 [ hNlLsBE2 ]
>>108
新作期待しています

>>102-105
リディスのキャラが好きです

>>99-100
チョキー氏逮捕ですか・・・・・



ワロス

112 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/04(火) 23:28:14 [ 3J/Ql5NU ]
■RED STONE 第四章■
〜防衛戦〜
スマグ攻撃予定時間まであと10秒、9、8、7、6、5、4、3、2、1、行け!
私の叫びと共に廃人達が突入する。
フォビア『何分持つかしら。』
魔法抵抗の高い廃人ならスマグのウィザードでも容易くはない筈。今回はいざというときの"アレ"も用意してあるしね…。

〜スナッチ視点に移る
スナッチ『…来たな。座標125.68に二体、住宅地にも数体入り込んでいる。』
ガンズ『きたぞっ!』
さらに前方に…おいおい、軽く20体はいるぞ
と、いきなり巨大な竜巻が発生し前方の廃人を切り刻んでいく。
ガンズ『ここは任せろっ!』
頼もしい脇ではさっさとコイツがアイテム拾い。
ブーン『⊂二二二(^ω^ )二二二二⊃』
いつもより気合い入れてブーンしてるように見える。
レオン『はっ!』
すげぇ、3体を氷龍で瞬殺か。
カイル『恐いよぉ…(泣』
…背中にカイルがしがみついて震えている( ゚Д゚)シネヨ
ウィッシュ『神よ今ここに癒しの力を!PTH!!』
頼もしい回復だな。GJ!!
アーク『わきゃー!!』
大量の廃人に追われている。そこにテイマが助けに入る。
ナヴィ『ヘッジャー、スウェルファーは後方守備、ファミ達は前方攻撃、ケルビー、ウィンディは敵後方から追撃、エルフ達はアチャさんの防御!』
常軌を逸脱した能力だな^^;
……なんでこう俺のギルド員は情けないんだ?
 
 
 
スナッチ『ま、それはおいといて、……いるんだろ?そこに。フォビアさんとやらよ!』
言うが早いか近くの草群にスプリッターを投げつける。心地よい音を立てて飛んでいくがビームみたいな物で打ち落とされる。
そして、草群から一人の少女が姿を表す
フォビア『……くると思っていたわ。』
そして、パチンと指をならす。後ろから恐るべき怪物が姿を表す。
スナッチ『デビ・ロンか。』
そこにいたのは破壊神デビ・ロンだった。
フォビア『まだよ。貴方にも敗北の苦しみを、いや、死の苦しみを味あわせてアゲル。』
俺の周りの時空が歪む。
…キングクマーにコロッサス、ホワイトシェードが表れる。
スナッチ『おもしれえ…かかってこいや!』
こいつらは神クラスの化け物達…だが俺は負けない!負けられないんだっ!!
■つづく■
ね、眠い…orz感想は明日でご勘弁を…

113 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 00:46:32 [ RNukKI.I ]
>>ナンバーズさん
キングコロにホワイトシェード、そしてダメ押しのデビ様降臨!
果たしてスナッチは実際にゲームであったら逃走確実のボスモンス夢の競演を倒せるのでしょうか?
そして、そんな状況でもブーンをやめない彼にときめいたww

114 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/05(水) 11:27:53 [ 44undLrM ]
>>99
ぶw
チョキー……確かにあんなに大量の犬を飼ってるなんてありえないと思ってたけど、まさかそんなことをしてたとは。
ほとんどのクエストが一度しか受けられなくなった今、チョキクエと蜘蛛糸収集は数少ないレベル上げクエなのにw
なかなか「ありそう」なのが面白怖いところですねー
激しくGJです。

>>南東方不勝さん
あーあ、言っちゃったw
でも、見た目だけならわからない……のかな?
オフィシャルイラストだとウルフは上半身裸だけど、そのへんどうなんだろう?
よく見ると狼状態でもわかるのかなぁ……
とりあえず合掌

>>変な生き物さん
リディスおいしいなぁ……有能なシーフなのに妙に抜けてたり、いきなりふじこってみたりw
セナさんとの仲はどうなるのかな? かな?
なんとなく、いいお友達で終わりそうな予感大ですが;;

>>戦士見習いさん
オリジナルのレッドストーン!?
なんて恐ろしいものを……
とはいえ、実際にはどうやって使うんでしょうかね。
剣とかの武器ならともかく、石だし……
原石みたいに、使うとなくなったりしてw [R]REDSTONE 原石とか(ぉ
個人的には、叫びながら天にかざすと、光の巨人に変身できるに一票(ぇ
とりあえず、次回からはまた激戦なのかな?
激しく期待です

>>ナンバーズさん
Uいっぱいでウラヤマシス(´・ω・)
決戦なのに、全然緊張感のないブーンとか笑えます。
いや、彼は彼なりにがんばっているのか……?
コロとかデビ様とかシェードとかクマーとか。強敵ぞろいですが果たして!?

>>108さん
悪魔の子……比喩ではないと言う事は、本当にクラス:悪魔なのですかねー?
他者に知られれば迫害必死でしょうが、果てさて、どうなるのか……続き期待してます

115 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/05(水) 11:30:28 [ 44undLrM ]
>>12 >>14 >>39 >>54 >>56-57 >>89-90 >>92-93
 フィーナが一人、墓地に入っていってから数刻後……
 傾き始めていた日はゆっくりとグレートフォレスト山脈の影へと消えていき、夜の帳が辺りを包む。
 月明かりに照らされる獣道を歩くのは、一人の男だ。
 カトレアのコムスンと名乗った、フィーナたちの依頼主。
 その手に握られているのは、狩人の持つ弓ではなく、細身でわずかに湾曲した片刃の剣だ。
 カンテラや松明といった照明装置は一切持っておらず、しかし暗い夜道を月明かりだけを頼りに音を立てずに歩く。
 男はやがて、フィーナたちの向かった墓地へとやってきた。

「――こんばんは。いい月夜ですね」

 唐突に声がかけられる。
 崩れかけた柱の上。優雅に腰掛けているのはメイド姿の一人の女性。
 男は一瞬驚き、しかしすぐに笑顔を作る。

「え、ええ。そうですね。クエストのほうはもう終わったのですか?」
「いいえ。まだ終わってはいませんわ。多分ですけど」
「ふむ、ではなぜこんなところに?」
「待っていたんですよ。あなたを」

 そこで、ミーアの眼が細められる。

「うまく化けたつもりでしょうが、残念でしたね」

 男は答えない。

「確かに、何の変哲も無い町の人間が足音を殺して歩いていては不審ですが……街中の商人ならともかく、仮にも狩猟で生計

を立てている人間は、あんな風にべったりと足裏をつけるような歩き方はしませんよ。
怪しまれないよう、変に演技過剰にしたのが仇になりましたね」
「……はじめから気づいてたってことかい?」
「確証を得たのは壊れた封印を見たときですけど」

 言って、手に持っていた砕けた紋章の破片を男に放る。

「一見それ、動物の爪によるものに見えますけど、違うんですよ。
ブリッジヘッドのシーフたちの一部が使う……暗殺用の鉄爪です。そうですよね?」
「よく知っているな」

 男の声音が変わる。
 人畜無害な村人から、闇を孕んだ影の住人へと。

「ええ。知っていますよ。とても良く――ね」

 ミーアの言葉に、わずかに苦いものが混じり、しかし一瞬で元の笑みに戻る。

「お嬢様はまったく気づいていませんでしたけど。
まあ、仕方ないですよね。だって普通は――」

「義理とはいえ、自分の母親に暗殺者を差し向けられるなんて思わないでしょうから」

116 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/05(水) 11:31:09 [ 44undLrM ]
 月明かりの下、二人はそのままの姿勢で動かない。

「せっかくお嬢様が問題になるのを嫌って家を出たというのに。
彼女はそんなに怖いんですかね。妾の娘に財産を取られるのが。――と、彼女に雇われたあなた方に愚痴っても、仕方の無い

話でしたね」

 あなた方。確かにミーアはそう言った。
 だが、男はそれに気づかない。

「いや、構わんさ。最後の言葉を聞いてやるくらいの慈悲、我々にもある」
「それはご親切にどうも。でもご心配なく。だって、最後の言葉となるのはあなた方の言葉ですから。
さあどうぞ。言いたいことがあれば聞いて差し上げますよ?」
「ハ、なかなかに自信過剰な――」

 言いながら、男が動いた。
 纏っていた夜風よけのマントが大きく翻り、そして、銀光が二つ。
 ついで聞こえるのは夜気を裂いて飛ぶ何かの音と、くぐもった悲鳴。そして重たい何かの落ちる音。

「な――馬鹿な!!」

 男が大きく動いて気を引いた瞬間、陰に潜んでいた彼の部下がミーアに襲い掛かるはずだった。
 だが、陰から二人の男が飛び出した瞬間、ミーアの投擲した短剣が男たちの急所を正確に貫いたのだ。

「気配がばればれです。シーフギルドの質もずいぶんと落ちましたね」

 ミーアの声は完全にいつもどおり。
 戦いの興奮も、相手への嘲りも、人を殺したことへの罪悪感も。何も浮かんではいない。

「1の2の……今亡くなった方も含めて11人、ですか?」
「ぐ――」

 正確に数を言い当てられ、男が言葉を失う。

「あら、本当に? てっきりこれはわかりやすい囮で、本命が隠れているのかなどと勘繰ってしまったんですけど」

 口元に手を当て、まあびっくり、とでも言いたげなミーアに、男の部下が切れた。

「貴様――ぶっ殺す!」
「よせ、熱くなるな!」

 制止の声も振り切り、部下のシーフが走る。
 柱の上のミーアに向け剣を振りかぶり、瞬間その姿が掻き消える。

 高速の歩行術で、一瞬にして彼女の背後へと回ったのだ。
 柱の上へと飛び上がり、無防備な彼女の首筋めがけ、刃を突き立てようと――

「なぁっ!?」

 だが、その体が空中で、何かに絡め取られたかのように停止する。
 そしてミーアはゆっくりと柱の上に立ち上がり、指を二本立てる。

「あなたは、二つ間違っています。
ひとつ、一流の暗殺者は決して『ぶっ殺す』なんて言いません。なぜなら、暗殺者がその言葉を頭の中に思い浮かべた時、実際

に相手を殺していて、もうすでに全ては終わっているからです。
だから一流の暗殺者はそんな言葉は使わない。使っていいのは唯一つ『ぶっ殺した』と言う言葉だけ――」

 いつしかミーアの手には、無数の煌きを纏うリングが填まっている。

「そしてもう一つの間違い。
あなたに、わたくしは殺せない――」

 そこで男は部下を捕らえているものの正体に気づいた。
 それは、絹糸より細く鋼鉄よりも強靭な糸だ。
 彼女の指輪に結ばれたその糸が、いつの間にか蜘蛛の巣のごとく張り巡らされ、男の部下を束縛しているのだ。

「さっきの言葉の実践例、お見せしますね」

 そう言って、ミーアはわずかに右手を振った。

「ほら、『ぶっ殺した』」

 たったそれだけの動作で部下を捕らえていた糸に数十キロの負荷がかかり、哀れな犠牲者の体をばらばらの輪切りにする。


 男は思い出した。
 部下を殺した鋼糸の正体。
 かつて風の噂に聞いたことがあるそれは――

「今のは――スティールリーチの鋼糸!?」

 それは今は壊滅したはずの、ブリッジヘッドのとあるシーフギルドの使っていた暗器だ。

「ブラック……ウィドウ――っ!!」

117 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/05(水) 11:51:05 [ 44undLrM ]
〜断章・Ⅱ ブラック・ウィドウ〜

 数十年ほど前。
 フランデル大陸全土で恐れられていた暗殺者集団があった。

――ブラック・ウィドウ

 構成員は子供から老人まで多岐に渡り、そしてそのすべてが優れた暗殺者であった。
 気品あふれる淑女の顔で、あどけない子供の顔で、いたいけな老人の顔で。
 犠牲者の油断を誘い、そして無慈悲に命を絶つ。

 彼らは身寄りのない子供たちを引き取り、そうした子供たちを優秀な暗殺者として育て上げた。
 一説によれば、最盛期にはブリッジヘッドの孤児の半数以上が何らかの形でブラックウィドウの構成員となっていたという。

 だがブラックウィドウの指導者だったアルダ=ウィドウが突然の失踪を遂げる。
 そしてその後釜を狙い、幹部たちが暗躍し始めた隙をつくように、ブルンのギルド連合が動いた。
 スマグ・アウグスタ・ハノブ・アリアン・ブリッジヘッド、そしてブルンネンシュティグ……。
 数百数千を越える冒険者たちがブラックウィドウ壊滅に乗り出し、無数の犠牲を出しながらもこれを壊滅させたのだ。

 組織の暗殺者のほとんどは、例え子供や老人であってもことごとく処刑された。
 また、わずかな生き残りも、他のシーフギルドによって殺され、あるいは新たな組織幹部として取り込まれた。

 そして今。
 その名はもはや過去のものとなったはずである。
 多くの者は、そう信じている……

ブリッジヘッドギルド所蔵 ブリッジヘッドの闇・第12集より

118 名前: FAT[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/05(水) 13:40:57 [ as6YKKyo ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63(22)




ついに、フプレの出所の日が訪れた。馴染みのメンバーが集まり、
“秘密の花園”から彼女が出てくるのを心待ちにする。フプレを喜
ばそうと各々にプレゼントを持ち寄って。

「ふふふ、フプレは絶対に私のプレゼントを一番気に入るわ。」
クレナが不敵な笑みを浮かべる。
「ほう。僕のよりも自信があるのかい?クレナ。」
これまたレニィも自信に溢れた目をしている。
「二人とも私を差し置いて何言ってるのよ。18年を共にしてきた
私のプレゼントが一番よ。」
負けじと私も口を挟み、三人の間に火花が散る。

タカさんとジョーイは自信がないのか、くだらないと思っているの
か、はたまたあまりにプレゼントが豪華なので敢えてそうしている
のか、三人の間に入ってくることはなかった。

間もなくして重い鉄格子の門が開き、看守に四方を固められ、厳重
にもてなされたフプレが姿を現した。彼女は半年振りに見る外の世
界に心奪われた。
フプレの脳裏にある最後の景色は、山々の美しくも切ない赤や黄の
紅葉が散り、木々が裸に近いみすぼらしく、哀愁を感じる姿を曝し
ているものであった。それから半年間、フプレは一切外の世界を覗
くことができなかった。運動のため牢から出れることはあっても、
全て“奈落の園”内の施設で済まされてしまっていたからである。
そんなわけで美しくて力強く、活き活きと活力を漲らせている緑の
草木の前に、私たち一向の姿は眩んでしまったのだ。

『フプレ!おめでとう』
一同が口々に祝いの言葉を放ちながら駆け寄る。そこでようやくフ
プレは私や友人たちをはっきりと意識した。嬉しさに目を細め、口
元を緩める。そこに私とクレナは争うようにフプレに抱きつき、懐
かしい、無邪気な笑い声が響きあう。

「さあ、フプレ、これを受け取っておくれ。僕からの出所記念だ。」
私たちのじゃれ合いが飽きるころを見計らい、レニィが細綺麗な包
装の小箱を差し出す。
「レニィ・・・ありがとう。箱、開けてもいい?」
頷くのを確認してから、包装を丁寧に剥がしていく。やがて木の小
箱が出てくるとフプレは中身を察知したらしく顔を赤らめた。胸を
高鳴らせながら蓋を開けると、質素な、でも決してちゃちでなく、
磨き上げられた美しく滑らかな表面いっぱいに太陽光を反射する眩
しい銀色の指輪が入っていた。
彼女がもう一度レニィを見ると、素敵な王子様のように爽やかな笑
顔を見せた。ここでフプレは嬉し泣きしてしまい、残ったメンバー
はなんとなくプレゼントを渡しにくい雰囲気を感じた。

119 名前: FAT 投稿日: 2005/10/05(水) 13:41:39 [ as6YKKyo ]
結局彼女の感動のおさまったところで私たちもプレゼントを渡した
が、誰もレニィほどの上物をこさえられなかったし、タイミングも
悪かったので、今回の勝負はレニィの圧勝に終わった。
中でもジョーイは笛のよだれ取りなどというくだらないものを献上
したのでフプレの反感を買い、しょげていた。



「すごいことになっているわねぇ、これは・・・。」
半年振りに宿舎に帰ってきたフプレは部屋に足を踏み入れるなり愕
然とした表情で私を見た。
「フラン、あなた昔からそうだけど部屋の片付けくらい自分でやり
なさいよ!なんなのこの有様は。一人になるとすぐこれなんだか
ら!もうっ!!」
出所したてのフプレに私はこっぴどく叱られてしまった。彼女に言
い訳はしなかったが私だって毎日仕事に面会にと休みらしい休みが
なかったのだから仕方がないと言えば仕方がないじゃない!!

・・・という思いは片付けを進める内に消え去ってしまった。

次々と発見される私の探し物。ペンにクシに時計にハサミにその他
もろもろ。いずれも私が無くしたと思い新たに買いなおしてしまっ
たものばかりだ。こうゆう物ならいくらでも出てくるごとに歓迎で
きるが、次の領域の埋蔵物は私たちが生きてきた中で最強最悪の変
身を遂げていた。

120 名前: FAT 投稿日: 2005/10/05(水) 14:19:49 [ as6YKKyo ]
>> 名前が無い@戦士見習いさん
ジンにオリジナルレッドストーンが!?ただでさえ神なジンはこれで恐いもの
無しですね。戦争の最中のジンの活躍楽しみです。

>> 変な生き物さん
リディスのキャラが光まくってますね。ここまで活き活きと書けるなんて尊敬
しちゃいます。

>> ナンバーズ さん
ギルメンに報われていないスナッチどまいです。それにしてもオールスター戦楽しみ
です。スナッチギルドの汚名返上に期待です。

>> 南東方不勝さん
ジャックもギルもかっこいいです!特にジャックの能力は使い勝手が良くて
好きです。光線を引き付けるとかそんな使い方もあるんですね。
さて、次回はギルの死から始まりそうですね・・・・・。

>> サマナの人さん
ヴェイアかっこいい〜。そしてフィーナの怒声もかっこよかったです。
二人がそんな関係にあったとは驚きです。愛した人の子孫ですか、良いですね!

お、ミーアの正体が少し見えてきましたね、ただのメイドではないと思って
いましたが・・・すごいですね。そして暗殺者を雇ったのがフィーナの母親?
どんな家庭に住んでいるのでしょうか?謎が残ります。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
実際にスキルやダンジョンを見ようと思うとホントにリアルの時間が足りません
よね。気長にがんばってください。(完全想像でもいい気も・・・)

>>99さん
久々に笑いました。GJです。
やっぱり短編ものが入ってくるとこのスレが明るくなるような気がします
ね。次もあれば期待しております。

>>108さん
深い訳ありの主人公ですね。「悪魔の子」とは・・・?ルークとは・・・?
連載が楽しみです。

121 名前: RED STONE小説・オマケ アーネイトの一日(上) 投稿日: 2005/10/05(水) 14:58:42 [ rd32Yaq. ]
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105 作者:変な生き物

俺の朝は光で始まる
丁度顔の部分に朝日が入るようにしてあって朝日の光と共に起きる。
起きたらズボンを着て家から外へ出る。

外へ出たら日課である格闘術の練習を始める
一撃をより当てやすく、一撃をより重くするため試行錯誤する
とはいえども俺にはまだやらなきゃいけないことがある。
それは「リディスを起すこと」と「朝飯を作ること」
…リディスは凄腕のシーフなんだがどうも朝が苦手でついつい寝坊してしまいがちだ
俺が同居する前までは「遅刻魔」「朝日に弱いヴァンパイア」など散々言われてたらしい。
さらに料理を作るのも苦手ときたもんだ
「リディスおきてるか? っておきてるわけねーか…」
起すのを後回しにして棚からエプロンを取り出し朝食の準備に入る。

狼のままで一日が始まり、狼のままで一日を終える毎日
無論入浴時も、調理時も、食事も、くつろぐ時も、一人だけの時も、眠る時も。
ウルフマン体質のウィザードでもまずやらないような特殊な生活をしている
まぁこれには色々と訳があるんだが、リディスが起きたからここまでな。
「おきたか、自力で起きるってのはどういう風の吹き回しだ?」
「ふぁぁ、いや別にー」
そう適当に流してできたての目玉焼きつきトーストをほおばり始めた
丁度口一杯になったところでこう言った
「ふーん、セナの影響ねー」
リディルがほおばっていたを目玉焼きつきトーストを見事なまでに喉に詰まらせた
その光景を見て笑いながら朝食を食べ始める。

・古都ブルンネンシュティグ 昼間
≪廃人行きパーティを橋上にて募集中ー!あと3名様!≫
≪井戸前にてオークション開催中!≫
古都は今日も実に賑やかだ、周囲には露店が建ち並ぶ
募集の呼び声、道具取引の会話、ギルド勧誘の声、怒鳴り声、たまにいびき
そんな中、珍しく上着としてジャンパーを着ているウルフマンが一人
手にもった地図を確認しながら一人の戦士に駆け寄った
「アルパス地下監獄地下2階行きパーティの募集はまだやってるかい?」
「OK入れるw」
戦士がおもむろにポケットに入れてた冒険者必需品の魔石
「希明の水晶」を二つ取り出し、そのうち一つを俺に渡した
「募集したんでコールよろw」
『少し待ってて』
そう言ってからすぐに周囲が真っ暗になり、一瞬で地下監獄へとたどりついた
詳しい理論はわからないがなんでもこの水晶を持っているときに追放天使が
水晶に特殊な魔法を発動するとその天使がいた場所へ同じ水晶の持ち主が移動するという仕組みらしい。

転送された直後いきなり火炎弾が肩に直撃した、リプリートマーキという魔物による魔法攻撃だ
素早く走り出し、数発ほど火炎弾を受けるが懐に飛び込み強烈な鉄爪による斬撃を見舞う
とはいえども流石に一撃では倒せないと本人も熟知していた
素早く体を回転させ、勢いに乗り片手を軸にして回転しながら足でリプリートマーキの骨を砕いた
『クローローラー』を自己流で発展させた技が思った以上に上手く決まり安心した、が。
「ちょ、助けてくれぇ!!!」
「チッ、大丈夫か!」
今度は巨人骸骨とタフジャイアントに囲まれた戦士の援護に回る、後ろを向いている巨人骸骨へ一閃
そのまま蹴りを一発あびせて壁にたたきつけ、よろよろになった戦士の側へ。

122 名前: RED STONE小説・オマケ アーネイトの一日(下) 投稿日: 2005/10/05(水) 15:01:22 [ rd32Yaq. ]
「遅いぞ!…オネガイコイツナントカシテ」
タフジャイアントが俺の存在に気がつき、俺に狙いをあわせて蹴りを放った

避けられないと悟り、素早く軸をずらし受けるダメージを減らした、が
「…2発目か!」
もう片方の足で蹴られた、軸に直撃し骨にひびが入った音と共に壁へ吹き飛ばされる
その直後タフジャイアントの背後に連続で爆炎が立ち上る、WIZの火炎柱連発が直撃したようだ
後ろを振り向くタフジャイアント、火傷でただれた背中…その機会を逃さず走り出す。

背中にできた火傷めがけてアームプロテクターに仕込んだ鉄爪を振るう
一発・二発・三発・蹴りで四発、そして最後にを傷口めがけて突き刺し、ひねった。
チェーンドクローが決まり、ゴキンという背骨の折れる音を立て、タフジャイアントは地面に倒れた
「い、今すぐ回復します!」
「俺はいいからあのタコ殴りにされてる戦士さんを回復してやんな」
親指を戦士の方へ向けた、魔物にボコボコにされてる先ほどの戦士がいる
俺は必死に戦士相手に回復魔法をかけているビショップを横目にポーションを火傷に塗った。

・リディスの家 夜
「帰ってきたか、ってまたハデにケガしてんなぁ」
「お前も少しは狩りに行けっての」
家に入ってすぐにジャンパーを投げ捨てた、血や返り血で汚れてる
「おーまた珍しくどハデに汚したなー、微妙にコゲてるし」
「今日はアルパス地下監獄へ行ったんだが結構苦戦してな、足を引っ張る奴が…
 ん、この匂いはシチューか?お前いつから料理が作れるようになったんだ?」
「いや、あの、そ、そうそう!俺が作ったんだぜ!」
席についてからシチューを眺め、一口飲んだ
「お前セナからおすそわけしてもらったな」
「いいねぇその鼻、匂いでばれたか」
「ったくいいお隣さんができたもんだな、セナに負けないように料理練習しろよ」
笑いが部屋を包む、二人とも笑いながら一日の雑談をする。
…食事を終え、風呂上りで湯気が立っている腰巻だけの格好で部屋に入り鍵をかける
腰巻一つで他に何も着ずにベッド体を預ける、これでまた一日が終わる。

命を賭けた日々、…そういえば希明の水晶がなぜ「冒険者の必須品」なのか、話してなかったな
瀕死状態になると生命力の減少をキーに水晶中の魔力が発動し、街に戻ることができる

…だが確実ではない、転移不能になることもあるし、ましてや死んでは転移は出来ない
故に冒険者はいつも生死をかけている。
だけど止める気はない、俺もリディスも目的があるからな。
「ふぅ、今日も石の手がかりは無しか」
『赤き石』
あれに俺は……、俺は……あの石を探している
だが自分でもよくわからない、「探す理由」が

理由はなかった、だけど探さずにはいられない、使命のように感じている。
…なぜあの石を追うのか、それを考えてるうちに意識は徐々に闇へ沈んでいった。

123 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/05(水) 15:29:27 [ rd32Yaq. ]
どーもコンニチワ、変なナマモノです。
「冒険者の日常ってどんなものかな」とか考えながら適当に書いていきました
そのため誤字が結構あるかも…、あと勝手に水晶とか出てきてるけど当然の如く
ゲームに関係はございません、妄想です。

>>ナンバーズサマ
ぶっはぁ!凄いキャラの数!
そしてU持ち多いなー、どのキャラも相当な実力を持ってるようで
アーネイトとリディスが戦ったら瞬殺されるでしょうなw
そして王様クマーにコロ、ビームが憎いホワイトシェードにデビ・ロンと
なんつうかもうプレイヤー泣かせの競演ですな、先が気になります
そして相変わらずブーンは元気ですな 実は隠れた癒し系?

>>108サマ
悪魔の子、幼い頃に両親を亡くした、”ルーク”…
妄想素材満点ですな!ごめん妄想がとまんない
先が非常に楽しみです。

>>南東方不勝サマ
常時三枚目、それがリディス。
常時ツッコミ、それがアーネイト。
個人的にも好きなコンビです、リディスは割と二枚目な顔してたりしますが
しゃべりだすともう完全に三枚目なのが玉に傷だったり。
ちなみにリディスは年齢=恋人居ない暦… ッテナニヲスルキサマー!! ブホッ

>>名前がない@戦士見習いサマ
お、オリジナルのレッドストーンッ!?そうきたか!
オリジナルってことは模造品とかもあるのかなとか考える俺…
ただでさえ強いジンが大暴れの予感、絶対相手シタクナイナァ…。

>>サマナの人サマ
め、メイドさんは実は暗殺者とはまぁ凄いですな、驚愕
そして親が…ごにょごにょ、なんかもう影の世界ですなぁ。
にしてもミーアが強い強い…鉄線を使うリディスも真っ青です
このマヌケに一度暗殺ってもんを伝授しちゃってください、体に直接。
>セナさんとの仲はどうなるのかな?
それは自分でもわかりません、全てはリディス次第ですわ

>>FATサマ
フプレを取られて部屋の片付け… 災難っすな
部屋を片付けるとなくしたものがボロボロと出てくるのもよくありますねぇ。
そんな自分は部屋のすみっこに小学一年生の頃になくした定規が…
もうおそいっつーの…OTZ
>リディスのキャラが光まくってますね
なんつうかもうぶっちゃけ自ら光を生み出してますから、リディス
っていうか大人気やなぁ、アーネイトガンバレ


…アーネイトがエプロンをつけるときも上半身裸だという事に今更気がついた
(上半身)裸エプロンですかそうですか、パヤッパッパッパー I 吐血!

124 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 17:55:34 [ RNukKI.I ]
さぁて、就職試験落ちましたorz
ま、気にせず感想の返事をばww

>>サマナの人さん
メイドさん、強いですなぁ。糸を使った暗殺・・、うちのギルはそんな器用な芸当は出来ませんな^^;
肉親からの暗殺依頼・・、この時代感ならありそうですね。「異星人よりも身内が怖いものです・・。」
という、とあるアニメの台詞がよぎりましたなぁ・・。
あと、アニーの件ですが公式設定を見ると「身体能力の強化が最優先されている」と言う風に
自分には取れましたので、ウルフ時は女性らしい身体的特徴はなりを潜めている。
と考えてください^^;

>>FATさん
ギルの死による開幕・・。それは当然ですが、予定ではアニーも後で地獄を体感することになりますw
(体感させてくれるのは、もちろん『彼女』ww)
フプレ嬢、祝出獄w
しかし、マリー嬢一行との激突は必至でしょうなぁ^^;シエルも出しゃばってきそうですね、そのときになったら

125 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/05(水) 18:25:42 [ /2n.TPdU ]
■RED STONE 第四章■
〜生と死の狭間〜
スナッチ『うぉぉぉぉ!』
まず一番弱い(?)筈のコロッサスを相手取る、打撃が通用しにくいため暗殺を狙う。
ギヤァァァァアア!!
寄生をあげながらホワイトシェードがビームを放ってくる。
スナッチ『フン…見え見えだ。』
仰け反りつつ威嚇のダーティーフィーバーを放つ。
敵全体が油断している隙に確実に暗殺を…ぐっ!
スナッチ『な、なに…』
後方の完全な死角から小さな矢が飛び、刺さった。
フォビア『本体が何もできないと思って?』
手には小さな笛みたいな物が握られている。おそらく吹き矢だろう。麻痺系の毒が塗られている。
クマー!!ウォ゙ォ゙ォ゙!!ギャアアアア!!
スナッチ『ぐあっ!!』
mob達の猛攻を受ける。肉が千切れ体中が焼かれていく。
フォビア『もう終わり?光速殺のスナッチ…所詮この程度なのね。』
常人なら確実に死ぬだろう傷を負い倒れこむ。
意識が遠退く。目の前が真っ暗になる、…これが"死"なのか…
 
〜そのころレオン達は
ガンズ『くそっ!なんだこいつら!』
何回トワーで切り刻んでも再生する。唯一水属攻で破壊可能だった。
レオン『うらぁっ!出でよ氷龍!』
周りの廃人達を凍り付かせる。それを破壊していく。
ベルフェ『ちっ!こいつらを止めるには本体を倒さねば!』
カイル『スナッチ〜本体倒せだってさ〜……あれ?スナッチ?どこいった?』
周りを見渡すが気配はない。
代わりに2人の人影が歩いてくる。
レオン『な…どういうことだ…』
ベルフェ『フォビア…舐めた真似しやがって…』
そこに立っていた二人…それは…
スティード・ライアン、
ユライス・ライアンだった。
■つづく■

126 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 19:27:30 [ RNukKI.I ]
>>ナンバーズさん
す、スナッチィィィィィィィィィ!果たして彼は無事なのでしょうか?
そしてフォビア嬢、親しい人の死体を利用するのはネクロの常套手段のようです。
うーん、鬼t(ry

>>102
ん、なんだろう・・。オイラが喋ってから周りの空気が重いんだけど・・。
「・・・餓鬼、今なんて言うた・・・!?」
うわ・・、なんか目の前にいる『旦那』の様子がおかしいんだけど・・。
オイラのシックスセンスが今まで生きてきた中で最もざわついている。
「『旦那』やと・・・?ワレ、ウチの事『旦那』って言うたよなぁ・・!?」
(やばい、なんだか分からないけど非常にヤバイ!!)
しかし、「旦那」に睨みつけられてからどうにも体の反応が鈍い・・。
兄貴に助けを求めようと視線を動かす。すると・・・、
(兄貴、何でそんなに離れたところに!?)少なくとも、100㍍はあるぞ。
そんなオイラの視線に気付いたのか、兄貴は
(すまんが、そうなったアニーを止められる奴はここにはいない。諦めろ・・。)
ものすごく憐れみが籠もった視線を返してくれた・・。
「ウチは・・、」
ん、狼の方がなんか言ってますよ?というか、何で自分のことを女みたく「ウチ」って呼ぶんだろう?
・・・・!まさか・・!?
「ウチは・・、『女』やぁぁぁぁぁぁ!!!」
やっぱりそうでしたかぁぁぁぁぁ!

ズドォォォォォォォォォン
「おぅ、これまた随分派手に爆発したな・・。」
アニーの「爆発癖」を充分に知っている俺は、そんな感想を漏らした。
「ギルにちゃんと説明しなかった俺も俺だが、自業自得だな。」
アニーは自分が男に間違われることを、極端に嫌っている節がある。
しかし、「身体能力の向上」を最優先とするウルフマンは、そういった「女性的な体つき」
を維持することは無い。よって、男に間違われるのは仕方が無い。
(ま、あれでも人間の時は美人な部類に入るんだがな・・。)
だが、ここまで大規模な爆発を起こしたとなると・・、
「アニー、先にお悔やみを申し上げておこう・・。」
多分、戻ったら呼び出しだな。確実に・・。

127 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 19:49:42 [ RNukKI.I ]
閑話・戦乙女、かなり怒る
古都・とある食堂にて
リリィ「フフ・・、フフフフフフ・・・。」
街の人A(以下A)「おい、どうしたんだよ。あの子?あの建物から出てきてから、ずっとあの調子だぜ。」
街の人B(以下B)「ん。うお、なんだかすんげぇ怒りようだな。可愛い顔が勿体無いぜ・・。」
A「何がどうしたら、あんな風に周りに怒気を放つほどに怒れるんだろうな?」
B「さぁ?大方、彼氏に酷いフラレ方をされたんだろ。」
リリィ(・・、今朝早くジャックの件で謝ったと思ったら今度はアニーが・・。
戻ってきたら、徹底的にしごいて差し上げてやるわ!!食べられたケーキの
件も含めて!!!!)
リリィ「フフフフフフ、フフ、フフフフフフフ・・。」
A「とりあえず、勘定払うか。なにか関わったら無事にはすまない様な気がする。」
B「同感。触らぬ神になんとやらだ。あの子を怒らせた奴に同情するよ・・。」
A「俺もその意見に賛成だ・・。」
それから数時間後、古都のとある建物から凄まじい少女の怒鳴り声が木霊した。

128 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 19:52:02 [ RNukKI.I ]
さて、ギャグ物を幕間的な話で入れてみましたが・・、
ムズカシイナ、ギャグッテorz
これからも、精進せねば・・。

129 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/05(水) 21:27:04 [ 3J/Ql5NU ]
ども、ご無沙汰しておりますナンバーズです。
感想遅くなり誠に申し訳ない。
では感想逝きます。
>>@戦士さん
ついにオリジナルRED STONE出ましたか。
真のRED STONEとまがい物のRED STONEの勢力の戦いですか。
天使と悪魔の力を持つ主人公ジンはこの危機をどう乗り越えるのでしょうか。
>>FATさん
フプレついに出所できましたか^^
ちゃっかり指輪をプレゼントしたレニイ、もしかしたらフプレに気があるのかな?
 
 
なにげによだれとりプレゼントしたジョーイワロスw
>>サマナの人さん
鋼より強力な糸で切り裂く…
どっかのマンガで鋼線にダイヤモンドをちりばめた武器があった希ガス。
とにかく殺傷力高いんだろうなぁ。
>>変な生き物さん
これでナマモノと読むのか...φ(.. )メモメモ
戦うウルフマンの一日ですね。
多分あの戦士は俺だったかも…(まだアルパB2LvOTL)
>>南東方不勝さん
いつも素早い感想ありです。自分も行き当たりばったりなんで構成がしっかりしてて尊敬します^^
 
何でこんなに時間が開いてしまったのかは内緒w

130 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/05(水) 21:32:14 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第十九回目 死ぬための生き方

天上、風が刃の形をとり、水は土を腐らすほど澱んでいる
天使たちが結界を交代で作っている一部の地域だけが人々の生活するスペース
地獄の君主オルロワージュは漆黒の翼を駆使してそびえ立つ王宮の頂上へ飛んでいる
齢一万年をも超える悪魔だが羽の力は衰えておらず、宿敵のラスタバンの待つ場所へと向かう
王宮の頂上にあるテラスから中に入る。そこには白い翼を持つ老人が居る
「久しぶりだなオルロワージュ、前の戦争以来だ」
「そうだなラスタバン、白薔薇が死んでから何年になる?」
「忘れてしまったよ、お互いに歳を取った。残された時間は少ない、昔話をしに来たわけではなかろう?」
「ああ、過去を清算しにきた。貴様の野望はここで終わる」
「そうかな?一度転がり始めた岩はあるポイントを超えると止まらなくなるがな」
「貴様を滅ぼして、過去の過ちを正そうぞ」
そう言ってオルロワージュは何もない空間から剣を取り出す
「ドラゴンスレイヤー・・・・今の貴様には扱えまい?」
そう言ってラスタバンも虚無から短剣を二つ取り出す
「エクスカリバーとアンドゥリル、年老いた貴様に扱える代物ではなかろう」
どちらも同じ意味のセリフを吐いて懐から石を取り出す
「Green AlexandriteとWhite Diamondよ、われに力を与えたまえ」とラスタバン
「Black Opal、Yellow Topaz宿敵を討つ力を」とオルロワージュ
どちらも同時に石をかかげると、それぞれの石が一条の光に変わり各々の体に吸い込まれる
オルロワージュが片手で空中に魔法陣を描き始める。空間にひびが入り
そこから龍が頭を出す、空間が砕け三つの頭を持つ龍が突如として出現する
王宮が崩れ、そこからラスタバンと龍に乗ったオルロワージュが空へと躍り出る
「神龍アルバトロス、命と引き換えに召還する龍だ。ラスタバン」
ラスタバンが拳から光輪を飛ばす、オルロワージュは的確にそれを剣で切り裂く
オルロワージュが剣を振るうとそれぞれの龍から炎、雷、氷が吐き出される
結界でそれを打ち消したラスタバンは接近してオルロワージュと剣を交える
「ラスタバン!」
「オルロワージュ!」
二人の剣がぶつかり合い、周りの空気が一瞬揺らめく
世界は果てることのない混沌に飲み込まれようとしていた

131 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/05(水) 21:56:33 [ hNlLsBE2 ]
>>サマナの人さん
メイドさんTUEEEEですね
ちなみに某ライトノベル小説でも同じ武器を使うキャラクターが出てきました

>>FATさん
フプレ出所しましたね
汚い部屋からは何が見つかったのでしょうか?

>>ナンバーズさん
デビ・ロンやらクマやら
何がなにやら、どうなるんでしょう次回は?

>>変な生き物さん
ファンタジーな日常がいいですね
次に期待です

>>南東方不勝さん
爆発しましたね、リリィやアニーや爆発する人がおおいっすね


自分の作品なんだか変な石まで登場する始末
妄想広げすぎな今日この頃・・・・・・

132 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/05(水) 23:00:43 [ RNukKI.I ]
>>ナンバーズさん
暇なときに見てますからねぇ。(デスペナ中とか)
まぁ、妄想力が達者なだけです。^^;

>>戦士見習いさん
そういえば、現時点の女性陣は皆爆発してますね^^;
まぁ、アニーにいたってはほんとに爆発してますよ。ハウリングブラストでw
さてオルワージュ、元ネタとは違い良い人(?)ですねぇ。
まぁ、オリジナルな物が混ざっちゃうのがSSですよw

133 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/06(木) 00:10:17 [ RNukKI.I ]
>>126
アニーのハウリングブラストをくらって息も絶え絶えなギルにフルポを渡す。
「家のギルド、結構怒り方に問題がある奴が多いから気をつけろよ。」
「ソレヲハヤクイッテクレ、アニキ・・。」
そういってギルは、フルポを一気に飲み干す。
ギルがフルポを飲み終わるのを確認してからアニーが、
「ええか、ギル。次、ウチのこと『旦那』言うたらチェーンドクローで膾にしたるからな!」
「以後気をつけます、アニーの姐御・・。」
ふむ、とりあえずアニーの機嫌は直ったみたいだな。
「急ぐぞ、お前とギルのコントで大分時間を食った。」
そういった俺に対し、二人は渋面を浮かべながら頷いた。

同時刻、オート監獄北西部よりさらに北西へ12㎞地点
「イスラフェルの半身がやられた。」
「だが、よりしろは鉱石郷(ハノブ)で活動中であろう・・。」
「イスラフェル、第7位魔・・。『増殖』と『分裂』の使徒・・。」
「だがあの男何故、第9位魔(マトリエル)の能力を使役する・・?」
「否、第9位に非ず。彼の者、第13位魔(バルディエル)に取り込まれた。故に彼の力、第13位魔のモノ也。」
「第13位魔・・、『裏切り』の使徒・・・。」

30分後、ハノブより東に2㌔地点
「そういえば、兄貴っていつもあんな二刀流で戦ってるのかい?」
ハノブへと急ぐ道中、ギルがこんなことを尋ねてきた。
「いや、いつもじゃない。大体、戦士の武器は両手持ちを前提に作られているだろ。
それに、いくら伝説の武器と言っても『ザウバモルダー』自体の武器性能は優れているとは
言い難い。あんな、型外れな戦い方をするのは魔法を得意としている奴の時だけだ。」
俺はそう答えた。ひとしきり納得したところでギルは、
「そういえば、兄貴のその『能力』ってどうやって身に付けたんだい?」
「生まれつき、としか言いようが無い・・。」
「ふーん、詳しいことは分からないんだ・・。」
そう言ったきりギルは喋らなかった。
・・確かに、何故俺が生まれつきこんな「能力」を持ったのかを考える必要はあるだろう。
(だが今は、ハノブの件を片付けるのが最優先だ。)
そうして10分後、俺たちはその問題の鉄鉱山があるハノブに到着した。

134 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/06(木) 00:12:22 [ RNukKI.I ]
うーむ、敵の名前を考えるのが面倒でE○Aからパクッてきちゃいましたorz
そういえば、こいつらの順番ってこれであってたかなぁ?

135 名前: 記者A 投稿日: 2005/10/06(木) 01:09:27 [ XHqQy8hs ]
古都日報No2

違法薬物?露天取引法のグレーゾーンに捜査のメスが入る。

【無限弾丸】、この一言はアーチャーの方々のみならず高額で取引されるキーワードの一つであることは市民にも深く知られている。
先日詐欺罪とは別件として珍しく露天取引法容疑で噴水下に露天を構えていたN.A氏の露天に白昼の大規模な手入れが行われた、
捜査員もまた異色な陣容で大半はスマグウィザード連盟の魔術鑑定士達。
なぜそのような人物たちが捜査に加わったかといえば立憲に当たっては細心の注意が払われたためにあった。
皆さんもご存知であろう稀有な香りと滋養分で肉体と精神に安らぎを与える「花」…それに【無限弾丸】の魔力が込められているものとして10億の値段で売り出されていたのであった。

結果に関しては捜査員たちはこう語った。
「これには我々もも細心の注意を払う必要があった、なぜならもし摂取してもなくならない花だとすれば現在の薬価流通価格に大幅な変動をもたらすはずであるからだ、これならば10億
としても妥当な値段の可能性もある。先ほどスマグの先生に鑑定していただいた所確かに【無限弾丸】の魔力は存在するとの結果であった。実際の効果がどうであれ珍品を求める方々へ
の価値もあるかもしれない。N.A氏に確認しようとしたが残念ながら非常に深い眠りに入っており今回は立件を見送ることとさせていただいた。」とのこと。

ただ、もし期待する以上の効果をもたらす【無限花】であればベルトに忍ばせておきたい逸品であるには間違いないだろう。
(なお今回は実名報道を控えさせていただきます。)

136 名前: 記者A 投稿日: 2005/10/06(木) 01:10:59 [ XHqQy8hs ]
ネタがネタなので記者と名乗らせていただきます。
元ネタは回復アイテムにも無限OPがつくという書き込みを見たからです。

いつも読ませてもらっている皆さんの作品に感想をお返ししたいのですが…時間都合によりお許しを…。
面白かったです。

137 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/06(木) 01:30:13 [ PqQMY8mc ]
>>記者Aさん
GJです。花の無限弾丸はβテスト時代の遺物で使うと一発でなくなるはずwww
弾丸じゃないからなのか?

138 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/06(木) 01:32:00 [ wt0TMFS. ]
あと激しく下がってるからあげ

139 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/06(木) 04:05:25 [ Sy9gs042 ]
前スレの>>960です。前回最初で最期とか書いておきながらも
話が思いついたので投稿していきます。


「あなた…誰?」
彼女のその言葉を聞いたとき、目の前が真っ暗になった…
「そんな…ウソだろ…」
俺はそんな言葉しか口にできなかった…

冒険なんてもう終わりにしようと思っていた、もうレッドストーンなんてどうでもいいと思っていた。
やっと彼女と一緒に平穏な暮らしができると思っていた…
でも、やっぱり俺には平穏な暮らしなんてふさわしくなかったんだ…
今のこの状況がそれを物語っているじゃないか。
彼女は約束どころか俺のことも憶えてはいなかったんだから…

俺は彼女の記憶を奪った魔物を許さない!絶対に…絶対に見つけだして殺してやる!
その気持ちを胸に俺は再びこの広い世界に飛び出した。
もし旅先で運良くレッドストーンが見つかるようなことがあれば、
その力を利用して全ての魔物を滅ぼしてやりたいと思った。いや、思っていた。
当然レッドストーンなんか見つかるわけもなく仇の魔物も見つからないまま
3ヶ月の月日が過ぎた。

「はぁ、なんで俺はまたここに来たんだ?」
自分にそう問いかけても答えはいつも決まっていた。
ここはハノブの近くにある小さな町。いや、町と呼ぶには少し小さいかもしれないが俺は町だと思っている。
本当なら俺はこの町で彼女と一緒に幸せに暮らすはずだった。俺と彼女が生まれ育ったこの場所で。
だが今自分の目の前にひろがっているのは廃墟になった町だった。
俺が戻る五日前に魔物に襲われたのだとハノブの商人が言っていた。
まだあまり時間が経っていないからだろう、今でもあの時のことを俺は鮮明に思い出せる…

『なっ!?これは一体どうしたってんだ!?』
目の前には廃墟になった町があった。
自分にとってはとても大切な場所、彼女が待ってくれているはずの場所。
それが見るも無惨な光景となって目の前に広がっていた。
俺は走った。彼女の家があった場所へ、しかしそこにも破壊された家があるだけだった。
『町の人たちはどうなったんだ?』
町には誰もいなかった。生きてる人もいなかったし、遺体もなかった。
『落ち着け、落ち着け』
深呼吸をしてもう一度辺りを見回す。
冷静になって燃やされた家屋などを見てみると三日以上は経っているように見えた。
俺は町に何が起こったのか知っている人がいるかもしれないと思い、近くの人通りの多い街道に行った。
そこで運良くハノブから来た商人に出会った。
俺はすぐに町に何が起こったのかを聞いた。
『ああ、あの町かい?確か五日前に魔物に襲われたって話だよ。住人は皆殺しにされたらしい。
とても気の毒な話だ。』
その話を聞いた瞬間に血の気が引いていくのがわかった。
『おい、あんた大丈夫かい?顔色が悪いぞ』
よほど俺の顔は青ざめていたのだろう。商人は俺に薬をやると言って荷物を漁り始めた。
そして商人は薬を探しながら思い出したように言った。
『ああ、そういえば一人だけハノブの病院に担ぎ込まれた女性がいたような気がするな。』
商人は少し首を傾げながらそのことについて思い出そうとしている。
『あっ!そうだそうだ。思い出した。その町が襲撃された日に銀髪の女性が一人病院に
担ぎ込まれたんだよ。特に外傷は無かったらしいが意識が戻らないらしい。』
その話を聞いた瞬間に俺はハノブに向かって走り出していた。
『おっ、おい!もうだいじょうぶなのか!?』
後ろから商人の声が聞こえたが俺は返事もせずに走り去っていった。
間違いない!銀髪の女性は間違いなく彼女のことだ!
よかった、無事だった!商人は意識が戻らないとか何とか言っていたが
彼女が生きていることがわかって少しだけホッとした。
三十分くらい走ったところで、やっとハノブに到着した俺は病院に急行した。
病院に着くとすぐにそこの職員に彼女がいるであろう病室に案内してもらう。
そして俺は病室に入った。
そこに彼女はいた。長い間会っていなかったが、すぐに彼女だとわかった。
彼女はベッドの上で上半身を起こして座っていた。職員の話によるとほんの数十分前に意識を
取り戻したらしい。
ベッドに近づいて声をかけてみた。
『リーン…よかった。無事だったんだな。』
安心して涙が出てしまい、急いで涙を拭う。
リーンは不思議そうな顔をしていた。
そして俺に向かって言った
『あなた…誰?』

140 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/06(木) 04:07:32 [ Sy9gs042 ]
…リーンは魔物の襲撃のショックで記憶を失ってしまったんじゃないかとハノブの医者は言っていた。
本当なら俺はリーンのそばにいてやった方が良いのかもしれない。
魔物への復讐など考えずにリーンの記憶が戻るのを待っていた方が良かったのかもしれない。
でも、それはできなかった…俺はリーンを見ているのが辛かった…
全てを忘れてしまい、俺のことも忘れてしまった彼女の近くにいることなんて俺にはできなかった。
だから俺は、そんなリーンから逃げるようにハノブを離れた。
理由なんて本当はどうだって良かった。俺は魔物への復讐を口実にリーンから逃げた。
もう俺はリーンのもとへは戻れない。逃げた俺にそんな資格なんて無い。
せめて町を襲った魔物だけでも倒そうと、それだけを考えていた。
「今日はこの辺で野宿だな…」
そう呟いて俺は焚き火のために燃やせるものを探しに行こうとした。
その時だった。
背後に何者かの気配を感じ取り振り向いた。
そこには黒い服を着た男が立っていた。男の肌は異常とも言えるほどに白かった。
まるで黒服の男だけが色を失っている様に見えた。
「今すぐにここから立ち去れ。そうすれば今回は見逃してやる。」
男は一方的に俺に言い放った。
「おいおい、なんでいきなりそんなことを見ず知らずのあんたに言われなくちゃならないんだ?」
「そんなこと貴様に話す必要はない。さっさと消えろ。」
正直その言葉に腹が立った。俺はあからさまに機嫌が悪いといった視線を黒服の男に向けた。
「そうか、立ち去る気が無いというのならばしかたない。貴様には死んでもらうとしよう。」
黒服の男はそう言いながら地面に手をついて何かの呪文のようなものを唱え始めた。
次の瞬間俺の目の前にリザードマンのような魔物が現れた。
普通のリザードマンよりも明らかに大きい。見るからに凶暴そうなヤツだった。
「なっ、なんでいきなり魔物が!?」などと言っているうちに相手が動いた。
「殺せ。できるだけ早くな。」
黒服の男がそう言ったと同時にリザードマンが襲いかかってくる。
「ちっ」
舌打ちをしながらこちらも剣を構え、敵の攻撃を防ぐ。
ガギィン!
「くそっ!なんて力だ!」
リザードマンは力任せに武器を振り回しながら俺を攻撃してくる。
(こいつ、力は強いが動きが鈍いな。よし!次で決める!)
リザードマンの攻撃を横に飛んでかわし、隙をついて一気に心臓に剣を突き立てた。
「ギギ、ギ」
苦しそうな声をあげてリザードマンは動かなくなった。
「あっけないもんだ。こんなんじゃ俺を殺すことなんてできないぜ」
黒服の男は「ほぅ」と言いながら俺のことを見ていた。
「さて、俺を殺そうとした理由を聞かせてもらおうか」
剣を黒服の男の方に向けながら俺を襲った理由を聞いた。
「リザードマンを倒すとは見事だ。特別に教えてやろう。私は今からこの土地に眠る
レッドストーンの欠片を手に入れるための儀式を行う」
「レッドストーンの欠片?こんなところにそんなものが?」
「間違いない。この土地には強い火の力を感じる。欠片とはいえレッドストーンの
力は強大だ。その力を手にして私はこの世界の王となる」
黒服の男はそういって笑いだした。
「ちなみにレッドストーンの力を手に入れるその儀式が問題でな、この儀式には
多くのエネルギーが必要とされる。それで私はこの町に住んでいる者の魂をエネルギーと
して使うことにした。住人共の魂をエネルギーに変えるのに少々時間がかかってしまったが
ようやく準備が整ったんでね。儀式を実行に移そうとこの場所に来たわけだ。
だから貴様は邪魔なんだよ。このまま死んでもらおうか」

?コイツは何を言っているんだ?力を手に入れるために町を滅ぼした?
ふざけやがって!ふざけやがってふざけやがってふざけやがって!!!
「お前が!お前がこの町を!!許さねぇ!!殺してやる!!」
剣を構えて黒服の男に斬りかかるが、軽くかわされてしまう。
「何を興奮しているんだ?まさかこの町に家族でもいたか?ハハッ、それは運が悪かったな」
笑いながら男は俺の攻撃を避け続ける。
「くそっ!ちょこまかと動きやがって!」
「おっと、そろそろ儀式の時間だ。いつまでも貴様に構ってはいられんな」
男が俺に向かって手を突き出す。次の瞬間俺に向かって衝撃波が放たれた。

141 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/06(木) 04:08:27 [ Sy9gs042 ]
「かはっ!」
派手に吹き飛ばされ瓦礫に背中から瓦礫に叩き付けられてしまい、
あまりの痛みに声が出ないし、呼吸もうまくできない。
「お前はそこで見物していろ。この世界の王が誕生するのをな」
「ぐっ、はぁ、はぁ」
やっと呼吸ができるようになってきた。だが体に力が入らない。
畜生!この3ヶ月間探し続けたヤツをやっと見つけたのに!
こんなにも憎い相手が目の前にいるのに!
コイツだけは絶対に殺してやるとリーンに誓ったのに!情けない!なんて情けないんだ俺は!!
ちくしょう!ちくしょうちくしょう!!
殺気のこもった視線をぶつけてもヤツはただ笑ってこっちを見ているだけだった。
「さて、そろそろ始めるとするか……ん?」
黒服の男が何かを見つけたかの様に違う方向に視線をやる。
その視線の先にいた者は
「リーン…」
なぜ?なんでここにリーンがいるんだ?
「あの女は町を襲撃したときに逃げた女だな。なんだ?わざわざ殺されに戻ってきたのか?」
やばい、このままじゃリーンは殺されてしまう。
「に…げ……ろ…」
すぐにでも逃げて欲しいのに声が出ない。
リーンは虚ろな目をしながらこちらにゆっくりと歩いてくる。
ダメだ!そっちに行ってはダメだ!殺される!ダメだ!
リーンが黒服の男に近づいていく。男が見えていないのか?
リーンは俺の方を見つめたままゆっくりと歩き続ける。
男がリーンの細い体を貫こうと腕を振り上げる。
「リーン!」
気付けば俺は立ち上がっていた。声も出せた。
剣を持ってリーンのところへ走る。
間に合え!間に合え!!今度こそ俺が守ってやるからな!!

142 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/06(木) 04:08:48 [ Sy9gs042 ]
ブシュッ!ザシュッ!
俺が黒服の男を貫くのと、リーンの前に飛び出した俺が黒服の男に貫かれるのは
ほぼ同時だった。
「なっ!?貴様なぜ動ける!?くそっ!こんなところで!私は!私は王になるはずなのに…
ガハッ!」
男は血を吐いてしばらく痙攣していたが、やがて動かなくなった。
「へへっ、今度は守れたぜ…」
そう口にして俺もその場に倒れ込んだ。
リーンが俺の近くに座って俺を抱きしめる。
「なぜここへ来たんだ?」俺は疑問を口にした。
彼女は戸惑いながらも
「わからない。でも声がきこえたの。この町に行けって。ここである人を待ってないとだめなんだって、
私の中の誰かが言っていたの。でも、あなたを見てわかった。私の中の誰かが会いたがっていたのは
あなたのことね。だって、何故だか涙が、涙が止まらないんだもの…」
と言って、涙を流していた。
「よかった、どうやら約束は思い出してくれた…みたい…だな」
「ええ、ちゃんと思い出した…一緒に暮らすんだよね?だから、だから死なないで…」
リーンの頬をとめどなく涙が伝う。もう俺が助からないと理解しているんだろう。
「ああ、一緒に暮らすんだ。二人でのんびり暮らしたいなぁ…いや、子供も欲しいなぁ…
家族で仲良く生活をするんだ…」
不思議なものだ。現実になることのないその生活が見える。幸せな生活が…
「なぁ、リーン。俺の名前を呼んでくれないか?」
「え?その…えっと…」

「そうか…思い出せないか…」
もう何も見えなくなってきた…どうやらここまでみたいだな…
でも良かった最期に彼女を守れたんだから。彼女に会うことができたんだから…

「俺の名前は……俺の名前はな…」



そこには廃墟があった。ハノブの近郊に位置していた町の廃墟。
その廃墟の片隅に小さな墓石と小さな家があった。
家には銀髪の女性が住んでいた。
今日も彼女は墓石に向かって話しかける
「ずっと、ずっと一緒だからね…私は幸せだよ…」

そこは廃墟 一組の男女が暮らす場所
そこには夢が詰まっていた 一組の男女の儚い夢が
永遠の愛が存在する場所

ここは廃墟  幸せな廃墟


   −完−


意外と長くなってしまった…
最後まで読んでくださった皆さんありがとうございます

143 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/06(木) 08:04:27 [ RNukKI.I ]
学校に行く前に手短に感想を投下していきます
>>記者Aさん
GJ!こういったほのぼの?とした紙面をみると和みますw
さて、次回の発行も期待させてもらいます^^

>>139-142
せ、切ねぇぇぇぇorz
もう、胸が切なさでキュンキュンいってます。まぁ、彼も幸せだったのでしょう。
最後に自分の誓いを守れたのだから・・ね。

144 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/06(木) 10:16:35 [ x1HPIr3w ]
第一章>>108

    第二章〜 それぞれの道 〜

「・・・・ぃ」「おぃ、あんた。」
 誰かの声でふと私は目を覚ました。目の前には船員らしき男。
「そろそろ船降りてくれないかねぇ?」
寝起きの私はその言葉の意味があまり理解できなかったが、
何か起こっているのではないかと思い、眠い目を擦りながら周りを見渡した。
「・・・ぇ?もう着いたんですか?」
船は既にブリッジヘッドに着いていたようだ。どうやら私はあれから丸一日寝ていたらしい。
「申し訳ありません。」
船員にそう一言だけ謝り、私は足早に船を下りた。


港町ブリッジヘッド。大陸では最も貿易、漁業の盛んな町である。
普段は人気があまりない町ではあるが、商業を営むものなら誰でも1度は訪れる地だという。
「さてと・・・」
強さを求めてブリッジヘッドに来たところまではよかったのだが、
よくよく考えてみれば何をしたらいいのか全く分からない。
「とりあえず・・・冒険者にでも話を聞こうかな・・」
とは言えここは港町。漁師らしき人は居ても冒険者は周りにはいない。
そこで私は宿屋なら冒険者が居るだろうと思い、宿屋に入った。
泊まるわけでもないのでコソコソしながらロビーへ向かう。
ロビーには私の予想通り冒険者らしき人が何人かいた。ただ・・・・
「・・・・恐そう」
無理もなかった。私は今まで冒険者というものをあまり見たことがなかったからだ。
鋭く光る大剣を持つ大男に、一見美しくみえるがその傍らに長い槍を持つ女。
丸腰の私が近づけるはずもなかった。そんな中、唯一武器を持たずかわいらしいペットに
餌をあげている女性がいた。冒険者なのか?という疑いもあったが
一度その女性に話しかけてみることにした。
「あの〜、すいません。」
女性が答える。
「どうかされましたか?」

「ちょっと質問したいのですが・・・まず、彼方は冒険者ですか?」

「えぇそうですよ。それで質問とは?」

「あの〜・・・どうしたら強くなれますか?」

「へ・・・?」

私の質問の仕方が悪かったのだろうか?数秒女性が固まってしまった。
と、次の瞬間

「あっははは。面白い方ですね。」

何故か女性が笑い出した。私は訳が分からなかった。

「何か・・・おかしかったでしょうか・・・?」

「いえ、ごめんなさい。あまりに唐突だったもので。それにどう見ても私と彼方の職業は違うみたいですし。私はサマナーと言って、ペットを使ってモンスターと戦っています。彼方は何と言う職業なんですか?」

「え。。。職業・・・?」

「へ・・・?冒険者ですよね?冒険者であるからには何かしらの特技や能力があるわけですよね?」

「・・・・。」
私はこの時初めて知った。冒険者とは誰しもがなれるわけではなく、修行や遺伝によって得たそれぞれの
”能力”がなければなれないことを。
その女性は私が何も知らないと悟ったのか、色々なことを教えてくれた。
戦士、剣士は10年以上の修行を積み、一般人の倍以上の力をつけたものだけがなれるということ。
ランサー、アーチャーは集中力が人並み外れていなければなれないということ。
ビショップ、ウィザードは努力では何もならない、生まれ持った能力が必要だということ。
そして、そういった特殊能力を持たない人々が一番多くなる職業が”武道家”であるということ。
”武道家”は、武力というよりは理合に近いらしい。だから数多く戦いを重ねれば
自然と技が身につくのだという。
私は武道家になろうと決心した。だが、、、何よりこの細い腕、、、
その女性は武道家なら力もそう必要ないと言うが、、、
この細い腕で、果たしてモンスターと戦えるのだろうか?

船を足早に降りたときの期待や希望はとうに消え、疑問と不安だけが私を取り巻いていた。



第二章〜 それぞれの道 〜 END

145 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/06(木) 22:03:23 [ u3w6GI.E ]
この数日間スレの伸びが恐ろしいほど速いですね。(=また感想が滞ってる)
それとMy知識アチャ(未だ知識未振り)がランド覚えましたよ、一直線で。PTに入って迷惑かけるのはちょっとなぁ…ソロですね。
ランドは宴会用スキルにしておきます。ふと転んだ拍子にゴアが手に入ることを祈って倉庫キャラとして(ry
 
>南東方不勝さん
イスラフェルをイスラエルと読んでs(ry
最近多いな、こういうアホみたいなの……って一々暴露する必要がないことですね、失礼しました。
そういえばレッドストーンでは何故二刀流ができないんだろう。マインやダガーがあるから同じようなものか。
それに考えてみればあのギルドに慣れるには相当の時間が必要そうですね。
…特にマスターが怖くて夜寝られなあれリリスさんなぜリア世界にうわなにするやめrcあふjksg(ry
 
>記者Aさん
>NO.1
チョキーのおっさんはそんなことをしていたのか。見かけによらず(?)なかなか手の込んだ手口を使っていますね。
>骨の中に他人の飼い犬と思われる遺骨やウルフマンの遺骨もあり
や、やりすぎだ!ウルフマンまで殺すとは非道極まりない!狼愛護団体会員一週間目の私が(ry
>NO.2
私も露店で一回だけ見たことがあります。他にも拾った人が使ったら消えてしまったとの報告があったような…。
無限ならいくら連打してもなくならないですし、ある意味最終装備ですね。まてよ、ベルトに装着できな(ry
 
>変な生き物さん
妙に弱腰な勇者様(?)戦士がなんとなくツボですw
アーネイトも普通の狩りに参加するんですね〜。リディスは人見知りするほうですかね。ひょっとしてナンパ癖なんかが(ry
二人の次なる活躍の場は?ついでにリディスがもう少しまともになるように祈り連打しておきますね。ノシ
 
>>108さん
なるほど、今まで一般人が職業につくところからの視点とは考えてもみませんでした。
赤石での悪魔には翼がないようですが、悪魔といったら翼がほしいですよね〜。…いや、特に意味はないですが。
武道家として生きるのか、他の道を選ぶのか。オルはどの道を選ぶんでしょう。
 
>名前がない@戦士見習いさん
じーさん同士の戦いは止められなさそう…。
全てがひっくり返った世界観は壮大ですね。天使なんて天使の心の欠片もないですし。
真のレッドストーンを持った主人公が豹変してしまわないか心配です。ジンに限ってそんなことがあるわけないと思いますが。(どっちだ
 
>ナンバーズさん
二組とも大ピンチ…スナッチなんか死んd(ry
レオン側も恩人や兄弟だと戦えないでしょうね。フォビアもなかなか腹立たしい手を使ってくるものです。
いや、次が見えないですね。果たしてレオン達に形勢は戻せるんでしょうか。
 
>サマナの人さん
ミーアとシーフギルドにそんな関係が……その腕でメイドの職についたのは何故?というのはきっとタブーですよね。うんうん。
会う機会なんてほぼないですが、次からメイドさんに会ったら警戒しないといけないですな。「ぶっ殺した」と言われる前に…ね。
フィーナとミーアが無事に会うことができる気がしません。何かありそうな予感がしてきます。
 
>FATさん
やった、フプレ様が戻ってき(ry
自分も片付け下手なくせに綺麗にしたがるところがあるのでよくわかりますね。
時間かかるし面倒くさいし…もうだめぽ('A`)ですが、終わったときの達成感は言い表せないものがあります。
話は脱線しましたが、とにかく双子の姉妹頑張れ!ってことで。
(密かに最強最悪の変身を遂げていたものを見てみたい自分がここに。)
 
>前スレ960さん
久々に感動しました。本当にお上手です。情景が頭の中に浮かんできます。
…ん?前スレの131さんも感動的な作品を書かれていましたね。ひょっとしてこれがデジャブーなるものですか?…違いますかそうですか。
次なる作品はどういうものになるのかと、とても楽しみにしております。

146 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/06(木) 23:35:41 [ RNukKI.I ]
>>148
何も無い故に、自らの体を武器とする・・。
確かにそう考えると一番手っ取り早くなれる職業は武道家ですね。
さて、これから主人公が武道家としての歩むのかが気になります。

>>jpさん
すいません、家のリリスが(ry
まぁ確かに、怒り方に問題がありすぎる人物が2名ほどいますが
普段の皆はいい奴らですよww(きっと・・^^;)

147 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/07(金) 00:02:35 [ Smp0forA ]
■RED STONE 第四章■
〜本気のブーン〜
フォビア『さて、厄介なものも片付けたことだし、DAME ONを破壊しましょう』
そういって本社の方を向き、攻撃命令を出そうとした瞬間…後ろから恐るべき殺気を感じた。
フォビア『なっ?!』
その殺気からは今までに感じたことのない純粋な怒りの気が込められていた。
???『……………』
そこに立っていたのは他の誰でもない、ブーンだった。
フォビア『フン…誰かと思えばアイテム拾い厨房じゃない。ザコに興味は…』
一瞬だった。
ブーンがコロッサスをライトニングサンダーで瞬殺し、クリティカルヒットでホワイトシェードを打ち砕き、メテオシャワーでキングクマーを蒸発させたのは。
ブーン『貴様は俺を怒らせた。』 
続けてブーンは語りだした
ブーン『スナッチは…俺が小さいころから俺のことを実の弟のように可愛がってくれたんだ。あいつには…返しきれない程の恩がある。まだ返していない、沢山の感謝がある。それを…俺は…俺はっ!』
(そ、そんな…こいつは何物なの?…こ、殺される…い、いや、まだ私にはデビロンに不死の廃人がいる…)
フォビア『甘いわね…あなたの周りをよく見なさいな。』
ブーンの周りを何十体もの廃人が取り囲む。
ブーン『余裕ぶるな。精神の安定が崩れていることぐらいお見通しだ。…この程度…アースクエイク!!』
大地が激しく隆起や陥没を繰り返し、巨大な地割れが発生する。
フォビア『!?デ、デビロンよ飛べ!』
いそいでデビロンに掴まって空中に退避する。が、廃人達は皆地の底へと消える。
ブーン『これでもまだ減らず口を叩けるか?』
怒りを最大限に込めた視線が注がれる。
フォビア『デビロン!!早く戦線を離脱しなさい!』
とにかく逃げないとまずい。そう思った。が…
ブーン『…逃がすわけには行かない。グラビティアンプリファー!!』
強力な磁場が発生し、地面に引きずり落とされる。
命令を邪魔されて怒ったデビ・ロンがブーンに襲い掛かる。
フォビア『デ、デビ・ロン!!やっておしま‥』
ブーン『目障りだ。死ね。』
ブーン渾身の魔力を込めたチリングタッチによりデビ・ロンは一瞬で粉々になった。
フォビア『そ、そんな…い、いや…し、死にたくない…あ、あああ…』
ブーンがフォビアにゆっくりと近づいていく。
ブーン『なぜわからない?クィーザーも、スナッチも、まだ死にたくなかった筈だ。貴様は大量の人を殺した。みんな生きたかった。平和に、ただ生きるのみを求めていただけだった。それを貴様は自分の満足で殺したんだ。…貴様の先には"死"あるのみ』
ブーンは手に持つカースドブラッドにゆっくりと、火と水の魔力を注いで振りかざし、一言言った。
『地獄で後悔するがいい。』
■つづく■

148 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/07(金) 00:59:39 [ CBajl6wk ]
ども、ナンバーズです。最近サブキャラ作成にはまっています。ブーン関係でWIZの特技を詳しく調べるためにチリWIZ作ったらこれがおもしろいw
…いや、よけいなスキルとりすぎてすでにチリじゃないんだけど…
では感想逝きます。
>>@戦士さん
オルロワージュvs.ラスタバンの悪魔と天使の対決…お互いに死力を尽くして戦う…結果が気になります
いまさらですがジンはオルロワージュの息子?
>>南東方不勝さん
旦那と姐御…そりゃ間違えられたら怒る罠。
狼といえば紫鯖に放置狼があるんで今度INしてFATさんに会いに行くかな。
>>感動作を創る人さん
勝手に名前つけてすみません。ですが本当に感動します!
もう最後に好きな人を守り通したというのがね…
テラカンドウです。
>>144さん
特徴がない人がなるのが武道家ですか。
…いっそK1しゅつ(ry
>>◆j9さん
いつも感想ありです。作品の続き楽しみにしてまする。
 
とりあえず俺は一日一投ですね。
(小説書いてるのはわしでごわすぞ!うわなにするjMvwjMgふじこitXg)

149 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/10/07(金) 10:59:54 [ lUuyceUc ]


皆さんお久しぶり〜…
PCが死んで久々にネットにつながってから幾日…この名前のID何だっけなぁと考えながら
学校のPCからアクセス中orz

いやぁ…スレ2いったんですなぁ、まさか2ができてるとは思いませんでしたよw

もう少ししたら連載のほう再開しますね、とりあえずワードでも何でも入れないとorz

PS:あ、プレステじゃないっすよっと。
  PCまた死ぬかもorz

150 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/07(金) 12:45:50 [ sGssP5jM ]
>>FATさん
兄貴、おつとめご苦労様でし(panpanpan
うみゅ、無事出所できたようでなによりです。
プレゼントに指輪ということは? とは? (・ω・)ニヤニヤ

>>変な生物さん
おおー、いいですね、こういう日常。
希明の水晶もいい感じです。PT作成はこうやって起きるのか〜

あと、ミーアの暗殺者モードは、実はそれほど強くないです。
実際の戦闘能力はともかく、「人間としての強さ」みたいなのはきっとリディス君のほうが上ですよー
例えるなら、ディアボロはスタンド能力は高いけど、「覚悟」ではブチャラティたちの方が上、みたいな?(ぇ
追伸 裸エプロンキターw

>>南東方不勝さん
怒るリリィはかわいいなぁ(ニコニコ
何気に八つ当たりしちゃってるところとかぷりちーです。
エヴァ……懐かしいなぁ。
個人的にはシャムシエルがかわいくて好きです

>>戦士見習いさん
絞めるも切るも自由自在。またトラップとしても使えるから、使い勝手がいいのですよ、鋼糸は。いかにも暗殺者っぽいですしー。
某せんべい屋の技量は並外れすぎてますが。
さてさて、地上とは別のところでオル様とラスタバンが最終決戦(?)
「スネーク!」「リキッドォォッッ!」とか
「キラァァァッ!」「アァァスランッ!!」とか
「劉鳳ッッ!」「カァァズマァァッ!!」とか、
そんな感じの大激突ですね。冗談抜きに天界がぶっ壊れそう……

>>記者Aさん
うわさは聞いたことありますが、実物を見たことはないですねぇ。無限花。
もしあっても、消滅が恐くて使えそうにないです。
固定系の石なら見たことありますけどねー。
相変わらず目の付け所といいぐっジョブです。

>>139-142さん
相変わらず泣かせてくれますね……
実際のゲーム中のMAPにも廃墟系の場所は多くありますが、こんなことがあったのかなーと思うと感慨深いです。

>>144さん
冒険者になるにはそんな秘密があったのかっΣ(・ω・)
まあ、確かに一番親しみやすそうなのはサマナテイマですねぇ。
さてさて、武道家になることを決心したようですが、前途は多難そう……
がんばっ>ワ<

>>◆j9cST1xRh2さん
ミーアの過去については、今から書き込みますー。
とりあえず、メイドさんは悪ささえしなければ安全ですよ?たぶん^^

>>ナンバーズさん
ライアン兄弟アンデット……身近な人間をアンデットとするのはネクロマンサーの常套手段ですが……
アンデットとはいえ、かつての戦友と戦うことができるんですかね、彼らは。
そして種割れブーン強っ!?
しかもこっそりU使ってる〜!?

151 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/07(金) 12:46:46 [ sGssP5jM ]
「馬鹿な、ブラックウィドウは十年以上前に滅びたんだ――。生き残りなど、いるはずがない!」

 そう。ありえるはずがない。
 自分たちが――ブリッジヘッドの暗殺者が、こんな小娘に遅れをとるはずがない。

「殺せ――!!」

 男の号令とともに、周囲に潜んでいた残りの部下たちがいっせいに攻撃する。
 八方向から同時に襲い掛かる刃に、ミーアは――

 あ、という音から始まる叫びとともに、ミーアの両手が、髪が、スカートが、同時に翻る。
 次の瞬間ミーアの手に握られていたのは、無数の短剣だ。

 そのまま踊るように、回転しながら両の短剣を次々と投擲する。
 放たれた短剣が暗殺者たちの目を、喉を、心臓を――人体における急所を的確に貫き、絶命させる。

 ターンが終わる。
 翻るスカートの裾を押さえ、不安定な柱の上で、しかしまるで何事もないかのように優雅に一礼。

「――Addio」

 ダーティフィーバー。
 周囲360度全範囲の敵に高速で短剣を投擲する、シーフの技の中でも頂点に位置する技術。

 一瞬にしてすべての配下を失った男の目の前に、ひらりとミーアが着地する。

「さて、残りはあなただけですね」
「ひ、ひぃぃぃっ!」

 鋼糸――アトラク=ナクアへと繋がるリングを填めた右手を振り上げる。

「た、頼む。見逃してくれ。お願いだ……命だけはぁ……」

 男が懇願する。
 同じように命乞いをする人間を、子供を庇おうとした母親を、死にたくないと叫ぶ少女を、無慈悲にもその命を刈り続けていた男は、しかしいざその刃が自分に振り下ろされるとなって、涙と鼻水をたらしながら地面に額をこすりつける。
 その姿に、ミーアは一度腕に力を入れ、だがゆっくりとその腕を下ろした。

「……行きなさい」
「見逃して――くれるのか」

 ミーアはゆっくりと背を向け、

「一度だけです。もし再びわたくし達の前に姿を現したりしたら、その時は見逃しません」
「あ、ありがたい……あんたのことは忘れないよ……」

 男がゆっくりと立ち上がる。
 その目には、無防備に背を向け、男の部下だったものたちの死体を葬るミーアの姿が映っていた。

 重い死体を引きずっているため、ミーアの両手は塞がっている。
 男とミーアの距離は約6ヤード。
 男にとっては一瞬の距離だ。

「ああ。忘れないよ――あんたのことは」

 男が動く。
 無警戒なその背に向け、刃を振り上げ――

 その足が、何かを踏んだ。

 はるか西方よりもたらされる、爆裂する砂。
 ブリッジヘッドのシーフギルドには、その砂をトラップに応用する術が伝わっている。
 その名は、エクスプロージョントラップ。

「う、うわ……うわらば!?」




 背後で起こった爆発が、ミーアの髪を揺らす。

「言ったはずです。次はないと――」

 小さな、悲しげな呟きが、夜気に吸い込まれ消えていった……

152 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/07(金) 12:48:08 [ sGssP5jM ]
〜断章・Ⅲ ある家族の話〜

 十年ほど前。
 ブラックウィドウの暗殺者だった少女が、組織の命令によってブルンネンシュティグへと派遣された。
 依頼者はブルンの没落貴族。
 政敵のとある貴族を暗殺してくれというのが依頼であり、少女は身寄りのない孤児の振りをしてその家に潜り込んだ。
 正直、雑用だろうと奴隷だろうと、あるいは性奴であろうと、屋敷内に入り込めれば何でもかまわないと思っていた。

 だが、少女に与えられたのは、その家の第二婦人の世話役、というものだった。

 その貴族には正妻としてブルンの豪商出身の女がいたが、いまだに子供はいなかった。
 元々男は財産を、女は家名を欲しての一種の政略結婚のようなものであり、夫婦仲は冷め切っているといってもよかった。

 そんな中やってきたのが、第二婦人であり、彼女は男がとある用事で旅に出た際に巡り会った、ロマ出身の女性であった。

 元々漂泊の民だからであろうか。
 彼女は少女にとても優しくしてくれた。
 それはメイドと主人というより、年の離れた姉妹、あるいは親子に似ていたかもしれない。
 当時彼女は子供を身篭っており――それが余計、第一婦人との確執につながるわけだが――、その予行のようなものでもあったのかもしれない。
 そして、彼女を介して暗殺対象である貴族との仲も、だんだんと近づいてきていた。


 そして貴族の家にやってきてから数ヶ月。
 男から少女への警戒心が完全に消えたとき、彼女は活動を開始した。
 寝室で眠る男の寝顔。
 まだ見ぬ子に重ねているのか、少女の頭を不器用ながら優しく撫でてくれたその男の首筋めがけ、しかし少女は感情なく鈍く光る刃を振り下ろす。

 そこには、自分を拾い、面倒を見てくれた恩人に対しての感謝も、愛情もない。
 感情なき殺戮兵器。それがブラックウィドウの暗殺者だ。

 そしてその刃が男の心臓に突き立てられようとする瞬間。

 涼やかな旋律が少女の耳を打ち、思わず短剣を取り落とす。
 振り向けばそこには、もうすぐ臨月を迎える第二婦人の姿があった。

 一瞬気を取られた少女だが、即座に予備のダガーで貴族の命を狙う。
 男を殺せば任務は完了だ。
 その後自分が彼女に殺されようと、それはなんら問題ではない。
 それが、ブラックウィドウの教えだった。

 だが、それが果たされることはなかった。

 いつの間にか男の傍らに、水でできた魚――スウェルファーの姿。
 スウェルファーが尾を一振りすれば、突き出た鋭い棘が少女の刃を阻む。
 そこで、男が目を覚まし、少女と目が合う。

――任務失敗。

 ならばすることは決まっていた。
 失敗したものには死、あるのみ。

 それがブラックウィドウの――いや、暗殺者の鉄則だ。

 少女は男に振り下ろされるはずだった刃を、躊躇いなく自らの喉に向け――その体が抱きしめられるように抑えられる。
 自害しようとした少女を体を張って止めた彼女は、その耳元にそっと囁く。

「駄目よ。泣いちゃうから……」

 その言葉と、そして何より抱きしめられた温もりに、少女の動きが止まる。
 と――、

「あ……フィエル。なんだかよくわからないんだが、何があったんだ?」

 ようやく目が覚めたのだろう。
 男が何が起こったのか尋ねる。
 だが、彼女はにっこりと微笑み、

「なんでもないですよ。ね、ミーアちゃん」

 足元にはナイフが転がっていて、さらには棘の立ったスウェルファーまで呼び出しておいてなんでもない、ではすまないだろうが、しかし男は妻の言葉に苦笑し、

「そっか。君がそういうのなら、きっとそうなんだろうね」
 そう言って少女――今さっき自分を殺そうとした彼女の頭をくしゃりと撫でた。

153 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/07(金) 12:48:36 [ sGssP5jM ]
 ブラックウィドウ壊滅の噂が古都に流れたのはそれから数日後のことだ。
 各地で残党狩りが行われる中、しかし少女はそれまでと同じように屋敷で暮らしていた。

 結局男も第二婦人も――第一婦人はそもそもその日何が起こったかすら知らない――、少女に何も聞こうとしなかった。
 ただ、今までと同じように接するだけだった。

 いや、一つだけ変わったことがあったか。
 あの事件の直後、少女を優しく抱きしめていた第二婦人がいきなり倒れたのだ。
 と言っても、病気や怪我ではない。
 平たく言うと――産気づいたのだ。
 すぐさま産婆が呼ばれ、そして彼女は一人の女の子を産んだ。

 少女は婦人だけでなくその女の子の世話もすることとなり――年の近いこともあって、まるで姉妹のように過ごすこととなる。
 相変わらず第一婦人からの嫌がらせはあったが、まったく気にならなかった。


 それから、かなりの時が流れた。

 流行病にかかって第二婦人はあっさりとこの世を去ってしまう。
 不幸だったのは、ほぼ同時に第一婦人にようやく男の子が生まれたことだ。

 妾の子供と正妻の子供。
 しかし、年は妾の子の方が上であり、男の愛もまた、第二婦人の子の方に注がれていた。

 当然、第一婦人にとって、第二婦人の子供はそれまで以上の邪魔者となる。
 ブルンの慣習では、相続権は正妻の子――特に男児だった場合は確実――に与えられる。
 だが、男が第二婦人の子に与えていた愛情は、慣習を覆すかもしれないという危機感を第一婦人に与えるほどだった。

 謀殺――。
 しかし、それが現実となることはなかった。
 ある日ふらりと、第二婦人の娘が失踪したのだ。
 屋敷に引き取られた、元暗殺者の少女――既に彼女は美しい女性に成長していたから少女と呼ぶのは不適切かもしれない――を連れて。

 第一婦人は気づきもしなかっただろう。
 例えどんなに憎まれていようとも、第二婦人の娘――失踪した少女は、義理の母親のことが好きだったのだ。
 いや、あるいは気づいていたのかもしれない。
 今は亡き第二婦人も同じく、第一婦人に友人として接しようとしていたのだから。

 逆に言えばそれこそが、第一婦人の劣等感を引き立てていたのかもしれない。


 貴族の名はハイフリート=クラン=フィラデルフィア。
 第二婦人――元ロマのサマナーだった女性は、フィエルラフィーナと言う。
 そして二人の娘の名は、フィーネンエージュ=セリエナ=フィラデルフィア。

 家を飛び出た彼女は今、母の名の後半を借り、フィーナ=ラフィーナと名乗っている。

154 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/07(金) 13:12:38 [ sGssP5jM ]
 長かった夜が明ける。
 東の空からゆっくりと日が昇り、世界に再び光が満ちる。

「あぁーっ、やっぱり外の空気はいいわねー」

 暗い墓地からようやくのことで脱出したフィーナは、朝の日差しを全身に浴びるかのようにゆっくりと伸びをする。
 傍らのヘッジャーは光はあまり好きではないのかフィーナの陰に隠れ、ウィンディは嬉しそうにばさばさと羽ばたく。

「あー、さすがに半日以上こもってたから、体が埃っぽいわねぇ〜」

 特に髪と顔が埃っぽいのは、女の子としてはあまり気持ちのいいものではない。

「お嬢様、これをお使いください」
「ん、ありがと」

 隣から差し出された、手ぬぐいで、埃だらけの顔と髪、そして首筋や腕を拭う。
 近くの沢の水だろうか。冷たくて気持ちがいい。

「ありがと。さすがミーアは気が利くね――って、えぇぇぇ!?」

 そこで、いつもどおり隣で微笑んでいるメイド姿に気づき、驚愕の叫びを上げる。

「ミーア……いつの間に?」
「メイドですから」

 相変わらずの微笑みでミーアが答える。

「そういえば、お嬢様――こちらの方は?」

 たずねるミーアの視線の先には、輝く双剣を持つ両刀骸骨の姿。

「あ、うん。とりあえず、私のペット」
「誰がペットだ――我はヴェイア。唯の骸骨剣士だ。今となってはな」
「そうですか……わたくしはミーア。お嬢様にお仕えするメイドです」

 ヴェイアは一瞬ミーアを見つめ、

「そうか、わかった」
「はい。そういうことですよ」

 それだけでわかったのだろう。
 ヴェイアのうなずきに、ミーアが笑顔で返す。

「さてさて、クエストも終わったことだし、早くカトレアに帰ろう? 私お腹すいた〜」
「お前、さっきまで人を働かせて、一人で保存食料食っていただろう?」
「んー、それはそれ、これはこれよ」
「……太るぞ」
「っ! 言ったなぁー、乙女の禁句をっ」
「ふん。乙女と名乗るのならば、せめてもう少し育つことだな」
「Yesじゃない、激しくYesじゃないわ。このエロ骸骨っ!!」

 仲良く言い争いをしながら歩く二人の後を、ヘッジャーとウィンディが呆れながら付いて行く。
 ミーアは立ち止まり、離れたところでそれを見つめながら静かに呟く。

「フィエル様……あなたのお子様は、立派に育っていますよ……」

 今は亡き、大切な人にそっと祈る。
 そんな彼女にフィーナが気づいたのだろう。
 振り返り、ミーアの名を呼ぶ。

「ミーア、早く早くっ。置いてっちゃうよー」
「はい、お嬢様。今参ります」

 そう。
 彼女はもはや、名前のない暗殺者ではない。
 ミーア=ウェズリー。
 好奇心旺盛で子供っぽくて、けれど心優しい女主人に仕える、唯のメイドだ。


 その主人を追いながら、最後にミーアはふと思う。


――依頼人死んじゃったから報酬出ないんですけど、どう説明したものでしょう
 


                         Fin……?

155 名前: サマナの人[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/07(金) 13:16:50 [ sGssP5jM ]
まとめ
前スレhttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r996
本スレ
>>12 >>14 >>39 >>54 >>56-57 >>89-90 >>92-93 >>115-117 >>151-154

うし、オチが付いたところで、ひとまずフィーナたちの物語はおしまいです。
うーむ、長かったような短かったような……
なんとか挫折せずに続けられたのも、応援してくれた皆さんのおかげです。
ありがとうございました〜

156 名前: FAT[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/07(金) 14:56:37 [ xzP0wfE2 ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63 (22)
>>118-119(23)




その領域とはキッチン。

私はここ数ヶ月職場の料理店“カタトニア”など、外食ばかりでキ
ッチンの戸も開けたことがなかった。
リビングの片付けが一段落つき、フプレは何気なく地獄へのドアを
開いてしまった。
「きゃあ!!」
という短い悲鳴と共に大量の――数百、いや、数千はいるだろう蠅
の大軍と強烈な腐臭が一斉に飛び出してきた。瞬間、蠅に完全に視
界を奪われたフプレはもちろんのこと、部屋の端にいた私までも混
乱し、部屋を転げまわった。手で叩き落とそうとしてもするりする
りと指の間をすり抜けてゆく蠅ども。
しばらく混乱が続いたが、ふと、閉められたままの窓が目に入った。

そうだ!!これだ!!

這うように窓まで辿り着くと急いで限界まで開け広げる。すると全
体の1%ほどは息を吐いたように大人しく出て行ってくれた。

・・・全ての窓を開放すれば・・・

希望の光が見えた。閉鎖されている窓はあと六つ。壁伝いに歩こう
とするが激しい蠅どもの抵抗にあい中々歩が進まない。

くぅっ!!こうなったら・・・

ナイトバーズ、召喚。

オート地下監獄では出番がなかったので、この蠅退治が初陣となる。
ナイトバーズは蠅をものともせずに次々と窓を開放していく。開け
放たれた空に吸い込まれるように黒い軍隊が出撃していく。

・・・もう戻ってこなくていいよ。

残された窓はあと一つ。キッチンの・・・こいつらの王国の窓だ。
ナイトバーズが王国への侵入を試みると隠れていた国民全てが一斉
に蜂起して闇の魔獣に立ち向かい、何百匹という精鋭たちが突撃す
る。

もしナイトバーズが自分だったら・・・。
服の中から羽音が聴こえた気がして背筋がゾクッと凍えた。

そういえばフプレは無事?

辺りを見回してみたが姿が見当たらない。

まさか・・・そんな・・・。

不安が胸をよぎる。私は壁を離れフプレの探索に出向いた。

157 名前: FAT 投稿日: 2005/10/07(金) 14:57:14 [ xzP0wfE2 ]
あ!あの足は!!

いた。フプレは王国の入り口近くのソファに隠れるように横たわっ
ていた。

あぁ、なんてこと・・・・

哀れフプレの全身は蠅の駐留所と化し、体の至るところに黒い兵が
確認できる。恐らくは衣服の合間を縫って中にも潜り込んでいるの
だろう、服が内側から小刻みに震え、スカートの裾やシャツの袖か
ら出入りし、手を擦っている姿が目に付く。

「ウィスパー!!」
ウィスパーを呼び寄せるとかわいそうなフプレの体から蠅を追い払
うように頼んだ。
ウィスパーはフプレの体をせわしなく飛び回り、激しい空中戦を繰
り広げる。空中ですれ違う度に次々と兵を撃墜するが、キリがない。
フプレ救出にはまだ時間がかかってしまいそうだ。

キッチンのほうに目を向けるとナイトバーズがドアにはまっていた。

私は、敗北を認めざるを得なかった。
私がキッチンの窓を開けるのは不可能だった。襲い来る大軍と、強
烈な刺激臭の化学兵器の前に、手も足も出なかった。

気力を失い、ただただ開け放ってあるいくつかの窓から全ての兵が
撤収してくれるのを祈り、床にしゃがみこんだ。するとドアをノッ
クする音が聴こえ、私は反射的に返事をしてしまった。姿を見せた
のは宿の管理人、ポトフおじいちゃんだった。
ポトフさんはドアから溢れ出した群れに動じることなく素早く部屋
に滑り込むと、私に呟いた。
「こいつは大変だぁ。お嬢ちゃん。お祝いを言いに来たのにそれど
ころじゃないね。」
と部屋を見渡す。優しかった目元がきりっと引き締まる。
「よし、それじゃあこいつらをおいっぱらうとしようか。」
と言うと私にキッチンの入り口で挟まっている役立たずを仕舞わせ、
自身は堂々キッチンに入っていく。
ポトフさんは部屋に入った瞬間に悟った。ここで、少しでも空気を
吸い込めば腐臭に脳が征服されるということを。息を殺し、最大の
難所であったキッチンの窓を、遂に開放した。

私は、その勇ましさに感動した。

「考えがある」と、ポトフさんは一旦部屋からでていき、数枚の布
切れとひもを持って戻ってきた。再び口を堅く閉じ、キッチンに入
ると、既に元が何だったのか分からないほど腐ったものを布に小分
けにして包み、ひもで窓の外に吊るした。
なるほど、こうすれば自分の生まれ故郷を追って勝手に外に出て行
ってくれるわけだ。
全ての窓に罠を設置すると、部屋にはびこっていた兵たちは一斉に
宝物の包まれた布に群がった。みるみるうちに部屋はすっきりとな
り、残党はわずか百匹程度。再びポトフさんは部屋を出ると、昆虫
採集用の網を持ってきた。原始的な方法だが丁寧に一匹ずつ採集し、
外に放つ。時間はかかったが部屋の中の蠅掃討に成功し、最後の仕
上げに取り掛かる。ぶら下がった布になにやら細工をすると素早く
窓を閉め、外気を取り込まないようにする。すると布に纏わり付い
ている蠅は次々にぽとぽとと力を失い地面に落下していく。
「おじいちゃん、何をしたの?」
この不思議な魔法に私の興味が向いた。
「毒を詰めたのさ。おいらこれでも昔は名のあるシーフでね、毒の
調合とか得意なのさ。」
次の窓で作業をしながら、得意げに答えた。

ポトフさんの調合した毒の威力は見事なもので、ものの数分で蠅王
国は完全に滅亡した。王国跡には腐汁の染みが深く、濃く残り、か
つてそこに王国があったという事実をこれから先も語り継いでいく
だろう。

158 名前: FAT 投稿日: 2005/10/07(金) 15:44:12 [ xzP0wfE2 ]
>>変な生き物さん
アーネイトは苦労人ですね・・・。ぐうたらリディスとは大違い。まぁそんな
リディスのキャラが好きなんですが。
希明の水晶みたいなオリジナル物大好きです。これからもアイデアが浮かんだら
どんどん新しいアイテム出してください。

>> 南東方不勝さん
ジャックが能力を持っている理由。うーむ、知りたいですねぇ。
E○Aは真剣に読んだことがないので分からないです・・・・。

>> ナンバーズ さん
スナッチ・・・・。しかしブーン。ブーンがかっこよさ過ぎます。なんという
メリハリなんだ!!この勢いでDAME ONも改善してほしいですね・・・。

>> 名前がない@戦士見習いさん
一度は頂点を極めたもの同士の対決。お互いに老いているとはいっても激しい
ものになるのは間違いなさそうですね。そろそろゲームのほうもクリアできそう
なのでそちらと照らし合わせて楽しませてもらっています。

>> 記者Aさん
この記事口調(?)が好きです。本当になくならなかったら最高の品ですね。
・・・私のような低Lv帯には。

>>139-142さん
感動職人さん。素晴しすぎます。読んでて目頭が熱くなりましたよ。
前作もそうでしたが人を感動させることの出来る文章を書ける貴方様を
尊敬致します。次回作もまた思いついたら書いてみてください。

>>144さん
なるほど・・・。職業は誰でもなれるというものではないですものね。
この主人公が今後どう成長していくのか、楽しみです。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
ランド習得おめでとうございます。実際どんなモーションなのでしょう?
私もランドの描写してみましたが見たことないので間違っていたかも・・・。

>>21Rさん
いちファンとして気長に投稿お待ちしております。それとPCお大事に・・。

>> サマナの人さん
「うわらば」小悪党って感じで最高です。
ミーアの心変わり、というか人間としての成長がすごくよかったです。冷酷な
暗殺者から優しいメイドへ。フィエルの優しさやフィエルを信じるハイフリート
など、この一連の投稿に感動致しました。

159 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/07(金) 17:52:37 [ RNukKI.I ]
履歴書と言う名のボスモンスを倒してきました、南東です。(ナニ

>>ナンバーズさん
ブーンキターww
デビ様を一撃で粉砕とは・・。テラツヨス

>>サマナの人さん
連載お疲れ様でした。きっと彼女達ならおもしろおかしく旅を続けていく事でしょうw
あと、相当に貴方のツボを衝いてしまったようですね。リリィはww

>>FATさん
な、ナイトバーズorz
初陣が蝿退治ですか・・。ホノボノトシタセンジョウデイイネ^^
と思ったら、数が尋常じゃねぇ^^;ここでフプレ嬢がシエル化しても止む無しw

160 名前: RED STONE小説・長編物(三章前編・上) 投稿日: 2005/10/07(金) 18:10:22 [ EOpVH4ik ]
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105 作者:変な生き物
(オマケ)>>121-122

セナ・フェネスティラがハノブ高台望楼で謎の赤い石に操られた日から3週間
あれから世間では『赤い石』の噂はパッタリと止み、前までは毎日のように飛び交う噂が消えた
俺とリディス、そしてお隣さんのセナ、しょっちゅう一緒に冒険や狩りに出ていた
…リディスとセナの関係?さー、3週間にしてはいい線行ってるかな…
そんな平凡な、小さな幸せの日々が続いていた。

・古都ブルンネンシュティグ 町外れ
川の向こう岸に製鉄所が見える、その製鉄所を間近に見られて夕日に染まる一軒家
その一軒家の前にアーネイト達は集まっている。
「場所はここで合ってるようだな」
「にしてもまさかセナさんまで一緒に受けてくれるとは思いませんでしたよ〜」
「いえいえ、お二人方がいなければ私も受けられませんでした」
そう言いながらセナは手にもった上質な紙を見る。
『旧レッドアイ研究所への調査依頼 報酬一人20万G 良質の防具など
 ただし3名以上のパーティでなければ発注しません』

「こうも美味しい条件が揃ってるともう受けてる奴がいるんじゃないか?」
「いんや抜かりない、依頼主が応募をしようと決めた直後に仕入れた情報さ」
「…いったいどっから仕入れたんだよその情報」
そんな事を呟きながら入り口に立った。
「随分人気の少ない場所にあるくせに割といい作りしてるなこの家」
「実はどこかの貴族のプライベートハウスだったりするかもね〜」
「そんじゃセナさん、サクっと任務を受けて終えますかね」
ドアを軽くノックしてから家に入ると…
中は非常に清潔、木製で派手な色はなく白がほとんど
本棚には上質な皮製の聖書が置かれ、高価そうな十字架もある、どれもこれも地味に高価だ
さらにはなんと小さいもののステンドグラスがあったりもした。
そんな清潔ながらゴージャスな部屋の奥に一人の男性がいた
肌白でスレンダー体型ながら割と筋肉もあり、丸い眼鏡がインテリ度を倍増させている
割と柔和そうな男性がこれまた高そうな聖本をもっていた。

「あなた方が調査をしてくれる冒険者達ですか?」
「ああ、俺はアーネイト・ルエアス」
「どもー、先ほど顔を出させてもらったリディスでっす」
「セナ・フェネスティラと言います、宜しくです」
「私はロイドと言います、宜しくお願いします」
手を出してきたのでとりあえずズボンで手を拭いてから握手した
高級だらけの部屋だからてっきりロクでもない奴かと思ったけど割といい感じだった。


・旧レッドアイ研究所B1
古臭い空間、どこかカビ臭さが漂うせいか、閉鎖的で、虚栄のような雰囲気が広がる。
ここは事実、過去の栄光を引きずっている…封じ込まれた空間なのだ
彷徨う魔物は魔物になってもなお過去の栄光を未だ引きずり、呪縛霊のごとくこの地に彷徨う
地上への階段からは月明かりが射している、夜だ。
「それじゃあもう一度内容確認だ」
アーネイト達4人は一箇所にあつまり、依頼内容を再確認した

「最近、ここの動きが不穏で、しかも一体しかいない筈の神獣イフリィトが5体も確認された
 地下三階へ降りてそこで調査を開始する、だよなロイドさん」
後ろで話を静かに聞いていた依頼主のロイドを見ながら続けた。
「今回のクエストはあくまで『調査』無駄な戦いは極力避けるぞ、リディスは先頭で
 シャドウスニーキングで偵察、俺がそれに続いてその後ろがロイドさん
 バックアタックを避けるために後ろにセナを配置、以上 探索開始!」
「りょーかい」
「わかったわ、任せて」
素早く持ち場につき素早く進んでいった
邪魔な敵は暗殺で葬り、左右からの襲撃はアーネイトが、後ろからの強襲はセナが倒していく。
「なかなかのチームワークですね、随分と戦いなれてるようで」
「まぁこれでも数場踏んでるんでね、ロイドさんは回復と身を守るのに専念して」
「にっしても珍しいですねー、依頼主サンが一緒に参加してくれるなんて」
「これでも私は一応ビショップですので、できれば皆さんのお手伝いしたいんです」
「本当に有難う御座いますロイドさんわざわざ…」
「いえいいんです、人を癒すのも、助けるのも聖職者の仕事ですから」
そう言いながらにっこりと微笑んだ、セナは思わず顔を赤くして顔をそむけた
それを眺めてアーネイトはそれをポカーンと眺めてるリディスにボソリと耳打ちした
「見事に三角関係成立っぽいな………まっ頑張んな」
「え"、ちょ、まっ、それどういうこ、え、ええ?!アーネイt ゴフッ」
そこから先はレッドアイ狂信者の棍棒で顔面を叩かれて言葉が途切れた。

161 名前: RED STONE小説・長編物(三章前編・中) 投稿日: 2005/10/07(金) 18:10:49 [ EOpVH4ik ]
・旧レッドアイ研究所B2
4人とも足早に奥へ進んでいった
たださっきとは違うのがリディスがかなり気合入れて敵をバサバサ倒してることだった
普段面倒くさがりなアイツがセナの為にこうなるか…、改めて恋の力の強大さを確認した。
「よっしゃあ撃破撃破ぁっ!」
「おいおいあんまり張り切るな、戦わないにこしたことないしな」
「さてそろそろ次の階につきますよ…ってあれ?」
本来通路になってるはずの場所
しかしそこはガレキの山により見事に封鎖されていた、天井が崩れた落ちたようだ。
「おかしいですね、ここは確かに…」
「はいはーい、ここは 俺 に 任せといて」
そう強調していいながら懐をさぐりボウラスを取り出す、ガレキの山に投げつけ
カキンという音を鳴らしながら弾かれて戻ってきたボウラスを掴み懐にしまった。
「そんなに沢山のガレキじゃないな、ちょっとまっててくれよ」
今度はポーチからなにかの粉やら草やら色々と取り出し
その場にかがみこみカチャカチャといじくり始めた
「ねぇ何してるの?なんかの調合?」
「それよりも後ろの注意をしといてくれ、リディスを攻撃されてみろ、下手すると…」
「下手すると…?」
「大爆発したり毒霧まみれになるな」

肩をすくめながらそう答えた、それと同時にリディスが立ち上がりガレキ山に歩み寄る
ガレキの山に茶色い袋包みを貼り付けて離れた。
「そんじゃちょいと離れてくれよ、危ないから」
そう言ってナイフを投げた
袋包みに当たった途端大爆発が起き、ガレキの山が跡形もなく吹き飛んだ

「凄い…ガレキの山を吹き飛ばしたけど周囲の壁に被害がない…」
「ふぅー、あと少し量が多きゃ俺らもガレキの山の下敷きだったな
 あーよかったよかった……?…」
そう言いながら天井を見上げてから表情が少し曇った
「お、どうしたリディス」
「いや、これは……建物の老朽化で崩れたものじゃない、人為的なものだ」
「ってことはわざと?だれがそんな酔狂な…」
「さぁね、ともかくさっさと終わらせて帰ろうぜセナさん」

・旧レッドアイ研究所B3
周囲は異様な雰囲気に包まれていた
あたり一面壁には刃物がかすめたような後がある
だがその大きさはあまりにも巨大だ、凄まじい太さの刃物だろう
そして周囲には不気味なほどなにもなかった、魔物の姿も、生き物の気配も。

「…なんだこの馬鹿みたいな重圧感は…、おいルエアス?」
「ん、ああ、厳戒態勢にシフト」
厳戒態勢に素早く切り替わり3人でロイドを囲むように陣を組む
…アーネイトの体に異常が発生していた

何もしていないのに心臓が凄まじい勢いで早鐘を打つのだ。
『…なんだこのおぞましい感覚は』

二人が歩く中、大きな広間につく
突然目の前に巨大なトカゲ、いや炎の神獣イフリィトが現れる
素早く戦闘態勢に移るがその瞬間いきなりイフリィトの首が宙に舞う。
首を失い倒れるイフリィトの後ろに人が立っている
禍々しいまでの赤い鎧、そして人の背丈をも上回る巨大でなおかつ
異常な厚さの漆黒の剣を持つ男が立っていた。

162 名前: RED STONE小説・長編物(三章前編・中) 投稿日: 2005/10/07(金) 18:15:19 [ EOpVH4ik ]
男は大剣を背中の鞘にしまう、目の前に立ったが何も言わず沈黙が支配する
いつのまにか心臓の鼓動も嘘のように治まっていた。
「………見つけた」
一番最初に沈黙をやぶったのはセナだった
それを聞いたリディスが続く
「知ってるのか、知り合いか?」
「知ってるわ、昨日の事のようにね」
そう言って首を振り髪の毛をはらう
そして男を見る、その瞳は今までの優しさと華麗さを帯びた瞳とはうってかわって
信念と憎悪を宿した瞳だった。
「そう、忘れる訳がないわ!!」
槍を構えながら走りだす、片手に仕込んだボウガンを乱射しながら
男は少しも動かない、矢は外れたり、鎧に弾かれた
槍を振るうも手で弾かれる、そしてセナは槍を構えなおし男は突撃した…だが男は片手で槍を受け止める
「なっ!」
そのまま引き寄せもう片方の手で突き飛ばした。
「おいおい、女を突き飛ばすなんて男らしさの欠片もねぇな!」
そう言いながら素早く短剣を数本投げる
4発当たったもののその場に落ちる、が短剣から煙が噴き出す
リディスお手製の麻酔薬が炸裂し、それに合わせて素早く走り出す。

…決まったな、俺様特製の薬は効くぜ〜
そう思いながら素早く近づくが煙の中からはさっきの男が微動だにせず立っている
「そーかい、そんじゃこいつはどうだ!」
素早く引き、大量のナイフとボウラスを移動しながら投げる
鉄線つきのナイフが男の体をかすめる、そこにボウラスが鉄線にあたり、ナイフの軌道を曲げ
鉄線と鉄線が曲がり、絡み合い、周囲に蜘蛛の巣のように鉄線が張られる
そして男の全身に鉄線が絡みつく。
「さーて少しは落ち着いてくれねーかなー?」
だが男が束縛されて動けない筈の右腕を動かし、体に取り巻く鉄線を掴んだ
そしてそのまま腕を振るい鉄線を千切り、切れた鉄線を引っ張り鉄線を持ったリディスごと壁に叩きつける。

「邪魔だ」
男はそれだけ呟いてからアーネイトの方を向いた
そして歩み寄っていく。
「そーゆー訳にはいかないんだよね」
ロイドによって回復した2人が立ち上がる
「絶対に仕留める…!」
「そゆわけ、人様を吹き飛ばした報いとして痛い目にあってもらうぜ!」
二人とも男めがけて走っていく、矢とナイフも飛ばす。
…アーネイトとロイドの目には映っていた、男に尋常じゃないほどの気が集っている事に
もはや物質レベルまで高まった気が二人に向けられた。

「「失せろ!!!!」」
目を見開き、尋常ではない気迫が周囲に波立つ、二人は一瞬ひるむ
そして凄まじい速度で大剣の柄を握り恐ろしいまでの速さで振るった、まるで紙でも振るかの如く
男との距離は離れていたが見えない物理的な波動によりナイフと矢は砕かれ
二人は容赦なく吹き飛ばされた、ロイドにぶつかっても止まる事無く、大広間の外まで飛ばされた。
それを見た男は大剣を大きく振りかざし、凄まじい速さで振るう
大剣より生まれた波動が天井にぶつかり天井が崩れ落ちて先ほど見たガレキの山ができる。

アーネイトは男の方を向く
男はアーネイトを見ながらゆっくりと口を開く
「赤き魔石と接触した、か」
そう言いながらまるで珍しいものでも見るかのように言った
「…どうせ二人っきりで決闘でもしたいんだろう?俺だけ残すんだしな」
そう言いながらアームプロテクターに仕込んであった鉄爪を出した
男もそれを見てから大剣を構える

「赤き魔石に近づきし者の力とやら、見せてもらおう」
大剣と鉄爪が凄まじい音を立てて一瞬のうちにぶつかりあう
素早く立ち回り一撃を喰らわないように体をいなす
ひたすら鉄爪と大剣が弾きあう音のみが響いた。
「…避けるだけか?」
「ああ、避けるだけさ、お前がスタミナを消耗するまでな」
「そうか、ならばこれも避けろ」
素早く男は一歩さがり大剣を凄まじい速さで振るう
先ほどとは違い鋭利な波動が放たれるものの波動の端を見極め最小限の動きで避ける
「…そこそこ出来るようだな」
そういいながら片腕を前に出し、大剣で片手の皮を裂く
血を滴らせた大剣を振るい、赤い血の波動が生まれる
「ハッ!ブラッドシェーカーごとき…」
だがそれはブラッドシェーカーなどではなかった

赤い血の波動は形を変え、赤い竜となり尋常ではない速度で飛んでくる
素早く軸をずらすものの赤い竜も軸をずらす
舌打ちしながら側にある柱に隠れて防ぐものの、柱が壊れた時に生まれた砂埃にまぎれ
いきなり目の前に男が現れる
素早く一歩さがり大剣の一撃を避けるが、突然背中を切られる
「分身!?」
後ろを向き、素早く鉄爪を振るうと男の首筋に鉄爪が突き刺さる
だが男は気にもせず大剣を構え、そして ―…

≪ズドン≫

大剣はアーネイトの体を深々と貫いた。

163 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/07(金) 18:19:05 [ EOpVH4ik ]
どうも、朝起きたら3時であせった夜行性の変な生き物です。

…長すぎますね、これ orz
長すぎますってエラー出たしウワァン
そしてうっかり>>162が「中」のままなんですわ…「下」です、本当は。
なんか微妙に体調崩れてます今日この頃。

他の小説の感想は後で書きます、少し眠らせてもらうよパトラッシュ…  ZZzz...orz

164 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/07(金) 18:29:22 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第二章
第二十回目 死を想え
「すまない、ギムレット俺はちょっと抜ける、お前は住民を守っていてくれ」
そう言って町外れの方へ走り出す、目指すは孤児院だ。
孤児院に辿りつき、石で出来た扉を開けるとナイフの突きが襲ってくる
何処からどう見ても素人の突きだ、間合いを外してナイフを避ける
襲撃者の正体は、孤児院の女だ
「あ・・・・貴方は・・・・・・」女が呟く
「覚えていてくれたか」
孤児院の中に入ると怯えた子供達が一塊になっている
「天使が、街を襲っていたの、それを、子供から聞いて、それで、その」
「何も言わないでいい、ここは俺が守るよ」
そう言って女の手を握る
「そういえば名前を聞いてなかったな、俺はジンっていうんだ」
「私はステア・アンゴスチュラ」
自己紹介をしていると扉を誰かがノックしている
襲撃者がノックする分けないだろうが、念のために剣を抜いてから扉を開ける
そこにいたのは時の君だ。
「ジン君、邪魔して悪いが君はギムレット達と合流して海の神殿へ行ってくれ
レッドアイと天使たちが、神殿にある魔力の源へ向かっている。」
「わかった、あんたはここを頼む」
「任せておきなさい」
孤児院を出て街へ走る。天使たちはすでに消えている
「ギムレット、海の神殿へ向かうぞ。天使が魔力を狙って集まっているらしい」
そう言ってから今度は海の神殿の方へ走る
後ろからは足音が聞こえるので、ちゃんとギムレット達はついてきているようだ
20分ほど走って神殿の入り口に到着する。ポーションを飲んで体力を回復しておく
五分ほどするとギムレット達も追いつく、随分と息を切らしていた
「この中に魔力の源が?」とギムレット
「そうだ、レッドアイと天使たちはもう中だろう」とアルセス
「じゃあ早く行きましょう」とシェリー
剣を抜いてから神殿の中に入る。中はじめじめとしていて松明が疲れたような明かりを出している
「モンスターの気配は感じられないな・・・・」壁を触りながらギムレットが言う
奥へと進むと随分と広い部屋に出る。部屋の幅は100メートルもあるだろう。
扉は一つだけだから迷うことはなさそうだ。
部屋の真ん中にたどり着くと、床が透明になり消え去る、自分達が居る場所以外は全て崖になってしまう。
しかも入り口の扉はいつの間にか閉ざされている。
部屋の出口の扉は開いているが、崖を間に挟んでいるのでどうにも行けそうにない
羽を出して飛ぼうと思ったが、無数の鍾乳石が天井にある。一度折れ始めると他の鍾乳石を誘導して、
石の雨が降ってくることになるだろう。じっと天井を見ていると急に火の玉が飛んでくる
剣で受けてから鞄からマッチを取り出して火をつける
部屋が炎に照らし出され隅々まで見えるようになる。天井を見上げると
そこにはローブを羽織った巨大な骸骨と無数の天使たち、数は50を下らないだろう
「お前達をここで殺せば全てはラスタバン様の望みのまま、死ね」
骸骨が空気の抜けるような音の声で話す、天使たちが一斉にこちらへ光輪を放つ
アルセスが結界を張ってその場をしのぐが結界は今にも破れそうだ
「結界は後二回も喰らえば破れるぞ、早く何とかしろ」アルセスが怒鳴る
「そんなこと言って・・・・・」言葉が途中で途切れる
何故かギムレットが部屋の真ん中に居て、自分達は出口に居る
天使たちも状況が掴めないらしい、ギムレット微笑みながら言う
「ジン・・・・いいかラスタバンは必ず殺せ、俺たちの孤児院を潰した天使たちも必ず殺すんだ
でも、復讐に囚われる生き方をするな、お前は世界の希望になってやれ」
言い終わってから静かに杖を地面に突き刺す、止めろ、そう叫ぼうと思ったが声が出ない
ギムレットの一挙一動がスローモーションで見える
骸骨が殺せ、殺せとわめいている
次の瞬間、地面に刺した杖を中心に地割れが起きて、神殿全体が揺れる
地割れから溶岩が噴出する、天井の鍾乳石が次々と折れ始める
天使たちを串刺しにしながら部屋が崩れる
「嫌ぁぁぁ―――――――」シェリーが声にならない声を上げて
崩れる部屋の方に向かうが、アルセスはシェリーをしっかりと押さえる
部屋が崩れ終わると、中には何も残っていない、いや良く見ると人影が見える
ギムレットは生きていた。そう思っていたが儚い希望は打ち砕かれる
「人の分際で大儀を通すとわ、見上げたものだな」
骸骨がこちらに向きながら言う
怒りが全身を駆け巡る、翼を出して骸骨を一刀両断にしようとしたとき
光の矢が骸骨の脳天を貫く、何本もの光が骸骨を貫く
骸骨は少しうめいた後、砕け散って消えた。
シェリーは弓を構えたまま泣いていた

165 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/07(金) 18:52:58 [ hNlLsBE2 ]
読み返せば読み返すほど読みにくい・・・・・・orz

>>変な生き物さん
戦士らしき男、強いですね
RSの戦士もこれだけ強ければ・・・・・・イエ、何デモナイデス

>>FATさん
蝿怖い・・・・・・自分は無視が苦手なんで
想像するだけで鳥肌が立ちます

>>サマナの人さん
減らず口を叩く骸骨に萌えです
お疲れ様でした
>「キラァァァッ!」「アァァスランッ!!」とか
まさにこんな感じです(笑

>>ナンバーズさん
ブーン強いですね・・・・・・・
ちなみにジンはオルロワの息子かどうかはわかりません(ナニ
まぁご想像にお任せします

>>21RFz91GTE
執筆再開を祈っております
PCの復活も祈ります

>>139さん
ただただ感動です
自分もこんなの書ければいいなぁ

166 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/07(金) 19:20:14 [ gxoMDCNk ]
■RED STONE 第四章■
〜兄弟〜
時はブーンの戦闘の約20分前にさかのぼる…
 
ベルフェ『ぐあっ!』
レオンに向けて放たれたストレートスパイクを自分の身で受ける。
ベルフェ『皆は手を出すな。こいつらは俺の…俺の弟だ。…俺がカタを付ける』
迎撃しようとするPTMを遮り、一人歩み寄る。
ベルフェ『お前ら…いまさら俺のしたことを許してくれとはいわない…だが、せめて…』
そういうと大剣を取出し構える。すぐにパラレルとディレイの嵐がくる。
ベルフェ『…アーマークラッシャー、ウエポンブレイカー』
ベルフェは攻撃を捌き、鎧を破壊し剣を弾き飛ばす。
そして…ベルフェは二人をぐっと抱き締め、涙を流しながら…
ベルフェ『せめて、せめて一言、兄貴と言ってくれ…』
と、一言言った。
その場にいた皆が黙っていた…スティードにユライスは動かない。
ここで神の奇跡が起きた。
ヒュウウン…ヒュウウン…
ベルフェの周りで蛍のような不思議に光る発光体が廻り始める。
ベルフェ『これは…幻光魂?』
幻光魂とは死者の魂が目に見えるように具現化したものを指す。
次第に幻光魂が人の体を形づくり始める。
スティード【兄貴…久しぶりだな…】
ベルフェ『すまない…腑甲斐なかった…自分の利己に溺れ一番大切なものを忘れた俺は…』
ユライス【いいんだよ兄さん。誰も兄さんを責めはしないよ。】
スティード【兄貴はただ悪い夢を見ていただけだ。前を向いて歩け。兄貴には…"仲間"がいるのだから…】
そういってスティード達は消えた。
【俺たちはいつだって兄貴を護るさ】
ふと手にもったレムフェアバルターの変化に気付いた。
神々の護符と思われる文字に強大な魔力を含んだ刀身。
ガンズ『そっ、それは神剣ラグナロク!!』
ベルフェ『二人の…魂の剣…』
二人の死体の顔はにこやかに…微笑んでいた。
そして俺は決意した。
紅き悪魔は…この剣に誓って倒す!
■つづく■

167 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/07(金) 20:45:24 [ RNukKI.I ]
>>戦士見習いさん
ギムレットさん死んじゃいましたねorz
彼の屍を乗り越えてジン達は天使たちを止めることができるのでしょうか?

>>ナンバーズさん
ベルフェお兄さんパワーアップww
いや、兄弟っていいものですねぇ。弟たちの思いを胸に頑張ってもらいたいです^^

168 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/07(金) 21:29:14 [ RNukKI.I ]
>>変な生き物さん
アーネストを圧倒してますね、この戦士。
血の龍・・、ゲームのほうでも覚えてみたい。(ネタとしてww)

>>133
ハノブに着いた俺達は、休憩もそこそこに鉄鉱山へと急いだ。
「しかし、ずいぶんと今日は人が多いねぇ。」
ハノブの街中の様子を見てギルがそんなことを呟いた。
確かに、平時よりは滞在している冒険者の数が多い。しかも、かなり高Lvの冒険者も見受けられる。
「当たり前や。今回の大量発生の件が解決するまで、ハノブ鉱員協会が鉄鉱山を封鎖しとるからな。」
「ロックゴーレムごときで封鎖したのか?協会は。」
「あぁ、そうや。」とアニーが相槌を打つ。随分と慎重な決定を下したな、協会も。

鉄鉱山の入り口付近まできて、なにやら言い争いの声が聞こえる・・。
「ですから、今はここの坑道は閉鎖中ですので貴女をお通しするわけにはいかないのですよ。」
「だから私がこの封鎖してる問題を解決してあげる、って言ってるのよ。」
どうやら、アーチャーの女が守衛役の鉱員に食って掛かってるようだ。
話の内容から察するにあのアーチャーも俺達と同じ目的らしい。
「ですから、この件に関しましては協会からの正式な依頼を受けたギルドの方に一任しておりますので・・。」
「そんな何時来るかも分からない奴らを当てにするより、今ここで受けて上げてもいいって言ってる私に頼んだ方が効率的でしょ!!」
「ですから、そういう問題ではなくて・・。」
まぁ、なんつぅか必死だな。あの弓兵。よっぽど金がないんだろ。
「おーい兄貴に姐御、POTの補充終わったよ・・。って、レナ!」
「何よ、ギル・・。って、なんであんたここにいるのよ?」
どうやら、ギルはこの女と知り合いらしいな・・。

169 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/07(金) 21:36:50 [ QnyLWUVQ ]
ども、ご無沙汰しておりますナンバーズです。
さっそく感想逝きます
>>@戦士さん
ギムレットォォォ!!!チーン…
個人的に何となく好きなキャラだったからもうぬるp
>>FATさん
蝿の大群…ガクガク((( ゚Д゚)))ブルブル
いっそ家ごと火で…いやいやなんでもないですよ。
うわなにするjmgbikneoふじこjgm

馬鹿のされごとでごわす。
>>サマナの人さん
激しく連載キボンヌ。このキャラクタ像が(・∀・)イイ!!
でごわす。
>>南東方不勝さん
いつもお早い感想ありでごわす。スナッチは…まあネタバレはナシでごわすw

以下コント
ナンバーズ?「そうそうナンバーズ、今日から居候がふえるでごわす。」
ナンバーズ「なに?また来るのか?」
ナンバーズ?「そこで金庫開けてる香具師と冷蔵庫の中身食ってる香具師とアイテムブーンしてる香具師でごわす。」
偽ナンバーズ「ちっ、3Gしか入ってねえ。」
ナンハース「うはww食い物テラマズスwww」
†したらばナンバーズ最強魔術師†(名前はどっかのスレ参考)「⊂二二二二(^ω^ )二二二二二⊃」
前略お母さま…助けてください。監禁されています。

170 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/07(金) 21:51:23 [ /Llzpyy. ]
ぎゃあ!生き物さんと21Rさんへのレスがないじゃまいか!
>>変な生き物さん
アーネイトォォォ!!!なんて個人的に好きなキャラが死ぬ(かもしれない)オンパレードなんだ…orz
>> 21Rさん
PCがやばいんですか…はやく直るといいですね。
学校のPCってやはり教室にあるPC?確か俺が中二のときに設置されたなぁ。あのころは(強制終了

171 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/07(金) 22:54:38 [ EOpVH4ik ]
どうも、こんにちわでございまする。

>>FATサマ
ナイトバーズの初陣が蝿退治・・・
ナイトバーズカワイソウwなーむー。
>ポトフおじさん
む、毒の調合が得意でひょうひょうと・・・
ま、まさかこのおじさんはひょっとしてリディスの未来の姿 ウワァポトフオジサンダタスケ... アベシッ!!
>ぐうたらリディスとは大違い
いやいやリディスも仕事してますよ、口説きとかがほとんどですが
まぁ最近セナのおかげであまりしてないようですが
…回数が減っても口説きは止める気配ありませんが、ね。

>>21Rサマ
ファンとして気長に、首もながーくして待ちますー
それとPCお大事に・・・ああHDが壊れた時の記憶が脳裏にry

>>サマナの人サマ
ひとまず終わりましたねぇー、お疲れ様でした。
相変わらず骸骨のエロっぷりは治まらないようでw
きっとまたこのSSに現れるときも3人(2人と1匹?)は元気にしてるでしょうねぇ
今すぐ、とはいいませんが気が向いたときにまた彼女らの物語を書いてくださいです。
>「人間としての強さ」みたいなのはきっとリディス君のほうが上
すんません、絶対負けてるっていう自信あります orz
だって某赤髪のナンパ男級の意思の無さですからー!残念!!

>>139-142サマ
ごめんなさいモニターの前で号泣!
お兄様/お姉さまと呼ばせてくだされぇええぇぇぇぇ!
こういう物には弱い、めっちゃ弱いですがな、号泣、感動、感動でござるぅううう!

>>ナンバーズサマ
ブーンのアンビリアルケーブル解除&暴走モードキタァァァァァァァァァァア!!!
デビ・ロンを一撃ってオソロシス、しっかも性格マジメやなぁ
ピエロの仮面を被るウィザードですか、カッコエエ。
そして一人の戦死者(とは決まってないが)…
さらに死んだ弟との会話、そして神剣ラグナロク…
先が読めない展開でドッキドキマイハートです。

>>記者Aサマ
噂のみですが、聞いたことはありますねぇ無限花。
あと話だと無限ケーキもあるようです
・・・無限ケーキ/ケーキ⇒パイ/無限パイ、パイ投げ戦争ry
本当にありそうで実に面白い記事ですなぁ、関心しますわぁぁ。

>>名前がない@戦士見習いサマ
お互いに老いているとはいえども凄まじい戦いになりそうですガクブル
なんか武器が壊れてもしまいには素手で殴りあいそうですな、某兄弟の如く。
年をとってるお互いガンコだから意地と意地のぶつかり合いが激しそうでまぁ怖い
そしてギムレット…、次回作を待ってます!
>RSの戦士もこれだけ強ければ・・・
十分強いような気もしますよ、先日ギル戦で〆られましたし(´・ω・|墓

>>南東方不勝サマ
あーあーあー、爆発しちゃいましたか、こんがりですか…
女性の怒りは凄まじいもんです。
そして討伐しようという時にギルの知人らしきレナという人物。
さぁどうなるのか!どうなっちまうのか!
>血の龍・・、ゲームのほうでも覚えてみたい
物理攻撃としてカウントされますが自己ダメージ技となりまーす
あと気合でナイフや矢を破壊するほどの力がないと出せませーん
つまりどっちみちネタry

>>144サマ
冒険者になるにはやっぱり素質が大切ですかぁ
そして武道家を目指す主人公、ガンバレガンバレー!!
気合と度胸!気合と度胸!目指せ世界一の武道家!世界一のry
気合だ!気合だ!きry  ウワナニヲスルブゴフッ

>>◆j9cST1xRh2サマ
ランド習得おめでとうございまーす、オークションで見た事がw
>ナンパ癖
正解、ナンパ男です、人見知りはしないタイプ
家の用事を適当に片付けてPTに入る、でも目的は狩りじゃなくて口説きというあほっぷり
ちなみにあの日入ったPTはムキムキなビショップしかいないPTとかなんとか

ちゃっちゃと後編作るぞー!
勢いでアーネイト殺しちゃって展開どうしようか苦戦中だぁあああぁぁぁー!!!! OTZ
生きるか死ぬか、ロイド次第かもん

172 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/07(金) 23:13:53 [ RNukKI.I ]
>>168
「ギル、この子あんたの知り合いなん?」
「そうだよ、姐御。こいつの名前は、レナ・クーゲル。オイラの幼馴染さ。」
ふむ、幼馴染か・・。まぁ、此処で出会ったのも何かの縁かも知れんが・・。
「ほぅ、そうかい。それよか嬢ちゃん。そこどいてくれへん?ウチ等この奥に用があるし、人待たせとるんや。」
「なに、じゃああんた達がこの仕事任されたギルドの人?じゃ、私も連れて行ってくれない?」
・・、唯我独尊とはこういう奴のことを言うのか?
俺とアニーがレナの無理やりな発言に呆然としている間に、
「ほら、ギルからも頼みなさいよ。この人達、あんたの仲間なんでしょ?」
「待てよ、レナ。そんないきなり連れていけだなんて、お前らしくない。兄貴も姐御も呆れかえってるじゃないか・・。」
と、ギルが反論するとレナはギルの耳に口を近づけ、
(じゃあ、あんたが5歳の時にアリアンのオアシスで溺れた事言っても良いんだ?確か、水深50㌢だったけ?)
(な、それは今関係ないだろ。)
(良いからあんたからも頼む!じゃないと、スカルペネトレータでその軽い頭貫くよ・・!)
(はぁ、なにをそんなに焦ってるんだか知らないけど分かったよ・・。)
む、どうやらギルが根負けしたようだな。となると連れて行ったほうが無難だな・・。
「兄貴に姐御・・、オイラからも・・」
「みなまで言うな、ギル。どうせこっちが承知しなくとも、その手の奴は後をつけてくるのが相場だ。」
「ウチは反対やで。なんでこんな信用ならん小娘を連れて行かなあかん?」
「じゃあ、ここでこいつが諦めるまで説き伏せるか?その分、ヒースとの合流は遅くなるが・・?」
そういうとアニーは、渋々ながら承諾してくれたようだ。
「そっちの女性の狼の方は融通が利かないけど、あなたは話がわかるのね。」
流石は同性、一発でアニーが女だと悟りやがった。アニーも驚いてるな。
「自己紹介がしたいなら、道中だ。急ぐぞ。」
そうして俺達は、強引について来ることとなったギルの幼馴染・・レナを連れて鉄鉱山の中へと入っていった。

173 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/08(土) 00:00:54 [ RNukKI.I ]
鉄鉱山B1に足を踏み入れた瞬間、俺達はそのあまり異常さに驚いた。
「ちょっとギル、ここB1でしょ?なんでロックゴーレムがうろついてるのよ?」
「オイラに聞くな!でも、確かにおかしいよな。本来こいつらの生息分布はB4からなのに。」
(本来の生息地域からの移動・・、オートのあいつらも外に出ようとしていたな・・。)
しかし、こいつらは明らかに自分達以外のテリトリーを躊躇なく侵食している。
明らかにこれは異常だ・・。
「アニー、どう思う?」
「正直分からん。ただ異常過ぎるんことはぴくっこでも分かるわな。」
・・・、これはヒースとの合流を早めたほうがよさそうだな。
「アニー、ヒースは何処で待機してる?」
「B2の入り口付近や。多分、1,2体は倒してるんとちゃう?判断材料としてな。」
「分かった。行くぞ、お前ら。」
そして俺達はB2へと向かっていった。

B2に降りてすぐのところでヒースは今しがた倒したであろう、ロックゴーレムの
遺骸を調べていた。
「ヒース、無事やったんかぁ・・。」
ヒースの姿を確認するなり、駆け寄ってくアニー。
「ん、アニーか・・。そんなに心配する事でもないだろう。」
そういってアニーをなだめてから、
「済まないなジャック、お前も依頼が終わったばっかりだろうに・・。」
「いや、構わんさ。頼ってきたダチを無下に扱うほど人間腐っちゃいない。」
「ふ、お前らしいな。ところで後ろにいる御ふた方は・・?」
まぁ、初見だから当然の反応だな。
「初めまして。オイラの名前はギル・ヒュプノス、この度兄貴たちのギルドに加入することにしたんだ。」
「ふむ、随分懐かれているな。ジャック。」
まぁ、気付いたら懐かれてただけなんだが・・。
「私の名前はレナ・クーゲル、好きに呼んで構わないわ。これっきりの縁かも知れないし・・。」
なんだこいつ、意外とクールな奴だな。
「自分の名前はヒースだ。名字は無い。天使には名字をつける習慣はなかったからな。」
と、一通りお目通しが終わったところで。
「で、ヒース。その遺骸から何か分かったか?」
そういって俺は、ロックゴーレムの遺骸を覗き込む。
「うむ・・。詳しいことは分からないが、今までに感じたことの無い瘴気に晒されていた形跡がある。」
「なんや、天使のアンタでも分からへんのか?」
「あぁ、まったく分からない。」
・・・とりあえずこの現象の原因は正体不明、ということしか分からんな。
「もう少し奥に潜ってみる必要があるな、こいつらの本来のテリトリー・・B4に行くぞ。」
そうして俺達はさらに坑道の奥へと向かって行った。

174 名前: †ナンバーズ†(省略済み) ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/08(土) 00:19:21 [ gxoMDCNk ]
ナンバーズは寝ているので漏れが感想かくぉ(^ω^ )
…もう書いてある?(^ω^ )
漏れはブーン関係専門だぉ(^ω^ )
中身同じ?ナンバーズならそこで縛られて…いやのんきにねてるぉ(^ω^ )
(モガモガ!!助けドガッ!!……おkでごわす)
>>アンビリカルケーブル、種割れ
EVAのことはよくわからないぉ(´・ω・`)ショボーン
種割れというかなんか…漏れもガソダムパクったわけじゃないぉ(^ω^ )
ブーンはカマトトぶってただけだぉ(^ω^ )
糸冬 了
おまけコント
ナンバー一家8月12日
ナンバーズ「おまいら!昼食ができますた。リビングに集合しる!」
ナンバーズ?「詳細キボーヌでごわす」
ナンバーズ「おせちですが何か?」
†ナンバーズ†「おせちキター!!(^ω^ )」
ナンハース「wキターーw!w!w」
偽ナンバーズ「おせちごときで騒ぐ香具師は逝ってよし!」
ナンハース「どうでもいしwwwそれより栗きんとんうpキボンヌwww」
ナンバーズ「伊達巻きage」
偽ナンバーズ「↑誤爆?」
†ナンバーズ†「黒豆age(^ω^ )」
ナンハース「糞黒豆ageんなwww!sageろwww!」
ナンバーズ?「ほらよでごわす栗きんとんageでごわす」
†ナンバーズ†「黒豆age(^ω^ )」
偽ナンバーズ「ageと言ってればagaると思ってる香具師はDQN」
ナンバーズ?「糸冬 了でごわす」
†ナンバーズ†「再 開(^ω^ )」
ナンハース「再開すなDQNがwww!」
ダメオン社員『イタイ家族がいるのはこの家ですか?』
ナンバーズ「氏ね」
ナンバーズ?「むしろイ㌔そして鯖強化しるでごわす」
†ナンバーズ†「黒豆age(^ω^ )」
ナンハース「†ナンバーズ†必死だな(ワラ」
ナンバーズ「とりあえずはよ食え。」
 
コピペじゃなくて頭の記憶からひっぱりだしたから間違い多いかも。

175 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/08(土) 00:58:48 [ b6Gnz/6I ]
寝ようと思ったら電波が来たのでこれだけ書いて寝ます。


ギルド戦で鳴らした俺たち特攻部隊は、ダメオンマジックで牢屋に送られたが、
牢屋を脱出し、バリアートに逃げた。
しかし、田舎にくすぶっているような俺達じゃあない。
筋さえ通れば金次第でなんでもやってのける命知らず、不可能を可能にしダメオンマジックを粉砕する、俺達、特攻野郎RSチーム!

俺はリーダーの健康>カリスマBIS
ブレエビヒールにリザコール。
俺のような完全支援BISで無ければ、百戦錬磨のつわものどものリーダーは務まらん。

俺は探索もできる暗殺シーフ
自慢の暗殺で、MOBはみんなイチコロさ。
絨毯乗って、箱品からクエ品まで、何でもそろえてみせるぜ

よおお待ちどう。俺様こそ殴りアチャ。それとおまけにビッグスパロー
足止めとしての腕は天下一品!
無限矢? U矢? だから何。

ゴーレムテイマー、with気まぐれ
タゲとりの天才だ。レイスやネクロだってタゲとってみせらぁ。
でも、狂気だけはかんべんな。

俺達は厨だらけの世の中にあえて挑戦する。
頼りになる神出鬼没の、特攻野郎RSチーム!
助けを借りたい時は、いつでも耳してくれ。

176 名前: RED STONE小説・長編物(三章後編・上) 投稿日: 2005/10/08(土) 01:50:14 [ EOpVH4ik ]
(前編)>>160-162

ガレキの山が爆発し、3人が煙を払って入り込む
「ルエアス!やったか…」
だが目の前の光景に言葉が途切れた。
血溜まりに倒れるアーネイト、男の大剣には血がこびりついている
「…」
3人は言葉を失う、確かな憎悪が二人の目に宿る
「この傷は……」
ロイドはアーネイトに駆け寄るが顔には曇りしかない
そして嫌々ながらに首を横に振る、傷は大きく、呼吸もしてなければ心臓の音もしない
「貴様…アーネイトさんを…!」
「…ここにもう用は無い、失せろ」
「俺達の用事なら残ってるぜ」
そう言って上着を投げ捨て、上着の下に隠れてた大量の武器を手に取った
セナも槍を構える、そしてロイドは聖水撒きを握り締める。
再び凄まじい音が鳴り響く


…馬鹿みてぇだな、俺。
瀕死の重傷の中、息も出来ずにわずかに残る意識で呟く
立ち上がることが出来ない、どうやら背骨ごと貫かれたようだ
既に痛みはなく自分が徐々に冷えていく感覚だけしかない。
一方で3人は男と戦っていた
一撃を受けても致命傷でなければロイドが瞬時に回復できる
そしてロイドをカバーするように2人が守りながら戦う、が明らかに押されいている

ったく…あいつら戦ってるのに俺が参加できないなんてざまぁねえな
このまま死を待つのみ、か
徐々に意識がハッキリしてくる、…これが冥界へのお迎えって奴か…。

だが様子が違った
心臓が徐々に速度を上げていく、まるで狂ったように
割れる勢いで心臓が鳴る、そして徐々に感覚が戻ってくる。
息もできるようになり、手をつく、そして恐る恐る全身を動かしてみる
― 足が動く…!
そのままゆっくりと立ち上がった。
「アーネイトさん!」
「…背骨ごと貫いたがまだ立つか…?…」
肩ひざをついたアーネイトがゆっくりと視線を合わせる
それと同時に毛がざわめきだす。
アーネイトの周囲は一見普通だがなにかが異常な空間となっている
…微妙に、本当に微妙だが周辺の「時」が狂いはじめている。

徐々に毛並みが白く、限りなく白に近い灰色になる
瞳も人間の瞳から獣の瞳へと変化し、毛が全て銀色になったと同時に立ち上がる
「「ウォオォォオオォォォォォォォォォォォォォン!!!!」」
遠吠えが響き渡る、そして牙を剥き唸りながら男めがけて走り出す。
「! !」
鉄の爪と漆黒の大剣がぶつかり合う
ギリギリと火花を散らすが男は素早く下がり再び波動を生み出す
素早く宙で反り返り避ける、が男は二発目の波動を放つ

だがアーネイトはその波動を鉄爪により切り裂く。
「やるな」
素早く間合いを詰め再び鍔迫り合いが起きる、素早く払い大剣を振るう
何度も何度もぶつかり合い、凄まじい量の火花が宙に舞う
徐々にアーネイトが手数で勝っていく、徐々に鎧をかすめ始める
それを見て男はうっすらと笑う。
「ほぉ、急激な進化だな…興味深い」
だがそのまま大きく口を吊り上げて笑みを作る、まさしく狂気の笑みというに相応しい顔だった。
「だが!」
凄まじい勢いで大剣を振るう、アーネイトはそれに反応して鉄爪で迎え撃つ、が
≪バギィイン!!≫
鉄の爪は砕け散り、宙に破片が舞いアーネイトは「いなし」に失敗しバランスを崩す
「いくら強くなろうともその仕込み式の鉄爪でなんとかなると思ったか!」
そして男は大剣を横に振るう、顔面めがけて鬼神の如き速度で。

177 名前: RED STONE小説・長編物(三章後編・下) 投稿日: 2005/10/08(土) 01:53:41 [ EOpVH4ik ]
だが頭蓋骨が切られる音はしなかった
アーネイトが牙で大剣を噛み、止めていたのだ。
「噛むしか脳がない犬が!」
そう言いながら大剣を引き抜こうとするが、抜けない
アーネイトの…自前の爪に徐々に冷気が宿る

「誰が噛むしか、脳がない犬だって…?」
アーネイトが始めて喋り、爪には更に冷気が上乗せされる。
流石に危険だと悟ったのか後ろに下がり全体重を乗せて大剣を引き抜こうとしたが
だが後ろにはリディスとセナが押さえ込み、ロイドは聖書を読み上げ魔法で縛り付ける。
「こ、この雑魚が!」
だが既に時遅し、爪に集う冷気は極限まで高まり空気中の水分が凍りつくほどになった
「俺が噛むしか脳がない犬ならなぁ」
極限まで高まった気迫が爪に集中する。

「テメェは…大剣を振るうしか脳がない⊂(^ω^ )⊃勇者様だぁあぁぁぁあああああああ!!!!!」
そう意味不明な記号つきで吠えた後、爪による一閃で鎧を砕く
深くはないものの腹部を切りつけた、が切りつけた場所が瞬時に凍りつき凄まじい痛みを生み出す。

「ぐっ…おのれ、雑魚ばかりが…」
男が目を見開き大剣を構えなおす、だが男のポケットから赤い光が漏れ出す

「チッ、時間切れか!」
そう言い捨てた後、大剣をしまい魔石も使わず一瞬でワープした
ある意味その速さはアーネイトの意味不明な記号並だった。
「ハーッ…ハーッ……ザマァ見ろってんだよ………」
そう言い捨ててから大きくよろめき倒れる
セナがアーネイトの体を正面から支える、セナはアーネイトの身の心配をする
だが寝息を立てて爆睡しているだけだった
傷も癒え、徐々に毛の色がいつもの茶色に戻る、それを見たセナはボロ泣きした
「よかった!よかった !アーネイトまで死んじゃったら、私!私!」
支えながら泣きじゃくるセナを眺めてロイドは十字を切り天(現実は天井)を見上げた
そしてリディスは青ざめた、セナが寝てるアーネイトの胸に顔をうずめて泣くのを見て青くなった
リディスの心の中で、セナ・ロイド・リディスの三角形の真中にアーネイトが出現した。


「ん、…ん……」
「あ、目が覚めた?」
気がつけば目の前にセナが覗き込んでいた
起き上がるとリディスもいた、だが全身が縛られたかのような痛みが走る
外はまだ上がりきってない朝日が見える、どうやら朝になったようだ
「あんまり無茶すんなよー、もう調査は終わったんだぜ」
「そうか…、失敗か」
「いんや成功、報酬貰ったぜ〜、ロイドが「体調が整い次第、会いに来てくれ」ってさ
 新しい依頼と防具を渡すんだと」
「ほー、そりゃあよかった、っいてて…」
再びベッドに倒れこむ、そしてそのまま即行で眠った
それを見た2人は顔を合わせて笑う。

これでこの事件は一段落したと皆が思った
だが、それは違う…そう…「始まった」のだ
運命の歯車が今、ゆっくりと、だが確実に回り出した…。


       RED STONE
           silver wolf

178 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/08(土) 02:21:23 [ EOpVH4ik ]
こんな時間ですがコンバンワ、超夜行性の変な生き物です
眠い…でも小説は勢い!勢い!勢い!眠い!勢い!

ってあららららーカキコがあるわ
レスレスっとね。
>>†ナンバーズ†(省略済み)サマ
おや、どこか雰囲気が違いますねぇまぁそんなことどーでもいいか。
>アンビリカルケーブル、種割れ
俺もエヴァネタあまり知らない…、ケーブル名も多分間違ってる
って間違ってたかOTZ

…アレ?種割れ?タネワレ?アレ?アレ!?
文字化け?!ちょ、文字化けかよッ!!文字化けですくぁぁぁぁぁあ! orz
種割れと書き込んだ場所はありませぬ、多分文字化けです…すみませんゴメンナサイ
>ナンバー一家8月12日
楽しそうな一家ですねぇ〜、自分もまぜてくれいぃぃ(・ω・)

>>南東方不勝サマ
ブッ!一階から既に!!ある意味マジシャンが消えてラクかもとか思った俺アウート!
そしてギルの幼馴染、レナ・クーゲル
うわスッゴイ押しwギルも凄い幼馴染を持ったもんですなぁ…。
この先のギル氏の女難…
じゃなくて受難っぷりも楽しみです、非道ですが。

>>サマナの人サマ
>寝ようと思ったら電波が
あるあるあるある、大体小説を書くとき何かピ―ンと来ると書けるんですよ〜
まぁ自分は無駄な電波ばかり受信しますけどね、あと自分に電波が留まってますがな。
>俺達、特攻野郎RSチーム!
スゲェッェェェェェ!ダメオンマジックを切り抜けるか!!
こりゃ頼りになりそうだ…、それじゃあ早速
小説作りの手伝いを…………ダメ?


あー勢いで三章終了
タイトルも今度からは「RED STONE silver wolf」(略してRED STONE swと表示)に
なんつうかいきなり伏線だらけでなんだかなぁとか思う俺がいる
あー小説も終わった、もう超眠いよパトラッシュ、お休み
…でもその前に24を……む、無理…ぽ… ZZZ...orz

179 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/08(土) 09:32:10 [ RNukKI.I ]
課金が切れて狩りがヌルポですorz

>>サマナの人さん
私の大好物のギャグ物の香りがぷんぷんと・・w
続きを首を長〜くして待ってます。

>>変な生き物さん
アーネイト復活、というよりパワーアップ。
そして、このパワーアップの原因に心当たりがあると思われるロイドさん。
一体どのようなことがこれから先に起こるのでしょうか?

180 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/08(土) 17:40:20 [ QnyLWUVQ ]
>>変な生き物さん
種割れはサマナの人さんの感想レスです^^;
>>150参照です。

181 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/08(土) 18:16:55 [ ipn.sE8A ]
今自分のレス見たら
ナンハース「ネ申降臨!」
が抜けてた…脳内変換してね。
ナンバー一家紹介
◆ナンバーズ
JOB:紙戦士
紹介:雑用。普段のレスしてる香具師。
◆ナンバーズ?
JOB:殴りBIS
紹介:〜ごわすと言ってるレスは全てこいつ。
◆†ナンバーズ†
JOB:⊂二(^ω^ )二二⊃(チンコWIZ)
紹介:厨房。本名は†したらばナンバーズ最強魔術師†。語尾にだぉ(^ω^ )と付いてるのがこいつ。極めて紙。
◆ナンハース
JOB:狼男
紹介:wwwを多用する香具師。失礼な発言多し。
◆偽ナンバーズ
JOB:シーフ
紹介:偽善者。表向きは紳士的だが裏で何やってるのかわからない。つまり腹黒いということ。
 
小説は夜中に。

182 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/08(土) 19:14:21 [ PxFz8YG2 ]
どうも、変な実験用生物です
>>南東方不勝サマ
課金切れですかぁ…
フゥーハァーハァー課金なんかしたことないから2倍のラクさなんてわからないぜーorz レベル上げきついよママン
>一体どのようなことがこれから先に起こるのでしょうか?
電波が来るまで自分でもワカリマセンワァ
にっしても主人公がパワーアップってのもベタベタやなぁ…。
まぁただのパワーアップにする気なんか微塵もありません、…訳ありです(・ω

>>ナンバーズサマ
>種割れはサマナの人さんの感想レスです^^;
○| ̄|_
すみません、本当にスミマセン。
やっぱり徹夜なんかするもんじゃないねー…、頭の回転が普段と逆回転になる。
でもF5で更新するとたまに文字化けして心配で心配で
>ナンバー一家
すみません混ぜてくださいwって名前がナンバースににてないから㍉か。

183 名前: ◆j9cST1xRh2[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/08(土) 23:27:38 [ 24nIdEKs ]
あるウィザードが残したもの
表紙〜七頁目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970
>>22-23 八頁目 帰路にて − 2
>>49-50 九頁目 長い夜 − 1
 
十頁目 長い夜 − 2
 
二階の階段近くの小窓から月の光がもれて、最近磨かれたと思われる廊下を照らしていた。
メリックはその廊下の電気をつけ、一番奥のさらに上へと続く階段の手前にある右側の戸を開けた。
開けた瞬間、部屋のなかからカサカサッという音がはっきりと聞こえてきた。
(一体なんだろう。こんなところを住処にするといったら?ネズミ…ゴキブリ…ゴースト……)
考えるだけで寒気がするものばかりだ。
見えないんだからなんともないだろ、と言われそうだが、見えないからこそ想像力が働くということも考えてほしい。
窓があると思われる場所から漏れた月明かりの大部分は、正面の大きな荷物に部屋への侵入を阻まれている。
何とか入り込めた光は一部の荷物が浮かびあがらせていた。
人が寝たりするのに適当な場所ではない。物置として使われているのだろう。戸の近くの大きな箱にかぶった埃はまだ薄かった。
メリックは入り口の近くのスイッチを押すが、電球が切れていて電気がつかないようだ。
彼は杖を取り出し、杖の先を人差し指でポンッと触った。すると指から手へ光が飛び移ったように見え、杖の先に目映い光が灯った。
その瞬間(私は悲鳴をあげそうになったが)メリックの足元にいた親子と見られる大小二匹のネズミが荷物の陰へと逃げていった。
「ネズミまで住み着いている…可哀そうだけど、出て行ってもらうしかないな。」
誰に話しかけるわけでもなく、メリックはそうつぶやいた。
彼は右のほうの壁のへこみまで歩いていった。影が濃くなっていたので、大きくへこんでいることがわかったのだ。近づいて見てみると小さなランプが置いてあった。そのランプのガラスの部分に向けて杖の先端を振りかざすと、光は杖から離れ空中を直進し、普通の火のようにランプに灯った。
明るくなったところで部屋の様子を観察する。
正面の大きな荷物の裏に白縁の大きな窓がある。おそらく半年近く開けられたことがないのだろう、桟の埃の量がものすごい。
白のレースのカーテンと上に巻き上げられているグレーのカーテンの色の組み合わせはあまり似合っているとはいえなかった。
左にも窓があるようだが、同じグレーのカーテンが閉められていて窓を見ることはできない。
光も入ってこないが、開いていても西側からは光は入ってこないだろう。
右側の壁には、ランプの他にポスターやらカレンダーなどが貼られていた。
カレンダーはブルン暦4817年の物だったが、紙の黄ばみ具合を見ると今の年のカレンダーではないだろう。
「……さてと。」
メリックはあの時と同じように杖を奇妙に振り、何かを詠唱し始める。緑色の魔方陣が床に浮かび上がった。

184 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/08(土) 23:28:29 [ 24nIdEKs ]

幾分目を細めながら部屋全体を見回した直後、メリックは部屋全体に杖を緩やかに動かした。杖の残像が空中にぼやけて残っていた。
一瞬部屋全体が傾いたかと思うほど床が大きく揺れ、次には部屋内の全ての物が空中に浮かび、微かに上下していた。
「う〜ん、どこに置くかは考えてなかったな…。」
メリックは杖を近くの荷物に立てかけながら言った。私の見たところ、二階にある他の3つの部屋は全て使われている。
「そうだな……やっぱり屋根裏しかないか。」
彼は荷物を屋根裏に持っていくのはあまり気が進まないらしい。それでも他に置く場所がないことは明白だ。
私の心に少しずつ期待の波が押し寄せてきた。今度はどんな魔法を使うんだろうか、と。
……結果だけ言っておけば、彼はそれ以上魔法を使うことはなかった。彼は全ての荷物を自分の腕で屋根裏まで運んだのだ。
褒めるべきことなのかもしれないが、私は少しガッカリした。
荷物運びが終わって再び期待が蘇ってきたときには…彼は既にモップとバケツを持ってきていた。
 
あまり時間がかからずに掃除も終わり、仕事の内容は部屋の整理へと移っていった。
ほとんどの作業が順調に終わったが、最後の最後に空きベッドがないという事態に陥った。
「親父のベッドが空いてるけど、大きくてドアから出せないんだよな……。
 分解なんかしたら組み立てが面倒だし。」
メリックはもう一度屋根裏へ探しに行ったが、やはりベッドなどはなかった。
「仕方ないな…。」
どうやら今度は別のものを探しているらしい。ベッドなど入るはずもない大きさのダンボール箱の中身を探っている。
お目当てのものはすぐに見つかったようだ。
それはシュラフだった。灰色に近い黒で、表面は少しだけ光を反射している。内側は羽毛でふかふかのようだった。
それを置いて二階に下り、片付けた部屋の向かいの部屋に入った。多分メリックの部屋だろう。メリックは静かに電気をつけた。
 
机の上には大量の火薬と何種類かの薬の袋。床には見たことのない機械とその内部を循環しているクリアブルーの液体があった。
特殊な花火でも作るつもりなのだろうか。私はユナの言っていた火炎瓶事件のことを思い出していた。
窓の桟には鉢植えが置いてあった。よく見てみると幹の表面にトレントの顔のような歪みがあり、私は何となく悪感を抱いた。
壁の大部分はポスターが覆い尽くしていて、全部に同じ人物が描かれている。ベッドのところにあるカレンダーは、B4820の9月となっていた。
本棚には主に魔法関係の本が多く、教科書やノートと見られるものもある。
右手の西側には普通の大きさの窓があり、南側にはベランダがあった。
思ったより普通の部屋だ。細かいところまで部屋を探ってみれば何か見つかりそうだと思ったが、もう部屋を出なければならないようだ。
彼は既に浮遊術でベッドを浮遊させていて、それを持って運ぶところだった。
電気を消されてしまい、仕方なく部屋を出た。彼はベッドを運び終えてから、いかにも新品そうな毛布を出してきた。
メリックは深呼吸をし、物が全て揃っているかを確認してから一階へと下りていった。

185 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/08(土) 23:29:29 [ 24nIdEKs ]
 
「あー終わった終わった。腹減ったんだけど、残り物か何か…」
「お疲れ様。でも残り物はありませんよ。自分で作りなさい!」
いきなり罵声だ。少し惨めそうにキッチンへ向かう彼の背中を見ると、何となく同情したくなってくる。
なんて酷い扱いだよ、などとつぶやく声を聞きながら、とりあえず私もソファーに座らせてもらうことにした。
…もちろん誰かに断って座るわけではないが。
「ごめんねメリック、とってもお腹空いてたから全部食べちゃったの…。」
「え、ああ…」
「いいえ、いいんですよ。あの子は自分で作れるのにいつも人まかせなんですから。
 ユナも少しは料理を覚えたほうがいいわよ。」
「大丈夫、別居しても兄貴に作ってもらうから。」
メリックの包丁の音が乱れた。リフもクレアも微笑していたが、クレアが話を再開した。
「でも大変でしたね。リベルさん、おかわいそうに…。」
リフの表情が曇る。包丁の音は止んでいて、冷蔵庫の開く音がした。
「ええ…でも、大丈夫ですよ。彼は不運だったんです。
 父はまだ生かされていると思います。シーフたちは何か聞き出そうとしていたみたいだし…」
『父』とでた瞬間にクレアの顔が強張ったのを見たのは私だけだったようだ。クレアは焦りを完全に隠せていない声で話した。
「…あの、そのことなんだけどね…。この夕刊を見て。」
そう言ってテーブルの上にあった新聞を見せた。一面には何かが燃えるような写真が載っていた。
リフは不安そうに新聞を手に取り、見出しから読んでいく。全ての音が止んだように静かだ。今聞こえるのは時計とオーブンの音のみ。
リフの目がある一点に留まった。気まずい空気が流れた。何回か読み返してから、リフはもとあった場所に新聞を置いた。
「辛いのは分かるわ。今日は早く寝たほうがいいと思うの。大丈夫?」
空気に耐え切れなくなったのか、クレアはリフに声をかけた。リフは表情を変えずにいた。
「リフィーナさん?」
「…はい?あ、ごめんなさい……。あの、お風呂を貸してもらえませんか?」
「あ、ごめんね、忘れてたわ。外は寒いものね、風邪をひいたら大変。早めに入ったほうがいいわ。」
「ありがとうございます。」
「バスタオルは用意しておくわ。寝るときには私の服で間に合うかしら…。」
そんなことを言いながら、クレアは階段を上がっていった。
 
メリックのチーズと卵を乗せてオーブンで焼いたパン(※)を齧る音だけが聞こえてくる。
古そうな木製の時計は9時近くを指している。クレアがバスタオルなどを持って階段を下りてきた。
「こんなものしかなかったけど、着れるわよね?」
服の上から合わせてみると、少し小さめだが着ることはできるようだ。
「ありがとうございます。お風呂はどこですか?」
「ああ、まだ教えてなかったっけ。リビングを出て正面にお手洗いがあるの。そこにあるわ。」
「はい。」
リフは少しぼんやりとしながら立ち上がった。風呂で溺れることができそうな状態だ。私はメリックの状態を見にキッチンへ移動した。
パンの他にチャーハンもあった。中身の具は適当だが美味しそうに仕上がっている。ただ、台所の使い方はあまり綺麗でなかった。
メリックは丁度パンの3分の2を食べ終えたところだった。そしてコップの牛乳を全て口に含み、飲み込んだときにそれは起こった。

186 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/08(土) 23:30:16 [ 24nIdEKs ]
ガシャーンという大きな音とともに庭へと続くガラス戸が破壊され、そのカーテンの内側から4人のシーフが次々に飛び込んできた。
一人が素早い動きでキッチンに飛び込んできた。しかし、メリックの反応は早かった。
飛び込んできたシーフの顔面に向かって、手に持っていたコップと生卵を2個思いっきり投げつけた。
メリックの口から食べかけのパンが落ちた。表から床に落下し、半熟の黄味やマヨネーズが飛び散った。
いきなりの返り討ちに怯んだシーフは生卵の直撃を直に喰らった。目の部分に当たって中身が飛び出したために目が開けないようだ。
命中せずに砕けたコップを横目で見ながら味付け用の塩のキャップを外しておき、杖を取り出してテーブルに立てかけた。
シーフが目を開いて短剣を取り出して反撃を試みたところで、メリックが塩の入れ物をシーフに向けてぶちまけた。
それは見事に目にはいったようだ。シーフは無防備にも屈みこんで苦痛を味わっている。
「ぐあっ…目がっ!?」
「シーフにしては随分と過激じゃないか。しかも気配の消し方が甘すぎる。
 …あーあ、俺の晩飯を台無しにしやがった。」
メリックはパンの恨みを込めて杖でシーフの後頭部を殴りつけ、意識を失ったのを確認してからリビングへと援護に向かった。
 
リビングでは一人のシーフが既に倒れていて、残る二人のシーフがリフを囲んでいた。ユナとクレアはソファーの陰に隠れていた。
「Aの投げを回避するとは…やるじゃないか、小娘。しかし残念ながら俺たち二人のダガーをかわすことはできないだろうがな…。D!」
叫んだ瞬間、まるで嵐のようにダガーが飛び交った。近づこうとしたメリックは、全く移動することができない。
嵐が止んだときには部屋はズタズタだった。全ての備品が引き裂かれていて、ほとんどが使い物にならないくらいまでになっている。
いつの間にかユナとクレアがキッチンに移動していた。彼女らは傷はほとんどなかった。
リフはかなりの傷を受けていたが、致命打となっているものはないようだ。
しかし部屋の隅に追い詰められている彼女に逃げ場はない。
痛みに顔を歪めながらもなんとか弓を握っているが、左手から流れる血の量を見ると、撃てる状態ではないだろう。
「ははは、そこからでは流石に回避できまい…。」
先ほどDと呼ばれたシーフが、荒い息をしながらも勝ち誇ったように顔を輝かせている。
その両目がちらりと後方のシーフを捉えた。Dに指示を出していたシーフだ。心臓と脳天をダガーに貫かれていた。
「フン、自滅しやがったか、最後まで馬鹿で勝手な野郎だ……。まあいい、俺だけでもお前らなら始末できるさ。さあ、そろそろ死んでもら…」
そう言いかけてシーフは短剣を取り落とした。見ると、右腕に深々と包丁が刺さっている。
油断しすぎたのだ。メリックはさっきのシーフに片付けられたと思っていたのだろう。
振り向いたときにメリックを映したシーフの目は大きく見開かれていた。
彼は短剣が散らされた床を浮遊術で難なく進んできた。その視線は縛られるかと思うほど厳しかった。
「空きだらけなんだよ。残念だったな。」
形勢は完全に逆転。シーフは最後の足掻きとして左手で短剣を取り出す…が、後ろからの打撃で簡単に崩れた。
シーフの後ろでリフが自分の弓の血が付着した部分を拭っていた。
 
 
(※料理レシピスレの>>126を参照しました。)

187 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/08(土) 23:30:58 [ 24nIdEKs ]
 
「まるで地獄だよ。王宮に向かう前に数十人のシーフが増えた。魔法で浮遊させても引きずって歩くのは大変だったよ。」
メリックは帰ってから第一にそう語った。私も彼のあとをついていったが、町は本当に地獄のようだった。
生きている二人と二つの死体を浮遊させて引きずって王宮へ向かう途中、ほとんどの家が数人のシーフに襲われていた。
昼間の人間優勢で決着がついたかと思われた襲撃とは別に、シーフたちの襲撃があったのだ。
中にはエバンズ家のように返り討ちにした家もあったが、かなりの家が素直に襲われ、多くの住人が惨殺された。
「大して腕が利いたシーフはいなかったから、野良のシーフだと思うけど。」
「今日は修復できないわね……しょうがない、応急処置だけして寝ることにしましょう。
 見張りはペットに任せておけば大丈夫でしょ。」
ここでクレアが言うペットとは…伝書鳩ならぬ伝書ガーゴイルである。
ある種のガーゴイルは、卵から育てることで鳩よりずっと優れた伝書鳩となることができる。
聞き分けがよく、人語を聞き分け、目的の人や場所にしっかりと飛んでゆく。ただし、見た目は決してよくないということは言っておこう。
ある程度の戦闘力もあるので用心棒としても活躍できる(かもしれない)など、非常に便利な動物である。
しかし、この時代にはまだほんの一部の人々しかこれを活用していなかった。何か問題があるのかというと、『餌』に大いに問題がある。
『配合餌』と呼ばれるものが主流となっているが、その内容は実に豊富な種類の材料が必要なのだ。コボルトの肝臓やぴくっこの鱗などは特に問題ないが、上級の鷲類の肉や少量だがゴーレムの金属粉などは非常に難しいので、特別な商売人から高値で手に入れるしか方法がないのだ。
というわけで、有能な冒険者が少ないこの時代には材料も手に入らず、伝書ガーゴイルは本当に珍しいものだったというわけだ。
 
とまあ、伝書ガーゴイルについて語っている間に家の応急処置は終わっていた。
ユナとリフの姿は既になく、クレアは寝室へ向かい、メリックは歯を磨いているところだった。
寝る準備を全て済ませたメリックは、そのまま二階の自分の部屋へと向かった。ドアを開けて電気をつけた。もちろんそこにベッドはない。
「……しまったっ、忘れてた…!」
メリックは急いで、しかし音を立てないように静かにドアを閉め、向かいの部屋のドアと向き合った。
彼は生唾を飲み込み、少し間を空けてコンッコンッと2回ドアをノックした。

188 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/08(土) 23:32:22 [ 24nIdEKs ]
また溜めておいたぶん無駄に長いですねorz
自省します……。あと感想はまた今d(ry

189 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/09(日) 00:05:31 [ JYwQAiDM ]
■RED STONE 第四章■
エンチャチリングタッチ…相反する力を杖に宿し高々と振り上げる。
フォビア『いやぁぁ!』
ブォォォン!!
ものすごいスピードで投擲斧が飛んでくる。振り上げていたカースドブラッドが弾き飛ぶ。
ブーン『ぐっ!ルインドライバーだと?誰だっ!』
近くの暗がりから人の姿が現れる。
???『貴様の発言には二点の相違点がある。』
日が暮れて夜になっているため確認しづらいが何かを引きずっているようだ。
???『一つ、お前の今やろうとしていた事も貴様にとっての自己満足にすぎない。復讐という口実のな。無抵抗の相手など殺すのは俺たちの美学に反する。』
ブーン『あ…』
暗がりから姿を現す。
???『二つ、俺は死んじゃいねえ!』
そこには死んだはずのスナッチが傷一つなく立っていた。
ブーン『( ゚Д゚)ポカーン……」
フォビア『ど、どういうこと…』
スナッチ『ここで問題だ。DAME ONが表記と効果を間違えた武道家スキルは何でしょう?』
ブーン・フォビア『分身…』
スナッチ『ご名答。そういうことだ。もっとも分身は本体の1/10の能力しかないがな。』
そう言って引きずっていたもの…死体を放り出す。
スナッチ『社員の中にゾンビを忍ばせるとはな。だが俺を誤魔化すことなどできん。』
フォビア『…完璧に…私の負けね。…もう私に手はないわ。煮るなり焼くなり好きにしなさい…』
スナッチ『それじゃあ何でこんなことをしていたのか聞かせてもらおうか。』
そしてフォビアは語りはじめた。
小さな村に住んでいたこと、強盗に襲われ家族を皆殺しにされたこと、紅い悪魔に力をやると言われたこと。
スナッチ『妙だな…その強盗団の名前は?』
フォビア『スターヒールだったと思います。』
ブーン『それって…兄者!まさか…』
スナッチ『まちがいねえ…フォビアは奴に利用されたんだ。』
ブーン『スターヒール盗賊団は紅い悪魔の支配下の組織だからな。』
スナッチ『フォビアの力は生まれ付きだったんだろう。それに目を付けた奴が芝居をうったんだ。盗賊団を捨て駒にしてな』
フォビア『そんな…私はただの操り人形だったって事…』

スナッチ『人を憎み、さらにその憎しみが新たな憎しみを創る。だが…これで終わりにしよう。奴を倒して憎しみの輪廻(りんね)を…止める。』
そう言って立ち上がる。
ブーン『さてと…そろそろ道化に戻るかな。』
いうが早いかあっという間にアイテム拾いに行ってしまった。
スナッチ『さて…きみはどうす…』
フォビアがスナッチの胸の中に飛び込む。大粒の涙を流しながら。
フォビア『ごめんなさい…ごめんなさい…』
スナッチはただ何も言わず優しくフォビアを抱き締めてやった。
 
 
しばらくしてDAME ONロビーの所に皆が集まった。
スナッチ『…というわけだ。』
レオン『紅い悪魔め…討たねば新たなる悲しみを呼ぶ』
ベルフェ『個人とか…そう言うのじゃなく…未来をつなげる為に戦うんだ。』

カイル『ご飯まだ〜?』

クィーザー『…我慢しろ。』
そこに社員が慌てて走ってきた。
社員A『たっ、大変だ!ブリッジヘッドにアウグスタがやられたっ!』
■つづく■

190 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/09(日) 00:21:05 [ RNukKI.I ]
さて、夜中のネット徘徊の前に感想でも書きますか。
>>ナンバーズさん
スナッチ無事生還。いやー、よかったよかった。
フォビア嬢もこれでようやっと報われましたね。行動を共にするか否かが気になります。

191 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/09(日) 00:35:40 [ PqQMY8mc ]
>>変な生き物さん
ざんねんながドガッ!グチャベキゴキ…ピクピク……
ようこそナンバー一家に^^でごわす
とりあえずナンバー6あげるぉ(^ω^ )
実験生物www=モルモットwww=可愛いwww wwうはwwおkwwテラカワイスww
それよりまたナンバーズ死んだぞ(ざまあみろ)
 
誰が誰だかわかるかな?でごわす
>>◆J9さん
いきなり襲ってきたシーフ…味方に殺された香具師不憫…でごわす
 
新規メンバー
◆変な生き物(ナンバー6)
JOB:癒し系(多分
説明:多分一番強い。
 
これでおk?

192 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/09(日) 00:43:33 [ RNukKI.I ]
>>173
B4に向かう道中、姐御がオイラに対して耳打ちをしてきた。
(なぁ、ギル。あのレナって小娘ほんまに信用できるんか?)
(普段はもう少し冷静なんですけど、今はなんか焦ってる感じがする・・。)
(ほぅ、普段は冷静ねぇ・・。)
(細かいことにも良く気付くし、なにかとお節介かけたがる奴だし・・。)
(・・あんた、あの小娘のこと好きなん?)
(まさか。余りに長く一緒に居過ぎたから、家族みたいなもんだよ。)
(家族?)
(うん。オイラにとってレナは幼馴染というより、頼れる姉貴っすね。
 まぁ、あいつは未だにオイラのことをただの幼馴染くらいにしか見てないでしょ。)
(なんや、つまらん。あの小娘からかうネタが手に入る思うたのに・・。)
そんなことを姐御と話しているうちに、目的地であるB4に着いたようだ。
そしてここで、レナが焦っていた理由をオイラ達は知ることになる・・。

193 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/09(日) 02:23:46 [ RNukKI.I ]
む、これが電波ですか・・。書かねば寝られませんな。
>>192
「おいおい、こいつは何かの冗談か?」
俺はそう言わざるを得なかった。今、俺達はB3とB4繋ぐ通路からB4の様子を伺っている。
どうやら俺達がここにつくまでに、ロックゴーレムはその数をアニーが報告してくれた
数の3倍にまで増殖したらしい・・。
「とりあえず、倒してみないか?どうやら、あの瘴気はここが発生源のようだ。」
いつの間にやら、ヒースは片翼が折れた姿・・・追放天使に変身してこの階全体にディテクティングエビルの網を張ったらしい。
道理でさっきから厭な感じを受けるわけだ、この階全体からな・・。
「アニー、鉱員協会のほうには話通してあるんだろ?」
「もちろんや。解決するためなら坑道に対する被害は追及せん。」
なら、話は早い。幸い、オートでたっぷり魔力は喰ってきた。
「アニー、久しぶりに協力技と行くか?」
「協力・・?あぁ、あれやな。」
任せとき、と言ってアニーは駆け出していった。ヒース達には、俺が呼んだら来るように言って
アニーの後に続いた。
B4に降り立った途端に奴らは俺達を「侵入者」みなしたようだ。
向かってくるのなら、都合がいい・・!
軽くアニーと目を合わせてから、作戦を実行に移す。
「ウォォォォォォォォォォォォ!!」
アニーが吠えると同時に、周りが爆発する。
だが、ロックゴーレムの硬さを考えればアニーのハウリングブラストは致命傷にはなり得ない。
「残念だったな、お前らの体は意外と脆いんだよ・・。」
アニーの爆炎がおさまる瞬間とほぼ同時に、俺はドラゴンツイスターを放った。
爆炎のあとに襲い来る氷龍。そんな理不尽な暴力とも取れる温度変化に奴らの体は耐え切れなかったようだ。
熱疲労・・、どんなに硬い岩石でも熱湯をかけた後に冷水をかければひび割れる。
そうして俺の氷龍が消えるころには、あたり一面に砕け散ったロックゴーレムの破片が散乱していた。
「とりあえず、入り口付近にいたやつは全て始末できたか・・。」
「あぁ、そやな。じゃ、ヒース達呼んでくるわ。」
そうしてアニーを見送った後、俺は改めてこの事件の厄介さの原因を目撃する事となった。

194 名前: ナンバーズ ◆RD3530l4BQ 投稿日: 2005/10/09(日) 22:57:49 [ wt0TMFS. ]
■RED STONE 第四章■
〜輪廻〜
スナッチ『馬鹿な…あれだけの都市を瞬時に落とすなんて…』
社員B『追加報告です!バリアートも壊滅したそうです!』
レオン『…奴が動いたか…。』
フォビア『奴は正真正銘の怪物よ。デビ・ロン50体を瞬殺したのを見たわ…』
ベルフェ『奴の精神攻撃も厄介だ。操られるのが一番やばい。』
カイル『弱点とかはないの?』
ガンズ『お前少し黙れ。』
仲間を殺されたガンズには限りない怒気が含まれていた。
ナヴィ『…死者リストとかはない?』
社員C『これです。』
差し出されたリストにはヴァレンタインの名も書かれていた。
2人は席をいきなり立つと外に出ようとした。
スナッチ『…どこに行く』
ナヴィ『決まってるでしょ!仇を…奴を倒しに行くのよ!』
ガンズ『仲間を殺されて黙っていら…』
スナッチ『黙れよ。貴様らは自惚れ過ぎだ。貴様はデビ・ロンをタイマンで倒せるか?』
ガンズ『た、確かに一人ではデビ・ロンは倒せんが…そういうお前は倒せるのかよ!』
カイル『というか兄貴は強いのか?この前はブーンに助けてもらったしさっきの戦いにはいなかったし。』
アーク『確かに…いつもギル戦始まってすぐ消えるし…』
みんなの視線がスナッチに移る
ガンズ『お前が本当に強いなら証拠として俺と戦え。』
スナッチ『…無駄な消費は避けたい。ここで戦うのは無意味だ。…今日はここに泊まる。』
そう言ってスナッチはロビーから出ていった。
弱虫めとか口だけ達者だとかの声が飛びかう。
とりあえず皆DAME ON寮にその日は泊まることにした。
コン コン…
スナッチ『…レオンか。入れ。』
ガチャ…
レオン『流石はスナッチ、よく僕だとわかったね。』
スナッチ『足音と気配でわかるさ。』
部屋のなかにはすでにブーンがいてスナッチと談話していた。
レオン『君も災難だったね。』
苦笑しながらスナッチが言う。
スナッチ『よくあることさ。』
ブーン『(^ω^;)ドンマソだぉ』
レオン『俺にはわかるよ。二人ともかなりの使い手だということがね。猫被りすぎだよ。』
スナッチ『…フッ。お前は昔から物を見抜く天才だな。ブーン、芝居はしなくてもいい。』
ブーン『へぇ…君もやるみたいだね。普通の人間なら僕を見たらただの狂人だと思うのに。』
急に雰囲気が変わる。知的な目、理性の高そうな表情…
ブーン『今はあの初めて紅い悪魔に挑み、散っていった"剣聖"、"沈黙の暗殺者"、"孤高の堕天使"、"氷の魔術士"の話をしようとしていたんだ。』
レオン『僕にも聞かせてくれるかい?』
ブーン『ああ…いいとも。あれは15年前のこと…』
■つづく■

195 名前: ナンバーズコテ練習飛虎 投稿日: 2005/10/09(日) 23:13:51 [ /2n.TPdU ]
あまりにもレスがついていないことに(´・ω・`)ショボーンしたナンバーズです。
>>南東方不勝さん
アニーのハウリングブラスト強いですねぇ。まわりのロックゴーレム全滅ですか…
俺のキャラなら全滅させられるでしょう。
 
当方最近再振りしまして剣士になったんですが(剣士スレに晒してあるやつです)
アルパの情勢がひどいひどい。昨日はLv同じぐらいで防御55の剣士がいるわ(PTに剣士俺含めて3人で他の剣士はシマーはおろかデュエすらしない)
もう萎えました。スレ違いごめんね…裸でB5コロ突撃してきま…ドカバキグチャ
(死にたいならいつでも殺して上げるでごわす^^)

196 名前: ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/09(日) 23:16:07 [ HMNxgy2w ]
ぎゃあ!コテ晒しちまった。次からコテ変更しますorz。

197 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 14:40:17 [ LVW/cCFA ]
>>ナンバーズさん
ブーンが無駄にカコイイヨママンorz
そして、物語は過去の出来事へと移っていくようです。

198 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/10(月) 14:54:20 [ 54L2UcMg ]
新スレッド(もう新しくないけど;)で初めて投稿させていただきます。


☆レッドストン通信Vol.3

Vol.1 前スレ >>507-508
Vol.2 前スレ >>929


○三面記事 ・これこそ堕落宣教師―ビショップが痴漢容疑で逮捕

 今月18日、聖職者ギルド「BEN髪団」の副マスターで、ビショップのドドメカラー容疑者(87)が、
補助魔法「ブレス」をかける動作を装い、サマナーのスカートをめくる等の痴漢行為を繰り返したとして、
ブルネンシュティング警察に逮捕された。

容疑者は「スカートがめくれたのは"神の息吹"の効果によるもので故意ではない」と容疑を否認しているが、
目撃者の話によると、
「ペットと召還獣の群れに隠れながらサマナーに近づき、豪快に腕を下から上に振り上げながらサマナーのスカートをめくった。
 ブレスの青い火は付いていなかった」
などと、容疑者の行為が意図的である事をうかがわせる証言をしており、刑罰は免れないようだ。

なお、この件についてアウグスタ聖職者教会司祭補佐長官マクドナー氏は、
「実に大胆かつ豪快。聖職者がこのような行為をした事はまことに遺憾である」とコメントしている。
ブルネンシュティング警察は余罪があるとしてドドメ容疑者を追及する方針。
ギルド「BEN髪団」も同容疑者をギルドから追放した模様。

・被害者のサマナー(匿名希望)の証言
「スカートをめくられた上にお尻を触られた。HPの赤いバーが縮む思いだった。
 ケルピーに乗ろうとして振り落とされた時よりも屈辱的。是非極刑にして欲しい」



○スポーツ欄 ・WRTのディレイ=サスガ氏に審査員特別賞!

 先日トワイライト渓谷で開催されたWRT(ワールランニング鳥人間)コンテスト(前スレ>>929 参照)で
唯一ジャンプ戦士として参加したディレイ=サスガ氏に後日審査員特別賞が贈呈された事が判明した。

コンテストでは残念ながら飛距離が伸びず渓流に落下するという結果に終わってしまったが、
同氏の奮闘に応援と激励の手紙が殺到し、今回の特別賞受賞という異例の事態に至ったのである。
授賞式当日はディレイ氏の友人やファン200人が詰め掛け、ブリッジヘッド自警団が出動する騒ぎとなった。
渓流落下の際に負った3週間の怪我もフルヒーリングにより3秒で回復したディレイ氏が壇上に現れると、大きな拍手と声援が送られた。
ディレイ氏は笑顔でリトルエント木材製の盾を受け取ると、ギャラリーの声援に手を振ってこたえた。
ディレイ氏は「中身の人に適当な名前をつけられてここまで生きてきたけど、今はそれも喜ばしい」と、自らの喜びを語った。
「次は絶対に優勝する」と、早くも次回のコンテストに向けて意慾的な発言も飛び出し、会場を大いに沸かせた。

・ブリッジヘッド漁業教会会長ロマグ氏のコメント
「適正外の不利な条件にも果敢に挑むチャレンジ精神こそが真の勇者、
 もとい戦士にふさわしいと判断し、審査員特別賞を授与することにした。
 個人的な意見だが、彼には今後も期待している」

199 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/10(月) 14:55:40 [ 54L2UcMg ]
>>198 の続き

○環境欄 ・ファミリア乱獲で生態系に異変?―自然保護団体がファミリア保護を呼びかけ

 ビスルの自然保護団体「赤山振興協会」が、
「テイマー達のファミリア乱獲により、一部の地域の生態が激変している」
との報告書及びファミリア保護を訴える書簡を中央政府に送っていた事が8日、明らかになった。
テイマーの間で人気のペット№1として有名なファミリアだが、
「赤山振興協会」会長マイノ=レティ氏(サマナー、36)によると、

「テイマーたちのファミリア乱獲により、一部の地域でファミリアが激減している。
 その結果ファミリアが食べるネズミが増殖し、いずれ人家にも被害がでる恐れがある」

特にネズミの被害が危険視されているのは、
古都ブルネンシュティング、トワイライト滝に近い港町ブリッジヘッド、
及びタトバ山に近い魔法都市スマグとのこと。いずれもファミリア出現地帯から近い場所だ。

さらにマイノ氏は、
「特に希少種であるファミリアロードの出現率がこの2ヶ月間で激減している。このままでは絶滅する」
と指摘し、ファミリアの保護を訴えた。

しかし、
「唐辛子風雨ファミリアは最強なので、みんな欲しがっている(某運テイマーギルドGM)」
「ファミリアは強すぎるのでもう少し弱くして欲しい。
 それが出来ないなら絶滅してもかまわない(某メジャーギルド所属剣士)」
などと、テイマーであるか否かに関わらず識者の多くはファミリアの保護活動に反対しており、
マイノ氏への風当たりは強いようだ。

中央政府は「定期的に沸くようにしているから問題ない」と回答。
ただし、ファミリア弱化の声についても、「メンテの予定はございません」としている。

マイノ氏は
「このままでは生態系が崩れてしまう。テイマーは他のモンスターをペットにするよう意識を変えて欲しい。」
と、引き続きファミリア保護を呼びかけていく方針を明らかにした。

200 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 15:09:20 [ LVW/cCFA ]
>>193
「なっ・・・!?」
目の前で起こっている現象を見て、俺は言葉を失った。
砕けたロックゴーレムの破片が、周りの壁や天井から岩石を引き寄せ再び自身の体を治してゆく。
そうまるで、この坑道自体がロックゴーレムに「分裂」していくように・・。
「ジャック、何をそない驚いて・・・。」
戻ってきたアニー達も、この光景を見て言葉を失ったようだ。
「なるほど、こういう現象が起こるから協会は坑道を封鎖したんだ・・。」
この坑道が崩れるまで、増え続けるロックゴーレム。確かに、封鎖を決断するには充分すぎる状況だ。
「ジャック、どうやらこの階に漂っているこの瘴気が原因のようだ。」
ヒースが言うには、この現象が発現してから坑道内の瘴気の濃度が上がったらしい。
「発生源の位置を特定できるか?」
「無理だな・・。こう濃くては広域探索はできない。」
今後の方針についてヒースと話し合っていると、
「くっくっく、どうやらまた鼠が迷い込んだようだなぁ・・。」
えらく癪に障る話し方をする声が聞こえてきた。
「何もんだ、てめぇは!!」
ギルが声が聞こえたほうに向かって怒鳴る。ブラックソーンはいつでも投げられる体制だ。
そんなギルの問いかけに答える様子も無く、そいつはこちらに向かって歩いてきた。
「くっくっく、中々に上質な魂の集まりじゃないか・・。この分なら「半身」のほうも回復できるな。」
「あんたら、気ぃつけな。こいつかなりやばいで・・。」
アニーが警戒するんだから、それ相応の使い手なのだろう。足音から察するにフルプレートメイルあたりを装備しているようだ。
そうして奴の姿が確認できたと同時に、
「シロー、無事だったのね!!」
レナがその男に駆け寄って行った。

201 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 15:23:20 [ LVW/cCFA ]
>>200
誰の発言か特定できない箇所ハケーンorz
>>「なるほど、こういう現象が起こるから協会は坑道を封鎖したんだ」
あたりのくだりは、脳内変換でギルに喋らせてください^^;
では、裸でレイスにタイマン挑んできますorz

202 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/10(月) 17:16:37 [ 4mAcV.VQ ]
はいはい、適当な見直しのせいで修正箇所が大量にありますね…。
 
>>183
>カレンダーはブルン暦4817年の物だったが、紙の(ry
年号は4837年です。4817だったら主人公生まれていませんね。
 
>>184
>壁の大部分はポスターが(中略)。ベッドのところにあるカレンダーは、B4820の9月となっていた。
こちらも年号を4840年です。
 
>>185-186
>メリックのチーズと卵を乗せてオーブンで焼いたパン(※)を齧る音だけが聞こえてくる。
はい、※の部分の説明が186のほうにいってしまいましたね。
ミス…というより読みにくいだけですが。
 
>>187
というわけで、有能な冒険者が少ない(中略)珍しいものだったというわけだ。
「わけ」が二個ついてて変…かな?
最初の「というわけで、」を脳内で削除しておいてください。
 
 
間違い杉だよ…orz
それと…感想はまt(ry

203 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/10(月) 18:11:38 [ b6Gnz/6I ]
>>変な生物さん
おおう。ピンチの後にチャンスあり? V−maxかはたまた種割れ(しつこい)か、あるいは怒りのスーパーモード?
銀色変身で大逆転。かっこいいですにゃあ。そしてカッコイイ大逆転の台詞に付随する謎の言葉。ぐっじょぶです。
とはいえここからが本当の始まり?
敵の正体といいいきなりの変身といい、そして何より三角関係の行方wも。
これからの展開に眼が話せませんね?

>>ナンバーズさん
うぉぉ、これは意表を突いた逆転劇。
っていうか、分身なんて存在自体忘れ(Panpanpan
フォビアは結局仲間になるのかな?
そして次回からは過去話……かなりのベテランである彼らの過去にはいったい何が……期待です。

>>南東方不勝さん
うーむ、温度変化を利用した攻撃……テクニカルでぐっじょぶです。
そして、どうやら悪の黒幕はレナさんの知り合い? 騙されているor利用されている感がぷんぷんですがはてさて……

>>レッドストン通信さん
新作キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
なんか微妙に実在の人物をモデルにしている感がw
ケルビに振り落とされるサマナたんハァハァ(*´Д`)
そして特別賞もらえたディレイ氏おめでとー。
苦労が報われましたねぇ……
ファミリア……わたしはマブガゴ二匹と、あとは病気のコボルトですなー。

>>J9さん
うむ、その場にあるものを利用し、機転を利かせてピンチを脱出。まさに冒険者の鏡ですねぇ。
こういうテクニカルな戦闘は大好きです>ワ<
野良シーフの大量発生……背後には一体何が?
というか、シーフって野良? あれ……? でも確かにペットにできるしなぁw

204 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/10(月) 18:22:41 [ hNlLsBE2 ]
何だか新ネタを思いついたのだけれども
とりあえず今あるやつを終わらせなければいけないのがもどかしい・・・・・
てことで続きです

RED STONEシリアスシリーズ第二章
第二十一回目 青の炎
崩れた部屋を後にして通路を進む、奥にある部屋にはすでに人が居る
ローブを羽織った男と天使が二人、巨大な空中に浮かぶ水晶が場違いなほどに輝いていた
剣を抜いてローブの男に切りかかる、男の腕を切り落とすがニヤニヤと笑うだけだ
「これで魔力は十分だ、さぁ帰ろう」そう男が言うと天使は魔法陣を描き始める
シェリーが槍で天使を突くが手応えが無いようだ
光が部屋を包む、光が収まると天使と男は消えていた
「逃げられた・・・・・か」
そう呟いてアルセスは水晶に触れる
「まだ水晶に魔力が残っている。これを使えば天上に行くことも出来るな」
「なら今すぐ頼むぞ」
「今は無理だ、魔力を魔法陣に変えるのに4時間は掛かる。お前達は街へ戻っていろ
二人とも酷い顔だからな。準備が終われば街へ呼びに行く」
アルセスが空中に魔法陣を書くと、気がつけばシェリーと一緒に街に立っていた
「とりあえず休もう、身を寄せれる場所に心当たりがあるから」
そう言って黙ったままのシェリーを連れて孤児院へ行く
孤児院に入ろうとすると、扉が開いて時の君が出てくる
「気の毒だったな」
時の君が呟く
「あんたは何でも知っているんだな」自嘲気味に呟いてから孤児院の中へ入る
ステアに頼んでシェリーにベットを貸すように頼む、シェリーは黙ったままだ
「天上には私もついていくよ、やらなければ行けない事があるんだ。
ギムレットについては本当に残念だったね」
「ああ、でも一番辛いのはシェリーだよ。俺が不甲斐ないから」
思わず拳を握り締める。ステアが部屋に入る
「彼女は寝たわよ、相当疲れているみたいね。それに気の毒ね」
「聞いていたのか・・・・・・・・」
ごめんなさい、とステアが言う。少し微笑んでから窓を通して景色を眺める
いつの間にか眠ってしまったのだろう、アルセスに肩を叩かれておきる
「行くぞ、準備は終わった。魔法陣はすでに描いてある」
「ジン、行きましょう・・・・・・・」シェリーが呟く
アルセスを先頭にして孤児院から出る。自分は最後だ。
孤児院から出ようとすると、ステアに腕をつかまれる
「行ってしまうの?帰ってこれるの?何のために行くのよ?」
「責任があるんだよ、俺には」
「エルフの人から聞いたわ、世界を守るの?いいじゃない世界なんて」
悲しそうにステアが言う
「俺はギムレットを死なせた、天使たちは昔俺の故郷を燃やした」
「復讐なんて・・・・・・・・」
「お前はずっと夜の世界だけを生きることは出来ないんだよ」
そう言ってアルセスについて行く、振り返りはしない
空を見上げて気がつく、そらが赤い、血のように赤いのだ
「急ごう、コピーのレッドストーンは目覚めたみたいだ」時の君が言う
アルセスの描いた巨大な魔法陣に乗る。光と浮遊感が体を包む。
光が何故か、冷たく感じられた

205 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/10(月) 18:36:33 [ hNlLsBE2 ]
登場人物のまとめ 第二章編

ジン・シャーリーテンプル
主人公、悲劇的かも、出生には秘密が・・・・・
名前はカクテルのジンとシャーリーテンプルから盗みました

ギムレット・ネグローニ
ジンの幼馴染、スマグの名家の養子
ウィザード、名前はカクテルのギムレットとネグローニから

シェリー
ギムレットの婚約者、苗字はまだ無い
名前はカクテルのシェリーから

アルセス
地獄の近衛兵長で本編では語られないけどもヴァンパイア
名前は某スクウェアのゲーム、某フロンティアのキャラクターをもじった

オルロワージュ
地獄の君主、齢数万年の悪魔
名前は某スクウェアの某フロンティのキャラクターから

ラスタバン
天上を支配する天使、オルロワージュとは因縁が
名前は某スクウェアの某フロンティアから

白薔薇姫
女の熾天使、綺麗な天使だと思う
名前は某スクウェア(略

時の君
ダークエルフキング、「時の君」は名前でなく異名
エルフのしきたりで名前は無い
由来は某スクウェア(ry

ステア
孤児院を一人で切り盛りする若い女
名前の由来はカクテル用語
カクテルをかき混ぜる、と言う意味

ガウディ
天上の天使軍団の総隊長
すごい強いと思う、名前の由来・・・?ありません

206 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 18:47:57 [ LVW/cCFA ]
レイスに焼かれる前に、ファントムに焼かれました^^;
>>サマナの人さん
や、やばいよママン、スパロボJプレイ中だから元ネタが全部わかr(ry
さて、課金も切れてることだしさっさと4機目出さなくちゃ(マテ

>>戦士見習いさん
主人公が再び天上界へ・・。
オルロワージュとラスタバンの戦いに介入するのでしょうか?続きが待ち遠しいです^^

207 名前: レッドストン通信 投稿日: 2005/10/10(月) 19:02:13 [ 54L2UcMg ]
レッドストン通信を書いている者です。感想レスします。
最近の投稿のレスを出来るだけ書いたつもりですが、
漏れてしまっていたらゴメンなさい><

>サマナの人さん
フィーナの物語、読み応えありました!
設定を少しづつ明らかにしていくところとか巧いなあ、と思います。
後セリフの言い回しがジョジョっぽいのがまた良かったです^^
特攻野郎も面白そうですね。期待してます。

>FATさん
召還獣でハエ退治というのは便利そうですね。
おじいちゃんの知恵には勝てなかったみたいだけど。
緊迫したシーンとほのぼのとしたシーンがあって面白いです。
今後ネクロマンサーとどう関わっていくのか気になります。

>記者Aさん
おお、新たな新聞社が!
ネタが被らないように気をつけましょうw
花の無限弾丸は一時期出回っていたらしいですね。
実際に無限だったらすごかったのだけど。

>南東方不勝さん
軽妙で奇抜なキャラ設定好きです。
シローは怪しげな人物ですが、どうなるんでしょう?
続きが気になるところです。

>名前が無い@戦士見習いさん
スケールデカイっす。
カクテル関係の名前が頻繁に出てきたりして、大人びた雰囲気で良い感じ。
そろそろ最終決戦なんでしょうか・・・。

>変な生き物さん
ゲームで狼が銀色になったらカッコイイなあ。
実装されたら狼人口が増えそうだ。
後、自分はリディスにどことなく親近感が・・・^^;

>ナンバーズさん
デビ・ロン50体瞬殺とはスゴス・・・
ブーンは真面目なキャラだったのですね。
今後は真面目にブーンするのでしょうかw

>j9さん
伝書ガーゴイル、実際にあったら便利そうですね。
ウィッチのスキルで伝書鳩でアイテムが買えるスキルがあるらしいのですが、
アイデアはそこから来ているのでしょうか?

>>139-142 さん
主人公は死ぬ前に彼女の記憶が戻った事がわかったと信じたいですね。
でも状況としてはそうじゃないのかな。カナシス。 デモイイ!(・∀・)
次回作も是非希望です。

>>140 さん
駆け出しはどの世界でも不安だらけですよね。
それにしても冒険者には素質と修行が必要だったとは。
それ以外の一般人はゲーム上ではNPCってことかな。

208 名前: レッドストン通信 投稿日: 2005/10/10(月) 19:16:15 [ 54L2UcMg ]
本スレッドをご覧の皆様、毎度レッドストン通信をご愛読頂きまして
真にありがとうございます。

※レッドストン通信からのお断り

本誌でとりあげられている人物、及び団体は
実際の人物、及び団体とは一切関係ございませんのでご了承ください。


※編集後記
こういうテのネタを書いている以上、一応↑のは、
書いておかないとまずいと思って付け加えておきました。

当方は今後も人名にはオリジナルの名前をつけていく予定ですが、
もし実際にゲームで使用されている名前と一致、
もしくは類似してしまったらゴメンなさい><
またそのうちネタが出来たら投稿したいと思います。

209 名前: RED STONE silver wolf 四章(1) 投稿日: 2005/10/10(月) 22:19:10 [ 47/Ldch. ]
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105(三章)前>>160-162>>176-177作者:変な生き物
(オマケ)>>121-122

・古都ブルンネンシュティグ ロイドの家
「来ましたね、にしても随分早く来たけど体調は大丈夫ですか?」
「ああ大丈夫だ、暫く寝てたら疲れも取れた」
そういいながら軽く手を振る
傷は完全に完治しているし体調も先ほど爆睡してたからすこぶるよい。

「ところで、あの毛並みが白くなる件について私なりに調べてみました」
そう言って持っている本を開いて見せた
『アクス・イヴザー
 オロイン森付近の小さな港出身の白い毛並みをしたウルフマン
 凄まじい力と炎の爪を扱い、ウルフマン最強と言われる存在であったが
 7年前に行方不明になっている、死んだとも狼として森で生きているとも言われている』
「私の知ってる限りでは白い毛並みをしたウルフマンはこの人しかいません
 ひょっとしたらアーネイトさんの父親かなにかではないかと…」

それをしっかり読んでからアーネイトは首を横に振った
「いんや、違うな、俺の親父は7年前には家にいたし、結婚したのはさらに前さ
 ウルフマン体質でもないしハノブ方面出身、オロインからは遠すぎる」
「そうですか…、それではもう少し調べてみます」
「ところでロイドさん、新しい依頼って何ですか?」
「そうですね、まずは報酬から…」
立ち上がり大きなロッカーをゴソゴソと探ってから青い袋包みを取り出し
テーブルの上に一つ置いた。
「これが?」
「ええ、アーネイトさん用です、開けてみてください」

そう言われて袋包みを開けると中からは青白く輝く鉄の爪が入っていた
特殊な魔力が込められているようでまるで中に水が流れているかのように輝いている。
早速アームプロテクターに装着すると想像以上に軽く、防御効率もよい逸品だった
「へぇ…随分といい品だな」
「エンチャントという特殊な加工技術で作られた魔具です、攻撃だけではなく重量・防御面
 も強化されていると同時に強力な水の魔力が備わっています」
「いいもん貰ったなぁルエアス〜、で、俺とセナさんのは?」
「実はそれが依頼なんです、残りの報酬品はブリッジヘッドに住む知人から
 テレポーターで運ばれるんですが…」

「その最中にブリッジヘッドのシーフギルドの連中にスられたってかい?」
リディスが軽く言い当ててロイドは少し驚いた
「よくわかりますね」
「まぁあそこの連中は有名だしな、まーもっぱら「小悪党」としてだがな」
「そのシーフギルドに潜入して2つの青い袋包みを回収してほしいのです
 中にはそれぞれリディスさんとセナさん用の品が入ってますので」
「りょ〜かい、そんじゃ行きますか」
「また私も同行させてもらいます、また少しでもお役に立てれば光栄です」
「よろしくおねがいしますロイドさん」
「まっ、俺様がいれば回復する必要なし!ノーダメージで切り抜けられるぜ〜」
相変わらずロイドにちっちゃい敵対心をもつリディスを見てアーネイトは溜息をついた。

・港街ブリッジヘッド シーフギルドの倉庫前

ブリッジヘッドの片隅にある倉庫、だがそこには誰も近づかない
それもそうだ、ここはシーフギルドの倉庫うかつに近づけば身包みを剥がされかねない。

「ルエアスー、周囲にシーフ何人いる?」
「入り口に数名、そして倉庫への入り口は3つ…A・B・Cと書かれてるな」
「でもCへの入り口は中からカギがかかってるっぽいよ?」
「…Aへの入り口に5名、Bは1名、多分Aだな」
側にある木箱に隠れながら地図を開いた
「Aは階が少ないけど多分こっちが正解だ、俺が行く、リディス達は…」
「OK、Bへ行くぜ〜俺のほうは大丈夫だからロイドさんはルエアスについてくれ」

210 名前: RED STONE silver wolf 四章(2) 投稿日: 2005/10/10(月) 22:19:39 [ 47/Ldch. ]
そのまま分かれてアーネイトとロイドはA倉庫を強襲し、難なく突破した

「な、なんだ!?敵襲…ぬおわっ!」
強襲されて驚いてるB倉庫番のローグを鉄線で逆さに吊るし上げた
「ちょーっとだけ静かにしてくんねぇかなー?」
そう言いながら布をローグの口に結んでB倉庫に侵入した侵入した。

・シーフギルドの倉庫「A」1F内部
「なーんか沢山いるな、ソードスパイダーは俺が試し切りの材料にするから
 ロイドさんは聖水撒きでシーフを気絶させちまいな」
「…少し気が進みませんがいいでしょう、これで改心してくれればいいのですが」
かなりの数のシーフとソードスパイダーが襲ってくる、が核の違いを見せつける
ソードスパイダーが吹き飛び、シーフは頭にコブを作って気絶していった
「アーネイトさん、ここまでアッサリ行くと怪しいような気が」
「言うな、俺も怪しいと思ってるから」

・シーフギルドの倉庫「B」1F内部
「人いないなー」
周囲をこっそりと見回して素早く進んでいく
足音すらせず
「やっぱりハズレかしら?」
「いや、ルエアスって結構運が悪くてさーこういうことには…おっと!」
歩いてる最中、足が地面に踏む一歩手前で姿勢を固定した
一瞬だけ何かが見えた、ほんの一瞬だけ。

「おんや〜?…こりゃひょっとして正解かもな」
「どしたの?」
「ここは飛び越えてくれよ、普通に歩くと矢が沢山刺さっちまうからな」
そう言ってそのまま飛び越えた、セナも続いて飛び越える
そして先へ進もうとしてまたリディスの姿勢が固まる
「…こっちで正解、だな、今度はホフクしないと爆発するぞ〜」
こんな感じで相当な数の罠を突破していった
罠の数は軽く12個以上はあったと思われる。
「…おいおいおいおい、罠、多すぎだろ………イテェ…」
…全てをかわせる訳もなく、額に鉄球が直撃した跡がつきつつも下の階へ降りていった。

「ふーやっと地下か、おっ無防備に話し声が聞こえるな」
「何かな、かすかだけど「俺のほうが3個多い」「いや俺のは質がいい」とか聞こえるけど」
「耳いいっすねーセナさん、さーてどーなってんのかな」
こっそりと角から向こうを覗き込むと沢山のシーフがなにやら話している。
「おいおい!質なんてたいしたことないだろ!俺の方が三個、3個多いんだぜ!」
「バカヤロー、俺のはレアばかりだぜ!ザコ品とは核が違うんだぜ!」
「なんだって!付加効果弱いじゃねーか!」
「静かにしやがれっての!ったく…まー結局俺の盗んだ品が一番だがな」

「なーるほど、盗品を見せ合って高値売りさばくって訳ね、ここがビンゴっぽいな」
「それじゃあ殴りこみを」
「まった、またトラップだ…って…こりゃ避ける方法ねーじゃんか」

・シーフギルドの倉庫「A」1B
「いやー…まさかシーフが沢山いる理由がねぇ…」
「捕獲した魔物が逃げ出さないためとはな」
周囲に魔物が集まる
ケンタウロス騎士、ドューム スピア、ヴァンパイア、リザードキリング…
ここあたりでは会わない魔物ばかりだった。
「フゥーハーハーハーハー!どうだこの魔物の群れ!ギルド戦での切り札だが今その力を見せてやる!」
「あーはいはい、物陰に隠れながら言われても別に迫力ねーから」
物陰でローグが顔をだしながら叫んでいる、魔物を逃がさないために配置するぐらいだ
魔物はまったくなついていない。
「そんじゃ、さっさとボコしてB倉庫へ急ぎますか」
「あまり急ぐと危険ですよ、回復は私に任せて確実に倒しましょう!」

211 名前: RED STONE silver wolf 四章(2) 投稿日: 2005/10/10(月) 22:20:39 [ 47/Ldch. ]
・シーフギルドの倉庫「A」1B
「さーどうするかなーどうしようかなー」
罠の前で座り込んで悩んでいるリディス、珍しく頭を抱えている
「触ったら音が鳴る「鳴子」トラップ、無害だけど音がデカイ、糸を切ったら音が鳴る
 だけどスキマがなくてどうやっても避けられない、うーんうーんうーんうーんぬーん」
「へ〜無害なんだ」
「ああ無害、だけど物凄い厄介だ」
「ネコが罠にかかっても無害?」
「無害だよ、鳴るだけ…ってネコ?」
振り向くとネコを抱えたセナがいた、ネコはセナに見事なまでになついている
かなり人なつっこいネコだ
「どこにいたんだい?この可愛いネコ」
「そこに、多分ここのシーフの中に飼い主がいると思う」
「このネコを使えば…セナさん有難う!」
そう言ってトラップの糸を軽く蹴った
≪ガランガランガランガランガラン!≫

「なんだ?」
ローグが一人ほど近寄る、そして目の前にいるネコをみつけた
「おーミーヤかぁ〜お前がかかっちゃったのかー、おーいかかったのはネコだったから気にするな
 ってフガッ!」
ローグをアッサリと捕まえて押さえつけた
「アンタいい人っぽいし、何もしないならこのままにするけど?」
そう言われて男はうなずく、それを確認した2人は何かを投げ、破裂したと同時に周囲は煙だらけになった。
「なーに麻酔薬さ心配すんな、それよりネコの幸せのために足、洗ったほうがいいぜ?」
そう言って口に葉っぱを投げ入れ、煙の中へ進んでいく。

「さーて、結構な数の盗品だなー こりゃ2人じゃ運べないな」
「とりあえず地元の治安警備員に応援願い出す?」
そう言いながらゴソゴソと箱の中をあさっている2人、そして箱の中に青い袋包みが二つほどあった。
「おーあったあった!これで後は連絡…のわっ!」
いきなり飛んできたブーメランを素早く避け、戦闘態勢に入った
そこにはシーフ倉庫番長らしき人物が立っている。
「おー驚いたね〜煙に巻き込まれてない奴がいるとはね、実力も丁度よさそ〜だ」
そう言いながら上着のホックを外して上着がなびくようにする。
「だーけど2対1で勝てるかな?まー対する暇も与えないけどな!この鉄線つき… あれ?」
「どしたの?」
「な、ないないない武器がない!あの時の戦いで使ったまま補充し忘れた!!」
「ハン、そんなんでシーフ気取りとは馬鹿にされたもんだなぁ、アアン?」
倉庫番にバカにされてカチンときたが、冷静になってガンレットを装備しなおした
「ま、まぁお前なんざ武器を使う必要もない、素手でボコってやる!」
と、意気込んだものの彼の攻撃はことごとく当たらない、武道家としてはザコそのものだ
「せいっやぁ!あーもう当たらない!」

セナも援護するものの相手が素早く、なかなか当たらない
矢を放ってもハズレ、槍を振るってもハズレ、弓で殴ってもハズレ…
相手の攻撃はよくかするがこっちは当たらない、大苦戦だ。
「このっこのぉっ!」
なんど槍を振るが当たらない、当たらないったら当たらない
が、徐々に槍がついてくるようになり、顔面をかすめるまでにいった
「ほーやるじゃんお嬢さん、だがそんなんじゃ当たらん!」
セナの瞳孔が小さくなる、相当集中しているようだ
徐々にかすめる回数が増えていく、がこの集中が続くとは到底思えない。

…チッ、しゃーねーなー、本当はこういうのは最高に強い敵にカッコヨクかましたかったんだが…
心の中でそう愚痴を垂らしながら上着を投げ捨てる、一点に全ての精神を向ける

今回は特別大出血サービスだ!あの時余計な感情が混じって出せなかった分
テメェに本気をぶちまけてやる!
そう呟くと同時にリディスの中で何かが、何かの鎖が砕けた。

212 名前: RED STONE silver wolf 四章(4) 投稿日: 2005/10/10(月) 22:23:01 [ 47/Ldch. ]
「こんのぉーっ!」
セナが槍を大きく振るう、倉庫番の腹部に軽くあたり、倉庫番が後ろに下がる
「やってくれたなアマ!こn…」
後ろに何かが迫っている事を本能的に感じ取り、後ろを振り向く
そこにはさっきまでいた雑魚シーフ、のように思えたがその顔は別人のようだった
 戦いなれた顔 この言葉が一番似合う、真剣そのものの顔だった。
「ぐぉぁ!」
右肘による一撃が倉庫番の背中に直撃する
素早く振り向き剣を振るうがスレスレで避けられそのまま左手突き、右回し蹴りが決まり壁に叩きつけられる
持ち直すより素早く顎を肘で打ちつける。
「なにっ こ、この雑魚が!」
しかし立て直す事も出来ず、カカト落しが決まり頭が地を向く
だが間髪入れずリディスは全身をしならせ、バック転をしながら地を向いた頭を蹴り上げる。

着地と同時に倉庫番が剣を振るうがガンレットで受け止め左足で蹴り上げる
上に吹き飛ぶより早くリディスは側の柱を駆け上る
素早く宙に飛ばされている倉庫番目掛けて柱を蹴り
倉庫番の上昇が止まるのと同じタイミングに倉庫番の側につく
「なっバケモノか!」

「乱 突・落 閃 陣!」
空中で体を捻りながら左肘で相手の腹部を全力で叩きつけた。
その一撃で加速し倉庫番は机に叩きつけられる、倉庫番は口から泡が吹き出して気絶していた
「…あーしんど、しんどい、滅茶苦茶しんどい」
「凄い…今の技…えーとラントツラクセンジンだっけ?凄い技だね〜」
「あーあーあの名前?あれはなんつうか脳裏に浮かんだフレーズ、適当」

…まだ集中不足、だな、余計な念を混じらせないようにしなきゃ実戦では使えん。
そう心の中で呟きながら上着を羽織る、そして階段から聞きなれた声で自分の名前が呼ばれた。


・後日 リディスの家
「シーフギルドの盗品が何者かによって取り返される、密入した魔物も含めて、か
 あーあ、随分大事になってんな、名乗り出れば恩賞貰えたかもな〜失敗したな〜」
リディスが窓から足を出して新聞をペラペラとめくっている
胸に報酬品の勲章がかけられている、これもまたエンチャントで加工された品物だ
それを手にとって見ては少し微笑む。
「おーいルエアスー、稽古のスケジュールを組んでくれないかー?」
「珍しいな、どーゆー風の吹き回しだ?」
「さーねー、ま、俺様だってたまには強くなろうとか思う事もあるんだぜ?」



「そーかそーか、それじゃあ地獄のトレーニングAAAで…」
「お゙、おいおいおい、俺を殺す気かぁっ!?」
「問答無用、さっさと始めるぞ」
「おいおい勘弁勘弁!って首筋つかんで運ぶなぁぁ!ウワァァァン オカーサーンオガーザーンオ゙ガーザーン゙」

首筋をつかまれて外へ運ばれたリディス
それからリディスの断末魔が聞こえるまでに時間はさほどかからなかった。

213 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/10(月) 22:26:10 [ 47/Ldch. ]
悲しいときー!悲しいときー!
DVD!を買って再生してみたら、いいところで画像が止まって読み込めなくなり
なんでかなーと調べたらDVDが不良品だったときー! orz

どうも、変な生き物です
さっそく(2)と(3)のキーを間違えてます、もう少し落ち着け俺
他の小説の感想はまた明日ー…。

FFAC見たいよママン、明日訴えてやるッ

214 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 23:19:57 [ LVW/cCFA ]
>>レッドストン通信さん
今回のピックアップは3つと大ボリュームでしたねぇw
確かにビショのブレスアクションは、豪快に捲れそうですね。
あと、戦士のディレイさんに特別賞が送られて喜んでいる、戦士の俺がいましたw
またファミ乱獲の記事ですが、当方骸骨テイマなので無関係ですb

>>変な生き物さん
ルエアスと似たような特徴を持つもう一人のウルフマン・・。
爪に宿る魔力が正反対ですね。後々ルエアスが両方の属性を使えるようになるのでしょうか?
なんらかの犠牲を払って・・。
リディスは今回も3枚目で通すと思いきや、本気モード発動。
強いですねぇ。でも、一番笑えたのはモンスターの後ろに隠れるローグさんw

215 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/10(月) 23:56:10 [ LVW/cCFA ]
>>200
「レナ!不用意に近づくな!!」
ギルが制止の声をかけるも、レナは無視してシローとか呼んだ剣士に駆け寄る。
「あなた、無事だったのね。私を逃がすために残るなんて無茶しすぎよ・・。」
「・・・・。」
奴は感情がこもってない目でレナを見つめる。
ようやく奴の異常さに気付いたのか、
「どうしたの、シロー?何時もみたいに『お前は心配しすぎだよ』って言ってよ・・!?」
その瞬間、奴の腕が動いた。目の前にいるレナを躊躇いも無く切り捨てようと・・!
「ぐっ・・!」
だが、奴の思い通りにはならなかった。
変身を解いたヒースが二人の間に割って入りシールドフラッシュで奴を吹き飛ばしたからだ。
「何で・・?何でなのシロー!?」
どうやら、レナの方は状況を飲み込みきれてねぇ様だ。
「レナ嬢、この者は貴女が知っているシローと言う人間ではない・・!いや、正確に言えばそういう人物だった・・。」
ヒースがそうレナに言い聞かせた。ヒースが言うことが正しいなら・・、
「乗っ取られてる、ってことか・・!」
「どうやら、そうみたいやな・・。」
ならば、相手の正体もおのずと分かる。他人の体を乗っ取るという事は、そいつ自体は肉体を持たない・・。
「てめぇ、アンデッドか?」
ギルが奴に問いかける。心なしか、言葉の節々に怒りの色が認められる。
「アンデッド・・?そのような下賎な奴らと同じにするな・・!いいだろう、どうせこの地で散り逝く命。冥土の手向けに我が正体を教えてやろう・・。」
ギルの言葉が癪に障ったのか、初めて奴から感情らしいものが見えた・・。
「我が名はイスラフェル!『増殖』と『分裂』を司る、神代の時代の妖(あやかし)ぞ!!」
「イスラフェル・・!では、貴様がレッドストーン強奪事件の際に主犯とされている17始原魔の内の1人だというのか!?」
主犯?何の話だ。レッドストーンを強奪したのは赤い悪魔じゃないのか?
「そんなことはどうでもいい!!シローはどうしたのよ!!!」
レナが耐え切れなくなったのか、イスラフェルと名乗った男に叫んだ。
「このよりしろのことか?当に人間の魂なぞ、喰らっておるわ。」
「そ、んな・・・!?い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
突きつけられた現実を認められないのか、その場でレナは泣き崩れた。
(なるほど、こいつがあんなに唯我独尊な言動をしていたのはこの男のためだったのか・・。)
こいつを逃がすためにここに残って、奴のよりしろとされ魂を喰われた。哀れな剣士のために・・。
「ワレ、何をしでかしたか分かってるんか・・・!」
アニーの殺気が膨れ上がる。どうやら同じ女同士、レナの痛みが分かる故だろう。
かくいう俺も、ここまで目の前にいる奴を殺したいと思ったのは初めてだ・・!!
「姐御、兄貴・・。手、出さねぇでくれないかい・・?」
だがそれ以上、に実の姉同然の幼馴染を傷付けられたギルの殺気は圧倒的だった・・。

216 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/11(火) 00:14:20 [ LVW/cCFA ]
よし、句点入れる箇所を間違えたorz
あと、同じようなミスを犯してますねぇ^^;(辛うじて、ヒースの発言と読み取れるかもしれませんが)
書き終わった後も集中力は持続させたほうが良いですね。

217 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/11(火) 07:59:28 [ Q6fb8eiU ]
>>◆j9cST1xRh2サマ
テクニカルな頭脳もつかった戦闘シーン
いいなぁどうすりゃマネできんだろうか…精進あるのみですかな。
そして自滅したシーフ…なーむ〜。
どうなるんでしょうなぁ、先が読めませんorz

>>ナンバーズサマ
やっぱり生きてたかスナッチ!
そして真面目ブーン、道化とか言うけどブーン生活が実は気に入っているかな?
デビ・ロン50体を瞬殺、精神攻撃で操る…ってガクブル、どんだけのバケモノだ。
そして"剣聖"、"沈黙の暗殺者"、"孤高の堕天使"、"氷の魔術士"…次号が楽しみでしかたありません
>ナンバー6
OK兄者、じゃ早速部屋を秘密探知で探索してみよー
お、鍵つきトビラみっけ!アンロックドアで開くかなー。

>>南東方不勝サマ
何かに焦るレナ、そしてロックゴーレム大量増殖
ハウリンングブラストとドラゴンツイスターによる熱疲労で破壊とは…やるぅ!
だけど復活するゴーレムに思わず読んでる自分がムハァ、カンベンシテクダサイ('A`)
シローとイスラフェル…なーんか俺期待しっぱなしですわ。

>>名無しさんサマ(いやこれは変か...
3連続記事、内容も凄いワァ
変態BISにディレイ=サスガ氏の記事、ファミリア乱獲…
うーんどれもこれも味が濃いですなー。
是非とも次回作も期待しとります。

>>サマナの人サマ
>そしてカッコイイ大逆転の台詞に付随する謎の言葉
思わずカッときて書いてしまった、反省している、だが後悔はしていない
…いや自分がアーネイトだったら多分そう言ってるだろうなー…、ブーン。
>三角関係の行方
正確には4角関係、リディスイ㌔
でも個人的においしいからこの関係、角数増えるかも…w

>>名前がない@戦士見習いサマ
な、名前の由来を全て知ってしまっている俺が ウワナニスルヤメロ
主人公が再び天上界へと行きましたねぇ。
もうどうなるかわからない大人な小説、展開、尊敬します。

>>レッドストン通信サマ
>本誌でとりあげられている人物、及び団体は
>実際の人物、及び団体とは一切関係ございませんのでご了承ください。
あーこういうの自分のにも書くべきかな?
こっちも名前はオールオリジナルだから同じ名前の人が居ても赤の他人ですー。
だから突撃はry

ふー、それではおやすみー ZZZ...orz

218 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/11(火) 19:11:11 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第三章
第一回目 赤いオレンジ
天上と呼ばれる世界に来るのは二度目だ
見渡す限りの荒野、前に来たときよりも土がひび割れているような気がする
アルセスやシェリー達は居ない、どうやらワ−プしているときにはぐれたらしい
うっすらと見える街を目指して歩きはじめると足元に短剣が飛んでくる
剣を抜いて襲撃者の方を向くと、そこには屈強そうな天使が一人
初めて天上に来たときに出会った天使ガウディが大きなハンマーを持って睨みつけてくる
「小僧、貴様がまさかゴーファの希望だったなんてな、夢にも思わなかったぞ」
そう言いながら近づいて巨大なハンマーを振り下ろしてくる
ハンマーを剣で受け止める。濡れた綿のように思い一撃で手がしびれる
「俺はあんたとは戦いたくない、何であんたみたいな人が世界を乱す」
ガウディは無言で攻撃してくる。剣でハンマーを受けずにバックステップで距離をとる
飛んできた光の羽を避けようとしたときに、足が近くにあった水溜りに踏み込む
履いていた靴が煙を出して溶ける。水が足を溶かし、焼けるような感覚を皮膚に残す
「小僧、貴様がその水を飲むことが出来るか?出来ないだろう?
それを飲めば貴様は死ぬ、俺も死ぬ、天使も死ぬ。貴様等の世界にある物が
俺たちの世界には無い、それが、それがぁぁ」
凄まじい怒気を放ちながらガウディがハンマーを振り下ろす
避けきれない、覚悟の臍を決めたときにガウディが吹き飛ぶ
気がつけばアルセスがガウディと格闘している
「貴様等は先にラスタバンの元へ、俺はこいつの始末をする」
アルセスが素手で、いや炎を纏った拳で戦いながら叫ぶ
わかった、そう言って悪魔の羽と天使の翼、合計四枚の翼の封印を解いて街へと向かう
街では龍に乗った悪魔と、両手に剣を持った天使が凄まじい戦いを繰り広げている
二人を中心に天使たちが輪を描いて戦いに見入っている
悪魔と天使の戦いの輪に躍り出る、悪魔の方はやはりオルロワージュ
天使のほうはおそらくラスタバンだろう
二人ともいたる所に傷があり、特にオルロワージュの右目は抉り抜かれ悲惨なものだった
「ジン、下がっていろ。ラスタバンは私が仕留めなければ意味が無いのだ」
そう言って龍に合図を出し、ラスタバンと剣を交わらせる
数回剣を交わらせるとオルロワージュが急に血を吐き出す
「オルロワージュ、召還の代償からは逃れられまい、死ね」
そう言って血を吐き続けるオルロワージュに向けてラスタバンは剣を振りかざす
「ラスタバン、貴様の相手は俺だ」
分身を生み出しラスタバンへ向けて一斉に切りかかる
ことごとく一撃を避けられる、分身に攻撃を任せて龍の上で倒れるオルロワージュに近寄る
「その翼、白薔薇の生き写しのようだな。これを使って、やつを殺せ、必ず討ちもらすな」
オルロワージュが二つの石を取り出して手渡す、龍に合図してオルロワージュを安全な場所に運ぶ
「ゴーファの希望、別れはすんだか?」
「手間を取らせたな・・・・」
「死に行く者への神の慈悲だ」
オルロワージュの剣とゴーファの希望を構えて、ラスタバンの元へ
生きては帰れない、そんな気がした

219 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/11(火) 19:12:53 [ hNlLsBE2 ]
最近忙しいので職人様への感想は見送らせていただきます
スミマセンorz

220 名前: LB 投稿日: 2005/10/11(火) 23:13:38 [ Jflw9lZY ]
┌───────────────────┐
│前スレ分                       .|
│ >>563-564 残滓                 .│
│ >>755-756 Winter rolled round again    │
│ >>923-926 飢                ......│
└───────────────────┘
『因果はめぐる小車』

積雪した大地はよく滑り、足を取る。普通ならば。しかし我ら一族は、職業としてのシーフの流れを受け継ぐ。
―――特に歩法等の戦闘術においては重点をおいてきた一族だ。
如何なる場面、状況であろうとも対応できるようにと教え込まれた。偉大な父から。
それは自分が娘にも教えていたことでもあるのだが、父のように直接、その技術を教え切る事が出来ないのは心残りだ。
と、後ろへ飛ぶ。光を帯びた矢が3本、先程居た雪の原を靴跡ごと消し去り、その下の大地さえ焦がした。
己を追う大小の影、その小さい方がその手に小柄な弓を携え、足元を狙ってくるのだった。
大きな方は橋を渡る頃から感知はできているが視認できていない。となると。
真上に跳躍、後ろを振り返ると案の定、矢のようなでたらめな速さで疾走してくる巨躯の姿がある。
それは大の影の正体。影、死霊かなにかのように錯覚させていたのはそれが全身を覆い隠す程の黒衣を羽織っていたということ。
その黒衣は速さに耐え切れず、びりびりに引きちぎれて辛うじて体にしがみ付いている。垣間見える薄黒い体毛。
(獣人…ウルフマンか!)
その赤い瞳がぎらりとこちらを捉えてきて不覚にも少し怯んでしまった。だが色々と思う暇なく、後ろで風を切り裂く音が迫る。
矢が扇を描いて迫っていた。逃げるべき道は下。咄嗟に上体に勢いをつけて後ろに半回転。ぎりぎり避けることはできたが、この体勢での制動能力では狼の特攻を避けきる事は出来ない。
ならば、と矢を避けた時の縦回転の勢いをそのままもう半回転へと持続させ、同時、その勢いで投擲斧を眼前にある木に投げる。
こちらの着地の隙を好機とばかり伺っていた狼の腕の一振りは空を切った。相手は着地せず、そのまま弧を描いて空を渡り、木の枝の上へ降りた。
見た。木の上部に突き刺さっている投擲斧の持ち手の先に、太い鉄製の紐が括られているのを。綱渡りの要領で移動したのだろうと獣人は理解して一旦止まる。

「リウ」

完全な子供だった。獣人が突然平坦な声で呼んだその名で、姿を現した小なる方の影の正体。かろうじて10代であるかないかの少女が姿を現した。
黒衣から完全に顔を出して、金髪を後ろで束ねたポニーテールを揺らす。笑えばさぞかし可愛いだろう。娘を持つ身だからこそ分かる。
こんな子供が人を殺そうとする様はとても想像出来ないししたくもないが、愛想のない顔とこちらを睨む眼から得られる殺気は本気である証拠だ。
「なんだよ馬鹿。水銹!お前が鈍いせいで逃げられたんだぞ!」
刺々しく叫ぶように言った。彼女は顔を紅潮させたまま水銹と呼ばれた狼を睨んでいる。あからさまに彼女はその狼を目の敵にしていると分かる。
この娘は変に幼い部分があるな、と嘆息せざるをえない。………そういえばティアも最近自分に厳しいなぁ。
「…………すまん、次は必ず仕留める。だからお前も足止めはいいから体を狙っていけ。少しくらいの損傷なら与えてもいいと主人は仰っていただろう?」
「――わ、分かってるよ!さっきまではお前に花を持たせてやろうと思ってわざとやってたんだ!当たらないわけじゃないんだからな!」
間髪いれず、証明してやるとでも言うように矢が瞬時に放たれた。咄嗟に幹の裏に隠れるが、――3本、矢はそのまま左から右へ曲がって襲い掛かってきた。
右足、左胴、右肩に一本ずつ。先程の会話通り確かに、相手がこちらを狙う場所は致命傷には至らない箇所ばかりだが、逃げ切るためには如何な場所であれど、傷を負う事は許されない。
マントを外して翻す。金属繊維如きでは流石に勢いを殺して弾く事は不可能だが、矢筋を剃らすことぐらいはできる。
気味の良い三連音。幹が衝撃で揺れ、積もっていた雪が舞い散り、それに乗じて木から木へ渡って散する。
次の弦を弾く音は風を鋭く射抜いてくる音を伴わなかった。―――感知。それがまた、種類の違う攻撃だと五体に知らせ、上を指した。
天空で灼光が渦として在る様を木々の物間から見た。渦の中にうっすら見える無数の矢の影を見て舌打ちする。攻撃は広範囲に及ぶ。到底避けきれるものではない。

221 名前: LB 投稿日: 2005/10/11(火) 23:14:46 [ Jflw9lZY ]
「さぁ、もう逃げられないよ!リウの猛火、強雨の矢から逃れられるわけないんだからね」
ふふん、と隣にいる水銹を意識してか、胸を張って高らかに叫ぶ。交渉時だと確認した水銹もそれに続く。
「貴公も覚えているはずだ。我らが主との約束を。必ず貴公を迎えに来ると。そして今宵がその時である事は承知のはずだ―――デウス・エクス・マキナ様」
「違う!」
否定。反射的に、悲鳴にも似た叫びを上げていた。歯を強く噛み締め、衝動を止めようとする。情動的に揺れ動いて高ぶる感情が声色にも現れる。
「私はラケシス―――ラケシス・マキーナだ!父に!真なるデウス・エクス・マキナが――」
ダートを両手の五指に絡めて腕を交差。せり上がって来る腕の震えを握り潰して止める。
「己と異なる運命を歩み往く者として、私に与えた名だ!!」
二人の位置は完全に把握した。如何にして『殺す』か――退けなければ討たなければならない。死の悪寒が確実に迫り来るのが分かる。己の身に。
父は私に狩りは向いていないと言った。

修行。与えたノルマをどうしても達成出来ず、私はただ下に俯くばかりで、泣き出しそうになっていた時だ。
「お前は狩りをする時に深く考えすぎる節があるなぁ…いや、戦術云々じゃねぇ――迷い、躊躇だな。対象の命を絶つ事への恐れというか」
まぁ、と父は一時おいて。
「それこそ生きるか死ぬかの境遇を何度も経験しねぇと。まぁこんな平和に近い環境じゃ仕方ないし」
それに、とこちらの頬を撫でて、笑いかけてくる。
「『殺す』事を躊躇せず、命を判断できるのは間違ってる奴だけだ。そんな奴は何人も昔、同僚に居て知ってるがな。俺みたいに卑劣さでその上を超えて、最後にはとことん穢れきって勝ちを取りにいくような人にはなるなよ」
頭を派手に叩かれて、頭を抑え、上目遣いに父を見上げる。こちらの泣き顔など掠めてしまう程、まぶしい笑顔。
「俺や母さんに縛られんな、自由に自分の運命を決めちまうんだ。その為にも強くなれ、ラケシス。やがて訪れる世界の変革から、お前とお前が愛する者を守るためにな」
多少、情くさい部分があるのも父の個性だったが、あの言葉の正しさは既に証明されている。
だから今、此処であらん限りの力を振るおう。従者二人なら或いはやれるかもしれない。いや、やらなければならない。

「返事ないし…御様も待ってるからぶっ放しちゃおうっと」
「待てリウ」
お前に命令される筋合いはない!と言おうとして口を押さえられた。
(毒霧!?)
何時の間にか、大気の色は濃緑に。そのままどんどん自分が後退し、遠ざかっているのが分かる。水銹に引っ張られているからなのだが、今は抵抗するわけには行かない。
緑を纏う空間を抜けた後、火雨を落とそうとするリウをまたも水銹は制する。
「一旦解除だ、後手に回られた。攻撃が来るぞ」
「……ふん、言われなくても分かってるよ!お前こそ!デウス様を捕らえる前にやられたりするなよ!」
弓を後ろ腰へしまって、肩から背中へ手を回す。そこには一本の銀製の棒がある。
くるりと一回転させ、両手でそれを携える。その棒は瞬時に変形してリウの身の丈を軽く超える長槍となり、先端を鈍く光らせた。

222 名前: LB 投稿日: 2005/10/11(火) 23:15:32 [ Jflw9lZY ]
爆破音、白い風景の中を一本の曲線が走った。
「鉄機の旋律を」
続けて二本、三本と数を増やし、曲線は対象である二人を薙ごうと迫った。
リウは二本の線を自身の槍に絡み付けてねじ伏せた。
水銹はその線のうちの一つを掴み、地に叩きつけた。
それは太い鋼の縄による胴体と狼用の合金の牙で構成された鉄蛇。
「仕掛け兵器か」
牙から溶け出して流れでた赤い液体が雪を一瞬で気体に変える。水銹はその胴を踏み潰して砕き、前を見る。第二陣が来た。
木々の幹の一つ一つ、それぞれ違う箇所に球体が設置されている。火薬の爆発する音が何度も響き、球体から鉄蛇が飛び出してくる。
鉄蛇を一度に強襲させるのは相手が多勢の時。強敵単体相手に到底蛇の一撃が効くはずも無い。
ならば、即殺の一撃を決めるには隙を見つけなければならない。その為には、鉄蛇を時間差攻撃という形で用いるのが良い。鉄機の旋律に酔いしれる相手は一撃一殺を得意とするシーフの格好の的となる。
水銹はリウのサポートに回る。水銹には迎撃という形で有効な遠距離の攻撃手段がない。それは勿論自身も、リウも分かっていた。
リウが左腕の篭手を外し、ボウガンを展開する。瞬く間に光の矢を生成して放つ。開かれて迫る幾つもの凶蛇の顎を穿って壊す。
背後に迫った蛇には右手、長槍の柄を長く持って大きく旋回する動きをもって弾く。刹那、視界から遠い地で雪が発破して巻き上がった。
その方向から次は地を這うように、全て高速という速度で鉄蛇が三機、新たに迫った。迎撃して崩れ落ちていく他の鉄蛇が遮蔽物となって射撃は不可。
ならば、と水銹は直接、自身の爪で薙ぎ払おうと前に飛び出す。丁度、三機の顎と胴の結合部を撃てる位置で、両腕を振り上げた。
「水銹っ!」
リウの叫びが聞き取れると同時に、体が予期せぬ衝撃で揺らいで失速した。両腕は上がったまま、撃つべき機影が眼前から下へ消えていくのをただ見るまま体が動かなくなっていた。
焼け付くような痛みが右の脇腹から押し寄せる。空中で僅か、受け身という必要最低限の体勢を保つ。そのまま雪原を横転して伏した。
―――投擲斧、それは魔力で硬化させていた毛皮さえも貫いて、皮膚を切り裂き、生暖かい鮮血を地面へと辿らせていた。
体に動け、と働きかけても動く事は無い。傍ら、固定された首で見えた人影はリウではなく、別の人影で、こちらに刃を向けていた。

水銹が倒れた。咄嗟に叫びを上げるが、迫ってきた鉄蛇に薙ぎ払う動きが遅れる。
しまった、と思った時には遅く、高速という勢いでもって放たれた牙達は水平で静止した長槍ごと、リウを後ろに跳ね飛ばした。
尻餅をつきつつボウガンを構え、光の矢を生成。しかし、既に、水銹に止めを指そうと、敵の本体が脇差をその首にあてがおうとしていた。
当たれ、あいつが殺られる前に当たれ、と念じた結果はある意味通じた。
ラケシスは見た。意をもって首に突き出したはずの刃が既に物でなくなっていたのを。得物の命である殺傷部は虚空に消えて、ない。
柄は無意識に捨てられた。眼鏡の曇りを取り払ってラケシスは上を見る。豪雪が避ける空間、そこにたゆたう女性の姿を。背に二対、四枚の翼を宿す、忘れようもないその姿を認めた。彼らの主であり、自身の母であるその存在を。

223 名前: LB 投稿日: 2005/10/11(火) 23:17:29 [ Jflw9lZY ]
贅沢に三レスも使って読み辛いだろうとは思います…
どうしても話に区切りをつけるのに長くなるんですよね…

224 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/11(火) 23:18:28 [ LVW/cCFA ]
>>戦士見習いさん
いよいよ、最終戦の開幕ですね。
主人公が戦いに赴く際に感じた不安は現実の物にならないことを祈ります。

225 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/11(火) 23:36:01 [ LVW/cCFA ]
続きを書こうと思ったら新作がww
>>LBさん
戦闘シーンの文章がとても上手いですね。
さて、ラケシスさんの前に現れた4枚羽の天使の目的は一体・・?

226 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/12(水) 00:26:06 [ LVW/cCFA ]
>>215
「ふん、何を履き違えておる人間?我が貴様らの相手をするはずが無かろう。」
俺達3人分の殺気を受け止めながら、イスラフェルはそう言い放った。
そうして奴はおもむろに自身が持っている、一組の片手剣と盾をかざした。
「貴様らのような人間でも、この武具のことは風の噂に聞き及んでいよう。」
確かに、その剣と盾の名は余りにも有名だった・・。
「成る程、ゴーレム使いの必需品だな・・。」俺はその二つを見てそう呟いた。
剣の名はレムフェアバルター、盾の名はドラケネムファンガー。
いずれも、古の魔法使いが自身が作り出したゴーレムを使役するために作成した魔術兵装だ。
そう奴は、この坑道内にいるゴーレムを操っているのだ。しかし・・、
「ちょっと待ちぃや。ドラケ1個じゃ操れるんは1体だけやろ?そっちの方こそ履き違えてるんちゃう。」
アニーの言う通り、その方法でゴーレムを操るのなら盾が足りないのだ。
送信役である剣の方は一振りで事が足りるが、受信役の盾は操りたいゴーレムの固体数分無くてはならない。
しかし、奴は盾を1個しか持っていない。この坑道内のゴーレム全てを操ることは不可能なはずだ。
「ふん、いつ我が盾を一つしか持ってないと言った?この程度の『無機物』、分裂させるのは容易いわ!」
そういってイスラフェルは、ドラケネムファンガーに対して自分の魔力・・瘴気を注入した。
瘴気を注入された盾は表面が黒く変色したかと思うと、変色した部分が盾を離れ空中でその形を完成させた。
その形は、瘴気を注入されたドラケネムファンガーそのものだった・・。その数は、ついさっき俺達が倒したゴーレムの数以上だ。
「ふむ、分裂させすぎたか・・。やはり、慣れぬ体では瘴気の制御もままならんか。」
「馬鹿な・・。これが始原魔の力とでも言うのか・・!?」
ヒースがあっけに取られるのも無理は無い。あれだけの魔術兵装を奴は事も無げに複製・・いや、分裂させたのだ。
そして、俺達の周りにいたゴーレム共に盾は次々と装着されていった。
「では絶望の中で散り逝くが・・、むっ!!」
奴が剣を振るいゴーレム達を支配下に置く寸前、いつの間にか背後を取っていたギルの攻撃が放たれた。
「履き違えてんじゃねぇぞ、てめぇはオイラに殺させるんだ。」
「貴様・・・!いいだろう、我自身がお前を殺してくれよう。」
そういった後にイスラフェルは剣を振るい、ゴーレムたちに命令した。
「その者達で遊んでいろ。ただし、殺してはくれるなよ!」どうやら、こいつら全員で俺達の足止めをするようだ。
そうして、奴とギルとの戦いの幕が上がった。

227 名前: 186 投稿日: 2005/10/12(水) 01:56:51 [ eZsF5q9k ]
僕は今女の子とデートしている
彼女は笑顔がキュートなスマグ出身のウィザードだ
夜の公園で二人っきり、なんて幸せなんだろう
や、月が出てきたな。
ロマンチックな満月だ
あぁ、月光の下での、君の美しさと言ったら
まるで月が漆黒から掘り出した光の彫刻・・
夜目にも白くキメ細やかな肌が
肌が・・

・・・

・・

アレ?

  -ある青年の今際の際の記憶

228 名前: 227 投稿日: 2005/10/12(水) 02:00:22 [ eZsF5q9k ]
名前、消し忘れです・・
スレ汚しすません

229 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/12(水) 12:19:41 [ wd/Hd0mc ]
>>戦士見習いさん
ステアさんとの別れ……なんか大人のドラマって感じでどきどきです(・ω・)

>>レッドストン通信さん
感想ありがとうございます>ワ<
特攻野郎は一発ネタです。続きなんてかけません^^;
あと、実はジョジョネタに突っ込んでくれたのはレッドストン通信さんが初めてです。
もっと突っ込まれるかと思ってましたが、ジェネレーションギャップなのかな? かな?
レッドストン通信さんの続編もたのしみにしてますよー

>>変な生物さん
ふむ、いかにも父親っぽい感じですが、どうやら違うみたい?
新装備も手に入れて、一気にパワーアップですね。けれど、味方が強くなれば敵も強くなる……これが、ドラゴンボール現象(何
必殺技披露のリディス君は、ちょっとは株が上がったかな?
FFAC……私も見たいですー

>>南東方不勝さん
さすが悪役。やることがエゲツないっす。
でも、ユニーク分裂は便利そうだなぁ。いくつか分けてほしいなぁ(ぇ
さてさて、次回はギルの怒りが爆発するのかな?

>>227さん
男は狼?と思いきや彼女が狼。カワイソス(′・ω・)
でも、狼なおにゃのこは萌えだとおもいます>ワ<

>>LBさん
Σ(ノ>ヮ<)ノ☆
何ですかこのかっこよさわっ。
戦闘の描写といい、言葉のセンスといい痺れまくりですよ。
デウス=エクス=マキナといい、羽をもった存在といい、気になるワードもたくさんで続きがきになりますね?

230 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/12(水) 12:21:25 [ wd/Hd0mc ]
 そんなわけで、新作などを書いてみむとす


 今日も一攫千金を夢見る冒険者たちが、希望に燃える横顔でポータルをくぐり抜ける。
 頑健な肉体を包むのは、思い思いの鎧。
 他人が殴っているモンスターは殴らないように。古都内では無闇にスキルを使わないように。
 エレガントに立ち回るのが、暗黙のルール。

 古都ブルンネンシュティグ。ここは――夢の始まる場所。



>ドロシー=クリムスン

 古都の朝は早いものです。
 朝日が昇る頃にはすでに、大通りのパン屋さんからはパンを焼く良い香りと煙が立ち昇り、市場の露天商たちは思い思いの場所をとり、自慢の品々を誇らしげに並べます。
 そんな見慣れた朝の風景。

「おはようございます。おじさま」
「おはよう、ドロシー。今日も元気だね」

 道行く街の人々に挨拶をしながら、お祖母様の待つクリムスン商会――古都でも有数の雑貨商店であると同時に、私の実家でもあります――に向かいます。


「お祖母様ー。アーサーさんのところで焼きたてのパンをいただきましたから、朝食にいたしませんかー?」

 私の声に応え、商店の奥で品物を並べていたタリアお祖母様が顔を覗かせます。

「そうねぇ。じゃあ、パンを頂戴。私が準備をしておくから。代わりにドロシー、悪いんだけどあの穀潰しをたたき起こしてくれないかねぇ?」
「ベレッタさん……まだおきていないんですか」

 お祖母様は私に白く輝く木の棍棒を手渡し、店に隣接するキッチンのほうへ入っていきます。
 私は、お祖母様がトンキンさんからもらったという棍棒を手に、はふぅと一息。

 ベレッタさんというのは、この家――クリムスン商会の建物の二階の空き部屋に下宿している冒険者の方です。
 アリアンの方からやって来たということですが、以前街道で、私とお祖母様が街道のど真ん中に集められていたエルフ暗殺者とトランクマンと蜘蛛とウルフにMPKされかけたとき、偶然通りがかって私たちを助けてくれて。
 そのときのお礼ということで家に下宿しているわけです。

 とはいえ、最近は冒険もせずに部屋でごろごろ……こういうの、今流行のニートって言うんですかね?
 あれだけごろごろしていてまったく太っている様子がないのは許せません。

 というわけで、若干の私怨を抱きつつ二階へ。
 一応ノックして声をかけますが、起きる気配はなし。
 仕方がないので、ドアを開けて勝手に中に入ります。

「ベレッタさーん? 朝ですよー。起きないとそれはそれは大変なことになりますよー?」

 ベレッタさんは聞こえているのかいないのか、むにゃむにゃとつぶやきながら寝返り。
 ほとんど吹き飛ばしている毛布がずり落ち、あられもない格好です。
 普段は鎧をつけっぱなしの反動か、安全な街で寝るときはほとんど下着姿とか。
 全体的に筋肉があってがっしりと。けれど細くしまっていて。それなのに出るところはきっちり出ていて。
 本当に妬まし……うらやましいです。

 とりあえず、声をかけても返事がないので実力行使。
 ぐーすか眠りこけているベレッタさんめがけ、棍棒を控えめに振り下ろします。

《Crash!!》

 思いのほか豪快な打撃音と、そんなエフェクトがベレッタさんの腹部に響きました。
 一瞬の仰け反りのあと、ようやく目を覚ましたようです。

「おはようございます、ベレッタさん。今日もいい天気ですよ」
「あー、ドロシー。いい天気なのはわかったけど、今の素敵な決定打はあなたのかしら?」

 ベッドから起き上がったベレッタさんは、しかしなぜかベッドの上に座り込み、半目でこちらを見つめています。
 どうでもいいですけど、下着姿で胡坐をかくのは、女性としてどうかと思いますよ?

「ええ。なかなかベレッタさんが起きてこないので、お祖母様からお借りしたこの棍棒で、ごつんと」
「ごつんというよりぐしゃって感じだったけどね。ちょっとその棍棒見せて」
「はい、どうぞ」

 ベレッタさんは棍棒をしばし見ていましたが、急にうげ、と唸り、

「致命打はともかく、なんで決定打なんてOPまでついてるのよ……おまけに攻撃レベルまでついてるし」

 なんだかぶつぶつ呟いてから私に棍棒を返してくれます。

「ん、で朝ごはんだっけ?」
「はい。もう準備はできていると思いますよ」
「うし、じゃあちょっと待ってて。着替えちゃうから」

 そう言ってベレッタさんは鎧でなく、私服に着替え始めます。
 という事は、今日も家でごろごろ駄目人間生活を満喫するつもりなんですかね?

231 名前: FAT[TRACKBACK] 投稿日: 2005/10/12(水) 14:57:19 [ rhoKUiYA ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63 (22)
>>118-119(23)
>>156-157 (24)




フプレは部屋に差し込む光が完全に隠れるころになってようやく目
を覚ました。
「あれ?もう夜?いやだなぁ、寝すぎちゃった。」
とぼけた顔をして上を向く。何か思い出そうとしているようだ。
「そういえば、眠る前に何か嫌なことがあったような・・・。」
「そう?夢でも見てたんじゃないの?」
下手なショックを与えるとシエルが覚醒しかねない。忘れているの
なら思い出させないほうがいい。
「そっか。」と半信半疑な様子で食べ物を探しにキッチンへ向かう。
ドアを開けた瞬間、部屋にわめき声が響く。
「フラン!!食べ物がないじゃない!!晩ご飯はどうするの
よ!!」
何故叫んだのかよく分からなかったが、外食するつもりだと伝える
とすぐに落ち着いた。

私は今日のために、“カタトニア”に予約を入れておいた。働いてい
る私が言うのもなんだが、このお店は美味しいし、料理のアイデア
もおもしろいし、店内も照明を目一杯使って明るい雰囲気だ。フプ
レは席につくなり「気に入ったわ」と万遍の笑みを浮かべた。

私たちは料理を堪能すると、すぐ隣のバー“ラグlagwagonワゴン”
に移動した。私たちは未成年だが、店のオーナーが同一人物のため、
特別に入店許可をいただけた。
お隣の明るい雰囲気とは打って変わってこちらは落ち着いた雰囲気。
静かに語り合うカップルや一人で酒の悦に浸っている人を尻目に、
初めてのお酒にすっかり飲まれた私たちは馬鹿みたいに騒ぎ立て、
店の隅っこでピアノを弾いている女性に駆け寄り、無理やり合奏さ
せた。即興ではあったが、この素晴しいピアニストは私たちの音色
に合わせ、しっとりと優しく、まるで私たちをなだめるように音を
重ねた。

私は女性をしっかりと見た。長く美しい黒髪は腰まで伸ばされてい
て、深い黒の瞳にはっきりとした二重瞼が印象的である。真っ白な
肌が漆黒の衣装の中に浮かび上がり、陰を含んだ不思議な魅力に惹
きつけられる。女性も私たちをじっくりと観察し、演奏を終えると
すぐに自分の部屋に招き入れてくれた。

エイミー=ベルツリーと名乗ったこの女性は私たちに非常な興味を
持ってくれた。
まず双子であるということ。そして過去に私たちの身に起こった
様々な出来事を、彼女は楽しそうに耳を傾けて聴き入った。はしゃ
いで話を盛り上がらせる私たちに対し、エイミーは笑顔を絶やさず、
でも決して馬鹿笑いなどせずにおしとやかに、そう、まるで母が私
たちの自慢話を寛容に聞いているように錯覚した。

懐の深い人だなぁ。

私たちはこの、若く、不思議な魔力を持った女性に心奪われ、本当
の母と接しているかのように甘えた。エイミーは私たちをなだめ、
癒し、元気付けてくれた。若干28歳の女性の膝枕にすがりつきな
がら、私たちの心は思っていた以上に愛情に飢えていたことを自覚
した。そして、故郷、リンガ村へ。母の待つ、あの家に帰ろうと決
意した。


エイミーは朝早くに起きると、すやすやと眠っている二人の少女を
見て胸がときめいた。見た目にも童顔で子供っぽさが残っているが、
昨晩二人の見せた態度は子供そのものであった。彼女は決して意識
して振舞っているわけではないが、よくおしとやかだとか、はにか
みやだ、などと言われる。それ故に笑い転げ、情を高ぶらせてはし
ゃぎ合えるこの姉妹に憧れを抱いたのである。
これからも永らくこの二人と仲良くしていきたい。そう願っていた
エイミーは二人から帰省することを告げられると悲しみに飲まれ、
泣き崩れてしまった。
彼女には友達がいなかった。いや、正確に言えばいなくなってしま
っていた。泣き暮れるエイミーに、私たちは再会を誓った。また、
戻ってくると。涙で赤く腫れた目元をこちらに向け、エイミーは頷
いた。たった数日間一緒に過ごしただけだったが、私はそこに確か
な友情を感じた。

232 名前: FAT 投稿日: 2005/10/12(水) 14:58:08 [ rhoKUiYA ]
困ったことになった。
私たちの帰省に、レニィ、ジョーイ、タカさん、クレナがついてく
ると言い出した。
私たちの村は確かにへんぴなところにあるから護衛は嬉しいが、だ
からといって友達をあんな遠いところまで引っ張って行きたくない。
しかしどうしても心配だというレニィの熱意に押されて、私たちは
護衛を彼らに頼むことにした。

ただ、クレナだけはまだ学生で修学中だという理由で親とレニィか
らも反対を受け渋々同伴することを諦めた。

レニィは自警軍の特別任務という名目でフプレの護衛をすることに
なった。まだ自警軍がフプレ(シエル)を危惧しているということ
は腹立たしかったが、公にレニィが参加できるのは嬉しい限りだ。

タカさんは教会での司教としての、また、病院での魔法治癒の仕事
を完璧に辞めての参加だった。これには全員が驚いたが、どうやら
私たちを送り届けるために辞めたのではなく、別な理由がありそう
に口ごもった。

ジョーイは毎日ぶらぶらと狩りに出かけていただけなので何も変化
は無かった。

長い間お世話になったポトフおじいちゃんに別れを言い、あの光線
にも耐えた魔法のカードを返すと、涙で視界がぼやけた。しわしわ
の手で頭を優しく撫で、やんわりとした口調で回想した。
「フランちゃん。昔、病院に入っていたときに話があると言っただ
ろう?あれは、君にフプレちゃんは生きてるって言うことを知らせ
たかったんだ。何故そんなことが分かったかって?おいら昔は名の
知れたシーフだったって言ったろ?実は、まだ現役なんだよ。この
カードは探知機の役目をしてね、持ち主が死んでいたらおいらが直
に取りにいくのさ。・・・遺体と、遺品を回収するためにね。」
ここでポトフさんはフプレの肩をしっかりと掴むと、眼力を強めて
続ける。
「フプレちゃん、君を地下監獄で見たときは我が目を疑ったよ。君
はあんなことをするような子じゃない。あんなのは君じゃないんだ。
過去に何があってあんな子が出てきてしまったのかはおいらには分
からない。けど、あんなことは許されることじゃないんだよ、これ
からは何があっても、全てを受け入れ、自分の力で何とかするんだ。
いいね、あの子にはもう、頼ってはいけないよ。」
肩を強く揺すられながら、フプレは涙声で懺悔した。
私はポトフさんを睨み付けた。最後の言葉は分かる。大事なことだ
と思う。でもっ!でもっ!塞がりかけてた傷口をパックリと開かれ
たフプレの心情を考えると胸が苦しくなった。

あなたは何も悪くない。

そう言ってあげたかったが、遂にその言葉が口から出ることはなか
った。


街の東口で待ち合わせ、準備の整ったメンバーは馬車に乗り込んだ。
見送りに来てくれたクレナ、エイミー、レニィの同僚たちに、“カタ
トニア”の仕事仲間など、十人ほどが見守る中、馬車はゆっくりと
車輪を回し、皆から遠ざかっていく。カーテンを開け、小さくなっ
ていく友人たちに手を振る。やがて姿が見えなくなるとカーテンを
両手で閉め、古都での生活を思い返した。村では体験できないだろ
うことがたくさんあり、それが今となっては財産のように思える。
楽しかったことはもちろん、辛く、悲しかったこともかけがえのな
い宝石のように心に輝いている。私は、早くも母にどんな風に冒険
記を聴かせてあげようかなどと考えていた。

馬車は順調に進み、鉱山町ハノブまでは二晩を明かした朝に辿り着
いた。

233 名前: FAT 投稿日: 2005/10/12(水) 16:32:09 [ rhoKUiYA ]
>> 南東方不勝さん
敵の能力がとても魅力的です。他の敵たちもこんな風に特殊な能力を持っている
のでしょうか?なんだか色々な能力が出てきそうで楽しみです。

>>変な生き物さん
アーネイトもリディスも底力があってかっこいいです。二人とも謎を秘めていて
更なる成長が楽しみです。並行してセナをめぐる4角関係もどうなるのか気に
なるところです。

>> 名前がない@戦士見習いさん
遂に・・・最終決戦ですか。ギムレットが死んでしまったり、悲しいことも
ありましたが最後はハッピーエンドであってほしいです。

>> ナンバーズ さん
いつの間にかフォビアも仲間に!!ブーンもいいキャラですがスナッチも相当
にいけてますね。猫かぶりな二人がお気に入りです。

>> サマナの人さん
>特攻野郎RSチーム
なんて個性派ぞろいなんだ!!房に立ち向かうその姿勢にスタンディング
オベーションで応えさせていただきます!

>新作
この冷ややかな突っ込み口調がたまりません。「隣の若草さん」みたいな・・・
ご存知ないですよね?
ベレッタさんの駄目人間生活を覗いてみたいです。

>> ◆j9cST1xRh2さん
メリック、リフの寝床に・・・
あぁ、ドキドキの展開ですね。
メリックの部屋は予想よりもまともなものでしたね。機械の正体がなんなのか
は気になりますが・・・。
自滅したシーフですがなんて哀れな。情けなさすぎで泣けてきますね。
伝書ガーゴイル、なんだかこのアイデア好きです。

>>レッドストン通信さん
爆笑です。HPバーが縮む思いでしたって、メンテの予定はございませんって、
何気に使われているゲーム内の表現がツボです。ディレイさんのコメントも
ツボりました。

>>LBさん
デウスってケイトスの・・・。
ラケシスが天使嫌いな理由は4枚羽のこの天使のせいですか?なんだかこの
天使がケイトスにも重要な存在のような気が。謎のキャラですね。

>>227さん
肌が・・・。

短くも思わず笑いました。スレ汚しなんかじゃ全然ないのでどんどん投稿して
下さいな。

234 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/12(水) 18:08:30 [ hNlLsBE2 ]
中間考査、別名デビ・ロンが襲ってきとります
戦士見習いです。感想を書く余裕が無いので今回も見送らせてもらいますorz

RED STONEシリアスシリーズ第三章
第二回 ヴィンテージ
ガウディがアルセスに向けて光輪を飛ばす。
アルセスはそれを軽やかに避けて、炎を纏った鋭い爪の一撃をガウディに繰り出す
ガウディは間合いを取って羽を飛ばして牽制する
羽を意に介さずアルセスは体を切り刻まれながらも間合いを詰める
ハンマーを水平に振り、ガウディは近づいてくるアルセスに一撃を喰らわせようとする
鈍い音がする。アルセスがガウディの両肩を握りつぶしたのだ
ガウディが羽を飛ばしてアルセスを切り刻むが、アルセスはまったく気にしない
アルセスが何か唱えると、両者を中心に地面に大きなひびが入る、川が近くにあった影響だろう
二人を囲むように水がひび割れに貯まり始める
「貴様、この程度で俺を討てるとでも?」
ガウディが威圧感のある声を出す
次の瞬間、羽から鮮血が噴出し、アルセスに血がかかる
付着した血がアルセスを焼く、苦痛に顔が歪むがアルセスはガウディを放さない
アルセスが再び何かを唱えると、地割れがさらに大きくなり
二人のいる場所が陥没して、ちょうど地割れに飲み込まれた状態になる
「死ね」アルセスが呟く
アルセスが両手を離しながら呪文を詠唱する
ガウディが羽ばたいて地割れから逃れようとするが、強大な重力のくびきに繋がれ
水が溜まり始めた地割れから逃れられない
「もう遅い」
ニヤリと笑いながらアルセスは言う
水が二人を包み始め、猛毒が二人の体を焼きはじめる
アルセスは涼しげな顔だった

235 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/12(水) 18:55:50 [ LVW/cCFA ]
>>227
哀れな青年に合掌。
こちらの狼嬢も気性が荒らそう・・。あれ、アニーなんでこちらの世界へ?ウワヤメロナニヲギャー

>>サマナの人さん
ドロシーGJwそして、そんなドロシーに棍棒を渡したクリムスン女史もGJ
さて、ベレッタさんのダメ人間生活とは一体・・?wツヅキガキニナルヨ、パパン^^

>>FATさん
ついに、サーヴェリー姉妹がハノブに訪れる時が来てしまいました・・。
マリー嬢との激突は必至ですね^^;
>敵の能力
まぁ、ネタがある限りはなんらかの能力を持たせる予定ですが、正直ネタギレガチカイヨ、パパンorz

>>戦士見習いさん
アルセスとガウディの戦いが中心でしたね。
何故、アルセスは天上界の毒に対して耐性的なものを持っているのでしょうか?

236 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 14:18:12 [ 4Ic.ghpI ]
>>FATさん
ふむむ、ハノブに行けば、嫌が応にも話が動き出しますね。
お母さんのところに帰れるのはまだ遠そう……
あと、エイミーさんのいなくなった友達ってまさか……
激しくどきどきです。

追伸 昨日は楽しかったですね(謎

>>戦士見習いさん
デビロンテラコワス((((;゜Д゜)))
それはさておき、アルセスの笑みは勝利の確信か、はたまた「俺と一緒に――地獄へ行こうぜぇっ!」ってことなのか。
どちらにも取れてドキドキです

237 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 14:19:25 [ 4Ic.ghpI ]
>>230

>ベレッタ=アンブロシア

「いただきまーす」

 大口を開けて、バターと木苺ジャムを塗りたくったパンにかぶりつく。
 ブリッジヘッドでは、薄くスライスして上に魚介類やらハムやらベーコンやらを乗せるのが主流らしいが、ここブルンネンシュティグでは、こうしてジャムなどの甘い味付けをしたり、生クリームやバタークリームを塗るのが主流。
 ……カロリー高そ。

 まあ、食べ物の話はさておき。
 あたしの名前はベレッタ=アンブロシア。アリアン出身の槍使いだ。
 剣士や戦士のように重装甲から力任せに一撃を振るうのではなく、軽やかにヒット&アウェイを繰り返すのがあたしたちのスタイル。
 特にあたしは、ラピッドスティンガーとサイドステップをメインにする、速度特化型の槍使いだ。
 これはもともと、あたしのお婆ちゃんから受け継いだスタイル。
 この戦い方と、そして使い込まれた投げ槍が、お婆ちゃんから受け継いだ、たった二つの宝物だ。
 もともと家の家系は、あのREDSTONEを探索していた傭兵集団にまでさかのぼるらしい。

 だから、成長するにつれ、あたしが冒険に果てしない憧れを抱くようになったのは、そんな血があたしに語りかけていたのかもしれない。

 と、そんなことを考えていたあたしにドロシーが、

「で、結局ベレッタさんはいつまでニート生活を続けるつもりなんですか?」
「ぶ」

 思わず口に含んでいたワインを噴いた。
 アウグスタ名産の、赤色の強いワインが正面に座っていたクリムスンのばーさんの顔面めがけて飛ぶ。
 けど、ばーさんは涼しい顔で手近にあった空き皿を盾にし、それを止める。
 鮮やかなコンプリートプロテクション――じゃないっ。

「だ、誰がニートよ!?」
「ベレッタさんが」
「アンタだこの穀潰し」

 祖母孫そろって即答。
 うわ、一瞬の溜めもなかったよ、オイ。

「えと、違うんですか?」

 いやドロシー。かわいく小首をかしげて上目遣いされても困るから。
 左手で三つ編みの先端を軽く弄ぶあたりがまた格別。
 うーん、確かに街の男がこの娘に熱を上げるのもわかるな。
 間違いなく、この店の売り上げの8割は彼女のおかげだと思う。

 あー、じゃなくて。

「あのねぇ。あたしだって遊んでたわけじゃないのよ?」
「はん、どうだか」

 ばーさんに鼻で笑われた。お、おにょれー。

「だから、ここしばらくは遊んでたんじゃなくて、冒険に出たくても出られない状態だったのよ」

 ちょっと前のクエストで、旅に出て以来ずっと愛用していたウッドアーマーがついに壊れてしまったのだ。
 いくら被弾率の低いあたしとはいえ、鎧無しで冒険に出る勇気はない。というか、それは勇気ではなく蛮勇だ。

「鎧なら、ゼンシさんのお店で買えばいいんじゃないですか?」

 ドロシーは言うけど、残念ながらそれじゃ駄目。
 どうもあたしは、金属鎧というのが苦手なのだ。
 こう、体の動きが阻害されるような気がするから。
 だから、わざわざエイドゥルに、ウッドアーマーを入荷してくれるように頼んだ。
 と言うわけで、今は届くのを待っている状態。

「と言うわけなのよ」
「はぁ、なるほどー」

 ドロシーがようやく得心が行った、とでもいう顔をする。

「でさ、それが今日当たり届くはずなのよ。だから、届き次第また冒険者再開かな?」

 無論、槍の手入れは欠かしていない。
 鎧さえ手に入れば、すぐにでも出発できるよう準備は整えてある。
 唯一の問題は……

「でさ、ばーさん――じゃない、タリアさん」
「なんだい?」
「あのね、ウッドアーマー買うのにお金全部使っちゃったから、今月の家賃待ってくれないかなぁ、なんて」

 返答代わりにワインのビンが飛んできた。
 ダミーステップが発動しなきゃ、危ないところだったわね。

238 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 15:22:59 [ 4Ic.ghpI ]
 さてさて、そんなわけでこんなわけで、なんとか頼み込んで部屋代はツケにしてもらえた。
 こういうときものを言うのは、やっぱり日ごろの信頼よね?

「ベレッタさん、道の真ん中で何ぶつぶつ呟いてるんですか?」

 で、だ。
 エイドゥルに頼んでたウッドアーマーを取りに行こうと思ったら、なぜかドロシーまで付いてきた。
 お店はいいの? って聞いたら、今日はお祖母さんに任せます、らしい。
 店に来た男たち泣くだろうなぁ。

「あのねぇ、人を電波みたいに……。人通り多いから、あんまりはしゃぐと転ぶわよ」
「大丈夫ですよ。子供じゃないんだから、そんな簡単に転んだり――きゃっ」

 うわ、言ってるそばから。
 こっちを振り返っていたために、やや浮き上がっていた敷石に気づかなかったらしい。
 踵を引っ掛け、何とか踏ん張ろうとするも後頭部から石畳にぶつかる――前に、あたしが追いついた。

「ほら、言わんこっちゃない」
「はい、す、すみません……」

 槍使いの踏み込みは伊達じゃない。
 一足飛びに距離を詰め、倒れる前にその体を抱きとめる。
 抱きとめた瞬間にふんわりと香る花の香り――なんかのハーブだと思う。種類はよくわかんない。
 立派に女の子しちゃって、まぁ。

 あたしみたいな冒険者は、香水みたいな強い匂いのするものは基本的にご法度。
 匂いでこちらの位置を探知するモンスターとかもいるしね。
 本来ならそこに存在しない匂いって言うのは、それだけでわりと危険。
 人間自身の匂いって言うのもばれるとやばい場合があるから、危険地帯を歩くときは自分で泥をこすり付けて匂いを消す場

合もある。
 なんというか、因果な商売よね。

 そんなこともありながら、エイドゥルの露天へ。
 注文の品はどうやら昨日の夕方くらいに届いたらしい。
 時間がかかっただけあって、品物は本物。
 軽く、けれど丈夫な、エンティング製のウッドアーマーだ。

 さて、目的は済んだけど、せっかくなのでこのまま古都内を散歩する。
 どうせなら、いいクエストも見つけておきたいしね。
 特にドロシーは、普段は北西地区周辺しか歩かないらしく、南地区に来ることは珍しいとか。
 せっかくなので、しばらく散策した後、行きつけのお店に彼女を案内することにする。
 ちょうど昼飯にちょうどいい時間だったしね。

239 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 15:23:19 [ 4Ic.ghpI ]
 やってきたのは、南地区大通りからちょっと裏路地に入ったところにある酒場兼宿屋。
 ドロシーみたいな普通の女の子が一人ではいる分には、ちょっぴり危険な店だ。
 まあ、あたしが一緒だから平気だろうけどね。
 と、店内で見知った顔を見つける。

 冒険中と違って、鎧こそつけていないが間違いない。

「おーい、フィリップー。元気〜?」

 フィリップ=オウギュスト。
 あたしとは対極の、鎧と盾を以って仲間を守ることを仕事とする剣士だ。

 腕はわりと――というか、かなり良い方だと思う。
 問題は、いい人すぎるのだ。彼は。

 見れば、彼のテーブルには一番安い塩ジャガイモと、水しか乗っていない。
 昼飯にはあまりに少ない量だ。

「どしたの? なんだか元気もないみたいだし。ひょっとして、露天詐欺にでも引っかかった?」
「そんな、ベレッタさんじゃないんですら」

 とりあえずそんなことを言ったドロシーにチョップ。
 対するフィリップは、そんなコントにも無反応で、

「いや、前の野良PT狩りで、普通にPOT代で使っちゃって」

 うん。まあ確かに、彼のような前衛、特に後衛を守って戦う彼のスタイルは、怪我が多いしヒールポーションの消費も激しい。
 けど、それだけ激しい狩りなら、その分いいアイテムも拾えるはずだけど……

「忙しかったからね。アイテム拾う間もなかったよ。ほら、後衛さんに攻撃いっちゃったら大変だし」
「いや、ちょっと。アイテム拾う間もないって、分配は?」

 なんだか嫌な予感。
 最近は、狩りで拾ったアイテムやお金は、パーティー内で均等に分割するのがルールだ。

「んー、欲しい人が自由に拾ってたかな?」
「あの、すみません。そのパーティのメンバーってどんな方々でした?」

 さすがのドロシーも気づいたっぽい。
 控えめにフィリップに尋ねる。

「えーっと、ロングコート着たチリWIZと左手剣持った剣士、それにビショップが全部二人ずつ。あとウルフマンが一人と僕だね」

 ビショップが二人でそれだけポーション使ったって事は……

「ひょっとして、そのビショップ殴ってなかった?」
「うーん、片方のビショップさんは殴ってたけど、もう一人の人は一生懸命回復してくれたよ。殴ってたビショップがリーダーだっ

た」
「うわ」

 チリWIZ、ウルフ、自称火力剣士、殴りBIS……。
 なんというか、まああれだ。

「回復してくれたビショップさん以外、みんな防御薄くて、モンスターの一撃でも危険だったから、回復はその人たち優先にしても

らったんだ。僕なら盾とポーションで何とか耐え切れるからね」

 しかも紙だし。

「だからって、前衛で殴ってたら、少しくらいアイテム拾えるでしょ。それとも何も拾わなかったの?」
「うん。いくつか拾ったけどね。でも、回復してくれたビショップさんは何も拾えてなかったから、回復のお礼に上げちゃった」

 うん。
 彼はとんでもなくいい人だ。
 紙PTメンバーにも文句を言わず。自由獲得でアイテム拾えなくても何も言わず。さらにはなけなしのアイテムすら上げてしまう

とは。
 だからあえてあたしは言おう。

「……莫迦?」
「うわ、ひどいなぁベレッタ」

 ああ、もうホントにこいつは。
 知り合ってからまだ一年足らずだけど、一事が万事この調子。
 なんでも子供のころ、天界を追放された天使に出会ったらしく、その時の約束を守るために冒険者になったらしい。
 天使とであった時のその話を、あたしはもう耳にタコができるほど聞かされている。
 だから、後衛を――仲間を守ることは、彼にとって天使との約束を果たすことであり、彼自身の希望でもあるんだ。

 だからって、こんなことを続けていてはいつか、こいつは死ぬ。
 世の中そんなに甘くはない。と思う。

「まったく……おじさん、とりあえず今日の定食三人前。あと適当につまみっぽいのとエール二人前よろしく」

 店のおじさんに注文して、彼の隣に腰掛ける。
 ドロシーにも、一緒に座ってと目で合図。
 やがて、料理があたしとドロシー、それにフィリップの前に運ばれてくる。

「ベレッタ、これは?」
「あたしのおごり。文句ある?」
「いや。――ありがとう」
「ふん。あんたが惨めで見てられないからよ」

 そっけなく言って、エールのコップを傾ける。
 苦味のある液体が喉を滑り落ち、体がいい感じに火照る。

「あ、ベレッタさん照れ隠しですね。顔が真っ赤です」

 ドロシー、いらん事は言わなくてよろしい。

240 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 16:11:47 [ 4Ic.ghpI ]
「まあ、あれよ。一飯の恩義を返すつもりがあるなら、次のクエスト、一緒に受けない?」

 あたしとフィリップの皿はほとんど空っぽ。
 ドロシーの方にはまだちょっと残ってるけど、本人は自力で食べきる気みたい。

 適当に揚げジャガイモをつまみながら、あたしはそう切り出した。
 どうせクエスト受けるなら、一人はつらいし。
 そう、別に他意はないのよ? ただちょうどいい所にこいつがいただけで。

 なんだかドロシーがこっちを見ながら笑ってるのが気になるけど。

「うん。僕はかまわないよ。一人より二人の方が面白いし」
「うし、じゃあ決まりね。どうする? 今のうちにパーティ組んじゃう?」
「ん、まだいいよ。クエストだって決まってないしね」
「それもそっか……」

 と、そこで空いている皿を下げにウエイトレスがやってきた……んだけど。

「……メイド?」

 いつからこの店はそっち系になったのだろか。
 あたしたちのテーブルから空き皿を下げていったのは、まごう事無きメイド姿。
 いや違う。
 他のウエイトレスは、いつもどおりの簡素なエプロン姿。
 今来た女性だけが、なぜかメイド服だ。
 おかしいなぁ。前来たときはメイドなんていなかったはずだけど。

 不審に思っていると、店内にリュートの音色が響く。

「あ、ベレッタさん。吟遊詩人ですよ」

 ドロシーに言われ、店の片隅を見れば、十代半ばくらいの女の子が、リュートを抱えて席に座っていた。
 足元には逆さまに置いた帽子。
 間違いなく吟遊詩人のスタイルだ。

 彼女はゆっくりと歌い始める。
 この詩は……

「魔術師ゴーファの詩、かな?」

241 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/13(木) 16:12:11 [ 4Ic.ghpI ]
 かつて、大魔術師として有名だった魔法使いゴーファ。
 しかし晩年の彼は、妄想に取り付かれ、人気の無い山小屋で隠遁生活を送り、そしてあっさりと死を遂げる。
 だが、彼の妄想は妄想ではなかったという説がある。

 彼らは言う。
 ゴーファは知ってしまったのだ。
 この世ならざる場所に住む、人に仇為す侵入者たちの存在を。
 そしてゴーファは持てる魔術のすべてを込め、一振りの剣を造る。
 剣の名はゴーファの希望。
 正しき怒りと憎悪に応え、あらゆる魔を断つ無垢なる刃。
 それを完成させた後、ゴーファは死ぬ。
 見えない魔物に生きたまま貪り喰われて。


 普通、この物語は、ゴーファの覗いた異界を、彼の周りに姿を現す魔物を、とにかく恐ろしくおどろおどろしく描写し、語る。
 だが、この吟遊詩人の少女は違った。
 彼女の歌では、異界や魔物の姿は一切描写されない。
 かわりに、それらを恐れながら、しかし敢然と立ち向かうゴーファの姿が謳われる。
 そして、まだ見ぬ勇者に託すべく剣を造り上げ、侵入者たちに気づかれぬ場所に封印したところで詩は終わった。

 確かに、まだ語り方も声の出し方も、超一流とはいえない。
 けれど、彼女の歌は、そんじょそこらの吟遊詩人よりはるかに――聞いていて面白かった。

 リュートの調べが消えたとき、ゆっくりと、だが大きな拍手が店内に響く。
 少女が立って一礼し、無数のコインが帽子めがけて投げ込まれる。
 その中には、100G金貨すら混じっていた。

「うわぁ……面白かったですねぇ」

 わりとこの手の伝説好きなドロシーは目を輝かせている。
 まあ、あたしもそれを否定する気はない。
 というか、あたし自身かなり楽しんで――いや、のめり込んで聞いていた。
 姿が一切描写されぬが故に、ゴーファ自身の怯えと恐怖が、まるで自分自身のように思えた。

 だから思わず、ベルトからなけなしのゴールドを――まあ奮発して50ゴールドほど――取り出し、彼女の帽子に投げる。
 いや、途中で思い直し、せっかくだからと直接渡しに行く。

「いい曲だったわ。あれ、あなたのオリジナル解釈なの?」

 近くで見ると、その少女は歌声だけではなく姿もかなりのものだということに気づいた。
 肩口よりわずかに長く伸ばされた金髪は、生まれつき?ややくすんでこそいるものの柔らかそうで。
 体つきはやや小柄で華奢だが、幼さの残る表情とあいまって、誰もが好感を持てるほど。
 胸元を飾る笛をかたどったペンダントと、両耳の輝石の填まったイヤリング――左は深い蒼、右は真紅――もよく似合っている。

「多分。今のところ私以外にこういう語り方してるのは見たことないからね。結構自信作なんだ、今の」

 そう言って、彼女はずっしりと重くなった帽子をよいしょと拾い上げる。
 多分、1000ゴールド近いだろう。ひょっとすると越えているかも。
 と、いつの間にかドロシーもこっちにやってきていた。

「あの、良かったら、もう一曲聞かせてもらえませんか?」
「あ、ごめんなさい。疲れるから、一度に歌うのは一曲って決めてるから……」

 まあ仕方がない。
 あれだけ見事に歌うんだ。きっと疲れもするだろう。
 だが、ドロシーはそれくらいではあきらめなかった。

「だったら、一緒にお茶でもどうですか? ベレッタさんが奢ってくれますから」

 うん。それがいい。
 あたしも結構この子に興味あるし。
 色々話も聞いてみたい。
 もちろん、ドロシーの奢りで。

242 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/13(木) 17:55:57 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
あぁ、もうこのほのぼのギャグ調の語りが堪らないww
フィリップさん、アンタいい人過ぎるよorz俺なら即急用落ち(ry
そして、フィーナ&ミーアも登場しましたね。吟遊詩人やってる時はヴェイグさん本にでもしまってるのでしょうか?
あと、クリムスン祖母孫の御ふた方は相変わらずGJですなw

243 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/13(木) 19:19:34 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第三章
第三回目 朱いオレンジ

アルセスとガウディの体は半分以上が水に浸かっている
皮膚はほとんどが溶けて、痛々しい姿だ
ガウディの顔は苦痛に歪んでいる。アルセスの顔にも脂汗が滲む
それでも、アルセスは涼しげな顔だ

ラスタバンと剣を交える、致命傷は与えられないが優勢なのは自分だ
分身を生み出して突き、水平切り、振り降ろしを同時に行う
突きと振り下ろしは避けられてしまうが水平切りがラスタバンの剣を弾き飛ばす
剣を持っている左側を分身で攻撃する
自分は無防備な右側を狙って回り込むが不意にラスタバンの羽の一撃を喰らう
一瞬ひるんだ隙にラスタバンが間合いとる
剣を構えてラスタバンへ向き直る。ラスタバンが左手に持っていた短剣を投げつけてくる
それを剣で受ける、次の瞬間、空から光の十字架がおびただしい量の光を放ちながら現れる
一瞬目が眩んでしまう
後ろに飛びながら顔を伏せていると、目に何か触れる感覚
次の瞬間、焼けた鉄を押し付けられたような痛みが目に走る
「ぬうぅ・・・・・」
「死ね」と言うラスタバンの声が聞こえる
風を切る音が聞こえ、覚悟を決める
が、痛みは感じない、これが死なのだろうか?死とはこんなにも静かなのだろうか?
そんなことを考えているとラスタバンのうめき声が声が聞こえてくる
「ジン!大丈夫?」
シェリーの声がする
「小娘まずは貴様からだ」ラスタバンの怒声が聞こえてくる
そしてシェリーの悲鳴
そして響くラスタバンの高笑い
腹部に衝撃が走り後ろに吹き飛ぶ、多分蹴りを喰らったのだろう
顔にも拳が飛んでくる
「あの小娘め、私に一撃を食らわせおって、ゴーファの希望、お前も同じ所へ送ってやるぞ」
「もう・・・・いっぺん言ってみろ」声の方向へ唾を吐く
顔に衝撃が走る。痛みは感じない、一瞬、炎の揺らめきが見えたような気がする。
目はつぶれているはずだが、今度はハッキリと見える。人の形をした赤茶色の炎が見えた
人の形の炎が近づいてくる
「見える・・・・・見えるぞぉ!」
そう叫んで剣を振るう、人の形の炎の腹部に剣が当たる
「き、っさま」
ラスタバンのうめき声
もう一回剣を振るう、今度は首を狙う。剣を振るうと、見えていた炎は燃え尽きてしまう
ラスタバンの気配は無くなっていた。剣を地面においてその場に座り込む
何もかも終わったんだと思う

244 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/13(木) 21:32:12 [ hNlLsBE2 ]
RED STONEシリアスシリーズ第三章
第四回目 空風の帰り道
色んな物が失われた戦いが終わってから一ヶ月
時の君の力で視力も回復した、あれから大きく世界は変わった
天上に伝説の石が集まった事によって天上、地上、地獄は一つの世界になった
コピーのレッドストーンはラスタバンが持っていたらしい
時の君がコピーの方はただの魔力に戻した
呆気ないものだった、ギムレットが死ぬ意味もシェリーが死ぬ必要も無かった
体が回復してからブリジヘッドに行った
適当なバーに入ってシェリー酒とギムレットのボトルを頼んだ
それぞれの瓶をバーテンから渡されたときに、このバーは始めてブリジヘッドに来たときに
入った店だということを思い出した
それから海岸に行ってギムレットとシェリー酒のボトルを一人で空けた
その後に、俺は泣いた

〜THE END〜

245 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/13(木) 21:43:29 [ VsFFDZCQ ]
やっと感想に手を回し始めたj9cST1xRh2です。
次もまた長くなってしまいそうです……書く前に謝罪します。
 
>ナンバーズさん
ブーンが真面目キャラなんて…ゲームバランスがどうにかなってしまいますよ。ダメオンバッジを装備したようにも思え(ry
しかしフォビアが敵でなくなったことは喜ばしいですね。そろそろマントの男の正体が明らかになるのでしょうか。
ブーンの今までの行動とのギャップが埋まるのはもう少し時間がたってからになりそうです。
 
>21Rさん
お久しぶりです。
約3ヵ月半をかけて1000を迎えた前スレも過去ログへ収められましたね。
復旧は大変だと思われますが、ファンとしても、弟子(思い込み)としても、執筆再開を楽しみにしております。
 
>サマナの人さん
なるほど、完結した物語と繋がっているんですね。自然な行の区切りのせいか、以前のような読みやすさが保たれていてよかったです。
ドロシーもベレッタも、何というか…腹黒い…(言い過ぎかも)。
そんな女性軍とは全く正反対のフィリップさんは気をつけたほうが無難ですね。しまいにはGせびられたりして…いや、まさかね。
そして私も色々話を聞きたいです。続きをせがみたいところですが、>>1にしっかりと書いてありますからねぇ…。
 
…ところで英雄は(ry
 
>FATさん
エイミーの温かみがしみじみと伝わってきました。こういう女性も堪らなk(ry
む…何故か化粧の濃い年増な感じの女性が頭に浮かびましたが、これは別人ですね。はい。
メラーたちはどうしたのか?という問題は、この際忘れてしまいましょう。
実家に帰ることになった二人に頼もしい護衛たちもつき、これまた一波乱起きそうな予感が。
…そうか、二人が出会うんですね……。こりゃ、一波乱どころか大波乱ですね。
 
しまった、どっちを応援するのかまだ決めてな(ry
 
>あぁ、ドキドキの展開ですね。
そこまでドキドキな展開にはしない…と思います。書いたりなんかしたら即、エロ小説スレあたりにコール&放置は確実(?)ですし。
こんな人格なので、気づかないうちに多少混じってしまったりすると可能性があって困ります(汗
ついでにメリックの部屋ですが…普通なのはアイディアが浮かばなかったからです(´・ω・`)
 
>変な生き物さん
リディス、めずらしく頑張っていてかっこよかったのに…オチがorz
まあ彼にはもっと強くなってもらいましょう。ところで彼には勲章つける知恵は持ち合わせているのでしょうか?…あ、タブーでしたね。
それにしてもシーフギルドAのB1のローグ…なんてかわいいんだw
 
>名前がない@戦士見習いさん
ついにラバスタンが地につく。ジンの勝利ですね。
かけがえのないものと引き換えに、これで三章も終わり…新作登場!ですかね?
>それから海岸に行ってギムレットとシェリー酒のボトルを一人で空けた
>その後に、俺は泣いた
うっ…シリアスだぁっ!(何
 
>南東方不勝さん
新人物のシローのことを(日本的な名前だな…)としか思わなかったorz塔へ裸マラソンに行ってきます…。
なにやら複雑な人間関係になっていますね。誰がギルド員で誰がギルド員でないのか混乱してきました(汗
イスラフェルは一体何をしようと企んでいるのでしょうか。ギルとイスラフェルの激しい戦闘を期待します。

246 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/13(木) 21:44:38 [ hNlLsBE2 ]
>>サマナの人さん
新作期待しています

>>南東方不勝さん
ユニーク分裂、斬新だと思います

>>FATさん
マリー嬢と激突でしょうか?期待しています

>>227さん
笑いました

>>LBさん
戦闘の描写がとても綺麗ですね
うらやましい限りです

>>レッドストン通信さん
ディレイ氏のキャラが好きです
BEN髪団も密かに好きです

>>ナンバーズさん
スナッチ生きてましたね
かっこいいです

>>変な生き物さん
地獄のトレーニングAAA
どんなメニューでしょうか?


蛇足
次回作の予告
齢数千年もの歳を重ねた6匹の神獣系モンスター、六化仙
モンスターと人間の戦争のお話が始まる





予定です

247 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/13(木) 21:45:48 [ VsFFDZCQ ]
「本文が長すぎます」と出たので分けて書きます。
 
>レッドストン通信さん
おぉ、待望のVol.3が出ましたね!早速読破!
>三面記事
「これぞ堕落宣教師」の題に涙しました。あっちこっちに笑点があって耐えられません。
最近(でもないが)ビショップの中の人の低年齢化にも関係してきているんでしょうね。ブレスかけておけば言い訳もできたのにね…って、何考えてるんだorz
>スポーツ欄
素直にサスガ氏おめでとうと言ってあげたいですね。これで彼も心置きなく次の大会にも参加できることでしょう。
彼の今後の飛躍に期待します。
>環境欄
ファミリアってネズミ食べてたのか…あの槍で突き刺して食べるのかな?ちょっとグr(ry
中央政府(=ダメオン?)の「メンテの予定はございません」にはほとほとウンザリですな。
 
>ウィッチのスキルで伝書鳩でアイテムが買えるスキルがあるらしいのですが、
>アイデアはそこから来ているのでしょうか?
実はその通りです。このネタはそこからパk…拝借いたしました。
 
>LBさん
躍動感溢れる戦闘情景が目に浮かびます。四枚羽の女性?上級の天使ですかね…?
ティアと赤髪の男の到着はいつになるのか。どうやら赤髪の男と女性に何か関係がありそうな…。
執筆速度が遅いと気にされてたようですが、そんなことはお構いなしにじっくりと仕上げることが一番だと思います。
自分も執筆スピードにムラがある人間なので偉そうなことは言えませんけど(汗
 
>227さん
おお、これぞ青春!青年は照れていて顔をじっと見ることができなかったんですね!…あ、違いましたね。
ゲーム内にも女性のウィザードが「狼に変身する」なんて言っていましたが、実際は怖いですよね。それはそれで色っぽいかな?まあいいか…。
短い文章の中にも抜かせないことは全て含まれている。読みやすく、それでいて内容が充実していて、場面が頭に浮かんでくる。
ちょっと極端ですが、私もそんな物語を目指しているつもりです。…まあ、全然できていないのが現状ですorz
 
 
最近アラステキさんが来てませんね。忙しいのかな…。
でもアラステキさんなら幾多の試練を乗り越えてこのスレに戻ってきてくれるはず!心にゆとりを持って執筆します。
今日はまだ書き終わってないので後日また。
 
おまけ程度に…前回言い忘れましたが、ランドのグラは劣化FSのようなものでした。FSよりもずっと地味ですが。
なので、それを見るためだけにSPを裂くのは控えたほうがよいと思われます。やるのなら捨てキャラで。
マシンを12までageることになるので、全くの寄生キャラにはならないと思いますが、ランドでの戦力は全く見込めません。
主に火属性攻撃がダメージの柱となるので物理弓には×。最短取得がLv26です。
 
あれ、なんでランド弓育成を語ってるんだろ?(^ω^ )

248 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/13(木) 22:16:08 [ LVW/cCFA ]
>>戦士見習いさん
ジンの冒険も今回で終幕ですね。
しかし、犠牲が余りにも多かったorz
海岸で一人、涙に濡れているジンの姿に哀愁を感じました・・。
>ユニーク分裂が斬新
まぁ、文才が無いので妄想でカバーしてます^^;もう少し、上手く書けるようになりたいですねorz

249 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/14(金) 00:18:29 [ cr.W42l2 ]
21Rの知人より伝言

「PC他界しました、復帰までもうしばらくお待ちください」とのこと。

カキコ2分前にメールが届いたのでとりあえず書いておきます。

250 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/14(金) 10:27:17 [ YR1PKZ7. ]
>>230 >>237-241

>ベレッタ=アンブロシア


 あの吟遊詩人の女の子は、実はあたしたちとおんなじ冒険者らしい。
 名前はフィーナ。さっきあたしたちのところに来たあのメイド姿のウェイトレスも、彼女の仲間だそうだ。
 なんでメイドが冒険者なんてやっているのかわからないけど。

 この店で歌っていたりウェイトレスしてたりするのは、単なるクエストこなす間のバイトらしい。
 まあ、最近はいいクエストもなくなってきたしね。
 クエストがないとあたしたち冒険者は職を失って大変だけど、仕事がないってことは世間は平和なわけで。
 難しいわよね。色々と。

 あ、ちなみに結局、お茶代はフィーナが出してくれた。
 結構お金には余裕あるらしい。
 手に職がついてると便利よねー。
 うらやましい……


 そんなわけで、五人――あたしとドロシー、フィリップ、フィーナ。それに休憩に入ったメイド姿のミーアさん――でお茶しながら

のんびり話していたときのことだ。
 ふと気づくと、フィリップがぜんぜん会話に参加してない。
 気になってみてみると、あさっての方向見て何か言ってる。
 ついに壊れたのかな?

「そんな、ベレッタさんじゃないんですから」

 ドロシー、二度ネタは禁止よ?

「ん――? ああ、ごめんごめん。ちょっと耳打ちが来てたから」

 フィリップが見つめられているのに気づいたのか、頭をかきながら説明する。
 耳打ちって言うのは、あくまで比喩で、実際には冒険者の行う一種の念話のこと。
 あらかじめ一種の友人関係を結んでいたり、あるいは相手の冒険者としての登録名称を知っていれば、どこにいても会話が

できるって言う画期的なシステムだ。
 まあ、着替え中とかにいきなり来るとびっくりするし、それを利用したストーカー犯罪とかもあって色々面倒でもあるんだけど。

「知り合い?」
「さっき話した、この間のパーティのビショップさんだよ。別れ際に友録してもらったんだ」
「あ、さっき話に出たちょっとアレなパーティの?」

 フィーナがたずねる。
 ちょうどその話は今さっきフィーナたちにも話したところ。

「うん。なんだか厄介なクエスト受けたらしくて、手伝ってくれないかって」
「へぇ……」

 冒険者って名のつく人間はかなり多いけど、ビショップの割合はその重要性に対し極端に少ない。
 だからこそ、古都や狩場ではビショップ募集の叫びが木霊することになる。

 ビショップが少ないことの一説には、実は冒険に出ているビショップは、かつて天界を追放された天使だからって噂があるけど

……眉唾よね。

 それはさておき、そんな貴重なビショップさんからのクエストの誘いだ。
 わざわざフィリップに声をかけたってことは、よっぽど大変そうな依頼なのか、それとも彼の人柄が気に入ったからか。
 あたしとしては、両方な気がする。
 彼のパーティーでの戦い方は、見ているほうが心配になるくらい仲間のことを考えたものだ。
 危なっかしいところもあるけど、仲間にするならこれほど心強い人間はいないし、彼自身の人柄も信頼できるもの。
 だから、厄介な仕事の話を聞いた時、まっさきに彼のことが思い浮かんだんじゃないかな?

「ねえ、どんな依頼なの?」

 あ、クエストと聞いてフィーナが目をきらきらさせてる。
 確か彼女はサマナー。冒険者としての腕もかなりのものらしいし、頼りにはなるかな?
 だからあたしは、

「そうだ、フィリップ。そのビショップさんに聞いてみて。槍使いとサマナーそれに正体不明のメイドがもれなく付いてくるけど、い

かがって」

 茶目っ気たっぷりの笑顔――自分で言うなって? いいじゃない別に――で、フィリップにそう言った。

251 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/14(金) 10:39:01 [ YR1PKZ7. ]
>>戦士見習いさん
完結o(・ω・o)おめでとう(o・ω・)oございます
あっさりシェリーさん死んじゃった……まるで、VSキングクリムゾンのナランチャの様に(泣
アルセスたちはどうしたんでしょう?
その後のお話もちょっと気になるなぁ、なんて。
何はともあれ、お疲れ様でしたー

>>あとがき?
やっと冒険に出られそうな予感……
さすがに謎の(笑)メイドと吟遊詩人の正体には皆さん気づかれたようで^^;

あとヴェイアについては、彼曰く「この程度の敵、我が刃を振るうまでもない。お前の力で何とかしろ」って感じで普段は引っ込んでるみたいです。
いつの間にか増えてる、フィーナの右耳の赤いイヤリングがそれだったり(・ω・)

ところで、ところどころ改行がおかしくなっているのはなぜだろう?(;・ω・)

252 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/14(金) 12:39:05 [ TjoIJFvI ]
ど〜も〜アンガー…ゴホゴホ…ナンバーズです。
え〜と簡潔に言います、携帯でこのBBSのアク禁食らいました。
糞スレ立てたわけでもないし、荒らしした覚えもないのにアク禁です。
なんか管理人さんの怒り買うようなことしたのかなぁ。
ちなみに今はPCで書き込んでおります。
管理人さん、もしこれを見ていましたらアク禁解除していただけないでしょうか?
自分が変なことしたのならそこの指摘お願いいたします。そこについては改善しますので…
お願いしますm(T T)m

253 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/14(金) 19:00:32 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
ビショップさんがフィリップに手伝いを頼んだ依頼とは一体・・?
どうやら、物語の後半にカコヨクヴェイアさんが出陣しそうですねw

>>ナンバーズさん
なんというか・・、とりあえず乙orz

254 名前: 名前がない@戦士見習い 投稿日: 2005/10/14(金) 19:07:01 [ hNlLsBE2 ]
六化仙〜壱の巻き〜
其の壱 祭り
ロマ村ビスルの六化仙感謝祭
数多ものテイマー、サマナーを生み出してきたことで知られる村ビスル
掃討星雲が赤く染まる秋ごとに開かれる大祭典
その名のとおり、六化仙に一年の感謝と来年の作物の実りを願って行われる祭り
祭りは三日かけて行われ。毎年各地から沢山の参拝者が訪れている
また、この祭りの最大の名物は巫女達の語る六化仙の歌である
火の神アーウィラ・ンオ・ラヒリアの歌
水の神フネデオウの歌
土の神ビヌヤ・ンオ・イサフディエの歌
風の神クセネの歌
光の神ノオ・ンオ・クモタイの歌
闇の神オトモオ・ンオ・クルノスイの歌
それぞれの歌にあわせて、いたるところで舞が披露され
村のあちこちで踊り子達が舞を踊る姿は実に壮観であり
さらには村のテイマー、サマナーたちの芸がいたるところで披露される…………

〜ロマ村観光案内パンフレット〜

255 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/14(金) 19:35:16 [ TjoIJFvI ]
え〜と、今現在携帯からのアクセスが禁止されてるみたいです。
親切な方がコピペで管理スレに報告してくれたのでとりあえず携帯で書き込みできるまでは
休みます。実にすみませぬ

256 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/14(金) 21:24:51 [ eZVIBQPg ]
983 名前: 管理人 投稿日: 2005/10/14(金) 19:42:39 [ ZEQ8IBKY ]

携帯からのアクセス規制とりあえずは解除しました。

257 名前: 277 投稿日: 2005/10/14(金) 21:47:04 [ eZsF5q9k ]
277を書いた者です、感想ありがとうございます。
ヒマ潰しにまた書いてみました、つまらなかったらスルーしてください。


古都の近くで、病気のコボルトを倒していると、後ろから声をかけられた
「あの〜、そこのウィザードさん」
振り向くとケルビを連れたサマナーさんが立っていた

「何ですか?」

「PT組んでもらえませんか?」

断る理由も無いので二つ返事で了承すると、彼女は顔をぱっと輝かせ
持っていた笛を握り締めてこう言った




「じゃあ変身してもらえます〜?」

  自分にヘイストをかけて逃げた

258 名前: 復活!ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/14(金) 22:09:29 [ fzElx4WI ]
>>256さん
あい、こちらも今確認しますた。やっと続きが書けるぉ(^ω^ )
書き込んで7分で解除。ある意味俺って間抜けだ…
さてと、まずは感想逝きます。
>>サマナの人さん
おお、リアルタイムで進行してますね。メイドと吟遊詩人で繋がりを気付かなかった俺ガイル。
吊ってきま…うわなにするjNtGjふじこlp
>>@戦士さん
ついに大作の完結でごわすか…毎回楽しみに待っておりましたでごわす。
次回作も雰囲気がイイ(・∀・)!!でごわす。
>>変な生き物さん
ガチャガチャ…鍵が開いた!
なんとトイレ(洋式)だった!偽ナンバーズが便器に座っている。
偽ナンバーズ「入ってますよ^^(トイレはいってくんな!)」
>>南東方不勝さん
シロー…どうしてもガンダムEz8とアマダ少尉(だったかな)を思い出す漏れは負け組ですか?(^ω^ )
>>FATさん
ついに帰郷する二人。このままではおわりそうにないですね(^ω^ )
>>◆j9さん
感想ありです^^ブーンのクオリティの元はすぐに明らかになりまする(^ω^ )
>> 21Rさんの友人さん
心配していますとお伝えください(^ω^ )      え?最後の(^ω^ )が付け加え?(^ω^ )
キニシナイ!(^ω^ )
以下コント(実話込み)
古都にて
ナンバーズ「やたー!オルクリストとアイアンパイGET!!」
ナンバーズ?「ゴミUごときで騒ぐ香具師は逝ってよしでごわす。」
ナンバーズ「ううう…全財産叩いたのに…」
場所はアルパスに移る
ナンバーズ「PTあいてますか?」
PTM1(おい、あいつ盾ショボいぞ。つーかどうせ火力剣士様だろ)
PTM2(シカト汁!)
本当にこんな会話がされてそうで恐いです。
カレーサバのアルパB3でショルパにサークル盾っぽいのがいたら漏れだと思ってください。

259 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/14(金) 23:05:01 [ LVW/cCFA ]
>>ナンバーズさん
08小隊ならグフカスタムが(ry
ふむ、自分もカレーサバですので気が向いたらアルパB3でも行こうかしら?
3rdのLv56武道家で(マテマテ

260 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/14(金) 23:11:11 [ LVW/cCFA ]
は、新作の存在に気付かなかったorzこれは食人に喰われて来ましょうか^^;
>>戦士見習いさん
物語の発端は、ビスル周辺ですか。
ネイティブアメリカンな匂いがプンプンですね

>>277
ちょwww
くすりと笑いが起こるほのぼのネタですな。
つか、この幼女にウルフマンは仲間にならないと小1時間(ry

261 名前: RED STONE silver wolf 五章(1) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:15:55 [ fHy2QJLk ]
・古都ブルンネンシュティグ 南門付近

すっかりお日様が沈んで夜になった古都、人通りもまばらだ。
そしてすっかりボロ切れのようになって地面に倒れているリディス、息も絶え絶えだ。
「し、死ぬ…死ぬぅ…死ぬのは…嫌…い…」
口から何か白い煙を出しながらアーネイトへ手を伸ばすがアーネイトは軽く無視した
「さー仕上げだ、投げ抜けの復習だ!」
リディスを無理矢理おこして掴む、がリディスは素早くしゃがみ、後ろに飛びのいて投げ抜けを決める
…が、「地獄のトレーニング」ではそれだけで済まなかった。

「甘い!そのまま更に投げ飛ばしぃぃぃいいい!」
「は、発展すんなー!!」
アーネイトは素早く前進しリディスの服を掴んで投げ飛ばす
リディスはキレイに頭から川へ落ちた。
「ま、今日の「地獄のトレーニングAAA」はこんなもんで終いかな」
手をぱんぱんと叩いてから投げ捨ててあったジャンパーを着る。

と、同時に後ろから割と何度も聞いた声が聞こえてきた、セナの声だった
「こんにちはアーネイトさん、あれ?リディスさんとは一緒じゃないんですか?」
「あー、あいつならそこ」

そう言って川を指差すとリディスがぷかぷかと浮いている、多分暫くは活動できないだろう
「だ、大丈夫ですか?」
「ああ多分生きてる、ところでなんか用事?」
「ええ、ちょっと聞きたいんですがここあたりで紫色の髪」
セナが話そうとしてるときいきなり横から騎士の格好をした男に尋ねられた。
「あのお話中にすみませんが、ここあたりで
  紫色の髪をしていて青っぽいローブを来たテイマーを見ませんでしたか?」
「いやここらで見なかった…ってアンタはギオ、ギオ・エイディンスライトじゃないか」
「あ、アーネイトさん!」

「へ?知り合いですか?」
「まぁ同じギルドの仲、ってところかな、騎士として生きる剣士でいつもはテイマ兼サマナーの…」
そう言ってからふと気がつく、約一名足りない事に
「…あれいつも一緒にいるネファは?まさかネファがいなくなったのか?」
「そうなんですよ!ついさっきまでいたのに…」

川からなんとか這い上がってきたリディスが会話に割り込む
「あー水びだしだぜ…おっと、ネファなら見たぜ…投げ飛ばされて宙に浮いてるとき
  噴水前にいたのを一瞬だけ見た」
「それは本当ですか?!情報ありがとうございます!」
そういってガチャガチャと鎧をならしながら足早に噴水へと走っていった
「にしてもリディス、よく投げ飛ばされてる最中に誰が居たとか確認できたな」
「まぁねー俺はどんな状況下でも冷静に物事判断できるしねー」
それを聞いたアーネイトは関心したような顔をしたが、すぐにニヤリと笑う。

「そーかそーかぁ冷静に判断できる余裕が残ってたのか〜、こりゃもう一稽古できるんじゃないか?」
「え゙ ちょ、ま、勘弁!ぎぃやぁぁぁああああああああああ!」
リディスに見事なまでにコブラツイストが決まってゴキゴキと音が鳴り響く

「あの、ところで聞きたいんですけどあの人はどういう人なんですか?」
セナが軽く汗を流しながら尋ねる
リディスを軽く川へ投げ飛ばしてから質問に答え始める。
「ああ、同じギルド員で性格は大真面目で優しい、騎士道精神を絵に書いたような性格の剣士さ
  昔は名の知れた戦士だったらしいが今では大きな盾を片手に戦ってるな」
なんとか川から這い出したリディスがさらに付け足す
「普段はネファっていうサマナーと一緒に行動してるんだ、狩りの時も、宿も一緒
  まさにお姫様を守る騎士って感じ」

そう言いながら素早く立ちなおし、真剣な顔立ちになる
素早くアーネイトと拳がぶつかり合う、そして拳がアーネイトに迫り顔に直撃する
が、直撃と同時にアーネイトに足払いをかけられバランスが崩れ、拳で殴られて川へ吹き飛ばされた。

「…もー少し勢いをつけたほうがいいぞ、一撃の重みがなくて逆に攻撃のチャンスになってる」
「くあーっ、本気だしたのにあっさり負けた…」
そういってなんとか川から這い上がろうとするリディスにセナは手を差し伸べた
「セ、セナさん…」
多分リディスには天使に見えたのだろうか、目がうるんでいる
差し伸ばされた手に手を伸ばし、掴みながら登ろうとするが
あっさりと手を離されてリディスはまた川から落ちた。
「ひ、ひどいっすよーセナさーん」
2人はそれを見て笑ったが、その笑いが一瞬のうちに消えた。

「リディスさん!後ろ!」

262 名前: RED STONE silver wolf 五章(2) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:16:35 [ fHy2QJLk ]
そう言われて後ろを見るといきなりマーマンが襲い掛かってきた
水の中に逃げる、が、相手は魚人、かなりの速さで迫ってくる
『くそっ、このザコ!』
素早くナイフを手に持ち相手を切りつける、が水で勢いが減りダメージにはならない
相手のハンマーは水の中でも変わらず速度があり、鋭い一撃が当たってしまう
大抵の冒険者では痛恨の一撃になるがリディスは体を捻り、一撃の威力を半減する。
『ルエアスの稽古はクソ厳しいが…やっぱ、役に立つな』
急ぎポーチの中を引っ掻き回す、そして赤黒い色をした葉を見つける
マーマンは一気に突進してくるが無理矢理マーマンの口に草を押し込んでから水面に頭を出す。

「ぶっはぁ!おいルエアス!なんでこんなところに  ぬどわっ!」
突然横にオーガが落ちてきて大いに慌てた、が気を持ち直して川から這い上がる
周囲はざわつき、魔物の鳴き声が響き渡る。
「リディスさん!マーマンは?」
「あいつなら今ごろ毒草食ってお腹急降下だろうよ!それよりもどうなってんだこりゃ!」
「わからんが魔物の群れが町に強襲してきたらしい」
周囲に群がる魔物をなぎ倒し、周囲を見回す
…火事、建物を壊すオーガ、空を舞うガーゴイル、冒険者と刃を交えるリザードキリング
それらを眺めて3人はあることに気がつく。

「なぁ、こいつら妙じゃないか?」
「…魔物の群れにしては同じ種族じゃない奴が結構混じってるわ」
周囲を警戒しながらとりあえず3人は先へ進む、周囲は尋常ではない雰囲気に包まれる
そして絶え間なく希明の水晶から叫び声が聞こえる。

≪東門にホワイトシェード出現!熟練の仲間達!援護!援護を頼む!≫
≪井戸付近でマミーに囲まれている!誰か援護を!死にたくない!!≫
「井戸付近…近い!アーネイトさん!」
「了解、マミーなら遠距離攻撃が有効だな、ちょっとこい」
そういって呼び寄せ、手をクロスしてかがむのを見てからクロスした手の中心に足を乗せる。
「ほうらよっと!俺たちは先に噴水方面までいってるぜ!」
手に乗った足を空へ押し出す、高く飛び上がったセナは側の屋根に着地する

素早く弓矢を構え、井戸方面へと屋根から屋根へ飛びうつり井戸へ向かう
そして井戸が見える地点についた、そこにはマミーに囲まれた傷ついた戦士とバンダナをつけた剣士がいた。
 素早く弓を構え、神経を弓の、弓の弦一点だけに集中させる
「当たる、当たる、当たる、当たる、当たる…」

素早く弓矢を構え、瞳孔が狭まり、弓と弦の隙間に映るマミーを的確に捉える

「畜生!このままじゃ全滅だ!援護は来ないのか!」
そういって剣士は必死に剣を振るうが、とうとう敵前で剣が弾き飛ばされ、死を覚悟する
……だが、次々とマミーの体に矢が当たり倒れていく
マミーが振り向くよりも早く大量の矢が突き刺さり、ランドマーカーで焼け焦げる。
「な、誰だ?!」
「私のことはいいから、早く避難して!」
剣士は素早く戦士の肩を持ち撤退する、だが目で後を追うが何にも襲われずに
人が居る大きな建物に2人とも逃げ込んだ。
「あとは噴水前まで急ぐだけね」
≪噴水前に救援求む!ビショップ!衛生兵!早く!うおわぁぁぁっ!≫
「え?…まさか2人が危ない?…」

・古都ブルンネンシュティグ 噴水前
噴水前はまさに戦場というに相応しい光景だった

今まで人々が歩いていた石畳にはホーンドの軍団が前進し、木々の間から姿を見せるエンティング
エルフ暗殺者が剣士と剣を交える、鷲狂戦士が冒険者を襲いガーゴイルが上空から逃げる人々へ襲い掛かる
噴水付近は沢山の血がこびりついていて、今もなお剣戟が響く
「クソッ!リディス!リディース!!そっちは平気か?!」
「大丈夫だ!ルエアスこそ気ぃ抜くなよ」
お互いとも魔物の群れと対峙する、アーネイトは水の魔法を秘めた鉄爪を振るい魔物を刻む
リディスは鉄線を周囲に張り巡らせ、魔物の骨を折ったり攻撃をシャットアウトする

迫り来る一撃を引きつけ、紙一重素早くかわし、次々と鉄爪により薙ぎ払うアーネイト
遠距離では飛び道具の嵐、接近戦では拳の嵐を叩き込み、迫り来る敵の群れに爆薬などを放り込むリディス
2人の働きは凄まじいが相手の数は尋常ではない、…無情にも確実に押されていく。

263 名前: RED STONE silver wolf 五章(2) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:21:04 [ fHy2QJLk ]
相手の数は100体、いや200体以上、だがこちらはせいぜい10人しか居ない
気力で持ちこたえるがビショップが負傷して建物に避難している今、体力も気力も尽きかける
先ほどまで厳しい稽古をしていたため2人の体力も流石にすりへっている。

「ちくしょー 増援はないのか!」
「大半は建物内で防戦に回ってるから援護は望めないな」
素早く敵を始末していくが、また一人、また一人と重傷を負い、建物へ逃げ込み
とうとう噴水前には2人しかいなかった。
そして襲い掛かってくるデスピンサーの群れ、アーネイトは素早く立ち回り攻撃を避けるが
背中に火炎弾が被弾しておおきくよろめく

「ビホルダー…!!」
よろめいたのを逃さんと言わんがばかりにデスピンサーが針を突き刺そうとしてくる
間一髪で避けるものの、後ろからエボニガーゴイルによる強襲を受け吹き飛ばされる。
「ルエアスーッ!!」
「いいからとっとと戦え軽石頭!」
そう叫び、起き上がろうとするが目の前には斧を振り上げたシェードテンプラが立っている
…その斧がアーネイトに振り下ろされる事は無かった、シェードテンプラを剣士が真っ二つに切り裂いたのだ。
「ギオ!ネファは見つかったのか?」
「いや、それよりもこの状況下をなんとかしないと探すどころではありません!
 それに、騎士たるもの目の前で死にそうになる者を無視はできません、ネファがいるならなら
  間違いなく「私より先に他人を助けに行け頑固者!」と怒鳴りつけるでしょうしね」
3人は素早く背合わせになり敵を一刀両断していく
鉄爪でホーンドが振ってくる鎌を弾き飛ばし、確実に刻んでいき
空から強襲してくるガーゴイルの翼に鉄線つきナイフを当て、地面に引き摺り下ろす
そして魔物の攻撃を受け止める大きな盾により戦況は少しながら良くなっていく。

「チッ、てめぇら数が多すぎるんだよ!」
リディスが真剣な顔で怒鳴る、マントの内側から大量の鉄線つきのナイフを周囲に投げる
嵐のように放たれた鉄線つきナイフにより実に10体もの魔物を一瞬で縛り、まとめて締め上げ容赦なく骨を砕き折る。

あいつが本気なら俺も試さなきゃならないな
アーネイトがジャンパーを投げ捨てる、そして全身全霊をかけて集中する
極限まで闘気を高める、そしてその闘気を全身に行き渡るようにに張り巡らせる
咆哮を放ちたい衝動を抑え、…闘気を最大まで高めて爆発寸前のところで止め、全身に行き渡るまで溜める。
 周囲が徐々に歪む、毛並みが白色いや銀色へと変化していき、瞳も獣のように鋭い瞳孔へ変化する
…いける!!
全身に闘気が行きわたったのと同時に夜空に咆哮した

「…ふーっ、さぁこれからが本番って奴だ!」
銀色の毛並みをなびかせ、一気に敵の群れに突進して魔物を次々と切り捨てる
その様は魔物の群れを駆け抜けて吹き飛ばす銀風といったところか
「ほぉー!ルエアスその力コントロールできるのかよ!」
「コントロールって言ってもかなり難しいがな、よっと!」
素早くバックステップでフレイムストームを避ける

フレイムストームが放たれた方を見るとそこにはネクロマンサーが魔法を放つ準備をしている
「あー?!なんでこんなところにあの忌々し〜ネクロが!」
アーネイトは素早く駆け出し、ネクロマンサーに連打を叩き込む
計7回、鉄の爪と足爪によるチェーンドクローを叩き込みネクロの体力をごっそり削る
が未だ生きている、そしてついに魔法陣が完成し、フレイムストームが放たれる
…はずだった、後ろからロイドのエクソシズムエンカウンターと
セナのマルチプルツイスターによりネクロマンサーは魔法を発動せずに闇夜へ散っていった。
「お待たせ!ビショップ連れてきたよ!」
「セナ!随分遅かったな」
「ちょっと屋根の上でガーゴイルの群れに襲われちゃって…それよりも」
「大丈夫ですか?みなさん」

ひととおり回復が終わるとすぐに次の魔物の群れが到着する
だがこちらの顔には余裕の笑みがある。
「ねぇセナさーん、これが終わったら一緒に食事でもしませんか?」
「そのまえにすぐ寝ちゃうわね、きっと」
「じゃ、明日ってことで〜…さーてこっちは5人もいるんだからさっさと倒しちまおうぜ!」

「そうだな、そんじゃ派手にいくぜえええぇぇぇぇぇぇ!!」
「人々を守るも騎士、騎士道の名にかけて負けるわけにはいかない!」
「いっくわよー!!」
「悪しき瘴気に魅入られし哀れなる霊魂よ、主の元へ帰らんことを… いきます!」
ある者は鉄の爪を構え、ある者はチャクラムを構え、ある者は槍を構え
またある者はメイスを構え、ある者は剣と盾を構える。

そして夜の古都に戦いの音が鳴り響いた。

264 名前: RED STONE silver wolf 五章(2) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:29:36 [ fHy2QJLk ]
それぞれが思い思いの技を繰り出し、敵をなぎ倒す
廃人を槍が貫き、噴水付近にひさびさの静けさが戻ってくる。

「最後の獲物は私のもの!」
「あちゃー取られちゃったぜー」
周囲が静かになったのを確認してからギオは希明の水晶を取り出し
水晶を数回振る、すると水晶の色合いが変化し、変化した水晶に声を吹き込む。
≪こちらギオ・エイディンスライト 噴水付近の魔物をあらかた倒した、他はどうだ?≫
皆が持っている水晶からギオの声が聞こえる
≪銀行付近の敵を殲滅したぜフゥ――!!≫
≪ディンゴだ、東門は辛くも鎮圧した…負傷者多数≫
≪こちらナンバー一家だお、商店街の魔物は殲滅したぉ≫
≪井戸付近の魔物を殲滅した、死者が出るかと思ったが一人も死者はいないぜ≫
「あ、さっきの剣士かしら」
≪あともうひとつ伝えたい事がある、さきほど援護に来てくれたアーチャー、ありがとうな≫
それを聞いたセナは自然と笑みがこぼれた
周囲に戦いの音は聞こえなくなった、これが「勝利の静けさ」だと噛み締めた
≪ところで聞きたいんだが紫色の髪で青いローブをつけたサマナーを見なかったか?≫

≪銀行付近にもいないぜ≫
≪こっちにもいないぉ≫
≪井戸付近にはいないぜ≫
≪…こちらディンゴ、崩れた王宮跡にて該当する女性を発見した≫
「あーよかったぁ…」
「ふぅ、ネファは無事か…嬉しい限りと言うべきか流石サマナーと言うべきか…」
自然と空気がほぐれていき、戦いは終わりをつげていることを再確認した
だが、そのほぐれた空気は王宮跡に起きた爆発により一瞬にして吹き飛んだ。
「まだ敵が残ってたのか…ネファが危ない!」
そう言ってガチャガチャと走っていくギオを追っていく、重装でありながら川すらも飛び越えてゆく。

・崩れた王宮跡前
「ネファーッ!!ネファー!!…これは…!」
崩れた王宮後は前とは比べ物にならない光景になっていた
人が入る事ができるぐらいの隙間はあった崩れた王宮は完全に瓦礫の山となっている。

完全に崩れた王宮跡の前に倒れている紫色の髪をした青いローブを着たサマナー
そして漆黒の大剣を持つ戦士らしき男が立っている。
「ほぉ、もう魔物の群れは殲滅されたか、あいつにはもう少し数を増やすよう要求する必要があるな」
「誰だお前は、ネファから離れろ」
片手剣を前に突き出し、男を威嚇するように構える、それを見た男は薄く笑いを浮かべ、大剣を片手で構えた。
「お前は俺を知らないか、俺はよく知っているぞ?」
「…貴様、まさか?」
「フッ、大剣を使わないのか?その背負ってるその大剣はただの 飾り か?……、さぁ大剣を取れ
  そしてあの時のように、獣のように俺を切り刻むがいい」
2人が対峙しあう中、4人がやってきた
それを見た男は実に嬉しそうな顔をして大剣を構えなおす
「貴様の相手は私よ」
アーネイトが進もうとするところを一歩制し、セナが前へ歩み寄った
目には強い意志と信念が宿っている

「…さて、……お前は誰だ?」
そう言ってから何かを思い出したかのようにしゃべりだす。
「思い出したぞ、確か2年前に邪魔をしてくれた一家の生き残りだったな、すっかり忘れていたよ」
最後の一言でセナの怒りは爆発し、男めがけて走り出す
槍と大剣が交差する、だが相手の剣圧に押される一方だ。
「……だが、お前が2年前と何がどう変化したのかは理解できんな」
そう言いながら大剣を大きく横に振り、セナを大きく吹き飛ばした
吹き飛ばされた瞬間、アーネイトが素早く近づき鉄爪を振りまわし、大剣と鉄爪がぶつかり合う
何度もぶつかり合うが今度の鉄爪は前とは違い、高い強度を誇っているし、既に銀色の状態
 男は突然素早く飛びのき、鎧についている紐を引っ張る。
すると鎧に収納されていたもう一本の、深紅の大剣が宙に放たれ、男はそれを片手に持つ。
「今回は準備万端って訳か」
アーネイトは素早く構えなおし、突撃して再びぶつかり合い、周囲に火花が飛び散る
 お互いとも一歩も引くことなく、一撃が交差しあう
金属と金属がぶつかり合う凄まじい音が延々と崩れた王宮跡に響き渡る
鍔迫り合いの最中、男はさぞ嬉しそうに笑い、一歩飛びのく。

そして周囲に男の分身が生まれてアーネイトを囲む
「随分と甘く見られたもんだな」
爪を大きく振りかぶり、体を一回転させてグランドクローを繰り出す
分身は全て消え去り周囲には人影が消える、が男の姿はないが、アーネイトは驚く事なく天を見上げて見構えた。

265 名前: RED STONE silver wolf 五章(5) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:31:11 [ fHy2QJLk ]
「そんな三流芸、俺には通用しない!」
全身をバネにして斜め上、夜空へと飛び上がる
そして途中で体を大きく捻り、光を宿した足爪で空に回し蹴り…フラッシュタックルを叩き込む
すると先ほどまでは何も無い空に男があわられ、男は地面へ吹き飛ばされる。
「フフ、フハハハ!」
男は笑いながら立ち上がろうとするが、その最中横から飛んできた矢を飛び避ける
だが、一瞬遅れて飛んできた槍に肩が直撃する。「矢の影で死角になったところから飛ぶ槍までは、避けられなかったかしら?」
弓を構えて微笑むセナ、弓を持つ手には槍投擲機が装着されている
それを見たリディスが素早く走り出して鉄線を周囲に張り巡らせる
だが男は表情一つ変えずに鉄線を眺める
「…馬鹿の一つ覚えか」
鉄線を軽く引きちぎろうとするのを見たリディスは、何かを思い出したかのようにヘラヘラと言い出した
「あー、そうそういー忘れてたけどさ、これ鉄線が一本でも切れると爆発するから気をつけてねー」
言い終わった直後、男を中心に凄まじい大爆発が連続で巻き起こる
それを見たセナとリディスがすれ違いざまに笑顔で手を叩く。

アーネイトは相変わらず気を緩めずに煙の中を睨み続ける
素早く鉄爪を構え、煙めがけて走り出そうとする。

だがアーネイトの後ろに小さな隕石が振ってくる、波動で吹き飛ばされ木に叩きつけられる
全員が後ろを向くとそこには瓦礫の山を背にし、一人の、白いローブを被った黒髪の女が立っていた。
 女は何も言わずに男の側へ歩み寄る

「…手に入れたのか」
女はただ頷く、それを見た男は舌打ちをしながら立ち上がり、大剣を背中にしまった
「待ちなさい!」
「フン、…遊び相手を用意してやれ」
男はまた素早くワープし、女だけがそこに残る
そして女はおもむろに手を空にかざす
周囲がわざめき、そして女の後ろに不気味な歪みが生まれる
そして歪みから巨大なウェアーゴートがゆっくりと出てくる。
「魔物を生み出した…あ、待て!」
女はウェアーゴートが出てきた歪みに入りこむ…女が入った途端歪みが消え去る。
「あーやれやれ、いらん贈り物もらっちまった…絶対焼肉にしても不味そうだな」
「ここは僕がやります」
ギオが自ら前にでて剣を構える、リディスとセナ、ロイドが援護に回ろうとするのを手で制する

「アーネイトさん!」
「ここはこいつの好きにしてやれ、お姫様を襲う魔物を倒すっていう騎士の仕事を
  取るわけにはいかないだろ?」
そう言って制してからギオはアーネイトに後ろ向きで話し掛けた。
「ネファをお願いします、早くギルドホームへ搬送してください」
「了解っと」
4人はネファの所へ走っていく
そしてギオとウェアーゴートの戦いが始まった。

266 名前: RED STONE silver wolf 五章(6) 投稿日: 2005/10/14(金) 23:31:54 [ fHy2QJLk ]
 ギオは素早くシマーリングシールドを発動し、盾を持っていた片手を使い偃月刀を両手で握り締める
ウェアーゴートの一撃を素早く受け止め、剣で一撃を放つ
…だが、後ろに飛んで避けられてしまい、かすり傷しか負わせられない。
 それを見たギオは剣の構え方を素早く切り替え、スウィングインフィニティーを繰り出す
剣がウェアーゴートを切り刻むが構わず攻撃を仕掛けてくる
攻撃を盾で素早く受け止めたのを確認してからギオは鎧の背中についていたベルトを外す
すると鎧が開いて中には武器が収納されている、その中にあるスパルタを空いている片手に持った。

再びウェアーゴートは攻撃を繰り出すがこれもきっちりと防ぐ
そして素早く二刀流のワイルドダンスを繰り出す
手ごたえはあった、だがウェアーゴートは未だ倒れない。
「堅い…だが、これならどうだ!」
背中にしまってある剣を宙に放り出し、手にもっている剣と宙に浮いた剣をシューティングスターで
ウェアーゴート目掛けて打ち出す、そして計5本の剣がウェアーゴートの腹部に突き刺さる
そしてギオは素早く近づく。
 ウェアーゴートは大振りに鎌を振るうものの、これも盾により受け止められてギオは懐へ接近した
だが、ウェアーゴートは全力で蹴り飛ばす、盾の防御速度を上回る一撃により吹き飛ばされる
そのまま壁に叩きつけられるかと思いきや、突然、弦のようなものに当たり、止まった。
「セナさん!ネファを連れていってくれたんですね」
「はい!それよりも剣、ウェアーゴートに刺さりっぱなしですよっと!」
ギオを受け止めたセナは弓の弦にギオを乗せギオをウェアーゴート目掛けて打ち出す

ギオは勢いをつけたままウェアーゴートの懐に飛び込み、神経を集中させて剣の一本を握る。

「パラレルスティング!!」
剣1本につき分身が1人現れ、一斉にウェアーゴートを引き裂くように剣で切り抜けた。
 4本の剣は宙に舞い、再びギオの手元に落ちる
この攻撃にはウェアーゴートも耐えられず、煙となって消え去った。
 戦いが終わり、息を軽く吐き出してから剣を鎧にしまう
そして歩み寄ってくる4人を見て手を振った。

いつのまにか古都に朝日が顔を出している、そして古都には喜びの声が響き渡る

古都の防衛戦は犠牲を出しつつも見事、大した被害もなく終わった

ただ大量の謎を残したまま。

267 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/14(金) 23:36:19 [ fHy2QJLk ]
どうも、変な生き物です


ぬうぅぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁ! バグってるぅうううううう
3・4・5と入れたはずなのに222って、222ってぇぇぇ
ううう、こりゃPCの数字キーをバラして掃除しますかね(´Д`;

他の小説の感想はまた後日〜 ではー _| ̄○ノシ

・今までのRED STONE silver wolf
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105(三章)前>>160-162>>176-177
(四章)>>209-212 (オマケ)>>121-122

268 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/14(金) 23:43:35 [ LVW/cCFA ]
>>226
ゴーレム達が兄貴達を取り囲む。
だが、今のオイラにとって最大の優先事項は目の前にいるこのクソ野郎をぶちのめすことだ・・。
「ふん、たかだか雌が1匹取り乱して泣いているだけであろう。それとも、貴様とはそういう仲だったのか?」
嘲笑を隠しもせずに奴は言い放った。こいつは、ぶちのめすだけじゃ駄目だ。ここで完全に息の根を止めてやる・・!
それがオイラが今できる、義姉貴(レナ)のための行動だ・・!
「は、そんな色っぽい仲じゃねぇよ。ただ、あいつはオイラにとってかけがいの無い家族も同然だ・・。」
「・・っ、下らぬ、実に下らぬ。そのような情だけで我を敵に回すか、愚か者もここまで来ると救いようが無いな。」
下らない、そいつがそう言った瞬間オイラは一気に奴との距離を詰めた。
「ふん、速度だけは大した物だな。だが、それだけでは・・、何っ!?」
てめぇが始原魔だとか関係ねぇ。人間の肉体を使っている限り、オイラの速度には追いつけない。
ダメ押しにシャドウスニーキングを発動させて、気配を完全に消す。さぁ、どこから殺してやろうか?

(ほぉ、人間でここまでの領域に達した者がいるとはな・・。)
あれだけ濃密に放っていた殺気が、今では微塵も感じ取れない。しかし、気配だけを消したところで我に敵うはずが無い。
「くく、見せてやろう。我の戦い方を・・!」
幸い、このよりしろは我にとっては最適なあのスキルを極めているようだ。道理で剣を3本も所持していたわけだ。
早速、今装備しているレムフェアバルターを分裂させる。我が瘴気を触媒に存在させているので、わざわざこの手で振るう必要は無い。
「くくく、ふはは。せいぜい逃げ回るがいい。」
そうして我は、周辺の空間にシューティングスターを放った。

269 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/15(土) 00:31:09 [ LVW/cCFA ]
>>268
「なっ・・!?」
奴の放ってきたそのスキルにオイラは後退を余儀なくされた。
シューティングスター、剣士が覚えることが出来るスキルで対象に向かって自身が装備している剣を投擲する荒技だ。
本来なら剣を投げた後、投げた本人は両手剣に持ち返るなり、別の片手剣を装備するしたりするのだが・・。
奴のそれは、常識を超えた技だった。恐らく、分裂させた物体は奴の思う通りに操れるのだろう。
早い話が、奴は手に持っている剣を投げつけてきているのではなく、周りに浮かんでいる剣の方を飛ばしているのだ。
それこそ、無尽蔵に・・・。
「でも、この程度なら・・、どうって事はねぇ!!」
避け切れないのなら、弾けばいい。実際、オート監獄の時も直撃をもらってはいない。
そうしてオイラは、剣の嵐の中に飛び込んだ。

「ふはははは、中々に楽しませてくれるじゃないか!人間。」
あの人間、我のシューティングスターを弾きながら確実に距離を詰めてきている。
どうやら、これ1本では限界のようだな。
そうして我は、今装備している剣に瘴気を注入し手から離した。
我が瘴気に侵された物体は我が存在する限り分裂を続けることが可能だ。そして、鞄から2本目の剣を取り出す。
「ふん、攻撃上昇魔法が付加されたブロードソードか・・。」まぁ、無いよりはマシであろう。
それに、3本目のほうは保険で我自身が装備しておいたほうがよさそうだ。かの有名な騎士王の剣だからな・・。

「ふざけやがって・・!!滅茶苦茶じゃねぇか。」
オイラに降りかかってくる剣の雨は更に勢いを増した。レムフェアバルターに混じってブロードソードも降って来る。
野郎、剣の種類を増やしやがったな。たく、「体は剣で出来ている」とでも言いたいのかよ・・。
だが流石にこれ以上、白羽取りだけで弾くのは辛い。体のほうも切り傷だらけだ。
畜生、奴の懐までもう少しだっていうのに、その距離が余りにも遠くに感じられる。
「少し隙ができるけど仕方が無い・・!」
オイラは襲い掛かってくる剣の雨に対してダーティーフィーバーを放った。
ブラックソーンに当たって剣の軌道がそれる。よし、これなら行けるかも・・、
「残念だったな、些か隙が大きいぞ。」
いつの間にか距離を詰めていたのか、奴はそう言いながらオイラに切りかかってきた。
だが、奴の剣は横から飛んできたマジカルアローに弾かれた。

270 名前: ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/15(土) 00:35:15 [ 7U3OWU72 ]
>>変な生き物さん
ナンバー一家その後
ナンバーズ「さっきHG見たぜ!」
ナンバーズ?「HGごときで騒ぐ香具師は逝ってよしでごわす。」
ナンハース「ちょwwwmobツヨスwww10回死んだwwww」
偽ナンバーズ「たまには仕方ないさ^^(Lv21紙犬は氏ね)」
†ナンバーズ†「皆いないから家のなかのものブーンしてきたぉ(^ω^ )」
ナンバーズ「今回の魔物大発生で厨と紙が氏んでくれたな。」
糸冬 了
ナンバー一家ネタは乱用おk。どんどん適当に使ってやってください。
じゃあ本編逝きます

271 名前: ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/15(土) 01:13:13 [ AzJn9Poo ]
■RED STONE 第五章■
〜4人の冒険者〜
一人の男が鉄の帽子を鍋代わりにシチューを作っている。
???『うん、これでいいかな。お〜い!夕食できたぞ〜』
彼は"剣聖"プラウド=ライアン。その剣捌きは誰にも真似できなかった。
???『シチューキターー(゚∀゚)ーー!!」
彼は"氷の魔術士"ウーン=エイ=ダーオメン。
溢れる魔力と膨大なる知識、知恵を持つ魔術士。なのだが…普段は厨のふりをしている。
???『静かにしろ。今日が最後の晩餐になるやもしれんのだぞ。』
彼が"孤高の堕天使"リチャード=ウェイン。PTのまとめ役として一役買っている。
???『……………………』
そして彼が"沈黙の暗殺者"。名は誰も知らない。愛称としてサイレンスと呼ばれている。
夕食を食べながら会議が始まる。
プラウド『さて、明日は奴の潜伏地だと思われるビッグ・マウスダンジョンに突入する。皆心残りは無いな?』
ウーン『ないぉ(^ω^ )』
リチャード『異存はない。』
サイレンス『………………』
皆わかっていた。翌日のこの時間にはもう自分が死んでいるかもしれないということを。
プラウド『さ、今日はもう寝よう。明日は早い。』
黙ってシュラフに包まる。自分は死ぬかもしれない。だが誰かがやらねば悲しみは繰り返される。
ふと真夜中に起きだす。
サイレンス『…………………眠れないのか。』
プラウド『ああ。どうも故郷に残してきた息子達が頭に浮かんでな。』
サイレンス『…………息子か…俺には縁の無いことだ。』それっきり二人とも黙った。夜も更けてゆく…
いつしか二人は眠りについていた…。
■つづく■

272 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/15(土) 01:36:33 [ LVW/cCFA ]
>>269
あの人と初めて出会ったのは、私がキャンサー気孔でクエストをこなしている時だった。
私が依頼の対象であるリザードキリングに囲まれ覚悟を決めた時、彼・・シローは現れた。
囲んでいたリザード達を片付けた後、私に向かって、
「無茶と無謀は似ているようでまったくの別物だよ、お嬢さん。」と皮肉を吹っかけてきた。
当然、私はその皮肉が気に入らずシローに食ってかかった。そんな私の様子を見て
「なんだ、そこまで元気があるのなら助けなくてもよかったかな?」と笑いながら言ってきた。
私はシローのそんな態度に完全に腹を立て、その場を立ち去ろうとしたが、彼に呼び止められた。
「待てよ、折角助けたのにまた危ない目に遭われたら意味が無いじゃないか。」
助けたのも何かの縁だから手伝ってやる、そう提案してきた。
当然私は反対したが、助けられたことも事実だし結局私が折れる結果となった。
それ以来、私達は一緒に狩りをすることが多くなった。
私自身、狙撃と魔法矢を駆使しているので火力は高いが、防御面については、紙程ではないが低い部類であった。
だからシローのような、硬い剣士と組めることは正直ありがたかった。
彼の方も、「不足しがちな火力を補えてもらえて助かる。」と言っていた。
まぁ、確かにシューティングスターを好んで使っていたから無理も無いと思うな。
そんな変わった戦闘スタイルだから、シローは常に剣を4本持ち歩いていた。
私達は何時からか、お互いの事を気にかけるようになった。多分、私の方が先だったかな?
あの日の狩りの帰りに彼から告白された時は、嬉しくて涙が出たっけ・・。
シローったら、私が泣いていることに焦って「嫌だったのなら、すまん。」とか言ってくるし・・、
だから私は「嫌なんかじゃない。嬉しいかったから・・。」そう返した。
そして彼と結ばれた日から数日後、彼は私を逃がすためにここに残った・・。

「あかん、避けや!!」
そんな声が聞こえて、涙で濡れた瞳を上げる
霞んだ視界にロックゴーレムの姿が見えた。私を殺さんとして、剣を振り下ろす。
(あぁ、私このまま殺されるんだ。)それでも構わない。私のせいであの人はもういないのだから・・。
しかし、その刃が私に振り下ろされることは叶わなかった。
目の前にいるウルフマンが、ゴーレムを切り裂いたからだ。
「小娘、アンタの悲しみはよう分かる。ウチもヒースがあんなんなったら、後追って死のうとするかも知れん。
 けどな、それでほんとにいいんか?あの剣士はアンタを逃がすために残ったんやろ?アンタを生かすために
 魂を喰われたんやろ?なら、アンタは生きるべきや、絶対に・・・!」
彼女の言葉が心に響く。それでも踏ん切りがつかない私にイラついたのか、
「女やったら、好きんなった男の仇取るくらいの根性を見せぇや。レナ!!」
(あぁ、まったくこの人の言うとおりだ・・。)私の中でけじめをつけることが出来たようだ。
「道を空けるの手伝ってくれる、アニーさん?」今はただ、あの人の仇を取ることだけを考えよう・・。
「任せとき。それと呼び捨てで構わんわ。」そういって彼女はグランドクローで私が走るべき道を作っていく。
「今や、行けぇぇぇぇぇ!」そうして私は、アニーが作ってくれた道を駆け抜けていった。
目の前には、あいつがギルに切りかかろうとしている。もう、これ以上は奪わせない。
私は、イスラフェルが振るう彼の愛剣に向けてマジカルアローを放った。

273 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/15(土) 14:26:10 [ nhSFDn46 ]
どうも、変な生き物です
アノあとキーボードをバラしてみたら中に巨大なクモの死骸がぁぁぁぁ!Σ(`Д´;
どっから入ったんじゃワレェェェェェ!
そんなの入ってたらおかしくなって当然じゃあぁああ!
取り除いて供養してやりました、ナム

>>.227サマ
>ある青年の今際の際の記憶
お茶噴き出してしもうた…ナイスです。
そういえばスマグにウルフマン(ウルフウーマン?)体質の女性いるようですねぇ
アーネイトの婚約相手はスマグの女性に決定かな…?
まぁなにはともあれ頼れる彼女でいいじゃないですかぁw

>>.277サマ
ウルフマンとサマナのお話に思わずクスリ
っていうかあれ、俺これ経験したことがあるぞっ?
アルパスで凄腕のサマナさんと2人だけでPTを組んだ時に
丁度そんなかんじになったなぁ。
…え?その後どうなったって?え、えええ、えー、記憶にございません。

>>サマナの人サマ
新作キタァァァァァァー!
ギャグ好きな自分にはモロツボです、っていうか決定打くらっても平気なのも凄いなぁ。
そして前作の方々も登場、そしてさりげなく生々しいPTがあったりするんですな
次回作に大期待です。
>これが、ドラゴンボール現象
あるあるあるある
まぁ敵さんも頑張って鍛えてるんでしょうな。
悪役も努力なしには悪役にはなれんってこっとですな。

>>LBサマ
負けました、兄貴と言わせてください。 _○/|_
もうこれ小説として売れるんじゃないのってデキですな、唖然
カンペキです、カンペキです
参考にさせてもらいます、まぁそんなわけでHDへ小説拉致し… エ、チョ、マ、キャー

>>名前がない@戦士見習いサマ
大作の完結…ハードすぎる…シブイ、しぶい
そして最後が切ない…、あ、涙腺が。
彼はこれからも生きつづけるでしょうね、死んだ2人の為にも…。
>六化仙〜壱の巻き〜
おおお新作!
これからどんな物語が作られるのか楽しみでしょうがありません。

>>南東方不勝サマ
ゆ、U分裂!?なんというおぞましい…相場破壊だ! エ、ソコジャナイ?ソウデスカ
ギルとイスラフェルの激しい戦闘…っていうかイスラフェルサリゲナークセコッw
シローとの思い出、そして剣に向けて放たれたマジカルアロー…
どうなるんじゃー!

>>FATサマ
ハノブに行けば物語が進んでいきますね。
母さんのところに帰れるのはまだまだ時間がかかりそうですな。
あと、エイミーのいなくなった友達ってまさくぁ…
>二人とも謎を秘めていて
謎こそひめてるけど、結局2人は2人でかわりありません
ぶっきらぼうなアーネイト、軽石頭のリディス
秘密がどうであれこれが本当の2人ですよw

>>ナンバーズサマ
なにやら色々と面倒なことに巻き込まれたようですねぇ
でも復帰できて一安心…
>ナンバー一家その後
すんません、勝手に入れちゃいました
もうなんていうか他の小説の方々をコッソリ登場させちゃおうかなとか考える今日この頃
他の小説のキャラとしては凄くいい迷惑でしょうが、いや迷惑極まりない。
>なんとトイレ(洋式)だった!
ハッ!これは…!
どうする俺、どのカードを引けばいいのか!

ニア「トビラをしめてカギをかける」
 「とりあえず一緒に入る」
 「麻酔銃を構える」
 「あいつが裏切りやがった!俺よりジジイを選びやがった!」
 「紙を奪って⊂( ^ω^)⊃」

>>◆j9cST1xRh2サマ
>勲章つける知恵
一応持ってますよ、そうですねぇ〜リディスどんな知恵があるか探ってみましょう
「女の上手い口説き方」
「カッコイイ動作集」などなど
…すんません、軽石頭です、ステキに無駄な知恵ばかりです、でも豊富でっす

さーてよりよい小説を作るために今日も小説読みますか
何小説作れって? OKOKちょっと読ませて、今金田一の推理シーン… ウワァァン 本ナゲルナー!

274 名前: ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/15(土) 16:39:24 [ QnyLWUVQ ]
暇だから一家ネタ投下
ナンバー一家の狩り
ナンバーズ「アルパスB1に来ましたよっと。」
ナンバーズ?「氏んだ香具師はリザじゃなくてゴッドハンド掛けてやるでごわす。」
ナンハース「ちょwwwおまwww……(((( ゚Д゚))))ガクガクブルブル」
偽ナンバーズ「大丈夫だよ^^(漏れが氏にかけたらナンハースを盾にするから^^^^^)」
†ナンバーズ†「漏れはアイテム拾い担当だぉ(^ω^ )え?ランダム獲得?(^ω^ )…ぶっ殺すぞ?(^ω^ )」
狩り開始。
ナンハース「ちょwww死んだwww横沸きハヤスwwwリザお…ゴッ!!……………………」
偽ナンバーズ「あらあら^^俺の身代わり氏んだか^^ブッ( ゚ω゚).・∵:…………リザよろ^^…バキドカグチョ…………………」
ナンバーズ「ちょ、PT全滅させる気か!」
ナンバーズ?「文句いうならYOUも殴り殺すでごわすよ?」
ナンバーズ「(((( ゚Д゚))))ガクガクブルブル」
†ナンバーズ†「<!> リザよろだぉ(^ω^ )」
ナンバーズ?「よ〜し、今ゴッドハンド掛けに行くからね^^」
5分後。
ナンバーズ「遅いな…」

ナンバーズ?「リザよろ^^^^^」
ナンバーズ「帰れや。」

275 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/15(土) 17:04:35 [ LVW/cCFA ]
>>変な生き物さん
黒鎧の戦士にもお仲間がいたようですね。
モンス召喚能力ですか・・、ということは彼女がゲームの方の湧きを担当し(ry
そして、今回もリディスの3枚目ぶりが輝いていますww
>他の小説のキャラを出演させたい
ゲスト出演くらいなら、個人的には構いません^^むしろ、使ってm(ry
そういえば、キャラの設定だけ置いて有志の方に書いてもらうつもりだったのに
気付けば、楽しんで小説を書いてる自分がいますなぁ・・。

>>ナンバーズさん
ダーオメンってorz
確実に彼の先祖ですね。他にも彼らにゆかりがありそうな名前がちらほらと・・。
決戦の時が近いのに、なかなかほのぼのとした空気ですねw

276 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/15(土) 21:41:46 [ hNlLsBE2 ]
六化仙〜壱の巻き〜其の弐 
ブリジヘッドとアウスダクの中心に、誰も知らない鍾乳洞がある
清水が滾々と湧き出る静かな場所で人の気配は無い
そこには一人の男が住んでいる
水の神、フネデオウである
陽の精気、月の霊力を数千年もの間浴びたことにより
六化仙は他の神獣と違い、いくつもの術を使うことが出来る
人の形を取る「化脱」も術の一つである
フネデオウの本来の姿はマーマンだが
他のマーマンと違ってフネデオウはあまり争いごとを好まない
一面に湛える水の中で瞑想をしていたフネデオウのもとに一匹の蝶が舞い降りる
「ビヌヤだな?珍しいなお前が来るなんて」
フネデオウが目を閉じたまま蝶に語りかける
「久しいなフネデオウ、今年の祭りはお前はでるのか?」
「久しぶりだし私は出る予定だが、お前は?」
「私も出る予定だ、今年は全員が集まるな」
「そうか、久しぶりだな。全員が集まるのはだいたい三百年ぶりかな?」
「もう少し長いだろう、四百年くらいだろう」
「そうか、毎日瞑想していると時間がたつのを忘れるよ」
「そうだな、では私はそろそろお暇しよう」
そう言って蝶がまたどこかへと飛んでいく
フネデオウはどこからか杖を取り出してから呪文を唱えると
水が杖に吸い込まれ、たちまち消えてしまう
もう一度フネデオウが呪文を唱えると、
フネデオウはどこかへと姿を消してしまった

険しい崖の頂上に一人の男が座って景色を眺めている
男の肩には小さな鳥がちょこんと座っている
「一つ歌が出来た 行く鳥の群れは変わらずとも 昨秋の群れと同じにあらず
また人の世もこれと同じ さすれば自分の心も昨秋の心にあらず」
鳥に歌を語っている男が風の神クセネである
この男の原形はマーブルガーゴイルである
マーブルガーゴイルの気性には珍しく、非常にのんびりとした性格で
話し方も鼻紙が春風に舞うような穏やかさである
「そろそろ祭りの季節だなぁ 小次郎、わしもそろそろ出かけるかのぉ」
肩の鳥を撫でながらクセネが崖からぴょんと飛び降りる
するとクセネの足元に雲が集まり、乗り心地のよさそうな絨毯が出来る
「祭りで皆に会えるといいのぉ」
そう言いながらクセネはロマ村の方へと絨毯に乗って飛んでゆく

277 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/15(土) 23:09:03 [ LVW/cCFA ]
>>戦士見習いさん
人の姿をとる事ができる・・。
そんな術を使える時点で、かなりの時間を生きてきたのでしょうね。
フネデオウさん、中々に渋いお方ですね^^

278 名前: ナンバーズ ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/15(土) 23:50:25 [ ipn.sE8A ]
おかしスレでフィーバーしたので続き投下
■RED STONE 第五章■
〜ビッグ・マウス・ダンジョン〜
プギャー!!
巨大鼠の断末魔の叫びが聞こえる。
プラウド『…さて、これですべて倒したぞ。』
まわりには沢山の巨大鼠の死骸が転がっている。
???『フン…我が事を起こす前に仕留めようと言う寸法か。』
今PTは赤い悪魔と対峙している。
リチャード『我が先祖を虐殺し、赤き石を奪った下詮の者め!今ここで征伐してくれる!』
複数の光の輪を生み出し投げ付ける。悪魔は身を翻し輪をかわす。
悪魔『目障りなゴミめ…これでも戦うか?』
突如周りに帯電した槍が複数降ってくる。
ふと悪魔を見ると頭上には巨大な弓、周りには盾と槍が回り、ブレス、エビル、フォッグ、エンチャ、バリア、トルネド、アーチ、エレメ…とにかくありとあらゆる補助が掛けられている。
ウーン『…厄介な補助だな。だが壊せ無くはない。』
アースクエイクを発動し、GPを無効化し、飛んでくる矢をグラビティで落とす。
プラウド『行け蒼龍よ!ドラゴンツイスター!!』
掛け声と共に蒼き龍を放つ。
蒼龍は悪魔に突撃すると槍と盾を噛み砕く。
悪魔『こざかしいっ!』
魔力を蒼龍に向けて放つ。蒼龍は消え去るが直後に後方から激しい衝撃が来る。
サイレンス『…三段回し蹴り。』
そのまま悪魔の攻撃を流し流水撃を打ち込む。
悪魔『くっ!補助呪文がきかんだと!』
悪魔の補助呪文は直前にリチャードが放った呪文によって無効化されていた。
プラウド『これまでだな。自分のやってきた行為を悔いるがいい!』
パラレルスティングを放つ。しかしあたらない。
ウーン『!?…プラウド!避けろっ!』
分身だった。無常にも悪魔の手に持つ剣によってプラウドの体が切り裂かれる。
悪魔『剣聖などこの程度か。次に死にたい奴はど…』
プラウドが立ち上がる。
悪魔『何…』
プラウド『貴様は…俺の命を賭けても…倒すっ!ファイナル・チャージング!!』
剣に力を込め悪魔に突撃する。しかし…
ガキィン!!
悪魔の剣に受けとめられ…そのままプラウドは倒れた。
悪魔『に、人間ごときが…』
突如十字架が降ってくる。悪魔の肌は焼け、光が体中を切り刻む。
リチャード『まだ終わらん!貴様は今ここで滅ぶ!』
■眠いのでつづく■

279 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/16(日) 00:52:02 [ LVW/cCFA ]
>>272
オイラもイスラフェルも突然の出来事に、一瞬動きが止まった。
だが、すぐさまオイラはレナの方に飛び退のいた。
「レナ、お前大丈夫なのか?」
「えぇ。たった今、アニーに喝を入れてもらったから。それに、あいつは私が殺す。絶対に・・!
そうしなきゃ、シローも私も救われない・・。」
そういってレナは、イスラフェルを睨みつけた。奴もこちらを見ているようだ。
というか、姐御の事を呼び捨てで呼べることがすげぇよ・・。
「存外に使えんな、あの木偶人形(ゴーレム)共は。まぁいい、始末するゴミが増えただけだ。」
奴は別段慌てるそぶりを見せず、弾かれた剣をそのままに近くに浮かんでいた剣を手に取ろうとした。
「触らないで・・!」だが、その行動をレナが許さない。
放たれた魔法矢は奴の右腕ごと剣を弾かんと唸りを上げ、飛んでいく。
だが奴は、紙一重で矢を避けた。そして、オイラ達のほうに向き直り、
「『触れるな』だと?我が自身の所有物を触れることの何が悪い・・!?」
「あなたの物ですって?ふざけないで!!それはシローの物よ。
 あなたみたいな存在が気安く触れて良い物じゃない!」
奴の言ったことを、レナは静かに、ありったけの怒りを込めて否定した。
そして言い終わると同時に、マジカルアローを放つ。魔法矢は奴の頬を掠めた。
「人間とは実に下らぬ生き物だな・・。先ほどの不意打ちに免じて、直接斬り捨ててやろうと思ったが
 興醒めだ。そこまでして無残に殺されたいか。いいだろう、望み通りに斬り刻んでくれよう!!」
奴が手を上にかざす。その動きに呼応して、分裂した剣がその切っ先をオイラ達に向ける。
オイラもレナも、無限弾丸の魔法が付加された武器を所持しているが、このまま撃ち合いに持ち込まれたら
まず勝ち目は無い。相手の方が一回に撃ち出してくる量と範囲が異常だからだ。
だが、レナが助けに入ってくれたお陰で「秘伝」を使うことが出来るかもしれない。
「レナ、オイラが気を練るを時間を稼いでくれないか?」
「気を練るって・・。あんた、一回もあれ成功したこと無いじゃない。」
「何時の話だ。今なら気を練るのに時間がかかるけど、百発百中だ。」
「分かったわ。だけど・・・、」
「分かってる。とどめはお前に譲るよ。」
ほんとはオイラが殺したいところだが、ここは譲るべきだろう。
オイラの答えに満足したレナは、弓に番えた矢に魔力を込め始めた。
「何を話していたかは知らぬが、無駄なことを・・。行け!!」
奴の号令と共に、数多の剣がオイラ達に襲い掛かってきた。

私達に向かって降り注いでくる彼の剣を、私は次々と撃ち落していった。
GPに火雨に氷雨と、持ちうる限りの範囲攻撃で撃ち落す。
それでも撃ち落せなかった分を、マジカルアローで片っ端から落す。
だがそれでも、彼の剣たちはその数を減らすことをしなかった。
「ほぅ、貴様も中々頑張るではないか。このよりしろも最後の最後まで、無駄に足掻きおったわ。」
シローを蔑む言葉を聞くたびに私は、自分を抑える。
ここで私があいつに向かっていったら、折角の作戦が意味を成さない。
(まだなの、ギル・・・!)すでにあの時から4分、元来体力があまり無い私の肉体はすでに限界だった。
「ほら、どうした?動きが鈍っておるぞ。その程度で我を殺すなど、愚かにも程があるわ!」
でも、ここで私が倒れるわけに行かない。シローとギルのためにも・・!
「・・・。ふん、飽いたな。この茶番にも。そら、幕引きだ・・。」
その瞬間、降り注いでくる剣が、その数を爆発的に増やした。
(防ぎきれない・・!)なら、この体が剣に貫かれる前に奴の頭蓋を撃ち砕く・・!
「そう慌てるなよ、ちゃんと止めは譲るって言っただろ?」
そんなギルの声が聞こえたかと思うと、私の後方から大量の手裏剣が次々と剣を弾いていった。

280 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/16(日) 01:43:01 [ sQTofwUI ]
>>サマナの人さん
(*´∀`)アラステキ
今さらですが第一作目の連載終了お疲れさまです。
フィーナ達はこのままのペースで冒険を続けて行くのでしょうねぇ。
多少危険なことがあってもミーアがいれば問題ないんだろうなぁ。
二人(+ペット&召還獣)がいつまでも笑いながら冒険が続けられることを祈ってます。

>>175 サマナの人さん
なんて素晴らしい集団なんだ…思わず耳打ちしたくなりました。
続かないのが残念です。

>>230(新作) >>237-241 >>250 サマナの人さん
まさか新作の方にもフィーナ達が登場するとは思いませんでした。
バイトうまくいっているようで良かったです。

>ぐーすか眠りこけているベレッタさんめがけ、棍棒を控えめに振り下ろします。
何故かミイラクエの「激しい戦闘でぼろぼろに破れた包帯をそっと(控えめに)剥ぎ取ります。」
って文章を思い出しました。

>>南東方不勝さん
(*´∀`)アラステキ
さすがマジカルアロー。必中なのでちゃんと剣に当たってくれましたね。素晴らしい。
ギルもナイスなタイミングで剣をはじいてくれましたね。
この勢いでイスラフェルに勝つことができるんでしょうか。気になります。
それにしてもイスラフェル強いですね。

>>◆j9cST1xRh2さん
(*´∀`)お久しぶりです。幾多の試練を乗り越えて恥ずかしながら帰ってきました。
約3週間ほど見ないうちに250以上レスが進んでいるのを見たときは
ほんの一瞬ではありますが、「このスピードにはついていける気がしない。引退だ。」などと考えました。
まあ、引退しませんけどね。
それにしても、とても活気づいていて驚きました。素晴らしいですね。

<感想>
(*´∀`)アラステキ
味方を殺すなんてこのシーフはかなりのワルですね。
それにしてもメリックは強いですね。何というか戦い方がうまいですね。
>伝書ガーゴイル
課金ペットとして欲しいです。

>彼は生唾を飲み込み、少し間を空けてコンッコンッと2回ドアをノックした。
「返事が無いのでしょうがなく入っていったら夜這いと勘違いされる」
って展開になると予想してみる。

>>25 てるてるさん
(*´∀`)アラステキ
ウインディに矢を放ったのは一体誰なんでしょう?
続きが投稿されるのを待ってます。

>>名前が無い@戦士見習いさん
(*´∀`)アラステキ
1作目の連載終了お疲れさまでした。
最初から最後までとても楽しみながら読むことができました。
本当に素晴らしかったです。

>>254(新作) >>276 名前が無い@戦士見習いさん
前作とは違うソフトな作風ですねぇ。
どのような話になっていくんでしょう。楽しみです。

>>変な生き物さん
(*´∀`)アラステキ
おお!本格的に連載開始していたんですね。前スレからずっと待ってましたよ。
リディスたちの強さをもってすれば背後からマーマンに襲われても平気ですね。
今後の展開にも期待してます。
>地獄のトレーニングAAA
ひっ、ひでぇ!虐待だ…

>キーボードをバラしてみたら中に巨大なクモの死骸
うわぁ!怖すぎます。取り除いて供養してやるなんて、なんていい人なんでしょう。
自分は取り除く作業で断念してしまいそうです。

>>121-122 変な生き物さん
この文章を見てると本当に冒険者の日常ってこんな感じなんだろうなって思えちゃいますね。
とても面白かったです。

281 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/16(日) 01:44:00 [ sQTofwUI ]
>>FATさん
(*´∀`)アラステキ
ハエの大群に襲われたフプレ…なんて可哀想なんだ…
これはもうホラーですね。
>笛のよだれ取り
これはこれで重要な気がしますね。ジョーイに乾杯!

>ナイトバーズがドアにはまっていた
ナイトバーズ…なんてかわいいヤツなんだ!!

さていよいよハノブでマリスと対決!ってことになるのでしょうか。どうなるのか楽しみです。

>>ナンバーズさん
(*´∀`)アラステキ
まさか第5章まで話が進んでいるなんて…やっぱりブーンは最高でした。
そして第5章にはウーンが登場。期待してしまいますね。

>>99-100 >>135 記者Aさん
(*´∀`)アラステキ
>No.1
チョキーさん…なんてワルなんだ…
処分に困ったとか言ってる時点でかなりのワルですね。
責任をもって飼ってもらいたいですね。

>No.2
もし無限に使えていたなら無限花詐欺とかも流行ったかもしれませんね。

次の記事も楽しみにしてます。

>>108 >>144さん
(*´∀`)アラステキ
オルはどの職業を選び、どのような冒険をするんでしょう?
続きが読みたいですね。

>>198-199 >>208 レッドストン通信さん
(*´∀`)アラステキ
環境欄がかなり深刻ですね…絶滅の危機ですか。
さらに中央政府の「定期的に沸くようにしているから問題ない」という発言に
「ああ、それなら大丈夫だな」と一瞬納得してしまった自分をなんとかしたいものです。
問題ない訳がないですよね。

>>208は重要ですね。これを書かないと大変なことになってしまいますからね。たぶん。

>>220-222 LBさん
(*´∀`)アラステキ
ラケシスは"索眼" デウス の子孫なんでしょうか?
もしそうだとすると四枚の翼の女性は"大御巫" セラフィか、その子孫ってことになるのかな?
まだ真相はわからないので、とても気になりますね。

>>227 >>257さん
(*´∀`)アラステキ
>227の感想
なぜか狼じゃなくて巨大な猿に変身するのを想像してしまいました。
はい。そうです。サ○ヤ人です。
それにしても「ロマンチックなデート」から一転して「驚きの体質が発覚!」になってしまいましたね。
とても面白かったです。

>257の感想
ヘイスト使えるレベルなのに病気のコボルトを狩っていた理由が気になってしょうがないですね。
まぁ、とりあえず逃げて正解でしたね。危うくテイムされるところでしたね。


今回は感想が滞っていたせいで一つ一つが簡単な感想になってしまいました。
申し訳ありませんでした。次からは頑張れるはずです。

282 名前: オジさん 投稿日: 2005/10/16(日) 02:13:23 [ DXXt3lTo ]
ブログでちょっと書いてみたんですけど、感想というかですね、
ちょっと不安だったんでここに書き込ませていただきました。
もしよければ読んで感想をお聞かせください。
褒めなくていいので、ダメ出しお願いします(´・ω・`)



『オジリウス』


それはとても月の綺麗な夜だった。
広く何もないように見える草原に、月明かりに照らされた石版が横たわっている。
その石版を囲むように、男が3人、女が1人立っていた。

『これが、これが世界の本当の姿なのか?』
男の一人がひどく悲しそうな声で言った。

『これを破壊すれば私達の旅も終わりね』
女の独り言のようなつぶやきを聞いて
隣の男は明るい声で言った。

『だが、俺たちはこれから始まるんだ』
そうして、男は持っていた剣を大きく振りかざして
その石版を破壊しようとした。

まさにその時であった。
月の光をかき消すような強い光とともに4人の上空に4つの影ができた。
光が消えると、月明かりに照らされた石版の近くで、男と女が2人絶命していた。
残りの男2人もほとんど動けない状態であった。
その4つの影が強い光に体を包み、まさに光の速さで4人の方へ襲いかかったのだ。

『あいつらはもう、いっちまったのか』
剣を持った男は痛む右腕をおさえて言った。

『俺もそろそろだな・・・。俺はここで終わる。だが、お前は終わっちゃいけないんだ。お前は、ここから始めるんだ』
棍棒を持った男はそう言うと呪文を唱え始めた。

剣の男が棍棒の男の言葉の意味を考えていると、4つの影が再び襲い掛かろうとしていた。
剣の男が最期の覚悟をしたその時、棍棒の男の体が光を放ち、
それが4つに割れて、4つ影に当たった。そして4つの影は動かなくなってしまった。
4つの影は四方へ飛び散り、そして棍棒の男も動かなくなってしまった。

『オジ!オジ!』
剣の男はそのオジと呼んだ棍棒の男の方へ近寄った。

『オジ、死んだのか!オジ!』
剣の男は幾度となく呼びかけたがしかし、棍棒の男、オジは答えなかった。
オジの心臓は止まっていた。

『畜生!俺を助けるために!』
剣の男は泣いた。

その涙と呼応するかのように、他の2人の亡骸が光りだした。
2人の体から放たれた光がオジの体へと吸い込まれ、そして2人の体は消えていった。

すると、オジの心臓は動き出したのだ。
剣の男は驚き、そしてまた泣いた。草原には泣き声だけが響いていた。

それから数日後、オジは町外れの小屋で目を覚ますことになる。
オジが目を覚ましたベットの近くに、少女が座っていた。
オジがその少女の方を見ると、少女は泣いていた。

283 名前: FAT 投稿日: 2005/10/16(日) 19:23:33 [ H/01FXeQ ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63 (22)
>>118-119(23)
>>156-157 (24)
>>231-232 (25)




スレイの怪我は思ったよりも軽症で、命に別状はなかった。毛むく
じゃらの状態だったのがよかったのだろう。ただ、満足に動けるよ
うになるまでは一ヶ月ほどもかかってしまった。

彼は子供と、家を失った。

その報復はすぐに果たされ、スレイは生きるべき方向を見失ってい
た。
あたしは彼を自分の復讐の渦に巻き込む気はなかったが、このまま
一人にしておくのも酷だと思い、共に旅をしないかと誘ってみた。
スレイはこれを快く受け、あたしは救われたような気になった。
というのもテリーとアンメルのことで心が相当に病んでいるからで
ある。

彼らは明らかに異常だ。

この蘇ってからこの一ヶ月間、何も食わず、何も飲んでいなかった。
それでも見た目に何一つ変化が見受けられないというのはこの二人
が単なる人形だということを裏付けていた。

人形だと分かりつつも表情豊かな二人にあたしは再び疑念を抱く。
人形だということを忘れ、昔話に花を咲かせることもある。

しかしまた、テリーが剣で胸を貫かれ、それでも無事だったことを
思い出し、人間ではないと距離を取ってしまう。
そんなことが延々と続き、これからも続くのだと思うと目眩がしそ
うだった。

284 名前: FAT 投稿日: 2005/10/16(日) 19:24:16 [ H/01FXeQ ]
そんな中で、スレイのような年上の人と一緒に旅ができるのは頼も
しい限りである。どうやら信頼できそうな人間で、あたしが旅の理
由やテリーたちのことを事細かく説明したときも、彼は眉一つ動か
さずに話を聴き、それが終わると優しくあたしの頭に手を乗せ、髪
に沿って撫でおろしてくれた。骨ばった痩せた手ではあるが、頭に
は確かな温かみが伝わってきた。あたしの涙が堰を切って溢れた。
スレイは何も言わず目元にしわを作り、包み込むような優しい目で
あたしを見詰める。

何を言われずとも分かる。この人は、あたしを見てくれたのだ。

あいつの犯した罪の重さを、残酷さを!
あたしの行動の正当性を、悲しみを、辛さを!

分かってくれた。

初めての理解者に感動し、胸を借りて泣きじゃくった。こんなにも
自分が弱っていたとは思わなかった。スレイの優しさに触れ、隠れ
ていたものが露出し、全てを洗い流してくれた。

あたしの中にあった余計なものは涙と共に去った。

もう道を反れたりしない。

テリーのことも、アンメルのことも何だと言うのだ。

彼らは死んでいる。自身の復讐のために仮宿でこの世に留まってい
るだけなのだ。

変な希望はもう持たない。

あたしがやるべきこと、それはあのテイマーを抹消すること。それ
だけを考えればいいんだ・・・。

「ハノブへ行く。ネクロを信じ、フプレを殺るぞ。」
長いこと張っていたテントを片付け、荷物をまとめると、決意を声
に出し、一同を先導する。

ちょうどそのとき、音もなく、いつも通りにひっそりと契約者が背
後に現れた。

285 名前: FAT 投稿日: 2005/10/16(日) 20:10:17 [ H/01FXeQ ]
>>名前がない@戦士見習いさん
ジン篇お疲れ様でした。最後はかっこいい戦闘シーン盛りだくさんで贅沢に
楽しめました。新作の展開も期待しております。

>> 南東方不勝さん
レナが復活し、ギルがサポートを。極悪非道のイスラフェルに一泡吹かせて
ほしいですね。にしてもイスラフェルの能力いいなぁ・・・・。

>> サマナの人さん
ふふっと思わず笑みがこぼれてしまうナイス突っ込みの嵐。素晴しいです。
フィーナとミーアも出てきて一安心。ヴェイアはイヤリングに篭っているの
ですね。
>念話
便利そうでいいですね!そういやなんで耳打ちって出来るんだろうって不思
議に思いますよね。こういうシステムだったのか。

追伸 昨日も楽しかったですねb

>> ◆j9cST1xRh2 さん
感想ありがとうございます。
エイミーは自然派美人を意識して書いたつもりだったんですけど読み直してみたら
確かに化粧が濃さそうなイメージ湧きますね・・・。やはり表現力がorz

>> ナンバーズ さん
むうう。決幕が分かっているのにプラウドたちを応援してしまう。なんていやらしい
書き方をするんですか・・・・。でも続きが読みたい!!

>> 277 さん
またまたGJです!!
危険を察知したwizさん、やりますね。

>>変な生き物さん
敵の男も女もかなりのハイスペックですね!!一体なにをたくらんでいるのか
・・・。怪しいですね。
ところでネファは無事なのでしょうか?なにか真相を知っている気が・・・。

>>(*´∀`)アラステキさん
お久しぶりです。きっと帰ってきて下さると信じておりました!確かに前スレ
よりかなりの活気振りで嬉しい限りですよね。私は2週間ほど離れますが、その
間にまた色々妄想して話を楽しんでもらえるようにがんばります。

>> オジさんさん
あれ?さんをつけると変になる・・・。
初っ端から泣かせていただきました・・・。先に死んでしまった2人がオジ
を蘇らせたのですね・・・。
さて、泣いている少女とは一体何者なんでしょうか?謎からのスタートですね。

286 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/16(日) 21:42:23 [ XlGB7fsc ]
小説を作る合間に軽くイタズラ書き

・キャラに色々インタビュー
【アーネイト・ルエアス氏】
えー俺の名前はアーネイト・ルエアス、年齢は19歳で獅子座
ウルフマン(狼男)だ、身長は189cmで体重は75㎏、血液型とか言うものをさっき調べてもらったら
俺はA型らしい。
Q〔趣味は?〕
趣味か、体を動かす事と昼寝に読書、あとは風呂か。
Q〔ウルフマンの生活はどんな感じですか?〕
まぁ大体普通と変化ないな、ただ尻尾も念入りに洗わないといけない…ノミがつくからな
あとズボンは尻尾が通るように裁縫で穴を作ったりもするな。

【リディス・ボルウィン氏】
よっ、俺はリディス・ボルウィンで18歳の双子座。
シーフ兼武道家で178cmの63㎏、「ケツエキガタ」はB型だってよ
あーちなみに恋人募集中な。
Q〔趣味は?〕
趣味?美味いものを食う事と絵を書く事!
Q〔セナのことをどう思ってる?〕
えー?セナさん?セナさんはそりゃあ美しいし、キレイな瞳に信念を宿してるし〜
容姿・心などどれを持ってもパーフェクトよ〜、なによりもこの前俺に(延々と続くため割合

【セナ・フェネスティラ氏】
セナ・フェネスティラと言います、18歳で牡羊座です。
職業はランサー/アーチャー、177cmで血液型はO型らしいです、どうぞ宜しくお願いします。
(この後、体重に関してはサイドステップ並みの話題そらしで確認不能でした)
Q〔趣味は?〕
カード占いと植物の栽培、あとは裁縫と調理です。
Q〔お隣のお2人さんについて〕
アーネイトさんとリディスさんには本当に感謝しています、お二人とも優しいですし
アーネイトさんと料理のレシピの研究をしたりしますし、リディスさんとはしょっちゅう一緒に遊んでます。

【ロイド氏】
ロイドと言います、一人称は「(わたくし)私」、29歳の…えーと、何座か忘れてしまいました…。
職業は「僧侶」つまりビショップです、183㎝・78㎏、血液型は結構特殊な型、なんとか−Oらしです。
できるかぎり質問に答えます。
Q〔趣味は?〕
冥想と読書です。
Q〔あの、苗字は?〕
苗字は少し教えられません、これでもいろいろと訳ありなんですよ。

【ギオ・エイディンスライト氏】
ギオ・エイディンスライトと言います、山羊座の21歳。
騎士(実際は剣士)、181㎝で71㎏、血液型はA型とのことです。
宜しくお願いします。
Q〔趣味は?〕
稽古と鳥の観察、あとは………花占いですね。
Q〔昔は名の知れた戦士だそうですね〕
まぁ…、そんなところかな、今では戦士として活動してません
なぜって?それは守る者ができたから…ですね。


さーて続き続きっと では ノシ

287 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/16(日) 23:28:20 [ LVW/cCFA ]
>>アラステキさん
感想ありです。
書いている中で展開がベタな所もありますが、生温かい目で見守っててください^^

>>オジさんさん
まぁ、多少の違和感に関してはスルー(ry
さて、蘇生したオジの目の前で泣く少女の正体は一体?

>>FATさん
大切な物を奪われた者同士であるから、スレイは何も言わずにマリーに胸を貸したのでしょうね。
さて、またもやネクロが出てきましたね。
マリー達をサンプルと言っているからには、なんらかの実験でもしてるんでしょうか?気になります。

288 名前: ナンバーズ… ◆Vp2Nm4jC16 投稿日: 2005/10/16(日) 23:57:32 [ X.oGVJTs ]
こんばんは、ナンバーズです。
今回ユニーク鑑定スレの方でちょいと落ち込みました…
なのでしばらく小説投稿の方を控えようと思います。
誠に勝手ながら申し訳ありません。
ちょいと自分を見つめ直してきます。

289 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/17(月) 00:44:38 [ LVW/cCFA ]
さぁて、スパロボJの合間に続きをば・・。

>>279
「まったく時間かけ過ぎよ、ギル。」
そう憎まれ口を叩きながらも、レナは嬉しそうに言った。
「いやぁ、流石に婆様くらいの数を揃えるのは辛くて・・。」
「オイラ達」がレナにそう釈明する。ここまでくれば、オイラが何を使ったもう分かるだろ?
その後で、オイラはイスラフェルのほうに向き直る。流石にあいつも驚いているようだ。
「我が必殺の一撃を・・、幾百の刃を弾いたからくりはそれか・・。だが、解せんな。
 その技・・分身は回避用で有って攻撃用ではないはずだ・・。」
は、何を言ってやがる。それはあくまで現在主流になってる型での話だ。
元々このスキルは攻撃用だ。だが、時を重ねる中で劣化し、現在の体系に落ち着いた。それだけのことだ。
「勘ぐるのもいいが・・、そんな余裕を与える気はねぇ・・。」
さぁ、ここから反撃開始だ。オイラ達はレナの援護射撃を背に一気に距離をつめた・・。

(よもや、人間にここまで追い詰められるとは・・。)我はそう臍を噛んだ。
あのシーフの小童の技量は圧倒的だが、それでも押し切れる余裕があった。小童が1人であったのなら・・。
だが今、我に肉薄しようとしている小童の人数はおよそ10人弱、それに後方からあの雌の援護射撃が加わっており我が剣の雨を突破するのも時間の問題だ・・。
(やはり、保険をかけておいて正解だったな。)だが、それでも我の勝利は揺るがない。
我が瘴気で能力を強制解放したこの聖剣がある限り、我が地に伏する事は無い。いや、もうこの状態では聖剣ではなく魔剣の方が相応しいか・・。
しかし、専門分野ではない「解放」を使用している今の状態では、この剣のみ分裂が不可能だ・・。
更にはそのまま、我が瘴気に耐えられず崩壊する危険もある。だが、その限界はまだまだ先のことだ。
(せいぜい、束の間の勝利の期待に酔い痴れるがいい。)そうして、我の眉間に小童が放った手裏剣が刺さった。

(取った・・!)剣の雨を抜けてきたオイラはそう悟った。
生み出した12人の分身の半分を、レナの護衛に回す必要は無かったかもしれない。
眉間に刺さったブラックソーンに奴が怯む。その隙を突き、6人のオイラによる一斉攻撃が火を噴いた。
ダブルスローとダーティーフィーバーで奴の五感を殺し、連打・払い蹴り・急所攻撃の連携を叩き込み、止めと言わんばかりに吹き飛ばす。
「ナイスタイミングよ、ギル!!」吹き飛ばした先には、すでに矢を番えたレナの姿があった。
次の瞬間、レナのスカルペネトレータが兜ごと奴の頭蓋を穿つ。(これで終わりだ・・。)そう確信したオイラ達に対して、
「いや、実に見事な連携だ。我が相手でなかったら、確実に絶命していよう。」
奴は悠々と、オイラ達を嘲笑うかのように見事に着地した。
「嘘・・。なんで立っていられるのよ!?」レナが驚愕の余りに叫んだ。
「くくく、このよりしろは存外役に立つ。よもや、かの聖剣を所持していようとは。」
そういっている奴の体から、傷がみるみるうちに癒えていく。確実に致命傷であろう、頭蓋の傷でさえも・・。
そして、その原因が奴が装備している剣にあると気付いた。その剣は奴の瘴気に蝕まれ、周りの空間に禍々しい剣気を放っていた。
だが、そのような変わり果てた姿になっても、その剣の名前は分かる。
「エクスカリバー・・。よくも、あの人自慢の一品をここまで捻じ曲げてくれたわね・・!」
エクスカリバー、持ち主である騎士王と共にその勇名を馳せた、聖剣の中の聖剣。
その剣を鍛え上げた妖精は、剣にあらゆる守りの加護を与えたと言われている。
「なに、少しばかり『解放』しただけだ。捻じ曲げたわけではない。さて、ここまで足掻いた褒美として最後は我自身が相手をしよう。」
最もこの剣がある限り我を殺すことは出来んがな、そういって奴はオイラ達に斬りかかってきた。

290 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 00:48:06 [ 7Oh80YW2 ]
>>288
態度を改めたい。見つめ直したいという事なので言わせて貰いますが、色んな所に顔出しすぎ、控えた方がよろしいかと。
自己顕示欲丸出しというか。名乗るのは小説書くときだけにすればいいのに…

小説の事も気になってるようなので。
台詞の前に人名を書くのは頂けない。そしてそういう系統に多いのが本文が殆ど会話文で占められてる点。
会話や事実文だけで構成されている。そんなものは小説じゃなく唯の台本としか呼べないと思う。
人物の感情や動作の描写も組み入れていくべき。ここに発表するからには、読む人の事を少しは考える事。

291 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 00:48:58 [ 7Oh80YW2 ]
あーしまったsage忘れ・・・

292 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 00:54:20 [ 0E5BsQiQ ]
むしろageられてた事で変なコテハンの温床が分かった

293 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/17(月) 01:28:37 [ BJ0JNMb2 ]
職人さんたちが小説を書きにきてくれていて活性化しつつあるこのスレですが、元々ここは『職人の活動の場』という名目で残されていたためネタスレ視されていましたし、今もそれは変わっていないと思います。
他のスレの方々からは、私たち(このスレの住人)は皆『隔離されている者たち』程度にしか見られていないと思っています。
実際に交流はスレ内のみで、他スレとの関連は全くありません。その点を見るとエロ小説スレなどと同等でしょう。
 
上の方も仰っていますが、少なくとも小説スレでのコテをそのまま使用して他スレに書き込みに行くのは控えるべきだと思います。「したらばは2chではない」といわれていますが、コテは好まれていないのが現状ですし。
ユニークアイテム鑑定スレのほうで小説スレの話を持ち出した方々もどうかと思いますが、それ以上にナンバーズさんの言動の非が大きいようです。
今後このようなことを起こさないためにも、このスレの住人全員が考えさせられる問題かと思います。
私にも思い当たる点がいくつかあったので書き込ませていただきました。
全く文章がまとまっていませんね。駄文失礼しました。

294 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 07:42:23 [ eFNCq6qs ]
いいじゃねえか小説コテぐらい、フィ糞とは違って荒らしてる訳でもねえし
コテだからってあたりかまわずバンバン叩く連中の方が俺の目にはフィ糞に見えるが

295 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 07:43:24 [ eFNCq6qs ]
ヴァー下げ忘れ('A`)

296 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 09:27:59 [ OEOAHj0E ]
姉「弟よ、念願の浮遊靴を手に入れましたよっと」
弟「尻軽女ワロスwwww」
姉「('益`)ルセー死ねよ馬鹿」
弟「浮遊厨必死すぎワロスwwwwwwwww」
姉「(´・ω・`)足食いちぎるぞ」

姉「(´・,ω・`) クッチャクッチャクッチャクッチャ」

297 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/10/17(月) 12:13:33 [ lUuyceUc ]
お久しぶり、完全にPCが直るまで書き込まないようにしておいたけど…
なんだか荒れてるね;;

>>290
えーとね、小説について誰がどんな風に書こうとその人の個性じゃないかな?
職人ばっかりのスレじゃないでしょ、だから上手い下手ってのはあるとおもうんだ。
俺の作品だって正直読みにくいと思う人だっているはず、どう書こうが個性だよ。

ここ最近顔出してなかったからこんなこと言うのもなんだけど、>>290氏は何か作品を
かけるんかな?そこまで言うのであれば何か作品を書いてほしいですよ。

以上現在不在の住人より

298 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 15:56:17 [ cs9B46HI ]
>>290
確かにコテのまま出歩くのは少し控えて欲しいが
別に悪さもしてない普通のコテなのにハネものにするのはいただけない
っていうか

>小説の事も気になってるようなので。
>台詞の前に人名を書くのは頂けない。そしてそういう系統に多いのが本文が殆ど会話文で占められてる点。
>会話や事実文だけで構成されている。そんなものは小説じゃなく唯の台本としか呼べないと思う。
>人物の感情や動作の描写も組み入れていくべき。ここに発表するからには、読む人の事を少しは考える事。


お前何様?
台本をそのまま小説にしたのだってあるでしょうに
ああ、「わざわざ読んでやってるから俺好みにしやがれ」君?

299 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 17:36:24 [ GUzM8.5M ]
横から失礼
>>298
ユニーク鑑定スレを見てくると良い。正直鼻につく。

>>297
掲示板に書き込んだ以上、レスに是非(個性)があるのは当然でしょう。
賛美以外要らないのなら、自分のHPにUpしてそのURLを乗せれば良いのです。
SSを書くという努力は勿論評価しますが、こういった場所にUpしておいて、
いざ批判が来たら書けないなら口を出すな、というのは少し違いませんか?

300 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/17(月) 17:38:18 [ IZ050VJE ]
まぁまぁ、皆さん落ち着いてお茶でも…
確かにコテハンはあまり好かれていないけどなんでも毛嫌いするのはどうかと思います
…とはいえども今回は少々ナンバーズさんの方に非があります、検索しなかったり

ですが、そちら側は「それ以上に」非がありますよ?
なぜいきなり「小説がつまらない」と言う「鑑定に関係の無い」事を叩くんですか?
「かわいそうだから誰かが感想付けたみたいだが」っていくらなんでも問題ありですし
それに私は彼の小説のキャラは楽しいと思いますしね。


私は楽しんで読んでもらいたいんです、そして私は小説のプロでもないんです。
だから皆様もある程度大目に、「お遊び」として見て欲しいんです。

って言ったのはいいけど小説まだ出来てないしさっさと作るかー
辛気臭いの嫌なんですよな〜、って訳で流れ断ち切って↓再開。

301 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 18:14:44 [ GUzM8.5M ]
プロではない、批判その他ある程度大目に、という事であるなら尚更、
外でコテを名乗るのを止してもらいたいのです。
「SSスレの○○」というコテをそのまま外へ持っていくのはそれこそ、
「スレに関係無い」事なのです。
ここでコテを名乗るのは作者特権、名無しとの区別として必要でしょう。
しかしここは本来多くのユーザとスレがそうであるように、自分をアピールする
掲示板ではない筈です。その為の「名無し」でしょう。

今回名無しによる批判は度が過ぎましたが、外でここのコテを名乗るなら、
そういった批判は「ある程度」覚悟するべきでしょう。

302 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/17(月) 18:49:16 [ hNlLsBE2 ]
U鑑定スレで叩かれたのは、ナンバーズさんに非があるので仕方ないと思います
ただ、叩く方も小説つまらない、なんて叩き方をするのはあまりにも幼稚だと

それと小説の書き方についてですが
>>290氏は
>ここに発表するからには、読む人の事を少しは考える事。
と言っていますが
描写が無い小説が、読み手のことを考え無い小説で
描写のある小説が、読み手のことを考えている
そんなことはないわけでしょう
それならば批判することは無いと思います

なんだかまとまってませんね
読みにくくてスミマセン

303 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 18:51:21 [ aqaLJRdU ]
ナンバーズさんの小説は、
半角とかが多くて多少読みづらいですけど俺は結構好きですよ

ただU鑑定スレのは・・・
検索が出来なくても>>1から一通り読んで見るとかはできたでしょうに
それとやはり他所ではコテを外したほうがいいと思いますね

304 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 19:34:51 [ UiFix1w. ]
あーはいはいグッチグッチ続けるなよ
・コテをつけたまま出歩いて前レスを見なかったナンバーズは悪い
・そしてわざわざ関係の無い小説まで叩いて相手の自身をズタズタしたckuKeFdはそれ以上に悪い
・小説の書き方は個人の自由
・個人の書き方/人格を尊重した上での指摘

はいこれが結果でこれが真実、嘘無しで両者の言いたい事を全てまとめました。
じゃ。
―― 小説再開 ――

305 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/17(月) 19:36:56 [ hNlLsBE2 ]
>>254 其の壱 >>276 其の弐 

六化仙 其の参
広い砂漠に見捨てられたようにある名も無き傭兵たちの墓
そこに一人の男、闇の神オトモオ・ンオ・クルノスイが暮らしている
オトモオの原形はテイムジェスター、魂を吸い取る術を知る
そんな彼は成仏出来なかった傭兵達の魂を昇華させる毎日を送る
退屈な日々を送る彼のもとに一人の見目麗しい女が尋ねてくる
「久しぶりねオトモオ」
彼女は光の神ノオ・ンオ・クモタイ
二十歳くらいの女性に見えるが原形は齢数千年を超えるホワイトシェード
遠い異国では「妲己」と呼ばれた事もある
「もう祭りの季節だなノオ、今年は全員が集まるらしいな」
「ええ、私達も早く行きましょう」
「ちょっと待て酒の肴が必要だろう」
そう言うとオトモオが砂の中から瓶に入った酒を取り出す
「サボテンから作った酒でな、これがなかなか旨い」
「へぇ、サボテンから」
そんな話をしてから二人は呪文を唱えて何処かへと消える

広い森の中で石に腰をかけている男が居る
小鳥のさえずりに耳を澄ませ小川のせせらぎを見て日がな一日を過ごす
土の神ビヌヤ・ンオ・イサフディエである
毎日同じ所に座って一日を過ごす、変化の無い森の中で過ごすことを彼は苦痛に思わない
彼の原形はトレント、木人の性質なのか、それとも生まれ持った性格かはわからないが
彼は時間のことをあまり気にしない
そんな彼でも祭りで久々に仲間に遭えるとなると、祭りまでの時間が長く感じられる
座っていた石から腰を上げて、ゆっくりと彼は歩き出す
ロマ村ビスルへ向けて

306 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 19:37:19 [ UiFix1w. ]
×自身
○自信
誤字発見したので修正。
まぁこの程度で鬼の首を取ったような事しないだろうが、気分が悪いので、と。

307 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 19:52:32 [ whKjTIjw ]
小説スレみてたら自分も書きたくなったのでシリアス物を一つ。
初めて書くので下手かも知れませんが見逃してください。

神聖都市アウグスタ―――神に身を捧げし者達の集う街。
その街の片隅にある小さくとも賑わいのあるBARでの出来事。

「今日こそは入ってやる・・・血を吐く思いで鍛え直したんだ!」
ビショップのその男は”脂肪お断り”と貼り出された扉を静かにあけてゆく・・・。

中は壁際にランプが一つ灯っているだけでかなり暗い。
正面からいつもの野太い声が聞こえランプに照らされた瞳がこちらを睨む。
「よぅ、また来たのか。あんたも懲りないねぇ」

いつもの様に鋭い目で自分を凝視される、心まで見透かされるようで逃げ出したくなる。
男はいつもここまでしか入れてもらえなかった。
「あんたにゃまだここは早ぇ、もっと鍛えて出直して来な。」
その言葉に何度枕を濡らした事か、奥の鉄製の扉までの距離が限りなく遠かった。
だが、今日の男は自信があった。
この店に入るため数日に渡り自分の体を痛め、極限まで高めていく。
そうしてものにした筋肉は男に自信をつけ表情を冴え渡らせる。

「ん?いつものお前さんじゃ無さそうだな・・・それじゃ早速見せて貰おうか。」
葉巻に火をつけ椅子にどかっと座ると男は微かな笑みを浮かべこっちを見上げた。
「ああ。」
男は返事を返すと羽織ったマントを豪快に剥ぎ取り、掛け声と共に己を高める。
「ダブルバイセップス・フロントッ!!」
両腕を大きく広げ満面の笑みで鍛え上げた肉体を披露する。
その体からは脂肪や贅肉といった物は見当たらず、宝石の様に光り輝いていた。

何秒経っただろうか、驚いて落とした葉巻を拾い上げると男は豪快に笑いながら立ち上がる。
「はっはっは!良く頑張ったなブラザー!さぁ、楽しんでくれよ!」
そう言いながらこちらの肩を叩き奥へといざなう。

”ブラザー”
その言葉を聞くだけで今までの苦労や辛さは一瞬で吹き飛ぶようであった。
心臓の鼓動と大胸筋の動きが高鳴るのを感じていた。
目尻に熱いものを感じるがなんとか顔筋で抑える。
やっと掴んだ光景。この瞬間を涙で滲ませて溜まるものかと言うように・・・。

「ふんっ!」
掛け声と共に鉄製の扉が軋む音を上げつつ開かれる。
この男の腕も丸太の様に鍛え上げられピンポイントに刻まれたプロテインの刺青が輝く。
店番をしてるには勿体無い肉体だな、男はそう思ったが口には出さなかった。
扉が徐々に開いていくと共に眩しい光が差し込んでくる。
暗闇になれてしまった男は咄嗟に目をつぶってしまう。

308 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/17(月) 19:53:33 [ whKjTIjw ]

「ようこそ、BARパワーボムへ。あんたでちょうど100人目だ。
 久々に良いもんが見れたぜ、今日はぐっすり眠れそうだ。」
また豪快に笑い飛ばしながら男は葉巻を咥えたまま踵を返し戻っていく。
後ろ姿を見送り男は光とけたたましい音のほうへ目を向ける。

―マッスルフェスティバル―
そんな言葉が脳裏をよぎる。店の中は逞しい漢達に彩られ、酒を組み交わし楽しそうにしている。
顔を真っ赤にし腕相撲をしている剣士と戦士、それを取り囲むようにして盛り上がるマッチョ達。
その塊にビールを持ってゆくアマゾネスと呼ばれる逞しいランサー。
みなそれぞれがブラザーと呼び合い、街の殺伐さ、モンスターの恐怖等、
全てを忘れさせてくれる空間が確かにここにはあった。

男は店に一歩はいった場所で動けずにいた。今まで入れかなった場所への到達、
目に広がる光景、そして湧き上がる色々な思い。ここへ来た目的も忘れるほどに―――。
・・・と、ふと一人の男に声をかけられる。
「よぅ、ブラザー。見かけない肉体だな、新入りでごわすか?
そんなとこに突っ立ってないでついて来いよ。記念に一杯おごるでごわすよ。
おっと、自己紹介がまだだった、おいどんの名はサムソン。この店の副マスターをしてる。」

あわてて現実に戻り、サムソンと名乗る男を見る。
この街では珍しい白人系統の男だがやはり素晴らしい肉体を持っている。
「あ、あぁ、はじめまして・・・俺はモハメドだ、よろしく、ぶ、ブラザー。」
慣れない言葉を使いつい照れてしまう。サムソンはそんな俺を見て笑う。
「ははは、緊張してるな、さ、こっちでごわす。」

サムソンの後をついて店の奥へと進んでゆく。周りも自分に気付いたのか
笑顔とボディタッチ、挨拶をして迎えてくれる。
「よぅブラザー!良い上腕二頭筋じゃねぇか!」
「お、新入りか?ここはいいぞぉ、この世の最後の楽園だぜ!」
「うほっ。良い体、や ら な い か」

最後に声をかけて来た変な男の誘いを丁寧に断りつつ少し距離の離れたサムソンに
小走りでついていく。
「ここに・・・あの漢がいるんだよな・・・。」
誰にも聞こえないほどの小さな台詞をつぶやきながら―――。

続く。

309 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/17(月) 22:41:40 [ LVW/cCFA ]
>>戦士見習いさん
サボテンの酒が飲みたいなぁ^^
ビヌヤさん、こういうほのぼのキャラも好きですねw

>>307-308
ものっそい濃い内容の小説がwww
筋肉だらけの酒場って・・、爆笑したジャマイカ^^
でも、ムキムキの槍子は勘弁orz

310 名前: オジさん 投稿日: 2005/10/17(月) 22:45:43 [ DXXt3lTo ]
>>308
>>309
ダブルバイセップス・フロントッ!!
思わずにやけてしまいましたよw
でもシリアス物なんですよね。期待しています。

感想を頂いた方、どうもです。
>287さん
多少の違和感・・・なんでしょうか。
よければ教えて欲しいです(´・ω・`)

さて、多少の違和感を醸し出すオジリウス、
第二話を載せさせて頂きたいと思います。
もしよければ読んで、ダメだしお願いします。
>>282
オジリウス第二話:旅立ち

オジがその少女を見ると、少女は泣いていた。オジには何もわからなかった。
ここがどこなのか、自分が何者なのか。どうして少女は泣いているのか。

『君はどうして泣いているんだ?』

『だって、オジが、オジさんが・・・』
少女は涙を拭いながら言った。

『オジ、それが俺の名前なのか?』
オジの言葉に、少女は驚いた。

『オジさん、覚えてないの?パパとママのことは?ラジさんのことは?』

オジは何もわからなかった。少女はテーブルに飾ってあった写真をオジに渡した。
その写真には若い頃のオジと仲のよさそうな夫婦と赤ん坊が写っていた
『その赤ちゃんが私で、こっちがオジさんだよ
そして、こっちがパパとママ・・・』
そして、少女はオジと彼女の両親について語り始めた。

オジの本当の名前はオジリウスという名前だということ。
オジとその少女、サチの両親はサチが生まれる前からの友人であったこと。
サチの父とオジは昔、一緒に旅をしていたこと。
そして1年前に突然オジとサチの両親が旅に出たこと。

ある日サチが目覚めると、置手紙といつも母が身につけていたペンダントが
テーブルの上にあるだけで、すでに両親は旅立っていた。
サチは両親が旅に出た理由を知らなかった。
しかし、母がペンダントを置いていったことで、サチは理解していた。
両親は多分、この家には戻ってこないのだろうということを。
サチの母親がいつも言っていたことだった。

『サチ、私達はね、普通の人間ではないのよ。
私達は"イレギュラー"、この世界に存在してはいけないもの。
でもね、私は生きたい。だからやらないといけないことがあるの。
私とパパはいつかあなたを残して行かなければいけないの。
明日かもしれないし、1年後かもしれない。
行ってしまったら、もう戻って来れないかもしれない。
約束よ。私達がいなくなっても絶対にこの家を出てはだめ。
それがサチのためであり私達の願い。お願いよ、いつも、生きていることに誇りを持ってね』

そう言いながらサチを抱きしめて、そして泣いた。
だからサチはいつもどおりに生活をして、1年間町外れにあるサチの家で両親の帰りを待っていた。

そして昨日の夜、サチがいつものように森へ薪を拾いに行って小屋へ戻ると、
小屋の前にオジが倒れていたのだった。

オジがサチから聞いたことを整理しているとサチはオジに笑顔で言った。

『オジさん、全部終わったんだね』

『あぁ、そうらしいな。これから俺はどうすればいいのだろうか・・・』
オジの言葉を聞くと、サチは勢いよく2階へ駆け上がっていき、
そして大きな荷物を持って降りてきた。

『オジさんはさ、1年間旅をしていたんだよね?パパとママと一緒にさ。
・・・ねぇ、これから私と旅に出ようよ!旅で訪れた場所にもう一度行ってみたら
オジさんの記憶も戻るかもしれないし、パパとママにも、もしかしたら・・・』

言葉に詰まったサチの目は涙でいっぱいになっていた。
オジはベットから起き上がってサチから荷物を受け取って言った。
『そうだな。旅に出よう。俺とおまえの探し物の旅だ。道案内はおまえがしてくれるんだろ?
俺はなにもわからないからな。』

『うん!任せてよ!』
サチは笑顔で泣いていた。

311 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/18(火) 01:20:19 [ I79/9AcE ]
>>282 >>310 オジさんさん
(*´∀`)アラステキ
話し方から推測してまだ幼いのかなと思われるサチと記憶のないオジリウス。
この二人が旅に出ても大丈夫なのかな?と不安なところもありますが、
二人がどんな旅をしていくのか楽しみですね。
それにしても剣の男はどこにいったんでしょう?

FATさんも書いていましたが名前のところに「さん」をつけると確かに
変になってしまう…でも「さん」をつけないと呼び捨てになってしまう…
どうしたものか…

>>283-284 FATさん
(*´∀`)アラステキ
スレイが仲間になったことはマリーにとってはとても良いことでしたね。
自分を理解してくれる人が近くにいるってのは素晴らしいことですね。

>>286 変な生き物さん
(*´∀`)アラステキ
>ズボンは尻尾が通るように裁縫で穴を作ったりもするな
やっぱり自分で穴開けるんですね。
ノミの問題もあるし、ウルフマンは苦労してるんですねぇ。

>>289 南東方不勝さん
(*´∀`)アラステキ
せっかく致命傷を負わせたと思ったのに再生するなんて…本当に強敵ですねぇ
果たしてレナ達に勝機はあるのでしょうか。

>>305 名前が無い@戦士見習いさん
(*´∀`)アラステキ
サボテンの酒ですかぁ。
南東方さんの言うように確かに飲んでみたいですねぇ。

>>307-308さん
(*´∀`)アラステキ
シリアス物…シリアス物なんですか?
かなり笑ってしまいました。
あの漢とはどんな漢なんでしょうか。続きが気になります。
>「うほっ。良い体、や ら な い か」
ヘタしたらエロ小説行きですね。


さてと、>>304さんが軌道修正してくれたのにもかかわらず少しだけ
言っておきます。
>ユニークスレのckuKeFdさんの「かわいそうだから誰かが感想付けたみたいだが」
感想を書いている者として、この書き込みを見たときは正直悲しくなりましたね。
自分が書いた感想もこんな風に思われているのかなぁと思ってしまいますね。
自分は「かわいそうだから」とか、そういった理由で感想を書いたことは無いですし、
勝手な思いこみかもしれませんが感想を書いている他の方々もそのような理由で
感想は書いていないと思っています。
不慣れながらも一生懸命考えて作ってくれた作品に対して「かわいそう」だなんて
思うことはありません。
感想を書いて、その感想が「かわいそうだから誰かが感想付けたみたいだが」
という風に解釈されて職人さんを傷つける事になるのなら、
今までのように感想を書いていくことは、もうできなくなってしまうかもしれませんね。

はい。じゃあ辛気くさい話はここで終わりにします。
通常営業に戻りましょう。

312 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/18(火) 01:28:47 [ LVW/cCFA ]
>>オジさん様
というわけで、違和感の排除を敢行してみたり^^;
うん、更におかしくなったorz
さてこんなネタはさておき、記憶喪失っぽいオジとサチ嬢の冒険が始まるようですね。
この二人の旅路の果てには、一体何があるのでしょうか。

>>アラステキさん
>致命傷与えたのに回復
つか、イスラフェルで引っ張りすぎですな。自分^^;
そろそろ、殺しますかorz

313 名前: オジさん 投稿日: 2005/10/18(火) 03:10:57 [ DXXt3lTo ]
>>311
(*´∀`)アラステキさんで、いいのかな?w
サチは幼いですか。
俺の中の設定では家事全般ができる年齢なんですが、何歳なんですかねw
剣の男は・・・くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

>>312
南東方不勝さん
やっぱり違和感ありますか。
やっぱり三人称的なのがいけないのかなぁ(´・ω・`)
レッドストーンの世界観と合ってない?(´・ω・`)
というか文才が無い?( ´∀`)
難しいですね(*´∀`)アハ
俺もあなたみたいな素敵なものが書けたらにゃあ・・・

とりあえず鬱になるまで書いてみます。
叱咤激励どうもでした。

314 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/18(火) 16:33:47 [ OEOAHj0E ]



















315 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/18(火) 19:05:00 [ LVW/cCFA ]
>>オジさんさん
作品に対してではないんです。
あなたのハンドルネームにさんをつけるとおかしく感じるなぁ、と自分が勝手に思っただけです。^^;
紛らわしいレスをお詫びしますorzさぁて、B5コロの説教を受けてきます。裸で。

316 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/19(水) 02:51:48 [ DXXt3lTo ]
>>南東方不勝さん
そうでしたか。それじゃこれからはゲームで使ってる名前を使っていきますよ。
なんだかいろいろごめんなさいね(´・ω・`)

>>FATさん
最近この板を知ったもので、みなさんの作品を読んでいなかったのですが、
FATさんの作品を一気に読ませていただきました。
いやぁ、面白いですねw
設定がしっかりしていて感動(´・ω・`)
ともぴは特に心理描写?的なもののふいんき(ry)が好きです。
これからも楽しませてくださいね( ´∀`)

他の方の作品も時間を見つけて一気に読ませていただこうと思っています。
その時は遅れた感想をお許しください

317 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/19(水) 13:11:52 [ M8smiGao ]
>>230 >>237-241 >>250
>フィーナ=ラフィーナ

 というわけで、踊るキクロ亭(さっきまで私たちがいた酒場ね)を出た私たちは、フィリップさんについてビショップさんの待つ中央広場へと歩いていた。
 ミーアはまだ仕事中だから酒場に残ってて、代わりと言う訳じゃないだろうけど、あのクリムスン商会の看板娘、ドロシーさんがついてきている。

 あの人、普通にポーション売っているときは上品だけど、結構ハードな性格してたんだね。
 確かに、この間しつこく言い寄ってた戦士を撲殺したとかって噂が流れてたけど……真実?
 ちょうど私の目の前を歩いているから、背負っているぴかぴか輝く木の棍棒――エンチャントと言うより物理的改造だろう、無数の釘が打ち付けられている――が嫌でも目に入る。
 木の棍棒というよりむしろ、棍棒DXとかLXとかそんな感じかも。
 何より、そんな物騒なものを背負っていても違和感がないほうがなんともはや……。
 私服に投げ槍というベレッタさんの方が浮いて見える。

 閑話休題。

 で、相変わらず人の多い噴水前。
 露天やメンバー募集の冒険者で溢れているその一角に、けれど周囲とはどこか違う雰囲気の一人の男の人がいた。

「やあ、わざわざ来てもらってすまないね」
「いえ、こちらこそ。先日はお世話になりました」

 と、言うことはこの人が、

「フィリップが言ってたのは君たちか。俺はアイラム=ドラツァリース。まだ未熟だけど、神に仕える神官だ」

 気さくに言って、けれど丁寧にお辞儀する。
 ビショップと言う言葉から連想するような厳格な感じじゃなくて、もっとこう……人の良さそうなお兄さんみたいな感じだ。
 フィリップさんのお兄さんと言われたら信じてしまうかも。

 男の人なのに肩より長く伸ばした髪は、けれど少しもだらしなさとかを感じさせない。
 ひょっとすると、私より髪質良い?

 それより何より、うまく言葉にはできないけど、どこか神秘的な感じのする人だ。
 ロマの血でも混じってるのだろうか? 普通の人間より、ケルビーとかウィンディとか、精霊たちに近しい気配がする。

「俺の顔に、何かついているかな?」

 思わず見とれていたんだろう。
 アイラムさんの言葉に、はっと我に帰る。

「あ、いや――ううん。なんでもないです」

 後ろでドロシーさんが、「一目逢ったその日から〜恋の花咲くこともある〜」とか歌ってるけど、無視。
 代わりに助け舟を出してくれたのは、ベレッタさんだ。

「で、ドラツァリースさん。あたしたちに頼みたい仕事ってどんなのなの?」
「アイラムで構わないよ。アンブロシアさん」
「あたしもベレッタで良いわ。その方が楽だし」
「じゃあそうさせてもらおう。それで、仕事の方だけど……」

 アイラムさんの話をまとめてみる。

 発端は、クェレスプリング湖にほど近い、小さな伐木村。
 時折モンスターが現れることはあったが、しかしそれほど大事にもならなかったその村だが、山奥まで木を伐りに行った一人の村人が、そこでアンデットの群れを見つける。
 まだ村に被害は出ていないが、やがて人里にやってくるのも時間の問題。
 ただし、その山奥は普段人が入り込まないような奥地で、アンデットの温床となるような墓地などまったくなかったらしい。
 だから、アンデット駆除だけでなく、その原因も突き止めて欲しいと言うのが依頼の内容。

 アイラムさんはビショップだから、単純にアンデットを払うだけならお手の物。
 でも、相手が多いと前衛がいないと危険だし、何より探索は専門外。
 そこで、私たち――というか、フィリップさんに声がかかったと言うわけらしい。
 まあ、そこで偶然、おまけとして他のメンバーもくっついてきたわけだから、渡りに船ってわけだ。

「なるほど……あたしは異存ないし、フィリップには聞くまでもないわよね。フィーナはどうする?」
「いや、一応僕にも聞いてほしいんだけど……」

 放置されたフィリップさんが目の幅涙を流してるけど、とりあえずスルー。
 で、私はと言えば、

「ん、もちろん参加させてもらうわ。アンデットの大量発生とか、こんな面白そうな話、見逃す手はないしね」

 吟遊詩人の真似事をしている者として、こういう出来事は見逃せない。
 それに、このチームに、ちょっとした興味も出てきたしね。
 あのアイラムって人、一体何者なんだろう……?

318 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/19(水) 13:13:08 [ M8smiGao ]
あ、名前入れ忘れた;;
とりあえず、教室移動しなきゃならないんで投下のみで。
感想はまた講義中にでも〜(ぇ

319 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/19(水) 13:31:45 [ hNlLsBE2 ]
>>オジさん(敬称)
なにやら悲しいお話
これからどんな旅をすることになるのでしょうか

>>307-308
ツボにはまりました
マッチョなシリアスになりそうですね

>>サマナの人さん
ドロシーの持ってる棍棒は凶悪ですね
アンデット相手に釘バットが炸裂するのでしょうか?

>>南東方不勝
イスラフェル強いですね
これからバトルはどうなるのでしょうか?

>>(*´∀`)アラステキさん
毎回感想をありがとうございます
心よりお礼申し上げます

余談ですがサボテンを煮詰めた後に発酵させると
テキーラ(知人曰く)が出来上がるらしいです

320 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/19(水) 17:56:21 [ xwYWgSV. ]
>>230 >>237-241 >>250 >>317

>フィリップ=オウギュスト

 さて、冒険を始めるにあたって、僕とベレッタには一つの問題があった。
 それに気づいたのは、バイトを終えたミーアさんが合流し、ドロシーさんをクリムスン商会まで送って行った時のこと。

 店の前で、一人の男が手持ち無沙汰に立っていた。
 手に持っているのは長い杖。
 深い緑のコートが風になびき、読んでいるのかポーズなのか、青い装丁の本を広げている。

「魔術師よね。何してるんだろう?」

 ベレッタの言葉が聞こえたのだろうか、その男がこちらを向く。
 と、その顔がぱっと明るくなり、同時に背後のドロシーさんがしゃっくりのような声を上げた。

「やぁ、ドロシー。今日はどうしてたんだ? せっかく君に逢えるのを楽しみにしていたのに、来てみたらいるのは干からびかけた婆あ――」

 めきょ、という音がした。
 フィーナちゃんがみ゛ょ!?という悲鳴を上げ、ベレッタも息を呑み、アイラムさんが十字を切り、ミーアさんはあらあらと口元に手を当てる。
 男の頭に、店内から飛んできたフライパンがドラスティックに突き刺さったんだと認識できたのは、軽薄そうな笑顔を浮かべたまま男が真横にぶっ倒れてから。
 僕なんかじゃ足元にも及ばない、見事なシューティングスターだ。
 そしてフライパンには、こんな叫びが付随していた。

「誰が婆あだ。あたしゃまだ若いよ!」

 倒れた男は動かない。
 日も傾き始めた古都に、静かな沈黙が舞い降りる。

「一応、ヒールを試してみるべきかな?」
「むしろリザじゃない?」

 そういう問題じゃないと思うんだけど……。
 と、ドロシーさんが無造作に倒れた男のところに歩いて行く。

「待つんだ、ドロシーさん。警邏隊が来るまで現場を保存しておかないと!」
「大丈夫ですよ。単なる決定打ですから」

 そう言ってドロシーさんが男のそばに近づいて行った瞬間、男が倒れたまま、体勢は変えずにずりっと、ドロシーさんの足元へと移動し、だが顔面を踏みつけられる。
 そう言えば、ベレッタ以外の女性陣はみんなスカート履いてるんだ。

「ほら、こんなに元気ですよ」

 ぐりぐりとつま先をねじる。
 だが、男は笑って、

「ハハハ、相変わらず君の愛情表現は過激だな、ドロシー」

 ひょっとして彼は魔術師の姿をした剣士なんじゃないだろうか?
 あまりといえば、あまりにグゥレイトなガッツだ。

「えと、知り合いなの? この変態」
「その通り。俺様とドロシーは運命に結――」
「全然まったく欠片も知らない人です」
「い、言い切ったわね……」
「ふ、照れなくていいんだぜ、ドロシー」

 踏まれたままかっこつけられてもなぁ。
 いや、足をどかそうとすると――その、ごにょごにょ――が見えるから、ドロシーさんは踏み続けてなきゃいけないのか。

「ドロシー様、お手伝いしましょうか?」
「あ、Yesだね、ミーア。やっちゃって」

 では、とミーアさんが言って、わずかに構えをとる。
 って、彼女本当にメイドなんだろうか? メイドにしてはやけに洗練された動きだけど。
 そして、ドロシーさんがわずかに足を緩めた瞬間、足元の男に強烈な払い蹴りが入る。

「これで覗かれずにすみましたね」
「お粗末さまです」

 だが、男は全然堪えていないかのように優雅に立ち上がる。
 顔に靴跡をつけたままで、

「まったく、照れ屋だなぁドロシーは」
「ハイネさんは相変わらず変わりませんね」

 そう言ってドロシーさんがため息をつく。

「あ、やっぱり知り合いなの?」
「不本意ですけど。結構高レベルの魔術師さんらしくて、最近よくお店に来るんですよ」

 なるほど。

321 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/19(水) 17:57:25 [ xwYWgSV. ]
うわ、またミスった;;; しかも今度はsage忘れ;;;;;



「ふむ、見たところあんたらはクエストに向かうところだな? 狩場ならいざ知らず、古都内で他にPTを組みながら歩く理由がない」
「唐突に何よ」
「いや、見たところ火力に難のあるPTのようだからな。よければこの大魔術師、ハイネ=シュバルツバルトが火力枠として入ってもいいぞ」

 僕の役割は壁剣士。ベレッタが前衛で、アイラムさんは回復役。フィーナちゃんはサマナーだから中衛で、ミーアさんは……さっきの動きを見る限り前衛か。
 確かに、決定的な打撃力には欠けている気はするなぁ。

「そうだね、そうしてもらえるとありがたいかな?」

 そう言った瞬間、

「待て待て待て待てっ!」

 ベレッタの声が飛ぶ。
 いや、目の前の魔術師――ハイネには聞こえていなくて、けどフィーナちゃんたちには聞こえてるのか。

「会話対象をパーティメンバー限定にして話してるのよ。だからあの男にも、ドロシーにも聞こえないわ」
「あ、なるほど」
「差し出がましいようですが、わたくしもあの方を入れるのは少々……」
「うん。私もミーアと同意見」
「俺は神に仕えるものとして、差別なんてできないが……うん」
「ごめん、もう遅い」

 彼がパーティに入ったことを示すシステムメッセージが流れ、メンバー限定会話に彼が参加する。
 申し込んじゃってたんだけど、問題あったかな?

「おお、よろしく。まあこの俺様が入ったんだ。大船に乗ったつもりでいてくれ」

 と、一旦メンバー限定で言った後、即座に通常に切り替え、

「というわけでドロシー。俺様はこれからこいつらと一緒にクエストに行ってくる」

 何だろう、ドロシーさんが哀れむような目でこっちを見てる。

「そこで、だ。ポーションを売ってもらえないかな? あんな婆――ゲフン、お年を召した女性でなく、君手ずから」

 で、ようやくそこで冒頭の問題に気づく。
 ポーションを買うお金がないんだ。
 僕も、ベレッタも。

「あ、ベレッタさんたちも、ポーション買いますよね。店から在庫を……どうしたんですか?」
「あのさ、ドロシー。出世払いとか、ツケにできないかな?」
「僕も……できれば」

 とは言ったものの、そうそううまくはいかないよなぁ。
 と思ったら、

「ひょっとして、二人ともお金なし?」

 フィーナちゃん、直球な聞き方だね。

「んー、だったら……」

 言って、フィーナちゃんはベルトの脇を軽く叩く。
 そうして目の前に浮かんだ、×10と書かれた赤い小瓶のアイコンを4つ、僕に向かって投げる。

 承認しますかY/Nというシステムメッセージに、

「いいの?」
「ん、自分の分はある程度残してあるし、私はあんまり使わないから」
 
 ミーアさんはベレッタに、同じようにポーションを渡している。

「自前で応急処置くらいはできますよ、メイドですから」
「んー、じゃあ……」
「うん、ありがたく借りておくよ」

 そう、借りておこう。
 冒険が終わったら返すために。

「じゃあドロシー、君は俺にポーションを――」
「10個で5000ゴールドになります」
「旅立つ俺様への愛の証に――」
「5000ゴールドになります」
「俺――」
「5000ゴールドです♪」

 あ、背中が泣いてる。

 ……まあ、そんなやり取りを経て、

「クェレスプリング湖近くまではブレンティル行きの乗合馬車がある。護衛ついでに便乗すれば、半額くらいで乗れるだろ」

 アイラムさんの言葉に従い、僕らはアンデットの被害にあっているという村へと向かった。


 その先に何が待ち受けているかも知らずに……
 と、最後につけるとドラマティックになるって、途中の馬車でフィーナちゃんが言ってた。

322 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/19(水) 18:00:04 [ xwYWgSV. ]
教室変わったときは、とにかく名前と、sage入力をしておかないと……
犬に乗ってソゴム登山道駆け抜けてきますorz

323 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/19(水) 18:55:47 [ LVW/cCFA ]
コロの説教は効きますね。一発で反省の手伝いをしてくれました。
>>戦士見習いさん
テキーラですか・・。未成年で飲め(ry

>>サマナの人さん
ムッツリWIZ降臨ww
その熱意に乾杯ですね^^
そしてクリムスン祖母孫の御ふた方には、逆らわないほうがいいですね^^;
デビ様も真っ青な戦闘力ですね^^;

324 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/19(水) 19:51:46 [ 5NfhDlAg ]
>>317 >>320-321 サマナの人さん
(*´∀`)アラステキ
なぜ山奥にアンデッドの群れが現れたのか、原因は一体何なんでしょう?気になりますね。
あとハイネの戦闘力にも期待しておきましょう。高レベルのようですので。
>しつこく言い寄ってた戦士を撲殺
とても残念な理由で死んでしまった戦士さん…親にあわせる顔がないですね。

>「その先に何が待ち受けているかも知らずに……」と、最後につけるとドラマティックになる
さすが吟遊詩人ですね。キチンとポイントをおさえていらっしゃるようで。

>>(オジさん改め)ともぴさん
>サチは設定では家事全般ができる年齢
うわぁ…すいません!
オジと両親が旅に出ていた一年間、サチは自分で家事をしていたと考えると
幼いってわけではないみたいですね。
サチは一年間親戚か誰かの家にあずけられていたものだと勝手に解釈しておりました。
申し訳ない。
家事全般ができるのならサチは結構しっかり者みたいですね。
それなら記憶のないオジとの二人旅も大丈夫ですね。

>>名前が無い@戦士見習いさん
テキーラってサボテンから作られていたんですね。知りませんでした。
ということはメキシコにはサボテンが沢山あるのかな?
テキーラといえばメキシコですよね?
「メキシコ=プロレス、タコス、マラカス」ってイメージしかないからなぁ。

325 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/19(水) 20:49:34 [ LVW/cCFA ]
>>289
「そらそらそらそら。どうした、それで攻撃のつもりか?」
聖剣(エクスカリバー)の力を解放したイスラフェルは、その驚異的な再生能力を武器に攻めの一手だった。
ギルや私の攻撃を受けても、それに意識を向けることはせずに斬りかかる。
「この野郎、いい加減に・・・・逝きやがれ!!」ギルがそう叫ぶと同時に、イスラフェルの体がひしゃげる。
どうやら、あいつの体の関節という関節を砕いたようだ。しかし、それでもあいつは
「効かぬ、効かぬ、効かぬぅぅぅぅ!どうした、もっと足掻いて見せろ!?」
そんな事には目もくれずに、斬りかかる。どうやら、すでに関節の再生は完了しているようだ・・。
(しめた、後ろががら空きじゃない・・!)私はすかさずに、弓に矢を番える。
狙うは後頭部、当たれば大抵の人間は即死する。いくら人間で無い存在でも、肉体は人間の物なのだから何らかのダメージは与えられるはず・・。
ヒュン、と放たれた矢は寸分たがわずに後頭部に突き刺さる。それと同時にあいつの動きが止まる
(これならば・・。)そう思った瞬間、剣の雨が襲い掛かってきた。
「・・・っ!」私は唇を噛み締めながらギルの分身と一緒に次々と襲い掛かる剣を撃ち落す。
(どうすればいいの・・?)私とギルの戦闘スタイルは、正確に相手の急所を突くことだ。
だが、あいつは急所を突かれても即座に再生する。ここまで、相性の悪い組み合わせはそう無いだろう。
もちろん私とてその弱点を克服するために、魔法矢を扱っているわけだが一撃の重さでは狙撃には劣る。
「でも、あの再生能力だって無限ではないはず・・。」私はそう呟いた。
魔法矢を扱っているせいか、私もそれなりに魔力を感じることが出来る。あの人の剣は、あいつの瘴気に耐え切れていない。
あいつが再生するたびに、あの人の剣が軋むのが感じ取れる。
それもその筈。本来、エクスカリバー自体に再生の魔法はかかっていない。
それをあいつは、元からかかっている魔法に働きかけ無理やり発展強化させているのだ。
過ぎた力は身を滅ぼす、おそらくあの剣は崩壊するだろう。だが、それが何時になるかは分からない。
「がっは!!」だんっと、ギルが壁に叩きつけられる。残っている分身は私の護衛用を除いてたったの3人。
「くはははは。どうした、もう立てないのか?無様だな、小童!!」
「ふ・・ざけんな!!まだ、オイラはまだやれるぞ・・・。」ふらふらとギルが立ち上がる。すでに体は限界のようだ。
「ほう、まだ立ち上がるか。流石、我に8回も致命傷を与えただけのことはある。」
どうやら、あいつの注意はギルに集中しているようだ。・・・、チャンスは今しかないかも知れない。
私は鞄から、シローの形見を取り出す。逃げることを承知しない私に預けたあの人の4本目の剣を・・。

ふらふらになりながらも、オイラは奴をしっかりと見据える。
「畜生、あの再生能力が無けりゃ一発なのに・・。」オイラはそう言い捨てる。
あの能力は厄介だ。首の骨を折ってやったのにも関わらず、ぴんぴんしてやがる。
だが、戦っている中で気付いたことがある。奴の剣についてだ。
オイラのガントレットと打ち合うたびに強度が落ちている。どうやら、相当無茶に扱われているようだ。
しかも、奴はそのことに気付いていない。まぁ、戦い方からして、武器の耐久度を考えていないようだ。
「どうした、立っているだけで精一杯か?では、これで終わりにしてくれよう!」
そして、奴が踏み込んできた。垂直に振り下ろされる太刀筋をかわし、払い蹴りで奴のバランスを崩す。
間髪いれずに、奴の顔面に向かってダブルスローを放つ。放たれたブラックソーンが奴の眼球を潰す。
「ぬぅぅ、賢しいわ!」だが、やはり再生される。しかし、最初の時と比べると若干速度が落ちている・・!
奴が体勢を直し切らないうちに、正拳突きをボディーに叩き込む。一瞬奴がよろめくが、その刹那、パラレルが放たれる。
「くっそ・・!」辛うじて8人分の突きを避ける。しかし、甘いと言わんばかり周りの剣が襲い掛かってくる。
「ちっ!」しのぎ切れずに分身を1体やられた。
「ふはは、自慢の分身も残り2体だな。いい加減に諦めたらどうだ?」
(まだだ、まだいける。)そう自分に言い聞かせ、再び構えを立て直す。
「ほう、まだ足掻くか。まったくつくづく人間と言う・・・」奴の言葉が途切れる。
そしてレナの方に向き直り、
「莫迦な、何故貴様がそれを持っている!?」そう叫んだ。

326 名前: RED STONE silver wolf 六章(1) 投稿日: 2005/10/20(木) 01:08:04 [ 3jhGaVvs ]
・古都ブルンネンシュティグ 没落貴族の屋敷裏の屋敷
戦いは終わり、朝日が完全に顔を出していた。
そして5人は町の北西にある「サピエンテス・ラディアンス」という札が付いた屋敷の前に立っている
屋敷は屋根が一部だけ壊れているが外見ではたいした被害はない。

「ここに来るのはもう1ヵ月と3〜4週間ぶりか?」
「全然来てないからなールエアス、じゃー入りますか」
そう言って大きなトビラを開けて中に入ると、中は立派な作りでなかなかゴージャスだ
いろんな人が忙しく走り回って、落ちてる瓦礫を運んだり壊れたシャンデリアを外したりしている

「…ほぉ…随分と凄い屋敷ですね」
「ロイドもそう思う?ま、90人以上もいるギルドだからこれぐらいじゃないと逆にナメられるな」
「90人も!それは凄い…」

ロイドとリディスが雑談をしている最中にアーネイトは受付でなにやら係員に聞き始める
係員に何かを聞いた後、ホッと溜息をついてギオに話し掛ける。
「ギオ、ネファはかすり傷程度で今は寝てるってよ」
「ああ、よかった!ネファに何かあったらどうしようかと…」
「とりあえず今は側に居てやりな、俺は家が心配だし帰るからな」
「あれ、アーネイトさん帰っちゃうの?」
「まぁな、じゃ、そういうことで」
そのままそそくさと帰ろうと振り向くが、目の前に金髪のウィザードが立っている

手にはくねくねと曲がった魔法の杖、そして性能のよさそうな衣装を着ていた。
「ぃよーう!アーネイ㌧元気にしてたー?」
「…出たな魔力馬鹿」
「ヒデェッ、このセルベイン様を馬鹿なんて言いやがってぇ〜!犬」
「犬って言うんじゃねぇ!」

お互いとも思いっきりにらみ合い、ガルルと牙を出して唸りあっている、しまいにはお互い噛み付きそうだ
4人とも水玉型の汗を垂らしてそんな光景眺めている。
「あの、アーネイトさん、ギルドマスターとは知り合いですか?」
「知り合いっつーか腐れ縁…、ってなんでコイツがギルドマスターなんてわかったんだ?」

「そりゃわかって当然!だってアーネイ㌧が来なくなって1週間後、ギルドに加入したんだよ彼女は〜」
「マジカ!セナさんと同じギルド!!こ、これはもう運命!?」
「ま、それは 置 い と い て、5人の活躍は聞いたぜ〜、なんでも大活躍だったそうだな
  俺様達がギルド戦でスバイン要塞へ行ってる最中に魔物襲撃、そしてたった5人でせまり来る魔物を
  バッサバッサと圧倒!いやぁいい部下を持って俺様幸せさ!」
調子に乗ってるセルベインを眺めてニヤリと笑みを作りながらアーネイトが尋ねる

「で、ギルド戦はどうだったんだ?」
「ゔっ…またまた痛いところを…、指揮官のアンタが外れてからギルド戦じゃここんとこ
  黒星ばかりでなきそうなんだってーの」

「まったく「指揮官兼策略家なんざ俺様でじゅーぶん!」って言ってたのにそんなもんか」
「ま、まぁ『犬』よりは俺のほうが戦略家の素質はあると思うがねぇ」
「一度も俺とのチェス試合で勝てないくせに?」
「…俺様とやろうってのかいワンコ」
再び牙を剥き出して唸りあう、ギオが気を利かせて割って入らなかったらお互い飛び掛ってた
「おっと、牙を剥いてる場合じゃないな!俺様達は建物復旧とか色々あるんでね
  …なぁ、手伝ってくれないか?ギルドメンバーは45人ぐらいしかまだ集合してないから手間取ってるんだ」
「私は用事が特に無いし手伝えるけれど」
「セナさーん、俺も俺も」
「私も特に用事はありませんよ」
「僕はネファの様子さえ確認したらすぐに手伝えるけど」
全員の意見を聞いてからアーネイトは軽く2つ返事で答えた

「ま、そのかわり昼飯ぐらいはおごってくれよ?」
「リョーカイ、そんじゃとりあえず建物の修復をよろりっと、俺様にも仕事があるんでなー ノシ」
そう言って足早に屋敷の奥へ歩いていった。
「さて、さっそくだが仕事の割り当ては・・・」

327 名前: RED STONE silver wolf 六章(2) 投稿日: 2005/10/20(木) 01:09:45 [ 3jhGaVvs ]
「お、おーもーいーいーいー…」
瓦礫を必死になって外へ運ぶリディス、瓦礫を外の瓦礫置き場に置いた頃にはもう肩で息をしている
「ッあーあーあー!糞重い!なーにが体力トレーニングの一環だ!調子悪いのに」
「大丈夫ですかリディスさん」
ロイドはリディスの心配をしながら瓦礫を運んでいく
軽く見てリディスの2倍はあるであろう大きさの瓦礫をひょいひょい運んでいく。
そして軽くリディスの心のライバル心に火がついた、毎度ながらくだらねー事で火がつくのだ。
「あまり無茶をしないでくださいね、手伝いましょうか?」
「フゥーハーハー!俺をあなどるなよっ、と!」
屋敷に積まれた瓦礫の山に手をつっこみ、先ほどより5倍(当社比)の量はある瓦礫を持ち上

≪ゴキッ≫  ― Crash ―

「ぬぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ......」
「だ、大丈夫ですかリディスさん!」
「ふ、ふっ…こ、これぐらいっ…屁も、出ねぇぜ…」
背中にとんでもない音が鳴り、900という赤数字が宙に浮いたがそのまま千鳥足で瓦礫を運んでいく
そして運び終わったと同時にリディスは真っ白に燃え尽きて天へ召された。
「ああああ!ふ、フルヒーリング!フルヒーリング!!いやリザレクション!」
「…ったくなーにやってるんだアイツは」
その様子を屋根の上で眺めてるアーネイトは軽く笑いがこぼしながらも作業を続ける

ウルフマンにしては器用な手つきで釘を持ち、板の隅にある溝に釘を刺してから金槌で叩く
下の木材置きからセナが一生懸命運んでくる板をうけとり、着実に直していく
天井に空いた穴をひとつ修復してから何かを思い出し、セナに話し掛ける。
「セナ、ひとつだけ聞きたいことがあるんだが」
「ん?なに〜?ひとつだけだよ」
「あの漆黒の大剣を持つ男とどういう関係だ?」
その質問がされるとセナは少し黙り、沈黙が巻き起こるが何かを心で決めて口をひらく

「あの男は私の仇…、2年前、私の家族を襲って私以外の家族を全員殺したの
  父上 母上 祖父 祖母 姉さん 執事…みんな死んだわ、私を残してね」
「…そのネックレスは…」
「予想どおり、最後の誕生日プレゼント」
ネックレスをどこか寂しそうに見つめながら、握る
思い出と決意が詰まっているであろうネックレスは光を浴びて淡く輝く。
「あいつが「邪魔をした」って言ってた…、多分、何かのトラブルがあって殺したんだと思う
  私はあいつを見つけたら……これでもかと徹底的に殴って、真相を聞くつもりよ」
「悪ぃ聞いちゃいけない事聞いちまったな」
「まっ、おかげで少しは気が軽くなったような感じがするわ」
にっこりと笑顔を見せて、再び作業に戻った。

「…セナさんにはそんな過去があったのかぁ」
取り外す予定の壊れたシャンデリアの上に乗って屋根上の話を聞いているリディス、凄く怪しい。
 …この数分後、シャンデリアがリディスの体重に耐えられず落ちた事はあえて語らないでおこう
下の階ではリディスとロイドが散乱した部屋を片付け、セナとアーネイトは屋根の修復を手伝う
お互いとも助け合い(競い合い?)つつギルドメンバーと共に着々と仕事をしていった
 - なんだかんだで2時間が経過した頃 -

「ふー!屋根はひととおり直ったわ」
屋根を見渡すと壊れてた場所と壊れてない場所の見分けがつかないほどまで修復されていた
汗をタオルで拭き取り、屋根の上で寝転がる。
「さーて、あとは下の階の手伝いでもするか」
「その必要はないぜっもう下の階は終わってるぜ〜」
ハシゴに目線を向けるとリディスがひょっこりと顔を出した、と同時に3人の腹の虫が鳴き声をあげた。

328 名前: RED STONE silver wolf 六章(3) 投稿日: 2005/10/20(木) 01:13:30 [ 3jhGaVvs ]
古都の一角にあるしゃれた店「勇者亭」
目玉焼きから始まり高級なワイン・ビールまで置いてある料理亭だ
酒目当てで来る人も少なくない、故に昼間はさほど混んではいない。
修復作業を終えて一息つく人々が集まる中、6人はそこにいた

「マスター!ビーフシチュー追加!おっ、あとこのガーリックライスも!」
「店長ー俺はたらこパスタを追加で!」
「私はこのオススメメニューの日替わりリゾットを追加してください」
「マスター、コーヒーのお代わりをお願いします」
「僕はこのカツカレーを追加で」

「お、おいおいおいおいおいおいぃぃぃ、おまえら食いすぎでしょーがっ!少しは俺のサイフの心配も」
「俺達のおごりをするんだからこれぐらい覚悟しとけって、昨日のせいで夕飯は食えなかったしな
  朝飯だって家の修理のおかげで簡単な物しか食えなかったし」
ガツガツガツと5人は料理を食べ、空にはカラの皿や骨がぽんぽんと飛ぶ
セルベインは料理の合計金額を計算していたが、思い出したかのように話し掛けた。
「ところで、ギオー ネファの調子は?」
「疲れて熟睡してる、さっき一回起きたけどまた寝たけどな」
「そうか、そんじゃ夕暮れに5人、いや正しくは6人に頼みたい事があるんだが」
「またおごってもらうぞ」
「い、いや今度はちゃんとしたクエストだからオゴリとかはナシな、ちゃんと報酬品を出す」
未だ止まる事を知らない食いっぷりを見てからオゴリという方法を避けた
昼飯でこれだ、クエストを終えた直後の夕飯じゃ破産しかねない。
 そう悟ったセルベインは話を続けた
「今回の襲撃事件で民家に何者かが侵入し、物を奪われる被害が続出した
  だが、一部のギルドのような場所では「計画的な」集団泥棒があった、同じような手口が何件も」
「火事場泥棒ならぬ騒動泥棒ですかっと、でギルドマスター、目星はついてるのかぃ?」
「ある程度ついてるが調査中だ、まぁ夕方になれば…おっと来たな」
勇者亭の入り口から一人の青いローブを着た紫色の髪をしたサマナーが入ってきた
無論ネファだ、ギオはすぐに席を立って歩み寄る。
「ネファ!大丈夫だったのか!」

「かすり傷程度よ、ったく心配性なんだから!少しは自分の心配と他人の心配をしなさい!
  今回は他人を助けたあたりは誉めるけど、相変わらず自分を大切にしないあたり…」
…どっちが年上なのかわからないような事をガミガミ言われている
ギオはただただ小さくなるのみだった、しまいにはネファよりも小さくなりそうだ。
ウォークライでも発動してるような説教を終えてから、ポカンとしてる5人の前に立った
「どうもギオがお世話になりました、ネファ・ルルムと言います 宜しく」
そう言って丁寧にお辞儀をした
『ってアンタもよ!』
そう小さな声で言って側で立っているギオの急所に後ろ蹴りを当て、強制的に前かがみにさせた
その光景を見た5人は一瞬にして2人の上下関係を把握した、一瞬にして。
「ネ、ネファさん、あの時、宮殿前で倒れてましたけどどうしたんですか?」

「宮殿前でギオ待ち合わせをしている最中に魔物が襲ってきて、それで気絶してしまったんです…」
「待ち合わせ?ネファ、待ち合わせ場所は確か銀行前 グホッ!」
ネファの肘打ちが腹部にクリーンヒットして再び前かがみになった
5人はこれ以上この話題を続けるとギオが逝ってしまうと悟り止めた。
「おっと、飯も食い終わったし俺はそろそろ帰るぞ、また夕暮れの時に会おう、じゃ」
「あ、俺もー」
「おごっていただきありがとうございます、では」
そう言って足早に4人は帰っていった
「あらら、それじゃギオ、帰りましょうか」
「イデデ、そうだね、それじゃ」
さらに2人組も帰り、テーブルにはセルベインと皿だけが残った
そしてマスターが会計が書かれた紙を置いてカウンターへ戻る、恐る恐る紙を見たセルベインは
…驚愕のあまり顎が外れた

「…は?ナニコノキンガク、ナニコレ、チョ、マ、オ、エエエエエエエエエエエエエ!!!」


後の話によれば「市民登録額の方が安い」と言ったとか言わなかったとか。

329 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/20(木) 01:20:16 [ 3jhGaVvs ]
小説やっとこさUPーした変な生き物(属性:アンデット)です
いやあこれオマケに入れようかとしたけど、一応ストーリーに関係するシーンや話があるので
章として部類しますた、戦わずに終わる章もいいかなー…。

…うん、よくねぇッ!よくねぇッ! OTZ

感想は朝にしまふ、ネムイノサ… ZZzz....OTZ

・今までのRED STONE silver wolf
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105(三章)前>>160-162>>176-177
(四章)>>209-212 (五章)>>261-266 (オマケ)>>121-122

330 名前: sin 投稿日: 2005/10/20(木) 11:42:19 [ hkXJqf/w ]
初めて書き込みさせていただきますー
自信は無いですが小説書いてみましたorz

「カキィン!カキィン!」すさまじい音を立て剣と剣がぶつかり合う
「ちぃ・・中々やる・・」彼はソロ人生10年のベテラン剣士ゴルヴァ
ソロで地道にLvを上げ今新しい狩場に来たところだった
「でやぁ!」その掛け声と共に彼の体は8つにも分身した一斉に突きを入れ
「ドッドドドド!」という音と共にモンスターは崩れた
「はぁはぁ・・・思ったよりポーションを消費したな・・一度街に戻るか」

そうしてやってきたのは古都ブルンネンシュティグ此処は誰もが一度は訪れた事のある
規模のとても大きい街だ
ソロ道10年と言えども恋はするということなのだろうか彼は片思いをしている
何時も行き着けのドロシーの店に行った
「あらゴルヴァさん今日も狩りですか?精が出ますね」
「ぼ、冒険者として強いモンスターと会うのはゆ、夢だからな」

彼は顔を赤らめながら言った

「夢を追いかけるのも良いですけどお体には気をつけてくださいね、毎回怪我をして来るから心配で・・」
「あ、ああ頑張るよ」
「はい。それはそうとゴルヴァさんは何時も一人ですけど・・友達いないんですか?」



片思いの人にそんな事言われたら誰でも落ち込みます
「いないわけじゃないんだが・・一人が好きなんだよ」
「そうなんですかぁ」

「カランカラン」

そう行ってドアが開いたそこには知り合いの姿があった

「ぁ、ゴルヴァじゃないこんなとこで何してんの?」

彼女はランサーのシルス=クレイドルだった華奢な体をしているが、スピードそして何より
彼女自身の腕が良かったどんな攻撃もひらりと避けてしまう彼女のスピードは自分も欲しいとすら思ったこともあった

「こんなとこでって・・・冒険者がよろず屋に買いに来る物なんて二つだけだろ」

そっけなくそう返答した

「んー・・・ポーションと・・・恋?」

「ガシャーン!」

ゴルヴァはキャラ的にもなくこけたもうそれは尊敬するぐらい

「ポーションとチャージポーションだろうがよ、恋ってなんだよ恋って」

「あ・な・た・の事」

そう簡単に乗せられる物かゴルヴァは軽くスルーした

「ドロシーちゃん知ってるゴルヴァはあなたのこと・・す」

そう言い掛けたシルスの頭の上に☆が舞っていた

シルスの足元にはゴルヴァの愛刀が落ちていた

「シルスさん!?」

ドロシーは気絶しているシルスに気がついたのか近寄ってポーションを飲ませていた

ゴルヴァは疾風のごとく落ちてる剣を拾いあたかも心配してる用に見せた

「私はもうダメよ・・・最後に・・ランスを装備したかった・・ガクッ」

最後にねだるなよ!?

ゴルヴァは心底そう思った

結局シルスは死んだ振りだった。

ゴルヴァの果て無き旅路は続くのであった。

331 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/20(木) 12:31:58 [ gpdLsqag ]
>>330
句読点をしっかりつけるよろしー

332 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/20(木) 12:45:35 [ DXXt3lTo ]
>>325 南東方不勝さん
一体なにを持っているんだ・・・
気になります。
U画像一覧を見ながらハァハァしてますね(´・ω・`)

というわけで、オジリウス第3話を載せさせていただきますね

333 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/20(木) 12:46:16 [ DXXt3lTo ]
>>310

オジリウス第3話:帰郷

オジ達は旅立つ前に、オジの家へ行くことにした。
オジの家はサチの小屋から山を一つ越えたところにあった。
それは町外れというより、山の中という表現が正しい場所にあった。
一年間、家主を失っていたわりに、その家はとても綺麗な状態であった。
とてもサチの両親とオジの3人で建てたとは思えないほど
立派な家は、山の中で一年間、そのままの姿で家主の帰りを待っていた。

『昔は私もよくここに連れてきてもらってたんだよ』
サチは昔を懐かしんで楽しそうで、しかしどこか寂しそうであった。

サチが扉を開けようとした時に、おかしなことに気がついた。
家の鍵はサチが持っていた。
オジとサチの両親が旅立ったときに一緒に置いていったのだ。
だから家には1年間誰も足を踏み入れることはできないはずだった。
しかし、家の鍵は開いていた。
開いていたというよりは、何か強い力で"開けられた"という表現が正しい。
鉄でできた鍵が切り落とされていたのだ。
サチが恐る恐る中へ入ってみると、物取りが入ったかのようにひどく荒らされていた。
家具はことごとく倒れていて、床には本が散らばっていた。

『どうして・・・』
記憶をなくしているオジはあまり状況が把握できない様子だったが、
昔の小屋の風景が頭の中にあったサチはひどく驚いていた。
オジはゆっくりと家の中を歩き回りながら記憶を取り戻そうとしていた。
床に落ちていた本を拾っては眺めてみたが、
書かれている内容は全て理解のできるものではなかった。

──本当に俺の家なんだろうか・・・

自分の持っていた本の内容もわからないオジは、
そんな自分が悲しくなり、そして自分を疑った。

よく考えてみたら自分はあの少女、サチの言うことを信じすぎている気がする
確かに写真には自分らしき人間が写っていた。
しかしそれが本当に自分なのかはわからない。
それを確かめることもできない。この家のことも思い出せない。
自分の家のことも思い出せないんだ・・・。

『オジさん、ちょっとこっちに来てよ!』
オジのそんな不毛な考えを吹き飛ばすかのようなサチの声が家の中を走った。
サチのいる部屋へ行ってみると、そこは寝室であった。
見るとベットが何者かによって真っ二つにされて部屋中に木の破片が飛び散っていた。
ベットのあった場所の床には穴があいており、
地下へ行くためのものと思われるはしごがかかっていた。
『隠し部屋かな?うわ、かなり深いよ。』
サチは穴を覗き込みながら言った。
オジ達はそのはしごを降りてみることにした。
地下へ降りると長い通路になっており、遠くのほうに明かりが見えた。
オジとサチが明かりのほうへ進んでいくと、
そこにはたくさんの本が並んでいて、本に囲まれるように中央に
小さな机があり、そこには男が座っていた。
その緑色のコートを着た男はオジたちのほうを見てにやりと笑った。
その顔はご馳走を目の前にした子供のように輝いていた。
『おまえは誰だ!ここで何をしている!』
オジはコートの男に向かって言った。
すると男は立ち上がり、オジの方へ歩きながら、笑って言った。
『よぉ、オジリウス。久しぶりだねぇ。』

『久しぶり?前に会ったことがあるのか?俺に何か用があるのか?』
オジは焦っていた。サチ以外のオジの過去を知る人間が現れたからだ。
『記憶が無いって情報は本当らしいな。用か、そうだなぁ、俺はお前に用があるんだよ。』
そう言いながら男はどんどんオジのほうへ近づいてくる。
『俺はね、おまえを殺しに来たんだよねぇ』
そういうと男は右腕を大きく振り上げた。
すると男の右腕が黒く変色していき、大きく鋭い爪のようなものがが生えた。
そして、オジに向かってその腕を振り下ろそうとし、急にピタッと、その腕を止めた。
『ん?その女はなんだ?』
男はサチのほうを見て言った。

『あ、あんたこそ何よ!オジさんを殺す?わけわかんないわよ!』

サチはオジの右腕にしがみついていた。
言葉とは裏腹にひどく怯えている様子だった。
男がサチを物色するような目で見回した。
サチの容姿を記憶した男は目を閉じて独り言ようにつぶやいた。

『今データを送る。名簿に該当するデータはあるか?あぁ、そうか・・・』

そして突然かっと目を見開いて、今までで一番嬉しそうな声で言った。
『そうか!お前もイレギュラーか!今日の俺はツイてるぜ!
そうだなぁ、女だ、女から先に殺そう』
そう言うと男はサチのほうへと右腕を振り下ろした。
オジは右肩のほうに風の音を聞いた。

334 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/20(木) 15:14:44 [ hNlLsBE2 ]
>>254 其の壱 >>276 其の弐 其の参>>305
六化仙 其の四
港町ブリジヘッド東にあるルリリバー河口
そこにはシーフくずれのゴロツキ達が祭りに向かう旅人を襲うことで有名である
そして今まさに一人の旅人が5人のゴロツキに囲まれ、救いようの無い暴力を受けている
「早く金だせよ、死にたいのかお前は、ん?」
「お願いです、どうかこのお金だけ、っつ」
ゴロツキの一人が倒れていた男の脇腹を蹴る
「聞こえなかった、もう一回言ってくれや」
ゴロツキ達が笑っている所に一人の男がやってくる
「お前等、止めろよ」
ゴロツキ達がやって来た男に視線を注ぐ
「うるせぇ!関係ないヤツは引っ込んでろ」
「今すぐ消えれば命だけは助けてやるぞ」
「お前死にたいようだなぁぁ!」
ゴロツキがダガーを取り出して男へと刃を向ける
「一盃口」
男が叫ぶとサラマンダーが急に現れてゴロツキの腕に噛み付く
「ヒッ」
腕をサラマンダーに食われたゴロツキが短い悲鳴を上げる
他のゴロツキ達はすでに背を向けて走り去っている
「戻れ一盃口」
男がサラマンダーに言うと、サラマンダーは霧が消えるかのごとく姿を消す
腕を食われたゴロツキは気絶している、食われたはずのゴロツキの腕は元に戻っている
「相変らずだね」
いつの間にか現れたフネデオウが、火の神アーウィラ・ンオ・ラヒリアに声をかける
「フネデオウ、久しぶりだな」
「それよりも、ゴロツキに襲われた男を町に運ばないと」
「ああぁ、忘れてた」
フネデオウが川に近づいて杖を振る
「門前清自摸和」
そういうと突如、川からサイドウォーカーが現れる
「お前はこの男を街の病院まで運べ」
フネデオウが命ずるとサイドウォーカーが器用に男を持ち上げて
横歩きでブリジヘッドの方に歩いていく
「行こうかアーウィラ」
「そうだな」
二人の男がロマ村へ向けて歩き出していった

335 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/20(木) 17:45:20 [ LVW/cCFA ]
>>変な生き物さん
戦闘のあとには、こういう和やかな話もよろしいかと^^
さて、ギルマスのセルベインさんですが、中々によろしいキャラですね^^
アーネイトとの睨みあいにほほが緩みました。でも、一番笑ったのは法外な額を奢らされたところでしょうかw
皆さん、かなりの食欲でしたねw

>>sinさん
個人的には良作w
シルス嬢のキャラが良い味出してますね^^

>>ともびさん
コートの男の正体が気になりますね。
そういえば、オジとサチは「イレギュラー」とか言われてましたね。この言葉が示す意味とは・・?

>>戦士見習いさん
おぉ、六化仙の皆さんは自分の属性に属するモンスターを使役できるようですね^^
そして、なにげに良い人ですねぇw

336 名前: AC 投稿日: 2005/10/20(木) 17:54:56 [ BPIrFMYg ]
SSは書くのものも投稿するのも今回が初になります。
過剰に公式設定をブッチした上、人物名も全パクリですが、
どうか生暖かい目で見てやってください。

狂人の蔵 第一話

魔法都市スマグ
フランデル大陸極東部最大規模の都市にして300年の歴史を持つ古都ブルンネンシュティグ、
その東方に位置するこの街は、古都が王都であった時代から、多くの有能な魔法師を世に送り出してきた。
王都崩壊から100余年が過ぎた現在も、それは変わらない。
街の創立時からのシンボルである魔法師院には、昼夜を問わず多くの魔法師達が詰め、
そこから漏れ出る明かりは一日たりとも消える事はない。

俗世を離れ、盲目的に研究に没頭する魔法師達が篭る院を、人々は揶揄と皮肉を込めてこう呼ぶ。

「狂人の蔵」と。

かく言う私、レオス・クラインもまたスマグ生まれの魔法師であり、
元素魔法の研究者としてスマグ魔法師院で教鞭を執る身である。

しかし今は故郷を離れ、奇妙な噂を追ってブルンネンシュティグに来ている。
幼い頃より共に修練と研究に励み、そして一年前を境に失踪したままの友人を見つける為だ。

「新たな術式がじき完成する。そしてその試みが成功したならば、
私は、我々スマグ魔法師は、如何なる存在をも超える究極の存在へ至るのだ」

私にこう言い残し、スマグ屈指の大家、その後継者として将来を嘱望された男は姿を消した。

男の名はハスラー・ワン。
古くから優れた魔法師を輩出してきた名門家系の長男であり、私の幼馴染でもある。
魔法師院に主席で合格し、成績は常にトップ、秘儀の研究分野で多大な成果を挙げ、
大陸極東部最大規模を誇るブリッジヘッド魔法師院を始め、様々な機関から招待を受ける程の人材だった。
しかし彼はそれら全てを辞退し、スマグ魔法師院に篭り研究を続けた。
たった一つ、彼と、そしてスマグ魔法師院の悲願の為に。

337 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/20(木) 19:18:18 [ 4D0aj44E ]
美幼女と野獣

 サマナーの真奈は、三姉妹の末っ子。
いつか、長髪美形の王子様が、白馬に乗って現れることを夢見るような、ごく普通の女の子です。
 だが、ある日そんな真奈の人生をまったく変えてしまうような、恐ろしい事件が起こりました。
 三姉妹が、仲良く夕食の支度をしていると、狩りに出ていた養父のBISが、
真っ青な顔で転がりこむようにして帰ってきたのです。
「ああ、娘たちよ。大変なことになってしまった……(>_<。)」
 養父が言うには、こうでした。

 養父が今日組んだ野良PTは、専門用語で言う所の酷い「ぶーんちゅう」の集団で、狩場につくやいなや、
「ブーーーーーーーゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーン」
というドップラー効果つきの叫びを残して、どこかへ飛び去ってしまいました。
 養父は慌てて辺りを探し回りましたが、ブーンたちは、すでにマップのはるか遠くへ飛び去っており、
全く姿が見えませんでした。
 そうこうするうちに、彼は道に迷い、更に悪いことにたくさんのモンス達に囲まれてしまいました。
完全支援BISの彼には、攻撃するすべは全くありません。
 もはやこれまでと、ただ祈っていた彼のそばを、運よく、ひとりの狼が通りかかりました。
『あっ、すみません、そこの狼さん(;;) なんでもしますから、助けてください』
『なにぃ、本当になんでもするのかw』
『はい。こう見えても、代表的な補助はだいたいマスターしてますし、エパキュ・コールもありますので』
『よし、その言葉を忘れるなw』
 狼は、踊るような動きで、あたりのモンス達を一瞬にして片付けてしまいました。
『危ない所を、本当にありがとうございました(;;) とりあえず、回復を……』
『金を出せ』
『………………………………えっΣ( ̄口 ̄;)』
『聞こえなかったのか! 有り金と装備品を全部出しやがれ!』
 なんということでしょう。一難去ってまた一難とはこのことです。
 BISは震えながら、鞄をひっくり返し、乏しいお金と、ポットを積み上げました。
『なにぃ、これっぽっちしか持ってないのか! そんなはずないだろう!!』
『す、すみません(T-T) BISなので、貧乏なんです』
『腹がたつぜ! 簀巻きにして、クェレスプリング湖に沈めてやろうか!!』
 狼がガチガチと牙を鳴らして脅すので、BISは震え上がり、手をあわせて懇願しました。
『どうかお許しください(T△T )』
 そのとき、彼のふところから、カチャリと音を立てて、スマグの土産物屋で買った耳飾りが落ちました。
『なんだそいつは。まだ他に隠し持ってやがるのか!』
『いいえ、これは娘への土産で……』
 BISはハッと口を押さえましたが、もう手遅れでした。
狼はらんらんと目を光らせ、口からよだれをたらしながら言いました。
『娘を俺の嫁によこせ!』

「なんてスケベな狼野郎なの(♯゚□゚)!」
 そこまで聞くと、一番上の姉の槍子は、憤然と立ち上がり、槍をブンブン振り回し始めました。
「あたしが行く! その変態狼を、あたしの自慢の槍で、串刺しにしてやるわ(♯゚□゚)!」
「いや、ちょっと、待ってね。一応、彼は、私の、命の恩人、なんだから、ね?」
 振り回される槍を必死に避けながら、養父が言いました。
「なら、あたしが行くわ(*>Д<)!」
 2番目の姉の弓子が立ち上がり、ものすごい勢いで矢を打ち始めました。
「その盗っ人狼を、あたしのこの自慢の矢でハチの巣にしてやるわ(*>Д<)!」
「いやいや、だから、彼は、私の恩人、だから、殺しては、だめです(;д;)」
 撃ち込まれる矢を必死に避けながら、養父はふたりの娘をなだめました。
「ああ、神よ。私は娘たちの教育を間違えたのでしょうか?!」
「わたしが行きます!」
 胸の前で手を組んで、叫ぶように三女の真奈が言いました。
「元はといえば、私が父さんにお願いした耳飾りのせいだもの。私が責任をとります(`・ω・´)」

 約束なんて果たす必要はない、そんな狼シメてしまえばいいのよ!
……というふたりの姉をなだめて説き伏せ、真奈は、BISが狼に会ったという場所へやってきました。
 持ち物は長年愛用している笛だけという、本当に身ひとつの姿です。
「狼さん。BISの娘です! どこにいますか?」
 すぐに猛々しい雄たけびが聞こえ、マナの前に巨大な狼が立ちふさがりました。
「よしよし、よく来たな! お前はこれから俺の嫁になって、俺に尽くすのだ!w」
 真奈が何か言い返す隙も与えず、狼は真奈を片手で軽々と掴みあげると、
森の奥へ走り去ってしまいました。

 それが、真奈にとっての辛い日々の始まりでした。

338 名前: i 投稿日: 2005/10/20(木) 19:24:30 [ 4D0aj44E ]
 一狼と名乗った狼は、真奈を高い塔のてっぺんに閉じ込めてしまったのです。
塔の中には、真奈にはとても太刀打ちできないような、凶暴なモンスターが徘徊しています。
 真奈は毎日、塔の窓から外を眺めては、ため息をついて涙をこぼし、
孤独感にさいなまれては、召喚獣のケルビーに話しかけるのでした。
 一日に一度、一狼が帰ってくる時間だけが、真奈の生活に変化を与えてくれました。
一狼は、真奈のために食べ物や着る物を持ってきてくれます。
彼は彼なりに、真奈を大事にしてくれているようでした。
ただし、それは、攻撃速度付の1.2秒笛や、攻撃反射付の防具といった、
少しピントのずれた愛情でしたが。
 常にPT狩りをしていた父親のBISと違って、一狼は常にソロのようでした。
一狼が孤独な一匹狼を気取っていることは、真奈にとって、とても奇妙で意地っぱりなことに思えました。
ひとりより、皆でいるほうが楽しいに決まっています。
 けれど、そう言うと一狼は笑い飛ばすのです。
「俺には、支援系なんかの軟弱なスキルはいらねえ! WIZスキルなんざ、糞くらえだ! 
必要なのは火力だ! 邪魔なPTMなんぞいらん! 弱い奴はみんな足手まといだ!」
 では、一狼にとって、自分も足手まといなのだと考えると、真奈はまた悲しくなって、
こっそりと隠れて泣くのでした。

 そんなある日。
真奈ののぞく窓の下を、ひとりのシーフが通りかかりました。
 一狼以外の人を見るのは久しぶりです。真奈は嬉しくなって、声をかけました。
「こんにちは、シーフさん(*´▽`)」
「ありゃ? こんなところに君みたいな小さい子が、どうしたんだい(。・_・。)?」
「わたし、ここに捕まってるんです。モンスターがいっぱいいて、外に出られないの」
「なんて可哀想に。けど、俺にも、さすがにひとりでここのてっぺんまで登りきる力はないよ。
ものすごい火力のWIZとか狼とか、聖域の使える天使でもないとねえ(ノ▽`*)」
 真奈はがっかりしましたが、それを顔に出さないようにつとめました。
「いいんです。どうか気にしないでください」
「助けてあげられなくて悪いねえ。
そうだ! 代わりに、おいしいケーキやクッキーなんかどうだい?」
 シーフが鞄を開けてごそごそとかき回した拍子に、パラリと何か巻物のようなものが落ちました。
「シーフさん、今落ちたものはなんですか?」
「ああ。これかい? これはあげられないよ」
「巻物のように見えますけど、帰還書ではなさそうですし……」
「こいつはスキル再分配巻物なのさ」
「スキル再分配巻物??」
 シーフはちょっと遠い目をしました。
「俺さ、PTのお荷物なシーフだけど、一時期は、バリバリ戦える武道家にあこがれたこともあったんだよね(ノ▽`*) 
そのときに、思い余ってつい異世界の金をつぎこんじまったのさ。
結局は、遠隔攻撃が性に合ってるんで、使わなかったんだけど、お守り代わりにずっと持ち歩いてるんだ。
俺はいつだって、武道家になりたきゃなれる。だから急いでなる必要はないじゃないか……って、思うためにさ」
 真奈の心に、ふいに希望の光がぽっと灯りました。
シーフが武道家になれるなら、狼がWIZになることも可能なはずです。
強力なエンチャとアスヒがあれば、真奈だって充分な火力になれるはずです。
 真奈は再配分巻物がほしくてたまらなくなりました。
「シーフさん、その巻物をわたしに売ってくれませんか?」
「悪いけど、そいつはできないよ。これは俺のお守りだからねえ……」
 真奈があんまりがっかりしたので、シーフは少し考えて続けました。
「そんなに欲しいんなら、君も異世界の金をだして、買ったらいいよ」
「でもわたし、ここから出られないんです……」
「心配ないさ、こいつを売ってる株式会社駄目怨(仮名)ってところは、
バグは治しちゃくれないけど、金を取ることに関しちゃ天才的でね! 
世界中のどこだろうと即日即座にデリバリーしてくれるんだ!」
「まあ! 本当ですか!」
「それもGEMGEMGEMと三回唱えるだけだから、簡単なもんさ! 
今なら便利アイテム交換キャンペーンなんてのもやってるからお買い得だぜ!」
「シーフさん、ありがとうございます!」

339 名前: i 投稿日: 2005/10/20(木) 19:25:34 [ 4D0aj44E ]
 去り行くシーフの背中に手を振って、真奈はさっそく呪文を唱えました。
「GEMGEMGEM、GEMGEMGEM、GEMGEMGEM……」
 唱え終わる前に、何も無いはずの場所が、パカッと開いて、駄目怨(仮名)社員が顔を出しました。
「まいどありーっ、今日は何をお求めですか?」
「あの、スキル再分配巻物が欲しいんですけど……」
「はいはい。じゃあここにログインしてくださいね。そうそう。はいはいオッケーです。
どうもー。またよろしく!」
 本当にあっさりと、真奈は巻物を手に入れることが出来ました。
「これさえあれば……」
 巻物を胸に抱き、真奈は幸せいっぱいの気持ちで一狼の帰りを待ちました。


「それでね、これで一狼さんがエンチャとアスヒを覚えてくれたら、わたしも一狼さんと一緒に狩りができると思うの! 
そうしたらソロより効率がよくなるし、それに……」
 夕闇がせまるころ、一狼が帰ってくるなり、真奈は彼を出迎えて、ひと息でスキル再配分巻物の効能を説明しました。
 しかし……。
「くだらんことを言うな!(゚Д゚=)ノ⌒゚」
 一狼は一言で切り捨てるなり、再配分巻物をくしゃくしゃにまるめると、くずかごに投げつけました。
紙くずは、かごにぶつかって、あらぬほうへ飛んでいってしまいました。
「あ……っΣ(゜口゜;)」
 真奈は呆然とそれを見ていることしか出来ませんでした。
「ひどいです……(p_q)」
 真奈の目から、思わず涙があふれました。
その真奈の腕を、一狼はかぎ爪のある手でがしりと握りました。
「そんなに俺が嫌か」
「ち、がっ……」
「やっぱりお前もWIZがいいんだろう?! あァ?!(ノ`□´)ノ」
「一狼さん……っ!」
 真奈は、はじめて一狼の目をまっすぐに見つめ、
自分の行いが彼の心を深く傷つけたことを、知ったのでした。
「そうだなァ。俺は狼だし、お前の父親を恐喝したし、お前をここに閉じ込めたw」
「ちがう……わ、わたし……」
「そんなに嫌なら、出ていくがいいさ!!(ノ`□´)ノ」
 一狼は、真奈を片手でかつぎあげると、ものすごいスピードで塔を駆け下りました。
たまたま鉢合わせた運の悪いモンスターたちは、一狼の鋭い爪や蹴りで、一瞬にして粉砕されました。
一方的な虐殺は、真奈が悲鳴を上げている間に、終わってしまうのでした。
 塔の外へ着くと、一狼は、真奈を地面に突き飛ばしました。
「さあ、いっちまえよ!ヾ(`◇´)ノ彡」
「一狼さんっ!。゚゚(´△`。)°゚。」
 泥だらけになった真奈に背を向け、一狼はすぐにまた、階段を駆け上がってしまいました。
こうなると、真奈にはどうしようもありません。
 しばらく呆然と立ち尽くしていたものの、やがて真奈は振り返り振り返り、塔を歩み去っていきました。

 一狼は、真奈の部屋だった場所、彼の唯一の帰る所であった部屋から、真奈の後姿が森に消えていくのを見ていました。
 これでいいのだ。と思いました。短いが、幸せな夢を見ていたのだ……、と。
一匹狼であった彼が、人並みの家庭を持つ夢。自分の帰りを待つ人がいる夢。
……嘘で塗り固められた夢。
 一狼は、窓から離れ、床に足を投げ出して座り込みました。
コツン、と足に何かが当たります。
拾い上げてみると、それは一狼が投げ捨てた再配分巻物でした。
 愚かで、優しい真奈。一狼がPT狩りをできないのは、彼が狼だからではないのに。
PT狩りに向いていないのは、彼の職ではなくて、彼の性格。悪いのは彼自身。
 たとえ、一狼がWIZになったとしても、それはきっと変わりません。
一狼には、前線から一歩ひいて支援をすることなど、きっとできやしないでしょう。
たとえWIZになったとしても、やっぱり今と変わらない、ひとりで突っ走るチリWIZになってしまうことでしょう。
なぜならば、それが彼だからです。
 一狼は、今度こそ本当に、再配分巻物を投げ捨てようと、腕をふりあげました。
……けれど、そのまま、その動きが止まってしまいました。
ややあって、一狼は結局、再配分巻物を投げないまま、腕を下ろしました。
 鋭い爪で傷つけないように、そっとくしゃくしゃになった紙を開き、
しわを丁寧に伸ばして、ズボンのポケットの奥のほうに押し込みました。
「…………むっ(・_・ )?」
 そのとき、ピクリと一狼の大きな耳が動きました。
がばっと立ち上がり、離れたばかりの窓にしがみつきました。
 間違いありません。もう一度聞こえました。それも、真奈の去った方角から!
あれはこのあたりでもっとも凶暴なキングクマーの雄たけびです。
普段はもっと森の奥深い場所にいるはずなのに、どうしたことでしょう?!
 一狼は、チッ、と舌打ちすると、疾風のように部屋を飛び出していきました。

340 名前: i 投稿日: 2005/10/20(木) 19:28:25 [ 4D0aj44E ]
 真奈の悲鳴がかすかに聞こえました。
嫌な予感があたってしまいました!
一狼は、いっそうの力をこめて、地面を蹴りつけ、走ります。
 一狼が、真奈を遠くに見出した時、丁度、最後の召喚獣が、キングクマーの爪に引き裂かれるところでした。
必死に召喚獣への命令を奏でていた真奈の笛が、絶望とともにおろされます。
 クマーの爪が真奈に振り下ろされ、真奈はあっけなく吹き飛びました。
倒れ伏した真奈に、クマーが追撃を加えようとした、その時。
「ぐぁぁぁぁぁぉぉぉぉぉぉ!」
 一狼が、クマーの喉笛に食らいつきました!
クマーは首を振りたて、腕を回して一狼を振り落とそうとします。
攻撃スキル特化で、噛みつき系の弱い一狼は、たまらず吹き飛びました。
 空中で、くるりと一回転して、両手足で着地すると、即座にもう一度クマーに立ち向かいます。
クマーの爪が、一狼の背中の毛皮を引き裂き、真紅の血がはじけました。
けれども、代わりに一狼は、充分な間合いと一瞬の隙を手に入れていました。
 一狼の爪が、足が、舞うように閃きました。
チェーンドクローです!
息をつく暇もなく、次々と繰り出される攻撃に、クマーは、己以上の存在がいることを、初めて知りました。
「これはクマった!」
 クマーは、誇りを捨てて逃げ出しました。
一狼は、それを追わず、爪を一振りして血をはじくと、真奈に駆け寄りました。
「真奈、真奈!」
 ひどい傷です。真奈は目を閉じて、ぐったりとしています。
一狼が、なかば絶望しながら、口元に大きな耳を寄せると、かすかな、とてもかすかな息遣いが聞こえました。
 鞄からポットを取り出し、真奈の口元にあてると、半分以上がこぼれていきました。
しかし、多少の効果はあったのでしょう。真奈は、うっすらと目をひらきました。
「いち……ろうさ…ん………。きてく……れたの、ね」
「真奈! まってろ、すぐにBISを呼んできてやる!」
「い…………か……ないで……」
 真奈は、震える弱弱しい手で、一狼の腕を掴みました。
「わた……し。閉じ込められてる……のが、嫌なのじゃ、なかった……。
あなたと……一緒に、……狩りにいけないことが……悲しかったの…………」
「真奈、喋るな」
「わたし……あなたが好き……!」
 一狼は、驚きのあまり、あやうく真奈を支えている手を離すところでした。
「嘘を言うな!!ヽ(`д´)ノ」
 一狼は、叫びました。
「俺なんかを、好きになる奴なんか、いるはずがない! 見え見えな嘘をつくな!」
 真奈はかすかに首をふりました。ゆっくりした動きで、のぞき込む一狼の鼻先にそっとキスをしました。
「いちろうさん……だいすきよ…………」
 そして、目を閉じ、頭を落としました。
一狼は絶叫しました。森がゆれ、夜鳴き鳥が飛び立ちました。
今から人を呼んでいては間に合わない。このままでは、真奈は死んでしまう。
 なぜ、俺には癒しの技がないのだ!!!
……と? その時でした! 
突然、一狼のポケットが、黄金色に眩しく輝きだしました。
「ッ?!」
 一狼が恐る恐るポケットに手をいれてみると……。
そうです。光っているのは、あのスキル再配分巻物でした。
一狼は、震える手で、それをかざしました。
 これを使えば、一狼は、純ウルフマンとしての誇り、ずば抜けた火力、
そういった過去のすべてを失います。
 けれど、けれど…………。
使わなければ、そんなものよりもっと大事なものを、失ってしまうのではないでしょうか。
「…………ッ!」
 ぎゅっと目を閉じ、そして開いた時、一狼にもう迷いはありませんでした。
一狼は、再配分巻物をまるめると、それをひと息で飲み込みました。

341 名前: i 投稿日: 2005/10/20(木) 19:29:10 [ 4D0aj44E ]
「うっ……」
 とたんに、効き目がありました。
一狼の立派な毛皮が体の中にひっこみ、鼻先が縮みます。
体がひとまわり小さくなり、代わりに長いくせっ毛が広がります。
 一狼は、爪の短くなった片手を開いてみて、久しぶりにWIZの姿になった自分を確かめました。
それから、精神集中し、最短でアースヒールを習得すると、真奈に向け、何度も魔法を唱えました。
 まだるっこしいほど、ゆっくりと真奈の傷がふさがっていきます。
喉が枯れ、腕が疲労するころになって、やっと真奈の傷が癒え、呼吸が安定してきました。
 一狼は、ほっと息をついて、へたりこみました。
「ん……」
 真奈が身動きしました。
一狼は、慌ててその顔をのぞきこみます。
「真奈、真奈、大丈夫か? 痛いところはないか??」
 ぼんやりと、一狼の顔を見返した真奈の目が驚きに見開かれ、みるみるうちに頬が赤く染まりました。
「あ……」
 それで初めて、自分の姿を思い出して、一狼はうろたえました。
「いや、これは、これはその……Σ(゜口゜;)」
「一狼さん、一狼さんよね?」
 真奈は、ぎゅっとその首にしがみつきました。
「助けてくれて、ありがとう……。・'゜(*ノ□ヽ*) '・。」
 一狼は真っ赤になって硬直し、それからおずおずと真奈の背を撫でました。
森に、静寂が戻ってきました。


「きゃっ!」
 召喚獣の壁を抜けたクマーが、真奈に飛びかかります。
ガツリ! 痛そうな音をたてて、モンスターは、頭からBISの盾にぶつかりました。
「父さんありがと!(*'▽')」
「大丈夫かい、真奈?」
「父さん、真奈、伏せて!」
 弓子の声に、慌てて伏せたふたりの頭上を、すごい数の矢の塊が、飛んでいきました。
「タァーッ!」
 その矢を追うようにして、槍を回転させながら、槍子も飛んでいきました。
華麗な着地を決め、槍を振り回します。まきこまれかけた召喚獣たちが、あわあわしながら、真奈のもとへ逃げてきました。
「クッ……多すぎる!」
 思わず弱音をもらした槍子のそばに、大きな影が飛び込んできました。
「!」
 とりあえず突きこまれた槍子の槍をはねあげてから、影は舞うような突きと蹴りで、次々にモンスターを葬っていきます。
「あぶねーな!w このへたっぴぃ!」
「なんですってーっ! あんたね、入り婿のくせに生意気よっ!」
「そっちこそ、行き遅れのくせに、態度がでかいんじゃないか?w」
「キイイイイイイッヾ(*`Д´*)ノ" 余計なお世話よ!」
 そう、彼は一狼です。
あの晩、真奈を抱きかかえた彼は、BISの家まで走り通し、
頭を下げて、真奈との結婚の許可を、正式に願い出たのでした。
 BISは、一狼のWIZ姿を見て驚くやら、真奈と再会できて嬉しいやら、
傷を見て怒るやらで、大忙しでしたが、真奈もそれを望んでいる、という事を聞いて、
一狼が一緒に暮らすなら、という条件付で、しぶしぶそれを承諾したのでした。
 攻撃特化火力狼だった一狼は、今は中途半端なアスヒエンチャ狼です。
火力は下がってしまいましたが、一狼は「やってみると結構おもしろいなこれww」なんて言いながら、
支援を楽しんでいる様子です。
 そして真奈は……。
「こらっ! 一狼さん、遊んでないで戦いなさい!」
「はいはいw」
……ちょっと強くなったみたいです。
「ひとりノルマ30匹ですからねっ!」
「うへぇ……」
「ちょっと真奈。どういう依頼なのよコレ?(゚◇゚;)」
「クマー100匹よ(。・_・。)」
「Σ(゜口゜;)Σ(゜口゜;)Σ(゜口゜;)Σ(゜口゜;)」
 ちょっと強すぎるのも問題のようですが。
「あんな姉がふたりもいるからなぁw その影響だなw」
 ぶつぶつ言いながら、一狼は、WIZに変身し、順番にエンチャをかけていきます。
「そうそう。真奈にもかけとかないとw」
「え? わたしはいいわよ、笛吹きだし」
「まあ、そう言わずに(*^・^)」
 一狼は、サッと真奈に近づくと、一瞬の早業でそのほっぺたに音をたててキスをして、
即座に狼になって逃げ出しました。
「ッ! こらあああっヽ(`△´)ノ」
 いつまでも、お幸せに♪

342 名前: i 投稿日: 2005/10/20(木) 19:32:59 [ 4D0aj44E ]
うう・・・最初のだけ、名前を書き込むのを忘れてしまいました・・・。
皆様、おひさしぶりです。
「次回小説をアップするまでここに書き込まない」などという目標を
立ててしまったがために、もどかしく思いながらROMしていました。

今回はコメディに挑戦してみました(^^)
普段、顔文字はほとんど使わないので、選択と配分に苦労しました。
チャットで使いこなされている方は、すごいですね。

>252さん
たいへん遅くなりましたが、感想ありがとうございました。
最初は男天使&女ビショップの話を考えていたのですが、
いろいろと科学変化をおこして、ああなりました・・。

>ナンバーズさん
いつも感想ありがとうございます。
ナンバーズさんのお話は、
情景描写の少なさと、都合の良すぎる展開に難はありますが、
逆にいえば、安心して読める物語です。
装備品まで設定され、つくりこまれたキャラクターも人間味があって、
とても良いです。
ここまで話し方や性格のしっかり作られたキャラクターならば、
普通はセリフを見ればキャラクターが分かるのですが、
そこは、10人以上におよぶ登場人物で難しくなっている。
しかし、括弧の前にキャラ名をつけることで、人物の混乱を解決し、
なおかつ「〜と○○は言った」という文を省いて、
本文をスマートにする効果を得ています。
もうすこし、人数を削れないかと思う所もありますが、
逆にいえば、その数が、これからの戦いの困難さを表しているといえそうですね。
また、個人的な話ですが、ナンバーズさんのネーミングセンスは好きです。

私は感想が辛口だそうで・・・。
感想レスは自粛していましたが、思うところがあって書き込みました。
今回の批判は、思いつめるほど受け止める必要はありませんが、
無視するのもいけないと思います。
ひとつの良い経験として受け入れてはどうでしょうか。
はじめた小説を完成させることは、小説職人としての義務です。
あなたの帰りを待っている小説があることを、どうかお忘れなく。

343 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:38:29 [ o1Q6FWQM ]
あるウィザードが残したもの
表紙〜七頁目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970
>>22-23  八頁目 帰路にて − 2
>>49-50  九頁目 長い夜 − 1
>>183-187 十頁目 長い夜 − 2
 
十一頁目 長い夜 − 3
 
返事は返ってこなかった。ノックの直後、足元が崩れるような不安を生み出す静けさが廊下を包み込んでいった。
代わりに返事をするかのように、この時代に一般的だった白熱電球の明かりが途切れた。すぐ横のメリックの姿まで闇が飲み込んだ。右手の階段の窓にかかるブラインドから漏れる光はここまでは届かず、足元さえ照らしてはくれなかった。
電球の明かりが戻るのには十秒もかからなかっただろう。闇はすぐに物陰に追いやられた。
メリックはもう一度ノックをしてみたが、やはり何の返事もない。
彼の顔に少しだけ焦りが見えた気がした。そして、気がつくと彼はドアノブに手を伸ばしていた。ドアノブを掴んだが、ドアを開くところまでいかずに手を引いた。彼も思い出したのだろう、鉄則というものを。
『女性の部屋に本人の許可なしで入ってはいけない』というアレである。身内でないなら尚更だ。と思う。
案の定彼はそれを考えていたようだ。とりあえず声をかけてみることにしたらしく、隣の母の部屋の寝息を確認してから軽く息を吸った。
 
「リフ…起きてる……?」
その言葉だけが空中を漂ったが、すぐに消えてしまう。時間が過ぎるごとに静けさが増していくような気がする。
寝ているんだ。彼も私も同じ結論を出した。メリックが少し残念そうな顔をしながら部屋に戻ろうとした。
が、針が床に落ちた音でも聞き取れそうな静けさが幸いした。確実に部屋の中から声が聞こえた。「起きてる」と。
チャンス到来♪−まさにその心の内が顔に出ていた。私にはそれが妙に腹立たしく思える。彼は足音を立てないように元の位置へ戻った。
「帰り道での約束、覚えてる?よかったら今から行かない?」
言い終わったとき、屋根裏への階段から風が吹いてきた。冷たい風だ。その風がリフの返事を掴んで攫っていこうとしたが、メリックはそれを必死になって取り返そうとする。結果は聞かないほうがよかったかもしれないが。
「ごめん…今は…行けない…。」
期待の絶頂を迎えた子供のような顔が萎んでいった。が、完全に輝きを失う前に、急速に輝きを取り戻していく。その速さときたら、まるで魔法を使ったようだ。
「部屋…入ってもいいかい?」
 
窓の外から虫の鳴き声が聞こえてきていた。彼らは子孫を残すためだけに生きる。そのためだけに鳴き続けるのだ。
さっきの風は一階で行き場を失い、再び二階へ戻ってきた。感情というものは最初からなく、何の躊躇いもなく壁にぶつかりながら自分の力を削っていく。
今私にはそれらがとる行動がとても滑稽に思えてしまう。ただ普通のことなのに、それだけで満足できてしまう。箸が転んでも可笑しな年頃、といったかな。そんな時期はとっくに過ぎ去ってしまっているのに。
目の前の扉。異世界への入り口に見えたりもするが、ここはすでに異世界だったと気づくのに時間はかからない。
そして扉の中から言葉が返ってくるのにも時間はかからなかった。
「……うん。」

344 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:39:10 [ o1Q6FWQM ]
 
 
電気はつけられていない。しかしそのまま設置されているランプと新しく置いた電気スタンドの明かりのおかげで部屋の隅まで見渡すことができる。
中型のベッドが一台(メリックのものなので縦に長い)正面の大きな窓の下に置かれていて、そこに窓のほうを向いて一人の女性が座っている。開け放たれた窓から町の様子がよく見渡せた。
天井には新しく取り付けた白熱電球、右側の壁のランプに、ベッドのそばの机の上には明るさ控えめのスタンド。貼ってあったポスターやカレンダーは全て除かれていて、代わりに新品の時計一つと4840年のカレンダーが壁に掛けられていた。
ここはさっきまで物置だった場所、今は一人の女性が過ごすための場所だ。
リフはメリックが入ってきても何も言わなかった。いや、入ってきたことに気がつく様子さえ見せない。ずっと窓の外を見ているだけだ。
メリックは静かに戸を閉めた。しかし次に何をすればいいのか分からないらしく、ただ入り口に立ち続けていた。
だがそんなことをしていても何も始まらない。それは彼も心得ているはずだ。不意にメリックは小声で話しかけた。
「リフ……」
部屋の中では何一つ動いていない。リフはメリックの言葉にも反応を見せなかった。
また気まずい時間が流れる。3人がいると大して気にならないのかもしれないが、この時代に私は存在しない。二人っきりでこの状況なのだ。
と、メリックは何の前触れもなく左足を踏み出した。突然のことだったので驚いたが、それ以上に本人が一番驚いているようだ。右足もそれを追い越し、左足がそれをまた追い越す。確実にベッドに近づいていく。そして……
 
メリックが、続いて私がリフの横顔を見た。目は窓の外を見ているが、その紅い目からは涙が流れていた。ずっと泣き続けていたのだろう、目が腫れているのが一目でわかる。その視線がゆっくりと上がり、メリックのほうを向いた。
彼女の顔に悲しみは似合わなかった。同時に、同性の私にさえ彼女の泣き顔を見た瞬間にギクリときた。飛び切り鈍感な人間でない限り(男なら尚更)、その視線はその人の心までも釘付けにするだろう。先に意識を取り戻した私がメリックの顔を見たとき、それを確信した。
リフは少しだけ視線を落とした。と同時に金縛りが解けたようにメリックが我に返る。
「腕、痛むの?」
恐る恐る−というのが一番当てはまるだろうか、彼はそんな声を出して尋ねた。しかしリフは首を横に振る。
「腕は大丈夫。ただ…今日はたくさんのことが起こりすぎたから……。」
そう言い終えると同時に、月が雲にかげったように窓からの光が薄くなった。今まで真っ白に見えていたベッドカバーの色が少しにごった。
するとメリックは、さっきとは別のしっかりとした真剣な声で言った。
「一人で苦しんでいるより、言ってしまったほうが楽になることはたくさんあるよ。
 言いたくないことは言わなくてもいい。僕にできることがあるかもしれないし、話してみてくれないか?」
リフは何も言わなかった。しかし再び窓からの光が濃くなったとき、コクリと頷いた。
メリックがベッドに座ると、リフはゆっくりと記憶の整理をしながら話し始めた。

345 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:40:03 [ o1Q6FWQM ]
あるウィザードが残したもの
表紙〜七頁目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r970
>>22-23  八頁目  帰路にて − 2
>>49-50  九頁目  長い夜 − 1
>>183-187 十頁目  長い夜 − 2
>>343-344 十一頁目 長い夜 − 3
 
十二頁目 リフの過去 − 1

 
私は港町ブリッジヘッドで生まれ、そこで育った。
当時はシーフギルドは小さな組織だったため今のように町を統制するような力はなく、私たちを始めブリッジヘッド市民は平穏に暮らしていた。
 
父はパドリックといい、スマグで生まれ育ったウィザード。厳格そうな眼鏡をかけているが、中身はだらけすぎているくらいだ。身長もあまり高くなく、戦闘では活躍できる存在ではなかったが、どんなときでも明るく周りの空気を和ませるトークができたために仲間内でも人気があったらしい。
魔法学校での成績はよくなかったしスマグのウィザード特有の狼に変身して戦う能力も備わっていなかったが、旅の途中で発見したブリッジヘッド付近の神殿の神秘を解明する道へと進み、それまで誰も入ることのできなかった神殿最深階へのゲートをくぐった最初の人物である。
 
母は有名な弓兵でフローラという女性。アリアンの傭兵ギルドの指揮を務めていたが、結婚の際に引退。戦いの女神パルテナの異名をとったほどの弓術を駆使する者は、今後も彼女以外に現れることはないだろう。なんと言っても戦場で彼女に触れることのできた者は誰一人として存在しないのだから。
さらに母には人間離れした美しさがあり、それこそ常時オートチャーミングが発動していたといえる。戦いの最中だということも忘れて彼女に見とれている間に命を失ったものは少なくない。まさに蝶が舞い蜂が刺すといったところだろうか。
母の生まれを聞いてみたこともあったが、本人も覚えていないそうだ。現役の時代は非常に有名だったので各地でいろいろな噂が飛び交っていたが、彼女が引退してから噂は自然と消えていった。
 
私の上には一人姉がいて、彼女もアーチャーを目指していた。性格はまるっきり父親のパドリックと同じといっても過言でない。
しかし実際の弓術において姉は母に生き写しの技術を私に見せつけた。最後にその姿をみたとき彼女は11だっただろうか、その歳で絶対的な命中力を身につけていて、女性としてのハンディ―すなわち男性に比べての力の無さを完璧に補っていた。
 
一方私は父のウィザードとしての能力を受け継いでいた。それを杖からではなく弓を通して矢に込めるだけの違いはあったが。
魔法弓使いに限らず、あらゆる弓術では精神力が鍵を握っている。特に魔法弓使いでは一回の戦闘でも精神力を半端なく使用する。魔法弓使いの基本的な技術である『マジカルアロー』などはその代表的なスキルである。精神力が十人並な私はマジカルアローを何十も連続して射続けていると正常に立っていられなくなり、ひどい時には戦闘中に倒れてしまったりする。そのため、普通の戦闘では極力マジカルアローを撃たないようにしている。
 
…え、練習不足?……短所だって個性の内よ。
 
そのかわり、私は火を扱う弓術については才能を存分に発揮できた。炎の魔力を込めた矢(当然市販の火矢とは比べ物にならない威力だ)を一直線上に打ち出したり、上空に向けて撃ちだすことで雨のように降らせたりすることもできた。
しかしそれらは連続で打ち込む技術が必要だった。十代前半のころの激しい訓練ではそれが見事に災いし、腕を始め上半身が毎日筋肉痛に苦しんでいた。もちろん今ではそんなこともなくなり、あの腕が折れそうな筋肉痛が懐かしいくらいの思い出となった。
 
 
いつまでも続くと思っていた幸せな生活は、あの日の出来事とともにどこかへ去ってしまった。

346 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:40:56 [ o1Q6FWQM ]
そう、あれはブルン暦4829年、今から11年前の冬だった。姉は12歳になる間近、私は9歳だった。
その年のブリッジヘッドは異常に初雪が早かった。しかしその後は厳寒が続くものの雪はほとんど降らず、12月になっても町には半メートルほどの雪しか積もらなかった。
12月の中旬。日にちは覚えていない。クリスマスに正月、そして姉の誕生日と行事の準備がつまっていた日。父は神殿への調査で泊り込んでいて、その日が丁度最終日だったため、私は姉と一緒にブリッジヘッドの北東側のゲートで父を待っていた。
そこにいた警備兵に「そんなところで立ってて寒くないの?」などと聞きながら、家から勝手に持ってきたホットドッグを分けてあげたりもした。
若くて案外優しい人で、私たちにいろいろな話をしてくれた。小さいころは漁師の父親を継ごうとしていたこと、先輩の兵士の訓練を覗いて感動したこと、それをきっかけに警備兵の仕事を始めたことなどを語ってくれた。もっとも当時の私にはほとんど理解できていなかったが。
 
その日は午後から雪が降る予定だったが、午前中から曇り始め、すぐに雪が降ってきた。ホットドッグを食べ終えてから既に数時間、私たちはすっかり凍えて元気をなくしていた。それを見かねた警備兵の青年は、少し心配そうな顔をして私たちに声をかけた。
「君たちのお父さんが帰ってくるのは夜になってしまうかもしれないよ。こんなところでじっとしていたら凍死しちまう。
俺が送っていってあげるから、家に帰りなさい。」
「でも警備兵のお兄ちゃんもずっと立ってたら寒いでしょ?でもお兄ちゃんは大丈夫。
だから私たちも大丈夫なはずだよ。」
私は少しだけ帰りたそうな目をしている姉を見ずに反論した。
「いや、この鎧には防寒対策がしてあるから大丈夫なんだよ。君たちは普通の…」
「とにかく帰らないのっ!」
青年は(やれやれ…)と頭をかいた。このままここにいさせると自分の立場が悪くなるとでも思ったのだろうか。彼は観念したように見せて、
「分かったよ。俺も帰るから、君たちも一緒に帰ろう。」
と言った。結局ここにへばりつく口実がなくなったので、私は渋々、姉は助かったと青年に従った。
先頭に立って帰り道を歩いていると、どうも町の様子がおかしい。中心部では何か大きな騒ぎが起こっているようだ。青年はそれが気になって仕方が無いらしい。私は十字の道を左に曲がった。そこにはもう私の家が見えていた。
突然家の影から小柄の人影が飛び出てきた。服装を見ると、どうやらシーフギルドのシーフのようだ。そのまま私の頭を飛び越えて走り抜けていった。
するとどこからか現れたそれを追う二つの影が私の左右を走り抜けた。彼らもシーフらしいが、ここら一帯のシーフギルドのシーフとは確実に違う。その二人は前方のシーフに向かって短剣を投げつけた。
一本の短剣が前方のシーフの脛に突き刺さった。そのシーフはその足をとられて道に転がり倒れ、次の瞬間にはその背中に何十もの短剣が突き刺さっていた。
私はその状況に見入っていた。こんな風景は今までの平和なブリッジヘッドでは見たことが無かった。青年も私の後ろで立ち尽くしている。
二人のシーフは倒れこんだシーフの横に立っていて、何かを相談している。二人のうちの背が高い痩せたシーフが倒れたシーフの顔面に蹴りを入れた。そのシーフのうめきが聞こえた。
その様子を見たもう一人のシーフはニヤリと笑い、倒れたシーフの襟首を掴んで何か問いかけた。しかし思うような回答は得られなかったらしい。背の高いシーフが不機嫌そうに舌を鳴らし、一本の短剣を振り上げ、そのまま一直線に……

347 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:42:16 [ o1Q6FWQM ]
「見てはだめだ!」
青年のいきなりの大声に驚き、そしてすぐに視界が真っ暗になる。次に視界が広がったとき、私は青年に抱かれてどこかへと走っていた。
何度も雪に足を掬われながらも、青年は必死で走り続ける。凍った地面の上を、よく滑る金属靴を履いて走り続ける。
周りも見ずに走り続けていると、前方にちらりと教会の高い屋根が見えた。教会に逃げ込めば安全だろう。むしろそう信じたかった。
「いたぞ!子どもを抱えて走っている全身鎧だ、逃がすな!」
そんな声が聞こえた瞬間、青年の足元に無数の短剣が突き刺さった。
青年は滑りながらも埠頭のほうへ方向転換し、更に足を速めた。彼の熱く激しい息が聞こえ、次第に私自身の体も熱くなっていく。
前方で唐突に爆発があり、青年は足を止めた。住人のいない家の中から先ほどの二人のシーフと同じ服装のシーフが飛び出し、道を塞いだのだ。今来た道を戻ろうとするが、既に10人ほどのシーフがこちらに迫っている。
20ものシーフに囲まれてしまった。青年の顔から血の気が失せていくのが分かった。全員が手に短剣を握り締め、じりじりと輪を縮めていく。
武器をあの場に置いてきてしまった青年に勝ち目は無い。彼は観念したとでもいうように目を閉じた。私はただただ、このシーフの集団に恐怖を感じることしかできなかった。今にもシーフが飛び掛ってきそうだというときに、それは起こった。
不意に青年ごと体が宙に浮き、空中で一回転して輪から十数メートルまで離れたところへ移動した。まるでテレポートするかのように一瞬の出来事だった。青年は腰が抜けたようにその場でしりもちをつき、それによって私は何が起こったのかを知った。
 
「お母さん!」
そこに立っていたのは紛れも無く母だった。私と同じ、質は硬いが美しい銀髪を一本に縛っていて、手には大きな弓が握られていた。
母は私の呼びかけに答えもせず、恐ろしいスピードで弓を射た。母が弓を下ろすと同時に20人のシーフ全員が地に伏せた。
「あ、あなたは……パルテナ……?」
青年が、恐怖・尊敬・驚き・感動を全て含んだような目で母を見た。当時私は母がパルテナと呼ばれていたことを知らなかったので、全くの人違いをしているのだと思った。ところが私の予想に反して、母は青年に向かってにっこりと笑いかけた。
「そうです…今はただのその子の母、フローラ=ミラルダですけどね。
 娘を守ってくれてありがとう。あなたがいなければこの子はすでに死んでいました。」
何も話すことができない青年に頭を下げ、今度は私のほうに向き直った。
「ところでリフ、お姉ちゃんと一緒じゃなかったの?」
「お姉ちゃん…?……お姉ちゃんがいない!」
そうだった、姉をそこに置いてきてしまった。あの危険な十字路で、12歳の少女を一人で…。
母の顔は一瞬で真っ青になった。今にも駆け出しそうになったが瞬時に踏みとどまり、青年を起こしながら話しかけた。
「この子の姉のいた場所を案内してください。…いえ、まずこの子を家に連れて…。とにかく手伝っていただけませんか?お願いします。」
母は青年の目をしっかりと見据えていた。青年はまだ何も話せないようだったが、慌ててお辞儀をするかのように頷いた。

348 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:42:56 [ o1Q6FWQM ]
 
あのあと私は一人で家に戻っていた。途中の記憶は何も無い。
いつの間にか父が帰ってきていた。そして母も。次の日から二人は毎日家を空けていた。
私は拒む父に一生懸命お願いして、いろいろなことを教えてもらった。
 
今回の騒動は他の地域のシーフギルドがブリッジヘッドのシーフギルドの乗っ取りを試みたらしい。結果、初代のシーフギルドは無残に敗れて皆殺しにあい、他の地域のシーフギルドがそこを拠点に活動し始めた。幸い、民家への被害はほとんどなかった。
しかしそのシーフギルドは強大で、尚且つ過激な集団であった。ブリッジヘッド全体の統制を強め、住民を脅して仲間にしたり、歯向かうものは家族もろとも処刑した。そのため彼らの邪魔をするものは誰一人としていなくなった。そのシーフギルドは今もブリッジヘッドに巣食っていて、その力はさらに肥大化している。
 
母と青年は私を家に帰した後すぐに姉を探しにいったが、結局姉は見つからなかった。現場には血痕などは残っていなかったらしいが、彼女が生存している可能性は0に等しいだろう。
青年は警備兵をやめて旅人となり、万が一ということで彼女を探してみると言った。
父と母はそれから一ヶ月に渡り彼女を捜索したが見つからず、終いには両親のどちらかが彼女を探しにいくことになった。父は仕事の関係で不可能だということで、母が旅に出ることになった。母は「必ず姉を連れて帰る」と約束した。
 
 
私の記憶に残っていることはこれで全部である。
未だに母も姉も青年も消息は分かっていない。あの日から11年半という月日が経っている。
父との二人の生活は決して楽なものではなかった。私は家事全般が苦手だったため、ほとんどを父に任せていた。もちろん私も家事の練習はしたがことごとく失敗し、しまいには練習を禁止されてしまった。
それでもしっかりと生きてきた。父と二人でも。しかしそれに耐えられなくなったとき、私の目の前にリベル=フリードが現れた。

349 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/20(木) 21:49:40 [ o1Q6FWQM ]
今回は(十二頁目のみ)行を頻繁に空けてみました。
少しでも読みやすくするために…なんですが、どうも読みにくくなっているようで…。
それより…今までで一番長いですなorz厳しすぎて途中で切ってしまったし…。
リフの姉の名を出さなかったのには訳ありです。決して考えるのが面倒だったわけではありません。いや、本当です。ほんt(ry
感想は明後日あたりには……と思っています。

350 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/20(木) 22:54:28 [ z5oOT6mM ]
朝返答の筈が寝坊して、急用連発で夜になってしまった変な生き物です。
体を朝型に戻そうとしても環境が戻させてくれない〜ヌルポ orz

>>ナンバーズサマ
なんかもう色々と…ご愁傷様です、早い復帰をお待ちしております。
小説の方ですが、感想としてはキャラが立ってるしシリアスとギャグのバランスが良いですが
どうも半角ばかりなのが少々読みずらくなって玉に傷かもです、半角カタカナを全角に変えてみては?
文章構成は悪くないっすよ、半角カタカナさえなくせば個性的ながらも良質な作品に仕上がると思います。
>ナンバー一家の狩り
なかなか面白かったっす、が…
…ナンバーズ?が俺みたいだorz リザかけに行こうとしたらキクロ集団によって死んだ事がー…。

>>南東方不勝サマ
凄まじい激戦
シローとの思い出、レナの決意に聖剣エクスカリバーの力、真・分身(違う?)、そしてもう一つの剣
実に先が楽しみです、そして敵が手強いっ!
だけど「効かぬ、効かぬ、効かぬぅぅぅぅ!ry」がツボに、なかなかノリがよろしいようで。
この激戦の結末、どうなるのか…想像もつきません、先が楽しみです先輩!
>彼女がゲームの方の湧きを担当
いえいえ、それはないですな
っていうか担当したらそこらには巨大なモンスターばっかりに…。
あ、…大型モンスターの湧き担当かも。
>ゲスト出演くらいなら、個人的には構いません
ういっす、まぁバンバカ出す気はアリマセーン、ちょこっと背景として出る程度です。
というかバンバンだしたら自分の主人公の立場が危うい…w

>>名前が無い@戦士見習いサマ
魔物の姿をした神様達、うーむ興味深い
相手を殺さずにこらしめたり、お酒について話したり、人間味がありますなぁ
お祭りはどうなるのか、楽しみです
そして「サイドウォーカーが器用に男を持ち上げて横歩きでブリジヘッドの方に歩いていく」が個人的に気に入って…
…俺の目の付け所ってやっぱりおかしいですかね?ソウデスカ。

>>(*´∀`)アラステキ サマ
おおお初めましてー!毎度毎度返答を見てますー!
っていうかレス貰ってウレシー
>前スレからずっと待ってましたよ
前スレから連載しようとしてたけどトラブルで出来なかったんです…
でも今回は大丈夫!連載しまくりですよー。
>自分は取り除く作業で断念してしまいそうです
…いやさ、供養しないとさ
だってさ、キーボードのキー部分に蜘蛛ですよ、つまり気がつくまでずっと
キーを叩いて蜘蛛をry
…供養しないとたたられそうで怖いです、ハイ。

>>FATサマ
ま、またもやネクロが出てきましたね、何が出るやら…
フプレと運命が交差する、一体どうなってしまうのやら…
次回作が楽しみです。
>ネファは無事なのでしょうか?なにか真相を知っている気が・・・
無事でした、ええ、そりゃあ人を蹴り飛ばせるほど…w
でも彼女が真相を知ってるのかすら不明…、そう、自分でもどうなるかわからないのさっ!
つまり行き当たりばったりストーリィーでございます、ゲファッ。

>>307-308
ブハッ、しょっぱなから…もう…w
筋肉だらけの酒場…リディスは一生行けないでしょうなっというか行きたくないかと、いやたくましい槍子がいるし…。
変な男の誘いの選択肢を間違ったら間違い無くエロ小説送りですな…ウホッ
でもシリアス物 「あの漢」とは一体…?
次回作に期待してます。

>>オジさん改めともぴサマ
オジリウスの物語…しょっぱなから悲しいですな…
ですが物語りは始まったばかり、どんな真実と闇に消えた記憶の真相が待っているのやら
お詫び、オジさんをそのまま「おじさん」と読んでしまい笑いかけた事にお詫びします、ゴメンチャイ。orz
>名前
まぁ私はサマをつけるから万事OKだけry

>>サマナの人サマ
山奥にアンデッドの群れ…うーん事件の予感予感予感!吟遊詩人にとってオイシイですな!…チガウ?
あとハイネの戦闘力にも期待、そしてどっかの誰かさんと息が合いそうなWIZ
…いや、女性陣の取り合いのため睨み合うかも。
>しつこく言い寄ってた戦士を撲殺
うわー… 撲 殺 って…、うちの軽石頭も危ない?
とりあえず召された戦士にナム、ご愁傷をお祈りします。

>>sinサマ
お初ですー、自信ない…って結構面白いじゃないですか!
ですがしいて辛口に言えば空白が多いことと「、。」が少ない事ですかねぇ、人の事言えませんけどぉ OTZ
「私はもうダメよ・・・最後に・・ランスを装備したかった・・ガクッ」がツボに…wおいおいって感じで。

351 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/20(木) 22:56:01 [ z5oOT6mM ]
マイガッ!長すぎ言われたから切り離したら名前消えてた!OTZ

>>ACサマ
お初にお目にかかりまする。
小説上手いですな!早速なにか訳ありな始まり…、究極の存在と言い残して消えた男
うーん!ドラマチックなかほりがする、俺じゃ無理だわ
素直に次回作に期待期待。

>> i サマ
始めましてん、小説、楽しく読ませてもらいました。
再分配によって戦い方を変えた男、うーむなかなかのものだなぁ
まぁとりあえず、末永くお幸せに…と。
>普段、顔文字はほとんど使わないので、選択と配分に苦労しました。
自分の場合、辞書登録してるから数字を入れればすぐに出せますが
分配は苦手っす、狩りのチャット中に顔文字を入れるタイミングがつかめなくてあんまり使ってない orz
>私は感想が辛口だそうで・・・
辛口だろうが自分はカマイマセーン、バッチコーイです、どーんと来てくださーい
……多分。


ゼーハーゼーハー、長いッ、こりゃこまめに感想を書かないと危険かな…。

352 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/20(木) 22:57:37 [ z5oOT6mM ]
っ書き込んでる最中に◆j9cST1xRh2サマのカキコが…
だけど用事が! ダレカボスケテ i||i orz i||i

すみませんが後日に振らせてもらいます、…御免なさい。

353 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/20(木) 23:02:45 [ LVW/cCFA ]
>>ACさん
新作ですねw
さて、術式を完成させるために失踪した友人探しをに出かける主人公。友人の人格が破綻していないことを祈ります^^;

>>i
童話物キターww
まぁ、これはこれで面白いですね。
いっそのこと、RS童話職人を目指してみてはいかがでしょうか?

354 名前: NameressOne@黒水 投稿日: 2005/10/21(金) 00:06:14 [ M/LdCC3w ]
2冊目では初めて感想書かせていただきます。 (書き方ヘンですが失礼します)

>GJです。花の無限弾丸はβテスト時代の遺物で使うと一発でなくなるはずwww
弾丸じゃないからなのか?

 投げる場合のみ無限に出てきますっ!
・・・って無限パイ投げ戦争とか既出じゃないか・・・


>何も無い故に、自らの体を武器とする・・。
確かにそう考えると一番手っ取り早くなれる職業は武道家ですね。

  ・・・弱いのに素手かよッ?!
素人は先ず「叩きBIS/テイ(ry
体力が無い時点でアーチャー見習い+体力作り」な気がしますです。


>「テイマーたちのファミリア乱獲〜〜

  どっちかと言うと「無許可のブリーディング」とか「放し飼いによる交配」がー・・・



> 「体は剣で出来ている」

 カラダは大人で頭脳はコドモッ!
そして・・・その身は紙で出来ていた・・・・・・(W


>「小説じゃなく唯の台本」問題」

  「RS小説」なので構わない」とおもいます。
 また、台本的書き方はすでに確立された文体、というか表現法です。
  もちろん、小説じゃない呼び方があった気はするですけど。

   「うーん・えい・だーめおん」って・・・w  実の親とかです? 


>「5000ゴールドです♪」
1桁少ないようですがw


   内容に関して乾燥してない時点でダメレスかもしれないですが
  童話職人さんも うたうたいさんも ハード作家さんも コメ屋さんも
  そしてメイドさんも、楽しく元気に、たまにきっつい感じでも
  とりあえず、書いて、貼ってくださいねー☆

355 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/21(金) 00:13:58 [ Gr5iAZ.Y ]
>>354
誰に対する感想なのか、わかりやすくすると良いと思いますよ。

356 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/21(金) 06:27:31 [ DXXt3lTo ]
>>335
南東方不勝さん
イレギュラーは・・・くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」

>>350
名無しさん
『おじさん』は仕様です( ´∀`)

357 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/21(金) 09:45:46 [ sgVZcMww ]
皆さんの書き込みをみましてまず言っておきたいことがあります。
まず自分のせいでスレの荒れを引き起こしてしまい申し訳ありませんでした。
これからはきちんと名無しで通します。
ショックを受けたというか考えさせられるような書き込みをしていただいたUスレのあの人にもその点で感謝しております。
小説の件ですが、これからはどのように設定していけばよろしいでしょうか?
①名前『』〜は排除
②描写を確実に増やす
③キャラ減らす
④構成を纏める
⑤半角片仮名から全画片仮名に
とりあえずこれらを使っていこうと思います。
皆様色々な発言ありがとうございました。

358 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/21(金) 10:48:05 [ rPBB0BnE ]
>>(*´∀`)アラステキさん
いつも素敵な感想どうもです^^
ハイネは……うん。いろんな意味で凄いです。
他のキャラはゲームで再現しようと思えば何とかなるでしょうが、ハイネを再現するのはとんでもない茨の道……
詳しい実力はそのうち>ワ<
>撲殺
言い寄ってた戦士を爽やかに殴り倒したのは事実です。
でも別に死んだわけではなく、女の子にダブクリ食らって気絶したのが恥ずかしくて、その日のうちに古都からいなくなったのを、殴り殺して埋めたのでは……と言われているだけです(ぇ

>>南東方不勝さん
瘴気に歪むエクスカリバー……レナさんの切り札といったい?
いよいよイスラフェル編クライマックスかな?
真っ二つに叩き切ったらそこから二人に分裂したらどうしようw

>>変な生物さん
うむ、いい感じに日常生活ですね。
軽さと重さのバランスが絶妙です。
セナさんにはそんな過去が……
そして、ギルドからは盗まれたものはいったい?
クエスト報酬が食事だったら、次はスマグ地下道入場料くらい食べるのかなぁw

>>sinさん
そですねー。句読点のつけ方で、文章の読み易さは大きく変わります。まるで左右のお(PANPANPAN
恋する剣士君かわいいなぁ。でも、ソロ10年って事は……25歳以上?
15歳から冒険に出たとしても……
実はこれでむさいひげ面のおっさんだったら……かわいいかも(ぇ
続編はないのかな? かな?

>>オジさん改めともぴさん
いきなり大ピンチ!?
記憶のないオジじゃ太刀打ちできないんじゃ……
そして、サチもなんだか秘密が多そうな予感。
確かに彼女自身も結構謎めいてますよねぇ。

>>戦士見習いさん
怪我人担いで横歩きするサイドウォーカーかわいい>ワ<
でも、そんなのが歩いてたら見かけた人は十中八九喰われそうになってると勘違いしそうw
しかも、病院にサイドウォーカーが入ったら……いや、そのまま鍋で患者さんの滋養強壮?(ぇ
カニカニ〜♪

>>ACさん
事情は了解しました、レイヴン(ぇ
ブレードは男のロマンですよね。たとえ使いこなせなくても^^;
何はともあれ、プロローグだけでは良いも悪いもわかりませぬ。
激しく続きに期待〜

>>iさん
そう言えばこちらでは初めましてなんですねw
うむ、普通のSSで顔文字の多用は引かれますが、こういう形式なら違和感なく楽しめます
ダメオン(仮名)ネタは下手に反応すると赤停止されそうなのでノーコメントw
一狼にボコボコにされたクマーの感想はベタですが笑えますね〜

とりあえずここまで読んだので、続きはまた今度〜

359 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:20:09 [ qsWYoako ]
ROMの一人でしたが、自分の描きたいものが形に出来たので投稿します。
読んでいただければ幸いです。

場所は、アルバス監獄B3。
敵とPTはレベル設定はゲーム中より高いです。強さはB5かB6辺りかも知れません。
武具や技能がどんなものか想像しながら読んでいただけるとありがたいです。
とある狩りPTメンバーの、モノローグ…

360 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:22:50 [ qsWYoako ]
とあるPTの『剣士』1/3

―耳元で曲刀が鳴いている。
 風をきり澄んだ音色をあげる。
 スナイパーの表情が確認できるほどに近づいた。
 いつも笑ったような表情が鼻につく。


 体が熱い。それだけはわかる―


募集されたパーティーで『狩り』にでかけた。
とうの昔に探索しつくしたはずのアルバス監獄に”その下”を見つけたらしい。
ついさっき出合ったばかりの仲間だが、それぞれに為すべき事を理解しているようだ。
地下への階段を抜け、左右に気を配りながら先頭のランサーの背中を見て思う。戦いやすい。
敵はそれほど強くない、左手のファビスがそう呟いた気がした。

 『盾に誓いを 剣に誇りを』
王国の紋章と同じものが刻み付けられたファビスだが、
全面に細かい傷がつき、装飾された仰々しいお言葉もそれ以上は読めなくなっている。
この盾に初めて出合ったとき、若き日に聖騎士を目指し自分に誓った……誓いというには余りにも幼稚な心意気があったことを思い出した。
盾を人に預けるのは、あまり好きじゃない。やはり左手に備え、敵を一身に集めるやり方が性分にあう。
先陣を切るには盾を押し出した格好のまま突進するのが最善だった。
浮ついた盾ではそれが出来ないことも不満を感じた。

盾の扱いに比べてれば、剣技が人より優れていると思ったことはない。
方々から飛び交う矢を盾を使うまでもなく打ち落とす程度の芸当はできる。
逆袈裟気味に切り上げた曲刀が意思を持ったように滑らかに動き、両断することもある。
ただ世間で持てはやされる回避を封じる連携技や、分身にすら見える連続剣には興味がなかった。
興味がない、では嘘になる。守るためにどうするか、そればかり考えて倒すための剣を疎かにしただけの話だ。

361 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:23:55 [ qsWYoako ]
”狩場”を一回りして大体の様相が掴めた。
開けた場所に陣取り、向ってくる敵を迎撃することに決まった。同意を求められ、遅れながら返事をする。
考え事をしていた。
…敵にでかいのがいくつか居たが近づいてくるなら捌ききるのは楽、それより火を放つ影とスナイパーが厄介だろう。
炎使いのウィザードに盾を預ける。強力な魔法を使うが詠唱の間は無防備になる癖があるようだ。


狩りは順調だった。
時折、アーチャーが不意打ちで痛打を浴びているが、次の瞬間には割って入ったランサーが2倍以上もある巨躯を弾き飛ばす。
弾かれた巨人は傍にいるアーチャーやランサーに目を向けず、盲目になったかのようにこちらへ向ってくる。
巨大なガイコツなどは、どこへも辿り着くこともなく一条の光に貫かれ灰になっていく。

宙に浮かべ、誰かに預けた盾は意思を持ったもののように宿主を護る。
ただしそれは永久でなく、動かなくなれば詠唱代わりの誓詞と剣技とは違う種類の集中を以ってやり直さなければならない。
何度目かの誓詞の後に紋章の刻まれたファビスを掲げ、ウィザードの元へ見送ったあとに”それ”に気づいた。


3人の後衛の並んだ後ろ、檻の隙間から小さな人影が見える。
弓を不器用に左手に構え、いつも笑ったような顔で、耳障りな甲高い声のスナイパーだ。
窺うのを止め、檻から進み出し、矢を番(つが)えるのが、ひどく、ゆっくりと見えた。
心臓が握られるような感覚があった。
遠すぎる。アーチャーは背中を向けているし、そのアーチャーに向かってビショップは神の息吹の祝詞を唱えている。
威圧は効くはずもなく、睨みすら届かない――

――耳元で風切り音が高い声を上げている。

駆け出していた。
気づいた時には浮かぶ盾の下をくぐり、アーチャーとウィザードの間を通り過ぎた。
体が軽い。
身を守る盾が重りとなってこの剣と敵とを遮っていたのか。
歓喜の声をあげている。
剣が澄んだ音色で鳴く。スナイパーはゆっくりと動いている。口角が釣り上がった顔のままやっとこっちを見た。
全身が燃える。

362 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:25:18 [ qsWYoako ]
スナイパーの全身が強張っているのが見ていてもわかった。
震える足で1歩下がった。
番えていた矢が弦を弾いてその手から飛び上がる。
相変わらず笑ったような顔で、切っ先を凝視している。
目に涙を浮かべて……涙?
―――
――




スナイパーは笑っているのではなかった。
恐怖に引きつった表情のまま仰向けに倒れていた。最初からずっとこの顔だ。

曲刀が一声小さく鳴いて、静かになった。
おまえが代わりに泣いてくれるのか、かすかに痺れる右手の曲刀にそう聞きたくなった。


ランサーがなにか不思議そうな瞳で見つめてくる。

『誰一人として死なせない』
幼かった剣士がまだ澄んだ瞳で誓いを立てている。

363 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:29:02 [ qsWYoako ]
>>360
『剣士』1/3⇒『剣士』3頁 で補完ヨロシク

364 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:46:17 [ qsWYoako ]
とあるPTの『ランサー』3頁

―まるで踊っているみたい。
 思い出だけに残るその言葉が今の私を支えている。

珍しい剣士に出会った。
何もかもが地味……ただ単調な攻撃を繰り返している。
地味なのに、こっちまで肌がピリピリする迫力にモンスターは釘付け。
前に会った剣士はもっと目を引く動きをしていた。
剣で描く十字の軌跡すら一回も見せない剣士には初めて会った。

やっぱり、同じ戦うなら目立たなきゃ!
突き出す槍の穂先は目にもとまらず、機先を制し縦横無尽に駆け回る。
どんなに鋭い剣閃もするりと抜ければ空を切り、赤く尾を引く火の玉は槍を一振り闇に消す。
風を纏って戦場を舞台にかえる、戦いの華はこうでなくっちゃ。

今日の仲間は、魔法アーチャーに炎のウィザード、剣士にビショップ。敬称略!
アーチャーさんとウィザードさんはいつも派手で驚いちゃう。
固まり集まるモンスターに、氷雨隕石降り注ぐ、そこに残るは死屍が累々。
一体残ったジャイアント、私が囲んでザクザク串刺し。

私の大事な大事な槍に宿っているのは風の魔法。
穂先だけじゃなくて柄尻まで風を纏ってて、軽く軽く振り回せる。
頭上でクルクル回せば小さな竜巻を肌に感じる。
小さな竜巻は目には見えないけど、私の周りに留まらないでモンスターの足元まで吹き荒れるのをはっきりと感じられる。
私が無茶を出来るのもこの槍のおかげ。

365 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:46:55 [ qsWYoako ]
今日の舞台は地下監獄。薄暗くて気が滅入りそう。
槍を構えて走って狩って、私を先頭にどんどん突破。
私が最初で、アーチャーさんが次、次っていうか光の矢でほとんど倒れて、ハイおしまい。
次、次、次、次ってクルクル回って面白い。面白かったんだけど、走ってるとビショップさんが大変そう。
場所を決めて戦うことにしてからも、槍をクルクル先手必勝。クルクル回してクルクル駆けて。

私の上で張り切る弓に名前をつけてる、他の人には内緒。
この槍をくれたあの人の愛用の弓と同じ名前。私がその人の弓につけた名前。
小さく名前を呼んで、弓に想いを吹き込んで空に放つその瞬間。

いまは辺りを一掃し、ほんの一時(ひととき)小休止。
地面を揺るがす音がして、はっと目を上げ見たものは、
剣士が仲間に急突進!その身に纏うは茜の焔、
仲間の脇を駆け抜けて、一際大きな衝突音!

戻ってきた剣士に掛ける言葉を捜して躊躇ってるうちに、違うモンスターがでてきてタイミングを失っちゃった。
言おうと思った言葉を、そのまま言ったらきっと誤解させちゃうから。

『やればできるじゃん』
この槍をくれたあの人の口癖。私が新しい挑戦をやりとげる度に言ってくれた。
出来るまで何回も失敗して、何回もやり直して、何回も見てもらった。
初めて会ったとき、初めて交わした言葉。
『まるで踊っているみたい』
ただがむしゃらに槍を振り回して、ただがむしゃらに躱わし抜けて、踊りというには不恰好すぎたはずなのに。
私もその気になっちゃって、いまじゃ舞姫なんて呼ばれちゃって、目立ちたがりの私のために、探してくれたこの魔槍。

366 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 18:47:38 [ qsWYoako ]
この槍を手にとり構えれば、二つに割れた穂先の間に、吹き荒れる風の刃が生まれる。
私がゆっくり手を伸ばせば、指先を包み込む優しい風に変わるそれも……
狙いを定めて突き出せば、切り裂く刃に成り代わる。
見えない刃に驚いて、動きを止めるその瞬間、風は大きく声をあげ、嵐になって吹き上げる。

無茶する私にあの人が探してくれたこの槍が私と仲間を守ってくれる。
夜になったらあの人に、今日の仲間の話をしよう。


ビショップさんが目の高さにあげた聖水撒きに向かって、祈りの言葉を続けている。
すぐ傍に出てきた骸骨、駆けて一閃あててやろうと槍を握ったその瞬間。

優しい光を背に受けて、祈り捧げたビショップが、
小さく強く踏み出して、聖水撒きを横に振る。
光の軌跡が弧を描き、闇を抱えたガイコツに、
当たる刹那に眩い光!不死も不浄も打ち砕く。

また驚かされちゃった。
私は口を開けた間抜けな顔で見上げていたに違いない。
小さな光る粒粒に変わって、それが薄暗い監獄の中に消えていくまで見とれて、そのまま固まっていた。

367 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/21(金) 19:03:47 [ qsWYoako ]
>>360
訂正) 盾の扱いに比べてれば⇒盾の扱いに比べれば
今日のUPはここまでです。

感想を書こうにも全レスするわけにもいかず・・・。
あえて挙げるならFATさん i さん21rさん、それに(*´∀`)アラステキさんの大ファンです。

>61-63のマリーPTの戦いでガクガクブルブル(AA略)したのが一番印象に残ってます。
ハノブの遭遇を想像するだけでガクガクブルブル
21rさんの復活をのんびり心待ちにしています。

368 名前: AC 投稿日: 2005/10/21(金) 21:25:12 [ BPIrFMYg ]
いきなり話は飛んで昔語りという名の設定垂流し…

狂人の蔵 第二話


魔法学において、魔法師の扱うそれは「元素魔法」と「付加魔法」の2つの体系に分類される。
元素魔法は地水火風4つの元素、その精霊を術者の構築する魔力回路により制御し、
自然界を人為的に創り変える技術を指す。大陸に散らばる多くの魔法師達が使用し、
魔法学を知らない一般人が所謂「魔法」として認識しているのがこれである。

それに対し、付加魔法は物質に魔力回路を埋め込むことで、
一時的に能力を底上げする技術を指す。この魔法はスマグ魔法師院の、
ある研究から派生した副産物を基礎として確立された技術である。

その研究、傍から見れば荒唐無稽で傲慢なその研究の起源は、数百年前まで遡る。

スマグの北東、ヘムクロス高原中央部に位置する大陸有数の巨大湖、アラク湖。
街の生活用水は、全てこの湖の水で賄われている。

300余年前、紅の輝石が地上に齎されたその直後から、湖の畔には巨大な塔が
確認されるようになったという。湖畔に立ち込める深い霧に阻まれ、頂の見えない
その高層建築は、自身を中心に強大な魔力場を形成し、アラク湖の湖水にその魔力を混ぜ込み
変質させていった。スマグの魔法師達は魔力場と魔力を湛える湖水の影響により、
その魔力を大幅に増幅されていった。

蜃気楼の如く突如現れ、恰も悠久の彼方からそこに在り続けるかのように虚空に
聳える尖塔を、魔法師達は「魔力塔」と呼び、新たな魔法都市のシンボルと狂喜して讃えた。

しかしこの時を境に、街は深刻な問題を抱えることになる。魔力塔出現後、
スマグでは新生児の出生率の大きく低下し、また、奇形が頻繁に産まれるようになった。

四肢の数の合わない未熟児、二重体の双子、果ては人ですらない異形。街はかつて無い混乱に陥った。

369 名前: AC 投稿日: 2005/10/21(金) 21:32:02 [ BPIrFMYg ]
狂人の蔵 第三話

出生した新生児は、例外なくその身に強い魔力を宿していた。魔法師達は数多くの実験と
考察を重ね、胎児の肉体の変調が、魔力塔とアラク湖湖水の魔力が胎児の魔力回路に
流れ込むことにより、飽和を起こした事に起因するという事実を突き止めた。

魔法師院は直ぐ様魔力塔へ大規模な調査隊を派遣した。しかし、僅か数名を残し、
隊は壊滅した。その後再編され、再度塔へ赴いた調査隊が持ち帰った収穫は、
塔内部には強力な魔物が犇めき侵入は困難であり、塔の発する魔力場の制御は
不可能であるという事実だけだった。

調査隊が持ち帰った情報が絶望的であったにも拘らず、魔法師達はスマグから
撤退しなかった。彼等の、自身の命を秤に掛けた上の結論は、塔の魔力場を
利用しつつ、スマグを存続させる手段を模索だった。そしてその為に魔法師院は
その総力を挙げ、産まれてくる次代の奇形化を回避する策を探した。

そうして永きに亘る研究の末、魔法師院はついに新生児を、スマグを救う技術を構築したのだ。

それが魔力回路を胎児に埋め込み、キャパシティを外部から拡張する『魔力回路拡張理論』と、
胎児への回路拡張処置を施す為の、研究過程で開発された付加魔法を応用した術式『魔法施術』である。

この理論と術式を導入する事により、スマグの新生児の出生率は次第に上昇し、また奇形も減少した。
そして、産まれながらに強力な魔力を宿した子供達は優秀な魔法師として成長し、
魔法都市スマグはより強く大陸に名を馳せるようになった。
これ以後、スマグ魔法師は他の魔法師と区別するように、自らを刻印魔法師と呼称した。

研究の成果、即ち魔法施術を受けた第一世代の魔法師達が成長し、世代を繋ぐ頃には、
スマグを存続させる為に構築された理論と技術は、より優秀な魔法師を作り出す為の
手段へ姿を変わっていた。そしていつしか、肉体と魔力を完全に融合させ、人を超えた高次の
存在へ至る為の研究に、スマグの魔法師達は傾倒していった。

そして、その為の魔法施術が高度化、複雑化するに伴い、施術に失敗する者も増えていった。
魔法施術に失敗した子供は魔力の均衡が保てず、暴走によりその精神と肉体に異常を来たした。
それら暴走した魔法師達は、スマグを出奔し各地で事件を起こした。その最たる事例が、
銀狼シルヴァリンによるビスル、バリアート一帯の大量殺戮事件である。

こうして輝石の降臨から今に至るまで、魔法都市スマグは魔力塔と共にその歴史を刻んできた。
院に篭り、いつ果てるとも知れぬ研究を続ける我々スマグ魔法師達の目的は、国を興し、
覇道を歩む為ではない。創生の真理を解き明かすことで究極の存在を創り出し、
そしていつか、我々の新たな歴史、その全ての根源たる魔力塔に再び挑む為である。

370 名前: AC 投稿日: 2005/10/21(金) 22:30:33 [ BPIrFMYg ]
書き上げるのが遅く皆様のハイスピードバトルについていけませんorz
独り語り様と同様全レスをつけるわけにもいきませんが、
皆様のSSはこの掲示板に来る最大の楽しみとして読ませて頂いてます。
前スレから続いた戦士見習い様のシリアスシリーズや、
サマナの人様の英雄テイム(何 などは正直ハナヂものでした(´∀`)
今後も、皆様の作品を楽しみにしております。

371 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/21(金) 22:50:30 [ widQC2LQ ]
 >【全角】ナンバーズ【半角】さん(違)


   旧バージョンと新バージョン、りょうほう書くってどうでしょう・・・

372 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/22(土) 00:15:58 [ LVW/cCFA ]
>>独り語りさん
剣士さんの性格は個人的にツボですね。
ひたすらに盾の技術を向上させたストイックさに惚れました。
槍子さんのほうも、軽やかにモンスの間を駆け抜ける姿が脳裏に浮かびました。
これからも頑張って下さい。

>>ACさん
そういえば、ネタで両手ともブレードの機体を(ry
ま、このことは置いといてw
魔力回路に刻印魔法師・・、スウェブタワー出現による奇形児の増加。
そして、ただ優秀な魔法師を生み出すことに執着していく人々・・。
これらの過去の出来事が、本編にどう反映されるのか楽しみです。
それと、この小説を読んでF○○eを連想した自分は負け組みですorz

373 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 00:57:40 [ UshLJN0c ]
>>357 ナンバーズ氏
もう一つだけ。実際に登場するアイテム・MOB等の名前を直接使わない方が良い。
21R氏の間接的なスキル説明を参考にするといいと思うよ。
他にも上手な人たくさんいるから、全部に目を通すだけでもかなり勉強になる。

374 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 00:59:31 [ UshLJN0c ]
って、よく見たらこのスレが最後尾じゃまいか。
保守age

375 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 01:48:21 [ 99KZlXYU ]
>アイテム・MOB等の名前を直接使わない
そこはどーでもいいと思う

っていうかさ、ナンバーズ氏は②と⑤だけやればいいんじゃない?
急にキャラ減らされても困るしな

376 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/22(土) 02:14:21 [ LVW/cCFA ]
>>325
(まずいな・・。)彼奴らとの戯れの中で、我は始めて焦燥に駆られた。
(よもや、あの雌がこのような隠し玉を持っていようとは・・。)
奴が弓に番え、魔力を注ぎ込んでいる剣。その名はアンドゥリル、エクスカリバーと対をなすもう一つの聖剣。
エクスカリバーは、所有者に降りかかる全ての厄災を「無効化」することで守護する聖剣であるが、
それに対してアンドゥリルは、所有者に降りかかる全ての厄災を「斬り捨てる」ことで守護する聖剣である。
故に、その破壊力はエクスカリバーの守護をも凌駕する。
いくらエクスカリバーを解放している我とて、あの剣の直撃を受けたら只では済むまい。
ましてや、既にオート監獄にて半身を失っているのだ。もうこれ以上の分裂は不可能だ。
最もどのようにして、我が半身が最後を迎えたかは分からずじまいだ。
確か半身は、白き魔獣に憑依していた筈である。
それ故、今あの剣をこの身に受けることは我の負けを意味する。
「させぬ・・、させぬぞぉぉぉぉぉぉぉ!!」
我はあの雌ごと忌まわしき剣を葬らんがために床を蹴った。
だが、「ここから先には、行かせねぇ・・!」盗賊の小童が我が進路を遮る。
「どけぇぇぇ、小童!貴様の始末は後回しだ!!」そうして我は、小童の顔面を盾で殴りつけ吹き飛ばす。
「ごっ・・・・!?」凄まじい勢いで小童が壁に激突する。どうやら衝突の際の衝撃を和らげるために分身が身を挺して本体を庇い、死んではいないようだ。
そうして我は目標との距離を一気に詰める。どうやら、僅かの差で我の方が早かったようだ。
雌が絶望の色に染まった瞳で我を見据える。その瞳に宿る絶望がなんと甘美なものか・・。
「残念だったな。これで、この茶番にもようやく幕引きが出来る。」
そうして我は、雌の頭蓋に刃を振り下ろそうとした。

私がアンドゥリルに充分な魔力を注ぎ終わった瞬間、あいつが剣を振り下ろしてきた。
(ここまでなの・・・。御免、シロー。仇、取れなかった・・。)
心の中でそう彼に謝り、私は目の前の死を受け入れようと目を閉じた。
しかし、振り落とされるであろう刃が私の頭蓋を砕くことは無かった。
(えっ・・!?)そのことに驚き、目を開ける。目の前には剣を振り上げたまま、固まっているイスラフェルがいた。
どうも様子がおかしい。何かぶつぶつと呟いている様だ。
「やめ・・ろ、この肉体は・・・我の物だ・・。今・・更、貴様如・・きに、ぬぅあぁぁぁぁぁ!」
イスラフェルが叫び声を上げる。そして、その叫び声が収まったかと思うと、イスラフェルはじりじりと後ろに下がった。
そして、まっすぐに私を見つめこう言った。
「レ・・ナ、俺・・ごと・・・こい・・つを・・・殺・・せ・・・。」
俺はもう助からないから、そう彼は私に告げた。
「シロー・・・、分かったわ。貴方の思いは、決して無駄にはしない・・!」
そうして私は、アンドゥリルを媒介にしたライトベロシティを放った。
一筋の光が、彼の体を貫く。それと同時に、二つの声が私の耳に届いた。
一つは、彼の体を乗っ取った悪魔の断末魔。そしてもう一つの声は
「ありがとう・・。」そう私に言ってくれた、シローの声だった。

377 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/22(土) 02:17:54 [ LVW/cCFA ]
さぁて、イスラフェルとのバトルがようやく終わりました。
大分削ったなぁ、内容orz
まぁ、妄想した分全部書くと余りにも長くなるからなぁ^^;
もうすこし、上手く文章をまとめてみたいものですOTL

378 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 07:09:26 [ pnxYNzcE ]
>>ナンバーズさん
戯曲の書き方になっている。
小説の形にとらわれず、逆にセリフにどこまで意味や感情を込められるかに
手間と工夫をこらすのも一つの技術です。けして説明的にならないように、
それでもセリフを読んだだけで情景や表情が目に浮かぶ。語り口だけで誰が
どんな思いで話しているのか分るようになれば本物でしょう。

NameressOne@黒水氏への返答も併せて。
>また、台本的書き方はすでに確立された文体、というか表現法です。

379 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 10:53:27 [ HTRVgxmk ]
>337-341
_| ̄|○ノシノシノシノシノシノシノシノシノシノシ<マーベラス

380 名前: 373 投稿日: 2005/10/22(土) 11:16:26 [ UshLJN0c ]
>>375とナンバーズ氏
表現が悪かった。すまない。
ていうか、俺の語彙じゃあうまく説明出来ないな。
なんというか・・・一言で表せば「ガキっぽい」のかな?
だから、他の人の表現技法を参考にして書くともっと良い物が出来ると思う。

381 名前: 名前が無い 投稿日: 2005/10/22(土) 11:45:18 [ hNlLsBE2 ]
【チラシの裏】
ギルド戦争
そこでは己の技と肉体を最大限に駆使して他の冒険者を打ち破る
それだけの為にある行為、野蛮だと言う人もいれば
誇り高き行為だと褒め称える人も居る
そして今、ギルド戦争の真っ最中
二人のテイマーが熾烈を極めた戦いを繰り広げている
一人のテイマーが敵のテイマーと睨みあいを続けている
ペットのコボルトはZzzzと寝息を立てている
延々と続く睨みあい、音の無い戦いが永久に続くと思われたときに
一人の天使が颯爽と空から現れる
天使はその場で聖域つくり、二人のテイマーを見守る
にらみ合うテイマーは天使を意にも介さず孤独な戦いを続けている

別の場所では武道家と戦士が戦っている
お互い睨みあい、一定の間合いを取っていたが武道家が先に動く
分身を二つ生み出しジェットストリームアタック!と叫びながら戦士へと走る
戦士はその強靭な体を駆使して大きなジャンプをして分身の一人を踏みつける
武道家は驚いた顔をして叫んだ
「俺を踏み台にしたぁ!?」

ギルド戦、それは漢達が誇りをかけて戦う世界………
【/チラシの裏】

382 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/22(土) 12:15:30 [ 0Q3GCQU2 ]
一応始めの方からROM専だったんですべての作品を一通り見ています。
内容ガキっぽいですか。
事実自分でも書いててなんか厨みたいになってきたなと思っていたりします…
アイテムやMOBの名前を書く書かないは賛否ありますね。
これから推敲し、短篇試作して今日の夜あたりUPしてみます。

383 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/22(土) 12:25:14 [ LVW/cCFA ]
>>名前が無いさん
ギル戦物ですね。
黒○○○○ネタに爆笑した自分は負け組み確定でしょうか?^^;

384 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/22(土) 12:42:19 [ hNlLsBE2 ]
コテハン付け忘れた・・・・
>>381は自分ですorz

385 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/22(土) 23:13:22 [ wA1424Gk ]
>>名前がない@戦士のようださん
マッシュオルテガガイアネタに吹きました。
 
では試作うpしてみます
 
それはある平凡な朝の事だった。
部屋に一つしかない窓から朝日が差し込んでくる。
カビ臭いベッドの上で目が覚める。
埃っぽい部屋からまた憂欝な一日が始まる。
顔を洗おうと寝呆け眼で洗面所に向かう。
…水が出ない。そういえば先週から電気水道ガスみんな止められているんだった。
「致し方ない。稼ぎに出るか。」
彼の名は守(マモル)。
左手に持つは身の丈程もある巨大な盾、右手に持つは攻撃を受けとめる為の小刀、今はめっきり減った純粋な壁剣士である。
だが最近はどこに行っても
「PTあいてますでしょうか?」
そこでいつも小声で話すPTM。
(うわwまた剣士かよ。火力ないくせにまた火力だと偽って入る気だな)
自分はいつもこう言われる。
そして同時に悲しくなる。
なぜ同士達は盾を捨てるのか。なぜ自分を犠牲にしないのか。共に戦う者を護るのが"騎士道"ではないのか?
「いっぱいですwww」
そう言われる毎日に疲れ、最近は狩りにも出ず、この暗く、黴臭い部屋に閉じこもっていた。
しかし食料も水も尽きた今は狩りに出るしかなかった。
古都にある自宅を久しぶりに出る。さんさんと降り注ぐ朝日が、暗い部屋に籠もっていたせいか眩しい。
古都は朝から活気があり、多数の冒険者の叫び声が聞こえる。
<!>ナンバーズ アルパスB1狩りPT募集!リュウインズ前まで!
<!>ぬるぽ アルパスあいてますか?
なぜか人が叫んでるのが懐かしく感じる。
自分にあう狩りPTを探す中ふと露天の商人に呼び止められる。
「よう兄ちゃん、いい剣士品揃ってるよ!」
金もないのについつい釣られて見てしまう。
マインゴーシュ、パーリングダガーなどたいして興味のないものがあるなか一つだけ興味をそそる品があった。
「これは…」
[U]バディトラスト。
鈍い鉄色に光るそれはすべての戦士剣士の憧れの防具。
しかし何億ともするそれを彼が買えるわけはなかった。
「なんだよ、金ないなら行った行った。」
後ろめたさを感じながらとぼとぼと露天を後にする。
<!>愁 オーガ秘密ダンジョンPT募集。王宮前まで
ふと自分が自宅に籠もる前には聞かなかった叫びが聞こえる。興味がわいたので行ってみることにした。
王宮前にもいくつかの露天や雑談中の人々の姿が見える。
その中に一人大声で叫んでいるシーフの姿が見える。

386 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/22(土) 23:46:42 [ sgVZcMww ]
「すみません、オーガ秘密とはどのようなPTなのでしょうか?」
と聞くとその大きな帽子をかぶったシーフはにっこり笑って答える。
「はい、秘密PTっていうのはあるダンジョンで新たに発見された区域を探索するPTのことなんです。ただ…」
とたんにシーフの顔が曇る。なんだか訳があるように感じる。
「昨日僕は友人のハンナさん達と一緒にオーガ秘密ダンジョンに入ったんですが、ボスのオフィサーグとチーフレイクという二人のオーガにやられてしまって…。それでハンナさん達は僕を逃がすために…」
どうやら囚われの二人を助けに行く為に有志を募っているようだった。
自分の中の何かが熱くなった、そのときにはもう言葉を発していた。
<!>守 「わかりました!自分がお役に立てるなら手伝います!」
久しぶりに誰かの役に立てる事が嬉しかった。ただ自分の声が大きすぎて叫びになってしまったが。
シーフさんはびっくりしたような顔で
「あ、ありがとうございます。申し遅れました、僕は愁(シュウ)といいます。」
にっこり笑って手を差し出す。
なぜかその笑顔にどきっとしながらも差し出された手に握手する。
「俺は守って言います。よろしく!」
まだ自分を必要としてくれる人がいるんだ。
空を見上げながら考える。自分の騎士道は自分の信念を貫くこと。それを俺は信じるだけだ。
後編につづく

387 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/22(土) 23:51:16 [ nKVKQ.wc ]
上出来じゃん、生々しいなw


っとそのまえに、できれば前回の小説も打ち切らずに一緒に続けてくれ
あの後から気になってなぁ

388 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/23(日) 00:15:34 [ 7l2jcYK6 ]
すばやい返信ありがとうございます。今回の批評を見て今後のことは決めたいと思っております。

389 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:01:39 [ Xubk2Wgc ]
「大丈夫ですか?お嬢さん」
その声に私は目を覚ます。
「こんなところにで寝ていては風邪をひいてしまいますよ。」
あれ?ここはどこだろう?
「本当に大丈夫ですか?」
ああ、そうだ。酔いつぶれてここで寝てしまったんだ。
「ああ、はいはい大丈夫ですよ」
と言いながら立ち上がろうとするが、まだアルコールが抜けていないようで転びそうになる。
「おっととっと」
声をかけてくれていた男が私を抱き留めてくれた。
「っと、ありがとう」
そこで初めて私は男の姿を見た。
「え?天使?」
思わず凝視してしまう
「そんなに天使が珍しいですか?」
「ああ、いえ、すいません」
いそいで目をそらす。天使が地上に降りてくるなんて何ごとだろう?と考えていると
「どうやらその調子じゃ自力で帰るのは難しそうですね。家まで送って差し上げましょう。」
そう言って彼は私を抱き上げ空へと羽ばたいた。
「わわ!?ちょっと!誰もそんなこと頼んで無いわ!降ろして!」
「いいんですか?今ここで降ろしても。この高さだと死んじゃいますね。
 そんなことより家はどこですか?教えてくれないと送れませんよ。」
「な!?」
少しだけイラついたが、転落死するのは嫌なので素直に住所を教える。
普段なら初めて会った人にそんなことは教えないが、彼は信用できる気がした。何故だろう本当に不思議だ。
家に着くまでの間ずっと彼の翼を見ていた。
『天使の翼は人々の希望を映す』
この地上の世界で天使はとても神聖な存在であり神が我々に見せてくれる希望であると言われている。
まぁ、そんな話はどうでもいいのだけれど、彼の翼は綺麗だった。
汚れた世界を浄化していくような、そんな美しさだった。
「どうです?綺麗でしょう?僕の翼は。同じ天使達の中でも好評なんですよ。僕の翼。」
どうやらこの翼は彼自身も自慢に思っているらしい。
「ええ。本当に綺麗だわ。うらやましいわ」
「僕はこの翼に誇りを持っています。天使である自分への誇りです。この翼を使い人々の手助けを
 していきたいのです。」
そんなことを話していると家が見えてきた。
「あっ、そこの家よ。」
まさか自分の家の前に天使が降り立つ日がくるなんてね…
彼にお礼を言いそのまま家に入っていこうとすると彼が私を呼び止め、こう言った。
「しばらく居候させてくれませんでしょうか?」
さすがに天使のお願いを断るわけにもいかず、しょうがなく今日だけ泊めることにした。
はぁ…明日には出ていってもらえるよう説得しないと…

翌日、私はカーテンの隙間から射し込む太陽の光で目を覚ました。
「ん〜、もう朝か〜。」
少しだけ体を伸ばして二度寝しようと思っていると、台所の方から物音が聞こえる。
「だっ、誰!?まさか泥棒かしら?」
横に置いてあった護身用の小型の槍を手に台所に向かう。
そして一気に台所の扉を開ける。
「あっ」
あぁ、忘れてた。今この家にいるのは私一人では無いんだった。
「あれ?もう起きたんですか?困ったなぁ…まだ朝食の準備が終わってないんですよ。
 もう少しで出来上がるので椅子にでも座って待っていてください。」
彼は私の槍を見て少し驚いた表情をしていたが、何ごともなかったかのようにそう言った。
おとなしく椅子に座り朝食が出来るのを待つ。
その間ずっと朝食を作る彼を見ていた。正確には彼の翼を。
窓から射し込んでくる太陽光を受けて輝く彼の翼はやはり綺麗だった。

390 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:03:53 [ Xubk2Wgc ]
彼の用意してくれた朝食を食べ終え(独特の味付けだったけど、なかなか美味しかった)、
天上界に帰ってくれるように説得を始めた。
(よく考えてみると朝食を作ってもらっていきなりこんな事を言うのは少々失礼だったかもしれない…)
「ねぇ、悪いんだけどこの家から出ていってくれない?ほら、あなた天使なんだから他の家でも
 しばらくは泊めてもらえるわよ。ね?」
「それが…そうでもないんですよ。実はこの町の家を全部まわったんですが、どこも泊めてくれなくて…」
「全部!?この町の全ての家で断られたの!?」
この町ってブルンネンシュティング程ではないにしろ結構大きい町なのに…意外と冷たいものね、世間って…
「そうなんですよ…もう頼れるのはアナタだけなんです!お願いします!もうしばらくこの家においてください!」
そう言って彼は土下座した。
「うっ、そんなこと言われても…」
まさか天使に土下座される日が来ようとは…
「お願いします!」
彼は頭を下げ続ける。床には涙の雫がこぼれ落ちる。
「わかった、わかったわよ!しばらくは泊めてあげるからもう頭を上げてよ」
もう!何も泣くこと無いじゃない!
「じゃあいいんですね!!」
彼がガバッっと立ち上がり私の手を握る。その目にはもう涙は無い。
こ、こいつ!嘘泣き!?本当に天使なの!?
「じゃあ、あの空いてる部屋使わせてもらいますね」
勝手に話を進めて部屋を出ていく。
「はぁ…しょうがないか…」
あ…名前聞くの忘れてた…
「私の名前はミレイだからね!」
一応自分の名前を教えておく。
廊下の方から「は〜い、しばらくの間よろしくお願いします」と返事が聞こえた。

彼(後で名前を聞いてみたけど地上では使われない発音だったので名前はわからないままだ)との生活は意外と
楽しいものだった。(ちなみに地上に来た理由は単なる興味だそうだ。)
普段は適当に簡単そうなクエストを受けて生活をしていたけれど、彼がいれば遠くの町のクエストも
受けられるようになったので稼ぎも増えた。
彼の近くにはいつも小鳥や美しい蝶が寄ってくる。彼の周辺はいつも平穏で満ちていた。
そんな日々が続いていた。徐々に私は彼に惹かれていった。

ある日彼が「ちょっと天上界で事件があったみたいなので一旦帰ります」といって天上界に帰ってしまった。
この事件が彼を絶望の底に落とすことになるなんて思ってもみなかった。

彼が天上界に帰って数日が過ぎた。この日は朝から晩までずっと雨が降っていた。
夜も更けてもう眠ろうかと思っていると、玄関のドアを叩く音が聞こえた。
ドアを開けると彼が立っていた。体は雨でズブ濡れになっている。
急いで家の中に入れ、体を拭くためにタオルをもってくる。
「お帰りなさい。雨にあたっちゃって災難だったわね。」
「……」
「ん?どうしたの?」
先程から彼の様子がおかしい。元気がない。いつもの彼のような明るさがない。
そしてあることに気付く。彼の翼、左の翼が無惨に折れてしまっている。
それに翼自体に以前のような美しさが無くなってしまっている。
「うそ…なによ…これ?い、いったい何があったの!?」
「……」
彼は何も答えない。生気の抜けた目をして立ちつくしている。
「ねぇ!どうしたの!何か言ってよ!!」
しかしこの日彼が口を開くことはなかった。
仕方なく彼を彼が使っていた部屋に連れて行って今日のところは休むことにした。
あの様子は絶対に何かあったんだわ…それに折れた翼のことも気になるし。明日問い質してみるしかないわね…

翌日になっても彼に元気が戻ることは無かった。
ただ何があったのか、それだけは聞くことができた。
天上界での事件それは悪魔にレッドストーンを奪われてしまったというものらしい。
その責任を天使が負わされ、その結果天使達は片方の翼を奪われレッドストーンを取り戻すために
地上へと追放された。
なぜ悪魔達のいる地底ではなく地上なのかというと悪魔達と共謀した人間達がレッドストーンを地上に
隠してしまったらしい。
どうやらレッドストーンとはどの世界にとっても重要なものらしい。
あれほどまでに美しかった彼の翼を奪ってしまうほどのモノなのだから。

391 名前: 380 投稿日: 2005/10/23(日) 04:05:32 [ yome3M7E ]
(・∀・)イイヨー

続きキボンヌ!キボンヌ!

392 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:06:15 [ Xubk2Wgc ]
それから数日が経った。
彼は庭に置いてある椅子に座っている。相変わらず元気はない。
ヒラヒラと綺麗な蝶が彼の方に飛んでいく。彼が手を差しのべると蝶はその手に留まった。
彼は蝶を見て涙を流していた。
「お前はいいなぁ…自由に空が飛べて…その翼を僕にくれないかい?」
そう言って彼は蝶を握りつぶした…
自分の見ているモノが信じられなかった。あの優しかった彼が蝶を握りつぶした…
それほどまでに今回の事件はショックだったんだろう…
座っている彼の背中から彼を抱きしめる。
「ねぇ、もう翼のことは忘れよう…前みたいに優しい貴方に戻ってよ…」
「忘れろ?翼のことは忘れろだって?そんなこと…そんなことできるわけ無いだろ!!
 アレは僕の誇りだった!僕たち天使の誇りだった!!それを、それを忘れることなんかできる
 わけ無いじゃないですか!!ミレイにはわからないんでしょう?僕が今どれだけの絶望感を
 味わっているかなんて!!」
涙が出た、悔しかった。彼はこんなにも苦しんでいるのに自分はどうしてやることもできない…
「ご、ごめんなさい。ミレイを責めたかった訳じゃないんです…ごめんなさい」
「いいの、確かに私なんかじゃ貴方の苦しみは理解できないのかもしれない…
 でもね、私はそんな貴方を見ていたくない…貴方が苦しんでいるのは見たくないのよ!
 私が!私が貴方の失った翼の代わりになってみせるから!!
 だから…だから前みたいに元気で優しかった貴方に戻ってよ!!」
強く彼を抱きしめる。私も彼も泣いていた。ただ涙が溢れて止まらなかった…


それからさらに数ヶ月後、私達は大きな城の前にいた。彼の兄が待つという城の前に。
この数週間の間に彼は徐々に明るさを取り戻し、以前のように活発な彼に戻っていた。
そして毎日二人でレッドストーンについての情報を集めていた。
もちろん情報など全く集まるわけもなく途方に暮れていたとき彼の兄(この時はまだ彼に兄がいるなんて
知らなかったのだが)から彼に連絡が入った。
『レッドストーンに関する情報を入手した。今すぐ自分のところにきて欲しい』
それで、その場所がここなのだが…こんなところに城があったなんて知らなかった…大きい…
彼は気にした様子もなく城に入っていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
中に入ってみると、やはり外観からもわかるように広々としていた。
ふと見ると正面にある玉座のようなところに誰かが座っていた。
「お久しぶりです兄さん」
「おお、やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
あのいかにもエリートっぽい感じの人が彼の兄のようだ。彼の兄もやはり翼が折れてしまっていた。
「遅くなってしまってすいません、兄さん」
「まあいい。それよりそこの女は誰だ?なぜ人間ごときがここにいるんだ?」
うわぁ…見た目通りの性格ですこと…
「彼女はミレイ。僕に住む場所を提供してくださっている女性です。」
「そうか」
あからさまに不機嫌そうな視線を私に向ける。
「それで兄さん。レッドストーンの情報というのは?」
「ああ、そうだった。実はな、情報と言うほどではないんだがレッドストーンが地上にあるのは
 間違いないらしい。それでな地上の世界を滅ぼすことにした。
 その方がレッドストーンの捜索も楽になるからな。」

393 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:06:57 [ Xubk2Wgc ]
「は?」
思わず間抜けな声が出てしまった。この人は一体何を言ってるんだ?
「何を言うんですか兄さん!そんなことをしては人間が死んでしまいます!!」
「別に構わんだろう?そもそもこれは悪魔と人間共が引き起こした事だ。そのせいで我々の翼は奪われた!!
 人間共の罪は俺が裁く!!むろん悪魔達もな!!そしてレッドストーンが見つかった後に
 我らを地上に追放した天上界を滅ぼし私が神になるのだ!!
 この城には私が長い時間をかけて作り出した魔法石がある。この石の力をもってすれば地上ぐらい軽く消し飛ばす
 事ができる!!」
次の瞬間城全体を何か不思議な力が包み込んだ。そして城が浮上を始める。
「きゃっ、なに!?飛んでるの!?」
どんどん地上が遠くなっていく。
「兄さん!やめてください!こんな事はしてはダメです!!」
「うるさい!私に指図するな!!お前は黙って見ていろ!!」
どうやらこのままでは本当に世界が滅んでしまうようだ。なんとかしないと!
「今すぐこの計画を中止しなさい!さもないと力ずくで止めることになるわよ!!」
持ってきていた槍を構える。
「やれやれ馬鹿な女だ、お前が俺を止められると思うのか?どちらにせよお前も生かしては帰さん!」
「待ってください二人とも!争ってはいけない!!」
「弟よ、お前はどうする?私とともに世界を支配するか?それともその女のように私に刃向かって死ぬか?」
「僕は…」
「世界を滅ぼすことなんて許されるはずが無いわ!早く止めないと!!」
彼が私の横に立つ。
「僕は世界を救う。兄さん貴方を止めなければなりません。」
「ほう、では人間共の味方をするのだな?」
「僕は人間達を守ります。お願いです兄さん考え直してください!貴方とは争いたくない!」
彼が説得を試みる。だが彼の兄は侮蔑を含んだ目でこちらを睨むだけだった。
「愚かな弟よ、お前だけは生かしておいてやろうと思っていたが予定変更だ。お前もその女と一緒に消してやろう」
どうやらもう争いは避けられないようだ。改めて槍を構え直す。
「ミレイ…悪いが君は石の破壊を任されてはくれないですか?」
「なっ!?何を言ってるの!?私も一緒に戦うわ!!」
世界を滅ぼす事ができる石を作る事ができる者が相手だ。一人で勝てるわけがない!
「僕なら大丈夫です。今は一刻も早く石を破壊するのが先決です」
「そんな…でも!」
「僕は大丈夫です。絶対に君のところに帰ります、だから安心してください。ここは僕に任せてください」
その言葉を聞いたとき私は不思議な感覚に包まれた。もう彼は帰ってはこない。そんな気がした。
彼の目は言葉とは裏腹に死ぬ覚悟を決めた者の目だった。しかし私は彼を信じようと思った。
「わかったわ。石を壊したらすぐに戻ってくるからね!」

394 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/23(日) 04:07:18 [ IOwq/IpI ]
>>独り語りさん
ふいんき(ry)がとても気に入りました。
あの人って誰だろ

>>南東方不勝さん
弓に剣を・・・すごいですねw
イスラフェルは結局シローの愛の力に負けてしまったんですね。
↑言いながらちょっと恥ずかしい自分がいます

395 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:07:38 [ Xubk2Wgc ]
「あの女を行かせてよかったのか?お前一人では俺に勝てはしないぞ」
「良いんですよ。彼女に僕が兄を殺すところなんて見せられませんからね。」
僕の言葉を聞いて少しの間をおいて兄は笑いだす。
「ハーッハッハッハ!!出来損ないがよく吠えた!いいだろうやってみろ!
 お前では私に勝てないということをわからせてやる!」
兄が片手を天に向かってつきあげる。すると室内であるにもかかわらず雷雲が発生する。
ゴロゴロゴロゴロゴロ…
ドォン!ドォン!
無数の雷が自分に向かって落ちてくる。
この程度なら避けられる!そして一気に兄を叩く!
両手に光の輪を作り出し、雷を回避しようとした時だった。自分の体の異変に気がついたのは。
「なっ!?体が動かな、うあぁあぁぁぁぁあああぁ!!!!」
強力な雷撃が自分に命中する。
体が痺れて立っていることができない。そのまま地面に突っ伏す。
「なんだ?この程度か?それなのにお前は俺に刃向かったのか!兄であるこの俺に!!
 やがて天上界を支配するであろうこの俺に!!」
脇腹に激痛が走った。兄が自分の脇腹を蹴りあげた。
あぁ、痛い。体は雷撃によって麻痺しているにはずなのに痛みだけは感じる。
体の肉が焦げるニオイがする。
まだだ…まだはやい…焦るな、チャンスは絶対にくるはずだ…
気付かれないように自分に回復魔法をかける。少しずつではあるが痺れがとれてきている。
反撃のチャンスは意外と早く訪れた
「お前はそこで待っていろ。女をここに連れ戻して目の前で殺してやろう。そうすれば馬鹿なお前も
 考え直せるだろうよ。」
そう言うと兄は彼女の後を追おうとする。
まさか僕が動ける状態であるとは思っていないのだろう。その背中はあまりに隙だらけだった。
そしてこの瞬間僕の勝利が確定した。
兄の背中に向かって光の輪を投げつける。光輪はそのまま兄の翼を切り裂いた。
天使の力は翼を媒介として行使される。今この時をもって兄は力を失い、神になる資格を失った。
「!!!!!?!!?」
声にならない叫びが聞こえる。
「今その苦しみから解放してあげるよ。兄さん」
苦しみ悶えている兄の肩を抱く。
「もう終わりにしよう。こんな悲しいことは終わりにしよう。さぁ、兄さん。
 神に懺悔してください。今なら神も許してくれるはずです。」
しかし兄の考えは変わらなかった。
「畜生…このまま終わってたまるか!俺は許さない!俺の天使としての誇りを汚した神を!
 レッドストーンを奪った悪魔達を!悪魔達に加担した人間共を!!全てだ!全てを消してやる!!」
「そう…ですか…それなら僕は自分の天使としての誇りをかけて貴方を裁く!!」
自分の残された翼が光を発する。その瞬間辺りに大小無数の十字架が現れる。
「さようなら…兄さん…」
最期に兄の目に映ったのは十字架と僕の涙だったであろう…
兄は光の粒子となって消えていく…そして力を使い果たした僕の翼も消えていった。
目の前が少しずつ暗くなっていった…

396 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:08:13 [ Xubk2Wgc ]
早く石を破壊して彼のところへ戻らないと!
全力疾走で石が安置されている部屋に向かう。しかしどれだけ急いでもその石のある部屋にたどり着けない。
なんて広い城なんだろう。外から見たときはこんなに広いようには見えなかったが。
空間拡張魔法でも施してあるんだろうか。
それからさらにしばらく走ったとき、ついに石を保管している部屋に到着する。そして扉を蹴破った。
部屋の中には禍々しい光を放つ石が一つ。それを確認した私は槍を構える。
「やぁっ!!」
ガギッ!
槍が石を貫く。石は激しい光を放ち霧散した。
その瞬間この城を包んでいた魔力が消えていくのがわかった。
もっと硬いものだと思っていたのだが、あっけないものだ。
そんなことを考えていると、城の上昇が止まった。
そして城が落下を始める。徐々に速度を速めながら地上に落ちていく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
城が崩れ始めた。ここも長くは保たないだろう。
彼のところに戻らないと!
すぐに彼が戦っているはずの大広間に走る。
おかしい。静かすぎる。
さっきまでは激しい戦闘の音が聞こえていたのに…
大広間に着くとすぐに彼の姿を探す。
広間のほぼ中心に彼は倒れていた。
どうやら気を失っているようだ。
「ハァ、ハァ、大丈夫!?」
息を切らしながら彼に駆け寄ろうとした、その時だった。
彼がいる場所の床が崩れ去った。
いけない!助けないと!!
必死に手を伸ばす。
しかし手は空を切る。彼は落ちていく。真っ逆さまに落ちていく。そして見えなくなった。
「…うそ。嘘よ、こんなの嘘。私はあの人を掴んだわ…ちゃんとあの人の手を掴んだわ!!」
自分の手のひらを見つめる。震える手のひらを。
その手に掴んでいたのは絶望。
彼を助けられなかったという現実。

あまりのショックに頭が混乱している。ただ自分の手を見つめることしかできない。
体の震えが止まらない。私はその場に座りこむ。
そして、ついに自分が立っていた床が崩れ落ちた…

私は落ちていく。まるでさっきの彼のように。
力無く…真っ逆さまに落ちていく…私はそのまま気を失った…

397 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:08:56 [ Xubk2Wgc ]
次に目が覚めたとき、私はベッドに横になっていた。
「ん?ここは?」
すぐさまこの疑問が浮かんでくるのは当然といえば当然だろう。
そして次に浮かんでくるのは彼のこと。
「こんなところで寝ている場合じゃないわ!彼を助けに行かないと!」
ズキッ
「うっ、いっつ〜」
体中が痛んだ。よく見ると体が包帯でぐるぐる巻きにされている。まるでミイラだ。
「あら?気がついたんですね〜」
間の抜けた声が私に向かって発せられる。
目の前の女性の服装を見るかぎりここは病院のようだ。
「ねぇ、あなた。この邪魔な包帯をほどいて。動けないわ。」
「それはそうですよ〜、そんな大怪我で動けるわけありませんし〜、動かすわけにもいきません〜」
話し方が少々気に障るがそれについては置いておくとして。私は今自分が置かれている状況を彼女に聞いた。
彼女の話によると私はあの城があった場所で倒れていたらしい。
そしてここで3日間も眠っていたのだと教えられた。
何より彼女の話で驚いたのが私が倒れていた場所には何も無かったということ。
「そんな…あそこには城の瓦礫があるはずよ…何も無いわけがないわ」
「それが本当何ですよ〜、不思議ですよね〜、あのお城が一晩でどこかへ消えちゃうなんて」
といいながら彼女は部屋を出ていった。


気になることは沢山あった。でもやはり彼のことが気になった。
彼は生きているんだろうか、彼は無事なんだろうか、そのことばかりが気になる。
でも私はわかっていた。彼が無事では無いことに。
あの高さから落ちて助かるわけが無いってことに。
「全部終わっちゃったのかな…何もかも…」
そう…全部終わったんだ…世界は救われた。
そして…彼は死んだ…神と呼ばれた男を道連れに…
急に目の前の景色が滲んだ…涙で何も見えなくなった

私は彼を助けられなかった。世界を救うことを選んだのだから。
石の破壊でなく彼の手助けを選んでいたら彼は助かったかもしれない…
でも彼の目は「世界を守ってくれ」と言っていたから…だから私は世界を選んだ…
本当は…本当は彼を選びたかった!あの時すぐに彼に手を貸せば私達は生き残れた!
たとえ世界が滅んでも最後まで彼と一緒にいたかった!
わかってる、何で彼が世界を守ってくれって言ったのかはわかってる!
人々が今まで通り平和に暮らせるように、笑って過ごせるようにだって事くらいわかってる!!
でも!それでも私は彼と一緒にいたかった!!
涙が頬を伝ってこぼれ落ちる。いつまでも…いつまでも…涙は流れ続けた…

私達が守った世界。人々が幸せそうに生活している世界。
だけど私にとってはそうじゃない。こんなの全然幸せじゃない。
様々な色彩で満ち溢れているはずの世界が私には白黒に見えた。
私の前にはモノクロームの世界が広がっている。
もう私の前には彼という太陽は現れない。

この世界に…もう太陽は昇らない。

398 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/23(日) 04:09:35 [ Xubk2Wgc ]
あれから何日経っただろうか、傷が全治したことにより私は病院を追い出された。
家には帰りたくなかった。あそこには私達の思い出が詰まっているから。
色々と考えているうちに自宅に到着してしまった。
あぁ、この扉を開いたら私は泣いてしまうだろう。
彼と過ごした日々を思い出して涙を流してしまうんだろう。
もうそれでもいいかもしれない。
彼がこの世にいないのなら、彼との思い出にしがみついて生きるしかない。
ドアノブに手をかける。

ガチャ

そして彼の部屋に向かう。
その途中であることに気付いた。
あれ?何で家の鍵が開いていたんだろう?
そんなことを考えながら彼の部屋の扉を開く。
中はあの時のまま。彼が居たときのまま。

そして窓の近くの椅子に彼が座っているのもあの時のまま…

「やぁ、今までどこに行ってたんですか?心配してたんですよ。」

「………」
何が起こったのだろう?何故彼が居るのだろう?

「どうしたんですか?ぼーっとしちゃって。」

「………」
あぁ、私は気が狂ってしまったのかもしれない…

「おっと、そうですね。これを言うのを忘れてましたね。」

「おかえり、ミレイ」

気が狂ってしまったのならそれでもいい。
彼に会えたんだから…それでいい…

「…ただ…いま」
うまく声が出せなかった。

彼が近づいてきて私を抱きしめる

彼の胸の中で私は小さな声でもう一度言う

「ただいま」

朝日の光が部屋に差し込む
とても…とてもまぶしかった

やはり私の目からは…涙がこぼれる

でもそれは悲しい涙ではなく、とても温かな涙だった

そして太陽は昇り続ける

モノクロームの世界に色が灯った



    Fin




こんばんは、前スレの960です。今回も思いついたので投稿してみたんですが…長すぎますね。
一応これでも4割くらい文章をカットしたのですけど、なかなかうまく纏まりませんでした。
話の展開が急だなと思われるところが多々あったと思いますが、その点に関してはもうごめんなさい
としか言えません。
長くなってしまいましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。

前の作品に感想をくれた皆さんもありがとうございました。とても励みになりました

399 名前: i 投稿日: 2005/10/23(日) 05:17:10 [ 4D0aj44E ]
『ケーキ氏のこと』

パリカスもバンヘセルもケーキ職人。
パリカスのケーキは甘いけど、バンヘセルのケーキは甘くない。
世の中甘党の人が多くて、パリカスはいつも大人気。

マロンが嫌いな人が言います。
マロンさえ入ってなければ、バンヘセルのケーキは良くなるのに。
けど、世の中にはマロンが大好きな人もいるんです。

誰の意見をとりいれたって、誰もが喜ぶものはつくれない。
それなら、バンヘセルが納得いくケーキを、つくればいいじゃない。
バンヘセルのケーキをいつも最初に味わう人は、いつだってバンヘセルその人。
だから、誰に叱られたって、
最初に食べるその人が喜ぶものをつくればいいじゃない。

パリカスの店にはいつも人が並ぶけど、バンヘセルの店はいつもすっからかん。
けど、それでもいいじゃない。
だって、バンヘセルのケーキじゃなきゃって人もいるんだもの。

甘いものはおいしいけれど、甘いだけじゃ飽きてしまう。
たまには甘くないケーキもいいじゃない。

イチゴショートケーキしか知らない人が、
そりゃマロンモンブランを見たら驚くかもしれないさ。
こんなのケーキじゃないなんて言うかもしれないさ。

だけど、それがどうしたっていうの?
バンヘセルがケーキだと言ってるんだから、それでいいじゃない。
モンブランが大好きな人もいるんだから、それでいいじゃない。
イチゴショートだけがケーキだなんて、誰が決めたの?

楽しく作ればいいじゃない。
おいしく食べればいいじゃない。
楽しんだ人が勝利者。楽しませた人が偉い人。

そりゃとんでもなくまずかったら、
こっそり耳打ちするのもいいかもよ?
けどねえ、世界中のケーキ屋がイチゴショートを作ったりしたら、
そんなのつまらないじゃない?
だって、いろんなケーキがあるから、おもしろい。
焦げてたって、形が悪くたっていいじゃない。
それだってひとつの味だもの。

自分の納得できる、自分の楽しめる料理をすれば、いいんだよ。

400 名前: i 投稿日: 2005/10/23(日) 05:21:54 [ 4D0aj44E ]
>変な生き物様
はじめまして!
私も全く同じ状況で名前が消えていました(^^;)
何かの罠ですねこれは!
ええと。辛口でもよいということで、本当にいかせていただきますよ。

変な生き物様の物語はもう少し無駄なエピソードや、効いていない小ギャグを削れば、
確実に読みやすくなると思います。
たとえば、物語の一番最初の出だし。アーネイトさんとリディスさんの家から始まりますが、
ここを、セナさんとの戦闘シーンからはじめる、とかですね。
小説は、最初で「え?なんでどうして?」って思わせるのが肝心だと思います。
特に、変な生き物様の小説は連載ですので、毎回出だしのインパクトと山場が必要となってきます。
一話完結と違い、一度載せると修正が効かないので、難易度は高くなります。
また、ところどころに小ギャグ(あうぇsdrtfgyふじこ・・とか)が挿入されていますが、
これらはチャットだったら確かにおもしろいのですが、
小説だとそのおもしろさが目減りしてしまっているようです。
それよりも、変な生き物様の小説はキャラが立っていて面白いので、
もっとキャラクターに喋らせるほうがいいと思います。
>「ああああ!ふ、フルヒーリング!フルヒーリング!!いやリザレクション!」
例えば、私はこのセリフが大好きです(^^)
ロイドさんの焦りと使命感のようなものが、とてもよく伝わってきます。

文章的なことでは、時々、主語と目的語が抜けることがあり、
誰のセリフかわかりづらくなっている事があります。
誤字脱字も多いので、もう少し読み返す回数を増やすか、
身近なお友達に一度読んでもらって、指摘してもらうといいかもしれません。
場面が変わったときに、段落をつけて場所の名前をいれているのは、
とても分かりやすい、いいアイデアですね。

物語としては、なんだか設定に対して「今思いついた」という感じがすることがあるのが残念です。
たとえば、セナさんが実は一緒のギルドだったと判明するシーン。
セナさんはギルド員なのに、ギルド屋敷に始めて来た様子なのはどうしてでしょう?
そこは、読み手の想像力だとも思いますが、あまりスッキリとはしないですね・・・。
戦闘シーンは、とても迫力があり、また、様々なスキルや各職の特性を使いこなしているので、
とてもゲームノベルの雰囲気が出ていて、素晴らしいです。
ただ、私は自分の職以外のスキルについては、全く疎いので、
>それを見たギオは剣の構え方を素早く切り替え、スウィングインフィニティーを繰り出す。
とあっても、多分すごいことをしているんだろうなぁ・・・という事しか分かりません・・・。

本当にいっぱい指摘してしまいました。
けれど、私はこう感じる、私ならここを直す、という視点に立っての感想なので、
けして、こうでないといけない、と言いたい訳ではありません。


>南東方不勝様
いろんな童話に、RSの職をあてはめていくのも、おもしろそうですね。
天使以外の職の話も書かなきゃ・・・と考えて、とっさに思いついたのが、
なぜか美女と野獣でした。

>サマナの人様
おや、そういえばはじめましてになりますね!
コメディと顔文字ってすごく相性が良いと思います。
私の中のイメージとして、顔文字=イラストなので、
漫画的な小説を表現できる気がします。
あ、そうそう。文中の駄目怨(仮)は、当社の造語ですので、
実在する似たような名前の団体とは、なんら関係ありません(ぁ
実はベタなギャグは大好きです。アハ。

> 独り語り様
初投稿おめでとうございます!
弾き語りのような、独特の節とリズムのある言葉まわしが美しいです。
完結までがんばってください。
そして、そんな素敵職人様たちと一緒に、私の名前なんか並べちゃ、
恥ずかしくて小さくなっちゃいますよ!

>名無しさん様
危うく見逃すところでした。
感想ありがとうございます!

401 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/23(日) 14:47:34 [ LVW/cCFA ]
>>ナンバーズさん
今ではめっきり見かけなくなった、壁剣士の話ですか。
しかも、秘密初体験のようですね。
果たして、何の事件も無く秘密を攻略することが出来るでしょうか?

>>389の名無しさん
うーん、ハッピーエンドでよかったですねぇ^^
恨みの余りに、周りを否定してしまっている兄さんに、ちょっとした悲しみを感じました。
そして、某ジブリ作品が脳裏をよぎった自分は痛い子ですorz
メテオ爺に焼かれてきます。

>>iさん
RS内における二人のケーキ職人の話ですか。
ほのぼのと笑わせてもらいました。これからも頑張って下さい^^
ちなみに、マロンは嫌いですw

402 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/23(日) 15:44:35 [ LVW/cCFA ]
閑話・奇蹟、その「カラクリ」

ふと、深い暗闇の中で意識が戻る。それと同時に俺の認識の中に、とんでもない場面が流れ込んできた。
俺の体の奪ったイスラフェルとかいう野郎が、あいつの頭に剣を振り下ろそうとしていた。
(ふざけるな、てめぇ!!)力の限りそう叫び、必死に腕を止めようとする。
だが、既に一欠けらの魂しか残っていない俺の力では、その腕を止めることは叶わない。
(畜生、畜生!!止まれ、止まってくれ!!!)それでも、黙って見過ごすことは出来ない。
まして、それが俺のことを好きと言ってくれたレナ(女)ならば・・・。
(貴公のその「裏切り」、某(それがし)が後押しして進ぜよう・・。)
そんな時だった、この声が俺に語りかけてきたのは・・。
(何者だ、あんたは?)俺は、姿無き声の主にそう返した。
(今はそのような問答をしている場合ではあるまいに・・。好いた女が殺されてもいいのか?今のおぬしでは救うことは叶わん。ならば、某が何者かと考える前に最もお主が、今「実現」したい望みを考えろ。)
確かに、この声の主が言うことはもっともだ。いいだろう、どうせ俺は助からない。ならば、この得体の知れない奴の力を借りる事くらいどうって事は無い。
(分かった・・。俺はどうすればいい?)覚悟を決め、姿なき声の主にそう答えた。
(先刻と同様に、腕を止めるよう念じろ。その念を、某が増幅し一時的に肉体の所有権をお主に戻す。)
俺は言われたとおりに、腕を止めるよう強く念じた。その瞬間、俺の背中をとてつもなく強い力が吹き飛ばした。
「なっ・・。」暗闇の中を魔法のカーペットと同じ速度で、上へ上へと飛んでいく。
そして突然暗闇が消え、眩しい光が俺の目を照らす。あまりの眩しさに俺は目を閉じた。
そして、再び目を開けた俺の目の前にレナの姿があった・・。
(急げ、長くは持つまいぞ・・。)さっきの声が俺にそう語りかける。
(あぁ、そんなことは分かってる。)未だに反応が鈍い体を一歩一歩後ろに下がらせる。
そして、まっすぐにレナを見つめ、俺の「望み」を伝えた。
涙を流しながらも、あいつは弓を引き絞りアンドゥリルを放った。右手にあるはずのエクスカリバーはいつの間にか砕け散っていた。
その温かい力に体を貫かれる瞬間、
(先刻の問いについてだが、某は「裏切り」を是とし、その是をもって望みを「実現」させる存在だ。この度の貴公とその聖剣の「裏切り」楽しませてもらったぞ。)
これはその礼だ。そんなことを言っていた。
そして俺の体は、イスラフェルごとアンドゥリルによって貫かれた。
意識が砕けるその前に、俺は「ありがとう・・。」と呟いた。

403 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/23(日) 16:07:20 [ hNlLsBE2 ]
最近このスレにも活気が出てきましたね
ナンバーズさんも戻ってこられましたし

感想
>>iさん

>>390
感動ものですね
自分もこんなの書けたらいいなぁと思います

>>ナンバーズさん
お帰りなさいませ
秘密初体験剣士の話 面白いです
これからもがんばってください

>>南東方不勝さん
イスラフェルとのバトル
愛の力?で勝ちましたね
これからの愛物語に期待します(あれ?

>>ACさん
とても設定が参考になりました
もう一目ぼれです

>>独り語りさん
ランサーの語りが面白いと思いました
クルクルが好きです

404 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/23(日) 18:01:04 [ CBajl6wk ]
エクスカリバー…原作円卓の騎士アーサーの所持していた剣。
宝石がちりばめられた鞘には自己再生能力がある。
本当に再生能力あるみたいですね。
今までの感想、続きは夜UPします

405 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/23(日) 18:20:00 [ hNlLsBE2 ]
何故かiさんへの感想が消えていたorz
改めて>>iさん
一狼の話、いいですね
最後はハッピーエンドですし
顔文字の使い方もとても上手ですね

406 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/23(日) 22:01:52 [ tKHa7KVA ]
何故あのときに気がつかなかったのか自分でもわからなかったのは、やはり自分という人間は無神経だからなんだと思い直しました。
>>293のレスでみなさんにとても失礼なことを書いてしまったと反省しています。
そのときは自虐的な気分になっていて、このスレの皆さんを下した内容を含んだ文を書き込んでしまいました。
まず350近辺で無神経にも謝罪もせずに書き込んでしまったことを謝罪し、その上で293での失礼な文を書き込んだことをお詫び申し上げます。
ナンバーズさんのことを言う前に自分の行為を省みることが先でした。
最近頭が正常に活動していないようなのでまた何か失礼なことを書いているかもしれませんが、そういう点があれば教えていただきたいです。

407 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/23(日) 22:02:24 [ wA1424Gk ]
それでは滞っていた感想行きます。
>>307ー308さん
マッチョBARパワーボム…
何だかむさ苦しそうな雰囲気ですね。クーラーとかは付いてるんでしょうか?
>>オジさん改めともぴさん
話が始まっていきなりオジ&サチが大ピンチ!
二人はどのようにしてこの危機を乗り切るのでしょうか?
>>サマナの人さん
棍棒DX恐いですね…殴られたら一撃であの世逝きですよ…
>>南東方不勝さん
最後に自分の愛するものを助けたシローに泣けました。そしてシローに話し掛けた謎の声も気になります。
>>sinさん
パラをがんがんはなつゴルヴァに回避が光るシルス。これからの発展に期待です。
>>iさん
童話ネタ
正直言って感動しました。
場にあった顔文字、一狼の心境の変化、作り込まれた設定…最高だと思います。
かぎりなく尊敬です。
ケーキネタ
みんなが大好きケーキ。
自分はモンブラン派です。…というより基本甘党なんでなんでもおkです。
あ、聞いてませんよね…失礼しました。
>>名前がない@戦士のようださん
魔物達の人間化。しかも強きを挫き弱くを助くですか。殺してないと言うのもミソですね。
ハードに生と死を描いた前作とほのぼのとした今昨…まさに小説投稿者という感じがします。
>>◆j9さん
描かれた過去…青年と母親はいずこに…そして姉の安否は…
激しく続き読みたいです。
>>独り語りさん
剣士とランサそれぞれの視点で書き込まれた心情、それぞれの性格がわかる作品だと思います。
これからこの二人を軸に作品が進行して行くのでしょうか?
>>ACさん
スマグの奇形児発生…スマグの人の魔力の裏にはそんな苦労が隠されていたんですね…
魔術士の方に敬礼。
 
誠に申し訳ありませんが時間の都合上後編は明日書きます。

408 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/24(月) 01:05:47 [ LVW/cCFA ]
>>376
(・・・っ!!)意識が戻る。それと同時にイスラフェルの断末魔が聞こえた。
(なんだ、さっきの感覚は・・?)体は俺の思うとおりに動いてくれたが、ついさっきまで何を念じていたのか、内容が思い出せない。
だが、今は戦場に立っている。余計なことを考えている暇は無い。
奴が死んだのか、坑道に充満していた瘴気が薄れる。どうやら、敵討ちは成功したようだ。
ならば、こちらも終わりにしよう。そうして俺は、後ろにいるヒースに叫ぶ。
「待たせたな、千両役者。盛大にこの瘴気を吹き飛ばしてやれ!!」
「あぁ、そのつもりだ。既に充分な魔力は充填済みだ。」
そうしてヒースは、追放天使へとその身を変え、言霊を呟いた。
「数多なる聖霊を束ねたる主よ、汝の御意思に従い、我、此処に裁きの日の主賓とならん・・。」
言霊を言い終えると同時に、俺達の周囲に巨大な十字架が現れた。
その瞬間、俺達を囲んでいたゴーレムごと坑道内の瘴気を吹き飛ばした。
「ふぅ、やっと終わったわぁ・・。元が死んだんやからこいつらも、もう復活せぇへんやろ。」
アニーが心底疲れたように、そんな感想を漏らした。
「まだ、終わってねぇだろ。ギルとレナの状態を見に行くぞ。」
そんなことは分かっとるわ、俺の言ったことに対してバツが悪そうにアニーが応える。
そうして俺達は、ゴーレム共の亡骸を踏み越え、ギルたちの元へ向かった。
レナのほうは目立った外傷は無かったが、ギルのほうはかなり堪えてる様だ。
「あ・・、兄貴・・・。イスラフェルの野郎は・・どうなった?」ヒースの治療を受けながら、ギルが俺に尋ねた。
「あぁ、ちゃんとレナが仕留めたようだ。今、アニーと一緒にシローとか言う奴の体を埋めに行ってる。」
「そうかい、そいつはよかった。これで、レナの奴も少しは救われたかな・・。」
「さぁ、どうだろうな?だが、そうあってほしいもんだ。」
そんなことを話している内に、ヒースの治療が終わったらしく、俺達もこの坑道を後にした。
今回の依頼が、俺達がこれから関わるであろう出来事の始まりだった事ということは、このときは知る由もなかった。

ジャック達が坑道を後にしてから10分後、イスラフェルとの戦場跡。
「イスラフェルめ、しくじりおったな。」
「でも、再生核を一個だけでも生成してくれたのですから問題はないかと・・。」
「否、其一つだけでは第一位魔(アダム)の再生が適わない。故にしくじりである。」
「アダムが表舞台に立つのはもう少しあとでしょう?まったく、貴方はいつも目的に向かって一直線なのだから。」
「事象が混沌となる前に全てを完遂す。其れが我が理念。今更、変えられぬ。」
「第十四位魔(ゼルエル)も第十六位魔(アルミサエル)もやめないか。言い争ったところで何も変わらぬ。」
「だが、この度のしくじり。やはり、バルディエルが一枚噛んでいるかと・・。」
「何故そう思う、第六位魔(ガギエル)?」
「如何に半身を失っていようとも、我ら始原魔が、よりしろに歯向かわれる事などありはしない。」
「それは、そうだが・・。ゼロとも言い切れんだろう?」
「ウヒョヒョヒョ。そんなに気になるのなら、ボクちゃんが確かめてきてあげるお。」
「第三位魔(サキエル)、目覚めたのか・・。」
「遅くなったね、第五位魔(ラミエル)爺や。他の皆も元気そうだね。」
「サキエル。うぬの発言、手段は如何に?」
「とぼけるなよ、ゼルっち。ボクちゃんがこういうことに向いてるのは知ってるくせに。ウヒョヒョヒョ。」
「では、目覚めた早々に悪いが頼むぞ。サキエル。」
「ウヒョヒョヒョヒョ、どーんと任されちゃうお。」

409 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/24(月) 02:09:21 [ LVW/cCFA ]
>>408
鉄鉱山を後にした俺達は、鉱員協会に問題の解決を報告した後、その足で古都に帰ることにした。
レナとはここで別れるつもりだったが、アニーからの誘いを受け、俺達のギルドに加入することにしたようだ。
このまま、古都に一緒に戻ってギルド員との顔合わせを済ませてしまうつもりらしい。
古都に向かう道すがら、女勢がこんなことを話していた。
「そういえば、レナ。アンタ泊まるあて、あるん?」
「無いわね。私、リンケン出身だから。ここ最近は、シローと一緒に暮らしてたけど・・。」
「あぁ、それ以上言わんでえぇ。なら、ウチの家に来ぃへんか?一人分、余裕があるんや。」
「じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかしら。」
どうでもいいが、最初のころと比べものにならないほど、打ち解けてないか?
そんな取りとめもない会話をしているうちに、古都に着いたようだ。もう、大分日が傾いているようだ。
その足で、ギルドの事務所に向かう。
事務所に到着すると、入り口の前に疲労困憊のゲイルの姿あった・・。
「あぁ、姉さん、もう無理だよ・・!!だって、西のお空でピンク色の病気のコボルトがクッキーを食べているんだよ・・!」
おいおい、なんかかなり遠い世界に行っちまってるぞ・・。
「ゲイル、何があった!?そんなに疲労して・・。待っていろ、今回復してやるからな!」
元来真面目な性格のヒースが血相を変えて、駆け寄った。
まぁ、ここまでこいつを痛めつけられるのは、一人しかいないがな。
「あら、皆戻ってきていらしたの・・。」凄まじい怒気を纏い、ゲイルをここまで痛めつけた元凶が事務所の中から現れた。
「今回の依頼の成果については、後で聞かせてもらいますわ。それと、アニー。今すぐ私の部屋に来てくださる?『話したいこと』が山ほどあるんですの。」
可憐な笑みをたたえ、アニーに対して死刑宣告をする我らがマスター。
「いやぁ。ウチ、これからレナを家に案内せんといかんのや・・。」アニーがささやかな抵抗を試みる。
だが、アニーの言葉には耳を貸さずに、そのままアニーの尻尾を掴み事務所の中へと引きずっていった。
「いや、ほんとに悪かったわ。ケーキ食ったこと反省しとるさかいに。だから、だから、説教だけはかんべんしてやぁぁ・・・。」
哀れな雌狼の断末魔が古都に古都の夕焼け空へと消えていった。心配そうに見送ったレナにあらかた説明した後、ギルのほうに向き直った。
「いや、のっけから壮絶なものを見せちまったな。とりあえず、たった今アニーを引きずっていったのがギルドマスターの・・、聞いてるのか?」
「へっ!?あ・あぁ、もちろん聞いてるよ。兄貴。」そんな生返事を返すギル。
どうやら、今まで俺のことに気づいていなかったようだ。という事は・・・、
「ギル。お前、リリィに惚れたな。」
「な、何を言ってるんだよ!?そ、そんなわけ無いだろ!」
どうやら、重症のようだな。まったく、あの癇癪娘の笑顔にやられたようだな。

ウチが、リリィの説教から解放された時にはもう外は真っ暗やった・・。
「まったく、貴女もジャックもなんでこう問題ばかり起こすかしら・・。」
非常に突っ込みたい発言なんやけど、生憎そんな無駄な体力は残っとらん。
「そういえばアニー、あのシーフとアーチャーの方々はなんですの?」
「・・ぁぁ、ギルド加入希望者や・・。後で、こっちのほうにも挨拶に来させるわ。」
「分かりましたわ。それはそうと、あのシーフ、魅力的な方でしたわねぇ・・。」
うっとりと遠くを見つめるリリィ。あの淡い青色の瞳が溜まりませんわ、とか言っとる。
「なんや、リリィ。アンタ、ギルの坊やに一目惚れしたん?」アカン、つい口走ってもうたわ。
「そう、ギルっておっしゃるんですの・・。って、何ですってアニー!!!!」
(あぁ、今日ウチ死ぬかも知れん。)そうしてウチは、絶望的な延長戦へともつれ込んでいった。

410 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/24(月) 02:13:02 [ LVW/cCFA ]
ぐっは、消し忘れハケーンorz
もういい加減に寝ますね^^;

411 名前: オジさん改めともぴ 投稿日: 2005/10/24(月) 03:27:20 [ DXXt3lTo ]
>>南東方不勝さん
初めのほうまだ読んでないのであれなんですが、
リリィのキャラいいですね
え、リリィには『さん』をつけないとやばいですか?w
リリィはツンデレの予感( ´∀`)

今度時間のあるときに最初から読みますね
すみませんでした(´・ω・`)

412 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/24(月) 19:10:15 [ LVW/cCFA ]
>>ともびさん
そうですか、拙い駄文ですがそう言われると嬉しいです^^
>ツンデレ
なるほど、ツンデレですか・・・。




無知な自分に、この言の葉の意味をばご教授していただきたいorz

413 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/24(月) 21:58:10 [ q8nMzR1g ]
>>南東方不勝さん
単発でツンデレ質問スレたってましたね。
ツンツンとした男女関係からデレデレした関係に変化するみたいなこととか書いてありました。

414 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/24(月) 22:48:47 [ 4IN./Jis ]
後編
あれから十分程叫び続けたが結局二人しか集まらなかった。
やたらと辺りをきょろきょろ見回し、語尾に〜だぉ(^ω^ )とつけてしきりにまくしたてているWIZ。
でっかいハンマーを持って鬼のような形相でWIZのことをにらみつけるBIS。
脇では愁が不安そうな表情で二人をみている。
「今日もアイテムいっぱい拾うぉ(^ω^ )」
…やはりブーン厨だったか。
「みなさんよろしくお願いします。それでは行きましょう。」
古都の雑踏を抜けてオーガの巣窟方面に向かう。
古都を抜けた辺りから晴れ晴れとしていた空が曇りだす。
「こりゃ一雨くるでごわす。さっさと行くでごわすよ。」
BISの言うように橋を渡った辺りから雨が降りだす。
降りしきる雨の中いそいで洞窟の中に入る。
洞窟内部は真っ暗で湿っぽく、ひんやりとしてまるでお化け屋敷のようだった。
WIZがPTMの周りに火の輪を形づくる。
「これでよく見えるぉ(^ω^ )」
ぼんやりと周りが見えてくる。
「あの…なんか見えませんか?」
愁がある方向を指差す。
指差された"それ"が近づいてくる。
シャー!という音と共に鞭のような物が飛んできた。手に持った盾で攻撃を弾く。
おぼろげに"それ"が姿を見せる。
「さ、蠍でごわす!」
しかも相当巨大な蠍だ。
あわてずに盾を構えて突進し、そのまま盾で蠍を弾き飛ばそうとする。
その瞬間、無数の輪のような物が蠍を真っ二つに切断した。
愁の投げた戦輪が見事に決まったようだ。
愁がにこにこと嬉しそうに笑う。
「上手く決まると爽快ですよね〜」
ハハハと皆で笑いあう。
と、いきなりWIZが蠍の死体を漁り始めた。不信に思って聞いてみる。
「どうかしたんですか?」
実際真っ二つの蠍の内蔵をまさぐっているのは不信としか言いようがない。

415 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/24(月) 23:02:05 [ z8Jyy2Io ]
>>南東方不勝サマ

えー、ツンデレというものは
ギャルゲーから正統派RPGにまで幅広く出現する一種の「属性」

最初は主人公とはツンツンのキッツキツな関係、反発したり、そっけなかったり、眼中に無かったりしますが
終盤になってくると主人公にデレデレデレデレな関係になります、人によっては
人前では相変わらずツンツンしてるけど主人公と2人だけになるとデレデレryとなります

また比較的最近の作品の中には「人間の男」と「ドラゴンの雌」という種族違いのツンデレカップルも発見されてます


ってなにやってんだ俺は('A`)、どうも変な生き物です。
小説書いてて気分治しに小説読んでたらツンデレに究極反応してゴニョゴニョ
小説はまだもう少しかかるかもです。

iさんに指摘されまくった場所で「直さなきゃなー」ってところを直しながら製作中
自分の悪い所を修正しながら作るのに悪戦苦闘でございます、ゲファ
あといきあたりばったり人生を止めるためにある程度、物語の骨組みを作ったり直したり。

っていうか今見れば、尋常ではないほどの脱字コピペミスがorz
でも今週中はUPできると思います、っていうか時間が押してるので…小説の感想はまた後日…
でわでわ。

416 名前: AC 投稿日: 2005/10/24(月) 23:24:52 [ GUzM8.5M ]
やっと本編に入ります…orz

狂人の蔵 第四話

そして時代は流れ、現代に至る、という訳である。
我ながら長い独白だった。知らず知らずにストレスでも溜め込んでいたのだろうか。
無意識に説明口調で独りごちるなど、我が身ながら心配になる。

とは言え、おいそれと人に話す事も出来ない内容であるのだが。
スマグ魔法師院は、刻印魔法師の第一世代から魔力回路拡張技術を秘儀とし、今日に至る。
魔法師院は秘儀の研究と秘匿の為、魔法師がスマグを出ることを極端に嫌い、厳しく制限を課してきた。
しかし、施術の失敗による暴走者等、スマグを出奔する者も少なくはなかった。

魔法師院はそういった者達から秘儀が漏洩しないよう、魔法師を監視、管理する為の機関を組織した。
それがスマグ魔法師院秘儀秘匿機関である。外界へ送り出される魔法師は『ナーヴス』と呼ばれ、
須くこの機関への所属と、外界から得たれた情報の全てを機関に報告する義務を持つ。
また、施術失敗による暴走者が増加している昨今は彼らの捕縛、或いは処分がその任務の主となっている。

現在私がブルンネンシュティグにいるのも、ナーヴスによるハスラー・ワン捜索任務への
協力を志願し、その為の外出許可を魔法師院に取り付けたからに他ならない。

失踪直後に開始されたナーヴスとの合同捜査の甲斐空しく、彼の行方を掴む事が出来ず、結局私は
何の成果も上げられないままスマグへ帰還し、魔法師院で本来の職務をこなす生活に戻っていた。

それから半年程経った頃、ナーヴスから古都で頻発している猟奇殺人事件の情報を得た。昨今では
極普通に起こる事だ、と言ってしまえば些か軽薄ではあるが、そういった事件に一々、関わる気はない。
しかし、事件が起こる度、犯人について奇妙な噂が流れた。

曰く、銀狼シルヴァリンが蘇った。
曰く、被害者は血を全て抜き取られていた。
曰く、人狼の額には幾何学模様の傷痕があった。

我々刻印魔法師は、例外無く身体のどこかに魔法施術による傷痕、施術刻印を持つ。
多くの魔法師は自らが刻印魔法師であることを誇りとし、その証たる施術刻印を
これ見よがしな部位に刻み付ける。そして、スマグ屈指の名門であるハスラーの家系は
代々、額の中心に魔法施術を施してきた。

街で起こる事件は、或いは彼が起こしているかもしれないという不安に駆られ、
その真相を確かめるべく、私は再びこの街を訪れたのだ。

417 名前: AC 投稿日: 2005/10/24(月) 23:26:53 [ GUzM8.5M ]
狂人の蔵 第五話

ブルンネンシュティグ。
大陸極東部最大の規模を誇る巨大都市。
120年前、シュトラディヴァリ公のクーデターによりブルン王国が崩壊した後、
残された貴族を中心として構成された自治政府により運営されている街である。
当時の繁栄を偲ばせる、街の北西にある王宮跡は、ここが確かに王都であった事を物語る。

そして今は輝石探索の為、大陸各地から集う冒険者達の中央拠点となっている。
以前訪れた時は冒険者相手の露天が軒を並べ、賑わいを見せていた街の大通りは、
件の事件の所為か、黄昏時ともなると露天、冒険者共に少なく、その活気は衰えている。
さして目的があるわけでもないが、少し街の様子を見て回ることにする。

「やぁ、景気はどうです?」
暇そうに、掻いた胡坐に頬杖をつく、青果を売る露天商の若者に話しかける。
「あぁ、いらっしゃい。見ての通りですよ。巷は殺人事件の話で持ちきり。街の住人どころか、
冒険者達まで用心して宿に篭る始末でして。ほんと、こっちは商売上がったりですよ。
知ってます?この街で起きてる殺人事件と、銀狼の噂のこと」

「ええ。と言っても、人並み程度ですが」
と、曖昧な答えを返す。
「全く、魔物を怖がっていて何が冒険者なんだか」

「あなたはその、銀狼とやらをご覧になりましたか?」
「実を言うとあたしも人から聞いただけなんですがね、実際見たって人はいるみたいで。
あと、何でか知らないけど、事件について自治政府が緘口令敷いちゃってんですよ。
でもこんな大きなネタでしょ?そうそう口に戸は立てられなくってね。お客さんも噂聞いて来きたクチ?」

若者は商売そっちのけで話題を振ってくる。余程暇だったらしい。
「いえ、古い友人を訪ねに来たのです。ああ、その葡萄を頂きましょうか」
特に何を買う気でもなかったが、話し掛けてしまった手前、そのまま立ち去るのは気が引けた。

「ヘイ、毎度!お客さん、一応忠告しときますけど、あんまり夜は出歩かない方がいいですよ。
殺人事件の所為で、夜は何かと物騒だから」
「ありがとう。気をつけます。それでは」

「またどうぞ〜」
釣りと、葡萄の入った包みを受け取り、露天商に別れを告げて、歩きながら街の様子と事件について考える。

「ふ、む」
冒険者間での情報の伝達は、一般人が考えるよりずっと早い。輝石探索を生業とし、
危険に身を置く冒険者達にとって、情報に先んずることは自らを生かす武器となりうるからである。
故に、どんな瑣末なものであっても、この街の情報は大抵冒険者達の耳に入る。
その冒険者達がこうまであからさまに警戒するあたり、銀狼の存在は確かなようだ。

また、政府側から緘口令が敷かれる辺り、襲われた被害者の死に様も余程凄惨だったらしい。
尤も、ここまで大っぴらに噂が蔓延しているようでは随分と遅すぎた感は否めないが。

古都を徘徊する、額に傷痕を持つ銀狼。そして同じく、額に施術刻印を持つハスラー。
銀狼が彼であるのなら、直ぐにでも捕縛し、その行動の真意を質さなければならない。

「ハスラー…」
しかし、失踪直後のナーヴスによる執拗な追跡にも、一欠の痕跡すら掴ませなかった彼が、今になって
これ見よがしな行動に出たのは些か腑に落ちない。加えて、ハスラーは典型的な刻印魔法師であり、
秘儀の秘匿に極めて敏感な男だった。その彼が、態と人目を惹くような迂闊な行動に出ることはない筈だ。

銀狼の正体は彼とは別の者なのか。あるいは、彼は既に…

いずれにせよ、これ以上の憶測は現時点では意味が無い。
日が暮れる前に、この街に常駐するナーヴスと接触しなければならない。
既に日は沈みかけ、辺りは薄ぼんやりとした暗闇に包まれている。
歩幅を広げ、足早に街の南西にある駐在所へ向かう。

418 名前: AC 投稿日: 2005/10/24(月) 23:27:19 [ GUzM8.5M ]
大通りを出てからから30分程歩き回り、漸くナーヴスの駐在所を見つけることが出来た。
太陽は今や完全に地平に隠れ、変わりに上弦の月が、柔らかな光で夜道を照らしている。
久々に箱庭を出た高揚からか、少々寄り道が過ぎたらしい。

地図を頼りに辿り着いた、目の前の何の変哲もないただの家屋をまじまじと見る。
当然、『ナーヴスブルンネンシュティグ駐在所』などといった看板が架かっている訳でもない。
魔法師院を持たない都市に駐在する、身を寄せるべき場所がないナーヴスは、
魔法師としてではなく一市民として生活していかねばならない。
王国の崩壊により魔法師院が解体されたこの街も、それらと同様という訳である。

意を決してドアベルを鳴らす。

「はいはいどなた〜?」
しまった。一軒間違えたのではあるまいか。
返ってきた、間延びして緊張感の欠片もない声に、そんな不安が一気に募る。

数秒して扉の覗き穴が開き、中から覗くブラウンの双眸が私の姿を捉えた。

「あー、夜分遅く失礼。私はレオス・クラインと申します。こちらにアグラーヤ・
ジオハーツという方はお住m」
「クライン教授!」

こちらの言葉を遮るかのように突然目一杯開かれた扉に鼻を強かに打ち付け、思わず後ずさる。

「も〜来るのが遅すぎますよ!今頃迷子になってるんじゃないかって、
これからジノーヴィーに探しに行ってもらうところだったんですよっ」
出てくるなり、ブラウンの瞳の女性は左手を腰に当て、
右手の人差し指でビシッと私を指差し詰め寄ってきた。
どうやら彼女がアグラーヤ・ジオハーツで間違いないようだ。

「ほれはふまなはったね」
「まったく、古都の夜は物騒なんですから、教授なんか暗がりに連れてかれてあっという間に
××されちゃうんですからねっ。さ、早く上がってください」

涙目で鼻を押さえるこちらの様子など気にも留めず、アグラーヤは私の手を引き、
家の中に招き入れた。

419 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/24(月) 23:42:21 [ fl.PsffA ]
「あったぉ(^ω^ )」
と、WIZが蠍の内蔵から何かを取り出す。
差し出されたそれは淡い光を放つ宝石のようだった。
「これはポータル・クリスタルと言って隠された扉を見つける一種のカギなんだぉ(^ω^ )」
そう言って近くの壁に宝石をかざす。
すると宝石は砕け散り壁には巨大な穴ができる。
「手際いいですね。どこか経験済みですか?」
愁が二人に聞く。
すると二人は笑いながら実は自分達は秘密ハンターだと言った。蟲や狼、赤目など各種洞窟をコンプリートした熟練者だそうだ。
「それでは行きましょう。」
穴の中にはいると眩しい光で一瞬目が眩む。内部は人工的に作られた感じで、天井には無数の光ゴケがはえているようだ。
正面の扉をあけるとそこには複数のオーガ達が待ち構えていた。
グワー!!という掛け声とともに敵が突撃してくるが…
「ブゥーーーーー⊂二二二(^ω^ )二二二二⊃ーーーーーン」
なんとWIZはオーガ達にウエスタンラリアットをぶちかまし、一瞬で二匹をノックアウトしてしまった。
脇では一匹のオーガがBISに襲い掛かるが逆に鈍器で頭部を潰された。
「雑魚に用はない、さっさと先に行くでごわす。」
扉をあけながら襲い掛かるオーガ達を盾でぶっとばし突き進む。
奥にある扉を開くと物凄い力に弾き飛ばされる。
「くひひひひ。また来たのか人間共。直々にこのチーフレイク様がぶっ殺してやるぞぉ!」
つづく
 
なんだか長くなってしまった…次回は完結させたいよママン。

420 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/24(月) 23:44:11 [ DXXt3lTo ]
>>変な生き物さん
素敵な解説どうもです

421 名前: AC 投稿日: 2005/10/24(月) 23:44:21 [ GUzM8.5M ]
>>南東方不勝 様
イスラフェルが数ある脅威の一つに過ぎなかったとは…
今後が楽しみです
ところで、F○○eってF○○e stay n○○htのことですよね?
もしかして内容そのまんまだったりするんでしょうか(ノд`)
やったことないんですが不安になってきましたorz

>>ナンバーズ 様
秘密ダンジョンの為なら蠍の死骸すらほじくり回すブーンWIZ…
ポテンシャルというか、クオリティ高すぎですw

422 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/25(火) 00:32:45 [ LVW/cCFA ]
>>ナンバーズさん(小説感想)
こら、もっと仏は大切に扱いなさいw
内臓を掻き分けてまで、ポータルを求めるブーンのクオリティに脱帽しました。

>>変な生き物さん&ナンバーズさん(ツンデレ解説)
あい、しっかりと学習致しました。そういえば、最近のゲームでよく見る現象ですね。
お二人とも、本当にありがとうございました。恐らく、ツンデレ的な展開に(ry

>>ACさん
まぁ、内容はまんまではありませんよ。安心して書きなぐってください。それでも心配なら、いっそのことF○○eをプレイ(ry
かくいう自分も、Fateネタを使(ry
さて、友人が関わっているかもしれない連続殺人事件・・。
もしかして、友人が開発しようとした術式が暴走してしまったのでしょうか?
それとも・・、こういう結果になることが成功なのか、非常に気になります。

423 名前: i 投稿日: 2005/10/25(火) 05:25:38 [ 4D0aj44E ]
>南東方不勝様
ほのぼのしていますか。
実はケーキはあるものの言い換えです(^^)
応援ありがとうございます!
好き嫌いをすると大きくなれませんよー。

>名前が無い@戦士のようだ様
大変遅くなりましたが、前シリーズ完結おめでとうございます。
新シリーズも、毎回楽しく読ませていただいています。
顔文字は実験的な手法だったので、誉めていただけると嬉しいです(^^)
実は次回作に、少し悲しいリトルハッピーエンドな話を考えているので、
意識してより幸せな結末にしたということもあります。

>j9cST1xRh2様
いいえ、私は293のレスは、もっともな意見だと思います。
j9cST1xRh2様の書き込みによって、考えさせられる所もありましたし、
失礼とは感じませんでした。
お悩みになるほどのことではありませんよ!
小説の続き、心待ちにしています。

>ナンバーズ様
おかえりなさい!
感動なんて言われたら、照れくさいですよ。
一狼の心境を丁寧に書き込めたのは、指摘をしてくれたお友達のおかげです。
モンブラン、お好きですか(^^) 良かったです。

>変な生き物様
あんまり気を使われなさいませんように。
最終的に大事なのは、私の意見なんかではなく、変な生き物様ご自身ですので。
けれど、すごく気合が入っているようで、どんな小説が出来上がるか、楽しみでもあります(^^)

424 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/25(火) 16:31:33 [ DXXt3lTo ]
>>333
オジリウス第4話:目覚め

オジはサチのほうを見た。
サチは血の流れている左腕を押さえて倒れていた。
男が腕を振り下ろす瞬間、とっさに体を仰け反らせたのだ。
しかし、男の動きがあまりにも速かったため、よけきることができなかった。

『外れたかぁ、やっぱりこの姿じゃスピードがでねぇな』
男は爪についたサチの血をなめながら嬉しそうに言った。

『痛い?痛いよねぇ・・・切り傷って痛いんだよねぇ』
そう言いながら男はサチの方へ近づいていく。

オジは男のほうへ飛び掛ったが、男がオジをかっと睨むと
オジの体は衝撃を受け、本棚にうちつけられ、気を失った。

『オジィ、女が先だって言ってるだろう?そんなに死にたいの?
でもだめぜ、オジは女が切り刻まれるのをそこで見てなよ。
オジはその後にゆっくり殺してやるからさ、って寝てんのかよ』

──私、死んじゃうのかなぁ

痛む左腕を押さえながら、サチは考えていた。
なぜ自分は殺されないといけないのだろうか。
"イレギュラー"、あの男の言っていたイレギュラーとはなになのか。
昔、母親が自分によく言っていた言葉"イレギュラー"

『ねぇ、イレギュラーってなに?』
サチは次から次へと湧き上がる疑問をこらえきれず、男に聞いた。

『お前、なにも知らないのか?そうだなぁ、教えてやるよ。
お前はイレギュラー、オジもイレギュラー、そして俺もイレギュラーだ。
イレギュラーってのは、管理者の干渉を受けない者。
この世界に存在してはいけないもの、つまり、いらないものなんだよ』
男は"いらないもの"を強調して言った。

『この世界にはオジも、おまえも必要ないんだよ!邪魔なんだよ!
でも俺は違うぜ!俺は必要なんだ。俺が自分で選んだ!
俺には選ぶ権利があった!でもお前にはなーい。
くくくっ、俺はいらないものを掃除する。つまりお前を殺すんだ。』
男は笑いながら言い、そして右腕を大きく振り上げた。

──いらないもの?私はこの世界に必要ない?わからないよ。教えてよママ・・・

サチは母親の残していったペンダントを握り締めた。
するとペンダントが強い光を放ち、男は吹き飛び、本棚にぶつかった。

『なんだよ、なにが起きたんだよ!』
男がイライラしながら本の山から起き上がりサチの方を見ると、
サチの前に大きく赤い犬が立っていた。
犬の尾には炎が灯っており、鋭い爪と炎のように赤い眼で男のほうを警戒していた。

『ちっ、力に目覚めたのか。おい、一旦退くぞ。状況が悪い。
今日はこのへんでさよならだ、また会おうぜぇサチ!』

赤い犬に目を奪われていたサチは自分の名前を呼ばれ
男のほうを見たが、すでにそこには男の体はなかった。

『名前・・・なんでわかったんだろう・・・』

『それはおまえがイレギュラーだからじゃろう。』
サチは驚いてオジの方を見たが、オジは気を失っている。オジの声ではない。
声の主はオジではなく、サチの目の前で"おすわり"をしている犬の声だった。

『しゃ、喋った!?』

425 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/10/25(火) 19:02:23 [ hNlLsBE2 ]

>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四
六化仙 其の五

巨大軍事国家ブルネンシュティング
首都ブルネンシュティングを中心に砂漠都市アリアン、リンケン
神聖都市アウグスタ 臨海都市ブリジヘッド 魔法都市スマグ 鉱山都市ハノブ
などの五つの主要都市を有して高い生産性を誇り
また秘密科学組織レッドアイ、特殊工作機関スターヒール、
といった軍事組織をも備える諸外国からも一目置かれる国である
その国を代々治めるブルネシュティング王家の持つ王宮にはある伝説がある
その伝説とは大魔道士ゴーファの残した伝説とも言われている

ブルネシュティング国王6代目は仁、儀、礼、智、忠、信、孝、悌に優れ
歴代の王の中でも最も良き王として人々に慕われていた
勤勉だった6代目は、後学のために賢者としても名をはせた大魔道士ゴーファを食客として招待する
丁重にもてなされたゴーファは6代目に色々な理を教えるとともに一つの小屋を作る
その部屋は二坪くらいの小さな小屋だが、非常に神秘的な力を放っており
その神々しさにはデビ・ロンですら平伏すとも言われている
小屋を作り終わり、城から出るときにゴーファは6代目にある注意をした
「あの小屋には闇が封印されている、あの小屋の扉を開くとたちまち闇が世界を覆い
ブルネシュティング国は滅びてしまう」
その警告は代々語り継がれ、現在のブルネシュティング13代に受け継がれた

ブルネンシュティング王宮から怒鳴り声が聞こえてくる
声の主はブルネンシュティング13代である
酒の油で光る間抜けそうな顔をしながら上機嫌に歌を―怒鳴り声にしか聞こえない―歌いながら
中庭を散歩しているのである
中庭にはゴーファが作った「開かずの小屋」が今も当時の姿で残っており
近衛兵二人が見張りをしている
何が気に入らなかったのだろうか、いきなり13代目はゴーファの建てた小屋の扉を開けようとする
「13代目!?何を為さいますか?」
近衛兵が驚いて声を上げる
「うるさい、この王宮は俺のものだ。俺が俺の小屋に入ろうとして何が悪い!」
「駄目でございます、この小屋には恐ろしい曰くが・・・・」
近衛兵がオロオロしている13代目は小屋の中に入ってしまう
小屋の中には石碑が一つ建てられている
石碑には一つの歌が彫られていた

見よ一筋の光さえ閉ざしてしまう 裏切られて悲しみにくれた眼を
見よ信じまいと笑う僕等の上に 怒りの刃が振り下ろされんとす
全ての生き物は僕等を噛み砕かんと 復讐の眼を光らせ心中を迫る
優しきものほど怒りは大きいもの その怒りが一つの優しさを
消し去った時にはもう遅い さあ今こそ歌を喜びの歌を

13代目が読み終わると同時に小屋が一瞬にして消えさり
石碑が刺さっていた地面から、血のような赤い光が噴出し始める
赤い光は空に伸びていく、さらに地面から赤、青、黒、白、緑、黄色の色をした
玉が現れて、赤い光とともに空のかなたへと飛び去っていった

426 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/25(火) 20:59:26 [ LVW/cCFA ]
>>ともびさん
「管理者」の干渉を受けない、ということはダメオン社(ry
サチ嬢が、イレギュラーとしての力に目覚めたようですね。
なかなかに、渋い語りのケルビーに萌えちまった俺ガイルorz

>>戦士見習いさん
13代が開けてしまった、小屋の中にあった石碑から飛び去った6つの光が六化仙の皆様なのでしょうか?
果たして、彼等の封印がとかれたことによって、ブルネンシュティグにどのようなことが起こるのか気になります。

>>変な生き物さん
そうそう、ひとつ言い忘れたことがあります。
ド○○ン○ォー○ーは未プレイです^^;

427 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/25(火) 21:38:28 [ LVW/cCFA ]
閑話・アウグスタ聖職者協会本部、中央礼拝堂秘密地下書庫所蔵「天界記・レッドストーン強奪事件最終報告書」

――この書物は、古代天使言語で表記されているため、一部翻訳が行われていない箇所があります――
天界歴2700年
天界に安置されていた、レッドストーンが何者かに奪われた・・。
捜査当局は、強奪した犯人のアジトを特定したらしく、本日未明に「赤い悪魔」が潜伏してると思われる神殿に突入する予定だった。
だが、神殿内に突入した精鋭部隊が目にしたのは、すでに伝説の存在とされていた16体の始原魔だった・・。
始原魔とは、全ての悪魔・魔獣などいった「負の存在」を生み出した、天界史上、最も罪深き存在として語られている。
(後の現場検証で、赤い悪魔は始原魔たちが生み出した「幻影」であることが証明された。)
神殿を包囲していた天兵隊の説得に応じることは無く、血で血を洗う戦いが勃発した。
その戦いの最中、天兵隊隊長の働きにより、第2位魔・第8位魔・第10位魔・第11位魔・第12位魔・第15位魔の消滅を確認。
天兵達が勝利を目前にしたそのときそれは起こった。6体の始原魔を屠った、後に英雄として語られたであろう隊長が、自分の部下を少しの躊躇いも無く葬った。
その出来事から5分後、神殿の周りには天兵達の無残な死体が、累々と山を築いていた。
天兵達を撃退した、始原魔達は下界に逃亡した。
中央裁定審議会は、レッドストーン防衛に失敗した天使達に償いとして、下界における始原魔の抹殺及び、レッドストーンの奪還を命じた。
(その際に、防衛しきれなかった責として、その任務に就いた天使達は、片翼を折られたという。)
下界に逃亡したのは、以下の者である。
第1位魔・アダム、――――(翻訳されていないようだ。)
第3位魔・サキエル、「虚無」と「幻影」の使徒
第4位魔・シャムシェル、――――
第5位魔・ラミエル、――――
第6位魔・ガギエル、――――
第7位魔・イスラフェル、「増殖」と「分裂」の使徒
第14位魔・ゼルエル、「断罪」と「久遠」の使徒
第16位魔・アルミサエル、――――
第17位魔・タブリス、「親愛」と「終末」の使徒(別名、―――)
そして、空位であった第13位を冠する大罪人
第13位魔・バルディエル、「裏切り」と「――」の使徒
以上が、今回の事件における最終報告であります。

428 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/25(火) 21:38:32 [ hNlLsBE2 ]
>>ともぴさん
イレギュラー
興味深い単語が出てきましたね
話は大きく変わりますがイレギュラーと言う言葉を聞くと
自分は何故かゲーム クロノクロスを思い出してしまいます

>>iさん
お褒めいただいてありがとうございます
自分も今回作は前作よりも悲しい(というかダーク)な物仕上げる予定です

>>南東方不勝さん
六つの光は特に意味が無かったりします
読み手を混乱(?)させようと思っただけなので

>>ナンバーズさん
ウェスタンラリアット強いですね
もしかしてクリティカルWIZなのでしょうか?

>>ACさん
被害者の血が抜き取られていたということは
もしかすると吸血鬼が絡んでるのでしょうか?

429 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/25(火) 23:03:20 [ gxoMDCNk ]
完結編(?)
吹っ飛ばされて思いっきり壁に叩きつけられる。
口の中に鉄っぽい味が広がる。
すかさずWIZのFBが炸裂するがあまり効いてないようだ。
「ン?ン?ン?これは暖房かネ?」
つづいてBISが鈍器で殴り付けようとするが、チーフレイクはすかさず棍棒で鈍器を弾きとばす。
「こ、こいつ強いでごわす!」
俺はすぐに態勢を整え、素早く小刀で突きを繰り出す。
チーフレイクは巧みなステップでこれをかわす。
「ヘヘヘ…そんな攻撃あたらな…ウッ!」
ズブシュッ!と言う音と共にチーフレイクは崩れ落ちた。鋭利な刃物で頸動脈がばっさりと切断されており、奴の後ろには血染めの短剣を持った愁が得意満面の面立ちで立っている。
もちろん"暗殺"が決まった証拠だ。
「また美味いとことられたよ…」
と俺はつぶやく。まあ…いつものことだけど。
「宝探してくるぉ(^ω^ )」
と、突然WIZが駆け出して行く。
「お宝ないかぉ(^ω^ )?」
奥にあったドアを開くとオーガが一匹居座っていた。
「こ、この部屋には何にもないぞ!燭台が中央の扉のカギになんかなってないからな!」
さっそくラリアットで華麗にオーガをK.O.し、燭台に触れてみる。
ガコッ!……多分これでいいのだろう。
「⊂二二(^ω^ )二二二⊃」
と皆のところに向かう。
「どうでごわす?なんかあったでごわすか?」
とBISがどうせ何もなかったんだろともいいたげな顔で睨む。
「正面のドアの鍵を開けてきたぉ(^ω^ )」
と、得意顔で言う。反対にBISが渋い顔になったが。

430 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/25(火) 23:47:42 [ JYwQAiDM ]
中央のドアを開けると中は巨大な空洞になっており、真ん中に牢獄が見える。
「ちょっと!誰かそこにいる!?」
牢屋の中から大声で叫んでいる女性が見える。
「ハンナさん!愁です!助けに来ました!」
と、愁がハンナが閉じ込められた牢屋に駆け寄る。
すぐにカギを開けようとするが、魔力で封じられているらしく、錠前はロックピックを受け付けなかった。
「ダメです…開きません…」
がっくりとうなだれる愁にハンナは言う。
「いい?ここの鍵はオフィサーグが持ってるの。奴は傭兵くんを操っているから彼に見つからないように奴の場所に行って。」
しっかりとうなずき先に進む。
何もないだだっぴろい道を進んでいく。
「…ん?(^ω^ )」
ふと脇道を見るとそこには宝箱がぽつんと置いてある。
⊂二二(^ω^ )二二二⊃
もちろんWIZは先に行く皆を無視してそれを開けに行く。
ガチャ…カラ。
がっかりしてふと顔を上げると何やら人が立っている。
「……(^ω^;)」
  
そのころ他の皆は…
「ここで行き止まりでごわす。」
壁に突き当たっていた。
「扉、ありますよ?」
愁が隠し扉を瞬時に見つけ、開く。
ギィィィ……バタン。
なぜか開けた扉をすぐに閉じる。
「どうかしたのか?」
と不思議に思って聞いてみる。
「ク、ク、ク、クマー!クマーがいる!」
クマーは非常に狂暴かつ危険なMOBだ。しかしこいつを倒さなきゃ意味がない。
「し、死ぬ気で逝くでごわす!」
覚悟を決め、突撃する。
「…………」
確かにクマーは狂暴だ。しかし俺たちが見たのは…
「これ…ただの剥製だよな…」
どうやら威嚇用の剥製だったようだ。

431 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/26(水) 00:58:21 [ PqQMY8mc ]
ガチャ…その先のドアを開く。そこにはオーガの群れがたむろしていた。
「グルル…エサだ!エサが来たぞぉ!」
とオーガ達がよだれを垂らし目をらんらんと光らせながら襲い掛かってくる。
「今度こそ出番だ!」
剣を前に突き出し、炎を纏ながら敵の群れに向かって突撃する。
グギャァァァァ!
奥の方から何やら賢そうなオーガが姿を表す。
「君たちもだいぶ粗相をしてくれたねぇ。死にたいのかい?」
間違いなくこいつが群れを率いるボス、オフィサーグだ。
「貴様なんぞにまけ…うおっ!」
オフィサーグが一瞬で間合いを詰め、BISを吹き飛ばす。そのままBISはのびてしまったようだ。
「フフフ…わかるかい?君たちはこのボクより弱いのだよ。」
奴の言葉を無視し、盾を構えて突進する。
しかし奴は器用にスライディングをかまして俺をこけさせる。
「ぬあっ!」
ついでに持ってる盾に頭をぶつけてしまった。
「最後は懲りないあなたの番ですよ!」
オフィサーグは愁に向かってアッパースイング気味に棍棒で殴りかかる。
「くっ!」
いそいで仰け反るが、帽子が吹っ飛ばされる。
「きゃあっ!」
その大きな帽子の下には黒光りするつややかな長髪が隠されていた。
オフィサーグもびっくりして気をとられている。
「好機!くらえっ!」
巨大な盾を遠心力で振り回し、投げ付ける。
なんと見事に頭部に直撃。
「ぐはっ!…ぬ、ぬるぽ…」
と、一言言い残しオフィサーグは倒れた。
最後の手向けだ。
「ガッ!」
愁は真っ赤な顔で帽子を深くかぶりなおしている。
「き、気付かれちゃいましたか…。」
ばつが悪そうにこっちを見ている。
「と、とりあえずハンナさん達助けに行こうよ!」
気を失っていたBISも起きだす。
「や、奴はどうなったでごわすか?え?倒した?orz」
オフィサーグの死体をまさぐると小さな鍵を見つけた。
「さあ、ハンナさんの所に行こうか。」
何かを忘れている気がするが、無事ハンナさんの所に着き、とりあえず小さな鍵で錠前を開く。
「助かったわ。ありがと、ところでさっきまでいたWIZは?」
…誰も気にしてなかった。まあどうせ宝探しでもしているんだろう。
「おーい!」
ん?誰かの叫びが聞こえる。
「あ、傭兵くんだw……なんか引きずってない?」
皆で傭兵のとこに駆け寄る。
引きずられていたのは無残にも半殺し状態のWIZだった。
その後BISがWIZに神の手を放ってとんでもないことになったとだけ言っておこう。
数時間後。古都ブルネンシュティグにて
すっかり雨もやみ、時はすでに夕方。烏がなき、夜を告げる時間が迫っている。
「さあ、俺はこれで帰るよ。またノシ」
皆に別れを告げる。
「自分も帰るでごわ…」
と、言いかけて誰かに呼ばれる。
「おーい!ハテナ!ダガー!」
どうやらBISとWIZの知り合いらしい。
「お、フェイクにハースでごわすか。」
なんだかどっかで聞いたような名前だな。
ハンナが少し考えて気付いたらしい。
「思い出した!あなた達確かナンパ一家でしょ!」
その場にいた皆が爆笑したのは言うまでもない。

Fin(?)

432 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/26(水) 01:22:36 [ LVW/cCFA ]
>>58,>>102,>>126,>>133,>>168,>>172-173,>>192-193,>>200,>>215,>>226,>>268-269,>>272,>>279,>>289,>>325,>>376,>>408-409
閑話集 >>127,>>402,>>427

朝の柔らかい日差しが、私のベットの上に差し込む。
「んっ・・。もう少しぃ・・・。」朝にあまり強くない私は、完全に目が覚めるまでに少々時間がかかるんですの。
(あっ、今朝は私が食事当番でしたわ・・・。)再び心地よい眠りに落ちる前に、重要なことを思い出す。
このまま寝ていたら、ゲイルになんて言われるか分かったもんじゃありませんわ。
もぞもぞと、寝ぼけ眼で布団から這い出す。そして、きちんと目を覚ますために洗面所に足を運ぶ。
冷たい水で顔を洗いしっかりと目を覚ました後、ついでに髪をとかす。
一通りの身だしなみが終わったら、台所に向かい朝食の準備を始める。
「さてと・・。ジャックから分けてもらった、ニックスの開き。そろそろ使わないと流石に危なそうですわ・・。」
メインがすんなりと決まったおかげで、おのずと主食や付け合せも決まっていった。
ニックスの開きを焼いている間に、昨日のギルド戦のことを考える。
(昨日の相手、流石に90人も所属しているだけに数で押されましたわね・・。まぁ、勝ちましたけど。)
だが相手のほうも、指揮官役のウルフマンが不在だったらしく、辛くも勝利を収めることが出来た。
(それにしても、昨日は皆よく動いてくれましたわね。)やはり、ギルド戦におけるジャックの冷静な判断は心強い。
だが、それ以上に私の記憶に残っていることは、
(でも、ギルも頑張ってくれましたわよねぇ・・。)最近、レナさんと一緒に私達のギルドに加入した彼のことだ。
的確に相手を仕留めていくその戦いぶりには正直、見惚れていた。あの青い瞳で真剣に見つめられたら・・・。
「姉さん。どんな夢を見ているかは知らないけど、開き、焦げそうだから火からおろしておいたよ。」
「えっ、えっ!?あら、危ないところでしたわ・・。で、ゲイル。何時からそこいらしたの?」
ゲイルの唐突な発言で現実に戻る私。
「ついさっき。姉さん、まったく開きの焼き加減確認していなかったろ。危うく、朝ごはんが無くなるところだったじゃないか・・。」
「あは、あははは・・。」乾いた笑いを返すことしか出来ない私。まったく、私とあろうものがなんであんなことを考えていたのでしょう?
確かに彼のことは気になりますけど、そんな目で見ているつもりは断じてありませんわ!多分・・・。
「姉さん、早くしないと冷めるよ?」
そんなゲイルの怪訝そうな表情を見ながら、私はばつが悪そうにそそくさとテーブルに着いた。

433 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 14:24:27 [ kjOH5EwE ]
>>独り語りさん
か、かっこいい〜>ワ<
無言で仲間を守り剣を振るう剣士のかっこよさと、リズムよく敵を蹴散らすランサーパートの対比が最高です>ワ<
それぞれ単品でも素晴らしいですが、同一パーティーの話をこうして異なる視点から見ると、なお素晴らしいです。
まさに、ディ・モールトベネ>ワ<

>>ACさん
シルヴァリンにはそんな秘密が!?
なかなか固ゆでっぽい感じの世界観がすてきです。
かと思えば、アグラーヤさんはかなり萌えキャラの予感?

>>南東方不勝さん
愛の力の悲しい勝利〜かと思えば、何やら意味深な人が。
そして、悪役ゾロゾロと・・・・・・。
やはりタブリスは、歌はいいねえとか言い出したり(PANPANPAN
リリィかわいいよリリィ>ワ<

>>389-398さん
おおー、感動っ
純朴な感じの天使さんがいい感じです。
平和に二人でクエストしてるときも、羽をなくしちゃったときの取り乱しているところもまた良いです。
そして、兄との死闘・・・・・・
最後は、ハッピーエンドなんですよね? そうだと信じたい・・・・・・(←ハッピーエンド好き
何はともあれ、良いものを見させていただきました>ワ<

>>iさん
ケーキは食べるのも作るのも好きです>ワ<
ケーキの例えは、何となくキャラ育成にも当てはまるような・・・・・・
なかなかに深いお話ですね>ワ<

>>ともびさん
喋ったΣ>ワ<!?
というか、男外道ですなぁ。わりと中盤であっさり死にそうなタイプの(笑
そして、さっちゃん覚醒。普通にサマナーか、と思えばなんか喋ってるー!?
続きがディ・モールト気になります>ワ<

>>戦士見習いさん
開けてはならないと言われたら、開けたくなるのが人のサガ。
厄災が飛び散った後には、ただ一つ希望が残るのがお約束ですが、はてさて・・・・・・
白菜が飛び出して、ゴボウが残ってたらやだなぁ(ジャぱんネタ)

>>ナンバーズさん
前作の続きも楽しみにしてますよん?
そして、新作の方は相変わらずブーンwizがいい味出してますねぇ。
あの熊は剥製だったのかっ(爆笑
ぬるぽにガッはお約束ですね?

434 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/26(水) 22:55:14 [ LVW/cCFA ]
>>ナンバーズさん
無事攻略終了。ブーンが死に掛けましたがスルー(ry
武道家の人が、実は女だった事実が発覚。ちょっと、意表をつかれた俺ガイル。

>>サマナの人さん
いつも、暖かい感想ありです。
そういえば、書き込みの中にジョジョちっくな発言があるのは気のせいでしょうか?
気のせいですか、そうですか。

435 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:33:33 [ b6Gnz/6I ]
>>230 >>237-241 >>250 >>317 >>320-321

>フィーナ=ラフィーナ

 ちょうど良い具合に、ブレンティル行きの隊商があったので途中まで便乗していくことになった。
 出発は早朝、日が昇る直前くらい。
 一番危険なクェレスプリング湖外縁を夜になる前に通過するためだ。

 これなら夕方前に目的の村まで着けるかな、と思ったんだけどね……

 グレートフォレスト周辺域に昔から住んでいる亜人種。チョ・チョ族。
 生活域が人間に程近いところにあるせいか、良く縄張り争いのようなものが起きるんだ。
 この東プラトン街道のすぐそばにも彼らの居住地があるのは知ってたけど、ずっと昔に縄張りについては和解してる、はず。

 ところがところが。隊商が街道を通っていたら、彼らが道路を封鎖していて、ここは我々の領土だから通りたければ積荷の半分と若い女をよこせ、だって。
 まあ、一応説得しようとしたんだけど、ぜんぜん会話が噛み合わないんだな、これが。

 挙句の果てに勝手に怒って、「チャウグナル・ファウグンへの生贄にしてやる」とか言って襲いかかってきた。

「ベレッタさんとミーアはとにかく蹴散らして。フィリップさんは馬を守って。馬がいなきゃ馬車なんてただの粗大ごみだから。あとおじさんたちは危ないから下がって!」

 うん。戦力自体は大した事ないけど、とにかくわらわらと大量に沸いてくるのが辛い。
 しかも、こちらは出来る限り相手を殺さず、なおかつ積荷と馬を守るというハンデ付き。

 ベレッタさんの槍とミーアの蹴りが唸る度、悲鳴を上げてチョ・チョ族が吹き飛んでいくけど、すぐに――

「ニダァーッッ!」

 体長はおよそ1ヤード。頭ばかりがずんぐりと大きく、小さな目は顔肉に埋もれていて、けど妙にえらの張った顔が目の前に。

「ひ……いやぁぁぁぁぁっ!!」

 私の悲鳴に反応するように、ケルビーが火輪を纏って目の前のチョ・チョ族を焼き払う。
 Yesじゃないなぁ、もう。
 さすがにあれのドアップは勘弁だ。
 うー、夜うなされそう。

 さすがに距離が近かった上に、十分な意識集中もしてなかったもんだからケルビーの火で自分も火傷しちゃった。
 けど、その傷があっという間に癒えていく。

「大丈夫かい、フィーナちゃん」

 アイラムさんのヒーリングだ。

「あ、うん。ありがとう」

 お礼を言う暇もなく、アイラムさんは前線のミーアたちにヒーリングをかけに行ってしまった。
 とにかく、このままじゃジリ貧……て、あれ? ハイネさんは何してるんだろ?
 ふと思い出せば、さっきから攻撃魔法が一発も飛んでいない。

 ハイネさんを探して、あたりを見回す。
 何故かハイネさんは、後ろの馬車の荷台に隠れてた。

「げ――」

 私を見て、なぜだかぎょっとした顔。

「ちょっと、ハイネさん。こういう時こそ魔術師の出番でしょ? いっぱつどかーんってやっちゃって!」
「え……あ、ああ。よし。見てろよ。俺様の超魔術、メテオシャワーであの原住民どもを根絶やしにしてやるぜ」

 そう言って杖を回し、呪文を放つための意識集中を始める――って!?

「乱戦でそんなもの使ったら、ミーアたちまで黒焦げよ! もっと大人しい奴!!」
「よし、じゃあライトニングサンダーだ!!」
「馬鹿ぁ! そんな大音量じゃ、馬が驚いて逃げちゃうわよ! ファイアーボールとかチリングタッチとか、小回りの効く奴ないの!?」
「無い!」

 威張るなぁっ!
 まあ確かに、これだけ乱戦になっちゃったら下手に大技撃つわけには行かないけどさ。
 だったらもっと早く、ここまでごちゃごちゃになる前に先制の一発撃ってくれれば良かったのに……。

「じゃあアースヒールとかエンチャントで援護して。私もミーアたちの加勢に行くから――」
「ハ、俺様は大魔術師だぜ。援護なんてそんな地味な術、使えるわけがないだろ?」
「だから威張るなぁっ!!」

436 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:33:55 [ b6Gnz/6I ]
>ベレッタ=アンブロシア

 担いだ槍を、肩を支点にぶん回す。
 遠慮の無い一撃が、原住民たちをまとめてなぎ払った。
 どうでも良いけど、ギャアギャアうるさいわね、こいつら。

「――ベレッタ様、平気ですか?」

 ミーアさんもまた、原住民相手に獅子奮迅の大活躍だ。
 涼しげな顔で蹴りが放たれ、また原住民が悲鳴を上げながら吹き飛ぶ。
 本当にメイドにしとくのがもったいないほどの腕利きね〜。

「平気だけど、そろそろ数が多すぎて食傷気味ねっ!」

 槍を振るった際にできた隙に、一匹の原住民が滑り込んでくる。
 ――槍を引き戻してたら間に合わない。
 だからあたしは、槍ではなく、飛び掛ってきた原住民の腹めがけ膝蹴りを放つ。

 あ、相手が小さかったせいでもろに顔面入った。
 鼻血を噴出してぶっ飛んでいく。

「ナイスファイトです」

 ミーアさんが言ってくれるけど、なんか優雅さに欠けるわね。
 さて、ここらで一発魔法の援護で吹き飛ばしてほしいけど――

 自称大魔術師を呼ぼうとしたら、彼とフィーナの掛け合い漫才が聞こえた。

「……援護は期待できそうにありませんね」

 苦笑して言うミーアさんに、あたしは無言で肩を竦める。
 結局、原住民を追い払えたのは一刻くらい後の事だった。


 疲れた、激しく疲れたわ。
 でも、一つだけいいこともあった。
 みんなの実力をこの目で確かめられたこと。
 フィーナもミーアさんも、アイラムも。腕も立つし、仲間としても信頼できそう。
 問題は自称大魔術師。
 まあ今回は仕方ないけど、次はしっかり働きなさいよ?

437 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:36:48 [ b6Gnz/6I ]
>ハイネ=シュバルツバルト

 昼過ぎになって、俺達は目的の村――モルバンに辿り着いた。
 古都への材木出荷と、わずかな農耕と狩猟で暮らしているような、まぁ俺様には似つかわしくない、チンケな村だ。

 できればとっととクエストを終わらせて、古都に帰りたいもんだな。

 村に着いた俺達は、村長らしい爺さんとその他大勢の村人が出迎えられた。

「おお、あんた方が冒険者じゃな。よく、よく来てくださった」

 感謝の言葉より、前金が欲しいね、俺は。
 だが、残念ながら報酬は依頼終了後ってことらしい。
 まったく、しけた話だぜ。

 まあどうせ、村人がびびって冒険者呼んだけど、蓋を開ければ野良アンデットがたまたま人里出てきただけとかそんなもんだろうしな。
 大したことねぇさ。

 村長の家で依頼についての詳しい話があるってことだが、めんどくさいので他のメンバーに任せる。
 というか、実際に村長の家に行ったのはランサーと剣士、あと変なメイドの三人だけだ。
 ビショップのにーちゃんは怪我人の治療に行って、小娘の方はなんだか気になることがあるとかで、村の周りを調べに行ってる。
 ホント、ご苦労なこって。

438 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:37:19 [ b6Gnz/6I ]
 さて、俺様みたいな大物はそんな雑事はしない。
 本当に必要な時に備え、英気を養おうと酒場を探した。
 見つかったのは、チンケな村に相応しいチンケな酒場だ。
 店主は、酒の味なんててんでわからなさそうな、ひげ面のおっさん。

 置いてある酒だって、到底酒とは言えないような安物ばかりだが、まあこんなチンケな村じゃ仕方ないか。

「あの、お金は――」
「おいおい、俺様はこの村をモンスターの脅威から守りに来てやったんだぜ? それくらい負けろよ」

 ったく。むさいおっさんの顔を見ながら飲む安酒ほどまずいものはねぇな。
 とっとと古都に戻って、ドロシーちゃんでも誘ってアウグスタ産のワインでも飲みたいぜ。

「あー、なんかつまみみたいなのも適当に頼むわ」

 言うと、おっさんは不満げにナッツを炒り始める。
 皿に盛られたナッツをつまみにまた酒を飲んでいると、不意にコートの裾が引っ張られた。

「……あ?」

 そちらに視線をやれば、ぼろいクマのぬいぐるみを抱いたガキが俺のコートを引っ張っている。

「何だよ」
「……おじさん、冒険者?」
「おじさんじゃねえ。お兄さんだ」

 一言目にはおっさん呼ばわりかよ。かわいくねぇガキだ。

「……お化けをやっつけにきたの?」

 聞けよ人の話。

「……ああ。まあな」

 親切に答えてやったのに、何故か黙るガキ。

「つーか、何だよ。用がないなら話しかけんな」
「……ヒューイ」
「は?」
「パパが買ってくれたの」

 ああ、ぬいぐるみの名前ね。

「はいはい、それはよかったな。おめでとう。じゃあな」

 優しい父親でよかったな。
 俺の親は――思い出したくもない。

「パパ、帰ってこないの」
「――は?」
「ジョージおじさんと一緒に山に木を切りに行って、ジョージさんしか帰ってこなかったの」
「それって、お前――」

 続けかけた言葉を飲み込む。
 アンデットの出た山。
 帰ってこない木こり。
 それが何を意味するかなんて、誰だってわかる。

「おじさん、冒険者でしょ。パパを探して」

 そう言って、俺の手に何かを押し付ける。
 手のひらを開けば、みすぼらしい麻布と拾ったらしい木切れで作られた、手作りの勲章。
 
「もうすぐパパの誕生日だから、一生懸命作ったの。でも、おじさんにあげるから、パパを――」

 腹が立つ。

 ここまで子供に思われている父親。
 きっと、優しい父親なんだろう。
 優しい母親もいて、休日にはかぼちゃのパイなんか作ったりしてるんだろう。

 道端の小石を見るような目で見られることもないだろう。
 事あるたびに殴られるようなこともないだろう。
 出来損ないと罵られることもないだろう。

 ――ゴミのように、捨てられることもないだろう。

「うぜぇ……」

 うざったくまとわりついてくるガキを、払いのける。

「きゃ――」

 尻餅をつくように倒れ、ついで火のついたように泣き出す。
 ああ、五月蝿い五月蝿い。
 俺はガキに目もくれず席を立つ。

 ガキがどうなろうと知ったことか。

 無言のまま酒場を後にする。
 背後ではまだ泣き喚いているガキの声。

 手の中には、みすぼらしい勲章。
 俺はそれを地面に投げ捨てようとして――

「ったく。こんなクエスト終わらせて、とっとと古都に戻りたいぜ」

 いつもどおり。
 そう、いつもどおり適当に働いている振りをして、とっとと古都に戻ろう。
 今回の面子は、見た目はあれだが腕は立ちそうだ。
 どうせ、クエストが終わればこんな村とはおさらば。
 メンバーだってばらばらだ。二度と会うこともないだろう。

 俺はそう言って、そのぼろい勲章をコートのポケットに突っ込んだ。

439 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:37:52 [ b6Gnz/6I ]
>フィリップ=オウギュスト

 村長と、アンデットの目撃者のジョージさんからの詳しい話が終わったころ、ほかの場所に行ってた人たちも帰ってくる。
 アイラムさんは村の怪我人や病人の治療に行ってたはずだけど、フィーナちゃんは何してたのかな?

「んー、アンデットが沸いてる原因とか、手がかりでもないかなって村の周りを見に行ってたんだけどね……」
「何も異常はなかった?」
「ううん。逆」

 逆? どういうことだろう?
 どうやらベレッタも気になったらしい。

「ねえフィーナ。それってどういう意味?」
「えっとね、これ見て」

 そう言ってフィーナちゃんが見せたのは、花の咲いた枝。

「ごめん、どこが変なのかわかんないんだけど」
「これさ、樫の枝なんだ。でも、咲いているのは林檎の花」
「――え?」

 林檎の花が咲くのは林檎の木だよね?

「あと、もうちょっと森のほうに行くと凄いよ。アジサイから菊とラベンダーと向日葵が一緒に咲いてたり」
「はいぃぃぃ!?」
「まだ、動物はまともなままだけど、植物はかなりおかしくなってるみたい。たぶん、アンデットの発生と原因は同じだと思うんだけど……」
「肝心の原因はわからない、というわけですね。お嬢様」
「うん」

 うーん、植物の異常とアンデットの発生か……。

「あまりに異常ですね。それは」

 アイラムさんも頷いている。

「なんと、そんな事が……」

 ジョージさんも頷いてる――って、村の人は気づいてなかったのかな?

「いえ、アンデットが出てから、森のほうには近づかないようにしていましたので……」
「あー、そのことなんだけどな、アンタ」
「はい?」

 あ、ひょっとしてハイネさんから村の人に話しかけるのは初めてじゃないかな。

「あのさ、あんたと一緒に森に行った奴、いるだろ? そいつはどうなった?」
「え――何故あなたがそれを?」

 けど、ハイネさんは答えず、もう一度尋ねる。

「いいから、どうなった?」
「…………」

 ジョージさんは答えず、ただ目を伏せる。

「……そっか」
「何よ。何かあったの?」
「別に。何でもねぇよ」

 ベレッタの質問にも答えない。
 なんだか怒ってるみたいだ。

「まあとにかく、このままだと村の人たちにだって悪影響があるかもしれない。とにかく、一度そのアンデットが出たって現場に行ってみないか?」

 アイラムさんの提案ももっともだ。

「ったく。何で俺様がいちいち気にしなきゃなんねぇんだよ……」

 ハイネさんの呟きの意味はわからないけど、そんなに悪い人じゃないのかもしれないと、そう思った。

440 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/26(水) 23:48:41 [ b6Gnz/6I ]
>>南東方不勝さん
>そういえば、書き込みの中にジョジョちっくな発言があるのは気のせいでしょうか?
Σ(ノ>ヮ<)ノ♪ バレタ!?
いや、ちょうど立ち読みした直後だったので……

441 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/27(木) 00:29:44 [ DXXt3lTo ]
>>サマナの人さん
今一気に読ませていただきました(´・ω・`)
みんな言いキャラしてますねぇ・・・
個人的にはハイネが好きです。
フィーナもお嬢様って呼ばれてたし・・・
なんというか、キャラに隠し設定?というか
まだ分からない部分が多くてとても気になりますねぇ。

442 名前: レッドストン通信社 ◆TIwTo4/2fM 投稿日: 2005/10/27(木) 00:31:36 [ 54L2UcMg ]
本スレのバックナンバー
Vol.3 >>198-199

※レッドストン通信発行遅延のお詫びとお知らせ

レッドストン通信編集部です。
いつもレッドストン通信をご愛読いただきましてありがとうございます。

さて、この度はレッドストン通信の発行遅延につきましてお詫び申し上げます。
読者の皆様方にはご迷惑をおかけして真に申し訳ございません。

そしてこの度の遅延につきまして、
本誌編集部は皆様に悲しいご報告をしなければなりません。

本誌が誇る敏腕記者3名が取材の為オーガ洞窟に向ったのですが、
連絡を絶って2週間以上帰って来ませんでした。

事態を重く見た編集部が冒険者に探索を依頼したところ、
記者の所持品と思われるカバンと日記が見つかりましたが、
本人達はまだ見つかっておりません。

この事実から察するに、
本誌の記者3名はオーガに喰われてしまったであろう事はあまりにも明白です。
敏腕な記者3人を志半ばで失った事は本誌編集部にとって非常に大きな損失であり、
同時に痛ましく悲しい事実です。

しかし、我々レッドストン通信編集部は、3人の死を無駄にしないためにも、
レッドストン通信を古都一番の情報誌に押し上げるべく邁進していく所存でございます。

なお、次号はレッドストーン暦10月22、3日辺りの発行となる予定です。
これからも何卒レッドストン通信をよろしくお願いします。


〜訃報〜

ミリオスケネス(98 剣士)      本人 識別№:A34-4G5S
レッドストン通信編集部第二編集室長 通り名:逃げ越しデュエルのケネス

バインデューム(61 戦士)  本人 識別№:598-53TH
レッドストン通信編集部第二編集室編集員 通り名:浮かれドラツイのバイン

ビリー=マリーネ(37 WIZ)     本人 識別№:03A-B77O
レッドストン通信専属記者        通り名:特になし


※広告欄※
ギルドメンバー募集中!!

 前衛武闘派ギルド 『剣士's ソウル in TAN−DEN』
 ○エンチャWIZ、支援BIS大歓迎!!!

 〜当方ギルド戦7連勝中の超前衛武闘派ギルド!
  チェーンでGOOD!ディレイでGREAT!!パラレルスティングFANTASTIC!!!
  強くなりたい君の熱いハートにハリケンを巻き起こすPSYCOォォォォ〜な超ギルド、
  それが『剣士's ソウル in TAN−DEN』!!
  当ギルドでは只今エンチャWIZ様、支援BIS様大歓迎!!!
  加入したい希望者は明日のNOONに古都中央公園の一本杉の下に集まってくれ!
  とにかく今すぐ入りたい、というHOTな君は(そこ、そこの君だYO!)、
  GMのタイゾウ=ハイプスまでダイレクトにフィーリングでGETしてくれ!!
  加入希望者には漏れなくシマーリングタワーをサービスするぜb


 ・ギルドデータ
 ギルド名:剣士's ソウル in TAN−DEN
 ギルドマスター:タイゾウ=ハイプス(LV非公開 剣士)
 構成員:42名
 平均LV:65
 最高LV:非公開
 職業比率:剣士4、戦士3、その他3
 主な活動場所:古都ブルネンシュティングの酒場「びくっこ亭」

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443 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/27(木) 00:59:53 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
アンデッド大量発生の影響で、植物達が反乱をw
まぁ、季節感もへったくれもないそんな花畑を見てみたいと思いました。
あとハイネさん、どうやら実の親にあまり良い扱いはされていなかったようですね。
でも、なんだかんだ言ってあの子の父親の安否を気にする不器用な優しさに好感を持ちました。

>>レッドストン通信社さん
とりあえず、オーガ巣窟にて殉職した3人の記者の皆様の墓標に花を添えてもよろしいでしょうか?
つか、30代でオーガ巣窟に取材に行ったWIZの根性に脱帽です。
広告欄、爆笑させていただきました。自分も戦士を使っていますので、このハイテンションなギルドに加入してみたいと(ry

444 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/27(木) 10:49:58 [ r8XrC/rU ]
>>230 >>237-241 >>250 >>317 >>320-321 >>435-439

>ベレッタ=アンブロシア

 確かにフィーナの言ったとおりだ。
 森の奥に進むにつれ、あたりの景色は異様なものに変わっていく。
 フィーナの見せた、別の種類の植物の生えている木ならまだいい。

 さっきなんて、犬の首に似た何かが生えて、ニャーニャー言ってる花があった。

「まさか、これは……」
「なにか心当たりがあるの、アイラムさん?」
「……いや、きっと気のせいだろう。ただの勘違いさ」

 気になる言い方ねぇ。

「しっ、皆様お静かに――」

 ミーアさんが言い、ついであたしも気づいた。

 ゾンビの群れ。
 数はかなり多いか――

「村に向かってる。蹴散らそう」

 フィリップが言う。
 あたしも異論はない。

「オーケー。まかせて」

 言うなり、フィーナが走り出す。
 あ、先陣切られた。

「ケルビー、ウィンディっ!」

 彼女の叫びに呼応するように、燃える犬と装甲を纏った鳥が現れる。
 フィーナは、翼を広げる鳥のように両手を広げ、走りながらさらに声を上げる。

「Ya――ya――ya――ya――ya――ya――!」

 瞬間、鳥の動きが加速する。
 ゾンビの群れに突っ込んだ鳥は、その爪と牙で、次々と標的を切り裂き――

「Ia Cthugha!!」

 そこへ火輪を纏ったケルビーが突っ込む。
 ゾンビたちは声もなく灰と化し――

「Get you♪」

 振り向き、あたしたちに向かって微笑む。
 やっぱり凄いわね、サマナーの力も。
 けどね。

 あたしは手にした槍を、フィーナに向かって全力で投げる。
 放たれた槍は狙いを外すことなく、フィーナを掠めて背後の標的へと突き刺さる。

445 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/27(木) 10:50:19 [ r8XrC/rU ]
 火に捲かれながらもなおフィーナめがけ腕を振り上げていたゾンビに。

「油断大敵、ね」

 あはは、ちょっと困ってる。
 まあ、槍使いは前衛であると同時にメンバーのフォローも大切な仕事だしね。
 このくらい軽いもんよ。

「みんな、油断するのはまだ早いぞっ!」

 と、浮かれていたところに緊迫したアイラムの声。
 慌てて視線をやれば、さらに十体近いゾンビや骸骨がぞろぞろと。

「僕がひきつける。その間に詠唱を!」

 フィリップが盾をかざし、雄たけびを上げながら突進していく。
 心意気は立派だけどね。
 一人じゃ無茶があるわよっ。

「でぇぇぇいっ!!」

 だから、あたしも回収した槍を頭上で振り回しながらフィリップに続く。
 群がるゾンビたちをまとめて弾き飛ばすけど、さすがにかわしきれず、いくらか爪や錆びた剣の攻撃を喰らう。

「ベレッタ、無理はするな!」
「無理しまくりのあんたに言われたくはないわよっ」

 自分だって怪我してるのに、さらにあたしまで庇おうとするフィリップ。
 だけどね、守られてばかりってのはあたしのガラじゃないのよ。

 左右にステップを踏むように攻撃をかわす。
 かわしながら槍を振り回す。
 さながらダンスでも踊るように。

 そのステップはやがて徐々に速度を増し、ついには他の人から見ると、まるで残像を纏っているように見えるはずだ。
 いい感じにノってきたところで、一気に畳み掛ける。
 高速歩法からの超連続攻撃!

 四方八方からの刺突を受け、串刺しにされた斧骸骨が砕け散る。
 フィリップも盾で骸骨を砕き、剣でゾンビを両断してるけど……数が多すぎる。

「まずっ――!?」

 フィリップの方を気にしすぎていたせいか。
 地面に倒れていたゾンビの内臓(うぇっ)を踏んで足を滑らせる。
 バランスを崩しているところに、勝機と見たかゾンビたちが殺到し――

「神よ、迷えるものに安息を!」

 温かな白い光が迸り、目の前のアンデットたちが崩れ去る。

「ビショップの浄化術法……?」

 目を向ければ、大きく体力を消耗したのか、アイラムが大きく肩で息をしている。

「すまない。数が多くて術力を纏めるのに戸惑った」
「ううん。おかげで助かったわ」

 ちょっと今のは危なかった。
 朝方の原住民もそうだったけど、一体一体は大した事なくてもまとめて来られると厄介よね。
 今回はアイラムの浄化術が間に合ったけど――

「ハイネ、あんたは何やってたのよ。こういう相手にこそ、魔術師であるあんたの力が必要なんでしょ?」

 そう。結局今の戦いでも、ハイネは一発も魔法を撃っていない。

「そうだね。確かに強力な魔法が体力を大きく消耗させるのはわかるけど、今はちょっと危なかった」

 ミーアさんに応急処置をしてもらいながらフィリップも言う。
 ゾンビとかのアンデットは時々病気や毒を持っているから、ちゃんと処置しないと危ないんだ。
 でも、さすがに沁みるのか時々顔をしかめている。

 あたしもフィリップほどじゃないけど、ところどころある怪我に消毒薬を擦り込む。
 うひー、沁みる〜。

「あ……ああ。悪かったよ。どうもこういう腐ったのは苦手でな。ついびびっちまった。次からは気をつける」

 あら、てっきりもっと何か言ってくるかと思えば、なんだか素直。
 確かにちょっと顔色も悪いわね。
 ゾンビが苦手ってのは本当なのかな?

「よし……じゃあ、出発しよう」

 傷の手当が終わると、再び出発。
 さっきより緊張感が増している。

 無理もないか。
 前衛であるあたしやフィリップは言うに及ばず、アイラムは何か考えているみたいだし、ハイネは顔が蒼白なまんま。
 ミーアさんもいつでも対応できるように身構え、火犬と鳥を従えたフィーナは、あたりの光景を見て顔をしかめている。

 時折現れるゾンビたちを蹴散らしながら進むこと数刻。
 夕暮れ近くなって、あたしたちは怪異の中心と思しき場所に辿り着いた。

446 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/27(木) 10:50:44 [ r8XrC/rU ]
>フィーナ=ラフィーナ

 周囲の瘴気はますます濃くなってる。
 ついにあたりの植物は完全に異形のものとなり、じくじくと血のような水を染み出させていたり、蛇のようにのたくっていたり。

 そして、それらの異形の中央。
 それ、の姿があった。

「ネクロマンサー……か?」

 アイラムさんが言う。
 誰かが息を呑む音が聞こえた。

 そこには、宙に浮かぶ数ヤード近い巨体があった。
 ここからでもはっきりとわかる強烈な魔力。
 間違いない。あれがこの怪異の原因だ。

「アイラム、あなたの力であれを払える?」

 ベレッタさんがたずねる。
 確かにネクロマンサーもアンデットの系統に属する。
 強力な破邪術なら効果があるかもしれないけど……

「わからない。試してみる価値はあると思うが……」
「こうしていても仕方がない。僕が前衛をやるから、アイラムさんとハイネ、それにフィーナちゃんで一斉攻撃を。ベレッタとミーア

さんは後衛の援護を頼む」

 アイラムさんが頷き、フィリップさんに防御の術をかける。
 強力な魔法を使うネクロマンサー相手には、僧侶の守護の術が必要不可欠だ。

 だけど何だろう。
 私の中で何か違和感が大きくなっていく。
 何かとんでもない間違いをしているような、そんな感覚。
 だけど、それの正体を掴む間もなく、フィリップさんが突っ込んだ。

 先ほどと同じく、盾で身を守りながら剣を構え、巨体めがけて一直線に。
 巨体が強烈な炎を放ち、フィリップさんの盾の表面が燃え上がる。
 だけど怯むことなく、その巨体に渾身の一撃を叩き込む。
 巨体が、わずかに揺らいだ。

「今だ! 彷徨える魂――今、神の御許に還るがいい!!」
「E'YAYAYAAAAAAAAAAA!!!」

 アイラムさんの白き聖光と、ケルビーの猛火、ウィンディの烈風が同時に突き刺さる。

 だけど、

「嘘、効いてない――!?」

 アイラムさんの光が、空しく巨体にはじかれる。
 けれど、それは相手の注意を引き付けるのには充分だったのか、巨体がこちらを向いた。
 骸骨のようなその体躯。
 燃え上がる蒼き炎。
 そして、体の中心あたりにある禍々しい赤い光――。

 私は、違和感の正体を知った。

「ベレッタ、逃げろぉぉぉっっ!」

 フィリップさんの叫び。
 ネクロマンサーが、いや、ネクロマンサーに似た別のものが、私たちめがけ炎を放つ。
 まともに喰らえば、死にはしなくてもパーティは壊滅状態に追い込まれる――

「Ia ヘッジャー!」

 ウィンディとケルビーを送還し、代わりにヘッジャーを召喚。
 そして小さなその体を抱いたまま、私はアイラムさんたちを庇い、その炎に身を晒した――

447 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/27(木) 21:10:59 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
六化仙 其の六


ブルネシュティング国、秘密軍事施設
通称、エリア51と呼ばれる拷問部屋で一人の青年が拷問を受けている
彼の名前はネグルフシ ナマニ ニューロク
元ブルネシュティング将軍のこの男、かつては戦場で千の軍勢を一人で切り伏せたと言われる
伝説の男、遠い東の異国の鎧に身を包み、異国の剣を使った閃光のような戦い方で
日出処(ひいづるところ)の戦士とあだ名された軍人
その男が今、ブルネシュティング兵によって拷問を受けている
その理由は2ヶ月ほど前に遡る

ブルネシュティング13代国王が酒に酔った勢いでゴーファの立てた小屋を壊してから
奸臣が増え、百鬼が夜の道を行き、ブルネシュティングは混乱を極めていた
ある日ネグルフシが13代目にこのように進言した
「国王、今やこの王宮には奸臣が蔓延り、役人は賄賂だけで動き
市民は圧制に虐げられ、怨嗟は天へ届こうとするほど満ちております」
このようにネグルフシが進言すると、王宮に蔓延る奸臣どもが一斉に現れて王に異議を唱える

――ネグルフシは一部のことを大げさに言いすぎている――
――武官は文官のことを何一つ知らない――
――市民の怨嗟など何も無く、天下は太平である――
等等が奸臣の口から一斉に飛び出したのであった
さすがにネブルフシもこれには開いた口が塞がらず、そのまま自宅へ帰ったのである
その1ヵ月後、ネグルフシは無実の罪で軍に身柄を拘束されてしまう
もちろん、奸臣が罪をでっち上げたのは言うまでも無いことだった

場所は変わってロマ村ビスル
祭りの時期だというのに人の気配は無く、村は閑散としている
その光景を見て訝しげに思ったフネデオウとアーウィラが
子犬を抱えた通りすがりの男に尋ねる
「祭りの季節なのに何で人が少ないんだい?」
「そりゃぁ、この村に馬賊が出るからさ、馬賊と重税に苦しめられて祭りどころじゃないよ」
そう言って男は足早に立ち去って行った

448 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/27(木) 21:42:30 [ 8p2DUd5. ]
志村ー!名前名前ぇぇぇ!

449 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/27(木) 21:43:48 [ hNlLsBE2 ]
忘れてたorz




ぬるぽ

450 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/27(木) 21:49:19 [ 8p2DUd5. ]
        _ __
    _ =ニ∠__) ミ 、
  ,∠__)   |    ` 、─、
     \    |      >、_,)
        `n ∩     /    :
l⌒l──⊂(・(  ・)つ´    i  !
ヽ、|  /と(∀・ _( ・∀・)  |\l
, -、/   /(ノ と    )─‐l  l ガッ
ヽ、\ _/    ( Y /ノ   人‐′
   ̄(_フ    `|/ ) <  >Λ∩
          _/し'   ノノV`Д´)ノ ←>>戦士のようだサマ
           (__フ 彡イ     /

451 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/27(木) 22:10:37 [ 2DPQhlsg ]
>>448-450
無駄にレス消費するのはできるだけ控えてね。

452 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/28(金) 07:00:56 [ FaWQPMjk ]
>サマナの人さん
講義中に投稿とは……その手があったか。(マテ
違和感のない視点の変化が物語の内容を掴みやすくなっていていいと思います。
ハイネは臆病なんですね……。一体何が怖くないんだろう。原始人(?)まで怖かったら狩りなんかできないような気もします。
ネクロマンサーらしきものの正体が気になります。
もっと上級のモンスターなのか、はたまた全く別のものなのか。無事に倒してクエストを完了することはできるのでしょうか。
> そして小さなその体を抱いたまま、私はアイラムさんたちを庇い、その炎に身を晒した――
緊張の瞬間ですね。抱かれたまま反射できるんでしょうか。


>名前がない@戦士見習いさん
今回の物語もゴーファが関係してきますね。ということは時代交錯もあったり……しつこいですね、すみません。
赤い光が世界を闇に包み込み、それを予知していたゴーファが6色の光を希望として残した…というような感じでしょうか。
とりあえず酔った勢いでその小屋を開けてしまった13代に乾杯!


>277(>>257)さん
テイマーと狼ネタは笑いが尽きません。
ウィザードは何故ヘイストのあるLvで病コボを狩っていたのかという問題は……ヘイスト極で覚えたてでFAですね。


>変な生き物さん
リディス、そんなに私を感動させないでくださいorz
どうもこのギルドの男性陣は情けないような感じが。もう少し頑張りましょう!…特にセルベインさん。
しかしこういう人物は個人的に好きです。それが旨くギルドの安定を保っているのでしょうね。
市民登録は三万でしたよね?それより高いとは……ガクガクブルブル(AA略


>南東方不勝さん
長かった戦いもついに終わりを向かえ……新しい朝ですね。
新たな恋も芽生えたわけですが、激しい戦いがほんの一部にすぎなかったとは……。
特に13番目の悪魔は手ごわそうです。理由は13番目だからです。(何
これからのジャック率いるクサナギギルドがどういう活躍をしてくれるのか楽しみです。
…あれ、リリスさんなぜここにうわなにするくぁwせdrftgyふじこl(ry

はい、リリスさん率いるクサナギギルドです……。


>(オジさん改め)ともぴさん
初めまして、これからよろしくお願いします。
記憶のなくなる直前のわずかなストーリーが今後の物語にどう影響するのか、それが一番の味ですね。
視線だけでオジを吹き飛ばすような力を持ったこの男の正体も気になるところです。

453 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/28(金) 07:01:46 [ FaWQPMjk ]
>FATさん
おお、久しぶりのネクロ登場ですね。
マリーの苦しみを考えると、ネクロへの恨みも妥当な気がします。そして二人が出会ったときにシエル様が出てこないのか心配です。
スレイとは同じ辛い運命を辿るもの同士で合うんでしょうが、このスレイが今後の物語で鍵を握る人物ではないか…と見ています。

>確かに化粧が濃さそうなイメージ湧きますね・・・。やはり表現力がorz
いえいえ、そのようなことはないです。ただ脳裏を過ぎった人物が化粧が濃かっただけで……。
というわけなので気になさらないでください。


>307さん
BISや天使スレで「ブラザー」と言われると何故か苦労が報われるような気がしますよね。
主人公も大変な苦労を重ねてきたのでしょう。「あの漢」とは彼のライバル的な存在の男でしょうか。
それにしてもランサーは断っておいたほうがよかったのでは……と店長に抗議したくなります。


>sinさん
好きな人に「友達いないんですか?」なんて聞かれれば落ち込みますよね……。
限りなくある笑点にしっかりはまりました。そして、331さんの言うように句読点をつけると更に読みやすくなると思います。


>ACさん
お初です、これからよろしくお願いします。
公式設定と完璧にマッチしていてより深いところを自然に表現できていて読みやすいです。
ハスラーの失踪と銀狼の出現との関連性は否定できませんね。銀狼自身がハスラーなのかが引っかかってくるところです。


>iさん
>美幼女と野獣
ギャグがほどよく含まれ、iさんの18番とも言える(?)グッとくる流れも含まれている。
そして最後は両方が混ざった形で終わる展開。う〜ん、私にはこのような味は出せないです。
>「これはクマった!」
ここは……orz

>『ケーキ氏のこと』
一文一文が心にまで届いてきますね。当たり前だけど忘れられていることを思い出させてくれます。


>ナンバーズさん
WIZもBISも強いですね。特にWIZにはダーオメン家の血が混ざっていたりしそうです。
なんとなく守に惹かれましたね。壁剣士という部分もありますが、それ以上に文から読み取れる性格でしょうか。
日本の名前でも違和感がないことを始めて知りました。387さんと同じく前の作品の続きも楽しみにしております。


>独り語りさん
ひとつの場面を違う視点で見るアイディアがいいですね〜。戦闘の中での一人一人の人生を感じられます。
思えばPTを組んだ全員が生身の人間なんですよね。改めて大切なことを考えさせられた気がします。


>前スレ960さん
なんて感動的な話なんだ……作品を重ねるごとにどんどん感動の量が増えていきます。
片方の羽を折られて絶望に浸る天使、両方の翼をなくしてもミレイの帰りを待っていた天使が最高です。
最後の4行は……もう絶頂ですね。次の作品を心待ちにしています。


>レッドストン通信社さん
>(お詫びとお知らせ)
あのクエストはそんな裏があったんですね。二人の通り名にも笑わせてもらいました。
それにしてもオーガが人間をバリバリと食べる場面は絶対に見たくありませんね……。

>(広告欄)
なんてハイテンションなギルドなんだ……入っても会話についていけませんorz
GMのLvが非公開というところも怪しいギルドです。こんな広告を出しても通信社は大丈夫なんでしょうか。

454 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/28(金) 10:44:25 [ 8QPYrVJg ]
>>230 >>237-241 >>250 >>317 >>320-321 >>435-439 >>444-446

>ベレッタ

 フィリップの叫びが聞こえた。
 だけど、あたしだけならともかく、術を使った直後で消耗しているアイラムさんは動けない。
 仲間を見捨てるわけには行かない。

 一か八か、槍で炎を弾こうとして――だけど、それより早くフィーナがあたしたちの壁になった。

 炎が弾け、彼女の小さな体が吹き飛ぶ。

「お嬢様っ!」

 ミーアさんがその体を抱きとめた。
 抱えていたヘッジャーは炎に耐え切れず消滅しちゃったみたいだけど、そのおかげで何とか生きてる。

「アイラムとミーアさんはフィーナをお願い」

 言って、あたしは残る一人のところに行く。
 今も一発の魔法を撃つこともなく、ただ蒼白な顔で震えているハイネのところに。

「――――っ!?」

 無言で槍の柄でぶん殴る。
 無様に倒れこむその襟元を引っつかみ、

「あんた、何やってんのよ! 怖いのはわかるけど、みんな必死なのよ。ファイアーボールでもチリングタッチでもいいからとにかく援護しなさい!!」

 だけど、こいつは無言で首を振る。
 この、もう一発殴って――

「――――だよ」

 はい?

「だから、魔法は使えねぇんだよ。俺にはっ!」

 は?
 魔法が、使えない?

「どんなに勉強しても、修行しても――小さな火の玉飛ばすくらいが精一杯で――」
「じゃああんた、今までどうやってクエストこなしてきたのよ!?」
「……寄生してたのさ。適当に攻撃してる振りして、適当に動いて」

 だから、一度も魔法を使わなかったわけだ。

「だいたい、こんなやべぇ奴がいるなんて聞いてねぇよ。てっきり、ゾンビが迷い込んできたのを村人が大げさに騒ぎ立ててるだけだって……」
「だからって、あんた何もしないで見てるつもり!? フィーナを見たでしょう? 彼女なんて、自分の身を犠牲にしてまで仲間を守ったのよ? フィリップだってアイラムだって、みんな必死で戦ってる。なのに、あんただけ何もしないで見てるつもり!?」
「……勝手に……殺さないで。けふっ」

 だけどハイネの奴は、座り込んだまま。

「無理なものは無理なんだよっ! 俺みたいな出来損ないには――」

 もういい。
 あたしはハイネをつかんでいた手を離す。
 彼は無様に地面に倒れ、そのままうつむいて動かない。

 だけどあたしはそんな彼には目もくれず、アイラムたちのところに戻る。

「フィリップ一人じゃ支えきれない。あたしも援護に行く」

 そう。フィリップは一人、必死にあのデカブツの注意をひきつけていた。
 いかに魔法の加護があっても、ポーションで傷を癒しても、このままじゃ限界が来る。

「待ってください。ここはいったん引きましょう。態勢の崩れた今の状態で戦い続けるのは危険すぎます」

 ミーアさんの言うとおりだけどね。でも、あいつがそう簡単に逃がしてくれるとは思えない。
 だけど。

「そうね。じゃあミーアさんとアイラムはフィーナとそこのへたれをつれて逃げて。あたしとフィリップがあいつの注意をひきつけるから」

 そうすれば、何とか逃げられると思う。
 少なくとも、あたしたちが倒れるまでは安全なはず。
 あたしの提案に、けれどアイラムは首を振り、

「いや、退く時はみんな一緒だ。俺に手がある。少しだけ、時間を稼いでくれないか?」
「手? 何かあるの?」
「ああ。できれば最後まで使いたくはなかったけどな」

 よくわからないけど、任せよう。
 どちらにせよ、このままじゃ全滅だ。

「それじゃあベレッタはフィリップの援護を。ミーアさんはフィーナを頼む」
「わかりました」

 そして、アイラムがあたしにフィリップにかけたのと同じ魔法の加護をかけてくれる。

「じゃあ、行ってくる。頼りにしてるわよ。アイラム」
「……ああ」

 アイラムが硬い表情で頷く。

「フィリップ、今行くわよっ!」

 そしてあたしは、槍を構えて走り出した。

455 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/28(金) 10:44:49 [ 8QPYrVJg ]
>フィリップ=オウギュスト

「さあ、こっちだ。かかって来いっ」

 気を奔らせ、相手の注意をひきつける。

 放たれた超高温の炎を、辛うじて盾で受け止める。
 もう盾はとてつもなく熱くなっている。
 もうじき、火に対する抵抗力を持ったこのガントレットでも持っていられなくなるだろう。

 だけど、あきらめるわけには行かない。
 僕が倒れれば、背後の仲間たちにも危険が及ぶ。

 仲間を守ること。
 それが僕ら、剣士の役割だ。

 いつか、あの人と再会したときに、胸を張って共に戦えるように。
 少年の日に出会った、翼の折れた天使様との約束を守るために。

 だから、僕は――

「こんなところで立ち止まるわけにはいかないんだぁっ!」

 奔る剣閃が十字を描き、目の前のモンスターに突き刺さる。
 だけど、その傷は瞬く間に修復していく。
 これじゃ、きりがないっ!

 一瞬集中が途切れ、そこへ再び炎が放たれる。
 まずい、ブロックが間に合わない!?

「頭下げてっ!」

 聞きなれた声。
 言われるままに体勢を低くした瞬間、僕の頭を掠めるように槍が頭上を飛んでいく。

「ベレッタ!?」

 強固な装甲に弾かれ、宙を舞う槍を華麗に受け止めた彼女は、そのまま勢いを殺すことなく槍で突きかかる。

「とにかく時間を稼いで! そうすれば、アイラムが何とかしてくれるらしいから!!」
「わかった!」

 残像を纏いながらの彼女の槍が、モンスターを翻弄する。
 目の前を飛び回るベレッタめがけ、モンスターが炎を吐こうとするけど――

「そうはさせるかっ!」

 再び剣気を飛ばし、注意をこちらに引き付ける。
 ベレッタが攻撃を担当するなら、こちらは相手の注意を引き付けることに専念すればいい――

「せいやぁぁぁぁぁぁっ!!」

 振り回した槍の石突きで殴りつけ、反動で翻る柄でもう一撃。
 仰け反ったところに本命の刺突が突き刺さる。
 見事な三連撃。

 だけど、そのダメージすら瞬く間に治癒してしまう。

「ちょっと、まだなのアイラム!?」

 ベレッタが後ろを振り向き、そして、

「嘘……」

 呆然とした彼女の声に、思わず僕もそちらを振り向く。

 そこには……


 僕らに背を向け、一人走り去るアイラムさん。

 そして、ベレッタが叫んだ。

「に、逃げたぁっ!?」

456 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/28(金) 10:51:21 [ 8QPYrVJg ]
フィリップの過去話は、iさんの「優しい剣士」のものを使用させて頂いております。
快く使用の許可を下さったiさんに、この場を借りて感謝>ワ<

>> ◆j9cST1xRh2 さん
はい、そんなわけでハイネはモンスター全般が怖かったようです^^;
まあ、1レベルファイアボルトと3レベルチャージングだけで戦場にいたらガクブルは当然ですね(ぇ
モンスターの正体は次かその次位で〜

>>戦士見習い様
ガッ
それはさておき、相変わらず素敵なネーミングセンスで憧れます。
ビスルの馬賊と姦計に嵌められた忠義の徒……どうなるのでしょう?
気になりますねぇ……

457 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/28(金) 18:38:52 [ 0TOH9xgk ]
 むー・・・重さの中に軽さを入れる南東方不勝さんと
軽さに重みを隠すサマナの人と・・・・・・実に好対照でございます。


 突如濃くなった魔素の理由とは一体ナンなのかっ!
WIZは最後までにかっこつけられるのかっ?!(苦笑っています)

   活躍を祈りつつ期待sageっ!

458 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/28(金) 19:24:47 [ hNlLsBE2 ]
>>サマナの人さん

アイラム逃亡?これからどうなるんでしょうか?
先が読めないです

>>450
ッガ どうも

>>451
申し訳ありませんでした

>>レッドストン通信社さん
なにやらPSYCOギルドの広告がツボにはまりました

>>ナンバーズさん
ぬるぽにッガはお約束ですね
楽しく読ませてもらいました

459 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/28(金) 20:09:09 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
いや、ニャーニャー鳴く花ってorz
実際に見かけたら、速攻で逃げますね。^^;
さて、実は魔法が使えないハイネさん。どうやら、親からの冷たい扱いもこれに原因がありそうですね。
そして、逃走したアイラムさん。自分がオルターで追撃しても(ry

>>戦士見習いさん
内政が乱れに乱れてますねぇ^^;
奸臣の姦計により、無実の罪で投獄されたネグルフシさん。
そして、ビスルを喰いものにする馬賊。
どうやら、六化仙の皆さんがこれらの事件に関わってきそうですね。

460 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/28(金) 20:36:51 [ hNlLsBE2 ]
登場人物紹介をさせていただきます

①火の神アーウィラ・ンオ・ラヒリア
イフリートが人に化けた かなりの高齢
名前の由来は古今和歌集に名を連ねた
通称 六歌仙と呼ばれた6人の1人 在原業平(ありわらのなりひら)から
ありわらのなりひら→ariwara no narihira
後ろから日本語に直すとアーウィラ・ンオ・ラヒリアになります(無理やりですが)

②水の神フネデオウ
マーマンが人に化けた こちらもかなり長生き性格は温厚
これも六歌仙から たしか遍照(へんじょう)を無理やりアレンジしたもの

③土の神ビヌヤ・ンオ・イサフディエ
こいつはトレントが人に化けたもの 性格はマイペース
六歌仙の文屋康秀(ふんやのやすひで)をアーウィラと同じ方法で変換

④風の神クセネ
マーブルガーゴイルが人に化けた 下手糞な歌を作るのがすき 鳥を飼ってる
六歌仙の喜撰(きせん)を↑と同じく変換 かなり無理やり

⑤光の神ノオ・ンオ・クモタイ
ホワイトシェードが人に化けた どっかの国では妲己と呼ばれた ヒステリックで美人
六歌仙の小野小町(おののこまち)を↑と同じく変換

⑥闇の神オトモオ・ンオ・クルノスイ
テイムジェスターが人に化けた 酒飲み
六歌仙 大伴黒主(おおとものくろぬし)を無理やりry

⑦ネグルフシ ナマニ ニューロク
すごい剣の使い手 日出処の戦士の通り名を持つ
通り名の元ネタは某漫画から
名前の由来は洋楽歌手のSTINGが歌うENGLISH MAN IN NEW YORKを無理やry

461 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/28(金) 21:07:32 [ b6Gnz/6I ]
あまりに感動したので一言
>>戦士見習いさん
なんて素晴らしいネーミングセンス……
まさか、そんなところから取っていたとは予想外でした。
知識の深さにただただ驚くばかりです。

私のキャラ名なんて、ググれば元ネタがすぐ出てくるorz

462 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/28(金) 22:07:57 [ LVW/cCFA ]
続きを書く前に自分も感動したので一言
>>戦士見習いさん
おぉ、六化仙の一人ひとりが六歌仙が元ネタとは盲点でした^^
この人達の名前は、百人一首でもやらないと見かけませんよねぇ。

463 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/28(金) 23:07:23 [ LVW/cCFA ]
>>432
朝ごはんを済ませ、いつもの装備を整えてから家を後にする。
「ゲイル、ちゃんと鍵はかけました?」
「あぁ、ちゃんとかけたよ。」
姉さんじゃあるまいし。と言いかけたが、すんでのところで言葉を飲み込む。
「そう、それならいいですわ。私ですと、たまにかけ忘れてしまいますから。」
「なんだ、自覚があるんじゃないか。」あ、しまった・・。
「ゲイル・・、それはどういう意味ですの?」姉さんの顔が、心なしか険しくなる。
「姉さん、急がないと狩りに行く時間が少なくなるよ!」急いで僕は、話題をそらす。
こんな気持ちのいい朝から、姉さんの癇癪をくらうのは御免蒙りたい。
「っ・・!まったく、今度そんなこと言ったら只じゃ済ませませんわよ。」
姉さんは渋面を作り、そう言ってから事務所へと足早に向かっていった。
「待ってよ、姉さん。」
(まったく、こういう所は子どもっぽいんだから・・。)そんな双子の姉に呆れつつ、僕は姉さんの後を追いかけていった。

足早に古都の表通りを歩き、ギルドの事務所へと向かう。
朝の古都の表通りは、仕事に向かう人などがごった返し、大変活気がありますわ。
中には、夜通し露店をやっていたらしく欠伸をかいている冒険者の姿も見受けられます。
その徹夜露店の中で、見覚えのある狼が、一際大きな欠伸をかいていたことに関してはあえて触れないでおきますわ。
表通りを通り抜け、事務所の前に来てみると、受付を手伝ってくれているおば様がなにか困っているようですわ。
「おはようございます、マリアおば様。なにか、お困りごとでも?」
「あら、リリスちゃんにゲイル君。おはよう。それとも、ちゃんと『マスター、おはようございます』って言ったほうがいいかしら?」
「別にかまいせんわ、おば様はボランティアで受付を手伝ってくださっているだけですから。」
余談ですけど、ギルド内で私は、基本的に愛称で呼ばれていますわ。
たまに「マスター」って呼んでくれる方も居ますけど、私自身、呼ばれ方には無関心なほうですから、そういった方はほんとに稀ですわ。
「それで、マリアおばさん。なんで、事務所の中に入らないんですか?」
後ろからゲイルが、おば様に問いかける。
「そうなのよ、ゲイル君。事務所のロビーの長椅子に知らない冒険者の人が寝ているのよ。」
おば様の発言に、私とゲイルは言葉を失いましたわ。
「えぇ!?それって、不法侵入じゃないですか!!」ゲイルが素っ頓狂な声を上げる。
「ゲイル。今は、罪名を確認する前に忍び込んだ不届き者を懲らしめて、憲兵の詰め所に引っ立てるほうが先ですわ・・。」
そういって私は、事務所のドアを開ける。後ろのほうからおば様が、「気をつけるんだよ」と心配してくれているようですわ。
そして、事務所の比較的奥の方にある長椅子に向かって歩く。
忍び込んだ不届き者は、私の気配に気づくことなく、ぐーぐーと気持ちよさそうに眠っている。
「ふん、気持ちよさそうに寝ていらっしゃること。でも、すぐに夢の世界から厳しい現実の世界に戻して差し上げますわ。」
そういって、私がちょっと強めにガントレットで殴りつける直前に不届き者が寝返りをうち、顔が私の方に向いた。
「ちょっと、姉さん。いきなりグーは流石に・・。」ゲイルの注意が途中で途切れる。
無理もありませんわよね。今、私達の目の前で眠りこけているのは
「ん〜、爺様に婆様。オイラ、遂にレッドストーンを手に入れたよ・・。」
私が最近気になっている(断じて、甘い理由ではありませんわ!)ギルその人だった。

464 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/29(土) 00:29:58 [ LVW/cCFA ]
>>463
「「・・・・・」」ほんの数秒間、沈黙が午前8時頃のロビーを支配する。
「へへっ、こいつを売って出来た金で爺様と婆様に楽させてあげるよ・・・。」
そんな中、満足そうに寝言をつぶやくギルさん。どうやら、いい夢を見ているようですね。
「ゲイル、杖貸しなさい。思いっきり、重いの・・!」だが、姉さんの怒りの前に対しては何の意味もなさない。
「はいはい・・。とりあえず、いつもの鋼の杖でいいよね?」そういって僕は、鞄から杖を取り出す。
僕の鞄の中には、姉さん用の鋼の杖が常に入っている。(重さは、市場に出回ってる物の10倍近くある。)
(まったく、こういうときにしか使わないんだから自分の鞄の方に入れてもらいたいよ・・。)
そんなことを心の中でぼやきながら、姉さんに杖を手渡す。
僕から杖を受け取った姉さんは、それを大きく振り上げ
「こんの・・、大馬鹿野郎ですわ!!!」力の限り振り下ろした。
「ぐっほ・・・!!」振り下ろされた杖は、見事にギルさんのボディーに直撃する。
なんだか、赤い数字が見えたけど僕は気のせいだと思い込むことにした。

腹部に目覚ましにしては強過ぎる衝撃を受け、目が覚める。
「〜〜〜〜〜っ!!」あまりの痛さに、声を上げる暇もなく長椅子から転げ落ちる。
(一体、オイラの身に何が・・?)痛みが少し引いてきたので、周りを見回す。
目の前に、人二人分の足が見える。
そのまま足に沿って顔を上げると、困ったようにオイラを見下ろす茶色の瞳を持ったウィザードと、
見るからに重そうな杖を持って息を荒げている、エメラルドグリーンの瞳の剣士の少女が立っていた。
どうやら、さっきの衝撃はこの杖が原因のようだ。
「やぁ、ゲイルにリリィ。おはよう。」努めて友好的に朝の挨拶をするオイラ。
「おはようではありませんわ!!!ギル!!!!」だが、そんなオイラの努力も無駄に終わる。
「さぁ、説明してもらいましょうか!?貴方がなぜ、事務所で眠っていらしたのかを!!」
ずいっと、顔を近づけてくるリリィ。いや、そんなに近寄られると・・。
その、なんていうか、気になってる女の子なわけだし。
「目をそらさずに、こちらを向きなさい!!!」だが、リリィは無理やりオイラの顔を自分の方に向ける。
(いや、これ以上は無理だって!)オイラの心臓はヘイストをかけられたかの如き速度で脈打つ。
この状況を打開するには、なるべく迅速に理由を言ったほうがよさそうだ。
「い、いやぁ。宿に泊まる金が無かったから、ギルドで借りてるのなら一晩くらいはいいのかなぁ、と。」
ここに寝泊りした理由を、正直に告白する。少し惜しい気もするけど、この状態から解放されなければオイラの心臓がヤバイ。
だが、リリィがオイラから離れようとしない。むしろ、小刻みに震えているような・・・?
「そんなふざけた理由で、事務所に寝泊りするとは何事ですの!!!!!!!」
がつーんと、オーシャンズハザードで殴られたかの如き衝撃がオイラを襲う。
(あぁ、これが噂のウォークライか・・。)なるほど、これほどの威力なら兄貴や姐御が恐れるのも頷ける。
「ここは、私達のギルド宛てに依頼されてきたクエストを、円滑かつ迅速にギルド員の皆に行き渡るようにするために借りているんですの!!貴方様な、宿代が無い冒険者の寝床として借りたわけではありませんわ!!!!」
物凄い勢いで、まくし立てるリリィ。だが、その行為もすぐに終わる。
(あれ、兄貴達の話だと1時間くらいは覚悟しとけって・・。)運が良かったのかな?
「ここまで、頭に来たのは初めてですわ。いいでしょう、貴方のそのたるみきった根性、私が直々に鍛えなおして差し上げますわ・・!」
なにか、不穏な発言をしているギルドマスター。
「今日のお昼過ぎ、東バヘル上流で待ってますわ。戦闘の準備をして現地に来てくださる?」
「えーっと、それはようするに・・。」いやな予感がする。この前、姐御を爆発させた以上に・・。
「えぇ、私と貴方で一試合付き合ってもらいますわ。」あの日、姐御を引きずっていった時と同じくらい可憐な笑みを浮かべ、彼女はそうオイラに告げた。

465 名前: FAT 投稿日: 2005/10/29(土) 09:18:27 [ kdhRDK.g ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63 (22)|>>283-284(26)
>>118-119(23)
>>156-157 (24)
>>231-232 (25)




炭鉱町ハノブ
――二つの鉱山の間にあり、鉱物の発掘を主な収入源としている小さな町。鉱山の魔物退
治が盛んで、お雇いのモンスターハンターたちが多数在住している。大都市ブルネンシュ
ティグの隣町ということで流通がよく、町の規模が小さな割に暮らしは快適である。

私たちは宿を確保すると、レニィはフプレを連れ出し、ジョーイは私を誘い四人で遊びに
出かけた。タカさんは一人、荷物を広げているうちに部屋に取り残された。

まずは町中探検。ぶらぶらと北東辺りをさまよっていると、なにやら喧騒が聞こえてくる。
「やい!イカサマじゃないのか!?何回やっても成功しないぞ!!もう一体何個の指輪を
ダメにしたと思っているんだ!!」
若く、血気盛んな青年が怒鳴る。
「何度も言っているだろう。このジム・モリのエンチャット文章は6分の1の確率で成功
する。しかし、必ずしも6回に1度成功するというわけではない。極端な例だが60回の
うち、50回〜60回で連続成功した場合でも統計では6分の1だ。君はまだ7回しか挑
戦していない。泣き言をいうのはまだまだ早すぎる。」
ジム・モリと名乗るこの男性は頑なな態度をして、ボロカスになった指輪を持たせて青年
を追い払った。

私は賭け事が嫌いだが、男はどうもこういったことが好きなようで、早速ジム・モリに話
しかけた。
「今、おもしろそうなことを言っていたな、確率がどうこうとか・・・。俺にも聞かせて
くれ。」
独眼をきらめかせ、ジョーイはジム・モリから説明を受ける。

このエンチャット文章というものは、魔法が込められた巻物で、持っている“もの”に魔
法の力を持たせることが出来るという。
ただし成功する確率は低く、先程も話していたように6分の1であり、失敗すればその“も
の”は壊れ、使い物にならなくなるという。

「なんでもいいのか?」
「ああ、何にでも使うことはできる。条件はそれが生き物でないということだけだ。まぁ、
無意味なものに使っても金の無駄だがね。」
ジム・モリの言葉を聴いて、ジョーイは左目の眼帯を外し、差し出す。
「こいつで試してみたい。いくらだ?」
レニィはそれを見て驚愕した。それは、ジョーイの死別した彼女からのプレゼントだった
のではないか?そんな大事なものを、なぜこんな博打に出すんだ?
レニィの意を汲み、ジョーイは微笑んだ。
「心配するな。俺の運はとうの昔に尽きてる。大凶の後には吉が待っているものさ。」
そう言った眼差しには、強い決意のようなものが伺えた。

何を考えているのか分からない・・・。だが、止めることは出来ないようだ。

レニィは諦めた様子で龍の眼帯の無事を祈ることにした。

466 名前: FAT 投稿日: 2005/10/29(土) 09:19:07 [ kdhRDK.g ]
ジム・モリはジョーイの賭けようとしているものの重大さを感づいていたが、無表情に文
章と金銭を交換した。

これは商売なんだ。他人の私情にいちいち首を突っ込んでいられるものか。

常に恨まれる覚悟をしている彼だが、天を劈くような悲鳴を背越しに聴き、驚いてジョー
イの方を向く。

そこには、信じられない光景があった。

彼の詠唱した文章は、龍紋の眼帯に激しい魔力を注ぎ込み、はち切れんばかりに冷気を帯
び、青白く輝いている。
「な、なんだと、お前、本当に運がいいんだな。それは俺の文章の中でも滅多に見られな
い氷のオプションだ。しかもその輝きはかつて見たことのないほどの魔力を秘めてるはず
だ!」
やや興奮気味のジム・モリを見てジョーイは勝利の笑顔を作り、ガッツポーズをしてみせ
る。
「うぉっし!!どうだぁ、お前らぁ!!氷龍使いが氷の眼帯だとよ!俺もついに魔法剣士
か?レニィ様と同じように!!」
相当に嬉しいのだろう。レニィの肩を抱き、豪快に笑い声を上げる。

そういえば私は何故ジョーイの左目がないのか、その理由を知らない。今、初めてはっき
りと見た窪んだ眼孔は、深い闇を覗かせていた。

不思議な人だ。いつも明るく振舞っているのにどことなく暗い雰囲気を漂わせ、まるで相
対する光と闇を同時に抱え込み、苦しんでいるようにも思えた。
レニィの表情から、この眼帯はジョーイにとって重要な意味を持つものであると推測でき
る。それを躊躇もせず、こんな危険な賭博に出した意味はなんだろう?
いくら考えても納得のできるような答えが出てくることはなかった。

そのころ、ベッドに横になりながらタカさんは、つまらなそうに本を読んでいた。

心機一転、青に輝く龍を燦然と、ジョーイは上機嫌で町中を見てまわる。どの店も古都の
ものより劣っていたが、皆であれこれ話をしながら歩くのは楽しかった。
小さな郷土料理店でご飯を食べ、宿に戻るとタカさんがふて寝をしていた。すっかり彼の
存在を忘れていた私たちは必死に謝り、一緒にトランプで遊んだ。

そして、夜は運命を引き連れ、訪れた。

467 名前: FAT 投稿日: 2005/10/29(土) 12:53:50 [ kdhRDK.g ]
お久方ぶりです。今まで海上生活してました。10日間も船の中で生活していたので
陸に降りれたときは感動すら覚えました。

>> 南東方不勝さん
イスラフェル戦お疲れ様でした。かわって今度はリリスがギルと!?あのリリスがどう
出るのか・・・恐いもの見たさで胸がいっぱいです。

>> 名前が無い@戦士見習いさん
私もそのネーミングセンスに脱帽です。いやはや、素晴しすぎます。物語はこれからど
ういった方向に進むかまだまだ先が見えないので続きを楽しみにしております。

>>307-308さん
斬新!!マッチョな描写にうけますが、バーに入るために努力をした主人公は、それなり
の理由がありそうですね。あの漢とは一体どんな漢なんでしょう。

>>ともぴさん
敵はかなりの嫌み系キャラですね。にしてもサチががんばってるのに失神して
しまったオジがちょっぴり情けなでした。いつかオジも記憶を取り戻して強く
なってほしいものです。

>> サマナの人さん
あれ?ベレッタさんがかっこいい!!ハイネを除いた全員がメンバー思いの熱い
人ばかりでよいですね。そのおかげでハイネの卑屈さがより印象的に浮き彫りに
なっていて面白みが増してます!私はもちろん、アイラムさんを信じていますよ。

>> 変な生き物さん
ネファカップルサイコーデス。こういったほのぼの閑話は大好きです。メリハリ
がついたり、キャラの特徴を掴みやすいので今作も楽しませて頂きました。

>> sin さん
ドロシー大人気ですね。ゴルヴァとシルスの漫才(?)おもしろかったです。

>> AC さん
設定が恐ろしくしっかりと出来上がっていますね。というか文の書き方が上手いですね。
勉強になります。銀狼の正体がハスラーだとしたらとんでもない強敵・・・です
よね?ナーヴスのアグラーヤさんと協力し、捕まえることは出来るのでしょうか?

>> ナンバーズ さん
小連載もの、楽しませて頂きました。次は本編に戻って頂けるのでしょうか?
続きが気になっております。

>> レッドストン通信社 さん
前衛武闘派ギルド 『剣士's ソウル in TAN−DEN』
ハイテンションなタイゾー氏に敬服!!ギル戦でこんなのと出合ったら引いちゃい
ますね・・・

>>389-398さん
感動職人様、今回も目頭が熱く、熱くなっております。毎回毎回、作品の質の高さ
には驚かされるばかりです。またの投稿を楽しみにしております。

>> iさん
「美幼女と野獣」
心にほっと一息つけました。一狼さんの心変わりが感動的で、よかったです。
『ケーキ氏のこと』
これはつい考えさせられちゃいますね。この話に自分を重ねるなら私はバンヘ
セルになりたがっているけど、パリカスになってしまっているというところかな。
個性のみで生きるということは難しく、どうしても大衆の中にどこか一部分を漬け
ておかないと安心出来ないような人間な気がします。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
メリックとリフのドキドキ・・・ではなくて、リフの回想でしたね。今回でキーパー
ソンがえらく増え、今後が気になります。特に姉は気懸かりですね。まさか
シーフギルドの長に!?

>>293の書き込みについてですが、私はj9さんのおっしゃられている内容が失礼
なものだなどと少しも感じませんでしたので、お気になさらないで下さい。私たち
が悩むときは小説を書くときだけでいいと思いますよb

>> 独り語りさん
同じPTでも視点を変えると見えているものが全く違っておもしろいですね。
それにしても初投稿という響きが懐かしいなぁ・・・

468 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/29(土) 13:48:36 [ isebj9OM ]
>>南東方不勝さん
心密かに思いを寄せる男性に、容赦のない一撃&ウォークライ。
さすがリリィ。俺たちにできないことを平然とやってのける。そこに痺れる、憧れるゥッ!
といいつつ、実は依頼にかこつけてこっそりデートに拉致る気満々なんじゃないかと考えてみる。
果てさて、二人の行く末は?

>>FATさん
おかーです。
船の中って……まさか、マグロ漁船!?(ぇ
それはともかく、思い出の品の眼帯が壊れてしまったらどうしようかとどきどきでしたが、無事エンチャ完了した用で何より。
子供の様に喜ぶ様がかわいらしいです>ヮ<
忘れられてたタカさんかわいそう^^;
そして、いよいよ邂逅のときですかね?
期待にドキワクしながら待ってます>ヮ<

469 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/29(土) 13:49:18 [ isebj9OM ]
>ベレッタ=アンブロシア

 あははははは。
 もう笑うしかないわよね。
 自称火力の魔術師は、実は小さな火の玉を撃つのがやっとのヘタレ。
 敵はどんなにダメージを与えても、すぐ回復。

 挙句の果てに、切り札があると言ってたビショップ様は尻に帆かけて逃げ出す始末。

 もう、どうしろと?

 だけど――

「ベレッタ!」

 動きを止めたあたしを狙って放たれた炎は、フィリップが投げた盾に阻まれる。
 そして、炎を受け止めた盾は、そのまま落ちることなくあたしの周りで回り続ける。

「ば、莫迦! 盾外したら、あんたが危ないじゃないの!」
「莫迦はどっちだよ! 君が足を止めるのが悪いんだろ!」

 怒鳴り声を打撃に乗せて、デカブツに叩きつける。
 本当に莫迦。救いようのないほどの莫迦だ。
 だって、この状況で自分を省みず、あたしを守ろうとしてるのよ?
 どうせこのまま、二人で枕を並べて討ち死にするのが関の山なのに。

「そんなことはないよ。アイラムさんは約束したんだろ?」

 ああ。
 何でこいつは、そこまで純粋に人を信じられるんだろう?
 どんなに騙され、カモにされても。
 それでもなお、フィリップは剣を振るう。
 仲間を守るために。
 自分のみが傷つくことも省みず。

「約束したからね。ずっと昔に」

 剣が十字の軌跡を描く。
 だけど、そんなものはあっという間に修復していく。

「あの人に会った時に――胸を張っていたいから」

 炎が彼の体を焼く。
 だけど、気合で跳ね除け、弧を描くような連続の斬撃――。

 やっぱり、強いな。彼は。
 普段はぼやーっとしてて、お人好しで。
 だけどこんな時、彼はとんでもなく深い表情をみせる。

「――そうね」

 やろう。
 仲間を守るために剣を振るうのが剣士の役目なら、槍使いの役目は目の前の敵を撃ち抜く事。
 たとえ、敵がどんなに強大で、槍が折れ、弓が砕けようとも。

 信念という名の槍は――決して折れない!

「やってやろうじゃないの……」

 フィリップと彼の回してくれた盾に全てを預け、防御を捨て、ただひたすらに精神を研ぎ澄ます。
 あたしに槍を教えるとき、お婆ちゃんが最初に話してくれた。

 槍使いが最後に頼るのは、技でも力でもなく、その意思。
 思い信じて放たれた一撃は、如何なる物をも貫き通す。

 あたしにそれができるかはわからない。
 ううん。きっと無理だと思う。
 だけど、賭けてみよう。

「フィリップ――。あたし、あなたと出会えたこと、後悔してないから」

470 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/29(土) 13:50:07 [ isebj9OM ]
 業を煮やしたのだろうか。
 デカブツの動きが変わる。
 大きく魔力が波打ち、頭上に浮かぶのは巨大な炎の塊。

 だけど迷いはない。

「いっけぇぇぇぇぇっ!!」

 あたしの放った必殺の一撃は、デカブツの体に深々と突き刺さり――刺さっただけ。

 そして、炎の塊があたしたちめがけて雪崩落ちて……



「あれ?」

 気がつけば、目の前には星が見えた。
 あたりからはわんわんにゃんにゃんという、動物頭の植物(?)の鳴き声。

 背中のひんやりした感触で、自分が横たわっていることに気づく。
 身を起こし、あたりを見回して――

 そこに、天使がいた。


 ライトブラウンの長い髪が、自らの発する仄かな光に照らされ、揺らめく。
 美しい一対の翼は、けれど片方が半ばからへし折れている。

 これって……

「天界を追放された証さ。自らの不注意で赤の宝石を奪われ、贖罪のために生きることを強いられた俺たちの」

 その声には聞き覚えがあった。

「アイラム……さん?」

 フィリップはもっと驚いた声。
 無理もないか。彼は天使に関しては、昔からものすごい憧れを抱いてたわけだし。

「すまない。もうちょっと早く喚べたら良かったんだが、今の俺じゃあこれが精一杯だった」

 ゆっくりと光が収まっていき、アイラムの姿がもとのビショップのものに戻る。

「天界を追放された天使が、ビショップの姿をしてレッドストーンの捜索に関わっているって噂は聞いてたけど……本当だったんだ」
「色々と面倒なことになるからね。あまりこの姿にはなりたくなかったんだけど、仲間のためならそうも言ってられなかった」

 落ち着いて辺りを見れば、フィリップはもちろん、ミーアさん、フィーナ、そしてハイネまで。みんな呼び集められていた。

「とにかく、いったん村に戻ろう。フィーナちゃんの怪我の治療をしたい」
「そうね……色々と話さなきゃいけないこともあるし、ね」

 アイラム自身のこと。
 ハイネのこと。
 この怪異のこと。
 そして、あの怪物のこと。

 あたしたちは、言葉に表せない様々なものを抱えながら、村に帰還した。

471 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/29(土) 14:40:10 [ isebj9OM ]
>アイラム=ドラツァリース

 村に帰った俺達を、村人は失望の表情で迎えた。
 無理もない。結局俺達は依頼を果たすことはできなかったのだから。

 とりあえず、村長にモンスターの襲撃に備えるよう言っておいて、俺達は小さな食堂兼宿屋の一室を借りて作戦会議を始める。
 ベッドにはようやく傷の手当の終わったフィーナちゃんが眠り、ミーアさんはベッドの横で椅子に座りながら彼女の看病を。
 ベレッタはもう一つだけある椅子に座り、フィリップと俺は床に直に座る。

 ハイネだけは、部屋の隅で俯いたままこちらに背を向けている。

「まさか、あなたが天使だったなんてね」
「すまない。できる限りおおっぴらにはしたくなかったんだ。そのせいで、君たちを危ない目にあわせてしまった」
「そのことならいいわ。あたしあなたの事、逃げたんじゃないかって疑ってたから」
「そうか。仕方ないな」

 仲間たちを一瞬で自分のそばに喚び寄せる天使の術。
 けれど、それには莫大な魔力を消費する。
 天界にいたころならいざ知らず、今の俺ではそう多用できるものではない。

「でも、一つ明るい材料よね。天界を追放されたとはいえ、天使の魔力は絶大。あのデカブツにだって効果はあるんじゃない?」
「どうなんですか、アイラムさん?」

 二人は期待の表情を浮かべているが……

「難しいな。さっき、あいつは俺の昇華術を受け付けなかった。ひょっとすると、魔法自体無効化する性質を持っているのかもしれない」
「ん……それはないと思うな」
「お嬢様、平気ですか?」

 ベッドから、ややつらそうに半身を起こしながらフィーナちゃんが言った。
 どうやら、もう危険はないらしい。

「うん。おかげでね。まさかアイラムさんが天使だったなんてね。道理で不思議な感じがするわけだ」

 あはは、と明るく笑う。

「俺も、あの時は気づかれたのかと焦ったよ。サマナーは、その手の魔力に対して敏感だから――」

 そこまで言って思い出す。
 確かあの時、あのモンスターを見ながらフィーナちゃんは何か言いかけていなかったか?

「うん。あのね。アイラムさんの昇華術が聞かなかった理由。私気づいたんだ」
「どういうことなのですか、お嬢様?」
「簡単よ。あれ、アンデットじゃないの」

 あっけらかんとフィーナちゃんが言う。
 アンデットじゃない?
 てっきり、ネクロマンサーやワイト、レイスの類かと思ったんだけど。

「私も最初は、あの濃密な瘴気のせいで気づかなかったんだけどね。あれのモンスターは、神獣よ」
「神獣!?」
「そ。ディムジェスターとかリプリートマーキみたいなね」

 確かにあの類のモンスターは見た目はアンデットっぽいが……

「だからって、神獣なら俺にだってわかるはずだ。あいつから感じられた気配は神獣より、もっと禍々しい――」
「――REDSTONE」

472 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/29(土) 14:40:34 [ isebj9OM ]
 フィーナちゃんの発した言葉が、俺の心に深く刺さる。
 それは、俺たち追放天使が追い求めている、悪魔の姦計によって盗み出された宝珠。

「本物かどうかはわからない。だけど、アイラムさんは知ってるでしょ?」
「レッドストーンには火の神獣の雛が眠る。火のエレメントが示すのは生命……そうか!」

 植物の異様な変化も、アンデットの発生も、あの神獣らしきモンスターの巨大化も、全ては同じ原因だ。
 レッドストーンのもたらす超濃密で膨大な魔力が、周囲の植物に進化をもたらし、死せる魂を呼び戻したのだ。
 そして、その寄り代には、その存在すら歪めるほどの力を。

「多分ね。だから、元々死者を滅するための術が効くはずがなかったのよ。取り巻きのゾンビたちにならともかく」
「でも、それがわかったからってどうするの? 結局、あいつに魔法が効かないってのは同じでしょう?」

 ベレッタが言う。
 だが、フィーナちゃんの言葉で、俺には閃くものがあった。

「いや、あれが魔法によるものなら、俺の術で消せる。魔力の根源さえ叩けば、後はどうとでもなる――」
「問題はそれまでの時間をどう捻り出すか、そして、障壁が消えた瞬間、どれだけの攻撃を叩き込めるかね」

 そこでフィーナちゃんはふと言葉を切る。
 ハイネは、いまだ俯いたままだ。

「ねぇ。ハイネさん――」

 フィーナちゃんが声をかけた瞬間、ハイネは立ち上がり、そして部屋を飛び出していってしまう。

「やっぱりダメか……」

 多分、彼も辛いのだろう。
 自分の魔力がないことが何より悔しいのは、きっと彼自身だ。

 それは、片翼を失ったときに俺が感じたの絶望感に似ているだろう。

「魔術師の援護無しなのはきついが……やるしかないな」
「うん。あれがレッドストーンによるものなら、長引けば植物だけじゃない、人間にも影響があるかも。何より、アンデットの群れが村を襲うことになれば……」

 フィーナちゃんが起き上がる。
 外套を羽織り、帽子を頭に載せ、

「とにかく、もう一度やってみよう。たとえ相手がイカサマディーラーでも、イカサマしてるってのがあらかじめわかってれば、手の打ちようはいくらでもあるわ」
「ええ、そうね」
「俺も、構わない」
「わたくしはお嬢様についていきますわ」

 ベレッタが、ミーアさんが、同じように立ち上がる。
 そして、フィリップも同じように立ち上がった。
 彼は、俺の顔をじっと見て――いや、俺を通して誰かを見ているような――

「一緒に戦いましょう。皆で」

 今度こそ、今度こそやってみせよう。
 そして、あのレッドストーン……。

 いまさら天界に戻りたいとは思わない。


 けれど、あれを取り戻すのは、俺たち追放天使に課せられた使命だ。

473 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/29(土) 16:14:08 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六
六化仙 其の七

夢を見ている、夢の中で俺は荒れ果てた荒野にいる
そこは荒廃した世界で希望は無い、風は刃となって生を削り
水が死となって至る所からあふれ出している
何も無い、いや一つだけある、涙と涙を流す人が、この世界には存在する
俺が泣けないためにこの世界は涙を流している

目が覚めると部屋には飲みかけのウィスキーがコップに半分くらい残っている
それを飲み干してから顔を洗い、着替えてから街へ出る
曇り空で街は暗鬱としている、最近のブルネンシュティングはいつもこうだ
野良犬を追い払い、雑貨店へ行って干し肉とポーションを買う
暇つぶしにオート地下監獄へと歩を進める
適当にサソリを格闘技術を駆使して殺しながら、サソリの針を集める
ぶらぶら歩いているとウィザードらしき男と槍を持った女が一緒に狩りをしている
その光景を見て、急に吐き気とめまいが襲ってくる
壁にもたれて少し体を休める、ランサーとウィザードの二人組みを見ながらポーションを飲む
一通りモンスターを狩り終わった二人はその場に腰を下ろして雑談を始める
その二人に突然、巨大な影が掛かる
斧を持ったモンスターが急に近づいてきたからだ
二人は慌てて立ち上がろうとするが二人とも腰が抜けているようだ
斧がランサーへと振り下ろされようとする
グシャァと鈍い音が辺りに響く
モンスターの顔面を殴りつけると、衝撃で首ごと頭が吹き飛ぶ
首を失った体は鮮血を吹き散らしながら倒れる
ランサーとウィザードに怪我は無いようだ
二人とも血のかかった顔を恐怖に歪めている
ランサーが急に泣き始めてウィザードに抱きつく
ウィザードの方は呆然としながらも軽く頭を下げる
二人を後にして監獄から出る、近くの井戸で服を洗ってから街へ戻り
手に入れたサソリの毒針を露天で売る
夕飯の材料になる予定の蜘蛛の足を買って、下宿している長屋へと戻る
適当に本を読んでから、買ってきた蜘蛛の足を油で炒め、
昨日の残り物のサイドウォーカーと一緒に食べる
それからベットに入って眠ろうとするが、なかなか寝付けない
今日出会った二人のことを思い出して、また吐き気とめまいを覚える
トイレで今日食べた物を残らず吐き出す、それから水を飲んで
荷造りを始める、鞄に煙草と、封印していた短剣を入れて部屋をでる
目指すはブリジヘッドだ

474 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/29(土) 16:58:41 [ hNlLsBE2 ]
>>サマナの人さん
RED STONEが出てきましたね
これからどうなるのでしょうか?楽しみにしてます

>>FATさん
そろそろマリーと勝負でしょうか?
エンチャした眼帯、いいですね

>>南東方不勝さん
サマナの人さんと同じく、実はデートと予想しております
と、思わせておきながら実は試合でしょうか?
楽しみにしております

475 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/29(土) 19:31:20 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
おかえりなさい^^
とりあえず、乗っていた船が漁船でないことを(ry
大事な眼帯に無事にエンチャ成功。よかったですねぇ。
そして、遂にフプレ達とマリー達が出会う時が迫ってきているようです。
果たして、この出会いをセッティングしたネクロの狙いとは・・。

>>サマナの人さん
とりあえず、アイラムさんを疑った俺はダークエルフ王宮で蛸殴りにされてきますorz
確かに、コールを使うためには逃げなくちゃあいけませんよね^^;
最近、めっきりコールしてもらうことが無いのですっかり忘れていました。
本物か偽物かはいざ知らず、事件の原因はレッドストーンにあるようですね。
そろそろ、ヴェイアさん出陣の予感ww

>>戦士見習いさん
なんか、ものすごく過去に傷を持ってそうな人が・・。
もしかして、前作の主人(ry
チガイマスカ、ソウデスカorz

476 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/29(土) 21:04:01 [ DXXt3lTo ]
>>サマナの人さん
ハイネファンの俺としてはこれから頑張って欲しいです。
というか、頑張るはず!・・・頑張らせてあげてください(ぇ

>>南東方不勝さん
俺もデートだと予想( ´∀`)
このツンデレ娘め!

>>FATさん
とうとう二人の主人公がリンクするんですかね?
ドキドキして待ってますね。

477 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/29(土) 21:13:44 [ DXXt3lTo ]
>>424←第4話 
オジリウス第5話:ケルビ


人々の生活を支えているルルリバー
その川沿いをオジとサチは歩いていた。

『ねぇ、ほんとにこっちでいいの?もう2日くらい歩きっぱなしだよ!』
歩きつかれた様子のサチは自分の胸のペンダントへ問いかけた。

『間違いないはずじゃ。こっちの方角にウェスタの力を感じる。
おそらくこの先にあるブリッジヘッドという港町じゃろう』

『ブリッジヘッドかぁ・・・地図で名前を見たことしかないよ。
ねぇ、いったいどんなところなの?』

『それは着いてからのお楽しみじゃな』
ペンダントが喋った。しかし、オジもサチも驚く様子はない。

なぜペンダントが喋ったに驚かないのか、その話は数日前にさかのぼる。

『しゃ、喋った!?』

『サチよ、やっと会えたな。』
犬はサチ足元で"おすわり"をしながら言った

『え、犬って喋るんだっけ!?』
犬がまた喋ったので、サチの混乱は最高潮に達した。
くるくる回ったり足をばたつかせ、それは何かの儀式のようだった。

『わしは賢いからな。喋るのじゃよ』

犬がサチに諭すように言うと、サチはだいぶ落ち着いて儀式をやめた。

『あ、そっか。賢いからかぁ・・・』

──こやつ、まだ混乱しておるなぁ

そう考えた犬はゆっくりと立ち上がり、そしてゆっくりと語り始めた。

『わしの名前はケルビ。わしはお前の母親、ウェルタによって作られた。
いや、作られたというよりは偶然の産物かもしれないな。』

サチは母親の名前を耳にして驚いたが、だいぶ落ち着きを取り戻したようだった。

『お前の持っているペンダントはお前の両親、マルスとウェスタによって作られた。
そしてウェスタのお前を想う気持ちが、わしを誕生させたのじゃ。』

『パパとママが?』

『マルスとウェスタはイレギュラーであった。ウェスタは"古代の力"である
"記憶の定着"の能力者だったのじゃ。ウェスタはお前が生まれてから
旅に出るまでの間の"記憶"をそのペンダントに記憶していたのじゃ。
そしてわしが生まれた。ウェスタの"お前を守る"という強い意志によって。』

『古代の力?記憶の定着?』

『イレギュラーとは管理者の干渉を受けない力をもつ者。
ウェスタはいろいろなものに自分の"記憶"、"想い"を定着させる力を持っていた。
そして、お前は"記憶の解放"の力を持っておる。生まれたときからじゃ。
お前の力により、わしはペンダントから解放され、お前を守る使命を得たのじゃ』

言葉の意味をまだあまり理解できていないサチであったが、
サチは何かを感じ取り、ペンダントをぎゅっと握り締めた。
その時、うっとうめき声をあげてオジが気を取り戻した。

478 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/29(土) 21:14:37 [ DXXt3lTo ]

『どうやら気がついたようじゃな。』
ケルビは言いながらオジのほうへ歩いていき、サチもその後を追った。
オジはまだクラクラする頭を押さえながら聞きなれない声のするほうをみた。

『オジ、久しぶりであったな。といってもこの姿では初めてじゃがな。』

『え、犬?しゃ、喋った!?』
ケルビは一つため息をついて、また同じ説明を繰り返した。
もちろん何も知らないオジはサチと同じ質問を繰り返した。

『なるほど、なぁ、俺もイレギュラーなんだよな?
じゃあ俺はいったいどんな力を持ってるんだ?』

ケルビはまた一つため息をついた。
『本当になにも覚えていないようじゃな。なるほど力も失っておる。
オジよ、ちとわしの体に触れてみろ。』

そう言うとケルビは自分の左手(左前足)をオジのほうへ差し出した。

『お手!』
オジはそう言いながら右手出したが、ケルビは左手を引っ込めてしまった。

『貴様、わしを馬鹿にしておるのか?』

『いや、意味はわかってないんだけどね。なぜか言わないといけない気がしたんだ。
体が覚えているのかなぁ。ハハハ・・・』

そう言いながらオジはまた右手を差し出した。
ケルビはまた一つ、ため息をついた。
誕生して間もないのに既に3回ため息をついてしまったケルビは
自分のこの先のことを考えると、また一つ、ため息をついた。

──サチよりこやつの方が心配じゃな・・・

ケルビはオジの左手に右手をのせ、なにやらぶつぶつと唱え始めた。
すると一瞬オジの体が光に包まれて、オジの体の中を何かが駆け抜けていった。

『これでお前の元々持っていた力は解放されたはずじゃ。
お前の力は"古代の器"。すべてのイレギュラーの希望じゃ。』

『え、今のなに?力って・・・なにも変わってない気がするんだけど・・・』
オジは自分の体のあちこちを調べたが特になんの変化もみられなかった。

『今のは昔、マルスがお前にしたことと同じじゃ。しかしウェスタの記憶からの情報じゃ。
あまり当てにはしないでくれ。まぁ、そのうちどうにかなるじゃろ。
"体が覚えておる"はずじゃ。さぁ、そろそろ行くぞ。』

『え、行くってどこに?』
オジの体のあちこちを調べていたサチはケルビのほうを振り返って言った。

『わしは言ってみればウェスタの分身じゃ。だからウェスタの力を感じることができる。
あまり遠くではない場所、といっても遠いんじゃが、そこにウェスタの力を感じる。
お前たちはどこに行けばいいのかわからないのであろう?
ならばとりあえずそこへ行ってみようではないか。わしはペンダントの中から案内をしよう』
そう言うとケルビの体が光り、光がペンダントの中へと吸い込まれていった。


『なぁ、本当に俺がその、イレギュラーの希望だったのか?』
ルルリバー沿いを歩く一行の荷物もち係、オジはぜぇぜぇ息を切らしながら言った。

『わしは知らないさ。だが少なくともウェスタはそう思っていたことは確かだな。
とにかく今はその荷物を運ぶことだけを考えておれ。なぁに、もうすぐじゃ。ほれ、見えてきたぞ。』

サチとオジの目に小さく、町が見えた。
港町ブリッジヘッド。そこには希望と野望と、そしてお魚が待っていた。

479 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/29(土) 22:29:29 [ LVW/cCFA ]
暇なのでネタ投下 リリィ専用鋼の杖概要

スティールリリィ
<基本情報>
攻撃力 80~99(1.00秒)
射程距離 90
ダメージ +250%
決定打発動確立 +100%
命中率 +100%
攻撃速度 +150%
<説明>
とあるギルドのマスターが杖職人に特注で作らせた鋼の杖
杖にあるまじき破壊力を持つが、その分重量が通常の杖とは比較ならにならないほど重い。
だが、注文した本人からすればこの重さでも特に問題が無いらしい。
<要求能力値>
癇癪 300
<着用/使用可能な職業>
注文した本人




いや、書きたかったんですよorz

480 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/29(土) 23:38:13 [ 4IN./Jis ]
こんばんは、風邪引いてしまったナンバーズです。
今回新作を書いて思ったのは後半が変になったこと、守が壁剣士というか盾剣士になってしまったという重大なミス…次からがんばりますorz
皆さんからの感想感謝ですでは感想いきます。
>>サマナの人さん
逃げたのではなくコーリング…
自分最近はコールする立場なのにコールだと気付きませんでしたorz
あれたまに遠くて届かないのが最近の悩みです…
マスターでどこまで届くのでしょうか?
>>名前がない@戦士のようださん
非常に名前の意味が深いですね。自分なんか
壁剣士=PT守る=守
…吊ってきま(ry
>>FATさん
海からお帰りなさいませ
眼帯に水エンチャ成功ですね
やっぱり氷の戦士とか通り名が着きそうですな。
そしてついに二人の戦いが…見逃せません。
>>450さん
サマ?
…まさか変な生き物さん?
>>南東方不勝さん
なんですかあの杖。
まさに神Uを越える究極の武器…
癇癪(カンシャク)300
装備できません;;
>>ともぴさん
なにやら話ができるケルビですか。
ペットにいたら楽しそうですね。
そして母を探す旅に出るんですね…
母を探〇て三〇里を思い出した自分は負け組。
>>◆j9さん
あの作品どうしましょうか…全職出そうとしてたんでとてもややこしいorz
…とにかくがんばって終わらせます。
>>レッドストン通信さん
オーガの巣窟でオーガ達が言っていた三人は彼らだったのか…御冥福をお祈り致します。
広告ギルドはなんか怪しすぎますね…
入ったらまず入会金100万位とられそう…。
 
小説は明日から続きUP(リニューアルして)します。

481 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/30(日) 02:27:12 [ LVW/cCFA ]
>>464
ギルに私からの旨を伝えた後、事務所を後にする。
「あれ、姉さん。どこに行くんだい?そろそろ、狩場の予約が回ってくるころだと思うけど・・。」
「そんな予約は無視ですわ。行きたいのなら、貴方一人で勝手に行って頂戴。」
そんなことより、私にはやらなければならないことがありますわ。
原因はギルにあるとはいえ、私から試合を申し込んだわけですから場所の下見に向かう必要があるでしょう?
まったく、いくらお金が無いとはいえ事務所に寝泊りするなんて言語道断ですわ。
こうなったら、徹底的に試合を通して根性を叩きなおして差し上げるんだから。
そうして私は、古都の西側の出口に向かっていった。

息を荒げて事務所を後にした姉さんの背中を見送った後、僕はギルさんの顔を向けた。
「すいません。姉さん、いちど癇癪起こすと中々止まりませんから・・。」
事務所で寝ていたギルさんもギルさんだが、姉さんの行動も少しやり過ぎだと思う。
「いや、謝らなくていいよ。ここで寝てたオイラが悪いわけだし。」
杖で殴られた部分をさすりながら、ゆっくりとギルさんは床から起き上がった。
「おばちゃん、不安にさせて悪かった。」ギルさんが、玄関口で一部始終を見守っていたおばさんに謝罪する。
「いや、私は別に構いやしないけど・・。それより、あんたの方こそ大丈夫かい?」
確かに、おばさんの心配はもっともだ。素人目から見たとしても、さっきの姉さんの一撃は見事に見えただろう。
「あぁ、応急処置してからゲイルに回復してもらうよ。」さらっと、そんなこと言ってのけるギルさん。
まぁ、回復してあげるつもりだったから別に構わないけど。

「そういえば、ゲイル。東バヘル上流ってどこら辺にあるんだ?」
ゲイルのアースヒールをもらって、体の調子がやっと戻ったオイラは、ふと頭に浮かんだ疑問を口にした。
「上流の場所ですか?大体、ファウンティンス・ハイランドの手前ですよ。」
うへぇ、随分と遠いトコにあるなぁ。まったく、そんな人気の少ないところで試合だなんて・・。
オイラも、リリィのも、職業がら周りの環境に影響を与えるような大技は少ない。
まったく、わざわざ二人っきりの状態を作らなくても・・・。
(ん・・、オイラとリリィが二人っきり・・・?)
その重大な事実に気づいたオイラの心臓はまた、さっきの様に速度を増していった。

「さて、ここら辺が一番立ち回りやすいですわね。」
事務所を後にしてから2時間後、私は東バヘル上流の隅から隅までを下見致しました。
私の中での検討の結果、カルスト台地が試合の場所に相応しいという結論に至りましたわ。
「ここなら、適度な広さも確保できますし、周りへの被害も少なくてすみそうですわ。」
徹底的に叩きなおす。と言った以上、私も本気で望まなくてはなりません。
ともなれば、あの問題児二人に比べたら可愛いものでしょうけど、周りの自然に悪影響を与えてしまうかもしれません。
だから私はこうして、ほどよく緑も少なく尚且つ、人気の少ないこの場所を・・・。
(あら・・、人気が少ないってことは私とギルが二人っきり・・・?ということは、この状況は見る人によっては、デ・デートに誤解されてしまうのでは・・。)
その事実に気づいた私の顔は、唐辛子を食べさせられたテイマーのペットのように真っ赤になった。

482 名前: FAT 投稿日: 2005/10/30(日) 09:03:16 [ kdhRDK.g ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977

>>61-63 (22)|>>283-284(26)
>>118-119(23)|>>465-466(27)
>>156-157 (24)
>>231-232 (25)




布団に潜り込み、浅い眠りについた頃、それは起こった。
激しい爆発音と共に振動で窓が振るえ、外が明るくなった。
全員が跳ね起き、寝巻きのまま外に駆け出す。するとそこには、真っ赤に燃え盛るストラ
フス家の馬車が無残な姿を曝していた。
自家用の馬車を爆破されたレニィは犯人の姿を必死に探す。

・・・馬鹿な!!

レニィは一瞬我が目を疑った。そこには、あのときの忌々しい宿敵がこちらを見据えてい
たのだ。レニィは逆上し、武器も、防具も持たずに突進していった。
「レニィ!?」
駆け出した彼の姿を見つけ、全員で必死に追いかける。私たちはまだそのとき、レニィが
夢中になって追いかけているものの正体を知らなかった。


・・・どのくらい走り続けただろうか?既にハノブの町を抜け、殺伐とした原野にでた。
遠くには月明かりに照らされたハノブ南側望楼がふてぶてしくレニィを見下ろしている。

・・・くそっ!!幻だったのか?確かに、確かに僕は見たんだ!!

自分の追っていたものを見失い、呆然と立ちすくむ。力なく振り返るとジョーイを先頭に、
メンバー全員、走り寄ってくるのが確認できる。
「みんな、ついてきてたのか?」
「あぁ、足の速いレニィ様にゃどんなにがんばっても追いつけなかったけどな」
肩を大きく上下に動かし、空気を目一杯肺に送り込み、続ける。
「逃げられちまったんなら仕方ないだろう?帰って寝ようぜ」
ジョーイらしい楽観的な意見である。レニィは少し後ろ髪を引かれながらも帰ることを承
諾した。

私たちは折り返してきたレニィたちにようやく追いつき、束になって帰り道を歩む。する
と突然、4つの人影が行く手を遮った。

483 名前: FAT 投稿日: 2005/10/30(日) 09:03:58 [ kdhRDK.g ]
「おい、お前はフプレという魔獣使いか?」
一番小さな影が口を開く。
「え?何で私の名前を?」
その質問に答えることなく、私たちに歩み寄る。

月明かりがその姿を明確にする。黒く、前髪の揃った小柄な女性。よく道場などで見かけ
る武道着を着ている。
彼女に付いて中年の男性、槍を持った女性、長剣を持った男性も近付く。

お互いにはっきりと顔が確認できる位置までくると、武道家は足を止め、フプレを睨みつ
ける。
不穏な空気が闇の中で一同を囲むように蔓延していく。
相対している女の目には激しい憎悪の念がこもっている。その目を見て、ジョーイはそこ
に昔の自分を重ねた。刳り抜かれた左目が僅かに痛む。

「ようやく巡り合えたか。この半年間、長かったぞ。“あの日”からあたしはこの瞬間をど
れだけ待ち望んだか!!覚悟するのだな、フプレ!!!」
怒りをあらわにした女に対し、フプレは当惑する。

なにを言っているんだ、この人は・・・。

ん? 半年前って・・・まさか!!

「おや、何のことか分かっていないようだな。忘れたのか?お前がオート地下監獄でした
ことを!!テリーナ=ベイルナを殺したことを!!!!!!!!!」
咆哮に私は背筋が凍る思いだった。テリーナといえば、あのときのリーダーではないか。
この人はテリーナとどういった関係にあるのかは分からないが、おそらく相当に親しい仲
だったのだろう。

フプレの表情が固まった。
今、頭の中では“シエル”と化していたときの自分の記憶が少しずつ溶け出し、“フプレ”
を侵食し始めた。

もう忘れたい、なかったことにしたい。

オート地下監獄での事件は、フプレの心に深い傷を残していた。
シエルになっていたときの記憶はない。しかし、寝ているとき、その夢の中にあのときの
出来事が蘇る。性格も、性質も変わり果てた自分が次々にモンスター、人間を惨殺してい
く。それを見ながら決して止められない自分に、腹立たしさを覚え、死にゆく人々の断末
魔が、苦悶の表情が彼女を苦しめる。そうして目覚めの悪い朝を迎えるのであった。

「ご・・・ごめんなさい」
突然土下座をし、涙声で女性に謝罪する。今フプレに出来る罪滅ぼしは、謝ることしかな
かった。
「・・・おい、マリス、お前も大人なんだ。どうすることが正しいのか、分かるよな?」
中年の男性が諭すように語り掛ける。想像していた人物像と、眼の前の人物のギャップに
マリスは戸惑う。

嘘だろう?フプレっていうやつは、もっと残酷で、凶悪で、冷酷なやつのはずだろう? だ
から、だからあたしは復讐を誓ったのに!! それがどうだ? なんだ! この腑抜け
は!! あたしは、どうすればいい? この無抵抗な女を殺せば、それで満足できるのか?
・・・・できるのか?

「スレイ・・・あたし、どうするべきだと思う?」
マリスの困惑は彼女の抱いていた憎しみをかなたへと押しやり、進むべき方向を見失って
いる。それは彼女が本来持っている優しさに起因するものだった。スレイと呼ばれた男が
何か言葉をかけようと口を動かすよりも一瞬早く、彼の後ろから冷たい言葉が投げかけら
れた。
「マリー・・・。私たちの仇を討ってくれるんじゃなかったの? 私たちの絆は、こんな
に簡単にも崩れ去ってしまうような儚いものだったの? マリー・・・。思い出して、こ
の旅の目的を。私たちの意志を」
それは、異常な光景だった。スレイを押しのけて私たちの前に出てきた人物はあの、テリ
ーナ=ベイルナであった。
テリーナに呪文の言葉を投げかけられたマリスは再び目に復讐の炎を燃やし、フプレに殺
意を向ける。
しかし、そのフプレにも異変が起こり始めていた・・・・・。

「そうだった。ごめん、テリー。あたしは、あなたと、アンメルのために旅に出たんだっ
た。ここで、何もせずに帰ったらあなたたちが報われないわよね・・・」
一瞬甘い顔をテリーに向けると、素早く鬼のような形相に戻りフプレを威嚇する。
「謝ってなんになる。あたしは、お前の首を持って帰る以外には絶対にお前を許しはしな
いぞ。覚悟するのだな」
頑なな態度をとるマリスにスレイはもはや後戻りができないことを悟った。狼姿に変身し、
臨戦態勢に入る。

そこでスレイは土下座をしていたはずのフプレが頭をあげ、テリーナを凝視しているのを
発見した。その瞳には、彼には理解しがたい感情が激しく渦を巻いていた。そして次の瞬
間、あたり一面を強大な魔力が支配したかと思うと、目の前にいたはずの敵たちは跡形も
なく消え去っていた・・・・。

484 名前: FAT 投稿日: 2005/10/30(日) 09:38:57 [ kdhRDK.g ]
>> サマナの人さん
アイラムさんっ!!いやぁ、信じてよかった。それにしても皆様がおっしゃっている
ように私もコールだとは思いませんでした。戦闘ってことに意識が行き過ぎていた
みたいです。
フィリップさんの目標の天使様はもしかしてアイラムさんと関係のある人なのでしょう
か?憧れの天使様を目の前にしてフィリップさんが更なる無茶をしなければ良いのです
が・・・・。

>> 名前が無い@戦士のようだ さん
恩も着せず、礼も乞びない。キザでかっこいいです。
>俺が泣けないためにこの世界は涙を流している
詩人ですねぇ、惚れ惚れ致します。

>> ともぴ さん
イレギュラー・・・・なんだか色々な力があっておもしろそうです。これから
キャラが増えるたびに力も増えてその中で優劣、得手不得手が出てきて戦闘も
たのしそうだなぁ、などと勝手に妄想しております。とりあえずオジの力に期
待です。

>> 南東方不勝 さん
>スティールリリィ
あらゆるUアイテムを凌ぐ最強アイテムですね。=最強キャラはやはりリリィ様
っとギルとリリィ、バリバリお互いを意識しまくっちゃってますね。これはもう
ツンデレ(覚えたて)模様ですね。

>> ナンバーズ さん
風邪大丈夫ですか?体を労って早く良くなってください。
私の地方では玉子酒を飲むと風邪が治るなんて言われています。あんまりおいしく
ないのでおすすめは出来ませんが・・・


えー、展開としては皆様の予想通りシエル様の独壇場となる予定でございます。
だめだなぁ、もっと先の読めないようなおもしろい作品に出来るように精進致します。

485 名前: コボルトのマント 投稿日: 2005/10/30(日) 11:43:08 [ obmkF0B2 ]
前回に懲りずまたお目汚しを失礼します。
流れを中断させて申し訳ありません……
現代文が2だった俺の弱い文章力で頑張ってみました。

とあるクエの話(の筈……)です。
寛大な心で読んでいただければありがたいです。

―バインダーの怨念―

今日、久しぶりに依頼を受けた。
フローテックと云う人物からだった。
彼が言うには、何年も昔の事らしいが……
彼はぽつりぽつりと話始めた。

昔、名の知れた一人の大金持ちが居たようだ。
彼は大金持ちになる為に、人の恨みを買うような事さえ躊躇いも無くやっていたそうである。
その見返りと言っていいのか、彼は死後誰かに怨恨に満ちた呪いを掛けられた。
生前に恨みを腐る程買った彼は、当然の如く安らかな眠りにつける筈も無く、生きた屍となり地下墓地で暴れまわっている。

「生前に彼がやった事を思えば安らかな眠りなどさせてやりたくはない。
が、このまま生きる屍とならせているのも忍びないのだ。彼に少しでいいから安息の眠りを与えてやってくれ……。」
フローテックの顔には、なにやら窺い知れぬ表情が浮かんでいた。

依頼を受けた私の後ろ姿に、彼は一言助言を残した。
「もしも手に余るようであれば、パーティーを探してみるといい。
私は何人もの冒険者に依頼したが、今だかつて彼に永遠の安息を与えた者はいないのだ。
地下墓地に一つ死体を追加したいのであればいいがな……。」
彼の目に浮かんだのは、諦めとも懇願とも受けがたいくすんだ色だった。

私は何人もの冒険者に依頼したが、今だかつて彼に安息を与えた者はいないのだ
いいだろう、一人で仕留めてみせようではないか!
私は愛用の槍を手に、街から出ていった。
街の西口を出ると、若い冒険者達がコボルト狩りに熱中している。
自分がまた彼らの時の頃を思い出す。

あの頃の私は、今の槍ではなく弓矢で狩りをしていた、と憶えている。
最初は狙い通りに当たるように木に向かって矢を射っていたのを憶えている。
もうすっかりと狙い通りに当たる、と自惚れてたった一人でコボルトに立ち向かっていったのを憶えている。
私は、あのコボルトが懐にもぐり込んできた時、弓ではなく槍に変えなかったか不思議でならない。
そして、コボルトに完膚無きまでに叩きのめされた時、私は………
何故あんなにも自分に自信が持てたのかが……不思議でならない。

486 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/30(日) 13:04:56 [ LVW/cCFA ]
エンチャ無しのコロ狩りはマゾ過ぎですよorz
>>ともびさん
とりあえず、ケルビー爺やのおかげでイレギュラーとしての能力を取り戻したオジ。
でも、記憶が戻ってないので本格的に能力を発動させるのはもう少し後でしょうか?

>>FATさん
おーい、ネクロさん。戦わずに済むのならそれでもいいんじゃないのかい?
あ、それじゃあ何のためのサンプルか分からないですか。そうですか。
とまぁ、二人の激突は必至のようですが、シエル嬢が出てきちゃうとなぁ^^;
凄惨な修羅場になりそうな悪寒orz

>>コボルトのマントさん
初めまして^^
バインダーを成仏させるために、地下墓地に向かうあるランサーのお話のようですね。
そういえば、自分このクエ一度もやったこと無いなぁ。

487 名前: RED STONE silver wolf 七章(1) 投稿日: 2005/10/30(日) 13:31:35 [ wDGnkSz6 ]
・ギルド「サピエンテス・ラディアンス」集会室

「んじゃ一回説明しとくぜ、俺様のギルドに侵入して「大切な」書類の数々を盗んでいった連中について
  ギルド所属のシーフ部隊で調べてもらったところ襲撃時に怪し〜行動をしていた盗賊団がある」
セルベインは読者の皆様にもわかりやすい説明をしながら壁に貼ってある地図を指差した。
「一つはB倉庫のシーフギルド、もう一つは麻薬巣窟に巣くう盗賊団。二手に分かれてそれぞれの
  盗賊団をシメて盗んだかどうかを吐かせてから取り戻してくれ、吐かせる手段は任せるからなー」
「麻薬巣窟か、あそこの連中は結構悪質だと聞いたが…だが派手な行動はしないタイプだよな」
「そーそー、だけど今回は派手な動きがあったから怪しい」

6人が地図を見て場所を確認する、それぞれが話し合ってどこへ行くのか決めていく。
「私は麻薬巣窟の方へ参ります、あそこの悪魔の薬に関しては聖職者として無視できません」
「あー、俺は怪しい麻薬巣窟の方へ行くか」
「そか、それじゃー俺は倉庫へ行くぜ、あそこは一度行った事あるからなっと」
「私もリディスさんに同行します」
「おっ、ありがとな!また一緒に行こうぜ〜セナさーん」
「そうねぇ、自分は…アーネイトさん達と一緒に行くわ、ウィンディもそれがいいって」

「なっ、それじゃ僕もネファと一緒に…」
「アンタはリディスさん達の方に行きなさい、向こうは回復役いないでしょ?だから騎士の貴方が
  リディスさん達を守るのがセオリーってものよ」
「でも」
「…ぐだぐだ言ってるとゲイルパンチを繰り出すわよ?」
ネファがにっこりと微笑みながら言うと鳥の召喚獣、ウィンディがギオをジロリと睨みつけた
ギオは身の危険を感じてしぶしぶながら同意した。
「それじゃ決定だな、ギルドの追放天使に頼んで目的地付近の町へのポータルを開いとくからな」
「ありがとうございますギルドマスター」
「まぁなー!所属する部下に優しくするのもギルマスってな!それじゃー後は頼んだぜー」
「ん、セルベインお前一緒に来ないのか?」

「いやぁ、あれだ、俺様がいると経験値、吸っちまうだろ?ま、そなわけで健闘を祈るぜ!」
「まぁな〜、そりゃ俺やセナさんと比べればレベル差…って経験値って何だよオイィィ!」

・麻薬巣窟1F
夕暮れの巣窟内、中はホコリっぽく生活感のない部屋が広がる
家具には蜘蛛の巣が張られ、遠くにローグや堕落魔法師が歩いているのが見える。

『あんまり巣窟内に入る奴はいないらしいから他のメンバーの支援はないと思った方がいいな』
『そうですね、それにここの盗賊団は結構手慣れと聞きます、皆さん気をつけてください』
『随分と生活感のない場所ねー、うっわ蜘蛛の巣がこんなところに…』

小声で会話しながらこっそりとローグと堕落魔法師に近づき、曲がり角から様子を窺う。
『ウィンディ、堕落魔法師にゲイルパンチを叩き込んで』
そう言った後笛で命令する、ウィンディは魔力で風を圧縮して、風圧を高速で打ち出した
風圧は見事魔法師に被弾してその場に小さな竜巻を生み出され、魔法師は壁に叩きつけられて気絶する
侵入者の存在に気がついたローグに素早くアーネイトが体当たりして腕で壁へ押さえ込む。

「動くなよ、単刀直入に言う…昨日お前らは何をしていた」
ローグの首筋に爪を当てて尋問を開始した、牙を思い切り剥き出して噛み付かんばかりの勢いで問う。
並みの人間では怯えたり半泣きしそうな気迫だったが
ローグは顔色、表情一つ変えず濁った輝きの無い眼でこちらを見ているだけだった。
アーネイトは素早くローグの腹部に膝を叩き込む、が、何も反応すらしない
「…あくまで黙るなら永久に黙らせてやる」
そう言って爪を突き立てる…フリをしてローグの腹部を膝で思い切り叩きつける
相変わらず何の反応もしないローグだったが、気絶したのは確認できた。

「情報無しですか、相手も随分口が堅いようですね」
「にしても随分と怖い顔だったわねー、あんな顔されてたら私じゃ絶っ対に泣くわね」
……ネファに怖い顔と言われて少し凹んだアーネイトであった。

488 名前: RED STONE silver wolf 七章(1) 投稿日: 2005/10/30(日) 13:33:11 [ wDGnkSz6 ]
・麻薬巣窟B2

「…ねぇ、どーしてここの連中はこんなに口が堅い訳?」
「どうも変ですね、誰一人口を割ろうとしませんし…」
3人は部屋の一角でコッソリと話し合っていた、どうやら情報収集率0のようだ。
「肝が据わってると言うより…「我此処に在らず」と言った具合ですね」

「どうして口を割らないのかしら、やっぱり迫力ないからかな?それとも歯に虫歯でも見つけたからかなぁ
  いやひょっとして額にいたずら書きでも見つけたとか!…いやそれは無いわね、あ!顔に威厳がない?」

ネファのコンボ攻撃によりどんどん小さくなっていじけるアーネイト
女性にガンガン言われて結構な精神ダメージを受けたようだ。
「い、いや違うと思いますよ、ひょっとして…「麻薬」が彼らの口を堅くしてるのでしょうか?」
「ここの連中が売っているっていう依存性の高い危険な薬品の事か?」
「そうです、調べた所、飲むと一時的ながら高い高調感と快楽、痛みを感じない体を得る代わり
  それ無しでは生活できなくなり、麻薬の事以外を考えなくなる悪魔の薬品です」
「それで気が太いって訳か…仕方ない、尋問は諦めてしらみつぶしに探すぞ」
「とは言うものの、この階は全て巡ったわよね?じゃ、次いってみよー」
「大半のローグは気絶させたし、後は地下3階だけか…またリディスの方が正解か?」

・一方その頃、シーフギルド倉庫B B1
「ぎゃぁあぁぁあああぁあぁぁあぁ!」
ローグの叫び声が響き渡り、縛られたローグは床に倒れて気絶した
「ったくもう気絶しちゃったか…根性ねーなぁー」
気絶したローグを運んでいく2人、そしてリディスはもう一人の縛られたローグを引っ張ってきた
ローグが物凄く怯えている。
「さーて次は君だね〜、ギルドから盗んだ品についてちゃーんと話してね〜」
「俺は盗んでない!俺達じゃない!頼む、信じてくれ!助けてくれ!お願いだ!」

「そこまでサッパリと言い切られると面白くないなー、拷問しますか」
「や、やだ!お願いだ!助けて、助けてくれぇ!」
しまいには泣きそうなローグを完全に無視して床に置いてある袋から何かを取り出す
リディスの手にはガンレットが装着され、取り出したものを慎重に、注意を払って運ぶ。

「拷問その壱!猛烈に生臭い目が死んでる魚!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
「拷問その弐!物凄く臭う腐って糸を引いてる豆!」
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
「拷問その参!とてつもなく臭う牛乳!」
「うぼぁぁぁぁぁ!」

シーフギルド倉庫Bは今、おぞましい光景となっている。
※良い子の皆様は絶対に真似してはいけません、あと食べ物は早めにお召し上がりください。

・麻薬巣窟B3
最深部に到着した3人は周囲を見回す、周囲には誰もいない。
3人は床に転がっている大きな瓦礫に腰掛け、軽く休憩を取る
「あー、結構歩いたな…」
「大丈夫ですかー?アーネイトさーん、随分疲れてるっぽいけど?」
「…なんかさー、自信なくした脱力感とどーしようもない精神疲労が…」
「そればかりは治癒術では治せませんね」
2人がケタケタと笑うのを見て軽くうなだれたアーネイトだったが、すぐ持ちなおしてロイドに尋ねた。
「……なぁロイドさんよ、もうクエストも無いのに色々といっしょに行動してくれるんだ?」

「まぁ理由は2つありますけどねぇ、…一つは貴方の体質に興味を持ちましてね、あの銀色の毛並み」
軽く真顔でひとつ目を言ってから、ふたつ目は笑顔で答えた
「もう一つは……貴方達が始めて組んだPTなんですよ、それに皆様と一緒だと楽しいですしねぇ
  これからもお邪魔でなければ同行させてくれませんか?」

「そりゃ光栄だね、これからも頼むぜロイドさんよ」
「あ、呼び捨てでいいですよ」
緊張した空気が軽く解れた、だが何かがこちらめがけて走ってくる音が聞こえて警戒態勢に戻る。
3人は素早く壁にはりつく、そして足音を聞く
徐々に迫ってくる足音、そしてすぐ横に足音が聞こえた瞬間、腕を伸ばして足音の主を引きずり込んだ。

足音の主を無理矢理床に押し付ける、背中だがそれがローグだとはっきりわかった。
前に出会ったローグとは違い、床に押さえ込まれると抜け出そうと体を動かすが力で押さえつける
「暴れるなよ、さて…聞きたいことは山ほどあるぜ」
「……………」
「だから暴れても無駄だと何度…」

言葉が出かけた瞬間、ローグの首が音を立てながら180度回り、アーネイトを睨みつける
尋常ではない動きに驚いて素早く飛びのくと、ローグの体はどんどん腫れあがり腐敗していった。

489 名前: RED STONE silver wolf 七章(3) 投稿日: 2005/10/30(日) 13:34:19 [ wDGnkSz6 ]
床に倒されてたローグが起き上がった時には禍々しい、腐敗し膨張したゾンビと化している
「な、臭ぇ!なんだこいつ!」
「これは…ジャンキー!?離れてください!」
ロイドが素早くゾンビ、いやジャンキーの前に立ち、聖水撒きと盾を構えた。
聖水撒きを大きく振るい、ジャンキーの頭に当たると同時に、頭に聖水が撒かれる。
ジャンキーが唸りながら腕をがむしゃらに振るうが、聖なる力を宿した盾が腕を受け止め
腕が当たった直後に盾に溜められていた聖なる力が「閃光」になってジャンキーの目を眩ませる。
「《主に帰る事も叶わぬ嘆かわしき霊魂よ、我一撃に導かれて主の元へ帰りたまえ!》」
聖なる魔力を聖水撒きに宿してジャンキーの頭目掛けて振るう
その聖なる魔力が一点に収縮され、ジャンキーに直撃すると光となって虚空へ消え去った。

「浄化技か…流石ビショップだな、にしてもあのローグは一体」
「アーネイトさん、安心するのはまだ早いようです」
ロイドが素早く盾を構えると物陰からローグ達が現れる
そしてローグ達はそれぞれ鷲狂戦士やジャンキー、グレムリンへと変貌していく。
「な、ナニコレ!ちょ、どうするのよっ!」
「ネファは召喚獣をもう一匹召喚して攻撃!俺は敵を倒すからロイドは回復とゾンビの除霊を!」
「わ、わかったわ!ケルビー召喚!!」
ネファは精神を集中させて空中に魔方陣を素早く描き、火犬の召喚獣「ケルビー」を召喚する

そしてさらに魔方陣に線を継ぎ足し2匹に魔力を注ぎ込む、二匹は火犬と鳥から神獣へと神化し
笛を前に振って魔物の群れへ突撃させる。

次々と襲ってくる魔物を切り裂き、浄化し、焼き払い、風圧で谷底に叩き落す
徐々に進んでいくが魔物の数は半端なものではない、次々と3人と2匹めがけて襲い掛かってくる
「チッ!キリが無いな!さっさと書類を見つけて帰還の魔石を…」
鷲狂戦士を切り捨てながら2人に話し掛けるが、視界に何かの人影が映った

少し離れた場所にある檻の中、その中に白髪の長髪で黒いローブを深く被った男が一人だけ立って…
「…っうお!しまった!」
気が檻の方に向いてる最中に後ろからグレムリンに体当たりを受けて吹き飛ばされた
グレムリンが槍を構えて突き刺そうとするものの、横からつっこんできたケルビーによって弾き飛ばされた。
「アーネイトさん!大丈夫ですかー!?」
「ああ!助かった!」
起き上がって横目で檻の方を見るが、そこには誰もいなかった
すぐに檻から目を離し、前から襲ってくるジャンキーに素早く反応して蹴り飛ばす
3人と2匹に疲れの色が見え始めた頃、ロイドが叫んだ
「ネファさんアーネイトさん!見つけました!あそこです!」

ロイドの向く先に大量の木箱が置かれ、そこから書類がはみ出ている
召喚獣と2人が魔物の気を引いてる今、魔物に狙われてないのはネファ1人だけ
それに気がついたネファは単身で走り出し、木箱の中身を調べ始めた。
「これも違う違う違う違う…あったぁ! ………!……… この書類は…やっぱりあいつらがこれを」
書類にざっと目を通すネファ、そして何か確信したようだ
「ネファー!書類を見つけたらさっさと来い!!ずらかるぞ!」
後ろから鷲狂戦士の剣と爪をぶつけあうアーネイトの声が響く、ネファは素早く書類入りの箱を抱えながら
2人と合流して、懐に持っている魔石を一斉に使い古都へと戻った。

遠くからその様子を眺めている者が居る事も知らずに。

490 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/30(日) 13:41:40 [ wDGnkSz6 ]
ドウモー、変な生き物ですフゥー!
…言ってみただけです。

自分の悪い所直そうとしても上手く行かない罠
今週中にとか言いながら来週じゃんか、しかも相変わらず番号間違えてるし
そして用事大量多発事件ヴウァー('A`)
もう目の前にまた用事が来てるよママン、キットクル・キットクルー

他の方の返答は7時ぐらいにしまふ、でわ。

・今までのRED STONE silver wolf
(プロローグ)>>59 (一章)>>74-75(二章)>>103-105(三章)前>>160-162>>176-177
(四章)>>209-212 (五章)>>261-266 (六章)>>326-328 (オマケ)>>121-122

491 名前: レッドストン通信社 ◆TIwTo4/2fM 投稿日: 2005/10/30(日) 16:14:51 [ 54L2UcMg ]
本スレのバックナンバー
Vol.3 >>198-199
発行遅延のお詫びとお知らせ >>442



レッドストン通信Vol.4


※本誌記者失踪事件誤報のお詫び

 先日発表した本誌記者失踪事件(>>442 )に関しまして、本誌が独断で
「失踪した記者3人はオーガに喰われて死亡した」
と報じてしまいましたが、後日3人の生存が確認されました。
なお、本誌記者3名は事情により1週間の謹慎、及び3ヶ月間の減給処分としました(詳細は後述)。
事件関係者、及び読者の皆様には多大なご迷惑をおかけして真に申し訳ございません。
我々レッドストン通信編集部は、この失敗を大いに反省し今後に生かすとともに、
レッドストン通信を古都一番の情報誌に押し上げるべく日々邁進していく所存でございます。
これからも何卒レッドストン通信をよろしくお願いします。




☆本誌3記者、奇跡の生還!! ・・・でも処分


 先日、取材のためオーガ洞窟に向かったきり連絡が途絶えていた本誌記者3名が、
砂漠村リンケンのストリップ小屋「カトマンDo」でショーを鑑賞していた所を
本誌編集部が雇った冒険者が発見し、その場で無事保護しました。
冒険者が確認したところ目立った外傷はなく、3名ともいたって健康で命に別状は無いとの事。

保護されたのはミリオスケネス(98 剣士 レッドストン通信編集部第二編集室長)、
バインデューム(61 戦士 レッドストン通信編集部第二編集室編集員)、
ビリー=マリーネ(37 WIZ レッドストン通信専属記者)の3名。

本誌編集部が3名に事情を問い合わせたところ、

「取材でオーガ洞窟に向かったが、途中でオーガの集団に襲われて慌てて逃げてきた。
 手持ちの荷物の一部はその際にビリーが置いて来てしまった」
(バインデューム談)

なぜすぐに戻ってこなかったのか、という点については

「当初は『必見!オーガの生活をコッソリレポートしちゃいました!』
という企画だったが、このまま取材もせずに戻ってくるのは恥ずかしいので、
急遽『エキゾチックに染まる、砂漠村リンケンの風俗事情』という企画に変更した」
(ミリオスケネス談)

オーガ洞窟で発見されたカバンと日記を確認してもらったところ、

「他のものは無事だが、日記にはさんであったドロシーちゃんのサイン付版画だけが無くなっている。
折角のお宝だったのに・・・捨ててしまった自分が情け無い。とても残念でならない」
(ビリー=マリーネ談)


以上のことから、本誌編集部は
「3人は取材を放棄して報告を怠った挙句、経費を使って風俗で遊んでいた」
と判断し、3名を1週間の謹慎、及び3ヶ月の減給処分としました。

本誌編集部は今回の件について3名に猛省を促すとともに、この失敗を大いに反省し、
レッドストン通信を古都一番の情報誌に押し上げるべく日々邁進していく所存でございます。
これからも何卒レッドストン通信をよろしくお願いします。

492 名前: レッドストン通信社 ◆TIwTo4/2fM 投稿日: 2005/10/30(日) 16:15:49 [ 54L2UcMg ]
>>491 の続き

☆見たくないのに見えちゃう・・・目立ちすぎるアレに住民が苦悩


 「犬も歩けば棒に当たる」ということわざがあるが、「古都を歩けば露店にぶつかる」、というのは
ブリッジヘッドの船乗りが渡航先で古都ブルネンシュティングの露店事情を皮肉交じりに紹介する時の決まり文句の一つだ。
噴水周辺、公園周辺、出入り口周辺、ポーター周辺・・・古都はいつでもどこでも、終日露店でにぎわっている。
冒険者達が明日の億万長者を夢見て立てるそれら露店の数々は、見て回るだけでもそれなりに飽き無いし楽しいものでもあるが、
移動の際は引っかかったりぶつかったりする時も多く、住民にとっては決して喜ばしい状態とはいえないのも事実だ。

そんな中、一部の極彩色で飾り立てた露店の看板が「見たくも無いのに見えてしまう」と、住民から不評を買っているようだ。

「『露店は存在しない』と念じると実際に露店が消える」、

という事はレッドストーン世界を旅している人ならご存知の方も多いと思われるが、
中央政府にいくらかの特殊なお金を払う事によって立てる事ができる各種の目立つ看板だけは、
なぜかいくら念じても視界から消すことは出来ないのである。


この問題については、
「冒険者達の生活もあるし、誰もがお金を稼ぎたいのは当然で、それを妨げるべきでもない」
(古都東部地区市民代表:ミノスさん)
「見られないように出来るはずなのに、冒険者を責めるのは筋が違う」
(古都でよく露店を開いている冒険者:ダンケルさん(85 シーフ))
という意見が多いようだが、

「お金を払って立てているのだからそれぐらいの優越はあってもいいのでは」
(古都でよく露店を開いている冒険者:ローラン=マスケラさん(115 サマナー))
「この世界の次元が特殊な磁場によって常に不安定な状態に置かれているのがそもそもの問題」
(霊媒師:ビゲンさん)
といった意見もあり、解決するには一筋縄ではいかないようだ。

なお、この件に関して中央政府は特に回答していない模様。
露店の資格を持っていれば誰でも申請することによってこうした看板を立てることは可能であり、
住民の苦悩は今後も続きそうだ。

493 名前: レッドストン通信社 ◆TIwTo4/2fM 投稿日: 2005/10/30(日) 16:20:38 [ 54L2UcMg ]
>>491-492 の続き

☆コボルトの間で即席タトゥーが大人気!?


 今、ブルネンシュティング西口付近に住むコボルトたちの間で、
顔に入れる即席のタトゥーが大人気になっている模様。

 コボルトと会話できる事で知られ、コボルト愛好者サークル『コボちゃん愛好会』の
ブルネンシュティング支部長でもあるセティ=マルルコさん(92 テイマー)の話によると

「先日、とあるコボちゃんがエサを探しに古都の西口を歩いていると、
突然何者かにいきなり気絶させられ、気がつくと顔に"イカしたタトゥー"が書き込まれていたらしい。
洞窟に帰ると友達がうらやましがって、友達も洞窟の外へと出て行ったら、
やっぱり気絶させられて気がつくと顔に"イカしたタトゥー"が書き込まれていたそうだ。」

 この件については、どうやら最近古都の西口に現れた某人物が、コボルトの顔に落書きをするように
冒険者に触れ回っているしているらしいのだが、

「一部古風なコボルトは"イカしたタトゥー"を嫌っているが、大半のコボルトはむしろ喜んでいる。
今ではみんな"イカしたタトゥー"欲しさに洞窟の外に出たがっているが、
コボルト中央政府が外に出る人数を制限してるので、順番待ちになっている状態らしい。」

とのこと。

「コボルトの中には、体中に"イカしたタトゥー"が書き込まれたコボルトもいて、
そのコボルトは既にコボルトのファッションリーダーとして人気を集めているらしい。
当分この人気は続きそう」

というわけで冒険者の諸君、これからは率先してコボルトの顔に"イカしたタトゥー"を書き込んであげよう。

494 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/30(日) 17:46:31 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七
六化仙 其の八

窓から光が差し込んでいる、柔らかい光だがどこか人を不安にさせるような
何かを伝えようとしているような光
その光は何かに対して苛立っているのかもしれない、柔らかい光だが、どこか鋭い光だ
光は俺に何かを伝えようとしている、でも俺と光の間には、絶望的な壁がある
俺はそれを読み取ろうとする、でも読み取れない、なぜなら俺が何も知らないからだ
その事で光は苛立っているのかもしれない、だから光はどこか鋭いのかもしれない
でも、本当に苛立っているのは俺だ
薄汚い猟師小屋から出て街道を歩く、人の気配は無い
少し歩くと、街道の脇から急に男が二人出てくる
両方とも刃物を持った男達、いつの間にか他の男も現れて取り囲まれている状態だ
「死にたくなかったら金置いてきな、この道はワシのもんだ」
リーダー格の男が汚い顔をより一層汚くして言う
「所詮は金だ・・・・・・・」
俺はそう言って鞄を盗賊の足元に投げる
ハッハーと盗賊の一人が笑いながら腰を低くして鞄を掴む
その盗賊の首に向けて踵を振り下ろす
グチャリと言う音が聞こえた後に、地面が血の色に染まる
男の首は胴体とは離れている、他の盗賊たちが一瞬悲鳴を上げる
「この野郎ぉ!」
盗賊の怒号が合図になり、固まっていた男達が動き始める
近くに居た盗賊から刀を奪い、その男の胸を刺す
振り向いてから目の前にいた男を薙ぎ払い、近くに居た男の喉を突き刺す
「って、手前、何とか言わねぇか!」
リーダー格の男が裏返った声で叫ぶ
「殺す・・・・・・」
かすかな声で呟く
「は・・・?」
「殺す以外に言葉を知らぬ」
そう言ってリーダー格の男を切り伏せる
盗賊が全員死んでいることを確認してから、血まみれになった鞄を掴む
中身を―短剣と煙草―取り出して、鞄を放り投げ
ひとまずハノブへと向かうことにする
タバコに火をつけるて近くにあった手ごろな岩に腰をかける
「あ、あの、そこの方」
女の声が聞こえてくる、声の方向に振り向くと
行商人と、その娘らしき女が立っている
「何か?」
「あの、ハノブへと行かれるのでしょうか?」
「そうですが、何か?」
「実は最近、この界隈には盗賊が頻出して、食べ物、金、それに女を狙って現れるのです」
行商人が娘の言葉を引き受けて話す
「よろしければ、用心棒をして頂けませんか?うちは宿をしておりますので
、その、お世話してもらえれば、お泊めすることも」
タバコを吹かしながら空を見上げる、その後に立ち上がる
「私でよければお世話しましょう」
二人が顔を輝かせる
「ありがとうございます、あのお名前は?」
「名前か・・・名前なんて俺には・・・・」
小さな声で呟く、親子は少し訝しげな顔をする
「傭兵さん、とでも呼んでくれ」
タバコを地面に捨て、足でもみ消す
「よろしくお願いします、傭兵殿」
親子が挨拶をしてから歩き出す、その後を俺は気だるげについて行く

495 名前: AC 投稿日: 2005/10/30(日) 19:13:55 [ 6WFFS3N6 ]
うう…なかなか進まない…

狂人の蔵 第六話

「お食事は済んでるんですか?」
アグラーヤがコートを脱ぐよう促しながら訊ねてくる。

「いや、実は今朝から何も食べていなくてね」
「そう思って、教授の分も用意しておいたんです。今暖めてきますね」
「ありがとう。ああ、それとこれはお土産だよ。スマグメロンと、市場で買った葡萄だ」
そう言って、メロンと葡萄を入れた包みを手渡す。

「スマグメロンですか!?」
アグラーヤは胸の前でぱん、と手を合わせ、歓喜の声を上げる。
どうやら彼女の好物だったらしい。

「教授ったら、気を使っていただかなくてもいいのに〜。それじゃ、夕食の後にお出ししますね」
彼女は私のコートをポールハンガーに掛け、包みを持って上機嫌で厨房へと入っていく。
先程ののイメージからは考えられない甲斐甲斐しさである。

「長旅お疲れ様でした。クライン教授」
声を掛けられた方を振り向くと、黒髪、闇色の瞳の青年が苦笑を浮かべながら立っていた。

「やあ、君はジノーヴィーか!見違えたよ。こうして会うのは何年ぶりだろうね」
「ナーヴスとしてスマグを離れてからお会いしていませんでしたから、かれこれ3年になります」

彼はジノーヴィー・デュアルフェイス。
ハスラーの直接の教え子であり、私も何度か元素魔法の手解きをしたことがある。
天性の素質と言うべきか、魔法という概念を早い段階で理解し、複雑な魔法の構築を
半ば直感的にやってのける等、純粋な魔法師としての素養も高く、若干15歳にして
スマグ魔法師院の修士課程を修了し、優秀な研究者として将来を嘱望される逸材だった。
が、卒業後は秘儀秘匿機関のナーヴスとしての道を選び、スマグを離れてしまっていた。

「君がナーヴスになったと聞いた時は驚いたよ。私は、君がハスラーの秘蔵っ子として、
彼の研究を継ぐものとばかり思っていたのでね」

「…色々と思うところがありまして。それに、私ではハスラー教授の足元にも及びませんよ」
一瞬だが、ジノーヴィーは僅かに表情を曇らせる。失言を吐いてしまったな。

「そんなことより、長旅でお疲れでしょう。こちらへ」
直ぐに先程の人当たりのいい笑みを作り直し、彼は私を温かい料理の並ぶテーブルへ案内した。

496 名前: AC 投稿日: 2005/10/30(日) 19:14:28 [ 6WFFS3N6 ]
アグラーヤの料理はどれも家庭的で温かみがあった。ここのところ研究室に篭りきりで
ロクなものを食べていなかった所為か、こういった食事が余計に美味しく感じてしまう。

ことある毎に振舞われる(勿論私に拒否権はない)悪友の、料理という名の実験を思い出して、
思わずゲンナリしてしまう。…あれもこれ位上手なら、私も苦労も減るのだが…。

昔話を交えつつの夕食を終え、果物と紅茶を頂きながら本題を切り出す。

「それでは、現在古都で起きている事件について訊かせてもらえないか」

「分かりました」
ジノーヴィーは神妙な面持ちで語り始めた。

「事件は、先月で4回、今月に入って3回、計7回に及びます。事件は決まって深夜から
夜明けの間に発生しており、また、被害者の身体には多数の爪痕、牙痕が残され、
全身の血液を抜き取られています。事件現場は公園、井戸、路地裏等雑多ですが、
被害者については魔法師崩れの冒険者等、ある程度魔法に携わる者が
ターゲットとされているようです」

「そして、現在古都に広がる噂について、既に教授もご存知かと思いますが、
どの事件もその前後に『額に刻印を持つ銀色の人狼』が目撃されています」

「ふむ…目撃された銀狼についてだが、君自身は見たかね。」

「ええ、私自身は2度目の犯行から確認しています。不甲斐無い話ですが、その都度、
追跡には失敗しています…。ですが、銀狼の額には確かに施術刻印らしき傷痕が見られました。
さらに間近で見れば、施術刻印がどの術式の物であるか、特定することも出来るのですが…」
そう言って、ジノーヴィーはばつが悪そうに顔を顰める。

「どうあれ、銀狼が魔法施術を受けた者であるのは間違いない、ということか…」

「クライン教授、銀狼の正体は、本当にハスラー教授なのでしょうか。刻印魔法師として、
秘儀の扱いに人一倍慎重だったハスラー教授が、こんな迂闊な真似をするとは思えません」

「私もそう考えているよ。だが施術刻印があるとなれば、件の銀狼が刻印魔法師であるのは間違いない。尤も」
紅茶を一口飲んで口内を潤す。
「銀狼がハスラーか、別の誰かかは、まだ分からないがね。いずれにせよ、接触しないことには話は進まないな」

497 名前: AC 投稿日: 2005/10/30(日) 19:15:00 [ 6WFFS3N6 ]
「…愚かな」
二人に聞こえない程度に小さく呟く。
究極、至高。
魔力塔に魅入られた我々刻印魔法師が焦がれ、求めるモノ。
300年間一時も休まることなく行われてきた研究、高度複雑化してきた術式。
そしてそれに伴う、施術失敗の代償として生まれる異常体、結果としての暴走事件の増加。
至高を目指す我々が、歴史を重ねる毎に個体としての、一つの種としての衰退を続けているという矛盾。
先人がスマグを救う為に編み出した筈の技術が、今はその未来を閉ざそうとしている。
だが、そんな理想と現実の齟齬を内包したまま、術式研究の手が休まることはない。

果たして暴走しているのは犠牲たる異常体か。それとも、闇雲に進化に狂う我々なのか。

ハスラーを想う度、否、もっとずっと前から持っていた思考。思わず自嘲気味に嗤う。
スマグ魔法師院に居ながら進化に疑問を持つ私は、刻印魔法師としては失敗作なのかもしれない。

紅茶を飲み干し、カップをソーサーに置く。
「さ、て。では、早速銀狼の顔を拝みに行くとしよう」
「いえ、教授は長旅でお疲れでしょう。今日の所は私に任せてゆっくりしていてください」
「気遣いは嬉しいがそうも行くまい。万が一ということもある。それに、あくまで我々で
銀狼を捕縛しなくては意味が無い。街の自警団や冒険者に先を越される訳にはいかん。何より――――」

そこで一旦言葉を切り、皮肉っぽく微笑む。
「私はまだ年寄り扱いを受ける歳ではないよ」

「それは失礼しました。では、よろしくお願いします」
ジノーヴィーは一瞬きょとんとした後、苦笑混じりにそう答えた。

「うむ。さて、行こうか。アグラーヤ、ご馳走様。料理、とても美味しかったよ」
「そう言っていただけると、作った甲斐があります」
アグラーヤはトレイを抱え、やわらかく微笑む。

「それなら、明日はもっと頑張っちゃいますね」
「ありがとう。楽しみにしておくよ」

あまりのんびりもしていられない。各自早々に準備を始める。
私はハンガーに掛かっていたコートを羽織り、愛用の魔法杖を手にする。
ジノーヴィーは動きやすさを重視した戦闘服に着替えていた。腰には片手半剣を帯びている。
そしてアグラーヤはいうと、何故かエプロン姿のままだった。

「?君は着替えないのかね」
当然の疑問を投げかける。

「あはは、その…」
アグラーヤは誤魔化すように笑い、そのまま口篭ってしまった。

「アグラーヤ。俺が話すから」
「ジノーヴィー…。うん、分かった」
二人の間で何やら示し合わせている。何か単純ではない事情がありそうだ。

「教授、アグラーヤは居残りさせてください。事情は歩きながらお話しします」
「…ふ、む。いいだろう。では出発しようか」
そうして、私達は深夜の古都へと繰り出した。

498 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/30(日) 19:43:37 [ DXXt3lTo ]
>>南東方不勝さん
ツンデレハァハァ( ´∀`)
すみません。もう頭の中にはこれしかないです(´・ω・`)

>>FATさん
フプレが土下座したとき、このまま平和に終わることを望んでしまいましたが、
そういうわけにはいかないんですよね・・・
だってシエル様が・・・(´Д`; )

>>サマナの人さん
前作(?)を一気に読ませていただきました。
フィーナは前作の主人公だったんですね。
知らずに変なこと口走ってごめんなさい(´・ω・`)
ともぴ的には前作の第三者的書き方(?)のほうが好きです(コショ
(↑はあまり気にしないで下さい。)

499 名前: AC 投稿日: 2005/10/30(日) 21:32:10 [ 6WFFS3N6 ]
暫く来てなかったのでログが大量に…むしろ沢山読めて嬉しいですが( ̄ー ̄)

>>サマナの人 様
戦闘のテンポの良さが素晴らしくて、とても参考になります。
あと、ハイネさんはやるときはやる人だと信じています。
一瞬…!!だけど閃光のように…!!

>>ともび 様
同じくイレギュラーでありながらオジ一行を襲う男の真意
そして運命に翻弄される中、ついに覚醒したオジの能力「古代の器」
今後に期待です。

>>コボルトのマント 様
何気に失礼なフローテック…
単身監獄へ潜ろうとする主人公の力量が気になります。
  
>>南東方不勝 様
なにやら一人で盛り上がっちゃうお姉ちゃんがすごくかわいいです。
姉のフォローに回り慣れている辺り、ギル君がちょっと不憫かも…

>>FAT 様
マリスを憑き動かすテリーナの怨念。
対し、シエルもただで済ますつもりはない様子。
壮絶なバトルの予感…

>>変な生き物 様
麻薬巣窟組の3人のチームワークがイイ感じです。
ネファが見つけた書類には何が…

>>レッドストン通信社 様
編集部室長が自ら出張ったので、引っ込みがつかなくなったのでしょうか。
オーガにめげず記事のネタを探そうとする彼等は、ある種素敵です。

>>名前が無い@戦士のようだ 様
傭兵さんいきなり容赦ないですね。
ジン共々、危うげで陰のある雰囲気に惹き付けられます。
傭兵さんの目的は何なのでしょうか。今後に期待です。

500 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/30(日) 22:57:47 [ LVW/cCFA ]
さて、ギル戦前の暇な時間に感想をば。
>>変な生き物さん
なんだか、書類を奪った組織にネファ嬢は多少の知識がありそうですね。
リディスの拷問グッズは、かなりの破壊力を持っていそうですねorz
臭い牛乳辺りが、個人的にはかなりの威力だと思います。

>>レッドストン通信社さん
俺がお供えした、花を返せww
経費の使い込みはいけませんなぁ。まぁ、代わりの記事自体は大変読みたい(ry
あと、コボルト達のネタは、キャンプ関係のネタですか?
あのクエ、やってないんですよね。狩場で座る暇が無いから^^;

>>戦士見習いさん
のっけから強いよ傭兵さん。
なんというか、彼からあまり生に対する執着心が感じられませんね。
物語の最後まで、生き残ってもらいたいものです。

>>ACさん
さてさて、行方不明のハスラーさんの教え子と一緒に夜の古都へと繰り出していくクラインさん。
事件に対する、なんらかの手がかりが見つかることを祈っています。
そして、アグラーヤさんが居残りしている理由も気になりますね。

501 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/31(月) 00:40:00 [ LVW/cCFA ]
>>464
(はぁ、やっと落ち着いたぁ・・。)
リリィと二人っきりになるという事実に気づいてから、早30分。
それだけの時間をかけて、オイラの心臓はどうにか落ち着いてくれたようだ。
時計は午前8時30分を指している。お昼過ぎと言っていたから、1時くらいに現地に間に合えば問題は無いだろう。
オイラの足だと、現地に着くまで大体2時間はかかるはずだ。
「となると、オイラに残された時間は2時間半か・・。」この時間をどのように使うかで、リリィとの試合の結果も変わってくるだろう。
「でも、リリィが戦ってる姿ってまともに見たことが無いんだよなぁ。」
とりあえず、オイラは残された時間をリリィの実力を測るために使うことに決めた。
もちろん、朝飯を食いながらだ。というわけで、オイラはいつも利用している食堂に行くため事務所を後にした。

食堂に着くと、店のおっちゃんと兄貴が何か話しているようだ。
(ついてるねぇ。兄貴からリリィの戦闘スタイルについて教えてもらおうっと。)
やはり、重要な行動を取る時はシックスセンスに頼るに限る。オイラは、早速カウンター席へと歩いていった。
兄貴が座っている席に近づくにつれて、兄貴とおっちゃんの会話の内容が聞こえてくる。
「おやっさん。確か、頼まれたブラウンベアーの肉は明日までだったよな?」
「なんでぇ、ジャック。おめぇ、まぁだ獲りに行ってねぇのか。頼むよ、もう熊鍋に使う分が切れそうだっていうのによ。」
「安心しろって。ちゃんと今日頼まれた分は獲ってきてやるから。で、確認だが熊肉のほかに獲ってくるものはねぇよな?」
「実はな・・、サイドウォーカーの在庫がそろそろ切れそうでな。こいつも頼まれてくれねぇかい?勿論、報酬は上乗せだ。」
「ほう。ってことは、六食分はタダにしてくれるってか。オーケー、引き受けよう。」
「すまんな、ジャック。」
どうやら、兄貴は店のおっちゃんから材料の調達を依頼されてるみたいだ。
そういえば他のメンバーから聞いた話だけど、兄貴は狩りに行くたびに食用に転用できそうなモンスターの死体をある程度加工して持って帰ってくるらしい。
そういった目利きがきくから、このように材料の調達の依頼を請け負うことが多いらしい。
その際の報酬は、金や物ではなく「その飲食店で何食分かの食事をタダにしてもらう」ことらしい。
まぁ、今のオイラには関係ないか。それより、リリィの実力について相談しないと。
「兄貴におっちゃん、おはよう。」
そうしてオイラは、目的を達成するために兄貴達の近くの席に座った。
「おぉ、ギルじゃねぇか。今朝は早いな。」
「らっしゃい、坊主。いつもの蠍の塩焼き定食でいいか?」
勿論。と言いたいところだけど、あの杖で殴られたことを考えると重いものは避けたい。
「いや、今はちょっと腹の調子が悪いから、雛鳥戦士のリゾットでいいや。」
「ほぅ、珍しいこともあるもんだ。こりゃ、明日はデビロンでも襲ってくるかもな。」
そういって、おっちゃんは調理に取り掛かる。
「そうそう、兄貴。リリィのことで相談したいことがあるんだけど・・。」
料理が出来上がるまでの時間を利用して、一番の優先事項であるリリィの実力について兄貴に問いかける。
「あぁ、リリィのことだぁ?ギル、惚れた女の好みは自分で見つけ出すのが一番いいぞ。」
「いや、そういう相談じゃないから。実はね・・。」
そうしてオイラは、兄貴にリリィと試合をすることになったことを告げた。
すこしでも、リリィの実力に関する情報が手に入ればいいんだけど・・。

502 名前: 独り語り 投稿日: 2005/10/31(月) 02:34:24 [ EXrV3iIU ]
>>356-367からすっかり時間が空いてしまいました。
皆さんから頂いた感想にいちいち感動してしまいました。
二人とも気にいって頂けたようで嬉しいです。
ランサーは言葉のリズムに乗せるようにクルクル書いたので楽しんでいただけてなにより♪
語りに遊びを混ぜ込んで、これに音韻を加えられるようにいつかなりたいものです。
失礼を承知で、読んでいただいた皆様へ纏めてお礼申し上げます。

>これからこの二人を軸に作品が進行して行くのでしょうか?
この後は他のPTメンバーの視点で続いていくつもりが、次の『BIS』でスランプ中…。
完結までいましばらくお邪魔します。質問には続きを上げることで答えたいと思います。

以下、感想はハイライトでお届けします。感想溜めすぎたl|||lorzl|||l

>>レッドストン通信社 ◆TIwTo4/2fM 様
さくっと読める短編大好きです!
くだらなさに噴出し、芸の細かさに感心関心しました。
次号楽しみにしています。

>>サマナの人 様
愚直と言われそうなフィリップに、心の表層では半ば呆れたようなベレッタ。
そう思いながらも全幅の信頼をし全霊をかけて援護に回る、その心意気に惚れました。
仲間を信じるベレッタだけに、アイラムの駆け去る背中を見たときはどんな想いで…
そんな時でも、”約束”を信じるフィリップ。愚直というか馬●というか…
もうフィリップ大好きです!
それぞれが表情豊かで引き込まれてしまいます。
ハイネのポケットに手作りの勲章、彼はなにをおもうのでしょう。

>>ともび様
お魚―――(☆Д☆)―――!!!

503 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/31(月) 13:44:44 [ DXXt3lTo ]
>>377-378←第5話
オジリウス第6話:剣の男

『3ヶ月もあそこにいて、獲物が来たらしっぽを巻いて帰ってくるなんて
出来損ないの犬のあなたらしいわね。ザンロ』

黒い鎧に身を包み、大きな槍を持った女が、帰ってきたばかりの男に声をかけた。
ザンロと呼ばれたコートの男は女の言葉を聞いてイライラしていた。

『想定外の出来事が起きた。仕方が無いだろ!それよりお前のほうはいいのかよ?
あのラジウスって剣士はもう見つかったのか?あいつには家なんかないぜ?
俺たちが焼いちまったもんな。どうやって探すんだよ?アーキ』

黒い鎧の女、アーキはザンロの言葉を聞き笑って言った。

『あんな男、探す価値も無いわ。オジが力を失ったおかげで、
あいつの持っていた力もすべて封印されたから。そのうち調査隊のほうで処分するでしょうね。
それより、あのサチって娘のほうが重要だわ。あの娘の持っていたペンダント。
あれは危険なものだわ。もしかしたら世界の軸を揺るがしかねない。
そうなるとアドナ様は私に命じるでしょうね。あのペンダントとオジの件を。
だからザンロ、あなたはもう犬小屋で休んでいなさいよ。』

そう言い、アーキは笑いながら去っていった。

『ラジウスを甘く見ちゃいけねーな。あいつはきっとお前を殺すぜ。』

──その前に俺がお前を殺してなかったらの話だけどな。くっくっく・・・

名前も無く、誰も知らない空間で、ザンロは一人笑い続けた。


神聖都市アウグスタ。神に仕えるために修行を行うものが集まる街だ。
街に住む人々は神に従順で、そして世界に清らかだ。
そんな清らかな街の教会の前に一人の剣士が立っていた。
ひどく傷のついた鎧に身を包み、右腕がない。
街中だというのに堂々と残っている左腕で剣を握り締めていた。

『この中だな。間違いない・・・』
そうつぶやき、男は教会の中へと入っていった。

教会の中には神父が一人、十字架に祈りをささげていた。
男に気づいた神父は男の傷ついた様子をみて優しく話しかけた。

『モンスターにでも襲われたのですか。さぁ、神に懺悔しましょう』

神父の言葉を聞いて男は肩を揺らして笑った。
『懺悔するのはお前のほうさ。ここのあれが隠されているのはわかってる。
さぁ、管理者よ、出してもらおうか。』
男は剣を構えて神父に向かって言った。
神父は"管理者"という言葉を聞いて驚き、そして男を睨んだ

『貴様・・・イレギュラーか!』
さっきまでの優しい神父と同じ人物とは思えない声だった。

『さぁ、古代の遺産を渡してもらおうか・・・』
男の剣が神父にめがけて振り下ろされた瞬間、男の目は強い光に覆われ
周りがなにも見えなくなってしまった。男の目が正常を取り戻すと神父の姿は消えていた。
焦って周りを見渡すと十字架の下に隠し階段が見えた。

『やはり監視役は知能の低いCPUだな』
言いながら男は階段を下りていった。

504 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/31(月) 13:45:27 [ DXXt3lTo ]
地下には大きな機械と、鎖でガチガチにされた一本の剣があった。
剣はほこりをかぶっており、もう何年も使われていない様子だったが、
そのくねくねとした刃は錆びることなく触れたものすべてを切り刻みそうである。
まさにどんなに丈夫な鎧や皮膚でも傷つけられずにはいられない、といった具合である。
神父は剣を守るように立ち、男のほうをみた。

『貴様、なぜこの剣のことを・・・』

『知っているさ!俺は世界のすべてを見てきた。
お前の中にプログラムされていることよりも多くのことを知っている。
だからこの剣がどういうものなのかも知っている。』

男は剣を神父の前に振り上げて言った。

『その顔・・貴様、ラジウスだな?リストに載っていたぞ。
貴様は死んだはずだ!リストにはそう載っている!』

『やはり監視役の知能は低い。いや、プログラミングが遅れているのか。
言っただろう?すべてを見てきたと。まぁ言ってもわからんだろうな。』

男はそう言って剣を振り下ろした。神父の体は右肩からざっくりと切れ、
神父はその場に転がった。不思議なことに血は出ていなかった。

『ようやく会えたな、ウィスカー。ブラッドウィスカー!
お前の力を貸して欲しい。あいつを倒すために。』

剣の男、ラジウスはブラッドウィスカーにまかれていた鎖を断ち切った。
剣が光り、見ると剣のあった場所にはなにもなかった。

『モ、モンス・・・サァ、・・ザンゲ・カミニ・・』
神父は壊れた人形のようにつぶやいていた。
それはもはや神父の声ではなく、無機質で機械的なものだった。
ラジウスは神父に目もくれず、"右腕"に握り締めた剣を見ていた。
ラジウスの失ったはずの右腕がそこにあったのだ。

『さて、右腕も戻ってきた。待っていろよ・・・アドナ・・』

『モ、モ・・・サァ・ザンゲザンザンゲザン・・ザザ・・・』
教会の地下には神父の無機質な悲しい声だけが響いていた。

505 名前: ともぴ 投稿日: 2005/10/31(月) 13:48:51 [ DXXt3lTo ]
覚えていない人が、たくさんいると思うので一応言っておきます。
剣の男、ラジウスは第一話に出てきた野郎です。
突然出してきてごめんなさい(´・ω・`)

そしてこの第六話は今までで一番自信が無い文章となっております。
(全部自信ないんですけど、特に自信が無いです)

なのでどんどんダメだしお願いします(´・ω・`)

506 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/10/31(月) 18:13:39 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八

六化仙 其の九
商人親子をハノブまで無事に送る、盗賊は一度も出てこなかった
商人が経営する宿に止めてもらい、それから地下にあるバーへと行く
昼間なので人は誰も居ない、マスターにソルティードックとホットドックを頼む
料理が来るまで暇なので何となくバーを見回す
壁に一枚の絵画が掛かっている、二匹の猿が温泉に入っている絵だった
カウンターに置かれた酒と料理を交互に口へ運ぶ
ホットドックは煙草の臭いがしみこんでいて、酒は何故かブラッディーメアリーが出てきた
文句を言うのも面倒なので黙って食べ、勘定を払って店の外へ出る
何となく目に付いた教会の中に入ってみる、中には神父意外誰もいない
「ようこそ兄弟、旅の方ですかな?」
神父が愛想のいい笑みを浮かべる
「ここら辺は盗賊が多いらしいね、さっき襲われたよ」
「そうですね、世の中が乱れておりますから、それにしても良くご無事でしたな
おそらく、あなたは名のある冒険者で相当お強いのでしょう」
神父が少し尊敬の念を表して言う
「強いか・・・・・・・襲ってきた盗賊は五人だったかな?
六人かな?全員死んだみたいだったよ。神は俺の罪を許してくれるのかね?」
神父が顔を少しこわばらせる
「あなたが許されることを望み、神と殺めた人を想うのならば許されるでしょう」
そうか、と呟いてから教会全体を見回す
説教台の裏に石像が置いてあるが普通の教会にある聖母像でなく
ウィザードの、しかも肘から下の腕が無い男の像だ
その像を見て、思わず呟きをもらしてしまう
その姿はどこか儚く、向こう側の世界の雰囲気を放っている
十秒くらいしてから、石像が何故俺の心の琴線に触れたかを知る
石像は、死んだ親友にあまりにも似ていた
「何故、この像は腕が無いんだい?」
長い話になりますが、と神父が言う
教えてくれ、というと神父は語り始める

「昔、ここは教会でなく産婦人科でした、産婦人科といっても掘っ立て小屋に少々の薬品があるだけで
お産の手伝いをするだけの場所です。昔のハノブは今以上に貧しく
生まれてきた子供を殺して間引かなければ、生活が出来ないほどでした
その産婦人科の院長はとても力のある魔術師でした、彼は両手で物を触れば
それを圧縮して貴金属の類に変えることを出来たのです。
彼は間引きした子供を魔術を使って貴金属に代え、それを売って貧しい人に施しました
その甲斐もあってハノブは段々と豊かになり、子供を殺す必要も無くなりました
それから、彼はこの教会を建てたのです。教会を建て終わった後に
彼は息子に頼み事しました、自分の両腕を切り落として欲しいと頼んだのです
その頼みは実の息子によって成し遂げられ、その三年後に彼は息を引き取りました
彼が死んだ後に、この教会には彼の石像が作られたのです」
神父はそう言って少し悲しげな微笑を浮かべた
黙って石像を見ていると突然教会の鐘が鳴る
「この鐘はハノブで死に行く人が出ると独りでに鳴り、死の恐怖を取り払います
この鐘も彼が造ったものでした」
おれは黙って教会を出る。宿に戻ると無性に腹立たしくなった

507 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/10/31(月) 18:30:23 [ hNlLsBE2 ]
コテ付け忘れました
感想

>>ともぴさん
ブラッドウィスカーを手に入れたラジウス
これからオジとどのように絡んでいくのでしょうか?

>>南東方不勝さん
熊鍋美味そうですね
リリィの戦闘スタイル、なんだか想像がつきません

>>ACさん
どこか現代社会にも似ているスマグの研究者達
世界観にもうメロメロです

>>レッドストン通信社さん
毎回ネタの鮮度の良さに脱帽です
自分もそんな目利きになりたいです

>>変な生き物さん
遠くからロイドたちを眺めていた正体は誰なのでしょう?
先の読めない展開ですね
蛇足ですが、糸を引く豆は嫌いな物リストNO1にランクインです

>>コボルトのマントさん
過去に色々とあったランサー
これからどのように語られるのでしょうか?

>>FATさん
シエルがまた現れるのでしょうか?
自分は兄弟愛で元に戻ると予想しております

508 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/10/31(月) 19:50:33 [ eegEraZI ]
どうも、変な生き物zinです。
経験値3倍、状態異常はスロウ、貴方の時間間隔を狂マース
…なんか最近マジで時間間隔がイカレテキタワァ('A`)

>> i サマ
色々とご指摘有難う御座いました
そして小説、小説もお見事!
まぁ私の好きなケーキといえばビターなチョコケーキで飾りはry
あ、キイテナイ?ソウディスカ…
>出だしのインパクトと山場
確かに弱いです、ここはもう改善点その1ですね、要改善。
>もっとキャラクターに喋らせるほうがいいと思います。
努力してみまっす、どーもキャラを喋らせると長々と続いてしまいがちで
控えてたんですがもう少しスマートになるように努力しますわ。
>セナさんはギルド員なのに、ギルド屋敷に始めて来た様子なのはどうしてでしょう?
実は…そこに関しては7章と8章の閑章で説明する予定なんですわ
…色々な理由でその場での説明はカットしました…。orz

>>398サマ
ご、号泣…号泣ッ……!!
2人の物語、泣かせていただきました。
恨みにより全てを否定してしまった兄
そしてその弟に愛する一人の女性
最後のハッピーエンドで思わず泣きました。

>>南東方不勝サマ
決着つきましたね、イスラフェルとの戦い…
だけどまだまだ背後に謎の連中がっ、伏線だらけでスゲェ
そしてリリィとギル、これは、これはツンデレですくぁ!
いやぁリリス嬢とはギルもなんとも不k、いえ幸せな。
そしてさりげなーくゲストでいますねw
>スティールリリィ
こ、これはREDSTONEでも入ってるのでしょうか…。
装備できる方はうちのキャラにはいませんね
っと思ったら装備できそうな方が!その名もネ  チョ、マッ、ボスケッ、ヴボヴァー
>臭い牛乳辺りが
威力は最高級です、ハイ
少なくとも暫くは活動できなくなります、とじこもりっぱなしです
ちなみにドロップした場所はリディスのベット下です、…ちゃんと飲めっての。

>>ナンバーズサマ
短編もの、お疲れ様でした〜
やっぱりナンバー一家でしたか…wごわすでピーンと来ましたよん。
秘密ダンジョン…行った事無いからわかりませんなぁ イキタイヨママン orz
確かに後半は勢いついてちょっと崩れたかなって感じはしますが(俺が言えることじゃない(´・ω|
ですが相変わらずいいキャラですなぁ
自分も、もっと活き活きと書きたいものですねぇ、特にセナとロイドの差別化。OTZ


またまたまたまた用事が入ったのでとりあえずここまで
また時間があったら返答していきまふ、でわ (´・ω・`)ノシ

509 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/31(月) 21:08:36 [ b6Gnz/6I ]
>>戦士のようださん
いつの間にかコテ変わってるっΣ(ノ>ヮ<)ノ♪

さて、謎の傭兵さん……封印している短剣といい、心に負っているらしい傷といい、どこかの誰かを思い出させますが果てさて……?

>>ともびさん
お手って、お手ってっ(ツボに入った
うむむ……イレギュラーの謎は深まるばかり。
どうやら、この世界はプログラム上の物っぽい感じはしますが……
そしてお魚にドキワクしながら待ってます(ノ>ヮ<)ノ♪

追伸 今回のお話が一人称で書かれているのは、全てはハイネパートのためです。
正直、自分も三人称の方が書きやすいんですけどねー

>>南東方不勝さん
スティールリリィ強っ!? 要求能力値に笑いました♪ヽ(>ヮ<ヽ)
見る人によらなくても、誰もが

>>FATさん
うむむ……ネクロが裏で手をひきまくりですねぇ。
どうにか和解するにしても、まずはネクロを何とかしないとダメ、なのかな?
なんとなく、ジョーイさんに死相が浮んでる気がする……眼帯とか。
ガクガクブルブルしながら続きを待ちます

>>コボルトのマントさん
元アチャのランサーさんですかね?
コボルトが懐に入り込んできた時、持ち替えなかったのはきっと、殴り弓だからだったんだよっ(ゑ
バインダー……若葉時代の思い出ですなぁ……

>>変な生物さん
イヤァァァァァァッ((((;゚Д゚)))
というか、牛乳はマジ凶器です。イカのワタも凶悪ですが。
牛乳は臭くて、ワタは臭いし汁出るしハエが沸くんですよねぇ(遠い眼
って。ローぐがバイオハザードっ!?
その様子を眺めているのは一体誰なのでしょうか?
とにかく、色々な意味で強烈な回でしたね^^;

>>レッドストン通信さん
……orz
この記事を読んで、初めて知りました。
そうか、露天看板オフにしてても看板が写る時があるのは、課金看板だからだったのか……
ふつーに、ああ、写る看板と写らない看板があるんだな。ダメオンマジックかwと思ってましたよ。
リリィさんにスティールリリィでホームランされてきます
後、コボのタトゥーは良いですね。これで、心置きなく落書きできます≧ヮ≦

>>ACさん
スマグメロンとマスクメロンはちょっと似てる♪ヽ(>ヮ<ヽ)
アグラーヤさんの秘密は気になりますねー。
脱いだら凄いのかな?(黙れ

510 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/31(月) 21:10:45 [ b6Gnz/6I ]
>>469-472

>フィーナ=ラフィーナ

 瘴気に歪む黒い森を、けれど青く澄み渡った月光が静かに照らす。
 中天には満月。
 静かに輝く星々を従え、天から静かに私たちを見つめている。

 私達は、この怪異の元凶を目指して走っていた。

「まずいわね……」

 ベレッタの声にはわずかな焦りが混じっている。
 あの、神獣のいた広場。
 そこへ至るための森には、既に無数の死者や不定形のモノたちが蠢いていた。

 いくらかは私たちを見つけ、襲ってくるけど、大部分は私たちを無視し、もっと大きな命の炎――背後の村を目指している。

「どうする。片っ端からやっつけるか!?」

 フィリップさんは言うけど、それは無理だ。
 これだけの数を相手にしていては、あの場所に着く前に消耗しきってしまう。

「アイラム様、お嬢様。少々お尋ねしたいのですが」
「何、ミーア?」
「あのアンデットたちは、元凶のレッドストーンが失われたら、消滅するのですか?」

 本来は朽ちているはずの死体が、何かの原因によって無理やり動いているのがアンデットだ。
 その原因が無くなれば……

「そのはずだ。特にあれは、レッドストーンの影響で生み出されたものだから」

 アイラムさんがそう答えると、ミーアはわずかに考え込む。
 付き合いの長い私には、ミーアが何を考えてるかが良くわかった。

「いくらなんでも一人じゃ無理だよ、ミーア!」

 そう、ミーアは一人で村に戻って、あいつらを食い止めるつもりだ。
 でも、いくらミーアでもあれだけの数は……

「心配は要りませんよ、お嬢様。主人の帰りを待ち、部屋屋敷を元通りに保つのもまたメイドの勤め。
お嬢様達があのモンスターをどうにかするまで、時間稼ぎくらいならできます」

 安心させるように微笑む。
 だけど――

「わかった。お願い、ミーアさん」
「ベレッタ!?」

 ベレッタが言う。
 そしてミーアも頷き、

「大丈夫ですよ、お嬢様。温かい紅茶とお茶菓子でも用意して待っていますから、どうか皆様揃って帰ってきてくださいね」
「約束だよ――絶対だからねっ!」
「はい――必ず――!」

 ミーアが応え、そして足を止め、踵を返す。
 振り向き見送っている暇はない。
 ミーアの負担を減らすためにも、早くあの神獣を倒す――。

「フィーナちゃん、ベレッタ、フィリップ! あいつらをできる限り集めてくれ。俺がまとめてカタをつけるっ!!」
「オーケーっ! あたしは正面行くから、フィリップは左、フィーナは右をよろしく!!」
「任せろっ!!」

 弾かれるように私達は三方へと分かれる。

「そらそらそら〜〜〜〜〜〜っっ!!」

 ベレッタが頭上で槍を振り回しながら、アンデットたちを蹴散らす。
 悠長にポーションを飲んでいる暇はない。
 ベルトから取り出したビンを槍で砕き、その雫を全身に直にあびて回復。
 そのまま一気に駆け抜ける。

511 名前: サマナの人 投稿日: 2005/10/31(月) 21:11:11 [ b6Gnz/6I ]
 私も負けてはいられない――

 左腕の、無数のポケットのついたリストバンドを一振り。
 ポケットから零れ落ちるのは、淡い光を放つ小石。
 火に対する抵抗力を付加してくれる原石だ。
 それを口で咥えて噛み砕き、さらに走る足音にペンダントの笛音を乗せ、彼らを呼ぶ。

「ケルビー、ヘッジャー!」

 二匹を呼び出し、ケルビーの背に飛び乗る。

「E'YAYAYAAAAAAAAAAA!!!」

 私を乗せたまま、ケルビーの全身が炎に包まれる。
 いつもの火輪ではなくもっと激しい、周り全てを焼き尽くすほどの炎だ。
 原石の秘めた魔力と、ロマアーマーに守られていてもなお肌にチリチリくる熱気。

 さらに別のポケットから、小さな宝石も取り出す。
 それを、自分ではなくヘッジャーへ。

「iiiiiii――――――――yahhaaaaaaAAAAAff!!」

 放たれた魔力と共に、弾かれるようにヘッジャーがアンデットたちに向かって突っ込む。
 普通、この技はヘッジャーがモンスターを弾き飛ばして終わる。

 だけど、宝石の力を受けたヘッジャーはモンスターに当たると、その場で反射し、さらに別のモンスターの方へと飛んでいく。
 まるで、部屋の中を跳ね回るボールのように、ヘッジャーが周囲のアンデットを吹き飛ばしていく。

 そして、こちらに注意が向かえば、ケルビーの炎が焼き尽くす。

 走り抜け、やがて木々が拓ける。


 私と同じく駆け抜けてきたベレッタとフィリップさんがそこで合流。
 私たちを追って、無数のアンデットたちが迫ってくる。

 そして、私たちの陰に隠れるように走ってきたアイラムさんが、アンデットたちの前へと進み出る。

「限定解除――αρεχιψ!」

 私たちには理解できない、天界の言語。
 そして、その言葉とともに、アイラムさんの姿が変化する。
 マントを跳ね上げ顕れるのは、折れた翼。

 その全身が、眩いばかりの光を纏い――

「サンクトゥス!」 

 中指と薬指のみを握り、右の掌をアンデットたちに翳す。

「アイドゥス……ペルティオー……フィグル……アレルヤ!!」

 瞬間、アンデットたちの群れの中に、巨大な十字架が浮かんだ――様な気がした。
 全身がビリビリくるような強烈な神気。

 気づけば、あれだけいたアンデットが、すべて消滅していた。

「ホーリィ・クロス……天使の持つ極大昇華術法……英雄譚には時々出てくるけど、まさかここまでなんて……」
「――ハハハ、消耗が激しいから、連発はできないけどね……」

 アイラムさんは元の人間の姿に戻り、肩で大きく息をしている。

「残りの力は、あいつ相手に取っておかなきゃいけないからね……ここから先は、また頼むよ……」
「上出来よ。これでずいぶん楽になったわ」

 ベレッタが笑う。

 確かに。
 アンデットの半分近くは村に向かったし、残っていたのもほとんどが今の一撃で消滅した。
 あとは、根源を叩くのみ。

「急ごう。早くしないと村が――」

 私の言葉にみんなが頷き、そして再び私たちは走り出した。

512 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/10/31(月) 21:29:49 [ LVW/cCFA ]
>>変な生き物さん
>さりげなくゲスト
とりあえず、勝手に使ったことについてお詫びをばorz
作中でギルドマスターの彼が、黒星続きと言っていたので今回は負けさせていただきました。
でも、アーネイト達がいたならばきっと勝てますよww

>>サマナの人さん
アイラムさん、カコイイww
ド派手にホーリークロスをぶち上げましたな。
さて、今回も単独行動を取ったミーアさん。流石に彼女でも、数でおされそうで心配です。
>スティールリリィでホームラン
あぁ、あれをリリィに使わせるには一回怒らせないといけませんよw
通常時のリリィの癇癪は300以下ですからw
ということは、ウォークライをくらった後にホームランさせてもらえます。
・・・、作者ですらくらいたくないコンボですなorz

513 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/31(月) 22:45:32 [ THF4RJlE ]
あるウィザードが残したもの
(表紙〜七頁目はpart1の970にあります)
>>22-23..   八頁目  帰路にて − 2
>>49-50..   九頁目  長い夜 − 1
>>183-187 十頁目  長い夜 − 2
>>343-344 十一頁目 長い夜 − 3
>>345-348 十二頁目 リフの過去 − 1

十三頁目 リフの過去 − 2

ブルン暦4837年、五年前の初夏の夕方。私は17歳になったばかりだった。
父は仕事の関係で出張ばかりでほぼ疎遠だった。
私はその年から二年前の春、14歳のときにアリアンの傭兵ギルドに入隊し、そこで寮生活を送っていた。
そこでは女性の志願者も多かったため、新しく女性用の寮も建てられたばかりだった。
寮での生活は楽しかった。特に寮で同じ部屋になった二人の女性と過ごす時間は今まで味わったことのないものだった。

一人は槍兵を目指すミリス、本名ミリス=レストレード。私より一歳年上だったが、それを全く意識することなく自然に打ち解けることができた。
初対面では真っ黒でサラサラとした短い髪と、男っぽい口調で芯がしっかりしているのに妙に美しい声が印象的だった。
日焼けした黒い肌がよく似合い、なんとなく熱帯の出身者ではないかというイメージを持った。
非常に前向きな性格で、彼女のように豪快かつ爽快に笑うことができる女性はそういないだろう。
そして彼女に槍の技術を教えてもらうことがなかったら、すぐにでも荷物をまとめてブリッジヘッドに追い返されていただろう。
彼女自身も槍術が上手いほうではなかったが、コツを伝授してもらうだけで防衛術はなんとかなった。
攻撃的な技術については全く駄目だったため、防衛術から距離をおいて弓術を使うという方法をとることになった。

もう一人は私自身初めて見る女性のビショップ(プリースト)だった。
自己紹介でピーストラスト=アリシア=ジュートラスと名乗ったときにセカンドネームで呼んでほしいと付け加えていたことを今でも覚えている。多分ファーストネームが変わっていることを気にしていたのだろう。
遠視だと言ってかけていた眼鏡がよく似合い、薄い茶色の長い髪は普通のビショップのように後ろで一本にまとめていた。
私と同年代だったがどこか姉のような存在で、ミリスよりもずっとしっかりしていた。
私の相談相手は彼女以外にはありえなかった。どんなことでも彼女に話せば安心できたし、適切なアドバイスもくれた。
私は彼女を信頼していたし、彼女は秘密をきちんと守ってくれた。
……もっともミリスなんかにしゃべってしまえば半日も持たずに寮中に広まってしまうことは目に見えているのだが。

血の繋がる家族ではないが、私たち三人には確かな絆があった。

もうひとつ嬉しかったことは訓練場に食堂があったことだった。
自炊などは全くできない私にとって食堂は聖域のように感じられた。自分で料理をする必要がなかったことは本当に助かった。

514 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/31(月) 22:46:03 [ THF4RJlE ]
ただし訓練だけは違った。そこでの訓練は私にとって地獄のようなものだった。

魔法弓使いとしての技術だけでなく知識も不足していた私は、その職業に物理的な力も必要とされるということを知らなかった。
魔法弓使いに限らず、全ての冒険者が必要とする『防御能力』に関係することである。
無論魔法弓使いは矢を射る力強さやその飛距離などにも物理的な力が必要だが、それは技術によってもカバーすることができる。
ところが防御能力は鎧などの質に大きく影響されてしまう。上級の防御能力の高い鎧を着用するにはより多くの力が必要となる。
鎧は冒険者の命を守るものなのだから、少しでも性能の良い鎧を着用していたいのは当然のことだろう。
魔法的な力を強めるための訓練のみを行うのだと思っていた私の考えは訓練初日に早くも叩きなおされた。
上に書いたように物理的な力が必要なこと、それ以外に弓兵や槍兵には普通の兵士よりも機敏性が必要となること、時と場面に応じて武器を槍に持ち替えて戦う戦法も身につけなければならないことなどを頭が痛くなるまで説明され、それからやっと訓練に参加することができた。
とは言ってもやはり新入り、最初は基礎的な筋力トレーニングが半年間は続き、それからやっと実践練習や精神強化などが始まった。
それからは毎日砂漠地帯の練習場で厳しい訓練が続き、心身ともに限界にまで追い込まれていた。


入隊から二年三ヶ月が経っていた。私は諸事情によりブリッジヘッドに戻り、しばし休息を楽しんでいた。
生活用品はほとんどギルドのほうで揃えてくれたが、いろいろ――細かいところまでは自分で揃える必要があった。ギルド側でもそれは考慮してくれていて、二ヶ月に一度だけ外出が許されていた。もちろんギルド内の情報を洩らすような者には制限がなされているが。
そして少し厄介なことに、外出時は必ず二人以上で行動することになっていた。
いつもは三人で外出していたのだが、そのときアリシアは体調不良で寝込んでいたためミリスと二人で外出することになった。
実際は規則を破ることに関して非常に厳しい彼女がいなかったお陰で特に生活用品はないブリッジヘッドまで立ち寄ることができたのだが。
一緒に行動しているかどうかまでは監視されないため、途中で別行動をとってもばれることはないはずだが、このギルドは上が抜け目ないので油断できない。しかし口実ならいくらでも作れるため、私たちは安心してブリッジヘッドに行くことができた。
化粧品等の買い込みを終えた後、少しだけ自分の家を見たくなったとだけ言い、怪しげな雰囲気を漂わせている商人の売っている良質のセッティングリングに夢中になっているミリスを残して家に戻った。
特に家を見たかったわけでもなかった。ただ、何故か一人でいたかったのだ。
私は孤独感に浸りたいときにいつも通っていた埠頭へと向かった。

515 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/31(月) 22:46:33 [ THF4RJlE ]
だがそこには先客がいた。
忘れるはずもない、あの見ているだけで苛立ちを感じるシーフギルドのコスチュームに身を包んだ男。シーフは一人で埠頭に座っていた。
シーフは私が見ているのに気がつくとすぐに立ち上がり、何故かこっちへ向かってくる。
弓を持って身構えようとしたが、腕を背中に回す一瞬でシーフの姿が消えた。
ほんの一秒足らずの気の迷い、それが反省点。次の場面の私はシーフに背後をとられ、首に短剣を突きつけられていた。
ここまで不利な状況では仕方が無い。私は素直に抵抗を諦めた。
「どうするつもりなの?」
小声で尋ねてみるが、返事をしてはくれなかった。その代わり首に突きつけられていた短剣が視界から消えていった。
疑問を感じて振り向いた。その先には困ったような笑顔があった。
「また俺を探しにきた奴かと思ったんだよ。驚かせて悪かったな。」
本気で謝っているようには見えない笑顔に一発食らわせてやろうかと思ったが、再び争いになると厄介なので引き下がった。

「君、ここのシーフギルドのシーフでしょ?探しにきたってどういうこと?」
とりあえず友好的に質問をしてみる。するとシーフはさも面倒そうに頭をかき、少し眉を吊り上げて不快そうに
「何で見ず知らずの女に説明しなきゃならないんだよ。」と言い放った。
しかしそれを言うが早いか、背中に背負っていた短い槍を持ち替えてシーフに向けた。
「そう、それは残念ね。でもそれと命とどっちが重要かは判断ができるでしょ?」
わざと妙に甘ったるい声を出して脅すと、シーフはたじろぎながら後退した。
逃がさない。既にこのシーフに並々ならぬ興味を抱いてしまっていた。…もしかすると姉の行方に係る情報が手に入るかもしれない。
力以上に一生懸命磨き、ランサーに劣らないくらい自信のある敏捷性――それを最大限に使い、完璧にシーフの後ろを取った。

シーフは埠頭の先まで後退したが、ついに追い詰めた。近くに人通りはない。
日は少し西に傾いたが、空はまだ青々としていた。潮風を正面から受けながら久しぶりの故郷を体で味わっていた。
「わかった、わかったよ!……なんてしつこい女だ。(ボソリ)」
とうとうシーフはそう言い、胡坐をかいて座り込んだ。後半部分も聞こえたので、わき腹を槍の柄で突いてやった。
(そのときは苦しみに呻いていたが)油断がならない奴なので、とりあえず立ったまま聞くことにした。


そう、彼こそがリベル=フリードである。
専らブリッジヘッド住民の監視役なのだが、そんなことをやっていても意味が無いと考えいつもサボっているらしい。
こんな役立たずを引き受けておくほど余裕があるギルドのようだ。
とりあえずその能天気からギルドのことをいろいろ話してもらったが、これといって重要な話題はなかった。姉については、ギルドに入る前に起こった事件なのでなにも聞き出せなかった。
私はそのときから――このシーフに惹かれていたが、自分ではその気持ちに気づいていなかった。

516 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/31(月) 22:47:00 [ THF4RJlE ]

そのことに気づいたのは二ヵ月後だった。
私は家の掃除という名目で二人をブリッジヘッドまで付き合わせてしまったものの、そこから足が自然に埠頭へと進んでいってしまった。
二ヶ月前と同じく、彼はそこにいた。この前と違ったところはただひとつ、気持ちよさそうに昼寝をしていたことだけだ。
まずは優しく、次は少し強めに、最後は思いっきりたたき起こした。彼は相当驚いたようだったが、私が質問すると快く答えた。
ギルドについて聞き出しながらもほとんど上の空で、今まで味わったことのない感情を噛みしめていた。
それから(私には予想外の出来事だったが)自分たちの身の上を話し合うことができた。
もともとアリアンの有名な貴族の出身で、9歳のときに深い事情があって勘当されてしまったらしい。
その一家はある事件により両親が亡くなり、彼より三つ下の弟は知り合いのブルンネンシュティグの貴族に預けられたということだ。
弟ばかり可愛がる両親が大嫌いで、唯一その弟は彼の味方をしていてくれていた。
弟とは勘当されたとき以来会っていなくて、彼自身は非常に会いたがっていた。
今となってはその願いも叶わぬものとなってしまったが……。

長く話し込んだせいでミリスとアリシア、そして帰りが夜遅くになってしまったことで教官どもにこっ酷く絞られたのは言うまでもないだろう。


更に嬉しかったのはその二ヵ月後だった。砂漠の炎の旅館前に彼が座っていたのだ。
私はいつもの二人と一緒にいたが、今回はブリッジヘッドまで行くことを許してはくれなかっただけに彼に会ったときは驚いた。
そこからは四人でいろいろ話して歩いたが、ブルンネンシュティグの料理店で昼食を終えると何故かミリスとアリシアが「買い物がある」と先に行ってしまった。そのおかげで彼と二人で話すことができた。
たっぷり三時間はそこにいたが、やっと二人が帰ってきたので店を出た。彼と私たちはその場で別れた。
一応二人には彼の話をしていなかったのだが、帰り道で質問攻めにあったときにそれを後悔した。

それから外出時には毎回彼が旅館前で待っていてくれ、私と二人はその場で別行動を取るという形になってしまった。
彼との交流はだんだんと深まっていき、私の心の中の『何か』も大きくなっていった……。


何故今日に限って彼に会いたくなったのだろう。
今日は普通の訓練の日だったが仮病で医務室へ行き、ダミーを残して脱走した。今までに一度だってしたことのないことだった。
彼に会えても会えなくても、重い罰則を受けることに代わりはない。あと一ヶ月近くも待つのは耐えられなかった。
結局その判断のせいで彼の最後を見届けることになったのだが、果たしてそれは正解だったのかどうかはいつかわかることだろう。
そして今やたった一人だけ確実に存在する肉親だった父親を失ったことは、私の心に深く大きな傷を残していった。

517 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/10/31(月) 22:47:33 [ THF4RJlE ]
今回は『読みやすい長文』を目指してみましたが、どうも変わっていないようですね……。

ダラダラとグダグダな展開を書いてしまい申し訳ありません。そろそろ卒業する予定です。
思えばまともな戦闘はなかったりもしますが、もう出します。多分出します。近々出します。
予定では次の次の次くらいに……出ると思います。('A`)ハァ…..
いつもながら感想は(ry)でお願いしますorz

518 名前: コボルトのマント 投稿日: 2005/10/31(月) 23:34:15 [ obmkF0B2 ]
やっと続編が掛けました…(相変わらずヘボい小説ですが
もうやっちまった感が溢れ出てますが大目に見てやってください。

>>485 一章
―バインダーの怨念―

はっと気付くと、長い時間私は立ち止まって居たようだ。
まだ道は遠く、そろそろ日も暮れ始めるところだった。
私は歩を早め、地下墓地へ急いだ。

墓地に一歩踏み込んだだけで、私の周りには黴臭い空気が纏わり付いた。
まるでこの墓地に入る者に踏み止まらせる様な空気だった。
だが、誰がなんとどう言おうと、引き受けた依頼はやり遂げなければならない。
ずんずんと奥へ歩を進める。
松明がパチパチと爆ぜている音が耳に入るが、墓地の中は広く松明の光だけでは到底照らしきれないようだ。
薄暗い道を慎重に、急いで進む。
しかし、予想通りすんなりと通してくれる筈もなく、一匹のリザードが道の真ん中で警邏を行っているようだ。
仕方が無いので、そのリザードを倒す事に決めた。
緑の鱗が松明の炎を反射し、ギラギラを光る。
気配を悟られないように慎重に近寄ると、一撃で仕留めるように心臓目掛けて槍で突く!
鎧の隙間から確実に外傷を与え、リザードはどさり、と体を血に染めて地に伏せた。
ぴくりとも動かぬ事に確認して、私はまた、先のように慎重に進んだ。

曲がりくねった道を道なりに進むと、頭の中で地図を描く。
今まで通った道は、ある一定の広さをぐるりと一周するような形で作られている。
その敷地の真ん中には、暗くて視にくいが、何が大きな島のような場所があった。
そこに私の目標であるバインダーが居るのだろうか…………
あの生前多大なる呪いを買った者の屍が……今も歩き、自分を狩ろうとする者を切り刻んでいるのだろうか…………
そう思うと、幾ら一応の数の戦闘を行ってきたにしても、自信が無くなる。

「私は何人もの冒険者に依頼したが、今だかつて彼に安息を与えた者はいないのだ」
依頼主――フローテックさんの言葉が頭の中で繰り返される。
そう、安息を与えた者はいない……
それがどういう事かくらいは解っている。
死んでいるのだ……バインダーを鎮めようとした者は……それも一人や二人ではない。
全員なのだ……
何故全員なのだろうか………
今まで彼が依頼した人数は解らないが、決して少ない数ではない事は解る。
まさかコボルトのマント集めのように、まだ若い未熟な冒険者達に任せた訳でもあるまい……
ならば……何故?

無限にループする疑問を、半ば強制的に終らせる。
頭をぶんぶんと犬のように必死に振り、馬鹿げた疑問を頭から吹き飛ばす。
今はただ、目前に迫っているであろうバインダーに安息を……
ただそれだけを心いっぱいに押し込めて、あの島への「道」を進む。
さながら、生贄が、祭壇で今から行われる殺戮に恐怖を心をいっぱいにして進む渡り廊下を。

渡り廊下を進んだ生贄は、何を見たのか。私には答えを当てる事はできないだろう。
しかし、あの島に踏み込んだ私と、祭壇に祭られた生贄の心は同じだ。
「恐怖」でいっぱいだった筈だ。
私は確かにそこで「見た」のだ……
いや、「感じた」のだ。
あの呪いを受けたバインダーの姿。
薄暗い中でも、一目見れば解る程の憎悪のオーラが………
おぞましい程の憎悪のオーラを纏ったバインダー。
その甲冑には、今まで殺してきたであろう冒険者達の血が付着し、乾いて茶褐色に変色していた。
それを見た私は、本当の恐怖を味わい、いまさらこの依頼を受けた事を悔やんだ。
アレは異常だ! 今まで戦ってきたモンスターとは桁が違うのだ!
今までのモンスターは、闘争本能のままぶつかってきた。
仮に、憎悪を抱いたモンスターと戦ったとしても、あれ程の憎悪を持ったモンスターは居なかっただろう。
もはやあの異常な程の憎悪を持ったモノはモスターではない。
文字通り「化物」だ!
私の身体はぶるぶると震え始めた。
手も震え、しっかりと槍が構えられなくなる。
これほどの化物を私にどうしろと言うのだ!

そう思い依頼を投げ出そうとした時、一つの色が思い出される。
その色は、あの私に依頼を頼んでいた時のフローテックさんの瞳の色だった。
諦めと、懇願と、二つの色がぐちゃぐちゃになって混ざった色。
あの色は本当に諦めているのか……
諦めではなく悲観なのではないのか、懇願ではなく希望だったではないのか……
私の心ははぐちゃぐちゃになって何も解らなくなってきた。

その時であった。
目線の先にあったバインダーが動き始めたのだ。
私は、相手に悟れないようにそっと物陰へと身を潜めようとした。
と、足を動かそうとした時、私のつま先が足元にあった小石を蹴り転がしてしまったのだ。
カララッ………

519 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/10/31(月) 23:34:36 [ HMNxgy2w ]
ブルネンシュティグに雪が降る。
しんしんと、冷たく降り続ける。
「今年もついに雪が降り始めたでごわすか。」
寝巻姿のビショップが窓を眺めながらつぶやく。
部屋の中には大きいこたつがあり、中でWIZと狼が鼾をかきながら眠っている。それを見たシーフが二人の寝顔を覗き込む。
「しかし間抜けな寝顔だよな〜。暗殺したくなるぜ。」
にやにやしながらシーフがWIZの喉元に短刀を突き立てる。
それを気の弱そうな剣士があわてて制止する。
「いい加減やめなさいよ…やりすぎだよ?」
シーフは不満そうな顔で一言発する。
「うるせー馬鹿。」
ここまではただの一家団欒の光景であった。
次の瞬間、噴水の方から物凄い爆発音が生じ、一斉に家中のガラスが割れる。
ガラスの近くにいたビショップは割れたガラスの破片が顔に直撃し、苦悶の表情を浮かべる。
「ハテナ!」
剣士が駆け寄るが、ビショップは即座に自己治癒を施し、ぱらぱらと顔からガラスの破片が落ちてゆく。
「わ、わしはだいじょうぶでごわす。それよりなにが起こったでごわすか?」
さきほどの爆発で古都は騒然となっている。
と、窓から見える目の前の路上に大型のMOBが姿をあらわす。
「緊急事態だ!ナンバー一家出動!」
剣士の一声で皆が戦闘装備に着替える。
皆の準備が整ったところで威勢よく窓から飛び出す。
そして着地した勢いのまま盾を突き出し手近のMOBに突撃する。
「このMOBは…コロッサスか?」
姿や体長はコロッサスなのだが、真っ白な胴体だ。
「ナンバーズ!ぼさっとしてないで早く片付けるでごわす!」
ビショップが剣士をジャンプで飛び越し、頭部を鈍器で思いっきり殴り付ける。
ズ、ズズゥン…
地響きを立ててMOBが崩れ落ちる。
周りを見回すが真っ白いコロッサスで古都がうめつくされている。
「いったいどこから沸いてきたんだぉ(^ω^;)」
ふと壊れた噴水に目をやると一人の剣士がうずくまる女性と子供をかばいながらコロッサスと応戦している。
「む!あいつはこの前の秘密で同行した剣士でごわすな!」
と、援護に行こうとした瞬間、コロッサスの体がばらばらに切り裂かれる。
と、戦輪を手にしたシーフが民家の屋根の上から表れる。

520 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:26:10 [ b6Gnz/6I ]
さて、書きあがったので一気に投下します。
大変長らくおまたせしました。
ヘタレモード驀進中のハイネさんのパートです(ノ>ヮ<)ノ♪

>ハイネ=シュバルツバルト

「な、なあ……村は大丈夫なんだよな」

 酒場の親父が取り乱しまくった表情でさっきから何度も聞いてくる。
 そのたびに俺は、適当に返事を返す。


 魔法の使えない魔術師。
 出来損ない。
 一族の面汚し。

 俺の家は、スマグでも有数の魔術師の家系だった。

 俺には10歳ほど上の兄貴がいて、そいつはまさに、親父たちが誇るほどの大魔術師だった。
 物心つくころには火の玉を産み出し、15の頃にはすでに第四位階の魔術を行使するまでに成長していた。

 まさに兄貴は、親父たちの誇りだった。


 対して俺は、完全な落ちこぼれ。
 ようやく火の玉を産み出せたのは12になってから。
 そして、そこから先は簡易詠唱ができるようになっただけで、第五位階の隕石召還術はおろか、第二位階の火炎球すら行使することはできなかった。

 まだ、その頃はよかったんだ。
 皆が俺を無視した。
 食事だけは一応与えられたが、けれど親父もお袋も、俺の存在なんて端から無視していた。
 ただ、兄貴だけが時折、哀れみようなの目つきで俺を見つめていた。

 そんな時だ。
 レッドアイの残党とか言うやつらが、スマグを襲った。
 その時の戦闘で、兄貴が死んだ。

 それからだ。
 親父は、ことあるごとに俺を殴った。

 何故、あいつが死ななければならなかったのか。
 何故、お前が代わりに死ななかったのか。
 何故、優秀なあいつが死んで、出来損ないのお前が生きているのか。


 親父は、当り散らすかのように俺に向かって魔法を唱えてきた。

 どうした、詠唱をしてみろ。
 あいつなら、12歳のときにできたことだぞ。
 無理ならばせめて、治癒術でも使って見せろ。
 あいつなら、杖なしでも使えた術だ。

 けれど俺は、結局なんの魔法も使うことができず、ただボロ屑のようになって呻く事しかできなかった。

 お袋は、そんな親父を止めもしなかった。
 あの日、兄貴が死んだあの日以来、心を壊し、夢の中を彷徨うだけ。

 そしてある日、発作的に街を飛び出し、ヘムクロスの絶壁の下で、潰れたトマトみたいになって見つかった。


 お袋の葬式の日。
 親父や親戚連中がその準備で忙しくしている間に。

 俺は、スマグを逃げ出した。


 それからは、まあ……とにかく何でもやった。
 クエストをこなすパーティにもぐりこみ、仕事をしている振りをして報酬だけもらったり、旅の途中で力尽きた冒険者の懐をあさったり。

 もちろん、魔術の勉強を忘れていたわけじゃない。
 けれど、どんなに知識を溜め込んでも、結局俺は魔法を使うことはできなかった。

521 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:26:30 [ b6Gnz/6I ]
「ん……何だ、外が騒がしいな?」

 おっさんが不意に言った言葉に、俺は物思いから引き戻される。
 確かに、けたたましく鳴らされる鐘の音が、村中に響き渡っている。

 そして、息を切らせた村人――ジョージが、食堂に走りこんでくる。

「た、大変だ――。モンスターが、ゾンビの群れが、村に向かってきてる!!」
「な、何だって!? あの冒険者たちはどうしたんだ?」
「さっき、メイドの人だけ帰ってきて、今の話を伝えてくれたんだ。他の冒険者は、元凶を止めるって森の中に――」

 そこで、二人の視線が俺に向く。

「なあ、あんた大魔術師って言ってたよな。頼む、何とかしてくれよっ」

 おっさんが俺に縋り付く。
 無茶を言うなよ。
 俺みたいな出来損ないが、モンスターと正面きって戦うなんてできるわけないだろう?

 だけど、正直に言って収まるような場面じゃない。
 だから俺は、できる限り冷静に、

「あのメイドは何か言ってたか? 今どこにいる?」
「皆を集めて、穀物倉庫に隠れてろって……あの人は、一人で正門でモンスターを迎え撃つ準備を――」

 なるほど。
 俺は必死で頭を働かせる。
 とにかく、生き延びるために必死で知恵を絞る。

「よし、お前らは言われた通り、倉庫に隠れるんだ。いいか、誰か家の中に残っていたりしないようにな。必ず、全員で隠れるんだぞ」

 あのメイドも、そして他の連中もかなりの熟練者だ。
 きっと、あの化け物だって倒せるだろう。
 そして穀物倉庫のような頑丈なところに隠れていれば、ゾンビどもが来ても、ある程度なら耐えられる。
 たぶん、あいつらがあの化け物を倒すくらいは保つ――はずだ。
 もし保たなくても俺の知ったことじゃないが……

「あ、あんたはどうするんだ!?」
「もちろん、戦うに決まってるだろ」

 決まっているはずがない。
 あのメイドが時間を稼いでいる間に、村人たちが倉庫に隠れている間に――逃げる。

 古都に帰って、また何事もなかったかのように前の暮らしに戻ればいい。
 そう、元通りだ……

「ほら、早く行けよっ!」

 俺が逃げる時間がなくなるからな。
 けれど、あいつらは俺の言葉を本気で受け取ったように、

「わ、わかった」

 そう答えて必死で逃げていく。
 それから俺は、すぐにでも逃げ出したい気持ちをこらえ、ゆっくりと待つ。
 村人全員が避難し、俺を見つける心配がなくなるのを。

522 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:26:50 [ b6Gnz/6I ]
 そしてしばしの時間が過ぎて――

「……いくか」

 ゆっくりと、食堂の外に出る。
 村からは人の気配が無くなっていた。

 無人の建物を、満月と、あのメイドが灯したのだろうか、無数の篝火が照らしている。

 さあ、とっととこんなところ、おさらばしよう。
 そう思ったときだ。

「あ、あの――魔術師様っ!」

 呼び止められ、俺は心臓が止まるかのような思いだった。
 振り向けば、一人の女性がいた。

「あの、娘を、娘を見ませんでしたか? 避難した後、ヒューイがいないって家に戻ってしまったようで――でも、探してもいないんですっ!」

 ヒューイ……あのガキの抱いてたぬいぐるみがそんな名前だったか?
 ってことは、あのガキが行方不明……?

 ……いや、俺様には関係ねぇことだ。

「よし、俺が探してくる。あんたは早く戻ってろ。それに、ひょっとすると先に倉庫に戻ってるかもしれないぜ」

 また、ぺらぺらと嘘が出る。
 無論探す気なんてないし、ガキが倉庫に戻ってる可能性だって低いだろう。
 いつの間にか、低いうなり声が近づいている。
 アンデットどもがすぐ近くまで来ているんだろう。

 早く逃げないと、俺の身がヤバイ。

「わかりました。どうか、どうか娘をお願いします」

 ガキの母親は、何度もこちらを気にするように振り向きながら走り去る。
 くだらないことで時間を無駄にしちまった。
 とにかく、早く逃げねぇと。

 それはわかっているはずだってのに――

「何で俺は、あのガキを探してるんだ……?」

 そう。
 気がつくと、俺は村の出口ではなく、中心の広場のほうへ走っていた。

 そして、そこには――

「パパ……?」

 あのガキと。

「――――」

 虚ろな光を目に宿した、男の死体。


 モンスターってのは、基本的に目に入った標的を追い始める。
 つまり、誰かを狙っているモンスターってのは、こちらから手を出さない限り、安全なんだ。

 あの死体はガキを狙っている。
 だから、そばを通り過ぎても俺を狙うことはないだろう。

 あそこを突っ切って、とっとと逃げればいい。

523 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:27:12 [ b6Gnz/6I ]
「パパぁ……っ!」

 ガキが父親を呼ぶ。
 ゾンビと化した死体は、ただ虚ろな視線でガキの方を見つめながら、しかしゆっくりとガキの方に歩いていく。

 それは一見、ガキの呼び声に答えているようにも見える。

 だが、ゾンビに意思はない。
 ただあるのは食欲と、生けるものへの憎悪。
 たとえ相手が恋人でも、子供でも、そんなことは腐り果てた本能には関係ない。

 馬鹿なことを考えるな。
 ここであのガキを助けたって、俺には何の特にもならない。

 考えても見ろ。魔法が使えない魔法使いに何ができる?
 一緒におっ死ぬのがオチだ。
 つまりは無駄死に。

 だけど、ここであのガキを見捨てれば、俺は助かる。
 生き延びられる。
 死なずにすむ。

 兄貴のように――死なずにすむ。

 兄貴のように――?


――俺は誇り高きスマグの魔術師だ。故郷を守るのは当然だろう?
――優秀なものには義務が付随するんだ。他者を守るという、当然の義務がな。

 は、馬鹿らしい。
 義務? 誇り?
 そんなもの、死んだら何にもならない。

 現に兄貴はレッドアイの残党どもに一人立ち向かい――そして死んだ。
 レッドアイの残党を追い払ったのは兄貴ではなく、その後やってきたブルンの傭兵たちだ。
 つまり、兄貴は何もしていない。
 はっきり言って無駄死にだ。

 そんなもののために命を懸けるなんて、馬鹿げてる。

 俺は兄貴のようにはならないって決めたんだ。
 だってそうだろう?
 死んだら、何も残りゃしない。

 だけど――

「パパ、ユーナだよ。パパ、パパっ!」

 ガキが――あの子が必死で呼びかけている。
 そんなことをしても無駄だって言うのに。
 死んだらただの物体だ。
 そこに意思なんて残らない。

「ほら、パパがお土産に買ってくれたヒューイだよ。パパがお仕事行ってるとき、寂しかったけど、ヒューイが一緒だったからユーナ泣かなかったよ。いい子にしてたよ。もうすぐパパのお誕生日だから、プレゼントだって――」

 そこで言葉がとまる。
 あの子の父親へのプレゼント。
 それは、俺のコートに突っ込まれている。

 不器用で不恰好だけど、心のこもったプレゼント。

 だが、必死で訴えかけるあの子の声も、死体となった父親には届かない。

「パパ、パパ……パパっ」

 必死で呼びながら、あの子が父親だったものに近づいていく。
 けれどそれは、ゾンビの食欲を刺激するだけの行動。

 そして、ゾンビとなった父親が腕を振り上げ――

524 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:28:08 [ b6Gnz/6I ]
「いい加減にしろよ、この糞野郎――っ!」

 ああ。
 俺は――何をしてるんだ?

 虚ろな目が、こちらを見つめている。
 そう。もはやゾンビの目はあの子を見てはいない。
 攻撃を受けたモンスターは、その相手を対象へと変える。
 そして、それまでの対象に目を向けることはない。

 ゾンビの背には、小さな――本当に小さな焦げ跡。
 俺の放ったチャチなファイアーボルトの命中痕。

 だから、もうあの子は安全だ――

「早く逃げろ! 正門の方に行けば、変なメイド女がいるはずだ。そいつなら助けてくれる!!」

 言いながら炎を放つ。
 撃ったこちらが心細くなるような小さな炎は、それでもなんとか死体に命中し、わずかな焦げ目をつける。

 だが、それだけだ。
 怯むことなく近づいてきたゾンビが、その腕を振り下ろす。

――ばきり

 受け止めようとした杖があっさりとへし折られる。
 俺は耐え切れず無様に尻餅をついた。

 次いで、ゾンビがもう片方の腕を振るう。
 なんとか立ち上がろうとした瞬間に横殴りの一撃を喰らい、俺はまるで石ころのようにごろごろと地面を転がった。

 はは、無様なもんだな。
 たった二発でこのザマだ。

 ああ、ここで終わりか。
 やっぱ、俺みたいな出来損ないには無理だったんだ。

 全身がひりひりと痛む。
 受け止めたときに痛めたのか、右手の感覚はない。
 そして、ゾンビはもう動かなくなった獲物――要するに俺だ――めがけ、ゆっくりと歩いてくる。
 だけど、死が目の前にあるのに、不思議と心は穏やかだった。

 何故だろう、と考える。
 一文にもならないことに命を投げ出したのに。

 ふと、コートのポケットに硬いものを感じる。
 何とか動く左手で取り出してみれば、それは、あの子の作った手作りの勲章だ。

 はは、なんだ。もうとっくに前払いで報酬は貰ってたわけだ。
 じゃあ、一度くらい、真面目にクエストをこなさなきゃな。

 さあ、とっとと逃げろ。
 そしてあのメイドに助けてもらえ。
 俺が時間を稼いでいる隙に。

 ゾンビの牙が、肩に突き刺さる。
 痛い、というより、何かが強く押し当てられる感じ。
 続いて、熱さ。
 痛みはその後に来た。

 貪り食われる。
 生きたまま。
 激痛が何度も走り、意識が遠くなりかけては――痛みによってまた覚醒する。
 けれど、喰われながら俺の意識は別なところにあった。

 あの子は逃げられただろうか?
 うまくメイドが見つけてくれればいいが……

 そう思って、ふと視線をやる。

 そこには、あの子が呆然と立ちすくんでいた。

 馬鹿が……なんで逃げない!?
 もし、俺がここで死んだら、このゾンビは今度はあの子を標的にするだろう。

 この俺様が、せっかく自分を犠牲にして助けようと思ったんだぞ。
 なのに、お前がそこにいちゃ、まるっきり無駄死にじゃねぇか――


 いや、俺が死ぬことはもうかまわない。
 だけど、あいつだけは死なせたくない。
 あれだけ父親を大事に思ってた子が、その父親に食い殺されるなんて、そんなの……そんなのねぇだろ!?

 なあ、神様とやら。
 今まで神になんて祈ったことのない俺だけど、今だけは願う。
 俺はもう助からねぇ。
 助からなくてもいい。

 だけど、あいつは――あの子だけは、何とかして助けてやってくれ――

「ご、ふ――」

 口から血が溢れる。
 なにか、大切なものが抜け出してしまったような感覚。

 目の前が霞んでくる。
 助けは来ない。
 俺が死んで、あの子も喰われる。

 泣きながら、悲しみながら、絶望しながら――

「許せねぇ……」

 怒りが沸く。

 逃げろといっても逃げなかったあの子に。
 実の娘を殺そうとしていることすらわからないこの父親に。
 偉そうなことを言いながら、助けひとつよこさない神様とやらに。

 そして何より、力のない俺自身に――!

「あ――」

 そして、「それ」が目に入った。
 天に浮かぶ、丸い月。
 欠けることのない、満月。

「ォ……」

 声が漏れる。

 体が熱い。
 まるで、体の中でファイアーボルトが何度も何度も破裂しているかのように。

525 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:29:21 [ b6Gnz/6I ]
 痛みは、いつの間にか消えていた。
 力なく垂れ下がっていた腕に、力が戻る。
 そして俺は、拳を握り――

「いつまでくっついているつもりだ? ……俺に男を抱く趣味はねぇっ!」

 力任せに弾き飛ばす。
 ゾンビは無様に吹っ飛び、数ヤードを飛んで地面に倒れる。

 この力、そしてこの姿は……

「わんちゃん……?」
「狼だ、狼っ!」

 まったくかわいくないガキだ。
 だが、そう。

 俺の体は、いつしか濃い体毛に覆われていた。
 感覚が研ぎ澄まされる。

 さっきまで薄暗かった景色が、今は真昼のようにくっきり見える。
 遠くの森で鳴くふくろうの声。
 村の地下を流れる地下水脈の音。

 今までは感じられなかったさまざまな事柄が、一気に流れ込んでくる。

 ウルフマン。
 スマグの魔術師に一定で生まれるといわれる、獣化体質所持者。
 まさか、俺がその体質の持ち主だったなんてな。

 月光の下において、ウルフマンは高い再生能力を持つ。
 あれだけあった痛みも怪我も、全て治癒している。


 今なら分かる気がする。
 さっき、喰われながら思ったこと。

 例え自分が死んでも、託せる誰かがいるということ。
 俺はさっき、あのメイドにあの子を託そうとした。

 きっと兄貴も同じだったんだろう。
 仲間が居たから。

 仲間が必ず、助けに来てくれると、後を任せられると信じていたから。
 だから、兄貴は命を懸けて時間を稼いだんだ。

 そして、スマグは助かった。
 兄貴が時間を稼いだおかげで間に合った冒険者たちによって。

 兄貴は……兄貴の死は、無駄なんかじゃなかった。

 それは祈り。それは願い。

 例え自らの命が消え果るとしても、それでも誰かを守りたいという強い想い。


 なら、俺にだって――

「おいガキ……じゃねぇ、ユーナ!」

 俺は呼びかける。

「お前の父親は――優しかったか?」
「ぇ……あ、うん」
「お前の父親は――温かかったか?」
「う、うん」
「お前の父親は――お前を愛してくれたか?」
「うんっ」
「お前の父親は――お前を大切にしてくれたか?」
「うんっ!」
「じゃあ――」

 ゾンビが立ち上がる。
 もう優しくも、温かくもなく、愛しても大切にしてもくれない、物言わぬ屍が。

「じゃあ、あそこにいる、お前を殺そうとしたあれはもう、断じてお前の父親なんかじゃないよな?」

 ユーナの顔がくしゃくしゃに歪み、ヒューイを力の限り抱きしめる。
 辛い質問だろう。
 だけど、あいつは――

「う……うんっ! お願いお兄ちゃん――あいつを、やっつけてっ!!」
「ああ、俺様に任せろっ!!」

 振り下ろされる腕は、しかし今の俺にとってははっきりと捉えられるほどの速度でしかない。
 交差させた腕で受け止め、左腕で大きく払う。
 そして、がら空きの胴に、鋭く変化した爪の一撃を叩き込む!

 だが、相手は痛覚の無い死体。
 並みの相手なら衝撃で仰け反る程の打撃を受けながら、けれど貫かれたまま腕を振り上げる。

「だったら、動かなくなるまで殴るだけだっ!」
 今度は左腕に魔力を込め横殴りに振るう。
 続けて右。
 さらに左。
 また右。
 左。
 右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左右左…………!

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッッ!」

 最後に、わずかに身をかがめ、そこから弾けるように肩口からの体当たり。

 息の洩れるような、悲鳴のような声を上げ、ゾンビがぶっ飛ぶ。
 だが、逃がさねぇ――

「オラァッ!」

 その体を追うように跳躍。
 宙に浮いたその体に組んだ両拳を叩きつける。
 グシャリ。
 嫌な音を立てて、その体が地面に叩きつけられ、体液が飛び散る。

 ユーナにとっては眼を背けたい光景だろう。
 だけど、俺は手加減をしなかった。

 さあ、眼に焼き付けろ。
 かつて父親だったものの死を。
 けれど、潰されず越えていけ。
 俺の親父やお袋のように、死から眼をそむけ、逃避する事などないように。
 そして抱きしめろ。
 父親との思い出を。温もりを。大切に心にしまって。

 俺がようやく、兄貴の事を認められたように――

526 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/01(火) 00:29:44 [ b6Gnz/6I ]
「これで、終わりにする――!」

 もはや地面でのた打ち回るゾンビを掴みあげ、右手をかざす。
 そして、その腕が炎を纏った。
 かつて、いくら念じても生まれる事の無かった炎が、煌々とこの腕で燃え盛る。

「燃えて、燃えて、硝え尽きろぉぉぉぉぉ――――っ!!」

 魔法の炎を宿した爪は、ゾンビを両断し、そのまま灰すら残さず焼き尽くす。

「……ひぅっ…………」

 ユーナが静かにしゃくりあげる。
 できれば、ゆっくりと父親との別れをさせてやりたいが、今の騒ぎを聞きつけたのだろうか。段々とモンスターの気配が濃くなってきやがる。

「ユーナ、乗れ。母親のところに連れてってやる」

 そう言って乗りやすいようにかがんでやる。
 しかし、ユーナは口をへの字に曲げ、

「……だっこ」
「は?」
「……おんぶじゃなくて、だっこ。お姫様みたいなやつ」

 おいおいおいおいおい。
 どこでそんな言葉覚えたんだ、このガキはっ。
 まあ……

「わぁーったよ。そら、ヒューイ落とさないよう、しっかり抱いてろよ?」

 その体を抱き上げる。
 軽いな。
 だけど、重い。

 それは命の重さ。
 俺がなんとか守り通せた命の質量だ。

「あ、そうだ――」

 ユーナを抱きかかえ、走りだしてふと思い出す。

「ユーナ。これ、かけてくれ。今両手が塞がってるからな」

 ロングコートのポケットにしまったままの、手作りの勲章。
 だが、今の俺にとってこれは、鳳凰章以上に価値のある宝物だ。

「あ――うんっ」

 ユーナの声がわずかに明るくなる。
 毛むくじゃらになり、さらには元の数倍近く太くなっている俺の首に、ユーナが懸命に手を回し、勲章を付けようとする……いや、もう付け終わったのか?
 俺の胸で手作りの勲章が揺れているにもかかわらず、ユーナは俺の首に回した腕を放そうとしない。

「どうした?」
「ふわふわ……ヒューイみたい」
「おいおい、俺はぬいぐるみか?」
「ん〜」

 苦笑しながら言うと、ユーナはぎゅっとしがみついてくる。
 俺とユーナの間で、サンドイッチにされたヒューイがわずかに潰れてる。

 甘えているのか、と思ったが、俺の胸に顔をくっつけたままのユーナは、小さく震えている。

 ……泣いてるのか。

 まったく、しょうがねぇな。
 けど、まあ多めに見てやるか。
 

 そして、俺達は倉庫の近くまでやってきた。
 今のところはモンスターには遭ってないが……

 村の入り口のほうで、連続した破壊音。
 そして、正面以外の方向からも無数の足音が響いてくる。

 まあ、相手は礼儀正しいお客さんとは程遠いからな。バカ丁寧に正面からやってくるとは限らない。
 うちいくつかは……かなり近いな。

「さあ、早く行きな。俺様が近づいたら、みんなビビっちまうだろうからな」

 その小さな体が倉庫に消えていくのを見届け、俺は向き直る。
 そこには、生命の気配に惹かれるように集まってきた無数の死者たち。

「おっと、こっから先は通行止めだぜ」

 ははは。ちょっと前の俺なら、思わず回れ右して逃げたくなるほどの数のアンデット。
 いや、ウルフマンと化した今の俺でも、苦戦は免れないだろう。

 けれど、何故だろう。
 不思議と――


 負ける気が、しない!!


「来いよ、腐れ野郎ども。大魔術師改め、ワイルドウルフのハイネ様が相手になってやるぜ――っっ!!」

527 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/01(火) 00:49:16 [ DXXt3lTo ]
>>サマナの人さん
ハイネキタ━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━!!
ハイネファンのともぴとしては最高に楽しく読ませていただきました。
俺の予想ではハイネはなにかのきっかけで
すごい魔法が使えるようになると思っていたのですが・・・

そっちかー!ウルフマンですか( ´∀`)
やられましたぜ、まったく先の読めないハイネさんでした。

オラオラやってるしw

ところで、
ハイネの兄貴はハイネの本当の力に気がついていたのでしょうか?

528 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/01(火) 01:25:04 [ LVW/cCFA ]
>>501
午後1時、ようやく彼がやってきたようです。
(これは、純粋な試合なんですから余計な考えは捨てなさい、リリス。)
そんなことを自分に言いつける私。心構えさえちゃんと出来ていれば、彼に対する妙な気持ちもなりをひそめるはずですわ。
そうして私は、こっちに向かって歩いてくる彼の姿をしっかりと見据ました。
「とうちゃ〜くっと。時間には遅れてないよな、リリィ?」
「えぇ、そうですわね。逃げなかったことに関しましてわ、正直驚きですわ。」
いつもの調子で私に話しかけてくるギル。そんな彼に対して、ちょっときつめの受け答えをする私。
「では、試合のルールを説明させてもらいますわ。ポーション、その他諸々のアイテムの使用禁止。どちらかが根をあげるまでのまでのサドンデスでいかせて頂きますわ。」
「単純で分かりやすいや。それで構わないよ。」
私の提案したルールについて、ギルは特に反対することもなく同意してくれました。
「なら、話すことはもうありませんわね。武器を取りなさい、ギル。」
そうして私は戦闘体制に移る。右手には愛用のクリスナーガ、左手には銘品ソードブロッカーを装備する。
対するギルも、腰を低くして構えをとる。手に持っているブラックソーンはいつでも投げられるようにしているようです。
「へぇ、片手剣ねぇ。大して丈夫でもなさそうなのに、1対1で闘るんだ。」
「ふん、好きな様におっしゃっていなさい。短剣を装備している剣士全てが、紙ではないことを証明して差し上げますわ。」
そんな言葉を交わした後に、私達の試合は始まった。

(ヒュー、流石にすばしっこさは兄貴達とは段違いだな・・。)
オイラが兄貴から、リリィについて聞けたことは
「あいつの売りは、素早さにある。元ランサーだからな、そこら辺の剣士とは比べ物にならんぞ。」
兄貴の情報どおり、リリィはオイラが戦ってきた相手の中でもトップクラスの素早さの持ち主だ。
台地を縦横無尽に駆け回る姿は、さながらツバメの様だ。
だが、どうしても腑に落ちないことがある。
「余所見とは余裕ですわね。ガードが甘いですわよ!!」
そんな言葉が終わると同時に、リリィの「突き」が襲い掛かってくる。
(いくらすばしっこいからって、この「突き」の速度は速すぎるだろ・・。)
そう、リリィの攻撃が剣士のものにしては早すぎるのだ。見たところ、装備品に攻撃速度上昇の魔法がかかっている物は無い。
ということは、この速度がリリィにとっては普通であるという結論に至るわけだが、納得がいかない。
「いつまで、そんな気の抜けた態度でいらっしゃるの!?」
「うぉ・・。考える暇もあたえてくれねぇってか・・!」
仕方が無い。リリィには悪いけど、一気に決めさせてもらおう。相手の攻撃のカラクリが分からない以上、長時間戦闘するのはオイラにとっては得策ではない。
「悪い、リリィ。次で決めさせてもらうわ。」
そういってオイラは、シャドウスニーキングを発動させた。オイラの気配が周りの空気の中に消えていく。
ここまでの領域に達すると、相手の目の前で使っても完全に気配を断つことができる。
「・・・!これが、噂の潜伏ですわね。確かに気配が微塵も感じられませんわね・・。」
案の定、リリィはオイラの姿を見失ったようだ。こうなれば、後は簡単だ。
そうしてオイラは、リリィのがら空きの背後に回りこんだ。ここから、手裏剣で怯ませて払い蹴りを入れて組み敷けばオイラの勝ちだ。
(相手が悪かったな、リリィ。オイラが相手じゃ、その素早さも意味ないぜ。)
そうしてオイラは、リリィの背中に向かってブラックソーンと投げつけた。リリィほどの実力者なら避けるだろう。
だが、リリィはブラックソーンを避けようとはしなかった。その代わりに、キィーンと鋭い音が響いた。
「あら、後ろにいましたの、ギル?暗殺者ですから背後を取るのは当然ですわね。」
そういってリリィはオイラのほうに振り返った。その姿にオイラは言葉を失った。
なぜなら、彼女が先ほどまで装備していたクリスナーガが彼女の手を離れ、まるで盾のように周りに浮かんでいる。
ミラーメラーミスト、本来はランサーが自分の槍に霧の魔法を付加させ自身に向かってくる攻撃を防ぐ技術だ。
そのランサーにしか使えない技術を、目の前の剣士は事も無げに使用している。
ここでオイラは、ようやく兄貴のもう一つの情報の意味を知った。
「だが、素早さ以上にあいつには売りがある。あいつは『剣士』であると同時に『ランサー』なんだよ。」

529 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/11/01(火) 18:44:46 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九
六化仙 其の十
檻に入れられた男がアルパス監獄へと連行されようとしている
ネグルフシが無実の罪で捕まったのだった
ネグルフシの護送車には彼を慕っていた住民や兵士達がぞろぞろとついてくる
護送している兵士達もかつての上官を慕っていたために後味が悪い
その護送車の前に馬に乗った男達が現れる
「その護送車の男はネグルフシ殿とお見受けするが?」
いかにも、と兵士が答える
「ここは梁山泊の領土だ、通行料としてその護送車を置いていけ!」
梁山泊、ブルネシュティングの東街道付近に出没する
また一般社会から弾かれた者が集まる事でも有名な山賊
護送をしていた兵士はすぐに山賊の言う意味がわかって古都へと引き返す
山賊の一人が護送車の鍵を開けてネグルフシを助ける
「ネグルフシ殿、我等は梁山泊の者です、ネグルフシ殿を常々お慕いしていました
その武勇は三界まで響き渡り、その義は天まで届いております。ひとまず梁山泊までお越しください」
リーダー格の男が一気にまくし立てる、ネグルフシは朦朧とする意識の中で少し首を振る

護送車襲撃から一週間、拷問で受けた傷も回復したネグルフシは山賊、梁山泊に入隊することを決意する
梁山泊に入るには首領にあって許可を貰えば良い、そう教えてもらったネグルフシは首領の部屋へと足を運ぶ
「首領、私も梁山泊に入れてもらいたい」
椅子に腰をかけている、疑いと恐怖に満ちた目を持つ男が少し唸る
「それが、その最近梁山泊は食糧不足でな、どもう人を増やすわけにはいかんのじゃ」
首領がぼそぼそと呟くのを、集まった幹部達が異議を申し立てる
「しかし彼は英雄ですぞ、兵士の士気も上がり、大いに結構では?」
と、幹部が言う
「わ、わかった、ではネグルフシ殿は誰か一人、旅人の首を取ってきてくれ」
首領が慌てて訂正する
「首?」
「うむ、梁山泊の掟でな、密告者などを防ぐためだから」
ネグルフシが十秒ほど考える
「・・・・わかりました」
そう言ってネグルフシは部屋を出た

530 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/01(火) 22:56:31 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
ハイネキターww
獣化したことにより、戦闘力が大幅に上がりましたね。
さて、星の○金を思い出した私は負け組みでしょうか?
是非、次は「無駄無駄」をお願い(ry

>>戦士のようださん
ネグルフシさん、かなりの人望があったようですね。盗賊までに慕われているとは・・。
さて、自分の居場所をなくしたネグルフシさん。盗賊団の一味になるためには冒険者を殺さなければならないようです。
忠義の徒であった彼に、自己のための殺しが出来るのでしょうか?

531 名前: i 投稿日: 2005/11/02(水) 04:05:28 [ 4D0aj44E ]
ナンバーズさま、サマナの人さま、◆j9cST1xRh2さま、FATさま、
感想ありがとうございます。
まとめてお返事する無礼をお許しください。
みなさまの感想は、この激遅筆不精者の生きる支えです。
特にケーキの話は、みなさま色々な受け取り方をしていただけて、
私自身も勉強になりました(^^)
ふつつかな作者ですが、これからもよろしくお願いします。

それから、少しだけ個人的なお返事を・・・。

>変な生き物さま
おかえりなさい!
最新の小説のギャグは全部おもしろくて、全部笑ってしまいました(^^)
誤字・脱字・文法も、正直ここまで改善されるとは思ってもみませんでした。
おつかれさまです!
>実は…そこに関しては7章と8章の閑章で説明する予定なんですわ
…色々な理由でその場での説明はカットしました…。orz
うわぁ、ごめんなさい!
私のせいでネタばれになってしまいましたね。
指摘ミス、申し訳ないです(;;)

532 名前: FAT 投稿日: 2005/11/02(水) 07:20:03 [ kdhRDK.g ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)
>>118-119(23)|>>465-466(27)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)
>>231-232 (25)




何が起こったのだろう?私はウィスパーとナイトバーズを召喚し、今まさに戦わんとして
いたはずなのに・・・・。

気が付けばハノブの町中に立っていた。
周りには同じように唖然とした面持ちのメンバーたちが立ちつくしている。

「危なかったな。全く、寝巻きのまま飛び出したりして、裸同然であいつらと戦うつもり
だったのか?俺がいなかったら全員やられていたかもしれなかったんだぞ」
久々に威光を放つタカさんの背中には翼が生えている。さっきのは、追放天使ならではの
特別な力なのだろうか?
「すまない・・・・・」
めずらしく首をもたげ、レニィがしょんぼりとする。
「まぁ、誰も怪我をしなくてよかったな。さて、これからどうするかだが・・・・」
タカさんが今後についてあれこれとしゃべりだそうとしている最中、私は不意に腕を引っ
張られ、闇の中に引きずり込まれた。


声を出そうとしても、何かで口を塞がれていて出せない。
私を拘束しているものは人間で、しかも女性らしい。口を覆っている手はふくよかで暖か
く、腰にまわっている腕は華奢で繊細。しばらくそのままにタカさんたちから距離を取ら
されると、ようやく解放された。

「騒ぐなよフラン。皆に不審がられるだろう」
急いで振り向き、顔を確認すると、私をさらった人物はフプレだったと認識できる。
「フプレ?もう、びっくりさせないでよ・・・」
敵でないことが分かりほっと胸を撫で下ろす。
「フプレではない。私はシエルだ」
その言葉は私の死角に突き刺さる。今、目の前にいるのは“フプレ”ではなくあの、大量
殺人鬼だ。
私はなるべく彼女を興奮させないようにと言葉を選んでいた。そして私が選りすぐった文
を差し出そうとしたそのとき、シエルと目が合った。

・・・なんて、悲しそうな目をしているんだ・・・

以前、オート地下監獄で見たときの彼女の目は鬼人の如く釣りあがり、うむを言わせぬ気
迫があった。しかし今はどうだろう?同じシエルのはずが今度は哀に包まれ哀を纏い、哀
を発しているではないか。私はもう一度言葉を選びなおすことにした。

533 名前: FAT 投稿日: 2005/11/02(水) 07:21:13 [ kdhRDK.g ]
「フラン、なぜそんなに怯えている?私が恐いのか?姉妹なのに、恐いのか?フプレじゃ
ないから、恐いのか・・・?」
泣きそうに目を潤ませてシエルが詰め寄る。
「恐いなんてわけないじゃない。シエル、馬鹿なことを言わないで。それよりも私、あな
たのことをよく知りたいわ。双子だもの、何でも、分かりあっていたいよ」
考えていた文とは少しずれてしまったが仕方が無い。今がシエルを知れるチャンスだと思
った。

私は知りたい。何故、フプレが二重人格になってしまったのか。その理由を、その真相
を・・・!!

「ああ、話すよ。フラン。そのためにここに無理やり連れてきたんだ」
少し落ち着いた様子で岩盤に腰掛ける。私もその横に並び、腰をおろす。背側には冷えた
岩壁がそびえており、それを背もたれにしてシエルは語りだした。

「私が生まれた、いや、作られたのはフプレが9歳のときだ。・・・何のときだかは、分か
るよな?」
私は強く頷く。9歳の頃と言えばメラーくんの事件のあった年だ。
「だが、私が作り出されるきっかけとなる事件が起こったのはもっとまえ、そう、6歳の
ときだ。・・・何のことか分かるか?」

6歳・・・?

私はそこまで記憶を遡ってみたが、フプレが変わってしまうような出来事は思いつかなか
った。

「ごめん、思い出せないよ・・・」

私の言葉を聴くと、再び悲しげな表情を作り、シエルの感情が高ぶる。

「思い出せない?思い出せないだと?フラン、お前がそんな無頓着だからフプレは逃げた
んだ!“シエル”という殻を作って、自己の中に潜り込んじまったんだよ!!!」

私の体を衝撃が突き抜ける。

なんですって?シエルが生まれた原因は、わたしにあるの・・・?

それだけはないと思っていた。仲の良い、二人だったから。いつでも助け合って、励まし
あってきた仲だったから・・・・・。

茫然とし、石像のように動かなくなった私に、シエルが追い討ちをかける。
「フラン!!聴いているのか?お前が、召喚獣を初めて召喚したときだよ!!思い出した
か!?一人で浮かれやがって!!フプレが、どれだけ苦しんでいたか分かっているのか?
人一倍感性が敏感で、傷つきやすくて、毎日苦しんでいたんだぞ!!」

言葉が激しく胸に突き刺さる。決して抜けないこの棘は、私に当時の記憶を鮮明に蘇らせ
る。

―――初めてウィンディを召喚できたとき、私は有頂天になり母はもちろんのこと、村の
みんなに褒められるのが嬉しくて見せびらかせるかのようにウィンディを引き連れていた。

そんな私の後ろを、フプレはおどおどとついてきていた。

そうだ、フプレはこの頃から自信をなくし、人の目を気にするような、はにかみやで引っ
込み思案な女の子になってしまったんだ。

・・・・・やはり私のせいでフプレは変わってしまったのか。

幼かった自分の無邪気さを呪い、唇を血が滲むほど強く噛み締める。
後悔の念は底なしの洞穴から次々に湧き出で私を侵食する。悔しさに息が詰まる。

シエルは私の反応を窺い、深刻なダメージを受けていることを確認すると、急に態度を変
えた。
「・・・フラン。その、すまなかった。お前だけを責めるような言い方をして。勘違いす
るなよ、私も、フプレも、お前が大好きだ。やさしくって、いざというとき頼りなって、
なにより、私たちの心の支えになってくれている。でも、だからこそ、はっきりと言って
おきたかった。フプレにはこんな恐れ多い言葉を放つ勇気はないだろう。だから私が、フ
プレの影武者が代わりを務めたのだ。・・・・そろそろ、フプレが戻ってくる。お別れだ、
フラン。もっと話したかったよ」

名残惜しそうに顔を歪め、最後に衝撃的な言葉を吐く。

534 名前: FAT 投稿日: 2005/11/02(水) 07:21:52 [ kdhRDK.g ]
「フプレを守ってやれよ。あいつは、モンスターの調教すらしたことのない、落ちこぼれ
なんだからな」
シエルが何気なく残していったこの問題発言に、私の脳は目まぐるしく回りだす。

メラーをテイムしたとき・・・・それは、シエルが初めて出てきたとき。つまりメラーを
テイムしたのはシエル?
クラープをテイムしたとき・・・それは、シエルが暴走していたとき。つまりクラープを
テイムしたのもシエル?

・・・・と、言うことは・・・・

フプレは、まだ一度も自分の力で調教をしたことがないということになる。つまり、フプ
レは“落ちこぼれ”だというこのなのか?

私は、いつかの喧嘩のときを思い出した。
天才と呼ばれるフプレに嫉妬し、取っ組み合いの喧嘩になったとき、
「ホントは私なんて、何にもできないもの。」
と泣きながら喚いていた。もしかしたらあのとき、既にフプレは知っていたのだろうか?
自分が何も出来ないということを。才能が、ないということを・・・・・・。

私は自分が嫌いになった。自分を激しく憎んだ。

なんて愚かだったのだろう。なんて残酷だったのだろう。

フプレは何も言ってはくれなかったが、もうずっと、十年近い時を一人で苦しみ抜いてき
たのではないだろうか?特にメラー君事件の後からは周囲からの期待に押しつぶされ、無
力な自分を呪い、明るく元気な子を装ってきたのではないだろうか?

フプレに引け目を感じ、だんだんと内気になっていった私を、フプレはどう見ていたのだ
ろう?

小気味良く思っただろうか?それとも、不快に思っていただろうか?

私は、後者だと確信した。

フプレはメラー事件まで私を尊敬していた節がある。そんな私が活発で勝気な娘から内気
で慎重な娘に変貌していく様はフプレからしたら希望が絶望に変わっていくようなものだ
っただろう。

さらに、それが牙を剥き、自分に襲い掛かってきたともなれば・・・・。

私は深くうな垂れた。私たち姉妹は、仲のよいことで有名なはずだった。私もそれに自信
をもっていたし、フプレもそうだと思っていた。でも、それは間違いだったのかもしれな
い。本当は、仲がいいのはうわべだけで、彼女は私を憎んでいたかもしれない、恨んでい
たかもしれない、私のことが、嫌いなのかもしれない・・・・・。

月を厚い雲が隠し、闇が世界を支配する。
まるで私の心を表しているようだ。寝ているフプレを放ったまま皆の元へとおぼつかない
足取りで向かう。

この日、この時、私の18年間の全てが無へと清算された。

535 名前: FAT 投稿日: 2005/11/02(水) 07:22:32 [ kdhRDK.g ]
フプレは一人、闇の中、闇と同化したかのようにその存在を消していた。
取り返しのつかないことになってしまった、と絶望に打ちひしがれている。
以前、シエルになっていたときの記憶は完全に消えていたが、今回は何故か、鮮明に一語
一句まで脳に刻み込まれている。

最後にフランが去っていくとき、フプレは起きていた。しかし、あまりにばつが悪かった
ので、寝ていることにした。漆黒の暗闇の中、フランが無言で去っていく気配を感じ、フ
プレは終わりだと思った。
自分がこの十数年間続けてきた努力はなんだったのだろう。フランのことが大好きで、敬
愛していて、ずっと一緒にいたいと願っていた。だからメラー君事件後のフランの変わり
ようは見るに耐えかねるものだった。

フプレは恐れていた。

いつのまにか自分の配下になったサラマンダを。
自分に期待を寄せる大人たちを。

・・・最愛の、姉を。

彼女は自分の中の矛盾に気付いていた。
それでも、好きだという気持ちが勝り、フプレの核に根付いているフランへの妬み、恐怖、
憎悪といった感情は鍵を掛けられ深い海溝の奥底に沈められていた。
それがシエルの覚醒により心の海面まで浮上してきてしまった。
自分でも分かっていた。嘘は、つき通せるものではないということを。真実は、仮面を突
き破り、いずれ露になるということを。

もう・・・・もう、どうしようもないのだ。

フランを傷つけてしまった。決して消えることのない傷を。
夜毎に疼くかもしれない。徐々に広がり、フランを喰らってしまうかもしれない。自分の
ように、誰かに押し付けてしまうかもしれない・・・・・・。

フプレは自分の中にいるであろうシエルに懺悔する。


辛いことから、逃げてばかりでごめんなさい。

辛いことを、押し付けてばかりでごめんなさい。

幸せばかり、奪い取ってしまってごめんなさい。

幸せを、分けてあげられなくてごめんなさい。

私を、守ってくれてありがとう・・・・・・。


もうフランと一緒に旅は続けられない。あの楽しかったパーティーと旅は続けられない。
フプレはシエルと共に、メラーとクラープの“四人”でひっそりと生きていく決心をした。
迷いはない。引き返せる道など、ないのだから。

見上げれば、満月が雲の切れ目から地上を見下ろしていた。巨大な雲の切れ目は自分とフ
ランの距離を、月はその重大さをあらわしているように見える。

・・・・あの月が、やがて欠けて新月となり、その姿を消すように、私の罪も、消える日
が来るのだろうか・・・・・

微かな期待を胸に抱き、町から出ていく。
三者三様の足音が、夜の静寂の中、闇に吸い込まれていった。

536 名前: FAT 投稿日: 2005/11/02(水) 07:27:31 [ kdhRDK.g ]
朝から暗い話の投下お許し下さい。

感想は今夜にでもゆっくりと書かせて頂きます。

537 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/02(水) 08:03:32 [ LVW/cCFA ]
うお、感想の書き忘れに今気づきましたよorz
あとで、吊ってきま(ry

>>コボルトのマントさん
自分の手に負えないと直感で感じたランサー。
果たして、無事にバインダーを安らかに眠らせることが出来るのでしょうか?

>>ナンバーズさん
一家が勢ぞろいですなぁ。そして、古都にmobの襲撃。
頑張って、古都を防衛しきってもらいたいものです。

538 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/11/02(水) 18:18:46 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
六化仙 其の拾壱

厄介な事になってしまった、古都には戻れない
梁山泊に入りたいが罪の無い人を殺すことも出来ない
しかも首領は俺が怖いらしい、自分の地位が危うくなるとでも思っているのだろう
器の小さい男だ、そんなことを考えつつも山道に降りる
首を切った証人になる見張りも一緒だ
「首は何時頃まで待ってくれるんだ?」
見張りに聞いてみる
「期限は三日です、それまでに証拠を見せないと行けません」
そうか、と返事をして近くにある岩に腰を下ろす
すこし待つと行商人が一人で歩いてくる
刀を抜いて行商人の前に立ちはだかる、行商人は腰を抜かしてその場に座り込んでします
その恐怖に満ちた顔を見て切り捨てる気が無くなる
刀を元に戻して行商人に、消えろと目で合図をする
「ネグルフシ殿何故斬らなかったのです?」
と見張りが聞く
「刀を持たない男を俺は斬れない」
と俺
「そうですか、噂に聞いたとおりの人ですな」
見張りが空を見上げる

教会から出てると騒ぎがどこかで起こっている
野次馬根性で現場に行ってみると、馬に乗った盗賊たちが略奪、放火、殺人
思いつく悪事の限りをしていた。近くに居た盗賊を後ろから殴り
刀を奪って首を切る、仲間の死を見つけた盗賊が町人を無視して俺を取り囲む
「何者だぁ?てめぇ」
「黙れ、殺すぞ」
「んだと、ころ・・す・・・」
盗賊の言葉が途切れる、俺が心臓を一突きにしたからだ
血と脂で切れ味が悪くなった刀を盗賊に投げつける
落ちていた槍を拾い、馬に乗った盗賊のこめかみを殴りつける
ぐちゅぅ、と言う汚らしい音がして盗賊から血が飛び散る
敵わないと悟った他の盗賊はすでに逃げ去っていた

あれから一度も人が来ずに、無駄に一日が過ぎてしまった
同じ場所で待ち伏せを続ける俺と見張りのもとに首領が現れる
「ネグルフシ殿、昨日ハノブに行った我々の者が、一人の冒険者によって
返り討ちに遭いました、ついては貴方にその冒険者の始末を頼みたいのです」
「いいでしょう、冒険者には何人殺されたので?」
「十六人中、四人、逃げていなければ全滅でしたでしょう」
「それ程の強者でしたら私も装備を整えたい」
「わかりました、実は貴方の鎧は古都から既に運ばせてあります」
「ありがたい」
首領の馬に一緒に乗ってアジトへと戻る、十分に鍛えられた愛用の鎧と
代々ブルネンシュティング騎士団に伝わる盾デバインフォートレスを身につけ
馬に乗ってハノブへと向かう、

539 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/11/02(水) 18:28:16 [ hNlLsBE2 ]
読み直すとすごい読みにくいですねorz

感想
>>FATさん
シエルが現れましたが血で血を洗う戦いにならず衝撃の告白に
これからどうなってしまうのでしょうか?

>>南東方不勝さん
ミラメラ剣士、これからどんな戦いが繰り広げられるんでしょう?
やっぱりウォークライ発動でしょうか?

>>サマナの人さん
オラオラryが出ましたね 狼に変身は盲点でした

>> ◆j9cST1xRh2 さん
情景の描写の上手さに感服してます
自分も見習いたいくらいです

540 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/02(水) 20:41:40 [ ptU69QN6 ]
 た・・・叩きたい・・・・・・ツッコミ入れたくて我慢が・・・・・・
ダメだと思ったら管理人さんに私のレス消してって言ってください・・・



その産婦人科の院長はとても力のある魔術師でした、彼は両手で物を触れば
それを圧縮して貴金属の類に変えることを出来たのです。
彼は間引きした子供を魔術を使って貴金属に代え、それを売って貧しい人に施しました
その甲斐もあってハノブは段々と豊かになり、子供を殺す必要も無くなりました

それから、彼はこの教会を建てたのです。教会を建て終わった後に
彼は息子に頼み事しました、自分の両腕を切り落として欲しいと頼んだのです



   物で良いなら土でも岩でもーーーーーーーーっ。
  人など知的生物を――だと良いかもとおいもます。

   例えば「あるモノを」などと書いておいて
  最後まで素材に関しては明かさないとか・・・・・・。

   でなければ「微量の金を」で余裕が無いとか。
  でもって暑い岩盤・・・(厚いでも熱いでも)
  取り除くために限界超えて両腕ふっ飛ばしてとか・・・

   そうでないと感動しきれませんのです。
  叩きすぎだったら、誠にすみませんでした。

541 名前: 名前が無い@戦士見習い 投稿日: 2005/11/02(水) 20:59:42 [ hNlLsBE2 ]
>>400
いや、自分もこれは書き込んでから
あぁ、なんか無理やりでダメだな
とか思っていたのでどうぞ叩いて下さいまし

542 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/02(水) 22:03:20 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
シエルからの胸中の告白・・。フプレにとっても、フランにとっても心に深い傷を負う結果となってしまいした。
そして、仲間との別離を決意したフプレ。彼女がこれから歩こうとする道の果てには一体何があるのでしょう?
その道の途中でのマリーとの激突は必至ですね。

>>戦士のようださん
やはり、ネグルフシさんに無抵抗の人は殺せなかったようです。
盗賊を殺した冒険者を殺すことにしたネグルフシさん。
その冒険者って、やっぱ傭兵さんですよね・・。

543 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/03(木) 18:29:50 [ LVW/cCFA ]
orz
ともびさんの感想を書くのをずっと忘れてた俺がいる。
さぁて、リリィにかっ飛ばされに行きますか・・^^;

>>ともびさん
オジ達を襲った男のほうもなんらかの組織のようですね。
イレギュラーを殺すイレギュラーの集団・・、彼らは何故、同胞を殺す道を選んだのでしょう?
話は変わって、一話目にいた剣士さん再登場・・・。
って、性格変わってませんか!?プログラミングされた存在とはいえ人の形をしたものを躊躇いも無く殺してましたね^^;
果たして、彼はオジ達と対立してしまうのでしょうか?

544 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/03(木) 22:58:31 [ DXXt3lTo ]
>>503-504←第6話
第7話:ブリッジヘッド

町へ入ったサチは驚いた。
サチは今まで田舎で隠れるように過ごしてきた。
まれに訪れる行商人や冒険家以外の人間を見たことがなかった。
そんなサチにとってブリッジヘッドは初めて訪れる大きな町だった。
サチは歩いている間中、期待に胸を膨らませ、あれこれと想像していた。
自分の着ている服は流行に遅れていないかとか、
こんなに大きな町には一体どれくらい多くの人が住んでいるのだろうかとか、
とにかく自分の知らないことを知らないなりに考えていた。
そんなサチを待っていたのは、予想を大きく裏切るものだった。

『な、なにもない!』
いや、お魚さんはたくさんあった。

『人がいない!』
いや、漁師がいた。それとちょっと風変わりな観光客もいる。

町を包むさわやか、とは程遠い魚の匂いと、
流行とは全く無縁の格好をしている漁師たちを見て、サチは膝をついた。
観光客は不思議そうな目でサチを見ていた。

『違う、これは何かの間違いだ・・・』
何が違うのですか?と、観光客の一人がサチに尋ねた。

『私のブリッジヘッドは、もっとこう・・おしゃれで、人がたくさんいて・・・』

『ここはいい町ですよ。ここにはいろいろな噂がありますからね。
難破船の幽霊の話や、暗殺された貿易商の話、とにかくここは絶好の心霊観光地ですよ』
と、笑いながら言い、観光客は去っていった。

『ここは昔となにも変わっとらんな。サチよ、とりあえず宿屋へ行くぞ。
オジがもう大変なことになっておる。サチ?どうしたのじゃ?
なぁに、安心せい、このあたりに霊はおらんようじゃ』
ペンダントの中のケルビはサチの心を見透かしたような笑いを含んだ声で言った。

──そんなこと心配してるんじゃないわよ・・・

サチはゆっくりと立ち上がり、宿屋の看板の出ている建物をゆっくりと目指した。
もはや虫の息のオジの目には、宿屋の看板が光って見えた・・・ような気がした。

部屋に入るやいなや、オジはウガッと声を漏らしてベットに倒れた。
イレギュラーの希望は静かに眠りについたのだった・・・。

オジの深い眠りを確認したサチはケルビの誘いで、夕食をとることにして、
近くのレストランへと足を運んだ。
10分後、サチはブリッジヘッドに来てから一番の笑顔を見せていた。

『なに!このお魚!おいしい!』
レストラン中に響き渡るほどの大声でおいしい、おいしいと言いながら、
サチはパクパクを料理を食べいた。
ナイフとフォークを器用に使って、あっというまに魚を骨だけにした。

『おじさん!この料理、なんてお魚なの?どうやって料理したの?』

『え、えっと、あの、これはですね・・・』
レストランのシェフはサチの気迫に押され、半ば引き気味に説明をした。

結局、サチはメニューに載っている料理の半分を食べた。
シェフはその全ての料理の説明をさせられ、へとへとになっていた。

お腹いっぱいになって気をよくしたサチは町を見て回ろうとしたが、
夜のブリッジヘッドは危ないとケルビが言うので部屋へ戻ることにした。

眠る時間になっても、サチのわくわくはおさまることがなかった。

──あんなにお魚のおいしい町だ!きっといろいろ楽しいことがあるに違いない!

そう思うと、いても立ってもいられなくなったサチはペンダントの中のケルビが
眠っているのを確認して、そっとペンダントを置いた。

『私だってお年頃なのよ。わかってよね』
そうつぶやき、サチは部屋を出た

545 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/03(木) 23:03:43 [ DXXt3lTo ]
>>南東方不勝さん
もう書いている自分にも彼等の性格はわかりませんよ。
元々文才なんて微塵もないし、後先考えずにやってるので、
多分性格がコロコロと変わっていくことでしょう(´・ω・`)

というわけで続きが思い浮かばないのですが、とりあえず7話でした。

546 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/04(金) 00:10:35 [ LVW/cCFA ]
>>528
クリスナーガを手放したリリィの右手には、いつの間にかクリスタルソードが握られていた。
どうやら、あっちの剣が本当の装備らしいな。
「どうかしましたか、ギル?来ないのなら、こちらからやらせてもらいますわよ。」
そう言ったかと思うと、目の前の光景に言葉を失っているオイラに向かってリリィの「突き」が・・・いや、「ラピッドスティンガー」が放たれた。
「・・・っ!?」咄嗟に後ろに下がって避ける。なるほど、彼女が兄貴の言った通りの冒険者だとしたら納得がいく。
「剣士」であると同時に「ランサー」、彼女は二種類の職業のスキルを武器を交換することなく扱えるという事だ。
(おいおい、そんなの反則じゃねぇかよ・・。)彼女がどのくらい、双方のスキルを扱えるかが今のオイラには測る術が無い。
「リリィ、何で剣士のクセにランサーのスキルが使えるんだよ!?」
リリィのラピッドを避けながら、オイラは疑問を口にした。
「あら、剣でも槍でも相手を『突く』という行為に大した違いはありませんわ。それに、私の両親はランサーでしたから。」
要するに、幼いころに両親から仕込まれたランサーの技術を剣で再現しているだけ、と言うことらしい。
まるでゆで卵を作るかのようにしれっと言ってのけているが、生半可な技量で主眼に置くものが違う職業のスキルを扱うことなどできるはずが無い。
(とんでもねぇ女の子だな。レナの方がまだ可愛いよ・・。)放たれるたびに速度を増す、ラピッドを避けながらオイラはリリィの技量の高さに驚きを隠せなかった。
だが、驚嘆の念とは別に
「ははっ、久しぶりに全力でやれそうだよ。リリィ!!」純粋に自分の持ちうる最高の技術をぶつけられる相手に出会えた事を喜んでいた。
もう、遠慮なんかしない。さぁリリス、付いて来られるか?オイラのスピードに!

(まさか、ここまでの実力者とは思いませんでしたわ・・。)私はギルの実力に舌を巻いた。
今まで手加減されていたことは腹立たしいですが、今の彼の動きは試合を始めた頃とは比べものにならない。
素早さを売りにしている私が、彼の動きを捉え切れていないのだから・・。
「どうしたんだい、リリィ。君の突きのスピードはそんなものかい?そんなんじゃ、オイラには当たらないよ!」
私の速度が宙を舞うツバメだとしたら、彼の速度は宙を切り裂く隼ですわ。
いくら私のラピッドスティンガーの速度があろうとも、彼を捉えられるとはとても思えません。
キィーン、キィーンと休む間もなくクリスナーガはギルの攻撃を防いでいます。
ギルのこの速度にも対応しきれることには、私にとっても想定外のことでした。手持ちの剣でこの剣が一番、霧の魔術と相性が良かったことはいえ、正直驚きですわ。
(このままスピード勝負に持ち込まれたら、私の勝ち目は薄そうですわね・・。)
ならば、速度以外の技術で彼に対抗すればいいことです。幸い、既に作戦は練ってありますしね。
「やぁぁぁぁぁ!!」ギルに向かって、私が出せる最高の速度でラピッドスティンガーを放つ。
「すごい速度だね。でも、まだまだだよ!」だが、彼はいとも簡単に避けたかと思うと、大量の手裏剣を投げつけてきました。
でも、その程度のことは計算済みですわ。
「甘いですわ!!」襲い掛かってくる手裏剣を、左手の短剣を利用した竜巻で吹き飛ばす。
しかし、このトワーリングプロテクターも彼には当たってはいないでしょう。
「なるほど、トワーってこういう使い方もあるんだ。でも、隙が大きすぎないかい?」
いつの間にか距離をつめていたギルの顔が、私の目の前に表れる。いつもなら、気になって仕方が無い彼の青い瞳が目の前にありますがそんなことは関係ありません。
もらった、と言わんばかりに拳を突き出すギル。
その勝負を決めるために彼が決定打を放つ瞬間こそ、私が待ち望んでいた状況だと知らずに。

547 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/04(金) 01:12:18 [ LVW/cCFA ]
閑話・私怨
「大隊長閣下、偵察ニ出テイタ第24小隊カラ報告ガ入リマシタ。」
私が根性の無い新兵共を直々に訓練している時に、待ち望んでいた情報が舞い込んできた。
「発言ヲ許可スル、内容ヲ言エ。」
「イエッサー!!本日1330時、東バヘル上流ニオイテ冒険者ヲ二名確認。ソノ二名カラ、『大堕天使』ノ魔力パターンガ検出サレマシタ。デスガ、ヨリシロデハ無い様デアリマス。シカシ、古都ノ方角ヨリ『大堕天使』本人ト思ワレル魔力ノ残滓ヲ確認シタトノ事デアリマス。」
「ソウカ、遂ニ『大堕天使』ノ一味ヲ見付ケタカ!」
その事実に、私の心は大きな喜びを感じた。
1ヶ月前、我らが同胞が大量に殺害された。現場に残っていた魔力を調査したところ、この惨劇の犯人はあの「大堕天使」であることが分かった。
10を越える同胞を殺されたという事実に、私の心は「大堕天使」に対する恨みで狂いそうだった。
だが、それももう終わる。奴が我らが同胞を惨殺したように、我らもまた、貴様の仲間も殺し、その首を持って貴様を殺してくれようぞ・・・。
「第24小隊ハ、現地デ待機ダ。状況ヲ見テ、ソノ冒険者達ヲ始末シロ、ト伝エロ。」
「イエッサー!」私からの命令を現地の小隊に伝えるために、その兵士は私に背を向けた。
その兵士が立ち去った後すぐに、全隊員を集め私の目的を打ち明けた。
「コレヨリ我ガ第1大隊ハコノ洞窟ヲ離レ、東バヘル上流ヲ抜ケ古都ニ出撃スル。シカシ、コノ度ノ遠征ハコノ前発生シタ大量惨殺事件ノ犯人ニ対スル報復・・・即チ、私怨ガ理由デアル。ヨッテ、遠征ニ参加ヲ希望シナイ者ハ、今ココデ名乗リアゲロ。ソノ事ニ対スル罰則ハ無イ。」
きっと私と共にきてくれる兵士は一握りであろう。だが、私の目の前に広がった光景は私の予想を裏切った。
一人も遠征を拒否しなかったのだ。そして、私の近くにいた兵士が私に話しかけてきた。
「大隊長閣下、同胞ヲ殺サレタ怨ミハ貴方ダケノモノデハアリマセン。我等ノ胸中モマタ、貴方ト同ジデス・・!」
「ソウカ・・。貴様達ノ想イシカト確認シタ!!総員、出撃!目標、『大堕天使』及ビソノ一味ノ殲滅!!」
「イエッサー!!!!!」
そうして我々は、心に残る暗い炎を消さんがためにファウンティンス・ハイランドを後にした。
「大堕天使」よ・・、貴様は絶対に殺してくれる!!

548 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/04(金) 06:41:38 [ ijx19/P. ]
とあるPTの『ビショップ』

―久しぶりに見上げた星天は高く澄み切っていた
 救いはヒトの内に、ヒトの間にこそある


神の教えを言葉にした―戒律―、絶対に守るべきそれが私には疑問そのものに見えた。
神にこそ従順であったが、心の奥底でわだかまる疑問を同胞に、上官にさえぶつけた。
祈りだけでなにが変えられるものか。
節制、慈愛、教義、真理。言葉では正しいが実現する力もなく祈るだけで意味があるのか。
私が目を見据え疑問をぶつけた相手は困ったような表情になり、ときに目を逸らした。


視界の端に飛び込んできた骸を反射的に振り払った。
意識せずとも放たれる言葉なき浄化の術を乗せ、一撃で、闇を払い物言わぬ骸を無に送り返す。

パーティーから予想外の反応が返ってきた。

私は苦笑まじりに、飛び跳ねてはしゃぐランサーの質問に答える。
ビショップの中で珍品中の珍品、殴りビショップと呼ばれる技能であること。
闇を振り払う法術を用い、不死や悪魔ら地下の住人に特効があること。
ランサーは満面に喜色を浮かべ、瞳を星を散らせたように輝かせ次々に問いを投げかけてくる。
先の一閃は、浄化が見事に嵌ったもので運が良かったのだ、と告げるとわずかに肩が下がった。
感情をそのまま全身で表現する様子はまるで小さな少女のようで、思わず笑みがもれる。

探索パーティーではビショップは癒し手として期待される。
私にとってそれは重圧で、ときに苦痛にすらなった。
加護の術を究めた同胞に比べれば、退魔の力を求めた私の加護の光は弱弱しく、心許ないはずだ。
だが、そんなことを気にする様子もなく剣士は敵の矢刃(しじん)に身をさらす。
祝詞を終える度に小さな会釈が返ってくる。気恥ずかしいようなどこか誇らしいような気分になる。

549 名前: 独り語り 投稿日: 2005/11/04(金) 06:42:43 [ ijx19/P. ]
―ヒトと相容れなくなったのはいつの頃からだっただろうか。

かつての私は、地下の住人の存在が許せなかった。
レッドストーンの事変で天界を追われ、ヒトの姿になった私は彼らを駆逐する力を求めた。
そして、ヒトの知恵に天界の呪法を編みこんだ、最も効果的で最も原始的な方法を知る。
結果、私が得たものは唯一人で不浄を払う絶対的な力と、唯一人で戦わなければならない現実。
パーティーでは、ビショップとして不十分な癒し手の烙印を押され、優れた力を持ちながら眼中にいれられぬ。
こちらから願い下げると啖呵を切り、唯一人、誰にも見せることのない力を振るう日々を過ごした。

―ヒトと共に歩む喜びを知った日のことは決して忘れないだろう。

砂漠に、地下の住人が次々に姿を現す傭兵の墓と呼ばれる一帯がある。
その中の一つ、生前は大魔術師と称された者達を葬る祭壇に赴いていた。
地下での滞在は数日に及んでいた。
度々現れる亡霊は、操り人形のように意思を発せず、この場の魔力を利用するナニカの存在を語っていた。
物言わぬ骸も魔力は生前そのままで、指先から発する炎で焼かれたナニカの焦げた跡で床も壁も黒く染まっていた。

リンの発する青白い光と弱弱しい松明に照らされたうす暗い場所に、その冒険者は一人で現れた。
陽の射さない地下に褐色に焼けた肌が不似合いで、馬手に小さな弓を持ち男物のマントが荷物からはみ出している。
鼻先の皮がすこし剥けていた。手をかざし、その小さな火傷を治療すると人懐っこい笑顔が返ってきた。
いくつかの亡霊を蹴散らし彼女を地上へと送り届ける。
私が腕を振るう度に弾ける光を目にした彼女は目を丸くして驚いていた。

550 名前: 独り語り 投稿日: 2005/11/04(金) 06:45:28 [ ijx19/P. ]
後日、私は彼女と同じ場所で再会することになる。
相変わらず一人で向った私と仲間を連れた彼女。街で募った探索隊だと彼女が言った。

パーティーに入らないかと誘われる。
困惑していた。ビショップとして要求された勤めを果たせず、罵倒された場面が頭を掠める。
探索隊の声が遠く聞こえ、薄暗い坑内がさらに黒くなったように見える。
彼女が大きな身振りでパーティーメンバーに何かを伝えている。
それを見ながら、小さな違和感と共につい先ほどの彼女の言葉を思い返す。


「主力として パーティーに入りませんか?」
見開かれた私の目に映る、彼女はメンバーに大げさな身振りをまじえて私の力の話をしていた。
光の眩しさを話しながら両目を覆い、腕の振りを再現しながら手にもったままの弓がビュンビュンと唸る。
話をきくメンバーの驚きや疑いの表情と対照的に、彼女は自分のことのように誇らしげに楽しそうに話し続ける。
まるで、小さな子供におとぎ噺をするような大げさな紹介が終わり、私はひさびさのパーティーへと参加した。

なに一つ、脳裏によぎった不安は当たらなかった。
私の力は仲間の賞賛を集め、もう一人のビショップの手助けも完璧できて私自身の成長の証拠になった。
パーティーメンバーは時折入れ替わり、その度に私は好奇の目を浴びることを恐れたがその恐怖もやがて現れなくなった。
メンバーが変わる度に、彼女は、おとぎ噺ような説明を何度でもするのだ!
それは聞く人をわくわくさせる話し方で、当の私は気恥ずかしいような誇らしいような気持ちであった。


いま、薄く光の射す監獄の中。
私に炎の力を宿す魔法がかけられた。ウィザードと目が合う。悪戯をした子供のように笑っている。

隣でアーチャーが張り詰めた表情で前を見据えている。

私にはマントに織り込まれたルーンの意味は分らないが、今も私を包んでいる。

>>360-362『剣士』
>>364-366『ランサー』

551 名前: 独り語り 投稿日: 2005/11/04(金) 07:16:15 [ ijx19/P. ]
2週間経ってた��(・Д・)
もう前回分おぼえてないかと思いますが投稿してきます。
1話1話独立して読めるように努力していますがなかなかにむつかしいです。

>サマナの人様
ハイネさんの人間的な強さにドキドキです。
狼への変身は想いもよらず、本人はあんなに魔法に拘っていたのに…意外でした。
守りたい物を守る力を得たハイネさんの必死の防衛線も気になるけど
苦戦必至の本体は・・・

>FAT様
変わってこちらは想いのすれちがう二人。
似た者姉妹がそっくりに悩みながらすれ違うのが切なすぎます。
シエルはフランだけなく同じ話をフプレにも語りたかった、そんな気がしました。
シエルの複雑な心境を思うとますます切なすぎます・・・。

他の作品も面白いのですが・・・続きが気になって、現状の感想になりません(笑
いい子にして待ってます。

552 名前: FAT 投稿日: 2005/11/04(金) 09:53:31 [ kdhRDK.g ]
>> コボルトのマント さん
力の差を本能的に感じ取ってしまった主人公。人間ってこういうときに全然
駄目になってしまったりしてしまいますよね。果たしてこのランサーさんは
恐怖を克服出来るのでしょうか?

>> 変な生き物さん
リディスの拷問は私の想像を遥かに超えた恐怖ですね。拷問其の二で軽く逝け
ます。画面から臭ってきそうで・・・・ヴェ

>> レッドストン通信社さん
>☆本誌3記者、奇跡の生還!! ・・・でも処分
3人の言い訳に思わず笑いました。オーガレポートから風俗レポートに変更
って・・・

>☆見たくないのに見えちゃう・・・目立ちすぎるアレに住民が苦悩
私もあれには困ってます。基本露店offにしてあるのでただでさえ目立つのに
色も派手でほんとに見たくないのに見えちゃう状態です。

>☆コボルトの間で即席タトゥーが大人気!?
なんだかコボルトたちからすごく人間味を感じます。タトゥーをいれてファッ
ションリーダーになれるなら今から入れに行ってあげようかな。

>> 名前が無い@戦士のようだ さん
梁山泊ってw
ネグルフシさん、ホントは優しい人なのに旅人を殺さなければならないなんて
・・・。切ない展開の予感がしてます。

>> AC さん
主人公が教授だけあって考えが深いですね。ACさんの小説は世界観が独自に
出来上がっていて普通のSSとは違った面白味があると思います。続き、激しく
楽しみにしております。

>> 南東方不勝さん
リリィの狙いとは?次回ツンデレの予感!
と、だいぶ私の中でツンデレ熱が上がってきてます。男同士ならば戦いの後に
友情が芽生えますが、今回は愛が芽生えるのでしょうか?芽生えろ、芽吹いて
くれ!
一方でまた新しく話が動きそうですね。次はどんな能力の敵なのか、楽しみです。

>> ともぴ さん
ラジウスは記憶が残っていそうですね。オジと再会したらオジの記憶も蘇る
のでしょうか?
自分に素直なサチがかわいいですね。純粋な好奇心をフル稼働で夜のまt(ry
一波乱きそうです。

>> サマナの人さん
またミーアの「ぶっ殺した」が聴けるのでしょうか?あ、今回はアンデットが
相手だから無理か・・・。

>ワイルドウルフのハイネ様
おおぉおぉおぉ!漢ですな!ハイネさん!!
死を感じたハイネの思考に思わず涙しそうになりました。いままで散々ダメ男
してきたのにここぞとばかりに根性みせたハイネさんに胸が・・・胸が・・・
切ない中に希望を生み出した最高の回でした。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
純情なリフがかわいいです。リベルさんとの親交はこうして深まっていった
のですね。
>ダラダラとグダグダな展開
私はキャラにとことん感情移入したいタイプなのでこういった回想シーンやら
思想シーンは大好きです!ですのでダラダラグダグダなんて感じませんでしたよ。

>> ナンバーズ さん
白いコロッサスの発生の原因とは一体なんでしょうか?なにかわけありで
白くなってしまったのか、はたまたカビが生えたのでしょうか?(は

>> 独り語りさん
いい!!殴りBISさんの孤独感が良い哀愁を漂わせていますね!人に対する
懐疑心を抱きつつも良PTメンバーに恵まれて心を開くさまは感動的でした。
ウィザードさんのエンチャに温かみを感じます。

553 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/04(金) 14:20:43 [ hN9QPFu. ]
 その村には勇者の伝説があった

かつて村の危機に、天より勇者が現れたのだ

 一人の天使を伴った彼は(彼らとも伝わる)
強大な敵にも恐れず突き進む、真の勇者
村の男たちの不在に現れた魔物の群れを
不適にも笑みすら浮かべながら戦い抜いた


 彼らの多くが傷つき倒れたという
天使の癒しすら力及ばず、何度も何度も

 だが、それでもなお立ち向かった
倒れてなお立ち上がり、ただ戦い続けた



 長い夜が明け、村が救われたとき
彼は倒れ、天使は翼を失っていたと言う



 力尽きてなお、彼らは微笑んでいた







「「! リザよろwwwwwwwwwwwwww」」





村人A ――と言う伝説でデカイ祭でもして
   村興しってのはどうかねぇ?
村人B 自称火力サマが役に立つかいなぁ?
村人A わしら健康にゃ自信あるしぃいいんでない?
村人B んだなー混ぜりゃちょーどええかぁ




 >> 南東方不勝さん
リリィの狙いとは?次回ツンドラの予感!

554 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/04(金) 14:25:43 [ hN9QPFu. ]
 ・・・挨拶するの忘れてたーーーーー

ほぼ初書き(貼り)です ギャグ系の小説すきなので
こんな感じしかかけません  というか続けられません

 ではROM戻りますー お元気でー

555 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/04(金) 15:03:19 [ 3J/Ql5NU ]
sageてくださいよ

556 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/04(金) 16:40:05 [ YppyhaVo ]
面白いからよしとしよう

っていうか普段全然上がらないから丁度いいんじゃない?

557 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/04(金) 17:01:10 [ ppIQ9v9Q ]
前スレッドより
蒼眼の戦士−7[Else]


 雪が降り続く中、ブリッジヘッドでの出来事は現実に起きている。それは遠く離れたアウグスタでも確認ができるほどの爆発だとわかる。その爆発にいち早く気づいた一人の追放天使が居た。
「…爆発?」
その追放天使は、いつか見たことのある顔立ちをしている。そうアシュ・ミレッターであった。古の昔よりあの石を探し続ける一族の末裔の一人であった。
「あの方向は、確か港町が…。」
いくつかの教本を手にして教会へと向かう最中だったのだろう、彼は今ビショップの姿に変わり司祭としての仕事に向かうところだったのだろう。そしてその爆発を偶然にも目撃した。
「…いて見るか。」
彼は足早に教会へと入ると自分の個室のドアを開けて手にしていた教本を机の上へとおいた、そして戦闘用の服装に着替え片翼を自分の正面に持っていくと詠唱を始めた。その詠唱の速度は尋常なものではなかったのはいうまでもない。彼は一級天使の資格を持ちながらも地上へと降ろされた。いわば地上代行者といったところだろう。
「…。」
淡い光が彼を包み込むと瞬時にその姿は消えた、そして数マイル先の港町へと跳躍をした。




 変わってブリッジヘッド、あの爆発の後の殺激が痛々しいほど残されているその中で一人の男性と、まだ幼い顔立ちの少女が居た。
少女の名はミト・メーベ、男性の名はアレン・ステンバック。
そう、この爆発を引き起こした張本人たちである。
アレンは気絶をしていてピクリとも動かない様子だった。そのアレンのぐったりとした体をか弱い腕でミトは少しでも安全な場所へと移動させようとアレンの体を引きずっていた。
「アレンさん、しっかりしてください。」
ミトは今にも泣き出しそうな顔でアレンに呼びかけている、その額には大粒の汗がにじみ出ている。倉庫からはかなり離れたつもりだがまだ燃え上がる倉庫が見える、爆薬も少し混じっていただろうその倉庫からは火薬のにおいが立ち込める、またいつ爆発するかわからない状況下の中少しでも遠くへと移動しようとしていた。
「きゃ!」
そしてそれと同時に倉庫がもう一度大きな爆発を起こす、この爆発は初期の爆発に比べれば規模も大きくはないが、粉塵爆発よりも強烈な火薬の爆発であったがため、その衝撃波は殺傷能力を高めてミトを襲う。
「…アレン…さん。」
衝撃波に耐え切れなかったミトは、アレンの体のすぐ横に倒れるように転がった。そして雪が積もるブリッジヘッドに少し遅れてアシュは到着した。

558 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/04(金) 17:01:32 [ ppIQ9v9Q ]


 「…。」
目が覚めるとそこはあのブリッジヘッドではなかった、見たこともないその部屋、石造りにステンドガラスの小さな小部屋、ベッドが二つ並んでいて片方にはアレンが寝ている。
「お、気がついたかい。」
聞いたことのない声が聞こえた。その声の持ち主は小部屋の入り口のドアをゆっくりと開けて入ってきた。手には薬と見られる袋と水が入ったコップが二つ。
「貴方は…。」
「私はアシュ、”アシュ・ミレッター”。このアウグスタの教会で司祭をしているものです。そちらはアレン・ステンバックさんでしたね。」
「お知り合い…ですか。」
「いえ、知り合いというほどのものでもありませんよ。以前に一度仕事でパーティーを組んだくらいです。驚きましたよ、私がブリッジヘッドに到着したらお二人方が倒れていらっしゃるのですから。いったい何があったというのですか?」
アシュは近くにあったテーブルの椅子を引いてその上に腰掛ける、そして両膝に両肘をついて手は交差させてあごの下に置いた。
「…えっと。」
ミトはまだ混乱している様子だった。何が本当で何がうそなのかまだ把握し切れていない状況でもある。
「…私が話しましょう。」
突然隣のベットから声が聞こえた、そうアレンだった。体は横になっているものの意識ははっきりとしていて両目を開いていた。
「アレンさん!」
「いやはや、アシュさんと仰いましたか。お久しぶりです。」
「いえ、こちらこそ。」
アレンは簡単な挨拶を終えた後ゆっくりと体を起こした、だが体を起こした瞬間体中のあちらこちらで激痛が走った。
「がぁぁ!」
あまりの痛さゆへか、アレンはそのままベッドへと前倒しのようにうずくまる。
「あぁ、アレンさんは絶対安静です。まったく…どんな無茶をすればそんな傷ができるって言うんですか…三日間はおとなしく寝ててください。」
「…三日、それじゃ遅いんです。せめて今日、いえ…二日で…。」
「無茶を言うものではありません!」
おとなしそうなアシュが突然大声を張り上げた、その声にアレンはもちろんミトまでもほんの少し恐怖を覚える。
「何があったかは知りませんが、そんな体でどこに行こうというおつもりですか…それこそ命を粗末にするようなものだ。」
「…行かなくちゃ行けないんです、古都へ…ブルンネンシュティングへ。」
「…そこまでしてする何かがあるというのですかアレンさん。」
少しこわばったかお持ちでアレンの顔をじっと見つめるアシュの姿があった。いつの間にかあごの下で組んでいた両手は解かれてすっと椅子から立ち上がるとカーテンをシャっと開けた。そこから日光がまぶしいくらい降り注ぎ部屋全体を明るく照らす、ステンドガラスから入り込んだ日の光はいくつもの色に分散されて部屋の中へと入り込む。
「彼女を助けたい、…私は好きな女性一人守れずにただその過程を見守っているのがいやなんです。…私という存在は、もうあの女性を失いたくないんです。」
「…。」
アシュはアレンの話を聞いてひとつうなずく、そしてアレンのそばに薬の入った袋と水が入ったコップを置くと部屋の外へと出ようとしていた。
「二日間、二日間だけ安静にしていてください。二日後の正午、太陽が天を突く時間に貴方たちを古都へと贈って差し上げましょう。ただし。」
アシュはゆっくりと振り向くと険しい表情でアレンの顔を見る。
「無茶だけはしないでください、私は司祭…自らの命を捨てるような行為は断じて許しません。」
アシュはそれを告げるとゆっくりと部屋の外へと出て行った。扉は静かにパタンと閉まり、一瞬にして二人の周りを沈黙が支配した。
「…ありがとうございます。」

559 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/04(金) 17:01:54 [ ppIQ9v9Q ]

 「…まったく。」
部屋の外へと出るとアシュは誰にも聞こえない声でそうつぶやいた、まるで何かを察しているかのようなその顔持ち。だがそれが何かはわからなかった。
「貴方も随分なことをするではないですか…主よ。」
そういうとゆっくりと長い廊下を歩き始めた、そして少し先にある自分の個室のドアを開けると中に入っていった。



蒼眼の戦士−7[Else]
End

560 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/04(金) 17:03:14 [ ppIQ9v9Q ]
…ただいまぁ〜(ぁ
ようやくPCも直り、ギルドの人間への挨拶も終わったところで復帰宣言です。
といっても、あと少しでこのお話は終わりますが、この話が終わっても
しばらくはこのスレに寄生しているかもしれません(マテ


ということで…覚えてる人居ます?;;

561 名前: 名前が無い@戦士のようだ 投稿日: 2005/11/04(金) 17:38:28 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱
六化仙 其の拾弐
盗賊を追い払ったので宿に戻ろうと振り返る
住民が自分のことを恐怖と奇異の入り混じった目で見ている
宿に戻ってからタバコを吸う、窓から町の風景を眺める
襲撃があったばかりなのに子供は道端で笑いながら遊んでいる
主婦は洗濯物を干し始め、工夫は防衛用の武器を捨てて再び鉱山へと入る
どこにでもある様な退屈な日常に思えたが、何故か俺の目に映る人は
誰もが幸せそうに、今日に満足して生きているようだった
何か今まで眠っていた感覚が少しだけ動き、僅かな震えを心に残してから消えた
何となく自分の両手を眺めてみる、十秒くらい眺めてから
何故俺の両腕が消えないで、神父の話したウィザードは何故自分の腕を切り落としたのか?罪?罰?
いろんなモノがこの手からすり抜けていってしまった、この手には結局何も残らなかった
救いようが無かった、自分に腹が立った、ウィザードは人の命を奪った罪に苛まれて腕を切り落とした
人の命を奪うことが罪ならば、人の命を救えないことも罪なのだろうか?
タバコを掌に押し付けて火を消す、肌が焼けて少し嫌に臭いがするが気にはならなかった
宿から出てハノブの南西にある"帰らずの森"と呼ばれる場所へと向かう
誰にも知られずに朽ち果てていく、俺に相応しい死に方だと思う
2時間ほど歩いてからその場に座り込む、タバコに火をつけて一服する
来た道を振り返ってみるが茂った草と木が視界を阻む、町に戻ることは不可能だろう
タバコの火を消してから再び歩き始める、すると急に雑草と木が無くなり
ひらけた場所に出る、真ん中にぽつんと祠がある
祠に近づいて良く見てみると魔法陣が描かれている
それに触ると体が光に包まれて、どこかへと飛ばされてしまう
大理石で出来た神殿、青く燃える松明が薄暗い神殿を照らし
異様な雰囲気を出している、神殿の中心部には石像が置いてあった
女が赤子を抱いている石像だ、抱かれている赤子の背には剣が刺さっている
"良く来たね ここの世界にようこそ"
俺以外誰も居ないはずの神殿に声が響く
"そう不振に思わないでくれ"
「ここは何処だ?お前は誰だ?」
"時間の歪みに添って作られた迷宮、時のダンジョン"
「時の歪み?」
"そうだよ、ここでは宇宙の始めから終わりまでを見ることが出来る"
「お前は誰なんだ?」
"宇宙を知るもの、つまり風だ。君が呼びたければ精霊でもいい"
「ここはどんな意味がある?」
"六の石が封印される場所、永遠の安息を求める者への救い
ここには選ばれたものが来れる場所だよ"
「俺は何に選ばれたんだ?」
"君は赤い石と、ゴーファつまり私に選ばれたよ"
「あんたがゴーファ?」
一瞬、バックの中の"ゴーファの希望"が輝いたような気がした

562 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/05(土) 00:10:10 [ LVW/cCFA ]
>>独り語りさん
殴りビショさん、いいPTメンバーに恵まれましたね^^
アンデッド系のmobを一撃の下に浄化していく姿に、惚れましたw
そして、彼に希望を与えてくれたアーチャーがいいですねw
かなり萌え(イッテヨシ

>>553
ふ、不覚にも笑ってしまったorz
村人達の訛り具合が、俺のツボに決定打を叩き込みましたよw

>>戦士の様ださん
時のダンジョンに迷い込んだ主人公。やはり、彼はゴーファの希望の持ち主だったようですね。
前作の主人公となんらかの関わりがあるのでしょうか?それとも、本人(ry

563 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/05(土) 00:13:10 [ LVW/cCFA ]
名前を入れるのを忘れてました。>>562は自分です。orz
後で古代様に殴られてきます。

564 名前: FAT 投稿日: 2005/11/05(土) 00:15:41 [ kdhRDK.g ]
>>21Rさん
キターーーーーーーーーーーーーー!!!
お帰りなさい。もちろん覚えていますよ。なんせ私がSS書こうと思ったきっかけ
のお話ですから!
また21Rさんの話が読めると思うと心が躍ります。とにかく復帰おめでとう
ございます。今夜は良い夢見れそうですw

>> 名前が無い@戦士のようだ さん
ゴーファの希望・・・やはりこれを中心に主人公は翻弄されていくのですね。
また世界を巻き込むような大戦争になっていくのでしょうか?ゴーファを名乗る
者の言動に注目です。

>>553さん
村人Bの適当さがgoodです。かっこよさげに見せておいて「リザよろ」に藁です。

565 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/05(土) 13:43:19 [ kRCQN/E6 ]
21Rさん、覚えています!!
覚えていると言うよりも、続きが知りたくて楽しみにしていたぐらいです^^;

PC復活したみたいですし、クライマックス期待してます^^

566 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/05(土) 13:56:02 [ K7m90lL2 ]
>>565
            ______            ____
〔書き込む〕 名前:|         | E-mail(省略可):|sage   .|
             ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄             ̄ ̄ ̄ ̄

567 名前: AC 投稿日: 2005/11/05(土) 19:25:25 [ hciubO1o ]
絶望的に書き上げるのが遅い…orz

狂人の蔵 第七話

月光に照らされた深海のような世界。一つの影も見当たらない無人の街。
月の蒼と静寂に包まれた光景は、ある種の幻想的な雰囲気を醸し出している。

結局ジノーヴィーは駐在所を出てから一度も口を開いていない。
私達は黙々と歩き回り、街外れの教会の前まで来てしまっている。

ここに来て、ジノーヴィーはやっと言葉を発した。
「噂が広がってからはずっとこの調子です。銀狼を恐れ、夜は誰も出歩きません。
冒険者も、自分達が襲われてからは出歩くのを控えているようです」
「だが、それは我々にとってむしろ好都合だ。それより」
一旦言葉を切り、二の句を強調する。

「何故アグラーヤを駐在所に残したのかね?そもそも、私が魔法師院から聞いていた協力者は彼女の筈だが」

「…事情がありまして、今は休ませています。その間、私がこの街のナーヴスとして活動しています」
「その理由とは」
アグラーヤがナーヴスとしてこの街にいる以上、活動を休止する理由は聞いておかねばならない。

「…その、彼女は妊娠しています。ですから、あまり負担を掛けたくないのです」

突然のニュースに思考が完全に停止する。
「それは、うん?…ああ、そうか。まずはおめでとう」
「…ありがとうございます」
ジノーヴィーはそう応えるものの、手放しでは喜べないといった顔をしている。

「…いつからかね?」
「医師の診断によると、もうじき三ヶ月になります」
「そうか…。しかし、ナーヴスが身篭るなど前例のないことだな。機関への報告は?」
「いえ、機関に報告するつもりはありません」
ジノーヴィーは静かな声色でそう言い放った。

「説明してもらえるね?」
私は努めて穏やかに、彼に問い掛ける。

「アグラーヤとも相談しました。今後もスマグに戻らず、この街で暮らしていこうと考えています。
生まれてくる子供も、刻印魔法師としてでなく、普通の子供として育てていくつもりです。
機関に報告すれば、アグラーヤ共々帰還命令を下されるでしょう。私は、私たちはもうあの街へ、
狂人の蔵へ戻りたくはないのです」

「…それはどういう意味かね」
ジノーヴィーはビクリと肩を震わせる。
当然だ。彼は今、スマグ魔法師そのものを否定する台詞を吐いている。
それも魔法師院教授たる私を前にして。

568 名前: AC 投稿日: 2005/11/05(土) 19:25:58 [ hciubO1o ]
数秒して、彼はそれでも意を決して口を開いた。
「申し上げたことの非礼さは分かっているつもりです。ですがそれ以上に私は彼等が恐ろしいのです。
ハスラー教授の許で、彼の研究を間近で見ている時からずっとそう感じていました。
彼の、いえ、彼等の魔法施術、延いては進化研究に対する異常なまでの執着が。
その為に自分の子すら当然のように研究の素体として扱う、捻じ曲がった探究心が怖かった。
何よりそこにいて、次第に無感になっていく自分自身が怖かったんです!」

「ジノーヴィー…」
感情が堰を切ったように、彼は言葉を紡ぐ。

「とにかくスマグを離れたかった。だからナーヴスになったんです。
…でも用意された現実はもっと残酷だった。ご存知でしょう?近年の施術失敗による異常体の急増を。
任務として彼等に接触する度、殺す度、断末魔を聞かされる度…!気が狂いそうだった。
いっそ本当に狂いたかった。何処まで行っても纏わりつく、狂人達の呪縛から開放されるなら…」
全てを語り尽くしたジノーヴィーは、自嘲気味に力なく笑みを浮かべた。

「…でも、そんな中で彼女に、アグラーヤに出会ったんです。そんな過酷な状況の中にあって、
彼女は未来への希望に満ちていました。彼女と過ごす時間は、私を苦しみから解放してくれました」

「今スマグへ帰れば、あの魔法師達は嬉々として私達の子を魔法施術の実験体として扱うでしょう。
彼等の狂った欲望などに、私達の子も、アグラーヤも、決して委ねる訳にはいきません」
そう言い終えるジノーヴィーの瞳には、確固たる意志の光が宿っていた。

「…よく、話してくれたね」
彼の話は、いかに大切な者を護る為とはいえ、刻印魔法師相手にそうそう話せる内容ではない。
アグラーヤと自らの子を想う彼の意志と決意に、私は素直に敬意を表した。

「逃げ続ける訳にはいかないことですから。ですが相手がクライン教授でなければ、
ここまで踏み込んだ話は出来ませんでした」
疲れたような苦笑を浮かべながら、ジノーヴィーは意味深な台詞を口にする。

「?どういう意味かね」
「アグラーヤが言っていたんです。クライン教授なら、全てを打ち明けても、きっと力になってくれる、と。
昔同じような相談をしに来た生徒がいたこと、憶えていませんか?」

言われてみれば確かに以前、スマグ魔法師の在り方に疑問を抱く生徒に相談を受けたことがある。
ああ、そうだ、あの時私は…。

「…憶えているよ。そして私はその子に、ナーヴスとしてのスマグからの離脱を提案した。
ナーヴスの実情を知りもせずに。結果、その子にはより辛い思いを強いてしまっていたのだな」

そうとも。何という傲慢。何という愚行。安易な同情の結果がこれか。
あの生徒は他ならぬアグラーヤだった。私はその無責任な提言で彼女を過酷な現実へと突き落としたのだ。

569 名前: AC 投稿日: 2005/11/05(土) 19:26:35 [ hciubO1o ]
「いえっ、そういうことではなくて。そもそも教授の助言がなければ、私はアグラーヤと出会えなかった訳
ですし。それに、彼女が現実に絶望せずにいられたのは、クライン教授という理解者がいたからだと思うんです」
ジノーヴィーは慌てて捲くし立てる。

「だが、私が言動への責任を持たなかったのは事実だよ」
「教授…」

そう。ならば今度こそ。
「…どんな事情があるにせよ、機関には報告しなければならない。それがナーヴスたる者のルールだ」
「っ。教授…」
ジノーヴィーが困惑した表情を浮かべるが、構わず話を続ける。

「そして生まれてくる子にも、魔法施術は施さねばならない」

魔力塔は我々の身にその絶大な魔力と同時に、もう一つ特殊な仕組みを刻み込んだ。
常に魔力の満ちる身体。恒常的に魔力を収集し続ける魔力回路の構造である。
そして飽和を超えて尚注ぎ込まれる魔力は、持ち主を徐々に歪めていく。その精神も、肉体も。
施術刻印は魔力回路の拡張に加え、許容を超える魔力を放出、調整する役割を同時に担うのだ。

「魔力塔の影響を受けた者の子だ、親の特質を継承している筈。ならば、放っておくのは却って危険だろう」
「しかし、彼らに子供を渡す訳には…!」
ジノーヴィーは不安を顕にしている。それでも私は言葉を次いだ。

「施術は私自ら執り行う。術式も、失敗の無いよう最も安定した方式を採る。他の魔法師の介入は
絶対に許さない。君達と子供のこの街への永住についても、ナーヴスの駐留形態の、一つのテストケース
ということでどうにか了承させよう。なに、現院長には幾つか貸しがあってね。
彼女を通せば秘匿機関に対しても、多少の融通は利く筈だ」

そう。先頃新たなスマグ魔法師院院長に就任した刻印魔法師は、私の学生時代からの友人なのだ。
その勝気な性格と後先を微塵程も考えない大胆な行動の所為で、私とハスラーは幾度となく彼女の
持ち込むトラブルのフォローに回らされてきた。今回ナーヴスでない私が、ハスラー捜索の為とは
いえこうまで自由に動き回れるのは、偏に彼女の機関への影響力によるものである。
学生時代散々振り回されてきたのだ。この位は融通してもらったとて罰は当たるまい。

「どうだろう。今回は私に任せてはくれないか。今度こそ必ず、君達を護ってみせる」

ジノーヴィーは呆然と私を見ている。
「とはいえ、前回のことを考えれば幾分頼りなく思うかもしれないがね」
と、苦笑して―――――――――

直後、こちらに向けられた鋭い殺意と、そのモノが放つ異質な魔力に眩暈を起こしかけた。

「ジノーヴィー」
「教授」
二人同時に目配せを合図に、魔法の構成を開始する。

殺意の持ち主を探るべく周囲に目を配る。
教会の屋根に鎮座する十字架に、月光を浴びて青白く輝く人影がに立っていた。
件の銀狼に間違いない。どうやら我々は今回のターゲットに見定められたようだ

いくつかの魔法を立ち上げ待機状態にし、戦闘体制をとる。
銀狼は一度大きく背を反らして咆哮を上げた後、月光を背負い此方へと跳ねた。

570 名前: 名無しさん@戦士のようだ 投稿日: 2005/11/05(土) 20:11:45 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐

六化仙 其の拾参

"六つの石を集めて欲しい、あれはいつか破滅へとつながる"
「何で俺なんだ、俺には関係ないだろう」
"君には力がある、六つの石をここへと封印すれば君の友人を蘇らせて上げよう"
「ならば今ここで蘇らせてみろ」
"力が足りない、六つの石があれば、力があれば出来る。これを見るんだ"
突然、神殿の壁が消え去り、変わりに醜い色をした巨大な炎の塊が現れる
"これは500年後の太陽だ、死に掛けているんだ。あと100年で消滅するだろう
パチン・・・・・・それでoffだ、六つの石が及ぼす力は時として破滅へと繋がるからね"
「何で500年もの先のことがあんたにはわかる?」
"ここは時間の流れを無視した場所だからね、私はここで世界の始まりから終わりまでを見た"
「いいだろう、六つの石を集めてやる。集めれば二人を蘇らせてくれるんだな?」
"約束しよう"
「最後に質問していいかな?」
"どうぞ"
「あんたはここで何を学んだ?」
ゴーファが大きな声を立てて笑い、それから消えた。深呼吸してから
石像に刺さっている剣−刃が曲がりくねった剣だったーを引き抜いた
その剣を使って俺は自分の喉を貫いた

気がつくとベットの上で寝転んでいた、夢だったのだろうか?夢と現実の境目が消えていた
なにやら街が騒がしい、宿の主人が部屋へと飛び込んでくる
「先生!山賊がまた襲ってきました、助けてください」
わかったと返事をして、剣を握りしめて喧騒へと向かう
そういえば自分は剣を握っている、何故?そう思って右手に目をやる
蛇の様に曲がりくねった刃、神殿で手に入れた剣だった
剣を眺めていると急に声をかけられる
「貴様が山賊を殺した男だな?」
異国の鎧と刀で武装し、人を覆うような巨大な盾を持った男が聞いてくる
「そうだったらどうするんだ?」
ニヤリと不敵な笑みを浮かべ、男に剣の切っ先を向ける
血と暴力の冷徹な臭いがした

571 名前: AC 投稿日: 2005/11/05(土) 20:40:11 [ hciubO1o ]
>>コボルトのマント 様
自分とバインダーとの絶対的な力の差に竦み上がり、
迂闊にも物音を立ててしまった主人公。どうなってしまうのでしょうか?

>>FAT 様
テリーナどころかマリスまで消滅していたとは。
自分の読解力の無さが恥ずかしいですorz
さて、フプレが自身を護る為に生まれた人格であるシエルも、
その身に負う負荷に長く耐えてきた様子。二人(三人)が
元の鞘に戻ることはもう無いのでしょうか…

>>ともび 様
大方の予想を裏切って心霊スポットなブリッジヘッド。
でも料理はピカ一なのは港町ならではでしょうか。
心霊スポットなのに一人で夜に出かけちゃうサチが心配です。

>>ナンバーズ 様
傷を瞬時に再生するビショップ。顔からガラス片がポロポロ
出てくる光景は何と言うか、ちょっと正視したくないです。orz

>>サマナの人 様
最早私は語るべき言葉を持ちません。
それでもあえて言うならば ハ イ ネ 最 高 !

>>南東方不勝 様
リリィの剣槍織り交ぜた独特なスタイルと純粋にシーフとして強力なギル
リリィの隠し持つ起死回生の一撃とは…!

>>名無しさん 様
デッチ上げる伝説すらどこか適当な村人達。酒盛りしながら
「これいいんじゃね?」みたいなノリで話し合っていそうです。

>>独り語り 様
不遇な扱いを受けて懐疑的になってしまったBISと
そんな彼の心を溶かしていくPTメンバー…いい話です。

>>◆21RFz91GTE 様
復帰おめでとうございます!
石探索を一族の使命とするアシュと、その鍵を握るアレン。
今後の展開に期待です。

>>名前が無い@戦士のようだ 様
過去に負った心の傷、大切な人を救えなかったという罪の意識、
そして資格を持つ者のみが手に出来る筈のゴーファの希望。
傭兵さんはやはり…。

572 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/05(土) 21:36:24 [ LVW/cCFA ]
>>ACさん
異常なまでの進化への探究心に、生まれてくる我が子を巻き込みたくない。
ジノーヴィーさんの想いに感動しました。
そして、それを出来るだけ理想に近い形に実現できるように協力すると約束した主人公もまたいい!!
それから、遂に姿を現した銀狼。果たして、この戦いの結末は?
期待しすぎてる俺ガイル^^

>>戦士のようださん
>>562で軽く変換をミスったことをこの場を借りてお詫びしますorz
さて、ゴーファと名乗る者から頼みごとを達成した見返りに、「二人」を復活してもらうことを望む傭兵さん。
その「二人」とは、もしかして・・・。

573 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/05(土) 23:36:43 [ ppIQ9v9Q ]
前スレより
>>557-559■蒼眼の戦士−7



The Final Chapter
−Cold north wind−


 薄暗い部屋があった、その部屋の中はとても寒く、暗闇に支配されている。
その部屋の中に一人、瞳から光を失った女性が一人、清楚な服装でただ椅子に座っていた。ほかには何も見えない。もしも見えたとしても何もあるはずがないだろう。
 石垣で作られたその部屋は、日の光を遮断し、何もかもを包み込む暗闇だけが支配していた。
その部屋の中に一つの光が差し込んだ、その光はゆっくりと部屋全体を照らし始める。その部屋の中に居たのはとても美しい女性だった。
 髪の毛は肩までのショート、流れるようなさらさらの金髪に、銀色の王冠を頭に載せシルクのドレスを着ている。瞳には光が入っていなかった。
「…このときを幾度と待ちわびたことか。」
「…。」
女性は何もしゃべらなかった、いや、しゃべれないとこの場合は言ったほうが適切であろう。自分の意思を持っていないかのようなその表情。まるで巨大な石像のような…光が差し込んできた場所は扉だった。その扉を開けたのは殺伐とした服装で、腰に大きな大剣をすえた戦士がそこに居た。
「…俺の勝ちだアデル…ふははは…ははははははははははははは!」
その声は、どこかで聞いたことのあるような声で、また…遠い記憶の中で生きていた人の声にもよく似ていた。

574 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/05(土) 23:37:03 [ ppIQ9v9Q ]

 あのときからどれだけの月日が経過しただろうか、いつか助けた男の子は元気に飛び跳ねていて、あの場所はいつも誰かを待ち続けるだけの場所となり、古都に振り続ける雪はいまだにやむことを知らなかった。
あの城壁も今も同じ場所にあり、同じ役人が城門の管理をしている。何も変わるはずのないその崩壊した国の中心は、何も変わらずにいまだそこにあり続けていた。
 いつもにぎやかなその町並みは、今日は何かが違った。午前中の商店街の賑わいではなく、子供たちのあの声も聞こえない。聞こえるのは街の中でのざわめきだけ、いや、どよめきというべきであろうか。
崩れ落ちた王城に一人の男が立っている、その全方位を囲むかのような弓兵、その後ろにウィザードが数名、一番後方にはビショップたちが列を成して並んでいる。前線には戦士や剣士、そして一番前にランサーの大部隊が並んでいた。
人々は何事かと王城の前に野次馬のごとく沢山の人が居た、その中にはほかの国々の王や王妃、観光をしに来たどこかの村人、そして冒険者の姿がいくつか見られた。
「皆の者、よく聞け!」
一番高いところに居たリーダーと思われる戦士が一人、大声を張り上げた。その声は古都中に響き渡り、窓を閉め切っていた部屋の中にも聞こえるほどの大きさだった。強いて言うならマイクを通してスピーカーから大音量で発生した音波に近い。
「我等は、古の昔より語り継がれてきたあの神秘の石を手に入れることを成功した!これより、この国…いや、下界は私たちがすべてを支配し、そして皆によりよい暮らしを約束するために…私は新たな国を立ち上げる!」
どよめきがさらに大きくなった、そのどよめきの中一人大声を張り上げるものが居る。彼は名も無き武道家であろう。
「理想郷でもつくろうってのか?馬鹿馬鹿しい、大体貴様のようなやつがあの石を…。」
ズドドドド、そんな音が聞こえたせつな武道家は何も言わずにそこに倒れた。倒れた武道家からは夥しい量の血液が流れ出した。
「…見たか、私に逆らうとこうなる!死にたくないものは私の前に跪き、私の指示に従え!そうすれば皆が求める理想郷を作り上げるであろう!」
どよめきの中に悲鳴が混じり始める、逃げ惑う人々が現れ、それを追うかのように前衛に居たランサー達が道をふさぐ。
「決して逃げられるはずが無い、この火力を前にして私に立ち向かえるものなど居るものか!」

575 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/05(土) 23:37:29 [ ppIQ9v9Q ]

 「”…。”」
「”今の状況で呼ぶのは危険です、もう少し待ったほうが懸命でしょう。”」
「”いや…何とかなると思います。”」
「”いや…しかし。”」
「”…。”」
「”分かりました、ですが無理だけはしないでください。”」




 町全体が悲鳴とざわめきで満たされている中、一人のビショップが仁王立ちしている男の前へと歩き始めた。
「…ん。」
男が近づいてくるビショップの姿を確認する、その姿は捨て身で何も武器を持たないただのビショップだった。
「理想郷…たいしたものをおつくりになるそうで。」
「いかにも…私の理想郷だ、石を手に入れればさえすれば私が天上の神に変わり、私がこの地上を支配する。」
「…どうやってその力を取得なされるのか興味ぶかいですな。」
ビショップはゆっくりと歩みを止めなかった、前線に居る剣士と戦士はいずれも剣を引き抜き、いつでも襲いかかれる準備をしている。
「…古都が崩壊して幾年、その間誰も見つけることができなかったあの石をどう手に入れるおつもりで?」
ビショップが歩みを止めた、それと同時に誰にも聞こえないような声で詠唱を始める。
「私が手に入れるのではない、こいつが手に入れてくれる。」
そういうと後ろから一人の女性がゆっくりと男のほうへと歩いてくる、それはあの部屋に居た女性だった。
「この女こそ、崩壊した王家の末裔!”オリエンタル・A・ブルンネンシュティグ”その人だ!」



  The Final Chapter
−Cold north wind Ⅰ−
END

576 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/05(土) 23:41:51 [ ppIQ9v9Q ]
こんばんわ〜、めっさ風邪引いてますorz

>>564
お久しぶりです、覚えていてくれてうれしいです。
もうじき終わってしまう話なのにこれだけ待たせてしまって本当に申し訳ないです、はい;;

>>565
こんばんは〜、復帰しました〜(PCはね…orz
本当にお待たせしてしまって申し訳ないです。

>>571
いやはやなんとも、今後の展開といっても後少しでこの話終わっちゃうんですよね;;
一応次回作もちゃんと用意していますのであしからずです。


>>スレ住人
本当にお久しぶりです、皆さんお元気ですかぁ?
新しく入ってきた人も、昔から居る人も、ROM専の人も仲良くいきましょう〜。
では、風邪治してきますorz

577 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/06(日) 02:19:39 [ LVW/cCFA ]
>>546
ドゴス・・・・!!
「かっは・・・!」
オイラの急所攻撃が、見事にリリィの腹に直撃する。
まぁ、流石に血反吐を吐かせるような真似はしない。殴った部位も、肉体に深刻なダメージを与えるような急所じゃないし・・。
「・・・っ!?」
おかしい、ここまで見事に決まっているのに手応えがまったく感じられない。
その違和感に気づいたその刹那、オイラは横に飛び退いた。直感が警告を発したからだ。
「はぁぁぁぁぁ!!」
オイラが飛び退くと同時に、リリィの斬撃が空を切る。
「ちっ・・、ダミーも扱えるのかよ!」
ダミーステップ、相手の攻撃を避けると同時に自分が今まで立っていた場所に分身を設置するランサーの高等回避技術。
どうやら、まんまとリリィの策に嵌められたようだ。
ヒュオン・・・!!
この機を逃さない、と言わんばかりにリリィの斬撃が襲い掛かる。オイラの周りを、まるでダンスを踊っているかのような軽やかさだ。
流石にこの速度でシミターを使われると、切れ味が一般的な剣士のそれとは段違いだ。
「でも、まだ遅ぇ!!!!」だが、この程度のスピードじゃオイラの足を止めるには至らない。
迫り来る斬撃のダンスフロアを一気に駆け抜け、再度、腹に一撃を叩き込む。
だが、
「・・・っ、これもダミーか!」手ごたえを感じられない。
「ふふっ。ギル、速度だけがランサーの特色ではなくってよ!」
オイラが吹き飛ばしたダミーの影から、本体(リリィ)が現れる。
(っ、まずい。この間合いじゃリリィの方が有利だ。)
いつの間にか、オイラはリリィが最も得意とする間合いに誘い込まれていたようだ。
「はあぁぁぁぁぁ・・・・!」目の前のリリィの姿が揺らぎ、分身を始める。
ここでパラレルの直撃をもらったら、タダでは済まないだろう。
「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」リリィにとっては最高のタイミングで、七人分の突きが放たれる。
「なめるなぁぁぁぁぁ!!」だが、オイラだってこのまま素直にもらうつもりは無い。
オイラの直感が「突っ込め!」と体を突き動かす。眼前に突きの壁が迫り来る。
だが、下のほうには若干の隙間があるのが確認できる・・・。突っ込むならここしかない!
「なっ・・・!?」オイラのとった行動に、リリィは息を飲む。流石に、このパラレルを避けられるとは思わなかったみたいだ。
「おらぁぁぁ!」そのまま流れるような動作で、リリィの顎に肘打ちを入れる。
だが、またしても手応えを感じられない。
「嘘だろっ!?」3体目のダミーに、オイラは完全に虚をつかれた。
咄嗟にその場から離れようとするが、
「逃がしませんわぁぁぁぁぁ!!」怒号一撃。リリィお得意のウォークライで動きを止められる。
退避不能に陥ったオイラの周りをリリィの分身に囲む。
(エントラまで使えるのかよ・・・。)やれやれ、流石は兄貴達のマスターってところか・・。
「負けたよ、リリィ。降参だ。」

578 名前: FAT 投稿日: 2005/11/07(月) 09:51:54 [ srMkgNUE ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)
>>118-119(23)|>>465-466(27)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)




――フプレが帰らない。

レニィは次第に不安の色を濃くし、執拗にフランを責め立てる。
「フラン!!いいかげんに答えないか!!昨晩何があった、フプレはどこだ?」
下に俯いたまま、フランは目すら合わせようともせず、ひたすらに自分の殻の中に引きこ
もっている。
くそっ!と地面を踏みしめ、憤怒する。付き合いの長いタカでさえもこれほどに苛立った
レニィは見たことがなかった。
「レニィ、冷静になれ。いくらフプレに惚れていたとはいえ、乱れすぎだぞ」
その一言に僅かにではあるがフランが反応した。

・・・レニィは、フプレのことが好き?

フランは必死になって考える。自分が嫌われているだけならば、フプレはレニィの元に行
けばよい。そうすれば、彼女は幸せになれるのではないだろうか?二人で、暮らせばいい。

非常に極端な発想だった。だがフランは他に何も思いつけなかった。
フランにはフプレの居場所が分かっていた。ウィスパーが教えてくれていたから。
素早くレニィの耳元に唇を添えると居場所だけを囁いた。
「すぐに戻る」とだけ言い走り去るレニィ。
巻き起こった風は5人の心を掻き乱し、激しく砂煙を巻き上げる。
この日、遂に二人は戻らなかった。

579 名前: FAT 投稿日: 2005/11/07(月) 09:52:31 [ srMkgNUE ]
「どうするんだ?まさか二人が戻ってくるまで永遠にここで待ち続けるわけではあるま
い」
カップの中のコーヒーを啜り、私とジョーイに意見を求める。
「俺はまずフランの村に行くべきだと思うな。レニィが居ないのは心外だが、彼が付いて
いればフプレも安心だろう。無理に探しに行って気まずいとこに遭遇するのは御免だから
な」
ジョーイはさほど二人のことを気にしていない風だ。そこにタカさんは突っかかる。
「あの復讐鬼と遭遇していたらどうする?4対2じゃあいくらレニィたちでも不利だぞ」
「4対4だろ。ペットたちがいる」
確かに数の上では互角だ。
「心配するのはむしろこっちのほうじゃないのか?俺たちの中で秀でた能力を持ってる奴
はいるのかよ?向こうはいざとなったらシエルがいるだろう?あいつが出たらどんな相手
でもいちころだって」

無知というのは恐ろしい。
私は無神経にシエルの名前を出したジョーイを睨みつけた。
もちろん事情を知らないジョーイに罪はない。罪はないが私の怯えた心はそんな些細なこ
とでも敏感に反応し、牙を剥く。
無意識にジョーイに掴みかかると、何か罵声を浴びせてやろうと思ったが彼の瞳を覗き込
んだ瞬間、全てがそこに吸い込まれた。
黒より深い青。
闇より暗い蒼。
そんな印象を受けた。
この人は、私などよりも余程深い絶望を味わったことがあるのだろう。そして、それを乗
り越えてきたのだろう。想像を絶するような苦痛を・・・・・。

私は服を掴んだ拳を緩め、屈強な体に身を委ねた。
優しく包み込むジョーイの暖かさにしばし甘え、これでもかと言わんばかりに涙を流した。

辛いことがあるとすぐに塞ぎこむ私の悪い癖。
今回はこの悪癖のせいでフプレとレニィ、両者と別れてしまった。
私は、もう何も考えたくなかった。
でも今、ジョーイの目を見て分かった。
どんなに辛いことがあっても、それを乗り越えなければいけないと。
強くならなくっちゃ。

半刻ほど胸を借りたあとで、すくっと立ち上がり、2人を煽り立てる。
「さぁ、行きましょう。フプレたちはあっちよ」
ビシッと指差した方角には、虹が架かっていた。
私は七色の橋に心を弾ませ、フプレに謝ろう、そして、仲直りしてもらおうと希望を抱い
た。

そうさ、18年間の絆を、こんな簡単に失ってたまるもんか!

以前よりも活力を漲らせる私に二人は安堵の笑みをこぼし、ハノブを後にした。
向かうは神聖都市アウグスタだ。

580 名前: FAT 投稿日: 2005/11/07(月) 10:30:29 [ srMkgNUE ]
>>ACさん
クライン教授がかっこいい!!
なんて物分りのよい人なんでしょう。自分を信頼して真意を打ち明けたジノーヴィー
さんに報いようと真剣に彼の問題に取り掛かろうとする熱意に心打たれました。
学校の教授にもこんな人がいたらなぁ・・・・

>> 名無しさん@戦士のようだ さん
あぁ、ついにネグルフシさんと激突してしまいそうですね。凄惨な結果となって
しまうのでしょうか?ガクブルでお待ちしています。

>>21Rさん
恐ろしい支配者ですね・・・。私欲のために個人を利用し、見せしめに殺しも
厭わない。それをもって大衆を支配する、絶対王政の体制。
懐かしの再会もこれではショックで放心してしまいますよね。

>> 南東方不勝さん
ランサーと剣士の技を両方使えるという設定、すごくおもしろいですね!
戦闘のバリエーションが広がって読んでいてホントにできたらいいのになぁ
なんて思いました。
高い戦闘力を誇るギルもリリィには敵いませんか・・・。最後に十八番の
ウォークライでしめるあたりがリリィらしくてよかったです。

581 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/07(月) 11:35:54 [ DXXt3lTo ]
>>544
第8話:魚の街で

夜のブリッジヘッドは素敵だった。
海を照らす灯台の光や、酒場から漏れる光で町は生きているように輝いて見えた。
サチは港に行って海を眺めたり、灯台に登って夜景を楽しんだりして、
この旅で初めておとずれた一人の時間を楽しんだ。

『寒い。そろそろ戻ろうかなぁ』
海からの風ですっかり体の冷えてしまったサチはブルブル震えていた。

『嬢ちゃん、観光客かい?』
ブルブル震えるサチの後ろから、男が声をかけてきた。
男は黒いマントに身を包んで、見るからに怪しかった。
その手には湯気の立つカップが2つ握られており、その一つをサチのほうに差し出していた。

『魚を煮込んだスープ。そこの店でもらってきたんだ。
嬢ちゃんが寒そうにしてるのを見てね、よかったら飲むといい。』

見るからに怪しい男の手に握られたカップをサチは疑いの目で見ていた。
サチはとてもいい子なので、知らない人から物をもらったりしないのだ。

『俺の名前はスル、毒なんか入っちゃいないよ。
ほら、う〜ん、うまい!ブリッジヘッドの食い物は何もかもうまいなぁ』

スルはそう言いながらカップに口をつけた。
本当においしそうに飲むスルの様子を見て、サチはカップに手をのばした。
サチはとてもいい子なので、自分の知らないものへの好奇心が旺盛なのだ。
恐る恐るその魚スープに口をつけ、ゴクッと一口飲んだ。

『おいしい!』
サチの声は夜のブリッジヘッドに響いた。

それからスルはこの町についてサチに話を聞かせてくれた。
スルの話はとても細かく、まるでパンフレットを読んでいるような感覚だったが、
時折冗談を混ぜ、笑わせたり、納得させられたりして、サチは話に夢中になった。
サチはスルの話を聞いてこの町のことが好きになった。

『そりゃ、魚しかないような町だけどさ、俺はここが好きなんだ。この町には素敵なことがいっぱいさ。
夜景は綺麗だし、住んでるやつらもいいやつばっかりだ。
シーフギルドなんてもんがあるから人が寄らないだけさ。
俺もシーフギルドの一員だけど、シーフに悪いやつなんていない。
みんな誤解しているんだ。シーフが悪かったのなんてもうずっと昔の話だ。
あ、俺がシーフだから言ってるんじゃないよ?ほんとにそうなのさ。』

シーフギルド?とサチが聞くと、スルはシーフギルドについて話しはじめた。

『シーフギルドっていうのはね、起源は、さかのぼる事(以下略)』

スルの話によると、現代のシーフは主に遺跡の調査や、人探しが仕事の中心で、
そのほとんどが、政府公認の仕事らしいのだ。

スルの説明くさい話を聞いてサチはシーフギルドに興味を持った。
お魚いっぱいで、料理のおいしい町。
そしてこんなに親切なシーフが所属しているシーフギルド。

──行ってみたい

サチの興味は願望になり、そして行動にあらわれた。

582 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/07(月) 11:36:29 [ DXXt3lTo ]
『スル、私をシーフギルドに連れていってよ。』

サチの急なお願いに少し驚いたようなスルだったが、
サチのキラキラ輝く目を見て、すこし笑い、そして案内することにした。

『サチ、ここがシーフギルドの入り口だ。ただの倉庫に見える?そうだろうね。
そこの柱をよく見てごらん。ここにシーフの証が刻まれている。
これには特殊なトラップが仕掛けてあって、一般人は容易に入れない仕組みになってるんだ。
心配しなくてもいいよ。もうトラップは解除したから。』

そうサチに説明すると、スルは扉を開けて、どうぞ、とサチを中へうながした。
サチはくすっと笑い、そして中へ入ろうとした時、扉の奥から声が聞こえた。

『まさか本当に連れてくるとはね。さすが、アドナ様だわ』
中から黒い鎧に身を包み、大きな槍を持った女、アーキが出てきた。
アーキはスルのほうを見て笑い、そしてサチのほうに向き直り、また笑った。

『誰だお前?どうやってここに入った?ここのトラップの解除法は俺の部下しか知らないし、
誰かが解除した形跡も無かった。どうやって入ったのか、説明してもらおうか。』

スルはいつのまにか小さな剣を手に持っており、それをアーキに向けて構えた。

『あなたには知る資格が無いわ。全く、自己学習機能ってのは面倒なものね。』

そう言いながらアーキは持っていた槍を地面に突き刺した。
すると槍からなにか衝撃波のようなものがでたかのように、地面が波打ち、
スルの体はいつのまにかサチの後ろのほうへ吹き飛ばされていた。

『っく、一体何がどうなってるんだ・・・』
スルは外傷はないものの、体がしびれて思うように動けなかった。
サチは全く現状を理解することができずただ立っていた。
アーキは槍を地面から引き抜き、呆然とするサチのほうへ歩き出した。
『さてと、あなたがサチね。ペンダントを渡してもらおうかしら』

サチはペンダントを握り締めようと、胸に手を当てたが、そこにペンダントはなかった。
ケルビの母親のような苦言から逃れるため、部屋に置いてきてしまっていた。

アーキはサチがペンダントを持っていないことに気がつくと、態度を一変し、
サチのほうへ物凄い速さで近づき、サチに槍を向けた。サチと槍の間は数センチしかない。
少しでも変な動きを見せたら殺す。という殺気をサチはその槍からビリビリと感じた。

『小娘、ペンダントはどこだ?正直に言わないと痛い目を見るぞ。』
アーキはサチに槍を押し付けたまま言った。

サチは"女"として、意地でもこの女には負けてはいけないような気がした。
そして、ペンダントのありかを教えると自分はこの女に負けてしまう。
という、なんの根拠も無い結論に達していた。

『し、死んでも教えるもんですかァ!』
サチは最後の勇気を振り絞って叫んだ。声が裏返ってしまったが。

『そうか、なら少し、その華奢な体に聞いてみることにしよう!』
アーキが攻撃の態勢に入ったその瞬間、アーキの体が横に吹き飛んだ。
サチの目の前を白く、大きな拳のようなものが通り過ぎていった。

『サチ!』
サチが声の聞こえたほうを振り向くと、ペンダントが飛んできていた。

『だから一人で出歩くなと言ったじゃろうが』

サチがペンダントを掴むと、そう言いながらケルビがペンダントの中から出てきた。

『オジの力の発動が間に合わなければ今ごろ大変なことになっておったぞ』

言いながらケルビはオジの方を見て、つられてサチとスルもオジのほうを見た。
見るとオジの右手から湯気が立ち昇っていた。

『まだあんまりよくわかってないんだけどね。』
オジは照れながら笑った。

583 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/07(月) 20:30:56 [ W3ZnDUBQ ]
東エル通信


 『ロマの秘祭  百年ぶりの復活』

 ロマ村として知られるソゴム山ビスル村で
数百年の伝統を持つという『勇者祭』が再開。
百年ぶりとなる今回は、各都市での告知など
大々的に行われるという。

 目玉は高額賞品が目白押しの模擬戦闘会
村に伝わる伝説の勇者の証、他副賞も多数。
家族連れも楽しめる参加型テイマーショーや
びくっこ掴み取り、民芸品と伝統料理講座も。
 今回は百年ぶりの事もあり一週間通しての
開催。 各都市からの出店もあるという。

 会場:ソゴム山ビスル村。   順路に看板が設置される。    
 問い合わせ、大会受付:各都市ギルドセンター内特設受付
            アウグスタのみ大聖堂第3懺悔室。

*会場周辺は大変危険ですので天使タクシー若しくは転移門にて。            
 もしもに備え美形看護士付き治療用完全個室を多数用意。


 フリーコール 236-555 (ビスルヘゴォゴォゴォ)



*この告知はフリクションであり実際のイベント、民族、地名とは
関係ありません。     (・・・新聞からネタ捕ったけどさ)



>>分身しまくりでそこら一面リリィ(リリス)さん・・・

・・・・・・『ツンデレパラダイス』デスカっ?!


>>ともび さん
 スンさんに学習機能なのか人間に学習機能なのかっ
一般の人たちまで作り物だと、なんかこわい話に・・・



 前回は上げてすみません・・
たぶん「とちきい」とか入れてしまったものかと(ダメ過)

584 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/07(月) 23:13:30 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
ジョーイの胸を借りたおかげで、フプレと真正面から向き合うことを決意したフラン。
今までのような、仲良し姉妹に戻れることを期待します。
あとレニィさん、やっぱりフプレにぞっこんでしたかwついでに、ジョーイとフランもくっつけ(ry

>>ともびさん
どうにもイレギュラーと呼ばれる人達以外はプログラミングされた存在っぽいですなぁ^^;
さてさて、オジの能力が発動したようですが詳細を知ることが出来るのはまだまだ先のことのようです。

>>東エル通信さん
とりあえず、このように呼ばせていただきます^^
ロマ村の祭りですかぁ。つか、美人看護婦完備ってorz
天使タクシーとか利用する人が激減しそうですねw

585 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/08(火) 00:03:45 [ LVW/cCFA ]
>>577
オイラを囲んでいたリリィの分身が消滅する。やれやれ、ほんとにとんでもない女の子だよなぁ。
「あら、もう終わりですの?折角、全力で楽しめそうでしたのに・・。」
おいおい、いつの間にか試合の主旨が変わってないかい?まぁ、楽しかったのは事実だけど。
「まぁ、いいでしょう。ギル、体はまだ痺れてますの?」
「ちょっとまだ反応が鈍いかな。リリィのウォークライ、強力だから。」
仕方ありませんわねぇ。と言って、オイラのほうに歩いてくるリリィ。
「ほら、ギル。私の肩を貸して差し上げますから。」
「っ!?い、今なんて言ったリリィ・・?」
「だから、歩くのが辛いでしょうから体の痺れが取れるまで私の肩を貸して・・。」
まぁ、確かにその行為自体はありがたいんだけど・・。密着状態になるのは、オイラの心臓に非常によろしくない。
リリィもその事実に気づいたのかポンッ、っと音が出そうな勢いで顔を赤くする。
ん、なんでリリィの顔が赤くなるんだ?
「と、とにかく貴方は私の肩を借りればいいんですの!人の好意は受け取っておくものですわ!」
そういって、半ば強引にオイラの肩を支えるリリィ。
「いや、ちょっタンマ。自分の足で歩ける・・・」
直感がざわつく。この場所にいると危険だ・・・!
「何度も言わせないで下さる!?私だって、今この機会を逃したら・・、」
「リリィ、あとでいくらでも説教くらうから。ちょっと失礼するよ!!」
「えっ?」
そうリリィに断りを入れてから、オイラは急いでリリィを抱き上げ今立っている場所から逃げ出した。
「ちょ、ちょっとギル!?」リリィが、腕の中で何か訴えているがそれに構っている余裕は無い。
「ギ、ギルいいから降ろし・・・。」リリィがオイラに対して二度目の抗議を阻むかのように、
ドゴォォォォォォォン!!
背後から爆発音が響いた。
「うぉ・・・!?」爆風がオイラの背中に叩きつけられる。
そのまま2m近く飛ばされたが、オイラもリリィも運よく目立った外傷をつくる事は無かった。
爆煙の向こうから、この爆発を起こしたと思われる奴らの会話が聞こえてくる。
「愚カ者!何故、アノ距離デ射チ損ジタ!?」
「小隊長。ヤハリ我ラ、ハイランダー族ト魔法矢ノ相性ハアマリ良クハナイト思ウデアリマス。」
「確カニ自分ノ技術的失敗モ原因ノ一端ヲ担ウト思ワレマスガ、我ラノ魔力制御力デハ矢ノ形ヲ形成スル事ハ難シイト思ウデアリマス。」
「ヌゥ・・、ヤハリ大隊長閣下ノ懸念ガ当タッタカ。新兵共ニハ実体矢ヲ利用シタ弓術ヲ叩キ込ンダ方ガ良イ様ダナ。」
妙に堅苦しい話し方を言い合いながら、爆煙の中からハイランダー2体とハイランダー隊長がその姿を現した。

586 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/08(火) 01:07:53 [ LVW/cCFA ]
>>585
オイラ達の目の前に現れたハイランダー達の中で、妙な格好をしている奴がいた。
肉弾戦を得意とするハイランダーであるにも関わらず、アーチャー達が使っている弓と同型のものを装備していた。
まぁ、大きさに関しては巨大弓よりでかいんじゃないのか?この弓。
「あの、ギル・・。そろそろ降ろしてもらえませんの?」
オイラの腕の中から、可愛らしい声が聞こえる。あぁ、そういや手を引くよりも早いから抱き上げたんだっけ。
ん、抱き上げた・・?今気づいた事実を確かめるために、オイラは恐る恐る視線を落す。
やはり、オイラの腕にはリリィの体が抱えられている。しかもリリィの体勢を考えると、どうもオイラは俗に言う「お姫様抱っこ」をしているようだ。
「わ、悪いリリィ。急いでいたにしてもこの抱えられ方は無いよな、すぐに降ろすよ。」
そうしてオイラは、リリィを腕の中から降ろした。心臓が風雨の日の影響下にあるファミリアを超える速度で脈打つ。
「あ・あの、その・・。ぁ、ありがとう。」顔を真っ赤にしながら、リリィがオイラに対してお礼を言う。
いや、そんな顔されるとオイラの理性が・・・。
「貴様ラ、聖域タル戦場デ何ヲシテオルカァァァァ!!」
ハイランダー隊長の野太い声で現実に引き戻される。
あぁ、そういえばこいつらまだ居たんだっけ。それどころじゃなかったから、すっかり忘れてた。

(むぅ・・。折角、人が余韻に浸っていたのに。)
ついさっきの甘い気分から現実に引き戻された私は、原因であるハイランダーを睨みつける。
ま・まぁ、そういう対象で見ていないとはいえ、気になっている男性にいきなり、お・お姫様抱っこなんてされたら甘い気分にもなりますわ!
「小隊長、落チ着イテクダサイ。我ラノ目的ハ、コノ不謹慎ナ人間共ヲ始末スル事デアリマス。怒鳴ル必要性ハ皆無カト・・。」
「ソノクライ分カッテイル!サッサト始末シテ大隊長閣下ニゴ報告スルゾ!!」
「「イエッサー!!」」
ハイランダー達が戦闘体制をとる。どうやら、こちらもそれなりに覚悟をして臨まなくてはならないようです。
あの、弓を装備したハイランダーが撃ちだす魔力の塊は破壊力だけは圧倒的ですし・・。
「貴方は下がっていてくださる、ギル?」そう言って隣に居るはずのギルの方に顔を向けると、そこに彼の姿は無かった。
「へっ、ギル?」彼の姿が見えないことで、私が(自分で言うのもなんなのですが)間抜けな声を発した瞬間、
「「「がっ・・・!?」」」ハイランダー3体分の呻き声が聞こえました。
その声に驚いて彼らのほうに向き直ると、
「はっ、後ろががら空きだっつぅーの。」彼の姿がありました。
ジャックから話は伺っていましたが、瞬く間にハイランダーを3体も仕留める程の暗殺の技術の持ち主だなんて驚きですわ。
「ちょっと、ギル。いきなり居なくってしまわれたから慌ててしまったではないですの!」
「あぁ、悪い。こいつら隙だらけだったから・・。」
「でも、これでようやく古都に戻れますわね。」
さて、古都に戻ったらソロPTにでも入ろうかしら?
「いや、どうもまだ古都には帰れそうに無いよ。リリィ・・。」
「えっ!?」ギルの警告どおり、もう少し古都に戻るのはお預けのようです。
なぜなら、私達の周りをハイランダーの大軍が囲んでいるのですから・・。

587 名前: 独り語り 投稿日: 2005/11/08(火) 09:15:52 [ ZYpksnYc ]
>21R様
おかえりなさい!お待ちしてました。
たった一人の女性を救うことは、地上の権勢を揺るがす力と対立すること。
様々な思いと因縁の交錯する中、一人のロリコンが立ち上がる!
クライマックス';,.;:*;'.,η(’ヮ’η),.;'*:';'・'’

>AC様
組織の黒い部分を直視しないできた教授も組織の闇におびえるジノーヴィーも
人の持つ闇を甘くみているような言い様のない不安を覚えました。
これ以上、悲劇がおきませんよう、祈ります・・・

>名無しさん@戦士のようだ様
世界を滅ぼす力を取引の材料に求めながら、
託した者の願いというか弱みにつけこむゴーファが怪しすぎます。においます。

>FAT様
仕事やめてついてきたタカさん(´Д`)、タカさん・・・

>ともび様
フワフワと地に足がついてないよな、お散歩満喫するサチちゃんが可愛いです♪
ケルビは母親というかお目付けの「じぃ」みたい・・・。
サチが姫様でケルビがじぃやでオジがナイト?最後だけ、まだ、納得いきません。
次回!オジの活躍に期待。

>>583
>544のお祭りが実行されたのかと噴出しました。
>>584
”美形看護士”で看護婦じゃないなのがポイント。
オリエンタルな魅力溢れる黒い肌の美人かもしれません。むちむちでむきむk

>南東方不勝様
マジアロで大砲のような威力なら、ビックスパローを使ったらさながらバリスタのように…。
二人の愛に古都の命運までかかってる気がします。訂正)X愛 ○腕

皆さんの素直な感想と並ぶとズレてる気がする・・・。ま、いいか。

『BIS』宛、感想ありがとうございます。
たった一行を何度も書き直した甲斐があります♪また頑張れそうです。

588 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/08(火) 19:48:41 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参

六化仙 其の拾四

妙な雰囲気の男だった。顔立ちが良くてスラリと伸びた背の高い好青年だが
顔に生きる活力と言うべきものが無かった。それに他の人よりも影が薄く、
目の中には深い暗闇があった。その暗闇は闇に近すぎて目が痛くなりそうだ。
「お前が盗賊を殺したのか?」
「だったらどうするんだ?」
男が殺気を顕わにして言った。蛇のように曲がりくねった剣をこちらに向ける。
「悪いけども俺はあんたを殺すことになる」
男に向けて言った後に、愛刀、一枝梅で男に突きを繰り出す。
綺麗なステップで不意を突いたはずの突きを簡単に避けられてしまう。
男の剣が弧を描いて襲ってくる。盾でのガードが間に合わないので体を捻って刃を避ける
盾で男を殴りつけてから間合いを取る。盾の裏に仕込んでおいた手裏剣を二つ投げつける
低い姿勢で走ってきた男が一旦足を止める。その隙を狙って風の魔法を掛けた盾を投げつける。
盾が竜巻を生み出して、カマイタチと仕込んでいた手裏剣を吐き出しながら襲い掛かる。
竜巻が収まり、少ししてから一面を覆っていた砂埃も消え去る。
男の死体を見ようと爆心地へと向かう、がそこにあったのは死体ではなく別のもの。
黒い羽が辺りに舞い上がっている、その中心にいるのは漆黒の翼で身を覆う男。
その異形に思わず足が止まり一瞬の隙を作ってしまう、男が異常なスピードでこちらに走ってくる。
男の刃が鎧の一部を削り取るが、体を捻ってなんとか斬撃を避ける。
後ろに飛んで間合いを離そうとするが男が密着してそれを阻む。
空中で顔を狙って繰り出される突きを何とか避ける。
着地した後に男を蹴り飛ばし、それからバックステップで間合いを取る
「あんたやるな、普通の人間ならここまで俺と戦えないぞ。」
男が凄惨な笑みを浮かべて話しかけてくる。
「あんたもな、俺の盾を防いだのは人間の中であんただけだ。」
男がもう一つ剣を抜く、妙な光を発する長剣だ。
盾が無い状況では俺が圧倒的に不利、このままでは追い詰められててなぶり殺しだ。
男が広げていた羽を折りたたみ、こちらへ走ってくる。
覚悟の臍を決め、剣を握り締めて男を迎え撃つ。勝負はこれで決まる。

589 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/08(火) 22:18:16 [ hNlLsBE2 ]
感想

>>南東方不勝さん
嫉妬?するハイランダー隊長 どこか間が抜けて愛嬌がありますね

>>583
美人看護婦は女装ビショップと予想

>>ともぴさん
右手から立ち上る湯気とは?

>>FATさん
蒼い眼のジョーイが素敵ですね

>>21Rさん
復活おめでとうございます
独裁者は意志を手に入れてしまうのでしょうか?
独裁者の理想郷とは・・・

>>ACさん
ついに銀狼が登場、銀狼と教授の運命は?

>>553
村人の投げやりな感じに惚れました
自分もこんなの書きたいです

590 名前: 東インド会社(違) 投稿日: 2005/11/09(水) 01:34:54 [ qgcX7oV2 ]
 本紙記者によるいんたぶーばっすいo

――良いのですか?
村長(以下 長):一族だげでは血ぃ澱んでしまうでぇ仕方ねべさ(以下翻訳)
――いえ、賞品が高価過ぎるような……
長:我々ロマには生れついて幸運な者も多いのです。
 そこらを散歩するだけで幾らでも手に入ります。
――なるほど。 ですが紙勇者や厨ばかり来るのでは?
長:我々は基本的に頑健です。
 また、下手に真の勇者に来られても困る。
――何故です?
長:また若い者が村を出てしまうからですよ(苦笑)
 村に戻った者もまたすぐ旅に出てしまう。
――なるほどそれで。
長:天使の皆さんにはなんとお礼を言えば良いやら
 イベントのびくっこも転移門で直送して頂く予定です。
――なるほど・・・すごいものですね。
長:ええ、代償など安いものです。
――では最後に何か?
長:――伝説の勇者も未熟な青年だったそうです・・・・・・
 たとえ今は弱くとも小さくまとまったりせず
  何より悪の誘惑に負けないで欲しいですね。

――ありがとうございました。


○ビスル勇者祭り

 受付窓口:各都市ギルド監理局 特設窓口

 大会参加受付期間:○月○日〜×月×日
      (当日参加は予約状況によります)



>>583
>544のお祭りが実行されたのかと噴出しました。

 そのつもりでしたーーーーー・・・orz


>”美形看護士”で看護婦じゃないなのがポイント。
>オリエンタルな魅力溢れる黒い肌の美人かもしれません。
>むちむちでむきむk

ぁぅぁぅぁぁぅぅぅぅぅ・・・・・・「看護師(男女含む)」ですゃぅ.
一括変換に「師」がでなかったのですよぅ・・・・・・

 で、看護士(びす&ロマ男)&準看幼女(+α)(服装は色々ってことで)
      ・・・それとも「白(桃)衣の天使」行くかに?


>「タクシー使わない」発言

 大会参加者や祭中の怪我人も治療されちゃうのさー


では今度こそROMもどりますー。

591 名前: LB 投稿日: 2005/11/09(水) 03:54:46 [ etYnwsA2 ]
題名幾つか変更致しました。
┌───────────────────┐
│           -残滓-            .│
│前スレ分                       .│
>>563-564 序章  『滓の目覚め』       │
>>755-756 第一章 『ほどけぬ雪』         │
>>923-926 第二章 『郷来』            │
│現行スレ分                     .│
>>220-222 第三章 『因果は巡る小車』   ...│
└───────────────────┘

第四章 『契約開始』

「しかしどうも寒いね、この姿は」

ナス橋を超えて、切り開かれた斜面を登りきった先、断崖絶壁を伴う切り岸の淵。佇む一つの人影はケイトスだ。
周りは一面、白銀に散りばめられた異空間で、藍色一色の衣類と炎を宿すセミロングの髪は際立って異の色を示した。
南の山脈へ、深緑を抱いて連なっていたはずの台地はすっかり白装飾を纏い終え、ただ黙して聳えたつ。
十の歳で初めてこの場所へ来た時と見れる物は変わらない。いつしか己の年齢は二十五となり、そこから百年程もの年月が経ちながらもまだ揺るぎのない眺めだ。
――しかし、感慨にふけきる前に現実、この身の置かれている状況は些か悪すぎた。
何よりも雪に乗じて身を切り刻む寒波。こちらの装備は着物という布切れを体に巻いたようなものだけで、露出する腕や足首は凍りついて痛みさえも覚える。
背に軽い断続的な―地を蹴る音を感じて、微笑。呆れた口調を投げかけた。

「なんとも身を守るのに非効率的だ。風呂上りにこんな物を着せるというのは奇怪な慣習だと思わないか?寝込み、身支度の際の襲撃時にはどうするというのだね?や・ら・れ放題だ。無秩序に体を舐め」

「なーに危険発言してるかなぁっ!」

ティアは雪の上をスライディングしながら突っ込んだ。
勢いを加速させた回し蹴りを微笑みかけてきたあの面にぶち込んで――丘の上から蹴落として…
それは雪を削って掘り下げただけに終わる。
上体を横に反らして斜め上から、鋭く強く、刺すような勢いを右の足は空振りして地面に突き立った。
視界に見えた彼の行動は顔を反らしただけのみで微笑のまま懐に立っている。

……まだまだ。

突き立った右足を軸に体を一回転、左の足を同時に後ろに振り上げて前へ、振り子の刃の如く―――蹴り上げる。
乾いた音と同時に手ごたえを感じた。――が、決定打ではなく防御されている。大振りの初撃を囮とした二撃目を咄嗟に両手で防がれたのは意外だと思ったが。
掴もうとしたのだろう。そう、あの時、私が歩法、幽遠で館から抜け出そうとした時の様に。馬鹿だな。と思う。あれは私が失敗したからこそ、あんな無様に掴まったのだ。決して彼の手腕による物じゃない。
父の技だ。父が私の完全会得を認めた技だ。破られるわけがない………
彼が私の蹴りを防いだのは腕の部分ではなく手。その両手はこちらの蹴りの勢いを殺しきれずに跳ね上がっている。詰まる所これも最高の一撃を入れるため…………そう!好機を作るためのお・と・り。
そのまま足を振り下ろせばいい。この蹴り上げと振り上げで踵落としの完成となる。普通なら顔面を撃つ所だけど、背丈の違いとタイミングの微妙なズレがあいまってそれは出来ない。ならば目指すは……うん…股間だね♪
これで決まる。

592 名前: LB 投稿日: 2005/11/09(水) 03:55:16 [ etYnwsA2 ]
「責任とれーーー!」

誤解だとか関係ない。とにかく―――見られてしまった。これが事実で、かつ重要な事。
そんな…他人の女性の恥ずべき姿を男は視界に焼き付けたのだから、黙って制裁を受けるべき!違う?

(いやしかしながらこのようなつっこみを繰り出してこられるとは、激しい。若気活き活きとよろしい事だ)
ケイトスは初撃を避けながら思案を巡らせていた。この少女に関して、出会って抱いた興味の数々を。
そして。
今置かれている現状を楽しみながら、分析していた。
ただ、純粋に戦うだけなら向いている事を認める点はある。動きも素早く、相手の動きに対応した良い連携を実行する為の冷静な判断力、十分に備わってると言えよう。
しかし、今まで、館でのあの歩法を見てから、彼女が二重に映って見えてしまう――――そう、既視感だ。あの"山猿"が影として不意に現れる。今もなお、ティアの動きに伴って。
だからこそ、最後に決めに来るのは踵落としだと予想できた。判断の遅れから蹴り上げは弾かれてしまったが。次の一撃を防げば良い。
"あれ"と決定的に違うのは打点の低さ、こちらの頭を狙うには及ばない。そして次はそのまま振り下ろしに来る。ならばほぼ間違いなく、只ならぬ苦痛を与えうる箇所としては下半身を狙ってくる。
振り下ろされる寸前、前屈みになって、右足を蹴り出し前へ。右の肩のちょうど肩甲骨の上部辺りに威力が乗りきらない靴が当たる。衝撃は最小限に留めた。後はそのまま押し出して相手の体勢を崩す。
ティアの体は軽い。重さのない体が、威力を増す為に頼ってきた速度を打ち消した今、捻じ伏せるのは容易い。
う、と軽い苦悶の声を上げて彼女は後ろへ尻餅をつく。こちらを忌々しげに見つめる目がまだ攻撃の意思を知らせてくる。
立ち上がろうとする彼女に手を差し伸べようとして、彼女が驚いて後ずさる。そして――――
落ちた。器用に手を滑らせて、頭から。ケイトスは動きに追従して彼女の落下を食い止めた。
ふぅ、と息を吐き、安堵。
だが眼前、ティアは顔を真っ赤に染めてこちらを睨んでいる。困った事に、気でもあるのだろうか、という冗談は置いておこう。

「感謝の言葉があってもいいと思うのだが」
「うるさーい!!!ま、まま、またしてもこの野郎っ!!どこ掴んでんのよーーーーー!」
「命を助けるためとしてこれは間違っていないと判断したのだが」
「にしても場所を考えなさいっ!」

と、ケイトスは気にしていない。彼が掴んだ位置は両足の膝。
ただし…着物の外側からではなく、その裾の中深くに、両腕を突っ込んだ形で。
裾がめくれてずり下がる中、ティアは両手でケイトスの掴む部位を押さえ込み、それ以上の露出を防いだ。

「ふむ、勿論配慮して腰を抱え込もうとしたのだが、間に合わなくてね。他の部位となるとその衣服は素肌に滑る仕様で危険だ」
「…………分かったから早く引き上げてくれない?」
諦めた、呆れた口調、それが引っかかる。
いやまて、とケイトスは黙考した。このまま彼女を助けても、自分には変態という負債がのしかかったままだ。
相手に認めてもらった上で返上をせねばならない。今すぐにでも。

「そうだね……ここらで一つ交渉と行こうか」
「ちょ、ちょっと何をいきなり」
無視して言う。
「俺は君の身体の処遇を預かっている。手を離せば…」
「ふん、こんな崖程度、落ち着いた今ならロープと短剣使えば大丈夫よ。そんな脅しに」
「下を見てみたまえ」

593 名前: LB 投稿日: 2005/11/09(水) 03:55:45 [ etYnwsA2 ]
彼女は言われるがままに顎を反らして―――――ひ、と短い悲鳴を上げる。
続けて漏れそうな悲鳴を隠そうと口元に両手を押し当てて、またずり下がる着物の裾に気づいて押さえこんだ。
眼下、雪原の上にまばらに聳え立つ樹林の影に。幾多、蠢くものがあった。

首をこちらにもたげて彼女が叫ぶ。

「なんであんなにぴくっこがいるのよーーーーーーーっ!!」
ずるりずるりと、大きな口から牙を出し入れしながら這いずり回る明緑のワーム達。所狭しと崖下に広がる雪原を埋め尽くしている。
「ははは俺に文句を言われても困る―――まぁ思い当たる節としては」
ここでケイトスは怪しく笑う。
「―――復讐だね。そう、ぴくっこの復讐だ」
「は?」
彼女は眉をひそめる怪訝な表情へ。
「君の宿の御品書きに『この冬を乗り切れ!やわらかくて栄養満点!ぴくっこ肉のスタミナ料理!』という特集があったはずだが」
「あーそういえば母さんが言ってたわね………冬のぴくっこ達は冬眠に備えてたくさん栄養を蓄えてるからスタミナ抜群間違いなしだって。油も採取できるし節約節約………」
「若い時の苦労はいずれ為になる。頑張るといい」
「うん……」
互いに表情が噛み合って会釈。一息。

「って………関係ない。ないからさ……そんな事。無駄な事言ってないでさっさと引き上げなさい」
「俺には見えるのだよ」
いきなり表情を険に、押し殺した口調に変えたケイトスの様子に、ティアは表情を強張らせた。
「君が包丁で切り刻んでいった彼らの仲間の怨恨、そして俺達の眼下にいる彼らの叫びがね。さぁそうとも、こう言ってるともさ……
"ぬとぬとのぐちょぐちょで固めてなぶって料理して食ってやる"と。彼らの油は無色無臭だがワーム種の中では粘りが強い部類に入る。そんなものを身に浴びれば当然動く事は出来まい。そして彼らが口内に潜ませている幾つもの触手で君は――――あぁっ!」

「いやぁっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

絶叫がこだまするも同時に強風が吹いて打ち消していく。彼女は涙目になり、首を激しく振って想像した情景を否定している。
予定通り事は進みつつある。そうそう忘れずにフォローをしておかねば。
「君をこの場から助け出す見返りをこちらが提示する前に……」
涙目の彼女を諭すような、やわらかい会釈を。そして深々と頭を垂れる。
「まずは………君に対する失礼の数々を詫びるべきだ。申し訳ない」
彼女は眉尻を下げた潤んだ眼でこちらを静かに見据えてくる。
「……許してくれるかね?」
しばらくして、首を下に振ってそれきり、彼女は俯いたまま、そろそろ可哀想に。
「ありがたい。まぁ君を助ける見返りなど初めから取るつもりはないとも。安心したまえ」
漸くケイトスは彼女を引き上げる。その最中、彼女の顔が震えて爆発を迎えようとしているのが分かる。
「当然に決まってるでしょうが馬鹿ぁ!!!ぁ…あいたたたた……頭に血がぁ…」
と彼女は元気良く叫んで、そして頭を抱えて仰向けに寝転んだ。

594 名前: LB 投稿日: 2005/11/09(水) 03:56:05 [ etYnwsA2 ]
してやられた、くそったれ。
大好きな文学作品で培った感受性が仇になって変な想像まであぁ…………不覚。彼はさぞかし満足だろう。今は調子に乗っていろ。絶対に裏かいて泣かせてやる!
その当人は相変わらず、伏している自分の傍に立って雪景色を眺めている。同じ景色ばかり見て飽きないのだろうか。
雪が激しくなってきた。風と共に降り立つ白い粉塵が彼の赤い髪を更に引き立たせている。
館でのやり取りで初めて見た彼の表情。今、悠然と立っている彼の横顔を見ても、何か引っかかるものがある。
特に眼、彼の瞳は何処か力なく変化なく、憂い気さえも垣間見える。軽々しい口調は彼の過去の反動かなにかだろうか。
いつしか注視していたこちらの視線に気づいたのか、彼がこちらに向きなおって声を出す。

「そうだ。俺からのサービス、といった所かな。休みながら聞くといい」

また何かを仕掛ける気だろうか、と一応耳を集中させ、突っ込みを即答で入れる準備、身体の方も何時でも臨戦態勢に入れるように構えた。

「君を守ろう」

右足を蹴って飛び出す所まではよかった。とにかく攻撃するなら突発的にやらねば避けられるし、文句は後からつけられる。そう思ったが。
予想外の発言につんのめって滑って前へ。またしても彼に抱きつくような形で、倒れこんでしまった。
…沈黙。

「忙しいね君は。足元は良く見るべきだよ?それとも本能的衝動で俺に抱き――ぐわっ」
「今のはあんたの発言が悪いんでしょうがっ!わけ分かんないわよ!」
「話は最後まで聞くものだ落ち着きたまえ。言葉通りだ。君を守り通し、そして無事に君の父母に会わせて元の生活へ導こう。ただの狩りだったり家出だったりで出掛けているだけならば少々張り合いがないがね」
「それであんな様子で出て行くわけ……」
何かがはじけた音と共に空気が揺れるような感触、それが発言を遮った。もう一度よく聞く。これは……火薬の音だ。

「まさか……!」
疑いはすぐ言葉に現れた。彼が聞いて応じる前に、
「お父さんよ…」
私が頷き、答えた。冗談は言ってられない。
「これはお父さんの火薬を使った仕掛け罠よ。それも大型の」
気が滅入る。確か、三日程前から倉庫の積荷の一片が消えていた。恐らくはそれだ。
ならば父はこの日を予期していたということになる。何故…という疑念だけが自分に、頭にある父の記憶に問う。
そして母も、何らかの形で父の抱える問題を知っていたのだ。自分だけが仲間はずれで、自分だけが何も知らずにいた。それが、その事実が腹ただしい。
「どうしても尋常とは思えない、か」
当然だ、という意思表示を頷きで示す。彼はそれにまぁ、と言葉を入れてから、
「俺にも思い当たる節がないわけでもない」
え、とこちらが反応すると同時に手が差し伸べられた。
「俺はケイトス。年齢及び所在及び詳細の公開は個人的理由により今は却下だ。その内話す機会があるかもしれないがね」
さあ、と彼は続ける。
「君も名乗りたまえ。君の名は知っているが、直接教えられたわけではないのでね。契約とは互いの名の下で成立するものだ、覚えておきたまえ」
「……ティア、ティア・マキーナよ。私の事も貴方が信頼できるとこの先判断したら色々と話すかもね」
握り返した。そして破顔、その訳は彼女の中に生まれた一つの思考によるものだ。
前戯、初めはそんなものだと彼女は思っていた。契約?果たしてそれに如何程の価値があるというのだろうか。
大げさとはいえど、初めての冒険。その大義名分としては悪くない。ここで父や母が抱える問題を解決すれば、私の独り立ちも認められるだろうか。
身内の問題でそんな考えは不謹慎がすぎると分かっていながらも、一旦植えついた淡い期待が消え去る事はなかった。

595 名前: LB 投稿日: 2005/11/09(水) 04:00:42 [ etYnwsA2 ]
あぁ…膨大な文字列で申し訳ないです。目薬持参の上でお読みください。
そしてこんな早朝にお早うございます。
私も風邪を患って中々寝付けない始末。体調には気をつけないと…

596 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/09(水) 22:37:17 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四

六化仙 其の拾五

二本の剣を手にした黒い翼の俺を相手はどう思うのだろうか?
そんな事を思いながら相手の息の根を止めるために姿勢を低くして走る。
音が無くなる、物の動きが急激に遅くなる。何度か味わったことのある感覚。
戦いの匂いがする。しばらく忘れていた匂い。戦いという嵐の中で感じる。
眼も開かぬほど疲れ果て、血が涸れるほど傷ついても恐怖が体を突き動かす。
心が潰れるくらい泣き疲れても、憎しみが殺意を駆り立てる。
戦いに感情は要らない、ただ絶対的な偏見を持って相手を殺すだけ、
今まで数え切れないくらいの相手に教えてやった。こっちがあの世だと。
何故俺がこんなに詳しいのか、俺も危うく逝きかけたからだ、
何とか免れたが払った代償は大きかった。
「ゼハアアアアアアア!」
雄たけびを上げて剣を振るう。男は怯む様子もなく剣を構えて俺を迎え撃つ。
------キュ---ンと金属と金属がぶつかる音がする。空いている片方の剣を水平に振るう。
男が剣を捨てて、それから高く飛び上がり盾を取りに行こうとする。
俺は俺の間合いで戦う。男の方へと走り追撃を喰らわそうとするが、男が盾を拾う方が早い。
「グハアアアアアアアァァ」
男が叫びながら盾を投げる。竜巻が襲い掛かり、抜け出そうとするが移動できない。
平衡感覚が無くなり、空中に打ち上げられる。空気が薄く、何度呼吸しても息苦しさが消えない。
頬に何かがぶつかり、すこし遅れてから血が流れる感覚が伝わる。
頬から伝わる血の感覚が、何か心にある琴線に触れる。死んだ親友。
血塗られた運命。愛すべき人の顔。それらが混じりあって複雑な気持ちになる。
重たい眼を開いてから封印を解く、背中から白い翼が現れ、同時に力がみなぎる。
純白の翼と漆黒の羽を広げて、竜巻の発生源の盾の元へと向かう。
手裏剣とカマイタチが体を切り裂くが不思議と痛みは感じない。
高速で回転している盾を剣で水平に殴る。盾の回転を無理やり力尽くで押さえ込む。
片方の剣を地面に突き刺し、盾を掴んで完全に回転を止める。
竜巻と砂埃が収まるが、男の姿が見当たらない。後ろに気配を感じて振り返るが、
前蹴りの一撃を喰らい、体制を崩してしまう。
男が短剣で俺の首を狙って振るう、その刃を腕で無理やり受け、
剣を振るって男の肩を切る、が体制が不安定なために肉を斬るだけで終わる。
男を蹴飛ばしてから地面に刺していた剣を拾う。
「よくその傷で戦っていられるな」
男が喘ぎながら話す。
「あんたもよくやるな」
そう言ってから分身を生み出し、走りながら一斉に突きを繰り出す。
分身に対して男は残像が見えるほどのスピードで剣を振るう。
獣のような雄たけびが聞こえたかと思うと、体の力が抜け、
耳鳴りがした後に目の前が暗くなる。
それから地面に倒れ、同じように倒れる男を見た後に完全に意識を失ってしまう。

597 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/09(水) 22:52:45 [ LVW/cCFA ]
>>LBさん
ケイトスさん、微妙にエロ(ry
それにしてもティア嬢、元気な娘さんですねぇ。ツッコミにスライディングを使うなんてGJですw

>>戦士のようださん
ネグルフシと傭兵の激闘の結末は、両者が倒れる結果となりました。
とりあえず、今回の戦いでどちらかが死ぬことが無くてほっとしました。

598 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/10(木) 00:32:27 [ LVW/cCFA ]
>>586
オイラ達を逃がさないかのように、ぞくぞくとハイランダーが集まってくる。
「副総長殿!第24小隊所属ノ者ハ全滅デアリマス!!」
「遅カッタカ・・・。我ラ、先行部隊ガモウ少シ早クココニ辿リ着ケテイタノナラバ・・。」
そういって、オイラが殺したハイランダー達の遺骸を見つめる。どうやら、こいつらの上司みたいだな。
「総員、戦闘準備!!大隊長閣下ノ命令ニ背ク事ニナルガ、ココデ『大堕天使』ノ仲間ヲ始末スルゾ。全テノ責任ハ俺ガ背負ウ!!!」
イエッサー。と周りのハイランダー達がその命令を承諾する。その数、およそ40体・・!
「リリィ、トワー以外に範囲技術なんて覚えて無いよな。」
さっきの試合の戦い方から察するに、リリィのスタイルはヒット&アウェイ。多数の敵を相手にするのは苦手のはずだ。
「あら、ご心配なさらずに。トワー以外の技術も習得していましてよ。」
にっこり微笑みながらオイラの予想を裏切る答えを返してきた。
でも、流石に片手剣じゃ広範囲に影響がある技術は無理だと思うけど・・。
「ウオォォォォォォォォォ!!」っと、考えてる場合じゃないな!
オイラ達目がけて、ハイランダー達が突撃してくる。しかも、弓矢の援護付きだ。
どうやら、オイラがさっきやった奴以外に弓を扱う奴がいたようだ。
「たく、なんでハイランダーのクセに弓なんて使って来るんだよ・・。」
「愚痴を言っても何の解決にもなりませんわよ、ギル。確かに厄介ですけど・・。」
そんなことを言い合いながら、目前に迫ってきている巨人の群に向かってダーティーフィーバーを放つ。
無数の手裏剣が、奴らの目や足の筋を切り裂く。だが、それでも巨人達は止まらない。
「ギル、ここは私に任せてくださる?私が道を作りますから、貴方は後方に控えている弓持ちを何とかしてくださいね。」
そういい終わるや否や、リリィはハイランダー達の目の前に躍り出た。
確かに、あいつらが撃ってくる矢はその一撃一撃が圧倒的な破壊力だ。食らったらひとたまりも無いだろう。
しかも、撃ち出してきている矢が奴らにとって制御が難しい魔法矢ではなく、実体矢なら尚更だ。
「娘、ソノ様ナ小サキ体デ我ラヲ止メラレルト思ッタカァァ!?」
隊列の先頭に立っていた隊長が、リリィを吹き飛ばさんと全力で突進してくる。
リリィの技量の高さは認める。でも、体格の面ではハイランダーの方に圧倒的に分がある。
だが、そんなオイラの心配も彼女は見事に裏切ってくれた。
「えぇ、彼方達なんて私一人で充分ですわ・・!」
その刹那、リリィの姿がぶれる。次の瞬間、
「ヌァァァァァァァァァァ!」巨人の山が吹き飛ばされる。
オイラはその光景に目を疑った。ハイランダー達が吹き飛ばされたことに対してではなく、その芸当を成し遂げたリリィのスキルに・・。
おそらくリリィが使用したスキルは、ランサーの「オーサムフォートレス」だろう。範囲内にいる一定数の敵に対して、分身で攻撃を仕掛ける技術で、敵一体につき分身は一体ずつのはずだ。
だが、リリィが使用したそれは敵一体に対して分身が7体。早い話が範囲内にいた敵全てにパラレルを打ち込んだと同じだ。
「ギル、何をぼさっとしているんですの!?」
リリィが行動を起こさないオイラに対して怒鳴る。
「いや、だって・・。さっきの技はなんだよ?あんなスキル、オイラ見たこと無いよ。」
「別に大したものではありませんわ。ランサーのオーサムと剣士のパラレルを『複合』させただけですもの。名付けるならば『パラレルフォートレス』といったところかしら。」
いや、大したことあるから。ほんとにとんでもない女の子に一目惚れしちゃったなぁ、オイラ。
「さぁ、疑問が解けたのなら自分の役割を果たしてくださる?」
そういってリリィは、再びパラレルフォートレスでオイラが突っ込む道を紡ぎ出す。
「言わずもがなさ、リリィ!」
リリィがこじ開けた道を、シャドウスニーキングを発動させ一気に駆け抜ける。
巨人の海を抜け出したその先には、弓矢を装備したハイランダーが10体。副総長と呼ばれてた隊長も確認できる。
オイラは最高速度で手前にいたハイランダーの心臓を貫く。オイラの存在にようやく気づいたハイランダー達が矢を放つ。
(あぁ、そんなんじゃダメダメだ。弓矢でオイラの足を止めるにはレナくらいの腕が無いと・・。)
そのまま速度を落さずに、オイラの進行方向にいる3体の眼球目がけてブラックソーンを投げつける。
「ガァァァ!!」
視覚を殺され、ハイランダーが呻く。その隙をついて、ガントレットに仕込んだ爪でそのまま首を切り裂く。切り裂かれた首から、真っ赤な桜が勢い良く咲き乱れた。

599 名前: FAT 投稿日: 2005/11/10(木) 22:59:57 [ srMkgNUE ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)
>>118-119(23)|>>465-466(27)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)




朝日が昇る。
フプレは急に心もとない気がしてならなくなった。
両脇にはメラーとクラープがいてくれる。
しかし、フプレはこの二体と会話することが出来ない。独り言のように二体に話しかけて
は反応のなさに気が沈む。

とぼとぼと鉄の道と呼ばれる道を重い足取りで歩く。
次の都市、アウグスタまでは後3、4日もあれば着くだろう。

フプレは何故自分がこの道を選んだのか分からなかった。

このまま進めばあと半日ほどで魔法都市スマグとの分岐点に差し掛かるだろう。それでも
自分は、きっとアウグスタへの道を選ぶ。

フプレは人一倍、寂しがりやな娘である。

心に一人で生きるという決心をしたのも実はうわべだけであり、本心では母との生活を望
んでいた。二重人格であることが関係しているかは分からないがフプレは自己の中で葛藤
を起こしていた。
決意を通し、どこぞの小さな町や村でひっそりと暮らしたいと望む自分と、母のもとに戻
り、ぬくぬくと暮らしたいと望む自分がいた。
今は、圧倒的に後者が勝っていた。
最愛の姉と決別し、くたびれたフプレの心は、安息を求めている。村に戻ればいずれ、フ
ランと会うことになるということは重々承知している。

本当は今すぐにでも会って話がしたい。謝って、仲直りしたい。

しかしフランの性格を考えると時間を空けてからでないと受け入れてもらえないと分かっ
ている。彼女は一度思い込んだり、塞ぎ込んだりするとしばらくは手がつけられなくなる
のだ。
そんな理由で仕方がなくリンガ村を目指そうと目標を変更し、少し歩幅を広くとってペー
スを速めた。


辺りがゆっくりと焼けるような赤に染まってゆく。道端の木々が燃えたぎり、フプレは安
心できる寝床を探しだす。目ぼしい空き地を探し出すと薪を集め、メラーの火で焚き木を
たく。

・・・・なんだか、恐いな・・・・

一人で野宿するのはこれが初めてのことだ。
バッグからパンを取り出し、軽く火で焙る。メラーとクラープにも分けてあげ、自分は一
切れだけ口に放り込むと焚き木の火をじぃっと見詰める。
炎はわずかな風にも揺れ、悪戯にその形を変える。静かに燃える火にフプレは見入ってい
た。熱で顔が火照り、光悦としている。頭がくらくらとし、しばらくすると、ゆっくりと
火の中に引きずり込まれた。

・・・暖かい・・・

火の中は不思議な暖かさが充満していて、フプレの痛んだ胸を優しく撫でる。すこし傷口
に沁みて声を短く洩らす。フプレの体を人のようなものが抱き、布のようなものが更にそ
の上を覆う。幻想の中でその影はレニィのものへと変わり、フプレは口付けを迫る。

・・・いつもの夢ならばレニィは彼女と唇を重ね、彼女が満足するまでその欲望のままに
絡み合うのだが、今晩は違った。

600 名前: FAT 投稿日: 2005/11/10(木) 23:01:01 [ srMkgNUE ]
フプレが夢の中でレニィと愛し合うようになったのは牢に入って2、3ヶ月の頃からで、
告白こそ出来ずじまいだったが二人で鉄格子越しに話をしているとき、彼女は何にも変え
がたいような幸せを感じていた。更に、出所祝いにとプレゼントされた指輪。箱を開けた
ときのあの感動は人生で一番のものだった。そして、あのとき流した涙ほど幸せな涙もい
ままでにないものだった。

レニィのことが好きだったが、フプレは自身の体に自信というものが全くなかった。フラ
ンも同様のことだが胸は小振りで体は細いが所謂くびれというものがない。なんとかお尻
の形だけは自慢のできるような丸型である。レニィのような好青年ならばもっといい娘が
寄ってくるだろうし、もしかしたらもう恋仲の者がいるかもしれない・・・・。

そんな訳でフプレは現実では恋情を表に出さず、夢の中では好き放題にレニィと恋慕を募
らせていたのだ。

異変にフプレは戸惑うが再度唇を近づける。今度は逃げられないように頭に腕を回し、し
っかりと固定する。しかしそれでもレニィは応じてはくれない。
夢の中でも自分の思い通りにならず、フプレは泣き出してしまう。昨日のフランとの傷が
開き、自責の念が溢れ出す。
シエルを止めようと思えば止められた。でも、出来なかった。
姉妹として、親友として本当のことは知っておいて欲しかった。

でも、フランは受け入れてはくれなかった。

フプレを恐れるかのように静かに場を去っていったフラン。
その光景はフプレに絶望を与えた。
フランは、フプレに嫌われているという部分だけを強調して心に傷を受けてしまった。

本当に知って欲しかったのはそこじゃない、そんなところじゃなかったのに・・・・・

レニィの頭にすがりつき、頬を寄せる。ようやく夢の中のレニィはいつも通りにフプレの
言うとおりになり、寂しさを紛らわすために、苛立ちを隠すために、不安を拭うために、
何度も何度も交合を繰り返した。体が熱くなり、悪いものが全て外に逃げていってくれる
ような気がした。寂しさも、苛立ちも、不安も、フランのことも、全てを忘れられた。快
楽に溺れ、束の間の娯楽を骨の髄まで楽しんだ。

火の側だからか、いつもよりリアルにレニィの体温が感じられた。





「やぁ、おはよう。」

・・・ん?

目の前には薪の燃え屑、その両側にはメラーとクラープ。
そして・・・・

私の背中に、たくましい胸が押し付けられている。色白で美しい腕が腹に巻きつけられ、
私を包んでいる。

え? あれ? これって??

「どうかしたかい?フプレ」

「レニィ!?」
後ろを振り返り、その人を確認する。
夢じゃない。この体温、この声、この笑顔。

嬉しさのあまり涙が溢れてくる。
体を起こしてレニィと向き合い、胸の中に飛び込む。
レニィは器用に私の髪を撫で、耳元に囁いた。
「君に追いつけてよかった。心配させるなよ、いきなりいなくなって。僕がどれだけ君を
思っているか分かるかい?もう、どこへも行くな。二人でいよう。」

まだ夢を見ているような気分。憧れのレニィから、こんな言葉が聴けるとは思ってもみな
かった。
泣き顔を上げ、レニィの透き通った瞳を見詰める。

「レニィ・・・・好き。好きです。・・・・あなたと、一緒に居たい。」

言えた。
何度言おうとしてももみ消されてしまっていた言葉を、遂に伝えることが出来た。

レニィは私の言葉を聴くと、満足そうに顔を近づけてきた。唇と唇が触れあい、甘美に時
が流れる。頬が紅づき緊張と興奮で体が震える。そんな様子を察してレニィは少しきつめ
に抱き寄せてくれる。お互いを確認しあうかのように舌を絡め、体を寄せて体温を感じあ
う。昨夜の夢の続きを見ているみたいだ。

601 名前: FAT 投稿日: 2005/11/10(木) 23:02:10 [ srMkgNUE ]
「昨日の続き、する?」
不意にレニィが耳をはむ。体がビクッと反応し顔が更に赤くなる。
「え?レニィ、昨日の続きって・・・?」
私はもしや・・・と昨夜の違和感を思い出した。やけにリアルに感じた温もりはもしかし
て、ほんとに・・・・
「覚えてないのかい?それは困ったな。それじゃ僕は罪人だ。」
腕を私の体から引き、レニィは少し距離を取った。その僅かな距離に私は怯えた。すぐ先
程まで感じていた温もりは消え失せそれを求める。離れたレニィの懐に飛び込むと
「うそよ。ちゃんと覚えてる、覚えてるから。ただ・・・恥ずかしいだけだよ。」
と弁解する。心臓がいつもの二倍は速く動いているみたい。昨夜の出来事が現実だったな
んて、もう、レニィと一線を越えていたなんてまだ信じられない。ただ、どんな形であれ
初めての人がレニィでよかった。・・・・・よかった。

恥らう私の瞳を覗き込み、レニィはやましいことはせずに、ただ抱きしめてくれた。微か
に香る香水の匂いが頭の中を空っぽにし、この世で一番の幸せをもたらす。木漏れ日が優
しく二人を包んでいた。

602 名前: FAT 投稿日: 2005/11/10(木) 23:02:51 [ srMkgNUE ]
二人で手をつなぎ林の中を進む。その後をメラーとクラープが距離を置いて付いてくる。
まもなく視界が大きく広がり碧い海が現れた。雲ひとつ無い天からの光が水面で無数に乱
反射し、終わりの無い水平線が私の心を解き放つ。
「ねぇ、レニィ、海って素敵ね。何でもかんでも忘れさせてくれるわ。」
「そうだね。・・・フプレ、もう何も考えるな。君はきっと傷つき易いんだ。だから、考え
すぎて自分を責めるな。これからは僕がいる。何でもまず僕に相談しろ、僕を頼るんだ。
いいね?」

・・・もう・・・だめだ・・・・・

なんでこんなに泣けるのだろう。レニィの優しい言葉が私に安息を与えてくれる。このと
ころ泣き通しで常に目もとは赤く腫れている。

僕を頼れか・・・。

私はその言葉がいたく気に入った。
思えばフランや母に本気の相談事などしたことのないように思われる。
フランに対しては例の確執があったため当たり前といえば当たり前だが、母に対しても明
るく振舞っている一方で、余計な心配をさせてはいけないと自制心を働かせ、本当に深刻
な問題―――シエルやフランのことについては何も言わなかった。いや、言えなかった。


優しすぎる性格。臆病すぎる性格。嫉妬深すぎる性格。

これらがフプレのコンプレックスを産み出し、一人で何でも背負い込んでしまうようにな
った。
なんでも話せる人が欲しいと本当はどこかで願っていた。しかし村では該当するような人
には巡り合えず、たまに自分の中のシエルに愚痴をこぼすだけであった。

ようやく、フプレは理解者を得た。
それだけで彼女が村を出た目的は果たされたといっても過言ではない。フランのように父
に会うために村を出たというわけではなかった。もう、村での生活に疲れていた。理解者
が誰もいない場所での生活というものは想像以上に神経を磨り減らすものである。フプレ
は男でも、女でも、人でなくてもいいから理解者が欲しかった。初めからそのつもりだっ
た。

レニィとの出会いは衝撃的だった。
まず、今まで年頃の男なんてものは長老様くらいしかまともに見たことがなかったので、
清楚で上品なレニィはフプレの目に眩しく映った。初めから恋心を抱いていたかと聴かれ
れば、フプレはうんと言うべきなのか返答に困るだろう。
そう、初めはただの憧れだった。
お話の中でしか聴いたことのない王子様。上級貴族様。そんな人と話が出来るなんて、そ
れだけでも夢のようだった。釣りに誘ってくれたとき、意外と庶民的な趣味に親近感を覚
え、ぽいぽい魚を釣り上げるフプレに嫉妬した姿に可愛らしささえ感じた。

牢に入ったとき、レニィはすぐに面会に来てくれると大声で怒鳴った。「なんでこの娘を牢
に入れる必要がある!?早く出せ!!おい!獄長を呼べ!ストラフス家の息子だといえば
分かるだろう?早く連れてこい!!!」
フプレは感動した。レニィの怒りの根源は、自分を牢に入れたことだったのだ。獄長相手
に顔を真っ赤にして抗議をするレニィの姿にフプレは恋の糸口を見つける。自分のために
必死になってくれている・・・・。そんなこの美男子にフプレは恋焦がれていった。

そのレニィが今、僕を頼れと言ったのだ。
フプレは最愛の人を理解者に迎えられ、これ以上はないというほどの幸せを噛み締めてい
る。きっと、自分が長い時間を悩みながらも耐えてきたのは今、この瞬間のためだったの
だ。

「レニィ・・・」
肩を抱き寄せられてフプレは反射的に名を呼ぶ。辺りに人影はなく寄せては返す波の音だ
けが心地よく響く。二人は海を眺めたまま、まるで彫刻のように固まった。フランのこと
も、マリスのことも忘れ、二人は寄り添った。強い磁石でひきつけられているようにピッ
タリと。

そうして二人は姿を晦ませた。

603 名前: FAT 投稿日: 2005/11/10(木) 23:41:06 [ srMkgNUE ]
>> ともぴ さん
オジの能力復活!!回復系かと思っていましたがどうやら攻撃的な能力のよう
ですね。
豊かな表情のスルも機械!?なんと恐ろしい世界なんでしょう・・・・

>>東インド会社(違)さん
236-555ってw
いいですねー、こんな語呂合わせ、好きです。
長老様は寛大な方ですね。
>そこらを散歩するだけで幾らでも手に入ります。
さすが長老様w

>> 南東方不勝さん
「パラレルフォートレス」・・・・なんて恐ろしいスキルなんでしょう。
こんなんギル戦で喰らったら即死(ry
いい感じでツンデレが進行しているようで安心(?)しました。お互い意識
しまくりですね〜。てかリリィが可愛く見えてきた・・・・

>> 戦士のようだ さん
レベルの高い息の詰まるような戦い、おもしろく読ませていただきました。
まさかジンとここまで互角に戦える人間がいたなんて!ラスタバンクラスですか?
死力を尽くして戦った二人になにが起こるのでしょうか?続きが楽しみです。

>> LB さん
なんと言いますか、文章力の格が違いますね。毎回思っていることですがLB
さんはプロの方ですか?世界観といい、風景描写といい、キャラの個性といい、
キャラの動かし方といい、全てが完璧です。
まさかケイトスとティアもツンデレに・・・・爽やかな二人の絡みに思わず笑みが
こぼれました。脅しをかけるケイトス。彼は意外と茶目っ気もあるのですね。


今回は自称微エロです。こういうの嫌いな方々、申し訳ありませんでした。

604 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/10(木) 23:47:09 [ ZNjtY8r2 ]
フプレかわいいb

605 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/11(金) 02:04:09 [ kMPgBGik ]
 うーむ、不プレはどうしてレベルが上がらないんだるう?
そのうち書かれるのかなぁ・・・


 パラレルぅフォーーーッ!! とレス。  ・・・こめんなさい。

606 名前: 独り語り 投稿日: 2005/11/12(土) 11:46:54 [ C2ISCuB. ]
LBの攻撃
雪化粧に彩られたツンデレが巻き起こる。○○は魅了された。

戦士のようだの攻撃
めくりめく攻防を繰り広げる。○○は息を呑んだ。

南東方不敗の攻撃
リリィの必殺技が発動!!○○は逃げ出した。しかし、動きを封じられている。

FATの攻撃
フプレの潤んだ瞳でじっと見つめた。○○は赤面したままたじろいでいる。

>>605の攻撃
時をとめた。○○は個人的に気に入った。

○○の攻撃
ミス!文章がうまくまとまらない。これが感想といえるのか!

607 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/12(土) 12:43:58 [ LVW/cCFA ]
さて、気分が乗ってるから夜遅くに続きを書くかもしれません

>>FATさん
フプレが・・、フプレが・・、可愛すぎるじゃないですか!!!
でも、フプレと思いが通じ合ったことで俺の脳裏をレニィさんの死相が物凄い勢いで横切っていきました^^;
ここでレニィの命に何かあったら、再び暴走シエル様降臨の危険が・・。
最悪の結末にならないことを祈りながら、次回を期待しています。

608 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/13(日) 01:43:08 [ LVW/cCFA ]
>>598
「認メン、俺ハ認メンゾ!タカガ、盗賊ノ小僧ゴトキニィィィィィィ!!」
瞬く間に4体・・・いや、4人の部下を殺されたその隊長は、怒りの雄たけびを上げ狂ったようにオイラに向かって矢を放ってきた。
まったく、ただでさえオイラの足を止めるに至らない精度なのに、冷静さまで削ったら当たるかもしれないものも当たらないっつぅーの。
仕方ない、さっさと部下と同じところへ送って終わりにするか。リリィのことが心配だし・・。
速度を最速に保ったまま、副総長(目標)にむかって一気に駆ける。奴らの反応速度じゃ、オイラの動きにはついてこれない。
ただ突っ立っているだけの、人型の合間をすり抜け目標に肉薄する。
「ナ・・・ニ・・・!?」
目標が言葉を詰まらせる。まぁ、こいつの目にはいきなり消えた相手が突然、自分の目の前に現れたかのようにしか見えてねぇだろ。
「そんなにみっともなく叫ばれるくらいなら、楽に逝かせてやるよ。」
そういってオイラは、目標の心臓めがけて爪を振り下ろした。
「スマンガ、命令違反ノ大罪ヲ犯シタトハイエ、コレ以上貴様ラニ同胞ヲ殺サセルワケニハイカヌ・・!」
だが、オイラの爪が目標の心臓を切り裂くことは無かった。
「ぐっ・・・!!」
オイラの腹めがけて放たれた蹴りを、咄嗟に防ぐ。だが、その一撃の重さは圧倒的だった。
防御したのにもかかわらず、オイラの体がまるで風に吹かれる紙くずの様に為す術もなく飛ばされ、近くに生えていた木に叩きつけられた。

「総員、戦闘停止!!」
部下を殺そうとした冒険者を迎撃した後に、部下たちの行動を停止させ、命令違反を犯した愚か者に目を向ける。
「貴様、私ハ奴ラヲ『監視』シロト命ジタ筈ダ・・。」
「シカシナガラ、大隊長閣下。救エタカモ知レナイ同胞ノ命ヲ奪ワレ・・ガァァァ!」
口答えをした罰として、些か本気で副総長を蹴りつける。
「貴様ニ反論ヲスル権利ナドアリハシナイ!!シバラクソコデ寝テイロ!」
おそらく私の声など聞こえてはいないだろう。まぁ、この程度で死ぬような兵士に育てたつもりも無いがな。
「サテ、貴様ラハ後方ニ下ガッテ本隊ト合流シロ。コイツノ事ダ。全テノ責任ヲ負ウツモリダロウ。ナラバ、オ前ラヲ処罰スル必要性ハ無イ。」
私の命令を聞くや否や、後方に下がっていく兵士達。そうして私は、目の前にいる復習の対象を見据えた。

(なんて気迫ですの・・・、このまま押し潰されてしまいそうですわ・・。)
恐らく今目の前にいるこの隊長が、先程のハイランダー達の総司令官のようです。
一般的なハイランダー隊長とは違い、その体格は2倍以上はあるでしょう。さらに、体に刻み込まれた無数の傷跡が、かれの経験の豊富さを物語っています。
「娘・・。貴様ラニハ直接ノ怨ミハ無イガ、我ガ復讐ノ礎トナッテモラオウ・・!」
「ふん、そう簡単に彼方の思い通りにはなりませんわ。それが、私達に直接の謂れが無い復讐だったら尚更ですわ。」
相手の技量の程は、心得ているつもりですが、ここでやられるわけには参りません。
「そう言う事。よくもさっきは吹き飛ばしてくれたな。きっちりその分、返させてもらうよ。」
そんなことをおっしゃりながら、叩きつけられた木の根元から立ち上がるギル。彼って意外と頑丈なんですのね。
「ホゥ・・、ヤハリ紙一重デ防イダカ。ヨクモアノタイミングデ・・。」
どうやら、かれにとってはギルが戦線に復帰することは計算済みだったようです。
「フフフッ。ドウヤラ貴様ラ二人トモ、高イ技量ノ持チ主ノヨウダナ・・。コレガ、復讐ノタメノ闘イデ無カッタノナラ最初カラ本気ヲ出ス事モ無カッタダロウ・・。」
タダ、ソレダケガ残念ダ。と名残惜しそうに言葉を吐き捨てながら、自身の両手にグローブをはめているようです。
「おい、リリィ。気づいてるかい、あいつが装備してるグローブって・・。」
「えぇ、そうねギル。あれは恐らく『バターフライスティング』ですわね・・。実物を見るのは初めてですわ。」
バターフライスティング、戦闘用グローブの中では伝説とされるほどの銘品。
武道を志す者ならば、その名を知らぬ者はいないでしょう。ひとたび装着すれば、鋭く無駄の無い一撃と、様々な状況に対応しうる柔軟かつ素早い動きを得ることが出来ます。
「ハイランダー兵団、第1大隊長カルナバレク、推シテ参ル。貴様ラヲ殺ス戦士ノ勇名、冥土ノ土産ニシカト胸ニ刻ンデオケ!!」
そう名乗りを上げた後、かれとの闘いが幕を開けました。

609 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/13(日) 01:57:10 [ LVW/cCFA ]
ふぅ、戦闘シーンに入ると無駄に長くなってしまいますなぁ^^;
とりあえず、今夜はここまでにしておきます。

610 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/13(日) 16:52:54 [ hNlLsBE2 ]
まとめサイトが閉鎖するようですので自分が新しく作ろうと思います
短編、長編を問わずに全て掲載する予定なのですが、
もし掲載を認めてない職人の方が居られましたら、一言この書き込みに
掲載を拒否することをレスして頂きたいです

乱文すみません

611 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/11/13(日) 17:13:32 [ fKm2EZT. ]
あるウィザードが残したもの

(表紙〜七頁目はpart1の970にあります)
>>22-23.   八頁目  帰路にて − 2
>>49-50.   九頁目  長い夜 − 1
>>183-187 十頁目   長い夜 − 2
>>343-344 十一頁目 長い夜 − 3
>>345-348 十二頁目 リフの過去 − 1
>>513-516 十三頁目 リフの過去 − 2


十四頁目 夢魔の夜想曲 − 1

再び静寂が舞い戻ってきた。この空気にはもう懲り懲りだ。
メリックもリフもただ窓の外を眺めているだけだ。…いや、それが目に映っているかどうかもわからない。
この空気に晒されると、自分がこの世界の住人ではないことを思い出させられる。いつこの世界から締め出されるかもしれない。
―――嫌だ、まだ戻ることはできない。最後まで見ていたい―――
無意味とわかっていても自然とそのことを考えてしまう。
何か……何か他のことを考えよう。何かを………


……ん?なんだろう、風が漏れるような音。
それが気になって周りの世界に視線を戻す。
最初にベッドに仰向けになって考え込んでいるメリックが目に入った。今の話を冷静に分析している、といった所だろうか。
天井を仰いでいるがランプの明かりは彼の長い髪で遮られていて、彼が何かを考え込む顔はよく見えなかった。
その奥に座っているはずのリフの姿は見えなかった。
不思議に思って入り口側に顔を少し傾けると、すぐに椅子に腰掛けている彼女が視界に入ってきた。
眠っていた。疲れきった、悲しそうな顔のまま。風の漏れるような音は彼女の寝息だったようだ。
そのとき丁度メリックが起き上がった。
考えていた何かに結論を出したのか、すぐ横にいると思い込んでいたリフに話しかけようとした。
そのときに初めて彼女がいないことに気づいたようだ。私と同じように顔を傾けて彼女の姿を確認した。
彼はそのまま静かに立ち去ろうとしたが、部屋の真ん中辺りでベッドに引き返した。
そしてベッドの上の毛布を取り………座ったまま寝ているリフを起こさないよう、優しく毛布をかけた。

それから部屋を去ろうとしたが、そのときにコンセントのコードに躓いて転ばなかったら私は最高の父の像を取り戻していただろう。
もちろんリフは起きた。私は立って顔を赤くして苦笑いをしているメリックを見て、誰にも聞こえないため息をついた。
リフは「どうしたの?」と言いかけて、自分に毛布がかかっていることに気づいた。
少しの間紅い目に不思議な色を浮かべ、何かにはっと気づいたような表情を見せ、それから毛布に顔を埋めた。
「……御休み。」
メリックは少し高い声でつぶやき、冷や汗をかきながら静かに部屋を出て行った。

612 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/11/13(日) 17:14:33 [ fKm2EZT. ]
そこで私はあることに気が付いた。私自身がドアを開くことができるのか?という疑問である。
もしドアノブに手をかけることができないのなら、一晩中ここでカンヅメにされてしまう。そんなのは御免だ。
……しかし時既に遅し。考えている間に階段を上る足音が聞こえなくなっていた。
こうなれば手は一つ。モンスターを通り抜けたときのようにドアを通り抜けるしか方法はないだろう。
しかしできるのだろうか?誰も見ていないとはいえ、自分から閉まっているドアにぶつかっていく勇気はない………。

私がある言葉を思い出したのはそのときだった。
「やるかやらないか迷う前にやってしまえ」
父はこれを成功の元だと言って教えてくれた。
実際にはあまり信用できる言葉ではないが、それを言う父の悔いるような目が今でも目蓋に焼き付いていた。

ドアに向かって歩いていた。大丈夫、通り抜けることができる。自分にそう言い聞かせながら。
ドアがどんどん近づいてくる。私の足は止まらない。
ドアへと踏み出す最初の一歩――背中を優しく押されたような気がした。


あのときの長い廊下。私はそこに立っていた。
首を後ろに向けると、さっき入った扉の入り口に立っている。手を伸ばして触ってみると、それはもう普通の扉と変わらなかった。
後戻りはできなくなった。その意味を理解し歩きかけると、何かが音を立てて廊下に落ち、その音が不気味に反響した。
拾い上げると、それは鍵だった。鍵には妙な光沢があり、塗りつぶされたような黒色の表面には「W.M.A」と彫られている。
この鍵は廊下にある扉の鍵に違いないだろう。だが無限にある扉を一つ一つ調べていくなんてことはとても不可能だ。
どうすればいいのか……何もわからないじれったさと悔しさに鍵を握り締めた。

途端に目が眩み、地面が揺れるような感触が足から伝わった。壁にぶつかって思い切り鼻を打ってしまった。
涙を滲ませながら視線を上げるとすぐに黒い四角形が目に入った。黒い扉だ。
左右は長い廊下が続いている。どうやらあの場所から強制的にワープさせられたようだ。
改めて扉を眺めてみる。上に二重に薄く塗られている黒い物質はほとんどが剥がれ落ち、その部分から内側の木製の扉が見える。
扉には大きな引っかき傷がつけられていて、ドアノブには上から力を加えたように歪んでいる。はたしてちゃんと開くのか……?

そんな心配は無用だった。
いきなり…という表現が一番合っているだろうか、黒い鍵が手の中から消え、代わりに目の前の黒い扉が驚くべき速さで開け放たれた。
衝撃の反動で後ろの扉に叩きつけられ、現実の痛みに声を漏らした。
それだけでは収まらなかった。扉の中の闇が廊下に進出し、一直線に私を包みこみ……包み…………

613 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/11/13(日) 17:15:40 [ fKm2EZT. ]


だんだんと目のぼやけがとれていく。
ここは崩れた小屋。荒れ果てた街の風景が月明かりに照らされているのが壁の穴から見えた。
それとともに人の声が聞こえてくる。最初は雑音にしか聞こえなかったが、時が経つうちに人間の声だということが分かった。
「……うだったんだい。」
低い男性の声がそういうことを言ったのが聞こえた。
「……った。助け………。……に来ていた……ルに手紙を……いた。」
今度は自分のすぐ近くで声がした。私が見ている『W.M.A.』という人物の声だろうか。
すぐ近くの声なのにはっきりと耳に入ってこないことに些か苛立ちを覚える。
「……か。」
さっきの男性の声が言い、私の視点が声の主の男性に移った。

小屋は天井の大部分が崩れているために直接月光が入ってくるようだ。そのおかげで男性の全身を見ることができた。
真っ先に目が行ったのはその男性の背中だった。
その男性の背中に有るものは月光に呼応するかのように青白く輝き、それ自体が独立して生きているかのように呼吸していた。
右の翼は他の追放された天使と同じように無残に折られ、痛々しい傷跡は今も癒えることを知らないようだった。
天然の白髪は後ろに纏めている。鋭い眼光は地上での苦労を物語っているのだろうか。
その天使は腰掛けていた小さな木の椅子から立ち上がった。
部屋の隅においてある見慣れない機械の前で立ち止まり、何か操作をしているらしいがこちらからでは確認できなかった。
操作を終えると機械から音が鳴り出した。曲といえないことも無いが、酷く音を外している音楽だった。

「レコードなんて古風なものがまだあったってことには驚きだね。」
天使は微笑しながら私に向かって話しかけた。
音楽が流れ始めたことと関係があるかは分からないが、さっきよりずっとはっきりと声を聞き取ることができる。
「クラシックか。酷い音だ、手足に響く。」
私が内側から見ている人物は眉をしかめてそう答えていた。
この人物は今、レコーダーに対しては興味を全く持たない虚ろな目をしているのだろう。その声には冷たさだけがこもっていた。
「そうか、わかった。」
天使は少し残念そうにそういい、レコードを止めた。その様子を見ると、このような反応をされたのは初めてではないようだ。
「まあ寛げよ、今はみんな出かけているしな。久しぶりに酒でも飲もうか。」
それだけ言い、天使はそのまま部屋を出て行った。

何分くらい経ったのだろう。私が内側から見ている人物は相変わらず目を閉じている。
全てが受身の状態にある今、目からの情報を受け取ることができないというのは非常に退屈だ。
不意に部屋の外で物音がした。とっさにその人物は目を開けて立ち上がり、テーブルに立てかけているものを手にとった。
感触は硬くゴツゴツしていて手触りのいいものではない。そして早くもそれの正体を見てみたいという気持ちが沸いた。
しかしその人物の視線は部屋のドアに釘付けだったので、それを確認することはできなかった。
ノックがあり、ドアが開いた。と同時に身構えていた手に持ったものを下ろした。
「……ジョンか。」

614 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/11/13(日) 17:17:10 [ fKm2EZT. ]

「またモンスターが襲ってきたと思ったんですか?」
ジョンと呼ばれた若者は兜を外し、笑いを漏らしながら話しかける。重装の全身鎧を普通に身に付けていることに感心した。
「ん、まあ用心に越したことは無いよ。皆はまだ帰っていないのか?」
その人物は質問を軽く受け流す。私の視点はジョンという青年に移った。
大体二十台の半ばだろうか。染めたように見えるブルーの短い髪や面倒見が良さそうな顔つきはどこかで見たことがあると思った。
背負っている剣を見て思わず息を呑んだ。一点の濁りも無い透明な空色が意味するもの。……水晶の剣だ。
「ええ、元老とマスターは第一部隊との会議です。フローラさんはブリッジヘッドへ向かい、僕はエルさんと残ることにしました。」
ジョンが大雑把に説明する。その人物はそれを聞いて頷く。
「あとの三人は分かるか?」
その人物は質問を加える。ジョンは首を横に振った。
しかし私は別のことを考えていた。今言ったフローラという名前、そしてブリッジヘッドから連想されるものは―――

「ミンフィル嬢とウォード君はハノブへ戻った。ワンダー嬢はスマグへ帰還したまま行方不明だが、彼女のことだから心配ないだろう。」
さっきの声だ。天使が戻ってきたのだ。ジョンは一瞬背中へ手をやろうとしたが、天使の姿を確認するとにこやかに迎えた。
「ああ、エルさんだとは思いませんでしたよ。」
「ははは、彼の癖が移ってしまったようだね。まぁ座ってくれ。
……おっと、グラスがもう一つ必要だな。」
グラスを取りに棚へ向かおうとする天使を、その人物が呼び止めた。
「エル、今エレナが行方不明と言ったね?彼女がいないと空からの探索ができないじゃないか!」
最後の部分は半分叫んでいた。天使は驚いたような顔でこちらを向いた。
「………そういえばそうだったね。」
天使は、それは困った、というふうに肩を竦めた。その人物はため息をついた。
「メンバーもあと四人分空席があるんですよ。探索は全員揃ってからのほうが効率的でしょう。」
ジョンが慌ててフォローした。
……気のせいか、だんだんあたりがぼやけてきたように感じる。
「……む、それもそうだな。じゃあ……杯し……。」
その人物が言った。その声も確実に聞き取りにくくなってきている。
少しずつ意識が薄れていく中で、三つのグラスが互いに競うように響かせあう音が聞こえた。


「痛っ!」
入った扉から放り出され、再び正面にある扉に叩きつけられたのだ。私は口の中で父に向かって悪態をついた。
顔を上げると、その左側の扉が目に入った。正面の扉と柄が全く同じだが、そちらのほうがずっと新しいようだ。
一応確認だけはしてみようと扉を押してみると……開いた。
私は扉の隙間を恐る恐る覗き込んでみた。最初は黒一色にしか見えなかったが、その中に小さな光が見えた。
意を決して扉を開け放った。闇が襲ってくることはなかったので、心の底ではほっとしていた。
歩き出した。ただ一点の光を目指して。光は思ったよりも早くこちらに近づいてきた。

光の下にたどり着いた。光は球状で、せいぜい直径が10cmほどだろうか。
ここからはどうすればいいんだろうか。私はまた少し不安になり、光を靴で軽く蹴ろうとした。
しかし蹴ることができなかった。光に足がついた瞬間に何かが起こった。



目覚めたときには既に空に太陽が戻っていた。

615 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/11/13(日) 17:18:14 [ fKm2EZT. ]
>>610
もし掲載していただければ幸いです。
>>2-3でまとめたものは、残念ながら繋がらなくなってしまったようですし。

時間の関係で今回も感想を延長させていただきますorz
皆さんの作品をなるべく深く読むために(本当は今までダラダラしていた分を取り戻すために忙しくなるだけですが)時間をかけます。

では失礼しましたー。

616 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/13(日) 18:28:46 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五

六化仙 其の拾六

目が覚める。ここは何処だろう?自分は今汚いベットに寝ている。
起き上がろうとすると傷が痛む、包帯は巻いてあるが無理をすればすぐに開くだろう。
静かにベットから起きる。ゆっくりと部屋から抜け出すとビショップが一人で椅子に座っている。
「目が覚めましたか。怪我の具合はどうですか?」
あの教会のビショップが微笑みながら聞いてくる。
「あんたが俺を介抱してくれたのかい?」
「ええ、戦いの最中に叫び声が聞こえたでしょう?あれ私です。」
は?と情けない声で聞き返してしまう。
「魔力を使った雄叫びで、聞いた者の五感を狂わす魔法なんですよ、あれ。
その後、貴方の傷を手当てしたわけです。山賊は消えましたよ。」
壁に掛かった絵を見ながらビショップが言ったことを反芻する。
「世話になったな。俺の剣はどうしたんだ?」
「魔法を使ってどちらも鞘に戻しておきました。相当な魔力を持つ剣ですね。」
そう言ってビショップがテーブルに置いてある鞘を指差す。
二つの鞘をベルトに付けてから部屋を出る。ビショップが後ろから声を掛ける。
「まぁ食事でもどうですか、その剣のことも聞きたいですし」
悪くない提案だった。俺の腹は海月を丸ごと食べれそうなほどに減っていたし。
なによりもビショップの放った魔法に興味を持ったからだった。
ビショップが作ったと思われる羊のシチューを食べながらビショップに魔法のことを聞いてみる。
「あの魔法は私の父が教えてくれたんです。叫び声と同時にある種の音波が五感に働きかける。
父はそう説明してました。まぁ言葉で説明するのは簡単ですがね。」
曖昧そうにビショップが笑い、その後にシチューをすする。
しばらく沈黙が続き、シチューをひとしきり食べ終わった頃にビショップが口を開いた。
「その二つの剣はさっきも言ったとおりに相当な魔力を放ってますね。それに」
「それに?」
「魔力の質がとても変わっていますね。」
「変わっている?どこら辺が?」
爪楊枝をくるくると回しながらビショップの顔を見る。
「ええ、この魔力はなんというんでしょうか。意思が無いのです。」
「意思?」
手に持っていた爪楊枝を折る。
「魔力には人の想いが、良くも悪くも入り込むものです。この二つの剣は、
あまりにも漠然としているというのでしょうか。」
「そうかも知れない、この剣は、何だか不吉なんだ。この強すぎる魔力を感じるとね。
人や、モンスターだとか、そんなのを超えた感じなんだ。上手い説明が出来ないけども
その力がね、たまに感情と混ざり合って爆発するんだよ。」
「漠然とした幻想による凝縮された現象。」
ビショップが言った。どうすればそんなセリフを思いつけるのか、全くわからなかった。
「あんたは説明するのが上手いな。」
「説教をするときに色々と考えるものですからね。」
「なるほど」
二回首を振って感心した後に、テーブルのしみを見つめる。
「そろそろ行くよ、世話になったね。あんたには。」
「お気をつけて」
教会を出ると一人の男に声をかけられた。長身痩躯の金髪の男、隻眼で眼帯をつけていた。
「あんた、もしかして」
「そうだ、そのまさかだよ」
敵意は湧かなかった。争う必要も特に無いのだ。
「凄腕の盗賊が何しに来たんだ?」
「あんた、義賊にならないか?」
唐突な話だった


ロマ村で祭りが無いのは特に気にならなかった。何故かと言えば火の神アーウィラの住処が、
ブルネシュティング国軍に荒らされたと言う話を、フネデオウのサイドウォーカーが伝えたからだ。
「薄汚い人間が、一人残らず八つ裂きにしてくれる」
アーウィラが全身から炎を出しながら言うと、フネデオウは腑に落ちない表情をする。
「どうしたフネデオウ?」
「いまさら人間どもが何のためにお前の住処を荒らす、あそこはサラマンダーの住処でもあるだろ?」
「そんなことは知らん、だがこのままでは人間を調子付かせるだけだろう」
「仕方ないな、今までは大した争いも無かったのに」
フネデオウが妙にあきらめた顔で言った。血生臭い話だった。

617 名前: 久々に書いてみた 投稿日: 2005/11/14(月) 01:21:28 [ AF0g8MEc ]

やあ。始めまして。
俺は普通のウィザードです。いや、マジで普通の。
スキルはFV極でそれ以外は特に(ry
趣味は廃坑でのんびりと魔導書を読むこと。まあ、大したこと書いてないけど(そもそも読めなry
ステータス?
そこそこ健康には自信があって、ちょっと攻撃されたぐらいじゃなかなか死なないかな。
知識は勝手に上がるからあんまり重視してない。
力にはほとんど振ってないから装備してるものはショボい。鎧は布の服だし。
<!> 運と知恵は当然のごとく初期値です!!    ←※このしばらく後に耳打ちで注意されますた
あとCPが少ないから派手なスキルを使えないのが少々残念といえば残念だ。
まあどうせFV以外は特に(ry
そういや、俺の仲間はなんとかっていうダンジョンでメテオをボンボンぶっ放してるって自慢してたな。
頼むから古都ではやるなよな。

ある日、いつものように魔導書を眺めながら杖で遊んでたら、コロ行きと思しき二人組が走ってやって来たのさ。
まあ、俺はいつも通りここを通る奴にはちょっかいを出すことにしてるんだけど、ほとんど無視されて(´・ω・`)カナシス
でも今日の二人組はなかなか面白い奴らだったぜ。
会話をちらっと聞かせてもらった。

弓「ところでエンチャ付加いくつ?」
Wiz「マスタで220ぐらい」
弓「すご!」
Wiz「まあサブだし。知識比率Lv2ってなかなか(・∀・)イイ!!よ」
弓「俺もマシンからマジに転向しようかなー」
Wiz「じゃあ引退する時に装備渡すよb」
弓「今くれw」
Wiz「㍉」
弓「;;」

なぬっ、知識比率Lv2か!すげーな。俺なんかN品ばっかだぜ(布の服だけはコボクエのやつw)
っと、ヌルーしてたら通り過ぎそうになってるじゃねーか。えい!
そして俺は火の玉を投げる。
命中!やっぱ俺って廃坑一の魔球投手?w   ←※魔法は必ず当たります

弓「お」
Wiz「ジジイうぜー」
弓「220のエンチャくれw威力試しw」
Wiz「ok」
ボワー

おや、俺の後輩にあたる(?)ウィザードがアーチャーにエンチャをかけてやってる。
うむ、エンチャはPTで狩りをする上でとっても大事なことだからな。
っていうか痛いんですけど。矢飛んできてるYo!
お、ものの2秒でHP0になっちまった( ゚Д゚)ハヤー
ふう。いつもより矢が刺さってる本数は少ないが、燃えてるからダメージはでかい罠。

Wiz「ジジイって硬いくせにマズイよな」
弓「だねw」

俺が死んだと思って走って行く二人組。
残念!俺には復活巻物あるから復活できるもんねー。(ちなみにサービスポイントで交換した課金巻物ね)
よっこいしょ。
よっこいしょと声を出さなきゃ立ち上がれないなんて、俺ももう歳だな。実際ヨボヨボだがなー(´∀`)
お?
立ち上がったらまたすぐに人の気配がしたから、とりあえず脊髄反射で火の玉投げたぜ。
カーンッっていい音したぜ。でっけぇ盾で弾かれてた。
剣士だ。
剣士はコロで就職難だからな。あいつはチャレンジャーだな。うん。
あれこれ考えてると剣士はさっさと走り去ってしまった。
心なしか寂しげに見えた背中は、それでも輝いてるように見えたぜ!
タゲ取り頑張れよ。若いの。


ああ、そうそう

コロに行く皆へ。
俺はいつでも見守ってるぞ!

               廃坑B6でウロウロしてるじじいより愛を込めて。

618 名前: 617 投稿日: 2005/11/14(月) 01:32:15 [ AF0g8MEc ]
( ゚∀゚)・∵. ガハッ!!
一番最初の文…
×始めまして
○初めまして
恥ずかしい間違いをしてしまった。

619 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/14(月) 10:23:47 [ ppIQ9v9Q ]
前スレより
>>557-559■蒼眼の戦士−7
>>573-575■Cold north wind Ⅰ

  The Final Chapter
−Cold north wind Ⅱ−
 


 「何だと…。」
ビショップはその足を再び動かす、一歩だけ前へと歩みだし驚きの表情をしたままたちすくしている。当然といえば当然といえよう、200年も闇に包まれた王家の末裔が、今更出てくるなど誰が予想できるであろうか。
「私たちは、この女の犠牲によりあの石を手に入れる…あの石は、代々王家の体の中で寄生し、代を重ねるごとにその過程を刻み込んできた。…私は捜し求めていた、そしてようやくそれを見つけ出すことができたのだ!」
「…貴様、いったい何者だ!」
ビショップはいつでもその詠唱を止め、誰かを呼び出す準備が整っていた。そしてチャンスを待っている。すぐ先には武装をした剣士と戦士の大群が目の前に居る。その後ろには弓兵部隊が列を成してビショップのほうへと矢尻を向けている。
「私は…私は”レイ・F・カルバレイセス”。現在のレッドアイの幹部にして長老の息子にして、悪魔にその命を売った追放天使だ!」
その叫びと同時にレイの周りに光が集中し始めた、その光に何が起こったのかと周りに居た戦士たちは後ろを振り向く。そのときだった。
「今だ!」
ビショップはその着ている鎧の背中のほう、そこから鎧を破るように天使の羽の片翼をむき出しにした。そして詠唱をストップさせ、左手を地面に手のひらを叩き付けるような感じで跪いた。
するとそのビショップの回りに魔方陣がシュルシュルと描き始め、ついにはその魔方陣は完成する。そうするとその魔方陣から二人の人間が姿を現し始めた。

620 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/14(月) 10:24:24 [ ppIQ9v9Q ]
一人は女性で、小型な小さな弓を左手に持ち、右手には数十本の矢を握り締めて今にもその手を放さんとしている弓兵、もう一人はコートを着込んだウィザードのようだった。きているコートは風になびいてバタバタと音を立てて暴れ、長くて自慢の髪の毛も大きく靡いていた。
「ありがとう、アシュ。」
ウィザードはそういうとビショップのほうへと一礼をした、そして次の瞬間、彼の杖から炎の渦が現れ、それを前方へと向けて放った。
続けて弓兵の女性も当たり一面に散らばるようにその束ねた矢をいっせいに発射する、その弓はウィザードが放った炎に重なり、火炎の矢として戦士と剣士を貫いた。
「ミルーーーーー!」
ウィザードが叫ぶ、その声にようやく気がついたのか、レイは光を自分の手の平に集めだした。
「ようやく叶う私の希望…貴様ら如きに邪魔をされてたまるかぁ!」
レイの手のひらに集められたその光は、瞬間的に消え、そしてアシュたち三人が立っている場所のすぐ下に光がうずめきはじめた。
「これは…アレン、ミト!つかまっててください!」
アシュは大声でそういうと、二人をつかんで空へと跳躍した。間一髪だったのかもしれない。その跳躍した場所からは紅い十字架が群れを成して宙へと舞、そして地面へと突き刺さった。
「弓兵!」
レイがそう叫ぶ、その刹那、弓兵たちはいっせいに空へと舞っている三人に向けて一斉射撃を行う、交す事ができないであろうその一斉射撃はすぐそこまで迫ってきていた。
「はぁぁぁぁ!」
自分たちにその矢が突き刺さろうとするすぐ手前で、その矢はすべて弾かれた。アレンの魔法だった。詠唱こそ高速で、何を詠唱したのかすら分からないその速度。
アレンたち三人を囲むかのように風が突風をなして包み込んだ。その風に矢はすべて弾かれた。
「…埒が明かない…か。」
アレンは突風の中そうつぶやいた、そして腰に据えている小さな短剣を取り出す。その短剣をじっくりと見つめ、そして目をつぶった。
「…アデル、私に力を貸してください。」
アレンは、ゆっくりと短剣を胸の前で握り締める、ゆっくりと風の防壁に守られながら地上に降りる三人。そして二人は異変に気がついた。

621 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/14(月) 10:24:49 [ ppIQ9v9Q ]
「二人とも、ここに居てくれ。」
アレンはゆっくりと立ち上がると、両手を前にして右に持っている短剣を握り締めた。するとその短剣の刃の部分が少しだけ延びる。
「アレンさん、何を…?」
「…。」
アレンは何も答えなかった、そしてもう一度詠唱を施す、するとその暴風の壁は勢いをましてさらに勢力を拡大させる。そして
「ミト…ミルを頼みましたよ。…行くぞアデル!」
そう一言残してアレンはその暴風の外へと抜けた、一度何かにはじかれる音が聞こえた刹那暴風は更なる勢力を増した。
「アレンさーーーん!」



  The Final Chapter
−Cold north wind Ⅱ−
END

622 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/11/14(月) 10:26:23 [ ppIQ9v9Q ]
おはようございマース;;
毎度のごとく風邪が直らずに死んでる21Rです。

これから病院なんで、いろいろと書くのはまた後で…

623 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/14(月) 18:18:35 [ LVW/cCFA ]
>>戦士のようださん
二人が無事ご存命で一安心したのも束の間、自分の住処を荒らされご立腹のアーウィラさん。
このまま、六化仙と人間たちの戦争に発展してしまうのでしょうか?
そして、これからおきるであろう戦いの中でネグルフシと傭兵さんの共闘が見られるかもと期待しています^^

>>617
GJ!爺の日常風景に爆笑させていただきました。
まぁ、剣士ならまだいいですよ。自分、戦士でしたからorz

624 名前: AC 投稿日: 2005/11/14(月) 18:54:04 [ 6WFFS3N6 ]
狂人の蔵 第八話

銀狼は空中から私達の間を狙うように巨大な火炎球を撃ち込んでくる。
私とジノーヴィーはそれぞれ左右に飛び退いてそれを躱す。
火球は着弾すると周囲に熱風を巻き起こして霧散した。

銀狼は着地の反動を利用し、右腕を振り上げた姿勢で
真っ直ぐに私目掛けて疾走してくる。まずは私から、ということか。

魔法の構成式を組み上げつつ、正面から迎え撃つようにギリギリまで引き付ける。

銀狼は数瞬で目前に迫り、五指から伸びる刃を振り下ろした。
が、此方の準備も既に終わっている。

私は銀狼の腕に対し正面から、心持ち早いタイミングで魔法杖を突き出し、
待機中の構成式に魔力を流し込む。
刹那。

ギシリ!という音と共に、私と銀狼の間の空気中の水分が瞬時に
凝結し、分厚い氷のスクリーンが造り出される。

それは銀狼の渾身の一撃で粉々に粉砕され、同時に、光を乱反射させて
奴の視界を奪う。そして崩れ去った向こうに既に私の姿は無い。

重力制御による高速跳躍で瞬時に奴の背後に回り込み、
杖を一閃して次なる構成式に魔力を叩き込む。

直後、無数の光の弾丸が連弩の如く銀狼を射抜く――――筈だった。

光弾を撃ち込んだ場所には銀狼の姿は無く、ただ砕けた氷塊があるだけだった。

「な、に」
「教授、上です!」

弾かれたように頭上を見上げる。
そこには鋭い爪の生えた右脚が今まさに振り下ろされんとしていた。

咄嗟に飛び退り、辛うじて直撃を避ける。
が、銀狼は間髪入れず間合いを詰め、その剛腕を横一文字に薙ぎ払う。

――――躱せん!

一瞬の判断で杖を両手で構え、攻撃を受け止める。
真横からの衝撃に杖ごと身体を弾き飛ばされ、そのまま仰向けに地面に叩き付けられた。

「グッ…!」
全身を奔る衝撃の波に呼吸を奪われる。
苦痛に耐えつつ見上げると、銀狼が跳び上がり、着地点ごと私を踏み壊そうとしているところだった。

間に合わない!
数瞬後に訪れるであろう死に身を強張らせる。
が――――

銀狼の身体は真横から受けた衝撃波に撥ね飛ばされ、大きく軌道を逸らした。
衝撃波の元を振り返ると、そこにはジノーヴィーが剣を振り下ろしたままの姿勢で立っていた。

「ハァ!」
ジノーヴィーは再度逆袈裟に剣を振り上げ、衝撃波を放つ。
そのまま一回転して反動をつけ、衝撃波追うように銀狼に跳び込み強烈な打ち下ろしを繰り出した。

銀狼は咆哮と共に周囲の魔力を爆散させて衝撃波を相殺し、ジノーヴィーの剣を受け止める。
短い鍔迫り合いの後、二人は互いに斬撃と爪撃を激しく打ち込み合う!

625 名前: AC 投稿日: 2005/11/14(月) 18:55:15 [ 6WFFS3N6 ]
この間僅か十数秒。
銀狼は私達二人を相手に互角以上の戦いを見せている。

「ぐあッ!」
打ち合いを制したのは銀狼だった。ジノーヴィーは剣共々弾き飛ばされる。
銀狼の肉体的スペックはやはり我々のそれを遥かに超えているようだ。

ジノーヴィーに止めの一撃を打つべく、銀狼が駆ける。
が、そうはいかない。

重力制御で地上を滑るように移動し、高速で銀狼との距離を詰める。
そして、銀狼に力一杯杖を叩き付けた。

銀狼は右腕で杖を受け止める。
私は杖が銀狼に触れると同時に、杖に施した構成式に魔力を流した。

メギ、パキン!
ガラスに罅が入るような透き通った音と共に、銀狼の腕は瞬時に氷結した。

ここにきて銀狼は杖を受け止めた姿勢のまま、此方に語りかけてきた。

「…これはこれは。よもやと思ったがやはり君か。態々この銀狼に会いに来たかね。レオス」
「ッ。貴様やはりハスラーか。…だがその刻印、その魔力の異質さ。本人ではないな」

「流石は親友。クク、よく目が利くものだ。なに、魔法施術の応用に過ぎんよ。
刻印の魔力回路で擬似神経を構築すれば、屍操術の真似事など容易い」
「抜け抜けと…!何故こんな事件を起こした!」

「色々と準備があってね。私自身が動く訳にもいかんのでこんなモノを使っているが、
何分魔力の消費が激しくてね。補給の手間を省く為に手っ取り早く他人から直接摂取
することにしたのさ。だが、なかなかどうして、そうして摂取した魔力はよく馴染む」
ハスラーらしきモノはくつくつと喉を鳴らす。

「…その目的は何だ。一体何の準備をしている!」
「ク。相変わらずの急勝ちさだな。そんなことでは大事な局面で仕損じてしまうぞ?」

「ッ戯言を!」
裂帛の気合と共に杖でハスラーを押し飛ばし、跳び退りつつ光弾をバラ撒いて牽制する。
長引けばこちらが不利。なら最大火力で一気に掛かるしかない。

「お前本人でないなら加減はせん!」
杖を左手に持ち替えて右手を顔の前にかざし、高速で構成式を組み上げると同時に、
魔力を右手の刻印、その一点に集束させる。手袋の下で刻印が輝き始める。

神経の如く全身に廻る魔力回路、その全てを動員して魔力を掻き集める。
熱を失って冷えていく身体と対照に、加速度的に熱くなる右手。
嵌めていた手袋が弾け飛び、刻印が更にその輝きを増す。

「――――終わりだッ!」
右腕を一度弓を引くように絞り込み、一気に銀狼に向けて突き出す。高濃度に
圧縮された魔力を叩き込まれ、自然界を書き換える現象の構成式がその駆動を開始する。
直後、

ゴゴン!
耳を劈く轟音と共に、無数の光刃が銀狼を取り囲む!

降り注ぐ雷戟の天蓋は銀狼とその周囲を文字通り滅焼した。

626 名前: AC 投稿日: 2005/11/14(月) 18:55:46 [ 6WFFS3N6 ]
閃光が薄れ辺りに闇が満たされた後、燻る焦土の中心には炭化したヒトガタが横たわっていた。
「クク、やってくれる。が、よかろう。大方の準備は既に完了している――――」
目の前の炭が、どこから発声しているのかは知らないが、愉しげな声を漏らす。

「ハスラー。一体何の準備をしている。お前は今何処にいる!」
その声に苛立ち、声を荒げて問い詰める。

「これはほんの余興だレオス。近々盛大な儀式を執り行う。君も是非列席したまえ。
主賓の一人として招こうじゃないか。直ぐに招待状を宛てるとしよう」
私の激情を前にして尚、ハスラーは調子を崩さない。

「君に刻印魔法師の、その進化の果てをご覧に入れよう」
心底愉しげに嗤い、銀狼だったモノは掠れるように塵へと還った。

「…むぅ、死骸も残さんか…!」
奴の死骸を持ち帰るつもりで、完全に消滅しないよう幾分加減はした筈だった。
視れば、奴の死骸の崩壊と共に奴の纏っていた魔力も霧散している。
どうやら銀狼の操作の放棄と肉体の崩壊は連動しているらしい。
証拠を残さない為の処置だろう。面倒なことをしてくれる。

あの声、あの調子。一年前のままだった。スマグを出て行ったあの時と。
また後手を踏まされる。ハスラーがその身を伏せ、銀狼が消滅した以上、此方から探る術は無い。
結局、此方は何をするにも奴の出方次第ということだ。

「クライン教授…」
振り向くとジノーヴィーが左腕を押さえながら立っていた。
どうやら先程の打ち合いで負傷していたらしい。

「…ああ、無事…ではないか。大丈夫かねジノーヴィー」
言いながら彼の腕を取り、肉体の治癒力を瞬間的に高める付加魔法を施す。
堕天使達の扱う『神秘』の類とは違い、死が決定的な状態の者には意味を成さないが、
この程度の損傷であれば直ぐ様修復してやれる。

「あっ、いえ、自分でやれますから」
ジノーヴィーは慌てて腕を退こうとする。が、私は離さない。

「これ位はさせてほしいな。先程の君のフォローが無ければ、私は踏み潰されてしまうところだったのだから」
「そんな…」
ジノーヴィーは何とも言えないといった表情をする。

「先程の元素魔法を組み合わせた斬撃はなかなかだった。剣の腕も大分上げたようだね」
「まだまだ身を護るので精一杯なのが現状です」
ジノーヴィーは頬を赤らめながらポリポリと頭を掻いている。うむ、謙虚な青年だ。
自信とプライドばかりが先行して中身の伴わない院生達に、彼の爪の垢を煎じてやりたい。

彼の治療を終える頃には私自身も大分落ち着きを取り戻していた。
「ありがとうございました。お陰様ですっかり完治しました」
そういって腕を軽く振り回してみせる。

「そのようだね。さて、流石に騒ぎすぎた、そろそろ撤収しよう。自警団に見つかるのは面倒だ」
「分かりました。人目につき辛い道を通ります。私についてきてください」

準備、儀式、進化の果てとやら。奴がどのような準備しているのかはまだ分からない。
だがハスラーは私を招待すると言った。ならばそれに応えるだけだ。
今のハスラーを絶対に野放しには出来ない。

やはり、私はお前を殺さねばならないのか。
ジノーヴィーについて夜明けの迫る古都を走りながら、小さく独りごちた。

627 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/14(月) 22:17:01 [ LVW/cCFA ]
そういえば、>>610さんの意見に返事をレスしていませんでしたorz
とりあえず、自分は賛成ですので楽しみにしています^^

>>ACさん
やっぱり、銀狼はハスラーさんでしたか・・。正確に言えば、ハスラーの人形ですね。
彼の言う進化の果てとは?それに至るための儀式とは?まだまだ、彼から危険なにおいが感じられます。

628 名前: DTK 投稿日: 2005/11/15(火) 17:35:13 [ Dd.exe22 ]
ハジメマシテー初ですが書いてミマスー

とある街そう此処は古都ブルンネンシュティグRSの中でもっとも人が訪れる場所

「ルンルン♪」
私の名前はドロシー此処古都ブルンネンシュティグで薬屋をやっています
家には私のおかあ様のシュリと二人暮らしです。

「おや、ドロシーちゃんお使いかい毎日ご苦労様」
「いえ、私が勝手にお手伝いしてる事なので」

手早く買い物を済ませ家に帰った。

「おかあ様ただいま買い物を済ませてきましたー」
「ドロシーお帰り所でもう一つ頼まれてくれるかい?}

「はぃ、いつものですね」
まったく、またかと思いながら二階に上がって行くドロシー。

「ミストさんミストさん朝なんですから起きてくださいよー」
布団に包まっている人の声をかけながら揺さぶる。

「うーん・・・あとちょっと私朝は弱いのよ・・・zzz」
布団をもぞもぞと動きながらまた眠りにはいってしまったようだ。

「まったくもぅ・・仕方ないなぁ」
ドロシーはゴソゴソと自分の腰の辺りを探った。

「起きないと・・・エイ」

ガッ!!・・・

「予定外の一発をもらったわね・・・わかったわよ起きればいいんでしょ起きれば」

さすがに帝王ホールLXが効いたのかふらつきながら布団から這い出る。

彼女の名前はミスト−リンシア、職業はランサーいつもは華麗に振る舞い戦うのだが・・・
家では・・・・。

彼女は宿に泊まる金がないので此処に居候しています、報酬はたまにはいってくる
クエストの収入と用心棒ってことで此処に居候してます。(ほとんど報酬なんてこないけど)

「所でミストさん」
「ん・・・何ドロシー?」

眠そうに着替えながら会話をする。

「いつまでニートしてるんですか?」
「ぶ」
予想外の質問だったのかこけてしまった。

「あのね、ドロシー私だってニートしてるわけじゃないのよ」
「いえ、ぶっちゃけニートだって言っちゃいましょうよ」
「さーて朝ごはん出来た頃かなぁ」

そう言ってミスとは問い掛けにも答えず下に下りてった・・・(逃げたな・・)

「でさぁシュリのババ・・」
ベチャ、顔にバター塗り捲りのパンが直撃した音だ

「言い直しますシュリお姉さま」
「どうしたのミスト?」

上機嫌におかあ様が答える

「ドロシーの育て方間違ってません?、ニートとか言われましたよ」
「だってホントにそうなんだからしょうがないじゃない」
ガクッ
ミストさんは諦めたようでパンを噛り付く。

「♪♪♪」
朝のコーヒーブレイクを終え上機嫌のミスト

「じゃあ私はちょっと出てくるわ」
「私も一緒に行っても良いですか?」

「別に良いけど大した事しにいくんじゃないわよ?」
「家はおかあ様がやってくれると言うので暇で・・」

そっかと言いながらミストとドロシーは家を後にする

629 名前: DTK 投稿日: 2005/11/15(火) 17:58:23 [ Dd.exe22 ]
時間がないので今回はこれだけで^^;

630 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/15(火) 22:27:02 [ LYMQmN6Q ]
>>629
ほぼサマナの人さんからの転用じゃ…釣りですかそうですかorz

631 名前: 変な生き物 投稿日: 2005/11/16(水) 00:59:32 [ JQXAjeBo ]
どうも、こんな時間ですが変な生き物mk2です

このごろ時間がなくて小説が作れないというザマです、ハイ orz
しかもスケジュールが怒涛の如く…。

ですので次回作は結構先になるかもです…期待してる方、ごめんなさい。
急いで用事を片付けます、って訳で誰かエンチャください、ブレでも餌撒きでもいいですWiz様Bis様幼女様…



…まぁ期待してる人なんかいないだろうけどーとか悟っちゃう悲しい性の俺がいる、でわまたいつか。

632 名前: DTK 投稿日: 2005/11/16(水) 10:36:24 [ /x/z2VTc ]
>>630
あら・・・どなたかと被ってたのかorz
一から考え直します。
サマナの人さんすいませんでした。

633 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/16(水) 13:17:35 [ u6HR0ti2 ]
 残念ですがそうなんです……(釣りだと思ってました)

DTKさんには「将官精霊のケイルンパンチ」をあげましょう。
次回策まってます。

634 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/16(水) 19:06:46 [ LVW/cCFA ]
>>DTKさん
出だしがだだかぶりですねorz
>一から考え直す
いや、これからの展開で独自の世界観を築いていけばいいんじゃないんでしょうか?
なにもここで打ち切るのは早計だと思いますよ。次回の投稿に期待します^^

635 名前: ともぴ 投稿日: 2005/11/16(水) 21:59:16 [ DXXt3lTo ]
ここまで被るともはや神が降りているとしか思えませんね( ´∀`)

636 名前: サマナの人@スランプ中 投稿日: 2005/11/16(水) 23:26:53 [ b6Gnz/6I ]
インスパイヤされた?(´・ω・)
>>DTKさん
此処はあえて、続きを期待すると言ってみるテスツ。
三点リーダは・・・ではなく…の方が見やすくておすすめ。
あと、基本的に地の文の視点は固定した方が見やすいです。
あえて文節ごとに区切る方法もありますけどねー。
DTKさんの文の場合は文の直後でもう視点変わってたりするので、これはさすがに。
>ミストさんは諦めたようでパンを噛り付く。
>朝のコーヒーブレイクを終え上機嫌のミスト
ですね。前はドロシー、直後で三人称だと、読んでる人は混乱します。
というか、私の各話ごとに視点が代わるのも、ホントはダメなんですけどねー。
昔先輩にその書き方はやめとけと言われてるのですが、今回の場合はどうしてもやりたかったので、半ば挑戦的にやってたりします。
どうしても視点変更式がやりたいのなら、それなりの覚悟と信念が必要かと。
とりあえずはそんなところですかね?

ちなみに、スランプでしおしおしてるだけで消えているわけではないのです。
しばらく覗いていないうちに皆さんの作品がどんどん更新されてて感想がいっぱいでどうしようとなっているわけではないのです。
あと、某終わりの年代記を読み耽っていたわけでもありません。
上下巻同時にズボンに突っ込んだら、危うくズボンがずり落ちるところだったわけでもありません。

溜まりに溜まった感想は、続きが書けたら一緒に書くです。
んではっ

637 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/16(水) 23:42:26 [ LVW/cCFA ]
>>608
ガキィィィィン、リリィのラピッドがいとも簡単に防がれる。だが、リリィのラピッドに注意を向けたせいで若干の隙が生まれる。
(今度こそ、もらった!)その隙を逃さないように、奴との距離を一気につめる。だが、オイラのその行動も奴にとっては予想の範囲だったようだ。
「ヌゥゥゥゥン!!」リリィの突きを防いだ腕はそのままに、体に回転をつけて前方を蹴り薙ぐ。
「うぉ!?」「きゃぁぁっ!?」その回し蹴りの勢いで、オイラ達は吹き飛ばされる。
(この隊長、半端じゃねぇな・・。)戦闘が始まってから、オイラ達の攻撃は悉く防がれ続けていた。数の上ではこちらが有利なんだけどな。
さらにこの隊長、どうやら武道家のスキルを取得していて、その事実がよりオイラ達を追い詰める。
「ドウシタ!!貴様ラノ実力ハソノ程度カ!?コレナラ、マダ洞窟内デシゴイテイル新兵ドモトサシテ変ワランゾ!」
オイラ達の攻撃を防ぎ続けているのにも関わらず、相手の息は乱れる気配が無い。
対するオイラ達は、力では敵うはずも無く速度で対抗していたため、息があがりはじめていた・・。
「はぁ、はぁ。ギル・・、まだ動けますの・・?」
「あぁ・、まだ動けるよ・・。直撃はまだもらってないからね・・。」
そろそろ、自分自身の最高速度を維持するのが二人とも辛くなってきた。決めるとすればこの攻撃しかチャンスは無い。
「なぁ、リリィ。少しの間一人であいつを止められることはできるかい?」
「長時間は無理ですけど・・、出来ないことは無いですわね。」
傍らにいるリリィから、実に頼もしい返事が返ってくる。
「じゃ、リリィ。ちょっと耳貸して・・。」
そうしてオイラは、次の攻撃で決めるためにリリィに作戦を伝えた。

(何ヤラ打チ合セヲシテイルヨウダガ、無駄ナ事ヲ・・・。)
私に対して満足な攻撃を与えられない輩どもが、効果的な作戦を立てられるとは到底思えない。
(ダガ、デビロンハコボルトデモ全力デ仕留メル。我ラガ部族ノ格言ヲ甘ンジルコトナドハシナイ・・。)
そうして私は、奴らの動きに対応すべく構えを取り直す。奴らの思惑、徹底的に受け流してくれよう。

私は長きに渡る冒険者共との闘いの中で、彼等の使う技術に着目した。力では我らに劣る彼らが、我々と同等以上にその技術によるところが大きい。
(ナラバ、我々モソノ技術ヲ習得スレバイイ。)私がこの考えに至るのには、そう時間がかからなかった。
私はこの考えの下、私は自分の部下達と共に様々な冒険者達の技術の習得に努めた。
剣術、弓術、槍術、獣術、武術・・。数多ある冒険者の技術の中で、我らが習得し得るものはそう多くは無かった。
私がその数少ない選択肢の中で武術の取得に成功した。戦士たるもの、己が肉体こそ至上の武器。
己が成長を通じて成長する肉体(武器)は、己が諦めない限り成長は無限である。それ故に、私は武術を選び取った

空気が動く、どうやら奴らが向かってきているようだ。
私は向かってくる敵を見据えるために顔を上げた。顔上げた私の目に映るは、槍術を扱う剣士の小娘の姿のみ。盗賊の小僧の姿が見当たらぬ・・。
「ホゥ、二手ニ分カレタカ。シカシ、非力ナ小娘一人デ私ノ攻撃ヲ受ケキレルト思ウテカ!」
まったくもって浅はか。あの剣士の力では、私の攻撃を防ぎきることは適わないだろう。
いいだろう。それほどまでに打ち込まれたいというのなら、その霧の魔術ごと叩き潰してくれる!
「やぁぁぁぁ!!」小娘の疾風の如き突きが放たれる。だがその速度は最早、先刻の勢いを失っているようだ。
「鈍イ!!」そのまま突き出された剣を掴む。この程度の速度ならば、このくらいの芸当はたやすい。
そのまま小娘の顔めがけて、正拳を放つ。これで、まず一人・・!
「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」だが、小娘の絶叫により私の体が止まる。
(・・・ッ!?ヨモヤコノ私ガウォークライ如キニ阻マレルトハ。)
だが、私が痺れたとて小娘の攻撃などに当たるはずなど・・・。
(・・!?)小娘が不敵な微笑を浮かべたその刹那、背後に僅かながらの気配を感じた。
「ヌォォォォォォォォ!!!」私は咄嗟に自分の体に気合をこめる。この技術の名は「怒号」、外的要因で痺れた体を治療することが出来る。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」痺れが取れると同時に、迎撃に邪魔な小娘を放り投げる。
そのまま、僅かに漏れる気配を頼りに振り向きざまに腕を突きだす。ガキィィィ、鈍い金属音の衝突が木霊する。
「残念ダッタナ。私ガ相手デ無ケレバ確実ニ成功シテイタダロウ・・。」
盗賊の小僧の仕込み爪を防ぎながら、私は相手に少しばかりの皮肉という名の賞賛を与えた。

638 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/16(水) 23:52:36 [ LVW/cCFA ]
>>637
>我々と同等以上にその技術・・・→×
>我々と同等以上に闘えるという事実はその技術・・・→○
よし、久しぶりにありえない脱字をかましてしまいましたorz
あぁもう、自分の集中力の狭さにもうヌルポです^^;
あと、変な生き物さん。少なくとも私は貴方の作品を心待ちしていますよ^^
皆さんのご帰還を、玉露でもすすりながらまったりとお待ちしてます。

639 名前: 黒肉るスキです ◆144kPzniVo 投稿日: 2005/11/17(木) 17:31:11 [ eUdr4bLA ]
6>変な生き物さん

 ■憂鬱な日 ■霧の朝 ■風雨の日 ■のどかな一日 ■気まぐれの日


 どんな日だって、きっとなんとか出来ちゃいますよ(゜w ゜) 乃




   DTKさんに気を捕られてたのは秘密。
  というか「あの続き」のプロットを削除待ちスレに
  皆で書き比べる緊急企画を立てたりはしません。

640 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/17(木) 22:08:37 [ wt0TMFS. ]
>>519つづき
「貴殿等怪我はないか?」
屋根から飛び降りてきたのは真っ黒な装束を着たダンディなおっさんだった。
「あ、ありでごわす。」
空からのいきなりの訪問者に皆驚いているようだ。
おっさんシーフはしゃがんでばらばらのmobの死体をしげしげと眺める。
「ふむ、見たところ至って普通のコロにしか見えんが…」
おっさんは立ち上がると俺たちに指示をしてきた。
「貴殿等は奴等の沸き場を探してくれ賜え。剣士君等二人は私と共に民の救助に向かう。依存は無いな?」
どうやらナンバーズと守を連れていくらしい。
初対面でいきなり命令されるのもしゃくだが状況が状況なだけに従うことにした。
「わかったでごわす。気を付けて逝くでごわす。」
二手に別れて西側を探してみる。
コロがいっぱいいるのには変わりが無いのだが何か引っ掛かる。
「だんだん白からN色になってるお(^ω^;)」
今までは真っ白だったのがだんだんかすれて普通の色になっている。
かすれる…中身は同じ…
ビショップがオーバーアクションでひらめいた。
「…わかったでごわす!皆ペンキ屋に逝くでごわす!」
つづく

641 名前: FAT 投稿日: 2005/11/17(木) 22:16:23 [ u9OYKqVU ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)




「フラン〜、勘弁してくれ、おりゃもう歩けねえよ。」
青髪の戦士が嘆きの声を上げる。
「ちょっと、ジョーイ、何だらしのないこと言ってるのよ。男なんだから黙って我慢しな
さいよ。私だって荷物三つも持ってるのに。」
首に一つ、両肩に一つずつのバックをぶら下げて弱気な独眼を睨む。確かに私の倍以上の
荷物を持つジョーイに同情はするが、同じくらいの荷物を背負っているタカさんが文句の
一つもたれないことを考えると音を上げるには早すぎると思った。

・・・しかし荷物が多い。多すぎる。

馬車で村まで帰る予定だったので普段の冒険時よりも余計な荷物をたくさん持ってきてい
た。加えてほぼ手ぶらで出て行ったフプレとレニィの荷物も持っているのである。辛くな
いはずが無い。

「なぁ、フラン、ナイトバーズを出してくれないか?んでさ、荷物持たせてよ。」
「だめよ。召喚獣にだって感情はあるのよ。そんなことくらいで呼び出したりしたらその
うちに見捨てられちゃうわ。」

蠅退治はいいのかよ・・・・。
ジョーイはフランがこのあいだ話していた蠅退治の神話を思い返した。

「フラン、俺からもお願いだ。ナイトバーズを、頼む。」
不意にタカさんが声を漏らす。顔を見ると汗が滝のように流れている。本当に限界が来て
いたのはタカさんのほうかもしれない。
「わ、分かったわ。ナイトバーズ!!!」

・・・・?

私たちの目の前に現れたのはあの巨大な黒い魔獣、ナイトバーズではなく、ウィスパーを
黒塗りにしたような、小さい綿状の丸い精霊だった。
「あれ?なんでだろ?ウィスパー!!!」

〜呼んだ?〜

「ねぇ、なんでナイトバーズが出ないの?この子はなあに?」

〜なにって、それがナイトバーズじゃないか。あぁ、フランは神獣型しか見たことなかっ
たっけ?それはナイトバーズの精霊型だよ。僕にそっくりでしょ?〜

「ええ、そっくりね。・・・ナイトバーズは神獣型に治せる?」

〜そうだね、それはフラン次第だよ。しばらくは無理そうだけど。じゃあ、またフプレを
追いかけてくるよ。なにか伝言はある?〜

「ないわ。会って、直接話がしたいから。」

〜いい顔してるね。これなら意外と早くナイトバーズも治るかも。じゃあね、また、必要
になったら呼んで〜

「ありがとう、またね。」
別れの挨拶をするとウィスパーは一閃の光と共に消えた。

「ごめん、二人とも。見ての通りナイトバーズには荷物を持たせられないわ。がんばって
持ちましょう。」
笑顔で二人を元気付ける。もちろん彼らの顔に笑みはなく、荷物を放り出すとその場にへ
たれこんでしまった。

642 名前: FAT 投稿日: 2005/11/17(木) 22:17:48 [ u9OYKqVU ]
「なんだっ!!」
突如一本の矢が地面に散乱した荷の一つに短い音を立て、突き刺さる。

ジョーイの声に反応し、私たちも辺りを見回す。
ここは一本道。道の両脇には木が点在し、所々に低木が生えていてそれが敵の姿を隠すの
に一役買っている。

「5人はいる。囲まれているぞ。」
素早く羽を生やしたタカが戦状を伝える。敵はいずれも手練のようだ。完全に気配を消し、
どこからか私たちを観察している。ジョーイはゆっくりとバックルを外し、大剣を構える。
そして目の前の立ち木に静かに剣先を向け、一度大きく振りかぶると勢い良く振り下ろし
た。


ヴゥン
空を切り裂く鋭い音と共に冷気を伴った衝撃波が木をなぎ倒す。折れた木の切り口はびっ
しりと氷が貼り付いている。ジョーイの眼帯から青白い光明が煌き、腕を伝って剣にその
力を宿らせる。
折れた木に押しつぶされる前に、その影に隠れていた敵がジョーイ目掛け飛びかかる。
ピンと張った耳を見れば一目でエルフだと分かった。短剣を掲げ、ジョーイの眉間に突き
出す。一瞬のことで反応できなかったのか、はたまた敢えてそうしたのか、ジョーイは身
動き一つせずにその短いナイフを受けた。刃が届くか届かないかというところでエルフの
腕が止まった。それは意図的なものではなく、強制だった。見ればエルフの額からは大量
の汗が流れ出ている。恐怖の眼差しを向けるその先には深い青光りをした独眼があり、威
光を放っている。手首から先は凍りつき感覚がない。逃げようとしても鋭い視線に射竦め
られ体が言うことをきかない。汗は、勢いを増した。
ジョーイが剣を振るうとほぼ同時に隠れていた4匹のエルフたちが一斉に彼に襲いかかる。
あまりの飛び出しの速さに私もタカさんも反応できなかった。しかし、このとき反応でき
なかったことが結果としては吉であった。ジョーイの振るった剣はその原型を崩し、青い
龍となった。龍はとぐろを巻くようにエルフたちを飲み込み、空高く舞い上がっていく。

下手に近付いていたら私たちも飲み込まれていただろう。

と、突然、上空で何かが弾けたかと思うと龍の腹を裂いて一匹のエルフが降下してきた。
どす黒い肌に赤褐色の服。首には拳大の干物を何個も通したものをぶら下げている。真っ
赤な目が、ジョーイを睨みつける。

「・・・人間狩りの部族か。」

短剣に持ち替えたジョーイは視線を逸らさず、相手の身なりをよく確認するといぶかしげ
に漏らした。

・・・人間狩り・・・

聞いたことがある。エルフの中でも好戦的な者が集まって人間を娯楽のために殺す風習が
あると。そしてその獲物の心臓を抜き取り、乾燥させたものを首飾りに通し、自らの力を
誇示するのだと。

目の前のエルフの首には心臓の干物と思われるものが並んでいる。服や肌の色は返り血に
よるものだろうか?とにかく、ただならぬ気迫を感じるのは間違いない。
少し遅いがウィスパーを再度呼び出し、ナイトバーズとの共同戦線を張る。二体とも精霊
型なので大した戦力にはならないだろうが、ないよりましだ。囮にはなる。
エルフ一体を囲み開戦を待つ。

・・・誰も動く気配がない。

ならばっ!とウィスパーを突撃させ敵の目の前で発光させる。突然の閃光は多少の魔力を
持ち、エルフをたじろかせる。

全員が動いた。

まず、上空をさまよっていたジョーイの龍がエルフに牙を立てる。間髪いれずにジョーイ
は短剣で切りかかり、タカさんの羽も同じタイミングでエルフを射る。
初撃の龍の牙をまともに受け、背中に歯形が付いたが出血は見られない。二、三撃目にい
たっては軽くいなされてしまった。

・・・強い・・・

体の硬さといい、身のこなしといい、倒すのが難儀な敵だと悟った。伊達に首周り一周分
の心臓をつけている訳ではない。

「そんなものか」と言わんばかりに涼しげな顔を保ったままジョーイに細剣を振るう。軌
道が視覚で捉えられぬほどの速剣だ。ジョーイはただ一つだけの眼を必死に見開き、なん
とか敵の速度に付いていっている。

防戦一方。

エルフは神懸かっていた。
タカさん、ウィスパー、ナイトバーズの攻撃を避けながらジョーイと一騎打ちを演じてみ
せているのである。徐々にジョーイは押され始め、体には無数の傷が付いている。その傷
はすぐにタカさんの魔法によって回復されるがキリがない。
戦いは長時間に渡っていた。もうずっと、ジョーイは神経をぎりぎりまで研ぎ澄まして敵
と対峙している。限界は近い。
だがジョーイは音を上げなかった。それどころか彼の瞳は輝いている。この命のやりとり
に、生きがいを感じているのだろうか?

643 名前: FAT 投稿日: 2005/11/17(木) 22:18:24 [ u9OYKqVU ]
エルフが痺れを切らせた。

一閃の後、素早く距離を置くと首に吊るしてある心臓を一つ千切って口に放り込む。

血沸き、肉踊る。

といった表現がよく合うだろう。見る見るうちに活性化していく筋肉に浮かび上がる太い
血管。全身から湯気のようなものを出し、体色は赤みがかる。先程以上の闘志を燃やし、
エルフはジョーイを探す。

・・・いない!!

エルフが目を離した一瞬の隙にジョーイは消えていた。次の瞬間、きょろきょろとしてい
るエルフに大剣が突き刺さった。
心臓の効果で興奮しすぎていたからだろう、上空の龍から落下してくるジョーイに気がつ
かなかったようだ。かろうじで頭をかち割られるのは避けられたが左肩からわき腹にかけ
て大剣が貫通している。更にはその傷口が凍りつき黒く変色している。ジョーイはそのま
まグルンと剣を回しエルフの左腕を落とす。その体は鉄ほどの硬さを誇っていたが何故か
簡単に落ちた。よく見れば、ジョーイの体に異変が起こっていた。通常漆黒のスマートな
鎧に身を包んでいるが今、ジョーイを守っている鎧は青い闘気を纏っている。頭の先から
足元まで、全身を青が駆け巡っている。
それは彼の召喚した青龍だった。
ただ闇雲に攻撃するだけが能じゃない。そんな声が聞こえてくる。龍を纏ったジョーイの
身体能力は飛躍的に跳ね上がり、強固なエルフの体もいとも簡単そうに切って捨てて見せ
たのである。

だがまだ終わりではなかった。

エルフは片腕を失いながらも残った方の腕で首の心臓に手を掛けると、豪快に一気食いを
始めた。無論、みすみすそんな時間をやったわけではないが私たちの攻撃はまたもことご
とく華麗にかわされてしまっていた。
20個はあっただろうか、全ての心臓を平らげたエルフの体は、何倍にも大きく、屈強に
見える。同時に彼は意識をほとんど失っているようにも見える。ただその闘争心のみによ
って溢れ出す力を駆使し、ジョーイと再三の戦いを始める。

私とタカさんがその場にいることはほぼ無意味だった。
もはや戦神と化したエルフは私たちの攻撃を受けても微動だにせず、その身が滅ぶまで執
拗にジョーイを攻め立てた。龍を纏ったジョーイでも心臓で強化されたエルフの攻撃の方
が上で、何度も危ない場面があった。しかしガタが来たのだろう。最後は血を吐き、眼球
がグルンと上に回り、地に伏した。

壮絶な終わり方だった。エルフは己のプライドを最後まで捨てずに気高く散った。その生
き様は人を殺すことを除けば賞賛に値するだろう。私たちは略式だがエルフの墓を作り、
埋めてやった。死体は、重かった。

644 名前: FAT 投稿日: 2005/11/17(木) 23:03:17 [ u9OYKqVU ]
>>604さん、605さん
感想ありがとうございます。

>> 独り語りさん
一風変わった感想のつけかた、楽しかったですよ。個性的でグーです。

>> 南東方不勝さん
むぅ、リリィ&ギル大苦戦ですね・・・。
でもきっと、この苦しい戦いを終えた後には愛がめb(ry
激しい死闘と、ツンデレの行く末を楽しみにしております。

>> ◆j9cST1xRh2 さん
おお、フローラさんといえば・・・。
リフの家族の現状が明らかにされるのでしょうか?それともただの同名さん?
ところで、中々きまらないメリックさん。娘にあえてそういった素の姿を見せて
いるとはお茶目な方なんですね。

>> 戦士のようだ さん
また世界を揺るがすような大戦争に発展してしまいそうな予感・・・。
ジンは再び前線に立ち、剣を振るうのでしょうか?それとも世代交代?
今後の展開に注目しております。

>>617さん
いい!じいさんの愛がひしひしと伝わってきます。ぼろかすに扱われても若者を
応援するその姿にこれからじいさんを見る目が変わりそうです。

>>21Rさん
まさか石がミルの中にあったなんて・・・。
それにしてもアレンが頼もしいなんて昔からは想像がつきませんね。アデルの
力を借り、ミルを無事助け出せるのでしょうか?続きに期待です。

>> AC さん
かっけぇ〜!と思わず声を漏らしてしまいました。戦闘シーンももちろんですが、
クライン教授の物の考え方が大好きです。うちの大学の教授たちもこれくらい
生徒思いだったらどれほど喜ばしいことか・・・。

>> DTK さん
気を落とさずにまた書いてみてください。きっと書いているうちにオリジナリティー
が出てくるはずです。何にせよ投稿されるということはこのスレにとって喜ばしい
ことですので次回の投稿楽しみにしています。

>> 変な生き物さん
私も最近忙しくて中々執筆できないでいます。
続きが楽しみですが、リアル最優先でまた、暇ができたときにでもがんばって
書いてくださいb

>>サマナの人さん
この指摘は私にも当てはまりますね。・・・←しょっちゅう使ってますし、
視点もめぐるめく変わってますものね。

今作は人生初作品ということで、その辺はもう修正が効かないのでこのまま
最後まで突っ走ろうと思います。第2巻はしっかりと小説らしくしてみよう
かな…。

>>ナンバーズさん
逝くって・・・逝くって・・・
それがデフォなのですね。軽く笑ってしまいました。
ペンキ屋で一体何が待っているのでしょうか・・・

645 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/18(金) 21:49:17 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六

六化仙 其の拾七

居酒屋で酒を飲みながら新聞を読む、盗賊やらモンスターやらギルドやら、
色々なことが書いてあるが目を引いたのは、新しく出来た義賊の話。
ブルネシュティング東街道に居た盗賊の集団梁山泊が、元国軍の将軍ネグルフシを頭領にした。
それがきっかけで梁山泊に表世界で生きられない者が集まり、一大勢力になったらしい。
ネグルフシが入ってから、今の王朝に義憤を感じるものが集まり。梁山泊は盗賊から義賊になったとも書いてあった。
ちなみに梁山泊は頭領が変わってから名前を変えてエリナー・リグビーにしたらしい。
世の中わからないものだ。偉い将軍は義賊になって。王朝は奸臣でいっぱいになっている。
「おやじ、世の中変わったねぇ」
何となく居酒屋の主人に声を掛ける。
「そうですなぁ。本当に変わりましたねぇ。」
酒を飲み干してから勘定を払って居酒屋を出る。鼻歌を歌いながら家までの道を歩いていると、
若い女の叫び声が聞こえた。声の方へ行くと、二人の役人が女を路地裏に連れて行こうとしてる。
「お前等何してんだ。」
そう言って役人の一人を蹴飛ばす。もう一人の役人を上から見下ろして睨みつける。
それなりにでかい図体だが俺から見れば子供のようなものだ。
「てめぇ、何しくさるんじゃボケ!」
蹴飛ばした役人が立ち上がって怒鳴る。手には剣が握られていた。
「なめんなオラァ、馬鹿でかい図体しやがって。」
もう片方の役人も剣を握りながら怒鳴る。適当に剣で斬ってくるが胆が入っていない。
落ちてた棒切れで適当に二人を殴る。どちらも気絶してしまった。
気がつくと女がどこかに消えている。礼も言わずに消えるなんて少し失礼だと思う。
また鼻歌を歌いながら歩く、家に着くと少し酔いがさめてしまった。
ベットに倒れて眠ると、二匹の鼠と一匹の蛇が部屋に入ってきた。白と黒の鼠だ。
「寝てるかな?」
白い鼠が蛇に話しかけた。
「調べてみればいいさ。」
蛇が黒い鼠に言った。
「19の次の数字は?」
黒い鼠が言う。
「46」
「寝てるな。」
三匹が同時に言った。


朝目が覚めると兵士が家を取り囲んでいた。
「ポール、貴様は昨日役人を二人殺しただろう。大人しく縛につけ!」
偉そうな兜をつけた兵士が叫ぶ。少し考えてから状況を理解した。
面倒なことになった。二人殺したら死罪は免れないだろう。
「出てこないなら仕方が無いな。捕らえろ!」
家に兵士が入ってくる。そいつ等を蹴散らしてから愛用の槍を取り出す。
家の外に出ると大勢の兵士が自分を取り囲んでいた。
本当に面倒な事になった。

646 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/18(金) 21:51:15 [ hNlLsBE2 ]
久々に投稿です。
時間が出来たら感想を書きますので少々お待ちを

647 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/19(土) 12:44:25 [ vOXgals6 ]
なんとか書けたのでとりあえず投下します。
今回は暴力R15禁かもしれません。耐性ない人はスルー推奨。

>ミーア=ウェズリー

「Uno、due、tre、quattro、cinque!」

 スカートや袖の内側、襟元など各所に仕込まれた短剣を抜き放ち、いっせいに投擲する。
 放たれた短剣は狙いを違うことなく周囲のアンデットたちに突き刺さった。

 けれど、必殺ではない。

 半分ほどのアンデットはハリネズミのようになりながら、それでもなお私のほうへじりじりとにじり寄ってくる。

 やはり、アンデットは殺しにくい。
 人間相手と違って、死体であるアンデットは、心臓や喉を貫いても、それだけでは活動をやめない。
 私が多数を相手にするときに主に使う、短剣のような急所を狙って倒すような武器は効果が薄いのだ。

 ならっ――

 息を吐きながら左手を一閃。
 左手に填められた指輪、アトラク=ナクアから無数の鋼糸が放たれ、アンデットたちに絡みつく。
 そのまま、振った左手を引き寄せる。

「Shaoh!」

 捕らえていた鋼糸に負荷がかかり、細い糸は鋭い刃と化してアンデットたちを切り裂く。
 さすがのアンデットも、ばらばらにすれば動きは止まる。

 だけど、鋼糸を通して、腕に響くこの感触。
 ひょっとすると、直接ナイフで斬るよりもリアルな、肉を裂き、骨を断つ手ごたえ。
 何度やっても慣れることができない。

 だから、この技はあまり使いたくない……

 けれど、そんな私の感傷に構うことなく、アンデットたちは私を――温かな肉を、渇きを癒してくれる血を求め、押し寄せてくる。

「Hyou!」

 さらに一体めがけ、まとめて短剣を投げつける。
 首筋当たりめがけ一極集中して放った刃はただ突き刺さるだけでなく、その速度と威力を以って、ゾンビの首を胴体から切り落とした。
 ごとり、という重い音とともに頭部が落下する。
 頭を失ったゾンビはそれでもなお数歩動くが、既に脅威ではないと判断し無視。


 続けざまに短剣を投げようとして、今のでストックを使い切ってしまったことに気づく。
 死体から回収すればまだ少しは使えるものがあるだろうが、そんな暇は無い。
 仕方がない……

「Shaohhhhhhhhh!!」

 鋼糸をもう一度振るい、近づく死体たちをなぎ払う。
 そして、続けざまに鋼糸を、今度は周囲の柱や杭に絡めるように放つ。

 それは、蜘蛛の巣に酷似した、触れるもの全てを切り裂く鋼糸の結界だ。
 知能のある相手ならそこで立ち止まるだろうが、意識無きアンデットたちは躊躇うことなく自分から飛び込んでいくだろう。
 その先にある、生命の匂いに惹かれて。

 予想通り、ゾンビたちは次々と鋼糸に切り裂かれていく。
 足元に無数の肉片が転がっているにもかかわらず、ゾンビたちは次々と結界に飛び込み、そして肉片が増える。

 ――これで、少しは時間が稼げる。

 私は一度体勢を立て直すため、門を離れ村の内部へ向かった。

648 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/19(土) 12:45:05 [ vOXgals6 ]
 広場に辿り着き、色々と準備をしていた時、左手にかかっていた負荷がかくんと消えたのに気づいた。
 鋼糸の結界が突破されたのだろう。
 無数のゾンビがひたすらに突撃すれば、その脂や体液で切れ味が鈍る。
 そこにさらに負荷がかかれば、いくら頑丈な鋼糸も耐えきれない。

 もう少しは保つと思っていたが、それだけ相手の数が多いということか。
 時間が足りない。私はいくつかの仕掛けをあきらめ、間もなくやってくるだろうアンデットたちに備える。

 そして、アンデットの一群がやってきた。
 広場の中心付近に一人立つ私めがけ、ゾンビや骸骨が殺到し――爆発が起こった。
 さらに爆発は周囲に仕掛けてあった油に引火し、アンデットたちは引き裂かれた上に焼き尽くされる。

 爆風が私の髪や服を揺らし、熱気が肌をわずかに焼く。
 だが、その爆風を抜け、さらなるアンデットたち。

「いったいどれだけいるんですかっ!」

 バックステップを踏み、アトラク・ナクアで牽制しながら距離をとる。
 何体かがさらに仕掛けてあった鼠捕り罠や杭罠にかかるが、時間がなかったために罠の類はそれで打ち止めだ。
 さらに、鋼糸も先ほど結界に使ってしまったために残りが少ない――今、最後の一巻きが脂と体液に汚れ、使えなくなった。

 背後に民家の壁が当たる。
 瞬間――

「Sheah!」

 背中に伸ばした手を振り下ろす。
 そこから放たれるのは、薪割用の鉈だ。
 投擲用短剣より遥かに重く、破壊力を秘めたそれはまっすぐアンデットたちに突き刺さり、その体を打ち砕く。

 あらかじめ投擲しやすいように壁に刺しておいたのだ。
 かつて旧ブルンの兵士が長弓を連射するために足元に無数の矢を刺しておいたのに似ているか。

 だが、今度こそ罠も手持ち武装も尽きた。
 あとは、地味に一体ずつ潰すしかない。

 正面の斧骸骨の懐に飛び込む。
 骸骨が斧を振り下ろすより早く、その左膝を蹴り折る。
 バランスを崩し倒れ掛かる体をかわし、返す刀――下ろす脚、か?――で、倒れた骸骨の頭を踏み砕く。

 そこへ飛び掛ってくる、「彼女」の相棒、英雄ヴェイアにわずかに似た両刀の骸骨。
 しかしヴェイアとは程遠い、乱雑な動きで振るわれる刃を私は上半身を反らせて回避。
 せっかくの両刀も、使いこなせなければ無意味。
 そのまま体を大きく仰け反らせ、後方宙返りとともに蹴り上げる。
 剣を持った腕を蹴り砕き、足が地面についた瞬間、踏み込んで回し蹴りを放つ。

 だが、いくら倒しても死者達は次から次へと沸いてくる。
 く、キリがない――

「アアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!」

 怒号とともにアンデット達の中心に飛び込み、渾身の力で回し蹴りを放つ。
 放たれた気合はそのまま破壊力へと転化され、荒れ狂う嵐となってアンデットたちをまとめて吹き飛ばす。

649 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/19(土) 12:45:31 [ vOXgals6 ]
 飛び散る肉片。砕ける骨。迸る体液。
 返り血のように私の服に降りかかる。

 目の前、破壊の嵐を逃れたアンデットの姿。
 まだ幼い、少女の姿をしたゾンビ。

 あどけない顔で牙を剥く少女の腐り落ちた胴に脚刀を叩き込む。
 あっけないほど簡単に胴が両断され、内臓を引きずりながら倒れる。

 ……無視。
 既に脚刀を叩き込んだ時点で視線は次の標的へ。

 老人の姿をしたゾンビ。
 既に枯れかけたその首はいとも簡単にへし折れた。

 私と同じくらいの女性のゾンビ。
 生前は美しかったのかもしれないその顔を、何の感慨も抱かず蹴り砕く。

 は、は、は。
 笑っているような、喘いでいるような耳障りな声。

 耳元で聞こえるその声に思わず苛立ち、再び烈風撃を放つ。
 周囲のアンデットたちを蹴散らしても、その声は何故か消えない。

 違う。
 これは自分の声だ。

 おかしい。
 いつもならこの程度の戦いで息が上がることないはずなのに。

 意識が一瞬他へ向いた瞬間、脚が何者かに掴まれた。
 それは、先ほど胴体を両断した少女の上半身。

 しがみつくように、縋りつくように。
 私の脚を掴み、虚ろな瞳でこちらを見る。

 彼女だけではない。
 気づけば、私の周りの無数の死体が、じっと私を見つめている。

 もはや濁り、何物をも映さぬ彼らの眼に。
 しかし、私はそれを見た。


 何も悪いことはしていないのに。
 ただ、普通に暮らしていたかっただけなのに。

 何故、死ななければならなかったのか。
 何故、死んでからも苦しめられなければならないのか。

 何故。
 何故。
 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故……
 何故!?

 何故死ななければならない?
 何故苦しまなければならない?
 何故何もしていない自分たちが死に、苦しみ――そして、お前が生きている?

 何故血に塗れた殺人者がのうのうと生きていて、罪無き我々が苦しまなければならない?

650 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/19(土) 12:45:55 [ vOXgals6 ]
「か、はっ……」


 目の前が真っ赤になる。
 息が苦しい。
 体が熱い。
 そのくせ心は妙に醒めて……

 ふと自分の手を見れば、その手は真っ赤に染まっていた。

「あ――。いやぁ……」

 リアルにリピートされる。
 たった今、無数の死者をこの手で砕いた感触。
 もっと昔、暗殺者として人を殺していたときの吹き出す血の音と、体にかかる熱い返り血。

 共に育てられた同じ境遇の仲間たち。
 けれど、生き残れるのはほんの一握り。
 後はみんな死んだ。
 違う。私が殺した。
 自分が生き残るために、幾人もの兄弟姉妹を殺してきた。

「そうだ、それでいい! 目の前に立ちふさがるものは何であろうと殺せ! そうすれば貴様らは生きていける。生きていたければ殺せ。ただひたすらに殺しつくせ!!」

 仮面の男の哄笑。
 そしてその傍に倒れている女の子。
 あれは……誰だっただろう?
 もう思い出せない。
 唯一つ、はっきりしていることは、彼女を殺したのは私。
 私が殺した。自分が生きるために。
 彼女だけじゃない。何人も何人も何人も――殺した。

 私が、殺した。


 そう、お前は殺人者だ。

 死霊たちが嗤う。

 見るがいい。その血に汚れた手を。
 そんな手をした者が、人並みに幸せなど掴めると思っていたか?

 痛いよ……苦しいよ……

 小さな少女の悲鳴。

 寒いよ……お腹すいたよ……

 上半身だけの少女が私の足に牙を立てる。

 ああ、温かい血……

 そうか。
 こんな汚れた私でも、役に立てることがあるんだ。
 こんな汚れた私の血でも、一瞬とはいえ死霊たちの渇きを癒せるのなら。
 なら、こんな汚れた体、彼らにあげてしまったって……

 それが、私の犯してきた罪を少しでも償うことになるのなら、それで……

 次々と牙がつきたてられる。
 けれど私は、恐怖でなく歓喜でそれを迎える。
 まるで彼らに喰われることで自分の罪が消えていくような気がして。

 そして、目の前がゆっくり暗くなっていく――

651 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/19(土) 13:05:08 [ vOXgals6 ]
レポート明けの電波ゆんゆん状態で書いたので、内容も電波ってますね?
しかも、DTKさんにえらそうなことを言っておいて自分守れてないしorz

とりあえず略式ですが感想行きますねー

>>LBさん
ウホッ、いい戦闘&会話。
相変わらずすばらしい描写力。その描写力の劣化複製概念でもいいから分けてほしいです。
ぴくっこの復讐テラコワス(;・ω・)
そしてテラエロス(・∀・)
とはいえ二人の契約シーンはかなーりドラマチック。
ギャグで落としておいて最後にびしっと決めるあたり、さすがです。
激しく≧ヮ≦イイ!

>>FATさん
ΣΩ ΩΩΩ な、ナンダッテー
なんというか、吹きました。激しく。
なんとなくフプレもフランも子供なイメージがあったのに、時が過ぎるのは早いものですねぇ(ぇ
そして駆け落ち? このまま二人で海でも越えてしまいそうな感じですが、はてさて……

一方ライトなフランサイド。
本当に蠅退治はいいのだろうか?
というか、神獣形態ですら太刀打ちできない蠅って;;;
そしてなんだかトンでもないエルフ参上!?
エルフというと長耳萌えーなイメージしかないですが、なんだか悪役っぽくてカコイイですよ!?
心臓使ってるし〜。雑魚キャラなのがもったいないほどです。
台詞が無いことで、逆に手ごわさみたいなのがいい感じに出てると思うデスよ。
倒れ方まで、まさに悪役の美学〜。
マーベラスですの≧ヮ≦


とりあえず今日はこんなところで。

652 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/19(土) 15:30:03 [ LVW/cCFA ]
>>戦士のようださん
おっと、風来坊な男ランサーの登場ですね。
さてさて、彼は憲兵隊の包囲から抜け出すことが出来るのでしょうか?

>>サマナの人さん
まず始めに、おかえりなさい^^
さて、今回はミーア嬢パートですね。
本来の優しい性格が仇になってますねぇ・・、これは^^;
でも、殺した人達に対する最大の贖罪は、その事実を背負って生きていくことだと思いますよ。

653 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/19(土) 16:59:14 [ LVW/cCFA ]
>>637
(マジかよ・・。)篭手と爪の鍔迫り合いの音を聞きながら、オイラの心は焦燥の色に染まる。
オイラは自分の潜伏に対しては、それなりの自信を持っていた。もちろん、完全に気配を消せるわけじゃないから気付かれる事もあるだろう。
現に、この前のオートでやりあったホワイトシェードには気付かれていた。だが、それは急ごしらえの潜伏だった上に頻繁に使用していたからだ。
今回の潜伏はあの時のような急ごしらえじゃない。オイラの本気の潜伏をこの隊長・・・カルナバレクはたったの一度で防いだのだ。
(でも、ここまで近づくことは出来たんだ。あとは急所を潰せば・・。)
確かに、背後から気付かれずにこいつを倒せることが理想だったが、ここまで距離をつめればオイラのスピードに反応するのは難しいだろう。
「ヌッ!?」せめぎあっていた左手を力任せにかち上げる。突然の衝撃で、カルナバレクの構えが崩れる。
狙うは頚椎。もちろん、ちゃんと折れやすい部分の見当はついてる。その急所に向けて、力の限り右ストレートを突き出す。
この間僅か0.5秒。この速度に対応しきれる生物など早々にいないはず・・!
「良イ動キダ。ダガ、直線的スギル・・!」だが、オイラの渾身の一撃は余りにも簡単に受け流される。
そして、オイラがその事実に驚くよりも先に
「ごっっっ・・!?」奴の肘打ちがオイラの意識を刈り取った。

「フム、受ケハ性ニ合ワナンダガ・・。コノ技術思ッタヨリモ使エルナ。」
流水撃の直撃をくらい、その場に崩れた小僧の体を見つめながら私はそう呟いた。
なるほど、この技術なら相手が自分から攻撃に当たりに来てくれる。これが「柔」という理念か・・。
そうして私は、振り向きざまに回し蹴りを放った。
「くあっ・・!」カーンと甲高い音が響く。苦悶の声を漏らしながらも、私の一撃に耐え切ったようだ。
「小娘、中々ノ根性ダナ・・。ソウイエバ、剣術ノ中ニソノ様ナ技術ガアッタヤモ知レヌナ。」
恐らく、この小娘が技術がそれだろう。だが、根性だけで私の一撃を受け止めきれるはずが無い。
「はぁ、はぁ、はぁ・・。まだ・・・、私・・達・・・は負け・・て・・いませんわよ・・・。」
息も絶え絶えに、小娘が言葉を紡ぐ。なるほど、その瞳には決して折れることの無い「闘志」と「信念」が宿っている。
こういう手合いには、全力で応えてるが戦士が礼儀・・!
「ソノ意気ヤ良シ!ナラバ、我ガ一撃トクト味ワウガイイ!!」
そうして私は、己の拳に気を込める。風の流れが私に向かう・・。
一度に集いしその風は、全てを砕く弩弓(バリスタ)とならん・・!
「受ケロ、風ノ一撃ヲォォォォォォォ!」我が拳から、烈風撃が放たれる。
風が襲い掛かる前に何者かが小娘を抱き上げる。そんな、幻が映った。
刹那、台地が衝撃に揺れる。爆心地には人の形をしたものなど残りはしなかった。

「総員、集合!!」私が天に向かって、号令を叫ぶ。それから遅れること2秒、私の前に部下達が集結する。
「起キロ、副長!!」私の怒鳴り声にピクッと体を反応させる。それからしばらくして、
「イ、イエッサー・・。」よろよろと立ち上がる。これは後で鍛えなおす必要性が大いにあるな。
そうして私は、目の前の部下たちに命令を告げる。
「貴様ラハ先ニ古都ヘ向カエ。邪魔スルモノハスベテ排除シロ。私ハ、探シ者ガデキタノデナ。ソレガ済ンダラ、合流スル。」
皆、怪訝な表情を浮かべながらも命令を復唱し、古都に向かって進軍を始めた。
部下達の足音が遠くなるの聞きながら、私は台地を後にした。
奴らは生きている、私はそう直感した。

654 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/19(土) 17:06:23 [ LVW/cCFA ]
おっと、感想忘れがありましたorz
>>ナンバーズさん
ペンキ屋に逝く・・・。あれですか、それがコロのお洒落(ry
そんなめくるめく笑いの香りの真相をお待ちしております^^

>>FATさん
ジョーイさんとエルフの死闘、大変楽しく読ませていただきました。
壮絶な最後を遂げたエルフに、より一層氷龍を扱えるようになったジョーイ。
どっちもかっこいいです^^

655 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/19(土) 23:25:22 [ HMNxgy2w ]
急いで皆でペンキ屋に向かう。
これは余談だが向かってる最中にダガーは3回、フェイクは24回逝っている。
邪魔なコロを殴り殺しながらもなんとかダメオンペンキ屋に到着。
案の定扉は派手に打ち壊され、中からぞろぞろコロが湧き出てくる。
ゴッドハンドでまとめてコロ5匹を吹っ飛ばし、内部に突入する。
「ちょw社員が空眺めてるぉ(^ω^;)」
中には3〜4人程の天使が虚ろな目で倒れている。
ちなみにこのペンキ屋は主に露天看板に色づけする仕事をしている。もちろん株式会社DAME ONの子会社なので手抜きも多い。
「向こうの部屋から沸いてるでごわす!」
近くに落ちているプレートを読み取ると
[ペンキ貯蔵庫]
と、書いてある。
中に入るとそこでも天使が空を眺めている。
察しのとおり白ペンキのタンクには穴が開いており、そこから激しくペンキが吹き出している。
そしてちょうどペンキがかかる位置にタウンポータルの出口が出現している…
「あほらしくて言葉も出んでごわす…」
それからビショップの手により無事ポータルは閉じられ、
真っ白コロッサス古都を襲う!
と言う珍事件は幕を閉じた。
この事態を作り出したダメオンペンキ屋の社員の供述によると、
「課金者が廃坑B9のハロワに派手な看板露天出すって言うから行ったんだよぅ。そしたらワープ場所間違えてコロ沸きの真ん中に出ちゃって急いでタウンポータル使ったんだよぅ。」
さらにそのポータルを閉じ忘れた為にこの事態は発生したらしい。
その後ペンキ屋は廃業し、民間経営の新しいペンキ屋になったという。
後日。
こたつでくつろぎながらたわいもない会話をする。
「ハテナが今回の活躍でダメオンから鳳凰章もらったんだって?」
「それが…模造品だったでごわす…。 ダ メ オ ン !」
END?

656 名前: FAT 投稿日: 2005/11/21(月) 10:46:21 [ A5az8kZU ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)




戦いには勝った。

しかし、実力的には大敗したといってよいだろう。善戦したのはジョーイだけ。タカさん
は補助にまわり十分に仕事をしたが、私は何も出来なかった。
「おいおい、そんなしかめっ面してると運が逃げてくぜ?笑顔でいこうよフランちゃん」
気を使ってくれたのか、ジョーイはポンッと私の頭に大きな手を乗せ髪を掻き乱した。
「ぃやっ!もうっ!なにするのよ、ジョーイ!!」
表面上は怒ってみせたが彼の温かな手が髪に触れた瞬間、心臓がトクンと大きく鳴った。
そのとき、ナイトバーズが闇に包まれ、変化を遂げた。
その姿は一言で言えばコウモリである。ただ普通のコウモリとは違い体と同じくらいの長
さの尻尾があり、その先端は丸く膨らんでいて棘が無数についている。

パタパタと羽ばたくナイトバーズに会釈すると後ろからジョーイの声が。
「フラ〜ン、ナイトバーズに荷物持たせようぜ」

最初に言っておくけど私が命令したわけじゃないのよ?

ナイトバーズの尻尾がギュン!と鋭い音を立てジョーイの頬に棘を突き刺す。「あっ」とふ
やけた声を漏らし、彼はそこに寝転んだ。
「・・・毒か。治せるがどうする?」
倒れたジョーイを診察したタカさんが私に問う。
可笑しな質問だなとクスリと笑い、タカさんに返事をする。
「放っておきましょう。なんだか疲れちゃったし、今日はこの辺りで野宿ね」


パチパチと焚き木が音を立てる。明るいうちからテントを張ったり火をおこしたりしたの
で余裕を持って食事が出来る。鍋の中では大量のチーズが沸々と煮えたぎっている。たま
に見えるお肉はナイトバーズが狩った鳥類のものだ。私とタカさんは自分のバッグからパ
ンを取り出し、『野草博士』の異名を持つタカさんが摘むんできたハーブを好みの量だけパ
ンにふりかけ、鉄の棒に刺し、とろとろに溶けたチーズを絡ませて口に運ぶ。
「おいし〜〜!!」
顔が綻ぶ。タカさんチョイスのハーブがクセのあるチーズと見事に合い、しつこさを消し、
芳醇な香りが食欲をそそる。
「うむ。外で味わうチーブフォンデュは格別だな」
このチーブフォンデュというのはタカさんオリジナルのハーブ付きチーズフォンデュのこ
とを指すらしい。

657 名前: FAT 投稿日: 2005/11/21(月) 10:47:25 [ A5az8kZU ]
「お〜い・・・おれにも食わせてくれよう・・・」
テントの中から力なく竜騎士が姿を現した。左目の眼帯の発する青白い光が顔を余計に青
白くみせ、さながら死人のようである。
「病人は寝てたほうがいいんじゃないの?悪くなったら大変でしょう?」
私は優しくジョーイを追い返す。勘違いされるかもしれないので言っておくが、ジョーイ
の毒はもうとっくにとってある。彼の体調の悪さは決して人為的なものではない。
「タカさ〜ん・・・治療しとくれよ〜」
「無駄だ。既にやった。後は時間をかけてゆっくりすることだな」
テントの口から半分身を乗り出し、固まったジョーイがこの上なく不憫に思えてきた。
「はい、ジョーイ、あ〜んして」
あつあつのチーズをたっぷり乗せ、ジョーイの口に鉄棒の先についたハーブ付きのパンを
誘う。
「ブフォゥ!!」
「・・・・」
「あ・・・・フラン・・・。ご、ごめんよ・・」
「うげっ」
彼が謝罪の言葉を言い終わる前に、無意識に蹴りがでた。テントの奥に転がっていったの
を確認するとその入り口を外からひもで結び閉じ込めた。
「はぁ・・・」
ため息をつき、バッグからハンカチーフを出すと体と顔中に飛び散ったチーズとパンを拭
い始める。
熱すぎたかしら・・・と少し反省するものの、なんの迷いもなく私に口に含んだチーズと
パンの散乱弾を浴びせるなんて、ナイトバーズの毒の仕返しとしか思えない。
そんなことをタカさんに愚痴ると「いや、あれは無理だろう」とジョーイの肩を持った。
「なんでよ?」とやや不機嫌に聞いてみるとどうも人間としての口の大きさの限界を超え
た量を押し込んでいたらしい。しかも熱い。噴き出した方向に問題はあるが、噴き出した
こと自体にはなんら不思議はないという。
「あははは」
と笑って誤魔化し、謝るためにジョーイのテントに入った。

「ジョーイ・・・起きてる?」
青白い照明に向かって声を掛ける。のっそりと巨体が起き上がった。
「あぁ・・・、今起きた。」
相変わらず気分が悪そうである。青白い光がこの男をひ弱そうに見せる。
「あの・・・さっきはごめんなさい。蹴り飛ばしたりして。あなたが噴き出したのも私の
せいなのに・・・」
「ふふ、それを言いにわざわざきてくれたのかい?優しいなぁ、フランは」

「優しい」なんて言われて私の顔はかぁっと赤くなる。もちろん、この薄闇の中では見え
ないだろうけど。

「ただ、ナイトバーズは許さない。あの毒は本当に効いたからね」
と大げさに刺された頬を指で擦る。
「ええ、叱っておくわ」
ジョーイの大げさな素振りに微笑し、ナイトバーズを叱るマネをしてみせた。彼も笑って
くれた。

「でも、どうして急に調子が悪くなっちゃったんだろう?風邪かな?」
答えなどなさそうな質問を私はした。
「いや・・・。たぶん龍を憑依した反動だろう。あれは俺の限界を超えてるからなぁ」
「じゃあ、そうほいほい使えるものじゃないの?」
「あぁ、精神的にも、肉体的にも無理だな。はやく使いこなせるようになりたいよ」
テントによりかかり、しんどそうに天井を仰ぎ見る。

「・・・あのエルフ、強かったわね」
たわいの無い話をする。
「全くだ。あの襲撃が決まってなかったらやばかったな。憑依しても優勢になれなかった
のは初めてだよ。ありゃ人間狩りの中でも相当の手練だな」
「ジョーイは以前にも人間狩りにあったことがあるの?」
「あるよ。確か・・・4回目かな、今回で。ただあんなに心臓をぶら下げてる奴に出会っ
たのは初めてだ。今までのは多くても一桁の内に納まってたからなぁ」
「じゃあ、龍を憑依させた回数は?」
私は、自分ではジョーイに興味を惹かれていることに気がつかなかったが、このときは次
から次へと聞きたいことが溢れてきていた。
「龍を憑依したのは・・・5回目かな。内3回は仲間がいたころに修得して使ったなぁ。
一回一人のときに使ったけど終わった後に今みたいになって死に掛けたよ。野犬に襲われ
て」
ふふっと笑いあい、私は質問を確信へと近づけていく。
「・・・昔のお仲間の話、聞いてもいい?」
と、その質問を聞いた瞬間、ジョーイは口を紡いだ。
「・・・・ごめん、昔のことはあんまり喋りたくないんだ。・・・・もう寝よう」

658 名前: FAT 投稿日: 2005/11/21(月) 10:48:39 [ A5az8kZU ]
私は追い出されるようにテントから出た。何とも言えない、悔しい気持ちにすらなった。
彼のことを強く知りたがっている。と、このときようやく気付いた。だがジョーイのガー
ドは固く、私は左目の秘密を知るどころかその前で門前払いにされてしまった。

どんな秘密が隠されているのだろう・・・

私は少しも失礼なことだなどと思わず、ジョーイの過去を探りたくなった。それは純粋な
恋心とは少し違っているのかもしれない。でも、彼に興味を惹かれているのは間違いのな
い事実だ。夜の風を浴びて、自分の顔が火照っていたのに気がつく。心臓の鼓動もいつも
より速い。
初めて二人だけで喋れた。そのことがえらく嬉しかった。次は、きっと話してくれるか
な・・・と期待を胸に自分のテントに向かう。

タカさんが燻っている炉辺で一人、鍋に焦げ付いたチーズを剥がしては口に放り込んでい
るのが印象的だった。




〜フラン、起きてる?〜

「・・・ん?ぅあ、ウィスパー?どうしたの?寝言で呼んじゃったかしら?」

〜違うんだ。とても重大な知らせなんだ。あのね、フプレとレニィが僕の捜索能力の限界
点を超えちゃったんだ。分かる?もうこれ以上離れちゃったら僕じゃどうしようもないよ


「・・・多分目的地は一緒よ。それにまた近付いたらあなたが感知できるのでしょう?心
配ないわよ」

〜ふぅん、強くなったね、フラン。昔は一時でもフプレと離れると不安になって泣いてた
のに〜

「え?ウィスパー、それってどういうこと?」

〜じゃ、僕は出来る限りフプレを追いかけてくるね。フランも急いで追いかけてきてよ〜

「質問に答えなさい。ウィスパー、あなたは何者なの?何故昔の私を知っているの?」

・・・消えた。

ウィスパー・・・本当に彼は何者なのだろう。
何故私に協力してくれているのかも、何故私の前に現れたのかも謎だ。

昔か・・・・。

彼は一体いつのことを昔と呼んでいるのだろうか?フプレがいなくなって泣いたとき・・・・。
あぁ、あれか、あの時か・・・。ふふ、なんだか懐かしいな・・・・。
まだメラーくんもいたっけ。3人で遊んで・・・フプレが・・・・あはは。

・・・もう、あんなころからフプレは私のことを・・・

楽しかった記憶を思い出していたのに、ふと、シエルの言葉が脳裏をよぎる。一瞬にして
私の顔から笑みが消え、泣きたい衝動に駆られる。
一体何年間、フプレは耐えてきたのだろう。私への妬みと、自分の無力さに。周囲の無知
な期待の念に。

・・・・ごめんなさい・・・・

早く会いたい。会って、頭を下げて、いや、土下座をして、謝りたい。自分勝手な私を許
してくれるのかは分からない。もし、許してくれるのなら、なんだってしよう。私には、
フプレが必要だから・・・

うとうとと、いつの間にか眠りに就いていた。

659 名前: FAT 投稿日: 2005/11/21(月) 10:49:16 [ A5az8kZU ]
「よぉ、おはよう、フラン!」
テントの中が明るくなってきたので外に出ると、ジョーイがニッコリと白い歯を覗かせて
笑いかけた。
「もうすっかり元気そうね」
せっせと火を起こし、軽くあぶったパンを布の上に並べている。機敏な動きをするジョー
イはどうやら完全回復したらしい。
「フラン、これ搾って」
と渡されたのは口が開ききっていない何かの花の蕾だ。やり方が分からず、まごついてい
ると、ジョーイがそっと私の手に自分の手を重ねた。
心臓が大きく一つ、息吹を吐いた。全身に血が巡り、凄まじい勢いで体温が揚がっていく。
そんな私の変化に気付かず、ジョーイは親切に手取り足取り搾り方を教えてくれた。
彼の手が離れても、まだ私はおかしいままだった。
頭がくらくらする。目眩を起こしているみたいだ。
たくましく、大きな手。
男性を、これほど異性として意識したことは今まで一度もなかった。
微熱が体の自由を奪い、蕾を搾る手が小刻みに震える。
あぁ、これが恋っていうものなのかしら?

蕾からとろりと甘い香りを漂わせながら濃厚な蜜が零れる。それをコップに溜め、朝食の
準備は整った。
タイミングよくタカさんがテントから顔を出し、席につく。
ジョーイの摘むんできた蕾の蜜は濃厚な見た目とは裏腹に、意外とスーッと鼻の通るよう
な爽快感があり、朝食にぴったりだ。少し焦がせたパンとの相性も良い。
おいしい朝食ではあるが、私一人だけが何となく気まずい思いをしている。
先程のあの感触が、頭から離れない。
ジョーイと目が合うたびに、目を伏せてしまう。
そんな不自然な私を気にも留めず、話はフプレたちの話題になった。
「すまない、昨日一日ここで潰れちまったからフプレとレニィとの距離、離れちまったな」
「気にするほどの差はないだろう。これから先はアウグスタまで一本道だ。おそらく街で
休んでいる二人に追いつけるさ」
私は昨晩のウィスパーの言葉を思い返す。二人はウィスパーの能力の範囲を抜け出してし
まった。ということは同じ速度で動いている限りは永遠に追いつけないということになる。
一刻も早く二人をウィスパーが感知できる距離内に戻したかった。
「ま、少しペースを上げることには皆異存はないな?よし、そんじゃ、行こうか!!」
ジョーイの掛け声と共に全員が腰を上げる。そそくさと片付けを済まし、意気揚々とキャ
ンプ地を後にする。

・・・・太陽が真上に来る頃になると、荷物を放り出し、地面にへばりつく三人の情けな
い姿があった・・・・

660 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/21(月) 14:10:09 [ 44undLrM ]
>>南東方不勝さん
隊長TUEEEEEEEE!?
「あの」リリィさんですら負けちゃいましたよ!?
そして、二人を助け出した謎の影……いったい誰なんでしょう?
古都に迫るハイランダーも脅威です……
うむ、相変わらず続きが気になります

>>ナンバーズさん
≧ヮ≦ ……
≧ヮ≦ ……さん、はいっ
ΣΩ ΩΩΩ <ナ、ナンダッテー!?
またダメオンかっ!
しかも報酬も……_| ̄|○
謝罪と賠償を要求するニダ!

陰謀かと思えば単なるダメオンのミスだったとは……
まさに、予想の斜め上を行く展開でしたね。
何はともあれ笑わせていただきました。
でも、前作の続きも待ってますのよ?

>>FATさん
何故だろう。やってることは同じようなこと?なのに、フプレとフランでは大違い。
まるっきりラブコメですなぁ……。
まさか、フランにはコメディ遺伝子がっ!?
そのせいで、シリアスができない体質とかっ。
考えてみればアルバイトのときのぴくっことか、蝿発生とかネタのオンパレード……
うん。それもひとつの人生ですね(ぇ
オチも効いてて、おあとがよろしい様で^^;

661 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/21(月) 14:10:56 [ 44undLrM ]
>ミーア=ウェズリー

 ララ……ラ、ララ……
 ラ、ララ……ラ……

 どこからか歌声が聞こえる。
 目を開けると、そこはどこかの中庭。
 色とりどりの花に囲まれた庭園に、椅子に腰掛けた女性が揺りかごを揺らしながら歌を歌っている。

 そして、私の目の前。
 一人の女の子が木の陰からじっと女性と揺りかごを見つめている……
 あれは……誰だろう?

 ふと、女性が歌を止め、私を――いや、私の前にいる女の子の方へ視線を向ける。

「どうしたの? そんなところにいないで、こっちにおいで」

 女性が微笑み、女の子に手招きする。
 けれど、女の子は無言で首を横に振るだけだ。

「んー、仕方ないなぁ」

 女性はよいしょ、と立ち上がり女の子の方へ歩いてくる。
 女の子は逃げようとするが、しかしやはり揺りかごの方が気になるようで一瞬逃げるのが遅れ、女性に捕まえられた。

「ほーら、捕まえた〜。さ、挨拶してあげようね〜。ほーら、お姉ちゃんですよ〜」

 じたばたともがく女の子を持ち上げ、揺りかごの方へと引きずっていく。
 ……何気に逞しいかもしれない。

 けれど、途中でその動きが止まる。
 じたばたしていた女の子が不意にその動きを止めたからだ。
 女の子はもがくのをやめ、抱えられたままただ静かに俯いている。

 女性は女の子を抱きしめたまま困ったように息をつき、

「ごめんね。嫌だった……?」

 違う。そうじゃない。
 私には女の子の気持ちがわかった。

 揺りかごで眠っているのは女性の子供だ。
 まだ生まれて間もない、純粋な存在。
 穢れの無い、無垢なる赤子。

 そして自分は、幾人もの人を殺した、穢れに塗れた人間だ。
 そんな人間が、穢れの無い子供に触れるわけにはいかない。

「そっか、自分が穢れてるから、罪を犯した人間だから。だからあの子をその穢れに触れさせないために、近づきたくないんだね?」

 女性はそんな女の子の考えが痛いほどにわかるのだろう。
 優しくその頭を撫ぜながら呟く。
 女の子は、涙目で小さく頷いた。

 いつの間にか、女性の言葉を聴いているのは少女でなく私だった。
 違う。いつの間にか私の視点と少女の視点は同じものになっていた。

662 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/21(月) 14:11:18 [ 44undLrM ]
「そうだね……。貴女の抱いている罪は、きっと貴女と一生離れることはない。例え周りの誰が許そうとも、貴女自身が罪を犯した自分を許そうとしないだろうから」

 でもね、と彼女は言い、

「その罪を抱いたままでも、それを償おうとすることはできると思うよ。貴女が百人の人を傷つけたのなら、その百倍……一万人の人を助けてあげればいい。
それが駄目なら……」

 そこで女性は一息に少女――あるいは私――を抱え、揺りかごの前に立たせる。
 不意を撃たれた私は抵抗らしい抵抗もできず、揺りかごの前に立ち、そこで眠る小さな女の子の姿を見る。

「一人だけでいいの。小さな私たち人間は、とてもそんなに多くの人のことなんて考えられない。
だから一人だけ。目の前にいる、たった一人の誰かを大切にしてあげて。
みんながそうして、他の誰かを大切にしてあげれば、それは巡り巡って、一万よりもっと多くの、それこそこのフランデルの全ての人を幸せにする事にだって繋がる筈だから。
そうして、貴女がたった一人の誰かを、心から大切に思えた時、きっと貴女は貴女を許せるはずだから」

 だから、と彼女は続ける。

「だから貴女はこの子を幸せにしてあげて。この子が大きくなったとき、貴女から貰った幸せを誰かに分けてあげられるような人になれるように」

 眠っていた子供がゆっくりと目を開ける。
 もちろん、まだ目を開けても見えてはいないはずだ。
 けれど、その目は確かに私の方へ向いていて――

「ね、約束よ、ミーア。いつか、貴女が貴女を許せる日のために……私の娘を、フィーネンエージュをよろしくね……」

 ゆっくりと周囲の光が増していく。
 眩いばかりの光に庭園が溶けていく。
 少しずつ遠ざかるその光の中、私はその女性の名を呼ぶ。

 フィエルラフィーナ。

 なぜ忘れていたんだろう。
 そう、私は誓ったはずだ。
 例え自分が死んだところで、私の罪が癒えるわけでも、ましてや殺した人間が生き返るわけでもない。
 だから、生きて償おうと。
 どんなに辛い事があっても、どれほど罵倒されようとも。
 泥水の中を這い蹲りながらでも汚物を投げつけられても。
 それでも歯を食いしばって生き続けようと決めたはずだ。

 フィーネンエージュ=セリエナ=フィラデルフィア。

 私の大切な人。
 彼女のために、そしてフィエル様のために。
 生き続けることが私の使命。私の誓い。

 なら、今のこの私の思考は――安易な死を望み、全てを投げ出そうというこの考えは――、私のものではありえない!

 拳を握る。
 自身の体の概念すら希薄なこの光の中で、しかし握った拳は私の体の存在を確かに伝える。

 咆哮をあげる。
 あ、とも、お、とも聞こえるそれは、赤子の鳴き声にも似た叫び。
 そこにいる、生きているという存在の叫び。

 そして私は、握った拳を自らの頬に叩き込む。

 硬質の水晶が砕けるような音色とともに、一気に光が砕ける――

663 名前: FAT 投稿日: 2005/11/21(月) 19:49:10 [ A5az8kZU ]
>> 戦士のようだ さん
鼠と蛇が気になりますね、ペットとかの類なんでしょうか?
戦士のようださんの小説にはお酒を飲むシーンが多く出てきますが、それがまた
現実っぽくていいですよね。

>> 南東方不勝さん
直感でリリィとギルの生存を確信した隊長。もしかして隊長は彼らとの再戦を望んで
いるのでしょうか?
さて、古都にゆけばクサナギギルドメンバーたちによる報復戦ですかね?息を呑む
戦闘シーンの連続に大興奮です!

>> ナンバーズ さん
さすがダメオンの子会社、手抜きまくりでしたね。てかやっぱり親会社もか!!
次からは前作の続きに戻られるんですか?私は前作続き希望の一人です。

>>サマナの人さん
スランプ脱出おめでとうございます!!
ミーアの「Shaoh!」や「Hyou!」の参考文献はやはりあれですか?
戦闘スタイルがイメージしやすくてえがったです。

暗殺者として育てられたミーアですが、根は優しい、本当に優しい娘なんですね。
アンデッドと化した者たちを無情に蹴散らす振りをしても、精神的に追い詰められ、
自虐的になってしまう。罪を背負っていくこととは、こんなにも悲しいものなので
すか・・・。
それでも、フィーナの母の言葉を思い出し、フィーナの為、生き延びる決意を固めた
ミーア。
希望をもった展開っていいですね!!気分が明るくなってきますよ!!
たとえ武器がなくても、彼女ならきっと生き残れますよね?

664 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/22(火) 01:21:43 [ LVW/cCFA ]
閑話・まぁ、成り行きだし・・
「さて、ここまでくればゆっくりと魔力の残滓を調べることができるお。」
カルスト洞窟の一角で、ボクちゃんは無事に確保できた「調査対象」達を見据えた。
まったくあの隊長、貴重な手がかりを消そうとするなんて・・。
「まっ、筋肉馬鹿だから仕方ないか。ウヒョヒョ。」
ま、あいつが騒いでくれたおかげでバルバルの手ががりを確保できたから良しとするか。
そうしてボクちゃんは、対象たちに付着している瘴気の調査を始めた・・。

「ふぅむ。どうやらバルバルは、こいつらと一緒に居る時間が多いようだお。」
一通りの瘴気検査を終えたボクちゃんはこの結論に達した。
付着している瘴気が比較的新しいのだ。特に、男のほうは今朝あたりに付着したのだろう。
「あっとはぁ・・。おぉ、この独特の匂いは古都の魔力元素だお。」
どうやらバルバルは、古都を中心に少なくともこの人間2体と行動を共にしているようだ。
という事は、調査のためにもあの筋肉ダルマ達の進軍を止める必要があるようだ・・。
「ったく、面倒な事だお・・。分身の数を増やした方が良さそうだお。」
生憎、ボクちゃんの能力は戦闘行為には直結していない。それ故、単独での戦闘はなるべくしたくは無い。
まぁ、シャムが目覚めてくれればボクちゃんも本格的に戦えるのだけど・・。
「ま、とりあえず手遅れになる前に調査の障害となり得るダルマを殺しに行きますか。ウヒョヒョヒョ。」
っと、その前にこの2体はどうするかなぁ・・・。もう用済みだから、このまま再生核に加工してもいいのだけど・・。
「でも、そのうちバルバルが裏切ればどうせ殺されるだろうから、いっか。」
バルバルは「裏切り」の使徒の異名通り、常に裏切りを重ねる。バルバルにとっては、オイラ達始原魔も自分の望みを叶える為の道具と思っているだろう。
勿論、ボクちゃん達もそのことを踏まえたうえで行動しているのだけど、ゼルッチはバルバルのことが嫌いなようだ。
「でもね、バルバル。早いトコ、君の道がボクちゃん達の道と交わらないと殺されちゃうお。」
そう、バルバルにとっては一時の裏切りかもしれないけど、君がボクちゃん達の計画を阻止していることには変わりは無い。
その先にあるのは他者から与えられる死。勿論、与えるのはボクちゃん達・・いや、正確にはゼルッチだけどね。
「まぁ、でも折角ここまでの情報を提供してくれたのだから、応急処置くらいはしておいてやるかな。」
ま、旅の情けはかき捨てって言うしね。少なくとも、オイラ達とっては・・。
そうして最低限の応急処置を情報提供者達に処置した後、ボクちゃんはカルスト洞窟を後にした。
さて、あまり戦いたくないんだけどねぇ。ボクちゃん、仲間内では最弱だから・・。

665 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/22(火) 22:32:27 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六 >>645其の拾七

六化仙 其の十八

槍をしっかりと握り水平に振り回す。長さ6メートルを超えるハルバートに兵士が巻き込まれる。
槍を回しながら走り包囲網を抜ける。少し遅れて矢が後ろから飛んでくるがそれを気にせずに走る。
村の馬小屋に行って繋がれている馬に乗る。柱と馬を繋ぐ縄を切って、すぐさまリンケンから逃げ出す。
追っ手を完全に振り切ったところで馬から降りて、その場に座り込む。
木の数からしてグレートフォレストと砂漠の中間といった所だろう。これからどうするか考えていると、
胃の中に何も入っていないことに気がつく、そういえば俺は朝から何も食べていない。
太陽の位置からして正午だろう。強い日差しが空から照りつけている。
逃亡するときにお世話になった馬の顔を見る。よく眺めてみると毛並の良い馬だ。
馬の顔をじっと眺めていると、少しいなないた後にどこかへと走っていく。
地面に刺しておいた槍を抜いてから、馬の後を追う。
20分ほど走り続けたがもう駄目だ。炎天下と空腹の二重苦で足が一歩も出ない。
遠くに走り去る馬を眺める。馬が砂丘を乗り越えて視界から消え去ろうとしたときに、
馬が走るのを止めた。槍を杖代わりにして、歩きながら馬の元へと行く。
なんとか砂丘を乗り越えると少し先には、小さなオアシスが見える。
馬がオアシスに向かって走り出す。それを見て自分も馬の後に続く。
オアシスに飛び込み、乾いた肌と喉を潤す。地獄にウォーターフォールとはこの事だ。
ファイアーエンチャントとブレッシングを同時に掛けられた様に火照った体が息を吹き返す。
水を満喫した後に近くにある椰子の木の木陰へと入る。とりあえず昼寝にすることにしよう。

鼻に槍を突きつけられている。槍が俺の鼻を突き刺す。
痛みは無い。湿ったパンを押し付けられた感じだ。目を覚ますと目の前にネズミ居た。
ネズミが鼻を俺の顔に押し付けている。手で払いのけると笑い声が聞こえてくる。
笑い声の正体は女。五秒ほど女の顔を眺めると、それが誰だか思い出す。昨日助けた女だった。
「おはよう」
女が笑いながら声を掛ける。ブリジヘッド訛りがある発音だった。

666 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/22(火) 22:35:46 [ hNlLsBE2 ]
感想を

>>FATさん
ジョーイを蹴り飛ばすフラン
意外とバイオレンス?

>>ナンバーズさん
なるほど、なるほど

>>サマナの人さん
葛藤する元暗殺者
可哀想なお話ですね

>>南東方不勝さん
始原魔がついに介入してきましたね
先が楽しみです


とりあえず今日はここまでです

667 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/23(水) 20:28:19 [ hNlLsBE2 ]
【チラシの裏】

大きな盾を持ち人々を守る そんな生き方があった
盾に込められた誇りが彼等の存在意義だった

蝶のように舞い蜂のように刺す そんな強かさがあった
その典雅さに込められた強さが正義だった

知恵ある言葉を杖に染込ませる そんな魔力があった
その知恵と言葉が一つの炎となった

優しい者ほど怒りは大きいもの そして翼は砕け散った
その怒りが一つの優しさを消し去った

不屈の意思が斧を動かした そこから龍が生まれた
彼等の武器は生まれながらの貧困だった

【チラシの裏/】

668 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/23(水) 23:01:16 [ LVW/cCFA ]
さて、ダメオンマジックでギル戦に間に合いませんでしたorz

>>ナンバーズさん
俺以外にも、ダメオンの被害者が・・・。ポータルくらい閉じなさいな。
いや、それより固まってる暇があったら少しなりにも努力を・・。
あまりのクオリティの高さに、楽しく笑わせていただきました。
報酬までもケチるとは・・。さて、前作の続編もお待ちしてますね。

>>FATさん
フラン嬢にも恋の予感が。でも、そのお相手のジョーイさんが少し哀れです。
ナイトバーズの毒は中々に強力ですね。
そして、地味にサバイバル能力の高いタカさんにびっくりしました。

>>サマナの人さん
捨て鉢になりそうだったミーア嬢。
でも、恩人ともいえるフィーネの母の言葉のおかげで多少なりとも吹っ切れたようです。
ここからが彼女にとって、本当のスタートラインだと思います。

>>戦士のようださん
無事に逃げられたものの、行き倒れになりかけたポールさん。
馬の導きによって見つけたオアシスでの、助けたランサーとの再会。
続きが気になります。
>チラシの裏
とりあえず、武器は貧困でも誇りがあれば生きていけますよ(ナニ

669 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/25(金) 13:31:35 [ 3ebeVURg ]
忘れ去られていそうなのでage

670 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/25(金) 14:04:15 [ dR.Tz5jE ]
>>FATさん
はい、某南斗の水鳥さんです。
考えてみれば、ミーアの元ネタキャラって基本死んでますねぇ;;
水鳥さんは勿論、某アイドルの影武者とか、某ジッパーの人とか。
煎餅屋は殺しても死ななそうですが。

>>南東方不勝さん
助かったようで助かってない!?
うむ。口調の端々からムカつくオーラが漂ってくるいやぁな悪役ですな。
ハイランダーを止めてくれそうですが、逆にもっと大変なことになりそう……。
自称最弱と自称火力ほど信用できないものはありませんね?

>>戦士のようださん
鼠かわいいよ鼠≧ヮ≦
はむすたー飼ってたので、小動物の愛らしい動きには目がないのです。
しかし、長さ6メートルの槍って……脅威ですね;;
長槍と馬は相性がいいですから、この馬もこれからの相棒になるのかな?
蟹といい鼠といい馬といい、今作は動物さんたちが大活躍ですねっ
>チラシの裏
最後のはかっこいいやらオチがついているやら……^^;

>>669
忘れてないのでsage

671 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/25(金) 14:04:57 [ dR.Tz5jE ]
 まるで暁に夜の闇が吹き払われるかのように意識が覚醒する。
 まず感じるのは全身の痛み。
 私の体に群がる無数の死者たち。

 そして、私の頭上。
 嘲るような笑みを浮かべる半透明の幽体。

 バンシー。

 人の罪悪感や悲しみを増幅し、絶望の果てに死んでいく人間の感情を喰らう化け物。
 先ほどまでのは、あのバンシーの精神攻撃か。

 私が精神攻撃から脱したことに驚いたのか、一瞬笑みが凍りつき、しかし再び私めがけ思念を飛ばしてくる。

 周囲の死者たちの悲鳴と、胸を打つ罪の意識――

「ええ。貴方達の無念はわかります。そして、私のこの手が罪に塗れている事も。けれど――」

 そう。もう私は迷わない。迷ってはいけない。
 私の死なんかで償えるほど、私の罪は軽くないのだから。

 だから、生きよう。
 どんなに辛くても、惨めでも。
 それでも歯を食いしばって生き続ける。
 一生をかけて、償い続けよう。

 だから――

「だから、私はもう、立ち止まってるわけにはいかないんですよ!」

 ぁ、という叫びとともに体を起こす。
 しがみつく死者たちを弾き飛ばし、振り払う。

 決して傷は浅くはない。

「――く、あぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 全身に力を篭め、気を廻らせる。
 迸る力は一時的に傷口から血と気力が流れ出るのを抑え、同時に一時的な筋力の増加をもたらす。

 そして、強く地面を蹴り、宙に浮かぶバンシーへと。
 身を回し、脚をしならせ、放つのは回し蹴り。
 直撃すれば岩すら砕く渾身の一撃だ。

 けれど。

「外れた――、違う。効いていないっ!?」

 蹴り脚は確かにバンシーの体に吸い込まれ、しかし何の手ごたえもなくすり抜ける。
 遅ればせながら、半霊体のモンスターの中には物理攻撃を受け付けないものもいるという話を思い出した。

 バンシーは身を捩りながら耳障りな声を上げる。
 どうやら、こちらが向こうに対して有効打を与えられなかったことがよほど楽しいらしい。

 身を回し、私は着地する。
 着地の衝撃を逃がすためわずかに膝を曲げてショックを吸収させ、動きの止まったその瞬間、先ほど蹴散らした死者たちが再び群がってくる。

 絶体絶命とでもいうべきか。
 敵は多く、こちらは満身創痍。
 さらに敵のリーダー格にはこちらの攻撃は通用しない。
 再び放たれる精神攻撃はゆっくりとこちらの脳を灼き、死者たちは蹴散らしても蹴散らしてもキリがない。

 けれど、そんな絶望的な状況の中で、しかし私の心は折れてはいない。

「お礼を言わなければいけませんね」

 貴方のおかげで思い出せた。
 重い、あまりにも重い罪の記憶で、思わず忘れそうになっていた遠き日の誓い。

 今再び、この身に受けた傷の痛みとともに刻み込もう。
 ありがとう。思い出させてくれて。

 そしてごめんなさい。
 神ならぬこの身では、貴方達を救うことはできない。
 けれど、貴方達に殺されるわけにもいかない。
 私にできるのはただ一つ。貴方達が安らかに眠れるよう、その身を地に還すこと――

「――主が安らかに眠れるよう、寝所を整えることも侍女たる者の務め。
決してその眠りを妨げぬよう、されど常にその傍らに。
其は主を包む柔らかなる衣。其は主を護る砕けぬ鎧。
我が想い、我が誓いに応え、来たれ――」

 歌うように唱え、体を回す。
 スカートが風に翻り、戦いに解れた髪が夜の大気に踊る。
 かかとを三回。リズムを刻むように打ち鳴らし、呼ぶのは力。
 その想いを力に変えて――

「来たれ光の双翼!!」

672 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/25(金) 14:05:27 [ dR.Tz5jE ]
 あの後、フィエル様は私に一足の靴をくれた。
 それは、かつてフィエル様が履いていた、ロマ達に伝わる魔法の靴だ。
 不思議な光沢と手触りの靴は、なぜか子供だった私の足にぴたりと合った。

 靴が、持ち主と認めた人に自分を合わせているのよ。
 彼女はそう言って微笑んだ。
 靴も、貴女が気に入ったみたいね、と。

 そして一つ教えてくれた。
 この靴には不思議な魔力があると。
 それは――

 光が広がる。
 夜の闇と、村を包む瘴気を吹き飛ばすかのような清冽な光。
 私の足元――やや古びた靴から放たれているそれは、光でできた一対の翼。

 “風を見る人<ウィンドシーカー>”。

 千里靴と呼ばれることもあるこの靴は、持ち主に風の如き速度の加護を与えてくれる。
 けれどそれは、靴の力のほんの一端でしかない。

 この靴の本当の魔力。
 それは使用者の想いを光の翼へと変えること。
 翼となった想いはそれこそ、大地の束縛を離れ、自由に空を舞うことすら可能とする。 

 貴女が前へと進む助けとなるように。

 フィエル様はそう言ってこの靴を与えてくれた。


 光に圧されていた死者達が、しかしそれを上回る飢餓に突き動かされるように私へと殺到する。
 私は右足を振り上げ、靴から生える光の翼を大きく羽ばたかせ、光を纏う回し蹴りを放つ。

 一閃。

 消し飛ぶように、死者達の群れが光の中に消滅した。
 最後の瞬間、彼らが安らぎを得ることができたのか。
 それは私にはわからない。
 できるのはただ願うことのみ。

 回転が終わり、しかしまだ残っている死者達が攻撃姿勢をとる。
 けれど私は動きを止めることなく、たった今振り終えた右足と、先ほどまで軸足としていた左足の役割を入れ替える。
 すなわち、右足が軸足に。左足が蹴り足に。
 動きを止めずに蹴りを放てば、生まれるのは更なる速度を乗せた後ろ回し蹴りだ。

 さらなる一閃。

 二度の閃光で、その場にいた死者達のほぼすべてが消滅した。

 残るは、宙に浮かぶバンシーのみ。

 鋭く一歩を踏み込む。
 何もない空気を踏みしめた右足は一瞬沈み込むような感触を返し、しかし直後に爆発的な反動を返す。
 反動に、靴から生える翼の羽ばたきを乗せれば、それは飛翔となる。

 避けるか、それとも精神波で迎撃するか。
 バンシーは一瞬悩んだのだろう。
 それは、戦場で見せてはならない逡巡だ。

 そして、それを見逃すほど私は甘くない。
 ぁ、という叫びが喉から洩れ、右足の翼をさらに大きく羽ばたかせる。
 私の体は竜巻の如き回転を纏い、一直線の縦回転とともにバンシーへと向かう。

 音すら置き去りにする、光を纏った回し蹴りがバンシーを胴から両断する。
 耳障りな悲鳴が夜の大気に消え、私は広場中心付近へと、地面を削りながら着地する。

 そして、付近に静寂が戻った。
 私は顔にかかる髪をかき上げ、静かに呟く。

「Addio(さようなら)……」

673 名前: サマナの人@チラシの裏 投稿日: 2005/11/25(金) 14:10:19 [ dR.Tz5jE ]
『千里靴』『風見千里』『X−Wi』『光の翼』『ガンダム』『富野御大』『リーンの翼』『迫水真二郎』『示現流』『親分かっこいいよ親分』『最後のほう関係ないね』『関係ないかも』『ワムナビですよ?』『連想式で』『思考が暴走』『しましたね』

終わりのクロニクル知らない人には何が何やらですね;;
まあ、とりあえずミーアの羽は背中からじゃなくて靴から生えてますよ、と。
実は千里靴自体は最初の作品で存在だけ匂わせ気味だったりなかったり。

674 名前: すなつぶo 投稿日: 2005/11/25(金) 19:47:36 [ 23cb4z8I ]
  いえーい! みーあサンかっこいー☆

さまなのひとすごい! みんなすごい! 「いいかんじ?」「示現流」「うさぎさん」「終了ー」「わーむなびです」「違います」「わむなびではありませんでした」

675 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/25(金) 22:07:50 [ hNlLsBE2 ]
【チラシの裏】
「ねぇマルコ、もう移動するときにジャンプを使うのは止めて……
このままじゃ貴方、晒し厨に晒されてm9(^Д^)プギャーーーッ になっちゃうわ……」
電話越しから心配そうな女の声が聞こえてくる。
「飛べない戦士はただのネタだ」
「もう!マルコの馬鹿!」
女が電話を切る


スミマセンスミマセンorz
【チラシの裏/】

676 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/25(金) 22:44:45 [ I1Q6.pyY ]
>278
■RED STONE■
〜悪魔〜
静かだ。
戦いの最中一時の沈黙が起こる。
…水のしたたる音や皆の息遣いがいやに響く。
沈黙を破ったのはリチャードだった。
精神を集中させる。
背に生やす堕天使の象徴、折られた翼に流るるその血を瞬時に凝固させ、
悪魔に向け放つ。
同時にウーンも杖を掲げる
頭上に無数の火炎球を生み出し、
「悪魔は地獄にいればよかったんだよ!」
と一言と有りったけの怒りを込めて打ち出す。
だが悪魔は無常だった。
プラウドの屍を掴み、自分の正面に掲げる。
そう、盾にしたのだ。
悪魔は不適な笑みを浮かべる。
「仲間の死体を壊すのがキサマ等の正義ナノカ?」
だが、相手が天使だと云うことを忘れていた。
不意に屍が姿を消す。
悪魔には見えた。
天使が天空に腕を突き出し付近に時空の歪みを発生させたのを。
…コーリング。時空転移呪文。
「貴様のような卑怯者が取る行動などお見通しだ。」
二人の呪文が盾を失った悪魔に直撃する。
…悪魔がよろめく。
「キ、キサマ等ぁぁあ!」
態勢を建て直した悪魔が次に見たものは金色の服、緑の首襟だった。
悪魔の首筋に投擲斧が突き立てられる。
「…貴様は悪魔としての業を背負わなければならない」
■続く…かな■
>>サマナの人さん
丸一日レスなし&激sageだったのでついあげてしまいました
すみませぬ
 
一応続きうpしたのですが前回に比べてどうでしょうか…
批評、感想いただければ嬉しいです。

677 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/25(金) 22:48:44 [ fl.PsffA ]
あ、アンカー間違えました。
ぬるぽorz
アラステキさんが心配です。
光臨キボンです

678 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/26(土) 01:41:24 [ LVW/cCFA ]
>>サマナの人さん
千里靴、強っ!ゲームのほうでも光の翼の実装を希望したいです。
バンシーの精神攻撃も中々嫌らしいものでしたね。
でも、最後にビシッと決めてくれたミーア嬢に拍手w

>>戦士のようださん
GJですよ^^
爆笑させていただきました。

>>ナンバーズさん
待ってました^^
ウーン達の連携攻撃の前に倒れる悪魔。
とりあえず、過去の戦いにおいては仲間の尊い犠牲の上での勝利でしょうか?

679 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/26(土) 02:24:40 [ F1joXBOA ]
管理人見てんじゃねぇよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

680 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/26(土) 02:56:30 [ LVW/cCFA ]
>>432,>>463-464,>>481,>>501,>>528,>>546,>>577,>>585-586,>>598,>>608,>>637,>>653
閑話集 >>432,>>547,>>664

「何、リリィとギルが戻ってきてないだと?」
熊肉と蟹の確保のために、ソルティケーブから戻った俺にこの情報が伝えられた。
確かに練習試合をしに行ったにしては、遅すぎる時間だ。
「えぇ。1時少し前に姉さんから耳が来ていらい、一向に連絡が取れないんです。」
ゲイルが深刻な顔で、現在の状況を教えてくれた。
「そない心配するなや。って、言いたいとこやけど耳に反応せぇへんからなぁ・・。」
「そうよねぇ・・。あれって、よっぽどのことが無い限り不通にはなら無いはずよ。」
レナもアニーも、深刻な面持ちで話し合っている。
俺達冒険者は、会話の内容が第3者に漏れるのを避けるために特定の相手と念話をする術を利用している。
耳、という通称で呼ばれているそれは、言霊に相手の名前をのせることによって発動する。
耳が不通になるという事態は、その名前の存在がすでに生存していないということだ。
「アニー、レナ、耳を送ることはできるんだよな?」
「あぁ、そうや。送れることは送れるんやけど・・・。」
「反応なし。梨の礫ね・・。」
こちらから耳を送れるということは、少なくとも死んではいないようだ。
「仕方がねぇな。あまり使いたくは無いんだが、親父のガラクタの出番のようだ・・。」
そういって俺は、鞄の奥底のほうにしまいこんでいた古びた一冊のノートを取り出した。
「ジャック、そのノートは一体・・?」
ヒースが俺に問いかける。まぁ、確かに見た目はくたびれたノートそのものだからな。
「あぁ、これか。親父の数あるガラクタの中では一番汎用性が高いもんだよ。」
俺の親父は冒険者を引退した後、故郷のスマグでオリジナルの魔法具の開発にのめりこんでいった。
まぁ、その大半は使い物にならないガラクタばかりだった。
例えば、畑を耕すために半径50mにアースクエイクをぶっ放す迷惑極まりない機械等だ。
だが、この本に関しては正直、非常に便利であると認めざるを得ない。
「こいつは『ゲストブック』。この本に登録した魔力元素情報を持つ人物に耳が出来るだけでは無く、その所在と体調も分かる代物だ。」
まぁ、もっとも登録できる情報数は8人分しかないがな。もう少し、記憶容量を増やせなかったもんかね?
そうして俺は、あらかじめ登録してあったリリィのページを開いた。
「・・、生きてはいるようだが結構疲労してるな。場所は・・、東バヘルカルスト洞窟か。」
次に、最近登録したギルのページを開く。
「いる場所は同じのようだな。だが、こっちの方はリリィに比べたら消耗してねぇな。」
「二人とも無事なんですね、よかった・・。それにしてもすごい魔法具ですね、その本は。」
とりあえず二人が無事だとわかって、ゲイルは胸をなでおろしたようだ。
「しかし、二人とも古都に戻ることが出来ないほど消耗しているだろう?」
「その本を信じるんなら、そういうことになるわな。ウチ等で、迎えに行ったほうがいいんちゃう?」
「そうね、それがいいわ。ほんとギルって、こういう時には手がかかるんだから・・。」
ふむ、どうやらおやっさんに依頼の品を渡しに行くのはもう少し後になるな・・。
「よし。ならさっさと迎えに行って、二人に文句の一つや二つをぶつけてくるか。」
「そうですね・・。今回ばかりは僕が姉さんを説教することになりそうですよ。」
ゲイルの強気な冗談を聞きながら、俺達は東バヘルに向けて出発した。

681 名前: FAT 投稿日: 2005/11/26(土) 10:48:30 [ yXRof9.g ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)|>>656-659(33)




巨大なステンドグラスを突き抜ける光がそこに彫られている天使を床に描写する。白基
調の建物内部は今、ステンドグラスを通り抜ける七色の光によって幻想的な空気を作り
上げている。

「・・・汝、アンメル=シウタはテリーナ=ベイルナを、妻とし、迎え、健やかなるとき
も、病めるときも彼女を守り、支え、共に生きていくことを誓うか?」
「誓います」
「・・・汝、テリーナ=ベイルナはアンメル=シウタを、夫とし、迎え、健やかなるとき
も、病めるときも彼を守り、支え、共に生きていくことを誓うか?」
「はい、誓います」
十字の入った衣を纏った神父の問いに二人は力強く答える。長椅子に座っているあたし
とスレイの目には、純白のウェディングドレスに身を包んだテリーと、タキシードをきめ
たアンメルが誇らしげに映る。
「では、互いの信頼を証明するため、指輪の交換を」
神父の言葉が途切れると、二人は向き合い、アンメルはA.Sと彫られた指輪を、テリー
はT.Bと彫られた指輪を相手の左手の薬指にはめ、手を握りあう。
あたしは自分の手がわなわなと震えているのに気がついた。あの日、指輪とペンダントが
あたしの元に届いたとき、まさかこんなことが現実になれるなんて予想だにしていなかっ
た。
「・・互いの愛の証明のため、嘘、偽りのないことの証明のため、誓いの口づけを」
握り合っている手はそのままに、二人は顔を近づける。その瞬間を、あたしはしっかりと
脳裏に焼き付ける。口づけを交わす二人の姿はとても神秘的で、感動的で、目をしっかり
と見開いているはずなのにあたしの視界は洪水で何も見えなくなった。

隣のスレイは対照的に、冷ややかな目で二人の接吻を眺めている。彼はこの式に疑念を抱
いていた。


事の発端はテリーの
「あぁ、アンメル、私たちもこんな立派な教会で式を挙げたかったわね」
という無念そうな呟きである。
立派な教会とは、アウグスタの中央噴水の北東すぐに位置する大聖堂のことで、真っ白な
美しい大理石の柱が、壁がテリーの目に眩しく映った。
この一言にマリスは揺さぶられたのか、突然に「あたしが式を開いてあげるよ」などと言
い残し、大聖堂に駆けていった。
ものの数分で引き返してきたマリスの顔は近日稀なほどの満足感に満ちていて、スレイを
困惑させる。
「二人ともっ!!式が開けるわよ!!運がいいことに明日街の外れのほうにある小さな教
会で挙式予定だった方々がキャンセルして、空いているらしいの。・・・・・あなたたちの
夢、叶えましょう」
それは天使のような微笑みだった。
スレイは彼女の顔をまじまじと見た。こんな顔もできるのかと、ひとり感嘆し、婚約者た
ちに視線を移す。
「本当!?本当に私たち結婚できるの・・・・?あぁ、アンメルゥゥゥ!!」
テリーは喜びのあまりアンメルに抱きつき、アンメルも優しい抱擁で返す。
「さぁ、大急ぎで準備に取り掛からなきゃ!!テリー、アンメル、服を選ぶわよ」


―――眩いほど活気に満ちたマリスの姿を思い返し、スレイは隣の女性を横目で見た。

・・・・女とはここまでコロコロと自分を変えることが出来るのか・・・・

フプレ一行と衝突した夜、マリスは泡を食ったように憤怒し、自分を見失っていた。
ネクロマンサーに罵声を浴びせるも、その存在を確認することができず、途方に暮れ、な
んの当ても無いままにここ、アウグスタにやってきたのだ。その道中は険悪そのものでマ
リスは一言もしゃべらず、形相は鬼のようだった。

なぜ唐突に式を挙げるなどと言い出したのか、スレイには見当もつかない。それはマリス
の深層心理を掴みきれていないということの証明であった。


式はなんの障害もなく進み、二人の退場の時となった。
涙目のままあたしは立ち上がり、両開きになった大きなドアの光の中に二人が消えていく
のを満足に見送ると、その後を追った。

682 名前: FAT 投稿日: 2005/11/26(土) 10:49:16 [ yXRof9.g ]
・・・・あたしは、この式を挙げることによって、自分の犯した罪の罪滅ぼしになると信
じていた。いつからか死体を掘り出し、弄んでいるのがネクロではなく、あたし自身のよ
うな気がしてきた。
無念さはあっても、きっと二人は天国で幸せに暮らしていたはずだ。それを、あたしが無
理やり引き戻した。その上人間らしい扱いをせず、距離をとる始末だ。せめて彼女たちの
生前の夢――結婚をさせてあげたかった。
それが親友としての、あたしが出来る唯一の謝罪だった。

真紅の絨毯の道を歩み、建物の外に出ると太陽のまぶしさに目が細まる。

「悪魔よ、早急にこの地から立ち去るがよい。さすれば汝らの罪、見逃してやらぬことも
ない」
あたしは足が棒になったように硬直し、身動きが取れなくなった。
そこではテリーとアンメルがあたしを待っていて、ブーケを空高く投げ出す予定であった。
「汝らは耳がないのか?それとも浄化されたいのか?我らは優しくはないぞ。この神聖都
市で悪魔が我が物顔で居るというのはゆゆしき問題。だが神に愛を誓う悪魔というものは
前代未聞。故に今、この時だけは見逃してやると申しておるのだ。さぁ、ゆけ。この目が
閉じている間に消え失せるがよい」
付き添いを二人従えた司教はそう言うとおもむろに目を閉じた。
あたしは生唾を飲み込んだ。恐れ・・・緊張している。
「テリー、アンメル、走って、早くっ!!」
二人の手を引くと一目散に街の南へと駆け出した。全身から汗が噴き出しているのによう
やく気付く。

・・・・格が違う・・・・

あたしはこれほどの敗北感を味わったことがなかった。先程の司教の放つ空気は完全にあ
たしを取り込み、そこから抵抗などという選択肢は出てこなかった。まるで蛇に睨まれた
蛙である。命からがら、足の動かなくなるまで走り続けた。ようやく街を出、石橋を渡る
とすぐにしゃがみこんだ。

・・・・何故だ、何故あたしたちはこんな不当な扱いを受けなければならない!

司教の呪縛から解かれたあたしの胸に悔しさがこみ上げてくる。せっかくの結婚式が中断
されたことが、悔しくて、悔しくて、悔しくて、悔しくてしょうがない。

涙か汗かわからぬ水が、頬を伝った・・・・・・

683 名前: FAT 投稿日: 2005/11/26(土) 10:49:44 [ yXRof9.g ]
ドサドサッと軽い地響きを伴い大量の荷物が石畳の上に投げ出される。噴水の周りで餌を
拾っていた鳩が一斉に飛び上がった。
「はぁ〜、くたびれたぁ〜」
ジョーイの独眼が力なく陰る。疲労のせいか、その焦点は定まらないでいる。

ようやくアウグスタに着いたのは人間狩りにあってから3日も後のことだった。通りすが
りの馬車に乗せてもらいたかったがあいにくどれも私たちが乗るスペースは空いていなか
った。カラカラと車輪を回して過ぎ去っていく姿が、妬ましくもあった。

噴水の縁に腰掛け、ぼうっと街を眺めていると、そこに見慣れた人影を見つけた。
「あれ?エイミー?」
少し離れたところで買い物をしている黒髪の女性。ここからでもはっきりと分かる色白の
肌に独特の雰囲気は間違いなくエイミー、その人だ。両隣には背の低い若そうな女性が二
人いて三人で楽しそうに話をしている。
声を掛けようと腰を上げるとエイミーたちもこちらを見て目が合った。「おーい!」と手を
振ろうとしたとき、いやに威圧感のある存在を感じそちらに目が向いた。
「タカルート」
低く、重い声だ。赤地の聖衣に黄色の十字が大きくその中央に刻まれている。頭には縦長
の司祭帽を被っており、大柄な体格をより一層巨大に見せている。
タカルートとはなんだろうと一瞬考えたが、すぐにタカさんのフルネームだということを
思い出した。
「タカルート、付いて来い」
年は幾程だろうか、顔には所々に深い皺が見られる。厳格そうな強面をもってタカさんを
怒りにも似た強い口調で促す。
「・・・・フラン、ジョーイ、すまん。俺はここまでだ。ここが俺の終着点なんだ。もう、
一緒に旅は続けられない」

突然の告白に私はタカさんという人物の人格を疑った。いつももっともらしい事を言って
は私たちに説教などしていたではないか。人一倍常識には通じている人だと思っていたの
に何なのよ、急に私たちの元を離れるなんて言い出して。こういうものは普通、もっと前
から言っておくものでしょう?

何か一言非難の言葉でも浴びせてやらなければこの懐疑心を収められそうにない。
そうしてタカさんの目を睨み付けると、そこには暗澹とした二つの目がもの哀れげに私を
見据えていた。
そこに私にはジョーイのあの深く、暗い独眼が重なった。
「すまない、身勝手は承知の上だ。・・・・二人に、神のご加護がありますように」
額の前で手を組み、祈りを捧げるとそのままタカさんは男に半ば連行されるような形で去
っていった。その後姿は小さく、まるで乞食のように弱々しかった。・・・鳩が呑気に囀り
あっているのが、無性に腹立たしくなり石ころを投げつけた。いつの間にか、エイミーも
消えていた。

684 名前: FAT 投稿日: 2005/11/26(土) 11:34:49 [ yXRof9.g ]
>> 南東方不勝さん
え?バルバルってまさか・・・二人のうちどちらかがバルバルだということですか?
それとも寄生しているということでしょうか?なんだか怪しい敵ですね。
>「ゲストブック」
体調まで分かるなんて、今の世にあったらプライバシー保護に引っかかりまくり
ですね・・・

>> 戦士のようだ さん
また鼠が・・・
やはりペット?なのでしょうか。
この女性が何者なのか・・・何故役人に襲われていたのか、気になります。

>> サマナの人さん
うぉ、千里靴から翼が!?
暗い過去を持っているミーアに光の翼とはまた、対照的でいいですね!!
そういえばミーアっていつもメイド姿(スカート)で戦ってるんですね、
こんな激しく動いたらパn(ry

どうなんでしょう?

>> ナンバーズ さん
むしろいい感じですよb
遂に前作の連載再会ですかね?待ってましたよ!
まさかあのタイミングでコーリングを使うとは!!おみそれいたしました。

685 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/11/26(土) 18:33:25 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六 >>645其の拾七 >>665其の十八

六化仙 其の拾九

コーヒーにブランデーを入れて飲む。独特の風味が鼻腔に満ちる。
義賊のアジトで静かにブランデーコーヒーを飲む行為は何かとても不思議なことにも思えた。
天然の要塞、険しい崖と数々のトラップ、そして国軍並の兵力。
それが国軍の兵士を手こずらせている。だが最も重要なのは指揮官だ。
ネグルフシが全軍を指揮しているからこそ、国を相手に互角に戦えるのだろう。
窓から身を乗り出して夜空を見上げる。雲ひとつ無い満天の星空。
その星空を見て無性に腹が立ってしまう。果てしなく続く後悔と憎しみ。
全ての夜空に浮かぶ星を集めても、何をしても洗えない罪。
赤い石を手に入れなければならない。すべては赤い石だ。赤い石から始まった。
でも、どうすれば赤い石に近づけるのだろう。何の手がかりも無い状態。
出口の見えない閉塞感が体に纏わりつく、どうすれば抜け出せるのだろうか。
「どうしたんだ?」
声がしたので振り向くとネグルフシが立っている。
「ノックしてくれよ」
「随分としたはずだが?」
「・・・そうか、悪かったな」
「いいんだ、それよりも頼みたいことがあるんだ」
椅子に座ったネグルフシが重たい声で言う。
「俺に妹が居るのは知ってるか?」
「妹?」
思わず聞き返してしまう。何となくネグルフシに妹が居るのは想像できない。
「五つ下の妹で、古都に住んでいるはずだ。ただ俺の立場がこれだから。」
「妹がどんな目に合わされてるかわからない?だから助けたいって事か?」
「…そうだ。俺が義賊になったことで辛い思いをしてるはずだ。だから…頼む。」
冷めてしまったコーヒーを一口飲む。
「守りたい人が居るのは良い事だな。だから奪われないようにしろよ。」
「すまん・・・・」
「で、どうやって助け出すんだ?まさか古都を襲撃するわけには行かないだろうし。
妹さんは見張られてるだろうからコンタクトだって迂闊に取れないぞ。」
「いや、それなら考えてある。ただ・・・お前に一回捕まって貰いたい。」

686 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/26(土) 18:50:27 [ TeSD/O2M ]
(;´∀`)
皆さんお久しぶりです。
一ヶ月以上感想を書いていなかったので、今までサボっていた分の感想を投稿したら
本文が長すぎますって言われて感想が消えちゃいました…orz
6時間かけて書いたのに…これがしたらばマジックですか?

出現率が消費税率を遥かに下回ってしまったので、次からは
こまめに感想書くようにします。
まあ、「次から〜」って言う人は実践しない確率が高いんですけどね^^;

687 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/26(土) 23:25:02 [ /B.p06vQ ]
■RED STONE■
〜地獄の使者〜
悪魔が激しく悶絶しながら倒れる。
サイレンスが悪魔を調べる
「…やったか?」
首筋に突き立てられたフランシスカは悪魔の首を半分以上切断していた。
それは…誰の目から見ても即死は明らかなはずだった。
 
 だが。
悪魔は 生きていた。
 
不意に悪魔の体が震えだす。
サイレンスは危機を察知し飛び退く。
「…ばかな。頸椎を切断されて存命できる生物など…」
 
「生と死、それすら自由にするのがRED STONEナノダ。」
喋っているのではなかった。
直接脳内に言葉が入り込んでくる。        同時に悪魔の体がグチャグチャと音を立てながら変化して行く。
全身の皮膚はドラゴンの鱗のように硬化し、筋肉はトロールをも遥かに凌駕する太さになる。
背中からは深紅の巨大な羽が生み出され、手の甲からは全てを切り裂くような爪が生える。
 
…それはまるで。
魔王。と言うべき存在だった。
「さア、第二ラうンドをはジメようカ。」
一言はっすと悪魔は恐るべき跳躍で瞬時にリチャードに詰め寄る。
リチャードは素早く盾を取出しブロックする。
…だが、この攻撃は回避するべきだった。
盾など存在しないかのように、悪魔はリチャードを真っ二つに切り裂いた。
…血の雨。
たった一撃で殺した。
「ツギはどイツだ?」
悪魔が振り向く瞬間に一度に50本近くの短剣が突き刺さる。
「…次は俺だ。」
投擲後サイレンスは素早く格闘態勢に入る。
ウーンも素早く詠唱準備に取り掛かる。
その瞬間、サイレンスから耳打ちが入った。
(…ウーン、聞こえるか!、こいつを俺達二人で倒すのは無理だ。
俺が時間を稼ぐ、その内に逃げるんだ!)
逃げる。ウーンの頭には最初からそんな考えはなかった。
(馬鹿野郎!俺一人だけ不様に逃げるなんてできるかっ!)
ヒュッ
突如サイレンスがウーンに何かを投げ付ける。
なにかはウーンの体にぶつかり、ばらばらに崩れた。
帰還の魔石だった。
ウーンの周りの空間が歪む。
サイレンスの最後の言葉が聞こえる。
「一つ願いがある。…息子、スナッチ・トレジャーに会うことがあれば…
すまなかった。
そう、伝えてくれ…」
目の前が暗くなる。
 
目を覚ましたら、自分はただ一人、スマグにたたずんていた…
■続きたい■

688 名前: FAT 投稿日: 2005/11/27(日) 00:04:11 [ yXRof9.g ]
>>(;´∀`)アラステキさん
私も経験あります。長々感想書いてみたら「本文が長すぎます」エラーで全て
白紙に。それ以来投稿前には必ず全文コピーするようにしてます。
どうか気を落とさずに、再チャレンジして下さい。

>>戦士のようださん
ネグルフシさんに妹ですか?敵陣に一人取り残されたこの人質を無事に取り戻せる
のでしょうか?
ジンが動くとなるとなんとなく不吉な予感が・・・

>>ナンバーズさん
サイレンス、男らしい最後ですね!いや、死んだかどうかはまだ分からないですね。
ウーンが生き残ったことは今のブーンと関係が?
伏線を残しながらのよい終わり方でした!!

689 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/28(月) 10:29:29 [ 8QPYrVJg ]
最近壁剣士にあこがれてます。

>>FATさん
ああ、せっかく幸せになれるかと思ったのに、まだまだ受難のマリス一行。
しかし、一行を悪魔と知りつつも結婚式を挙げるまでは待ってくれた司教さんは何気に話がわかる人なのではないかと思ったり。
ひょっとすると、過去に異教徒と恋に落ちた過去があって、二人にそれを重ねていたとか……そんな妄想してみたり。
そして、何ゆえエイミーさんがこちらに?
こっちの方に気づいたということは他人の空似でなく本人なのでしょうが……
フランたちが出発するとき見送ってくれましたよね?
果てさて、いったいどうしたことでしょうかね〜?
そしてタカさんにいったいなにがっ!?
ワクテカしつつ待ちますね〜

追伸
>そういえばミーアっていつもメイド姿(スカート)で戦ってるんですね、
>こんな激しく動いたらパn(ry
>どうなんでしょう?
……大人ですから(ぇ
ロングスカートで蹴りまくりですよ?
しかも飛びますよ?
無論ガーター着用ですよ?
この手のファンタジーって、服装は中世風でも下着は現代風なのですよね〜(何

>>ナンバーズさん
>>677 (ノ>ヮ<)ノ⌒☆ ガッ
それはさておき、久方ぶりのこのシリーズ。
コーリングの使い方がテクニカルで素敵です≧ヮ≦
多大な犠牲の上にかろうじて逃げ延びたウーン……残されたサイレンスは、そして悪魔は、いったいどうなるのでしょう?
ひたすらチャージ&フルヒしつつ待ちます≧ヮ≦

>>南東方不勝さん
うーむ、便利な本ですねぇ……
しかし、消耗しているとしかわからないのなら、ただ単に二人が(自粛)で疲れただけとか勘違いされたりしてw
あ、でもその場合はリリィさんはテカテカでギルの方が消耗して……
ハッ!?

    パーン _, ,_  パーン     パラレル
パーン_, ,_  ( ・д・)  _, ,_パーン    フォートレスっ!!
  ( ・д・) U☆ミ (・д・ )
   ⊂彡☆))Д´)   ☆ミ⊃  パーン
    , ,∩彡☆ ☆ミ∩, ,
  (   )  パーン (   )
 パーン      パーン

>>(;´∀`)アラステキさん
ども、いつもお世話になってます≧ヮ≦
私も何度もありますね〜。
コピペしてたから平気だと思ってたら、名前とメル欄消えちゃってスレをあげちゃったり……
改行ミスったり……
のんびり犬乗りしつつ再臨を待ってます≧ヮ≦

690 名前: サマナの人 投稿日: 2005/11/28(月) 10:38:46 [ 8QPYrVJg ]
>>戦士のようださん
ふむ、ネグルフシさんはシスコン、と(違
小竹の葉はみ山もさやにさやげども我妹思ふ別れ来ぬれば、ですかね?
妹さん救出ミッション……うまくいくのですかね?
そしてジン(仮?)にも新たな恋の予感?
若葉用露店出しつつ続きを待ちます≧ヮ≦

691 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/11/28(月) 14:03:26 [ Lbw5M5KA ]
先日たまたま露天巡りしてたらナンバーズという人がいました…
改名しましょうかね…
それはおいといて
皆さん感想ありがとうございました。
とりあえずこの路線で続けて行きたいとおもっております。

692 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/28(月) 22:17:20 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
タカさん突然の離脱。どうやら、タカさん関連で問題が起こったようですね。
果たしてタカさんを引きずって(ぇ
もとい、連行した司祭の用件とは?
また、冷たい扱いを受けたマリー一行の行方は?
次回も期待してますよ^^

>>戦士のようださん
ネグルフシさんの妹救出ミッション始動。
どうやら、確実に妹さんとコンタクトを取るために傭兵が一旦捕まらざるを得ないようです。
大切なものを失う痛みを知っている傭兵は、無事に救出することが出来るのでしょうか?
それとも・・・。

>>(;´∀`)アラステキさん
つい最近、自分もその手のエラーを発生させてしまいました^^;
何故か、本文が消えていなかったので泣く泣く削れるところを削ってから再度書き込みましたなぁ
あれって、結構精神的に堪えますよね?

>>ナンバーズさん
悪魔が変身しましたね。
サイレンスが伝言を託した息子って、やっぱ本編のスナッチなんでしょうね。
果たして、一人生き残ったウーンがとる行動とは?
楽しみに待ってます。

693 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/28(月) 23:28:08 [ LVW/cCFA ]
>>680
「・・・ぃ。」
遠くで誰かが、誰かに話しかけています。
「・・い、リ・・ィ。」
一体彼は何をそんなに慌てているのでしょう?
言葉はよく聞き取れませんが、かすかに聞こえる声から彼の慌てぶりが手に取るように分かります。
「しっか・・・よ、リリィ。」
彼が必死に話しかけている誰かの名前はリリィというそうです。そういえば私、この名前に聞き覚えが・・・。
「しっかりしろよ、リリィ!」
「・・・っん、ギ・・ル?」
彼の一際大きな声で、私の意識はようやく調子を取り戻したようです。
ゆっくりと目を開けると、目の前には心配そうに私の顔を覗き込む二つの青い瞳がありました。
「リリィ!」
ガバッ!
私が意識を取り戻すと認めるや否や、彼は私に抱きついてきました。
「ちょ・・、ギ、ギル!!」
えぇ、ちょっとお待ちなって下さる!?そんな、目覚ましには刺激が強すぎますわ!
「あぁ、よかったぁ。いくら呼びかけても目を覚まさないものだから、オイラ心配しちゃったよ。」
し、心配してくれてるのはとてもありがたいのですが、そんなに強く抱きしめられると・・・。
「ギ・・ル、く・・、苦しいですわ・・。」
「えっ・・?あぁ!!ご、ごめんよリリィ、寝起きでいきなり抱きつくのはダメだよな・・。」
そういって慌てて私から離れるギル。あぁもう。い、いきなりの出来事でしたから顔から血が引きませんわ。
そりゃ、そういった対象として見ていなくても気にかけている異性に、
いきなりあんなに強く抱きしめられたら、こうなっても仕方ないでしょう!?
「ま、まぁとりあえず、オイラ達二人とも無事でよかったよ。」
顔を真っ赤にして明後日の方向を向きながら私に話しかけるギル。
あら、何でギルまで顔をあそこまで真っ赤にする必要があるのでしょう?
でも、今はこのことを考えるよりも現状の把握の方が重要ですわ。
「無事って・・・、そういえばここはどこですの?それに、この応急処置をしてくださったのは・・?」
「ん、ここはカルスト洞窟の中じゃないかな?あと、その応急処置ならオイラが改めて処置し直したんだよ。」
ギルが私の疑問に対して、彼が答えられる限りのことで応えてくれました。
ということは、私達はあの場にいた第3者に助けられたことになりますわね。
それで、私達をここに運んでくださった後、意識の無い私達に応急処置を施してくれたようです。
その後私よりも早く目覚めたギルが、最初に施されていた応急処置をし直した・・・。って、それってかなり問題があるんじゃないですの!?
「ちょ、ちょっとギル!それって、私が寝ているときに勝手に私の体をいじくったことになりますわよね!?」
ギルの回答の重大な問題に気づいた私は、事の真意を確かめるためにギルに問いかけました。
だって、だって・・。そんな、寝てる間に・・・、でも、相手がギルなら・・・。
「だぁ、リリィ落ち着けって!!なんも変なことはしてないし、見ても無いから!!」
「・・・っ!?と、当然ですわ!寝込みを襲うなんて、ケダモノにも程がありますわ!」
ギルの必死の弁明のおかげで、私の理性はようやくあるべき場所に戻ってきてくれました。
まったく、私としたことがこんなことで取り乱すなんて・・。
「まぁ、誤解があらかた解けたところでとりあえず、外に出ないかい?このままここに居ても、どうしようもないし。」
「むぅ・・。完全に解けたわけではありませんが、まぁいいでしょう。」
ギルの言うことにも一理ありますので、私は腰を上げました。
でも、
「痛っ・・・!」
立ち上がった途端に、右足から痛みが全身を駆け抜けていきました。

694 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/11/29(火) 00:45:19 [ LVW/cCFA ]
>>693
「痛っ・・・!」
ポスッ・・。
立ち上がった途端に、バランスを崩したリリィを急いで抱きとめる。
「あ、ありがとうギル・・。」
少しバツの悪そうな顔を作りながら、オイラにお礼を言うリリィ。
でも、正直お礼なんかはどうでもいい。
「リリィ、ちょっと右足見せて・・。」
「えっ!?だ、大丈夫ですわよ。このくらい・・、」
「いいから見せる!!」
言い訳なんかに聞き耳を持つわけにはいかない。ましてやそれが、ただのやせ我慢から来るなら尚更だ。
「ちょ・・、やぁ・・。」
じたばたと暴れるリリィから、右足のゴールドシューズを強引に脱がす。
なんか表現に問題があるかもしれないけど、当の本人がかなりの勢いで暴れているのだから仕方が無い。
脱がせた靴の中から、リリィの白い足が姿を現す。
オイラの目の前に現れたリリィの右足の付け根が、痛々しく腫れていた。
なんかこう、白い生足に赤黒い腫れものあるっていうのも妙にそそるものが・・・。
って、それどころじゃねぇだろ!しっかりしろ、ギル!!
「うわ、こりゃ酷いな・・。こんな状態じゃ、歩けるわけ無いだろ!」
「・・・・。ご、ごめんなさい。」
「謝るくらいなら、やせ我慢しないでもらいたいね。」
うつむいて下を向いているリリィに憎まれ口を叩きながら、オイラは鞄から処置セットを取り出した。

「・・・で、いつからだい。この捻挫?」
強引に私の右足の治療を始めてしばらくしてから、ギルが話しかけてきました。
「多分・・、あの隊長の回し蹴りをブロックした時ですわね。」
あの時、あれだけの一撃を無理に防いだのが原因でしょう。左上からの痛烈な一撃でしたから・・。
「ふぅん・・。まぁ、この程度で済んだもの『グレートガッツ』っだけ?あれのおかげかもね。」
淡々と応急処置をしながら、ギルが静かに言いました。
それはまるで、何か気に入らないことを無理に押さえ込んでいるように見えます。
「あ、あの・・・ギル。さっきのこと・・、まだ怒ってますの?」
気づけば私は恐る恐る、ギルに対してこの質問を投げかけていました。
その言葉を聞いたギルは、
「あぁ、怒ってるよ。オイラ、さっきの君みたいにやせ我慢されるのが一番嫌いなんだ・・。
 小さい頃、よく家に来る爺様の友達がいてね。その人もオイラ達の世界じゃ有名な人でね、糸を使った暗殺術が得意だったんだ。
 で、ある時その人が一人の女の子を連れてきたんだ。自分の護衛としてね。オイラよりも少し年上だったかな?
 その女の子は、まだガキだったオイラから見ても無理してるって事が分かったよ。口には出さなかったけど、あの子の目は色んなことを語りかけてきた。
 『何で私はこんな所に居るの?誰も殺したくなんかないのに!』ってね。その姿が余りにも痛々しくてよく覚えてる・・。
 その姿に無性に腹が立ってね。でも、そのときのオイラにはどうしようもなかった。そのときに決めたんだ。
 少なくとも、オイラが進んでいく道の上にはあの子のような子を決して創らせないって・・。」
ギルが自分の昔話を語り終わった後、私達は治療が終わるまで言葉を交わすことはありませんでした。
まったく、なんて自己満足な願いでしょう。でも、こんな彼の話に私は嫌なものを感じませんでした。
(あぁ、だから私は彼のことが気になったんですのね・・。)
ただ、自分の目の前から気に入らないものを無くしたい。そんな、危なっかしくも純粋な願いを持つ不器用な彼に・・。
私には決して出来ない、そんな彼の生き方が眩しく見えて・・。
「・・・よし。リリィ、終わったよ。これなら、古都に着くまでなら普通に歩けるよ。」
「ありがとう、ギル。」
処置の終了を伝えてくれた彼に、私は気づかぬ内に微笑みながらお礼を言っていました。

695 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/29(火) 09:11:31 [ LZZ4DbTo ]
先日赤鯖で21Rさんのキャラはけん
遠くで話を聞いていたらネタ切れ中とのこと

それと、21Rさんの作品に出てくるギルド実在しますよっと

696 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/29(火) 11:53:23 [ PRjihHog ]
晒すなや

697 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/29(火) 17:40:16 [ 5NfhDlAg ]
>>695
目撃して書き込みたくなるのはわかるけど、
あまりこういう事は書かない方がいいんじゃないか?

698 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 18:39:24 [ yXRof9.g ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)|>>681-683(34)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)|>>656-659(33)




「どうした?自分の家に入るのに何を躊躇している」
タカは見慣れた、しかしながらに最も嫌悪している家のドアのノブを握ったまま、棒立ち
になっていた。
「親父、俺にこの家に入る資格はあるか?」
「無いと思うのならここまで来ることもなかっただろう。さぁ入れ。」

十数年ぶりに入る家の雰囲気に、早くもタカは押し潰されそうになった。シンと静まり返
ったホール、長く先の見えない青の絨毯を敷いた廊下、その突き当たりの壁に掛けられた
大鏡、昼から下がりっぱなしのカーテン。そのどれもがタカに幼いころの日々を思い出さ
せた。

二人は無言のまま、玄関に一番近い応接間に入り机を挟んで向かい合い、座った。
「タカルート。どういう様変わりだ?お前の口から神のご加護だなどという言葉が聞ける
とは思わなかったぞ。」
片肘を机につき、頬杖に頭を傾けタカの父――プロバス=アングラは厳しい目を向ける。
それは噴水で見せていたものよりも更に激しいものである。
「俺は本当に大切な人の前でしか神を語らない。親父のようなやすっちい信仰心とは違う」

・・・・親父の目力は未だに健在か・・・・

たった二言を返すだけでも凄まじい精神力を要する。これがもしタカでなく、部外者であ
ったなら反論はおろか、指先一つでも動かすのに苦心するだろう。

「私の信仰がやすいだと?ふん、相変わらず信仰を勘違いしているようだな、タカルート。
いいか?私たちは神の力を代理的に使うことができる、選ばれた人間なのだ。そしてその
力の媒体となるのが信仰心だ。私とお前を比べてみろ。力の差は明らか。これがそのまま
信仰の厚さを表しているのだ」
「その力の強弱が信仰心の表れだという考えが気に喰わん。親父は見たことが無いのか?
金も無く、寝床も無いような者が必死に神に祈りを捧げている姿を。・・・あのような者に
力などない。しかし、その信仰心は本物だ」
強烈な圧力に耐えながら、タカは必死に持論を説く。もちろん、それが更なる圧風を起こ
すこととなる。
「やはり、お前は信仰というものを理解できていないようだな。よいか、お前の言う信仰
とは信仰ではない。信仰というものは神を身近に感じ、いかに神と親しくなれるか、いか
に神と等しくなれるかが問われるものだ。タカルートよ、お前の言う信仰は神に何を求め
ている?求めてばかりで何も捧げはしていないのではないか?
求めるならまず先に与えよ、さすれば神は我らを救わん。」
最後に聖司教らしく、ネックレスについた十字架を握り締め、天に掲げた。

699 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 18:40:33 [ yXRof9.g ]
タカは独りきり、長い廊下を歩いている。外はどうやら晴天のようだが重く、厚いカーテ
ンによってその優光は遮られ、廊下は薄暗く、静寂の中不気味にタカの足音が響く。
全く不可解なものだ。
この屋敷には少なくとも十を超える家政婦が住み込んでいるはずだが、その姿を見ること
は稀である。無論、今でも昔と同じだけの数が雇われているとは限らないが。
長かった廊下の終わりを告げるドアが現れ、その中に進むと左右に両開きの大きめの扉が
対を成している。・・・タカと、その兄、リッケンの部屋である。
タカは左に位置する自分の部屋に入った。
そこには、家を出た十二年前のまま、全てのものが保存されていた。
タカは可笑しくなり、ベッドに腰掛け、声に出して笑った。開け放たれたままの扉の奥で
笑い声が虚しく木霊する。
ゆっくりと腰を落ち着ける暇もなく、せっせと片付けを始める。十二年という月日はタカ
の記憶を少しずつ朧にし、覚えの無い物たちがいくつも出てくる。もう内容など微塵も思
い出せないような哲学本が埃まみれになり、机の上には空のカップが置きっぱなしだ。そ
の中にも薄くではあるが埃が積もっている。
何をするにしても舞い上がる埃に参り、窓を開け放つ。兄リッケンの部屋は南向きで日当
たりが良いが、タカの部屋は北向きで常に薄暗い。風の通りも悪く、思ったように埃を駆
除できない。そこで片羽の先の折れた翼を生やし、風を起こす。机の上のカップがカタカ
タと音を立てる。部屋の隅々から埃が舞い上がり、タカに十二年という長い時の流れを実
感させる。



タカは十二年前―――まだ十五歳の少年だった頃に家を飛び出した。それは希望を持って
の旅立ちではなく、冷たい、監獄のような死地からの脱出だった。

アングラ家は非常に優秀な家系だということで有名である。事実タカの父、プロバスはア
ウグスタで三つしか席の無い聖司教の座に就いており、兄、リッケンも大司教として数個
の教会の世話をしている。
当時、プロバスは聖司教に就任したてで、その多忙のため家を留守にしがちだった。いや、
元来家にいても滅多に姿を見せることがなかったのでそのことはタカにとっては些細な問
題でしかなかった。しかしプロバスの妻―――エルメラーシ=アングラはこの事態に多大
な精神的負担を受けた。彼女は非常に内気――というよりも自閉症で、寝室や書斎に引き
こもりがちであった。それ以外の場所で出歩く所といったらお手洗い程度なものである。
そんな彼女も子供が部屋に来ればお話しを聞かせてあげたり、子守唄を唄ってあげたりと、
優しい母親であった。

700 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 18:41:09 [ yXRof9.g ]
エルメラーシはプロバスの聖司教就任と同時に彼に対しての愛情を徐々に失っていった。
プロバスが家にいるとき、それはエルメラーシとの戯れの時間であった。その時間をエル
メラーシは何よりも心待ちにし、プロバスへの愛情を、プロバスからの愛情を心満ちるま
で感じあった。
それが、聖司教に就いたと同時に帰宅する時間が三時間も遅くなり、酷いときには帰って
こないときすらあった。そんなとき、エルメラーシはプロバスが帰ってくるまで、一睡も
せずに待ち続けていたのである。胸を焦がしつつ・・・・・。

そんな生活が何ヶ月続いただろうか。
エルメラーシは目に見えて衰弱していった。寝不足のため胃が炎症を起こし食欲不振とな
り、目元も、頬もくたびれている。日課としている編み物も手につかず、満身創痍であっ
た。
―――いつしか、エルメラーシの心から愛情が消え去っていた。彼女はプロバスを愛し過
ぎた故に体を壊し、心も壊した。

とある夜、寝室に入ってきたプロバスを待っていたのは荷物をまとめた妻の告別の言葉で
あった。
「プロバス様、わたくしをお許し下さい。わたくしはあなた様への愛情を持ち、夜を独り
で過ごすのはもう辛抱ならないのです。わたくしは非常に自分勝手な者だと心得ています。
それ故に今、こうしてあなた様の下より消えようとしております。あぁ、わたくしがもっ
と賢かったなら、あなた様と別れるよりももっと別な方法を探し出せたでしょうに。プロ
バス様、聖司教としてのあなた様のご活躍はわたくしの耳にもちらほらと入ってきており
ます。わたくしは、あなた様のような賢人の方と結ばれたことを誇りに思います。ありが
とう・・・そして、さようなら・・・・・・」
プロバスは論争が好きだった。
相手をいかにして口で封じ込めるか、または持論に引きずり込めるか、その間に発生する
駆け引きが彼の楽しみであった。
だが、今、妻の告白に対し、彼は反論が浮かばなかった。それはこの世で最大の裏切りで
あったと言っても過言ではない。いつでも、何時に帰ってもはにかむような笑顔で迎えて
くれた妻が、別れを考えていたとは思いもよらなかった。

戸を開けようと取っ手に手を伸ばしたエルメラーシの姿を目で追いながらプロバスの脳裏
に不安が過ぎる。

・・・・もし、このことが周りに知れたら・・・・

プロバスは恐れた。聖司教という役職を失うことを。
聖司教という座は誰よりも神聖で、誰よりも清く、正しく有れねばならない。それがどう
だろう、女一人も満足に自分の下に置いておけないような者を聖司教だと認めてもらえる
だろうか。おそらく就任間もないプロバスなどは即刻その名誉を剥奪されてしまうだろう。
もしそうなっては、先祖代々受け継がれてきた家名に傷がついてしまう。

・・・・自分の代で家の栄華が潰える。それだけは避けなければならない。

気付けば、プロバスはエルメラーシに手のひらを向けていた。その手は光り輝き、エルメ
ラーシは光に気付きプロバスに向き直る。手から光が離れる瞬間、エルメラーシは胸の前
で指を組み、目を閉じた。それは誰に捧げた祈りなのか、今となっては知る術もない。プ
ロバスの背中には、巨大な不揃いの翼が暗然とそそり立っていた。

701 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 18:42:03 [ yXRof9.g ]
キリのない埃起こしを切り上げ、翼を仕舞うと埃の積もったカップを手に取り部屋を出る。
廊下へのドアを開けると家政婦の一人が手持ち無沙汰に歩いていたのでカップを託した。
お互いに見知らぬ顔であったが違和感なく引渡しが行われた。
キッチンに向かうはずだったタカはその目的を失ったので方向を変え、兄弟の部屋の前を
通り過ぎ、その奥の奥にある重々しい鉄の扉の前に立った。この扉は押しても引いてもビ
クともしないがタカが再び翼を取り出し、その羽を一枚扉の隙間に入れると瞬間移動した
ようにその扉の向こう側に送られ、暗い階段で地下へと下った。
薄暗くいやに埃っぽい。蜘蛛の巣もかかっており、あまり手入れはされていないようだ。
タカは息を呑み、一歩、一歩、地を踏みしめながら進む。彼の記憶している事柄が正しけ
れば、この先にあれがあるはずだ―――。

アングラ家の地下は扉が一つもなく全ての部屋が筒抜けになっている。おそらくは通気性
を良くするためだろう。唯一つの階段付近は薄暗いが、奥に進むに連れて明るくなってい
く。日の光がガラス張りの天井から差し込んでくるからだ。
ガラス張りの天井の真下に、その陽光を全身に浴びている女神の像がある。目を閉じ、胸
の前で指を組み、祈りを捧げるポーズをとっている。

「お袋・・・・・」
タカは膝を落とし、その像と同じポーズをとった。『お袋』と呼ばれたその像の顔は何かを
悟ったかのように穏やかで、光に晒されている白い肌はまるで生きているかのように艶や
かである。
「十二年間、あなたはここで何を考えていましたか?私は、この家を離れ、色々なものを
見てまいりました。外の世界は楽しいことばかりで、時が経つのを忘れてしまうようでし
た」
まるで、教会で信者と語っているかのような丁寧な口調で女神に語りかける。
「私は、許されるのでしょうか?好き勝手ばかりして、あなたのことを諦めてしまおうか
とも思ったことがありました。時に思い出される、あの時の失態に私は自分を自分で殺し
てしまおうかとも思いました。体は大きくなり、見た目だけは一人前になっても、私の精
神はまだあの頃のまま、成長していないのではと不安になり、戻ってくる決心が中々つか
ずにいました。正直、今でもあなたを救い出す手段は分からずじまいです。私は、未だに
あの父親が憎く、それでもあの人を恐れています。ですが、いずれ、まだ時間はかかって
しまうかも知れませんが必ずやあの人を克服し、あなたを救い出してみせます。・・・・そ
うしたら、一緒にこの街を離れ、二人で静かに暮らしましょう。母上様・・・・・・」


母上様―――
タカは幼い頃、両親を父上様、母上様と慕い、尊敬していた。しかし、部屋に閉じこもっ
てばかりの母親と愛情の欠片も無い父親にタカは少しずつ不満を募らせ、そのうちに反抗
的になっていった。十を超える歳になるとわざと両親を親父、お袋などと聖職者らしから
ぬ呼び方をし、自ら距離を取るようになった。しかし、その強がりが仇となりタカは言い
ようの無い虚しさと恐怖をこの広い屋敷に感じるようになった。五歳年上の兄は勤勉で、
弟であるタカに目もくれずに毎日勉強に励んでいた。

タカは、この家の中で孤立していた。

誰とも話さず、どんどん無口になっていったタカに一筋の光が訪れたのは父、プロバスの
留守中に寝室を訪れた時のことだった。
部屋に入ると母、エルメラーシが澄ました顔で編み物に勤しんでいた。エルメラーシはタ
カの顔を見るなり「タカちゃん、こちらへいらっしゃい」と椅子に腰掛けたまま、手を休
めて膝に乗るように催促した。愛情に飢えていたタカは飛びつくようにエルメラーシの胸
に飛びつき、久しぶりに家族と話が出来ることの喜びを体いっぱいに受けた。
それ以後、プロバスの留守を窺っては何度も母に会いにいった。母と会っている時間が、
タカにとっての家族と繋がれる唯一の時間だった。

やがて愛情を満足に受けたタカは兄同様、勉学にその身をどっぷりと漬けた。その集中力
は特筆すべきもので、何十冊という分厚い書物を僅か数ヶ月で全て暗記してしまうほどだ
った。
才能が頭角を現し始めても、父はタカに無関心であった。時折、運悪く家の中で出くわし
てもタカの才能を褒めることも無く、話を持ち出したとしてもそれはすべて自分の理論を
押し付けがましく説くだけであった。

702 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 18:42:35 [ yXRof9.g ]
母上様という響きがタカの胸に懐かしい母の温かさを蘇らせた。居ても立っても居られな
くなり、硬直した像となった母をそっと抱きしめた。温かくもなく、冷たくもない、奇妙
な温度が押し当てた頬に伝わる。

―――母親をこんな姿にした父親をタカは許すことなどないだろう。あの日、硬直したエ
ルメラーシを引きずり、地下に降りていくプロバスをタカは見てしまった。そのときはま
だ、信じられない・・・というよりも意味を理解していなかったが、後日、階段の前に重々
しい鉄の扉が設けられ、更には寝室に魔法による鍵が掛けられたことによってタカは胸に
強大な不安を抱いた。寝室の鍵はどう足掻いても解けなかったが、鉄の扉の方はなんとか
通過する術を見つけた。そうして、タカは真実を知ったのだった。そして同時に、己の無
力さも知った。
タカは知りうる、使える限りの力を使ってエルメラーシを治そうとしたがどれも効果はな
かった。
「おふくろっ!! おふくろぉぉぉぉぉ!!!」
地下に虚しい叫び声が乾いた空気を震わせた。
「・・・・母上様・・・・・」
タカはたった一人の家族を失った。
もはやこの家に残されているものは忌むべき父親と無関心な兄、更に無関心な家政婦のみ。
タカは、何も持たずに家を飛び出した。置手紙も残さずに―――


母の体から離れると、硬く握り締められている手からはみ出している物を見つけ、引っ張
り出した。それは鳥の羽のようだが見たこともないような鮮やかな朱色でタカの心を魅了
した。それを自らの羽の間に挿し、母に一瞥をくべ、静まり返った地下を階段へと引き返
した。

・・・・・この家に母を治す手がかりが必ずあるはずだ・・・・・

仲間を見捨ててまで戻ってきたタカの決意は厚く、その目には強い意志の塊が見られた。
これから約一週間、タカは家中の書物を読み漁り、少しでも有効と思われる手段を頭に叩
き込んだ。いつか、母と暮らせる日を夢見て――――――

703 名前: FAT 投稿日: 2005/11/29(火) 19:05:18 [ yXRof9.g ]
長すぎた!!

大変読みにくいとは思いますがお許し下さい。

>> 南東方不勝さん
む?この展開は??

ツ ン デ レ

もうリリィのほうがメロメロじゃないですかっ!!
ギルも一瞬嫌な顔をしていたけれども、この笑顔でそんな気持ちも吹き飛ぶ
ハズっ!!

・・・はずっ!

・・・もしかして検討違いですか?


>>サマナの人さん
ガーター??

初めて聴く響きですな。一体何者??

とりあえず聴く前に検索してみます。

704 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/30(水) 03:39:43 [ wAXyGzqg ]
>703
ガーターは腰装備。「ガーター」「ベルト」で検索す…土煙がこっちへむかtt

705 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/30(水) 17:42:25 [ 7l2jcYK6 ]
ガーターってのはあれですよ。
ボウリングで球が横の溝にはいるやつ。
検索はすると恥ずかしいかもしれない。うん。

706 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/30(水) 21:21:02 [ ysTuyFRU ]
 ばづかしいので検索しない為にコレドゾー。


(キャット)ガーターは「足装備(ふともも)」 ガーターベルトは「腰装備」


〜 ウェディング ガーター 〜


 ガーターは、ガータートスをする花嫁さんもその演出をしない予定の
花嫁さんもそっと左足にかわいいレースのガーターリボンをしておくのがならわし。
幸せの日につけたガーターはずっと記念に残ります。
ガータートスは欧米で行われる、かかせない儀式。新郎が独身男性のゲストに
花嫁のガーターを取り、投げます。ちょうど花嫁のブーケトスの男性版です!
きっと盛り上がること間違いなし!!想像しただけでワクワクしますね。
 男性のゲストが多い式にはおすすめのアイテムです。
また、もともと欧米のならわしですので、海外挙式で男性のゲストが多いとき
には是非行ってみましょう!2次会での演出にお困りの方は、是非2次会で
このガータートスの演出を行ってみて!わいわい盛り上がります!


 また生まれた赤ちゃんの頭にこのガーターをつけるとその子は幸せになると
いう言い伝えもありますよ♪

707 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/11/30(水) 23:13:17 [ cUcGuxSQ ]
誰だったっけ・・・ホラ、芸能人のさ・・・熟女でエロいのが売りの・・・。
セック(自主規制)レスで離婚した人・・・。
あの人が言ってたよ。
「 若者よ ガーターベルトを 恐れるな 」

708 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/01(木) 00:35:52 [ u6jdAed6 ]
ガーターベルト装備したら
「セクシーギャル」になれますよ

709 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/01(木) 02:30:19 [ buWMgvXQ ]
荒らしたいならクソスレでも建ててそこで暴れてろよ馬鹿

710 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/01(木) 10:52:42 [ K431ijow ]
 自覚が無い場合もありますからね……

 感想を書いて、一文だけ付け加える形ならば・・・いいのかなぁ?
このスレシアリスいいですね ほのぼのでちょっちえちなのもよいですね。
 エロくなければこっちにかくべきですかえ?

711 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/01(木) 12:59:00 [ X0v5zW7g ]
普段レスしないだけで実は結構いろんな人が見てるんだね

712 名前: ナンバーズ 投稿日: 2005/12/01(木) 17:50:28 [ wt0TMFS. ]
話が脱線中なので小説うp
■RED STONE■
〜運命〜
「以上が先代達が残した戦いの記録だよ。」
ブーンが静かに目を閉じる。
「スナッチは…知っていたのか?」
レオンが尋ねる。
しばしの沈黙、そして、語った。
「知っていたさ。…父は母の仇を討ちにいった。そして…」
 
「二度と帰らなかった。」
レオンは感じ取った。
彼らの決意、悲しみを繰り返さぬ為、戦う決意を…
 
コン、コン…
突如ドアがノックされる。
「…父さんだね。どうぞ」
ガチャ…
扉を開け、入ってきたのは紛れもない、ウーン・エイ・ダーオメンであった。
■続く■
 
P.S初めてロト買ったらエンチャ文書でした。ぬるぽ

713 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/02(金) 00:21:27 [ LVW/cCFA ]
そろそろ、深夜のネット徘徊が辛い季節になりました。マジで寒いですorz
>>FATさん
タカさんが離脱した理由は、親父にホールドパーソンをかけられた母上様の治療ですか・・。
家中の書物を読み漁ったタカさんに、母上様を治療する手立ては見つかったのでしょうか?
タカさんの親父さんの、目力をくらいながら待って(目力により停止

>>ナンバーズさん
あぁ、やっぱりサイレンスさんは逝去されていましたか・・。
ついでに奥さんまでもorz
スナッチは相当重いものを背負っているようですね。
そして、ただ一人生き残ったウーンの登場は何をもたらすのでしょうか?

714 名前: BD 投稿日: 2005/12/02(金) 06:41:43 [ KGXRqsiY ]
〜フラムベルを探して〜

第二章
ケイルンを探して



母に私の名の由来を聞いてから、もう10数年が経った・・・今私は、西にある古都、「ブルンネンシュティグ」に訪れている。
目的は勿論、ブルンの騎士団に入隊し、ハノブを守れるだけの力を手に入れる為である。

古都ブルンネンシュティグ 
土地に恵まれ、この地方一帯では最も栄えている。その為、色々な人々との交流の場、そして、始まりの場として知られている。と「ブルンを歩いちゃOH! 公式ガイドMAP」に記されてる。勿論、タダである。
さて、ケイルン殿を探さなければ・・・私は、橋を渡り街の中心部へと駆けて行った。
しかし・・・ここは不思議な街だ。至る所に露店がひしめき、見た事も無い様な魔力を秘めた武具が、まるでさも当然であるかの様に幾つも並べてある。
そして、それらを見定めている人々、噴水前で待ち合わせをしている人、「うはwww」とか逝っている人、様々である。
うぅむ・・・・これだけ人が溢れていたら、ケイルン殿を見つけるどころか、そのまま迷ってしまいそうだ。そして私は、露店の前を通り過ぎようとしたときの事である。
ん?これは一体・・・?

・・・・・・・


不思議なものだ。「交渉耳ヨロwwwww」等という、珍妙な謳い文句が掲げられた露店を見ていたら、突然フと目の前から消え去ってしまった。
おや? この露店だけではないな・・・周りにいる人々、そして露店も続々と消え去ってゆく・・・
そういえば・・・・噂では、修行を積んだ追放天使様は地の果てからでも仲間を呼び寄せる事が出来るらしい。
しかし、こんなに多くの人数を一斉に呼び寄せるとは・・・・私は、より一層神への信仰心が増してしまった。やはり神は偉大だ・・・
まぁ、これでケイルン殿を見つけやすくなったというものだ。神よ、そしてその代行者たる天使様、感謝致します。
しかし、それからしばらくすると何やら騒がしくなってきた。ダメがどうとか鯖がどうとか・・・まぁ私には関係のない事だろう。

・・・・・で・・・っと・・・・・ここはどこだ?



・・・・・・迷 っ て し ま っ た ら し い


途方に暮れてしまった・・・何処へ向かえばいいのやら・・・・・・・余りにも不憫に見えたのか、そばに居る乞食に毒袋がどうとか危険な話題を振られてしまったではないか。 と、その時である。
!?
今、何かが聞こえた・・・「○○、○○にいるケイルンに話しかけてみよう。」
おお、ありがたい。私を導く声が聞こえた。 信じるものは救われるのだな、うん。
早速地図を見てその場所へ向かってみる。 幸運な事に、ここから走って1分の場所だ。 しかしこの声がずっと頭に流れ続けていて一向に止まる気配がないのだが・・・正直、そろそろ鬱陶しい。
ファーガソンとは誰だ。知らぬ。

715 名前: BD 投稿日: 2005/12/02(金) 06:43:25 [ KGXRqsiY ]
数刻後、とうとうファーガs・・・ではない、ケイルン殿の元に辿り着いた。 ええぃ!何度もファーガソンファーガソン言うから噛んでしまったではないか!
「ケイルン殿、突然の無礼お許しいただk「○○、○○にいるファーガソンの所に行こう」」 (!?)
「ん?失礼、何と申された?」
「も、申し訳ない。ファーガソン殿、無礼を承知でお頼み申します。 私を、騎士団に入団させては頂けないでしょうか?」ファーガソンめ、何か私に恨みでもあるのか?
「・・・ふむ、だが、見た所まだLv・・・ではない、経験も浅い様だな・・・仮に騎士団に入団できたとしても・・・そのままでは、死ぬ程、いや、死ぬやも知れんぞ?」
だが、そのような事で怯んでいては到底強くなる事など出来ないだろう
「それは困ります。 私は生きて生まれ故郷のハノブを守ると誓ったのです。 簡単には死にはしませぬ!」 ケイルン殿は、一瞬考える素振りを見せながらこう言った。
「・・・ふむ、一応、見所はありそうだな。 宜しい、入団を申請してみましょう。 逐って連絡をする。 それまで休むがいい。 長旅だったのだろう? あ、それと・・・」
ケイルン殿が何かを取り出した。 ・・・・紐?
「このベルトを差し上げよう。」
・・・・なにやら、便利そうなものを頂いてしまった。 とりあえずベルトに飴を10本差しておこう。 ん、ファンシーだ。
よく見ると、ケイルン殿の足下の周りに、なにやら私が今手に入れたものと同じものがゴロゴロ転がっている気がするが、多分布で補強でも試しているのだろう。
「! ああ、そうだ、それと〜・・・私 は ケ イ ル ン だ よ 。」
・・・どうやら気づかれてしまったようだ。発言を言い直した時に、「ファーガソン」と言ってしまった事を。
・・・・・ふぅ。 まぁ、恐らくは入団できることだろう。 これからは忙しくなるだろうな・・・
私は期待に胸を躍らせるとともに、まだ見ぬファーガソン卿への復讐の方法を胸に抱きながら床に着いた。

〜ケイルンを探して〜  (完)

716 名前: BD 投稿日: 2005/12/02(金) 06:50:03 [ KGXRqsiY ]
長い間時間を空けてしまった上、方向性を変えてしまいすいませんでしたm(__;)m

一応第三部からはシリアス(?)に戻す予定ですので、気長にお待ちして頂けましたら幸いです。
・・・ええ、徹夜のテンションで書いたので、誤字脱字、おかしな文法、その他ツッコミ等ありましたらお願いします。

717 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/02(金) 15:54:02 [ hNlLsBE2 ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六 >>645其の拾七 >>665其の十八
>>685其の拾九

六化仙 其の弐拾

人肉が焼ける独特の臭いと、死体から溢れる血が当たり一面を多い尽くしている。
世界の終わりを連想させるような光景。悪魔の食卓。
死体はどれも動かないが、人間と、人間に殺されたと思われる龍の死体が、
お互いに憎しみあい、怨みあった事だけは感じられる。
「これは、何だ、一体何だと言うのだっ。」
赤銅色の髪をした男と、杖を持った男の二人組みが殺戮の場を呆然と眺めていた。
憤怒を顕わにしていた赤銅の男が巨大な炎の塊に包まれ、巨大な龍へと姿を変える。
「これほど力を注ぐとは、一体何のためだろうか。」
杖を持った男が、哀れみと諦めを交えた声で呟く。
「皆殺しにしてくれようぞ、一人残らず、すべてを。」
龍が怒号を放ち、周りの空気が熱風で揺らぐ。龍の背中からたてがみの様な炎が噴出し、
周りの地面が熱で溶け出す。
「おーいもう一匹居たぞぉ。」
鎧を身につけた男が叫び声を上げる。その後ろには千は下らない軍勢。
「まだ居やがったのか、さっさと殺しちまおう。」
別の男が矢を放ち、少し遅れてから無数の矢が飛んでくる。
「屑どもがぁぁぁぁ。」
龍が叫び、奈落へと繋がる口腔を広げる。
次の瞬間、炎が広がり辺り一面を粛清して無へと返す、千の軍勢は骨すら残らなかった。
ただ、骨の変わりに奇妙なものが一つ地面にある。大きな石柱が焦土の中心で直立していた。
石柱の中心には何か赤いものが埋め込まれている。龍が爪で石柱を砕き、赤い何かを取り出す。
「まさに、神がお与えになったのだ。この血塗られた土のために使うことを、神はお許しになったのだ。」
龍が独り言のように話す。杖の男は黙ったまま、赤い宝石を見つめている。
「進化の秘宝で、神の力で、噛み砕けばいい人間を、焼き尽くせばいい何時までも!」


どうもオアシスで出会った女は不思議だ。俺が役人を殺したのは知っているはず。
それなのに、こうして一緒に---女が召還したケルビーで---暖を取っている。
「本当に、砂漠の夜は冷えるな。」
「そうね。」
「なぁ、あんた俺が罪人だって事知ってるのか?」
「そりゃね。」
「いいのかよ?あんたも役人に捕まるぞ。」
「私が捕まえられそうなのを貴方が助けたのよ。」
「へ?」
女のペットの鼠が声を出さずに笑う。
「私、古都から逃げてきたのよ。色んな事情があって。でももう駄目ね。
ここまで追っ手が来てるんだから。」
中々込み入った事情がありそうだった。出来れば納得行くまで聞きたかったが、それは無理な話だった。
何故なら世の中には聞いてはいけない事があるし、それに彼女が鼠を枕にして寝てしまったからだ。

718 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:03:06 [ ds7/brAw ]
┌───────────────────┐
│           -残滓-            .│
│前スレ分                       .│
>>563-564 序章  『滓の目覚め』       │
>>755-756 第一章 『ほどけぬ雪』      .....│
>>923-926 第二章 『郷来』            │
│現行スレ分                     .│
>>220-222 第三章 『因果は巡る小車』   ...│
>>591-594 第四章 『契約開始』        │
└───────────────────┘
第五章 『補完』

一時は見惚けていたラケシスの表情に歪みが生じる。
とりあえず、殺める寸前にまで至った戦闘で高ぶった思考を鎮めた。
彼女は徐々に高度を落としてこの下界へ。
眼前に倒れたまま動かない狼、左前方で主人を前にしてか、顔を強張らせて動かない少女の二人の従者を尻目に飛来する。
こちらは後ずさる一手のみでひたすら考えをおくしかなかった。
鉄蛇は先の戦闘で使い切っているし、例えそれを超える武具が残っていたとしてもだ。片方の翼を折った追放天使ならいざ知らず。
その翼を完治させるどころか、増やしさえもして高位天使の身の上となった彼女に、通用するとは思えない。
やがて彼女は戦闘の擦過で荒れ果てた雪原を踏む事なく、まだ僅かに浮く。やや長身のこちらに背丈を揃える位置で下降を止めていた。

………向き合おうという事なのだろうか?見下すことも、見上げることもなく……私に、息子に対して。

それとも。

………所詮はただ使われるべき存在…か。

後退から思念へ、そして構えへ切り替えようと――そして彼女の顔が俯くのを確認した刹那。
微々たる翼の震え、ただそれだけで、距離を詰められた。零距離、こちらの胸に身体を預けるような特攻で後ろに吹き飛ばされている。
それ自体の衝撃はまるで軽い。攻撃というには程遠い代物だったが、背後に大木が見えた。腕を背に回されて完全にホールドされている為、身体を丸め、両膝を前にたてて、衝撃を吸収する体勢に入った。
倒した額に絢爛、雪と同じ色でなびく彼女の髪が触れる。…懐かしい匂いだ。しかしこれはもはや、遠い記憶の残滓であることは重々承知している。
体感からそろそろ激突すると判断し、大木を緩衝として蹴り飛ばす為に膝を据える。
が、きたるべき足裏の重みはない。地に足をつけている平常のような感覚が、ごつごつとした木の肌という感触の違いを持ってのみ、伝わってくる。速さを損なわず、衝撃のみを殺すこの業は自身の物ではない、彼女のものだろう。
さらにはこの豪雪からとても信じられないような温もりが、体を芯から癒していた。その正体、見れば眼前の相手の背から四方へ伸びている翼が、こちらを愛おしく包んでいる。
そしてその翼の主はこちらの胸部に顔を埋めたまま、動かない。吹雪く音すらも掻き消されたような錯覚を感じて、やがて耳に入った音は―――嗚咽。

「っ――ひ―――ぁ―――――」

彼女は、泣いていた。力強くしがみついてくるその体から、まるで幼子のような不安定な震えと鼓動を感じ取り、胸中に何だこれは、という疑念が広がっていた。

………何故、この、人を遥かに超越するはずの、この存在は―――――?

719 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:05:05 [ ds7/brAw ]
認識が揺らぐ。彼女は憎々しいほど絶対的な強さを持っていたはずだ。何者をもひれ伏させる、力さえも手にして。こんなに、こんなに――――
弱いわけがない。ありえない。
疑念は最高潮に達し、ラケシスを、自身が持つ母の記憶の想起へと誘った。

………父が亡くなったあの日以来……か、母を見るのは。

物心ついたときからバリアートに住を構える平和な一家だった。
私が生まれた時には既に六十もの歳で、かなり高齢であった父に対して、母は大人びた風貌の中に、何処か幼い面を残していた。知る限りいつまでも。
というのは決して母が私に歳を教える事はなかったからであるが、母の容姿は父が八十で亡くなって別れるまで共に過ごした二十年間、本当に衰えを見せなかった。
その奇怪さから一時期、近隣の認識に邪悪さが生じた事があった。まがい物に魂を売ったとか、彼女自身がまがい物であるとか。遂には母が幾多の冒険者が追い求める『赤い石』を所持しているのではないか?という噂まで立ったほどだ。
父に聞いても、『かかかかか!まさに才色兼備の化身ってやつだろ?美の神様仏様だ。周りが羨むのも無理はねぇよ、うけけけけけ!』等と奇声を上げるばかりで、ねじが緩んでそうな頭を一発殴って仕方なく噂は噂でしかない、と割り切った。
やがて歳月の経過で近隣にもようやく溶けこんで消えようとしていた邪推、気にしないでおこうと、忘れようとしていた母の謎。

かくしてその闇は露見した。

契機となったのは他ならぬ父の死、医者の判断は寿命。塞ぎ込んでいるであろう母の代わり。事後処理で父の部屋の遺物を纏めている際、どこからともなく転げ落ちてきた分厚い本。
薄汚れて古めかしい感じのカバーに対し、開いたページには汚れはなく、真っ白。他のページを開こうとして、指に引っかかるものがあった。これは、

「水晶…」

開かれたページには半透明の散りばめられた欠片が幾つも埋まっていて、窓から差し込んでいる月の青白い明かりを吸っていく。

「!」

突如、本が生を得たかのように振動した。
と、無意識に声が漏れ、手が反射的に本を離す。落下した本は止むことなく胎動を続けたままだ。
気を取り直して上から覗いてみれば、溜め込まれた青を帯びる光が所狭しと波を打って文字列を形成していた。
どこかで見覚えのある羅列パターン、それは、
           トリガー
……術式?光を鍵とする魔術式か!?

本の表面に穿たれていた水晶片はスマグで販売されているような補強付加の宝石の類なのだろうと推測して――
視界が消し飛んだ。しばらくして、

『躍進の為!名誉ある"被検者"よ。ようこそいらっしゃいました』

突如、若い男性の声が脳裏に鋭く突き立った。

『さて堅苦しい敬語は一度っきりで用心願う。…幾度であろうと仕様関係はよく聞いておくがいい。当魔術式は"事象"を術式変換で情報化し記憶。五感に基づいて鮮明に具現、再生するという概要を果たす為に開発されたものである』
一拍。

720 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:06:29 [ ds7/brAw ]
『なお元より覚悟の上であるとは思うが現仕様はブルン暦4797年度のアップデート後のvar.0.870。試作段階である為、身体異常等の責任は一切とれないと宣言しておく!』
……今は確か4887年。相当古い…骨董品レベルだな……
…って……何?…異常!?認めない!?           ・ ・
『何か起きてしまってもその時は諦めてくれたまえ!なぁにまだ死亡例は出ていない。重症例が幾つかあるにしても数ヶ月寝込むくらいだ。後ろを向くな!ひたすら前進あるのみ!その為に選ばれた"被験者"なのだよ?』
その後すぐ、手を叩いた音がして、
『そうそう勿論忘れずに酔い止めは飲んでるね?確認事項はこれにて終わり、では始めよう』
……ま、待て、こらっーーー!
『はははそれは中断の意としては半端なものだね?単に心の準備が出来てないだけと判断しよう。ただの抗議や弱気は認めん。では良い旅を』
声が漸く途絶えた。実に長い奇怪な前置きで体があれば溜め息でもついていただろう。
こちらの意思を読み取って反応してくれるようだが、この滅茶苦茶な応対では意味をなさないのではないか。
父のねじが緩んだのもこんな物を作った変種と関わっていたからだったりしないだろうか…いや根本から…等と色々思ううち、現れた灯火の一点より闇が晴れて溶けていった。
灯火は円を描いて記憶を形成していく。まずは視覚、眼前にあるのは木彫りの大きな机、そして―――父と母が、机を境に向き合って立っている様子。
送れて聴覚、視覚を融和という形で形成した灯火は次にちりぢり火の粉に姿を変え、音を成す。

『―――!』

父と母の罵声。見せられている、というのが分かるのは、これが確かに己の知りえない事象であるからだ。
両親は夫婦喧嘩など無縁に思える程、仲睦まじく、双方の外見から見て取れる圧倒的な年齢差を乗り越えたとして『新時代のバカップル』と称された程。
そう呼ばれるようになった折、どこかの町の珍事で『告白されただぁ!?くそったれ!いい年こいた中年のロリ趣味男(独身・35歳)!少女(独身・5歳)を教会まで拉致して挙式!?』(見出し抜粋)
と通信記事が報じたが、まさか両親がこのような類ではないだろうな…と心底恐れたものだ。
修行で自分の不甲斐無さに声を荒げ始めた父を母は会釈一つ送るだけで怒りを消し飛ばし、破顔に変える。幾度救われた事か。
罠の生成中に火薬の量を間違え、屋根を吹き飛ばした時などは眉尻を垂れた、外見上は笑顔のまま、拳を握りしめて迫りくる母を、父は笑い飛ばし、なだめようとして私の代わりに殴られていた。凄惨な光景だった。
トラブルは少なくはなかったが、その後で一悶着起きる事など皆無、だった。
不意に、父の眼に焦点が合って驚愕した。馬鹿な!と意識上の声が出た。
父の眼は母を見ていない――否、見ることが出来ないでいた。

………眼に光が無い!?盲目だと?父が……

「何度も言わせないでデウス。貴方の眼がもう役目を果たせないというならこれは仕方ない事」
冷め切った母の声。全身が総じて毛立ったような錯覚を起こした。これは身内に向けて放つべき圧力ではない。敵意だ。
「約束だろーが。あいつには……ラケシスには、俺らの後は継がせねえって」
父は母の胸倉を掴み、そのまま地面へ押し倒す。二人は無抵抗に倒れ、床が軋む音が響いた。
「デウス・エクス・マキナの重荷は俺で終いだ。尽きたんだよ!"索眼"は!まだ固執してんのか?あの禍々しい石に!まだ満足できねえのか?お前はよぉ!」
彼は手を離し、彼女に殴りかかろうと右手を振り上げ…しかしゆっくりと力無く降ろした。
「残念ね」
感情的な口調とは対照的な母。
「"助教授"が生きてれば貴方の眼も何とかなったのでしょうけど」
「うるせえ」
吐息。
「あいつは俺がこの手で弔った」
「私が残り二人の"五導獅"率いる残党を殲滅したように、ね」

721 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:07:18 [ ds7/brAw ]
力量の違いを暗示した口調だ、とラケシスは思う。両親が身の上にどのような力量を隠しているか、何を殺し壊してきたかは知らないが、
「俺はやる気だぜ"セラフィ"。お前があいつに手ぇ出すってなら…」
バックステップ。一瞬で彼は彼女から距離を離し、背後の壁を軽く叩いた。その一部分の壁は上下に回転、両刃の短剣が滑るように床に突き立った。
即座に拾って構える父。彼はわざわざ順手から逆手に持ち直しいきなり、
「もうこんな眼はいらねぇ」
『な、何を!』「貴方!」
自分の声と母の声が重なり合う。
だが見るに耐えられず咄嗟に視覚を閉じた。想像したくもない何かが裂ける音と短い苦悶の後、
「ぐ、あがぁあ――――――!」
絶叫と聞き取れて、そこで聴覚も塞いだ。
十数秒後に恐る恐る閉じた感覚を戻す。
「は、はは…俺に勝ったら…お前が本当に、愛してやまない神様の手土産にでも持っていけよ……そこに置いた策眼の亡骸を」
「貴方は本当に……馬鹿だわ…そして惜しい……本当に惜しい人…」
『やめろ!』
『見るに耐えられないかね?』
悲痛な傍観者の叫びに呼応したのは本に秘められた人格だ。
『違う、そうじゃない!今すぐあの二人を止めてくれ!』
『二人と言われても私は見ているわけではないのでね。君の意志に基づいて、操作するようにできている。それにこれは単なる"記憶"で覆ることはない。実際にあった事で、もはや過ぎ去った過去。ここに記憶された事象を改竄した所で現実は変わらない』
その言葉で初めて、この"記憶"が意味するものを悟った。
『……父が死んだ要因は寿命などではない―――母が――父を殺したっ!?』
返答は無い。
「あばよセラフィ、愛しい俺の女房、いい女だったぜ、そして―――」
続きを告げ終わる前に、母のが屈みこんだ背に光の柱が突き立ち、遮った。
柱はしなやかに己を曲げ、四つに交差して分化する。次はまるで風を受けたカーテンのように広がり、四つの翼を形成した。
「最後に見られねえのが残念だな、赤石発見の功績で神から返上された智天使の4枚の翼ってやつをよ」
「そう、返上。この翼は元々私の物だった。でも…まだ足りないのよ……」
「……見られねえ代わりに聞かせてくれや」
父は左足を前に出した。
「人間と関わって"本当は"後悔してるのか?俺達との関わりは"本当は"無駄だと思ってるのか?」
「その答えは変わらないわ」
即答。ここで初めて彼女は笑った。
「そうかよ、ならもういい、愛してたぜくそったれ!」
返す笑みで父も応じた。
父は二歩目を踏むと同時に姿を消し、母は四方の翼で自分を覆った。
そこで形成されていた視覚が燃えていく。それは記憶の終わりを指していた。
『待てよ!!』
『ここまでだ。記憶された内容次第だが得られた物はどうだったかね?被験者』
崩壊していく。
『なんで…殺したんだ…?』
『なぁ母さん……分からねえよ……足りない!?俺達の今までを、親父を犠牲にしてでも補わなければならないものなんてあるのかよ…』
そして残像の父。
『くそっ……くそ親父がっ!!勝手に俺の知らない所で!勝手に話進めて!勝手に死んでるんじゃねぇよ!!!』
目覚めきらぬ、そして猛り狂ったラケシスの意思は咆哮していた。

722 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:15:34 [ ds7/brAw ]
時間のある時の息抜きにちまちまと。
文の後半は勢いで書いたのでおかしい部分が多々見られるかもしれません。

723 名前: LB 投稿日: 2005/12/03(土) 00:24:36 [ ds7/brAw ]
誤字発見
>>721
23行目 続きを告げ終わる前に、母のが ×
    続きを告げ終わる前に、母が  ○

724 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/03(土) 02:18:31 [ lUTbqIjo ]
 ・・・近頃、かどうかは分からないのだが・・・何か、肩よってはいないかね?




   R機関推奨作品 『司王女の九節根』(打撃文庫より抜粋)


 ――というわけで、神の名を持つ双剣の若者は旧支配者の少女を
何とか帰らずの森から連れ出す事に成功しました。

この時期、古都では地震が起きるは雷は落ちるは火事が起きるは
親父は出るはでかなり大騒ぎなわけですが、少女はそんなことは
気にもせずにペットの魔獣のお世話でもう大変です。

「いいことー? これから里に行くけど、あんまり人とかパクついちゃダメよー。
前歩いてるあの人をカプってやるのもダメ」

 双剣の若者は聞こえないフリをしてますが背すじゾクゾクです。
だって魔獣って、冗談通じないんだもん。




 *この作品は所謂「コピペ改変」であり、続きは期待しないよう願う。

725 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/04(日) 00:51:22 [ LVW/cCFA ]
>>694
「い、いや・・。ど、ど、どういたしまして。」
リリィのお礼に対して、しどろもどろに応えるオイラ。
いやだって、顔を上げたらいきなりだよ?
気になってる女の子が、今まで見たことの無い幸せそうな笑顔でこっちを見てるんだよ?
コレで動揺しない男がいたらそいつは、よっぽどのベテランか鈍感だよ。
「ギル、ギルってば!なにをそんな間抜けな顔をしてらしてるの?」
「っ!?な、なんでもないよ!」
いくらオイラが呆けているように見えても、間抜けはないよなぁ、間抜けは。
「さぁ、さっさとこの洞窟を抜けて古都に戻りませんと・・、きっとみんな心配していますわ。」
そういって元気よく歩き出したリリィ。
なんだか嬉しそうだけど、オイラ、リリィが喜ぶようなことはしていないと思うんだけど・・。
(まぁ、古都に戻ってから本人に直接聞けばいいか。)
そうしてオイラは、足取り軽く歩いていくリリィの後を追いかけていった。

ギルに右足の処置をしてもらってから1時間ほど歩き続け、ようやく洞窟の出口に着いたようです。
「ふぃー・・、やっと古都側に出れたよ。リリィ、足元気をつけてくれよ?」
「大丈夫ですわよ、このくらいの段差。よいしょ・・・、っと。」
かなりひどい捻挫だったのにも関わらず、私の右足はほとんど痛みを感じさせませんでした。
ギルって、暗殺だけじゃなくファーストエイドも得意なんですのね。
「はぁ・・。ほんとにとんでもない女の子だよな、リリィって・・。まさか、その足で洞窟にいた原始人を撃退してのけるなんて。」
「とんでもないって、どういう意味ですの!?とんでもないって!!」
ギルの失言に対して、真っ先に怒鳴りつける私。
むぅ、私ってギルからはそんな目で見られていたんですの?なんだか、腹が立つやら悲しいやら・・。
「そりゃ、誰だってそう思うよ。戦っても強いし、怒ると怖いし、・・・」
・・・・。あぁ、今ここで目の前にいるこのシーフを泣いて謝るまで懲らしめて差し上げましょうか?
えぇ、心を込めて懲らしめて差し上げましょう。
そうして私は今朝の一件以降、鞄に入れっぱなしだった杖を手に取り、大きく息を吸い込みました。
(ふふふ、あのジャックも泣いて謝ったとっておきを体感させて上げますわ・・。)
そうして正に私がウォークライを発動させようとした瞬間、
「それに・・、か、可愛いし・・。」
「へっ!?」
(可愛い?誰が誰に対して?ギルが私に対して可愛い・・・って、えぇぇぇぇぇぇ!!)
ギルの爆弾発言のおかげで、私の顔は今まで無い以上に赤く染まりました。
あぁもう、今日一日だけで私はどれだけこの男性にこのような反応を示しているのでしょう!?
「な、な、な、何を言ってるんですのギル!?そ、そんないきなり、か、か、可愛いだなんて!?」
顔を真っ赤に染めながらも、私はギルに食ってかかりました。ここで退いたら多分、私の勝ち目はありませんわ!
「べ、別にいいだろう!オイラが勝手に思っているだけなんだから。」
「そ れ に 問 題 が あ る ん で す の ! !」
ギルのまっすぐな反論を聞いて、私の頭はもう沸騰寸前でした。
そりゃギルに、か、可愛いと思われていても悪い気はしませんわよ。でも、こんな不意打ちをもらってしまったら・・。
「若イトハ良イイモノダナ。ダガ、ソレモココマデダ。」
そんな私達の口論を遮るかのように、あの隊長の声が聞こえてきました。
「て、てめぇはカルナバレク!?」
「ホゥ、名ヲ覚エテイテクレタカ。ナラバ私モ、貴様ラ二人トモ安心シテ黄泉路ノ案内人ノ前ニ送レヨウゾ。」
「い、今更私達になんのようですの?彼方が復讐したいのは私達ではないのでしょう!?」
そう、彼の目的である人物は私達ではないはず。ならばなぜ、再び私達の前に現れたのでしょう?
「言ッタ筈ダゾ、娘。貴様ラヲ殺スノハ、復讐ノ礎ダト・・。土台ガ出来テイナケレバ、家ハ建ツマイニ。」
「それは要するに・・・、オイラ達を殺すのは決定事項ってことだな。」
隊長を睨みつけながら、ギルは静かに言いました。
「安心シロ。黄泉路ヘノ案内、二人同時ニ仕ロウ。」
言い終わると同時に、体勢を低く構える隊長。吹きつける闘気が彼が一切の手を抜いていないということ伝えてきます。
「リリィ、下がって!!」
私の右足を心配して、私に退くよう言いつけるギル。でも・・、
「聞けませんわ、ギル。貴方一人にだけ任せられませんわ!」
愛用のクリスナーガに霧の魔術をかけ、戦闘態勢をととのえる私。
さぁ、最後の最後まで粘って見せますわよ!そう簡単に、殺されてたまるものですか!!

726 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/05(月) 17:10:12 [ LVW/cCFA ]
ageようか迷いましたが、とりあえずsegeで行きます^^;
>>BDさん
おぉ、前スレにあった作品ですね。
第1章とは違い、ギャグ色が満載ですね^^
さて、ファガーソンにはお世話になったけどケイルンにはまったくお世話になってないなぁ^^;

>>LBさん
うはぁ、いつ見ても文章の上手さに脱帽です・・。
ラケシスさんのお母さんは追放天使だったようですね。
しかも、無事にレッドーストーン回収を果たし翼の数が増えてらっしゃる・・・。
そんなとてつもない力を持った彼女が涙した理由とは?
続きを楽しみに待ってます。

727 名前: FAT 投稿日: 2005/12/05(月) 23:27:07 [ ZhWedjnw ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)|>>681-683(34)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)|>>698-702(35)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)|>>656-659(33)




「おい、何をしようとしている」
あたしは男の手首を掴んだ。その先にはあたしの銭袋が鷲掴みにされている。
「くっ!!」
逃げられないと悟った男は空いている右の拳で殴りかかってきた。首を横に振り、軽々か
わすと持っていた左手を捻り上げ、無防備な背中にお返しの一撃を見舞う。
「ぼぁげ」
気の抜けた声を洩らし、男は逝った。
街行く人々が男に注目し、悲鳴を上げた者もいた。あたしはスレイに引っ張られるように
そこから逃げた。

―――無念の結婚式から三日。ようやく港都市ブリッジヘッドに着いたと気を抜いた矢先
のことだ。

「放せって、スレイ。もう大丈夫だ」
あたしの腕を掴んでいた痩せた手がぱっと放れる。反動に尻餅をつきそうになった。
「マリス・・・お前、自分が何をしたのか分かっているのか?ここは街中だぞ?子供だっ
て見ていたじゃないか。あんなところで人を殺したりしたら、どうなるかくらいわかるだ
ろ!」
キツイ口調だがスレイの目は真っ直ぐにあたしを見ている。本気で叱ってくれていること
にあたしの冷えきった心が少しだけ温かさを取り戻す。
「・・・・そうだな、ごめん、スレイ。迷惑かけて。でも、あたしはもう自分を制御しき
れなくなっているんだ。だってさ、酷いだろう、あの司教!あたしたちは結婚式を挙げて
いただけなのに、二人の幸せを祝っていただけなのに!!
・・・・何もしてない、あたしたちは何も悪くない。なのに何故だ?何故あたしたちは虐
げられなきゃならないんだっ!!なぁっ!!スレイっ!!」
声が途中から怒鳴りに変わる。胸に溜まっていた怒りが、悔しさが抑えきれずにあたしの
自制心を破って飛び出す。

「ぐっ」
不意にあたしの口からうめき声が漏れる。次の瞬間、背中から激しい痛みが伝わる。
「マリス!!」
スレイがあたしの名を呼ぶ。しかし、意識が朦朧とし、曇ったようにしか耳に届かない。

「おい、よくもうちの若手を殺ってくれたな。この街で俺たちのギルドに手を出すのがど
ういう意味を成すのか、知らないとは言わせんぞ」


誰だ?

誰かいるのか?

もはや意識の糸は途切れる寸前だ。あたしの体は力なく石畳の上に落ち、指先さえ動かせ

なくなった。

728 名前: FAT 投稿日: 2005/12/05(月) 23:27:42 [ ZhWedjnw ]
スレイはマリスの背中に突き刺さっている二本のダガーを確認し、急いでそれらを抜き取
った。幸い傷は浅かったがマリスの状態を見る限り、毒が塗られているようだ。
「このぉ!!」
テリーナとアンメルがダガーの投者に斬りかかる。だが彼に触れようかというところで爆
発が起きた。爆炎の中心にいた二人の体は焼傷だらけになり、テリーナとアンメルは互い
に右方向と左方向に派手に吹き飛ばされた。

「貴様も仲間か。なら死ね」
いつの間にかスレイは背後を取られていた。男の冷たい言葉と冷たい刃物の感触が首に触
れ、動かされようとしたとき、男の腕の中からスレイが消えた。
「マリスの非礼は侘びる。この娘は今つらい思いをしているんだ。どうか見逃してはやっ
てくれないか?」
「もう一度言う。この街で俺たちのギルドに手を出すのがどういう意味を成すのか、知ら
ないとは言わせんぞ」

・・・・やるしかないのかっ!!

スレイは素早く狼に変身すると身を低く構え、男の出方を窺う。

「ほう。狼男か。お前の毛皮は高く売れそうだな」
男は顔を綻ばせ、軽くダガーを二本投げつける。
それを軽くいなすと次にまた二本のダガーが飛んでくる。弾くとまた、二本のダガーが飛
んでくる。

「いつまで持つかな?」
男のスピードが徐々に上がっていく。爪を振るうスレイもそのスピードに覚悟をきめる。

・・・・気を抜いたら畳み掛けるように数十本のダガーが突き刺さるだろう。しかも毒つ
きだ。弾くときもタイミングを誤り、かすり傷一つでもつけたらそれで終わり。なんとか
こちらから仕掛けなければ・・・・

意を決したスレイはいなした瞬間に体から魔力を放出し火炎玉を放つ。
「ふん、俺が魔法に弱いとでも思ったか?」
男が自信ありげに火の玉を受ける。その体に触れると火炎は何もなかったかのように消え
てしまった。

「ぐががががががっは」
火を完全に消し去ったはずなのに、男の体を劈くような痛みが襲った。炎に隠れ、奇襲し
たスレイの爪が無残に体を引き裂く。目にも留まらぬ速さで無数の傷をつけると男がぐし
ゃっと倒れる。スレイはポーションを男に振り掛けると、倒れたまま動かなくなったマリ
スの下へ駆けた。
「マリス、しっかりしろ!」
スレイの呼びかけに応えることなく、マリスの体はピクリとも動かない。スレイはバッグ
の中をかき出すが解毒剤の類のものは何一つない。
「マリー、冗談でしょう?目を覚ましてよ、マリー!」
爆発により全身を黒焦げにしたテリーナも駆け寄る。マリスの手を握り、懇願するように
悲痛な表情を浮かべる。そこには生前の面影が色濃く浮かび上がっている。
「とにかく病院に運ぼう。俺たちでは役不足だ」
マリスを抱き上げ、街の中心へと向きなおすと、スレイは我が目を疑う光景を目の当たり
にした。

「この街で俺たちのギルドに手を出すのがどういう意味を成すのか、知らないとは言わせ
んぞ」
リーダー格の男が冷たい目でスレイを見下す。その人物を囲むように十人ほどのシーフが
武器を構え、今にも襲いかからんと殺気立っている。
「待て、この男なら死んではいない!すぐにでも目を覚ますような軽傷だ!頼むから道を
開けてくれ!この娘が死んじまう!!」
「問答無用!!!」

・・・・ちくしょう!!!

スレイは牙を強く噛み合わせ、マリスを地面に下ろす。と、そのときマリスの足が力強く
地を捉えた。スレイの腕を離れるように、自らの意志を取り戻したマリスは目を閉じたま
まシーフの集団に両手を広げた。

729 名前: FAT 投稿日: 2005/12/05(月) 23:28:25 [ ZhWedjnw ]
「ありがとうスレイ、テリー。二人の声、届いたよ」
ようやくあたしの意識の糸がつながった。解毒の方法を以前、ハノブの鉄鋼山での修行で
習得しておいたのが役に立った。無意識でも体がその方法を覚えていた。
「はあぁぁぁぁっ!」
あたしは、解毒をしたのと同じ方法で気を体中から搾り出し、体外に放出する。毒ならば
全身、どこでもよいからとにかく放出するのが先決だが、今回は体外に放出した気を一点、
広げた両手の間に集中させる。大地を揺るがすような凄まじい轟音を立て、石畳がずれて
は砕け散る。溜まりきった気は、道を塞いでいるシーフたち目掛け一直線にあたしの下を
離れる。


・・・・・全てが、消え去った・・・・・


敷き詰められていた石畳も、古風な作りの家も、イヤリングや首飾りを飾っていた雑貨屋
も、手を繋ぎ楽しそうに歩いていた母子も、シーフの団体も・・・・・・

あたしは気を放った後で、自分がしたことの重大さを嫌でも思い知らされた。

賑やかな街の一角が一瞬にして消し飛び、その起点にはあたしが立っていた。
スレイもその力の前に、ただ唖然とするばかりである。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ちくしょうっっっっっっっっっっっっ!!!!」

あたしは逃げた。


報復にくるであろうシーフたちから。

命の灯を消された親子から。

自らの犯した罪から。



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

悲鳴と叫びの交錯する瓦礫の山の中で、あたしの喚き声が遠くなっていった。

730 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/05(月) 23:30:53 [ fKcNy516 ]
というところで夢から覚めた。

731 名前: FAT 投稿日: 2005/12/05(月) 23:37:33 [ ZhWedjnw ]
>>704-708さん方
わざわざレスつけて下さり、ありがとうございました。それでも気になって
検索してしまいましたorz
皆様の親切を無駄にしてしまいましたね・・・恥ずかしかったです。

>>710さん
そうですね、エロくなければあちらで厄介者に思われる可能性もあると
思いますし。こちらでも微エロくらいなら許容されるので、是非投下して
下さいませ。


感想はまた後日にゆっくりと書かせて頂きます。

732 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/06(火) 01:27:38 [ xX9cDkQI ]
>>南東方不勝さん
(*´∀`)アラステキ
古都に向かったハイランダー達はギルとリリィを探しに行ったジャック達は戦うことになるのでしょうか?
それともサキエルがハイランダー達を倒すのでしょうか?
そもそもギルとリリィは隊長に勝つことはできるのか?
などなど気になることが沢山ありますね。
続きが気になってしょうがないです

>>リリィ専用鋼の杖
なんて素晴らしい性能なんでしょう。夢のような一品ですね。要求値がキツイですが…
欲を言えば健康も上がればもっと良かったかなぁと。

>>iさん
>美幼女と野獣
(*´∀`)アラステキ
いい話ですねぇ、最初は「なんだこの狼! ま さ に 外 道 」とか思って読んでいましたが、
一狼がこのような行動にでたのも「人並みの家庭を持ちたい・自分の帰りを待つ人がほしい」といった
理由があったのだからしょうがないですよね。いや、普通はしょうがなくは無いかもしれませんが…
決して口にはしなくても人それぞれ(この場合は狼それぞれ?)夢はあるでしょうし、
ましてやその夢を実現するチャンスが訪れたのだから飛びつかずにはいられないですよね。
そんな不器用な一狼のもとに真奈が行ったのは、一狼にとってはこれ以上とない幸運でしたね。
それにしてもGEMGEM言ってたら社員が来るのは衝撃的でした。

>『はい。こう見えても、代表的な補助はだいたいマスターしてますし、エバキュ・コールもありますので』
>「 コ ー ル 」もありますので。
えぇ!!コール使ってぶーんちゅう達を呼び戻せば良かったんじゃ…
あ〜、でもぶーん達じゃ呼び戻したところで役には立たないかな…

>ケーキ氏のこと
もの凄く説得力のある文章ですな。
この文章は小説を書いているこのスレの皆さんにも当てはまるような気がしますね。
沢山の人々の支持を得る作品を書く人もいれば、一部の熱狂的なファンの支持を集める作品を作る人もいるでしょう。
現段階ではそんなに極端な感じになってはいませんけどね。
自分のように「ここが良かった、アレも良かった。次もこの調子で頑張って」といった感想書く人もいますし
(多分今まであんまり毒舌かましたことは無いと思うんですが、どうだったかな?)、
「ここはこうした方が良いんじゃないか?」という風に指摘してくださる方もいます。
いろんな意見を交わしながら職人さん達が納得のできる、楽しめる作品を書けるようなスレにしていきたいですね。
(現時点でそういった環境になっていないという意味では無く、さらにより良い環境にしたいという意味で受け取ってください)


「おい!とりあえず前スレを読み直せ!」という神のお告げがあったので
まとめサイトを見ていたら感想書く時間が無くなりました…orz
南東方不勝さん・iさん以外の方々に対しての感想は後日書くので、もう少々お待ちください。
本当なら前に消えちゃったヤツを思い出して書いちゃえばいいんですが、なんとなくそんな気分にはなれませんので、
本当に申し訳ないのですが時間をください(…なんか借金返済を迫られている人みたいな言い方ですね)。

733 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/06(火) 19:55:47 [ fKcNy516 ]
パソコンが北斗の炎に包まれる!!

734 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/08(木) 22:47:53 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
力を制御出来なかったのか、かなりの広範囲を巻き込んでしまったマリス嬢。
本来の優しい性格が災いして、復讐を果たす前に心が壊れてしまわないか心配です。

>>(*´∀`)アラステキさん
おぉ、おかえりです^^
この時期は皆さん、リアルが忙しいようですね。師走とはよく言ったものですね。
>健康が上がれば
そういえば、鋼の杖系って健康が上がるんでしたねorz
とりあえず、オーダーメイドであるが故の性能と思ってください^^;

735 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/10(土) 19:08:49 [ pwM25Fko ]
age

736 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/11(日) 11:54:48 [ LVW/cCFA ]
>>725
―――ギル&リリィ、隊長との遭遇する20分前、東バヘル交差点にて―――

「なぁ、皆。さっきの話、アンタらはどう思ってるん?ウチは、あの二人が直接の原因や無いと思うんやけど。」
アニーが、道中に耳にした情報についての話題をふってきた。
「デマ・・・と言いたいとこだが、場所が場所だ。あいつらと無関係とは思えんな。」
他の皆も、概ね俺と同じ意見のようだ。
東バヘル上流に向かう道中、俺達はある冒険者から興味深い情報をもらった。
今から遡る事2時間前、東バヘル上流のカルスト台地で激しい爆発音がしたらしい。
あいつらが練習試合(本当かどうか定かではないが)を行いに向かった場所で、だ。
「だが、ギルもリリス嬢もそのような技術を習得してはいないと自分は思っていたが・・。」
「そうね、ヒース。あなたの疑問はもっともだわ・・。」
ヒースとレナの言うとおり、あの二人はそんな豪快な技術を習得してはいない。
まぁ、リリィのウォークライならそれだけの破壊力が出せそうなものだが・・。
「となるとやはり、姉さん達は何らかの出来事に巻き込まれたということでしょうか?」
「少なくとも、あいつらはその爆発の直接の原因じゃねぇ。」
ゲイルの出した結論に俺はそう返した。今の状況じゃ、真実に近い結論なんか出るはずも無い。
「まぁ、現地に着けばおいおい分かるやろ。お、ようやっと丸太台地が見えて・・・。」
アニーの言葉が止まる。
「どうした、アニー?」
「ヒース、匂いがするんや・・。煙と血の匂いが・・・!」
確かにアニーの言うとおり、台地から僅かに煙が昇っているのが分かる。
「どうするのウルフェン?私達の目的は、ギル達を探すことだけど・・。」
「そんなことを聞くのは無駄ですよ、レナさん。」
レナの質問に答える前に、ゲイルが言った。流石に付き合いが長いから、聞くまでも無いってか。
「行くぞ・・、どうせ通り道だ。」
「あなたって、意外とお人よしね。」
そんなレナの意外そうな声を聞きながら、俺達はバヘル台地に走っていった。

「・・・!?これは・・、なんという・・・。」
ヒースを始め俺達は、目の前に光景に絶句した。
俺達が台地に着いた時に目にしたものは、正に地獄絵図だった。
赤々と燃える丸太の山、散乱する樵達の死体(最後まで抵抗したのだろう、右手にはしっかりと斧を握っている)。中には原形を止めず、潰れたトマトのように中のものをぶちまけている死体もある。
自分たちのテリトリーに入った侵入者を排除するために挑み、返り討ちにあった木人と狩人の亡骸。
そして、未だ鳴り止まぬ狩るものと狩られるもの叫び。
『殺セ、殺セ、殺セェェェェェェ!!我ラガ道ヲ阻ムモノ全テヲ!!!』
『ひぃっ・・・!た、助け・・・ぐぎゃぁぁぁぁ』
プシュッ、そんな音が聞こえたかのように思えた。
あまりの出来事に呆然と立ち尽くす俺達の前に、殺戮者(ハイランダー)が現れた。
「標的(ターゲット)・・・確認(エンター)、指令(オーダー)・・・・殲滅(デリート)。」
無機質な言葉を口にしたかと思うと、そいつは俺達におどりかかってきた。

737 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:18:14 [ //WAYcig ]
槍の刃こぼれを見つけては、磨ぎ石で鋭さを足していく。
弓の弦をはずし、しなりがしっかりとするように伸ばす。
どちらも、もう長い間使っている私の武器。
果たして、どれほどの敵を屠ってきたのだろうか。
だが。
「そろそろ、限界…ね」
また、新しい武器を買う必要がある。
金はある。
モンスターを倒したり、冒険者として依頼を受けたりして、それなりの蓄えはあるつもりだ。
さて、そろそろ出発しますか。
細かい道具をしまい、私は歩き出す。
歩くのは、岩山のうえ。
弓や槍を使う私には、狭い外道を歩いていると後れを取りやすい。
長き時を戦ってきた、私の結論だ。
この道も、何度か通った道だし、迷うことは無い。
山の中に聞こえてくる鳥の声を聞き流し、私は歩く。
だが、今日はその中にかすかに喧騒の音が混じっていた。
「なんだ?」
音の響き方からして、崖の下。
渓谷の道だろう。
私は急いで渓谷が見える位置まで移動し、何が起こっているかを確かめる。
そこには、車輪のはずれた馬車と、その周りで戦うものたちがいた。
あれは…オーガ!?
それも、5体はまだ動いている。
たしか、この近くにはオーガの集落があったはずだ。
しかし、この渓谷は彼らのテリトリーではなかったはず…。
オーガ相手に奮戦するも、馬車を守るように動く戦士達の動きは、やや鈍い。
…まずい。
このままでは、彼らは全滅してしまう。
私は急いで弓を取り出し、矢を番え、高速で打ち出す!

738 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:18:56 [ //WAYcig ]
弓から放たれた矢はヒュッと鋭い音を出し、狙いたがわずにオーガの肩に突き刺さる。
オーガは突然刺さった矢に驚いたようで、きょろきょろと周りを見渡し、私のことを探している。
私はそれにかまわず、矢を連続で射続ける。
何本かは外れたものの、その大多数が狙い通りの軌道を描き、オーガへ雨あられと突き刺さる。
「…っ!?」
高速射撃により2匹を倒したところで、私は矢を放つのをやめた。
街へ帰る途中だったこともあり、矢のストックは残り少ない。
「しょうがない」
私は弓をしまい槍を構えると、勢いよくがけ下へと駆け下りた。
そんな私に気づいた一匹が、私に向かって攻めてくる。
槍は、先の先を取る武器だ。
速さと間合いを生かさねばならない。
幸い相手はオーガ、動きはそれほど機敏ではない。
間合いを取り、素早く突き出し、引っ込める。
敵が攻撃してきたら、落ち着いて避けることに勤める。
「せい!」
気合とともに突き出した槍が、オーガの急所へと入る。
「─────!!?」
オーガが、悲鳴にも似た雄たけびを上げ、力いっぱい棍棒を振り回してきた。
私はそれをよけきれず、槍で受け止めた。
パキンッ!!
オーガの棍棒を受け止めた槍が、力を吸収しきれずに音を立てて折れる。
「あああぁぁぁぁ!!」
だが、今はそれが幸いした。
折れて軽く持ちやすくなった槍を構え、オーガめがけて投げ放つ!!
その槍は、オーガの口に入り脳天を砕き、後頭部へと貫通した。
さすがのオーガもこの一撃で力尽き、膝を折って倒れる。
後ろの戦士も、最後のオーガをちょうど倒したみたいだ。
「助かった」
彼は、私に向かって礼を言う。

739 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:19:44 [ //WAYcig ]
「別に、いいわ。ところで、この馬車壊れているようだけど?」
馬車の車輪は、一般に思われているよりかなり頑丈に作られているはずだ。
それが、外れている…普通では考えられないことだ。
「あぁ、ここへ付いたところで急に外れてな。応急処置で直そうとしたんだが…そこへオーガがやってきた」
彼も、車輪が外れたことが気になっているらしい。
ともあれ、ここで話していても車輪が直るものでもない。
「手伝うわ」
「助かる」
冒険は、助け合いだ。
他人の死を見捨てる冒険者は、長生きできない。
あの時出会ったビショップが教えてくれたことだ。
「あの…」
馬車の中から、一人の女性が出てきた。
一応剣は手にしているようだが、持ち方から素人であることは一目瞭然だ。
「あなたがこの馬車の持ち主?」
「…は、はい」
心なしか顔が青ざめ、肩も震えているように見える。
都会育ちの、お嬢様ってところか。
「あの、助けていただき、ありがとうございます」
頭を下げる彼女は、そのまま座り込んでしまった。
「あなた、運がいいわ。私が通りかからなかったら、あなたは殺されていたかもね」
実際、馬の従者と思われる死体が、オーガとともに道端に転がっている。
剣を持っているところからして、オーガと戦ったのだろう。
私は彼の目を閉じて、小さく黙祷をささげる。
「さて、早く移動しましょ。こいつらだけとは限らないものね」
私の提案に、戦士の男もうなずく。
こんなに血の匂いがするのだ、どこぞのモンスターが襲ってきてもおかしくは無い。
「あぁ、さっさと馬車を直してしまおう」
「…あなた、正気? この馬車は捨てていくしかないわ」
「そうしたいところだが、そういうわけにも行かないんだ」

740 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:20:14 [ //WAYcig ]
「…そう」
ひそかにため息をつき、私は頷いた。
人には、譲れないものがあるのだ。
この馬車には、それほどに大切なものが入っているのかもしれない。
「でも、直すって…あなた、器用ね」
そうでもないさ。
彼はそう言って、馬車の中から道具を取り出した。
てきぱきと作業する姿を尻目に、私はあたりの警戒をする。
残りの矢は少ないが、一応弓を構える。
現れないで欲しい…。
そう、誰もが願うのだが、現実は厳しいらしい。
私の足元に、一本の矢が突き刺さる!
矢の刺さった角度を確認し、すぐさま敵のいるだろう場所へ弓を向ける。
あれは…エルフ!?
「敵よ、気をつけて!」
私の声より早く、戦士は動いていた。
修理道具をすてて、己の剣と盾を手に取りあたりを警戒していた。
私は、仲間に敵の方角を教えることも含めて、エルフへと矢を放つ。
だが。
「はずした…」
動きの素早いエルフは、そう簡単に当たってはくれない。
やつらは、遠方から矢を放ってこちらをけん制してくる。
「任せろ」
戦士の男はそう言うと、私の前に立って飛んでくる矢を盾で、剣で落としていく。
もう矢を惜しんでいる場合ではないと判断。
残りの矢筒を取り出し、矢を打ち出す!
何本かは当たるのだが、距離が遠いのと残りの矢が少なく集中できないこともあり、なかなか致命傷にはならない。
そして、悪循環を示すように、残りの矢がなくなった。
私は舌打ちをする。
槍は折れ、矢もなし…万事休すだ。

741 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:20:47 [ //WAYcig ]
不思議と湧き上がってくるおかしさに、私は口元をゆるめた。
あぁ、そうだ。
私だって、いままでいくつもの命を奪ってきた。
自分の番が回ってきただけじゃないか。
「ごめんなさい、打ち止めだわ」
「…そうか」
私と彼は、同時に覚悟を決めた。
もはや、ここまでだ。
「お嬢様、すみません。俺がふがいないばっかりに…」
馬車の陰に隠れ矢の射線から外れているだろう彼女に、彼はつぶやく。
「あ…あ…」
そして、話しかけられた当の本人は、恐怖に声も出ない様子だ。
「あなたも、運が無いわね」
「はは、そうでもないかもしれないが…まぁいい。ところで、あんた」
「なに?」
「お嬢様のことを…いや、俺の嫁のことをよろしく頼む」
そう告げると、彼は盾を眼前に構えて気合一線、エルフへ向かって駆けていった。
ちょ…死ぬ気!?
遠くから矢を射掛けてきていたエルフ達も、戦士がかけて来るのを見て矢を打つのをやめ、剣を構えだした。
でも、あれじゃ多勢に無勢だわ。
「…あんた、いつまでそこで震えている気! 彼が、あなたの夫が、あなたを守るために、必死になって戦っているのよ!」
私は、ついかっとなって、馬車の陰に隠れている彼女に怒鳴りつけた。
よみがえるのは、いつかの思い出。
最後、笑って私に手を振る彼の笑顔。
「彼は、死ぬかもしれないのよ!」
「あ…あぁ…」
彼女は、はじかれたように馬車の中へともぐりこんだ。
私は苦虫を噛んだ。
彼女は、彼ではなく逃げることを望んだ。
自分の身の安全を望んだのだ!

742 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:21:10 [ //WAYcig ]
言ってやりたいことが山ほどある。
私の過去も、経験も、何もかもを!
…だけど、私にできるのはここまで。
私が脅して連れ出したとしても、彼女が見るのは彼の死ぬ姿かもしれないのだ。
それを強制するわけにはいかない。
私は、弓を手に取り駆けようとした。
たとえ弓だけになっても、戦うすべはある。
「まって!」
だが、私がかけようとする前に、馬車の中に入った彼女に止められた。
「これを…これを使って!」
渡されたのは、一つの矢筒。
中には、数本の矢が入っているのみ。
雀の涙ほどしかないこの矢。
でも、ここには彼女の勇気がこめられている。
「ありがとう、使わせてもらうわ」
私は駆けつける準備をしつつ、弓に矢を番え、打ち放つ!
打ち出した矢は、駆ける戦士の背を追い越し、先にエルフへと飛び込む。
戦士へと注意がいっていたエルフ達は、こちらからの攻撃にまるで注意が向いていなかった。
第一矢が突き刺さると同時に、あとから撃った矢が次々と刺さり、エルフの一体が倒れる。
「@:●@×!?」
私は、続けてある限りの矢を打ち尽くすように連続でエルフ達に向かって矢を打ち放つ。
こちらが完全に矢が切れたと思い込んでいたエルフ達は、慌てて数匹が弓を構えた。
だが、こちらはすでに構えている。
彼らの邪魔をするかのように私は矢をばら撒く。
そして、私は矢を打ちながらも奇妙なことに気づいた。
矢が…なくならないのだ。
チラッと見ただけだが、20本も入ってはいなかったはずだ。
だが、どういうことだろう。
私は、すでに30本は矢を穿っている。
「そ、その矢は無限に増殖します! お願いです、彼を、彼を助けて!」

743 名前: 復讐の女神〜交差する道〜 投稿日: 2005/12/13(火) 22:21:47 [ //WAYcig ]
涙交じりの声に、私は一つ頷く。
聞いたことがある。
───減ることの無い、矢があると。
だが、思考は一瞬。
体勢を立て直したエルフが、こちらへ矢を射掛けてきた。
だが、そこへ戦士の彼が接敵する。
エルフ達は、明らかに戸惑っている様子だ。
今しかない!
私は彼女の言葉を信じ、止まることなく矢を放ち続ける。
戦場において、戸惑いは死を招く。
その言葉通り、私は慌てふためくエルフ達をしとめていく。
数本の矢が私めがけて放たれるが、あんな体勢と心構えで打つ矢が当たるはずがない!

「本当に、いいの?」
馬車の修理を終えた彼らは、私に先の矢筒を渡してきた。
この、魔法の無限矢…そう簡単に、手に入るはずが無い。
「いいんです、もらってくださいな」
そう断言され、私は苦笑して頷いた。
あの後、私達は無事にエルフ達を倒しきった。
いや、数匹は逃がしてしまったが、もはや襲っては来ないだろう。
「ふふ、いい笑顔ができるじゃないの」
腕に包帯を巻いて、しかし傍らに大切な人を従える彼は、照れくさそうに笑う。
「この槍も、大切に使うわ。また会いましょう」
「えぇ、ご来店をお待ちしております!」
彼らは、これから新しい人生を歩む。
私とは、まったく違った道を。
でも、どこかで交差するかもしれない。
又、会おう。
再開の挨拶は、いつかきっと。
私達は、互いの道を歩き出した。

744 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/15(木) 20:40:53 [ QS1Cbi/M ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六 >>645其の拾七 >>665其の十八
>>685其の拾九 >>717其の弐拾

何だか顔に圧力が掛かってる。息苦しい。手で顔の上にある何かをつまむ。
薄汚い色をした鼠が二匹、ヒヒヒヒといういやらしい笑い声を上げている。
「あぁ、お前らかぁ。」
ニタニタ笑う二匹の鼠を放り出して、オアシスの水で顔を洗う。生ぬるい水だが文句は言えない。
顔に付いた水を手で拭ってから馬の方へ振り向くと、謎の女が馬の首を撫でながら微笑を浮かべている。
「随分と遅いお目覚めね。」
開口一番、嫌味を言われてしまう。どうも手に負えないじゃじゃ馬だ。
「あんたは早いんだな。」
生あくびを噛締めながら言う。
「そうねぇ。」
「ところであんた、名前はなんていうんだ?」
「ヨーコよ、あなたは?」
「ポールだ。ポール・マッカートニー。」
「ふぅん、変な名前ね。」
いきなり変な名前は無いだろう。何だかこの女に言われると傷つくのだ。
たぶん、この女から上品な雰囲気と、人の上に立つ者のオーラが出てるからだろう。
「あなたこれからどうするの?私は古都に行くけども。」
「奇遇だな。俺も古都に行くんだが。まぁ他に逃げ場も無いしな。」
ふぅん、と女が相槌を打ち、ケルビーに乗って古都へと、自分も馬に乗ってそれに並ぶ。

三日して古都に辿り着く、道中に危険は無く、時間だけが掛かったが、検問が一回も無いのはおかしい気がする。
とりあえず冒険者の集まる安い宿へ行き、とりあえず寝る場所だけは確保する。
それから中身の少ない財布から宿代を確保し、残りを確認する。ちなみに女は別の部屋に泊まった。
残り僅かな財布の中身は7524ゴールド、ほとんど何も持たずに家から逃げてきたので悲しいほどに少ない。
宿と一緒になってる酒場へ行って、すぐさま酒を注文する。
「おやじぉ、スクリュードライバー作ってくれ。それとコボルトの尻尾を少し。」
「へぇ、だんな」
店のオヤジが三回うなずいてから調理場へと姿を消す、怒鳴り声と罵声が絶えない店で、
しかも店で演奏しているロックバンドがさらに騒がしさを助長している。まるで野良犬収容所だ。
カウンターに置かれたスクリュードライバーとコボルトの尻尾を食べながら店を見回す。本当に騒がしい店だ。
「おやじ、かなり騒がしいけども何とかなんないのか?」
「えぇ、まぁ、何とも、ちょっとねぇ。」
「あのバンドだけでも止めさせろよ、うるさくてうるさくて。」
「それはダメですよ。バンドの演奏がとまったが最後、喧嘩で店が壊れちまいますよ。」
「わかった、もういい。」
何なんだここは、変な場所だ。
その変な場所が急に静かになる。5人組の兵士やってきたからだ。
兵士が俺の隣のカウンターに順番に座る。店のオヤジが黙って兵士達に酒を出す。
「お前、新顔だな?」
隣に座った兵士が話しかけてくる。
「ええ。」
何となく腹が立ったので一言だけの返事をする。それが兵士の癇に障ったらしい。すこし表情を変える。
「まぁ、いいと所だからゆっくりしてけや。」
そう言って兵士がタバコを吸いだす、下卑た話をしている兵士を眺めていると、急に手に痛みが走る。
「ああ、わりぃわりぃ、灰皿と間違えちまったわ。」
手にタバコを押し付けている兵士が言い、他の兵士達が笑い声を上げる。
「大丈夫ですよ。気にしないで下さい。」
微笑を浮かべながら兵士に言う。それから中指と人差し指を兵士の鼻の穴に突き刺し、
爪を立てて猛烈な勢いで腕を振り下ろす。
「って、てめえ!何しやがる。」
兵士が血まみれの鼻を押さえながらわめく。他の兵士が一斉に立ち上がり、俺を睨む。
「黙れ!ゴミが!」
手に持っていたグラスを兵士の顔に叩きつける。ガラスが飛び散り、兵士の顔が朱に染まる。
「やっちまえ!」
他の兵士達が刀を抜いて襲い掛かってくる。脳天に振り下ろされる刀を避け、
椅子を持ち上げて顔を殴る。それから倒れた兵士の顔を踏みつけ、奥にいた兵士もついでに殴る。
さらに奥にいた兵士が剣を振り上げている。その剣を椅子の足で上手く受け止め、椅子を捻って剣を弾き飛ばす。
もう一人兵士が居たはずなので、店を見回すと少し離れた所で冒険者に殴られている兵士を見つけた。
それから倒れている兵士達の頭を、順番に蹴飛ばして店を出る。本当に変な店だった。

745 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/15(木) 20:42:04 [ QS1Cbi/M ]
何だかスランプでした。まぁいいか
他の職人様には申し訳ないですが、たまりに溜まった感想は
○ございません



もう少し待ってくださいorz

746 名前: サマナの人 投稿日: 2005/12/17(土) 00:10:43 [ b6Gnz/6I ]
最近はレポート等で忙しく、まとまって書ける暇がありません……
冬休みに望みを賭けるかなぁ?

747 名前: FAT 投稿日: 2005/12/17(土) 10:57:08 [ UoZUpFXA ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)|>>681-683(34)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)|>>698-702(35)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)|>>727-729(36)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)|>>656-659(33)




大規模な復旧作業が行われている。せっせとブロックを運び、地面に埋め込んだり、瓦礫
をどこかへ運び出したりと、あまりよい意味ではないが活気付いている。街の大通りが寸
断されるように抉られ、その威力の大きさを物語っている。

「なにがあったのかしら?」
その光景を眺めながら、露店で買ったクッキーを頬張る。ほのかな苦味のあるココアクッ
キーだ。
「さぁ?シーフギルドの抗争かなんかだろう。・・・それにしても酷いな。見ろよ、何軒か
家まで潰されてるぜ。こんな街じゃ安心して暮らせないだろうに」
ジョーイは哀れむように瓦礫と化した家々を指差す。
「ほんとね、シーフギルドなんて野蛮なもの、無くしてしまえばいいのに」
「まぁ、そうしたらこの街が機能しなくなっちまうんだろう。全く、でか過ぎる組織って
のは厄介なもんだな。ところでフラン、あんまりシーフギルドの悪口は言わないほうが身
のためだぜ。どこで聞き耳立ててるか分かったもんじゃないからな」


私たちは今日の宿をとり、ブリッジヘッドの街を再び散歩に出かけた。なるほど、注意し
て見ればどこの店にも「〜ギルド認定」だの「〜ギルド直営」だのという文句が掲げられ
ている。シーフギルドがなくなれば、店を営む人々の生活に支障をきたしてしまいそうだ。

ぷらぷらと歩き回っている間中、私は何度も何度もジョーイの顔をちらちらと見た。今、
二人きりで歩いていることに、ジョーイはどんな気持ちでいるのだろう。

タカさんと別れてから、二人きりで三晩ほど夜を過ごしたが別々のテントで寝泊りしてい
たため特に進展するようなことはなかった。しかし、私の中でジョーイの存在はこれ以上
ないほどに大きく膨らみ、今にもはち切れそうである。
歩幅を合わし、二人三脚のように同じタイミングで地面を踏みしめる。そんな小さな遊び
を独り楽しみながら、私の横に振られている太い腕に飛びつきたいという衝動を抑え、ジ
ョーイの表情を窺う。何度か目が合うが特に気にする様子もなく、たわいもない話ばかり
がお互いの口からこぼれる。
何度目か互いの瞳が合うと、不意にジョーイが
「どうした?なにか欲しいのか?」
とまじまじと顔を覗き込んできた。
「ぇ?やだ、なんなのよ、いきなり」
「ん?だってさ、フランさっきから俺のほうちらちら見てるから、なにかおねだりしたい
のかなぁって」
途端に私の頬が赤らむ。と、同時に物乞いの眼差しと受け取られたことに多少の不満を抱
く。
「お生憎様、お金ならあなたより持ってますからご心配なく」
「ちぇ、なんだよ、せっかく何か買ってやろうと思ったのにさ。もういいよ」

・・・・私のばかっ!!

変に強がってしまい、ジョーイを不機嫌にさせてしまった。あぁ、もっと素直に甘えてお
けば・・・・・

748 名前: FAT 投稿日: 2005/12/17(土) 10:57:55 [ UoZUpFXA ]
「こらっ!あんたなにしてるんだい!!」
突如大声が上がる。果物売りの露店からだ。
「なにって、え?俺?」
「そうだよ、あんただよ、あんた。今、この籠からお金をくすねただろう。早くお返しっ!!」
茶色のウェスタンハットを深く被った男が慌てて弁解する。大分若そうな雰囲気で、茶色
のマントに白のジャケット、ダボダボの黒ズボン姿の彼はそのうちに店主と口論に発展し
た。
「っせーなババァ!俺はしらねぇっていってるだろう!!てめぇ、目はついてんのか?あ
ぁ!!」
「おい、お前はシーフギルドのものか?」
騒ぎ立てる男に、特徴のない市民風の男が近寄る。
「はぁ?んなもんしらねぇよ!この街のもんじゃないんでね」
「だろうな、消えろ」
突然のことに騒いでいた男は意表を突かれ、露店もろとも投げ飛ばされた。
「んだぁ、てめぇーー!!!」
「この街で俺たちのギルドに手を出すのがどういう意味を成すのか、知らないとは言わせ
んぞ」
「知るわけねーだろーーが!!!」
ウェスタンハットの男が腰から剣を抜くと一閃、シーフの身体を剣が通り抜けた。
「な・・・小僧」
シーフギルドの男が振り返ろうとした瞬間、彼の腹部から血が滴り落ちた。
「母さんの言いつけでね、殺しはしない。誰かこいつを運んでやりな」
勝ち誇った男にジョーイが興味津々と近付く。
「おいあんた、えらく強いじゃないか。俺とも手合わせ願いたいね」
「その眼帯・・・におうな。おっさん誰だい?」
「ジョーイ=ブレイズというものだ」
「・・・顧客リストにはなかったな。じゃ、ジム・モリのおっちゃんのもんか。いいぜ、
やろう。――――いくぞっ!!!」
それは大鉈のような刃をした剣である。超重量級の剣を軽々と振り、ジョーイを襲う。
対するジョーイの剣は両刃の一般的な大剣である。光のような速さで振り下ろされる剣は
眼帯の発する冷気により一瞬減速され、その間に大剣を滑り込ませ弾き返す。
「おお!一撃で決まらなかったのは初めてだ!やるなぁ、おっさん」
「そりゃどうも」

この男の剣速は異常だ。迂闊に剣先を逸らせたら弾く術はないだろう・・・・

真っ直ぐに相手の喉下に狙いを定め、突撃する。全重量を剣に乗せて最後の一歩を踏み込
み、貫く――――――

!!

「なぜだ!」
男は避けることもせず、ジョーイの全力の一撃によりその身体に穴が開いた。
「なぜって?おっさん魔法に対する知識が全くないみたいだね」
背後から声が掛かりビクッと体を震わす。
「ダミーだよ。高位の魔法使いならみんな使えるぜ?倒したと思って油断しちゃダメだ
ぜ?」
「・・・そうか、そういえばそんなことも出来るんだったな。いいよな、お前たちみたい
に魔法を使える奴は」
抵抗を諦め、剣を握っている手を離す。ガシャンという重々しい金属音が虚しく聞こえる。
「でもおっさんはいい線いってると思うよ!きぃ落とすなって!!あ、そだ、これ家の店
の紹介文。魔法に興味あるんなら行ってみてよ!これ持って、俺の名前出せばどんな道具
にも魔力を付加してもらえるからさ!!」
「魔力を付加?好きなものをか?そんなことが・・・」
「あ、いい忘れてたけど最低一千万Gは必要だから・・・・おっさん金あるか?」
「い、一千万!!あるわけないだろ!!」
「じゃ、溜まったらおいでよ。俺の母さんすっげー美人なんだぜ、それ拝むだけでもいい
からさ」

せわしなく去っていった男を唖然と見送り、手にした紙を読んでみる。
「あいつラスっていうのか・・・今回のことが終わったら行ってみるかな」
どうやら完全にジョーイの興味が乗ったらしい。独り呟くと身を翻す。そこに私が抱きつ
く。
「ちょ、え?フ、フラン・・・」
「ばかぁ、心配したんだからね・・・・」
私の目に涙が浮かぶ。ジョーイが背後を取られたとき、殺されてしまうのではないかと恐
ろしい考えが頭をよぎった。
「ありがとうな、心配してくれて・・・・」
くしゃっと私の頭を撫で回す。見上げると優しい青の瞳が眩しかった。

749 名前: FAT 投稿日: 2005/12/17(土) 10:59:14 [ UoZUpFXA ]
「ジョーイ、入ってもいい?」
ノックの後、恐る恐る声を掛けてみる。いつ返事があってもいいようにノブに手を掛けた
まま。
「ん?フランか?開いてるよ」
穏やかな声が返ってくると同時にノブを回し、さっと部屋に入る。彼はベッドに座りなが
ら眼帯を磨いていた。再び見た窪んだ眼孔に、何故か愛おしさを感じた。
「もう大丈夫なのか?」
いそいそと眼帯を目に当て、昼間の私を気遣ってくれる。
「ええ。・・・ちょっと、外に出ない?」
思いつめた私の顔を訝しげに見詰めながらもベッドから腰を上げ、部屋を後にする。

宿から出ると潮の匂いが新鮮だ。もうそろそろ梅雨に入ろうかという季節だが、まだ空は
澄み渡っていて幾千もの星々が暗黒の夜空に素敵なイルミネーションを醸し出している。

・・・・誘い出したものの、互いに一言も話さずにただ当てもなく歩きまわる。やがて海
に面した埠頭に足を投げ出し、腰掛けた。潮風によって冷やされた地面がひんやりと、火
照っている体の熱を下げた。

「あのね、ジョー」
話を切り出そうとした瞬間、真っ暗だった埠頭が光を灯したように明るくなった。驚いて
光源を仰ぎ見ると、巨大な月が遥か遠くのソゴム山脈から顔を出すところであった。きれ
いに半分になった月は、それでも充分なほどの光力をもたらしてくれる。その月を見て、
急にフプレのことが気になった。

半分に欠けた月・・・・

半分になってしまった私たち・・・・

今、あの子はどうしているんだろう。私を、許してくれるだろうか・・・


「やけにでっかい月だなぁ。おっこってきそうだ」
話を切り出し損ね、そのまま思いに耽っていた私に痺れを切らせたのか、ジョーイが口を
開く。私はジョーイを誘った目的を思い出し、再び体中を熱い血液が駆け巡る。
「あのね、ジョーイ・・・・」
逆光となり、彼の輪郭がぼやける。体は火照っているのに何故か手足の先は震え、冷たく
なっている。
「わ、わたし・・・」
震えているのは手足だけでなく声も同様だ。
喉が熱く、痛い。
何故か目が潤んできた。緊張が緊張を産み、私の全てがぎこちなく感じる。
時間が止まったかのように二人の動きを止める。埠頭に当たっては砕ける波の音が静寂を
かき消す。

「すぅ・・・・すきです!!」

勇気を振り絞ってでた言葉は自分でも思いがけないほど大きな声で、半ば叫びにも似たも
のだった。

言い切った瞬間、涙がとめどなく溢れてきた。

・・・・好きな人に、気持ちを伝えることって、こんなにも難しいことなんだ・・・・

私は自分の経験のなさを、表現の下手さを悔やんだ。もっとこの熱い思いを言葉で伝えた
い。私の思っていることの全てを伝えたい――――

750 名前: FAT 投稿日: 2005/12/17(土) 10:59:42 [ UoZUpFXA ]
そのとき、突然ジョーイの太い腕が私の背中に回され、無理やり胸の中に押し込まれた。
息が出来ないほどに強く抱きしめるジョーイに、私の喜びは頂点に達した。

「ごめん・・・ごめんよ・・・フラン・・・・」

彼の腕の中で、その矛盾した言葉を聴いた瞬間、全身から力が抜けていくのがはっきりと
分かった。

「ごめん・・・おれ・・・だめ・・なん・・だ・・・・。ごめんよぉぉぉぉぉ」

ポツリ、ポツリと雫が髪にたれる。

・・・・泣いて・・・いるの?

意外なジョーイの涙に、ふられたショックも忘れ、ただただ茫然と雫の滴る感触を頭のて
っぺんに受ける。熱い涙と対照的に、潮風に冷やされた私の髪がしめやかに濡れる。髪を
伝いその雫が胸に滑り込むと、私の中で何かがはじけた。

彼の流す熱い涙は、私から彼に対する恋愛感情と言うものも押し流していった。

何故だかは分からない。

ただ、その涙に、私への感情は一寸もこもっていなかったということだけを感じ取った。




悲しくはない。


・・・・初めて、恋ができたから。

ドキドキしたよ、すごく、すごくドキドキした。

初めての胸の高鳴り。

高揚。

・・・・・告白・・・・・


どれも、ジョーイがいなかったらできなかった。

・・・・・・ありがとう。

あなたは、わたしのかけがえのない大切なひと。

大切な・・・・ともだち。


涙の理由も聴けず、空が白むまで彼は泣き続けた。
天が赤く染まり、ソゴム山脈から今度は丸い太陽が姿を現した。ジョーイの目元も太陽と
同じくらい真っ赤に染まっていた。




「おかみさん、それって確か?」
痩せぎすな宿主に真偽を問う。
「ええ、現場に居合わせたアウグスタの司教様が確かにそうおっしゃいました。「あの一団
には悪魔が憑いている」と」
私は頭を抱え込み考える。おそらくその一団とはマリスたちのことだろう。「四人組」「背
の低い武道服姿の女性」というキーワードからも彼女たち以外考えられない。

街の惨劇を見れば彼女がどれほど危険な人物なのかは一目瞭然だ。先を行っているはずの
フプレたちと再び遭遇するのも時間の問題だろう。

フプレが危ない――――

私はまだ、謝っていない、まだ、許してもらっていない。

「ジョーイ!もたもたしないで!なんとしてでも、フプレたちに追いつきましょう!!」
はきはきとした口調にジョーイは安堵の笑みを漏らす。
「よぉうし、荷物は最小限。他はもう要らないよな?」
うん。と頷き宿を後にする。

・・・・待っててね、フプレっ!!!!

勢いよく駆け出した私たちは、何か大切なことを忘れていることに気がつけなかった。

751 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/18(日) 19:23:53 [ QS1Cbi/M ]
>>254其の壱 >>276其の弐 >>305其の参 >>334其の四 >>425其の五
>>447其の六 >>473其の七 >>494其の八 >>506其の九 >>529其の十
>>538其の拾壱 >>561其の拾弐 >>570其の拾参 >>588其の拾四
>>596其の拾五 >>616其の拾六 >>645其の拾七 >>665其の十八
>>685其の拾九 >>717其の弐拾 >>744其の二十一

其の弐拾弐 パート1

酒を飲んでいたのに酔っ払いと兵士が喧嘩して騒がしくなってしまった。
兵士達に捕まえる前に一杯やろうと思っていたのに、まったくネグルフシも面倒な役を俺に押し付けたもんだ。
とりあえず牢屋にぶち込まれるために何かしなければいけない、が何をして捕まればいいのかよくわからない。
この際面倒だから貴族の館でもぶち壊してしまおうか、それとも軍事施設に乗り込むか。
結局、貴族の屋敷に襲撃を掛けることに決めた。もしかすれば倉庫で酒にありつけるかもしれないからだ。
近くにあった貴族の屋敷の屋根に上り、一部を切り取って屋根裏にもぐりこむ。
丁度よく忍び込んだ場所が調理場だ。冷蔵庫からワインとつまみのチーズを拝借して屋根裏へ戻る。
酒を飲んでスッキリしたので仕事に取り掛かる。そういえば牢屋送りになるには暴れなければいけないが、
暴れるための武器を持ってきていない。ゴーファの希望と曲りくねった短剣は、牢屋に入ると没収されるのでネグルフシに預けてしまっている。
さてさてさてさて、と思考がこだまする。一体どうしたものだろう。チーズを食いながら考えていると名案を思いついた。
貴族の屋敷から一つ拝借してしまえばいいのだ。さっそく屋根裏を伝って武器庫と思われる場所へ向かう。
屋根裏の材質が木から鉄へと変わっている場所がある。おそらく武器庫だろう。右手に冷気の魔力を溜めて、
天井裏から徐々に武器庫と思われる部屋一面へと広げさせる。ある程度冷え切った所で左手の爪に熱気を宿し、
人が通れるくらいの円を、武器庫へと描く。ピシと音を立てて鉄にひびが入る。
さらに爪に土の魔力を宿し、ひび割れから魔力を浸透させ、鉄を腐食させる。
10分程度掛けて鉄を溶かし、そこから部屋へと入る。やはり武器庫だったようで、いろいろな剣が置いてある。
適当に剣を取ってみて見ると、それには名前が彫られている。
スティング ナマニ ニューロク
どこかで見かけたような気がする、が思い出せない。それを元に戻してもう一本手に取る。
やはり名前が刻まれている。
ジョン ナマニ ニューロク
ああ、思い出した。ネグルフシの苗字もニューロクだ。そうだ、って事はここは・・・・ネグルフシの家だろうか?

752 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/18(日) 19:25:37 [ QS1Cbi/M ]
パート2

おそらくそうだろう、ニューロクなんて苗字はなかなかお目にかかれない。
剣を元に戻して、部屋を見回すと頑丈そうな鍵を掛けられた扉を発見する。
何故だかわからないがその扉の奥にあるもが非常に気になる。扉に近づき、鍵をあける為に触ると一瞬痛みが手に走る。
手を放して鍵をよく見てみると、色々な魔法が掛けられている。
まず鍵穴だが、腕のいいシーフなら針が二本あれば簡単に開ける事の出来る単純な物だ、が
強力な呪文、しかも土属性の魔法だ。普通の金属や針では一秒も立たずに腐ってしまうだろう。
それとドアノブに絡み付いている鎖、合計3本の鎖だが、一つは強力な火属性、一つは強力な風属性
一つは強力な水属性、この三つで形成されている。火属性を解除すればおそらくはパワーバランスを崩し、
倉庫一面が水と風の複合魔法、おそらくは嵐か大渦で満たされるだろう。
水を解除した場合は、おそらくは火と風の呪文、爆風で全てがばらばらになってしまうだろう。
風を解除した場合は、水と火の力で蒸気が発生し、鍵穴に潜む毒の力が蒸気と一緒に充満するだろう。
随分と厄介な仕掛けだ。中にあるものはおそらく、強力な魔法具だろう。
危険だとは知りながらも、どうしても中身を拝みたい。
とりあえず耳につけていたクロスイヤリングを外し、それを空中に浮かべ封印の掛かった扉を覆うように、
巨大な魔法壁を作る。それから壁に掛かっている無数の剣の中から一本を手に取り。
それに魔力を充填する。それを空中に浮かべた後にもう一本取り出し。同じ作業を繰り返す。
さらに繰り返して。合計三本の魔法剣を作り出して空中に浮かべる。
身に着けていたマントを外し、それを二つに千切って両腕に巻きつける。これで準備は完了だ。
空中に浮かべていた魔法剣には火、水、風を解呪する魔力を込めてある。
同時にそれらを対応した鎖へと差し込む、が火属性だけタイミングが遅れ、魔法壁に衝撃が走る。
爆炎が魔法壁を突き破ろうとしている隙に、魔法剣を鎖へと突き刺す。少し遅れて爆炎が無くなる。
魔法壁を解除すると、クロスイヤリングが粉々に砕け散ってしまう、自分で作った物なので、壊れてしまうのは少し惜しい。
マントに包んだ両腕を駆使して、鍵穴を解除しようとするが、毒気が強くマントがすぐに腐ってしまう。

753 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/18(日) 19:25:59 [ QS1Cbi/M ]
パート3

いったん手を引っ込めてから別案を考える。随分と手荒な方法になってしまうが、やはりこれしかないだろう。
適当に剣を取り、それを無理やり扉に突き刺す。一本、二本と数を増やし、最終的に7本を突き刺す。
それぞれの剣に魔力をつぎ込む、全てが無の魔法だ。剣を媒体に鍵穴の魔力を吸い取る方法だ。
とりあえず一本目の剣に魔力を注ぎこみ、鍵穴の毒を吸い出して解除していく、それを順番に繰り返して、
七本全てに魔力を注ぎ込む。ある程度鍵穴の魔力を弱めた所で、針金を取り出して鍵を開ける。
カチリと音がして鍵が開く、鎖と鍵穴に気をつけながら扉を開き、奥の部屋へと入る。
中には鎧、剣、兜、マント、イヤリング、等等の戦闘具一式が揃っている。
近くにあった鎧の飾り棚へ近づき、よく眺めてみる。飾り棚にはネームプレートがあり。
ブリスククラマーと書いてある。飾り棚から取り出して着てみると、冷たい感覚が全身を包み込む。
重たいわけでもなく、軽いわけでもなく、「鎧を着けている」と感じるが動きやすい重量感が素晴らしい。
それから剣の飾り棚へと足を進める。これにもネームプレートがある。
名前はガイスターストック、手に取ると体にある感覚が走る。知覚できるものでは無い。
ただ自分がいつも感じいた感覚、この剣には濃密な、闇、いやそんな野暮ったい言葉では表せない宿命が染み付いているのだ。
1メートル程度の鞘から剣を抜き払うと、2メートル以上はある巨大な剣が姿を現す。
どこかぼやけている様な剣だが、そこからは圧倒的な存在感が感じられる。まさしく「死」そのものものだ。
ガイスターストックを鞘に戻してか、今度はイヤリングの陳列棚へと向かう。
名前はアンクイヤリングだ。柔和な色をしたイヤリングで、ガイスターストックとは対極の印象を受ける。
耳につけると一瞬で効果がわかった。薄暗かった部屋がはっきりと見え、魔力に消費した体力が戻ってきたのだ。
それからマントの陳列棚へ。名前はホーリストロールと書いてある。
見た目は地味だが身につけるとある効力がわかる。これはおそらく天使が使うものだろう。天使呪文を使用するときに必要な、
特殊な資質が増幅される感じがするのだ。
それから篭手の陳列棚へ。名前はフォームガード。手につけた心地は泡と言うべきだろうか。
体にある魔力の純度が高くなり、さらには生成効率も上がった気がする。ためしに魔法陣を描いてみたが、
純度、形成スピード、全てが装備前と段違いだ。そして首飾りの棚へ。
名前は夜明けの瞳と書いてある。その名前の理由もうなずける。首飾りについている水晶には、全てが入っているのだ、
希望、夢、その類、生まれた幻、夢幻の若さ、その全てが夜明けに現れる光として水晶に詰まっている。
そして、最後の棚、兜の棚だ。名前はアメジスティ。頭につけてみると、体が軽くなる。
理由はつけていた装備全てが消え去り、紫水晶に吸い込まれたからだ。その水晶に魔力を込めると、
再び身に着けていたものが現れる。ああ、何と素晴らしい品々だろうか、
おそらくは地上の権勢の全てをも満たしてくれるであろう、魔法具の数々、それが今、全て自分の掌にあるのだ。
感動に浸りながらも、仕事をこなすために貴族達が集まっている部屋へと向かう。
話し声の漏れ出している部屋を見つけ、その扉を蹴破って真ん中へと躍り出る。
適当にファイアーボールを打ち出して、害の出ない程度に壁を焦がす。
貴族達が叫び声を上げ、部屋から出て行く。少しすると兵士が現れ、俺はすぐに捕まった。

754 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/18(日) 19:32:14 [ QS1Cbi/M ]
調子に乗って書いていたら本文が長すぎましたorz

〜感想〜

>>FATさん
ちょっと悲しいお話ですね。これからの双子の行方はどうなるのでしょう?
武道家一行との決着はいかに?

>>サマナの人さん
レポート頑張ってください
ちなみに自分は数学の課題で死にそうです;

>>復讐の女神さん

>他人の死を見捨てる冒険者は、長生きできない。

感動しました。自分もこんな名台詞を書いてみたいです


>>南東方不勝さん
なにやら強いハイランダーたち、リリィとギルは一体どうなるんでしょうか?

>>アラステキさん
お帰りなさいませ どうか負担にならない程度に頑張ってください

755 名前: 南東方不敗 投稿日: 2005/12/18(日) 22:21:43 [ LVW/cCFA ]
>>戦士のようださん
偶然にもネグルフシさんの実家に忍び込んでしまった傭兵さん。
そこの武器庫で、数々のUを盗s(ry
もとい借りていったようですが、後々ネグルフシさん怒られなきゃいいですね。
あと、無事に古都に帰ってきたポールさんとヨーコ嬢。
果たして、傭兵さんと彼らはどのような状況で、どのような立場で出会うのでしょうか?
続きをお待ちしています。

>>復習の女神さん
どうもはじめまして^^
話の進みがうまくて、一気に読んでしまいました。
これからも頑張ってください。

>>FATさん
フラン嬢の初恋は残念な結果に終わってしまいましたね・・。
ジョーイが流した涙は、今は亡き恋人に対してのものでしょうか?
そして、いつかネクロ様と相対するときにその恋人をネクロ様が利用したりしませんよね?
また、マリー嬢達との出会いがまた近づいてきているようです・・。

>>サマナの人さん
レポート頑張ってください。
自分は、2月あたりから自動車の免許取得に忙しくなりそうです^^;

756 名前: 南東方不敗 投稿日: 2005/12/19(月) 00:08:22 [ LVW/cCFA ]
>>736
ブオンッッッ、ガキィィィ。

「ぐぅぅぅぅっっ!」
振り下ろされた巨大な斧をバトルアックスで受け止める。
流石に本来の持ち主である巨人族が使うと、巨人の斧の威力も違う。
だが・・、ハイランダーがこれほどまでの一撃を出せるのだろうか?
あまりにも一撃が重過ぎる・・!
「想定外(エラー)・・・、初期化(リセット)・・・。」
「あぁ!?」
またも無機質な言葉の羅列を発言したあと、ハイランダーが後退する。
「標的難易度(ターゲットレベル)・・上方修正(アップ)・・・、抑制解除(ブースト)・・発動(オン)・・・!」
ハイランダーからの殺気が爆発的に強まる。どうやらもう一度打ち込みに来る腹づもりらしい。
「指令(オーダー)・・再確認(リロード)・・・、殲滅(デリート)・・・。」
巨体が動く。先刻の打ち込みを越えるスピードで俺に向かって一直線に踏み込んでくる。
「ウルフェン!!邪魔よ!!!」
「言われなくても分かってる!!」
レナの怒鳴り声が聞こえると同時に、俺は横に飛びのいた。

ヒュオンッッッ・・・、トスッ・・・。

レナの放った矢が寸分違わず、ハイランダーの眉間を捉える。
ズドオォォォォンっと、ハイランダーはそのまま前のめりに倒れこんだ。
「き、き、き、機能(システム)・・て、て、て、てい、てい、停止(ダウン)・・・。」
びくびくと巨躯を痙攣させながら、最後の最後まで無機質な言葉を並べ立てる。
その姿はまるで、壊れたゼンマイ式の玩具を思い出させた・・。
「終わったようやな・・。でも、ハイランダーっちゅうのはもう少し理知的な巨人族だったはずや・・。」
「アニーの疑問ももっともだ。彼らは巨人族の中でも、ひときわ学術に対して熱心な部族のはず・・。」
巨人(ハイランダー)の死体を見つめながら、この異常事態についてアニーとヒースは話し合っているようだ。
確かに今この台地にいるハイランダー達の行動は異常だ。人間のみならず、木人などといった原生獣までも殺している。
いくら巨人族の気性が荒々しくとも、ここまでの大規模な殺戮はしないはずだ。
「アニーさん、ヒースさん。その学術に対して熱心な方々が続々とこちらに向かってきてます!」
どうやら、先ほどの戦闘で俺達の存在に気づいたらしい。
「あら、あまり派手に暴れたつもりは無いんだけれど・・・。」
「それだけ奴らが敏感、ってことだろ。」
やれやれ、どうやらすんなりと上流には行けそうに無いな・・。

757 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/19(月) 00:09:45 [ LVW/cCFA ]
ぐはっ、コテハン間違えたorz
釣って来ます・・。

758 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/19(月) 01:14:09 [ Dr8ftrjM ]
さて、今回はレッドアイ護衛兵などが倒された際になぜお尻を突き出すようにして倒れるかということについて語りたいと思う。

そのためにはまず、この古都から遠く東の「みみそく公国」について語らねばならない。
我が国とは国交が無く文化的な交流も無いためにほとんど知られていない公国だが、大陸全土に広がるレッドアイ信者たちの勢力圏とはぶつかるためにレッドアイの者どもには馴染みのある公国だ。
この国の特徴の一つに同性愛を認める風習がある。
この国の公共施設には一部、同性愛者の社交場となる場所が設けられているほど公的に認められている得意な国である。
ちなみに我が国でも時折聞かれる、「ウホッ」「やらないか」などは実はみみそく公国語が語源である。

さて、レッドアイと公国の関わりだが、我が国と同じく交戦国としての関係である。
レッドアイが他国の文化と相容れるわけは無いのだから。

我が国と違い公国の軍隊では、同性愛者で構成された部隊がある。
その部隊が非常に高い戦果を上げるのらしい。
何故彼らが強いのか諸説がある。中には愛故にというロマンス的な分析もあるが真偽は未だに不明である。
しかし、間違いなく公国では最強の部隊ということだ。

レッドアイの戦士たちも彼らに畏怖と敬意を払うらしい。
そして、彼ら、同性愛者部隊の敗北のポーズこそが、あの「お尻を突き出す」ポーズなのである。
彼らは自分を負かした相手にすべてを捧げるという意図であのような格好をする。

レッドアイの戦士たちはそれを見習い、あの勇猛果敢な戦士たちの風習を学ぼうと、自らも負けた際にそれを実践し、それが今なお根付いている。

類人猿の風習に似ているなどという文化的差別的な説もあるが、我々が文化人であることを自認するのであれば、例え文化の違うレッドアイの信者たちの風習であっても、きちんとした文化に基づいた風習であることを理解しなくてはならない。

759 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/19(月) 18:56:25 [ QS1Cbi/M ]
>>758
とてもロマンティックなお話ですね
今から護衛兵殺してきます

>>南東方不勝さん
もしかしてハイランダーは何者かに操られているのでしょうか?

760 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/20(火) 00:19:17 [ LVW/cCFA ]
>>758さん
そうですか、かれらの死に様にはそんな理由が・・。
GJです^^
ただ、この秘密を知ってしまったうちのテイマがもう護衛兵を狩れないと嘆いております^^;

761 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/20(火) 01:16:36 [ LVW/cCFA ]
>>756
台地の入り口にいる俺達を囲むかのように、続々とハイランダー達が集まってきやがった。
どいつもこいつも、まるで生気を感じねぇ。ただただ、無機質かつ異様な視線を俺達に向けてきやがる。
そんな巨人どもの群の中から一体の隊長が姿を現す。コイツの瞳からは、僅かばかりの理性が確認できる。
「貴様ラモ、我ラガ進軍ヲ阻ムカァァァァ!ナラバ、死、アルノミィィィィィィ!!
 殺ス殺ス殺ス殺ス殺スコロスコロスコロスコロスコロスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!」
前言撤回、こいつが一番まともじゃねぇ・・・!
仕方ない・・・。どうも、この巨人共は一筋縄じゃいかなそうだ。
「お前ら、少しばかり魔力関係の技術が使い辛くなる事になりそうだ。」
俺は既に戦闘態勢を整えている仲間にそう告げる。
「なに、ウルフェン。どういう意味よ?」
レナが疑問に満ちた目で俺に問いかける。あぁ、そういやぁこいつの前ではまだ解放してなかった・・。
「なに、すぐに分かることや。それよりしっかり見ときや、ジャックの本気が見れるさかいに。」
ぱちんとウィンクをしながら、アニーはレナにそう告げた。
そうして俺は、目を瞑りいつものイメージを思い浮かべた。

体の奥底にある「門」を閉じている「閂」を開けるイメージを頭の中に浮かべる。
まるで外界からの干渉を全て拒むかのように、それは容易には外れない。
だが確実に、少しづつ、閂が動いていくのが分かる。

ガチャンッ

門の開閉部から閂が落ちる。それと同時にガシャンと門がその口を開ける。
周りの世界から俺の体の中に、魔力が流れ込んでいく・・・。
(この感覚、やっぱ慣れねぇや・・。)そんなことを思いながら、俺は能力の解放を終えた。

なによ・・・、これ・・・。周りを漂っていた魔力全てが、ウルフェンに向かって流れ込んでいく。
そう、それはまるで・・・、全てを「搾り取りつくす」ような底知れない貪欲さを私に感じさせるには充分だった。
「驚きましたか、レナさん?ジャックさんは生まれつき、周りに漂っている魔力を『搾取す』ることが出来るんです。
 もっとも、ジャックさん本人はこの能力をあまり気に入ってはいませんけどね・・・。」
ミネルヴァが目の前に光景に言葉を失っている私に声をかけた。ミネルヴァの言葉を聞いた私はすぐさまこう言った。
「当然よ・・・。あんな能力・・・、誰が好き好んで使うものですか・・・!」
―ウルフェンのあの能力は危険だ。あれは、「人」の領域を著しく超えている・・・!―
私はそう直感した。あの力はいつかウルフェン自身を喰らい尽くすかもしれない。
ウルフェンがゆっくりと目を開ける。その瞳の色は、通常時のくすんだ茶色ではなく鮮やかな紫色に変わっていた。
刹那、隊長が吼える。                    
「ヒャーーーーハッハッハ!!!宿主ヲ失イ漂ウ魔力ヲ吸イ尽ス・・・!ソウカ、貴様ガ「大堕天使」カァァァァァァッッ!!!!」
その咆哮は、底知れぬ恨みと若干の歓喜ともない台地に木霊した。

「大堕天使」だぁ、なんのことだ?
この隊長、相当いかれてやがるな。一体、何を言ってやがる?
―――その名は貴公のことではない、某が二つ名だ・・・―――
頭の中に、聞き覚えの無い声が木霊する。いや、この声は一度聞いている・・・!
忘れもしない、イスラフェルの野郎の最後の時に聞いたはずだ・・・!
―――ふむ・・・。そうなればこの巨人達の凶行は、第4位魔(シャムシェル)が仕業か―――
さらに、声は告げる。
―――急げ、ジャック・ウルフェン・・・。貴公らが仲間、少々不味い事態になっているやも知れんぞ―――

762 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:34:03 [ gNxnQRO2 ]
あるウィザードが残したもの

(表紙〜七頁目はpart1の970にあります)
>>22-23.   八頁目  帰路にて − 2
>>49-50.   九頁目  長い夜 − 1
>>183-187 十頁目   長い夜 − 2
>>343-344 十一頁目 長い夜 − 3
>>345-348 十二頁目 リフの過去 − 1
>>513-516 十三頁目 リフの過去 − 2
>>611-614 十四頁目 夢魔の夜想曲 − 1


十五頁目 夢魔の夜想曲 − 2


「私だけに話って……何?」
突然弟に呼び出され、特に何も考えずに話しかけた私。私より9歳年下の弟はゆっくりと口を開いた。
「僕は家を出るよ。」
思わず「えっ?」と聞き返した。
その言葉の意味を理解するのに数秒を要してしまった。

秋は深い。
ヘムクロスの高原は広大で土の質が良いことで有名だが、実際は高原というより森林に近い。
夏と冬では全く景色が違うし、秋にはタトバ山から美しい紅葉を見ることができる。
そんな艶やかな葉は既に枯れ落ちた。
冬が迫っていることは、一足先に白銀に染まった雄大な山々を見れば一目瞭然だ。
秋風に吹かれる絶壁地帯、そこで二人で会話する私たち。
「姉さんが家を継ぎたいと思っているのは知ってる。
 僕がいなくなれば、姉さんが家を継ぐ意外に方法がなくなるだろ?
 ……僕自身もいろいろやってみたいっていうのはあるけど。」
弟の顔は決意に満ちている。それは誰にも邪魔することができないということはよく分かっていた。
家を継ぐことは私の夢だった。叶うはずのない夢を掴んだ私の心は温かくなるはずだった。
しかしそこに生まれたのは疑問、そして僅かな怒りだった。
「何故あなたが家を出るの?そんな好奇心のためにワンダー家の一員としての誇りを捨てるというの?
 お祖父様の杖だって、正式にあなたに受け継がれたのよ。今更……」
私の言葉を手で制止する弟。コートのポケットから小さな杖を取り出した。
それを私の足元へ投げつけ、代わりに自分の細長い杖を取り出した。
「その杖…あげるよ。」
何の感情もない声でそう言って目を閉じ、杖を真っ直ぐに持ったまま動きを止めた。

全精神を集中させ、死んだように硬直して動かない弟。それは最上級の準備呪文の準備を意味する。
弟が動く。その一瞬で私の周りの空間までが揺らぐ。弟が立っている場所を中心として、赤い魔方陣が浮かび上がる。
弟は詠唱を続け、杖を回す動作が次第に速くなっていく。それとともに大気の乱れが起こり、それが恐ろしい速さで強くなっていく。
木々は恐ろしい悲鳴を上げ、落ち葉はひとつ残らず巻き上げられた。
野生の狼は飛ばされまいと必死に唸り、上空の怪鳥は気流の発信源である弟の上を幾度も旋回し続けている。
やがて音はぱったりと止み、弟の詠唱も止まった。魔力を最大限に取り込み終えた弟の顔に、少しだけ笑みが浮かんだように見えた。
弟はホゥっとため息をつき―――『羽化』に臨んだ。

763 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:34:47 [ gNxnQRO2 ]



両親は男児を望んでいたこともあり、私は中途半端に育てられた。
私の魔力が強かったのなら私でも良かったはずだが、一般的な小さな炎さえ生み出せない私はどうにもならなかった。
当時は炎の魔法が随分と大きい評価を得ていて、その他の魔法は特殊な芸ほどにしか考えられていなかったからだ。
学校では皆に「役立たず」と罵られ、両親も魔法の練習に付き合ってくれたりすることはめったに無かった。
かと言って、私自身が魔法を練習しなかったわけではない。
私にもプライドというものがあったし、魔法を使いたいという強い気持ちもあった。
炎は無理だということは私自身が一番よく知っていた。
だから私は……別の道を選んだ。

様々な魔法を試した結果、水に関しては他の魔法使いより優れた力を持っていたことに気づいた。
それからは我を忘れるほど必死に練習した。毎日毎日水に向かい、あらゆる水の魔法を練習した。
その努力が報われ、水を凍らせたり、それを一瞬で気体にしたりということも出来るようになった。
空気中から液体を集約し、球状にして浮遊させることくらいは簡単にできた。

その頃には私にも家を継げるという希望があった。
第二子は女児、しかも2年ほどでこの世を去り、屋敷内では私が家を継ぐという話が噂となっていた。
両親はよく話し合った末、私にワンダー家の一員として『羽化』を受け継がせることを決めた。

しかし、その一年後に弟が生まれた。

最初の数年は私への『羽化』の習得の修練は続けられた。
それを始めてから5年目、弟が球状の炎を創り出すまでは。


自分一人だけで、ただ必死に『羽化』を練習し続けた。
やっと小さな翼を創り出すことに成功したのは一人で練習を始めて2年後、約7年の年月を経てからだった。
しかし家族の反応は冷たいものだった。
母はニコリと作り笑いをしただけで何も話しかけてくれず、父は見向きもせずに「よかったな。」と言っただけだった。
家政婦たちも皆余所余所しかったし、番犬(狼)にはいつもどおり噛み付かれかけた。
ただ一人、それを私と一緒に喜んでくれたのが弟だった。
彼は元々人懐っこく、それでいて魔法や身体的能力の才能も抜群で、しかも向上心が私よりもずっと強かった。
つまり、人に好かれるタイプの人間だったのだ。
そのため同じ年代からは勿論のこと、スマグ魔法学校全体でも一目おかれる存在だった。実際に授業も3学年上のものを受けていた。
とにかく弟以外ほとんど誰にも構われずにいた私だったが、『羽化』を習得した熱が冷めるまでに一月ほどを要しただろう。

そこには大きな欠陥があったことを、当時の私が知る由もなかった。

764 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:35:20 [ gNxnQRO2 ]
通常、魔力には二つの種類がある。
一つは常時自分が体内に取り込み続けているもの、一つは詠唱によって魔方陣を呼び出し、その助けを借りて回収するもの。
前者は生まれもった力によって行われるものだが、これによって得る魔力の量は決して多くはない。
呼吸のように絶え間なく行われるもので、修練の浅い者は上手く調節できずに体外に放出されることも間々あるという。
その能力は経験も少しは関係してくるが、ほとんどは天性に決定される。
対して後者は莫大な力を一気に取り込むもので、こちらはある程度の魔法体質であれば習得することが可能だ。
また取り込む量は体内の限界値を超えることはなく、取り込まれなかった力は魔方陣を通じて元あった場所へと還っていく。
外側から摂取する魔力で、こちらは経験によっていくらでも伸ばすことができる。
私の場合、前者は十人並みだったが、後者のほうに大いに問題があった。

一般論として、魔方陣は取り込む魔力の『属性』を選ぶと言われている。
それを理解しなければ、いくら魔力を取り込んだとしても真の魔法の力は引き出せないのだ。
属性は大きく六種類に分けられ、一般的に用いられるのは4元素と呼ばれる火、水、風、土の四種類。
魔法使いや精霊術師が扱う属性はほとんどがこの4元素で、その他の光や闇に関係する魔法を扱える者は数えるほどしかいない。
4元素の魔法を直接扱う魔法使いは、魔方陣によって外部から魔力を取り込むことによって魔法の力を最大限に引き出すことができる。
例えば火属性の魔法を使うのなら、火属性の魔力を取り込むことによってその力が強化される。
その場合、水や風の魔力をいくら集めても、その力に影響を及ぼすことはない。
より確実な『羽化』に必要な風の魔力、それを取り込む最上級の魔方陣の詠唱を教わる前に父との修練は終わった。
もちろん外部からの魔力を取り込まずに魔法を扱うことはできるが、魔力を取り込んだときと比べ、目に見えて劣ってしまうのだ。

つまり、私の『羽化』はまだ完璧ではなかった。

初めて弟の『羽化』を見たとき、私は目を疑った。そのとき弟は若干11歳。
父でさえ習得に5年半を要した『羽化』を彼は僅か3年で、しかも父をはるかに凌ぐ力強い双翼を創り出した。
私の最初に創り出した翼など、比べ物にならなかった。


今、弟の創り出した双翼は、天界人の翼に勝るとも劣らないほど大きく力強い。
そして、美しい。
純白の翼は羽根を噴出し、その一つ一つが雪の粉のように輝き、けれども触れずとも温もりを帯びていることを感じ取ることができる。
それは私の捩れた怒りを優しく解き、温かい人のように抱いてくれる。
「その杖はワンダー家の人間が持っていないとね。それに僕はこの杖のほうが合ってるみたいなんだ。」
強力な魔力を持つ高価な金属、すなわちミスリルで作られたその杖は、弟の言葉を理解したかのように輝きを増した。
「じゃあ……僕はそろそろ行くよ……。」
双翼が待ってましたとばかりに震え、大きく数回羽ばたいた。
その度に烈風が地面に爪を立て、木々が再び呻き始めた。

765 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:36:00 [ gNxnQRO2 ]


二人の沈黙。それは私に考える時間を与えてくれた。拳に自然と力が入る。
何故こんなに惨めな形で家を継がなければならないのか?
何故私は弟を引き止めないのか?
何故私ではなく、弟なのか?
実力のある弟が家を出、実力のない私が形だけ家を継ぐ。
おかしい。何かが間違っている。私は人形じゃない。私は弟じゃない。
私は……弟のようにはなれない……。一生……。


私を現実に引き戻す男性の叫び。顔を上げると、弟は一足先に町へ飛んで帰っていた。
叫びの内容は聞き取れないが、何か重大なことだということは読み取れた。それなら声の発信源へ走るだけだ。
必死の叫びはすぐに聞こえなくなり、ことが起こっていると思われる場所を手当たりしだい回るしかなかった。
旅館や酒場、魔法用具店や研究室。その全てを調べてみたが、何かが起こった形跡はどこにも存在しなかった。
となると……あそこしかないだろう。
ウィザードギルド。そこからは何も感じ取ることができないが、消去法でいくとそこしかない。
………なんともレベルの低い判断方法だが。

だが正解だった。
ところどころに大量の血が飛び散っているが、そこにいるはずの長老や他のウィザードたちの姿はなかった。
ウィザードの抵抗と思われる魔法の跡以外に荒らされた形跡はない。
何かが潜んでいるかもしれない、という私の予想とは裏腹に、建物内には何もいないようだった。
変わったことといえば真新しいワープホールが設置されていたこと。
何が起こったのか?弟はそこへ辿り着いたのか?それを確かめなければ……。
発見することはできたが、一筋縄ではいかなかった。その周辺には重力場が張り巡らされ、まともに移動することができなかった。
「……………。」
弟はここを進んだ。弟なら一人でも大丈夫ではないか。
私が行かなくても大丈夫だ。私は必要ない。
もしかしたらまだ生きているウィザードがいるかもしれない。いや、一人ぐらいはいるはずだ。

そんな言い訳を考える自分が嫌になった。声を上げて泣きたくなった。
はっきりと「行きたくない、逃げたい」と思えるほうがどんなに楽だろう。

でも、唯一家族らしい家族だった弟を失いたくない。
こうしている間にも弟が苦しんでいるだろう。そんな弟の顔が目に浮かんでくるようだ。
私は、どうすれば………。

766 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:36:42 [ gNxnQRO2 ]


懸命に這いつくばって進む。絶対人に見られたくない体勢だが、今ではそんなこともいっていられない。
息が荒い。今までにないほどの汗、そして火照りが私の体と心を渦巻く。
ワープホール……もう少し……あと数歩………手を…指が……触れた。


足が地に付いた途端、私は全身の力が抜けていった。
一瞬にして体の火照りのために出た汗は冷や汗に変わり、目の前が歪み、床諸共落ちていくような感覚に襲われた。
床は血の海だった。壁も天井も真っ赤に染まり、天井から赤い雨がぽたぽたと降り注いでいる。
原型を留めない死体、その肉片。服装から、ほとんどがウィザードの死体であることが分かる。
死体が何故そこまで恐ろしい姿に変わってしまっているのか?
それは今も続けられている弄りを見れば容易に理解することができる。
人間の2/3程度の背丈しかない、汚い色をした生物だ。数というものが存在しないと思えるほど、その生物はここにいた。
その生物は先ほどまで生きていた『物』を殴り、切り裂き、引きちぎり続けている。狂ったように悦び、高笑いを続けている。
血の海の中で、私はその光景をまともに見ることが出来なかった。
目を閉じても、恐ろしい形相をした死人の顔が言葉では言い表せない感情を私にぶつけてきた。
体がいうことをきかない。四肢が重過ぎる。もう何もかも投げ出したい。
右手を床に付き、下目使いで血の海を覗き込んだ。
血に混じった綿状のものが視界に入った。

私はその現実を受け入れた。

弟の……弟の羽根………。
争ったように大量の羽根が飛び散っており、それでも弟の姿は確認できなかった。


目が閉じられる。夢であればいいと願った。
(まさか……ね。)
目が重い。目蓋の隙間から見えた景色はベッドではなく、あの血みどろな惨殺光景だった。
お仕舞いだ。
私の口がクスリと笑う。同時に生き物の中の一匹が私に目を向けた。

笑っちゃうよね。一生懸命床を這ったりなんかして、たどり着いた先は死。しかも犬死。
たった一人の弟さえ助けられなかった。
何の為に私はここへ来たの?結果的にあいつらの餌食になるだけじゃない。馬鹿みたい。

何で立てないの?力が入らないの?何で……目頭が熱いの……?

守りたかった。守りたかった。でも、守れなかった。
やっぱり、私は役立たずよね。
死んだら……弟に、会えるのかな……。

767 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:37:18 [ gNxnQRO2 ]


相手を傷つけることが恐ろしかった。死が恐ろしかった。
『殺す』という行為、相手の『生きる』という権利を奪う行為が恐ろしかった。
水の魔法を扱うことができても「役立たず」と罵られ続けたこと、両親に魔法の上達を見てもらえなかったこと。
それらの一番の原因は、そのことに人一倍敏感だったためだ。
モンスターと向かい合うと、その恐怖よりも先に、そのモンスターを傷つける恐怖を考えてしまうのだ。
人間も、コボルトも、蚤だって。生きていることには代わりが無い。
だから私はモンスターを倒せなかった。力は十分あると言われていたが、その性格が仇となっていた。

私は弱かった。
誰かに支えられたい。温もりが欲しい。誰でもいい。私を愛してくれる人ならば。
叶わない願い………。


あぁ、喉が渇いた。水が欲しい。
最期は魔法使いらしく散ります。
目を硬く閉じたまま祖父の杖を取り出し、スッと目を開いた――――


目の前をぼやけた閃光が走りぬけ、それとともに何者かが私の腕をぐいと掴んで引いた。
「馬鹿か、死にたいのかお前は?!怪我は無いか?
●死なせてやらないから、戦う気が無いなら壁にくっついてろ!」
行動と同じく乱暴な声が後ろから前へと移動している。
潤んだ目を薄く開けると、生物の汚い色、やたらと暗い赤の他に、ちらちらと妙に目に付く色が右往左往している様子が見える。
力の入らない手で目をこすり、目から流れた液体を拭き、乱暴者の正体を見定めようとする。
まだ焦点が定まらないが、けばけばしいライトブルーが腹立たしいほどちょこまかと動き回っているのが見える………。


目が見えてくるとともに、私はその様子に感心した。
まず、戦っているのは男性。胴体・下半身を完全に鎧で包み、その上から吐き気のするような水色のコートを羽織っている。
髪は少しだけ巻き毛になっていて、本人からも見えていないのではと思うくらい濃い黒のサングラスをかけている。
そんなセンスがまったく感じられないスタイルとは裏腹に、その戦いは惚れてしまうほど優雅だった。
一人で戦っているのに、その無限の生物を相手にほぼ無傷で潜り抜けている。
鋭い風に体の周りを踊らせ、弄んでいるかのように炎を扱う。
それは命の駆け引きということを感じさせない。………いや、命の駆け引きだ。それは間違いない。
だが、何といったらいいのか。殺し合いというイメージではなく、もっと神聖なもの、美しいもののように感じるのだ。
いつの間にか興奮という感情が戻ってきていた。といってもさっきの興奮とはまるで別の興奮だ。
その興奮は、私とは常に距離をとっていた笑顔を呼び寄せた。


救援隊だ。もう何にもすることが無いのに。
来るのが遅すぎるのよ………。
そういえば、あの変な人は?……いない。やっぱり変な人ね。

お母様だ。私には目もくれずに弟を探し回っている。
別に悲しくは無い。これから嫌でも構われるんだから。散々ね……………。

768 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:38:10 [ gNxnQRO2 ]
ついでに『羽化』についての説明を。

『羽化』は旧名で、B4861年に『ヘイスト』と改名され、B4892年現在もその名で愛用されている魔法です。
異空間から翼を召喚し、一定時間自分の体の一部として扱うことができます。
空中を飛遊することが可能となる他、対象者の体が不可視である特殊な魔力に包み込まれます。
その魔力は空気抵抗を減少させ、通常よりも素早い運動が可能となります。

『ヘイスト』はB4770年代後半に発見された、B1500年代に書かれたと思われる文書によって初めてその存在が明らかになりました。
文書には背に翼がある人間とその説明文が書かれており、当時は天人と思われていました。
しかし説明文を約8年かけて翻訳したJ.C.ワンダー氏によって、その絵は魔法によって召喚された翼を描いているということが判明され、その約6年後にワンダー氏自身が初めて翼の召喚に成功しました。
J.C.ワンダー氏は魔法都市スマグ出身の魔法使いで、数々の名杖を残したことで有名です。

などなど……(以下略)

769 名前: ◆j9cST1xRh2 投稿日: 2005/12/20(火) 18:41:23 [ gNxnQRO2 ]
>レッドストン通信社さん
>>491
と、㌧でもない記者三名ですね。(ビリーさんは反省の意は全くないのか……?)
一応生きていて良かったです。
これに懲りて、これからはしっかりと仕事をしてもらいましょう。

>>492
確かにあの機能は余計ですよね。
課金露店でも「露店看板を表示しない」状態なら見えないようにするべきですよ。
中央政府も少しは対応しろー!
……と、ここで喚いても意味が無いですよね。

>>493
あのクエは逆効果だったのか……。
やっぱり意味が分からないクエストです。
冒険者も気合を入れてタトゥーを書き込んであげないといけませんね。
そういえばあのペンは水性だったような気が……?


>>553さん
お、いい武勇伝……かと思いきや、そんなオチとは予想できませんでした。
確かに村のおじさんたちは紙勇者様より健康が高そうに見えますね。
>村人B んだなー混ぜりゃちょーどええかぁ
そういう問題じゃないでしょ村人さんorz
いつか本当に祭りが実行されることを願って。ぴくっこはお忘れずに…ね……。


>>617さん
Mob視点の物語には考えさせられることも多いです。
しかし今回のようなものも個人的に好きですね。
Mobも課金アイテムを持つようになった中で……ん?
もしやこれは見た目は爺さんでも中身はダメオン社員だったr(ry

そして、最後の声援。あなたも輝いてますよ!中身はダメオ(ry


>>758さん
うぅむ、あの特有の動作には深い理由があったのですね。
それでも死に際によくそんな格好ができるなぁと感心です。
みみそく公国は……興味深い。ちなみに旅行してみたいとは思いません。
顔から血の気が引くほどGoodな説明でした。


>アラステキさん
私も以前したらばマジックに襲われたことがあります。
出現率など気になさらずに、マイペースが一番です。
>まあ、「次から〜」って言う人は実践しない確率が高いんですけどね^^;
はい、私です……。悪い癖なので早く直す為に努力しなければ。



失礼ながら、皆さんの感想をまだ書き終えていない状況です。
今回は連載的な作品を執筆なさっている方々の感想は控えさせて頂きます。
大変申し訳ありません。


それと、消し忘れがありました。
>>767
誤)●死なせてやらないから、戦う気が無いなら壁にくっついてろ!」
正)死なせてやらないから、戦う気が無いなら壁にくっついてろ!」
●は完全に不要です。ついでに言うと行変えのミスでした。

770 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/20(火) 19:25:26 [ KF02GH3k ]
前スレより
>>557-559■蒼眼の戦士−7
>>573-575■Cold north wind Ⅰ
>>619-621■Cold north wind Ⅱ



  The Final Chapter
−Cold north wind Ⅲ−

 


 巨大な暴風を前に何も手を出すことができずに居る戦士や剣士、槍兵や弓兵が群れを成してそれの周りを取り囲んでいる。
「…アレンめ。」
その暴風の脅威さに手を出すことができないレイ達、レイはその場を一歩も動かずにその腰にぶら下げている大剣を手にする。
「どうしたアレン!私は此処にいるぞ!」
そう叫んだ、するとレイの叫びが終わるのと同時に暴風の壁から何かが飛び出してきた。
「出てきたか!かかれ!」
レイのその言葉と同時に襲い掛かる剣士と戦士、さらには槍兵達がいっせいに飛び出してきた人物に対して攻撃を加えようとした。
だがしかし。
飛び出してきたのは緑色のコートを着たアレンの姿ではなかった。その男は黒く長い髪の毛を靡かせ、漆黒の衣装を身にまとった剣士のように見えた。
その男は、最初に切りかかってきた男の斬激を持っている剣で弾くとすばやく何かの魔法を唱え始めた。その魔法は風の中位精霊を召還し、自分のコピーを作り出すものだった。そのコピーは無数に散らばる前衛の目の前に憚ると右手に持っている剣を一瞬だけ後ろのほうへと引いた。
「…ウセロ。」
そう男がつぶやいた刹那、高速で風の中位精霊たちは同時に目の前の敵の心臓をめがけて一突きにした。そしてその剣が全て突き刺さるのと同時にまるで鏡が割れたような音が聞こえた。そしてその分身たちは残像を残してゆっくりと消えていった。

771 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/20(火) 19:25:53 [ KF02GH3k ]
「…貴様は。」
「久しぶりじゃのう…レイ!」
男は持っている剣を逆手に持ち替えてさらに魔法を唱えた、今度は風の上位精霊の力を借りた高速移動の魔法だった。その魔法と平行して先ほどの中位精霊の魔法も同時に唱えた。
先ほどとは比べ物にならないほどの移動速度で四つの分身を作り出してレイへと走り出した。
「アデル・ロード!」
レイは側にいたミトを突き飛ばし、左手に持っている大剣を前方のほうへと構える。
最初の分身がレイの体を切りつけようと切りかかってくる、その分身をかわし次の分身を左へとなぎ払う。最後に飛び掛ってきた分身の攻撃を剣で受け止め、力いっぱい右のほうへと弾き飛ばす。
「貴様ぁ!」
目の前に立ちふさがる本体と思われるアデルめがけて走り出す。目の前までやってきたレイは剣を左から右へと大かぶりのように水平に振り払う。だが、その本体と思われたアデルは残像のように消えた。
「縛」
どこからともなくその声が聞こえた、それはレイの上空から聞こえたものだった。その声に反応して空を見上げる。だがその瞬間にそれは起こった。
「な…。」
レイの体の周りに突如魔方陣が出現した刹那、まるで石が自分の足を束縛しているような違和感を覚えた。
「貴様に殺されたサモンジュール…キミトの仇だ!」
アデルはそのままの格好で一直線にレイめがけて滑空を始める、そしてレイの体を貫く形で地面へと剣をつきたてる。その瞬間に突き刺された地面は大きな地割れを引き起こし砂埃をあたり一面を覆うほど巻き上げた。
「…。」
手ごたえはあった、だがそこにレイの姿は見られなかった。砂埃が消えると同時にアデルはすくっと立ち上がってあたりを見渡す。
「…ぐ。」

772 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/20(火) 19:26:20 [ KF02GH3k ]
左肩から鮮血の血が滴り落ちている、左手に構えていた剣を右手に持ち替えて再びアデルのほうへと走り出す。
「おぉぉぉぉぉぉ!」
右手で構えている大剣を自分の体の回転の反動を利用して横いっぱいに切り裂く、その軌道は綺麗な水平一本線。だがその力を出し切れて居ない剣筋はアデルの右手に構えている剣一本に弾かれてしまった。
「しまいにしよう…。」
アデルの元へと風が集まり始める、そして再びアデルの周りに風の中位精霊が集まると一瞬だけ後方へと剣を引いた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!」
アデルの雄たけびとともにアデル本体と7体の中位精霊たちがレイの体をその手にもつ剣で突き刺した。
肩、心臓、胃…からだのあらゆる場所を剣で一突きにされたレイの体は血しぶきを上げて膝から崩れ落ちていく。そして精霊が消え始めると同時にガラスが割れたようは音が古都全体に響き渡った。
「…あの時、あの砂漠で命絶えていれば…そうすればよかったんだ。」
アデルはレイの体に突き刺したままの剣をゆっくりと引き抜いた。すると支えが無くなったレイの体は前方へと音を立てて倒れた。
古都に静かさが戻ろうとしていた、アレンが放った暴風の壁も次第にその勢力を弱め、鎮圧の方向へと向かっている。
風が消えたと同時にその暴風の中から二人の姿が出てきた。
「アレンさん…?」
ミトは見た、それは確かにアレンの顔立ちそのものだが姿…そう服装や目つきが違うアレンを。そしてミトは悟る、これがあの時…あの時倉庫で見たアレンの姿だということを。
「…ありがとう、アレン。」
アデルはそう一言つぶやくと足元から風が吹き出した、その風はアデルの体を包み込むと一瞬にして暴風と化した。そしてすぐさまその暴風は収まり、中から緑色のコートを着たアレンの姿が現れた。
「…礼をいうのは私ですよ…アデル。」
風がアレンの髪の毛を靡かせる、その長くて綺麗な髪の毛は風にあおられてさらさらと靡いている。アレンは忌引きを返すように瓦礫の上で立ちすくんでいるミルの元へと走る。
「ミル!」
ミルは目に今までの光がともっていなかった。どこを見ているのかも分からない。唯一ついえることは、それはアレンを見ているのだろうと分かった。
そしてアレンはミルの肩にそっと手を置いて自分のほうへと引き寄せた。まるで抱いているように他の人の目には映るかもしれない。
「大丈夫かい?ミル…っ!」
突然アレンは自分の体を貫く異物があることに気がつく、それは心臓のすぐ脇をすれすれで貫き通していた。
痛みが走ると同時に自分の体から血が噴出した、その血はミルが身に着けているシルクのドレスを鮮血な血の色で染めた。
「ミル…。」
ミルの手には愛用の細長い槍が握られていて、その槍はアレンの体を貫き通していた。
「…。」
ミルの目に再び輝きが戻り始める、だがその表情はミルのものには見えなかった。
「俺の勝ちだ…アデル!」




  The Final Chapter
−Cold north wind Ⅲ−
END

773 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/20(火) 19:29:50 [ KF02GH3k ]
かなりお久しぶりですorz

いやはや、これ書き始めてどれぐらい経つんだろう…。最近ギルドの揉め事で頭痛めてる21Rです
なんだかアレですね、RS内部でこのスレの話が持ち上がったんで軽く話が盛り上がってるときに
こう…やっちゃいました;;orz

そろそろ俺も引退どきかなぁ…orz


追伸:何時もいつも感想を書いてくださる皆さん、本当にありがとうございます。
   感想があるおかげで、ご期待に沿えず[まだ生きてます]。
   とりあえずこの作品は今年中に完成させる予定で居ますのでもうしばらく
   このトンカチな三人のお話にお付き合いくださいませorz

774 名前: KUNAI 投稿日: 2005/12/20(火) 20:50:21 [ Smo06m6I ]
BIS「オーガ秘密PT鍵開けさん募集します。王宮前までよろ〜^^」

・・・・・・


剣士「あの、オーガいいですか?」
BIS「すいません^^;鍵さん募集なので・・・。」
剣士「いや、俺鍵開けです。」
BIS「見るからに剣士さんのようですが・・・?」
剣士「はい、気合で開けて見せます。」
BIS「いやあの、その気合とかなんですか?」
剣士「攻撃をし続けるんですよ。アルパスの門を叩いて30分で開けられますし。」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

シーフ「鍵開けだ。よろしく頼む。」
BIS「一応鍵スキルのレベルを教えてください。」
シーフ「0だ。俺様にスキルなどいらん。」
BIS「ではどうやって開けるのですか?」
シーフ「フフフ。先ほどアリアンであるクエをやってきてな。万能鍵が2つもあるのだよ。」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

テイマー「鍵開けテイマです。入れてくださいー^^」
BIS「鍵開けテイマ?」
テイマー「ペットがシーフなんです。しかもZIN」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

武道家「レベル192鍵系スキルオール12の武道家です。」
BIS「適正外は入れなくなりました。」

・・・・・・

BIS②「入れてくださいー。」
BIS「鍵開け募集なんですが。」
BIS②「じゃあ俺が代わりに鍵募集しますから貴方は抜けて私がPTに入りますね。」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

ランサー「アーマーディスアセンブラって知ってます?」
BIS「いきなりなんですか?鍵開け募集ですが。」
ランサー「鍵は開けられませんがミラメラもGPも使えます。」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

ウルフマン「アノオデ扉クライ喰ベチャイマスガ」
BIS「帰りなさい。」

・・・

WIZ「先程はすいません^^;鍵開けできます。」
BIS「嘘はやめてください。」
WIZ「貴方人を信用できない程心が痛んでいますね。」
BIS「良いでしょう。入ってください。」
WIZ「嘘です。」

・・・・・・

勇者さま「いれてくれよおおお」
BIS「鍵開け募集なので・・・すいません^^;」
勇者さま「たのむよおおおお後ちょっとでスフィア切れちゃうんだよおおお」
BIS「また買えば良いでしょう。」
勇者さま「もう10000円つかっちゃったんだよおおおたのむよおおおお」
BIS「帰りなさい。」

・・・・・・

オーガオフィサー「入れてください。」
BIS「!?」
オーガオフィサー「僕もXボタンで変身したいんです。」
BIS「すいません^^;鍵明け募集なので。」
オーガオフィサー「仕方ありません。今から義兵を全部殺してきます。」
BIS「ちょっとまて。」

―オーガオフィサーさん(Lv88)がPTに参加しました。―

775 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/20(火) 21:00:47 [ QS1Cbi/M ]
今までのまとめ

>>254その1 >>276その2 >>305その3 >>334その4 >>425その5

>>447その6 >>473その7 >>494その8 >>506その9 >>529その10

>>538その11 >>561その12 >>570その13 >>588その14 >>596その15

>>616その16 >>645その17 >>665その18 >>685その19 >>717その20

>>744その21 >>751-753その22

776 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/20(火) 21:03:00 [ QS1Cbi/M ]
まとめ >>775

その23 パート1

目が覚めると頭が痛い、昨日魔力を使った事と、酒を飲みすぎたのが原因だろうか。
ああ、そう言えばここは何処だろう?薄汚い部屋、鉄格子、目つきの悪い男達。
五秒くらい考えてから、自分が牢屋に入ったことを思い出す。
いきなり看守が入ってきて、囚人全員に目隠しをつけさせる。それから何処かに案内される。
湧き上がる歓声と、殺せと言う叫び声。目隠しを外されると多くの人間がギャラーから俺と囚人を見下ろしている。
どうやらコロシアムに呼ばれたみたいだ。簡素な円盾と槍を持たされ、他の囚人とともに闘技場の真ん中に集められる。
看守が闘技場から出て入り口を閉め、別の場所から馬車が二つ出てくる。
ビュッと言う音と共に矢が打ち出され、早速一人が喉を射抜かれてその場に倒れこむ、観客が一層歓声を上げる。
囚人達が混乱に包まれ、その間にも次々に矢に射抜かれて殺されていく。
「ヌオオオオオオ。」
一人の囚人が戦車に向かって槍を突き出すが、棘の飛び出た車輪に突き刺され、そのまま馬車に轢かれて息絶える。
「固まれ!皆固まれ!」
大声で怒鳴り囚人を一塊にさせる。が、円陣からはみ出ていた囚人が一人射抜かれてしまう。
円陣を組みながら馬車をよく観察する。射手が一人に操縦士が一人、簡易戦車といった所だ。
隣にいた囚人から槍を引ったくり、二本まとめて戦車の車輪へと突き刺す。
上手く車輪に絡まって、戦車がバランスを崩し、砂煙を立てながら豪快に横転する。
もう一方の戦車は車輪への攻撃を防ぐために、円陣に近づかないで丸い闘技場の外側を走りながら矢を放つ。
矢が盾に命中して腕に軽い衝撃が伝わる。お互い守るだけの膠着状態が五分ほど続く、
このままだと武装の差で圧倒的に俺たちが不利だ。元素魔法を使って仕留めようとも思ったが、あまり目立つのも良くない。
結局、手荒だが戦車に乗っている射手を殺せば俺たちの勝ちだ。身体強化呪文を密かに唱え、強烈な瞬発力で戦野へと近づく。
だらだらと走っていた戦車と並んで走り、戦車が速度を上げる前に飛び移る。
射手が勝ち誇った笑みで俺に弓を向ける。射手に唾を吐き、それから手首を掴んで弾道を変える。
そのまま手首の骨を強く握って砕き、腹に膝蹴りを食らわせて放り投げる。
それから射手の落とした弓を拾い、騎手の太ももを狙って矢を放つ。上手くいけば馬から勝手に落ちて、大した手傷も受けないで終わるだろう。
矢を放ち、騎手が思惑通りに馬から落ちる。車輪の犠牲にもならずにすんだようだ。
砲座から馬に乗り移り、戦車を止めて円陣へと戻る。そういえば観客も囚人も警備兵も呆然としているようだ。
それから兵士がやってきて、再び目隠しをして、俺たちを監獄へと案内する。

777 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/20(火) 21:03:25 [ QS1Cbi/M ]
まとめ >>775

その23 パート2

監獄で臭い飯を食べているときに年寄りが一人寄ってくる。
「あんさん、魔法が使えるんだすなぁ。」
訛りのある言葉でヒソヒソと話しかけてくる。無視して飯を食べるが、それを気にせずに年寄りは話を続ける
「あんさん、盗賊の頭でっしゃろう。名前はジン、綴りはJ、I、N、Gそうでっしゃろう?」
流石にこれには驚く、飯を食べるのを止めて年寄りの顔を見る。
「あんた、よく知ってるな。」
「えっへっへ、まぁ伊達に歳食ってるわけじゃのうおますからな。他にも言い当てて見ましょう?」
「言ってみろよ。」
「捕まったのはポーズだ。まぁ当たり前ですな。目的はネグルフシさんの妹さんを助けるため。
コロシアムが開催されれば警備はそちらへ、しかも人を紛れこますのは容易。もっとも私的な事だし苦肉の策だしょうが。」
「よく知ってるねぇ。俺も感心してしまうよ。」
「もっとお話しまひょうか?」
「やってくれよ。あんた面白いな。」
「あんた、ネグルフシさんの家に忍び込みましたね。そこでワイン一本とチーズを盗んだ。」
「うん。」
「で、その後に何かしてる。でもそれはあたいにもわからない。それから捕まってここに来た。
あんたは不思議に思ってる。ネグルフシさんの家には妹が居なかった。部屋に居たのは男だけ。違いますか?」
「当たってるよ。大したもんだね。とっときなよ。」
軽く腹を叩いて口から5K金貨を取り出し、それを年寄りの渡す。
「もっと当ててみせましょうか?」
「いや、いいよ。なかなか楽しませてもらった。それと一つだけ。」
「はひ?」
年寄りに顔を付きつけて囁く。
「あまり深く首つっこむと、短い余生を楽しめなくなる。5Kくらい使ってから死にたいだろ。」
爪を軽く顎に突き刺し、静かな声で言う。目には恐怖と狡猾そうな光が宿っている。
年寄りを解放してから積み上げられた畳の上に寝転ぶ。本当は牢名主が座る場所だけども気にしない。
監獄にある割にはなかなか心地よい畳だった。

778 名前: 萌えるゴミ 投稿日: 2005/12/20(火) 23:35:04 [ OsEuGMwM ]
はじめまして。
えっと…とりあえず書いてみたんで、投下します。
なにぶんSS書くの初めてなもので、いろいろと至らない所もあると思いますが、読んでもらえれば幸いです。
批評とかもどんどんして下さい。
では…。


すれ違う姉妹


…この程度のことも出来ないのか、お前は!
…あなたはこの家の恥よ。まったく、なんでこんな出来の悪いのが生まれたのかしら。
物心付いて以来、家に居て両親に罵られない日は無かった。

…ねぇ、あの子、例の落ちこぼれでしょ?ふふっ、不様ねぇ。
…まったく、妹さんがいなければあの家も終わっていたところね。
…でも、妹さんは天才とまで言われているのに、なんであの子はあんなに無能なの?
…それは、あれでしょ?才能を全部持っていかれた絞りカスってことでしょ?
…ふふふ、言えてるわ。やだやだ。関わらないようにしないと。
かと言って、家を出れば待っているのは嘲笑の嵐だった。

…ねぇ、おねぇちゃん、大丈夫…?すごく悲しそうな顔してるよ…。
唯一あたしを気遣ってくれたのは、妹だけだった。そう、あたしには無い才能を持った妹。
妹は純粋にあたしを気遣ってくれた。まだ幼い妹には、あたしが苦しんでいる理由もよくわかっていなかったのだろう。
けど、その純粋さはあまりに残酷だった。
妹の才能に嫉妬しない日は無かったし、そうやって気遣われることで、妹に対する憎しみさえ芽生えていった。
あたしが悲しんでるのはあんたのせいよ。
そう叫びたくなるのをこらえるのに必死だった。
本当は誰より大切な妹なのに、憎い。
愛しくて愛しくて愛しくて、憎い。
あたしはそれに耐え切ることが出来なかった。
そして、あたしは…

779 名前: 萌えるゴミ 投稿日: 2005/12/20(火) 23:36:27 [ OsEuGMwM ]
「おい、起きろセリア、もう朝だぞ」
聞きなれた声があたしの名を呼ぶ。
「ん…?」
もう朝。そうなのだろう。窓の外は明るく、小鳥のさえずりが聞こえてくる。
さわやかな朝の目覚め…ではなかった。
なんとなく、頭の奥が重い気がする。
「おいセリア、体調でも悪いのか?」
顔をあげると、これまた見慣れた顔がこちらを覗き込んでいた。
「ん…大丈夫。おはよ、アハト」
聞きなれた声と、見慣れた顔の持ち主の名はアハト。
あたしことセリアの恋人、アハト。
不思議だ。アハトの顔を見たとたん、頭の奥の重さがすっと消えてしまった。
あたしは、アハトに向かって微笑んだ。

「もう…起こしておいていきなりこういうことする?」
あたしは乱れた寝巻きを直しつつ、アハトに抗議する。
「しょうがないだろ。起き抜けにあんな可愛い笑顔を向けてくるお前も悪い」
アハトはそう反論しながらも、どこか気まずそうにしている。
可愛いって…嬉し…じゃなくて。
「昨夜だって散々したのに…」
「うっ…」
アハトは顔をしかめる。そこに更に追い討ちをかける。
「…スケベ」
「だぁぁっ!言わんでくれぇっ!」
アハトは頭を抱えて悶えだした。
あの後、あたし達は「恋人たちの夜の営み」をしてしまった。朝っぱらから。
アハトのほうから求めて来たのだけれど、全く拒む気にならなかったあたしも末期だと思う。
でもまあ、せっかくだからもうちょっとアハトをいぢめておく。
「全く、これで今日のギルド戦争に支障が出たりしたら、ダリアスさんに殺されてるわよ」
あたしとアハトは同じギルドに所属している。
あたしは一部のアーチャー技術を取り入れたランサー、アハトは支援魔法に特化したウィザード。
話の中に出てきたダリアスさんというのは、あたしたちのギルドマスターに当たる剣士さんだ。
怒らせると怖い人で「そんな理由」でギルド戦争に支障が出たと知ったら…。やめよう。怖い。
そんなことを考えていたが、ふとアハトがさっきまでとは違って難しい表情をしているのに気付いた。
「どうしたの、何かあった?」
「ああ、今日のギルド戦争関係でちょっと気になる話を聞いたんだが…」
どうもただ事じゃない様子。これはちょっと長い話になりそうだ。
「とりあえず、朝ご飯食べながらにしよう?すぐ準備するから」
そう言ってあたしはキッチンに向かった。

780 名前: 萌えるゴミ 投稿日: 2005/12/20(火) 23:38:57 [ OsEuGMwM ]
「ビーストテイマー?」
朝食の席で、あたしはアハトの口にした言葉を鸚鵡返しにする。ただ、その口調にやや棘があるのは自覚している。
あたしはビーストテイマー、サマナーたちを好きになれない。彼女たちは…いや、今は止そう。
アハトはそれに気付いてはいるのだろうが、あえてそこには触れずに話を進めてくれる。
「ああ、今日の対戦相手のギルドに最近入ったビーストテイマーがいるんだが、そいつがかなり強いんだそうだ。なんでも、ブルン西方連合ギルドをほぼ一人で壊滅させたとか。」
ブルン西方連合ギルドというのは、かなり有名なギルドだ。あたしたちのギルドもかなり有力なギルドなのだが、以前対戦したときは僅差で勝利を収めた相手だ。
そのギルドをほぼ一人で壊滅させるなんて、よほどの実力者なのだろう。
「かなり強力なモンスターを連れているうえ、サマナーの技術もバランスよく習得した厄介な相手なんだそうだ」
「そう…その人が連れてるモンスターの種類は分かる?」
かなり強力、とだけ言われても役に立たない。けど、モンスターの種類が分かればある程度の対策は可能だ。
「ああ、確かファミリアとウェアゴートだったらしい。」
ファミリアとウェアゴート。どちらも悪魔系の中でかなり上位に位置するモンスターだ。
「じゃあ、おそらく相手は風雨の日でそのモンスター達の速度を上げて攻撃してくるでしょうね」
「ああ、多分そうだろう」
アハトも相槌を打つ。
「となると、装備は防御力重視の方がいいわね。もともと向こうのギルドは魔法職が少な目らしいし」
「まあ、そうするしかないよな」
実際、この程度の情報で勝敗が覆ることなんてまず無い。
けど、少しは役に立つはずだから、全くの無駄というわけではない。
少しでも戦い続け、経験をつむのも大事なことだ。
そのあともギルド戦争について話し合って、朝食の時間は終わった。

さて、準備をしないと。
あたしは今、装備保管用の部屋に居る。ここには、あたしが使う装備品を全部保管してある。
ちなみに、アハト用の同じような部屋もあって、今アハトもそっちで装備を選んでいくはずだ。
まずは鎧。これはサンダープレートを選ぶ。手に取ると、雷の音が伝わってきてなんとも不思議な感じだが、防御力は折り紙つきだ。
ベルトは普段から使っているチェーンスクェアで問題ないだろう。
次に首。防御力を重視するのだからスターリンクにしよう。星を象った装飾の付いたこれは、もともとあたしのお気に入りだ。
兜はダークバイザーにする。呪いが込められていると言われるこの兜、あまり好きではないけど仕方ない。でも着けるのは後にしよう。とりあえず近くに置いておく。
靴はトリップライダーで。防御力がありながら移動速度も高めてくれる、いい靴だ。
後の装備は迷うことは無い。いつも使っている定番の装備だ。
耳にはアンクイヤリング。防御力など期待できない耳に、生命力を高めてくれるというこれを着けるのは当然とさえ言える。
腕にはスクリューフライヤー。たとえ防御力はガントレット系の方が優れていても、これだけは譲れない。
そして、指輪を嵌めていく。様々な効果をエンチャントされたバトルリングが7個、あとの1個はハードフィスト。
このハードフィストはアハトがあたしにくれたものだ。恋人にプレゼントされた指輪がこれというのはちょっと複雑だけど…まあいい。一応左手の薬指に嵌めておく。
弓は大型の攻城用弓を選び、背に掛ける。
また、矢筒にスタビライザーがしっかり詰め込まれていることを確認する。
最後は槍、ホースキラー。手に入れて以来ずっと使ってきた、(アハトの次に)頼れる相棒だ。
右手にホースキラーを持ち、左腕でダークバイザーを抱え、準備は整った。
さあ、今日はギルド戦争だ。


とりあえず今はここまでです。
今度はバトル書く予定です。
誰か読んでくれるといいな…。

781 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/21(水) 08:52:49 [ KF02GH3k ]
>>774
面白いですねぇ〜朝から笑わせていただきました。
先日、実際に万能鍵持ってるからという理由で剣士が秘密に入ろうとしてたのを思い出しましたよ
次回作期待してます

782 名前: 黒い人 投稿日: 2005/12/21(水) 17:57:38 [ gM5vICGM ]
はじめまして。緑鯖の黒…です。
続くかどうかは疑問符ですが、作品を投下させていただきます。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

RedStone
〜あるシーフの物語〜


「RedStone」…天上界にあったといわれる、伝説の赤き石。
その石は常人にはなしえぬ力をもち、あるものには富を、またあるものには
すべてを超越する力をもたらすといわれている。
人々は磁力にひきつけられる砂鉄のように血眼になって探し、
その姿を見ることなく死んでいった。
これもまた「Redstone」をある目的のために求めた、幼き少年シーフの物語である。

++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

783 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/21(水) 18:52:53 [ LVW/cCFA ]
むはぁ(´・ω・`)
なんか、改めて読み返してみたらそこかしこにミスがありまくり・・・orz
読みづらいものを書いてしまってスミマセン^^;

>>21Rさん
お久しぶりです^^
無事にミル嬢を助けられたかと思いきや、どうにも操られている感が全開ですな^^;
果たしてアレンはどうなるのでしょうか?

>>KUNAIさん
GJですよ^^
mobの皆さんもXキーで変身したいんですね。
ただ、秘密に行ったからといって変身できるようになるのでしょうか?

>>戦士のようださん
やはり、傭兵さんの名前はジンでしたか・・・。
ただ、微妙に前作とは名前の元ネタが変わっているような・・・?
続きを期待しています。

>>萌えるごみさん
どうも初めまして^^
優秀な妹に憎しみに近い劣等感を持つランサーのお話ですか。
もしかして彼女がテマサマをあまり好まない理由は、その妹さんと関係があるのでしょうか?
続編待ってます。

>>黒い人
こちらも初めまして^^
新作期待しています。

784 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/21(水) 23:32:56 [ 6AwpQ2pM ]
始めまして。
なんか様々な小説を読んで小説魂が触発したので勢いで書いた小説を投下させていただきます><;

――鉄鉱山B1――

一人のサマナーが召喚獣と共に立っていた。
目を瞑り聴覚を研ぎ澄ます

――カサカサ――

なにかが近寄る、人間ではない足音。
ぱっと目を開けるとすぐに持っていた笛で召喚獣に指令をだす。

「ケルビー!ウィンディ!Go!!」

笛の向いている先にはさっき人間ではない足音をしていたものだった。
それはまさにそのサマナーを攻撃しようと近寄ってきたフェイススパイダーだった。
ウィンディが風を起こしケルビーは自慢の炎を尾に宿しありったけの攻撃を喰らわす

「ギイィィィィ!!」

フェイススパイダーが断末魔を上げた、耳に刺さる声
その声が消え、静寂に戻ったときフェイススパイダーの姿は跡形も無く消え去っていた。

「・・・はぁ」

―パチパチパチ―

サマナーが深呼吸のようなため息をついたと同時に一つ拍手が聞こえた。
フェイススパイダーがいたほうと逆方向を見ると槍を持ったまま拍手をしているランサーが立っていた。

「いやー、レックス!修行お疲れ様♪結構強くなったね〜!」

そのランサーはニコニコしながらレックスと呼ばれたサマナーのほうへ近寄った。
レックスは肩をランサーに軽く叩かれるとまたため息をつきその場にペタンと座り込んだ。
ウィンディ達を呼びケルビーの背にもたれかかった。
そして愚痴を始めた。

「んもぅ、何だよ〜今日は2人でLv50は行こう!って張り切ってたのに
  実際狩りしているの私だけじゃない、キュイナは急にフラフラどっかに行って〜」

キュイナと呼ばれた人はあのニコニコしているランサーだ。
キュイナはその愚痴を聞いて「あはは〜」と軽く笑って流した。
レックスの約数十分の愚痴が終了するとまた鉄鉱山は静寂を取り戻した、
静かで暗いので少し眠いな〜とキュイナは思ったが急に視界が暗くなった。
元から鉄鉱山は暗いがさらに暗く、前を見ると人影が見えた。
キュイナが声を出すより先にレックスが「あ・・・」と軽く声を出した。

「アイルさん・・・」

レックスが軽く声を出したのに続いてキュイナの視界を暗くした人影の名前を呼ぶ。
キュイナが振り返るとその人の顔は勿論見えず、顔を上に向ける
そこには170㌢くらいのウィザードが立っていた。
彼は「こんにちは」と挨拶をするとキュイナの隣に座った、どうやらキュイナ達と仲が良いらしい。

「アイルさん、どうしたんですか?鉄鉱山なんかに来て、もう適正外の実力では?」

レックスが質問をするとアイルは「あれ?」とでもい言いたそうな表情を浮かべた。

785 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/21(水) 23:34:37 [ 6AwpQ2pM ]
>784の続きです^^;

それを見たレックスはキュイナに視線を変えギロリと睨む。
キュイナはどうしようばれちゃったみたいな表情をしている。
レックスは拳に力を込めて叫んだ。

「一人で一生懸命戦っているのにアンタは何しとったんですか!!!!?」
「ぁ、あっはは〜何していたってそりゃあれよ。アイルに修行手伝って〜って連絡を・・・」
「え?」
「アイルさんは「え?」と仰っておりますが??」
「う”。ご、ごめんなさい一種のラブコールを・・・」
「白状したなコノヤロウ」

レックスが笛を構え、アイルは慌てふためきながらレックスを止め
キュイナはおもしろ半分で「きゃー」なんて叫んでいた。
アイルに止められしかたなく殴るのを止めたがレックスは腑に落ちないらしい

(そりゃぁ恋人同士だから分かるけどさ、もうちょっと気を使ってほしいよね
  聞いているこっちは寂しいんだから・・・つか嫉妬?)

もんもんとマイナス思考の愚痴を頭の中で走らせ少し目に涙が浮かんだ

「で、レックスさんはどうします?」
「は?」

突然のアイルの質問に浮かんだ涙はひきまぬけな声がぽろっと出てしまった。
その声を聞いたキュイナはアイルの後ろで耐え笑いしているのを誰も気がつかなかった。

「いや、私もいることですしもうちょっと奥に進んでみませんか?」
「ぇ、あぁ、はい。じゃそうしましょか。」

レックスは返事を返すとすぐに立ち上がり服の砂埃を落としてケルビー達に補助をかけ始めた。
アイルはウィザードならではの魔方陣を描き、キュイナは集中力を高めて戦闘の準備を行っていた。
レックスの補助の綺麗な音色が鉄鉱山にこだましてゆっくりと音が完璧に消えたときだった。

―――ズズンッ!―――
――ゴゴゴゴゴゴゴゴッ――

鉄鉱山全体に地響きの音が通った。
その地響きからどんどん揺れが激しくなっている
突然の揺れに3人はもちろん戸惑いを隠せなかった。

「な、地震!?」

揺れのせいでまともに立てないレックスは軽くしゃがみ込んだ。
両隣ではケルビーとウィンディが支えてくれている。
キュイナは槍を地面に突き刺しバランスをとり、アイルは・・・浮いていた。

「ちょ、アイル!なんで浮いているのヨ」
「え?いや、これはレビテイトという技で・・・」
「今はその問題じゃないでしょうがっ!!」

地震の中3人が漫才をやっているように見える
とても不思議な光景だ。

「もう・・・いや」

レックスが少し呆れながら一言言った時だった。

――――ガコオォンッ!!――

地震とはまた違う音が聞こえたとき視界が鉄鉱山の天井を向いていた。
「?」と思いながらレックスが下を見ると・・・穴。
どうやら地震のせいで地盤にひびが入り割れたようだ。
なんて事を考える暇もなく3人は重力に従って穴に落ちる。

「ええぇぇぇぇぇっ!!???」
「うぎゃ!ちょなんじゃぃぁ穴あいおゆ落ちっーーーーー!!?」
「・・・・・っ!!?」

レックスは叫びキュイナは言葉を喋ってはおらずアイルは言葉を失った
3人は何がなんだか分からないまま鉄鉱山にできた穴に飲み込まれていった。

無駄にスペースとってますね。もっとうまく書けるようにがんがりますっ
お目汚しスイマセンでした><;

786 名前: FAT 投稿日: 2005/12/22(木) 10:37:05 [ lPrp9/T. ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)|>>681-683(34)
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―――――寂しいところだ。
あたしはソゴム山脈の一角、赤山の中腹を見渡し何とも言えぬ虚無感を感じた。
木が一本も生えていない裸山。
姿を隠すものはなにもないのに生き物の姿はどこにも見当たらない。まるでこの山が死ん
でいるようだ。
港町から逃走し、追っ手を幾人か返り討ちにし、くたくたになりながらここまで来た。

・・・・あたしはどこに向かっているんだろう?

あの姉妹の故郷はおそらくロマ村、ビスルだろう。だが、それは確かではない。もしかし
たら見当違いの可能性もある。そんなことを思案すると些か鬱になる。・・・無意味かもし
れない――――
と、そのとき、あたしの身長の二倍ほどの高さのある切り立った山肌の上に、あの魔物を
目視した。

フプレのペットのサラマンダか!!!

後先考えずに、思い切り飛び上がりサラマンダと同じ土台に立つ。敵は一匹だけで本体や
もう一匹のお供の姿は見えない。

「おらぁーーーーー!!!」

側転しながら脇に潜り込み、拳を突き上げる。体を覆っている鱗が拉げ、巨体が宙に舞う。
剥き出しの岩石がその到達点に待ち構えており、サラマンダの頭部を強打する。それが起
爆剤となったのか、勢いよく炎を吐き出した。

「ぬるい!!!」

気による防御幕を形成し、吐き出された火の渦の中を掻き分け、開らかれている口に手を
忍ばせ、素早く舌を引っ張り出し、本体ごと吊り上げる。するとサラマンダは火を噴くこ
とも、咬みつくことも出来ずにただじたばたするだけの滑稽な姿となった。

「ふん、いい気味だ。さぁ、お前のご主人はどこだ?」
ざらざらとした舌が変色している。自分の重さに耐えられていないのだろう。

「・・・・マリス。そいつは違うぞ・・・・。あいつのペットじゃない」
段差をよじ登ってきたスレイが哀れむような目であたしを直視する。その目には、どこか
諦めのような感情も混ざっている。その瞳に、言葉に、いきり立っていたあたしの精神は
冷まされ、サラマンダを投げ捨てる。開放されたサラマンダはあたあたと岩陰に消えてい
った。

「あぁ・・・もうっ!!どうしちまったんだ、あたしは!!」

・・・もう、自分が分からない。

なにをやっても駄目だ。

空回りし、厄災ばかりが降り注ぐ。

憎敵に会えば逃げられ、祝祭を開けば追い出され、身に降る火の粉を払えば何倍にも返っ
てきた。


あたしがなにをしたっていうんだ?

何度も自問してきた質問を、再び繰り返す。

あたしはこんな人間じゃなかった。

それが今では平気で人を殺め、動物を虐待している。

あたしは変わってしまったのか?

あたしは、本当にあたしなの・・・・?


「なぁ、マリス。俺は思うんだが・・・・」
スレイが口を開いた瞬間、見覚えのある三人が突如あたしたちの目の前に現れた。

787 名前: FAT 投稿日: 2005/12/22(木) 10:37:45 [ lPrp9/T. ]
「タカさん!!どんぴしゃすぎ!!」
転送先は狙い澄ましたように、マリスたちの真正面だった。
タカさんは家の大事を後回しにし、心配だからと私たちの元に文字通り飛んできてくれた。
こんな便利な能力があるならもっと早くに使ってほしかったが、消費する魔力が半端ない
らしく、今にも倒れそうなほど疲弊しきっている。

一瞬唖然と気の抜けた顔を見せたマリスだが、すぐに状況を把握し、飛び掛ろうと腰を落
とす。
「待って!マリスさん、お願い!私たちの話を聴いて!!」
手を突き出し、その行動を制止する。マリスもそれに応える。
「フプレはどこだ?あたしが用あるのはお前じゃない。フプレのほうだ」
「フプレもすぐに追いつくはずよ。だから、私たちの話を聴いて!!」

フプレに異様な執着心を燃やすこの女性を、私は止めることが出来るのだろうか・・・

なんとか戦闘体勢を解いてくれたと思った矢先、折悪くウィスパーが報告にくる。

〜フプレはこないよ。・・・レニィも。居ないんだ、どこにも。少なくてもブリッジヘッド
からここまでの間には二人は居なかったよ〜

「ほう・・・」
マリスの目の色が変わる。
「あたしをだます気だったのか?」
体を怒気が湯気のように覆い、拳を握り絞める。

「そんな・・・・」
意表を衝かれたのは私も同じだった。フプレは村に向かっているとばかり思っていたのに、
一体どこで・・・?

「もう・・・もう、どうでもいい。お前を殺してフプレのやつにも思い知らせてやる。最
愛の人を失うことの重大さを!!痛みを!!苦しみをぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

もはや何も見えず、何も聴こえないだろう。目を見開き、私目掛けて跳躍する。腹部に鋭
い蹴りが弧を描いて飛んでくる。しかしそれは私の体に届く前に、何か硬い、見えない壁
にぶち当たり、マリスの方が悲鳴を上げる。

「フラン、下がれ!!俺たちで何とかする」
声の主を振り返るとタカさんが何らかの魔法で私を守ってくれたのが確認できた。指示に
従い、ナイトバーズを召喚しながらタカさんとジョーイの影に隠れるように後退する。ナ
イトバーズは、またもコウモリ型にしかならなかった。

私の後退を合図に、テリーナとアンメルがジョーイに襲い掛かる。ジョーイは敢えて二人
の中央に潜り込むと、氷龍を召喚し、二人を飲み込ませた。激しい寒波の中、二人は同時
に一点を突き、龍の体内から脱出すると背中を向け走っているジョーイに斬りかかった。
その斬撃を氷の魔力で一瞬遅らせ、前転によって難を逃れる。
「はぁっ!!」

入魂一刀

事もあろうかジョーイは手にしていた短剣をアンメル目掛け投げつける。アンメルがそれ
を長剣で軽く打ち落とすと、いや、打ち落とそうとすると、その短剣は粉々に砕け、砕け
散った欠片がサクサクと全身に刺さる。どう見てもその破片が致命傷になっているように
は見えない。だが、アンメルは動かなかった。血の通わない、冷たい体はジョーイの冷力
によって更に温度を下げられ、稼動部が凍り付いてしまっていた。

「アンメルぅ!!」
剣を握ったまま彫刻と化した婚約者の姿に、生前のテリーナらしい感情が蘇る。というよ
りも蘇らされているのだろう。
「やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
槍を振り上げ、踏み込みと共に垂直に打ち下ろす。
・・・槍の長所はそのリーチの長さにあるが密接した状況ではただのお荷物である。テリ
ーナの踏み込みと同時にジョーイも彼女の懐に飛び込み、瞳を覗き込む。
「ごめんよ、しばらくの間、二人仲良く凍っててもらうぜ」
二人の目が合った瞬間、テリーナの体の自由を冷気が奪った。

ジョーイはマリスとスレイを相手にしている私とタカさんの方を振り返った。

788 名前: FAT 投稿日: 2005/12/22(木) 10:38:22 [ lPrp9/T. ]
タカさんはマリスの連打を背中に生やした翼をもって耐えていた。横からナイトバーズの
毒尾が振り回され、マリスはそちらをかわしながらも執拗にタカさんを攻め続けている。

そんな光景を、スレイはじいっと見詰めているだけである。私はその異様な態度に、警戒
せざるを得ない。おそらく隙を見せれば一瞬のうちに間合いを詰められ、葬られてしまう
だろう。
そんな私の危惧は、ジョーイの参戦で拭い去られた。

これで三対二。

数の上でも優位に立つことができる。

気持ちに余裕ができたからか、私は奇策を閃いた。

「ウィスパー!!!」

ウィスパーを最小化し、マリスの耳の穴にピタリと当て、耳打ちモードにする。きちんと
ウィスパーが耳に入り込んだのを確認すると、有りっ丈の息を笛に吹き込む。

・・・ウィスパーが耳打ちモードになっているとき、私の声はウィスパーを通じて直接相
手の鼓膜に伝わる。

魔笛の破壊音はウィスパーを媒体に、マリスの左耳を打ち砕いた。吹いていた私自身も身
震いするようなそのおぞましい音色に、マリスはよろめき、膝を折った。

「お願いよマリス!もうやめて!!私たちは誰も殺したくない!!もう、これ以上あなた
を苦しめたくないのよ!!」
耳から滴る血が先程の音波の凶悪性を物語る。もしかしたらマリスには何も聴こえていな
いのかも知れない。






「おい、待て、俺はあんたらと闘う気はない」
テリーナとアンメルを片付け、勢い付いていたジョーイはこの発言に些か勢力を削ぎ取ら
れる。スレイは色白の手を空に掲げ、反戦の意思を証明する。
「なんでだい?あんたはあの娘の仲間なんじゃないのか?」
それでも一応警戒し、剣先を喉もとに合わせたまま探りを入れる。
「そうだ、仲間だ。だからこそ俺は手を出さない。俺は、あの娘を助けたい」
ジョーイは理解に苦しむ。助けたいのならば加勢するものではないのか?ただ傍観するだ
けで助けるとはどういう意味合いなのだろう?
「あの娘は取り込まれているのだ。復讐という名の悪魔に。本来ならば優しいあの娘が、「殺
してやる」なんて言葉を復唱している姿をもう見たくない。あの娘に、気付いて欲しいの
だ。この戦いの虚しさを。本当の敵を」
ジョーイは向けていた剣先を下げ、地面に胡坐をかき、座り込んだ。つられるようにして
スレイも腰を落とす。

「あんたは話が分かりそうだな。いくつか質問したいがいいか?」
スレイは頷き、質問を催促する。
「まず、あのアンメルとテリーナについてだが、何故彼らは生きている?少なくともテリ
ーナは俺の目の前で死んだはずだ。死体も確認した。何故ここにいる?魔法でも完全な蘇
生術はまだ完成されていないはずだが・・・」
「俺もその現場に居合わせたわけではないので詳しいことは分からんが、彼らはネクロマ
ンサーの力で蘇ったらしい。いや、蘇ったというのは正しくないな。彼らは血を持たない。
おそらくだが人間的な内臓器官なども持ち合わせていないだろう。証拠に彼らが飲食して
いるのを見たことがないし、テリーナに至っては胸を剣で一刺しされても血が一滴も出な
かった。つまり、彼らは人形なんだ。藁人形のように、呪いの力で動いているんだ」
「なるほど・・・じゃあ、あんたの言っていた本当の敵っていうのは・・・」
「ああ、ネクロマンサーだ。あいつがマリスの心を乱している。ハノブで俺たちと遭遇し
たときのことは覚えているか?」
ああ、とあいづちを打つ。何が言いたいのか、ジョーイにも何となくだが掴めてきたよう
だ。
「あのとき、マリスは本来の自分を取り戻しかけていた。それを、テリーナに扮したネク
ロマンサーが阻止したのだ。・・・親友を盾に取られて、復讐心を無理やり増幅させられて
いるあの娘が可哀相だ。」
うんうん、と深く頷く。この男が、この無益な戦いを止められる鍵なのかも知れない。
「俺はネクロが出てくるまで一切手は出さん。奴が出てきたらこの命と引き換えにでも打
ち倒してみせる!!だからそれまでは休戦だ、どうかね?」
スレイの強い決意にジョーイの頬が緩む。
「賛同しかねるな、あんたが命を張ることはない。俺たちも協力させてもらうぜ。だから
「命と引き換えに」なんて野暮なことは言うなよ。もうじきあいつらも着くはずさ、そし
たらみんなで囲んで軽く葬ってやろうぜ」
青い独眼が三日月になる。スレイはジョーイという男に確かな信頼を抱いた。
「んじゃ、あのお嬢さんを止めてくるぜ。安心しな、文字通り止めるだけだからさ」
そうして去っていく大きな背中を見て、スレイも奮起した。

そうだ、止めるだけならマリスを傷つけなくともできる。待っているだけじゃ何も始まら
ない。まずは、彼女を止めることっ!!

789 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/22(木) 20:16:18 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777

気持ちよく寝ていた所を看守の野太い声で起こされる。
「何時まで寝てんだゴミども!早く起きろ!」
飯も与えられないまま目隠しをされる。またコロシアム行きか…
目隠しを外され、前とは違い粗末な槍を渡される。
門が閉められ、真向かいにある門から馬鹿でかいサソリが10匹も現れる。
囚人達が動揺して、壁側に張り付く。根性のない奴ばかりだ。
キチキチと言う音を出しながらサソリ達がこちらへゆっくりと寄ってくる。
色からして食人スコーピオンだろうか?どこから捕まえてきたんだか。
囚人がサソリを避けるように移動する。が一人の囚人が転んでしまう。腰が抜けて立てないらしい。
尻餅をついてあたふたしている囚人の上にサソリが一匹のしかかる。
こいつは食えるものだろうか?とでも言うようにサソリが顎をキチキチと鳴らす。
次の瞬間、サソリの尻尾が囚人の腹に食い込む。囚人が口から血を吐き、しばらく痙攣した後に意識を失う。
サソリが尻尾を囚人から引き抜き、顎をひとしきり鳴らした後に肉を鋏でちぎり、食べ始める。
客席から悲鳴が上がる。失神した人も居るのではないだろうか?
ギャラリーを適当に見回していると、どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。
少し辺りを見回してから声の主を知る。自分の真上にあるギャラリーにネグルフシが居るのだ。
「お前、妹見つかったのかよ?」
「いや、それが見つかってないんだ。どうも古都から逃げ出したらし、アハハハ…」
急に頭痛を覚える。何のためにわざわざ捕まったんだか…
「俺はどうなんだよ。」
「コロシアムで優勝すれば自由になれるから、それとこれな。」
ネグルフシが鞘に入った二本の短剣を投げる。
中身は確認するまでもない、二つをベルトのホルダーに固定する。
「おい、きたぞ。後は頑張れよな。」
比較的小さめのサソリがこちらに寄ってくる。素早く横に回りこみ、
硬い装甲の割れ目に槍を突き刺し、地面とサソリを縫い付ける。
サソリの体から一定のリズムで体液が噴き出す。絶命した所で槍を引き抜き、
コロシアム全体を見回す。残ったサソリは7匹、囚人は四人ほどが固まって必死にサソリを追い払っている。
近くに寄ってきたサソリの一撃を槍で払い、それから槍を振り下ろしてサソリの頭を叩き潰す。
脳が潰れ、死に掛けながらもこちらへと寄ってくるサソリにもう一回一撃を喰らわせる。
近くにあった囚人の死体から槍を奪い、一箇所に固まっている囚人の下へ向かう。
サソリを後ろから貫いて地面に縫いつけ、残ったもう一方の槍を振り回して他のサソリを追い払う。
「サソリの尻尾になんてなかなか当たるもんじゃない!横に回りこんで戦え、いいな!」
囚人達に檄を飛ばしながら槍を振り回し、サソリの接近を阻む。
「オラァ!」
囚人の一人がサソリを一匹仕留める。が、気を緩めたのか顎を鳴らしている後ろのサソリに気がつかない。
囚人の後ろに居るサソリの頭を叩き潰し、背中合わせになって戦う。
残り二匹になったサソリを囚人達がジリジリと追い詰めてゆく、槍に風の魔法を載せ、
片方のサソリに投擲する。上手い具合に突き刺さり、囚人が止めを刺す。
最後の一匹も袋叩きにされ絶命した。
しばらくすると門が開き、看守と騎士が出てきた。
「これにて本日の武道会はお開きにさせていただきます。」
騎士が閉会宣言をし、看守が目隠しをして牢屋へと俺たちを運び去る。

790 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/22(木) 20:16:44 [ QS1Cbi/M ]
監獄についてから残った囚人の数を数えると、自分を含めて僅か5人、
当初は20人は居たはずだから随分と減ったものだ。狭かった牢屋も随分と閑散としている。
「兄貴、すごいですねぇ。きっと名のある極悪人でしょう?」
畳に座っていると囚人の一人が声を掛けてくる。どうも気の抜けたやつだ。
年齢は19くらい?随分と若い囚人だな。
「そうでもないさ、しがない押し込み強盗だから。」
看守から渡された遅い朝飯を食べながら答える。
そういえば飯の内容がグレードアップしてるかもしれない。
今日の朝飯は、ご飯、味噌汁、玉子焼き、味海苔、鰯だ。昨日は味噌汁と漬物だけだったはず。
どうもコロシアムに勝つと待遇が良くなるらしい。
「じゃあ、兄貴は名のある押し込み強盗ですね。」
「だから、ただの強盗だってば。」
人の話を半分しか理解しない囚人に頭を痛めながら味噌汁をすする。中身は豆腐と水菜だ。
「どこに入ったんです?」
「ニューロクって表札のあるところ。」
「ええ?!じゃあ兄貴は警備兵の目を盗んで忍び込んだんですか?」
「気安く兄貴兄貴と呼ぶな。警備兵なんて居たか?」
「あそこは盗賊の関係者が出た家ですからね。もっとも今はほとんど人が居ないらしいですけども。」
「お前は何してここに来たんだ?」
「情報屋やってたら政府の秘密を漏らした、って言われてここへ。たまったもんじゃないですよ。」
「情報屋ねぇ、お前さネグルフシって男知ってる?」
「知ってますよ義賊の頭でしょう?」
「おい小僧、耳貸せ。」
耳を無理やり口元まで引っ張る。
「お前にだけ正体を教えてやるがな。俺は義賊の隠密だ。」
「へ?じゃあ」
「黙って聞け、お前、ネグルフシの妹のことを知ってるか?警備兵に追われてるらしいが。」
「ええ、二ヶ月くらい前に古都から逃げ出して行方不明です。」
「そうか、わかった。やるよこれ。」
軽く腹を叩いて口から金貨を出す。それを投げてから飯の続きをする。
今日はコロシアムも終わったし、飯食ったら寝ようかなぁ・・・

791 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/22(木) 23:00:31 [ pwM25Fko ]
このスレは感想つける人少ないのぉ…

792 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/22(木) 23:04:18 [ tG/oOAP6 ]
文才無さ過ぎて3行目ぐらいで読む気失せる

793 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/22(木) 23:10:40 [ 9lRasBaw ]
>>792が文才のない奴に文才ってものを教える為に小説を書いてくれるらしいぞ
  ∧_∧
 ( ・∀・) ドキドキ
 ( ∪ ∪
 と__)__)

794 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/23(金) 01:09:44 [ f8V/2eyI ]
 文句がない場合は書きにくいに。(割り込むこともアルし)
・・・他職の技実際に使えるアップデートきたらいいな
テストさばでいいから。 文才少ないけど書いてる・・・

795 名前: 名無氏 投稿日: 2005/12/23(金) 15:55:28 [ ds671vPg ]
このスレ伸びるの早すぎ・・・

796 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/24(土) 23:25:18 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
フプレと激突する前にフラン一行と遭遇したマリス一行。
いやはや、ジョーイさんが強い強い。凍らせて動きを止めるとは想像もつきませんでした。
さらにマリスのために休戦を申し込んだスレイさん。
どうやら、ネクロとの決戦はかなりの読み応えがありそうですね。

>>名前有り?さん
バカップルの処遇に困るサマナーの話ですか・・・。(違
はてさて、穴に落ちてしまった彼女達の安否は?
コタツにこもりながら、続きお待ちしてますね。

>>戦士のようださん
折角捕まったのに肝心の妹さんが行方不明とは・・・。
ジンも災難でしたねぇ。
もしかして、ポールと一緒にいる彼女が・・・。
違いますか、そうですかorz

797 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/25(日) 01:23:19 [ LVW/cCFA ]
>>761
頭の中の声が俺に警告をした。ギルとリリィがやばいだと・・・?
(おい、お前何を知っている!?いや、それ以前にお前は何者だ!!)
頭の中に声が聞こえてるいるということは、俺は今何らかの形でこの声の主と魔術的な要因で繋がっているはずだ。
この手の類の魔術なら、念じれば会話は可能なはず・・・。
―――・・・・・・・・―――
だが、声は答えない。おぉ、そうかい。俺からの問いかけには黙秘を決め込んだか・・・。
「総員、隊列ヲ整エロォォォォォォォォ!!我等ガ仇ィィィィ、此処デ滅スルゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
隊長が吼える。それと同時に周りのハイランダーが動きを見せる。
「おいおいおい、こいつはちょっとやばいんとちゃうん?」
アニーが呟く。だが、その顔はちっとも焦りの色を見せてはいない。
「アンタらが、な・・・。」
アニーが更に呟く。だがそれは、どこか周りの巨人達を嘲笑っているかのような響きを持っていった・・・。
「ホザケェェェェェ!!!!!」
刹那、巨人が爆発する。巨人達の大半がアニーに向かって殺到する。
ほんとにこいつら、まとまりってのが無いな。俺が目的じゃないのかよ。
まぁ、そのおかげで活路が見出せるんだがな。
そうして俺はアニーの前に躍り出る。
「アニー、やっぱお前は最高だよ!」
「あんがとな、ジャック。でも、ウチにはヒースっていう人がいるさかいに。」
「仲間として、だ。勘違いすんな、この狼女。」
そんなアニーとのやり取りを終えると同時に、魔力を込めたバトルアックスで地面を突く。

ズガシャァァァァァァァァァァァ

地面に沿って一直線に、剣圧の嵐が巻き起こる。
向かってくる巨人達が、次々と嵐に飲み込まれズタズタに裂かれていく。
「ナニィィィィィィィィィィィ!!」
思いがけない反撃に巨人達が浮き足立つ。それと同時に、厚く巨大な壁にドでかい穴が開く。
「今だ、振り切るぞ!!」
ストレートパイクで文字通り、切り開いた道を駆け抜ける。
「逃スナァァァァァァァァァ!!!!」
隊長の号令と共に、数体の巨人達が俺達を追いかける。
だが、残念だ。生憎、俺が撃ったストレートパイクは通常のそれとは違う。
最もこいつらが木人共を、大量に殺してくれたから出来たようなもんだが・・・。

ズバァァァァァァ

俺達がストレートパイクの射程から抜け出すと同時に、嵐の軌道にそって地面から剣圧が吹きだす。
木人たちが大量に死んだことで、今この台地には土属性の魔力が非常に多く漂っている。
当然、周りから魔力を搾取する俺が扱えるのも土属性になる。
魔力というものは、それが持つ属性のシンボルにかなりの範囲で干渉することができる。
俺はそれを利用して、土属性の魔力を織り込んだ剣圧の一部を地面の中に埋めさせた。
もっとも無理矢理埋めたもんだから、自然と埋まっている時間は時限性となる。
そうして耐え切れなくなった地面が剣圧を吐き出した・・・。
それが、今回のストレートパイクのカラクリだ。
「ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
剣圧が広範囲に噴き出しているため、ハイランダー達は身動きが取れないようだ。
だが、そろそろ剣圧も消える頃だろう。台地の出口は近いがこのまま逃げたところで、追ってくることは明白だ。
「ジャック、レナ嬢、ゲイル。お前達は先に行け。自分とアニーが残ろう・・・。」
ヒースが俺達に向かって、そう言った。自分たちがあの巨人共の足止めをすると・・・。
「何を言ってるですか、ヒースさん!?あの巨人達は、普通とは違うんですよ!」
「貴方達の強さは認めるわ・・・。だけど、危険すぎるわよ!!」
レナとゲイルが抗議の声を上げる。だが、俺は・・・、
「任せるぞ・・・。」
そういうしかなかった。
レナが俺に非難の声を上げる。
「あいつらが覚悟したことだ、俺達にとやかく言う資格は無い。仲間なら、尚更だ!!」
俺のその言葉を聞いたレナは、下を向いて唇をかみ締める。
「二人とも、無事でいてください・・・!」
ゲイルが辛そうな瞳で、二人に対して言葉をかける。
「おおきに、ゲイル。ほら、さっさといきや!!」
俺達3人が台地を駆け下りたこと確認すると、二人は立ち止まり振り返った。
あいつら、無事じゃなかったら承知しねぇからな!!!

798 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:35:25 [ 6/rIAnMA ]
キャラ紹介
>>6

1〜21回目まで
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r977 (955-956)

>>61-63 (22)|>>283-284(26)|>>578-579(30)|>>681-683(34)|>>786-788(38)
>>118-119(23)|>>465-466(27)|>>599-602(31)|>>698-702(35)
>>156-157 (24) |>>482-483(28)|>>641-643(32)|>>727-729(36)
>>231-232 (25) |>>532-535(29)|>>656-659(33)|>>747-750(37)




聴覚を失ったマリスはもはや戦える状態ではない。しかしそれでも前進し、拳を繰り出す
その姿勢に私は恐怖を覚える。爛々と憎悪の光が漲るその瞳は、もはや人間のものとは思
えぬほどに威圧を放っている。

酷い光景だった。

私とタカさんはすでに攻撃をやめ、ふらふらのマリスが単調に拳を突き出しているだけで
ある。その哀れな姿に胸が熱くなる。
何故、ここまで私たちを憎むのだろう。確かにフプレの犯した罪は簡単に償えるものでは
ない。許してもらえるはずはない。それは分かっている。でも、今のマリスを動かしてい
る原動力は何か別にあるように思われる。一体・・・

考えあぐねているとジョーイが背後からマリスに抱きついた。
「ごめん、痛いかもしれないけど、少しの辛抱だから」
そう言うと左目の眼帯が悲鳴を上げ、青白く輝く。そうしてマリスから素早く離れると彼
女の靴と地面が氷塊で一繋がりになった。
「うぐぐぐぐ」
唸るような声を漏らすが足は地面から離れない。戦場から、物音が消えた。






「マリス・・・」
抵抗を止めたマリスにスレイが歩み寄る。聴力が戻ったのか、その男性を物憂げな表情で
見詰める。
「分かっただろう?この方々は人を好んで殺すような人種じゃない。テリーナの件も、何
か原因があったはずだ。復讐を実行するのは一度、話し合ってからでも遅くはない、そう
だろう?」
唇を噛み締め、地面を睨む。

・・・もしかしたらあたしは、間違っていたのかもしれない・・・

そんな考えがマリスに浮かんだ。

今の今まで一度も思いつかなかった、相手の正当性というものが急にマリスの中で大きく
なっていく。同時に自分の正当性というものが、しぼんで、小さくなっていくのが分かっ
た。

散々苦しみ、散々虐げられたのは、自分が誤った道を進もうとしていたからなのか?


マリスの胸に悔しさと虚しさがこみ上げてくる。

拳を交えて分かった。

この人たちは決して冷たい人間ではない。思いやりのある、暖かな人間なのだと。

テリーを殺したのも、何かの事故だったんだ・・・・・


もはやマリスの眼光は影を落とし、穏やかにさえ見えた。

799 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:36:54 [ 6/rIAnMA ]
「マリス・・・。おい、この氷を融かしてくれ。大事な足が冷えちまうだろう」
マリスの表情から意図を汲んだスレイの指示に従い、ジョーイはその氷塊を取り去る。
瞬間、スレイの胸から赤い液体が噴き出し、赤い雨がスレイとマリスに降り注いだ。

「え? ス・・・スレ・・イ・・?」
その胸を貫いたのは紛れもない、マリスの手刀だった。
しかし、誰よりも衝撃を受けているのもマリスである。
「いや! なんで・・・なんであたしの手がそこにある! スレイ! スレイィィィィィ」
手を彼の胸の中に突っ込んだまま、絶叫するマリス。壊れそうな顔と裏腹に、その手を引
き抜こうという気配は一向に感じられない。

「ふぬっ!」
タカさんが必死に魔力による回復を試みるがマリスの手がその治癒を妨げる。
「手を抜きなさい!マリスっ!」
私の叫びも届かず、彼女は自分の仕出かした行為に脅え、震えている。

「スレイ! スレイ! ああぁあぁあぁぁぁぁあぁああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
遂に奇声を上げ、自らを失ったマリス。それを待っていたかのように、ネクロマンサーが
黒い巨体を揺らせながら上空に姿を見せた。十本ある指のうち、三本から妖しげな紫光の
糸が伸び、そのうちの一本がマリスの体に直結している。

―ふふふふ、・・・成功だ! 遂に完成したぞ! 生体をも操る「生狂操術」。これで、わ
たしの研究も評価される・・・堂々と、地下界に戻ることができる―

ネクロマンサーの声が、直接脳に響く。テレパシーのようなものだろうか?

「悪魔め!」
珍しくタカさんが怒りの感情を露にする。巨大なハンマーを召喚するとそのままネクロマ
ンサー目掛けて地を蹴った。


ネクロマンサーの指から伸びている操糸は三本。一本はマリスに、残りの二本はアンメル
とテリーナに繋がっている。ジョーイは氷漬けにしたはずの二人の方に首を回す。
やはり、というような苦笑いを浮かべ、龍を憑依させる。先程とは比べ物にならないほど
の素早さをもって、二人が武器を振るった。


タカさんとジョーイがそれぞれの敵に標的を定め、私は独り、マリスと対峙している。
今の戦力ではどう考えても敵う相手ではない。私は必死になってナイトバーズを神獣型に
しようと何度も命令を下すが、それに応えてくれる気配はない。


〜フラン、それじゃダメだよ。思い出して、召喚獣とフランの関係を〜

私とナイトバーズの関係?
ウィスパーの助言の意味を考える。・・・そうか! 召喚獣の強さは私の・・・

「ナイトバーズ! マリスを助けたいの。彼女を止めて!!」
その言葉に応じるように、ナイトバーズがその姿を変える。久しぶりの、黒い翼に長い手
足、カラスのような頭部に士気が上がる。
「ありがとう、ウィスパー。私、ずっと忘れてたよ」
私たちサマナーと召喚獣の関係、それは単なる協力者にしか過ぎない。半ば強制的に地上
界に召喚される彼らが私たちに力を貸してくれるとき、それは何かを守りたいという暖か
い気持ち、誰かを助けたいという優しい気持ちに呼応する。

今はマリスを解放してあげたい!

マリスを、助け出す!!




「うがぁぁぁぁぁ!!!」
獣のような雄叫びを発しながら、マリスが跳躍する。一直線に私を狙うその足をナイトバ
ーズが打ち落とす。打ち落とされた足は大地を蹴り、クレーターができる。ネクロの魔力
が直接注がれることによって破壊力が数段上がっているようだ。標的を私からナイトバー
ズに移し、左の拳で威嚇する。それに反応し、頭部を守ろうと胴をあけたところに本命の
回し蹴りが決まる。体をくの字に曲げた魔物の顎を肘が激しく揺さぶる。更に足払いをし、
倒れた体に踵落としを見舞うが両手でそれを掴まれる。ナイトバーズの黒い目が光る。足
を掴んだまま、上空に羽ばたくと力の限りに地面に叩きつける。おもちゃのようにマリス
は振り回されているが、血は一滴も流れていない―――効いていないのだ。

800 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:37:53 [ 6/rIAnMA ]
一瞬ナイトバーズの動きが止まった。それを待っていたかのようにマリスは空いている方
の足で再びナイトバーズの顎を砕く。その衝撃に持っていた足を離し、後退する。自由に
なったマリスは一旦両手を大きく広げ、ゆっくりと閉じていく。するとその中心に、魔法
にも似た気の塊が発生する。これからなにが起こるのか、ナイトバーズはそれを察知する
と嘴を大きく開け、咆哮する。関節が外れ、口の奥に舌を引っ込める。大きく開かれた口
腔内から闇の玉が姿を現す。
マリスが凝縮させた気を放つのと同時に、ナイトバーズの口からも球体が放たれる。地面
を抉りながら轟音と共に気の塊がナイトバーズを飲み込もうとする。しかしその勢いは黒
い玉の中に吸い込まれるようにして消え去った。次の瞬間、その闇はナイトバーズの体内
に吸収され、翼が変化を遂げる。真っ黒だった翼は灰色になり、鋭い針のようなものが一
面に生えている。その棘は一つ一つが荒々しく吸収した気を渦状に纏い、鋭く空を裂く尖
音を響かす。

怯まずにマリスは目を閉じ、精神を集中させる。それを私とナイトバーズがチャンスだと
畳み掛けたのが間違いだった。
無防備なマリスに漆黒の鉤爪が突き立てられる。いや、そう見えた。確かに爪はマリスの
肩部を抉ったはずだった。しかしナイトバーズが腕を振り切ったとき、それは単なる影で
しかなかった。

人間の能力の限界を超えた速度。

それをもってして彼女は視界から消え、瞬時にナイトバーズの腹部に掌があてがわれる。
「はぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!」
低く地を這うような豪声に続き、先程の気の塊を素早く作り上げ、ナイトバーズを吹き飛
ばす。翼に生えた刃たちを放出すると空中でナイトバーズは塵と化し、風と共に消え去っ
た。

マリスの表情のない顔が私を向く。もう逃げ場はない。いいえ、逃げない!!
最後にナイトバーズが残してくれた気の刃たち。私と共にゆけ!!



笛を唇にあてがい、優しく息を吹き込む。穏やかな音色に導かれるように刃たちが空を円
舞し、各々に士気を高めあう。
次第に激しくなる曲調にその踊りもテンポを増す。相変わらず目を閉じているままのマリ
スは一向に動く気配を見せない。

緊張が高まる。

互いに動かぬまま睨み合いが続く。

永遠に続くのではないかと思われるような沈黙を破ったのは光の雨だった。



「フラァ〜ン!!!」
この世で最も親しい人の声に思わず振り返る。そこには輝かしい目をした、最愛の妹がい
た。宙に浮かぶ絨毯にレニィと共に乗り、真っ直ぐに私を見るその澄んだ瞳に、私の抱え
てこんでいた危惧は彼方へと葬り去られた。彼女もそんな問題があったことなど忘れ去っ
ているように絨毯から降りると素早く私を抱擁する。
「ちょ、フ、フプレ、気持ちは嬉しいけど今は・・・」
「いいのよ!フラン、会いたかったわ・・・」
そんな私たちの再会に、マリスの表情が蘇る。
「フプレェーーーー!!!」
目を見開き、角の生えた悪魔のような形相でフプレ目掛けて気を放つ。
「メラー!クラープ!!」
笛を振りかざすと、炎と光が交じり合い、気の軌道を逸らす。
「フラン、待っててね、すぐ戻ってくるよ」
私をなだめるように柔らかに言うと、フプレの周りの空気が変化する。それはあの時々に
感じた負の威圧感ではなく、温かな温度すら感じる頼もしい力だった。
「あぁ、分かっている、フプレ。私にチャンスをくれるのだな。任せろ、フランとマリス
は守ってやる!!」
独り言のように言い切ると、笛で回し蹴りを受け止める。激しい衝撃にシエルの腕が痺れ
る。
「ちぃ!やるじゃないか!だがその程度じゃ私は仕留められんぞ、マリスっ!!」

801 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:38:28 [ 6/rIAnMA ]
「よぅ、元気そうじゃないか!!」
「君こそ。・・・勝手に抜けて悪かったね。」
「へっ、じゃあその分働いてくれよ!ほれ、そこでおまいさんの宿敵がお待ちだぜ!!」
「君のほうは大丈夫なのか?」
「みくびんなって、死にゃしないよ。さぁ、行けよ」
レニィから見てもジョーイの劣勢は目に見えていた。悪魔の力が注がれた二人の力は徐々
に彼を追い込んでいた。今、会話が出来るのは先程の光の雨の牽制があってこそだ。
「じゃ、これは置き土産だ」
捲くられた裾によってレニィの華奢な腕が露骨になっている。そこには、爛々と光り輝く
紋章が掘り込まれていた。
「はは、やっぱレニィは俺の見込んだ通りの男だ。惚れ惚れするぜっ!!」
降り注ぐ雨のような光線にテリーナとアンメルの体の一部が砕ける。だが、それでも勢い
は変わらない。ジョーイは左目を覆う眼帯を握り、鎖を引きちぎると、己を奮い立たせる
ように大地を踏みしめ、歯を食いしばった。
「うににににぎぃ!」

ぶぴゅっ

という不快な音がしたかと思うと、窪んでいたはずの左目に青爛と澱めく人外の目が現れ
た。まるで爬虫類のように巨大な瞳孔は龍そのものであった。
そんなことを意に介さない二人は再び高速の連携攻撃を繰り出す。だがジョーイを捉える
ことは出来ない。龍の目が彼らの攻撃を分析し、ジョーイに適切な指示を与える。

・・・・こいつは危険だな・・・・

自分を支配する力に、ジョーイはあまり時間がないことを意識する。長時間頼り続ければ
自分を見失う。なんとしてでも早期に片付ける!!!






・・・薄気味の悪いやつだ・・・

タカさんは手にしたハンマーを右往左往させながら、攻めあぐねていた。
余裕とも取れる表情でネクロマンサーはゆらゆらと宙に浮き、タカさんとの距離を一定に
保ち続けていたが、レニィとフプレの到着によりその態度が豹変した。
両の手に炎を纏い、一本を直線状に放つ。それを華麗に舞い逃れると近付いてきたネクロ
の頭上にハンマーが落ちる。
・・・手にしているハンマーは実は囮。本命は一定距離内ならいつでも召喚できる代物だ。
激しく脳を揺さぶられ、一瞬弱ったかのようにも見えた。その隙につけこもうと次なる魔
法を放とうとしたそのとき、タカさんは自分の体を襲っている恐るべき事態に気付いてし
まった。
「ぬ、うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
いつのまにか紫色の操糸が首筋から体内に入り込んでいる。意識した瞬間、体が他人のも
のになっていくのを受け入れざるを得なくなった。首筋に打たれたというのもまずかった
だろう。体内に入り込んだ魔の力はまずタカさんの脳を奪い、あっさりと全てを乗っ取ら
れた。

802 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:38:58 [ 6/rIAnMA ]
「タカ・・・・?」
駆け付けたレニィの表情が曇る。十年来の親友、タカルート・アングラの亡骸がそこには
転がっている。
ジョーイに光の矢での支援をした直後、振り返ったレニィの目に飛び込んできたのは自ら
の翼で自らを貫くタカさんの奇怪な姿だった。血飛沫をあげながら落ちていくタカさんを
硬い岩肌が無情に受け止める。体の中心に翼を突き立てたまま、まるで処刑された天使の
ように地面に張り付けになった。

「おい!タカっ!!タカっ!!!」
レニィの必死の呼びかけにも、もはや答えることはない。完全に彼の生命は潰えた。

「くそっ、こんなにも簡単に・・・」
レニィは自分の到着がもう少し早ければ、タカは死ななくて済んだかもしれないという自
責の念に駆られた。そのことがレニィの力を増幅させた。

「ネクロマンサー・・・貴様はこの僕が冥土に送り返してやる。これ以上人をもてあそぶ
なっ!!!」

刺繍が輝きを増す。その光を弓と矢に変え一閃の光矢を放つ。前回の戦いからなんら進歩
のないレニィの攻撃を半ば失望した様子でネクロが腕を振るい、弾こうとした瞬間、矢が
散弾しその手を回避、再び超高速で集結し一点、その体を貫く。

―グバガゥゥアーー―

初めてネクロマンサーに効果的な傷を与えることに成功した。このチャンスにレニィは光
の雨を降らすと、間髪入れずに背負っている愛槍に持ち替え、地に降り立った悪魔に突き
を繰り出す。だがそれは簡単に掴まれ、レニィ目掛けて巨大な腕が振るわれる。しかしそ
れをいつの間にか宙に浮いた光の弓矢が阻止する。射られた腕は軌道を見失い地面を抉る。
同時に槍を掴んでいるほうの腕も例の弓矢が射貫く。

完璧だ。

そんな声が聞こえてきそうに満足そうなレニィの不敵な笑み。次の瞬間、レニィが8人に
分裂したかと思うとネクロの体を余すことなく8本の槍が貫いた。

803 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:39:40 [ 6/rIAnMA ]
・・・・限界だ・・・・

戦闘を開始してからまだ数分。それでも龍の強大な力は既にジョーイを取り込みつつあっ
た。

・・・・なんだ、これは?

もはや自分の体ではない。視覚するより早く体が動く。

・・・・今なら軽くこいつらを壊せる・・・・

思考も段々と破壊的になる。今、避けに徹していられるのはジョーイの良心がまだ残って
いるからである。しかし、それも長くは持たなかった。

「うをぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!!!!」

突然ふっ切れたかのように大声をあげ剣を滅多に斬り動かす。

・・・テリーナとアンメルは再びただの屍へと戻った。その体は修復不可能なほどに切り
刻まれ、あとには白骨のみが残された。肉体は跡形もなく消滅した。

・・・・ただ、指輪だけは、婚約指輪だけは外れずにしっかりと指骨にはめられていた。


その傍らに涙を流しながら地に伏しているジョーイの姿があった。龍の支配から開放され
たもののその体は限界を遥かに越え、指一本動かす力も出ない。ただ、悲しいスレイのた
めに涙を流すだけであった・・・・・







「うがぁあ」
鈍い音と共にマリスの硬く握られた拳がシエルの脇腹にめり込む。強大な魔力を纏うシエ
ルでさえも悪魔と成り下がった復讐鬼の力に圧倒されている。
「う・・・ふ・・ふふ。そうだ、それでいい、マリス。さぁ、気の済むまで殴れ。蹴れ。
それでお前の気持ちが治まるのなら私は喜んでこの身を捧げよう。ただし、無駄死にだけ
はせんがな」
そう言い、魔笛に息を吹き込む。その音色は目に見えるほどの強大な魔力と化し、シエル
を囲う。七色の色彩が婀娜っぽくシエルを色めかせる。


・・・・・・もう、どれくらい経っただろうか。すごく長い時間のようにも感じたし、短
い時間のようにも感じられた。

シエルは、遂に膝を折った。

あのシエルが、顔に泥をつけた。

殴られても蹴られても、シエルは耐えた。身を防ごうともしなかった。やり返そうともし
なかった。彼女はただ、自らの罪の清算にその尽力を使い果たした。

・・・・シエル、あなたは優しい娘。私はあなたを誇りに思うわ・・・・

うつ伏せに倒れこんだシエルに止めを刺そうと脚を振り上げるマリス。その四肢に長らく
空転を続けていた気の刃たちが突き刺さる。そのまま地面に張り付けになると、どうも様
子がおかしい。

・・・・マリスは、動かなくなっていた。

急に魂を抜き取られたように生気を失ったマリス。だが息はしているようだ。

804 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:40:37 [ 6/rIAnMA ]
今までマリスに注ぎ込まれていた魔力はその持ち主の下へと返っていた。ほぼ時を同じく
してテリーナとアンメルも崩れ、ネクロは全ての魔力を本体に戻し、レニィとの決着をつ
けるべく体の修復に取り掛かった。マントに空いた八つの穴によってその布はもはやぼろ
布というべきものになった。しかし、ネクロ自体が受けた傷はその半分以下である。何故
ならネクロの実体はほとんどないに等しく、顔部と胸部くらいなものだからだ。

全く手応えのなかった突きにレニィは舌打ちをする。折角のチャンスをむざむざ見逃して
しまったのだ。更に増強された魔力を糧に回復するネクロ。素早く上空に非難した敵を討
つため手にしていた槍を空に浮かせ自らの周りを回転させる。入れ替えに先程まで頭上に
あった光弓矢が空いた手に納まりレニィはこう念じる、「頭を射れ」。一本の光線が放たれ
るとそれは矢とは思えないほどの曲線を描いて空に急上昇し、まるで生きているかのよう
に不規則な動きでネクロに射かかる。だが膨れ上がった魔力の前に、矢は本体に届くまで
もなく空に押し戻された。
それを見てレニィは空に向けて光の矢を空撃ちし始めた。

1、2、3、4、・・・・9、10。

ちょうど十本の矢を無駄に撃ち放つと空転を続けていた槍を手に取り弓に番える。

・・・前にネクロと対峙したときの、あの技だ。

「なんの余裕だか知らないが、僕に全ての準備をさせたことを後悔させてやるよ」
毅然とした面持ちで弦を引く。以前は荒々しかった魔力は精錬され、穏やかな、物質化し
たかのような硬質感のある光の弓に呼応して槍も輝き始める。
「はっ!!!!!!!」
弦の反動により槍が空に飛び立つ。レニィの魔力が空を裂き、その抵抗を無に帰す。高速
の槍はネクロの結界を突き破り、空からは先程空撃ちした十本の矢が一点、頭蓋骨目掛け
降り注ぐ。
激しい魔力の咆哮に、ネクロの状況が見えない。光に覆われ、もしかしたらこのまま消滅
してしまうのでは?と思うほどに規模の大きい爆発が起こった。

手ごたえが余程あったのか、いや、相当に心配だったのだろう。レニィは一目散に地面に
張り付けになっているタカさんの下に駆けた。
私はそこで初めてタカさんの身に起こった惨事を認知した。周りを見渡せばジョーイも倒
れているし、フプレも今は横になって休んでいる。スレイはもう息をしていないようだ・・・。

「タカ・・・」
レニィの悲痛な嘆き声はもうタカさんには届かない。胸を貫いた翼は自身の血で赤黒く変
色してしまっている。
「うそ・・・タカさん・・・」

私も知ってしまった。

もう、タカさんが戻ってこれないのだということを。

もう、この世に居ないのだということを。


厳しくて、強面だったタカさん・・・
存在感がなく、寂しがり屋だったタカさん・・・

でも、優しかったタカさん・・・


私は彼の手を握り上げ、頬を押し当てた。まだ暖かい。その温度が余計に悲しみを増幅さ
せる。
彼は私たちを追ってきてくれたときにこう言っていた。

「やはり中途半端ではいかんと思ってな。家のことは後回しだ。お前たちだけじゃ不安が
大きすぎる。最後までつき合わせてもらうぞ」

どんな事情があるのかは分からない。でも、連れて行かれた時のタカさんの表情はこれ以
上ないほどに思い詰めていた。そんな大事を置いてまで私たちのことを心配してくれてい
る彼に本当の優しさを感じた。

そんなタカさんが・・・


突然、タカさんの体から半透明のものが抜け出し始めた。それはやがて、「本当の天使」の
姿になり、ゆっくりと空へ昇ってゆく。折れていない、ピンと張った翼。・・・タカさんは
今、あるべき姿となり、あるべき場所へと帰ろうとしているのだろうか・・・

その様子を物憂げに見ていたレニィが急に身を翻した。ネクロだ。奴はまだ死んではいな
い。その手から生まれ出た炎がタカさんの死体を焦がす。レニィはとっさに横飛びしたこ
とを後悔した。
「やめろぉぉぉぉぉ!!!」
悲痛な叫び声と共に身を挺してタカさんを襲う炎を身代わりに受ける。魔法でその威力は
軽減されるものの、まともに火を被り続けるにはその魔力は足りなさすぎた。
「タカ・・・タカっ!!!」
徐々に焦げた臭いが辺りに立ち込める。

私は無力。刃も今は力を失い何もすることができない・・・

805 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:41:16 [ 6/rIAnMA ]
そのとき、幽体となっているタカさんの羽が赤く輝いた。純白の翼にただ一本、鮮やかな
色彩の羽が混ざっている。その羽が激しく輝き、閃光を放ったかと思うと、空中のタカさ
んは実体となった。

「レニィ、お前は向こう見ずすぎる。もっと冷静になれ」

その口調は正にタカさん、その人のものであった。美しい白の翼を羽ばたかせ、羽がレニ
ィに降り注ぐ。その羽は炎によって灰になるも、不思議な煌きをして炎を遮る。まるで意
思を持っているかのようにレニィを包み、灰色の壁と化したそれは炎を掻き消し、魔力を
レニィに分け与えた。壁は同時にタカさんを確認する隙も与えてくれた。

「ははっ、タカ・・・。随分と垢抜けたな。ま、強面なのは変わってないけど」
「生まれつきだ。そうそう変わってたまるものか。・・・下らんことを言う暇があったらさ
っさとそいつを消せ。勝算はあるんだろ?」
嬉しさの余りにレニィの目が潤む。急いでそれを擦り取り、輝く顔を上げる。
「ある。だがそれには君の協力が必要だ、タカ」
真っ直ぐにタカさんを見詰める瞳には希望に満ちた燦然たる決意の色が浮かんでいる。彼
の考えていることとは・・・・

「信じているぞっ!!」
短く、叫ぶように言い捨てると巨大な騎士槍を生成し大地を蹴る。タイミングを合わせタ
カさんが数枚の羽をネクロに飛ばす。注意がレニィにいっていたネクロはその羽に気づか
ず、音もなく羽はネクロの鎧に刺さった。
「むぅん」
タカさんが念じると麻痺したようにネクロの体の自由が奪われる。一直線に槍を突き出し、
距離を縮めるレニィの姿がすぐに大きくなる。頭突一砕。薄気味の悪い笑みを浮かべ続け
ていたその醜い顔面は光の槍によって弾けた。

「タカっ!どこだっ?」
高度を下げながらレニィが叫ぶ。それに呼応して即座に返事が返ってくる。
「地中だっ!レニィ!!そのまま貫け!!!」
矛先を落下地点である岩盤に向け、重力を乗せたまま突き立てる。下からおぞましい魔力
を誇る両の手が現れ、騎士槍を受け止める。そこから発せられる威圧感は先程まで宙に漂
っていた魔物のそれを上回るものであった。
「ダミーだってばればれなんだよ!この単調者が!」
息を荒らげ、レニィが手元を捻る。すると槍は溶けるように弧を描き、光を放射する。

「ラジアル・アーク!」

槍に変換されていた魔力が解放され、強烈な衝撃波となり放射状に広がる。槍を掴んでい
たネクロの腕はその衝撃派により存在を消した。

―グバガァァァァァァァァァァ!!!!!!―

大地を揺るがすほどの悲鳴。その顔にもはや余裕などない。
「そのまま土に還るがいい!悪魔よ!!」
翼を天に捧げるように高く掲げ、右手をネクロに向ける。半分地面に埋まったままの悪魔
を爆心地に凄まじい数の十字架が空間を埋め尽くす。その十字架によってネクロの体は焼
け焦げ、その熱はレニィの空になった魔力を取り戻させた。十字架が反応するたびにレニ
ィの体に魔力が充填される。

悪きし者には罰を、正なる者には祝福を。天使のみに許された裁きの力。

その天罰に悪魔は逆らう。苦しみながらも地中から這い出し、顔を真っ赤にして口から井
戸ほどの大きさのある火炎玉を吐き出す。上空に打ち上げられたそれは突如破裂し中から
小さな生物が噴出された。それは私たちが何だったのかを確認する間も無く遥か彼方へと
飛び去っていった。


「逃がすかっ!」
十字架の重圧から逃れようとしているネクロの存在全てを飲み込む程の光。その光線が過
ぎ去った後には何一つとして残ってはいない。ただ、光の弓を構えたままのレニィがそこ
に居るだけだった。

806 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:42:17 [ 6/rIAnMA ]
「・・・ぉぃ・・・・・ぉい・・・・・・・おい!」
ようやくシエルの言葉に反応したのか、マリスの瞼が微かに震えた。

「あ・・・・・・あ・・た・し・・・」
目が開くより先に口が動いた。遅れて眩しそうに薄目を開ける。指で重い瞼を擦り、やっ
とのことで状況を把握する。
「よかった、目が覚めたんだな、マリス」
嬉しそうにシエルが顔を覗き込む。その笑顔にはどことなく親しみが込められている。
「・・・・・・そうか・・・もう・・・」
ゆっくりと、岩に寄りかかるようにして上体を起こす。彼女は暗い顔をして辺りを見回す。
あるのは横になっているジョーイの姿だけ。見つけたいものは見当たらないようで一段と
肩を落とし、唇を震わせながら恐る恐る口を開く。
「・・・・スレイ・・・・は・・・?」
その思い詰めたような一言に、全員が口を紡ぐ。
マリスはどこまで覚えているのだろう。自分がしたことの記憶がないのだろうか、それと
も・・・確認・・・なのだろうか?

「・・・いい、分かっている。あたしは、あたしは・・・・」
唇を強く噛み、赤い一筋の滝が流れる。その両側からは一対の清らかな滝も流れ落ちてい
る。
「マリス・・・お前のせいじゃない。すべて、私が悪いんだ。私が自分勝手な感情であん
なことをしたから・・・。すまない!!すまないっ!!マリスっ!!!」

シエルの涙・・・。

それは、心からの温かなものであった。オート地下監獄で見せたあの冷たいシエルはもう
いない。今は、誰一人として彼女を責めることができない。マリスとて例外ではなかった。

「何なんだよ・・・ちくしょう・・・・・。お前は、悪役らしくもっと冷酷であるべきだ
ったんだよ・・・。そうすればあたしだって迷うことなんてなかったんだ。スレイだっ
て・・・・。」
そこまで言うとマリスは言葉を止めた。そして、思い直したように、
「あたしだ・・・・・。本当に悪いのはあたしだったんだ・・・。あたしがネクロマンサーなん
ていう化け物に頼ったから!! テリーとアンメルの遺骨を弄んだから!! スレイを巻
き込んだから!!! あたしだ!!! あたしだ!!!!」
自らを責め始めたマリス。頭を左右に振り、涙の線が脇に逸れる。

807 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:42:54 [ 6/rIAnMA ]
そんな様子に居ても立ってもいられなくなったレニィがなだめる。
「それは違う・・・。今回の件。誰も責められるべき人なんていない。シエルも、君も、
被害者なんだ。自分を責めるのはよせ。そんなことを言っていたら誰も浮かばれないだろ
う?」
タカさんが続く。
「レニィの言うとおりだ。憎むべきはネクロマンサー、ただそれだけだ。お前が力を求め
たこと、それのどこに落ち度がある?むしろそうしないほうが異常だぞ。お前が死体を弄
んだ?違う。お前が弄ばれていたんだ。スレイを巻き込んだ?彼はいつでも抜けれたはず
だ。彼は自らの意思でここまで付いてきたんだろ?どうだ、これでもお前は自分が悪かっ
たと言うのか?そう言えるのか?」

マリスの口からは、すぐには返答が出なかった。その代わりに、笑みがこぼれた。

「マリスさん・・・私、私はマリスさんってすごく優しい人だと思うわ。だって、大好き
な友達のために辛い思いをしてまで旅を続けていたんだもの。そんなあなたが私は好きよ。
だから、変な風に考えないで。お願いよ」

私の発言にマリスは声に出して笑い始めた。

「は・・あははははははは。なんてお人好しさんだらけなんだ・・・。あたしは、こんな
良い人たちを憎んでいたなんて・・・・。 ありがとう。」

最後にはっきりと、「ありがとう」と言った。あのマリスが、私たちに「ありがとう」と・・・。


「マリス・・・私も、許してくれるのか!?」

恐る恐るシエルが顔を上げる。その瞳には期待の色が濃く写し出されている。

「ああ、もう今は、憎んでなどいない。むしろ感謝しているくらいさ。・・・シエル、あな
たと分かり合えてよかった。嬉しかったよ。」
一層と明るさを増すシエルの表情。しかし、私はそのマリスの言葉のどこかが引っかかっ
た。

「それなら一緒に帰ろう!マリス!今晩は家に泊まっていってくれよ、ご馳走用意するか
らさ!!」

子供のように―――いや、「シエル」は子供なのか―――はしゃぐシエル。しかし、マリス
は首を横に振る。

「あたしには行き場所があるんだ。悪いけど断らせてもらうよ」

そう言ったかと思うとベルトから短剣を取り出し、脈打つ細い首に押し当てた。

「本当に感謝している。あたしはあたしの最後をこんなに幸せに飾れたのだから。シエ
ル・・・あたしのこと、忘れるなよ」

突然過ぎる出来事に、その場にいた全員が呆気にとられてしまった。

「おい・・・冗談だろ?マリス!そんなのダメだ!ダメだよ!マリス!!!」

「ふふ・・・・テリー・・・・・あたし、馬鹿でごめんね。いっぱい、叱ってね・・・。
スレイ・・・・今、いくぞ・・・今度はあたしが・・あなたを支える番だ・・・」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!マリスゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」

808 名前: FAT 投稿日: 2005/12/25(日) 11:56:01 [ 6/rIAnMA ]
メリークリスマス!
ってことで私からは長文のプレゼントです。スペース使いすぎてしまって申し訳ありません。

実はこの話はこれでお仕舞いです。
連載開始から5ヶ月。長かったようで短かったです。
最後まで諦めずに書けたのも皆様の温かなレスがあったからこそです。
しばらくはまたROM専に戻ろうと思います。

連載職人の皆様、壮大なストーリーの完結を心待ちにしております。
短編職人の皆様、十人十色のネタで感動や笑いをありがとうございます。

それでは失礼致します

809 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/25(日) 23:30:54 [ 6AwpQ2pM ]
>>785 の続話を書きました。読んでくれれば幸いです^^;

「ええぇぇぇぇぇっ!!???」
「うぎゃ!ちょなんじゃぃぁ穴あいおゆ落ちっーーーーー!!?」
「・・・・・っ!!?」

レックスは叫びキュイナは言葉を喋ってはおらずアイルは言葉を失った
3人は何がなんだか分からないまま鉄鉱山にできた穴に飲み込まれていった。



一方・古都ブルネンシュティグ

ついさっきハノブ辺りで起きた地震によって古都の賑やかな雰囲気は少し崩れてしまっているようだ
地震によって人々がざわめいている中、一人の女性が・・・と、言っても17,8歳くらいに見えるが
女性の右手には大きな剣が握られている女戦士であろうか?
地震が起きてからじっと一方方向・・・ハノブの方角を見つめていた。

「ロディウス様・・・」

後ろからその大剣を握っている女性の名前が呼ばれる。
名前を呼ばれたロディウスは後ろを振り向かずゆっくりと口を開いた。

「ソルテル。すぐにラルティを呼んで、ハノブに向かう。」
「分かりました。では暫くお待ちください」

ソルテルと呼ばれた、ロディウスの名前を呼んだ人はすぐに了解するとバサッと翼を広げる音を立ててロディウスの後ろから気配を消した。

「私たちのギルドが動く時だな・・・。」

ロディウスがぽつりと呟いた。

810 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/25(日) 23:33:51 [ 6AwpQ2pM ]
>>809 の続き・・・

鉱山町ハノブ―鉄鉱山B4―

「ス・・・レックス!おい!起きろ!!」
「んぁ〜?」

レックスはまるで寝起きを起こされるかのように呼ばれた。
重い瞼を開けるとキュイナが心配そうに見つめていた、隣にはもちろんアイルもいる。
レックスはがばっと起き上がると辺りをキョロキョロ見渡しながら言った

「は?あれ?ここは??」
「どうやらあの地震が起きた時、私たちは地震によってできた穴に落ちてしまったようですね
 不幸中の幸いですがウィンディとケルビーによって助けられたみたいです。」

レックスの気持ちを察したアイルは静かめに今の状況を話した。

「え・・・?」

隣を見るとケルビーとウィンディは少し傷付いていた
アイルの服は泥だらけになっておりキュイナの鎧には石がぶつかったような傷跡がある
そして自分は・・・もちろん泥だらけ、少しかすり傷もある。
だんだん頭が冴えると同時にそのかすり傷が痛み出した、どうやら足も捻挫してしまっているようだ
しばらく沈黙が続く、3人とも今の状況を理解しているがなかなか気持ちが整理しないのだろう。

「ねぇ、ここって抜け道無いの?」

沈黙を破ったのはキュイナだった。
このままいてもしかたがないと思ったのだろう。

「抜け道・・・ですか」
「抜け道・・・ねぇ」

レックスとアイルは同時に考え込む、キュイナも考えるポーズをとる。
そして再び沈黙・・・
するとアイルが「あっ」と思い出したように言葉を出す。

「たしか鉄鉱山は廃坑と繋がっています」
「繋がっている?・・・じゃぁ廃坑から出れるって事?」
「はい、そうですね。」

レックスはその言葉をきいてついガッツポーズをとった。
キュイナとアイルがすぐに動こうと立ち上がる、レックスも慌てて立とうとするが・・・捻挫で立てない。
どうしようか困ってるレックスの目の前にキュイナの手が差し出された。

「ん、足、捻挫してるんでしょ?ほら」
「ぁ、ありがと」

キュイナの手をかりて立ち上がり、そのあとライディングドックでケルビーの背にまたがった。
3人は鉄鉱山から行ける廃坑を目指して鉄鉱山の奥を進み始めた。

>>FATさん
FATさん小説完結お疲れ様です!
サイトのほうでとても楽しく読ませてもらいました〜^^

811 名前: 管理人星野元彦 投稿日: 2005/12/27(火) 10:02:38 [ aoJ8s3AQ ]
黒鯖のコミュニティサイトです^^
ヨロ(^∀^)/
http://www.geocities.jp/ebina931/

812 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:45:55 [ KF02GH3k ]
>>FATさん
小説、お疲れ様でした。
連載当時は私と同じぐらいのスタートでしたね、あの頃は活気付いていましたね〜。
しばらくROM専ですか、分かりました〜。また投稿されるときをお待ちしております。


さぁって、最後の一発投下しますか。

813 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:49:04 [ KF02GH3k ]
前スレより
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1117795323/r968
>>557-559■蒼眼の戦士−7
>>573-575■Cold north wind Ⅰ
>>619-621■Cold north wind Ⅱ



  The Final Chapter
−End Of north wind−



 とても冷たい風が吹いていた。
この風は一年前のあの思い出を私に思い出させてくれる。あの頃の私は一人で世界を旅して回っていた、正確にはとある地域のとある場所を放浪としていたといえば正解なのかも知れない。
私が旅をしていた理由は、私を育ててくれた母親代わりの女性を探すためだった。その人は赤い鎧を身にまとい、首には白いマフラーを巻いていて何時も同じ槍を持ち合わせていた。彼女の名前はオリエンタル・アラトール。大陸で一番有名なランサーであり、そしてその首を狙うものは数知れなかったという。
 私はその人を探している、そして、私は暗い闇をひたすら走っている。どこまでも、どこまで走り続け疲れては休憩し、そしてまた走り出す。それの繰り返しだった。
道中、私は何者かに襲われ…雪が降る雪原で一人倒れてしまっていた。そのときに私を助けてくれたランサーさんとウィザードさん。この二人と出合った。
彼らは私にギルドに入らないかと尋ねてきた、正確にはランサーさんが私にギルドへと招待してくれたのが正しかった。

814 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:50:08 [ KF02GH3k ]
ギルドといってもまだその二人だけのギルドで、私を含めて三人。本来私を除いた二人ともう一人居るはずだったのですが、彼らはそのもう一人を探している道中との事でした。
私は彼らのギルドに加入することを決め、そしてウィザードさんが探している人物と、ランサーさんが探しているもう一人のギルドメンバーの捜索を開始したのです。
 私が記憶として残しているのはここからのお話、とてもとても寒くて…雪が降り止まなかった季節のお話…。




 「俺の勝ちだ…アデル!」
血しぶきを上げながらアレンは瓦礫の山から雪崩の様に転げ落ちた、アレンが転げ落ちた後には鮮血の色を残した血がたっぷりとこびりついている。
「アレンさん!」
ミトがまるで人形のように転げ落ちたアレンの下へと走りよる、胸からの大量の出欠にもかかわらずアレンの意識ははっきりとしていた。
「…レイ…貴様ぁ…!」
「どうしたアデル、流石に本体が瀕死の時は力を使うこともできんのか?」
「…僕は…アデルじゃない…アレンだ…!」
震える体に鞭を打って立ち上がろうとするが、その力もわずかだと察しがつく。立とうとすれば膝から崩れ落ち、口からは血を吐き出すしまつ。心臓を貫かれていないのが唯一の救いだと誰が見ても分かる状況の中に居た。
「それにしても素晴らしい力だ、王女にこれほどの力が眠っていたとは思いもしなかった…さすがはあの石の力と言うべきかな?」
瓦礫の山で甲高く笑うその声はミルそのもの、だがしかし…その中に潜んでいるのはあのレイ。
憎悪に満ちたその声、姿そのものはミルだというのに…。
「…離れろ…今すぐミルの体から離れろ!」
アレンが力いっぱい叫ぶ、だがその叫びを楽しんでいるように見えるレイの姿がアレンの目には映った。そう…まるでこの状況を楽しんでいるかのようにも見える。
「アデルの力が使えない今の貴様に、何が出来る…貴様ごとき人間に私を止められるものか!」
「黙れ…!」
再びゆっくりと立ち上がる、そして何かの詠唱を始めた。その詠唱は今アレンに出来る唯一の魔法でもある、その魔法はウィザードなら誰しもが通る道の初歩的な魔法だった。
「焦がれ焦がれては祖に焦がれ…宝珠の神訴に賜らば霊峰に往く御霊と欲すれば…紀元の憎悪から生まれし永久なる火炎…!」

815 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:50:29 [ KF02GH3k ]
詠唱を始めるとアレンの頭上に幾つ物火炎弾が生成されていく、その火炎弾は円を描き一つの炎の塊と姿を変える。
「深層なる久遠の御霊…冥府に赴くは我に姿無き風を祭らん!」
その炎の固まりは渦を巻き始め、どうにか振りかざすことの出来る杖の正面でピタリととまる。そしてアレンが力を振り絞り、右手に持っている杖を左いっぱいに振りかざしその炎を杖で殴った。
殴られた炎は垂直線上に炎の道を作り出した、その炎は一直線にミルがいる瓦礫の上へと向かった。
「…。」
ミル=レイは静かに両手で持っている槍を頭上に振りかざす、そして振りかざしたその槍を回転させながらものすごい速度で詠唱を唱えた。
そして回転している槍の周りに炎と氷の渦ができ、氷の部分を迫り来る炎の道に向かってぶつけた。
氷の魔法と炎の魔法は互いに相殺作用を引き起こし、元素同士がぶつかりそこで大きな爆発を引き起こした。
「小ざかしい、俺にこんな子供だましが通用するとでも思った…っ」
そこでレイの言葉は途切れた、その原因は自分の体に突き刺さる異物の気配だった。アレンと同様心臓のすぐ脇を金属の異物で貫かれた激痛が彼を襲う。
「貴様…この女が死んでもかまわないのか…!」
「…彼女は死なない…寄生時につけられた傷は本人には伝わらないのは貴様が一番よく知っているはずだ…!」
アレンだった、かれはあの魔法を放ったと同時に足元に転がっていた剣士の剣を手に取り、自らの力では走ることもままならないことを知って、同時に唱えた風の魔法と炎の魔法を使い爆発を引き起こし、その反動でレイの元へと吹き飛ぶ形で接近していた。
そして、その爆発の反動を利用して接近した後に拾った剣でレイの心臓を貫こうとした。
「…貴様ぁぁ!」
どこにそれほどの力が残っていたのかと思わせるような行動をレイは取った、自分に突き刺さっている剣を左手で引き抜き、右手でアレンの首を握り締め、持ち上げる形を取った。
「…がぁ…。」
「貴様は知らない、この石の力があればいくらでも回復は出来る!」
首を握り締めたまま左手で槍を持ち替えてアレンの心臓の位置に狙いを定めて一突きにしようとしたそのとき、体の数箇所に再び激痛が走る。
「がぁぁぁぁぁぁ!」
それは数本の矢だった。矢を放ったのは後方で厳しい目をしたミトによるものだった。ミトはもう一度その数本の矢を発射する準備を既に完了していた。
「回復が間に合わないほどの攻撃を仕掛ければ…攻撃をすれば!」
ミトは再びその矢を射る、今度は違う場所へとアレンを避けて正確にレイの体に突き刺さった。突き刺さるたびにレイの体からは大量の血が噴出す。
「邪魔だぁ小娘ぇ!」
右手で持ち上げているアレンの体をミトの方へと投げ飛ばす、ミトは次の矢を射るために片手に数本の矢をセットしていたが、それをすぐに捨ててアレンの体を受け止めるかのようにぶつかり、そして二人は後方へと吹き飛ばされた。
「…く…くっそぉ…!」

816 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:50:55 [ KF02GH3k ]
アレンとミトはゆっくりと立ち上がり、レイの方を睨んだ。相変わらずアレンの体からは夥しい量の血が噴出している。既に死んでいてもおかしくないほどの出血だった。
必死に痛みをこらえて立ち上がるアレンの顔からは既に血の気は引いている、唇は真っ青に染まり既に人の色をしては居なかった。
「この石がある限り…俺は死なない…死ぬことは無い!」
そういうとレイ=ミトの体は緑色の光を放ち、与えられた傷はゆっくりとふさがっていった。瞬時にして全ての傷口がふさがり、足元に転がった槍を手に取る。
「これで終わりだ…アデル!」
槍を振りかざして先ほどの魔法の詠唱を始める、槍はレイの手から離れ空中で回転を始める。その槍の周りに炎と氷の渦が出来始めた。その渦は今まで見たことも無いほどの大きさに代わり、この古都全体を包み込むほどの大きさに変わった。
「食らえ!」
レイの手に槍が戻るとそれを一気にアレンたちのほうへと振り下ろした。すると炎と氷の渦は一つの塊と化してアレンたちへと襲い掛かる。
「させるかぁ!」
後方から誰かの叫びが聞こえた、その声の主はアシュだった。
アシュはアレンたち三人を包み込むほどの巨大な防御壁を作り出して、その炎と氷の渦を防いだ。だがその防御壁もそう長くは持たないだろうと三人は確信した。
案の定防御壁にヒビが入り始める、その強大な魔力に打ち勝てるはずも無く、今にもヒビが割れ襲い掛かろうとした。そのときだった。
突然炎と氷の渦は防御壁が壊れる寸前で消えた。この事態に一番驚いたのは魔法を放った張本人だった。
「何故だ…なぜ消えた!」
レイは再び槍を頭上へと振り上げようとしたが体が動かない、それどころか何かの力に圧倒され自分では制御できないようになっていた。
「誰も貴方を殺すことは出来ないのなら…私が殺してあげる…。」
ゆっくりとだが槍がレイの体の目の前に差し向けられる、それはレイの両手で握られ、レイの手で槍を動かしている。

817 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:51:49 [ KF02GH3k ]
「貴様…この精神寒波の中何故…。」「この石のせいで…私のせいで…。」
声が二重に聞こえた、とても酷く枯れた声と、聞きなれたミルの声の双方だった。そしてアレンは気づいた。
「ミル…やめろ、何をするつもりだ!」
一歩前に足を進めた途端激痛が彼を束縛し、その場にうずくまる形になった。そんなアレンを見てレイ=ミルの顔は少しだけ微笑んでいた。その微笑には悲しみの表情にも伺えるほどのものだった。
「やめろ…やめろ…やめろぉ!」「ごめんねアレン、私のせいで…。」
最後にミルは、精一杯の微笑をアレンに向け、そして槍を自分の体に突き刺した。
口からは血を吐き、あまりの激痛にその場に崩れた。その激痛に耐えるように唇をかみ締め、さらに何かしらの詠唱を始める。
「その詠唱は…やめろぉぉぉぉぉ!」「大陸一の力…見せて差し上げましょう…っ!」
ミル=レイの体にわずかながらの電気が流れ始め、空気中の酸素が激しく振動し、まるで衝撃波のようにびりびりと伝わってくる。そしてアレンにはその詠唱の先に何があるのかまでもが予測された。
「ミル…まさか…!」
うずくまるアレンは力を振り絞って立ち上がる、足はガクガクと振るえ今にも崩れ落ちそうなのがすぐに分かるほどだった。
「さようなら…アレン…。」
ミル=レイはもう一度確認するかのように深く槍を体に食い込ませた、背中から槍の先端が突き出し、そこから鮮血が噴出す。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
最後の詠唱を終了させたと同時に空高くから一つの光が降り注いだ。その光は雷へと姿を変えミル=レイの体に衝突した。その雷は一つの雷が数十個集まり束になって出来た雷に変わり、一瞬にしてその周囲を吹き飛ばした。
雷の衝撃でそこに居た三人は衝撃波で後方へと吹き飛ばされた、すさまじいまでの破壊力で瓦礫の山を一瞬で吹き飛ばし、周りに存在するもの全てを粉々に粉砕した雷はその一瞬で消えた。
うつ伏せで倒れたアレンにもはや立ち上がるほどの力は残っては居なかった、それどころか体を動かすことすら叶わないほどのダメージを負っていた。かすかに動く首だけを動かしてミル=レイが居たであろう方向へと顔を向けた、だがそこには何も残ってはなかった。
「…っ!」
そしてアレンの目の前に一つの槍が降ってきた、地面に突き刺さったそれは確かに見覚えのある槍だった。今まですぐそこに居た人の槍、自分が愛した人の槍がそこには突き刺さっていた。
「……ふざけんなよ…ふざけんな…ふざけんな、ふざけんなぁぁぁ!」
その槍を右手で握り締める、多分それが最後の力になるだろうと思われる力で。そして
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
アレンは泣いた、とてつもなく大きな声で泣いた。その声は古都全体に響き渡るほどの大きさだった。

818 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:52:11 [ KF02GH3k ]



 「マスター、お時間です。」
「あ…はい。」
その後、アレンさんは助かりませんでした。あのときの死闘で受けた傷は彼の命の炎を今にも消そうとしていたんです。古都に居たお医者さんたちの懸命の甲斐もなく、アレンさんはその日のうちに静かに息を引き取られました。
今となって、この事件はこの大陸で知らない人が居ないほど広まり…そしてアレンさんとミルさんの墓地が立てられました。あの悪夢から救った彼らは英雄と称えられ、そして何千、何万という冒険者達が二人のお墓に訪れました。
 あの事件の後も、伝説の石の噂は後を絶ちませんでした。人間の憎悪、悪意、不の感情…沢山の物が絡みついているあの石を探すものは今も冒険者達の背中を押すばかりです。
人という生き物の色々な感情が集まって出来たのが、あのレイという人なのかもしれません。今はそう考えています。
 それと同時に、冒険者の中で一つの噂が立ちました。
それは、英雄ミルリスが愛用していた槍と、その弓まつわる噂でした。その二つを手にすればミルリスの力が備わるとの噂でした。
その噂が広まったと同時に槍と弓をめぐって抗争がおき、一つの国が滅びました。
「マスター…。」
「すいません、今行きます。」
私はあの後、二人との思い出が詰まったこのギルドのマスターとして生活を送っています。あの事件を聞いてからこのギルドに入隊する人も少なくありませんでした。今となっては大陸一の勢力を誇るギルドまで成長したこのギルド…。
 それが良いことなのか、それとも悪いことなのかは私には分かりません。それでも私は前に歩いてゆくしかなかった。
二人が残してくれたこのギルドと、英雄が愛用していた槍と弓を守りながら私は前へと歩いてゆく。何時の日かは私の命も狙われることになるでしょう…。
 そして、何時の日か私の命が尽きるとき…このギルドと二つの力を受け継ぐ誰かが現れるまで私は立ち止まることは無いでしょう…。
「お待たせしました、行きましょうか。」
私は昔の写真が入った写真立てを裏返しにして一つの部屋を後にします、英雄ミルリスが住んでいたとされる部屋に鍵を掛け、その鍵を管理人へと預ける。
「…寒いですね。」
「そう…ですね。」
冷たい北風が古都に吹き荒れる。その風は一年前のあの思い出の日々を思い出させてくれる。あのときの匂い、湿気…全てがあの時と同じような気がした。
「雪が降りそうですねマスター、…マスター?」
私は不意にほほに伝わる一つの雫に気づく、それを左手のローブでぬぐってゆっくりと歩き始めた。
「さぁ…いきましょう。」




 冷たい風が吹く、その風は冬が到来したことを知らせてくれる。
古都の長い歴史の中で起こった一つの出来事、それは赤い宝石が奏でる幾つ物命の物語の一つ。今もこの空の下で誰かが生まれ、誰かが死んでいく。
それがこの世界の摂理、生きとし生ける者たちが命というろうそくの炎をともしている証拠。だが忘れてはならない。
この広い世界で、起こった星の記憶…それを記憶するのは私達人間。
命ある限り私達は星の記憶を記憶し、そして伝え後世へと残していく。それはまるで流転界流のように流れ、時の流れにそむくことも無い。唯一つの記憶として…。

 貴方にも、この星の記憶を覚えていて欲しい…。
それが例え悲しい出来事だとしても…何も残らない結末だとしても…。



  The Final Chapter
−End Of north wind−

      冬の軌跡   FIN

819 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/27(火) 10:54:50 [ KF02GH3k ]
>>スレ住人の皆さんへ
半年間、ダメ文をお読みくださってありがとうございました。
一応完結ということでこのお話はおしまいです、次回作は書くかか書かないかは
まだ未定です。
もしも書くときは、また21Rとして投稿しますのでそのときはよろしくお願いします。

>>1
良スレthx

820 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/27(火) 16:36:21 [ LVW/cCFA ]
>>FATさん
連載お疲れ様でした^^
無事にネクロを倒せたものの、失ったものは多いですねぇ・・・。
また、終わり方も読者の方々がある程度脳内補完できるようになってますね。
では、こちらもほぞぼそと駄文を書きながらまたの投稿をお待ちしてます。

>>21Rさん
こちらも連載お疲れ様でした^^
世界の危機を救ったものの、ミルとアレンは逝ってしまいましたね。
少し悲しい終幕ですが、大変面白かったです。
きがむいたら、またいらしてくださいね^^ノシ

>>名前有り?さん
穴から落ちたものの、大きな被害は無かったようですね。
地上に向かうために廃坑を目指すレックス一行とは別に、もう一つのPTが動き出すようです。
彼らは、レックス達となんらかの関係があるのでしょうか?

821 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/27(火) 17:21:57 [ LVW/cCFA ]
>>797
3人が無事に台地を抜けられたこと確認し、自分とアニーは立ち止まる。
ジャックも態度には出してはいなかったが、やはり自分達のことが心配らしい。
それでも、自分達の無茶な申し出を認めてくれた。ならば、できる限りその信頼に応えるのが自分達の役割だ。
「ヒース、どうやら剣圧の噴出が終わったようやで。ぼちぼち、準備したほうがいいんちゃう?」
アニーの言うとおり、台地に鳴り響いていた噴出音が消えていく。それは、巨人達の足枷が取れると同意義だ。
「アニー・・・。今更だが、ここを自分一人に任せるつもりは無いか?」
自分の提案に、アニーは顔をしかめた。
原因は不明だがあそこまで以上に凶暴化した巨人達を相手にするのだ。
自分の大切な人だからこそ、そのような死地付き合わせる必要も無いだろう。
「ヒース、なぁに寝ぼけたこと言うてるんや!?ウチが残らんで誰がアンタの後ろを守るっちゅうねん!?」
「だが、無事にジャック達と合流できるわけでは・・・。」
自分の言葉を遮るかのように、アニーは続けて言葉を紡ぐ。
「そん時はそん時や。約束したやろ、常にお互いが守り、守られる。それがウチらの関係と違うんか!?」
深紅の瞳が真っ直ぐに自分を見据える。獣化しても瞳の色は人間のときと変わらない。
そして、二人が出会った日に交わした約束。
女は自ら進んで契りを交わし、男は後悔を忘れぬために交わした、少し歪んだ契約。
だが、だからこそ果たせねばならない。もう二度と大切なものを無くさない様に、自分の思いに正直に・・・。
「ふ・・・。やはり君は最高だよ、アニー。」
「それはどういう意味でや、ヒース?」
多少のからかいを含めて、アニーが自分を見つめる。
「相棒としても、共に生きる女性としても、だ・・・。」
巨人達の咆哮が近づいてくる。もしかしたら、ここで二人とも死ぬかも知れぬ。
だが、今はこの巨人達を目の前にしても怯むことは無いだろう。
「行くぞ、アニー・・・。自分達の目的は足止めだ、無理はしてくれるなよ!」
「んなこたぁ分かっとる、せやけど、はなっから全開で行かしてもらうわ!」
アニーの瞳に力が宿る。ウルフマンの高等技術、眠れる野性を呼び起こし戦闘力を向上させる。
その名は、凶獣化(ビーストベルセルク)。
「うがぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!」
アニーが天に向かって雄々しく咆哮をあげる。それに合わせ、自分は神の息吹と退魔の呪いを彼女と自身に施す。
さぁ、戦地に向かおう。仲間の信頼を背に、共に行きたい女性とともに。
安心しろ、ジャック。自分達二人は死にはしない!

822 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:18:11 [ QS1Cbi/M ]
>>FATさん
今までお疲れ様でした。
いつかまたFATさんの作品を見ることを楽しみにしております。

>> 21Rさん
本当にお疲れ様でした。少々物悲しい結末。
再び21Rさんの作品を見ることを楽しみにしながら、もう一回読み返してきます。

>>他の職人の皆様方
少々忙しいので感想は来年に持ち越しです;
本当にスミマセン

823 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:20:43 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777 その24>>789-790

その25

闇の帳が地表を覆い、月が太陽の領域を奪い去る。ある満月の夜の日のこと。
赤山ソゴム山脈に煮えたぎる憎悪を抱えたモンスターが集まっている。
他のモンスターの憎悪を触媒に、さらに自身の憎悪を研ぎ澄まし、闇の力と死の祝福を受け、奢れる者への刃を作り出している。
六大元素を司る神獣から始まり、亜人、獣人、悪魔等が各々の魔力に磨きをかけ、来るべき合図に備えている。
モンスターの一団の中から一際巨大な威圧感を携えた六匹のモンスターが小高い岩に躍り出る。
サラマンダーが赤い宝石を掲げる。
「皆の者、よく聞け!そしてこの宝石を矯めつ眇めつのだ!」
モンスターの集団に、衝撃の波が伝わり、また静かになる。
「遥か昔、我々は人間と共に争い無く暮らしていたと言う、だがある日、ある事が原因で致命的な亀裂が入った。」
サラマンダーが一息つき、再び演説を始める。
「赤い石が天から舞い降りたときに、人間にあるものが芽生えた。憎しみ、物欲、怒り、それらを覚えた人間は、全てが欲しくなった。
その邪が武器を生み出し、そして我等への刃になった。」
サラマンダーの背中にある炎が一層激しさを増す。
「我々は耐えてきた。不毛な土地に住み、常に死と隣りあわせだった。だがそれも終わる。」
モンスター達の瞳の中に妖しい光が燈った。世の中が凄まじい速度で動き出していた。




コロシアムへ入場する前に、武器庫に案内される。斧、鎧、ダガー、長剣、曲刀、ありとあらゆる武器が揃っている。
最初は戦車と戦った。次は食人スコーピオン。次はなんだろうか。わざわざ武器を選ばせるということはかなり厄介な化け物だろう。
何となく気が乗らないまま武器を選ぶ、選んだのは投擲用の斧だけだ。
他の囚人達は武器よりも鎧を物色している。なるべく鎧は装備しない。これは俺のポリシーだ。
鎧を付ければ防御面は上がるだろう、移動が遅くなる。移動が遅いことは戦いにおいて最も不利だ。
稲妻のように早く動く。そうすれば稲妻のように致命的になれる。速度を殺す戦い方は好きではない。
全員が武器を装備し終えたのを見計らい、看守がコロシアムへ自分たちを連れて行く。
反対側の門からは、護送車が出てくる。中身は・・・・・ウルフマン?
騎士二人が護送車を開けるとウルフマンが涎をたらしながらこちらを睨んでくる。
銀髪の体毛に紫色の爪と牙、緑色の目と涎。その姿はあまりにも不気味で現実的な感覚を狂わしてしまいそうだ。
だけだった。

824 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2005/12/27(火) 22:21:06 [ QS1Cbi/M ]
唸り声を上げながら猛烈なスピードで走り出してきたウルフマンの足元に斧を投げつける。
爆発的な瞬発力のウルフマン、恐らくは最大速度も相当なはずだ。殺るなら短期決戦で調子付かせる前に叩きのめす。
狂った瞳のウルフマンが自分に向かって喧しく吠え立てる。こちらに向かって猛然と走ってくる。さっきよりも速い!
高くジャンプして空中からトマホークを投げつける。斧はウルフマンの背中を掠めただけで終わる。
着地するときにも斧を投げつけ、すぐにまた高く跳躍する。今度は掠りすらしない。
やはり着地するときに斧を投げて牽制するが、ウルフマンが今度はジャンプして襲い掛かってくる。
首を捻って顔への一撃を避けるが、バランスを崩して倒れてしまう。狼が腹に座ってマウントポジションを取る。
爪の一撃を喰らう前に、両腕を掴むが、今度は顔を前に突き出して喉に食いつこうとする。
必死で腕を突っ張り、ウルフマンを引き離そうとするが、強大な膂力に抗われてしまう。
少しの間だけ狼とにらみ合う。狼の瞳には混濁した魔力が満ちている。どうやら自分自身の魔力を制御できないらしい。
段々と力負けして腕が押し戻される。糞野郎が。狼野郎の瞳を覗き込み。
爆発の素となる魔力を、狼野郎の瞳にある魔力に送り込む。
次の瞬間、狼の右目がグチャリと音を出してつぶれる。狼の魔力を無理やりコントロールした結果だ。
怯んだ狼の腕を思いっきり引っ張り、体制が崩れたところで腹に蹴りをぶち込み投げ飛ばす。
瞬時に斧を投擲する。三本中一本が足に当たる。致命傷にはならずとも、凶悪なスピードは殺せた。
今度は狼の足元に漂う、空気に混じった自然発生した魔力を凝視する。狙った位置とは少しずれた場所に小さな爆発が起きる。
どうやら距離感が上手くつかめていないらしい。狼に向かって斧を投擲し、斧を目印にして空気に溶け込んでいる魔力を捻じ曲げる。
無数の斧を中心に小規模のバキュームポイントが発生する。狼がそれらに巻き込まれて、もろに斧を喰らう。
おそらくはもう動けない狼に、止めの一撃を投げつけようとしたときに、観客席から爆発が起きる。
火達磨と煙の中から突如としてサラマンダーが現われる。火達磨がさらに火達磨を作り。一瞬にして阿鼻叫喚の図を作り出す。
サラマンダーの次にイフリート、マーマンと続いて現われる。何故コボルトすら現れない事に最上級モンスターが?
ぐったりとしている狼男に止めを刺すのは止めにして、[翼]と[羽]の封印を解いて地獄絵図の中心へと向かう。
[ゴーファの希望]を鞘から抜き払い、同時に氷竜を召還する。[ゴーファの希望]が竜へと変わり、サラマンダー達を喰らってゆく。
絶対にただ事ではあるまい。今わかることはそれ

825 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/28(水) 22:42:02 [ LVW/cCFA ]
>>戦士のようださん
コロシアムでの戦闘の最中に、突然の魔物の来襲。
魔物を率いているのは、やはり六化仙の皆様でしょうか?
そして、遂に封印を解放したジン。
無事に切り抜けるとは思いますが、続きが気になります。





あ、まだ冬休みの課題やってねぇやorz

826 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/28(水) 23:59:04 [ LVW/cCFA ]
>>821
―――ジャック・レナ・ゲイル、台地突破と同時刻―――

(フム、満身創痍ノ疲労困憊デアリナガラモコレホドノ実リョクカ・・・。)
目の前の二人組みに追いつき、再び戦闘状態に突入してから5分。
私の予想よりも、この冒険者二人は粘っている。
潜伏による奇襲が私に有効でないと判断してか、盗賊の小僧は手裏剣による射撃戦へと戦法を変えたようだ。
小僧が投げつける大量の手裏剣を背に、剣士の娘が果敢に攻める。
だが、娘が繰り出す突きにもはや速度は感じられぬ。霧の魔術を施した短剣も、守りとして機能しなくなるだろう。
(フフ、現金ナモノダナ・・・。復讐ノ礎トハイエ、私ハコノ闘イヲ愉シンデイル。コノ冒険者達トハ、モット別ノ形デ拳ヲ合ワセタカッタ・・・。)
この事実に気づいた私の心に、少なくは無い悔恨の情が湧きあがる。
他の冒険者に仲間が殺されたなら、私は彼等を部族の恥と蔑んだだろう。
だが、今回の件の犯人はかの天界の大罪人。
数多の信頼を裏切り、自身の仲間をその手にかけた、武人の名を辱めた者。
そして、我ら巨人族の祖先に学術を伝えてくれた文化の担い手でもある存在。
僅かながらの尊敬は、私の復讐心を増長させる糧となった。
(私モマタ、弱イ心ノ持チ主ダナ・・・。)
だが、今の私にはこの復讐心という歪んだ信仰心を抑える術を知らない。
「はぁぁぁぁぁ!」
水晶で飾られた刀身が迫る。決して折れぬ闘志は、時に不快の情を思い起こさせる。
「オ前ノ始末ハ後回シダ・・・。」

ガキィィン

「くぁっっ!!」
右手の篭手で軽くいなす。娘の突きは速度を失っても尚、威力は落ちてはいなかった。
「リリィ!!」
小僧が注意を娘に向ける。甘いな・・・、戦場では致命的だ。
「自分ノ心配ヲシロ・・・、愚カ者。」

ドゴォォォ、ドガァァァ、ズドォォォ

「ぐぁぁぁぁぁぁ・・・!!」
三頭の獅子が同時に噛み付くように、小僧の体に私の蹴りがめり込む。
娘に気を取られていても尚、致命傷を避けたようだ。やはりこの小僧、筋がいいな。
いや、直感が優れているだけか・・・。どちらにせよ、しばらくは動けまい。
ならば、未だに足掻き続ける娘を先に始末することになるのか。
気がつけば、私の周りを娘の分身が囲む。
(槍術カ・・・?ソレニシテハ、武器ノ構エガ突キデハナイナ・・・。)
この娘、実に興味深い。剣を用いて槍術を扱うなどとは・・・。
「驚イタナ。未ダ、コレ程マデノ分身ヲ創リ出ストハ・・・。」
娘の鮮やかな緑の瞳が殺気を込めて向けられる。
「あぁぁぁぁぁぁ!!お願い、逝ってぇぇぇぇぇぇ!!!」
娘の絶叫と共に分身が動き出す。なるほど、エントラップメントピアシングとスウィングインフィニティの複合か。
そうして、私めがけて斬撃の嵐が襲い掛かってきた。


ズガガガガガガガガガガガガガガガガッッッ・・・!!

隊長を私の「エントラップメントインフィニティ」が切り刻む。
これで彼が倒れてくれなかったら、私にはもう打つ手はありません。
(お願いだから・・・!)
既に剣を振るうこの腕に感覚は無く、捻挫した右足も痛みを訴えてきます。
今の私は、意地だけで自分を奮い立たせ体を酷使しています。
何故、ここまで抗うのか?何故、勝てぬ相手と知りながらも退かぬのか?
理由は、たった一つ。
彼を・・・。まだ、知りたいことが沢山ある彼を・・・。
「見事ダ、娘。オ前ノソノチカラ、復讐ヲ忘レ、純粋ナ気持チデ相対シタカッタ・・・!」
隊長が私に対して賞賛の言葉を贈る。それと同時に、私の願いは脆くも崩れ去りました。

827 名前: 南東方不勝 投稿日: 2005/12/29(木) 01:14:27 [ LVW/cCFA ]
>>826
ガガガガガガガガガッッ、ザシュッ、ザシュッ、ガガガガガガガッッ・・・。

荒れ狂う剣の嵐は、徐々に私の体を削る。
(流石ニ防ギ切レンカ・・・。)
しかし、所詮は蝋燭の最後の灯火と変わらない。
私は嵐の如く吹き荒れる斬撃の中で、他の箇所より薄い部分を見つけた。
(ヤハリ、分身ノ完成度ハ均一デハナイナ・・・。)
あそこまで疲労しているのだ。分身の中に完成度が低い個体が生ずるのが道理。
そして、それこそが娘の敗因。その一点に向かって私は拳を突き出す。

ガガガガガ、ドゴォォォォォ!!!

回転を伴い威力を増幅した拳が、剣の嵐をはねのけ分身に直撃する。
直撃を受けた分身が、フッと消える。こうなればこの技を破るのは容易い。
分身が消滅した場所に向かって強引に進む。幾分体に傷がつくが、戦闘に支障はない。
そのまま剣の嵐を抜け、両隣にいる分身を蹴り払う。これで分身は残り4体。
(面倒ダ、一気ニ吹キ飛バシテシマオウ。)私は両手に気を込める。
気に導かれ、速度をまして両手に風が渦巻く。
「吹キ飛ベェェェェェェェェェ!!!」
両手から風が離れていく。我が手を離れし風は娘の分身を飲み込む。

ズドォォォォォォン

分身が跡形も無く消える。残るは弱りきった本体のみ・・・。
そうして私は、娘の前に歩を進める。
目の前にいる娘の瞳からは最早、闘志は感じられない。いや、敗れたことが悔しいのだろう。一筋の流れがほほを伝っている。
「流石ニ心ガ折レタカ・・・。ダガ、恥ルコトハナイ。ココマデ闘イ抜イタノダ。ソレヲ誇リニ旅立ツガイイ・・・。」
私の言葉が聞こえているかは定かではないが、娘は反応を示さない。
「セメテモノ情ケダ、一思イニ逝カセテヤロウ・・・。サラバダ、剛ノ者ヨ。」
そうして私は娘に向かって回し蹴りを放った。このまま当たれば首は折れ、即死だろう。

ガッッッッ

だが、私の足は娘の首には届かなかった。
「マダ動ケルカ、小僧・・・!」
小僧の腕が私の蹴りを防ぐ。
「・・・ねぇ。」
小僧が静かに呟く。
「・・・やらせねぇ。」
言葉がはっきりとしてくるにつれ、小僧の腕に力がこもる。
「この娘だけは絶対にやらせねぇ!!!」
刹那、小僧が闘気が爆ぜる。
「ヌゥゥゥゥゥ!!!」
小僧の細腕に私の蹴りが押し返される。莫迦な、押し負けただと!?
だが、小僧はそれでも止まらない。
疾風の如き速度で手裏剣を大量に投擲する。速度、精密さ、すべてが先程とは段違いだ。
「ヌガッ!」防ぎきれずに、片目を潰される。だが、これしきのことで・・・。
眼なぞ、一つあれば充分だ!!
「頭ニ乗ルナ、小僧ォォォォォ!」
顔面に向かって、回転を伴った正拳を繰り出す。奴は手裏剣を投げたばかりだ、反応できるはずも無い。

ヒュオン・・・

だが、拳は宙を切る。莫迦な、かわしたとでも・・・、

ドゴゴゴゴゴ

「グホァァァァッッ!?」
いつの間に潜り込んだのだ!?小僧の連打が私の腹部を直撃する。
ぐらりと体がよろめく。だが、倒れこむすんでのところで踏みとどまる。
(マダダ、マダ倒レルワケニハ行カヌ・・・!)
この胸に燃える復讐の炎を消すまでは・・・!!
「昔、爺様に言われたんだ・・・。」
顔を上げるとそこには小僧の姿があった。
「女の子に乱暴する奴は許しちゃいけねぇ、軽く懲らしめろ。ただし・・・、」
小僧の右手が信じられぬ速度で私の心臓を捉える。
「惚れた女を泣かした奴は、依頼でなくても息の根止めろ!!!」

ドシュ・・・

私の胸を小僧の仕込み爪が貫く。紙一重で心臓を貫かれはしなかったが、肺を片方潰された。
(アァ、ココマデカ・・・。)
そうして私はゆっくりと仰向けに倒れこんだ。

828 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/29(木) 18:13:46 [ UnflNmAU ]
>>sinさん
(*´∀`)アラステキ
シルスさんが可愛いですね。
ランスを装備させてあげたかったです…とても残念だ。と思ったら生きてたのね。

今更言うのも変な気がしますが、次回作お待ちしてます。


>>◆j9cST1xRh2さん
(*´∀`)アラステキ
羽化…羽化ねぇ…うっ、うまい!
シンプルな上にしっくりくる表現ですね。
なぜかストーリーそっちのけで感動してしまいました。説明も凝ってますしね。
説明にでてくるJ.C.ワンダー氏はやはりワンダー家のご先祖様ですかね?

それにしても弟さん死んでしまったんですね…軽くショックです
姉の苦悩も読んでいてちょっと悲しくなりました。
今後どのような展開になるのか楽しみです。


>>レッドストン通信社さん
(*´∀`)アラステキ
いつもこんなに良質な記事を書けるなんて、
レッドストン通信社所属の記者達は優秀ですね(経費を使って風俗に行っていた3名除く)。
次の記事も楽しみにしてます。


>>548さん
(*´∀`)アラステキ
殴りBISでも支援BISでもPTにBISさんがいると安心できます。
どちらにせよ頼れる存在ですね。


>>553さん
(*´∀`)アラステキ
村興しの方法としてはあり…なのかな?
微笑みながら「リザよろwwwwwwwwwwwwww」とか叫ばれたら伝説にもなりますね。


>>東エル通信さん
(*´∀`)アラステキ
インタビューの村長さんカッコイイですね。
「高価な物なんて散歩してれば手にはいるぜ!」って
書いてあるのを見たときは正直感動しました。

ROMに戻ってしまったようですが、また気がむいたら何か書いてくださいね。
楽しみにしてます


>>617さん
(*´∀`)アラステキ
廃坑B6の爺さんは脊髄反射でFV撃っていたのか…反応良すぎると思ってたんですよねぇ。
しかも沸きが結構早い事を考えるとかなりの金額をダメオン様に貢いでいるようですね…
この前地図クエで同族の方々をかなりの数倒してしまいましたが課金してるなら大丈夫ですね。


>>DTKさん
サマナの人さんと被っちゃったみたいですが、気を落とさないでくださいね。
続きを書くにしても、新しく考えるにしても、期待して待ってます。


>>758さん
(*´∀`)アラステキ
これはあまりに衝撃的な事実ですね…
この説明を読んだことによってレッドアイ護衛兵が身近な存在に…なりませんね;;


>>KUNAIさん
(*´∀`)アラステキ
BIS②の言い分が面白いですね。ツボにはいりました。
ウルフマンのワイルドさにも光るモノを感じました


>>萌えるゴミさん
(*´∀`)アラステキ
セリアがテイマーやサマナーを嫌いな理由や対戦相手のテイマーの実力など
気になることが沢山ですね。
ギル戦もどんな展開になるのか楽しみに待ってます。


>>黒い人さん
本編が開始されるのを楽しみに待ってます。


>>名前有り?さん
(*´∀`)アラステキ
地上に出るために動きだした3人。
そして古都で動きだしたギルド。
これらがどのように関わっていくのか気になりますね。続きに期待してます。


21Rさん、戦士のようださん、サマナの人さん、ナンバーズさん、変な生き物さん、南東方不勝
BDさん、復讐の女神さん、ともぴさん、ACさん、独り語りさん、コボルトのマントさん

以上の方々の作品への感想は明日か明後日(できれば年内に)には書けたらいいなと思っています。

829 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/29(木) 18:15:04 [ UnflNmAU ]
南東方不勝「さん」が抜けてました。ごめんなさい。

830 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/29(木) 23:46:01 [ 6AwpQ2pM ]
小説書くのが楽しくなっちゃいました(へたですが
また目を通してくれると嬉しいです^^;
>>810続編

―鉄鉱山B5―

無言で鉄鉱山の奥を進む3人
最初に参ったのはキュイナだった。

「あ”ぁ〜もう疲れた〜!」

そう文句を言うとその場にペタンと座り込んでしまった。

「仕方ないですね、ここで一応休憩しましょう」

アイルはレックスに目を向ける
レックスは了解したように頷きケルビーから降りて冷たい地面にゆっくり座った。
足首の捻挫はいつもかばんの中にいれている救急箱の包帯とテーピングで一応固定したが
どんどん腫れて熱も帯びてきている、一刻も早く地上に出たいが疲れた人を無理して行かせる訳にもいかないだろう

(もしもモンスターが襲って来た時疲れていては(特にランサーのキュイナは)戦えたとしてもまともに戦えないだろう。
アイルはチリングタッチを専門とするウィザードだけど長時間前衛を任せるのはきっと苦だろうし。
私は酷く捻挫をしているから長時間走ったり立ったりできないだろうし・・・)

レックスはちらっとアイルとキュイナの表情をうかがって見る・・・どちらとも精神的に参っているように見えた。
明るいキュイナも少し疲れた目をして鉄鉱山の天井をぼーっと見ている。
アイルは目を瞑って軽く寝ているようだった。
レックスも少し眠気がきている

(このまま寝たらどうなるんだろうな・・・)

そう思いながら目を瞑った時だった

「キェーキッキッキ」
―ボッ!!―

「!?」「うわぁ!!!」「うぉ!」

不気味な笑い声が聞こえたのと同時に炎がレックス達に向かって飛んできた。

(っ!!これはファイアーボルト!と、いうことは・・・ミラージュか!)

アイルは炎を避け杖を握り締めるとチャージの体制に入る
そのまま杖を上に振りかざし呪文を唱えた

「ヘイスト!!」

アイルが呪文を叫んだ時キュイナの背中に天使の羽のような翼が生えた。
その翼は風のようにすっとすぐに消えてしまったがキュイナはかまわず攻撃を仕掛けてきたミラージュに向かって走り出す。
その速さはまさに風のよう・・・

「たあぁぁぁぁぁぁっ!!」

キュイナは槍握ったままミラージュに向かって走り出した。
そのまま一気に近づき槍を両手で構えた

「情熱の炎よ!冷酷の氷よ!我が槍に宿りて敵を燃やせ!凍らせ!ファイアー・アンド・アイス!!」

キュイナは両手で構えた槍を頭上に持ち上げものすごい勢いで回した
と、同時に一端には炎がもう一端には氷の魔法が宿り、回すことで2つの魔法が渦巻いた。

「ギャアァァァァァッ!!」

2つの魔力が合わさった攻撃にミラージュは一気に凍らされそして焼かれた。
ミラージュの断末魔が消え去ると槍を止めたがキュイナを中心に半径3㍍くらいで地面が黒焦げて凍りも張っていた。

「す・・・すごい・・・」

一瞬の出来事にレックスはぽかんと口開けたままつぶやいた
ファイアー・アンド・アイスの攻撃も凄かったが2つの対の魔法が渦巻く動きも凄かった。
アイルがキュイナの所へ駆け足で寄る。

「うまくいきましたね」
「うん!でもアイルのヘイストのおかげだよ!」
「キュイナの実力もあると思うけどな」

その光景をそこに行けないのでじっとレックスは見ていたが何か違和感を感じた。

「何かがいる・・・」

レックスがぼそっと言う。
アイル達には聞こえてなかったがそのことを気にせず立ち上がるとケルビーにまたがり
反対側に少し進み曲がり角を覗いてみたその瞬間だった。

831 名前: 名前有り? 投稿日: 2005/12/29(木) 23:47:58 [ 6AwpQ2pM ]
>>830

―ドゴオォォォンッ!!―

突然壁が崩れた。
崩れた壁は大小の岩となりレックスに向かった。レックスは逃げる暇も叫ぶ暇もなく岩の下敷きになった。

「レックスさん!!」
「!!レックス!」

土煙がもわっと舞い上がる。
キュイナはまだヘイストのきいた足で崩れた壁の下敷きになったレックスを助けに行こうと走ったとき

「キュイナ!よく見ろ!!」

アイルが大きく叫ぶ。キュイナは驚いて足をとめると土煙の中に人の形ではないなにか大きい影を見つけた。

「やばい・・・」

アイルは杖を構える冷や汗が頬をつたう、ものすごく嫌な予感がした
キュイナも殺気を感じたのか素早く槍を構える。
土煙が引いた中に立っていたのはありえない攻撃と体力を兼ね揃える・・・コロッサスだった。

「グオオォォォォッ!!」

コロッサスが叫んだと同時に向かってきた
キュイナは腰にかけてあった青い液体がはいった瓶を取り出し蓋をとり一気に飲み干した。
そのまま瓶を投げ捨て持っていた槍を地面に思いっきり突き刺す
突き刺された槍は綺麗に垂直に立つと静電気を帯び始めた。
弓に持ちかえると目に見えぬ速さで弓をひく。
マシンアローとガーディアンポスト
無数の矢がコロッサスに向かって飛ぶ、同じく上から稲妻が落ちる。
2つの攻撃にコロッサスは足を止めたその時鉄鉱山なのに隕石が降ってきた、そしてコロッサスを直撃する・・・メテオシャワーだった

―ズドオォォン・・・―

メテオと稲妻の音が鉄鉱山に響き渡る、土煙もさっきより舞い上がりキュイナとアイルを飲み込む。

「やったか・・・っ!」

キュイナが言葉を言ったすぐ後に腹部に激痛が走った。
激痛の原因が分からぬままキュイナは吹き飛ばされ宙を舞う

―ドンッ!―

「ガハッ!!!」

キュイナは地面に叩き付けられる様に落ちそのまま力尽き気絶してしまう
コロッサスは気絶したキュイナに止めをさそうと歩き出す
どうやらコロッサスの蹴りがキュイナの腹部を直撃したようだ。

「キュイナ!!く、このやろおぉぉっ!!」

アイルはヘイストを唱え一気にコロッサスに向かって走り出した。
それに気が付いたコロッサスはキュイナの方向ではなくアイルの方向へ向きを変える
コロッサスの強烈な右足の蹴りが向かってくるがそれをアイルはギリギリの所で避け後ろに回った。

「もらったぁっ!!」

アイルがチリングタッチで殴った
パキパキっとコロッサスの背中が凍る、どうやら効いたらしい。

「オオオォォォォォ」

背中を凍らされたコロッサスは怒りの咆哮を上げる、ご立腹らしい。
アイルがいた方へ振り向くそしてすぐに右足で蹴る・・・がアイルはまたそれを避け左側から後ろに回ろうとした瞬間だった

―バキッ!―
「なっ・・・!」

今度は後ろに回る前にアイルの腹にコロッサスの蹴りが命中していた。
右足で蹴りをいれたあとすぐに左足で横に蹴りをいれられたのだ。
アイルはキュイナと同様蹴りの勢いで吹っ飛んで壁に叩きつけられて地面に倒れた。

「ここまでかっ・・・」

アイルが呟く、それでもコロッサスはどんどん向かってくる
ついに目の前に来た、あとは踏み潰されるだけか、アイルがそう思い目を瞑った。
しかし一向に激痛が走らない、アイルは目をゆっくりと開け目の前にいるコロッサスを見てみる
コロッサスは意識はあるもののぴくりとも動いていなかった。
何が起きたのか状況を把握したかったがその意思はむなしくも少しずつ途切れる意識に消されてしまった。
意識が完璧に途切れる瞬間声が聞こえた

「もう少し耐えてくれ。すぐにこのコロッサスを地獄に突き落としてやるよ」


何かこの掲示板にすっかりはまってる私がいます(;ノ_\)
これからも投稿させてください。

832 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/31(土) 00:06:35 [ x/IHTrJY ]
>>21Rさん
(*´∀`)アラステキ
最後の最後まで魅せてくれますね。久々に鳥肌がたちました。
ちょっと悲しい終わりかたでしたが、自分としてはかなり良い感じだと思います。
もう3人の話を読むことができなくなるのは寂しいですが…
これからもう一度読み直すので今日は徹夜かもしれません。

半年間の連載本当にお疲れさまでした。
次回作の作成に期待してお待ちしてます。


>>BDさん
(*´∀`)アラステキ
ファーガソンは間違いなく確信犯ですね。悪い人だ。
とにかく入団後にどんな出来事が待っているのか楽しみです。

>方向性を変えてしまいすいませんでした
シリアスな話の間にコメディをはさむのも面白いので大丈夫だとおもいますよ^^


>>復讐の女神さん
(*´∀`)アラステキ
無限矢を持っているとは流石お金持ちですね。
あの状況で無限矢の存在を思い出した戦士の嫁さんに乾杯。
そういえば無限矢が出てくる話ってかなりレアですね。

833 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2005/12/31(土) 18:50:26 [ KF02GH3k ]
>>感想をくれた皆様へ

大晦日なのに一人寂しくPCの前に陣取ってる21Rですorz
感想を書いてくださった方々、本当にありがとうございます。
このスレがパート3まで続くようでしたら、もう一度作品投稿しますので
予め宣言しておきますね。

それでは、スレ住人の皆へ
よいお年をb

834 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/31(土) 19:41:49 [ dtmXHdWM ]
アレン君…(´・ω・`)
21R様、お疲れ様でした。
Cold north wind Ⅲ>>770-772追加でふ。
最後の最期まで運命に振り回されたミル。
覚悟の中でも浮かべた最期の笑顔は、アレン君に出会えたことに感謝してるかな。。
それとも自分の槍が最愛の人を貫いてしまった罪の意識も・・?
切ないです(´・ω・`) 妄想ちゅうです。
後を追うように息を引き取ったアレン君のとこに、ミルがお迎えにきたのかな・・?
二人で一緒にいられるなら悲しくないのかな・・・。
やっぱり最期は「さぁ逝きますよ」っていうのかも(*´∀`)

FAT様へ
タカさんは不死身?タカさんは不死身。
連載お疲れ様でした。
あの後どうなるのだろうと思うと年越しソバがノドを通りません…。
ほわほわなはっぴぃえんど♪が好きなので勝手にそう思うことにします。
シエルもほわほわに笑うのです!良かったネー(´・Д・)(・Д・`)ネー

自分の書き物は行き詰ってます。
が、大好きな作品の完結なので乱筆ながら書き込みします。
お疲れ様でした。一人一人が活き活きしててとれも面白かったです!タカさん!

身内に不幸があったので年初のごあ(略) 来年もよろしくお願いします。

835 名前: 独り語り 投稿日: 2005/12/31(土) 19:45:12 [ dtmXHdWM ]
>834 名前入れ忘れました。

こっそり追記
>アラステキ様
感想がめちゃくちゃ書き手の応援になります。おかえりなさいませ♪

836 名前: サマナの人 投稿日: 2005/12/31(土) 20:54:58 [ b6Gnz/6I ]
今年最後の大仕事(ノ>ヮ<)ノ♪


>>FATさん
完結御疲れ様ですー。
ラジアルアークが勝利の鍵なのは、やはりあのギルドの影響ですかね?w

さて、ひとまずはハッピーエンド?
でも、失われた物は大きい……。
マリスさんは本当に自害してしまったのでしょうか?
それぞれの後日談とかあったら是非見たいです。
そして、どうしてもジョーイ×レニィな雰囲気が脳裏から離れな――

《メラーの炎で灼き尽くされました》

>>戦士のようださん
ちょ、何そのすさまじいUアイテム(汗
ネグルフシさんの家って、一体どれほどのお金持ちなのでしょう?
これだけ有れば、RMTで大儲け――あわわ。
でも、過ぎたる力は身を滅ぼすので要注意、ですね(ノ>ヮ<)ノ♪
でも、ポールとかヨーコって……。
バンドのシーンで、てっきり自らベースでも弾くのかと思っちゃいましたよ?w
そして、闘技場の朝食が今時珍しい純和食でびっくり。
時代はヘルシー志向なのかっ!?

>>724さん
これはとても良いパンツ都市伯林(新)ですね?

>>復讐の女神さん
おお、カッコイイ(ノ>ヮ<)ノ♪
ランサー/アチャ娘の一人称も良いですし、なんと言っても戦闘描写がグーですよ!?
というか、無限矢がカッコイイ……
最初に有限矢で残弾を気にしながら戦う描写が入っているだけに、無限矢の特異性がうまく描かれていて素晴らしいです。
まさにGOOD(ノ>ヮ<)人(>ヮ<ヽ)JOB。

>>758さん
ウホッ 良い話(ry
確かに護衛兵たちはそれ系のふいんき(何故か変(ry))ありそうに見えますが。
これ読んで以来、倒した時の声がなんとなくウホッ、と聞こえてしまいます(ノ>ヮ<)ノ♪

>>j9さん
へ、ヘイストにはそんな物語が!?
これでもう、気軽にヘイストよろ^^とか言えなくなりましたね〜。
なので皆さん、PT狩りのお供に是非天使ヘイストなどいかが(tbs

>>KUNAIさん
微妙にあるあるできてしまうのがカナシス(・ω・`)
特にBIS②のパターン。
いや、鍵開けシフさんが入れてくれ、と来て、既に鍵開けシーフ(私です)がいると知ると、「抜けて」「俺代わりに入るから」「俺ダーティ○○」とか。
あと、エンチャ募集してたらエンチャ天使?なる人が来たこともありますねぇ。
と、これは愚痴スレ行きですね。

>>萌えるゴミさん
セリアさんエロかわいい(*´Д`)
唯一自分を慕ってくれる妹が、しかし自分から全てを取り上げた相手。
愛情と憎しみの板ばさみ、そのせいでさらに自己嫌悪のスパイラル。
はてさて、姉妹の行方は……
そして、ギルド戦に向け着々と武具を選ぶ様がカコイイです。
鎧少女萌えっ(ノ>ヮ<)ノ♪

>>名前あり?さん
馬鹿ップル万歳(ノ>ヮ<)ノ⌒☆
メインキャラがサマナーなので、個人的にとても幸せです♪ヽ(>ヮ<ヽ)
さて、廃坑経由での脱出……そう、ここコロいるんですよねぇ。
よく蹴り殺されます(´・ω・`)

これからもよろしく、ですよ(ノ>ヮ<)ノ♪


>>南東方不勝さん
うーん、助言をくれたり、力を貸してくれたり、「中の人」はそれほど悪じゃないのですかね?
でも、裏切りの使徒と呼ばれていて……、いつか裏切られてしまうのでしょうか(´・ω・`)
そして属性変化ストレートパイクカコイイ。
これは、火山や雪原でのパイクも見てみたいですねぇ〜

そして、そして
「女の子に乱暴する奴は許しちゃいけねぇ、軽く懲らしめろ。ただし・・・、」
「惚れた女を泣かした奴は、依頼でなくても息の根止めろ!!!」
もはやただ一言。
激しく(ノ>ヮ<)人(>ヮ<ヽ)カコイイ

>>21Rさん
完結お疲れ様です〜。
長きに渡る戦いに、ようやく決着が……。
・゚・(つД`)・゚・
でも、ラストシーンが物凄い――綺麗、というか物悲しい、と言うか――、とにかく、美しくてジーンときました。
まさに、エピローグと言うか、エンディングテーマとともに語られつつ、最後はセピア色の写真で決め、みたいな。
こういう雰囲気に、弱いんです私・゚・(つД`)・゚・
もし新作を書かれる事があれば、是非おいで下さい〜

837 名前: サマナの人 投稿日: 2005/12/31(土) 21:06:52 [ b6Gnz/6I ]
これまでのお話(なんとなくタイトル付けてみました

第一話「家出娘は冒険者?」
前スレ>>891-892>>897>>933-934>>951
現スレ>>12>>14>>39>>54>>56-57>>89-90>>92-93>>115-117>>151-154
第二話「死霊退治は大冒険?」
>>230 >>237-241 >>250 >>317 >>320-321>>435-439>>444-446>>454-455
>>469-472>>510-511>>520-526>>647-650>>661-662>>671-672

>アイラム=ドラツァリース


 REDSTONE。
 それは、天界に住まう六柱の神獣が一つ、赤の神獣の雛型。

 かつて、天界にあったそれは悪魔の姦計によって奪われた。
 そして、その事件に関わった多くの天使は片翼を折られ、地上に追放された。
 奪われたREDSTONEを取り戻すために。

 それが、俺達追放天使の宿命だ――


 大気に混じる魔力が、徐々にその濃さを増す。
 あのREDSTONEを抱いた魔獣に近づいていることの証。


 思えばあの日、俺がもう少し注意していれば。
 せめて、自身の感じていた違和感を師父や師姉に伝えられていれば。
 ひょっとしたら、REDSTONEが奪われる事はなかったかもしれない。

 だから、必ずこの手で。
 必ずや、あの悪魔を討ち滅ぼし、REDSTONEをこの手に取り戻す。

 それが――俺の贖罪。


「あぁー、まだ沸いてくる!? いい加減しつこいわよっ!」

 槍使いの女性、ベレッタがうんざりした様な声を上げる。
 既に滅ぼしたアンデットの数は優に百を超える。
 これだけの数のアンデットが引き寄せられているのは、やはりあのREDSTONEが本物だからなのか?

 自問しつつ、しかし俺は一つの同意を得る。

 そう、お前たちに構っている暇は、無い。

 死者の安寧を祈り、迷える魂を天へと送り届けるのもまた、俺達天使の務め。
 だが、こう数が多くてはいちいち丁寧に送っている事などできない。

 少々荒っぽくなるが、我慢しろ――

「もう一発だけ術を使う。発動のタイミングにあわせて走り抜けろ!」

 仲間からの返事を待つのももどかしく、俺は腰のベルトから青く輝く霊薬の瓶を取り出し、あたりに振りまく。
 濃密な魔力の霧に右手を突き込み、術式解放。

「<極聖……雷光>!」

838 名前: サマナの人 投稿日: 2005/12/31(土) 21:07:12 [ b6Gnz/6I ]
>フィーナ=ラフィーナ


「もう一発だけ術を使う。発動のタイミングにあわせて走り抜けろ!」

 言うが早いか、アイラムさんの魔力に濃密なマナが凝縮し、再びその姿が天使のそれへと変わる。
 っていうか、発動早過ぎ!?

「やばい――。ケルビー、それにみんな、散開してっ!」

 直後、左へと避けた私の真横を、不可視の衝撃波が駆け抜ける。
 念動剛拳――あるいはサイコキネシス。
 天罰の象徴ともいえる、眼に映らぬ力の奔流。

 けれど、本当の衝撃はその直後に来た。
 サイコキネシスの走りぬけた空間を、輝く稲妻が走りぬける。
 魔術師の電撃呪文に勝るとも劣らない眩い光。

「サンクン……ライトニング!」

 破砕。
 無数のアンデットが、アイラムさんの――天使の雷によって次々と砕かれる。
 まさに、天の裁きと言う形容詞が相応しい。

「そうか、真空放電現象……!」

 先に音速超過の拳撃で空気を撃ち抜き、極めて真空に近い状態を作り出す。
 そこへ魔力による雷撃を流し込めば、普通に雷撃を撃ち出すのに比べ、ロスははるかに少ない。
 とはいえ、普通の人間じゃあ真空状態を作るのだけで一苦労。
 天使だからこそできる芸当って訳かもしれない。


 けど、私にはそれよりも気になる事があった。


 ――アイラムさん、今まで思慮深い振りしてたけど、ひょっとして素はかなり考え無しと言うか、熱くなりやすいと言うか、直情的な性格してるんじゃあ?


 ちなみに、もう一発だけ、と言いつつホーリークロス以降、これで三度目くらい術を使ってる。
 まあ、どれもめったに見られない珍しい術だし、威力も確かでおまけに見た目も綺麗だから、ついつい見入っちゃうけど。
 内心、後で詩にしやすそうでラッキー、とか思ってるけど。
 あ、ついでに言っておくと、あのラージチャージポーションは、私の持ってたのを彼に譲ったもの。
 さすがに二発目あたりから消耗きついんじゃないかなーと、無償でプレゼント。
 まあ、アイラムさんが術使わなかったら、代わりに私がゲイルパンチあたりぶちかましてるだろうし、その分ってことで。


 うん。正直、増援来る度にベレッタが槍を持ち直し、そして出番がなくてしょんぼりしてる。

 まあ、その無念はお互い、あの偽ネクロマンサー(仮)にぶつけるとしましょう。

「見えた。けど、まだ取り巻きは多いみたいだ……」

 黙々と戦闘を走っていたフィリップさんが、やや先に広がる拓けた広場を見つめながら言う。
 そこには、あのネクロマンサーもどき(仮称)と、そして大きな影が二つ。

「フレッシュゴーレム……ううん。死体で出来てるから、アン・フレッシュゴーレムとかコープスゴーレムって所かな?」

 ボスとその取り巻き。
 いかにも、決戦って感じでいいじゃない?

「どうする、取り巻きから先に片付ける? それとも、本体を叩く?」

 フィリップさんの言葉に、ベレッタはわずかに考え、

「どの道アイラムが魔力を除去しなきゃ、あのデカブツは倒せないわ。まず、あたしとフィーナで護衛を片付ける。フィリップは、アイラムの準備が整うまでデカブツの牽制をお願い」
「わかった!」
「ああ、少しの間だけ、頼む」
「おーけー、任せてっ!」

 フィリップさんが、アイラムさんが応え、そして私も応える。

 さあ、ラストバトル、行ってみようか!

839 名前: サマナの人 投稿日: 2005/12/31(土) 21:11:47 [ b6Gnz/6I ]
後書きっぽいもの

と言うわけで、大晦日に紅白見ながら更新してみむとす。
上川隆也かっこいいよ上川隆也(ノ>ヮ<)ノ♪
それはさておき、諸々の都合により、ハイネとミーアの合流話すっとばしていきなり決戦です。
そして、しばらく時間が空いたせいで、アイラムさんのキャラが某勇者の人(勇○王ガ○ガ○ガー)から、某黄金闘士の人(聖○士○矢エ○ソードG)になってたり(´・ω・`)
いや、神に仕える追放天使と、アテナに仕える聖闘士ってなんとなく似てません?
エンプレはクロスって事で。
きっとブロンズプレートとかゴールドプレートとかあるんですよ(何

さて、そんなわけで皆様、良いお年を〜

840 名前: 名無しさん 投稿日: 2005/12/31(土) 23:44:21 [ 7TA4zF/o ]
>>独り語りさん
(*´∀`)アラステキ
やっぱり1話1話独立していると読みやすいですね。
長文が苦手な人にも読みやすいと思いますよ。

>剣士
剣を疎かにしたとはいえ、盾を外すと実は強かったとは…なんてカッコイイんだ

>ランサー
RS始めた当時は槍を振り回したり分身を作って敵を多方向からザクザク刺してる
ランサーを見て「なんて派手なんだろう」って思ってました。
今もその認識は変わってないような気がします。

>ビショップ
>「主力として パーティーに入りませんか?」
殴りBISをやっていた自分としては一度は言われてみたい言葉の一つですね。
こんな事言われたら嬉しくて卒倒してしまいそうです。
ちなみに自分は最後の最後まで言ってもらえることはありませんでした…
その後天使になってさらにPT需要が減りました。

>>828でちょっと勘違いしていてビショップの話の>>548だけの感想書いちゃいました…ごめんなさい
独り語りさんだったのね…orz
アレは見なかったことにしてください。あぁ恥ずかしい…


>>コボルトのマントさん
(*´∀`)アラステキ
化物的オーラを放っているバインダーに安息を与えることはできるのでしょうか?
明らかな格の違いを見せつけられ、おそらく存在をバインダーに知られてしまったであろう
主人公がどういった行動に出るのか気になりますね。


>>LBさん
(*´∀`)アラステキ
セラフィはラケシスの母親だったんですかぁ。なんとなんと。
涙を流した理由も気になりますね。
さらに毎度のことながらこの文章のクオリティの高さにも驚かされてばっかりです。


残念ながら全ての感想を書くことができなかったので残りの方々への感想は来年に持ち越しです。

>>スレ住人の皆様
来年もよろしくお願いします
それでは皆さん良いお年を

841 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/01(日) 00:22:19 [ LVW/cCFA ]
明けましておめでとうございます^^
年末年始はアビスにはまっている南東です。
ちゃんとRSで狩りにも行ってますよ(´・ω・`)

>>アラステキさん
どうも、お久しぶりです。
自分の感想は時間があるときでいいので、あまりお気になさらずに^^

>>名前有り?さん
鉄鉱山名物、b5コロの登場ですか。
コイツにはメインの戦士のときに、クラッシュをもらって気持ちよく逝かせて頂いたことがありましたねぇ^^;
さて、そんなb5コロに追い詰められた主人公一行を助けてくれた人物の正体は?
ひっそりと過疎狩場でソロしながら待ってます。

>>サマナの人さん
おぉ、お帰りなさい^^
さてさて、村防衛組みから今度は親玉討伐組みに場面が変わりましたね。
アイラムさんが、天使の上級スキルをガンガン使ってますね。カコイイです^^
さて、某勇者王と聞いてアイラムさんが、でっかい金色のハンマーを振り回している光景が浮かんでしまった自分はダメですねorz

842 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/01(日) 01:45:14 [ LVW/cCFA ]
>>827
「ハァ、ハァ、ハァ・・・。」
自分の息遣いが、いやに耳に響く。
突き出した右手は目の前の巨人の胸を貫き、深紅に染まっている。
(勝った・・・のかな?)実感が湧かない・・・。
事実、オイラはどうやってコイツに勝ったのかをよく覚えていない。
コイツの三連回し蹴りをくらって気絶して、目が覚めたらあの娘が泣いていて・・・。
「そうだ・・・、リリィは!?」
オイラは慌てて後ろを振り返る。そこにはぺたりと力なく座り込み、呆然とオイラを見つめる少女の姿があった。
(よかった、無事だったんだ・・・。)オイラは、ほっと安堵のため息をつく。
それと同時に、世界がぐらりと傾く。
(あ・・・、まず・・・。)そうしてオイラの体は、慣性にしたがって背中から地面に・・・。

ポフッ

倒れこまなかった。少し小さめで暖かいものがオイラの背中を支えているようだ。
「大丈夫ですの、ギル?」
後ろからどこか心配そうに声をかけてくる。あぁそうか、君だったのか・・・。
「大丈夫だよ、リリィ・・・。ちょっと気が抜けただけだよ。」
全力で守った少女に返事を返す。オイラの返事は自分でも気味が悪くなるくらいに穏やかだった。
「まったくもう・・・、心配かけないで下さる?」
そういう彼女の目には、また新しい涙が浮かんでいた・・・。
泣いてくれている、リリィがオイラのために・・・?
「貴方にもしものことがあったら、私・・・。」
参ったなぁ・・・、泣かせるつもりは無かったのに。
「リリィ・・・、オイラは大丈夫だから泣かないでくれよ。」
それでも、彼女の涙は止まらなかった。
「馬鹿・・・、そういう問題じゃないんですのよ・・・。嬉しかったから、貴方の言葉が・・・。」
言葉、オイラ何か言ったっけ・・・?あぁ、確かに言った。紛れもない本心を、大声で。
「守ってくれてありがとう、ギル・・・。私も貴方のことが・・・、」
リリィの言葉が止まる。それと同時にオイラの直感がざわつく。
そんな、まさか・・・、有り得ない。巨人といえども基本は人、肺を潰されれば動くことはほぼ不可能なはず。
「ウオオォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!」
巨人が咆哮をあげる。その巨人の目には理性の色は認められなかった・・・。

843 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/01(日) 02:14:14 [ LVW/cCFA ]
閑話・其は「支配」と「衝動」なり

世界が冷たくなっていく・・・。息をしようとすれば、血が口に逆流してくる。
あと数分もすれば、私も部下たちのところに向かうのだろう。
(副長達ヨ・・・、後ハ任セタ・・・。)もう思考することも辛くなってきた。
このまま眠ろう、二度と覚めぬ死(眠り)であろうと・・・。
―――本当にそれでいいのかえ?―――
遠くから声が聞こえる・・・。今しがた相対していた剣士の娘よりも幼い女の声が・・・。
―――お主のような豪傑が、潔く負けを認めるのかえ?―――
認めるも何も、私は全力で立ち向かい敗れた。それが、真実・・・。
―――あれがおぬしの本気かえ?わらわにはそうは思えぬ・・・―――
貴様に何が分かる?拳を交えた上で得た答えだ。さぁ、私の心から出て行け・・・!
―――それは無理な注文よなぁ・・・―――
戯言をぬかすな・・・!
―――お主がわらわの声を聞いている時点で、お主はわらわに「支配」されているのじゃ―――
何を世迷言を・・・。
―――まぁ、お主の意思に関わらずにわらわは能力を試すだけじゃ―――
ふざけるな、私を実験台にだと!!
―――うるさいやつじゃのぅ。ほれ、今からお主の「衝動」を解放するぞ―――
やめろと言うのが・・・。

ドクン・・・!

(グ、ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・!)
世界が燃える、理性が燃える、記憶が燃える、心が燃える・・・。
壊したい殺したい消したい潰したい破りたい・・・!
(ウ、グ、ガァァァァァ・・・!)
何を恐れる?何を拒む?何を躊躇う?抑えるな、本能のままに、湧き溢れる衝動の従い・・・、

   殺   せ   !

「ウオオォォォォォォォォォォォォッッッ!!!」
そうして私は壊れた・・・。

844 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/01(日) 22:36:24 [ 8gyHLVH2 ]
 大作完結おつかれさまでした。


・・・がっ、FATさんの姉妹物は「腹八分目」というかななぶんめ?
くらいにおもってしまします。
 別シリーズでも何でも良いので『そのご』を短編でも風聞でもありましたららら、と。

845 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/01(日) 23:16:13 [ Cai0Qg7k ]
 何故上がってるのか・・・チャんと下げハズなのに・・・

お詫びにならないけど駄文書きます・・・・・・

846 名前: 通りすがりのスレ汚し 投稿日: 2006/01/02(月) 02:38:39 [ MS8ssT4. ]
/コロッサスの愚痴

心底ウンザリしたような様子のコロッサスが一人、廃坑B10に降りてきた。
コロッサス「ふぃ〜、疲れた。」
鷹闘士「いよう、コロのダンナ!しけたツラしてどうしたい?」
コロッサス「・・・いいよな。そっちは暇でよう。」
鷹闘士「あ?喧嘩売ってんのか旦那?」
コロッサス「そういきり立つな。考えて見ろよ廃坑B9の惨状を。おちおち眠れやしねぇ。」
鷹闘士「はっ!我侭だネェ!B10なんてジジイの亡霊と若い衆ばっかりで色気のイロの字もねぇのによぉ。」
コロッサス「勘弁してくれよ。ちくちくあの〜なんだ?魔人アローだったか?あの悪魔みたいなスキルで生殺しなんだぜ?あんたみたいにチリ一発でコロッと逝けるなんてのがうらやましくてね。」
鷹闘士「表出るか?」
コロッサス「事実じゃネェか。」
鷹闘士「けっ、このイロ狂いが!おおかたあのでっけぇ胸を堪能しながらちくちくされてんだろう?助兵衛だネェ。」
コロッサス「そんな暇ネェよ。ついでに言えばそのなんだったか?何とかアローしてくる姉ちゃんが最近少なくなってんだよ。」
鷹闘士「んじゃ、今は誰にせめられてんだい?」
コロッサス「主にBISのニイちゃん。」
鷹闘士「・・・・・・。」
コロッサス「・・・・・・。」
 その時、二人の漢の心が共に空間を揺るがし、哭き叫んだ。

鷹闘士「旦那〜〜〜〜。ゴメンよう〜〜〜。そこまで、そこまでひでぇとは思わなかったぜ〜〜〜。」
コロッサス「泣いてくれるな若人よ。千客万来、老若男女が集うB9のEXPのうまさを守るのがワシの務めなんじゃい!」

時代は2010年。革命の炎がRSを包み込んだ。かずかずのアップデートが施され修正されるスキル!
しかし、それでもBISの殴りスキルだけは上方修正がかけられ、メテオWIZでさえネタに思えるほどの火力を得て、その屈強な肉体美を世界に轟かせんとしていた!
そう!世は正に、暴力と肉体美と漢の匂いが支配する、弱肉兄貴喰-じゃくにくきょうしょく-の時代となっていた!

さめざめと漢哭-おとこなき-する二人。
その二人に、見るからに軽装でケルビーを連れた純真無垢そうな娘が、警戒心を隠しきれない様子でこう言った。
「あの〜私、この辺り初めてで・・・テイマー自体も初めてなんです。良かったら私に調教-テイム-されて色々教えてくれませんか?」
二人の想いと鼓動がシンクロする。
これは、今やBISやランサ/アチャや、おきゃんなテイマーのお陰で今や絶滅危惧種の、大和撫子-サマナー-とお近づきになれるチャンスではなかろうか?
その時の二人の想いは一字一句違わなかった。

しかし、二人は知らなかった。
そのサマナーがテイマーも兼務しており、「唐辛子を食べさせる」と「叱る」をマスターしている事に。
そのサマナーが撲殺お嬢として、道具袋の中の柄が笛になっている特製クレイモア片手に暴れまわっている事を。

世の世知辛さに哭いていた二人の前に訪れた、純白の乙女を思わせる少女。
その少女の笑顔と、後ろのローストチキンの香りに引き込まれた二人には、そんな事は知る由もなかった。

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以上スレ汚し失礼致しました。
なお、苦情その他現実との不一致については、ご容赦の程お願いいたしますm(_ _)m

847 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2006/01/02(月) 12:23:33 [ IN6Tf5Sk ]
あけましておめでとうございます、お騒がせ21Rです。

前作の方完結いたしましたので、最初から最後までをまとめたサイト作りましたので
URL晒しておきます。
ttp://bokunatutl.hp.infoseek.co.jp/main2.htm

尚、自分の分しかまとめてませんので、その辺あしからず。

PS:特定するの禁止
PS2:特定してもスルー方向で
PS3:いや、マジで特定はしないでくれorz

848 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/02(月) 21:22:03 [ QS1Cbi/M ]
>> 21Rさん
フラッシュに凄い感動しました
物語の余韻を楽しめた感じです 

>>通りすがりのスレ汚しさん
柄が笛のクレイモアー………
恐ろしい反面見てみたい気も…

>>サマナの人さん
RED STONEはネクロマンサー(仮)が持ってるのでしょうかね?
だとしたらどうなるのでしょうか……

>>名前有り?さん
コロッサース!を地獄に叩き落す秘策とは?

>>(*´∀`)さん
お疲れ様です 無理の無い程度に頑張ってくださいませ

849 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/02(月) 21:25:15 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777 その24>>789-790
その25>>823-824

その26

闘技場から出て市街地に出ると、すぐにコボルトが襲い掛かってくる。
飛び掛ってきたコボルトを蹴り飛ばしてから街を見回す。いたるところに火の手が上がっていて、現実感が薄くなる光景だった。
[ゴーファの希望]に魔力を注ぎ込み、呪文を唱えて水平に振るう。
巨大な剣だった[ゴーファの希望]が光り輝きながら崩れていく、そして目の前に巨大な氷で出来た竜があらわれる。
ベルトに付いている鞘から、クネクネと曲がった奇妙な剣を取り出し、それを指揮棒のように振るって竜に命令を出す。
とりあえず目の前で勢い良く燃えている民家に向かって剣を振るう。竜がクネクネと泳ぐように動きながら、民家の火を氷の体で消す。
さらにもう一軒の火を消すように命令をする。竜が体を火に巻きつけると、シュゥゥという音がして火が消える。
大きな火事は大体沈下した。とりあえず街の心臓部である噴水へと足を運ぶ。
噴水では冒険者達が数人集まってモンスターと戦っている。
「アチ!アチチチチチ!」
戦士が情けない声を出しながらこちらへと走ってくる。その不甲斐ない戦士を一匹のイフリートがノシノシと歩きながら追いかけてくる。
火抵抗装備ぐらいは常時つけとけばいいのに・・・
呆れながら戦士とは対照的に、走ってイフリートの元へと向かう。
「痛!」
戦士がワームを踏んでしまい、その場で転ぶ。本当に情けない戦士だ。
「だらしないぞ!」
戦士を怒鳴りつけた後に、あちらこちらに火を噴いているイフリートの目の前に躍り出る。
先手必勝、イフリートが火を噴く前に鼻に短剣を突き刺す。
イフリートが短い四肢をバタバタとさせ、長い胴をよじりながら喚く。
短剣を憐れなトカゲの鼻から抜き取り、今度は目に突き刺す。
一層イフリートがもがき苦しむ。それを意に介さずに次は短剣を深々と喉へくれてやる。
イフリートがふいに足の力を抜いてその場に崩れる。まだ痙攣はしているが火は吹けないだろう。
喉から短剣を引き抜いて辺りを見回す。ランサーとウィザードのペアが、空に羽ばたく無数のビホルダーの相手をしている。
ウィザードもランサーも小回りの利く技を使ってビホルダーを仕留めているが、多勢に無勢でどうも押され気味だ。
「おい」
腰が抜けて立てない戦士に声を掛ける。
「いつまで寝てんだ!援護に行くぞ!」
大声で怒鳴って戦士を無理やり立たせる。だが、戦士はまだ青い顔で震えている。
「しっかりしろ!走れ!」
もう一回怒鳴った後にビホルダーの群れへと走る。
「うらぁ!」
優雅に飛んでいるビホルダーを思いっきり殴りつけて地面に叩き落す。ぴくぴく動いているビホルダーを踵で踏み潰して止めを刺す。
「解!」
召還解除の呪文を叫ぶと、空中でうろうろしていた氷の竜が四散する。
ドシュ! 空中で竜から剣へと戻った[ゴーファの希望]が勢いよく落ちてきて、右前にいたビホルダーを貫く。
「っは!」
気合と共に近くに居たビホルダーを短剣で貫く。団子のように突き刺さったビホルダーが短剣から抜けなくなる。
とりあえず短剣は投げ捨てて、地面に突き刺さっている[ゴーファの希望]を引き抜く。
両手剣で重たいために、振ってもビホルダーに上手く当たらない。[ゴーファの希望]を再び地面に突き刺す。
近くで火の玉を出しているビホルダーを両手で掴み、[ゴーファの希望]の刀身に当てて半分にスライスする。
もう一匹ビホルダーを掴もうとしたときに、三匹の相手をしているランサーが目に入る。
ランサーの少し上にビホルダーが居て、ランサーを仕留めようと魔力を充填している。
「離れろ!」
ランサーに叫ぶと同時に、地面に突き刺さっている墓標のような[ゴーファの希望]の鍔に足を掛ける。
「っほ!」
[ゴーファの希望]を踏み台にしてビホルダーめがけてジャンプする。上手く間合いに入った!
「セア!」
空中で踵落としをビホルダーに食らわす。ビホルダーが地面に叩き落され、潰れたトマトのように体液をぶちまける。
着地して屈んだ瞬間、背中に衝撃を受けて派手に転がってしまう。
さっきよりも何倍も大きなイフリートが唸り声を上げながらこちらを睨んでいる。
ゆっくりと立ち上がって息を吐き出す。背中に重たい感覚が残っているがすぐに消えるだろう。
じっと執拗にイフリートを睨みつける。すぐに襲ってこないところを見ると、さっきのよりは知性があるのだろう。
[ゴーファの希望]は地面に突き刺したまま、短剣もビホルダーが刺さったまま地面にある。なかなか面倒なことになった。

850 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/03(火) 00:25:28 [ e/umf29M ]
http://www.freepe.com/ii.cgi?abcff

851 名前: ナンバーズ 投稿日: 2006/01/05(木) 11:37:29 [ UUqo4056 ]
>>712の続き
■RED STONE■
〜願い〜
「やあ、スナッチ。息子が世話になっている。」
スナッチと握手を交わす。
そして、即決に一言発す。
「私には悪魔に借りがある。今度の戦いには・・・私も同行させてもらいたい。」
「しかしあなたはDAMEONの社長では・・・」
スナッチはそう言いかけて、気づいた。
彼の目に悪魔を死んででも倒すという、強い意思が込められていることを。
仲間を失うという、悲しみを乗り越え、後世を未来へと繋ぐ為の願いを。
「悪魔は・・・私にとって、大切な人を殺した。それは憎い、だが・・・憎んでも死んだ人は帰らない。
私にとって戦う意味は、悲しみを繰り返させない為なんだ。それと、渡すものがある。」
そして何かを懐から取り出し、スナッチに手渡す。
「これは・・・転送される直前にサイレンスから魔石と共に私に投げられた物だ。今渡すべき時が来たと思ってな。」
それは、小型の箱に収められていた。
ゆっくりと蓋を開ける。
ふっ・・・と、少し懐かしい感じがほほを伝う。
中身は・・・小さいレザーケースに包まれた、戦輪だった。
「リングスライサー・・・父の・・・形見。」
ふとスナッチはほほが熱くなるのを感じた。とめどなく、涙が溢れていった。


翌朝。
皆が株式会社DAMEONビルのロビーに集まる。
スナッチが口を開く。
「みんな、次の戦いが悪魔との決戦になる。生きて帰れないかもしれない。だから・・・
着てくれるのはその覚悟がある人だけでいい。」
しばしの沈黙がある。
最初に口を開いたのは・・・
カイル=クルアルスだった。
「自分は逃げない。いつも、自分は逃げてばっかりだった。だから、過ちは繰り返さない!
僕は・・・いや、俺は悪魔と戦う!」
いつも弱気で、目立たなくて、Gvでは真っ先に死んでいたカイル。だけど・・
今はそんな負け犬ではない。立派なライカントロフィーそのものだった。
皆続くように名乗りを上げ、誰も残る者はいなかった。
「ウィッシュ、古都へのタウンポータルを。」
悪魔が次に向かうと踏んだのは、古都ブルンネンシュティグ。
未来を紡ぐ為に・・・戦士達はポータルに飛び込んでいった・・・
■つづく■
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
携帯でのカキコ規制されてますので、PCで書き込んでいます。
時間的余裕により感想はまたの機会にorz

852 名前: i 投稿日: 2006/01/05(木) 22:07:01 [ QqdjbEaw ]
>21RFz91GTEさん

まとめサイト拝見させていただきましたっ!
はじめて通しで読んで、連載時には掴めなかった大筋が分かりました。
悲しくも美しい話だなあと感動しました。
特に、残された者の孤独感と雪の表現が美しすぎです。
予想のつかない展開でぐいぐい引きこんでいく様子は、
まさにジェットコースターのようですね。

そして、小説にひきこまれた挙句に、ギル戦に遅刻したことは、
ギルメンには内緒です(*ノノ)

853 名前: FAT 投稿日: 2006/01/08(日) 13:29:19 [ .oo6icqw ]
「世界を塗り替える青」



蒼き鎧を身に纏い、蒼き弓を携え、蒼き瞳に蒼き髪が垂れる

その男は赤き石を探し混沌の世を駆ける

「赤」き石を「青」に塗り替えるため

世を支配する邪悪な力を「静」為るものとするため


きれいごとだなんて言われたくない

力を欲しているのではない

力を無くしたいのだ


赤き衝動に駆られた幾多の犠牲者たちを弔うために

例えそれが彼らの努力を無に帰すものだとしても


「青」は海

「青」は空

「青」は月

「青」は人


男は今日もゆく

信念を曲げることなくただひたすらに

蒼き意志を妨げるものを


殴る

854 名前: FAT 投稿日: 2006/01/08(日) 14:16:39 [ .oo6icqw ]
遅すぎですが明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

>> ◆21RFz91GTE さん
感動、感涙、心震致しました。
ただでさえ作品が素晴しいのにフラッシュの相乗効果でより一層
楽しむことができました。
ぜひぜひ執筆活動を続けて下さい。

>> 南東方不勝さん
な、なんてしぶといやつなんだ!
でも、リリィとギルのツンデレはその障害のおかげでどんどんヒートアップ
しているようですね!
しかし既にぼろぼろのギルとリリィがパワーアップ(?)した隊長に対し、
打つ手はあるのでしょうか?
クサナギメンバーが間に合ってくれるとよいのですが・・・

>> 戦士のようだ さん
ほぅ、ポールとヨーコですか・・・
ごめんなさい、笑っちゃいました。
ジンはまた厄介なことに巻き込まれていますね。ゴーファの希望の使い方
がうまく、かっこえ〜と思ったら意外な落とし穴でしたね。
頼れるような人もいなさそうだし・・・どうなるんだっ!!

>> ナンバーズ さん
携帯規制どんまいです。苦労は多いと思いますがPC書きこがんばって
ください

>>サマナの人さん
おお!出ましたねサンクン。研究の成果がついに!
緊張すべき場面のはずなのに「偽ネクロマンサー(仮)」と
「ネクロマンサーもどき(仮称)」の表記に思わず和んでしまいました。

>ラジアルアークが勝利の鍵なのは、やはりあのギルドの影響ですかね?w

その通りでございます。唯一実際のスキル名を使った技でした。


>> 名前有り?さん
声の主は誰!?
状況からしてメンバーの誰かではない気が・・・
しかし岩の下敷きになったレックスさんは大丈夫なんでしょうか?
岩の大きさの程度にもよりますがもうお亡くなりになられてたり・・・

>何かこの掲示板にすっかりはまってる私がいます(;ノ_\)
これからも投稿させてください。

ええ、お互いがんばっていきましょう^^

>>黒い人さん
あ、あなたはもしかして・・・
シフの物語、楽しみにしています。


追記
今回のものは連載ものではなくこれで終わりです。
短編って難しい・・・
というか詩まがいですね・・・

855 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/09(月) 13:59:23 [ rYQYbVOY ]
お久しぶりです。

>>846さん
柄が笛のクレイモア・・・。
サマナーのグラでそんなものを持ち歩かれたらガクブルものですね。

>>戦士のようださん
おぉ、ついにジンの本気モードが発動しましたね。
ちょっと情けない戦士に笑いました。

>>ナンバーズさん
ウーンから父親の形見を受け取ったスナッチ。そして再び悪魔との決戦に赴くウーン。
ラストバトルへ向けてなかなか燃える展開ですねb
アク禁にめげずに頑張ってください。

>>FATさん
最後の最後で盛大にふいた自分がいました。
かっこいい前置きにすっかりだまされてしまいました。

856 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/09(月) 15:32:46 [ rYQYbVOY ]
>>842
―――同時刻、バヘル台地―――

「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

ズシャッ

また一体、ウチの爪の前に倒れこむ。
ジャックが群れの半分ほどを始末してくれたんはいいけど、こいつら倒しても倒しても起き上がってきよる。
「アニー、あまり突っ込むな。今のお前は通常時より守りが疎かだ!」
襲い掛かってくる巨人の槍を、破邪の光をまとった盾で弾きながらヒースが声を荒げる。
まったく、何でハイランダーのくせに武器なんか使ってきよるんや!?
「特殊行動(コマンド)・・・入力(インプット)、実行(スタート)・・・。」
処刑刀を手にした巨人の姿が重なる。おいおい、冗談きついでぇ!

ガガガガガガガッッッッ

「ひゃ〜、今のは肝が冷えたわ・・・。」
七重の斬撃を紙一重で避ける。標的を失った処刑刀はウチの後ろに積んであった丸太を切り潰していた。
いやぁ、下手な戦士より威力があるで、あれ。
「はい、お疲れさん!!」

ザシュシュシュシュシュシュシュシュ!!!!

ディレイを放ったばかりの隙だらけの背中を、これでもかと言わんばかりに爪で切り刻む。
引っ掻いてるウチが言うのもなんやけど、この技実際にくらったら相当痛いんやろなぁ・・・。
さて、こいつらと戦ってる内にウチの頭の中に一つの仮説がうかんでるんやなぁ、これが。
ちょっとヒースに相談したほうがええな。もしもほんとやったら性質悪いわ、こいつら。
そうしてウチは、最短ルートでヒースのそばへと駆け出した。

「ヒース、お取り込み中悪いんやけどウチの話聞いてくれるか?」
巨人達を蹴散らしながら、アニーがこちらに走ってくる。
「手短に頼む!」
ガツン、と巨人の蹴りを盾で防ぎながら答える。
「できる限り善処するわ。この巨人共、多分今のウチと似たような状態にあると思うんや。」
今のアニーと似たような状態・・・。それはつまり、
「彼等もまた、凶獣化を使用していると!?」
と言う結論に至る。だが、あの技術は攻めに特化するあまり、守りが手薄になるはず・・・。
だが、彼らの守りは弱化していない。むしろ、一般的なハイランダーより向上している。
「半分は正解や。ただ、こいつらは解放してるものがウチと違うんや。こいつらが解放してるのは野生や無い。普段は抑制しとるような・・・、衝動的なもんや。」
衝動的なもの・・・。それは、理性を持つ生き物すべてが持ち合わせている原始的主張。
だがそれを解放すると言うことは、野生を解放することとほぼ同意義ではないのか?
「アニー、もしもそれが本当だとしたら・・・避けろっっっ!!!」
自分の叫びにアニーは後ろを振り返る。巨大な槍が彼女めがけて空中を疾走する。
(間に合わない・・・!)また、目の前で大事なものを失ってしまうのか!?
―――お前に何が分かる!?これが、これが主の意思だとしたら私はもう、祈りは奉げない!―――
あの日・・・、自分達4人の道が別たれたときの慟哭が脳裏に木霊する。
一人はその日に命を落とし、一人はその事を境に離反を決意し、一人はその場で翼をもぎ天上に別れを告げ、一人はそれでも主を信じた。
絆を失う・・・、そんなことはもう沢山だ!!
「あぁ、やっぱりヒースだったんだ。翼が無かったから分からなかったお。」
懐かしい声が聞こえる。口調は大きく違うが・・・。
そして声の主はアニーに迫る槍を自身の黒塗りの槍で弾き、
「まぁ、君達筋肉だるまが古都に行くとボクちゃん困るんだよねぇ・・・。」
漆黒の長髪を風になびかせ、大地に降り立った。

857 名前: 名前有り? 投稿日: 2006/01/09(月) 21:15:02 [ 6AwpQ2pM ]
あけましたおめでとうございますです。ごめんなさい、かなり遅いです挨拶です^^;
今年も・・・ってこの掲示板に参加してから全然月日経ってませんが皆様よろしくですm(_ _)m

>>831続編
「はっ!」

レックスは自分の声で目を覚めました。
体がありえないくらい軽い、頭がスッキリしている
仰向けになっており目の前には綺麗としか言い表せれない青空、耳元では優しい暖かさで風が吹いている
左右を見ると木に止まっている鳥がかわいらしいく鳴いている。
とても平和そうな感じだが何かがおかしいとレックスはすぐに思った。

「ここは・・・!?」
(たしか私は、鉄鉱山にいたはず?)

ゆっくりと起き上がる、と同時に体が硬直する
体を起こした瞬間・・・場面が変わった。
綺麗な青空は不安を根付かせる赤い空に変わり、耳元で吹いていた優しい風は一気に体全体を冷たく突き刺す風に変わった。 
そして起き上がって目に飛び込んだものは・・・
不気味な黒い鳥が鳴いているなか
無残に瓦礫の山となった街
地面に転がっている槍や杖、剣や盾。
上も下も赤い空間・・・そして人々、モンスターの残骸

「え、こ・・・こは?」

あまりの風景の変貌に足が石の様に重く動かなくなった。
悲惨な風景
冷や汗が頬にそって一つ、そのままあごを伝って落ちる
急に息が荒くなり思わず両手を左胸、心臓にあてその場に力なく座りこむ。

[ミツケタ]

レックスの耳にその声が聞こえた時、心臓が一瞬高鳴る。
恐る恐るゆっくりと振り向いた、そして目の前に立っていたのは黒いコート着た・・・

人の形をしたモンスターだった。



----------------------------------------



「うわっ!」

またもレックスは自分の声で起きた。
しかし今回は違う感覚だった、体は重く頭もボーッとしており目の前には青空ではなく

「白い天井?」

青空の代わりに真っ白い天井が広がっていた、
左側からはそよ風が頬を撫でる
何がなんだかわからず天井をぼーっと見つめていたとき

「ん?目が覚めましたか?」
「!?」

突然聴き慣れない声が耳に入る。
体をすぐに起こそうとしたが包帯やギプス、点滴で固定されているのが分かりしかたなしに顔だけ
声が聞こえた右側に向かせる。
360度真っ白い空間の中に白いテーブルと椅子と・・・一人の黒いコートを着た少女が見えた。

「ぇ、えっと・・・あー・・・はじめまして?」

起きたばっかりではっきりと顔が見えず、知らない人に何を言えば良いのかわからずレックスはとりあえず挨拶をした。
椅子に座っている少女は微笑んだかと思うと椅子から立ち上がりそのままドアに向かった。

「挨拶できるって事は、もう大丈夫だな」

ドアノブに手をかけそのまま部屋の外に出て行った。
部屋を出て行った足音が聞こえなくなるとレックスは「ふー」と長いため息をついた
そしてまた白い天井の方向に顔を戻す。

(私、何やってたっけ? んと・・・赤い空があってっ、てなんだそりゃ・・・
 そうそう、キュイナ達がいないなぁ・・・あれ?キュイナとアイルさんと私で
 鉄鉱山にいたはず?で、たしか変な音したからそこの近くに寄ったら・・・岩が流れてきて)

「キュイナ達は・・・?」
―バンッ!―

858 名前: 名前有り? 投稿日: 2006/01/09(月) 21:16:39 [ 6AwpQ2pM ]
>>857続編
「レックスゥッ!!」

記憶の糸を辿りすべて思い出したとき、扉が勢いよく開く音と同じくキュイナの声が部屋に響いた。
キュイナは目に涙を浮かべながらベッドに駆け寄った。

「よかったぁ・・・ほっんとに良かった・・・」

キュイナは安堵の表情をしてた。そのまま近くにあった椅子を引っ張りぺたんと座る。

「ぁ、心配どうもありがと・・・って、ねぇ聞いて良い?」
「うん?何を?」

キュイナがレックスの顔を覗き込み目を合わせる、キュイナの澄んだ青い瞳に自分が写っているのが分かった
だいぶん頭が起きているようだったのでなぜか少し安心した。
レックスは一呼吸置くとゆっくりと思い出しながら喋りだす。

「えっとね、まずは私達鉄鉱山にいたよね?」
「うんうん、そうだよ。あ、今は生きているから言えるけどレックスさB5で瓦礫の下敷きになっちゃったんだよね」

キュイナが頷きながら軽く笑うがレックスは苦笑いで返す。

「生きているから言える・・・って、生きててもあまり言ってほしくないかも」
「あは、ごめんごめん」
「それで、何が起きたの?」
「あぁ、そっかレックスは分かんないよね。んっとねレックスが瓦礫の下敷きになった後私とアイルはコロッサスっていう強敵と戦ったの」
「?なんでさ?」
「だって、壁壊して襲ってきたんだもん」
「え”、そうなの?」
「うん、でね。やっぱ強敵だから・・・2人じゃ歯がまったく立たずにもうボロ負けしちゃってさ」

キュイナが「あはは〜」と笑いっている
でもおかしい、ボロ負けだったならなぜ怪我を負っていないのか
レックスはすぐにその事を言った

「ボロ負けなのに・・・なんで傷一つ負ってないの?」
「あ、ここからは紅狐は知らないだろうけどアイルの話によれば気絶する寸前に他の人の声が聞こえたんだってー」
「他の人?」
「うんうん、それでアイルが気絶した後私が目覚ましたんだけどさって言ってもうっすらとだけど、黒いコート着た戦士と
追放天使とシーフと・・・あとー、ビショップとランサーが見えたんだーきっとその人たちが他の声だと思うんだけど・・・」
「ほぉ・・・んでどうなったの?」
「どうなったて言うか、ちょうど目覚ましたのがそのコロッサスを倒した時だったんだよね」
「へぇ、すごいじゃん」
「ん、驚いたよ。人は5人いたけど実際戦っていたのは2人だったしねー」
「2人!?」

意外な言葉にレックスは半分身を起こし聞き返す、
キュイナはまた頷いた。

「実際戦闘に参加してたのは追放天使と戦士だけだったもん、あたしちょうどランサーに助けられた所だったから、
 辺りを見るとさビショップさんはアイルを、シーフさんはレックスを助けてたよー」
「そっか、じゃ後でそのシーフさんにお礼を言わなきゃね」
「だね!」

するとキュイナの言いたいことが終わったのか急に部屋が静まった・・・訳ではなさそうに見える。
キュイナは少し下を俯き何か深く考え事をしているように見えた。

「キュイナ?なんか言いたげだけど・・・どした?」
「ぇ、うんっとね。さっき戦っているのは2人っていったじゃん?」
「うん」
「でもね少し変だったの」
「変?」
「あのね、追放天使は普通だったんだけど・・・もう一人の戦士がね」
「戦士が?」
「剣もってるはずなんだけど、なんだろう、剣持ってなかった」

859 名前: 名前有り? 投稿日: 2006/01/09(月) 21:17:31 [ 6AwpQ2pM ]
>>858
「はぁ?」

矛盾しているキュイナの疑問にレックスは驚き少し混乱した。

「ちょ待ってよ。持ってるけど持ってないって・・・そんなっ」
「でも剣は見えたんだ。鋭い大きな銀の刃物」
「うん、それは信じるけど気のせいじゃない?ほらうっすらと目覚ましただけなんだからさ」
「そうだよね、見間違いだよね!」
「うん、そうそう!そうしときなって!」
「ありがと」

キュイナは見間違いとして納得したようだった。
訳分からない疑問を一応納得させてほっと一息、息をはいた時だった

[ミツケタ]
「っ!?」

突然脳内にアノ場面が甦った。
赤い空間が広がって悲惨な風景の中で黒いコートを着た・・・

「レックスさん?」

呼び声でレックスは はっと我に返る
キュイナの方を向きなおすとついさっきまでここの部屋にいなかったアイルがキュイナの隣に立っていた。

「アイルさん・・・・何時の間に?」
「ついさっき入ってきたじゃないですか、大丈夫ですか?急に黙ったりして。」
「ぅん、どこか痛いの?」

2人が心配な表情でレックスを見る。
レックスは少し慌て何を言おうかとおどおどしながら

「うぅん、大丈夫だよ。ごめんごめん」

とりあえず2人を安心させるため笑顔で答えておく
それを見た2人はほっと胸を撫で下ろしたがレックスは逆に胸がモヤモヤしていた。

(なぜだろう?なんでこんなに変な感覚がするんだろう・・・
 なんであの夢なんか思い出したんだろう、なんで黒いコートを着た・・・)

「レックスってば!」
「ぅぁ!?」

今度は大声で呼ばれて肩がビクッと動く
キュイナは呆れた表情でレックスを見つめていた。

「今の聞いてた?」
「へ?何のこと?」
「・・・」

予想通りの回答が返ってと言いたげにキュイナはため息をつきながら肩を落とした。
それをフォローするようにアイルが喋った

「レックスさんの意識が戻ったからこれから最終治療をおこないたいとビショップさんが言ってきたんですがよろしいですか?」
「え、はい、良いですよ・・・。って何でアイルさんがその伝言を?」
「ぃやぁ、そのビショップさん鉄鉱山の事故の処理で忙しかったみたいですからたまたまここに行く私に伝えてくれと頼まれまして」
「分かりました良いですよ」
「そうですか、では私はビショップさんに伝えてきますね」
「はい」

アイルが早歩きで部屋から出て行った。
キュイナも「さてと」と言葉を漏らすと椅子から腰を上げた

「あたしも助けてくれたランサーを探してお礼してくるわ」
「うん、分かった」
「じゃ、んー今から探すとしたら今日はもう来ないかも・・・んじゃ、また明日」
「はーい、また明日ー」

キュイナは手を軽くふりながら部屋を出た。
足音が聞こえなくなるまでレックスは笑顔で扉の方を見ていたが聞こえなくなると一気に顔の力を抜いた。

(目を覚ましたときに椅子に座っていた黒いコートを着たあの人、キュイナの言った黒いコートを着た戦士・・・
 夢に出てきた黒いコートを着た・・・まさかね)

レックスはその黒いコートを着た人と夢に出てきた人が同一人物ではないことを願いながら静かになった白い部屋で軽く眠りについた。

860 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/09(月) 23:37:39 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777 その24>>789-790
その25>>823-824 >>849その26

その27


対峙しているイフリートの目を執拗に睨みつける。周りから音が消え、時間の感覚が無くなる。
イフリートが尻尾を少し振った後に、一歩後ろに下がる。
イフリートとの間合いを一歩分だけ詰め、さっきと同じ距離を保つ。
随分と長い時間がたったような気がする。薄く引き延ばされた時間で、五感が乱れて現実感の無い時間だ。
イフリートがさらに後ずさりをする。同じ距離だけ間合いを詰めようとして、足を踏み出した瞬間。
イフリートの背中で燃える炎が高く燃え上がる。重心を大きく右に傾け、ほとんど転ぶような感覚で大きく移動する。
大きな火柱が土を削りながら泳ぎ回り、近くにあった煉瓦の壁を砕いて消滅する。
転がってきた煉瓦の欠片を拾い、イフリートに向けて投げつける。
ぺしん、と音を立てて欠片がイフリートの青白い脇腹に当たる。のっそりと動いてイフリートがこちらを向く。
ライターの炎ほども効果が無いらしい。
イフリートの遠距離直線状に立たないように動き回りながら、輪を狭めるようにイフリートへと近づいてゆく。
自分の両腕に冷気を宿し、イフリートの口を無理やり上下から押さえつけて封じ込み、勢いをつけて腹に蹴りを放つ。
イフリートが怯んだ隙を利用して一旦離れる。両腕にはひりつくような感覚が残っている。
イフリートの脇腹を横目で見やると少しあざが出来ている、多少は効くようだが何度もやっていれば自分の腕が鰹のたたきになってしまう。
どうしようか思案しているとイフリートが口を大きく開いた、だが口はまったくの見当違いな方向に向けられていた。
横目でその方向を見やると、小さな男の子がすすり泣いていた。一瞬、男の子が本当に男の子なのか理解できなかった。
イフリートが笑う。
イフリートを無視して男の子の方へと走る。迫り来る火柱が視界の隅に映った。
男の子を無理やり突き飛ばして火柱の脅威から逃れさせる。無我夢中で突き飛ばしたから男の子は怪我を負ったかもしれなかった。
急に足の力が抜けてその場に俺は倒れこんだ。何故だろうか。足元を見ると黒く焼け焦げた二本の足があった。
悪寒が背中を走った。致命的だ。両足に火傷を負ってしまった。
ぐぅふぅ、と言う笑い声のようなものが聞こえた。それから子供の叫び声だ。
顔を上げて声の方を見る。イフリートが口を大きく開け、そこから長い舌を出して子供に巻きつけていた。
舌が子供の肌に触れると、肉の焼ける音がした。子供がさらに泣き喚く、舌は子供の首まで巻きついている。
もぴし、と言う異様な音が聞こえ子供がくっだりとした。イフリートが笑いながら子供を口に入れて丸呑みにした。
胸の中に白い光が走り、すぐに消えた。その後に強烈な身悶えするほどの怒りが全身を貫く。
火傷のために壊れていた足に感覚が戻った。細胞が音を立てて分裂し、再生している。
内臓の震えるような感覚があり、背中の皮が蒸発したような気がした。羽が出てきたのだ。
いつもの羽ではない。圧倒的な魔力が揮発して羽の形を取っているのだ。
何時でもそうだ。何時もよどみの無い怒りが俺を突き動かす。久しぶりに俺は本当の痛みを感じた。
イフリートが口を開いた。ほんの一瞬で間合いを詰め、口の中にあった長く焼け爛れた舌を引きちぎる。
イフリートがあまりの激痛に身をよじって転がった。下顎と上顎を掴んで口を無理やり押し広げると、みしみしと骨の軋む音が伝わってきた。
鞭のような尻尾が俺を打ち、イフリートが必死に抵抗をする。それを見て薄ら笑いを浮かべながら、さらに大きく勢いをつけて口を押し広げる。
びりびりりぃ、と皮の裂ける湿った音がした。イフリートは口から体の半分まで裂け絶命している。
イフリートを投げ捨てると体の中からドロドロした何かが出てきた。さっきの子供だ。
吐き気のするような光景だった。イフリートにも自分にも腹が立った。
でも、それだけだった。

861 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/11(水) 18:13:39 [ BytfZWUY ]
>>変な生き物さん
(*´∀`)アラステキ
麻薬巣窟で手に入れた書類や黒いローブの男
これらはやはり何か関係があるのでしょうか?気になりますね。
続きがupされるのを楽しみに待ってます。


>>ナンバーズさん
(*´∀`)アラステキ
>守編
最初文章を見たときは「あぁ!ナンバーズさんの文章が!まるで別人のようだ!」
とか思いましたが、読んでみるとナンバーズさんの空気を感じとることができて安心しました。

それにしても瀕死のWIZにゴッドハンドを放つなんて…これでWIZが反省してくれるといいんですがね。

>ナンバー一家編
せっかく子会社のペンキ屋がしでかした事件を解決してあげたのに報酬の鳳凰章が模造品だったなんて非道いですね。
まあ、あの会社がそんな良品をくれるわけないですよね。

>本編
悪魔つよっ!盾ごとリチャードを真っ二つにするなんて…なんて恐ろしいんだ…
そして悪魔と戦うときには是非カイルに活躍して欲しいですね

>初めてロト買ったらエンチャ文書でした。
このロトを買ったお金もおそらくキムチ代になったんでしょうね…

管理人さんは携帯の書き込み規制を解く予定は無いみたいですね。
苦労は多いでしょうが頑張ってくださいね。


皆さん今年もよろしくお願いします

862 名前: 変な生き物Ex 投稿日: 2006/01/11(水) 23:11:51 [ 3oSILgYI ]
どうもー、メリクリあけましておめでとうございます
用事が山済みだったけどやっとこさ片付いて良かった…。

というわけでやっっとこさ復帰します、皆さん再び宜しく
小説なんかほとんど手につけてないせいでupできませんけどね…_| ̄|○
とりあえずいい加減に物語を進める予定、タラタラしすぎたワ。
では、サラバ。

え?Ex?明日にでもなれば取れると思います、これ飾りというか
さっき冒険者に書かれたんです、これラクガキ。

863 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/12(木) 23:22:44 [ rYQYbVOY ]
>>名前有り?さん
戦士なのに剣を持っていない・・・。
これはかなり特殊な人が出てきましたねぇ。
さて、レックス嬢の夢に出てきた黒コートはこれから出会うであろう、黒コートの戦士と同一人物なのでしょうか?

>>戦士のようださん
さらにジンがパワーアップしてるぅ!
しかし、イフリートとの戦闘で大分深手を負ってしまいましたね。
さて、ジンの様子を見に来ていたネグルフシさんは無事なのでしょうか?

>>変な生き物さん
まずは、おかえりなさい^^
リアルの方での用事が無事に済んだようなので安心しました。
リアルを優先しつつ、続編頑張ってください。

864 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/13(金) 01:09:02 [ rYQYbVOY ]
>>856
突然の乱入者に巨人達の動きが止まる。乱入者はランサー、つまり女だった。
ゆうに腰まである長く艶やかな黒髪、漆黒に塗り替えられた武具を全身に纏い、顔の上半分は髑髏を模した仮面をつけている。
そのあまりにも深すぎる黒の合間から垣間見える白い肌が、およそ戦場に似つかわしくは無い優雅さを醸し出している。
しかし、その者の背中にはあまりにも生々しく痛々しい大きな傷跡があった。
まるで、背中から何かを無理やりもぎ取ったかのような・・・。
黒に塗られた唇を歪め、戸惑う巨人達を見据える。
「ふぅん・・・、そういうことかお・・・。」
何かを感じ取ったのかつまらなそうに巨人達を一瞥したあと、視線を自分とアニーに合わせてきた。
向けられている視線は、好戦的なものでもなかったが友好的なものでもなかった。
ただ、その視線からは深い悲しみと世界に対する強い憎しみを感じた。
(あぁ、お前はあの日から少しも変わっていないのか・・・。)
その視線で自分の中で仮定が確信に変わる。
「あー、助けてくれたことには礼を言わさせてもらうわ。で、あんた何者や?」
アニーが訝しげに問いかける。
「ボクちゃんの名前かい?それはねぇ・・・」
「元・天上兵師団特務調査隊所属、戦天女(ヴァルキリー)ヴェロニカ。いや、今は始原第3位魔サキエルか・・・。」
女が偽りを言う前に、自分が真実を告げる。それは自分の中での目の前の女に対する最終確認だった。
アニーが突然のことに目を丸くする。だが、すぐさま殺気を込め睨み付ける。
「始原魔って・・・。アンタ、あのイスラフェルのくそ野郎の仲間だって言うんか!?」
アニーがヴェロニカ・・・、サキエルに対して身構える。だが、彼女は微塵も身構えようとはしなかった。
まるで、今ここで自分達と争うつもりはないと主張するかのように・・・。
「ヒース・・・。お前の連れの狼、ちょっと血の気が有り過ぎるような気がするお。」
アニーを無視してサキエルが自分に話しかける。図星であることに関しては触れようとはしない・・・。
あの日から750年余りの月日がたっているが、彼女はその身を魔に堕としたことと口調が変わったこと以外は変わっていなかった
「あぁ、自分にとってはこのくらいが丁度いいのだよ。しかし、本当に初代サキエルを取り込んだとはな・・・。」
500年前のレッドストーン強奪事件の際に、彼女が自分に告げた事が真実であったことを改めて思い知った。
それは同時に、自分と彼女の道はもう交わることは無いという事だ。
「ウヒョヒョヒョ、だからそうだって前も言ってるだお。あいつは魂が弱かったからね、取り込むのは簡単だったお。」
自分をあざ笑うかのように、サキエルは言い放った。そして彼女は意外なことを告げた。
「さてと、いつまでも無駄話してても仕方ないお。ヒース、この筋肉だるま達を殺すの手伝ってあげるお。ボクちゃんにとっても、こいつら邪魔だから。」

865 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/14(土) 03:41:02 [ LgQ6iRQA ]
>>ともぴさん
(*´∀`)アラステキ
オジの能力によって危機を脱することができるのでしょうか?
オジの能力がどのようなものなのかも気になりますね。
続きお待ちしてます。

それにしてもサチが可愛いくてしょうがないです


>>戦士のようださん
(*´∀`)アラステキ
やっぱりジンは強いですね。
足に致命的な火傷を負っても魔力でカバーできる万能さがたまりませんね。
しかしイフリートに丸呑みにされてしまった子供が可哀想です…
ジンの気持ちを考えるとさらに辛くなりますね。

そういえばビホルダーと戦っていたランサーとウィザードのコンビは
かなり前にオート監獄にいたランサー&ウィザードのコンビと同一人物なんでしょうか?
ちょっと気になりました。

>>675(チラシの裏)
なっ、なんですかこれは!面白すぎますよ!
マルコの信念を貫こうとする姿勢がいいですね。


>>ACさん
(*´∀`)アラステキ
ハスラーが見せると言った「進化の果て」とはいったいどのようなモノなのでしょう?気になります。

>やはり、私はお前を殺さねばならないのか
クライン教授がこのように考えてるということは
クライン教授はまだ本当の力を見せてはいないということですよね?

今後のクライン教授&ジノーヴィーの活躍に期待してます。


>>サマナの人さん
(*´∀`)アラステキ
偽ネクロマンサー(仮)はRED STONEをもっているんでしょうか?
偽ネクロマンサー(仮)にたどり着くだけで一苦労ですね。
こんな魔界村並にゾンビやらなにやらがモッサモッサ沸いてくる状況を想像すると恐ろしすぎますね。
でもゾンビに触った瞬間全裸にされたり骨にされたりしないだけ良いのかもしれませんね。
いよいよラスボス(?)の偽ネクロマンサー(仮)との勝負のようですね。
どんな戦いになるのか楽しみにしてます。

ペガサス流星拳とオラオラはどっちの方が破壊力あるんでしょう?


>>南東方不勝さん
(*´∀`)アラステキ
ハイランダーと戦うのに協力すると言い現れたサキエルの実力や如何に。
とてもアニーが納得するとは思えませんが、そんな事言ってる場合じゃないような気もしますね。
正直サキエルの口調は喧嘩売ってるとしか思えn(ry でもどこか憎めない感じがします。
そしてギルとリリィ嬢に迫る衝動を解放した隊長さん、もしや今まで以上に
隊長さんは強くなるのでしょうか?
ギルとリリィ嬢が心配ですね。


>>名前有り?さん
(*´∀`)アラステキ
黒いコートを着た人たちは一体何ものなんでしょう?
レックスが夢の中で見た黒いコートを着た人の形をしたモンスターの事を考えると何か怖いですね。
剣を持たない戦士がどうやって戦っていたのかも気になりますね。

いきなり[ミツケタ]って言われたりなんかしたら心臓バックバクです。


>>846 通りすがりのスレ汚しさん
(*´∀`)アラステキ
コロッサスと鷹闘士は撲殺お嬢にテイムされて酷い扱いをうけるんでしょうね…可哀想に。

>メテオWIZがネタに見えるくらいの火力を持ったBIS
>弱肉兄貴喰-じゃくにくきょうしょく-の時代

こっ、怖い!でもちょっと見てみたい!でもやっぱり怖い!

866 名前: 黒い人 投稿日: 2006/01/16(月) 03:11:22 [ 4SJFpO1g ]
こんばんは。こっそり皆様の小説を読みながら作品投下します。
ちょい黒めです。多分...。
===============================================
-紅い夜露-

月の言の葉、そのシーフはそれを聞いたか
傷を負い、逃げ、力尽き、砂漠にたおる。
目はひよこの目、地平線のかなたをみゆ。

濁る目に映るのは 捕らわれた人

ゴボリ ゴボリ


『もうすぐなのね?』

一人の女性

『もうすぐさ』

笑うシーフ

『もうすぐ解放される』
『お金がたまるんだ』


檻の中ですずらんのように笑む
鉄越しのふれあいがまだ残っている


ゴボリ ゴボリ


『もうすぐなんだ、もうすぐなんだ!』


月の言の葉 払いのけ シーフは這い回る
砂の上 夜深い ズルリズルリとダガー片手に
ズルリ ズルリ  カタカタカタ


『もうすぐなのに!』カタカタカタ


月に怨念わめきちらし シーフは進む。
赤き砂 黄泉の道つくりて 哂う  カタカタカタ!


『ここで死ねない  カタカタカタ
自由にしなければ!  カタカタカタカタ
自由にしてやりたいんだ!! カタカタカタカタ!
そして暮らすんだ!!一緒に!!いss』


グワァアアン!!


黄泉の使者 断罪す
黄色き人あざ笑う 鎧の使いを僕にして
空に舞い上がった眼球だけがその絶望を知るだけ
月の言の葉 やわらかく血溜りをすくった


ぽたり ぽたり ぽたり ぽたり....

捕らわれた人の檻をも 濡らす


ぽたり ぽたり ぽたり ぽたり......



---------------------------------------------------------------

867 名前: ともぴ 投稿日: 2006/01/17(火) 19:36:20 [ DXXt3lTo ]
>>282 >>310 >>333 >>424 >>477-478 >>503-504 >>544 >>581

まさかここにきて感想をいただけるとは思いませんでした(´・ω・`)
そんなわけで、とりあえず今までの分です↑

2ヶ月ぶりってわけでごめんなさい・・・orz

868 名前: ともぴ 投稿日: 2006/01/17(火) 19:49:19 [ DXXt3lTo ]
白く大きな拳のようなものは、オジの右腕から発せられたものだった。

『オジ、久しぶりね。といっても、あなたは覚えていないかしら。』
アーキは立ち上がって、鎧についた土をパンパンと払いながら言った。

『それにしても今のがあのゴットハンド?どうやら一応、力は取り戻したようね。
全然痛くも痒くもなかったけど。やはりそのペンダント、放っておくわけにはいかないわね。』

そう言いながらアーキは槍を構えた。
ケルビも警戒態勢に入り、遅れてオジも拳を構える。
少しの沈黙の後、先に動いたのはアーキだった。
物凄いスピードでケルビに槍を向けるが、それを尾を槍のように尖らせ受け止めた。
間髪をいれずそこにオジがゴットハンドを放つ。
アーキは弾道を見極め、瞬間的に避け、白い光の拳は虚空をさまよった。

『オジ、お前はそこの男とサチを連れて逃げるのじゃ!こやつはわしがなんとかする!』

ケルビの言葉を聞き、言われたオジより先にスルが動いた。

『シーフギルドに行くぞ!俺の仲間がどうにかしてくれるはずだ!』
そういってスルはシーフギルドの奥へと消え、オジとサチも後を追った。

『さて、観光客が恐れて近寄りもしないシーフギルドじゃ、逃げるなら今のうちじゃぞ?』

ケルビは言いながら、炎の尾の槍をアーキに向ける。
アーキはその槍をうまくかわしていく。その表情は、笑っていた。

──こやつ、なぜ笑っておるのじゃ・・・

アーキとのつばぜり合いの中、ケルビは考える。なぜ笑っていられるのか。
いくら腕の立つ者といっても、大勢を相手にしては笑ってもいられまい。
なにか隠している力があるのか。それとも、もしかするとあのスルという男・・・
ケルビの頭に沸いた小さな疑問は大きな疑心へと変わっていき、
次第に自身の体を炎でコーティングすることにより形状を保っている槍の動きも鈍っていった。
ケルビの動きの鈍りを感じ取ったアーキは、槍を頭上で大きく振り回し、ケルビをなぎ払った。
ケルビがアーキのほうを見ると、ケルビを見下ろしながらクスクスと笑っていた。

『お前、なぜ笑っていられる。オジ達がシーフギルドの奴等を呼んできたら
確実にお前が不利になるのだぞ。わしがお前なら今のうちに逃げるがな。』

ケルビの言葉を聞いてアーキは笑い、そして言った。

『私が逃げる?なぜ?逃げる理由など無いわ。むしろ焦るのはあなたのほうよ、わんちゃん。
あなたがいなければ何もできないサチ、記憶を無くした、ただの木偶人形のオジ。そして・・・』

ケルビははっとした。ケルビが戦いの最中に考えていたことと、
アーキの言動が、あのスルという男の危険を考えることを促している。

──サチが危険じゃ!

そう考えるやいなや、ケルビはシーフギルドの中へと駆けていった。



869 名前: ともぴ 投稿日: 2006/01/17(火) 19:50:21 [ DXXt3lTo ]
シーフギルドの中は木箱がたくさん積んであり、一見、ただの倉庫に見えた。
スルは中へ入ると一番奥に置いてある木箱と横へ押し始めた。

『スル!ここって本当にシーフギルドなの?ただの倉庫じゃないの?』

言いながらサチが入ってきて、遅れてオジがやってくる。
まだ使い慣れないゴットハンドを2発放ったオジは既にへとへとになっていた。

『この下に隠し階段があるんだ。手伝ってくれ。』

オジとサチも加わって3人で木箱を押していく。
3人の力が加わり、木箱がズズっと音を立てて横へ移動した。
しかしそこに階段はなく、オジとサチの目にはただの床にしか見えない。

『ねぇ・・・ここにもなにか特殊なトラップがあるの?
私にはただの床にしか見えないんだけど・・・』

『サチ、シーフだよ?俺たちみたいなやつに見えるような階段作るわけないじゃないか。
さぁ、スル、階段の位置を教えてくれ。』

焦るサチをなだめながらオジはスルに言った。
オジがスルの方を見ると、スルの顔はとても驚いた顔で固まっていた。

『スル?どうしたんだよ?急がないとケルビが・・・』

『無いんだ・・・無いんだよ階段が!おかしい、昨日までは確かにここにあったはずだ!
昨日もみんなで一仕事して、それで・・・あれ、俺、昨日何してた・・・?』

スルの様子がおかしい。頭を抱えてうずくまり、何かブツブツと言っている。

『サチ!無事か!その男から離れろ!』

ケルビは一気に走っていき、サチとスルの間に割り込み、スルを吹っ飛ばした。
スルは抵抗することも無く、ケルビの放った力のベクトルのままに弧を描き、木箱へとぶつかった。
スルはケルビの行為に反応することも無く、またブツブツとつぶやいている。

『ケルビ!なにするの!』

サチに怒鳴られたケルビはスルの様子を見て、オドオドしていた。

『え、いやぁ、あの男はその・・・危険じゃ。多分』

『多分!?多分で吹っ飛ばすことはないでしょ!』

更にサチが怒鳴るのでケルビは完全に萎縮してしまった。
それはまるでご主人様に叱られた飼い犬のようで、少しかわいかった。

『ほら、スルに謝りなさい。』

ケルビは言われるままにスルのほうへトボトボと歩いていって、
スルの前でお座りをして、頭を下げた。

『スル、すまんかった。わしはどうやらサチの事となると冷静さに欠けてしまうようじゃ。
本当にすまん。お前を信じれなかったわしが悪かった。』

スルはケルビの言葉がまるで聞こえていないようにブツブツとつぶやいている。

『おかしい、おかしいぞ、ここはシーフギルドで、俺はそこのマスターで、
木箱の下には隠し階段が・・・木箱の下には・・・隠し・・・』

『隠し階段?そんなものあるわけないでしょ?ここはただの倉庫よ。』

声のした方を見ると、そこには笑みを浮かべたアーキが立っていた。

870 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/17(火) 20:28:05 [ QS1Cbi/M ]
何となく思いついた電波を文章にしたらエロくなってしまった

…ような気がする
どーしたもんかなー

--------切り取り線--------

>>南東方不勝さん

サキエル女だったんですね イメージを心地よく裏切られました

>>変な生き物さん

お帰りなさいませ そしてお久しぶりです
続きを心より楽しみにしております

>>黒い人さん

『もうすぐなのね?』 から『お金がたまるんだ』
のくだりに感動しました 頭にくっついて離れないです

>>ともぴさん

罠にはまった?サチ一行
激しいバトルの末に剣士が現われる予感?

871 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/17(火) 20:48:05 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777 その24>>789-790
その25>>823-824 >>849その26 >>860その27

その28

イフリートだった肉塊に唾を吐き、それから剣を回収するために噴水の表側に戻る。
蝿のように空を漂っていたビホルダーは全てが撃墜され、噴水には多くの冒険者がもたれかかっていた。
地面に突き刺していた[ゴーファの希望]を引き抜いて鞘に戻そうとするときに、後ろから声が聞こえた。
「あの、さっきはありがとう」
振り向くとランサーが槍を支えに立っている。ああ、とぶっきら棒に答えた後にもう片方の剣も拾い鞘に収める。
「ねぇ、名前を教えてくれる?」
ランサーが下から顔を覗き込むように目線を合わせる。目を合わせるとランサーが、っひ、と言う短い悲鳴を上げてその場に倒れる。
噴水の周りに居た冒険者が顔を上げてランサーを不思議そうに眺め、その後に俺を見て声こそ上げないものの顔を引きつらせる。
さっきの戦いで顔に火傷でも負ったのだろうか?噴水に近づいて水に映る歪んだ顔を眺めてみる。
黄色身を帯びた白目の瞳が青い、背中から血を噴出す男が水に映っている。
驚いて後ろを振り返るが誰も居ない。また水面を覗き込むと同じ男がいる。
右手を上げると水面に映る男も腕を上げた。作り笑いを浮かべると男も笑う。
黄色に変色した目、その中で一際目立つクリアブルーの瞳。背中からは血、いや違う、血ではない。
赤い色をした魔力が羽の形を取って現れている。
まるで悪魔のようだ。水面に映る男が悲しそうに微笑む。
それから自分が滑稽に思えてきた。ハハハハハと腹の底から声を上げて笑うと幾分気持ちが落ち着いた。
笑い声が完全に消え去ると、ピ---------ンと言う音が聞こえた。
耳鳴りがしたのかと思った。それから大きな風が吹いて吹き飛ばされ転んでしまう。
何が起きたのだろうか?他の人も皆その場で転んで不審な顔をしている。
誰かが、太陽!と叫んだ。それに釣られて太陽を見てみる。
太陽が消えていた。代わりにあるのは大きな輪だ。白い霧のようにぼやけた輪が太陽に変わって空を支配している。
そのぼやけた輪の中心から大きな赤い光が見えた。その光が段々と消え、最後には大きな赤茶の塊になった。
じっと空を見ていると、塊が徐々に大きくなって見えた。でも、実際は違った。大きな塊が光の輪を通り抜けてこちらへ衝突しようとしているのだ。
「悪魔祓いだ!」
情けない戦士が叫んだ。一斉に皆が戦士を見た。戦士は俺を指差している。
「こいつは悪魔だ!この容姿を見ろ!化け物も、この空も全て悪魔が引き起こした災いだ!」
冒険者が戦士を見つめ、それから俺に視線を注いだ。戦士は唾を撒き散らしながらも続ける。
「新たな災いを引き起こす前に殺すんだ!殺せ!今すぐに皆、こいつを殺せ!」
誰も俺を殺そうとはしなかった。ただ呆然と戦士と俺の顔を眺めるだけだ。
「死ねぇぇ!悪魔ぁ!」
戦士が重たい剣を地面に擦りつけながら走ってくる。少し手前で走るのを止め、その反動で剣を持ち上げて振り下ろしてきた。
柔らかく羽を動かして、振り下ろされた大剣をそっと受け止める。羽に触れた大剣が砂のようにサラサラになって風に飛ばされる。
誰もが目を見張った。
戦士が柄だけになった大剣を投げ捨てた。
「悪魔が!」
血で汚れた両腕を伸ばして戦士が俺の首を握り締める。何の苦痛も痛みも感じなかった。
「どうだ悪魔?苦しいかぁ!」
戦士が狂ったような声を上げながら目線を合わせてきた。その目線を真っ向から受け止める。

872 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/17(火) 20:48:36 [ QS1Cbi/M ]
ふいに戦士が首から手を放してその場に座り込む。それから急に後ずさりしてガタガタと震えだし、顔をくしゃくしゃにして泣きはじめた。
それを横目で見ながらそっとその場を離れた。どこかに必ずモンスターをまとめる頭がいるはずだった。
適当に街を歩いているとモンスターがまだ見受けられた。だがモンスターは俺を見つけるとすぐにその場から離れて物陰に隠れた。
見つけたモンスターを片っ端から火達磨にしているときに、明らかに異質な人間の叫び声が聞こえてきた。崩れた王宮の方向だった。
崩れた王宮に行くと一人のテイマーがその場に坐ってすすり泣いていた。
テイマーから少し離れた場所に巨大なサラマンダーとマーマンが居た。さらに奥にはホワイトシェードとデイムジェスターが魔法陣の中で魔力を練っていた。
黒幕はこいつ等に間違いなかった。
サラマンダーが、「っべ」と言う音を出して何かを吐き出す。大きな盾だ。
「兄さん!」
テイマーが叫んだ。恐らくテイマーの兄がサラマンダーの昼飯になったのだろう。盾がその事実を雄弁に物語っていた。
頭の中でカッタンと音がした。その盾に見覚えがあった。ネグルフシの盾だ。
バツン!と言うブレーカーが落ちるような音が頭の中で響いた。
自分の足元の石畳に亀裂が入り、それが徐々に広がってゆく。
サラマンダーがこちらを向き、口を大きく開いた。空気中に漂っていた夢の欠片のような魔力が口元へ集まってゆく。
集まっていた魔力がはじけた。大きな火の玉が飛んでくる。
全身の力を振り絞ってテイマーの方に走る。すすり泣いているテイマーを無理やり抱きかかえる。
急いで近くにある堀に飛び込まなければならない。テイマーの分の体重で足が重たい。
火の玉がすぐ近くまで迫っている。まるで白い宝石のようだ。
急いで藻が浮かんだ堀に飛び込む。足に熱気を感じた。テイマーをかばって自分を下にしたため、背を岩にぶつけた。
水面が光った。その後に大きな波が起こる。
堀からすぐに顔を出す。テイマーはとっさの事だったので水を飲んだらしくゲホゲホとむせている。
堀から出て剣を構え、サラマンダーに直線的に突っ込んで行く。狙うは首。
強烈な突きをサラマンダーへと繰り出すが、簡単に避けられ、挙句の果てに腕を牙で噛まれてしまう。
腕に鋭い痛みが走る。このままでは腕を食いちぎられてしまう。サラマンダーの大きな顎を片手でこじ開けることは無理だろう。
だが、サラマンダーは自分から口を開ける。すぐさま腕を抜くと尻尾の一撃を受け、テイマーの近くまで吹き飛ばされてしまう。
「ヌゥォォ、焼けつくようだ。貴様、天使か?」
サラマンダーが唸り声とも取れるような声を出す。やや面食らいながらも首を縦に振って肯定する。
サラマンダーが忌々しそうに唾を吐く。
「貴様の血のおかげで焼け付くようだわい。」
「血だと?」
「血ダぁ…とぼけるデない…天使の血は猛毒だ。四つの海で薄めてもなくならぬ様な酸だぁ。」
サラマンダーが堀の水で口をゆすぐ。それからこっちを向いて笑った。
「コいィぃ、小僧」
腕の痛みと尻尾の一撃でハラワタが煮えくり返る様な怒りと、愛の炎をも凍てつかせる様な憎悪は消えさっていた。
今、胸のうちにあるのは、ただサラマンダーが死体になる事を、どうやって現実にするか考えるだけだ。
「なぁ、アンタ」
呆然としているテイマーに声を掛ける。
「もしアンタが生き残ったらこれを届けて欲しい。」

873 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/17(火) 20:49:34 [ QS1Cbi/M ]
指輪を一つ外してテイマーに渡す。
「ブリジヘッドで孤児院を開いている女にだ。頼んだぞ。」
テイマーがカクカクと機械的に頷く、それから手で消え去るように合図してサラマンダーへと向き直る。
フン、と鼻で笑ってサラマンダーに剣を向ける。
全身の魔力を沸騰させると、羽が大きく広がった。
さっき吹き飛ばされたときに、周囲の状況がよく見えた。
サラマンダーのすぐ後ろにマーマン、さらにその後ろではホワイトシェード、デイムジェスター、ガーゴイル、トレントが魔法陣を組んでいる。
どのモンスターも強烈な魔力を放っていた。人間では何人集まっても太刀打ちは出来ないだろう。
でも、俺は人間ではなかった。それに彼らにも弱点があった。
死ぬことは覚悟した。今までよりも一層硬く、一層強く、深く覚悟した。死ぬことを解決した生物は無敵だ。
「行くぞ!」
分身を2つ前方に生み出す。それから曲りくねった短剣を左手に持ち。[ゴーファの希望]を右手に持つ。
[ゴーファの希望]で左腕に傷をつける。牙によって深く傷がついていたために出血がひどくなる。
叫びながらサラマンダーへ猛然と走る。大きな火の玉が放たれて分身が一つ消える。
残った分身がジャンプした。さらにそれを踏み台にして一層高く飛び上がる。
さらに空中で分身を4つ生み出す。今俺は世界に6人存在しているわけだ。
サラマンダーの真後ろに着地し、[ゴーファの希望]を後ろ足に、短剣を背中に突き刺す。
サラマンダーに反撃の暇を与えず、無理やり背中につけた傷に、傷ついた右腕を差し込む。
熱い。腕が溶けそうだ、肉が焼けどを負ってヒリヒリと痛む。サラマンダーへ自分の血が流れ込む代わりに、
サラマンダーの血が体内に入り込んでいる。
意識が飛びそうだ。魔力が途切れて分身が消えかけている。だが、消すわけにはいかない。
サラマンダーが大きく体をゆすった。全身の色が変わり、尻尾を振るって俺を叩いている。
腕を抜くわけには行かなかった。これは戦争だ。戦争は臆した者、諦めた者は確実に負ける。
何かが倒れる音がした。マーマンが倒れたのだ。分身の血を受けたマーマンが猛毒に耐えかねて死んだ。
それからトレントだ。トレントは炭のようになっている。不要になった分身を消す。少し視界がはっきりとした。
サラマンダーはいまだにもがいている。ムチのような尻尾がバシバシと体に当たる。
糞が、そう思った。サラマンダーの体内に突っ込んでいる左手の肉を無理やり右手でそぎ落とす。
既に痛みは無い。ただ、体が薄くなる感覚だ。
サラマンダーの尻尾の動きが弱くなった。生命の分水嶺を越えて向こうの世界へと歩み始めたのだ。
ふとサラマンダーの動きが止まった。あっけないほど静かだ。
サラマンダーから手を抜いて仰向けに倒れる。自分の左腕を見てみた。
骨がむき出しになり、肉の半分は削げている。感覚もなくなるはずだ。風が吹くとスースーする。
空を見上げた。巨大な星はまだ空に留まっている。もしかしたら消えないかもしれない。
だが6匹のモンスターは全部殺した。戦争には勝った。俺の勝ちだ。
そろそろ疲れた。目を閉じると染み込むような心地よさが全身を包み込む。風が気持ちいい。
俺このために生まれてきたのかもしれない、そんな考えが頭をよぎった。それほど清清しい気分だった。

874 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/18(水) 16:33:02 [ QS1Cbi/M ]
何となく暇だったので白鯖で新しくキャラクターを作りました

フプレ…既に同じ名前のキャラクターが存在します。
フラン…既に同じ名前のキャラクターが(ry
ジョーイ…既に同じ名前のキャラ(ry

ミーア…既に同じ名前の(ry
フィーナ…既に同じ(ry

アレン…既に(ry
アデル………

このスレでうpされてるSSの主要人物はほとんど作られてました
恐るべし…ですね

875 名前: サマナの人 投稿日: 2006/01/18(水) 18:42:08 [ b6Gnz/6I ]
とりあえず、作者乙では
○ございません

というか、驚きですねぇ……
テストやらレポートやらで最近はログインすらまともに出来てないサマナの人でした〜

876 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2006/01/18(水) 20:04:56 [ w.GcnQKc ]
今晩は〜、皆さんお久しぶりです。
次スレまで控えていようかと思ったのですが、ネタが浮かんできたのでしばらくしたら
また投稿開始しますのでご了承ください。


>>874
マジッスカ、アレン君やアデルまで…。
あれ、メインヒロインのミルは何処へ(黙れ

877 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/18(水) 21:41:26 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775 その23>>776-777 その24>>789-790
その25>>823-824 >>849その26 >>860その27
その28>>871-873

その29

ふと目が覚めた。死んでいたような気がする、けど死んでいなかった。平野で自分は寝てい。
空を見上げると星空が輝いていた。頭の中に頭痛の芯が残っていて重たかったが、何とか体を起こして立ち上がる。
地面にはイヤリングが散らばっていた。身代わり----そう思った。
目の前に誰か立っていることに気がついた。大きな盾と日本刀を持ち、鎧に身を包んだ男だ。
「ネグルフシ?」
声に出してみた。男がうなずく。ここは死後の世界?やっぱり俺は死んでいる?
「ジン、お前は生きてるよ。俺は死んでるけどな。」
「どういう事だよ?」
「ここは時のダンジョン、正確に言えば最終装置発動前の燃料を補給する場所だな。」
「意味がわからないんだが。」
「ここに死んだ人間の魂が集められるんだ。さっきも言ったがお前は生きてるけどな。」
ネグルフシが日本刀を軽く振り回した。
「俺は死んだ。それからゴーファの人形になった。」
「ゴーファ?」
「まぁ聞け。俺がサラマンダーに食われた後に、ここに辿り着いた。普通なら地獄か天国へ行く。
だがゴーファがネクロマンシーで俺を繋ぎとめた。お前を殺すためにだ。」
糞が、と思った。何がゴーファだ。
「まぁ、俺もこんな事嫌だけどな。術者の命ぜられたように動くのが人形だ。理由は俺にもわからない。
それと、戦う前に一つ、二つ言いたい事がある。」
「何だよ?」
「妹は無事か?ここからは現世(うつしょ)の事がわからないんだ」
「無事だ。モンスターは殺したから、無事なはずだ。」
「そうか、それとな。俺はネグルフシじゃない。ネグルフシの残留思念を集めたものだ。
生きていたネグルフシはリアルタイムで更新されるが、死んでいる俺はどこにも行かない。
感情も無い、記憶はあるが感情はない。だから俺はお前を本気で殺すぞ。いいな?」
訳のわからない話だったが、ネグルフシが俺を殺そうとしているのは事実だった。ネグルフシの剣に魔力が集まっている。
「ネグルフシ、お前に聞きたいことがある。」
「ん?」

878 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/18(水) 21:42:48 [ QS1Cbi/M ]
「死んだときは痛かったか?」
「ここまで来てそれは無いだろう。まぁ、ごくごく普通だったな。」
ネグルフシが笑った。俺も笑う。笑いながら剣を抜いた。[ゴーファの希望]がいつもよりも綺麗に光っていた。
ネグルフシは爪先をトントンと地面につけてリズムを取っている。自然体だ。でもどこから切ればいいかは良くわからない。
そこからは戦いなれた軍人の面影をうかがうことが出来た。
ネグルフシが日本刀を地面に叩きつけた。モグラが地面を走りぬけるように、魔力がこちらへと向かってくる。
羽ばたいて空中に浮かび上がり、魔力を簡単に避ける。
「お前、そんな技使えたか?」
「人形になってから覚えたんだ、よ!」
手裏剣が飛んでくる。軽く身を捻ってそれを避け、地面すれすれを飛行してネグルフシに近づく。
[ゴーファの希望]を下から切り上げる。盾で阻まれた。片手で短剣を抜いてネグルフシの目を狙って水平に振る。
ネグルフシがバックステップしたので間合いからは外れてしまった。どちらも力は出し切っていない。様子見だ。
[ゴーファの希望]を立てに振るって衝撃波を出す。それに合わせてネグルフシが日本刀を地面に刺して、
空いた手で空中に拳を放った。白い霧のような巨大な拳が空中に現れ、衝撃波をかき消しながらこちらへ飛んでくる。
それを羽で阻む、土煙が舞い上がり、ネグルフシを見失ってしまう。
一瞬、黒い影が見えた。下半身を仰け反らせると、魔力に包まれた拳が鼻先を掠める。
急いで体勢を整え、影が見えたあたりに[ゴーファの希望]を振るう。
ガキン!と言う音が響いた。土煙がようやく収まる。第二撃目が来る前に距離を取ろうとするが、
[ゴーファの希望]がネグルフシの鎧に吸い付いて離れない。
ネグルフシの笑うが見えた。急いで剣から手を離し、距離を保とうとする。
隠し持っていた紫水晶に魔力を込め、鎧、アメジスティ、ガイスターを瞬時に呼び出す。
ネグルフシの魔手が俺の頭を捕らえた。自分の頭蓋骨の代わりにアメジスティが砕け散る。
さらに追撃が入る。分身を生み出してクッションにするが、それを無理やり突き破ってネグルフシの腕が鎧に食い込む。
鎧が細かく震えだして砕けた。体に電流のような衝撃が伝わる。
「どうだ?大地を切り裂く竜が体を駆け巡る感覚は。」
なめやがって、そう思った。ネグルフシは剣を離れた場所に突き刺したままだ。盾を持っているだけの状態。
曲りくねった短剣を30度の角度で振るう。火花を散らしながら、ネグルフシの盾の上部を短剣が切り取る。
邪魔になった短剣をネグルフシに投げつける。短剣は盾に突き刺さった。
ガイスターをしっかりと両手で握り締め、全身の力を込めて振り下ろす。
デシュ!ガイスターがネグルフシの盾に食い込んだ。
自分と同じ位置に居た分身が同じようにガイスターを振り下ろす。
デシュデシュデシュ!ザシュン!分身が盾を真っ二つに切り裂く。ネグルフシが距離を取ろうと後ろに下がろうとする。
「逃がすかぁァ!!」
ネグルフシの腕を強く引っ張り、重心を崩してやる。渾身の力を込めて、大きく腕を振り上げ、剣を叩き落す。
剣はネグルフシを肩口から切り裂いて、へそのあたりで止まった。
「や・・・った…な、終わりだ。」
ネグルフシの体からは血が出ない。代わりに体が薄くなっていく。
「ジ・・・ン、満員の地獄、で…マッテ、ル・・ぞ」
…消えた。

879 名前: i 投稿日: 2006/01/19(木) 11:51:43 [ ycFLnSAM ]
ねっ・・ネグルフシさんがぁぁぁ(;;)
おとついのレスを見たときは、
「ネグルフシさんが、そんなに簡単に死ぬはずはないっ!
きっと死んだのは、彼が盾回しをしてあげていた人なんだっ!」
と自分に言い聞かせていたのですが・・・(;;)

それにしても、ジンさんにかかわった人はことごとく死んでしまいますねえ・・。
ジンさんには、いつか幸せになってほしいのですが、幸せなジンさんって、なんだか想像がつきません・・・w


あ、挨拶が遅れました。
最近ROM専になりつつあるiです。
また何か書けたら、そのときはよろしくお願いします。

880 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/19(木) 20:15:19 [ QS1Cbi/M ]
まとめ>>775   その23>>776-777 その24>>789-790
その25>>823-824 その26>>849   その27>>860
その28>>871-873 その29>>877-878

周りの景色が滲んで消えていった。一瞬、視界が光に奪われる。気がつくと石造りの神殿の中に居た。
部屋には魔法陣が描かれ、その中心に六つの背の高い燭台があり、ロウソクの代わりに六つの石が置かれている。
神殿にピアノの音が響いた。今まで気がつかなかったが誰かが部屋の隅でピアノを弾きながら歌を唄っている。
弾いている曲はQueenのWe Are The Championsだ。

-----We are the champions - my friend--------♪

ピアノを弾いていた男が立ち上がってこちらを向く。ピアノは自動で演奏され、歌も部屋に鳴り響いていた。
白い髭を蓄え、純白のマントに身を包んだ男。ゴーファだ。
「君もなかなかしぶとい男だね、まったく。」そう言ってゴーファが腕を組んで溜息をついた。
何が「We are the champions」だ。奴が俺を怒らせようとしている事は一目瞭然だった。
「俺はQueenが嫌いなんだ。どうせBGMをかけるならSTINGにしてくれ。」
ゴーファが、おや?と言うような顔で俺を見た。それからパチンを指を鳴らす。
音楽がQueenからSTINGの「ENGLISH MAN IN NEW YORK」に変わった。
「そろそろ説明して欲しいのだが、色々と。」
「どこからだね、ジン君?」
「全部だ。」
「随分と長い話だが?よろしいかな?」
「かまわない。俺が納得するように頼むぞ。」
ゴーファが二度首を縦に振った。
「じゃあ本題の前に『魔力』について話しておこう、これが理解できないと駄目だからね。」
「早くしろ。」

「魔力はね。簡単に言えば生命力だ。生命力は生きる意思だ。そして生きる意志とは感情の事だ。だから魔力は感情になる。
魔力ははたして有限か?それはイエスだ。魔力はいずれ枯渇する。魔力=生命だから魔力が枯渇すればこの星は死ぬことになる。
だから私はこの星を救おうと思ってね。それでこんな結果になったんだ。長い計画だったよ20年以上の時間を要する計画だ。
魔力は生命に宿っていて、生命が死ぬと空気中に分散される。そしてそれが別の生命に吸収されるんだ。
魔力は普通のサイクルで循環されれば枯渇することは無い。普通のサイクルとは、正しい生態系で正しい生物ピラミッドが築かれた環境が不可欠。
ところが悲しいことに私達人間が知恵を持ったおかげで環境は、とにかく荒れている。
私の計算によるとこの星の魔力の総数は、誕生当時と比べて3/4程になってしまっているんだ。
理由は簡単でね。人が無駄に魔法を使うからだ。無駄に魔法が使われると元素が非常に不安定になってね。
そのために空気中に漂う魔力が消滅してしまうんだ。太古から魔法は存在したが、生物の循環がそれを矯正していた。
でも、今は自然の力が追いつかなくなっている。ここに六つの魔石があるだろう?昔はこの数倍の大きさだった。
だが、今はこの星の魔力が減ったせいでこんなに小さくなっている。こうやって私の手元において管理しないと今にも消滅してしまうわけだ。
それで今から20年ほど前に私は決意したんだ。この星を救おうとね。それで[ゴーファの希望]を作ったんだ。」

881 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/19(木) 20:16:04 [ QS1Cbi/M ]
「そうそう、話が前後してしまったがね。魔力は感情だ。そして有限だ。だが、無限に増やすことが出来るのだよ。
怒り、悲しみ、恐怖、どの感情も同じ量ならば、同じだけ魔力に還元することが可能だ。
仮に喜びが1立方メートルに満ちていたとしよう、そして憎しみが2立方メートルに満ちていたとする。
それらを魔力に変換した場合、量が多いのは憎しみの方だ。この性質を利用すれば魔力を簡単に増やすことが出来るんだ。
憎しみや怒りは、喜びと比べて簡単に増幅することが出来る。憎しみの淵に生命を叩き落し、
そして殺せば簡単に大量の魔力が手に入る。だから私は人類を抹殺しようと思ったんだ。
人類が抹殺されれば生態系は崩れないし、魔力も星に満ちて一石二鳥だからね。
どうすれば人類を抹殺できるか?最初に私が一人一人殺そうと思ったのだがね。
これは時間がかかるし、何よりもこの場所から離れると魔石が消滅してしまう可能性がある。
それで思いついたのは私の人形を作ることだ。君は気がついてないようだが[ゴーファの希望]は人の心を操る力があってね。
その力を使って君を色々と誘導したんだ。もっとも誘導したのは途中からでね。一番初めに手を下したのは六化仙だ。
あの低脳な化け物どもをつかって人類を殺すのがこの計画の、一番のミソでね。
奴等のお仲間を殺すようにブルネシュティングの国王をうまく操り、化け物どもが憎しみのあまり古都を襲うように仕向けたんだ。
奴等はシナリオ通り、街を襲って隕石まで放ってくれたよ。後二時間もすれば古都は壊滅だ。
もちろん、六化仙が生き残って魔力を吸収しないように、誰かがあいつ等を殺さなければいけない。
その役目が君だ。[ゴーファの希望]と[ブラッドウィスカー]をつかって君にうまく働きかけてね。
君は期待通りに働いてくれたよ。もっとも、君がここまで来たのは予想外だけどね。あとは隕石が落ちてくれば、
この計画はめでたく終了。人間の大半は恐怖と憎しみを大量に残して死ぬ。その感情を魔力に還元して、
星に戻せば、後は母なる星がうまくやってくれるだろう。」

長い話だったし、全体が狂気に支配されていた。だがモンスターが街を襲ったのは事実だった。
それにゴーファの口から話を聞くとどこと無く、真実味があった。
「さて、君の魔力も星に戻そうか。」そう言ってゴーファが口笛を吹く。[ゴーファの希望]がゴーファの足元に現れた。
「そういえば、コイツを使うのは初めてだな。ずっと君が使っていたしね。」
ゴーファが剣を水平に振るった。素人のような扱い方だ。ガイスターで受け止めようと思ったが、
何となくやめてしまった。体に力が入らないし、入れようとも思わなかった。
腹に剣が食い込んだ。衝撃でその場に倒れこむ、痛みは無い。ただ血が流れている感覚がするだけだ。
すぐに意識が薄れていった。だが、薄れる意識の中である思いが、泡のようにポツリと浮かんできた。

882 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/19(木) 20:16:28 [ QS1Cbi/M ]
--------どうせ死ぬならゴーファも殺そう--------

運良く自分はガイスターを握ったまま倒れている。ガイスターの刀身を見てみた。ガイスターが笑っているように見えた。幻覚。
ゴーファが背を向けて口笛を吹き始めた。ゆっくりと立ち上がってガイスターを振り上げる。
今、俺の目は妖しく光っていることだろう。
「ゴーファ…」ポツリと呟く。
ゴーファが振り向いた。その年老いた細い首にガイスターストックの刀身をくれてやる。
刃はゴーファの首を切ることなく、半分ほどで止まった。だが十分な致命傷だ。
「ッコ・・・ふ・・・」
ゴーファが血を吐いた。俺はそれを見て笑う。
「ふぁぁ…嫌だ…死が…シ・・・・が染み込ん・・・でくる…。」
「お前も…母なる星の魔力に戻るぜ…。」
腕に力を込めて、ヘチマのような首を完全に切り落とす。気分が少しだけ晴れやかになった。
握っていたガイスターの柄を放して地面に落とす。ガタンと冷たい音がした。
薄れ逝く意識の中で、3人の人影が見えた。ネグルフシとギムレットとシェリーだ。
シェリーとギムレットは幸せそうに寄り添っている。ネグルフシも静かに笑っていた。
何が、命は魔力で星に還元される---だ。俺の親友の魂はしっかりとあの世で待っていた。
少し笑ってから足を一歩踏み出す。ギムレットが手を差し出してきた。その手を叩いて笑う。
最高の気分だと思った。何もかもさっぱりしている。

それからガッツポーズをした。久しぶりに人間らしい世界に戻れた気がした。

-----終わり----

883 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/19(木) 20:27:35 [ QS1Cbi/M ]
>>876 21R氏
ミルは文字数が足りないから作れないでっせ

>>879 i氏
ジンの周りの人はバタバタ死んでますね
本当は二人ほど殺す予定でしたが、これ以上登場人物増やすと
話がさらに脱線するので消去しました
まぁ、最後は幸せ?になったと思ってます

----切り取り線----
何となく思いついたのでうp

一人の男が夢を見て そしてとうとう村を出た

そこから広がる彼の夢 そして始まる彼の詩

やっと男は手に入れた 光に溺れる夢の石

顔からこぼれる彼の笑み 拍手で迎える村の人

それから月日が流れ散り 押して群がる黒い夢

男の首が宙を舞い  胴から湧き出る赤い池

それ見て笑うは赤い石 石に染み込む人の味

独り静かに石光る そして妖しく石笑う

----切り取り線----
連レススマソ

884 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 03:59:13 [ BjmG50gY ]
初投稿です〜

「あいつ、すげーよなぁ。大人でもコボルト倒すのがやっとなのに、コボルトチャンプを一人でやっつけちゃうんだから・・・。」
「絶対あいつは騎士団に入って悪いモンスターを倒して、ケイルンさんみたいな英雄になるよ。」
・・・僕は当時11歳。
大人でも退治できない、コボルトチャンプを僕は僅か11歳で倒した。
お父さんやお母さんが近づいちゃ駄目だって言っている墓地にも1人で行って、バインダーって言う骸骨も倒したことがあった。
僕はすでに、11歳で普通の大人達よりも強かった。
だから、僕は調子に乗って、同い年の仲間を3人連れて、ブルネンシュティングの東口を出て少し行った所にある、オート監獄という所へ行った。
「ねぇ、帰ろうよ。怖いよぉ」
「お父さんやお母さんもここへ近づいちゃ駄目って行ってたよ。」
「それに、ここには正気を失った大きな斧を持った人がうろついてるっておばさんが言ってたよ」
「煩いなぁ・・・帰りたければお前達だけで帰れよ。その変わり、僕はお前達が襲われても助けてやらないからな」
「そんなぁ・・・僕たちはもともとこんな所へ来たくなかったんだよぉ」
せっかく冒険に連れて来てあげたのに、弱音ばかり吐いて・・・。
僕は、そう思いながら、ひたすら奥へ奥へと進んだ。
せっかくこんな所へ来たんだから、何もせずに帰りたくは無かった。
監獄に入って、地下2階に行くまでは何にも出会わずに、すんなり行けた。
大きな斧を持った人達がうろついていると聞いたから、少し警戒していたので、少し拍子抜けした気分だった。
「分かったよ。じゃあ、もう一つ階段下りたら帰るぞ。」
「えぇ!?まだ先に進むの!?」
「当たり前だろ。何もしないで帰ったらつまらないじゃないか。」
「でも、本当に斧持った人にあったらどうするの?」
「その時は、僕が倒してやるから大丈夫だ。」
「でも、そいつはすんごく強いんだよ?きっとコボルトチャンプよりももっと強いよ?」
「それでも僕が倒すから大丈夫だ」
何回も同じ事を言うので、いい加減うんざりしてた。
確かに、そいつが武装して訓練を受けた兵士なら手こずるかも知れない。
でも、僕はその時、クリスという剣に、カイトシールドという、ちょっと高級な武器を持っていった。
さらに、墓地で騎士達が使っていた、サザンクロスという技と、パラレルスティングという技も練習して来た。
何とか分身もできるようになったし、もし戦いになっても絶対に負けるはずは無いと思っていたんだ。
だから、誰がなんと言おうと僕は奥まで行こうとした。
そして・・・。
「ね・・・ねぇ・・・あそこに何かいない?」
「何処だ!?」
「あの・・・灯りの近くにいる・・・斧を持った奴・・・」
「本当だ・・・それに、シーフもいるよ!?」
「まだ見つかってないみたいだから、見つからないうちに早く帰ろうよ・・・ねぇ・・・」
「駄目だ」
「何で!?」
「さっき何度も言ったろ。見つけたら僕が倒すって。」
「でも、まだ見つかってないんだから・・・今ならまだ間に合うよ・・・」
「煩いなぁ・・・だったら、お前達だけで帰ってろよ。僕はもう行くからな。」
そういって、僕は見つからないように後ろからこっそりと近づいていった。

885 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 04:35:29 [ BjmG50gY ]
「誰だ!?」
「おや・・・子供じゃないか」
「子供だと?本当だ・・・。坊や、こんな所で何してるんだい?」
「お父さんやお母さんにここへ来ちゃ駄目だって言われなかったのかい?」
シーフや斧を持った人が、笑いながらそう言っていた。
「煩い。」
僕がそういうと、2人は笑った。
「あははははは。こりゃ可笑しい。こんな小さな子供に煩いって言われたよ」
「親の教育がなってないのかねぇ。これはお仕置きをしてあげないと。」
「そうだなぁ・・・ま、暇つぶしにはなるか。ということで、坊や。悪いが適当に切らせてもらうよ」
「最近人が近づかなくなった所為で、腕がなまってきた所だしな。」
「ま、こんな所に来ちまった事を後悔でもしな。」
2人はそういうと、武器を構え、じりじりと近づいてきた。
僕が持っていた剣と盾を取り出して構えると・・・
「おい、こいつやる気だよ」
「本当だ・・・。最近の子供は武器を持っているんだな。」
2人はそう言いながらも、間合いを詰めながら、少しずつ移動していった・・・。
そして、シーフが先に飛び出して来た。
僕はその一撃を盾で受け止めた。
だが、使い慣れていないその盾では、攻撃を受け止めた後に大きな隙ができてしまった。
その隙を突いて、斧を持った男が斧を振り下ろした。
僕は、その一撃を辛うじて避け、シーフを狙ってサザンクロスを繰り出した。
だが、それは軽々と避けられてしまい、またシーフが攻撃を繰り出した。
盾で受け止めようとしたが、盾が重く、思うように動かせなかった。
その所為で、シーフの一撃が左手を傷つけ、盾を落としてしまった。
(しまった・・・使い慣れていない武器を持ってくるんじゃ無かった・・・)
一度離れて、飛び出してきたシーフに向かって、大技、パラレルスティングを使った。
しかし、なぜか分身ができなくて、ただの突きになってしまった。
シーフはその顔に、明らかな嘲りの表情を浮かべ、剣でクリスを弾いた。
「く・・・」
「あらら。ご自慢の武器が無くなっちまったよ?」
「まだ何かできるのかい?」
僕は、その時、ようやく自分が思い上がっていた事を悟った。
(ちくしょう・・・みんなが言っていたことを聞いて、帰っていれば・・・。)
そう思ったが、もうどうしようも無かった。
「もう何ももできないみたいだな。」
「じゃあ、せめて苦しまないよう、一瞬で殺してやろう。」
「ばいばい。坊や」
思わず目を閉じてしまった、その時だった。
「ハァッ!」
「ぐっ!」
「どうした!?」
目を開けると、斧を持っていた男の背中に、大きな剣が刺さっていた。
「だ・・・誰だッ!!」
「まだ年端も行かぬ子供を手に掛けようとするとは・・・」
「な・・・お前は・・・」
「ケイルンッ!」「ケイルンさんッ」
「ブルネンシュティング騎士団の長、聖騎士の称号を持ち、ブルネンシュティングの歴史が始まって類を見ないほどの大天才と言われる・・・あのケイルンか・・・何故お前がこんな所に・・・」
「問答無用ッッ」
ケイルンさんが叫んだ。
その叫びでシーフは倒れた。
「大丈夫か?」
「・・・・・・はい」
「良し。では帰るぞ。」
「・・・・・・」
「返事はどうした?」
「・・・・・・はい」
それから僕は、ケイルンさんに連れられて古都の病院まで行った。
大して痛くなかったけど、左腕の傷が少し深かったみたいで、入院させられた。
町ではちょっとしたニュースになって、お父さんやお母さんに叱られた。
その時聞いたのだが、ケイルンさんは先に帰った3人の話を聞いて駆けつけてくれたそうだ。

886 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 05:06:04 [ BjmG50gY ]
・・・・・・・・
「少年。傷は大丈夫なのか?」
「はい・・・助けてもらったおかげで大事には至りませんでしたし。」
「ふむ」
僕が入院している病室に、ケイルンさんが来てくれた。
「少年。名を聞いてなかったな。」
「え?」
「名はなんと言う?」
「名前・・・僕のですか?」
「そうだ。」
「僕は・・・僕の名前は・・・」
「・・・」
「プレナン。それが僕の名前です。」
「ふむ・・・プレナンか・・・良い名だ」
「・・・」
「プレナンよ・・・」
「何でしょう?」
「お前はすばらしい才能を持っている。」
「そうですか・・・僕もそう思っていました・・・けど・・・」
「彼らに負けたことで自信を失ったか?」
「・・・えぇ」
「そんなはずは無いだろう。お前は訓練をせず、ただその才能だけで戦ったのだ。負けて当然だ。」
「そんなことありません!僕は、いろんな人の戦い方を見て、それを真似て、いろいろな技も身に着けました!」
「だが、所詮は自己流だ。真似だけで強くなれるほど甘い世界では無い。」
「でも・・・一度も負けたことなんて無かったんですよ!」
「それは、相手もお前と同じような奴だったからだろう。訓練をしていなければ、才能で勝っているお前が勝つだろう。」
「・・・」
「だが、今回の相手は、戦闘経験が豊富で、尚且つ訓練を積んでいた、元は一流の兵士だ。お前が勝てるはずは無かったのだ」
「でも・・・」
「プレナンよ・・・騎士になる為には、ブルネンシュティングでは何をする必要がある?」
「え?」
「ブルネンシュティングの騎士になる為にまずやる必要があることだ」
「それは・・・騎士学校を出て、士官する事・・・ですよね?」
「そうだ。通常、騎士学校に入れるのは何歳からだ?」
「15歳です。」
「そう・・・だが、それは普通ならばの話だ。」
「え?」
「まだ分からんか?」
「それって・・・まさか・・・」
「お前が12になった時。私がお前が騎士学校に入るのを認めよう。」
「え・・・え!?」
「お前の才能を見込んでのことだ。不服か?」
「いえ・・・そんな・・・嬉しいです・・・でも、15歳にならないで入れるなんて・・・ケイルンさん以外、そんな事できたのは居ないって・・・」
「お前には、いつか私を越えられる才能が眠っているのだと、私はそう思うのだよ」
「本・・・当・・・です・・・?」
「わざわざ冗談を言いにここへは来んよ」
「あ・・・有難うございますッッッ」
そして、僕は12歳で騎士学校へ入学した。
そこで武器の扱い方や技の鍛錬など、様々な事を学んだ・・・。
やがて、騎士学校を卒業し、仕官し、聖騎士の称号を得た・・・

〜〜〜〜〜〜そして現在。〜〜〜〜〜〜

「正義は夢見るものではなく、自分で実現するものです。
邪悪は剣で切り捨てる物であり、神聖は盾で守るのが騎士の勤め。
貴方の剣と盾で正義を具現してみませんか?
それとも無意味なことに剣を使いますか?」

「剣で正義を実現して見せます!」

887 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 05:09:31 [ BjmG50gY ]
何とか、全部書き終わりました。
なにぶん初めてなもので、あちこち拙い所があるかと思いますが・・・
できれば、ここが良かった、ここが悪かった。
ここをこういう風にしたら良かったんじゃないか。
こういう風にすれば、もっと読みやすく書ける。
・・・など、いろいろと教えていただければ・・・と思っています。

888 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 05:11:19 [ BjmG50gY ]
すいませんorz
途中で書き込んでしまいました;
えと・・・お礼だけ書かせていただきます。
僕の拙い文章を読んでくれた方、または、読もうとしてくれた方。
居ましたら、本当に有難うございましたm(_)m

889 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/21(土) 05:17:33 [ nf4mLI0Y ]
>>888
おもろかたよ〜〜

890 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/21(土) 12:44:18 [ MXAS0L46 ]
セリフだけで繋ぐのは小説じゃないぞ

891 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/21(土) 12:45:45 [ wzExaewQ ]
>>890
上げてる奴が人様にどうこう言えないよな

892 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/21(土) 14:16:12 [ uYic7Hng ]
お初に御目にかかります。
私も皆さんに影響され小説を書きたくなってきました。
試しに書いてみますー




☆秋空☆




此処は古都ブルンネンシュティグ、すべての物語は此処から始まる。

小鳥が囀り、川の流れが耳を満たす。そんな朝の事・・・
「んんっ・・・」朝日が差し込み私を起こす、私はゆっくりとベッドから這い出る
キッチンでは誰かが料理をしているようだ、私は目を擦りながらキッチンに向かった。
「おっとミレル起きたかい?、ずいぶんと疲れてたようだけど・・・」
そう、私の名はミレル、職業は物理ランサーだ。「おはよう、昨日は忙しかったから疲れてたのよ」

そうかとうなずくと料理が出来たようで私の分と自分の分をテーブルに置く
その料理は朝起き立ての私の嗅覚をくすぐり活気を起こさせてくれる。
「そういえば彼の紹介がまだだったわね。彼はシーフのレイド、腕も一級品、顔は・・・ま、まぁかなり良い方だと思う」
「? 誰に紹介してるの?」
「そういう設定なのよ、黙ってて」
早々に朝食食べこんな話題を持ちかける。
「ミレル、次はかなりの大物だよ」
「へぇ・・・貴方がそういうことを言うときは死と隣り合わせな仕事が多いものね」
私達は人こそ少ないが立派な盗賊団。
おっと勘違いしないでよ、盗賊団と言っても正義の盗賊よ(まぁ盗賊にはかわりないか)
「今回は・・・あの悪徳ギルド委員会のベスペンが隠し持っている[RED STONE]が狙いだ」
レイドは真剣な眼差しで状況を説明する。
「ベスペンはREDSTONEの力で古都を征服し世界を乗っ取ろうとしてるらしい」
「また唐突な話しね・・・でも石の一つや二つで世界なんて乗っ取れるの?」
私はふざけた顔をして言った
「あの石を色目で見るな!!」と叫ぶやいやテーブルを思いっきり叩き付けた

私はキョトンとして彼を見ていた。そう私はこの時知らなかったのだ。

あれがどんなに美しいのか。

どんなに残忍なのか。

まだ私は知らなかった、いや知らなかったほうが良かったのかもしれない・・

893 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/21(土) 14:35:13 [ uYic7Hng ]
>>892
訂正(汗
「あの石を色目で見るな!!」と叫ぶやいなやテーブルを思いっきり叩き付けた
でした。




私は状況も飲み込めないまま準備を進めた、まぁ役職柄
私=レイドの用心棒ってとこなのかしら、そのため彼には女性として扱ってもらえてないような・・・
「ミレル準備は出来たかい?」レイドが様子を見に来た。
「ええ、一応ね・・・さてと一仕事の前にシャワー浴びて来るわ」
「わかった、俺は家にあるものじゃ足りないものがあるから少し出かけてくるよ」
そう言い残して彼は家を出た、シャァァァァ
シャワーの音だけが響く、そんな寂しい空間に私は見に覚えがあった・・・
「あれ・・私・・記憶が・・ないのに・・・なんで・・・こんなに見に覚えがあるの・・?」
ふと手に目をやった・・・




キャァァァァァァァァァ!手は血に染まりシャワーは変わりはて血を吐き出している
目の前には供物のおびただしい数、誰私は誰?これはなに?混乱するしかない。
誰かお願い、助けて・・・私は気を失った・・・・・・・




「・・・ミ・・・ル・・起き・・・ろ・・・ミレル起きろ!」
ハッ!っと起き上がる、そして自分の手に目をやる・・・何もない・・
「レイド・・・ひっ・・ひっく・・レイドォォォォォォ」彼女は泣き崩れ私にすがって来た
「大丈夫・・・ミレル・・・大丈夫だから・・・」そう言い聞かせるように何度も繰り返し言った
ずいぶんと落ち着いたらしく息も整えた、「レイド・・・・」
「ミレル大丈夫か・・・?」
「だいじょう・・・・・・・・・こっ・・・」
「どうした?」
「この変態がー!」怒涛の殴り攻撃を食らい外に追い出された

「・・・・・・」レイドは自分の中に快感を覚えていた・・・初めて見せる彼女の弱み
そしてその女性としてのあどけなさに彼自身信じられないほどに脈が高まっていた。
「レイド・・・?」レイドはびくっと反応した
「い・・いやなんでもないよ、ごめんね。」と彼は深々と謝った

その後準備を整え遠くにあるベスペンの屋敷に向かう・・・

空は・・・秋風に揺れ。雨が降り注いでいた

894 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/21(土) 15:01:35 [ uYic7Hng ]
「まったく・・・この雨も止みそうもないな・・」レイドがイライラしたように雨の事を話す
「そうねぇ、でも此処最近水不足だったし、農家の人は大喜びなんだしいいんじゃない?」
ミレルのお気楽思考は今に始まったことではないが今回はずいぶんと鼻につく、あまり会話をしないように離れた

「なんで離れるのよ」ミレルは私のほうを見て気に入らない様子で言った。
でも私は何も言わない
お互い沈黙に辺りが静寂に包まれた、その時・・・

目の前に男が現れた。長いローブを身に纏い、金髪の綺麗な髪をした男だ

「お前らがこの頃悪さばかりを働く盗人か?」その男はそう尋ねた
「・・・・人違いだな」レイドはそう言い放つと横をすり抜けるように歩く

逃がすものかとばかりに魔法詠唱を始める
「汝、荒ぶる炎の神々よ、我に従え!」そう言い放つと空からどでかい流星が落ちてきた
それを合図に回りからベスペンの部下と見られる者達が出てきた

レイドに向かう流星・・・

ズドーン!

流星の辺りを取り囲みある者は杖を構えまたある者は剣を唸らせしっかりと構える

しかしその刹那、多くの人の命の灯火が消える・・・
レイドは一瞬のうちに流星を避け、姿を見せずして暗殺を試みたもちろん成功である

でも・・私にはそれが怖かった・・・私には・・・彼が・・笑い・・・目が・・人在らざる者の目をしている・・

こんなレイドは初めてみる・・何時もやさしく、頼りがいがあるレイドが・・化け物とかし人を殺めまた一つまた一つと命の灯火を消す
全滅には時間はかからなかった、残ったのはただ一人流星を放った張本人であるウィザードだった。
そしてレイドはこう言った
「命が惜しければ逃げろ、そしてベスペンに伝えろ。その赤い魔石かならず奪いにいくとな」

そしてウィザードはテレポートを使い一瞬にして消えてしまった。
「レイド・・・貴方・・・・」私は驚愕している・・・血に染まったレイド・・・しかし目に悲しみや同情はない・・あるのは[それ]を見て楽しんでいる快楽だ
レイドは何も言わない・・・弁解もしない・・・そして倒れた。

レイドは深く眠っている・・・・

そしてミレルはただただただずんでいる・・・・自分は誰・・・・?
レイドは・・・・何なの・・・?私達は・・・何・・・・・・・・?
記憶を失い、最近の記憶しか知らないミレルには・・・何もわからない

その場には・・・肌寒い秋の風と・・・より悲しさをます雨が支配していた

895 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/21(土) 15:04:14 [ uYic7Hng ]
今はこんぐらいしか思い浮かんでません^^;

また似たような作品がありましたらご指摘オネガイシマス・・・一応過去ログとかは見て回りましたけど。

続編は今後検討します。

896 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/21(土) 15:25:01 [ 9iLXgRcM ]
>>888
プレナン氏にそんな過去が・・・
今では彼も立派な騎士ですなー

897 名前: 緊急ニュース 投稿日: 2006/01/21(土) 17:56:38 [ sHiJn4fQ ]
黄鯖アダルトネカマ厨
http://erihime512.exblog.jp/
アダルト表現により、公式より抹消。

898 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/21(土) 18:05:09 [ ylcuBNLo ]
>ドリーム
主観がコロコロ変わってて文字じゃわかりづらかった。
でもなかなか面白いと思ったよ。

899 名前: 初心者 投稿日: 2006/01/21(土) 20:58:19 [ BjmG50gY ]
>>889
有難うございます^^
読んで頂けた上に、こんな事を言ってもらえるとは・・・。
感無量です><
>>890
ご指摘、有難うございます><
次書く事があったら、台詞とのバランスを考えながら書いてみることにします。
有難うございました^^

900 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/21(土) 22:31:07 [ rYQYbVOY ]
また、にぎやかになってきましたねぇ^^

>>アラステキさん
感想どうもです。
サキエルの実力ですかぁ・・・。まぁ、楽しみに待っててください。

>>黒い人さん
うーん、どこかで拝見したようなお名前ですな。
とても暗いお話でしたが、感動しました。
もしかしたら、このシーフは自分が所属していた組織が捕まえた女性を自由にしたかった。
と、勝手に脳内補完しておきます。

>>ともびさん
お久しぶりです^^
ゴッドハンドキターwww
いきなりのオジの大技に度肝を抜かれました。
さて、なにやら様子がおかしいスルくん。そして、不敵に微笑む(脳内映像)アーキ嬢。
どうにも、もう一波乱ありそうですね

>>戦士のようださん
ネグルフシさんだけでなく、ジンまで・・・orz
でも、最後の最後で今までに失ってきた親友に出会えた彼は絶対に幸せだったと思います。
星を救うために人類を滅ぼそうとしたゴーファ、もうすこし平和的な手段は無かったんですかね?
なにはともあれ、お疲れ様でした!
>うpされてるSSの主要キャラ
うはぁ、実はこのスレ結構な人が見てるんですね。自分のキャラ名も既に使われているのでしょうかねぇ

>>初心者さん
どうも初めまして^^
ケイルン爺さん、実はそれなりに戦えるのかもしれませんね(オイ
さて、お話に出てきたプレシャンって剣士のマスタクエ関連の人ですかねぇ?
これからも気が向いた時に、色々投下していってください^^

>>ドリームさん
こちらも初めまして^^
ミレル嬢、軽くレイドに片おm(ry
さらに彼女、どうやら記憶喪失っぽいようですね。
続きをレイドのように血濡れになりながら(ぇ 待ってますね。

901 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/21(土) 23:49:27 [ rYQYbVOY ]
>>864
サキエルの突然の提案に、自分達の時間が止まる。
(協力だと・・・。まさか始原魔と?)だが、今の状況を考えれば少しでも戦力は多いに越したことは無い。
「はっ、冗談も休み休みに言いや。どうせ、背を向けた途端にその槍で・・・」
「そんなことするくらいなら、お前を助けたりしないお。それともあれかい、獣化しすぎて脳まで獣になっちゃた?」
「〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」
正に売り言葉に買い言葉。これではアニーがいつサキエルに飛び掛るか分かるものではない。
だが彼女の言うとおり、自分達を敵とみなしていたのなら彼女はアニーを助けはしなかっただろう。
―守るべきモノには祝福となれ、仇なすモノには禍となれ。それが私達、戦天女の誓いだからな。―
彼女はそれを忠実に守ってきた。故に、彼女がアニーを助けた時点で彼女の提案は信頼するに足りうるはず・・・。
怒りに震えるアニーの肩に手を置き、二人に向かって言う。
「提案を受け入れよう。但し、少しでも怪しい行動を起こしたら・・・、分かっているな?」
自分の発言に、アニーは驚きあまりに目を見開き、サキエルは呆れたように肩を竦めた。
「はぁ・・・。本当に貴方は変わってないな、ヒース・・・。少しはアズ・・・」
そう言いかけて彼女は突然口をつぐむ。口調も本来のものに戻っていた。恐らく無意識だったのだろう。
だが、今はその事を問い詰める前にするべき事がある。
「ヒース・・・、ウチは反対や。アンタの知り合いか昔の女か知らんけど、ウチは絶対に納得はせぇへん!」
アニーが自分に向かって吠え立てる。自分も相手がサキエルでなかったらアニーと同じ意見だっただろう。
「アニー、ここは自分を信じてくれ。それに・・・」
「それに、なんや!?」
「一人の女性として好意を持っているのはお前だけだよ。今も昔も、な・・・。」
ここに勝敗は決した。アニーは恥ずかしそうに視線を伏せながら、
「そんなん言われたら、賛成するしかないやん・・・。」渋々承諾してくれた。
「はいはい、話がまとまったんならさっさと片付けるお。それとヒース、お前実はかなり変わったんだな。」
サキエルがまたもや呆れたように、しかしどこか嬉しそうに自分達の間に割り込んできた。
「か、勘違いするなや。ウチはまだ、アンタのこと信用してへんからな!!」
「煩い煩い、生憎盛りのついた雌犬の言い訳を聞く耳は持ってないお。あ、犬じゃなくて狼か、ウヒョヒョヒョヒョ。」
「やっぱ、今ここで殺したる・・・!!」
「じゃ、お先に突っ込まさせてもらうお。あ、補助はかけなくてもいいお。大変だから。」
アニーの殺気をものともせずに、サキエルが飄々と言う。
「いや、そういうわけにも・・・」いかんだろうと言いかけ、言葉を失う。
巨人達を取り囲む黒の群れ。それら全てがサキエルの分身であることにすぐには気づけなかった。
「ウヒョヒョヒョ。『幻影』のサキエル、いかせてもらうお。」
黒の大河が、怒涛の勢いで巨人達を飲み込んでいった。

902 名前: i 投稿日: 2006/01/22(日) 11:21:17 [ ycFLnSAM ]

>戦士のようださん
連載おつかれさまでした。余韻を残した、いい終わり方だったと思います。
けれど2つほど気になるところが・・・。

隕石はどうなったんでしょう・・・。
隕石を放ったのは、ゴーファじゃなくて六化仙・・ということは、
ゴーファを倒したところで、止まらないだろうし・・・。
このあと、人類は滅亡してしまうのでしょうか・・・。

それとポールさんはどうなったのでしょう。
名まえは出ませんでしたが、ちらっとあとがきにありましたが、
やっぱり文中で幸せになるところを、見たかったなあ・・・。

と、ここまで書いたところで気づきました。
ふたりが生き残ったということは、まだ生きて、しなければならないことが
あるということ!
その使命こそが、隕石墜落阻止ではないでしょうか!(^^)
ジンさんがゴーファと戦ってたころ、ふたりもきっとどこかで戦っていたのでしょう。

>初心者さん
意外と丁寧な物腰の、斧シフコンビがおもしろかったです(^^)
起承転結もよくまとまっていると思います。
最後の最後にプレナンの名まえをだすところなんて、ニクイですね。
ケイルンさんの言葉にも含蓄があります。

あとはちょっとコツというか技功的なことになるのですが。
たとえば、小説の状況説明は、どうしても「〜だった」と過去形になりがちなのですが、
そうすると、とても淡々とした印象になってしまいます。
そこで、「〜ている」と現在形を使ったり、体言止めなどをポイントとして使うと、
流れに緩急がついて、よりおもしろくなりますよ(^^)

それと状況説明に主人公の心象をいれると、もっと読者が入りこみやすいと思います。
たとえば、最初に斧槍兵やシーフにあったときは、少年は彼らを侮っていたわけですから、
体ばかり大きくてのろまそうな大男と、貧相な小男・・・みたいな感じに見えたでしょうし、
剣をあわせたあとは、突然とても大きくて手ごわそうな相手に見えたでしょう。
また病室でのケイルンは、光り輝いているように見えたことでしょう。

>ドリームさん
大きなお話のようですね。
けれど、物語の最後までおおまかでも思い浮かべてから書いたほうが、
逆に、楽だし伏線なども張りやすいですよ(^^)
私もずっと長編書きだったのですが、4〜5レスくらいで終わる短編の方がずっと書きやすいと、最近気づきました。

898さんがすでに書かれていますが、
登場人物の心情をそれぞれ書きたいなら、一人称(私は〜)ではなくて、
三人称(ミレルは〜)で書いた方が分かりやすいですね。

あとは、ちょっと展開が早すぎるような気がしました。
けれど、これは今後どうなるかにもよるので、早いからいいか悪いかは、まだちょっとよく分かりませんね。
山場が多いということなので、読者を飽きさせないという点ではいいと思います。

>南東方不勝さん
なんだか意外な展開続きですね!
これからどうなるか楽しみです(^^)

903 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/22(日) 13:24:21 [ QjzG//vo ]
>>898
ご指摘ありがとうございます。次からは誰が主観に感じてるのかを気をつけて書いてみます。

>南東方不勝さん
ハィーミレルは記憶喪失って設定にしてます血塗れは血糊であびてくださいねー(ぁ

>iさん
色々アドバイスためになります。展開・・・考えてなかった(汗、唐突にしたほうが臨場感が出て良いかな
って思いやってみたんですが、早すぎたようですね・・・少し考えながら書いてみます。

904 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/22(日) 14:19:47 [ QjzG//vo ]
>>894

「・・・・・・」ミレルは目が覚めた、しかしそこは秋空の見える外では無く
暖房でしっかりと暖められ清潔にされている部屋だった。
「此処は・・・?」確かレイドがウィザード達と戦って倒れて、私も倒れてしまった・・・はず。
ギィー、にぶい音を立て扉が開く、ミレルは反射的に武器を構えようとしたがその肝心の武器がない。
「すっかり元気みたいだね」とその男は問い掛ける。
「あなたは・・・誰?」ミレルは見覚えの無い男に警戒する。
男は少し困ったように話し始めた、「僕はレイドの知り合いでね、職業は戦士をしている。名前はヴィードだ」
ミレルは警戒を解かない、「あなたがレイドと知り合いという証拠が無いわ」
そう言うと男は何かを取り出した。
「これが何かわかるかい?」ヴィードなる男はこれと称されたものを良く見えるように見せた
「それは・・・レイドの首飾り・・」わからないはずもないそれはミレルがレイドとコンビを組んで仲間の証と称え一緒に持っていたものだ。
「彼が彼女が起きたらこれをみしてくれと言われたんでね」そうヴィードが言うと首飾りをミレルに返した。
私は納得が行かない、がその前に聞きたいことがあった。「ところで・・・私のこの服は・・・?」

・・・・・・・・・沈黙

「いやー、久し振りに目の保養になったよ♪」ヴィードはふざけたように言っている
「とりあえず4回ぐらい死んで地獄見る?」笑いながら言ったためヴィードには強烈な威圧がかかっていた

「えーとですね・・・つまりレイドは僕に君を預けて何処かに行ってしまったんだよ」真剣な表情にかわりヴィードは説明している
しかし
「そのくしゃくしゃな顔で真剣になられても緊張感ないわね」鋭い突っ込み
「・・・・うん」玉砕
ミレルは気を取り直す
「他に何か言ってなかった?、何処に行くとか」
「いや、何も言ってなかったよ、しばらく預かってくれとしか」ミレルは愕然とした。
「そう・・・・わかったわ、ごめんなさいまだしばらく休みたいの」
そう言うとにっこり笑って「何かあったら呼んでね」と優しい言葉を掛けお休みのチューをしようとするが

ビシッッ!ヴィードのほっぺには真っ赤な手形がついた。

「ぉ・・お休みなさいませ・・・」そう言い残すとヴィードは部屋を出た

「レイド・・・何処に言っちゃったのよ・・・」ミレルは泣き疲れて次第に睡魔に襲われ甘い夢の世界に落ちて行く
外はまた一段と強い嵐になっており、まるでミレルがレイドを追うのを阻むようだった、そしてまだ彼女は知らない。

905 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/01/22(日) 15:29:52 [ QS1Cbi/M ]
>>鄯様
感想をどうもありがとうございます
隕石と死んでない二人についてですが、
そこらへんは読者様の想像に任せようと思って書きました

でも書く方は最後をしっかりとしないと無責任かなぁ、などとも思ってます^^;
何だか上手くまとまってませんねorz

>>ドリーム様
えーと感想といえるような代物ではありませんが少々…
鄯さんと言うことが被ってしまいますが、何かを書くときはメインになるテーマか
ラストだけはある程度決めておいたほうがいいと思います
そうでないと全体がモヤモヤして大変な事になったりします(自分はよくモヤモヤしました)
ちなみに自分のテーマは「登場人物はとにかく死なす」だったりします

これまたまとまってないですね…

>>初心者様
面白かったです^^自分もこんな短編書きたいものです

>>南東方不勝様

>黒の大河が
この表現、好きです

906 名前: ともぴ 投稿日: 2006/01/23(月) 14:21:54 [ DXXt3lTo ]
>>282 >>310 >>333 >>424 >>477-478 >>503-504 >>544 >>581 >>868-869

アーキの言葉を聞いて、スルは少し正気を取り戻し、アーキのほうを睨んだ。

『おい、どういうことだ?ここはシーフギルドだ。俺はここで育ったんだ。
間違いない。ここはシーフギルドなんだ!』

まるで自分に言い聞かせるように何度も何度も、ここはシーフギルドだ。
と言うスルを見て、アーキはくすっと笑い、そしてスルに質問を投げかける。

『そう、ではあなたは昨日何をしていたのか思い出せるかしら?』

『昨日・・・昨日はみんなと・・・』

『みんなって誰?名前は?顔は思い出せるかしら?』

『みんな・・・みんなはシーフギルドの・・・』

スルはまた頭を抱え考える。
昨日自分は何をしていたのかということ、シーフギルドのみんなのこと。

『だめだ、思い出せない!思い出せない!』

スルの叫びを聞いて、アーキはまたくすっと笑った。

『思い出せない?それは違うわ。正解はね、元々存在していないの。
シーフギルドなんてものは、とうの昔に壊滅してるし、
もちろん、あなたの"仲間"なんてものは、いるはずがない。
そしてあなたに昨日はない。だって、あなたは今日作られたの。
だから昨日何をしていたのか思い出せないんじゃないの。
元々昨日なんてものはあなたには与えられていないのだから』

『作られた?どういうことだ!』
スルは立ち上がり、短剣を構えながらアーキに問う。

『そのままよ、あなたはアドナ様によって作られた擬人。
人間ではないの。あなたの役目はそこの娘をここへおびき出すこと。
さすがに街のど真ん中でイレギュラーと戦うと、あとの処理が大変だからね。』

『擬人?そんなはずは無い!こやつから確かに生き物のエネルギーを感じる!
擬人にエネルギーを保たせることは今の技術では不可能なはずじゃ!』

アーキの言葉を聞き、ケルビが言った。
この世界にはたくさんの擬人がいる。管理者によって世界を監視するために作られたものだ。
一見、人間とは見分けがつかないが、やはり擬人はただの機械でしかない。

『やはりあたなにはわかるのね。擬人と人間の違いが。
だからアドナ様はこれを作ったの。ちょうど材料が手に入ったからね。
オジ、その材料はあなたが生み出したのよ。覚えていないでしょうけど。』

907 名前: ともぴ 投稿日: 2006/01/23(月) 14:22:21 [ DXXt3lTo ]
以前の記憶をなにも覚えていないオジはそんなことを言われてもどうすることもできなかったが、
スルのほうを見ると、何か胸の奥のほうがズンズンするような感覚を覚えた。

『あなた達が旅の途中で古代の遺産を解放していった際、目覚めた4つの魔物。
バフォメット、ホワイトシェード、ネクロマンサー・・・そして、スル。
あなたが力を失ったことによって魔物達はまた封印されたわ。
でも、その封印は完全ではなかった。私達は魔物を探す命を受け、そしてスルを見つけた。
封印されかけていたスルを私達はアドナ様の下へ持ち帰り、そして研究段階であった
"生きている擬人"の実験材料に使ったの。今回は実験段階のわりにはいい結果が出たわ。』

『そんな・・・俺が人間じゃない・・・』

スルはアーキの話を聞き、膝をついた。

『シーフギルドは存在しない。俺は人間じゃない。俺は作られた・・・。
シーフギルドの起源はさかのぼる事・・・』

そして、完全に"壊れてしまった"。

『あら、やはり自己学習機能ってのは厄介ね。あとで報告しておきましょう。
さて、長く話しすぎたわね。そろそろ死んでもらおうかしら!』

アーキは槍を構えサチのほうへすごいスピードで間合いをつめ、槍でサチを突いたが、
アーキの動きにすばやく反応したケルビの炎の尾の槍、テイルスピアーによって弾かれた。

『どうやらわしはサチの事となると冷静さに欠けるようでな、今度は手加減せんぞ!』

そう言うとケルビは気を込め、自身の体の周りに炎のリングを作り、アーキに体当たりした。
アーキはバランスを崩し、後退した。

『やるわね、わんちゃん。いいわ、じっくりとやってやろうじゃない。』

ケルビがテイルスピアーで突けばアーキはそれを交わし、
アーキが槍で突けばケルビはそれを交わした。
二人の動きは、ほぼ互角といってよかった。

『シーフギルドは存在しないシーフギルドは存在しないシーフ・・・』

『スル!しっかりしてよ!』
サチは言いながらスルの頬をパチンとビンタした。

『人間じゃないとか関係ないよ!ケルビだってそうだよ!
でも、人間じゃなくてもケルビはケルビだし、スルは、スルでしょ!』

スルは黙ったままだった。
サチはスルの前にしゃがみこみ、スルの顔をじっと見て、そして抱きしめた。

『ほら、感じるよ?スルの温かみ。スルは感じない?私の温もり・・・』

スルはゆっくりと動き、そしてサチを抱きしめ返した。

『う、うぅ・・・!!!!』

すると急にスルが体を震わせ、うめき声をあげはじめた。

『スル、どうしたの!ねぇ、スル!』

サチの声が届いていない様子のスルは、急に黙り込んだかと思うと、立ち上がった。

『ありがとうサチ、君のおかげで目が覚めたよ。いや、思い出したよ。』

急に様子のおかしくなったスルに、一同は驚き、アーキもケルビも動きを止めた。

908 名前: 黒い人 投稿日: 2006/01/23(月) 19:53:52 [ D8a2Q0a2 ]
レスありがとうございますm(__)m


南東方不勝様
はじめまして、よろしくお願いします。
はい、きっとどこかでご覧になられてるかと思います。
なにかがついただけで…
そうやって想像していただくと嬉しいです。

ノーマルに皆様の作品を熟読した後に投下したいと思ってます。


>>828
ありがとうございます。不束者ではございますが
よろしくおねがいします。


FAT様
はい、そのとおりですvいつも黒い子が
お世話になっております。FATさんの小説の続き、
コッソリ期待してます。妄想ぱわー☆(違います)


戦士のようだ様
ありがとうございますm(__)m
長い言葉よりも短い言葉の方が伝わるときってありますよね。
それをちょっとめざしてみました。

909 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/24(火) 22:01:13 [ 8/BVG/Pc ]
   彼の者、穢れし霊に問う。

    「汝の名は何か」

   霊、答えていわく――



「“軍団” ・・・・・・我ら大勢なるゆえに」


 横殴りの風の中、青い修道服姿の少女がいた。
白木の短杖を握り締め、頭衣にまとめた銀灰色の髪は祈るようにうつむいて。
そして胸には聖性を力と変える小さな十字架が揺れている。

「なぁに、それぇ?」 少し舌足らずな声がたずねる。
 少女の肩ほどの背の、もう一人の少女。
この時期には肌寒かろうドレス姿で、ふわりと佇んでいる。

「古い物語の一節だよ・・・・・・そのあと霊は闇に潜み、神の敵を倒す使命を得た・・・・・・」



「――おおい、ノビたん! ここに居たかw」 一人の剣士が飛来する。
輝く武器と見事な全身鎧は、騎士と呼ぶ方が相応しいだろう。
「騎士団長こんちわですー♪」 ドレスの少女が大声で挨拶をする。

「やあ、われらが天使とアリス姫がおそろいかw」 騎士は微笑みながら続ける。
「街から出るなら我々を呼んでくれれば良かったのになw」


 以前の戦で援軍として加わり、騎士団の長や幹部連の死や脱退から皆を奮い立たせ
その物惜しみせぬ人柄もあって現在は騎士団長となった男は、今も気さくだ。


「戦を申し込みたいという方が居て・・・・・・」 言葉すくなに少女が答える。
「いくさ? それは古風なw  うちと戦えるのかい?」
「位階は低めだそうです・・・・・・でも鍛えたから頼むって」
 少女はどこか悲しげに、とおくを見つめたまま答える。
「クレギオン  彼らのことは、そう呼んでくれ、と・・・・・・」


「――よぉし! 受けよう!!」 騎士は叫ぶ。
「君にも出てもらうよノビたん!」
「守護天使とまで呼ばれたエルダー団長が居ない今、君の千里眼が必要だ!」
 騎士は少女に手を差し伸べて言う。
「せっかくだ、一緒に遠出でもしないか?」


「・・・・・・いいえ」 少女は街道の脇に腰を下ろし、答える。
「もうすこし・・・・・・・もうすこし、ここにいます・・・・・・」


 
(ノビたん―――どうして、わたしとも遊びに行かないの―――?)
 アリスと呼ばれた少女の言葉は、音にならずに消えた。

910 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/24(火) 22:02:34 [ 8/BVG/Pc ]



   戦争当日――

 千里眼の天使 ノビたんはいた。  おそらくは魔法の品であろう軽装姿で。

「敵は――どうしているね?」
 いつもの少し気取った、だが嫌味に過ぎない口調で騎士が聞く。
「動いていません―――いえ、ひとりだけこちらに」 眼を閉じたまま答える少女。
「流石――エルダーに次ぐ千里眼の使い手だね」
 騎士の感嘆も、彼女の瞑想を妨げることは出来ない。



 現れたのは、戦士―――素肌に肩当ての軽装、握る大剣の輝きも鈍い。
「騎士 ブランカ、貴様に汚されし者が挨拶に来た」


「何?  何者だ? 貴様。」
 騎士は、いやブランカは戦士に眼を凝らす――だが、見覚えはない。

「俺は、“F”  貴様が裏切り――殺したエルダーの代理だ」

 その言葉に、周囲はざわめく。
「裏切り?」 「エルダーがどうしたって???」 ざわ・・   ざわ・・


「黙れっ!!」 ブランカが叫ぶ。
「裏切ったのはエルダーの、エルダーた逹の方だ!!」

  その一言に、ブランカの部下たちが進み出る。
「あいつらは団の装備を敵に横流ししていた!」「邪悪なマクロマンシーに手を染めていた!!」
「無法な狩りをして皆に恨まれてた!!!」「詐欺や持ち逃げもだZe---www」




「――それは、一月前のことか?」


  戦士の気配が揺らぐ。 一言毎に、闘気とも殺気ともつかぬ物が揺らめく。

「彼は、いや、彼等はスキー合宿に参加中だった」 身に揺らめく、白。
「ギルド古参全員のIDを知り得、部室から接続できる者――」

「葵中ゲームクラブで唯一不参加だったのは、ブランカ」  一瞬の沈黙。



   「――貴様だけだ」


「うるさいっ!!  証拠がないっっっつつつつつ!!!」
 戦士に詰め寄り、叫び、怒鳴りつける。


「―――ID盗用は皆すでに疑っていた」 白い怒りを纏い、続ける。
「先々月、あるGMに監視を依頼していた・・・その上までは通っていなかったがな」

「金品を奪うのみならず、支援マクロに使い捨てたか・・・」


「―――BANされ・・・データ再生すら叶わなかった者達の哀しみ・・・・・・」


   「その死で償えっ!!」 ――音もなくスキルが発動する。


「戦士一人で何が出来るッ! 馬鹿が!!」 穢れた騎士もまた、スキル発動。


 そして、『戦士』の手より足元に稲妻が叩きつけられる。

911 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/24(火) 22:03:56 [ 8/BVG/Pc ]


「――? どうしてブランカさん、天使を戦士とかいってるの?」 少女の、アリスの一言。



  ――青白い電光のきらめく中、『戦士』の周囲に影が浮ぶ。
「くそがっ! 動けねぇーーー叫ばれたかよ?!」 騎士に、騎士らしさはもう無い。

「データファイルの入れ替えだ―――協力、感謝する」 すでに部下にすら逃げられた男を囲む、影。


「何故、なんでだ?!  お前も稼がせてやったろノビたん??????!!!」


   静まる、戦場。  だが、影達の猛りは、高まり続ける。




「・・・・・・10分で5億だっけ?  ありがとo」



「ひとの1stで無限矢詐欺ね−」     「しかも叫び売り?」


     「買ってくれた人も耳で注意した人も、みんな僕の知り合いだよ―――」


「ネタだとおもったひとも、終わらせる為に買いまくってくれた人も、中身が違うのは気がついてた」



    「注意に叫びで返事・・・しかも――暴言?」




 「とっくのむかしにキャラデリされたよ!  お兄ちゃんのせいで!!」





「―――我が友等同様、貴様に穢され、その身すら失った魂たち――――」

 黒衣の数人が、それぞれ4つの錆びた金属の塊を産み落す。


 「魔刻星の連なりの下、天魔となりて我が同志を呼べ」

 残りの影逹が、更に7倍の影を呼び寄せ――「蟹座の陣!」


 『戦士』の言により、鉄屑の軍団が3つの突撃方陣を成す。

 かちかちかちかち。 牙音に新たな音が無数に連なり、次いで鉄怪らの足元に炎が燃え広がる。

錆びつき、腐りかけた鉄の、焼け付く、臭い。  広がり続ける、焔。



 そして、『戦士』の声――


  「――我らの弔い合戦だ・・・再殺し、連殺せよ!!」





  「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「

912 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/24(火) 22:08:01 [ 8/BVG/Pc ]


  「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「




――すごかったねー?

――ん、そうだね。

――んとね、とくに最後、たましいになってのぼってくのがキレイだった

――・・・・・・うん。


――・・・あのあと、みんなどうなったの?

――あのまま引退した人もいたし・・・・・・GM受かってた人もいる・・・・・・とか言ってみたり?



――ぷo ・・・ひゃ、百人マクロだっけwww

――2ギル100人で肉入りは僕らだけ・・・いいネタだった。

――ほんとにPTマクロだったしねー  会話つき交代制ーwww

――そうかな? 状態監視付けとけばそれ程でも――

――それじゃなくて、会話内容!  相関図とか作ってたでしょぜったい♪

――普通でしょ?  いや、無しで出来るよ普通に。


――こんなふうに?  www


――うん、まさにその通り。

――いーかげんやめだきゃだめだよー?  ボク?


――・・・そうだねw  ・・・あたし。





   *この物語はヌィクションであり、実際の事件、人物、団体とは一切関係はありません。
   また、作中にて使用される技術には、実際とは違う表現が使われているものがあります。




・・・感想は無しか優しめで。

913 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/24(火) 22:11:08 [ 8/BVG/Pc ]
 書き忘れ。

市販小説のパロディというかリスペクトというか、もろパックリで恥ずかしい (乃///)

914 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:28:21 [ dAw6gIdE ]
┌──────────────────────┐
│           -残滓-            .   .....│
│前スレ分                       .   .....│
>>563-564 序章  『滓の目覚め』          .....│
>>755-756 第一章 『ほどけぬ雪』      .....   .....│
>>923-926 第二章 『郷来』               .....│
│現行スレ分                     .   .....│
>>220-222 第三章 『因果は巡る小車』   ...   .....│
>>591-594 第四章 『契約開始』           .....│
>>718-723 第五章 『補完』               .│
└──────────────────────┘

第六章『確信の証』

今は雪を背負った切り開かれた大地がある。登山道に入る前の平坦でなだらかな道。
断崖絶壁の危機を乗り越え、ティアとケイトスは併走していた。
音が消えた。自分の父が発していたであろう火薬の音が。イコール父の灯火が消えたのではないか――という嫌な想像を持ってティアは急いだ。
ケイトスはこちらの速さに合わせて走ってくれている。
彼は加減している。恐らくもっと速く走れるだろう。魔具で身体能力を高めているわけでもないのに。
それはシーフとして卓越した技術を持つ父や道場の師範だったという母の稽古を受けてきた自分の成果を思う、
そういうのも分かってくるのかなぁ?という軽い判断だった。

「ねえ」

この声はいつしか自分が問いを発していたものだ。

「ケイトスは私の父さんを知ってる?」
「名も容姿も知らないが、それが何だね?」
「さっきケイトスは思い当たる事があるって言ったよね?」
彼は頷いて肯定する。勿論、既に問いは分かっているはずだ。
「会って間もない私の、それも会った事のない私の父さんの状況を知りうる事なんてできる?予知能力でもあるってわけ?」
彼は笑みを僅かばかり濃くして、
「はは、そんな物があれば風呂桶の一撃で溺れ掛ける事などなかったはずだよ。先程の君の攻撃も全て避け切れたはずだ。行く末を知る者がこうして行動に出る必要はないだろうに」
「じゃあ…」
「何だろうね」

こちらを見ない前方を向いて、彼は即答した。
……やっぱり素直に応じてくれないんだ…この野郎。
そんなこちらの不快感を察したのか、
「…そう睨まないでくれたまえ。私が抱いている事はあくまで推測の域を出ないのでね。わざわざ君を不安にさせることもないだろう」
あぁ、と考えを得る。この人は他人だから悪い方向に考えることができるのだろう。だが、もしも、本当に恐ろしい局面であったなら。
――きっとこういう人が助けてくれるのだ、と思う。今となっては契約という形で繋がりを得て、私が父を失うという恐れて止まない推測を選択できる彼が。
それより、と彼は前方、変わりゆく光景を指差して、
見えるかね、と彼は尋ねてくる。その腕が右往左往指して示すとおりに眼を運べば、
雪の道、疎らに顔を出している矢がまた上から降り注ぐ雪に埋もれて消えかけている。
不意にケイトスが止まる。それを振り向いて自身も停止しようとして、足が雪の中の何かを蹴飛ばした。
どうせ矢か石ころだろうが一応は見た。
「これに見覚えはないかね?」
後ろから聞こえた彼の声と共に確信を得た。蹴飛ばした物。ケイトスが提示した物。それら二つ、同じ物である事を確認して。
「父さんの……武器」

915 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:29:51 [ dAw6gIdE ]
夜間の視認を防ぐ為、光を反射しない黒い両刃に輪を形どった持ち手を持つ投擲用の短刀。
「随分と腕が立つようだね君の父君は。いや素晴らしい、卓越的だ」
ケイトスが矢じりの片割れを持って示し、
「これだけの矢の数だ。避け切れない物は迎撃していたようだね、それも矢じりの中央を狙い、破砕するように」
片割れをもう片方の手、指で指し示す。
「そうでなければこのように縦に割れる傷は出来ないだろう。他に落ちている矢じりにもほぼ同箇所に傷がある。いやぁ大したものだよ……と、ティア君、君の父君を褒め称えているのに無視して置いてきぼりかね!?」
…勝手にほざいてなさい……馬鹿。今は急がないとダメなのに…
うれしくないわけではない。今まで父の実力を知っていたのは私か母、一部の館の者ぐらいなものだった。
町の皆は父の人の良さに感銘を受けながらも…どこか頼りなさそうだ、とか…天使様を恐れるなんて何か不届きな行いをしたに違いない…、等と言ってるのを聞く事がある。
初めて、家族以外に父を認めようとする者が現れた。何かずれた理解かもしれないがそれはそれでうれし――――いや、待って…おかしくない?
疑問が生まれた。憂いに浸っていたティアはそこで思考を180度切り替えた。
ケイトスが館に現れたのと父が出て行ったのはほぼ同じ時間。そしてこちらが父を探そうとすると彼は静止に現れ、そして…現在ついて来ている。
今も尚、彼は短刀と矢じりを引き抜きながらこちらに向けて賞賛の言葉を送っている。元より聞く気などないが。
大体、彼が私の母に許可されたと証言しているが彼が女湯に入ったのも実は館でトラブルを起こす為だったのではないか?
契約、などと称してこちらを満足(事実不謹慎な考えを抱いてしまったし…)させて押さえつけようとしたのではないか?
全ては時間稼ぎの為。彼が父を襲撃した者の仲間なら辻褄が合う……気がする。
「どうした。具合でも悪いのかね?」
…しまった。表情に険が入ってた!?
揺れ動いて諮りかねている最中、彼の方を見て、目が合ってしまった。
「だ、大丈夫、気にしないで。ちょっと寒い中で結構長かったからかも……って、…俺の体で暖めてやろう、とかなしだからね?」
「ははは誰がそんな野蛮行為を」
「似たような前科あるでしょーが!!」
白い大きな溜め息。
「ちょっと先の方の木陰で休んでおくから。終わったら来て」
「承知した。くれぐれも無理して先走らないように、ね」
うん、と反応だけ返す。不信の素振りを見せぬよう道をそれて森の中に入る。降雪は随分マシになったがそれでも曇った空が森の陰りを増長させている。
ある程度徒歩で距離をあけて、ケイトスが下を向いている折に―――走った。
…足止めなんて姑息な真似……引っかからないもんね…
自分一人でも父が逃げ出せる切っ掛けぐらいは作れる、と言い聞かせ、唯ひたすらに林間を駆け抜いた。


ラケシスは我に返る。
直後、反射的に眼前、父の仇を両手で突き飛ばしていた、拒絶の意で。
間髪いれず、腰の予備の脇差でセラフィを抜き撃った。
首を跳ねる一閃。すなわち即殺の一撃。黒金の刃は皮膚を裂き、肉を、骨を穿いて断つ。
命を刻み、摘み取るべくした長刀はセラフィの皮膚に触れ、しかしそれ以上、意図した通りに進まない。
結果は死の段階には程遠く、皮膚にさえ傷をつける事は出来なかった。
だがそれは初撃の結果だ。一瞬の驚愕は秘めて、もう一度力を入れ直し―

「いい眼です。ですが一撃必殺に二度目はありません。そうデウスから教わったでしょう?」

阻止された。セラフィの掌が刃を優しく包むように封じている。

「一瞬。そう、私の首を跳ねようとするほんの一瞬だけ垣間見えただけですが、私がかつて焦がれた者の眼は確実に、貴方に引き継がれていますね」
しかし、とセラフィが言った瞬間、刃に亀裂が生まれた。傷を光の断層が埋め尽くし、瓦礫のように形が崩れ、やがては砂粒のように。仕上げに白い焔を上げて消え失せる。
声色が変わった。
「無防備というチャンスを与えたのにも関わらず、ラケシス、貴方はまた私を殺せなかった。弱い、当時のまま。でもねラケシス、失望もしたけど嬉しく思うの、何せ…」
悠然とセラフィは立ち上がり嘲笑する。
「私の選択は正しかったと確信できたから!予め宣言したこの日に、貴方が私を殺せなかった事がその証明」
く、と声をあげ、無造作に拳を振り上げ、しかしそれも片翼に遮られる。身の程を知れ、と暗示するような高架の視線に、もはや動作の余地はない。

916 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:31:11 [ dAw6gIdE ]
「無駄な時間を過ごさせてしまって本当に申し訳なく思ってるわ、ラケシス。やはりあの時、貴方を連れて行くべきだった」
ふ、と吐息が漏れた。乗じて顔が緩み、自分が嘲りを含んだ笑みを浮かべている事が分かる。
セラフィは言葉を止める。彼女が対して浮かべた表情はこちらの嘲笑を見て生まれた怪訝である。
「残念だが母さん、貴女の期待には答えられそうにないよ――永遠に」
ラケシスもまた体を起こし、彼女をはっきりと見定める。不思議と恐れはない。いや、改めて向き合い、畏怖を克服出来たのかもしれない。ありふれた話だが。
「私は家庭を持つことができた」
静かに拳を下ろし、代わりに力を込めるのは視線。
「父が亡くなり貴女に虐げられ。感情を消失し、復讐を謳い続け、深い闇でのた打ち回っていた私を、救ってくれた人がいる。今も妻として私を支えている彼女が、私を再び変えてくれたんだ!」
消し去りたい記憶だ。私は父の眼をやがては受け継ぐだろうという事。そして母は己の為に私を利用しようとしている事。父はそれを阻止しようとして――殺された事。
真実を知り、是非を問うた私を、母は有無を言わさず捻じ伏せた。信頼を失う事を恐れ、追い詰められた母は恐怖による支配を試みた。
耐えようとして、支配はかろうじて間逃れた。抗う手段など用意していなかったのに、方法など分からないのに、耐えた。ただ、私はその影響で感情の破綻を引き起こした。抗う支柱となった精神が過剰負荷に耐え切れられなかったのだろう。
そこから先に浮かぶ記憶は殺劇の擦過、当時は―――復讐鬼と化した自分の事など思い出したくもない。母はその時に天上へ昇った。待っている、私を殺せる程まで成長した貴方を、と言い残して。
「その救いが何だと言うの?元より私を殺す気など消え去っていた、とでも?私を殺せなかった言い訳にしか聞こえないわね。腐りきった性根、そんな風に貴方を変えた人物―――許せないわ」
………貴女にも同じ役割を担う大切な人がいたはずだ…
セラフィは息を詰めた。
……違う。こちらはまだ何も出してはいない。
見る。無数の点が近づいてきている。それぞれの正体は刃。その覚えのあった軌道を見て、
「馬鹿な!」
叫んでいた。
「――来てはならない!今すぐ戻れ!」
畜生、と今を叱咤する思いは行動へと変える。
刃に気を取られているであろうセラフィを、拳で穿ちにいく。狙いは両肩、そのまま体ごと倒れ込み押さえ込む。
数秒でもいい、セラフィの動きを僅かでも延滞させねば…
「さっきから小手先ばかり……っ!情けないわ本当に!」
セラフィは上部の双翼を展開し、背後の刃を弾き落とす。
更にこちらの右腕が、正拳として威力を発揮する前に、セラフィの下部の双翼が零れる様に融解、懐から二つの槍として、
「ぐぁ…」
逆にこちらの両肩を貫いた。そのまま勢いに運ばれて、体を背後の大木へと縫い付けられた。
「見ていなさい、そして――思い出すのよ。貴方が私に抱いた暗い暗い怨恨を…」
セラフィは方腕をこちらに突き出し、指を鳴らす。
体が弾けた。地に打ち付けられたような全身一発の殴打。この痛みは束縛へと変わり、呼吸すらも赦さない。
螺旋の光状が身を締め付けるこの術は"ホールド"。過去幾多に渡って受けてきた仕打ち、忘れようも無い。
「もう一度壊れてもらうわ。次は自発的に、ね。次は目前で娘を失う事になる貴方は…」
破顔。彼女は父を葬った時に見せたそれを、再び、次はこちらに向けて、
「――どう崩れて生まれ変わるのかしら?」
セラフィは一方的な言動を続ける。
「私を見て!」
首は吊り上げられ、もたげる事は適わない。眼は開かれているが、眼球が裏返り始め、視覚が鈍くなっていく。
「吼え叫びなさい!私への怒りを!」
声は到底出ない。抗いの叫びは意思の壁で反響するのみだ。
「その拳で、私の心の臓を止めてごらんなさい!」
腕は肩から神経の繋がりを断たれ、血を滴らせながら垂れ下がっている。
ふぅ、とセラフィは息を吐き、こちらに背を向けた。
「おとーさぁーん!!」
ティアが呼んでいる。
それを掻き消すかのように、突風が大気を薙ぎ払う。
「貴方、着実に力が漏れ出しているわね」
どういうことだ、と考える間もなく、悟った。
体が熱い。血が煮えたぎっているかのようだ。
背部では自分と共に在る木が軋んだ音を立て、大気が風に耐え切れず悲鳴を上げている。

917 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:32:12 [ dAw6gIdE ]
……私は――――――――!?
「……天使の力。ラケシス、忘れてた?私の力も貴方は受け継いでいるの」
鉄と鉄が擦り合うような亀裂音。縛りは己の力によって解け始めている。止まらない。
「我がCherubimの力に命じます。知らしめなさい、天使の血を引きし我が子に。其が力こそは憎悪であるということを」
直後。
体が舞った。全身から溢れ出た力は縛りの光条を完全に吹き飛ばし、積雪した大地を殴打した。
「後は、あの娘を殺せば終わり。その時、貴方の憎悪は最大限のものとなり――」
セラフィは片手を優雅に広げ、拳大の十字架を形成。
「また、私の元へと還ってくるの。今度こそ…掴んで離さないわ!」
内から外へ腕を返す水平投射。一直線に放たれた十字架は青白い帯刃を纏い、肥大化する。


眼前には己に絶命をもたらす刃。
……おとうさん……おとうさん。
いざ着てみれば父は大怪我を負っていて、相手は想定を超える人外、それも翼を折られていない四翼の天使。
父を叫び、考えられる限りあらゆる方向からの刃の投擲を試したが、全てあの翼に弾かれ、留意すらされていない。
そして、父は吹き飛んだ。大地の諸肌を抉る程の爆発と共に。
「―――――――!」
ティアは無意識に、声にもならない悲鳴をあげていた。支えであった希望の糸が断ち切られ、その場にへたり込んだ。
間に合わなかったのだ。仇を討つなんて気は起きない。ただ父を連呼しているだけの自分を情けないなどとは思えない。
力無い自分にとってはそれが当然だ、嘆き垂れる事の何が悪い、と諦めの思考が支配していた。
「馬鹿!」
力強い衝撃と声がティアを打った。衝撃はこちらの体を伏せさせる程の勢いで、声はマイナスへと傾く思考を中断させた。
連動して声は響く。
「良く聞きなさい、ティア。貴女の名前は彼の―――ラケシスの取り戻した感情の証、彼が取り戻した"涙"そのものなのよ」
庇護の影―――母が柔和に微笑んでいた。
「だから、諦めちゃだめ。生きなさい。貴女の名には彼の加護が宿ってるんだか、ら」
母は崩れ落ちた。青の十字を代わりに受けた背からは、赤の色が零れ落ちる。
その身が、こちらの膝の上に沈み込んでいく。
「ごめんね…私からは何にも………」
微かな声を余韻として残し、彼女は力感を失った。
「や……ぁ…!」
慟哭は枯れ果てていて、出るのは絞られたわずかな悲鳴―――しかし、一度きりで止めた。
それどころではない。蓋となっていた十字架が消えて、母の出血は激しい。両手で何度も傍らの雪を拾い上げ、母の傷口に被せる。
「――それで、どうするつもりかしら?」
無視、母を背負い、駆け出して逃げよう。その過程で時間稼ぎとして出来る事、出来る事、出来る事、出来る事……
思いつかない。首を振り、しかし、何とか振り絞ろうとする。
「――チェックメイト、よ」
だが、もう時間切れとでも言うように、敵である天使は上空に飛来。翼から発せられる後光が森全体を包み込んできた。
流動する光の質量は異常な程までの圧迫感を宿し、収縮された巨大な球体へと形を変える。
このままでは森ごと薙ぎ払われる、と思った時には既に、容赦なく放たれていた。
高質量の野太い光の一線が真っ直ぐ、こちらを貫かんと伸びてきた。
「よく頑張ったね」
慰めの声が聞こえて、視界が闇に染まり、轟音が大気を割り、残響は底知れない果てまで渡る。
……。
……死んだのかな。
精一杯。終盤は策を講じたが遅すぎた。痛みの無い死が結果……なのだろうか。
暗闇の中で一点が瓦礫の崩れるような音を伴い、崩落した。雲の隙間から太陽が顔を覗かせるかのように、欠けた闇から光が差し込んできている。
……これが死んですぐに迎えるっていう………あけおめ?
闇の亀裂は徐々に、速さを増して、広がり、殻は完全に破砕を遂げた。
直後、体を撫でたのは寒さを伴う突風と湿り気を帯びた煙。
現実。先程まで自分が踏みしめていた積雪の大地そのものが、眼前に広がっている。
そして、渦巻く大気の中に人の背を見る。
「我、此処に契りを果たさんとする者―――――とは言うものの、遅れてすまないね」
それは簡素な木の棒を構え、白一色の風景にありありとその存在を赤の髪で示す、青年。
「ケイトス!」
「ケイトス!?」
確信を持った声と疑念を強く秘めた声が重なった。
「―――如何にもかくにも私はケイトスだが、至極当然の事で何を驚いているのだね両者」

918 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:40:58 [ dAw6gIdE ]
あーこんな夜中にしか時間が取れません。
皆様の作品への感想が書こうと思えども、あー
怠惰で申し訳ないです。

作品を完結された方々だけでも、もう一度作品を読み直させていただき、
総評(といっても大それたものじゃないですが)を書かせて頂こうと思います。
述べさせて

919 名前: LB 投稿日: 2006/01/25(水) 01:42:09 [ dAw6gIdE ]
↑ごめんなさい、眠気でテンパってるようで。余計な文字が。

920 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/29(日) 21:33:45 [ rYQYbVOY ]
>>ドリームさん
なにやらレイドの知り合いにいきなり預けられたミレル嬢。
彼女をヴィードに預けて、レイドは一体どこへ何しに行ったのでしょうか?
そして、地味にヴィードさんムッツリですね。好感が持てますb

>>ともびさん
実は人間じゃなかったスル君!!これには度肝を抜かれましたねぇ。
さて、名前と過去にオジが封印を解いたモンスター達から察するに、彼は赤山に君臨するあの方ですかな?
それにしてもケルビー、ほんとに孫思いですねぇ(違

>>909-912
あぁ、こうして今日も赤石の世界は乱れに乱れる・・・。
皆さんもこういった悪質な冒険者に捕まらないようにb
追伸:おもしろかったです

>>LBさん
あぁ、ラケシスさん(´;ω;)
実の息子までも目的のために手をかけたセラフィさん。
果たして彼女にここまでの行動を取らせる原因とは?
ケイトスが助けに来てくれたとはいえ、無事にティア嬢は生き延びることができるのでしょうか?

921 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/01/29(日) 23:09:10 [ rYQYbVOY ]
>>901
「ヌアァァァァァッッッ!!!」
左胸から夥しい血を流しながらも立ち上がるその有様は、この巨人の異常さを雄弁に物語っている。
致命傷といっても過言ではない傷を負っても尚、立ち上がる。その姿は正に戦鬼・・・。
「コ・・・ワ・・・ス、全・・・テ・・・ヲ。塵・・・芥・・・ノ・・・如・・・ク。」
虚ろな瞳がオイラ達を射抜く。感じられるのは異質な殺気。まるで内に止めていたモノが溢れ出しているかのような、純粋な破壊衝動。
「は、ははは・・・。どうしよっか、オイラ当分動けそうにないや・・・。」
「私だって生憎、貴方を背負って走り回る体力は残っていませんわ。それに・・・」
貴方を一人にはできませんわ。そんな男冥利に尽きることを言ってくれた。

ザリッ・・・、ザリッ・・・。

巨人(絶望)が少しずつ近づいてくる。
でも、諦めるわけにはいかない。例え、彼女を悲しませようとも・・・。
「知ってる、ギル?そういう男の行動って、意外と女は引きずるものなのよ。」

シュッ・・・、タッ・・・!

そんな言葉と共に、一筋の光が巨人の足元に突き刺さる。
巨人の歩みが止まり、光を撃ちだした射手がいると思われる方向を見る。
そこには、光り輝く魔法矢を番えたレナの姿があった。
「「レナ(さん)!」」
「無事だったようね。それとギル、さっきも言ったけどそういう行動は慎みなさい。」
オイラがしようとした事が気に入らなかったのか、結構危険な状況にも関わらずに注意してくるレナ。
そして、その刹那の安堵感を吹き飛ばすかのように
「オォォォォォォォォォォォッッッッッ!!!」巨人がレナに突撃して行った。
「そうよ、それでいいの。思う存分、私を狙いなさい!」だが、レナは退かない。
魔力を織り上げ、5本の魔法矢を同時に作成し、それらを指の間に挟み間髪いれずに連射する。

シュカ、シュカ、シュカ、シュカ、シュカッ・・・!

連続して放たれた矢は、それぞれが巨人の急所と思われる箇所を目指して空を疾る。
まるで、流れる小川の中に獲物を見つけ急降下するカワセミのように・・・。
だが、理性を失ったからといってあの隊長の防御技能が無くなったのか?
答えは・・・、

ガガガガガッッッ!

否。必中かと思われたレナの矢を事も無く叩き落す。
「オォォォォォォッッ!!」
巨人が咆哮を上げレナに肉薄する。その距離は零、巨人がもっとも得意とする間合い。
通常のそれとは比較にならないほどの回転を伴い、左拳がレナの腹に向かっていく・・・!
避けることは不可能・・・、少なくともオイラ達にはそう思えた。
「母なる大地よ、その優しき腕で荒らぶるモノを鎮め給え。ロックバウンディング!!」
この詠唱が聞こえるまでは。
「「ゲイル!!」」オイラ達の声が見事に重なる。
「ミネルヴァ、次!」レナがゲイルに向かって叫ぶ。
「分かっています。我、時を駆ける風を従えし者なり、我が呼びかけに応え風は現世を駆け抜けん。ヘイスト!」
魔力できた羽がレナの中に吸い込まれていく。そのままレナは、大地の足枷で動けない巨人の横を駆け抜け、オイラ達を掴みあげる。
「あぁやっぱり小さいとはいえ、二人分はそれなりに重いわねぇ・・・!」
「レ、レナさん、いきなり何をおっしゃっているんですの!?」
「安心なさい、貴女の背丈なら充分標準よ。むしろちょっと細いくらい。」
そのまま速度を落とさずに、レナは隊長から離れる。
「ヌァォォォォォォォォッッ!!」
バキバキと音を立てながら、強引に足枷を破壊する巨人。すぐさまオイラ達のほうに向かおうとするが・・・、
「まだ行かせる訳にはいきません。母なるものよ、荒らぶる息吹を汝の子等に、封じし牙を汝の子等に、アースクエイク!!」

ドゴォォォォォンッ!

ゲイルの起こした地震によって、巨人は動きを封じられる。しかし、それは微々たるモノ。
巨人は再び、大地を振り切り駆けぬける。だが、その微々たる時間が彼の到着を迎える。
がくんと、オイラ達を抱えて走っていたレナの速度が落ちる。未だに鳴動していた地面が静まり返る。
それらが意味することはただ一つ・・・。
「よぉ、先鋒は二人に譲ったんでな。少しばかり遅れた。で、そこの隊長を倒せばいいのか?」
紫の瞳を持った狼が、悠然とやってきた。

922 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/01/31(火) 01:09:52 [ CAlF6VIU ]
>>850

923 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/31(火) 22:10:02 [ p9EEG7xQ ]
しばらく此処見てなかったですorz

>戦士のようださん

此処数日でなんとかラストが見えてきたのでそれに合わせてテーマなどを決めて行く方針にしました
アドバイス感謝ですー

>南東方不勝さん
ヴィードのムッツリはあの程度では終わりません乞うご期待(ぇ


>>904       ☆新たなる出発☆

「よし・・・武器もばっちり、アイテムもおっけい」
ミレルはベッドから起き上がり準備を進めていたそこに、ヴィードが現れた
「行くのかい?、レイドを追って」ヴィードは少し寂しそうに問い掛ける
「・・・うん、昔からの友人だし、そして相棒でもあるもの彼を置いてのんびりしてられないわ」
「そっか・・・・」ヴィードは自分の部屋えと帰って行った

「さてと・・・行こうかな」ミレルは外をちらっと覗きすっかり晴れて居る事を確認し家を出ようとする
「そうだな行こうか」その後ろに立派な大剣を背負ったヴィードが居た

・・・・・・・・・・沈黙

「えーと・・・熱でもあるの?」ミレルは心配そうに熱を確かめる
「何言ってるんだ、女性一人を旅に出すなんて危険な事俺が許すわけないだろ」自信満々にヴィードは言うのであった

結局ヴィードを振り切れず一緒に行くことになってしまった

「じゃあ一緒に旅するに当たって約束事があります」
「何だ?」ヴィードは不思議そうに問い掛ける
「一つ、やらしいことはしない」
「二つ、私の言う事を聞く、たったこれだけよ」

ヴィードはとりあえず聞き流していた、

924 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/31(火) 22:34:23 [ p9EEG7xQ ]
              ☆新たなる仲間☆         

「ところで俺達は何処に向かってるんだ?」ヴィードはとても大きい大剣を背負いながら疲れも見せず問い掛ける
「レイドは恐らくベスペンの屋敷に向かったと思うわ、ベスペンの屋敷は大きい街バリアートという街に在るらしいわ、だから途中の港街ブリッジヘッドに行きましょ」
納得という顔でヴィードは頷く。

そこに見覚えのある男が前に居た、そうあの時のレイドに追っ払われたウィザードで在った

「貴方は・・・・」ミレルはすぐに戦闘隊形を取る、それに合わせてヴィードも何時でも大剣を叩き込めるように準備は万端のようだ
「待て、俺は君達と戦いに来たわけじゃない」ウィザードは杖を下に置き戦う意思が無い事を証明する
「・・・・じゃあ何しに来たの・・?」ミレルは警戒を解かず問い掛ける

「君達はベスペンの屋敷に行くのだろう?私も連れて行ってくれ」たんたんと質問に答えて行く
「何故・・・?貴方はベスペンの仲間なんでしょう?」
「ベスペンには金で雇われただけだし、第一に気に入らなかった」

嘘かホントかわわからなかったがこれからベスペンの所に行くに従って内部を知っている奴が要れば少なからず有利だろう。
ミレルはそう思いながら「だけど、もし私達が危険になるような事になると判断した場合は貴方を置いてきぼりにしてでも逃げるからね」
かまわないと行った感じでうなずく。

「でも・・・一緒に旅するんだから貴方も仲間ね、宜しく・・・えーと」
そういえば名前聞いてなかったっけ

「ぁぁ、俺はリームブル=ウェル=バースだ、バースで良いぞ・・・でそっちの男は?」さっきから気になっていたらしいが聞くのに躊躇していたらしく少し目を逸らしながら聞く
「彼はヴィード、職業は戦士、変態よ」ミレルは軽く自己紹介する
「そして私はミレル、職業はランサーまぁ・・後は追々・・・ね」ヴィードは何故か自分の自己紹介に文句はつけなかったすでに自分で認めているらしい

「そうか、二人共宜しく頼む」とバース
「こちらこそ」とミレル
「夜露死苦」と頭に少し血管が浮き出てるヴィード・・・(変態ってところは少しは反応しろよ)

新たな仲間も加わりふたたび旅立つ三人・・・空は打って変わってまた雲に覆われて居た・・・まるで何かを隠すように

925 名前: ドリーム 投稿日: 2006/01/31(火) 22:36:27 [ p9EEG7xQ ]
また明日続き書きますね今日はこの辺で・・・ノシ

926 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/02/01(水) 21:08:11 [ QS1Cbi/M ]
短編とも長編とも言えないようなよくわからないのが完成したました〜
でも少しエロい…このスレってどこら辺までOKなんでしょうかね?

927 名前: 南東方不敗 投稿日: 2006/02/01(水) 22:37:44 [ rYQYbVOY ]
個人的には・・・、R15くらいまでならギリギリおkではないでしょうか?
一線を踏み越える直前くらい・・・。リアル過ぎてきもいですか、そうですか(´・ω・`)

928 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/01(水) 23:44:59 [ ypq1s/NM ]
まあ、その辺は自己判断でお願いします

929 名前: ともぴ 投稿日: 2006/02/01(水) 23:56:37 [ DXXt3lTo ]
>>282 >>310 >>333 >>424 >>477-478 >>503-504 >>544 >>581 >>868-869 >>906-907

『俺の名はスル、風の守護者。の生まれ変わりだ。』

アーキはスルの言葉を聞いてはっとした。

『まさか、本体の心が目覚めたというのか!あり得ない!』

スルはアーキのほうへ歩きながらゆっくりと喋りだした。

『何が本体の心だよ、ただ俺は思い出しただけだ。俺がこの姿になる前のことをね。
全部じゃないけどね。でもこういうことはもうできるくらいに思い出してる。』

スルはそう言い、アーキめがけて6本の短剣を投げた。
アーキは一瞬驚いたが、それは決して避けきれないような速度ではなかったため、
それを冷静に右に軽く飛んで避けた。しかし、6本の短剣達はまるでアーキを
追うかのように右に弧を描き、アーキに突き刺さった。

『貴様・・・風をあやつれるのか・・・』

とっさに身をかわし、急所を避けたアーキだったが、
6本もの短剣を体に受け、思うようには身動きのできない状態だった。

『言っただろ?俺は風の守護者。の生まれ変わりだ。
風を味方につけたものが勝つ。昔の偉い人が言った名言だ。』

スルは次の攻撃の構えをとり、アーキに近づいていく。

『さて、どうする?俺はこのまま君を殺しちまったって構わない。
俺は君のせいで、君の想像もつかないような苦しみを与えられた。』

ポタポタと血をたらしながら立ち上がったアーキの顔は、笑っていた。

『そうね。たしかにあなたには私を殺す権利があるのかもしれない。
でも、あなたごときに私を殺せるのかしら?』

『そうか、お望みなら殺してやるよ!』

そう言い、スルはアーキに向けて1本の短剣を放った。
短剣はアーキの喉をめがけて飛んでいく。命中したら確実に命は無いだろう。
もはや避ける力の残っていないアーキの喉に、短剣が届くまさにその時、
カキン!と音を立てて、スルの短剣はなにかに弾き飛ばされた。

『な・・・それはなんだ!』

アーキの目の前に突然現れた大きな毛むくじゃらの"もの"に向かってスルは叫ぶ。
それは体中を毛で覆われており、丸々としていて、アーキの前でコロコロと転がっていた。
それは次第に丸かった形から手が生え、足が生え、やがて尻尾が生えて、
まるで狼のような体に成長した。いや、狼のような姿に戻ったという表現が正しい。

『お、遅かったじゃない』

アーキは槍を杖のようにして、ヨロヨロしながら狼へ言った。

『俺も俺でいろいろやることがあってねぇ。死なないで済むだけ感謝しろよ。
まぁ死んだら死んだで、そりゃ面白かったんだろうけどな。』

そう言って狼男はヘラヘラと笑った。

『死なないで済むかはまだわからないだろ。お前もその女の仲間なのか?
ならそいつと一緒にお前も殺してやるよ!』

スルは狼男めがけて6本の短剣を放つ。
短剣は確実に狼男の急所をめがけて飛んでいるのだが、狼は避けるそぶりも見せない。
男は短剣の向かってくるほうへ、その毛むくじゃらの手をかざしただけだった。
するとスルの放った短剣はみるみる速度を失っていき、
男の体へ到着する前に全ての速度を失い、重力のままに地面へと落下した。

『へへ、風を味方につけたものが勝つってね。悪いが今はお前たちと
遊んでる暇はねーんだ。この女、死にかけてるから早く持って帰らないと
アドナ様に怒られちまうんでね。じゃーまたな、サチ、オジ、犬、実験体!』

狼男はそう言ってアーキを抱きかかえ、そのまま、また丸くなり、
シーフギルドの出口へと物凄い速さで転がっていった。

930 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 20:26:53 [ BjmG50gY ]
2つめの作品です〜

俺の名はプレナン。騎士学校の3年生だ。
俺は今、クエストを受けに、依頼者の元へ向かっている。
クエストは、様々な問題を抱えた人がブルネンシュティング騎士団に依頼した問題を解決する、という物だ。
これは、ブルネンシュティング騎士団以外にも、アリアン傭兵ギルド、アウスグタ修道院、ブリッジヘッドのシーフギルドやロマ村の調教師なども受けることが出来るらしい。
俺はまだ半人前なので、簡単な依頼しか受けられないが、いつかは師匠のようになりたいと思っている。
その為には、腕を磨くだけでなく、様々な依頼をこなして行く必要がある。
だから、僕は暇を見つけては依頼を受け、それを解決している。
今週1週間は訓練も何も無いので、この間にクエストを2つか3つは解決しようと、俺は思っている。
そうこうして、僕はその依頼者を見つけた。

「貴方が騎士団に依頼をした方ですか?名前を仰られて無いようですが・・・」
「今、こんな暮らしをしているのを公にされたくないのでね。それよりも、旦那が私の依頼を受けてくれるのかい?」
何だ?こいつ・・・
「はい。私が貴方の依頼をお受けいたします。」
「そうかい。・・・ずいぶんと小さいように見えるが・・・大丈夫かい?ひっひっひ」
品の無い笑い方をする男だ・・・
あんまり付き合いたくは無いが・・・依頼者だから仕方ないか。手早く済まして、さっさと次の依頼を受けに行こう。
「では、依頼の内容を教えていただきましょうか。」
「軽く流すねぇ・・・では、依頼内容を教えよう。此処から少し東に行くと、オート監獄という場所がある。知っているかね?」
オート監獄・・・どこかで聞いたような気がするが、はっきりとは思い出せない・・・
「いえ・・・教えていただけますか?」
「もちろんだ。良いか?良く聞けよ?すぐそこの、プラトン街道の道を行くと、そのうちに分かれ道がある。そこを左に行って、後は道をまっすぐ行けば簡単につくはずだ。分かったかい?」
「はい。」
「本当に分かったのか?もう一度教えてやろうか?くっくっく」
一度聞けば分かるっての・・・小さいからって、まるで餓鬼を見るような目で・・・いらいらする・・・
「大丈夫です。」
「そうか。で、その監獄の地下2階にいる、インベノムテールという蠍の毒のサンプルを取って来て欲しい。」
毒のサンプル?こいつ・・・それで一体何をする気なんだ・・・?
「おっと、別に怪しいことに使おうって訳じゃないぞ?これでも、昔はそこそこ名の知れた医学者でね。研究の為に使いたいんだよ・・・」
名の知れた医学者だと・・・そんな身分のものなら、何でこんななりを・・・
「こんななりしてるから疑ってるのか?・・・地下水路から出てきたコボルトに家を壊されなければこんな面倒な事する事は無かったんだがね。」
「別に、疑っている訳ではありません。それで、そのインベノムテールという蠍の毒を取ってくれば良いのですね?」
「そうだ。・・・あぁ、そこには斧を持った兵隊や、シーフギルドの人間が頻繁に出入りしているようだから、気をつけて行けよ?くれぐれも、毒を持って来る前に死ぬなんて事にはならないようにな。」
・・・斧を持った人間に・・・シーフ?
何処かで・・・確か・・・
「どうした?」
「あ、いえ。何でもありません。」
「そうか。では早速だが行ってきてくれ。」
「はい。それでは。」
・・・何処か、頭の中でもやもやした思いを抱えながら、俺はオート監獄へ向かった。

931 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 20:54:57 [ BjmG50gY ]
確か、あいつの話ではここを左だったな・・・
それにしても、あの乞食・・・あぁ、胸くそ悪い。
それに、あいつが言っていた・・・斧とシーフって・・・何処かで・・・
「っと、此処か。」
考えている途中で、俺はオート監獄らしき所を見つけた。
ここの地下2階の蠍だったな・・・
あれ?ここ・・・何処かで見たような・・・
・・・いや、思い出せない事を考えてもしょうがないな。
蠍をどうやって仕留めるかとか考えておくか。

途中で小さい蠍を見つけたが、どうやらインベノムテールではなかったようだ。
あいつの行った、地下2階へ行くことにしよう・・・
「此処が地下2階へ続く階段か・・・」
地下2階は光が届かないので、暗いと思ったら所々に灯りが点いていた。
すこし薄暗いくらいだ。
これなら暗闇の中で蠍と戦うことにはならないだろう。
カサカサカサカサ・・・
何かが動いている気配がした・・・
蠍だ。
「あれが・・・インベノムテールか・・・」
カサカサカサカサ・・・ガキャッ
「ッッ!」
蠍がいきなり尻尾の針で攻撃してきた。
慌ててカイトシールドで攻撃を防ぎ、盾を叩いた。
スパイクシールディングだ。
蠍はその衝撃一瞬動きが止まった。
その隙を突いて、クリスを使って垂直切りを繰り出した。
蠍に浅い傷を負わせ、さらに追撃として、袈裟切り、突き、水平切りもどきを連続で行った。
スィングインフィニティ。
クキャキャ!
蠍は、変な音を盾てばらばらになった。
その残骸から、毒を手で触れないように、慎重に取り出した。
「意外と簡単だったな・・・」
そう思い、元来た道を帰ろうとした。

すると、所々にある灯りの1つが目に入った。
・・・ん?この灯り・・・何処かで・・・そういえば、此処も見たことがあるような気が・・・
そっと明かりを調べてみる。
ゴソゴソ・・・ガタンッ
「あっ!」
灯りを落としてしまった。慌ててあたりを見回す。
誰も・・・居ないか?
落とした拍子に明かりが消えてしまった。周囲に気を配りながら、別の明かりの所へ向かおうとした。
すると・・・
カッ・・・カッ・・・カッ・・・
誰かが歩く音が聞こえた。

932 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 21:32:42 [ BjmG50gY ]
「!」
足音が聞こえた方向に目を向けた・・・
そこには・・・
「ん?誰だ?」
「子供・・・14,5歳と言った所でしょうかねぇ。」
・・・・・・あれ?
足が・・・あれ?
呼吸が・・・うまく出来ない・・・
何で・・・?
「おやおや・・・震えているようですねぇ?」
「っっ!!」
あいつは・・・あいつは・・・俺が小さい頃、忍び込んだ時に居た・・・
「ん?こいつ、何処かで見たことがあるような・・・」
「気のせいでしょう?最近人は滅多に来ませんし・・・来た者も、此処から出る前に死んでしまいましたからねぇ・・・フフ」
うぁ・・・う・・・
「?・・・まぁいいか。こいつもとっとと殺しちまうかな。」
「そうですねぇ・・・じわじわと苦しめたい所ですが、あまり長引かせるのも良くありませんし。」
2人は、ゆっくりと構えた。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
俺は、汗だくになって荒い呼吸を繰り返しながら・・・それでも、何とか盾と剣を構えた。
「こいつの持ってる武器・・・待てよ?カイトシールドにクリス?」
「どうかしましたか?」
どうにか・・・どうにかしないと・・・
・・・・・落ち着け・・・落ち着け・・・
もう、あの時とは違うんだ・・・師匠と何度も手合わせもしたし、騎士学校で様々な訓練もした・・・
そうだ・・・冷静にやれば、勝てるんだ・・・
「ッ!!思い出したっ!こいつ・・・4年前に此処に来て・・・ケイルンに助けられた奴だ!」
「何ですって!?そんな・・・まさか・・・いや、そういえば・・・」
はぁ・・・はぁ・・・
「・・・とっとと殺すぞ。時間をかける訳には行かない。」
「・・・・・・えぇ。もしあいつが来たら・・・今度こそ殺されます・・・!」
2人は、過剰とも言えるほど、周囲に気を配りながら、距離を詰めてきた・・・
シーフが素早く動き、こちらの背後を取った・・・
見切れない速さじゃ無い・・・落ち着けば・・・勝てる!
「「ハァッ!」」
シーフと斧を持った男が、同時に攻撃を仕掛けてきた。
盾と剣、両方で何とか攻撃を防ぐ。
だが・・・
「オォォッ!」
斧を持った男の一撃は、とても重かった。防ぎきれない・・・。
左手が傷つけられた・・・
あの時と今が重なる・・・
「ぐぅ・・・ぅぅ・・・」
それでも、何とか声を出さずにすんだ。
痛む左手を庇いながら、何とか距離をとった。
やらなきゃ・・・もう、だれも助けてなどくれないんだ・・・
あの時と今は違う・・・俺は、成長したんだ・・・もう、子供じゃない!!
「ぁ・・・あぁあぁぁ!!!」
右手と左手を交差して、力を貯めた・・・そして、一気に地面を蹴る。
タンククラッシュ。
自分から取った距離を一瞬で詰め、斧を持った男へ突進した。
斧を持った男は、何とか耐えた。
しかし、まだ攻撃は続く。
突きの構えを取った。
「・・・!」
斧を持った男の目が見開かれる。
「あああぁぁぁぁ!!!」
ただの突きでは無かった。2人に分身したのだ。
「ぐぅ・・・がはっ」
斧を持った男は倒れた・・・床が血で染まって行く・・・
「馬鹿な!あの男ならいざ知らず、貴様のような・・・若造に殺られるとは!」
シーフが後退した・・・
「ぐ・・・一先ず、退散したほうが良さそうですね・・・」
シーフが逃げようとした・・・だが。
「逃がすかぁ!」
クリスを逃げるシーフに向かって投げた。
高速で飛ぶそれを、シーフは避けられない。
「がっ!」
首にあたった・・・。
取れては居ない用だが、血がどんどんと溢れて行く・・・頚動脈は切れているようだ。
「あ・・・あぁ・・・あぁぁぁぁぁぁ」
シーフが叫んだ。

・・・やがて、シーフの声が聞こえなくなった。
「ぐ・・・でも・・・やったんだ・・・。」
そうだ・・・俺はやったのだ・・・。
手も足も出なかった、あの頃から必死に訓練をして。
二度と、あんな醜態を晒さず、助けられるのではなく、誰かを助けられる力が欲しいと。そう思いながら。
そして、とうとう、ひとつの壁を越えた・・・此処へ来た理由は、全く関係の無いものだったけれど。
そうだ・・・この毒のサンプルをあいつに届けなければ・・・。

もう、此処に来ることは無いのだろうな・・・
何となく、僕はそう思った。

933 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 21:40:18 [ BjmG50gY ]
何とか、全部書き終えることが出来ました。
皆様から頂いたアドバイスを参考にして、書いてみました。
少しは見られるものになったでしょうか?
まだまだ、拙い所はあちこちにあると思います・・・
此処が良かった、悪かった。
こうした方が良い、こうしない方が良いなど、またアドバイスを頂きたいです><

最後に。
最後まで読んでくださった方、または、読もうとして下さった皆様。
居ましたら、本当に有難うございましたm(_ _)m



・・・初めて書いた物を読み直したとき、ものすごく恥ずかしくなりました。
書いている時は気にならなくても、時間がたってから見ると何だか・・・やっぱり、恥ずかしいです><

934 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/03(金) 21:43:02 [ Z7TRXvHc ]
tukaremasitaじゃなくてsageと入れとこうな

935 名前: d 投稿日: 2006/02/03(金) 21:44:04 [ F9AUKDBU ]
今日はミンナこの2枚で抜くんだー!!!
http://zerotai.com/gazou/102501002.jpg
http://zerotai.com/gazou/102501001.jpg

936 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 21:50:51 [ BjmG50gY ]
>>934
すいませんorz
ちょっとした遊び心で・・・
次からはsageるように心がけます><

937 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/02/03(金) 23:27:40 [ rYQYbVOY ]
>>ドリームさん
レイドを追ってミレル嬢、変態戦士ヴィードを従えいざ出発。
しかも、意外な協力者が出てきましたなぁ・・・。
昨日の敵は今日の味方とは、誰が言った格言か・・・。突然裏切られることが無いことを祈ります。

>>ともびさん
おっとスル君、属性は風でしたか・・・。どうやら、私の見当違いだったようですね。ハズカシイorz
さて、アーキ嬢をテイクアウト(ぇ ウルフマンはいつぞやのウィザードさんですかねぇ。
また、スル君のことを実験体と称していましたが・・・?続きが気になります。

>>初心者さん
そういえば、前回の感想で盛大にプレナンさんの名前を間違えましたねぇ・・・。
あ、シューティングは勘弁してください。
それはともかく、無事に一つの壁を越えることができたことはとてもいいことですね。

938 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/02/03(金) 23:27:40 [ QS1Cbi/M ]
>>初心者さん
お疲れ様です^^
重箱の隅を針でつつくほど細かいですが、
主人公の一人称は「俺」なら最後まで「俺」
「僕」なら「僕」で統一した方がいいと思います

939 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/03(金) 23:37:54 [ BjmG50gY ]
>>戦士のようださん
一人称が僕から俺に変化したのは、プレナンが少しずつ成長しているのを示したかったんですよ。
僕から俺へ。そして、俺から私へ・・・って感じで。
やっぱり、分かりにくかったですよねorz
そこら辺も分かりやすいよう、次から気をつけます><

>>南東方不勝さん
有難うございます
最後の方・・・ちらっと呼んでみたら・・・また赤面・・・
素晴らしいフォローを頂けた様な気持ちです><

有難うございました^^

940 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/02/04(土) 01:05:34 [ rYQYbVOY ]
>>921
「・・・・ッ、オオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
巨人の闘気が爆ぜる。原因はやはり、「俺」が姿を見せたことだろう。
ということはこの隊長、台地にいた群れの総大将か・・・。なるほど、なんて出鱈目な気迫。
それほどまでに俺が・・・いや、「俺の力」の存在が許せないのだろう。
「確かに俺は、あの時かなりの数のハイランダーを殺したさ。お前の怨嗟も当然だ。だが、俺も仲間を傷付けられんたんでな。きっちりやらせてもらう・・・!」
そうして俺は斧を構え、目の前の巨人と相対する。ピシっと、周りの空気が凍る。

ドンッッッッッ!!

先に動いたのは巨人、その踏み込みの速さはまさに迅雷。山のような巨躯が一気に間合いを詰める。
「ゲイル、俺の近くいたんじゃお前は邪魔なだけだ。さっさとレナ達と合流しろ!」
俺の搾取の範囲は無限ではない。しかしその反面、俺の近くにいればいるほど放出された魔力はより強く引き寄せられる。
それは敵が放出した魔力だけではなく、味方が放出した魔力も例外ではない。
まったく、魔法職と連携し辛いったらありゃしねぇ。
「えぇ、そうさせてもらいます。では、御武運を・・・。」
俺に背を向け、レナ達が向かったと思われる方向に走っていくゲイル。
ゲイルが走り去ってから数秒後・・・
「オォォォォォッッ!」
巨人の丸太のような足が、俺に襲い掛かってきた。

ガッキィィィィィィッッッッッ!!!

「がぁ、なんて重さだよ・・・!?」
襲い来る足を、愛用のバトルアックスで受け止める。
だが、その程度でこの巨人の蹴りの衝撃は流しきれない。斧越しにも関わらず、あまりの衝撃に体が悲鳴を上げる。
「だがなぁ・・・、押し合いで俺に勝てると思うなよ!!」
痺れる体に鞭を打ち、有りっ丈の力を込めて斧を押し出す。
「おらぁぁぁぁぁぁっっ!!」
「・・・・ッッ!?」
蹴り出した足を逆に押し飛ばされ、ぐらりと巨人の体勢が崩れる。
この隙を逃すほど、俺は甘くない。
ブゥンと、俺の姿が3つに重なる。手に持つ斧にはたっぷりと土の魔力を流し込む。
これにより俺の斧には猛毒が宿る。さぁ、耐えられるか!?

ブオンッッッ!!!

垂直・水平・直線の斬撃が複雑に絡み合い、巨人を粉砕せんと唸りを上げる。
分身術を利用した三撃一体の高等攻撃技術、襲い掛かるそれらは寸分違わず同時。完全に防御することはほぼ不可能・・・!
だが、少なくとも目の前の巨人にとっては、

ガウンッッッ!!!!

防ぎきるは容易ではないが、不可能でもなかった。
「なっっっ・・・!」
相手のあまりの技量の高さに言葉が詰まる。
「オォォォォ!」
そのまま返す刃で、巨人の肘撃ちが俺の顎に襲い掛かる。

ドッッッガァァァァァン!!!

「あがっっ・・・!」
肘撃ち一つで、俺は後方にあった岩壁に吹き飛ばされた。
あぁ、頭がぐらぐらしやがる。畜生、脳震盪か。
「オォォォォォォォォォッッッ!!」
止めを刺さんとばかりに巨躯が俺に向かって疾走する。
体は・・・、ふらつくが立てないわけじゃない。
両足は小刻みに震えているが、多少は踏ん張りが利きそうだ。一か八か、やってみるか・・・!
ぺっと口から血を吐き捨て、居合い切りの要領如く腰を落とす。
貪欲なまでに外界から搾り奪っていく魔力を斧に込め、目を閉じ精神を集中させる。
瞼越しでも世界は絶えず水面のように波打っている。大丈夫、そう簡単には倒れ(沈み)やしない。

グォォォォォォォォォッッ

空気が裂ける。それは巨人の一撃が俺に向かってきているということに他ならない。
そうして俺は、
「だぁぁぁらぁぁぁぁぁ!!」
迫りくる巨人の拳にソニックブローを叩き込んだ。それはあまりにも細く、それでいて強烈な破壊力を持って巨人の左腕を切り裂いた。
斧に流し込んだ魔力を利用し、真空波の放出範囲を限定・集中させることによって威力を大幅に増幅させたのだ。
尤も、威力が上がれば上がるほど範囲は狭くなる。まぁ、範囲を集中させるんだから仕方が無い。
巨人の左腕は、肩まで大きく裂けていた。
辛うじて切断は免れたいるようだが、骨は衝撃で砕け散り、肉は周囲を赤く染めるかのように飛び散っていた。
だがそれでも巨人は、
「オォォォォォォォォォオォォォォォォォォオォォッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」
退こうとはしなかった・・・。

941 名前: ともぴ 投稿日: 2006/02/04(土) 04:38:55 [ DXXt3lTo ]
>>282 >>310 >>333 >>424 >>477-478 >>503-504 >>544 >>581 >>868-869 >>906-907 >>929

アーキと狼男の去った後のシーフギルドに、静寂が訪れた。
オジもサチもケルビも目の前で起こったことが理解できず、
ただ呆然と狼男の出て行った出口のほうを見ていた。

『助かったってことで、いいのか?』

静かなシーフギルドに気の抜けたオジの声が響いた。

『どうやら、そういうことらしいな。』

ケルビはそう言い、ふぅとため息をつきその場に座り込んだ。
ケルビの安心した様子を見て、オジもサチも座り込む。

『それにしても、私達ってまるでお尋ね者だね。
今度からはもっと慎重に行動しないとね!』

おまえがそれを言うのか。とケルビは思ったが、
もはやそれを言葉にする元気もなかった。
それからしばらくまた沈黙が続き、
これからどうするのかということについて話し始めた。

『とりあえず何か食べたいんだけど。
俺こっちにきてすぐ寝ちゃったし、もうお腹ぺこぺこだよ。』

食事の話になったとたん、サチが元気を取り戻した。
サチは聞かれてもいないのに今日食べたものをオジに言って聞かせた。
サチの料理の話は妙にリアルで空腹のオジに大変なダメージを与えた。
サチが喋るたびに、オジの口はよだれであふれる。
料理の話をしているうちにサチもお腹が空いてきた。

『そうだ!スル、この街で一番おいしい料理屋に連れていってよ!』

サチがスルのところへ走っていくと、スルは泣いていた。

『スル・・・泣いてるの?』

スルはサチの話を聞いているうちになぜか涙が出てしまった。
サチの話す料理のことをもちろん知っているし、食べた記憶もある。
しかし、先刻アーキにその記憶は偽物と言われたのだ。
実際、自分も昔の記憶を完全ではないが思い出しているので、
アーキが言ったことを信じざるを得ない状況だった。
スルはその嘘の記憶とサチの現実の話の価値の違いを感じていた。

『サチ、ごめんな。悪いけど俺はこの町の料理屋なんて
どこにもいったことがないんだ。だから案内できないよ。』

悲しげなスルを見て、自分が料理の話をしていたことの
気遣いのなさに気づき、サチはスルに声をかけられずにいた。
そんな様子を見ていたオジは、急に立ち上がり大きく伸びをした。

『あー!もうそんなこと、どうでもいいんだよ!
スル、行ったことあるとか関係ない!とにかく店は知ってるんだろ?』

『え、ああ、知ってる。』

急にテンションの上がったオジに恐縮しつつスルが答えた。

『じゃあ行くぞ!もうお腹が減って死にそうだ。
更にサチのグルメトークが拍車をかけた。もう限界だ。
ほら、サチもぼけっとしてないで、立った立った!』

そう言いながらオジは出口へと歩いて行く。
オジの言葉を聞き、にっこりしながらサチが立ち上がった。
ケルビもゆっくりと立ち上がって出口へと歩いて行く。

『うん、私もお腹ぺこぺこだよ。』

『あれだけ食べたのに・・・』

ケルビはそう言うと怒られる前にペンダントへと戻っていった。
オジとサチは顔を見合わせて、そして笑った。
スルはその様子を座ったまま呆然と見ていた。
するとまた涙がこぼれたが、スルはその涙はさっきの涙とは違うと思った。
自分を哀れむ、悲しみの涙とは違って、どこか温かみを感じだ。
そんなスルを見て、オジが手を振りながらスルを呼ぶ。

『スル、何してんだよ。お前がいないと店がわかんないだろ。』

『あぁ、今行く。地元の奴しか知らない隠れた名店に招待してやるぜ!』

スルは涙を手で拭い、オジ達のほうへ走っていき、
3人はシーフギルドの外へと向かって並んで歩いていった。
シーフギルドの外はすでに漁師達の元気な声で賑やかだった。



オジ達の旅はまだまだ始まったばかりだ!
     ご愛読ありがとうございましたm(_ _)m

─END─

942 名前: ともぴ 投稿日: 2006/02/04(土) 04:39:58 [ DXXt3lTo ]
いわゆる一つの打ち切りでございます。
ほんとに申し訳ない。お恥ずかしい(´・ω・`)

943 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/04(土) 07:45:27 [ /HAjdmp. ]
>>初心者さん

私も初心者で感想とも言えるものではありませんが戦闘シーンでの臨場感が良く出てて良いと思いました

>>南東方不勝さん

迫力満点の戦闘シーンには日々脱帽です。私としては「垂直・水平・直線の斬撃が複雑に絡み合い、巨人を粉砕せんと唸りを上げる。
分身術を利用した三撃一体の高等攻撃技術、襲い掛かるそれらは寸分違わず同時。」という所が妙にカッコ良く聞こえました^^
この後どんな展開になるのか・・・・楽しみです

>>ともびさん

お疲れ様でした・・・サチ・・・太る予感が・・(ぁ
オジ達はこれからも永遠に冒険を続ける事でしょう・・・また良かったらこの続編等なども機会がありましたら読んでみたいと思ってみたり・・




「グオォォォォォォォォ!!!」そう叫びを上げて悶える数々のモンスター達
ミレルの瞬間的な突きは正に芸術物、的確に敵の弱点を狙い一撃で仕留める相手に反撃を許さない

「俺のこの一撃は・・・ちょっとばかし痛いぜ?」そう言うが否やヴィードの大剣タイタンブレードは唸りを上げて必殺の一撃を叩き込む
モンスターは一刀で両断されてしまった

「ヴィード、ミレル、遊びすぎだ一気に片付けるぞ!!・・・・」そう言うとバースは詠唱を始める見事なミレルとヴィードの連携でモンスターはバースに近寄ることすら出来ない
・・・・・・
「いけっ!!その獄炎ですべてを焼き払え!!」バースがそう叫ぶと杖の先端から火が何重にも連なった火炎がモンスター達を焼き焦がす

「あらかた片付いたな・・・・」三人同時にそう呟くと戦闘隊形をやめまた歩き出す

彼らはブリッジヘッドに向かい歩を進めるその途中でかなりの腕を上げていた、もはや古都ならずともアリアンという異端の地まで名を轟かせているほどだった
そして神聖な都市アウグスタに彼らは足を踏み入れた




「・・・此処が・・神聖な都市・・・・ね」そうヴィードが呟く
そう神聖・・・所かモンスターに踏み荒らされ人々は死に悶えていた

「仕方ないわ・・この頃モンスターが頻繁だし・・・ねぇ、バース貴方確か治癒魔法あったわね直してあげなさいよ」
「バカ言うな、俺の治癒は「生きている」者にしか効果はねぇよ、まっ・・途中で此処に寄ったビショップ達がどうにかしてくれるだろ」
バースは呆れたように壊れてない家を探しそこに泊まろうと言い立ち去ってしまった

「ねぇヴィード・・私達結構な日数旅してるけど・・時々バースがとても酷い人に見えるの・・私ダメかな?」
ミレルは少し泣きそうな顔で聞く

「まぁ・・・バースの言う事もあながち間違ってねぇよ、俺も「助けたいけど出来ない」・・・あいつだってそう思ってるのさ察してやれ」
「うん・・・・」
私は少し複雑だった・・・

「ミレルあぶねえ!!!!」そう叫ぶとヴィードが私に体当たりをしたきた
ミレルは何が在ったのかさっぱり理解できないしかし振り返ると・・・

大量の毒蜂に囲まれ苦しむヴィードが目の前に居た・・・ミレルはハッとしすぐに援護する
しかし相手は小さい毒蜂、ヴィードの大剣では相手が悪い、ミレルの槍でも効果的とは言えなかった
「チッ・・・あれやるしかねぇか・・」ヴィードはそう舌打ちすると・・・・

「うおおぉぉぉおおぉぉおぉぉ!!!」ヴィードの叫びが木霊する、すると青い龍が飛び出し毒蜂を薙ぎ払って行く
龍が消えた後には毒蜂は粉々になっていた、しかしヴィードの損傷が酷かった

「ヴィード!!大丈夫!!?しっかりして・・すぐに医者を連れてくるから!」そう言うとミレルは医者を求めて走り出す
しかし、そこは神聖都市などではすでにない・・・荒れ果てたただの「物気の殻だ」当然医者など居るはずもない

「ヴィードは薄れ行く意識の中こう思っていた」

ミレ・・・ル・・が無事で・・良かっ・・た、ヴィードは意識を失った・・・

944 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/04(土) 08:02:10 [ /HAjdmp. ]
ヴ・・・・ド・・・ヴィ・・・・ド・・・・





「ヴィード!!」ヴィードは眠い意識の中少しだけ目を開けた・・・・・・
そこには泣きじゃくりながらも毒の治療をしてるミレルと忙しそうに治癒魔法を続けるバースの姿があった

「良かった・・・・ヴィード・・全然目が覚めないから・・死んじゃうかと思ったよ・・・」
ミレルは安心したのか余計に涙が零れる
「まったく・・・俺が居たから良かったものの・・・治癒魔法が無かったら死んでたぞ・・感謝しろよ」

「ヘッ・・ありがとよ・・あんまり楽になってねぇけどな」そう悪態つく
「そんだけ悪態つければ十分だ、俺は近くに生き残ってる奴がいないか探してくる」
そういい残すとバースはどっかに言ってしまった

ミレルとバースは重い雰囲気・・・・
「ホント・・にごめんね・・・」数十分後ミレルがそう口にした
「バカ・・何油断してたんだよ、あんな羽音も気づかないんじゃいくら命があったって足りないぜ」

「うん・・・・・・・・今度からはもう庇わなくて良いよ・・」
「バカ・・・惚れた女庇うのは男の役目だろ」

沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「え・・・・?」ミレルの鼓動が高鳴る・・・顔は見る見る真っ赤に染まり目を逸らす

「バカ・・変な・・冗談やめてよね」
「冗談じゃねぇよ・・・」ヴィードは真剣な眼差しでミレルを見ている
ミレルはその顔にドキドキしていた・・・
普段はぶっきらぼうで、図太い彼だが顔は意外にも整えられている
そのギャップがますますミレルの鼓動を飛躍させる

「・・・プッ・・・あははははバカ、冗談に決まってんだろ」ヴィードは笑い転げる
「こ・・・この・・・・アホンダラガァァァァァァァ!!」そう言い放つとミレルのビンタがヴィードを襲った

「もう知らない!あんたなんて勝手に死んじゃえ!!」

バタン!!
そう言い放つと、強めにドアを閉める

「はははは・・は・・はは・・・・・ホント・・バカ野郎・・」そう言うとヴィードは深い睡魔に襲われた

945 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/04(土) 19:19:06 [ CXLgw98c ]
受験勉強しないとだめなのに投稿。

古都ブルネンシュティグ。
過去の栄華と現代の繁栄を持ち合わせたおそらく現時点で最大であろう都市。
けれど、それと同時に溢れるのが犯罪。
他人をだまして高価な値段で物を売る、ひたすらに叫び続ける
街中で突然暴れだし隕石を降らせる者など犯罪者は後を絶たない。
古都ブルネンシュティグの国家公務員たちが下した決断は『暗殺者』の導入。
国家公務員たちにとって苦渋の決断だった。
だが仕方がなかった。
次々と溢れるハンターとしての誇りを失った凡愚たちに
再び自覚と誇りを思い出させるにはこれしか思い浮かばなかった。
そして一人の暗殺者が選ばれたのである。

「君にはこれから我々が命令する人間を殺し続けてもらう」
「…」
「大丈夫だ。報酬は弾もう。国自体の予算は余ってるんだ」
「…」
「新米ハンターへの支給品は安くてな…」
「…」
「聞いてるのか、ティム」
「…ああ」
「わかったら早速行ってもらうぞ?」
「…」
「ああ、それと君は世間では『シーフ』というジョブだということにしなさい」
「…」
「さすがに暗殺者を世間に知らせるわけにはいかないだろう?」
「…わかった」

後にブルネンシュティグは大変革を遂げるのである。

続きそうだ…('A`)

946 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/04(土) 19:37:55 [ CXLgw98c ]
──最初のターゲットは…剣士『スタン』か…──
古都ブルネンシュティグに繰り出してくる女性はみな華があった。
結果、売春等、わいせつな行為をする者が現れる。
今回のターゲット『スタン』もその一人だ。
──『分身による十字切りに注意』…か…──
スタンは街中ではなく、銀行などの裏道、人目につきにくい場所で女性の声をかけていた。
犯罪が見つかりにくい場所は、人を殺しても見つかりにくい場所。
──鎧をつけていない…今回は楽に終わりそうだな…──
木の幹によりかかり、帽子を深くかぶり、決して顔を見られないようにする。
そして、奴が油断しきった瞬間を狙う。ティムにとってはあまりにも簡単すぎるものだった。
「〜〜〜〜〜〜」
スタンが通りかかる女性に話かける。
そして女性が走って逃げていき、スタンが、がっくりと肩を落とす。
──今だ…!!──
人を殺すのに特化したティム愛用のダートが驚くほどの速さでスタンの首元を目指す。
が、相手もなかなかの勘の持ち主だったようだ。
彼は右手に持ったハイ・ソードで見事にダートを弾き飛ばしたのだ。
「誰だ!」こちらを見つめ、怒りに震え、叫び声をあげる。
──気づかれたか…──
この場での『始末』は無理と判断したティムはマントをたなびかせ逃げる。
「逃がすか!」それを見て、走り出すスタン。
「あのやろう、大きな通りに出やがるつもりか!」
噴水につながる大通り、そこに出れば人を探すのは難題。
「だが…特徴はしっかりと捉えてる…あの野郎、つっかまえて八つ裂きにしてやる!」
・・・・・・・ティムの姿はない。
「どこだ…どこに消えやがった!出て来い!」
大通りを通る人々がスタンのことを見るが、彼はそんなこと気にしなかった。
「うるさい男だ…」
その言葉を聞いた瞬間、スタンの腹には無数の切り傷があった。
「がっ…!」 倒れこむスタン。
「悪く思わないでくれ、国家命令だ…」

次の日、新聞にはこう書かれていた。
『売春犯、無残な死に方。未だに調査始まらず』

947 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/02/04(土) 22:11:57 [ QS1Cbi/M ]
今日、いつもより暇だったので自分の書いたものを読み直してみました。
そしてこう思いました。死ねばいいなぁ、と…orz
-----------------------------------------------
>>945-946
受験勉強がんばです。

>>初心者さん
やはりそうだったのですね。個人的にはモンスターたちを倒した後に
「俺」変えたほうがいいと思います。

>>南東方不勝さん
自分は>水面のように波打っている が好きです。

>>ともぴさん
終わってしまいましたね…orz
凄い先が気になります。いつまでも待ってます。

>>ドリームさん
つんでれの予感?これから三角関係が始まると大胆予想してみます。

948 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/05(日) 00:53:16 [ B6qXt6Tc ]
轟々と炎が上がっている。
夜の帳を切り裂く、大きな炎。
日の出までまだまだ時間があるというのに、まるでそこは昼間のように明るかった。
空が、炎で焼かれているのだ。
あたりに、音を出すようなものは無い。
聞こえてくるのは、炎の演奏。
「あぁ…なんて綺麗な…赤」
陶酔しきった声に、空気が震える。
あたり一面の炎のなか、彼女は一人酔いしれている。
におってくるのは、レンガの焼ける匂い。
つんと、鼻を刺激するそれは、彼女の酔いを加速させる。
「ママー!」
炎の演奏を乱す音が聞こえてきた。
不快な音だ。
「あぁ、なんということでしょう」
彼女は火照った顔で声の発生源を見る。
そこにいるのは、寝巻き姿でぬいぐるみを抱えている小さな女の子。
顔中煤だらけで、泣きそうになりながらも必死に母親の姿を求めている。
だが。
「ピュッ!!」
不思議な音が聞こえたと同時。
女の子は、地面にトスっと倒れた。
「…ふふふふ」
快楽の宴は…まだ、始まったばかりなのかもしれない。

949 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/05(日) 00:53:49 [ B6qXt6Tc ]
ここは、始まりの街「古都・ブルネンシュティグ」
人々が賑わい、露店が所狭しと並び立つ活気のある街だ。
人が多いということは、それだけ問題もあるということで。
この街にいれば、職にあぶれるということは無いとすら言われている。
「お久しぶりね」
一人の女が、露店の主人に話しかける。
女は背中に矢筒を下げており、手には槍を構えていた。
その動きに隙はなく、多少の心得のある者なら一発で彼女の実力を図ることが出来るだろう。
「ようジェシ、久しぶりだな。どこまで行ってきたんだ?」
この女…ジェシと露店の主人は顔見知りなのか、笑顔で会話をこなしている。
「今回は砂漠よ。砂は口に入るわ、髪はチリチリになるわで最悪よ」
「はは、そらまたついてなかったな」
ジェシは、しかたないわと苦笑をこぼす。
今回の旅は、とある人の依頼で砂漠にあるという隕石の欠片を回収してきたのだ。
途中、道に迷いそうになるわモンスターの群れに遭遇するわで、今生きているのが不思議なくらいだ。
だが、そんなことは些細なこと。
この仕事を続ける限り、いくらでも体験するいつものこと。
「ほれ、例の物だ…」
話が一段落したところで、主人は一つの荷物を取り出した。
差し出されたのは、厳重に鍵のかけられた小さな箱。
「あら、もうおわったの?」
「あぁ、俺も拍子抜けしたね。もうちょっとかかるかと思っていたんだがな…」
ジェシが受け取った箱の鍵を開けると、中には小さな指輪が入っている。
「うん、完璧ね。ありがとう」
「いやなに、俺は信頼できるやつに頼んだだけさね」
ジェシは何の躊躇もなく、指輪を手に取ると指にはめた。
その指輪をつけると、不思議と力がみなぎってくる気がする。
「あ、そうそう。これはお土産ね」
依頼の途中で寄った砂漠の中の村リンケン。
そこで売っている名産品。

950 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/05(日) 00:54:15 [ B6qXt6Tc ]
主人の大好物だ。
「おぉ、こいつはすまねぇな。いやいや、ありがたや」
ほくほくと渡された袋の中身を覗き込む店主は、本当に嬉しそうで買ってきた甲斐があるというものだ。
「また、機会があったら買っておくわ」
「おう、そいつはすまねえな」
「ところで、仕事の依頼とかない?」
主人は、ジェシの言葉に店の横に張ってある張り紙を指差す。
「今あるのはあれだけだ。とりあえず、お前さんに名指しの依頼はないね」
「そう…」
不特定多数への依頼は、あまりいい仕事が無い。
それに、考えてみればさっき仕事が終わったばかりだ。
懐もそれなりに暖かいし、急ぐ必要も無いだろう。
「またあとで寄るわ」
笑顔で手を振り、露店を後にする。
とりあえずは、食事にしよう。
旅の生活で保存食の毎日だったため、新鮮な食事がしたい。
家に戻って料理をしてもいいけど…うん、今日は外で食べましょ。
そう決めたら後は早かった。
近所の宿屋へ足を向ける。
多くの場合、宿屋は食堂も一緒にかねている。
ここも、そんな宿屋の一つだ。
「いらっしゃーい!!」
昼時を少し過ぎているため、食堂はそれほど混んではいなかった。
適当なイスに座れば、ウェイトレスがメニューを持ってやってくる。
「やっほ〜、ジェシ。最近見なかったわね」
メニューを持ってきたのは、知り合いの女性。
ここの看板娘だ。
「ええ、ちょっと砂漠まで行ってきたの」
「砂漠……大変ねぇ」
「そうでもないわ」

951 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/05(日) 00:55:18 [ B6qXt6Tc ]
メニューもみずに、ジェシは注文をする。
ここの店には、すでに何年も通っている。
メニューなど見なくても、なにがあるか分かる。
「はいはい、まいど」
そういって、メニューの変わりにすぐに注文の品が出される。
「…はやいわね」
品を確認してお金を出す。
「うちは早くておいしいことが売りだから」
「嘘おっしゃいな」
「あはは、まぁあんたとは長い付き合いだからね。顔を見ただけで注文が浮かぶわよ」
なんだかなぁと思いつつも、お腹がすいていたので嬉しいことに変わりは無い。
「ね、ジェシ。食事中に悪いけど、一つ聞いていい?」
「ん〜? 何よ」
「あんた、憲兵隊に追われるような事して無いわよね?」
ジェシの動きが止まる。
「え、なに、まさか…」
「や、やぁねぇ、そんなわけ無いじゃない。あんまりにも突然すぎて、思考が止まっただけよ」
といいつつも、思い当たらないでもないジェシではあったが。
「ま、私も冒険者だからね…ぎりぎりのことは何回かやったけど、表立って追われるようなことはして無いわ」
そんなことするわけ無いじゃないと、再び食事にとりかかる。
「でも、なんでまたそんな事聞くの?」
「うん…ちょっと、嫌な噂聞いちゃって」
ジェシは食事を取りつつ話に耳を傾ける。
冒険者にとって、情報は時に命にかかわることにつながるかもしれない。
どんな些細な事でも、噂は気になる。
それに、噂は時に大金を呼ぶ。
儲け話は、冒険者の生活源だ。
「うん…あのね、この間、兵士の人が話してたんだけど…東にある村が一つ焼き払われたらしいの」
食事をする手が止まる。
村が…焼き払われた?
「それでね、村の中で生き残った人からの話だと…犯人は、弓を持っていたんだって」
「あんたね…弓を持ってる人間なんて、腐るほどいるわよ」
「そりゃ、そうなんだけど…女性で弓を持っていて…ね?」
言う言葉が無い。
心配してくれることは嬉しいが、私がそんなことをするはずが無い。
「安心しなさいな、私はさっきまで西に依頼をこなしに行っていたんだから。東の村なんて、焼けるはずが無いわ」
「そりゃ、あんたがそんなことするとは思って無いわよ。でもね、女で前線に出て戦う人って少ないじゃない」
彼女の言葉に、私はあきれてしまった。
「はいはい、私が逆恨みされるかもって言うのね? ご心配どうも」
「もう…でもさ、どうしてその人は村を焼いたのかな?」
「そんなの知らないわよ。ま、そんな酔狂なことをやる人なんて、狂ってるかよほどの恨みがあるかしかないんじゃない?」
「それとさ…犯人って、どうも一人らしいのよね」
「え?」
「だから、火をつけたのはその弓女一人でってこと。どうやったのかしら?」
空になった皿を持って、彼女は厨房へと立ち去る。
たった一人で?
ジェシには、考えも付かないことだった。

952 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/05(日) 00:55:59 [ B6qXt6Tc ]
今日はこれまで。
長編に挑戦か!?

953 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/05(日) 19:21:34 [ 2wuzmoMg ]
次は〜?

954 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/06(月) 14:40:58 [ AEyMKCcc ]
>>戦士のようださん
つんでれ・・・意味がわからなくて検索してようやく理解しました(ぁ
それは後のお楽しみー

>>復讐の女神さん
長編は色々と大変な部分がありますが頑張ってください。あと私だけかもしれませんが時々空欄を挟まないと見づらい感じがしました

>>943-944

ヴィードが傷を負ってから数日が経ち、彼は見る見る回復していった
「さてと・・ヴィードも回復したことだし・・・出発しましょ」ミレルはせっせと準備を始める
あの日以来ミレルとヴィードは会話をしてなかった
「さてと・・・いきましょ」ミレルは一足先に外に出る、外には此処アウグスタの状態をようやく知った古都ブルンネンシュティング
からのビショップ達が怪我人の治療に当たっていた、しかしビショップと言えど限界もあるおいそれと人を蘇らせられるわけではない

アウグスタを立ちしばらく歩くと綺麗な川として知られるブンド川についた
「綺麗・・・」その余りの綺麗にミレルは見惚れてしまった

しかし・・此処ブンド川は綺麗すぎるためモンスターにも絶好の住処となっている
案の定ビッククラブが数匹・・・というより数え切れないほど沸いた
「さてと・・・久し振りの戦闘ね・・良く見てなさいよ!」
「ミレル・・誰に言ってるんだ・・?」
バースの素朴な疑問を無視し蟹達の群れに飛び込むと同時にいきおい良く槍を振り回す
その速さは蟹の動きを軽く凌駕していた

「さーて・・・こっちもおっぱじめますかぁ!!」戦うのを待ちわびて居たかのよいにヴィードが斧を振り回す
だがただたんに振り回してるわけではない
的確に弱点を突きなおかつ剣圧を飛ばし敵を退ける誰が見てもヴィードとミレルに触れられる者は此処にはいないだろう

だが敵は蟹だけでは無かった、途中からリザードルーパーが現れた、彼らは的確に攻撃し乗っている馬により動きも俊敏だ
正に現代の言葉を使うならヒット&アウェイを得意とするモンスターだった

「ふっ・・・だが・・俺のこの魔法からは逃げられんさ!!」バースは叫ぶと杖の先から水が零れ出る
「今水の汝に問う・・・(以下略、目の前に愚か気俗物の命を立たん!!」
そう叫ぶと同時に杖から水が一気に噴出されリザードルーパーを包み込み・・・

        バン!!

一気に破裂させた、「行くよヴィード!!」ミレルがいきおい良く叫ぶ
「よし・・来いミレル!!」それに答えてヴィードも叫ぶ

「エレメンタースレイド!!」二人が同時に叫ぶとヴィードは青き龍を放ち
それに合わせてミレルが槍を回す、ミレルの槍に龍が宿ったかのように自由自在に敵を蹴散らす
それが決め手となりすべてのモンスターを倒した

「ふう・・・じゃあ急ぎましょ・・ブリッジヘッドに!」
「おう!!」
「そうだな・・・」

各々の返事を返し彼らの行く先は一つだった

955 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/07(火) 20:09:27 [ QJM6YB4s ]
食事を終えて店を出る。
今日は天気がよく、日差しがまぶしいくらいだ。
ジェシは、思わず手で日差しをさえぎって、目を細める。
「ま、砂漠のほうがすごかったけどね」
手を下げて歩き出すと、とりあえずは荷物を置きたいと思い、自分の家へと向かう。
家に帰ったらしなければならないことの手順を、考える。
家の空気を交換して、おじ様に旅の報告をして…。
「おじ様に、またなにか言われるだろうな」
前回はお見合いだった…おもわず思い出してしまい、うんざりする。
あの金持ち男の、一体どこがいいのだろうか。
親が金持ちで、親の金を使って好き勝手やっている。
それに…。
「う…思い出しちゃった」
あの性格は、どうにかして欲しい。
一種のトラウマとさえなっている。
「やぁ、私のジェシ」
「そうそう、こんな……え?」
おもわず相槌を打ってしまっていた。
慌てて声の主を振り向いて…ジェシは固まった。
「あぁ、また偏狭まで行ってきたんだね、可愛そうに」
男は、ジェシにいきなり抱きついていた。
周りがザワザワと騒ぎ立てるが、気にした様子も無い。
「もう大丈夫だよ、私と一緒になりさえすれば、そんな苦労は必要ないんだ」
男の手がジェシの髪を梳いたところで、ジェシは鳥肌を立てて男を突き飛ばした。
女とはいえ冒険者につきとばされ、男は盛大に倒れる。
「あ、あなたねぇ!」
「いてて…つれないなぁ、ボイルと呼んでくれよ」
「う……」
そう、この男。
名をボイル・ゾルフィードといい、例の…お見合い相手だ。

956 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/07(火) 20:09:54 [ QJM6YB4s ]
私が、苦手とする男。
「私は疲れているの、あなたの相手をしている暇なんて無いのよ」
「あぁ、ならうちのベットを使うがいい。最高級のベットだ。もちろん私が添い寝をしてあげよう」
ジェシは頭痛がしてきて、こめかみを押さえた。
あぁ…私、なんて不幸。
起き上がって、体に付いた埃を叩き落す彼を見ながら、ジェシは自分の運命をかみ締めていた。
「あぁ、いたいた。ボイル、勝手に走り出すなよな」
私とボイルを遠ざけるように人垣が割れていたのだが、その中に入ってくるものがいる。
「ん? なんだ、ジェシが帰ってたのか。なるほどな」
うんうんとうなずいているのは、がっちりした体つきの男。
ラフな格好をして入るが、隙が無い。
「ラディル、コレの管理はあなたの役目でしょ。しっかりしてよ」
「いや、申し訳ない。3人で買出しに来ていたんだがな…急に走り出したんだ」
楽しそうに笑うこの男は、ラディル・アルテシア。
屈強な剣士だ。
その剣さばきは、ジェシも認めるところである。
「3人で?」
「あん? あ…やば、ビシュカのこと忘れてた」
「忘れてた、じゃないですのよまったく…」
ラディルの後ろから声が聞こえ、声の主が現れた。
頭まですっぽりかぶるローブを身に着けた、背の低い女の子。
「まったく、兄様たちはすぐに私のことを忘れて…」
「悪い悪い」
むくれてはいるが、その姿がほほえましくあるのは、彼女の長所だろう。
「お帰りなさい、ジェシお姉さま」
「…お願い、やめて」
そんな彼女の名は、ビシュカ・ゾルフィード。
彼女に姉と呼ばれ嫌な感情はわかないが、ビシュカはあくまでジェシとボイルが結婚することを前提に姉と呼ぶ。
ジェシにはそれが、悲しくも悔しくもあった。
「2人とも、仲良く元気そうでなによりだわ」

957 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/07(火) 20:10:22 [ QJM6YB4s ]
ビシュカを抱きしめラディルをみると、彼は照れた様子で頬を掻いている。
「うらやましいんですの?」
ビシュカが誇らしそうにラディルを見つめている。
そう、この二人は付き合っているのだ。
はっきり言ってビシュカはラディルにはもったいない。
ラディルはその日暮らしの冒険者。
ビシュカはお金持ちのお嬢様。
でも、本人達が幸せそうなので私としては特に文句は無い。
「ジェシお姉さま、私たちまだ買い物の途中なんですの。ご一緒しませんか?」
抱かれたまま、ジェシにお伺いを立てる。
ジェシは少し考えるフリをして。
「ごめんなさい、この背中の荷物を家に置いてきたいの」
「そうですの…」
「ごめんね、ビシュカ。あ、ラディル。それ、ちゃんと管理しておいてよ」
やわらかさと温もりが寂しくはあるが、ビシュカを手放し肩をぽんとたたく。
「うん、それじゃまたね」
ボイルがまだなにか言いたそうにはしていたが、私は無視して3人に背を向けた。

中級階層の住宅街の一角。
そこがジェシの家である。
ジェシが生まれ育った家だ。
「ただいま」
家の中に入ると、家中に響く声で帰宅を宣言する。
しかし、返事が帰ってくるわけも無い。
この家の住人は、いまやジェシ一人なのだから。
だが。
「ガタン!」
今や倉庫と化した部屋から、物が落ちる音が聞こえてきた。
はっとなり、背中の荷物を落として弓を構える。
こんな狭いところで、槍を振り回せるわけが無い。

958 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/07(火) 20:11:05 [ QJM6YB4s ]
「でてきなさい! 今の音、気づかないとでも思ってるの!?」
ドアから多少の距離を置き、床の近くを狙う。
しょせんこそ泥だ、足でも狙って一発当てれば逃げられないだろう。
「あのさ、なにやら殺気をビンビン感じているんだけど…気のせい?」
ドアの本の隙間からこぼれてくる声は、男の声。
おどけている声は、ある程度の余裕がありそうだ。
しかし、油断はしない。
会話で気を緩ませ、隙を突くつもりだろう。
「えぇ、気のせいだといいわね」
「はは、やっぱ気のせいじゃないんだ」
ドアが勢いよく開き、なにか大きな塊が出てきた。
それを正確に射抜く!
音速を超える勢いで、矢は命中する。
だが。
「はっずれ〜」
矢が当たるとほぼ同時に、さらに部屋の中から何かが出てくる。
素早い動きでこちらへ向かってくる。
その動きの速さは、次の矢を構える暇などないだろう。
それに、低い動きで捉えずらい。
だが。
「甘い!」
矢を番えることなく、弓ですくうように打撃する。
「え、まじ!?」
こそ泥はおどろき、しかし勢いがあったため顔面に正面からぶつかってしまう。
弓を使うものは、基本的に矢に頼りがちになる。
もっとも、それは当たり前のことだ。
弓とはそもそも、矢を遠くまで飛ばすために作られたのだから。
だが、私は冒険者。
普通じゃないやり方も使えなければやっていけない。
「さ、観念しなさいこそ泥。この家が誰の家かわかって忍び込んだのかしら?知らなかったとしたらご愁傷様。
知っていたとしたら…えぇ、分かっているわよね?」

959 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/07(火) 20:20:12 [ QJM6YB4s ]
>>ドリームさん
あぅ…実は、そうじゃないかな〜と思っていたんです。
ですが、切れている部分がないため、ああなりました。

>>ともぴさん
(´ー`)y-~~お疲れさま

960 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/08(水) 01:29:20 [ aCpXS0qI ]
前スレ960です。久しぶりに書いてみました。
はっと思いつき、20分くらいで書いた文章なので読みにくいかもしれません。

そろそろコテハン考えた方がいいのかな?まぎらわしいですね。



『さあ、俺に触れてみろ。力が欲しいのならな。』
赤い石が悪魔に語りかける。
「力…これで私は強くなれるのか…」
黒い悪魔は手を伸ばす。ゆっくりと…ゆっくりと…
『そうだ!お前は全てを超越する力を手に入れる!もうお前は誰にも屈することは無くなる!』
悪魔はもう赤い石の誘惑の言葉に抗うことはできなかった。
悪魔が赤い石に触れる。
赤い石が光り輝く。その光は暗い神殿を照らした。
「ぐっ!あ、熱い!!ぐわああぁぁぁぁぁ!!」
悪魔はとっさに手を放そうとする。だが手を放すことができない、何故か体を動かすことができない。
『ハハハ!触れたな?俺に触れたな?ハハハハハハ!!ついにこの時がきた!俺は肉体を手に入れた!!』
赤い石は狂喜する。体が手に入ったと言い大声で笑う
「ど、どういう事だ!?私に力をくれるんじゃなかったのか赤い石よ!」
『力はやるさ。だがその体は俺がもらう。俺の'本当の肉体'が生まれてくるまでは俺が使わせてもらう。
 別に文句は無いだろう?約束通り力はお前の肉体に宿るのだからな。ハハハハハ!』
赤い石の言葉に悪魔が反論する
「そんなことを認めるわけが無いだろう!今すぐに俺の体から離れろ!」
『うるさい!お前は黙って俺に体をよこせばいいんだよ!耳障りだ、消えろ』
赤い石がそう言った後もう二度と悪魔の声が聞こえてくることは無かった…

『さて、ここから逃げ出すとするか。』
悪魔の体は赤い石に奪われてしまっていた。もう悪魔の意識が目覚めることはないだろう。
悪魔は赤い石を持ち上げ、そして体に押しつけた。
赤い石が悪魔の体にめり込んでいく。
悪魔の黒い体が赤く染まっていく。徐々に徐々に赤くなっていく。
『力が…力がこみ上げてくる…これが俺の力か。これが俺の力なんだな。フフフ…
 さあ、ここを出よう。あの美しき地上界へと降りよう』
今頃天使達と人間達が此処とは違う大神殿で争っているところだろう。
『ククク、馬鹿な人間共め、悪魔が流した嘘にまんまとハマってくれた。おかげで俺はここを容易に出ることができる』
その時神殿に一人の傷ついた天使が入ってきた、おそらく俺を人間達に奪われないように場所を移そうとでも思ったんだろう。
全く馬鹿な奴等だ警備兵を全て投入しなければ人間共を抑えられないのだから。
自分たちの力を過信するからこうなるんだ。
まぁ、こちらとしては好都合だったがな。
「な?!なぜお前がここにいる!そこから離れろ悪魔め!!」
天使がこちらに向かって飛んでくる。

961 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/08(水) 01:29:55 [ aCpXS0qI ]

そうだ、この天使で自分の力を試してみよう。

赤い悪魔が天使に手を向ける。『殺してやる』ただそれだけを考え、力を天使の方向に集中させる。
次の瞬間天使が炎に包まれた
「うわああぁぁぁぁぁぁ!熱い!熱いぃぃぃぃぃ!!!」
空中で燃え上がった天使はまるで不死鳥のようだった。
『ハハハ!なかなか美しいじゃないか!どれ、傷を治してやろう』
もう一度天使の方へ手を向けて集中する。すると天使の体から傷が消えていく
「はぁ…はぁはぁ…」
天使の乱れた呼吸音を聞きながら悪魔は手を天使の方に向け続けている。
『おいおい、まさかこれで終わると思っているのか?
 残念。お前にはもう一度燃え上がってもらうよ。そして苦しんで灰になれ』
再度天使の体が燃え上がる。先程よりも激しく燃えている。
「あああああああ”あ”あ”あ”!!!!」
『苦しいか?苦しいか!?そうか苦しいか!!
 俺も苦しかったぞ!この神殿に拘束され続けて!お前らに裏切られて!!
 お前らに俺の苦しみがわかるか?体を炎に包まれるよりも苦しかったぞ!
 もっと苦しめよ!俺と同じくらい苦しめばいい!!』

いつしか天使は動かなくなっていた。炎も消えて灰だけがそこに残っていた。
『素晴らしい、この力があれば俺はもう誰にも縛られない。やっと自由になれる』
歓喜の涙が悪魔の頬を伝う。
『これが涙か…本当なら自分の体で流したかったが、贅沢は言えんか』
そろそろこの神殿を出るとしようか。神殿の壁を殴りつけ穴を開ける。
外の世界。夢にまで見た世界。外は暗くて空気が冷たかった。
下を見ればそこには地上界。美しい世界。過去に一度だけ見た世界

一歩踏み出す。もうそこに天上界の地面はない
悪魔は羽を広げる。赤いコウモリのような羽。
その羽を羽ばたかせ宙に舞う

『待っていろ天上界の者ども!俺は必ずお前らに復讐してやる!必ずだ!俺は忘れないぞ!お前達の裏切りを!!
俺の本当の体が生まれたときがお前らの終わりだ、それまで必死になって俺を探せばいい!
俺は地上で復讐の時を待つ!俺を見つけてみろ、死にたくなかったらな!
俺の力を使って永遠の命を手に入れた事を後悔するがいい!
お前らはずっと俺から怯えながら暮らしていくんだ!!ハハハハハハハハハハハハ!!!!』

赤い悪魔は地上に降りていった。
悪魔の体は赤い石から発せられた光を纏い地上を照らし、真っ暗な地上の世界を赤い光で染め上げる。
このまま世界は燃え尽きてしまうのではないかと思えるような凶暴な赤さであり、
この世に存在するどの赤よりも悲しい赤だった。

世界は新たな時代を迎えようとしている…
天上界・地上界・地底界に住む者達の運命が狂い始めた…



続く可能性もあります

962 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2006/02/08(水) 21:50:44 [ w.GcnQKc ]

 Wind - little summer...


 風が運ぶ、草原に広がる沢山の生命たちの声が聞こえる。その声はさまざまな感情や、時には生死分かつようなものまでさまざまだった。
空を見上げれば、青くどこまでも広がる汚れ無き大気の層が広がっている。何時までも、どこまでも続くその青。そこに白い雲が一つ、群れを成すわけでもなく、また自分の存在をアピールするでもないその雲、まるで…僕にそっくりだった。



 Act.1:青空



 先の大戦、古都ブルネンシュティング全土を巻き込んだ一つの争いが終結してから早二年。英雄を称えた二つの石碑の前に僕は居る。今まで何千…いや、何万という人がこの石碑を訪れただろう。
赤い宝石が招いた一つの不幸、最初は小さく些細なことでも…人はそれを増幅させていく。
これからも、あの時と同様な事件がおきることは明白であった。それは、人が持つ感情の根源にそって引き起こり、欲望という名の悪魔に駆り出されて人は罪を犯す。
 僕もきっとそうなのだろう、誰もが抱く欲望という感情を持ち、誰もが抱く憎悪を持ち合わせている。それが人であり、生命だ。
この石碑は、それを暗示しているかのようにそこにあった。まだ見ぬこれからの先に続く一つのレール。それは自分が歩き続ける運命という名の道。
 それが、どこで曲がり、どこへ向かうかは自分でも分らない。だからこそ生きていくのが楽しい。そう思っていた。
時に人は悪魔へと姿を変貌させる。それは…きっと僕にもいえたことだったのだろう。

963 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2006/02/08(水) 21:51:12 [ w.GcnQKc ]


 大戦より1年、稲が育ち、収穫の時期を目前に控えた季節。
僕は大きな城門が解放されている西の城門前にいた、そこは豊かな草原が広がり、商売人たちが大きな声を上げて商品を説明している。冒険者達が最初に訪れる場所として有名な場所でもあった。
英雄達の石碑もそこにある、冒険者達が始めて訪れる古都で一際目に付く創作物、それが石碑だった。
もちろん僕もこの町にたどり着いて始めに目にしたのがこの石碑だった。
 噂は聞いていたけど、予想をはるかに超えたその威圧感。見るもの全てに希望を与え、そしてこれから始まる個々の生命たちを勇気付ける物。僕はそう感じた。
 僕の名前はユラン、『ユラン・F・エルフィート』。魔法都市スマグ出身のどこにでも居る新米ウィザードの一人だった。年は15よりは多く、23よりは少ない。僕は石碑を見て回った後少し静かな場所を探した。
そこはその石碑が小さく見える場所より、石碑がまだその存在感で威圧感を感じるほどの距離にある小さな丘の上。草花が生えていてまだ廃坑していない場所だった。
 いっぱしの冒険者になる、それが僕の夢だった。それも先日までの話…。
僕が基準としていた冒険者とは、いったい何を基準にしていたのだろう。両親の反対を押し切り、学園を飛び出してきたのはよかったが、実際この古都にたどり着いてからというもの、僕は自分の無力さに痛感させられることになる。
 学園で見た先輩や、見たことも無い年上の上級ウィザード。彼らもまた同じ夢を抱いて飛び出してきたものだと僕は信じている。…しかし。
 僕に彼らほどの力は無く、才能も無かった。何が冒険だ、何が冒険者だ。酷く現実を見せられた僕はその丘で横になって空を仰いでいた。
「…。」
ただどこまでも続く静かな青、その色は人々の悲しみを象徴するかのように青かった。そこに一つの雲が浮かんでいる。
あぁ…きっとあの雲は僕自身なのだろう。
僕と同じで、集団から離れ、何かをするでもなくたださまよっている一つの雲。それは僕によく似ていた。
「…あの〜。」
どれくらい空を眺めていただろうか、僕はうとうとと転寝(うたたね)をしているところだった。そこにかすかだが女性の声が聞こえた。声からすると年は10より大きく、16より小さい。そんな印象を受けた。
「…あの、お一人ですか?」



青空 END

964 名前: ◆21RFz91GTE 投稿日: 2006/02/08(水) 21:53:30 [ w.GcnQKc ]
こんばんは〜、おげんですかぁ?

皆さんお久しぶりです、お騒がせ21Rです;;
パート3まで続けば投稿しようかと思ったのですが、ネタが思い浮かんできたものでつい;;
またちょっと鬱系で進むかもしれませんが、その辺は愛嬌ということでスルーしてくださいな。
では、またしばらくお世話になりますね〜。

PS:前作のネタを少し引きずってますが、9割型関係ありませんのでご了承ください。

965 名前: LB 投稿日: 2006/02/09(木) 01:01:54 [ dAw6gIdE ]
このスレで他の方にレスを返すのは初めてになります。
今まで時間がない時間がないで言い訳してきて正直、逃げていました。
せっかく私の作品に感想を頂いているのに、いい加減な態度で………猛省しています。

>>21R様
第一話の文を拝見した時、冬の古都の情景が不思議と頭に浮かび、画面前でワクワクドキドキしていました。
思えば21R様が書き始めて、私も書いてみたいという衝動に駆られたのでした…
証拠に私の作品の舞台も冬、となっています。
因縁めいた人物達の活劇、そして壮絶な最後。そしてそれは次代の物語へ繋がってるようで、ますます好奇の疼きが止みません。
楽しみにしています。

>>FAT様
初期の方は悲しい逸話はあれど、なんとまぁ和やかなお話だろう…等と思ってました。
特に旅立ちと古都での様々なやり取りは、読んでいて自然と目尻が下がる程です。
暗く辛い展開――潜在していたフプレの苦しみは別の人格、シエルとして………暴走を。
それに巻き込まれたマリスもまた、堕ちていく様…、しかし最後には和解出来てよかったです。
私はその後、生きている事を望みます。
また気が向きましたら、いつでも書き手として…どうぞ!

>>名前がない@戦士見習い様
簡潔な動作や台詞で構成された文でありながら主人公の感情や思考が不思議と滲み出ていて、とても読みやすく、また斬新に感じました。
無駄な部分が多くて読み辛い私にとっては是非とも見習いたい点です。
ワイルドチックって…何か焦がれませんか?

>>サマナの人様
魅力的な登場人物達に惹かれます。強い女性って…崇高ですよね?
戦闘時のフィーナの掛け声は、熱いですね、燃えてます、熱血です、反復でした―――以上。
ハイネのスペックは出し抜かれちゃいました。まさか…寄生者だったとは!
色々と裏切られては歓喜を覚えます。終幕を楽しみに待っています。


総評、といった形ですが…残りの方はまた後日に、申し訳ありません…

966 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/02/09(木) 10:54:19 [ rYQYbVOY ]
まだ、続きはできていませんが溜まりに溜まった感想レスをば

>>ともびさん
お疲れ様でした。
また、気が向いたら書きにいらしてください。

>>ドリームさん
おぉ、ヴィードさんの想いは成就するのでしょうかねぇ?
自分もツンデレなるものを期待しながら続きを待ってます。

>>945-946さん
初めまして^^
まぁ、受験勉強の息抜きは必要ですよ。
さてさて、殺すことで平和を守るスタンの行方や如何に?

>>復讐の女神さん
冒頭の焼き討ちシーンにはちょっとびっくりしました。
それにしてもジェシ嬢、気乗りのしない婚約相手の扱いには相当困ってるみたいですね。
妹さんは、なかなかに良い娘ですのに・・・。
さてさて、ジェシ嬢の家に忍び込んだこそ泥の正体は?

>>960-961さん
ども、お久しぶりです。
前スレに引き続き960レス目での投稿ですか・・・。
なんというか、不思議なものを感じますね。
さて、赤い悪魔はこれからどのようにして世界に影響を与えていくのでしょうか?

>>21Rさん
おぉ、お帰りなさい^^
舞台はあれから2年後の世界。
石碑のもとから旅立った一人のWizの物語ですか・・・。
続きを期待しています。

967 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/09(木) 13:23:44 [ A22EieZU ]
こんな長い感想を絵スレでも貰ってみたいもんだ…

968 名前: 南東方不勝 投稿日: 2006/02/10(金) 00:36:22 [ rYQYbVOY ]
>>940
―――バヘル台地―――

ブオンッッ、ガキィン、グザグザグザッッッ!!

「ウヒョヒョヒョヒョ、やっぱり脳味噌筋肉の奴らは片付け易いお。」
また一体、ハイランダーを仕留めサキエルはご機嫌に声を上げる。
仕留められた巨人はまるでハリネズミの如く、無数の槍に貫かれていた。
「ウヒョヒョ。久しぶりに暴れると楽しいお。」
サキエルが戦闘に参加したことで、この台地の戦いはの行く末はもう日を見るより明らかだ。
台地を埋め尽くす数多の黒。それら全てが十数体余りの巨人に襲い掛かる。
だが、巨人達も無抵抗にやられているのではない。
「標的確定(ターゲットロック)・・・、特殊行動(コマンド)・・・入力(インプット)!」

シュカァァァァァァァンッッッ!

弓を携えた巨人が黒(サキエル)の群れに、大量の矢を扇状に放つ。
放たれた矢は、多くの分身達を一撃の下に葬っていく。
葬られた分身の数はおよそ二十体。その巨人の周りから黒が一瞬、その存在を消す。
だが・・・、
「ウヒョ、頑張るねぇ。じゃあ・・・、次は十倍だお。」
黒はその密度を増して、再び巨人を飲み込まんと殺到する。
サキエルの象徴の一つである「幻影」。それが表す能力が、この尽きることの無い分身達。
さらに生み出された分身は、ある一つの能力を除いて本体と同等。
しかしその数の多さ故か・・・、分身達の耐久度は著しく低い。恐らく、病気で弱ったコボルトの一撃でも撃退は可能だろう。
だがそんなことは、この能力の前には関係ない。一撃の下に消滅させられたとしても、現れる分身の数は無限。
一で無理なら十で、それでも無理なら百で、なお無理なら千で・・・。尽きることの無い、暴力の群れ。
確かに、一対一(戦闘)に関しては最弱であろう。されど、複数対複数(戦争)においては最強・・・。
故に、この台地において巨人達の勝利はありえない。
「ヒース・・・。確かにアンタの言うとおり、あのいけ好かないアマと協力して正解やわ。」
アニーが目の前の光景を見つめながら、本音を漏らす。
「あぁ自分もそう思うよ、アニー・・・。よもや、これほどとは・・・。」
きっと、あのまま彼女の提案を断っていたら自分達もこの荒れ狂う流れに飲み込まれていただろう。
また一体、また一体と巨人達が黒の大河に沈んでいく。だが、その流れの中で未だに沈まぬ影が一つ・・・。
「ウガァァァァァァァァァァァァァッッッ、コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス!!!!!!!」
荒れ狂う黒の奔流をものともせずに、副長と呼ばれていた巨人はサキエルに迫っていく。
相容れぬ相手とはいえ、今は同志。アニーと目を合わせ、サキエルの援護に向かおうと走り出す。
「あぁ、お二人さんはそこに居ていいお。つか、居てもらわないと巻き込んじゃうお。」
しかし、当の本人はあっさりとこれを拒絶した。

ドシュウウウウウウウウウウウウウウ!!!

巨人が弓より放つ槍により、本体(サキエル)への道が拓かれる。
「ウガアァッアァァァァァァァァァァ!!」
もう巨人は目前。この状況において援護を拒絶するとは、正気の沙汰ではない。
「強がり言うてる場合か、さっさと逃げや!」
しかし、この後の出来事により自分達二人は彼女のその言葉が、冗談ではないことを思い知った。
「うるさいお・・・、黙って見てろ。」

グサッ・・・!

そういうや否や、彼女は手にした槍・・・ウィンタークロウを自身のみに突き刺した。
「何を・・・。血迷ったか、ヴェロニカ!!!」
何を馬鹿なことを・・・!
「――地に堕ちて、私の血潮は猛り羽ばたく――」
そう唱えた瞬間サキエルの背中の古傷から血が噴出し、
「なんや・・・、これ・・・。」
禍々しき真紅の翼を生み出した。
「頑張った隊長さんにご褒美だお・・・。たっぷり、味わって欲しいお。」
紅き翼が振るわれる。翼より放たれた羽(血)は、

ジュジュジュジュジュジュジュジュジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・!

「ヒッギ・・・、アァァァッァァァァァァァ!!!!!!」
眼前の巨人を溶かしつくした。

969 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/11(土) 12:09:34 [ vcCOZcdk ]
>>954

アウグスタを立ち3日目の事だった

激しく雨が降り落ち、雨音が響き、薄暗い景色をかもし出す
「まったく・・・この雨じゃあ前が見えずらい事この上ないわね」ミレルは雨をを鬱々思いながらも歩を進める

「そうだな・・・あの日のような雨だな・・・」バースはボソっと呟く
ッ!!
「その話しはやめて!!」ミレルが突然叫ぶ




雨の音が世界を支配する・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・ぉ・・ブリッジヘッドだぜ、俺もう腹ペコペコさっさと行こうぜ」ヴィードは周りの雰囲気を察してかわざと明るい口調で振舞いながら駆け出した
苦笑しながらもバースも走ってそれを追う

「まったく・・あの二人は・・・」そんな事を思いながら歩・・・こうとすると何かが聞こえてくる

・・ちゃりん・・・ちゃりん・・・・ちゃりん・・・・・ちゃりん
「鈴・・・?・・・嫌・・違うわね・・何かのアクセサリー・・な気がする」

そう・・この音には聞き覚えがあった、レイドが何時もつけていたシルバーアクセサリーの音に似ている
「レイド・・・・?」
そう問い掛けるとその音が速くなりだんだん遠くに行き始めた
ミレルが追おうとするがすでにもう音を途絶え、手がかりもない・・・

「レイド・・・だったのかしら・・でもなんで逃げたり・・・違うわね・・私の聞き間違えよね」
無理矢理自分を納得させミレルも急いでブリッジヘッドに向かう

970 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/11(土) 12:31:54 [ vcCOZcdk ]
ブリッジヘッドについたミレル達は休みたい所だったが軽い食事を済ませすぐにバリアートに向かった

「なぁミレル・・ブリッジで休んで行かないのか・・?」
「ええ・・私達が決行しようとしてたベスペンから盗む時刻まで速く行かないと間に合わないから・・・ところで」

「なんであんた達そんな速いのよ!?」ミレルは不満に叫ぶ
同じ速度で歩いていたはずが何時の間にかずいぶんと前に居る

「ヘイストだよ」バースはしれっと言う
「私にもかけろよ・・・・」
「疲れる・・・・・」
おい!!と言いたかったがミレルもかなり疲れていたので無駄に叫ぶのはやめておいた

そうこうしてるうちにヘイストのおかげかかなり予定より速くバリアートについてしまった
「ところでー」突然ヴィードが口を開く

二人の眼差しがヴィードを捕らえる
「どうやってベスペンの屋敷に入るの?あいつの家かなり警備きびしいし裏口なんて存在しないぞ」


                沈黙

「なんとかなるわよ」投げやりに答えるミレル
「バースは元はあいつらの仲間だったんだろ?それを利用してはいれねぇのか?」
ヴィードは自分自身で最高の答えを編み出したつもりだった
「残念だったな、もうすでにベスペンにはてめぇとはやってられねぇともう言ってしまっている」

ぉぃぉぃ・・・と思いながらヴィードは首を振る

ザワザワ・・・
「なんだ・・・あの人だかりは・・?」三人は不思議そうに近づく
そこでいきなり通行人に押されてどんどん前に押されて行った

「いたっ・・・こらぁ押しすぎた!」ミレルが叫ぶ


「貴方がたが招待されたリビーラ一家様ですか?」
ハッと気がつくと目の前にはとても大きな建物が立っており標識にはベスペンの館と書いてある

「そうです」とすかさずバースが話しを合わせる
「どうぞ。これからパーティが始まりますのでお急ぎください」

そう言われると奥のお手伝いさん達に案内され部屋に入った

「これからどうなるのー」と不安で一杯のミレルだった

971 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/11(土) 13:07:56 [ vcCOZcdk ]
バースはスーツ、ヴィードは原始人の服・・・ではなくてスーツに着替えさせられミレルを外で待っている

「まったく・・・ばれなかったから良い物のいきなりはいそうですはないだろバースー」
「その話しはもう聞き飽きた、ばれなかったのだから良しとしようじゃないか」

バースは長い金髪をゴムで止め、少しばかり変装していた
「なんかさ・・・・お前・・女みたいに見えるよな」ヴィードは率直に感想を述べる

バースは聞き流した・・・というより答えられなかった
ドアがその瞬間に開き、顔を赤く染めたミレルが居てドレスが似合いすぎていた

「どう・・・かな・・変じゃ・・ないかな・・?」もじもじしながらミレルは二人に聞いた
「ぁー・・・本当にミレルか?」

ビシッ

強烈なビンタがヴィードを襲う
「うん・・・ミレルだな・・・・」

「とても良く似合っているぞミレル、薔薇100本でも君の美貌に勝てはしないだろう」バースは他の人なら照れそうな言葉はペラペラ話す
「バースこそ良く似合ってんじゃん、とりあえず速く行こうか」
ミレルは恥ずかしそうに歩いて行った

「確かに・・・・」ヴィードはバースを見ながらしみじみそう思った、縛っては居るがふわふわの金髪に加え、歩き方、言葉遣い、どれをとっても紳士になっていた




しばらく歩くと大広間に出た「皆さん、このベスペンの屋敷にようこそ、今日のパーティは特別な物です。存分に楽しんでください」

そう言うとパーティは始まったらしく立派なドレスを着た女性やスーツを着こなす男性達がお喋りを始めていた
「これはこれはリビーラ一家の皆さん」と突然声を掛けてきたのは標的であるベスペンだった

「ど・・どうもベスペンさん」と苦笑いで挨拶するミレルだったが一応通じたみたいだ
「奥様と旦那様はずいぶんとダンスが旨いと聞いていますのでぜひ踊ってみてくれませんか?」

突然ダンスの話題に変わる、もちろんダンスなんてやった事があるわけない、なんせ盗賊ですから
「わかりました」と短くバースが返事をする

ミレルの手を取ると手の甲に軽くキスをしリードしていった
「私ダンスなんて踊れないわよ!」小声でミレルがそういう
「力を抜け、リズムを合わせろ、俺が全部リードしてやる」そう言うとミレルを抱きしめ踊り始める

ミレルは言われたとおり出来る限りの事はした、だがミレルは正直そんな事は考えていなかった
「バースって・・・良い香りだなー・・」と思いながら少しウトウトしながら踊っていた

「ミレル・・・もう終わったぞ」バースが耳元で囁く
ミレルは気がつくとバースにしっかり抱きついていた「ご・・ごめん」そう言うと離した


「貴方様・・・何をこんなところでやっているのです・・・」いきなり知らない青年に声を掛けられた
「バース・・・知り合い?」そう言うと

「貴様・・この方は何方と思っている・・・この方はブルン最後の王の名を継ぐ御方でもあり、ロマの王子でもある」



「バース・ロマ・シュトラディバリ様に在らせられるぞ!!」青年はとても大きな声で叫んだ

972 名前: ドリーム 投稿日: 2006/02/11(土) 13:10:33 [ vcCOZcdk ]
なんか点々拍子で進んじゃって少し物語として面白くないかも・・(ボソ
少しラブコメチックになってきた・・・
次巻からは少し戦闘の方を強化していきます・・・(汗

973 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/12(日) 09:55:37 [ QJM6YB4s ]
「痛てて…弓で殴るなんて、反則だぜお姉さん」
弓でしたたかに撃ちつけた鼻が真っ赤になり、目は涙交じりだ。
その手にはダガーが握られているのが、見て取れる。
黒の服に動きが見づらくなっているが、私には気配だけで十分だ。
衝撃で落ちた帽子を手に取ろうとするのを、止める。
それに、この気配は…。
「動くな」
「おいおい、帽子くらい良いだろう?」
「盗賊は、何をしでかすか分からんからな」
そう、ただのこそ泥ではない…これは盗賊だ。
「この街に最近来た者か…ふん、盗賊組合にもまだ連絡をしていないようだな」
「あん? あぁ、昨日来たばっかりでよ…なんでんなこと分かるんだ?」
「ふふ、組合に行けば分かることよ。安心しなさい、私が連れて行ってあげるから」
矢を納め、彼に手を差し出す。
彼はこちらが殺気を納めたのを察したのか、顔に当てていた手を納めて帽子を取り、もう片手でジェシの手を取る。
「あぁ、悪りいな」
「謝る事はないわ。おやすみなさい」
「は?」
次の瞬間、ドスンという鈍い音が響いていた。

相変わらずふざけた様子のこの男、名前をイゾルデというらしい。
大層な名前だが、親の付けた名前だろうから文句は無い。
ただ、顔を合わせてからというもの、妙に物静かで、その視線には怒りすら感じる。
ジェシとしては、特に彼に恨まれることはした覚えが無いので(もちろん投げたことは換算しない)困惑するしかない。
だが、彼に恨まれていたとしてもやることはやる。
荷物を置いて、掃除したい部屋の様子を眺めつつ縄を取ってイゾルデを連れ出す。
連れて行く場所はもちろん盗賊組合。
通称、闇だ。
もっとも、古都の闇は名前と裏腹に情報屋としての一面も持ち、一般市民にも認知されている。
だが、市民が知っているのはあくまでも情報屋としての一面だ。

974 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/12(日) 09:56:27 [ QJM6YB4s ]
盗賊をまとめている事までは知らない。
「こんにちは」
店の中に入ると、ジェシは店員に向けて手で合図をする。
裏に回せという合図だ。
店員も心得たもので、あくまでもさりげなく二人を裏へと連れて行く。
連れてこられたのは、机とイスだけがあるただの簡素な部屋。
「ここだ、入れ」
店員は、机をずらし床板をはずす。
そこには、地下へ続く階段があった。
「案内、ご苦労様」
「いやなに、お嬢の案内だ、当然ですよ」
適当に愛想を振りまいて、階段を下る。
「なあ、そろそろこの縄ほどいてくれないか?」
「もう少しよ、これくらい我慢しなさい」
階段をおりきると、3つのドアが顔をのぞかせる。
そこには、見張り番が強面で立っている。
相変わらず、隙が無い。
「長に会いたいわ、通して」
「……分かった」
彼は私の顔を確認して、長に通じるドアを開けてくれる。
私は軽く礼を言うと、そのドアを通った。
その先にもいくつかドアはあるが、ジェシはなんでもないように歩いてく。
「ずいぶんと、構造に詳しいな」
「昔、ちょっとあってね。それに…あ、ここよ」
最後のドアをくぐると、門番の2人が立っている。
二人はジェシの顔を見て一度頷き、ドアをノックする。
「入れ」
中から声がかかり、縄を引いて二人して入る。
そこには、机に1人とその後ろに2人の合計3人がつめていた。
「久しぶりだな、ジェシ。また綺麗になったか?」

975 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/12(日) 09:58:05 [ QJM6YB4s ]
「どちらかというと、汚くなったの方が正しそうだけど…?」
声をかけてきたのは机の男。
長身痩躯で、針のような雰囲気を持っている。
彼が、このギルドの長だ。
「はは、砂漠からは今日帰ってきたんだものな」
「ええ、おかげさまで無事仕事は終わったわ」
「で、今日の用件は? 残念ながら我が組合は、彼の事は認知していなかったのだが」
「分かっているわよ。彼の処分と、世話をお願いに来たの」
そういって、縄を解きイゾルデを開放する。
彼は、縄を解かれて腕をさすっていたが、すぐに目の前の男に注目した。
「じゃ、私は行くわ。用事も終わったし」
「そうかい。気をつけて帰ってくれ」
「ええ、ありがとう」
彼の処分に、ジェシがかかわる必要は無い。
長に任せたのだ、闇の面子もある、いい加減なことはしないだろう。
「想像したく無いしね」
その一言で、ジェシの頭の中は今日の予定に切り替わった。
ある程度の時間的余裕は考えていたので、特に変更する必要は無いだろう。
ただ、余裕の分が消えただけだ。
地下から出て、表に戻り店のドアをくぐる。
「さて、おじ様に挨拶にいかなきゃ」
あの人のことだ、いまごろ聖書でも読んでいるかもしれない。
ジェシの足は、自然と早くなっていた。

976 名前: 復讐の女神 投稿日: 2006/02/12(日) 10:07:36 [ QJM6YB4s ]
>>南東方不勝さん
複数対複数においては無敵ですか!
ある一点という部分が気になります。

>>ドリームさん
お、王様〜!?
今後の展開が気になります!

977 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/02/12(日) 20:44:49 [ QS1Cbi/M ]
ギルド戦争を描いた話を書いた。
けども相当グロテスク…うpしていいのかな?

978 名前: 戦士のようだ 投稿日: 2006/02/12(日) 20:52:57 [ QS1Cbi/M ]
自己解決しました。連レスすまそ。

979 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/13(月) 00:24:27 [ K431ijow ]
>ある一点

 『己を傷つけ、霊血にて攻撃』ではなかろうか・・・

「・・・こんどは針でチクチクしてみるお☆」 つん・・・ぼひゅっ!

「―――やっぱりだめだったお★」

980 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/14(火) 10:45:38 [ 8H3v6EOU ]
次スレ立ってるんだけど
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1139745351/l50
何処の早漏だ?

981 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/14(火) 15:58:56 [ BjmG50gY ]
俺の名はプレナン。今、俺は聖騎士認定試験を受けている。
聖騎士認定試験とは、ブルネンシュティング騎士団の中で、多くの功績を上げたり、戦闘力の高さが認められた者のみが受けられるものだ。
聖騎士を名乗ることを認められるということは、騎士達にとって最も名誉なことで、同時に中級の貴族と同等以上の権力を得るということだ。
今、聖騎士と名乗ることを認められているものは、8人だ。
その中に、俺の師匠、ケイルンもいる。
その聖騎士認定試験だが、8人しか居ないことからも分かるとおり、とても難しい。
今まで、これを受ける事ができた騎士達は、100人を超えるそうだ。
その中で、生きて帰ってくる者が半分程度。
上の人間も、さすがにこれでは貴重な人材がどんどん減っていってしまうので、単独では無く、2人組みでこれを行うことにしたらしい。
その分、難易度も上がっているらしいが。
「このあたりに、そこへ続く道があるはずだな。」
そして、こいつがその試験のパートナーである、ベノン。
「その筈だ」
俺たちは、廃坑の地下2階にいる。
此処は以前、ティレンドという者の依頼を受けた時に通った事がある道だったので、地図にも記録してある。
案の定、すぐに見つかった。
「此処だな・・・よし、行くぞ。」
敵も大して強くない・・・というより、今の俺にとっては雑魚だった。
だから、そこへ行くのは容易だった。
俺の経験では、此処みたいに雑魚が多い場所の近くの所は殆ど雑魚しか居ない。
ただ、たまに飛びぬけて強い敵が居る場合もあるので、そいつだけを警戒していれば良いと思っていた。
だが・・・
「ぐ・・・こいつら・・・ただの雑魚じゃない・・・!」
クリーパーの攻撃を盾で防ぐ。
しかし・・・
「うぁっ!」
何が起こったのか、一瞬分からなかった。
「大丈夫かっ! ぐ・・・てぁっっ!」
ベノンがクリーパーを袈裟切りで真っ二つに切断する。
気づくと、俺は少し離れた場所に飛ばされていた。
「どうやら、クリーパーの攻撃で弾き飛ばされたようだな・・・」
そういえば、最近一部のモンスターが特殊な能力を使うようになったと聞いた事があった・・・。
「そうらしいな・・・ただの雑魚では無いらしい。気をつけるよ。」
「あぁ」
此処は、異様に大量のモンスターが居た。
大量のモンスターと遭遇するたびに、いちいち倒しては進むと時間が掛かってしまうので、俺達は依頼者の元まで、出来るだけモンスターを避けながら行くことにした。(基本的に依頼をこなす事が、試験の内容だ。難易度は他のクエストの比では無い物が選ばれるが)
そうしているうちに、依頼者の元へ辿り着いた。
その男は、平静を装っているつもりで、どこか怯えているような雰囲気で俺達に依頼内容を伝え、早く行くように促した。
結局、何をすれば良いのか聞いただけで、どんな攻撃をしてくるのかなど、比較的重要な情報は得られなかった。
しかし、何もしない訳には行かないので、早々に最初のターゲット、デビルガードの元へ向かった。

982 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/14(火) 15:59:23 [ BjmG50gY ]
「あいつか・・・。」
ベノムの視線の先には、黒いマントをなびかせた、赤いモンスターが立っていた。
「見たことの無いモンスターだな・・・。」
依頼者は、何をすれば良いかを教えただけで、そいつがどんな攻撃をするのかなど、詳細な情報は教えてくれなかった。
「あれがどんな攻撃をしてくるか分からない以上、背後から近づいて、速攻で倒してしまうのが良いだろう。」
「いや・・・正体が分からないからこそ、慎重に近づいて、攻撃を防いで隙を作ってから、確実に攻撃を入れたほうが良いと思う。」
一理あるが・・・。
「しかし、中には盾で防げない攻撃をしてくるものも居るらしい・・・やはり、気づかれる前に・・・。」
「そうだな・・・。」
会話を打ち切った後、壁に隠れながら、敵の隙を伺う。
敵が背を見せた瞬間・・・
「今だ!」
俺達は、背後に回り、パラレルスティングを撃とうとした・・・。
その時
「!!」
敵が振り向いた・・・すると、体に激痛が走った。
「ぐぅ・・・一体・・・?」
「フハハハハ!貴様ら小童が、この私に敵うとでも思ったか!貴様らがそこに隠れていたのは、とっくに気づいておったわ!」
敵が高笑いをした。
思わず怯んでしまう2人。
そこを・・・
「愚か者め!」
顔を笑みに歪め、腕を高く掲げ・・・振り下ろした。
すると・・・
ドバァァァァ
すさまじい炎が生まれた・・・
その炎から生まれる風だけでも、相当の威力がある・・・。
「うあぁぁぁぁぁぁっ」
炎と、それが巻き起こす風に巻き込まれ、壁に叩きつけられた。
「う・・・うぅ・・・」
気を失いかけた・・・その時、
「プレナン・・・これを・・・使え・・・」
息も絶え絶えに、ベノンが巻物を差し出してきた・・・。
帰還の巻物。
スマグで作られる魔法のアイテムで、使用すると一瞬で町に帰ることが出来る。
「すまない・・・。」
そういうと、それを開いた。ベノンも同時に開く。
「逃すかぁ!!」
敵が腕を振り上げた瞬間・・・
体がほのかに光る光に包まれ、軽い浮遊感がした・・・

983 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/14(火) 17:47:14 [ BjmG50gY ]
巻物の効果で、町に戻ると体力も回復していた。
「ぐ・・・くそ・・・」
屈辱だった。
あれ程訓練し、騎士団の中でも随一と言われる程強くなったのに、まるで子供のように何も出来なかった。
ベノンも同じ思いを抱いたらしい・・・。
拳を地面に打ちつけていた。
しばらくして・・・。
「ベノン・・・どうしようか。」
「それなんだが・・・あのモンスター、ウィザードのフレイムストームにとてもよく似た技を使っていた・・・。」
ウィザードの技に、そんな物があったのか・・・。
俺は、魔法の事なんて殆ど知らなかったから・・・。
「ウィザードといえば・・・スマグか。」
「あぁ・・・スマグに行けば、何か分かるかも知れない。」
スマグ。
古くからブルネンシュティングと親交のある都市で、そこの魔術師達は宮廷ウィザード達よりも豊富な知識を持っているらしい。
「とりあえず、スマグへ行ってみるか。」

そして、スマグ。
「此処がスマグか・・・初めて来たな。」
「初めてだったのか。俺は、昔師匠に連れられて1回だけ着たことがあるだけだし・・・。」
「お互い、スマグの事は良く知らないみたいだな・・・。」
仕方が無いので、町にいるウィザードに話を聞いてみることにした。
だが・・・
「パブル鉱山?知らないね。」
「パブル鉱山?知らないわ。」
「それより、この噴水の事、知ってるかい?」
など等・・・。
殆どの人間は、パブル鉱山の事すら知らなかった・・・。
「俺は知らないが、ゲンマ様なら知っているんじゃないか?」
まともな話が聞けたのは、10人以上から話を聞いてからだった。
教えてくれた人物に礼を言うと、ゲンマさんの元へ向かった。
そういえば・・・
「ゲンマさんって・・・確か、師匠がデビ・ロンを退治した時に一緒に戦った、戦友らしい。」
「そうなのか?」
「あぁ・・・此処では、ゲンマさんは師匠と同じようなもの・・・簡単には話が出来ないかも知れないな・・・。」
デビ・ロンは、昔古都に現れた赤い悪魔の仲間で、すさまじい強さを持っていた。
師匠らがデビ・ロンと戦い、追い詰め、最終的にはソゴム山脈でデビ・ロンを倒したが、復活する恐れがあったので、決して出てくることが出来ないよう、特殊な空間魔法を掛けて封印した。
その際、デビ・ロンを倒したのが、師匠やゲンマさん達だ。
特に、古都ではケイルンさんが、スマグではゲンマさんなどが英雄視されている。
そのゲンマさんと会うのは、とても難しいと思う。
「とにかく、ゲンマさんがいる所へ行ってみよう。」
「あぁ。」
俺達は、ゲンマさんがいると教えられた場所へ向かった。

984 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/14(火) 18:51:55 [ BjmG50gY ]
「すいません ゲンマ様とお話がしたいのですが、会う事は出来るでしょうか」
スマグギルドの窓口の職員に話しかけた。
「ゲンマ様なら、あちらで休憩を取っておられます。」
「有難うございます。」
驚いたな・・・こんなに簡単にゲンマさんに会えるなんて・・・。
横に居るベノンも、どうやら同じ感想らしい。
少し拍子抜けした顔をしている。

そして、しばらく行くと・・・。
「ふぁ・・・むにゃむにゃ、うん?何か、ご用でも?」
どうやら、眠っていたようだ。
「ゲンマ様、私は、ブルネンシュティング騎士団のプレナンと申します。」
「同じくベノンと申します。」
「ほぅ・・・騎士団の方々が、何の御用かの?」
「はい。実は・・・」
此処までの経緯を、簡単に説明した。
「ふむふむ・・・それは、おそらくデビルガードというモンスターじゃな。」
デビル・・・ガード?
聞いたことの無い名前だ。
「デビルガードですか?」
ベノンも知らなかったらしく、聞き返している。
「そうじゃ。奴は、その眼光で敵の体に直接ダメージを与えることが出来て、さらに強力なフレイムストームを使う。」
最初に激痛が走ったのは、眼光によるダメージだったのか・・・。
「どうすれば、デビルガードを倒すことが出来るのでしょうか?」
「眼光は防ぎようが無いでな・・・フレイムストームに対抗する為、火属性と風属性に耐性のある物を装備するか、ビショップに協力を頼むか・・・。それが、主な手段じゃ。」
魔法属性抵抗効果のある装備・・・殆どの魔法攻撃は、盾で防ぐことが出来たので、ろくな物は持ってない・・・。
ビショップ・・・ゲンマさんと同じように、師匠の戦友のジャキドさんなら知っているが・・・他にビショップの知り合いは・・・。
「すいません。他の方法は無いでしょうか?あいにく、ビショップの知り合いも、装備も持ってないもので・・・。」
「そうか?じゃが、騎士団に頼めば装備やビショップを紹介して貰えると思うのだが・・・。」
「我々は今、聖騎士認定試験を受けている最中なのです・・・。」
聖騎士認定試験中は、騎士団の力を借りてはならない。
騎士団の力を借なければ何も出来ないという事にならないようにする為だ。
だから試験中は、騎士団の力で何かをするというのは、禁止されている。
「そうだったのか・・・ん?まてよ・・・。聖騎士認定試験にプレナン・・・。」

困惑しながらゲンマさんを見ていると・・・。
「おぉ!思い出した!お主、ケイルンの弟子のプレナンじゃな?」
「は・・・はい。そうですが・・・」
「やはりそうか!ケイルンから話は良く聞いているよ・・・。素晴らしい才能を持っているというが・・・どれ。」
ゲンマさんは、じ〜、と僕を見つめる。
「ほぅ・・・これは。確かに、以前のケイルンと同じような雰囲気があるな・・・良し。そこで待っていなさい。」
何のことだか分からず、思わずベノンの方を見る。
ベノンも何が何だかわからない様子で、僕の方を見てきた。

985 名前: 初心者 投稿日: 2006/02/14(火) 18:52:25 [ BjmG50gY ]
しばらくすると・・・。
ゲンマさんが鞄を持って来た。
「実はな・・・以前、ケイルンからお前が聖騎士の試験を受けると聞かされてな。その時に相談をされたら、力になってくれる様頼まれたんじゃ。」
師匠・・・
「最近、すっかり忘れておったが・・・。さぁ、これを持って行きなさい。」
「これは・・・」
「これは、ドレイクハスクといってな。昔わしが使っていたんじゃが・・・火属性の攻撃からお主達を守ってくれるんじゃよ。わしは力があまり無いなので、防御力は少々低いがな。」
ドレイクハスク。
幼いドラゴンの皮で作られた鎧で、火属性の攻撃に対して高い耐性を持つ。
とても珍しく、そして高価だ。
こんな物を貸してくれるなんて・・・。
「それから、これも持っていきなさい。エーデルゴンドという指輪で、風の攻撃をいくらか防いでくれるはずじゃ。」
エーデルゴンド
エルフ達が作った、不恰好な指輪。その真の姿は、真の主に会った時にだけ現れる。と言う伝説がある。
これも非常に珍しく、そして高価。
こんな物、騎士団でもそうそう借りる事は出来ない。
それをこんな簡単に・・・。
嬉しい反面、何処か釈然としなかった。
こんな物を貸してくれるなんて・・・でも、師匠が頼んだからであって、俺は何も・・・
そんな思いが拭いきれなかった。
すると・・・
「プレナンや。」
「はい。」
「お主達にこれを貸すのは、ケイルンに頼まれたからでは無いんじゃよ。」
え・・・何で・・・?
「フォッフォッフォ。何で考えが読まれたか不思議・・・そういう顔をしておるな。年を取ると、その者の考えている事が何となく分かるんじゃよ。魔法の力などでは無くてな。」
「は・・・はぁ。」
やはり・・・ゲンマさんもすごいな。
師匠とは違うけど、何か・・・こう、全てを見透かされるているような気がする・・・。

その後、ゲンマさんにイビルガードの事や、バフォメットの事について教えてもらった。
「では、わしは用があるので、これで失礼するよ。」
「はい。お気遣い、感謝致します。本当に有難うございました。」
ゲンマさんは、それを聞くと奥へ歩いていった。

「準備も整ったし・・・パブル鉱山へ、戻るか。」
「あぁ・・・。」
2人は、再びパブル鉱山へ向かった。

986 名前: リ・クロス 投稿日: 2006/02/14(火) 21:45:49 [ 6DQpDUN. ]
猛烈な勢いで森を食らいながら突進してくる龍の様な炎の壁を
巨大な大剣を持った人影が、それを垂直に軽々と振ると衝撃波が発生して
炎の龍を蹴散らし、それを放ったものに襲い掛かった。

空中に浮かんでいるそのものは、まるで巨大な影の如き体を動かすと
再び、龍のような火炎を放って衝撃波を相殺した。
間髪を入れずに巨大な影は火の玉を無数生み出すと
大剣を持っている影に向かって凄まじい勢いで撃ち放った。

「っっつ!」

大剣を持った影――――赤黒い髪をしている青年は背中に大剣を納めると
側転を連続で繰り出して、大量の火の玉をかわしていく。
しかし、一発の火の玉が直撃の道筋で青年に向かって飛んでくる。

「甘い!!」

側転の勢いに乗った蹴りによって、火の玉を影に向かって弾き飛ばすと
納めている大剣を取り出して、下段に構えて精神を集中させる。
弾かれた火の玉を腕で弾き飛ばすと、巨大な影は高く飛び上がると
先ほどの数倍強大な炎を眼下の青年に撒き散らした。

987 名前: リ・クロス 投稿日: 2006/02/14(火) 21:49:31 [ 6DQpDUN. ]
「荒ぶる火の精よ、邪悪の意思に染まりしものに裁きの火炎を!
焼き払え!フレイムストーム!!」

青年が剣を大きく上に振り上げると、巨大な火炎が生み出されて
巨大な影に向かって襲い掛かった。

「!?」

巨大な影は青年が炎を放った事に、驚愕した様な動きを見せると
そのまま一瞬、動きを完全に静止させてしまった。
その時間は、瞬きを一回も出来ない程の刹那だったが
その刹那でも戦場では大きな隙となってしまう。
眼前に迫った炎の嵐を急降下をして回避するが・・・・・・

「バーニングスラスト!!」

何時の間にか飛翔していた青年は、自ら放った火炎を剣に纏うと
大上段から影に向かって打ち下ろした。

「・・・・・・――――!!」

縦に真っ二つに切断されてしまった巨大な影は
断末魔の声を上げながら、炎の濁流の中に消えていった。
後に残っていたのは数本の骨と予想されるもののみだ。
青年はそれを拾い上げると、腰の鞄にしまいこんで一言

「任務完了。」

帰還の巻物を読んだのか、閃光が走った刹那、青年の姿は無く
破裂音をさせて燃えている木々が有るのみだった・・・。


続く・・・のか?
駄文で申し訳無いOTL

988 名前: SETUNA 投稿日: 2006/02/15(水) 01:18:59 [ Xu7kzXWI ]


989 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 11:47:01 [ OnBW7owU ]
前スレとは違い、まとめるスペースもまとめる人もいないのは仕様だろうか。
腕の良い職人様たちが書かなくなっていくのは仕様だろうか。
なんとか立ち直らないかな、このスレ・・・。

990 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 11:58:04 [ 8H3v6EOU ]
>>989
いないいないと愚痴るくらいなら自分で実行する事をお勧めする。
腕の良い職人たちが書かなくなっている、とか今書いているSS書きに失礼じゃないか?

991 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:00:52 [ 8H3v6EOU ]
さて埋めるか

992 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:06:05 [ 8H3v6EOU ]
産め

993 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:06:50 [ 8H3v6EOU ]


994 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:08:00 [ 8H3v6EOU ]


995 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:08:45 [ 8H3v6EOU ]
孕め

996 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:09:28 [ 8H3v6EOU ]
紀め

997 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:09:54 [ 8H3v6EOU ]
植め

998 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:10:27 [ 8H3v6EOU ]
褒め

999 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:10:54 [ 8H3v6EOU ]
踏め

1000 名前: 名無しさん 投稿日: 2006/02/15(水) 12:11:25 [ 8H3v6EOU ]
【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 三冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1139745351/l50

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