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長編、長文支援スレ

1名無しさん:2003/09/24(水) 23:35
巨大AAや長めのSS等等の投下にご利用ください。

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長編、長文支援スレ
http://jbbs.shitaraba.com/computer/bbs/read.cgi?BBS=7571&KEY=1059921077

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101僕のイライラ(1/2):2003/09/29(月) 09:16
 僕はうっすらと覚えている。まだ僕が子供だった頃、僕を叩いて突いて
いじめてくれた奴らがいたこと。
 でも、どうやってそいつらから逃れた? 誰かが逃がしてくれたのか?
 そこのところを考えると、いつも頭が痛くなる。
 それに、このねぐらの主になってずいぶん経ったような気がするけど、
その前にどこにいて、どんなことをしていて……そして、誰と居たのか。
 それがどうしても思い出せない。
 何か、とても懐かしい匂いがあるのだけれど、それも思い出せない。
 だから僕は、いつもイライラしていた。
 人間たちの作物を奪ってみたり、やってくる人間たちを蹴散らしたりしても、
僕のイライラはつのるばかりだったけれど。
 でも、この場所から動く気にはなれなかった。
 いつか起こる何かが、僕を呼んでいる気がして。


 その人間は、他の人間とちょっと違っていた。
 攻撃されて反撃しながら、僕は、彼が、このイライラから解放してくれる
何かを知っているような気がした。
 でも、何を?
 彼が他の人間と違うのはどこだ?
 戦いの中で、僕はその答えを探し始めていた。
 その思いは、彼も同じだったみたいだ。
 人間の心情を読むのは得意ではないけれど、敵意以外の感情が彼の中にあるって
ことは、なんとなくわかる。
 僕たちは戦いながら、お互いをさぐり合っていた…。

102僕のイライラ(2/2):2003/09/29(月) 09:18
 そして、その答えを先に探し当てたのは彼だった。
 彼が取り出したのは、僕の知っている、あの懐かしい匂いのするリボンだったから。
 僕は、やっとわかった。
 彼が子供の僕を助けてくれた男の子の成長した姿だったこと。
そのリボンは、一緒に助けてくれた女の子の大切なモノだったこと。
 さらに、僕がここを動かなかったのは、彼とともに行くためだったのだという……運命を。


 僕はねぐらを出て、彼とともに歩き始めた。
 懐かしい匂いのリボンは、彼がぼくに巻いてくれたから、今ではいつでも僕と一緒だ。
 だから、もう、僕はイライラしない。
 もちろんリボンのおかげだけじゃなくて、彼が一緒にいてくれるせいもある。
 彼は元気のよい子供だったのに、すっかり落ち着いた大人になっていて、僕をいつも優しく
見つめてくれるから。
 だから、僕は、もうイライラしないんだ。


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