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霧雨魔理沙の一日
57
:
名前が無い程度の能力
:2013/02/21(木) 22:45:37 ID:x/wXGd9.0
20:22
早苗は本に手をかざした。
早苗「何も怪しい所はありませんね、解読不能な咒が掛かってるいかも
知れませんので強制的に解除します」
早苗は懐紙を取り出すとその上に本を置き地べたに置いた。
そしてその周りを何やら呪文を唱えながら回りだした。
早苗「オーム アボギャー ベイロチャーナー マハムドラ・・・アビラウンケンソワカ・・・」
早苗は一通り呪文を唱え終えると両の手を拡げ、天に突き出し、目を見開いて
「喝 !」と唱えた。
本には何の変化も無い。
早苗「どうやら私の見立て違いだったようですね。お手間を取らせてすみませんでした」
魔理沙「いいって事よ、これで心置きなく読めるぜ、サンキュ、じゃな !」
魔理沙は早苗に軽く挨拶して飛び立った。
58
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/01(金) 02:08:29 ID:n2HGOfZw0
20:45 ようやく紅魔館に着いた。門番もいない。今日くらいは労を犒うと
いう事か。その代わり凶暴そうなmad dogが2匹もいた。
呼び鈴を恐々押すと激しく吠え立てられた。妖精メイドの案内で館内へ入ると
宴たけなわだった。
パチュリー「遅かったわね、もう大方のイベントは終わっちゃったわよ、
今はお食事タイムなの」その豪華さに思わず目を見張った。
パチュリー「これはポワレ・ド・フォワグラよ、これはトリュフのテリーヌ、
これはタリアッテレ・ボンゴスタイア、これはガルニチュール・ドゥ・マロン・・・・・・」
59
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/01(金) 15:30:32 ID:OG5LaEmk0
20:52 パチュリー「その前に、その格好じゃパーティーに
そぐわないからドレスに着替えてきて。9号で良かったわね。」
呼び鈴を振ると小悪魔が飛んできた。
パチュリー「妖精メイドと着付けを手伝ってあげて」
小悪魔に別室に通されるとエメラルドブルーの
目にもあざやかなパーティードレスが用意してあった。
60
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/02(土) 01:05:18 ID:riNBXGL20
21:20
苦労してやっとドレスを身に付けたが
ガラスの靴のサイズがあわなんだ。
61
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/02(土) 11:05:50 ID:1A5P0jQ2O
パチュリーの奴、こんなブカブカのガラスの靴なんか穿かせて。私が階段かどこかで靴を落っことすことを狙っているのか?
勿論小悪魔に頼んで、ちゃんとした物に替えてもらったぜ。
しかし鏡に映った自分を見ていると…なかなか決まっているじゃないか。香霖も真っ赤になってそしてツケを帳消しにしてくれる…わけないな。
62
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/04(月) 11:13:10 ID:S4e/Cxu60
21:26
広間で料理を楽しんでいると、レミリアが近づいてきた。
「あら、孫にも衣裳ね」
「馬子、だぜ」
「馬子なの?」
「馬子じゃないぜ」
「一曲踊ってもらえるかしら」
「今は食うのに忙しい」
レミリアは指を一本立てると、私の方を指さした。
「私とじゃなく、フランと」
振り返ると悪魔の妹が、微笑みを浮かべて手を差し伸べていた。
「えー、あー……喜んで」
63
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/05(火) 02:13:47 ID:U/9yLmxc0
21:30
でも食欲には勝てなかった。
64
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/05(火) 11:49:51 ID:e0uQDVeI0
21:31
「まさか食べながら踊ろうってわけじゃないわよね。そんなのマナー以前の問題だわ」
皿を持ったのとは反対の手でフランの手を取ろうとしたら、押しとどめられた。
「では妹様、私と踊りましょう」
横から伸びた手がフランの手を取る。背の高い女だ。
大胆にスリットの入った真紅のチャイナドレスを纏っている。目の覚めるような美人だった。
馬子にも衣裳……か。二人は踊りながら離れていった。
まあ、これで安心して食事を続けられる。私は柔らかな肉をもう一切れ、口に放り込んだ。
65
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/06(水) 03:21:57 ID:Vk0V/xRk0
21:31:30
ジューシーな肉が織りなす旨味のハーモニー
魔理沙はあまりの旨さに気を失いかけた。
この素材
この調理
メルトダウンに違いない。
これは紅魔館の御馳走の中でも最大級の旨さをもたらす肉。
メルトダウンって何だろうな。もの凄く高いのかな。その名の通りとろける位旨いのかな。
紅魔館って凄いな。メルトダウンが出て来るなんて。
66
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/06(水) 08:16:42 ID:BjYFn9HM0
21:36
料理による感動が落ち着いたところで、レミリアに尋ねる。
「そういえばパチュリーが何か派手なことをやるっていう話だったけれど、何をしたんだ?」
「ふふ、そうね。あれは傑作だったわ。派手さも申し分なかったし」
「花火か何かか?」
「そんなの幻想郷じゃ派手の内に入らないでしょ」
まあ、それもそうか。
「駄目よ。遅れてきた貴女には教えてあげないわ。パチェ本人にでも訊くのね」
67
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/06(水) 21:10:13 ID:rN80Xp.QO
21:39
せっかく主人がいるので、ごちそうになったお礼に料理の旨さを伝えた。
「旨いな、何の肉だ?」
「霊夢よ」
「そうか、鹿の肉の味がするな」
「スープの味はどう?」
「いや、まだだ」
レミリアがちら、と合図すると咲夜が一礼して部屋を出ていった。
ワインをすすめられる。
上等そうなグラスに満たされた血のような液体を口にすると…
うまい!
「気に入った?何よりね」
しかしかなり強い酒で頭がぼっ、としてきた。
熱いスープでしゃんとしたいところだな。
68
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/07(木) 03:28:58 ID:efMB35Ac0
21:55
スープが来た。
熱すぎる。かなり長い間待ってみたがいっこうに冷めない。熱いにもほどがある。
息をふきかけて冷ましながらじゃないととても飲めたもんじゃあない。
「フーフー吹くなら私のためにファンファーレでも吹きなさい」
69
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/07(木) 08:35:37 ID:/72pGnsE0
21:56
「酔っているのか?」
「そうね。向こうで紅茶でももらってくるわ」
そう言うと、レミリアは席を外した。お腹が膨れてきたところで、
パチュリーがイベントにどんな魔法を使ったのか気になった。
ええと、あいつは……あそこか。ふわふわ頭の魔法使いと話し込んでいる。
議論が白熱しているようで、二人とも身振りが大きい。
何か面白い話が聞けるかもしれない。私も二人の会話に加わるべく席を立った。
70
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/08(金) 01:14:46 ID:TQKR/S/w0
21:58
ここでまさかのフランちゃん
凄い勢いで抱きついてきたよ
71
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/08(金) 08:43:04 ID:7YgAqzHg0
21:59
「魔理沙ー、食事が終わったなら、一緒に踊ろー」
「美鈴と踊ってたんじゃないのか?」
「いつの話よ」
確かにあれからもう30分近く経っている。パチュリーと話すのは後にするか。
「……うまいな」
身長を合わせるために浮かんではいるものの、彼女の足運びが洗練されているのが分かる。
「年季が違うもの」
「…………」
地下室で練習していたのだろうか。独りで。
「そういえばパチュリーが今日のイベントでやった魔術って、結局何だったんだ?
レミリアにも訊いたんだが、教えてくれなくて」
「内緒」
72
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/09(土) 21:15:39 ID:5Tl5myxc0
22:16
フランとのダンスを終えてみると、パチュリーはいなくなっていた。
エレンに尋ねてみたところ、自室に戻ったという。
私も疲れたし、そろそろ帰るとするか。
「夜は妖怪も多いし、酔って帰るのは危険よ。泊まっていったら?」
いつの間にかそばにいた咲夜にそう勧められる。
73
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/10(日) 01:59:51 ID:wEy7LjpYO
22:18
「おいおい、いつから旅館を始めたんだ?」
私は目を丸くする。
最近レミリアもだいぶカドが取れてきたけど、ここは依然として悪魔の館だ。
あの、お気に入りの霊夢すら一晩を許された事は無かった。まして人を泊めるなんてありえないだろう?…。
「紅魔郷の遭難者(注:これは迷い人だ)を一時保護することに決めたのよ」
咲夜が苦笑いする。
今までは美鈴や小悪魔に里までエスコートさせていたらしいが
「きりがない、ということでお嬢様が」
森で行方不明者が出る度にあの館が、なんて要らん噂が立つ。それにうんざりしたのも一因の様だ。
「なるほど…で、一泊二食でいくらだ?」
「かつては王侯も暮らした由緒ある館ですけど、今回はモニターということで特別無料ですわ」
王侯、か…庶民派の私に落ちつけるのかな?
74
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/10(日) 04:54:59 ID:0dot4Mkc0
22:20
さて、お泊りと決まったらあったかいお風呂に入りたいぜ
なんせ今日はお尻を満足に拭けてないからな
75
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/10(日) 09:05:57 ID:CuRUeZ9c0
22:25
…なぜパチュリーが浴槽にいる。
76
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/10(日) 09:14:45 ID:su0SDqMU0
22:26
「あら魔理沙も入りに来たのね」
パチュリーは平然としてるが…は、恥ずかしいぜ……
77
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/10(日) 11:54:06 ID:XlDPYT6EO
しかしここで変に恥ずかしがると、パチュリーが後でからかってきそうだぜ。
「そんなことは恥ずかしがるくせに、図書館から本を持っていくのは恥ずかしいことじゃないのかしらね〜」とか言って。
ここは堂々としてやる。なんなら一緒に浴槽に入ってやるぜ。
78
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/11(月) 08:53:44 ID:0fxv9qEk0
22:27
「先に体を洗いなさい」
お湯の塊が飛んできた。当たった時の衝撃が意外に大きい。
魔術を水鉄砲代わりに使うなよ……と思いつつ、彼女の言に従う。
シャワーで身を清めて浴槽に入るとき、彼女はもう出ていくところだった。
「外で妖精メイドが待っているわ。あまり長風呂しないで、
とっとと部屋に案内してもらいなさい」
79
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/11(月) 09:33:54 ID:lLCiUR4wO
まるで母親のようなもの言いだぜ
80
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/11(月) 17:03:44 ID:8gmdSnHM0
ふと、向こう側を見るとあちらにも浴槽が..
何故か蟹が入っている・・・シュールだぜ
| 紅魔館大浴場 .( ( | |\
| ) ) ) | | .|
`∧,,∧ |________(__| .\|
(;`・ω・) /― (V)_ _(V) ――-.\≒
/ oー-,===、 .ミ( ∀ )ミ \
しー-J.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
|______________|
| 紅魔館大浴場 ( ( | |\
| ) .) ) .| | .|
`∧,,∧ パッ!!パッ!! _____(__| .\|
(;`・ω・)つー-,===、 (V)。 。 (V)―-.\≒
/o U 彡 i♯ノ ミ( ∀ )ミ \
しー-J.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
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81
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/11(月) 20:24:36 ID:bPawb0X.O
22:35
よく見ると蟹どころか大きな海老や魚も泳いでいる(浴槽の中は仕切られているが)。
こりゃ生け簀か?
魚は見たこともないきれいな色をしている。
くしゅん!
おっと、好奇心に駆られているうちに冷えてきたぜ。
私は髪をほどき、体を湯船に沈めた。
82
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/12(火) 04:04:01 ID:wFAaMOZg0
22:59
ふう…あったまるぜ…
83
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/12(火) 13:26:56 ID:59OeZo5s0
23:07
「こちらの部屋です」
案内された部屋の扉を開けると、金髪の妖精メイドがベッドで本を読んで
笑い転げながら、お菓子を食べ散らかしていた。
「あははははっ……ってあれ?何で人が」
「…………」
「すみません。ご案内する部屋を間違えました」
改めて案内されたその隣の部屋は、掃除が行き届いた小綺麗な部屋だった。
84
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/13(水) 10:00:48 ID:jDKoTplY0
23:16
「げ、メイド長。どうしてここが……あっ、ナイフはダメ!ぎゃー!!」
壁越しにそんな声を聞きながら、眠りについた。
85
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/13(水) 13:06:33 ID:twkPcdxA0
23:17
それにしてもパチュリーの魔術とは何だったのだろう
明日に効果が出るのだろうか・・・
おや?何か違和感が
86
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/14(木) 02:37:11 ID:q/zH7cOM0
23:20
気がつくとナゼか遊園地の観覧車の中にいた。遠くでうーうーと幼な子の泣き声が聞こえる気もする
87
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/14(木) 09:30:36 ID:YZkKepfU0
23:24
「これは……夢か」
「はい」
正面から返事が返ってきて驚いた。気が付くと目の前の座席に、
少女が一人腰かけていた。咲夜……じゃないな。
「誰だ?」
顔立ちは咲夜そっくりだし、髪の色と声も似ているが、長い髪を肩の辺りまで垂らしている。
座っているため分かりにくいが、私と同じくらいの背丈だろう。つまり咲夜より低い。
私の問いかけに、彼女は困ったような表情を浮かべた。
「名前は……まだありません」
猫か。
88
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/14(木) 21:54:38 ID:7RBEnyJMO
23:30
ちらりと腕時計をみた。
まもなく深夜…これ以上夢の世界に深入りする気はなかった。
頬をひっぱたいて夢から覚めよう、と手をあげたところ…
“待って!”
レミリアか?いったいどういう趣向なんだ?
これは過去の話だ。咲夜の、誰にも話したことのない昔の。
“夢の操作…魔理紗には別のシナリオを用意していたのよ。それが…”
意外なものが出てきた、と。
まあ気になるのは分かる。でも言えない過去なんてものはあるんだぜ?
それに知って後悔する過去も。耐えられるのか?
“一人なら悩む…でも今は…”
私を同行者にかよ?
ちょっと待ってほしいな…
89
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/15(金) 01:44:29 ID:ZhKdHGKo0
23:31
付き合ってやってもいいんだがいったん起きたいんだ
なんせおしっこがしたくなっちゃったからな。
このままこっちでトイレに行ったらおねしょになっちまう。
”シリアスなムードが一気に台無しね。お子様じゃあるまいし我慢できないの?
一度醒めたらこの夢にまたチューニングするまで時間がかかるんだから”
むむ、言ってくれるぜ見た目お子様のくせに…
90
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/15(金) 11:28:29 ID:qapsZDD20
23:38
目を覚まし、用を足して部屋に戻ると、部屋の前に夢で見た小さい咲夜がいた。
メイド服ではなく、水色のワンピース姿だ。水差しとコップを持っている。
「……これはまだ夢の中なのか?」
「現実です。お水をお持ちしました」
どこかぎこちない発音。
「お前は咲夜なのか?」
彼女は夢で見たのと同じ、困ったような表情をする。
「名前はまだありません」
夢で聞いたのと同じ回答だった。
「それは私じゃないわ」
後ろからの声に振り返ると、同じ顔がもう一つ。こっちは私より高い位置に。
そしてメイド服。うん、こっちが本物のようだ。
91
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/16(土) 16:01:15 ID:ZBS9tkd60
23:40
「そいつ、お前の妹か何かか?」
「いいえ、この子が今夜のパーティーでパチュリー様が披露された魔術よ」
私は霊夢や紫みたいに見ただけで人間か妖怪かなど分からないが、
言われてみれば全身に魔力を帯びている。つまりこいつは、
「人造人間か?」
「ホムンクルスというそうよ」
「何でお前に似ているんだ?」
「手近な人間をモデルに作ったって言っていたわ」
質問をすると答えられないことがあるのは、まだ会話に慣れていない、
または十分な知識を得ていないかららしい。
92
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/16(土) 21:47:33 ID:pd9oLWHkO
23:43
さすがは紅魔館…驚き過ぎて目が冴えちまったぜ!
まず、パチュリーの部屋に突撃して、その秘術のあらいざらい…まず話さないだろうが…を聞きまくりたい衝動に駆られた。
と、そこで私は気になった
「なあ、咲夜…」
微笑を向ける相手に続ける。
「こいつ…お前の分身…をどうするつもりだ?」
「私に任せる、とお嬢さまが」
うーむ…
93
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/17(日) 02:12:56 ID:n1GNoGVk0
23:59
というわけでそのちみい分身を連れて
ひとっとびにうちまで持ち帰ってみたのぜ。
目の前にいた咲夜を含め誰も追ってこなかったのが謎だが
結果オーライだぜ
94
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/17(日) 14:11:25 ID:n6cpKLUU0
0:16
小さい咲夜は攫われるときでも、何の抵抗もしなかった。それどころか、何もしない。
話さないし、動かない。息をしているのか不安になるほどだ。
まあ手を引けば歩いて付いてくるし、椅子を勧めれば腰かけたので、
死体や人形でないのは確かなのだが。うーん……思ったほど面白くない。
そう思ったら急に疲れが出て、私はベッドの中に潜り込んだ。
観覧車の中だった。眼の前にはパチュリーとフラン。
「またこの魔法か」
「そう、私の魔法」
頷いたのがフランの方だったことに少し驚く。
「私もサポートはしているけどね。こういう精神に干渉する魔術は専門外なのよ」
パチュリーの言葉は少し言い訳がましい。
「何しに出てきたんだ?」
「貴女が持って行ったあの子について、すこし補足説明があってね」
「私は魔理沙と観覧車に乗りたかっただけだけどね!」
「まずあの子にはまだ何もできないわ。教育が終わっていないの。
次に、試験段階につきあの子は短命よ。一定の寿命を確保したかったら、
定期的に紅魔館で調整すること。これは貴女がそこでやっても良いけど。
で、あの子にはまだ名前が無いわ。レミィが考えてくれたのは、イタいのばっかりで。
私が本の中から名前として最適の文字列を見出すまで待ちなさい」
「そんなの適当に決めちゃえばいいのに」
同感だぜ……
95
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/18(月) 07:54:53 ID:Xr2FhPWg0
0:20
おねむの時間だが仕方ない、名前が決まるまでフランと遊ぶことにした
フランと一緒にドミノを並べるぜ。どこまでつづくかな
96
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/18(月) 15:25:45 ID:Fqq1oeFw0
0:24
「手が足りなくて困っていたんだけれど、貴女が教育係を引き受けてくれて助かったわ」
パチュリーはそう言い残して姿を消した。体よく面倒な役目を押し付けられてしまったわけか。
「そういえばレミリアが、咲夜の過去とか言っていなかったか?」
「お姉様が言っていたのは間違いじゃないわ。あの子は魂も含めて咲夜をモデルにしているの。
だからあの子には、人間としてひねくれる前の咲夜が再現される可能性が高いのよ」
本人がいないからって酷いことを言う。狭い観覧車のケージの中は、
すぐに並べたドミノでいっぱいになってしまった。
「名前、ドミノとかどう?」
「適当すぎるだろう。十六夜ドミノじゃバランスも悪いしな」
ちょうどケージが下に着いた。
「降りよっか、魔理沙」
97
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/19(火) 02:13:53 ID:v/qeH9so0
0:27
夢の中のフランは少しだけ、大人びていた。
これはフランの願望が具現化された姿のようだ。
一方、パチュリーはいつもと変わらない姿だった。
幾分か健康そうに見えるのが願望なのかも知れないが。
「そうね、夢の中では喋らなくても伝わるから喉が楽だわ」
こっちの考えが素通りか。こりゃ面倒だ。
「いや魔理沙、あなた口で喋ってるから。寝言みたいに」
回りくどい事してないで起こせよ。でなきゃ普通に寝させろ。
98
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/19(火) 02:55:44 ID:GwZn/wyE0
下りるときに開いたドアが当たって倒れた最初のドミノがゴンドラ内を倒れ進んでいく。
下りてしまったら見れないのでちょっと飛んで中の様子をフランたちとながめた。
ゴンドラ内を導火線のように進んでいくドミノの波は、座席の落差を落ちるところでもうまくつながり
さらには支柱の坂道を互い違いに組んだドミノの列でうまく登っていく。
これらはフランが自分で考えたんだと。
495年もヒマを持て余してたのでいろいろと工夫をする時間があったのだろうぜ。
登り切ったドミノが見事窓から飛び出した。大成功だ。
わたしはフランとハイタッチをかわそうとした。するとフランはいたずらっぽい目でわたしを見て
窓から飛び出しておっこちていくドミノに視線を向けた。
その間にも観覧車のゴンドラはゆっくりと回っていく。
「あっ!」
この観覧車は昇降台が円の最下部ではなく横の方で
落っこちるドミノが次にくるゴンドラの窓のそばをかすめそうになった
その時わたしは次のゴンドラの窓にもドミノ牌を発見した
分身でもつかってフランがこっそり並べていたのだろう。
落下するドミノは窓から飛び出したドミノを力強く叩き、
2つめのゴンドラの中でふたたびドミノ倒しが継続された。
落下速度とゴンドラの回転スピードを計算しつくした神技だぜ
まあ、物理法則に多少の自由がききそうな夢の中なんだけどな
そこは素直にフランすごいなと感心しておくことにした
99
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/19(火) 16:18:16 ID:GAP2dLog0
0:29
「行きましょ、魔理沙」
なおも倒れ続けるドミノに背を向け、フランは歩きはじめる。
振り返ると遊園地だった。無人のようだ。星の出ていない夜だった。
黒い空に丸い真っ白な月だけが、穴のようにぽっかりと張り付いている。
煌びやかなイルミネーションがあるわけではないのに、一つ一つの遊具がくっきりと見える。
これは眠っているのに休める気がしないな。そう思いながら私はフランの後に続いた。
100
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/19(火) 21:41:27 ID:2Os42FbsO
00:32
フランは私の5歩くらい先を進む。
「うーん、楽しいね」
そう言って爪先立ちになり、くるくると踊り始めた。
暗闇のなかくっきりと浮かぶ深紅の服の少女。
片脚を跳ねあげ、地を蹴ってふわりと跳ぶ。
なかなか上手いな。
私も真似てみるが…おっと!いまいち感覚がつかめない。夢のせいだろうか…?
「遅くまでごめんね!もう少しだけいいかな?」
「気にするなよ、次は何をする?」
「こっちだよ」
もう少し踊るフランを見たい気持ちもあったが…ついてゆくと、さてあの小屋かな?。
「…魔理紗は今日、館に来てた人達を覚えてる?」
「さあ…飯に夢中だったからな」
実は覚えている。何故か里の有力者…庄屋、商店の主がちらほら。あと見慣れない連中がいたな。
「…あいつら吸血鬼だよ」
「……」
幻想郷で紅魔館以外に吸血鬼が居るのは知っていた。むかし、奴等が異変を起こしたことも(かなり物騒だったとか)。
「しかし、仲間じゃないの…」「違うよ!」
フランの眼が光る。
「人里でこそこそ、人間のふりをして暮らしているくせに、人間をばかにして、誇り高いとかいばってて !!…」
「今ごろになってお姉様にすりよってきて…大嫌い!」
パーティーの席で媚びへつらわれて苦笑するレミリアの顔が浮かんだ。
しかし、今頃なぜ奴等が?…とすぐ答えがでた。
ホムンクロス…例の人造人間だな。
なるほど吸血鬼どころか幻想郷の“人喰い”連中には福音なんだろうか?
“…そう思った?”
ったく、またしてもレミリアか!。
いちいち頭の中じゃなくて目の前に出てほしいな。
101
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/20(水) 12:23:40 ID:XH4RTYRQ0
2:12
それから私達は、ジェットコースターに乗り、メリーゴーランドに乗り、コーヒーカップに乗った。
フランの作った夢のあちこちを回り、様々な角度からその遊園地を見た。
私達の他には人の姿はなく、流れる音楽も楽しげだがどこか不安にさせるようなものだった。
しかしフランが楽しげに笑っているのを見ていると、そんなことは気にならなかった。
「それじゃあ今夜はありがとう。あとはゆっくり心を休めてね。楽しいクリスマスだったわ」
フランはそう言ってくれたが、疲れ切った私には、
「ああ、またな」
と応じるのが精一杯だった。背景の真っ暗な空が月を掻き消し、遊園地を飲み込み、
フランの姿を隠し、そして私の意識を包み込んだ。
102
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/21(木) 03:59:57 ID:27Hzqugk0
9:00
目が覚めた。壁に掛かった時計の鳩がぽうぽうと鳴いて遅い朝を告げている。
昨夜遅くまで紅魔館で遊んでいたから、こんな時間まで眠ってしまったのだろう。
103
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/21(木) 06:14:44 ID:8tnVOx4E0
9:02
「おはようございます」
小さい咲夜が部屋の掃除をしていた。あれほど散らかっていた部屋が、
既に心なしさっぱりしている。あちこちに散らばっていた本も、
部屋の隅にまとめて紐で縛って……
「それは本棚に入れないのか?」
「今度紅魔館に戻るときに持って来いとパチュリー様が」
確かにそれは元々パチュリーの本だ。しかしまだ読み終わっていないものもある。
「お前、昨日は全く動かなかったのに、どうして今日はそんなに元気なんだ?」
「メイド長に夢の中で掃除の基本を教わりました」
「ホムンクルスも眠るのか」
「身体的には人間とほぼ同じですから」
104
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/22(金) 13:00:29 ID:ysz5VMlA0
9:04
「朝食にしたいのですが、料理を教えてはくれませんか?」
「何だ。それは咲夜に教わらなかったのか?」
「基本的な技術については教えてくださったのですが、
私の記憶にない味については夢で伝えることができないようです。
ですから味付けの加減ができません」
そりゃあ、困るな。うちだと和食の味付けになってしまうが、教えてやるか。
二人でキッチンに立つ。咲夜に料理を教えているみたいで、妙な感じだ。
105
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/22(金) 16:01:44 ID:AAmPnvOYO
9:06
少し遅めの朝食、さて献立は
・ネギと油揚の味噌汁
・目玉焼き
・納豆
・みがきニシンと筍の煮物
・塩漬けきのこと大根おろし
・漬け物
それに白米だ。
煮物は昨日の朝の残り、本当は卵焼きときめたかったが、調理が無難な方にしといた。
納豆はレミリアの好物だ。ただ咲夜は好きだったかなぁ…?。
味噌汁のダシをとってみせて具を入れる。
「…お上手ですね」
「まあな」
あとは味噌を入れ…白蓮から分けてもらった特製品はいい香り…。
よし、味見するか。
「ところでお嬢さま?」
「!?(ブウッ)」
私は思わず吹いちまったぜ?
106
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/23(土) 06:44:45 ID:Q/8j19FI0
9:11
「……お嬢様はやめてくれ。魔理沙でいいよ」
「では、魔理沙」
「落差が酷いな」
「では、魔理沙様。料理以外にも教えていただきたいことがあります」
「何だ?」
「魔法です。魔術を教えてください」
あー……私はまだ弟子をとれるような魔法使いじゃないしなあ。
「そういった話は食事の後にしようぜ。何か食わないと頭も回らないしな」
とりあえず味噌汁を椀によそいながら、そう答えた。
107
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/24(日) 13:15:58 ID:b8oID7L.0
9:43
朝食は小さい咲夜に教えながらだったにも関わらず、美味しくできていた。
咲夜をモデルにしているだけあって、こいつはなかなか器用だ。
緑茶を淹れさせてみたが、うまくできていた。これも咲夜に夢で習ったそうだ。
「さて、行くか」
「どちらへ?」
「うちの新しいメイドを霊夢に自慢しに、もとい命名ならとりあえずは神社だろう。
というわけで、博麗神社だ」
こいつは空を飛べないので、昨晩と同様箒に乗せていく。
108
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/25(月) 02:19:35 ID:w06E7T.U0
ええな
109
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/25(月) 12:58:16 ID:Kr6AKlq20
10:13
博麗神社の境内にアリスがいた。人形に雪かきをさせている。
昨日家にいないと思ったら、こっちに遊びに来ていたのか。
「あら、魔理沙。そっちの子は……パチュリーの魔法で幼児化した咲夜を攫ってきたの?」
「惜しい。こいつは咲夜をモデルにパチュリーが作ったホムンクルスだぜ」
「攫ってきたって所は合っているのね……」
「で、今はうちのメイドだ」
「メイド服は着ていないようだけれど?」
確かにこいつの服は昨晩攫ってきた時のままのワンピース。
後で人里にでも行って何か探してやるか。
「服も大事だが、とりあえずは名前だ。こいつには名前がまだない。
何か良いのは思いつかないか?」
110
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/25(月) 21:20:55 ID:10uArLScO
10:15
「いきなり、な話ね!」
腰に手をし、アリスが苦笑する。
「おはよう魔理紗…あら?その子は」
縁側から霊夢が顔を出す。
霊夢は事情を知っていた。
「昨日咲夜が来たわ、レミリアから伝言を、って」
人造人間の事を異変あつかいされないようにとの根回しだったようだが、当の霊夢は関心なさそうだ。
「えっ?名前を?…そうね“ぽち”とか“たま”とかどうかしら?」
横でアリスがあきれる。
おいおい…いくら咲夜が“悪魔の犬”だからってそりゃないだろ。
真面目にやれ!。
111
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/25(月) 22:50:36 ID:JrEs5vpU0
10:16
「『ぽち』意外にいいんじゃないですか?」突如早苗さんが現れて口をはさんだ。
そういえば守矢神社に行く約束すっぽかしてたぜ。まあいいや
だが、ぽちはないだろうぽちは
112
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/25(月) 23:19:47 ID:10uArLScO
10:18
「『十六夜ぽち』…漫画家さんみたいで素敵です!」
早苗はいたく命名が気に入ったようだが…
「却下だ!」
「そうね、それはちょっと、ね」
アリスも援護に入ってくれる。
「じゃあどんな名前が良いのかしら?」
おーい、巫女のお前が言うなよ霊夢!
「そうだな、ほら自分の子供…娘ならどんな名前にするか?」
「私の子供の名前?」
霊夢が首をかしげた。
「………」
早苗は真剣な顔をしている…多分凄い命名だろう…。
アリスは…おや?なに顔を赤くしてるんだ?
113
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/26(火) 10:42:53 ID:xvdiwEzs0
10:21
「今日は寒いし、こんな所で立ち話もなんだ。中で熱いお茶でも飲もうぜ」
「図々しいわね。でもいいわ、その代わりお茶を飲んだらあんたらも雪かきね」
「お前はやらないのか?」
さっきは中にいたみたいだったが。
「年末で忙しいのよ。仕事の依頼は多いし、大掃除だってやらなきゃいけないし」
114
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/27(水) 01:12:30 ID:JLz335jI0
10:30
あんまモノはよくないがそのわりにはけっこううまい霊夢んとこの緑茶をすすってまったりしていると
おもてでドサリと音がした。
こりゃ屋根の雪がおっこちたな。
雪かきの手間がふえた。
いや、雪おろしの手間がはぶけたというべきか
ああ、茶うめえ!みかんうめえ!畳やすらぐぜ
こたつの中に熱源もない貧乏神社だがこれだけ密集すれば互いの体温が熱源だぜ
10:50
いつまでものんびりしてないでよと霊夢にせかされて、寒いおそとに追い出された。ちぇっ
おや?さっき落ちたとおぼしき雪の山から剣の鞘が2本生えているような気がするぜ
目の錯覚かな
115
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/27(水) 17:04:22 ID:qyocS1cI0
10:51
「錯覚じゃないっ!」
雪の山を一息に跳ね飛ばして中から妖夢が出てきた。
こういうことができるようになっている辺り、こいつも成長しているんだなあ。
「人に雪下ろしをさせといて、何炬燵でお茶しているんですか!?」
「あー、忘れてたわ。後は魔理沙がやってくれるそうだから、
あんたはしばらく炬燵で休むといいわ」
妖夢はくしゃみをしながら、神社の中に入っていった。
アリスと早苗と小咲夜はどこに行ったのかと見れば、もうざくざくと雪かきを進めている。
コートを着ている二人はともかく、小咲夜は私のマントを貸しているとはいえ、
あの恰好では寒いだろう。先に服を用立ててやればよかったかな……。
そんなことを思いつつ、私も作業に加わった。
116
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/27(水) 22:59:51 ID:2dkFH5I.O
10:53
妖夢から受け取ったスコップを手に、アリスたちの所へ向かう。
そこで、ふと思った。
「…何の為に雪かきしてるんだ?」
「それは屋根に積もれば負担になるし」
と、アリス。
しかし屋根には元からたいして積っていない。
「もちろん参拝にこられる方々をお迎えするためですよ!」
と、早苗。
巫女なら満点らしい答えだが…
「いったい誰が参拝に来るんだ?」
「それは…」
「妖怪さん達くらいですかね?」
顔を見合せる二人。
「妖怪は来るが参拝にではないだろう。この作業は間違ってるぜ!」
「ではどうすれは?」
小咲夜に向かって私は言った。
「壁を造るんだ。神社を取り囲めるくらいの雪の壁を。妖怪連中が入り浸りない程度にな」
「…防壁。胸壁ですか?やりましょう!」
そういうとメモ帳を取り出して何やら書き始めたぜ?
117
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/28(木) 03:50:02 ID:ZBld1AEw0
10:55
メモ帳をのぞきこんだりしているとなにやらあたりが騒がしくなってきた。
おいおいおい、ちょっとまて!レティやチルノをつれて来たのは誰だ?
積もった雪を有効利用するつもりで壁をつくろうといったのに
壁のために新たに雪を降らすんじゃ本末転倒だぜ
118
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/28(木) 13:51:58 ID:nRaojP.c0
10:57
「そもそも壁なんて作るな」
後ろから陰陽玉が飛んでくる。私は慣れているので
ひらりと身を躱したが、小咲夜は直撃を喰らって雪の山の中に突っ込んだ。
「里の人だって来るときはあるのよ!それにそんな壁作って崩れてきたら危ないでしょ!!」
レティ達は霊夢に睨まれて、そそくさとその場を後にした。
「ああ、折角の博麗神社要塞化計画が……」
早苗が呟く。あいつらを呼んだのはお前か。
119
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/28(木) 23:54:52 ID:.BiGtbvgO
11:02
「ねえ?魔理紗あの子ちょっと…」
アリスが不安げな声をあげる。
小咲夜は雪の中に倒れたままだ。
駆けつけた。
「おい!どうした?」
体に触れても返事がない。
いやな予感だ。そっと体を起こすと…。
「っ!?…」
雪の上、顔のあたり一面に血が!
吐血したのか?
アリスが両手を口にして たちすくむ。
「永遠亭に早く!」
早苗が声をはげまして叫んだ。素早く自分のコートを小咲夜にかけている。
冷静だ。私も頭を冷やす。
「いや、紅魔館が先だ」
私は振り向くと、青ざめて(多分)震えている霊夢に落ち着いて言った。
「紫を呼べないか?」
120
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/29(金) 02:09:00 ID:dUk70Qs20
11:02
いい終わらないうちにノータイムで橙が出現した。
スキマが一瞬見えてたから紫の仕業だろう。
代理をよこすということは本人が来る気がないという意思表示か。
だが、藍をよこすならまだわかるが
橙とはどういうつもりだろう
121
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/29(金) 15:49:07 ID:28Y26A.k0
13:16
「薄着で寒い中重労働をさせた挙句、弾幕ごっこの洗礼を受けさせるだなんて、
あの子じゃなくても血を吐いて倒れるわ」
「そりゃお前だからだろ」
このもやしっ子め。
「で、あいつは大丈夫なのか?」
「身体の方はね」
「トラウマが残る……と?」
「精神の方はもっと簡単。作られたものだけに単純にできているわ」
「じゃあ何が問題なんだ?昨日あいつが短命だとか言っていなかったか?」
「もう一つ咲夜に似せて作った部分があるって言ったでしょ」
「……魂?」
「そう。魂が脆い。陰陽玉にぶつかった物理的ダメージより、
博麗の力に触れたことによるダメージの方が深刻ね」
「治るのか?」
「別に寿命が縮むほどじゃないわ。製作者が優秀だし」
そう聞くと大丈夫な気がしてきた。
とはいえ寿命。魂の寿命。一年足らず。本人はそれを知っている。
122
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/30(土) 07:10:11 ID:sqBsy5a20
13:20
私は紅魔館に来ていた。橙の案内でスキマを通ってだ。
途中で橙が迷っているように見えたこともあったが、多分気のせいだ。
気のせいであってほしい。藍は別の仕事で来られなかったと、橙は言っていた。
紫は面倒がって来なかっただけらしいが。霊夢たちは神社に残った。
まあ大勢で来ても特にできることはない。たま(結局パチュリーは、
霊夢の付けたこの猫のような名前を採用した)が倒れた時には、
動揺しているようにも見えたが、すぐに落ち着いたようだ。
ちょっと血を見たくらいでいつまでも動転していては、幻想郷の巫女は多分務まらない。
そして今、私は治療(本人は修復と言っていた)を終えたパチュリーと、
紅茶を飲みながら話しているのだった。
123
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/30(土) 10:37:27 ID:j2Uq82sY0
話題は私のホムンクルスを作るかどうかだ。
私はついさっきまのたまのことで心乱されていたというのに、平気でこんな話にもっていくとは
さすが世間ずれしてない動かない大図書館だけあって、私とは感性が違うぜ。
パチュリーはさしあたって作る側作らない側どちらでもない中立のスタンスのようだが
とにかく私が小魔理沙の存在についてどういう感想を持つか、そうとう興味があるようだ。
124
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 02:49:44 ID:nzgtiL6c0
13:21 (何でパチュリーが決めるんだぜ?
決めたのは私だからな。そして「たま」は愛称で本名は珠江だぜ。)
125
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 07:16:38 ID:hj.T1Q2I0
13:24
「たまが小さいのは咲夜と区別しやすくするためよ。貴女より小さいと、
何かと不便でしょ。だから貴女をモデルにホムンクルスを作るなら、
貴女より背が高いように作ろうかしらね」
たまは咲夜と比べると小さく感じるが、私と同じくらいの身長はある。
「何か嫌だな」
自分と似た顔で体型の違う奴がいるというのは。
「あるいは他の特徴を付けてみるとか。髪が赤いとか、耳の形が違うとか」
「やっぱりやめておこうぜ」
「そうね。私としても貴女みたいな性格の人間にはあまり増えてほしくないし」
「というか、咲夜はよくたまを作るのを承知したな」
「『仕方がないですね』と言っていたわ」
嫌々だったのか。
「『作ってしまったものは』」
「事後承諾なのかよ」
「それはともかく、あまりホムンクルスを増やしたくないってのもあるわね」
「何か問題でもあるのか?」
「死神や閻魔がうるさいこと言ってきそうじゃない?不完全とはいえ魂の錬成なんてやっていると」
一人や二人なら目を瞑ってもらえる……なんてことは無い気はするが。
126
:
名前が無い程度の能力
:2013/03/31(日) 14:33:46 ID:EixFEZgsO
13:26
「失礼します」
小さなカートを押しながら“たま”が入ってきた。
「ご昼食です」
おや、もうそんな時間だったか。
「ありがとう」
そう言ってパチュリーは空いたカップを差し出した。
「似合うじゃないか!」
「ありがとうございます」
お茶をカップに注ぎながら照れくさそうに微笑む。
たまは今、メイド服を着ている。咲夜のとデザインが少し違うが、やはり小さい咲夜にしか見えない。
「その服、私のおみたてなんですよ〜」
書庫の奥から小悪魔が笑う。
「もっともそれを仕立てたのは美鈴さんですが…」
「ほう?」
美鈴の奴、案外器用だな。
「さ、お召し上がり下さい」
たまに勧められて少し遅い昼食を始めた。
私にはサンドイッチが、パチュリーにはスコーンにシロップ漬けの果物の小皿…まあ少食だからな…が並べられた。
あと、お茶…はまさしく咲夜が淹れたものと区別がつかない。
一杯目は濃いめにしてもらいミルクと砂糖で楽しんだ。
127
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/01(月) 05:39:10 ID:592aqunI0
13:30
「それで、こいつの寿命は延ばせるのか?」
「延ばせるわよ」
…………延ばせるのかよ。延ばせるのかよ!
「方法については研究中だけれど、半年以内には何とかしましょう」
「深刻になって損した気分だぜ。で、もっと手っ取り早い方法は無いのか?」
「例えば吸血鬼化だけれど、さっき話した通り、この子は魂が脆いの。
吸血鬼の強力な力には多分耐え切れないわ。最悪の場合、魂も精神も無く、
本能的に血を求めて動き回る肉体だけが残るわね」
「確かにそれは最悪だ」
「割と何でもできるスキマとか、永遠を操る連中とか、魂を弄ぶ仙人とかの方が、
こういった仕事はうまくできるのかもしれないけれど、できれば頼りたくないし」
「まあ、そうだな」
あまり借りを作りたくない相手ばかりだ。
128
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/02(火) 05:15:28 ID:MOtBCSbw0
13:59
結局彼女は紅魔館に残ることになった。パチュリーは、
また今回のようなことがあっては困ると言い、私もそれに反論できなかった。
たまは笑って見送ってくれた。魔法もメイド業も紅魔館で学ぶそうだ。
橙がさっさとスキマで帰ってしまったので、帰りは箒だ。
その前に博麗神社にまた顔を出しておくか。
129
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 06:03:39 ID:thnuayiM0
14:08
少し飛ぶと、紅魔館は見えなくなった。朝に比べ、空が曇ってきている。
寒いな。また雪が降るかもしれない。
「何か私に相談したいことがあるんじゃない?」
突然話しかけられて驚いた。振り返ると、青い髪の仙人がすぐ近くにいた。
「無いぜ」
そんなに困った顔をしているように見えたのだろうか。
「ふーん。まあ何かあったら気軽に相談してね」
130
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 16:57:34 ID:m73R69Cs0
14:15
というわけで博麗神社にもどったぜ。
そこでは霊夢たちが私抜きで面白そうな珍騒動をくりひろげていた。
どれどれ、私もまぜてくれ
131
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/03(水) 17:43:18 ID:ILYLb1S60
14:20
早苗「だからー!UNOって言ってないから上がれないんです!」
霊夢「いや初めてやるし、そんなの知らないわよ」
どうやらスペルカードの話みたいだ
手に何枚かカード持っている
新しい魔法の研究にでも使わせてもらおうか
132
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 04:30:13 ID:D.fGXasA0
16:15
霊夢たちがやっていたのは、トランプに類するカードゲームだった。
魔法の役には立たなかったが、なかなか面白かった。
「暗くなる前に帰った方がいいわよ。あんたの分の夕飯は出さないからね」
夜は妖怪も出るし、そろそろ出た方がいいか。早苗は泊まっていくようだ。
今から守矢神社まで帰るのは危険だし、仕方がないか。
「長居して悪かったわね。またいずれ」
そう言い残して、アリスは一足先に帰って行った。私も神社を後にする。
133
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 09:50:47 ID:JctOa7vI0
16:16
だが待てよ…
「あんたの分は」ということは
早苗の分は出すのか!?
霊夢あんにゃろう
神社に舞い戻ってこっそり様子をうががってみよう
134
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/04(木) 15:27:00 ID:u/nP1BZEO
16:19
“忘れ物だぜ!”とか適当に言い訳して戻ってみればなんてことはない。
早苗は酒から何まで食材を持参していたのだ。
「あら?魔理紗さん!」
台所にいた早苗は歓迎してくれた。
霊夢は驚きも怒りもしない。いつもの居間で四合徳利を前にしてひとり飲みしていた。
「邪魔するぜ」
無言のあいつの横に腰を下ろす。
私は徳利を引き寄せるとふところから杯をとりだして注いだ。
「ん!旨いなこれ」
台所から声
「お燗にしますか?」
ありがたい!私は早苗に燗酒を頼み、小皿にきれいに盛られた漬物や焼き味噌をつまんだ(これもうまい!)。
霊夢はいつもの仏頂面で冷や酒を口につけているぜ。
135
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/05(金) 07:12:49 ID:1pwWyMjQ0
18:31
「さて、お腹もいっぱいになったし、弾幕ごっこでもやるか」
「私はやらないわよ。冬の夜は寒すぎるわ」
確かに部屋の外に出てみると、ひどく冷える。と思ったら、また雪が降っていた。
「積もりそうだな」
「困ったわね。明日はあんたに雪かきを任せてもいい?」
「お前はやらないのか?」
「言ったでしょ。年末は神社も何かと忙しいのよ」
明日は仕事を押し付けられる前に退散するか。
「早苗はしないか、弾幕ごっこ?」
「私もこう寒いと遠慮したいですね」
「元気がないなあ」
そう言いながらも、私自身少しやる気を失いつつあった。
「なら私とする?」
神社の外、夜の闇の中から声が掛かった。
136
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/06(土) 04:52:17 ID:StMc0YXw0
18:36
私は苦戦していた。真冬で、雪が降っていて、夜。その上酔っている。
有利な要素が何もない。不利な要素が多すぎる。
「何やってるの?押されてるわよー」
下から野次が飛ぶ。うるさいな。いま何とかしようとしているだろ。
――恋符「マスタースパーク」――
――怪符「テーブルターニング」――
渾身の魔砲も目標を見失って空を切る。反動で動けない所に飛んできた
雪の塊を受けて、バランスを崩す。二度目の被弾だ。もう後が無い。
この時期の雪女がこれほど厄介だとは思わなかった。
吹雪で視界は最悪だ。くそっ、レティはどこに行った?
137
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/07(日) 06:00:08 ID:VtQEvYms0
18:37
死角から飛んできたレーザーが脇腹をかすめる。危ない所だった。
これ以上の長期戦は形勢の差を広げるだけになりそうだ。勝負に出るしかないか。
――彗星「ブレイジングスター」――
身に纏った魔力で周囲の雪と寒波を吹き飛ばす。レティは……あそこか。
「喰らえっ!」
「きゃあ!」
そのまま体当たりでレティを跳ね飛ばした。体勢を立て直し、もう一発!
「ぐ、くうっ……」
今度は躱される。とはいえここで畳みかけるしかない。
――冬符「ノーザンウイナー」――
向こうも次のスペルを宣言した。吹雪が強くなる。撒き散らす星屑が払われ、
身に纏った魔力ががりがりと削られる。急いで決めに行かなければ。
「勝利宣言には、まだ早いぜ!」
突進は避けられたものの、放った星の弾幕が相手をとらえた。
これで被弾数は並んだ。ブレイジングスターの効果が切れる前に、決着を……
次、の、一撃、を……あれ?力が、抜ける。加速、できない。意識が……
正面から大きな弾が……避けないと…避け……
「寒さで体力を奪われすぎたみたいね」
その言葉は、荒れ狂う吹雪の中だというのに不思議にはっきりと、落ちていく私の耳に届いた。
138
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/07(日) 07:57:27 ID:OnCDfkBc0
19:10
気づいたら博麗神社の中にいた
隣に私よりケガが多いレティが寝ている
私はレティにほとんどダメージを与えていないから、私を倒した後、霊夢に挑んで返り討ちにされたんだろう
「気づいたみたいね」
霊夢がお茶を淹れてきた
レティの分もあるな。こいつは本当に博麗の巫女か?
まぁお茶もうまいし、レティにはまた今度再戦を申し込もう
139
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/08(月) 00:30:08 ID:mEu98ARs0
19:15
ぐすっ…
どうやら風邪をひいちゃったみたいだぜ
ちょっとくらくらするな
140
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/08(月) 03:14:45 ID:8V/i.wbo0
19:16
「雪の中飛び回ったりするからよ」
レティが横になったまま口を開いた。起きていたのか。
「いや、お前のせいだろ」
「今日雪が降っていたのは元々よ。だから調子は良かったんだけれど。
二連戦は流石に無茶だったかしら」
「二戦目じゃなくても負けないわよ」
「風邪のときには葱で首を絞めるといいわ」
「少し違うぜ」
「鼻水は止まるわよ」
「呼吸もだろ。私は葱より卵酒が良いな」
「では、作ってきますね」
早苗がそう言って台所に向かう。
「私の分もお願い」
「霊夢さんも風邪気味ですか?」
「いや、単に飲みたくなっただけ」
「じゃあ私もー」
いや、お前は絶対風邪ひかないだろ。
141
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/09(火) 03:23:12 ID:8X2TsMns0
21:32
「それじゃあ、私はもう一仕事したいし、行くわね」
レティはそう言って、席を立った。何の仕事なんだか。
「里の人間は襲っちゃ駄目よ」
「分かっているわよ」
出ていくとき、彼女の傷は既に無かった。ああいう回復の速さを見ると、
妖怪が羨ましく思われる。もう少し霊夢たちとのお喋りに興じていたかったが、
風邪はこじらせると厄介だ。少し早いけれど、布団を借りて床に就いた。
142
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/09(火) 03:42:34 ID:VXzKnmXg0
21:55
目が覚めたというか、私としたことが寝る前にトイレにいっとくのを忘れてたぜ。
冷えないように霊夢が貸してくれたどてらを着て布団から起き出す。
けっこう急ぐんだが、霊夢んとこのトイレは夜一人でいくのは怖いんだよな。
霊夢か早苗はまだ起きてるかな?
143
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/10(水) 03:31:23 ID:Ovowebm60
21:58
居間の明かりはまだ点いており、話し声が外に漏れていた。
二人ともまだ起きているらしい。……怖いから付いて来てくれとは、
言いにくいな。居間の前を通り過ぎ、一人で手洗いに向かおうとしたところ、
障子戸が開いて、霊夢が出てきた。
「あら、魔理沙。寝たんじゃなかったの?」
「ちょっと手洗いを借りるぜ」
「良いけど……ふーん。付いて行ってあげてもいいわよ」
「……なら、頼む」
「珍しく素直ね」
そうかもしれない。体調を崩して気が弱っているのだろうか。
「早苗。しばらく席を外すから、一人でやってて」
「はいはーい」
陽気な声が返ってきた。玉子酒だけでは飽き足らず、
二人で晩酌を続けていたようだ。
144
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/11(木) 05:34:22 ID:J89Ce9Ew0
22:02
用を足して外に出ると、霊夢がいなかった。
一人で先に戻ってしまったのだろうか。薄情な奴だ。
……私も早く部屋に戻って寝よう。そう思ったところで、
後ろから肩を叩かれた。
「ひっ!?」
恐る恐る振り返ると、小傘が笑っていた。
「ごちそうさまー」
こっ、このっ……!近くの部屋の襖が開いて、霊夢が出てきた。
笑いを噛み殺している。巫女が妖怪と一緒になって人間を驚かせるなよ。
怯えるのも腹を立てるのも馬鹿馬鹿しくなった。私は二人を残してずんずんと歩いて、
部屋に戻ると、再び眠りに就いた。
145
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:36:43 ID:6WTF5xas0
9:00
目が覚めた。壁に掛かった早苗がぽうぽうと鳴いて遅い朝を告げている。
昨夜は風邪をひいてしまったから、こんな時間まで眠ってしまったのだろう。
146
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:46:31 ID:uThDIEl60
壁に掛かった早苗!?
147
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 00:59:42 ID:jitnt82s0
9:15
あ、霊夢型家事ロボットが朝食を持ってきたようだ
壁の早苗の鳴き声を止めて食べよう
そういえばレティは・・・
いつも通り四六時中ラジオ体操をする作業に戻ったみたいだ
それにしても何か違和感がある・・・
一体何だろう・・・?
148
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/12(金) 04:26:24 ID:HPoepmQE0
19:18
庭一面に積もった屋根瓦に醤油を垂らし、囲炉裏で膝に注連縄を巻き付けると、少し落ち着いた。
高下駄の木目はそう悪くない。余計な鰹節が軒並みをそろえる前に、帰るとするか。
「家が心配だし、私は帰らせてもらうぜ」
壁の早苗は黙りこくっていたし、霊夢型ロボットは軽く小傘を傾けただけだった。
レティはラジオ体操第二に余念がない。私は水澄ましを蹴って、神社を後にした。
149
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/13(土) 00:27:48 ID:0FJiVGT.0
9:20
なんか午後になったような気がしてたが
まだ風邪が治りきってないんだろうぜ。
今日は香霖に風邪でもうつしにいくか。
150
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/13(土) 04:35:25 ID:vTujT2L60
9:37
香霖堂は怒涛の大八車で、普段よりなお提灯の寄り付かない感じだった。
栓を開けると、香霖が座って、豆腐を回しているのが見えた。
こちらに気付いた香霖は、驚いた表情で立ち上がると、ずかずかと歩いてきた。
奴は自分の額を私の市松模様に押し付けると、
「酷い熱だ……君は奥で寝ていろ。絶対安静だ」
と言った。顔が、近い。声が大きい。そんな大声を出さなくても分かるぜ。
ぜったいあんせい……って何だっけ。
「今薬を出す……だから、外に出ていこうとするな!」
そう言うと、香霖は私を担ぎ上げ、奥の部屋に引っ張り込んだ。
この部屋、寿老人だらけじゃないか。香霖の敷いた御神酒に身体を横たえると、
急に寿司桶が押し寄せてきて、私は夜の帳に飲み込まれた。
151
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/14(日) 01:24:21 ID:biP5H8uw0
10:00
人里だぜ。
何か騒ぎがあるので香霖は見物しにいくんだそうだ。
私は店で寝てろと言われたが香霖が出て行くんじゃ説得力ないぜ。こっそり出てきた。
さて人里では珍しく永遠亭の連中やら妹紅、萃香や勇儀たちまで集まっているぜ。
いったいなにがはじまるんだろうな
152
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/15(月) 04:54:40 ID:Uf8VBO2g0
10:02
「よお、永琳。何があるんだ?」
「新しい酒屋ができたらしくてね。記念の利き酒会よ……
って、貴方大丈夫?酷い顔よ」
酷いことを言う。永琳は私の額に手を当てる。
「やっぱり熱があるわね。とりあえずこれを飲んで、今日はおとなしく家で寝ていなさい」
薬を手渡された。辺りを見渡すと結構な人だかりだ。角やハンチング帽まで見える。
「……その店一日で潰れるんじゃないか?」
「一人あたりが飲める量は決めてあるらしいから、大丈夫なはずよ。
さあ、病人は帰った帰った。酒なんて飲んだら悪化するわよ」
153
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/15(月) 13:54:24 ID:IAFgzpcMO
10:05
そう病人扱いされたら何だかダルくなってきたな…。
せめて品揃えだけでも見て帰ろうと店先に近づくと…
「おう?魔理沙!」
星熊勇儀の声だ。
いつもの薄着でなく、つば広の帽子をかぶり、やたら大きな毛皮を肩から羽織っている。
「よぉ…暖かそうだな?熊か?」
「いや、“ばっはろぅ”とかいう野生の牛の毛皮らしいね」
触ってみると羊の毛みたいにふかふかしていた。
帽子は革製で洒落ている。
「“てんがろん”だよ。桶がわりに水も汲めるらしいが…これじゃあなぁ」
角を出すための穴が空いているのだ。
「それは仕方ないだろう」
苦笑してる勇儀から渡されたやつを被ってみると、少しぶかぶかだった。
「貴女…顔が赤いわよ?風邪ね…」
行列から出てきた橋姫パルスィは顔をみるなり言ってきた。
「ん?たしかにそうだな」
「いや大したこと無いさ」
二人にそうごまかすが、パルスィは鋭い目付きで無言だ。
しかし、整った顔立ちに白い肌。金髪に緑の瞳…よく見りゃかなりの美人だぜ…。
154
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 00:28:40 ID:ovVDQ5r.0
10:10
というわけでパルスィに奥の部屋につれこまれ服をぬがされ、汗を手ぬぐいで拭かれ、寝巻を着せられた。
有無をいわせずだ。
もっと引っ込み思案な奴だと思っていたが見かけによらず強引なところがあるんだな。
今はむこうでお茶漬けだかおかゆだかを作ってくれてるところだ。
ここはパルスィの家でもないだろうに行動力あるなあ…
155
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 04:25:42 ID:WDE2TV/s0
10:38
パルスィが作ってくれた粥を一口含んだとたん、急に吐き気が押し寄せてきて、
私は今朝食べた朝食を戻してしまった。彼女が桶を用意していたので、
部屋と布団は無事だったが。あれ、思ったよりやばいか……
「別に、不味かった、わけじゃないぜ」
「分かっているわ。落ち着いたら少しだけ食べて寝なさい」
彼女の言に従う。……寝るには少し寒いな。
「ほらよ」
勇儀が着ていた毛皮を脱いで、布団の上からかけてくれた。
寒いような暖かいような、妙な気分になった。水をもらって、
永琳の薬を飲んでおく。飲み込むとすぐに、私は意識を失った。
156
:
名前が無い程度の能力
:2013/04/16(火) 20:12:36 ID:Y5Jqjx/6O
?:??
ふっ、と意識が戻る。
どのくらい時間がたったのだろう?
今何時だ?
悪寒は消え、体が妙に軽い。夕方なのか?周りは暗いようだ。
何気に薄目を開けると、そこに私が!?
すぐ横で眠っているのだ!。
と、私の体が突然浮かび上がる。ベットで…私の家のだ…横になる“私”を見下ろした。
これは、ユウタイ何とかという奴か?
まさか私はし…!恐ろしくなった。しかしもがいても体は戻らない。
やばいやばい、涙が出てくる!そこに
“しっかりしろ!”
の声と共に力強く手を引かれる。聞き覚えのある声…。
目が覚めた。明るいぜ。
「少々危なかったな、魔理沙」
「み、魅魔さま…」
数年ぶりに会う師匠はベットのすぐ隣でリンゴの皮を剥いていた。
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