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霧雨魔理沙の一日

338名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/16(金) 22:59:11 ID:???0
16:24
微睡み始めた時、ノックの音がした。
「魔理沙―、博麗神社の新年会に行くぞーっ」
この声は―――氷精だな。
今は眠いし、博麗神社には顔を出しづらい。居留守を使うか。
「中にいることは分かってるんだぞ!とぼけるつもりなら」
――氷塊「グレートクラッシ
「待て待て待て!家を壊すな」
「やはりいたな。さあ!酒を飲みに行くぞ」
いなかったらどうするつもりだったのだろう。

339名前が無い程度の能力:2015/01/18(日) 22:17:09 ID:rcUKoByQO
16:32
「おーそーい!」
身支度を整えて出てきた私に仏頂面がつっかかってくる。
「お前ひとりなのか?大妖精はどうした?」
「大ちゃん…寒いの苦手だから…」
ちょっとしょんぼりする氷精に同情する。
妖精は寒さが苦手だものな。大妖精はかなり無理をしてるかもしれぬ…ちょっと待ってろ。
「おい、これ」
「ん、なんだ?」
「お年玉って訳じゃないが…寒いの苦手な友達がいたらな、と」
なんとなく手に入れてから使ってない防寒ケープだった。
少し小さくてまあ惜しくはないし。
「おー、ありがとー!」
「お前が着てどうする?」
「落っことしちゃうとまずいから、あたいこうする!」
「なるほど。じゃ、神社へ行くか」
「あたい、寄ってくとこあるから先に行っててよ」
「分かった。私もどこかへ寄るかもな」
夕暮れ空に飛んで行く姿を見送りながら考える。危機は回避したが、さてどこへ行くか。

340名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/19(月) 01:59:32 ID:???0
17:58
眼が冴えてしまっていたので、正邪がぶち破った窓と実験で割れてしまった大鍋の修理をしていたら、
外はすっかり暗くなってしまった。チルノ達は博麗神社で飲んでいる頃だろう。
私も夕飯の準備をしないとな。

341名前が無い程度の能力:2015/01/19(月) 13:35:57 ID:RjO843NQO
18:02
いざ台所に立てば食材がほとんど無いことに気づく。
霊夢のとこのおこぼれをアテに年末の買いだめを怠ったせいだ。やれやれ!
じゃがいもの芽が出てるやつをいくつか、鍋でゆでる。バターも切らせてるから、塩でもふって食べれば腹もふくらむだろ。
ぜいたくは敵だぜ。
「あらあら、それはないんじゃないかしら?」
含み笑いに振りかえればいつの間に!?
咲夜が立っていた。

342名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/19(月) 23:36:36 ID:???0
18:06
「今紅魔館でニューイヤーパーティーをやっているのよ」
「なら何でこんな所にいるんだよ!」
「私としても他の者に給仕を任せてくるのは心配だったのだけれど、
 貴女に来てほしいという方が二人ほどいてね」
「それで直々に招きに来てくれたわけか」
「私が行くのが一番早いですからね。先に博麗神社の方に行ってみたのだけれど、
 巫女は朝に受けた攻撃が元でまだ寝込んでいるみたいで、来られないようだったし」
「……鬼の霍乱だな」
「そうね。あの小さい子は、犯人を見つけたらただじゃおかないって息巻いてたわ」
「新年会をやってるって話も聞いたが」
「耳が早いわね。でも鬼が人を萃めて飲んでいるだけよ。
 そういえば神だか悪霊だか分からない奴もいたわね。
 暗い目をして、何かぶつぶつ呟きながら飲んでいたわよ」
博麗神社には当分近づけそうにないな。

343名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/21(水) 05:11:07 ID:???0
18:17
何にせよ、夕食の心配が要らなくなったのは、願ったり叶ったりだ。
手早く準備を済ませると、咲夜の後に続いて外に出る。
こうして咲夜と並んで飛ぶというのも、なかなかに珍しいな。
そんな事を思いながら、紅魔館に向かう。

344名前が無い程度の能力:2015/01/21(水) 21:57:17 ID:EBZm0U72O
18:21
周囲はすっかり暗くなり、空には星が瞬いている。
さて、そろそろ館だ…と、何が前方にちかちか光が見える。
「何だ!あれは?」
「行けば分かるわ」
咲夜は速度を上げた。

さて、驚いた。
館を囲む壁沿いがぴかぴか輝いている。
「あれは電飾よ、イルミネーションなの」
無数の小さな電球が点滅しているのだ。
なんでもこーりんの店で購入したとか。
他の連中が、バカにして相手にしなかったのを紅魔館が買ったのか…。
さらに門の前はでかい門松。横に立っている美鈴の背より高い。
一体ここはどこなんだ?

「明けましておめでとう、魔理沙さん。さあ、どうぞ」
美鈴が丁寧に扉を開く。
さて、タダ飯は食いたし、されど対価は怖し…ま今はとりあえずは飯だ。

345名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/23(金) 18:37:52 ID:???0
18:27
普段より少し装飾の多いドレスを身に纏ったレミリアが姿を現す。
「いらっしゃい。そろそろ来る頃だと思っていたわ」
「あけましておめでとうだぜ。ほら、年賀状」
「おめでとう。わざわざ持ってきてくれたのね。
 霊夢は体調が悪いみたいで、来られなくて残念だったわ」
「…………ああ、そうだな」
「パーティはもう始まっているわ。広間で好きなだけ食べていってちょうだい」
「感謝するぜ」
「あとフランがお年魂を―――お年玉を欲しがっているわよ」
「なぜ言い直した?」
「パチェに手伝ってもらっても良いから、何か用意しておくことを勧めるわ」
あいつの方が圧倒的に年上なんだが……何も渡さないわけにはいかないんだろうな。

346名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/25(日) 05:46:12 ID:???0
18:34
紅魔館のニューイヤーパーティは立食形式だった。
広間には意外と多くの人妖がいた。そこここで談笑の花が咲いている。
忌避される吸血鬼の館とは思えない。
私も皿を取って、食べられそうな料理を選んで盛っていく。
旨いな。働き者で料理上手なメイドがいるからだろう。
空腹が少し癒えて、辺りを観察する余裕が出てきた。
人妖といっても人の占める割合はかなり少ない。
私のような魔法使いや、半妖、あるいはその身内くらいのようだ。
見知った顔も見えたが、他の誰かと話が弾んでいるようで、話しかけ辛い。

347名前が無い程度の能力:2015/01/27(火) 13:20:38 ID:wSrCVaikO
18:36
じゃ〜ん!ポン!
突然銅鑼(ドラ)の音が会場に響きわたる。
思わず飲み物を吹く。
さらに無数の炸裂音、爆竹か?
もうもうとたちこめる硝煙に包まれ、参加者たちは仰天し、右往左往する始末。
と、入口の扉が開き、笛やらラッパやら銅鑼やらを鳴らしながら東洋風な格好のメイド妖精たちが入場してきた。
その音色に誘われて、紅色に金のタテガミの四足のなにか…こりゃ、獅子か?…が飛び込んできた。
演奏しながら踊るメイド妖精たち。それに合わせ踊る獅子。会場からたちまち歓声と拍手が上がる。
口をパクパクさせ、観客にはウィンクする。
これが紅魔館流の獅子舞いか…派手だな。
獅子が後味で立ち上がると、布をめくって頭からフラン、胴体から美鈴が顔を出す。
二人とも汗だくだ。
会場はまた拍手に包まれた。

348名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/28(水) 04:07:27 ID:???0
18:39
「魔理沙、あけましておめでとう」
フランが寄ってきた。
「ああ、おめでとうだぜ」
「お年玉ちょうだい!」
いきなりか…………
「よし、今からお年玉を作ってやる。ちょっと来い」

パーティ会場を抜け出して、図書館に向かう。
「パチュリー!ちょっと場所と鍋を貸してくれ」
「来る頃だと思っていたわ。対価は後で貰うわよ」
仕方ないか。鍋は既に出してあった。随分古ぼけた鍋だ。
自分の家で来る前にやった実験と同じように、魔法陣を書き、ミニ八卦炉を鍋にセットする。
鍋に茸を放り込む。しかし手持ちの分だけだと素材が足りないな……
「はい、魔理沙さん」
小悪魔から何か手渡された。見れば、美しい光沢をもった金属だった。
「それは別料金よ」
ううむ、後が怖い。

349名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/29(木) 16:42:31 ID:???0
18:56
「そこ、間違えてるわよ」
「おお、確かに。サンキュな」
パチュリーが、私の書いた魔法陣を手直ししてくれる。
私の家で実験に失敗したのは、そこのミスのせいだったのかもしれない。
「失敗して図書館を壊されても困るのよ」
そう言うと、また手元の本に顔を伏せてしまった。
「魔理沙ー、こここんなにややこしいの書かなくても、詠唱でどうにかなるんじゃない?」
フランも口出ししてくる。
「お前やパチュリーならできるのかもしれんが、
 そこは人間には事前に書いておかないと制御しきれん」
「魔理沙さん、この薬使った方が良いんじゃないでしょうか?」
「小悪魔、そのやり方は古いぜ。今は素材の比率を変えて―――」
周りに三人も魔法使いがいる状態だとやりにくい面もあるなぁ。
どうにか準備を終える。後はミニ八卦炉を起動するだけだぜ。

350名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/01/30(金) 19:30:52 ID:???0
19:23
鍋は壊れていない。中からは薄く白煙が出ている。
「成功か…………?」
恐る恐る覗き込むと、青白く光る一本の杖が見えた。
まだ熱を持っていて、触れない。フランも鍋を覗き込んだ。
「これ、何なの?」
「何だ、分からないで口出ししてたのか。これは魔法の杖だぜ」
「それくらいは見れば分かるわ。で、普通の杖じゃないんでしょ」
「ああ、まあな」
これはある特定の魔法を使うための杖だ。基本的にそれ以外の用途には使えない。

351名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/02/01(日) 02:17:43 ID:???0
19:32
冷めたので、杖を手に取りフランに渡す。
槍のような鋭利なフォルムの、青白い光沢をもった杖。
「ほらよ、お年玉だ」
「これ、どう使うの?」
「軽く魔力を流し、地面に突き刺す」
フランは言われたとおりにする。図書館の高級そうな絨毯にぐっさりと。
パチュリーと小悪魔が目をむくが、彼女は気にしていないようだ。
杖に見入っている。と、その杖の先、少し上方から膨れ上がるように、
黄色いのっぺりした球体が出現した。人の頭ほどの大きさまで膨らんだそれは、
鈍い光を放ちながら空中に浮かんでいる。
「まあ……成功かな」
「これがお年玉?」
「これは――月ですか?」
小悪魔の問いに、軽くうなづく。永夜の異変で永琳が見せた偽の月、
その更にレプリカのミニチュアといったところだ。
地下から魔力の供給を受け、本物の月に近い形で放つ。
まあ偽者の模造品の試作品だけあって、その力は相当以上に劣化してしまっているが、
魔法使いや妖怪には若干の恩恵があるアイテムに仕上がっている……はずだ。

352名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/02/01(日) 23:36:09 ID:???0
19:46
フランが杖を引き抜くと、光球も消えた。
「魔理沙、ありがとう!大切にするね」
その笑顔を見ていると、多少無理をしてでも作って良かったと思えた。
「さて、私への対価の件なんだけど」
さっきまで本に目を落として黙っていたパチュリーが突然口を開き、少し驚く。
「やっぱり払わないと駄目か?」
「当然でしょ。少し仕事をお願いするわ。貴女になら簡単なことよ」
まあ仕方ないか。無理そうなことなら逃げさせてもらうにしても、
話くらいは聞いておくべきだろう。

353名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/02/02(月) 20:22:00 ID:???0
19:50
「ややこしい話は―――」
小悪魔がポットを持ってきた。
「お茶でも飲みながらにしませんか?」
私は一も二もなく賛成する。
「ちょっと洗面所を借りるぜ」
魔法の準備で手や顔が汚れてしまった。
温かい湯で軽く漱がせてもらう。
その間に小悪魔と数人のメイド妖精たちが図書館にケーキを持ち込み、
お茶会の準備を整えていた。小さなケーキはパーティ会場で供されていたのと
同じもののようだった。

354名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/02/04(水) 08:53:22 ID:???0
20:01
「仕事はこれよ」
パチュリーは紅茶を一口飲むと、どこからか取り出した小瓶を三つ渡してくる。
中身は少量の鉱物の粒のようだ。黒っぽいもの、赤い透き通ったもの、
緑色のものの三種類が、それぞれの瓶に入っている。
「それと同じ種類のものを各1kgずつ、見つけて持ってきてちょうだい」
「見つけてって言われても、どこにあるのか分からないんだが」
「地下よ。どれもある程度深い所にしか、ほとんどないものなの。
 地上の妖怪が地底に行くのは好ましくないから、貴女にお願いしようと思ってね」
地下と言われても漠然としすぎているな。
「私も地底についてはよく分からないからね。後は旧都のお友達にでも聞いてみて」
ふむ、まあすんなり教えてくれるかは分からないが、年賀状を届けがてら、また行ってみるのも悪くないか。

355名前が無い程度の能力(zaq.ne.jp)★:2015/02/05(木) 10:25:51 ID:???0
20:31
結局、紅魔館に一晩泊まっていくことになった。
夜に家まで帰るのは、妖怪が多くて危険だろう。
まあ妖怪の数で言うなら、館の中も外と似たり寄ったりな感じではあるのだけれど。
眠るにもまだ早いので、図書館で本でも読みながら過ごすことにする。
パチュリーとフランも静かに本を読んでいる。ここは正月でもあまり変わらないな。

356掲示板の凍結準備に入ります。詳細は板トップに。:2015/02/06(金) 05:32:12 ID:uuJGwjx20
20:34
さて、何の本がいいかな?どれどれ、「ブック・オブ・キー・ディテクト」?
鍵を見つけることができるようになる本か。よからぬことに使えそうだな。誰が読むんだろうな。
やっぱパチュリーんとこにはいろんな本があるもんだな
来るたびに新しい発見があるぜ。

357掲示板の凍結準備に入ります。詳細は板トップに。:2015/02/06(金) 22:29:37 ID:SyAIO816O
22:03
読書に没頭する。
いろいろ読みふけっているうちに…おや!もうこんな時間か。
「お夜食お持ちしましたわ、お客さま」
咲夜がおどけたポーズで声をかけてきた。
片手のトレーにはスープが湯気を立てている。
「至れり尽くせりだな」
「食べ盛りなんだから遠慮はなしよ?」
例の図書室のテーブルに案内されるとパチュリーたちは先に席に着いていた。
焼きたての小さめのパンにポタージュは小腹にはなかなかだ。
その後、咲夜から紅茶をもらう。
「ところで魔理沙」
パチュリーは鬼は何を好むか、と聞いてきた。
「突然、どうした?」
「まさか手ぶらで地底へ行かすと思って?」
結局地下で理由を問われた時、ヴァル図書室の依頼として手土産がないと紅魔館の面子にかかわるという。
なるほど…と、私は腕を組んだ。

358掲示板の凍結準備に入ります。詳細は板トップに。:2015/02/08(日) 09:12:27 ID:m9LizFWoO
22:07
勇儀たち鬼が好むもの、と思い付くのは
まず酒だ…
「うちの年代物のワインはどうかしら?」
いや、洋酒は好むかな?あと鬼たちが醸す酒は正直かなり旨い。
霊夢のとこで紫や神奈子、永琳でさえ誉めていたもの。
で、次は宝物…金銀財宝だ。
「英国金貨ならいくらでもあるけど…」
しかし、鬼たちは金の鉱脈ごと持ってるからなぁ
「じゃ、後は何かしら」
「強いやつ、だな」
これが一番の好物かもしれない。常に強い相手を探しているんだ。
「難しいわね…」
パチュリーは首をひねった。
「まあ、魔理沙に頑張ってもらうしかないわね」
「あいにく私も満足させられるほどの相手じゃないけどな」
「…私じゃ、だめ?」
フランの言葉に小悪魔が眼をむいた。
「妹様!それはまずいですよ」
「いや」
パチュリーの発言は意外だった。
「それもありかもしれないわね…」


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