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古雪「インディ……ジャパン?」
20
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:04:19
古雪「(グリーンフラッグ!)」
ブオオオオアアアアアアアア
古雪「(わあっ!曲がるとき外側に体が持っていかれるー!)」
古雪「(横Gってやつ!?これが横G!?すごいすごい!)」
古雪「(でも私、おっそいなぁー。先頭の人から半周遅れくらいかな……)」
古雪「(あっ!前の人がスピンした!左側にっ……避けたぁ……)」
古雪「(怖かった……。って、えええ!?)」
古雪「(いきなり追いついてくるの!?並びながら曲がれるわけないじゃない!あぶなーーい!!)」
キキキッ!
古雪「(私が減速しなかったらぶつかってたじゃない……。ははは……)」
古雪「おぉぅけイ……ロックロール!!」
21
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:04:49
5号車(古雪を抜いた奴)「(あっぶねー。でも女の子に負けてられないしな)」
5号車「(待ってる間もオドオドしてたし、どう見たって普通の子だったからなー)」
5号車「(まぁ前とも離れちゃったし、このままゴールっすかぁ。ってアレ?)」
5号車「(いつの間にかあの子に並ばれてるー!?)」
ゴオオオオオオオ!!
5号車「(ちょっと待て待て!さっきはあんなに差がついてたんだぞ!?どんだけ速いんだよ!)」
古雪「ヒーアウィーゴォォ!!」
5号車「(やべぇ!あの子なんかやべぇ!うわあああああ!)」
古雪「ゆーーーーあすろおぉリィ!!」
5号車「(あ、アウト側からぶち抜かれた……。ってかドリフトしてたぞ!?マジかよ……)」
古雪「貧弱ゥ!貧弱ゥ!!」
古雪「(あ、チェッカーフラッグだ。ゴール♪)」
22
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:05:11
古雪「(さ、さっきは何か別人格になってた気がする……)」
古雪「(5号車の人もチラチラ見てるし、早くここから離れよう……)」
謎の男性「さっきは格好良かったよ。なかなかやるねー」
古雪「へっ?」
謎の男性「あれだけ離れたところから追い抜いたんだから大したもんだよ。どうして最初は遅かったのかわからないけどね」
古雪「最初は怖かったから……。でも……抜かれたときに危なかったから頭に来ちゃったんですよ」
古雪「そしたら前に車が走ってるのが気に喰わなくなって」テヘッ ※実車で無茶をするのはやめましょう
謎の男性「レーサー魂だね!僕も見習わなきゃなぁ。それじゃあね」
古雪「(なんか背が低い人だったなー)」
古雪「じゃなくって!ここはどこなの!?せんぱ〜い……」
23
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:05:26
部員A「いたっ!古雪ちゃーん!」
古雪「せんぱ〜い……良かったぁ……」
部員A「なにしてたのさ。本当に心配したんだよ?」
古雪「えっと……あれを……」
部員A「あぁミジェットカーで遊んでたのか。こんな南の外れなんだから見つかるわけないや……」
古雪「本当にごめんなさい!ご心配をおかけしました!」
部員A「まぁ見つかったし良かったよ。ちょっと携帯の電波が悪かったのもあるしね」
古雪「先輩の携帯は、山の中なのにちゃんと繋がりますね?」
部員A「だってあそこに携帯会社のアンテナ車がいるし」
古雪「おぉぅ。目の前すぎる」
24
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:05:42
部員A「それじゃあ中に入ろうか」
古雪「そういえばここってどの辺りなんですか?」
部員A「さっきバスを降りたのが中央エントランス、ここは東エントランスと南駐車場の間くらいだよ」
古雪「なんで私、こんなところに……」
部員A「それはこっちが聞きたいんだけどな……。とりあえず東エントランスから中に入ろうか」
古雪「ちょっと(?)脱線したけどいよいよだぁー!」
25
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:06:01
ドウゾー
古雪「あれ?ゲートの係員さん、チケットの半券を切ってくれませんでしたけど、いいんですか?」
部員A「うん。日曜の決勝日にゲートで切ってくれるから大丈夫だよ」
古雪「そうなんですか……って先輩?」
部員A「(・3・)アルェー?」
古雪「どうかしたんですか?」
部員A「なんで金曜日からこんなにお客さんがいるんだ……俺のインディがこんなに人気なはずがない!!」
古雪「なんか悲しい話になってますよ」
26
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:06:18
部員A「やっぱり琢磨効果なのかなー」
古雪「琢磨?」
部員A「あれ?知らない?日本人ドライバーなんだけど……」
古雪「あ〜パンフレットに『F1から来た』とか書いてあった人……ですか?」
部員A「そうそう。まぁまだドライバーに詳しくないのは仕方ないよね」
古雪「はっ!先輩!モデルカーが売ってます!しかもダニカさんが08年のインディジャパンで優勝したときのアンドレッティグリーンレーシング!えええええ!サイン入り!?」
部員A「すっごい知識の偏りだなぁ」
27
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:06:54
部員A「でもずいぶんなお値段だね」
古雪「うっ……ホントだ……」ドーン
部員A「えっと……キャンピングカー代のワリカンを無しにしてもいいよ?」
古雪「それはダメです!私は連れてきて貰ってるんですからっ!でも……うぅ……」ドーン
部員A「ま、まぁまぁ。ほらあっちにダニカのキャップも売ってるから……」
古雪「おじさん!これください!」
部員A「(動きはえぇー。こりゃ3日間で何回見失うかな……)」
28
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:07:19
部員A「(うーん。キャンピングカーはタダ同然で借りてきたし、ホントはお金いらないんだけどな……)」
部員A「それにどっちみちお金を貰う意味もないんだよなぁ……」
古雪「え?何か言いました?」
部員A「ん?いやこっちの話」
古雪「先輩どうですかこの帽子!似合いますか?」クルクル
部員A「あ、あぁ……」
部員A「(あれ?これってデートみたいになってる?)」
店員K「お嬢さん。このTシャツも一緒にいかがかな?」
古雪「ダニカさんのチームのっ!くださいっ!」
部員A「意外とお金持ちなんだなー」
29
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:07:33
古雪「暑いからトイレでこのTシャツに着替えてきます〜」
部員A「はいよー。あそこのベンチで待ってるから」
古雪「はーい」
ピルルルルル
部員A「はい。あぁどうも。えぇ。僕よりも楽しんでるみたいですよ」
部員A「そっちのお仕事はどんな感じなんですか?……え?明日も来れないんですか?」
部員A「あーなるほど……。わかりました。責任を持って」
部員A「わ、わかってますよ!それじゃあ日曜に」
30
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:07:45
古雪「電話終わりましたか?」
部員A「んおっ!いつの間に!?」
古雪「明日も来れない〜辺りです。例の相方さんですか?」
部員A「うん、まぁ。仕事が忙しいらしくてね。着替え終わったんだ?」
古雪「はい〜涼しくなりました〜。やっぱこういう場所ではTシャツが一番ですね〜」クルクル
部員A「おおー……似合ってるね」
部員A「(いかん。アホな考えちゃいかん。古雪ちゃんはホントに楽しんでるんだから)」
古雪「?」
部員A「な、なんでもないよ!さぁ行こう!」
古雪「先輩。右足と左足が一緒に出てますよ」
31
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:07:58
〜東エントランス付近〜
部員A「サイン会は午後からだし、もう11時過ぎちゃってるから早めにご飯食べちゃおうか」
古雪「結構早めに着いたはずなのに、もうそんな時間なんですか……」
部員A「まぁずいぶんと遠くまで行っちゃったりしたしね……」
部員A「こっちでもそれなりに食べ物を売ってるけど……。中央エントランスのオープンカフェの方がいいかな」
古雪「それじゃあ行きましょう〜」
〜中央エントランス付近〜
部員A「う〜ん。今年はやっぱり人が多いなぁ」
部員A「やっぱり早めにご飯食べた方が正解……ってまたいねぇ!」
古雪「300gのダブル和牛バーガー……だと……!?」
32
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:08:20
部員A「頼むから何も言わずにいなくならないでくれ……心臓が止まりそうになるから……」
古雪「ご、ごめんなさい。つい美味しそうだったもので……」
古雪「(心臓が止まりそうになるって……そんなに心配してくれてるの?マジで?)」
部員A「それにしても凄いの食べてるね」
古雪「美味しいですよー。大きい割にちゃんとした味ですし。先輩もちょっと食べてみます?」
部員A「……いや、僕はあそこの焼きそばでいいや」
古雪「そ、そうですかー」
部員A「一度でいいから見てみたい。古雪が完食するところ。部員Aです」
古雪「おいしかったー!」
部員A「マジパネェ」
33
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:08:47
部員A「さて、じゃあまずは観戦席に行ってみようか」
古雪「うわぁ〜!ひろ……あれ?」
部員A「どうかした?」
古雪「なんか意外と狭い気がします……。イメージだともっとドーーーン!!って感じかと……」
部員A「それは意外な反応だなー。まぁでも今は最上段から見下ろしてるからね」
部員A「これからコースに出るから、そうしたらイメージ変わるかもよ?」
古雪「コースって……ええええ!?降りれるんですか!?」
部員A「コースウォークの時間があるんだ。まぁ金曜の特典だけどね」
34
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 16:09:02
古雪「ひ、広いっていうか長い……」
部員A「1周は1.5マイルだから2400m。決勝は300マイルだからちょうど200周だね」
古雪「このバンクってところの角度すごいですねー。転がっちゃいそうですっ」
部員A「それでも角度は10°だから浅い方だよ。むしろ浅すぎて減速しなきゃいけないんだ」
古雪「これでも足りないんですか!?」
部員A「だから凄く難しいコースらしいよ。このもてぎスーパースピードウェイは」
古雪「そういえば先輩。私、コースを歩いてて気付いたことがあるんです」
部員A「なんだい?」
古雪「このレースって丸いところを走るんですね」
部員A「おぅけぃ。そこからか」
35
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/12(火) 22:39:21
古雪「オーバルレース?ロードレース??」
部員A「ここみたいに楕円コースを周回するのがオーバルレース。ロードレースのコースは色々な物があるね」
部員A「たとえば……そうだなぁ。F1は知ってる?」
古雪「はい。名前を聞いたことくらいは」
部員A「それじゃあ……」
〜ビックウェーブ操作〜
部員A「これはF1のモナコ市街地コースだよ。F1で最も権威のあるレースと言えるかな」
古雪「狭いっ!こんなところを走るんですか!?」
部員A「最高速は他のサーキットに比べればさすがに遅いけど、それでも280km以上だよ」
古雪「に、にひゃく……はちじゅう……」
部員A「こういうクネクネコースを走るのがロードレースだね」
36
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/13(水) 22:00:19
※この物語はフィクションです。実在の人物、団体、及びイベントは一切関係ありません
37
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:00
〜第3ターン〜
古雪「それじゃあインディカーはオーバルでやってるんですね」
部員A「昔はそうだったんだけど、今はオーバルもロードもやるんだよ」
古雪「えっ?両方やるんですか?」
部員A「そうだよ。だからオーバルだけ速くても、ロードだけ速くてもダメなんだよね」
古雪「はぁ〜……奥が深いんですね〜……」
部員A「ちなみにオーバルコースがあるのは日本でこのもてぎだけなんだ」
古雪「そうなんだ」
部員A「正直に言えば日本にオーバルコースを使うレースが無い、って意味でもあるんだけどね」
38
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:11
〜1周してホームストレートへ〜
部員A「おっと。そろそろパドックに移動した方がいいかな」
古雪「あれ?でもサイン会まではもう少し余裕がありますよ」
部員A「いやぁ……早めに行った方が良いと思うよ……。色々と」
古雪「はぁ……。何か凄く含みがある言い方なんですけど……」
部員A「まぁすぐにわかると思うよ」
古雪「ぎゃあっ!もう人がいっぱい!」
39
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:23
係員「定員なのでダニカ選手と琢磨選手のサインは、並んでる方までです〜」
古雪「…………」ドーン
部員A「やっぱりこうなったか……」
古雪「大人気なんですね……。もうっ!他にもドライバーさんいるんだからそっちに行ってよぉっ!」
部員A「(お前が言うなって言われるな)」
40
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:34
部員A「まぁせっかく来たんだし、誰か他のドライバーのサインを」
古雪「私、いいです〜……。観客席の方に戻ってますから……」
部員A「わ、わかった」
部員A「(落ち込んでるなぁ。確かにサイン目当てで来たんだし仕方ないけど)」
古雪「はぁ〜……楽しみにしてたのになぁ……」
古雪「人数が多すぎて生ダニカさんも見れなかったし……」
古雪「何しに来たんだろ私」
部員A「おーい」
古雪「あ、おかえりなさい。先輩は誰のサインを貰ってきたんですか?」
部員A「エリオとトレーシーとマルコだね」
古雪「へぇ〜」
部員A「(興味なさそー!)」
41
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:48
〜駐車場への帰り道〜
部員A「(う〜む。本気で落ち込んでるし、ここは一つ……)」
部員A「ブツブツブツブツ……」
古雪「(先輩、一人で何か呟いてるなぁ)」
古雪「(何か計算してるような……)」
部員A「よしっ!いけるっ!」
古雪「ひゃっ!?」
部員A「ちょっと待ってて!」
古雪「は、はい」
部員A「ふっふっふ。これをあげよう」
古雪「パドックパス?」
部員A「なんと明日と明後日もパドックに入れるチケットなのだっ!」
部員A「これでパドックに入って、ダニカを見つけたらサインをねだれば完璧さっ!」
古雪「えっ……でも高いんじゃ……」
部員A「あ」
42
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:35:58
部員A「実はもてぎに10年以上来てるから来場ポイントが貯まってたんだっ!さっき景品交換してきたんだよ」
古雪「じゃあ尚更受け取れないですよ」
部員A「いいっていいって。実はここにもう一枚……」
古雪「あ、二枚も貰えたんですか?」
部員A「継続は力なりだね!」
古雪「先輩も行くなら……お言葉に甘えて」
部員A「うんうん。楽しみだねぇ」
古雪「むー?」
43
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:36:38
〜駐車場へ戻り〜
古雪「改めてこの車って広いですねぇ〜」
部員A「そうだよね。このサイズなら大人4人でも楽に泊まれるからね」
古雪「これを貸してくれた方、すごくお金持ちなんですね」
部員A「否定はしないかな。妹さんを私立の高校と大学に通学させてるくらいだし」
古雪「はぁ〜凄いですねぇ〜」
部員A「(他人事だなー)」
部員A「まぁ早いけどご飯にしちゃおうか」
古雪「先輩」
部員A「ん?」
古雪「私は若干、お腹に物足りなさを感じております」
部員A「ですよねー」
44
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:37:42
3日間は長すぎ。収拾つかないから決勝日までスキップ
45
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:48:46
古雪「さっきの戦闘機!歓迎飛行凄かったですね!ホントに目の前を飛んでましたよ!」
部員A「ブルーインパルスジュニアとは何だったのか……」
古雪「それは言わないお約束っ」
部員A「ともかく!いよいよレースかぁ。はぁ」
古雪「ため息なんかついてどうかしたんですか?」
部員A「決勝レースがメインなのはわかるけど、これが終わるとインディジャパンも終わりだから……」
部員A「なんかこう、早くレースが見たいような、終わって欲しくないような複雑な気分」
古雪「(あれ?なんか凄く気持ちがわかる)」
46
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:48:57
部員A「エリオオオオオオオオオオッ!」
古雪「すっごーい!」
部員A「僕は最前列に行ってくるよ!」
古雪「はいっ!?」
ブオオオオオオオオオオオオオオオオオ
部員A「最ブオオオオ前オオオオオ列オオオオオにっ!」
古雪「はいっ!?」
47
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:49:18
部員A「おわっ……た……」
古雪「なんか燃え尽きたというか、色んな物が見れて放心状態というか……」
部員A「メインスタンドに行こう。そこからコース上に降りられるから。表彰式も近くで見られるよ」
古雪「はいっ!」
48
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:51:03
古雪「レースが終わったコース上って、なんか不思議ですよね。数十分前までここを300kmでマシンが走ってたなんて嘘みたい」
部員A「気持ちはよくわかるなぁ。だからこそ終わっちゃうと……ガクッと……」
古雪「でも……凄く楽しかったなぁ」
古雪「あの……。先輩っ!」
部員A「うん?」
古雪「き……」
|\_/ ̄さ\_/|
\_| ▼ ▼ |_/
\ 皿 /
(⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒) 沙希「楽しんでもらえたかな?」
ヽー―'^ー-'
〉 │
古雪「おねえちゃん!?」
49
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:56:50
古雪「え!?なんでここにいるの!?」
沙希「なんでって。そりゃあ古雪にモタスポの楽しさを教えようと思ってね」
沙希「そこにいる部員Aにちょろっと手を借りたってわけさ」
部員A「まぁ騙すってわけじゃないけど、お姉さんにインディジャパンに誘うように言われてね」
部員A「良い席のチケットに、キャンピングカーまで借りちゃったから申し訳なかったけど……」
古雪「お姉ちゃん?うちにキャンピングカーなんてあったっけ?」
部員A「ないよ。必要だって言うから買った」
部員A・古雪「おうふ」
50
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:57:10
沙希「まぁでも部員Aにも悪いことしたな。仕事で決勝日しか来られなかった上に、パドックパスまで買わせちゃって」
古雪「先輩……。やっぱりあのチケット……」
部員A「沙希さん!それは内緒だって言ったじゃないですかっ」
沙希「いいんじゃないの?古雪も察してたみたいだし」
古雪「あの……ありがとうございましたっ!」
部員A「いやまぁその……。えっと……」
51
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:57:36
|\_/ ̄部\_/|
\_| ▼ ▼ |_/
\ 皿 /
(⌒`:::: ⌒ヽ
ヽ:::: ~~⌒γ⌒) 部員A「楽しんでもらえたかな?」
ヽー―'^ー-'
〉 │
52
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 19:57:48
おわり。
53
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 20:02:11
古雪「お姉ちゃんと先輩ってどこで知り合ったの?」
部員A「F1のときに鈴鹿でね。隣に大人しそうな人が座ったと思ったら、メガネを外した途端に叫び始めて……」
沙希「そんなに叫んでないですよ〜?ね?部員Aくん?」
部員A「僕の記憶違いでしたごめんなさい」
古雪「へぇ〜そうなんだ〜」
古雪「ん?」
古雪「エフ……ワン……?」
つづく。
54
:
名無しのリスナーさん
:2010/10/24(日) 20:03:29
あぁ。F1のことは知ってたか。まぁいいや
続くって書いたけどたぶん続かない。
書き殴ったから訳もわからん。とにかく
古雪のモタスポ初体験これにて終演。ちゃんちゃん
55
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:31:30
古雪のモタスポ観戦記 第2回SGT編
設定のおさらい。
古雪:実家を離れて大学進学。昨年のインディジャパンでサーキット初体験。写真部所属。
部員A:モタスポ好きの部活の先輩。モタスポファン同士、沙希と交流がある。
56
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:31:54
古雪「ごがががが……この課題どうすればいいんだろう……」
部員A「ずいぶんと悩んでるみたいだね」
古雪「あ、先輩……。そうなんですよ。簡単だと思ってたのにZ教授から変なこと言われちゃって……」
部員A「変なこと?」
古雪「『キミのレポートからは声が聞こえてこない。もっとキミの言葉で書いてくれ』って……」
部員A「あぁ……Z教授はそういう人だからね……」
57
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:32:05
部員A「提出は夏休み明けでしょ?だったら気分転換にまたモータースポーツでも見にいかない?」
古雪「あれ?でもインディジャパンもエフワンも秋ですよね?」
部員A「国際レースだけがモータースポーツじゃないよ。今回は国内のレースを見に行ってみない?」
古雪「国際?国内?」
古雪「日本ってインディとエフワン以外にレースやってるんですか?」
部員A「ぉぅぃぇ」
58
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:32:21
部員A「去年見に行ったインディはアメリカで主催されてるレースシリーズだよね」
部員A「同じように日本国内で主催されてるレースシリーズもあるんだよ」
部員A「有名どころだとフォーミュラニッポン、スーパーGT、日本F3かな」
古雪「他にもあるんですか?」
部員A「色々あるよ。スーパー耐久、アマチュアカテゴリならシビックワンメイク、若手養成を目的にしてるフォーミュラチャレンジジャパン。あとはドリフト競技のD1グランプリもあるね」
古雪「い……いっぱいあるんですね……」
59
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:33:22
古雪「それで今回は何を見にいくんですか?」
部員A「スーパーGTを見に行こうかと思ってるんだ」
古雪「スーパーGT……。それってどんなレースなんですか?」
部員A「言ってみれば国内の箱車レースの最高峰ってところかな。色んなマシンがいるから見た目も面白いし」
古雪「はこしゃ……?」
部員A「ここで説明しよう!」
60
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:34:03
部員A「レースカーは大別すると2種類に分けられるんだ。一つはフォーミュラ、もう一つは箱車だね」
部員A「まずフォーミュラカーっていうのは去年見に行ったインディーカーみたいなクルマのことだよ」
部員A「特徴は一人乗りで、タイヤとドライバーが剥き出しなことだね」
部員A「次に今回見に行くスーパーGTは箱車のレースだよ。箱車は普段、僕たちが町中で見るようなクルマだよ」
部員A「特徴はドアがあって、タイヤとドライバーがカウルやドアで守られていることだね」
61
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:34:16
古雪「うーん……ちょっと混乱しますね……」
部員A「これはもう実際に見てみた方が早いね。言葉で説明するのも限界があるし」
部員A「それで、どうする?」
古雪「うーん……。インディなら即決なんですけど……」
古雪「今回は課題もあるし、遠慮しようかな……」
部員A「そっかぁ……」ザンネン
古雪「あ、じゃあ行きます」
部員A「えっ」
62
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:34:32
古雪「せっかく誘って貰えたし、またインディのときみたいに楽しそうだし」
部員A「それにしたって急激な心情の変化だね……」
古雪「そりゃあ……私は今、先輩の背後におねえちゃんの存在を感じています」
部員A「えっ」
古雪「またおねえちゃんに頼まれてやってるのかと」
古雪「それなら断る理由もないし、またおねえちゃんに会えるかもしれないし」
部員A「今回、沙希さんは関係ないんだけど……」
古雪「えっ」
63
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:35:07
部員A「そっか。古雪ちゃんは実家を離れて一人暮らししてるんだったね。たまには沙希さんにも会いたいよね……」
部員A「そういうことなら沙希さんに連絡して……」
古雪「えっ。いやいいです」
部員A「は?」
古雪「なんか、単純に、先輩の残念そうな顔を見るのが嫌だから。そんな顔、して欲しくないから。ずっと笑っていてほし……」
部員A「…………」ポカーン
古雪「う……うわああああああああああああ!!」ミギストレート
部員A「げふっ!」ドンガラガシャン
64
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:35:26
古雪「ああぁぁああぁあ!ごめんなさい!勢い余って右ストレートをかましてしまいました!」
部員A「いや……うん……大丈夫大丈夫」
部員A「(前にも思ったけど腕っぷし強いよなぁ……。なんか人間じゃ無いレベルというか……)」
部員A「まぁ理由はともかく、行くってことでいいのかな」
古雪「はい。楽しみにしてます!」
65
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:35:42
部員A「レースは月末の日曜日だよ。今回はちゃんとホテルも取るから大丈夫」
古雪「また車内泊でも私はいいんですけど」
部員A「いや、今回はクルマで行くには遠すぎるから」
古雪「えっ」
部員A「今回のレースはもてぎじゃなくて、鈴鹿なんだ」
古雪「えっ……えええええええええ!?」
66
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:36:00
古雪「鈴鹿ってあの鈴鹿ですか!?鈴鹿サーキットですよ!鈴鹿!」
部員A「ちょ、ちょっと落ち着いて……」
古雪「モタスポ詳しくない私だって知ってますよ!あんな凄いところに行けるなんて!それを聞いてたら即決でした!」
部員A「(僕も殴られずに済んだのか……)」ボソッ
古雪「え?何か言いました?」
部員A「いや別に何も?まあそういうことだからすぐにホテルとチケットの手配を……」
67
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:36:17
|┃三 ,ィ, (fー--─‐- 、、
|┃. ,イ/〃 ヾ= 、
|┃ N { \
|┃ ト.l ヽ l
ガラッ.|┃ 、ゝ丶 ,..ィ从 |
|┃ \`.、_ _,. _彡'ノリ__,.ゝ、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|┃三 `ゞf‐>n;ハ二r^ァnj< y=レヽ < 話は聞かせてもらったわ!
|┃. |fjl、 ` ̄リj^ヾ)  ̄´ ノ レ リ | チケットとホテルは私が手配する!
|┃三 ヾl.`ー- べl,- ` ー-‐' ,ン \____________
|┃ l r─‐-、 /:|
|┃三 ト、 `二¨´ ,.イ |
|┃ _亅::ヽ、 ./ i :ト、
|┃ -‐''「 F′:: `:ー '´ ,.' フ >ー、
|┃ ト、ヾ;、..__ , '_,./ /l
古雪「おねえちゃん!?」
,. -─- 、._
,. ‐'´ `‐、
/ ヽ、_/)ノ
/ / ̄~`'''‐- 、.._ ノ
i. /  ̄l 7
,!ヘ. / ‐- 、._ u |/
. |〃、!ミ: -─ゝ、 __ .l
!_ヒ; L(.:)_ `ー'"〈:)_,` /
/`゙i u ´ ヽ !
_/:::::::! ,,..ゝ!
_,,. -‐ヘ::::::::::::::ヽ、 r'´~`''‐、 /
! \::::::::::::::ヽ `ー─ ' /
i、 \:::::::::::::::..、 ~" /
68
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:36:35
沙希「お久しぶりだね〜古雪ちゃん〜。元気だった〜?」
古雪「えっ、なんで!?どうしてここにいるの!?」
沙希「えっとね〜。ここの経済学部の教授とはお知り合いでね〜?」
沙希「今日は〜講義を〜頼まれてね〜?」
古雪「それなら一言、言ってくれればよかったのに〜」
沙希「実はちょっと忙しくて〜、このあと古雪ちゃんと遊んだりする〜、時間がないの〜」
古雪「…………」イラッ
沙希のメガネ強奪
沙希「なにすんだよ古雪」
古雪「そっちの方が話しやすいからね」
69
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:36:49
部員A「あの〜。姉妹水入らずのところ悪いんですけど、さっきの話を聞いてたんですか?」
沙希「ああ。まぁせっかく来たのに会わずに帰るのも寂しいからな。一目会いに来たんだが、ずいぶん面白そうな話が聞こえてきてな」
沙希「まさかオレの指図無しに古雪を誘ってやがるとは。なかなか隅に置けねぇなぁ?部員Aよぉ」
部員A「スイマセンゴメンナサイユルシテクダサイ」ドゲザ
古雪「おねえちゃん!」
沙希「おーこわいこわい。ま、鈴鹿に行くんならチケットとホテルは手配してやるよ。知り合いもいるからな」
部員A「いいんですか?って顔ちけぇ!」
沙希「その代わり古雪に手ぇ出したら、わかってるな?」
部員A「スイマセンデシタ」ドゲザ
古雪「もう!おねえちゃん!」
70
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:38:19
沙希「はっはっは−。まぁ楽しみにしておけよー。あと二人とも仲良くしてなきゃだめだぞー」ガラガラピシャ
古雪「嵐のように去って行った……もう……」
部員A「えっと……まぁチケットとホテルのアテができて良かったよ」
古雪「そう……いえば鈴鹿って中部地方ですよね?そこまでの旅費はどうしよう……」
部員A「実は飛行機のチケットはあるんだ。マイルが貯まってたからペアチケット取っちゃってさ」
古雪「……また無理して取ったんじゃないでしょうね?」
部員A「いや、今回は本当だよ。前期は留学したり海外をウロウロしてたからね」
古雪「それじゃあ月末、楽しみにしてます!」
部員A「うん。今回もちゃんとエスコートするからね」
古雪「はえ」
部員A「は?」
古雪「いやなんでもないです!楽しみだなー鈴鹿楽しみだなー」
部員A「?」
71
:
名無しのリスナーさん
:2011/06/22(水) 23:38:55
----------------------------------
今日はとりあえずここまで。また書き溜める。
----------------------------------
72
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:01:25
出発日
古雪「実は飛行機に乗るの初めてなんですよ〜」
部員A「そうだったんだ?」
古雪「はい!だからちょっとワクワクしてます」
部員A「まぁ離陸のときは面食らうかもしれないけど、何度か乗れば慣れるから大丈夫だよ」
古雪「はい!……はい?」
ギュオオオオオオオ
古雪「(す、凄い加速!)」
73
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:01:44
古雪「ちょっとびっくりしました……。外から見てるとゆっくりに見えたから……」
部員A「そうだろうねぇ。僕も初めて乗ったときは驚いたし」イヤホン装着
古雪「音楽でも聞くんですか?」
部員A「うん。僕が好きなバンドでね。あ、海外のなんだけどね」
古雪「へぇ〜……」
部員A「古雪ちゃんも聞いてみる?」
古雪「いえ、私は洋楽とかよくわからないんで……。外でも見てますよ」
部員A「そっか」
74
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:02:02
セントレア到着
古雪「ふああ〜着いたぁ〜。なんか1時間くらいで着いちゃいましたね」
部員A「やっぱり飛行機は速いよね」
古雪「それにしてもこれだけ早く着いちゃうとワープでもしたみたいですね」
部員A「はは、確かにそうかも。えーっと……ここから名古屋までミュースカイで行って……」
古雪「あれ?先輩もここに来たの初めてなんですか?」
部員A「普段は夜行バスで来るからね。こんな贅沢な旅は初めてなんだよ」
古雪「(それに同行して良かったのかなぁ……)」
75
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:02:28
セントレア→ナゴヤ→JR→1コーナーゲート
古雪「わぁ〜鈴鹿きたぁ〜!」
部員A「もてぎの時もそうだったけど、やっぱり初めて来るとワクワクするよね」
古雪「ですです!……にしても」
部員A「どうかした?」
古雪「なんかお客さんが少ない気がするんですけど……」
部員A「今日は予選だし、それにインディと違って観客席同士が離れてるからね」
76
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:02:40
部員A「もてぎのスーパースピードウェイはオーバルだから、どの観客席も見えたよね」
部員A「でも今回はロードコースだからあの丘の向こうにも観客席があるし、もっと遠いところにもあるんだよ」
古雪「山の向こうまで行くんですね……」
部員A「色んなコーナーがあるから、見たいポイントを選ぶのも楽しみの一つだね」
古雪「それで私たちはどこの席なんですか?」
部員A「今日は指定席じゃないからどこでも見れるけど、明日はV2指定席。まぁ一番高いとこだね」
古雪「お姉ちゃん本気すぎる……」
77
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:03:04
部員A「そうは言ってもインディと比べたら安いよ。一番高い席同士でも半額だからね」
古雪「それじゃあ、お客さんも来やすいですよね。安く面白いレースが見れるなら」
部員A「う〜ん。それはどうだろうなぁ……」
古雪「あんまりお客さん入らないんですか?」
部員A「そんなことないよ?国内レースとしては観客数トップだろうし。でも安く面白いってのはどうかなって思ってさ」
古雪「???」
部員A「とりあえずご飯食べちゃおうか」
78
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:03:32
シケイン席
部員A「実はさ、昔の僕はレースが大嫌いだったんだよ」
古雪「そうだったんですか?今からは想像できないですよ……」
部員A「だろうね。元々オヤジがレース大好きでさ。昔は自分でアマチュアレースに出たりしてたんだよ。その影響で僕も小さい頃からカートやったりしてたんだ」
古雪「すごいじゃないですか。それなのにどうして……?」
部員A「あるとき連れていって貰ったレースで、目の前で接触があったんだ。クラッシュするようなモノじゃなかったけど、相手のマシンはスピンしちゃってさ」
部員A「そのときは加害者のマシンにペナルティが出なかったんだけど、数周後に同じような接触があったんだよ。けどそのときはペナルティが出た。どうみたって同じ接触だよ?それなのに片方にはペナルティが出て、もう片方には出なかった。それが納得できなくてオヤジに聞いたんだ。そしたらさ」
「あのクルマは会長の肝いりだから優遇されてんだよ」
部員A「それを聞いた途端に一気にレースがくだらないものに思えてさ。努力とかしたって結局はそれかよってね」
古雪「そう……だったんですね」
79
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:07:45
部員A「昔はサーキットごとにペナルティの規定が違ってたり、運営会社同士がケンカしてたりとかさ。今はずいぶんマシになったけど、それでもやっぱり変なしこりは残ってるよ」
古雪「……じゃあ先輩はどうしてまたレースを見るようになったんですか?」
部員A「それからしばらく経って、本当になんとなく見たレースが最高に面白くてさ。それでまたハマったってわけ」
古雪「へぇ〜やっぱり何かのきっかけって考え方を変えるんですね」
部員A「そう!僕にとっては正に運命のレースだったなぁ」
古雪「(レースの説明してる先輩すっごく楽しそう。すごいレースだったんだろうなぁ)」
80
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:08:07
ヨセンスタート
部員A「よっしゃ始まった!」
古雪「この予選はどういう形式なんですか?」
部員A「今回はノックアウト予選だよ。時間内に出したタイムの上位10台が次のセッションに進んで、そのセッションで決勝のグリッドを決めるんだ」
古雪「今回は、って違うこともあるんですか?」
部員A「スーパーGTの予選はノックアウト予選、スーパーラップ予選とあるんだよ。スーパーラップ予選はインディと同じで1台だけで走ってタイムを出すんだ」
古雪「へぇ〜……あれ?」
81
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:08:22
部員A「どうかした?」
古雪「あのクルマ凄く遅くないですか?ストレートで簡単に抜かれちゃって……トラブル?」
部員A「あぁあれは300クラスの車両だからね。抜いて行ったのは500クラスだからだよ」
古雪「500?300?」
部員A「そういえば説明して無かったね」
スーパーGTでは馬力で区別された500クラスと300クラスがあります。500クラスは500馬力までの制限、300クラスは300馬力に制限されています。
82
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:08:41
古雪「そのクラス同士が一緒に走るのって危なくないんですか?」
部員A「そこがスーパーGTの魅力なんだよ。500クラスは300クラスをうまく抜かないとタイムロスになる。逆に300はクラスは500クラスにうまく譲らないとタイムロスになるからね」
古雪「なるほど〜」
部員A「そうかと思えばトップを走ってた300クラスのマシンが、ペースが遅い500クラスに前を塞がれて2位のマシンに抜かれた、なんてこともあったんだよ」
古雪「ほ、本当に難しいんですね……」
部員A「どっちのクラスもお互いに技術が必要なレースだよね」
83
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:09:05
古雪「あれ、あのマシンに描いてあるのアニメキャラ?」
部員A「あぁイカちゃんか。今年から参戦したチームだね」
古雪「なんでアニメキャラが描いてあるんですか?ドライバーさんの趣味とか?」
部員A「……なんか間違ってない気がするけど。本当はアニメとタイアップしてスポンサーになって貰ってるんだよ」
古雪「アニメがスポンサー……ですか?」
部員A「まぁちょっと珍しいけど、最近は増えてきたよね。そういうチーム」
84
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:09:22
部員A「あのチームはそれだけじゃなくて、個人スポンサーも募集してるね」
古雪「ファンの人がお金を出してるってことですか?」
部員A「そう。ファンの力が強いのはやっぱりGSRだね。あ、ちょうど来たね。あのBMWのマシンだよ」
古雪「ホントだ。横にミクが描いてある」
部員A「あのチームの個人スポンサー数はなんと9300人なんだよ」
古雪「ええっ!?9千人!?」
部員A「海外にも個人スポンサー制をやってるレーシングチームはいるけど、9千人なんて聞いたことないよ」
85
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:10:06
古雪「やっぱりそういうキャラクターを描いてると注目されるから……人気が出るんでしょうね〜」
部員A「確かに。でも最初からたくさんのスポンサーがいたわけじゃないんだよ」
古雪「えっ?」
部員A「最初はすっごい遅くてさ。予選も通過できないくらいだったんだよ」
部員A「けど年々強くなってきて、それに伴って個人スポンサーも増えていってさ。今年やっと初優勝したんだ。最初からチームを応援してる人にとっては最高の瞬間だったんじゃないかな」
古雪「そういう……ものなんですかね……」
86
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:10:22
ブオオオオオ
部員A「おー、やっぱり458がポール取ったか。やっぱおかしいなあのクルマは」
古雪「2位とコンマ8秒差って……。圧倒的ですね……」
部員A「フェラーリの最新モデルだし、性能的にも色々あるからね〜」
古雪「でも……かっこいいですね!真っ赤で正にフェラーリ!って感じで」
部員A「あの姿形はフェラーリとは思えないんだけどね……」
古雪「何言ってるんですか。あの足回りの形がいいんですよ!なんかこう……空気がぐわっと流れる感じで」
部員A「(空力好きに目覚めてしまったのか……)」
87
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:10:43
ヨセンシュウリョウ。ホテルヘ
古雪「私、なんか300クラスの方が好きかもです。色んなクルマがいるし、見てて楽しいですよね」
部員A「そうだね。初めてスーパーGTを楽しむならやっぱり300クラスから見るのが一番だよ」
古雪「ですです!」
部員A「お気に入りのマシンでもできた?」
古雪「みんな可愛いかったり、格好良かったりですけど……。やっぱりあの458かなぁ」
部員A「なんか意外だな。イカちゃんとかミクZ4って言うのかと思ったよ」
古雪「もちろんイカちゃんのフェラーリ430も、ミクちゃんのBMWZ4も格好いいですよ。でもなんか458は……宇宙人みたいな……別次元のかっこよさというか」
部員A「宇宙人って例えは決して間違ってないと思うよ……」
88
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:11:08
古雪「それに私……あんまり好きじゃないかもしれません。個人スポンサーやってるチームのこと」
部員A「どうして?」
古雪「レースとは別なところで注目されてるっていうか……。なんか違うなぁって……」
部員A「その気持ちはわからなくはないな。でも……」
古雪「でも?」
部員A「いや、もしかしたら明日になれば、何かわかるかもしれないよ」
古雪「?」
89
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:11:28
ホテルトウチャク
部員A「沙希さんからのメールだと……このホテルなんだけど……」
古雪「も、もの凄く場違い感が……高級ホテルすぎますよ……」
デデーン
部員A「ゆ、勇気を出してフロントに……あのー」
イラッシャイマセ
部員A「○○沙希さんの紹介で来たんですけども……」
!! ショウショウオマチクダサイ!
古雪「……なんだかすごく慌ててましたね」
部員A「もしかしてとんでもない単語を言ってしまったんだろうか」
90
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:11:54
ワタクシ トウホテルノ シハイニンデス
部員A「は、はいどうも!」
古雪「先輩、声がひっくり返ってます」
VIPルームニ ゴアンナイシマス
部員A「……やっぱとんでもねぇなあの人」
古雪「おねぇちゃ〜ん……」
91
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:12:17
ガチャリ
沙希「おう、遅かったじゃねぇか」
部員A「沙希さん!来てたんなら鈴鹿にも来れば良かったじゃないですか」
沙希「今年は土日も忙しくてな。もしかしたら明日もダメかもしんねぇ」
古雪「それよりお姉ちゃん!この部屋なんなのよ!こんなのテレビでしか見たことないよ!?」
沙希「全国のサーキット近くには、いざって時のためにワガママ聞いてくれるホテルを確保してんのよ。今回は急だったからVIPルームになっちまったけどな」
部員A「ホントに半端ないですね沙希さん……」
92
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:12:51
古雪「でもウチは貧乏だよ?雨漏りもするし……」
沙希「いいんだよアレはアレで。色んな思い出もあるんだしよ」
古雪「それも……そうだね。私も大好きだもん」
沙希「そうそう、それでいいんだ。ところで部員Aよ」
部員A「はい?」
沙希「おまえはこの部屋じゃねぇよ?」
部員A「えっ」
93
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:13:27
沙希「さすがに急な話すぎてな。ダブルルームを2部屋予約すんのは無理だった。お前は向かいのシングルな」
部員A「あぁそういうことなら……ってなんで2部屋?」
沙希「オレはダブル以上じゃなきゃホテル泊まらねぇよ」
部員A「マジぱねぇっす」
沙希「まぁ今回はダブルの相手が古雪だしな。こりゃ狭いなんて言ってられねぇ」
古雪「じゃあ私はこの部屋でいいんだね?」
沙希「もし不満だったら俺がシングルに行って、ここはお前ら二人で使うか?」
部員A・古雪「いえ、結構です」
94
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:14:04
オフロトゴハンスマセマシタ
部員A「うーむ」
沙希「にしても古雪。おまえ部員Aと進展しねぇなぁ。あいつもあいつで一人で本読んでるしよ」
古雪「先輩とはそういうのじゃ……。お姉ちゃんこそどうして先輩と私をくっつけようとするの?」
沙希「そりゃあ大切な妹の恋人が知ってる奴で、しかも気に入ってる奴なら嬉しいからな」
古雪「う……。でもそれはお姉ちゃんの都合だよ……」
沙希「まぁその通りだわな。でも気に入った奴ができたらすぐにメールしろよ?」
古雪「……メールしたらどうなるの?」
沙希「一発ぶっ飛ばしにいくから」
古雪「絶対メールしない」
95
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:14:28
部員A「うーむ」
沙希「おーい。さっきから何を一人で唸ってるんだお前は」
部員A「これコミケで買ったモタスポの冊子なんですけど、結構よくできてて面白いなぁと」
沙希「へぇ。オレにも見せてくれよ」
部員A「いいですよ。はい」
沙希「へぇ……。お、DTM(ドイツツーリングカー選手権)まで特集してんのか。日本語の特集記事を拝めるとは思わなかったぜ」
部員A「同人界隈も捨てたもんじゃないですよ」
古雪「……でもそれってプロじゃない人が作った記事だよね?」
96
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:15:07
沙希「確かにそうだが、面白ければプロだろうがアマチュアだろうが関係ないさ」
古雪「そうじゃなくて、さ。そんなに面白いのにどうしてプロじゃないんだろうなって」
沙希「ファンになったのが就職後だったとか、単に趣味として割り切ってるとかじゃないか?」
古雪「でも!そんなの勿体ないじゃない。コミケで売ったって大したお金にならないし、プロになればもっと色んな人に注目されるのに……」
部員A「……この本に意味が無いみたいに言われるのは心外だな」
古雪「そんなつもりじゃ……」
部員A「ごめん、お先に寝るよ」
バタン
97
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:15:30
古雪「…………」
沙希「古雪よ。確かにこんなもの書いても大金持ちにはなれないさ。でもこいつの価値はお金とは別なんだよ」
古雪「え……?」
沙希「これに限らず、何かを書く奴らの中にはさ、普段は忙しさに目を回してるヤツとか、やりたくもない仕事でストレス溜めてるヤツもいると思うんだ」
沙希「でもこれを書いてるときは、きっと楽しかったんだと思う。本当に好きなものを追いかけて、そうやって作ったものには、書いたヤツの本当の声ってのが込められてる。それはたぶん金じゃ買えないモノだと思うんだ」
98
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:15:54
古雪「お金で……買えないもの……」
沙希「ま、あんまり気にせず明日謝ればいいさ。あいつは根に持つタイプじゃないからな。さぁ寝ようぜ」
古雪「そうだね……」
パチン ショウトウ
沙希「古雪」
古雪「うん……?」
沙希「おまえが本当に楽しめるものは、まだおまえが知らない世界にあるかもしれない。それを探すためならオレはいくらでも協力する。行きたい場所があるなら連れていってやる。欲しいものがあるなら手に入れてやる」
沙希「だからもっと、色々な世界を知るんだよ?」
古雪「うん……」
沙希「おやすみ、古雪ちゃん」
ナデナデ
古雪「ん……」
99
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:03
ヨクアサ
部員A「ごめん!古雪ちゃん!」ドゲザ
古雪「ちょ、先輩!?」
部員A「昨日は気疲れしてたりで冷静じゃなかったんだ!本当にごめん!」
古雪「先輩、頭あげてください。私の方こそ先輩の気持ちも考えないでごめんなさい」
部員A「古雪ちゃん……」
古雪「これでケンカはおしまい!……でいいですよね?」
部員A「あぁもちろん!」
沙希「若いなー」
100
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:13
古雪「それじゃお姉ちゃんは一緒に行かないの?」
沙希「少なくとも午前中は無理だな。なんとか決勝までには合流できるようにするわ」
部員A「それじゃお先に行ってますね。沙希さん」
沙希「あー古雪、ちょっと先に行ってな。部員Aはちょっと顔貸せ」
古雪「そうなの?じゃあ先輩、先にロビーに行ってますね」
バタン
部員A「…………」
沙希「…………」
部員A「すんませんっしたー!」ドゲザ
沙希「ちげーよ」
101
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:23
沙希「古雪とのケンカ……まぁケンカですらねぇけど、とにかく二人で解決したならオレは何も言わねぇよ」
部員A「え……じゃあ一体……」
沙希「……ウチにゃ親父がいるんだが、最近はあんまり構ってくれなくてよ。実際のところはオレが親代わりやってんだよ」
部員A「はぁ……大変そうですね」
沙希「だからこそ妹は全員幸せにしてやりてぇ。それと同時によ、色んな世界を教えてやりてぇんだ」
部員A「色んな世界?」
沙希「そうさ。色んな世界を知って貰って、その中で自分が突き詰めたい世界を選らんで貰いてぇ。だからおまえも協力してくれよ?」
部員A「はぁ……。俺にできることなら」
沙希「よしよし。それだけ聞けりゃ十分だ。引き留めて悪かったな」
部員A「……沙希さん。協力する代わりに一つだけ条件出してもいいですか?」
沙希「条件?なんだ?」
102
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:36
ウィーンウィーンエレベーター
古雪「あ、先輩。お姉ちゃんに何を言われたんですか?」
部員A「ん?んー……。内緒」
古雪「えー?」
部員A「さぁさぁ行こう。このままだと一番混む時間帯に着いちゃうからさ」
古雪「はーい?」
沙希「ま、お邪魔虫はゆっくりとお茶でもしますかね。レースは録画予約してきたし。……にしても」
『沙希さんも幸せにならなきゃダメですよ。それが条件です』
沙希「あの……すけこましめ」
103
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:48
バタバタ
古雪「あわわ。もうスタート直前!」
部員A「くっそ、意外と混んでたせいで遅れた……」
古雪「まぁスタートに間に合って良かったですよ。それにしても……」
部員A「どうかした?」
古雪「やっぱり500クラスと300クラスが一緒に並んでるから台数が多いですね〜」
部員A「インディも台数は多い方だけど、GTの方が多いね。それがまたカオスなレースを助長するというか」
古雪「楽しみです〜!」
104
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:32:58
古雪「ん……。セーフティーカーが先頭にいるってことはローリングスタートですか?インディと同じで」
部員A「その通り。古雪ちゃんもずいぶん詳しくなってきたね」
古雪「そう……ですかね?それに全部インディ基準の知識ですけども」
部員A「基本的なルールはどのレースも変わらないよ。基準があるだけでも大したもんさ」
古雪「そういうもんですかね……って帰ってきた!」
部員A「レーススタート!」
105
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:33:09
20シュウメ
古雪「あぁっ!フェラーリ458が当てられた!そのままスピンしちゃった……」
部員A「ありゃ完全に当てた方が悪いな。……でもペナルティは出ないかもしれないな」
古雪「ええっ!?だって無理に突っ込んできたから当たっちゃったんですよ!?」
部員A「他のレースなら……っていうか他のマシンだったら即刻ペナルティだろうけど……」
古雪「何かあるんですか?」
部員A「あの当てた方のマシンは、このレースのメインスポンサーのチームだからね」
古雪「そんなっ!」
106
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:33:24
古雪「お金出してるところだから優遇されるっていうんですか!?」
部員A「珍しいことじゃないよ。特に国内レベルのレースならなおさら……」
古雪「そんなのレースと関係ないじゃないですか!みんながんばってるのに!」
部員A「しょうがないとは言いたくないけど……あっ!」
古雪「あぁっ!同じところでまたクラッシュ……。さっきと同じような接触ですね……」
部員A「……たぶん今度は」
107
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:33:41
112ゴウシャ ドライブスルー ペナルティ!
部員A「やっぱりすぐに出たか。これで一つ前の接触はお咎め無しって裁定が確定したね」
古雪「こんなの……レースじゃないですよ!おかしいじゃないですか!」
部員A「でもそれがまかり通るのもレース界なんだよ」
古雪「そんな……そんなの……!くっ……!」
部員A「…………」
108
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:33:52
部員A「(まるで昔の自分を見てるみたいだ……。だからこそ悔しい気持ちもよくわかるな……)」
部員A「あれ……?雨だ……」
古雪「え……あ、ホントだ」
部員A「こりゃ本降りになるかも。古雪ちゃん合羽は持ってきたよね?」
古雪「あ、はい。大丈夫です」
部員A「今のうちに着ておいた方がいいよ。もうすぐ目が離せない展開になるだろうから」
古雪「えっ?」
109
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:34:03
ポツポツ
部員A「よっし来た来た!458が3位に上がってきたよ!」
古雪「えっ……えええっ!?なんで?どうして!?」
部員A「458はあの接触のせいで、300クラスの中で一番最初にピットに帰ってきてタイヤ交換した」
部員A「さらに今日は気温が低かったから上位のマシンはタイヤを交換しない作戦を選んだ」
部員A「もうレースは終盤。タイヤが辛いところに雨が降ったら、ペースが落ちるのは当然だよね」
古雪「そ、そうか……!」
部員A「ましてや458は予選トップタイムのマシンだからね。ここから一気に追い上げだ!」
古雪「い……いけぇ!!」
110
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:34:22
ザーザー
部員A「結構本降りになってきたな……これじゃいくらタイヤが良くても限界が近いかも」
古雪「今のところ2位ですよ!トップのマシンは……あっ!ピットインした!」
部員A「いくらなんでも限界だってことか……458は……入らない!」
古雪「ええっ!?これでトップになったけど……。このままじゃいつスピンしたっておかしくないですよ!」
部員A「残り3周か……。これは微妙なところだね。我慢できれば優勝、できなければ表彰台も逃す」
古雪「残酷すぎ……」
部員A「ピットはタイヤの準備してるけど……。この周も入らない!」
古雪「このまま行くつもり!?」
111
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:34:32
古雪「うわわわ!今のコーナーでリアが滑りまくりでしたよ!?」
部員A「…………」
古雪「あと2周……でもこれじゃ……!」
部員A「行くさ」
古雪「……えっ?」
部員A「このまま行くに決まってる。目の前に優勝があるのに、それを諦めるなんてできるわけがない!!」
古雪「……!……いっけぇ!がんばれぇ!」
112
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:34:46
古雪「がんばれぇ!負けるなぁ!」
古雪「(どうしてだろう。心の底から叫びたくなる。それに……すごく興奮してる!)」
部員A「回るんじゃねぇぞ!男を見せろぉぉぉ!」
古雪「(先輩も、ううん。先輩だけじゃない。周りのお客さんも叫んでる)」
古雪「(これが……本当のレースなんだ……。私は……何もわかってなかったんだ)」
古雪「いっけぇ!負けないでぇ!」
部員A「ファイナルラップ!」
113
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:35:04
部員A「最終シケインさえ守れば!」
古雪「ああっ!でも2位のマシンがすぐそこですよ!」
部員A「イン閉めろ!飛び込ませるなぁ!!」
古雪「あぁ!外側から抜かれた!(もう見てられない!)」
部員A「まだだ!」
古雪「!?」
部員A「あんなスピードでアウトから突っ込んで……曲がれるわけがない!」
実況「最終シケインでオーバーランだ!!優勝は雨の中、ドライタイヤで奇跡の粘りを見せたフェラーリ458ぃぃ!!」
114
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:35:28
ワァァァァァァ!!
部員A「優勝だ!458が勝ったよ!古雪ちゃん!」
古雪「あ……あ……」
部員A「古雪ちゃん?」
古雪「ああああぁぁああ!!やったぁああああ!!」
部員A「おめでとう古雪ちゃん!」
古雪「(私、どうして泣いてるんだろ。どうしてこんなに嬉しいんだろ)」
古雪「(どうしてこんなに……心の底から押さえられない気持ちが沸き出してくるんだろう……)」
古雪「レースって……面白いですね!先輩!」
部員A「あぁ!」
115
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:35:47
カエリノヒコウキ
部員A「古雪ちゃん大丈夫?」
古雪「ちょ、ちょっとはしゃぎすぎて疲れました……」
部員A「あのあとの表彰式でも大騒ぎしてたからね……。そりゃ疲れて当たり前というか……」
古雪「でも、先輩。私ちょっとだけわかったんです」
部員A「?」
古雪「昨日、個人スポンサーのチームを馬鹿にしちゃったじゃないですか。でも、違うんだなって」
古雪「きっとレースにハマったきっかけって色々だと思うんです。私みたいに先輩が誘ってくれた人もいるだろうし、ミクちゃんやイカちゃんが好きで来た人もいるはずです」
古雪「でも結局はみんなレースが好きで、応援してるクルマに勝って欲しくて。だから必死になって応援するんだなって」
古雪「綺麗なことばっかりじゃないけど……。でも応援してるときって、勝てるかどうかワクワクしてるときって、最高に楽しいんですよ!」
116
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:36:18
部員A「古雪ちゃんも立派なモータースポーツファンになったね」
古雪「先輩のおかげ……です……ぐう……」
部員A「もう瞼が落ちそうになってるよ。少し眠ったら?着いたら起こしてあげるから」
古雪「あ、先輩。それ、私にも聞かせてください」
部員A「え?古雪ちゃん洋楽には興味ないって言ってなかったっけ?」
古雪「そこにあるかもしれないじゃないですか」
部員A「えっ?」
古雪「レースみたいに、私を夢中にさせてくれるものが」
117
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:36:35
古雪「私、もっと色んな世界を知りたいんです。そしてもっともっと楽しいことを見つけたいんです。だから先輩も協力してください。まずは先輩の好きなものからスタートです」
部員A「あんまり女の子の趣味じゃないものも多いよ?」
古雪「ふふ……レースだって同じですよぉ」
部員A「はは。確かにそうだね。それじゃイヤホン片方をどうぞ」
古雪「ありがとーございます……ぐぅ……」
部員A「ちょっと静かな曲がいいかな。これとか」ピッ
古雪「あ……いい感じに……睡眠導入……ぐぅ……」
118
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:36:50
古雪「すー……すー……」
部員A「あ、すいません。毛布をお願いできますか」
ハイドウゾ
部員A「よっと。これで寒くないかな」
古雪「うぅん……すー……すー……」
部員A「(沙希さん、古雪ちゃんは大丈夫ですよ。これからたくさんのものを見て、たくさんのことを吸収するはずですから)」
部員A「っていうか俺も見習わなきゃな」
古雪「うん……えへへ……」
119
:
名無しのリスナーさん
:2011/07/14(木) 01:37:16
数日後。部室にて
バターン!!
古雪「先輩!!」
部員A「どうわ!?あーびっくりした」
古雪「これ!これですよこれ!」
部員A「え……あぁ夏休みの後に出すって言ってた課題?」
古雪「とある冊子を読んでたら凄くアイディアが沸き出してきたんです。一気に書き終えたら我慢できなくなって教授に提出しちゃったんですよ!そしたら……」
「……うん。今度のは君の声がよく出てていいね」
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