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古雪「インディ……ジャパン?」

100名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:32:13
古雪「それじゃお姉ちゃんは一緒に行かないの?」
沙希「少なくとも午前中は無理だな。なんとか決勝までには合流できるようにするわ」
部員A「それじゃお先に行ってますね。沙希さん」
沙希「あー古雪、ちょっと先に行ってな。部員Aはちょっと顔貸せ」
古雪「そうなの?じゃあ先輩、先にロビーに行ってますね」
バタン
部員A「…………」
沙希「…………」
部員A「すんませんっしたー!」ドゲザ
沙希「ちげーよ」

101名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:32:23
沙希「古雪とのケンカ……まぁケンカですらねぇけど、とにかく二人で解決したならオレは何も言わねぇよ」
部員A「え……じゃあ一体……」
沙希「……ウチにゃ親父がいるんだが、最近はあんまり構ってくれなくてよ。実際のところはオレが親代わりやってんだよ」
部員A「はぁ……大変そうですね」
沙希「だからこそ妹は全員幸せにしてやりてぇ。それと同時によ、色んな世界を教えてやりてぇんだ」
部員A「色んな世界?」
沙希「そうさ。色んな世界を知って貰って、その中で自分が突き詰めたい世界を選らんで貰いてぇ。だからおまえも協力してくれよ?」
部員A「はぁ……。俺にできることなら」
沙希「よしよし。それだけ聞けりゃ十分だ。引き留めて悪かったな」
部員A「……沙希さん。協力する代わりに一つだけ条件出してもいいですか?」
沙希「条件?なんだ?」

102名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:32:36
ウィーンウィーンエレベーター
古雪「あ、先輩。お姉ちゃんに何を言われたんですか?」
部員A「ん?んー……。内緒」
古雪「えー?」
部員A「さぁさぁ行こう。このままだと一番混む時間帯に着いちゃうからさ」
古雪「はーい?」

沙希「ま、お邪魔虫はゆっくりとお茶でもしますかね。レースは録画予約してきたし。……にしても」
『沙希さんも幸せにならなきゃダメですよ。それが条件です』
沙希「あの……すけこましめ」

103名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:32:48
バタバタ
古雪「あわわ。もうスタート直前!」
部員A「くっそ、意外と混んでたせいで遅れた……」
古雪「まぁスタートに間に合って良かったですよ。それにしても……」
部員A「どうかした?」
古雪「やっぱり500クラスと300クラスが一緒に並んでるから台数が多いですね〜」
部員A「インディも台数は多い方だけど、GTの方が多いね。それがまたカオスなレースを助長するというか」
古雪「楽しみです〜!」

104名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:32:58

古雪「ん……。セーフティーカーが先頭にいるってことはローリングスタートですか?インディと同じで」
部員A「その通り。古雪ちゃんもずいぶん詳しくなってきたね」
古雪「そう……ですかね?それに全部インディ基準の知識ですけども」
部員A「基本的なルールはどのレースも変わらないよ。基準があるだけでも大したもんさ」
古雪「そういうもんですかね……って帰ってきた!」
部員A「レーススタート!」

105名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:33:09
20シュウメ
古雪「あぁっ!フェラーリ458が当てられた!そのままスピンしちゃった……」
部員A「ありゃ完全に当てた方が悪いな。……でもペナルティは出ないかもしれないな」
古雪「ええっ!?だって無理に突っ込んできたから当たっちゃったんですよ!?」
部員A「他のレースなら……っていうか他のマシンだったら即刻ペナルティだろうけど……」
古雪「何かあるんですか?」
部員A「あの当てた方のマシンは、このレースのメインスポンサーのチームだからね」
古雪「そんなっ!」

106名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:33:24
古雪「お金出してるところだから優遇されるっていうんですか!?」
部員A「珍しいことじゃないよ。特に国内レベルのレースならなおさら……」
古雪「そんなのレースと関係ないじゃないですか!みんながんばってるのに!」
部員A「しょうがないとは言いたくないけど……あっ!」
古雪「あぁっ!同じところでまたクラッシュ……。さっきと同じような接触ですね……」
部員A「……たぶん今度は」

107名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:33:41
112ゴウシャ ドライブスルー ペナルティ!
部員A「やっぱりすぐに出たか。これで一つ前の接触はお咎め無しって裁定が確定したね」
古雪「こんなの……レースじゃないですよ!おかしいじゃないですか!」
部員A「でもそれがまかり通るのもレース界なんだよ」
古雪「そんな……そんなの……!くっ……!」
部員A「…………」

108名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:33:52
部員A「(まるで昔の自分を見てるみたいだ……。だからこそ悔しい気持ちもよくわかるな……)」
部員A「あれ……?雨だ……」
古雪「え……あ、ホントだ」
部員A「こりゃ本降りになるかも。古雪ちゃん合羽は持ってきたよね?」
古雪「あ、はい。大丈夫です」
部員A「今のうちに着ておいた方がいいよ。もうすぐ目が離せない展開になるだろうから」
古雪「えっ?」

109名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:34:03
ポツポツ
部員A「よっし来た来た!458が3位に上がってきたよ!」
古雪「えっ……えええっ!?なんで?どうして!?」
部員A「458はあの接触のせいで、300クラスの中で一番最初にピットに帰ってきてタイヤ交換した」
部員A「さらに今日は気温が低かったから上位のマシンはタイヤを交換しない作戦を選んだ」
部員A「もうレースは終盤。タイヤが辛いところに雨が降ったら、ペースが落ちるのは当然だよね」
古雪「そ、そうか……!」
部員A「ましてや458は予選トップタイムのマシンだからね。ここから一気に追い上げだ!」
古雪「い……いけぇ!!」

110名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:34:22
ザーザー
部員A「結構本降りになってきたな……これじゃいくらタイヤが良くても限界が近いかも」
古雪「今のところ2位ですよ!トップのマシンは……あっ!ピットインした!」
部員A「いくらなんでも限界だってことか……458は……入らない!」
古雪「ええっ!?これでトップになったけど……。このままじゃいつスピンしたっておかしくないですよ!」
部員A「残り3周か……。これは微妙なところだね。我慢できれば優勝、できなければ表彰台も逃す」
古雪「残酷すぎ……」
部員A「ピットはタイヤの準備してるけど……。この周も入らない!」
古雪「このまま行くつもり!?」

111名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:34:32
古雪「うわわわ!今のコーナーでリアが滑りまくりでしたよ!?」
部員A「…………」
古雪「あと2周……でもこれじゃ……!」
部員A「行くさ」
古雪「……えっ?」
部員A「このまま行くに決まってる。目の前に優勝があるのに、それを諦めるなんてできるわけがない!!」
古雪「……!……いっけぇ!がんばれぇ!」

112名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:34:46
古雪「がんばれぇ!負けるなぁ!」
古雪「(どうしてだろう。心の底から叫びたくなる。それに……すごく興奮してる!)」
部員A「回るんじゃねぇぞ!男を見せろぉぉぉ!」
古雪「(先輩も、ううん。先輩だけじゃない。周りのお客さんも叫んでる)」
古雪「(これが……本当のレースなんだ……。私は……何もわかってなかったんだ)」
古雪「いっけぇ!負けないでぇ!」
部員A「ファイナルラップ!」

113名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:35:04
部員A「最終シケインさえ守れば!」
古雪「ああっ!でも2位のマシンがすぐそこですよ!」
部員A「イン閉めろ!飛び込ませるなぁ!!」
古雪「あぁ!外側から抜かれた!(もう見てられない!)」
部員A「まだだ!」
古雪「!?」
部員A「あんなスピードでアウトから突っ込んで……曲がれるわけがない!」


実況「最終シケインでオーバーランだ!!優勝は雨の中、ドライタイヤで奇跡の粘りを見せたフェラーリ458ぃぃ!!」

114名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:35:28
ワァァァァァァ!!
部員A「優勝だ!458が勝ったよ!古雪ちゃん!」
古雪「あ……あ……」
部員A「古雪ちゃん?」
古雪「ああああぁぁああ!!やったぁああああ!!」
部員A「おめでとう古雪ちゃん!」

古雪「(私、どうして泣いてるんだろ。どうしてこんなに嬉しいんだろ)」
古雪「(どうしてこんなに……心の底から押さえられない気持ちが沸き出してくるんだろう……)」
古雪「レースって……面白いですね!先輩!」
部員A「あぁ!」

115名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:35:47
カエリノヒコウキ
部員A「古雪ちゃん大丈夫?」
古雪「ちょ、ちょっとはしゃぎすぎて疲れました……」
部員A「あのあとの表彰式でも大騒ぎしてたからね……。そりゃ疲れて当たり前というか……」
古雪「でも、先輩。私ちょっとだけわかったんです」
部員A「?」
古雪「昨日、個人スポンサーのチームを馬鹿にしちゃったじゃないですか。でも、違うんだなって」
古雪「きっとレースにハマったきっかけって色々だと思うんです。私みたいに先輩が誘ってくれた人もいるだろうし、ミクちゃんやイカちゃんが好きで来た人もいるはずです」
古雪「でも結局はみんなレースが好きで、応援してるクルマに勝って欲しくて。だから必死になって応援するんだなって」
古雪「綺麗なことばっかりじゃないけど……。でも応援してるときって、勝てるかどうかワクワクしてるときって、最高に楽しいんですよ!」

116名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:36:18
部員A「古雪ちゃんも立派なモータースポーツファンになったね」
古雪「先輩のおかげ……です……ぐう……」
部員A「もう瞼が落ちそうになってるよ。少し眠ったら?着いたら起こしてあげるから」
古雪「あ、先輩。それ、私にも聞かせてください」
部員A「え?古雪ちゃん洋楽には興味ないって言ってなかったっけ?」
古雪「そこにあるかもしれないじゃないですか」
部員A「えっ?」
古雪「レースみたいに、私を夢中にさせてくれるものが」

117名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:36:35
古雪「私、もっと色んな世界を知りたいんです。そしてもっともっと楽しいことを見つけたいんです。だから先輩も協力してください。まずは先輩の好きなものからスタートです」
部員A「あんまり女の子の趣味じゃないものも多いよ?」
古雪「ふふ……レースだって同じですよぉ」
部員A「はは。確かにそうだね。それじゃイヤホン片方をどうぞ」
古雪「ありがとーございます……ぐぅ……」
部員A「ちょっと静かな曲がいいかな。これとか」ピッ
古雪「あ……いい感じに……睡眠導入……ぐぅ……」

118名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:36:50
古雪「すー……すー……」
部員A「あ、すいません。毛布をお願いできますか」
ハイドウゾ
部員A「よっと。これで寒くないかな」
古雪「うぅん……すー……すー……」
部員A「(沙希さん、古雪ちゃんは大丈夫ですよ。これからたくさんのものを見て、たくさんのことを吸収するはずですから)」
部員A「っていうか俺も見習わなきゃな」
古雪「うん……えへへ……」

119名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:37:16
数日後。部室にて

バターン!!
古雪「先輩!!」
部員A「どうわ!?あーびっくりした」
古雪「これ!これですよこれ!」
部員A「え……あぁ夏休みの後に出すって言ってた課題?」
古雪「とある冊子を読んでたら凄くアイディアが沸き出してきたんです。一気に書き終えたら我慢できなくなって教授に提出しちゃったんですよ!そしたら……」

「……うん。今度のは君の声がよく出てていいね」

120名無しのリスナーさん:2011/07/14(木) 01:37:41
古雪「って言われたんですよ!凄くないですか!?」
部員A「あー……うん。凄いね」
古雪「そのとき読んでたのがこれなんですよ!」
部員A「あ、鈴鹿のときに持っていったコミケのモタスポ冊子」
古雪「これ書いた人すごいですよ!?なんか沸き上がってくるんですよ!アイディアが!」
部員A「うん……それで?」
古雪「行きましょう!」
部員A「どこに?」
古雪「……コミケに!!」

終わり。


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