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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

640 二郎剤 ◆h4drqLskp. :2007/03/05(月) 02:16:06 ID:TFlfCwF6
 闇夜が始まる。翼を持った人々にとって、眼鏡無しでは活動できない時間だ。
 あてがわれた私室へ眼鏡を取りに行ったラプンツェルが、アンジェラの休む部屋へ戻れば書き置きだけがあり、彼女の姿はない。
「……?」
 残された文面通り、彼女は階段を探す。

「戦場とはまだまだ私達には相容れぬ場所だ。勉強になる」
「それはそれは。私達で宜しければご教授致しますの」
 テティスの感想に言葉一つ、白衣を脱がぬ夕子が茶をすする。
「戦という物は覚悟が物を言う。解るかね?」
「ん」
 エリクに対する短いうなずき、そして一服。真理は至ってマイペースであった。
 四人のくつろぐ部屋は静寂の合間に会話を持つ、穏やかな部屋だ。静寂を乱すことは簡単で。ノックの音一つで会話は収まる。
「あのさ、教導隊どうした?」
 顔を覗かせたシヴィルは、軽い黙礼を果たしてからそう問うた。
「通達があると、一旦国に戻りましたわ」
「あ、おっけー。邪魔したね」
 言うが早いが、覗かせた顔を素早く引っ込め。
「……?」
「簡潔であるな」
「いつものこと」
 そう言い、真理は再び湯飲みを煽る。
「蜂蜜パンならまだあるぞ」
 無限大のバッグなのかと思わせるほど、パンは良く出た。

 顔を引っ込めたシヴィルは、背後に待つ三人を見つめ、意地の悪い笑みを見せた。
「孝美は居ないみたいだ」
「羽根のばそっか」
「一安心……」
「失礼な物言い……」
 スヴァンの言葉は、エルヤもナンナもまとめて評し、呆れの色だけを残す。
「まーま、白いのだって大変だろー?」
「そ……それは否定しないけど」
「よーし、記憶したっ!」
「こ、こらっ!」
 似たもの同士のやりとりを笑い、エルヤがナンナを誘導する。
「屋上にでもいこっか。夜の街を一望とか、ロマンチックだし」
「まあ……エルヤ様ったら……」
 腕を抱き、ナンナがしなだれかかる様に苦笑しつつ。
「おいおーい、あたしらは蚊帳の外かい」
「邪魔するよりいいのではなくて?」
「あはは、折角だしお話しようよ。ナンナは後で……ね」
「え、エルヤ様ーっ!」
 騒ぎ立てつつ、階段を上る。屋上への道は良く分かっていた。
 だが、「こんなもの」があるとは聞いていない。
「もしもーし?」
「おーい?」
「何処でも良いの……?」
「ある意味才能ですね……」
 四人の見つめる先には屋上へと出るドアがあり。
「くー……」
 ドアを塞ぐように眠る存在があった。彼女たちが眠る姿を見慣れてしまった。そんな眠り姫が一人。
「あのさー! ソフィア! あたしら屋上に行きたいんだけど!」
 ご丁寧にライオン抱き枕を使い、あからさまに塞ぐ形で眠る彼女は、またぐことも出来ぬ障害であった。ドアは引く形で、引けばドアはソフィアに当たる。
「むにゅー。今日はここで仮眠するんですぅー……」
「……にしても、すっごいの……」
 エルヤの視線は思わず、といった様子で床に潰れるふくよかな胸を見る。
「えーるーやーさーまー!」
「いたたたた!」
 頬をつねり、いくらわめき立ててもソフィアは完全に目覚めなかった。それどころか、騒音から逃げるべくなのかは解らぬ事ではあるが、体を丸める様は重みを増す岩のようでもあり。
「しょうがないわね。部屋で休みましょう」
「だな……。行くぞー、エルヤ、ナンナ」
「そうですね」
「そ……痛い……痛いってばナンナーっ!」
 同じだけの騒がしさで、四人が階段を引き返す。
「ふにゅ……がんばるんですよぉー……」
 寝言が誰かに向けて発せられた。


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