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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

637 二郎剤 ◆h4drqLskp. :2007/03/04(日) 22:03:19 ID:tJCfqFFo
19.休符一つ
 ――あれは、何のため。
    推測することが私の仕事であり、楽しみでもあるのです。

 ライラとエルヤの停止は、たった数秒に数えられる物。
 あくまで時計上での話だ。彼女たちには己の体が着地を完了するまで、長く長く、それは一時間以上にも感じられる時間で、研ぎ澄まされた神経は踊る毛先はおろか、相手の乱す空気すら察知するほどに過敏であった。引き延ばされた時間の中、己の体重移動を感知しつつ、エルヤは一つの事実に気づく。気づけば、鋭く細められた瞳が、視線を失った。
 醒めた。
 現実の時間を取り戻したのは、醒めたエルヤだけではなく、同じく事実に気づくライラも同等で。
――終わったぞ、ライラ。
「了解」
 無線機にやりとり一つ、そうしてから先ほどまで行っていた舞いのパートナーに視線を向ける。殺気も闘志も無ければ構えもなく、二人はただ立つ。
「役目は終えた。私達はそろそろ引く」
「目的は?」
「宣戦布告さ。やりがいの無い相手ならば、今日中に潰していた」
 エルヤは苦笑し、溶けたアスファルトを見つめた。先ほどまでの争いが評価に樽と知り、何故か面白いと思った。
「それはいい評価と取っておくよ」
 笑みはライラにも伝播し。改めてインバネスでそれをぬぐうように口元を覆った。
「来週の今日、全力で襲撃させていただく。十九時だ」
「解った、伝えておく」
 それと、と横を見た。
「ごめんね、ストラマ」
『ううん』
 歌声の否定一つ。
 左手を血に染め、右手を焦がしたストラマは苦痛の表情さえ無く。
「いいんだよ。ボクは少なくとも殺し合いはしない」
「甘い事を言う」
「とか言うけどね。互いに傷を受けなかったのは彼女のお陰じゃないか」
「私の弱さ、か。背負うのはメヒの魂で十分なのに……」
『全部私の友達……』
――うそばっかり。
 否定の歌声にため息が出た。それはエルヤだけでなくストラマも、そしてライラも。
 ライラはため息を推力に、背中を向けインバネスをはためかせ。
「今日はこれまで、一同撤収だ!」
 飛び立つ。空に寝そべる姿は薄く、スレンダーな体は翻る黒い布地に隠されてしまっている。長い黒髪は風に遊び、インバネスの一部のようだった。
「君は……染めているの?」
「ああ……」
 最後のやりとりは短く、追従する集団を追いかける者は居なかった。ストラマに毒気を抜かれた。そう思う者は少なくない。
「ちぇ……」
 シヴィルの不満を乗せた風が、一団の去る様を見送っている。


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