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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

634 二郎剤 ◆h4drqLskp. :2007/03/04(日) 17:25:54 ID:tJCfqFFo
「左に回り込んで!」
 指示を出した彼女の視線が大きくぶれた。大きく回る軌道はそれでも、獲物との距離を必要以上に空けない、それほどまでに。
「は……速い……!」
「調整不可能です、ごめんなさい!」
 ラプンツェルの肌に、鈍い感触が二つ。類似の感触は記憶に多い。防弾チョッキ越しに受けた銃弾のようでもあり、少々規模は違うが爆破をバリケード越しに確認したときにも似ていた。そして最も類似したのは。
――暗殺行の時に、無力化したとき。
 腕を、翼を失わせる行為を思い出し、最も感触の近い背筋を寒くさせた。不安に視線をやれば。
「アンジェラさん……まさか!」
「終わってから心配して下さいっ!」
 視線を風イカダに移す。
 力感を失ったアンジェラの背より生えた翼から。

「ただの脱臼ですよ……!」
 絞り出すような声に付随し、ラプンツェルを抱える両手も絞られる。離さない。
「痛くても……まだ、飛ぶんですね……」
 安全のために離すことより、己の身を省みず飛ぶことを選んだアンジェラに思いを重ね、ラプンツェルが代わって翼を広げる。
「だめ……ですっ! 貴女まで……!」
「いいから……! ここまで頑張ったアンジェラさんのために、私は応えます!」
「っ……!」
 アンジェラが歯を食いしばる。悔しさで、申し訳なさで。
 二人の重ねた意志のため、それが最も強い理由で。
「再加速します!」
 言葉の通り、頭を取るべく迂回する軌道が、蹴飛ばされたかのような直線軌道で風イカダを狙う。

「痛くないですか?!」
 抱きしめた相手を気遣いつつも、風に目を細め、しかし獲物への視線は逸らさず。ただ広げる事を役目とした翼の負担を体に感じ、軌道を修正していく。
「問題ありません! 苦痛には慣れてます!」
 答えを告げ、銃撃を始める。言葉に重ならぬように発した事を気遣いと思い、風イカダの真上、そこを貫くような軌道に回避を取り入れ、行動で返礼した。
 銃弾が牽引者を牽制し、真上を取れば小型の爆薬が投下され。すれ違いを完了する前にアンジェラが姿勢を制御すれば、再びの爆撃位置を右側から縫う形となる。
「後少し……!」
「私達……きっと、責任を果たせます!」
 役目を終えた銃器を空に捨て、ナイフを取り出す。
「もう少し無茶することになりそうですね……!」
「ごめんなさい……」
「いえ、私……」
 風イカダに高さを合わせ、背後を貫き前方を位置取りしたアンジェラの視線は、目標からラプンツェルへ移り、笑みを一つ、彼女の後頭部に向ける。
「貴女の事……一番お手伝いしたい人だって想ってます!」
 視線を再び獲物へ。吐いた思いはハルピュイアイが燃料とし、空を蹴る。最後の護衛目がけ、速く、速く。


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