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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

626 二郎剤 ◆h4drqLskp. :2007/03/03(土) 20:01:02 ID:2jGvrMh6
 エルヤの羽毛、その一枚が道路へと、音もなく。
 合図になった事すらそれには解らなかっただろう。
――ストラマが行く先に、私は居ない。
「何故言い切れるッ!」
 ライラの動きを察し、エルヤの足が反発力へと変わるべきエネルギーを溜める。舞った羽毛は伏し、そしてメヒは歌う。
――私の友に炎を与えます。
 歌声通り、ライラは炎を使い。
「神の代理人になったつもりか……!」
「拝借しただけ――イスデスとウァージェイトの炎を!」
 炎の蛇はエルヤの頭上より舞い降り、先端は大蛇のような牙を持っていた。持ち主の手すら炎に包み、炎蛇の尾は犬の頭をした炎が噛みつき、主と蛇を繋いでいる。
――このまま世界は壊れるから。
 歌声の前触れであるかのように、かつてエルヤの立っていたアスファルトに炎蛇が食いつき、タールへの先祖帰りを励起しつつ噛み砕いていく。
――居なくなった人と出会わせるから。だから乗り越えて。待っている。
「ボクは……ッ!」
 ライラの頭上、蛇を避け、左翼端に痺れるほどの熱を感じながらも、エルヤは飛ぶ。
「忘れても、捨ててもないんだ! 失った人を大事にするから……そんな会い方はッ!」
 右頭上に重みを持ち、その象徴であった斧を横一文字、大蛇の腹目がけて振り回す。炎は手応えを残さず、乱れた熱風だけがエルヤの両手、握られた指に感じる物で。
「よわっちくて、誰も守りきれないで……!」
 左目に痛みを感じる。砕け散った熱が、光が。エルヤを見えぬ痛みに包み込む。
 だが、動きは止まらない。
 左目よりも、胸が痛む。心の痛みが、メヒと己の過去が与える痛みが。
 彼女を突き動かす。

 エルヤの振るった斧が彼女の背後にまで回り。彼女はそれに従い回転を行う。背後の動きを溜めに、そのまま右から左、再びの一文字をライラに喰らわせるために。
 距離を、速度を、感情を。全てを込めた一撃を振るうために、彼女の翼は落下を助長する。最速で、最高の力を確信した。避けられる距離でも時間的猶予もない。翼の助長がその確信を強め、
――あなたに力を、信じてる。
 メヒの歌が炎をライラに再び呼び起こし。
「っく!」
 翼に感じる赤熱を信じ、エルヤはライラへの一撃を諦め上空へ逃げる。
 あれだけの熱を浴びながらも、背筋に感じる寒さは確かな物で。素早く下方を見つめれば、エルヤの存在していた位置は炎蛇が骨をも溶かすほどの包容を空に行っている。
――私が有るうちに。
――この小さな青空を作れるうちに。
「祖国と――主に見捨てられた我々が……そんな簡単に終わると思うのか! ヤールッ!」
「……だよ」
 燃え盛る炎が白色を増し、空気が弾ける音が響く。
「父さんもラクェルも……守りきれなかったんだよ……! だから……もう、もう二度と……!」
 翼を閉じたエルヤが上空を落ちる。
 それは、ライラの頭上で。
 炎の源の直上で。
――新しい何かを。世界を変えて。
「誰も失わせるものか――――ッ!」
 斧よりも、己よりも。
 エルヤの叫びが真っ先に、炎とライラを貫く。


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