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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

581二郎剤 ◆h4drqLskp.:2007/02/17(土) 20:20:30 ID:OVKeGQEU
 夜の始まりが早くなった。そう実感する日没は、早く感じる対象の季節から一時間は早い暗闇を湛えている。
 各所を見て回った面々も会談を続けていた面々も応接室に戻り、一息といった時間がある。ミュトイの案内役は立ち去り、皇子も執政官もおらず。情報交換と、各々顔を合わせておらぬ者の為、紹介をようやく終えた所だ。
「隊長さ、なんで延長したの? 事件でもあった?」
 紹介が終わるや否や、そのようなタイミングでシヴィルの声は響いた。挙手は無く、さほど大きくないその声は、それでも鋭く通るような錯覚がある。普段の弾むような、楽しみを顕したような口調ではない。
――仕事モードね。
 質問を投げかけられたティアの瞳がかすかに笑う。たった一拍のリズムに割り込んできた影があり、
「異国のヴァルキリヤ殿、そなたは面白いな」
「お……父様?」
 ナンナの発した言葉に改めて認識を持つ。奇しくも現在、唯一の男性となるエリクを見やった。戦の国らしい、燃えるような瞳と頭髪の色、そして髭があった。彼は不適な笑みをかすかに滲ませ、顎髭を一つさする。
「敬語は抜きにさせて貰っていいかな、慣れないんだ。あたし」
「はは、良き哉。我が国の身分は武勇である。そなたなら良いであろうな」
 互いに力強い笑みを浮かべ、シヴィルの発言、そのような流れを感じたのは一人ではない。
「わざわざ外を見て回らせて貰ったんだ。市街地で何かあったとしか思えないんだけどね」
 エリクは鷹揚にうなずき。
「しかし、ニュースには何もありませんね。情報という物は、この国において重要かと存じます」
 穏やかな物腰で告げるのは、スノトラだった。彼女の視線だけで、全員がテレビを見つめ、その予想を裏切るような内容を放送していることを確認する。
「だが、少なくとも儂とドルイド殿はそう考えておる」
「それが真実ですと……妨害、報道規制、私達に秘密――そして現状」
 ドリスが指折りを交え、要素を錬っていく。一つ一つ折られる指が、まるで真実を掴むかのように拳となり、しかし小指を残した。
「妨害?」
 最後の指が仮説を鷲づかみにする。握られたのは虚空ではある。しかし仮説はドリスの拳にしみこみ、頭を介して言葉を紡ぐ。
「ストラマに触れた、その三国だけが手を取り合うことを嫌がっている、というのは噂ではなく、見せしめになるような行為があった……?」
 回答に対し、正否は解らない。
「お食事とお部屋のご案内をさせていただきます」
 ノックとその声だけが、次の行動を示すだけだ。


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