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羽娘がいるからちょっと来て見たら?

573 二郎剤 ◆h4drqLskp. :2007/02/17(土) 20:13:56 ID:OVKeGQEU
5.千の積み重ね
 ――今居る瞬間にとっては千分の一。国にとっては千そのもの。
    だけど、語り合う言葉は永遠の千と、そこからの数ヶ月。

 会談場は、質疑の時間であった。真っ先に手を挙げたのはドリスで、
「保有戦力は警察機構のみとありましたが……」
「その通りです。戦力と呼ぶにはいささか武装や訓度が足りませぬが」
 先ほどまでの説明で解っている事を告げた。前置きという意図を察してか、返答したジェロームはドリスから瞳をそらさず。
「本当にそうなのですか? 国家間交流の無かった時代から国土を維持するには、少々自衛勢力が足りないと思うのですが」
 隣でショーティが顔を覆った。早い核心に呆れたような、そんな仕草を見せている。回答はわずかな間、しかし、先ほどの返答より時間をかけた間だ。
「設備力で勝っていますから。」
それはニコラスから伝えられ。
「……承知しました」
 明らかに不承不承、そんな雰囲気の間を持ってドリスは質疑を止めた。雰囲気を感じ取り、かつ質疑を止めたドリスに返答者は一礼を返し。
――流石に固いですね。
 少なくとも、特務のメンバーは同一の意見を抱いている。

 ソフィアの心配、そればかりが彼女に随伴したメンバーの脳内を浸す。
「器用なもんだ……」
 シヴィルがぼやく。彼女の視線はふらつくソフィアの後ろ姿を捉えており。
「なんで転ばないんだ……」
 呆れるベリルの耳に届く、ソフィアの寝息は確かな物で、それを裏付けるかのように時折彼女の首は船を漕ぐ。
「慣れてるんじゃない? というか……、解ってやってるって事はないのかな」
 エルヤは悩む。彼女らの求める、質疑の時間を思いつつ。
「眠れば質疑は受け取られない……ですか」
 ため息を吐くナンナの見つめる先、寝言すら交えたソフィアが緩やかな段差を歩む様がある。
 フォルトゥナと呼ばれた、街を囲ってしまうような空中の環、それが支えられているまたは支えている角柱、居住区を持つそれは一般に言う高層ビルだ。その眼前に立つ彼女らを先導した眠り姫がかすかに震えた。
「技術庁到着ですぅー。ふあふゅ……」
 振り返り、高層ビルの名前をあくびと共に吐く。
「ソフィアさん。はいはい」
 口火を切ったのはエルヤだった。
「技術庁って何してるの?」
 眠たげな笑顔は変わらず、はい、とだけ告げ。
「防衛装置や警戒網、通信インフラの確立などですねぇ。特許管理は法務庁との連携でやっておりますぅ。非常時監視システムとしましてはー、外部および市街地に緊急時のみ稼働する映像監視システム、アルゴスとかも作成しましたよぉ」
「そ……そお……」
 ギャップに面食らったのか、理解をいまいち示さないのか、エルヤが言葉を濁し、
「ECM対策はどうなってるんすか?」
「アナログ、デジタル二系統のサブルーチンを備えてますよぉ。勿論有線ルートと無線ルートを用意しておりますう」
 この質問を始まりとしてベリルとソフィアの会話は続く。なんとか追いすがるのはナンナで、シヴィルとエルヤは取り残されたままだ。
「だけど」
「だけど?」
 絵に描いたかのような『小首を傾げる』行為をソフィアは見せる。
「そんなのは、昔っからあった設備じゃ無いっすよね?」
 ええ、と淀みなく返答は返り、
「勿論ですよぉ」
 眠たげな瞼の奥、瞳は鋭さすら感じられ、しかし穏やかな光がある。


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