したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

羽娘がいるからちょっと来て見たら?

564二郎剤 ◆h4drqLskp.:2007/02/17(土) 20:01:21 ID:OVKeGQEU
 軍部オフィス、その一角。会議室では資料の山を囲む形で数人が居た。
「くしゅっ!」
「なんだラプ子、風邪かー?」
 デスクワークに退屈を示していたシヴィルが、ここぞとばかりに声を掛ける。当の本人はティッシュで軽く鼻をかみ、目前の資料を汚していないかと軽い動揺を見せ。
「いえ……そうじゃないんですけど、どうしたのかな……」
「噂でもされてたりして」
 得意分野にて余裕を見せるドリスが顔を上げた。その言葉に過剰な反応を示したラプンツェルが立ち上がり、両手をばたつかせた。
「そ、そんなー……噂されるような……」
「尻がでかーい」
「た……大尉っ!」
 いつも通りの笑みを浮かべ、シヴィルは作業を再開した。文句を言う相手が職務に就けば、持ち前の生真面目さが機先を失い、軽くうなりを上げながら作業を再開する。
 しばらくの沈黙と紙を動かす音、その合間を縫うように会議室のドアが開き、ティアが現れた。彼女は少々疲労を見せつつ三者を見つめる。肉体疲労ではない事は、現在書面に目を通す誰もが持っている共通の疲労であり、
「どう、何か解る?」
「ミュトイはやはり……裏表があるのでは?」
 ドリスの結論に、
「ストラマの伝承はあります、独自に神話などを作っていることはいいのですけど」
 独特の名詞、それの確認をしていたのはラプンツェルで、彼女なりの結論を続けるべく、周囲に話すという行為を見せるかのように軽く咳払いをした。
「重きを置くのは知識と芸術、そして技術。それだけなんですよね……」
 疑問は腕組みした娘から、
「なんで軍事組織をろくすっぽ持たないで、あんな国土を守り切れていたか、だなー」
 国家間の交流がなされる前、そんな古代より国土面積が変わらない。シヴィルの眼前、開かれた書物にはそう記されており。
「最新鋭とは言え、設備だけで守りきれるのかねぇ……?」
 沈黙があった。誰にも答えられぬ回答に全員が目をつぶる。
 結論は見てから。そうまとめられたのは夕刻で、つまる所何の結論も得られなかったと言うことだ。
 不安を乗せ、疑問を乗せ、そして装備と、大荷物を乗せた時間はいつもと変わらぬペースで時計を進める。
 出立は翌日、翌朝。誰の懇願にも待たぬ時間が過ぎていく。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板