したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

●事情によりこちらでSSを投下するスレ 4●

906出会い:2014/05/24(土) 00:16:00 ID:0.s18Cfc
暫く歩くと川が見えたので、欄干の上から傘を投げ込んでやった。
修学旅行のとき、皆で買ったお揃いの傘。
一瞬後悔が頭の隅を掠めたが、後の祭り。
濁流に呑み込まれ、どんどん壊れながら流れていく様を見て、少しだけ笑えた。
私と彼女の友情くらい呆気なく壊れた傘は、同じぐらい呆気なく見えなくなった。
誕生日にもらったヘアピンも投げてみた。
交換したシャーペンも捨てた。
落書きしあったノートを破いた。
一緒に選んだキーホルダーを千切った。
破られたり悪質な悪戯書きで使い物にならなくなった教科書をグチャグチャに踏み潰して蹴り飛ばした。
全部泥水に呑まれて、消えてなくなった。
後悔と同じぐらい、清々した。
そのままぼーっと川を眺めていると、バッグの中でケータイが震えているのに気がついた。
この土砂降りの中では取り出せないので、近くのコンビニに入る。
ズブ濡れの私を見て嫌そうな顔をしてくる店員の嫌そうな挨拶を聞き流しながらケータイを見ると、知らない番号からだった。
結果は分かり切っていたけど、一応出てみる。
『うわっ、本当に出た!』『マジ!? どう? 可愛い?』『電話でどうやって判断すんだよ』『いや声がさ……』『あのー、タダでヤらせてくれるってマジ?』
複数の、若い男の下卑た声。
おそらく、どこかの公衆トイレの落書きでも見て来たのだろう。
少し調べただけでも、学校周辺で三箇所。私の電話番号と、いつでもエッチができる、といった旨の落書きがされているのを見つけた。
最初の頃は落書きを消すために、どこでこの番号を見たのか聞き出そうとしたりもしたのだが、1週間近くも続くとさすがに辟易する。
耳に入ってくる音にイライラする。ムカつく。能天気でいかにも頭が悪そうな声音と馬鹿な喋り方。
「死ね」
一言だけ返し、ケータイの電源を切って、ゴミ箱に捨てた。
そのまま店を出ようとすると、ケータイを捨てたのを見ていたのか、それともさっきの一言が思ったより大きかったのか、周りの客も店員も私をチラチラと気にしていた。
でも、別にどうでもいい。
もう、どうでもいい。

907出会い:2014/05/24(土) 00:17:39 ID:0.s18Cfc
またしばらく歩くと、スーパーがあった。
店先で、子連れの母親が、女の子に可愛らしいレインコートを着せている。
傘を忘れたらしいお爺さんが、空を見上げて困った顔をしている。
高校生のカップルが、肩を寄せ合って一つの傘に入って店を出て行く。
ありふれた光景。
ありふれた現実。
それなのに、今の私にとっては、こんなにも遠くて―――
「君、傘はどうしたんだい」
「―――は?」
顔を上げると、中年の男が私の前に立っていた。
「風邪を引くよ。ほら」
その男は私の手を取って、自分の傘を握らせた。
私は突然のことに何が何だか分からなくて、反応できない。
「あ、コーヒーは飲めるかな? ブラックだけど」
「の……飲め、ませ、ん」
「そうか、じゃあ少し待っていなさい」
彼は背を向けると、傘もささずに走っていく。
いや、彼の傘は私が持っているのだから、当然か。
そうして混乱していると、彼は小走りで帰ってきて、私の前で止まった。
「ほら、コレを飲みなさい」
また、勝手に私の手を掴んで、何かを握らせる。
見ると、アップルティーのようだった。

908出会い:2014/05/24(土) 00:18:03 ID:0.s18Cfc

「ほら、そのまま飲みなさい」
「ぇ……え?」
「キャップは開いておいたから、そのまま飲みなさい。まずは身体を温めないと」
「は、はい……」
促されるまま、口をつける。
確かにキャップは開いていた。
少し傾けると、甘い液体が舌に触れ、喉を通り過ぎて行く。
一口飲んで、それからもう一口飲んだ。
……あったかい。
ペットボトルを見て、また一口。
口から喉、胃の熱が、身体を少しだけ温めた。
見上げると、彼はまだそこにいた。
雨に濡れながら、私をじっと見つめていた。
その顔を見て、瞳を覗いたとき、私の口からは勝手に言葉が出てきていた。
小さな声で、しかしはっきりと。
目の前の、このおじさまにだけ伝わるように。
「私を、あなたの家に連れて行ってください」
おじさまは、困った顔をしていた。

909出会い:2014/05/24(土) 00:18:28 ID:0.s18Cfc
前半終了

910以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 00:22:31 ID:???
うばぁぁぁぁぁ……乙

911以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 01:13:24 ID:???
寒いんだ、僕にそのアップルティーを飲ませてはくれないか?

912以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/05/24(土) 17:50:00 ID:???
wktk

913以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:10:01 ID:/WCPHDls
毛先から滴り落ちた水滴が、掌で弾ける。
少しだけ腕を伸ばすと、腕を伝って腋を抜け、お尻から脚まで、むき出しの肌の上を流れ落ちた。
私は今、全裸で立っている。
もちろん、屋外でストリップを始めるほど人間をやめてはいないわけで、ここは浴室だった。
頭の上から降り注ぐのは冷たい雨粒ではなく、シャワーから流れるお湯だ。
土砂降りの中、傘もろくに差さずに外をうろつき、酷く冷えてしまった私の身体を温めてくれる。
しかし私は、一息吐くどころか、心臓がバクバクと高鳴っていた。
なぜなら、ここが自宅ではないから。
しかも、
見ず知らずの、
中年の、
男の家、だ。
正直、どうしてこうなったのか、自分でもわからない。
「いや……自分で言ったんだけどさ……」
気づいたら、口から言葉が出ていたのだ。
考えるよりも先に、思うよりも早く、何かが口から零れ落ちたような、そんな感覚だった。
そして、その結果――
「バスタオル、ここに置いておくよ」
「はっ、はいっ!!」
浴室のドア越し、脱衣所から響く、中年男性の声。
私の反応を見て(ドア越しだが)、おじさまの気配が遠ざかって行く。
……不意打ちとはいえ、とてもいい返事をしてしまった。
学校でも、こんな返事はしたことがない。
一世一代、だ。
……少しだけ、恥ずかしい。
しかし、おかげで冷静さも少しだけ取り戻した。
状況整理をしよう。
まず、にべもなく告白を断って、報復された。
ヤケになって、土砂降りの中をアテもなく歩いた。
それを見かねたおじさまにアップルティーをもらって、家に連れて行けと頼んだ。
「……」
わけがわからん。
冷静になったところで状況が変わるわけでもなく、いつまでも浴室に篭っていないでさっさと帰ればいいと気づいたのは、それから30分も後のことだった。

914以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:10:39 ID:???
まだ書き終わってないのに誤送信
ごめん

915以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/01(火) 20:52:09 ID:???
期待すんぞコラ

916以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/07/03(木) 21:52:15 ID:???
ふざけんな待ってんぞオイ!

917以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 22:32:13 ID:lp9yHdLk
久しぶりにスレ投下しようとしたら当たり前のように規制だった奴。
8/10はハートの日らしいよかなみさん落書き。
http://tunder.ktkr.net/up/log/tun2861.jpg

918以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:25:48 ID:sxLhknqM
>>917
悶えた

919以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:31:28 ID:???
久しぶりでつね。GJ!

920以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/10(日) 23:36:50 ID:???
このドヤ顔に勃起を禁じ得ない

921以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 20:21:41 ID:???
GJ!

922以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 21:16:34 ID:???
GJ!!

923以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/08/11(月) 22:48:02 ID:???
>>917
お久しぶり

かなみさん愛してるwwww

924以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/12/12(金) 17:12:09 ID:???
かなみいいい戻ってきてくれええええ

925以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2014/12/12(金) 18:26:18 ID:???
かなみさんならずっとお前のそばにいるだろ何言ってんだ

926以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2015/06/02(火) 03:46:14 ID:???
ロダ落ちてるね

927以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2017/10/17(火) 00:12:39 ID:Au0HuqbI
かなみ俺だ結婚してくれ

928以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/05/28(月) 18:10:16 ID:AEwvEyc.
久しぶりに戻ってきてしまった…

929以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/08/10(金) 23:47:14 ID:j/0eMZMI
俺さあ
今でも好きなんだよなあ
ツンデレがさあ
かなみも ちなみも
みんな好きなんだ
この想いを共有できる場所がもう無いんだなって思うと
凄く悲しい

930以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/02(火) 00:09:13 ID:YPE4nYRc
まぁ俺もキャラクリゲーでは今でも千奈美を作るよ

931以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/02(火) 01:34:46 ID:YPE4nYRc
だからお題をくれ

932以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/07(日) 04:00:31 ID:???
男が就職してしまいツンデレと会う機会が減ってしまったら

933以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/12(金) 15:19:45 ID:YPE4nYRc
「……今まで……どこに行ってた。……ばか」
 数年ぶりに帰ってきた地元駅。
 眼の前には、そんな俺を睨みつけてくる少女がいる。
 眠そうな目と黒くつややかな長い髪。そして間延びした口調。
 数年前、俺が就職してこの街を飛び出すまで仲良く……仲良く? していた子、ちなみさん。
「仕事だよ仕事。まぁ、それも辞めちまったんだけど」
「ふん……。おめおめと逃げ帰ってきた……か」
 ひどい言い方もあったのだ、と思うが実際その通りだ。国破れて山河あり、夢破れておかえりなさいまし、ってな具合に。
「情けない。……私を……置いてった、くせに……」
 そう言って睨みつける視線に、しかし当時のような気丈さはない。
 ただ悲しみの色だけが色濃く出ていた。
「それは、仕方ないだろ。お前にも進路が……そういやお前今何してるんだ?」
 思わず疼く胸に言い訳をしようとして、ふと口をつく疑問。
 地元で生活をしているとして、この辺に良さげな就職口なんてあったか?
 そう考えた俺に返ってきた言葉は、やはり彼女が常人ではないのだと思わせるものだった。
「去年、高校を卒業してすぐ……会社……作った」
「起業したのか!? すごいな! で、どんな会社なんだ?」
 思わずテンションが上り、俺は前のめりになって聞く。
 にんまりとして答えるちなみさんは、やはり、やはり常人ではなかった。
「……発明会社ちなみん」
 …………。
「発明会社」
「……ちなみん」
 思い返す。
 彼女との毎日。
 何があった?
 色々あった。……本当に色々あったが、確かにあの技術力があれば会社の一つや二つ興せるのかもしれない。
「……ん? 去年卒業? あれ? その、俺がいたときってちなみさん何歳だっけ?」
「手が後ろに回るから……考えないほうが、いい……」
「…………はい」
 曰く有りげなにやにや笑いを浮かべながらのちなみさん。ご忠告通り、考えるのはやめておこう。
「そんな犯罪歴あり現在無職でお先真っ暗な君だけど……どうしてもと言うなら、雇ってあげても……いい……よ?」
 答えなんて一つしかない。
「まずは履歴書買わせてもらえませんか? 社長」
「…………ん。いい……よ。……ふふ」
 満足そうにうなずく彼女。
 今の今まで忘れていた甘い記憶が、日々が、再び動き出すのを感じた。

934以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2018/10/20(土) 10:41:02 ID:???
GJ

ほの板のスレもよろしく

935以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2019/05/18(土) 13:24:42 ID:ukZzbung
男が死んでしまう夢を見た後のツンデレの様子を見たいです><


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板