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「変なのでやめなさい。なでなでくらい、俺がやってやるよ」
むっくら起き上がり、ヒナタの手を止めてから頭をなでる。
「あ……」
ほんのり、ヒナタの頬に朱が差す。
「へぇ、そんな機能はあるのな。表情もつけりゃいいのに」
「機能……? 何の事か、ヒナタに理解不能です。マスターの伝達能力は赤子未満と断言します」
「断言すなっ! 頬が赤くなる機能があるんだなって言ってんだよ」
「そんな機能、ヒナタには搭載しておりません。脳の障害により、マスターにはそう見えているだけと判断します」
「イチイチ人を障害者扱いすなっ! 実際赤いんだよ、おまえのほっぺ」
そう言いながら、ヒナタのほっぺをつんつんする。やーらかい。
「ひゃっ」
ヒナタの口からやけに甲高い、似つかわしくない可愛らしい声が飛び出した。
「……ひゃっ?」
「気のせいです。ヒナタはそんなこと言ってません。マスターの耳はヒナタのドリル耳掃除により粉砕され、正常に機能していないと思われます」
「なんだよドリル耳掃除って! 掃除成功したんだろーが! 粉砕されてたら聞こえてねーっての!」
「うるさいです。細かい事を気にする男は女性にもてないと思うヒナタです。……もっとも、マスターはそんなものに関係なく、女性と縁がなさそうですが」
「貴様、俺の秘密どこで知った!?」
「……マスターの仮定情報を確定情報に変更。想像通り、マスターは女性に縁がない。記録。完了」
俺の悲しい個人情報がヒナタに記録されてしまった。
「ああもう知らんっ! 俺は部屋で寝る!」
「不許可。マスターはまだヒナタへのなでなでが完了しておりません」
「ここまで馬鹿にされてするかっ!」
「マスターの狭量さを垣間見たヒナタですが、それはそれです。一度なでなですると言った以上、何が何でもなでなでしてもらいます」
ここにすれ、と頭を差し出される。まったく、誰がするか!
「しないと、睡眠中に言った寝言を再生します」
「え……なに、俺なんか変なこと言ったの?」
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