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病院は嫌いだ。匂いが好かない。
そいつが倒れてもう1週間弱。結局お見舞いには今日まで来れなかった。
そいつは小さな個室だった。
ノックをしてはいると、彼は体を起こし、本を読みながら寝ていた。
私は驚いた。たった一週間と言う期間を考えれば異常なほどに痩せていた。
布団から出ている腕は自分の腕よりは太いが、普段の印象とはかけ離れて。
その腕に点滴が刺さっているのをみて、これは彼を元気にするためのものの筈なのに
何だが病人という事をより深刻にしているような印象を受けた。
体全体はまるで板のように薄く、光の加減もあるのか顔は全体が黒ずんでいる。
「立派な病人してるのね」
そう呟くと視界がぼやけた。こぼれはしなかったが、私も立派に泣いていた。
別途の前に屈むようにして彼の頬を撫でた。間違いなく暖かかった。
そのまま少し撫でていると、彼が目を覚ました。
「……う」
「あ、ごめん」
「……なんだお前か」
容赦なく一発かました。こいつが弱っている事をすっかり忘れていた上での一撃だった。
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