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彼女の行動は早かった。
一瞬で俺との間合いを詰めると、次の瞬間、彼女のビンタが俺の頬に届いていた。
俺は少し退き、彼女の方を見据えると、ビンタより痛い彼女の罵声が俺の顔を直撃した。
『おそいっ!じゅうごねんかんもいったい何をしていたのじゃっ!』
少したどたどしい日本語が15年ほったらかしにした俺への怒りと気付くまで数秒かかった。
『まったく…きさまというやつはっ!女子をじゅうごねんかんひとりぼっちにしておくなどごんごどうだんじゃっ!
その……すこしだけ……ほんのすこしだけさびしかったではないかっ!このおおばかものっ!』
そういうと彼女は、顔を真っ赤にして俺に飛びついた。
「そうか…悪かったな。ほったらかしにしちまって」
『あたりまえじゃっ!ばかっ!ばかっ!ばかっ!』
その後彼女は俺の胸の中で、いかに俺が駄目な奴であるかをこってり教えてくれた。
そして、一通り言い終わると一枚の紙を差し出した。
「…これは?」
『ふん。またほったらかされてはたまらんからな。けーやくしょじゃ。とっとと名まえをかけ』
そこには、涙で少しにじんだ可愛らしい文字で「こんいんとどけ」と、書いてあった。
「…これで二枚目だね。「こんいんとどけ」」
『…ん?なんじゃ。覚えておったのか』
「もちろん。一枚目はこれでしょ?」
俺は内ポケットからもう一枚の紙を取り出した。実家で十五年眠った婚姻届、使う日が来るとは思わなんだ。
『あっ…な、なんじゃ。まだもっておったのか…そんなもの、はやいところすててしまえばよかったのじゃっ!』
俺は、その場で感じた率直な感想を述べた。
「それは嫌だね。だってさ、これってつまり、俺は十五年間ずっと纏ちゃんに愛されたってことでしょ?」
『なっ…!ば、ばかなことをいうな…(////)
儂は…おぬしみたいなおとこはだいっきらいじゃっ!』
しかし、二枚目の婚姻届の「さかがみ まとい」の文字は果たして彼女の心中を雄弁に語っているのであった。
そうしているうちに婚姻届に名前を書き終えた俺。今後しばらく、彼女を十五年間待たせたツケを払う事になりそうだ。
ま、それはそれで楽しみなんだけど、ね。
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