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がたんごとん… がたんごとん…
夜の人気の無い電車の中で、俺とちなみはガラガラの座席の真ん中に寄り添うように座って。
言葉無く、真っ暗な窓ガラスの向こうにある見えもしない景色を眺めていて…
『……ダーリン、…映画……どうだった?』
「ん…あ、いや、面白かったと思うよ」
『……どのへんが?』
「ああ…どこだろうな。 全体的に…かな。」
『……何それ……』
「…うん…――」
集中できなかったもんな。…観る前はあんなに楽しみだったのに、途中から全然だった。
ちなみの事ばっかり考えちまってたから…、いや、今もそうなんだけどな…
「――ごめんな。」
『………』
「………」
線路の上を走る電車の車輪の音ってのは、こんなに大きな音だったっけ…
ちなみの顔を見ることも出来ず、自分の膝小僧を眺めながら沈黙に殺されそうなわけで。
『……ダーリン、今……何時かな…』
「ん…と、」
虚ろな目で見る腕時計の針は、説得虚しく自分の仕事を健気にこなしてて…
長い体と短い体を一生懸命持ち上げていて。まぁ、お前って奴はそれでこそだよ。…GJ……
「もうすぐ12時みたいだ。」
『……そう…じゃあ……もうすぐ終わりだね…”恋人ごっこ”…』
「そうだな…(あと、5分か…」
『……名残惜しい?…ダーリンは……』
「ん? …はは、まさか……」
気付かないでくれよ?俺の中の何かがその質問に肯定するなって言うんだ。
大丈夫、一晩…いや、二晩か…もっとかもしれないけど、涙流せば…気も晴れるさ。
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