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企画もの【バトル・ロワイアル】新・総合検討会議
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雑談、キャラクターの情報交換、
今後の展開などについての総合検討を主目的とします。
今後、物語の筋に関係のない質問等はこちらでお願いします。
規約はこちら
>>2
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「交渉……今更なにをですか?」
一瞬の思考の停止から回復した狭霧は紅い色で映えた目の前の存在に言葉の意味を投げ返す。
紅蓮の炎が彩るオレンジ色の光が空を綺麗に照らし、後ろから刺すその光は機体を綺麗に、そして雄大に見せていた。
「警戒は当然か……」
臨戦態勢。
一触即発。
三人と一機の状態はまさにそれであった。
「それも想定の内、そのままでもいい。こちらからの提案を聞いてほしい」
「「「………」」」
「単刀直入に言おう
―――ザドゥを始末してもらいたい」
赤い光を飲み込んだ智機の瞳がギラリと輝いたように、三人の目に映った。
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静寂。
智機からの『交渉』の提案は、三人の思考を再び停止させるだけのものであった。
火災から始まるこの時点、このタイミングでの智機からの提案。
全てが出来すぎている。
「つまり、それは貴方はゲームの崩壊を望んでいると言うことですか?」
平静を装いながら発した言葉の裏でも狭霧は、状況に戸惑っているとも言える。
「ふむ、嘘を言っても仕方ない。生憎と残念だが私はゲームを崩壊させるつもりなどないよ」
「なんじゃと……?」
「まぁ、簡単に言うとだね」
「ゲームの崩壊にはザドゥが邪魔だということか?」
智機の言葉を遮り、その先の言葉を恭也は答える。
「頭の回転が速くて助かる」
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一呼吸おいて智機は再び話し出す。
「……さて少し長くなるが現状を話そうか。
我々の達成条件は、『ゲームの完遂』だ。
それ以外は我々にとっては、くたびれ損の骨折り儲けというやつになる。
ところがこのザドゥのやつは、『ゲームの進行』には積極的ではない。
いや、むしろ反対と言うべきだろう」
智機の言葉を聞きながら三人は、理解する。
この『ゲームの進行』に積極的というのは、素敵医師や目の前の存在のように何が何でも参加者に殺し合いをさせるというスタンスのことだろう。
そして三人は理解し、確信する。
ザドゥという漢が、このまま自分たちによる反乱が成功すれば最後に戦う存在だということを。
そして、それは智機……いや、ゲームを完遂させたい存在としては困ることを。
その様子に満足したかのように智機はニヤリと微笑む。
ならば話は早い、と。
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「我々『委任』された運営陣のTOPはザドゥのやつなのは君達も知ってはいるだろう。
だからこそ私のようなスタンスの存在にとっては非常に目障りなのだ。
邪魔と言って差し支えない。
君達も確信してるようにもはやゲームは終盤、残る人数は極僅か、それも我々に反抗し一丸となっているものたちばかり。
しかもザドゥのやつは、君たちが来るなら受けて立つ姿勢という状態だ。
これでは『ゲームの完遂』など望めやしない」
「お話の途中、申し訳ないのですが……それで私たちのメリットはあるんですか?」
これ以上の高説は不要とばかりに狭霧は、本題を切り出す。
「では予想して貰いたい。このまま君達が我々と決戦を行った場合、勝てる目算はどれだけあるか?」
三人は黙る。
なぜなら、それは先ほど小屋の中で全員で頭を悩ませたこと。
ザドゥを始めとする強大な敵たちを一度に相手にせねばならぬ最悪の可能性。
「限りなく低いと言っていいだろう。だがここにザドゥを個別に葬れる絶好の機会があるとするなら?
もし、これが私の提案でなければ間違いなく君たちは乗るとするのではないだろうか?」
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理想は各個撃破。
それは確かに正論。
「もし君達がこの話に乗らないと言うのなら、我々の本拠で君達と我々の全面衝突しかない。
しかし、私にはそれが困る。かといって私ではザドゥを倒す術はない」
「つまり……」
「君たちには万全ではないザドゥを倒せる機会を……」
「お前さんにはゲームの完遂をできる機会を……」
「グッド。そういうことだ」
遠くでぼうぼうと燃える火の粉がまるで自分たちを包み込むように三人の体温は上昇する。
ザドゥの始末に成功したのなら、智機の手によるゲーム完遂のための姦計で済まされぬような魔の手が待ち構えているのは確かだ。
もしくは……あるのだろう。
ザドゥさえいなければ、智機にはゲームを完遂させるめどが。
三人の考えは一致している。
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乗るか、反るか。
智機が嘘を言っているのであれば、後の障害が智機を残した方が大きいならば。
それならばこのまま目の前の個体を破壊すればいいだけ。
しかし、自分達を始末しに来たというのなら、こんなことなどせず不意打ちでも何でもすればいいだけである。
それだけの機体を誇るのが彼女『達』なのだから。
だが、敢えてこうして話を持ちかけてきたと言うことは、少なくとも戦いを望んできたわけではないことは明白。
彼女の考えが嘘か真かにしろ、判断はせねばならぬだろう。
「……悪いですがこの場ですぐには決めれませんね」
「そうじゃな。小屋の中の面子とも相談して決めねばならん」
「ふむ、まぁそれも当然。しかし敵に背を見せていいのかね」
「なら、俺が残る」
ぐいっと恭也が前に出る。
その様子を智機は見透かしていたかのように満足げに微笑む。
「俺よりも魔窟堂さんや狭霧さんの方がこういったことに向いてるからね。判断は二人に任せるよ」
「しかし、あまり時間はない。でないとザドゥを葬れるチャンスがなくなってしまう。待てるのは10分だ」
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両手を広げて10の指を三人の前に智機は見せる。
でなければ、機会は失うと暗に煽りならが。
「この場は、請け負いました。後ろは二人に頼みます」
「すまんな、恭也殿。気をつけてな」
「まぁ、相手の素振りからしても不意打ちの危険性はないと思いますが……」
監視役として智機に応対することを望んだ恭也の身の安全はほぼ保障されていることを狭霧は述べる。
もし一人だけ始末したい機会を作りたいなら、こんな手の込んだことをせずとも機会はいくらでもあったはずである。
では、この一人を誘拐し、ゲームを完遂させてくれる駒とすべく洗脳でもしたいというのだろうか。
もしあるとしたのならこの可能性。
ジョーカーとも言えるべき存在にするために、戦闘力の高いプレイヤーを確保したいという策略。
しかし、今回でそれを行おうとするのはあまりにも偶然の要素が高い。
誰が表に出てくるかなど100%わかりきってるはずのない博打の要素が高いからだ。
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じっとこっちを見据える智機を背にして魔窟堂と狭霧は、小屋への足を伸ばす。
数歩歩んだところで。
ふいに狭霧が首を後ろに傾け、智機に向けて言葉を放った。
「最後になった私達を始末できる参加者……その目処があなたにはあるのでしょうね」
「……さぁな」
狭霧の言葉に動じず、智機は答えた。
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