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【ミ】『A to Z』part2

1『Monster Freak』:2022/10/22(土) 15:22:39

「You're next」

―――――――――――――――――――――――――――

◆ここは『小石川』がGMのミッションを行うスレです。

前スレ
【ミ】『A to Z』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1612673497/

2『白亜のH』:2022/10/22(土) 15:30:16

あらすじ:

『奈津川恋子』は、自らを生んだ際に亡くなった母を敬愛し、
その償いとなる『善行』を求める少女である。
『Priceless』で『スフィンクス』の『ロダン』と再会した彼女は、
『アリーナ』の一派である『ステュアート派』の『試合』に参加した。
『対戦相手』として現れた選手は、
『鳥人』を思わせる風貌と能力を持つ『ハーピー』。
『ハロー・ストレンジャー』の『空中殺法』に対し、
『クワイエット・ガーデン』の『障壁』を駆使して拮抗する奈津川。
互いに『一撃』を浴びせ、戦いは『佳境』に突入する――――。

3『白亜のH』:2022/10/22(土) 15:50:09
>>前スレ998

ハーピーが『滑空』してきた時点で、
奈津川は抜け目なく『それ』を認識していた。
すなわち、真上に出来た『ハーピーの影』。
この瞬間、あの時と『同じもの』が、
奈津川とハーピーの間に生じているのだ。

《実力が拮抗した戦いは『シーソーゲーム』。
 だからこそ鑑賞の価値がある。
 単調な『ワンサイドゲーム』など無価値です》

    『クワイエット・ガーデン』の拳は、既に『触っている』。

          キ ラ ッ

一瞬の『煌き』が生まれた直後――――――。

            ド ン ッ !

両者を隔てるような形で、『影の障壁』が形を成した!!
それは、まさしく『意思の速度』。
単純なスピードでは介入できない領域だ。

《奈津川選手の『トリック』は、
 この試合が『無価値ではない事』を証明してくれました》

     「なんとッ!?」

                ガキィン!!

不安定な体勢から放たれた蹴りは、
『障壁』に阻まれて奈津川に届かない!
万全の状態と比べて威力も落ちていたらしく、
『破壊』には至らなかった。
それは明確な『隙』だ。

       ド グ シ ャ ア ッ ! !

『精密機械』のような『クワイエット・ガーデン』の拳が、
『特権』によって一方的に『障壁』を通り抜け、
狙い違わずハーピーの脚部に叩き込まれる!!
『軽い体重』ゆえに容易く吹き飛ばされたが、
ライトの『障壁』が両者を繋ぐ『鎖』となっているため、
距離が大きく開く事はない。
今の奈津川と同じように、ハーピーの体は仰向けに倒れた。

《そして、『結末』を見届ける意思をお持ちの方は、
 まだ目を離してはいけません》

  「ワタクシ、見事に『返されてしまった』ようで」

       ズドズドズドズドズドォッ!!

             「結構な『お手前』で御座いました」

足を捕らえている『光の障壁』に対して、
ハーピーが『両腕のラッシュ』を放ち、粉々に『破壊』する!
『足枷』は外されてしまったが、『一手分』の時間を使わせ、
即座の起き上がりを妨害する事は出来た。
また、『異様な軽さ』の他に、もう一つ『奇妙な点』がある。
『クリーンヒット』を食らった後だというのに、
すぐに『次の行動』を行っている事だ。
確かにダメージを与えた『手応え』があったにも関わらず、
『痛み』で怯んだ様子が全く見られない。

《『人間』と『怪物』――互いに一撃を受け、
 双方ともに『地に倒れた状態』。
 それは『戦いの終わり』を意味しない。
 むしろ『嵐の前の静けさ』と呼んでもいいでしょう。
 使い古された表現である事は、
 私から謹んでお詫び申し上げます》

「ささ、どうぞ御遠慮なく立ち上がって下さい」

          フフフフフ

「ワタクシは、『もっと早く』立ち上がってみせましょう」

倒れたままのハーピーが、挑戦的な笑みを浮かべながら、
奈津川に『選択』を迫る。
純粋な『スピード勝負』では、向こうが上だ。
同時に体勢を立て直したとしても、
奈津川の方が遅れる可能性が高いと踏んでいるのだろう。



(※MAP上は変化なし)

4奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/22(土) 22:31:19
>>3
「確かに、スピードはあなたが上。
私としては、持ち味で勝負するしかありません」

ハーピーが立ち上がるまでに、上体を起こすくらいはできるはずだ。
手元のライトを構えて、明かりをつける。
ただし能力は行使せず、単に『目眩し』としてハーピーの顔へと向けてだ。
そして一瞬の隙を作り、立ち上がりながらその勢いで鞄を二人の中間地点辺りへと投げ上げつつハーピーへと駆け出す。
余裕があれば、ライトの照射は継続する。

5『白亜のH』:2022/10/23(日) 14:20:39
>>4

体勢を立て直すまでの時間は、ハーピーの方が短い。
奈津川が上体を起こした時には、
相手は既に立ち上がりかけていた。
だが、もちろん『0秒』ではなく、いくらかの間はある。

        ス ゥ ッ

               「――――――ッ!」

顔面に光を当てられたハーピーが、眩しそうに目を細める。
『痛み』に強い相手にも、『目くらまし』は有効に働く。
一瞬だがハーピーの動きは止まり、
その隙を突いて奈津川も立ち上がった。

    《残酷にして厳正な『真実の光』は、
      『二人の勝者』を認めない》

「ソレの『本来の使い方』をウッカリ失念しておりました」

      ポォォォォォ――――――――ンッ

            「それでは、ワタクシも参りましょう」

    《『怪物』が『人間』を狩るのか、
     『人間』が『怪物』を討つのか》

投げ上げられた『鞄』。
奇しくも、それが『合図』となった。
まるで示し合わせていたように、両者が『同時』に動き出す。

《『人』と『人ならざる者』が踊る『ステュアート派』の試合を、
 どうか最後までお楽しみ下さい》

           ダ ッ

奈津川が『クワイエット・ガーデン』と共に駆け出し――――。

   「どのような『ワザ』を見せて頂けるのか、
    ワタクシ『乞うご期待』で御座います」

           タ ン ッ

両腕を開いて恭しくお辞儀をしたハーピーが、
その場で大きく『跳躍』する。

            グィッ

空中で『片脚』を高く持ち上げ――――。

          ド ヒ ュ ゥ ッ ! !

接近する奈津川の頭上から、
『位置エネルギー』をプラスした『踵落とし』を見舞った!!
踵から生えている『蹴爪』。
その鋭利な切っ先を奈津川に突き立てる算段だ!



∴∴∴∴∴∴赤赤赤∴∴∴∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴■□□柱□□柱□□柱□□■∴
∴■□□∥□□∥□□∥□□■∴
∴■□□∥□□∥□□∥□□■∴
∴■□□柱□□柱□□柱□□■∴
∴■□□∥□鳥∥□□∥□□■∴
∴■□□∥□恋∥□□∥□□■∴
∴■□□柱□□柱□□柱□□■∴
∴∴■□□□□□□□□□■∴∴
∴∴∴■□□□□□□□■∴∴∴
∴∴∴∴■■□□□■■∴∴∴∴
∴∴∴∴∴∴青青青∴∴∴∴∴∴

□:闘技場内(床は大理石のタイル)
■:観客席と闘技場を隔てる大理石の壁
∴:観客席
柱:大理石の柱像(高さ2m)
∥:大理石の台座(高さ1m)
恋:奈津川(鞄を投げ上げて駆け出した)
鳥:ハーピー(踵落としを繰り出している)

6奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/25(火) 21:05:00
>>5
「上空……取られましたか」

投げ上げた鞄は影を作るための札だ。
その下に入られては能力は使えない。

(そして障壁の受けに対してパワーで突破。
先程と同じ形ですね……同じ防御では突破される)

飛び上がったハーピーに対して一瞬目線を下げて、それが作り出す影を確認した。
片手を上げてタイミングを見計らい、
地面に出来た『ハーピーの影』その輪郭に対して、延長線上に『障壁』を作る。

(上空の物体よりも『影』自体は少し小さく出来ます。
そして中空へ出来た『障壁』に対して、身体はこすりつつ落下する)

攻撃に入ったタイミングで自身は半歩だけ横にずれる。
ハーピーのスピードなら容易に修正できうるズレだが、
真横にできた『障壁』がそれを許さない。

「後はスピードも削がれ、
翼も失ったあなたを撃ち落とすのは、そう難しいことじゃあありませんよね?」

半身ズレた事によって、
顔の半分だけを障壁の内側に覗かせて、圧縮された時間の中でハーピーへと呟き、
『クワイエット・ガーデン』の両腕の『障壁』を通過した連打で『ハーピー』を迎撃する。

7『白亜のH』:2022/10/26(水) 15:58:18
>>6

「『影』で『壁』を作るテクニックは、
 ワタクシ『学習済み』で御座いますよ」

      グ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ッ

「先程の蹴りは『パワー不足』で防がれてしまいましたが、
 万全の体勢から放てば『ブッ壊す』のは容易で御座います」

『一撃必殺』の威力を秘めた『踵落とし』が迫る。
直撃すれば重傷は免れない。
『鞄の布石』を潰された今、打てる手は――――――。

      ――――――『ある』!!

『ハーピー自身の影』だ!
しかし、それを利用する手は既に使っている。
奈津川が考えているように、同じ手段は通用しないだろう。
また、ハーピーの言うように、
不安定な体勢から強引に繰り出した蹴りは防げても、
渾身の力を込めた全力の一撃では『障壁』を突破される。
攻撃の勢いを削ぐ事は可能だろうが、
『重力』に従って足が落ちてくれば、
同時に『蹴爪』が突き刺さる可能性は高い。

       ス ゥ ッ

奈津川の出した答えは『方向』を変える事だった。
先程の攻防では『横』に展開し、盾として使用した『障壁』。
それを『縦』に展開する事で、
相手の行動を妨害する『障害物』として用い、
ハーピーの『落下速度』を低下させる目論見だ!

                 ド ン ッ ! !

『クワイエット・ガーデン』の能力発動は、
ハーピーが落下を完了させるよりも速かった。
だからこそ、『回避するための時間』を作れたのだ。
『振り下ろす』形の攻撃というのは強力な反面、
狙いが少しズレただけで外れてしまう。

「…………このような『ワザ』が御座いましたか」

   ズ ッ ザ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ

        「ワタクシ、また一つ賢くなってしまいました」

ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ

ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ

ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ

ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ

ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ ドゴ

『摩擦』によって明確にスピードの落ちたハーピーに、
『拳の連打』が叩き込まれる!!
『超精密』に裏打ちされたラッシュに『空振り』は存在しない。
狙い澄ました打撃の一つ一つが、
『障壁越し』に急所を狙い撃ちしていく。

 ドッゴォォォォォォ――――――――――ン!!!!!!

『最後の一撃』が、ハーピーを派手にブッ飛ばす!!
軽く『7m』程も吹き飛び、
その先にある入場口の扉に叩きつけられた。
うつ伏せに倒れたハーピーの体は、
意識を失ったようにピクリとも動かない…………。

8『白亜のH』:2022/10/26(水) 16:02:28
>>7

           ――――ダンッ!

四肢を使って体勢を立て直し、ハーピーが立ち上がった!!
まともにラッシュを食らった直後とは思えない涼しい表情で、
正面に立つ奈津川を見つめている。
常軌を逸した『タフさ』だ。

         バッ!!

そのまま奈津川めがけて駆け出そうと――――。

                 ド サ ァ ッ

『しようとした』ところで、ハーピーは力なく地面に倒れ込む。
たとえ『痛み』を感じていなかったとしても、
動けなくなってしまえば意味がない。
奈津川が与えたダメージの蓄積総量は、
ハーピーの『活動限界』を超えていたのだ。

「ワタクシ、どうやら『リミットオーバー』のようで…………。
 これでは打つ手が御座いませんね」

        「奈津川さん、ワタクシ『参りました』」

地面に倒れたハーピーは、潔く『自身の敗北』を認める。

    《空中を『狩場』とする恐るべき『鳥人』。
     それを討ち取ったのは、
     光と闇の『境界』に立つ『ガラスの少女』》

    《これは『神話の闘い』ではありません。
     『現代の興行』に過ぎないのです。
     しかし、何の違いがありましょう。
     優れた『芸術』が見る者を魅了する。
     そこに『貴賎の差』は存在しない》

《けれども、『勝者と敗者の差』というものは否定できません。
 勝った者には、相応しい『名誉』が与えられるべきです》

  《臨機応変な戦術で『勝利』を手にした『奈津川恋子』に、
   惜しみない『賞賛』を捧げようではありませんか》

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

実況の声と共に、奈津川に降り注ぐ『拍手の雨』。
数度に渡る激突の末に、試合は『決着』を迎えた。
『奈津川恋子の勝利』を、会場の誰もが称えている。

9奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/26(水) 16:43:38
>>8
「……! ふう、『降参』……ですか。わかりました。
『ハーピー』さん、ありがとうございました。
良い勉強になりました」

地面に転がった鞄を拾い、
『ハーピー』へと深くお辞儀をして顔を上げて踵を返す。
人差し指を口に当てて誰にともなく呟き、そのまま闘技場から出て行く。

「『お静かに』……なんて。
すこし気取りすぎでしょうか。ふふ」

10『白亜のH』:2022/10/27(木) 10:00:39
>>9

「ワタクシにも得るものが多く御座いました。
 『ニンゲン』について、さらに理解が深まりましたので。
 今日の経験は、今後の『研究』に加えさせていただきます」

緩慢に上体を起こし、ハーピーが意味ありげに微笑する。

「『サンキュー&ユアウェルカム』で御座います」

初めての戦いを『勝利』で飾り、
奈津川は闘技の場から離れていく。
最後に残した呟きとは裏腹に、鳴り止まない拍手の音が、
その背中を送り出す。
入ってきた扉から出ると、
通路の向こう側からロダンが歩いてきた。

   《君の戦いは見させてもらった》

        《『おめでとう』》

落ち着いた声色で、ロダンは奈津川を祝福した。
傍らには『ストーン・エイジ』が控えている。
一人と一匹の間に流れているのは静かな時間だ。

《『コイコの勝利』を祝って、君のために『小さな謎』を用意した》

《それは太陽の下で生まれるが、太陽が出ている時は見えない》

《――――『それ』は何か?》

11奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/27(木) 19:01:38
>>10
「はい。それは影ですね。
陽によって生まれますが、陽の下では影自体は見えません。
……どうでしょうか」

ロダンの前でしゃがみ込み、目線を合わせて問いへと答える。
自信がないのか、少し首を捻って解を待つ。

「応援ありがとうございます、ロダンさん。
いい経験に感謝です」

12『白亜のH』:2022/10/28(金) 07:28:42
>>11

《私が『君のために用意した』と言ったのは、
 この『謎の答え』が、
 『君自身にまつわるもの』であったという事だよ》

《君の母親の名も『それ』だと教えてもらった》

どこか厳かに語るロダンの目線は、
奈津川の『ネックレス』に注がれていた。

《『日』という漢字は『太陽』を意味し、
 『星』という字は『日の下に生まれる』と書く。
 そして、『太陽』が出ている間、
 『星』は見る事が出来なくなる》

『謎掛け』の答えは『星』。
ロダンが渡した『エメラルドの形』であり、
奈津川の『母の名前』でもある。
試合の開始前に、控え室で聞いた話を取り入れたのだろう。

    《ところで、もう一つ『贈り物』がある。
     君に『出演料』を渡すように、
     ステュアートから頼まれているのだ》

             ス ゥ ッ

『ストーン・エイジ』の片翼が、奈津川の前に差し出された。
その上には、何の変哲もない『石』が載っている。
『ロダンの能力』を知る奈津川には、
次に起こる事を予想するのは難しくない。

13奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/28(金) 14:23:09
>>12
「間違えてしまいました、残念。
私のために作っていただいたものを無碍にしてしまうとは、
恋子、一生の不覚です。
不覚の多い人生です」

答えを聞いてがっくりと肩を落とした。

「出演料。『宝石』ですか。
本来私のような学生には分不相応なもののような気もしますが……
いただけるものはなんでもいただきます。病気以外は」

14『白亜のH』:2022/10/28(金) 17:35:22
>>13

《そう――――『宝石』だ。
 君が望むなら『現金』で渡してもいいのだが……》

       フ ァ

   《いわば、これは『美学』の問題だよ》

              サ ァ

『石』が翼に包まれ、僅かな間を置いて再び開かれる。

         キ ラ ッ

そこに現れたのは、『青い宝石』だった。
この宝石は『サファイア』だ。
しかし、普通のサファイアとは異なる点がある。
中心に三本の『光の筋』が走り、
それらが交差して『星』の形を作り出していた。
神秘的で神々しい輝きは『スター効果』と呼ばれる。

《これは『スターサファイア』。
 中央で交わる『三本の線』は、
 『信頼』・『希望』・『運命』を象徴すると考えられた。
 持ち主が進むべき『正しい道』へ誘ってくれるそうだ》

《現在の相場にして『30万円』の値打ちがある。
 ステュアートと私から、この『星』を君に渡そう》

世界的に見ても希少な『青い星』が、奈津川に進呈される。

15奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/10/29(土) 21:15:50
>>14
「……ありがとうございます。
『スターサファイア』きれいな宝石です」

宝石を手に取り、しばし眺める。

「『正しい道』に……ですか。
私にもそんな選択が出来るなら良いのですが」

16『白亜のH』:2022/10/30(日) 12:45:45
>>15

《宝石は代表的な『資産』であると同時に、
 『人心』に与えてきた影響は大きい》

《その美しさが『人』を動かし、『国』を動かし、
 『歴史』を動かす原動力となった。
 そういった意味では、
 宝石には確かに『力』が備わっている》

  《この力の使い方は、コイコ次第だ》

青い結晶の中で輝く白い星。
ずっと眺めていると、吸い込まれそうになる。
それを生み出せるロダンは、
『歴史を動かす力』を持っていると言えるのかもしれない。

          ス ゥ ッ

やがて、『ストーン・エイジ』が奈津川の前から身を引いた。

《この映画館の外で、紅儚の車が待っているはずだ。
 それに乗って帰るといい》

     《私は大抵『Priceless』にいる》

             《いつか、また話をしよう》

『ステュアート派』における奈津川の仕事は終わった。
この経験は、スタンド使いとしての『初仕事』であり、
『罪滅ぼし』に通じる道しるべでもある。
いずれにせよ、『奈津川恋子』は、
確実に『第一歩』を踏み出したのだ――――。

17奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2022/11/01(火) 20:28:41
>>16
「ええ、私もロダンさんとのお話は好きです。
あの喫茶店で、また会いましょう」

丁寧にお辞儀をして、外へと歩を進める。
映画館の外で『スターサファイア』を翳して見てみた。

18『白亜のH』:2022/11/02(水) 11:51:20
>>17

傾き始めた太陽の光を浴びて、
『スターサファイア』は『煌き』を放つ。
『クワイエット・ガーデン』が『境界』に触れた時のように。
日の下で生まれ、日の下では見えない。
ロダンから贈られた『謎』の答えは『星』だった。
しかし、奈津川の手の中で輝く『青い星』は、
太陽の下でも光を失わず、
より一層の力強さで光り輝いている。

         ザ ッ

「奈津川恋子様、この度はお疲れ様でした」

『シネマ・ロマネスク』を背にした奈津川を、
夕日を浴びて照り映える真紅のクーペが出迎える。
傍らに立つ紅儚が、堅苦しい程の慇懃さで姿勢を正し、
生真面目すぎる仏頂面で頭を下げた。
それから彼女は、奈津川のために助手席のドアを開く。

「どうぞ、お乗り下さい」

         ――――――バタン

奈津川がシートに腰を下ろすと、丁寧にドアが閉められた。

「では、『Priceless』の前までお送りします」

     ブロロロロォォォォォォォォォォ………………

そして、二人を乗せたクーペは滑らかに走り出す。
奈津川の胸元には『星型のエメラルド』、
手の中には『スターサファイア』がある。
異なる輝きを宿した『二つの星』――
『母親』と同じ名前の『それら』が、
歩き始めた『奈津川恋子』の行く末を静かに見守っていた。



奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』⇒『30万円相当』の『スターサファイア』を獲得

                        『白亜のH』⇒『終幕』

19『白亜のH』:2022/11/02(水) 11:59:53
【白亜のハーピー】『ブリタニカ』のスタンド。

『羽衣セキセキインコ』の『ブリタニカ』が本体であり、
『鳥人』を模した『人型ヴィジョン』を内部から操っている。

本体自身を運べる『移動力』に加え、
『滑空』によって空中の姿勢制御が可能で、
『ダメージ伝達』も存在しないため、
それらを駆使した強襲および格闘戦を得意とする。
『本来の能力』は、『言葉の模倣』をトリガーとした『変身』だが、
『戦闘に向かない能力』だと判断され、使われる事はなかった。
また、ヴィジョンを『解除』すれば、
『本体の特性』である『飛行』が解禁されるものの、
『正体』を曝す事を嫌ったブリタニカの意思により、
今回の戦いでは『封印』されていた。

『ハロー・ストレンジャー』Hello, Stranger
破壊力:C スピード:B 射程距離:E
持続力:C 精密動作性:C 成長性:B

20『白亜のH』⇒『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/02(水) 12:06:44

『奈津川恋子』を見送ったロダンは、
『シネマ・ロマネスク』の通路を歩いていた。
その時、前方から足音が近付く。
やがて姿を現したステュアートを確認し、ロダンが静止する。

「――――『出演料』は渡して頂けましたか?」

《彼女に相応しい『石』を選んだつもりだ》

「それは良かった。
 ところで、ロダンの『お客様』が見えていますよ。
 『烏丸レイ』と仰る方です」

ステュアートが、おもむろに『控え室』の方向を指し示す。

「闘技場を貸す『条件』として、
 あなたとの『対話』を提示しました。
 『謎解き』のお相手には目がないでしょう?」

《私のために『便宜を図ってくれた』という事か》

      ス ッ

《それは…………非常に『素晴らしい』》

ステュアートとすれ違ったロダンは、
どこか『気品』を感じさせる足取りで、
音もなく『目的地』に向かった。

21『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/02(水) 12:22:04
>>観覧席598

コクのあるエスプレッソに、
濃厚なチョコレートケーキは良く合う。
お互いを引き立てる組み合わせだ。
単品で見てもレベルが高いが、
セットになる事で更に『価値』が高まっている。

「ええ、『店主』と『代表』の兼任。
 いわゆる『二足の草鞋』というヤツで御座いますね」

レイの言葉にハーピーも同意した。
ステュアートは『喫茶店』を経営しながら、
『派閥』の運営も行っているらしい。
『表の顔』と『裏の顔』という捉え方も出来るだろう。

「実を言いますと、
 ワタクシは『ロダン』という方を見た事が御座います。
 すぐに分かる事ですので黙っておきましたが」

         フフフ

ハーピーが意味ありげに笑った時、控え室のドアが開いた。
そこにいたのは一匹の『猫』。
『スフィンクス』と呼ばれる品種で、
その体には毛が生えておらず、髭もない。
傍らには、『スフィンクスのスタンド』が鎮座している。
『鳥人』であるハーピーと同じ部屋に存在する光景は、
まるで『モンスター映画』だ。

           《私は『ロダン』と名乗っている》

  《これは『ストーン・エイジ』だ》

『スフィンクスのスタンド』を通して、
『スタンド会話』がレイの耳に届く。
落ち着いた低い響きの声は、高い『知性』を感じさせる。
『ロダン』というのは『猫の名前』だったようだ。
『マフラー』をなくしてしまった時にも、
レイは『動物のスタンド使い』と出会った事があった。
そういった存在と縁があるのだろうか?

《ステュアートに呼ばれて来たのだが、
 『烏丸レイ』というのは君の事らしい》

『ストーン・エイジ』を従えたロダンが、レイに歩み寄る。

《さて……『条件』として――――
 君には私の『遊び』に付き合ってもらおう》

金色の瞳でレイを見つめながら、
厳かな口調でロダンは告げた。

22烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/03(木) 19:10:05
>>20-21

「ふーん、普段と別の裏の顔…
 ちょっとかっこいいかもしれませんね。それ」
どこか楽しそうな顔でケーキを食べる。
表裏のある仕事と言うのはヒーロー番組でも見たことがあるのだ。

「そのロダンって人は、アリーナの関係者の人なんですね?
 どんな人なんだろう…名前的には男性かな…」
とつぶやきながら待っていると、
控室のドアが開いたようだ。

「…?これは…」
見るとそこには一匹の猫。毛がないネコなだけにずいぶんと目につく。
見ると隣にはスタンドらしきものがある。

「あっ、声が…!
 まさかネコのスタンド使いなんてはじめて見た…
 まさかいるなんて…」
じっとロダンを見ながらつぶやく。

「えーっと…猫さん…じゃなくてロダン…さん?
 遊びに付き合う?
 もちろん!ネコとの遊びなら私大歓迎!」
そう言ってうなずいた。

「どういうのかな?猫じゃらしとか?」

23『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/03(木) 20:03:53
>>22

《生憎、そういった類の『遊び』とは違うのだ》

ソファーの手前に陣取ったロダンは、
格調高い口調でレイの言葉を否定した。
全身に体毛のないルックスは『異形感』が強い。
それだけでも珍しいが、『スタンドを持つ』というのは、
さらに希少だろう。
しかも、相当に『高度な知性』を備えているようだ。
数万匹か数十万匹、
もしくは『数百万匹に一匹』の存在なのかもしれない。

《私は『スフィンクス』であり、
 『スフィンクス』が持ち掛けるのは『知恵比べ』だというのが、
 神話の時代からの慣わしなのだよ》

《かつてのスフィンクスが、
 通りがかる旅人に『謎掛け』を行ったように、
 私が出す『謎』を解いてもらいたい》

ロダンが要求したのは『普通の遊び』ではなく、
『スフィンクスのヴィジョン』に相応しい『謎解き』だった。

《『ルール』を説明しよう…………。
 これから私が『一つの謎』を提示する。
 君が答えられるチャンスは『一度きり』だ》

《必要なら、君は『三回』まで『ヒント』を求める事が出来る。
 『どういったところで悩んでいるか』を言えば、
 私から適切な助言を与えよう》

《もし『不正解』だったとしても、闘技場は貸す。
 しかし、君が正解する事が出来たなら、
 私から『ささやかな報酬』を渡すつもりだ》

   《――――『理解』出来たかね?》

一通りの話を終えたロダンは、レイの返答を待っている。

24烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/03(木) 21:26:49
>>23
「そうなの?
 うーん、それならどんな遊びを…」
と、不思議そうにロダンを見る。
ネコの割にはずいぶんと気難しそうだと感じた。

「スフィンクスが謎掛け…たしかにそんな話は聞いたことがあるかも。
 …つまり…なるほど」
ロダンが言う言葉を飲み込んで答える。

「よーするに、なぞなぞ勝負をしようってことね?
 いいじゃない!受けて立つわよ!」
自信たっぷりにうなずいて答えた。

「まぁ、できれば難しすぎないほうがいいけどねー。」
あんまり難しいのはレイは得意ではないのかもしれない。

25『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/03(木) 22:51:04
>>24

《今日の試合に出ていた『ナツカワコイコ』…………
 以前、彼女にも『謎解き』を持ち掛けた事がある》

《レベルとしては、そう難しくはない。
 ただし、頭を使わずに答えられるほど簡単でもない》

      《――――『ゲーム』を始めよう》

            ブ ワ ァ ッ

ロダンの言葉と共に、『ストーン・エイジ』の翼が床を撫でる。

    ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ゥ

その直後、床からせりあがるようにして、
一枚の『石板』が出現した。

     カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

         カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

               カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

見えない鉄筆を走らせているかのように、
『石板』の表面に『図柄』が刻まれていく。
横一列に並んだ『三人の占い師』の前に、
『一人の男』が立っている絵だ。
一連の『描画』が終了したところで、ロダンが口を開いた。

《ここに重要な選択を控えた男がいる。
 彼は悩んだ末に、占い師の誰か一人に、
 占いによる助言を頼みたいと思った。
 誰を選ぶべきか考えた男は、それぞれの占い師に、
 どの程度の確率で当てられるかを尋ねたのだ》

               カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

          カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

    カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

『石板』に描かれた『占い師』の上に、
新たに『文字』が書き加えられる。

《三人からの答えは――――――》

―――――――――――――――――――――――――

          A:20%の確率で当たる

          B:50%の確率で当たる

          C:70%の確率で当たる

―――――――――――――――――――――――――

  《『男が選んだ占い師』は誰か?》

        《そして、その『理由』は何か?》

               《これが私からの『謎』だ》

26烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/03(木) 23:19:21
>>25
「奈津川さん…あの人も謎掛けをねぇ…・
 ちなみにそっちの方は正解したりしたの?
 …ってこれはヒントに関する質問じゃないからいいよね?」
思わずハッとしながら答える。

「うわっびっくりした!
 これが、ロダンのスタンドか…」
せり上がった石版に刻まれる絵をみて
思わず驚いた声を上げる。
そして問われた問題に首を傾げる。

「重要な選択…?
 えーっと…そうなると…C」
一瞬レイはC、と言いそうになったが…

「あ、ちょっと待って。」
今のナシ、というように手を前に出す。

(危ない危ない。もしこれで正解だったら
 なぞなぞでもなんでもないじゃん!)
頭を使わずに答えようとしたのを思わず恥ずかしく思っているようだ。

「うーん、そうなると…
 あとは…」
しばらく考え事をしていたが、やがてひとつ考える。

「あー、その、ヒントが欲しいかも…」
そう言って手を上げた。

「その男が選ぼうとしている重要な選択って、どんな感じの内容なんだろうみたいな…
 そう言うので悩んでるかも…『どっちがいいか』みたいな二者択一の内容なのかな…?」
果たして自分の思った通りに行くだろうか…
そう不安そうになってヒントを求めた。

27『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/04(金) 04:17:37
>>26

提示された可能性は三つ。
三択ではあるものの、理由も考える必要がある。
単純な当てずっぽうでは答えられない。

《『同じ謎』ではなかったが、コイコは『正解』した。
 私は君にも、そうあってくれる事を望んでいる》

《『解かれない謎』も魅力的ではある。
 しかし、『解かれる謎』も、また一興だ》

ロダンの言葉によると、
奈津川は『正しい答え』を導き出したようだった。

《この場合の重要な選択というのは、
 『文字通りの意味』になる。
 言い換えれば、『内容そのもの』は気にしなくてもいい》

《『二者択一なのか』という点に限って言うなら、
 その質問に対する答えは『イエス』としよう》

ハーピーは寝転がったまま、
レイとロダンのやり取りを見守っている。
やはり口出しはしないつもりらしい。
強い『知的好奇心』を持つ彼女は、
この光景を楽しんでいるのか、
口元には笑みが浮かんでいた。

28烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/04(金) 19:07:44
>>27
「なるほどー…
 だとしたらたしかにクリアしたいな…
 今の状況でなんとしても…」
そう言って考える。
学力に関してはあまり自信がないレイであるが
なぞなぞが苦手というわけでもないのだ。

「ふむ…なるほど…
 そうなると…考えられるのは…」
ロダンの提示したヒントを聞いて、
レイは一つの答えを思いついた。


「私は一つ、答えを思いつきました。」
そう言って手を挙げる。
そして自信あり気に応える。

「この問題…男が選んだのは…
 ズバリ、『A』ではないでしょうか!」

そう言ってAを指さした。
一件一番確率の低いように見えるが…

「もちろん当てずっぽうじゃないですよー。
 普通に確率で見たら、Cの占い師が一番当たりやすいように見えます。」

「ですが、20%の確率で当たる占い師は、裏を返せば
 『80%の確率で正解と逆の事を言う』ということでしょう。」

「つまり、Aの占い師の助言と『逆のこと』をすれば
 それが当たる確率が80%になります!」

「よって正解はA!」
そう言ってビシッと指さした。

「…どうでしょう?」
が、直後になんだか自身がなさそうになっている。
割りとその場のノリで言いやすいタイプなんだろうか…

29『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/04(金) 20:50:49
>>28

《なるほど――――》

僅かな沈黙を挟んで、ロダンは言葉を続けた。

《君の示した答えは、男が考えた事と全く『同じ』だ》

       カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

『石板』に加筆が施され、
『Aの占い師』に『マル印』が付けられる。
それは『レイの答え』が正しかった事を意味していた。
まさしくレイが述べた通り、外れる可能性に目を向ければ、
最も高い確率になるのは『A』なのだ。

《この問いはシンプルではあるが、
 一つの普遍的な『教訓』を含んでいる。
 何か分かるかね?》

《多くの物事には『表』と『裏』が存在しているという事だよ。
 たとえば『人間』、たとえば『行動』、たとえば『組織』。
 この世のあらゆるものに『表裏』の概念は当てはめられる。
 片方の面を見るだけでは、全体を把握するのは難しい》

「先程も、そんな話をしたような覚えが御座いますね」

ハーピーが呟くように言った。
『普段と別の裏の顔』――『ステュアート』に対して、
レイが口にした内容だ。
これも一種の『裏表』であり、
例の『動画』にも同様の事が言えるのかもしれない。

《広い視野を持って臨めば、
 それまで見えなかったものが見えてくる。
 逆に、自分から視野を狭めてしまうと、
 見えるはずのものも見えなくなる》

《この『謎』が示しているのは、そういった『教訓』だ。
 もっとも、既に分かっている君に、
 こんな話をする必要はなかったかもしれないが》

語り終えたロダンは、
レイに向けていた視線を『ストーン・エイジ』に移す。

《約束通り、私から『報酬』を渡す事にしよう》

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<削除>

31烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/04(金) 22:40:13
>>29
「ふー…
 して答えは…正解!!」
彼の問うた問題は、どうやら見事に正解できたようだ。
レイは嬉しそうにガッツポーズをする。

「まさに、そういうことみたいね…
 裏を返せば…逆の物事も大事…
 そういうことになりますねー。」
ロダンの言葉を聞いて、どこか嬉しそうにうなずいた。

「全体を見るっていうのは
 表と裏、両方を見ることですね。
 …私も今の問題を聞いて
 色々と見方が変わるような気がします。」
そう言ってレイうなずいた。

「ありがとうございます。ロダンさん。
 私も問題の答を考えるのは楽しかったです。」

「…そうそう、報酬があったんでしたね。
 して、その報酬とは?」
どこかワクワクした様子でレイはロダンを見つめている。

32『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/05(土) 12:40:35
>>31

《私から君に贈る『報酬』は…………『これ』だ》

     ズ イ ィ ッ

『ストーン・エイジ』が差し出した翼の上には、
一つの『石』が乗っていた。
どこにでも落ちていそうな『ただの石』だ。
特別な価値があるようには全く見えない。

             フ ァ サ ァ ッ

翼が石を包み、一瞬の間を置いて再び開かれる。
そこには石はなく、代わりに『黒い結晶』があった。
『カラスの羽』を思わせる『漆黒』で、
艶やかな光沢を放っている。

《『ブラックオニキス』。
 邪気や悪意を払う力があるとして、
 古来より用いられてきた『魔除けの石』だ。
 現在の相場で『一万円』ほどの値打ちがある》

     《この『宝石』を君に進呈しよう》

ロダンのスタンド――『ストーン・エイジ』。
その力は『石板』を作り出すだけではなく、
ただの石を『宝石』に変えてしまう。
まさしく『無限の富』を生む能力だ。

《――――と言いたいところだが、
 『正しい答え』を導き出した者には、
 もう一つ『特典』を用意しているのだ》

《この『ブラックオニキス』を『宝石彫刻』にして引き渡す。
 つまり、君の『好きな形』に出来るという事だ。
 それによって、多少は『価値』も高まるだろう》

正解したレイには、さらに『彫刻』を注文する権利がある。
ロダンの口振りから判断すると、
どのような形でも実現できそうだ。
レイの答えを待っているかのように、
悪を退けるという『ブラックオニキス』が光り輝く。

33烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/05(土) 19:42:31
>>32
「おお?
 この石は…?」
とても綺麗な黒い結晶が現れたのを確認するレイ。
その見た目はとても…

「とても綺麗…
 まさにレイヴンゼロにふさわしい見た目の漆黒だわ!」
彼女はとても嬉しそうにそのブラックオニキスを見た。

「しかも彫刻にしてもらえるの?
 それは…最高じゃない!」
思わず身を乗り出しそうになるほど興奮した様子で答えた。

「宝石彫刻か…
 この漆黒の色…
 レイヴン・ゼロをぜひ彫ってもらいたいわ!」
どうやらその色合いで即座に思いついたようだ。

「ちなみに、レイヴン・ゼロと言うのは
 私のスタンドで『変身』した姿なのだけど…
 できそうかな?」

34『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/05(土) 20:05:25
>>33

《無論、それは『可能』だ。
 どれほど複雑な彫刻であっても、闘技場の『柱像』のように、
 『完璧』に仕立て上げられる》

今日の試合で設置されていた『柱像』も、
ロダンの『作品』だったらしい。
観客席に座っていたレイの目から見ても、
あれらは芸術的な完成度を誇っていた。
そのレベルのものが作れるという事は、
『レイヴン・ゼロ』の彫刻も容易いだろう。

《しかし…………『知らないもの』を作る事は出来ない》

同時に、ロダンは当然の言葉を返してきた。

《その『姿』を見せてくれるならば、
 君の注文に応じる事が出来るだろう》

『レイヴン・ゼロ』の彫刻を作ってもらうためには、
ここで『変身』してみせる必要がある。
この場所にいるのはロダンとハーピーだけだ。
外部に『ヒーローの秘密』が漏れる事はない。

35烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/05(土) 20:18:00
>>34
「うーん、それはぜひともやってほしいところ…
 まぁやっぱり実際に見ないとだめですよねー。」
たしかにそのとおりだ、とレイはうなずいている。

「ふー、それならばぜひお見せいたしましょう。
 …あ、この格好についてはこの場にいるみなさんだけの秘密ってことで
 お願いしますね。ヒーローはミステリアスなのもカッコいいところなのですよ。」
そう言って人差し指を口に近づけてポーズを取った。

「それでは…発動させましょう」
そう言って立ち上がり、念じてポーズをとる。

「グレゴール・ザムザ…モードチェンジ!」
すると、先程までのドレスコードが変化しはじめ…

「レイヴン・ゼロ!」
あっという間にスーツが装着されるような形で
ヒーローめいた姿へと変貌した。

「我が名は正義なる漆黒の戦士!『レイヴン・ゼロ!』」
ぐっと決めポーズじみたポーズを取った。
漆黒カラスをの特撮ヒーローに落とし込んだようなその姿。
まさにブラックオニキスで象るにふさわしい代物かもしれない。

36『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/05(土) 20:59:06
>>35

「ワタクシも『ストリートパフォーマー』として、
 そういった『演出』は見習いたいところで御座います」

          パチ パチ パチ

「『魅せる』には『ケレン味』が大切で御座いますから」

優雅なドレス姿から『ヒーロー』に早変わりしたレイに向けて、
ハーピーは拍手を送った。
そう言うハーピー自身も、
『レイヴン・ゼロ』に負けず劣らず派手な格好をしている。
何しろ、『鳥人』を名乗っているくらいだ。
その外見は『パフォーマー』としての『衣装』なのだろうが。
本物のように『リアル』なのは、
『プロ』としてのこだわりかもしれない。

《ふむ………………》

ロダンはレイの周囲をゆっくりと歩きながら、
そのデザインを細部まで観察する。

《よく分かった。その姿と寸分違わぬ『彫刻』に仕上げよう》

        ズズズズズズズズズズズズズ

レイの目の前で、『ブラックオニキス』が次第に形を変える。
さながら『モーフィング』のような形状変化。
見る見る内に、ある『シルエット』が浮かび上がっていく。

《かつて『オーギュスト・ロダン』という『彫刻家』がいた。
 最も有名な代表作は『考える人』――――》
 
《私が『ロダン』と名乗るのは、そこに由来している》

やがて完成したのは、
漆黒に輝く『レイヴン・ゼロ』の『彫像』だ。
『芸術品』と呼べる精巧な出来栄え。
誰が見ても『実物そっくり』だと感じるだろう。

《これは『君の物』だ。受け取りたまえ》

          ス ゥ ッ

『ストーン・エイジ』の翼に乗った『それ』が、
レイの手に渡された。

37烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/05(土) 23:46:52
>>36
「ハーピーさんもなかなか演出がうまいと思いますよー。
 以前のショーでも実に力加減がうまくて
 私もやりやすかったですし。」
そう言ってレイは振り向いた。

「かっこよく見せるには色々演出も大事ですからねー。」
そこまで行ってから改めてロダンの方を見る。

「…ロダン、といえば私も知っているけど…
 それが名前の由来なのね…」

「お、おー…
 すごい!」
少しずつ変貌していき
見事なレイヴン・ゼロの彫像を形成したブラックオニキス。
それを見たレイはただ感嘆するばかりだ。

「すごく綺麗で、カッコいい!
 フィギュアでもここまで精巧なものはないです!
 ありがとうございます!これから大事にします!」
レイは、その彫像を大事そうに抱えながら、深々と頭を下げた。

38『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/06(日) 01:01:34
>>37

『レイヴン・ゼロ』を模した彫像が、
『レイヴン・ゼロ』の手の中に収まる。
初めての『グッズ化』と解釈する事も出来るかもしれない。
今後は『変身』せずとも、これを相手に見せれば、
『レイヴン・ゼロ』の姿を説明できるだろう。

《『ブラックオニキス』は『魔除け』として重宝されてきたが、
 『不吉な石』と見なして嫌う国もある。
 つまり、異なる『二つの面』を持つという事だ》

《『カラス』も同じだよ。
 『不吉の前兆』とされる場合もあれば、
 日本の神話では『神の使い』として崇められている》

先程の話の続きなのだろう。
一方では『不吉』とされるが、
もう一方では『神聖』として扱われる。
『カラス』と『ブラックオニキス』には、
『漆黒』という外見以外にも、
そのような共通点を見出す事が出来る。

「『悪』には『凶兆』をもたらし、
 『罪なき者』には『救い』をもたらす」

         フフフ

「悪くない『キャッチコピー』で御座いますね」

ロダンの言葉を受けて、ハーピーがほくそ笑んだ。

《『Priceless』――――大抵の場合、私は『あの店』にいる。
 また君と会う事があれば、
 その時には『新しい謎』を用意させてもらおう》

不意に、ロダンはレイから視線を外し、虚空を一瞥した。

《『コバヤシタケル』にも『報酬』を渡した事があった。
 『ブルーフローライト』という『淡い青色の宝石』だ》

件の動画で名前の挙がっていた人物。
ロダンは彼とも顔見知りだったようだ。
様々な場所で色々な相手に対して、
『謎掛け』を行っているという事だろう。

39烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/06(日) 19:29:25
>>38
「へえー、そんな逸話もあるんですねー…
 2つの側面というのもなかなかかっこいいです…
 まさに悪には凶兆、罪なきものには救い!」
そのロダンの言葉を聞いてとても楽しそうにつぶやいた。

「そのキャッチコピー素晴らしいですねー。
 ぜひとも使わせていただきたいです!」
そう言って頭を下げた。

「まぁ、暇つぶししたいと思ったときにまた来ます。
 ロダンさん、の謎掛けはとても面白いですからね。」
そう言って、チョット頭をなでてみようと試みる。

「小林丈…例の動画で命を奪われたみたいなこと言われた人のこと…
 だとしたら、お守りを手に入れたなら多分生きてるんじゃないですかね?
 …根拠があるわけじゃないですけど。」
動画で呼ばれたその人も謎掛けを解き、報酬をもらったということらしい。
レイとしては、それだけでもなんとなく生きているのではないかと思ったようだ。

40『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/06(日) 20:37:42
>>39

「この『キャッチコピー』は、レイさんにお譲りいたしますよ。
 『同じ舞台』に立った者同士でも御座いますので」

「その代わり、ワタクシの『宣伝』もしておいて頂けますね?」

使用許可と引き換えに、
ハーピーは『自分の宣伝』を頼んできた。
アイディア料として、それくらいはいいだろうという事らしい。
『ストリートパフォーマー』というのは、
注目を集めなければ始まらない職業だ。
そのためには、名前を売る事も重要な要素。
『ヒーロー』を志すレイとは『目指す先』は違うが、
『手段』としては共通している。

《今回のやり取りで『君のレベル』は把握できた》

               スイッ

  《次に会う時は、もう少し『ハードル』を上げる事にしよう》

頭を撫でようとした手は、自然な動作で避けられた。
そういう扱いをされるのは好まないようだ。
これも『知性の高さ』の表れなのかもしれない。

《過去に『報酬』を渡した相手は、全て記憶している。
 彼が特別という訳ではない》

    《しかし、私も『そう願ってはいる』のだよ》

レイが呟いた言葉を、ロダンは言外に肯定した。

《さて…………これで『条件』は達成された。
 この場所の闘技場を使えるように、
 ステュアートには私から話をしておく》

        バ サ ァ ッ

『ストーン・エイジ』が翼を広げ、入り口のドアを指し示した。
ここでやるべき事は済ませている。
他に忘れた事がなければ、もう帰っても良さそうだ。

41烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』:2022/11/06(日) 21:34:45
>>40
「どうもありがとうございます!
 今後、機会があれば使わせてもらいます。」
そう言って頭を下げる。
ハーピーの言葉を聞いて嬉しそうである。

「もちろん。
 宣伝もしっかり行いますよ。
 どうせならまたヒーローショーをしたりします?
 もしパフォーマンスを行うなら、バッチリ協力させてもらいます。」
ハーピーの頼みを聞いてうなずいた。
パフォーマンスの協力もノリノリで行ってくれるだろう。

「つ、次にはさらに難しくなるんですか…
 お手柔らかに…と言いたくなる…」
あまり頭脳労働は得意ではなさそうなレイ
どうやら更に難しくなりそうだと思いちょっと心配のようだ。

「でもまぁ、次も必ず解いてみせますよ。」
でも自身はありそうだ…

「まぁ、あの動画のことはあんま信じてない感じです。
 今回の闘技場での戦いを見て、そういう輩ばっかりじゃないということも
 わかってますから。」

「だから、多分動画で言われてる小林って人も生きてると思います。」
また自信ありそうな言い方である。

「…ありがとうございます。
 ハーピーさん、とロダンさん。
 また縁があったら会いましょう。」
そう言って入口の方に向かった。

「ストリートパフォーマンスをまたするときは
 呼んでくださいねー。」
そう言って去り際に手を降った。

42『スフィンクス・チャレンジ』:2022/11/06(日) 22:39:03
>>41

「ヒーローショーなら、『レイヴン・ゼロ』と『ハーピー』を、
 同時にアピール出来そうで御座いますね」

「『共存共栄』――――お互いに『メリット』があるというのは、
 とてもとても結構な事で御座います」

レイの申し出に対しては、ハーピーも上機嫌だ。
いつか再び『共演』する事もあるかもしれない。
そして、それとは別の機会も存在する。

「ワタクシと戦いたい時は、『Priceless』にお伝え下さいませ。
 『訓練』の相手を務めさせていただきます」

レイは『ハーピーと戦う権利』を手にした。
彼女と再会した喫茶店に連絡すれば、
ハーピーを呼び出せるはずだ。
その場合は、ここの闘技場を利用する事が出来る。

《私にとって最も大切なのは『知恵比べ』をする事だ。
 それ以外の物事に対しては、さほどの関心は抱いていない
 この身に宿った『知性』が『謎』を求めている。
 何が起きようとも、その追求に魂を捧げるのみ》

《少なくとも、君とのやり取りには、確かな『価値』があった。
 また共に『謎』を楽しむ機会があれば、
 それは非常に素晴らしい》

《『タケル』とも、再び語り合いたいものだ》

ロダンとハーピーに手を振り、レイは控え室を出て行く。

《『カラスマレイ』――――君の『飛翔』に幸運を》

「さようなら、レイさん。
 本日は御足労いただき、
 ワタクシ大いに感謝しておりますよ。
 これからも『良い付き合い』が出来れば、
 まことに幸いで御座います」

           ――――――パタン

彼らの言葉を背に受けて、レイは家路に就いた。
手の中には、自らの姿を象った『彫像』がある。
『ヒーロー』としての姿。
そして、目指すべき在り様。
レイを鼓舞するように、
『レイヴン・ゼロ』を思わせる『一羽のカラス』が、
夕暮れの空に飛び立っていった。



烏丸 レイ『グレゴール・ザムザ』⇒『2万円相当』の『ブラックオニキス(宝石彫刻)』を獲得

               『スフィンクス・チャレンジ』⇒『終幕』

43『ストーリーテラー:S』:2022/11/15(火) 21:02:08

『プライスレス』――――『至上の価値』という言葉だ。
私にとって、それは『謎の追求』を意味している。
しかし、必ずしも『答え』が出るとは限らない。
たとえば『私自身』。
『この知性の根源は何処から来たのか』という疑問だよ。

この『謎』に対しては、様々な仮説が考えられる。
偶発的な『突然変異』の産物だろうか。
あるいは、特殊な技術を持つ何者かが、
『遺伝子操作』を施した結果かもしれない。
前世の私は人間で、何らかの理由で、
一匹の猫として『生まれ変わった』という見方も可能だ。
物心ついた時から考え続けているが、
未だに明確な解答は得られていない。

それでも、私は考える事を止めないだろう。
『我思う、ゆえに我あり』……
思考を続ける限り、私は私で在り続ける。
私の魂が『謎』に惹かれるのは、
『自らのルーツを解き明かしたい』という欲求の、
一つの表れなのかもしれないな。
だが、『解明』を望まない気持ちも存在するのだよ。
明かされてしまえば、それは『謎』ではなくなるのだから。

そろそろ『本題』に戻り、『彼らの物語』を語る事にしよう。
最初に断っておくと、
これは世間を騒がすような『大事件』ではない。
『日常』という書物の中に紛れ込んだ一ページの『非日常』。
同時に、誰かが解決しなければならなかった。
『大きな問題』は皆が向き合おうとするが、
『小さな事件』は見過ごされやすいものだ。

『あれ』が起こったのは、よく晴れた秋の日だった。
いつものように、私は『自分の場所』に落ち着いていた。
そして、それぞれの席に座る二人を眺めていたのだ。
『二人の男女』だった。
『彼ら』の名は――――――。

44『微睡のN』:2022/11/15(火) 21:03:40
>>(ノエ)

『Priceless』――――この日、ノエは『そこ』にいた。
かつて『小林丈』として訪れた事のある場所だ。
そして、『ノエ』が初めて訪れる場所。

「――――お待たせ致しました」

            コト

店主である『スティーヴン・ステュアート』が、
格調高い所作で『注文の品』を運んできた。
限りなく黒に近い『チャコールグレー』の給仕服を、
一分の隙もなく着こなしている。
以前に出会った時と同じ服装だ。
ノエの姿を目の前にしても、動揺した様子は全く見られず、
穏やかな表情を崩さない。
表に出さないようにしているのかもしれないが、
彼の内心を読み取る事は出来なかった。

窓際に座っているのは一匹の『猫』。
主人の名前と同じく、この猫の名前をノエは知っている。
『スフィンクス』の『ロダン』だ。
『謎掛け』を好み、『宝石』を生み出す『スタンド使い』。
『日下部虹子』と共に『知恵比べ』に挑み、
報酬として、淡い輝きを放つ『蛍石』を受け取った。

       ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

今、この場にいる他の客は『一人』だけだ。

45『微睡のN』:2022/11/15(火) 21:07:21
>>(塞川)

その日、『塞川唯』は一軒の『喫茶店』にいた。
『Priceless』と名付けられている店だ。
ダークブラウンで統一された内装を、
ペンダントライトの柔らかな光が包む。

「――――いらっしゃいませ」

流暢な日本語で出迎えた初老の西洋人が、
ここの店主を務めているらしい。
長身痩躯、白髪交じりの頭髪、『チャコールグレー』の給仕服。
表情は穏やかで、内面から滲み出る『品位』を感じさせる。
窓辺に座るのは一匹の『猫』。
体毛や髭がないのは、そういう『種類』だからだろう。

     「ごゆっくり、お過ごし下さい」

            コト

まもなくやって来た主人が、優雅な一礼と共に、
『注文の品』を丁寧に置いていった。
全体的な雰囲気を見ても、
もっと客が入っていても良さそうなものだ。
たまたま空いている時間帯だったのかもしれない。

      ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

そのせいか、今は塞川を除くと『一人』しかいない。

46塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/15(火) 21:54:25
>>45
特に何かの『事件』に関わることもなく、
『男達』の相談に乗る予定もない休日の昼下がり。
街を当てもなく歩き、手近だったという理由で喫茶店へと入った。
ホットコーヒーをオーダーし、スマホの画面を少しだけ眺めた後、
机の上に放って中空を眺める塞川は、
ありていに言えば、暇だった。

「はぁ……眠ィ」

気怠げな眼差しを窓の外から、内側の猫へと移す。


-----------------------------------------------------------------
ガラス細工の鳥のスタンド。群体型。
身体を擦りつけた物にガラスの羽を植え付け、『ガラス化』させる。
また、頭部に核があり、破壊されるなどで露出したこれに触れた物は、
大きな物、分厚い物などであっても一気に『ガラス化』されてしまう。

『クリスタライズド・ディスペア』
破壊力:E スピード:B 射程距離:B(12m)持続力:E 精密動作性:C 成長性:B

【能力詳細】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1463236020/281
--------------------------------------------------------------

【外見】長身痩躯の女。
見るものを委縮させるきつい顔立ち。

【持ち物】ハンドバッグ・日用品

【簡易プロフィール】
【記】『スタンド使い記録スレッド』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050739/98

47ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/15(火) 22:39:42
>>45

>――――お待たせ致しました

「……あぁ」

『注文の品』は『コーヒー』だ。ただ一杯のコーヒーを頼める程度しか金銭は無い。

器の中で静かに揺らぐ黒い色のように、自身の先行きにも指針は無い。
 そんな静かな焦燥が、無意識に近寄る事は避けようとしていた
此処へ誘ってしまったのかも知れない。小林の、自身の軌跡の場所へ。

「……どう……も」

丁重に礼を言うべきなのだろう。小林 丈ならば。
 だが、今の自分は『ノエ』だ。どうしようもなく、ノエなのだ。

ぶっきらぼうな礼と共に、静かに口づける。苦味が口を、喉を通っていく。

彼(ロダン)に視線を向ける事は出来なかった。
 どうしたって、この瞳の形までは変えられない。顔を向ける事が出来ない。

― ― ― ― ― - - - - - -

玩具の金魚のような小さな群体型のスタンド。
液中に発現し、周囲の液体を『ガラス玉』に変えて己を封じ込める。
『ゼロ・モーメント』Zero Moment
破壊力:D スピード:C 射程距離:B(30m)
持続力:C 精密動作性:C 成長性:D
【能力詳細】
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1463236020/540

外見:ボロのジーンズ・フード付きコート
目深にフードを被り、白い髪の毛で目元は隠れている。マフラーで
口元も覆っている。

所持品:財布・ペットボトル(コート裏に括りつけてる)

簡易プロフィール:
元『小林 丈』である人物。夏の魔物事件と言うものに関わり
紆余曲折を経て、半ば自殺する形で街から遠ざかる事になった。
 多数の友人を傷つけてる事を自覚しており。贖罪をどう行うか
模索しつつ、負債をアリーナに背負っており、正体が知られると
迷惑になると考えてる為に、ノエと言う別人として現在は生きてる。

48『微睡のN』:2022/11/15(火) 23:23:07
>>46(塞川)

運ばれてきたばかりのカップからは、
香ばしい湯気が立ち昇っている。
良い豆を使っているようだ。
『眠気』を覚ますには丁度いいかもしれない。
『もう一人の客』も、『コーヒー』を頼んだようだ。
事情は不明だが、露骨に顔を隠しており、
いかにも怪しげな風貌ではあるものの、
店主は至って自然に接している。

              スィッ

暇を持て余していた塞川の視線は、
窓辺に落ち着く『猫』を捉えた。
店主が何も言わないという事は、『ここの猫』なのだろう。
塞川に知識があるか、手元のスマホで調べれば、
『スフィンクス』という品種である事が分かる。
目の前の猫は、
どことなく『知的』な顔立ちをしているように思えた。
もちろん、そう見えたからといって、
実際に賢いとは限らないが。

           ジッ

細められた『金色』の瞳が、塞川を眺め返す。
単なる好奇心とも警戒とも違う。
もっと別のニュアンスを含んだ表情だった。

>>47(ノエ)

『再会』したノエに対し、『ロダン』は何の反応も示さない。
それは当然といえば当然だ。
たとえ『知り合い』であっても、一見して気付ける者は、
ほとんどいないだろう。

『もう一人の客』は長身の女だった。
偶然という程でもないが、
彼女が頼んだのも『コーヒー』だった。
女は退屈そうな様子で、ロダンに視線を向けている。
見るからに暇そうだ。
ノエの立場とは対照的ではあるが、
『指針がない』という意味では似通っているのかもしれない。

          カチャ…………

カップを持ち上げ、その内側に満たされた黒い液体を、
少しずつ飲み下す。
確かな『苦味』の中に、ほのかな『酸味』や『甘味』を感じる。
ただ苦いだけではなく、極めて複雑な味わいだ。

>>(ALL)

《もし、私の『声』が聞こえるのなら――――》

僅かな間を置いた後、別々の席に座る二人の耳に、
『スタンド会話』が聞こえてきた。

   ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ

         《――――答えてもらいたい》

『猫』と重なるようにして、『スタンド』が発現されている。
胸から上は『人間』、胴体は『獅子』、
背中には『鷲』の翼が備わっていた。
その姿は『スフィンクス』のイメージそのものだ。
ヴィジョンの表面は無機質で、さながら『石造り』に近い。
『神話の怪物』と『実在の石像』の『ハイブリッド』。

   《私は『ロダン』》

               《『スフィンクス』だ》

無論、ノエは既に『知っている』。

49塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/15(火) 23:37:23
>>48
「なにっ、『スタンド』……!」

鼓膜に響かない『スタンド音声』に、
警戒して腰を椅子から浮かせて身構えた。
素早く店内を見渡した後、『ロダン』へと視線が戻る。

『…………聴こえるなら、か。
カマをかけられたってわけか。あぁ?
「猫のスタンド使い」。そんな奴が、この世に存在するとはなァ』

『ロダン』の言葉にどかっと腰を椅子へと戻して脚を組む。
長髪を鬱陶しそうに払い、『ロダン』を睨め付けて『スタンド音声』で言葉を返した。

50ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/16(水) 00:05:51
>>48-49

「…………」

無視するべきか?

思考を巡らす。今の立場と、彼の発言に反応する事での先に起きる脅威を。

(……ただ。その、たらればの危険でずっと
このまま逃げ続けていいのか?)

(…………決して、逃げ続ける事は出来ない。
いずれ、遅くも早くとも。答えを見つけるしかない)

「……」

「……あぁ、聞こえる。
『はじめまして』」

「……わ……オレは『ノエ』だ」

彼女『塞川』に一歩遅れる形で、自己紹介をすると共に反応をする。

51『微睡のN』:2022/11/16(水) 00:31:03
>>49(塞川)

《見知らぬスタンドを前にすれば警戒し、相応の注意を払う。
 『スタンド使い』として当然の反応と言える。
 君の立場であれば、私も同じような行動を取っただろう》

《可能なら別の手段を選びたいところではあったが、
 君達も知っている通り、
 『猫』と『人』が『意思疎通』を行う事は難しい》

《スタンドによる会話は、我々の『共通言語』だ》

塞川の問い掛けに対し、ロダンは巧みに言葉を操り、
淀みなく返答する。
外見から窺える以上に、高い『知性』の持ち主らしい。
到底『猫と喋っている』とは思えない程だ。

>>50(ノエ)

『スタンド使い』である事を明かす。
それは『正体』を曝す事にも繋がりかねないだろう。
しかし、葛藤の末に、ノエは敢えて『一歩』踏み出した。
明確な理由はなかったとしても、ノエは『ここ』を訪れたのだ。
もしかすると、何かしら得られるものがあるかもしれない。

《では、君の事は『ノエ』と呼ぼう》

ロダンとの対話。
最初に出会った時も、似たようなやり取りを行った。
ノエとしては初めてだ。

《――――実に『素晴らしい』》

『聞き覚えのある言葉』が、
『ストーン・エイジ』を通して発せられた。

>>(ALL)

《単刀直入に述べよう。
 少しばかり『遊び』に付き合って欲しいのだ。
 ただし、『ボール遊びをしたい』という訳ではない。
 この遊びでは『道具』ではなく『知恵』を使う》

《これから私が、君達に一つの『謎』を提示する。
 それを解き明かしてもらいたい》

《解答する権利は『一人』につき『一度』。
 もし『ヒント』が必要ならば、
 どういった点について悩んでいるかを伝えれば、
 二人分を合わせて『二回』だけ与えよう。
 だが、君達が話し合う事は制限しない》

《『正解』に至った時には、それなりの『報酬』を約束する》

『スフィンクスのスタンド』から、
ロダンが二人に『ルール』を説明する。
塞川にとって、『報酬の詳細』は未知だ。
しかし、話を聞く限りでは、『デメリット』はない。

52塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/16(水) 01:09:51
>>50-51
「そっちのあんたも『スタンド使い』かよ。
『遊び』だと? 何が目的…………いや、いい」

『ノエ』に目線をやり、少し考え込む。

「『ロダン』、それはあんたの趣味か?
それなら『スタンド能力』を見せられるよなァ?
そうしたら、信用するぜ。
遊びにも付き合ってやるよ。暇だしな」

「後は、『報酬』ってのも気にはなるが……
『スタンド』が先だ。答えな」

53ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/16(水) 01:23:04
>>51-52

以前と同じだ。あの時は、別の女性と共にロダンの謎かけに知恵を絞り対峙した。

少し前だ。けど、とても遠い記憶のようにも思える。

「………わかった。何時でもオレは始められる」

>そっちのあんたも『スタンド使い』かよ

「…………あぁ。
短い付き合いだと思うが。オレ一人だと頼りないだろう」

手伝いを頼むよ。と、暗に助力を促してロダンの言葉を待つ。

54『微睡のN』:2022/11/16(水) 15:30:23
>>52(塞川)

《私は『スフィンクス』だ。
 『スフィンクスは謎を好む』というのが、
 『神話の時代』からの慣わしなのだよ》

《私の『目的』は、先程も話した通り。
 『謎の追求』こそが私の『生き甲斐』なのでね》

《そして、君の要求だが……
 私の『能力』は遅かれ早かれ見せる事になる。
 それで『信用』を得られるというのであれば、
 『安い』ものだろう》

              ス ゥ ッ

     《――――『これ』を見たまえ》

『スフィンクスのスタンド』が、片方の翼を開いた。
そこには小さな『石』が乗っている。
どこでも見かける『ただの石ころ』。

        バ サ ァ ッ

翼が石を包み込み、再び開かれる。
そこにあったのは『別の石』だ。
淡い輝きを放つクリアブルーの『宝石』。

《これは『ブルーフローライト』という。和名は『蛍石』だ》

      《『理解』できたかね?》

            コ ト

『ブルーフローライト』が窓辺に置かれる。
『スフィンクスのスタンド』から離れても、
それは『宝石』のままだ。
窓から差し込む光を受けて、確かに輝いている。

>>53(ノエ)

ノエはスタンド使いとして、多くの場数を踏んできた。
だからこそ、少し前の出来事でも、
遠い昔の事のように感じられるのかもしれない。
あの時と比べ、何もかもが変わってしまった。
『顔』も『名前』も『スタンド』さえも。
だが、今でも『変わらないもの』もある。

          ――――――チカッ

女の要求に応じる形で、ロダンが自らの『能力』を披露する。
彼が作り出したのは、淡く光る『ブルーフローライト』だった。
持つ者にインスピレーションを与えるとされる『知性の石』。

あの時と変わらないのは、それと『同じ物』を、
ノエも『持っている』という事実だ。

55塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/16(水) 18:20:36
>>53-54
「こいつは……!
宝石を作れるってわけか。
いや、作るというよりも…………」

席を立ち、『ブルーフローライト』をつまみ上げて眺めた後、元の場所に置く。
肩の力を抜いて席へと座り、コーヒーを一口飲んだ。

「まあ、そうだな……『石』と『謎』。
本当に『趣味』ってわけか。
はっは、面白いヤツだな。
わかった……付き合ってやるよ。そう言ったしな。
しかし、『ロダン』……あんた、私より頭良さそうだよなァ〜」

ため息混じりに呟き、『ノエ』の方を見る。

「ええと、『ノエ』だっけ?
私は塞川だ。
あんたはなんか既にやる気みたいだな。
もしかして、見た目の割にノリの良い性格なのか?」

「やるからには本気でやるぜ。
雁首揃えて『猫よりもバカ』なんて事になったらあんまりだからよ。
そうだろ? よろしくな」

冗談めかして声を掛け、軽く手を振った。

56ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/16(水) 19:31:51
>>54-55

>『猫よりもバカ』なんて事になったらあんまりだからよ

「…………少なくとも、猫おろかミジンコより馬鹿けた事を仕出かす人間なら
オレはよく知ってる」

ミジンコは自殺するような真似をするだろうか? 
植物とて、遠くに繁栄する為に構造上、食べられるような生態だが
好き好んで命を捨てるような真似をするような生き物はいない。

となれば、大馬鹿野郎が誰かなど自ずと明らかだ。

知性の石(ブルーフローライト)を所有する資格は、無いだろう。
 そして、今現在も所持してない。廃棄されてなければ、学生寮の
机の中に今もある筈……彼が、親友が今も大切に保管してくれているならば。

「……ノリの良さは知らないが……やるからには全力でやる」

「……それだけだ」

57『微睡のN』:2022/11/16(水) 20:34:24
>>55(塞川)

摘み上げた『ブルーフローライト』は、
紛れもなく『本物』だった。
『石ころ』を『宝石』に変える。
そういう能力だ。

《君達にも、これと同じくらいの大きさの物を進呈しよう》

一介の猫が『報酬』を用意できる理由も明らかになった。

《『相互理解』は終えられた。『ゲーム』を始めよう》

ロダンが二人に言葉を掛ける。
もう一人の『参加者』であるノエには、
どこか気負った雰囲気が漂う。
風変わりな外見に違わず、何か『訳あり』らしい。

>>56(ノエ)

『塞川』と名乗った女は、気難しそうな容姿に比べると、
意外に気さくな性格らしい。
ノエとは正反対と言える。
当然、外見からは分からない部分もあるだろう。
そこはノエと同じだ。
スタンド使いであるという共通点も同様に。

《『やる気がある』のは大いに歓迎できる。
 それでこそ、私も『やり甲斐』があるというものだ》

ロダンは、ノエに特別の注意を払ったりはしていない。
彼とは一度しか出会った経験はないが、
その時と同じであるという事は分かる。
相変わらず、彼は『謎』に目がないのだ。

>>(ALL)

軽い身のこなしで、
『スフィンクスのスタンド』が床の上に降りる。
そこには『石像』が飾られていた。
猫の姿を象った精巧な『彫像』。
ノエは見た事があった。
そして、『次に起こる事』も知っている。

  《『ストーン・エイジ』》

             ブ ワ ァ ァ ァ ッ

『スフィンクスのスタンド』が翼を開き、
両翼が石像に覆い被さる。

    ズズズズズズズズズズズ

それと共に、石像が形を変えて、
一枚の『石版』に変化していく。

   カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

        カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

            カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

見えない『鉄筆』で彫られているかのように、
石版の表面に『絵』が刻まれていく。
民家から逃走する泥棒。
泥棒を捕らえる警官。
警官から話を聞く家人。
それら『三つの情景』が、
一連の『物語』を思わせる形で並んでいる。

《君達に『解決』してもらうのは、一つの奇妙な『事件』だ。
 もちろん『現実』ではないが》

《ある家から逃げ出した泥棒が、警官によって捕らえられた。
 泥棒は『宝石』を持っており、
 『この家から盗んだ』と白状した。
 しかし、その家の者に何度聞いても、
 『何も盗られてはいない』と言う》

《『なぜ話が食い違うのか』――――
 その理由を君達に解き明かして欲しい》

58塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/16(水) 21:08:42
>>57
「……出題は、それで終わりか?
ふうん、なるほど。『泥棒』ね……」

指で頬をなぞり思案する。

「可能性という意味では、まずは大きく分けて二つあるよな。
ひとつは、どちらかがウソをついている場合。
『現実的』な着地点としてはこれが一番あり得る話だが、
これは『現実』じゃあない。『クイズ』だ」

「つまり、もうひとつの
どちらとも『本当の事を言っている』と考えるのが一番良いだろうな。
『宝石』は『盗まれた』が、『盗まれていない』」

「こいつは『質問』が重要になりそうな話だぜ。
どういう方向性の『質問』をするか。
あんたにアイデアはあるか? 『ノエ』」

59ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/17(木) 09:50:45
>>57-58

ロダンが、彼が特別自分に気を払わなかった事は。
ノエにとって息をさせてくれるように有難かった。どう突かれても悪い事に
なる想像の絵図しか思い巡れない。

それに、大切なのは自分ではない。『謎』だ。

>どちらとも『本当の事を言っている』と考えるのが一番良いだろうな。
『宝石』は『盗まれた』が、『盗まれていない』

「確かに……その線が一番濃そうだな」

>どういう方向性の『質問』をするか

「なら、『泥棒が、家人の親族及び血縁関係か?』と言う質問はどうだ?」

オレの想像する背景は……。

泥棒が、自分を泥棒と思い込んでおり。本当は家人と一緒に生活してる
間柄である。と言う形だ。

これなら宝石だろうと、何だろうと。泥棒が何を持って外に出ようと
家人にとっては、泥棒は自分と同じ家の人間なのだ。泥棒を非難する事は無い。

(ロダンの問題は……時に、現実の話でないと前置きするが。
核心をつくような問いもあったりする)

この問題も、そんな問題なのかも知れない……。

60ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/17(木) 13:12:38
>>59続き

「……あぁ、あと出来る質問があるとすれば」

前の時も、そうだった。『答えはすぐ目の前にある』
 それがロダンの問題だ。だから『ロダン』へ顔を向ける。

「家人が君(ロダン)……いや、現実じゃないんだったな。
だから、君に近しく、それでいて『宝石』に無頓着な存在」

「それでも、説明はつく」

……仮に、家に住む者。それが『ロダン』なら。
つまり、宝石を産む事に対して労力が存在しない存在。
涙が宝石になるだとか、そう言った幻想生物でも構わない。それが住む者ならば。

その誰かは盗んだのは事実。だが、盗まれた存在からすれば家で掃いて
捨てるような価値なのだ。だから、これなら『価値観の相違』で
問題が成立する。

これが、正解に近しい気もする……。

61『微睡のN』:2022/11/17(木) 18:13:29
>>58-60(ALL)

ロダンは黙って二人の会話を眺めている。

「私が若い頃に、似たような状況に遭遇した経験がありますね」

その代わりに、カウンターの奥に立つステュアートが、
呟くように口を挟んだ。

「当時、私は様々な事件に関わる立場におりました。
 あれは『偶然』が重なった結果の出来事でしたが…………」

        「――――失礼致しました」

丁重に一礼すると、
彼はコーヒーサイフォンを調整する仕事に戻った。

62塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/17(木) 21:32:24
>>60
「たしかに説明はつく。
どっちも、まあ……現実的かどうかは置いておいて、正解の条件は満たしてるよな。
そういうのなら私も思いついたぜ。
泥棒が盗みに入ったのは、捕まったのから半世紀ほど前だったんだよ。
そうしたら、家の奴らに聞いてもいちいち覚えちゃいないかもしれないだろ?」

「これもひとつの答えだ。
あんたの出した案も含めて、全て『間違い』じゃあない。
だが『正解』でもない。
そいつを判別するために使うのが『質問』ってわけだ」

「そうすると、質問内容はなるべく『方向性』がはっきりする内容が良いだろうな。
特定のひとつの解の是非を問うようなものじゃあなく、
正解の方向性を絞り込むような……」

「『家人は盗人が持っている宝石が、家から持ち出されたと認識しているのか?』
ってのはどうかな。
もう少し良い質問がありそうな気もするが…」

63ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/17(木) 22:00:49
>>61-62

>私が若い頃に、似たような状況に遭遇した経験がありますね

「……そうなのか」

カウンターで佇む人物の言葉に、ぽつりと呟く。
 そして、塞川。彼女の言葉も吟味して、微かに頷いて纏め上げた思考を
ノエは口にする。

「時間軸が異なる。それも一つの正解だな……あとは、建物の構造、とか?
ミステリーとかだと、実は回転式の家で昼と夜で住む位置が変わるとかなら
その訪問する家の者も異なるからな……まぁ、今のところ全部推測だ」

正解の方向性……絞り込む『質問』……か。

>『家人は盗人が持っている宝石が、家から持ち出されたと認識しているのか?』

「……うん、その質問でオレも良いと思う」

この質問の成否で、幾らか問題の背景も理解出来るとは思える。

64『微睡のN』:2022/11/17(木) 22:57:16
>>62-63(ALL)

《――――では、最初の『ヒント』を出そう。
 家人は泥棒が持っていた宝石が、
 『自分の家から持ち出された物』だと『認識している』》

話し合いが一段落したと判断したロダンが、
『第一のヒント』を提示する。

《改めて詳しい話をすると……
 泥棒と家人の間には何の関わりもない。
 完全に『赤の他人』であり、
 泥棒は適当に目星をつけた家に入ったに過ぎない。
 逃げるところを運悪く警官に発見され、
 そのまま捕らえられてしまった訳だ》

《警官は『宝石』を家人に見せ、すぐに確認を行った。
 盗品を見せられた家人は、
 それが自分の家から持ち出されたと確実に認識した上で、
 『何も盗られていない』と答えたのだ。
 そこに時間差はなく、特殊な環境やトリックも存在しない。
 また、家人にとっても、その『宝石』は『金目の物』だ》

《これは、あくまで『仮定の事件』ではある。
 しかし、実際にも起こり得る話だろう。
 たとえば、『この町で起こった事』だと考えてくれてもいい》

《君達が様々な説を唱えたように、想像力を働かせれば、
 『仮説』は無限に考えられる……。
 だが、私が想定する『正解』というのは、
 より『完成度』の高いものだ。
 最もシンプルで、なおかつ最も説得力のある答えを、
 君達に探ってもらいたい》

65ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/18(金) 08:58:34
>>64

泥棒と家人に関わりは無い赤の他人。

家人は金目の物であると、盗んだものを認識してる。

実際に起こり得る可能性はある……この街でも起き得る。
ステュアート氏の言葉も含めると、偶然の要素はある……か。

(自分の物であると認識した上で、ついさっき何か盗られ
警察が来て、貴方の家からこれが盗まれました。と、伝えられた上で
いえ、特に何も盗まれてないと……オレなら、どんな状況だ?)

考えられる可能性があるなら。盗まれた事自体が、本人にも都合が悪いから。

「あぁ……家人が『犯罪者』であるなら、しっくりくるな」

つまり、家人も『宝石泥棒』なのだ。宝石を盗んだ人物が
奇妙にも宝石を盗られる。それがあろう事か偶然にも盗まれて
警察が家に来る。家人からすれば堪ったもんじゃないだろう。
 盗品を追及されれば、自分も逮捕される……シラを切ろうと言う気持ちも
幾らか理解出来る。一番運が悪いのは家人だったと言う事だ。

「だから、オレの質問はこうだ。『家人も宝石を盗んだ事あるか?』だ」

66塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/18(金) 18:47:32
>>65
「ほお、確かに『盗品』なら盗まれたなんて言えないよなァ。
いい考えだ。だが『ノエ』。あんた、ゲームとかしないだろ」

軽く指を振って微笑んでみせる。

「ヒントが2回に解答も2回だろ?
それなら、『正答かどうか』確かめる質問は無意味だぜ。
『宝石は元々盗品だった』。そいつで回答してみなよ。
ま、『贋作』とかそういう可能性もあるから、
そーいうのを包括した『答え』でも良いかも知れねーが……
『泥棒が盗まれた』。そっちの方がシンプルだし良い答えだな」

67ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/18(金) 18:53:08
>>66

「……あぁ、ゲームとかはしないな」

『ノエ』はしない。小林 丈なら……遊ぶ友人も居ただろう。
 本当なら、皆で無事に帰って何気ない日常や学校、ゲームや勉学
喧嘩もしただろう。だが、全部それを無碍にしたのは自分自身だ。

「『宝石は元々盗品だった』
あぁ、そう答えるよ。ロダン、それが回答だ」

68『微睡のN』:2022/11/18(金) 19:25:22
>>65-67

   カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

        カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

            カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

二人の解答に応じて、石版に『新たな絵』が刻まれていく。
家人と泥棒の『両者』が、警官に捕らえられる情景だ。
『起承転結』で言えば『結』の部分だろう。

《その『宝石』は、泥棒に盗まれる前から『盗品』だった。
 それが家にあった事を認めれば、家人にも嫌疑が及ぶ。
 しかし……捜査に当たった警官は『優秀』だったようだ》

出来上がった『絵』を一瞥したのち、
ロダンが二人に視線を戻す。

《――――――『正解』だ。
 君達は、この物語の『結末』を導き出した》

《『推理』というのは、根幹となる『前提』が間違っていると、
 その後の全てに影響を及ぼしてしまう。
 最初に『認識』を指摘したサイカワの着眼点は、
 この事件の核心となる部分を突いていた》

《そして、ノエ……君は可能性の『取捨選択』を行い、
 最終的な『結論』に至った。
 どちらが欠けても、この事件は解決し得なかっただろう》

           《見事なものだ》

              ス ッ

ロダンからの賞賛と共に、
『ストーン・エイジ』が両翼を差し出す。
そこに乗っているのは『二つの石』。
先程と同様に、何の変哲もない『石ころ』だった。

《優れた『知性』には相応の『報酬』が与えられるべきだ。
 君達の『望むデザイン』を聞いておこう。
 『渡す石』は決まっているが……私の力で、
 それを『宝石彫刻』に仕立て上げる》

この趣向はノエも知らない。
しかし、ロダンの能力を使えば容易い事であろう。
目の前の『石版』を見れば、それは塞川にも明らかだ。

69塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/19(土) 12:05:39
>>68
「はっは、『正解』って言葉は偶に聞くと良いよなァ。
やるじゃねーか、『ノエ』。あんたもこっちに来な、ほらよ」

立ち上がって『ノエ』の背中を叩き、『ロダン』の側へ近づく。

「ほお、大したサービスだな。
『宝石彫刻』。すごい価値になるんじゃあねーか。
私は……そうだな。トリでいい。『鳥』にしてくれ。
なんでもいいぜ、あんたが知ってる奴でな」

そして『ノエ』の横顔を注視した。

70ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/20(日) 11:35:35
>>68-69(すみません、PCの調子が悪くレス遅れました)

背中を叩かれ、勝利の労いを掛けられる。

  ――やったな、ジョー。俺たちの勝ちだっ


(……そう、祝ってくれただろうな。オレが、この道を進まなければ、今頃)

別離を交わしてしまった大切な人物の姿が脳裏に過る。
だからと言って、この状況に変わりはない。ノエは『ノエ』だ。

 「あぁ……二人の連携の……あんたの協力の賜物だよ」

塞川へ、礼を短く告げつつ。宝石を加工すると言う石を見つめる。

彼女のように動物にするべきか? それとも、今の自分の罪を戒めるような
暗示の形にするべきか……いや。

「……指輪……出来れば、複数でいい」

「…………出来るか?」

71『微睡のN』:2022/11/20(日) 21:20:55
>>69(塞川)

《『芸術的価値』が加わる事で、
 元々の『値段』は上乗せされるだろう。
 素材の種類や大きさによっては『億単位』も可能だが……》

《その辺りは私が『調整』させてもらう。
 悪戯に『相場』を混乱させてしまうと、
 『不利益』が生じるのでね》

ロダンの言葉を信じるなら、本気で作ろうと思えば、
『凄い価値』の品も用意できるらしい。
しかし、そういった物を世に出すつもりはないようだ。
彼が言ったように、不必要な問題を避けるためだろう。

>>79(ノエ)

ノエの心中で重なる『現在』と『過去』。
その先に存在する『未来』は、未だ曖昧で不確定だ。
今日の出会いが、新しい礎の一端となるかどうかは、
ノエだけが知っている。

《『輪の形』に変える事は容易い。
 それを『二つ』用意しよう。
 もちろん『一つ分の価値』は『半分』になる》

『注文』に対しては、『可能』という答えが返ってきた。

>>(ALL)

《――――君達の『希望』は心得た》

         バ サ ァ ッ

翼が『石』を包み込み、次に開かれた時には、
二つの『宝石』に変わっていた。

《『紫水晶』と称される『アメジスト』。
 語源となったギリシャ語では、
 『酒に酔わない』という意味を持つそうだ。
 『人生の悪酔い』から守ってくれるという言い伝えもある》

透き通った紫色の石が塞川の目の前にある。

《『ウルトラマリン』の原料として知られる『ラピスラズリ』。
 鉱物を愛した宮沢賢治は、『銀河鉄道の夜』の中で、
 この深い青色を夜空に喩えた。
 幸運と成功をもたらす石と信じられているが、
 ただ待っているだけではなく、常に努力を続ける者にこそ、
 その力は注がれるとされる》

幻想的な青色の石がノエの瞳に映り込む。

  《『オーギュスト・ロダン』――代表作は『考える人』》

  ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ

    《私が『ロダン』と名乗る所以は、ここにある》

翼の上で『アメジスト』と『ラピスラズリ』が、
滑らかに変化していく。
片方は『鳥のオブジェ』に。
もう片方は二つの小さな『指輪』に。
『深い思索』を表現する『彫刻』を作り出した『彫刻家』。
ロダンの『精神』と『能力』は、
それを名乗るに相応しいものであると言える。

《『シロハラムクドリ』を知っているかね?
 『アメジスト色の羽毛』を持つ『生きる宝石』と呼ばれている。
 これは生きていないが……その代わりに『輝き』は不滅だ》

《そして……こちらは『指輪』の形に仕立て上げた。
 『ラピスラズリの指輪』だ。
 サイズは合っていると思うが、まぁ嵌めてみたまえ》

《現在の相場にして『オブジェ』は『二万円』、
 『指輪』は一つ『一万円』の値打ちがあるだろう》

              ス ッ

    《――――これらは『君達の物』だ》

二種類の『宝石彫刻』が、二人に差し出された。

72ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/21(月) 22:38:19
>>71

『アメジスト』 『ラピスラズリ』

人生の悪酔いから守る・努力するものに成功と幸運を……。

今の自分には、どちらも必要なものだ。

「……ありがとう」

左手の、人差しと薬指に嵌める。その意味合いは祈願と
自分の進むべき場所を指し示す道を明らかとする為。

「…………遊びは、これで終いか?」

ロダンのゲームは、以前は何問か提示されていた。

だが、指輪の報酬を貰った以上は無いのだろうとも思えた。

(……今のオレでは、この街の知り合いの近況を知るのに
教えて貰うのも……難しいか)

旧友の状況や、夏の魔物で同行した者達の事など
知りたい事は山ほどある。だが、彼に全て情報を請うのは誤っている。

何事もなければ、そのまま去ろう。

73塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/22(火) 17:45:35
>>71
「ふん、そーいうアタマがある奴でやれやれ一安心ってとこか。
ありがたくいただくぜ。
『シロハラムクドリ』……『生きる宝石』って話くらいなら聞いたことはある。『トリ』が好きな奴にな。
しかし、博識な奴だなァ。
あんたもそう思わないか? 『ノエ』」

去ろうとする『ノエ』に声を掛けて、
フードに手を掛け、その瞳を覗き込む。
軽薄な口調とは裏腹に、真剣な表情で。

74『微睡のN』:2022/11/22(火) 18:57:24
>>72(ノエ)

『謎』を解いた報酬として『宝石』を渡す。
ノエの知識にあるロダンの『一連の流れ』だ。
それが完了したという事は、もう帰ってもいいのだろう。
『前回』とは違うが、その理由は分からない。
しかし、『今回』に限っては、『これで終わり』という事だ。

《『知的なやり取り』が楽しめる事は、
 私にとって『何よりの報酬』だ》

《君達と話した時間は短いが、確かな『プライスレス』だった》

席を立ち、ノエは店を離れようとする。
当然の権利だ。
ステュアートもロダンも、それを止めようとはしていない。

              ガシッ

その歩みを止めたのは塞川だった。
フードを軽く掴まれているらしい。
問い掛け自体は『世間話』のような内容だが、
表情には真剣さが感じられる。

>>73(塞川)

《もし私が何者かの手によって生まれたのなら、
 『知性』を与えた事に感謝している》

《そうでなければ、今まで『無事』ではいられなかっただろう》

ロダンは塞川の言葉を肯定した。
『ストーン・エイジ』は恐るべき能力だ。
直接的な攻撃がどうこうという話ではなく、
既存の『経済』そのものを根底から覆しかねない。
こうして『自由』でいられるのは、
『アリーナ』に目をつけられていないからか。
それとも、『アリーナ』に目をつけられているからこそ、
好きなように振舞えるのかもしれない。

《何事も『多ければいい』というものではない。
 君達と過ごした時間は、大いに『価値ある時間』だった》

ノエは立ち去ろうとしていたようだ。
それは何の不思議もない。
しかし――――塞川はノエを引き止めた。
彼からは、どこかしら気負った雰囲気が感じられる。
その佇まいは、かつて共闘した『鉄夕立』とも違う。

>>(ALL)

         ――――――カラァン

二人の間に割り込むように『ドアベル』が鳴り、
入口の扉が開く。
『新たな客』が来店したのだ。
大学生くらいの若い女性客だった。

     「いらっしゃいませ」

ステュアートが声を掛けると、女性は小さく頷きを返した。
店内を見渡す視線はロダンに向いたが、
『ストーン・エイジ』に対しては無反応だ。
『経験』を積んだノエと塞川には、
彼女が『スタンド使い』ではない事が直感できる。

《『私と話せる者』に出会える機会は『貴重』なのだよ》

ロダンが能力を使ったらしく、『石版』は既に、
『猫の石像』に戻っていた。

     《残念ながら、彼女は違ったようだ》

肩に掛けたバッグからスマホを取り出しながら、
女性客がノエと塞川の横を通り過ぎる。

           「あッ――――」

  バラバラバラバラバラァ――――――――――ッ

スマホに気を取られていたせいか、
女性の肩からバッグが滑り落ちた。
その拍子に、中身が床の上にブチまけられてしまう。
被害は二人の周りにも及んでいる。

     「ご、ごめんなさい!」

女性は謝罪と共に、落ちた品物を拾い集める。

ごく普通の日用品ばかりだが、
『そう見えない物』が二つあった。
片方は直径10cm程の『ゴムボール』。
油性のペンで、大きく『U』と描かれている。

もう一つは『薬』だ。
包装用シートの中に10錠ある。
記載されている商品名は『モディオダール』。

75塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/22(火) 19:43:43
>>74
「あんたは…………ン?」

『ノエ』へと言葉を続けようとして、
新たな来客にタイミングを逃して口を噤む。

(『モディオダール』。こいつを飲んでた奴が居たな。
病状は確か…………『過眠症』)

自分の知人の事を思い出しながら、
黙って足元の薬包を拾って女性に差し出す。

76ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/22(火) 21:37:30
>>73-74

>あんたもそう思わないか? 『ノエ』

「……オレ……は」

その眼差しは、決して雑談をしようと言う形ではなかった。
ノエの、そのひた隠してる真実の薄皮のヴェールを睨むように鋭い。

 困窮する返答を、新たな第三者が打ち破ってくれたのは幸か不幸か。

正直、不審者と称して問題ない自分が拾うのを手伝うのは
逆に相手を怯えさせると思うが、このまま逃げ出すように立ち去るのは気が引ける。

しゃがみ込み、自分も女性の落ちてる品を拾いつつ
『妙な』物へ視線を向ける。

『ゴムボール』……妙なデザインだ。
 ゴムボール自体は、スポーツで握力トレーニングなどで使われるし
この女性が何かそう言った関連で持ってるかも知れない。
 だが、このデザインには正直見覚えが無い。この一年ほど
星見街から姿を消してる間の流行物なのだろうか?

『U』……粘度や摩擦係数を表す。
『⊂、⊃』……開いている方に在るもの。より大きな概念。
『n』…場合の数の集合の共通部分と和集合

……いや、この形だけならU字磁石と言ったようなマークにも見える。

(…………考えすぎ、か?)

妙なゴムボール……精神薬。
 スタンド使いでは無いのだろう。だが、何か少々引っかかる。

とは言え、現状では不審で警戒するべき。と言う事はない。
 むしろ、此処で誰か騒いで不審人物として拘束されるなら、間違いなく自分だ。

無言で、拾えるだけ拾ったら女性に渡して足早に去るべきだ。
 礼を言われて引き止められるのも宜しくない。終わったら、早々に
此処から出よう。

77『微睡のN』:2022/11/22(火) 22:24:12
>>75(塞川)

「あ……ありがとうございます……」

         ソッ

威圧的な容姿に近寄りがたいものを感じたのか、
おずおずといった調子で、女性は『薬』を受け取った。
塞川が思った通り、それは『睡眠』に関する処方だ。
覚醒状態を維持する作用を持つ『向精神薬』。

      ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

《少しばかり珍しい品だ。
 ただ、『持病』ならば不自然ではない》

ロダンの考えも、概ね塞川と同じらしい。

《どちらかといえば、私は『あちら』に関心がある。
 『ボール遊び』がしたい訳ではないが》

彼が注視しているのは、『ゴムボール』の方だ。
その間に、ノエは一足先に、店から出て行こうとしている。
しかし、追いつこうと思えば、すぐに追いつく事が出来る。

>>76(ノエ)

『向精神薬』と『ゴムボール』――奇妙な取り合わせだ。

      ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

『ゴムボール』に描かれた『U』は『手書き』だった。
つまり、買った後で入れられたものという事になる。
どういう意味があるのかは、全くの『謎』だ。
しかも、ボールには『決まった向き』というものが存在しない。
これに関しては、『本人』しか分からないだろう。

「ど……どうもありがとうございます……」

           ソッ

やはりと言うべきか、
女性からは多少の『警戒』が見て取れる。
しかし、持ち物をバラまいたのは彼女の方で、
ノエには非がないどころか、拾うのを手伝ったのだ。
だからこそ女性も、あからさまに怖がったりはしていない。

《ふむ――――なかなか『暗示的』だ。
 彼女は『話せる人間』ではなかったものの、
 新たな『謎』を運んでくれた》

ロダンは、女性客の持ち物に興味を示している。
彼にとっては、これも一つの魅力的な『謎』のようだ。
深く思考を働かせているらしく、黙り込んでしまった。

>>(ALL)

女性客は塞川とノエに頭を下げ、奥の席に座った。
注文をした後は、スマホを弄り始める。
二人に対して、それ以上の干渉はしてこない。

        カラァン

まず、先に支払いを済ませたノエが、『Priceless』を出て行く。

   《歩きながら『考え』を纏めたい》

             スタンッ

        《少し『散歩』してくるとしよう》

スタンドを通してステュアートに声を掛け、
ロダンが窓際から飛び降りる。
彼は、ノエが開けた扉の隙間から、一緒に外に出た。
塞川が後を追ったなら、
『ノエと同じ光景』を目撃する事になっただろう。

                  ドサァッ

二人の目の前で、一人の男性が『うつ伏せに倒れ込む姿』を。

78塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/22(火) 23:56:21
>>77
「『謎』か。そりゃ良かったな。
私には、ちょっと変わった奴ってカンジでしかないが、それよりもだ」

『ロダン』と『ノエ』に続いて外へと出て、
倒れる男を目撃した。

「なんだ……! おいッ!
何してんだあんた? 『病気』か?」

1番に男性へと近づき、助け起こす。

79ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/23(水) 09:38:30
>>77-78

           ドサァッ

(なに……?)

何が起きている? 男性が、倒れ込んだ。だが……『偶然』か?

 女性がバッグを落とし、薬とUのゴムボールを散らばせた。
そして、次に男性が目の前で倒れた。

繋がりは、一見無い……が。

「仰向けにして、意識の確認と気道を確保しよう」

思考で行動が一歩彼女より出遅れた。塞川に、そう声を掛けつつ
周囲を見渡す。人が居れば、すぐ救急車を呼ぶよう手配して貰おう。
オレはスマホの類は無いから……。塞川氏や、いま出た店にも当然あるだろう。

80『微睡のN』:2022/11/23(水) 20:19:12
>>78(塞川)

男性は倒れたままで、塞川の呼び掛けにも反応しない。
『異常事態』である事は明らか。
誰よりも早く動いた塞川が、男性に駆け寄った。
近くで見ると、僅かに動いているらしい事が分かる。
少なくとも、『生きてはいる』ようだ。

「仰向けにして、意識の確認と気道を確保しよう」

背後から、ノエが『確認』を呼び掛けてくる。

>>79(ノエ)

かつての『小林丈』のように、
ノエは無意識に『思考』を巡らせていた。
ノエとは逆に、塞川は『考えるより先に動くタイプ』らしい。
この場の誰よりも早く、倒れた男性に駆け寄っていく。

《『病院の手配』なら、私がしておく》

周囲を見渡すノエに対し、ロダンが答えた。
彼もスマホは持っていないだろうが、店の近くだ。
おそらくステュアートに伝えるのだろう。
周りには、他の人間はいない。
この店自体も、あまり目立たない場所に位置している。

>>(ALL)

追い打ちを掛けるように、さらなる『異変』が発生した。

  シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………………………

突如、男性の体から『黒い靄』が立ち昇る。
男の傍らで収束し、一つの『形』を成していく。
現れた『ヴィジョン』は『四つ足』の『動物』。

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

『馬』だ。
全身が『黒い靄』で構成された『漆黒の馬』。
その両目が、近付いてくる塞川を不気味に見据える。

    次の瞬間――――――。

                グ ワ ァ ッ ! !

揺らめく幻影を思わせる『黒い馬』が、塞川に『突進』した。
スピードは『人間の全力疾走』程度(スC)。
軌道は一直線であり、間違いなく『直撃コース』だ。

81ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/23(水) 21:57:27
>>80

「? き……り……ッ!」

 『黒い靄』 『スタンドの馬』

馬……U……蹄のマーク?

(関連性が有る……のか? このスタンドは先ほど入店した彼女が
引き起こしてる自動操縦タイプ……か?)

 いや、全て想像でしかない。いま必要なのは机上の理論を描く事でない。
手を動かす事だ。服の裏のペットボトルを取り出し、キャップを開ける。
 その動作をしてる合間にも、塞川氏に馬は突撃するだろう。

 「横に跳べ!」 ズギュン……。

警告しつつ、ペットボトルの中に一体の『ゼロ・モーメント』を発現させる。
視界リンクにより、自分の背後を見るようにスタンドを調節。
 本体である視界で、馬を注視しつつ他の不審な動きが周囲にないか警戒。


(放てる弾丸は……六つ! 考えなければいけない。
どう有用性を齎す事が可能か)

(あの馬は、接近した塞川氏へ攻撃を仕掛けてきた。
状況だけ見れば……)

「そいつは『自動操縦』のスタンドかも知れない!
倒れてる、そいつに干渉しようとするのを拒絶してるなら
離れれば攻撃は止まる筈だ!」

 考えを口に出しつつ、観察を続ける。突破口があるとすれば
あの女性、または馬の挙動などに何かヒントがきっとある。

82塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/23(水) 22:28:51
>>80
「何!? コイツは『スタンド』……!
言われなくても避けるが、この『スピード』……!」

ハンドバッグを抱えるように持ちながら横に跳ぶようにして避ける。

83『微睡のN』:2022/11/23(水) 23:04:07
>>81(ノエ)

『U』が『蹄』を表すというのは筋が通った推理だ。
可能性はある。
しかし、今は『目前の脅威』に対処しなければならない。

        ズ ギ ュ ン ッ

歪な『変化』を遂げた『金魚』――『ゼロ・モーメント』。
それをペットボトルの液中に発現させ、
塞川に声を飛ばしながら、同時に自らの背後を警戒する。
これといった異常は見当たらないが、
その間も『黒い馬』は止まらない。

《どうやら『それどころではなくなった』ようだ》

            ザッ

『ストーン・エイジ』を身構えさせ、ロダンも警戒態勢を取る。

>>82(塞川)

         ――――――ダンッ!

奇しくも、ノエの呼び掛けと同じタイミングで、塞川が跳んだ。
スピードは互角。
咄嗟の対応であっても、
間に合わせる事は決して不可能ではない。
ただ、塞川の方から近付いていた事と、
不意を突かれた事が災いした。
直撃は避けられたものの、完全な回避は叶わず、
掠めるようにして『接触』を許してしまう。

     そして――――――。

>>(ALL)

 シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………………………

塞川に触れた途端、『黒い馬』の姿が唐突に『掻き消える』。
正確には、塞川の体に『吸い込まれた』のだ。
注意深く観察していたノエには、
その様子が確かに見えていた。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

一方、『当事者』である塞川には、
特に『自覚症状』のようなものは感じられない。
『痛み』も『ダメージ』も皆無。
肉体的にも精神的にも、何らの変調も起きてはおらず、
あくまでも『普段通り』だった。

だが、『何かされた』事だけは確実だろう。

    《この『謎』は『まだ解けない』が…………》

                《『救急車』は呼んでおこう》

『即座の追撃はない』と判断したらしく、少しの間を置いて、
ロダンが『Priceless』に戻っていく。
これで『病院の手配』は問題ないが、ここからどうするか。
ひとまずは救急車が来る前に、
倒れている男性の状態を確認しておくべきかもしれない。

84ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/24(木) 17:37:27
>>83

『黒い馬』は、塞川へと掠めると共に視界の中で吸い込まれるようにして消えた。

「大丈夫か……?」

変調が無いのか尋ねつつ、男へ近寄る。

「あぁ、ロダン……救急車は頼む。オレは……男を調べる」

とにかく、うつ伏せだと調べ辛いし。生きていても顔が地面に密着してたら
窒息の可能性もある。体を横向きに転がして、顔色など調べる。

(所持品を調べるのは……オレがするべきだろうな)

塞川氏より先に、男の服の裾なり携行品を調べる。
 何か手掛かりがあれば良いんだが。

「想像でしかないんだが」

「オレは……さっき店に入ってきた女が無関係だとは思えない」

「明確に、元凶とかとは思ってないが……だが、何かさっきの
黒い馬と繋がりはあると思う」

男の調査をしつつ、塞川氏に自分の考えを告げる。

85塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/24(木) 19:24:22
>>83-84
「なんだ、今どうなった?
見ていたか?『ノエ』。
私の中に入っていったような…」

立ち上がって自分の身体を調べて、
ついでに『クリスタライズド・ディスペア』が発現できるかどうか、スタンド像に異常が無いかも確認する。
そして、『ノエ』の後ろから倒れた男を覗き込む。
やりたかった事はあらかた『ノエ』がしているようだ。
判断が早い…『荒事慣れ』している印象を受けた。

「ああ?さっきの女? ……なぜだ?
あんたも気づいたと思うが、少なくともスタンド使いではなかったぜ」

そう言いつつも、振り返って喫茶店内部の女の様子を見る。

(しかし、『黒い馬』……か。
この男、単に気を失っているだけか? それとも…………)

86『微睡のN』:2022/11/24(木) 20:46:34
>>84(ノエ)

確認のため、男性の体を仰向けにする。
大まかな年齢は二十台前半くらいだろう。
ごく一般的な若者といった風情だ。
呼吸はしているが、意識はない。
『気絶』してしまっているようだ。
そして、かなり疲れている様子が窺えた。
見るからにやつれており、
目の下に濃い『クマ』が出来ている。

      ――――――ゴソッ

所持品については、
スマホや財布といったありふれた品物だけだ。
スマホはロックが掛かっており、中身は分からない。
財布の中からは、運転免許証が見つかった。
『神尾』という名前のようだ。
顔写真と同一であり、本人に間違いない。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

ただ、その『表情』は、だいぶ違っていた。
免許証の写真で見る顔は、今と比べて健康そうだ。
状況から判断して、彼の変化に、
『黒い馬』が関係している可能性は高い。

        ズ ギ ュ ン ッ

隣に目を向けると、塞川が『ヴィジョン』を発現している。
ソフトボールと同じサイズの『ガラス細工の鳥』だ。
これも何かの『引力』か、彼女のスタンドも、
『ガラス』と関係がある『群体型』らしい。

>>85(塞川)

『ノエ』と名乗る青年は、うろたえる事もなく、
男性の様子を調べ始めた。
その落ち着いた態度から、
踏んできた『場数の多さ』が連想される。
塞川は自分の状態を改めて確認するが、
やはり何の異常も見受けられない。

        ズ ギ ュ ン ッ

そして、『クリスタライズド・ディスペア』も問題なく発現できた。
ヴィジョンも動作も至って『正常』。
試していないが、感覚的に『能力』にも不調はなさそうだ。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

ノエの脇から覗き込むと、
意識を失っている男の顔が見えた。
特に珍しくもない普通の若者だ。
年齢は二十台前半といったところだろう。
一見して、かなり疲れているらしい事が分かった。
目の下に濃い『クマ』が出来ている。
先程の女性は、奥の席に座っているため、
ここからは見えない。
しかし、外に出てきていない以上、まだ店内にいるはずだ。

>>(ALL)

《『話』はついた。まもなく救急車が到着する》

やがて再び現れたロダンが、二人に告げる。

《『力を持つ者の常』と呼ぶべきか…………
 『我々』は『現実の事件』と遭遇してしまったようだ》

《『被害者』のためにも『解決』する必要があるだろう》

塞川達を気遣いながらも、心なしかロダンの声色には、
どこか生き生きした調子が滲んでいた。
未知の『謎』と向き合える機会を、
内心で喜んでいるのかもしれない。
無論、それを表に出さないだけの『知性』を、
彼は持ち合わせている。

《この件に関して、私も可能な限り『協力』しよう。
 時に、客観的な観点から気付ける事があるかもしれない》

     《『私の見解』が必要と思う場合は、
      いつでも声を掛けてくれたまえ》

『スフィンクス』を従えた『知恵の獣』は、そのように明言した。

87塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/24(木) 21:50:42
>>86
「こいつは『スタンド攻撃』……だろうな。
この男、『神尾』はさっきの『黒い馬のスタンド』に取り憑かれてこうなっちまったわけだ。
そして男が意識を失って、何かを吸い尽くされて宿主が移ったみたいな感じか?
細部はかなり適当っつーか、違うだろうけどな。
今のところ、とりあえず身体に別状はねぇ」

『スタンド』を解除して『神尾』の目のクマをなぞる。

「黒い馬っつーと、昔から『夢魔』のモチーフだよなァ。
所謂『ナイトメア』って奴だ。
『睡眠を妨げる』……そんな能力かもな。
こいつの具合を見るに」

「問題は、誰が本体で
何が目的でこんなことをしてやがるのかだ」

88ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/24(木) 23:09:01
>>86-87

「……夢魔……か」

街を一時的に去って、因果を絶とうと思った。
 だが、形を変えようとも。小林としての縁が、運命は絡みついてるのだろう。

「オレも……似たような見解だ」

「そして…………聞くとしたら『あの女』だな。
あの女も、睡眠に悩まされてる……そうだろ?」

喋りつつ、財布の中に他にないか調べる。
勘だが……病院関係の名刺など無いだろうか? 

『Priceless』に目を向ける。

「……カマ……かけてみるか?
あの女ので、最近夢見が悪くて眠れないだとか……そんな
会話をして過剰に反応するなら、多分当たりだ」

89『微睡のN』:2022/11/25(金) 00:01:23
>>87(塞川)

『目に見える異常』があれば、それを手掛かりにして、
原因を特定する事も出来る。
だが、『何もない』。
全てが『正常』である事が、『黒い馬』と相まって、
却って『不気味』に思えた。

《いくつか不確定要素はあるものの、
 現在の状況から判断すると、そう考えるのが妥当だろう》

塞川の述べた推理に、ロダンが同意を示す。

《『Nightmare』――――サイカワが言うように、
 『悪夢』を象徴する『怪物』。
 『mare』に『牝馬』という意味がある事から、
 古来より『馬』の姿で描かれてきた》

      《非常に興味深い》

同じく『怪物のスタンド』を有するロダンには、
何かしら『感じる部分』があるようだ。

《この現象の『本体』と『目的』を突き止める。
 それを『最重要事項』に据える事には私も同感だ》

《どこから手を付けるかだが…………》

>>88(ノエ)

『夢魔』――――塞川の何気ない言葉を引き金にして、
『小林丈』として経験した戦いの一部が脳裏を掠めた。
『夢の中』で繰り広げられた『熾烈な饗宴』。
それは過ぎ去った『過去』であり、
今もノエの中で息づく『記憶』でもある。

         ジャラッ

財布の中身は硬貨に紙幣。
他には、会員証やらポイントカードが入っている。
『病院』に関わる物は見つからず、
強いて言うなら保険証くらいしかない。

《一般的に『モディオダール』は、
 覚醒状態を保つための『向精神薬』として知られている。
 彼女の場合は『過眠症』のようだったが、
 『睡眠』というのは確かな共通項だ》

《まず『彼女に当たる』というのは悪くない。
 『やり方次第』だが、試す価値はあるだろう》

『障害』があるとすれば『風貌』だろう。
ノエ自身も自覚しているように、
この『身なり』は否応なしに『警戒』されやすい。
塞川の容姿も威圧的で、
相手を遠ざけてしまう可能性はあるが、
ノエの場合は更に『注意』が必要だ。

90ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/25(金) 00:22:29
>>89

(病院は関係ない……か)

『神尾』と言う、被害者? らしい人物の財布には薬の処方箋や
医師の紹介と言った類は無い。となれば、病院関係の人物が
今回のスタンド攻撃、又は暴走に関与してる可能性は低いのだろう。

(会員証……これは、関係あるか?)

ポイントカードはともかく、何処の会員証か確認する。

「……オレの顔は、こうだからな……あの女性に
何か質問しようとしても、怖がらせるだけだろう。
 恰好も浮浪者……どう良い見方をしようにも不審人物に変わりない」

塞川に、あくまで女性に質問出来るのは同性同士のそちらだろうと
暗に告げつつ、方針を語る。

「……探るにしても、何か工夫が必要だな……」

小林 丈なら……学生の風貌は、そこまで警戒心を抱かせなかっただろう。
だが、過去の造形に固執する意味は無い。求めるもので無いのだ。

「……あの『ゴムボール』は何か、今回の出来事に繋がりはある。そんな気がする」

「その経路だけでも知れれば……其処を探るよ」

91塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/25(金) 22:17:55
>>89
「ふーん、つまり私がナンパすりゃ良いのか?
『ロダン』、さっきの店長に、店内での声掛けを邪魔しないように言ってくれよ。
その方が、やりやすいぜ」

そう言ってにんまりと笑う。

「まあ、別に自信があるわけじゃあねーが、
たしかにあんたよりはマシだろうな、『ノエ』。
あんたは、その男をもう少し調べた方が良いかもな。
目を覚ますかも知れないしなァ。
ま、ヒマになったら中に入って私らの話を聞いてりゃいい」

ひらひらと手を振って喫茶店内への扉を開ける。

92『微睡のN』:2022/11/25(金) 23:17:19
>>90(ノエ)

会員証は『ドラッグストア』の物だ。
星見町でも時々見かけるチェーン店。
日用品や食料品も扱っているため、
実際はスーパーマーケットに近い業態だった。
そこを利用しているのは家が近いせいかもしれない。
とはいえ、店舗そのものには、
大した意味はなさそうに思える。

        ハラリ……

会員証を取り出した時に、一枚の紙が手元から落下した。
それは『レシート』らしい。
会計時に出された物が、無造作に突っ込んであったようだ。

              スッ

『ストーン・エイジ』の翼が、それを受け止める。

《『快眠メディカルA錠』……。
 私の知識に間違いがなければ、市販の『睡眠改善薬』だ》

ロダンが『商品名』を読み上げ、レシートをノエに渡した。
内容に目を通すと、日付は三日前で、
購入したのは会員証と同じ店だ。
所持品から得られる情報は、これで『頭打ち』だろう。
神尾が目を覚ます様子もない。
詳しい容態までは分からないが、
憔悴しきった状態から察すると、
『数日は目覚めない』可能性も大いに有り得る。

>>91(塞川)

《では、そう伝えておこう》

店の中に戻りかけたロダンが、塞川の方を振り返った。

《もし『猫の手』が借りたければ言ってくれたまえ。
 『近付きやすさ』だけで言えば、私が最も適している》

     《――――彼女が『猫アレルギー』でなければだが》

               カラァン

ロダンと共に、塞川は『Priceless』に舞い戻った。

        《『ブラック・ダイヤモンド』だ》

『ストーン・エイジ』を通して、一言だけをロダンは告げた。
主人が何も聞き返さないところを見ると、
大方の事情は理解したようだ。
女性客は先程までと変わらず、自分の席に座っている。
テーブルの上には、紅茶とアップルパイが載っていた。
バッグは隣に置いてある。

《私は君のやり方に任せる》

ロダンが塞川を見上げ、次の行動を見守る。

93ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/26(土) 00:04:38
>>92

「つまり、この男も……眠る事に悩まされてた……か」

(三日前……つまり今さっきに突発的に起きたような事じゃない。
…………誰かしらが意図的に、関与してる)

その可能性がある。レシートを服の裾へねじ込むようにして考える。

(体に、何か傷か特徴的な痕はあるだろうか?
仮に、あのUのようなマークが見えない場所に記されていたとしたら
それが被害者の印だと確信出来る。
 何もないようなら、あの女性だけが鍵だな……)

屈んで、男の服を捲って体に何か痕など無いか調べる。
何も無いと理解出来たら『Priceless』へ向かう事にする。

(あの女性に話を聞くなら、早めが良い。
もたもたしてると、救急車も来る。ゆっくり情報を入手する所じゃなくなる)

94塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/26(土) 20:55:18
>>92
(とはいえ、『女』は相性悪いんだよなァ。
ま、やるだけやるか……)

ドアを開けながら少し顔を顰めて、
そして手で長髪を撫でつけながら席へ戻る。
ただし『女性』の真横の席へだ。
そして、少し間をあけて声を掛ける。

「……こんにちは」

先程までの勢いは形を潜めて、
緩やかな、落ち着いた声色でだ。

「『モディオダール』……私の友達も飲んでるけど、
あなたも『過眠症』?」

95『微睡のN』:2022/11/26(土) 21:23:54
>>93(ノエ)

少なくとも『数日前』から、
神尾が『不眠』に悩まされていたのは確かだろう。
『黒い馬』――『ナイトメア』の能力は、
『即効性』を持たない事が分かった。
ノエが入念に調べ上げた結果が、
『睡眠を妨げる』という塞川の推理を裏付けた形だ。

ただ、『即時の危険』がないとしても、
対処しなければならない状況に変わりはない。
どんなに強靭な精神力の持ち主であろうと、
『眠れない状態』が何日間も続けば、
いつかは必ず倒れてしまう。
本体が分からなければ、解除させる事も出来ないのだから。

直接的な攻撃力はない代わりに、
『確実性』という一点において、
この能力は抜群の安定感を有している。

    ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

さらなる痕跡を調べるが、
神尾の体からは何も見つからなかった。
『これ以上の手掛かり』を得るためには、
彼が意識を取り戻すのを待たなければならない。
『今すぐ』は無理だ。
遠くの方から、徐々にサイレンの音が近付いてくる。
救急車が着く前に、ノエは『Priceless』に足を踏み入れた。

>>94(塞川)

  「――――――え?」

         「あ、はい…………」

                   「こんにちは」

不意に話しかけられた女性が、戸惑ったような声を上げる。
しかし、『芝居』を打ったお陰で、怯えさせてはいない。
ファーストコンタクトは成功だ。

「急に『眠気』が来ちゃうんです。
 だから、薬が手放せなくて…………」

『共通の話題』として振った事が功を奏し、
女性は滑らかに口を開く。
そして、やはり彼女は『過眠症』を患っている。
ここまでは『予想通り』と言えるだろう。

「私、『子供の頃』からお世話になってるんですよ」

それとは別に、新たに分かった事が一つあった。
この女性が『病気』になったのは『最近ではない』。
口振りからして、『何年も前から付き合っている』。

        カラァン

ドアベルの音と共に、ノエが入ってきた。
『調査』を切り上げてきたようだ。
彼の様子を見るに、現状の神尾からは、
あれ以上の情報は得られなかったらしい。

96塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/26(土) 21:47:03
>>95
「ふうん……それは、大変だ」

目を伏せて女性の手元を見ながら話す。

「そういえば、別に大した事じゃあないんだけど……
『ゴムボール』……あれって、何だったの?
あなたの持ち物に入ってた……ただの興味で聞くんだけれど」

そして、『ノエ』が入ってきたタイミングで『スタンド会話』で声を掛ける。

『「ノエ」、マスターへと話す体で、
店の前で男が倒れたと言ってくれ。神尾という名前もな。
反応を見る』

97ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/26(土) 22:23:51
>>95-96

早急に解決しなければならない事は理解してる。
 悪意の有無抜きに、このような人々に害がある事象は早急に治まるべきだ。

了解、とばかりに塞川に理解出来るように微かに上下に首を振ると
店内に大きく聞こえる位には少し焦るように告げる。

「マスターっ、店の前で男が倒れたんだ。
神尾って言う人物だ。救急車は、近くの奴が電話してくれたから
すぐ来るだろうが……」

(了解はしたが……そこの女が今回の発端だとして
暴走なら……いや、まずスタンドの暴走だとしても。最初にロダンの
スタンドが見えないのは可笑しい筈だ)

ただ、自分が知らないだけで。スタンド使いがスタンドを見えなくなる
ケースがある可能性もある。
 だが、自分が知る限りでスタンド使いはスタンドを視認出来る。
これは一般的? な共通事項だと考えてる。

(だから、可能性があるとすれば。あの『U』のマーク。
それとの繋がりが、この騒動に密接してる……今の状況だけ見ればな)

マスターと、やり取りしつつ。塞川と女性にも意識を払って反応を見る。

98『微睡のN』:2022/11/26(土) 22:50:43
>>96(塞川)

神尾から話を聞けない今、『唯一の線』と思われるのは、
この女性しかいない。
明白な根拠こそないものの、
『睡眠』という共通点や奇妙な『ゴムボール』など、
何らかの『関与』を感じさせる十分な『状況証拠』がある。
彼女に対する聞き込みは、きっと『意味』があるはずだ。

「あぁ、アレですかぁ…………」

『ゴムボール』の話題に対し、
女性は困ったように視線を泳がせる。

「実は……『分からない』んです」

返ってきたのは『意外な答え』だった。

「その――『私の物じゃない』ので……」

そして、塞川はノエに助力を求める。
『探り』を入れる一手。
揺さぶりの『結果』は――――――。

>>97(ノエ)

「『この店の前』で、ですか……。
 通報して下さった方がいらっしゃった事は幸いです」

「大事に至らなければ良いのですが」

ノエの言葉に応じて、ステュアートが『演技』を披露する。
『表情』も『声色』も『完璧』に『自然』。
救急車を呼んだのは、他ならぬ『彼自身』だ。
しかし、それを知らない女性に見破られる可能性はない。
『彼女の反応』は――――――。

「え、それって大変じゃないですか。
 倒れたって事は、事故とかじゃないですよね……」

話を聞いた女性は、驚いた様子で呟いた。
だが、それは『一般人の反応』でしかない。
『名前』にも『無反応』であり、彼女と神尾は、
何の縁もない『他人同士』だと分かる。
また、ノエが考えるように、
彼女は『ストーン・エイジ』が見えていない。
その事からも、『スタンド使いではない』のは確かだ。

>>(ALL)

同じ店内にいるため、
二人は『お互いの状況』を把握できている。
塞川は女性の横に座り、ノエはステュアートと向かい合う。
ロダンは人間達から距離を取り、
俯瞰するように全体を観察している。

99ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/26(土) 23:26:48
>>98

(大まか予想通りだな)

女性の反応は、ごく自然……神尾と言う男性と面識は皆無。赤の他人

(となれば……『ゴムボール』
これが、残る手掛かりでしかない。塞川氏の手腕に期待するしかない)

オレから、『ノエ』が話しかける事は出来ない。
 塞川氏が極端に女性へ不信感を抱かせるとか言った事態になるなら別だが
顔を隠した不審者に近い自分が横やり入れて台無しにさせる訳にいかない。

意識が無いだけで、心音や呼吸に問題ないので救命措置は今のところ
必要ない事とか、当たり障りのない事だけステュアート氏に告げる。
 こちらから女性に対しリアクションは起こさない。彼女には偶然
先程落とし物を拾った、それだけの関係性を持続させる。

100塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/27(日) 20:05:31
>>98
(『神尾』とは無関係か。
だが『確認』していく事は重要だ。急に『答え』を出せるのは、選ばれた人間だけだからな)

「『わからない』?
なら、それをどこで手に入れたの?
いえ……どこかで見た気がして。
『Uの字』が刻まれたゴムボール……どこだったかな。
悪いけれど、もう一回見せてくれる?」

101『微睡のN』:2022/11/27(日) 20:40:27
>>99(ノエ)

『U』の描かれた『ゴムボール』に焦点を絞り、
ノエは状況を見守る。
塞川は危なげなく会話を進めており、
大きな問題は生じていない。
『静観』を選んだのは正しい判断だった。

「――――左様ですか。命に別状がない事は何よりでした」

       「お知らせ頂いた事に感謝致します」

ステュアートと言葉を交わす間も、
女性は塞川とのやり取りに意識を割いている。
自分の身近で『非常事態』が起こった事には、
多少なりとも動揺しているだろう。
しかし、『それだけ』。
もし彼女が『ナイトメア』の本体で、
何らかの意図を持って『スタンド攻撃』を行ったのなら、
この事件を解決するのは簡単だった。
だが、そう単純な話でもないようだ。

  《私も何通りかの『仮説』を立てているが――――》

      《現時点における『君の考え』を聞いておこう》

同じく様子を窺うロダンが、『スタンド会話』で尋ねてきた。

>>100(塞川)

『無関係である』という事を確認できた。
それは決して無意味ではない。
間違った前提で推理を進めてしまうと、
見当外れの方向に進んでしまいかねないのだから。

  「え、じゃあ『あなたの』…………?」

            スッ

      「でも、まさか――――」

バッグに片手を差し入れた女性が、
『例のゴムボール』を取り出す。

「えっと……二週間くらい前、家で寝てたんです。
 『家の中』じゃなくて『庭』ですけど。
 急に眠気が来ちゃって、そのまま寝ちゃったみたいで」

    「起きたら、『これ』が庭にあったんです」

「うちのじゃないし、誰の物かも知らないんですけど、
 何となく『持ち主に返してあげたい』と思って……。
 それで、ずっと持ち歩いてるんです」

    「あは……変な話ですよね?」

照れたように笑い、女性は話を終えた。
彼女が『ゴムボール』について知っている情報は、
これで『全て』だろう。
ひとまず『経緯』は把握できた。
そして、『一つの謎』が解けると同時に、
『新たな謎』が浮上する。
『持ち主が誰か』は、依然として分からないままだ。

102塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/27(日) 21:11:41
>>101
「そう……。
もし良かったら、これ、私にくれる?
私は塞川。どこで見たのか思い出せないけど、
私が思い出したなら、持ち主に返す事は約束できると思う。
あなたが必要ないなら、だけれど」

伏せた目線を上げて、女性の目を見ながらゴムボールを手に取る。
これは、後で調べるとしよう。

「それと……これも、もし良かったらだけれど。
あなたの家って、どの辺りか教えてくれる?
具体的な『住所』とかじゃあなくて良いから」

103ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/27(日) 23:03:11
>>101

 服の裏側には、依然と括られた水が入ったペットボトルがある。
『ゼロ・モーメント』は未だ泳いでる。

>現時点における『君の考え』を聞いておこう

『……オレや塞川氏に、宝石泥棒の題を出したように』

『解法となる数は、考えれば無数にある。その中で、オレと彼女で
取捨選択をして、正しい答えに行きついた。今も、それに倣おう』

何らかの陰謀、街に潜む悪意。夢魔と告げられれば、以前開催された
淫魔の魔窟での死闘が昨日のように思い起こされる。
 血生臭い思惑が裏にあると想像は幾らでも出来る。

『誰かが悪意を以て今回の所業を……その推測は``切り捨てる``
まず、これは一種のスタンド攻撃だが……悪意あっての行動なら
突拍子が無いんだ。睡眠障害の男性が倒れた……それで?
 オレが今回の黒幕だとして、成人男性一人をじっくり疲労を蓄積して
知らぬ間に倒れさせて満足する……悪人だとしても、挙動が稚拙じゃないか?』

これが誰かの悪意ある行動としてもだ……どうしても『違和感』が生じる。
目的が見えないし、利益も無い……地位のある誰かを自然の過労による事故に
見せかけるとして、わざわざスタンド使いのオレや塞川さん、ロダンの居る
場所で倒れさせるメリットが無い……だから反証明として、これは悪意のある
誰かの所業……その線が無くなる。

『だから……考えられる線とすれば』

ふと、夏の匂いが一瞬鼻を横切ったような気がした。まだ肌寒い時節だろうに

『……【スタンド独自の暴走】
あの【黒い馬は自立型で指針なく彷徨って無差別に人へ攻撃を起こしてる】
……これが、オレの考える回答だな。
 悪意の有無抜きに、人が起こしてる攻撃だとして目的が見えない。
愉快犯と言う可能性も有りえる。だが、人間であると言う線を消して
あの彼女もスタンド使いでなく暴走である線が無いなら……あと考えられるのは
自立型のスタンドの暴走……それが、オレの今の頭にある答えだ』

誤りもあるだろうがな……と注釈をロダンにスタンド会話で付け加えつつ
塞川氏と彼女の、会話の顛末を見守る。

(ゴムボール……貰うのか)

あのゴムボールが、今回のスタンドと深く結びつくなら。
 黒い馬に憑依されたと思える塞川氏が手に取る事で、何かしら
起きても不思議でない。警戒はしておこう

104『微睡のN』:2022/11/27(日) 23:45:20
>>102(塞川)

「本当は、私の手から渡したかったんですけど…………」

         ソ ッ

      「…………分かりました」

やや躊躇った後で、『ゴムボール』が塞川に託される。
『U』が描かれている以外、これといって特徴はない。
手触りも至って普通。

「ごめんなさい……それはちょっと……」

『家』を教えてもらう事は出来ず、やんわりと断られた。
塞川が不信感を買った訳ではなく、これは常識的な反応だ。
いくら正確な場所ではないとはいえ、
初対面の相手に話す人間は少ない。

「予定が入ってるので、そろそろ行かないと。
 私、『手嶋』です。
 塞川さん――なんていうか……宜しくお願いします」

アップルパイを食べ終え、カップを空にした女性が、
頭を下げて席から立ち上がる。
そして、彼女は会計を済ませた。
もうじき『Priceless』から出て行くだろう。

>>103(ノエ)

ロダンに語りながら、自らの思考を整理していく。
『本体』が分からない事もあるが、
現段階で明確な『目的』らしいものが見えない。
仮に、神尾に狙われる理由があったとしても、
通りすがりの塞川は無関係のはずだ。
襲われる対象が『無差別』なのは、ほぼ間違いないだろう。
また、ノエが考察したように、
『長い時間を掛けて疲弊させる』というのは、
確かに『確実』ではあるものの、攻撃にしては『悠長』だ。

《ふむ――――――》

ノエの答えを聞き、ロダンは小さく唸った。

《これが『悪意ある攻撃』という可能性は、
 私も低いと見ている。
 おそらく、サイカワが『標的』となったのは、
 単に『近くにいたから』に過ぎない。
 当人には大いに迷惑だろうが、
 力を誇示する狙いにしても、被害の度合いが『小規模』だ》

《それらを踏まえると、
 必然的に『自動的なスタンド』という結論に行き着く》

『手嶋』と名乗った女性から、
塞川が『ゴムボール』を受け取る。
特に異常は見られず、手嶋は席を立って会計を終えた。
そのまま彼女は、入口の扉に向かって歩いていく。

105塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/28(月) 00:05:53
>>104
「ああ。まあ、任せなよ。
それじゃあ、身体に気をつけて」

特に引き止めもせず、別れの言葉を告げて視線をゴムボールに移す。

(ーーーだが『クリスタライズド・ディスペア』。
別に、地域から辿れるとは思っちゃいない……
やれる事は、全部やるってだけだ)

『クリスタライズド・ディスペア』を2体発現し、
一体で『手嶋』を追跡させる。
ただし、あくまで『射程距離内』の範囲でだけだ。
もう一体は『ゴムボール』へ能力行使して一部の『ガラス化』を行い、
内部に何か入っていないか見てみる。

106ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/28(月) 00:07:01
>>104

『……【持ち主に返してあげたい】……つまり
【何処かに帰りたかっている】……このスタンドは帰る場所を見失ってる?』

有りえない、等とは言わない。小林 丈はかつて多くの体験をした。
 怪盗団、スタンドを発現させるらしい刃、ウルトラボーイズ
夢の中で人を餌とする淫魔、そして夏の魔物。

この世に、有りえないと言う事象こそが有りえる。
暴走する独立したスタンド……夏の魔物より脅威は低くても
収束はするべきだ。塞川さんも、このケースだと睡眠障害を引き起こし
数日経てば倒れる事になる。謎を解く為に一時的に知り合っただけの
関係であるが、もう見ず知らずの赤の他人では無いのだ。

『……何故、あの女性(手嶋)がスタンドの暴走に関与する事になったか。
――明白なのは『彼女に物理的に近い距離にスタンドが居た』
……つまり、彼女の居住地近くに今回のナイトメアの暴走を収める切っ掛けが
あっても不思議じゃないんだろう。少なくとも暴れ馬の痕跡はあると思う』

 既に自分は小林でなく、ノエだ。
軽犯罪に抵触する行動も浮浪者暮らしの中で何度がした。
今更ストーカー染みた行動をしても、良心の呵責は産まれない。

107『微睡のN』:2022/11/28(月) 01:12:03
>>105(塞川)

『やれる事はやっておく』――――重要な事だ。

          バ サ サ ァ ッ

手嶋の後を追いかけて、
『クリスタライズド・ディスペア』が飛び立つ。
射程距離は『12m』だ。
そこそこ長いとはいえ、ずっと張り付いているのは難しい。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

手嶋は繁華街の方向に歩いていく。
途中で別の女性と合流したところを見ると、
どうやら友人と待ち合わせしていたようだ。
しばらく追跡したが、じきに『射程外』になった。

      ――――――パキィンッ

同時に、『ゴムボール』に『ガラス化』を試み、中身を調べる。
しかし、何もない。
これは本当に『ただのゴムボール』だ。

>>106(ノエ)

《『帰りたがっている』…………。
 君は『作家』のように優れた想像力を持っているようだ。
 そこまで結論付けるのは『早い』とは思うが――――》

            ジッ

      《『発想』としては面白い》

ロダンの視線の先で、『ガラス細工の鳥』が羽ばたいた。
先程も見た『塞川のスタンド』だ。
手嶋を追っていったのだろう。

      ――――――パキィンッ

そして、もう一羽の『鳥』が、
『ゴムボール』を『ガラス化』させる。
内部には『ガラスの羽』が植え付けられていた。
これが『塞川の能力』らしい。

《『ボール』が鍵を握っているとすれば、
 彼女は『全くの無関係』ではないだろう。
 
     《私の考えでは………………》

         《いや、やめておこう。
          余計な先入観を与えたくはない。
          それに、今の段階では『証拠』がないのだ》

>>(ALL)

「――――神尾という方が運ばれた病院ですが、
 私の知人が関わっておりまして」

手嶋が立ち去った後、ステュアートが口を開いた。

「彼の意識が戻った際には、
 こちらに連絡してくれるように頼んでおきましょう」

「それから、ノエ様――――」

             コトッ

       「これを『お忘れ』でございましたよ」

ノエの前にあるカウンターに、
一台の『スマートフォン』が置かれる。
最新機種だ。
もちろんノエに忘れた覚えはない。

「連絡する手段がなければ、
 何かと『ご面倒』をお掛け致しますので」

要するに『そういう事』だろう。
この主人も『謎』だが、ロダンと同様に協力的な人物だ。
受け取っても問題なさそうだった。

108ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/28(月) 10:14:20
>>107

(硝子の鳥……)

奇縁だ。ガラスを形成する、ゼロ・モーメントの能力。彼女の能力。
 似たような力を持つ二人が、同じ謎を解き、同じ謎の事件に巻き込まれる。

「……作家なんて……大層なものじゃない」

謙遜しつつ、ロダンが言いかけた言葉を気にするものの追及はしない。
 彼には彼なりの思惑があるし。オレもオレで隠したい事がある。
互いの領域を軽々しく踏み越えようとは思わない。
 それに、この謎を解く使命があるとすれば……この世界で絡みつくような
様々なしがらみを運命と呼称するならば、事件を解決するのは対峙した者に資格がある。

>これを『お忘れ』でございましたよ

「………………すまない。暫く貸してもらう」

断ろうとも思った。礼を告げるか、邪険に断る事も一瞬選択肢に入れた。
 だが、それでも暖かい心遣いを無碍に出来る程に未だこの心は誰も寄せ付けぬ
硝子のように鋭くは無い。前向きに考えよう。この事件の合間だけ甘えさせて貰おうと……。

「……病院、か」

「ゴムボール……握力トレーニングとしても使用されるかも知れない。
このスタンドの能力が簡潔に人間を緩慢に眠れなくして疲労させるなら……。
『普通の人なら病院で一度診てもらおう』と考えて動くかもな」

ケース1として考えられるのは、先に口にしたように本体がおらず
あの黒い馬……仮称としてナイトメアは本来人を襲うような存在でないのかも
知れないが何かしらの事情で住処となる場所が壊され、人からエネルギーを
奪って生き延びようとしてる……等と言った感じ。

ケース2は……本体は存在している。だが『本体はスタンドを制御できる状態でない』
昏睡状態とか、そう言った病院で治療してる状態……肉体的に深刻な怪我の場合
被害者の神尾も相当なダメージを負うだろう。暴走して生命力を得ようとしてるのなら。
だが、被害者を一時的に昏睡する程であるなら……このスタンドの本体は
精神的なものなりで意識は低下してるが、肉体的には問題ない状態とも考えられる。

「だから、オレから提案出来るのは。一つは、あの女性(手嶋)を追って
家を特定したら、その周囲で病院に入院してる人物がいるか調べてみる。
或いは、さっきの男(神尾)が入院するだろう病院に行ってみる、とかか?」

全ては予測だ。だが、予測でも今考えられるものは発言しておいた方が良い。

109塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/29(火) 18:47:29
>>107
「さっきの女を追うなら、もう結構離れてしまってるし……
後をつけるのはあまり得策じゃあないかもな」

『ガラス化』を解除して手慰みにゴムボールを軽く握る。

「『病院』に行くのは私も賛成だ。
今のところ、あまりアテもないしな。
移動しつつ、考えを纏めるか?」

「まずさっきの女ーーー『手嶋』が関係あるとしてだ。
一体どういう風に関わっているんだろうな。
あいつとスタンドの関係は何だ?
どう思う? 『ノエ』」

110ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/29(火) 21:04:11
>>109(会話終了、GМレスして頂いて構わない)

>あいつ(手嶋)とスタンドの関係は何だ? どう思う? 『ノエ』

「……」

手の指に嵌められた、二つの指輪を撫でて思考する。

まだ現時点では、紐解けない。だが、考える事は出来る、仮定を作る事は出来る。

手描きのUの字が書かれたゴムボール 睡眠に悩まされる男女

ノエは考えてみる。自分が今回の犯人だ
そして、ゴムボールを眠る手嶋の所に置く。何故?

「……何だか、『お守り』見たいだな」

ボソッと、ゴムボールに視点を向け『仮定』を話してみる。

「オレが犯人だとして、手書きのゴムボールを眠って庭に倒れてる女の場所に
置くのを想像したが……その、やり口は正直いってオレが悪意をもってやるとしたら
『突発的』だ……『賢しい大人がやるような』手口と思えない」

手嶋は、今回のゴムボールの件……普通の女性なら、今の出来事を
気味悪がっても可笑しくない。だが、先程の口振り……ゴムボールの件に恐怖を
抱くところが持ち主を案じている……『今回の出来事に悪意は存在しない』

「……オレが思うに。これは『子供沁みた存在か子供の引き起こした』
ゴムボールも、思えば子供の遊び道具だろ?」

そう、塞川に自分の推測を話す。

111『微睡のN』:2022/11/29(火) 22:37:45
>>108(ノエ)

『本体が存在する説』と『本体が存在しない説』。
断定に至るだけの根拠は不足しており、
現状どちらとも言えない。
これまでに得られた情報から、
辿れる可能性がある『線』は『二本』。
被害者の『神尾』か、何らかの形で関与している『手嶋』だ。
もし手嶋を追うつもりなら、早い方がいいだろう。
既に、彼女は店の外に出てしまっており、
距離は開き続けている。
今は塞川が行き先を確認しているが、
完全に見失うのは時間の問題だ。

 《昔は、私にも独自の『ネットワーク』があったのだが、
  ここに身を置いてからは縁が切れてしまった。
  『情報』が回ってくるまでには、かなり時間が掛かる。
  『長期的な話』ならまだしも、現状では当てにならない》

そう言い置いて、ロダンは塞川の向かいの席に座る。
彼の言う『ネットワーク』とやらは、
おそらく『種族』に由来するものであろう。
それは別として、『ノエの外見』が『極めて目立つ』点も、
考慮に入れておくべき問題だった。
ノエ自身は、
ストーカー紛いの行為をしても構わないかもしれないが、
他の者はそうは思わない。
最悪、『通報』されるリスクも有り得る。

>>109(塞川)

『クリスタライズド・ディスペア』の『射程外』ではあるものの、
まだ『視界外』にはなっていなかった。
急いで追いかければ、今からでも間に合うだろう。
もしかすると『手嶋の家』を突き止められるかもしれないが、
塞川が懸念しているように、保証は絶対ではない。

《一度、『カミオ』の状態を確認しておいてもいいだろう。
 患者の中に、似たような症状の者もいるかもしれない》

ロダンが塞川の向かいに座った。

《君達が病院に向かうなら、私も『同行』するとしよう。
 生憎、『病院の外まで』になるが》

         グッ

『ゴムボール』を握る掌中に、強い『弾性』を感じる。
何かに当てると、よく跳ねそうだ。
『トレーニング用品』というよりは、
『娯楽』のために使われているように思えた。

>>(ALL)

『想像力』を総動員して、まるで『物語』を告げるかのように、
ノエは塞川に『仮説』を語る。
その表現は的を得ている。
あまりにも『突発的』であり、計画的とは思えない。
手嶋の態度からも、特に気味悪がる様子はなかった。
持病のせいで不測の事態に慣れている事もあるだろうが、
それを差し引いても落ち着いていたのは、
彼女も『ノエと同じもの』を感じていたからかもしれない。

『子供の遊び道具』――――『ゴムボール』という品物の、
最も多い用途は『それ』だろう。
真っ先に思い浮かんでもおかしくない可能性だった。
そして、その仮定は、
『子供らしさ』を指摘する推測とも矛盾しない。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

ともかく、『次の行動』を決めなければならない。
手嶋を追うか、病院に向かうか。
もし手嶋を追いかけるなら、今すぐ出る必要がある。

112塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/29(火) 23:02:57
>>110
「よし……二手に別れるか」

『ノエ』の手からスマホを奪い取り、
素早く操作して机に置いて返す。

「私の連絡先を入れておいた。
私のスタンドは『尾行向き』だ。
私が『手嶋』の家を突き止めてやるよ。ひとりで十分だ。
あんたは『病院』に行きな。それでいいか?」

『クリスタライズド・ディスペア』の姿を見せながら立ち上がり、
ドアに手を掛けてたところで振り返って『ノエ』を見る。

「あんたの考え方は、私とは少し違うな。
私は目に見えた証拠や、物事の起こりから『繋がり』を考える。
だから、ある意味では『自明』である事しか解き明かせないってことだ」

「対して、あんたのやり方は『飛躍』だ。
そういうやり方の方が、こと『スタンド』絡みの事件には向いてるらしい。
それに、『タイプ』が違う方がえてして『相性』は良いもんだ。
はっは、期待してるぜ、『ノエ』」

それだけ言い残して、『手嶋』を追うべく移動する。
当然『クリスタライズド・ディスペア』の視覚を利用してだ。

113ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/30(水) 09:20:59
>>111-112

「うん。オレが病院で、あんた……塞川さんが手嶋の担当だな」

それが一番良い。オレの、ノエのスタンドでは尾行するのは至難だ。
悪天候で大雨とかなら別だが、それ以外だと気づかれれば
留置所コースだろう。

>それに、『タイプ』が違う方がえてして『相性』は良いもんだ。
>はっは、期待してるぜ、『ノエ』

「…………あぁ、オレも……頼りにしてる」

塞川氏は……苦手だ。
 小林 丈の、かつての相棒との、やり取りが思い起こされる。
捨てようとした過去の憧憬が胸から離れない。

(……拾い上げる事は、出来るのかな。
ゼロから、戻る事は)

 立ち止まっていると、憂鬱に悪く考えてしまいそうになる。
軽く頭を振って、ロダンへ顔を向け頷く。

「行こう、病院へ……」

まだ暗闇だ。だが、指針はある。

ゴムボールは誰が持つべきだろう? ……塞川氏に今は所有して貰おう。

「あぁ、因みに手嶋の家を見つけたら……近辺に居る子供に
話を聞くべきかも知れない」

オレが、もし尾行する立場なら。手嶋の家の近くの近所の公園なりで
遊んでる子供などに話を聞くだろう。
ゴムボールで何時も遊んでる、あの子について、等だ。

(だが……オレや塞川さんでも子供に話を聞くとなると少し難航だな)

冬の間だけ、家を借りてる背景が不透明な少女の姿が脳裏に過る。
 子供であれば、子供について話を聞くのも自然に容易だ。

だが、塞川もオレも子供ではナイ。ノエと塞川で出来る事をしなくてはいけない。

114『微睡のN』:2022/11/30(水) 13:21:09
>>112(塞川)

早い段階から全体像を見極めようとするノエの姿勢は、
地に足がついた『現実主義』を重んじる塞川とは対照的。
往々にして『飛躍の思考』は『ハイリスクハイリターン』。
先を見ようとし過ぎれば、
目の前に存在する『事実』を見落としてしまう。
だからこそ、塞川の考え方は、その隙を埋められる。
今、素早く『決断』を下したように。
率直に言って、ノエは『尾行』に向かない。
その役割に適しているのは『塞川』であり、
『クリスタライズド・ディスペア』だ。

  《『経験』は『諸刃の剣』だ。
   時として、それが『先入観』となり、
   誤った方向に進んでしまう場合もある》

  《君達は『一人』ではない。
   『互いの認識』をカバーしあえる事は、
   大きな武器となるだろう》

ロダンの言葉が、塞川の背中に送られた。

         ――――――カラァン

扉を開けて、店の外に出た。
先行させた一羽の視界は、依然として手嶋を捉えている。
あとは見つからないように追いかけるだけでいい。

  ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

手嶋と友人の行動は、以下のようなものだ。
流行の洋服を買い、レストランで食事をし、映画を鑑賞する。
こうしたコースで『男』が隣にいないのは、
塞川にとっては珍しい事だったかもしれない。
尾行は『完璧』だったものの、
あちこち引っ張り回されたせいで、
かなりの時間を食ってしまった。
しかし、『目的』は遂げられそうだ。
最終的に、手嶋が友人と別れるところまで、
塞川は見届ける事が出来た。
もうじき彼女は『帰宅』するらしい。

>>113(ノエ)

通常、『スタンドの成長』というのは、
『今まで出来た事が出来なくなる』というケースは少ない。
だが、『ゼロ・モーメント』の場合は『変質』だ。
単純な攻撃力は大きく向上した。
同時に、それと引き換えに失ったものもある。
『リヴィング・イン・モーメント』ならば可能であった事が、
『ゼロ・モーメント』には出来なくなった。

    《私が案内する。ついてきたまえ》

             スッ

       《『安心院総合病院』だ》

ノエの心境を知ってか知らずか、
暗闇の中を先導するように、ロダンが先を歩き始める。

《方針が不明瞭な状態のままで動くのは非効率的だ。
 到着する前に『目的』を定めておこう。
 『病院で何をするか』――それを明確にしておきたい》

道すがら、ロダンがノエに問い掛けた。
手嶋に関しては、今は塞川に任せるしかない。
ノエには『ノエの役割』がある。

115ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/11/30(水) 16:46:43
>>114

闘う事が出来ればと願った。結果、それは叶ったのだろう。

でも、今の取り巻く環境を思えば……この力を手に入れてまで
大切な人たちと距離を置く事が正しかったとは言えない。

…………懺悔するのは今ではない。直面する、今の問題を解決しなければいけない。

>『病院で何をするか』――それを明確にしておきたい

「まず、ロダンが言った通りだ……神尾と同じ症例の人が最近居たかどうか。
それを聞いてみよう。……オレに答えてくれるかは余り期待出来ない。
 だが、同じような事が立て続けに起きてるなら病院内でも噂する人は居るだろう。
聞き耳を立ててみれば、得られる可能性もある」

残るは……。

「あとは……やっぱり『子供』かな。
入院してる子供に、ゴムボールの行方を気にしてるような子が居れば
『当たり』になる。塞川氏に連絡して、その子に話を聞いてみよう」

同じ症例の人物が居るか。

または、今回の件の中心人物が『子供』になるなら。
最近入院してる子供に絞り込んでみる。
 理由として、手嶋にゴムボールを渡した、または偶然の産物で
置いた人物が居たとして、大切なものなら訪問して直ぐに返して
貰って不思議でない。だが手嶋と接触する事は無かった。

なら、訪問出来ない『事情』がある。それが『病院での入院』なら
辻褄が合う。『飛躍』した推理だが、今回の出来事は地道に一つ一つの
証拠を探そうにも、数が少ない。自身のやり方で一先ずは解決に当たろう。

116塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/11/30(水) 17:52:46
>>114
(子供……子供か。
それは、私の考えとは少し違うな。
そういった部分は、私の方で補ってやるか)

手嶋を追跡しながら考えを巡らせ、
以下の通りの文章をメッセージで『ノエ』へ送信する。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『ゴムボール』は『偶然』『手嶋』の家に転がり込んだのか?
いや違う。『必然』だ。
『睡眠』に障害を持つ『手嶋』の下に、『ゴムボール』は何らかの意図を持ってもたらされた。
少なくとも今はそういう線で『推理』を進めている筈だ。
つまり、そのために『ゴムボール』は用意された事になる。
それならば、偶発的に『ゴムボールを持っていそう』な対象を当たることは無意味だ。
少なくとも、現在はだが。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「友人……そんなところまで探り出したらキリがないな。
取り敢えず、家の場所を確認したら一旦合流するか」

移動中、『薬』を飲む素振りはあっただろうか?
手嶋が家に着いたなら、場所を確認してスマホへ登録し、
『クリスタライズド・ディスペア』で半刻ほど手嶋のプライベートを観察してから『ノエ』と合流するつもりだ。

117『微睡のN』:2022/12/01(木) 21:47:23
>>115(ノエ)

ノエは歩き続ける。

       ザッ ザッ ザッ

目指す病院に続く道を。

            ザッ ザッ ザッ

あるいは、この懊悩から脱却する道を求めて。

                 ザッ

             《――――――『ここ』だ》

やがてノエとロダンは、『安心院総合病院』に到着した。
全体的に大きな建物で、なかなか立派な病院だと言える。
必要な情報を集めるのは時間が掛かりそうだが、
人の数が多いからこそ、
ノエの姿も多少は目立たずにいられるかもしれない。

《私は『外』で待っていよう》

駐車場に残ったロダンと別れ、
ノエは院内に足を踏み入れる――――。

  ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

止むを得ない事だが、予想通り『調査』は難航した。
看護師達から不審に思われないように会話を盗み聞きし、
病院中を歩き回るのは、
今のノエには非常に骨の折れる仕事だ。
しかし、それでも掴めた事がある。

まず、神尾と同じ症状で運び込まれた患者は、
『一人だけ』いた。
それも、ごく『最近』の事だ。
子供ではなく、大人の女性らしい。
名前は『橋爪』。
既に退院しているが、定期健診のために『明日』来るそうだ。

次に、子供の入院患者を調べたいところだったが、
これは厳しかった。
塞川なら、『ガラスの鳥』を使って簡単に調べられたはずだ。
ノエは子供に近付くのが難しい上に、
『ゼロ・モーメント』は偵察に向かない。
ただ、心臓を患っていた老婦人が、
少し前に亡くなったという噂話は耳に入った。
やがて『面会時間』が終了し、
病院から出て行く事を余儀なくされてしまう。

《余計なお節介かもしれないが、だいぶ『疲れている』ようだ》

戻ってきたノエに、ロダンが労いの言葉を掛けた。
実際、顔を隠していても、疲労の色までは隠せない。
他に考えがなければ、
今日の調査は『ここまで』になるだろう。

《もうすぐ日が沈む。
 その前にサイカワと合流して、
 『意見の交換』を行ってみてはどうかな》

ふと気付くと、ステュアートから渡されたスマホに、
塞川からの連絡が入っていた。

118『微睡のN』:2022/12/01(木) 21:49:12
>>116(塞川)

現時点で、『全ての情報が出揃っている』とは考えにくい。
おそらく、まだ塞川達の知らない情報もあるのだろう。
それらを踏まえて考えた時に、
『完全な真相』が分かるとも思える。

  ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

結論から言うと、『手嶋の家』は突き止められた。
道路に面した庭付きの一軒家。
塞川自身が称したように、『クリスタライズド・ディスペア』は、
まさしく『尾行向き』だ。
尾行の最中、手嶋は一度だけ薬を服用したようだった。
少しの間、帰宅した彼女の行動を観察するが、
気になる点はない。
既に別れている友人にもだ。
そちらの方は、本当に無関係だろう。

要川達が考えている通り、
『ゴムボール』は事件の『鍵』を握っている。
状況から見て、それは確かだ。
しかし、『ゴムボール』は手嶋にも彼女の周囲にも、
何の影響も与えていないというのが『事実』。
スタンド能力が仕掛けられているという事もなく、
正真正銘『ただのゴムボール』。
この『謎』は、どう解釈するべきだろうか。

思考を巡らせながら、ノエと合流するため、
来た道を引き返す。

    ポォォォォォ――――――――――ン

その時、離れたところから跳ねてきた『ゴムボール』が、
塞川の足元に転がってきた。
当然ながら、『塞川が持っているボール』とは別だが、
『同じ製品』のようだ。
道路を挟んだ向こう側に、
幼稚園児くらいの小さな女の子が一人いて、
『ボール』を拾いたそうな顔をしている。

              ビクッ

しかし、塞川の容姿を怖がっているようで、近付いてこない。

119ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/01(木) 23:42:57
>>117

「疲れてるが……収穫なら、あるさ。ロダン」

「此処に収穫するものが余り無いと言うのが理解出来た。
と言う収穫がな」

神尾と同じ症例の人物が、一人居る。
 心臓を患ってる老婦人が亡くなった。

今回の事件と、密接では無いものの関連性は有る。
だが、直接的な因果を顧みれば。最初の基点となるのは『手嶋』と
『Uのゴムボール』だ。だから、塞川氏が彼女の家を突き止めれば
あちらが、有力な情報を先に手に入れるだろう。

「彼女なら、既に重要な証拠か証人を、もう突き止めてるかもな」

「難しいようなら。明日、また此処の病院で。得た情報の
橋爪と言う女性と接触するが……多分、得るものは少ないだろう」

スマホを開く。送られたメッセージに目を通す。

「……『必然』か」

確かに意図的に置かれたものだろう。
だが、その背景は未だ不透明だ。
 オレ……の前である私たる自分は、この街を愛していて、今も
その気持ちに変わりはないと信じてる。

だから、願わくば……。

「………その必然の真意が、出来れば善から来る尊いものなら……良いのにな」

呟きつつ、スマホに病院での収穫。
同じ症例の『橋爪』 少し前に心臓を患って死亡した老婦人の話を
塞川氏へ送信する。

120塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/04(日) 21:40:04
>>118
「ム……『子供』かァ」

周囲を見渡して、保護者の有無とついでに車を確認してから、
足元のボールを拾って道を渡っていく。

「ほれ、『車道』は注意しなよ」

ボールをしげしげと眺めた後、しゃがみ込んで渡してやる。

121『微睡のN』:2022/12/05(月) 01:35:10
>>119(ノエ)

        《ほう――――》

                   《――――なるほど》

ノエの得た情報から、
ロダンは『何事か』を理解したらしかった。

《時系列的に考えて、
 ハシヅメは『カミオの前の被害者』だろう。
 そして、『一人しかいない』という事は、
 おそらく『第一の被害者』だと思っていい。
 カミオは『二人目』で、サイカワが『三人目』だ》

   《『ナイトメア』の暗躍は『ごく最近』始まったようだな》

噂で聞いた『老婦人の病死』は、『少し前』に起こっている。
多少のズレはあるものの、一連の出来事と時期が近い。
ロダンの話を聞いていると、何故か気に掛かった。

            ピッ

塞川に情報を送信し、応答を待つ。

《君達が『持ち主』だと仮定して、
 『ゴムボール』を引き取りに行くのは難しい事だろうか?
 いいや、違う。しかし、今日に至るまで来ていない。
 これは非常に『不可解』だ》

病院に向かう道中の『ノエの考え』を読んだかのように、
ロダンが言葉を続ける。

《『訪問できない事情があるのではないか』という考え方は、
 そう悪いものではないと私は思っている》

  《意図的に置いたのでなければ、だが》

        《しかし…………》

>>120(塞川)

保護者らしき人間はおらず、車の通りもなかった。
『ゴムボール』を観察すると、やはり同じ品であり、
『子供の玩具』らしい。
違うところは、『U』が描かれていない事だけ。

「あ…………ありがと…………」

         ソッ

少女が恐る恐る手を伸ばし、ボールを受け取る。
その時、ノエからの連絡が入った。
『神尾と同じ症状の人間が一人いた』事と、
『心臓を患った老婦人が亡くなった』という話だ。
時間的に、今から病院に入る事は難しい。
塞川達に考えがある場合を除いて、
今日の調査は『ここまで』になりそうだった。

「………………」

物珍しそうに、少女は塞川を見上げている。
この辺りでは見かけない顔だからか、
これほど背の高い女を見た事がないからか。
あるいは、その両方だろう。
この辺りに住んでいる子供なら、何か聞けるかもしれない。
『ボールを拾った』という正当性があれば、
もし少女の知人に見られたとしても、
不審に思われる事はないはずだ。

122ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/05(月) 12:18:43
>>121

「どうやら、『目星』が既に。その瞳には収められてるらしいな」

ロダンには、既に『答え』が見えてるのだろう。
 自分は、そこまでの賢知を有してない。だが、彼の呟きは遥かに助けになる。

「……老婦人。その人物のスタンド……と言う線」

可能性としては、ある。本体が死んでいる。それ故に暴走して
今までに三人へとナイトメアは攻撃行動を起こした。

 「……然し、別の考え方も出来る」

だが、そうなると一つ示しが付かない部分がある。
 そう。『手嶋の手元に転がったUのゴムボール』
病死した老婦人と手嶋に接点があるなら、僅かでも手嶋は
その事について仄めかしても可笑しくない。だが、彼女には心当たりが無い。

だが、ゴムボールを取りに行けない事情は存在する。
老婦人自体はスタンド使いでないと言う前提とすると……。

「ふむ……『喪中』……か。
塞川さんには、葬式を行ってる家に、適当な理由と共に来訪して
貰うべきかも知れないな」

老婦人の親族……それなら、今現在も喪中と言う事で外に出なくても
不思議でない。
 それならば、いずれ自然とナイトメアの本体も家から出るだろうが
このスタンドは相手を衰弱させる。早期の解決を試みるならば
丁度よく憑依状態の彼女が本体が居るであろう家近くに居る。
 合流する前に、電話で喪中の家を探す事を提案しよう。

「喪中の家を、手嶋氏の近くの家屋で探す。
そう難しい事では無い筈だよな? ロダン。
 少なくとも……オレの知識では、葬式してる家は目立つように
飾り付けなどしてる筈だ」

 塞川氏へ、今の時点での推理を踏まえた内容をスマホで送信する。

「……オレ達も、彼女の元へ向かうか。
もっとも、距離や時間的に彼女が解決する方が早いかもな」

123塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/05(月) 18:11:09
>>121
(予想以上の収穫だな。
今夜、のんびり推理を進めるとするか………本当に『眠れない』のならな)

携帯を眺めて、素早く現状をノエへメッセージで送信する。
似たようなゴムボールを持つ子供を見つけたが、何か聞くことはあるか?といった内容だ。

「この『ボール』………あんたの?
誰かに貰ったとか、そういうんじゃないよね?」

どこかぎこちなく、少女へと話しかける。

「………ほら、私も持ってんだ。
コレ」

言いつつ、ハンドバッグからゴムボールを取り出す。

124『微睡のN』:2022/12/05(月) 19:59:05
>>122(ノエ)

ロダンには、既に分かっている様子だ。
彼の有する『知性』は、猫としては『規格外』。
だからこそ、早い段階で答えを出せたのだろう。

《おおよその目星はついているが、
 まだ幾つか欠けているピースがある》

《その裏付けとなるものを、私は君達に見つけてもらいたい》

次第に『夜の時間』が近付いている。
塞川と合流する頃には、
もっと暗くなっている事が予想できた。
動きやすくはあるものの、
行動に適した時間帯とも言い切れない。

《喪中に関しては、行ってみなければ何とも言えないが……》

《『こちらから向かう』のは『賛成』だ》

自らの推理を追加で送信した直後、塞川から応答があった。
『似たようなボールを持つ子供』を見つけたらしい。
質問したい事があれば、塞川を通して聞く事が可能だ。
やはり『文明の利器』は偉大。
遠く離れた場所にいても、こうしてやり取り出来るのだから。

>>123(塞川)

現状、目に見える危険はないものの、
塞川は『ナイトメア』に取り憑かれているのだ。
実際に『どうなるのか』は、まだ確認できていなかった。
それが分かれば、一つの手掛かりになるかもしれない。

          コクン

塞川の問い掛けに対し、少女は頷いてみせた。
『彼女のもの』である事は間違いない。
そして、塞川を見つめていた視線が『ゴムボール』に移る。

     「それ、『おにいちゃん』の?」

奇妙な言い方だった。
男勝りであっても、塞川は『男』には見えない。
それは、この少女から見ても同じだろう。

        ――――――ピコン

その時、ノエから追加の連絡が入った。
手嶋の家の周辺で、
『喪中の家を探してみないか』という提案だ。
どうやら彼は合流するつもりらしいが、
この場所をノエは知らない。

125塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/05(月) 21:03:41
>>124
「『おにいちゃん』?
それは……ええと、どういう人だ?
なんて名前?」

位置情報をノエに送り、
ノエからの返信を気にしながら、極力ゆっくりと喋る。

「どこに行ったら会える?
その、『おにいちゃん』に」

ノエからの質問があればそれも聞く。

126ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/10(土) 02:37:14
>>124(レス遅れ申し訳ありません)

(似たようなボールを持つ子供……か)

(やはり、『子供』が鍵だろうか)

予測に基づいた推理は、あらかた出来ている。
 なら、後はそれを現地で実践するのみだ。
そして、その実践は既に『塞川』が行っている。

「あぁ、向かおう」

ロダンと共に、塞川氏のいる現在地へ。

 「……まだ、これは推理でなく妄想の範疇にあたるが」

「今回の事件。子供のスタンド能力の暴走だとして。
それが愛する肉親の死によるショックから、と言うのは早計だろうか」

この事件が、子供の暴走なら。その暴走の原因にあたるものがあるとすれば
それ相応の重みがある出来事になるだろう。

なら、老婦人の死と言う内容は。子供ながらに深刻な影響を与えたのは間違いない。

これが祖母と娘や息子と言う。年代的に既に大人の領域に達していれば
母親の死は確かに衝撃となるだろうが、年齢的にも自然に受け入れるだろうと
考えからして、やはり事件の主格となるのは子供になると言うのがノエの推理だ。

「そして……この事件の一番の難題は。
暴走そのものでなく『収束』する方法だと思うんだ」

「……本来なら、時が癒してくれる事が。今のわた……オレ達には
その時間が惜しいからな」

127『微睡のN』:2022/12/10(土) 07:22:22
>>125(塞川)

  「えっとねー…………」

          フル フル

         「――――『わかんない』」

少し考えた後、少女は首を横に振った。

「『おにいちゃん』って呼んでるの」

「『一緒に遊んでくれたおにいちゃん』」

『名前を知らない相手』と一緒に遊ぶ。
幼い子供なら、それも気にならないのだろう。
『お兄ちゃん』や『お姉ちゃん』という『代名詞』があれば、
それだけで事足りてしまうからだ。

「『公園』で遊んだんだよ」

この言い方では『家』も知らないと見ていい。
現時点で明確に分かるのは、
『性別』と『大人ではない』という事。
そして、おそらくは『今回の事件に関与している』という事だ。

>>126(ノエ)

夕暮れの街中。
少しずつ夜の足音が近付く世界を、一人と一匹が歩く。
塞川から送られてきた場所までは距離があり、
すぐには行けそうにない。

《可能性としては大いに有り得る。
 スタンドが目覚めるケースとしては、そう珍しくもない》

ノエの見解に対し、ロダンも同意を示す。
精神的に幼い子供、肉親の死、スタンドの暴走。
十分に筋は通る。

《『心』というのは『大きな謎』だ。
 他者の『感情』を全て推し量るのは難しい》

ノエの言い淀みに気付かなかったか、
それとも気付かないフリをしたのか、彼は言葉を続ける。

《しかし、『想像』する事くらいは出来る。
 私が『人』でなかったとしても》

ロダンは、どこか遠くを眺めているような表情を見せる。
『収束させる方法』について、考えているのかもしれない。
しばらく間を置いてから、彼は言った。

《この街では、日々数々の事件が起こっている。
 かつては『大勢力』同士の争いもあった。
 それらに比べれば、これは些細な出来事だろう》

《しかし、『小さな事件』というのは、
 逆に見過ごされやすいものだ。
 『大きな事件』になってしまった後では、手遅れになる》

《だからこそ、誰かが『解決』しなければならない》

128塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/10(土) 08:10:17
>>127
「そうか……私もその『おにいちゃん』と遊びたいなァ。
明日、公園に行けば会えるかな」

喋りながらマップを確認して近くに公園があるかどうかを調べる。
複数あるならどの公園かを尋ねる必要がある。

129『常寂の檻』:2022/12/10(土) 10:40:53
>>127

「……そうだな。小さな事は見逃しやすい」

「ほんの些細なボタンの掛け違いのような罅が……後々
誰かの人生を狂わす位の大きな波紋になる事も可笑しくないだろう」


「………そうだな。オレや、塞川氏
ロダン。君の助けもあって『解決』するんだ」

『心』 誰の中にもあって、それでいて紐ほどく事が出来ない。
小林は、きっと誰よりも、人の心の秘める尊い善や信念に畏敬の念を抱いてた。

護りたい大切な者の為ならば、自分の心を容易に捨て去れる程。

今のノエの心はどうだろう? 

悔いてはいる。罪を感じている。だが、答えは出てこない。
 面識のあった全員に謝罪し回って、納得出来る事でないのだ。

(けど、一歩ずつ。いま前に歩くように、確かに一歩ずつ前に歩む事は、出来る)

進まなくてはいけない。辛くても、前に行かなくてはいけない。

ノエはロダンと共に進む。目指す先は唯一つだ

130ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/10(土) 10:42:33
>>127

「……そうだな。小さな事は見逃しやすい」

「ほんの些細なボタンの掛け違いのような罅が……後々
誰かの人生を狂わす位の大きな波紋になる事も可笑しくないだろう」


「………そうだな。オレや、塞川氏
ロダン。君の助けもあって『解決』するんだ」

『心』 誰の中にもあって、それでいて紐ほどく事が出来ない。
小林は、きっと誰よりも、人の心の秘める尊い善や信念に畏敬の念を抱いてた。

護りたい大切な者の為ならば、自分の心を容易に捨て去れる程。

今のノエの心はどうだろう? 

悔いてはいる。罪を感じている。だが、答えは出てこない。
 面識のあった全員に謝罪し回って、納得出来る事でないのだ。

(けど、一歩ずつ。いま前に歩くように、確かに一歩ずつ前に歩む事は、出来る)

進まなくてはいけない。辛くても、前に行かなくてはいけない。

ノエはロダンと共に進む。目指す先は唯一つだ

131『微睡のN』:2022/12/10(土) 23:56:03
>>128(塞川)

この近所には、『大きめの公園』が一ヶ所あった。

      「――――『ここ』!」

少女に確認すると、そこを指差したので間違いない。

「おにいちゃん来てくれるかなぁ?今日も来なかったから」

      「『昨日』も『その前』も来なかったの」

どうやら『件の人物』は、しばらく姿を見せていないようだ。
ここにロダンがいれば、
おそらくは『反応』を示しただろうと思われる。
何となく、そんな気がした。

「明日もお日さま見えるといいなぁ」

ふと、少女が空を見上げ、沈み行く夕日を眺めた。
彼女が家に帰ってしまう前に、
『聞きたい事』は聞いておいた方がいいだろう。
少なくとも、ノエと合流するまで引き止める事は厳しい。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

『手嶋の尾行』で、塞川の体にも『疲れ』がある。
普段通りであれば、ぐっすり眠れそうだ。
『ナイトメア』の能力を確かめるには、
図らずも『うってつけのコンディション』と言えた。

>>130(ノエ)

今、ノエは『前進』している。
立ち止まってはいないし、後退してもいない。
あらゆる意味で、それは確かな事実だ。

《仮に先程の推理が正しかったとしても、
 『本体』を見つけなければならない》

《もし『一つの線』が切れてしまった時は、
 『別の線』を追うといいだろう》

《それらが『どこかで繋がる可能性もある』という事だ》

塞川からの新たな連絡はないが、
『倒れている』という事はないはずだ。
『聞き込み』に集中しているのかもしれない。
ノエの方に『質問』がなければ、
彼女の判断に一任する形になる。

132ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/11(日) 12:16:47
>>131

「今日、『子供』の手がかりとなる物が無いなら……少なくとも
塞川氏は、既に核心に近い場所に居ると思うんだ。
 それでも解決の糸が途切れるなら、病院へ直接、塞川氏に代わりに
死去した老婦人の情報を入手して貰うなり……オレが役立たずなばかりに
彼女に仲介人にしてしまうのは、酷だけどな……」

 推理が正しければ、いま一番有力な証拠の近くに居るのは彼女だ。
その手繰り寄せる糸が途切れるなら、また明日にでも別の手がかりを得る
場所は理解出来ている。なら、諦める理由は無い。

今、出来る事と言えば……他には。

「……あっ」

スマホを操作する。そして『ネット』へ繋げる事を試みる。

「……『お悔み情報』……繋がるか?」

『訃報情報』を開示するサイト。
遺族の意向によって開示されない時もあるが、それ以外で
葬儀の情報を発信するサイトがある。
 そこから、いま塞川さんの居る地域と照らし合わせるような式場が
存在しないだろうか?

歩きスマホと、行儀は悪いが。少なくとも今のノエは
行儀の良い小林ではない。小林も元々不良の片割れではあったのだ。
 今更移動しつつスマホを検索する事に躊躇は無い。

133塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/11(日) 17:49:18
>>131
(『子供』とは会話のテンポが掴めねーな。
肝心なことを聞き忘れてたぜ)

「それで……?
この『ボール』は、その『おにいちゃん』に貰ったのか?
私のは……こういう『マーク』つきだけど」

スマホの画面を消して少女に向き直り、
ボールのマークを見せて尋ねる。

(『ボール』とその男の関係性さえわかれば、
今日のところはそれで良い。
『男』の特徴がわかればもっと良かったが、この分じゃあ難しいだろう)

「私は『塞川』という。
あんたの名前も教えてもらえるか?
もしかしたら、明日『公園』で会うかもな」

134『微睡のN』:2022/12/11(日) 21:08:22
>>132(ノエ)

状況によっては、
ノエの身なりを逆に利用するという手もある。
上手くすれば効果的かもしれない。
ただ、それが使える場面は限られてくるだろう。

《ふむ、賢いやり方だ。
 『喪中の家』を探して回るより確実で無駄がない》

ロダンが感心したように相槌を打つ。
『お悔やみ情報』にアクセスし、『それらしい情報』を探すと、
可能性が高そうなものが見つかった。
『羽田衣代』という名前だ。
亡くなったのは『四週間前』らしい。
塞川がいる地域で逝去したのは、ここ一ヶ月の間では、
その人物だけだ。

>>133(塞川)

先程(>>124)とは違い、少女は首を横に振った。

「ちがうよー。
 おとーさんが買ってくれたの。
 おにいちゃんが『おんなじの』持ってたから、
 一緒に遊んでたんだよー」

「おにいちゃんのは『それ』がついてたから、そうかなぁって!
 エヘ、えらいでしょ!」

少女が『マーク』を指差しながら付け加える。
『ゴムボール』自体は、やはり特別なものではなかった。
『持ち主』についても、輪郭は見えてきたものの、
まだ不明点は多い。
しかし、最初の頃と比べると、かなり進展している。
一日の成果としては『上出来』だろう。

         「『チエ』!」

彼女は、そういう名前のようだ。

     「チエ、おうち帰らなきゃー」

           「明日、会えたら遊んでね。
            『さいかわ』のおねえちゃん!」

                  ヒラ ヒラ

小さな手を振り、チエは立ち去っていった――――。

>>(ALL)

こうしてノエと塞川は、
『それぞれの方法』で『個別の調査』を終えた。

  ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

そして、二人は再び顔を合わせる。
今の時期は日が落ちるのが早い。
辺りは既に暗くなっており、ほとんど『夜』だ。
ロダンの『金色の目』が、暗闇の中で光って見える。
ここで互いの意見を突き合わせてもいいし、
明日に備えて休んでもいいだろう。

135塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/11(日) 22:32:26
>>134
「しかし難儀したぜ……女に子供はな。
どっかの真面目少年でも居れば、話は早かったんだがよ」

溜息をついて首を振り、
別れた後、得た情報をノエとロダンに話す。

「私の方の要点はただひとつ。
このゴムボールを持った男が近くの公園にいたが、
ここ数日は姿を見せていないという事だな。
これが何を意味するのかは、まだわからないが……」

「後は今夜、私にどういう影響があるのか?だなァ。
『ノエ』、今日はどこかに泊まるか。
別にあんたの家でも良いが」

136ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/12(月) 09:08:42
>>134-135


「『羽田衣代』……此処の地域で死亡した該当者は、その人のみだ」

時間帯は夜。まだ起きてる人は起きてるものの……今回の事件の原因となる
人物が、年齢若いなら既に寝ていても可笑しくないかも知れない。
 愛する人と別離を図って状態なら、猶更の事。

>『ノエ』、今日はどこかに泊まるか。
別にあんたの家でも良いが

「…………あー…………」

基本。今の自分は……『あの娘(ナイ)の家』か、湖畔近くに構えてる
秘密基地もといの野宿だ。後者を勧めたら、冗談と受け取られるが
殴られても不思議じゃない。カプセルホテルと野宿なら100人アンケートをして
選ぶのは、変人を除いてホテルだ。
 だが、今の塞川さんの状況を考えれば……一人で過ごさせるのは少々危険だ。
何が起きれば、対処出来るのは一人でも居た方が良い。

「…………わかった。案内するよ
 何て言えばいいのかな……。
………………妹……? のような子も居るが。それで構わないなら」

(毒を喰わらば皿まで、か)

(ただ、フラッと。あの娘も出ていくからな……居たら居たで
心強くもあるし。居ないなら居ないで、複雑な状況は省けるが)

誰だって、妙な家庭環境を間近にすれば気にする。
 だが、何時か懊悩しなければいけない事柄だ。逆に、いま幾らか
一定の信頼がある塞川氏に紹介した方がいい。味方は多い方が心強い。

「寝られれば良いんだけどな。
……? 真面目少年って言うのも、使い手か?」

悩みは尽きない。眠れるか正直、自分も分からない……。

137『微睡のN』:2022/12/12(月) 22:44:02
>>135-136(ALL)

各自が得た情報を交換し、論点は『今夜の話』に移る。
『第二の被害者』と思われる神尾が、
数日掛けて倒れた事を考えると、『ナイトメア』の能力に、
『差し迫った危険』と呼べるものはなさそうに思えた。
だが、『絶対に安全』とは言い切れないのだ。
『憑依』された塞川の身に、
何かが起こる可能性は否定できない。
また、それが手掛かりに繋がる事もあるだろう。

  《私は『店』に戻る事にする。
   また明日、君達が動くのであれば、
   引き続き協力するつもりだ。
   その際は『Priceless』に連絡をくれたまえ》

            スッ

         《では、これで失礼させてもらう》

                  トッ トッ トッ

二人のやり取りを見届けたロダンは、
猫らしからぬ別れの挨拶を残し、夜の通りを歩き去る。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

やがて、すっかり夜も更けた頃、両者は『家』に辿り着く。
『今夜の宿』だ。
塞川もノエも、自身の体に相応の『疲労』を感じる。
幸か不幸か『家主』は見当たらなかった。
事情は分からないが、たまたま抜け出していたのだろう。

>>(ノエ)

歩いた距離は塞川の方が多いが、
ノエの場合は精神的な疲労が大きい。
『小林』だった時以上に、
神経を使う調査を行っていたせいだろう。
気を張っていないと、うっかり眠ってしまいそうだ。

>>(塞川)

日中に『肉体労働』をこなしたお陰で、
塞川にも自然な『眠気』が込み上げる。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

だが、そんな体調とは裏腹に、何故か『眠れる気がしない』。
何らかの『外部的な力』によって、
眠りに落ちる事を『ロック』されているような気配を、
自らの内側に感じ取れる。
考えるまでもなく、十中八九『ナイトメア』の影響だろう。
とはいえ、『一日寝ない』程度なら、
気力で耐える事は十分に可能だ。
しかし、この『強制不眠状態』が、
『二日』・『三日』と続いていけば、
いずれは『無視できない影響』が出始める事は、
容易に想像できた。

138ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/13(火) 20:16:29
>>137

 「余り動かない事かな。凡そ60年程前のアメリカの17歳の少年ランディは
11日間眠らない記録を残した。
 あと、ベトナムの男性が38年眠ってないとか……こっちは信憑性が
余り無いようだが……どちらにせよ、体を休める事が重要だ」

布団を敷いて、茶を二人分淹れて明日の事を考える。

「『羽田』と言う住所を、手嶋氏の近辺の住宅地を探せば
日中帯には見つかる筈だ。既に死亡してるのはネットの情報で確かだから
でっち上げて、生前に世話になった等と理由付けて入る事も出来る」

「もう一つは、病院に行って『橋爪』と言う今回のスタンドで被害に遭った
人物に細かい話を聞きに行く……と言う手もある」


どちらにしろ、日中に動かないと話にならないだろう。
 相談が終わったら、少しだけ目を閉じさせて貰おう。

「悪いな。少しだけ……休ませてもらう」

139塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/13(火) 20:54:30
>>137
「ああ、助かるぜ、『ロダン』。
あんたのことも頼りにしている」

ロダンに別れを告げて、ノエと共に家に辿り着いた。

「ふーん、物知りな奴だな。
それで、あんたの方はどうなんだ。
話をしていても、あんまりあんた自身の事が見えない。
どういう奴なんだ? あんたは。『ノエ』」

「……寝たか。
しかし、こいつは悪い方に推理が当たったようだぜ」

座椅子か何かに凭れて目を瞑り、時間が過ぎるのを待つ。
そうしていると、様々な事が頭を過ぎった。
今回の事件のこと。以前関わった事件のこと。
そして更に昔、『スタンド』に目覚める前の事が。

(……『寝れない』ってのは、本当にストレスだ。
この事件、さっさと解決しなきゃあな)

140『微睡のN』:2022/12/14(水) 06:52:56
>>138(ノエ)

『翌日の方針』を定め、静かに目を閉じる。
疲れを残してしまうと、
明日の行動に支障が出るかもしれない。
休む事も調査の内だ。

―――――――――――――――――――――――――

『人は何のために眠るのか』。
この『謎』に対しては諸説あり、
未だに明確な『答え』は出ていない。
一般的な見解としては、
肉体的・精神的疲労を回復する『休養の一種』。
『休養』には、体を休めて肉体の疲労を取り除いたり、
ストレス解消のために、
運動や趣味を活用するといったものが含まれる。
そうした中でも、
肉体と精神の疲労を同時に解消できる『睡眠』は、
最も代表的な手段として知られている。

―――――――――――――――――――――――――

やがて、ノエの意識は『眠り』に落ちていった――――――。

>>139(塞川)

一通り話し終えると、ノエは眠ってしまった。
この事件以上に、彼の素性も『謎』が多い。
本人は語りたがらない様子だが、
何かしら込み入った『事情』を抱えている事は推測できる。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

座椅子に腰を下ろし、目を瞑って思考を巡らせる。
調査の再開が可能になるまで、
あと数時間は待たなければならない。
有り余る時間を持て余し、
自らが体験してきた『過去』に思いを馳せていると、
自らの意識とは無関係に、考えは別の方向にも飛んでいく。

多くの『スタンド』には、
存在する『理由』や『意義』のようなものが存在する。
『クリスタライズド・ディスペア』は、
接触した対象を『ガラス化』してしまう。
『破壊願望』や『終末願望』と解釈する事も出来るが、
そこに『どのような意味があるのか』を知るのは、
究極的には『塞川唯』だけだろう。

他の例を挙げるとするなら、ロダンの『ストーン・エイジ』だ。
『ただの石』を『宝石』に変える『スフィンクス』。
最初に出会った時、『目的』を尋ねた塞川に対し、
彼は告げた。

―――――――――――――――――――――――――

  《私は『スフィンクス』だ。
   『スフィンクスは謎を好む』というのが、
   『神話の時代』からの慣わしなのだよ》

      《私の『目的』は、先程も話した通り。
       『謎の追求』こそが私の『生き甲斐』なのでね》

―――――――――――――――――――――――――

『ロダンの目的』は『謎の追求』であり、
その手段として『人間とやり取り』している。
そして、そのためには、
『相応の対価』を用意しなければならない。
『ストーン・エイジ』は、
そういった『ロジック』によって裏付けられた『スタンド』だ。

では、『ナイトメア』の場合は、どうなのだろうか。
取り憑いた相手の『眠り』を封じる『黒い馬』。
それは『何のための能力』なのか。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

ふと――――塞川は気付いた。
『眠気が薄れていく』。
眠気を覚ますような事は何もしていない。

141塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/14(水) 18:13:06
>>140
(なんのために……か。
私が本来感じる筈の『眠気』を感じない…というのが、
『眠気』を『奪っている』と考えるならどうだ?
そうなると、奪われた『眠気』は……そうだな。
例えば、他者へと『与えられる』。
そうしたら、そいつは……『眠くなる』んじゃあないか?
ふん、こいつは、中々に良いセンをいってるかもしれないな)

眠る『ノエ』を見ながらとりとめもなく考えを進める。
フードを捲って顔を見てやろうか…と思うが、思うだけだ。

(奪われた睡眠の行き先が『スタンドの本体』なのか、
それとも、もっと別の使い道があるのかはわからんが……)

(あるいは、こいつは『手嶋』のための『スタンド』だったのかもしれないな。
『眠気を奪う』……その用途だけを考えると)

142ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/14(水) 23:05:14
>>140

微睡の中で懐かしい夢を見たようなが気がした。
その中では、自分はまだ学生服で、ビー玉状のイアリングを付けていて。
 少し遠くの方でバイクに背を預けるようにして、煙草を吸いつつ待つ彼が居る。

歩いて声を掛けようとするも、徐々に進む度に距離が離れていく。
 大声を上げて、気づいて貰おうにも声は掠れる。
少しだけ彼がこちらに気づきそうな素振りをするも、手遅れで彼の姿は
点のように小さくなるばかり。

 目を開ける。きっと、いま最近は見慣れた仮宿の天井と差し込む光が
フードの奥より差し込む筈だ。
 軋む体を解しつつ、口開く。

「……おは、よう」

 疲労は、幾分とれた筈だ。肉体は

……心は、まだ晴れやかには程遠い。

「何処に行こうか? オレはロダンと合流してから……
公園だったか? その子供が居た場所……昼頃なら、そのボール遊びしてた子も
居ると思うが」

 手嶋氏の近く。そのボールに繋がりある女の子へ。

「最終判断は、塞川……あんたに、任せる」

143『ストーリーテラー:S』:2022/12/15(木) 07:21:41

彼らは、少しずつ『真実』に近付きつつあった。
『黒い馬』の能力と、その『本体』について。
しかし、依然として『大きな謎』が残されている。

そう――――『ゴムボール』だ。
既に分かっているように、これ自体は特別な品物ではない。
また、『テジマ』や彼女の周囲に対し、
何らかの影響を及ぼした訳でもなかった。
今回の事件において、
この『小さな演者』が果たした役割は何であったのか?
『ナイトメア』の『謎』を追う二人は、
どのような『答え』を導き出したのか?

それでは、『続き』を語る事にしよう。

144『微睡のN』:2022/12/15(木) 07:22:16
>>141(塞川)

頭の中で『点』を繋ぎ合わせ、
塞川は一本の『線』を作り上げる。
すなわち『推理』だ。
憑依した対象から『眠気』を奪い、それを他者に与える。
客観的に見て、塞川の考えは筋が通っていた。
この場にロダンがいたとすれば、
大方において『同意』していただろう。

そして、『奪った』のだとしたら、おそらくは『行き先』がある。
そう考えるのが自然な成り行きだ。
今のところ明確な証拠がある訳ではないが、
『手嶋のためのスタンド』という発想も、
あながち的外れではないかもしれない。

―――――――――――――――――――――――――

『長い夜』を瞑目の内に過ごし、塞川は『朝』を迎えた。
同じ部屋にいたノエも、緩やかに起き出してきている。
相変わらず晴れやかとは言えない雰囲気ではあるものの、
『睡眠』を取った彼の体調は良好のようだ。

塞川も目は冴えており、『眠気』は完全に飛んでいる。
しかし、『前日の疲れ』までは抜けきっておらず、
『万全の体調』にはなっていない。
『眠れない』というのは『休めない』事と同義。
これが積み重なった結果、神尾は倒れたのだろう。
だが、まだ『二日目』だ。
我慢できない程ではない。
少なくとも今は。

>>142(ノエ)

『微睡』の中で幻視した夢は、そう昔の事ではないはずだ。
彼の姿が懐かしく思えたのは、実際に体感した時間以上に、
『心の距離』が遠かったせいかもしれない。
あるいは、ノエ自身の持つ懊悩が、
一つの形となって現れたのだろうか。

―――――――――――――――――――――――――

ともかく、ノエは『目覚めた』。
その心は未だ闇の中にあったとしても、
身体は『朝の光』を浴びている。
案の定、塞川は『一睡もしていない』らしい。
まだ『疲れ』が残っている様子が窺える。
調査に支障を来たす程ではないだろうが、
決して『万全』ではない。

145ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/15(木) 12:17:45
>>143-144

「与える人物……居るとすれば『本体』だよな……普通に考えれば」

塞川氏から『推理』を聞いたら、そう答えておく。

ゴムボールに視線を注ぐ。

「……少なくとも、ゴムボールは本当に普通のゴムボールだ。
仮に、それを所有する人物がスタンドの特定の能力から除外されるなら
今日寝不足になってない筈だからな」

「けど、このゴムボールは、ある種では『特別』な代物ではあると思うんだ。
本当なら、それを持ってた人物は今でもゴムボールを所有していた。
 けど、それを手嶋氏の方へ置いた。普通に渡すでもなく、傍に置いた。
『眠って倒れてる』彼女に」

「…………多分、その子は、わた……オレが思うに。
そう言う風に『倒れてる人物』を見た事があったんじゃないか?
 それも、随分最近。その衝撃も相まって、心配とか色々な感情が
ぐちゃぐちゃになって、目を覚まして欲しいと言う衝動で置いた」

「これが、オレが想像する『ゴムボールが置かれた理由』だ」

『老婦人、羽田衣代の死』 『おにいちゃん、と呼ぶ幼い少女』

 『羽田の孫』 そう点と点の線を結ぶ事が暗闇の中で出来上がる。

「……羽田氏は『四週間前』に亡くなっている。
 葬儀は、家族の都合など諸事情があれば、ごく最近に行ってる可能性も高い。
それなら、その女の子が最近遊んでた『おにいちゃん』と言う人物と
遊べなかった理由も示しが付く」

「……『男の子』を捜そう。羽田の性を持つ子供だな」

146塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/16(金) 20:25:25
>>144
夜に考えた『推理』はノエへと説明した。
現在の体調、『眠気を感じない』といった内容もだ。

「なるほど、面白い考えではあるかもな。
ただし、『おにいちゃん』が『子供』とは限らないぜ。
私も『おねえちゃん』だからな、あの年の子供からすりゃあ」

「まずは例のカフェに行こうぜ。
ロダンも一晩明けて、推理がまとまったかも知れないしな」

特に反対されなければ、まずは『priceless』へ向かう。

147ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/16(金) 22:46:26
>>146(会話終了)

「そうだな。夜の体調とか精神状態の報告をしよう。
ロダンも、あのナイトメアホースの攻撃を受けた使い手が
どのように夜を過ごすのか。関心あるだろうからな」

「うん……確かに少し大きめの子供と判断するのは早計か。
でも、まぁ。ボール遊びを一緒にしたんだよな?
 塞川さん見たく、女ならまだしも。
高等部ぐらいの男が、少女とボール遊びするってのは
色々と危なっかしい様子に見える」

だから、多分だが少し大き目の子供だ。と、想像の補填となる
推理を付け加えつつ、外へ出る準備をする。

148『微睡のN』:2022/12/17(土) 06:12:15
>>145-147(ALL)

『情報』を集め、『推理』を行い、『仮説』を立てる。
『事件』に向き合い、『解決』を目指すための一連の流れ。
『謎掛け』であれば、
『スフィンクス』が『正解』を示してくれただろう。
しかし、これは『現実の事件』だ。
『答え合わせ』は存在しない。

―――――――――――――――――――――――――

一夜を過ごした『家』を後にして、二人は外に出た。
空は晴れており、気持ちの良い朝だ。
肌寒いものの、冬らしい凛とした空気が満ちている。

    カラァン

         ズズズズズ

                 《――――『おはよう』》

『来店』に気付いたロダンが、
傍らに『ストーン・エイジ』を発現した。
まだ早い時間帯であるためか、他の客はいない。
今日の計画を話し合うには好都合だ。

《君達が来るのを待っていた。
 早速だが、話を聞かせてもらうとしよう》

二人が席に着くと、まるで考えを読んだかのように、
彼は告げる。

      「その前に『ご注文』をどうぞ」

しかし、ノエと塞川が話し始める前に、カウンターの奥から、
店主のステュアートが言葉を掛けてきた。

「失礼ですが、少々お顔の色が優れないようです。
 そのまま出て行かせる訳には参りません」

「ここは『喫茶店』で、
 お二人は『お客様』でいらっしゃいますので」

冗談めいた言葉だが、それは事実だった。
『調査』に集中していて、昨日の夜から何も食べていない。
口にした物といえば、ノエが用意した『お茶』ぐらいだ。
現在、二人とも『空腹』だった。
動き回る前に、何か腹に入れておくべきだろう。

《なるほど――そこまでは気が回らなかった。
 眼前に佇む『謎』が、
 私の心を捕らえて離さなかったものでね》

《『好きなもの』を頼みたまえ。
 『必要経費』として私が出しておく》

初めて来た時と同じように、
テーブルにはメニューが置かれている。
普通の店で出されるものなら大抵あるようだ。
何を注文してもいい。

149ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/17(土) 21:10:37
>>148

そこまでの親切を頂くわけにはいかない。
 返答は、そうすべきなのだろう……苦しい程に、ロダンやステュアート氏の
優しさは自分自身の心の中に染み入る。
 
「……サンドイッチと、昨日と同じコーヒーを」

「…………あのコーヒー……美味しいよ」

口から出される台詞は、自分の頭の中で作り上げ文章と全く異なっている。

(…………老婦人の孫、と言う形で推理は出した)

(孫、でなくても老婦人と相当の仲の良かった関係だろう。
スタンドが暴走するような振る舞いから、その死因のショックである以外に
現状示し合わせるような自然と合うピースが無い)

(食事を終えて、これから其の答え合わせを見つける為に出発するんだが……。
今回の事件で、気にかかる点としては)

「……塞川……さん。
あんたなら、あの『Uのマーク』は、何の象徴だと思う?」

そう、あのマーク。アレが何を表すもなのか。
 ナイトメアの蹄を簡易的に表すのなら。本体も、ある程度はスタンドの
存在を知る関係だろう。だが、それを『ボールに書こうとした理由』だ。
 手嶋氏に、何らかの加護を願ってだと、最初はぼんやりと推測してみた。
だが『チエ』と言う少女の話で、そのマークは以前より書かれてたものだった。
 つまり、あのマークは『手嶋氏と関係あるものでない』
『本体である人物にしか意図と理由しかない』記号なのだ。

「……昨日、オレはそのボールを見遣って。なんだか『お守り』見たいだ……って
口にしたよな。今でも、その考えは間違ってないと思うんだ」

「このUのボールは、オレ達にとっては無用の長物かも知れない。
けど、その男の子にとっては……」

きっと、価値があるよ。そう、口にして食事を提供されたら
礼と共に腹ごしらえをしよう。

150塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/19(月) 22:04:17
>>148-149
「おっと、そりゃ気が効くな。
猫に奢られるとは、はじめての体験だぜ。
お言葉に甘えて、ええと……
ホットサンドとオレンジジュースをくれ」

ロダンに微笑み、お言葉に甘えてオーダーを通す。

「Uのマークは、案外イニシャルだったりしてな。
似たようなボールがある以上、名前を書いとく意義はあるだろ?
その程度の話はできるが、あんたのような飛躍した推理は苦手だな」

「私が気になるのは、奪われた『眠り』の行き先だ。
つまり、『誰に眠りが与えられているのか』だな。
といっても、その考え自体が正しければの話だ。
仮説に仮説を重ねるようで、気が進まないが……」

「あんたが言うように、身近な者の死によってスタンドが暴走しているなら、
スタンドが『眠り』を与える事で本体を眠らされている……てのは、いいセン行ってるかもな。
いわゆる防衛本能って奴だ」

「今日は取り敢えず、その方向性で探るか。
寝ぼけてる奴を探せば良いんだろ?
もしかしたら、そいつの家族が医者に相談したりしてるかもな。
『手嶋』と私のスタンドを上手く使って、情報を掴めりゃいいんだが」

151『微睡のN』:2022/12/21(水) 18:59:06
>>149(ノエ)

「『畏まりました』――――」

           コトッ

まもなく、ノエの前に『卵サンド』が置かれた。
しっとりした柔らかいパンの間に、
半熟に調整されたスクランブルエッグが挟んである。
牛乳が加えられており、クリーミーで滑らかな舌触りだ。
深煎りのコーヒーを口に含むと、
豊かな香ばしさが鼻を通り抜け、
バランスの取れた酸味と苦味が広がっていく。
『目覚めの一杯』のお陰か、微かに残っていた眠気も消え、
より意識が鮮明になっていくように思えた。

>>150(塞川)

「――――『お待たせ致しました』」
 
           コトッ

塞川の前に置かれたのは『クロックムッシュ』。
フランス生まれのホットサンドだ。
ホワイトソースを塗ったカンパーニュにハムとチーズを挟み、
さらにソースとシュレッドチーズを乗せて焼き上げてある。
温かい湯気と共に、食欲をそそる香りが立ち昇っていく。
ハンドジューサーで搾られたオレンジジュースは新鮮で、
体に残る『疲労』を癒してくれる爽やかな風味が感じられた。

>>(ALL)

《私には『オリジン』を》

ロダンがステュアートに頼んだのは、この店の品ではなく、
値の張りそうな『キャットフード』だった。
輸入品らしく、
英字が並んだアルミ製のパッケージに包装されている。
翻訳された説明書きによると、
動物性原材料を豊富に使用し、
『野生の猫の食事』に近い製品という事だ。

《『現状』は概ね理解できた。
 食事をしながら、『今日の動き』について検討するとしよう》

『昨夜から今朝にかけての話』を聞いた後で、
ロダンは言った。

《もし『ハネダの家』を探す気なら、
 君達と私が手分けして動けば、
 午後になるまでには見つけられる可能性が高い。
 『範囲』については、おおよそ限られているのだから》

          カリッ カリカリッ カリィッ

  《『ボールの持ち主』と関係があるかどうかは、
   その結果によって判明するはずだ》

『羽田衣代』が関わっているという確定的な証拠は、
現時点では掴めていない。
強いて言うなら『時期が近い』という程度に留まるだろう。
しかし、病院の外でロダンの呟きを聞いたノエの心に、
何となく気になるものが生じたのも事実だ。
それは『直感』と言い換える事が出来る。
あるいは、『思考の飛躍』を得意とするノエだからこそ、
意識の片隅に引っ掛かったのかもしれない。

《外から家を見ただけでは、分からない事も多いだろうがね》

だが、ノエだけの力では、
『裏付け』を得る事は大きな困難を伴う。
『人当たりの良い姿』や『偵察に向いたスタンド』といった、
『調査に都合のいい条件』は失われた。
普通なら簡単に済むはずの『話を聞く』という行為にも、
通常以上にハードルは上がる。
また、『猫』であるロダンには、『一般人』と会話は出来ない。
『一番の当事者』として当たり前の事ではあるが、
事件解決において、塞川の力は『不可欠』だ。
無論、それは『外見』や『能力』に限らない。
『思考』においても同様の事が言える。

《必然的に、午後の方が『やる事』は多くなる。
 午前中の内に済ませられる事は、
 なるべく済ませておくべきだろう》

          カリリッ

  《『今日中には解決できる見込みがある』と、
   私は睨んでいるのだよ。
   もちろん『上手く進めば』の話だが》

陶製の食器に盛られた褐色の粒を小気味良く齧りつつ、
スフィンクスは自身の見解を話し終えた。

152ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/23(金) 19:21:40
>>151

「『公園』の近辺の可能性が高い。
……親が迎えに来る程度の小さな女の子と遊べる、想定で小学の低学年だとしよう。
 子供の移動範囲ってのは、中々大きいが。普段遊ぶような公園ってのが
そんなに遠い筈も無い……生活圏内の領域に収まってると思う」

塞川氏の仮説には、2,3度相槌を打つように頷き黙考を続ける。
 今は、賛同も反論もしない。その領域までの道のりを自分達二人は
歩んでると思えなかったからだ。
 着実に、進みはしている。だが、まだ不透明だ。

「オレは、準備は出来てるよ。
 行くなら、行こう……」

153塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/24(土) 10:26:17
>>151-152
「たしかに、私たちの推理の道筋が合っているのなら、
公園のそばに、その『羽田』の家がありそうだな」

クロックムッシュを食べながらノエとロダンの話を聞き、
一通り聞いたところで喋り出す。

「ご馳走様。
なら、昨日の公園の側から調査をはじめるか。
その家が見つかったら、また私が話を聞いてやるよ。
『子供』そして『眠ってる』奴の情報だな」

話が無ければ、公園の側へ移動して『羽田』の家を探し始める。
通行人や配達員などに話を聞いても良い。

154『微睡のN』:2022/12/24(土) 15:28:10
>>152-153(ALL)

《位置については、『概ねその辺り』と考えて良かろう。
 多少の時間は掛かるだろうが、発見できる可能性は高い》

         《では、出掛けるとしようか》

食事を終えたロダンと共に、二人は『Priceless』を出発した。
チエから聞いた公園の周りに範囲を絞り、
『羽田家』の捜索を開始する。
道行く人々に尋ねながら探したが、
結構な数の住宅が存在しているため、
それなりの時間を要する事は避けられない。

     ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

数時間後、『目的の場所』が見つかった。
やや古い感じのする一軒家。
表札には『羽田』の文字がある。

  《私はここに残る事にする》

ロダンは家の前で歩みを止めた。
当然ながら、扉は閉まっている。
入るためには、何らかのアクションを起こす必要があるだろう。

155ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/24(土) 20:01:17
>>154

「だいぶ、時間を喰ったな……」

数時間。オレの予想なら、一時間かそこらだと希望的観測だった。
 見つかったのは、僥倖と言うべきだろう。
塞川氏と協力してなければ、夜まで掛かったかも知れない。

「だが、此処からが『本番』で……一番難しい所だ」

小林でも、見知らぬ他人の家に来訪するには一癖はあった筈だ。
 それが『ノエ』になると。素顔は隠してるし、不審人物だ。
道行く人々に尋ねる時だって、何人かは警戒した人間だって居ただろう。

「『理由』が居るな。入る理由……」

老婦人の弔問は……必ず、以前の関係性を掘り下げられる。
 捏造は出来るかも知れない。だが、下手な作り話は距離を開けられるし
最悪、警察に通報されるだけだ。

「……ここは……素直に話すべきか?
『ゴムボールの落とし主が、此処の子だろうから返しに来た』
……何故かって聞かれれば返答に困るが」

156 塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/24(土) 22:07:06
>>154
「『どうするか』だって?
まずは当然こうだッ、『クリスタライズド・ディスペア』!」

片手を軽く上げる塞川の後方から、
3羽の『クリスタライズド・ディスペア』が飛び立ち家の周りを飛び回り屋内の様子を伺う。

「やってる事はただの『のぞき』だが非常事態だから大目に見てもらうぜ」

そして『クリスタライズド・ディスペア』の侵入経路がなさそうなら、
本体が呼び鈴を鳴らす。
あれば侵入させ、屋内を調べる。

「せっかく来たんだ。会わない理由はない。
多少不審がられようと仕方ねえよ。
まずは出たとこ勝負だ。
相手の感じによるが、取り敢えずは『ノエ』、あんたが話を聞き出してみな。
私は『スタンド』の操作に集中する。
なに、『フォロー』はしてやるぜ」

と、無責任な事を言いつつ家の反応を伺う。

157『微睡のN』:2022/12/25(日) 18:16:22
>>155-156

『羽田家』の位置は、最初の想定よりも少し外れにあった。
二人の考えに大きな間違いがあったようには思えないが、
そのせいで余分に時間が掛かったというのはある。
ここに来るまで、ざっと『二時間』程だろうか。
しかし、ロダンが言った通り、まだ午前中だ。
無限ではないが、猶予は十分にある。

          バ サ サ サ サ サ サ サ ァ

       バ サ サ サ サ サ サ サ ァ

   バ サ サ サ サ サ サ サ ァ

『クリスタライズド・ディスペア』を最大数まで発現し、
まず塞川が家の様子を窺う。
全ての窓はカーテンが閉め切られている。
外部から侵入できそうなルートは見つからなかった。

    ピンポォォォォォォォ――――――――――ン

続いて、『呼び鈴』を鳴らす。

         ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

                      『応答』がない。

              《フム…………》

《家の中からは『人の気配』を感じるが…………》

           スン スン

       《『妙』だ》

『匂い』を確かめながら、ロダンが呟いた。
居留守を使われているのだろうか。
それとも、『別の何か』があるのかもしれない。

158 塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/25(日) 18:56:25
>>157
「『寝てる』のかもな」

門を開けて入っていき、ドアノブを捻る。

159ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/25(日) 20:02:38
>>157-158

「まぁ、普通なら。呼び鈴を鳴らせば誰かしら出てくる筈だからな」

つまり、何か『異常』が起きてる。
 恐らく、今回の出来事に関連してるだろう。まさか接点のない
突発的な事故、事件である可能性も有りえなくは無いが、低い。
 塞川氏に続いて、門へ入る。

 正面のドアも空かないようなら、窓を破壊して其処から
侵入する事も考えよう。緊急事態なら、やむを得ずだ。

160『微睡のN』:2022/12/26(月) 17:13:56
>>158-159(ALL)

        ――――――ガチャッ

塞川がドアノブを掴んで捻るが、やはり鍵が掛かっている。

《いや、『動いている』。少なくとも起きてはいるようだ》

ロダンの話では、中に人はいる。
そして、それは眠っていない。
さらに言えば、呼び鈴にも応じなかった。

  《ところで、私が『昨日話した事』を覚えているかね?》

 《これは、あくまで『仮定の事件』ではある。
  しかし、実際にも起こり得る話だろう。
  たとえば、『この町で起こった事』だと考えてくれてもいい》

              《――――と》

   《場合によっては、『用心』した方がいいかもしれない》

ロダンが改めて繰り返したのは、
二人に『謎』を提示した時の言葉だ。
『偶然の一致』。
それが『謎の答え』だった。

        ドギュンッ

『クリスタライズド・ディスペア』の視界が、
家の裏手に残る『真新しい足跡』を捉える。
また、その近くの窓を詳しく観察すると、
施錠されていない事が分かった。
『クリスタライズド』のパワーでは厳しいが、
塞川自身なら難なく開けられそうだ。

161塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/26(月) 20:00:59
>>160
「マジか、しかし何者だ?
……ノエ、裏だ。
裏手の窓が空いている。 そっちから入れそうだ」

小声でノエに指示して、ロダンの方を見る。

「可能性は低いが……この中の奴が正面から出てきた場合は、
ロダン、あんたに足止めを頼むぜ」

そして、異議がなさそうならそのまま裏手へ静かに向かい、
窓を開けて『クリスタライズド・ディスペア』の進路を確保し、
先んじて屋内へ侵入させる。

162ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/27(火) 00:10:14

・『羽田家』の正面玄関、及び その近くには鉢植え・如雨露
屋外用の水栓など有りそうですか?

163『微睡のN』:2022/12/27(火) 11:26:14
>>162

玄関の脇には鉢植えがあったが、少々しおれている。
如雨露も見つかった。
庭には屋外用の立水栓があるようだ。

164ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/27(火) 23:15:29
>>163(回答感謝)

>>160-161

インターホンを鳴らしても、人が居る気配に関わらず誰も出てこない家屋。
 ロダンの忠告……想定の中で、良くない状況が否が応にも想像される。

「塞川……もっと『緻密』にしよう」

 小声で会話しつつ、スマホを操作。『パトカーのサイレン音』を選択

「わ……オレが、もう一度インターホンを鳴らす。そして、その
数秒後にサイレン音を鳴らす。……少し準備をしてからな。
 相手が誰であれ。インターホンだけなら、無視する可能性はあるが
サイレン音が聞こえれば……居留守を使う、不届き人に疚しい所が多ければ
玄関部分を注視せずには居られないよ」

 如雨露に、屋外の水栓で水を入れよう。
あくまでも、静かに。
 それが終わったら、玄関へ戻りインターホンとスマホの操作を開始。
如雨露は足元へ置かせて貰う。
裏手より塞川氏がスタンドで侵入する間は注意を惹きつけさせて貰おう。

165『微睡のN』:2022/12/28(水) 12:23:19
>>164(ノエ)

『水』を注いだ如雨露を足元に置き、
手元ではスマホを操作する。
それらの準備に時間は掛からず、すぐに完了した。
満を持して、もう一度インターホンを鳴らす。

        ピンポォォォ――――――――ン

やはり応答はない。
しかし、ノエの陽動は『ここから』だ。
数秒の間を隔て、『パトカーのサイレン』を鳴らす。

  ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥゥゥゥゥゥ

玄関前で響き渡るサイレン音。
ノエの視界からは、室内の様子は窺い知れない。
だが、間違いなく読み通りなら、
何かしらのリアクションが期待できるだろう。

>>161(塞川)

《あらゆる可能性を考慮するという考え方には賛同できる》

     《私は『正面』を確保しておこう》

塞川の言葉を受けて、ロダンは玄関に陣取った。

            カララッ

裏手に回り、静かに窓を開け、『ガラス細工の鳥』を飛ばす。

               バサササァッ

共有している視界の中で、家の中の光景が窺える。
窓から入ったところはキッチンだった。
電気が点いていないので薄暗いが、さほど問題はない。

    「おい……『音』……するよな?」

            ヒソ ヒソ

                   「ヤバくねえか?」

                      ヒソ ヒソ

おそらくは居間と思しき方向から、微かな『話し声』がする。
どちらも若い男のようだ。
ノエが鳴らしたサイレン音を気にして、
玄関側に注意が向けられているらしい。

166ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/28(水) 22:14:50
>>165

「ロダン、オレは塞川が事を終わらせるまでは
サイレン音を鳴らして、ここで待機しておくよ」

「炙りだされて。出てきた奴が居るなら、ここで迎撃可能だから」

この家に、不法侵入してる輩が居るとして……だ。
 仲間が、外に居るだろうか? いや、居留守を使う時点で
仮想敵となるが、複数居ても、この家屋に潜伏してるだけだろう。

(……以前の能力なら、ビー玉状の水槽で密偵も出来たが。
今は厳しいし、塞川氏の能力は手嶋氏の尾行も出来る優秀な力だ。
 彼女の能力が戦闘可能か不明だが、自信はありそうだった。
オレの出る幕は、今は無いだろう)

 下手に動きはしない。このままサイレン音を鳴らし続けよう。

服に携行してる、ペットボトルに『ゼロ・モーメント』を二体。
 如雨露の中に、二体発現させておく。

167塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2022/12/29(木) 08:21:05
>>165-166
『クリスタライズド・ディスペア』の一体を『ロダン』と『ノエ』の側に着地させる。

『買い被ってくれたとこ言いにくいがよォ〜〜
あっちは「2人」だ。あんたも来い!『ノエ』!
逃げられた方が、私のスタンドならやりやすいんだよッ!』

言いながらも『クリスタライズド・ディスペア』で屋内の声のする方を探る。

168『微睡のN』:2022/12/29(木) 13:12:35
>>167(塞川)

スタンドの視界を通して、
準備を整えるノエの姿が確認できた。
ペットボトルと如雨露を満たす水の中に、
『ブリキの金魚』が発現している。
これが『ノエのスタンド』のヴィジョンらしい。
『クリスタライズド・ディスペア』と同じく『群体型』だ。
比較的珍しいタイプだが、こうして出会ったのは、
一つの『運命』なのかもしれない。

《相手が『複数』ならば、君達で向かった方が良かろう》

            スゥッ

《ここを抑えておく役目は、私だけで事足りる》

ロダンは塞川の言葉に同意し、その場に座り込んだ。
『ストーン・エイジ』も平均以上の戦闘力を持っているものの、
彼には積極的に力を行使する意思はなさそうだ。
絶対的な必要に迫られた場合を除き、
『対処する役割』は二人に託された。

    「……もう出ようか?大したもんなさそうだし……」

             ゴソ ゴソ ゴソ

  「いや、すぐに出たら見つかるぞ。もう少し待て」

声の方向にスタンドを飛ばすと、『二人の男』が見えた。
どちらも若い男だ。
金目の物でも探しているかのように、
手近な引き出しの中を漁っている。
『空き巣』――そんな言葉が脳裏に浮かぶ。
普段着のような格好から見ても、
さほど手馴れている雰囲気ではない。

>>166(ノエ)

『リヴィング・イン・モーメント』。
液体を『水槽』に変化させ、
遠隔操作する能力…………『だった』。
戦いの場に立つ度に、『決定打の不足』に悩まされ、
それを『本体の知略』で埋めてきたが、
『死滅回遊弾』の発露によって、
純粋な戦闘力は大きく引き上げられている。
それと引き換えに、優れた哨戒能力は失われ、
『偵察』を行う事は出来なくなった。
奇妙な巡り合わせにより、
その役目は『塞川のスタンド』が担っている。

  そして、現在の『ノエの役目』は――――。

       ズギュンッ ズギュンッ

             ズギュンッ ズギュンッ

ペットボトルに『二体』、如雨露に『二体』。
合計で『四体』の『ゼロ・モーメント』を水中に発現する。
言い換えると『四発の弾丸』だ。

  《ノエ――――君の『出番』が来ているようだ》

『ガラス細工の鳥』を通して、塞川が状況を伝えてきた。
彼女も荒事には慣れている様子だったが、
今は『直接的な力』が必要なのかもしれない。
かつての『小林丈』と同じように。

169ノエ『ゼロ・モーメント』:2022/12/30(金) 22:54:31
>>167-168

「無理はしないでくれよ、ロダン。オレ……いや、オレ『達』も
傍にいるから、危険には巻き込ませないが……スマホは置いておく」

スマホ、それと『如雨露』は置いてく。二体のゼロ・モーメントで玄関を監視しておけば
何時でも『死滅回遊』化は出来る。サイレン音も、流し続ける方が
中に潜伏してる輩の気を長く惹かせるのに役立つ。地面に置いておこう。

「あぁ……けど、オレが役立てるか……どうだろう」

塞川に続くように裏手へ行く。
 彼女のスタンドは、扉を開けられるのだろうか? 
厳しいようなら、スタンドで攻撃して炙り出した所を窓なり
外に出てきた所を狙い撃つべきだろう。

(相手が使い手である可能性……無くはない。
バケツでも持ってくるべきだったかな)

ペットボトルの中のゼロ・モーメントでは、少し攻撃力に
不足の感も否めない。だが、悔やむ事はない。
 塞川氏と言う、今は頼れる『仲間』が居る。

170塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/02(月) 01:41:06
>>168
「若い男2人だ。ありゃ空き巣だな。
『スタンド』を絡めて脅してやれば、逃げるか、あるいは制圧できそうだぜ。
ただし、私のはそういうのにあまり向いてないからな。
あんたのは『やれる』だろ?
奴らが入ってきたのと同じ、窓から入るぜ。『ノエ』」

『ノエ』を引き連れて『窓』から密かに侵入する。
『スタンド』視覚によって2人の動向は見ておく。

171『微睡のN』:2023/01/02(月) 12:12:41
>>169(ノエ)

  《私も『自衛』の方法は心得ているのでね》

            《君達の手を煩わせるつもりはない》

ノエと小林が知っているように、
ロダンは『ただの猫』ではない。
その『知性』と『能力』は、
一般的な猫のレベルを遥かに上回っている。
彼自身は無闇に力を奮う事を好んでいないが、
本気で戦おうと思えば『戦闘』も可能だ。

《サイレンが鳴っている状況で、
 堂々と玄関から出てくるとは思えないが……
 万一ここを通ったなら『ストーン・エイジ』が『阻止』する》

ロダンに送り出され、ノエは塞川と合流する。
如雨露内に発現した『ゼロ・モーメント』を残し、
手持ちは『二発』。
複数とはいえ、『一般人』を制圧するなら、
これだけでも十分だ。
もちろん、相手が『スタンド使い』ではないからといって、
絶対に押さえられるとは限らないだろう。
しかし、多くの場数を踏んだノエには、
『ガラスの弾丸』以上に強力な、
『戦略』という大きな武器がある。

            バササァッ

塞川が放った『ガラス細工の鳥』は、
『死滅回遊弾』と同等の速度を持っている。
一方で、見るからに繊細なヴィジョンは『力強さ』とは縁遠い。
『爪』や『嘴』は鋭利だが、純粋なパワーそのものは、
おそらく極端に低いのではないだろうか。

>>170(塞川)

ノエと共に、塞川は窓から屋内に侵入した。
台所と食事をする場所を一つにした『ダイニングキッチン』。
モダンな作りではあるが、家の外観と同様に、
内装にも年季が入っている。

                「…………」

        「…………」

空き巣らしい男達は、依然として隣のリビングにいる。
『クリスタライズド・ディスペア』が見えている様子もなく、
『一般人』だと確信できた。
本来なら一刻も早く立ち去りたいところだろうが、
ノエが仕掛けたサイレンのせいで、動くに動けないらしい。
どう『料理』しようとも自由だ。
『料理人』を務める二人が誰かは言うまでもない。

172ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/03(火) 23:38:50
>>171

 「――オレが、先に赴(フ)ろう」
 
 ペットボトルの水、『ゼロ・モーメント』二体を、硬質へ。

       ビュゥーーーzノゥ……ォッッ゛

そして、二名の男達の居るリビングへ、飛翔(スB)
 男達の正面部分へ到達すると共に……開始する。

 ――死滅回遊  チョウチョウ

    ビュッッビュッビュッビュッビュッッッ――!!

 『死滅回遊弾』状態にて、男一人の顔や首などに約5秒間
全速(パス精:CBC)にてヒットアンドアウェイを繰り返す!

 (家人は、目につく場所には見当たらない……何処かに拘束されて
監禁されてる可能性があるな)

最悪の予想も有りえる。とは言え、慎重に行動して相手の冷静さを奪おう。
相手の行動がどうあれ、約五秒経ったら解除する。
攻撃の最中でも、移動をする。
 遠くに行く必要はない。『台所』なら『電気ポット』が置いてある筈だ。
ゼロ・モーメントで最大サイズを発現出来る十分な量も入ってるだろう。

173塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/05(木) 10:16:34
>>171-172
(こいつが居て良かったぜ。
私のスタンドじゃあ、攻撃となると一手間もふた手間もかかるからなァ)

手元のハンドバッグを少しずつ『硝子化』させながら、
『ゼロ・モーメント』の攻撃中に、あえて2人の前へと姿を見せる。
『ノエ』には引き続き攻撃の準備をしてもらいながらだ。

「おい、『盗人ども』。神妙にしな!
外の警察に突き出しても良いんだぜッ!
暴れないなら、悪いようにはしねぇ」

(こいつらの所作、服装。
どっからどう見てもただの『空き巣』だ。しかも素人。
この状況でこっちにかかってくる『度胸』は無いはずだぜ。
逆にそうなったのなら、こいつらがそれ以上の『何かであることの証明にもなる)

174『微睡のN』:2023/01/05(木) 14:16:43
>>172(ノエ)

         ドギュッ!!

                ドギュゥッ!!

狙いを定め、二発の『ゼロ・モーメント』を解き放つ。
『死滅回遊弾』の持続時間は『10秒』。
だが、不意打ちで先手を取るには十分すぎる時間だった。

   「――――――ッ!?」

        バ バ バ バ バ バ バ バ 

                 バ バ バ バ バ バ ッ ! !

内側に金魚を封じ込めた『硬質ガラスの弾丸』。
それによって繰り出される『ラッシュ』が、
一人の顔面を容赦なく襲う。
反応する暇を与えない完全な奇襲。
相手は何が起きているかも分かっておらず、
ほぼ『無抵抗』で食らい続け、床の上に倒れ込んだ。
もう片方もダメージはないものの、呆然と立ち尽くしている。

           ビ シ ャ ァ ッ !

遠隔解除された『ゼロ・モーメント』は、
媒介となった『水』を撒き散らして霧散する。
『30秒』の冷却時間が挟まり、残り発現数は『二体』。
以前の『リヴィング・イン・モーメント』では、
直接的な制圧は不可能に近かった。
だが、『ゼロ・モーメント』には可能だ。
これが『ノエ』が手にした力。

     …………カチャ

台所は綺麗に片付けられていて、
見える範囲に『電気ポット』はない。
流し台の下にある扉を開けると、目当ての品が見つかった。
しばらく使われた形跡がなく、中身は『空っぽ』だ。

>>173(塞川)

ペットボトルから『発射』された『ガラスの弾丸』が、
『空き巣の片割れ』を打ちのめす。
『クリスタライズド・ディスペア』だけでも、
攻撃しようと思えば出来なくはないが、
相応の手間を要するのは事実。
また、『ガラス化』は『手加減』が出来ないという点も、
あまり『鎮圧』には向かない。
その意味で、『ノエのスタンド』は、
『塞川の不得手』を埋めていた。
不意を突かれた二人連れの『空き巣』は、
完全に浮き足立っている。

         ズズズ…………

『ガラスの羽』を植え付けられた『ハンドバッグ』が、
徐々に透き通っていく。
そして、塞川は男達の前に姿を現した。
突きつけられた『通告』を聞いて、
彼らは逡巡する様子を見せ――――。

         「…………わ、分かった。カンベンしてくれ」

                  スゥッ

   「クソッ、だから止めときゃ良かったんだ」

攻撃を受けていない方の男が、両手を上げてみせる。
敵意がない事の『意思表示』らしい。
思いの外、制圧するのは簡単だった。
やはり『素人』だ。
おそらく『初犯』と考えていい。

        チラッ

一方、攻撃を受けた男は、周囲に視線を巡らせている。
どうにかして『逃げる算段』を練っているのだろう。
ノエは何かを探している様子であり、
すぐに対処できるのは塞川だ。
もし逃げられたとしても、外にいるロダンが『止める』。
だが、彼の手を煩わせない事は、そう難しい問題ではない。

175ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/05(木) 20:11:37
>>174

綺麗に片付けられた台所。電気ポットなど、普段日常で稼働してるだろう物に
水も居れてない……生活臭が薄い。

(家人が出払っているのか……または)

庭の水は正常に出ていた。なら、中も問題ないだろう。

折角見つけたのだ。電気ポットの蓋を開け、流し台へ置いて
蛇口の水を捻って水を貯め始めると同時に、現在発現可能な
『ゼロ・モーメント』の残る二体の内一体を忍ばせる。

「……此処の住人は?」

『攻撃を受けてない男』に質問する。
また、流し台付近なら。生ごみなどを入れる為のビニールか、それに
近しい袋がある筈だ。目を走らせて、あるなら一枚入手する。
 無いなら、空き巣らしい二人の動向に気を配っておこう。

176塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/05(木) 22:41:57
>>174
「おい、あんた。
何考えてるのか知らねーが……
あんたはもう『失敗』してるんだ。
何をするにも、まずは私の話を『ふたつ』。
たったそれだけ聞いてからでも遅くはないと思うけどなァ」

威嚇するような視線を向けて、挙動に注意しながらも喋り出す。

「まず一つ、私は当然一人じゃあない。
仲間を連れて来てるって事だ。
……『ノエ』!」

目線を外さずに、声を上げて『ノエ』を呼ぶ。

「そして二つ目だが。
私は別にあんたらを逮捕しようってハラじゃあない。
勿論『盗み』は諦めてもらうが、それだけだ。
私達の話にちょいと付き合うなら、そのまま帰してやるよ。
どうだ?何が得かをよく考えててみろ」

2人の態度が変わったなら、椅子へとどっかと腰掛ける。

「ただし……わかると思うが、それは私の気が変わらなけりゃの話だ。
細心の注意を払って話すんだな。
あんたたちは、なぜこの家に盗みに入ったんだ?
まずは、この家について話しな」

177『微睡のN』:2023/01/06(金) 13:12:00
>>176(塞川)

「チッ………………」

周囲に気を配っていた男は、弱々しく舌打ちした。
それから、ゆっくりと塞川に顔を向ける。
彼の表情からは、
『年貢の納め時』を悟った様子が読み取れた。

「オレは『バカ』だが…………『大バカ』じゃない…………。
 『どうするのが賢いか』は分かる」

         「…………分かってるつもりだ」

            ドサッ

床に倒れていた男が、その場に座り込む。

  「この家は……『空き家』さ……。
   『バアさんの一人暮らし』だったが、
   ちょっと前から『空き家になった』。
   ……『住む人間』がいなくなったんだ」

  「たまに家族が『整理』に来てる……。
   だから、『鍵が開いてた』んだろうな……。
   うっかり閉め忘れて帰っちまったんだろ」

  「オレらは金に困ってる。
   呼び鈴も押しても誰も出ない」

        「………………『チャンス』だと思った」

自己嫌悪か罪悪感か、男は苦々しい面持ちで呟いた。

>>175(ノエ)

ノエは優れた『直観力』を備えている。
事前に気付いた『違和感』は、
どことなく漂う『生活感の乏しさ』。
それを念頭に置いて見渡してみると、
ここ全体から感じられるように思われた。
台所だけではない。
この『家』自体に『人の気配』が薄いのだ。

  キュッ キュッ キュッ

        ジャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ

蛇口を捻ると、『水』は正常に出た。
電気ポットに溜め始めると同時に、
一体の『ゼロ・モーメント』を発現する。
塞川と空き巣達の間に緊迫した空気が流れている事は、
そちらを見ていなくても分かった。
彼女は『取り引き』を持ち掛けている。
そして、その試みは功を奏したようだ。

  「い…………『いねえ』よ…………」

       「『いないと分かってる』から入ったんだ」

    「たまたま窓の鍵が開いてるのが見えて……
     魔が差しちまった……」

                  「…………クソッ」

男の返答を背中越しに聞きながら、『袋』を探す。
生ゴミ用のゴミ箱を開けると、
内側に一枚の『ビニール袋』が掛かっている。
しかし、『ゴミは入っていない』。
やはり、この家は『空き家』だ。
『水道』が止まっていないのは、
誰かに貸す予定でもあるのかもしれない。

178塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/06(金) 20:35:22
>>177
「まあ、そんなこったろうな」

小さく溜息をついて『ノエ』を見る。

「『ノエ』、なんかこいつらに聞きたい事はあるか?」

(こいつら、『ナイトメア』とは完全に無関係のただのコソ泥だ。
追っ払った後に家族に通報してやれば、
そっから話くらいは聞けるか……)

179ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/06(金) 23:45:52
>>177-178

手に嵌められた二つの指輪を撫でつつ、『空き巣』の独白に耳を傾けて黙考する。

『居なくなった家人』……現状の情報では、間違いなく『羽田衣代』であり
亡くなった事や、既に葬式等も終わってるようだ。

(そう、羽田婦人は亡くなった。そこから『ナイトメア』との因果は出来ている)

では、手嶋氏の『Uのゴムボール』は一体何なのか?
 『羽田衣代』では無い。時系列からして、彼女の亡霊が無関係の人物に
ゴムボールを渡したなど、甚だしく悪質な冗談に類する妄想だ。

>『ノエ』、なんかこいつらに聞きたい事はあるか?

「いや……」

「……あぁ、一つだけある」

ビニール袋を掴み、まだ蛇口から出てる水に溜める。ある程度の容量
ソフトボール程度まで溜め終えたら、それを持ちつつ空き巣の二人に近寄る。

「……まず、お前ら。
『何で呼び鈴を押した?』
空き家になったって知ったんだろ?」

突発的な、魔が差したと言う口振りだ。だから念の為にと言う意味なのかも知れない。
だが、現状手掛かりが少ない以上。少しでも気になる突き所は突っつく。

「それと……『U』だ。アルファベットのU
そんなマーク、漁っている時に見かけなかったか?」

180『微睡のN』:2023/01/07(土) 13:01:50
>>178(塞川)

家族に連絡する方法――どこかに『固定電話』でもあれば、
そこに『電話番号』が登録されているかもしれない。
ただ、『説明の仕方』という問題は残される。
いきなり『空き巣が入った事実』を伝えたとして、
素直に受け取ってもらえるかは微妙なところだ。

少なくとも、目の前の空き巣は『ナイトメア』と無関係。
そして、住人が不在である以上、
『ナイトメアの本体』もいない。
では、この家は『外れ』なのだろうか。
ノエの考えが正しければ、
何かしらの『手掛かり』が見つかるはずだ。
そのために『空き巣を問い詰める』というのも、
一つの方法だろう。

もしくは『別の選択肢』も有り得る。
塞川達が、自らの手で調べるのだ。
幸いにして、ここは『空き家』。
新たな来客がない限り、通報される心配はない。
『空き巣を捕まえた側が家探しする』というのは皮肉だが、
止むを得ない事情だったとはいえ、
二人は既に『入ってしまっている』。

>>179(ノエ)

例の『ゴムボール』は、この事件の鍵を握っている。
持ち主は『チエと遊んだ少年』。
ここまでは間違いないだろう。
また、この家で『羽田衣代』が暮らしていた事も確実だ。
そして、多少の『ズレ』はあるものの、
彼女が亡くなった時期は『ナイトメア』の出現と近い。
『羽田』と『少年』の繋がりを立証できれば、
ノエの推理は裏付けられる。
そのためには『証拠』が必要だ。

「…………深い理由があった訳じゃねえよ」

塞川と会話していた男が、今度はノエの方を向いた。

「空き家の窓が開いてる。
 整理に来てる時は、外に車が止まってたが、それもない。
 だから、呼び鈴を鳴らしてみた」

     「『それだけ』さ……」

案の定と言うべきか、『念の為』だったようだ。
予想していた通りの答えだが、
これが事件と関わりを持っているとは思えない。
そして、ノエは『次の質問』をぶつける。

                 「――――『U』…………?」

        「……そんなマークは見なかったな」

眉間に皺を寄せながら、男は言葉を返す。

  「………………オレは『見た』」

口を挟んだのは、もう一人の男だった。

     「二階に『置物』があったんだ。
      嵩張る代物だから取らなかった」

     「……それに大事そうな気がしたしな。
      オレが言うのもヘンだけどよ」

「ここで説明するより、
 アンタらで見てきた方が早いんじゃないか?」

>>(ALL)

外から響いていた『サイレン』の音が徐々に小さくなり、
やがて聞こえなくなった。
『現場のタイミング』を読んで、ロダンが切ったようだ。
音量を段階的に下げていき、
あたかも『パトカーが遠ざかっていく』ように演出している。

181塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/08(日) 19:20:09
>>180
「おっと、ナイスな質問だったな。『ノエ』。
じゃあ、あんたらもういいぞ。さっさと帰んな」

大きく伸びをして、組んでいた脚を解いて立ち上がる。
2人が大人しく出ていきそうなら、ひらひらと手を振って見送ってやる。

「何を言ってるかわからんだろうが……
あんた達にはある意味で感謝してるんだぜ、ありがとよ。
そして、ちょっと道を踏み外しただけで、
この世の中にはでかい『穴』ががっぽり開いてるって事を忘れんなよ。
真面目に生きな、マジメに」

182ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/09(月) 00:08:30
>>180-181

(……)

ここで、この二人をそのまま帰らせても……。

困窮した生活は依然、変わらない。改心が可能だとしても
劣悪な環境がそのまま続くのなら、心に希望の灯火は産まれないだろう。

「あぁ……少し、待ってくれ」

塞川氏に時間が限られてるのは知ってるが、二人の男と共に制止をかける。
あの様子なら少しの時間、離れて問題ない筈だ。
先に、玄関に出て行く。『ゼロ・モーメント』の如雨露にて会話は可能だ。
 空き巣二人との遭遇と鎮圧について説明しつつ、扉から出ると共に
スマホを拾い上げてロダンへと尋ねる。

「……なぁ、ロダン。
あんたは、誰かを下働き出来るような紹介口とか知ってるか?」

「……いや、言い方を変えよう。
オレは……このスマホを『買い取りたい』
だから『労働力二人分』をステュアート氏に支払う」

対価になるか? とロダンへ答えを聞く。

このまま、ただ二人を帰らせて心の片隅で後を引くよりは。
 オレはスマホを永続的に使用出来るなら、その方が便利だし。
あの二人とて、職があれば今日のような馬鹿は今後する可能性が低くなる。

独りよがりなアイデアだ……。

183『微睡のN』:2023/01/11(水) 18:50:40
>>181(塞川)

塞川達に押さえられた空き巣は、それほどの悪人ではなかった。
単なる『小物』だ。
だからこそ『引き返せる余地』も残されている。

「…………あんたらに見つかったのは『ツイてた』のかもな」

「何て言ったらいいのか分からないけどさ…………」

彼らが口々に呟く言葉には、複雑な意味合いが感じ取れる。
その中には『感謝』も含まれていたように思えた。
やがて、倒れていた男は立ち上がり、もう一人と共に、
塞川が開けた窓の方に向かう。

「――――――オレらは…………『帰る』」

        スッ

「間違ってデカい『穴』に落ちる前によ」

二人の足を止めたのは、他でもない『ノエの一言』だった。

>>182(ノエ)

既に、二人は『現行犯』を阻止している。
この場面において、それは十分な働きであり、
あとは『当初の目的』に専念してしまっても良かった。
一方で、『別の可能性』を模索する事も、また自由だ。

    ――――――ガチャッ

玄関の内鍵を解錠し、扉を開けて外に出る。
入った時と同じく、家の前にはロダンが待っていた。
ノエの様子を見た彼は、詳しい説明をされずとも、
屋内の状況を察したようだ。

《フム――――『面白い提案』だ》

意外な申し出を聞くと、ロダンは納得したように言葉を返した。

《今の話は私からステュアートに伝えておく。
 しかし、『直接の交渉』は君がしなければならない》

《今回の件が片付いてからになるだろうが…………》

《『手並み』を見せてもらおう》

ロダンはステュアートと浅からぬ繋がりを持つと思われる。
少なくとも彼の反応は、決して悪くはないものだった。
事件を解決した後で、あの主人と『対話』を行う事になりそうだ。
お膳立てはロダンが整えてくれる。
そこから先は、『ノエ次第』という事になるだろう。

184ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/11(水) 22:27:53
>>183

「……わかった」
そう、一言だけロダンへ頷きと共に返す。

独善とすら、こんな発案には呼称されない。オレのエゴで身勝手な振る舞いだ。

ただ、それでも……それでも、オレの中の過去にしようとしてる
未だ捨てきれない感情が、陳腐とも言える願いに縋り付いてる。

 踵を返し、塞川氏と空き巣二人の方へ戻る。
スマホを操作しつつ、二人の男に僅かに目線をきつくしつつ告げる。

「……オレは、あんた等に危害を加えた事に後悔はしないよ。
それが、あの瞬間にとってのオレの正しい事だったから」

罪は罪だ。オレも『咎人』であり、贖罪の方法を探し続けてる。
 この二人の罪は……まぁ、後悔の言葉とゼロ・モーメントの攻撃で
恐怖を味わった事で清算されて良いだろう。

「ただ……そうだな。『仕事をしてみる気はあるか?』
……今すぐって訳じゃないが、宛てがあるんでな。
 ……盗みに入る度胸があるんなら、よく知らない男が勧める仕事を
受ける程度は楽な事だろ?」

 その気があるなら、電話番号を告げてくれ。
言い終えると共に、聞きたい数字が聞けたなら登録する。
 及び腰で、そのまま帰るなら引き止めはしない。
オレに出来るのは選択権を与えるだけだ。それでも相手がその選択を
拒絶して、暗い道先で再度邂逅するなら……オレはただするべき事をするだけだ。

どちらにせよ、空き巣二人とは此処で別れる。いま塞川氏のスタンドの憑依に関して
スタンドの知識ない一般人二人に羽田の息子または娘夫婦の家を探す手伝いを
させる気もないし、家の中を探せば手掛かりも有るだろう。

「待たせて済まない」

塞川氏に謝罪しつつ、空き巣二人が完全に去ったら……二階の『置物』へ向かおう。

185塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/12(木) 21:16:22
>>183-184
(さて、これで少なくとも奴らが意趣返しに通報して
面倒な事になるという事態は避けられたか。
奴らの心情的に元々可能性の低い話ではあったがな)

そこで『ノエ』の行動に気づき、肩に手を回して顔を寄せ、
男達へ背を向けて小声で話す。

「おいおいおいおいおい、何やってんだ?
ほっとけ! 野良猫に餌やるのとは訳が違うんだぜ」

186『微睡のN』:2023/01/12(木) 22:43:27
>>184(ノエ)

ノエの言葉を聞いた二人は、互いに顔を見合わせた。
どちらも無言だったが、考えている事は同じだったらしい。
短い沈黙の後、頷いて『同意』を示す。

「そこまで期待してる訳じゃないが……あんたの話は覚えとくよ」

「……気が向いたら連絡してきてくれ」

それぞれの電話番号を伝えると、彼らは今度こそ立ち去っていく。
窓からではなく玄関からだ。
入れ替わるようにして、家の中にロダンが入ってきた。

《さて、『アクシデント』は処理できた。
 『確認』に向かうとしよう》

待機の必要がなくなったため、ここからは彼も同行するようだ。

>>185(塞川)

ノエの言動からは、少々『深入り』しすぎているような印象を受ける。
『気負いがある』とも言えた。
今に限った話ではなく、どことなく危なっかしい雰囲気が拭えない。
それを鑑みると、塞川の懸念は至極真っ当だ。
幸か不幸か、『ひとまずの話』は済んでしまったらしい。

《確かに『猫に食事を与える』のとは大きく違う》

ふと、背後から聞き慣れた『声』がした。
いつの間にか入ってきたのか、ロダンが塞川の足元にいる。
皮肉めいた言い回しだったが、特に気分を害した様子はない。

《彼らに通報される心配はないとしても、
 遺族が整理にやって来る事までは否定できないといったところか》

《もっとも、その可能性も高くはないだろうがね》

現状、この空き家に『新たな来客』は訪れそうにないが、
早めに確認するに越した事はないのも確かだろう。

187ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/14(土) 00:00:24
>>185-186

>ほっとけ! 野良猫に餌やるのとは訳が違うんだぜ

「……オレが飛躍の発想が得意だって、言ったな」

電動ポットを元の場所に戻しつつ、告げる。

「別に善意でやってる訳じゃない。これから、また日常に戻って
ふっ、とした無意識に視線をやったラーメン屋のテレビだが拾った古新聞に
あいつ等の名前が悪い方面で載ってたり、風の噂で訃報を知ったら。
 何もせずオレが見送った所為だからかな、って寝覚めが悪くなるだろ?」

やらずに後で後悔するなら、やって後悔した方がマシって話だ。

「オレがエゴイストってだけの話だ」

この話は、これで今は終わりだ。


「もし、ここの親族が来るなら。ロダン、あんた利用していいか?
 オレと、塞川で。飼ってた何処ぞの猫が逃げ出して
探してたら、ここの家に入り込んだので……って感じだ」

「窓が、少し開いてたとかの嘘も……大体信じれるだろ」

親族が突然来る可能性は低い。でも、0では無い

空き巣よりも、今起こりえる最悪のケースだ。
 塞川とオレなら、ほぼ言い訳が通らないが。今はロダンが居る。
なら、最悪のケースは回避可能だろう。

会話しつつ、二階へ向かう。目当ては、変わりなく『置物』だ。

188塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/14(土) 23:27:44
>>186-187
「そーかい。
難儀なやつだな、まったくよ」

呆れたような、しかし何処か嬉しそうな口調で答えて背を叩く。

「さて、改めて家探しをさせてもらうか。
2階だったな?」

そして、ノエとともに階段を探して登っていく。

189『微睡のN』:2023/01/15(日) 15:00:14
>>187(ノエ)

一度は忠告したものの、塞川はノエの考えを強く否定しなかった。
むしろ『納得された』と言えるのかもしれない。
ノエの考えも塞川の考えも、どちらが正しいというものではないが、
互いに補完しあう事は出来る。

     《好きにしたまえ》

《実の所、私も『そうしよう』と思っていた》

それはロダンも同じだ。
『人間』は社会の規範に縛られるが、『動物』は例外。
定められたルールから外れる行動を取ったとしても、何ら不思議はなく、
どうとでも言い訳は立つだろう。

>>188(塞川)

あの二人が今後どうなったとしても、塞川達には関係のない話だ。
しかし、ノエは自ら関わる事を選んだ。
あるいは、『今の彼』がある理由も、
そうした性格に起因しているのかもしれない。
彼には『抑え役』が必要なのだろう。
この場において、それは塞川だ。

《――――『あの男の臭い』がするのは…………》

     《『こちらの方向』だ》

先導するように、ロダンが階段に向かっていく。

>>(ALL)

階段を上り、二人は二階に到着する。
部屋は幾つかあるが、全てを覗いたとしても、さほど時間は掛からない。
捜しているものは、すぐに見つけられた。

《有名なのは『四つ葉のクローバー』だが…………》

これは――――――『蹄鉄』の置物だ。
アルファベットの『U』を思わせる形。
そこが指定席であるかのように、飾り棚の中央に鎮座している。

《『蹄鉄』も『幸運のシンボル』だ。
 飾る時の向きは地方によって異なるが、開いた方を上にする場合は、
 『降り注ぐ幸せを受け止める』という解釈がされている》

ゴムボールの『U』が意味するもの。
おそらくは、二人の目の前にあるのが、その答えだ。
そして、『持ち主』と『羽田』に関わりがある事も、ほぼ確定的となった。

《我々にとっての『幸運』になってくれるかは別としても、
 この家は詳しく調べる価値がありそうだ》

整理が進んでいるらしく、どの部屋にも空きスペースが目立っていた。
そこまで苦労はしないだろうが、ある程度の『見当』は必要になる。
『どんなものを見つけたいか』という当たりをつけて、探さなければならない。

190<削除>:<削除>
<削除>

191<削除>:<削除>
<削除>

192塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/16(月) 21:18:59
>>189
「博学だな、『ロダン』。
ふーむ、この家の関係性がまだはっきりしない以上……
取り敢えずは似たマークがついているものを探すか。
あとは、そうだな……寝室がまだ残ってるなら見てみたいって感じか」

まずはその当たりに目星をつけて家を探索する。

193ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/17(火) 16:25:36
>>189-192

「やはり、『蹄』のマークだったか」

驚きは無い。ある程度、想定はしていた推理だ。

大事なのは、その中で『何故、そのマークをボールに描く事になった』か。

一つ、一つ大切な要因のピースが見つかってる。だが、ピースとピースの
間にある『過程』の部分の欠片が抜けている。

「……ロダン」

いま、この中で一番役に立っているのは彼だろう。

「……この『蹄鉄』に、一番残る『匂い』はわかるか?」

「その匂いと同じ程に残る部分を辿れるなら……其処が要かもな」

知恵者の彼を警察犬代わりにするのは、少々使い走りが荒いと思う。

だが、オレの力でも塞川氏の力でも解明するには足りない。
 ロダンの力が、いま一番自分達が追うべき答えに必要だ。

「『寝室』……か。そうだな、羽田婦人の普段使ってた私室」

「……或るいは、彼女の『片割れ』か?
 羽田氏には、間違いなく孫が居る。なら、娘か息子を産んでる。
なら夫となる存在が居た筈だからな」

「……蹄鉄の元々の持ち主も、もしかすれば彼女でなく、その彼だったかも知れない」

オレの主観だが、蹄鉄は『お守り』。
 彼女自身が購入したものでなければ、彼女を大切に想っての『贈り物』と
考えると、しっくり来る。なら、両親か夫だ。自然に考えると。

今の考えられる想像は、これ位だ。これ以上は『探索』から有力な情報を探そう。

194『微睡のN』:2023/01/18(水) 20:49:29
>>192(塞川)

さっき確かめた部屋の中に、
『寝室』らしい場所があった。
踵を返した塞川は、そこに足を踏み入れる。
空っぽのベッドがある他は、
サイドテーブルと大きな洋箪笥くらいだ。

箪笥は開け放たれていた。
『先客』が探ったのだろうという事は一目瞭然だ。
ごく普通の衣類が入っている程度で、
これといって注意を引くものは見当たらない。

サイドテーブルには、
小物を入れられる『引き出し』が付いていた。
こちらは閉まったままだ。
一見して分かりにくい位置にあるため、
単純に見落としたらしい。

テーブルの足元には『写真立て』が落ちている。
ちょうど床の上に伏せられたような状態になっていた。
状況から判断すると、
空き巣の男が倒してしまったようだ。

>>193(ノエ)

ここまでは、事前にノエが予想していた通り。
豊かな想像力によって紡がれた推理が、
正しく裏付けられた形だ。
二人の調査は、
少しずつ『ナイトメア』に近付いている。

《アイディアは悪くないが、その実現には大きな困難がある。
 『普段から身に付けている品』ならまだしも、
 『置物から匂いを辿る』というのは不可能に近いのだよ》

発想は良かったものの、ロダンは難色を示した。
現実的ではないという事だろう。
その後で、さらに彼は言葉を続ける。

《しかし――――――》

《サイカワが持っている『ゴムボール』………………》

《『そこから嗅ぎ取れた匂い』なら、まだ『覚えている』》

不意にロダンが歩き出した。
進む方向は、先に塞川が入った部屋。
『寝室』だ。

《『それと同じ匂い』を探す事は可能だがね》

ロダンは寝室の中央で足を止めた。
意識を集中しているらしく、両目を閉じている。
やがて、彼は片方の目だけを開けて、
ある一点に視線を向けた。

《…………『その辺り』を確認してみたまえ》

ロダンが見ているのは『ベッドの下』だった。

195塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/18(水) 21:32:23
>>194
「手当たり次第調べても、
多少は奴らのせいにできるのも運が良かったな」

サイドテーブルを開き、写真立てを元に戻す。

「なるほど、猫の嗅覚か。
それは良い考えだったな。『ノエ』、何がある?」

196ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/18(水) 23:01:00
>>194-195

「……わかった」

「……オレ達は、『核心』へと、『真相』へ近づいて行ってる」

必要な事だから、自分達に及んでいる害を取り除こうとする為
 現在進行形で起きてる災いを広げない為にだ。

「……これは、正しい事だ」

言い聞かせるようにして、ベットの下にある物を探る。

197『微睡のN』:2023/01/19(木) 18:12:14
>>195(塞川)

現場が既に荒らされている以上、
少しばかり探ったとしても大した違いはない。
『空き巣を防いだ』という大義名分もある。
塞川達にとって、彼らがいた事は好都合だったのかもしれない。

       コトッ

写真立てを元に戻すと、枠の中に収まっていた『写真』が見えた。
幼い少年と老婦人だ。
並んで写る二人は、明るい笑顔を浮かべている。
一方は間違いなく『羽田衣代』だろう。
では、もう片方は――――――。

         カララッ

続いて、引き出しを開けてみる。
そこには『小箱』が入っていた。
装飾が施されているところを見ると、『宝石箱』らしい。
これに気付いていれば、確実に盗っていたはずだ。
様々な意味で『不幸中の幸い』と言える。

>>196(ノエ)

覆らない事実として、塞川は『危害』を加えられている。
生命に直結するような事態ではないとしても、
『スタンドによる攻撃』には変わりない。
それを解決するためには、この家を調べる事は必要な行為だ。
誰も責めはしない。
ノエの心の中に、罪の意識が存在していたとしても。

        ――――――ソッ

ベッドの下を覗き込むと、何か『小さなもの』が落ちているのが見えた。
奥の方にあるため、手を伸ばしても届きそうにない。
ベッド自体を動かすというのも、少しばかり骨が折れそうだ。
しかし、手段は幾らでもある。
『ナイトメア』を追うノエ達も、『スタンド使い』なのだから。

198塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/19(木) 20:36:52
>>197
「おいおい……マジか。
こりゃ、あんたの推理が良いセン行ってるんじゃあねーか。ほれ」

写真を『ノエ』にも見せてやる。
そして、何の気無しに宝石箱を開く。

(……時間がないわけじゃあないが、
無駄にするのも良くないか)

『クリスタライズド・ディスペア』一羽を室内に放ち、
『子供部屋』があるかどうかを探す。
空き巣が入っていたなら、ドアも基本的に開きっぱなしだろう。
そして、『ノエ』がベッドの下のものに苦心しているようなら、
スタンドを潜り込ませて『何か』?くらいは確認するし、
要請があれば手伝う。

199ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/21(土) 12:50:29
>>197-198

「……オレ達の、到着点は」

写真に強い視線を一度注ぎ、そして逸れてベットの下に向かう。

「……その子、かもな。……少し待ってくれ」

 ――死滅回遊

 さっき(>>179)溜めたビニールの水。そこから
ゴルフボールサイズで、死滅回遊弾を一つ生成。

 ――ビュゥゥンッ タンッ  パシィッ

そして、ベットの下にある小さなものへ走らせ。勢いつけて
こちらの方角に打つ。ビリヤードの玉で玉を弾くようにだ。
 手元を伸ばせば取れる距離までは弾き飛ぶだろう。
役目を終えた弾丸は、ビニールの中へ解除して戻す。
 間に合わないようなら、少し床が濡れるが再発現を数日待つよりは
30秒の方が好ましい。ビニールに戻せなければ途中で解除して液体に戻す。

(さて…『小さなもの』
鍵……または)

200『微睡のN』:2023/01/21(土) 20:14:53
>>198(塞川)

宝石箱の中には、アクセサリーが幾つか入っていた。
ペンダント、イヤリング、ブローチ。
いずれもデザインに『蹄鉄』が取り入れられている。
先程の置物と同じ。
『持ち主』は、このモチーフを好んでいたようだ。

         バサササァッ

『ガラス細工の鳥』を差し向け、確認できる限りの部屋を見て回る。
それによって分かったのは、
この家に『子供部屋は存在しない』という事実だった。
核家族化が進んだ現代、祖父母と別居しているケースは珍しくない。
少なくとも『祖母と孫の二人暮らし』ではなかったという事だ。
おそらく少年は『両親の家』にいるのだろう。

>>199(ノエ)

        バ シ ュ ウ ッ !

心の中で強い予感を抱きながら、二度目の『死滅回遊弾』を放つ。

     ――――ガッ!

狙うのは、壁を利用した『跳弾』。
目標までの距離が近かったため、それは問題なく成功し、
予定通り解除まで済ませた。
手元に引き寄せた『それ』を確認する。
小さくて薄いが、鍵ではない。
もっと軽いものだ。
   ……………… ……………… ………………

『蹄鉄の形』に折られた紙。
それは『折り紙』だった。
ひっくり返すと、拙い文字で、
『おばあちゃんへ』と書いてあるのが読み取れた。

201塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/23(月) 20:53:16
>>200
(ということは、ボールもこの家から持ち出されたのか。
やはり『スタンド』と直接は関係していないモノって事だ)

アクセサリーに触れず、宝石箱をそのまま元の位置に戻す。
そして、『ノエ』の肩越しに『折り紙』を覗き込む。

「あけてみな。
『手紙』かもよ」

202ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/23(月) 21:10:55
>>200-201

「……わた……オレの個人的な意見としては」

折り紙を掲げるようにして、見て、呟く。

「こいつは、元の場所へ、所有する人に返すべきが『筋』だと思うんだ。
ゴムボールと同じように……オレが見るものじゃないと思う」

「だが、どうしても見たいって言うなら……あんたが持ってくれ」

塞川に手紙を渡す。
 『憑依』されてる彼女が、今は持つのに相応しいだろう。
オレには見る資格はない。

203塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/24(火) 08:12:58
>>202
「あぁー?なんだ『ノエ』、私に『デリカシー』が無いって言いたいのか?
ま、別に否定はしねーが。
めんどくさいヤツだぜ」

ノエの手から折り紙を取り上げて開いてみる。

204『微睡のN』:2023/01/24(火) 16:44:21
>>201-203(ALL)

塞川が主張する『客観的な正しさ』を、
ノエが持つ『個人としての価値観』が妨げる。
意見の相違は多少あったものの、『塞川が開く』事に関しては、
二人の考えは一致していた。
結果として、『中身』を目にしたのは塞川だけだ。

         パラ…………

――――――――――――――――――――――――――――――

このまえは、ごめんなさい。
ボールかってくれて、ありがとう。
びょうきがなおるように、おまじないをかいたよ。

――――――――――――――――――――――――――――――

塞川には、そのような文面が読み取れた。
ごく短いものだが、やはり『手紙』だったようだ。
見る事を辞退したノエの視界には入っていない。

  《これからどう動くかね。まだ調べるか――――》

             ジッ

        《それとも『向かう』か》

ロダンの視線は『先程の写真』に向いている。
正確には、その『背景』に。
二人の背後に映っているのは『家』だが、『この家』ではなかった。

205塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/25(水) 22:02:12
>>204
「おっと、確かにこの『家』から辿れるな。
かなり『近づいて』は来てそうだな。
次はこの『子供』……こいつが『お兄ちゃん』で間違いはないだろう。
こいつを探すぜ」

写真立ての写真をスマホに収める。
部屋中を見渡した後、『ノエ』へと声を掛ける。

「行くぜ『ノエ』。
……私は目的のためなら手段を選ばないってタイプでもないが、
優先すべき事はわかっているつもりだ。
誰でも何もかも上手くやるなんてことは出来っこないからな。
あんただってそうだろ?」

ノエから特に提案がなければ、次は写真たての中に映る少年と家を探すべく行動を開始するつもりだ。

206ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/01/26(木) 11:36:16
>>204-205

>行くぜ『ノエ』

「……あぁ、わかってる。
痛い程……わかっている」

 手を伸ばして、触れたい光へと。離れていったのは自らの罪で。

オレが……『わたし』の原罪は、そこから『ノエ』に至った。

 別離の為に支払った物理的な傷は全て治っている。
でも、きっと今も……この心の中には治らなくて、治さない瑕が残っているんだ。

「……『年賀状』などは?」

僅かな逡巡の間を終えると、淡々とロダンと塞川へ顔を向け手段を提示する。

「娘か息子夫婦……どちらか不明だが、多少離れた場所なら
年賀状ぐらい渡そうと作る可能性はある。
 私室の引き出しなどに、写真立ての家に送ろうとした手紙があるかも知れない」

既に、身辺整理で持って行った可能性はあるが……と、既に家探しを
している手前、得られる手掛かりは、この方法と……。

「……あとは、此処の近隣の人たちに直接話を聞いてもいいんじゃないか?」

「老婦人の基本一人暮らし。何かと近所と接点はあった筈だから……。
オレ達は猫探しをしていた。そして、猫が家に入って……その折り紙を
銜えたのを発見した。送り先の人に返したい」

そう事情を話せば、無碍にする人間も少ない筈だ。

小林は、最後の最期の旅で街の人々の善意と黄金の意思を織った。
 少なからず、例外や交錯してきた中にある邪悪も知ったが
大半は良い人であると思っていた。

 「……オレから提案出来るのは、こんな所だ」

207『微睡のN』:2023/01/27(金) 00:49:25
>>205(塞川)

撮影された写真は塞川のスマホに収められた。
細部を詳しく観察すれば、他にも分かる事が出てくるかもしれない。
いずれにせよ『次の目的地』を指し示す手掛かりだ。
場合によっては、そこが『最終目的地』になる可能性もあるだろう。
確実に『近付いている』。

《こんな時に言うべきではないかもしれないが、
 私は『愉しみ』にしているのだよ。
 この事件に向き合う君達の『行く先』を見届けたいと思っている》

《どのような形であったとしても、それは私にとっての『プライスレス』だ》

スフィンクスが発した言葉は、どこか『愉悦』のような色味を含んでいる。
何よりも『知性』を重んじ、あらゆる『謎』を追求する事が、彼の生き甲斐。
二人が行ってきた調査に対しても、
ロダンは独自の『価値』を見出しているのだ。

>>206(ノエ)

ノエが――――――小林丈という青年が背負った『罪』。
それは『誰に対してのもの』というよりは、
むしろ『彼自身』が自らに課した『罰』であろう。
だからこそ、その戒めからノエを救える者がいたとするなら、
それは究極的には『ノエ自身』に他ならない。
しかし、『解脱』に至る道を踏破するには、個人の力だけでは限界がある。
そのために、ノエは『小さな光』に手を伸ばそうとしているのかもしれない。

《なるほど――そういう事も考えられるだろう。
 実際に確認するのは、大した手間ではないはずだ》

元々、品物は少ないのだ。
調べ尽くしたとしても、さほど時間は掛からない。
結論から言うと、『少年が暮らしているらしい住所』に繋がる郵便物を、
この家から発見するには至らなかった。
最初からなかったか、もしくは既に片付けられてしまっているのだろう。
残念ながら、この線からは辿れそうにない。

《――――君の案そのものは否定しない。
 否定しないが…………
 『その家に置いておけばいいではないか』と返されてしまえば『それまで』だ》

    《『急を要する』というなら別だがね》

『折り紙を咥えて出てきた猫』というシチュエーション自体は、
それほど不自然にはならないだろう。
だが、それなら元の場所に戻せばいいだけだ。
空き家であったとしても、親族は立ち入っているのだから、
わざわざ手間を掛けて探す理由がない。
却って不審に思われる可能性もある。
浮浪者さながらの風貌も、その懸念を強めてしまう事が予想できた。

208塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/01/29(日) 19:46:57
>>207
「ちっ、あんたの言うとおり、
『住所』に辿り着けるものか、それに近い『アイデア』がなけりゃ日が暮れそうだな」

しばらく家探しをして成果を得られず、
再び寝室へと集合して、再度『写真立て』を手に取る。

「せめてこの『写真』。
これがどこかわかれば良いんだが……」

ノエと一緒に写真を観察する。

209ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/01(水) 10:38:02
>>207-208(レス遅れ大変失礼しました)

「オレ達が、行く先……か」

そこは、決してオレが得たい答えのある場所では無いだろう。
 然しながら、取っ掛かりには成り得る。そう、信じたい。

>めてこの『写真』。
これがどこかわかれば良いんだが

「家の表札が隠れてたとしても……だ」

写真には、位置情報が記録されるらしい。
 それを解析するとなれば……。

「――Exif-GPSとか、か……」

塞川氏はスマホを写真に収めたが、写真を撮影した画像で
位置情報を特定する事が出来るのか、未知数だ。
 この写真自体をPCなどの専用の器具で読み込んで調査も出来るだろうが
塞川氏のナイトメアの影響を考えれば、今日中に幕を引くのが最善だろう。

「それと『裏側』かな」

「履歴書用で無いのは確かだが……仲睦まじそうな、見ていて飽きない写真だ。
 なら、思い出の記録として日付や、この子の名前が書いてる可能性が
あるんじゃないか?」

写真自体の風景も大切だが、写真立ての裏にあるであろう白紙部分にも
何かメッセージを残してる可能性がある。

二人。塞川氏とロダンに異議が無ければ、写真立てから外して裏を見てみる。

210『微睡のN』:2023/02/04(土) 18:56:57
>>208-209(ALL)

塞川が写真を詳しく観察すると、
まもなく『背景の一部』が目に留まった。
特徴のある大きな建物。
奥の方で見切れているが、これは『小学校』だろう。
おそらく、そう遠くない場所にあるはずだ。
ここを起点にして移動すれば、正確な『住所』を特定できそうだ。

        ――――――コトッ

そして、ノエが写真をひっくり返し、裏面を確認する。
そこには『日付』が綴られていた。
『数年前』だ。
それを計算に入れると、被写体である少年も、
少し成長した姿になっているだろう。
今は『9歳くらい』だろうか?

  《これで『住所』は掴める。
   しかし、登校しているのなら『待つ』のが無難だ》

     《『私だけ』なら入れなくもないが…………》

まだ『午前中』。
普通の子供なら、学校に通っている時間帯だ。
事情があって家にいる可能性はあるが、
そうでなければ待つ事になるだろう。
無論、その間にも『出来る事』はある。
これまで確認した場所や人に、改めて当たってみれば、
新しい情報が見つかるかもしれない。

211塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/06(月) 14:50:04
>>210
「たしかに『小学校』なら、出待ちしてりゃ会えるかもな。
場所の特定も、すぐに出来そうだ」

スマホで付近の小学校を調べ、写真の中のものを外観から特定する。

「『小学校』が終わるのは、2時か3時か……そんなもんか?
1時くらいまでは時間があるな。
次はどこに当たる?
『ノエ』、あんたは、昨日病院に行ったんだよな」

212ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/07(火) 11:05:43
>>210-211

>あんたは、昨日病院に行ったんだよな

「『橋爪』……そう呼ばれる患者が、今日の定期健診で
病院に来る。そうは聞いたが……オレ達は、既に目と鼻の先に
答えが出てると思うが」

既に中核に近しい、羽田老婦人の家にたどり着いた。
 その孫の家も、写真と学校の距離を目測すれば、自ずと
どの角度から撮影され、どの場所かは解る。

一応、スマホの地図検索で近くの小学校を絞りつつ次の言葉を巡らす。

「……学校に赴く……か。オレは『欠席』してると思うな。
このスタンドが、仮に写真の少年が本体の場合なら……暴走させてるような
状態で学校にまともに通えるのか? って考える。
 ……通えてる、可能性もある。ナイトメアのスタンド自体が少年よりも
老婦人の方を本体としてたなら」

既に、事件の核心に近づいてる。ここで、まだ問題があるとすれば
『ナイトメアの本体』なのだ。

 まず、暴走になった起因は『羽田衣代の死』だ。
そこから、この事件は始まった。

スタンドの暴走。この点に関して、二つの線が考えられる。

一つは、少年自身がスタンド使い。そして、最愛の祖母が死んで
スタンドを暴走させた。仮説としては自然だ。
 その場合、少年の暴走が続いてるのなら、公園の『チエ』と言う子の
証言含めて、家に閉じこもってる可能性が高い。

二つ目の仮説は、このナイトメアは確かに羽田衣代を宿主としてたが
明確には、羽田婦人のスタンドでなく、元々ナイトメアは自立型で
今まで家系とか複雑な背景も相まって羽田老婦人の守護をしてたが
それが無くなった事で暴走状態になったと言う可能性。

どちらも可能性、まだ推測の域を出ない。

……なら。

「……『写真の家』 そこへ向かわないか?」

「別に、オレは病院へ向かうのも反対しない。
だが、学校が何処かだけは確かめてからにしよう」

213『微睡のN』:2023/02/07(火) 19:09:23
>>211-212(ALL)

この近辺で小学校といえば『天ノ川小学校』だ。
建物の外観も一致している。
まず間違いない。

《――――『公園に行ってみる』という選択肢もある》

二人の会話を一通り聞いて、ロダンが口を挟んだ。

《サイカワが出会った『チエ』だが……昨日は落ち着いて話せるだけの時間がなかった。
 『幼稚園』なら帰宅は早い。
 小学校の授業が終わる前に、『昨日の補完』をする事も可能だろう》

《彼女は『最近は来ていない』と言ったようだが、
 私は何か『引っ掛かり』を感じるのだよ。
 『ナイトメアが現れた時期』と『家主が亡くなった時期』に『ズレ』が窺える》

            スタ スタ スタ

スフィンクスは部屋の入口に歩いていき、そこで立ち止まった。

     《しかし、私が単独で動く訳にもいかない。
      君達の判断に従おう》

『写真の家に向かう』――塞川に他の提案がなければ、ノエの考えを実行に移す事になる。

   《ノエが言うように、既に『終着点』は近い。
    『ナイトメア』を解除させるだけなら、『遠回り』は不要だろう》

        《仮に『謎が残る』としても、それも『一興』だ》

そのように付け加えると、彼は二人を一瞥する。
『手っ取り早く片付けよう』と思えば、その『方法』はある。
逆に、『全てを解き明かす』のなら、多少の『回り道』は必要かもしれない。

214塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/09(木) 20:32:25
>>213
「ふーむ。それならここはひとつ、
ロダン先生の案を拝借するかな」

髪を手で梳き、少し考えつつ発言する。

「学校を休んでるか休んでないか?
どっちにせよ下校の時間に訪ねることに裏目はねえ。
それなら先に公園で時間を潰してから、家に向かう。
これでいいだろ。
さて、行こうぜ。公園なら私が案内する」

215ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/10(金) 14:56:37
>>213-214

「異論はないよ。解除させるだけなら、直接家に辿り着けば良いかも知れない」

 「でも、オレは出来れば全ての事柄を納得出来たら、それが良いと思う。
後で、こうしておけば良かったって何度も思い返したくない」

振り返る度に、苦しみを覚える。それは、とても辛い事だと骨身に染みている。

「さっきの、あの空き巣の二人の事も……そう言ったオレの我儘だから」

「もう少し我儘を通させて貰う。頼むよ、塞川」

彼女の案内で公園へ向かう。ただ……オレの容姿や恰好だと子供は怖がるだろう。
 そこだけが、不安な所だ。親御さんも居るなら、最悪、通報だな……。

216『微睡のN』:2023/02/10(金) 18:20:07
>>214-215(ALL)

金色に輝くアーモンド形の瞳が、塞川とノエを順番に見つめた。

      《私は君達の『希望』を尊重する》

                 《行くとしよう》

                    ザ ッ

『方針』を纏めた二人は、肩を並べて羽田家を出た。
昨日から今日までの『調査』が、『ナイトメア』の真相に迫っているという『確信』と共に。
あとは『どう終わらせるか』だけであり、その権利は塞川とノエが握っている。

     ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

                    「『おねえちゃん』」

             タッ タッ タッ

   「こんにちは〜」

公園に入ると、そこにはタイミング良くチエがいた。
塞川の姿を見つけて、向こうから近寄ってくる。
幸いと言うべきか、周辺に保護者らしき人物は見当たらなかった。
もしノエが一人で向かっていたとすれば、何らかの差し支えが出たかもしれない。
しかし、『塞川の友人』だと思われたらしく、特異な風貌を警戒した様子はないようだ。

「――――あ、『ネコちゃん』だぁ」

ただ、チエに気付かれたロダンは、やや微妙な表情を浮かべているように見えたが。

          《サイカワ、ノエ――――》

               チラ

翼を折り畳んだ『ストーン・エイジ』が、二人にアイコンタクトを送る。
『何を尋ねるか』。
そのような意図を込めた合図だ。

217ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/13(月) 11:24:41
>>216

 ロダン、そして塞川にアイコンタクトをして
最初に自分が『チエ』へと尋ねる事にした。
 屈んで、目線を合わせて。ゆっくりとした口調で告げる。

 「……やぁ、オレは、そっちの……おねえちゃんの知り合いで
仕事仲間でね。ノエって言う名前なんだ」

よろしく。と短く自己紹介をやりとりして、本題へ入る。

「……実は、前まで君が遊んでた、お兄ちゃんの事をちょっと聞きたいんだ」

「最近会わなくなる、その少し前に……普段遊んでる時と
ちょっと様子が違ってたりとかしてなかったかい?」

最初は、羽川の少年の様子。それを聞くべきだろう。

 落ち込んでた様子だった、悲しんでた様子だった。
そう言う簡単な部分から掘り下げていこう。行き成り、核心を狙って
直球な質問をするのは早計だ。

218塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/13(月) 22:08:18
>>216-217
(『ノエ』……こいつ、意外とというか、普通にまともだな。
なんというか……『ギャップ』を感じる。
内面と、外見との)

自分が手をこまねいている内に、ノエが聞きたい事は聞いてくれたようだ。
自分は周囲の様子を見ながら話を聞く。

219『微睡のN』:2023/02/13(月) 22:43:45
>>217(ノエ)

何といっても相手は幼い子供だ。
理解力が年相応である以上、尋ね方には気を配らなければならない。
この状況において、ノエの判断は極めて正しかった。

「――んーとね」

『最後に会った時』を思い出しているらしく、チエは考え込む素振りを見せる。

「ちょっとゲンキなかったかもー。
 でも、『大丈夫?』って聞いたら、『大丈夫』って言ってたよ」

「だけど、ずーっと来てないの。
 やっぱり大丈夫じゃなかったのかなぁ……?」

ノエの問い掛けが引き金になったのか、少女は心配そうな表情に変わった。
少年の様子が『普段と違った』のは確かなようだ。
少なくとも、チエが気付ける程度には。

>>218(塞川)

ほんの短い付き合いだが、ノエの人間性について理解できた事は少なくない。
彼の風貌は確かに異形ではあるものの、内面には他者を気遣う繊細さを秘めている。
そうした部分は、空き巣に対する態度からも分かる事だ。

   《サイカワ――――君の考えを聞いてみたい》

         スッ

     《『ナイトメア』の本体に関して、どう思っているのか》

ロダンは一歩下がり、塞川に意見を求めてきた。

     ……………… ……………… ………………

塞川達を除くと、今のところ公園内にはチエしかいない。
これは幸運な偶然だろう。
まるで街中に生じた一瞬の空白のように、辺りは穏やかな静寂に包まれている。

220ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/14(火) 10:56:17
>>219

「そうだな……心配だよな」

「…………多分、お兄ちゃんが元気が無かった理由だけどさ。
ちょっと大事なものを、なくしたからだと思うんだ」

 「代わりになるものじゃない、大切なものを、さ……」

(まず、間違いなく少年は祖母を亡くした)

これは確かだ。病院での話、葬式案内、身辺整理をしてる空き家。

羽田衣代は、確かに亡くなった。四週間前。

そして、ナイトメアの暴走期間。約一週間程前であったとして
約三週間のズレが見える。

(その『ズレ』は何故起きたのか……オレが推理するに、だ)

懐に携行してるペットボトルの水にゼロ・モーメント一体を発現。
死滅回遊の弾丸じゃない。スタンド会話をする為にだ。

『ロダン、ズレの原因だが……【魔法が解けた】って考えはないか?』

『この場合の魔法って言うのは……小さな子供は、空飛ぶサンタや
テレビのヒーローが本当に居るかも知れないって信じてた頃がある。
 まぁ、スタンドで似たような事が起き得る可能性はあるが……大抵は
夢は夢で儚い。……羽田少年も、時間と共に祖母の死と言うのを
受け入れて、もう戻ってこないと言うのを理解した。
 それが原因で、ナイトメアが産まれた……って説だ』
 
 子供にとって、死生観の概念は時に曖昧な時がある。

なら、最初に祖母が亡くなったと言う事実を直面しても
その情報を正常に処理出来ず、時間の経過でようやく受け入れた可能性がある。

そして、その痛み(現実)がスタンドの暴走を引き起こした。

気を付けなくちゃいけないのは、まだこれが可能性の域を出ないと言う事だ。

さも、これが有力であると言う感じで説明したが……別の可能性だって
無くはない。まだ、オレや塞川さんが見落としてる何かは有り得るのだから。

221塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/14(火) 22:13:52
>>219
「私の考え……そうだな。
私も、少しあんたのように『飛躍』を交えた推理をしてやるよ、『ノエ』」

『ノエ』の話を聞いた後、『ロダン』の言葉を受け、
目を瞑って少し考えを纏めて、おもむろに話し出す。

「ゴムボールが手嶋の手に渡ったのが2週間前。
私の前の2人の被害者が各々1週間程度は『もった』と考えて、
そこから『ナイトメア』の暴走が始まったと考えるのはどうだ?
もしそうなら『ナイトメア』の『本体』は因果関係的にも、
ゴムボールの持ち主の『お兄ちゃん』たる写真の少年に違いないだろう」

「先ほどの『折り紙』の情報によると、
あの『ゴムボール』は羽田衣代から買ってもらった、いわば遺品だ。
そいつを……なんらかの原因で無くしちまって、
それによって『スタンド』が動き出したってとこじゃあないか?
はっは、何故そんなに大切な『ゴムボール』を手放しちまったのか?ってのは、依然としてわからないままだがな」

「そして、もしそうならば……それはただの『暴走』じゃあねえ。
私は『ナイトメア』によって『不眠』になったわけじゃあない。
眠気を『奪われた』んだ。
奪われた『眠気』はスタンドを通じて『本体』へと向かう。
そう考えたなら、しばらく『公園』に来ないことの『つじつま』も合うだろうよ。
どっかで眠りコケてんのさ。
何もかも嫌になってな」

「『家』さえわかれば、この話の答え合わせはできる。
私も、何もかもが全て正解だと思っちゃいない。
だが、当たらずとも遠からずってとこだろうよ」

222『微睡のN』:2023/02/16(木) 21:06:20
>>220(ノエ)

「……そーなの?」

優しく諭すような言葉を聞いて、チエは小首を傾げる。
おそらく深い理解はしていない。
ただ、当の少年自身が口に出さなかったのだから、ノエが詳しく話す必要はないだろう。

「せっかく会えたのに、また会えなくなっちゃったから、チエつまんないなー」

少年の姿を探すように、少女は周囲を見渡すが、当然それらしい人物は見当たらない。
その様子をロダンが一瞥する。
しかし、ノエに話し掛けられた事で、そちらに視線を移した。

  《なるほど――――興味ある仮説だ。
   詩的な趣を含んでいるが、『面白い解釈』と言える》

     《『一つの可能性』として、それを否定する理由はない》

ノエの考察に耳を傾けたロダンは、尻尾を揺らしながら悠然と告げる。
明確に反対していないが、全面的な肯定もしなかった。
彼の見解は、その中間辺りといった所らしい。

>>221(塞川)

《つまり…………何らかの理由による『ゴムボール』の喪失が、
 『ナイトメア』を動かす直接の原因となった》

         《フム――――》

  《君は『飛躍の発想』も不得手ではないようだ》

何事かを思案しているように、ロダンが目を細める。
黄金色に輝く瞳の奥で、『知性の光』が瞬いた。
塞川の推察は、スフィンクスの関心を引いたようだ。

《実際の事件に臨む上で『全ての面において完璧な推理』を求める事は難しい。
 だからこそ、こうして話し合い、異なる意見を交換す行為には、大いに意味がある。
 そうした積み重ねが思考を洗練化し、
 『最も完成度の高い答え』を導き出す助けになってくれるだろう》

『完成度』――『Priceless』で出会った時、ロダンが塞川達に言った。
今の状況は、それと似ている。
『架空』と『現実』の違いこそあれど、向き合う為の基本的な方法は変わらない。

《サイカワの言うように、『家』か『学校』を確認すれば、自ずと『解決』の道は開ける。
 それが間違いないとしても、私も君達と同様に、可能な限りの『真実』を、
 『この目』で確かめたいと考えているのだよ》

   《…………君は『彼女』に尋ねたい事はないのかね?》

ノエと会話を交わすチエを横目で眺めつつ、ロダンは塞川に囁いた。

223塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/17(金) 15:50:13
>>222
「現状の情報で、家主が亡くなった時期とナイトメアが現れた時期、
その齟齬を解決する解釈として、私が立てられる仮説はそんなもんだ。
しかし、これもあんたの発想あってのものだがな。
ここまでこれた理由はな」

視線を『チエ』に移し、心配そうな表情を少し眺めた。

「聞く事……私は特に無いな。
いや………チッ、そーだ。『チエ』。
私たちは『お兄ちゃん』を探してるんだ。
もし会えたら、言いたい事があるなら伝えといてやるよ。
なけりゃあいい」

『チエ』と視線を合わせず、
それだけを言って反応を待つ。

224ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/17(金) 22:45:44
>>222

>せっかく会えたのに、また会えなくなっちゃったから、チエつまんないなー

「……ん?」

「・・・・・・・・・・・・
 また会えなくなっちゃった?」

(どう言う事だ? 子供特有の言い回し……と言うには語弊がある)

「チエちゃん、聞かせてくれないか?
――君は、お兄ちゃんと。前にも同じように会えない時があったのかい?」

225『微睡のN』:2023/02/19(日) 17:08:56
>>223(塞川)

チエの顔を眺めていると、初めて彼女に会った時の事が、無意識に思い出される。
『手嶋家』の付近に立つ塞川の足元に転がってきた『ゴムボール』。
それは『偶然』が招いた出会いだった。

《…………『心の問題』は、特に予想が難しい》

《君は『何故そんなに大切なゴムボールを手放したのかは分からない』と言ったが、
 それはサイカワが冷静であり、『合理的な思考の持ち主』だからだと、
 私は考えているのだよ》

《『人間』は――いや……全ての知性ある生物は、
 時として『合理的な思考に反する判断や行動』を選んでしまうものだ》

《その結果として生じた『過ち』は、枚挙に暇がない》

    《――――この世に『最大の謎』と呼べる何かがあるとすれば、
     それは『心の中』にこそ存在する》

金色の瞳を持つスフィンクスは、一言ずつ噛み締めるような口調で、塞川に告げた。
『大切な品を捨て置く』。
少年が取った行動も、ロダンの言う『範疇』に含まれているのかもしれない。

「えっと〜」

「あそべない時は、ちゃんと言ってねって」

「ゲンキなかったら、ムリしちゃダメなんだから」

「『この前』も、ずっと会えなくて、ホントは心配してたの」

「チエ、ちゃんと覚えてるよーって」

塞川の問い掛けに対して、チエは妙な言葉を口にする。
先程も『また会えなくなった』と言っていた。
一般的な感覚から考えて、『二度目』の前に『一度目』がなければ、
『また』という表現は使わないはずだ。

>>224(ノエ)

その瞬間、ノエの脳裏に『引っ掛かり』が生じた。
小さな違和感だが、大きな食い違い。
『また会えなくなった』。
よく考えてみれば、おかしな言い回しだ。
幼い子供に特有の表現とは、明らかに異なっている。

「えっとね〜」

「ちょっと前、久しぶりに会えたの」

「その時に『だいじょうぶ?』って聞いたんだよー」

チエの言い方は分かりにくいが、全体を纏めると次のようになる。
『最後に会った日の前後』に『空白の期間』があった。
今回は『二度目』であり、それ以前に『一度目』が存在していたのだ。

       《ノエ………………》

《『ズレ』の謎を解く鍵は、どうやら『その辺り』にあるようだ》

ノエを見つめるロダンは、どこか納得したような表情を浮かべていた。

226塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/22(水) 20:32:06
>>225
「そいつは、一人目の被害者(橋爪)と二人目の被害者(神尾)。
その間ってことじゃあないか?
最低限、説明はつくと思うが……だが、『ナイトメア』の私に乗り移った時の感じを見るに、
そんな『間』ってのが存在するのか?という点に違和感は残るがな」

自分で喋りつつも違和感を覚えて、
ノエへと振る。

「どう思う?『ノエ』。
別にこの問題は必ずしも解決する必要があるってわけじゃあないだろうが、
少し気にはなるな」

227ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/02/24(金) 18:01:28
>>225-226

(……そうか)

『``ズレ``が何故あったのか。そうだな、ロダン』

今まで解明出来なかった『謎』

・『家主が亡くなった時期』 『四週間前』

・『ナイトメアが現れた時期』
これに関しては、橋爪と神尾。どちらの被害者も大体一週間程度保ったとして
『二週間前』と過程する。そして、その空白の二週間のズレ。

少年……羽田少年は、チエちゃんと合わない空白の時期があった。

 『ナイトメアは、ある意味で【守り神】ではあったんだ』

恐らく、この空白の原因だが……。

まず、つい最近までチエちゃんと少年が会えない理由。
 これに関しては、ある種当然だが『スタンドの暴走』によってだ。
ナイトメアは憑依状態を繰り返してる。そして、そのナイトメアは
本体へ『エネルギーを還元』出来ない。だから、少年は心身を回復するのが
難しく家で寝込んでいる状態。

そして、『最初にチエちゃんと会わない第一の空白の期間』

『……恐らく、その時にスタンドが開花するタイミングがあった。
だが、自然にスタンドを宿すには相当の精神力が必要な筈だ。
 数日、寝込む位の事が起きていたって不思議じゃない』

だから、オレの推理はこうだ。

羽田老婦人の死亡→羽田少年がその死を起因としてスタンド使いとして開花
ナイトメアのスタンドが産まれる→少年の精神を元々助ける為であった。
少年は老婦人の死で少なからずショックを受けていた。
ナイトメアは少年を助ける為に無差別に対象から『眠り』と言う形で
少年を回復するエネルギーを得ようとしていた。

『で、ここでナイトメアの能力が誰かに憑依して無理やり眠りの
エネルギーを奪い、少年の何を目印にして戻っていくのか?』

『――それが、Uのゴムボールなんだ。
少年の宝物。それを目印にしてナイトメアは少年へ帰還して回復させる』

『……だが、ここで誤算が生じた。少年が、彼女(手嶋)に
ゴムボールを渡してしまった。ナイトメアは帰る目印が無くなったんだ』

『……本来のナイトメアは、相手を気絶させる程に眠りを奪う
憑依を与える存在じゃなかったんじゃないか?
 だが、少年の元に帰る宛てが無くなった事で、その能力が凶悪な形に
暴走する手段となった。それが、神尾や他の被害者の事件に発展した』

「……これが、オレの推理だよ」

 全ては憶測でしかない。

だが、これが真実に近いなら……目指すべくは少年の住まう家に間違いない。

ゴムボールを返す。そして……少年に必要なのは『それ以外』でもある。きっと

228『微睡のN』:2023/02/26(日) 23:02:48
>>226-227(ALL)

これまでに得られた情報に『チエの証言』を加え、ノエは自らの『推理』を語る。
『ナイトメア』を巡る事件において、『ゴムボール』は『重要な役割』を担った筈だ。
おそらくは『羽田衣代の死』にも匹敵する程に。

《………………なるほど》

《それは――――非常に『君らしい考え方』だ》

ノエの話を聞き終えた後、ロダンは静かに呟いた。

《『どれだけ持ったか』については、当人達の『健康状態』も関わってくる。
 彼らが万全のコンディションでなければ、もっと短い期間で倒れたかもしれない》

《サイカワなら一週間程度は『持つ』だろうが、
 それはともかくとして『私の見解』を述べよう》

《『ナイトメア』の能力は『本体の為にある』とする説には、私も同意見だ。
 それが最も『完成度』の高い答えであると見ていい》

《例の『老婦人の死』が、少年にとって『ショッキングな出来事』であった事は、
 まず間違いなかろう》

  《『だから来なくなった』とも解釈できる》

     《しかし、『一度は戻ってきた』。
      その理由は不明だが、ある程度の予想は立てられる。
      これも『シンプルな理屈』だがね》

           《その後で『また来なくなった』のは…………》

そこまで言うと、彼は言葉を切り、塞川とノエを順番に見やる。
言わんとする所は、二人共が理解できた。
『次の行き先』を打診しているのだろうと。

  《――――――『向かう』かね?》

『家』か『学校』か。
どちらにせよ『場所』は既に判明していた。
行こうと思えば、いつでも行く事が出来る状態だ。
チエは二人の傍にいる。
どこまで聞き出せるか分からないが、さらに深く尋ねたいのなら今の内だろう。

229塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/02/27(月) 20:27:18
>>228
「ふん……そーだな。
『答え』がそこあるなら、
わざわざ『問題文』を隅から隅まで見るってタイプじゃあなかったぜ、私は。
私達の推理が的外れじゃあなけりゃ、奴は『家』にいる筈だろ?
さっさと解決しようぜ、私の睡眠を妨げる奴は、誰だろうと容赦はしねえ。
『悪霊』だろうと『夢魔』だろうとな」

チエに軽く手を振ってやり、ノエに異論が無ければ『家』を探しに向かう。

230ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/01(水) 09:51:05
>>228-229

「……オレが思うに、この問題の『根幹』は。
ナイトメアよりも、難解だと思うけどな」

塞川の啖呵に、口を挟む訳ではないがポツリと呟く。

ナイトメアは、恐らく家に辿り着けば、自ずと解決する問題だ。

だが……ロダンの告げる通りだ。これは『心』の問題なのだろう。

解決する術……あるか?

「……『チエちゃん』」

別れる間際、彼女に聞く。

オレも、多分『彼』と同じように苦しみを抱えてる。
だから、解る気がするんだ。彼が、ゴムボールを倒れてる彼女の傍に置こうとした事も。

「……チエちゃん、お兄ちゃんは……誰か大切な人の事について
君に話した事はあったかい?」

「それだけ、聞きたかったんだ」

……今までの、この『問題』を解くには、その情報が居る。そんな気がする。

231『微睡のN』:2023/03/03(金) 05:06:14
>>229(塞川)

チエに手を振り、塞川は公園を去ろうとする。
自らに取り憑いた『ナイトメア』を追い出すために。
塞川唯は『被害者』だ。
『眠気』を奪われているだけとはいえ、どこの馬の骨とも分からない他人のスタンドに、
いつまでも居座られるのは気分のいいものではない。
しかし、ノエには何かしら別の考えがあるようだった。
もちろん彼も塞川の身を心配しているだろう。
それと同時に、『少年』にも思うところがあるらしい。

        ――――――ピクッ

塞川が『悪霊』という言葉を発した時、ロダンの耳が微かに動いた。
いかに『知恵者』であったとしても、塞川達が関わった『例の一件』を、
彼が知っているとは考えにくい。
あるいは『知る手段』を持っているのだろうか?

《不在なら『学校』になるが、いずれは帰ってくる。
 その場合も『家』の近くで待てば問題はない》

     《どちらにせよ…………まもなく『解決』だ》

>>230(ノエ)

ロダンは言った。
この世の中で『心』こそが最大の『謎』だと。
塞川に憑依した『ナイトメア』を追い払う。
それだけなら、全てを解き明かす必要はないのかもしれない。
だが、ノエには何となく感じ取れる部分がある。
『本体』と思しき『少年』も、自らと同じように苦しみを抱えているのではないか。
このスタンドが『本体の安息』を目的として動いているのなら、そう考えるのが最も自然だ。

「えっとね〜」

「おにいちゃん、言ってたよ」

「おばあちゃんが病気なんだって」

「ビックリしちゃうと良くないんだってー」

「お話してくれた時、おにいちゃんも、ちょっとゲンキなかったかなぁ?」

チエは、少しずつ思い出しながら答えた。
果たして、これが一体どのような意味を持つのか。
少なくとも、『尋ねた事』は決して無意味にはならないだろう。

232塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/06(月) 11:28:35
>>230-231
「私は、我が身の事さえなんとかできりゃあそれで良いぜ。
町のお悩み相談所じゃあないもんでな。
さっさと行くぜ、『ノエ』」

あえてぶっきらぼうに言って『ノエ』に声を掛ける。
まだチエに尋ねたいことがあるなら殊更に止めはしないが、
大方情報は出尽くした気もする。

233ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/06(月) 21:16:13
>>231-232

「……そう、か。チエちゃん……ありがとうな」

「……お兄ちゃんは、また、必ず君と遊びに来れるまで元気になる」

「……あぁ、きっと、オレが……オレ達が、君が心配してたって事も含めて伝えるから」

チエに、掛けれる言葉はノエには無い。これ以上の事は。

そして、これから……彼に掛ける言葉が、どれ程の意味を持つかは
己や塞川に掛かってる。そう言う事なのだろう。

「……いや、もう大丈夫だ。行こう、塞川。ロダン」

(……オレに、出来る事。オレが、やれる事)

(まだ、定まってはいない。それでも……願わずにはいられない)

(誰もが傷つかない、不幸にならない道筋が不可能だとしても。
慰めになるような輝きが、誰の目にも映れる結末があるのなら……)

ノエは進む。二人と共に

234『微睡のN』:2023/03/08(水) 12:21:41
>>232(塞川)

再びノエを促すと、今度は同意が返ってきた。
彼が何を考えているとしても、それはノエ個人の問題だ。
塞川唯にとって何よりも最大の問題は、
『安らかな眠り』を妨げる『夢魔』を追い払う事にあるのだから。

《私が求めるのは『結末』を見届ける事だ。
 それが果たされたならば、私は大いに満足できる》

      《向かうとしよう》

塞川に倣うように、足元のロダンが、改めて自身の意を告げた。

>>230(ノエ)

「――――うん!」

丁寧な気遣いの言葉を受けて、チエは大きく頷いた。
少年は戻ってくるかもしれない。
あるいは、そうならない可能性も有り得る。
『眠気』を奪う『ナイトメア』の奥底にあるのは、理性や論理とは対照的な『心の問題』だ。
それに対して影響を与えられるのも、同じ『心』に他ならない。

《君なら『そう言うだろう』と思っていた》

ノエの考えを知ってか知らずか、ロダンは呟いた。
残されているのは『進む事だけ』だ。
あらゆる意味で。

235『ストーリーテラー:S』:2023/03/08(水) 12:24:14

《――――『謎』と称されるものが、この世界には数多く存在する》

《例えば『人類の歴史』。
 当時の人々には当たり前だと思われていた事柄も、長い時間を隔てた現在から考えると、
 推測しにくい部分が多い》
 
《最も難しいのは、『なぜ彼らはそれをやったのか』という点であろう。
 その意味で『心』以上の『謎』はない》

《そして、『心』には『正解』がないのだ。
 だからこそ、『心の謎』は、私を強く惹きつけるのかもしれない》

   《『終わり』が近いが…………『続き』を語る事にしよう》

236『微睡のN』:2023/03/08(水) 12:29:31
>>(ALL)

「おねえちゃん、おにいちゃん。また今度お話しようね!」

         「バイバ〜イ」

公園で遊ぶチエと別れ、塞川とノエは『目的』の為に歩き出す――――――。

  ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

やがて、二人は『家』の前に辿り着いた。
ごく一般的な二階建て住宅。
表札には『足達』とある。
祖母と『名字』が違うのは、さほど不思議なケースでもない。
ここに『ナイトメア』の『本体』がいるのだろうか。

《見てみたまえ》

ロダンの目線は、庭の方に向けられている。
そこには一台の自転車が置かれていた。
サイズから見て子供用だ。
『蹄鉄』を模したデザインのステッカーが貼られている。
自転車の持ち主は、このシンボルがお気に入りらしい。

 《『今いる』かどうかは分からないが…………》

        《君達なら『確かめられる』だろう》

玄関の扉は閉まっているが、二階の窓は空いていた。
住人が換気をしているのだろう。
また、何かしら別の方法も考えられるかもしれない。

237塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/09(木) 13:13:59
>>236
「やれやれ、またこんな使い方かよ。
しかし、スタンドが本人の精神性を反映するなら、
私のは不法侵入が『本質』とかになっちまうんじゃあねえの?」

軽口を叩きながら『クリスタライズド・ディスペア』を屋内へ飛ばす。
中に誰がいるかを探る。

「どうやって会う?
不審人物2人と1匹、毎回これに苦しんでる気がするぜ」

238ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/11(土) 11:41:21
>>236-237

 『ゼロ・モーメント』一体をペットボトルへ発現。

 ズギュン  キィィン  シュゥーン

更に死滅回遊弾(硝子)化。数秒で二階の窓を見るのは事足りる。
 一室の様子を眺めるだけならば十分だ。

「……選択肢は、幾つかある」

塞川の言葉に、逡巡するように一度目を閉じてからノエは呟く。

「一つは『おびき寄せる』
オレ達は『ゴムボール』を持ってる。少年が動ける状態なら
窓部分にゴムボールを置く位なら、塞川やオレのスタンドでも問題ない筈だ。
だが、これは動ける状態での仮定だ」

「……もう一つは、忍び込む。または、ある程度の事情をぼかした上で
伝える、とかか。
 オレ達の推測が正しいなら、少年の状態は芳しくない筈だ。
無論、お見舞いなんて事柄じゃ会わせて貰えないだろう」

「……別に、此処の家の住人は敵では無い。
スタンドに対する事を幾つか打ち明けて、少年がその暴走をしてるって事を
オレや塞川の能力を一部見せた上で納得して貰った上で
オレ達なら、少年の暴走を収められるって説得するのも一つの手だと思うがな」

提案を幾つか出した上で、二階の窓の中を塞川と同じく知ろう。

239『微睡のN』:2023/03/11(土) 13:08:12
>>237(塞川)

《『非常時』という言葉を『免罪符』にするつもりはないが、
 君がいなければ『もっと苦労する状況になっていた』という事は間違いなかろう》

           バ サ サ サ ァ

ロダンの言葉を背に受けながら、『クリスタライズド ディスペア』を飛び立たせる。
もっとも、今回はノエも『同じ事』を考えたようだ。
『硝子の鳥』と『硝子球』が、同時に行動を開始する。
室内に入った途端、スタンドの視界を通して、一人の中年女性と対面した。
部屋にいたのは『少年』の『母親』らしく、他の人間はいない。

       ……………… ……………… ………………

そして、ここは『子供部屋』のようだ。
部屋の内装から読み取れる。
『ランドセル』が見当たらないところを見ると、まだ『学校』から戻っていないのだろうか。

>>238(ノエ)

         ドッヒュウゥゥ――――――ッ!

基本的に移動が困難な『ゼロ・モーメント』に比べ、『死滅回遊弾』の性質は、
かつての『リヴィング・イン・モーメント』に近いと言えるだろう。
ある程度『時間制限』が無視できる状況であれば、
遠隔操作による調査を行う事には支障がない。
塞川の『硝子の鳥』と共に、室内の様子を検める。

    ……………… ……………… ………………

一方、問題もある。
これは『水槽』と同じだが、『実体化』している事で、スタンドを持たない人間にも視認されてしまう。
室内には『少年』の『母親』らしき中年の女性がいたのだ。
しかし、ちょうど窓の方を向いていなかったために事なきを得た。
もう一つは『死滅回遊弾』の視界が鮮明ではない事にある。
『10秒』で見終わらなければならない足枷もあり、大まかに眺めるのが限界だった。
空き巣を容易く叩きのめしたように、『目の前の相手を打ち倒す力』を手に入れた代償として、
『使い勝手に優れた偵察能力』は失われている。

それでも、最低限必要な情報だけは掴む事が出来た。
そこは『子供部屋』のようで、捜し求める『少年』の姿はない。
別の部屋にいるのか、あるいは――――。

>>(ALL)

《『誘き寄せる』のは、少ないリスクで成功の見込みがある。
 順当に考えれば、『忍び込む』のは最終手段になるだろう。
 どれだけ信憑性を持たせられるかによるが、『打ち明ける』というのも悪くない手法だ》

塞川とノエの後方から、ロダンの声が静かに響いた。

  《だが………………》

    《今回に限って言えば『その必要はない』かもしれない》

今、彼は二人を見ていなかった。
スフィンクスの視線は、50mほど離れた距離にある電柱に向けられている。
その陰から『小柄な人影』が覗いていた。
『小学生』くらいの背丈だ。
パーカーのフードを目深に被り、その表情は伺い知れない。

240塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/13(月) 13:50:39
>>239
「推理は外れてたし、誘き寄せるってやり方も違ってたが……
『結果』は出たようだなァ」

『ロダン』の視線の先を確認して、
つかつかとそちらへ歩いて行く。

「こっからは『解答編』だ。
あいつが『本体』なら、全部吐かせてやるぜ」

241ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/13(月) 21:05:55
>>239-240

「自覚してるから、先に言わせて貰う。お前がそれを言うか? とかは
言わないでくれよ、塞川。だが、それでも言わせて貰おう」

「余り、威圧的に声を掛けてやらないでくれ」

見た目からして、相手を警戒させる今の自分が彼女にこんな事を
言うのは、大分滑稽だとは理解してる。

だが、それでも『少年』は。少なくとも今のオレの推測では
自分から悪意を以て今までの所業を起こしたとは考えにくい。
まず、自分がそれを引き起こした自覚があるかも怪しい。

だから、塞川が余り過剰な行動に出ないよう。一歩引いた形で付いていく。

242『微睡のN』:2023/03/14(火) 13:35:06
>>240-241(ALL)

  ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

塞川とノエ――『ナイトメア』を追う者達が、フードを被った人影と対峙する。
遠目から観察すると、それが『少年』である事が分かった。
ここまで来れば、もはや疑いの余地はない。

      ビ ク ッ

目が合った瞬間、少年の肩が大きく震える。
まるで何かに怯えているような雰囲気だった。
そして、二人が近付き始めた直後――――。

         ダ ッ !

少年は踵を返し、脇目も振らず、その場から駆け出した。
家から遠ざかる方向。
無論、二人からも離れる方向だ。

         ――――『逃げようとしている』。

 《私としては少々『遺憾』ではあるが…………》

      《今は『頭』よりも『体』を動かさねばならないらしい》

               バッ!

素早く反応したロダンが、四肢で地面を蹴り、少年を追い始める。
結果的に『ノエの懸念』は正しかったようだ。
しかし、『塞川の態度』や『ノエの風貌』を怖がっただけにしては、
その逃げ方は少しばかり『大袈裟』に見えた。

243塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/15(水) 01:31:02
>>241-242
「……ん〜? そいつは、約束しかねるなァ。
子供とはいえ『スタンド使い』。
舐められないようにガツンと言ってやるかって気持ちが、私の中にあるかもな。
それが嫌なら……『ノエ』、あんたがやりな。
ほれ、奴が逃げるぜ」

『ノエ』の発言に薄く笑って返答し、
逃げて行く少年を指差す。
そして屋内の『クリスタライズド・ディスペア』を呼び戻し、もう一体発現する。
一体は上空から少年の逃げる方向を確認し、もう一体は後を追わせる。
本体も移動を開始する。

(『射程距離外』だ……私も追うしかないか。
運動は面倒だが……)

244ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/16(木) 13:16:58
>>242-243

「……やれやれ、だな」 フゥー…

(あの反応……オレ一人だけで、夜道で突然近距離で遭遇したとかならば
まだしも……だ)

 「……少し過剰と思える『拒絶反応』……やはり、『暴走』か?」

「……塞川、『ボール』を」

 走りつつ、塞川氏から『Uのゴムボール』を受け取る事にする。

(普通の少年と、オレの脚力なら。まだ、オレの方が分があると思うが)

この一年、伊達に浮浪者生活はしてない。足に自信はある。
何時に何が起きても幾らか対処出来るように体は作ってきたつもりだ。

245『微睡のN』:2023/03/16(木) 16:45:45
>>243(塞川)

塞川唯は、スタンド使いとしての『熟練』により、本体の動作を維持しつつ、
二体の『クリスタライズド・ディスペア』を同時に操作可能になっている。

     バ サ サ サ サ サ ッ

            バ サ サ サ サ サ ァ ッ

塞川自身が走りながら、スタンドにも追わせるのは、何の問題もなかった。
しかし、まだ『遠い』。
『クリスタライズド・ディスペア』の射程距離を以てしても、
追いつくためには近付く必要がある。
だが、塞川は上空から監視しているのだ。
よほど離されない限り、見失う事は有り得ない。
少年の向かう先には『学校』が見える。
もし逃げ込まれてしまったら、面倒な事になるだろう。

      ジジジジジ………………

ふと、塞川は自らの内に『揺らぎ』を感じた。
それは肉体や精神に変調をもたらしていない。
正確には『そうしようとしたが出来なかった』という感じだ。
例えるなら、使い尽くした『歯磨き粉のチューブ』から、
僅かな『残り』を絞り出そうとしているように思える。
おそらくは、『本体の乱れ』が『ナイトメア』に影響を及ぼしているのかもしれない。

    ……………… ……………… ………………

追跡の最中、ノエが『ゴムボール』を要求してきた。
この事件の『始まり』であり、『少年』にとっては『大宝物』と思われる品。
ノエには何か『策』があるのだろうか?

>>244(ノエ)

『ノエ』としての生活は、『小林丈』とは比較にならない程に『過酷』なものだ。
純粋に『生存する為の日々』を送る中、『小林は恵まれていた』のだと、
ノエ自身も強く実感した覚えがある。
その結果、『小林にはなかった強さ』を、ノエは身に付けていた。

         ダ ッ !

思考を巡らせながら走り出し、即座に少年を追跡する。
自らに課した『枷』が重くとも、ノエの足取りは軽い。
『日常生活』によって、足腰が鍛えられていたのだろう。
まだ距離は遠いが、『スピード』と『スタミナ』で上回っている。
この調子なら、捕まえられるのは時間の問題だろう。

    ……………… ……………… ………………

改めて考えてみても、少年の反応は『過剰』だった。
そもそも隠れて様子を窺っていた事も不自然だ。
まるで最初から『警戒』していたかのように。
そして、ノエは『ゴムボール』を要求する。
前方を逃げる『少年』――『ナイトメアの本体』から見れば、それは『大事な品物』のはずだ。

>>(ALL)

塞川とノエは『少年』を追う。
『子供の足』と『大人の足』――どちらが速いかは明白だ。
『瞬く間に』という訳にはいかないが、双方の距離は確実に縮まっていく…………。

     ――――『少年』まで、残り『40m』。

246塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/20(月) 19:58:14
>>245
「この年で『かけっこ』をするとはな……!
『ノエ』、任せるぜ……」

やや走るスピードを落として、『クリスタライズド・ディスペア』の操作に集中する。
『ノエ』の側へ一体をついて行かせて、
少年の位置を伝えてフォローする。

(『ご近所』に見つかったら少々マズい『絵面』だが……
緊急時だ。そうも言ってられないだろーよ)

247ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/21(火) 11:49:14
>>245-246

 走りつつ、少年の背を見つめながら。ノエの顔つき……いや、顔の大部分も
覆ってるので、唯一覗ける目元は険しい。

走っている息苦しさも、その表情を歪ませる一旦にも含まれてるかも知れない。

だが、それ以外の『一番大事な部分』に、今ようやくだがノエは思い至ったのだ。

 「なぁ、塞川。オレ達は『恵まれてたんだ』」

唐突な発言。怪訝に隣で並走する彼女が思う前に構わず自分の考えを矢継ぎ早に告げる。

 「オレは、とある経緯で得た。お前も、この街なら多かれ少なかれ
供与者とか、その類か。それ以外でも、その力を受け入れる土壌はあっただろ?」

当たり前すぎて失念してたんだ。

小林 丈には、既に力を受け入れる事に対し。
親友を通し、それまでの過去の積み重ねもあって受け入れる覚悟は既に身に付いてた。

「――彼(少年)に、そんな存在居たと思うか?
 自分の傍に、大切な人が死んで、いつの間にか出てきた力(スタンド)が。
良い物か悪い物か判別が出来ると思うか? ――その結果が今なんだよ」

 懐のペットボトルを取り出す。 『ゼロ・モーメント』を一体発現。

(まだ、距離が遠い……)

 射程圏内、30m……全力で走れば、死滅回遊弾を飛来する事が出来る。

(これは、未だオレの思考実験の中の一つの推測でしかない)

(だが、少年を……『ナイトメア(悪夢)』を止めるのに
思いつくのは……これしかないっ)

248『微睡のN』:2023/03/21(火) 18:43:09
>>246(塞川)

塞川達にとっては幸いな事に、近くを通りかかる人間は見当たらず、
家の窓から顔を出す者もいないようだった。

       バサッ 

           バサッ

               バサッ

『クリスタライズド・ディスペア』の一羽を先行させ、ノエに随行させた。
ペースを落としたのは良い判断だったのかもしれない。
『眠気』は飛んでいるとはいえ、『疲労』までは消えないため、
『徹夜明け』で走らされるのは少々しんどさを感じる。

しかし、あくまでも『一日分』。
『ナイトメア』の脅威は『時間』に比例する。
万一これが『数日』に渡っていれば、無視できないレベルになっていただろうが、
早期に『本体』へ行き着いた事が功を奏した。

    ……………… ……………… ………………

上空から見張る『もう一羽』が、『学校』の敷地内にいる人影を捉えた。
花壇の手入れをしている後ろ姿は、『子供』ではなく『成人女性』だ。
どうやら『教師』の一人らしい。

>>247(ノエ)

目深に被ったフードと、口元を覆うマフラー。
『素顔』を隠すベールの下で、あたかも『水鏡』のように、ノエの思考は静かに巡る。
今のノエと同じように、少年もフードを被っているのは『偶然』だろうか?

          ユラリ…………

ペットボトル内の水を媒介に、一体の『ゼロ・モーメント』が発現される。
『水槽』では難しい状況だったかもしれないが、『死滅回遊弾』の性能なら、
シンプルな行動でも十分な足止め効果が期待できるだろう。
まだ『射程距離』には少し遠いが、このまま接近を続けていれば、
その問題も間もなく解決するはずだ。

>>(ALL)

前方を走る『少年』は、依然として『学校』に向かって進んでいる。
ただ、『何か考えがある』という様子でもない。
塞川とノエを見て逃げ出した時と同様に、どちらかといえば『突発的な行動』に思われた。
その一方で、『逃走』という行為そのものに対しては、迷いが感じられない。
少なくとも『二人から逃げたがっている』のは確実だ。

      ――――――『少年』まで残り『30m』。

249塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/24(金) 15:34:28
>>247-248
『それは、あんたの想像だろ?
別に、想像するのを止めはしないが……
私から余計なお節介って奴を言わせて貰うなら、
あんたはもっと現実主義者になった方が良いな。「ノエ」。
少なくとも、どこまでが「確かな事実」で、どこまでが「想像」なのかはハッキリとさせときな』

『クリスタライズド・ディスペア』越しにノエと会話しながら追跡を続ける。

『学校内に逃げ込まれたら、ちと面倒なことになるかもな、「社会的」に。
もう少しで私のスタンドの射程内だ。
声を掛けて止める必要があるかもな。
どう掛ける? 脅すか、宥めるか』

250ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/24(金) 20:00:22
>>248-249

>あんたはもっと現実主義者になった方が良いな
>どこまでが「確かな事実」で、どこまでが「想像」なのかはハッキリとさせときな

「――なら、この『弾丸』で証明しよう」

 死滅回遊弾

ペットボトルの液体より、ビー玉サイズの硝子弾を
少年の方へと放つ(ス:B) 無論、彼に当てる軌道ではない。

狙うのは、その耳元。そこへ飛来させるようにして……こうスタンド音声で告げよう。

『お婆ちゃんから、預かってる』

『君への、伝言を』

(……さぁ、この発言。吉と出るか凶と出るか)

フードで顔を隠す少年。手嶋氏のゴムボール

老婦人の死亡。無差別の憑依型のスタンド。

 全ての小さな点。一つ一つ無関係に思える点
それ等を繋げる為に、今紡いだ言葉がどう作用するか走りつつ結果を待つ。

オレの予想が正しいなら……彼は足を止める筈だ。

251『微睡のN』:2023/03/25(土) 12:38:25
>>250(ノエ)

既に『ゼロ・モーメント』の射程内。
銃口のように狙いを定めたペットボトルから、
弾丸の如く『死滅回遊弾』が発射される。
本体の目で確認していれば、視界の悪さは問題にならない。

  ヒュオォォォォォォォォォォッ

しかし、ノエに攻撃の意図はなかった。
『硝子球』を通して『少年』に語り掛ける。
それに対する彼の反応は――――――。

     「 ! ? 」

『少年』が足を止め、周囲を見渡す。
それは『ノエの説得が通用した』というよりは、
『不意に聞こえた声に驚いた』ように見える。
だが、背後からノエ達が迫ってくると、再び駆け出してしまった。
まともに言葉を交わすためには、やはり追いつかなければならないようだ。
だが、『死滅回遊弾』の射出は決して無意味ではなく、
『距離の短縮』は十分に成功した。

そして、今のリアクションから分かった事がある。

  『少年はスタンドを理解していない』

彼の行動によって、ノエの考えは裏付けられた。

>>249(塞川)

ノエが『硝子球』を飛ばし、『少年』に呼び掛ける。
話を通すまでには至らずとも、一時的に足を止めさせる事には成功したようだ。
僅かな間ではあるが、塞川達が『距離を詰める』には事足りた。
もうじき『クリスタライズド・ディスペア』の射程内に入る。
『次』――――『次に塞川が行動を起こした時』には、
『ガラス細工の鳥』は『少年』に届いているだろう。

  ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

どこまでが『現実』で、どこまでが『想像』なのか。
走り続ける中で脳裏をよぎったのは、『チエと初めて顔を合わせた時(>>118)』だ。
手嶋家の前で、足元に転がってきた『ゴムボール』を、塞川が拾い上げた。
それは『想像』ではなく、塞川自身が体験した紛れもない『現実』。
何よりも『現実的である事』を重んじる塞川だからこそ、
今それを思い出したのかもしれない。

>>(ALL)

『少年』まで、残り『15m』を切った。
このペースを維持すれば、学校の敷地内に入る前に捕まえられそうではあるが、
『クリスタライズド・ディスペア』が確認した通り、見える範囲に『教師』が一人いる。
まだ別の方向を向いているとはいえ、現在の光景を気付かれてしまうと、
塞川が危惧するような状況にもなりかねない。

252塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/03/27(月) 19:55:26
>>251
「この距離なら『スタンド』以外も届くぜ……! オラァッ!」

ゴムボールを取り出して、少年のやや後方へと投げる。

253ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/03/29(水) 11:32:04
>>251-252

「塞川」

「『北風と太陽』って話、聞いた覚えがあるか?」


走りつつ、ゴムボールを投げる塞川に対して告げる。

「オレ達は、彼にとっての『北風』のようだ」

ある時、旅人の服を脱がせられるか北風と太陽が勝負をした。
 北風は強く強く冷たい風を吹き付けるも、旅人は決して服を脱がない。
逆に太陽は気温を上げて旅人の服を脱がした。

彼にとって……オレ達は『北風(未知なる恐怖)』だ。
恐らく『ゴムボール』も、ナイトメアの現象をどのように体験したのか
オレには想像するしかない。だが、スタンドをオカルトの一種か何か
理解出来ない存在である認識である彼には、自分達も敵にしか見えない筈だ。


「オレ達じゃ、足を止める事はない。絶対に、オレが彼の立場で
今この場で足を止める事はない。余程の事が無い限り」

「――その余程ってのを、試してみる価値はあるよな」

 『死滅回遊弾』は、解除してない。

まだ、1フレーズ程。話しかける余地……それでもっとも効果的な言葉。


 ・・・・・・
『おにいちゃん』

 
……スタンドは、精神の産物。

ゼロ・モーメントから、発するスタンド会話はオレの声を発せられる。
だが、精神の産物ならば……より『他者の声色を模倣する事』も
普通の人が喉から声を出すよりも容易に真似が可能。

(本当に、そうか? 等と言う迷いは今は抱かない。
大事なのは、本当にそうだと思い込む事だ。
少なくとも、オレの友ならば迷わない)

(……今の彼にとって、オレも塞川さんの言葉も絶対に何を告げようと届かない)

(だが、彼にとって大切な心を許せるだろう存在【チエちゃん】の声なら
足を止める筈だ。確かに、ほぼ精巧な女児の声をオレがスタンド音声とは言えど
完全に大多数を騙せるように発声出来るとは思ってない。
 だが、少なくとも彼は我を失いかけている。
本当に、今この場に居る筈がないと冷静に考えれば不自然であっても
今この瞬間だけは、少なくとも有効打だ……!)

 スタンド音声で、チエの声を真似て足を止めさせる。後は、全力で
彼に追いつこうと走るのみだ。。。

254『微睡のN』:2023/03/30(木) 15:15:43
>>252-253(ALL)

いくら『スタンドを通した声』とはいえ、そういう能力でもない限り、
元々の声質から大きく逸脱した声色を作り出す事は出来ない。
客観的に見て、この時にノエが行ったのは、『確実』とは呼べない行動だった。
しかし、それを笑う者はいないだろう。
『ゼロ・モーメント』なら、もっと直接的な手段に訴える事も出来たのだ。
例えば『威嚇射撃』の一発でも撃ち込めば、間違いなく『足は止まっていた』。

        だが、ノエは『そうしなかった』。

『北風』を吹かせなかった事は、捕まえた後の心象にも関わってくる。
もし『撃ち込んだ』としても、その後の『フォロー』が伴っていれば、
それはそれで一つの方法だ。
少なくとも『敵意がない事を示す』という側面において、ノエの判断は正しかった。

           「――――――ッ!」

     ザ ザ ァ ッ

一瞬、『少年』の走る速度が緩まった。
声色を真似たからではなく、『言葉そのもの』に反応したのだ。
ノエの『言葉のチョイス』が有効に作用したらしい。

     ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

その直後、どこからか『サイレンの音』が辺りに鳴り響く。
『パトカー』か何かが近くを通過したようだ。
あの『空き巣』を捕まえに来たという訳ではなさそうだが、
今の状況を見られると、二人にとっては些か不味い事になるかもしれない――――。

         バッ!!

『サイレン』が聞こえたと同時に、『少年』が勢い良く振り返る。
さらに、塞川が投げた『ゴムボール』が視界に入った瞬間、彼は完全に動きを止めた。
フードの下からは、酷く沈痛な面持ちが垣間見える。
もう逃げるつもりはなさそうだ。
その様子は近付く二人を待っているように思えた。

     ……………… ……………… ………………

そこで二人は気付く。
『ロダンがいない』。
一緒に『少年』を追跡していたはずだが、いつの間にか姿が見えなくなっている。
彼の性格からして『途中で帰った』とは考えにくい。
『放棄していない』なら、これは『意味のある動き』なのだろう。

255塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/02(日) 22:22:07
>>254
(この『タイミング』……
『ロダン』か? なんにせよナイスだな)

「やっと諦めたかよ。
苦労させやがってよぉ〜〜。
なあ、『ノエ』」

のしのしと歩いて『少年』を睥睨する。

「あんた、名前はなんて言うんだ?
逃げたっつーことは、私が今から何を言うかはわかるよなぁ〜〜?」

事前の『ノエ』の懇願とは裏腹に、
あえて冷たい態度で『少年』へと接する。

(ノエのさっきの様子じゃあ、
どの道『良い警官』をやるだろうからな。
手っ取り早くいってやるぜ。
私がこの『スタンド』に不利益を被って、ムカついているのは事実だしな)

256ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/03(月) 23:07:08
>>254-255

『ロダン』には、ロダンの深い思慮がある事は……最初に出会った時から
織っているから心配はしない。目前の事に、今は集中するべきだろう。

塞川の言葉に、少し彼女に顔を向けるが。ノエは咎めたり、そう言った感情を
表立って態度などには出さない。

(自然体で、そう行ってるのか。演じてるのか、オレの考えだと
後者だと思うが……どちらにせよ、だ)

先程の行為は、少年に対し、急ごしらえで騙し騙し物事を進めようとしてた。
足を止めさせる為だけに、今の時点で彼と自分達には不穏な猜疑以外に
築けそうな関係は無いだろう。

「……オレ達の事は、怪しい奴等だと思うだろうが。まず、これだけ聞いてくれ」

「『チエちゃん』が、まず君に会いたがっていた。
最近来ないのは……当てようか? 突然出てきた、他の人に告げても
見えない幽霊だと思える『黒い馬』が原因で、だろ?」

「オレ達は、そう言った事を専門に対処出来る……そう言った物を
何度か相対して、どう言うものか知ってるんだ」

君の抱えてる悩みも、解決する助けが出来るかも知れない……。

そう、最後に付け加えて反応を見る。

(恐らく……今の台詞で問題ないと思うが)

今までの集めた情報からして、これ以外に少年と通ずる方法は少ない。

 拒絶される可能性も、決して少ないとは言い切れない。
慎重に言葉を選びつつ、彼に引き続き対応すべきだろう。

257『微睡のN』:2023/04/05(水) 04:47:43
>>255(塞川)

立ち止まった『少年』は唇を固く結び、目線は伏し目がちだ。
その表情から読み取れるのは、『不安』や『恐れ』や『後悔』といった感情。
塞川が敢えて威圧的な態度を見せた事も関係しているのだろう。
しかし、これは『それだけ』ではないらしい。
『もっと大きな何か』を気に掛けている雰囲気があった。

「………………『足達佑馬(あだちゆうま)』です」

塞川の問い掛けに応じ、『少年』――――『佑馬』が重い口を開いた。

「『はい』…………」

「ボクは――ボクは『取り返しのつかない事』を……」

      ジジッ…………
        
             ジジジ…………

意を決したように紡ぎ出される言葉は、『罪の告白』とも受け取れる。
同時に、塞川の身に『変化』が訪れた。
昨日から憑依し続けていた『ナイトメア』の気配が、次第に薄れていく感覚だ。

  これは――――――

       おそらく――――――

            『解除』されかけている。

>>266(ノエ)

塞川の態度には威圧感が見えるものの、彼女は直接の『被害者』だ。
明確な迷惑を被っているのだから、ある意味では当然の権利と言える。
もちろん『それだけ』とは限らないだろう。

「…………『分かりました』」

一方、ノエの危惧とは裏腹に、『少年』は素直に話を聞いている。
まだ怯えが残っている風ではあるが、ノエ達の事を警戒したり不審がっているのとは違う。
その割に、先程は二人を見るなり逃げ出していたのは『奇妙』だ。

「――――チエちゃん…………」

『チエ』の名前を口に出した時、『佑馬』と名乗った少年は、確かな反応を示す。
彼にとって気に掛かる相手であった事は明らかだ。
ただ、次にノエが発した言葉に対しては――――。

   「『黒い』…………『馬』…………?」

佑馬の声色からは『困惑』が感じられた。

     「でも…………あれは『夢』で…………」

        「だから…………『ホントに見えたり』は…………」

『黒い馬』を見た事はあるが、
それは『夢の中』であって、実際には目撃していない。
佑馬の発言を纏めると、そのような形になる。
佑馬は『ナイトメア』を持て余した結果、
チエの前に姿を現さなくなったというのがノエの考えだった。

果たして『足達佑馬』は――――『ナイトメア』の存在に気付いているのだろうか…………?

258塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/05(水) 05:43:10
>>256-257
「私は塞川という。
そして、そいつは『夢』じゃあねえ。
『現実』だよ。
さっきの『声』が聞こえたなら、あんたも私達と同じさ、『佑馬』。
こいつが見えるだろ?」

開いた手の中へ、上空の『クリスタライズド・ディスペア』を急降下させ、
『佑馬』に見せた後、拳を閉じて解除する。

(ム……なんだ? スタンドの影響力が弱まっている。
本体の精神状態と関係があるのか?)

『佑馬』の話に対して、無言で続きを促す。

(この『ゴムボール』の件については、まだ未解決だったな。
『スタンド』をそうと認識していない事、そいつが関係あるのか?)

259ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/06(木) 17:56:49
>>257-258

「そうか。佑馬君、オレは改めて名乗るが『ノエ』だ」

改めて自分の名を名乗りつつ、彼の口振りからして
スタンドを直接視認してないのが伺える。

(だが、彼はゼロ・モーメントを介したオレの声は聞こえてる。
つまり『ナイトメア』の使い手である……と思う)

説としては、これが最有力だ。だが、スタンドは時々突飛のない事象を引き起こす。
 夏の魔物の件であれ、夢魔であれ。予想外の力を備えてた。

「そうだな……オレ達も、まだ今回の事で知らない部分も多い」

「だから、まず君の『取り返しのつかない事』をしたって言うのを教えてくれ。
その代わり、オレ達からも君に伝えられる情報を教える」

それで構わないか? と、足達佑馬に確認をとる。

事件は収束に向かってるだろう。
 だが、不正確な部分、まだ自分達の知らない事実が埋もれている。

全て、彼を介して強引に暴く事も人によっては出来るだろう。
 だが、オレはそうする力も無ければ考えも無い。力があっても
そうする意思も無い。

逆に、オレにそうするだけの力が以前からあれば……ノエに至ったのか。

(……そう悩むのは、今で無くて良いか)

郷愁に耽る時でないのは承知だ。今は、佑馬君の話に耳を傾ける。

260『微睡のN』:2023/04/07(金) 15:45:34
>>258(塞川)

『ナイトメア』は塞川から『眠気』を奪い取り、本体である佑馬に送っていたと考えられる。
そのプロセスは、言うなれば『睡眠導入剤』の投与に近い。
つまり、『そうしなければならない理由があった』という事だ。
それが薄れてきているという事は、
『必要がなくなった』か、あるいは『必要と思わなくなった』か。
ある種の『覚悟』を決めた様子を見ると、『後者』の可能性が高いように感じられた。

    「!?」

佑馬は驚いた顔で目を見開き、『ガラス細工』の鳥を視線で追った。

「ボク、ずっと眠れてなくて…………」

「でも…………ある時から『眠れるようになった』んです」

「…………それと同じ頃、夢の中に『黒い馬』が出てきました」

ポツリポツリと語られる真相に耳を傾けながら、塞川の思考は『ゴムボール』に移る。
どうして置いていったのだろう?
ノエが告げたように、何かの『おまじない』なのだろうか?

   そもそも――――本当に『置かれた』のか…………?

ボールが独りでに動いたとしたら奇妙な話だが、
『現実に即した考え方』をすれば、『一つの可能性』が浮かび上がる。
塞川の脳裏に、再び『あの光景』が蘇った。
『チエと初めて会った時(>>118)』だ。
『手嶋家の前でゴムボールが跳ねてきた』。
ここには何か『重要な意味』が隠されているように思える。

もし『ゴムボール』を投げたのが『チエ』ではなく『佑馬』だったとしたら――――。

>>259(ノエ)

『強引に口を割らせる』。
成功するかどうかは別として、それも一つの方法だ。
確かに手っ取り早い。
だが、その早さは『他の全て』を犠牲にした上に成り立つ早さだ。
言い方を変えれば『ただ早いだけ』。
直接的な手段による解決を選ばない事は、決して『弱さ』ではない。
『遠謀深慮』――単純な力とは違う『強さ』が、ノエにはある。

「そ、それは………………」

「ボクのせいで…………『あの人』が…………」

「ボクが『あんな事』をしなければ…………」

沈痛な面持ちで、佑馬は言葉を絞り出す。
口にする事すらも躊躇われるという雰囲気だ。
自分自身を責め続ける彼の姿に、ノエは『一人の人物』を重ねる事が出来る。

    他でもない――――『小林丈』だ。

自らに『罪の十字架』を背負わせ、誰にも気付かれる事なく、人知れず懊悩する。
目の前の少年は、ノエに近い『葛藤』を抱えているように見えた。
彼を苦しみから救う行為こそ、前に進むための『一歩』に繋がるはずだ。
そのためには、彼が口に出せない事を代わりに告げる必要がある。
この事件における『最後の核心』を突き止めなければならない。

『足達佑馬』という少年が持つ背景を踏まえた上で、
今の状況に至るまでの間に、『ナイトメア』を目覚めさせる『何か』があった。
おそらく、大方の『手掛かり』は揃っている。
ノエの『発想力』なら、それらの『点』を結び合わせ、
一枚の『絵図』を描く事が出来るかもしれない。

261塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/08(土) 23:16:31
>>260
「……ム、まさか、そーいうことか?
小学生の発想力……そういうこともあるのか?」

『ノエ』への言葉を聞いている内にひとつの発想に至る。
『手嶋』の下にゴムボールが置かれたのは『必然』だったと推理した事があった。
それは間違いではあったが……ある意味では正しかったようだ。

(つまり、逆だったって事だな。
過眠症の『手嶋』の下にゴムボールが置かれた訳ではなく、
過眠症の……寝ていた手嶋の元へゴムボールが転がり込んだからこそ、この事件は始まった)

「『手嶋』だろ? 
その名前に心当たりはあるよな。
その女なら、ぴんぴんしてるぜ。今もな」

これがこの事件の肝だろうか。
佑馬の表情を見ながら続ける。

「あいつは『過眠症』だった。
その辺で『寝てしまう』病気さ。
そのゴムボールが飛び込んだ日も、ついつい『庭で寝てた』んだとよ。
ま、側から見れば『事件性』のある絵面だよなァ。
特にまだ判断力の未熟な子供なら……
たとえ誰も傷つかないであろう『ゴムボール』を誤って投げ込んでしまったとしても、
それが自責だと思い込むくらいにはな」

262ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/09(日) 11:40:12
>>260-261

>ボクのせいで…………『あの人』が…………

>ボクが『あんな事』をしなければ…………

「佑馬君。オレや、彼女はね」

「頼まれたんだ。君へ、このUの字のゴムボールを返すように。
――あの倒れてた、お姉さんからね」


……全ての話を総合すれば、塞川と行きつく解答の先は同じだ。

『足達佑馬』は、少し前に大切な家族を亡くした。
 恐らく、いや間違いなく。彼の祖母が倒れてるか、それに近しい場面を見た筈だ。

その印象は強く彼の心に焼付いていたなら。そして、チエちゃんと遊ぶ道中に
彼が誤って、そのボールを飛ばした先に倒れてる彼女を見かけたら。

 「倒れてた、お姉さんは。ボールの落とし主が誰なのか
無くして困ってるんじゃないか。それを、ずっと頻りに気にしてたよ」

「もし、良かったら。今日じゃなくても良い、明日でも、別の日でも構わない。
 彼女に、ボールを返してくれて有難うって伝えると良い」

 それが、何よりの事だと思うから。と、付け加えて彼の返事を待つ。

263『微睡のN』:2023/04/09(日) 17:41:12
>>261-262(ALL)

塞川とノエは、少年に『事実』を語る。
それは紛れもない『真実』だった。
この事件の『発端』であり、『ナイトメア』が生まれた『根源』。

今朝、ノエが塞川に話した考え(>>145)は、かなり『惜しい線』を行っていたのだ。
ただ、『完全』ではなかった。
『手嶋』の近くに『ゴムボール』があったのは、
『必然』ではなく、あくまでも『偶然』だった事。
『目覚めて欲しい』という『願い』からではなく、
『死なせてしまった』という『恐れ』に駆られて、
『現場』から逃げ出してしまっていた事。
この『二点』が一致していれば、ほぼ『真実に近い答え』になっていただろう。

もちろん早い段階で『正解』に至ったとしても、
それだけでは『机上の空論』の域を出ない。
確かな『根拠』がなければならなかった。
ここまでの『調査』が『裏付け』をもたらしたのだ。

      「――――――え………………」

一瞬、佑馬が呆気に取られたような表情を見せた直後――――。

    シ ュ ウ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ …………………………

塞川の身体から『黒い靄』が立ち昇り、空気に溶けるように消えていく。
『ナイトメア』が塞川から離れた。
『取り憑いた者の眠り』を封じ、それと引き換えに、
本体に『安らかな眠り』を与えるスタンドは、今『解除』されたのだ。

     ――――フミャオォ〜ン

その時、不意に『猫の鳴き声』が聞こえた。
三人の後ろに『ロダン』がいる。
そして『手嶋』も。

《『普通の猫』を装って連れてきたのだよ。
 『必要になるかもしれない』と思ったものでね》

彼も『二人と同じ結論に辿り着いていた』という事だろう。

《どうやら『幕が下りる前』には間に合ったようだ》

        スッ…………

佑馬が手嶋を見て、そちらに歩み寄ろうとしている。

《『Priceless』に戻るなら、『ステュアート』が君達を待っている》

二人の『目的』は果たされた。
『真実』を突き止め、『ナイトメア』は霧散し、『一つの心』が救われたのだ。
ここに残って『事件の終わり』を見届けてもいいし、立ち去ってもいいだろう。

264塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/10(月) 10:57:12
>>263
「『ロダン』……器用な奴。
そして、『スタンド』も解除されたようだ。
私の今夜の安眠も保証されて、やれやれ一安心ってとこだな」

『佑馬』の頭に手を乗せて、身長差から見下ろすようにその顔を見て続ける。

「あんたのその『馬』は、あんた自身だ。
自分の手足を動かせるのを疑問に思わないように……
動かせて当然と思うんだ。
そうすれば、いつの間にかあんたの一部になるはずさ。
そのために、そうだな……まずは、名前でもつけてやるんだな」

強めに頭を撫でて、手を離した後に一瞬手嶋を、そして『ノエ』を見る。

(破れ鍋に綴じ蓋……ってのじゃあないが、
何にでも使い道ってのはあるもんだな。
ま、私はそれを教えてやる程親切でもないしお節介でもねえ。
それに……そういう役目なら、もっと適任がいるからな。
その辺の『空き巣』にすら手を伸ばすような、飛び切りのヤツがな)

265ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/10(月) 22:36:40
>>263-264

オレはね。

自分の推理。その正誤に対して感じ入る事はない。探偵では無いからな。
 少なくとも、今の自分は何でもないし、何にでもなれない。

 今、思うところがあるとすれば。

>シ ュ ウ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ …………………………

 「……夏の終わり、か」ボソッ

黒い靄、それが晴れる様を見ると。あの時の情景を思い出す。

もし、魔物にも魂があれば……。エフィー、メーラを含めて
この手で殺めた存在や、滅びを見届けた者も。オレの知らない場所で
いずれ幸せな結末のある所へ行きつけるのだろうか?

『ああ、戻るよロダン。君にも、色々迷惑かけたし
随分助けて貰った』

戻って来たロダンに、スタンド会話で謝礼を告げ。最後になるか不明だが……。
佑馬へ、告げよう。

「もし、また」

「『馬』の事でも、何でも構わないさ。
1人で抱え込むような悩みがあったら、『Priceless』って言う店がある。
オレも、こちらの、お姉さんや……君の助けになってくれる人が
足繫く通う場所だから」

「時間があれば、訪れてくれたら良い。店のマスターに伝言を頼めば
オレに報せが届くから……何かあれば手伝いをするよ」

 願わくば、この彼は道を踏み外さなければ良い。

オレの辿る道じゃない、平々凡々とした、尊い代わり映えの無い日常で
幸福を得て、いつか胸の中にある傷みが強さになればと願う。

 「……戻るか、塞川」

塞川と、奇しくも同タイミングで視線が合い、そうノエは告げるだろう。

その瞳に浮かべる感情は曖昧なものの、褪せた色の中に感傷めいた哀愁が
何処か見え隠れしていた。

266『微睡のN』:2023/04/11(火) 03:38:09
>>264(塞川)

どんな能力にも『活かす方法』は見つけられる。
周囲に害を及ぼした『ナイトメア』だが、少なくとも今後は大人しくなるだろう。
あるいは、本体が自らの力を自覚した事によって、
何かしらの『変化』が訪れるかもしれない。

     コク…………

塞川の言葉に佑馬は静かに頷き、そして再び口を開いた。

    「『R.I.P.』」

       「ボクは――――そう名付けます」

『requiescat in pace』――『安らかな眠り』を願い、墓石に刻まれるラテン語の銘文。
それを選んだのは『悪夢』との決別でもあったのだろうか。
『ナイトメア』と呼ばれた『黒い馬』は、こうして『名前』を得た。
自由に制御できるようになる日も、そう遠くないはずだ。
その時、佑馬は『ガラス細工の鳥』と『硝子球の金魚』を思い出すだろう。

>>265(ノエ)

  ノエという人間は『無』なのかもしれない。

         しかし、ノエが成した行動は『有』だ。

     それは否定しようもなく客観的な『事実』として存在する。

「…………はい」

「ノエさんも塞川さんも、ありがとうございました。
 すごく迷惑を掛けてしまったみたいで…………」

二人に向かい、佑馬は深く頭を下げた。
ゆっくり顔を上げた時、彼の表情には強い意志が芽生えていた。
それは『過去』と向き合おうとする決意だ。

「ボク、よく考えてみようと思います。
 自分の事や周りの事や…………『これから』の事を」

        ソッ

おもむろに伸ばされた佑馬の手が『ゴムボール』を拾い上げた。
そこに描かれた『U』の文字を見つめる。
幸運のシンボルとされる『蹄鉄』のマーク。

「あの『馬』――『R.I.P.』には、二度と誰かを傷付けたりさせませんから」

『誓い』の言葉を口にし、佑馬は手嶋に向き直る。

>>(ALL)

「『ボール』……返ってきました……」

「あの…………」

「…………『返してくれてありがとう』」

躊躇い交じりに『感謝』を告げる佑馬を前にして、
手嶋は気遣うような微笑みを浮かべた。

「――――『君の』だったんだ。良かった。
 ずっと気になってたから、私もホッとしたよ」

そして、彼女は塞川とノエに視線を移す。

「確かに『お願い』しましたけど…………ホントに返してもらえたんですね」
 
「『ありがとうございました』」

二人に謝辞を送る手嶋の背後で、既にロダンは歩き始めていた。
落ち着き払った緩やかな足取りで。
背中越しではあるものの、『結末』を見届けられた事に対し、
大いに『満足』している様子が察せられる――――――。

267『微睡のN』:2023/04/11(火) 03:41:54
>>266

    カ ラ ァ ン

        「――――――お疲れ様でした」

『Priceless』に入店すると、ステュアートに恭しく出迎えられた。
他に客はいない。
ロダンは窓際に陣取り、塞川とノエを見やる。

    「『ブラック・ダイヤモンド』です」

         コトッ

             コトッ

二人が椅子に掛けたタイミングで、テーブルに二つのコーヒーが出された。
口にすれば、それが『格の違う味わい』である事が分かる。
どこまでも黒い水面からは、ヴィンテージワインを思わせる芳醇な香りが漂う。
豊かなコク、適度な苦味、ほのかな甘み。
単純に色で表現するなら『黒』という一色しかないにも関わらず、果てしなく奥深い。
この小さな『黒い世界』には『全て』がある。
そう感じさせる一杯だ。

「『お話』はロダンから伺いました。
 それについてご説明する前に、
 失礼ながら、私からお渡しする物がございます」

        ――――――スッ

二人に差し出されたのは『封筒』だった。

「ちょうど『20万円』入っております。
 今回の一件による被害を事前に把握していたなら、
 私は塞川様とノエ様に『依頼』を行っていたでしょう。
 その『報酬』として、こちらをお納め下さい」

話の続きを語る前に、ステュアートは言葉を切る。
物腰は依然として丁寧で柔らかだが、
彼の言動は『喫茶店のマスター』からは大きく離れていた。
ロダンと会話を交わしている点からも、
『一般人』ではない事は明らかだったが、
『市井のスタンド使い』でさえないようだ。

268塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/11(火) 21:15:13
>>267
「『くれる』ってのなら、そりゃ貰ってやってもいいが……
こんなカネをポンと出せるあんたは何者なんだ?」

背もたれに体を預けて、出されたコーヒーに口をつけながら
封筒の重みを確かめるように手にする。

「うまいコーヒーを淹れる他に、何をやってるんだ?
『被害』……スタンド使いへの『治安維持』とか、そういう言い草だよなァ」

269ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/12(水) 13:00:20
>>266-267

手嶋と、佑馬。彼と彼女の、やりとりを眩しそうに目を細めて
遠巻きに、その光景をカメラで納めるように記憶に映す。
 オレが、見たかった光景は、多分一番がコレだった。

軽く頭を下げ、二人に別れて……『Priceless』に入る。
 この店に再度戻るのも、また一日ほど経ってない筈だが数か月か数年以上の
月日が過ぎたように感じるのは、それだけ濃密な時間だったからだろう。

「有難う」

黒い宝石を啜る。そして、報酬の封筒に一度だけ視線を移しつつ、再度
店主の彼と視線を合わせる。

「……まだ、終わってないんだ」

「オレの、極々私情によるものだけどな。
 ロダンから既に聞いてると思うが……二人、こちらに仕事の伝手があるなら
雇って欲しい。……と言うか、人手が不足してるなら
そつ等二人を紹介したい。その対価として、オレは借りたスマホを正式に買いたいんだ」

「一度犯罪を犯しかけた奴等ではある。だけど、勘は良い(>180)
スタンドを知らなくても、それに繋がる物を直感で判別は出来る。
根は、そこまで悪じゃない。オレのスタンドで攻撃を加えた。
それで幾らか、こちらの世界に対して味わった奴等だ」

 あの空き巣二人は、スタンドは使えない。
だが、自分で告げた通り。馬鹿な事はしでかしたかも知れないが
そこまで馬鹿じゃないし、触れてはいけない物を直感で感じ取れる。
 そう言う奴は、スタンド使いが徘徊する空間では貴重だ。
危険を何となくでも察せられる奴は、長生きするし、間接的に他の仲間を生かす。

ステュアートの事を、オレは良く知らない。だが、似たような気配を以前覚えがある。

――『北落砂錫』……彼女と相対してるような、そんな大物と対話してる気分に。

「……強制はするつもりは無いよ。
此処が駄目なら、そいつ等にはオレから別の仕事口でも何とか探して見る」

ただ、この提案を断るなら、一度だけオレから
そいつ等に報告の連絡させてくれ。と、ステュアートの返事を待つ為に
一旦言葉を止めて、コーヒーを口に含む事にしよう。

270『微睡のN』:2023/04/12(水) 18:16:03
>>268(塞川)

「コーヒーはお気に召して頂けたようで」

          スッ

     「――――光栄です」

『限りなく黒に近い灰色』である、
『チャコールグレー』のスリーピーススーツを着た彼は、丁重に頭を下げた。
『得体の知れなさ』こそあるが、慇懃な態度に変わりはない。
それが逆に底知れない印象を強めている。

「『封筒の中身』に関しましては、塞川様も良くご存知かと」

おもむろにステュアートがロダンを一瞥する。

「私と同じく、『彼』もお二人には感謝しております」

          ジッ

窓際のスフィンクスは、塞川を見つめながら片目を閉じてみせた。

《君にとっては『災難』だったが、私は大いに『愉しんだ』》

  《『価値ある時間』に対する正当な『心付け』だよ》

どうやら厳密な『出資者』はロダンらしい。
しかし、彼の『知性』は哺乳類全体から見ても『規格外』だ。
それを完全に『味方』につける事は、決して簡単な芸当ではないだろう。

>>269(ノエ)

これ以前にも、ノエはステュアートと面識がある。
しかし、『あの時』のノエは『小林』であり、
ステュアートも、あくまで『店の主人』として接していた。
今は『違う』。

「――――『申し出』は承知いたしました」

「ここで拾っておけば、彼らは私に『恩義』を抱いてくれるでしょう。
 『信頼できる一般人』は貴重です。
 『それが出来ないスタンド使い』以上に――――」

『小林の親友』であった青年の存在を、
ステュアートが知っているとは思えないが、
彼の言葉には年月に裏打ちされた『重み』が感じられる。

「その二人には、私の方から『仕事』を紹介させて頂きます。
 お渡ししたスマートフォンも、今後ご自由に使って下さって構いません」

ノエの希望は滞りなく承諾された。
ステュアートの口振りには『余裕』が感じられ、
がむしゃらに『利益』を追求する気風は皆無だ。
かつて小林丈が身売りした『最中派』とは、まさしく対照的な雰囲気だった。

「ただ、多少の『条件』を出させて頂きますが」

>>(ALL)

「お二人が『アリーナ』という『スタンド使いの組織』をご存知であれば、
 説明は手短に済ませられるでしょう」

関わった『派閥』は異なるものの、塞川とノエには『周知の事実』だ。

「コーヒーに合うかは保証できかねますが、少々『老人の昔話』にお付き合い下さい」

そう言い置いて、彼は話し始める。

「私は若い頃、『祖国の独立運動』に関与していましたが、
 止むを得ない事情で亡命し、世界各地を流浪した末に、この国に根を下ろしました。
 『スティーヴン・ステュアート』と名乗り、『アリーナ』に加わったのです。
 そして『彼』と出会った時、『派閥』として『独立する機会』が巡ってきました」

初老の西洋人は、窓際に座るロダンを一瞥した。
『石ころ』を『宝石』に変える『ストーン・エイジ』は、正しく『無限の富』を生み出す。
文明社会において『金』は『力』。
豊富な財力さえあれば、大抵の問題は解決できる。
それゆえに、ロダンを味方につけた者は、『巨大な力』を手に入れる事になるのだ。

     ス ゥ ッ

テーブル上に、二枚の『名刺』が差し出された。
程良い厚みと滑らかでマットな質感を持つ『プライク紙』。
深い黒地に金の箔押しが施されたデザインからは、嫌味のない『高級感』が漂う。

      「どうぞ、お納め下さい」

『ステュアート派・代表:スティーヴン・ステュアート』。
そのような『肩書』が綴られ、連絡先も併記されている。
『派閥』の『代表』――それが『Priceless』のマスターであるステュアートの『もう一つの顔』。

「この店が『隠れ蓑』という訳ではございません。
 ご来店いただいた方々に『至上の価値(プライスレス)』を提供する事は、
 『スタンド使い』としてではなく、『一人の人間』として、
 私にとっては『価値ある仕事』なのです」

271塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/14(金) 18:23:39
>>270
「そうか、『ストーン・エイジ』。
そいつがあれば、カネなんて幾らでも手に入る……恐ろしい『能力』だな」

眉を顰めるが、それはそうと封筒はバッグへと収める。
カップを揺らしながら、ステュアートの話を聞いた。

「『アリーナ』なら話は知ってるぜ。
『タダヒト派』って奴らからチケットを買って、試合を観戦したこともある。
だが、何だって? 『独立運動』?
そして『派閥』の代表……はっは、面白いヤツ」

名刺を物珍しそうに眺めながら、それ以上は喋らない。
『ノエ』に対する『条件』が気に掛かったからだ。

272ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/15(土) 11:44:02
>>271

 ステュアートの正体……スティーヴン・ステュアート。
『アリーナ』の派閥の代表の一人である事を明かされても
ノエは表情を一ミリも変わらなかった。
 予想していたから、と言うよりも。既に、自分は何も無い。
自分と言う無価値さが、奪われる事も奪う事にも意義を見出さない故に
ステュアートと言う大きな存在に畏怖も脅威も好感情や悪感情も
特にノエは抱かなかった。

>ただ、多少の『条件』を出させて頂きますが

「ああ、いいよ。オレ……」

オレ以外の周りの人間に迷惑が掛からないなら。そう、言いかけた言葉が止まる。

(……『今この瞬間の先』にある光も含めて取りこぼしてはいけないんだ。
その光の中に自分をないがしろにしてはいけない)

(……『風見』……そうだった)

「――オレ、も。
オレも含めて……周りの人間に害が及ばない条件なら呑む」

ステュアートに、そう一瞬瞳に何か閃光のような物を駆け抜けつつ
力強く言い切る。

273『微睡のN』:2023/04/15(土) 18:02:14
>>271(塞川)

軽く頷いて、ステュアートは塞川の見解に同意を示す。

「当然ながら無計画に行使すれば、
 『経済のバランス』を著しく狂わせてしまうでしょう。
 社会に深刻な影響を及ぼさない為に、
 我々は常に細心の注意を払っているのです」

もし『機嫌が良いと宝石を生む猫』だったなら、
収拾がつかなくなっていたかもしれない。
だが、ロダンは『知性』を持ち合わせている。
むやみやたらに『金』を作り出す事はしない。
とはいえ、『人間社会』の事は『人間』の方が知っている。
最終的な『裁量権』は、『代表』であるステュアートが握っているのだろう。

「我々は『派閥』としては小規模ですが、
 積極的な『営利活動』を行う必要がなく、
 余った時間を『その他の活動』に当てられるという訳です」

『金』と『時間』の両方がある『ステュアート派』は、
まさしく『悠々自適』と呼ぶに相応しい。

>>272(ノエ)

かつて小林丈が貫いた『自己犠牲』の精神。
それは尊いものであったが、背負った代償の重さは計り知れない。
今、ノエの瞳には、あの頃とは違う『光』が宿っている。
それを見て取ったステュアートは、僅かに目を細めた。
何事かを悟ったように見えたが、彼は何も言わない。

「――――『特別な仕事をしろ』とは申しません」

そう前置きしてから、ステュアートは改めて口を開く。

「この店の『宣伝』をして頂きましょう。
 今は私一人で切り盛りしている為に、
 大勢のお客様をお迎えする事が難しかったのですが、
 ノエ様の紹介で『従業員』が『二人』増える事になりましたもので」

『増える二人』というのは、二人組の『空き巣』の事だろう。
彼らは『Priceless』で雇われるらしい。
『店の宣伝』――『条件』というには、あまりにも簡単すぎる内容だ。
しかし、『ステュアート派』は『金回り』が良く、だからこそ多くを望む必要がない。
ステュアートの出した提案は、『ステュアート派』の『気風』を象徴している。

>>(ALL)

「我々の『主目的』は、厳密な意味の『治安活動』ではありません。
 正確に言えば『道を踏み外したスタンド使い』の『更生』です。
 必ずしも上手くいくものではありませんが、
 『今回の一件』は、お二人の力添えで『達成』されました」

「お二人共、時々は『コーヒー』を飲みに来て下さいますか。
 『彼』も、それを望んでいるでしょう」

ステュアートの問い掛けに、ロダンは尻尾を揺らして答える。

「『至上の一杯(プライスレス)』を用意して、お待ちしております」

そのような結びの言葉で、ステュアートは話を締めくくった。

274ノエ『ゼロ・モーメント』:2023/04/16(日) 11:25:45
>>273(長期に渡り、こちらこそ有難う御座いました。お疲れ様です。
今後も別の機会があれば宜しくお願いします)

 「わかった、宣伝だな」

肩透かしや、安易な条件による安堵も無い。
 これは『等価交換』であり、大事な契約だ。
 
小林 丈は、それをせず死で逃げようとした。
 
……逃げる事なく、生き続けるのに比例して罪を嵩ませるにあたって。
親友や別の仲間なら、進む中で上手く立ち回っていく方法もあっただろう。

だが、その生き方を選べば。オレは、彼ら(空き巣)に道を選ばせる
機会は無かっただろう。もしかしたら、別の誰かがオレより良い方法を
彼らに選ばせてくれたかも知れない。

(何時だって、後悔は産まれる。何時であれ、これが一番正しい方法だった。
等と胸を張れる事はない……それでも)

 「ああ」


 「また、必ず来る。……そうだよな、塞川」

(精一杯に、前に。我武者羅に、前へ 前へ―――)

 ノエには、何もない。ならば、これから何かを得る事が出来るのだろう。

275塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2023/04/18(火) 10:58:55
>>273
「私は、自分が正しいと思ってる奴が嫌いだ」

ステュアートの顔を正面から見つめて喋り出す。
髪を手櫛でといて、ロダンを、そしてノエを見る。

「だが、ここのコーヒーと謎掛けは別に嫌いじゃあない。
そういう意味では、また来るさ。
今回の事件は……私の問題だった。
そいつの解決を手伝ってもらった恩もあるしな。
意外と義理堅い女なんだよ、私はな」

そう言って軽く笑う。

276『微睡のN』:2023/04/20(木) 03:29:06
>>275(塞川)

「ええ――――私も『同感』です」

「『客観的な視点』から見る者がいなければ、
 人々は容易く偏った方向に誘導されてしまう。
 それは『人間の問題』であり、『スタンドの有無』は関係ありません」

確かな同意を込めて、ステュアートは軽く頷く。
『独立運動』とは既存の社会に対する『反逆行為』だ。
それに関与していたという彼の言葉には、
知識だけではない『実体験』を感じさせる響きがあった。

「今回の一件は『偶然』が重なって起きた『事故』でした。
 『足達祐馬』の事は、我々の方でも気に掛けておきましょう」

そう言うものの、差し迫った危険はないと考えているらしく、
積極的に干渉するようなニュアンスは窺えない。

「――――またのご来店を心よりお待ちしております」

         ス ゥ ッ

やがて、『ブラック・ダイヤモンド』を飲み終えて退席する塞川に向けて、
ステュアートは恭しく頭を下げた。

>>274(ノエ)

《………………『一年』も『野営』を続けていれば、
 さすがに『匂い』は全く同じではなくなる。
 これだけでは『手掛かり』として不十分だと言わざるを得ない》

《背格好や『金魚』という共通点はあるが、それはそれとして…………》

《君に話した通り、私は『同種族のネットワーク』を持っている。
 ただし、今の暮らしをするようになってからは『ご無沙汰』だ。
 お陰で『情報』が回ってくるまで『一年』も掛かってしまったがね》

店を出る直前、ノエの背後でロダンが呟きを漏らす。
その時、塞川は一足先に店の外に出ていた。
何かしら意図的なものを感じるタイミングだ。

《私からも『一つ』ある。
 もっとも、これは『個人的な頼み』なのだが――――》

アイラインによって強調された黄金色の瞳には『ノエの姿』が映り込む。
ロダンは『謎の探求』を生き甲斐としている。
しかし、『ノエの正体』に対しては、全くといっていいほど関心を示さなかった。

《『小林丈』に会ったら伝えてもらいたい》

まるで既に『解けてしまっている』かのように。

《――――『ロダンは君を覚えている』と》

彼は『猫』だ。
人よりも優れた『感覚器官』を持つ。
また、彼には『独自のネットワーク』があると、ロダン自身が語っていた。
それが『野良猫のコミュニティ』であれば、
新しく入ってきた『人間のホームレス』は、一種の『競争相手』になる。
自然な流れとして、『警戒すべき対象』に含まれる事になるだろう。

《では、また会おう――――――『ノエ』》

ロダンの言葉を背中に受けながら、ノエは『Priceless』を後にする。
彼の性格を考えると、『秘密』が漏れる事はないだろう。
何よりも、彼は『人ではない』のだから。

>>(ALL)

       ――――――カラァン

こうして『ナイトメア事件』は幕を下ろし、『一人の少年』が救われた。
『Priceless』を出た二人――『ノエ』と『塞川唯』は、
『それぞれの居場所』に戻っていく。
いつか何処かで再会する事もあるかもしれない。
何故なら、彼らは同じ街にいる。
ここ『星見町』に――――。

  塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』⇒

      『20万円』&『2万円相当のアメジスト(シロハラムクドリの彫刻)』獲得

  ノエ『ゼロ・モーメント』⇒

      『20万円』&『2万円相当のラピスラズリ(指輪×2)』獲得



                『微睡のN』⇒『終幕』

277『微睡のN』:2023/04/20(木) 03:31:27
>>276

二人を見送った後、ステュアートはカウンターに戻り、
彼らのような若者だった時代を回想していた。
政府側の情報操作によって、故郷から『テロリスト』として扱われた彼は、
各地を放浪する中で、数多くの偽名を使い分けた。
『スティーヴン・ステュアート』も、その内の一つだった。
今のステュアートにとって、自分の名前は『瓶に貼られたラベル』であり、
他と区別できさえすれば良かったのだ。
幸い『アリーナ』は懐が広く、『仮の名前』を名乗ったとしても、
それを深く追及する者はいない。

「長く『内側』に留まっていると『客観的な視点』を持ちにくくなるものです」

「だからこそ『外部の意見』は大いに尊重されなければなりません」

「『真に客観的な立場』を得る為には、
 いずれは『アリーナ』からも『独立』する必要があるでしょう」

          ボォォォォ………………

サイフォンを熱するアルコールランプの火を見つめながら、
ステュアートと名乗る初老の西洋人は、静かに自らの心に語り掛けていた。

278『ストーリーテラー:S』:2023/04/20(木) 03:42:52

《――――――以上が、この『小さな事件』が迎えた結末だ。
 私の目から見ても『サイカワ』と『ノエ』は、『最善』を尽くしていたものと思う》

《さて…………『後の調べ』で分かった事を幾つか補足しておこう。
 最初の被害者は『ユウマの担任教師』だった。名前は『ハシヅメ』。
 『ユウマ』に追いついた時、学校の敷地に残っていた教師が彼女だったそうだ》

《『ユウマ』だが、彼は『警察が捕まえに来る』と思い込んでいたらしい。
 『チエ』の前に現れなくなった事や、人目を避けるような振る舞いは、
 それが理由だったのだろう》

   《『サイレン』?あぁ、あれは私だ。
    『ノエ』が使ったアイディアを拝借させてもらったのだよ。
    『例の二人組』の手を借りてね》

《『ナイトメア』――――『R.I.P.』の発現経緯は、概ね二人の推測通りだった。
 まず祖母の死で精神状態が不安定に陥ったものの、
 この段階では発現には至っていなかったようだ。
 そして、死んだように眠る『テジマ』を目撃した事が、直接の引き金となった》

《今回の一件は、『スタンドが絡む案件』の中では、
 『小規模』な部類だったと言える。
 だからこそ見過ごされていた。
 人知れず深刻化していたかもしれない可能性を考慮すると、
 そうなる前に解決できた事は何よりだ》

  《私にとっての何よりは『謎』に出会えた事ではあるのだが…………》

《この世において『最大の謎』は『心』だ。
 今回の事件も『心の機微』が引き起こしたものだった。
 無限に広がる宇宙と同じく、『心の謎』は尽き果てる事がない》
 
《『サイカワの心』も『ノエの心』も、未だ『謎』は多く、
 それゆえに私には魅力的に映る。
 繊細な輝きを放つ『宝石彫刻』のように》

     《だからこそ、彼らとは『また会いたい』と考えるのだよ》

279『微睡のN』:2023/04/20(木) 03:49:16
【微睡のナイトメア】『足達祐馬』のスタンド。

『黒い靄』が寄り集まって構成された『黒い馬』のヴィジョン。
気体に似た特性を有しており、物理的な攻撃の一切が通用しない。
タイプとしては『自動操縦型』に分類され、
本体の状態に関わらず、特定の動作を行い続ける。

能力は『眠気の奪取』。
発現時、最も近い位置にいる人間に取り憑き、
『睡眠』を『ロック』する事で、強制的な『不眠症』に陥らせる。
奪った『眠気』は本体自身に送られ、それを安全な『睡眠導入剤』として投与し、
本体に『安らかな眠り』を与える事が、このスタンドの存在意義だった。

本体の意思を除く『解除』の条件は、
『睡眠以外』の要因による本体の意識消失か、『憑依対象』となった人間の気絶。
後者の条件を満たした場合、『黒い馬』は『次の標的』に取り憑く為に、
根本的な解決には成り得ない。
直接的な戦闘力は持たないものの、極めて長い射程と持続時間を兼ね備え、
『日数』が経過する程に『脅威』は増す。

『R.I.P.』
破壊力:− スピード:C 射程距離:A
持続力:A 精密動作性:C 成長性:A

280『N』⇒『M』:2023/05/04(木) 11:11:00

『Priceless』という喫茶店がある。
あまり目立つ店ではないが、訪れた客からの評判は高く、常連客も少なくない。
ちょうど客足が途切れたタイミングで入店したのは、一人の少年だった。

    カ ラ ァ ン

        「――――こんにちは」

少年――『足達祐馬』は、何度か顔を合わせた主人に挨拶した。

「もう『力』の使い方には慣れたようですね」

カウンターの後ろに立つのは初老の西洋人。
長身痩躯のシルエットを『チャコールグレー』のスーツに包んでいる。
限りなく黒に近い灰色だ。

「はい、お姉さんにお礼を言われました。
 『薬に頼らなくても良くなった』って」

足達祐馬のスタンド――『R.I.P.』は『眠気を奪う』。
複数の『不眠症患者』を出した能力は、
佑馬の知人である『過眠症患者』を助ける目的で使われるようになっている。
どんな能力にも適した使い道があり、それを見つける事が出来た背景には、
『二人のスタンド使い』の活躍があった。

「あの…………『ノエさん』と『塞川さん』に伝言をお願い出来ますか?
 『力の使い道を見つけられた』って」

佑馬の言葉を聞いた主人――『スティーヴン・ステュアート』は、
口元に微笑を浮かべながら静かに頷いた。
やがて、佑馬は店内を見回す。
普段そこにいる筈の姿が見えなかったからだ。

「『彼』は外に出ていますよ。
 『スフィンクス』は『謎を司る者』です」

       コポポ…………

「また新たな『謎』に惹かれたのかもしれません」

ステュアートの手元では、
アルコールランプに熱せられたフラスコが沸騰し、
少しずつ黒い液体を抽出し始めていた。

281『ストーリーテラー:S』:2023/05/04(木) 11:19:37

《この『小事件』は『学校』で起こった。
 君達も知っている『私立清月学園』だ》

《厳密には『事件』と呼ぶ程の出来事でもないだろう。
 しかし、世間を騒がす大事件も、最初は些細なきっかけから始まるものだ。
 『未来に起こり得る災いを未然に防いだ』と考えれば、
 骨を折っただけの意義は大いにある》

《そして、新たな『謎』に触れられる事は、
 私にとっても『至上の価値(プライスレス)』に繋がるのだよ》

282『縁結のM』:2023/05/04(木) 11:47:22
>>(龍)
>>(奈津川)

『龍美丹』と『奈津川恋子』は、昇降口に向かって歩いていた。
特に約束していた訳ではなかったが、『同級生』という事もあり、
たまたま途中で一緒になったのだ。
今日の授業は終わり、今は『放課後』。
学校に残る用事がなければ、あとは帰るだけ。
『クラブ』に参加している生徒は、これから『部活動』があるだろう。

「これでよしっ――――と」

掲示板の前を通った時、『ポスター』を張っている少女が視界に入る。
真っ直ぐ切り揃えられた前髪が特徴的で、制服の着こなし方からも、
『しっかり者』といった印象を受ける風貌だ。
張り出されているのは『演劇部』のポスターで、新入部員を募る内容だった。
気軽に『見学』して欲しい旨が書き添えられている。
『部室』の場所は校舎内ではなく、外の『プレハブハウス』らしい。

     ――――――クルッ

振り返った少女の目線が二人と合った。

>>(涙音)

その日、『朱鷺宮涙音』は『三枝千草』と知り合った。
互いに『魔物事件』に関与したという共通点があったのだ。
三枝は『学生寮』に住んでいるそうだが、
自室で『ラッコ』を保護し、パーソナリティーの『美作くるみ』と共に、
『クリスマスラッコ』の写真や動画を撮影する手伝いをしたらしい。

「朱鷺宮先輩は大活躍だったみたいですね。
 千草も見習いたいです」

三枝は一つ下の学年に当たる後輩だが、『性別』は『不詳』。
細身の体型と繊細な顔立ちは、男子にも見えるし女子にも見える。
食が細いせいで発育具合が良くない事も、分かりにくさに拍車を掛けていた。
三枝の服装はブレザーとショートパンツ。
いわゆる『改造制服』だ。

「――――朱鷺宮先輩は『お芝居』に興味はおありでしょうか?」

『放課後』になり、一緒に廊下を歩いている時、三枝は言った。

「高等部に『演劇部』があるのですけれど、
 ちょっと『見学』に行ってみませんか?」

三枝は『生徒会』に所属していると、本人から聞いている。
一見すると関係なさそうだが、『演劇』に関心があるのだろうか?
それとも、何か別の理由があるのかもしれない。

283龍美丹『チーロン』:2023/05/04(木) 13:35:28
>>282

学校に長居をしてもいいことと言うのはそう無い。
生活指導の教師にはピアスを外せと言われるし。
かと言え家に帰ってみれば、店の手伝いをしろと父親にケツを蹴り回される。
お気楽に人生を過ごすというのも中々に難しくて、学生の身分でも社会というものに悩むこともある。
などと、考えている。
いやまぁ大概自分が悪いのだが。

「やぁどうも」

その言葉は、演劇部らしい生徒に投げかけられた。

一、見た目
174cm、60kg
シャツの第一ボタンを開けた制服。
ネクタイを選択。
黒い三つ編みに赤い瞳と耳に軟骨ピアス。

二、持ち物
学生カバン(教科書、ノート、筆箱、弁当箱、ウォーターボトル)

三、プロフィール
中華料理屋『龍道飯店』一人娘。
中国と日本のハーフ。
少しキザっぽい

四、能力詳細
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/231

284朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/04(木) 13:51:20
>>282
「いやぁ〜…大活躍と言っても私は、ちょっとサポートしたぐらいで…
 むしろもっと他の人が活躍してましたよ。えーと、小石川さんや、村田さんとか…
 あ、そうそう、千草さんが保護したっていうラッコさんも活躍してましたよ。
 色々協力してくれて、助かりました。」
千草とは割とすぐに意気投合した涙音。
ラッコと戯れたことがあるという共通項があるためか、
主にラッコの話で盛り上がっていた。

(この人…どっちなんだろう…)
何となく彼?彼女?の性別が気にかかる様子の涙音。

しかし、その考え事も千草の一言で一旦消える。
「お芝居?…なんでまた急に…
 まぁ、見るのは好きですけど。」

「生徒会の人が演劇部にどんな興味があるんですか?
 まぁ、誘いを断るつもりはないですけど。」
ちょうど放課後は暇だった。涙音は特に気にすることなく誘いに乗ることにした。



※スタンド能力概要
『ライフル』を持つ『軍服』を纏い『女性軍人』のヴィジョンの人型。
触れたもの、あるいは『ライフル』の『銃弾』が命中した物体に
『攻撃』へと『向かう』性質を持つ『的』を設置する能力。


『フォートレス・アンダー・シージ』
破壊力:B(C)スピード:B  射程距離:E(B)
持続力:C   精密動作性:B 成長性:B
※()内は銃のもの

能力詳細
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/134-136

※所持品
スマホ・財布・お守り・通学用手提げカバン。お守りがジャラついている。
学生服着用。夏の魔物事件でハマっているので手持ちのバニラの匂いのアロマオイルを所持。


※簡易プロフィール
朱鷺宮家長女。
常に落ち着いていなくてやや情緒不安定気味。
普段は大人しめでキョドることが多いが、うれしいときはハイテンション気味になる。
周囲にどう思われてるか不安でしょうがないが、他者に対しては人付き合いよくしようとしている。
不幸体質で、何故か鳩尾の災難が多い。
今日の髪飾りの色は黄色。
妹もいる。

285朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/04(木) 13:51:44
>>284
//メール欄は気にしないでください

286奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/04(木) 19:25:52
>>282
(どうしましょうか……恋子、ピンチです)

放課後、緑に染めた髪を指で弄り、黙って歩きながらちらちらと『龍』の顔を見る。

(偶然に一緒になったものの、龍さんとはあまり喋った事がありません。
勿論、喋ったことがある同級生の方がすごく、非常に少ないのですが……)

『奈津川恋子』は非常に交友関係が狭く、ありていに言えば……『ぼっち』だった。

(名前はわかっています。『龍美丹』さん……。
少し不良っぽいフウではありますが、格好良い方です。
なんとかしてお近づきに……せめて名前だけでも覚えていただきたい……!
ム……このままではいつものように家に帰るだけです……
恋子はやりますとも、今、ここで……!)

意を決したように息を吸い込み、『龍』の方を向いて口を開く。

> 「やぁどうも」

「『龍』さん! あの、良ければ一緒に……アッ」

(『カブって』しまいました……)

気まずそうに『ポスター』を貼っていた少女と『龍』の顔をかわるがわる見る。


====================

○スタンド能力

人型スタンド。
『境界』に触れる事で『障壁』を作り出す。
『障壁』はスタンドか本体のみ『透過』が可能。

『クワイエット・ガーデン』
破壊力:C スピード:C  射程距離:D
持続力:C 精密動作性:A 成長性:C

○能力詳細
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050315/228

○外見
緑髪の学生。学生服にカーディガンを着用。

○持ち物
学生鞄、日用品『星型のエメラルド』のネックレス。

○簡易プロフィール
清月学園3年生。
部活には所属しておらず、友人も少ない。
『バランス』を取るため、母の命を奪った『悪事』に相当する『善行』を求めている。

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453050739/168

287『縁結のM』:2023/05/05(金) 08:47:36
>>283(龍)

多くの場合、人間は誰しも『悩み』を抱えて生きている。
自らの内に『龍の血脈』を宿す美丹も例外ではなかった。
あちらを立てればこちらが立たず。
人々は様々な『しがらみ』に囲まれているものだ。
学生の立場であっても、それは変わらない。

「あっ、こんにちは」

    ニコッ

挨拶に応じて、少女が笑顔を見せる。

「私、高等部一年生の『頼成』です。
 もしお時間あったら、ぜひ『演劇部』へ遊びに来て下さい」

どうやら彼女は『後輩』に当たるようだ。
頼成は美丹の姿を見つめ、『赤い瞳』に目を留めた。
神秘的な風貌が『映える』と思われたのかもしれない。

     ……………… ……………… ………………

一緒に歩いていた『奈津川』が、気まずそうな表情で二人を見ている。
確か、彼女は『三年生』だった。
何か美丹に伝えたい事があったのだろうか?

>>286(奈津川)

改めて思い返すと、美丹は『二年生』だったような気がした。
なにしろ生徒数の多い学校だから、同学年でも知らない顔は少なくない。
しかし、『龍美丹』の姿は目立つ。
同じ『高等部』で過ごす中で、見かける機会は何度かあった筈だ。
だから、名前も知っていたのだろう。

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

ともかく、恋子は『覚悟』を決めた…………。
清水の舞台から飛び降りるような渾身の『決意』!
今こそ『奈津川恋子』の一世一代の『大舞台』だ!!

   バ ッ ! !

          ――――――だが。

    『セリフを言うタイミング』が悪かったようだ。

「あの、一年生の『頼成』です。
 『演劇部』をよろしくお願いします」

        ペコッ

恋子の気持ちを知ってか知らずか、
『演劇部員』らしい少女が笑顔で会釈してきた。

>>284(涙音)

間近で見ても、『三枝の性別』は判然としない。
それはそれとして、『ラッコの話』は大いに盛り上がった。
一時はブームを巻き起こした神出鬼没の海獣は、
今も星見町の何処かにいるのだろう。

「実は、千草の家は『舞台俳優』なのです。
 その縁で、時々『演劇部』のお手伝いをする事があるのです」

「『新入部員獲得』の相談を受けた時、
 『まず多くの生徒に知ってもらいましょう』とアドバイスをしました。
 だから、朱鷺宮先輩にも見ていただきたいと思ったのです」

「こうして知り合えたのも、きっと何かの『縁』ですから」

       ザ ッ

話している間に、三枝と共に昇降口へ辿り着く。
ふと見ると、下駄箱の前に一人の女子生徒が立っていた。
ショートヘアの活発そうな少女で、学校指定のジャージ姿だ。
彼女の視線は下駄箱に向けられているのだが、そこを開けようとはしておらず、
何かを考えているかのように腕を組んでいる。
右手の手首には『包帯』が巻かれていた。

288朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/05(金) 13:51:17
>>287
「へー、そうなんですか。
 舞台俳優って言うと、結構有名な方なんでしょうかね?」
少し驚いた様子で答える。
舞台は詳しくないものの、俳優というあたりに興味が惹かれるのだ。

「新入部員獲得が目的ですか。
 まぁ…私は演劇部に入る予定はないですけど
 ちょっと興味がありますね。
 言ってみようかな…」
多少なりとも涙音は興味を持ったようだ。
一応入る気は今のところないようだが。

「見ていただきたいと言いましたけど
 一体何を見せていただけるんでしょうか?」
何気なく質問してみる。
演劇部ということだから、劇をなにか見せてもらえるのか。と考えた。

「…?」
昇降口の方まで足を運んだ涙音はふと、ジャージ姿の少女が目についた。
右手に包帯が巻かれていて、なにか考え事をしているようだ。

「どうかしましたかー?」
少し気になった涙音は、その少女に声をかけてみた。

289奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/05(金) 19:27:55
>>287
(『演劇部』に……これは、『スカウト』……!
初めて見ました。すごい、さすが『龍』さん)

言葉を引っ込めて2人のやりとりを黙って見ていると、
こちらにも声が掛かった。

「はいっ! こちらこそ。『頼成』さん。
ええと、わたしは三年生の、奈津川恋子といいます。
漢字は、季節じゃない方のナツにわざとじゃない方のコイです。
どうも、よろしくお願いします」

改まって挨拶をし、頭を深々と下げる。
その姿勢のまま顔を『頼成』に向けて(見上げる形になる)尋ねる。

「『演劇部』『部員募集中』。
……お困りなんですか?」

290龍美丹『チーロン』:2023/05/05(金) 20:34:27
>>287

「演劇部ね……」

部活には入っていない。
興味が無い訳では無いが、所属はしていない。
入れば実家の手伝いからの逃避が出来ただろうが、そこまでして逃げようとは思わなかった。

「うん。いいね」

ここで会ったのも何かの縁だろう。
その直感に従ってみることにした。

「貴方も来ますか? 奈津川先輩?」

「ボクは一人より二人の方が心細くないけど」

そう声をかけた。

291『縁結のM』:2023/05/06(土) 08:33:31
>>288(涙音)

「すごく有名という程ではないです。
 テレビドラマや映画には出ない舞台専門の役者なので……」

「『舞台に詳しい人なら知っているかもしれない』くらいです」

          ニコリ

そう言って、三枝は照れ笑いを浮かべた。

「宣伝の狙いは『知名度アップ』です。
 無理に勧誘したりはしません。
 演劇部がある事を知らない人も結構いるみたいですから、
 最初は知ってもらう事から始めるのです」

「そうすれば、入りたい人は自分から来てくれます」

「見学していただくのは、主に『普段の活動風景』ですね。
 発声練習や表現力のトレーニングとか、
 部室でDVD鑑賞して感想を言い合う事もありますよ。
 舞台は生で見るのが一番ですけど、チケット代も馬鹿になりませんから」

        ピタッ

少女に呼び掛けた涙音に合わせて、三枝が足を止める。

   「――――…………別に」

             スタ スタ スタ

ジャージ姿の少女は、涙音の言葉で我に返り、そのまま立ち去っていった。
彼女がいなくなった後で、三枝が下駄箱の前まで歩いていく。
使用者を示す『ネームプレート』を見ようとしているようだ。

>>289(奈津川)

  「『季節じゃない方』……?」

      「『わざとじゃない方の』……?」

         「――あ、ごめんなさい!
          お話の途中でボンヤリしちゃって……」

『奇矯な自己紹介』に面食らったらしく、頼成は恐縮した様子で頭を下げた。

「はい、実は…………。
 別に何かあったって事はないんですけど、今は部員数が少なくて。
 それで『宣伝に力を入れなきゃ!』って思ったんです」

とりあえず『廃部寸前』というような状態ではないようだ。
しかし、確かに『困ってはいる』のだろう。
頼成の表情からは真剣さが窺える。

「もし興味があったら、奈津川先輩も見学していってくれませんか?
 上級生も大歓迎ですよ。
 『新しい刺激』になりますからね!」

ちょうど美丹からも『誘いの声』が掛かっている。
勇気を振り絞った事は、無駄にはならなかったのかもしれない。
『部室』を覗いてみれば、更に『交友関係』を広げられる可能性も有りそうだ。

>>290(龍)

美丹の返事を聞き、頼成の表情がパッと明るくなった。

「ホントですか!!わぁ、ありがとうございます!」

「龍先輩すっごく存在感がありますし。
 『色気がある』っていうか。
 あ、変な意味じゃないですよ!
 『妖しい魅力』みたいな――――」
 
「…………って、まだ入部が決まった訳じゃないんですよね。
 一人ではしゃいじゃってすみません…………」

           スゥッ

赤面した顔を隠すように、頼成はポスターの束を持ち上げる。

「さっそく案内したいんですけど、まだ仕事が残ってるので、
 先に『部室』へ行っていて下さい。
 演劇部の部室は、昇降口を出て左手側のプレハブです。
 近くで見れば分かる筈ですから」

頼成も奈津川に声を掛けている。
部員を求めているのであれば当然の流れだろう。
彼女が拒まなければ、二人で向かう事になりそうだ。

292奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/06(土) 20:14:46
>>290
「ハイッ! 私も光栄です!
……間違えました、光栄なのは私だけでした。
行きましょう行きましょう。
楽しみです。
龍さん、部活には入ってないのですか?
実は私もです」

真顔で返答した後、先導するように歩き出す。

>>291
「『新しい刺激』……良いことを言いますね。
頼成さんは人間が出来ています。
勿論行きます。暇ですから」

そして演劇部へと向かう。

293朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/06(土) 21:25:12
>>291
「すいません。その、私は舞台関係はあんまりよく知らなくて…
 ライオンキン○とかぐらいしか知らないんです…」
少し恥ずかしそうに千草へと返す。
とはいえ、いずれドラマなどでも見られるだろうかと期待する。

「つまり、見に行った後に
 色んな人に話題にしてもらえると嬉しい、ということでしょうか?
 確かにそのほうが色んな人が来てくれそうですね。」
自分たちが呼び水となって
部の人気も上がる、ということなら涙音に取っても悪くない気分だ。

「まぁ、実際の舞台を見せるってのはそんなに簡単じゃないですよねー。
 でも続きは是非入部して!っていうのも悪くなさそうかも…」

少女に話しかけていた涙音は
「あの、あっ行っちゃった…」
そのまま立ち去った少女を目で追う。

「何だったんでしょうか…
 なんかさっき見た感じだと、なにか考えてた感じだけど…」
そう言って涙音もネームプレートの方を見る。
なにか覚えがある名前だったりするのだろうか

294龍美丹『チーロン』:2023/05/06(土) 22:36:26
>>291

「そう褒められるとむず痒いね」

そう返しつつ、満更でもない。
多少自己プロデュースしているのは否めない。
思った以上の効果を上げているようだが。

>>292

「先輩もですか」

「なかなかタイミングを逃すと部活は入りずらいですよね」

先導について行く

295『縁結のM』:2023/05/07(日) 09:36:06
>>292(奈津川)
>>294(龍)

「手が空いたら私も部室に行きますね」

       ペコッ

        「それじゃ、また後で!」

頼成は二人に軽くお辞儀して、残りのポスターを持って歩いていった。
そして、恋子と美丹は『演劇部』へ向かう。
部室に行く為には、まず昇降口を通らなければならない。

    ……………… ……………… ………………

そこには『二人の生徒』がいた。
二人とも『中等部』らしい。
片方は前髪の一部を赤く染めた少女だ。
胸ポケットからは『開運グッズ』がジャラジャラと溢れている。
連れ合いは小学生に見える程の小柄だが、
ショートパンツ風の『改造制服』を着ている事から、
もう少し上の学年だと分かった。
しかし、『性別』は判然としない。
その二人は『下駄箱』の一角を眺めているようだ。

>>293(涙音)

三枝と一緒に『ネームプレート』を覗き込むと、次のように明記されていた。

     〘 日向神 光也 〙

        「あの人の名前じゃないみたいです」

『下駄箱の名前』は、涙音の記憶にはなかった。
多分、さっきの少女の名前でもないだろう。
おそらく他の生徒が使っている場所だが、その前に立っていた理由は不明だ。

    「あ…………」

          チョイ チョイ

三枝が呟くように言って、涙音の袖を軽く引いた。
気付けば、少し離れた場所に『二人の女子生徒』がいる。
どちらも涙音より背が高く、年齢も上のようだ。
涙音の在籍する『中等部』ではなく、『高等部』の上級生らしい。
二人とも『独特の風貌』をしている。
一人は制服を着崩しており、神秘的な赤い瞳と相まって、
どこか『妖しげな雰囲気』が漂う。
もう一人は緑色に染められたアシンメトリーのボブカットが目立つものの、
個性的なヘアスタイルとは対照的に表情が真顔な辺り、
『全体のバランス』は取れていた。

「…………朱鷺宮先輩」

そして、『現在の涙音』――『他人の下駄箱を眺めている』という状況は、
ほんの少しだけ『気まずい』かもしれない…………。

296朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/07(日) 20:33:21
>>295
「確かに、見た感じこれは男子の名前っぽいですね。
 みつなり?こうや?みつや…?」
ルビは振られてないのだろう。
読み方は分からないが、思いつく限りでも男性の名前にしか見えない。

「ん、どうしました?」
ふと袖を惹かれた方に顔を向けると。
そこには女生徒二人(>>292>>293)の姿が見えた。

「あ、その。」
二人に見られたような気がしてとても恥ずかしそうな表情になった。

「別に怪しいものでは…
 その、なんとなーく下駄箱を見てただけでして…」
慌てて言い訳する涙音だったが、明らかに怪しい人の行動である。

297龍美丹『チーロン』:2023/05/08(月) 01:09:19
>>295

「おや不良だ」

「なかなか個性的じゃあないか」

とはいえ、性格的に奈津川にこういった人の相手をさせるのはどうだろうか。
こういう時はお互いに空気であるかのように受け流すのが一番だ。

「下駄箱の方を見てる」

「なにかあったのかな?」

298奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/08(月) 08:03:18
>>294
「先輩……はい、先輩ですとも。
そうですね、『タイミング』は重要です。
人生はタイミングといっても過言ではありません」

関係あるようなないような話をしながら廊下を歩いていく。

>>295-296
そして、中等部の生徒2人に向けておもむろに声を掛ける。

「こんにちは。私は高等部三年生、奈津川恋子と申します!
そこの他人の下駄箱を眺めていらっしゃる中等部のおふたり、
なにかお困りでしょうか!」

>「別に怪しいものでは…
> その、なんとなーく下駄箱を見てただけでして…」

「……ええ、はい。勿論怪しくはありませんとも。
私も……ええと、他人の下駄箱を眺めていたい気持ちになる事は良くあります。
誰にでもあることです。
お気になさらず」

299『縁結のM』:2023/05/08(月) 16:06:45
>>296(涙音)

図らずも朱鷺宮自身が、『さっきの少女』と似たような状況になってしまった。
二人して眺めているという絵面は、一人よりも更に怪しく見える。
しかし、そこまで不審がられている訳ではなさそうだ。

「はじめまして。
 中等部一年に在籍している『三枝千草』です。
 『生徒会』で『書記』を担当させていただいています」

        ペコリ

二人に向き直った三枝が挨拶し、お辞儀をする。

「――――朱鷺宮先輩、行きましょう。
 『演劇部』の部室は外へ出て左側ですから…………」

頭を上げた後、三枝は朱鷺宮に囁いた。
深く突っ込まれない内に立ち去ろうという事のようだ。
あれこれ説明するよりも、その方が面倒にならないかもしれない。

>>297(龍)
>>298(奈津川)

『他人の下駄箱』を眺める二人連れ。
その光景は、確かに少し妙なものがある。
しかし、特に何かしている訳でもないので、本当に見ていただけなのだろう。

「はじめまして。
 中等部一年に在籍している『三枝千草』です。
 『生徒会』で『書記』を担当させていただいています」

        ペコリ

小柄な方の生徒が挨拶し、丁寧に頭を下げた。

「――――朱鷺宮先輩、行きましょう。
 『演劇部』の部室は外へ出て左側ですから…………」

『三枝』と名乗る生徒は、『朱鷺宮』と呼ばれた少女を促す。
どうやら彼女達も『向かう先』は同じらしい。
恋子や美丹のように、『宣伝』を目にしたのだろうか。

300朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/08(月) 18:45:01
>>297-298
「お困り…というほどではありませんけど…」
どこか涙音は恥ずかしそうである。

「…そういう気分になることがあるんですね。
 あ、いえ…すいません。」

「えーっと、おふたりともはじめまして…ですよね?
 私は中等部の朱鷺宮涙音です。」
千草に釣られる形で涙音も自己紹介を返した。

>>299
「…あぁ、そうでしたね。
 私たちは演劇部に用があるんでした。」
そう言って二人に向けて手を振り、
演劇部の方へと足を運ぼうとする。

「あ、怪しくはないですー。
 じゃあまたー。」
そう言って二人に手を振って
演劇部の部室へと歩いていく。

その二人もそちらに用事があるということは、まだ知らない。

301龍美丹『チーロン』:2023/05/09(火) 18:36:07
>>298
>>299

(この人……)

奈津川の様子を見て、少し反省する。
受け答えを見てテンパっているのか素なのかがまだ判断しかねるが。

「ん?」

「いや、ボクたちも演劇部に用があってね」

自身の三つ編みを指で弾きつつ。
行き先が同じなら一緒に行ってしまった方が向こうも楽だろう。

「お嬢様方をエスコートさせていただいても?」

302奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/09(火) 21:50:21
>>299-301
「ご丁寧にありがとうございます!
私のことはなんとでも呼んでいただいて結構。
そして折良く私たちも『演劇部』へ向かう予定です。
向かいましょうとも」

真顔で頷き演劇部の道すがら、
その心情を知るよしもなく『龍』へと話しかける。
目を爛々と輝かせて。

「ふっふふ、今日は良い日です。
私、友人がいなさすぎて『猫に話しかけていた』とか、あらぬ噂を立てられていたんですが……
今日でそれも卒業です。
万歳!」

303『縁結のM』:2023/05/10(水) 06:35:09
>>300(涙音)

その場を離れて部室へ向かおうとした時、高等部の二人から誘いの声が掛かった。
目の前に立つ両名も『演劇部』に用があるらしい。
特に断る理由がなければ、一緒に行く形になるだろう。

>>301(龍)

奈津川恋子という人物の性格を、まだ読み切れていなかったのかもしれない。
見かけ以上に弾けた一面があるようだ。
この分だと、美丹が『抑え役』になりそうな気がする。

>>302(奈津川)

望外の吉日を喜びながら、自身に降り掛かった謂れのない噂話を思い返す。
ただ、完全に間違いとも言えないのが微妙な所だ。
あれは確か『烏兎ヶ池神社』だっただろうか。

>>(ALL)

「先輩方も『演劇部』へ行かれるのですね。
 そういう事でしたら、ご一緒させて下さい。
 千草も朱鷺宮先輩を案内する途中でしたので」

美丹と恋子の提案に、千草が同意する。

     その時――――――

               トッ トッ トッ

昇降口から外に視線を向けると、一匹の『猫』が歩いてくるのが見えた。
普段よく見かける猫とは大きく異なり、体毛が生えていない異質な姿。
珍しい品種なので、少なくとも野良猫ではないだろう。

      ……………… ……………… ………………

恋子は『彼』を知っている。
自らを『ロダン』と名乗り、『宝石』を生み出す能力を持つ『スタンド使い』。
そして、『謎』の探求を生き甲斐とする『スフィンクス』だ。

304奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/10(水) 16:31:44
>>299
「ハッ、あれは『ロダン』さん……。
何故学校に……まさか」

万歳のために挙げていた手を下ろして、
集団を抜け出して早足に『ロダン』へと近づき、しゃがみ込んでひそひそと話し掛ける。

「こんにちは、『ロダン』さん。
もしかせずとも、この私こと恋子に御用でしょうか?
でしたら少々お待ちください。
私は今、お友達と……『ほぼお友達』とおりますので。ふっふふ」

何故か少し得意げに、二重に早とちりな台詞を吐いた。

305龍美丹『チーロン』:2023/05/10(水) 21:34:44
>>303-304


「お、猫だ」

迷い込んだのだろうか。
まぁ取り立てて騒ぐことでもないが……

「……」

とは思ったが、奈津川が近づいて行った。
まぁ取り立てて騒ぐことでもないが……
周りの目というのは少しばかり気にしておこう。

「先輩。いけないな移り気は。行きましょう」

306朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/10(水) 23:06:50
>>301-303
龍と奈津川の二人が声をかけてきた。
「あ、そうなんですか〜。
 それならちょうどよかった…んでしょうかね?
 なんだか演劇部は新入部員を募集してるらしいですよ。」
二人に向けて、演劇部の現状を教える。
とはいえ、二人はそのあたりは知っているかもしれないが…

その時、一匹の猫が歩いてきた。
「あら、猫さん。
 …毛が生えてないなんて初めて見るタイプです…」
どこか嬉しそうに視線を向ける。
猫に詳しくないため、涙音は何の種類の猫なのかはわからない。
なんとなーく、こっち来いという感じで誘ってみる。

307『縁結のM』:2023/05/11(木) 10:22:36
>>305(龍)

猫に歩み寄った奈津川は、その場にしゃがみ込んだ。
珍しい種類だから興味を引かれたとしても無理はない。
しかし、猫は猫。
迷い込んだとしても、そう騒ぐ程でもないだろう。
美丹の判断は至って冷静だった。

>>306(涙音)

体毛が生えていない。
それだけの違いなのだが、まるで奇妙な動物のように見える風貌だ。
とはいえ、全体のシルエットや動きは猫そのもの。
涙音が猫を呼ぼうとすると、その前に奈津川が猫に近付いていった。
彼女は猫の傍らで身を屈め、何事か呟いている。

>>304(奈津川)

こちらから距離を縮めていくと、
ロダンも気付いたらしく、足を止めて恋子を見上げた。
『やはり噂は本当だったのか』と思われそうな光景だが、
とりあえず見える範囲に第三者の姿は確認できない。
恋子が話を終えると、彼は少しだけ首を傾げ、
『ストーン・エイジ』を発現する。

         ズ ズ ゥ ッ

《まぁ――ここに通う君にも、全くの無関係ではなかろう》

そう言い置いて、ロダンは言葉を続ける。

《私は『謎』の気配を追ってきたのだ。
 今日、この学校で『何かが起きる』と考えている》

《あるいは『既に起きているか』……。
 いずれにしても、さほどの『危険』はあるまいよ。
 『闘技場』のように大きな立ち回りは不要だろう》

どうやら『恋子を探しに来た』という訳ではないようだ。
彼が探しているのは『別のもの』らしい。
予言めいた言葉だが、単なる当てずっぽうではなさそうに思えた。

>>305(龍)
>>306(涙音)

次の瞬間、二人共が『それ』を目撃した。

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

『毛のない猫』が『スタンド』を出したのだ。
『獅子』の胴体と『鷲』の翼、胸から上は『人』に酷似している。
これは『スフィンクス』だ。
ヴィジョンの表面は無機質で、その質感は『石造り』を思わせる。
『伝承の怪物であるスフィンクス』と、
『現存する石像のスフィンクス』の『ハイブリッド』。

     ……………… ……………… ………………

仮に『敵意』があるとすれば、奈津川の身が危険だ。
しかし、『今すぐ襲い掛かる』というような雰囲気ではない。
ただ、『万一』という事はあるかもしれないが。

308奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/11(木) 15:32:39
>>307
「そうですか。それは残念。
恋子の早とちりでしたね。
『謎の気配』」

大して残念そうでもない様子で答えて、
ロダンの言葉を復唱する。

「そういえば、ロダンさんの『趣味』は『謎』でしたね。
いえ、『わからない』という意味でなく、
その……『趣味』が、『謎』……。
……まあそれはともかく。そして、しかしながら、私の通う学園のことですからね。
『なにかが起こる』と言われると聞き捨てなりません。
なにか『前兆』があったのですか?
それとも、その尻尾が謎々センサーになっていて、びびっと反応したとか……ハッ!」

特に何のセンサーが反応したわけでもないが、唐突に振り向く。

309朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/11(木) 19:45:54
>>307
「他の人のほうが良いのかなー?
 ほらー、こっちこっちー…」
と、涙音は奈津川の方に言ったその猫に声をかけるも

ズズズ…

と、なにか妙な気配を感じたところで…

「!?…あれは…」
『その姿』をはっきりとその目で確認した。
あの姿は正しくスタンドである!
これはなにかの攻撃か?
とにかく急に出てきたのに驚きを隠せない。

「あ、すいません。
 奈津川さん…
 その猫ちゃんなんだか、様子がへんです…」
そう言ってじっとスタンド像の動きを観察する。
奈津川には見えてないと思いこんでいるのだろう。
陽気に猫に話しかけてるようにみえるのは気にかかっているが…

310龍美丹『チーロン』:2023/05/12(金) 21:03:57
>>307

(へぇ)

動物のスタンド使い。
かと言って、それに過剰に反応することもない。
いい意味で楽観的で、緊張感がない。

「ふむ。気が多くなるのも……分かってきたね」

「こんなにも、世界には要素が満ちてる」

311『縁結のM』:2023/05/13(土) 09:42:46
>>308(奈津川)

《そう――――『コイコ』の言う通りだ。
 空間に『謎』が生じた時、その座標から発せられる特殊な波長を、
 この『尻尾』が感知するのだよ。
 私は体毛がない代わりに、そういった『第六感』が鋭敏なのでね》

突拍子もない恋子の発言に対し、
ロダンは本気で言っているとは思えない言葉を返してきた。
『ユーモア』と『ウィット』。
これも生まれ持った知性の一端なのだろう。

《私も全てを知っている訳ではないが…………
 大まかな『場所』だけは見当がついている。
 然しながら『自ら解決に当たる』というのは少々難しい。
 『種族』を隔てる壁は厚いものだ》

       バ ッ !

会話の途中で唐突に振り向いた瞬間、
恋子に呼び掛けようとしていた涙音と、ちょうど目が合った。
やはり『猫と喋っている姿』を妙に思われたのだろうか?
そうだとするなら、せっかく出来そうだった『ほぼ友達』の危機…………かもしれない。

《ところで、後ろにいる『君の友達』だが、彼女にも『見えている』らしい》

一瞬の沈黙の後、ロダンが呟くように言った。

>>309(涙音)

慎重に『スフィンクスのスタンド』を観察する。
どこか格調高く、重厚な佇まいのヴィジョンだ。
今の所、大きな動きは見られないが――――。

       バ ッ !

何の前触れもなく、いきなり奈津川が振り返った。
話し掛けようとしていた涙音と、バッチリ目が合ってしまう。
捉えどころのない『微妙な空気』が辺りに流れる。

          ジッ

その雰囲気を破るように、
『スタンドの本体』――――『毛のない猫』が涙音達に視線を向けた。

《驚かせたのは申し訳ない。
 ただ、こうしないと『言葉』が伝わらないものでね》

『スタンドを通した声』が、涙音の耳に届く。
その思慮深い話し方からは、高い『知性』が感じられる。
攻撃の意思はなさそうだが、
最初に近寄っていった恋子は『猫と喋っていた』ような…………。

>>310(龍)

涙音も『スフィンクスのスタンド』に反応を示している。
おそらくは彼女も『同じ』なのだろう。
冷静さを保ち続ける美丹は、さらに別の事にも気付く。
涙音の隣に立つ三枝も『スフィンクス』を見つめていた。
これで『三人』だ。
奈津川は…………どうだろうか?
猫に話し掛けているように見えたが、
それがスタンドと関係しているのかどうかは定かではない。

       ジッ

恋子が振り返った直後、猫が美丹達に視線を向けた。
黄金色の瞳だ。
その目には知的な輝きが宿っている。

《ふむ――――共感できる考え方だ》

《興味があれば君達にも話しておこう。
 学校内の『謎』を解決できるのは、やはり『関係者』を置いて他にない》

『スタンドの声』を使い、猫が語り掛けてくる。
どうやら『オス』のようだ。
彼の口振りは流暢で、態度は極めて落ち着いていた。

312朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/13(土) 18:37:09
>>311
「…この声は…!」
直接頭に響くかのような声。
これは間違いなくスタンドから発せられる声だ。

「猫ちゃんが喋ってるなんて不思議な感じ…
 ラッコちゃんは喋ってなかった…と思うし。
 …この感じだと危険な感じではないのかな…猫ちゃん。」
ラジオ音声とかを思い出しながら考える。

「あれ、そういえば…
 奈津川さんは…もしかして聞こえてた?」
じっと奈津川の方を見る。
先程から猫に向けて喋っていたように見える。

313龍美丹『チーロン』:2023/05/13(土) 22:59:58
>>311

「どうしたものかな」

「演劇部に寄るつもりだったんだけど」

困った雰囲気で眉を下げる。

314奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/15(月) 19:49:41
>>311
「凄い、すごいですよ『ロダン』さん!
『妖怪アンテナ』は本当にあったんですね。
……という話は一旦置いておきましょうか。
見えている……本当ですか? 君の友達……
むしろ、友達に見えますか?やはり!」

「『君の友達』……ふっふふ、良い響きです。
あの、良ければもう一度言っていただけないでしょうか?」

『スタンド使い』の発見という事態を超える食いつきでロダンの方を見る。

315『縁結のM』:2023/05/15(月) 20:59:28
>>312(涙音)

一緒に戯れた事のあるラッコが喋る事はなかった。
それは当たり前の事だが、目の前の猫は言葉を話している。
両者の違いが何処から来るのかは分からない。

《『コイコ』とは『顔見知り』の関係だ。
 私の『声』が聞こえるのなら、君にも話しておこう》

     《それから――――『チグサ』にも》

三枝を見ながら猫が言う。
それに合わせて、三枝が頭を下げた。
この後輩がスタンド使いである事は、既に本人から聞いていたが、
猫とも『知り合い』であるらしい。

>>313(龍)

美丹の反応を見ても、猫は落ち着いた態度を崩さなかった。

  《それならば丁度いい》

      《何故なら『謎』は『そこ』にあるのだよ》

『スフィンクスのスタンド』が、赤い瞳を見つめ返す。

>>314(奈津川)

《私は君という人間を理解しているつもりだ》

《または『理解しようとしている』と呼ぶべきか――――》

妙な所で喜ぶ恋子を見上げながら、ロダンは目を細める。
彼にしてみれば、恋子が言った内容を復唱したに過ぎなかったのかもしれない。
しかし、それを深く追及する気はないようだった。

《では、改めて言う事にしよう》

《私は君と『君の友達』に『謎の解明』を『依頼』したい》

>>312(涙音)
>>313(龍)

 《私は『ロダン』――――》

         《――――『スフィンクス』だ》

《呼び方が分からないと不便なものでね。
 君達の『名前』を教えてもらいたい》

ロダンと名乗った猫は、涙音と美丹に向けて声を掛けた。

>>(ALL)

そして、ロダンは改めて全員に呼び掛ける。

《先程『コイコ』には少し話したが…………
 今日この学校で一つの『謎』が生まれるだろう》

    《場所は――――『演劇部』だ》

《実際に『何が起こるか』は私も把握していない。
 君達自身の目で確かめてもらいたい。
 さらに可能ならば『解明』して欲しいのだよ》

《それが実現した暁には、ささやかな『報酬』を用意しよう》

        ――――スィッ

不意に、ロダンが『恋子の胸元』に視線を移す。
『星型のエメラルド』のネックレス。
持ち主である恋子は、それが『二万円』相当である事を知っている。

《具体的には、『それ』の『十倍』程だ》

恋子には『報酬』の金額が『二十万』だと分かる。
ロダンが『それを出せる』という事も。
しかし、初対面の涙音や美丹にとって、『猫が報酬を出す』というのは、
『眉唾もの』に聞こえても不思議はない。

316朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/16(火) 21:23:09
>>315
「なるほど、あの人…恋子さんと
 千草さんとは知り合いなのですね…
 それにしても猫さんのスタンド使いというのは始めてみました。」
そう言ってロダンをじっと見る。
なんだかんだ慣れてきたらしい。

「ロダン、と言うんですね。
 私は朱鷺宮涙音といいます。
 猫に自己紹介というのもちょっと変な感じですけど。」
そう言って目線を猫に合わせる。

「演劇部で謎が…?
 そんなことわかるんですか?」

「でも興味深いですね。
 ちょうど私達も演劇部に用があったんです。」
そう言って頭を下げる。

「ふむ…報酬も気になりますし。
 その謎というのは面白そうです。」

317龍美丹『チーロン』:2023/05/16(火) 21:35:06
>>315

「……おしゃべりをするのは言いけれど」

「なんとも愉快な絵面だね……」

ハタから見れば猫に向かいつつ女生徒たちが話している様子だ。
物珍しいといえば物珍しいだろう。
この学園に、何人のスタンド使いがいるのか知らないが。

「ひとまず、行き先は変えないで良さそうで安心したよ」

「善は急げというし、行こうか」

318奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/16(火) 21:58:45
>>315
「なんと、御三方とも『そう』でしたとは……
これは運命ですね、運命によって導かれた友情です。
そうですよね、『龍』さん!」

どさくさに紛れて友情を成立させようとしつつ、ロダンへと向き直る。

「ええと、私はロダンさんもご存知のとおり、
『謎の解明』についてはとくに得手ではありませんが……
しかし、ロダンさんも私の『友人』ですから。
友情のためなら恋子、なんでもしますとも。
そして、十倍の大きさの『星』をいただきます!」

「そう、ロダンさんの『能力』ならばどんな宝石細工も自由自在。
まさに『猫に小判』といった能力なのです!」

2人へと、全然伝わらなそうな説明をした。

319『縁結のM』:2023/05/17(水) 10:41:43
>>316-318(ALL)

「千草にも出来る事があれば、皆さんのお役に立ちたいです」

四人の答えを聞き、それぞれの顔を順番に見渡してから、ロダンは口を開く。

《――――素晴らしい。
 私は『タイミング』に恵まれていたようだ》

恋子が美丹に贈った『人生はタイミング』という言葉は、
猫の身である彼にも当てはまっていたようだ。

《その前に…………君達の『推理力』を確かめさせてもらいたい。
 つまり、私が出す『謎』を解き明かせるかどうかという事だ》

《君達には一人につき一度だけ『解答』する権利がある。
 もし分からない場合は、『どこで悩んでいるか』を示せば、私が助言を行う。
 『ヒント』の回数も一人一回だ》

《君達の内の誰か一人でも『正しい答え』を導き出せれば、
 私の『力』の一端をお目にかけよう》

これは『スフィンクスの謎掛け』だ。
おそらく、涙音と美丹に能力を説明する為でもあるのだろう。
『恋子の説明が頼りなかったから』という訳ではなさそうだが。

《『ロン』の言う通り『歩きながら』で構わない》

      「あの、千草が詳しい場所をご案内します」

            スタ スタ スタ …………

三枝は率先して、全員を先導するように歩き始めた。
ゲームに参加する気がなさそうなのは、『謙虚』な性格ゆえだろうか。
恋子と同じく、三枝も『ストーン・エイジ』の能力を知っているらしい。

320龍美丹『チーロン』:2023/05/17(水) 21:24:18
>>318

「まぁそういう友情もあるかな」

>>319

「……ふうん」

「まぁ、お手柔らかにお願いするよ」

ロダンにそう言う。
指先が髪を弄って、視線はふわふわと辺りをさ迷っていた。

(そこまで大事にならないといいな)

321朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/17(水) 21:53:43
>>318
「ううむ、恋子さんがそこまで言うほどの人…猫さんなんですね。
 友達さんだと言うなら、ロダンさんは信頼が置けそうですね。」
恋子の語り方を聞いて、なんとなくわかった感じのようだ。

>>319
「推理力ですかー…
 あまり自信がないですけど、コレも演劇部のため…ということですね。」
ロダンをじっと見ながら言う。

「じゃあその…
 なぞなぞ?をぜひとも聞かせていただきたいです。」

322奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/18(木) 20:39:16
>>319-321
「友情成立!」

再び万歳をした。

「しかし朱鷺宮さんがそこまで私のことを信用していただけるとは、
恋子、感激です。感激の至りです。
至りついでに私も『推理』、参加しますとも。
年長者の貫禄を見せなければなりませんからね」

323『縁結のM』:2023/05/18(木) 22:55:48
>>320-322(ALL)

三人が告げた思い思いの言葉を聞いた後で、ロダンは口を開く。

《『推理』というのは、必ずしも『事件』を伴うとは限らない。
 何気ない日常の中でも、『推理力』を働かせる機会は転がっているものだ》

そう前置きしてから、彼は語り始めた。

《日常という演劇の一場面を想像してもらいたい。
 舞台は『電車の中』だ》

《今、座席に腰を下ろしている青年――これを仮に『A』としよう。
 彼は毎日この電車で通勤しているが、ある日『一つの事実』に気が付いた》

《『A』が乗る次の駅から乗車する女性『B』が、必ず彼の前の吊り革に掴まるのだ。
 座る位置を変えてみても、やはり『B』は『A』の前に来る》

《自分に気があるのではないかと考えた『A』は、
 思い切って『B』に声を掛けてみたが、困ったような顔をされてしまった》

そこまで言って、ロダンが言葉を切る。

       《――――この一幕の『真相』を推理してみて欲しい》

324龍美丹『チーロン』:2023/05/19(金) 09:45:38
>>323

(『B』は『A』が自分より先に降りるのを知っていたから、席が空くのを待ってただけだった)

(とか)

なんとなく、そう思った。
とはいえ質問をすることで分かることがヒントになる可能性もあるだろう。

「んー……二人は質問するかな?」

「それとも、ホールインワン的に回答してみる?」

325朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/19(金) 20:15:24
>>322
「うーん…まぁ悪い人ではなさそう…なので。」
そう言って頭をかく。
猫と普通に話してたのも理由かもしれない。

>>323
「日常の中の謎…電車の中ですか…
 私は学校には徒歩で行きますけど…」
そう言ってから猫の仕掛ける謎を聴く。

「気があるわけではまずない…となると
 やっぱり…そういうことなんでしょうかね。」
少し考えてから口を開く。

「なんとなくわかったような気がしますけど…
 皆さんはどうでしょう?」
どうやら涙音は答えが思いついているようだ。

326奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/19(金) 21:31:41
>>323-325
「ふむふむ、それは私にも経験があります。
クラスメイトだと思って話しかけた方が完全に赤の他人で、
その事を後日ご本人にお話ししようと話し掛けたら、
そもそも私の事を覚えられてなくて二重に怪訝な顔をされてしまいまして……」

「まあ、それは良いのですが。
はい、恋子は閃きましたとも。
『天啓』がありました。
“『B』は『A』が自分より先に降りるのを知っていたから、席が空くのを待ってただけだった”
こちらを回答とさせていただきます」

誰かが既に思いついていそうなことを、
得意げに回答として『ロダン』へ答えた。

327『縁結のM』:2023/05/20(土) 12:58:20
>>324-326(ALL)

まず、ロダンは美丹に視線を向けた。

《ふむ…………》 

それから、思案するように涙音の顔を見上げる。

《『B』は座席を確保する為に『A』の前に立っていた》

最後に恋子の解答を復唱し、納得したように尻尾を揺らす。

>>324(龍)

    《『ストーン・エイジ』――――》

                     ズ イ ッ

『スフィンクスのスタンド』が動き、折り畳んだ片翼を美丹の前に差し出した。

          ス ゥ ッ

音もなく翼が開かれると、小さな『赤い龍』が姿を現した。
赤みが強く、黒に近い色合い。
極めて精巧な『宝石彫刻』だ。

《『ガーネット』だ。
 『柘榴石』とも呼ばれているがね。
 『石の価値』と『芸術性』を合わせると『二万円』の値打ちがある》

         《――――これは『君の物』だ》

>>325(涙音)
>>326(奈津川)

涙音と恋子の前には、もう片方の翼が差し出され、同じように開かれた。
そこには二つの『宝石』が乗っている。
色調は違うが、どちらも『赤い色』をしていた。

《『コイコ』には『アンデシン』。
 信頼関係を築く助けとなり、持ち主の魂が望む方向へ、
 自然な変化を促すと言われている》

《『ルネ』には『カーネリアン』を。
 マイナスの要因を取り除き、
 ネガティブをポジティブに転化させると伝えられている》

《二つとも『一万円』の値打ちがあるだろう》

夕焼け空に似た色の『アンデシン』は恋子に、
オレンジ色に近い『カーネリアン』は涙音に。
美丹の『ガーネット』と合わせて、全てを『赤』で統一したのは、
ロダンが気を利かせたらしい。
おそらく『運命の友情』という恋子の発言を拾ったのだろう。

328龍美丹『チーロン』:2023/05/20(土) 13:47:07
>>327

「これはどうも」

宝石を受け取る。
ポケットに入れるのも忍びないので何となく手に持っている。

「ボクの分は二万円で」

「二人のが一万円ずつなのは」

「彼女達の友情は二人でひとつだからかな?」

なんとなく、ロダンに問う。

329朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/20(土) 13:55:29
>>326-328
「ふむ、やっぱりそれが正解だったんですねー。
 って、恋子さんが答えちゃいましたけど。」
そう言って何処か微笑ましそうに恋子とロダンを見る。

そしてロダンのスタンドが動いたのを見て
「お、これは…ご褒美ですか?」
何処か期待する顔で、手のひらを差し出す。

そこに現れたカーネリアンを見ると…

「おー、これは…きれいな宝石ですね。
 …つまりこれは、幸運のお守り!ってことですね!」
値打ちよりも『マイナスの要因を取り除く』ということのほうが食いつきが強いようだ。

「まだ出会ったばかりですけど…
 でもこの調子だとすぐに仲良く慣れそうですね。」
龍の言葉を聞いて、嬉しそうに返事を返す。

「…それで、ロダンさん…
 これは『合格』で良いんでしょうかね?」

330奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/21(日) 22:02:37
>>327-329
「ふっふふ、正解ですよ。正解。
ありがとうございます、ロダンさん。
綺麗な宝石です。『アンデシン』」

宝石を鞄へと仕舞う。

「では、現実の謎解きに参りましょうか。
恋子はエンジンがかかってきましたよ。
謎解きは私に任せてください!年長者のわたしに!」

331『縁結のM』:2023/05/21(日) 23:12:23
>>328(龍)

《私も君達を見て推理したという事だ》

ロダンの金色に輝く眼が、美丹の赤い眼を見つめる。
実際に口に出さずとも、最初に正解に至ったのが誰かを、彼は察していたようだ。
その知性の対価として、見合った物を渡したのだろう。

《君を特別扱いしたかった訳ではないが、
 結果的に今回そうなった事実は否定しない》

《よく言われるように、猫は『気まぐれ』なものだよ》

機知に富んだ問い掛けに対し、彼は嘯くような答えを返した。

>>329(涙音)

《ちょうど『胸ポケット』から覗いているのが見えたものでね》

《そこに『一つ加えて差し上げよう』と思ったのだよ》

制服のポケットに詰まった『開運グッズ』を見て、
彼は『涙音の嗜好』を推理したらしかった。
『宝石』は大きくはないが『本物』だ。
ロダンの言う通りなら、ご利益があるかもしれない。

《無論『合格』だ。
 必ずしも合否を判定する意図ではなかったが……》

《その調子で『調査』してもらえると、私としてはありがたい》

>>330(奈津川)

《そう――――『本番』は『ここから』だ》

恋子が言い放った言葉を、ロダンは静かに肯定した。

《君達からの『調査報告』には、大いに期待している》

胸元に輝く星型のエメラルド。
それが『十倍』になるかどうかは、
恋子を含めたメンバーの働きに掛かっている。
『年長者』として仲間を引っ張っていけるだろうか?

>>(ALL)

それぞれが『宝石』を受け取った時、四人は『演劇部の部室』に到着した。
まだ新しめのプレハブハウス。
そこそこの大きさがあり、なかなか快適そうだ。

《私は『外』で待つ事にする。
 もし必要があれば、いつでも力を貸そう》

      スタ スタ スタ

ロダンは抜け目なくプレハブの横手に回り込んだ。
ちょうど『窓の下』の辺りで待機するらしい。
彼に知らせるとか手を借りたい事があれば、窓を開けて呼び掛ければ良さそうだ。

         コン コン コン

「三枝です。『見学希望者』の方をお連れしました」

          「――――――どうぞ」

先頭に立つ三枝が扉をノックすると、落ち着いた男性の声で応答があった。
それを確認した三枝は扉を開け、室内に足を踏み入れる。
今はついていけばいいだろう。

332奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/22(月) 12:30:02
>>331
「期待してお待ちください!
3人よらば姦しいと言いますし、
そこを4名の力を合わせるのですから、これはもう、すごく姦しいと思います」

二重に残念な回答をロダンへ返しつつ、三枝の後ろについて入室する。

333龍美丹『チーロン』:2023/05/22(月) 14:11:35
>>331

「そういうことにしておこうかな」

制服の上着のポケットに宝石を入れた。
結局手に持ち続けるのも不自然に思ったらしい。

「失礼します」

そう言って、後に続く。

334朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/22(月) 16:28:28
>>331
「どうもありがとうございます。
 一応、猫さんのお墨付きを得た以上は
 謎というやつを解いてみせましょう。」
そう言って自分の胸ポケットに、先ほど受け取った『カーネリアン』の宝石をつける。

やがてプレハブ小屋前までやってくると
「どうもー、失礼しまーす」
三枝に続いて、涙音も入っていく。
丁寧に頭を下げるのを忘れない。

335『縁結のM』:2023/05/22(月) 18:54:41
>>332-334(ALL)

三枝に続いて、全員が『部室』に踏み入った。
室内には色々な物が置かれている。
まず目に付くのは長机とパイプ椅子。
スチール製の棚には、ダンボール箱に入った小道具が並び、
ハンガーラックには衣装が掛けてある。
最新型ではないが、テレビやDVDプレイヤーもあるようだ。
隅の方に立て掛けてあるのは、いわゆる大道具の類らしい。
全身を映せる姿見もある。

    そして、室内には『二人の男女』がいた。

「ようこそ『演劇部』へ――――」

背の高い男子生徒が四人を出迎え、丁寧に一礼した。
真面目そうだが堅苦しさはなく、親しみやすい雰囲気が漂う。
人の良さそうな笑顔を浮かべながら、彼は言った。

  「『部長』の『安心院』です。
   まだ来ていない部員もいますが、
   これから稽古をしようと思っているので、
   どうぞ遠慮なく見ていって下さい」

         「――――皆さん座られますか?」

           ス ッ

片手を差し伸べて椅子を勧める安心院とは対照的に、
女子生徒の方は椅子に掛けたままだ。
いわゆる丸眼鏡と呼ばれるラウンド型の眼鏡を掛けており、
相当な癖毛らしく頭髪のあちこちが跳ねている。
真剣な顔でノートにペンを走らせ続け、
四人が来ている事にさえ気付いていない様子だった。

  「あぁ!!駄目!!思い付かない!!」

      ビリビリィッ

          グシャグシャ

そう叫ぶなり、急にページを引き裂いたかと思うと、
それを手の中で握り潰してしまった。

    「『インスピレーション』が足りないのッ!!」

            ブ ン ッ !

さらに、丸めた紙を思い切り投げ放つ。
全くの偶然だが、『涙音』めがけて飛んでいっている。
このままいくと『鳩尾』に命中しそうだ。

    まぁ当たったからといって、どうにかなるものでもないだろうが…………。

336龍美丹『チーロン』:2023/05/23(火) 16:50:16
>>335

「どうも。安心院さん」

「お言葉に甘えますよ」

椅子に腰かける。
少し、足を持て余す。

「……そこのお方は脚本家かな?」

337奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/23(火) 18:36:05
>>335
「私、奈津川恋子と申します。
『見学』に伺いました、どうぞよろしくお願いします!」

深々と礼をする。

「む……そちらの方、非常にお困りのようですね。
私が何か……何かできれば良いのですが……おっと」

そして飛んできた紙を目で追った。

338朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/23(火) 19:37:35
>>335
「どうも失礼します。
 私は朱鷺宮涙音と申します。」
そう言って頭を下げる。

「ああ、わざわざどうもありがとうございます。」
そう言って椅子に座ったところで。

「おっ?」
何かが自分に向かって飛んできた気配を感じ、振り向くと

ポスーン
「おわっ!と…
 危ない危ない…今回のは大したもんじゃなかった…」
自分の鳩尾に向かって飛び込んだ丸まった紙を
自分にぶつかって転がり落ちそうなところをキャッチした。

「何かあったんですか?そちらの人…」
何なんだろうと思って、丸まった紙を広げようとしている。

339『縁結のM』:2023/05/24(水) 11:41:40
>>336(龍)

椅子の座り心地は悪くないが良くもない。
部室自体は広いので、窮屈な感じはなかった。
美丹が発した質問に対して、安心院が口を開く。

「ええ、大体そのような所です。
 彼女だけに任せている訳ではありませんが、この部内では第一人者ですね」

そして、『予想』は概ね当たっていたようだ。

>>337(奈津川)

投げられたノートの切れ端が、涙音の手の中に収まった。
彼女は丸まった紙を広げて中身を覗き込んでいる。
ロダンが予告した『謎』は、まだ明確な姿を現さない。

    …………少なくとも、そう見える。

「はは……困っているというか……。
 少し前から脚本が煮詰まってるんですよ」

安心院が言うには、そういった事情らしいが、
恋子に何か出来る事があるだろうか?

>>338(涙音)

      ――――パシッ

飛んできた紙を問題なくキャッチする。
これがカーネリアンのご利益だとしたら幸いだろう。
広げてみると、あれこれと取り留めもない事が書き連ねてあった。
書いた本人でなければ詳しくは分からないが、
どうやら脚本の案を纏めようとしていたようだ。
しかし、内容が気に入らなかったらしい。

「すみません、朱鷺宮さん。
 一つの事に集中すると、周りが目に入らなくなる性格で…………」

投げた本人の代わりに、部長の安心院が頭を下げた。

>>(ALL)

「紹介が遅れました。彼女は…………」

              「――――『頼成』」

安心院の先を続けるように、女子生徒が口を挟んだ。

  「『演劇部』の『副部長』」

        「部長と同じ『高等部三年』」

簡素な挨拶ではあるものの、先程とは打って変わって落ち着いた態度だった。
感情の起伏が激しいタイプらしい。
おもむろにノートを閉じた彼女は、三人の顔を正面から見つめる。

「新作のアイディアが浮かばないの」

「あなた達、いい刺激になるかも」

                ……………… ザッ ザッ ザッ

ふと、外の方から足音が聞こえてくる。
『二人分』だった。
誰かが部室に近付いているようだ。

340朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/24(水) 22:07:22
>>339
「ふぅ、コレは自分の運勢が登り調子になっている証拠かしら?」
難なくキャッチできたのを見てとても嬉しそうだ。

「ふーむ…
 コレは…わかりませんね。
 脚本なのはわかりますが…」
素人目にはその用紙に書かれている内容はよく分からなかった。
情熱は感じられるようだが。

「いえいえ、気にしませんよ。
 こっちから来たんですし。」


「ふむ、頼成さんですね。
 私は朱鷺宮涙音です。
 …良い刺激になるなら私も嬉しいですが。」

「…おや?
 演劇部の見学の人は、他にも?」
足音が聞こえてくる方に視線を向けた。

341龍美丹『チーロン』:2023/05/25(木) 20:12:25
>>339

「なるほど」

理解した、という雰囲気。
指先が結んだ髪を弄ぶ。

「ボクが助けになれるなら、それに越したことはないね」

342奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/26(金) 13:18:54
>>339
「はい!そして私はお二人と同学年の奈津川恋子です」

頼成の自己紹介に続けて再び名乗った。

「刺激、刺激……少し緊張しますね。プレッシャーです。
なにかおもしろいことをした方が良いでしょうか、私」

343『縁結のM』:2023/05/26(金) 22:46:46
>>340(涙音)

ただ、一つ分かる事があった。
それは『恋愛』をテーマにした筋書きらしい。
男と女がいて、女から愛を打ち明けられた男が、
どういう風に受け止めるかという部分で終わっている。

   ザッ

     「…………」

          ザッ

            「…………」

                 ザッ

外の足音は次第に近付いてくる。
ほんの僅かだが『話し声』も聞こえた。
外を歩いているのは『男女』らしい。

>>341(龍)

艷やかな黒髪の間を通る指先。
その仕草と美丹の眼差しを見つめ、頼成は何事かを考える表情を見せた。
エキゾチックな雰囲気から、
脚本のインスピレーションを得ようとしているのだろうか。

  「――――『柘榴』と『濡烏』」

             「興味ある取り合わせね」

少なくとも『ヴィジュアル面の評価』は悪くなさそうだった。

>>342(奈津川)

「気は遣わなくていいわ。
 私が勝手に参考にするから。
 自然な姿を見ているとイメージを膨らませやすいの」

とりあえず『面白い事』を要求される心配はないらしかった。

「奈津川さん――あなたは普通にしてた方が面白そうだし」

そのように付け加えられたが、特に悪気はないのだろう。

>>(ALL)

       ――――――ガチャ

まもなく新たに『二人の人物』が入室した。
一人は目鼻立ちのハッキリした男子生徒。
日本人離れした派手な顔立ちをしており、
モデルのように整った容姿とスタイルは、
見るからに異性からの受けが良さそうだ。

「やあ、こんにちは!僕のファンの子達かな?
 そうだったら嬉しいんだけどね。ハハハハハ!」

           「………………」

明るく笑う男子生徒の後ろには、大人しそうな女子生徒が立っていた。
長い髪を編み下ろしにしている。
彼女は辺りを窺うように目を伏せていた。

「高等部二年の『日向神』君と『若園』さんです。
 二人とも演劇部の部員ですが、若園さんは最近入部してくれたんですよ」

       スス…………

安心院が二人を紹介している間、さりげない動きで、
三枝が窓の方に近寄っていった。
目立たないように、ほんの少し窓を開けている。
ロダンを気にしているようだ。

344龍美丹『チーロン』:2023/05/27(土) 18:28:43
>>343

(しまったな、キャラが被ってしまった。ワンペアだ)

男子生徒を横目にそんなことを考える。
実際のところは被っているも何も無い気がするが。

「自慢のものですよ」

手の中で髪が踊る。
まるで生きているように。

「もっとボクのことを知って貰えるとありがたいですが」

345朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/27(土) 19:47:14
>>343
(恋愛ものかぁ…
 漫画とかでは見たことあるけど
 こういうのって経験ないと難しいのかな…)
などと考えているうちに、
二人の人物が部室内に入ってきた

「どうもこんにちはー、
 お邪魔させていただいてます。」
やってきた二人に向けて頭を下げる。

「ファンではないですけど
 色々演劇部に協力させていただきたいという話になってます。」
速攻で否定する涙音。
けっこう容赦ないかもしれない。

346奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/29(月) 18:30:38
>>343
「そうですか、それは残念。
では、普通にすることにします。普通に、普通に……」

椅子に座ったままそわそわと足を動かしていたが、
新たな来訪者を見て再び立ち上がる。

「こんにちは! 私は3年生、奈津川恋子といいます。
漢字はする方のコイです。
年上の男性が好きです。よろしくお願いします」

そして深々と頭を下げた。

347『縁結のM』:2023/05/29(月) 21:07:40
>>344(龍)

若干の『被り』はあったかもしれないが、まだ男女の違いというものがある。
決して致命的にはならない筈だ。
少なくとも、日向神の方は全く気にしていないように見えた。

「もし、あなたが入部してくれたなら、
 『未来のあなた』を輝かせる脚本を仕上げてみたいわね」

           スッ

美丹を興味深そうに眺めていた頼成は、
それを邪魔されて不機嫌なのか、呆れた顔で日向神に視線を移した。

>>345(涙音)

実際に体験した事があれば、それを参考に出来る。
しかし、頼成は苦慮している様子だった。
どうやら彼女も『経験豊富』ではなさそうだ。

「アハハ、それは残念だなぁ〜。
 でも!これからファンにしてみせるさ!」

即座に否定されたにも関わらず、
傷付いたような気配を微塵も見せる事なく、日向神は暢気に答えた。

>>346(奈津川)

「『恋子』!素敵な名前じゃないですか!
 もう先輩にピッタリで――――」

    「おっと、フラレちゃいました?
     『断り方』がお上手ですねぇ〜!
     美しいだけじゃなく、知的な女性は魅力的ですよ」

何故か納得したような表情を浮かべて、日向神は一人で頷いている。

>>(ALL)

心中で懸念を抱く美丹、即座に否定する涙音、さりげなく断りを入れる恋子。
三人それぞれの反応を示す中、副部長の頼成が立ち上がる。
眼鏡を押し上げ、日向神を見た。

「コイツは適当に扱っていいわ。
 目立ちたくて演劇部に入ったようなヤツだから」

頼成が切って捨てると、日向神は笑って肩を竦めた。

「いやぁ、今日は一段と風当たりがキツイですねぇ〜!
 もうちょっと後輩に対する思いやりを見せてくれてもバチは当たりませんよ?」

「遠くから見てる分にはマシかもね。
 動物園と同じ。近すぎるとウザいけど」

      「………………」

後ろに立つ若園は、二人の会話を黙って眺めている。
追い打ちを加えられても日向神は動じていない。
普段の様子は分からないが、何となく機嫌が良さそうに見えた。

   その時――――――

           ――――――ガチャッ

   「お姉ちゃん、言い過ぎだよ!」

部室の扉が開いて、『五人目』が入室した。
美丹と恋子は見覚えがある。
二人を演劇部に誘った少女だ。

「彼女は一年生の『頼成瑞月』。
 副部長――『花蓮』の妹です」

穏やかに苦笑しつつ、安心院が続ける。

「これで『全員』になります。
 お恥ずかしいですが、なかなか部員が集まらないもので…………」

  「その為にも、皆さんに稽古の様子を見ていただきたいんですよ」

              ドサッ

安心院が話す間、日向神が部室の隅にバッグを置き、
ポケットから何かを取り出す。
それは『封筒』のようだ。
爽やかなミントグリーンに、
白いエンボスでアラベスク風のデザインが施されている。
事務的な代物ではない。
上品な『レターセット』といった印象だった。

     フワ………………

          微かに『甘い匂い』が漂う。

348龍美丹『チーロン』:2023/05/30(火) 01:55:46
>>347

「……」

「非常に嬉しい申し出ですが」

「もしも貴方が、自分の興味を引く相手によくそれを言っているのだとしたら」

「ボクはそれを手酷く断らないといけない」

口元に笑み。
不敵な雰囲気。
龍美丹もまた、相手を見るのだ。

「おっと……」

全員、ということで頭を下げる。
礼儀というものだ。

「香水かな?」

レターセットを拾いに向かいつつ、そう言う。

349奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/30(火) 14:23:04
>>347
「お褒めいただいて光栄です。
私も最良の名前と、そして相貌だと思っています。
ふっふふ、良い人ですね、『日向神』さん」

にこりともせずに答えて、再び椅子に姿勢よく腰掛け、成り行きを見守る。

350朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/30(火) 18:33:31
>>347
「ふーむ、今のところ…
 演技などを見ないとファンになるかはわからないですね。」
腕を組みながら彼に向けて日向神に視線を向ける。

「…演劇部での立ち位置がなんとなくわかってきました。」
あたりがきつい他の部員の様子を見て答える。
なんだかんだ中が良いのだとも思う。

「おや、新しい人が…」
瑞月に視線を向けて頭を下げた。

「どうもよろしくお願いしますー。
 …稽古をですか」

「まぁ私は…素人ですから参考になるかはわかりませんけど。
 協力できることならぜひ見させていただきたいです。」
そう言ってふと、その甘い匂いを嗅ぐ

「なんだかいい匂いがしますね…」

351『縁結のM』:2023/05/30(火) 19:14:01
>>348(龍)

当然、部長は多くの部員を獲得したいと考えているだろうが、
副部長の方は違うのかもしれない。

「……腹の探り合いは苦手なの。
 だから、率直に言うわ」

     「私は、思ってない事は言わない」

『封筒』は日向神の手の中にある。
匂いは、そこから漂ってくるようだ。
鼻腔と心の奥を優しくくすぐるような甘い香り。

「さぁて、なんでしょうねぇ?」

          ――――ソッ

日向神は笑みを浮かべながら、それを『開封』する。

>>349(奈津川)

「アハハハ、そうでしょ?
 オレ、こう見えても『審美眼』には自信ありますからね〜!」

「『アクセサリー』も、よくお似合いで」

         スッ

封筒を持つ日向神が、その中から何かを取り出す。
同じ色の『便箋』だ。
やはり一揃いの品らしい。

  ……………… ……………… ………………

『匂い』が少し強くなったように感じた。

>>350(涙音)

花蓮はキツい物言いだが、実際そこまで仲が悪い訳ではなさそうだ。
あれが素なのだろう。
笑って聞き流している辺り、日向神も意外と心が広いのかもしれない。

「はじめましてっ!中等部の方ですか?
 ゆっくり見ていって下さいね!」

        ペコッ

瑞月が丁寧に頭を下げ、それから姉の隣に寄っていく。

「お姉ちゃん。
 せっかく見学しに来てくれてるんだから、
 もうちょっと柔らかくしないと…………!
 夜更しだから、いつもなかなか起きてくれないし…………」

    「それは関係ないでしょ」

どうやら妹は、『姉の世話』を焼きがちらしい。

       フワ………………

『甘い匂い』は日向神の方から漂ってきている。
正確には彼の手元にある『封筒』からだ。
そこから『便箋』が取り出された時、『匂い』も強くなったように思えた。

>>(ALL)

  『封筒』から取り出された『便箋』。

        日向神が開く。

            文面に視線を走らせる。

        ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ

その直後、便箋から『葉』が伸び、ロゼット状に広がっていく。

    「えっ…………!?」

三枝が驚きの声を上げ、そちらに視線を向ける。
葉の中心部には『蕾』が生じていた。
それが少しずつ開こうとしているようだ。

           ポンッ!

紫色の『花』が咲いた瞬間、小さな『破裂』が起こった。
散り際に濃密な『香り』が放たれる。
エネルギーを出し尽くしたかのように、『植物』は萎びて消えてしまった。

    ロダンが予言した『謎』の気配が姿を現し始めた。

352朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/30(火) 21:24:58
>>351
(うん?あの便箋…
 なんでこんな匂いを?)
不審に思いながらその便箋を見る。

「あ、はい。
 見学させてもらいますね。
 そうですね、後はお芝居も見られれば…」
そう言って二人を見る。

(うーん、立場的には私と由楽と反対かな?
 まぁ由楽も何でもやりたがるけど…)
姉妹のやり取りを見ながら考える。

と、その時

ズオォォォ…

「それは…?」
便箋からのびる葉を見て、
涙音はとっさに立ち上がる。

「まずっ…!まさか!」
(この雰囲気、間違いなくスタンド攻撃…!
 この匂いを嗅いだら…『マズい』予感がするッ!!)
思わず鼻を覆うが、先程すでに匂いを嗅いでいる以上
遅い可能性もある…

353奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/05/31(水) 07:49:32
>>351
「葉……!?」

明らかに常ならざる現象に椅子から立ち上がって身構えた。

「その『便箋』。
それは一体……?」

(『スタンド』による『音』は『スタンド使い』でないものには聞こえない。
ならばきっと、『スタンド』が発する『におい』も同様に……)

354龍美丹『チーロン』:2023/05/31(水) 13:32:32
>>351

「あっはっはっはっ!」

「実を言うとボクもそうなんです」

「うん。ちょっと興味が湧いてきましたね」

ひと笑い。
そして、目線は封筒へ。

「……」

口元に手を当てる……フリをしつつ鼻と口を塞ぐ。
そして、彼女自身のスタンドを発現させた。

355『ストーリテラー:S』:2023/05/31(水) 14:53:18

《小さな『演劇部』を舞台にして、この奇妙な『演劇』の幕は上がった》

      《物語の主役である『三人』が、
       どのようにして『謎』を解きほぐし、
       いかなる『解決』へ至ったのか》

           《では――――『続き』を語る事にしよう》

356『縁結のM』:2023/05/31(水) 14:54:09
>>352(涙音)

『匂いを嗅いだらヤバい』。
おそらく、その推測は間違ってはいないだろう。
そうだとしたら『最もヤバい』のは、至近距離で浴びた日向神という事になる。
反射的に鼻を覆うと、先程よりは感じにくくなった。
ただ、どの程度の効果があるかは分からない。

        スゥゥゥゥ………………

『花』が散ると共に『匂い』も徐々に薄れていく。
『心の芯』に訴え掛けるような甘い香りが消えかけている。
目的は不明だが、『解除』されたのだろうか?

    …………とりあえず涙音自身には、目に見える異常はなさそうだ。

>>353(奈津川)

          ガ タ ン ッ

急に椅子から立ち上がる姿を見て、安心院の視線が恋子に向いた。

「――――どうかしましたか?」

彼の表情や口調には何の変化もなく、
『匂い』に注意を払っている雰囲気は一切なかった。
恋子の考えは当たっていたようだ。
そして、おそらく安心院は『スタンド使い』ではない。

    ……………… ……………… ………………

『匂い』は少しずつ薄れ、消えようとしている。

>>354(龍)

     ズズズズズズズズズ

         ズズズズズズズズズ

           ズズズズズズズズズ

『血液』と一体化したスタンド――『チーロン』。
その発現と同時に、美丹の肌に『龍の紋様』が浮かび上がった。
全身にエネルギーが行き渡り、身体に『紅龍の力』が漲る。
いつでも動き出せる体勢だ。
『新たな何か』が起こったとすれば。

>>(ALL)

いつの間にか三枝の傍らには、
『シャベル』を担いだ『墓掘人』のヴィジョンが出現していた。
目深に被ったフードの奥から、不気味に光る両目が覗いている。
これが三枝千草のスタンドらしい。

「――――大丈夫ですか…………?」

三枝が日向神に声を掛け、それに反応して彼が三枝を見た。

        ガシィッ!

全く出し抜けに、日向神が三枝の両肩を掴む。

「君の気持ちは!よぉ〜くッ!分かったよ!!」

        「え……?」

「そんなにもオレを想ってくれていたなんて!
 今まで気付かなくて、ホントに悪かったと思ってるよ。
 オレとした事が、純真な『恋心』を踏みにじるような真似をしちゃって…………」

        「あの――」

「でも、君はまだまだ成長途中だからね。
 いきなり『お付き合い』するのは早いかなぁ。
 いやいや!君が嫌いな訳じゃあ決してないよ!!」

       「千草は――」

「そうだ、まずはお互いを知る事から始めようか!
 趣味とか好きな場所とかさ!」

困惑する三枝を見つめながら、日向神はまくし立てるように、
芝居がかった調子で語り続ける。
その瞳は『紫色』に染まっていた。
他の部員達は、呆気に取られた様子で、その光景を眺めている。

        アワ……

           アワ……

三枝は当惑しきった表情で、三人に目線を向けている。
『封筒』と『便箋』は日向神の足元に落ちていた。
もう『匂い』は感じられない…………。

357朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/05/31(水) 20:33:05
>>356
「…いまのは一体?」
とりあえず匂いがしなくなったのに合わせて覆った手を離す。
少なくとも目に見えて異常は起こってないように見える。

「…あれは三枝さんのスタンド…?
 さっきのとは違うみたいですし…」
周りを確認してみる。
他の人には今の香りは感じられたのか?
あるいは今の便箋の異常が見えたのだろうか?

「あの…」
日向神が凄まじい勢いで三枝に詰めている。
様子がなんだかおかしい。ようにみえる。
「ちょ、と待ってください…!
 まずは落ち着いて…」
そもそも三枝の性別はどっちなんだろうか?
慌てている様子を見てとりあえず二人の方に歩み寄る。

「まずは、落ち着きましょうか。
 そんな強引な恋愛漫画みたいな出会いはないです!」

358龍美丹『チーロン』:2023/06/02(金) 06:27:54
>>356

スタンドを維持しつつ、様子を見ている。
まぁ、あまりのんびりするの良くなさそうだ。
見た感じ、匂いを嗅いだのが原因のようにも思える。
目の色も比喩ではなく変わっているようだ。

「いけないな」

「そんな強引な手段は」

朱鷺宮も向かうようだしこちらは封筒と便箋の方を確認しよう。

359奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/03(土) 20:08:53
>>356
「落ち着きましょうという朱鷺宮さんの意見に、私も賛成です。
どうやら、放っておいてもそこまで害を為すものでは無さそうですが……
だからといって看過できるものでもありません。
このままでは三枝さんも、日向神さんも気の毒ですから」

自身にだぶるようにして『クワイエット・ガーデン』を発現。
懐中電灯を取り出して日向神へ照射する。
薄くとも『明暗』が発生するなら、それを『障壁』とする。

「強引な手段ですが、ここは私にお任せください。
年長者としての『つとめ』というわけです、『クワイエット・ガーデン』」

障壁を押し付けるようにして日向神を壁際へと押し、三枝から離しつつ自分は近づいていく。
そして『障壁』を解除し、『クワイエット・ガーデン』自体で日向神を捕縛する。

360『縁結のM』:2023/06/03(土) 22:36:05
>>357(涙音)

まず他の部員達の様子を観察する。
少なくとも、誰もが唖然としている事は確からしい。
また、『周囲の確認』を選んだ涙音は、彼らの様子を詳しく知る事が出来た。

          ス ッ

部員の中で最も冷静さを保っているのは、部長の『安心院』だった。
彼は一歩進み出て、三枝を助ける為に行動を起こそうとしているようだ。
『若園』は青い顔をしていて気分が悪そうに見える。
そんな彼女を気遣うように、副部長の『花蓮』が若園を一瞥した。
妹の『瑞月』は、日向神と三枝を気にしながら、姉の顔を横目で追っている。

「――――んん?あぁ!」

「アハハハハ!
 オレって感情をストレートに表現する方だからさ。
 ついつい心がオープンになっちゃうんだよね!」

「でも、それも仕方ないと思うんだよねぇ〜。
 『あんな手紙』をもらったら、誰でもそうなるよ!」

涙音の言葉で、日向神は少し落ち着きが戻ったらしく、三枝の肩から手を離した。
だが、瞳は『紫色』のままだ。
その姿は何らかの『能力』を受けている事を思わせる。
なお、三枝千草の『性別』は、やはり判然としない。
日向神に詰め寄られながら何か言いかけていたようだが、
この騒ぎとは恐らく無関係だろう。

     ……………… ……………… ………………

『人型スタンド』を発現した恋子が、
ガラス質の『障壁』を生み出して日向神を三枝から引き離し、
さらにスタンドの両腕で彼を取り押さえている。

361『縁結のM』:2023/06/03(土) 22:37:00
>>358(龍)

やはり一番の原因は『匂い』だろう。
そうだとして、なぜ三枝に意識が向いたのか。
今までの様子を見た限りでは、三枝が日向神に好意を寄せているようには全く思えない。

     …………『勘違い』しているのか?

「いやいや、オレは『相手の気持ち』を真剣に受け止めたまでで――――」

「だけど、オレばかり喋っちゃったのは悪かった!
 ハハハ!そこは素直に認めるよ」

日向神は少し落ち着きを取り戻したようだが、『目の色』は変わっていない。

      スッ

床に落ちている封筒と便箋を拾い上げ、手に取った。
封筒には何も書かれていないが、便箋には丁寧な筆跡で文章が綴られている。
以下のような内容だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

初めて貴方と出会った時から、私の胸に小さな芽が生まれました。
貴方の側で同じ時間を過ごす内、芽は少しずつ育っていき、
私の心の中心に根を下ろす大樹に生長したのです。
幹は太く丈夫になり、枝は空に向かって伸び続け、葉は青々と生い茂りました。
これ以上、私の心に留めておく事は出来ません。
素直な想いを伝えたくて、貴方の為に筆を執りました。

自分の言葉で打ち明ける事が出来たら、どんなに素晴らしいでしょう。
一歩を踏み出す事の出来ない臆病な私を許して下さい。
だから、この想いを手紙に託して、貴方に贈ります。

私は貴方を愛しています。

PS:『並木道』でのお芝居、すっごくカッコよくて、とってもステキでした。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

奥ゆかしいながらも詩的で情熱的な文面。
これは『ラブレター』だ。
しかし、『差出人』の名前は何処にも書かれていない。
また、もう一つ特徴がある。
通常、カジュアルな手紙は『横書き』が多いが、これは『縦書き』だった。

      ……………… ……………… ………………

そうこうしている内に、
日向神は『恋子のスタンド』によって引き離され、拘束されたようだ。

362『縁結のM』:2023/06/03(土) 22:37:22
>>359(奈津川)

目の前にあるのが『危険な状況か』と言われると『NO』だが、
それでも『込み入った様相』を呈している事は確かだ。

       ズ ギ ュ ン ッ

年長者として動くべく『クワイエット・ガーデン』を発現させる。

               パ ッ

『懐中電灯』を点灯させ、日向神に光を浴びせた。

「ん!ひょっとしてスポットライトですか?
 さすがは知的な恋子先輩!ここ一番で盛り上げてくれますねぇ〜!」

日向神は眩しそうに目を細めたが、
機嫌を悪くする様子もなく、相変わらず呑気に笑っている。

        キラッ

             キラッ

明かりによって生じた『明暗』を『境界』とし、『障壁』が生み出される。
それは三枝と日向神を隔てる『ガラスの壁』だ。
涙音の注意によって、日向神が三枝の肩から手を離していた事も有効に働いた。

     ――――――ガシッ

              「――――っと!?」

『クワイエット・ガーデン』で日向神を捕らえると、
さすがに驚いたらしく、自身の状態に目を丸くしている。

      ……………… ……………… ………………

もしかすると、ロダンも『匂い』に気付いたのだろうか?
『人の数十万倍』と言われる『猫の嗅覚』なら、それも不思議な話ではない。
ともかく、この『謎』を解く事が『ロダンの依頼』なのだ。

363奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/05(月) 15:24:41

「さて、あとは三枝さんは一度彼から離れていただけますか?
できれば目が届かなくなる、部屋の外まで出ていただけるとありがたいかもしれません。
それで治らなければ……少し手荒な真似をする必要があります。
昏倒させるとか」

淡々と指示しつつ、日向神の様子を伺う。

「目を覚まして下さい。あなたは少し、異常な状態ですよ。
自覚はありますか?日向神さん」

そうして、同時行動できる範囲で軽く頬を本体がぺしぺしと叩く。

364朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/05(月) 16:01:36
>>360-362
「『あんな手紙』?
 あれはあなたのものではないと?」
日向神のその言葉を聞いて不思議そうに首を傾げる。

「とにかく…」
そういったところで日向神と三枝の間に障壁が出現する。
(どうやら…あっちは大丈夫そうね)
奈津川のスタンドであると確認すると

「ひとまず落ち着いてください。
 それと…気になることがあるんですが」
そういって落ち着くように呼びかける。

「その『手紙』は一体誰からもらったものですか?」
そう言って先程彼が取り出した手紙を指差す。

365龍美丹『チーロン』:2023/06/06(火) 13:12:22
>>361

(スタンドを使った告白……?)

それ自体は否定しないが、それが面倒なことを起こしている。

(縦書きとは奥ゆかしい……)

演劇部の彼に合わせたのか?
いや、だとしてもそれだけで縦書きを選ぶだろうか。

「並木道……」

「演劇部って外でも練習するのかい?」

366『縁結のM』:2023/06/06(火) 17:49:04
>>363(奈津川)

「わ、分かりました。奈津川先輩の言う通りにします」

        ススス…………

三枝は恋子の指示に従って身を引き、部室のドアに向かって歩いていく。

「『自覚』――ですかぁ?」

「何となく千草ちゃんが『魅力的に見える』というか……」

       「それくらいですね!」

日向神にも、一応『自覚らしいもの』はあるらしい。
どう解釈するかは別として、『そういう風に映っている』という事だ。
つまり、どういう事になるのだろうか?

         ペシッ

             ペシッ

彼の頬を軽く叩いてみるが、日向神が正気に戻る様子はなかった。

>>364(涙音)

「あぁ、その『手紙』ね!
 オレの『下駄箱』に入ってたんだよ。
 いやぁ〜まいっちゃうなぁ〜」

          「ハハハハハ!」

日向神の言葉を聞いた三枝が、足を止めて涙音に囁いた。

       コソッ

「…………そういえば朱鷺宮先輩。
 さっき『下駄箱を見ていた人』がいましたけど、
 関係あるんでしょうか…………?」

『昇降口』で見かけた『ジャージ姿の少女』。
すぐに立ち去ってしまったが、彼女は『下駄箱』の前に立っていた。
彼女が見ていたのは、確か………………。

>>365(龍)

縦書きの恋文。
何の意味もないとは思えない。
『謎の答え』に直結するかどうかはともかく、
そこには相応の『理由』がある筈だ。

「『並木道』はタイトルよ。私が創作した『青春群像劇』」

「舞台設定は屋外だけど、実際に外で演技する訳じゃない」

美丹の問い掛けに答えたのは花蓮だ。
その時、安心院が近付いてきた。
彼は美丹に耳打ちする。

「……まだ舞台上で演じた事のない作品です。
 見た事があるとしたら『部員』か、
 練習風景を目にした『見学者』の可能性が高いでしょう」

どうやら、かなり『候補』を絞る事は出来そうだ。

367朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/07(水) 22:04:11
>>366
「ふーん、下駄箱に…
 そういうのってよくあるんですかね…」
不思議そうな顔で答える。

「あーそう言えば、たしかあそこにいましたね
 下駄箱を見ていたひとが。
 …そう言えばあのときの下駄箱には…」

そう言って>>295の時のことを思い出す。

「日向神さん…でしたか。
 もしかしたらあの人が…」
少し考えてから日向神に声をかける。

「あの、ここ最近で女子に声をかけられたみたいな話はありませんか?
 例えばこう…」
そう言ってあのときに見た少女の特徴をあげてみた。
「…みたいな外見の人。」

368奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/08(木) 15:42:57
>>366
「ふーむ、三枝さんは一番に声を掛けましたが、
それが理由でしょうか?」

三枝が立っていた位置を考えると、側に窓があるはずだ。
カーテンが掛かっているなら引いておく。

「それとも、他に理由があるのでしょうか。
日向神さん、落ち着きましたか?」

一旦『スタンド』による拘束を解く。

369龍美丹『チーロン』:2023/06/09(金) 07:20:20
>>366

「ふうん」

「手紙の主はそのお芝居を見てたみたいだ」

「それらしい人っているかい?」

とりあえず、その辺は部員に聞いた方が早いだろう。

370『縁結のM』:2023/06/09(金) 16:43:51
>>367(涙音)

あの少女は、確かに『日向神の下駄箱』を見つめていた。
偶然にしては出来すぎている。
今回の件に関して、彼女が何かを知っている可能性は十分ある筈だ。

「テニス部の『早川』だね!
 同じクラスだから、よく知ってるよ。
 でも、しょっちゅう話す訳じゃあないけどさ!」

「早川の事なら、オレより『若園』の方が詳しいんじゃないかなぁ?
 幼馴染で、昔から仲がいいみたいなんだよねぇ〜」

      「――――…………!」

涙音の質問に答えつつ、日向神は若園に視線を向ける。
いきなり名前を呼ばれたせいか、彼女は驚いた表情をしていた。
若園は『顔に出やすいタイプ』らしい。

         少し驚きすぎな気もするが…………。

>>368(奈津川)

「――――――ん?」

「言われてみれば、そんな気がするようなしないような…………?」

恋子の考えは正しかった。
目の色は戻っていないが、日向神は先程より落ち着いている。
三枝が離れた事で、影響力が弱まったのだろう。
どうやら距離が近いと『効力』も増すようだ。
おそらくは、三枝が目をつけられた理由も、概ね間違っていないと思えた。

  《『コイコ』――――『謎』は見つかったかな》

        《私の『尻尾』も感度は鈍っていなかったようだ》

窓際のカーテンを引こうとした時、窓の外からロダンが囁いた。

《もし『猫の手』を借りたい時があれば、言ってくれたまえ》

日向神が持っていた便箋は、今は美丹が眺めている。
この騒ぎの『大元』。
とりあえず、その辺りを調べるのが妥当だろうか。

>>369(龍)

「部員以外だと……『早川さん』――でしょうか」

美丹の質問に対して、安心院が言葉を続ける。

「テニス部に所属していますが、
 少し前から手首を痛めて練習に参加できなくなり、
 その間は時々ここへ遊びに来ています。
 若園さんとは仲がいいようなので」

「……彼女を除くと『最近の見学者』は三枝さん達だけですね」

つまり、美丹や恋子や涙音以外は『早川しかいない』という事だ。

「多分ですが、今日も来るでしょう」

三枝と『距離』が離れたせいか、日向神は少し落ち着いたように見えた。

371朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/10(土) 21:26:22
>>370
「あの人の名前はハヤカワさんか…
 だとしたら彼女が…『スタンド』を…?」
少し考えてから、若園の名前を聞いて
その視線を彼女へと向ける。

「あー、そのすいません。
 そこまでびっくりしなくても…」
そう言って一旦落ち着かせようと振る舞う。

「日向神さんとハヤカワさんのこと、
 なにかご存知なことはないですか?」
穏やかな口調で問いかける。

372奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/12(月) 00:33:48
>>370
「おっと失礼ロダンさん。
たしかに、あなたの言う通りに『謎』がありましたよ。
『におい』……あなたが嗅いでいれば、その痕を辿ることもできたかもしれませんね」

カーテンを締める手を止めて、ロダンと会話する。
窓はこのまま開けておこう。

「あなたの『謎解き』も、参考にさせていただきます。
しかし、まずは人間の責務を果たすとしましょう。
あなたは、もう大丈夫ですね? 日向神さん」

そして『便箋』を確認に向かう。
受け取ったなら、『ロダン』にも見せてやりたい。

373龍美丹『チーロン』:2023/06/12(月) 13:53:20
>>370

「じゃあその子を待とうか」

スタンドを解除し、椅子に座る

374『縁結のM』:2023/06/12(月) 16:04:41
>>371(涙音)

便箋に『スタンド』を仕込んだ人物。
『犯人』と呼ぶのは大袈裟ではあるものの、実際に騒動を招いているのは確かだ。
それが早川である確証はないが、『候補』の一人は見逃せない。

「ご、ごめんなさい。
 日向神くんが急にあんな事を言い出したから…………」

     「そっちに気を取られてて……」

まだ少し動揺した様子だったが、若園は次第に冷静さを取り戻していく。

「えっと、環と日向神くんの事だよね。
 …………あんまり仲良くはないかな?」

「なんていうか……環は『ああいうタイプ』と相性が悪いの……」

若園は言いにくそうに答えを返す。
『環』というのは早川の名前だろう。
話を聞く限りだと、日向神とは『馬が合わない』ようだ。

  …………では、何故『下駄箱』を見ていたのだろうか?

>>372(奈津川)

《生憎、今は『特別な匂い』を感じない》

     《だが、『手掛かり』があれば『謎』を追えるだろう》

窓の外には、やはりロダンがいた。
目線の高さを調整する為か、
壮麗な彫刻が施された『大理石の台座』の上に座っている。
ハーピーと戦った『白亜の舞台』に似たデザインだ。

《――――――ふむ》

便箋に綴られた文面を眺め、ロダンは小首を傾げて小さく唸った。

《これが『恋文』だという解釈に間違いはなかろう。
 然しながら、私よりもコイコの方が、
 いくらか理解はしやすいのではないかな》

《『書いた経験』の有無ではなく、『君が人間だから』だが…………》

   《まずは『君の考え』を聞いておこう》

そう告げてから、ロダンは付け加えるように言った。

《もっとも、人ではない私にも『引っ掛かる事』はあるがね》

>>373(龍)

       ズズズズズ………………

『チーロン』を解除すると、身体に軽い疲れを感じた。
『血龍』の力を使い続けるのは、スタミナの消耗が早い。
とはいえ、今は気にする程でもないだろう。

         スタ スタ スタ

そこに恋子がやって来て、便箋を持って行った。

>>(ALL)

    ――――――ガチャッ

にわかに扉が開き、学校指定のジャージを着た少女が顔を覗かせた。
涙音は見た覚えがある。
『早川環』だ。
一瞬、彼女は何かを探るような視線を室内に向ける。
しかし、三人がいる事に気付き、気まずそうな表情で正面を向く。

  「…………あー、ゴメン」

     「見学のジャマしちゃ悪いからさ」

             「あたし外にいるわ」

                 バタン

言うが早いか、扉は再び閉められてしまった。

375奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/12(月) 23:24:12
>>374
「おっと……これは、あなたの『スタンド能力』でしたか。ロダンさん。
大きさも自由自在とは恐れ入ります。
あの戦いの舞台は、私とハーピィさんの為に作られたというわけですね。
しかし、学校を『博物館』にされても困りますが」

ロダンと一緒に便箋に目を通す。

「ええ、勿論この私こと恋子、恋多き女ですから当然恋文にも造詣が……まあ、ありませんが。
そうですね、『引っかかる』ことなら私にもあります。
この恋文には『名前』がない。宛先も、差出人も」

>    ――――――ガチャッ

「彼女が『そう』ですか?
丁度良いタイミングではないですか。
私が呼びましょう」

言うが早いか、つかつかと扉に近づいて行って閉まった扉を開ける。

376朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/12(月) 23:35:26
>>374
「いえいえ、こちらこそ急にすいません。」
そう言って軽く手をふる。
そして彼女の話を聞いた。

「仲が良くない?
 それは意外でしたね…
 下駄箱に手紙を仕込むなんて真似、仲が悪いひとにはやらないでしょうし…」
そう言って考え込む。

(そもそも下駄箱を調べてた理由は何なの?
 なにか知っているとするなら…)

ふと、開いた扉の方を確認すると
たしかに下駄箱付近で顔を合わせた少女の姿が見えた。

「あ、ちょっと待ってください。」
扉を閉めた相手に向けて声をかける

「ちょっと用が…もう遠くに行っちゃったかな…?」
とりあえず恋子が呼んでくれるようだ。
ひとまず待ってみることにする。

377龍美丹『チーロン』:2023/06/13(火) 20:17:18
>>374

「彼女を追った方がいいのかな」

いや、追うというのも大袈裟な表現な気がするが。

「……」

まぁ、朱鷺宮が行くのなら自分が行くのもなんであるし座っておこう。
いちいち人がついてまわるのも良くないだろうし。

378『縁結のM』:2023/06/13(火) 21:01:15
>>375(奈津川)

《――――その通り。
 そして、手紙に『能力』が仕込まれていた。
 ここで問題となるのは『目的』だ》
 
《君も分かっていると思うが、現状ただ混乱を引き起こしたに過ぎない。
 これが狙いだったとすれば成功ではあるだろう》

《それ以外に考えられる可能性としては――――》

ロダンは何か言いかけたが、早川を追う恋子を見送り、途中で言葉を切った。

         ガチャリ

「………………?」

早川は入口の近くに立っていた。
扉を開けた恋子に怪訝な視線を向けている。
彼女は日向神や若園と同学年なので、一つ下の後輩という事になるだろう。

>>376(涙音)

確かに妙な話だ。
早川が『手紙』を入れたのではないのだろうか?
そうだとしたら、彼女が下駄箱を見ていた理由は何なのか?

         ガチャリ

出遅れた涙音に代わって、恋子が扉を開ける。
早川は入口の近くにいるようだが、角度的に涙音の位置からは見えない。
しかし、恋子が持っていた『手紙の内容』は、涙音にも読む事が出来ていた。

《ルネ――――君には何か引っ掛かる事があるかね?》

窓の外で待機しているロダンが、
『スタンドを通した声』で涙音に意見を求めてくる。
彼は規格外の知性の持ち主だ。
もし必要なら『助言』を得る事も出来るだろう。

>>377(龍)

この場で全員が同じ行動を取る必要はない。
早川が何かしらの形で関わっている可能性は高いが、
『彼女だけ』とも限らないのだから。
調べられる事は他にもあるだろう。

        ガチャリ

いち早く動いた恋子が入口に歩み寄り、躊躇う事なく扉を開いた。

     「――――…………」

…………若園は扉の向こう側を気にしているようだ。

379龍美丹『チーロン』:2023/06/14(水) 13:13:38
>>378

「何か気になることでも?」

若園に言葉を投げた。
ひとまずは何も分からないことがわかっている。
情報はあればあるほどいい。

380奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/14(水) 19:03:12
>>378
「こんにちは、早川さん。早川環さん。
私は奈津川恋子といいます。
漢字は、四季でない方のナツに、わざとじゃない方のコイと書きます。
自己紹介も済んだところで、早速ではありますが、
あなたを待ってました。あなたの話を聞くために。どうぞどうぞ中へ」

背中に手を当てて少し押して入室を促す。

(他の可能性……あのまま私が止めなければ、
どこで『能力』に襲われるにせよ、
きっと日向神さんは顰蹙を買っていたでしょう。非常に。
そう考えるなら『嫌がらせ』? しかし、あの文面のとは食い違う……)

381朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/14(水) 21:05:36
>>378
「むぅ…あの手紙にはなんと書いてあるのでしょうか…」
じっと書かれている手紙の内容を確認しようとする。

「おっと…」
ふと、ロダンから声が聞こえてきた。
ロダンに対してはスタンドを出した上で会話を行うつもりのようだ。

『そうですねー。今引っかかることと言えば…
彼女…早川さんは随分とこちらを避けている予感がするんですよ。
その理由はてっきりあの手紙かと思ってたんですけど…』
少し首を傾げる。

『仮に彼女がスタンド使いだったら何故そんな事するのかの説明がつかない…
 でも違うんだったら…彼女がそこまでこちらを避ける理由があるんでしょうかね…』

382『縁結のM』:2023/06/14(水) 21:54:38
>379(龍)

    「えっ」

       「あ、あの――」

             「なんていうか……」

若園の答え方は要領を得ない。
しかし、かなり『動揺』している様子が窺える。
それが何に起因するものかは分からないが、
どうやら顔に出やすいタイプだ。

    「ちょ――――っと、押さないで…………!」

恋子は半ば強引に、早川を部室内に引っ張り込んだ。

        チラ

一瞬、早川が若園に視線を向けるのが見えた。
気遣うような目線だ。
若園も気付いたらしいが、こちらは目が泳いでいる。

>>380(奈津川)

手紙の目的が『嫌がらせ』だとしたら、
確かに日向神の評判は著しく下がるだろう。
しかし、それにしては『手口』が回りくどい印象もあった。
また、たまたま居合わせた三枝も迷惑を被っている。
そうでなくても、誰かが間接的な被害者になっていた筈だ。
無関係な人間を巻き込む事を厭わない程の恨みがあるというなら別だが…………。

        「――――――はぁ?」

           ズイッ

    「ちょ――――っと、押さないで…………!」

奇矯な挨拶に面食らう早川に反応する暇を与えず、素早く室内に押し込んだ。
部室に入った彼女は、あからさまに日向神から目を背ける。
少なくとも『好ましく思っていない』のは明らかだった。

>>381(涙音)

手紙の内容を端的に言うなら『ラブレター(>>361)』だった。
これを早川が入れたとしたら、彼女が書いたのだろうか?
人は見かけによらないという言葉があるとはいえ、
『好きでもない相手』に送るとは思えない。

《君は『いい所』に目をつけている。
 ハヤカワの態度には『含み』があるようだ。
 何か『隠している』のかもしれない》

《本人自身に尋ねる事も方法だが、それで崩せない時は、
 さっきのように『他の人間』に当たってみるといいだろう》

     《それから、もう一つ》

        《あの手紙だがね――――どこか『違和感』を覚える》

    「ちょ――――っと、押さないで…………!」

ロダンと話している最中に、恋子が早川を連れて戻ってきた。

383龍美丹『チーロン』:2023/06/15(木) 00:19:41
>>382

「はは。悪いね」

「急に話しかけられたら、ビックリもするさ。落ち着いて?」

とは言いつつ、考える。

(二人は仲がいい子って話だったかな)

早川と若園を交互に見た。

(手紙の内容からすると、あれで付き合おうと思うのであれば手紙を開封する時に自分がそこにいないといけない)

(だから……あれは早川さんがどうこうと言うより代理かな?)

若園。
彼女の目が泳いでいる、動揺している。

「どうもこんにちは、早川さん」

「見学の邪魔も何も、ボクたちもいま来たところでね」

「どうでしょう。ご一緒に観劇でも?」

「見た後の感想会も観劇の楽しみの一つだしね」

早川にそう言って、自分と同様席に着くのを促す。
おそらく早川と若園の間に何かしらの話はあったのだろうが、そこを掘るにしても相手が警戒していたり緊張していては意味が無い。

384朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/15(木) 20:27:00
>>382
『…あれがねぇ。
 あの人が書いたようには見えませんけど…
 いや、人は見かけによらないかもしれないし、ここは
 一度聞いてみたほうがいいのでしょうかね』
手紙をじっと見ながら考える。
それから少しロダンの方を見て

『違和感って言うと何でしょうか?
 たしかにスタンドっぽいのが発動したから私も違和感はありますけど…
 あるいは別の?』
と言ったところで視線を、戻ってきた早川と恋子に向けた。

「あ、すいません。
 お忙しいところを…」
そう言って早川に向けて手を振った。
おそらくは彼女も涙音の顔は覚えているはずだが…?

385奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/15(木) 22:50:12
>>382
「それは失礼、押すのはお嫌いでしたか」

ぱっと手を離し、早川の後ろから手を突き出す。
『便箋』が握られた手をだ。

「単刀直入にお聞きしますが、これに心当たりは?
あなたが……下駄箱を見ていたのは、どういった理由でしょうか?」

何に慮ることもなく、ずけずけと訊ねる。

386『縁結のM』:2023/06/15(木) 23:27:40
>>383(龍)

早川と若園。
この二人の間には、今回の一件に関わる『何か』がある。
そう感じさせる雰囲気が確かにあった。

「…………まぁ、別にいいけど」

       ストン

一拍の間を置いて、早川が椅子に腰を下ろす。
彼女は口が軽いタイプには見えない。
ストレートに尋ねても『腹の中』は明かさないだろう。

          ――――――ジッ

何事かを考えるように、花蓮が早川と若園を眺めている。
そして、妹の瑞月は姉の花蓮を不安げに見つめていた。
部内で起きた『トラブル』を心配しているのかもしれない。

>>384(涙音)

《私の考える『違和感』というのは、それとは少し違う。
 だが、今は詳しく説明する事は避ける。
 余計な先入観を与えたくはないのだ》

   《さて、しばらく君達に任せよう》

そう言って、ロダンは話を中断した。

「あぁ、さっきの…………」

     スッ

「……いいよ。忙しくないから。
 怪我してるから練習に出られないの」

早川も涙音の顔を覚えているらしく、手首に巻かれた『包帯』を見せてきた。
無愛想だが、話が通じない程ではないようだ。
元々こういう性格なのかもしれない。

>>385(奈津川)

まずは『当たって砕けろ』とばかりに、恋子が早川に便箋を突きつける。

「――――…………?」

手紙の文面を一瞥した早川は『妙な反応』を示した。
動揺するでもなく誤魔化そうとする風でもない。
例えるなら、何か『意外な物』でも見せられたような…………。

「……落とし物をして探してたの。それだけ」

「何となく聞かれそうだから先に言っとくけど、私は書いてない。
 国語の成績だって悪いし」

この証言が『全て』とは思えない。
おそらく、まだ『何かある』。
しかし、『今の反応』は、どう解釈すべきだろうか?

387龍美丹『チーロン』:2023/06/16(金) 11:16:53
>>386

「……」

三つ編みを手で弄ぶ。
さて、どうしたものか。
人間の数も増えてきた。
状況と関係を整理したいところだが。

「ひとまず、これでオッケーかな?」

388朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/16(金) 23:03:00
>>386
『ふーむ…とりあえず色々と聞いてみたいですね。』
果たして早川さんはなにか知っているのか。
気になって視線を向けた。

「どうもお騒がせしてます。
 演劇部の見学に来たもので」
と言って改めて頭を下げた。

「大変だったみたいですね。
 その怪我はその、何時頃から?」
手紙の様子を見てなにかの反応をしたような気がしたが
今のところはよくわからない。
彼女の怪我も少々気になったため、質問をしてみる。

389奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/18(日) 21:14:05
>>386
「私は書いてない。
それでは、見覚えが?
これを書いた『主』を探しているのです。
ほら……宛先がありませんから、これ」

にゅっともう片方の手を早川の後ろから出して、
早川の目の前で両手で手紙を広げて見せる。

(『人間関係』が、重要そうですね。
この『謎』、ロダンさんはどう考えているのでしょうか……後で聞いてみましょう)

390<削除>:<削除>
<削除>

391『縁結のM』:2023/06/19(月) 19:47:24
>>387(龍)

美丹・恋子・涙音と三枝を除くと、安心院・日向神・花蓮・瑞月・若園・早川。
この『六人』が『関係者』という事になる。
恋子や涙音と話し合って、ひとまず考えを纏めてみてもいいだろう。

「…………そろそろ練習に入ろうか。
 せっかく見学に来てもらっているんだからね」

美丹の様子を見て気を利かせたらしく、部長の安心院が他の部員に声を掛ける。

>>388(涙音)

「あれは十日くらい前だったかな……。
 テニスの練習中に捻挫したの」

特に隠す様子もなく、すんなりと早川は答えた。
これに関しては、あまり今回の件に関係なさそうだ。
状況を整理する為に、ひとまず他の二人と相談した方がいいかもしれない。

     ……………… ……………… ………………

安心院の一言で、部員達は稽古の準備に入り始めている。

>>389(奈津川)

『人間関係』――――その考えは恐らく『的外れ』ではない気がした。

  「だから!見覚えもないの」

         ジッ

       「…………ある訳ないでしょ」

やはり『微妙な反応』だ。
『嘘』と『本当』が混ざっているような――そんな声色だった。
ただ、どちらかというと『中身』を見た時に怪訝な顔をしていたように思える。

「そ、そうですねっ!
 『稽古』始めちゃいましょう!」

部員に呼び掛ける安心院の声に従い、頼成瑞月が大きく頷く。
美丹や涙音と意見を交換するには丁度いい頃合いかもしれない。
この『謎』を解く上では『ロダンの見解』も参考になりそうだ。

392奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/19(月) 19:59:00
>>391
「うーむ。よくわかりませんね。
お二方、少し相談しましょうか。
ロダンさんと、あとで三枝さんにも聞いてもらいたいですね」

気持ち椅子を窓の傍へと寄せる。
椅子に背筋を伸ばして座り、稽古を見ながら小声で話し合う。

「まずは状況を整理しましょうか。
『日向神』さんの下駄箱に入っていた『封筒』。
それが全てのはじまりでしたね。
『封筒』の中の『便箋』を取り出すと、
『葉』が伸びて、『花』が咲きました」

そこまで喋って、続きは二人のどちらかに引き継ぐ。

393朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/19(月) 21:49:37
>>391-392
「まぁ、普通の怪我ですね…特に関係ないかな…」
早川の怪我は特に問題はないようである。
やがてロダンも含めて情報の整理を行うことにした

「たしかにそうでしたね…
 恐らく特定の人間に夢中にさせる能力でした。
 …早川さんが下駄箱を調べてたので彼女がやったのかと思いましたけど…」
そう言って首を傾げる。

「どうも早川さんは日向神さんのことに夢中とかそういうことはなさそうですね。
 …でも早川さんは無関係とは思えないんですよね…
 あの人の下駄箱を見てましたし…」

394龍美丹『チーロン』:2023/06/20(火) 01:28:51
>>391-393

「個人的には若園さんが何か関係ある気がするけどね。案外、彼女が日向神くんのことを好きだったりして」

「あくまで能力はああいう状況を作るためにやった、とかね」

「自分に好意を向けたいのなら、自分が開封する現場にいないのはおかしいしね」

小声でそう伝える。
早川が手紙に細工をしたのなら、それは誰かのための可能性があるだろう。

395奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/20(火) 21:09:11
>>393-394
>「自分に好意を向けたいのなら、自分が開封する現場にいないのはおかしいしね」

「ふむふむ、確かにそうですね。
ですが……それなら、もっと直接的に手紙を手渡しするという方法もあったと思います。
それをしなかったということは……どういうことなんでしょうか?
恋子にはわかりませんね」

「あの『文面(>>361)』についてはどう思いますか?
情緒があって良いな……とか、私は今のところそれくらいですが……あはは」

396朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/21(水) 20:48:21
>>395
「そうですねぇ…ラブレターって漫画の知識しかないんですけど…
 そういうのはだいたい、◯◯で待ってますみたいな話はある気がしますけど…
 向こうにその気があるのかを確かめるみたいなそういうことで…」
文面を確認した涙音はその文面に首を傾げる

「そもそもラブレターなのになんで名前とかを書いてないんでしょうね?
 手渡しするなら別に…とまでは言わないでもまだわかるんですけどね…
 これじゃ誰が思いを伝えたいかわからないじゃないですか。」

397龍美丹『チーロン』:2023/06/22(木) 01:56:40
>>395-396

「代理、かもね」

目は練習を見ているが、口は他のものに伝えるために動く。

「例えばボクの仮定が正しいとして、若園さんが日向神くんに思いを寄せていたとしよう」

「早川さんはその能力を彼女の書いた手紙にかけて、開封する時を待った」

「あの勢いで押し切られた、ということにすれば多少強引だけれど二人を結ばせることは出来る」

強すぎる縁結びは今ある縁を切ってでも想いを成就させるという。
多少強引でも結果が吉良ならば構わないのだろう。

「文面に関しては、癖だったのかもね」

「本来日本語は縦書きだからね」

「演劇部の台本も縦書きだと思うし、彼らからすれば見慣れた文体は寧ろ縦なのかも」

自分でそう言って、どこかそれがおかしいような気もした。
SNSなどは横書きだ。
縦書きが見慣れた文体というのは事実かもしれないが、それでも横書きの方が馴染みがあると思われる。

(……あるいは、あれも台本なのかな)

398奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/22(木) 18:02:44
>>396-397
「なるほど! 
お二人とも、素晴らしい着眼点、そしてアイデアですね。
宛名がないのはなるほど恋子も不自然だと思っておりました。
それは『代理』だから。
そして台本は『縦書き』。
その理由として『よく目にしていたから』はもっともな話だと思いますが、
それよりもむしろ『書き慣れていたから』
というのはどうでしょうか?
彼女は普段から『台本』を『書いて』いたので、つい『恋文』の方も縦書きにしてしまった……」

そして室内のひとりへと目を向けた。

399朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/22(木) 18:56:00
>>397-398
「縦書きと見たらたしかに…あれって台本の書き方みたいですよねー…
 じゃあ台本を書いた人が…んー、そういえば…」
ふと、先程の日向神の三枝へ向けた様子を考えていた

「あの時の日向神さんの様子、まるであの恋文に対しての返答みたいに思えましたね…
 まるで『お芝居』をしてるみたいだったというか…」
もしかしてあれは台本なのだろうか…と涙音は考えた

400龍美丹『チーロン』:2023/06/24(土) 20:14:06
>>398-399

「書き慣れてるのも、あるかもね」

あの能力なら手紙の送り主は誰でもいい。
他人の書いた手紙に能力を書くことで告白の機会を上書きするということもできるからだ。
……だとしたらかなり積極的に関わりに行っている雰囲気だが。

「お芝居ね……」

日向神の普段の人間性が分からないので、そういうこともあるかなと思った。

「……スタンドは精神に根付いているものだとしたら」

「案外早川さんは本当に関係なかったりするのかな」

401『縁結のM』:2023/06/24(土) 20:36:39
>>(ALL)

《君達の『推理』は、私の考えと概ね一致している》

三人の会話が一段落を迎えたタイミングで、ロダンが言った。

《『代理』――――その可能性は大いに検討すべきだ》

ロダンの視線が向いたのは『奈津川と同じ方向』。
副部長の『頼成花蓮』だった。
今、彼女は若園と話している。

《もちろん『真実』に辿り着く道が一つとは限らない。
 各自が異なる方向からアプローチするのも、『謎』の解決には有効だろう》

こちらは三枝を含めて四人いる。
多方面を探る為の人手は十分だ。
最終的に、それらが一つに集束するかもしれない。

「早川さんが関係ないとしたら、何をしていたんでしょう?
 本当に『落とし物を探していただけ』…………なんでしょうか?」

話し合いを横から見ていた三枝が、
美丹の言葉に合わせるように疑問を口にした。

402龍美丹『チーロン』:2023/06/25(日) 23:05:22
>>401

「……なるほど」

多角的に見た方がいいことと言うのがある。

「落し物というのも、いかにもって感じがするけどね」

403朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/26(月) 18:22:41
>>401
「落とし物をしていた…ですか…
 でもあの辺りにそういうものはなさそうでしたし…
 あの人の下駄箱をミてたのは無関係とは言い切れませんね…」
そう言ってからうーん…と考える。

「わざわざ手紙を回収しに来たってことになったら…
 例えば、入れる場所を間違えたとか…?」

404奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/27(火) 21:12:15
>>401
「早川さんはあの便箋に何が書いているかは知らなそうな反応でした。
つまり、封筒にはきっと見覚えがあったのでしょう。
その理由は、彼女があの封筒を持ってきたから……というのが一番ありえそうな話ですよね。
入れる場所を間違えたというのは、よい線をいっているかもしれません。
あるいは本当に封筒を落として、それを別の誰かが下駄箱に入れてしまったのかも……」

「というのは論じるに値しない推理です。過程は結構!
封筒を見た事があるならそれを持っていたのは『早川』さん。
そしてそれを書いたのは『頼成』さん。
早川さんは封筒に『見覚えがない』と嘘をついたことから、
秘密にするように頼まれた……というのが恋子の本線です。 いかがでしょうか?」

にこりともせず、推理を捲し立てて黙る。

「早速これを確かめてきましょうか。
本人に直接聞くのが早いかと愚考いたします」

そして腰を浮かせた。
このままだと立ち上がり、直接頼成へと話しかけそうな勢いだ。

405『縁結のM』:2023/06/27(火) 21:57:08
>>(ALL)

「あの――――ちょっと思い付いた事があります」

三人の答えを聞いてから、三枝が声を潜めて言った。

「早川さんを千草と朱鷺宮先輩に置き換えて考えてみたらどうでしょう?」

「千草と朱鷺宮先輩は、二人で下駄箱を見ていた時に、
 奈津川先輩と龍先輩に見つかりましたよね?
 それって『早川さんに似てる』と思いませんか?
 早川さんも、下駄箱を見ている所を、千草と朱鷺宮先輩に見つかったんですから」

「そんな風に考えてみたら、早川さんが下駄箱の前にいた理由も、
 何となく想像できそうな気がするんですけど…………」

>>402(龍)
>>403(涙音)

『自らの推理』を淀みなく語り終えた恋子が、『副部長』の方へ向かおうとする。
彼女は正面から尋ねるつもりのようだ。
それについて行ってもいいし、他を当たってもいいだろう。

>>404(奈津川)

《状況に物怖じしていては『推理』は出来ない。
 コイコの『思い切りの良さ』を、私は好ましく思っている》

   《君の『アプローチ』を見せてもらおう》

ロダンの声を背に受けて、『頼成花蓮』に狙いを定める。
その直後、彼女は会話を止めた。
恋子の思惑に気付いていないかのように、片手に持った台本に視線を落とす。

406龍美丹『チーロン』:2023/06/29(木) 01:19:01
>>405

「……ボクも同行しよう」

自分も向かう。
やり取りというのは二対一の方がいい。
あくまで第三者という顔をしていれば、損はしないからだ。

407朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/06/29(木) 07:01:09
>>405
「うん?たしかにそうですねー…
 誰かが見てたから自分も見てしまうと…」
そう答えてから考える。

「だとしたら他の誰かが見てたのが気になってとか…?
 そうだとしたらまた別の人が見てたということに?」
置き換えてみると、そのような考えがまず浮かんでくる…

「ふむ…奈津川さん、お願いします…」
彼女がどう動くのか、様子をうかがっている

408奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/06/29(木) 18:58:32
>>405 >>407
「『誰かが見ていた』。なるほど、そうかもしれませんが、
もしかしたら早川さんは、誰かが封筒を下駄箱に入れたのを見たのではないでしょうか。
誰かが封筒を……しかも知己の下駄箱に入れた事が気になって
下駄箱を見ていたのを見つかった。
『ロダン』さん、どうですか? 当たらずとも遠からず……くらいまでは
辿り着いている気がしてきませんか?」

「そして、みなさん意外と『強硬派』ですね。
ええ、恋子も搦手は苦手です。
私達、良いお友達になれそうです」

誰にも引き留められなかったので、そのままのしのしと頼成の元へと歩いていく。

「頼成さん。こちらの封筒に見覚えがありますよね。
もう、ネタは全てあがっているんですよ。どうなんですか」

刑事ドラマのような大仰さで、
しかし真顔で封筒をつきつけ、問いただす。

409『縁結のM』:2023/06/30(金) 08:34:42
>>407(涙音)
>>408(奈津川)

涙音と恋子の推理を聞いた三枝が、首を縦に振った。

「千草も先輩達の言う通りだと思います。
 でも、早川さんは誰を見たんでしょう?」

二人の考えは間違っていないだろう。
早川が全く無関係とは思えないし、
『手紙を入れる現場を目撃した』というのは、彼女自身の証言よりも自然だ。
そうなると『誰を見たのか』が問題になってくる。

《『当たらずとも遠からず』よりは、もっと上だと思って良かろう》

《現段階において、君達の『調査』は正しい方向に進んでいるものと見ている。
 今、私が『口添え』する必要がない程度には――――》

    《すなわち、少しずつ『真実』に近付いているという事だよ》

呼び掛けられたロダンは、恋子の言葉を『肯定』した。

>>406(龍)
>>408(奈津川)

封筒を突きつける恋子と、さりげなく見守る美丹。
恋子の行動は呆れ返る程に『直球』だが、手っ取り早いのは確かだ。
それを前にした花蓮は、台本から顔を上げて封筒を見やり、
それから恋子に視線を移した。

「あぁ――似たようなレターセットなら、何処かの店で目にした事があるかもね」

    「それを『どうなのか』と聞かれても困るけれど」

            ――――パタン

至って淡白に返しながら、彼女は台本を閉じる。

「……まぁ、いいわ。どうぞ続けて」

依然として、花蓮は落ち着きを保っている。
さすがに『一手』で崩せるほど簡単な相手ではなさそうだ。
そのやり取りに気付いたらしく、頼成瑞月が恋子と花蓮を一瞥した。

>>407(涙音)

恋子は遠回しな聞き方はせず、真正面から花蓮に問い掛けている。
しかし、彼女は動じていない。
花蓮は若園や早川よりも手強そうだ。
おそらく一筋縄ではいかないだろう。
一方、妹の瑞月は姉の方を気にしている様子だった。

「朱鷺宮先輩…………
 『副部長さん』にはお二人が聞いてくれていますけど、
 他の人にも何か質問してみますか?」

涙音の傍らに寄り、三枝が静かに耳打ちする。
部長の安心院、部員の日向神と若園、そして早川。
残る『関係者』は『四人』だ。
この中で最も信頼が置けそうなのは安心院だろうか。
彼からは、全員に対する客観的な意見が聞けるかもしれない。

410朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/01(土) 19:21:47
>>409
「ふーむ、早川さんがが見たものかぁ…
 まぁ私と同じだったとしたら、誰かを見たってことかな…」
そう言ってロダンに視線を向けた。

「進展してるならいいですけどね。
 …ん?」
三枝からの耳打ちを受けて少し考える。

「確かに、演劇部なら関係者であることは間違いないですしねぇ。
 とりあえずは…部長でしょうかね。」
部長である安心院に対して視線を向ける。

「あ、すみません部長さん。
 手紙のことの参考になるかわからないんですけど…」

「部員の皆さんは、部長から見たらどうでしょうか?
 仲がいいとか、そういうのが気になるんですけど」

411龍美丹『チーロン』:2023/07/02(日) 17:12:00
>>409

(……)

なかなかだ。

「先輩、もっと具体的に聞いた方がいいんじゃないかな?」

とはいえ、それで素直に答えるかは不明だし、自分たちが欲しい答えがあるかは謎だが。

「……」

こちらを見ている人物もいる。
まだ少し、様子を見ておこう。

412奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/04(火) 00:24:17
>>409
「エッ……いえ、あの……それだけですが……
ど、どうしましょうか……龍さん」

花蓮の淡泊な姿勢に明らかに動揺し、
龍を横目で見やる。

「具体的に……そ、そうですね……
ええと……あなたは、そう!
この手紙を代筆しましたね!
あー、えと……そう、妹さんに、頼まれて!」

偶々目があったものの名前を出したとしか思えない様子で、
そのまま言葉をつづけた。

413『縁結のM』:2023/07/04(火) 06:11:07
>>410(涙音)

「――――部員の事ですか?」

「入部の理由こそ違いますが、稽古や舞台では全員が纏まっていますよ。
 さっき言い合っていた日向神君と頼成花蓮さんも、
 実際そこまで仲が悪い訳ではないですから。
 それ以外の部員同士も、今まで大きな問題は起きていませんでした」

「若園さんが入ったのは最近ですが、
 他の部員とも仲良くやってくれているようですしね。
 部長――つまり僕に対しては、まだ緊張しているらしくて、
 あまり話せていないのですが」

安心院からは、そのような答えが返ってきた。
特定の一人に絞って聞けば、より詳しい情報が得られるだろう。
あるいは別の事を尋ねてみてもいい。

「――あの下駄箱……千草達は『外側』を見ただけですよね……」

三枝にも考えがあるらしく、涙音の傍らで呟いている。

>>411(龍)
>>412(奈津川)

「ええッ!?私、頼んでませんよ!
 日向神さんの事は別に嫌いじゃないですけど、
 『じゃあ好きか』って言われると…………」

咄嗟に言い放った恋子の推論は、瑞月によって即座に否定されてしまった。

       「………………」

何かを考えているかのように、姉の花蓮が目を細め、無言で恋子を見つめる。

「もう少し練ってきた方がいいわ」

    「例えば――――」

       「『スランプ』に陥った私が、
        『インスピレーション』を得る為に、
         適当な相手に『ラブレター』を出した」

                        「――――とか」

うろたえる恋子を横目に、花蓮は自ら『仮説』を持ち出してきた。
彼女の口調はスラスラと淀みがない。
一体どういうつもりなのだろうか?

414龍美丹『チーロン』:2023/07/05(水) 21:26:09
>>413

「……さすがというべきなのか」

「立て板に水というか」

「言葉がよく出るんですね」

準備していたのか?
それとも。

「そう聞かれるのを予測していたのか」

どのみち、いまこの場で出た推理そのもの外れている。
ただ花蓮が完全に無関係なのかは微妙なところだ。

415朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/05(水) 21:39:51
>>413
「ふむふむ、みんなだいたい仲良しってことですか…
 だとしたらそこまで問題がある感じではなさそうですけど…」
そう考えてから三枝からの言葉を聞く

「まぁ、外側を見ただけですね…
 中身は見てません。あの中にあの手紙があったかはわかりませんね…」
果たして三枝の考えとは何なのだろうか。
少し考えてから、とりあえず口を開く

「最近様子が変みたいな人は居ませんでしたかねー。
 花蓮さんとか…あと若園さんとか。」

416奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/06(木) 19:49:27
>>413
「アッ! それ、それです!
ごほん……あなたは、スランプに陥っていた。
インスピレーションを得てスランプを脱却するために
適当な相手にラブレターを出した……そうですね、頼成花蓮さん!」

落ち着き払って話し、花蓮をびしっと指さす。

「……すみません、ついふざけてしまいました。
恋子反省です。
花蓮さん、『並木道』について教えていただけませんか?
まだ公演していないものを、部外者に教えるのは本意ではないかもしれませんが」

417『縁結のM』:2023/07/07(金) 18:38:23
>>414(龍)

あらかじめ用意していたように喋った。
そういう風に見えたのは、単なる思い違いではないだろう。
少なくとも『縦書き』に対する恋子の推理は筋が通っていたのだ。

     ――――――スッ

恋子に向けられていた目線が美丹に移る。
花蓮の表情は変わらない。
いや、努めて変えないようにしているというのが正しいのだろう。

「…………そういう可能性も有り得るってだけ」

口を開く前に若干の『間』があったのは、
美丹の言葉が予測されていなかったせいかもしれない。

>>415(涙音)

「別に変という訳ではありませんが、『変わった事』なら少しありました」

「最近、若園さんと花蓮さんが一緒に帰る姿を、よく見かけましたね。
 大抵の場合、花蓮さんは瑞月さんと帰ります。
 二人の家は同じ場所ですから」

「きっと新しい脚本に悩んでるんだろうと思いましたよ。
 副部長が普段と違う事をするのは、刺激を得ようとしている事が多いので」

安心院が話し終わるのを待ってから、三枝が涙音の横で囁く。

「…………『内側』を見てみたら、何か『手掛かり』が残ってないでしょうか?」

本当に見つかるかどうかは不明だが、
実際に現場を調べて分かる事があるかもしれない。

       ――――行ってみるべきだろうか?

>>416(奈津川)

   「別に構わないわ」

         「まぁまぁ面白かったし」

眼鏡の角度を直しながら、恋子に返答する花蓮。
平然としているように見えるが、彼女が無関係とも言い切れない。
あの『恋文』を書きそうな人間――または書けそうな人間の第一候補に挙がるのは、
やはり『脚本』を担当している花蓮になるだろう。

「並木道があって、そこを通る少年少女がいるの。
 時には立ち止まったり、お互いに言葉を交わしたりして、
 それぞれの人生に少しずつ影響を及ぼしあう。
 並木道という場所が、複数の生き方が交わる交差点になっている」

     「――――そういう話よ」

最初の説明では『青春群像劇』という事だった。
その通りの内容だと思って良さそうだ。
あるいは『恋文騒動』も、それと共通している部分があるのかもしれない。

418奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/08(土) 14:14:21
>>417
「そうですか……面白そうなお話です。
公演が楽しみですね。
その内容を知っている……つまり、練習を見学した方というのはどのくらいいらっしゃいますか?」

ひらひらと封筒を弄びながら質問した。

(うーん、少し直線的に行き過ぎましたか。
明らかに警戒されている感じがします。
少なくも、私がスタンド使いである事はこの部屋にいるものには周知の事実となった……。
それを逆に上手く使えると良いのですが)

>>415
「『下駄箱』。
たしかにそこを見に行くのはアリかもしれませんね。
現場百遍というやつです」

419朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/08(土) 20:17:26
>>417
「なるほど、最近二人が仲良くなったのか
 あるいは相談をしようとしてたのかでしょうか…
 刺激って言うとどんなことをするんでしょうね。」
少し興味のある話だが、もう一つ、下駄箱のことも気がかりだ。

「確かに、現状だけだとあんまりはっきりしたことは分からなそうですし…
 内側、見に行きましょうか?」
そう言って三枝に視線を向けた。
とりあえず話をつければ下駄箱の方に行くことになるだろう。

>>418
「奈津川さんはどうしますか?
 一旦行ってみます?」
奈津川も興味があるように見える。
一緒に来るだろうか?

420龍美丹『チーロン』:2023/07/09(日) 16:18:39
>>417

「ははは」

何も面白いことなどないのだが笑っている。

(何か、隠してる)

用意するのは用意する必要があるからだ。
なにかを想定するのが必要だったからだ。

「案外役者にも向いてるんじゃないかと思ってしまう」

「でも、インスピレーションを得るために恋文を送るって言うのはちょっと無理筋な気がしないでもない」

421『縁結のM』:2023/07/09(日) 17:53:46
>>418(奈津川)

小細工なしの『直球勝負』の問い掛けは、花蓮に対しては通じにくかった。
しかし、必ずしも失敗とは限らないだろう。
もしかすると『他の人間』なら崩せるかもしれない。
物的証拠に頼らずとも、説得力のある『推理』を突きつければ、
『自白』を引き出す事は不可能ではない筈だ。
だが、最終的に『花蓮を崩す』として、
そこに至るまでには『別の誰か』を崩す必要を感じる。

   「部員を除けば『一人』だけど――――」

           スッ

      「正確に言うなら『二人』」

花蓮の視線が早川と若園に向けられる。

「練習中、若園さんと早川さんが見学に来たの。
 その後に若園さんが入部した」

「早川さんは、もうテニス部に入ってたから、たまに見に来るくらい。
 若園さんを気に掛けてるんじゃないかしら」

花蓮の妹である瑞月も、姉には気を配っている様子だった。
だから何となく分かるのだろう。
『シンパシー』を感じる部分があるという事か。

>>419(涙音)

若園と花蓮に関する涙音の考えは正しいだろう。
少なくとも何かあった筈だ。
それが今回の一件に関係しているかどうかは、これから突き止めなければならない。

「なんでも、普段はやらないような事をすると、
 インスピレーションを得る切っ掛けに繋がるそうです。
 彼女は独特の感性を持っていますから、全てを説明するのは難しいんですが」

そう言って、安心院は話を締め括った。

  「はい、行ってみましょう」

       スタ スタ スタ

             …………ガチャ

三枝が頷き、部室の扉を開けて外に出て行く。
その後ろ姿を注視している者がいた。
『早川環』だ。

>>420(龍)

花蓮は何かを隠している。
態度の機微を考慮に入れると、その可能性は大いに有り得そうだ。
しかし、このまま正面から攻めたとしても、彼女に口を割らせる事は困難だろう。

「そうでもないわ。
 ラブレターを受け取った人間のリアルな反応が見たかった、とかね」

事も無げに言って、花蓮は台本に目線を落とす。
恋子と涙音は、最初の現場である『下駄箱』に向かうらしい。
おそらく三枝も同行する筈だ。

       ――――美丹はどう動く?

422龍美丹『チーロン』:2023/07/11(火) 01:11:10
>>421

「……ラブレターを受け取った人間のリアルな反応」

もう少し、彼女と話しておきたい。
完全な黒なのかそれとも白なのか灰色か知りたい気持ちがある。
自分はここに残るつもりだと目で示す。

「それは並木道のため?」

「……そういえば、これはボクの勝手な予想だけど」

「ラブレターを受け取った反応だけでは足りないんじゃないかな」

423朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/11(火) 21:24:45
>>421
「『普段はやらないこと』ねぇ…
 とりあえずわかりました。ありがとうございます。」
とりあえずわかったことは若園と花蓮の二人は
最近になって一緒に行動するようになったということ。
これと今回の『手紙』の一件が無関係とは思えなかった。

「あ、すいませんちょっと席を外しますね。」
そう言って立ち上がると三枝の後をついていく。

「じゃあ…」
龍美丹の視線から残ることを察し、後を任せると言わんばかりに視線を向けた。

>>418で奈津川がついてくるのを見て
「それじゃ行きましょう」
と、うなずいた。

「…?」
その様子を見ている早川の視線が妙に気になった。

「三枝さん、なんか早川さんから妙に見られてましたけど…」
外に出たのを見計らって、三枝に対して気になることとして返事をした。

424奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/13(木) 20:12:31
>>421
「なるほど、わかりました。ありがとうございます。
恋子は、きっと花蓮さんの前に戻ってきますよ!」

無意味に意味深な台詞を言って、涙音についていく。
人間関係を整理していく必要がありそうだ。

「下駄箱……彼女がどのあたりを見ていたかは覚えていますか?」

425『縁結のM』:2023/07/13(木) 20:47:29
>>422(龍)

『下駄箱』を見に行っている間に、何かが起こらないとも限らない。
美丹を残し、涙音と恋子が三枝の後から部室を出ていく。
そして、『早川』も――――。

「『並木道』の中には、そういうシーンはなかった筈ですけどぉ…………」

最初の問い掛けに答えたのは、妹の瑞月だった。

  「『足りない』?」

      「何がどう足りないのか聞いてみたいわ」

           「今後の参考の為にね」

美丹が発した言葉の意図を、花蓮は図りかねているらしい。

>>423(涙音)

三枝に続いて、奈津川と共に部室を出た。
不在中の聞き取りは、美丹に任せておけば問題ないだろう。
大勢で行けばいいというものでもないのだから。

  「早川さんが……ですか?」

          ――――――ガチャ

三枝が言った直後にドアが開き、当人である早川が姿を見せた。
涙音達を一瞥し、その横を足早に通り過ぎていく。
彼女は『昇降口』に向かっているようだ。
『行き先が同じ』。
このままでは先を越されてしまう可能性が高い。

>>424(奈津川)

      「お好きなように」

花蓮に見送られ、涙音と共に部室の外に出る。
美丹は残るらしく、さりげないアイコンタクトで意思を伝えられた。
涙音の話では、早川が三枝を見ていたそうだが…………。

         ――――――ガチャ

その時ドアが開いて、当の早川が顔を覗かせる。
彼女は恋子達を横目で眺めると、歩調を速めて脇を通過していく。
どうやら『行き先』は同じらしい。
このままだと彼女の方が先に『昇降口』へ着くだろう。
つまり、先を越されるという事だ。

426奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/15(土) 21:43:57
>>425
「ム………!」

ムキになって小走りで早川を追い越して、
振り返って真顔で早川を見る。
真顔だが何故か得意げに見える。

427朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/15(土) 21:49:52
>>425
「なんで見られてたのか…
 考えられるとしたらやっぱり…」
といいかけたところで
後ろから早川がこちらを追い抜いていくのを見た。

「あ、ちょっと!」
ちらっとこっちを見たのを考えると
明らかに昇降口に『何か』あるということは間違いなさそうだ。

「どうしましょうか…って言う前にちょっと急ぎましょう!」
何故追い抜いていくかは先回りをするためというのは明白。
せめて早川を見逃さないように足を早める。

流石に廊下を走ったら注意されそうだが、
状況によっては、それも考えねばならない…かもしれない。

428龍美丹『チーロン』:2023/07/16(日) 14:51:15
>>425

「いやまぁ、単純なことだけど」

「ラブレターは双方向のコミュニケーションだからね」

多少、変則的ではあるが。

「渡す人の感情やアクションも理解しておかないと」

「不完全かなと」

429『縁結のM』:2023/07/16(日) 16:49:55
>>426(奈津川)

早川を追い抜いた直後に振り返り、背後に視線を投げ掛ける。

        ピ ク ッ

挑発めいた恋子の行動が気に障ったのか、早川の眉が微かに動く。

               ダ ッ

競争心を煽られたのかどうか不明だが、
彼女も小走りになり、さらにペースを上げてきた。
運動部に所属しているだけあって、そのスピードは恋子よりも速い。
あっさり抜き返されてしまい、再び早川が先頭に立つ。
やはり基礎体力では分が悪いようだ。
このまま行けば、『一番乗り』は早川になる。

  『クワイエット・ガーデン』を使うべきだろうか…………?

>>427(涙音)

恋子が小走りで追い越したかと思うと、
早川も歩く速度を速め、また抜き返されてしまった。
純粋な体力勝負では、運動部に所属している早川が有利だ。
現在、涙音は恋子の後ろにいる。

「早川さんは…………千草達の『邪魔』をしたいみたいですね…………」

涙音の考えを読んだように、三枝の声が背後から聞こえた。
運動は苦手らしく、ついてくるのが精一杯のようだ。
もう息が上がり始めている。

「…………『スタンド』を使いますか?」

『フォートレス・アンダー・シージ』を使えば、
確実に早川の足を止められるだろう。
あるいは恋子が『クワイエット・ガーデン』を使うか。
いずれにせよ、普通に追い掛けているだけでは、
『早川の一番乗り』は阻止できない。

>>428(龍)

一瞬だが、花蓮は『虚を突かれた』ような表情をしてみせた。

「…………そういう考え方もあるわね」

「つまり――――私の疑いは晴れたのかしら」

美丹を見つめる表情は、既に落ち着きを取り戻している。

「お姉ちゃんは、確かに演劇の事ばかり考えてます。
 だけど、誰かに迷惑を掛けるような事はしない人ですよ!
 妹の私が保証しますから!」

瑞月が横から合いの手を入れてくる。
花蓮ではなく、彼女に話を聞いてもいいだろう。
関係上、『最も近い位置にいる人間』である事は間違いない。

430龍美丹『チーロン』:2023/07/17(月) 13:08:51
>>429

「そうかも?」

(渡す側の気持ちはわかってるから、そっちに注力するってパターンもあるし)

(適当を言ったところもあるんだけど)

落ち着き。
その表情の意味は、疑いをかけられたからか、なにか隠してることがあるからか。

「……お姉さんと仲がいいんだね?」

「ボクは一人っ子だからね、少し羨ましいよ」

431奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/18(火) 19:34:09
>>429
「ふふ、やりますね早川さん……
ならば、わたしも奥の手を使わせていただきます……
これだけは使いたくなかったのですが……!」

そして言葉の通り、奥の手を使う。
両腕を振り、ストライドを大きくする。
『全力疾走』だ。

(人には『恥』があります。校内で全力疾走しているのを友人に見られたら!
しかし恋子にはそれはありません。……勝利して支配する。それだけです!
それだけが満足感なのです! ――というわけではありませんが……)

(先ほどは『スタンド現象』ゆえ、私も『スタンド』にて応戦しました。
しかし単なるかけっこに対してそこまでするのは、私の美学に反します!
それに……何らかの『証拠隠滅』を図ろうとしているとしても、
このスピードで昇降口まで両者が辿り着いたなら、恐らくそんな余裕はなく、
逆に早川さんがなにをしようとしているか見ることができるかも……という打算もあります)

432朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/18(火) 20:09:51
>>429
「なんて速い…
 私も結構足に自信ある…つもりだったけど…」
そう言ってこっちもだんだん足を早くしていく。

「スタンドですか…しかし私のスタンドはその…
 パワーが有りすぎて怪我させないか心配になるんですけど…」
彼女のスタンドはパワー系だ。
器用ではあるものの、一人の少女を止めるには過剰すぎる気がする。
うっかり怪我をさせないか心配になる。

ドシュン!(スタンドを出す音)
「もちろんグッと掴んで止めることはできますが
 そんなことしたら怪我しそうですし…
 その、千草さんのスタンドはどうですか?
 足止めとかできないでしょうか…」
念のために涙音はスタンドを出しているようだ。
射程外にならないように距離を詰めてはいるが
このスタンドのパワーを使うのは、いざという時な気がする。

433『縁結のM』:2023/07/19(水) 04:20:47
>>430(龍)

花蓮が何か隠し事をしていたとしても、自分から明かすようには思えない。
彼女は口が堅いタイプの人間だ。
そうした相手を切り崩す為には、往々にして工夫が必要になり、
関係者から攻めるというのも手段の一つだろう。

「実はぁ〜、お姉ちゃんは『朝』が弱いんですよぉ〜。
 脚本作りで『夜更し』が多いですからねぇ。
 だから、私が毎日起こしてるんですけど!」

      「私は頼んでない」

「でも私が起こさなきゃ起きないじゃない。
 ほら、『今朝』だって…………」

お節介な妹に、つっけんどんな姉。
姉妹の関係性が見えてくる会話と言えるだろうか。
あるいは、それだけではないかもしれない。

>>431(奈津川)

事実、それは奇妙な点だった。
早川が何らかの『隠蔽工作』を考えているなら、
もっと早い段階で昇降口に辿り着かなければならない筈だ。
しかし、彼女の態度からは、さほど焦っている様子が見られない。
だが、早川が『恋子達の妨害』を意図して動いたのは間違いないだろう。
この事から、どういう可能性が有り得るだろうか?

       ダ ッ ! !

そして、恋子が選んだのは『全力疾走』!
目には目を歯には歯を、スタンドにはスタンドを人には人を!!
自らが持つ運動能力を最大限に引き出し、一気に加速して早川を抜き去りに掛かるッ!

     「!?」

これには早川も意表を突かれたらしい。

         グ ワ ァ ッ

彼女が驚いて足を止めた瞬間、恋子と早川の身体が交差する。

               ――――――ガッ!

同時に、恋子の足元から伝わる『衝撃』。
故意か偶然か、早川の足が恋子の足に引っ掛かったのだ。
駆け出した勢いで、身体が前のめりに傾いていく。

      このままでは『転倒』してしまう――――――。

>>432(涙音)

「千草のスタンド……
 『イッツ・ナウ・オア・ネヴァー』は非力で不器用ですから……」

「荒っぽい事は……ちょっと苦手です……」

後ろから申し訳なさそうな返事が返ってきた。
『墓掘人』を思わせる三枝のスタンドは、力仕事には向いていないようだ。
一方、前方では恋子が『全力疾走』に移行し、
早川を抜き去ろうとしている光景が見える。

      グ ラ ァ ッ

『問題』が起きたのは、その直後だった。
ちょうど立ち止まっていた早川の足に、
駆け出した恋子の足が引っ掛かってしまったらしい。
このままでは『派手な転倒』は免れないだろう。

           ――――――ドシュン!

『フォートレス・アンダー・シージ』は『発現済み』だ。

434龍美丹『チーロン』:2023/07/20(木) 07:06:26
>>433

「はは、ボクも朝には弱いんだ」

「ずっと寝ていたいくらいにはね」

このあたりは本心だ。
本質的な部分で微妙に怠惰なのだ。

「今朝? なにかあったのかな」

興味を示す。
あるいは、話の続きを促す。

435奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/20(木) 19:13:52
>>433
(演劇部から私達を引き離そうとした……それは龍さんが居ますから不発です。
なにかを取って、そのまま走って逃げる、そのつもりだったのでしょうか?
それなら何としてでも追いつかなければ………ハッ!)

「廊下は急に止まらないでくださーいッ!」

脚を掛けられて、見事に転倒した。
大怪我にならないように受け身を取ってごろごろと転がろうとする。

436朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/20(木) 20:16:17
>>433
「そうですか…それなら…
 奈津川さんが追い越しそうですし
 ひとまず…?」
と、視線をそちらに向けると

グラァッ

二人が接触し、派手な転倒が起こりそうになっている!
「こういうのは考えてる場合じゃない…と!」
慌てて転倒するところを自身のスタンドで滑り込ませ、支えようとする。

ところで早川は大丈夫なのだろうか?
彼女も転びそうなら支えようとするが…

(最悪、足に何かを設置して足止めするのも…考えないと)

437『縁結のM』:2023/07/20(木) 21:12:42
>>434(龍)

「あ――その、別に何でもないんですよ。
 ただ、今朝も起きてこなかったから、また『私が起こした』ってだけで……」

瑞月の態度は、何処か『気まずそう』だった。
今の言葉通りなら、花蓮は昨夜も『夜更し』していた事になる。
それが『恋文』と無関係とは言い切れない。
可能性の話だが、疑惑を深める一因には成り得る。
『姉の不利になる証言』をしてしまった事に気付いたのだろうか。

「あははっ、ホント私がいなかったら遅刻しちゃってましたよぉ〜」

      …………チラリ

           「私は夜の方が集中できるの」

取り繕うような愛想笑いを浮かべながら、瑞月が花蓮を横目で見やる。
一方、花蓮の表情に変化はない。
彼女の意識は、どちらかというと美丹に割かれているようだ。

>>435(奈津川)

早川が行える『隠蔽』は、僅かな時間の間に完了できる範囲に限られる。
『何かを持ち去る』というのは、現時点では最も妥当な解釈かもしれない。
いずれにせよ、彼女の動きが『手掛かり』になるだろう。

  しかし――――まずは『この状況』を回避せねばならない。

           ド ヒ ュ ッ !

完全に倒れてしまう直前に、
『女性軍人』を思わせる『人型スタンド』が割り込み、恋子の身体を支えた。
俊敏で力強く、それでいて繊細な挙動だ。
どうやら涙音が助けに入ってくれたらしい。

     「だッ、大丈夫!?」

               「…………ごめん」

早川からは、恋子が上手く『受け身』を取ったように見えたようだ。
驚きの混じった短い謝罪を口にする。
『転んでいる間に引き離そう』などとは、流石に彼女も考えていなかったのだろう。

          ――――ソッ

助け起こそうとしているのか、早川が片手を差し出してきた。

>>436(涙音)

前方の二人は、ギリギリ『射程内』だ。
先にスタンドを出しておいた事が幸いした。
即座に『フォートレス・アンダー・シージ』を操作し、恋子の下に急行させる!

        ガ シ ィ ッ

その『パワー』・『スピード』・『精密性』を遺憾なく発揮し、
無事に恋子を抱き止める事に成功した。
早川は立ち止まっていた為、体勢を崩してはいない。
心配そうに恋子を見下ろし、片手を差し出している。
助け起こそうとしている所を見ると、わざと足を引っ掛けた訳ではないようだ。
彼女も『悪い人間』ではないのだろう。

「朱鷺宮先輩――――どう思いますか?」

         コソッ

「このまま一緒に行っても良さそうな気がしますけど…………」

   「…………いわゆる『泳がせる』という手です」

三枝の意見を取り入れるなら、特に『足止め』は必要ないかもしれない。
逆に『早川の動き』が『解決の糸口』に繋がる可能性もある。
それに、近くで見ていれば、『証拠を隠す』ような行動は難しくなる筈だ。

438龍美丹『チーロン』:2023/07/21(金) 20:41:31
>>437

「……」

無関係か無関係でないか。
まだ判断はつかないところがある。

(庇おうとした理由が見えない……)

「生まれつき夜型なのかも?」

言葉を交わしつつ。

「なにかボクが気になる?」

「そんなに警戒しないで欲しいな」

439朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/21(金) 20:58:14
>>437
「…ふう、危なかった。」
早川の様子をじっと見る。
スタンドが見えているわけではない…のか?

「確かに、あの様子だと…
 そこまで悪いことはしなさそうですし。」
三枝の言葉を聞いてうなずいた。

「あの、すいません早川さん。
 急に外に出たのでびっくりしたんでしょうか。」
とりあえず落ち着いて話ができそうな雰囲気だったため
声をかけてみることにした。

「急に追いかけるようになってしまいましたけど…
 一緒に行きませんか?多分、同じ場所だと思いますが」
そう言って早川の近くに歩いていく。
追い抜かれたりしないか警戒してるようだ。

440奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/23(日) 15:59:16
>>437
「……! これは朱鷺宮さんの……」

『スタンド』。
という言葉を飲み込み、早川の手を借りて立ち上がる。
そして、その手を握ったままにする。

「いえ、いえいえ……こちらこそ、大人げないことをしてしまいました。
二重に。
ところで、早川さんには、なにか目的があるご様子。
恋子もお供しましょうとも。
それとも……なにか、秘密裏に行いたいことがおありでしょうか?」

早川の顔を真正面から見ながら、
『直』に尋ねる。

「別に私は……なにもかもを詳らかにしたいわけではありません。
ありませんが――そうですね、調べたいことがあります。
おわかりかと思いますが、先程の演劇部の一件、
あれには確実に『原因』があります。
その原因を突き止めたい、というわけです。
あなたが何かご存じなら、ご協力いただけませんか?
それなら、恋子も廊下を走らずとも済みますので」

441『縁結のM』:2023/07/23(日) 16:55:20
>>438(龍)

可能性として最も有り得そうなのは、瑞月も花蓮を疑っているか。
口では『保証する』とは言ったものの、内心も同じとは限らない。
心の片隅では疑念が残っており、だから彼女を庇おうとしているというのは妥当な線だ。

  「あっ!全然そんなつもりじゃないんですよ!
   気に障ったなら謝りますっ!」

        ペコッ

気を悪くさせたと思ったのか、瑞月が慌てて頭を下げる。

        「……一つ聞かせて」

やがて、おもむろに花蓮が口を開いた。

「『差出人』が分かったとして、『その後』はどうするの?」

この騒ぎに『スタンド』が関わっている事は確かだ。
以後、こういったトラブルが起きないように、それなりの対応をすべきではある。
だが、それは『スタンド使い』にしか理解できない事だろう。

>>440(奈津川)

一切の躊躇もなく、相変わらずの『直球』を投げ込む恋子。
先程は通じなかったが、それは相手が花蓮だったからだ。
今なら『届く』かもしれない。

「――――あ、あたしは…………別に…………」

早川は明らかに『言い淀む』。
手を掴まれて逃げる事を阻止されているし、この場には涙音や三枝もいる。
状況は恋子が『優勢』だ。

「…………分かった」

下手な言い逃れは出来ないと考えたらしく、早川は溜め息をついた。

「なんであんな事になったのか、あたしも『ワケ』を知りたい。
 『協力して欲しい』っていうならそうするよ」

『協力』――――どこまで信頼できるかは未知数だが、『糸口』を得る事には成功した。

    「だから、そろそろ離してくれません?」

        「『奈津川センパイ』」

             ソ ッ

早川の片手が伸び、やんわりと恋子の手が引き離された。
彼女には抜け駆けする様子がなく、恋子や涙音と歩調を合わせて歩き出す。
三人から少し遅れて、三枝が続く。

>>439(涙音)

早川には『フォートレス・アンダー・シージ』が見えている様子はなかった。
しかし、『見えない振り』をしようと思えば出来ない事もない。
そういう意味では予断を許さないと言える。
もっとも、恋子が転んだ隙に『抜け駆け』しなかったのも事実だ。
少なくとも人間的には『真っ当』だと思っていいだろう。

「あの『手紙』、下駄箱に入ってたんでしょ?
 もしかしたら手掛かりが残ってるかもしれないと思ったの」

       ザッ

「さっきのは…………あたし『負けず嫌い』だから」

              ザッ

涙音達と並んで歩きながら、早川は話し始める。
恋子を追い抜いた件に関しては、
『一番乗りしたかったから』という意味の説明が為された。
ただ、今ひとつ信憑性に欠ける理由である事は否定できない。

>>(涙音)
>>(奈津川)

「――――どうしましょうか…………?」

やがて『昇降口』に着いた時、三枝の声が背後から囁きかけた。
問題の『日向神の下駄箱』は目と鼻の先だ。
当然、早川も同じ方向に向かっている。
『協力する』とは言ったものの、彼女に開けさせてしまうと、
『都合の悪い事』になるかもしれない。
それを阻止したければ、何らかの『アクション』を起こす必要がある。

442奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/23(日) 19:12:19
>>441
「そうですか、ありがとうございます。
事実を明らかにしましょうとも。
ふふ、これで早川さんもお友達というわけですね」

不穏な事を言いながら大人しく手を離し、
4人で昇降口に辿り着いた。

「私は……早川さんを信用しております。
友情とはそういうものですからね」

真顔で小さくサムズアップを三枝に見せる。
そういいつつも、早川に並んで下駄箱へ向かう。
そのまま早川が下駄箱を開けるなら横で見守るつもりだ。

443龍美丹『チーロン』:2023/07/24(月) 08:59:31
>>441

「いやいや。威圧するつもりはないんだよ?」

にこやかに笑っている。
それでも相手の目を見ている。

「どうするって……」

「ボクの側からは特に何も?」

あっけらかんとしている。
口元の笑みが苦笑いに変わったような気がした。
どうすると言われても、そこまでハッキリとした指針があるとは言えないのだ。
少なくとも、彼女個人には。

「差出人が誰か、というのも気になるけど同じくらい気になるのは」

「どうしてそうするのか、ですから」

結局のところ、スタンドを使ったトラブルを解決する必要はあるもののそのトラブルの原因が分かれば、情状酌量の余地があるか検討できる。

「世の中には目に見えない不思議や、超常的なエネルギーがあって」

「それとどう向き合うかが重要……」

「なんて、哲学的すぎますか?」

そう言いつつ、スタンドを再度発現してみる。
彼女たちには見えるだろうか。

444朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/24(月) 20:18:19
>>441
(…まぁ、あの時スタンド使いっぽい動きはしてたし、
 想定はしてるかもしれない。今のところはわかんないわね。)
最初、手紙を開封した時に出現したものに反応したのは自分だ。
しらばっくれることはできそうだ。

「手がかりですか。
 理由としては同じ…ですね。」
自分たちと動機は一緒らしい。
ならば一緒に行くのが良さそうだが。

「つまり一番に下駄箱を確認したかったってことですか。
 気持ちはわかりますけど、いきなり競争はちょっとびっくりしますよ。」
それこそ、なにかあるんじゃないかと思ってもしょうがない。

「…いざって時にはなんとかします。
 ここは一緒に行くのがいいでしょう。」
三枝に対してはこう告げた。
まだ早川を信じた訳では無いが
一応納得できる理由ではある。スタンドはいつでも使えるように気をつけていれば…なんとかなると涙音は思った。

445『縁結のM』:2023/07/25(火) 18:37:44
>>442(奈津川)

『協力する』と口で言うだけなら簡単だ。
そして、リスクの低い行動で返ってくるリターンは、往々にして少ない。
『本当の協力』を得る為には、『心からの信頼』が必要になるだろう。
ここで恋子は、敢えて早川に『確認する役目』を譲った。
それは相手を信用する『意思表示』であると同時に、
『試す事』にも繋がると言える。

「分かりました、奈津川先輩。
 千草も『友情』を信じます」

       コクリ

『不穏さ』には気付かなかったのか、
親指を立てる恋子を見て、三枝は首を縦に振った。
恋子は早川と共に下駄箱の前に立つ。
そこには『日向神光也』という名前が刻まれている。

          スィッ

不意に、早川が横に退いた。
どうやら恋子に開けさせるつもりのようだ。
彼女なりの『証明』――――なのだろうか…………?

>>443(龍)

瑞月は特に付け加える事がないのか、黙って口を閉じた。

「…………言いたい事は分かるわ」

「『理解の及ばない何かがある』というのも、それはそれで面白いし、
 そうでないと演劇なんてやってられないもの」

美丹に応じたのは姉の花蓮だ。

      ズズズズズ………………

美丹の肌に『龍の紋様』が浮かび上がる。
それが見えているかどうかを判断するのは難しい。
少なくとも、一目で分かるような反応は返ってこなかった。

  「私は『邪魔』をしないと約束する」

       「その代わり積極的な手助けもしないけど」

           「あなた達がどうするか見ている方が、
            今後の『インスピレーション』になりそうだから」

彼女は『静観』の意を示す。
ある意味で、それは『信頼の証』とも解釈できるかもしれない。
このまま頼成姉妹と話し続けてもいいし、他の部員に当たる事も出来る。
もしくは『ロダン』と名乗った猫と喋ってもいいだろう。
整理をする為の話し相手には良さそうだ。

>>444(涙音)

現状、早川は不審な動きを見せていないが、
完全に『白』だと決まった訳ではない。
『フォートレス・アンダー・シージ』は、依然として発現したままだ。
何かあれば、すぐに対応する事が出来る。

「……朱鷺宮先輩、よろしくお願いしますね」

三枝も涙音の意見を尊重する。
意外にも、恋子は下駄箱に触れようとはしていなかった。
『早川の真意』を試しているのだろうか?

          スィッ

それに対し、早川は横にズレるように移動した。
彼女は恋子に『開ける役目』を譲るらしい。
『負けず嫌いだから』と語っていた割には、妙にあっさりしている気もする。
自分が泳がされていると考えたのかもしれない。
または、本当に協力しようとしているのかもしれない。

    ――――――あるいは、何か『別の理由』があるのか。

446龍美丹『チーロン』:2023/07/25(火) 20:42:57
>>445

「……そう言って貰えると、助かりますよ」

微笑みを浮かべて言葉を返した。
無理に聞き出すことは無い。
一旦、この姉妹からの聞き取りは切り上げよう。
となればみんなが戻ってくるまで別の作業をする必要があるが……

「ロダン」

ひとまずは、客観的な視点で見ていたであろう件の猫に聞いてみよう。

447奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/27(木) 19:48:22
>>444-445
「いえいえ、競争になった一端は恋子にありますから。
ここは私の顔に免じてお許しください、朱鷺宮さん」

「そして、光栄です三枝さん。
早川さんも。
私が『扉』を開けましょうとも」

ここへきて何かを疑う道理もない。
日向神の下駄箱を開く。

448朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/27(木) 19:56:15
>>445
「…まぁ任せてください。
 そこまで乱暴なことにはなりませんよ。」
三枝に対して小さく声をかける。
自分のスタンドはパワーが強い。
精密さもあるから手加減は出来るだろうが
やりすぎないようにしないと、と考えている。

>>447
「奈津川さんがそういうなら…
 急に外に出たのは私達ですし
 ここはお互い気にしないようにしましょう」
彼女の顔を立てる形でうなずいた。

ここで、恋子に開けるように促す早川にあやしい視線を向ける。

(開ける動作を誰かに任せるか…
 そう言えばあの手紙も開く動作で発動してたような…)
少々気になるものの、ここで止めるのも妙だ。
ここはいつでもスタンドを動かせるようにしておこうと構える。

449『縁結のM』:2023/07/27(木) 20:31:57
>>446(龍)

おそらくは下駄箱を調べに向かった三人も、
何かしらの『手掛かり』を掴んでくるだろう。
そうでなくとも、一緒に出て行った早川から、
今回の騒ぎに関わる情報を聞き出すか。
積極的に行動しようとする恋子や、
それを一歩引いた位置から支える涙音を信じるなら、
手ぶらで戻ってくるという事はない筈だ。

《――――先程の話し合いでは、有意義な意見が交わされていた。
 私が見た所、君達の『方向性』は間違っていない。
 その推理を中核として、もう少し『範囲』を広げてみてはどうかね》

《それから、例の『手紙』…………現物はコイコが持っていってしまったが、
 私としては改めて調べ直す価値があるように思うのだよ》

部室の窓の外で、自らが作った『石の玉座』に寝そべりながら、
スフィンクスは流暢に言葉を紡いだ。

>>447-448(奈津川&涙音)

恋子は下駄箱に手を伸ばし、躊躇いなく『扉』を開けた。

    ……………… ……………… ………………

その中には当然のように『上履き』が入っており、
『それ以外の何か』は見当たらない。
少なくとも『目に見える範囲』には。
しかし、わざわざ出向いたのだ。
調べるなら『徹底的』にやってしまった方がいいだろう。
それを止めようとする者は、この場には一人もいないのだから。

    ……………… ……………… ………………

そして、涙音は早川に注意を払う。
一瞬、彼女が『安心』したように見えたのは気のせいだろうか?
早川には、まだ何か『秘密』があるのかもしれない。

450奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/27(木) 20:55:50
>>449
「さて、探索といきましょう。
……とはいえ、調べられる場所は限られていますが。
すみません、持っていてもらえますか?」

上履きを躊躇いなく手に取って朱鷺宮へ渡す。
自分は下駄箱の中に顔を突っ込む勢いで調べ始める。
なにか『あたり』がついているわけではないので、とにかくじっくりと観察だ。

451龍美丹『チーロン』:2023/07/27(木) 21:28:18
>>449

「なるほどね」

「なら、ボクも向こうに行くべきなのかもね」

手紙をもう一度確認しておくべきか。

「なんだかんだ、ボクよりもアナタの方が謎を見てきてるんだろうし」

「その嗅覚……ああいや、それじゃあ犬みたいだけど」

「ともかく、向こうに合流するとしようか」

452朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/27(木) 21:31:30
>>449-450
「ふーむ…見ているだけでは
 特に変なところはなさそうな…」
ジロジロと下駄箱の中を見ながらつぶやく
だが奥に何があるかまではわからないだろう。

「あっはい。」
上履きを恋子から受け取って
彼女に何が起こらないかと心配しながら見守る。
彼女に確認の作業を任せることになるが…

「何かあったら教えて下さいね。
 万が一の危険もありますし…」
緊急事態に備えることも大事だろう。
涙音の表情はどこか心配そうだ。

453『縁結のM』:2023/07/27(木) 22:26:02
>>451(龍)

ロダンは金色の瞳を細め、毛のない尻尾を揺らした。

  《私は同行しない方が良かろう》

     《余計な騒ぎを招かぬように、ここで待つ事にする》

《何もないとは思うが…………念の為に見張りも必要だろうと思うのでね》

今頃、三人は下駄箱を調べている頃合いだろう。
もしかすると、既に『手掛かり』を見つけているかもしれない。
いずれにせよ、合流すれば分かる事だ。

《この世に『謎』は数多い。
 宇宙の神秘、生物の進化、文明の興亡…………。
 しかし、『最大の謎』と呼べるものがあるとすれば、
 それは『心の謎』だと私は考えている》

《『どうしてそうするのか』――――君が口にした言葉だよ》

その言葉を最後に、ロダンは美丹を見送る。

>>450(奈津川)

僅かな塵も見逃さないように下駄箱内を覗き込む恋子。
顔ごと突っ込みかねない今の姿を誰かに見られたら、
また『友達』を遠ざける要因になるかもしれない。
しかし、所詮は狭い空間であり、そう時間を掛けずに調べ尽くしてしまった。

        ――――――『何もない』。

  目の前には、ただ『空っぽの下駄箱』があるだけだ。

      『無駄足』だったのだろうか?

>>452(涙音)

恋子から『上履き』を受け取り、『下駄箱の確認作業』を見守る。
彼女は頭を突っ込みそうな勢いで調べているが、すぐに見終わってしまうだろう。
その様子からは、『新たな発見』があるようには見えなかった。

       チラ………………

先程から早川に注意していた涙音は、
ふと彼女の視線が『涙音の手元』に向いた事に気付けた。

454奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/27(木) 23:17:37
>>453
「ム………何もないです。――痛!
残念、なにかあると思ったのですが……戻りましょうか。
その前に上履きを返却しておきましょう……どうしました?」

ぶつけた頭をさすりながら、朱鷺宮に手を出して上履きを返してもらおうとする。

455龍美丹『チーロン』:2023/07/28(金) 07:07:17
>>453

「はは」

「それを詳らかにすることが」

「なにかの引き金になることもあるかもしれないけどね」

あるいは、もう引き金は引かれているのだが。

「少し三人の様子を見てくるよ。行ったり返ったり忙しなくて申し訳ないけどね」

「腰を落ち着けてお芝居を見たい気持ちはやまやまなんだ」

これは本心だ。
名残惜しいが、自分も下駄箱に向かおう

456朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/28(金) 20:01:43
>>453-454
「なにもないですか?
 だとしたらうーん、何も異常なし…
 このまま探しても埒が明かないですか。」
そういって早川の視線を確認して

(なに?…手元を見られてるような…)
今、涙音は恋子の上履きを持っている状態だ。
その様子から見ると、上履きを見ているようにも見えるが

「あ、はい。
 それじゃあ…」
そう言って上履きを恋子に返そうとする。
スタンドで彼女の視線を確認する。

「…さっきから私の手元をじっと見てます。
 早川さん。」
聞こえないように気をつけながら恋子に向けて
早川の様子を伝える。

457『縁結のM』:2023/07/28(金) 20:46:14
>>455(龍)

部室を出る際、安心院の声が聞こえた。

「いえ、お気になさらず。部員がいる間は出入り自由にしておきます」

『チーロン』の発現によって、美丹は常人を超えた『スピード』を得ている。

       ド ヒ ュ ゥ ッ

その速度は引き金の引かれた『弾丸』さながらだ。
瞬きする間に部室は遠ざかり、代わりに昇降口が迫ってくる。
恋子が下駄箱に頭を突っ込んでおり、
彼女の近くには上履きを手にした涙音が立つ。
三枝は邪魔が入らないように、周囲を気にしているらしい。
また、早川は恋子の隣に立っていて、恋子と涙音に視線を送っていた。

           ザ ザ ァ ッ

       今、美丹は『合流』を果たす。

  「ちょっ…………!」

     「ちょっと速すぎない…………!?」

        「あんなに速いのは『陸上部』にだって…………!!」

いち早く気付いた早川が、驚きの表情で美丹を出迎える。

>>454(奈津川)

頭をぶつけながら振り返ると、美丹が近付いてくるのが見えた。
『スタンド』を発現しているらしく、
彼女の肌には『龍の紋様』が浮かび上がっている。
そして、『速い』。

      ――――――ザザァッ

『姿が見えた』と思った瞬間、もう昇降口に辿り着いている。
龍美丹の能力は、本体自身を強化する事が出来るようだ。
そういう意味では『ハーピー』と似ているかもしれない。

        ソッ

涙音から耳打ちと共に、上履きを受け取った。
それと同時に『早川の視線』が恋子に移った…………ような気がする。
本人は悟られまいとしているようだが、隠しきれていない。

>>455(涙音)

『上履きを見ている』という発想は的を得ている。
可能性があるとすれば、それしか考えられないのだから。
この上履きも、パッと見た所では気になる部分はないが…………。

      ――――――ザザァッ

その時、美丹が昇降口にやって来た。
遠くに姿が見えたと思った瞬間には、もう『そこにいた』のだ。
『フォートレス・アンダー・シージ』と同じくらいの速さだろうか?
肌に『龍の紋様』が浮かんでいる所から、
彼女がスタンドを発現している事が分かる。
自らの動作速度を高められる能力らしい。

      ジッ………………

今、早川は涙音を見ていない。
彼女の注意は恋子に移ったようだ。
その理由は、やはり上履きだろう。

458奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/07/29(土) 15:03:13
>>457
「こういう時は、舐めるように探すんですよッ、朱鷺宮さん。
こうやってです……!」

手に取った上履きを持ち上げ、
ひっくり返して裏を見たり中を見たり、なんなら中敷きすら引っ張り出す勢いで調べる。
異常な行動だが、少なくとも表面上は動じている様子を見せない。

「ふっふふ。なんなら、味も見ておきましょうか……?」

459朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/29(土) 17:17:27
>>457-458
何かが勢いよくやってきたような感覚を感じる。
振り向くとそこには美丹の姿があった。
「龍さん?なにかわかったことがありますか…?」
彼女が大急ぎでやってきた(と涙音は考えた)のを見て
何かあったのかと質問をする。

「あ、いやちょっと…」
突然ジロジロと上履きを見始めた恋子に
少し驚いた様子を見せる。

「流石にそれはやばすぎるんじゃないですかね。」
味を見るっていうので大体の行動の予想はつくのだが
流石に色々と危なそうな気がする。
少なくともそれはしないように言うが

(奈津川さんは、あえてこのような動きを見せている…
 となるとこの間に反応を見てほしいんだろうな。)
スタンドを通して、早川はこの様子をどう見ているのだろうか。
上履きが気になる…にしてもこの行動でなにか動きがあるかもしれないと思う。

460龍美丹『チーロン』:2023/07/29(土) 20:47:19
>>457

「川の流れのように素早く」

「そんな速度だったかな」

スタンドを解除する。
疲れるし。

「それで……どういう状況かな?」

461『縁結のM』:2023/07/29(土) 21:29:25
>>458(奈津川)

早川が反応を示した以上、何かしらある筈だ。
口出しはしてこないものの、現に今も気にしている。
隅々まで調べる為に、まず『上履きを引っくり返す』。

    ……………… ……………… ………………

靴底に『小さな紙片』が貼り付いている。
どうやら『付箋』らしい。
汚れは少なく、まだ新しいようだ。

     〈明日の授業で出す〉

そう短く書いてある。
内容自体に大きな意味はなさそうだった。
おそらくは提出予定の課題に貼り付けてあったのではないだろうか。

      「………………!」

恋子が『付箋』を見つけた瞬間、早川の表情が明らかに曇った。
彼女は『気付いていながら言わなかった』に違いない。
つまり、これは『手掛かり』だ。

『奇行』による『あらぬ噂』が立つ前に『目的』を遂げられた事は幸いだろう。

>>459(涙音)

『不穏な台詞』を口走る恋子。
だが、それが実行に移される事はなかった。
何故なら、その前に『発見』したからだ。

     〈明日の授業で出す〉

そのようにメモされた『付箋』が、上履きの裏に貼り付いていた。
これ自体は特に何の変哲もないように思える。
しかし、早川が反応していた事を考えると、『手掛かり』になる筈だ。
おそらく彼女は、最初に上履きが取り出された時点で気付いていたのだろう。
それを知りながら黙っていた可能性が高い。

      「………………!」

『付箋』が見つかった直後、早川は表情を固くした。
もしかすると彼女は『見覚えがある』のかもしれない。
普通に聞いたとしても、素直に話しそうな感じではないが…………。

>>460(龍)

『チーロン』を解除して改めて現場を見ると、
現時点で中心になっているのは恋子のようだ。
彼女は『日向神の下駄箱』の前で、『日向神の上履き』を引っくり返している。
靴底に何か『小さな紙』が貼り付いている。

     〈明日の授業で出す〉

それは『付箋』だった。
誰のものか分からないが、課題か何かに貼られていたのではないだろうか。
そして、おそらく『手掛かり』だ。

462龍美丹『チーロン』:2023/07/29(土) 21:44:50
>>461

「?」

なんだこれは。

「落ちてたのを踏んだ……って訳ではなさそうだね」

「何を出すのか、というのは気になるけど」

463朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/07/29(土) 22:19:42
>>461
「むっ…これは?」
メモが書かれた付箋。「明日の授業で出す」という代物であった。
何が書いてあるのかは分からないが、隠されていた場所と
『授業』という言葉になにか不穏なものを感じる。

「どうかしました?早川さん」
ちらっと早川の表情を見る。
なにか動揺したように見えたのは間違いない。
口は硬そうだ。

「中身を見るのは…
 いや、手紙の一件もありますし、
 いきなり開けるのは危なそうですね。」
とりあえず触っても大丈夫かの確認はしておきたいが…

464奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/01(火) 12:39:44
>>461
「状況から見るとこの付箋は、先程の便箋とセットだったと言うことですね。
授業で出すということは課題だったのでしょうか?
取り急ぎ関係者の明日の授業を調べましょう。
早川さんの明日のカリキュラムはどうなっていますか?」

喋りながら下駄箱を閉める。
そして上下左右、周辺の下駄箱を眺める。
五十音順なら早川の下駄箱も近くにあるだろうか?

「『明日の授業で出す』。
これは言伝ではありませんね、自分用のメモです。
もしかしたら先の便箋を入れた人は『入れ間違えた』のかも……
とはいえ、自分の下駄箱に入れておく理由もあまり思いつきませんが」

465『縁結のM』:2023/08/01(火) 17:20:20
>>462(龍)

この『付箋』は、一見して『訳の分からない代物』だ。
美丹が抱いた感想は、実に正しいと言える。
まさしく『その通り』だろう。
それは他人に読ませて理解させる類の物ではなかった。
あるいは、これは全く『無関係』なのかもしれない。
だが、『事件と関係がない』という意味とは違う。
これを入れたのは、『恋文の差出人』と同一人物と考えられる。

「そうですね。状態がキレイですから。
 踏んだというか…………『たまたま靴の下敷きになった』感じでしょうか?」

三枝も概ね美丹と同じ意見のようだった。

>>463(涙音)

この『付箋』は『隠されていた』というよりも、
『偶然そこにあった』という雰囲気が漂っていた。

「ちょっと失礼します」

        ペリリ…………

「簡単に剥がれました。『粘着力』が弱ってますね」

涙音が迷っている間に、三枝が『付箋』を剥がしてしまった。
しかし、何も起きない。
どうやら『杞憂』だったようだ。

「いや、別に…………」

「それ、ただの『ゴミ』じゃない?
 日向神が踏んづけただけかもしれないしさ」

早川は言い淀みながらも、『付箋』を『無関係』と断じた。
部室に戻った後で、日向神に確認してみてもいいだろう。
いつ貼り付いたか分かれば、それは『裏付け』の一つに成り得る。

>>464(奈津川)

課題で恋文を書かせる授業。
果たして、そんなものがあるのだろうか?
しかし、『付箋の持ち主』が『恋文を入れた人間』と同一なのは間違いないだろう。

「でも、下駄箱には『名前』が書いてありますよね?
 落ち着いていれば、『入れ間違い』なんて、
 そうそう起こらないような気がしますけれど…………」

         ――――――スッ

「あっ!分かりました。
 きっと慌てていたんです。
 だから、『余計な物』まで入れてしまったんじゃないでしょうか?」

指で摘んだ『付箋』を目の高さに掲げながら、三枝が横から口を出してくる。
恋子達は『早川は手紙が入れられる所を見た』と推理した。
その結論は、ここで『活きてくる』のかもしれない。

「明日?明日の授業で出す課題は『数学』だけど。そんなの関係あるの?」

周囲の下駄箱を眺める。
早川が近くに立っている為に、日向神の隣は見えない。
ただ、『彼女の下駄箱』は見つかった。

466奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/01(火) 19:03:42
>>465
「ムッ………なるほど。
確かにその方が筋が通っていますね。
恋子完敗です。
早川さん、ちょっとそこをシツレイします」

三枝の言葉に頷き、
早川をぐいぐいと押して周囲の下駄箱に見知った名前がないか見ておく。

「誰かに見られないようにこそこそと下駄箱に来た人物は、
しかしながら早川さんに目撃されそうになり、急いで本懐を遂げ立ち去ったが、
慌てていた為、鞄の中の他のものについていた付箋が剥がれてしまった……ふむふむ、中々説得力はある話ですね」

467龍美丹『チーロン』:2023/08/02(水) 18:53:24
>>465

「下敷きになった……」

付箋と手紙を渡した人物が同じであるなら。

「まぁ課題とかその類かな」

「犯人を特定するなら、付箋を貼るだろうものを持ってる人に絞られるね」

それも、そういうものに付箋を貼る几帳面な性格の人間だ。

「……」

そうなると気になるのはあのスタンド能力だ。
能力を行使したということは、本人にはその結果がどんなものになるのか検討が付いていただろう。
慌てていたから確実性がないことを失念していたのか……?

「結構真実に近づいてるんじゃないかな」

468朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/02(水) 20:04:08
>>465
「ふむ、なんともないんですか。
 安心しました。」
なにか起こるのではないかと気にしていた涙音であったが、
何事もなく済んで一安心しているようだ。

「うーん、確かにこのままだとなんとも言えないですね…
 日向神さんが付箋を踏みつけて気づかずにそのまま靴を入れた…
 でもそれだと…付箋がきれいすぎるような気がしますけどね。」
ジロジロと付箋を見る。

「日向神さんが気づいてたかどうか
 聞いてみたほうがいいかもしれませんね。
 付箋を見てないかとか…」

469『縁結のM』:2023/08/02(水) 20:45:04
>>466(奈津川)

三枝の意見を含めて全体の流れを纏めつつ、恋子は早川を『退かそうとした』。

    「――――止めてよ」

              ズ イ ッ

だが、予想に反して、早川は『退かない』。
『梃子でも動かない』という雰囲気だった。
今にして思えば、彼女は『付箋』が残されていた事を知っていたのだろうか?
答えは『ノー』だろう。
もし『証拠』が見つかったら、
『密かに片付けよう』という気持ちくらいはあったかもしれない。
しかし、それが『第一の目的』ではなかった筈だ。
では、早川は『何の為に来ていたのか』?

     おそらくは『この為』だ。

全員の注意が『日向神の下駄箱』に向いている隙に、
自分の身体で『その隣』を隠す為に。

    ……………… ……………… ………………

肝心の『名前』は読み取れないが、
『早川の後ろ』にあるのが『三年生の下駄箱』である事は分かった。

>>467(龍)

付箋の持ち主が几帳面である可能性は高いだろう。
少なくとも大雑把な性格ではない。
一考の価値はある。

   『恋文』から咲いた『花』――――――。

目的が『縁結び』なら、明らかに『失敗』している。
美丹の思う通り、そもそも確実なやり方とは言い難いだろう。
『何故そうしたのか』というのは、確かに奇妙な事だった。
慌てていたせいかもしれない。
それとも『別の理由』があるのだろうか?

 いずれにせよ着実に『真相』へ近付いている実感があった。

     「これは龍先輩にお渡ししておきますね」

              ソッ

三枝が付箋を差し出してきた。
その間、恋子は下駄箱を調べていたが、早川に邪魔されているらしい。
彼女には『知られたくない何か』があるようだ。

>>468(涙音)

小さな紙片に綴られているのは、丸みを帯びた文字だった。
それは三枝から美丹に渡される。
彼女も涙音と同じように、付箋が『重要な手掛かり』になると考えているようだ。

      ……………… ……………… ………………

一方、下駄箱を調べる恋子は、『早川の妨害』を受けていた。
今までと違い、露骨に邪魔してきている。
『後ろの下駄箱』は、どうしても見せたくないらしい。
もちろん涙音には『フォートレス・アンダー・シージ』がいる。
本気で『退かそう』と思えば簡単だ。

『力ずく』で動かさないなら、『諦める』か『上手い手を考える』しかないだろう。

470奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/02(水) 22:39:05
>>469
「むう……そうきましたか。
しかし、いつまでそうしているおつもりですか?
学校は明日だって明後日だってあるのですから……」

手を放して押すのを止める。
ぱしぱしと瞬きをして、踵を返した。

「わかりました。
わたしは比較的直線的に物事を進める方ですので……
ここであらゆる手段を使って早川さんを退かすのが良いと思うのですが。
しかし早川さんは『友達』ですからね、
『友達』の嫌がることを、恋子はいたしません」

「それに……わたしの友達の『ロダン』さんなら、
もっと『謎』を楽しむと思いますから。
早川さんが『周囲の下駄箱を隠そうとした』。
それだけで十分にヒントはいただきました。
ここは恋子に免じて、一旦演劇部に戻りましょう。
ね?皆さん」

471朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/03(木) 20:40:44
>>469
「付箋のことはとりあえず任せるとして…」

「む…どうしてそこまで…」
早川の様子を見てどこか驚いた表情だ。
彼女は後ろの下駄箱をどうしても見せたくないらしい。
一体そこに何があるのだろうか…

「早川さん、一体どうしてそんなことを…?
 そこまでその…見せたくない物が?」
もちろん自分のスタンドでどかすのは簡単だろう。
しかし、あそこまで頑なに動かないのにはよっぽどの理由がありそうだ。
無理やり見ようとするのは彼女を傷つけることになりかねないのでは…そう思えた。
奈津川も無理に見ようとはしていないようだ。ひとまず質問をしなければならない。

472龍美丹『チーロン』:2023/08/04(金) 23:12:31
>>469

(差出人と作成者が違う可能性が拭いきれないな……)

「あぁ、ありがとう」

付箋を手に取り、視線を早川たちに。

「……なんか、カッターナイフとかハサミとか持ってないかな?」

473『縁結のM』:2023/08/05(土) 00:00:47
>>470(奈津川)

早川の行動は『その場しのぎ』だ。
しかし、それでも何もしない訳にはいかなかったのだろう。
また、彼女が隠そうとした事実そのものが、一つの『ヒント』に繋がる。
恋子の見解は正しい。
演劇部で待つロダンも同じ事を言ったのではないだろうか。

    「………………」

          「………………『ありがとう』」

恋子の問い掛けに対して、早川は短い答えを返した。
『友達』という言葉を聞いた時に、少し表情が変わったように思える。
それが何を意味するかまでは掴みきれない。

「――――分かりました。
 奈津川先輩が言われるなら、千草は構いません」

三枝は恋子に同意し、昇降口から出て行く。
部室に戻ったら、改めて全員で話し合うのもいいだろう。
腰を据えて推理すれば、より一層『真相』に近い所まで行き着けるかもしれない。

  その時、何か考えがあるらしい美丹が、『文房具』を要求してきた。

>>471(涙音)

『強行手段に訴える』というのは、
裏を返せば『追い詰められている』という事だ。
それだけ涙音達の調べが『核心』に近付いた証明でもある。
もう一度『情報』を整理し、この件について、
考えを纏め直すべき頃合いなのかもしれない。

       「………………」

早川は何も言わずに涙音を見つめる。
言葉こそないものの、その目からは強い意志が感じ取れた。
これまでの彼女の行動からは、ある程度の『推測』が成り立つ。
おそらく早川は、自分自身の為に動いている訳ではないという事だ。
すなわち、彼女は誰かを庇っている可能生が高い。

「…………朱鷺宮先輩、ひとまず出ませんか?」

三枝は恋子の提案に従い、部室に向かおうとしている。
力で解決するのは確かに手っ取り早い。
だが、この場においては『ただ早いだけ』になりそうだ。

  それは別として、美丹から『文房具』の要求が出されている。

>>472(龍)

美丹の中にある考えは、思い過ごしの類ではないだろう。
全員で論じ合った際に出た『恋文の代筆』という仮説は、
実際の可能性としても大いに有り得る。
例の『手紙』を調べ直す事は、ロダンも提案していた。

「ええと――――『荷物』は置いてきてしまったので…………」

生憎、三枝は持ち合わせがないようだ。
恋子と涙音が持っているなら、今ここで借りる事が出来る。
もし持っていなくとも、部室に戻れば『文房具』程度は幾らでもあるだろう。

474奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/06(日) 18:30:56
>>473
「カッターナイフは、今はもっておりませんね。
残念です。演劇部でしたら、貸していただけるかもしれません。
今ご入用なのですか?」

『龍』に尋ねる。
二人にこの場で特にやる事がないなら全員で演劇部まで戻る。

475朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/06(日) 19:50:01
>>473
「沈黙…とりあえず答えられはしないということでしょうね。」
彼女の目からは強い意志を感じる。
たとえ今問い詰めたとしてもこのまま黙秘を貫くのがわかった。

「彼女は、なにか理由があって動かないんでしょうね。
 仕方ないです。」
そう言って三枝の方に視線を向けた。

「わかりました。
 今の状況では何も動きそうにないですし、
 一旦戻る方がいいでしょうね。」
果たして早川は自分たちよりもあとに戻るだろうか。
何か隠滅されないかと気にしているようだ。

>>472
「うーん、カッターナイフとかですか?」
龍の様子を見て首を傾げる。

「今は持ってないですねー。
 お守りだってその…そういう類はありませんし。」
ジャラジャラとぶら下げているお守りを探してから口を開いた。

476龍美丹『チーロン』:2023/08/07(月) 00:48:16
>>473
>>475

「んーないならないでいいんだ」

『チーロン』で血の龍を出してみようと思ったが、現状では難しいらしい。

「戻ろうか」

そう言って声と視線を向けたのは早川だ。
マークするべきは今この場においては彼女だからだ。
あとから着いてくるというのなら、待つと答えればいい。

477『縁結のM』:2023/08/07(月) 17:05:35
>>474-476(ALL)

その場に佇む早川を残し、昇降口を出て演劇部に歩いていく。
早川自身は動こうとしていないが、当然ずっといる事は出来ない。
しかし、しばらくの間は留まるつもりらしく、四人を見送っていた。

       ……………… ……………… ………………

そして、再び部室に戻る。
カッターナイフとハサミは、どちらも机上のペン立てにあった。
また、人数が減っていたりする事もなく、先程までの室内と変わらない。

        いや――――『違う点』が一つあった。

『日向神』だ。
その『目の色』が『正常』に戻っている。
理由は分からないが、掛けられていた能力が『解除』されたようだった。

   だからといって『解決』した訳ではないのは言うまでもない。

  《――――『収穫』はあったかね?》

窓際に近寄ると、『ロダン』が呼び掛けてきた。
彼を交えつつ、この辺りで話し合うべきだろうか。
『円滑な推理』を進める為には、それぞれが考えるだけでなく、
『意見の交換』も不可欠だ。

478朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/08(火) 23:42:51
>>477
「…日向神さん。
 そのー、今の具合はどうですか?
 さっきまで結構テンションが高かったみたいですけど」
目の色が正常になっている。
一体どのタイミングで解除されたのだろうか…

《収穫、かどうかはわかりませんけど。
 付箋が入ってたことがわかりましたね。》
スタンドを通して会話を行う。

《早川さんは…どうにも様子が変でしたけどね。
 少なくとも何かを隠していると思います。》

479龍美丹『チーロン』:2023/08/09(水) 00:28:12
>>477

「下駄箱でのことを確認したいな、まずは」

話して整理するというところもあるだろうし。

480奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/11(金) 01:32:16
>>477
「ええ!ありましたとも。
早川さんは……誰かの下駄箱を隠しておりましたね。
どうやらあの便箋は誤って、日向神さんの下駄箱に入れられてしまったようです」

正座をしてロダンへと応答する。

「まずは、今までのお話を一旦整理しましょうか。
皆さんの認識のすり合わせという意味でも……お願いできますか? お二人とも」

481『縁結のM』:2023/08/11(金) 10:53:51
>>478(涙音)

「ん?別に何ともないよ?
 でも、僕を心配してくれる気持ちは嬉しいよ!
 『ルネちゃん』だったよね?
 顔と名前を覚えるのは得意なんだ!
 君みたいに可愛い子なら忘れないね!」

日向神は相変わらずだが、これは『元々の性格』だろう。
能力とは関係なさそうだ。
今なら『付箋』について尋ねる事も出来る。

《『解除』されたのは『ロン』が出て行ってすぐだった。
 つまり君達が全員いなくなった後という事になる》

涙音の考えを読んだかのように、ロダンが付け加えた。

>>479(龍)

涙音に答えるロダンの声が聞こえた。
それによると、美丹が部室を離れた直後に、能力が『解除』されたようだ。
時間切れか任意かは分からないが、狙ったようなタイミングではある。

《君達が話し終えるまでの間、私は『聞き役』に徹しよう》

そして、恋子が美丹達に『意見』を求めてきた。

>>480(奈津川)

《論理的に考えるなら、ハヤカワが隠した下駄箱が、
 『本来の届け先』だった事になる》

《しかし、君達なら『どうとでも出来た』。
 そうしなかった事を、私は嬉しく思う》

《『知恵の輪』を捩じ切っても、『謎』を解いた事にはならない》

概ね恋子の予想した通りの反応を返しつつ、ロダンは悠然と尻尾を揺らす。

《では――――『君達の考え』を聞かせてもらおう》

482龍美丹『チーロン』:2023/08/12(土) 23:27:48
>>480-481

「……」

「脚本家先生はなにか隠してそうだね」

「……あらかじめ、自分に疑惑が向けられる可能性も見越していたみたいだった」

ラブレターを受け取った人間のリアルな反応、という言葉があったものの並木道自体にそのシーンはないとの事だ。
表現をストックしている、という見方はあるが。

「妹さんも、もしかしたら関与してるのかも」

483朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/12(土) 23:49:33
>>481-482
「日向神さんはまぁ…
 平気そうな感じですね。
 …あんまり変わってなさそうですけど」
性格にさほど変化はないようだ。
そして解除されたのは龍が出て言って直後だったという。

「龍さんが出ていった時に解除された…
 解除のタイミングに規則性があるのかな…」

「全員外に出た後に、部室でなにか変なことは有りましたかね?」
ロダンに質問をしてみる。
全員いなくなった時に見ているものといえばロダンくらいだろう。

484奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/17(木) 22:57:55
>>481
「はい、私は早川さんのことを考えていました。
彼女が隠した下駄箱の主は特定できましたが、『差出人』の特定には至っておりません。
しかし、人間関係を鑑みると『仮説』はあります」

ぱちぱちと二度瞬きをする。

「残りの謎は『スタンド使いは誰か』。
こちらを絞り込んでいくためにも、まずは仮説を補強していきましょう。
まずは筆跡鑑定です。
花蓮さんによって書かれた文字と『手紙』を見比べてみましょうとも。
朱鷺宮さん、あの時に投げつけられた原稿用紙はもう破棄してしまいましたか?」

485朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/18(金) 00:00:05
>>484>>481
「筆跡鑑定ですか。
 そういえばあの時丸めてこっちに向かって投げられた紙がありますね。
 多分、破棄はしてないと思いますよ。」
そう言って涙音はポケットなどを探る。
持っていれば手渡してみよう。

486『縁結のM』:2023/08/18(金) 04:12:27
>>482-485(ALL)

美丹の思うように、花蓮が関わっている可能性は極めて濃厚だ。
この点については『ほぼ確実』と言っていいだろう。
そして、彼女と近い人間の瑞月も、必然的に疑いを向けられる立場にいる。

《私が知る限り、他に変わった事は起こらなかった。
 もっとも、全員を同時に見ていた訳ではないが…………。
 しかし、大きな異変があれば気付いていただろう》

まず、ロダンが涙音の質問に答えた。
どうやら本当に『解除しただけ』のようだ。
何故このタイミングなのか。
特定の条件があったのかもしれない。
あるいは、全員がいなくなる時を待っていたとも考えられる。

「あっ!それがありましたね。忘れていました」

恋子が自らの考えを語り、『筆跡鑑定』を提案すると、三枝が声を上げる。
『例の用紙』は、涙音の制服のポケットにあった。
無意識に入れていたらしい紙を手渡す。
クシャクシャに丸められているが、読む事には何の支障もない。
綴られているのは『恋愛』をテーマにした作品のアイディアだ。

       《――――――ふむ………………》

ロダンの反応を見るに、推理も『大詰め』に差し掛かっているのかもしれない。

487奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/18(金) 10:15:18
>>486
「恋愛をテーマにした作品……。
ムム……もしや、この手紙はお芝居の原稿だったのでは……?」

筆跡を見比べる為に再び手紙を開いて、付箋とノートの切れ端と共に並べてみた。
手紙とノートの文字を見比べる際に、
手紙の『PS以降』と『それ以前』についての筆跡も見比べてみる。
つまり、最後の文章は書き足されたものではないかを確認するということだ。
もしその通りであるなら、付箋とPS以降の文の筆跡についても見比べてみる。

488朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/19(土) 01:01:33
>>486
「大きな異変は特になし…うーむ、
 自動的に解除されるとしたらなにかタイミングが合ったはず…
 あの付箋…かな?」
なにか変わったものが合ったかというと
やはりくっついていた付箋が問題かもしれない。

「そういえば、日向神さんは付箋を見てなかったかな…
 下駄箱の中の…」
ふと思い出したように日向神に例の付箋について聞いてみた。
入っていたのを確認していないかなどである。
(あの付箋、途中で踏んだにしては綺麗だったし元々合ったものっぽいな…やっぱり)

489龍美丹『チーロン』:2023/08/19(土) 18:34:06
>>486

「やはり、脚本家先生かな?」

そう言って、腕を組む。
とはいえ最後のピースが埋まっていないような感覚はある。

490『縁結のM』:2023/08/19(土) 22:47:25
>>487(奈津川)

『手紙』と『付箋』と『ノートの一部』。
『3つの証拠品』を並べ、それらを比較検討する。
改めて手紙を注意深く観察すると、
この文面には『2種類の筆跡』が混在している事が分かった。

『手紙の本文』――すなわち『PS以前』の筆跡は角張った形で、
『ノートに書かれた文字』と共通した特徴が見受けられる。
また、『PS以降』の部分は丸みを帯びており、『付箋と似た筆跡』だ。
『恋子の推理』は『実際の物的証拠』と『完全に一致している』。

《私が『違和感』を指摘した件は覚えているかね?
 別の言い方をするなら『文体の齟齬』だよ。
 あたかも『取って付けたように見えた』のだ》

ロダンの見解も、概ね『恋子と同じ』であったらしい。

「ええと……ちょっと待って下さい……。
 そうなると、つまりどういう事になるんでしょう?」

まだ理解しきれない様子の三枝が、『詳しい説明』を求めてきた。

>>488(涙音)

涙音の隣では、恋子が『証拠品』を丁寧に調べている。

「いいや?そんな物はなかった筈だよ。
 身だしなみには気を遣ってるからね!」

日向神の答えで裏付けも取れた。
やはり『元々あった物』だ。
自動的に解除されたのか、それとも本体の意思で任意解除したのか。
解除されたタイミングは全員が出払った直後。
そういう『偶然』もあるかもしれないが、そうではないかもしれない。

《次は『もう1つの可能性』を検討してみたまえ。
 自動的に解除されたのではなかったとしたら、どういった理由が考えられる?》

落ち着き払った声色で、ロダンが涙音に問い掛ける。

>>489(美丹)

恋子は『証拠品』を検分し、涙音は『能力の解除』について考えている。
そんな中で、美丹も自らの考えを進めていく。
『最後のピースが埋まっていない』という直感は、おそらく正しいと思えた。
だが、少なくとも部室内に隠されている筈だ。
それを見つけるのは、龍美丹の役割なのかもしれない。

《彼女が全てを行なったと考えるのは『画竜点睛』を欠いた推理だ。
 私は君が『竜』に『瞳』を入れられる事を期待している》

他の二人がそれぞれの行動を取る中で、ロダンの声が美丹を強く後押しする。

491朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/20(日) 18:48:39
>>490
「なるほど…
 やっぱり元々あそこに合ったものだったんですね…」
ふと考え込んでから、
ロダンに一つ思いついたことを告げる。

「自動的に解除だとしたら条件がわからない。
 任意解除だとしたら、タイミング的には変ですしね…」
少し考えてからロダンに顔を向ける。

「例えば、誰かが手を加えたことで解除されたってこともあり得るわけですよね。
 その…付箋を剥がしたりしたことで。」
少し自信なさげだが、自動解除でも任意解除でもないとしたら
考えられる選択肢はもう一つあると思った。

492奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/20(日) 20:49:46
>>490
「良いご質問ですね、三枝さん。
では、ひとつずつお話しいたします。
私の想像の部分もありますが……概ね間違いないかと」

「まず、早川さんが隠した下駄箱の主は『若園』さんだと私は思っています。
下駄箱の主が手紙の宛先だとすると………
『並木道のお芝居』の文面があることから、この演劇部の関係者以外は除外できます。
そして演劇部の中で日向神さんと下駄箱が並びである『二年生』である。
早川さんが庇うほどの関係性がある……その二点を満たすのは彼女しかおりません」

そして証拠品へと目を向ける。
便箋、付箋、ノート(のページ)だ。
まずは便箋を指さす。

「次にこの『恋文』です。
『恋文』の『本文』を書いたのは、
こちらのノートのページと筆跡が一致していることから『花蓮』さんで間違いはありません。
しかしこれは『恋文』ではなく、演劇の台本の1ページだった」

次に指すのは『便箋』と『付箋』だ。

「その理由はこちらの『PS』以降と『付箋』を見ればわかります。
『恋文』に付属しており、下駄箱で剥離したとみられる『付箋』の筆跡が、
『PS』以降と一致しており、かつ『PS』以降と以前では明らかに『筆跡』が異なる。
つまりこれは花蓮さんが書いた『演劇の台本』を、『PS』だけを付け足して
『恋文』にしたものだったのです。
この点は、『ロダン』さんも指摘しておりました」

「さて……そうなると、この『恋文』を作った人物は誰なのでしょうか。
その人物は未だ特定には至りませんが、ある程度絞る事はできます。
恋文を間違えて入れられた『日向神』さんではありえません。
恋文を改ざんされてしまった『花蓮』さんでもない。
勿論『恋文』を投函された『若園』さんは違います。
そして『早川』さんならわざわざ下駄箱を眺めるまでもなく、
素早く正しい位置へと投函すれば良いですよね」

「そうなると、演劇部内の該当人物は
『安心院』さんか『瑞月』さんの二択ですが……
私の勘では『安心院』さんです」

「……いかがでしょうか?
ところどころ穴はあると思います。特に下駄箱の辺りは……。
しかし恋文に関しては間違いないと確信しております。
物証がありますから」

493龍美丹『チーロン』:2023/08/22(火) 18:17:08
>>490

「猫に期待されるのも不思議な気分だね」

「とはいえ、とはいえだね」

そう言ったのは奈津川の話を聞いたからだ。

「筆跡は確実だ。確かに疑いようがない」

「ただ、ボクとしては妹さんの可能性を感じている」

494『縁結のM』:2023/08/22(火) 19:17:11
>>491(涙音)

《なるほど――――つまり君は、こう考えている。
 『予定外』が起きた事で『強制解除』された、と》

《発想としては興味深いが、
 『意図的に入れられた手紙』から始まった能力が、
 『偶発的に混入した付箋』で終わるというのは、
 少しばかり繋がりが弱いようには思うがね。
 その説を補強できるだけの根拠があれば別だが》

《しかし、思い付いた考えを口に出せる『勇気』は素晴らしい。
 物怖じしていては推理は出来ないのだ》

《君は幾つかの『可能性』を挙げた。
 今は絞りきれなくとも、『真実』に辿り着く過程で役に立つ機会もあるだろう》

ロダンは『正解』を明示しなかった。
余計な先入観を与えない為だろう。
涙音達が部室を出る前にも言っていた事だ。

  《ところで…………『タイミングが変だ』というのは私も同意見だ》

ロダンが付け加えた結びの一言は、何らかの意味があるように感じられた。

「――――朱鷺宮先輩は、どう思いますか?」

恋子が『推理』を披露し、美丹が自身の考えを口にする中、
三枝は涙音に意見を求める。

>>492(奈津川)

「奈津川先輩、凄いです!
 それじゃあ二人の内『どちらか』が――――」

「あれ?早川さんが隠した下駄箱は『三年生』でしたよね。
 でも、その隣は確かに『二年生の下駄箱』でしたし…………」

記憶を辿るようにして、人差し指で宙をなぞりながら、三枝が口を開く。
早川の後ろにあったのは『三年生の下駄箱(>>469)』だった。
恋子自身も予想していた通り、『下駄箱の部分』には穴があったようだ。
しかし、恋子の推理が的外れなのかというと、そうではない。
ほんの少し『ズレ』が生じただけだろう。

「ひょっとしたら早川さんが立っていた位置は、
 『二年生』と『三年生』の『境界』だったんじゃないでしょうか?」

三枝の意見が恋子の言葉を補足した。
有り得ない話ではない。
そして、そうだとすれば推理も変わってくる。

《コイコ――――『ご明察』だ。
 多少の『誤差』は修整すればいい。
 君のように知的な者と出会える喜びは、
 私にとって何物にも代え難い『価値』がある》

     《願わくば『続き』を拝聴させて頂こう》

ロダンが先を促す中、美丹は『別の可能性』を示唆している。

>>493(龍)

恋子が発見した『筆跡』の違いは、確かな論拠であり物証だ。
若干の『齟齬』はあったものの、彼女の推理は筋が通っている。
しかし、美丹の直感は恋子とは違う方向を見ていた。

  「『頼成先輩』…………」

         「ええと、『瑞月先輩』ですか?」

三枝は、あまりピンと来ていないようだ。
だが、ロダンは興味深そうに美丹を見つめる。
黄金色の輝きを秘める瞳が、血のように赤い瞳を見つめていた。

《――――何故そう思うのか、尋ねても構わないかね?》

落ち着き払ったロダンの声が、美丹の耳に届く。

495奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/22(火) 20:19:44
>>494
「はっ、そうでした。恋子不覚です。
不覚の多い人生です。
もう少しシンプルに考えれば良かったですね。
そもそも、なぜ早川さんは庇うことができたのか?」

「それは勿論、早川さんは手紙が投函される現場を見たからに他なりません。
そうしなければ、彼女が誰かの下駄箱を見ているという状況は生まれませんからね。
恋文というものの性質を考慮すると
受け取る側よりもを出した側を庇っている方が自然ですし……」

「つまり先程の話をスライドさせて、
早川さんが庇う程の関係性のある人物が差出人。
すなわち若園さんということになるでしょう。
そうなると必然的に、本来恋文を受け取る側の人物も明らかになりましたが……」

それは3年生である事、恋文作成に関わっていない事、
そして苗字の並びからも明らかだろう。
とそこまで考えたが、首を振って立ち上がる。

「私達の目的は他人の恋路に首を突っ込む事でなく、
あくまで『スタンド使い』の特定ですからね。
もはや自明となりましたが、
そちらの方は言及せずとも良いでしょう。
さて、恋子は早速若園さんとお話しさせていただこうと考えておりますが、
皆さんはいかがでしょうか?」

496朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/22(火) 23:18:07
>>494-495
「むぅ、たしかにそうですね…
 手紙と付箋がおんなじ紙であるとかでもなければ
 関連性は薄いですねぇ。」
思いつきはしたものの、どうにも考えが届いてないようだ。

「…タイミング的には変…
 でも、その『変』なタイミングこそが重要なんでしょうか」
ロダンの結びの言葉に何かを感じずには居られない。

「三枝さん…そうですね。
 私にわかることというと…
 下駄箱云々よりも、みんなが外に出たことが
 能力を解除するのにいいタイミングだったのかも…見学者が全員外に出てから…かな…」


「…個人的には構いませんけど、
 龍さんの意見も聞いておきたいですね。」
恋子の推理はよくできていると感じる。
しかし龍の考えていることも気になっているようである。

497龍美丹『チーロン』:2023/08/23(水) 09:22:25
>>494

「いやまぁ」

「ボクとしても奈津川先輩の推理はかなりイイと思ってるし、ボクの発言が大ハズレの可能性もあるよ」

その前提で話をする、と前置きをして。

「演劇の台本を恋文にした、ということは前提として恋文のシーンがあることを知っていて、なおかつそれを盗める状況にないといけない」

「一番近くにいる人だからこそできることだと思う」

そういえば誰だったか『並木道にそういうシーンはなかった筈』と言っていたが、それは誰だったか。
少し思い返しつつ。

「二人と話していて感じたのは、お姉さんはなにか準備をしている雰囲気だったこと」

それはつまり、こういった状況を想定していたということ。

「そもそも台本が盗まれたのなら多少気にはするし、その話をしてもいいはずだよね」

自分が疑われるのを嫌った可能性は十分ある。
とはいえ、話せば分かる事だし被害者であると主張することも出来た。
それをしなかった理由はなんだろうか。

「……個人的に気になるのは朝に弱いお姉さんを起こしに行くという話をした時に」

「今朝の話を避けたことだけど、ここに関しては詳細には分からないから、どうだろうね」

「あぁ……奈津川先輩、どうぞ」

若園との会話を促す。

498『縁結のM』:2023/08/23(水) 13:06:10
>>495(奈津川)

部外者である早川と深い関わりを持つ演劇部員は一人しかいない。
恋子の推理は、より完成度を高めたと言えるだろう。
そして、『本来の受け取り先』についても的を得ている。

「奈津川先輩、きっとそうですよ。
 それで『受け取る予定だった人』は…………」

       「…………あ」

「あ、あの――――若園先輩に話を聞くなら皆で行くべきでしょうか?」

三枝も察したらしく、慌てた様子で話題を変えた。

《『馬に蹴られて』…………という言葉の通りにならないとも限らない。
 君達が望むなら、我々の中だけに留めておく事にしよう》

  《『解かれる謎』があれば、『解かれない謎』が存在するのも、また一興》

この『小事件』と対峙した恋子達は、全体の輪郭を次第に浮かび上がらせ、
真相に至る道筋を明らかにしてきた。
『解決』も近付いた今、本当の意味で『詰め』に入っている。
ロダンの眼差しが、その事実を雄弁に物語っていた。

>>496(涙音)

『丁度いいタイミングだった』というのは、妥当な解釈に思えた。
涙音の答えに三枝も頷いている。
ロダンも同様だ。

「でも、どうして『もっと早く』そうしなかったんでしょう?」

ふと三枝が疑問を投げ掛けた。

「皆が日向神先輩に気を取られていた間に『解除』しておけば…………」

涙音の考えは正しい筈だ。
一方で『何故すぐに解除しなかったのか』という謎が残る。
手紙を間違えて入れてしまった事に気付かなかったとしても、
あの騒ぎが起きた後なら流石に気付く。
手違いが生じた時点で解除してしまった方が、大きな問題にはなりにくい。
しかし、実際は解除されなかった。

《この点は『考慮の余地がある』と、私は思っている》

涙音に告げられたロダンの助言は簡潔だが、確かな響きを伴っていた。

>>497(龍)

美丹の言及は極めて的確だった。
盗むという行為は少なからずリスクを伴う。
そして、盗まれた本人には当然それが分かる。
思い返すと『並木道』について答えていたのは瑞月だった(>>425)。
これに関しては同じ部員なら知り得る事ではある。

「龍先輩の言われる通りだとしたら…………
 『台本』じゃなくて『小道具』だったのかもしれませんね」

三枝が悩みながら口を開く。

「…………最初に千草達が入ってきた時、
 花蓮先輩は『ノートの頁』を投げ捨てました。
 そんな風に捨てた物なら、もしかして利用できたんじゃないでしょうか」

ただ、三枝の意見には穴がある。
仮に拾った物を転用したとしても、書いたのは花蓮だ。
文面を目にした時に気付いたのは間違いない。
彼女の態度には、何かを知っているような節が見受けられた。
そこに至る事が出来たのは、三人が下駄箱に向かった後も、
部室に残って聞き込みを続けていたからこそだろう。

《コイコはワカゾノに話を聞くとして、君がどう動くのかを聞いておきたい》

美丹の言葉を受けたロダンの声色からは、ある種の『納得』が感じ取れた。

499龍美丹『チーロン』:2023/08/25(金) 09:51:48
>>498

「たしかにね」

三枝の言葉を肯定しつつ。

(やっぱり、あの人はなにか知ってるはず)

何かを知っていながら隠す理由を知りたい。
何を気にしていたのか、それを明らかにしたい。

「もう一度、話をしよう」

「何を知っていて、何を知らないのか」

話を聞くべきは花蓮だ。

500朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/25(金) 23:39:11
>>498
「うーん、たしかにそうですけど…」
ロダンの証言から見ても、解除のタイミングは
見学者が外に出たあとだ。

「あのときに解除しておけば怪しまれないでしょうけど…
 逆にあのときに解除したらバレるようなものだったんでしょうか?」
そう言って首を傾げる。
一体何を見られたくなかったのだろうか?

501奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/26(土) 21:44:38
>>498
「つまり盗まれたのではなく、協力していた……という事ですね。
能力の『解除』についてはわからないのですが、
そもそもこの能力、使い方が変です」

考えながら喋るように首を傾げる。

「能力によって起こった事は話しかけた、あるいは至近距離にいた者に能力の対象となった人物が惚れた……ということですが。
もし、本体が自分に惚れさせなければいけないのなら、
いつ開くかわからない手紙に能力を込めては台無しです。
混乱を引き起こしたいとしても同様の事が言えるでしょう」

「あくまで仮説ですが……
このスタンド能力、本体はまだ未熟な状態なのではないでしょうか?
無意識の『スタンド使い』とでも言いますか。
この能力について使い熟せておらず、気持ちによって能力だけが暴発してしまった……とか」

「もしそうだとするならば、
解除されたのは単に『持続時間』か『射程距離』のどちらかの条件が満たされたという事でしょう」

502『縁結のM』:2023/08/27(日) 08:20:49
>>499(龍)

これまで経てきた過程で、多くの部分は明らかに出来ただろう。
少なくとも、解決は間近に迫っている。
残すは『核心』のみ。

《私は何よりも『知性』を尊いものとして見ている。
 そして、君には優れた洞察力がある》

《君の輝きが深奥に届く事を、私は心から望んでいる》

ロダンの言葉を背に受けて、美丹は改めて花蓮の下へ向かう。

     「『調査』は進んでる?」

傍まで歩み寄った時、花蓮の方から声を掛けてきた。
瑞月は他の部員と話し合っており、今は近くにいない。
邪魔の入らない一対一の状況だ。

>>500(涙音)

全員が日向神に意識を向けていた時と、見学者が揃って外に出た時。
これら二つは、ほぼ同じ状況だ。
たとえ何かを見られるリスクがあったとしても、大した差はなかっただろう。

《ルネの考え方は『方向性としては正しい』と言える。
 異なる側面から検討すれば、別の何かが見えてくる事は少なくない》

    《結論を急ぐ必要はないが…………覚えておきたまえ》

わざわざロダンが注意する所を見ると、これは重要な点らしかった。

「朱鷺宮先輩、どうしましょうか?」

恋子は若園に、美丹は花蓮に話を聞くようだ。
涙音も部員の誰かと話すか、ロダンや三枝と情報を整理してもいい。
さらに思考を深めていけば、疑問の『答え』が見つかるかもしれない。

>>501(奈津川)

確かに使い方そのものが妙だった。
『無自覚のスタンド能力』による暴発なのだろうか。
しかし、そういった事が起こり得る可能性は十分に考えられる。

《『本体が気付かない間に能力が発現する』という事例は存在した。
 それが解除されたのは、本人が自らの能力に気付いた為だが…………》

   《――――この辺りにしておこう》

ロダンが言い終わると同時に、美丹が動いた。
彼女は花蓮と話すつもりのようだ。
恋子も『次の行動』を起こす頃合いだろうか。

「千草は朱鷺宮先輩と一緒にいますね」

気を利かせたらしく、三枝は恋子を一人で行かせようとしている。

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505龍美丹『チーロン』:2023/08/29(火) 11:41:29
>>502

「言うじゃないか」

ロダンにそう言い、花蓮に向き合う。

「やっぱり役者にも向いてますよ」

「偽りを本当のように見せるのが演技ですから」

506奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/29(火) 18:45:02
>>502
「間違いに端を発する『事件』なのですから、
無自覚だとしても、自覚していたとしても、若園さんと話が通じることを恋子は期待しております。
それでは、行って参ります」

3人と1匹に軽く会釈をしてから、若園を探し声をかける。

「若園さん、お話をしましょう。
恋のお話です」

507朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/29(火) 18:57:36
>>502
「ふーむ…
 まぁ考えておきますね。
 …日向神さんに意識が向いていたときと
 みんなが外に出た時…なにか状況が違うところがあったか…ですね」
ひとまず頭の中にとどめておくことを考える。
ロダンは素振りを見ていないようなので
見られる可能性とは違う可能性もあるが…

「そうですね…」
それぞれが話をすると聞いて
自分にできることはないかと考える。

「解除のタイミング…についてもうちょっと考えてみます…
 見られる懸念とはまた別の理由なんでしょうかね」
異なる側面、というロダンの言葉を聞いて
一つ、別の可能性を提示してみる

508『縁結のM』:2023/08/29(火) 20:10:12
>>504(龍)

「それは良かったわ」

「部員数が少ないから、少しは出来ないと困るもの」

         ス ッ

片手を差し出した花蓮が、美丹に着席を勧めた。

「私は、こう思ってる」

「トラブルが起きて良かったとは言わない。
 だけど、起きてしまったなら活かしたい」

「私は常に『新しい刺激』を求めているから。
 そして、あなた達が『解決』してくれる事を期待してるの」 

「ただ――――」

「私が喋るのは簡単だけど、それじゃあ何にもならない。
 あなたが自分の考えを聞かせてくれたら、私も私自身が知ってる事を話す」

「あなたの話が的外れでなければ、ね」

つまり、花蓮は次のように言いたいのだろう。
『美丹の推理』を確認した上で、それが的確であれば口を割る。
おそらくは、これも『インスピレーション』を得る為なのかもしれない。

>>506(奈津川)

若園は日向神と話していたが、近付いてきた恋子に視線を向けた。

「――――こ、『恋』ですか…………?」

唐突に発せられた恋子の一言に、若園が言い淀む。
明らかに反応している。
本人は動揺を隠そうとしているようだが、その試みが成功しているとは言い難い。

   「なに、恋の話かい?それは見逃せないねぇ〜。
    恋子ちゃん、誰か好きな相手がいるのかな?」

        「あぁ、ひょっとするとオレだったりする?」

ただ、問題があるとすれば日向神だ。
若園と話す為には、どうしても彼の存在が邪魔になる。
何とかして他所へやってしまう必要があるだろう。

>>507(涙音)

美丹に続いて恋子も動き、涙音は三枝やロダンと共に残る事を選んだ。

「例えば…………『逆』はどうでしょう?」

しばらく黙り込んだ後、三枝がポツリと呟いた。

「まだ何か分かった訳じゃないのですけれど、
 『別の側面』というと、そういう風に考えてもいいのかなと…………」

果たして、三枝の意見に一考の価値はあるだろうか。

「朱鷺宮先輩、参考になりそうですか?」

それを解釈するのは『涙音次第』だ。

《君が『猫の手も借りたい時』――――》

    《すなわち『私の見解が必要な時』は言ってくれたまえ》

それだけを告げると、ロダンは沈黙した。
『知性』を尊重する彼は、『涙音の考え』を知りたいのだ。
無論、『助言』を求められたならば、ロダンは何かしらの言葉を示すだろう。

509奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/08/31(木) 21:44:17
>>508
「ああ、お話中失礼しました。
日向神さん、よろしければ少しだけ外していただいてもよろしいでしょうか?
若園さんと、少しだけお話しがしたいのです」

直球で日向神へとお願いして頭を下げる。

(この手紙に『スタンド能力』を行使できたものは『2人』。
彼女に話を聞くことで、はっきりすれば良いのですが……)

510朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/08/31(木) 22:10:30
>>508
「逆…つまりそれは…
 今まで私、私達が考えていたのと逆の理由だと…?」
三枝の言葉を聞いて少し不思議そうな顔で答える。

「うーん、だとするとバレないようにするのではなく
 ヒントを与えたいとか…」
うーん、とうなりながら考える。
果たして自分の考えは的を得ているのだろうか

511龍美丹『チーロン』:2023/09/02(土) 00:55:32
>>508

着席、相手と向き合う。

「解決を期待……ということは」

「この状況はイレギュラーでしたか?」

そう微笑みかけて。

「奈津川さんが筆跡鑑定をしてくれましたよ」

「あのラブレターは貴方が書いたものですね?」

ひとつずつ、確認をするように。

「でもそれが手元になく、なんならトラブルの種になったのに何も言わなかった」

「わかってたんですよね? 誰が持っていったのかも、本当は」

彼女の性質もあるだろうが、持っている情報に差があったのは確かだろう。
でなければ、何らかのアクションがあるはずだ。
なにより、なにか言葉を用意していたような感覚があった。

「恋文を持っていったのは妹さんかなと、ボクは考えてます」

「本来並木道にそういうシーンがなかったということですから、書き下ろししました?」

「シーンを足すためか、好奇心か、あるいは」

「それが誰かの助けになるからか」

「どうでしょう?」

512『縁結のM』:2023/09/02(土) 06:33:35
>>509(奈津川)

どんな人間が相手だろうと、恋子は常に『真っ直ぐ』だ。
それが通じない状況もある。
しかし、今回はそうではなかった。

「おおっと、失礼!
 でも、恋子ちゃん――『恋の悩み』なら、オレにも相談してくれていいんだよ?
 これでも経験は豊富にあるからさ!」

         「ま!今回は譲るけどね!」

何やら『勘違い』されたようだが、今回に限っては都合がいいだろう。
日向神は話が聞こえない距離まで離れ、邪魔者はいなくなった。
日向神の背中を一瞥した若園が、改めて恋子の様子を窺う。

「あ、あの…………『恋の話』というのは…………?」

そして、ここからが『本題』だ。

>>510(涙音)

涙音の意見を聞いて、三枝は意外そうな表情を浮かべた。

「…………朱鷺宮先輩のお話だと、
 『自分で能力を仕込んで自分でヒントを残した』という事になりますよね。
 不思議ですけれど、そういう人もいると思います」

『ヒントを与えたい』というのは、まさしく『逆の発想』と呼べるだろう。
可能性の一つとして有り得なくはない。
ロダンや三枝の言葉とも合致している。

「でも、『すぐに能力を解除しない事』が、どういうヒントになるのでしょうか?
 ヒントなら、伝わりやすくないといけませんし…………」

一方で、三枝の疑問も無視できない。
何らかのヒントにするからには、最低限の条件として、相手に理解させる必要がある。
だが、今まで誰の目にも留まらなかった。
つまり『ヒントとして適切ではない』。
涙音の着眼点は決して悪くなかった筈だが、この仮説は信憑性が今ひとつのようだ。

    ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

ふと涙音は感じた。
三枝の顔を見ていると、何か思い付きそうな気がしてくる。
どこだったか…………『三枝から聞いた言葉』にヒントが隠されているような…………。

>>511(龍)

丸眼鏡の奥にある花蓮の瞳と、赤く輝く美丹の瞳が相対する。
両者の間に生じるのは静かな空気だ。
それでいて、どこか張り詰めたような雰囲気が漂う

「そう――――書いたのは『頼成花蓮』よ。
 私にとって今の状況がイレギュラーだというのも正しい」

「今回みたいなトラブルが起こらなくても、私の目的は達成されていたから」

花蓮が口を開き、迷いなく肯定する。
既に証拠が上がっている以上、隠し通す事は出来ない。
彼女自身も、隠そうとする意思はないのだろう。

「あなたの言う通り、あのラブレターを誰が持っていたかも分かってた。
 ここまでは間違いないわ」

「だけど、そこから先は違う。
 『書き下ろし』ではあるけど、ね」

そこで花蓮は言葉を切った。
どことなく伝わってくるのは、彼女が楽しんでいるらしいという事だ。
美丹とのやり取りを、『新作の材料』にするつもりなのかもしれない。

513朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/03(日) 22:00:20
>>512
「ふーむ…
 ヒントを残すというのは考えられそうな話ですけどね…
 ある意味私達を試そうとしてるのかも…
 いや、なんで試そうとしているかはわからないですけど。」

そうしてから何かを考えるように三枝の顔を見る。

「ふーむ…
 そういえばその…
 すいません…何かが思いつきそうなんですけど…」
より深く思い出そうとしている。
いつ頃聞いた言葉か、よりはっきりするかもしれない。

514龍美丹『チーロン』:2023/09/04(月) 01:03:13
>>512

「おや、アテが外れた」

とはいえ、その可能性は見えていた。

「となると、奈津川先輩の推理通り安心院さんかな?」

その辺の答え合わせもしておきたいが。

「そうやって言葉の尻尾を区切られるとついつい追いかけたくなる」

「ボクも少し楽しくなってきました」

「……一応聞いておきますが、貴方が恋文を書いたのはネガティブな背景があるわけではないんですよね?」

つまりは、強要やそうせざるおえない契約があった訳では無いはずだと。

515奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/05(火) 21:13:53
>>512
「そうですか、それは重畳です。
恋子の相談なら、今度乗ってください。日向神さん」

丁寧に礼をしてから去っていく日向神を確認し、
若園に向き直る。

「あなたは、恋文を出しましたね。
花蓮さんに協力してもらって………」

「ええ、それ自体は何も問題はないのですが。
そう、あなたの『手紙』には『仕掛け』がありました」

それだけを言って、反応を見るように言葉を区切る。

516『縁結のM』:2023/09/06(水) 10:02:09
>>513(涙音)

『すぐに能力を解除しない事』が『どういうヒントに成り得るのか』。
そこを説明できれば、推理としての完成度は上がっていた。
もちろん、必ずしも『真実』と一致しているとは限らないが。

  「朱鷺宮先輩、本当ですか?」

            「千草は静かにしていますね」

目を丸くする三枝を前にして、涙音は思考を深めていき、自らの記憶を遡る。

    ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

しばしの黙考を終えると、おおよその範囲は絞れた。
主に引っ掛かるのは、『部室を出てから昇降口に着くまでの間』だ。
『思い付きそうな何か』は、きっと『その中』にあるのだろう。

《君達と同じように、私も『私の答え』を持っている。
 しかし、それを明かす事は差し控えよう。
 人という種の持つ『知性の煌めき』を、私は見せてもらいたいのだ》

厳かなロダンの言葉を背景に、涙音は更に考え続ける――――。

>>514(龍)

「――――『部長』?」

安心院の名前を出された花蓮は、片眉を上げて怪訝そうな顔をした。
その表情は芝居ではなく、純粋な疑問を感じている様子だ。
何かを考えるように美丹を見つめる。

「あぁ、そういう事…………」

やがて得心したように、彼女が呟く。

「いえ、違うわ」

それに続く一言には、明確な否定の意が込められていた。

「そう――私は『自分の意思で書いた』。
 事情があったと言えなくもないけど、嫌々だった訳じゃあない」

>>515(奈津川)

「――――――!?」

恋子が言い放った言葉に、若園は驚愕の表情を浮かべた。
おそらく『予想通り』だろう。
『若園が花蓮の手を借りて恋文を出した』というのは、ほぼ間違いなさそうだ。

  「え、えっと…………」

           「その…………」

                 「わ、私は…………」

そして、『仕掛け』という単語にも、彼女は反応を示した。
さまよう視線は、目の前に立つ恋子から逃れようとしている。
これが『演技』とは思えない。

517朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/06(水) 21:51:13
>>516
(うーむ、確か部室を出てから昇降口につくまでの間に聞いたことといえば)
ふとその時のことを思い出す

  千草達の『邪魔』をしたい

                   荒っぽい事はちょっと苦手

  いわゆる『泳がせる』という手です

「うーむ…もしかして…
 私達を…泳がせる、みたいなこと?
 目的は日向神さんではなく、我々の観察みたいな…?」
記憶を掘り起こした中でふと、呟いた。
目的は完全に『別』なんだろうか?

518龍美丹『チーロン』:2023/09/07(木) 21:38:21
>>516

「それは経験のためですか?」

「ラブレターを使うシーンは並木道にはないという話でしたから」

「次の舞台に使うつもりです?」

519奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/08(金) 23:01:55
>>516
「誰が誰に恋文を出そうが自由です。
恋は自由ですから。
しかしながら……『スタンド』を用いて人心を惑わすことは、
『スタンド』を持たない人にとってはアンフェアな行いだと恋子は考えます。
目には目を、スタンドにはスタンドを……。
若園さん、もしあなたがそうだとしたら、
恋子のエゴとして、少し痛いメに会ってもらうかもしれませんね」

真顔で喋る恋子の後ろには、
いつのまにか『クワイエット・ガーデン』の像が重なるようにして立っている。

「恋子にだけ、話していただけませんか?
そうしたら、私達はお友達ということですから……。
恋子は恋のお手伝いが出来るかもしれません。もちろん他のことでも」

520『縁結のM』:2023/09/09(土) 11:28:01
>>517(涙音)

『泳がせる』――――涙音が思い出しながら口にした言葉には、確かに説得力があった。
すぐに解除しなかった理由は、
『そうしないとデメリットが生じるから』ではなく、
『そうする事でメリットが得られるから』だと考えれば、全体の辻褄は合う。
涙音達が『早川を泳がせた』のと同じように、手紙に能力を仕込んだ本体によって、
『泳がされていた』のだろうか…………?

「きっとそうですよ!
 最初に騒ぎが起きた時、朱鷺宮先輩以外の全員が『スタンド』を出していました。
 だから、千草達の動きを探ろうとして、
 わざと解除しなかったんじゃないでしょうか?」

少なくとも、三枝は『涙音の閃き』に同意している。

《推理というのは、『石』を掘り上げて『彫刻』に作り変える工程に似ている。
 一つの方向からだけではなく、あらゆる角度から削っていかねばならない。
 『異なる側面』から見つめ直す事で、君は『新たな可能性』を導き出した》

         《――――見事な発想力だ》

そして、ロダンも太鼓判を押す。
この仮説を生み出せた事は、大きな足掛かりになるだろう。
おそらくは恋子や美丹にとっても。

>>518(龍)

机上からボールペンを取り上げ、それを器用に回しながら、花蓮は静かに頷いた。

     「ええ、そうよ。次回作の参考にしたかったから」

              クルリ

  「『経験がない事をやる』のは、なかなか簡単にはいかないの」

              クルリ

      「私はインスピレーションが欲しかった。
       彼女は相応しい恋文が欲しかった。
       さしづめ『利害の一致』という所ね」

演劇部の関係者は、早川を含めた六人。
これまでの調査に基づいて考えれば、花蓮の言う『彼女』を特定するのは、
それほど難しい作業ではないだろう。
しかし、美丹達の目的は『スタンド使いの特定』であり、
『差出人探し』は過程に過ぎない。

>>519(奈津川)

恋子の背後に佇む『クワイエット・ガーデン』。
物言わぬ像ではあるが、同時に何よりも雄弁な存在でもある。
スタンドのヴィジョンを見せるという行動は、
それを行使する可能性を示す意思表示に繋がるからだ。

   「――――い、『痛い目』!?」

             ジリッ

        「ど…………どういう意味ですか…………?」

恋子の迫力に気圧されたように、若園が怯えた表情で後ずさる。

        ・・・・・・・
    ここで、恋子は気付いた。

若園の目線が、『クワイエット・ガーデン』に向けられていないという事に。
彼女は『恋子のみ』に注意を払っている。
『顔に出やすいタイプ(>>370>>382)』の若園が、少しも目をくれていない。
しかし、確かに『仕掛け』という言葉には反応があった。
その事実は、若園が『何かをした事』を暗示している。

         どうやら――――『推理』する必要がありそうだ。

521龍美丹『チーロン』:2023/09/11(月) 00:27:22
>>520

「ぶっちゃけ、渡した相手についてはもう教えてもらってもいいと思います」

「差出人自体はボクにはそこまで重要ではないですから」

「それから……単刀直入に聞きますが」

「貴方のいうイレギュラーというのは、日向神さんのことですか?」

踏み込む。
というよりも、外側から少しずつ確かめる。
ここまでは分かっていることの確認の面が強かった。
見えていないところを、より見たい。

522朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/11(月) 20:36:08
>>520
「やはりそういうことでしょうか。
 となると、最初から目的自体は
 観察することなんでしょうかね…」
自分たちを泳がせて、観察するということ
それは他の二人が引き出した情報と合致するかもしれない。

「とりあえずこの可能性は他の二人にも
 知らせておいたほうがいいでしょうね」
こっそりと、これらの情報を二人に伝えようと考えた。

523奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/12(火) 22:38:35
>>520
「しらばっくれるおつもりですか!
もうネタはあがって……エッ」

あまりにも反応の悪い若園に呆気にとられて口を開く。

「で、ではあなたは一体何の『仕掛け』を……?」

(ならスタンドの本体は『花蓮』さんだった……ということですか。
『仕掛け』……『スタンド』でないなら、そう……例えば、『入れ違い』。
あくまで入違ったと考えたのは早川さんであり、それが間違いだった?
もう少しなにか、発想の一助になるものがあれば……)

考えながら演劇部内を見回す。

524『縁結のM』:2023/09/13(水) 11:45:38
>>521(龍)

花蓮の掌中で回転を続けていたボールペンがピタリと止まる。

「悪いけど、そういう訳にはいかないわ。
 ただ教えるなんて退屈でしょう」

「日向神の件は、本当に予想外の事だった。
 彼が三枝さんに矛先を向けるなんて考えもしなかったから。
 だから、あれが私にとっての『イレギュラー』だという考えは正しい」

その言葉に偽りがあるようには見えなかった。
事実、彼女は露骨な嘘をついた事はない。
自分が恋文を代筆した事を言わなかったが、それは嘘には当たらないだろう。

「他にも『二つ』程あったけど、驚いたという意味では日向神の事が一番ね」

『イレギュラーは日向神だけではなかった』と花蓮は言う。
それらが核心に触れるものであるかどうかは不明だ。
しかし、手掛かりの一つにはなるかもしれない。

>>522(涙音)

恋子や美丹も、それぞれ情報を入手している筈だ。
照らし合わせてみれば、より目に見える形で、
真実を浮かび上がらせる事が出来るだろう。
少なくとも、涙音は十分な仕事を果たした。

  《『あるいは』――――》

            《という所か》

涙音と三枝の後ろで、ロダンが呟きを漏らす。
彼には、まだ気に掛かる事があるらしかった。
だが、それ以上は何も言わず、静観に徹している。

「…………どうやって知らせましょうか?」

三枝が涙音の考えを聞いてくる。
部員達の近くで話す訳にはいかないが、
こちらに呼ぶのも少しばかり難しい状況だ。
『スタンド会話』を使ったら、
恋文から咲いた『花』の本体にバレてしまう。
二人の連絡先は知らないので、スマホも頼れない。
上手く伝える方法はないだろうか?

>>523(奈津川)

若園は『本体』ではない。
恋文に関わっていると思われる人間は、これで一人に絞られた。
今、彼女は美丹と差し向かいで言葉を交わしている。

「わ、私…………きっと『怒られる』と思って…………」

「で、でも…………『自分の言葉』で伝えたくて…………」

さらなる問い掛けに対し、若園は独り言のように曖昧な言葉を返す。
その声が耳に入ってくる。
恋子の視線の先には、ボールペンを弄ぶ『花蓮』が見えていた。

525奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/13(水) 22:02:16
>>524
「すみません!痛い目云々は
言葉のあやというかなんというか……奈津川あや子ちゃんでした。
忘れてください」

若園に少し顔を近づけて、ひそひそと喋る。

「自分の言葉で……
それは、花蓮さんの書いた恋文に付け足した、という話でしょうか。
もしそういうお話でしたら、あるいはそういったお話でなくとも
この奈津川恋子、私の親愛なる母に賜った名前一文字に賭けて、
あなたの恋路を邪魔するつもりはありませんし、
花蓮さんに告げ口する気もありませんので。
そして恐らく、どうやら私の探し人は花蓮さんだったようです。
色々と詮索してしまい、申し訳ありませんでした」

がばりと頭を下げる。

526朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/14(木) 22:31:53
>>524
「あるいは…
 もう一つ可能性があるとするなら何でしょうかね…
 泳がせて観察…他にもなにか…」
役割を果たしたかのように思えるが、
ロダンの言葉を聞いて少し首を傾げる。
だがとりあえず今までの話を伝えたいところだが…

「困りましたね…
 この際バレても…とは思いましたが
 相手がわかるまではちょっと…」
少し考え事をしてから、視線をロダンに向ける。

「まさに『猫の手も借りたい』ですね。
 ロダンさん、この際お知らせをお願いしていいでしょうか?」
猫がその辺をうろつくのはとりあえず変には見えないかもしれない。
そう思ってロダンにお願いをしてみた。

527龍美丹『チーロン』:2023/09/15(金) 00:54:55
>>524

「他にもイレギュラーが?」

少し、髪を撫でつつ。

「まさかボクたちが、なんて」

「そんなことは無いと思いますが」

こんなものはイレギュラーとは言わないはずだ。

「貴方と差出人は計画を練っていたとボクは思ってます」

「手紙を書いてはい終わりというよりは、その顛末を貴方も知りたかったんじゃないですか?」

あるいは、観察をしたかったのでは無いのか?

528『縁結のM』:2023/09/15(金) 02:13:20
>>525(奈津川)

名前に『恋』を持つ恋子が、今回の小事件に関わったのは、
ある種の『運命』だったのかもしれない。

     それはそれとして――――――

「あ、あや…………?」

若園は戸惑っているものの、怯えている様子はない。
誤解があった事は分かってもらえたようだ。
そして、恋子は勢い良く頭を下げる。

「…………もういいよ」

落ち着きを取り戻した若園の声が、恋子の頭上から静かに降ってきた。

「奈津川さんの言う通り、私が副部長に頼んで書いてもらったの…………。
 でも、受け取った後で、こっそり書き足して…………。
 副部長は、自分の作品を弄られるのがキライな人だから…………」

「私が焦って間違えたりしなきゃ、きっとこんな事には…………。
 ううん、最初から自分で書かなかったのが悪かったんだわ。
 だからバチが当たったのかも…………」

自らの行動を振り返りながら、若園は少しずつ語り始める。
『恋子の推理』は正しかった。
他にも聞きたい事があれば、彼女は今度こそ素直に答えてくれるだろう。

>>526(涙音)

まだ『解決』を迎えた訳ではない以上、用心しておく事には意味があるだろう。

《悪くない提案ではあるが…………私が室内に入っていけば、
 確実に『全員の注目』を集めてしまう。
 それに『私から知らせる』というのは、
 どうしても『スタンドを通した声』を使わざるを得ない》

涙音の頼みに対し、ロダンは『問題点』を挙げる。
いきなり『知らない猫』が入ってくれば、そちらを見るのが自然だし、
彼が恋子や美丹と話す為には、『スタンド会話』を用いなければならない。
たとえロダンが行ったとしても、『こっそり伝える』のは困難だ。
 
《言い換えれば――――私に注意が向いている間、『君達は自由に動ける』》

涙音と三枝を見やり、ロダンは続ける。

《古式ゆかしき『恋文』に倣い、我々も『手紙』を用意するのだ。
 私が部員達の気を逸している隙に、君達が二人に渡せばいい》

ロダンが授けたのは、より確実性の高い策だった。
『授業中に行う手紙のやり取り』のようなものだ。
『通学用の手提げ鞄』を持っている涙音は、
『筆記用具』や『適当な紙』には困らない。

「そういう事でしたら、『奈津川先輩』には千草が渡しますね」

         サラ サラ サラ

「朱鷺宮先輩は『龍先輩』に渡して頂けますか?」

三枝は自分の鞄からペンとメモ用紙を取り出し、『手紙』を書き始めた。
涙音も同じようにするのであれば、『文面』を考える必要がある。
書き終わったら、ロダンに合図すればいい筈だ。

>>527(龍)

烏の濡羽を思わせる黒髪を見つめながら、花蓮は再び口を開く。

「あなた達が来た事も、少し意外ではあるかしら。
 でも、知っての通り『見学者』は募集してる訳だから、
 ここに来ていても全然おかしくない」

「だから、イレギュラーとは呼べないわ。
 一度に『三人』も来てくれたのを除けば、ね」

花蓮は美丹の否定を肯定する。
『見学者が訪れる』くらいは、部員なら考えて当然の状況だ。
無論、それが想定外には成り得ない。

「確かに私達は事前に話し合った。
 それは『必要な事』だったから。
 ただ、私が『全て』を知っていたかどうかは別だけど」

一拍の間が空いた。

「――――まぁ、そうね。
 さっきも言ったように、私が引き受ける気になったのは、
 この経験を参考にしたかったからよ。
 作成者として、事の顛末だって興味は持ってた」

「より良い脚本を仕上げる為には、材料は多い方がいいでしょう?」

花蓮が『結果』を知りたがっていたのは確実だ。
また、彼女の言葉には、何かを匂わせるような部分があった。
おそらく、『そこ』がイレギュラーに関わっているのだろう。

529朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/16(土) 22:01:37
>>528
「…たしかにそうですね。
 このまま言っては危ないですが…」
そう言って頭を抱える。

「ロダンに注意を向ければいい…か…
 わかりました。手紙で話を伝えればいいんですね。」
ロダンの提案は確かによくできている。
この情報をさり気なく伝えてしまう事ができれば
きっと大きな助けになるかもしれない。

「それじゃあ早速…なにか書いてみようかな…と」
バレないようにこっそりとペンとノートを取り出す涙音。
能力解除の理由はこちらの観察、泳がせることにあるのかもしれないと
そう示すような文章を記載したいところだ。

「せっかくだから、三枝さんの書いた文章を
 参考にして書かせていただきましょうかね…」
そういいつつも涙音も割と順調に書けているようだ。

《龍さん、例の手紙のスタンド能力者の目的は
 もしかしたら、こちらを観察することかもしれません》

530龍美丹『チーロン』:2023/09/17(日) 19:33:22
>>528

「望む顛末は見られなかった、とか?」

「まぁ、おかしなことにはなりましたしね」

顎に手を当てて考える。
なんとなく、のらりくらりな雰囲気だ。

「話し合った計画に大きなズレがありましたか?」

「日向神さんの件を抜きにしても」

531奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/19(火) 15:05:10
>>528
「いいえ、恋に悪い事などなにもありません。
ですが、一つだけ最後に教えていただけますか?
何を言っているのかわからないかも知れませんが、
あの手紙には『細工』がありました。
若園さんには気づかない『細工』が。
あの手紙に関わった人物は、あなたを除けばただひとり。
副部長こと頼成花蓮さんだけ……それで間違いはありませんでしょうか?」

下げた頭を上げながら、じーっと若園の目を見つめて尋ねる。

532『縁結のM』:2023/09/19(火) 16:39:14
>>529(涙音)

ペンとノートを取り出す動きは、部員達の注意を引いていない。
特に不審な行動ではないので、見られたとしても言い訳は簡単だ。
何ら問題なく、涙音は手紙を書き始める。

《外見上は『猫に興味を抱いた振り』をするといい。
 初めて私を見た時と同じように装うのだ。
 そうすれば自然な形で二人に近付ける》

《君達が書き終わったら『合図』をくれたまえ》

三枝の手元を眺めると、次のように綴られてあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

恋文の能力について朱鷺宮先輩と話し合いました。
すぐに解除しなかった理由は、こちらを泳がせる為じゃないでしょうか?
最初に騒ぎが起きた時、
見学者の中にスタンド使いが複数いる事は分かった筈ですから、
様子を窺っていたのかもしれません。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ペンが止まった所を見ると、三枝は書き終わったようだ。
涙音の方は、どうだろうか?
まだ完成していないのなら、仕上げる為の時間はあるだろう。

>>530(龍)

目の前に座る花蓮は、自分の口から『正解』を言おうとしていない。
おそらく美丹に突き止めて欲しいのだ。
その為に、敢えて遠回しな言い方をしているのだろう。

「『ズレ』はないわ。
 むしろ予定通りに進んだ。
 もちろんトラブルが起きる事は計画の内に入ってなかったけれど」

「私の役目は『用意した手紙を渡す所まで』だから。
 それの使い方は彼女次第だった」

つまり『出し方にはタッチしていない』と見ていい。
では、『他のイレギュラー』とは何なのか。
少しずつ歩み寄りながら、美丹は可能性を一つ一つ埋めている。

「確かに考えていた顛末とは違ってた。
 ただ――――私としては『この顛末』も悪いものじゃない」

「だって、『貴重な体験』には違いないもの。
 彼女には申し訳ないと思うけど、お陰で新しい脚本が作れそう」

「あなた達を主役にしてね」

満足げな花蓮の微笑みが、美丹の赤い瞳に映り込む。

>>531(奈津川)

『細工』――――すなわち『恋文に仕込まれた能力』。
恋子の前には、最も解決すべき問題だけが残された。
果たして、どういう意思によって、それは行われたのだろうか?

「うん…………だって他の人には言ってないから…………」

若園は首を縦に振る。
彼女の心を早川が知り得たのは、交流が深かったからだろう。
付き合いの長い人間なら、口に出さずとも気付いたかもしれない。

「あの…………お願いがあるんだけど…………」

「この事は黙っていて欲しいの。
 私、勇気がなくて『自分の名前』も書けなかった…………」

「でも、自分の言葉で自分の気持ちを伝えたくなったから。
 いつになるか分からないけど…………ちゃんと伝える」

「だから…………この事は秘密にしてくれる?」

どうやら期せずして、もう一つ『謎』が解けたようだ。

533龍美丹『チーロン』:2023/09/20(水) 20:32:37
>>532

「……手紙を渡した人と手紙を出した人が別だった、とか?」

「いやいや、だとしたらそれを確かめる方法はないですよね?」

自分で言って、言葉を打ち消す。
あらゆる可能性がまだ残っていそうだが。

「手紙を出すと聞いていた相手が違ってたの方がまだありそうですよね」

「並木道についての言葉は後から足されたんですから」

>>529

「……」

朱鷺宮の言葉を聞き、少しばかり考える。
もしもそれが真実なのだとしたら、そうしたいと思う人間は。

「そういえば」

「貴方は見える人間ですか?」

534『縁結のM』:2023/09/20(水) 20:49:16
>>533(龍)

>>529における涙音の美丹に対する呼び掛けは、
言葉ではなく手元で書いている文面だと判断する。
訂正があればどうぞ。

535奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/20(水) 21:20:43
>>532
「ええ、勿論ですとも。
大丈夫です……なんて無責任な言葉は申しません。
しかしこの奈津川恋子、あなたの恋を応援しております。
そして、そんな友達はどうやらあなたには何人もいるようですから。
心強いではないですか」

軽く頭を下げて若園と別れて、龍と花蓮の方へと向かう。

536朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/20(水) 21:54:00
>>532
「よし…わかりました。」
少し考えてから、涙音は手紙を書き記した。


《龍さん、例の手紙のスタンド能力者の目的は
 もしかしたら、こちらを観察することかもしれません
 この中の誰かがスタンド使いだとすれば、日向神さんと手紙の騒ぎのときに
 おそらく私達のスタンドを見ているはずです。そのまま泳がせていたのかもしれないですね。
 観察の目的は…きっとこの部活のことを考えると概ね理解できます。
 誰がそうなのか、見当がついてたらいいのですが…》

「…こんな感じかな」
うなずいてから手紙をこっそりと持つ

「よし…」
そして、彼女は違和感を持たれないくらいの動きで
親指をロダンのいる方に立てた。
ロダンが『行動』を起こしたら…
興味深そうに猫に近寄って、さり気なく龍に手紙を渡すつもりだ。

537龍美丹『チーロン』:2023/09/21(木) 00:59:05
>>534

声を聞き→朱鷺宮のメモに視線を一瞬移しに行動を変更します。
内容としては変わりないです。

538『縁結のM』:2023/09/21(木) 18:21:53
>>536(涙音)

ロダンに向けて親指を立てると、彼は速やかに反応し、『行動』を起こした。

     ストンッ

         「フミャアァ〜〜〜〜オ」

                    トッ トッ トッ

突如として窓から現れた『毛のない猫』。
狙い通り、全員の視線はロダンに注がれている。
今が『チャンス』だ。

     ソ ッ

『猫に近寄る振り』をしながら、美丹に『手紙』を渡す…………。

        ――――――『作戦成功』!

あとは適当に話を合わせておけば、部員達を上手く誤魔化せるだろう。

>>535(奈津川)

若園に挨拶し、美丹と花蓮がいる方向へ行こうとする。

     その時――――――

             「フミャアァ〜〜〜〜オ」

不意にロダンが部室内に入ってきた。
あたかも『普通の猫』のように振る舞っている所を見ると、
何らかの『考え』があるのだろう。
この瞬間、部員達の視線は彼に向けられている。

            …………ススッ

さりげなく三枝が近付いてきて、折り畳んだ『メモ用紙』を差し出した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

恋文の能力について朱鷺宮先輩と話し合いました。
すぐに解除しなかった理由は、こちらを泳がせる為じゃないでしょうか?
最初に騒ぎが起きた時、
見学者の中にスタンド使いが複数いる事は分かった筈ですから、
様子を窺っていたのかもしれません。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

受け取って開けば、上記の内容が読み取れる。

>>533(龍)

「『相手が違ってた』っていうのは惜しい答えね」

      「フミャアァ〜〜〜〜オ」

               「――――――?」

唐突に聞こえた『鳴き声』で、花蓮の目線が逸れる。
ロダンが入ってきたのだ。
そちらに気を取られている隙に涙音が歩み寄り、『ノートの切れ端』を渡された。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

龍さん、例の手紙のスタンド能力者の目的は
もしかしたら、こちらを観察することかもしれません
この中の誰かがスタンド使いだとすれば、日向神さんと手紙の騒ぎのときに
おそらく私達のスタンドを見ているはずです。
そのまま泳がせていたのかもしれないですね。
観察の目的は…きっとこの部活のことを考えると概ね理解できます。
誰がそうなのか、見当がついてたらいいのですが…

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

素早く文面に目を通すと、そのように書かれている。
涙音も独自に推理していたのだろう。
美丹は花蓮に問い掛けるが、
『スフィンクス』という品種が持つ特異な姿が彼女の興味を引いたらしく、
タイミング悪く聞こえなかったようだ。

539奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/21(木) 22:23:48
>>538
「ム……ロダンさん、演技派ですね。
ん、これはまさか……手紙を授業中に回す『アレ』ではないですか……!
恋子、感激です!」

ひとしきり感激した後手紙を読む。

(なるほど。三枝さんと朱鷺宮さんもそのようにお考えですか。
確かに……花蓮さんがスタンド本体であるなら、
まさしく『様子を伺っていた』というのは正しいように思えます。
彼女の目論見は恋の成就ではなかった……
というか、それが主目的ではなかった。といったところですか)

ひとしきり読んだ後は花蓮と龍の話を聞きに行こう。

540朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/21(木) 22:49:46
>>538
「わ、猫ちゃん!
 こんなところに猫がいるなんて珍しいですね!
 それに…毛がない猫なんて!」
猫、ロダンに近づいて涙音は驚く演技をする涙音。
さり気なく渡すことには成功したようだ。
後は不自然にならないように行動すればいいだろう。

「迷い込んじゃったのかな〜
 おはなしの最中だから、遊ぶなら私とお願いね〜」
いかにも猫を可愛がるように
顎などをワシャワシャ撫でる

「あ、すいません…
 つい…猫、結構好きなもので」
そして周囲の人に頭を下げる。
席に自然に戻るには、ロダンを抱えて戻るのがちょうどいいだろう。

541龍美丹『チーロン』:2023/09/22(金) 10:31:18
>>538

「……」

(ロダン?)

そして、ノートの切れ端に目をやる。

(なるほど)

「では、出した人間が違っていた?」

カバンに触れ、筆箱を取り出す。
多分、カッターナイフがあったはずだ。

「それとも、お互いの本当の目的が違っていた?」

「貴方、もしかして」

「ボクたちと同じ側ですか?」

『チーロン』を発現する。

542『縁結のM』:2023/09/22(金) 18:58:10
>>539(奈津川)

『新しい友達』が出来た事に加えて、
思いがけず『学生らしい体験』を味わえたのは幸いだ。

さておき恋子の意識は『恋文』に立ち返る。
涙音達が推理した話の辻褄は合う。
あの時、涙音だけがスタンドを出していなかった。
『四人の見学者』の内、『三人』までがスタンド使いだったのだから、
『残る一人もスタンド使いなのではないか』と思われても不思議はない。
それを炙り出す狙いもあったとも考えられる。

『花蓮が本体』――――それが正しいとすれば、どうするべきだろうか?

        ズズズズズズズズズズズ

視線を移せば、美丹の肌に『龍の紋様』が浮かび上がっていく。
彼女が自らのスタンドを発現しているのだ。
二人の会話は佳境に入っており、その内容は恋子の耳にも届いている。

>>540(涙音)

涙音の演技は無事に通った。
即興ながら、なかなかの女優ぶりと言えるだろう。
今なら『舞台』にも立てるかもしれない。

    ワシャ ワシャ ワシャ

            「ウニャンウニャン」

顎を撫でられて、文字通り『猫なで声』を漏らすロダン。

「珍しい猫ですね。
 それは『スフィンクス』ですよ。
 今まで見かけた事はありませんが、近所で飼われているのかもしれません」

「朱鷺宮さん、しばらく相手をしておいてもらえますか?」

猫と戯れる涙音を見た安心院が、そのように頼んでくる。
もちろん涙音にとっては『願ったり叶ったり』だ。
両腕でロダンを抱え上げ、三枝と共に元の位置へ戻る事が出来た。

>>541(龍)

鞄の中を探る指先が筆箱に触れた。
花蓮の前で、それを取り出す。
無論、カッターナイフも入っている。

「さっきも言ったでしょう。
 私が『全てを知っていたかどうか』は別だって。
 つまり、私には『知らない事』があった」

「それを踏まえた上で『手紙を出す相手』について考えてみたら、
 私が『何を知らなかったか』が分かるんじゃないかしら?」

      ズズズズズズズズズズズ

『チーロン』の発現と同時に、その身に『龍の紋様』が現れる。
『同じ側』の人間なら見落とす事は有り得ず、ある程度の反応が想定されるだろう。
『見えない振り』をする場合を除いて。

      「………………………………」

おもむろに目を細めた花蓮は、
『美丹の真意』を計りかねているかのように沈黙を保つ。
まもなく、二人の傍らに恋子が近付いてきた。
彼女も『手紙』を受け取ったようだ。

543奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/23(土) 02:45:25
>>542
「お話し中失礼いたします。
どうも、恋子が来ましたよ」

どこか緊迫した雰囲気の中、手を挙げて存在を伝える。

「お二人のお話はある程度耳に入っておりました。
若園さんから、あの手紙に関わった人物は
彼女と花蓮さんの2人だけであると確認が取れました、『龍』さん。
であるからして……私たちは花蓮さんのことを『スタンド使い』だと確信しております!」

先程似たような事を言って大外れだった事をおくびにも出さず、自信満々に言う。

「そして、あなたが知らなかったのは、
『手紙の渡し方』……でしょうか。
あなたの『スタンド』が引き起こした現象は私も見ました。
手紙を開けた人物が、近くに居合わせた人物へと言い寄る様子を。
『恋文』を出す人物の目的……恋の成就をその能力によって成すためには、
手紙の送り主がその場に居合わせなければいけない。
ですがそうはならなかった。
それは置き手紙によって手紙が渡ってしまったからです。
あるいは……無記名であった事が原因だったのかもしれませんが」

スタンド能力の詳細がわからない今、全ては推測だが。
惚れさせる……というよりは、文章の感情を増幅して伝えるといったものかも知れない。
そして今回、記名がされていなかったため、偶然彼を気遣った三枝へと心が動いた……。
あくまで全ては仮説だ、しかしそれは重要ではない。
スタンド能力がどのようなものであれ、手紙に関わった人物が2名だけである。
そして花蓮はその『残りの1人』だということ、それだけが重要なのだ。

「スタンドの能力がそうとは知らぬものの手に寄って扱われたことが、
今回のようなちぐはぐな事件を起こしてしまったのでしょう……と、恋子は愚考いたします。
ご静聴いただき、ありがとうございました」

544朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/23(土) 20:54:17
>>542
「はーい、
 とりあえずここにいましょうね、猫ちゃん。」
そういいつつ、ロダンを両手で抱えつつ
自分の座席に戻った。

「…ふぅ、我ながら
 心配になる演技だったかも…」
そう言って椅子に座り、ヒザの上にロダンを載せた。

「どうでしょうね?
 その…助けになれたでしょうかねえ…」
ロダンに心配そうに声をかける
三枝の方もたまに確認しつつ
うまく言ったかどうかを聞いているようだ。

545龍美丹『チーロン』:2023/09/24(日) 01:32:54
>>542-543

(言おうとしたことを言われてしまった)

まぁ、黙っておこう。
それらしく笑っている。

546『縁結のM』:2023/09/24(日) 16:36:54
>>543(奈津川)

再び花蓮と対峙する恋子。
しかし、先程とは違い、確かな『裏付け』を得ている。
『恋文』に関わった人間が二人であり、片方は『無実』である以上、
必然的に『もう一人』が『本体』だと考えられるからだ。

「今度はキチンと調べてきたみたいね」

恋子を見つめた花蓮は、感心した口振りで言った。

「『手紙の渡し方』――――それも確かにあった。
 でも、もっと根本的な事よ」

「私は若園さんが『誰に渡すか知らなかった』。
 どういう人なのかくらいは聞いたけど、名前は教えてもらってない。
 私も無理に聞こうとは思わなかったから」

「『結果』については、あとで彼女の口から話してもらうつもりだった」

『若園が恋文を渡す相手を知らなかった』。
突飛なようだが、有り得ない話ではない。
現に『並木道』に関する部分は若園が書き足したものであり、
それ以前の『本文』の中に、特定の人物を指し示す明確な記述はなかった。
嘘をついている可能性もあるとはいえ、若園に確認すれば分かる事だ。
すぐバレる嘘をつく理由はないだろう。

ただ、『渡し方』も『渡す相手』も知らないまま『能力』を使うものだろうか。
三枝を交えた四人で話し合った時、
恋子は『能力の使い方が変だ』と指摘したが、その考えは正しい。
ここに来て、『新たな謎』が急速に浮上する。

しかし、『手掛かり』を集めた今ならば、この『謎』を読み解く事が出来る筈だ。

>>545(龍)

花蓮は『渡し方』も『渡す相手』も知らなかったという。
今まで彼女が嘘をついた事はない。
信憑性はある。

《彼女が全てを行なったと考えるのは『画竜点睛』を欠いた推理だ。
 私は君が『竜』に『瞳』を入れられる事を期待している》

全員で話し合った際、美丹に向けてロダンは言った。
あの時の美丹には、『最後のピースが埋まっていない感覚』があった。
言おうとした言葉は恋子に譲る形になったが、
まだ美丹には『考えるべき事』が残されているようだ。

>>544(涙音)

涙音の方を見つつ、三枝は軽く頷いた。
どうやら、あちらも成功したらしい。
向こう側に目をやると、恋子が自らの推理を語っている。

《ルネの演技力に期待した事は間違いではなかったと言っておこう》

窓の外に残っていた『ストーン・エイジ』を通し、
ロダンが膝の上で言葉を返した。

《ところで――――覚えているかね?
 さっきは言わなかったのだが、
 『すぐ解除しなかった理由』については、『別の可能性』も有り得る。
 それを知る為には、やはり『異なる側面』から見る事が重要なのだよ》

《良ければ少し考えてみたまえ。
 二人と分かれた直後の『サエグサの言葉』がヒントになるだろう》

ロダンは涙音に思索を促す。
一見すると、全てが明らかになったように思えた。
だが、この事件には、他にも『謎』が隠されているのかもしれない。

547龍美丹『チーロン』:2023/09/25(月) 00:56:19
>>546

「誰に渡すか知らなかったのなら」

「誰が誰に渡すのを知っていたのか」

謎は複数の事情という意図の糸が絡まって真実を隠している。
結び目を一つ一つ解いていけば見えてくることはある。

(この場合、この人がスタンド使いかどうかは関係ない)

嘘をついている可能性はあるが、今までのことを考えればそれは除外していい。
それが有効ならあらゆることを考え直さないといけないからだ。

「渡すということを知らなければ、細工はできない」

「ささやかな乙女の事情を知ってる人は?」

548<削除>:<削除>
<削除>

549奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/26(火) 17:55:26
>>546
(むむ、私は『スタンドの本体』が誰だかわかれば良かったのですが……
この分だと『謎』を解かなければ、花蓮さんはスタンド使いであることも簡単には認めなそうです。
私は花蓮さんが誰に渡すかは知っていたと考えていました。
その根拠は、同じ部活の仲間内である事から、相談するのが自然だと思ったからですが……
若園さんの様子を見れば、言っていなくとも不自然ではありません)

「あなたは……あなたも、自身のスタンドが室内で発現した時に驚いたはずです。
手紙を誰に渡すか知らなかったのなら。
しかし、想定外のことが起こりながらことの顛末を静観……スタンドの解除をしなかったのは、
あなたが創作のための刺激に飢えていたからでしょう。
想定外のトラブルも、あなたは創作の為の糧にしようとした。
恋子が今の所思いつくのはこんなところです。
いかがですか」

この考えが正しければ、起こったことの全てに概ね説明はつく。
それ以外に考えるべき事柄があっただろうか……と振り返ってみる。

550朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/09/26(火) 20:41:25
>>546
「ありがとうございます…
 まぁ猫大好きなのは本当ですし」
そう言って軽くロダンを撫でる。

「すぐ解除しなかった理由…他にもあると?」
先程別の可能性がある、という言葉を聞いていたことを思い出した。

「しかし、こちらの観察、泳がせる以外に何があるんでしょうね…
 別の可能性…うーん、邪魔すること…?」
ふと思いつくのはもう一つの理由だ。

「一体何のジャマをするつもりなんでしょうか…」

551『縁結のM』:2023/09/26(火) 21:58:45
>>547(龍)

  クイ…………

花蓮は眼鏡の角度を直し、深く考えるような表情を見せる。

    「私は誰にも話してない」

            「だから――――いない筈よ」

花蓮の返答は簡潔だった。
しかし、これまでのように断定的な口調ではない。
改めて尋ねられると、その点に関しては自信がないのだろう。
安心院の説明(>>339)によれば、
花蓮は『一つの事に集中すると周りが見えなくなる性格』らしい。
最初に『四人が入ってきた事にさえ気付かなかった(>>335)』のだから、
本人も認知しない隙が生じる余地は十分あった。

    美丹の直感が、にわかに現実味を帯びてくる。

>>548(奈津川)

花蓮の言葉に嘘がなければ、彼女は『現場に立ち会う意思』がなかった事になる。
つまり、手紙は『花蓮の知らない場所』で開けられた可能性が非常に高いのだ。
そうなれば混乱が起きるのは必至だし、収拾する事も出来なかったに違いない。
それを望んでいたとしても、実際に観察したがらなかったのは不自然に思えた。
どちらにしても『矛盾』が生まれてしまう。

    「日向神の件で驚いた事、
     インスピレーションに飢えている事、
     想定外のトラブルも糧にしようとしている事」

        「その三つについては認めるわ」

     何か――――何かを見落としているような…………。

    ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

これまでの出来事を回想する中で、恋子の脳裏に浮かんだのは『早川環』だった。
若園が花蓮以外に事情を打ち明けていない事は、既に明らかとなっている。
しかし、花蓮ですら知らなかった『若園の想い人』を、早川は知り得たのだ。

       ――――――それは何故だっただろう?

>>549(涙音)

ロダンの体を撫でると、手の平に『スウェード』のような感触があった。
ほぼ無毛のスフィンクスだが、厳密には極めて短い産毛が生えている。
しかし、体毛が薄い事には変わりないので、体温が直に伝わる独特の触り心地だ。

《そういう意味ではないな。
 『泳がせる事が目的』――――これは間違いなかろう》

《君は『スタンドの本体は我々を泳がせたかった』と考えた。
 その推理は素晴らしい》

    《一方で、こういう考え方も成り立つ。
     『泳がせたかったのは我々だったのか?』とね》

ロダンの補足を聞いて、三枝が考えながら口を開く。

「――――『部員の人達を泳がせたかった』という事でしょうか…………?」

美丹や恋子と分かれる前、三枝は『逆はどうか(>>508)』と言っていた。
そこから思いついたのだろう。
もし三枝の意見が正しいとすれば、どのような理由が考えられるだろうか?

552奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/09/30(土) 22:10:23
>>551
(早川さんが本体だとしたら……と考えると、腑に落ちる点はあります。
朱鷺宮さんが気にしていた『なぜスタンドは解除されたのか?』
その答えは例えば『射程距離』…でしょう。
能力が維持できなくなり、スタンドは解除された……)

と、龍には聞こえるように小声で話す。
そして再び思考する。

(早川さんが若園さんの思い人を知っていた……
確かにそうです、知っていなければ下駄箱を隠すことはできない。
それにあの時(>>386)の反応は、彼女の思い人を知っており、
日向神さんへの恋文を書くはずがないとわかっていたからこその反応だったというわけですか)

(だとすると……早川さんはこの事件以前から若園さんの想い人を知っていた事になりますね。
お二人は仲良しですから。それ自体には特に疑問点は無いと思うのですが……)

(しかしそうなると、想い人ではないと分かっている相手への手紙に対して早川さんが能力を行使した事になりますので……
やはり辻褄が合いません。
花蓮さんがスタンド使い。早川さんは若園さんが手紙を入れた下駄箱を見ていただけ……
ではないのでしょうか? 私はまだ何か見落としている……?
むう、もう一度作戦タイムが必要でしょうか)

553龍美丹『チーロン』:2023/10/01(日) 10:14:21
>>551

「……いない?」

なら、誰がスタンドを仕掛けた。
スタンドを仕掛けた本体が愉快犯ならば、それでスジが通るだろう。
しかしあの能力の挙動を把握していたのなら何らかの意図があるはずだ。

「いないはずは、ないのでは」

「仕掛人は差出人にも脚本家にも気付かれずにその想いを知った」

「でなければ、スジが通らないはず……」

554朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/01(日) 12:35:50
>>551
「あ、触ってみると意外と…サワっとするんですね」
無毛ではなく撫でてみるとわかる感触。
確かに毛が生えているのだという感覚だ。
どうやら結構いい感触らしい。

「泳がせるのが目的…
 なのはまぁたしかですね」
少し反省するように頭を下げる。
だが、ロダンの言葉を聞いて不思議そうな顔をする。

「うーん、泳がせたかったのは元々は違う人だった…
 というのは間違いなさそうですね。
 自分たちへの観察はあくまで『ラッキー』程度か『ついで』くらいなのかも…?」
そこで少し考える。

「部員の人たちを泳がせる、か…
 じゃあこの場合泳がせたいのは誰だったんでしょうね…」
恋文の一件と合わせた場合、若園さんが有力に思えるが…

555龍美丹『チーロン』:2023/10/01(日) 12:52:54
>>552

「(……先輩の言うことは一理あります)」

「(でもボクたちは全てを知っている訳では無いですから)」

「(想い人がいることは知っていても、その相手が誰なのか誤魔化していた可能性もある……かも?)」

556『縁結のM』:2023/10/01(日) 16:59:12
>>552(奈津川)

『解除しなかった理由』は三枝から伝えられたが、
『解除された理由』に関しては、まだ未解明だった。
もし射程距離だとすれば、部室から遠ざかった早川が怪しくなる。
しかし、彼女を本体と考えるのは無理があるだろう。
恋子が推理した通り、『好きでもない相手に出した手紙』に『能力』は使わない。
ごく自然に解釈するなら、この事件と早川は『無関係』だ。

やはり花蓮だろうか?
彼女が本体であれば、混乱が起きる可能性を承知していた筈だ。
それを知っていながら、恋文に『能力』を仕掛けた事になる。
インスピレーションに対する貪欲な姿勢が、
そのような行動に走らせたのかもしれない。
一方で、花蓮は『居合わせるつもりがなかった』と発言した。
『渡す相手』を知らなかったのだから、
そもそも『不可能』だったのだろう。
だが、他人の迷惑すら厭わないほど刺激に飢えた人間が、
自分の目で見ようとしないのか?

そして『代筆した恋文に仕込まなければならない理由』があったのだろうか?
単に能力を使うだけなら、花蓮自身が口にしていたように、
『適当な相手に恋文を出す(>>413)』という方法もある。
本気でインスピレーションが欲しいのであれば、
そうした手を使わない理由はないだろう。
『若園の加筆』を認知していなかった以上、能力を仕込んだ時点では、
全て『花蓮の自筆』だった筈だ。
花蓮が本体なら、それだけで能力を発揮できるのが自然であり、何らの支障もない。

    ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

『スタンドの能力がそうとは知らぬものの手に寄って扱われたことが、
 今回のようなちぐはぐな事件を起こしてしまった』

『ちぐはぐな事件』――――恋子の表現は『言い得て妙』だったのかもしれない。

>>553(龍)

『いない筈はない』という美丹の言葉は、決して間違っていない。
そうでなければ全ての辻褄が合わなくなり、根底から崩壊してしまう。
美丹の推理が正しいなら、『いなければならない』のだ。

「――――『いなければ筋が通らない』」

「…………素直に言うと、私もそう思う」

花蓮は『いない筈だ』という言い方をした。
それは主観であり、『客観的事実』ではない。
彼女が嘘をつかないとしても、『本人に分からない場合』は別だ。

若園にしろ花蓮にしろ、他の誰にも話していないのは確実だろう。
言い変えると、これは二人の間に交わされた『秘密』。
だから、普通は気付かない。

  ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

だが、『早川は知っていた』。
若園と近い間柄だからだ。
これら一連の事実は、直接の関係者でなくとも、
『秘密を知り得る可能性』がある事を示唆している。

>>554(涙音)

恋子と美丹の方を見ると、何やら問題が生じている様子だ。
あるいは、涙音が考えている事も、それと繋がりがあるのかもしれない。
この瞬間、涙音も二人と共に『謎』と向き合っている。

《『誰を泳がせたかったのか』というのは良い着眼点だ。
 まさに『そこ』が重要なのだよ》

《『我々の様子を窺うのは本命ではなかった』と仮定しよう。
 部員の中の『特定の誰か』を泳がせたかったのだと。
 この推理を組み立てる上で、忘れてはならない前提が存在する》

《本体は『詳しい事情を把握していない』という事だ。
 もし知っていたなら、わざわざ突き止めようとは思わない》

そこでロダンは言葉を切る。

《この場合、『いつ能力が仕込まれたか』が要点になるだろう。
 ワカゾノに『恋文』が渡った後なら、『差出人』が彼女である事は分かる筈だ》

涙音の考えを読んだかのように、ロダンが続けて言った。

「あの、若園さんに聞いてみたらどうでしょう?
 受け取った手紙を下駄箱に入れるまで、何処に置いていたかとか…………」

一人と一匹のやり取りを聞いていた三枝が、横から提案してきた。
今、若園は鏡の前に立っている。
舞台に上がった時の立ち方をチェックしているようだ。

557奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/10/01(日) 22:45:20
>>556
「可能性……可能性の話をするのなら、もう一つあります。
花蓮さんが恋文を書いているのを目撃した者がいたとしたら……
その人は普通は花蓮さんが何者かにそれを渡そうと考えていると思うはずです。
花蓮さん、あなたはその手紙をどのようにして書いて、どうやって保管していたのか?
それを教えていただいてもよろしいでしょうか」

あくまで可能性の話だ。証拠はない。
それは、これから確かめる事になるだろう。

「例えばあなたに近しい人……同じ屋根の下に住む肉親なら。
もしかするとその手紙の内容を知る事が出来たのではないですか?」

558龍美丹『チーロン』:2023/10/02(月) 18:35:11
>>556

「……」

(……やはり、この人がスタンド使いの可能性は低そうだな)

今まで出会った人物の中にスタンドの本体がいるのなら、かなり数は絞られてきているはずだ。

「恋文のことを知り得た人物か、恋心を知り得た人物が」

「どちらかが仕掛けた。そう思うのが普通でしょうね」

早川か、あるいは恋文の作成について知っていた人物か。

「……そういえば今朝、なんでしたっけ」

「妹さんが起こしに来て云々……」

「本当はその時、なにかやり取りをしたのでは?」

「普段寝ている貴方が何かを書いていたのだとしたら、なんて……思ってしまいますけど」

559朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/02(月) 19:55:53
>>556
「…詳しい事情を知らない人ですよね、たしかに…
 じゃああの人たちの中で誰が…
 ふーむ。」
もしかしたら今生じている問題と関係があるのだろうか。

「能力が仕込まれたタイミング、とても重要ですね…
 執筆する前からか、あるいは書かれていた手紙に仕込まれたのか…」
そう言って首を傾げる。

「確かに、ちょっと聞いておいたほうが良さそうですね。
 なにか重要なことを知っているかも」
そう思って若園に視線を向ける。

「ふーむ、具体的に何を聞きましょうかね」

560『縁結のM』:2023/10/03(火) 13:34:36
>>557(奈津川)
>>558(龍)

恋子と美丹の脳裏に、同時に浮かんだ一つの考え。
それは可能性だ。
だが、『試す価値のある可能性』だろう。

        ピク…………

二人の口から語られた言葉に、花蓮の眉が僅かに動く。

「…………あなた達が言いたい事は分かったわ」

『同じ学校』に通っていて、『同じ部活』に所属していて、
『同じ屋根の下』で寝食を共にしている。
故意か否かに関わらず、手紙の内容を目にする機会があったとしても不思議はない。
『家族』であれば。

「一週間かけて文面を練ってから、自分の部屋で書き上げたのが昨日の深夜。
 完成させた手紙は裏向きで机の上に置いて、
 その上から『タンポポのペーパーウェイト』を乗せておいた」

「…………『上手くいくように』っていう『おまじない』よ」

あまり言いたくなかったらしく、花蓮が目線を逸らす。

「今日の朝、学校に行く前にクリアファイルに挟んで、鞄の中に入れて持ってきたの」

         ス ッ

一通り話し終えた花蓮は眼鏡を外した。
当然と言うべきか、その顔立ちは瑞月に似ている。
何とも言い難い表情を浮かべながら、彼女は続けて言う。

「私の記憶してる限りでは、やり取りと呼べる程のものはないけど…………。
 でも、書く時は集中していたから、それ以外の事は注意しなかった」

やはり花蓮には隙があった。
彼女自身が気付いていない間に、恋文について知る事は可能だっただろう。
そして、『それが出来る人間』は多くない。

>>559(涙音)

若園は、何度か安心院に視線を向けている。
彼の様子が気になるらしいが、その理由は既に明確だろう。
しかし、これは事件とは関係なさそうだ。

「えっと、そうですね…………。
 『仕掛けるチャンスがあったかどうか』を知りたい訳ですから――――」

「代筆してもらった手紙を、いつ受け取ったのか。
 それを日向神先輩の下駄箱に入れるまでの間、どこに置いていたのか。
 参考程度ですけれど、多分この辺りがいいんじゃないでしょうか?」

「『猫の相手をする人』が必要ですから、千草は留守番していますね」

         ――――――ソッ

千草はロダンを抱え上げ、自分の膝の上に乗せた。
涙音の代わりに、迷い込んだ猫と遊んでいるように装うようだ。
つまり、ここからは一人で動く事になる。

561朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/05(木) 22:45:56
>>560
「仕掛けるチャンスがあったか…
 それについてなにか分かればいいんですね。
 えっと、了解です。それらのことを聞いてみます。」
そう言って千草に対してロダンを預けると、
視線を若園の方に向けてから、一つ声をかける。

「すいません。今回のことで気になったことがあるので
 ちょっと聞きたいことがあるんですが…」
そう言って若園に質問を始める。

「代筆の手紙についてなんですが…
 その手紙をいつ受け取ったかわかりますか?
 あとは下駄箱を入れるまで、目を話した時があったりしますかね。
 …どこかにおいて放置してたとか。」

「あとは…手紙を受け取ってから
誰か近くに居たりしなかったかとか…ですかね。」
自分で思いつく質問はこのくらいだろう。
だがそれが役に立つかどうかはわからない。

562龍美丹『チーロン』:2023/10/06(金) 02:11:17
>>560

「こうなっている以上、妹さんを完全にシロとするのは難しいです」

「場合によっては貴方にも協力してもらった方がいいかもしれませんが」

紐の結び目を解くためには、それが必要になるかもしれない

563奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/10/07(土) 07:18:23
>>560
「タンポポのペーパーウェイト、とても良いと思います。
恋子も欲しいです」

的外れな返答をした後、ぐるりと演劇部を見渡す。
瑞月の姿を探すためだ。

「ではでは、お話を聴きに行きましょうか。
ずいぶんと回り道をしてしまいましたが、それが人生ですから」

龍の提案に花蓮が乗ってついてきてくれるなら特に止めはしない。

564『縁結のM』:2023/10/07(土) 15:30:14
>>561(涙音)

鏡の前に立っていた若園が、涙音の方を振り返り、考えながら口を開く。

「ええと――――お昼に受け取って…………その後は机の中に入れてた」

「…………何となく不安だったから、ずっと机の近くにいたけど」

「近くには誰もいなかったよ。
 こっそり渡してもらう為に確認したから…………」

若園の話を聞く限りでは、手紙に細工を施すタイミングはなさそうだ。
その前の時点から仕込まれていた可能性が高い。
つまり、『まだ花蓮が持っていた段階』という事になる。

恋文の事は若園と花蓮しか知らない『秘密』だ。
花蓮が本体なら一応の筋は通るだろう。
事実、さっきまでの涙音も同じように推理していた。
しかし、花蓮は自分の書いた脚本に『こだわり』を持っているらしい。
そんな彼女が、『自作の恋文』に対して、
『スタンド能力』という『余計な脚色』を加えるというのは、
今ひとつ性格に合わないように思える。

『能力を仕掛ける事の出来た人間』について考えると、
『もう一つの可能性』が思い浮かぶ。

  ……………… ……………… ……………… ……………… ………………

ふと鏡に目をやると、美丹と恋子の姿が映っている。
彼女達は瑞月の所に向かうようだ。
花蓮は特に追うでもなく、その背中を眺めていた。

>>562(龍)

美丹は誰よりも早く瑞月に疑いを抱いていた。
その段階では根拠が不足していた為、深い追及には至らなかったが、今は違う。
複数の事情という意図の糸が絡まって真実を隠していたのなら、
彼女も結び目の一部なのかもしれない。

「私は『舞台』に上がるつもりはないわ」

      ――――――スチャ

「頼成花蓮は『役者』になるより『観客』でいたいのよ」

レンズを拭いて眼鏡を掛け直し、花蓮は申し出を断った。
妹を気にしていない訳ではない筈だ。
だが、この舞台の『主役』である美丹達を『観る』事に集中したいのだろう。

「まぁ、あなた達が私を利用するのは勝手だけど」

そのように付け加え、彼女は話を終える。

>>563(奈津川)

隣の美丹も恋子と同じ結論に至ったようだ。
目的は明確。
ならば、実際に行動するのみだ。

「――――『英国製』よ」

自分の趣味を褒められて悪い気はしないのか、花蓮は口元を緩めた。

「回り道したからこそ『得るもの』は多くなる」

「あなた達のお陰で、私も色々と参考になったわ」

瑞月はドアの近くに佇んでいた。
彼女を探していた恋子と瑞月の視線が、空中で接触する。
そして、ほんの少しの間が空く。

       ニコリ

まもなく愛想のいい笑顔が向けられた。

565朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/09(月) 20:52:55
>>564
「…つまり、誰も触ったわけではないか…
 じゃあ、元々の手紙に最初から…
 考えられるとしたら花蓮さんがスタンド使い…いや」
普通に考えれば花蓮が仕込んだと考えられる。
しかし彼女はこだわりを持っている。わざわざ余計な能力を付け加えたりなんかするだろうか。

「花蓮さんはそれを渡した時になにか変だったりはしましたかね…?」
もう一つ質問をしてみた。彼女に何かしら影響が出てないか
それは少し気になる。

(…もし、花蓮さんとは別の誰かがいるとしたら…
 よく似た人がもうひとりいる…)
じっと鏡を見つめながら考える。
花蓮さんとそっくりな彼女なら可能かもしれない。

566龍美丹『チーロン』:2023/10/10(火) 01:18:54
>>564

「うーんダメかぁ」

「既に台本のある劇ではなく混沌としたエチュードになってると思いましたけど」

さて、行くべきは瑞月の所だ。

「お話、よろしいかな?」

詰めていこう、ひとつずつ。

567奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/10/11(水) 21:54:01
>>564
「回り道……恋子も嫌いではありません。
平坦でも一直線でもありませんから、人生は。
ぐるりと回って、最後は目的地につければ良いと思います。
瑞月さん、やっとあなたのところまで来れました」

朱鷺宮へ手を振って呼び、できるなら3人一緒に瑞月と相対する。
龍の言葉に続いて話しかける。

「要件はおわかりでしょうか。
先程は見当はずれの話をしてしまいましたが、
今度は、多少は実のある……蔓も花もある話ができると思います」

568『縁結のM』:2023/10/12(木) 14:09:00
>>565(涙音)

『鏡写し』のように似通った姿をした何者か。
すなわち『花蓮の身内』なら、恋文の事を知る機会も、
手紙に能力を仕込むチャンスもあっただろう。
もし『花蓮ではない』とすれば、『該当する人間』は一人しかいない。

「ううん、特には…………。
 なんだか眠そうにしてたくらいで…………」

「…………遅くまで書いてくれていたんだと思う」

話を聞く限り、花蓮に変わった所はなかったようだ。
『書いた本人だから効かない』のかもしれない。
その辺りは定かではないが、質問した事は一つの裏付けに成り得る。

涙音はロダンや三枝と共に、
『本当に泳がせたかったのは部員ではないか』という話をした。
だから、敢えて能力を解除しなかったのではないかと。
おそらく『花蓮の書いた恋文の変遷』を知る事が目的だろう。
しかし、今は『解除されている』。
この事から、どういった推測が成り立つだろうか?

それが分かれば、美丹や恋子に、解決の『ヒント』を与えられそうだ。

     ……………… ……………… ………………

鏡越しに、恋子が手を振って呼んでいるのが見えた。

>>566(龍)

花蓮が『利用するのは自由』だと言ったのは、
あるいは彼女なりの協力の形なのかもしれない。

「あなた達が『混沌』を『昇華』してくれる『大団円』を期待しているのよ」

花蓮に見送られ、瑞月と向き合う。
人の良さそうな表情には、姉とは違って気難しそうな雰囲気はない。
『だからこそ読めない』という部分もある。

「はいっ!
 私に分かる事なら、お手伝いしますよ。
 その代わり、『演劇部に入部する件』を考えておいて下さいね?」

「あははっ、冗談です!
 でも、先輩が入ってくれたら、きっとお姉ちゃんも喜ぶと思いますから」

『最初の一手』に対しては、そのように返された。
後ろ暗さは微塵も感じさせない。
仮に一足飛びで瑞月に当たっていたとしたら、ここで話は終わっていただろう。

>>567(奈津川)

涙音に呼び掛けて瑞月と向き合い、恋子は『口火』を切る。

「『さっきの話』っていうと、
 私が『お姉ちゃんに頼んで手紙を代筆してもらった』っていう事ですか?
 あはっ!ビックリしちゃいましたけど、でも気にしてませんよ」

恋子達は、ここまで来た。
今だからこそ『確信』が持てる。
『容疑者』が絞り込まれた以上、残る問題は『どう追及するか』だ。
正攻法だけで口を割ればいいが、『頼成瑞月』は花蓮の妹。
一筋縄ではいかない可能性は大いに有り得るだろう。

「――――それで、今度はどんなお話なんでしょう?」

目に見える態度が友好的な分だけ、むしろ『花蓮よりも手強い』かもしれない。

569龍美丹『チーロン』:2023/10/14(土) 22:41:41
>>568

(……もしこの子が犯人だとしても悪気からじゃなさそうだ)

「今朝のこと、やっぱり気になってね」

「お姉さんを起こしに来て、なにか見た?」

「大丈夫、あの人も何を言われても構わないってそんな気持ちになってるから」

いきなり踏み込むかどうか、そこはひとつの悩みどころだ。
この場合は分かってやっているか無自覚でやってしまったかで踏み込みの深さは変わるだろう。
……これも、あくまで彼女が犯人ならの話だが。

570朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/15(日) 19:18:43
>>568
「そうですか…
 そこまで時間がかかってたんでしょうかね。」
彼女の言葉を聞く限りでは花蓮には特におかしなところはないらしい。

(部員を泳がせたかったとなると…
 考えられるのは若園さんか…
 犯人からすれば自分たちの存在はラッキーな存在なのかも…)
結論を出すには早いが
しかしそれでも重要な情報は得られたかもしれない。

(瑞月さんなら知る機会はあるだろうし
 或いは花蓮さんのフリもできる…?)

(解除されたタイミングは日向神さんの
 気持ちがわかった時あたり…?)
色々と考えるがすぐに答えは出ないだろう。

「おや…?」
ふと恋子が自分を呼んでいる様子が見えた。

「すいません。
 お話しいただきありがとうございました。」
若園に礼を言うと
恋子の方に視線を向けて歩いていく。

571奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/10/16(月) 15:22:13
>>568
(もし瑞月さんが『スタンド使い』だとしたなら、
『スタンド』を仕込んだのは善意からだとしても……
姉以外の人間が自身のスタンド能力に巻き込まれたなら『解除』はするはず。
そうしなかったのは『悪意』からか、或いは『スタンド』を解除出来ない理由があった。
そのどちらかしかありません)

(そして、瑞月さんが何を考えているのかは分かりませんが、
少なくともあの手紙を見てしらばっくれた事から、自身と手紙の関与を隠したがっている事は明白。
つまり、こうなります。
彼女は『スタンド』を仕込んだ事自体を隠したがっている。
そして『スタンド』の解除も行わなかった。
その理由は……悪意としか、恋子には考えられません。今は)

喋るのは一旦龍に任せて、瑞月の手元を確認した。

572『縁結のM』:2023/10/17(火) 15:30:32
>>569(龍)

『故意』か『過失』か。
それらの間には大きな違いがある。
言わずもがな追及にも関わってくる部分だ。

  「何か…………ですか?」

    「えっと、はい――――実は…………」

少し声のトーンを落とし、瑞月は先を続ける。

「机の上に『便箋』が伏せてあったんです。
 お姉ちゃんが疑われるのが嫌だったから、今まで黙ってたんですけど…………」

「でも、お姉ちゃんは違いますよ。
 タイミング的には近いですけど、たまたまあっただけで…………」

「だって、人に迷惑を掛けるような事はしませんから」

『見た事』は認めている。
しかし、『内容までは把握していない』。
そういう主張だった。
仮に瑞月が文面にも目を通したとすれば、
それは若園による『加筆』が行われる前だ。
そうだとしたら、『加筆後の手紙』を知った時、彼女は疑問を抱いただろう。

>>570(涙音)

瑞月が花蓮に成り済ましたというのは面白い発想と呼べるだろう。
当たっているかどうかとは別の話だが、瑞月が疑わしいのは間違いない。
ここから『どうやって切り込んでいくか』が大事だ。

         ソッ…………

「あの、朱鷺宮先輩に『伝言』を持ってきました」

瑞月の方に行く直前、後ろから三枝が近寄り、小さく声を掛ける。

「――――我々は『解除せずに様子を見る』という行為を、
 『恋文に纏わる事情を把握する事が目的だった』と仮定した。
 どんな時に『それを止める』のか考えてみたまえ。
 そう難しい謎ではない」

三枝は『ロダンの真似』をして、
そのように言葉を紡ぎ出した後、軽く一礼する。
最初に聞いていた通り、『舞台俳優』の家柄だけあって、
なかなか出来のいい芝居だった。
もし演劇部に入ったとしても通用しそうだ。

       スタ スタ スタ

     そして――――涙音は二人と『合流』した。

>>571(奈津川)

彼女が『本体』であるなら、瑞月の思惑には『悪意』があったのか。
その真偽は定かではないとはいえ、
『自分から何もかも打ち明ける』というような雰囲気ではない。
やはり『口を割らせる』しかないだろう。

        ――――――ジッ

瑞月の両手は開かれており、何も手にしていなかった。
武器を隠し持っているとか、証拠になる品を密かに握り込んでいたりはしない。
不自然な汚れが付いているような事もないようだ。

      ……………… ……………… ………………

思考を巡らせる恋子の脳裏を、『事件の始まり』が過ぎる。
恋文に仕掛けられた能力が発動した直後(>>360)、若園は青い顔をしていた。
そんな彼女を花蓮が気遣うように一瞥し、
瑞月は日向神と三枝を気にしつつ、姉の顔を横目で追っていた筈だ。
一見すると、さほど奇妙ではない光景。
今ならば、これらの『意味』も分かりそうな気がする。

573龍美丹『チーロン』:2023/10/17(火) 20:37:13
>>572

「大丈夫、ほんの少しの会話だけれど」

「お姉さんのことがわかってきましたよ」

「悪い人じゃなさそうだ」

とはいえ、この問題のきっかけのひとつではあるのだろうが。

「……」

恋文の内容は見てない。
そういう雰囲気だが……

「便箋の中は見ました?」

単刀直入だった。

574朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/17(火) 23:31:26
>>572
「とりあえず…話をしてきますね。
 それと、犯人の目的はおそらく
 私達ではなく、それが主だったものだったかも、ということも」
そう言って三枝に対してお礼を言った。


(恋文にまつわる事象の把握が目的…
 それを止めた理由は普通に考えれば一つ。
 『目的を達した』というのが一番有力ね…)

二人に合流したら、これまでロダン、三枝と考察し
目的の予想を告げる予定である。

575奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/10/23(月) 00:44:04
>>572
「なら、あなたはどうなんでしょうか、瑞月さん。
花蓮さんが違うなら、あなたが何かをしていた。
手紙への『仕掛け』……その実在に肯定的な発言に思えます。今のセリフは」

いつの間にか取り出して操作していたスマホから顔を上げて、
二人の会話へと割って入る。

「便箋は伏せられていた。
でも、それを見たあなたは、それが『恋文』だと思ったんじゃあないでしょうか。
なんらかの理由で……そして仕掛けをした」

(しかし、これはただの『推論』……証拠はありません。
彼女が『スタンド使い』である『証拠』。
それを探すのは、非常に難しそうです。せめて、彼女の目的を正しく指摘すべきでしょうか……)

576『縁結のM』:2023/10/23(月) 15:42:07
>>573(龍)

これまで恋子が担ってきた『小細工なしの直球』を、今回は美丹が引き受ける。

「いいえ、見てませんよ?」

投げ掛けた質問には、速やかな『否定』の言葉が返ってきた。
考え込んでいるような間が空く事もない。
しかし、妙に『答えるのが早い』気もする。
花蓮と話していた時にも、美丹は似たような感覚を覚えた。
姉妹だけあって、やはり『近い部分』を持っているようだ。

    「『証明』は出来ないですけど…………」

        「…………あはは」

『先』を見越したのか、瑞月は苦笑しながら付け加えた。
いつ見たかに関わらず、彼女が文面を知った可能性は高いと言える。
ただ、『確実に見た』と断言する為には、現時点では『論拠』が足りない。
一方で、『見ていない』という発言が『嘘』だとすれば、
それを『利用』する事も出来るだろう。
少しばかり慎重に喋る必要があるかもしれない。

>>574(涙音)

「朱鷺宮先輩、『助け』が必要な時は合図を下さいね」

           トッ トッ トッ ………………

涙音と別れた三枝は、再びロダンの所に戻っていった。
『目的を達したから』というのは、おそらく事実と符合する推理だろう。
つまり、手紙に能力を仕込んだ『犯人』は、既に『事情を掴んでいる』のだ。

             ・・・・・・・・
だが、無関係を装う為に、『何も知らない振り』をする可能性が高い。
現状だと『決定的な根拠』には乏しいが、
上手く『ボロ』を出させる事で、それが『証拠』に繋がる。
ただし、よく考えて喋らなければ、『追及の材料』を一つ失ってしまう。

美丹は瑞月と言葉を交わしている最中なので、今すぐ教えるのは難しいが、
『様子見』をしているらしい恋子なら、他の部員に気付かれる事なく話が出来る。

      ――――――ソッ

さりげなく彼女に近付き、無事に伝える事が出来た。

>>575(奈津川)

会話に割り込もうとした直前、『涙音の推理』が本人の口から伝えられた。
彼女によると、『犯人が能力を解除しなかった理由』は、
部員を泳がせて『恋文に纏わる事情』を把握する狙いがあったらしい。
『今は解除されている』という事は、
『既に目的を達した可能性が高い』と考えられる。

「…………あの『ラブレター』と似てるようには見えましたけど、
 でも私は中身を知らなかったので。
 お姉ちゃんの机にあったのが、それと同じ物かどうかは分かりません」

『恋文の内容を知っていたかもしれない件』について、瑞月は『否認』している。
しかし、それが『真実』かというと話は別だ。
姉は『嘘』をつかなかったが、妹は違わないという保証はない。

「『証拠』はないですから、私が『見てない』って言っても、
 信じてもらえないかもしれませんけど…………」

瑞月が恋文を見ていないという『確たる証拠』は現状ない。
実際には知っており、その上で『仕掛け』を施したなら、あらゆる面において、
瑞月が『最も都合のいい立場』にいるのは覆しようのない『事実』だ。
だが、『見たという証拠』もない以上、
シラを切り通されたら『疑惑』のままで終わってしまう。

「その――――『仕掛け』って一体どういう事なんです?」

恋子の台詞を反芻し、瑞月が首を傾げる。
確実に彼女を『崩す』為には、注意深く『言葉』を選ぶ必要があるだろう。
使えそうな『武器』を、恋子達は手に入れている筈だ。

577龍美丹『チーロン』:2023/10/26(木) 21:26:49
>>576

「結構びっくりしたよ」

種をまく。
内容を知らないのが事実なら、それで釣る。
内容を知らないふりをしているのなら、そこを釣る。
そうする他ないが。

「……」

とはいえ、奈津川が話しているのも見つつ考えよう。

578朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/10/29(日) 19:33:55
>>576
「助け…その時はお願いします。」
そう言って三枝に答えた。

「…と、こういう感じです。恋子さん。
 あくまで私の予測ではありますが…」
そう言って瑞月さんの方をちらっと見る。

「とりあえず瑞月さんがあやしい…
 という感じですかね。」
瑞月との会話を注意深く確認する
なにか有力な情報でも手に入るだろうか

579奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/01(水) 00:12:28
>>576
「『目的を達成した』から『解除した』……」

(『瑞月』さんが『スタンド使い』だと仮定して考える……。
彼女が見ていたのは日向神さんと三枝さん、そして花蓮さんです。
前提条件として、彼女は『誰に手紙を渡すのか知らなかった』。
そして『送り先が間違っているのも知らなかった』。
その点と『スタンド使い』……『仕掛け』を行った人物であるなら、彼女の考えは想像がつきます)

「『スタンド』を仕掛けた人物が『スタンド影響下』『ではない』人を見ているわけですから……
その人の……つまり花蓮さんの『反応』が見たかった。
それが『目的』ということでしょう。
『理由』は、推測することしかできませんが」

小声で『朱鷺宮』へと返す。
そして、瑞月へと向き直り、話し出す。

「『仕掛け』……日向神さんのあの異常な行動は、
きっと彼の本意ではなかった。
人間の心を操る、卑劣な『仕掛け』です。
恋子は、そういうことをする人が嫌いですから……。
その『犯人』を、調べているというわけです」

あえて断定口調で、過激な言葉で話す。
まずは彼女のプライドに訴える方向だ。とにかく何か言葉を引き出したい。

580『縁結のM』:2023/11/01(水) 16:46:27
>>577(龍)

瑞月は恋子とのやり取りに集中している様子で、美丹からは意識が逸れている。
そのタイミングで、涙音が『推理』を伝えてきた。
『犯人』が瑞月だとすれば、彼女は敢えて能力を解除しない事で、
『隠された背景』を浮き彫りにしようとしていたらしい。
今は解除されている点を踏まえると、『目的を遂げた』という推測が成り立つ。
おそらく瑞月は、既に事情を把握しているのだろう。

より正確に言うなら、『把握していると思っている』。
どこかに『彼女が知り得ない情報』があるのではないだろうか?
それが見つかれば確実に『釣れる』。

      ………………『便箋』は誰が持っていた?

>>578(涙音)

瑞月が恋子と話し始めた隙に、
『最初にやろうとしていた事(>>574)』を実行に移す。
三枝やロダンと共に考察した内容を、上手く美丹に伝える事が出来た。
『恋文に纏わる事情』を把握したからこそ、能力は解除されたのだと。

だが、瑞月が『犯人』だと仮定して、『彼女の出した結論』が、
必ずしも『事実と一致している』とは限らないだろう。
もしかすると、どこかに『思い違い』があるかもしれない。
それを見つける事が出来れば、瑞月を『崩せる』。

『ロダン』なら分かるだろうか?
いざとなれば、彼に『助言』を貰うというのも一つの手だろう。
しかし、自分達の力で解決する事を目指すなら、
その意思は尊重されるべきだと『知恵の獣』も言うだろう。

>>579(奈津川)

瑞月が『手紙の内容』を知っていたのなら、
『手掛かり』を握っているのは『書いた本人』である花蓮しかない。
だからこそ、ずっと花蓮に気を配っていた。
そう考えるのは、論理的に正しい見解と言える。

「それって…………やっぱり『演劇部』と関係あるんでしょうか…………?」

         ――――――チラ

「そんな事をする人が『ここ』にいるなんて思えないんですけど…………」

断固とした恋子の言葉に対し、瑞月は上目遣いで緩やかな否定を口にする。
その姿は『自己保身』というよりは、
どちらかというと『演劇部』を気にしているように見えた。
思い返せば、美丹と恋子を連れてきたのは瑞月だ。

「…………『大体の文面』は日向神先輩から聞きました。
 あれに何か『仕掛け』があったって考えてるんですよね?」

ある程度の事は日向神が喋ったようだ。
特に口止めもしていなかったし、彼の性格を含めると仕方のない事かもしれない。
だが、『一言一句違わず』ではないだろう。

581奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/06(月) 22:35:41
>>580
「貴重な意見です、参考にさせていただきます。
しかし、実際に事は起こってしまったわけですから……。
あの『恋文』に関係のある人間が非常に怪しいですし、その関係者は『演劇部内』にしかおりません。
もしかすると、あなたの『お姉さん』が『犯人』なのかも……とも考えております。
私は失礼ながら中身を拝見しましたが、
見事な恋文でした。まるで演劇の『台本』かと思うような……。
あれによって、日向神さんの心を操ったのやもしれません」

『犯人』という部分を強調して話す。

(ムムム……私が瑞月さんについてわかるのは、花蓮さんを殊更に気にしているという事だけです。
彼女が恋文を盗み見ていないのなら、
『縦書き』である事は知らないはず。
その辺りのミスマッチから秘密の暴露があれば……と思いますが、難しいですね……)

そして瑞月の顔から目を離さない。

582朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/07(火) 19:37:53
>>580
「…ふーむ、ある程度参考になったのであれば幸いですが…」
恋子に物事を伝えることに成功した。しかしまだ完全とは言えないかもしれない。


(うーん、後は花蓮さんの反応を見た理由も解れば…
 と言ってもまずは、彼女が仕込んだという証拠を引き出せれば)
彼女の発した言葉に何処か妙なところがなかっただろうかと考える。
ロダンに相談するにしても、そこがわからないことには、と思った。

583龍美丹『チーロン』:2023/11/07(火) 22:55:16
>>580

「まさかあれが代筆だったなんて」

「お姉さんの技術には舌を巻いたよ」

きっと、これは知らないことだ。

「若園さんが頼んだ秘密のお手紙」

「そんな代物だったなんて」

584『縁結のM』:2023/11/08(水) 15:40:29
>>581(奈津川)

『恋文』は『縦書き』だった。
普通なら『横書き』を想像するのが自然であり、大きな追及材料だろう。
見落とさなかったのは恋子の慧眼だ。

「………………えっと」

          チラ

『台本』という部分で、瑞月が僅かに目線を逸らす。
明らかに反応がある。
瑞月の顔に注意していた恋子には、その事が理解できた。
姉を『最有力容疑者』ではないかと疑う素振りも、
極めて効果的な『揺さぶり』として機能したようだ。
もう『一押し』あれば、おそらくは『崩せる』。

「その…………『お姉ちゃんなら書けるかも』っていうのは確かに分かります。
 でも、それだけの理由じゃ信じられません」

      「だって――――『証拠がない』ですから!」

           「ね?そうですよね?」

言葉とは裏腹に、瑞月の表情には『焦り』が窺えた。
そこから彼女の考えが推測できる。
彼女は『花蓮を犯人と断定するに足る証拠がある』と思っているのだ。
しかし、それを指摘されてしまうと『非常に不味い』。
だから必死で否定しようとしているのだろう。

>>582(涙音)

『瑞月が仕込んだという証拠』は必要ないかもしれない。
何故なら、姉である花蓮を『犯人』にしてしまえば、
瑞月は庇わざるを得なくなるからだ。
つまり、『瑞月を犯人とする証拠』ではなく、
『花蓮を犯人とする証拠』を示せばいいだろう。

「その…………『お姉ちゃんなら書けるかも』っていうのは確かに分かります。
 でも、それだけの理由じゃ信じられません」

      「だって――――『証拠がない』ですから!」

           「ね?そうですよね?」

瑞月は『花蓮犯人説』の『証拠がない事』を念押ししてくる。
だが、果たしてそうだろうか。
本当は『証拠がある』のではないか?

>>583(龍)

花蓮と若園の間に交わされていた取り決めは『秘密』であり、
本人達の他に知る人間はいない。
美丹ら三人と三枝を除いて。
その前提を踏まえれば、初めて聞かされる者は少なからず驚く筈だ。

「――――あっ!
 じゃあ『若園先輩の可能性』だってありますよね?
 こんな事は言いたくないんですけど…………」

    「でも、最後に持ってたのは若園先輩なんですから!」

『代筆』が行われた事に関して、瑞月は驚いていないようだった。
『秘密を知らない人間』であれば、もっと大きく反応するのが自然だ。
それが見られないという事は、瑞月は『知っていた』のだろう。
元から知っていたのではなく、花蓮が若園を気に掛ける様子を観察していて、
何となく察したのかもしれない。
しかし、本来なら『知らない振り』を装っていた筈だ。
そうしておかなければ不自然になる。
恋子に揺さぶられた瑞月は、美丹の出した『助け舟』に飛びついてしまったのだ。

585『縁結のM』:2023/11/08(水) 15:42:15
>>(ALL)

花蓮は『あなた達が私を利用するのは勝手』と言った。
この言葉は『花蓮を犯人扱いしても構わない』という意味だろう。
『説得力』を持たせる為には、もちろん相応の『証拠』がいる。

    「フミャアァ〜〜〜〜オ」

             トッ トッ トッ

ふと、三人の下にロダンが近付いてきた。
彼は恋子の方へ向かっていく。
『全員』に何かを伝えようとしているのかもしれない。

     ――――――スッ

ロダンは『恋子の足元』に座る。
そうする事で、さりげなく『助言』を与えているのだろう。
この事件には『三つの証拠品(>>490)』があった。
そして、現在それらを保有しているのは『恋子』だ。
『証拠品』を照合した三人は、
『恋文』に『二種類の筆跡』が混在している事を突き止めた。

   ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

だが、『日向神は気付いていない』。
『全文』が『同じ筆跡』だと思っている。
瑞月が『恋文』を目にするチャンスがあったのは『加筆される前』であり、
若園による『加筆後』を見ていない以上、
『筆跡の違い』を判断する事は『不可能』だ。

586龍美丹『チーロン』:2023/11/09(木) 21:31:03
>>584-585

「……案外、すんなり受け入れるね」

「あれがどんな文書だったのかも、知らないと思ってたのに」

「……本当に文書の内容を知らなかったのかな?」

明らかに、釣られた。

「ん」

その辺でロダンに視線が移った。

「んー?」

587朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/09(木) 22:51:13
>>584-585
「まぁ確かに…
 今のところは、書ける『かも』ですからね。」
彼女の言い分を見て頷く。
しかし瑞月の様子はどこか焦っているように見える。
そして若園の一件をすんなり受け入れたのも気になった。

(証拠はないけど…あの様子は明らかになにかある。
 何か隠したいことがあるかもしれないわね。
 それに二人の意見で結論を急ごうとして…
 やるべきことは、『書いた』という証拠ね…)
だが、今の状況でなにかそんな証拠があるだろうか。
そう思っていると。

>「フミャアァ〜〜〜〜オ」

ふと、ロダンの鳴き声を聞いて顔をそちらに向けた。
「おや?猫ちゃん。何か気になることでもあるのかな?」
怪しまれないように答えると、恋子に近寄ったのに気づいた。

(そういえば恋子さんは
 何かしらの『証拠品』を持っていたような?)
「…奈津川さん、ロダンは恋子さんの持つものになにか…
 興味があるのでは?」
小声で恋子に対して気になることを告げた。

588奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/13(月) 23:03:56
>>584-585
「いえいえ、この手紙が花蓮さんによって書かれたものだという証拠ならあります。
……というか、私が現物を持っている以上、
花蓮さんが書いたと断定することはそう難しい事ではないと思いませんか?
これは、花蓮さんが書いた台本の切れ端です」

そういって花蓮が投げ捨てた『ノートの一部』を瑞月に渡す。
瑞月がそれに目を通しているうちに、
さり気なく手紙を半分に折って追記の部分を隠し、それ以外の部分を見せる。

「そして、こちらが件の手紙になります。
全て読まずとも……明らかに文体が一致している事がわかりませんか?
やはり、これを書いたのは花蓮さんです。
それについては……疑う余地はありません」

いそいそと手紙を仕舞ってしまう。

「つまり仕込みができたのも花蓮さんだけと言うことになりますね」

明らかな嘘ではあるが、そのようにいっておく。

589『縁結のM』:2023/11/14(火) 17:19:33
>>586-588(ALL)

美丹が『代筆』の話を出した時、瑞月は『すんなり受け入れた』。
『花蓮は書いていない』と断言したにも関わらず、
無意識に『花蓮が書いた事実』を認めたのだ。
このような『矛盾した発言』をしてしまった背景には、
追い詰められた事による内心の焦りが影響を与えていたのかもしれない――――。

そして、涙音は恋子に囁きかける。
『ロダンの考え』を悟る事が出来たのは、この『小さな事件』において、
彼と最も長く語らったせいもあるだろう。
必要なのは『花蓮だけが恋文に直接関与した』という物証だ。
それは恋子が握っていた。
『上手い使い方』をすれば『瑞月を崩せる』――――。

       「――――!!」

恋子が突き出した『恋文』を前にして、瑞月がたじろいだ。

  「…………いえ、それは」

         「その、なんていうか…………」

瑞月は考えるような素振りを見せるが、明らかに『時間稼ぎ』だと分かる。
適切な反論が思い浮かばないようだ。
やがて彼女は目を伏せ、それから三人を見返した。

「………………『部室の外』で話せませんか?」

         ――――――ガチャ

そう言うと、瑞月はドアを開けて外に出ていく。
彼女は『ドアの近く(>>564)』に立っていた。
だから、出るのも時間は掛からない。

《君達の為に『私の能力』を奮う時間が近付いてきたようだ》

《この場合、少なくとも逃げられる事はなかろうが、追うべきではあるだろう》

その直後、ロダンの『声』が三人の耳に届いた。

590奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/14(火) 22:29:00
>>589
「ええ、勿論ですとも」

(数的有利が、もしかするとよく働いたかもしれませんね。
お陰で彼女の動揺を誘うことができた)

大人しく部室の外へとついていく。
外へ出たら瑞月が話し始めるまでは黙っている。

591龍美丹『チーロン』:2023/11/15(水) 00:49:26
>>589

「そうしようか」

その言葉に従う。
外に出よう

592朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/15(水) 16:16:20
>>589
(なるほど…そういう流れでやるのね…)
あえて花蓮さんを疑う様子を見せて
瑞月さんに行動を起こさせようとしていると感じた。
本人に疑いを持っても黙秘する可能性があるだろうから…

「なにかお話があるんですね?
 わかりました。じゃあ私も。」
涙音は立ち上がると部室の外に出ていく。
いざとなれば自分のスタンドで逃げるのは阻止できるだろうという考えもある。

「ロダンさん、困った時はお願いしますね。」
密かにロダンに対しても告げる。

593『縁結のM』:2023/11/15(水) 21:45:44
>>590-592(ALL)

まず恋子が、その後に続いて美丹と涙音が外に出る。

   その直後――――――

         「『クローバー』」

                   シ ュ ル ッ

恋子のポケットから、細やかな動作で『恋文』が抜き取られた。
それを行ったのは瑞月ではない。
瑞月の傍らに立つ『人型スタンド』だ。
ドアの陰の死角を利用し、
恋子が出てくる前に『スタンド』を発現して待ち構えていたのだろう。
甘い香りと共に一夜の間だけ大きな花を咲かせ、
朝には萎んでしまう熱帯の植物――――『月下美人』を擬人化したようなヴィジョン。
そのフォルムは、どこか『マンドラゴラ』を思わせる。
右目の辺りからは、眼帯のように『大輪の花』が咲いていた。

 ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド

   「――――『ノートのページ』は私が持ってますから…………」

       「あとは『これ』さえなければ…………!」

    「『お姉ちゃん』や『演劇部』に迷惑は掛からない!
     『スキャンダル』は避けられるッ…………!」

『恋文』を手にした瑞月が絞り出すように口走る。
『スタンド』を発現した時点で、もはや『自白した』も同然だ。
しかし、追い詰められて判断力の鈍った瑞月は、その事に気付いていないらしい。
恋子が折ったままなので、まだ『追記』の部分は見られていなかった。
もし見られたとしても大局には影響しないかもしれないが、
解決の『手間』は少しばかり増えてしまうだろう。

      バ ッ !

            「きゃっ!?」

突如として、瑞月の足元にロダンが飛びつく。
『涙音の言葉』を受けて、いち早く動いたようだった。
ロダンが稼いだ時間は僅かなものだ。
だが、これで『スタンドを発現する時間』が出来た。
既に『発現済み(>>542)』だった美丹を除いて。

594龍美丹『チーロン』:2023/11/17(金) 21:36:26
>>593

「いや、正直」

「安心したよ」

弾けるように地面を蹴れ。
目の前の以上に接近するために。

「女の子の顔やお腹を殴るのはどうかと思ったんだけど」

「これは殴っても心が痛まなさそうだ」

彼女の意識はロダンに向いている。
人間以上のスピードでもってスタンドに接近する。
相手と自分はそう離れていないだろう。
距離を詰めるのは一瞬だ。
そして、スタンドに向かって拳を出す。
殴るためでは無い、手紙を奪い返すためにだ。

595朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/17(金) 22:17:18
>>593
「やれやれ…お姉ちゃん思いの子…
 というのが理想的だったのだけど…!」
そう言って彼女はすぐに前に出る。

「グッジョブロダン!」

   グォン!

出現させるのは『フォートレス・アンダー・シージ』!

「悪いけど、そろそろ取材の時間は
 おしまいに…させてもらう!」
スタンドを素早く動かし、
瑞月のスタンドを拘束しにいく。
能力を使われる前に身動きを封じてしまえば
手紙を取り返す時間は稼げるはずである。
パワーではこちらの方が上回るはずだ!

596奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/18(土) 01:48:44
>>593
「待ってください、みなさん!
一旦落ち着きましょう」

『ロダン』が稼いだ隙を使って、スタンドを発現するのではなく、
瑞月と龍、朱鷺宮の間へと割って入り両手で制する。
そして、まずは瑞月を見る。
勿論、皆が止まってくれたならという前提ありきの話ではあるが……。

「私の目的は『スタンド使い』を見つける事。
それは達成されました。
なので、私としましては『恋文』の行方はどうなっても良いのです。
然るべき場所へ戻りさえすれば。
瑞月さん、あなたが時をくれるのなら、
そして『約束』を守っていただけるのなら、
今回の『全て』をお話しします。あなたが知らない事を」

次に龍と朱鷺宮の方を見る。
……とはいえ、長々と喋れているのなら、だが。
『スタンドバトル』が始まってしまったのなら、会話を差し挟む余地はないだろう。

「おふたりとも、ここは平和主義者になりましょう。
今、瑞月さんの目的もわかりました。
謎が全て解けた今、私たちが無用に争う必要はない。
そうではありませんか?」

597『縁結のM』:2023/11/18(土) 18:17:51
>>594-596(ALL)

あくまでも『話し合いによる解決』を目指し、その場の全員を止めに入る恋子。
それは冷静な判断だったと言えるだろう。
ただ、この時ばかりは状況が悪かった。
美丹が飛び出す方が明らかに早く、とても止める暇がない。
そして、スタンドは通常物質を透過する為、
『フォートレス・アンダー・シージ』もすり抜けてしまった。

       ド ヒ ュ ッ !

唯一スタンドを発現し続けていた美丹の行動は素早い。
あっという間に距離を詰め、『クローバー』に肉薄する。
瑞月が気付いた時には遅かった。

  「――――はッ!?」

          バッ!

前方に伸ばした腕が『恋文』を掴み、もぎ取った。
ほんの少し抵抗されたものの、スタンドの手から奪い取る事に成功する。
どうやら『パワー』も『スピード』も『チーロン』以下のようだ。

     ガシィッ!

            「うッ………………!」

さらに『フォートレス・アンダー・シージ』が突き進み、
強靭な腕力で『クローバー』の片腕を掴む!
瑞月も態勢を整えていたが、あまり戦闘向きのスタンドではないらしい。
振り払う事が出来ず、完全に『力負け』している。

    《『コイコ』――――》

ふと、ロダンの『声』が聞こえた。
ドアの向こう側に鎮座するのは『ストーン・エイジ』。
今、彼は『恋子だけ』に語り掛けている。

《その考えには私も賛成しよう。
 ただ、まず『ミヅキ』を落ち着かせなければならないようだ》

598『縁結のM』:2023/11/18(土) 18:25:23
>>597(ALL)

美丹が『恋文』を取り返した直後、『それ』は起こった。

  ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ

便箋から『葉』が広がり、その中心に『蕾』が生じる。
奪われた時の事を考えて手を打っていたのだろう。
おそらく一瞬後には、例の『香り』が放たれてしまう。

「――――なんて強い力…………!
 『クローバー』じゃあ全然敵わないみたいですね…………!」

           バ ッ

振り解く事を諦めた瑞月が、手にしていた『ノートのぺージ』を、
『フォートレス・アンダー・シージ』の眼前に突き出す。

    ズ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ォ ッ

その瞬間、『ページ』から『葉』が広がり始める。
日向神が『恋文』を読んだ時と同じ現象だ。
既に『能力』を『使われていた』。

《コイコが望むなら、私は君の為に『助力』を惜しまない》

一歩引いた位置に立つ恋子に、ロダンが静かに語り掛けた。
『クワイエット・ガーデン』の能力は『境界』を必要とする。
それも踏まえた上の言葉だ。

599奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/22(水) 23:38:22
>>598
「いいえ、まずはお二人の助力を得ます!
手紙ごと、『ドアの影の中』へと追い詰めてください!今!」

もしかすると既に入っているかもしれないが、
『開かれたドア』によって作られた『影』の内へと、
『手紙』を持った手ごと押し込むように2人へと言う。
瑞月としては香りを嗅がせれば良いのだから、その動作自体にはそこまで抵抗されないはずだ。

「そして『クワイエット・ガーデン』!」

影によってできた陰陽の境に『障壁』を作り、
一時的に『香り』を遮断する。
障壁は恐らく2人の腕を取り込んで作られるような形になるだろう。
あくまで一時凌ぎでしかないが、時間さえ設ければ説得の『声』は届く……はずだ。

600朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/23(木) 16:30:59
>>597-599
「すいません…!
 なにか作戦があるのでしたらぜひとも!
 そうさせてもらいます!」
涙音は恋子の言葉を聞くと
彼女をドアの影の方へと向かわせるために

「そうはさせじと…どうだ!」
彼女のスタンドの腕を影の方へと押し込むように引っ張っていく。
スタンドも障壁のある場所へ追いやるのが最適解だろう。
彼女の体もスタンドの動きに合わせて瑞月の腕も影の方へと追いやられるはずだ。

601龍美丹『チーロン』:2023/11/25(土) 17:24:06
>>597-598

「!」

少し、不味い。
このままでは面倒なことになる。

(力負けはしてないし、三対一)

(焦ることは無い……)

息を止めつつ、奈津川の指示に従う。

602『縁結のM』:2023/11/25(土) 21:20:20
>>599-601(ALL)

状況を俯瞰する恋子の言葉を受けて、涙音と美丹が行動を起こす――――。

      グイィッ!!

              「うわわッ!?」

『フォートレス・アンダー・シージ』の剛腕が『クローバー』を引っ張り込む!
両者の『パワー差』は歴然。
だが、瑞月も全くの無抵抗ではなく、どうにか踏み留まろうと頑張る。
とはいえ、やはり元々の力が違いすぎた。
ほとんど引きずられるような形で、『部室側』に追いやられていく。

         ダ ン ッ !

跳ね馬の如き勢いで、美丹の身体が駆ける。
数の優位と戦力の優位。
実情を見れば、圧倒的に有利な状況だ。
だが、手元には『破裂寸前の蕾』がある。
万一の場合を考えると、それを放置すべきではないだろう。

  《コイコ………………》

    《君は、私が『期待した通りの行動』を見せてくれた》

黄金色の瞳を細めながら、ロダンが厳かな声色で告げた。

        ズ ギ ュ ン ッ !

『奈津川恋子』のスタンド能力――――その名は『クワイエット・ガーデン』!!

               キラッ

スタンドの手が『陰影』に触れると、一瞬の『煌めき』が生じる。
その直後に、涙音と美丹が同時に飛び込む。
既に『花』は開きかけていた。

       ポンッ!

            ポンッ!

『開花』の瞬間、聞き覚えのある『破裂音』が立て続けに響き、
濃密な『香り』が発散される。
しかし、ガラス質の『障壁』によって『隔離』されてしまったせいで、
それが三人まで届く事はない。
全てのエネルギーを出し尽くして萎びる『花々』は、
『頼成瑞月』の『詰み』を意味していた。

       スゥッ

ふと、『ストーン・エイジ』を従えたロダンが、瑞月の前に歩み出る。

    ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ

『スフィンクスの翼』が地面を撫でると、
まるで舞台の『せり』のように迫り上がってくる『一枚の石版』。

   カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

        カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

             カリカリカリカリカリカリカリカリカリカリカリ

その表面に、極めて緻密な『絵』が刻まれていく。
そこから読み取れる内容は以下のようなものだ。
あくまでも『話し合い』を拒むのなら、
『筆跡の件』が『部員全員』に伝わる可能性があると。

「――――分かりました…………」

『石版』を見た瑞月は、少し考えるような表情をした後、
観念した様子で三人に向き直った。

         フ ッ

そして、瑞月の傍らから『クローバー』のヴィジョンが消える。
彼女のスタンドは解除された。
今度こそ本当に『話し合いによる解決』が出来そうだ。

603龍美丹『チーロン』:2023/11/29(水) 00:07:08
>>602

「ふぅ」

「奥の手は使わずに済んだ」

一旦スタンドは解除しておこう。
お互いに交戦の意思がないというのを示すのは必要だろう。

「それで……何から話そうかな」

604朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/11/29(水) 21:01:11
>>602
「うわぁー…もう、間一髪だったみたいですねえ。」
そう言ってため息を付いた。
溢れ出した香りはどうやら自分の方には来なかったようだ。

(もうすでに吸い込んだりは…)
と、少し心配そうになりながらも、異常がないかどうか
念のために周りを確認する。

「はぁ、えーっとその…」
そう言って少し一呼吸を置いた。

「とりあえずは…瑞月さん。
 あなたが犯人ということはわかりましたが」

「まずは、何が目的だったかを…
 詳しく教えていただければと思いますが…」
自分のスタンドは念のために出したままにする

605奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/11/29(水) 22:52:05
>>602
「わかっていただけたなら良かったです。
だけど本当に私たちは、あなたたち演劇部に何かしようというつもりはないんですよ?
あくまで『スタンド使い』、それを見つけたかったのです……少なくとも私は。
ふふ、ありがとうございます。ロダンさん」

真顔で瑞月へ話しながらも中腰になり、
そーっとロダンの頭へ手を伸ばして撫でようとする。

「お話をするのなら、場所を変えましょうか。
皆さんは珈琲はお好きでしょうか?」

606『縁結のM』:2023/11/30(木) 15:12:50
>>603-605(ALL)

美丹は『チーロン』を解除する。
ずっと出しっぱなしにしていた事で、全身に軽い疲労を感じた。
だが、終わった今となっては、それも心地良い疲れと言えるだろう。
瑞月には実力行使を続ける様子がない。
もっとも、この状況で下手な抵抗は無意味だ。

涙音は『確認』を怠らない。
特に異常はなく、瑞月は『仕込み』を使い切ったようだ。
『開花』の直前に引っ張り込めたので、
幸いにも『香り』の影響を受ける事はなかった。

「『目的』――――ですか…………」

意を決した表情を浮かべ、瑞月が口を開く。

「最初は、お姉ちゃんの為だったんです。
 あの『手紙』を書いてるのを見かけて、
 ちょっとだけ『手助け』するつもりで……。
 お姉ちゃんの性格なら、きっと直接渡して、
 その場で読ませるだろうから、上手くいくと思って……」

しかし、実際は『大失敗』だった。
様々なアクシデントが重なった結果であり、
瑞月にも予想する事は不可能だったのだろう。
彼女が仕込んだ能力が原因ではあるものの、
狙って引き起こされたものではない。

「あの――私、気が動転してて……」

「……酷い事しちゃいましたよね」

     ソロリ…………

            ソロリ…………

落ち込む瑞月を宥めつつ、
さり気なくロダンの頭を撫でようと手を伸ばす恋子。

       ――――ピトッ

ロダンに触れると、意外な感触が伝わる。
完全な無毛に見える姿だが、細かい産毛が生えているらしく、
『スエード』に似た滑らかな手触りだ。
また、スフィンクスの体温は、
被毛を持つ品種と比べて『4℃』ほど高いとされ、
そのせいか普通の猫よりも温かく感じた。

《なるべく丁重に扱ってくれたまえ。
 その中に収められているのは『プライスレス(金では買えない物)』だ》

《コイコなら注意する必要はなかろうと思うがね》

『知性』を崇敬する彼にとって、
生まれ持った『頭脳』は何よりも貴重な『財産』だろう。
ただ、そのように言いながらも、ロダンは恋子の手を避けなかった。
以前の邂逅で『ルーツ』を明かした恋子に対する『信頼の証』なのかもしれない。

「えっと、嫌いじゃないですよ。
 人並みには好きですけど……?」

恋子の問い掛けを受けて、瑞月が答える。
ロダンは何か思う所があるのか、恋子の顔を横目で見た。
部室にいる部員達に一声かけておけば、
その後の『移動』はスムーズに進みそうだ。

607朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/02(土) 20:25:42
>>605-606
「最初はお姉ちゃんのためだったんですね。
 それで、先程のあのようなことが起こってしまったと。」
日向神の様子を思い出しながらうなずいた。

「本来なら、あなたのお姉さんが直接渡すはずだったんですね。
 …まぁ、詳しく話すなら別の場所で落ち着いて話すのはいいでしょうね。」
そう言って少し一息ついた。

「色々考えて私もちょっと疲れちゃいました。
 コーヒー…嫌いではないですね。
 ただできれば焼き菓子とかと一緒のほうがいいかなーとは思いますけど…」
恋子に視線を向けながらうなずいた。

608龍美丹『チーロン』:2023/12/02(土) 20:46:31
>>606

「あぁ、場所を変えるなら歓迎しますよ」

(お茶の方が好きだけど)

「声くらいはかけときますか?」

609奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/02(土) 22:20:39
>>606
「ふふ、なるほど! それは重畳です。
このロダンさんのお家が喫茶店でして、そこでお話するとしましょうか。
ええ、もちろん『猫カフェ』ではありませんが。
ロダンさん、それでもよろしいですか?」

手を叩いて全員へと提案する。

「お茶請けもきっと良いものがありますよ、朱鷺宮さん。
では、ええと……そうですね、龍さん。
三枝さんをお呼びするのと……
あとはお姉さんに、少し離れる旨をお伝えしておけばうまく取りなしてくれるでしょうか。
そちらはお願いできますか?瑞月さん」

610『縁結のM』:2023/12/03(日) 17:06:52
>>607-609(ALL)

恋子の提案を承諾する涙音と美丹。
喫茶店である以上、茶菓子は扱っているだろうし、
他の飲み物を頼む事も出来るだろう。
実際、前に恋子が訪れた時も、メニューには多くの品があった。

  「あ、はい――――」

            「…………分かりました」

話が一通り纏まったタイミングで、瑞月が部室内に入る。
そして、彼女は花蓮と話し始めた。
内容の全ては聞き取れないが、妹は姉に謝罪しているようだ。

《『お客』が来る事を望まない店主はおるまい》

  ズズズズズズズズズズズズズズズズズズズ

先程の光景とは反対に、『石版』が地面に沈み込んでいく。

《それに、この手の話には『彼』も興味を持つ筈だ》

『彼』というのは『店主』を指すらしかった。
ロダンが身を寄せている事を考えると、
その人物も『スタンド』に理解があるのかもしれない。
無論、恋子は知っている。

611奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/04(月) 20:55:11
>>610
部室を覗いて三枝を探す。
瑞月を含めて全員が揃ったなら『priceless』へと案内しよう。

612朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/04(月) 21:15:40
>>610
「それじゃあとりあえず話がついたら行きましょうか」
そう言って周りに声をかける。

「三枝さん。
 色々と自体は一応…解決はしたと思いますので
 後は瑞月さんのお話を聞きに行きませんか?」
三枝に対してスタンドを通して会話を行う。
いきなり声を出してしまったら、周りに不審がられそうだと思ったのだ。

613龍美丹『チーロン』:2023/12/05(火) 02:56:06
>>610

「それじゃあ、行きましょうか」

614『縁結のM』:2023/12/05(火) 17:57:49
>>611-613(ALL)

涙音が三枝に声を掛けると、頷きが返ってきた。
それと同時に、瑞月と花蓮が部室から出てくる。
瑞月が何か言う前に、花蓮の方が先に口を開く。

「『解決』したみたいね。
 瑞月は預けるけど、あまり責めないでやって。
 秘密を徹底しなかった私にも責任はある」

「あなた達が話してた『スタンド』とか『能力』っていうのは、
 多分『専門用語』みたいなものなんでしょう?
 意味は分からなかったけど、『知ってる振り』をさせてもらったわ。
 その方が色々と聞けて、『今後の参考』になりそうだったから」

「もし興味があったら、また覗きに来て。『入部』の件も含めてね」

         「『お疲れ様』」

労いの言葉を言い終わると、花蓮は部室に戻っていった――――。

 ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

       ――――――カラァンッ

ドアチャイムが鳴り響き、重厚な木製の扉が開く。
恋子の案内で、喫茶店『Priceless』に入った五人は、
一つのテーブルを囲んで座っている。
ロダンは窓際に寝そべり、その様子を眺めていた。

「『ご注文』はお決まりですか?」

この店のマスターらしい『初老の西洋人』が、恭しくオーダーを取る。
メニューを見ると、大抵の品は揃っているようだ。
各自が好きな物を頼めばいいだろう。

615朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/05(火) 21:40:33
>>614
「…わかりました。
 私達も部室のことに口を出すつもりはないです。
 それに、みんな悪い人じゃないですしね。」
花蓮に向けて答える。

「大丈夫です。見学はもう一度させてもらえればと思います…
 ちょっと、興味もありますし。」
そう言って花蓮に向けて微笑んだ。


…場面は変わって喫茶店。
そこの座席に座って一息ついている。

「それじゃあ、コーヒーと…
 あとこの、チーズケーキというのを…」
と、注文をマスターに返す。
もうすでに大丈夫だろうと思いつつ
時折瑞月の様子を確認を行っている。

616龍美丹『チーロン』:2023/12/06(水) 21:23:34
>>614

「食えない人ですね」

花蓮にそう言って足を進めた。
そして、喫茶店へとたどり着く。

「エスプレッソをお願いします」

617奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/08(金) 20:40:00
>>614
「私は『ホットココア』を。
クリームが載っているやつです。
三枝さんは何を飲まれますか?」

マスターへ会釈をして着席し、全員を、そして瑞月を見る。

「さて。とはいえ……とはいえです。
私の目的は、こうやってお茶をすることができて八割がた達成できたといえます。
今回の事件……いえ、騒動ですかね。
この騒動の犯人を吊し上げる気は私には無いですし、ましてやあの手紙について必要以上に深掘りする気もありません。
こうやってあなたとお話ができましたから…… 瑞月さん」

618『縁結のM』:2023/12/09(土) 02:38:56
>>615-617(ALL)

ウッド調で統一された内装が暖色の照明で照らされた『Priceless』は、
格調高い雰囲気を持つ喫茶店だった。
恋子にとっては『二度目の来店』だが、どうやら三枝も来た事があるようで、
マスターと挨拶を交わし合っている。
ちょうど客足が一段落した後だったらしく、店内には五人の他に客はいない。

「はい、千草には『キャラメルマキアート』を下さい」

           スッ

片手を軽く上げた三枝が、自分の注文を告げる。

「私は『奈津川先輩と同じ物』を。
 ……私も『ココア』好きなんです。
 特に『クリームが乗ったの』が」

        チラ

恋子の方向に目線を向けつつ、最後に瑞月が言った。

「――――畏まりました。すぐにお持ち致します」

柔和な笑みを湛えるマスターの言葉に間違いはなく、
それから間もなくして、テーブルには各自が頼んだ品々が並ぶ。
『コーヒー』からは洗練された香り高さが漂い、
『エスプレッソ』には更に濃厚なコクが加わり、
『チーズケーキ』は豊かで奥深い風味に満ちている。
『ホットココア』は最適な甘さに抑えられ、
添えられているクリームと調和した絶妙なバランスだった。

「えっと……『八割』って事は『全部』じゃないんですよね?
 残りの『二割』は何なんでしょうか?」

         コトッ

「あはっ、ここのココア美味しいですね」

手元のカップに口をつけながら、瑞月が恋子に聞き返す。
心なしか表情も落ち着きを取り戻していた。
少し時間が経ったからか、それとも場所を変えたからか、
あるいは花蓮の話を聞いたせいかもしれない。
その理由が何であれ、四人に混じって座る瑞月の態度からは、
自分の行動を深く反省している様子が窺えた。
もう二度と、あのような騒ぎを起こす事はないだろう。

《その前に、私からも『注文』を聞いておく事にしよう》

      ズ ズ ズ ズ ズ ズ ズ

再び『スフィンクスのヴィジョン』を発現し、
ロダンが『スタンド会話』で呼び掛ける。

《今回、君達は見事に『謎』を解き明かし、隠された『真実』を導き出した。
 秀でた『知性』の働きには、相応の『輝き』によって報いねばならない》

《最初にコイコが説明してくれた通り、私は『宝石細工』が得意だ。
 好きな『色』と『形』を教えてくれたまえ。
 『望む色の宝石』を『望む形の彫刻』に仕上げて、君達に渡す事とする》

       ブ ワ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ

『ストーン・エイジ』が『石造りの翼』を広げる。
その上には幾つかの『石』が乗っていた。
これが『素材』になるのだろう。
『色と形』を指定すれば、希望と寸分違わぬ『宝石彫刻』が出来上がる筈だ。
どれだけ複雑なデザインでも、
極めて高度な精度を誇るロダンの能力なら『立体化』できる。

619朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/11(月) 20:21:36
>>618
「どうもありがとうございますー」
そう言って頭を下げ、
まずはコーヒーを一口してから
チーズケーキを食べる。

「ふぅ、美味しいですねー。
 ここのチーズケーキ」
そう言ってから軽く瑞月の顔を見る。

「演劇部の人たちはとても仲が良さそうですし、
 後押ししなくても案外うまくいくんじゃないですかね。お姉さんのことも」
と、何気なく瑞月に対して声をかける。
そんな中で、ロダンの声を聞いて振り向く。

「ロダンさんのスタンドはそういう能力があるんですね。
 …こちらとしても、ロダンさんが楽しんでいただけたようで嬉しく思いますよ。」
彼のスタンドを眺めながら少し考える。

「具体的なものは思いつきませんけど…
 私は常に幸運のシンボルのようなものが欲しいですね…
 とはいえ、ラッキーカラーは日によって違いますし…
 虹色に出来たりします?」
涙音はしばし、宝石彫刻の内容を考えていたが
ある程度の注文はつけられたようだ。

「あ…もう一つ思いついたんですけど…
 ロダンさん。瑞月さんにも、なにか一つ送ったりは出来ませんか?」
と言って瑞月に視線を向けた。

620龍美丹『チーロン』:2023/12/13(水) 02:14:28
>>618

砂糖を大量にエスプレッソに入れる。
簡易的なエナジードリンクだ。

(うちの玄関は……南東だったな)

「オレンジ色の……猫の彫刻でもいただこうかな」

621奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/14(木) 22:14:56
>>618
「ええ、はい。私の前に現れた『スタンド使い』を探すのが8割。
残りの2割というのは『忠告』です。
……とはいえ、あなたの様子を見るとその必要もないかもしれませんが」

ココアに溶けるクリームに目を落として、ぽつぽつと喋る。

「あなたのスタンド能力……仔細はわかりませんが、とても危険です。
人とは意思ですから。
それを操るということは、人間性の否定であると恋子は思います。
そして、『スタンド使い』ではない人々へ、私たちが賜りしこの能力を使うことも、
恋子はあまり好みません」

「しかし、今回のことで反省いただけたなら、
それは恋子にとっては嬉しい話です。
……以上で、私の目標は十割達成と相成りました。
では、おいしいココアをいただきましょうか」

そしてロダンの報酬について話す様子を、ココアを飲みながら眺める。

622『縁結のM』:2023/12/14(木) 23:56:13
>>619(涙音)

カウンターに戻ったマスターが、上品な笑みを湛えて慇懃な所作で一礼を返す。

「お姉ちゃんの事は、私の『勘違い』だったので、
 それよりも若園さんの方が…………」

「あっ!これって言わない方がいいですよね?」

瑞月は『花蓮が誰かを想っている』と考えていたが、実際の背景は全く違った。
花蓮は『代筆』をしただけなので、
それに関しては何がどうこうという事はないだろう。
『上手くいくかどうか』は、やはり若園に掛かっている。
その胸に『恋心』を秘めていたのは彼女なのだから。
しかし、涙音が言ったように、そちらも悪い方向には進まないだろう。

《――――ふむ、『心得た』》

特に渋られる事もなく『注文』は受け入れられた。

《しかし、私の『力』は軽々しく振るえるものではない。
 あくまでも『謎を解いた者』に対する『報酬』だ。
 それが『スフィンクスの矜持』》

《それだけでなく、あまり気軽に提供すると『本来の時価』を乱してしまう。
 私は『自らの能力』で『経済を混乱に陥れたい』とは思わないのだよ》

一方、思いついた申し出は断られてしまった。
『瑞月には贈り物をしたくない』という意味ではなく、
『謎解きに加わらなかった者に宝石を渡す』というのは、
ロダン自身の『流儀』に反するらしい。
また、『換金可能な品物』を簡単に出してしまう行為は、
『宝石そのものの価値』も下げてしまいかねないのだろう。

  《『ミヅキ』に『何かを贈る』としたら、
   彼女と向き合った『君達から』の方が、
   よほど相応しいのではないかね?》

ロダンからは、そのような『助言』が為される。

「…………きっと『友達になる』という事ですよ」

キャラメルマキアートを口に運ぶ三枝が、涙音の隣で小さく呟いた。

>>620(龍)

『エスプレッソは砂糖を入れて完成する』と言われている。
たっぷりの糖分を加えたヘーゼルナッツ色のエスプレッソが、
疲れた身体の隅々まで染み渡っていく。
くつろぎの一杯を楽しむ美丹に、ロダンが厳かに頷いた。

  《猫の『品種』は私の方で決めておこう》

       バ ッ サ ァ ッ

ロダンの言葉と共に『ストーン・エイジ』の翼が閉じられる。

>>621(奈津川)

恋子の視線の先で『黒』と『白』が混じり合い、
『闘技場』の舞台だった『大理石』を思わせる『マーブル模様』を描き出す。

「私、お姉ちゃんを手助けしたいと思って……。
 でも、結局あんな事に……」

「……お姉ちゃんだけじゃなくて、演劇部にも迷惑を掛けちゃいました。
 せっかく見学に来てくれたのに、こんなトラブルが表沙汰になったら、
 ますます部員が入らなくなるんじゃないかって……」

恋子の後に続くようにして、ぽつりぽつりと心境を語る瑞月。

「『クローバー』の能力は『好意の増幅』です。
 少しでも『好意』があれば、それを強く出来るから……。
 私の力を誰かの為に役立てたかったんです……」

「だけど、奈津川先輩達に言われて、
 この力を無闇に使うのは良くないって分かりました」

言葉の最後に、瑞月は真摯な面持ちで軽く頭を下げた。
これにて『十割』達成完了だ。
そして、恋子には『注文する権利』が残っている。

623『縁結のM』:2023/12/14(木) 23:58:38
>>619-620(涙音&龍)

まもなく『ストーン・エイジ』の翼が開かれ、
ロダンの能力に秘められた『真価』が発揮される。

《『ルネ』には『プレシャス・オパール』――――和名は『蛋白石』。
 『遊色効果』により、光の加減や見る角度を変える事で『虹色』に輝く。
 『ラッキーチャーム』として知られる『四つ葉のクローバー』に仕立てた》

             キ ラ ッ

まさしく『虹色の輝き』を放つ『プレシャス・オパール』が、
『幸運』を招く『四つ葉のクローバー』として立体化され、涙音に差し出された。

《『ロン』には『サンストーン』――――和名は『日長石』。
 『太陽石』とも呼ばれ、所持者の才能を引き出す『勝利』の象徴と称されている。
 猫の『品種』は言わずとも分かる筈だ》

            チ カ ッ

細やかな結晶が光を反射し、
独特の瞬くような煌めきを発する『サンストーン』が、
ロダンと同じ『スフィンクス』の彫刻として美丹に差し出された。

《『宝石の価値』に『芸術性』を加えて、
 どちらも現在の相場で『20万円』の値打ちがあるだろう》

一対の翼に乗せられた二つの『宝石彫刻』が、両者の間近にある。

>>621(奈津川)

それと同時に、ロダンは改めて恋子に向き直った。

《さて…………『コイコ』。最後は君だ。
 私の力で『君の望み』を叶えたいと思うが――――》

恋子の胸元に輝く『エメラルドの星』。
『謎』に挑む前、ロダンは『十倍の報酬』を約束した。
そして、恋子は『十倍の星』をもらうと宣言している。

《リクエストは『前と同じ』で構わないのかね?》

恋子は『宣言通り』に答えてもいいし、『別の注文』を選ぶ事も出来る。

624朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/16(土) 21:21:14
>>622-623
「まぁ、若園さんについても大丈夫だとは思いますが…
 そういうのはこっちがどうこうすることじゃないでしょうね。」

「あの二人のことは見守るだけでいいですよ。
 そういうのは周りの人が首を突っ込むと…
 もしかしたらジャマになっちゃうかもしれません。」
そう言ってコーヒーを飲む。

「…スイマセンでした。ロダンさん。
 あなたの矜持に反することをさせてしまうところでした。」
ロダンの言葉を聞いて
涙音はスマホを取り出した。

「あの、瑞月さん。
 せっかくこうして一緒にお茶をしたんですから
 この際お友達になりませんか?」
と、声をかけた。

「もちろん、ご相談とかも承ります。」
そう言って微笑みかける。

…そしてロダンから差し出されたのは
輝く虹色のオパール、の四つ葉のクローバー

「うわぁ、すっごくきれいです!
 ありがとうございます、お守りにしますね!」
自分の思った通りのものが現れ、涙音はとても嬉しそうな顔になった。

625奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/18(月) 23:09:54
>>622
「私の考えを理解いただけて幸いです。
演劇部……エキストラくらいなら、お役に立てると思いますが」

「ほら……お友達の頼みでしたら、恋子としては断れませんからね」

はにかんで笑うような場面だが、しかし真顔で答えた。

>>623
「10倍……いえ、それには及びません。
星のように素晴らしいお友達を手に入れましたから……とか、どうでしょうか」

ネックレスをつまみ上げて、緑の星を通してロダンを見る。

「そうですね……同じ大きさの、同じ星をいただいてもよろしいでしょうか。
この星を送って、どんな顔をするか見たい人がいるのです。
その人に差し上げる、プレゼントにします」

626龍美丹『チーロン』:2023/12/19(火) 18:12:08
>>623

「ありがとう」

「これで暫くは店の手伝いをしないでも許されそうかな……」

627『縁結のM』:2023/12/20(水) 20:48:26
>>624(涙音)

『オパールのクローバー』は、涙音の手の中で確かな煌めきを放っている。
最初に授与された『カーネリアン』も、
『マイナスの要因を取り除く』と言われていたので、
さらに『幸運のお守り』が増えた。
ひょっとすると『ご利益』もアップするかもしれない。

「…………あははっ、そうですよね。
 余計なお節介はせずに『見守るだけ』にしておきます。
 もう『あんな事』はないようにしたいですから」

涙音の意見に、瑞月も全面的に同意している。
ここから先は若園が自分で考えて答えを出すべき問題だ。
そこに『謎解き』はないのだから。

「こちらこそよろしくお願いしますね」

        スッ

瑞月は安らかな笑顔を返し、スマートフォンを取り出す。
スマホケースには、『四つ葉のクローバー』が描かれている。
連絡先を交換し、二人は改めて『友達』になった。

《気に入ってくれたなら何よりだ。
 その輝きは『君自身の輝き』。
 優れた働きがあったからこそ、こうして君の手に渡ったのだよ》

ロダンは気分を害した様子もなく、小さく頷いて見せる。
『謎の探求』を生き甲斐としている彼にとって、
今回の一件における『涙音達の活躍』が『何よりの報酬』なのだろう。
おそらく、それは『宝石よりも価値あるもの』に違いない。

>>625(奈津川)

「あはっ、ありがとうございます!」

不動の『真顔』で答える恋子の代わりに、瑞月が『はにかんだ笑顔』を見せた。

「でも、奈津川先輩って個性が強めですから、
 『エキストラ』だと、逆に目立っちゃうかも。
 いっそ『名前のある役』に挑戦してみませんかっ?」

そして、彼女は元気に『勧誘』してくる。
どうやら、すっかり調子を取り戻したらしい。
一方、奈津川の注文を受けたロダンは、緩やかに尻尾を揺らした。

《『星のように素晴らしい友人』――――なかなかの『ウィット』だ》

《その『返歌』として、君には『星々』が瞬く『夜空』を贈ろう》

『ストーン・エイジ』が翼を開くと、そこには『小さな星々』があった。

     キラ キラ キラ キラ キラ 

               キラ キラ キラ キラ キラ

恋子の前に現れる『10個のエメラルド』。
それらの全てが、『同じ形』と『同じ大きさ』を持っている。
胸元に輝く『星』と『同一の星々』だった。

《一つにつき『2万円』。締めて『20万円分』だ》

>>626(龍)

『猫の宝石彫刻』は、非常に精巧な出来栄えだった。
『龍道飯店』に置いたとしても、店の雰囲気を損なう事はないだろう。
何にせよ、それなりに『高価な品』である事は確実。
美丹には『龍』の形に彫られた『ガーネットの宝石彫刻』も渡されている。
二つ合わせて『22万円』相当だ。

《君達のお陰で、新たな『謎』を愉しむ事が出来た。
 私も大いに感謝しているよ》

ロダンの声色からは、三人が出した結果に満足している様子が窺えた。

「あの――もし良かったら、『仮入部』でも大丈夫なので、
 ちょっとだけ考えてみて下さいっ!
 龍先輩は『華』があるし、絶対いけると思います!」

また『勧誘』を再開し始めた辺り、瑞月も元気を取り戻したようだった。

628奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/20(水) 22:08:10
>>627
「演劇ですか……ううん、どうでしょうか。
面白いかもしれませんね、もしかしたら」

瑞月の笑顔を眩しそうに見つめて、
なにかを考えるように頬を撫でる。

「これは……『星』、こんなにもたくさん。
ありがとうございます、ロダンさん。
作っていただいたものは、ありがたくいただきます」

宝石を掬うように両手に持って、その輝きをじいと見つめる。

629朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/21(木) 20:59:06
>>627
「それが一番ですよ。
 現実は演劇のようには思ったようには行かず、
 でもそれが面白いとも言えますよ。」
そう言ってほほえみながら
スマホを確認する。

「どうも、ありがとうございます。」
そう言ってうなずいた。

「これは私の努力の結晶ということでしょうか。
 だとしたら、このきらびやかな宝石は素晴らしいトロフィーですね」
と、ロダンに向けて微笑みかけた。

630龍美丹『チーロン』:2023/12/21(木) 23:47:29
>>627

「まぁ、こっちはこっちで楽しませて貰ったしね」

なんでもないように返して。

「あぁ……そういえば、そう言う話もしていたね」

「……まぁ、仮入部から始めようかな。よろしくね」

少しばかり、環境を変えるのもいいかもしれない。

631『縁結のM』:2023/12/22(金) 14:32:55
>>628(奈津川)

「そうですよ!
 一度やってみたら…………って、無理に勧めるのは良くないですよねっ。
 気が向いたら、是非また見に来て下さい」

恋子の『考える仕草』を見た瑞月は、
そのように受け取ったらしく、控えめな言葉で締め括った。

《君は『友人』を『星』に例えた。
 その宝石のように、多くの友人達に恵まれる事を願っている。
 『ナツカワコイコ』という名の『夜空』に輝く『星々』だ》

両手で掬い取られた『10個のエメラルド』。
それらが放つ煌めきが、恋子の瞳に反射している。
やがて、聞き慣れたロダンの声が耳に届く。

《コイコ――――私にとっても、君は『良い友人』だよ》

>>629(涙音)

涙音の言葉に対し、瑞月は首を縦に振って肯定する。

「『事実は演劇より奇なり』…………ですねっ!」

彼女が発した一言は、『今回の一件』を象徴しているようでもあった。

《そのトロフィーを見る時には、今日の事を思い出してみてくれたまえ。
 『記憶』――――『思い出』は『プライスレス』だ》

『宝石彫刻』が『現金』と違うのは、それぞれの形や輝きがある事だろう。
涙音が望めば『換金』も可能だが、今の形のまま手元に残しておく事も出来る。
まさしく『オーダーメイドのトロフィー』だ。

>>630(龍)

ロダンは黙して語らず、しかし黄金色の瞳を細めて美丹を眺めていた。

「ええっ!?ホントですか!?」

瑞月は思わず目を見張り、美丹の顔を見つめる。
信じられないといった表情だ。
『トラブル』があった後だけに、断られると思っていたらしい。

「龍先輩なら大歓迎です!よろしくお願いしますね!」

美丹の手を取りながら、瑞月が嬉しそうに顔を綻ばせる。
今後どうなるかは未定だが、とりあえず『仮入部』という形になりそうだ。
瑞月も『ポスター』を貼っていた甲斐があるというものだろう。

632朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』:2023/12/22(金) 21:00:05
>>631
「まさに…
 その通り!
 なんというか、瑞月さんとの出会いもそんな感じでしたね。」
そう言って微笑みかけた。

「そういえば、ちょっと私も演劇部に興味が出てきましたね。
 まだ入れはしないですけど、また見学させてください。」
と、瑞月に告げる。
色んな人がおり、楽しく部活が行われている。
その様子は見ていてとても楽しいものであった。
もう少し見てみたい、という感じなのだろう。

「はい。ロダンさん。
 これはきっと私にとって一生モノの宝物です。
 幸運をもたらしてくれるものとなるでしょうね。
 こちらこそ、こんな思い出をくれてありがとうございます。」
ロダンに対しても感謝の言葉を述べた。
色々なことがあった。彼女の心にはそんな満足感が満ちていた。

633龍美丹『チーロン』:2023/12/23(土) 09:30:34
>>631

「まぁ、あくまで仮だしね」

こういうことがあるのも、いいスパイスになるだろう。
……そう何度も起きるようなことでは無いと思うが。

「ロダンにも感謝をしようかな」

「……なんだか、不思議な一日だった」

そう言って、彼女もまた目を細めた。

634奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』:2023/12/24(日) 22:40:12
>>631
「ええ、そういたします。
私が劇をしているところは、あまり想像できませんから」

軽く頭を下げる。

「ふふ、ロダンさん。
嬉しい事を言ってくれますね。
私にとっても皆さんは素敵なお友達ですとも、勿論。
では、これにて今回の事件は『閉幕』といたしましょうか」

人差し指を立てて手元に持ってきて何かを言おうとしたが、
賑やかなテーブルの様子を見て諦めて、嬉しそうに目を瞑り、ココアを一口飲んだ。

635『縁結のM』:2023/12/25(月) 21:21:00
>>632(涙音)

『スタンド』が絡む話には『奇妙』が付き纏う。
怪我の功名ではあるが、副部長の花蓮にとっても、
今回の一件は良い刺激になったのではないだろうか。
無論、これを『思い出』として話せるのは、
涙音達の活躍があったからに他ならない。

「もちろんですよ!
 あっ、朱鷺宮さんは『中等部』でしたよね?
 『未来の演劇部員候補』ですから、見学は大歓迎ですっ!」

涙音の申し出は快く承諾された。
今後も演劇部には出入り出来るだろう。
いつかは芝居の様子も見られるかもしれない。

《この世における『最大の謎』は『心の中』に存在する。
 君の人生の1ページに『彩り』を添えられた事を幸いに思う》

ロダンは悠然と尻尾を揺らし、
各々の『心』を見通そうとしているかのように、
テーブルを囲む涙音と友人達を見つめている。

>>633(龍)

下校途中に瑞月と顔を合わせ、恋子や涙音と出会い、
ロダンに導かれて『恋文に纏わる謎』を解いた。
偶然から関わった『小事件』は、紆余曲折を経て終わりを迎える。
『ほんの少しの非日常』も『たまにはいい』だろう。

「いえいえ〜、『仮』でも十分ですよっ!
 『龍先輩目当ての新入部員』が入ってくれるかもしれませんし、
 とりあえず形だけでも!」

瑞月は至って乗り気だった。
どうやら新入部員獲得の『呼び水』にするつもりらしい。
演劇部に籍を置いているだけでも、ある程度の貢献には繋がりそうだ。

《今日、君達は『小さな事件』を解決したが、
 同時に『未来に起こり得る大きな事件』も解決したのだよ》

美丹達が遭遇したのは『小事件』だ。
しかし、スタンドが関わっていた以上、ここで解決できた事は大きな意味を持つ。
『未来に起こり得る大事件』を、それが起こる前に防いだ事になるのだから。

>>634(奈津川)

スタンドに得手不得手があるように、人には向き不向きというものがある。
奈津川恋子が『演者向き』かどうかは、かなり意見が分かれる所だろう。
少なくとも、『今回の事件』を『一つの演劇』とするなら、
恋子が果たした役割は大いに『名演技』だった筈だ。

「あははっ、実は私も……ちょっとだけ思っちゃいました。
 でもでも――『見学』でしたら、またいつでも!
 こういうのは人が見に来てくれる事が大事ですから!」

恋子の心境を尊重し、瑞月も無理強いはしてこないが、
『部員獲得』の意欲は衰えていないようだった。
案外、最も熱心なのは彼女かもしれない。
生来の『世話好き』が影響しているのだろうか。

《先に言われてしまったが、コイコの言う通りだ。
 『謎』は解かれ、『幕』が閉じられる。
 君達の『知』によって――――》

《『歓談』に水を差さないように、私の口上は『この辺り』にしておこう》

何かを察したらしく、恋子の『ジェスチャー』を見たロダンが、そのような言葉を贈る。
甘く温かいココアを口にすると、気持ちも穏やかになっていく。
今、奈津川恋子は『多くの友人達』に囲まれていた。

>>632-634(ALL)

「――――ありがとうございました。またの『ご来店』をお待ち致しております」

             カ ラ ァ ン

ドアチャイムの音色と共に、『非日常』の時間は終わりを告げ、
三人は『日常』の中に戻っていく。
『小さな事件』、『小さな謎』、『小さな思い出』。
それらを胸の内に留めながら、少女達は再び『それぞれの日々』を歩き出す――――。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

朱鷺宮 涙音『フォートレス・アンダー・シージ』 ⇒

  『20万円相当のプレシャス・オパールの宝石彫刻(四つ葉のクローバー)』
  『1万円相当のカーネリアン』獲得

龍美丹『チーロン』 ⇒

  『20万円相当のサンストーンの宝石彫刻(スフィンクス)』
  『2万円相当のガーネットの宝石彫刻(龍)』獲得

奈津川恋子『クワイエット・ガーデン』 ⇒

  『2万円相当のエメラルドの宝石彫刻(星)×10個』
  『1万円相当のアンデシン』獲得

                   『縁結のM』⇒『終幕』

636『ストーリーテラー:S』:2023/12/25(月) 21:24:02

『称えられない英雄』を意味する『アンサング・ヒーロー』という言葉がある。

大きな功績を上げたにも関わらず、その事実を誰も知らず、
場合によっては本人さえも気付かない。
実際、歴史上こういった者は数多く存在する。
後世に名を残す『称えられる英雄』よりも、遥かに多いと言っていいだろう。

清月学園に芽吹いた『ささやかな事件』は、
『三人の活躍』によって静かに幕を下ろした。
この町では様々な事件が起きているが、
それらに比べれば小さな出来事に過ぎないかもしれない。
しかし、『世界を揺るがす大事件』も、最初は『些細なきっかけ』から始まる。
今回のケースも例外ではない。
もし早期に解決されなければ、
やがて『大きな事件』に発展する可能性は否定できなかった。
『将来に起こり得る災い』を未然に防ぐ事が出来たのは、
紛れもなく彼らの行動がもたらした結果だ。
これも『称えられない英雄』の実例として数えられる。

そして――――それが『我々の本分』でもあるのだよ。
もっとも、『私の目的』は少々違うがね。
『謎』の探求こそ、『スフィンクス』としての我が望み。
この世に『最大の謎』があるとするなら、それは『心の中』に存在する。
では、また『次の事件』でお目にかかろう。

637『縁結のM』:2023/12/25(月) 21:27:43

【縁結のマンドラゴラ】『頼成瑞月』のスタンド。

『一夜の間だけ咲く』と称される『月下美人』を擬人化したようなフォルムの人型スタンド。
右目からは『眼帯』のように『大輪の花』が咲いている。
器用ではあるものの、非力かつスピードも平均程度に留まり、基本的に戦闘には向かない。

『伝達手段』に触れる事で、そこに『種』を植える。
『伝達手段の定義』は『作成した本人以外が意味を理解できる物』であり、
必ずしも『誰かに見せる事』を前提としない。
ただし、『スマホに表示された電子メール』などに触れても、
対象になるのは『そのスマホのみ』で、それを送信したとしても無意味。

誰かが『種を植えた伝達手段』を視認する事により、
『種』から『芽』が出て『花』が咲く。
『花』は即座に枯れるが、その直前に『濃密な香り』を周囲に発散し、
それを嗅いだ者は『最初に目にした相手』に対する『好意』を『増幅』される。
距離が近ければ効力は強さを増し、逆に離れると効き目は薄くなってしまう。

なお、あくまでも『好意の増幅』である為、
『好意』が『ゼロ』の場合は意味を為さない。

『クローバー』Clover
破壊力:D スピード:C 射程距離:C
持続力:B 精密動作性:B 成長性:B