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【個】『アポロン・クリニックセンター』

83平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/23(土) 03:11:53
>>82
「そればっかり? 」

マジか。いろんな人がいる。
心配してくれているということは、いきなり襲いかかってくるヤツじゃない。
それだけで充分だ。

「何、って」「さっき言ったじゃないか」

「ゾンビに掴みかかられた」「って」

冗談めかした繰り返しだ。彼の言う『普通じゃないケンカ』に、これは含まれるのだろう。多分。
なんとなくだが。そんな気がした。

84スミノフ『デマーケイション』:2019/03/23(土) 23:06:46
>>83

「野球少年はずっと野球してるだろ。それと同じだよ」

「まぁ学問に目覚めた時期ってのもあるから殆どっつってもそこまでだが」

それでも多くの時間を闘争に費やしたのは確かだ。

「ゾンビね。まぁ、それでもいいが」

「話したくないならいい。分かる奴には分かるに落ち着く」

ぼーっと煙を吐き出す。

「人間じゃねぇものか、ゾンビぐらいしつけぇやつとやったってだけの話で済ませてくれていい」

85平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/03/25(月) 00:27:07
>>84
「済ませると言うか、うん」

本当のことなのだが。
まあ、『本当なんです!』と主張するつもりはない。
どう話せばいいか分からないという理由もあるが、それ以上に――
……闘争に費やした時間は比較にもなるまい。
彼が『どんな』『何を』やるのかは、想像もつかない。
そんな相手に、初心者が自慢げに話すのも笑われそうだ。要は恥ずかしい。

「『そういう話』だよ」「…ン」

時計を見ると診察の時間が迫ってきている。

「もう診てもらう時間だから、行くよ」「あ、『ライター』いる?」
「オレのはこれ予備だから、持っててくれていいし」

押し付ける感じになるかもしれないが、グッと渡して先に喫煙所を出よう。

86スミノフ『デマーケイション』:2019/03/25(月) 01:13:53
>>85

「貰っとくぜ。今度会った時に返す」

そう言って相手を見送る。

(あいつもそうなんだろうなぁ)

ぼんやりとそんなことが頭に浮かぶ。

(ゾンビってのはどんなものか)

(柔けぇなら、一発でぐちゃぐちゃだわな)

緩やかな思考と共に紫煙が浮かんだ。

87平石基『キック・イン・ザ・ドア』:2019/04/08(月) 21:33:40
>>70
『退院』

88鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/15(土) 23:37:16
【ミ】『想貌』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1547738761/349
『全治三週間』
──────────────────────────────



「何とか納得はしてくれたが」「・・・・・」
「三人とも…悲しい顔をしてたな…」



鉄 夕立『シヴァルリー』→『入院』

89鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/24(月) 22:49:36
「・・・・・・・・・・」グルグル

病院の外庭にあるベンチ。そこに一人の青年が腰かけていた。
入院着に身を包みながら、何か考え事をしているようだ。
ちなみに左手にはボールのようなものが握られており、それを手首を動かして回している。

90竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/24(月) 23:27:43
>>89

「あっはっはっは」

笑う女がいる。
何がおかしいのか、けらけら笑っていた。
傍には腕を吊った男性がいて、彼の背をバシバシと遠慮なしに叩いていた。
何か二、三言の言葉をかけたと思えば、手をあげて別れた。
ふぅ、と息を吐いて女がかつかつとベンチの方に近づいてくる。

「座っていいかな、少年?」

にこやかな雰囲気で女はそう言った。

91鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/24(月) 23:36:31
>>90

>「座っていいかな、少年?」

「ッ─────?!」

思案を巡らせている所に話しかけられ、ハッとして声の方を向き、そして慌てて逆の方を見る。
声の主は、女性だった。それも、初対面の。
緊張して上擦る声を抑えつつ、手をベンチに向け、示す。

「どっ、どうぞ」

92竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/24(月) 23:54:27
>>91

「?」

どっとベンチに腰を掛ける。
隣に座る君の顔をじぃっと見つめている。
それからにっと歯を見せて笑う。
悪い笑顔だ。

「なにどもってんのさ?」

「お姉さんが悪い人に見えたわけ?」

ずりずりと傍に寄ってきていた。

93鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 00:01:49
>>92

「あっ、いえっ」「決してそういう、わけではっ」

女性がずりずりと傍に寄る度に、俯いて同じだけ距離を開ける。
我ながら彼女に大変失礼だと思うが、なかなか一朝一夕には治らないようだ。
これ以上距離を詰められるとうまく話せそうにないので、別の話に切り替えよう。

「あ、あの」「あなたも、ここに入院しているんですか?」

94竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 00:19:10
>>93

「そう? ならいいんだけど」

視線は外さない。
相手の反応を楽しんでいる目だ。
だからずっと見続けている。

「いんや、お姉さんは元気いっぱいいっぱいだから入院はしてないよ」

「少年の方はどうかな? 入院かな? 服みりゃ分かるけども」

「……そのボールは?」

95鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 00:31:31
>>94

「…あぁ。そうなると、お見舞い、ですか」「…ご親族の方ですか?」

自分に家族が会いに来てくれたように、お見舞いといえば親族が一番多いだろう。
兄弟姉妹か、あるいは両親だろうか?誰にせよ、その人も早く良くなってくれればいいが。
その人も自分と同じで、周囲に心配をかけてしまった事をきっと悔やんでいるはずだ。

>「少年の方はどうかな? 入院かな? 服みりゃ分かるけども」

「オレは…その、少し『肋骨』をやってしまいまして」「『全治三週間』…とは言え、残りは二週間ないくらいですが」

>「……そのボールは?」

「これは、スナップボールと言って…手首を使って回転させる事で、筋力を鍛える道具ですね」

病院であまり身体を動かせないからといって、鈍ってしまっては困る。ので家族に持ってきてもらった。
流石に人と話している時には回したりはしないけれど。

96竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 00:50:06
>>95

「いや?」

「お姉さんの知ってる人なんて誰もここにいないけど?」

笑みが消えた。
細められた目が見据えている。

「肋骨かぁ……辛いねぇ。息するたびに痛む?」

「どう、そこんところ」

宙に彼女の人差し指が円を描く。
くるくる、ゆっくりと円を描く。

「トレーニング! いいねぇ健全で健康で優良だよ少年」

「何かスポーツでも? 野球? ハンドボール? それともサッカーかな?」

「お姉さんの予想だと、少年は中々やるタイプだけどどうかな?」

97鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 01:00:25
>>96

>「いや?」

>「お姉さんの知ってる人なんて誰もここにいないけど?」

「・・・・・・・・・・?」

予想しなかった答えに、思わず女性の方へと振り向いた。すぐに目線は斜め下の方に外してしまうが。
健康である、そしてお見舞いではない。しかしこの病院に来た、となると。
他に考えられるものは。

「なら…お仕事、でしょうか?」「この病院と、何らかの取引をしている、とか」
「あるいは、勤務先…ですとか」

彼女の格好は看護師には見えないが、休日に職場へ来たりすることもあるかもしれない。

「激しく動かなければ、今はある程度は大丈夫です」「怪我をした当日は、動くのも中々辛かったですが」

あの戦闘後は別のことに意識を取られて痛みが気にならなかったが、落ち着いた途端に激痛が走り出した。
やはりアドレナリンのようなものが出ていたのだろうか、と考えていると。
おもむろに人差し指を動かす彼女に、今度は視線を指先へと向ける。何か意味合いがあるのか、それとも癖なのだろうか。

「『スポーツ』と言うよりは、『武道』ですね」「『剣道』をやっています」「一応、今はレギュラーに入らせて頂いてますが…」

98竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 01:33:37
>>97

「んーん。お仕事もこういうとこのじゃないね」

「それがどうかしたの?」

あっけらかんとそんなことを言っている。
さもここにいるのが当然という感じの顔だ。

「ふぅん、大変だったねぇ。それにして剣道か」

「汗臭いイメージがあるけど、少年結構可愛いし、モテるんじゃないのォ?」

「どうどうどう?」

99鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 01:38:45
>>98

「・・・・・?」「それでは、あなたは何の目的でこの病院を訪れたのですか?」

単刀直入に訊ねる。
今のところ、彼女の言葉を統合すると、ただ理由なくこの病院を訪れたことになってしまう。
しかしそれが公園や海岸ならともかく、病院をただの物見遊山目的にする人間がいるとは思っていない。

「モ、モテ…いえ、自分は、そういうものとは
全く縁が遠い人間、でして…」
「そもそも、女性というものに対して、なかなか苦手意識がありまして…」

色恋沙汰の話には疎い。どころか、基本的に触れたことがない。
そもそも、女性に対して物理的に触れたことすらほぼない。再び視線を落とす。

100竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/25(火) 12:48:33
>>99

「お姉さんが病院好きって言ったら信じる?」

それも、さも当然という感じだった。
ここに来るのは彼女の趣味である。
時々こうしてやってくる。
病院が好きなのだ。
消毒の匂いも、そこにいる人も好きだ。

「えー勿体ないなぁ」

「でも苦手意識か……うーん、生まれだとか育ちだとかそういうのもあるからなぁ」

何が勿体無いのだろうか。
どうにも思考が自分の中だけで巡っている。
外部に出力されない分は当然わからない。
余程察しがいいか、心を読む力でもなければ。

「お姉さんで練習してみる?」

101鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/25(火) 22:08:23
>>100

「・・・・・・・・・・」
「なるほど」「いえ、納得できました」

どうやら、本当にただ病院を見に来ただけのようだ。
自分には理解できないが、世の中の人の趣味嗜好はそれだけ様々なのだろう。
例えば病院の清潔な感じが好きとか、消毒されてアルコールの匂いが好きとか、そういったものかもしれない。
ただ失礼ながら、少し変わった人だな、とは思ってしまったが。

「練習…ですか」「何か、効果的な特訓方法をご存知なのですか?」

治そうとしてくれる申し出はありがたいし、方法を知っているのならば是非ご教授願いたい。
今すぐ恋人を作りたいとかは考えたことはないが。いずれは、そういう大切な人間が増えていってほしい。
身体を真横へ向けつつ、目線は地面を見ながら問い尋ねる。

102竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 06:19:08
>>101

「ふぅん、そっかそっか」

「分かってくれたかぁ」

口許が弧を描く。
にんまり、という感じだ。

「効果的も何も少年、こういうのは何事も慣れなんだぜ?」

「苦手だなんだって遠ざけてるといつまで経っても慣れないんだ」

「だからね」

ずずいと女が寄ってくる。
視界の中に収まる彼女の足の面積が広くなった。

「まず、お姉さんの目を見なさい」

103鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 22:19:30
>>102

「っ」

視界に入ってくる女性の足に、目線を反対方向、ベンチの背側に向ける。名も知らぬ植物の茂みが見えた。

>「まず、お姉さんの目を見なさい」

「それ、は…」

『Lesson1』という事なのかもしれないが、初回から難易度が高い。
個人的には、その辺りは『Lesson4』くらいだ。いや、具体的に内容を考えたことはないが。
『Lesson1』を自分で作るなら、女性へLineを送るくらいだ(鳥舟さんへは半日かけて内容を考えた)。

だが、せっかく自分の為にこの女性が協力してくれているのだ。しかも、彼女には何の得もないというのに。
ならば男として、この申し出を無下にはできまい。深く息を吐き、勢いよく視線を合わせる。

「──────────ッ!!」

鉄の灰色の瞳が、女性の瞳を見つめ返した。

104竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 22:45:05
>>103

「よし」

思わず背中に走る感覚を味わう。
背骨を伝わる冷たいが熱いもの。
これは喜びというものだ。
女は楽しい。

「逃げるな? 目線はお姉さんに合わせなさい」

その声は脳に響く。
鼓膜を通ってそこにたどり着く。

「お話して?」

ゆっくりとまた距離を詰める。

105鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 22:56:10
>>104

目線が合う。
やはり女性という生物は、自分とは、男とは違う。
身にまとっている雰囲気もそうだが、こう、何というか、柔らかいものがある。
それは骨格的なものなのだろうか。それとも肉感的なものだろうか。
剣道の試合ならば、立会いから取るべき行動は分かる。相手の行動に対して次に何をすべきかも。
だが、完全に未知の生命体で、しかも男と比べて美しい相手には、何をしていいか分からない。
何を話すべきかも分からず、迂闊に動けば傷付けてしまうのではないかとも思い、
そしてその動揺を感じとられているようで─────。

「無理、です」

ギブアップした。目線を外し、再びベンチの端に下がって距離を置く。
これ以上は、身体を休める前に心がやられてしまいそうだ。

106竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 23:07:18
>>105

「早えー!」

そう言ってけたけたと笑った。
愉快そうだった。

「ごめんごめん、刺激が過ぎた。ふふっ、あははっ、ほんとに苦手なんだねぇー!」

手では謝罪しつつも笑いは止まらない。

「ま、仕方ないね。少年ごめんごめん」

「でも、ここまでとは思わなくってさ。最終的には首に腕回したりおでこくっつけるとこまで行く予定だったんだけどさぁー」

今のレベルだと茹だってしまいそうだ。
君のことを考えているようで考えていなかったのかもしれない。

「ごめんね?」

107鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 23:23:24
>>106

「・・・・・・・・・・いえ」

絞り出したような、小さな声になった。
これならまだ部活動の合宿の方が、優しく思える。剣道の試合が男女混合でなくて、本当に良かった。
そして、自分は本当に女性が苦手なんだな、と改めて実感する。
何度か会えば多少はマシになるが、初対面だと目を合わせられて数秒だ。

「至らないのは、オレの未熟さ故であって、あなたは何も悪くないと言いますか」
「そもそも、オレを見兼ねて助けようとしてくれたあなたに対して、自分こそ何もできずに、申し訳ありません…」

己の不甲斐なさに肩を落とす。
と、そういえばこの人の名前を聞いていなかった。

「そういえば、お名前を聞いていませんでした」
「オレの名前は鉄 夕立(くろがね ゆうだち)です。お手伝い頂き、ありがとうございました」

一礼をする。

108竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/26(水) 23:38:31
>>107

「いんや? こっちも楽しんでたからお互い様ってことで」

まだ笑みの抜けきらない顔で言った。

「夕立くんね、おっけーおっけー」

「お姉さんは竜胆。竜胆お姉さんでも竜胆お姉ちゃんでもお好きなように」

「あ、そーだ。君に準備が出来たらまたトレーニングしてあげるよ。連絡先、交換しよっか?」

スマートフォンを取りだした。

(君みたいな子は目をつけておきたいしね)

109鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/26(水) 23:48:22
>>108

「竜胆さんですね。了解しました」

名前を記憶しておく。
竜胆。確か植物の種類だった気がする。花の形や花言葉までは知らないが。
名字だろうか、それとも名前だろうか。とはいえ片方しか言わないというのは
恐らくそちらの呼称が好ましいのだろうと判断した。竜胆さん、だけで十分だろう。

>「あ、そーだ。君に準備が出来たらまたトレーニングしてあげるよ。連絡先、交換しよっか?」

そう言ってスマホを取り出した竜胆さんに、申し訳なさそうに首を振る。

「その、実は自分のスマホを人に預けたままにしていまして…」
「もしよければ、オレの電話番号とLineのIDを書かせて頂きますが」

メモは持ってきてないが、竜胆さんのスマホのメモ帳にでも書かせてもらおうか。
しかし、早いところ塞川さんからスマホを返してもらう必要がある。
とはいえまた会える保証などない以上、新しいスマホを買うべきなのかもしれないが。
臨時収入があったとはいえ、無駄遣いはしたくない。

110竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/27(木) 00:06:07
>>109

「え、人に預けてる?」

「貴重品だぞ? 何考えてるの少年」

ちょっとびっくりだ。
目をぱちぱちさせていた。

「んー、じゃあお姉さんの電話番号とLINEのIDを教えてあげよう。手元に戻ってきたら君から連絡して」

ポケットからメモ帳とペン。

「仕事柄ね、いるんだ」

「ほら、あげる」

111鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/06/27(木) 00:22:53
>>110

「いえ、その、成り行きと言いますか」
「渡した後で、少し火急の用ができてしまいまして…」

竜胆さんの言葉はごもっともである。
今にして思えば『警察署』に行く前に返してもらえば良かったのだが、あの時は冷静さを欠いていた。
自分はそこまでスマホを使ってないと思っていたのだが、失くしてからその重要さに気付いた。
いや、それは流石に言い過ぎだが、やはり連絡をするという点でスマホの電話帳機能は必要不可欠だった。
今、自分は家族以外の人間に電話をかけることができないのだから。

「ありがとうございます」「仕事上…記者、なのですか?」

と、病院の方から看護師の人に名前を呼ばれた。どうやらそろそろ病室に戻る必要があるらしい。
渡されたメモ帳の一ページを胸ポケットにしまうと、立ち上がって再度礼をする。

「ご協力頂きありがとうございました」「またお会いしましょう、竜胆さん」

最後に少しだけ目線を合わせて、背中を向ける。ほんの少しだけ、女性に対して慣れられたかもしれない。
この人は病院が好きだと言っていた。入院中は、もしかしたらまた会う機会があるかもしれない。

112竜胆『ブラックシープ・シンドローム』:2019/06/27(木) 01:01:06
>>111

「ふふ、お姉さんのお仕事が知りたかったらもっと仲良くなることだねぇ」

意味ありげに笑ってみせた。

「さようなら夕立くん、また今度」

(……実はID、嘘なんだよね。電話番号だけが本当)

書いたIDは適当な企業の公式アカウントのものだ。
つまり、連絡を取るためには電話をしないといけないわけで。
別にショートメールでも大丈夫なのだけれど。

「次はもっと楽しいことができるといいね」

その背を見送る。
満足そうな目がずっと背中を見ていた。

113鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/01(月) 23:12:56
>塞川『クリスタライズド・ディスペア』

電話越しに伝えられた病室番号。それを確認し、ドアをノックする。
年上で、しかも女性だ。この程度の礼儀はわきまえている。

「こんにちは、鉄(くろがね)です」

114塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/01(月) 23:32:55
>>113
「ああ、入んなよ」

告げられた病室は『個室』だった。
ノックの後に、部屋内から返答がある。

「久しぶりだなァ、『夕立』。
元気そうで、何より。ってな」

ドアを開いた『夕立』を、ベッドから上半身を起こして迎えた。

115鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/01(月) 23:40:56
>>114

「失礼いたします」

ドアを開けて、一礼をする。チラリと視線を合わせて、すぐに病室の窓へと向けた。

「病院の中で元気というのも、妙な感じですけどね。少なくとも命があって良かった、という所でしょうか」
「オレは全治『3週間』でしたが、塞川さんも似たようなものですか?」

傍らの椅子に腰掛けながら、訊ねる。

116塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/01(月) 23:55:37
>>115
「ああ、私もそんなもんだよ。
ただ、もうほとんど治っちゃいる気はするがな。
大袈裟なんだよな。ほらよ」

椅子に腰かけた『夕立』に、『スマホ』を軽く放って渡した。
ベッド脇は、見舞い品と思わしき果物や書籍など、
雑多な品で埋まっている。

「そして、まずは礼を言わせてほしい。
奴の『スタンド』―――『スロウダイヴ』。
あれほどの戦闘能力を持っているとはな。
あんたがいなきゃ、マジにやばかった。私の見立てが悪かったぜ」

117鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/02(火) 00:09:54
>>116

「確かに、もう大分身体は動くようになってきましたね」
「患者に万が一の事があれば、病院側の責任になってしまうからでしょうか」
「…塞川さんは、こういった事態は手馴れていますか?」

放られた『スマホ』をキャッチしつつ、ふと訊ねる。
怪我に対して物怖じしないというか、大した事ではないと言い切るのは、こういった荒事に慣れているのだろうか?
そういえば、自分は塞川さんが普段どんな仕事をしているのか知らない。
差し入れらしき物を見る。彼女にそれらを持ってきたのは、職場の友人なのだろうか。


>「そして、まずは礼を言わせてほしい。
>奴の『スタンド』―――『スロウダイヴ』。
>あれほどの戦闘能力を持っているとはな。
>あんたがいなきゃ、マジにやばかった。私の見立てが悪かったぜ」

「いいえ、一人では危なかったのはオレも同じです」
「『ガラス化』という脅威があったからこそ、オレの刃も通じたわけですし」
「そもそも塞川さんの推理がなければ、犯人に辿り着けなかったと感じています」

「…『新聞記事』はご覧になりましたか?」

118塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 19:59:22
>>117
「スタンド使いとのトラブルって意味なら……経験はないな。
だがまあ、面倒なヤツってのはどこにでもいるからなァ。
お、どれでも食べな。 見りゃわかるだろうけど、余ってんだよ。
ドカドカ持ってくる連中がいるからな」

鉄の視線に気づき、ベッド横の洋菓子のセットを乱暴に破いて、
中身を1つ取って残りを『鉄』に差し出す。
置いてある『果物』もだが、目の前のものも随分と『高級』に見える。
少なくとも、『同僚』が持ってくるようなものではなく……種類も豊富だった。

「ふーん、ま、そういう事にしとくか。
あんたがそーいうならな。
………『新聞記事を見たか、だと?」

鉄の言葉に表情を変え、
ベッド脇の書籍の一冊を掴んで、乱暴に『鉄』へ投げてよこす。
――『時雨蛙』だ。

「見てるに決まってるだろーが!
死んでるじゃあねーかよ、『切江』が!
どーなってんだ、一体!」

怒鳴った勢いのままベッドから起き上がり、
『鉄』の襟首を掴んで顔を近づける。

「あの後何が起こった?
時系列的に、私たちがあのビルに向かった頃には、
『立石』は襲われていた可能性は高い。あんたが『襲撃』について関係がある、とは思わねーが。
それでも、あんたは確かに何かに『気づいた』………そうだな?」

119鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 21:21:45
>>118

(家族…あるいは、恋人だろうか?)

「ありがとうございます」

礼を述べながら、洋菓子の内の『プレッツェル』を手に取り、食べる。
持ってくる『連中』と言うからには、一人ではないのだろうが。家族と恋人、あるいは恋人たちの可能性もあるのだろうか。
あまり深くは突っ込まない方がいいかもしれない。

「─────」

と、投げられた漫画本を受け取る。これが『時雨蛙』か。結局、まだ読んではいなかったが。
入院中の間、塞川さんに貸してもらおうか。など考えていたら、襟首を掴まれた。

「その通りです」
「それでオレは『切江』に事情を訊きに行ったんですが、既に『立石』さん共々
 『通り魔』らしき人間に襲われてしまっていたようで、後はご存知の通りです」
「不可思議なことに、『切江』は襲撃者に対して一切抵抗はしなかったようですね。死を受け入れたかのやうに」

襟首を掴まれたまま、塞川さんの瞳を見ながら淡々と述べる。

120塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 22:09:51
>>119
「ちっ……」

真っすぐな『鉄』の瞳から目を逸らすように、
乱暴に手を離す。

『切江』が何を考えたかは、私にはわからん。
推理ごっこをするのにも、材料不足だ。
だが……立石がついていながら、みすみす襲撃を許したというのは、
『普通』なら考えにくい。そうだな?」

「あんたの『気づいた事』とは何だ?
それが聞きたい」

121鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 22:24:09
>>120

>「あんたの『気づいた事』とは何だ?
>それが聞きたい」

「数ヶ月前、オレの妹が『通り魔』に襲われました」
「犯人は恐らく『スタンド使い』です」
「そして『時雨蛙』の最終話」「その登場人物の一人は、オレの妹の『鉄 朝陽(くろがね あさひ)』でした」

「…『立石』さん達を襲った人間も、恐らく『スタンド使い』です」
「『切江』をブン殴ってでも、事情を聞くつもりだったんですけれど」

122塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 22:51:07
>>121
「はぁ〜〜〜?なんだそりゃ?」

「……と、言いたいとこだが。
あんたの見ていた『頁』は、私も見ていたぜ。
確かに、腕を『切られた』、女がいたな。
そして、『他人の空似』ではないんだな?」

長い髪をかき上げて、窓の方を向いてぶつぶつと喋り出す。

「フン、これも『曳船』のスタンド能力……その一環か?
あるいは、こんな言葉を使ってやるのはシャクだが、『運命』なのか。
確かに、『切江』を殺ったのも、刃物ではあったな」

そして、鋭い目を『鉄』に向ける。

「事情はわかった。
で、現状、あんたはどうする気なんだ? 『夕立』。
その『通り魔』を見つけたいのか?」

123鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/03(水) 23:23:18
>>122

「間違いなく、あの子はオレの妹です」「まるで本人を見て描いたかのようでした」
「…オレの思い過ごしでなければ、切江はオレを知っているようでした」
「オレの妹も、もしかしたら何らかの形で見ていたかもしれません」

もっとも、覚えている限りこちらには面識はないが。
剣道の大会にでも来たのだろうか。

>「事情はわかった。
>で、現状、あんたはどうする気なんだ? 『夕立』。
>その『通り魔』を見つけたいのか?」

「もちろんです」「オレはその為に『スタンド使い』になりましたから」

「…ご馳走様でした」

プレッツェルを食べ終えた。

124塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/03(水) 23:53:32
>>123
「わからないか? 『夕立』。
もはや『切江』はいない……答え合わせをすることはできねーが。
あいつが偶然にも、あんたの妹を、
そして『通り魔』を繋ぎ合わせ
偶々『現実』に近い絵を描いたと考えるよりも、
もっとわかりやすい答えがあるじゃあねーか」

「つまり、奴は『見た』んだ。
その『通り魔』の瞬間を!
あんたがその場所に『居た』ってんなら、
『切江』があんたを知ってるって事も腑に落ちるが、それは多分違う。そうだな?
真実はもっと複雑だろう」

冷静に見える『鉄』を観察しながら話す。

「『切江』が見たって事は、その逆も然り。
そう考えるなら、今回の『襲撃』が出来た理由……というか、因果もうっすらと見えてくる。
切江が通報しなかった以上は、『口封じ』という訳ではなさそうだがな」

>「もちろんです」「オレはその為に『スタンド使い』になりましたから」

「聞きたいのはその先だ。
『通り魔』を見つけて………そしてどうするんだ?
私に言わせれば、あんたは危なっかしいんだよ。
一見すると、『生真面目なヤツ』って印象だったが………決定的なところが、危なっかしい。
『危険』だ。
それは、あんたのスタンドを見てもわかる」

125鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 00:38:00
>>124
>「つまり、奴は『見た』んだ。
>その『通り魔』の瞬間を!
>あんたがその場所に『居た』ってんなら、
>『切江』があんたを知ってるって事も腑に落ちるが、それは多分違う。そうだな?
>真実はもっと複雑だろう」

「…その場合、この最終話に出てきた他の人間も『通り魔』の犠牲者の可能性もあるわけですか」
「オレの妹の事件が、最初で最期の目撃だったのかもしれませんが」

『通り魔』にインスピレーションを受けたということか。
だが、それが『スタンド』による犯行ならば切江には見えなかったはずだ。
しかしあそこまで『漫画』に人生を費やしてきた切江ならば、何かを感じ取ることができたのだろうか。

「…やはり」「塞川さんにこのことを相談して良かった」

自分の予想の更に先を推測してくれる。これが犯人を追い詰める手がかりになるかもしれない。
もちろん決め付けるわけにはいかないが、視野が広がるというのはありがたいことだ。

「…アレが何かの間違いであったなら、数発殴る程度で終わらせますが」
「もし意図的に行ったのであれば、『再起不能』にします」
「そう思っていたのですが、どうやら後者で決まりのようですね」

126塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/04(木) 21:05:00
>>125
「……そういうとこが危ないんだよ。
あんたは、どこか『行き過ぎ』の部分がある。
思い当たるところはないか? 自分の『暴力性』に………」

ベッドから立ち上がり、表情を隠すように、
『鉄』から背を向けて窓の方を見る。

「『立石』を襲ったのは、犯人にとっても計算外の筈。
警察の捜査も、更に厳しくなる。『身内』をやられたからにはな。
あんたは大人しくしとけ。『夕立』。
わざわざあんた自身の手を下さずとも………
犯人が捕まりゃそれで良いだろう。違うか?」

127鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 21:59:23
>>126

「・・・・・・・・・・」

「『正しさ』や『優しさ』はとても大事なことですし、皆なるべくそう生きるべきでしょう」
「ただ、それだけで何事もなく生きられるなら、朝陽は『通り魔』に傷付けられることなどなかった」
「そういった事をしてくるようなヤツらには、同じ手でやり返さなくちゃあいけないってことです」


鉄を案じる塞川の言葉にも、耳を傾ける気はないようだ。
普段なら女性と目も合わせられない男だが、この件に関する時は、誰に対しても目を逸らさない。
ちょうど今、背中を向けている塞川に対しても、真っ直ぐすぎる瞳を向けているように。


「…無論、犯人が捕まり正統な裁きを受けるのであれば、オレはそれが最善だと思っています」
「ですが、もし犯人が『スタンド使い』なら」
「それは立証することは難しくなる…そもそも、ただの暴漢なら、『立石』さんが捕まえていたかもしれません」
「そういう想定で、オレはこれからも動くつもりです」

「…貴重なご意見、ありがとうございました」

立ち上がり、塞川さんの背中に向かって一礼をする。

128塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/04(木) 22:16:19
>>127
「礼を言うような事は何もないだろ。
あんたは…………」

窓から離れ、つかつかと『鉄』の傍へと近づく。
何かを言おうとして、ひと呼吸の後、ため息をつく。

「………ま、いいかァ。
年寄りの説教ほど、うざったい事はねーからな。
おう、好きにしな。ただ、私もかませろ」

諦めたような表情で、にやりと笑う。

「私は正義も信念も、別に持っちゃいねーが。
このままじゃあ『加佐見』も、『切江』も。誰も救われないぜ。
私は私の方で『通り魔』の情報を探る。
そして、なにかあったらあんたにも教えてやる。どうだ?」

129鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/04(木) 22:54:40
>>128

「塞川さんは、年寄りとは全く思えませんが…」
「いえ、それよりも」「オレの個人的な行動に付き合う必要は…」

と思ったが、切江らの事件について、塞川さんも思う所があるようだ。
自分のせいで危険な事件に首を突っ込ませてしまうのは気がひけるが、
それが塞川さん自身の目的もあるならば、止める権利などない。
むしろ、こちらとしてもありがたい。

「ならば、承知しました」
「オレも『通り魔』の件で分かることがありましたら、すぐにお伝えします」
「…『共同戦線』というヤツですね」

塞川さんの笑顔に合わせて、こちらもニヤリと笑った。
連絡先は現金盗難事件の時に交換しておいた。いつでも連絡は取れるだろう。

「まぁしかし、ひとまずは安静にして傷を治さなければいけませんね」
「スマホも預かって頂き、ありがとうございました」「またいずれ、お会いしましょう」

そう言って、病室を去る。
戦力的にも、そしてそれ以外の面でも、ありがたいと味方ができた。
例え捜査自体が進展していなくとも、犯人を捕まえる為の準備としては大きな前進だ。
静かに拳を握りしめ─────そのために部屋に帰り、一日も早く傷を治さなければ。

130塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2019/07/08(月) 20:01:08
>>129
手を上げて見送った。

「しかし、あいつ……『やり返す』だと?
やはり、危なっかしいぜ。
先走って動かなきゃあいいが………」

暫く、病室の扉を見て考え事をしていたが、
頭を振ってベッドに戻り、雑誌を読み始めた。

131鉄 夕立『シヴァルリー』:2019/07/12(金) 20:10:59
「お世話になりました、ありがとうございました」

>>88『退院』

132神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2019/12/10(火) 23:32:24
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1534589466/894

神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』⇒『全治二ヶ月』

『肋骨骨折』
『脛骨にヒビ』
『両足にⅡ度の火傷』
『顔・胴体・両手にⅠ度の火傷』
『全身打撲』

133神原 幸輔『ストロンガー・ザン・アイアム』:2020/06/21(日) 01:23:27
退院

134宗像征爾『アヴィーチー』:2020/07/29(水) 21:25:31
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1592147795/127

『左肩刺傷』『左肩筋断裂』『全身に噛み傷』
『全治七ヶ月』

『入院』

135宗像征爾『アヴィーチー』:2020/08/02(日) 20:15:16

中庭のベンチに男が座っていた。
おもむろに右手を伸ばし、左肩を掴む。
そこには『銛』で貫かれた傷跡が残っている。

「『中務真尋』――」

『エクリプス残党』だった『下村右京』の仲間。
そいつの事は何も分かっていない。
分かっているのは『女』であるという事だけだ。
『妖甘』と『道具屋』によると、残党は他にも存在する。
下村も中務も、その一部に過ぎない。

「――『入院中』を狙ってくるかとも思ったが」

俺の能力は既に割れているが、俺は中務の能力を知らない。
今後もし戦う事になれば、こちらが不利になるだろう。
厄介な条件が一つ増えた事になる。

136宗像征爾『アヴィーチー』:2020/08/05(水) 22:11:35

『エクリプス残党』の存在は、確実に脅威となる。
そして、奴等を排除する為に『アヴィーチー』は役に立つ。
多少でも利用価値があるなら、それを活かした方が効率的だ。
『アヴィーチー』の能力は、傷付けるか殺すしか能が無い。
それ以外の事に向かない以上、尚更だろう。

「『先』は長そうだな」

立ち上がり、静かに歩き出す。
『必要な時』に備えて、今は治療に専念しなければならない。
やがて、その後姿は病院内に消えていった。

137青山 流星『ルイゾン』:2020/08/09(日) 20:48:35
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1592147795/127
『右脚筋断裂』
『全治四ヶ月』

138『その夕立に雨傘を』:2020/11/20(金) 01:12:54
【ミ】『念然』
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1604323728/

氷山『エド・サンズ』 → 『額を含めた三十二ヵ所の裂傷』。『全治二週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治一週間』。

朝山『ザ・ハイヤー』 → 『鎖骨骨折』、『顎下部骨折』、『全治三週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

一抹『インダルジェンス』 → 『頭蓋骨骨折』、『眼窩負傷』、『全治三週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

斑鳩『ロスト・アイデンティティ』 → 『両肩脱臼』、『両脚に裂傷』、『喉部貫通痕』、『全治三週間』
                   ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

塞川『クリスタライズド・ディスペア』 → 『額部裂傷』、『重度の頭痛』、『全治二週間』
                      ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

夕立『シヴァルリー』 → 『右腕骨折』、『臓器裂傷』、『全治三週間』。
                ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 → 『全身打撲』、『肉体の衰弱』、『胸骨半壊』、『全治四週間』。
                                ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治三週間』。

139一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 02:00:20
「『何か』を失った気がする。これは…?
 あぁ、そうか。もう二度と『夢』には…」

一抹『インダルジェンス』→『頭蓋骨骨折』『眼窩負傷』『全治三週間』……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治二週間』。

「イダダッ…宗像さんに会いに行く前に傷を治さないと。
 『特別診療』のお医者さんァン〜! 居ますかー!」

一抹の所持金:『九十万』

140クスノキ『???』:2020/11/20(金) 02:22:37
>>139(一抹)
「あー、アンタこれ、『霊障』だわな」

無精ヒゲを生やした痩躯の男が『一抹』を一瞥し、やる気なさそうに肩を竦めた。

「寝て起きるでしか治らんよ。
 それとも『霊媒師』でも探してみるか?」

「んじゃ、『診察料』は『五万円』な」

141一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 02:39:06
>>140
「本当に存在するんですね…『霊障』って…」

寝て起きる。『魂』そのものが傷ついてる的な方向の怪我なのかもしれない。
診察料の『五万』をクスノキに渡す。

「流石に『霊媒師』は冗談キツイですよ。『悪霊』が
 実在するからって居るわけないじゃないですかァ〜」

冗談を軽く受け流して『入院』するとしよう。
寮から義父母へ連絡が行かなければ気づかれないだろう。

142クスノキ『???』:2020/11/20(金) 02:44:31
>>141(一抹)
「毎度あり」

ズゾゾゾゾ・・・

『クスノキ』は何の遠慮もなく『五万円』を受け取ると、
カップラーメンを食べながら『一抹』を見送った。

143一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/20(金) 03:21:32
「斑鳩先輩にも教えておかないと。
 それはそうと宗像さんを呼び…公衆電話って使える
 かな…?」

一抹『インダルジェンス』→『2週間の入院』

144氷山『エド・サンズ』:2020/11/20(金) 19:11:43
氷山『エド・サンズ』 → 『額を含めた三十二ヵ所の裂傷』。『全治二週間』
               ……『夕立エピローグ』の期間を差し引き、『全治一週間』


「流石にずっと入院は飽きてきましたね・・・・」

入院からしばらく、病室で持ち込んだDVDを鑑賞して時間を潰していたが、飽きが来ていた
・・・・あの『戦い』から一週間
お見舞いに来てくれた友達の話で『鉄先生』がコンクールの『準優勝』を取ったという話を聞いた
自分の事のように嬉しかったが・・・・会場に行けなかったのが残念だ

「・・・・っ! いたたた・・・・流石にまだ痛い・・・・」

暇を持て余し、廊下やホールをふらふらと歩いている
包帯が巻かれた頭が痛むのか、時折額に手を当てながら、椅子に座って休んだりしている
そんな事を繰り返しながら院内をふらふらと放浪していた

145斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/20(金) 22:11:59
車椅子に乗せられた赤いスカーフを首に纏う少年が
待合室の大型スクリーンの前で『スマホ』を弄っている。

 「……嘘だろう。」

見る限りに解るような負傷は無いが、口角を動かすたびに顔をしかめ
その不機嫌そうな表情は少なくとも『健康』の二文字からは縁遠そうであった。

 「後輩はぼったくられるし、夏ごろのメールが今頃届いてるし、金で治るから此処にいるのに…」

『霊障』とはどういう事だこの野郎、アダージョの不快な笑みが思い起こされる、寝て治すしかないなら家でも治るんちゃうの?いる意味ねぇじゃん
なんなら『夕立』の奴に…アイツは多分嫌がるだろうが…妹さんにバレないように『金を貸す』まで考えていたというのに
想定はすべてパアである。

1週間ならまだしも3週間! 一週間なら友人に言いくるめれば何とかなるかもしれなかったが、三週間では教師から祖父母に連絡が飛ぶだろう その時点でアウトである。
祖父母にバレたら僕は確実に殺されるであろう。いや、死ぬ。

 (いや頑張っただろ皆、頑張ったよな僕?あんな新選組みたいに囲んでぐちゃぐちゃにするしかないような相手に致命傷まで引きずったよな?)

自身の身体を見やる、気持ち悪いほど清潔な衣服とスカーフの下で解らないが
脚部に刺し傷多数、肩に脱臼、首には見事に貫通跡。生きているのはあれが夢だったからで、現実なら今頃死んでいる。――別に構わなかったかもしれないが。

 (その結果がこれだよ!これだから努力っていうのは酷薄な信じるに値しない物なんだよ…!なんか後輩も運よく助けたと思ったらついでみたいに死んでるし。割にあわねーっ)

オマケに舌を回そうとするたびに喉に激痛が走る。
こんな苦痛はあの期待していた映画が大コケかました時以来だ。『ハリウッド』で『実写化』なのがなにもかも悪い。
がっくりと肩を落とす。

精々良い事といえば最近悪夢をさっぱり見ない事だ。あの場面を延々と見せられないだけマシかもしれないが。あんな場面でも両親の顔がまともに見れるシーンなのに。

 「ハァー……飛びてェー…ッ」

146氷山『エド・サンズ』:2020/11/20(金) 23:11:07
>>145
しばらく病院内をうろうろしていたら見知った顔を見つけた
見た目には怪我人の様には見えないが、実際の所、自分以上に重症のはず
『スマホ』を弄り、メールか何かを打っている『斑鳩』に近づき、声をかける

「こんにちわ、斑鳩先輩 なんだか、元気がなさそうですね」

声を出すと、まだ少し額の傷が痛む
少しだけ顔をしかめながら、言った

「まあ、無理もないですよね、『夢の世界』とはいえ、本当に殺されるような痛みでしたから
 私の方もまだあと一週間は入院してなきゃいけないみたいで・・・・」

147斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/20(金) 23:53:43
>>146

 「……あ、聞いてたぁ?」

車椅子を向ける、確か……そうだ 『氷山』だったかな。

 「いやぁ、いいのさ後輩。 痛いのは慣れたし 入院期間も2週間だし そう変わらない。」

――俺としてはアルコール漬けにした毬栗を飲み込んでるような感じだが。

 「悩んでるのは祖父母に説明がさ。 『夢の中で殺し合いしてました』でこの怪我は信じないだろ?
 あんまりあの人達に心配かけたくないんだよ。」

俺としても自分のミスで他人が気遣うなんてのは御免被る。
他人を頼らなかったのは『俺だけの責任』だからだ……結果的に死んだが、じゃあ他人を盾にして殺すのはいいのか?と言われたら、やはり御免被る。
他人の責任など持って歩くのは真っ平御免だぜ。俺は。

 「まあこれは僕の事情だから関係ないとして……君は大丈夫か?色々。」

夢の中とはいえ殺したろう。と言う所を此奴は言葉を濁した。

148氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 00:25:18
>>147

「聞いちゃってました・・・・ というか、見た目でわかりますよ!」

少し大きな声を出すと、頭に痛みが響いた
いたた・・・と小声で言いながら、その辺にあった椅子に座る

(そういえば、斑鳩先輩ってどんな人なのか全然わからないんですよねー
 あの時は・・・・・初対面のままなし崩し的に色々ありましたし)

「まあ、家族に説明するのも難しいですよね
『スタンド』や『夢の世界』の話なんてしたら別の病気を心配されそうですし

 ・・・・・斑鳩先輩って意外と『家族思い』なんですね」

『あの時』は皮肉気な口調で言葉を投げる姿ばかり見ていた
そのせいで氷山の中では『ドライで冷たい人』なイメージが出来ていたのだが・・・・
どうもそれは『斑鳩』という男の一面にすぎなかったらしい
心の中で少し反省する

>「まあこれは僕の事情だから関係ないとして……君は大丈夫か?色々。」

「あー・・・・ まー・・・・ そうですね、まあ、大丈夫な感じにやってますよ」

行間に隠された意味を察し、少しだけ目を伏せる
意識的に口元を上げて、弱い微笑みを浮かべながら言う

「気にならないと言えば、嘘になりますし、
『やってしまった責任』を取るために生きる、とか言おうものなら
『あの人』に『何、わかったような口をきいてんだ』ってキレられそうですけど・・・・

まあ、それはそれ、これはこれ、で生きていくしかないですからね」

149『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 00:25:21
>>146-147

――ガラガラ

「もがもがもがもがもが」

城生「佐生ちゃん。何言ってるかわかんないよぉ
この人達、知り合い?」

エッ子「災難だよねー。なんか傾斜のある階段とかで足を踏み外して
大転倒するなんて。寿命が縮んだよー」

ムーさん「顎を動かさないように言われてるんだから、喋ろうとしちゃ駄目だぞ」

「……もが」

そんな会話をする中で、ニュー・エクリプスの首領こと
モーニングマウンテン! ……の、表の姿でもある朝山が
女子高生三人組に車椅子で押して貰いつつ颯爽とは言えないものの参上する。

鎖骨が折れてるので上手く歩くのに支障が出来てるし、顎も割れてるので
今は包帯を巻いて固定して喋る事は難しいのだ。

150斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 00:47:13
>>148-149

落ち着くように手で促す、俺?俺はいいのよ
男には意地と根性で痛みを耐える権利と義務がある。

 「――わかっちゃうんだなぁ 聡い後輩は。」

――物分かりが良いのも考えもんだ。
ホントに家族思いなら、そもそもこんな事件に首を突っ込まないだろうと俺は思うがね。
『此処』にその『家族』がいるしな。パパとママが今の俺らを見たらどう思うんだか。

        コロセタラ
 「……俺ができたら良かったんだがよ、やらせちまったな。」

あの戦いは多々有るが、そこが一番……いや。
 
 「止めとこう。言い出したらキリが無いんだ僕は…で、家族思いで思い出した。」

 「ほら、夕立の奴も 妹さん。家族思いだろ?そういうところで仲良くなったんだよな、多分。」
 「で、何とか妹さんも無事に帰ったし アイツも生きてるし 僕達の勝ちさ、誇ろうぜ。それに――……」

――ニヤリと笑う。
そうだ、死んだら何も出来はしない、そういう意味では最初から勝っていたような物だ。

 「死んだら文句の言いようもないだろ? 解ったような口きいてこうぜ ――そら。」

向こうに見える芋虫…もとい首領を指さす。

 「生きてるからああいう……何だろう?見覚え有る気がするんだが。知ってる?」

151氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 01:15:17
>>149-150

「あはは・・・そういう訳にもいきませんよ
 それに・・・別に私は後悔しているわけじゃないですからね」


少しの間、目を閉じ、消えていった者達の事を思う
『黙祷』というわけではないが、心を切り替えるために必要な動作だ

「あー、なるほど、鉄先輩達も確かに仲良さそうな兄妹でしたよね!
 なるほどなるほど、そういう縁でお友達に・・・・」

鉄兄妹の話を振られて、先程までの憂いは一気に吹き飛び、笑顔となる
あの『二人』が無事に帰ってこれた事は、かけがえのない『成果』だ
その事を思えば、厳しい戦いだったとはいえ、戦った甲斐があるというものだ

「あれ・・・・?」

ふと、目に飛び込んできたものがある
もごもごとした変な『かたまり』
いつもの元気さは抑え込まれているようだがあれは・・・・

「あさやまさ・・・・首りょ・・・・いえ、朝山さん!」

咄嗟にどちらの名前で呼べばいいのかわからなくなったが
『仮面』もつけてないし、友達と一緒にいるみたいだから、『表の名前』で呼んでみた

152『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 01:26:33
>>150-151

「もがもがもがもが……」

ムーさん「二人とも、つい昨日ぶりっス
いかるん先輩も、あきあき先輩も見たところ怪我以外はなんとも
なさそうで安心したっスよ。……と、言ってるぞ」

城生「む、ムーさん。よく言ってる事わかるね」

エッ子「すっごーい」

何やら姦(かしま)しい四人である。中心である朝山は顔の半分は包帯で
両腕も固定のギプスをしてる為に、見た通り芋虫っぽい。

「もがもふぁもがが……?」

ムーさん「あさひー先輩や、そのおにーさんがどうかしたっスか?
と言ってるようだぞ」

朝山は話の途中から割り込んだ為に、どんな話か良く把握してないぞ!

153斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 02:14:06
>>151-152
 
 (――強いな。)

成程、この氷山という後輩は見かけ以上にタフらしい
少なくとも精神的には。俺達よかよっぽど。でなけりゃあ、あんなスタンドは発現…そうだな、下手すりゃしょっぴかれるか。

 (相手の理解も、余裕がなければできない事か……僕にその余裕は無いんだろうな。)

テメェの事で手一杯、過去の事を引きずり続けて将来なんざ見えていない
そんなヤツが他人を理解したり共感する、というのも難しい話だろ。誰も期待何ぞしてねぇよ。

 「――……朝山?」

そして此方の『事故にあった事になっている』芋虫もとい、季節外れの包帯女は顎が砕けた状態で喋ってるらしい
……いや、俺より重症じゃねぇか つーかよく解るなオイ。普段からそんな事してんのかァ?

 「『アサヤマンガル』…!」

そんなものはねぇよ。

 「あ、どうも高等部2年の斑鳩です。」

 「いやね、偶々運悪くこんな事になってしまって。」
 「思えば同じ学校に通ってても学年違いであまり喋った事も無いし、共通の友人…の兄妹の話題を。」

俺達みたいなのが友人になっても困るたぁ思うが。
それだけアイツも切羽詰まってたんだろう、そういう関係もこの件が解決した以上は終わりだな。

――しかし、流石に夢の中で肩組んで殺し合いした仲ですとは言えねえだろう。
 スタンド使いか解らない相手3人連れてる中で、そういう話題も困る。

 「彼とどう知り合ったとかね……あ、そうだ」
 「寝たきりで僕は聞いて無いんだけど。彼の妹…『朝暘』さん。『コンクール』に出たんだろ?どうなったんだっけ。」

再三言っておくが此奴はこの舌を回すたびに喉奥で焼けた金属製のイガグリが転げまわっている
さっきと例えが違う?細かい事を気にすんな。

154氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 11:37:28
>>152-153

「えっと・・・・ 1年の氷山です
 朝山さんとはちょっとした縁で一緒に入院する事になりまして・・・・
 というか、凄いですね、よくこの子が言ってる事がわかりますね」

素直に感心する
それにしても・・・・朝山の病状は大分、酷そうだ
無理もない、あれだけの怪我を負えば包帯をここまでぐるぐる巻きにするのも必要な・・・

(え? 本当にここまで必要ですか!? 誰かの悪ふざけなんじゃあ・・・)

「あ、はい、鉄先生の『コンクール』の話ですよ
 あの後、『コンクール』がちゃんと開催されて、『準優勝』を取ったみたいですよ?
 鉄先輩も痛みを押して見に行ったみたいで・・・」

お見舞いに来た友達からの伝聞のため、詳細はわからないが
聞き及んだ限りの話を二人(+姦しい人達)に伝える

ふと、朝山を囲む人たちに視線を向ける
部外者の前で話していいものかどうか、少しだけ逡巡するが、
まあいいか、と観念した趣で話を続ける

「まあ、色々と酷い目にも遭いましたけど、
 二人が何事もないちゃんとした『日常』を取り戻せて良かったなーって
 ・・・・・まあ、そのせいで色んな人に心配をかけちゃいましたけど」

駆けつけてきた両親や、お見舞いに来た友達の顔を思い浮かべると
少しだけ、悪かったなー、という『罪悪感』が浮かぶ

だが、それ以上に『満足感』の方が大きく、笑みを浮かべる
『誰かの日常』を守れた事への『満足感』・・・・そして

心の奥底にしまい込んだ、『彼との闘い』で得た『感情』
良悪ないまぜになった想いではあるが、その重みを得た事に後悔はない

155<削除>:<削除>
<削除>

156『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 19:59:27
>>153-154

エッ子「目を離すと、直ぐに両腕がろくに動けないのに
踊りだそうとするから、大目に包帯で処置したよ!」

斑鳩と氷山の、重傷だとしても流石にやりすぎだろと言う朝山の惨状は
エッ子の仕業、と言うかナイスな判断による拘束のようだ。

自己紹介する彼女達三人は、城生 乗・佐々木 江南・比嘉 海霧と
告げてくれた。尚、斑鳩と同じ『高校二年生』だ……。

城生「斑鳩君、今日の学校での授業の分のノートの写し。どうぞ」

エッ子「斑鳩君も、氷山ちゃんも、サッちゃんも大変だねー
サッちゃんなんて皆勤賞は、これでもー絶望だよー」

「……もがもがもが」

ムーさん「学校に早く戻りたいし、権三郎にも家に帰って元気な
姿を早く見せたいっス。と、言ってるな」

「…………もがもがもがもが」

ムーさん「コンクールの応援行きたかったスね。
今度、クァンカンさんの焼肉パーティの時に改めて
お祝いを言いたいっス。との事だぞ」

エッ子「えっ!!? クァンカンってあの韓流スターじゃ……いやいや
サっちゃんが顔が広いとは言え、それは無いか」ぱし ぱしっ

クァンカンの名前にエッ子は少し驚くものの、似たような名前の赤の他人
だろうと笑って朝山の頭を軽く叩く。

不服の表情を朝山は浮かべつつ顔を揺れ動かす。

157斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 21:14:05
>>155-156

 「お、サンキュ 3週間も離れるともう置いてけぼりだよなぁ。 …赤点は回避しないとなあ。」
 「この借りは元気になったら返すよ。」

……なんとか縮めたいが、生憎『霊媒師』なんぞ知り合いはまったくいない
精々、胡散臭い占い師が最近歩き回っているとクラスで話題になったくらいだ。

 (『ゴンザブロー』……あのでかいワンちゃんか。)
 (学生寮で見た事は有るけど、流石に病院には来れないしな。)

クァンガン…か
あ、やべぇ映画の失敗を思い出した

畜生、ありゃ名前だけ借りたただのハリウッド映画じゃねぇか
序盤の展開からして少し違うせいで、中盤のストーリの繋がりがもうバラバラ
終盤に至っては完全に別物、ラベルだけ原作に張り替えた単なる別物よ。

 (違う。僕は主人公がカビの浮いたコーヒー片手に主の居ない部屋で一人佇むシーンが見たかったのに)
 (羽を削った斧の化け物は?食堂のプラム対決は?単なる『死に戻り物』だよアレじゃあ。ド畜生が……!)

原作を知らなければ頭空っぽにして見れるハリウッド映画だろうに……。

 「――ゲホンゴホッ」

兎に角あの不快感を必死で飲み込む、あれはあれで成功している作品なのだ
だから原作と展開違うじゃねえかというのは飲み込んでファッキンシット。許さんぞ…!

 「クァン…ああ、あの韓流スターだろ、彼も急に消えたからね。ドラマチックなせいで色々言われてるけど。」
 「ファンならそう言いたいかもな……」

当たり障りなく言う他ねぇな
下手についてきてどういう事になったら責任とれねえし。

 「ま、退院後の楽しみが増えたと思おうか。『一抹』と『夕立』と…『朝暘』も誘えないかな?」

霊媒師……それに近い奴なら居たと思うんだが。

158氷山『エド・サンズ』:2020/11/21(土) 21:40:19
>>156-157

「な、なるほど・・・・
 確かに放っておくとすぐに危ない事してますし・・・・」

流石は朝山さんの友人、年季が違う・・・・と、
感心したような敬いの目を向ける

「クァンガンさんかー・・・・
 私はあんまり知らないんですけど、やっぱり有名な人なんですね」

脳裏に思い浮かべるのは若草先生に向けた歯の浮くような台詞の数々・・・・
うん、顔は良いけどあれはちょっとなー・・・・ ないなー・・・

「うん、いいですね、退院したら皆で『焼肉』に行きましょう!
 一抹くんに、鉄先生に、夕立先輩に・・・・それと」

「塞川さん・・・でしたっけ?
 夕立先輩と仲良さそうにしてた女の人・・・あの人も呼んでみたいですね」

その他にも『タダヒト』に『タカ』、『曳舟』、『ピエール』の顔も浮かぶが・・・・
裁判に、事後処理と、色々と忙しそうにしている様子を見ているため、声をかけにくいな、と思う

「そういえば、あの人(塞川)も夕立先輩の関係者なんですよね?
 先輩方は何か知ってます?」

159『ニュー・エクリプス』:2020/11/21(土) 23:01:28
>>157-158
(乱入してすみません、お付き合い有難う御座います。
こちらは、此処ら辺で退散します)

エッ子「おーっ 君達、焼肉パーティするのか!
私も行きたいぞーっ」

城生「もぉ、エッ子ってば図々しいって思われるよ。
けど、佐生ちゃんが退院したら。お祝いに家庭科室で退院パーティで
沢山御菓子は作ろうと思うから。早く良くなろうね」

一人、焼肉にテンション上げて両手を上げてアピールするが。城生が空気を読んで
上手く場の流れが関係が無い女子高生三人が一緒に来るようになるのを防ぐ。

ムーさん「塞川……いや、私達は知らない。ただ佐生が世話になった人なら
今度もし出会えたら。私達も良くお礼はするよ。
因みに、その代わりと言ってはなんだが『烏丸香奈枝』って言う私と同学年の子が
色々と町で調べてる事があるようだから。もし良ければ相談にのって欲しい」

そんな話をしてると、看護師が朝山を呼びに現れた。そろそろ投薬の時間なのだろう

「もがもがもふぁもが……」

ムーさん「それじゃあ二人とも、退院の日まで一緒に辛い病院生活だけど
頑張るっス……と、言ってるようだ」

城生「ムーさん、今度どうやって翻訳してるのか結構真剣に教えてくれない?」

エッ子「秘めたる乙女パワーの力だったりっ!!?」

きゃあきゃあ騒ぎつつ、三人と患者たる悪の首領は車椅子で運ばれつつ去っていく・・・。

160斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/21(土) 23:24:42
>>158-159

 「ああ、僕が言うのもなんだけど おきをつけて。」

去って行く朝山達に軽く手を振る
――やはりああいうのが『悪』の首領等と、土台無理な話だろう 喉がいてぇ。

 「そうだな…退院したらやる事は沢山有る これで終わりじゃないし、死なない限りは続きが有るんだよな。」

『他人と自分はまったく違う生き物である』
当たり前の事実だが、我々はとかくこれを忘れがちになる。

 「いったかな……僕も『塞川』という人は知らないんだよな、あの人、最初から中にいたろ?」

 「多分『夕立』とは知り合い以上だと言うのは解るんだけど、どうなんだろうな?」

 「あの性格だから、恐らくモテるだろうしなあ……案外いい人かもしれないぜ。今から聞きに行こうかな!面白そうだし!」

小指をたてる、年上狙いとはやるな夕立(二度目)
俺は娯楽に飢えている。こんな場所に括られていれば猶更。

 「しかしその夕立の妹さん 朝暘ちゃん……『準優勝』か。『2位』と言う事だよな。」

俺の価値観からすれば答えは決まっている
『1位とそれ以下には氷河のクレバスの如き断絶した差がある物だ。』
 
 「夕立や本人に会った時、『残念だ』と言うべきかな。それとも…『おめでとう』と言うべきかな?」

しかしそれを他人に押し付けてまで通す気は無い
自分の信念は自分だけが持っていれえばよいのだから。

 「あ……そうだ、『鳥舟』という『巫女』に連絡がつくかどうか聞きたかったんだが。」
 「一抹が医者に5万とられてこの怪我を『霊障』等というし、割と…藁にもすがりたいからな 『霊媒師』と似たようなもんだと思うんだけど。」

違っても多分ハーケンクロイツと神社のまんじ記号くらいの違いだろう…きっと。
そして喉が痛い。

161氷山『エド・サンズ』:2020/11/22(日) 00:21:55
>>159-160
(※お疲れ様です ありがとうございました! そして、こちらもこれで退散します)

「あれ・・・・? 『烏丸香奈枝』さん?
 そういえば、前に一緒に映画の話をした人もそんな名前だったような・・・
 今度会ったら話を聞いてみますね」

そんな事を話していると、『首領』が病室に呼ばれる時間となったらしい
車椅子に乗せられて去っていく『首領』の後姿に軽く手を振って見送る

「・・・・・・・あまり詮索をしちゃあいけない間柄かもしれないですね
 茶化したりしたら、怒られるかもですよ」

立てられた小指を見て、斑鳩の想像と同じ想像を浮かべる
じとっとした目で斑鳩に視線を向け、悪ふざけのような言い方にちょっとした抗議の意志を伝えた

(た、確かに! 少し話しただけですけど、実直そうな人だしモテそう――
 でも、年上!? い、いえ、年上だといけないわけはないですけど、
 真面目そうな感じに合わないというか・・・・・い、いや!もしかしたら塞川さんの方が!?
 ありえるかも! クールな感じの人でしたけど、夕立先輩の事を本当に思いやってそうでしたし!
 これが・・・・・・『愛』―――――――――――ッ!!)

だが、内心では斑鳩以上にゴシップに敏感だ!
隠そうとしても隠し切れずに好奇の目を輝かせている

>「夕立や本人に会った時、『残念だ』と言うべきかな。それとも…『おめでとう』と言うべきかな?」

「・・・・・私は『おめでとう』って伝えたいですね
 鉄先生がどう思ってるかはよくわかりませんが、音痴な私が偉そーな事言えないですし・・・ははは」

つい一週間前に、自分が『音痴』だと気づかされた事を思い出し、力なく笑う
斑鳩との価値観の『隔意』には気づいたが、とくに気には留めない事とした

「『鳥舟さん』・・・・? さあ、巫女さんに知り合いはいないですし
 あー、でも、『占い師』だったら凄く『良い人』を知ってますよ!
 『ラフィーノさん』っていう人なんですけどね! 凄く親切に色々と相談に乗ってくれて・・・・」

などととりとめのない話をしていると・・・・

「あ! そろそろ『テレビの再放送』が!
 ごめんなさい、斑鳩先輩!この辺で失礼しますね!
 皆が退院したら一緒に焼肉に行きましょう!」

と、言いながら足早に去っていった

162斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/22(日) 00:39:17
>>161

 「えー 気にならない? ぼくは気になるんだがなぁ……。」

ニヤニヤとしながらとりとめのない話をしていると
テレビの再放送とやらで後輩は去って行った

去って行く背に手を振って……口元に手をやる。

 「…………ゼヒュ。」

『多重人格』という物が生まれるに至るには、『苦痛』を己の心を切り離して押し付ける事から始まる。
であればこれが必然だろう、『俺』に押し付けた所で痛みそのものが消えたわけではない
『痛み』は身体の危険信号だ、無視して動かせばその分の負荷が飛び出してくる。

 (でも…ここに2週間もいるわけにはいかない、祖父母にもバレたくはない。)

 「おめでとうを…いいたい…か」

 (兎に角…何とか『連絡手段』を探す事だ、例えか細かろうが諦めなければ道は開く。)

おめでとうと言ってくれる人間がいる事は『幸福』なのだ。
取り戻そうとして何が悪い、諦めきれずに何が悪い 自分に出来るのは、どれだけ無様だろうと実行し続ける事だ。

 (電話帳…或いは病院内で話が聞ければなァ)

車椅子を両肩を軋ませながら動かし、探しに行く。
次の為に。

163宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 16:37:48

入院してから、もうじき『四ヶ月』が経つ。
病院を歩くのも慣れた。
ここに担ぎ込まれた時と比べると、
体も大分まともな状態にはなっている。
だが、まだ『三ヶ月』は必要らしい。
中庭のベンチに腰を下ろし、見るとも無く周囲を見る。

「――今日も来ないか」

『奴の仲間』が入院中に仕掛けてくる可能性を考えていた。
しかし、今に至るまで何も無い。
見つかっていないのか、それとも機会を窺っているのか。
それさえも分からなかった。
奴らの事について、俺は何も知らない。

164一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 20:13:01
>>163
「いいえ、既に来ていますよ?」

腰を下ろしたベンチの後ろから聞こえる幼い声。
ゆっくりと正面に気配が移動すると…

「お久しぶりですね、宗像さん。
 命のやり取りでもしましたか?」

頭部に包帯が巻かれた白髪の少年の姿が現れる。
元からの幸薄い容姿に眼帯や包帯が加わり余命僅かな重病患者に見えるかもしれない。

「宗像さんを見つけたから後を尾行してみました。
 イタタッ…伏せたり這うのも楽ではありませ…痛っ!」

165宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 21:17:40
>>164

連中の事は何も分からない。
向こうから仕掛けてくれた方が楽だ。
そのように考えていた時、背後に気配を感じた。

「いや――」

「大した事はしていない」

正面を向いたまま、背後の声に答える。
待っていた相手と違う事は分かった。
後ろを取ったなら、そのまま攻撃しない理由が無い。

「君も入院していたのか」

「――気付かなかった」

頭に巻かれた包帯に視線を向ける。
四ヶ月の間、この病院を隈なく歩き回った。
それで見つけられなかったという事は、
入院したのは最近だろう。

166一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 21:49:32
>>165
「お隣に失礼しますね。頭が揺れると痛むのです」

ゆっくりと宗像さんの隣に腰を下ろす。
先輩たちに比べると軽傷だが痛むものは痛む。
道中でズレた眼帯の位置を調整しながら宗像さんを見る。

「二日前に『三回目』の死を迎えた代償です。
 お金が有ろうとも治せない異常な傷。歯痒いものです」

「宗像さんの大したことじゃないは大事なんですよ?
 きっと町の裏側のいざこざに巻き込まれたに決まって
 ます」

自信有り気に宗像さんの瞳を見つめる。
身長差で少しキツイが多少の痛みは耐えられる。

「宗像さんは『降霊術』を信じますか? あの世から死者
 の魂を引き寄せるものです」

「もし、死人に会えるなら会いたいですか…?」

『アルモニカ』は『悪霊』のみを現世に降ろしていた。
だが、別の使い方をしていたら? 宗像さんの心の穴を
埋められるのではないかと考えてしまう。
その手段が存在したら宗像さんはどうするのだろうか?

167宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/22(日) 22:36:09
>>166

「俺の感覚では、人間の生死というのは分かり辛い」
 
「一見即死したように思えても、息が残っている場合もある。
 元気だった人間が、前触れも無く命を落とす場合もある」

「少なくとも、『三回』も死んだ人間は多くは無さそうだ」

こちらの事情を明かす必要は無いと考えた。
余計な災難を招く可能性が否定出来ない。
自分の行いの責任は自分で取る。

「君が遭遇したなら、あるんだろう。
 『スタンド』が存在するなら、
 そういった力があっても不思議は無い」

その『降霊術』とやらもスタンドの一種かもしれないが。
『死後の世界』があるとすれば、
それらもスタンドの産物なのだろうか。
あるいは、『地獄』も。

「いや――」

一瞬の間を置き、一抹の目を見返す。
瞳の奥には虚無的な光があった。
燃え尽きた跡に残った灰だ。

「――俺は思わない」

『命』は重い。
力があろうとなかろうと、どうこうして良い物ではない。
『生き返らせたいから生き返らせる』というなら、
『殺したいから殺す』のも許される事になる。
どちらにせよ、
力のある者が他人を弄ぶ行為と変わりが無い。
それでは『命』が軽過ぎる。

168一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/22(日) 23:55:31
>>167
「宗像さんのそういったところが本当に好ましいです。
 唯一性を失った存在を簡単に消耗品とするのが人間
 ですから」

「命を軽んじる死人たちより高潔で生きるに相応しい」

残る片目を嬉しげに輝かせながら宗像さんの眼を見つめ返す。
別の手段で『悪霊』の類いが現世に現れようと宗像さんなら誘惑を断る。そんな気がする。

「『アルモニカ』って聞いたことがありますか?
 奏でる者を天に導くとか演奏を聴いた者たちが暴動を
 起こすと言われる呪われた楽器」

「それを『ピアノ』として復活させた者が町に居たので
 す。『殺意』を研ぎ澄まし『悪霊』を操る。
 彼の思い通りに事が進めば、この町は『悪霊』だらけ  となり望まずスタンドに目覚める者たちがだらけに…」

「実際、敵の計画は成功寸前だったんです。
 『音痴』なスタンド使いが運悪く四人も居残りさせら
 れたり、その中に『悪霊』に対して異様に強い私が
 混ざっていなければ…」

『サンダー』と『アダージョ』の天敵である斑鳩先輩。
スタンドのスペックを自在に操るあさ…『モーニング・マウンテン』さん。
味方だけでなくアダージョの精神にさえ寄り添った氷山先輩と『サンズさん』。
無数の鳩で万物を硝子へと変える塞川さん。
数多の『悪霊』と蛇尾川に一人で打ち勝った夕立先輩。
そして、私の心の支えである宗像さんと小林さん。

「運悪く『エクリプス』なんて犯罪組織の最前線で
 猛威を振るった最悪のスタンド使い二人と遭遇した
 時は泣きそうでした」

「でも、宗像さんの住む町を守りたいと思って頑張って
 きました。それでですね。
 ちょっとお願いがありまして…大丈夫かな…」

実の父でもない宗像さんに頼むのは非常に勇気がいる。
チラッと恐る恐る宗像さんの眼を再び覗く。

169宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 00:35:04
>>168

「知らないな。聞いた事が無い」

「常軌を逸した相手である事は分かった」

実際に居合わせた人間でなければ、全ては理解出来ない。
それでも、規模の大きな内容である事は察した。
この街には『エクリプス』の残党達が潜んでいる。
それらは一つ一つが集団であり、
総数は一つや二つでは無い。
連中も脅威だが、一抹の遭遇した相手は、
それ以上の危険性を秘めていたのかもしれない。

「だが、『命』があったのは何よりだ」

『三度死んだ』という言い方に引っ掛かりは感じた。
単なる比喩とも思えない。
『そういう能力だった』と考えるのが自然だろう。
どちらにしても、一つの事実は存在する。
一抹の命が潰えていたとしたら、
今日ここで話す事は無かったという事だ。

「――何だ?」

内容を聞かなければ答えようが無い。
どんな頼み事かは知らないが、話の先を促す。
何度か顔を合わせてはいるものの、
それで心の中を読めるようにはならない。

170一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 01:07:37
>>169
「『エクリプス』って方々に気をつけてくださいね?
 何やら現代版ナチスのような扱いをされているので…」

「宗像さんは無茶するから心配になりますよ。
 私のように『夢世界』なら死んでも大丈夫ですが…」

ただ、気になるのは『夢』を見なくなったことだけ。
スタンドを使った殺し合いの後は悪夢を必ず見る。
しかし、今回は『夢』すら見ない。
この不思議な現象が厄介事を引き寄せなければ…

「えっと、そのですね。今回は奇跡的に生き残れました
 でも、次は本当に殺されてしまうかもしれません」

「そうなる前に頭を撫でて欲しいな、と思いまして。
 私と宗像さんに血の繋がりはありません。
 けど、宗像さんみたいな人が父だったら…良いなぁ…とか…」

「せめて死ぬ前に一度で良いから頭を撫でてもらいたくて…」

一度で良いから父親に頭を撫でて欲しかった。
義父は優しくて良い人だが父親というには歳が違いすぎる。
不思議と宗像さんは父親っぽい感じがして後をついて行ってしまう。
いつ自分が死ぬか分からない。そう思ったら死ぬまでには宗像さんに甘えてみたいと思ったのだ。

171宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 01:34:37
>>170

「――分かった」

『エクリプス』という名前を耳にするのは、
初めてでは無かった。
既に交戦し、残党の一派に『能力』も知られている。
報復を待っていたが、まだ気配は見えない。

「それで君の気が済むなら、やる価値はあるだろう」

「だが、慣れていない」

おもむろに腕を持ち上げ、隣に座る少年の頭に手を置く。
それだけの動作をするのに時間は掛からない。
誰でも出来る事だ。

「多少乱暴になるかもしれないが――」

その時、『どうするべきかが分からない』事に気付いた。
忘れてしまったのか、
それとも最初から記憶に無かったのか。
いつの間にか、それすらも曖昧になっていた。
やや間を空けた後、
思い出すかのように『撫でる』という動作を行う。
客観的に見れば、やや荒い手付きだった。

172一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 02:31:14
>>171
もしも、私に父親が居たら今のように甘えることが出来たのだろうか?
血の繋がりは無い。ただ、一方的に懐いてるだけだ。
それでも無限の地獄を強く歩む姿が私の理想とした存在で憧れたから…

「ん…? どうしました?」

「包帯さえ無ければ…いや、でも良かった…
 また宗像さんに会えたし撫でてもらえたから…」

一瞬だけ宗像さんの動きが止まったのが気になる。
宗像さんも子供を撫でるのが初めてで戸惑ったのだろうか?
……私は宗像さんの子供の代わりにはなれないだろう。
そこは唯一無二の席だ。未来永劫に座れない場所だ。

「さては初めてでしたね? やったー?
 そういえば、私も撫でてもらうのは初めでした」

「……宗像さんは『エクリプス』と遭遇したら逃げずに
 戦いますか? やっぱり写真の人と過ごした町を守り
 たいと思いますか?」

「私は彼等の計画を二度も邪魔しました。
 行き場の無くなった悪党の居場所が復活するには充分な
 戦力の蘇生を」

「流石に見なかったことには出来ません。
 あちらも考えは同じでしょう。メンツもありますから」

「もし、仮に私が『エクリプス』のスタンド使いに
 殺されたりしたら…宗像さんは悲しんでくれますか?
 逆に宗像さんが『エクリプス』のスタンド使いに
 殺されたら…」

そいつを追いかけて八つ裂きにしようとする。
宗像さんの『残火』と違う、私の『報復心』は一気に燃え盛り憎悪のままに戦う。
宗像さんは私が死んだら…この人の薪になれるだろうか…?

173宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 03:04:56
>>172

「何でも無い。考え事をしていただけだ」

頭に添えていた手を離す。
これが何かの役に立つのなら意味はあるのだろう。
それが何なのかは、俺には分からない。

「過ぎた事は良い。だが、俺には『スタンド』がある」

「俺に大した事は出来ない。
 それでも、使わずに腐らせておくよりは、
 何処かで役立てた方が建設的だろう」

「それだけの話だ」

俺に生きている意味は無い。
だが、ただ死ぬだけでは非生産的だ。
『藤原しおん』が引き出した力を、
街の為に役立ててから死ぬべきだろう。
この世界で死ぬまで足掻く。
『アヴィーチー』を得た事に意味があるとすれば、
それぐらいだ。

「俺からも一つ言う事がある」

「――『死ぬな』」

もし一抹が命を落とせば、
彼の身内や友人が痛みを抱える事になる。
復讐を考える者もいるかもしれない。
その目的を果たせたとしても、果たせなかったとしても、
待っているのは『地獄』だろう。
居心地が良いとは言えない場所だ。
そこに来る人間は少ないに越した事は無い。

174一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 06:18:20
>>173
「私は『エクリプス』のスタンド使いに圧倒されて
 ばかりでした。けれど、『救い』を与えました
 『アリーナ』を裏切り悪に堕ちてまで死闘を求め、
 死後も満たされぬまま殺戮と死闘を望む武人」

「『悪感情』の鎮静と『慈悲の刃』の無痛斬撃。
 しがらみから解放されて彼の満たされた一瞬を
 斬り取るように『インダルジェンス』は首を裂き…」

「『安楽死』を与えました。そして、私を二度も殺した
 男は『インダルジェンス』は悪の芽を摘めると…」

『インダルジェンス』の本質は普通のスタンドとは違う。
『痛み』を消し去ることは出来ない。それを糧として未来に進ませることが本質だ。
どれほど『痛み』に苛まれようと捨て去ることは出来ない
アイデンティティは『痛み』から形成されるのだから。

「宗像さんのように私も強く生きたい。死にたくない…
 『死』という安易な結末を…スタンド使いは選べない…
 私は生きる価値が見出だせないけど生きるしかない…」

「私に生きる『価値』は無い。けど、私のスタンドが
 誰かの役に立てるなら生きなきゃ…宗像さんのように…」

「私のために『復讐』を考えるような人達は居ません。
 義父母は悲しんでくれるでしょう。
 でも、宗像さんが死ぬなって言ってくれて嬉しい…
 本当に嬉しくて嬉しくて…まだ頑張れそうです…」

救われたように宗像さんへ微笑む。
どれだけ傷を負おうと宗像さんの言葉がある限りは生きていられる。
宗像さんの行く末を見届けるまでは死ぬわけにはいかない。

175宗像征爾『アヴィーチー』:2020/11/23(月) 17:22:03
>>174

「『力』を持ったからといって、必ずしも使う必要は無い。
 死ぬまで使わなかったとしても、文句は言われないだろう」

「だが、使えるなら使った方が世の中の為にはなる。
 俺は、そう思っている」

初めて顔を合わせた時、『藤原』は言った。
この街に生きる者が『音』を溢れさせると。
俺や一抹も、その一部なのだろうか。
その中には『異音』も混じっている。
奴らの存在は、街にとって確実に害となる。

「どう思うかは自由だ。
 君の考えるようにやればいい」

ベンチから立ち上がる。
『アヴィーチー』に人は救えない。
傷付けるか殺すか。
出来るとすれば、それぐらいだ。
なら、それをやる以外に無いだろう。

「――俺も『そうする』」

病室に戻る為に歩き出す。
期待していた人間は現れなかった。
ただ、俺が一抹と話した事が、
彼にとって何かの足しになったのなら、
待ち続けた『価値』はあったのだろう。

176一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/11/23(月) 20:00:20
>>175
「この平和も『エクリプス』の屍の上で成り立ってるもの
 きっと『アヴィーチー』が積み上げる彼等の死体にも
 意味が生まれるかもしれません」

「私たちの積み上げる『地獄』が『天国』に到達する日
 が来ると信じて戦いましょう」

生きることに『価値』ではなく意味を見出だせた。
『死ぬな』という言葉を私は心に刻もう。
宗像さんを見届け終わると立ち上がり病室へ歩み始める。
私だけの地獄を生きるために力強く。

177塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/25(水) 23:28:43
(『全治一週間』………。私はまだマシな方か。
『夢』の負傷が『現実』になるとはな)

入院患者らしくなくスーツを羽織った長髪の女が待合室に入って来た。
『自販機』の前で立ち止まり、小銭入れを取り出す。

(そして、あの場に『曳舟』の姿は無かった。
やはり、あいつは死んだんだろうか。
全ての『悪霊』をその身に宿して………)

何か考え事をしているようで、自販機のボタンに手を伸ばしたまま、
茫然とその指先を見つめている。

178塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/25(水) 23:29:45
>>177

179『その夕立に雨傘を』:2020/11/26(木) 22:51:04
>>177(塞川)
「先にいいかな?」

『歩行器』を押しながら『自販機』へと向かうも、
飲み物を決めあぐねいて逡巡しているように見えた。

「――――君は、『夢』の中にいた……」

口に出してみればトンチキな言葉ではあるが、
実際に『夢』の中で会ったのだから、仕方ない。
『入院着』から見える肌の所々に『包帯』を巻いた、
痛々しい姿にて『塞川』へと話しかける。

180音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/26(木) 22:51:25
>>179

181塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/27(金) 19:33:38
>>179
「……………」

声を掛けられて、力なく振り向く。
心ここにあらず、といった表情で音無をしばらく見つめた後、
ややあって口を開く。

「……あんたは、『音無』……。
『音無ピエール』、か。『悪霊』に囚われていたとかいう。
『夕立』から聞いたぜ。
無事で良かった………というには、少々大ごとのようだがな」

「私は『塞川』。『塞川唯』という。
『コーヒー』が好きか? それとも『お茶』か?」

先程の様子とは裏腹に、明るい口調で声を掛けて、
自販機のボタンを押そうとする。

182音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/27(金) 21:09:30
>>181(塞川)
>『音無ピエール』、か。『悪霊』に囚われていたとかいう。

    「ああ、何とか五体を取り戻せたが、
     ――――命あっての物種だ。正直、ホッとしてるよ」

『歩行器』に体重を預けたまま、健在そうに胸を張った。
飲み物の好みを訊かれれば、ラインナップを一瞥し。

    「おっ、あるじゃあないか。
     ――――祖国でも、ずっとこれを飲んでてね」

    PI♪     ガッゴン!

『オランジーナ』のボタンを押し、硬貨を入れてからペットボトルを取り出した。
手首の運動がてらに軽く振っている。

    「『塞川』。君は軽傷で済んだようだね。
     ――――まあ、少なくとも、あの場にいた者達は、
     大きな怪我もなかったようだが……。何よりだよ」

183塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/27(金) 21:19:00
>>182
「あんたを見ていると、本当にそう思うよ。
今考えても、本当に『幸運』としか言いようのない事だがな……。
あの二人を相手に取って、『怪我』で済んだというのは。
現実世界で戦っていたのなら、もっと『被害』は大きかった筈だ」

ミネラルウォーターを買って、そのまま自販機の向かいのソファに腰を下ろす。
『音無』が座りにくそうにしているなら、手伝ってやろう。

「あんたは……『夕立』の知り合いか?
それとも、『タダヒト』とかって奴の一派か?」

184音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/27(金) 21:37:19
>>183(塞川)
>あの二人を相手に取って、『怪我』で済んだというのは。
>現実世界で戦っていたのなら、もっと『被害』は大きかった筈だ」

    「『運命』の天秤は、私達に傾いた。
     ――――そう思えてならないよ。……っと、ありがとう」

歩行器に身体を預けたまま退き、おっかなびっくりで腰を下ろそうとするも、
『塞川』の助力には素直に応じて、そのままソファへと腰を落ち着ける。

    「私はちょっとした縁で『夕立』と知り合ってね。
     以来、独自に『通り魔』を追っていたのだが、
     ―――――ハハハッ、お恥ずかしながら、あの様だよ」

上裸に湧き上がる大量の『悪霊』を思い出し、
自嘲するかのように乾いた笑い声を漏らした。

    「君は、彼の『友人』と呼ぶには、ちょっと年が離れてるな……。
     大方、私と同じように、何か縁でもあったのだろうね」

『オランジーナ』の蓋をなんとかこじ開け、ゆっくりと口元へ運んでいく。

185塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/27(金) 21:51:01
>>184
「まあ、そんなとこだな。
『運命』………『縁』、か」

感謝の意を示す『音無』にひらひらと手を振って、
自分もペットボトルの蓋をひねりながら、ふと思いついたかのように口にする。

「あんた、『曳舟』とは会ったのか?
『夢』にもいた、『乞食』みてーなヤツだ」

186音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/27(金) 22:11:03
>>185(塞川)
>「あんた、『曳舟』とは会ったのか?
>『夢』にもいた、『乞食』みてーなヤツだ」

    「ああ、まんまとしてやられたよ……」

   グビ  グビ ・ ・ ・

傷の痛みとは異なる、難渋そうに刻まれた眉間の皺。
確りした喉骨を隆起させながら『オランジーナ』を飲み干す。

    「――――フゥゥ〜〜〜〜ッッ

     元々、『夕立』に『曳舟』を紹介したのは、私なんだよ。
     残念ながら、『曳舟』は『先客』を優先して、引っ掻き回してくれたようだが。

     ……全く、ヘラヘラと調子の良いことを言って、まんまと担がれたよ。
     次に会ったら、あの曲がった背骨を逆に圧し折ってやりたいくらいだ!」

    ググッ     バキキッ

    「――――痛つつ、大分先の話になりそうだが……」

空のペットボトルを握り潰しながら忌々しげに吐き捨てたが、
傷の痛みに耐え兼ねて、目尻に涙を浮かべながら、更に顔を顰めた。

187塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/27(金) 22:53:31
>>186
「ほお……そうか。
なら、私と『夕立』を引き合わせたのも、結果的にはあんたって事になるな。
それもこれも、『運命』とでも言うのか」

顔を顰める『音無』の姿を見て、逆にくっくっと軽く笑い声をあげた。

「確かに、胡散臭いヤツだよなあ、あいつは!
『仲介』とかいって、結局、何がしたかったんだ?
あれが『仕事』ってわけじゃあないだろうにな」

「そして、あいつは未だ『夢の中にいる』。
あの場から、奴だけは帰ってこなかった。
『悪霊』の群れを、その身に宿してな。
一体、何がしてえんだか。それも、何もわからないままだ」

188音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/27(金) 23:19:02
>>187(塞川)
>それもこれも、『運命』とでも言うのか」

    「おや、気に入らなかったかな?
     ――――連綿と続く『血縁』も、人と人との繋がりも、
     『意思』だけで成り立つとは、どうにも思えないものさ」

喉を振るわせるような笑い声につられ、『塞川』の顔を見た。
物珍しそうにしていたが、話を聞くに従って、表情が硬くなっていく。

    「……そうか。多数の『悪霊』を宿せば、意識を失って傀儡となる。
     『曳舟』なりに事態の『責任』を感じていたのかもしれないな……」

    「……だが、元々霞を喰って生きてるような、得体の知れない男だ。
     案外、澄ました顔をして、ひょっこり戻ってくるんじゃあないか」

楽観的な予想を言葉にする。

189塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/27(金) 23:53:24
>>188
「別に、嫌っちゃあいない。
『運命』……確かに、そんなものを感じる事はある。
今回のことでは、特にな」

「だが、運命を作るのは意思だ。
そう思わなきゃあ…………あまりにも虚しいぜ。
『アナーキー・イン・ザ・UK』。
『曳舟』のやり方は、奴自身の『スタンド』に、
そして『運命』に仕えてるようなもんだ。
それが、イラつくんだよ」

『音無』の方に顔を向けず、呟くように話していたが、
楽観的な台詞に、ふん、と鼻を鳴らす。

「ま、そうかもな……。
確かに、胡散臭さだけは間違いなく信用できるヤツだ。
変に心配しても仕方がない………と、そう思うか」

「あんた、いいヤツだな。
『夕立』が『通り魔』のことを話すのも、わかる気がするぜ」

190音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2020/11/28(土) 00:24:08
>>189(塞川)
>『曳舟』のやり方は、奴自身の『スタンド』に、
>そして『運命』に仕えてるようなもんだ。
>それが、イラつくんだよ」

    「あの振る舞いも相まって、君を苛立たせるんだろう。
     ――――だが、そうやってイラ立つ人間を気に掛けるというのも、
     中々どうして、君も結構『いいヤツ』に見えるけれどね」

『塞川』の飾り気のない言葉に好感を覚え、笑みを浮かべる。
『歩行器』に重心を預けながら立ち上がり、潰れたペットボトルをゴミ箱に捨てる。

    「そうやって気にする程の『意思』があるのなら、
     『曳舟』だって早々無下にはしないだろうさ」

    「じゃあ、これから問診があるんで失礼するよ。
     ……この『歩行器』も実はリハビリってわけだ」

    カラカラカラカラ・・・

『歩行器』のキャスターを引きずりながら、
危なっかしい足取りでロビーから立ち去って行った。

191塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/11/28(土) 00:31:26
>>190
「どうだかな。
私には、何もわかんねーよ。
誰の事も、私自身の事も………」

音無の言葉に肩を竦めてみせて、
自身も病室へと戻っていった。

192鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/28(土) 22:22:06
中庭のベンチに腰掛け、本を読んでいる。
病室の中で読んでいてもいいのだが、基本的にずっと室内にいるというのは、肌に合わない。
気分転換も兼ねて、外へ出てきた。
本当は素振りの一つでもしたいところだが、家族からの差し入れに『素振り用の竹刀』を
望んだら、厳し目に叱られてしまった。なので、代わりにこの本を届けてもらったのだ。

193氷山『エド・サンズ』:2020/11/28(土) 22:47:10
>>192

「んん〜〜〜〜っ! 晴れやかな気分ですね〜〜〜〜っ!」

『2週間』の入院期間を終え、退院の手続きを終えた所だ
ふと中庭の方を見てみると見覚えのある姿が目に入る
あの姿は・・・・『夢』の中で会ったような・・・・・

       アサヒ
「もしかして、鉄先生のお兄さん・・・・ですか?」

あの時は色々な事が起きてなかなか話す機会がなかった
『夢の中』の出来事であったため、彼の顔はぼんやりとしか思い出せなかったが・・・

ベンチに座る鉄に近づき、恐る恐る話しかけてみた

194鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/28(土) 23:05:19
>>193

『ペラ…』

「ん?」

『パタン』

名前を呼ばれ、本を閉じて声の方へと顔を向ける。
そこにいたのは、あの『夢の世界』での激闘を制した立役者の一人、栗毛色の少女だった。

「キミは、あの時の。・・・・・・・・・・」
「・・・・・そう言えば、名前を訊いていなかったな」

彼女の名を呼ぼうとして、心当たりがないことに気がついた。
身体ごと彼女へと向き直り、笑顔を浮かべて自分の胸に手を当てる。

「改めて名乗らせてもらおう。清月学園高等部二年生、『剣道部』所属。
 鉄 朝陽の兄である鉄 夕立(くろがね ゆうだち)だ。以後よろしく頼む」
「…しかし先生と呼ばれているのか、アイツは。それであまり調子に乗ってないといいんだが…」

「ああ、良かったらかけるといい」

手でベンチを示す。自分だけ座って話すのは気が引ける。

195氷山『エド・サンズ』:2020/11/28(土) 23:15:11
>>194
    
「1年の氷山 あきは(ひやま あきは)です
 では、お言葉に甘えて失礼します、夕立先輩」

どうやら、思っていた通りの人物で間違いはなかったようだ
呼びかけに応じ、ぺこりと頭を下げて隣に座る

「妹さんにはとてもお世話になりました
 あの日、音楽室で居残りの補習をさせられてたんですけど・・・
 鉄先生のご指導のおかげで、音痴を直してもらったんですよ」

まさか自分が音痴だったなんて全然気づかなかったんですけどねー、と
笑いながら後に続ける

「そういえば、『コンクール』の話、聞きましたよ
 おめでとうございます!『準優勝』だったらしいですね!」

196鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/28(土) 23:27:03
>>195

「───────────────」

朝陽を先生と呼んでいた事から、つい朝陽と同い年くらいかと思ってしまっていた。
彼女はれっきとした高校生だった。思わず、目を逸らす。
どうせなら自分も立って話をした方が良かったかもしれない。
同じベンチに座っていることを意識してしまう。首を振って、なるべくそういうのを心の隅に追いやる。

「あ、ああ。少しでも氷山さんの役に立てたなら、良かった。
 兄の贔屓目もあるだろうが、朝陽のピアノの才能は並外れている」
「もっとも、その音痴とやらがそんなに短時間で治ったのは、キミ自身の実力もあるだろうが」

自分の足元を見ながら、はっきりと話していく。完全に初対面ではないだけ、少しはまともだろう。

「…ありがとう。朝陽にもその言葉を伝えておくよ」
「本当は『優勝』でもおかしくなかったが、今年は例年よりレベルが高かったようだ」
「朝陽の奏でた『雨だれ』のアレンジが、命運を分けたかもしれないとの
 言葉を頂いたが、オレは個人的に妹の演奏の方が好きだな」

「…だが、そうしてアイツが『コンクール』に出られたのも、キミ達のおかげだ」

197氷山『エド・サンズ』:2020/11/28(土) 23:42:33
>>196

同年代の女子に比べると若干小柄な氷山の体躯は
その口調も相まって学年の推測を難しくしていたようだ

氷山の方は鉄の意識の変化を気にも留めずに話を続ける


「・・・・本当に良い演奏でした、先生の伴奏は
 私って今まで歌の音程とか抑揚とかそういうの気にせずにがーっと歌ってたんですけどね
 先生の伴奏を聞いたときは・・・・なんていうか・・・・
 この曲をもっとよく聞いてみようとか、この曲に寄り添って歌ってみようとか、
 そういうのをちゃんと意識するようになって」

あの日の体験をぽつりぽつりと言葉にする
傍から見れば大した事のない出来事であったが、
本人にとっては大きな『パラダイムシフト』となった、あの日の出来事を

「音をちゃんと意識するようになったっていうのが初めての経験だったんです」

「音楽の事はよくわかりませんが、それだけ凄い人が『優勝』を逃したという事は
 きっと世の中にはもっと凄い人が居たって事なんですね」

鉄の顔に正面から向き合う

「だから、あの『戦い』で先生に恩を返すことが出来て本当に良かった
 感謝するのはこちらの方なんですから・・・・」

「ところで、夕立先輩はあの時別の場所で戦ってたみたいですけど・・・・
 お怪我の具合は大丈夫ですか?」

198鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/28(土) 23:57:01
>>197

「…妹は、朝陽は『音楽』が好きだからな」

「オレもあまりそういうのに詳しくないが、妹の言葉を借りるなら、音を楽しむと書いて『音楽』」
「妹のピアノが、そうやってキミが音を楽しむための手助けになれたんだろう」

この子は真面目な子だ、と少し話して、思う。
音楽の追試に対して、真剣に取り組もうとする学生は、そう多くないように思える。
それでも氷山さんは、妹の演奏にしっかりと耳を傾け
今まで深くは理解していなかったものにも改めて目を向けて、取り組もうとしている。
あるいはこの誠実な姿勢こそが、朝陽の夢で最後に立ちはだかった男を救ったのかもしれない。
敵だから、憎いから、などで終わらせず、相手を尊重する姿勢は、誰にでも持てるものではない。

「ありがとう。だが朝陽に対して恩を返したとしても、オレはまだキミ達の恩を返せていない」
「だから、何か困ったことがあれば何でも頼ってくれ。オレと『シヴァルリー』が、命を懸けて氷山さんの力になる」

そう言って、氷山さんの方へと深く頭を下げる。
彼女だけでなく、あの『エクリプス』の少女や、斑鳩くんに一抹くんにもだ。
受けた恩は必ず返す。自分にも出来ることは、きっとあるはずだ。

「ああ。腹や喉を貫かれたが、敵を倒した際に多少は傷が癒えている」
「とはいえ、あと『一週間』は入院が必要だろうが…氷山さんは、もう退院か?」

彼女の格好を見て、思う。

199氷山『エド・サンズ』:2020/11/29(日) 00:13:04
>>198

「あはは、気にしなくても大丈夫ですよ」

とは言うが、そうは言っても目の前に座るこの人はそういうのを気にしてしまうんだろうな、と氷山は思う
音楽に対して真っ直ぐに向き合っていた『朝陽』と同じ種類の『実直さ』
恩を返すと言ったからには必ず返す、そんな種類の人間なのだと

「えぇ、まあ、私はみんなと比べると怪我が軽い方でしたからね・・・・ほらっ」

ずいっと身を乗り出し、前髪をかき上げる
ガラスの肋骨が突き刺さった時の怪我、『霊障』を受けた場所だ
攻撃を受けた瞬間は目を覆う程の出血が出る程の怪我であったが、
今は完全に塞がっていて、目を凝らして見ないとどこに傷があったのかわからない程だ

「傷も塞がって、痛みももうないですからね!
 流石に病室でやる事もなくなりましたし、一足先に退院です!」

200鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/29(日) 00:22:04
>>199

「むぐっ・・・・・」

顔が近い、と心の中で強く思い、つい目を逸らしてしまいそうになる。
だが、傷を晒すという行為をわざわざしてくれた彼女に対して、それは無礼だろう。
なるべく顔を見ないようにして、じっと傷口を見る。

「──────────」

だが、傷口を見るつもりがまるで見当たらない。
ようやくそれらしきものを見つけたが、本当に傷かどうかはあまり自信がない。
つまり、それほどまでに氷山さんは回復しているということなのだろう。

「…良かった。女性に対して癒えない傷を負わせてしまったなら、どうしようかと思っていた」
「ああ、正直言って傷らしきものは見当たらない程だ。これで溜飲が一つ下がった」

頷き、また視線を逸らして足元へと顔を向ける。

「もし学校で朝陽に出会ったなら、キミからも言葉をかけてほしい。きっと妹は喜ぶだろう」
「もっとも、申し訳ないがアイツはキミ達の奮闘を知らない。
 しかし、氷山さんも朝陽がその戦いを知らないままでいるのを望んでくれるだろう?」

201氷山『エド・サンズ』:2020/11/29(日) 00:46:34
>>200

鉄がほっとしている様子を見て、にやりと口角を吊り上げる
やはり、この人は自分のために誰かが傷つくことをよしとしない人なのだろう
そんな彼の重責を一つ取り除くことが出来たのだ、喜ばしい事だ

「だから気にしないでください」

「そういえば、朝陽先生は夢の世界ではずっと『何か』に意識を乗っ取られてたみたいですね
 確かに・・・・先生の事だから、あの場所であんな『戦い』があった事を知ったら・・・・」

恐らく、彼女もまた『責任感』を感じるだろう
この兄妹は、性格はあまり似ていないものの、根本的なところでとてもよく似ている、と思った
目の前にあるものを真正面から受け止めようとするその姿勢が・・・・

「台無しになっちゃいますからね
 あの人の演奏を守るために戦ったのに、この事を知ったらそれを壊してしまうかもしれない
 わかりました、この事は決して話しません!」

と、決意を言葉に出して宣言する

真面目な話を続けていると、ふと1週間前に斑鳩と話していた事を思い出した
夢の世界で先に戦っていた女性・・・・『塞川』
ゴシップと興味本位にまみれたその会話の内容を

「と、ところで、つかぬ事をお聞きしたいのですが・・・・
 私達よりも先に夢の世界にいた、あの綺麗な女の人・・・・塞川さんとはどのようなご関係で?」

202鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/29(日) 01:01:29
>>201

「ありがとう。氷山さんなら了承してくれると思っていた」
「キミはオレの見立て通り、名誉や感謝よりも、人の心を守る事を大切にしてくれるタイプだ」

チラリと目線を合わせて、頷いた。そしてまた足元を見る。
とても好感の持てる少女だ。あるいは氷山さんも、同じ『警察官』の夢への誘ってみようか?
手元にある、『公務員試験』の問題と解説が記された本をチラリと見る。
いや、それは彼女が自分で選ぶことだろう。
氷山さんには尊い意思があるとはいえ、やりがいのある仕事など警察官の他にも沢山ある。
もし万が一にも、同じ道を目指すことになったなら、心強いのは確かだが。

「ああ、塞川さんか。彼女とは、あの戦いの前にも『スタンド使い』絡みの事件で共闘しているんだ」
「家に来たこともあるし、朝陽とも互いに顔見知りだ。仲間であり、友人といった所か」
「…ちなみに、あの人には何人もの男性の影がある。そういうのではない、と予め言っておこう」

そう言って、小さく笑う。何とも年頃の少女らしい、微笑ましいものだ。

203氷山『エド・サンズ』:2020/11/29(日) 01:29:33
>>202

「・・・・・・買い被りですよ、それは」

人の心を守る事を大切にする人間・・・・本当にそうなのだろうか
鉄に言われて改めて自身を省みる
確かに、人が泣いたり、苦しんだりしているよりも、人が笑っている光景の方が好きなだけで・・・・
人に言われるほど『正しい』人間では・・・・

「あ、あぁ、はい、なるほど!」

あの戦いの中で明確に自覚した『自身の内面』に沈み込みそうになったが
鉄の言葉で現実に引き戻される

「はぁー・・・・ なるほど、そういう関係ではないんですか
 あっ、いえいえ、私は決してそんないかがわしい推測はしてなかったんですけどね!
 斑鳩先輩が! そう、あの人が色々と邪推してましてね!」

露骨に別の先輩に罪を擦り付けた!
何と嘆かわしい事か! 氷山のスタンドがこの光景を見ていたら、叱咤の拳骨が飛んでいた事だろう!

と、鉄との会話を楽しんでいると遠くの方で一組の夫婦が手を振るのが見えた
氷山の家族だろうか、帰り支度を整えて呼んでいるように見える

「あっ すいません、そろそろ行かないと・・・・
 夕立先輩、朝陽先生の演奏を支えてくれてありがとうございました
 私たちは戦う事しか出来ませんでしたが、あの人の心は家族が支えていたから守れた・・・・と思ってます」

「では、またいずれお会いしましょう」

最後に一言言い残すと、氷山は家族に迎えられ病院を去っていった

>>138
氷山『エド・サンズ』⇒『退院』

204鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/11/29(日) 02:08:16
>>203

「そうだろうか?」
「最後にあの男…名を『アダージョ』と言ったか。その死に際は、どこか満足そうなものだった」
「オレでは決して救えなかっただろう。オレはキミの事を尊敬している」

氷山さんとは初対面ではないが、話すのは殆どこれが初めてのようなものだ。
確かに彼女のことは、まだまだ理解できていない。
それでも、自分には出来ないことを。敵を倒すだけでなく、その心を最後には助けてみせた。
例え彼女に自分の知らない面があろうとも、その一点だけで自分は氷山さんに対し敬意を払うだろう。

「あー、斑鳩くんか。…まぁ彼なら納得かもしれない」

夕立は頷いて秒で理解した。これも彼の普段の立ち振る舞いの成せる技かもしれない。
夕立とて斑鳩を実は一本筋の通った男だと認識しているが、それはそれとして
普段は少し軽薄な男だと思っている。ナンパなんて夕立は想像した事もないからね。仕方ないね。

「ああ、家族が迎えに来てくれたんだな」

「…オレが倒した男にも同じことを言われたよ。だからこそ、ヤツはオレを狙ってきたわけだが」
「互いに家族を悲しませることなく済んで何よりだ。それではまた、いつか会う日まで」

「そうだ。もし同学年で『スタンド使い』の仲間を探している時が来たなら、
 今泉未来さんと、夢見ヶ崎明日美という二人の女性に話しかけてみるといい」
「もっとも、『スタンド』関係なくとも二人ともいい人だ。氷山さんの良き友人になってくれると思う」

去り際にそれだけ言って、最後に手を振って彼女の姿を見送った。
自分はあの激戦を、『縁』によって潜り抜けた。だからこそ、彼女にも同じような『縁』ができればな、と思う。
もっとも、ニ度とあんな戦いが起こらないに越したことはないが。
腕時計を見て、そろそろ病室に戻る時間だと理解した夕立も、そのベンチを後にした。

205斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/11/30(月) 00:29:05
押し付けがましい清潔感漂うシーツにも慣れた
車椅子も今やドリフトマスターだ、天井のシミはもはやオトモダチ。

しかし…慣れない事が有るとすれば

目覚めて病室の風景を見てしまえば
思い起こされるのは目を逸らしている事だという事だ。

木枯らしと共に、否応なくそれは自分に叩きつけられている。

現実は童話ではない、『めでたしめでたし』で話が終わりにはならない
その先を考え、ふと自分を見つめだすと…どうしようもなく目を閉じている自分がいるのだ。

――窓の外を見やれば、木々は既に紅葉を終えているようにも見える

片や妹さんを無事に救い、自分の過去にケリをつけて万々歳。
片や今も両親は起きず…それどころか何も進展していない、自分。

 (何が違うのだろう?彼も同じ人間の筈なのだが いや、違う人間だとしても。)

これで自分が『化け物』だというならまだ納得は出来た 100%違う生き物であって欲しかった
しかし99%が違う人間だとしても、1%の共通点があると……。

 (なんとも…『みじめ』だ 考えないようにはしていたし、彼にも決して言えやしないだろうが。)

かの後輩は言った『おめでとうと言いたい』と。
自分もその筈だ、それが普通の感性という物の筈だ。であれば自分は彼とその妹に『おめでとう』を言える筈だ。

 「…………。」

何故こんな気持ちと考えばかり浮かぶのだ?
やはり自分という生き物は、人間ではないのではなかろうか?

そう、解りやすい敵が自分にはいない、『クラスメイト40名』『世間の悪意』或いは…『自分』
殴ってしまえばそれで終わりという話でもない、両親は戻ってこない。だからなんだとやってしまえば犯罪者だ。

しかししなければ、彼らはこれからも『人並の人生』とやらを歩んでいくのだろう。
我慢できるかと言えば…否だ。だが、合法的に裁く方法がない。

 (自分は殺せない、40人を裁く法など存在しない、世間の悪意等に勝利する方法は無い。)

嫌でも想像する、この先も自分はこうして…関係のない人間の関わりで…暴力を振るって、憂さを晴らすしかないのだろうか?
ずっと死んだように生きていくしかないのだろうか?

 「……人間失格か。」

自分の悲劇を誇る様に掲げて自分を慰める他ない。
こんな生き方をしたくはない、しかしそれを捨てれば自分を構成する物は無くなる。
紛れもない自分自身の過去だからだ。

 (『生きる事』とは…いったいなんなのだ?過去を切り捨てる事か?未来に希望を持つ事か?)

同じ境遇だから、助けた そうすれば、自分にも もしかしたら…家族が救えたかもしれない。
実際は更に惨めになるだけだった ……意味も無く。

 「協調を知らず、感謝も出来ず、己の不幸のみが唯一と憚らない…成程。」

 「――『人間失格』だ。」

病室で寝転び、一人呟く。
何も考えたくない、己はただ一本の葦でいい。

206小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/11/30(月) 00:56:53
>>205

病室の扉が開き、『黒い女』が入ってきた。
喪服を着た姿。
音もなく、緩やかにベッドに近付いてくる。

  「……お加減はいかがですか?」

枕元に立ち、静かに声を掛ける。
メールの内容を見て、病院を訪れた。
そして、ここに来た。

207斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 01:16:17
>>206

――これは、多分、幻聴辺りだろう、僕がメールを受け取ったのは8月で
忘れっぱなしにしてもはや12月だ、恥と言うものを知っていればこそ 合わせる顔という物が無い。

 (――結局、僕もまた『無関心な加害者』なのだ。 だから、自分を嫌いになる。)

しかしせっかく聞こえだした幻聴だ
他に見まいに来る事も無いし、このまま無視するのも忍びない。

 「ここに縛り付けられている人間が『生きている』とは思えませんね。」
 「肉体的に、ではなく 精神の面で。」

そうとも、例えそれが夏ごろに一度聞いただけの声だとしても
彼は兎も角、僕が今日まで覚えておけるわけもない、だからこれは幻聴だ。

 「つまり、それくらい酷いと言う事です 『小石川』さん。」

顔を向けないまま寝転んで応える
祖母もいないしこれくらいはいいだろう。あまり考えたくない……。

208小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 20:34:48
>>207

     コトッ……

備え付けのキャビネットの上に、
小さなバスケットが置かれた。
吸水スポンジに切花を挿したアレンジメント。
暖色の色合いを湛えた花々が、白い部屋に佇む。

  「――……すぐに帰ります」

  「ただ……一つだけお伝えしたい事が……」

ベッドに横たわる少年を見つめて、目を伏せる。
何があったのかは分からない。
ただ、大きな事が起こったのだろうと感じた。
身体的な怪我だけでなく、心の中にも傷を負っている。
彼の様子や言葉から、そのように察せられた。

  「『時を繰り返す能力』――」

過去の出来事を思い出しながら、口を開く。
誰にも知られる事のない謎めいた世界。
この世に存在しない街。

  「その力は『魂』を繋ぎ止めるために使われていました」

『あの街』は、
『時を繰り返すスタンド』によって維持されていた。
その力が消えた今、あの街は何処にも存在しない。
完全に、世界から消えてしまった。

  「……『時を戻す能力』もあるのかもしれません」

  「この世界の何処かに……」

  「それが……『治す』事に繋がれば……」

治せるスタンドを見つけたら連絡する。
以前、そう言葉を交し合った。
その約束は果たせていない。

  「それを……お話したかったのです……」

これは身勝手な自己満足なのかもしれない。
ただ、それでも伝えたかった。
ほんの僅かでも、彼の苦しみを和らげる助けになればと――。

209斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 21:30:15
>>208

視界の端にそれが移った時、最初は幻聴に続いて幻覚かと考えたが
いくらなんでも流石におかしい事には気づけた

 (……物音と話声、『花』?)

それが幸運か不幸かは解らないが、解る事実が一つだけある。

 「――小石川さん!? その節は失礼を…いや。」

これは夢の中では無く、現実だと言う事だ

 「まって、でも、なんで? 病院側が入院中の患者の病室を話すわけがないし……」

210小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 21:52:29
>>209

口元に穏やかな微笑を浮かべ、少年を見る。
そして、静かに首を振った。
湖畔で出会った時と同じ黒い帽子は、顔の左側に傾いている。

  「どうか、お気になさらないで下さい……」

  「……突然の訪問になってしまった事をお詫びします」

           スッ

両手で帽子のツバに触れ、角度を真っ直ぐに直す。
本来あるべき『左目』と『左耳』がない。
それから、おもむろにスカートを持ち上げる。
脚には『ナイフ』が突き刺さっていた。
根元まで深々と刺さっているにも関わらず、
傷も出血も見当たらない。

  「ご無沙汰しております……」

          ズシュッ

  「――斑鳩さん」

       フッ

『ナイフ』を引き抜き、『解除』する。
同時に『目』と『耳』の再生が進んでいく。
まもなく、それらは元通りの形を取り戻した。

211斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/01(火) 22:53:37
>>210

 「…………いえ、その。見苦しい所を見せて。」

ベッドから体を起こす
今はこれ以上の身だしなみの整え方がないのだ…もっとも、病院服では特に変わりはないだろうが

 「お花、ありがとうございます、ガウラかな…クレマチスかも。」

目の前の女性は、何処か距離を取らなくてはらないと考えていた

悲劇の香りがする相手の胸に手を入れてまさぐるなんてぞっとしない話だ
どんな古傷に触れたものか解った物ではない、それが膿んでいれば猶更。

 「でも、その…今の話を言う為だけに此処にき…てくれたんですか?」
 「――『ソレ』を使ってまで。何故です?」

しかし、そういう女性が『スタンド』を使ってまでここに来る
という事には純粋に驚いている。 絶対にされないだろうと思ったから。

212小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/01(火) 23:45:21
>>211

  「ガーベラです。
   お気に召して頂ければいいのですが……」

  「それは……」

自分にも、はっきりした理由は分からない。
ただ、自分の中に、
否定しがたい気持ちがあった事は確かだった。
誰かが傷付けば、その人間を愛する者も傷付く。
この少年が苦しんでいる時、
彼を愛する人も同じように苦しんでいる。
そう考えた時には、既に行動を起こしていた。

  「――『そうしたかったから』です」

ベッドにいる少年に、無意識に『彼』の姿を重ねていた。
この少年が傷付く事で悲しむ人間が、きっと大勢いる。
それは彼の家族や友人や恋人かもしれない。
もし『斑鳩翔』という少年が救われたなら、
彼を愛する人達の心も救われる。
そう思いたかった。

  「何かをしたかったからです」

  「斑鳩さんのために……」

目の前の少年が『彼』だとしたら。
『彼』が傷付いた時、私も苦しんでいる。
その思いが、ここに私を運んだのかもしれない。

213斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/02(水) 00:48:44
>>212

 (――なんだそれ、理由になってない。)

いや、この人の中では理由になっているんだ、たぶん けれど僕にはわからない。
……そんな事をされる理由が思いつかない。

 「僕は、そんなに助けが必要に見えるわけない。」

 「助けがいるなんて言っていませんよ、言う筈がない。貴女とは一回話したきりなんだ、会ったのも。」

 (助けが必要そうな人間に助けて貰って……嫌だ 『気持ちが悪い』。)

うまく言葉が出てこない、一番近い心持が『きもちわるい』という言葉だった
きっと私が詩人か読書家ならもうすこし上手い表現が出てくる筈なのだ。

 (それとも昔の僕は、そんなに見境が無かったのか?この人まで自分の運命に巻き込もうと?)

ただ、自分は助けられる覚えも無ければ、そんな善意を無条件で信じられる程
太陽にむかってまっすぐには生きていないのに。彼女を助けた覚えもない。

 「僕は…僕は、貴方に助けて貰える程、立派な事をした覚えがありません。」
 「誰にでもするわけじゃないでしょう、そんな事を……」

 ――誰にでも。 『誰に?』

 「――――僕を『誰』と重ねているんです?」

214小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/02(水) 22:47:36
>>213

  「これは私の『身勝手』です……」

  「……どうか、お許し下さい」

         スッ

姿勢を正して頭を下げ、おもむろに『右手』を上げた。
薬指には『指輪』が嵌っている。
『左手の指輪』と同じデザインの簡素な銀の指輪。

  「ただ……私が今日ここに来たのは、
   『彼』のためではありません」

この世に『彼』はいない。
だけど、『斑鳩翔』という少年は存在する。
そして、自分も。
『あの街』で手にしたのは『生きる目標』だった。
それまでも『生きる理由』はあった。
今では、より強くなっている。
生きているからこそ、この世界に目を向け、
自分に出来る事をしたい。

        フッ

  「――『あなたのため』です」

右手に『ナイフ』が現れた。
刃先を自身の指に触れさせ、軽く撫でる。
その動きに従い、細く赤い糸のように『血』が滲んだ。

  「……『能力が変わる事がある』と聞きました」

  「私は『治す』事は出来ませんでしたが……」

  「『そういう形』に変化する力が……
   あるのかもしれません」

幻の街で得た『第二の刃』。
他者に対して『不殺』である同時に、本体に『自傷』を赦す。
『スーサイド・ライフ』には不可能な事だった。
『今ならば、それが出来ても問題はない』。
音仙と名乗る彼女には、そう告げられた。

215斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/03(木) 02:59:24
>>214 (度重なるレス遅れ申し訳ございません)

 「……自分の馬鹿さ加減には、ほとほと呆れます。」
 「どうして貴女みたいな人に、こんな事をさせているのか。」

人が頭を下げる姿を見るのは嫌だ
嫌な事を思い出させるから、冷静にならざるをえない。

 「ちっぽけなプライドで、憐れまれたと思い込んで、それで血液が逆流して。」
 「嫌になる。」

達成できないなら、こんな物は何の必要もない
所詮『力』などは、どれだけ頑張っても『必要悪』以上の評価を得ない。

 「情報には感謝します、貴女にも感謝したい。」
 「でも、何も出来ない自分をまだ割り切れそうにないんです、大人になれないんですよ。」

――もう12月になってしまった。19にもなってしまう。
なのに、未だ両親の為に何も出来ていない自分を見ると焦ったのだ
仮にも、同年代の彼が…それを達成しているのを見たせいで。

 「……すいません、帰ってください」
 「貴女がどれだけ与えてくれても、僕が返せそうなものはありませんから。」

心の何処かで出来ないと決めつけて、他人がいざ出来たとなれば
それが受け入れられずに逆恨みのように呪詛を吐き出せもしない。

 「ガーベラ、有難う御座いました。」

 僕らは自分が嫌いだ。

216小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2020/12/04(金) 13:30:47
>>215

        ソッ……

何も言わず、ベッドから離れる。
自分がいる事が彼を悩ませるのなら、ここにいてはいけない。
今、彼のために何か出来る事があるとしたら、
それは立ち去る事だけ。

  「……お大事に」

                パタン

『体』だけでなく『心』も。
思った言葉を口に出す事はしなかった。
静かに扉を閉め、病院を後にする――。

217鉄 夕立『シヴァルリー』:2020/12/05(土) 00:35:23
「…これで、もう暫く病院のお世話になる事はないだろう」
「鈍ってしまった身体を鍛え直さなくてはな…」

>>138

鉄 夕立『シヴァルリー』→『退院』

218一抹 貞世『インダルジェンス』:2020/12/05(土) 07:13:53
>>138
「あわわっ、期末テストの存在を忘れてたァ〜!?」
「斑鳩先輩にお金積んで教えてもらおうかな…?」

一抹『インダルジェンス』→『退院』

219朝山『ザ・ハイヤー』:2020/12/05(土) 19:22:09
>>138

 パ〜〜〜〜ゥパゥパゥパゥ!!

「おーーーよしよしよちよちよちっ!!! 寂しかったスよねぇーー権三郎っ!
私も凄く寂しかったスっ!!! けど大丈夫っス!!!!
この通り!! 私は完全にパワフル全開! 大復活っスーーー!!!」

クルクルシュッ タンッ シャキィ―――――zノッンッッ!!!

城生「良かったぁー、元気になって」

ムーさん「もう階段を昇り下りする時は手摺にちゃんと掴まるんだぞ」

エッ子「よっしゃーーー!! お祝いパーティだーーー!!!」

病院の出入口前にて、騒がしく一人の少女と柴犬。そして女子高生三人組は
明るく病院を後にする……。

朝山『ザ・ハイヤー』→『退院』

220斑鳩 翔 『ロスト・アイデンティティ』:2020/12/05(土) 23:12:50
>>138

 「あー…お祖母ちゃんに怒られるし、ノート帰さなくちゃだし、生徒会の仕事山積みだし、テスト被ってるし。」
 「――生きてるのってホント面倒だよ とうさん、かあさん。」

 斑鳩 翔『ロスト・アイデンティティ』→『退院』

221塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』:2020/12/06(日) 18:30:50
>>138
「おっと……随分と寝ぼけてたもんだな」

塞川唯『クリスタライズド・ディスペア』→『退院』

222青山 流星『ルイゾン』:2020/12/12(土) 23:24:54
青山 流星『ルイゾン』→『退院』

223『ある病室』:2020/12/31(木) 09:24:12

    ガラッ

病室の扉が開き、一人の女が部屋に踏み込んだ。
白いパンツスーツを着た年嵩の女だ。
両耳の『白百合』を象ったイヤリングが揺れる。
ベッドには、一人の男が座っていた。
女はベッドに歩み寄り、傍らの椅子に腰を下ろす。

            スッ

それに気付き、おもむろに男が顔を上げる。
女を見つめる瞳の奥には、虚無的な光が宿っていた。
短い沈黙の後、女が男に声を掛けた。

「具合はどうだい?」

「ここに運び込まれた時と比べれば、かなりマシな方だ」

「そいつは良かった」

女――『百目鬼小百合』は軽く頷き、
頭の中で次の言葉を探していた。
男の方は、これといって何かを考えてはいなかったが、
女の顔は覚えていた。
実に『二十年振りの再会』であっても、
不思議と記憶には残っているものだ。

「知り合いの見舞いに来たんだけど、
 たまたまアンタの姿を見かけたもんでね。
 それで寄らせてもらったんだ」

「――――久し振りだね」

「ああ、『百目鬼警部補』」

「ハハハ……いや、そりゃ違うよ。もう辞めたんでね。
 今のアタシは単なる『一般市民』。今のアンタと一緒さ」

「意外だな。あんたが辞めるとは思わなかった」

眼前の百目鬼を見つめながら、男――『宗像征爾』は、
『過去の一件』を思い起こしていた。
『百目鬼小百合に逮捕された日』の事を。
『殺人罪』で有罪となった宗像は刑務所に収容され、
『二十年』の懲役を終えて、この街に再び戻って来た。

「人生、山があれば谷もある。アタシだって例外じゃない。
 そういう事さ」

「…………さて、帰るよ。
 元々ちょっと立ち寄っただけだからね」

「――分かった」

宗像に別れを告げると、百目鬼は椅子から立ち上がった。
迷いの無い歩調で扉の方へ歩いて行く。
やがて不意に立ち止まり、静かに振り返る。
百目鬼の視線は、ベッド脇のキャビネットに向けられていた。
そこには、一枚の『写真』が置かれている。

「真っ当に生きなよ。『その人』の為にも」

                   バタン

扉が開き、閉まる。
ただ一人残された宗像は、扉を見つめ続けていた。
百目鬼が残していった言葉が、脳裏に木霊する。

「いや――」

「悪いが、その言葉には応えられそうに無い」

誰に言うでも無く、独り言のように呟く。
それから、宗像は自分の『右手』を見下ろした。
『外の世界』に戻ってから、
既に血で汚している『復讐の右手』を――――。

224宗像征爾『アヴィーチー』:2020/12/31(木) 09:37:16

「『五ヶ月』経ったが、『奴ら』の動きは無い」

「――『潮時』か」

【以下で『全治七ヶ月』の傷を負い、
 >>134から『五ヶ月間』入院している。
 残りの『二ヶ月分』の『特殊治療』を希望したい】

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1592147795/127

225クスノキ『???』:2020/12/31(木) 11:03:57
>>224(宗像)
「あー、アンタ長かったね」

無精ひげを生やした男が、
やる気のなさそうな風体でカルテを手にした。

「あー、こりゃあダメだ。
 だいぶ長くいたからね、もう身体にキズが馴染んじまってる」

>>2-3の通り、発生して『3ヶ月以内』の負傷であり、
『スタンド使い』でなければ、『特殊治療』を行うことは出来ない。

「まあ、そーいうこともあるわな。
 残り2ヶ月頑張って、そんじゃあね」

226宗像征爾『アヴィーチー』:2020/12/31(木) 18:20:11
>>225

「――そういう『仕組み』か」

「では、もう少し世話になろう」

227『正道と無間地獄』:2021/01/17(日) 06:08:55

『宗像征爾』は屋外のベンチに腰を下ろし、
今や見慣れた中庭を眺めていた。
厳密には、『眺めていた』という表現は正確では無かった。
宗像は何も見てはいなかったのだ。
ただ、視線を正面に向けていただけに過ぎない。
だから、いつの間にか近くにいた相手にも、
すぐには気付かなかったのだろう。

       ザッ

「――――元気かい?」

声の方に目線を向けると、
白いスーツを着た年嵩の女が立っていた。
『百目鬼小百合』だ。
返事を待たずに、百目鬼は宗像の隣に座った。

「ちょうど近くまで来たから寄らせてもらったよ。
 邪魔しちまって悪いね」

「いや、構わない」

「そいつは良かった」

二人の間で短い言葉が交わされる。
ごく他愛のない挨拶だ。
しかし、百目鬼には『確認しなければならない事』があった。

「アンタ、『全治七ヶ月』だって?随分な大怪我じゃないか」

「経験した事の無い負傷だったのは確かだ」

「今回だけじゃない。
 出所してから、ここに『三回』ほど世話になってるだろ?
 最初が『全治一ヶ月』。次が『全治三ヶ月』。
 そして、今が『全治七ヶ月』だ」

百目鬼は右手の指を三本立てて見せた。
宗像は何も言わなかった。
少し間を置いてから、百目鬼は更に話を続ける。

「アタシはアンタの『職業』を知ってる。
 キツい仕事だろうけど、
 そんなに頻繁に大怪我するとは考えにくい。
 もし誰かと喧嘩したんだとしても、
 何ヶ月も入院するってのは大袈裟過ぎる」

「だから気になったんだ。
 『どうして何度も大きな怪我をしてるのか』ってね。
 普通に暮らしてりゃあ、
 そうそう大怪我なんてしないもんだろ?」

そこで百目鬼は言葉を切った。
宗像の反応を見る為だ。
しかし、宗像は何も答えない。

「間違ってたら忘れてくれていい」

「アンタ――――『スタンド使い』かい?」

宗像の表情は変わらなかった。
だが、百目鬼は宗像の瞳が動いたのを見逃さなかった。
短い沈黙の後で、宗像が口を開く。

「ああ――」

「『そうだ』」

宗像の答えは、百目鬼が予想した通りの内容だった。
ゆえに驚きは無い。
百目鬼の心中には『納得』だけが存在した。

「……聞きたい事がある」

「『誰か殺したか』?」

百目鬼が発した疑問は、『直感』に起因するものだった。
そして、百目鬼は宗像の『前科』を知っている。
だからこそ、心の片隅に引っ掛かる『何か』を、
微かに感じ取ったのかもしれない。

「――ああ」

宗像の返答は淡白だった。
百目鬼は煙草を取り出し、火を点けずに口に咥える。
せめてもの気休めだ。

228『正道と無間地獄』:2021/01/17(日) 06:10:58
>>227

「…………『相手』は?」

「『犯罪組織の残党』だ」

「――――『エクリプス』か」

「そうだ」

『その名前』に百目鬼は聞き覚えがあった。
初めて耳にしたのは、かつて『刑事』だった時だ。
百目鬼は苛立たしげに首を横に振り、
懐から年季の入ったライターを取り出した。

           スッ

「『スタンド使い』に『法律』は通じない。
 話し合いの出来ない相手には『力尽く』しか方法が無い。
 拘束するか、痛め付けるか、もしくは――――」

『その先の言葉』を、百目鬼は口にしなかった。
自分自身の心が、それを言わせる事を拒んだ。
苛立ちを振り払うかのように、
ライターの蓋を親指で跳ね上げる。

           カキンッ

「『それ』が必要になる状況も――
 場合によっちゃあるかもしれない。
 だが、アタシは好きじゃあない。そいつを認めたくは無い」

「ただ『そうしなきゃ罪の無い人間が犠牲になる』ってんなら、
 アタシは認めざるを得ない。
 納得したくは無いが、『道理』は通ってる」

「――――だから、
 今ここで『アンタを叩きのめす事』はしない」

           パチン

静かな声色で告げ、百目鬼はライターの蓋を元通り閉じた。
その言葉は、自分自身に言い聞かせる為のものでもあった。
世の中が綺麗事だけで片付かない事は、
よく分かっていたからだ。
やがて、百目鬼はベンチから立ち上がった。
ライターを懐に収め、宗像に向き直る。

「だが、今後アンタが、
 『人の道』を踏み外す事があったなら――――」

            ザッ

     「アタシが『力尽く』で止める」

百目鬼は宗像を正面から見据える。
宗像は顔を上げ、百目鬼を見つめた。
二筋の視線が交差する。

         「――頼む」

宗像の発した言葉に対し、百目鬼は目で応じた。
真偽を見定めるような視線が、宗像に注がれる。
まもなく、百目鬼は踵を返した。

「その言葉――今は信じるよ」

                   ザッ ザッ ザッ

背中越しに短く答え、百目鬼の姿が遠ざかっていく。
宗像は無言で百目鬼を見送った。
そして、彼らは『それぞれの道』を歩み続ける。

229音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』:2021/01/18(月) 18:55:45
>>138

     ぐるるぅぅ〜〜〜〜

   「何か……『食べ逃した』ような……?」

音無ピエール『ジュリエット・アンド・ザ・リックス』 → 『退院』

230『七ヵ月後』:2021/03/01(月) 00:07:27
>>134

今から『七ヶ月前』、その病室に一人の男が入院した。
全身に無数の傷を負い、
『銛』で貫かれた左肩は特に重傷だった。
そして、今は『退院』の準備を済ませた所だ。

「ははぁ、もうすっかり良さそうだねえ」

窓の外を見つめていた『宗像征爾』は、声の方に向き直った。
病室の入り口に、一人の女が立っている。
『百目鬼小百合』だ。

「人間というのは分からない。
 即死するような傷でも息があったかと思えば、
 何の前触れも無く死ぬ事もある」

「だが、俺の体は思ったよりも丈夫だったようだ」

百目鬼が宗像に歩み寄る。
その口元には、火の点いていない煙草があった。
ヘビースモーカーの百目鬼にとって、せめてもの『気休め』だ。

「今日が『退院』だってのを思い出してね。
 快気祝いに飯でも奢ってやろうと思ってさ。
 これから時間あるかい?」

内心、百目鬼には『打算』があった。
食事を建前にして、念の為に『釘を刺しておこう』という狙いだ。
だが、退院を祝う気持ちも偽りでは無かった。

「――構わない」

宗像は、百目鬼が『どういう人間か』を知っていた。
従って、宗像にも百目鬼の考えは察せられた。
しかし、それを敢えて口に出す事は無かった。

「なら、決まりだ。いい店があるんだよ。
 新鮮な『馬刺し』を食わせてくれる所でねぇ…………」

二人は並んで歩き出し、『総合病院』を後にする。
あらゆる点で対極に位置する彼らは、
人間として根本的な部分から食い違っている。
だが、『反りが合わない事』に関しては、
互いに同意している所だった――――。


宗像征爾『アヴィーチー』⇒『退院』

231風歌鈴音『ダストデビル・ドライヴ』:2021/03/23(火) 22:25:42
「すまねーが、『今すぐ』出たい。十万は払うから、『治療』を頼む」

232クスノキ『???』:2021/03/23(火) 22:27:40
>>231
「あいよ」

『治療』は完了した。

233風歌鈴音『ダストデビル・ドライヴ:2021/03/23(火) 22:31:52
>>232
「しゃあっ!!」

風歌鈴音 『退院』――『ミッションマネー十万』消費

234バトルGM:2021/03/27(土) 19:09:45
【戦】『スタンドバトルスレッド』 その1
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049803/353‐355



①三刀屋 路行『ブラック・アンド・ホワイト』
 ◇最終ダメージ
 ・両腕前腕に浅い裂傷
 ・両脚に複数の裂創
 ・両足関節捻挫

 ◇必要治療期間
 ・全治1週間

②仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』
 ◇最終ダメージ
 ・頭蓋骨左側に凹み
 ・顎骨骨折
 ・鼻骨骨折
 ・鎖骨骨折
 ・肩甲骨骨折
 ・左上腕骨骨折
 ・肋骨骨折
  ※包帯グルグル巻き&ギプス&ギプス&ギプス

 ◇必要治療期間
 ・全治2ヶ月
  ※『骨田医師の特別治験の権利』を使用する場合、『全治1ヶ月』となる

235バトルGM:2021/03/27(土) 19:35:08
『アポロン・クリニックセンター』にNPCが追加されました。

◇骨田 独郎 (こつた どくろう)

 名前:骨田 独郎 (こつた どくろう)
 年齢:73歳
 性別:男性
 職業:医者
 担当:整形外科
 経歴:『アポロン・クリニックセンター』整形外科、勤続ウン十年の大御所。
     仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』のかかりつけ医。
     仁宇の『特殊体質』(骨形成不全症・易骨折性)を気にかけており、独自の治療法を試すことがある。

※『骨田医師』は、ひとまず『どのPLが動かしてよい、フリーのNPC』とする。
 ただ、他PLがどこまで動かしてよいかの判断は、仁宇PLの裁量に任せるものとする。

※バトルGMとしてのタスクは終了したと思うので、バトルGMは以後レスをしない。
※でも、なにか相談があったら、お気軽にどうぞ。

236三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/03/28(日) 21:23:06
三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』
『全治1週間』→『入院』

237仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/03/29(月) 00:07:25
仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』
※『骨田医師の特別治験の権利』使用、『全治1ヶ月』→入院

「ドクター骨田じゃゾイ。ワシの事はフリー素材と思って他PLが自由に使っていいゾイ 
 ほう、喋れるようになったか!『ミス・グラス』」

  いえーいガラスのように骨が脆い櫻子だよ〜  
  ドクター骨田独太はわたしの担当医なんだ!……え、何の話?

「…………それでね、『特別治験』の話が、今回もあるんだけれど」
 
  いいよ〜 信じてるから
  新薬?入れ替える?骨髄?中で金具で挟むやつ?

「…よし合点ゾイ!ワシの手にかかれば治療期間はなんと『一か月』ッ!」

  腕上げたね? ドクターだいすき愛してる!

「ガーハハハハ!見ておれ!この治験の成果をもとに、
 頭の固い学会のクソを殴りつける新論文!!!!
 そして人体の究極の治療法に辿りついて見せるゾイ!!!」

  きゃー すごいすごい!応援しちゃう〜〜!

「やがて!!!その奇病も」

うん。諦めてるって言ってるでしょ。論文頑張ってね。

238三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』:2021/04/12(月) 22:15:27
>>236
「あの日・・・・僕のポッケの中に入っていたこの『チケット』・・・・
 何かの『観戦券』のように見えるね、面白そうだ」

   Pi

「あ〜〜〜・・・・もしもし、僕だけどさ、ちょっと面白い事があってね」

三刀屋『ブラック・アンド・ホワイト』→『退院』

239仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/04/29(木) 07:43:09
>>237
アポロンクリニックセンター。午後。
中庭から少し外れた場所、人影が少ない『旧病棟』のわき。

   ガリガリガリガリ

「『仕上がった』   カンペキなボディ」
「ドクター骨田ー、いっつもイイ仕事するよねえ」

「ただ、なぁ…今回の…『輸血』がおおくて……」
「顔、むくんじゃった気するねぇ」

   バキバキバキバキバキ

 『血の気』が余ってる系女子。

仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』→退院手続処理中

240仁宇櫻子『ハスカー・ドゥ』:2021/05/06(木) 23:01:08
>>237
「面倒な手続きも終わって退院だよぉ」

「よっしゃー!腕も足も動く!」

病院を走……らずに、ウキウキあるいてロビーを飛び出す。

仁宇 櫻子『ハスカー・ドゥ』→退院

241岸崎 澄『エステラ』:2021/05/15(土) 22:22:44
 
「お役所に行くべきか迷ったんですが、こっちのが近かったので」
 
 
「多分ありますよね、そういうの」
 
「いや、私は別に運営元とかにこだわりは無くて、
 こだわりが無いっていうよりは、もう、なんでもいいんですけど」
 
 
「お金が無くて治療が受けられない子を支援するような団体が、あると思うんですよね」
 
 
「どこでもいいしなんでもいいので、それはそこに送ってください。
 面倒なら、お姉さんがもらってくれちゃってもいいです。
 それも嫌なら、警察に届けてくれてもいいんですけど」
  

「子供があんなことでお金をもらっちゃ、いけないと思うんだよね」
 
 
「なんでもないです。帰ります。 私は別に誰でもないです」
 
「ただの」
 
 
「ただの感傷なので」
 
 

『岸崎 澄』 ⇒所持金『30万円』はどこか知らないところに行って消えた。

242『真白の牙』:2021/05/16(日) 21:28:08
【ミ】瞳憬
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1601890582/397

一抹 貞世『インダルジェンス』→『両腕』に打撲。『全治一週間』。

243七篠 譲葉『リルトランク』:2021/05/20(木) 09:19:44
 焦げ茶の髪を背中に流した少女――七篠が、ナースステーションで看護師に包みを渡している。


 ここに入院している一抹と七篠は先日、『オジロ』という野良犬を保護した。その際に負った怪我で、一抹はここに入院しているのだ。

――もっと、私が的確に動けていたら…一抹くんは怪我をしなかったかもしれない…。
――私が『バイク』ばかりを狙わずに、人を…刺せれば…。もしかしたらもっと早くなんとかなったかもしれない…。

 戦うことは初めてだった。
 敵対した相手にどうしたらいいか戸惑っていたのは確かにあった。
 だが、それで一抹が負傷したのを七篠はよしとしない。

――今回は、せめてお詫びを…。



 七篠が看護師に渡した包みには『クッキー缶』と手紙が入っていた。

『一抹くんへ

  お怪我の具合はいかがでしょうか。
  先日のお詫びに、食べやすいクッキーをお持ちしました。
  これくらいであれば手を負傷していても食べられるかなと思います。
  早くの快癒を祈っています。

                  七篠』

――本当は花とかにしようかなと思ったんだけど、一抹くんは食べるの好きみたいだから。

 七篠は看護師が預かってくれたことを確認すると、クリニックセンターから去っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
七篠 ミッションで得た15万円から5000円を支出しクッキー缶とラッピングを購入、一抹に贈る。

244一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/05/22(土) 01:45:00
>>243
「私の怪我なぞ放っておけば良いのに真面目な方だ。
 実戦で人を傷つけるハードルは高いから気負う必要は…」

「完治したら七篠先輩にお返しでもしましょうか」

すっかり『慈悲の刃』が元通りとなった『インダルジェンス』と、その手で『鎮静』される同室の患者を見る。
眠りが浅いのか寝息のうるさい彼を見かねて試しに『鎮静』した結果、睡眠導入剤無しで寝入ってしまった。

「『インダルジェンス』でデパスを撲滅…!
 スマホで予約制にして二度寝は追加料金を…
 1ヶ月プランで500円。3ヶ月で1000円。5ヶ月で1500円。他の割引プランも…」

くだらない計画を練り始める一抹。
しかし、麻薬より安価で手軽に効果を実感する事が可能な一部の睡眠薬は着々と市場を築いている。
もしかすると『インダルジェンス』が『デパス』に取って変わる日も…?

245<削除>:<削除>
<削除>

246一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/05/24(月) 11:01:51
「ありがとうございました。またお願いします…」

手荒く扱えば砕け散ってしまいそうな一抹の手を老人が引いて行く。
どこか傲慢なところのある、明王様に似た顔つきの自尊心が強そうな強面の老人だ。

「おじいちゃ…お義父さん。ガストは駄目ですよ。
 私はココスが良いのです。ランチタイムに間に合う
 ようにハキハキ歩いてくださいね」

「かっぱ寿司? ジジ臭いから嫌です…」

「えっ、くら寿司ですか? 紅蓮華を流して子供を釣ろう
 とする魂胆が気に食わないです」

一抹 貞世『インダルジェンス』→『退院』
『病院』→『バーミヤン』

247赤月『サクソン』:2021/07/12(月) 19:25:45

「まさか、私がこの国の『保険』に入っているとは思わなかった
『後見人』はどんな手管を使ったんだ・・・・味方ながら、恐ろしい人だ」

清月学園中等部の制服を着た少女が会計を終えて歩いていた
中学生にしては比較的背が高く、セミロングの黒髪には一条の赤いメッシュが入れられている
左腕に綺麗に巻かれた包帯を見ながら、ロビーの一角にあるソファに座る
そして、鞄の中から一通の封筒を取り出した


「あれ以来、『監視者』の動きはなし
 ほとぼりが冷めたと安心するつもりはないが、これ以上『削られる』わけにはいかない
 肉体的にも、精神的にも・・・・」

左手の動きを確かめる様に離握手を繰り返す
調子は上々、元々大した傷をつけているわけでもないため、動作も問題ない

「まずは平時のの生活を取り戻し、しかる後に『アリーナ』に侵入した方がいいか
 この『紹介状』がどこまで通用するかはわからないけれども・・・・」

(『紹介状』を受け取った『タイミング』・・・・あの後に『襲撃』があった事を考えると、
 『彼女』が私の事を・・・・? い、いや、まだそうと決まったわけでは・・・・)

「あ・・・・」

などと考えていると、『封筒』を持つ手から力が抜けてしまう
手元から離れた『封筒』はひらひらと宙を舞いながら病院の床に落ちてしまう

248赤月『サクソン』:2021/07/12(月) 19:26:06
>>247

249『揺蕩う紫煙は変毒為薬』:2021/07/12(月) 19:41:01
【ミ】泥の中には光なく
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1625483444/

一抹貞世『インダルジェンス』→『軽症』『『全治一週間』。

250一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/12(月) 23:19:05
「な、七篠先輩に怒られる前に傷をとっと治さないと…」

「いつものお願いします!」

所持金:『100万』

251『第五外科』:2021/07/13(火) 08:20:07
>>250
「軽傷だろうと『10万円』ポッキリいただくぞ」
治療したよ。

一抹の所持金:-10万円

252一抹 貞世『インダルジェンス』:2021/07/13(火) 08:36:13
>>251
「流石に瓦礫を受けたまま登校したら色々と勘づかれ
 ますからね。埋まったままは勘弁です」

「はい、『十万』です。それではまた!」

一抹 貞世『インダルジェンス』→『退院』

253鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 20:12:16
>>247

一抹くんは比較的軽傷だったようだが、流石に入院は必要だろう。
なのでお見舞いを持って病院を訪れたが、どうやら行き違いになったらしい。連絡を取ってから行けば良かったか。
だが、全くの無駄足にはならずに済んだようだ。足元に落ちた『封筒』を拾い上げ、そう思った。

「どうぞ」



赤月が床に落とした『封筒』を、学生服姿の青年が拾った。微笑みながら、それを赤月に差し出す。
彼の視線は、赤月の顔───時折、その『赤メッシュ』に向けられていた。

254赤月『サクソン』:2021/07/13(火) 20:39:30
>>253

特徴的な『赤メッシュ』・・・清月学園の制服・・・
鉄は以前、どこかでこの特徴を聞いているかもしれない・・・

「ん、ありがとう」

地面に落ちていた『封筒』を拾う時、封筒の中の『書類』が一部、口から顔を出していた
一部の文字しか読み取る事は出来ないながら、そこにはいくつかの単語が並んでいる
曰く、『アリーナ』、『紹介』、『試合』・・・・・と

    パシッ

『封筒』を受け取り、鉄が向けた視線に気が付いた

「・・・・・? 髪に何かついているのか?」

視線の意味を誤解し、
前髪をくしゃくしゃと弄って手櫛で髪型を整える

255鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 20:50:10
>>254

「ああいや。珍しい、綺麗な髪色だと思ってな」
「少なくとも、キミ以外には見たことがない。『赤いメッシュ』…と言うのか?」
「あまりファッションには詳しくないんだ、間違えていたら申し訳ないが」

念のため、本人であることを確認する。
嘘偽りなく、この子以外には『赤メッシュ』に遭遇したことはないが。
他に似たような髪の子はいないか、訊ねておこう。

「失礼、拾った時に少しだけ内容が見えてしまった」
「キミは、見た所若く見えるが…何かの『選手』なのか?」
「もちろん、企業秘密ならば深くは訊ねないが…」

256赤月『サクソン』:2021/07/13(火) 21:37:20
>>255

「ふっ・・・ありがとう、自分でも気に入っているんだ
 この町に来てから、何人か同じような色の人を見た事があるけど
 私のが一番かっこよく染まっていると思っているよ」

髪色を褒められた事に素直に喜び、顔を綻ばせている
奇妙な人間が集まる町だ、こういうファッションの人間は一人だけではないかもしれない

機嫌良さそうに受け答えをしていたが、
鉄の問いかけを聞いた瞬間に身を強張らせる
そして、手早く周囲の様子を観察し、二人に視線を向けている人間がいない事を確認すると、
ひそひそとした声で鉄に話しかける

「・・・・・どこまで見えてしまったんだ?」

257鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 21:54:48
>>256

「そうか…それが今時の若者のファッションなんだな。オレの妹も、最近は
 そういうのを気にし始めてね。昔は短かった髪を、今はずっと伸ばしているんだ」
「以前に比べれば、校則も多少大らかになっているようだな。それは喜ばしい」

少女の言葉にゆっくり頷いた。
一抹くんから聞いた外見と似ているが、まだ断定は出来ないようだ。
これからその辺りを埋めていくとしよう。
権謀術数、腹の探り合いは正直に言って得手ではない。だが褒められた際の
この少女の反応を見る限り、この子も自分と同じく騙し合いには向かなさそうに見える。
ならば、手立てはあるだろう。…少し良心が痛むが。

「…どうやら門外不出にすべき情報だったらしいな。申し訳ない」

まずは一度、頭を下げる。

「『アリーナ』『紹介』『試合』という単語が見えた。…どうやら、普通ではない事情を抱えているようだ」
「それ次第では、オレはキミの力になれるかもしれない。…話してくれるだろうか?」

一抹くんは、この子を『復讐者』と称していた。一体何が彼女をそうたらしめているのだろう?

258赤月『サクソン』:2021/07/13(火) 22:08:55
>>257

「・・・・・・そうか」

一言だけそう呟くと、手にした『封筒』を手元に引き寄せ・・・

    ズギャッ!

次の瞬間に『トレンチコート』のヴィジョンをしたスタンドを発現!
右手を手刀の様に構えて、その切っ先を鉄の顔に向ける

「君は・・・・『知っている人間』だな?
『アリーナ』という言葉を聞いて、『普通ではない』事に気が付いた
『知らない人間』であれば・・・・アリーナとはただの施設の名称であるのに」

「どちらだ?」

「『アリーナ』の人間か、それとも『エクリプス』の側の人間なのか?」

259鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 22:25:24
>>258

『スタンド』を発現した少女に対して、それほど動揺はしない。
即座に攻撃を仕掛けて来ないタイプならば、話し合いの余地はまだ残されている。

「半分は推測だ」
「部活動で、キミがアリーナの中で『選手』をやる場合。あるいは、『アリーナ』で格闘技やスポーツの試合を見に行く場合」
「それならば、『どこまで見てしまったのか』、というキミの言葉は不自然に感じた」

「そして先程も言ったように、年若いキミが一般のアリーナに『選手』として出ることも珍しい」
「ならば、のっぴきならない事情を抱えているとオレは判断した。…合っていたようで話が早いな」

彼女と同じく、自分も『シヴァルリー』を発現し、己の真横に立たせる。

「オレ自身はどちらでもない。だが、どちらの人間も知り合いだ」
「お互いに、一つずつ質問をしていこう。…その二つの『組織』が、キミにどう関わっている?」

260赤月『サクソン』:2021/07/13(火) 22:46:54
>>259

目の前の人間がこちらの『威嚇』に対して動揺を示さない事
そして、話の内容から、どうやら相手は『直接的な敵』ではないと判断し、
一直線に伸ばした右手を少しだけ下ろす

「やはり君もスタンド使い・・・・!
 いや、それにしても、どちらにも知り合いがいるだと?
 なるほど、この前の『襲撃者』とも『監視者』とも違う立場の人間か」

『封筒』を『トレンチコート』のポケットに入れる
そして、顎先を動かすようにしてロビーに置かれたソファを指す

「対話をする以上、立ち話という事もないだろう
 こちらへ来てくれ」

ソファに腰を落ち着かせて、鉄の顔を見る

「わかった・・・・先ほどの質問に答えよう
『エクリプス』は私にとっての『味方』だ
 私は今、この国で生活をしているが、費用の全てをとある『後見人』から出してもらっている
 かつて『エクリプス』の構成員であった者だ・・・・もっとも、君に教えられる事はそれ以上ないが」

厳密に言えば、赤月自身も知らないのだ
『後見人』が男なのか女なのか、未だに『エクリプス』の活動を続けているのかどうかすら

「そして、『アリーナ』は・・・・『敵』だ
 私にとって、殺さなければならない人間がそこにいる」

鉄の顔を真正面から見つめる
その表情に後ろめたい感情は一切ない

「これで私は君の質問に答えた
 だから、こちらからも質問をさせてもらうぞ」

この状況では質問の回数は限られてくるだろう
いつ、目の前の男が質問をやめるかもわからない 核心を突く質問をしなければ・・・
そこまで考えたところで、自分が『アリーナ』について何も知らない事に気が付いた

「・・・・『アリーナ』とは一体なんなんだ?
 私は、スタンド使いの組織だと聞いてこの町に来た
 だが、聞き込みを続けていても、彼らが一体何のためにある組織なのか、それさえもわからない
 答えろ・・・・」

261鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 23:08:24
>>260

場所を変えようと提案する彼女に頷き、ソファに座った。

「…キミが冷静な人間で助かったよ」
「オレは清月学園高等部二年生、鉄 夕立だ。剣道部に所属している」
「ああ、これは自分から名乗っただけだ。当然、一答には数えなくていい」

冗談めかして笑ってみせる。
…敵か味方かも分からない『スタンド使い』に対して、少々踏み込み過ぎかもしれない。
しかしこの子は恐らく、妹の朝陽とそう変わらない年齢だろう。
ならば、可能であれば力になりたい。それが自分の道理に反しない限りは。

「かつては。確かに、『エクリプス』には残党がいるらしい」
「オレが知っているのは、『ニュー・エクリプス』を名乗る少女のことだけだ。
 昔『エクリプス』を構成していた、という人間には会ったことはない」

どうやら自分が直接知っている『エクリプス』と、彼女の知るそれはまた別物のようだ。
その人物に対してこの少女が黙秘するのも当然だろう。彼女にとっては親代わりと言える存在なのだから。

「…『殺す』、とはまだ穏やかではない。だが、それを口にするだけの覚悟はあるようだ」

「『アリーナ』は『スタンド使い』の組織、という認識は合っている。だが、逆に言えば
 それ以外にさほど共通点はない。『アリーナ』と言う組織は複数に分かれている」
「スタンド使いの闘技場を運営する、あるいは治安維持のため動くこともあるが…
 慈善団体ではないし、各派閥により目的や意思もほれぞれだ」
「キミはまず、その狙う相手がどこに所属しているのかを知る必要があるな」

そこで一旦、自分の回答を終えた。

「キミが『アリーナ』を敵視する理由は何だ?」

262赤月『サクソン』:2021/07/13(火) 23:38:31
>>261

「真正面から名を名乗られた以上、私も名乗らないわけにはいかないな
 清月学園中等部二年の赤月 ナカレだ・・・
 それに、勘違いしているようだが私が冷静でいられるかどうか、それは保証しない」

「君こそが私の狙う『スタンド使い』である・・・・その可能性もあるのだからな」

冗談めかした笑いに対して、むすっとした表情で対抗する
とはいえ、目の前の男には、立場を抜かせばそれなりに好感を持っている
回りくどい言い方はせずに正々堂々と話すその態度は赤月にとって好ましいものだ

「『ニュー・エクリプス』?
 流石にそれは聞いた事がないな、ただの模倣犯なんじゃないか?」

「『アリーナ』が複数に分かれている・・・?
 そうか・・・いや、『襲撃者』と『監視者』が一枚岩ではなかった事を考えると当然か」

今まで、赤月の中では『アリーナ』とはこの町を
人知れずに隅々まで支配する神の様な存在だと思っていた
しかし、これまでに集めた情報を考えると決してそのような絶対的な組織ではない事がわかった

(『監視者』がここ数週間現れていない事を考えると、
 私一人の相手をしていられるような状況ではない・・・という事か
 『襲撃者』とも不仲のようだし、彼女らは別の派閥の人間と考えられる、か?)

「君の言う事ももっともだ・・・・数多く『派閥』が存在するのなら、
 より多くの情報を集めないといけないか」

>「キミが『アリーナ』を敵視する理由は何だ?」

「それ・・・・は・・・・」

ここでこの『殺意』の真意を打ち明けるべきか、迷う
今までに詳しい事情を説明したのは『咲良』だけだ・・・・その彼女に対しての『疑心』もある
歓楽街で出会った『彼(ジョン)』の言葉が頭に響く、『慎重にやれ』と
だが、目の前の男は正々堂々とここまで質問に答えてくれた・・・・その点においては信用すべき、か?

「『仇』・・・・なんだ、家族の」

「私の兄は『アリーナ』と『エクリプス』の戦いの中で死んだ
『戦士』として『エクリプス』に雇われ・・・・激戦の中で倒れた、と聞いている
『戦士』である以上、戦いの中で死ぬことは覚悟の上だ・・・・だけど!」

話を続けるうちに、湧き出て来た感情を抑える為に思い切り顔を歪ませる
ここで『泣く』事は『戦士』らしくない

「私にとっての世界の全ては『兄』だった!
 それを奪われた以上、仇を取らなければ先へ進めない!」

「クッ・・・・次の・・・・質問だ! 私の兄・・・『赤月 保(あかつき たもつ)』を知っているか!?」

263鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/13(火) 23:54:39
>>262

「ああ、勿論それは承知しているさ。その上でよろしく、赤月さん」
「オレ自身は、できれば敵に回りたくないとは思っているがな。女性や子供とは、戦いたくない」

どこか端々に隙のある赤月の言動に、微笑ましいものを感じつつも、表には出さないように努める。
それを悟られてしまうと、またもや不機嫌になってしまいそうだ。

「恐らく、かつての『エクリプス』の承認を受けたわけでもないだろうな…勝手に名乗っていると思われる」
「だが、その人物とて何の覚悟もなく名乗っているわけではなさそうだ。
 実際に『エクリプス』に関する名乗りを上げることで、敵意を向けられているのを見た」
「その上で、その人物は名乗る事を止めないのだから」

しかし、その人物は恐らく彼女の過去に関係するところはないだろう。
とはいえ何かの切っ掛けで、遭遇する機会もあるかもしれない。前もって、説明はしておこう。


>「それ・・・・は・・・・」



>「『仇』・・・・なんだ、家族の」



「・・・・・・・・・・・・・・・そうか」

『復讐者』、と一抹くんが呼ぶからには、恐らく親しい誰かが犠牲になったのだろうと思っていた。
考え得る限り、これは最悪のパターンだ。
『エクリプス』の残党とやらがこの子の面倒を見ているということは、失った人達の他に、家族と呼べるような人間はいないのだろう。
家族がどれほど大切なものか。それを自分は痛いほどよく知っている。

「…申し訳ないが、その名に聞覚えはない。恐らく、オレが『スタンド使い』になったのは、その戦いの後だろう」

彼女の問いに対して、首を振る。

「では、先程『襲撃者』と『監視者』と言ったが…赤月さんは誰かに狙われているのか?」

264赤月『サクソン』:2021/07/14(水) 00:15:29
>>263

「クッ!」

内心で、しまった!と思った
兄の名前を知っているかどうかなど、この状況で優先して聞くべき質問ではない
感情に振り回されて、せっかくの機会を『一つ』無駄にしてしまった事を反省する

「『ニューエクリプス』の少女は、恐らく私には無関係だろう
 『アリーナ』と同じように『エクリプス』も多くの思想が渦巻いていたと聞く
 もしかしたら、どこかの『チーム』に関係しているかもしれないが・・・・私は知らない」

すう、はあ、と深呼吸をする
こんな所で感情的になっては先が思いやられる
落ち着いて、互いの質問を考える、慎重に慎重にと心の中で呟きながら

「歓楽街で起きた事件は知っているか?」

ぴらりと、鞄から一枚のビラを見せる
『学生寮』で不愉快な白髪の少年(一抹)から受け取ったものだ

       ○月×日△時頃
    □□□ビル付近で通り魔事件発生
     犯人は身長160cm前後の若い女
       素顔を隠して行動している
       見かけた者は注意されたし
    追記:後日、湖畔にて出没。撃退。
    長距離型? 手足を切断済み。DF無し?

「こんなビラが歓楽街で配られていたらしい
 追記の部分については、学生寮にいたよくわからない白髪の少年が書いたものだが・・・」

「この事件で襲われたのは私だ
 何故、『襲撃』を受けたのかはわからないが、私はこれを『アリーナ』からの『警告』だと解釈している
 そして、その光景をどこかで見ていたスタンド使いがいる」

「そのスタンド使いは、まるで空気に溶け込むかのように一切の痕跡を残さずに私を見ていた
 何故、『透明な監視者』の存在を私が知る事が出来たのか・・・・それについては黙秘したい
 だが・・・・・これだけは言える事だが、確実に何者かに『監視』をされていた」

「私は、このビラを作った当人が『監視者』だと考えている
 何故なら『監視者』の他に誰一人としてその場に存在しなかったからだ
 まさか、『襲撃者』本人が自分を危険にさらすビラを作るとは思えないからな」

答えは言い切った
次はこちらのターンだ
次こそはと、多くの情報を得られるような質問を作り出す

「では、次は私の質問だ
 君が知る限り、『アリーナ』にはどんな派閥があるのか、教えてくれ」

265鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/14(水) 00:43:31
>>264

「その『事件』…オレはつい先日聞いたばかりだ。赤月さんが遭遇した、その白髪の少年からな」
「彼の名は一抹くんと言って、オレの友人だ。彼もキミの事を気にかけていたよ」
「もっとも、ここで会った赤月さんがその少女かは途中まで確信が持てなかったが…どうやら合っていたようで良かった」

赤月さんの話を聞き、ゆっくりと頷く。
一抹くんは事実を簡潔に話すあまり、詳細な状況が分からない時がある。
当事者の話を聞くことで、理解できることもあるだろう。

「成る程。大凡の事情は理解できたが…『襲撃者』は本当に『アリーナ』の人間だろうか?」
「オレの妹も、『通り魔』に襲われている。アイツはスタンド使いですらない、ただの『一般人』にも関わらず、だ」
「襲う側に明確な理由などないかもしれない。世の中にはそういった人間が一定するいるんだ、赤月さん」


窓の外へと視線を向ける鉄。その細い瞳には、冷たい光が宿っていた。
だが、気を取り直したように改めて赤月の方へ顔を向ける。

「あるいは『アリーナ』に罪を着せたい何者かもしれないが…今はまだ断定はできないか」
「『監視者』に関しては、更に不明だな…少なくとも、『襲撃者』の敵ではあるようだが」
「そういった『スタンド』に心当たりはないか、オレも友人に訊ねてみよう」

そして、少女の質問に頷く。

「オレが直接会ったことあるのは、『タダヒト』派と『最中派』だけだ。他の派閥に関しては、詳細は分からないんだ」
「『タダヒト』派筆頭のタダヒトさんは、『弁護士』を勤めている。この町の治安を揺るがすような
 大きい事件であれば動く可能性があるタイプだ。…『エクリプス』に恨みを持つ人間もいた」
「『最中派』は、つい最近知ったばかりだが…新興組織なのか、正直に言うとかなり力は弱い。
 『エクリプス』と同じ時期に存在していたとしても、抗える戦力があるとは思えないな」

266赤月『サクソン』:2021/07/14(水) 01:05:34
>>265

「イチマツ・・・・一抹というのか、あの少年は」

実際の所、一抹とは年齢はそこまで離れているわけではないが、
身長の差からだいぶ年下意識があるようだ

「不愉快な奴だった・・・・・君には悪いが、次にあいつに会った時にどうなるかわからない
 まったく、気味の悪い事を言う不気味な奴だった」

一抹に対する評価は大分低いらしく、ぶつくさと呟く

「君の妹さんが通り魔に?
 そうか・・・・怪我は大丈夫だったのか?」

日本は治安が良い国だと聞いていた
だが、『この町』に限ってはそうともいえないらしい・・・・
心配そうな顔で鉄を見ると、鉄の瞳には冷たい光が宿っていた
家族がそんな目にあったのだ、無理もないと赤月は思った


「しかし、そうなると『襲撃者』は何のメリットもなく私を襲ったという事に・・・・いや
 そういえば、『襲撃者』は『スタンド使いの血液』を集めていた」

「厳密に言えば、『スタンドの血液』とも言えるエネルギーを集めているようだった
 つまり・・・・彼女は『スタンドエネルギー』を奪うためにあんな狼藉を繰り返している、と?」

『無関係』の出来事のせいで無茶苦茶に絡まった糸が解けていく

「『タダヒト派』と『最中派』・・・・・
 話を聞く限りでは、『最中派』が私の標的である可能性は大分低いな
 私の兄は強力なスタンド使いだった・・・・らしい
 そんな弱小の派閥程度にやられるわけはない、はずだ」

「『タダヒト派』の方はかなり怪しい
 君の話を聞く限りでは、『エクリプス』との因縁も深そうだ」

そこまで話して、鉄側からの『質問』がない事に気づく
今のがもしかして最後の質問だったのか!と気づき、困った表情を浮かべる

「質問は・・・・質問は他にないのか?
 ここまでで互いの質問は『3:3』・・・・これでは交換が打ち止めになってしまう」

267鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/14(水) 20:21:33
>>266

「出来れば仲良くしてくれるとオレは嬉しいが、一抹くんも、悲観的に構える所があるからな…」

自分の見立てでは、二人の相性はさほど良くない。
共闘する機会でもあればまた印象が変わってくるかもしれないが、その前に彼らが戦う方が先の可能性もある。
年下の子たちが争う姿は見たくない。性格上、どちらも相手の命を奪ったりまではしないだろうが。

「命に別状はなかったよ。『ピアノコンクール』には出られなかったが」
「知っているか、赤月さん。この町でも、『空き巣』や『ひったくり』程度なら毎日のように起きているんだ」
「オレの先輩も言っていたよ。朗らかに話しかけ、あたかも常人のように振る舞い、
 平然と『力』を振るう人間は、この世にいると。キミもこれから鉄火場で立ち回るなら、常に気を付けておくんだ」

『スタンド』は、一般人には見えも触れもしない。『犯罪』にはうってつけだ。

「…もっとも、罪に手を染めた人間が全てそうというわけじゃあない。
 中には、ほんの少し、半ば偶然のように日常から足を踏み外してしまっただけの人もいる」
「まぁキミには恐らく関係のない話か…忘れてくれ」

そう言って、首を振る。
これから『復讐』を遂げようという人間に、善とは何か、悪とは何かを訊ねるのも、出鼻を挫くようなものだ。

「ふむ…それがその『襲撃者』のスタンドに必要だったのか。それともあるいは誰かの依頼か」
「だが、それなら『アリーナ』とは無関係の線も出てきたな。すると、まだ赤月さんから『アリーナ』に接触できる可能性はある」

少なくとも『タダヒト』さんは、この少女の事情を知ってなお、刺客を差し向けるようなタイプではないと思っている。
そして彼女の言葉通り、『最中派』も恐らく復讐相手はいないだろう。
どちらにせよ、赤月さんが接触するチャンスはあるはずだ。
もっとも、『最中派』に接触するメリットは少ない…というより、デメリットが多そうに見えるが。

「質問は、今のところはもうないな。赤月さんの事は、知りたい範囲で知ることができた」
「だから、オレからの質問はこれで終わりだ」


「キミの為人を理解できたから、後はキミの質問に対して、答えられる範囲で答える事にしよう」

相互に一問一答をする必要はもうない。後は赤月さんの質問に答えていくつもりだ。
もっとも、自分が知る情報はあまり多くないが。

268赤月『サクソン』:2021/07/14(水) 21:09:10
>>267

「フン・・・・ 君には悪いが、あいつと仲良くなんて出来るわけがない
 私も大人だから、こちらから積極的に仕掛けるつもりはないけど
 もしも、あいつがまた何かの理由で争いを望むようなら、止めるつもりもないね」

鼻息を荒くして答える
それ程までに、一抹の存在は彼女にとって相性の悪い相手なのだろう

「そうか・・・ うん・・・・ 何はともあれ、無事でよかったな
 家族が酷い目に遭うというのは、すごく嫌なものだから」

目の前の青年の感性に、自分の価値観とも近しいものを感じて、
少しだけ親愛の念が強まる

「『襲撃者』・・・・謎は多いけど、必ずしも『アリーナ』に関わる人間だとは限らないか
 ふ、ふふ・・・・そうなると、この数週間、『アリーナ』の影に怯えていたのが馬鹿馬鹿しく思えてくる」

>「キミの為人を理解できたから、後はキミの質問に対して、答えられる範囲で答える事にしよう」

「・・・・・!? それはつまり、無償で質問に答えてくれるという事か?
 いや、しかし、そうなると君にとってのメリットが・・・・まさか」

「最初からこのつもりだったのか?
 取引のために質問を交換しているわけではなかった・・・・と?」

青年がただの親切で自分に『情報』を教えてくれている可能性に思い至る
だが、彼女の表情は徐々に険しくなっていく

「折角の申し出だけど・・・・『情報交換』はここで終わりにしよう
 私は・・・・私情に他人を巻き込みたくはない
『情報交換』でお互いにメリットがあるならともかく、
 これでは君が一方的に巻き込まれているだけじゃないか」

「心遣いには感謝する」

269鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/14(水) 21:39:51
>>268

「赤月さんの言う通り、家族が酷い目に遭うというのは、とても嫌なものだ」
「だからこそ、オレはキミを見過ごせない。…だが赤月保さんが、正々堂々とした勝負の上で
 命を落としたのであれば、キミの『復讐』に直接力を貸すことはできない」

もっとも、そもそも赤月さんは望んでいないだろうが、と付け加える。

「しかし、それでも『兄』の敵討ちを望むキミの気持ちはよく分かる。
 だから、赤月さんが『復讐相手』を探し出すその手伝いはしたいんだ」
「損得ではなく、オレ個人の生き方の問題だ。巻き込まれているつもりはないし、自分の身を守る程度の技は心得ている」

「とはいえ、いきなりそう言われてもキミも心の準備が必要かもしれないな」
「気が向いたら、いつでも連絡をしてくれ。その間に、オレもツテを辿って調べてみよう」

そう言って、スマホを取り出した。彼女が断らないなら、このまま連絡先を交換するつもりだ。

270赤月『サクソン』:2021/07/14(水) 22:25:07
>>269

「・・・・・。」

鉄の語る提案を聞き、無言で押し黙る
確かに、協力者が増える事は『目的』の達成のために有用だ
また、自分の『秘密』をともに抱えてくれる者がいれば、
心の支えにもなり、以前の様な無様を晒すこともなくなるだろう

(だけど、それで本当にいいのか?
 彼を無用な争いに巻き込んでしまう事になるし、それに・・・・
 私自身の『感情』が『鈍化』してしまう、そんな気がする)

この町に来て、人との関わりが増えた事で気づいた事がある
『先鋭された殺意』は誰かと関われば関わるほどに鈍く、なまくらに変わっていくという事だ

(湖畔で会った『彼』と話していて気付いた事だ
 余計な人間関係は『重り』になってしまう・・・・)

多くの事を考えている内に、鉄はスマホを取り出していた
決断しなくてはならない時だ

「・・・・わかった
 ただし、私達はあくまでも『取引相手』の関係だ!
 君からの施しはいらないし、君が私に協力する筋合いもない
 ただ、お互いに欲しい情報が手に入った時に『交換』をする・・・・それだけの関係だ」

「勘違いしないで欲しいが、私は個人的には君の事を好ましいと思っている
 だが・・・・だからこそ、君とは馴れ合うような関係になりたくないんだ」

スマホを取り出し、連絡先の交換を行う
スマホの操作は勉強して学んだ、完璧だ

271鉄 夕立『シヴァルリー』&『C・セッション』:2021/07/14(水) 22:41:47
>>270

赤月さんの言葉に、微笑んで頷く。

「言ったろう?あくまでオレが望んで動いているだけだと」
「オレが好きに動いているのを、キミが利用すれば良いだけだ。誰も損をしない、対等な関係だからな」

その言葉を聞き、律儀な子だな、と思った。そして、不器用でもある。
上部を取り繕ってやり過ごすこともできず、こうして本心をしっかりと口にしている。
だからこそ、捨て置けないのかもしれない。

「ありがとう。…最後に一つ、余計かもしれない事を言わせてくれ」
「キミが『復讐相手』の命を奪おうとしているのは知っているし、
 それは正しいとも思う。…だが、『殺意』に呑まれないようにな」
「自らの意思で『研ぎ澄ます』事は必要だろう。しかしそれに振り回され、
 本意を見失うことのないように。オレはそう願っている」

かつて自分は『殺意』を研ぎ澄ます『スタンド使い』と遭遇し、そして戦った。
『殺意』とは相手を殺す時に極めて有用であるが、しかし時には自らの行動を縛りかねない。
願わくば、彼女が仇を殺すにせよ、そうでなかろうと。最後には、幸福になれる事を祈ろう。

スマホをポケットにしまうと立ち上がり、背中を向けた。

「それじゃあ、赤月さん。また今度」

小さく手を振り、その場を後にする。さて、まずは誰と連絡を取るべきか。

272赤月『サクソン』:2021/07/14(水) 23:11:30
>>271

「・・・・・言われなくてもわかっている
『殺意』に振り回されていては、どうにもならないなんて事」

『殺意』に吞まれるな、と彼は語る
それは赤月にとって、自身のスタンド『サクソン』を得た時に最初に決意した事だ
『サクソン』は暗殺のスタンド・・・・『殺意』を晒すのは最後の時だけで十分だ

自覚する事と、実際に出来るかはまた別の問題なのだが・・・・

「だけど、礼を言わせてくれ
 忠告をしてくれてありがとう」

連絡先の交換が終わり、互いに分かれる

「『取引相手』は得た
 さて・・・『アリーナ』が派閥ごとに分かれているとなると、この先どうしようか
 『タダヒト派』に『最中派』・・・・まずはそこから調べてみるか」

病院を去り、自室がある学生寮へと去って行く

273東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2021/08/16(月) 20:19:26
>東雲『ザイオン・トレイン』 → 『肋骨損壊』、他おびただしい負傷の数々。
>                   『カナディアン・スウィートハーツ』の治療により、
>                   『全治一ヶ月』まで短縮。

「…マサさんの見送りに行けんかったんは、ちぃと残念じゃが、
 今生の別れでもないけぇの。ゆっくり養生させてもらうとするかのォ」

→『入院』。

274宗像征爾『アヴィーチー』:2021/11/11(木) 21:25:18
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1628770322/228

『両足甲骨折』『背中に打撲』
『全治二ヶ月』

『入院』

275宗像征爾『アヴィーチー』:2021/12/19(日) 15:52:53

松葉杖をつきながら廊下を歩く。
『防空壕』での仕事を終えて、四度目の入院に至った。
ここも既に見慣れた光景だ。

「残り『三週間弱』か」

退院まで一ヶ月を切った。
これまでの入院期間を合計すると、
およそ一年以上を病院で過ごした事になる。
まだ生きている事を幸いと呼ぶべきなのかどうかは、
正直な所、定かではないが。

「俺には分からない」

入院中、風の噂で一つの話を耳にした。
『夏のクリスマス』に関する話だ。
この国では『クリスマス』というのは、
冬の行事だったと記憶している。
だが、俺が『塀の中』にいる間に、
世の中は大きく変化していた。
クリスマスの時期が『冬』から『夏』に変わっていたとしても、
不思議はないのかもしれない。

「閉じ篭っていると『世間知らず』になる」

『壕』の中で『創業者』に発した言葉を繰り返す。
俺も同じだ。
この町に戻ってきてから知らない事は多い。

「少し外に出る必要がありそうだな」

独り言のように呟き、松葉杖をついて中庭に出て行った。

276宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/11(火) 19:54:35

自分自身の両足で病院の廊下を歩く。
もう松葉杖は必要ない。
『防空壕』で負った傷も既に癒え、
二ヶ月の入院生活も今日で終わる。

「また病院で年を越してしまったな」

いつの間にか大晦日も正月も過ぎ、
世間は新しい年を迎えていた。
だが、これといって何かする予定はなかった。
いつだろうと大した違いはないのだろう。

「『奴』の事が気掛かりではあるが――」

壕内に残った『上遠野』を思い出す。
奴は俺が持たないものを持っている。
『生きる意味』を。

「『茅ヶ崎』にも連絡を取るべきか」

そこで気付く。
『携帯電話』は壕の戦いで破壊してしまった。
元々使いこなせない代物だが、
外に出たら代わりを用意しなければならないようだ。

277宗像征爾『アヴィーチー』:2022/01/12(水) 00:37:56

「世の中は変わった」

退院手続きを済ませ、病院から出る。
一つの戦いを終える毎に世話になってきた。
恐らくは今後も来る事になるだろう。

「今は『公衆電話』を見つける事も難しい」

長期入院する度に思い出す事がある。
『二十年間』の記憶だ。
更生と治療は似て非なるものだが、
考え方によっては共通点と言えなくもない。

「気は進まないが――やはり必要か」


宗像征爾『アヴィーチー』⇒『退院』

278朝山『ザ・ハイヤー』:2022/01/12(水) 23:42:20
>ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1617983099/915
(※記載されてないが、入院期間は『全治一週間』と予想)
「全身打ったから、ちょっと一週間ぐらいは病院に通って
お薬と湿布貰うっス」

279朝山『ザ・ハイヤー』:2022/01/27(木) 16:18:18
さりげなく素早く『退院』するっス!

280東雲 忍『ザイオン・トレイン』:2022/06/19(日) 21:30:40
>>273

『退院』していた。

281赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 20:44:13
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453729532/705

赤月ナカレ『サクソン』→『左腕骨折』、『全治一ヶ月』

『入院』

282赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 20:55:42

「暇だな・・・・ちょっと歩くか」

『アリーナ』の試合からしばらく・・・・
左腕の骨が折れた赤月は治療のために入院をしていた
風のうわさで聞いた話だが、この病院にはスタンド使いだけに行う『特別な治療』があるらしい

(どこに行けばいいのかわからないけど)

だが、どこに行けばその治療を受けられるのか
今一つわかってない赤月は、普通の治療だけを受けて入院しているのであった

病衣を着て、左腕にギプスを巻いた少女が病院の廊下を行き来している

283リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/05(火) 21:52:45
>>282

病院内を歩いていると、
ソファーの上に『西洋人形』が横たわっているのが見えた。
その両目は閉じている。
そういう機構が組み込まれているらしい。
いかにも古めかしいが、状態は良好のようだ。
どことなく、前に拾った『日本人形』を思わせるような雰囲気がある。

    ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

『持ち主』らしき人物の姿はなかった。
もしかすると、誰かが忘れていったのかもしれない。
あるいは――――――。

284赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 21:59:33
>>283

「・・・・・・?」

周囲に人はいない
誰かの忘れ物だろうか、と思いながら『西洋人形』の隣に腰掛ける

「落とし物かな・・・?
 大事な物に見えるし、落とし主に届けてあげた方がいいな」

以前拾った『日本人形』に近い雰囲気を感じながら、
右手を使って『西洋人形』を拾い上げようとする

285リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/05(火) 22:14:34
>>284

何ら支障はなく、『西洋人形』は持ち上げられた。

           パ チ ッ

同時に、閉じていた瞼が開き、『青い目』が露出した。
透き通るように美しいガラスの眼球。
その両目が、赤月ナカレを見つめている。

  「ウフフフフフフフフフ」

突然、人形が笑い声を漏らした。
非常に滑らかで流暢な発話。
その挙動は、例の『日本人形』を思わせる。

       「また会えて嬉しいわ」

                「――――『ナカレちゃん』」

次に飛び出したのは、目の前にいる少女の名前だった。
赤月は、この人形を見た事はないはずだ
しかし、人形は――『リトル・メリー』は、赤月の事を覚えている。

286赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 22:29:16
>>285

「おや・・・・?」

ぱちりと開いた青い目を見て、不思議そうに声を出す
持ち上げるときに何かの仕掛けが動いてしまったのだろうか
暢気なことにそんな事を思いながら人形を見つめる

       「また会えて嬉しいわ」

                「――――『ナカレちゃん』」

「・・・・・・・!?
 君は・・・・何者だ・・・・?
 生憎、私には君みたいな知り合いはいないのだけども」

右手だけで人形を握りしめながら、若干の警戒心を滲ませて問いかける
喋る人形の存在は以前『日本人形』を拾った時に認識している

だが、こんな西洋人形を見たことはないし、
ましてや名前を名乗ったこともない

徐々に目の中に警戒の色が濃くなっていく

287リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/05(火) 22:47:56
>>286

  「わたし、『メリー』」

      「今、あなたの『目の前』にいるの」

当然といえば当然だが、人形の表情は変わらない。
幼い少女のようにあどけない声色もそのままだ。
その声は、赤月が会話した『日本人形』と酷似している。

  「この前、一緒に『ブランコ』に乗ったでしょう」

     「『お船』に乗ってきたお話をしたわ」

        「ナカレちゃんは『学生寮』に住んでるのよね」

人形は赤月に掴まれながら、『二人しか知らない事』を話す。
『人工物』である体は、人間を含めた生物よりも繊細だ。
得体の知れない存在だが、
『壊そう』と思えば不可能ではない。

              「ウフフフフフフフフフフフフ」

    「『あの子』は大事にしてくれてる?」

あの子というのは『日本人形』の事だ。
捨てられた人形に新しい『居場所』を与えるため、
その体を一時的に借りていた。
赤月と出会ったのは、丁度その時だった。

288赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 22:56:48
>>287

「『ブランコ』・・・・? 『船』・・・・?
 待ってくれ、それは『この前の子』とした話の・・・・
 まさか・・・・君は・・・・・」

人形が語る言葉から、以前遭遇した『日本人形』の事を思い出す
『西洋人形』を握る右手がぷるぷると震えるが、少なくとも破壊の意思は感じられない

「まさか、君は『あの子』なのか?
 部屋に持ち帰ったら、急に喋らなくなったから壊れたのかと思ったけど
 君が『あの子』から離れていたから・・・・」

289リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/05(火) 23:13:38
>>288

「ウフフ、やっぱり覚えていてくれたのね」

    「ナカレちゃんの事、信じてたわ」

          「ウフフフフフフフフフフフフ」

人形の声からは、嬉しそうな感情が伝わってくる。
そして、それは事実なのだろう。
この体は無機物であっても、
そこには間違いなく『心』が宿っている。

 「『人の形』に『魂』を移す――それが、わたしの『力』」

      「わたしが『メリー』、わたしが『本体』」

        「それが『メリー・バッドエンド』」

おそらく、ほとんどのスタンド使いにとって、
初めて出会うタイプだろう。
『人間』ではなく、それどころか『生物』ですらない。
『無機物のスタンド使い』。
そもそも『スタンドなのかどうか』。
もっと別のオカルト的存在という可能性もなくはない。

「『あの子』、とっても寂しそうだったから」

「それに、わたしナカレちゃんと『お友達』になりたかったの」

「だから――――また会えて嬉しいわ」

290赤月『サクソン』:2022/07/05(火) 23:31:38
>>289

「そうか・・・・やはり君はあの時の子だったのか・・・・!」

赤月はとある事情から幼少期に特殊な環境で育ってきた
それ故・・・・オカルトや不可思議な現象に対して、それはそういうものとして柔軟に受け入れている

「君が『あの子』に取り憑いていたから『あの子』が話せるようになっていたのか・・・・
 ならば・・・・つまり・・・・『あの子』は死んだわけでも壊れたわけでもなかったという事か」

「奇妙な話だね・・・・君とは初対面なのに、初対面じゃないなんて」

ずっと右手で抱えていた『メリー』を大事そうにソファに乗せる


「うん・・・・『友達』とまた会えて嬉しいよ」

291リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/05(火) 23:57:50
>>290

実際、『そういうもの』としか言いようがなかった。
気付いたら、いつの間にか存在していたのだから。
それ以上の事は分からないし、
もし聞かれたとしても答えられなかっただろう。

      「ウフフフフフフフフフフフフ」

丁寧に座らされた人形からは、
聞き慣れた笑い声が返ってきた。
『肯定』の意思表示だろう。
それから、ぐるりと辺りを見渡す。

「メリー、知ってるわ。
 ここは『体が壊れた時』に来る所でしょう?」

『病院』――本来であれば、『リトル・メリー』には縁がない。
『専門外』だからだ。
それでもこんな場所に来たのは、何かの気紛れか。

「わたしも壊れた時は、
 『お人形屋さん』の『マダム』に直してもらうのよ」

「『マダム』はね、とっても優しい人。
 それに、とっても手先が器用なの」

そう言いながら、視線が左腕のギプスに向けられる。

「ナカレちゃんも『直してもらっている』のね?」

           ソッ

「メリーも、ナカレちゃんのために何かしてあげたいわ」

何かを考えているらしく、小さな両手を胸の前で合わせる。

292赤月『サクソン』:2022/07/06(水) 00:08:33
>>291

「へぇ、君の事を直してくれる『マダム』はきっと優しい人なんだね」

幼少のころ、赤月も自分の人形を自分で直そうとした事があった
・・・・・結果は無残なものであった
布のほつれは広がり、中身の綿がくたくたになってしまった
それでも、友達と一緒にいようとしたけれど、赤月が寝ている間にその子はどこかへと行ってしまった

何かを考えている様子でギプスを見つめるメリーに
赤月は穏やかな声で話しかける

「そんなに気にする必要はないよ
 私の『これ』は自業自得の怪我だからね
 君のその言葉だけで十分だ」

293リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/06(水) 00:27:04
>>292

人間に裏切られたメリーは、人間を憎悪している。
だが、同時に愛してもいた。
『友達』が傷付いている姿を見るのは辛い。
『言葉だけで十分』。
それを聞いた時、一つの考えが思い浮かんだ。

          「そうだわ」

「ナカレちゃんのために『お歌』を歌ってあげる。
 メリーの一番好きな歌よ」

            〜〜〜〜〜〜♪

一拍の間を置くと、リトル・メリーは歌い始めた。

      「青い目をしたお人形は、アメリカ生まれのセルロイド」

    「日本の港へ着いた時、いっぱい涙を浮かべてた」

  「わたしは言葉が分からない、迷子になったらなんとしよう」

「優しい日本の嬢ちゃんよ、仲良く遊んでやっとくれ」

戦前に発表された『童謡』だ。
戦時中は、『敵国の歌』と見なされて、
歌う事が禁じられていた歴史を持つ。
歌い終わると、メリーは赤月に向き直った。

「――――――これはね、『青い目の人形』っていう歌なの」

     「ナカレちゃんが早く良くなりますように」

歌と同じ『青い目』を持つメリーが、赤月を見つめていた。

294赤月『サクソン』:2022/07/06(水) 00:59:34
>>293

「・・・・・・・っ」

人形の歌う動揺は、赤月にとっては新鮮な驚きに満ちていた
日本の童謡を知る機会がなかった彼女にとって、歌の曲調は懐かしさを覚えるものではない
その代わりに、深い歴史と情感に満ちた歌への感銘が心の中に湧いてくる

ぱち  ぱちぱち ぱち・・・

「ありがとう・・・それだけで元気になれる気がするよ」

「え〜っと・・・・青い目をしたお人形は〜・・・・」

音程が取れず下手な歌い方ながら、
先ほど聞いた歌を歌おうとしている

295リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/06(水) 18:10:55
>>294

     「ウフフフフフフフフフフ」

「ナカレちゃんが喜んでくれて嬉しいわ」

           スクッ

拍手を受けて立ち上がり、
スカートの端を摘んでお辞儀をする。

「メリーがこの国に来た時に、『お友達』に教えてもらったの」

『青い眼の人形』は、メリーに向けられた友好の印であり、
親愛の証だった。
しかし、『敵国の人形』と呼ばれたメリーは、
人間達から憎悪を向けられるようになり、
この歌と同じ運命を辿った。
そういう意味で、この歌はメリー自身でもあった。

「今度は、わたしがナカレちゃんに教えてあげる。
 一緒に歌いましょうよ」

「『青い目をしたお人形は』――――――」

体を軽く揺らしてリズムを取りながら、もう一度歌い始める。
さっきよりも緩やかなペースだ。
分かりやすいようにしているのだろう。

「――――――『アメリカ生まれのセルロイド』」

人形は歌う。
その中には、人に対する『愛情』と『哀しみ』が宿っている。
しかし、今のリトル・メリーは、
赤月ナカレのためだけに歌っていた。

296赤月『サクソン』:2022/07/06(水) 21:31:10
>>295

「青い目をしたお人形は――――」

ゆっくりとしたテンポに合わせるようにして歌う
歌で怪我が治るわけでも、戦いに勝てるようになるわけでもない
ただ・・・・今の赤月にとって、戦いに無関係の『友達』の存在はとても『有り難い』ものであった

「アメリカ生まれのセルロイド――――」

一人と一体の歌唱は続く
それは、やがて一人の看護師がぎょっとした顔でこの場に現れ、
周りへの迷惑を理由に歌を歌うのをやめさせるまで続いた

297リトル・メリー『メリー・バッドエンド』:2022/07/06(水) 21:58:13
>>296

『歌』で傷は治らない、力は得られない。
そこにあるのは『心』と『心』の交流。
それ以上ではなく、それ以下でもなかった。

  ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・

ふと気付けば、リトル・メリーは姿を消していた。
おそらく、看護師と話している間にいなくなったのだろう。
ただ、最後に一言だけ――――――。

          「また遊んでね」

あどけない声が、赤月の耳に響いたのだった。

―――――――――――――――――――――――――

                 「日本の港へ着いた時」

                      コトッ……

       「いっぱい涙を浮かべてた」

             コトッ……

病院の外。
『魂』の宿る西洋人形が、人気のない小路を歩いていく。
ふと立ち止まり、ガラス製の青い目が空を見上げる。

 「わたしは言葉が分からない、迷子になったらなんとしよう」

    「優しい日本の嬢ちゃんよ、仲良く遊んでやっとくれ」

              コトッ……

        「仲良く遊んでやっとくれ」

そして、メリーは再び歩き始めた。

298一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2022/07/12(火) 00:24:02
車椅子に乗って『第5外科』を訪れる。
もう常連客のような状態だ。

「両足が消し飛びました。治せますか?」

「所持金は『140万』程度ですが…」

症状:『両足消失』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1631985077/320

299百目鬼小百合『ライトパス』:2022/07/12(火) 16:16:24

「久し振りに『病院』の世話になるとするか。
 『入院』じゃあなく『通院』で良かったよ。
 『全面禁煙』だからね」

「ただし――――」

「ここに来ると『クソジジイ』の顔を思い出しちまうのだけは、
 どうにもならないかねえ」


『左胸から肩に広く重度の打撲』
『全治3週間』
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1635601169/621

『通院』

300スミノフ『デマーケイションACT2』:2022/07/12(火) 19:41:12
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1635601169/615

「鎖骨打撲して腕上げにくいわ。マジで」

全治2週間、入院

301『第五外科』:2022/07/13(水) 21:58:15
>>298
「あら、これひどいね」

『クスノキ』という闇医者が出て来る。
『一抹』とは一度、顔を合わせている。

「これ、何ヶ月前にケガしたの?」

302一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2022/07/13(水) 22:08:19
>>301
「『夏のクリスマス』って催しが行われましたよね?
 あの事件から数日も経過してないはず…?」

(リアルの月日だと八ヶ月程度です)

303『第五外科』:2022/07/14(木) 00:27:40
>>302
「そんなのあったかな?」

「んん?本当に数日前かな?」

「この両足、まるで……」

304一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2022/07/14(木) 00:32:17
>>303
「その様子だと駄目そうですね」

「まるで…? 数日前まで雲でしたが…」

305一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2022/07/14(木) 00:39:38
>>303-304
「今日は帰ります。また調子の良い時に来ますよ」

「『夏のクリスマス』を知らないって本当に?」

不思議そうにしながら帰って行く。
ついさっきベッドから抜け出たのに数ヶ月経過したかのような対応に不審さを覚えながら。

306『第五外科』:2022/07/14(木) 00:50:09
>>304
「そうだね」


























「数日前どころか、数分前にケガしたかさえ怪しい出来映えだ」

一抹の両脚は治った。
料金は『両足(60万)』+『全治一ヶ月(10万)』で『70万』だ。

307一抹 貞世『ディヴァイン・インダルジェンス』:2022/07/14(木) 01:00:55
>>306
「えぇ…消し飛んだんですよ…」

「百万ぼられると思いました。
 じゃあ、また色々有った時にお願いします」

所持金:『140万』→『70万』

308夢見ヶ崎明日美『ドクター・ブラインド』:2022/07/15(金) 17:49:33

『スタンド』を発現した状態で、病院の廊下を歩いている。
『ドクター・アリス』ではない。
傍らに立つのは『盲目』の『ドクター・ブラインド』だった。

        「………………」

夢見ヶ崎明日美の表情は暗く、
これまでにない程の深刻な色を帯びている。
重い足取りで向かう先は『眼科』。
そこは、かつて『視力』を得た場所であった。

309『アリス・ブラインド・アリス』:2022/07/15(金) 17:51:38
>>308

「――――――急に『目が見えなくなった』、と」

患者の訴えを聞き、診察を終えた掛かりつけの医者は、
目の前に座る少女に告げた。

         コクリ…………

夢見ヶ崎明日美は、悲痛な表情で首を縦に振る。
いつもの姿と比べると、別人のように『無口』だった。
それは彼女にとって、
『決して受け入れられない事態』だったのだ。

―――――――――――――――――――――――――

  「………………?」

『異変』に気付いたのは、今朝の事だった。

          「!!!!!!」

『サングラスを掛けている』のに『何も見えない』のだ。
その瞬間、心臓を鷲掴みにされたような『恐怖』に襲われた。
自分の『光』は、永遠に失われてしまったのではないかと。

       ドギュンッ

思わず、『スタンド』を発現する。
当然、現れるのは『ドクター・アリス』のはずだ。
しかし、本体の意に反して、
傍らに立っていたのは『ドクター・ブラインド』だった。
『見えない』――見えなくても分かる。
何故かは分からないが、『戻ってしまっている』。

―――――――――――――――――――――――――

それから、すぐに病院を訪れた。
『真実』を知る事は恐ろしかったが、
分からないままでいる方が、もっと怖かった。
こうなってしまった『原因』を理解する必要があったのだ。

310『アリス・ブラインド・アリス』:2022/07/15(金) 17:53:50
>>309

「結論から言うと、『角膜』が傷付いてしまった事が原因です。
 角膜は『五層構造』になっているのですが、
 その『最も外側の層』が損傷しているのです。
 この『角膜上皮』は、
 厚さ『0.05mm』しかない極めて薄い層で、
 非常にダメージを受けやすいのですよ」

少しの間を置いてから、医者は口を開いた。
再び『盲目』となった夢見ヶ崎は、
固唾を呑んで説明を聞いている。
胸の内を満たすのは、『光』を失う事に対する『絶望』と、
藁にも縋るような心からの『切望』。

「ですが――――角膜上皮は新陳代謝が活発で、
 『自己修復機能』を備えています。
 時間が経てば、徐々に回復していくでしょう。
 自然と『見える』ようになるはずですよ」

夢見ヶ崎の『見えない目』が、大きく見開かれる。

「現代人は目を酷使しやすい環境で生きています。
 角膜に傷が付いてしまうリスクは、
 決して珍しい事ではありません。
 特にあなたの場合は、普通の人よりもデリケートですから、
 影響が強く出てしまったのでしょうね」

「私の『目』は……大丈夫なんですよね……?
 ちゃんと『元通り』になるんですよね……?
 また『光』を感じられるようになるんですよね……?」

「ええ、何も心配する事はありませんよ」

懇願するように言葉を搾り出す夢見ヶ崎に、
医者は優しく答えた。

「――ありがとう……ございました……!」

夢見ヶ崎明日美は椅子から立ち上がり、
感謝の気持ちを込めて丁寧に頭を下げると、
診察室を後にする。

「何となく分かったよ。
 『ドクター・ブラインド』が戻ってきた理由が」

ドクター・ブラインド
『盲目の医者』と共に廊下を歩きながら、
夢見ヶ崎は静かに呟いた。

「私が『光』を見失っちゃったからだよね」

突然、『視力』を『喪失』するという不慮のアクシデント。
その出来事は、本体である『夢見ヶ崎の精神』に、
『計り知れないショック』をもたらした。
心の奥底で、
『光が永遠に失われた』と思い込んでしまったのだ。
一時的な『精神的後退』である。
それが、『ドクター・アリス』から『ドクター・ブラインド』への、
『退化』という形で現れたのだろう。

「先生は『時間が経てば自然に治る』って言ってた。
 多分、『ドクター・アリス』も戻ってくると思うんだ。
 だからさ――――――」

「最後に『もう少しだけ』付き合ってもらうよ」

こうして『ドクター・ブラインド』の戦いは、
ほんの少しだけ『延長』される事になる………………。



夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』⇒『一時的な精神的後退』により、
                       しばらくの間『ドクター・ブラインド』に戻る。

        次回⇒『お前も鬼にならないか?』

311赤月『サクソン』:2022/07/15(金) 20:26:11

   《『サクソン』が一歩詰める》

       《クァンガンが『デ・ラ・ソウル』の能力を使い、物体を『半導体』にする》


      《対応して、私は予め『暗器化』しておいた縄金票を・・・・》

          《駄目だっ! 一手遅れる!》


    ・
    ・
    ・
    ・

「・・・・・ふぅー」

瞼を開き、周囲を見回して自分が今どこにいるのかを確認する
病院内の共用スペース、設置されたソファーの上に座っている
服装は入院患者用の病衣ではあるが、全身から流れる汗により、それはしっとりと濡れていた

入院から『10日間』が経った
日課であるトレーニングが制限されストレスを抱えていた赤月は
この場所で、イメージの力による戦闘シミュレーションを新たな日課としていた

「まだだ・・・・また少しだけ遅れを取ってしまった」

左腕にはギプスが巻かれている
中学生くらいの少女が険しい顔つきで呟く光景に
病院利用者の多くはこの場を離れてしまっている

312夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2022/07/15(金) 23:36:22
>>311

『ドクター・アリス』の覚醒から数ヵ月後。
予期せぬ『視力喪失』に襲われた夢見ヶ崎は、
一時的に『ドクター・ブラインド』に『後退』した。
それが起こったのが『一月の末』である。
『節分の事件』を経て間もなく、
再び『光』を取り戻した夢見ヶ崎の下に、
『ドクター・アリス』は『帰還』したのだ。
そこから、さらに数ヶ月の月日が流れた――――――。

「――――――『よ』」

        スッ

極めて短い挨拶と共に、ナカレの隣に座る。

「ダイジョーブ??ぐあいワルそーだけど」

「あ、『ソレ』のコトじゃなくて」

そう言いながら、左腕の『ギプス』を指差した。

313赤月『サクソン』:2022/07/15(金) 23:57:06
>>312

「ン・・・・・・。」

夢見ヶ崎の挨拶にこちらも短く答えを返し、隣の席を空ける
一瞬だけ浮いた腰を再び落ち着けた

「『ユメミ・・・・『アルカラ』か。久しぶり」

彼女と会うのは『一抹の病室』の時以来となる
あれから数か月の時が経過しているが、お互いにそれ程変わらないようだ

「ああ・・・平気だ。ちょっとした『イメージトレーニング』をしていただけだからね
 それにこっちの方(ギプス)も、別に大した怪我ではない」

そう言いながら、ギプスを巻いた腕を軽く振る
多少の痛みはあるが、問題になるほどではない

「『アルカラ』の方はどうしてこんな場所に?
 また、『一抹』の暴走に巻き込まれて怪我でもしたのか?」

冗談めいた口調でそう言う

314夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2022/07/16(土) 00:47:06
>>313

「さては、またどっかでケンカしたな??
 あ、それとも『しあい』してきた??」

悪戯っぽく笑いながら、言葉を返す。

「『カラダ』が『ケンコウ』じゃないときって、
 『ココロ』も『フケンコウ』になりがちだから。
 そうならないための『キブンテンカン』はダイジだよね〜〜」

ストレスを抱えるナカレの心情を察したかのように頷く。
数ヶ月前、自分も似たような体験をしている。
『視力の喪失』という『肉体的不調』が、
一時的とはいえ『精神の後退』をも招いてしまった。

「いまはケガしてないけど、ちょくちょくきてるかなぁ。
 『ていきけんしん』とか『アフターケア』とか」

            ピッ

        「『ココ』のコトで」

話しながら、人差し指で『サングラス』に触れる。

「チョットまえ、トツゼン『め』がみえなくなってさぁ。
 さすがのわたしも、あのときはパニクっちゃったよ〜〜。
 ショックがデカすぎたせいで、
 『スタンド』まで『モトのカタチ』にもどっちゃって…………」

普通なら起こり得ない事態だったかもしれない。
しかし、『供与者』である『音仙』が言うには、
夢見ヶ崎明日美と『ドクター・ブラインド』の関係性は、
ほとんど類例がないほど非常に『特殊なパターン』であった。
おそらくは、それが影響していたのだろう。

「ま!!『カイケツ』したからよかったけど!!」

満面の笑みで語る表情と声色は太陽のようで、
どこまでも明るいものであった。

315赤月『サクソン』:2022/07/16(土) 15:30:39
>>314

「『試合』の方だ」
  「勝ったよ、勿論ね」

にっと笑いながら、返答する

「む・・・・それは・・・・」

夢見ヶ崎の語る断片的な言葉に、彼女の境遇を察する
サングラスにはファッションとしての意味合いのほかに、目を光から保護する用途がある
それはつまり・・・・

「『解決』したのか。・・・・それはよかった」

心の中でほっと胸をなでおろす
彼女のような『強い』人間が弱っている姿を見たくはないし、
それに・・・・・彼女は赤月にとってもはや他人ともいえない関係だからだ

「そういえば・・・・あの日の話を覚えているか?
 ほら、一抹の病室で話した『アイツの兄』の話だ」

病院で夢見ヶ崎と会うのは『あの日』以来だ
ふと、思い出した話題を切り出す

316夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2022/07/16(土) 15:53:59
>>315

「ほうほう、ソレは『キグウ』ですな。
 ジツをいうと、わたしも、
 ひさびさに『しあい』のよていがはいってるんだよね〜〜。
 『2VS2』の『へんそくバトル』らしいよ」

「おわったら『けっか』ホーコクする!!
 タブン、ビシッ!!と『かつ』だろうけど!!」

「まぁ『アニ』っていうか、
 『アニみたいなソンザイ』っていうイミなんじゃないの??
 『マカロン』はたべられるけど、
 『マカロンみたいなセッケン』はたべられないし」

「でも、よのなかにはたべるヤツもいるかも??
 もしみつけたら、おしえてくれよな!!
 『セッケンみたいなマカロン』だったら、
 わたしもたべられるぞ!!」

     ズ ギ ュ ン ッ

              「――――で??」

唐突に『ドクター・アリス』が現れ、
片手を耳に添えて『聞き耳を立てるポーズ』を取る。

317赤月『サクソン』:2022/07/16(土) 16:36:29
>>316

「『2VS2』か・・・・生憎私は連携というものに不慣れで
 助言出来るような事は何もないが、頑張ってくれ」

「『マカロ』・・・・?」

『マカロン』という言葉に疑問符を浮かべる
どうやら、赤月は『マカロン』を食べた事がなさそうだ

「その『マカロ』というのは知らないけど、
 同じ血を引いているかどうかというのは、それ程重要ではないだろう
 あいつ・・・一抹が『小林 丈』の事をどう思っているかが大事な話だ」

そう言いながら、目の前に現れた『ドクター・アリス』を見る
彼女のスタンド能力は鋭い『五感』を持つという・・・・嘘がないか見極めるつもりなのか?
赤月はそんな事を思いながら話を続ける

「『小林 丈』の最後の目撃談を聞いた。
 情報提供者は彼らとともに『夏の魔物』の討伐に関わった者だ」

『鉄 夕立』の名前は伏せる
『アルカラ』相手とはいえ、『鉄』に万が一の危険があってはいけない
彼は、赤月にとって重要な『協力者』なのだから

「『小林』と『村田』は『魔物』の討伐をする上で
 何らかの齟齬・・・・互いに承服できない何かがあったらしい
 だが・・・・・」

「不思議なことに両者の事をよく知るその者は、
 彼らのトラブルを彼ら二人の中に収めたらしい」

「・・・・・決してその者が無責任なわけではない
 ただ・・・・『小林』と『村田』はお互いに『覚悟』を決め、
 納得の上で『何らか』の結末を迎えたのだと」

「正直に言って、彼らの事情に横入りする道理はない
 ただ・・・・『一抹』には何があったのか伝えておくべき、だとは思う」

「私は『村田』の行方を追うつもりだ
『村田』はどうやら清月学園の学生らしいからな」

318夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2022/07/16(土) 17:58:28
>>317

「そりゃそーだよね〜〜。
 カゾクかどうかはカンケーないよ。
 アルカラだって、
 イッちゃんの『ハジメテのトモダチ』なんだし!!」

『耳を澄ますようなポーズ』をしたのは『フェイク』だった。
実際に意識を集中していたのは『嗅覚』。
『超人的四感』の一つである『超人的嗅覚』だ。

「こないだもいったケド、タケルくんのコトなら、
 アルカラはよくしってるぞ。
 なんていうかさぁ、
 『テキをだますにはまずミカタ』からってタイプだね」

「まえにイッショに『サキュバス』とたたかったときも、
 こんなコトいってたっけ」

人間の体には『皮膚ガス』と呼ばれるものがある。
『人の皮膚から排出されている気体』の総称であり、
いわゆる『体臭』の原因になるものだ。
『体調』・『加齢』・『食事』など、
様々な要因で変化する事は知られているが、
それだけではない。

「『巣穴の主』を倒す? そんな事、出来る筈が無いし何でする必要があります。
このような素晴らしい催しですのに! おっと、口を挟まないでくださいよ?」

「今、コーヒーを飲んで頭も冷めました……よく、その頭で考えてくださいよ?
このように大きな力を持った夢の主に立ち向かって、無事である保証なんて無い。
大人しく引き下がるほうが利口だと何故わかりません?」

「私は貴方がたに共感出来ません。大人しく、充足とやらを差し出して
互いに気持ちよくなり、夢から帰らせて貰う。それで良いじゃないですか」

「大体、貴方の言うアリーナとやらがどんなのか知りませんが。一人ぐらい
損失を黙認しても構わないでしょう? このように現実で対処出来ない
夢魔の方に予測不能で今後も襲われるリスクがあるなら、猶更です」

「と言う訳で! エフィーさん、私は客として楽しませて貰いますよっ。
先ほどの『赤い目のメイド』さんを呼んで貰って良いですか?
あ、それと夢の王様 こんにちは! 今日は楽しませて貰いますよ!」

『小林丈の真似』をしながら、以前『彼が言った言葉』を喋る。

                  「――――――って」

『STチオジメタン』――――――。
『ジメチルトリスルフィド』と『アリルメルカプタン』という、
二つの成分の混合物で、『硫黄に似た臭気』を持つ。
『ある条件』の下で発散される『特殊な皮膚ガス』だ。

「クチではそんなコトいいながら、
 ホントは『サキュバス』をたおそうとしてたんだ。
 ようするに『おしばい』してたってコト」

その条件とは、『外部から刺激を受けて緊張した時』。
『心理的ストレス』が引き金となって分泌されるため、
『ストレス臭』とも呼ばれる。
並の嗅覚でも感じ取る事は出来るが、
『ドクター・アリス』の『超嗅覚』なら、
ほんの僅かな量であっても正確に嗅ぎ取れる。

「まぁ、でも『だいたいのトコ』は、
 アルカラもナカレとおんなじイケンかなぁ。
 ダレだって、ほっといてほしいコトとかあるし。
 おたがいナットクしてるんなら、
 そっとしといてもいいのかも」

すなわち――相手がチョットでも『緊張』を感じた瞬間、
たちどころに『分かる』という事だ。

「『レンラクサキ』わたしたよね??
 ナンかあったら、コッチにもおしえてよ」

別にナカレを信用しない訳ではないが、
何かと隠し事をしようとする傾向があるのは知っていた。
だから確かめる。
もちろん、ナカレからは、
『何をしているか』など分からないだろう。

319赤月『サクソン』:2022/07/16(土) 20:23:04
>>318

『ドクター・アリス』の『超嗅覚』が赤月ナカレの体臭・・・・『皮膚ガス』を嗅ぎ取る
汗の匂いに混じった『皮膚ガス』の僅かな変化は
『ポリグラフ』のように赤月の心境を夢見ヶ崎に伝える

「『家族』は・・・重要だ・・・」

初期段階。お互いに対峙した状況では僅かな緊張が匂いに混じる
『ドクター・アリス』が目の前に出ているせいであろう
直接戦闘になる事はまずないとはいえ、微かな臨戦態勢とそれを隠そうとする仕草が緊張感を生む

そして、夢見ヶ崎が『小林 丈』のモノマネをし始めると、
その『緊張』の中に『困惑』の匂いが混じる

「・・・・・・その口ぶりを聞く限りだと
 やはり『小林 丈』は『一抹』の兄らしい人物だったみたいだな
 なんというか・・・・その・・・・思い切りが良いというのか」

「しかし、アルカラは何故その話を私にした?
 まさかとは思うが、『その時』のように・・・・・」

「『小林 丈』が演技をしている可能性があるという事か?
 これが・・・・すべて『おしばい』であったと?」

『緊張』の匂いは強まらない
彼女はどうやら本気で困惑しているようだ

「ああ、何かわかったら君にも連絡するつもりだった
 何せ私は一抹の連絡先を知らないからな」

320夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス』:2022/07/16(土) 21:19:13
>>319

『ストレス臭』は、言うなれば『嘘をついている臭い』。
『緊張』が高まる程に、『臭気』は強くなる傾向がある。
その推移を観察すれば、
どの段階で『ストレス』を感じたかを測定できるのだ。

「――――さぁ??」

本体と共に、『ドクター・アリス』が肩を竦める。
少なくとも、赤月ナカレは『嘘』はついていない。
『超人的嗅覚』から、それが分かった。

「ただ、『そういうのをやったコトがある』っていうのは『ジジツ』だからさぁ。
 ソレをしっといてほしかったってだけ」

「いろんな『カノウセイ』をしるのはワルいコトじゃないでしょ??
 『しや』を『ひろくもつ』っていうのは、そーいうコトだよ」

「アルカラは『セカイのゼンブ』をみるのが『ユメ』なんだ。
 このジブンの『め』でさぁ」

「だから!!もっとも〜〜っと!!おっきな『しや』をもちたいな!!」

夢見ヶ崎に『真相』を知る由はない。
だが、小林丈の人間性は把握している。
だからこそ、『今回の件』に関しても、
何か『隠された部分』があるのではないかと思えたのだ。

「よし、たのむぞ!!
 もし、わたしがナニかつかんだときは、ナカレにおしえるからさ!!」

            グッ!

『ドクター・アリス』が親指を立てる。
それから、ソファーから腰を浮かせかけた。
他に何もなければ、立ち去るつもりなのだろう。

「あ、そうだ。『サクラ』にいってたでしょ??
 『アルカラにデンワするように』って。
 それってさ、わたしを『しんよう』してくれてたってコトだよね」

          「ありがと」

『誰でも良かった』とは思わない。
あの状況で電話を頼んだというのは、
それなりに信用されている証だと感じた。
だからこそ、『感謝』を口にしたのだ。

321赤月『サクソン』:2022/07/16(土) 21:59:15
>>320

「大きな視野・・・・か・・・・・。」

かつて、赤月は『アルカラ』の持つその『視野』に憧れを抱いていた
大きな世界に踏み出す力、新しい世界に踏み込む勇気・・・・
『アルカラ』が持つそれは、赤月が『世界』を飛び越えるためのきっかけになり得るものであった

だが、憧れは失われた
あの日聞いた『轟雷』の音の中で、『漆黒の殺意』に塗りつぶされた

(今更・・・・だな・・・・。)

『臭気』に僅かな変化が訪れる
それは『郷愁』『後悔』『決意』・・・・・そしてほんの少しの『涙』の匂い

「『信用』・・・・? いや、君にお礼を言われる筋合いなんてない」

アルカラの『感謝』に緩やかに首を横に振る

「私は・・・・君を利用しようとしただけだ
 君を選んだ理由も、それなりに『戦場』を経験していて、一抹の友人で・・・・」

再び、匂いに変化が訪れる
この香りは『嘘』の匂い・・・・しかし相手を騙そうという緊張感は薄い

「そして、私の交友関係の中にいる人物
 そんな人物は君くらいしかいなかった・・・・・消去法で決めた事だ」

さらに『嘘』の匂いが強まる

「別に、君の事を頼りにして連絡したわけではない
 だから・・・・・君は私の事を恨んでしかるべきだ
 身勝手な理由で君の事を利用しようとしたのだからな」

『頼りにしたわけではない』という言葉で決定的なまでに『嘘』の匂いが強まった

322夢見ヶ崎明日美『ドクター・アリス:2022/07/16(土) 22:43:54
>>321

大なり小なり、人は往々にして『嘘』をつく。
そこには様々な理由がある。
だが、『臭い』は『嘘』をつかない。
『ドクター・アリス』の『能力』は、それを敏感に感じ取れる。
しかし、『明かすかどうか』は別の問題だ。

「それでもいいよ」

     スッ

ソファーから離れ、廊下に立つ。

「ナカレが『どうおもって』ても――」

敢えて『指摘』はしない。
自分が分かっていれば、それで十分だから。
だから、深く突っ込む事はしなかった。

「わたしはナカレのコトを『トモダチ』だとおもってるからさ」

そこにあるのは『笑顔』だけだ。
眩い『光』のように明るい表情。
決して『曇る事がない』だろうという印象を、
それを見る全ての人々に与えるだろう。

「これから、ソレはかわらないよ」

夢見ヶ崎明日美の『夢』は、これからもずっと続いていく。

323赤月『サクソン』:2022/07/16(土) 23:12:58
>>322

「・・・・・・・。」

夢見ヶ崎の台詞に、赤月は言葉を失う
罪悪感からだろうか。いっそ露悪的に振舞ってもなお
友達としていようとしてくれる彼女に、多少の後ろめたさを感じる

夢見ヶ崎明日美は眩いまでの『光』を振りまく
『影』にいるべき人間にとっては目を逸らしたくなるほどの・・・・

「・・・・・ありがとう。」

小さく、呟くようにその言葉を口にする
そして、こちらも腰を浮かせて立ち上がろうとしたところで

「ふぁぅ・・・ふぇっ・・・・ふぇっ・・・・・はくちっ!!」

くしゃみが出た
夏場とはいえ、病院の中は空調が効いている
汗で濡れた病衣のままでいたから、体温が急速に奪われていたのかもしれない

「すまない。少し寒くなってきたみたいだ
 また・・・・退院したらまた会おう」

それだけ伝えて、自分は病室へと戻っていった

324赤月『サクソン』:2022/08/05(金) 00:03:51
>>281

「『肝試し』を経て・・・・私はより強くなった気がする」

赤月ナカレ『サクソン』⇒『退院』

325百目鬼小百合『ライトパス』:2022/08/05(金) 19:43:44
>>299

「やれやれ、ようやくこことお別れが出来るよ。
 世話になったけど、好き好んで来たいとは思わないからねえ」

『三週間』の『通院期間』を終えて、
完全に復調した身体で街に戻っていく。

         【退院】

326スミノフ『デマーケイションACT2』:2022/09/23(金) 11:56:23
>>300

退院済

327氷山『エド・サンズ』:2023/02/10(金) 23:34:37
酷い重傷を負って『第5外科』を訪れる

氷山あきは『エド・サンズ』⇒『全治8ヶ月』の負傷
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1670240046/170

328小石川文子『スーサイド・ライフ』&『ビー・ハート』:2023/03/26(日) 18:32:05
>>327

『知人のお見舞い』に来ていた時、偶然その名前を見つけた。
後日、『氷山あきは』の病室を訪れたが、
意識が戻る前だった為、手土産を残して立ち去る。
贈答用の『フルーツゼリー』の詰め合わせ。
苺・ぶどう・オレンジ・桃など、定番の果物が使われているようだ。
化粧箱には『天雨』という屋号が入っている。

傍らには、一通の『便箋』が添えられていた。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

夏の魔物事件に関わった者です。
挨拶もなしに失礼とは思いましたが、お早い回復を願って、
お見舞いの品を置かせていただきました。
ご縁があれば、いつかどこかでお会いしましょう。

            小石川文子

329氷山『エド・サンズ』:2023/06/23(金) 15:28:06
ageます

330『第五外科』:2023/06/23(金) 20:12:00
>>327(氷山『エド・サンズ』)

起きた時には『重傷』は何事もなかったかのように消え、
枕元にある『フルーツゼリー』を見ると、身体が栄養を欲した。

氷山『エド・サンズ』→『完治』『支払い40万円』(対応遅れ分差引)

331氷山『エド・サンズ』:2023/06/24(土) 00:48:54
>>330

『オイオイオイオイ・・・・・ドウシテ「小石川」ガコンナ所ニ!』

「どうかしたんですか〜? 『さんずさん』」

『何カガ、動キ出ソウトシテルノカヨ
 コウシチャアイラレネェ! サッサト出ルゾ!』

「ええっ? まだゼリーを食べてないのに!?」

氷山『エド・サンズ』⇒『退院』

332美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/08/31(木) 11:48:45
>>(笑美)

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1688977700/43-48の続き

『アポロンクリニックセンター』の駐車場に停まった『ランドクルーザー70』は、
質実剛健を絵に描いたような大型4WDだ。
運転席に座るのは『美作くるみ』。
『Electric Canary Garden』のパーソナリティーであり、
『情報系』の能力を持つスタンド使いである。
死亡したと伝えられているらしい『小林丈』の消息を確かめる為に、
『朱鷺宮笑美』を介した依頼を受けて、この場所を訪れた。
エンジンを切り、助手席に乗っている笑美に声を掛ける。

「病床数400を超える大病院では、『電子カルテ』の導入率は『91.2%』です。
 これだけ大きな病院なら、導入されている可能性は高いでしょうね」

「『ナースセンター』を覗いてみましょう。
 『パソコン』があって、外来者が立ち寄れる場所は、そこしかありませんから」

           ――――――ガチャッ

車のドアを開けて駐車場に降り立ち、正面の入口から病院内へ向かう。



(>>ノエPL:お手数ですが、院内に入った後の行動に対する判定をお願い致します)

333<削除>:<削除>
<削除>

334朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/08/31(木) 19:25:57
>>332
「どうも、ありがとうございます」
笑美はくるみに続いて車を降り、
病院を見上げる。

「ここの病院に来る人も結構多いらしいですからね。
 探すのはとても大変そうですけど…」
そういいつつくるみのあとに続く。

「ふぅ…
 探ってみましょうか。早速…
 バレないといいですね…」
スタンド能力を使うとはいえ、やっていることは情報を漏洩させることに等しい。
バレたらそこそこの注意を受けることは間違いない、と思った。

335『未だカキツバタの花弁は見えず』:2023/09/02(土) 14:03:24
>>332-334(お待たせいたしました)

君たち二人……『美作』 『朱鷺宮』は駐車場から正面入り口……『新病棟』へ向かう事になる。

『ナースセンター』では、幾人かのスタッフが来訪者へ対応を行っている。
 君たちが能力を発現しても、見咎められる事は無いだろう。スタンド使いは惹かれあうが
幸か不幸か、いまこの場でスタンド使いは君たちだけだ。

受付で『小林』が入院しているかどうか、その回答を求めるのは難しい。
患者に対してスタッフには守秘義務が存在するし、知り合いを謳っても
明確な理由が無い限りは難しい。即ち、君……『美作』の力である
『プラン9・チャンネル7』で『電子カルテ』等の病院の情報媒体にアクセス出来る
機器に力を作用する事となるが……。

 ――『小林 丈』と言う人物が、この一年弱で入院した履歴は、無い。
一応、彼が此処に一時的に通院してた記録↓
肩に罅の骨折での通院(ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453646843/35)
及び
日射病(【ミッション】『サキュバスメイドとドリームご奉仕』)
などの比較的軽度の負傷で来訪した記録はあるものの、彼が重体で運ばれた等に急死した
等のそう言った大きな記録は存在しない。

間違いなく、スタンド能力は電子機器に正しく作動している。

が、それでも『新病棟』で小林 丈の『最期』の手掛かりを得るのは難しいようだ……。

336美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/02(土) 16:25:29
>>335

病院内に踏み入った美作は、真っ直ぐ『ナースセンター』へ足を運んだ。
しかし、彼女が病院に留まっていたのは、
ものの『一分』にも満たない程の僅かな時間であった。
何故なら、看護師の手前にある『パソコン』を一瞥した直後、
美作は踵を返したからである。

      「『出ましょう』」

笑美の耳元で告げると、そのまま病院を出て駐車場に戻っていく。
まだ何もしていないというのに、一体どういうつもりなのだろうか?
そう思われてもおかしくなかっただろう。

               ――――――バタン

「笑美さん、『魔物が退治された正確な日時』は分かりますか?」

再び運転席に座り直し、笑美に尋ねた後で言葉を続ける。

「私は今まで『自分の能力』を積極的に使う事を避けてきました。
 この『文明社会』の中では、あまりにも『強すぎるから』です。
 『もし自分にモラルがなかったら』と思うと、『ゾッとする』くらいには…………」

         ズ ギ ュ ン ッ

自身の肩の上に、『機械仕掛けの小鳥』を発現する。
一緒にドライブした時に、笑美は見た事がある筈だ。
以前は軽いデモンストレーションだけで、『能力の根幹』は見せていなかった。

    《ハロー?ちょっといいかしら?
     『あなた』に『聞きたい事』があるの。
     もちろん教えてくれるわよね?》

『プラン9・チャンネル7』の背中に搭載された『マイク』を通して、
『スタンド音声』で『パソコン』に呼び掛ける。

    《イエス!私ハ、貴女ノ『ファン』デス!
     何デモ好キナダケ聞イテ下サイ!
     貴女ノ知リタイ事、『アレ』モ『コレ』モ全部喋ッチャイマス!
     貴女ノ『ファン』ダカラ!》

『プラン9』の口内に内蔵された『スピーカー』から、
一時的な『疑似人格』を与えられた『パソコンの声』が流れてきた。

「これが私の『プラン9・チャンネル7』です。
『ナースセンターのパソコン』に能力を使って、私の『支持者』に変えました。
 あらかじめ『位置』さえ把握しておけば、その場にいなくても平気なんですよ。
 『射程距離』は長いですから」

「後は『話を聞くだけ』です。
 『ユーザー認証』だとか、そういう面倒な手間は必要ありません」

助手席に座ってもらった笑美に、自らの能力を説明する。
『院内にスタンド使いがいる可能性』は、当然『織り込み済み』。
だからこそ『車』を持ってきたのだ。

例えば、スタンド使いが『聴き取り』に気付いたとしよう。
だが、本体は『駐車場に停まっている車の中』。
探し出す事は困難を極め、偶然に偶然が重なって居場所を知られたとしても、
すぐに発進して病院から離れてしまえる。
さらに言えば、パソコンの電源を切っても『プラン9』は止められないし、
病院側が被る損害を考慮するなら、
『パソコンを壊す』などという事が出来る筈もない。
仮に能力を使った事がバレたとしても、全く関係ないという訳だ。

「それじゃあ、始めましょう。
 笑美さんも聞きたい事があったら言って下さい。
 ただし、本体以外は会話が出来ませんから、『私を通して』になりますけどね」

そして、美作くるみは『本格的な調査』を開始する――――。

《――――『小林丈』という人が入院した記録はないのね?》

《ハイ!『素敵ナ声ノ貴女』ノ言ウ通リデス!
 ココ『一年間ノ記録』ノ中ニ『小林丈』トイウ名前ハ存在シテイマセン!》

「…………だそうですよ。
 でも、とりあえず収穫はありましたね。
 要するに『記録を残しておくと不都合がある』って事です。
 『来てる筈なのに記録がない』のは、それしか考えられませんから」

ただ、他にも確認したい事が残っている。

《どうもありがとう。
 ところで、『入院記録』に『氷山あきは』と『一抹貞世』の名前はないかしら?
 名前があるなら、その内容も全部教えて欲しいの》

追加で『情報』を『貢がせる』。
『ファン』は『美作の頼み』を『拒否しない』。
何もかも洗いざらい喋ってくれる。

337名無しは星を見ていたい:2023/09/02(土) 18:45:29
>>335-336
「ふむ…
 幸いバレてないみたいですね。」

「…小林さんは、通院はしていたことがあるみたいですね
 でもどうやら…入院はしてないみたいですね。」
もしかしたら別の病院か…
と思ったところで

「…えっと、はい。」
彼女が即座に病院から立ち去るという流れに
少し驚きつつも従った。

果たしてどのようなつもりなのだろうと、笑美は考えるが

「あの時の正確な日時ですか…
 たしかすでに夜になっていましたね。
 …スマホをちょっと見たくらいなので日にちはともかく
 時間まで正確には難しそうですけど…」
そう言って笑美は日付と時刻を知らせる。
少なくとも前後2〜3分くらいは誤差が生じる可能性はある

「お、すごい…
 これが貴方の能力…」
機械を彼女の支持者に変えてしまった。
それが美作のスタンド能力…

「確かに…これは悪用の手段はいくらでもありそうです…」
そう言いつつも真剣な視線を向ける。

「氷山さんと一抹さん…
 あの二人は夏の魔物に関わった人ですね…」

338『未だカキツバタの花弁は見えず』:2023/09/02(土) 20:03:05
>>336-337

『氷山あきは』 『一抹貞世』

返答は、即答でスピーカーから応答されるだろう。

どちらも『入院記録』は存在し、特に前者は此処最近でも大きな怪我をしたらしく
本当であれば今でも入院して可笑しくない重傷であった。

『――ですが【第五外科】に行かれた後に直ぐ退院されてるようです!』

 ……入院していた二人の共通事項。『第五外科』……『旧病棟』に付属する
このアポロン・クリニックセンターの深層とも言える場所。

 『小林 丈』が『新病棟』で大きな記録を残してないのなら
残るは、其処以外には考えられないだろう。

 ただし、此処からは『深淵』だ。蛇が出るか鬼が出るか……それは情報の女王とも
言える美作であろうとも予測不可能かも知れない……。

(※個人的に、いま現在の小ミッションと言えるGМを担当していますが。
こちらかはら第五外科、クスノキ様含めての管理側のNPCを操作する権限ないし
権利も資格もありません。これから先を踏み込んで調査する場合は判定を
板の管理人側【薬師丸PL】に謙譲させて頂くか、又はこちらが第三勢力【フ―ヴィアン派】で
小林の独自調査の段階で、参加者の御ふた方と遭遇と言う形とさせて頂きます。
もし前者を希望の場合は、管理用スレッド利用等で要望を記入して頂ければと思います。
後者の場合でも、こちらとしては出来る限りの描写で適切に処理させて頂く所存です)

339<削除>:<削除>
<削除>

340美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/02(土) 22:56:26
>>338

美作は『スタンド使い』だが、
『戦い』に直面した事もなければ『負傷』した経験もない。
だから、スピーカーから流れてくる『診断結果』には、驚きを隠せなかった。
『戦闘能力が皆無』なのは理解しているとはいえ、
それを差し引いても『世界が違う』と感じる。

「ええ――――私が二人の事を聞いたのは、
 彼らが『魔物事件の被害者』で、なおかつ『スタンド使いだから』です。
 比較の為に『小林さんと同じようなケース』を確認したかったんですよ。
 『大きな事件の中心人物』だった氷山さんと一抹さんなら、
 もしかすると『重傷を負って運び込まれた記録』が、
 『電子カルテ』の中に見つかるんじゃないかと思ったんですが…………」

美作の予想は『半分』当たった。
まず一抹は『両足欠損』。
時期的に見ても、『魔物事件』で負った怪我だろう。
そして、氷山は『複数の臓器の損傷及び消失と複数の肉体の部位の切除に外皮の消失』。
こちらは『魔物が退治された後』なので、おそらく『別の案件』だろう。
『笑美に聞いた日時』と照らし合わせれば、自ずと分かる。
しかし、一歩間違えれば命も落としかねない重態だ。

    「笑美さん、気付きましたか?」

             ピ ッ

        「今、明らかに『おかしな部分』があったんです」

人差し指を立てながら、隣の笑美に『自らの考え』を語り始める。

「私の『支持者』が教えてくれた通り、
 二人が酷い『重傷』だった事は間違いありません。
 特に、氷山さんは『命に関わるレベルの患者』ですよ。
 話を聞く限りだと、二人とも『旧病棟』で治してもらえたようですけど――――」

『おかしい』のは『二人が退院できた事』ではない。

   ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・
  「それ程の重傷者でさえ、最初は『新病棟』に入れられるんです」

『負傷の度合い』に関わらず、全ての患者は『新病棟』に収容される。
『旧病棟』に行くのは『その後』。
『例外』は一人だけ――――『小林丈』だ。

「『小林さんの記録』は『新病棟』に残っていませんでした。
 つまり、『新病棟を経由せずに旧病棟に直行した』という推測が成り立ちます」

「でも、おかしいですよねぇ。
 他の人は『新病棟に行ってから旧病棟に行く』のに、
 どうして『小林さんだけ特別』なんでしょう?」

「一つだけ確かなのは、彼が病院に来たのは『治療が目的じゃなかった』って事です。
 まぁ、治療も必要だったかもしれませんけど、
 それは『一番の理由』じゃあなかったんです。
 そうでないと『新病棟』で記録が見つからないなんて有り得ません」

「『何か特別な処置をされた』――――そう見るのが妥当でしょうね」

そこまで言い切ると、肩を竦めて大きく息を吐いた。

「…………私は『引き上げる』のも『アリ』だと思います。
 少なくとも『大きな手掛かり』は掴めたんじゃないでしょうか?」

「それに…………『これ以上』は本当に『リスキー』になりそうですからね」

真剣な面持ちで笑美を見つめる。
美作としてもリスクの高い行動は避けたい。
この辺りが『潮時』だと思えた。

「でも、『ちょっと見に行く』くらいなら、
 大したお咎めもないと思いますから、行くだけ行ってみますか」

           ――――――ガチャッ

苦笑しつつ車から降りて、『旧病棟』方面に歩き出す。

341名無しは星を見ていたい:2023/09/02(土) 22:57:05
>>338-339
「どうやら…正解ではあるみたいですね。
 そのカルテの情報…」
じっと電子カルテを確認して驚く

「これはひどい重傷ですね…
 小林さんは…確かに新病棟ではなく
 そのまま旧病棟に移動している。」
普通ではない、それは笑美にもよく分かるものだった。

「ふむ…治療以外だと…
 誰かのお見舞いとか?
 いや、でも一度通らない理由にはならないですか…」
小林の行動にどこか不思議な表情を浮かべる。

「これ以上はなんだか危険な予感がしますね…
 まぁ、ちょっとだけ確認しに行きましょうか?」
美作の言葉を聞いてうなずいた。
そして、彼女と並んで歩き始める。

「まぁ、いざというときには
 警察に補導されるくらいですみますよきっと。」
どこか楽観的な発言をする笑美。
気遣っているのかもしれない。

342名無しは星を見ていたい:2023/09/02(土) 22:57:59
(>>341のレスは>>339-340宛です。ミスしてすいません。)

343『未だカキツバタの花弁は見えず』:2023/09/04(月) 14:55:41
>>340-341

入院履歴のある『氷山あきは』『一抹貞世』
そして『小林 丈』。二人と一人、この者たちの違いに聡明な君たちは気付く。

『新病棟』から『旧病棟』へ。その記録がある二人と違って小林は無い。
 特殊なルートから小石川が語った情報。それが無ければ此処の病院に
移動したと言うのも君たちには把握するのが難しかっただろう。何せ
情報媒体に記録が残されていないのだから。友人の証言、そして
『プラン9・チャンネル7』と言う強力な力が悪魔の証明を施した事で
彼が旧病棟に直接運ばれたであろう推測を、より確実なものにしている。




   ・・・・・・


『新病棟』から、『旧病棟』へ。そちらは、増築した
アポロンクリニックセンターの陰となるように、ひっそりと目立たない形で
建てられている。一般人か何も知らない者なら、この建物も病院施設であると
考えるのは難しそうだ。ただの倉庫か別途で使用してると思うだろう。

 まだ活気が幾らかあった新病棟だが、旧病棟へ向かう道沿いは人気が少ない。

歩く足音が二人分だけと、環境音のみが聞こえる中。前方より『旧病棟』から
歩いてくる人影が見えた。それは、徐々に君たちと距離を狭めていく。

「……見た目、怪我人には。あんた達見えないけどね」

 そう、言い放つのは。片方の頬に∴の黒子がある女性だ。

両手をポケットの中に入れつつ、敵意は無いが決して歓迎も無い空気で
君たちを交互に、その視線は向けられ、そして更にこう言葉を投げかけた。

「こっから先は、特に用事の無い人間は立ち入り禁止だよ。
『普通の人』もお断りだし、『月モノ』も、猶更だ」

「それでも進む?」

女性は、淡々と君たちに言葉を紡ぐ。君たちは、どう謎の女性に返答するだろうか……?

344美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/04(月) 16:58:30
>>343

美作は足を止め、女性の全身を隈なく観察する。
内心の考えとは裏腹に、表面上は『笑顔』を絶やさない。
一分の隙もない『完璧な表情』は、
『アイドル時代』に磨いた『基本的なスキル』の一つだ。

「あぁ、どうも失礼しました。
 『こっちの建物は何なんだろう?』と思っただけですから。
 特に用事がある訳じゃないので、すぐに帰りますねぇ」

       「私、こういう者です」

            スッ

名刺入れから『名刺』を取り出して女性に見せる。
渡さずに『見せるだけ』だ。
それでも『身分の証明』には十分だろう。

「職業柄、いつも『新しい引き出し』を探してるので、つい気になったんですよぉ。
 『立入禁止』とは書いてませんでしたので」

          ザッ

立ち去る素振りを見せた美作だが、その途中で振り返った。

「どうか怒らないで聞いて下さい。
 大変失礼ですが、あなたも『病院関係者』には見えないんですよ」

「もしかしたら私達と同じように、
 『興味を持って近付いてきた部外者なんじゃないか』って考えるのは、
 そんなに突飛な話じゃあないですよね?
 そうだとしたら、あなたには『追い返す権利』がない事になります。
 こんな事を言うのは申し訳ありませんけど…………」

   「『証明』――――してもらえません?」

『名刺』を見せたのは『身元を明かす為』だ。
同時に『身元を明かさせる為』でもある。
もし出来ないようなら『疑わしい』。

345朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/09/04(月) 18:48:42
>>343-344
「…さて、なにがあるか…」
笑美は注意深くあたりを見回す。
何か合ったときは自分の能力が頼りになるだろう
だからこそ気をつけなければならない…

「あっ…すいません勝手に入ってしまって…」
思わず目の前に現れた女性に頭を下げた。
だが、見たところ彼女は医者ではなさそうだ…

「むー…勝手な真似は謝りますが…
 貴方も一体…誰なんでしょう?」
自分は普通の人と見られているのだろうか…
注意深く確認する。

名乗るべきだろうかと考えているようだ

346『未だカキツバタの花弁は見えず』:2023/09/07(木) 11:23:24
>>344-345(レス遅れ失礼しました)

 >『証明』――――してもらえません?

>貴方も一体…誰なんでしょう?

笑顔の君……『美作』の対応にも、注意深い観察を行う『朱鷺宮』に対しても。

その少し目立つ黒子を頬に宿した女性は、ニコリともせず不躾な
実験動物か何かでも眺めるかのような希薄な視線で数秒沈黙を守り抜いてから口開いた。

「あらわざわざご丁寧に」 「かくかくしかじか、こう言うものです」

 「――とでも言えば、満足か?」 「この場で『形式』は必要か?」

女性は君たちの反応に構う事なく言葉を並べる。
怒っている声色でもない、攻撃的でもない。かと言って友好さの欠片も持ち合わせていない。

「此処から先(第五外科)に赴くのに、五体満足の人間は相応しくない。
あんた達は『向かう』者で、私は『戻る』者だ」

怪我の治療を終えてな、と呟き。話が続く。

「そして、普通の奴はまず怪我をこちらで直そうとなんてしない。
『特別な奴』だけが、早急の用で早く治療したいから向かう。
 断っておくがな。此処から先で許されるのは『治療』のみさ。
余計な詮索はしない。例外は無い。それが、この町の『ルール』だ。
 たまに社会のルールを破って、背徳感に溺れたいって言うんなら別だが
あんた達二人は、そんなルール違反をする側か? ――それなら」

 酷い事が起きるだろうな。と、女は微動だにせず立ったままに
君たち二人を見据える……一瞬、強い風が君たち二人と謎の彼女の間を過ったような気がした。

347美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/07(木) 17:32:09
>>346

美作は『不特定多数の人間と話す仕事』をしている。
それも失敗の許されない『公共の電波』を使って。
電話を通した『リスナー』との会話は、
たまに『とんでもない人間』から掛かってくる場合もある。
危うく『放送事故』になりかけたケースもあった。
無事に切り抜けられたのは、美作が『プロフェッショナル』だからだ。

「『私の知らない事情があった事』は理解しました。
 もちろん『ルール』を破るつもりは毛頭ありません。
 さっきも言った通り、すぐに帰ります」

そう――――『美作くるみ』は『会話のプロ』なのだ。
確かに『戦う力』を持たない。
『一般人の大学生達』にすら、手も足も出ずに好き放題され、
文字通り『酷い目』に遭わされる寸前だった。

     しかし――――――

               『しかし』だ。

目の前の女性が美作達を圧倒する『武力』を有しており、
まるで木っ端のように一捻りで潰してしまえるとしても、
『言葉のやり取り』で『美作から主導権を奪おう』などと考えるのは『悪手も悪手』。
この『星見町』において、『喋り』という分野で、
『美作くるみを上回るスタンド使い』は『存在しない』のだから。
『高圧的に迫る事しか芸がない』というなら、
ほんの『デモンストレーション』で、『格の違い』を証明してみせよう。

(無愛想だけど、ちゃんと『答えてくれた』わね)

女性は『戻る者』だと言った。
つまり『患者』だ。
やはり『関係者』ではない。
それなら何故『止めた』のだろうか?
そんな事をする『義務』も『権利』もないだろうに。

    ………………『逆に考えればいい』。

『関係者ではない』が『義務と権利がある』のだと。
そんな立場の人間は、そう多くはない。
そして、美作は『最も高い可能性』を知っている。

「ですが――――あなたの話を聞いて、
 やはり『形式』は『必要』だと『確信』しました」

『旧病棟』で治療を受けられるのは、『スタンド使い』だけだと考えられる。
すなわち想定できる『可能性』は一つ。
『病院関係者ではないのに義務と権利が生じ得る』のは、
『アリーナ』くらいしか当てはまらないだろう。

「『アリーナの一員』として、改めて『挨拶』させて頂きます」

そして、他でもない『美作くるみ』も、今や『アリーナの構成員』なのだ。

「私は『門倉派』の美作くるみ。
 規模は小さいですけど、きちんと『派閥』として『承認』されていますから、
 無許可で名乗っている訳ではありませんよ。
 近々『市井のスタンド使い』と『漣派』の『面談』が予定されていますが、
 それを『仲介』したのが我々ですから」

        ス ッ

「また何かしらの形で関わる機会があるかもしれませんので、以後『お見知りおき』を」

                  ニ コ リ

『完璧なスマイル』を崩さず、女性に向けて会釈を行い、その場で踵を返す。

  「あぁ、それから――――」

          「私、『細かい事は気にしないタチ』なんです」

背中越しに、それだけを言い残す。
遠回しな言い方だが、知恵の利く相手なら、『何を言わんとしているか』は察せるだろう。
『威圧的な態度を取った事は告げ口しない』という意味だ。
美作が『第五外科』の存在を知らなかったのが嘘ではない以上、こちらに大きな非はない。
客観的に見て不利なのは、確かな根拠もなく『脅し』とも言える言動に出た向こう側になる。

  「――――さ、帰りましょうか。
   せっかくですし、どこか寄っていきます?」

                  ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ

車のキーを玩びながら笑美に声を掛け、
振り返る事も立ち止まる事もせずに駐車場へ舞い戻る。
『旧病棟』に立ち寄ったのは、あくまでも『ついで』に過ぎない。
既に『頼まれた仕事』を果たした今、もう『ご用済み』だ。
この女性が何か知っていたとしても、無理に聞き出そうとは思わなかった。
無論、『こちらが掴んだ情報』を渡す気もない。

348朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/09/07(木) 19:00:31
>>346-347
「…そう、ですね」
彼女が見せる雰囲気はどこか恐ろしさを感じさせるものであった

「私は…はい、たまたまご一緒した友人です。」
そう言って彼女に向け頭を下げた。

「たしかに患者でもないものが
 病院を勝手にうろつくことが良いことではありませんね。
 …申し訳ございません。」
大人としてしっかりと詫びることを決め
そして顔を上げる。

「…はい、そうですね。」
くるみはアリーナの名前を出した上で立ち去ろうとしている。
これから何が起こるのだろうかと考えながら、笑美は後に続こうとする。

349『未だカキツバタの花弁は見えず』:2023/09/08(金) 17:17:15
>>347-348

>『アリーナの一員』として、改めて『挨拶』させて頂きます

 その言葉に、少しだけ『反応』が、この名乗りもせず威圧だけで
去らせようとする∴の黒子を頬に宿す女性から得られた。

続けられる言葉に対して、自分の失態を悟った上でか? それとも別の意図あってか。
軽く顔が君より左下、そして目線もそちらへ動かした。

会話の『プロ』と言っても良い美作、または朱鷺宮でも、その視線の動きから
彼女が内部的な対話、言わば心の声、何か思考を行ったと言うのを感じ取れるだろう。

とは、言え反応は本当にそれ以外露出させない。極力相手に対し弱味を見せず
手札を切り出さない。そう言った見えない物腰が見て取れた気がした。

>私、『細かい事は気にしないタチ』なんです

>病院を勝手にうろつくことが良いことではありませんね。…申し訳ございません

「――『ヴィナーボズ』 『フ―ヴィアン派』」

 立ち去る間際、そう名乗りが背中から掛けられた。
敵意は、やはり無い。だからと言って其の声に温かみは一切無い。

「それと、これは『警告』じゃない。単なる『事実』だ。
病院でなくでも、暫くの間は勝手に人気のない場所はうろつくなよ。
 ――『魔物』並みに、厄介な奴に出くわしたいのなら別だがな」

そこで、彼女。ヴィナーボズの声かけは止まる。続ける気も無さそうだ。

 君たち二人、何事もなく駐車場へ戻る事は可能だ。

必要と思える情報は、手に入れられた。新病院に小林 丈の入院記録が無い以上
間違いなく『第五外科』が、彼の核心を握るには違いない。

だが、今の出来事のように第五外科に直接踏み入っての調査は危ういだろう。
 アリーナの他の派閥が、どれ程か不明だが目を光らせてる以上。
直接でも間接でも、それが知られればどうなるか……『門倉派』と言う
アリーナの組織に加入してるかしてないかの区別を除いても
この町の裏を実質大きく占領してると言って良いアリーナを敵に回すのは
良い事では無いだろう……。

350美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/08(金) 20:31:07
>>349

『人気のない場所を彷徨くな』。
その言葉は、まるで『危険な何か』が潜んでいるような言い方だった。
彼女の立場を考えれば、文字通り『事実』なのだろう。

謎めいた『第五外科』の調査。
それが本当に必要かどうかは『依頼人』が判断する事だ。
美作としては『リターンの保証されないリスク』は避けるべきだと思うが、
いずれにせよ役目は果たしたのだから、これ以上ここに留まる理由はない。

立ち去り際に聞いた『名前』と『所属』は、今後の為に覚えておく。
今回の件に限った話ではなく、『他派閥』について知る事は重要になる。
『門倉派』のスタンスは、『アリーナ』という大海に一石を投じる事にあるのだから。

        ガチャ

              ――――――バタン

「『怪我人でなければ立ち入れない』と言われている場所に、
 『治療以外の目的』で向かったという事は、『よほどの事情』がありそうですね」

          ド ル ン ッ

運転席に乗り込んで、キーを回してエンジンを掛ける。

「帰る前に、小林さんの『住所』を確認しておきますか。
 そこには戻ってないと思いますけど、何が役に立つか分かりませんから」

再び『プラン9』を発現し、『電子カルテ』から『小林丈の住所』を呼び出す。

「…………笑美さん、私が『アリーナ』に加わった事を黙っていてごめんなさい。
 『魔物事件』の後で、代表者の門倉良次さんに『スカウト』されたんですよ。
 『スタンド使いのエンターテインメントは戦う事だけではない』。
 そういう『理念』に共感したんです。
 私みたいに『戦えない能力』が輝ける場を提供できるって、
 凄くステキで有意義な事だと思えたので――――」

          ガコッ

「『アイドル』を募集しているのも、その一環という訳です」

クラッチペダルを踏みながら、慣れた操作でギアを一速に入れる。

「出来れば、私が『アリーナ』のメンバーだという事は、
 他の人には秘密にしていて下さい。
 今後の予定に影響を与えてしまうとマズいので…………」

          グ ッ

ハンドルを切りつつアクセルペダルを踏み込むと、車が少しずつ発進していく。
まもなく二速にシフトアップし、スムーズに駐車場から出る。
燃費が悪くて、お世辞にも『街乗り向き』ではない車種だが、
定期的に乗っているお陰で、運転技術は衰えていない。

「それと、今の内に『依頼人』に報告しておいてもらえますか?
 伝えるなら早い方がいいでしょうし」

   ブロロロォォォォォォォォォォォォォォ

最後に、サイドミラー越しに『旧病棟』を一瞥し、
『アポロン・クリニックセンター』を離れる。
『後の事』は笑美に任せよう。
小林の消息も気にはなるが、
美作には成功させなければならない『興行』が待っているのだ。

351朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/09/08(金) 20:58:41
>>349-350
「……」
彼女の仕草を何処か不思議そうな顔で見る。

(あの人は、一体何の確認をしているんだろう…)
どこか不安になりそうな雰囲気だったが
くるみの告げた言葉でどこか収まった、ように思える。


「魔物並みに…か」
『魔物』という言葉はどこか笑美に覚えがあった
それに匹敵するような恐ろしい存在があるのだろうか…

そして、くるみが運転席に入るのと同時に笑美も座席に座った。
「治療以外の目的で入ったとすれば、
 それは…誰かを連れてきたか、お見舞いか…
 でもあの様子だと面会謝絶っぽいですし…」

そして、顔を上げた。
「ああその…アリーナのことを聞いたときはちょっとびっくりしました。
 正直、アリーナにいい感情があるわけではないですけど、
 でも美作さんのその考え方は素晴らしいと思います。
 戦う以外のやり方で楽しませる事ができるならそれはとても良いことですよ。」

「あぁ、そうですね。
 今から連絡をしておきます。
 きっと気になっているでしょうからね。」
そう言ってスマホを取り出して今回の顛末をメールで書き込み始めた。
今回の依頼者である小石川に連絡を取るのである。

「ついでに、アイドル探しに協力を…」
どうやらアイドル候補探しに小石川を協力させたいようである。

352美作くるみ『プラン9・チャンネル7』:2023/09/10(日) 08:02:53
>>351

小石川に連絡を送ると、やがて彼女から『返信』があった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

お疲れ様でした。
小林さんが病院に運ばれた事は伏せておきましょう。
何か事情があるなら、公にすべきではないと思います。

アイドル候補について、お手伝い出来るかどうかは分かりませんが、
笑美さんが助けを必要としている時は、いつでも言って下さい。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

小石川文子には、豊富な『人脈』がある。
しかし、彼女は『小林の消息』と『小角の安否』を気に掛けていなければならない。
さらに『アイドル候補探し』まで手を回せる余裕があるかは微妙な所だ。
この件に関しては、やはり『朱鷺宮親子の役目』になるだろう。
ただ、小石川に伝えたという事実は無意味にはならない筈だ。

「『スタンド使い同士の試合』は、私も『門倉派』として観戦した事があります。
 だけど、私は『文化的な方法』で人を楽しませたいですねぇ。
 そういうのが好みですから」

『能力が戦闘向きではない』というのも、
美作が『門倉派』に加わった理由だが、それだけではなかった。
かつては『アイドル』であり、
今は『パーソナリティー』を務めている美作くるみは、
生粋の『エンターテイナー』なのだ。
だからこそ、門倉良次の考えに賛同し、彼に力を貸している。

「さて、それじゃあ『星見FM放送』に寄っていきましょうか。
 どんな場所からラジオが放送されてるのか、私が直接ご説明しますよ」

病院を離れた車は滑るように速度を上げ、
美作の所属する『ラジオ局』に向かって走り出した。

353朱鷺宮 笑美『トループス・アンダー・ファイア』:2023/09/10(日) 11:55:44
>>352
彼女の返信を見て
笑美も返事を返した。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

わかりました。
もしかしたら彼にもそれだけの理由があるのかもしれません。
こればかりは本人が決めなければいけないことなんでしょうね。

アイドルの件は自分ができる限りのことをしますね。
小石川さんもあまり無理はしないでください。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「送信…」
小石川のことを心配しながらも、また前を見る。

「そうですねー。スタンドは戦うだけの力じゃないでしょうし
 他の道も色々考えたほうが良さそうですね。」
彼女の考えは笑美にとっても共感できるものだった。
戦う以外で見つけられるなにかがあるのならば、それが一番だろう。

「ありがとうございます。
 ラジオ局なんて、初めて見るかもしれませんね。
 ぜひとも見学させてください。」
そう言って微笑みかけた。

354宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/07(土) 21:07:43
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1678800124/450

『頭蓋骨骨折』『肋骨骨折』『複数の臓器損傷』
『パナケイア』により『再起不能』は取り消し。
『全治4か月』『後遺症:左腕麻痺』

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ベッドの上で上半身を起こし、『後遺症』が残る左手を軽く握りながら、
『村田』と『赤月』の姿を思い出す。
俺自身の負傷と比べれば、二人は遥かに軽傷だった筈だ。
結局の所、俺には器用な戦い方が出来ないのだろう。

「――――早く慣れる必要があるな」

左手から視線を外し、窓の外に視線を向けると、おもむろに立ち上がる。

「『280万』あれば十分か」

いつ『次の仕事』が来るか。
その時の為に、万全を期しておかなければならない。
松葉杖をついて歩き出し、『旧病棟』を目指す。

355『第五外科』:2023/10/14(土) 23:18:40
>>354
『40万円』を支払い、『完治』した。

356宗像征爾『アヴィーチー』:2023/10/14(土) 23:51:30
>>355

『治療』を終えて『第五外科』から立ち去り、『旧病棟』の外に出る。
あの時、同じ場に『村田』や『赤月』が居合わせなければ。
あるいは『依頼者』が『別の派閥』だったとしたら。
どれか一つが欠けても、俺は生きていなかっただろう。
言い方を変えれば『運が良かった』。

「――――『これ』のお陰かもしれないな」

ポケットから引き抜いた手の中には、花飾りの付いた『お守り』があった。

357『星見町案内板』:2023/10/21(土) 06:26:14
★本日より病院ルール(>>3)を変更いたします。

<『病院』について>
・リアルバトルやミッションによって負った『傷』や『病気』を
 『治療』する為に設けられている個別スレッドです。
・バトルやミッションの『リザルト』をスレッドに貼り、
 記載された『全治○ヶ月』の日数に従い、『治療』を行います。
・『完治』するまでは『病院』と『パラレル』以外では動けません。

<『一般治療』について>
・『全治○ヶ月』の期間は入院として『拘束』されます。
・この時、リアルタイムで『期間』が過ぎる必要があります。
・日数が過ぎることで『完治』となります。
・入院費は『生活費』によって賄われるため、
 『ミッションマネー(リアルマネー)』の支出は起きません。
・部位の『切断』やそれと同等、若しくはそれ以上の負傷への『治療』は、
 『一般治療』だけでなく、『特殊治療』を必要とします。

<『特殊治療』について>
・『旧病棟』で行われる『治療』です。
 全治一ヶ月につき『10万円』を支払うことで、
 入院期間を大幅に縮めて『完治』させてくれます。
・また、部位の切断については『30万円』を支払うことで、
 部位を欠損した場合であっても、『完治』させることが出来ます。
・いずれも『ミッションマネー(リアルマネー)』となります。
・『治療』は原則としてはGM(ハイジPL)が対応しますが、
 『48時間』に渡って反応がなければ自主的に対応して構いません。
 いずれの場合も、現在の所持金を提示のうえ、
 自主的に完了した場合は必ず所持金の推移を
 【記】『財産登録スレッド』に明記するようお願いいたします。

<『再起不能』について>
・治療方法は『未定』です。
・例外的に『他板』で『再起不能』となったPCは、
 『100万円』を支払うことで『再起不能』から脱します。
・あくまでも『再起不能』からの回復であり、『入院期間』は別個で扱います。

358熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/01/11(木) 23:55:05
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049803/491-516

救急車で運ばれて来た
『両側前腕裂創』『胸腹部裂創』『全治1か月』

⇒『一般治療』を希望。入院

359宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/14(日) 04:19:57
ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1453049803/516

『頭蓋骨骨折』『急性硬膜外血腫』『下顎打撲傷』
                  『全治2か月』

『特殊治療』を希望

ttps://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/comic/7023/1465476899/88

現在の所持金:240万円→220万円

360宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/16(火) 20:44:05
>>359

『第五外科』で『治療費』を支払い、『完治』した。
病室のベッドに腰を下ろし、『退院』の準備をする。
サイドテーブルには、看護師が置いていったらしい所持品が乗せられていた。
それらを確認してポケットに戻す途中で、不意に手が止まる。
『鈴蘭柄のハンカチ』だ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


    「うちは生きたいし、人間を死なせたくもないし――――」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

手に取ったハンカチを見つめ、『りんの覚悟』を思い返す。
今、心の中には『迷い』があった。
躊躇うような間が空き、沈黙の時間が流れる。

         ス ッ

やがて、葛藤を切り捨てるように立ち上がり、病室を出て行く。

361宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/16(火) 20:59:35
>熊野

病院内を歩き回り、熊野風鈴の病室を見つけた。

         コン コン コン

部屋の中にいるかどうかを確かめる為に、扉をノックする。

362熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/01/16(火) 22:17:20
>>361

『特殊治療』により一足先に健康を取り戻した貴方は熊野風鈴の病室を探し回る
ここ数十年の間に起きた個人情報保護意識の高まりにより、
近年の病院では病室前のネームプレートを匿名にする事が希望によって許されている
どうやら熊野もその制度を利用しているようだ・・・・病室の名札には空白の名前が記されていた

だが、とはいえ、それが確実に患者情報の保護に繋がるとも限らない
人の口に戸は立てられぬ、とはよく言ったものだ
廊下を歩く患者たちに聞き込みを行う事で『熊野風鈴』の病室を特定する事が出来た

「はい」

扉の奥から入室許可を告げる女の声が聞こえる
『熊野風鈴』の声で間違いはない・・・・彼女はこの扉の向こうに居る

そこは『8階病棟』に存在する特別個室・・・・・
通常の診療費とは別に『一泊、ン万円』もの追加料金を支払う必要がある贅沢な部屋だ

とはいえ、だからといって特別な治療を行うわけでもなんでもなく、
患者本人やその家族が、家で暮らすのと同様の自由度を得る為に使用する部屋である
特別に監視カメラが付いてるとかそういう事もないはずだ


貴方は病室に立ち入ってもいいし、踵を返して立ち去っても良い

363<削除>:<削除>
<削除>

364熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/01/17(水) 00:23:46
>>363

まず確認をさせてください
今回の場スレの絡みで『殺し合い』が『あり』か『なし』かを

また、それとは別件になりますが、今回の場スレの意図についてお聞きしたい事があります
通常、場スレで他PCと絡む意図としては
両者の絡みによって何かしらかの『ドラマ』を作る事にあると考えています
しかし、宗像PLの今回の活動では一方的にこちらのPCに告知をしているだけで
何の『ドラマ』も発生せず、なおかつ前回の絡みにおいては両者に敵対的な関係があったにも関わらず
宗像PCは何のリスクを負う事もなく、キャラクターの言いたい事を言うだけの
『言い切りレス』となっているように感じられます

その上で、レスの内容としましても
『自分(宗像)はお前の事を一方的に倒す事が出来るがしない』と言うだけのもので
こちらのキャラクターに対して言い切りで上位に立とうとするマウント行為を行っているように感じられます

上記の理由から今回の宗像PLのレスとしては
プレイヤー同士の最低限の敬意が欠けたレスだと思われますが
宗像PLの見解をお聞きしたく存じます

365宗像征爾『アヴィーチー』:2024/01/17(水) 21:02:45
>>362

この病院には何度も世話になっている筈だが、
『特別個室』がある事は知らなかった。
しかし、その特徴があったお陰で、
早めに見つけ出す事が出来たのは幸いだったと言える。
今の声から判断すると、ここに入院している事は間違いないようだ。

         ス ッ

扉に手を掛けようとした動きが止まり、
リノリウムの床を歩き、病室から立ち去っていく。
『りんのハンカチ』を取り上げた時から、取り留めのない事を考え続けていた。
りんが口にした言葉の続きが、脳裏に焼き付いて離れない。

また、もう一つ気に掛かる事もあった。
サイドテーブルに置かれた『所持品』を確認した際、『足りない物』があった事だ。
どこかで落としたとすれば、おそらく『あの場所』だろう。

心の片隅に、妙に落ち着かない何かを抱えたまま、『8階病棟』を後にする。

366熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/01/17(水) 22:24:41
>>365

「・・・・・・?」

先程まで扉の前にあった気配が消えた
多少の不審さを感じながらも、課題のレポートの期限が近い事を思い出し
ベッドサイドテーブルの上に置かれたモバイルPCを叩く作業へと戻っていった

367カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/03(土) 23:23:52
「うーん……とはいえ、ハードル高いよねえ。
手段を選ばなきゃあ、やりようはあるんだけどなあ……
病院ってヒマだから、変なヤツ(つまり私)が来たら嬉しいと思うんだよねぇ」

『熊野風鈴』の特徴を反芻しながら、
休憩室でしばらくの間出入りする患者を観察している。

「こういうお堅いとこの奴、すぐに『出禁』とかしてくるからなぁ〜〜!
くそー、せめて容態とか聞いてればなぁ〜〜!
面会拒絶とかってのじゃあ、ないんだろうけど……」

ガサガサと手にした『鈴蘭』の花束を揺らし、
頬杖をついて代わり映えしない休憩室の様子を眺めた。

368熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 01:31:17
>>367

(おや・・・・・?)

ノコギリ刃で胸を切り裂かれる様な、酷い手傷を追っていたものの退院の日は近い
暇になった熊野はうろうろと一階まで降りて来ていた
手にお茶のボトルと売店で売っていた週刊誌をぶら下げながらカリヤの前を通りかかる

「珍しいですね。その花」

ふと、花に興味を持って彼女に話しかける

その少女は入院用の病衣を着ていた
茶色の髪をセミロングに整え、あっさりとした印象の顔付きだ

「お見舞いとして持ってくるには本当に珍しい」

369カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/04(日) 02:15:09
>>368
「あっ! 『熊野風鈴』……!
だろぉ〜、きみ……!」

顔を上げて『熊野』の顔を見るやいなや、
ガタンと音を立てて椅子から立ち上がり、
ずり下がったロイド眼鏡の位置を直しながら指さし、
衆目も気にせず声を上げる。
花束のことを指摘されて、慌てて少し崩れた花束を持ち直し、椅子に深く腰掛けた。

「えっ? あっ、ああ、『花』……そおだった……。
あははぁ、気になるかい……?
『鈴蘭』の『花言葉』は『純粋』……なんだってね……」

「って、こっちが先だったぁ〜〜〜!
ちょっと『ミステリー』な感じにしようと思ってたのに、
待ちくたびれて『段取り』を忘れちゃってたよぉ〜!
なぁ、きみ、そおだよねぇ〜〜!
『茶髪』だし!」

『熊野』の目の前で長い灰色の髪を掻き乱す女は、
顔立ちの一点だけを見ると整っているように見えたが、
それ以外のあらゆる事が外見を台無しにしているようだった。
がばっと机から目をあげて、懇願するように問いかける。

370熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 17:54:52
>>368

「わっ・・・・」

高いテンションで立ち上がるカリヤに面食らったのか、小さく声を漏らす
だが、熊野が気にしたのはそのテンションではなく・・・・

(私の名前を、知っている?)

『鈴蘭』の花言葉に関する言説を聞き流しながら、
彼女の素性について思考を巡らせる

例えば、警察関係者
自分と、宗像が重傷を負った『例の事件』について捜査している者

例えば、記者
『例の事件』について被害者の話を聞きたがっている者

あるいは・・・・『それ以外』

『例の事件』については『ノコギリを持った第三者』の犯行と言う線で操作が進められており
未成年である熊野は新聞・週刊誌などに実名が報道されているわけではない
それでもなお、こうも無礼に首を突っ込んでくるという事は
もし仮に彼女が警察や報道の関係者だとすれば相当な爪弾き者という事だろう

だが・・・・『熊野風鈴』に用がある人間はそれ以外にも存在する
『例の事件』は事件現場に凶器が見つかっていない事から『第三者』の犯行が疑われているが
『スタンド能力』について見識がある者であれば、その裏の真実についても察しが付くだろう

「ええっと・・・・今から『ミステリー』な感じに修正するのは難しそうですね
 確かに私は『熊野風鈴』ですけど、あなたの名前は?」

困ったような笑みを浮かべながら答える
弓なりに細められた目の奥に猜疑と好奇の心を隠しながら

「警察の方ですか?」

371カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/04(日) 20:32:40
>>370
「ああ〜良かったぁ、やっと『当たり』だよ。
きみで『4人目』だったからさぁ……
そろそろ追い出されないか、気が気でなかったよ。
ほら、座りなよ……立ち話もなんだからさぁ」

溜息をついて、馴れ馴れしい態度でテーブルの向かいの席を指す。

「名前は……『カリヤ』という。
あははぁ、警察に見える? だったらそう名乗った方が良いのかなぁ。
文字を書く仕事をしてるのさ、それで『取材』ってわけ。
もし良かったら話を聞かせてくれないかなぁ?
そう……きみ、『襲われた』んだって?
その時のこととか知りたいなあ」

「ただ……きみにメリットはないよ。
謝礼とかも……ジュースおごるくらいならいいけど。
それでも良かったら、だけど。どうかな?」

にんまりと笑い、鈴蘭の花束を軽く揺する。

372熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 20:57:24
>>371

「どうも、カリヤさん」

一礼を交わして席に着く
不審者との顔合わせ、この場で逃げ去る事も出来るが、それは面白くない

(私の『顔』は知らないんだ・・・・)

正規のルートで情報を掴んだ警察や報道関係者であれば、『顔写真』の共有はしているはずだ
そうでないという事は、目の前の人物は『不正』なルートで情報を掴んでいるはず
すこし・・・・・面白みが増してきた

「ふふっ、カリヤさん・・・そういうのって最近はダメなんですよ?
 個人情報とか・・・・コンプライアンスとか・・・・そういうのがあるみたいで」

「まあ、少しだけならお話も出来ますけど
 私が知っている事なんて、この・・・・」

      とすっ

テーブルの上に先ほどから手に持っていた週刊誌を置く
開かれたページには『例の事件』についての記事がある事ない事書かれていた

「週刊誌に書かれている事くらいしかありませんし
 わっ・・・・犯人は身長3mを超える大男かも、だなんて書いてありますね
 知らなかったな・・・・」

センセーショナルな記事に手で口を覆う

「それで、カリヤさんは何が知りたいんですか?」

373カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/04(日) 21:32:55
>>372
「あははぁ、世知辛いよねぇ。
ちょっとした冗談ってことでなんとかならないかなぁ?
ま、それはいいんだけどさ」

にへらと笑って、机の上に置かれた週刊誌に目を落とす。
両手で持って、素早く眼球が動く。

「ええー? そうなの?
……でも、本人が喋った方が、その、ほら、リアリティとかさ。
本人の人となりとかも……あれ、聞きたい、みたいな……」

週刊誌から視線を上げずに話すが、
段々と台詞が途切れ途切れになってくる。

ペラリ

「……………」

そして、最終的には無言になり週刊誌のページを捲り読み耽りだした。
当然、次頁には『熊野』の事件の事は何も書かれていない。

374熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 21:37:43
>>373

「・・・・・・・・・・。」

しばらく様子を伺っていたが、
週刊誌に眼を奪われるようにして次第に無言となるカリヤの姿を見て、こちらも言葉を失ってしまう

「あの・・・・用が済んだのならそろそろ病室に帰りますけど?
 あ、良かったらその雑誌差し上げましょうか?」

少しだけ腰を浮かせながらそう言う

375カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/04(日) 21:57:23
>>374
「ハッ! ああ〜! ごめんごめん!
ついつい読んじゃったよ、くだらない内容だよねぇ。
私、こういうのでもつい読んじゃうんだよ」

熊野の声に勢い良く週刊誌を閉じる。

「ゴホン……じゃあ改めてなんだけど、
きみが襲われた時のことを聞きたいんだ。
本当に3mの大男に襲われたわけじゃあないよね?
その方が面白いけどさぁ〜」

「私は面白い『物語』(ストーリィ)が好きなんだ。
週刊誌にはきみがどう感じたかは書かれてない。
紙媒体も好きだけど……私の最近のお気に入りは『語り』なんだよね。
語りは文章より物語の密度は低いけど、その代わりにエネルギーがあるッ!
きみが感じたこと、相手の姿、その時の状況。
あるいは……そうだな。
どうやって『逃げ延びた』のか? とかかな」

376熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 22:26:08
>>375

「ええ、そうですね」

緊張感のないカリヤの態度に、いっそ毒気の抜かれた表情で答える
心の内ではさてどうだろうという気持ちが軽く鎌首を上げていた

「ええと・・・・どこから話をしましょうか?
 そうだ。私が神社に行った時から」

「お参りをする為に〇〇神社に寄って、そこでお祈りをしていたのですが
 その時突然森の奥からノコギリを持った大男が出て来て・・・・」

話をしながら、身振り手振りで出てきた大男の輪郭を形作る
まあ・・・・全て嘘なのだが

「私と・・・・それと偶々近くに居た男の人と一緒に鎮守の森の奥に逃げて行ったのですが
 逃げ切れない程の速さで追いかけて来て・・・・その内に一緒に逃げていた人が捕まって
 殴られたり・・・・蹴られたりされたんです」

「私は怖くてそこから逃げられなくなって・・・・その内に『犯人』がノコギリを振りかぶって来て
 斬られた!っと思った瞬間に意識を失ってしまって・・・・」

「気が付いたら『犯人』はどこにも居なくなっていて
 私は無我夢中で警察と救急車に電話を掛けたんです」

「それが・・・・私が覚えている全て、ですね」

警察に話したのと同じ『作り話』を口にする

377カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/04(日) 23:10:35
>>376
(ふーん、プライドが高いタイプじゃあないみたいだ。
でも、面白そうなヤツだなぁ〜〜)

にまにまと笑いながら話を聴き、
その途中で被せるように言う。

「ねえ、それ嘘でしょ?
自分でも微妙だなぁ〜って思ってるんじゃあない?
『ノコギリ男』が、きみの連れに対しては『ノコギリ』を使わなかったトコとかさぁ」

当然、カリヤは話の違和感から嘘を見抜いたわけではない。
それは単に『ノコギリ男』であり、かつ『被害者』でもある『宗像』。
彼から大まかな事情を聞いているからというだけではあったが……
そんな事はおくびにも出さず、胡散臭い笑みを絶やさずに続ける。

「うーーん、どうしたら本当の事を話してくれるのかなぁ。
『事件の事』じゃあなきゃ、『きみのこと』でもいいよ。
きみってどんなヤツなんだい?
貴重な『物語』の登場人物だからねぇ、その人となりを知るのは、
『物語』を良く楽しむ上では欠かせないのさぁ」

378熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/04(日) 23:28:28
>>377

滔々と淀みなく流れ続ける『証言』
まるで聞き飽きたレコードのように語られるその『証言』を・・・・

>「ねえ、それ嘘でしょ?
>自分でも微妙だなぁ〜って思ってるんじゃあない?
>『ノコギリ男』が、きみの連れに対しては『ノコギリ』を使わなかったトコとかさぁ」

           引き留めたのは一つの『異議』

  「うふっ」

その『異議』に、熊野風鈴は薄く笑みを零す

確かに、本当に『ノコギリ男』が居たとすれば『男性(宗像)』にノコギリを使わない理由がない
その点について疑問が生じるのはおかしくはないだろう
だが、現場に『熊野の傷口に合致する刃物』は見つかっておらず、
警察はその点から『ノコギリ男』の存在をひとまずの『真』と置くしかなかった

・・・・にも関わらず

  カリヤさん
(『この人』は・・・・『確信』をもってこの話を『嘘』だと言ってくれた)

・・・・という事は、少なくともこの人は『常識』よりも少しだけ『深い事情』を知っているはずだ
それこそ・・・・己の身を傷つけられるような『危険性』を持った人物である可能性が高い

「ええ、そうですね・・・・『本当の事』。そうだなぁ
 私の事を一つだけ話すと、少しだけ意地悪で、でもその意地悪を乗り越えて来てくれる人が好き・・・・かな?」

「カリヤさん、あなたが『ノコギリ男』なんて『嘘』だなんて言うって事は」

「あなたにはわかるんですか?私を傷つけた『凶器』がどこへ行ったのか?」

そう言って病衣の上から胸の傷跡にそっと指を沿える
最新の外科医術によって縫合された傷跡は、今ではほとんど目立たないくらいに薄くなっている

「その『謎』に答えられたのなら・・・・」

「教えてあげますよ?『私』のことを」

379カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/05(月) 21:46:35
>>378
「わぁー、やなヤツだなぁ〜〜!
うーん、そうだねぇ。
最近ミステリーとか結構好きだし、それに則って考えてみようかなあ」

会話を楽しむように、眼鏡のつるをなぞりながら考える。
スタンド使いだと明かして反応を見るのは簡単だが、今は会話を楽しみたかった。

「『普通の推理』をするなら『凶器は持ち去られた』っていうのが真だけど……
きみの口ぶりをすると『そうじゃない』んだよね?」

「『ノコギリ男』なんて『嘘』……つまり、
その場にはきみたち2人しかいなかった。
きみが『ノコギリ』で斬られてるなら、切ったのは『もう1人』の方しかいない」

「そして、その場に2人とも倒れてたなら、凶器を隠滅する事はできない。
だったら答えはひとつさ。
『凶器』は消えちゃったんだ。きみとその男を傷つけた『凶器』はね」

視線を熊野の拳へと落とす。
恐らくは特別に鍛えてもいない、女性の細腕に。

「つまり……『ノコギリ』は『氷』で出来ていたんだよぉ〜!
あははぁ、どおかな? この『推理』」

380熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/05(月) 22:40:52
>>379

「へえ〜、なるほど
 その言い方ですと、私と一緒に被害に遭った『もう一人』が私を斬った・・・・と、そうなりますね」

ふむふむ、と頷きながら話を聞く
どんな『答え』に行き着くかはともかく、彼女の思考経路には興味があった
そうして、彼女の論理が『答え』へと行き着き・・・・

>つまり……『ノコギリ』は『氷』で出来ていたんだよぉ〜!

「は・・・・はは・・・・」

「ええ、面白い推理だと思いますよ。カリヤさん」

「きっと・・・・あなたの書く小説は素敵な『喜劇(コメディ)』なのでしょうね」

381カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/05(月) 23:17:19
>>380
「あれ、ハズしちゃった?
難しいなぁ……お話しじゃあ、もっと皆カッコよく、上手く行くんだけど……
あ、待って待って、まだ続きがあるんだから……」

明らかに引いている熊野を呼び止めるように手を振る。

「『ノコギリ』がどっかに行っちゃったとしても、根本的な『疑問』はあるよね。
今の話ならきみの連れはきみにやられたんだけど……
きみは控えめに見ても『武道の達人』には見えない。
そんなきみがどうやって、相手の人をボコボコにしたんだろう。
もっと言えば……その相手さえも『本当』のことを言わないのはなぜ?」

得意げに眼鏡の位置を直し、品のない笑みを見せる。

「それはきみたちが同じ『秘密』を共有しているからだよねぇ〜。
私たちに授けられた『ギフト』……『スタンド能力』を」

「……とか、ちょっと芝居じみてたかなぁ?
つまり私はきみを『そう』と見込んで話を聴きにきたってわけ!
前置きが長くなっちゃったけどね」

382熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/06(火) 16:10:51
>>381

「・・・・・・・・・・・。」

品のない笑みを浮かべながら己の『推理』を語るカリヤに対して
熊野はしばしの間表情を変えぬまま沈黙を返す

「ああ・・・・」

「『やっぱり』・・・・そういう事でしたか」

穏やかな口調。焦りや恐怖は感じられず
で、ありながら、何か期待のようなものを感じているかのように口元が緩んでいる

(簡単な、条件分け)

軽く話しただけの間柄ではあるが、カリヤの『情報量』にはまだらのような印象を感じた
彼女は『スタンド』を知り、『熊野の名前』を知り、『熊野の姿形』を・・・・伝聞として知っている
にも関わらず、彼女は『熊野の顔』を直接知っているわけではなかった・・・・とすると

(例えば『スタンド』を使えるだけの一般人の可能性・・・・これは否定出来るわ
 未成年である私の名前は、週刊誌や新聞には書かれていなかったもの)

一つ一つ、可能性を否定していく

(スタンド使いの報道・警察関係者、これも否定できる
 しっかりと『情報』を知っている人であれば顔写真くらいは見ているはずだから)

余分を削り取って形を成す彫刻作品のように、『真実』を浮かび上がらせる

(『スタンド能力』で情報を知った可能性・・・・
 可能性としては強くはないけどありえるわ
 能力の力ならどんな可能性だって否定する事は出来ないから・・・・でも)

(最後の可能性の方がよっぽど強い
 カリヤさんが『誰か』の関係者で、直接話を聞いた・・・・っていう可能性
 だとしたら、その『誰か』というのは・・・・・)

「それで・・・・」

「宗像さんはお元気かしら?
 死んでしまう程に傷つけてしまったから心配していたの」

383カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/08(木) 20:53:06
>>382
「エエッ……いや、私は知らないぞ!
『宗像さん』なんて人は……!
……とか、そんな感じだよねぇ、バレバレな人のリアクション」

ぐっと背を伸ばして机に突っ伏すようにして、
顔だけは熊野を見上げる。

「あははぁ、バレちゃったか。
すごいねぇ!きみの方がよっぽど探偵みたいだ。
そうそう、宗像さんにきみたちの『物語』のほんの先っぽだけを聞いてさぁ〜。
欲求不満になっちゃって、どういう話なのかを読みに来たってわけ!
『スタンド使い』の『物語』はすっごく刺激的だから、それがイイ!」

「ねっ、そういうワケだから、全然怪しいものじゃあないんだよ私は!
ああ、宗像さんだっけ?
いつも通りだけど……ちょっと凹んでたかもしれないなぁ」

384熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/09(金) 11:25:33
>>383

「あら、当たってしまいました」

目の前の女性、カリヤが宗像と繋がっている可能性は
彼女の情報ソースとして考えられる中では最大の可能性ではあるものの
正味5割弱程度の確率だと思っていた

故に本気でしらを切られたらそれ以上の追及は不可能であったが・・・・
カリヤはむしろ呆気ないくらいに白状してくれた

(・・・・という事は)

「カリヤさんは、宗像さんの部下とか手下っていうわけではないみたいですね
 だって、宗像さんの性格を考えると、こんなに簡単に教えてくれるわけないもの」

「うん。わかった。信じるよ、カリヤさん
 あなたがこの『物語』を聞くためにここに来たってことを」

先ほどまでの『証言』とは違う
生き生きとした表情でカリヤの次の言葉を促す

「『花の少女』の物語が聞きたいの?
 それとも、『宗像さんと私』の物語が聞きたいの?」

385カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/11(日) 09:54:59
>>384
「あははぁ、手下? ちがうちがう。
宗像さんは私みたいな奴、嫌いじゃないかなぁ。
私は結構好きなんだけどねぇ、悲しいよ」

熊野の表情の変化に、にたりと笑い返す。

「ええっ!そっ、どっちも!
……とか、ダメかなぁ〜?
2つは関連する話だよねぇ、順番に話してくれたら嬉しいなぁ〜〜」

386熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/11(日) 14:31:09
>>385

「ええ、それでは」

「自分の事を改めて語るのは、少し恥ずかしいのだけれども
 カリヤさんになら・・・・教えてあげるよ、私の事・・・・」

いつの間にか、カリヤに向ける言葉に気安さが混じるようになっている
カリヤに対して『敬意』を向ける必要がないと判断したのか。あるいは・・・・

・・・・『同類』と、そう認識したからか

「初めて『それ』を知ったのはちょっとした偶然
『鈴蘭の花』を頭に咲かせた女の事、偶然会って・・・・それで」

薄く笑みを浮かべながら『あの日』の事を思い出し、話す
軽く興奮した口調からはそれが彼女にとって重要な出来事であったことが伺える

「興味本位だったの
 この子の『花』を抜いたら、この子はどうなるのかな?って
 普通の女の子に戻るのか、あるいは・・・・」

「こてん、と死んでしまうのか」

事も無さげに、言う

「だから試してみたの・・・・・そうしたら」

「うふふふ・・・・・死んじゃった。死んじゃったんだ、その子
 しかもそれだけじゃなかった!」

「その子の死体が・・・・花びらの怪物になって、襲い掛かって来た!
 楽しかったなぁ・・・・ほんの少し、少しでも間違いを犯していたら死んでいたのは私の方だもの・・・・」

あっ、と小さく声を上げる

「そうそう、以前『廃ビル』で起きた事件があったでしょう?
 その事件の犯人が・・・・その『怪物』」

「その場に居たたくさんの人を殺して、『花の少女』は蘇った
 ううん・・・・蘇ったのとは少し違うのかもしれない
 多分、あの子の能力は・・・・『再び咲かせる』能力」

「人の命を『養分』にして・・・・自分を咲かせる能力だと思う、から」

早口にそこまで言った後で、気が付いたように話を止める
そして一呼吸の後に言葉を継いでいく

「好きなんだ・・・・そういうの          スリル
 カリヤさんが『物語』を好むように、私は『危険』を好んでる」

「ええ・・・・宗像さんの事も好みだったの」

387カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/11(日) 23:13:38
>>386
「『危険』を『好む』性格(キャラ)ッ!
良いね、素晴らしいよ……それに、スゴイ『物語』だよぉ〜〜ッ!!」

目を輝かせて熊野の話を聞き、
一息ついたところで大袈裟に騒ぎ出す。

「花の咲いた子の『死』と『再生』!
あの事件の『回答』はこれだったのかぁ〜!
なんできみはそういう『性格』になったんだろう?」

「なにか『ルーツ』があったりするのかなぁ?
あははぁ……そーいうのも聞かせてほしいなぁ〜」

涎を垂らさんばかりに口を開けて懇願する。

388熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/11(日) 23:44:02
>>387

「『ルーツ』・・・・ルーツと言われても、
 そんなに大したものはないんだけどね」

困った形に眉を落としながら、ゆっくりと目を瞑る

「ただ・・・・普通の子と同じような生活をして、普通の子と同じように育てられて
 普通に、普通に、大人になったの。普通に大学生をやってたりしてね」

そうは言うものの、熊野の家柄について下調べが付いていれば気が付くはずだ
『普通』と自称しているものの、彼女の生育環境は十二分に『上流階級』に位置するものだと

「ただ・・・・人よりも少しだけ『危険』から遠ざけられて育てられた
 それがきっかけで、人よりも少しだけ『危険』な事に興味を持つようになった」

「・・・・物語としては少し弱いかもしれないけど
 そんな感じでいいかしら?」

嘘をついているような素振りはない
きょとんとした表情を浮かべて、何事もないかのように言う

「ところで、さっき宗像さんが凹んでたって言ってたよね?
 そっか・・・・凹んだだけなんだ・・・・」

がっかりしたような態度で、そう言う

「さっきの話。『花の少女』の話
 あれを宗像さんに話してみたんだ・・・・細部を少し変えて、逆に花を抜かないと怪物が現れるってしてね」

「そうしたら、宗像さん、本人に会って確かめたのか本当の事を知っちゃってね
 それで・・・・それで・・・・・・・・」

         ・ ・ ・ ・ ・
「私の事を、『殺しに来て』くれたの!」

恋する少女のような恍惚とした笑みを浮かべながら
その言葉には隠しきれない程の喜悦が滲み出ていた

389カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/13(火) 22:49:53
>>388
「ほおお、なるほどねぇ〜〜!
いやいや、リアリティーがあって良い感じだよッ!
誰しも劇的な経験をするわけじゃあないってことさ!」

大袈裟に手を広げて、にたにたと笑いながら相槌を打つ。

「宗像さん……たしかにきみのことを疑ってたなぁ。
ム……あははぁ……なに? なんだって?
なにか変だったような……
きみ『殺意』が『嬉しい』ってわけ?」

390熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/13(火) 23:22:15
>>389

「『殺意』が・・・・というよりも『危険性』が、かな?
 例えばカリヤさん。『バンジージャンプ』ってやった事はある?」

そう言いながら、上下に腕を動かす

「高い場所から勢いよく飛び降りる。バンジージャンプってすっごく怖いけど・・・・
 でも、全然怖くはないよね?」

「だって、あれは『安全性』が保障されてるから
 絶対に死なないってわかっているからこそ、皆がこぞってやりたがる
 凄く怖い思いを、絶対に大丈夫だってわかってて飛び降りる・・・・それが『バンジージャンプ』」

「私、そういうのは全然興味がないんだ」

「その点、宗像さんは良かった
『花の女の子』を護る為に、ちゃんと、しっかりと私を殺しに来てくれて・・・・でも」

「ううん。残念なことに、宗像さんはもう『危険』じゃあないの」

はあ、とため息をつきながら言う

「私が、宗像さんに殺される事なんて決して無いって
 ・・・・理解しちゃったから」

「宗像さんでは、私を殺せない」

「だから・・・・『リサイクル』の為にちょっとだけ小細工をしてみたのだけど
 凹んでるだけだって事は全然効果が無かったみたいだね」

391カリヤ『タイプライター・トーメント』:2024/02/19(月) 22:13:30
>>390
「スゴイ……『スタンド使い』の精神性は、
やはり常人のものとは大きく違うってことだ!」

うっとりと熊野の話を聞いていたが、その背後を見てガタンと立ち上がる。

「もっときみのこと、色々知りたいとこだけど……
ちょっと今日は退散しなきゃいけないみたいだ。
これ!私にもしかして何か頼みたくなったりとか、話したくなったりとかあったら、
遠慮なく連絡して欲しいなぁ〜
それじゃあね」

表面に『カリヤ』とだけ書かれた名刺のようなものを机に置いて、
病院関係者に追われながら逃げるように去っていった。

392熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/21(水) 17:16:27
>> 391

「えぇ・・・・・・・・」

突然、話を切り上げて帰り支度を始めるカリヤの様子をぽかんと眺め、
熊野は思わず苦笑いを浮かべる

「ふふっ、カリヤさんって本当に面白い人
 ああ、そうだ!ここで私とお話しした事、宗像さんに伝えてもらってもいいよ
 なんなら、私がこれから何をしようとしているのかも・・・・サービスで」

「私は・・・・この病院を出たら、もう一度やろうと思っているの
『花の女の子』・・・・能天気そうなあの子の・・・・」

「頭の花を、引っこ抜いてやろうか・・・・って」

『言葉』について・・・・熊野は考える
『言葉』によって人を動かす為には、どうすればいいのかと

『嘘』をついて人を動かす事は容易い
『嘘』はそれを信じた者を動かし、狂奔に走らせる
だがそれはあくまでも短絡的なものであり、知恵あるものがそれに踊らされる事は少ない

本当に人を動かす言葉とは・・・・『真実』に由来する
『真実』から出た行動は誠の行動は決して滅びはしない・・・・ともいう

ならば・・・・『真実』によって人を動かす事こそが
この世で最も邪悪な、人を動かす『言葉』となるのだろう

「だから、何か護りたいものがあるのなら、早めに動いた方がいいって
 あの人に伝えていただけますか?」

去り行くカリヤの背中にその言葉を残し、熊野もまた病室へと戻っていった

393熊野『フォー・エヴァ・ロイヤル』:2024/02/21(水) 17:17:42

『退院』した


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