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【代理スレ】ウイングマン連載中 ドリムノート2冊目

1粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:32:36 ID:???
第86話――【バレンタイン大作戦の巻】


<扉絵:いつもの衣装ではなく、カジュアルな服を着飾るドクター・ヴィム>
「ワォーッ ドクター・ヴィムって大人の魅力。怖そうだけど…」(健太・談)


異次元空間に浮かぶデストレス ――その中の、何か水音が響くドクター・ヴィムの部屋。
浴槽から立ち上がるヴィム …って、予想もしなかったヴィムのサービスシーンに読者大喜びッ!
( ゚∀゚)o彡゚おっぱい!おっぱい! ひんぬー!ひんぬー!

ゲフンゴフン …いかん、つい取り乱してしまった。あらすじを続けます。
人の気配を察したヴィムはとっさにバスタオルを取る。浴槽の薄布越しに現れたのはバルド将軍!
「人の部屋に勝手に入ってくるのは失礼ではありませんか」
バスタオルを体に巻き、浴槽から出るヴィムに、バルドはただ一言、美しい…と呟く。
「話をまじめに…!」
バルドをひっぱたこうとした時、バルドはヴィムの手をつかみ上げる。
「緊急の用があって来ました」
「…言ってみなさい」
「緊急と言ってもそれ程でもないが、ウイングマン打倒についてじっくり話し合おうと思って…」
――どう見ても覗きの言い訳です。本当にありがとうございました。

無愛想に背中を向けるヴィム。
「――話し合う必要はありません、すでに次の作戦は、もう私が…」
するとそっと肩に手を置かれ、バルドはヴィムを抱擁する。
「ヴィム、ボクはおまえが…」
「よ 用が無いのなら出て行って!」
エロド将軍はヴィムに突き飛ばされ、分かったよと一言残し部屋を立ち去った。

。oO(男なんか… 男なんかに興味無いわ!)

立ち去ったエロド度将軍をいつまでも睨み続けるヴィムであった

2粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:32:59 ID:???
。oO(フ 見ていろよ、今に必ず振り向かせてやる)
エロド将軍が廊下を歩いていると、壁にもたれかかるキータクラーがいた。
「よう、ふられたか? ん――――?」
「うるさいぞキータクラー!」
冷やかされたエロド将軍はふられた腹いせをしようと剣に手を伸ばす!
「おっと、仲間同士の争いは破滅に繋がるぞ」
「フン…貴様、スノープラスとウイングマンが戦っている時、デストレスの中にいなかっただろ
 え? どこに行ってたんだ?」
「何の事だ、オレはずっとここにいたぞ?証拠はあるのか、証拠は!」
証拠が無い以上、エロドはこれ以上キータクラーを責める事はできない。
いつか企みを暴いてやると吐き捨てその場を立ち去った。

。oO(フッ オレの企みを知る頃には、お前は死んでいるぜ フフフフ)

立ち去るエロドに内心ほくそ笑むキータクラーだった。



――冬休みが終わり、三学期も始まった。そして…今日はバレンタインデー。
健太が家を出ると、同時にアオイも家から出てきた。
…ちなみにアオイは現在高校生をしていた。なぜ仲額中に戻らないのかと言うと… 本人いわく、
「だってぇ、やっぱりさぁ 入ったり辞めたり、入ったり辞めたりってなんかさ、
 そういうのってバカみたいじゃない… やっぱり歳相応にねぇ、高校生になります」
                …だ、そうです。仲額中とは違うブレザー姿もかわいいぞ!

2人が朝の挨拶をすると、急にアオイに呼び止められ…
「ケン坊、いいものあげるわ」
キスと共に小箱(当然中身はチョコ)をもらい喜ぶ健太。
「あ、そうか!今日はバレンタインか 美紅ちゃん、今年はどんなのくれるのかなぁー」
……相変わらず余計な一言で相手の機嫌を損ねるのがうまい健太でした。

3粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:33:22 ID:???
機嫌を悪くしたアオイは健太からチョコを没収し、家に引き返すとラークを呼ぶ。
「おとーさん! はぁーい、あげるぅ〜 バレンタインのチョコ♥」
「わーお!」
年甲斐も無く喜ぶ良きパパ・ラークでした。
一方、そのチョコをもらう筈だった健太はあっけに取られ… アオイは悪口を言いつつ駆け出した。
「なんなんだろう…」
毎年同じ事を繰り返している事に気がつかない鈍感男・健太でした。



――仲額中学校。
福本、美紅と一緒に登校してきた健太は下駄箱からブーツ専用上靴(ややこしい)を出していると、
自分の下駄箱を空けた福本が急に喜びの歓声を上げた!
「お、お――――! とうとうオレにもチョコが来た!しかもこんな大きな!」
健太と美紅も福本が珍しくチョコをもらった事に感心していると、福本は差出人を見て……


「おーい、布沢!これはどーいう訳なんだよ!」
「また…」
教室に入ってきた早々、福本は布沢目掛けて大声を上げ、つい布沢も肩をすくめてしまう。
…よく見ると、布沢の机の上には福本が持っているのと同じチョコがいくつもある!
「あ まだこんなに用意してオレみたいな奴を騙そうとしてんだな!
 お前には真次っていう彼氏がいるじゃねぇか!
 これはモテない男への憐れみかよ、こんな受け取れるか!」
怒って布沢にチョコを突っ返す福本。すると――
「布沢さーん、ジョーダンきついよー 渡す人間違えてんじゃないー?」
「布沢さん、気持ちは嬉しいんだけど受け取れないよー 真次っていう人に悪くってさー」
「布沢くん、いくらボクが魅力的だからって浮気はいけないな、これは返すよ」
。oO(この人にまで断られた〜…)
順に楠富・北島・渡辺が現れ、次々とジェットストリームチョコリバースを仕掛けるのだった。

4粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:33:37 ID:???
…スノープラスの事件を知る由も無い男子から次々とチョコを返され、ついに布沢の机の上には
どっさりとチョコの(返品の)山が築かれた。
。oO(何とか新しい男を作ろうとして四方八方に出したチョコが全部返ってきた…)
――泣き笑い状態の布沢、テラカワイソス(´・ω・)

このやりとりを見ていた健太と美紅は、布沢が真次に利用されていたのがバレたのかと勘ぐる。
…それならば、布沢のこの行動も納得がいく。ならばちょっとカマをかけてみようか…。
「もう、やだなぁ 布沢さん、近頃事件が無いもんだから、自分で話題を作ろうとしたんだろー?」
「そ そ… そ… そーなのよ、バレちゃったか」
何とかフォローする健太の言葉をカン違いしてくれたと思い込み、危機を乗り越えた布沢でした。
。oO(今更失恋したとかって言えないもんね…)



――放課後
校庭の桜の木の陰に、誰にも見つからないようにワープしてきたアオイ。
「どーせケン坊は美紅ちゃんにしかもらえないんだから、
 やっぱりあたしがあげなきゃかわいそーよねー」
そのまま桜の木の陰に隠れながら待っていると、美紅と一緒に健太が出てきた。
いざ木の陰から出て行こうとすると、桃子が健太の後を走って追いかけて――――

「これ 受け取ってください!」

…去年とは違い、普段どおりの笑顔で健太にチョコを渡す桃子だった。
「うわ、ホント!? うれしいなぁ、ピンクからもらうの初めてだもんなぁ」
そんな様子を美紅は怒るでもなく笑顔で2人を見つめている。
「ごめんね、美紅ちゃん」
「う――ん 気にしないで」
桃子はまだやる事があるので帰らないそうなので、健太と美紅は桃子に別れを告げ先に帰る事に。
2人を見送る桃子だが、ふと、木の陰からアオイが手招きしているのを見てそちらに向かう。

5粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:33:56 ID:???
「やったじゃん、とうとう!」
「うん、吹っ切れたの だから出来たんだと思う
 リーダーには美紅ちゃんがいるのよ、私がリーダーの事を思ったり、悩んだりしても
 仕方ないんだもんね」
「桃子ちゃん…あなたって人は… あたし断言しちゃう、今にきっといい人ができるよ桃子ちゃん!」
「え―― ホント――!? 信じちゃお♪」
健気な桃子に感動し応援するアオイ。ガンバレ桃子!とりあえずあらすじが彼氏に立候補しよう!



「よかったね、広野くん」
「これでやっと2つだ」
校門にさしかかった時そんな会話をしていると、私服姿のヴィムが現れた!

「広野健太さんですね ――あの、これ受け取って下さい あの、今すぐ食べてください」

「んじゃ、頂きます」
健太はヴィムとは気づかず、美紅が止めるのも聞かずキャラメルサイズのチョコを食べてしまう。
「食べるのちょっと待って」
不審に感じた美紅が止めるが、こういう時に限っていう事を聞かない健太!
「だって、今食べてくれって言うんだから …んー いけるぞ、これ」
健太がチョコを飲み込んだのを確認すると、高笑いをあげるヴィム!健太も突然苦しみだす!

「ハハハハハ かかったな、広野健太! お前はもう、磁力人間だ!
 鉄と言う鉄をひきつけ、身動きが出来なくなるのだ!
 時間がたつにつれ、磁力が強くなっていき… 最後には、我々の命令に従う磁力人となるのだ!

「ハッ 今の声!ドクター・ヴィムだわ!」 ヴィムの声に反応するアオイ!
健太に美紅のカバンやハサミ・スパイクシューズ・空き缶等といった鉄が次々飛んでくる!
「ああ 本当に鉄を吸いつけている!」

6粗筋!ウイングマン:2009/11/11(水) 21:34:10 ID:???
「ハハハハ これから町中にこのチョコをバラまくのだ! 町中がパニックだ、ハハハハハ!!」

そう言い残し消えるヴィム。
追いかけられず歯噛みする健太―― その時、彼に危機が迫っているのを誰も知らなかった。

磁力人間となった健太目掛け、コントロールを失った車が健太目掛けて飛び込んできた!!
                                      <続く>

7名無しさん:2009/11/11(水) 23:43:44 ID:???
>「緊急と言ってもそれ程でもないが、ウイングマン打倒についてじっくり話し合おうと思って…」
>――どう見ても覗きの言い訳です。本当にありがとうございました。

おいバルド、お前ついさっき「緊急」って言っただろwww
あらすじさんの言うとおり確かに覗きの言い訳にしか聞こえんwww

8名無しさん:2009/11/12(木) 00:16:54 ID:???
>>751
普通なら男性不振になってもおかしくないはずなんだけどな…
そこまで考えないのがウイングマンクォリティか。

磁力人間健太か… これなんて鋼鉄ジーグ?w

9名無しさん:2009/11/12(木) 06:27:58 ID:???
>>754
ンモー、キミもスケベだねーw
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091112062647.jpg

10名無しさん:2009/11/12(木) 13:01:53 ID:???
今年も来たか、バレンタインネタ。
相変わらず健太は鈍感だな…

しかしあおいさんにチョコもらって喜ぶラークがいい味だしてるなw

11名無しさん:2009/11/12(木) 15:16:23 ID:???
バルド、実はむっつりスケベと判明したなwww

よく読めばあらすじ内でもバルドじゃなく『エロド』になってやがるじゃねーかww

12名無しさん:2009/11/12(木) 19:48:27 ID:???
>>758
ディメンションパワーで何でもできるからなぁ。
変身、時間停止、瞬間移動、念動力… 幻影とかもできそうだな。

桃子ホント健気だよね…この作品では一番お気に入りだ。

13名無しさん:2009/11/12(木) 20:56:29 ID:???
>とりあえずあらすじが彼氏に立候補しよう!

待て!貴様ばかりにいい格好はさせんぞ!俺も立候補しよう!

14粗筋!ウイングマン:2009/11/12(木) 22:33:40 ID:???
>>761-762
アイドル超人のようにかっこよく散れると思うなよw

>>763
となると健太は戦いに受験に恋愛に特訓…すさまじく大変そうだな…


[連絡]
やはり規制がまだ厳しいようですので、3日後あらすじを投下、
それでもまだ書き込みが少ないようでしたら休載も考えます。

15名無しさん:2009/11/13(金) 00:09:06 ID:???
ヴィムが変装… というか扉絵のような一般服を着て健太達の目の前に現れたわけだが、
1回コウモリプラス戦で戦ったはずなのに顔覚えていなかったのか?
褐色肌の女の子なんてそうそういないぞ。(この漫画には)

16名無しさん:2009/11/13(金) 22:27:31 ID:???
>>771
読み直してみて確認した。確かに声で気づいてたな…申し訳ない。

17名無しさん:2009/11/14(土) 00:05:07 ID:???
>>773
男はバレンタインになると、例え見知らぬ女の子からでもチョコを受け取ってしまうのだよ…!

布沢さんは健太にチョコあげなかったのかね。あげてても問題なさそうなんだが。
ところでりろはどこ行った?ライエル編になってから全然出てこないな。
(ヒロダーは出たくせに)

18名無しさん:2009/11/14(土) 13:35:54 ID:???
>>777
ラッキーセブンおめ!

>彼女は「大人な男性」が好みそうだから
でもその割にはセイギマン連中…ブルー、グリーンはまだ分かるが
健太よりもいろんな意味でダメそうな福本やイエローにまでチョコ渡してるぞ。
「もはやなりふりかまってられない」って感じがする。

1910時に投下お願いします:2009/11/14(土) 19:48:06 ID:???
第87話――【謎の男 再び】


ヴィムのチョコを食べ、磁力人間になった健太に、コントロールを失った車が飛び込んでくる!
――だが、健太の前に何者かが突如現れ、バリアを張って車をハネ返し、ビームガンでこれを破壊!
(ドライバーは咄嗟に飛び降りて無事)

「お…お前…」「あなたは…」
『 キ ー タ ク ラ ー !! 』
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091114194642.jpg

前回に続き、健太を助けに現れたアンノウン!
「コスチュームもわざわざ新調しやがって! よくものこのことオレ達の前に現れたな!」
「な 何の事だ」

…ちなみに、都会テレビでは2年前同様、衣装がなくなった事に大騒ぎしていたのはまた別の話。


「一体何の事だ、オレはキータクラーとかいう者じゃない!
 みんな、もっと冷静になるんだ、落ち着け!そんな事ではいずれライエルに殺られてしまうぞ!」
「まだとぼけているわ、やっつけちゃいましょうよ!」
「大きなお世話だ! 一体きさまはどういうつもりなんだ!」
助けてくれたにも関わらず、噛み付く健太にアンノウンは何を言っても無駄と判断し消え去った。
そのおかげで先程の車の爆発で集まってきた野次馬はますます騒ぎ出す。
さらにドライバーはパニックを起こし逃げ出してしまった…。
生徒達は健太に問いただすが、相変わらずこれもショーなのかと思っているようだ。
そんな事を話していると、先程逃げ出したドライバーが警官を連れてきてしまった!

「こいつらだ、オレの車をぶっこわしやがったのは!」

警察沙汰になってしまった。非常にまずい!
「キミ達、どういう事なのかね」

2010時に投下お願いします:2009/11/14(土) 19:48:36 ID:???
健太に近寄る警官・・・・・・・・ん???
「ふむふむ、なるほど…」
「お おじさ…」
――地獄に仏!その警官はラークだった!
『まかせなさい』とばかりにウインクしつつ、指でOKサインを出すラーク。
ドライバーの方に向き直りそっちに注意し始める。
「こらー キミは車をこの子達に譲ったそうじゃないか、この子達のショーの為にって」
「な 何を言ってるんだ、そんなのデタ…ラ… メ〜〜〜ェェ〜〜〜…
 そ そうでした、どうもご迷惑かけてすみません」
「まったく人騒がせな奴」
――ハイ出ましたよ、何でもできるディメンションパワー!
結局、記憶を改ざんされたドライバーは納得しながら立ち去っていきましたとさ…。

「どーだ、警官が知り合いだと色々と都合がいいだろ?」

…かなりヤバイ発言をあっけらかんと話すラーク。ちなみに桃子は初対面だ、初めまして。
――などとのん気にこんな事してる場合じゃない!ヴィムの磁石チョコバラ撒きを阻止しなければ!
健太はラークにお礼を言いつつ、3人と共に駆け出した。
。oO(さては、ケン坊 そのチョコを食べてこんなになったのね)  …意地悪く笑うアオイでした。



――街中のチョコ特売のワゴンに、ポケットからこっそりと磁石チョコをぶちまける男が2人。
「やってきたぜ」
「ありがとう、じゃ これは約束の…」
路地裏で男にバイト代の札束(!)を渡すヴィム。
金を受け取った男共は、今度は「金はたっぷりあるから」とヴィムをナンパし始める。
「触るな!」
――案の定、男共は男嫌いのヴィムに念動力で街灯に叩き付けられるのであった、合掌。
「おい、乗れよ」
ヴィムはバルドの運転する車に乗り込み、先程の男達がバラまいた特売店の様子を見に行く事にした。

21名無しさん:2009/11/14(土) 19:49:01 ID:???
――特売ワゴンに群れる女の子達。
「大盛況だな、お前の作戦 うまくいってるじゃないか」
「あなたより頭がいいもの」
「フッ ハッキリ言ってくれるぜ」

<――2時間後>
客もいなくなり、売り切れたと判断した2人。
「それじゃあ、ドライブにでも行くか?」
「待って、確かめてみるから」
ヴィムは透視能力でワゴンの中身を確認すると… 1 つ も 売 れ て い な い !
バルドは変なチョコなんだろうと笑うが、ヴィムはちゃんとしたチョコだと答える。
…と、その時、また2人客が来た。もしかしたら買うかもしれない…。
ヴィムは再び透視で様子を見ていると、女の子は最後に残った大きなハートチョコを手に取った!

「か 買わない!そんな、なぜ!? 地球のチョコと違うのかしら!?
 ウイングマンはアホだからバレなかったのかしら!?」

まさかの作戦失敗に戦慄するヴィム!その作戦ミスの原因とは!?
――では、そのプロセスを先程の購入客に解説してもらおう!
「あの小さなチョコはなんなのかしら」
「ホント これで500円なら安いけど、あんな小さいのだったら高すぎよねー
 あんなのじゃ誰も買わないわよ」
                      …『値段に見合ったサイズ』でした…。

…その事に気づかないヴィムは一旦デストレスへ戻り、作戦の練り直しをはかる。
バルドもウイングマン打倒の罠を張る為車を降りると、近くの男性にあの車をやると言い放つ。
そしてバルドが街中を歩いていると、布沢がバルド(真次)を見つける。

「ここであったが百年目!今度はこっちがだます番よ! どうしてくれようか!
 ――そうだわ! このチョコを全部食べさせて、鼻血ブー お腹ピーピーにさせてあげるわ!!
 ん――! これだけじゃ足りないわ!
 よーし、あそこの店でチョコを買い足してやる!よし決まった!レッツゴーだわ!!」

22名無しさん:2009/11/14(土) 19:49:18 ID:???
「ん〜 パフォーマンスしてるなぁ…」
大声をあげ、返品されたチョコを出したりと忙しい布沢のパフォーマンスに見入る野次馬でした。


布沢が向かった店は…磁石チョコをバラまいたワゴン!
「よし、これ全部買ってやるわ!
 …でもこの小さいのが1個500円なんて高い! まけてもらおうっと!
 ――よっしゃあ!千円で全部買ったわ!」



…そして、布沢は真次を探し回って、ついに奴を見つけたのだった!
真次の後ろから声をかけると、真次は驚いた顔でこちらをむく。
「お久しぶりね〜〜」
笑顔で挨拶する布沢だが、真次はこの時、これが罠である事に気がつくはずも無かった…


喫茶店でお茶をする2人。
。oO(この女、オレが敵だって事に気づいてないのか? そ、それならもう少し利用してやるか…)
冷や汗を流しながらコーヒーを飲む真次に話しかける布沢。
「ねぇ真次さん、今日は何の日か知ってるでしょ?」
――おもむろに、テーブルいっぱいに チ ョ コ の 山 を置く布沢!
「こ これ 全部くれるの?」
予想外の量に思わず青ざめる真次。
「いやなの? もらってくれないの?」
。oO(う いかん… ここで変に断ったら怪しまれてしまいかもしれない、ここはガマンして…)
「いやなもんか、喜んでいただくよ」
作り笑いを浮かべつつ、結局食べる事にした。

。oO(ちくしょう、こうなったら まずこの小さいのから食べていくか
  ちくしょう、ヴィムのチョコはよっぽど変てこりんなんだな
  世の中には一人でこんないっぱい買うバカもいるってのに)

23名無しさん:2009/11/14(土) 19:49:36 ID:???
――ヴィムの磁力チョコとは知らずに、集中的にそれを涙目で食べまくる真次(バルド)!
…ちなみに布沢はこれらのチョコを全部食べきるまで許すつもりはなくニヤリと笑っていた…



――その頃の健太達。
「まいったわ、なかなか見つからないわねー ヴィムのチョコ」
先行するアオイ達の後ろで、標識やら鉄柱やらにあちこち吸い寄せられジグザグに進む健太だった。
ふと、勢い余って女性に正面からぶつかってしまう健太。
「すいません、失礼しました…」
「気をつけなさい」 プンプン
…別れ際、女性の胸から何かがズルズルと出てきて健太の頭にくっつく。
それは、女性の ブ ラ ジ ャ ー だった!金具の部分が引っ付いたのだ!
こんなもん引っ付けたまま歩いちゃまずい!
咄嗟に後ろに投げ捨てる健太だが、磁力が思いの他強くすぐ体に戻ってくっついてしまうのだった。
(ちなみに健太は気づかず、見ていた女性に笑われるのだった)
あんな小さな金具まで吸い寄せるとは、凄い磁力だバンババン!♪

――と、その時、健太の体が突然空中に浮かび上がったかと思うと…何かに吸い寄せられた!
「マグマグー ヴィム様の邪魔はさせんぞ!」
それは、ライエルの手下・マグネットプラスだった!そして上半身と下半身に分離する!

「お前の体は今、磁石だ!オレの体も磁石、磁石同士は引き合って―― こうなるのさ マグーッ!」
「ぐああ!体が裂ける!!」

分離したマグネットプラスは空中で健太の体を引き裂こうと磁力で苦しめる!    <続く>

24粗筋!ウイングマン!:2009/11/14(土) 19:50:49 ID:???
次回更新は16日です

25名無しさん:2009/11/14(土) 23:06:16 ID:???
キータクラー、助けるのはいいがせめて他の着ぐるみ選べよ!
似たような着ぐるみじゃ正体バレバレだぞwww

>ウイングマンはアホだからバレなかったのかしら!?」
不良どもが関係してるとはいえ、アホだったのはお前だったな、ヴィム…

>あんな小さな金具まで吸い寄せるとは、凄い磁力だバンババン!♪
あらすじさん、鋼鉄ジーグ自重ww

26名無しさん:2009/11/15(日) 00:49:38 ID:???
>金を受け取った男共は、今度は「金はたっぷりあるから」とヴィムをナンパし始める
お前、その金はたった今ヴィムにもらったばかりの金だろうw

・・・って、奴らはどうやって日本の金を用意したんだ?
マネープラスとかそういうのがいるのだろうか?

27粗筋!ウイングマン!:2009/11/16(月) 19:59:18 ID:???
第87話――【女ぎらいの巻】


磁力人間になった健太は、刺客・マグネットプラスに引き寄せられ、体を引き裂かれようとしていた!
空中で苦痛にうめく健太!健太の異常に地上で叫ぶアオイ達。

「いつまで耐えられるかな?ウイングマン! このままだとお前の体は引きちぎられるぞ!
 お前も知っているだろう、N極とS極が引き合うという磁石の原理を
 オレが磁力のパワーを上げれば、お前の体は真ん中から真っ二つだ!」

「フッ そ… その程度の芸しかできないのか!
 こんな攻撃じゃ正義の味方は音を上げないぞ、磁石プラスさん!」
「磁石プラスだぁ?そんなダサい名前じゃないぞ!
 マイ ネーム イズ マグネットプラス! そんな強がり等言えないようにしてやる!」
マグネットプラスは磁力を強め、健太の体をますます引き裂こうとする! 健太、大ピンチ!



――その頃。
喫茶店ではひたすらモグモグとチョコ(ヴィムの磁力チョコ)を食う真次(バルド)がいた。
ウェイトレスにコップを差し出し水を頼む真次。
黙々とチョコを平らげる真次を布沢はただ黙って見ていた。

。oO(うっすら涙なんか浮かべちゃって… 必死なふりしてるけど、どーせこれも演技なんだから
  ――さぁ、まだまだ残ってるわよ まだまだ残ってるけど…
  小さいの食べ終わったら、許してあげようかなぁ…)

水を飲み干し、磁力チョコを食べ終わった真次は作り笑いを浮かべる。
「さ、次は大きいのだ(くそ〜〜 早く止めろ!)」
――その笑顔に心打たれた布沢だが、突如真次が苦しみ始めた!
「く 苦しい… ぐあああ!!」
真次は悲鳴をあげ、窓ガラスをぶち破って空中へ飛んでいった!

28粗筋!ウイングマン!:2009/11/16(月) 19:59:39 ID:???
…後に残されたのは、呆然となった布沢やウェイトレス。
。oO(あたしのせいだ、あたしが他人の言う事を真に受けて
  真次さんをうたぐって、チョコなんかいっぱい食べさせたから…)
「ゴメンなさーい真次さん! あたしがチョコを食べさせたばっかりに!」
泣き崩れる布沢だが、他の客は空を飛んでゆく真次を呆然と見つめながら思わずツッコむ。
「――チョコを食べたからって、飛んでっちゃったりしないと思うけどねぇ…」(;゚д゚)


『うあああ! 一体どうなんてんだぁ!』
悲鳴を上げつつ空中を飛ぶ真次。――読者はすでに感づいているだろうが、真次は訳が分からない!
そのうち背中からオフィスビルへ突っ込んでしまう。

――同時刻、今にも体を引き裂かれんとする健太!
「そらそら、どうだ!身動きも出来まい!」
健太のピンチに見ているしか出来なかったアオイ達はもう場所を気にせず、変身して救出に向かう!

「マグマグー その前にこいつの体を引きちぎってやる、行くぞ!!」 健太、万事休す!

――と、その時、マグネットプラスの後ろから真次がビルのガラスを割って飛び込んできた!!
真次はそのままプラスの半身にぶつかり、おかげで磁気が一旦切れる!
「バ バルド将軍」
「マグネットプラス…!? これは一体…」
「バカめ、お前もヴィムのチョコを食べたな」
――そう、あれだけ磁力チョコを食べたものだから真次もここに引き寄せられたのだ!
味方の作戦に引っかかるとはなんたる失態!
真次は味方同士くっついていても仕方ないのでプラスに磁力を止めるように命じる。

プラスが磁力を止めたおかげで、ようやく健太は自由になった!
「逃がさん!合体!!」
「チェイング!!」
合体に巻き込まれず、間一髪で変身したウイングマン!

29粗筋!ウイングマン!:2009/11/16(月) 19:59:55 ID:???
…ふと、マグネットプラスは合体の際、何かを挟み込んでしまった事に気づく。
「ウ こ これは もしかすると…」
――そう、健太にしつこくくっついてたブラジャーだった!!
…まずい!これまでのプラス戦からすると、こいつも強化するのか!?

「うあー! オ レ は 女 ア レ ル ギ ー な ん だ ぁ !! 」

…と思いきや、なんと意外にも女が弱点だったマグネットプラス!弱点、早くも発覚!
「おのれ、ウイングマン! 今日は殺ってやる!!」
真次もバルドの正体を現し、ウイングマンに斬りかかる!

ウイングマン達が戦っている屋上にアオイ達も到着する。
「ブラジャーを取ってくれー! 苦しい〜〜!!」
弱ったマグネットプラスはつい弱点を叫んでしまい、アオイ達に聞かれてしまう。
「何、こいつ コウモリやスノーと違って女ぎらいなの!?」
「ギャ、女だ!」
「ようし、そういう奴にはこういう戦法で…」
弱点発覚した途端に強気になったアオイ達は――

「ツンツンこうげきぃ〜っ」 『ギャ―――― なんて事を!!!!』
「はいはい、逃げちゃダメよー」  『ゲェ!!』

アオイはおっぱいで、桃子はおしりでツンツンとプラスを攻める!   プラス、俺と変われ!!
「美紅ちゃんも何かしてあげなよ」
桃子の誘いに、美紅は…どんな攻撃をするのかなッ!? ( ゚ω゚)-3-3 フンス フンス
 
「え、じゃあ…        ――手を握っちゃう」
『うげー! それだけでもだめなんだぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!』

…美紅、恥しそうに手を握るだけですたorz それでもプラスには大ダメージのようですが(´・ω・`)
あえなくダウンするマグネットプラスに呆れるアオイ達と冷やかすウイングマン。

30粗筋!ウイングマン!:2009/11/16(月) 20:00:13 ID:???
「き き き きさま〜〜〜! オレの一番気にしている事を! もう許さん!!
 お前が発する磁力は鉄を吸い付けるだけと思ったら大間違いだぞ!
 このコントローラーで… あらゆる物を吸い付ける事ができるんだ! 例えば――――」
「おい! オレも今は磁力人間なんだから変な事するなよ! とばっちりをくらうんだろ!」

バルドの叫びもお構いなしに、プラスはコントローラーを取り出し、
デフォルト設定の『鉄』から『女』に切り替えると…
 桃「あら」  ア「え」  美「きゃっ」

――なんとアオイと桃子がウイングマンに、美紅がバルドに吸い寄せられた!
 ウ「なっ なんだぁ!?」
 桃「あん」
 ア「キャア ケン坊」
 美「いやーん」
 バ「マグネットプラス、やめんか!!」
                       パニックになりつつある次号に続くッ!!!!!

31粗筋!ウイングマン!:2009/11/16(月) 20:01:15 ID:???
次回は17、明日更新です。その後奇数日に更新します。

32名無しさん:2009/11/16(月) 22:21:45 ID:3PoDLfdE
「磁石プラス」「マグネットプラス」よりは「マグネプラス」の方が語呂がいいと思うのはおれだけか。
それにしてもコウモリ、スノーがスケベでマグネが逆の女ぎらいとは意外だったな。
…なんかまたエロい話になりそうな気がする… ハァハァ

33名無しさん:2009/11/16(月) 22:45:35 ID:3PoDLfdE
普通に考えれば金属の剣や鎧が吸い寄せられそうだけどな。
(ジーグ化してなくても)
マグネットプラスは暴走しちゃって味方にまで危害加えてるし、
ライエル軍は安全装置をつけていないのか?w

34究極!あらすじ仮面:2009/11/17(火) 18:02:34 ID:???
<祝・10巻発売! ―作者コメント―>
えー、みなさん、今回はアオイと美紅が挨拶するそーです。では、どうぞ。
みなさん、お久しぶりです、小川美紅です。お元気でしたか?みなさんとお別れして
随分たちましたが、またこうして会えて嬉しいです。
ハーイ、アオイよ。みんなから色々お手紙もらったけど、わたしは元気!
あ、そうそう、第6巻にも出てた戸鳴さん、元気かなぁ。


【単行本中表紙】
 ・……↑という事で、元気そうにクソガキと一緒に笑顔な戸鳴さん

【巻末付録・ポドリムス通信】
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091117175635.jpg


第89話――【女!女!女!の巻】


マグネットプラスの特性は鉄を吸い付けるだけではなかった!
なんと、コントローラーで設定を変えれば、女を吸い寄せる事も可能だったのだ。
…という事で、ウイングマンに吸い寄せられたアオイと桃子、バルドに吸い寄せられた美紅だった!
 ア「何とかしてよケン坊!」
 ウ「何とかったってぇ!」
 バ「マグネットプラス!オレまで巻き込むな!」
敵味方入り乱れて、悲鳴と怒号が飛び交う中―――― 突然美紅が悲鳴を上げた!
「きゃああ!変な所触らないで!」
「こらバルド!何してんだ!!」
「な 何もしとらんぞ!」
思わず反射的に答えてしまうバルド。しかも赤面状態!
「どうだ、キサマだって女とひっつけば恥しいだろうが!え?ウイングマン!」
そう言うとマグネットプラスは磁力を強化し始める!

35粗筋!ウイングマン!:2009/11/17(火) 18:03:02 ID:???
――同時刻、ウイングマン達が戦っているビルの下では野次馬が騒いでいた。
「上に上がっていった奴ら、どうなったんだろうか」
「一体なんだったのかしら」
「…ねぇ、なんか変な感じしない?  ――キャッ!?」
突如下にいた女性達が一斉に屋上へと吸い寄せられてゆく!パンチラの嵐ッ!!
…その効果はビルの下だけでなく、離れた所からもどんどん女性が吸い寄せられ――屋上に集まる!
屋上に集まった女性たちは、次々とウイングマンとバルドの周りへくっついてゆく!

「し 刺激が強すぎる…」
「マ マグネットプラス… や や やめ やめなくていいぞ」

逆さまになった女性の股間(!)から顔を出して真っ赤なウイングマン、
対照的におっぱいの群れに押しつぶされ、鼻の下を伸ばすバルド… いや、エロド将軍でしたw
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091117175701.jpg
「キャー! どこさわってんのよ!」
「え!? す、すいません 悪気はありませんから!」
「キャーやめて! そこは…!」
「え!? え!? オレ何もしてないよ!」
手を動かして思わずおっぱいを触ってしまったウイングマンだが、今度は別の所から悲鳴が上がる!

「どうだ、うれしいかすけべどもめ! あー汚らわしい!今度はこれだ!」

プラスはリモコンを操作すると、ウイングマン・バルドから女性が一斉に離れだす。
…エロド将軍はもう終わりかと少々残念そうですが。
プラスは巨大なパネルを取り出すと、磁力で2人をパネルに吸い寄せ…ビルから飛び降りた!
地上に降り立つと、パネルを拡大し大きなステージの様な物と化した。 …一体何をするつもりだ!?
「こら マグネットプラス、正気に戻れ!オレまで巻き込むな!」

「体をズタズタにしてやる! そぉりゃあ! 地獄の磁石版の上でキリキリ舞いするがいい!!」

36粗筋!ウイングマン!:2009/11/17(火) 18:03:24 ID:???
プラスは板の下に潜り込み、磁石の腕を振り回す!
『うおお!』
すると板の上の2人の体が回転し――――ブレイクダンスやムーンウォークをしてしまう!
事情を知らない野次馬はプロ並のブレイクダンスショーとカン違いしてしまっている!
「うおおおおお!」
「つりゃああああ!」
――ピタッ
…ダンス終了!ウイングマンとバルド、2人シンクロでポーズを取り仲良くフィニッシュ!
あちこちから野次馬の歓声が巻き起こり、にこやかに手を振って答えるバルド、
投げキッスを送りまくるウイングマン、紳士的にうやうやしくおじぎするプラス! これ何の漫画だ!
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『おいおいおいおい!!何でオレまでブレイクダンスを踊んなきゃなんないんだ!目を覚ませプラス!』

「ハッ バルド将軍!
 すいません、女に触られたもんで気が動転してしまって… これはしまいます」
思わずノってしまったバルドの怒号に正気に返り、板をしまうマグネットプラス。
「うーむ 女性恐怖症をどうにかしないとな」
「将軍を巻き込んでしまいますから、基地に帰り磁気を取り払って下さい」
やむを得ずバルドは撤退し、静止の声を上げるウイングマン!
「待て!逃げるのか卑怯者!(敵が一人減って助かった…)」
…しかし、内心では敵が1人減った事を安堵していたのでした…。

――とはいえ、敵が減っても磁力が消えた訳ではない、これからが正念場だ!
プラスは磁力光線を発し、ウイングマンを吸い寄せようとする!
アオイ達はウイングマンに捕まって一緒に吸い寄せられれば奴がダメージを受けると判断し…
『肉弾ウイングガールズ砲』となり、ウイングマンにバズーカの様に抱えてもらう。重そうだ。
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…だが、世の中そううまくいかないもの。磁石は吸い寄せるだけでなく弾く力もあるのだ!
プラスは磁力光線を反転し、ウイングマン達をハネ飛ばしてしまう!
鉄柱からガラスへと、見えないロープで縛られたかのようにあちこちに振り回されるウイングマン!

37粗筋!ウイングマン!:2009/11/17(火) 18:04:52 ID:???
。oO(くそー 思ったよりバカじゃない… 手も足も出せないのか…?)
苦痛にうめくウイングマンにプラスが強烈な一撃を加えようとした時――

『待て!マグネットプラス、こっちを見るのだ!』

何者かの声に、プラスが後ろを振り向くと――エロい看板を持ったアンノウンが救援に現れた!
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エロい看板を直視してしまったプラスは大きく怯む!
「今だ、ウイングマン!敵は怯んでいるぞ!」
アンノウンは看板をウイングマンに投げ渡し、彼もこれを受け取る。
「キサマの手を借りるのはしゃくだが使わせてもらうぜ!」
「フッ 命を大事にしろ!」
アンノウンはそう言い残すと忽然と消えた。

「フン そんなもの、見なけりゃいいのさ」
エロ看板から目を背けるプラスだが…アオイ達に取り押さえられ、顔と両手を固定されてしまった!
「ダメよ、しっかり前を向いてなきゃ」
『き きさまら〜! ギャァァァやめてくれ!! もうダメだ!!』
ロボットのくせに青ざめるスノープラス!

「マグネットプラス、年貢の納め時だ! 覚悟!」

看板を盾のように構え、バリアレイバーを抜き反撃開始に出るウイングマンだった!  <続く>

38粗筋!ウイングマン!:2009/11/18(水) 06:31:20 ID:???
>>815
勢い余って間違えました… 失礼orz

39名無しさん:2009/11/18(水) 19:38:50 ID:???
それだけあらすじ氏にはスノープラスが神格化されてたんだろうwww

最後のアンノウン、中身がキータクラーだとしたら一体どんな表情してるんだろうな?
鼻の下を伸ばすとかそういうのはイメージが壊れるのでやめて欲しいところw

40名無しさん:2009/11/18(水) 20:40:26 ID:???
>>814
おれはこのままでもいいと思うけどな。
どうせ最終戦はリメルみたいにほぼシリアスな展開になるんだろうし。

ライエル編の最初に明確な死者が出たが、現在の所明確な死者は出てないし、
テコ入れのまたテコ入れになってるんじゃないかな?

41名無しさん:2009/11/18(水) 20:57:41 ID:???
>ウイングマンにバズーカの様に抱えてもらう。重そうだ。

アオイ達「失礼ね!わたしはそんなに重くないわよ!」
           _, ,_ パーン
.パーン_, ,_ ( ゚д゚ )  _, ,_パーン
 ( ‘д‘) U☆ミ (・д・ )
   ⊂彡☆))Д´(☆ミ⊃
. パーン, ,∩彡>> ミ∩,パーン
.   (   ) ウワァァァン!!(

↑女性達に叩かれるあらすじ氏w

42名無しさん:2009/11/18(水) 23:53:13 ID:???
あれはあらすじさんの書くとおり、
バルドの双子の兄弟エロドだからスケベでノリやすいんだよ、きっと!
確かにあのブレイクダンスシーンはワラタがwwww

43粗筋!ウイングマン!:2009/11/19(木) 20:42:00 ID:???
第90話――【吸いつけたのは なんだ!?の巻】


アンノウンが持って来たエロ看板で形勢逆転となったウイングマン!
看板を盾のように構え、バリアレイバーを抜き放ち反撃開始!
「チクショー!頭はもうろうとする、足はすくむ!体は震える!瞬きできないこの目が恨めしい!」
…顔を背けたくても、顔と両手をアオイ達に押さえられたマグネットプラスはどうする事もできない!

「ヌードの看板でトドメを刺すなんて夢にも思わなかったよ!」

トドメの一撃を斬りかかるウイングマン!   ――だったのだが、何者かに吹き飛ばされた!?
「あ あのマグネットプラスのどこにこんな力が残ってたんだ!?」
その答えは――

「下半身のSマグネ様だ!」

「分離したのだよ、フフフ」
――分離は前々回していたが、まさか人格まで持っていたとは!
Sマグネは細い両手と頭を出し、一応の人間型となる。

「オレが胴体の生命回路をオンにすると、1個の生命体『Sマグネ』の誕生だ…
 しかし、これだけは使いたくなかった
 ――そいつは野蛮で 女 好 き ときている、今まで一つの体でいたと思うと吐き気がする」

「Nマグネよ、お前ウイングマンやれ、オレ女やる!」
「こ こういう時は助かるがな」
――SマグネはNマグネを押さえていたアオイに絡みつき、美紅と桃子のスカートをめくる!
…何やらエロい展開になりつつある今回の話!きっと男性読者を喜ばしてくれるに違いないッ!
さぁ、諸君!正座してSマグネ先生の活躍をご拝見しようでわないか! ( ゚ω゚)-3-3 フンス フンス

Nマグネは胴体から細い足を出し、こちらもとりあえずの人間型となりウイングマンへ襲い掛かる!
「男相手なら容赦しないぞ!」

44粗筋!ウイングマン!:2009/11/19(木) 20:42:17 ID:???
『こらー!ケンカをやめんか!』
――その時、運悪く騒ぎを聞きつけた警官が現れる!
「警官だわ!」
アオイは驚いて警官の方を振り向くと――

「ボーっとしてるとパンツを下ろしちゃうぞ、マグ――」
『 ! 』

Sマグネ先生はこともあろうか、警官の目の前でアオイのパンツを ず り さ げ た !
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…素早くパンツを元に戻すが時すでに遅し!
読者からはアオイのかわいいおしりが、警官はアソコを直視し鼻血を出して気絶してしまう!
美紅も桃子も思わず口に手を当てて固まり、Nマグネは震えだし、ウイングマンもこれを見ていた…
…そして泡を吹いて気絶するNマグネ、目を丸くしてへたり込むウイングマン。
「ナンチャッテね」
――おどけるSマグネ先生だが、アオイにとってはナンチャッテで済む問題ではない!
恥しさと怒りで真っ赤になってSマグネ先生に鉄拳制裁の嵐を見舞うアオイ!
…が、よく見るといつの間にかSマグネ先生はコード状の両手をアオイに絡めて倒れこんでいた。
「これは どーいう事なの?」
「自然のなりゆきです ハハハ」
美紅と桃子も腕組みしたまま倒れたSマグネ先生を睨み――――
『 女 性 の 敵 !! 』
トリプル鉄拳制裁を喰らってぶっとばされるのでした。

ふっとばされたSマグネ先生はNマグネに受け止められる。
「お前はその性格、どうにかならないのか」
「お前に言われる筋合いは無い!」
「生命回路を切るぞ」
「それだけはカンニンしてぇな」
ウイングマン達を放置し、Nマグネに土下座するSマグネ先生。この様子にアオイ達は呆れてしまう。

「急に関西弁なんか使いやがって… ふたりして漫才してんじゃね――――!!」

45粗筋!ウイングマン!:2009/11/19(木) 20:42:32 ID:???
このやり取りにウイングマンの文字通り、切れ味鋭いツッコミ(バリアレイバー)が入る!
だが、すかさずNマグネはリモコン操作でウイングマンに男性を吸い寄せさせ動きを封じた!
「よーしオレもだ、リモコンを使って…」
何やらよからぬ事(読者にとっては嬉しい事)を企むSマグネ先生!
嫌な予感がしたアオイ達は防御策に出る。

「みんな、あれいくわよ! ガーディングポイント!」

――美紅と桃子はアオイの発するディメンションパワーで包まれた  …が、見た目は変化が無い?
Sマグネ先生はおもむろにリモコンを操作し―――― 女 性 の 衣 類 を吸い寄せた!
「そんな事だろうと思ったわ!」
すさまじい磁力で服を引っ張られはじめるアオイ達!
…いや、それだけじゃない、どこからともなく無数の女性の服がSマグネ先生に吸い寄せられる!
恐らくこれらは屋上の女性達の服だろう。

「さぁ、次はきさまらだ!」

Sマグネ先生はアオイ達に磁力を集中させ、戦闘服を脱がしにかかる! いいぞもっとやって下さい!
必死に耐えるアオイ達だが、抵抗むなしくついに服を破かれヌードとなってしまう!
…思わず顔を覆うウイングマン、鼻の下を伸ばしてアオイ達を見る店員。ちなみにNマグネは…
「あいつめ、またやらしい事しやがったな オレは見ないぞ、体に毒だ」
…目を覆って背中をそむけていた。

「どうだ、服が脱げたぞ!どんな小細工をしてもオレの磁力にかなうものはないのだ……あ あり?」

「フフフ いばるのは早いんじゃない? これがガーディングポイントよ
 服が脱げると同時に、このビキニが体を覆う仕組みになっているのよ!」
「コウモリプラス、スノープラスとの戦いで考えられた安全策よ、ちょっと恥しいカッコだけど」
――よく見るとアオイ達はヌードにならず、普段のアオイよりもきわどいビキニ姿になっていた!

「くそ!卑怯だぞ、服の下に服を着てるなんて!」
「頭がいいって言って!」

46粗筋!ウイングマン!:2009/11/19(木) 20:42:48 ID:???
悔しがってコード状の腕を伸ばしてアオイに襲い掛かるSマグネ先生!
しかしアオイは腕をつかむと2階に飛び乗り、腕を手すりに結びつけSマグネ先生の動きを封じる。
「Sマグネ、今助けるぞ!」
Nマグネは救出に向かうが、桃子はとっさに誰かのパンティをつかみNマグネの頭に被せる!
「ギャアア 何だこれは!」
Nマグネが苦しみもがく隙を見て、ウイングマンはクロムロープでリモコンを叩き落し破壊する!
リモコンが破壊されると同時にウイングマンの体から警官達が離れる。

「よし!」
ウイングマンは大きく飛び上がるとソーラーガーダーを身にまとい、反撃へと転じる!
蹴りをSマグネ先生の顔にお見舞いし、服を破かれる心配がなくなった美紅達は元の姿へ戻る。
「さぁ、ヒートショックでトドメをさしてやる!」
「へ、そいつを待ってたぜ!」
なんとSマグネ先生の脇からもう1本、コード状の腕が生えた!

「Nマグネのリモコンは壊れたが、オレのリモコンは健在なんだぜ 面白い物を吸いつけてやるぜ」

不気味に笑いながらリモコンを操作するSマグネ先生。今度は何を吸い付けるというのか!?
――直後、ウイングマンの体からソーラーガーダーが分離し――

「ワァハハハ 武器を吸い付けたのさ!」

「ガ ガーダーが!?」
なんとソーラーガーダーがSマグネ先生の体に装着されてしまった!    <続く>

47名無しさん:2009/11/19(木) 22:17:08 ID:???
あらすじさん、スノープラス編に続いてまた暴走しやがったwwww
おれもSマグネ先生と呼ぼうww
ささ、先生!あおいさんのパンティをおれにください!ww

48名無しさん:2009/11/19(木) 22:30:41 ID:???
>>827
>下半身に理性はないってホントだな
シティーハンターも合わせて読んでるから、この言葉の信憑性が高くなったw

もっこりちゃ〜ん!

49名無しさん:2009/11/19(木) 22:33:02 ID:???
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 Sマグネ!Sマグネ!
  (  ⊂彡   パンツさげ!パンツさげ!
   |   | 
   し ⌒J

50名無しさん:2009/11/19(木) 23:11:33 ID:???
新兵器のガーディングポイント、あおいさんのいつもの服と
露出度あまり大差ないのにHくさくかんじるのは私だけでせうか?w

ところで鼻血を出して倒れた警官、
やっぱりあおいさん、ポドリムス人とはいえアソコも三次元人そっくりなのだろうか? ハァハァ

51粗筋!ウイングマン!:2009/11/20(金) 00:18:01 ID:???
>>835
×「ボーっとしてるとパンツを下ろしちゃうぞ、マグ――」
○「ボーッとしてるとパンツをおろしちまうぞマグ――」

Σ(;´Д`)間違えた…!
Sマグネ先生とそのファンの方々に肉弾ガールズ砲くらってお詫びしてきます

52名無しさん:2009/11/20(金) 00:24:20 ID:???
>>834
で、当然キミはそのパンツずりさげられた女子の前にいたという事だな!

53名無しさん:2009/11/20(金) 20:00:04 ID:???
>思わず反射的に答えてしまうバルド。しかも赤面状態!
マジでバルドとエロドの双子入れ替わり説を推したくなって来たw
いつものバルドだったら、健太のガールフレンド美紅がくっついた時点で人質にしそうなもんだがw

>Sマグネ先生はこともあろうか、警官の目の前でアオイのパンツを ず り さ げ た !
  ∧_∧
 ( ・∀・)先生、お見事であります!
 ( ∪ ∪
 と__)__)
↑言われたとおり正座して拝見中

…ところでNマグネの足、細いからヘシ折れば動きを封じれると思うがどうだろか?


ラスト、まさかソーラーガーダーが奪われるとは思わなかった…!
どうすんだ、自分の攻撃ほとんど通用しなくなりそうだぞ!?

54名無しさん:2009/11/20(金) 20:01:37 ID:???
>>841
あおいさんの下乳ってどのコマの事かkwsk!(立ち読み派なもんで)

あと「なぜガーディングポイントは脱げないのか」というのは…
きっとあれは ボ デ ィ ペ イ ン トなんだよ!! 
もしくは強力なシール!

>>842
おっと、キサマの相手はコイツだ! つ【男磁石】

55名無しさん:2009/11/21(土) 00:48:06 ID:???
>>847
「あの服は屋上の女の子たちの服だわ!」って言ってる下のコマの事かな?
言われてみれば確かにエロいな!さらにパンツまで引っ張られてるし!はぁはぁ

56粗筋!ウイングマン!:2009/11/21(土) 19:50:36 ID:???
第91話――【くるった磁石の巻】


Sマグネの策略でソーラーガーダーを奪われ、劣勢に立たされるウイングマン!
「きさまの持つ武器は全てオレが吸いつけたぞ!」
「きさまらはホントに節操の無い磁石だな!」
「節操が無いのではなく、どんな物でも吸い付ける万能磁石なんだよ」
ヒートレイバーを装備し、アオイに手すりに結ばれた左手を切断し自由になるSマグネ。
「チッ、チャチな武器だが使ってやるぜ!」

「トドメをさしやすいようにしてやるぞ、Sマグネ」
Nマグネはウイングマンの背後に回り込もうとすると、2階からアオイ達が飛び降り壁となってくれた!
『ガールズシールド!』
勢いがついて止まれなかったNマグネはアオイにぶつかりハネ返される!
「い 今の感触は…」
――実はアオイのおっぱいに顔をうずめて(ぶつけて)いたNマグネは苦しみ悶えだす!
Nマグネの事を心配するSマグネだが、その隙にウイングル・クラッシュを仕掛けるウイングマン!
――だが、ガーダーには通じず逆にハネ飛ばされてしまった!
「どうしたどうした! ハハハハ!」
ムキになってコンティニパンチを仕掛けるが、やはりこれもガーダーには通じない!

「くそ、これはどうだ! ヒートウォッシャー!!  ――くらえ!」  ブシャ――――ッ

ヒートウォッシャーの銃口から大量のお湯がSマグネに降りかかる!

…一瞬、間が空く。しばらくお待ち下さい。
「…これは一体どういう攻撃なんだ、オレを濡らして何が楽しい!」
「――しまった、ヒートウォッシャーは塩とお湯しか出せなかったんだ!!」
自分の武器設定をすっかり忘れていたウイングマン! アオイ達もあまりのアホさにスッ転ぶ! 

「おしまいだな、ウイングマンも! ――もらったぁ!」

57粗筋!ウイングマン!:2009/11/21(土) 19:50:51 ID:???
ヒートレイバーを振りかざし、ウイングマンへ襲い掛かるSマグネ!万事休す!
「ケン坊!」「広野くん!」「リーダー!」

「ど どうだ!昔のガーダーだってまだ使えるんだぜ!」

しかしウイングマンはとっさにガーダーをまとい、ヒートレイバーを防いでいた!
「う〜〜〜〜ん 味なマネを マグー! しかしそんな骨董品、いつまでもつかな!?」
Sマグネがヒートレイバーを何度も振るうと、みるみるうちにガーダーが破壊されてゆく!
――そしてついにガーダーは完全粉砕され、生身のウイングマンとなってしまった!
しかもその隙に、いつの間にか接近したNマグネに羽交い絞めにされてしまう!
「心臓を一突きだ!」
「待ちなさいSマグネ! ――キャー! 止まらない!!」
アオイ達がとっさにSマグネにしがみ付き止めようとするも、思いの外力が強く止められない!
「う 変身が解けた!」
――さらにまずい事にタイムリミットで変身が解けてしまう!健太大ピンチ!!


  ドカッ!
…しかし、恐怖のヒートレイバーは消え、Sマグネの攻撃はただのパンチになっていた!
「な なに! ガーダーが ソーラーガーダーが消えてる!」
――そう、タイムリミットとなり変身が解けたからガーダーも消えたのだ!間一髪!
悔しがるSマグネに羽交い絞めしていたNマグネを背負い投げで投げ飛ばす健太。
「私達も行くわよ! ガールズバックドロップ!!」
Sマグネをバックドロップで投げると、倒れていたNマグネの顔にアオイのおしりがぶち当たる!

『どうだ、大逆転!』

ふと、SマグネはNマグネが泡を吹いて気絶している事に気づく。
「またこいつのびてやがる! もうこうするしかないな
 ――女に強いオレが上になれば… あの小娘達など怖くはないぜ!」
Sマグネは頭と足を引っ込め、Nマグネの上に覆いかぶさり別形態のマグネットプラスとなった!

58粗筋!ウイングマン!:2009/11/21(土) 19:51:04 ID:???
戸惑う美紅だが、健太はいい考えがあるので3人に足止めを頼み自分は外へと駆け出した。
「待ちやがれ、どこに行く!」
「ほら、私たちが相手よ!」
「お前が相手か、そいつは嬉しい オレは女が大好きだからな!」
――プラスはコード状の腕で3人にまとめてからみつき、アオイのおっぱいをもみしだき、
美紅の顔を嘗め回し、桃子のパンツを脱がしておしりを触りまくるという暴挙に出た!(;´Д`)ハァハァ
「広野くん! 助けて――――!」


――と、その時!

「ピッ 本日は晴天なり ピッ な、なんだ ピッ 味噌汁はやっぱり白ミソじゃなくっちゃ
 ジス イズ ア ペンだ うう、どうしたんだ… 今日もいい天気だ」

自分の意思に反し、妙な事を口走り始めたマグネットプラス!
「どうしたのかしら」
突然の事にアオイ達はプラスから解放されたが、何が起こったのかさっぱりわからなかった。
「ウ ウイングマンめ 何をしたんだ ピッ 1+1=5… ピッ おー 頭が痛い…」
事態を把握する為に、プラスはヨロヨロとデパートの外へと出て行くと…
「な なんだこれは! ピッ」
――なんと鉄柱に電線が巻きつけられているではないか。

「電磁石だよ、お前を狂わす為のな 電線を一本失敬して、鉄の棒に巻きつけ電気を走らせたんだ」

声がした方向を見ると、両手に電線を繋いだソーラーガーダー姿のウイングマンがいた。
磁石は自分より強い磁力を受けると狂ってしまう…それを応用した戦法だった。さすが現役中学生!
「くそ 変な事を知ってやがるぜ!
 しかしこんな事をしていると、お前のエネルギーが無くなるんじゃないのか、え?」
「フフフ その点もちゃんと考えてあるよ
 電気に変わったソーラーエネルギーは右手から出て左手に戻ってくるから、
 エネルギーは減らないんだよーだ」
――手が出せなくなったプラスはもはや逃げるしかないと判断、背を見せてフラフラと飛び上がる。

59粗筋!ウイングマン!:2009/11/21(土) 19:51:18 ID:???
「よし今だ!」
チャンスとみたウイングマンは胸を開き、マグネットプラス目掛けデスボールを発射する!
「し しまった!」
デスボールは見事プラスに命中、その動きを完全に封じ込めた!
ヒートレイバーを構え上空へ飛び上がるウイングマン!

「最後に言う事は無いか!  ――ヒートショック!!」
「ア アオイのおっぱいを思いっきり触りたい… 『だめ!』 ギャ ア ア ア ア!!」
アオイの台詞の直後、爆散するマグネットプラス!


――戦いは終わったが…
『ねぇ、私達の服はどうなったのよ!』
「え?  ――ん」
背後から聞こえてきた叫びに振り向くウイングマン。
そこには――――マグネットプラスに服を脱がされた、女の子達が座りこんでいた!  ヌドドド
ヘルメット越しに鼻血を噴出し気絶するウイングマン。やれやれだね☆
「あらあら」
「はーい、服でーす」
呆れるアオイをよそに、ご丁寧に服を畳んで持ってきてくれた桃子。
「ケン坊ももう少し女の子に強くなんなくっちゃね ね、美紅ちゃん キスもできないもんね」
「え 何言ってるのよ、あおいさん」
意地悪く笑いながら美紅に小声で話しかけるアオイでした。



――その頃…
「これはマグネットプラスの頭…!」
路上で破壊されたプラスの破片を見つけたヴィムは怒りと悔しさでチョコの箱を握り潰してしまう。

新しいチョコを開発し、今度こそウイングマンを倒せると確信し意気揚々とやってきたヴィムだが…
全てが失敗に終わった事を知り、その肩はワナワナと泣いていたとさ………

60名無しさん:2009/11/21(土) 23:51:36 ID:???
ヒートウォッシャー取り出したから改良でもしてあるのかと思ったら…w
自分で設定忘れんなよとww

懐かしいガーダー登場と思ったら、あっさり破壊されたな。
やっぱり先生はガーダー描くのがめんどくさいんだな…。
Sマグネ先生の暴挙、ついに極まったなw

61名無しさん:2009/11/22(日) 00:04:33 ID:???
:::::::::::::::::::::::::::::::::。::::::...... ...   --─-  ::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::...... ....:::::::゜::::::::::..   (___ )(___ ) ::::←Sマグネ先生::
:. .:::::。:::........ . .::::::::::::::::: _ i/ = =ヽi :::::::::::::。::::::::::
:::: :::::::::.....:☆彡::::   //[||    」  ||]  ::::::::::゜:::::::::: ...:: :
 :::::::::::::::::: . . . ..: :::: / ヘ | |  ____,ヽ | | :::::::::::.... .... .. .
::::::...゜ . .:::::::::  /ヽ ノ    ヽ__/  ....... . .::::::::::::........ .
:.... .... .. .     く  /     三三三∠⌒>:.... .... .. .:.... .... ..
:.... . ∧∧   ∧∧  .... .... .. .:.... .... ..... .... .. .
... ..:(   )ゝ (   )ゝ最後まで読者サービスをありがとう、…… ..........
....  i⌒ /   i⌒ / .. .....Sマグネ先大先生!…....... .. . ...
..   三  |   三  |  ... ......あなたの勇気をぼくらは忘れない!. .....
...  ∪ ∪   ∪ ∪ ............. ............. ..(あらすじ&読者一同)
  三三  三三  三三   三三
 三三  三三  三三   三三

62名無しさん:2009/11/22(日) 13:34:59 ID:???
体色が変わって残り時間知らせるのはいいんだが、疑問に思うのが
・自分で体の色見えるのか?
・戦闘状況にもよるが、体色を確認する余裕があるのか?
・赤(残り3分)になってから、具体的な残り時間がわかりにくい

…まぁ、デルタエンドの時に書くべきだったんだけど…

63名無しさん:2009/11/22(日) 18:12:35 ID:???
>>864
王子、さっさと福本くんの姿に戻ってください!

64名無しさん:2009/11/23(月) 10:20:49 ID:???
ホウ子・ハタ夫…そういえばそんなキャラもいたなぁw

65粗筋!ウイングマン!:2009/11/23(月) 17:31:47 ID:???
週刊少年ジャンプ昭和58(1983)年5・6合併号にて「ウイングマン」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者がドリムノートの力を使う事で1日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
時々ヒーローの夢を失い、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は週刊少年ジャンプ昭和61(1985)年17号の発売日だ。
なお、あらすじ書き込み中に割り込んだ奴、及び 未来からの侵略者は
必殺技のヒートショックを食らうので注意だ!

『君達!2ちゃんねるで僕と握手!』

連載中スレの楽屋裏 第29幕
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1258156090/
前スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1253706672/

※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

66名無しさん:2009/11/23(月) 17:54:26 ID:???
第92話――【喰べられた夢の巻】


――要塞艦デストレス
キータクラーからウイングマンは夢から生まれた事、ドリムノートの事を聞いたライエル達。

「という事は、ウイングマンのエネルギー源は『夢』って訳ね」
「フフフ そういう事だ、その点を考えて作戦を立てたらどうだ!」

相変わらずキータクラーを信用していないバルドだったが、ヴィムはその線で作戦を考える。
「バクプラスがいいわ、あいつならこの作戦にふさわしい」
「ヴィ ヴィム! そんな奴の言う事を信じるのか! それにバクプラスと言ったら…!」
「バクプラスと言ったら扱いが難しいんでしょ、わかってるわ」
「あんなのを引き連れて出撃するのはいやだぞ、オレは!」
――と言う事で、今回、バルドは出番少な目となり、変わりにヴィムが指揮を取る事になった。
「バクプラスは夢を食べて生きてるのよ、
 ウイングマンのエネルギー源である夢をね、広野健太からウイングマンの夢を食べたら…
 面白い事になるわよ」


一方、健太達はもうすぐ高校受験だった。志望校も決まり、あとはひたすら勉強するのみ!
「ところでさぁ、ケン坊 美紅ちゃんと同じ高校行けるの?」
健太の部屋にちゃっかりお邪魔し、ベッドの上で飛び跳ねているアオイ。
「あおいさんの仲額高は入れるんだけど、美紅ちゃんの志望する夕島高にはちょっと危ないんだよね」
「あらま」
――ふと、健太はアオイが飛び跳ねていたせいでスカートがめくれ、パンチラしているのに気づく。
「ミ ミニスカートで暴れるなよなぁ」
「あ やーだ! ケン坊ったらどこ見てんのよ!美紅ちゃんに言いつけるよ!」
真っ赤になって慌ててスカートを押さえるアオイだが、健太は余裕綽々だった。
「へへーんだ、どーぞ
 近頃美紅ちゃん、物分りがすっごくいいから、ちゃんと話せば許してくれるも〜〜〜〜ん」

67名無しさん:2009/11/23(月) 17:54:46 ID:???
真面目な話に戻ろう。アオイは健太に無理せず安全な仲額高に来ないか誘ってみる。
「いやん! やっぱり美紅ちゃんと一緒の高校行くの」  …心なしかオカマっぽい口調な健太。
後で美紅が来るので、アオイに勉強を教えてもらうのはそれまででいいと言う健太。
。oO(あーあ ケン坊の頭にあわせて仲額高に入ったのにィ なのにケン坊はさ… フン)



――翌日、3-Aで久々に登場の松岡先生と面談中の美紅。
「相談があるからって聞いてみれば… どういう事なの、仲額高に行きたいだなんて
 第二志望のすべり止めの高校じゃない
 あなたの実力なら、国立の夕島高でバッチリなのよ、お母さんも夕島高を志望してたし…」
「…でも、私… 広野くんと一緒の高校が… やっぱり… いいから…」
「あ〜ん まったくもう、そんな事で高校を決めちゃダメよ
 せっかくいい高校に行ける実力持ってるんだから…」
「…はい」


帰り道、美紅は悩んでいた。一緒に夕島高に行きたい以上、健太に勉強頑張ってもらうしかない…。
…そんな事を考えながら、健太の家に着いた。
「あーら 小川さん、健太なら2階よ あがって」
健太の母に挨拶を済まし、階段を上って健太の部屋の前につくとドアがわずかに開いていた。
そっと中の様子を覗きこむ美紅。

「だってさー ちょっと間違えただけだろー」
「だってもへったくれもない! なんでこんな簡単な問題が出来ないの!」 ポカ
健太をヘッドロックして殴るアオイ。
「いてて… あおいさん、ムネが当たるよ、ムネが」
「キャッ 勉強中に変な事考えるなー」

――とても2人の間に入り込めない。そう判断した美紅はそっと健太の家をあとにした。
。oO(広野くん―― ちゃんとあおいさんに教えてもらってね、夕島高に入れるように…)
玄関先から健太の部屋を見上げ、そっと祈って立ち去る美紅でした。

68名無しさん:2009/11/23(月) 17:54:59 ID:???
「美紅ちゃん遅いなー」
…すでに美紅が来ていた事も知らず、思わず呟く健太。
「ねぇ、ケン坊… 夕島高は諦めて、仲額高においでよ  ――ね?」
頬を赤らめ、大好きな人を誘うアオイ。 ――しばし、2人は赤くなったまま見つめあう…
「冗談だってば、冗談! 何真剣な顔してんの、バカねー」
「だってー あおいさんの方だよ、マジな顔してたの」
「何言ってんのよ アハハハハ!」  ――笑ってごまかすアオイでした。



――その夜、バクプラスに乗って夜空を飛び回るヴィムがいた。
夜空にはバクプラスの特殊能力なのか、目に見える形で人々の『夢』が無数に浮かんでいた。
「よし、バクプラス 次はこの辺の人間の夢を食べろ」
ヴィムの指示にバクプラスは口から電撃を放つと、周囲の民家から次々と『夢』が飛び出してくる。
飛び出してきた夢は、受験シーズンの為高校や大学に合格する夢が多い。
バクプラスはそれらの夢を食べてどんどん大きくなってゆく…。
ヴィムはバクプラスをコントロール可能な大きさに維持できるよう、注意深く夢を食べさせてゆく。
「目標は広野健太の家だ!」



――健太の家。
夜も遅いと言うのに、健太はまだ寝付けなかった。ヒーローでもやはり受験の事が不安なのだろう。
「夕島高かぁ… 自信がないなぁ…
 まさか美紅ちゃんが仲額高なんかに入るって言う訳ないし…
 やっぱりオレが夕島高に入れるよう、ガンバルしかないのか…」
…不安になってきた健太は、気持ちを切り替えようと美紅との楽しい高校生活を思い浮かべてみる。
ところが… 思い描いたのは、 ア オ イ の 笑 顔 だった。
「!? な なんだ、何であおいさんの顔が浮かんでくるんだ!? …よし、もう一度…」
――しかし、やはり頭に浮かんでくるのはアオイとの楽しかった日々。
美紅よりもアオイが大事なのか?思わず上体を起こして自問自答する健太。

69名無しさん:2009/11/23(月) 17:55:14 ID:???
同時刻、健太の家の上空にはバクプラスasヴィムがいた。
ヴィムが命令するとバクプラスは電撃放射し、健太の体から無数の大きな『夢』が飛び出してくる!

「う、なんて大きな夢なんだ これでは食べきれない!
 ――仕方ない、とりあえず『合格』の夢は残しておいて、ヒーローの夢
 ウイングマンの夢を食べてしまえ!
 夢から生まれたウイングマンだ、その夢を食べてしまえばウイングマンはこの世からなくなる!
 広野健太はただのデクの棒となるのだ!!」

バクプラスは命令に従い、無数の特撮ヒーローに包まれた、ウイングマンの大きな夢を食べ始めた!
                                    <続く>

70テンプレ訂正:2009/11/23(月) 19:34:21 ID:???
週刊少年ジャンプ昭和58(1983)年5・6合併号にて「ウイングマン」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者がドリムノートの力を使う事で1日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
時々ヒーローの夢を失い、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は週刊少年ジャンプ昭和61(1985)年17号の発売日だ。
なお、あらすじ書き込み中に割り込んだ奴、及び 未来からの侵略者は
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前スレ
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※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、ウイングマンは単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(「正義の味方・A」とか「正義の味方・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレを利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】ウイングマン連載中 ドリムノート2冊目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1257942756/

71名無しさん:2009/11/23(月) 23:52:54 ID:???
>>876
神谷姉弟ももう去年の話か… ホント月日が流れるのは早いな。

健太たちもついに受験生か。やっぱ中学卒業と同時に最終回かな?

72名無しさん:2009/11/23(月) 23:58:05 ID:???
>>875
>エロ怪人ではないのかな
コウモリ、スノー、S先生と続いて毎回エロの度合いが高くなってるから、
今回はバクプラスではなく意表をついてヴィムがエロい目に合わされると予想!
だってわざわざヴィムが出撃するのが思わせぶりだし。

73名無しさん:2009/11/25(水) 20:11:06 ID:???
>>887
健太の部屋にロボットアニメの超合金が飾られてるし、
アニメヒーロー(ロボット物)も特撮ヒーローも両方好きなんだろう。
ただ、「変身アニメヒーロー」の数がまだ少ないだけで。

74名無しさん:2009/11/25(水) 21:30:39 ID:???
第93話――【どういうこと?の巻】


ウイングマンは夢から生まれた戦士――
その事を聞いたヴィムは、夢を食うバクプラスを駆り、健太のヒーローの夢をバクプラスに食わせる!
――だが、健太のヒーローの夢はとてつもなく大きかった。
「なんて大きな夢なんだ、ウイングマン一人の夢でバクプラスがもうこんなに大きくなってしまった」
…ふとプラスの目を見ると赤く光っている!これ以上食べさせるとコントロール不可になってしまう!
バクプラスが暴走すると、地球を破壊し美しさを損ねてしまう。
ライエルの指示に従い、ヴィムは一旦デストレスへ戻ろうとする。


同時刻、寝ていたアオイは高エネルギー波を察知し飛び起きる。

「もういい、食べるのをやめるのだバクプラス!」
ヴィムの命令でしぶしぶ健太の夢を食べるのをやめるバクプラス。
「少し残ってしまったが、まぁいいか」

「少し残ってしまったが、まぁいいかってどういう事?」

ヴィムが声がした方向を見ると、アオイが宙に浮かんでこちらを睨みつけていた!
「あなたの家がこんな所にあるとはね」
「こんな所にあって悪かった!?」
「そちたから家のありかを教えてくれるなんて、とてもありがたいわ  ね、アオイさん」
――今、夜空を舞台に、女の戦いが始まった!
アオイの突進をテレポートで回避するヴィム。
…と同時に、通り過ぎたアオイの腰に両手をつき全体重をかけてアオイを叩き落す!
更に追い討ちで額からビームを発射するが、アオイは寸での所でこれを回避、反撃のビームを放つ!
だが、ヴィムは飛びのきつつ姿を消し、ビームを回避する。
「フフフ あなたのもその内食べてあげるわ!」
そう言い残すとヴィムはバクプラス共々消え去った。
ヴィムが何をしていたのか気になるアオイ。…そうだ、健太は無事なのか!?

75名無しさん:2009/11/25(水) 21:30:55 ID:???
一方、吸い上げられていた夢が戻り正気に戻る健太。
「ん  オレは一体何を…」
「ケン坊」
突然名前を呼ばれて振り向くと、そこには心配になって様子を見に来たアオイがいた  …のだが…

「うあああ!起きててもあおいさんが見える!!  ああ、あおいさんの幻まで見てしまうとは!!」

――先程の事もあり、思い切り驚いた健太は布団を被って震えてしまう!
…もちろん、アオイがンな事を知る訳がないのでキョトンとして布団を被った健太を揺さぶる。
「ちょっと、ケン坊 幻なんかじゃないわよ、わたし」
揺り起こされ、恐る恐る布団から顔を出し確認する健太。……確かに本物だ。
「はぁ、びっくりしたぁ…」
「どういう事?何かあったの?」
言える訳ない。美紅の事を考えたつもりが、アオイの事を考えたなんて。
赤くなりつつ笑ってごまかす健太だが、アオイはヴィムが何をしていたのかが気がかりだった。

「ところで あおいさんはどうしてこんな時間に…?」
「うふ… それは… ケン坊と一緒に寝たくなったから」ナンチャッテネ

アオイの返答に真っ赤になる健太。
それもそのはず、アオイは下着+スケスケネグリジェ姿という非常に 悩 ま し い 姿 なのだから!!
「何考えてんだ、あおいさんは!」
「キャ じょ、冗談よ 冗談!」
「帰れ!」
真っ赤になってマクラをアオイに投げつける、思春期真っ只中の健太でしたが…
「………分かったわよ、なにさ フン!」
ヘソを曲げたアオイはふてくされてテレポートで自宅へ戻っていった… さて、どっちが悪いのか。
。oO(なんなんだ、この… この動揺は… どういう事だ…?)
――アオイが消えた後も、胸の高鳴りは収まらず、自分でも訳の分からない健太だった。

76名無しさん:2009/11/25(水) 21:31:07 ID:???
要塞艦デストレス、戦果を報告するヴィム。
「――とりあえず身近な夢を食べてきました。受験だの、マイカーだの…
 残念なのは広野健太の夢があまりにも大きくて、食べ切れなかった事です
 しかし、彼にはもうウイングマンに変身する力はないはず。
 残っているとしても、正義感くらいなものでしょう」
ライエルに報告するヴィムだが、柱の陰ではキータクラーがこの報告を盗み聞きしていた…



――翌朝
健太の部屋に入った母親が見た物は、床に丸めて捨てられたヒーローポスター、超合金の山だった…。
ヒーローの夢を食べられた健太は、すでに異変が起きていた。



――仲額中。ページをめくると、いきなり赤くなった美紅のどアップ。
「ひ 広野くん、どうしたのよ」
…健太は美紅の両肩を真正面からつかみ、美紅の顔を凝視していたのだ。
「よし!もう忘れないぞ、目をつむっても思い出せる!」
やはり昨夜、美紅ではなくアオイが脳裏に浮かんだ事を気にしていたようだ。
美紅がどういう事か尋ねるが、何でもないと笑ってごまかす健太。

…それにしても、もうすぐ受験だというのに妙に欠席が多い。健太と美紅、あと5人しかいない。
「しかしどういう事なんだ、この休みの多さは」
「どういう事って?…こんなもんよ、学校に来たってしょうがないじゃない
 わたしは広野くんに会いたいから来たんだから」
美紅がこんな冗談を言うとは珍しい… っと、松岡先生がやってきた、着席せねば。
「あら、みんなよく出てきたわね… 学校に」
眠そうな、だるそうな、やる気のなさそうな顔で呟く松岡先生… どういうこった?
「わたしなんか学校に出てこないと給料がもらえないから、みんな自由にしていいわよ」
教卓に座ると腕枕して即効で寝てしまう松岡先生。
言葉通りに、登校していた生徒もサッカーで遊び始め、美紅はトランプで遊ぼうと言い出した!?

77名無しさん:2009/11/25(水) 21:31:19 ID:???
「んなバカな!どうしたんだ、みんな!
 美紅ちゃん、オレ達明日仲額高の入試だぜ、いいのかよ遊んでて!!」

全員のあまりの変貌振りにパニックになり思わず叫ぶ健太!
「入試? そんな事どうでもいいじゃない、遊びましょ広野くん」
美紅までこんな事を言い始めた!これは明らかに様子がおかしい!

――と同時に、周囲に例の音が聞こえたかと思うと―― 天地が逆になりポドリアルスペース発生!
「フフフ みんな夢を食われたのさ、だから勉強意欲がなくなったのだ
 まず身近な夢、高校合格の夢や教育の理想の夢を食われたんで、みんなああなのだよ」
突如現れたキータクラーに、美紅をかばうように立ちはだかる健太。
「だから美紅ちゃんもあんな事を…」
「そしてお前も!」
言うが早いか、キータクラーは素早い動きで健太に接近、片手で首をつかんで持ち上げる!
「広野くん、このままじゃ殺される!早くウイングマンに変身して!」
健太のピンチに思わず叫ぶ美紅だが――――

「ウイングマンに変身?笑わせるなよ美紅ちゃん
 オレがあんな幼稚な物になれるか、男の戦いは小細工なしの体で勝負だ!」

「フ フフ ハハハ! と、言う訳だ!
 この男もウイングマンになるという、ヒーローの夢を食べられたのさ!
 だから変身はできない、変身しようとすらしないのだ!!」

ヒーローの夢を食べられた健太は変身を拒否し、首を締め上げたまま解説するキータクラー!
美紅の脳裏には、健太の首がキータクラーに捻りきられるイメージが浮かんでいた――  <続く>

78名無しさん:2009/11/25(水) 22:37:31 ID:???
>>893
キャットファイトって知らんが、そんなにエッチいの?
「真面目な青年」というより、「妙に正義感だけある熱血馬鹿」という感じ。

>さて、どっちが悪いのか。
う〜ん… そりゃ自分の姿をわきまえずちょっかい出すあおいさんじゃなかろうかw
あとおまけ。
つ ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091125223650.jpg

79名無しさん:2009/11/25(水) 22:57:57 ID:???
なぜか1ページ丸ごとのどアップ美紅に笑ってしまったw

そういえば今気づいたが、いつの間にかあおいさん、ちゃんとベッドで寝るようになってるね。
初期はよく空中に浮いてたのに…
もしこのネグリジェのまま、空中に浮いてたらどうなった事だろう ハァハァ

80名無しさん:2009/11/26(木) 20:01:46 ID:???
>>899
ライエル編でももう何度か健太助けてくれてるじゃん、アンノウンとしてw
キータクラー以外に思わせぶりなキャラいないぞ。

81名無しさん:2009/11/27(金) 19:42:01 ID:???
>>904
1はつまり、アンノウンの中身はからっぽで着ぐるみ自体が意思を持ったということ?
(大鉄人17みたいに   …ちょっと違うか)

82名無しさん:2009/11/27(金) 21:27:12 ID:???
第94話――【抱きあって夢みての巻】


バクプラスにヒーローの夢を食べられた健太は、キータクラーの奇襲に変身せず、
無謀にも真っ向から勝負を挑もうとするが首を締め上げられてしまう。
だが何を思ったのか、突如キータクラーは手を離し健太を床に落とすが、寸での所で美紅が救出する。

「今のままでは完全にやられる、とりあえず夢を取り戻す事だな」

キータクラーはそう言い残し消え去った。――と同時に、ポドリアルスペースも解除されつつある。
「大変な事になっちゃったわ、広野くん」
「なぁに、変身なんかできなく…」  キュイン キュイン 
ポドリアルスペースが解除されると同時に2人は屋上に転送された。すると目の前にはアオイの姿が。
「誰が造ってたの、今のポドリアルスペース」
「キータクラーよ」
「キータクラーが現れたの!? どうりで強いディメンションパワーを感じた訳だわ」
「でもね、奴はもう逃げたんだぜ」
何のために現れたのか分からないが、とりあえず美紅はアオイにこれまでの事を報告する。
――自分達は受験の夢、健太はヒーローの夢を食べられた事を…。
「そうか、ヴィムは夕べプラスに夢を食べさせてたのか…  夢を…
 え〜〜〜〜〜〜! 夢を食べられたってぇ!? ヒーローの夢を!?」
一瞬考え、納得したアオイだが―― 急に大声を出し驚いた!
焦ったアオイは健太にドリムノートを出すように言うと、健太はめんどくさそうにノートを出す。
アオイはひったくる様にノートを奪い、パラパラとページをめくると……
「やっぱり、絵がほとんど消えてる…武器なんか全然無いわ」
「じゃあ、わたしも変身できないの?」
「そうね、ウイングガールズも無くなってるからね 当然、ケン坊も変身できない訳だ…」
――ドリムノートは、ウイングマンの足…ブーツ部分を残して綺麗さっぱり記録が消えていた…。
これでは変に真面目な正義感だけの普通の男の子だ。非常にヤバイ!
「へーきだよ、あんなやつら、チョイチョイとやっつけてやる」
…さらにヤバイ事に、当の本人、健太は事態を全く把握してなかった!!

83名無しさん:2009/11/27(金) 21:27:35 ID:???
「ケン坊、もう一度ウイングマンを描くのよ」
「いいよ、そんなの描かなくて ウイングマンみたいな格好して戦うの、みっともないもん」
「何言ってんのよ!普通の男の子のままで奴らに勝てる訳ないじゃない!! さ、描いて!」
事態を把握してないバカの襟首をつかみ、高速シェイクで揺さぶるアオイ!
「わ わ 分かったよ、強い男になれって書くからさ、それでいいだろ」
「だめー!ウイングマン描きなさい!単に力持ちじゃ奴らに勝てないわよ!!」
「みっともないからやだ!!」
ドリムノートを突きつけ強制するアオイだが、健太はみっともない顔で頑なに拒否する。
しびれを切らしたアオイはウイングマンを描いてみるが…描いた側からすぐに消えてしまった!
もう一度描いてみるも、やはり消えてしまう…。今度こそは!

「ムダだよアオイ、何度やっても同じだ」
唐突に聞こえてきた声。それはここにワープしてきたアオイのおとっつあん、ドクターラークだった。

「今の状態じゃ、健太くんが描いても消えてしまうはずだ
 ドリムノートは夢を書いてそれを現実にするノートだ、
 健太くんにヒーローの夢がないのに、いくら書いたって実現化する訳ないだろ」

――となると、直す方法はまた健太がヒーローにあこがれて夢見るしかない。絶望的だが…。
「いや、絶望的でもないぞ 1つだけ方法がある     ――タイムボールだ」
「え …やっぱり、それしかないのかしら…」
タイムボールの名を聞いて、なぜか頬を赤らめるアオイと説明を求める健太。

「タイムボールというのはタイムマシンみたいなもので、
 球状のエネルギー体の中に二人で入り、タイムトラベルするんだ
 一緒の時間を多く過ごしている者同士で行うのが、最も成功する技だ」

その説明を受け、アオイと抱き合う自分を想像し赤くなって動揺する健太!
昨夜、美紅ではなくアオイの事を思い浮かべてしまったから尚更だ!
「そんな事できるかよ!美紅ちゃんの目の前だぜ!」
大汗をかきながら拒否する健太だが、美紅は複雑そうな顔をしながらも緊急事態なので承諾する。
「でも… 仕方ないわ、ヒーローの夢を取り戻すためですもの」

84名無しさん:2009/11/27(金) 21:27:49 ID:???
…一応美紅はこう言ってますが、当の本人は拒否&パニック状態!
「そんなー!嫌だよオレ、絶対嫌だ!
 今 あおいさんと抱き合ったりしたら… オレ…どうにかなっちゃうよ!」
「どうにかなっちゃうって、どういう事?」
昨夜から様子がおかしい事にアオイも不審に感じ尋ねるが、相変わらず健太ははっきり答えない。
「いや、その、つまり… とにかく!嫌だよ、ヒーローの夢なんか見たくないんだから!」

。oO(うーむ タイムボールに入っている時は、二人共裸だなんてとても言えないな… )

3人のやり取りを見て、ラークおとっつあんは内心ボソリと呟くのだった…  って、ええええ!?
読者のみなさん、またサービスシーンですよ!予告来ましたよッッ!!! ( ゚ω゚)-3-3 フンス フンス


…ゴホン 取り乱しました、あらすじを続けよう。
緊急事態なので恥しがっている場合じゃないと説得するアオイだが、やはり健太は頑なに拒否する。
――と、そうこうしている内に上空に浮かぶ影… バクプラスに乗ったヴィムが現れた!
「ハハハ ウイングマンよ、今日でおまえから全ての夢を吸い取りただのデクの棒にしてあげるわ」
変身できないのに受けて立ってしまう健太だが、アオイは戦闘服に着替え相手になる!
ヴィムは向かってくるアオイにバクプラスの夢吸収光線(仮称)を放射するが、
アオイはとっさにバリアを張って夢を吸われるのを防いだ!

「向こうの二人の夢も吸い取るのだバクプラス!」
ヴィムの命令にバクプラスは美紅&ラークに光線を放つが、ラークもバリアを張ってこれを防ぐ!
――いても立ってもいられなくなった美紅は、昔の様にラークに力を貸して欲しいと頼み込む。
美紅の健太を守りたい、純粋な想いに応えたラークはDPでディメンションスーツを着せる!
戦闘服姿となった美紅は健太を守る様に進んで出る。
「美紅ちゃん!戦うのは危ないよ、オレに任せろ!」
「広野くんは… 早くヒーローの素晴らしさを思い出してちょうだい」
美紅は寂しそうな顔で健太を見つめた後、上空で戦うアオイに加勢に飛び上がった。
だが、バクプラスの目からの光線により迎撃される!
アオイは美紅の名を叫び、油断した隙にヴィムに叩き落される!

85名無しさん:2009/11/27(金) 21:28:01 ID:???
「美紅ちゃん、あおいさん! だから言わんこっちゃない!!」
「ハハハ お前らでは話にならん、このバクプラスを倒せるとしたらウイングマンだけだ!」
勝ち誇るヴィムに、やはり健太にヒーローの夢をまた見てもらうしか方法は無いと判断したアオイ。
立ち上がって健太の元へ駆け寄ると、健太の体をギュッと抱きしめタイムボールを作成を試みる!

「わたしと一緒に子供の頃に戻って―― ケン坊、もう一度ヒーローの夢を見て」
「あ あおいさん」

タイムトラベルが始まり、二人の服がだんだんと消えてゆき―― ついには全裸となってしまった。
「ウ 広野健太にもう一度ヒーローの夢を見せるだと! そうはさせるか!」
タイムトラベルを阻止すべく、バクプラス諸共タイムボールへ突撃をかけるヴィム!
――だが、ラークはある『重大な欠点』を忘れていた!!

。oO(ハッ!! タイムボールでタイムトラベルしている時、外部から衝撃を加えられると
  中の人間は消滅してしまうんだった!! )

「ヒーローの夢を取り戻す前にあの世に送ってやる!!」
タイムボール目掛け頭上から襲い掛かるヴィム&バクプラス!
戦闘力の無いラーク、戦えるが美紅たった1人でタイムボールを守りきれるのか!?  <続く>

86名無しさん:2009/11/28(土) 12:42:34 ID:???
バクプラスは普通の性格だったが・・・・・

 ま た ぬ ぅ ど か !ww

結論:ライエル編はライエロ編

87名無しさん:2009/11/28(土) 14:49:42 ID:???
>>915
うわあああああああああ!!!! ((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル

88名無しさん:2009/11/28(土) 18:24:52 ID:???
ラークおとっつあんが考案したものと限らないのでは?
ポドリムス人のDP同様、秘伝の技なのかもしれない。
まっぱになるのは… 作者の趣味ということでw

89さらにテンプレ修正:2009/11/28(土) 18:30:27 ID:???
週刊少年ジャンプ昭和58(1983)年5・6合併号にて「ウイングマン」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者がドリムノートの力を使う事で1日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
時々ヒーローの夢を失い、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は週刊少年ジャンプ昭和60(1985)年20号の発売日だ。
なお、あらすじ書き込み中に割り込んだ奴、及び 未来からの侵略者は
必殺技のヒートショックを食らうので注意だ!

『君達!2ちゃんねるで僕と握手!』

連載中スレの楽屋裏 第30幕
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1258156090/
前スレ
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1253706672/

※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、ウイングマンは単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(「正義の味方・A」とか「正義の味方・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレを利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】ウイングマン連載中 ドリムノート2冊目
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1257942756/

90粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:54:09 ID:???
第95話――【過去への巻】


ヒーローの夢を取り戻す為、タイムボールで(全裸で)アオイと共にタイムトラベルする健太。
しかし上空からは、夢を取り戻すのを阻止する為にヴィム&バクプラスが襲い掛かる!
ラークおとっつあんは美紅に耳打ちしながら説明する。

「美紅ちゃん、奴らをおさえるんだ タイムボールに近づけちゃいかん!
 タイムボールに強い衝撃を与えると、二人とも死んでしまう!なんとしてもヴィムを!」
「・・・・・・・・・・ハーイ」

事態を把握した美紅は緊張に顔をこわばらせつつ、空を飛びヴィムの迎撃へ当たる!
ヴィムはタイムボール破壊をバクプラスに任せ、自分は美紅の相手をする。
「フ こんな小娘が戦うというの」
屋上では、襲い掛かるバクプラスの前にラークが立ちはだかっていた!
「こいつには絶対触れさせんぞ!」


――その頃、全裸のアオイと健太はタイムボールで過去へと向かっていた。
「さぁ、ケン坊 子どもの頃に返りましょう
 気持ちを落ち着けて、何も考えず、そう 楽にして…
 どんどん どんどん 時間をさかのぼって――どんどん どんどん… この位でいいわね」
アオイの腕に抱かれ、リラックスした健太の体はどんどん小さく、幼くなってゆく。
中学生から小学生、園児となり…ついに幼児となる。
アオイは片手で幼児健太を抱いたまま、時間の出口を空けそこへ幼児健太を入れる。

「さぁ、ケン坊 子供の頃に戻ったわ… ヒーローが大好きだった、あの頃を思い出して
 これから時間を短縮して、15歳のケン坊に戻っていくわよ
 ヒーローを好きになっていく過程を追いながら…」

91粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:54:26 ID:???
若い頃の笑顔の両親、母親に抱かれウルトラマンレオの人形で遊ぶ幼児健太の姿があった。
「まずは3歳のケン坊 この頃からケン坊はヒーローが好きだったのね」
――とある日、ふすまに落書きする幼児健太は母に見つかりおしりペンペンされる。
厳しくも優しい母は、ちゃんとしつけの後褒めるのも忘れない。
「ケンちゃんの大好きな正義の味方だったら、お母さん うーんといい子いい子してあげるのよ」
「てーぎのみたた…」
。oO(ここがケン坊のヒーロー好きの原点ね、きっと)


――時間は跳び、6歳の頃の健太は福本達と一緒に神社でヒーローごっこで遊んでいた。
「タァー! ウルトラ仮面だ、この怪人どもめ!仮面キーック!」
必殺技をくらった怪人(福本)はよろめき、近くの落ち葉の山を撒き散らして爆発(のフリを)した。
「さぁ、次はきさまだ!」
怪人は2体いた設定だった。もう1人のジャミラのように服を被った友人に向かう健太。
…ふと、健太達が遊んでいる所へ、見知らぬお姉さんがやってきたかと思うと――
ジャミラは事もあろうか、お姉さんのスカートへ潜り込むとスカートを思い切りまくった!
「さぁ、どうだ 手出しできまい、ウルトラ仮面!」
「サソリ怪人がよみがえった ギギー」
…倒したはずの怪人(福本)まで起き上がって来た。
「最大のピンチのウルトラ仮面!このピンチを切り抜けられるのか!」
自演で実況する健太だったが――
ウルトラ仮面放送時間となり、3人連続でお姉さんのスカートをめくりつつ帰ってゆく!
ジェットストリームスカートめくりをくらったお姉さんは、かわいい顔も台無しで追いかける!!
『こらー ガキー 待てー!!』 「わー!」

――この様子を時空の狭間から見ていたアオイは半ばあきれつつ、心の中で嘆いていた…。
「この辺までは普通の男の子なのよね、
 人よりちょっとヒーローが好きみたいだけど…今みたいにビョーキな程じゃないわ
 次、10歳いってみようかね」

92粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:54:42 ID:???
一方、屋上でヴィム&バクプラスを阻止しているラーク達。
やはり美紅と非戦闘員のラークでは荷が重すぎ、しかもタイムボールを守っているので苦戦していた。
ヴィムのショットガンのようなビームを受けたじろぐ美紅。
「お嬢ちゃんはお家でおねんねでもしてた方がいいんじゃなくて?」
「わたし、あなたにはかなわないかもしれないけど…
 広野くんがヒーローの心を取り戻すまで、わたしが代わりに戦うわ」
「フ けなげね わたし、あなたみたいな娘、キライじゃないわよ  ――でも容赦はしないわ!」

回し蹴りを美紅に放つヴィムだが、ラークはそれ以上にピンチだった!
タイムボールの前に立ちはだかり、バクプラスを必死で押さえるラークだが、
組み合ったままプラスの目から発射された光線を受け苦痛の叫びを上げる!
「ぐあああ! くく… ア アオイ… 早く戻って来い………」


――その頃のアオイは12歳の健太を観察していた。
放課後、友人をヒーローごっこに誘うが、友人は小ばかにしたような顔で健太の誘いを断る。
「オレ達、もうやんねーんだ あんな幼稚な遊び
 いつまでもやってらんねーよ、ヒーローごっこなんてさ」
今度は福本を誘ってみるが、やはり福本も断り、別の友人とドッジボールを選んだ。
「ふくもと、オレの方が先に約束しただろ!」
「………悪いな… 健太、オレヒーローごっこやりたくないんだよ バカバカしいだろ?
 お前もそろそろやめろよ」
その一言にショックを受ける健太。

。oO(なんでだ、なんでなんだ
  みんなこの前まであんなに楽しそーにヒーローごっこしてたじゃないか、くそ――
  そうかよ、ごっこだからバカバカしいんだ 遊びだから幼稚なんだ
  ヒーローを本当にやればいいじゃないか!)

「『ヒーローを本当にやればいいじゃないか』…たどり着いたみたいね、
 ケン坊のヒーロー魂が誕生した所に…」
決意した健太を嬉しそうに眺めるアオイだった。

93粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:54:57 ID:???
自宅に帰った12歳健太は、テレビの真似もせず、自分の考えたヒーローをノートに描き出した。

「よし、できた! 名付けてウイングマン! チェイングで変身する」

――普通の大学ノートだけど、健太にはすでにこれはドリムノートそのものだった…。


そして中学に入学した健太。
「弱い者いじめはするな! 悪裂ウイングマン!!」
いじめの現場に自作の赤いウイングマンスーツを着こんでいじめっ子に立ち向かう健太!
「アホは引っ込んでろ!」
「あれ  くそー 正義の味方が悪に負けてたまるか!」
…パンチ一発で撃退されるも、不屈の精神で立ち上がり、いじめっ子を迎え撃つ!
「フフフ ここまでやればバッチリ思い出してくれたはずよ、ヒーロー魂を
 ケン坊をそろそろこっちに呼び戻す事にするか、えい」
…しかし健太はアオイの元へ戻らない!?もう一度試みるもやはり戻らない!
「どうしたのかしら、ケン坊が戻ってこない!!」
何度やっても時空の狭間に戻らず焦るアオイ!


――再び場面は屋上へ。美紅とラークはもう満身創痍になっていた。
「バクプラス、早くその球体を破壊するのだ!」
バクプラスの猛攻に耐え切れなくなったラークはテレパシーでアオイに呼びかけてみる。

《アオイ どうした、早く戻って来い!》
「あ お父さんのテレパシー… ダメなのよ、ケン坊を過去の世界から戻す方法を忘れちゃったの」
《なに!まずいぞ 今 敵に襲われていて もう もちそうもないんだ!
 早く、早くするんだ!もう…》
ラークの必死のテレパシーが途切れ、状況を知ったアオイはますます焦る。
「ガンバってお父さん 今思い出しそうなの えーと えーと… 確かこうだと思ったけど えい!
 ――ダ ダメなの!?」

94粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:55:12 ID:???
三度場面は屋上へ。
「は 早くしろ――――― アオイ〜〜〜〜〜〜!!!」
必死でタイムボールを守っていたラークだが、ついに力尽きバクプラスに殴り飛ばされる!
「おじさん!」
美紅がタイムボールを守りに走るが間に合わず――――「しまった!」

タイムボールは無慈悲にも、粉々に破壊されてしまった!

…ラークも美紅も愕然となり戦意喪失したのを見て勝ち誇るヴィム。
「さぁ、ウイングマンもアオイもいなくなったのだ、我々の勝利は決まったようなものね
 ――でも、あなた達はわたし達に逆らいすぎました、ペットには出来ません  殺します
 バクプラスはその男を殺りなさい、わたしはこの娘を殺します
 ホントにかわいそー わたし達にさからっていなければ、ペットとして一番可愛がってあげたのに
 残念だわ、サヨウナラ」
殺意をむき出しにしてそれぞれラークと美紅に歩み寄るバクプラスとヴィム。

『 待 て ! 』

――突如待ったがかかり、声の主を探すヴィム!
声の主は不敵に笑いながら給水タンクの陰から出てくる――
そう、ピンチに現れるのはやはりこの男しかいない!

『オレだ、広野健太だ! ヒーローのいる限り、悪の思い通りにはさせん!』

タイムトラベルの疲労の為か、疲れきったアオイを抱え、雄雄しく現れ正義の啖呵を切る健太!
ヒーローの夢を取り戻し、蘇った不死身の男!ライエル軍を叩いて砕く、健太がやらねば誰がやる!!
                                      <続く>

95粗筋!ウイングマン!:2009/11/29(日) 19:59:09 ID:???
(スレ立て誘導後のレス)

次スレ立てました。以下楽屋裏。
変態仮面、地獄戦士魔王、ウイングマン1スレ目の数々の失敗を経て、
ようやく連載中の楽屋裏ができた…!

大規制の中、付き合ってくれている方々、代理を貼ってくれる方、本当に感謝してます!
あと29話分(+α)、最後までお付き合いよろしくお願いします。

96名無しさん:2009/11/29(日) 23:20:42 ID:???
3レス目

>>1新スレ乙! 代理してくれる人は超乙!

>>8
ポドリムス人はDPがあるから距離を置いての攻撃はできるだろうが、
組み付かれたらバクプラスの怪力で一気に押しつぶされそうだ…

なんにせよ、ようやく次号から健太の反撃開始で楽しみだ!
あとキャシャーンネタワロタww

97名無しさん:2009/11/30(月) 06:26:45 ID:???
3スレ目

>>10
ヒロダーとりろもいるはずなんだが…ライエル編になってからめっきり姿見せないな。
まぁ、ヒロダーとセイギマンはいても役に立た(ry

98粗筋!ウイングマン!:2009/12/01(火) 19:36:49 ID:???
2スレ目

>>935
これかい?
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091201193537.jpg

99粗筋!ウイングマン!:2009/12/01(火) 21:36:11 ID:???
第96話――【チェイング!の巻】


タイムボールを破壊され、消滅したかと思われた健太とアオイ。

『よくもオレの大事なヒーローの夢を食べてくれたな!このお返しはタップリさせてもらうぜ!』

タイムトラベルで疲労したアオイをラークに預け、健太は正義の啖呵を切る!
ヴィムはバクプラスにビーム一斉発射を命じ、ヴィムの額とプラスの目からの光線が健太を襲う!
「二つのビームを合わせると破壊力が何十倍にも増すのよ!死になさい!!」
だが、もはや健太はただの正義感の強い男の子ではない!
ヒーローの夢を取り戻した正義の夢戦士、一声吼えて飛び降りつつ、怒りに燃える目で見据え――

『チェイング!』

爆風をバックにキーワードを叫び、全身がまばゆく輝く!
着地すると同時に、いつもより力強く見得を切る!

『悪! 裂! ウイングマン!!  ――ヒーロー復活!!』

ヒーローの夢を取り戻した健太を見つめる一同。
「広野くんてヒーローしてる時が 一番ステキなのね」
復活したウイングマン(健太)の存在に美紅はつい惚れ直してしまった。

ヴィムがバクプラスに命令すると、プラスは鈍重そうな見た目とは裏腹に素早い攻撃を仕掛ける!
ウイングマンはこれをあっさりと回避、片手でプラスの背中に手をつくと同時に
スプリクトフラッシュを発射、先制攻撃を仕掛けた!
ウイングマンは美紅の側へ飛び降りると、彼女を抱えラークの側に移動する。
「おじさん、美紅ちゃんも頼みます」
「ウイングマン!ジャマなのよあなたは!」
ウイングマンがヴィムに背を向けている隙に、ヴィムは剣を転送し背後から襲い掛かる!
だがこの攻撃もジャンプして回避、再び給水塔の側へ飛び移る。

100粗筋!ウイングマン!:2009/12/01(火) 21:36:40 ID:???
『なんだったんだ、さっきの爆発は』
『どうしたんだ』

ふと、ウイングマンの足元の屋上出入口から大勢の生徒がなだれ込んできた!
「わっ、やっぱり広野のヒーローごっこか!」
変身しているウイングマンとバクプラスを見た生徒はヒーローショーと思い込んでしまう。
――その生徒達の中には桃子もいた!ヴィムを確認した桃子は変身し、戦いに参加する!
「おお、ピンク 美紅ちゃんもあおいさんもダウンしてんだ、手を貸してくれ」
「オッケー! わたしあの怪物やっつける」
「あなたもわたしに逆らうの!」
ヴィムは桃子に切りかかるが、ウイングマンはクロムロープでヴィムの手を捕縛しこれを阻止する!
「今だピンク!」
合図と共にロープを振り上げ、ヴィムを空中に放り投げるウイングマン!

『すげー! やっぱり学校に来てよかったぜっ!これが楽しみで学校に来たんだからな』

…未だウイングマンの死闘は本当の戦いだと認知されておらず、興奮する生徒達。


一方、バクプラスと対峙する桃子は――
「プッ ヘンテコリン!バクの怪物なんて笑っちゃうよ」
気持ちは分かるが甘く見るな桃子!
まずは桃子の先制攻撃の蹴りが命中、次にパンチの連打! ――プラスはあっさりダウン! 弱ッ!!
「こいつ弱ーい」
「おーいキミ!油断するな、そいつは怪力だぞ!」
「へーきへーき、力が強いからってこんなのに負けないわ」
あっさりバクプラスをダウンさせた桃子は図に乗り、ラークの忠告も聞かず甘く見てしまう。
桃子は思い切りジャンプすると、トドメのモモコキックを放とうとするが……
言わんこっちゃ無い、バクプラスに両手で両足を受け止められてしまった!

101粗筋!ウイングマン!:2009/12/01(火) 21:38:05 ID:???
するとバクプラスは桃子の両足をゆっくり開き、図に乗った桃子におしおきのおっぴろげの刑を科す!
いいぞもっとやれ!バクプラス先生バンザイ!( ゚∀゚)o彡゚ぱんつ!ぱんつ!
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091201213737.jpg
『あら♥ あら♥ あら♥』
予想外のサービスシーンに鼻の下を伸ばしながら眺める男子一同!(約1名女子もいますが)

サービスシーンはすぐ終わり、桃子を捕まえたバクプラスは今にも喰らいつこうと大口を開ける!
「キャー リーダー、食べられちゃう!」
足をほぼ180度に開かれ、桃子はプラスの口を押さえて必死で抵抗する!
「ハハハ バクプラスはちょっと打たれ弱いだけなのよ、たかをくくったあなたの負けよ」
…ヴィム先生の仰る通りです。
とりあえずウイングマンはクロムロープでプラスの手を捕縛すると思い切り引き、
その弾みでプラスは捕まえた桃子を離してしまった。
――その隙に、ウイングマンはバリアレイバーを装備しバクプラスの尾を切り離した!
「い いけな…!」
バクプラスの尾を切り落とされ焦るヴィム。 …いや、バクプラスまでも様子がおかしい!

「とんでもない事をしてくれたわね、ウイングマン!
 そのシッポを斬ってしまったら―― バクプラスは自制が効かなくなり、夢を食べ放題食べ、
 どんどんどんどん大きくなってしまうわ!」

102粗筋!ウイングマン!:2009/12/01(火) 21:38:18 ID:???
ヴィムのその説明が終わるや否や、バクプラスは夢を吸収する電撃を辺りに撒き散らした!
「ああ 間に合わなかった!」
咄嗟にアオイはバリアを張りつつ桃子救出に向かうが、一足間に合わず桃子はへたり込んでしまった!
美紅はラークが張ってくれたバリアで、ウイングマンはアオイのバリアで助かったが、
野次馬に来た生徒達は次々と夢を吸われ倒れてゆく!
「ああ! みんなの夢が一つ残らず!」
バクプラスは夢を次々と食べ、瞬く間に10mを越す大型怪獣へと巨大化してゆく!

「もうだめだわ、わたしの手にはおえない!逃げなくてはわたしまでやられてしまう!
 もう誰にも止める事はできないわ!」

自分はバリアを張って夢を吸われずにいたヴィム。
制御不可能、暴走状態の巨大バクプラスを見て悲鳴をあげた!       <続く>

103名無しさん:2009/12/02(水) 06:29:29 ID:???
2レス目

>>938
エロ・ギャグがあるのは今回のバクプラスで最後なんだよな。
ガルダン以降はエロはあおいさん(もしくは桃子)のパンチラが最後、
ギャグもほとんどなくなり超シリアスに…
あの殺人ゲームで恐怖に引きつった女の子の表情はトラウマになってる…orz

104名無しさん:2009/12/03(木) 20:25:06 ID:???
第97話――【夢の中への巻】


ウイングマンに尻尾を切られ、暴走状態になったバクプラスは制限無く夢を食べ巨大化した!
こうなると、もうヴィムの手には負えない、制御不可能だ!もはやヴィムは逃げるしかなかった!

「このままではバクプラスは破壊の限りを尽くす!地球の美しさが損なわれてしまう!
 要塞に帰って対策を考えねば!」

逃げようとしたヴィムだが、突如電撃がヴィムを襲う! ――バクプラスではない、ライエルだ!

《ヴィムよ、要塞への帰還は許さん
 困った事になったなヴィム お前の失敗だ、お前が責任を取れ
 これ以上破壊される前にバクプラスを殺せ―― お前がな、誰の手も借りずに》

「わたしがバクプラスを殺す…」
ライエルの非情な命令に戸惑うヴィム。出きるかどうか分からないが従うしかない。
「わかりました、わたしがこの手でバクプラスを殺します」

一方、バクプラスは目から破壊光線を出し屋上を破壊し始める!巨大化した分、威力も大きい!
「学校のみんなをどこか別の所に移さないと危険だわ!」
アオイはディメンションパワーで倒れた生徒達を一まとめに校庭へ移す。
だが、アオイはこのせいでわずかに戻った体力を使い果たし、再びダウンしてしまう!
「こんな体の時にみんなを瞬間移動させたりするから――」
倒れこむアオイを支え、彼女の体調を気づかうウイングマン。

「し しまった!」
ふと見ると、ラークは美紅ともどもバクプラスの光線を受け、2人まで夢を吸い出されてしまった!
「おとなしくするのです!」
傍らにはヴィムがいて命令するが、もはや制御不可能となったプラスはヴィムにまで攻撃してきた!
プラスは吸い出したばかりのラークと美紅の夢を食べ、ますます巨大になる。

105名無しさん:2009/12/03(木) 20:25:24 ID:???
。oO(やはり自制をなくしている… 口元の角を折ってしまえば夢は食べられなくなる
  とりあえず、角を…)

覚悟を決め、剣を召喚したヴィムはバクプラスに切りかかった  ――が、殴り飛ばされた!
「おっと」
だが、地面には叩き付けられなかった。なんと空中でウイングマンがヴィムを受け止めたのだ。
「ヴィム、女のお前じゃ無理だ オレにまかせろ」
「黙りなさい!」
空中でもめる2人だが、そんな事もお構いなしにバクプラスは目からの光線で2人を攻撃する!
その勢いで地面に落ちる2人だが、ウイングマンは受け身を取って着地したのに対し、
ヴィムは受け身が取れず地面に叩きつけられ苦痛にうめく。
バクプラスはそんな2人を見て大きく飛び上がり、押しつぶそうと飛びかかる!

『いかん! ソーラーガーダー シルエット!!』

とっさにウイングマンはヴィムの元へ跳びつつ、ソーラーガーダーを身にまとう!
――バクプラスの猛烈な踏み潰しが炸裂、校舎を破壊しつつヴィムを押しつぶした!
「ケン坊!」
ウイングマンの安否を気遣うアオイ。2人は無事なのか!?

…なんとか2人は無事だった。
ウイングマンは片手でヴィムを抱きしめ、片手のシールドでプラスの足を防御していた。
「なぜ… なぜ敵なのに助けた」
「んー 正義の味方の悲しい反射神経かな、ついつい助けちゃうんだ」
そんな事を話していると、プラスは足を離し再び校舎を昇り始める。また飛び蹴りをするつもりだ!
「サッサとやっつけるしかないな… 頼む、教えてくれ!奴の弱点を!  頼む…」

「………弱点は腹…あの中に夢がつまっているのだ 夢がプラスの中から無くなれば奴は死ぬ」

ウイングマンの真剣さに負けたのか、ついヴィムは弱点を教えてしまった。
「………………………サンキュー」
礼を言いつつ、ヴィムの肩をポンポンと優しく叩くウイングマン。きっとマスクの中は笑顔だろう。

106名無しさん:2009/12/03(木) 20:25:40 ID:???
バクプラスは再度飛び蹴りをしようと大きく跳びあがる!
「そうはいくか!ヒートレイバーでその腹をぶち破ってやる!」
ウイングマンもまた、プラスを迎撃しようとヒートレイバーを構え跳びあがるが、
巨体とスピードで攻撃を弾き返されてしまう!
「…よし」
一声吠えるバクプラスを見て別の戦法を思いついたウイングマンは、奴の口に飛び込んだ!、
急に口の中に入ってきたウイングマンにバクプラスは驚きつつも飲み込んでしまう!
「ああ ケン坊!」


――バクプラスの食道の中を進むウイングマン。
…気のせいか、先に進むごとに体がどんどん縮んでいく気がした…
だがこれは気のせいではなく、プラスの夢を凝縮する作用がウイングマンの体を縮めていたのだ。

そんな事も知らず、外のアオイは腹痛に苦しむバクプラスを見て困惑していた。
「もう、ケン坊ったらバカな真似するんだから!」


――夢が詰まった胃袋の中に到達したウイングマン。そこで彼は食べられた無数の夢を見る。
「こ これが食われた夢なのか…」

ふと、近くの夢に映像が映し出され――実体化する。それは自分(健太)とデートしている桃子!
「へ? オレとピンク! ピ ピンクの夢なのか…
 オレと手を組んでる、デートでもしているんだろうか… まいったな、こりゃ…」
頭をポリポリかきつつ照れくさそうなウイングマンだったが、夢の2人もこちらに気づいた。
「ね 見て、ウイングマンよ」
「どこのどいつだ、オレの真似しやがって…バカにしてる」
夢の2人はこちらを確認すると憎悪の目で睨む。
「広野くんの事をバカにする人は許さない! え〜〜い!」
唐突にモモコラリラートをウイングマンにブチかます夢の桃子!
その威力はすさまじく、ウイングマンはどこか花園のような所に吹き飛ばされる!

107名無しさん:2009/12/03(木) 20:25:53 ID:???
「何の騒ぎ?」
…そこは花園ではなく、花屋さんだった。…って、今の声は!? とっさに振り向くと――
「あなた誰?」
「み 美紅ちゃん! ――って事は、これは美紅ちゃんの夢なのか!」
「パパ ちょっと来て」
「なんだ」
夢の美紅に呼ばれ現れたのはまたも健太だった! 
「ゲー!またオレだ! 美紅ちゃんはオレとお花屋をして暮らすのが夢なんだ!
 ひゃ―――― こういうの見ると恥ずかしいな」
「何をブツブツ言ってるの!いたずらもほどほどにして下さい!」
照れるウイングマンを見事な一本背負いで投げ飛ばす夢の美紅!夢だからか異常に強いぞ!

――またしても投げ飛ばされるウイングマン!
その先には、どこかで見たようなシルエットが腕組みして待ち構えていた。
ウイングマンがその何者かの足にぶつかりようやく止まると…やはり、どこかで見たような足。

「きさま何者だ、オレの真似なんかして」
「ゲッ!これはもしやオレの夢!?」

――そこには、こちらを指差し敵意を剥き出しにしたもう1人のウイングマンがいた!  <続く>

108名無しさん:2009/12/04(金) 00:42:03 ID:???
>礼を言いつつ、ヴィムの肩をポンポンと優しく叩くウイングマン。
健太の優しさが伝わってくる、地味ながらいいコマだと思ったよ

109名無しさん:2009/12/04(金) 06:32:50 ID:???
>>33
>桃子ちゃんの夢は、健太とデートすることで
「ハッピーベル」の回を思い出して泣けてきた(ノД`)

そう言えばあの後、結局二人はデートしたのだろうか?

110粗筋!ウイングマン!:2009/12/05(土) 20:01:24 ID:???
<祝・11巻発売! ―作者コメント―>
ハイ、皆さん、今回は桃子と久美子が挨拶するそーです。では、どうぞ。
 キャー、みんな元気ィ、森本桃子です。わたし、またふとっちゃってね、クスン。
小さいくせにふとめでやんなっちゃう。お菓子はひかえなくっちゃね。
 パシャッ、こら、立ち読みの現場写したわよ!立ち読みは罰金ものよ!
あ、言い遅れたけどわたし布沢久美子。あ、あっちで事件だわ!


【単行本中表紙】
 ・やや髪型を変えた大人びた桃子(布沢はどこ行った?)

【巻末付録・ポドリムス通信】
ttp://sakuratan.ddo.jp/imgboard/img-box/img20091205200015.jpg


第98話――【過去の夢の巻】


ヴィムからバクプラスの弱点を聞いたウイングマンは、自らプラスの体に入り込む作戦に出る。
異物を飲み込んだバクプラスは腹を押さえ、腹痛に苦しんでいた――

アオイは何とかウイングマンを助けようとするが、ヴィムはウイングマンに助けられた恩も忘れ、
プラスが苦しんでいるうちにイレイザー砲で一瞬でチリにしようと目論む!
「待ってよ、中にケン坊が入ってるのよ!」
「――関係ありません!バクプラスをわたしの手で殺さないと、後でわたしがライエル様に…」
「なんて人なの さっきケン坊に助けてもらった事、忘れたの!!」
「…忘れてはいません、しかし彼もいずれはライエル様に殺される運命
 今、ここで殺されても同じ事―― さ、早くウイングマンより先にバクプラスを殺さなければ」
ヴィムは冷たく言い放つとイレイザー砲を転送した。

111粗筋!ウイングマン!:2009/12/05(土) 20:01:38 ID:???
…バクプラスの中のウイングマン。
彼は今、自分の夢が実体化したもう1人のウイングマンと対峙していた!
「さてはキサマ、ニセ者だな!」
「へ? 何言ってるんだ、オレは本物だし、お前もオレの夢なんだから本物なんだ
 あ〜〜 自分で言っててこんがらかる」
…あらすじも混乱するので、以下夢ウイングマンを夢羽男と呼ぶ事にしよう。異議・異論は認める。

夢羽男は問答無用とばかりに大きくジャンプし、クロスバーンを仕掛けてくる!
だが、こちらはソーラーガーダー着用だ!右手を盾の様に構え、攻撃を受け止めるウイングマン!
――だったが、直後蹴りをくらってしまう!
「どちらも本物だと!? オレは一人で十分だ!」
夢の中で三度吹き飛ばされるウイングマンだったが、今度は無様に転ばず受け身を取る。
「くそ、戦い慣れしてやがる… あれ?今のは自分で自分をホメたのかね?」
ちょっと照れつつも、この厄介な事態にやむなくクロムレイバーを構え夢羽男に斬りかかる!
しかし夢羽男はこちらの弱点が見えていると言い放ち、余裕たっぷりにクロムレイバーを抜く。
クロムレイバー同士の剣戟が巻き起こる!
その時、このすさまじい剣戟の中で夢羽男は左手でウイングマンの右手を殴りつける!
「きさまは剣を持った時、逆の手があまい!」
さらに足元に蹴りを入れ――
「ちょっとの攻撃でグラつくバランスの悪さも弱点だ!」

――同じ力、互角のはずなのに押されつつあるウイングマン。
それもそのはず、どうも自分自身ではなく別の人格と戦っている気がしたのだ。
…などと考えていると、夢羽男はソーラーガーダーまで装備してしまった!

「フフフ オレはお前より戦いの歴史があるのだ、
 きさまと同じ様にオレもソーラーガーダーをつけるぞ! 勝負は決まったな、バクーッ」

112粗筋!ウイングマン!:2009/12/05(土) 20:01:54 ID:???
「バク〜? バクーだと!? ――そうか、分かったぞ!
 ここにある夢はバクプラスに吸収されはじめた為、半分バクプラスの性格になってるんだ
 さっきから感じる違いはそこか!」
ようやく理解したウイングマンは本気を出し、クロムレイバーからヒートレイバーに持ち替える。
…では、あらすじも「夢羽男」から「ウイングバク」と呼称しよう。今度は異論は認めない。

ウイングマンがヒートレイバーを装備するとウイングバクもまたヒートレイバーを装備する。
「フッ ヒートレイバーか、同じ武器を使ってもオレの方が使い慣れてるのだ
 戦いの歴史が浅い、きさまにオレを倒す事はできん! バク――ッ!!」
ウイングバクはヒートレイバーを構えウイングマンに突っ込む!
咄嗟にウイングマンはヒートレイバーをヒートレイバーで防ぐと、
ウイングバクは左手でウイングマンの右手のガーダー部分をつかみ、ヒートレイバーを封じた!
「フッ やはりオレの方が上だな! 死ね!!」
――攻撃を封じられたウイングマンだが、焦る事もなく冷静のままだった。 そして鼻で笑うと――

『ダブルヒートレイバー!!』

なんと左手にもヒートレイバーを装備し、二刀流となってウイングバクの腹を貫いた!!
「お前の歴史はバクプラスに食われた時に終わってると言ったろ!
 過去の戦いしか知らないお前に、新しい戦法は思いつけないのさ!」
そのまま貫いたヒートレイバーでウイングバクの腹を切り裂き霧散させる。

「過去のお前に未来は無いんだよ
 ――それに、いくら同じウイングマンでも邪心を持ってたら、完全正義のウイングマンにかなう訳がないのだ」

鼻で笑って自画自賛するウイングマン。…自分で言っててかっこよすぎないか、その台詞?
ともあれ、手間を食ってしまったので急いで早く作戦を決行せねば。
ウイングマンはおもむろに壁(バクプラスの胃壁)にヒートレイバーをつき立て何度か切り裂く!

113粗筋!ウイングマン!:2009/12/05(土) 22:22:11 ID:???
一方、外部ではヴィムとアオイの取っ組み合いのキャットファイトが行われていた。
そんな2人をよそに、バクプラスは腹を抱えて産気づき… もとい、苦しみだした!
そしてプラスが一声吠えると、腹が真一文字に切り裂かれ、中から光が漏れたかと思うと――
傷口からウイングマンとバクプラスに食べられた人々の夢が次々と飛び出してくる!
「やった! 夢がみんなの所に戻っていく!」

食べられた夢が全部出たのを確認した時、ちょうどウイングマンの身体の大きさも元に戻ってゆく。
腹を割かれ、夢を全部出され、怒り狂ったバクプラスはウイングマンへ突進する!
だが、弱ったバクプラスはもうウイングマンの敵ではない!

『デスボール!   行くぞ!  ヒートショック!!』

空中で大爆発する強敵・バクプラスの最期を喜ぶアオイ、対照的に愕然とするヴィムだった…
「やったぁ!さっすがケン坊」
アオイはウイングマンの勝利を喜ぶが、その傍らではライエルに強制帰還させられヴィムが消えた。

――食べられた夢は避難させ気絶した生徒達、ラーク、美紅の身体へと戻り、彼らが気がつき始める。
『あ! 校舎が!! 見ろよホラ!』
ふと、気がついた生徒の1人が破壊された校舎を見て騒ぎ始めた!
その騒ぎの声を聞き、屋上から校庭の様子を伺うウイングマンとアオイ。
「まずいよあおいさん、壊れた校舎を診てみんなが騒いでる!」
「ホントだ! よーし…」
アオイはポドリアルスペースを作成し、時間を止めるとその間にDPで破壊された校舎を修復する。

…ポドリアルスペースが解除され、時はまた動き出す。
「ああ、校舎があんなに壊れ・・・・・・・・・・・・・・・あれあれ??」 
目の錯覚だったのか、校舎は何事も無くそこにあったのでした。   ♪〜(゚ε゚( )

114粗筋!ウイングマン!:2009/12/05(土) 22:22:26 ID:???
――戦いが終わり、元の姿に戻った健太は再び学ランを腕まくりし、大きく伸びをする。
「みんなも元に戻った! 校舎も元に戻ったし、ホッと一安心だ」
「よかったね、ケン坊も正義の夢が戻ってさ」
「うん、そう……」
アオイに笑顔を返し振り向く健太だが…… その視線はアオイのおっぱいとアソコ。
…いかん、タイムボールでヌードで抱き合った影響で変に意識しちゃってるようだ。

。oO(う〜 ホントに近頃どうかしちゃったぞ、なんでこんなに胸が…)  ドキドキ

顔を真っ赤にし慌てて目をそらす。思春期が分からないお年頃の健太くんでした。
「広野くん…」
「なんか変なのよ、近頃のケン坊…」
そんな健太を心配する美紅とアオイ。その様子を見ていたラークは知ってか知らずか微笑んでいた。



――要塞艦デストレス。

「ライエル様の命令だ、ウイングマンに手を貸し その手でバクプラスを殺さなかったからだそうだ
 許せ、ヴィム…」

ヘッドギアとマントを取られ、半裸のヴィムはバルドによって牢獄に幽閉されたのだった――

115名無しさん:2009/12/06(日) 00:52:27 ID:???
>>48
黒い天使はお帰りくだ・・・・・・

あ!ウイングマンも黒い!しかも羽根があるから天使っぽい!!

116名無しさん:2009/12/06(日) 15:54:53 ID:???
>>54
そうか、なんだかんだで健太は結局体育会系の高校・大学に進学と見た!

それにしてもバクプラスもやられ、卒業の時期が近い…
ライエル編で終わりかな?それとも引き伸ばしになるのかな?

117粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 21:01:43 ID:???
第99話――【合格?不合格?の巻】



異次元空間に浮かぶデストレスに悲鳴と打撃音が響き渡っていた。
――ヴィムは両腕を拘束され、バルドの姉・指揮官バルダの鞭で叩かれていた。

「敵に助けられたのはまだしも、敵に協力するとは許される事じゃないわね
 大体、物造りしかできない女に作戦を任せたのも問題だわね ――ええ?バルド!
 まぁ、私が帰ってきた限り、もう安心しなさい。地球ごときすぐに手に入れてみせるわ」

ヴィムの仕置きを終えたバルダはライエルの前にはせ参じる。
「久しぶりだな、よく戻ってきたバルダ」
「フッ イナ星の征服など片手間仕事ですわ
 ――イナ星でございます、どうですか お気に召す輝きでしょうか?」
控えていた配下のロボットに命じ、ジュエルドームに封じられたイナ星を差し出した。
「ウーム 美しい… でかしたぞ、バルダ さすがだ、お前達 二人でこの星をとってきたとはな」
「私とこのガルダンがやればそんな星、すぐに手に入れて見せますわ 地球も同じ
 地球もそのイナ星と同じ様な星、帝王ライエルともあろう人が なぜこんなに手こずってるの」
「口がすぎるぞ バルダ」
ライエルはバルダを諌め、バルダは自分達に任せてもらう事にした。

――ふと、気配を察知したバルダはその方向に鞭を投げる!鞭は物陰に潜んでいた者の手に巻きつく。
「何者だ」
「フフフ ま、仲良くやろうぜ」
…それはお馴染みキータクラーだった。

118粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 21:02:01 ID:???
――翌朝
ベッドから起きる健太だが、いつもの元気が無い。
「あおいさん…」


家を出るとアオイが健太を待っていた。今日は夕島高の合格発表日なのだ。…健太、自信あるのか?
「ぜーんぜん無い、別に落ちてもいいもん」
「何言ってんのよ、美紅ちゃん悲しむよ 落っこちたらさ」


――夕島工
笑顔で健太を迎える美紅。3人で結果発表を見に行く事にする。
「美紅ちゃんは合格だよ」
「そんな事ないわよ、広野くんは? 広野くんの番号あった?」
お互いの受験番号を教えあい、番号を探す二人。ちなみに美紅は125、健太は132だ。

…125、125…… あった!美紅は見事に合格だ、おめでとう!
「ひょっとしてオレのも…   ん  んん〜〜〜!」
…131 133 134…
見事に不合格をくらった健太は笑顔が引きつる。
「どうしよう」
「なぁに、仕方ないよ(これで仲額高の生徒か… わぁ、あおいさんと一緒だ)」
「広野くん、落ちて嬉しいみたい…」
健太と一緒になれず、悲しそうに呟く美紅に慌ててごまかす健太。

「わたし… 夕島高やめて…仲額高にしようかな… 広野くんと一緒にいたいもん」

今にも泣き出しそうに見つめる美紅。その目を見て健太は戸惑ってしまう。ハッキリさせるべきか?
。oO(美紅ちゃんを嫌いになった訳じゃない、よく分からないんだ自分でも…
   なんとなく、心の中で今は… 今はあおいさんの方が存在が大きい気がして…
   こんな気持ちで美紅ちゃんに接しても… キズつけるだけじゃないだろうか… だったら…)

119粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 21:02:18 ID:???
「ね、広野くん わたしも仲額高に行く」
「だめだよ、そんな事で進路を決めちゃ!夕島高の方がいい学校なんだし、折角受かったんだから」

『くそ――!!』
ふと、こちらに気づいた男子生徒が突然健太に馬乗りになって殴りかかってきた!
「こいつめこいつめ!オレのくるみちゃんを奪いやがって!夕島高に落ちたのもお前のせいだ!!」
「やめなさい!」
殴られて頭に来た健太は何の事だと男を払いのける!…すると男は週刊誌を開いて健太に突きつけた。 

《美森くるみ 年下の恋人発覚》

――その雑誌にはそんな見出しで、かつて健太がスタジオでザシーバからくるみを救った写真、
七宝焼きをもらって見送る時の写真が載っていた!
「やった、ケン坊も有名人じゃない!」
「な なんだこれ!」
雑誌の記事を読んで怒りに手を震わせていると、今度は嫉妬に狂った男がまた健太に襲い掛かる!
「くそー なんてうらやましい奴だ! 殺してやる!そしてオレもっ!」
健太は男の顔面に雑誌をつき返し、デタラメだと教えその場を3人で走り去る!


街中をひた走る3人。
「ケン坊、どこ行くのよ!」
「家だよ、家!あんな本に載っちゃったら、ふらふら外を歩いてらんないよ!」

――ふと、電気屋のテレビに野次馬が群がっているのを見た健太は足を止める。
そこにはくるみが先程の雑誌の記事について記者からインタビュー責めにされていた。
《それは… やっぱり…》
《はっきりしてよ、ね 恋人なんでしょ どうなの、ねぇ くるみちゃん》
「あれじゃ、くるみちゃんかわいそーだ!」
しつこい記者にしどろもどろなくるみを見てイラだった健太は思わず声を上げてしまう!

120粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 21:02:33 ID:???
その声にテレビを見ていた野次馬も健太に気づき、健太が噂の男だという事に気づいてしまう!
「あ――――! この男だ、くるみちゃんとつきあってるって中学生は!」
「こんな奴のどこがいいんだ!」
「わー 逃がすなー! どこまでつきあった!聞き出せ!」
恐るべしマスコミの洗脳力に逃げ出す健太とアオイ! 美紅を置いてけぼりにしたのも気づかずに…
路地裏に逃げ込み、アオイのテレポートでその場を離れる2人。


一方、スタジオでは相変わらずしつこいマスコミにくるみは困惑していた。
「くるみちゃーん そろそろ白状してよ」
「だからさっきから言ってる通り… ただの友達だって…」
「そんな訳ないよー もっと深い仲だって情報も入ってるんだよ」
「そうそう、全く中学生とニャンニャンしたって噂も…」
いやらしい笑いを浮かべつつそんな事を吐く記者に、さすがのくるみもキレた!
「なんですかそれ! 言っていい事と悪い事が……」

『そうだ! 言っていい事と悪い事がある!』

――突如、マスコミの後ろにワープしてきた健太は怒鳴り散らす!いいぞ健太、もっと言ってやれ!
だが、当然の如く記者は健太にも詰め寄り出す!
どういう仲か、結婚の予定は、くるみのどこが好きなのか… 色々と聞き出すマスコミ!

『 あ ――――  う る さ ―――― い !! 』

いい加減健太もブチ切れ、大声を上げてマスコミを怒鳴り散らし、アオイは思わず耳を塞ぐ!
『そんな事はどうだっていいだろ!あんたらには関係ない事だ!
 それにオレにもちゃんと好きな人がいるんだ!!』

――その台詞はTV中継されていた。置いてきぼりになった美紅は電気屋のTVを見て頬を赤らめる。
「え  やだ、広野くん」

121粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 21:02:46 ID:???
再びスタジオ。
「ホント、それじゃどんな娘だよ!」
…餌を与えちまった。ますます健太に詰め寄るマスコミは名前やつきあい暦を尋ねてくる。
「どういう仲なの!」
「具体的に教えてくれない!?」
「くるみちゃんはその事知ってんのかい!?」
「まさか嘘なんじゃないだろーね!」
次々質問攻めにされる健太は口ごもっていた。誰を好きになろうとオレの勝手じゃないか!
そんな健太の頭には、先程の美紅の言った『一緒にいたいもん』の一言があった――
「本当のところ話してよ!」
「どーなんだい! 黙ってちゃわかんないでしょーが!」

。oO(美紅ちゃん だめだよ… オレは オレは…)
とっさに口から出た言葉とは言え、マスコミの猛攻に耐えられなくなった健太は――

『 こ の 人 だ よ 、 こ の 人 が 大 好 き な ん だ !! 』

真っ赤になってすぐ隣にいた、あこがれのお姉さん的な存在であるアオイの腕を引っ張った!
――健太の決断の言葉に、美紅は衝撃を受けていた――       <続く>

122粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 22:06:30 ID:???
2スレ目

>>957
いないとは言い切れないよ。
実際、自分が担当した変態仮面も未読で連載中スレに参加した人がいた。
そして自分も、連載中スレ→原作を読んだ作品(ハーメルン、寄生獣)がある。
そんな人に「できるだけわかりやすく」ってのが自分のあらすじのモットーなんで、
未読の人がいたら読みやすかったかどうか聞いてみたかったのよ

123粗筋!ウイングマン!:2009/12/07(月) 23:02:07 ID:???
2スレ目

うーん、それはちょっと自覚ある。確かに省略できる所まだあったし。
DBやダイ大のあらすじさんを見ると、戦闘描写はあまり無いからね。
今書いてるDNA2以降の作品ではもう少し短くなるよう、心がけます。
(ウイングマン・ヴァンダー・レモン・狂四郎は執筆済みなので)

※ちなみに長文の時は携帯からではなく代理スレでコピペしてもらってます、ご容赦

124名無しさん:2009/12/07(月) 23:29:18 ID:???
>>63
ライエル編はバクプラスまでもエロい行動してたからな、ガルダンも例外ではないのかもしれない。
しかしガルダン、悪役にしてはもったいないくらいのカッコいいデザインだな。
改造されて味方に・・・・・ って、そういえばウイナルドがいたな。
ウイナルド最近見ないがどうしたんだ?最後に出たのはいつだっけ?

125粗筋!ウイングマン!:2009/12/08(火) 21:12:52 ID:???
>>963
こちらこそ参加ありがとうございます。
規制の中、人が減っているからそう言ってくれるとホントありがたいです…。

>勿論、何故ここを細かく描写しない!?と思う事も無くも無いですが
例えばどんな所ですかね?自分でも気になるんで教えてください。

126名無しさん:2009/12/08(火) 21:15:17 ID:???
>>69-70
そういえば今更すぎる話題だな。
まぁ、マスコミお得意のでっちあげ記事の裏づけ写真とか、そんなんだと思うが。

しかしなりゆきとはいえ、健太ついにあおいさんに告白したか…
美紅もある程度は分かってたとはいえ、これからどういう三角関係になるのか

127粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 19:49:54 ID:???
>>965
>画像込みで来るか来るかと待ち構えていた
ありゃー… これは申し訳ないですorz 今からでも貼ろうか?(´・ω・`)

>>966
当時はハァハァできたけど、今は…(´・ω・)

128粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:28:34 ID:???
第100話――【大破局の巻】


「は…」マスコミの猛攻に、ついに自分の想いを正直にぶちまけた健太は我に帰り固まってしまう。


――この様子を電気屋のテレビで一部始終見ていた美紅。
。oO(…自分の気持ちに… とうとう―― 気がついちゃったのね… 広野くん…)
健太の告白に衝撃を受けつつも、その顔は嬉しそうにも、悲しそうにも見え―― その場を後にする。


その続きはまだ放送されていた。
《その隣の人が好きだっての、ホントなんだろうね》
《くるみちゃんをかばってデタラメ言ってるんじゃない?》
《ねぇねぇ、どうなの!?》
――いい加減しつこいマスゴミについに健太がブチ切れた!
「あんたら〜〜〜〜 もう怒った!! 堪忍袋が大爆発だ!!」
その直後、ホントに現実に大爆発が健太の横で起きた!?

健太達は一斉に何事かと振り向くと―――― そこには、謎のロボット(ガルダン)がいた!

ガルダンは驚く記者のカメラを破壊しつつ健太に歩み寄る。
健太の前に立ちはだかると、剣を彼の首の横につきたてターゲッテイング、データ検索を行う。
「広野健太だな… 今日はキサマを殺しに来たんじゃないから安心しろ フフフ」
そしてガルダンはマスコミに向け、地球に宣戦布告を行う!

「我々は地球を頂く ついては、きさまらをペットとして飼ってやる、ありがたく思え!
 おまえらにも選択する権利を与える、各都市にエネルギードームを設置してある…
 素直にペットになる奴はその中に入れ、ペットになるのがやな奴は入らなくてもいいぞ
 だが、ペットにならない奴は死んでもらう
 ――さぁ、どうする? 死かペットになるか、二つに一つだ ハハハハハハ!」

129粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:28:47 ID:???
「これは大変だわ」
もちろんこの宣戦布告は全国中継され、この番組は桃子も見ていたのだった。

「そうは行くか! オレがいるんだ、きさまらの好きにはさせん!  チェイング!!」

『おおっ、変身した!』
大勢のマスコミの目も気にせず、変身しガルダンへ先制攻撃の蹴りを放つウイングマン!
だが、ガルダンは拳を振り上げつつ蹴りをあっさりと払ってしまい、苦痛にうめくウイングマン。

「そう死に急ぐなよ! いいか、おまえらのどんな兵器を使ってもオレを倒す事はできんぞ!
 よーく考えるんだな、ペットになるか、死ぬか! 3日だけ待ってやる!」

ガルダンは高笑いしつつ、破壊した場所から歩き去って行った――
我に帰ったマスコミは一斉にガルダンを追う派とウイングマンに質問する派に分かれる。
「こっちの変身少年も記事になるぞ!」   …もうめんどくせぇんで記者の台詞省略します。

「強い、本当に強いぞ あいつ こんなのは初めてだ、敵の大規模な攻撃なんて…」
「ケン坊、しっかりしてよ!ケン坊!」
ガルダンのすさまじい強さにまだへたり込んだままのウイングマン。
「今までの戦いを考えると、なんて甘かったんだ こんなシビアな戦いは初めてだ…
 オレなんかが地球を守りきれるんだろうか…?」
「何情けない事言ってんの! 自信を持ってよ!」
人の気も知らず、地球が滅ぶかどうかの瀬戸際に質問攻めするマスゴミを無視しくるみが声をかける。

「そうよ広野くん、たよりはあなたしかいないのよ
 それに、何もあなただけに戦わせたりしないわ 私達も一緒に戦う 私達も変身できる様にして
 何も広野くん、ひとりで戦う事ないもの そうでしょ? ね、広野くん」

――真剣な眼差しでウイングマンを見つめるアイドル・美森くるみ。
「わかった… みんなも変身できるようにするよ」
ウイングマンはしばし考えると、その提案を承諾する。

130粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:28:59 ID:???
『さぁ、もう一度変身するとこを見せてよ!』   ――あーーー書いてて腹が立つ!(Byあらすじ)

「もう あなた達はこんな時に…何考えてるの!」
いい加減しつこいマスゴミを蹴飛ばして追い払ってくれるアオイ様!
…だが、マスゴミもただでは転ばず、しっかりアオイのパンチラ写真を撮っていたのでした。



――テレビで堂々と地球征服宣言がされたにも関わらず、人々は絵空事と信用しなかったのだった…
 当然、各地のエネルギードームには誰一人として入らなかったのである…



その頃、デストレス内部では作戦会議が行われていた。
「あまりにも突拍子も無い出来事なので信用していないようです、実力行使に出るしかありません」
だが、地球の美しさを重要視するライエルはそんな作戦を認めるはずが無い。
しかしその点についてもバルダはちゃんと考えがあったのだ!

「アオイという娘を使えば問題は解決します。
 その娘に壊れた物を超能力で元に戻させればいいのですから まぁ、見ていて下さい
 …ではバルド、次の作戦を進めるのだ 地球人をちょっと驚かせておやり」



――その頃、布沢は真次のアパートに来ていた。
「はぁ 今日も真次さんいない…引っ越しちゃったのかしら? …私に黙って? そんなぁ…」
やむなく帰ろうとする布沢だったが、帰り道に真次が待ち受けていた。
「ちょっと話があるんだ」

真次は人気の少ない所に布沢を誘い出す。
。oO(こんな寂しい所に連れて来て…何しようってのかしら)
…真次の正体を知ってか知らずか、ともあれこれからの事を妄想し思わず鼻の下を伸ばす。

131粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:29:10 ID:???
「あのさ、君らもう卒業したの? 学校には行かないの? みんなともう会う事無いの?」
「え、いいえ まだよ 明日卒業式だもん、みんなとは明日また会うわ」
「へぇ そうなんだ」
「(もう、じれったいわね こうなったらわたしから…)ねぇ、真次さん… おねがい」
勇気を出し、真次にキスしようとそっと近寄り目を閉じる布沢。

真次はそんな布沢に応えるべく―――― 布沢の胸に ナ イ フ を 突 き 立 て た !

「し 真次さん!?」 
大きく目を見開き崩れ落ちる布沢!
「お前はもう用済みなんだ、
 お前をペットにしとくと愛するヴィムとの仲がややこしくなるかもしれないからな
 死んでくれ、どうせ もう生きてたって仕方ないんだからよ  ――成仏するんだな」
真次はバルドの姿に戻り、倒れる布沢に見向きもせず踵を返し立ち去った…
「ま 待って…」
か細い声で呼び止めるも、すでに真次…バルドの姿は無く、力尽きる布沢!
――だが、突如上空からアンノウンが現れ、布沢を抱えて飛び去って行った――



――3日後、健太達の卒業式。そしてこの日は全人類がペットになるかならないかの運命の日だった。
廊下でおしゃべりする美紅と桃子。
「リーダーとうまくいってないの?」
「ううん、そんな事ないわ この前テレビ見たのね …私、いつかこうなるって気がしてた」
「もっと積極的になんなきゃ! いいの?このままで」
…昔の自分の姿を美紅に重ねた桃子はアドバイスするが、桃子以上に内気な美紅にはできなかった。

一方、健太は先日のテレビを見た生徒達から芸能学校に行くのかと冷やかされていた。
。oO(みんな この前の事を信じてないんだ… なんという緊張感の無さだ)
そんな不安を抱えていると、突如健太の後ろから呼び止められた。

132粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:29:24 ID:???
「広野おにいさま」 健太が振り向くと―― そこには久々に登場のりろがいた。
「ずっと学校に出てきてなかったみたいだけど、ダメじゃないか」
「へへへ だって勉強つまんないんですもの
 それより見ましたわよ、テレビ 今はリメルとは別の敵と戦ってますのね
 水くさいですわよ、一言声をかけてくだされば私も戦ったですのに」
「やぁ、やっぱりりろちゃんは小さいから…」

「やぁ、広野先輩 卒業おめでとう! 明日からの学園の平和はボクに任せてください!」

そこに現れたのは… これまた懐かしい、学園刑事ヒロダー!
「あなたなんかに任せられませんわ!」
「何を、この小娘!」
…2人のアホなやり取りに、健太は本当に今地球が侵略されようとしているのか不安になるのでした。

美紅と桃子が立ち話している所に健太がやってくる。
「美紅ちゃん、ちょっと来て 話したい事があるんだ」
ふと、桃子の後ろから忘れ去られた、どっかで見たような連中が駆けつける。
「やーピンク とうとうセイギマンも解散の時が来たんだなー」
「今日の解散ショーは派手にやろうな!  …あれ?リーダーは?」


――体育館横で話す健太と美紅。
「ね、ねぇ、美紅ちゃん TVであおいさんがどうのこうのって、あれはさ あの場を逃れる為の…
 だから気にしないでね」
顔を引きつらせながらもぎこちなく、懸命に言い訳する健太。

「いいの ――いいのよ広野くん わかってるの …こうなるのが遅かったのかもしれない
 わたしが広野くんと一緒にいる時間なんて、あおいさんと広野くんの時間に比べたら…
 それに会ってたって、いつも今みたいにぎこちないし…
 広野くん… あおいさんといる時はすごく楽しそうなのよ
 二人とも、心から接してるって感じなの だから、いつかこうなるって…」

133粗筋!ウイングマン!:2009/12/09(水) 20:29:39 ID:???
ポツリポツリと話す美紅の目にはうっすらと涙が浮かんでいた… それでも美紅は話を続ける。
「わかってた、わかってたけど怖くて言えなかった… もしかしたら勘違いと思ったりして
 引っ込み思案すぎたの、わたしって… だから、これから積極的になろうと思って…」

――そう言うと、突然美紅は健太の顔を引き寄せ唇を重ねた――
…かと思うと、うつむいたままその身体を健太から離す。

「ごめんね、わたしいつまでも広野くん好きなの! でも広野くんは忘れて、わたしの事!」

美紅はそう叫びつつ、健太に顔も見せずにその場を走り去るのだった…
。oO(くちびるがちょっぴり触れただけのキスだったけど… すごくあったかい気がした… でも…
   ゴメン、美紅ちゃん…… もう、こう言うしかないんだ)
自分の唇に手を当て考え込む健太。

   シュオン   シュオン   シュオン
――ふと、周囲に何やら妙な音が響いた。辺りを見回すと――校舎が徐々に消えていくではないか!

『な 何! 校舎が… 校舎が消える!?』              <続く>

134名無しさん:2009/12/09(水) 22:46:53 ID:???
ついに100話か!休載を除いても完全に2年経ったな…
てか、今回話詰め込みすぎ!急展開しすぎ!

マスゴミが! パンモロが! 布沢さんが! りろが! ヒロダーが! 学校が!

ああもう、どこから話せばいいんだ!
あと、あらすじさん、マスゴミの台詞乙です(´・ω・`)

135名無しさん:2009/12/09(水) 23:04:44 ID:???
死ねバルド! 氏ねじゃなくて死ね!
アンノウンが何とかしてくれそうだから布沢さんは助かると思いたい…

プラス戦がまだほほえましいと思えるほどの超シリアス路線に入ってしまったな。
引き伸ばしするかどうかは分からないが、やはりライエル軍との最終決戦が近いのか!?

136名無しさん:2009/12/09(水) 23:32:15 ID:???
リメル編は異次元だったからいいんだが、
ライエル編は確実に三次元に攻めてきているから… 次回から多数の死傷者が出る予感…_| ̄|○lll

137粗筋!ウイングマン!:2009/12/21(月) 19:50:00 ID:???
第112話――【キータクラーの巻】


ライエルとの死闘の翌日…破壊された街は、アオイとラークのディメンションパワーで修復された。
そして、ウイングマンを称えるパレードとショーが行われようとしていた――

パレード控え室で雑談しているアオイと美紅。
「ああ、バテバテ あんな大掛かりな仕事、こりごりよ 大都会の再生なんて…」
「ご苦労様、それにしてもライエルは思ったよりも弱かったね」
「ガルダンよりも弱いわよ、きっと」
「そうじゃないわ、ライエルが弱いんじゃなくて ケン坊がすごく強くなったのよ、きっと」
「そっか、広野くんが強いのか… 広野くん…」 
少し寂しそうにうつむく美紅を見て、アオイもいたたまれなくなる。

「あおいさーん 何、話って オレ今日は忙しいんだからさ、早めに済ませてよ」
大声をあげて控え室に入ってきたのは―― 純白のタキシードでおめかしした健太。
するとアオイはおもむろに健太と美紅の手を取り、強引に手を繋がせる。
「仲直りしなさい」
「仲直りって…? 別にオレと美紅ちゃん、ケンカした訳じゃなくってさ… その…気持ちの…」
「何言ってんのよ、ほらほら しっかり握手しなさい!」
「そういう問題じゃ…」
「いいのよ、あおいさん わたしはもう…」
戸惑う健太と美紅の話を聞こうともせず、アオイは2人に背を向け強引に話を進める。
「いやー悪かったわ、あんまりわたしが刺激したのがまずかったのよね ケン坊、思春期だもんね
 心が不安定な年頃って、自分の気持ちもよくわからなくなるものなのよ」
「違うよ、ホントにオレあおいさんが! 心臓だってドキドキして… 夜も寝られなくて…!」
「あおいさん、わたし もう大丈夫だから、それより… 
 気持ちごまかしてるのあおいさんだわ、あおいさんだって広野くんの事大好きなくせに!」
真っ赤になって反論する健太と冷静に反論する美紅と対照的。

「もう あんた達は! わからず屋!ひっぱたいてやる!!」

138粗筋!ウイングマン!:2009/12/21(月) 19:50:15 ID:???
言うが早いか、いきなりアオイは両手を振り上げ――
美紅には触れる位の優しい平手、健太には手加減無用の全力ビンタをブチかます!w
「あんまり困らせないでよ!」
「いてー いてーよ!あおいさん!」
「あおいさん…」
真っ赤になってそっぽを向くアオイ、頬を押さえて涙目の健太。

「ケン坊はホントに美紅ちゃんが好きなのよ
 ……だって、美紅ちゃんを助ける時、心の叫びを聞いたじゃない…
 ――ホント言うと、わたしには聞こえなかったのよ」

背を向けたまま芝居だった事を暴露するアオイ。それでも健太には美紅の声が聞こえていたのだ。
――つまり、健太の本当に好きな女性は―― 小川美紅。
「まぁ、頭を冷やして… よく考える事ね」
そのまま振り返りもせずその場を後にするアオイ。
「明日の卒業式が終わったら、ポドリムスに行くよ」
健太の声に一瞬足を止めるも、アオイはそのまま立ち去っていった。

。oO(……ケン坊! しょうのないやつ!
   美紅ちゃんとケン坊は結ばれるべき二人よね… だから…もう、ああするしかないんだわ!
   でも、そうなれば これでホントにさよならになっちゃうんだよ、ケン坊…
   ケン坊がいけないんだからね、強情っぱりの大バカなんだから…)



――時間となり、いよいよ健太…ウイングマンを称えるパレードが開始された。
《さぁ広野くんを乗せた車が走り始めました! 大勢の人々が英雄を一目見ようと駆けつけてます!
 ご覧下さい、彼が地球を救った勇者です!》
ウイングマンの胸のWマークを模したプレートをつけた車に乗り、人々に笑顔を返す健太。

。oO(ヒーローか… ヒーローになったんだ、憧れだったヒーローに!
   なったんだ なったんだ! オレはヒーローになったんだ!)

139粗筋!ウイングマン!:2009/12/21(月) 19:50:27 ID:???
ちょっと緊張しつつも、人々に笑顔を返す健太――
直後、一瞬周囲が輝いたかと思うと、健太の姿は車上からこつぜんと姿を消していた!
《ああ 広野くんがいない! 一体どうしたんだ!》


――その頃の健太は何者かに首を絞められもがいていた!
「だ 誰だ!オレの首を絞めるのは…! 離せ!!」
何者かの手を振りほどく健太!するとどこからか声が聞こえてきた。
「広野健太 お前は今、オレの作り出した異次元空間・第二三次元にいるのだ
 見ろ、お前から周りは見えるが 周りからお前は見えないのだ、声も聞こえんぞ!」
――声の説明の通り、健太の周囲は白っぽい世界となり、周囲にはスタッフが騒いでいた。

「今日は記念日だ! 本物のヒーローになったキサマと、そのお前を倒すこのオレのな!!」

『キータクラー!!』
謎の襲撃者は健太のライバル、キータクラーだった!         <続く>

140名無しさん:2009/12/21(月) 22:26:41 ID:???
健太、やっぱり心の底では美紅が好きだったんだな。それを確かめるためにあおいさんは…
あおいさん、ポドリムスに帰るって事はやっぱりあと何回かで最終回なのかな。

キータクラー、最後の最後で奇襲をかけてくるとは!
アンノウンになるのはもうやめたのか? いや、本当にライエル編のアンノウンはキータクラーだったのか!?

141名無しさん:2009/12/21(月) 23:01:56 ID:???
>>360
ワロスwww いくらなんでもそんな決着はつけないでくれww

142名無しさん:2009/12/21(月) 23:31:50 ID:???
健太、夢にまで見た本当のヒーローとなってうれしそうだな。
序盤の「松岡先生見てますか」をもう一度言って欲しい!
今ならクラスメートも松岡先生も、事実を把握してるだろうし。

キータクラー、強い敵と戦いたいと言っていたから今出てきても驚かんが、
彼はライエル編で一体何をしていたのか…?

143名無しさん:2009/12/22(火) 06:47:06 ID:???
あそこまで破壊された大都市をたった2人のディメンションパワーで修復できるとは…
ラーク親子が味方でよかったよ。万能すぎだぞ、ディメンションパワー。
<DP能力まとめ>
・破壊光線
・サイコキネシス
・テレポート
・時間移動
・物体再生
・特殊空間作成(ポドリアルスペース、今回の第2三次元)

キータクラーとの決着もつきそうだし、引き伸ばしはなさそうだな。
ここらでどんな最終回になるか予想してみないか?
おれは「将来、健太は地球を救った功績を買われて防衛庁のお偉いさんになる」と予想。

144名無しさん:2009/12/22(火) 20:06:13 ID:???
>>368
バクプラスの時のように、美紅と花屋さん経営するとか

145粗筋!ウイングマン!:2009/12/22(火) 20:13:29 ID:???
第113話――【宿敵との決着の巻】


「それじゃあ、ウイングガールズの皆さん、そーいう事でお願いします」
――健太が消えた事も知らず、ステージの上ではスタッフと打ち合わせが続いていた。
「なんかわたし達、スターになったみたい」 「ホント」
いつもの戦闘服姿の4人。布沢と桃子は手を取り合って喜んでいる。

「ねぇ、美紅ちゃん ――明日に延期になってた卒業式が終わったらお別れね」

「え? お別れって…」
「みんなの記憶を消して… わたし、ポドリムスに帰るわ」
「そんな!いやだわ、そんなの!!」
「もう決めた事だから… わかってね、美紅ちゃん」
アオイは美紅に優しく微笑むと―― 突然、2人の身体がステージの柱に吸い寄せられた!
柱に磔にされた2人は、瞬く間に何かドームのような物に包まれてしまった!
そのおかげで桃子達や観客はパニックに陥ってしまう!

「電磁バリアだわ、こんなのを作れるのは―――― キータクラー!!」
ステージ最前列にいた健太の両親、松岡先生もパニックになっている!
「ああ あおいちゃん! なんてことでしょう!!」
「夢さん、小川さん! 気をしっかり持つのよ、今誰かが助けてくれますからね!」
…パニックになる人々をなだめるスタッフだが、実はこちらもパニックに陥っていた。


一方、異次元空間の健太はキータクラーの説明を聞いていた。
「今 アオイと美紅をステージの上で電磁バリアに封じ込めた
 30分以内にこの戦いにケリをつけないと、二人は窒息死する!
 今が9時10分、9時40分には二人共死ぬ!」
「なに! きたないぞ!」
。oO(フッ どうとでも言え、キサマの力を100%引き出す為にはどんな事でもする!
   本当の力を出したおまえを倒すのだ!)

146粗筋!ウイングマン!:2009/12/22(火) 20:13:43 ID:???
戦うしかなくなった健太は怒りに燃えチェイングする!
『  悪!  裂!  ウイングマン!!』
「剣を抜け、剣で勝負だ!!」
両雄、剣を抜き放つ!ウイングマンとキータクラー、正義と悪の宿命のライバルの戦いが始まった!

…勝負に応じたものの、この中では正義のウイングマンが圧倒的に不利だった。
この異次元空間は『周りからはこちらが見えない』ので、下手に剣を振るうと誰かを斬ってしまう!
向こうがよけてくれない以上、こちらが注意するしかない!
そして2人の剣戟の音が異次元空間に響き渡った――

バランスを崩したウイングマンは、後ろの男性にぶつかるまいと必死でこらえる。
体勢を立て直したウイングマンはキータクラーに斬りかかるが、キータクラーはジャンプで回避!
同時にウイングマンの後頭部に蹴りを入れ、ウイングマンはパレード車に吹き飛ばされる!
「何だ!? 今フロントガラスがひとりでに割れたぞ!」
周りからはこちらが見えないので、当然その反応になる。さながら透明人間。

「いかん!もう5分もたっちまった!」
「時間など気にしてる場合か!」
時計に気を取られた隙に背後からキータクラーが襲い掛かる!
――とっさにウイングマンは左手で防御するが、ガーダーをつけていないので怪我を負ってしまう。
「ガーダーをつけた方が身の為じゃないのか!? どうだ!?」
剣を構え突進してくるキータクラー!
ウイングマンは大きくジャンプしつつ、お言葉に甘えてソーラーガーダーを身にまとった!
気がつくと、5分経っているのに体の色が変わっていない… この中では変身時間は無制限なのだ!
――突如、キータクラーは指からDPビームを放ち、寸での所でウイングマンはこれを避ける!
ビームはウイングマンを大きく逸れ、背後のビルの壁に大穴を開ける。
「剣で戦うと言ったのに ビームを使うのは汚いぞ! …へん、ハズレだぜ」
「出て来い、ドクターラーク!」
「へ?」

147粗筋!ウイングマン!:2009/12/22(火) 20:13:56 ID:???
ウイングマンは素っ頓狂な声をあげ、ビルの大穴を見ると―― 現れたのはアンノウン!
「さすがだな、キータクラー 気配に気づくとは」

「ああ、あいつは!」
「影からウイングマンの援護をしようとしてるのは分かっているのだ!マスクを取れ、ラーク!!」
キータクラーに言われ、マスクを取るとそこには見知った顔があった。
「みんなは私の事をキータクラー、お前だと思ってたようだがな」
「ああ あおいさんのお父さん! じゃ、今まで助けてくれたのは…!」
ライエル編で助けてくれたのはアオイのおとっつあん、ドクターラークだった!!
「誰にもジャマはさせない、1対1の勝負だ! キサマはこの中に入ってろ!」
そう叫ぶや否や、キータクラーはラーク目掛け電磁バリアのエネルギーを放つ!

「ウイングマン、ドリムイレイサーだ!こいつは一こすりで1ページ全部がきれいに消える!
 いざとなったらこいつで古い武器を消し、新しい武器を書き加えるんだ!  ――それ!!」

ラークは説明と同時にドリムイレイサーを投げると、その瞬間電磁バリアに包み込まれてしまった!
「ああ! きっと助けますよ!おじさん!」
ウイングマンはドリムイレイサーをキャッチするとドリムカセットの中にしまいこむ。
「さぁ、邪魔者はいなくなったぞ! 来いウイングマン!」
「やだ! あおいさん達を助けるのが先だ!」
ウイングマンはキータクラーに背を向け、アオイと美紅のいるステージへと駆け出した!


人にぶつからないように注意しながらすり抜けつつひた走るウイングマン。
――ステージが見えてきた!
だが、安心したのも束の間、ウイングマンの目の前にキータクラーがワープしてきた!
「行ってもムダだ、勝負が決まらない内はどうやってもバリアは解けない」
「ならば、キサマを今倒す! ヒートレイバー!!」
バリアレイバーをソーラーシールドに差込み、無敵の剣・ヒートレイバーを作り出す!

148粗筋!ウイングマン!:2009/12/22(火) 20:14:13 ID:???
「デスボール!!」
キータクラーに迫るデスボール!…しかし、キータクラーは余裕たっぷりで笑っている!
キータクラーは素早く近くの女性客が座っていたパイプ椅子を掴むと、デスボールへ投げつけた!
パイプ椅子に当たったデスボールは―― 無意味にパイプ椅子を封じ込めてしまう。

「フッ デスボールはこの程度で破れる なにしろ最初にぶつかった物体を囲ってしまうからな」

――さすがキータクラー、伊達にウイングマンの戦いを観察してはいないという事か!
舌打ちするウイングマンをよそに、今度はキータクラーが仕掛けた!

「フッ それでは今度はこちらから行くぞ!  遠 近 自 在 剣 !! 」

キータクラーはその場で動かず、剣筋が見えないほど高速で剣を振り回した!
しかしウイングマンは冷静に技を分析、後ろががら空きなのを見抜く。
そう判断した彼は、剣が届かない高さまでジャンプし後ろに回り込もうとする!
キータクラーは一笑に伏すと、空中のウイングマンの身体に無数の斬撃が走り墜落する!
「な なぜだ、剣の届かない所だったのに…  ん?」
地に伏したウイングマンはキータクラーの足元の妙な跡に気づいた。

。oO(あれは… 足をすった跡… そ、そうか…!うかつだった…!
   身体は動いていないように見えて、実はものすごいスピードで移動して
   元の位置に戻ってきてたんだ! あの技の隙をつく方法は無いのか…?
   ガーダーも削られてる、こいつぁ無防備の首を切られたらアウトだ)

ガーダーを見ると無数の傷があった。
ふと、ソーラーシールド部分が太陽光を反射したのを見て、ある事を閃いた。
キータクラーは再び遠近自在剣を繰り出しつつ、ウイングマンの間合いへ近づいてくる!
。oO(一瞬だ、一瞬しかチャンスは無い!)
キータクラーの剣に耐えて一瞬の隙を待つウイングマン!
「そらそらどうした!」

149粗筋!ウイングマン!:2009/12/22(火) 20:14:35 ID:???
その頃のアオイと美紅はそろそろ息が苦しくなってきていた。
そしてウイングマンもまた、キータクラーの攻撃に苦戦していた。
「よけているのが精一杯らしいな、ハハハ!」
――その言葉をしゃべったせいで、キータクラーは一瞬気を抜いた! 今だ!!
ウイングマンは真上に向かって大ジャンプする!
「跳んでもムダだ  …なに! ウイングマンが!! チッ、まぶしい!」
ウイングマンは太陽を背に浴び、キータクラーを怯ませた!
キータクラーがもう一度空を見ると、もうそこにはウイングマンの姿は無かった…
「ここだ!」
別の方向からキータクラーに奇襲をかけたウイングマンはキータクラーを思い切り蹴飛ばした!
剣を落とし倒れるキータクラーにヒートレイバーを突きつけるウイングマン。


――ついに最強のライバル・キータクラーとの決着をつけたウイングマン。
「負けだ… オレの技がなぜやぶれた」
「足元の砂がすれているのを見てな」
決着がつき、異次元空間から開放され、その体勢のまま元の三次元に戻るウイングマン達。
突如現れたウイングマンに観客も驚いている
「フッ キサマの強さは土壇場になった時、敵の弱点を探し出すその目だ
 数々のピンチを切り抜けてきて、一段と強くなったらしいな… さ、殺せ!」
負けを認めたキータクラーは電磁バリアを開放し、アオイと美紅はステージ上に落ちる。
「ケン坊とキータクラーが… 勝ったのね、キータクラーに買ったのね、ケン坊!」
知らない間にウイングマンとキータクラーの戦いが起きていて、ウイングマンの勝利を喜ぶアオイ。
しかし、ステージの上方から何者かの腕が現れたかと思うと…

『 う !』

―――― ビ ー ム が ア オ イ の 胸 を 貫 い た !! 
                                   <続く>

150名無しさん:2009/12/22(火) 22:18:25 ID:???
ついにキータクラーとも決着がついたか!
数週はかかると思ったけど、案外あっさり決まったな。(まぁ人質取られてたし)


…って・・・・・
うわああああああああ!!! あおいさーーーーーーん!!!???

151名無しさん:2009/12/22(火) 22:48:26 ID:???
>>376
アンノウンの正体はおれも驚いた!
伏線も何もなかったね、確かにおとっつあんがいた時は出てこなかったけど…
1号の時みたいに、キータクラーの檻の前に現れるとかそういう伏線あってもよかったんだが。

それにしてもあおいさんを狙撃したのは誰なんだ!?
最終回直前(?)に来て新キャラってことはないし・・・

152名無しさん:2009/12/22(火) 23:55:58 ID:???
健太、本当に強くなったな。序盤キータクラーにてこずったのがうその様だ。
キータクラーもかっこいいライバルキャラとして強くなってうれしい限り。



・・・・・なんて事言ってる場合じゃない!
あおいさん!あおいさんがあああああああああああ!!!!

153名無しさん:2009/12/23(水) 01:36:54 ID:???
>>380
そういえば、クロムレイバーで頭どつかれてうめいてたもんな…w

154名無しさん:2009/12/23(水) 11:20:24 ID:???
>>381
>でもできるのかな
今回、都市を修復したしDPにできない事はないと分かったし可能だろう。


>>384
だったらアオイを撃ったのはラークって事になるが、腕が違うし、大体封じ込まれている。
一体誰なんだよ、犯人は!

155名無しさん:2009/12/23(水) 11:44:49 ID:???
>ドリムイレイサーは重要な伏線になるのかな
ドリムイレイサー使えるという事は書き込む事が増える→連載延長 かな?
正直終わって欲しくないような気もする。

しかし誰もあおいさんの心配はしないのか?

156名無しさん:2009/12/23(水) 13:53:06 ID:???
>>388
そうか、うっかりしてた!アオイ達はポドリムス人!
内臓構造が三次元人と違うと言う設定でもおかしくない!
(例えば脳の下に心臓があるとか)

…とはいえ、仮にそれだったとしても重傷そうだ…

157名無しさん:2009/12/23(水) 18:42:01 ID:???
最終話――【正義の味方の巻】  雑誌版スキャン:ttp://sakurachan.dip.jp/up/src/up15701.zip


宿命のライバル・キータクラーとついに長年の決着がついたウイングマン。
アオイはウイングマンの勝利を喜ぶが、その直後、何者かが放ったビームがアオイの胸を貫いた!!

――血を吐き、倒れるアオイ――
この光景はウイングマン、美紅、桃子、布沢に激しい衝撃を与え――時間がゆっくりと感じられる。
美紅達や観客席のあちこちから悲鳴が起こる。

「 あ お い さ ん !   うああっ! あおいさ――――ん!!」

キータクラーを放置し、血相を変えてアオイの元へ走るウイングマン!
「血が 血があふれてくる!」
真っ青になった桃子達には何も出来なかった。倒れたアオイは苦しそうに狙撃者を確認しようとする。
「あ あいつは… いったい……!?」
…狙撃者はステージのセットの上に立ちはだかり、こちらを見下ろしていた。

「分からないか… 無理もないな、今まで見ていたのは仮の姿だったのだから… ワタシだよ
 宇 宙 の 帝 王 、 ラ イ エ ル 様 だ ! 
 お前らを皆殺しにするまで、死んでも死にきれんのだ!」

瀕死の身体を推して息を切らしながら現れたのは――帝王ライエル!
「ライエルだと!? まだ生きていたのか!」
舌打ちするキータクラー。――しかしなぜその姿に?

「あの巨大な姿はワタシの『鎧』であり、帝王としての象徴なのだ
 その中に入り、『象徴』を動かしていたのだよ」

――つまり、ウイングマンが必死の思いで倒したライエルは巨大ロボットだったのだ!

1582/8:2009/12/23(水) 18:42:43 ID:???
「なんでいまご… ゴホン! ゴホ!」
「しゃべっちゃダメだ!」
ウイングマンに抱きかかえられたアオイは、気管に血が流れ込み咳き込んでしまう。
「必ず最後は勝つ!それがワタシの信条! やられたままでは引き下がらんぞ!」
言うが早いか、ライエルはビームガンを連射してくる!
咄嗟に桃子達はバリアを張ってビームを防ごうとするが、そのビームはバリアを貫通してしまう!
――幸い、ビームはバリアを通過時に屈折し、美紅達の腕をかすめただけで致命傷にはならなかった。

「ウイングマンよ オレはきさまの強大な正義の力に引き寄せられてここまで来たのだ
 どうしても、その正義の力をねじふせたくてな!
 分かるか! きさまが正義を振りかざす限り、アオイのような犠牲者が出るのだぞ!分かるか!!」

。oO(そ… それじゃ、オレがあおいさんをキズつけたとでもいうのか! そ そんな!)
ライエルの言葉に激しいショックを受け、ウイングマンは戦意喪失してしまう!
ウイングマンが精神的にこたえているのを確認したライエルは、、今のうちに始末しようと目論む。
「キサマが死ねば、全ては丸くおさまるのだ!!」
ライエルはセットの上から飛び降り、こちらに近寄ってくる!
「オレが オレが あおいさんを… うう…」
「ケ ケン坊… しっかりして…」
「そうだ! みんなキサマのせいなのだよ!   ――死ね!!」
ライエルのビームガンからビームが発射され、周囲に血が吹き出した!!
固まる美紅、松岡先生、健太の両親、桃子、布沢―― 言葉も出なかった。

――だが―― ウイングマンは無事だった。キータクラーが間に割って入ってかばってくれたのだ!

「こ この死にぞこないめ… キサマの言ってる事を聞いてると、はらわたが煮えくり返るぜ」
ビームを受けた腹の傷の痛みに耐えつつ、ライエルを押さえるキータクラー!
「血迷ったか!キータクラー!!」
「何を言うか! ウイングマンはオレに勝った男!
 その男をキサマごときに殺られてたまるか! そんな事はオレのプライドが許さん!!
 ――今だウイングマン!ライエルをやれ!ヒートショックでしとめるんだ!!」

1593/8:2009/12/23(水) 18:43:00 ID:???
暴れるライエルを必死で押さえるキータクラーだったが、戦意喪失したウイングマンは――
「いやだ! もう正義の味方はやりたくない!!」
アオイを抱きかかえたままそんな事を叫んでしまう。
「何言ってるの… ケン坊 夢だった、本当の正義の味方に やっとなったんじゃない
 バカな事を………」
「夢なんてもうどうだっていいんだ! あおいさんが あおいさんが助からなきゃ、オレ……!」
その言葉にアオイは悲しくなり、弱った体でウイングマンの身体を強く抱きしめる。

「バカ! ケン坊のバカ! 悲しい事言わないでよ!
 一緒にポドリムスに行くって言ってくれたじゃない!結婚してくれるって言ったじゃない!
 これじゃ! このままじゃ何にもならないよ! 夢を捨てたら何もできないよ!」

ウイングマンのヘルメット越しに至近距離で必死に説得するアオイ!
そしてライエルはキータクラーを離そうと、何度もキータクラーの体にビームを撃ちまくっていた!
ビームは何本もキータクラーの腹を貫通し、辺りにキータクラーの血が飛び散る!
――しかし、ウイングマンはまだ迷っていた。

「わたしは 正義の味方に燃えるケン坊が好きなのよ! 夢を追いかけるケン坊が好きなのよ!
 お願いだから、情けない事言わないで! お願いだから、もう一度ウイングマンの勇姿を見せて!!
 お願いだから!  ――お願いだから!!」

ボロボロと涙をこぼしながら説得するアオイの言葉に―― 健太の心に再び戦意が燃え上がった!
ウイングマンはそっとアオイを床に寝かせる。
「あおいさん、すぐライエルを片付けるから待ってて そしたら病院に行こう、それまで死んじゃ…」
「バカね… わたしが死ぬわけないでしょ 自慢じゃないけど、不死身なんだから…」
――ウイングマンの言葉に精一杯の笑顔で応えるアオイだった。

「キ キータクラー!いい加減にしろ! この手を離せ!」
ウイングマンはそっと立ち上がると、暴れるライエルを押さえるキータクラーに向かう。
「どけ、キータクラー あとはオレがなんとかする!」
『フッ お前に負けた時、既にオレは死んだも同然なのだ!! 躊躇うな!! デスボールを撃て!!』
キータクラーは相変わらず深手を負いながらも、暴れるライエルを必死で押さえていた。

1604/8:2009/12/23(水) 18:43:26 ID:???
「あおいさん よく見ててね 正義の味方のウイングマンの姿を!!」

キータクラーの最期の願いを聞き入れ、デスボールを撃ち出すウイングマン!!
デスボールはキータクラーもろともライエルの動きを封じ込めた!
「やれ、一気にやれ! ウイングマン!!」

『あおいさんを、あおいさんを あんな目にあわせやがって…
 あおいさんの代わりに! キサマが死ね! ライエル!!  ――ヒートショック!!!』

憎しみを込めた必殺のヒートショックが、キータクラー諸共不死身の帝王ライエルを斬り裂いた!!
周囲に不死身の帝王ライエルの断末魔が響き渡る!
「やったね… ケン坊……」
ウイングマンの勝利を喜ぶアオイだが、その声はすでに弱弱しくなっていた…
『粉々になれ! 粉々に!  粉 々 に !! 』
爆発するデスボール内部を睨みつけるウイングマン。
「キータクラー… お前の事は忘れないぞ…!」
最後の最後で味方になってくれた悪の戦士でもある、宿命のライバルに言葉を贈るウイングマン…


――全ての決着がつき、たたずむウイングマンの背後から美紅が呼びかける。
振り向くと、美紅は涙を流しつつ拳を握り締め、布沢と桃子は嗚咽している…
「あ… あおいさんが… あおいさんが…!」
美紅の言葉に再び衝撃を受けるウイングマン!

そこには―――― すでに冷たくなったアオイが横たわっていた・・・・・・

「あ… あおいさん… あおいさん?  ――あおいさん!!」
フラフラとアオイの元に歩み寄るウイングマン。それとほぼ同時にラークも駆けつけた!
「ハッ アオイ!!」
その時、ちょうどウイングマンの変身も解け元の姿に戻る健太。

1615/8:2009/12/23(水) 18:44:21 ID:???
「うそだろ、あおいさん… 死んでなんかいないよね…
 だって言ったじゃないか、わたしは不死身だって… いい加減に返事しろよ! しろよ!!
 ケン坊って… ケン坊って言えよ!! ケン坊って!!  うああああっ!!」

アオイの体を抱きかかえ、号泣する健太!
…少しの間を置き、顔を上げた健太は、突如ドリムノートを取り出した。
そして―― ものすごい勢いでドリムイレイサーで記録を消し、何かを書き込んでゆく!
「な なにをするんだ!」
健太の突然の行動に驚きを隠せないラーク!
「ドリムノートにあおいさんが生き返るように書くんだ!」
「ム ムリだ! いくらドリムノートでも、人の命を復活させるほど万能じゃない!」
「全ページ消して! 全ページに書けば! どうにかなるでしょ!!」
「そ そんな事をしたら! ウイングマンの全てを失ってしまうぞ! ムダな事はよすんだ!!」
「かまうもんか! あおいさんが生き返るなら、ウイングマンなんか!!」
見る見るうちにドリムノートの記録は消され――
「ラストだ!」
ついに最初のウイングマン変身記録のページも消して、『あおいさん生き返る』と書き込む。

――息を切らしながらアオイの様子を伺う健太…
「…………あおいさん…」
…しかし、ラークの言う通り命の火が消えたアオイは目を閉じたままだった。

「そ そんな… そんな… そんな! そんな!! 生き返れよ! あおいさ――――ん!!」

――アオイの体を抱きかかえ、健太の号泣が周囲に響き渡っていった――…
その声は、東京の街へ、日本中へ、地球全体へと響き渡るほどだった。

1626/8:2009/12/23(水) 18:44:46 ID:???
そして――――場面は再び日本、とある街中へ戻る。
なぜか、日本… いや、地球全体の時間が巻き戻っていた。
物語の第1話と同じ内容の雑談をする福本と健太の姿がそこにあった。
「ギャハハハ! お前もとうとう女の子に興味を持つ様にになったか
 しっかし、クラスの中で名前も知らない奴がいるってのは異常だぜ
 保健委員だろ、確か小川美紅だ」
「おがわみく…」
「ホレたな」
「ち、ちがうよ!」
「そーだよなー ヒーローには女の子を好きになってるヒマなどないからな」
…もちろん冗談だ。健太の肩をバンバン叩く福本。
福本からも正義の味方のマネをするのは潮時だと言われる。授業が潰れなくなるのは残念だが。
「中学生にもなって、正義の味方なんてやってたら 美紅ちゃんに嫌われちゃうぞ」
    ドキッ
そう言って2人は別れる。

「…そーだよな 将来を厳しく見つめたら、正義の味方なんかになれる訳ないし……
 いや、でも もしかしたらなれるかもしれないし… う――む」
半ば現実を直視しながらも、やはり夢は諦めきれない健太は、ふと、道端の電柱を見上げる。

「な なんだろ、この電柱が妙に気になる…」

しばらくその電柱を眺め、気のせいだと思いつつ再び歩き始める健太。
――その直後、女生徒とすれ違う。
.。oO(あれ…… どっかで… この顔…… 誰かに似てるような… 似てないような…)
その顔は、健太は記憶に無いようだが髪が黒い以外はアオイそっくりだった。
気になる健太はつい女生徒の顔をじーーーっと見てしまい、女生徒に怒られてしまう。
「なんだよ、人の顔をジロジロ見やがって!」
「き きみ 正義の味方に向かって、なんて口のきき方だ!
 それに女の子がそんな言い方しちゃダメだ!」
…ジロジロ見ていた健太の方が悪いのだが、つい反論してしまった。

1637/8:2009/12/23(水) 18:45:05 ID:???
「なんだと、てめ〜…」
食って掛かる女生徒だが、女に弱い健太は誰かに似ていた、と説明しつつ尻込みしてしまう。
健太を睨んでいた女生徒は突然、寂しそうな顔をする。
「?」 戸惑う健太だったが、女生徒はいきなり健太の襟首をつかむ!

思わず怯える健太だったが、女生徒は―――― そっと健太の頬にキスをした。
真っ赤になって固まる健太の隙をつき、女生徒は自分のカバンと健太のカバンをすりかえる!
「うわあぁっ!キスされた! 知らない女の子にキスだれたぁ!
 み いや 小川さんに嫌われちゃう〜〜〜〜!  ひぇ――――っ!!」
パニックになった健太は一目散に逃げ帰ってしまった。


。oO(わたしってダメね… ちょっとケン坊の顔を見に来ただけなのに、気持ちが揺れちゃって…)

――そう呟きつつ変装を解く女生徒。その正体は、やはり生きていたアオイだった。
カバンを持ったアオイは電柱へと歩み寄りながら、いつもの姿に戻る――


――でも、もうさみしくないんだ… ちゃんとケン坊にお別れできる…
  だって… わたしの中には、いつでもケン坊がいるんだもの…
  わたしの命は ウイングマンの全てなんだから…
  すりかえたケン坊のカバン、ここに置いとくね
  あらすじでは、後で美紅ちゃんが拾ってケン坊に届けてって……なるのよね…… よっ、色男
  …じゃあ、ケン坊 おしあわせにね……

アオイはすりかえたカバンを電柱の下へ置くと、ゆっくりと浮かび上がる・・・

「さようならケン坊! あなたはきっと正義の味方になれるよ♥ ホントに……」

サ ヨ ウ ナ ラ ・・・・

走り去る健太のはるか後方で、アオイは異次元空間へと消えていった――

1648/8:2009/12/23(水) 18:45:36 ID:???




       ケ ン 太 が 夢 を 持 ち 続 け る 限 り 、
                ウ イ ン グ マ ン は 現 れ ま す 

「正義は必ず勝つ!」
今日も平和に、手作りの衣装を着て美紅を抱き、笑顔の健太。後ろに松岡先生がいるのも知らずに…。


            そして 健太が『正義の味方』である限り、

           大きく羽ばたく日が いつか また… きっと




              ウイングマン ―WING-MAN―

                      完

165名無しさん:2009/12/23(水) 23:15:27 ID:???
ついに… ついに終わったのか、ウイングマン。桂先生3年間お疲れ様でした!

まさかドリムイレイサーで全記録消すとは思わなかったよ、
そして地球全体の時間が巻き戻ることも…(それもタイムボールとは比較にならない能力)
アオイは結局本当に不死身だったし、本当に万能すぎだろ、ディメンションパワー&ポドリムス人!
健太もキータクラーも本当に成長した。キータクラーはダークヒーローとして輝いた。

ただ、最終回にしてはページ不足だったのか少々物足りない感じがするな。
単行本で書き足しある事を願う。

166名無しさん:2009/12/23(水) 23:19:55 ID:???
>>402
そういえば北村先生、麗一戦以降出なくなったね。
キータクラーだったのかも不明だし、何の為に出てきたのか…
それ以外に回収されなかった謎(伏線)てある?

167名無しさん:2009/12/24(木) 20:39:20 ID:???
どうしても分からない。
あおいさんが生き返ったのは
ドリムノート全消しして願いを書き込んだからなのか、
時間が巻き戻ったからなのか、
それともそもそも死んでなかったからなのか… どれなんだろう?

168名無しさん:2009/12/24(木) 22:00:43 ID:???
>>417
敵が死んだまま時間が巻き戻るってのが腑に落ちない。

>>418
健太は忘れないように心がけていても、結果的にあおいさんのせいで
キータクラーどころかこれまでの戦いを忘れてしまっているよね…
キータクラー哀れ(´・ω・`)

169超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:05:16 ID:???
連続投稿規制になったのでどなたか以下お願いします。

170超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:05:29 ID:???
《左前に45cm!右横に22.45cm! 》
ついにみなほの正解率は99.999%、コンピューターと同じになった!本領発揮だ!
――その瞬間、パワーウェアが輝きだし、ビームサーベル(剣の仮称)のビームの刃が勢いを増す!
「な なんだ! パワーウェアが変だ!」
《右下に52.36cm!左に2.653cm!》
「うわ、細かい! とにかく右の次に左だな!」
ヴァンダーの素早さに沢田とホモ課長は一瞬消えたように見えた。
その瞬間、ダミーが2機撃墜される!政夫は自分がやった事に我ながら驚いていた。
もちろん、驚いていたのは政夫だけじゃない、沢田とホモ課長も驚いていた!
「いつの間にやったんだ!」
「あまりにもものすごいスピードで動いたので見えなかったんだ!
 みなほくんの必死さと、彼を思う気持ちが高まってヴァンダーの機動性が高まったんだ!
 茶頭くんの反射神経もなかなかいい! これはいけるぞ!」


――しかし、茶頭の体はヴァンダーの機動性についてきていなかった。
次々と人間離れしてくる動きに政夫の体中の筋肉が痛み出し、Pウェアに体が引っ張られ始める!
《左後ろに12.3cm!左上に50.4cm!前に26.32cm! キミにパートナーになってほしいの!
 右上に6.26cm!がんばって!》
体中が痛み出し、息切れしもはや体力の限界に来ていた政夫だった。

『うるせぇこのやろう!ゴチャゴチャぬかすな! だまってろ!女なんかに援護されてたまるか!!』

――ついにブチ切れみなほに怒鳴る政夫!
《ムッ 女なんか!? あ、そー だったら一人でガンバってね》
みなほは機嫌をそこね、モニターから姿を消した…
すると急激にパワーダウンし、ビームサーベルのビームの刃も消えパワーウェアが重くなりだした!
疲労とパワーウェアの重さにより動けないヴァンダー目掛け、ダミーの攻撃が降り注ぐ!

「あっ!武装変が解ける! いかん、テスト中止だ!」
危険を感じた沢田はテストを中止させる ――と同時に、2人の姿が元に戻り空中に放り出される!
政夫の顔面に尻もちをついてしまうみなほ。それが政夫にトドメを刺した。

171超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:05:45 ID:???
「ぴ ぴ ぴ ぴんくのぱんちぃ〜〜」
「サイテー こんな男キライ!」 慌てて立ち上がり、おしりを押さえ気絶した政夫を睨むみなほ。


途中までは上手くいってたのに失敗し、残念がる沢田。
「ザーンネン 恋人ができると思ったのに わたし、ちょっと遊んでくるねー」
沢田が止めるのも聞かずに、みなほは訓練室を出ていってしまった。
ホラ見たことかと怒鳴るホモ課長をなだめつつ、沢田はみなほを捕まえにゆく。


――外に出たみなほはタクシーを止め、後楽園… もとい、後薬園遊園地へと向かった。
「見回りです」 入口の係員に警察手帳を見せ、あっさり通るみなほ。職権乱用だーーー!
そしてみなほはトイレで制服から私服に着替えると、まずゲームコーナーへ向かった。
そこにはゲームに熱中する男性がいた。何気なく覗き込むと、350万5千点のハイスコア!

「最初の1機でずーっとやってんだぜ、天才だよ 敵を一つ残らず潰してるんだ、ほとんど神ワザ」

驚くみなほにゲーム中の男性の友人が説明する。
…ふと、ゲームに熱中する男性は異様な気配を察知する。見上げると――みなほと目が合った。
。oO(え 何? この感じ、わたし…)
胸の高鳴りを感じるみなほ。

『  う  わ  ー  !  や  っ  ぱ  り  女  が  い  た  !  』

みなほに滅茶苦茶驚く男性!    ――直後、ゲームの自機がやられてしまう。
「ねぇ、いっしょにあそぼ」
みなほは男性の手を握り、嫌がる男性を強引に連れ去ってしまった!
「お おい!  …大丈夫かな、あいつ 女性恐怖症なのに…」

172超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:06:01 ID:???
…ややあって。顔を真っ赤にして手を離せと叫ぶ男性。
「ははーん キミ、女の子に弱いのね」
意地悪そうに笑いながら冷やかすみなほに、相変わらず真っ赤になりながら否定する男性。
「ちっ しょうがない、つきあってやるか!」
一緒にジェットローラー(絶叫マシン)に乗ろうするみなほだが、係員に一人乗りだと止められる。
「わたし、こーゆー者なんだけど ね、いいでしょ」 つ【警察手帳】 職権乱用だーー!(その2)
…いや、職権乱用どころじゃない。安全面も無視し、強引に男性の上に乗るみなほ!

ジェットローラーが動き出し、互いに自己紹介する二人。
「わたし、森村みなほ 19歳でーす キミは? お仕事何してるの?」
「ふ 藤枝弘紫(ひろし) 20歳だ! そこのステージでやってる、怪獣ショーのアトラクション」
後楽 …もとい、後薬園遊園地といえばヒーローショー。向こうでセイギマンショーをやっている。
「あ このカッコウ 悪者の下っぱ役ね」
「う うるさい たまには主役だってやるんだぜ!」

――そんな事を話していると、突如ジェットローラーの下から地面を割って惑星人が現れた!
「鉄の匂いがする オレの大好物、オイル付き鋼鉄だ」
惑星人の出現に辺りは大騒ぎになってしまう!


――同時刻、パトカーでみなほを探していた沢田とホモ課長。
「大変です、後薬園遊園地にバル惑星人が現れた模様です!」
署からの連絡を受け、ホモ課長は運転していた警官に急行するよう指示する!


再び遊園地。みなほ達が乗っていた絶叫ジェットローラーは止まってしまった。
「ん?  そ 外を見てみろよ!惑星人だ!」
弘紫の叫びで下を見ると、バル惑星人はジェットローラーの柱をむさぼり喰い始めた!
みなほは悲鳴を上げて弘紫に抱きつく!
「おい!抱きつくな! ギャ―――― ムネが!ムネが!」
「ちょっとー 何おびえてんのよ!」
女性恐怖症の弘紫はみなほにおっぱいを押し付けられ、別の意味でこっちも悲鳴を上げていた…。

173超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:06:14 ID:???
駆けつけた沢田は隣の警官の双眼鏡を奪い、ジェットローラの上にみなほがいるのを確認する!
「バル惑星人! 鉄ならいくらでもくれてやる! だからそれは喰うな!」
「――ん  いやだ!オレはハラペコなんだよ!」
惑星人が警察の説得に耳を貸す訳が無い。当然、拒否された。
課長は部下に念の為に救急車を呼ばせ、刑事に取り押さえるよう命令する。
「近づくな!」 バル惑星人は頭の角から無数の光線弾を放ち、刑事達を足止めする!
「超機動員ジャイロンを呼べ!」
バル惑星人の放った光線の流れ弾がジェットローラーに当たり、被害が拡大してしまう。
「奴はすでに一つの街を喰い潰している!このままほっといたら大変な事になるぞ!」
「ジャイロンはまだか!!」

ジェットローラーのあちこちでは客の悲鳴が起こっていた。
乗っている子供の母親が課長に助けてくださいとすがりつくが、人間には手が出せない!
そんな事もお構いなしに、まるでシロアリが家を食い荒らすように鉄柱を食い荒らすバル惑星人。
鉄柱を喰われ、ジェットローラーはどんどん傾いてゆく!

再びみなほはひめいを上げ、弘紫に抱きつく!
「キャー もうダメー!」「オレもダメ〜〜〜!」
――ふと、みなほはある事を閃いた! 「ねえ!わたしの事好き!?」
「な なんだ、やぶから棒に! 今会ったばかりなのに、好きとか嫌いとかって!!」
そんな事を言っている間に、ジェットローラーはどんどん傾き、逆さまになる弘紫とみなほ!
「でも何か感じない!? 『かわいいなぁ』とか『おちゃめだなぁ』とか!」
「感じないよ!」
「ねぇ、何とか好きになって! じゃないと、わたし達死ぬのよ!」
「そんな事言ったってー わっ、それ以上近づくな!」
「じゃあいいわ、今から形だけでもわたし達は恋人同士よ!」
『 え ! ? 』
             ――そして、みなほは弘紫にキスをした――

――その直後、ついにジェットローラーは倒壊してしまった!
それと同時にジェットローラーからまばゆい光が発せられた!
その輝きは、みなほの太ももと同じマークを空中に浮かび上がらせていた。    <続く>

174超機動員アウトライン:2010/01/01(金) 22:19:58 ID:???
代理投稿してくれた方、ありがとう!
いつの間にか連投数10から半分になってたのな…
ウイングマン最終回じゃこんな事なかったのに。
ともあれありがとうございました。

1756/7:2010/01/11(月) 21:57:36 ID:???
「ぶ 武装変だ!」
「いいけどペンダント持ってるの!?」
「大丈夫だ!服の下に下げてる!」
「OK! 武装変!」
承諾したみなほは上にいる弘紫に向け、アーマメントガンを撃つ!

.。oO(いよいよヴァンダーの登場やね、お手並み拝見と行きますか )

――例のマークの輝きを放ちつつ、武装変したヴァンダーはそのパワーでツタを引きちぎる!
異変はこれだけでは済まなかった!
周辺の木の根が地中から起き上がると、木の根が冒頭の木の怪物へと変化し囲まれてしまった!
『なんだ、こいつらは!?』
ヴァンダーはクリスタルロッドを抜くと、襲い掛かる木の怪物を次々となぎ払う!
背後からなつきの悲鳴が聞こえ、振り向くと怪物にさらわれそうになるなつきがいた。
ヴァンダーはなつきをさらおうとする怪物を倒しなつきを救出する。
「大丈夫か!?」
「ええ、ちょっと油断しただけです」

…しかし、この様子を面白く思っていない人物がいた。それはもちろん、みなほだ。
《こら弘紫!そんな娘に優しくする事ないわ!》
「そんな事行ってる場合じゃないだろ!」
《なにさ!この浮気者!》
ヴァンダー1人で痴話げんかが始まり、そのせいでクリスタルロッドが短くなってしまう!
《いつまでも肩に手なんかまわしてないでよ!》
「怒るな! ケンカするとヴァンダーの力が無くなっていくだろ!」
《ふ〜ん! 弘紫のバカ!》
みなほの機嫌を損ねたせいで、クリスタルロッドは完全に消えてしまった!
この様子を見たなつきはいともあっさりチームワークが乱れた事を内心、ほくそ笑んでいた。

ヴァンダーは後頭部を怪物に殴られつつも、仕方なく素手で戦う事にする。
近寄る怪物をちぎっては投げ、ちぎっては投げ…ツタに捕まり怪物をなぎ払う!
『アーアアーッ! ターザン気分だぜ!』

1767/7:2010/01/11(月) 21:57:58 ID:???
    ベシッ
…調子に乗ったヴァンダーは対面の木に激突した!  「…っとありふれたギャグをやっちまった」

――そんな事をしている内に、ガイドの連中が木に喰われてしまった!
『助けてくれ! ヴァンダー!!』
手を伸ばして救いを求める石田さん、それが彼の最後の姿だった…
恐怖に怯え、しがみつくなつきを励ますヴァンダー!  …これがますますみなほの機嫌を損ねた。

《この―― 抱き寄せるな! 弘紫 もう許せない!》

――愛情をエネルギーとするヴァンダーにとって、これが決定打となってしまう!
完全に怒ったみなほのせいで、エネルギーが無くなり武装変が解けてしまった!

『どうすんだアホ――――!! これじゃやられるのを待つだけじゃねーか!! ヽ(`Д´)ノ 』
『そんな事言ったって、弘紫がいけないんだよー! エ〜〜〜ン!。・゚・(ノД`)・゚・。 』

…怪物に取り囲まれる3人。さらに弘紫は女2人に抱きつかれ硬直状態。
トドメに武装変も不可能と大ピンチ!! この窮地を弘紫をどう脱出するのかッ!!  <続く>

177名無しさん:2010/01/27(水) 21:44:45 ID:???
SCENE-14:【B(ブラック)ヴァンダーの脅威】


「さぁヴァンダー!足を出せ!パワーソルをいただく!!」
偽ヴァンダーはバイクを爆発炎上させると、その体色をギラング人の象徴である黒に染め上げた!
ダメージを受け、うずくまるヴァンダーを見下すブラックヴァンダー!(以下BV)
…ヴァンダーの背後では、バイクの大爆発に巻き込まれた一般人が無数に横たわっていた…。
『誰か! 誰か119番に電話を!』

――当然、弘紫はやれるかと拒否する!
《弘紫 あいつらは樹海の時の戦いを参考にして作られた偽者なんだわ!
 奴らの知らない武器で攻めれば…》
「知らないのっていうと…Vパルザーか!! よし!」
みなほのアドバイスを聞いた弘紫は、パワーウェアの両腰にセットされているパーツを引き抜く。
左右のパーツを組み合わせ、展開するとビームガン『Vパルザー』となる!
そしてVパルザーのエネルギーチューブを手首に接続し、安全装置解除!

『エネルギーチューブ接続! Vパルザー!!』

Vパルザーを連射し、BVに命中させる!
「どうだ!」
BVはよろめき、ヴァンダーを飛び越えると近くの階段の手すりの上に着地する!
「逃げてもムダだ!!」
さらにヴァンダーはVパルザーを撃つが、今度はわずかの動きで回避するBV!

「あまいな! Bヴァンダーはきさまに劣るところは無い!」

――なんとBVまでVパルザーを装備していた!
BVのVパルザーはヴァンダーに命中し、本物のVパルザーとは比べ物にならない爆発をあげる!
弘紫は奴らが知らないはずの武器を装備している事に驚きの色を隠せない!

1782/4:2010/01/27(水) 21:45:07 ID:???
「このBヴァンダーがヴァンダーをまねて造ったと思ったら大間違いさ、機能は全て同じだ
 警視庁に保管してあるヴァンダーの設計図を見て造ったのだからな」

――その直後、ヘルメット内左モニターに陽子が映し出され、現在のダメージ状況を教えてくれた。
《弘紫くん! 胸部OV回路破損 もう一度そこに攻撃を受けたら、ヴァンダーは動けなくなるわ!》
「あ 陽子さん! 沢田さんを出して下さい!」
弘紫に頼まれ、陽子は沢田と変わり、モニターに沢田が映し出された。
《どうした! 偽者相手に苦戦してるのか!?》
「あいつ偽者じゃないんです! ヴァンダーの設計図を見て造ったとか…!」
《なんだって! どうして設計図なんか… まぁいい、気をつけろ!
 こっちでもどうしたらいいか、考えてるから》


――バイクが爆発炎上した際に発生した火災を鎮火する為、次第に消防車と救急車が集まってきた。
放水開始する消防士を見たBVはある事に気づいた!
「フッ 水か… 姉さん、力を貸してくれ」
《いいわよ》
BVはすばやく消防士の元へとジャンプすると、消防士から強引に消化ホースを強奪する!
「まずい! あの姉貴は水を自由自在に操る事ができるんだ!」

『バルカンウォーター!!』

そしてBVはホースの水を物質変化し、大量のショットガンのような水圧弾へと変える!
『ウオオオ 水が鉛玉のようだ!!』
反撃も回避もできず、ヴァンダーは文字通り手も足も出せないでいた。
《弘紫くん、体中が破損しているわ! これ以上やられたら、生命もあぶないわ!》
チェック担当の陽子からも警告が出されるが、今のヴァンダーにはどうする事もできない!

「くそっ! まるでVαみたいだ… ん!? Vα!!」
思わず呟いた自分の言葉に弘紫はVαでトドメを刺そうと考え付く!
すばやくVパルザーで消化ホースを切断し、ヴァンダーは自らの胸にロッドを突き立てようとする!
『行くぞ!』

1793/4:2010/01/27(水) 21:45:28 ID:???
…しかし、その時みなほから警告が入る。
《待って! あいつもVα使えるはずよ! 同士討ちになったら勝ち目無いわ!》
《それだ!Vαだ!Vαで倒せるぞ! Vαは設計図の中に入ってないんだ、やつらは知らない!》
みなほの警告の直後、間髪いれず沢田からアドバイスが入る!
沢田からのアドバイスを聞き安心した弘紫はVαを実行しようと決めた矢先――――
「ほぅ、Vαか 待ってたぜ!」
「何!? 待ってただと!?」
――ヴァンダーとBVのやり取りを聞いた沢田はすぐさま待ったをかける!
《待ったぁ!! Vαをするな! あの自信はおかしい!》
弘紫は沢田がコロコロ意見を変えるのを愚痴ってしまう。
《Vαを知る為に、わざとやらせようとしてるのかもしれない… ここは用心をして!
 …ひとまず戻って来い!》
《ダメよ、逃げるなんて! このままあいつをほっとけないわ!
 大丈夫… だと思うわ、女のカンがそう言ってるもの》
沢田やみなほのやりとりは外部に聞こえない。ヴァンダーに早くVαをやれと急かすBV!

《戻って来い!》
《Vαをやるべきだわ!!》

――みなほと沢田の意見に文字通り左右から板ばさみされ、迷う弘紫!
「ええい、じれったい! Vαをやらないのなら!!」
しびれを切らしたBVがクリスタルロッドを抜き、こちらに飛び掛ってきた!
思わずヴァンダーは自分のクリスタルロッドを投げつけるが、あっさりと弾かれてしまった!
《バカ弘紫! あのクリスタルロッドを投げちゃったらVαできないよ!
 もう1本はすでに失くしてるんだから!》
「そっか、しまった! ――いや、よかったんだよ!これで帰るしかないだろ!」
弘紫が一安心したのも束の間――――

『クリスタルロッドが無いなら、オレのを貸してやるぜ!!』

1804/4:2010/01/27(水) 21:46:05 ID:???
――なんとBVはヴァンダーの胸にクリスタルロッドを突き立てた!!
「じ 自分から敵に技をやらせるなんて、どう考えてもおかしいぞ!!」
《今更そんな事言ったって! こうなったらVαの威力を信じるしかないわ!》
弘紫達の意思に反し、パワーウェアはVα発動準備に入ってしまう!!

――そして、ついにVαが発射された!

『これがVαか!! ――パワーソルバリア!!』
Vα発動を確認したBVは、右手のパワーソルを突き出しバリアを張った!
光の散弾は完全に防がれ、実体化したヴァンダーはバリアのエネルギーで大ダメージを受けてしまう!
『うわぁぁぁっ!!』 苦痛の悲鳴を上げ、地に倒れるヴァンダー!
「Vαがやぶれた」

「なるほど… 今のが Vαか!!」
――地に伏したヴァンダーを見下ろし、BVは消防車に近寄ると軽々と抱え上げる!!

「Vαの一部始終、見せてもらったぞ! 今のデータを元にVαを分析すれば!!
 このBヴァンダーもVαを使う事が出来る!! 」

BVはそう言い放つと、持ち上げた消防車をヴァンダー目掛け投げつけ、下敷きにしてしまった!
『ぐあああ!』
『これでBヴァンダーは無敵だ! ハハハハハ!!』
《弘紫、しっかりして! 弘紫!!》

――消防車に押しつぶされた弘紫は、みなほの呼びかけにも応えず、完全に気を失っていた――
                                    <続く>

181超機動員アウトライン:2010/01/27(水) 22:18:05 ID:???
代理投稿ありがとうございます

182名無しさん:2010/01/29(金) 21:19:14 ID:???
SCENE-15:【涙のみなほ】


ブラックヴァンダーが投げつけた消防車に押しつぶされ気絶した弘紫――

「数時間後にはVα使用可能となる、これでBヴァンダーは完璧だ
 ヴァンダーよ、あとはオレにまかせてお前はそこで眠ってな、永遠にな! ハハハハハ!!」

圧勝したBVは高笑いを上げながら空中へと飛び去っていった…。
《弘紫!弘紫!! 返事して、死んじゃいや!》
みなほが呼びかけるも、弘紫は応えないでいた…。

「早く消防車をどけないと、下敷きの奴が死ぬぞ! …だめだ、びくともしない!!」
消防士がヴァンダーの上の消防車を押すが、人間の力ではどうにもならなかった。

――その時、上空から再び黒い人影が舞い降りてきた!BVが戻ってきたのか!?
黒い人影は消防車の側に降り立つと、消防車を押してヴァンダーの上からどかした。
『弘紫くん、しっかりして!』
ヴァンダーを抱え起こし声をかけたのは―― 超機動員ジャイロンだった! 一安心するみなほ。



―夕木署・医務室―
手当てを受け、ベッドでひたすら眠る弘紫。その側にはみなほが座っている。
ふと、ドアが開いて沢田が入ってきた。
「あ、沢田さん  …いまだに信じられないわ、あんなのの下敷きになったのに、
 頭にちょっとケガした位で済んだなんて…」
「パワーウェアが守ってくれたんだよ、その代わりパワーウェアの方はガタガタだけどね
 今、大急ぎで修理してるけど
 それより… みなほくん、ちょっと話があるんだ、来てくれないか?」
「話… ですか」

183名無しさん:2010/01/29(金) 21:19:29 ID:???
 ―超機動課―
『やっほー! お話ってなんですかぁー♪』
部屋に入るなり、思い切り明るくふるまうみなほ。…だが課長以外、みんな沈んだ顔をしている。
「どうしたの…? みんな、おっかない顔して」

「率直に言うぞ ――――みなほ、お前に超機動課から抜けてもらう」

開口一番、課長の口から出たのは…『クビ』の宣言だった。みなほは無表情でしばし固まり――
「つまんないジョーダン☆」
思いっきり気の抜けた顔で真に受けないみなほ。
「もっと課長さん、自分のキャラクターを生かしてジョーダンを言えばいいのに
 例えば『みなほ、お前さんにはこの仕事から足をもらってもらうぜ』とかね、
 でも、まぁ どっちにしてもネタがつまんないからダメね
 ヤングを笑わせたかったら、もっとギャグをみがいてね、応援するわ」
――鼻をこすりながら、江戸っ子っぽく言うみなほ。
「ジョーダンじゃないよ」
…しかし、課長は本気だった。
「ジョウダンじゃないよ ・・・・・・・・・・・ジョウダンじゃない?」
(↑ドロボウヒゲをつけて、ビートたけしのモノマネで)
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『 み な ほ !! 』 みなほのくだらないジョークについにキレる課長!!
――そして、しばしの沈黙が流れ…… 

「いやです」

…真顔に戻ったみなほはきっぱりと言い放つ。
「いやじゃねぇ、これは命令でぇ! おめぇは もうヴァンダーに…!」
「分かってます! もうパワーソルが無いから、頭の回転も鈍くなったし、
 今回の事件だってわたしの判断がいいかげんだから、弘紫をあんな目に合わせちゃったし!
 でも! でも!! わたし、弘紫から離れたくない!」

184名無しさん:2010/01/29(金) 21:19:42 ID:???
「アホ! そんな都合で…! 何言ってやんでぇ!!」
「わたし! 訓練してヴァンダーの頭脳になれるようにガンバりますから!」
「そんな余裕ねぇんだ! おめぇは頭の回転の良さを見込んで連れてきたんで、元は民間人!
 使いもんにならねぇのは、即クビでぇ!!
 それにおめえはやっとできた男だから、離れたくねぇんだ!! 即席の恋人はしょせん即席でぇ!!」
「課長、それは言いすぎだわ」 みなほと課長は口論し、ヒートアップする課長を陽子がなだめる。

『違います! わたし、弘紫のこと、ホントに好きです!
 即席だろうが、なんだろうが! 今は本気で好きです!
 それに… それに、この仕事だって! ホンキです! みんなが笑って暮らせる為なら、
 わたし! わたし・・・・・・・!!』

――大声で反論するみなほの目から、後から後から涙がこぼれ落ちてくる。
「……泣いたってダメだ、もう変わりも決まってるし
 必要ねぇもんは必要ねぇんだ! 家に帰ぇんな、就職口はオレが手配しといてやっから!」
『 い や ―――― !  や め た く な ―――― い !! 』
嫌がるみなほの肩を掴み、部屋の外へ強引に押し出す課長。

『課長のバカー! 死んじまえー!!』
…部屋を追い出されたみなほは悔しさのあまり、暴言を吐きつつドアを蹴り飛ばす。
――ふと、背後に人の気配を感じ、振り返ると――

「今までご苦労やったわね、みなほ 今日からうちがあんたの分までガンバるから」

『なつき!』
――そこには、樹海事件で一緒になったなつきがいた!
「パワーソルなくて、普通の娘に戻ったんやから、普通の生活しなはれ」
反論できないみなほは涙ぐみ、顔を真っ赤にして黙り込んでしまう…。

『もう こんなとこ、大爆発して消えてなくなっちゃえばいいのよ!!』

悔しさのあまり、物騒な事を言い残しつつその場を駆け出し――泣きながら夕木署を飛び出した。

185名無しさん:2010/01/29(金) 21:20:53 ID:???
 ―超機動課―
敬礼しながら入室してきたなつきの目に最初に飛び込んできたのは――女性陣に叩かれ中の課長。
「課長、ひどい! あんな言い方ないわ!」
女性陣ほどではないが、沢田も課長に反論する。
「そうですよ、もうちょっとなんとか、言い方が… かわいそうですよ いい娘なのになぁ…」
「――だから、ムリにでもやめさせたんだ、死なせたくなかろう
 この仕事は意気込みだけでやれるほど、やわじゃねぇんだ
 能力のねぇ奴がやっても、死ぬのがオチだからな
 弘紫には会いたきゃ、いつでも会えるだろう… 別に、もう会うなと言った訳じゃねぇしな」
――真っ赤になって課のみんなに説明する課長。これはみなほの身を案じてのせめてもの情けだった。



 ―医務室―
「ん んん・・・・・ みなほ……」
気がつき始めた弘紫。その目に入ってきたのはボンヤリとした女性。
「いややね、うち みなほやないわよ」
なつきに驚き飛び起きる弘紫。――急に飛び起きるものだから頭痛がし、うめいてしまう。
「いけまへん、じっとしてないと」
なつきは弘紫の安否を気遣い、そっとみなほが超機動課を辞めた事を伝える。

『え! みなほは超機動課を辞めたのか! どうして! どうしてだよ!!』

――弘紫のうろたえように、なつきは弘紫にみなほが好きだったのか尋ねる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ べ、別に そんな事ないよ」
「ホンマ? でも今、すっごいうろたえとったよ」
「や、それは あまり急な話だから…」
「よかった… 今日からうちがパートナーやから、よろしくね」
「なつきちゃんが?
 …そうか、オレ、なんとなく なつきちゃんの方が話しやすかったんだ うまくやれそうだね」
。oO(――オレがみなほの事、好きな訳じゃないんだ キャピキャピしたのは大の苦手なんだから…)

186名無しさん:2010/01/29(金) 22:26:59 ID:???
投下ありがとうございます、そして分散ごめんなさい

187名無しさん:2010/01/31(日) 20:20:56 ID:???
SCENE-16:【スパイだ!】


超機動課に現れた警視監の突然の命令により、黒スーツの男達に課を占領されてしまった!

「キミ達のやり方では成果が上がらない、第三支部を降りてもらう
 ――まず、パワーウェアを渡してもらおうか」

…さすがの課長も、相手が警視監では逆らう事はできない。
沢田に指示すると、沢田は吉田にパワーウェアの修理が出来たかどうか内線で尋ねる。
「至急、超機動課へ送ってくれ」

――警視監はまた不敵に笑う。
「それから… 京本なつき… お前はスパイだな…ちゃんと調べはついているんだ、白状したまえ」
『 な ! ? 』
警視監の言葉に弘紫達は驚愕する!
「な なんの事……? うちにはさっぱり……」
「とぼけてもダメだ、スパイにはこの場で死んでもらう 大事にならないうちにな」
。oO(こ このオッサン…裏切る気? いや… もう、うちには用なしって事やね…)

事態を把握したなつきに尋ねる弘紫。
「なつきちゃん… 本当なのか…?」
「う うそや! うちがヴァンダーの中に入ったら困るんで大ウソついてんのやわ!!
 こいつこそゾルド将軍の手下やないやろか!」

『 ゾ ル ド 将 軍 !? 』

なつきの激白に再び声を合わせて驚く弘紫達!
「フッ 何を訳の分からぬ事を…… お前のような小娘のたわ言を誰が信じるか」
「いや、オレは信じるぜ どっちかというとあんたの言ってる事の方が妙だしな」
『何を言うか!』

188名無しさん:2010/01/31(日) 20:21:12 ID:???
警視監に反論する弘紫だが、課長から待ったがかかる。
「まぁ待て ――警視監、あなたの話もとっぴで… もう少し、納得いくように…」
「わたしの言っている事がうそだとでも? 退去命令の通告書でも見せれば納得するのか!」
「…え… ええ… 少なくとも、今よりは納得できるかと…」

――その時、電子音が鳴り響き、コンピューターにアーマメントガンとペンダントが転送されてきた。
それに目をつけた弘紫は、課長の静止の声も聞かずにそちらに向かって駆け出した!
コンピューターの前に座っていた男はアーマメントガンとペンダントを手に取るが、
弘紫は咄嗟に男の腕を蹴り上げてアーマメントガンとペンダントを弾き飛ばした!!
2つは空中に放り出され――弘紫はペンダントを奪い取る!
床に落ちたアーマメントガンはかおり達の近くへ落ち、かおり達は拾おうと一斉に飛び掛る!
『そうはいくか!』
――だが、あとわずかの所で黒スーツの男にアーマメントガンを奪われてしまった!
男は警視監へアーマメントガンを投げ渡そうとするが――
『そうはいかんわ!』
なつきは男の顔面へ飛び蹴りを喰らわせ、その弾みで男はアーマメントガンを落としてしまう!

『よし、なつきちゃん 武装変だ!!』

しかし、警視監は2人を武装変させまいと男達に取り押さえるように命じる!
「いかん、二人を取り押さえろ!!」

――だが……黒スーツの男は弘紫を警視監に任せ、全員なつきの方へ行ってしまいましたw
「チッ!みんな女の方へ行きおって!」 「こら、離れなさい!」
沢田他の課のみんながなつきから男達を引き離そうとするが、恐るべきスケベ根性で離れない!!
「ええい、ペンダントをこうしてやる!」
もがく内に警視監は弘紫からペンダントを奪い取ってしまう!
男共にもみくちゃにされるなつきはなんとかアーマメントガンを撃つ!

189名無しさん:2010/01/31(日) 20:21:27 ID:???
――突如弘紫は警視監の拘束から逃れるが… 武装変していない??
後ろを振り向くと…… そこにはヴァンダーが立っていた!

――ヴァンダーの中身は…当然、ペンダントを奪い取った警視監。
《キャッ! こんなオッサンと一つになるのいややわ! 早く武装変解きたいわ!》
…ものすごく嫌がったなつきのおかげで、武装変はあっと言う間に解けてしまう!
「おー あせった、一時はどうなるかと思ったぜ」
一安心した弘紫はすばやく警視監からペンダントを奪い返し、距離を取るとなつきに武装変を促す!

なつきは弘紫の合図と共にアーマメントガンを発射し―――― 武装変、完了!!

ヴァンダーは黒スーツの男達の襟首をつかむと、次々と文字通り窓から投げ捨てる!
「そりゃ! そりゃ! ――あんたの番だ」
歯噛みする警視監まで遠慮なく外へ投げ捨てるヴァンダー!
…ヴァンダーを中心に、みんな仲良く揃って窓の下を見下ろすと―― 突然現れた黒い影!

『 ブ ラ ッ ク ヴ ァ ン ダ ー !! 』

「こいつらは口で言ってもわからないんだ、力づくで追い出すしかないのさ」
ヴァンダーは咄嗟に仲間に逃げるように叫ぶ!
――と同時に、BVはヴァンダーの首を掴むと外へと投げ飛ばした!
向かいのビルの壁にめり込むヴァンダーに殴りかかるBV!
しかしかろうじてヴァンダーはその場を離れ攻撃を回避する。
「ふぅ、危ない 今度はこっちから行くぞ!
 まさか、まだVαを使えはしまい! 今のうちにこっちがVαでやっつけてやる!!」
「Vαを使えないとでも思っているのか?」
「まさか! さっきまで使えなかったのに! そんな訳が!」

『そんな訳が!  ――――あるのさ!!』

『なに!?』
BVはロッドを胸に突き刺すと、黒い光の散弾となりヴァンダーへと襲い掛かった!!  <続く>

190プレゼント・フロム・あらすじ:2010/04/01(木) 21:34:56 ID:???
STAGE1:男の道
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―とある満員御礼のコンサート会場―

「もうすぐでしょ? もうすぐここで歌うんでしょ? とうちゃんも」

ステージ上の舞台袖から今歌っているアイドル歌手を見ながら、幼い男の子が後ろを振り返る。
…しかし、父親の姿が見当たらない。
父親を探す男の子。何気なくカーテンをめくりあげると、男の子の目に飛び込んできたのは…
ミニスカートをはいたアイドルのローアングルから見たパンティ!
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驚いてスカートをおさえるアイドル、どこの子供だとマネージャーらしき男。
「こーら、こんなとこ入ってきちゃダメよ  キミ、名前はH(エッチ)くん?」
アイドルに注意され、男の子はちょっと恥しそうな、困ったような顔で自分の名前を言う。

『レモン 沢口麗紋(れもん)!  Hじゃないもん!………』

その時、レモンを探しにきたスーツ姿の青年が現れた。
…彼は第7チャンネル(TVJ)の番組プロデューサー、大崎巌。
「この子、大崎プロデューサーのお知り合いでしたか
 いやー、すごいですねー 33歳にしてこれだけ大きなイベント番組を任されちゃうんだから」
マネージャーに感心され、謙遜する大崎。
「いやいや、すごいのはこの子のお父さんですよ
 今はまだ売れてないけど、必ず大スターになる人です わたし、確信してるんです」
「はぁーん 名も無い歌手と組んで、色々やってるって聞いたけど、その人なんですね」
大崎はレモンの肩に手を置き、優しい目でレモンを見つめる。
「ええ、この子のお父さんの歌を聞いて、ものすごい感動にうたれたんです
 涙が止まらなかった… あんなの、初めてだったんです
 それからは、その桃次郎さんにホレこみましてね、彼のためなら、例え火の中水の中」
…大崎が力説するあまり、側で話を聞いていたアイドルまでその歌を聞いてみたくなったようだ。

1912/9:2010/04/01(木) 21:37:05 ID:???
大崎はレモンだけでなく、桃次郎も探していたようだ。
レモンに桃次郎を知らないか聞いてみるものの、レモンも父を探していたので知るはずがない。
「この辺に    いる    はず…   あ… いた いた」
桃次郎は荷物の影に隠れるように、こちらに背を向けて立っていた。
「どうかしたんですか、沢口さん」
桃次郎はなんでもないと答えるが、胸に手を当てて心なしか苦しそうだ。緊張しているのだろうか?

「年甲斐もなくムネがドキドキしちゃってね、出番は明日だってのにあがったみたいだ、ガハハハ!」

――やっぱり緊張していたようだ。ナイスミドルな顔を崩して大声で笑う桃次郎おとっつあん。
「ムリもないですよ、初の本格的なステージなんですから …苦労した甲斐がありましたね」
「大崎くんにそう言ってもらえると、わたしも嬉しい…」 ・゚・(つД`)・゚・うぅ…
大崎は桃次郎の手を握り、これまでの苦労をねぎらう。桃次郎も思わず男泣きする…。

――ふと、桃次郎はそばにいた、先程のアイドル(レモンがパンティ見た娘)に気づいた。
「おおっ! この若い子は!?」
「新人の秋野このえちゃん。 今、ステージ終わったとこだよね」
大崎に紹介され、桃次郎に挨拶するこのえ。
「はじめまして、明日もここに出るんです その時、よろしくお願いします」
このえの笑顔の挨拶に対し、桃次郎の挨拶は――――

『  毎  日  パ  ン  ツ  は  き  か  え  て  る か  ―――― !』

ちょ、いい年こいたオヤジが大胆にもスカートめくりとな!? Σ( Д )    ゚ ゚
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「…これさえなけりゃ、すばらしい人なんだけど…」
顔を手で覆って嘆く大崎プロデューサーでした…。
「レモンくん、ああいう所は見習っちゃダメだよ」
「うん」
呆れつつもしゃがんでレモンの教育を忘れない大崎さんとを恥しそうに見るレモン君。和む(´ω`)
(ちなみにパンツは毎日ちゃんとはきかえてます(このえ・談))

1923/9:2010/04/01(木) 21:38:33 ID:???
このえはレモンと桃次郎にも挨拶し、そこでお別れとなる。
このえを見送った後、桃次郎は息子の頭を優しく撫でる。
「レモン! お前にも苦労かけたな とうちゃん、これからもっともっと大きくなるからよ」
「ええ――――!? 東京タワーみたくなっちゃうの?」
子供の発想はある意味すごい。レモンの言葉に思わず顔を見合わせ大笑いする大崎&桃次郎。
「でも、その位じゃなきゃ あんな(ステージの)後ろの方の人見えないもんね」

「すげー人がいっぱいいるだろ? とうちゃんが歌うと、あそこにいるみんなが喜んでくれるんだ
 ――明日はお前の誕生日だったな、
 今までプレゼントの一つもやれなかったけど、明日は最高のプレゼントやるからな」

レモンの両肩を抱き、顔の高さまで頭を下げ優しく語る桃次郎
『やったァ! 超合金ロボくれるの!?』
「・・・・・・・」
子供の発想は(以下略  思わず冷ややかな汗を浮かべ、固まる父・桃次郎でしたとさ。
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―12月24日 クリスマス・イブ ちょっとボロめの沢口家―

               (男の道)作詞・作曲 沢口桃次郎
     ♪いちィどォ きィめェたァら あとにはひィくゥなァ  それがァ〜〜〜♪

――歌っているのはレモンだった。父がステージ衣装に着替えている間、歌っているのだ。

                  ♪お・と・こ・のォ〜〜♪

ふりつけまでして歌う父と子。レモンはすでに父の歌も振り付けも覚えているようだ。
「なんだよ、朝っぱらから親子でさー」

                  ♪こッころォ いィきィ〜♪

1934/9:2010/04/01(木) 21:39:42 ID:01uryuAU
苦笑しつつ両耳を押さえて現れたのはレモンの兄、沢口武道(たけみち)、中学三年生。
「ハハハ たいしたもんだ、レモンはいつでもオレのかわりに歌えるぜ
 天国のかーちゃんも喜んでるだろーよ」
桃次郎は慢心の笑みを浮かべ、今は亡き妻の仏壇を振り返る。
「とうちゃん、聞こえるわけないって」
親不孝な武道の台詞を無視し、出かける前に位牌に手を合わせる桃次郎。
『聞こえるよ! 昨日みてきたんだ! すげーいっぱい人がいたんだぜ、
 あの人達全員に聞こえるんだ、きっと天国にまで届くよ!』
ちょっと怒りつつも、兄に反論するレモン。

…ふと、外が妙に騒がしくなった。どうやらご近所さんが桃次郎を応援しに来てくれたらしい。
「お、近所の人達も応援してくれてんだ、ガンバらねーとな」



―伊奈小学校―
教壇の上で男の道を熱唱するレモン。…しかし、その歌を聞いた男子はヘンな歌とバカにする。
「オレのとうちゃんの歌だ!」
「へッ 売れねぇ歌手の歌なんか知らねーよ」
「オレの父ちゃんは、今日・・・・・・!!」         キーン コーン カーン コーン
レモンが反論したちょうどその時、チャイムが鳴った。
「お、やべ! 終業式始まっちゃう 行こうぜ!」


――クラスメートは全員終業式に向かい、教室にポツンと残ったレモン…
「みんながよろこぶなんて、ウソじゃないか」
寂しそうに呟くレモンに誰かが優しく声をかけた。
「沢口くん プロじゃないからよ」
…ただ1人、教室にまだ残っていたのは―― かわいらしく微笑む女の子、広川舞美(まいみ)。
「プロか… よし! じゃあ、オレ プロになる!!」 「わたしも」
「そうか! よーし、いっしょになろうぜ!」「じゃ、きょうそうね、どっちが早くプロになるか」
――そしてレモンと舞美は仲良く終業式へと向かった。

1945/9:2010/04/01(木) 21:40:04 ID:01uryuAU
―コンサート会場・控え室―
「あいつか? 自分で作詞作曲した演歌歌手って」
「売れねーから作曲家どかに頼む金もおしまれてんだろ」
桃次郎の背中を眺めながらバカにする男2人。

『 く ぉ ー ら ぁ ー !  と う ち ゃ ん を バ カ に す る な !! 』

男共の耳元で怒鳴るレモン!いいぞもっとやってやれ!
「どうしたの? まだドキドキするの?」
「あ ああ、 あがってんだ」
レモンは妙にハァハァしている父を気遣う。
桃次郎はそっとカバンからマイクを取り出すと、そのマイクを丹念に磨き始めた。
「またそれなの? 今日ぐらいピカピカのマイクで歌いなよ」
「フフフ このマイクはな、レモン とうちゃんが新人の頃、歌の先生にもらったものなんだ
 …その先生に認められた者だけがもらえる、ありがたいマイクだ
 このマイクで歌った歌手は、みんなビッグになってるんだぞ
 だから、このマイクで歌って 今日、とうちゃんはビッグになるんだ わかったか?」
マイクを握り締め、笑顔を浮かべる桃次郎はレモンの手を引き、控え室を後にする。

廊下に出ると、昨日のこのえがこちらに気がついたが、声をかけるのをやめた。
『毎日パンツかえてるかーい!』
…またすれ違う女性のスカートを思い切りめくっていたからだった。



ステージ上で司会者の挨拶が始まる。
《今日は皆様にスペシャルプレゼントがあります 苦節15年、男を歌い続けた男がここにいます》
『待ってました、桃さん!』
観客席の沢口家ご近所さんがクラッカーを鳴らしたりして騒ぎ出す!
…ちなみに武道は恥しそうに、必死に他人のふりをしておりますw

1955/9:2010/04/01(木) 21:40:21 ID:01uryuAU
―舞台袖―
「とうとうやってきましたね、この日が!」
「何もかも大崎くんのおかげだから!」
運命の日が来た事を喜び合う二人。そばにいたこのえも、心なしか喜んでいる。
「さぁ、世界中に桃次郎旋風を巻き起こしましょう!」

《紹介します、沢口桃次郎さん! 歌は『男の道』!!》

司会者が叫び、会場中を揺るがす大振動の前奏が始まる!(このコマのレモン、ちょっとかわいい)
「あそこに今からとうちゃんが」
レモンが呟くと、突然背後から桃次郎がレモンの肩を力強くがしっとつかむ!
「行ってくるぞ、レモン」
レモンが父を見上げると、ついに夢がかなう桃次郎の目には涙があふれそうになっていた――

――異変は突如起こった!
桃次郎はレモンから数歩離れた途端、苦しそうに胸を押さえて倒れてしまった!
桃次郎が倒れた音に大崎達も気づきこちらを一斉に振り返り駆け寄ってくる!
『沢口さん!』

…その頃、ステージ上ではなかなか出てこない桃次郎にスタッフがあせり始めていた。
「どうしたんだ、イントロ終わるぞ! 演奏を止めろ!」
「司会を止めろ! 119番だ、誰か早く!!!」
「もうしました!!」
パニックになるスタッフ達を、ただ呆然と眺める事しか出来ないレモン…
大崎は倒れた桃次郎のそばで、青ざめながらも必死に彼の名を呼び続けていた。

――ふと、レモンは何を思ったのか、父の手からマイクを取り上げる――
観客席の人達も、そしてご近所さんや武道も桃次郎がなかなか出てこない事にざわついていた。

舞台袖ではスタッフがこっそり顔を出し、緊急事態が起きた事を司会に伝えている。

1967/9:2010/04/01(木) 21:41:32 ID:01uryuAU
――すると、レモンが司会の横をチョコチョコと通り過ぎ、ステージ中央へと向かってゆく。
「あれ? レモンくんじゃない?」
「沢口くん」
会場に来ていた舞美とその母親も、突然レモンが出てきた事に困惑する。
そして、レモンはおもむろにステージ中央に立つと、大きく息を吸い込み――――

        ♪いちィどォ きィめェたァら あとにはひィくゥなァ♪

――突如歌いだした!
…当然、観客席の人々は何が起こったのかもわからず、ただ目を丸くし呆然としている。
「レモンくん! いけないわ! よけい混乱する!」
困惑するこのえだが、レモンの歌声は桃次郎の耳に届いていた!
「レ レモン…」
無数の脂汗を流し、息子の名を呟く桃次郎。

「とめましょう!」
『バカヤロー!そんな事より救急車だ!! 観客席に医者はいないのか!桃次郎さんをどうにかしろ!!』
スタッフは歌うレモンをとめようとするが、激昂した大崎に一喝される!

「沢口桃次郎って子供なのか」
「すげー演出」
「かわいい♥」
――事態が伝わっていない観客席ではそんな声もあちこちで起こっていた。

       ♪それェがァ お・と・こ・のォ〜 こッころォ いィきィ〜♪

。oO(オレが歌わなきゃ! とうちゃんの歌、歌えるのはオレだけだもんな!
  とうちゃん、キンチョーして 目回しちまったんだ、オレがなんとかしなきゃ!)
レモンは倒れた父の変わりに人々にこの歌を届けようと、汗だくになりつつも必至で歌っていた。

1978/9:2010/04/01(木) 21:42:12 ID:01uryuAU
         オレ プロじゃないけど… とうちゃんじゃないけど…
      かあちゃんにも聞こえるように! とうちゃんの歌が聞こえるように!!

レモンの必死の思いと情熱に、『何か』をゾクリと感じ取るこのえだった。

      ♪それェがァ 男の! それェがァ 男の! いきるゥ みィちィーっ!!♪

歌い終わったレモンはおじぎする。顔を上げると、当然、あっけに取られて静まり返っている観客。

「レモンくん…」
思わず拍手する舞美。
その拍手は次第に大きくなり―― ついにはスタッフからも、観客全体からも拍手が巻き起こった!!
無数の大拍手を受けたレモンは父の言ったとおりだと喜ぶ。『歌』で大勢の人が喜んでくれる事に。


レモンは笑顔を浮かべ、舞台袖へと走り戻っていく。
「とうちゃん! とうちゃん!! とうちゃんの言ったとおりだったよ、みんなよろこんだぜ!」
「そ そうか」
桃次郎はレモンの報告と大きな歓声を聞き、無数の脂汗を浮かべながらも満足そうに微笑む。
「さ、 今度はとうちゃんの番だよ! いつまでねっころがってんだよ、早く!」
「しゃべらないで」
「……なんでよ、大崎さん!
 ねぇ!なんで立たないの!? 今度はとうちゃんの番だろ! ねぇ、なんでさ!」
『うるさいぞ!レモン!』
報告を受け、かけつけた兄・武道にすがりつくレモン。
そんなレモンに桃次郎は苦しさをこらえつつも、微笑みながらも弱弱しい声で話す。
「とうちゃんは……  かあちゃんの所に行って…  歌ってくるわ……」
「何言ってんの! ここで歌ったって聞こえるだろ!?
 それに 今歌わねぇと、みんなとうちゃんの事、知らないままじゃないか!!」
「レ モ…ン」
桃次郎は愛する息子の肩に力なく手を伸ばす。

1989/9:2010/04/01(木) 21:45:25 ID:01uryuAU
「ゴ ゴメンな  最後まで……  プレ…ゼ…ン ト  やれな……く……………………」

今まで何もしてやれなかった事をレモンに詫びつつ、父・桃次郎はこと切れた――……
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「・・・・・・・・・とうちゃん?」
舞台袖にレモンの力のない声が響く。
……そして大崎もまた脱力し、膝から崩れ落ちてしまう。
「桃次郎さん」
大崎の顔にもすでに生気のかけらもなくなっていた――
『とうちゃん!』
武道も悲しみの声をあげると、レモンもようやく事態が分かったのか、大声で泣き始める。

『オレ とうちゃんのかわりに もう一度歌ってくる!』

「だめだ!レモン!!」
再びステージへ向かって走り出すレモンだが、兄に取り押さえられてしまう。
『なんだよ! はなせよ! これじゃ、とうちゃん かわいそーだよー!!』
レモンは兄を振りほどき再び駆け出すも、今度はこのえがレモンを抱きしめて取り押さえる。
「レモンくん!」
「どけよ!」
「ダメよ、ダメよレモンくん!」
「う〜〜〜〜〜〜  とうちゃん……」
このえは涙を流しつつも、優しくレモンを抱きしめながらなだめる。

「………………とうちゃん… オレ…
 また…ぜったいここに来て… 歌うからね  とうちゃんのかわりに、ぜったい……」

このえの腕のなかで泣くレモンは、いつかまた再びここへ戻ってくる事を決意するのだった――…
                                   <続く>

1991/6:2010/04/07(水) 21:19:57 ID:???
STAGE2:10年目の再会


           歌ってのはすげーんだぞ、とうちゃん一人が歌うだけで
          たくさんの人が元気になったり、泣いちゃったりするんだ!

                ――とうちゃんが死んでから…
         おれとアニキはおばさんの家にあずけられたり色々あったけど、
         アニキは高校卒業後、すぐ就職し 今はふたりで暮らしている

                  オレは今、高校一年生
               大スターの夢は、未だタマゴのまま……


―慕路荘―
   ぱん ぱん
亡き両親の位牌の前で手を合わせるレモン。その横顔は成長し、りりしくなっている。

。oO(やっと、とうちゃんに近づける日が来たぜ 大スターへの第一歩だ)

「この衣装と、このマイク! 使わせてもらうぜ! とうちゃん!!」
レモンはすでに父の形見の衣装を着込み、マイクを握り締めていた。



―日本性少年少女快感―
『沢口麗紋です! もーすぐ、もーすぐデビューします!! 以後、お見知りおきのほどをー
 よろしく、よろしくー!!』
衣装を着込み、道行く人々に挨拶と握手するレモン。
「沢口麗紋です、よろしくね」
…しかし、シャイなレモンは前作の主人公とまではいかないものの、
女性の前では赤くなりモジモジしまうのでした。 「女に弱いな、こいつ オレと同じだぜ」(By作者)

2002/6:2010/04/07(水) 21:22:11 ID:???
      親子の血は争えないもので、オレはこの10年、「男の道」を歌い続けてきた
       とうちゃんが「男の道」で勝負していた、オレも今日この歌で勝負する

張り切るレモンを建物の中から見ていた清掃員達は怪訝に呟く。
「おい、ありゃなんだい」
「さぁ、今日のコンテストの出場者じゃねぇのか? 早くから来てずっとああやってるぜ」
レモンは懐から広告を取り出し、またそれを読み返す。
「オレの事、おぼえててくれたんですね 大崎さん」
――今日のコンテストの審査委員長は、あの大崎巌(43)なのだった。
レモンは幼かった頃の記憶を思い出す――…

<以下回想>
「巌さん! ボクもね、とうちゃんみたいになりたいんだぁ」
「ほう! そりゃいいや  …よし! 大きくなったらオレの所に来いよ、面倒みてやる」
はしゃぐレモンを肩車する大崎。すぐそばでは桃次郎もほほえんで2人を見守っていた。
<回想終了>

「…ホントになっちゃったな…
 これまで、どれだけのコンテストに落ちた事か
 ――でも、それで正解だったね 大崎さんにまた会えるんだから
 あー とうちゃんと一緒に、オレの才能わかってくれるの、大崎さんだけだ
 大崎さんが審査委員長なら、もうコンテスト、合格したも同然だね☆」

これまでの不合格通知を出し、もう勝った気でいるレモンはニヤニヤ笑う。
「へへ、このバカなやつらを…」  ビリ
不合格通知を破ろうとしていると、ふと背後から誰かに呼ばれる。
「キミ出場者? もういいかげん中に入ったら? そろそろ打ち合わせがあるぜ」
「ほ――――い  …よし!!  行くぜ! とうちゃん!!」
自分に喝を入れスックと立ち上がると、これまでの自分を捨てるかの様に不合格通知を破り捨てる!

2013/6:2010/04/07(水) 21:22:44 ID:???
「練習バッチリ! とうちゃんのマイクと衣装がオレを守ってくれる!
 あとは大崎さんのムネに飛び込むまで! あー スター街道、まっしぐ・・・・ら」

――着物のままで走るから、衣装が絡みつき勢い余ってスッ転ぶレモンくんでした。
転んだレモンは自分の傷よりも、落としてしまった形見のマイクの心配をする。
「あ〜〜あ 傷ついちまった… ごめんよ、とうちゃん なんてこったァー」
息を吐きかけ、マイクの汚れを磨くレモンに係員が声をかける。
「キミ、出場者の人だね まっすぐステージに行って!みんな集まってんだよ
 すぐに段取りの説明があるから急いで!」
『ステージ』という単語に息を飲み、緊張するレモンだった。


―コンテスト会場―
出場者を誘導する係員。
「舞美ちゃんってサイコーだよなー」
「絶対合格して同じ事務所に入るぞ!」
ステージ上のアイドルを虎視眈々と狙う男性出場者達。そしてレモンも会場に入ってくる。
レモンは10年ぶりにあがるステージに興奮する。スタッフもたくさんいる、この中に大崎さんも?

。oO(大崎さん… オレを見てなんて言うかなァ
  「おー レモンくんか、大きくなったなぁ」って言うかな… へへ、てれちゃうな…)
妄想に浸るレモンはつい言葉と動きが出てしまう。
「ホラ、このマイク懐かしいでしょ!
 ピカピカにして、いつも大事にしてるんですよ! 見て下さい!」
目の前に大崎がいるわけでもないのに、ついマイクをズイッと突き出した為、
マイクがこちらに向かってきた女性アイドルの鼻を押しつぶす!
「なにすんのよ! ハナが…!?」
『 あ っ ! 』
思わず大声を出してしまうレモンとアイドル。思わず真っ赤になったレモンは後ろを向いてしまう。
「ひ 広川」

2024/6:2010/04/07(水) 21:24:53 ID:???
「! その着物! そのくせっ毛! レモンくんね! レモンくんでしょ!
 うわー、久しぶりィ! 小学校以来ねー!」

「や やぁ… 久しぶりって感じしないなぁ、いつもテレビで見てたからさ」
――そのアイドルはかつて同級生だった、広川舞美だった。再会を喜ぶ舞美にレモンは照れてしまう。
「デ… デビュー競争は負けちゃったね… へへへ」
舞美はレモンがいつの間にかテレ屋になっている事にきょとんとする。 思春期でござる。
「ね、見て!見て! 新曲の衣装なの、カワイイでしょ!?」
舞美は今着ているステージ衣装をレモンに見せ付けると、途端にレモンの目の色が変わる!?

「毎日パンツかえてるか――い!」
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こともあろうに、天下のアイドルのスカートをめくり上げるレモン!まさか父の癖が遺伝するとわ!
――当然、他の出場者やスタッフなど大勢いるので、この出来事は多くの目撃者を生み出す!
中には舞美のファンもいるようで、当然彼らは激怒する!
「こ こ こ これは衣装用の下着だから、毎日かえるとかかえないとか そーいう…」
真っ赤になってレモンから距離を取る舞美。

――やってしまった!あれほど大崎さんに「ああいう所を見習っちゃいけない」と言われたのに!
。oO(短いスカートを見ると、とっさに手が出ちまう… こ、これもとうちゃんの血なのか…!)
頭を抱えて後悔&苦悩するレモン。
「こんな所、大崎さんに見られたら… 麗紋のバカ 麗紋のバカ!!」
自分の頭を殴るレモンの背後に、数人の怒りの人影が忍び寄る。助けてウイングマン!ヴァンダー!
『このやろー! 舞美ちゃんになれなれしい!』
舞美のファンに襲われるレモンを、舞美は汗を流して呆れて見ていた…。


――その直後、舞美の後ろのドアから只ならぬ雰囲気を漂わせた、サングラスとヒゲの男が現れた。
舞美はその男に気がつくと深々と挨拶をする。男はゆっくりとステージに歩いてゆく。

2035/6:2010/04/07(水) 21:25:18 ID:???
…ちなみに、レモンはステージ上で今も大絶賛袋叩かれ中。
  ゴトッ
ヒゲ男の足元にレモンのマイクが転がる。
「なんだかわからねーけど、オレが悪かったよォ」
レモンにまた殴りかかろうとする出場者だったが、ヒゲ男に気がつき殴るのをやめた。
スタッフ達もヒゲ男に気がつきそちらを向く。

「やっべー マイク落としちゃった…」
レモンがマイクを拾おうとすると、ヒゲ男がマイクを拾い上げ、しげしげと眺める。
「……………………これはボーズのか」
「はい! とうちゃんのカタミなんです、ホラ この衣装も」

衣装を広げてヒゲ男に見せるレモンだが、その背後ではスタッフ達が不安の表情を浮かべていた。
「お おい 何話してんだろ」
「あのガキまずいぞー、あの人怒らせたら芸能界で生きていけねー…」

「最近のシロウトはナマイキだなぁ、自分のマイクを使おうってのか」
「そ そーいうんじゃなくって… とうちゃんといっしょにステージに立ちたくて…」
「フン とうちゃん、とうちゃんか…… ――――で、『男の道』でも歌うつもりか?」
まさか父の歌を知っている事にレモンは驚きつつも感激する!

…その時、不安になったスタッフがレモンに囁きかけた。
「おいキミ、何したんだ」
「大崎さんを怒らせると出場できなくなるぞ」

『え!? こ この人があの大崎さん!!』 変わっちゃったな〜

レモンの目の前にいる、この無愛想なヒゲ男はあの大崎巌だった!
かつてのやさしい大崎さんのあまりの変貌ぶりにレモンはすさまじく驚く!

2046/6:2010/04/07(水) 21:25:38 ID:???
しかし……
「帰んな、ボーズ 選曲変えて出直して来い」と冷たく言い放つ。
「大崎さん、ボクですよ!レモンですよ!! 『男の道』はとうちゃんの歌で…」
「だから?」
「だからって…」
「『男の道』を歌う? 聞きたくねーな」
「あ あれ… ど… どうしたんですか、大崎さん…?
 『男の道』あんなに好きだったのに… どうして! 今の言葉、とうちゃんが聞いたら…」
見た目だけでなく、興味も性格も全くの別人と言っていいほど変わってしまった大崎に
レモンは冷や汗を浮かべ戸惑う。
「ボーズの親父は死んだんだ
 そんなにとーちゃんが恋しいなら、家に帰って墓参りにでも行って来い!  ホラ」
大崎はレモンを振り向きもせず、冷たく言い放つと形見のマイクを放り投げる。
  ゴッ
ショックを受けたレモンの前にマイクが落ち、カラカラと回る――…
「いつまでも、死んだモンの物なんか大事にしてんじゃねーぞ」

「……………ごめん、とうちゃん… スターへの道が遠くなっちゃうかもしれねぇや……
 で…… で……  で も オ レ !  ゆ る せ ね ぇ !! 』

父の形見と遺志を冷たく扱われたレモンの怒りは爆発し、大崎を思い切り殴り飛ばした!!
「…もうダメだ!」
レモンの暴行にスタッフは全員青ざめてしまう!
サングラスが落ち、『鬼』の目でレモンを睨みあげる大崎だった――…    <続く>

2051/5:2010/04/08(木) 21:38:05 ID:???
STAGE3:とうちゃんの目


10年ぶりに再会した大崎さんは全くの別人と言っていいほど身も心も変わり果てていた。
父の形見と意思を無下にされたレモンの怒りは爆発し、大崎を殴り飛ばしてしまい会場は大混乱に!


殴り飛ばされ、サングラスを飛ばされ、さながら鬼の様な目でレモンを睨みあげる大崎。

『な 何て事を! 大崎さんを殴るなんて!
 すいません!大崎さん、あの無礼な奴は失格にしますから!! ここはどうか気を静めて!』

頭を抱え、真っ青になって叫ぶスタッフは必死で大崎をなだめようとする!
「その人は… その人は大崎さんじゃない・・ 大崎さんは そんな、そんな…」
殴り飛ばしたレモンは大崎の変わりように愕然となり、ブツブツと呟いていた。

「いいか、覚悟しろよ このコンテストで歌う事はおろか、この芸能界で生きていけるかどうか…
 これ以上大崎さんを怒らせたら、このコンテスト自体つぶされるかもしれないんだぞ…」

スタッフは青ざめつつレモンをおどしつける  …が、レモンは聞いているのかいないのか微妙だ。
「い いくら大崎さんでも 大事なとうちゃんの形見のマイクを… 命の次に大事な、オレの…」
他のスタッフはレモンがマイクを大事そうにしているので注目してしまう。
「よっぽど大事なんだろうな、あんな古そうなマイクを…」

「…でも、ボディーの模様がずいぶん豪華そうだぜ     ――――ん!? 違うぞ!!
 単なる模様じゃないぞ! メッキのハゲ方や、握りの微妙なへこみが模様に見えるのか!!
 あいつ、並な使い方してねぇぞ! あんなになるには、毎日でも握ってないと…!」

スタッフの驚きの声を聞いた大崎は一瞬、ピクリと反応した。
「――――命の次に大事な“モノ”か そんな骨董品大事にして、ガラクタ屋にでもなるのか?」
大崎の見下した態度と言葉にレモンはガバッと立ち上がり、また殴りそうになる!

2062/5:2010/04/08(木) 21:38:35 ID:???
『待って下さい! わたしがかわりにあやまりますから!』

――しかし、レモンと大崎の間に舞美が割って入り、レモンの暴行は未遂に終わった。
それだけではなく、なんと舞美は大崎に向かって土下座する!

『レモンくんを! レモンくんを許してあげて下さい!!』

…大崎は舞美を見下ろすと、何も言わずその場を後にした。
スタッフ達はあんな奴(レモン)の為になぜ舞美が土下座までしたのか理解できなかった。
「広川、おまえ… あ 大崎さん、待っ……」
レモンは大崎を呼び止めるも、大崎はサングラスをかけ無言で扉を閉めた。

我に帰ったコンテスト責任者は舞美のこんな所を見せないようにとスタッフに一喝し、
出場者達を控え室に連れて行くよう叫びだした。
レモンは舞美に呼びかけるも、舞美はこちらに顔を見せない。
「どうして殴ったりしたの? そんな事しなければ… 憧れてたんだよ レモンくん
 毎日、学校で教卓をステージにして歌ってたレモンくん
 自分のやりたい事は絶対あきらめるなって教えてくれたレモンくん
 そして、お父さんのかわりにステージに立ったレモンくん… いつも輝いてた
 必ず、本当にプロになる人だと思ってたんだよ
 …だからわたしもガンバらなきゃってここまで来たのに
 レモンくんと同じ世界で生きるのが夢だったんだから…
 ――大崎さんに甘えてるんじゃないの!?」
顔を見上げ、キッとレモンを見据える舞美。 …図星だったレモンは何も言えなかった。
そんなレモンの衣装を舞美はグッとつかむと――

「もう  待たせないでよね」

涙をボロボロこぼし、つぶやくように言うと控え室へと駆け出した。
…ちょうどその時、舞美のマネージャーが舞美とすれ違い、責任者に何があったのか聞こうとする。

2073/5:2010/04/08(木) 21:39:08 ID:???
「あの〜〜 舞美ちゃん、どうかしたんですか?」
『どうかしたのじゃないよ! キミ、マネージャーだろ!? ちゃんとついてろよ!!』
舞美のマネージャーに八つ当たりする責任者だった。
――そしてレモンは…… 舞美の言葉に決意を固めていた。



―第一控え室(大崎の控え室)―
「あやまりに来たのか? そんなつまらねー事なら帰んな」
「いえ… 残念ながら違います  あやまりません! 悪いとは思っていませんから!
 ――だけど、どうしても大崎さんにオレの歌を聞いてもらいたいんです
 子供の頃からそう思ってたし、歌手になる時は一番に大崎さんに、って」
「ボーズ、失格なんだろが」
「わかってます! でもオレ、歌手に今すぐなりたいんです! オレを待ってる人がいるんだ!!」
「だから?」
「だからって… だから、オレはおやじのような歌手に…」
ふと、今まで座っていた大崎が立ち上がった。
「ボーズ おやじのようなって、どんな風な歌手だ」
「…………………それは、ビッグな…」
話にならんと判断した大崎は控え室をあとにしようとレモンの横を通り過ぎる。
「待ってくだ………!」
「桃次郎… 確かにあいつは本物だった
 あの男を初めて見たのが、ある作曲家の家だった
 部屋の中には、いかにも売れそうにない一人の男がいた
 ただ、ガムシャラに歌っているようだった…
 ガラスの向こうで音は聞こえない、何を歌っているかも分からない ただ…
 突き刺さる視線を感じる。温かくも激しくもある、必死な目
 オレもその目を見返していた… すると!」
――若かりし頃の大崎の耳の奥で声が聞こえてきた。どんな歌かがよく分かる!

「ふるえた こいつは、『本当』の『本物』に出会えたと  桃次郎は『目』で歌っていたのだ!」

2084/5:2010/04/08(木) 21:39:34 ID:???
「目?」 意味がよくわからず、思わずオウム返しに問うレモン。
「あの男は 必ずそこにいる全ての人を見て歌った しかし、その姿勢は崩さず、正眼のまま…」
「そ そんな、ムリだ」
「ムリ? 確かにな、ボーズには到底ムリな事
 全ての人の目を見て歌える奴など、桃次郎の他にはいない! その桃次郎が歌っての『男の道』だ
 歌いたいなら勝手に歌えばいい、だが オレは聞かん」
「オレの『男の道』だって10年歌いこんでるんだ とうちゃんに少しでも近づけるように、毎日…」

「断っておくが、桃次郎が死に オレにとってこの世で最強の輝きが消えたのだ
 感動する心を失い、一滴の涙も残らず枯れ… そして、オレは光を閉ざした」

大崎の真相を聞き、今まで以上のショックを受け固まるレモン!
…そのまま大崎は控え室を出て行った。
。oO(広川が待ってる 天国でとうちゃんが待ってるのに、オレはどうすればいいんだ…)
迷うレモンはしばし考えると、拳をぎゅっと握り締める。
そして自分を励ますかのように、『男の道』の一小節をつぶやくように歌いだす――
「いちィどォ きィめたァら 後にはひィくゥなァ」


―その頃、外では…雑談する少女達がふと歌声を耳にした。
「誰か歌ってる! ねぇ、これ舞美ちゃんじゃないの?」
「え? …違う、舞美ちゃんはこんな声じゃないけど… きれいな声ねぇ、プロかな?
 それとも、今日の出場者かな?」
「鈴の音色みたいな声ね、透き通ってるみたい」
声の聞こえてくる部屋の窓にコソコソと近寄る青年少女達。
「きっと今日のスペシャルゲストだぜ!」
「さーて、どんな娘が歌ってんのか…      ひょっとしてすっげーブスだったりして」
窓をこっそり開けると―― そこには歌っているレモンの姿。
レモンは覗かれているのも気づかず、一生懸命歌っていた。

。oO(一度決めたら後には引くな! それが男の心意気
   ――そうだ、この歌のように後に引く訳にはいかない! ここまで来たんだ!!)

2095/5:2010/04/08(木) 21:40:02 ID:???
――その歌声は控え室から立ち去る大崎の耳にも届き、その声に思わず目を見開く大崎だった。
「こ この声は…」

2101/6:2010/04/09(金) 20:57:26 ID:XHK9NTEs
STAGE4:最悪のステージ


―コンテスト会場ステージ―
色んな若者が次々と歌う中…審査委員長の大崎は寝ていた。見かねた隣の男が起こそうとするが…
「ムダだよ、興味がない限り、絶対起きないよ」
男の隣の初老の男が男を止める。

――大勢の観客が集まる観客席の後ろには、失格になったレモンが出入口の前にたたずんでいた。
レモンは大崎の言葉を思い出す…『歌いたきゃ歌え、だがオレは聞かん』と――

。oO(こうなりゃ、何が何でも歌わないと…
   正式参加はすでにできない、全員のステージが終わった後で飛び入りするしかない!)

そう考えていると、ちょうど司会者から全エントリー終了の旨が知らされる。
。oO(よし、行くぞ!)
今まで考え事をしていた為、閉じていた目を開けステージに向かおうとすると――
いきなり無数の人々がこちらに向かって突進してきた!!!!
《ただいまより15分の休憩を取ります …ああ!慌てないで!!
 その間販売される舞美ちゃんグッズに十分の在庫がありますから――――》
…そう、これらは全員コンテスト観客兼広川舞美のファンだったのだ!
大勢の人々に踏み潰されるレモン! …ああ!頭が踏み潰されて平べったく!! 
「いつつつつ…    ん?」

なんとかその場を逃れたレモンだったが、目を開けると洋服を着たブタが突進してきた!!

ブタのラリアットを喰らったレモンは哀れ、トドメを刺されてしまった…。
《サイン会も全員にちゃんと回るまで行いますから、慌てずに――》

2112/6:2010/04/09(金) 20:57:54 ID:XHK9NTEs
…観客席には、もう誰もいなくなり、スタッフも舞美の人気を改めて実感する。
審査員は別室で審査するため、スタッフの誘導に従いその場を離れようとする。
「おい、大崎さんを起こして連れて来てくれ、頼んだぞ」
「そ そんな〜」
責任者は若手スタッフに大崎を押し付け、自分もその場を離れる。
…その頃、舞美はレモンがどうなったのか、少し不安になっていたのだった。
「さぁ、舞美ちゃん サイン会よ」


一方、レモンは予想外の大ダメージを受けつつも、気合で立ち上がっていた。
がんばれレモン!お前には健太や弘紫が陰ながら応援しているぞッ!
「くっそ〜〜 負けねーぞ、オレは歌うんだ…… ん?」
ステージを見ると、その前には(まだ寝ている)大崎が残っていた。

『やったぁ! 大崎さんがいてくれりゃ充分だ! 大崎さん、沢口麗紋 歌いに来ました!!』

大喜びでステージへ駆け出すレモン! その声に舞美もレモンが戻ってきた事に喜ぶ!
「……あの人、あの時の…」
外へ出る観客の最後列の少女が振り返る。その少女はさっきレモンの歌声を聴いた少女だった。

その頃、舞台袖では責任者がレモン再襲来に驚いていた!
「あのガキ! まだこんな所にいたのか!! また大崎さんを怒らせちまう!
 ――くそ! とっつかまえてやる!」
レモンを捕獲しようと駆け出す責任者だが、ふと名案が浮かび足を止める。
「ん 待てよ… あれだけ言ってもノコノコ出てきた奴だ
 外に出しても安心できんな ――だったら、徹底的に歌えなくしてやった方が…」

ステージに飛び乗るレモン。
「行くぜ、とうちゃん!」
いざレモンが歌おうとすると、突如頭上から大音量のBGMが鳴り響いた!! これはもう『騒音』だ!

2123/6:2010/04/09(金) 20:59:35 ID:XHK9NTEs
―同時刻、調整室―
「マイク切ってあるな?
 (フッ、どうだ マイクは切ったし、この大ボリュームのBGMの中歌えるか?)」
責任者の指示でレモンが歌うのを妨害中。
『これじゃあ、レモンくんがかわいそう!』
――突如、調整室に舞美がサイン会を放置し乱入してきた!
「BGMとめて下さい! レモンくんに気持ちよく歌わせてあげて!!」
…しかし、舞美が何と言おうとレモンを歌わす事はできない。もしまた大崎が怒ったら…
「広川」
「なに?」

『 毎 日 パ ン ツ か え て る か ー い 』
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何を思ったか、こんな時にスカートめくりをするレモン! BIG SERAVICE!!
作者曰く、「お好みのアングルでお楽しみ下さい」との事!皆さん、堪能しませう!( ゚ω゚)-3 フンス
「キャ――――ッ! なんなのよ!真剣に心配してんのに!!」
当然慌ててスカートを押さえて真っ赤になる舞美に対し、レモンは――
「オレさ、なんかノッてきたんだ わくわくしてとまんねーんだ!」
この最悪のステージで大ピンチの割には妙に明るかった。
。oO(レモンくん… あなたって、ピンチをエネルギーにしちゃうのね…)
レモンは舞美にサイン会実行を促し、心配いらないと安心させる。

。oO(客席はカラッポ、耳が痛くなる程のBGM 最悪のステージだろーが、オレは―― 歌うぜ!)

レモンは集中し、大きく息を吸い込むと『男の道』を力いっぱい歌い始めた!

         ♪いちィどォ きィめたァら あとにはひィくゥなァ!!♪

――その声は…さながら光線か疾風のように大崎の脳を貫いた!
。oO(声が走ってるじゃねーか)
その声にピクリと反応した大崎は片目を開けて様子をうかがった。

2134/6:2010/04/09(金) 20:59:55 ID:XHK9NTEs
―会場の外―
未だ舞美のサイン会が始まらない事に、ファン達のあちこちからブーイングが上がっていた。
『サイン会はどうしたァ!!』
『舞美ちゃんを出せ――――!!』
大騒ぎするファン達の頭上を、光線の様なレモンの声が通り過ぎると、一瞬にして静まり返った!

―会場内―
出入口そばに、たった一人残ったあの少女はレモンの歌声に感動していた。

「なんて… 高い声なの? あの時以上に
 女神の歌声って… こんな感じかしら ああ、今度は天使のささやき――――
 …でも、男の人の力強さも感じる!
 玉がころがるように、自然に 自然に 耳の中に歌声が入ってくる…」

――その声は責任者も聞こえていた。
「なんだ、このバカでかい声は!? オイ! マイクを切れって言ったろ!! 聞いてんのかよオイ!!」
マイク担当のスタッフに怒鳴り散らすも、そのスタッフまでレモンの声に陶酔していた。
責任者は舌打ちしつつ、マイクのスイッチを確認すると―――― 
『なにィ!? 全部切れてるじゃないか!!』
さらに入り口を見ると、まるで夢遊病者のような目をした観客がゾロゾロと客席に戻ってきていた!
まさかの異常事態に、責任者は驚きを隠せず困惑し始めていた…
熱唱するレモンの背後には、父・桃次郎のオーラが重なって見えていた。
。oO(毎日歌ってきたんだ、子供の頃からずっと その全てを今!!)

          ♪くやァしィ なァみだァはァ こぶしでつゥぶゥしィ♪
               ♪男勝負にィ 命をかけェるゥ!♪

――レモンの気迫が拳や顔となり、大崎へと襲い掛かる!
。oO(この気迫、表現力、声量 桃次郎そのものだ ――しかし、10年前と変わらないこの声は…)

              ♪風がァ 雨がァ 体をつらぬくがァ!♪

2145/6:2010/04/09(金) 21:00:10 ID:XHK9NTEs
レモンの歌声に魅入られたのか、いつの間にか騒音BGMの音量は下がり、スポットライトが点いた!
「なんで照明がついてんだァ!」
またも予想外の出来事に、責任者はそばにいたスタッフのヘッドホンを奪い取り照明に通話する。
《照明!! 照明!!》
「(なんだ、うるさいな…)ハイ? なんですか?」
《指示も出してないのに、なぜ照明を当てる!》
困惑する責任者の声に、照明担当者は思わずバカにしたような目をすると――
「あんた、耳ついてんの? この歌に照明当てなきゃ、バチ当たりますよ」
…そう冷たく言い放ち、責任者は呆然と立ち尽くした――…

          ♪それェがァ! おとォこォのォー  生きるゥ道ィィ!!♪ 

。oO(『男の道』今のオレの立場と同じだ… 
   とうちゃん、どんな苦労してもこの歌を愛し、歌い続けた訳がぼんやりわかりかけてきたよ
   とうちゃん、いい歌だな 『男の道』って)
レモンはこれまでの自分と『男の道』を重ね、ついに熱唱を終える。
全力で歌い終えたレモンは一息つき、そっと目を開けると――

「こ、これは」

魅入られた舞美のファン達が全員観客席に戻り、自分に向かって何かを叫んでいる所だった。
騒音BGMのせいで一時的に聴力を失っていたレモンは声が聞き取れず、文句なのかと不安になる。
次第に聴力が回復し、そしてレモンは観客の声の内容を知る――

『よかったぞー!』 『最高!』 『アンコール!アンコール!』

文句を言う人は誰もいなかった。それどころか自分に向かって歓声を送ってくれている!!
。oO(喜んでる! 喜んでくれてるんだ! こんなに、こんなに! やっぱ歌ってサイコーだ!!)
喜びを噛み締めるレモン。
…そして、サイン会がお流れになったにも関わらず、舞美もまた嬉しそうだった。
。oO(やったね レモンくん…)

2156/6:2010/04/09(金) 21:00:30 ID:XHK9NTEs
――突如、大崎の右手が上がった!
大崎の右手が上がる時、それは何かが起こる前兆なのだ。これを見た責任者は嫌な予感を感じた。
。oO(お 大崎さんが起きた… ただ事じゃないぞ、得意の新人つぶしか、それとも…)

「もう一度だ、ボーズ 今度は違う歌を歌え これから特別審査を行う」

――しかし、レモンは『男の道』以外の歌を知らなかった!

「ボーズの相手は 広川舞美だ、不服あるまい!」

『ええ!?』
まさかの事態に衝撃を受けるレモンと舞美だった!            <続く>

216名無しさん:2010/04/10(土) 21:13:49 ID:fcro3KG2
STAGE5:麗紋VS舞美


レモンの気迫の熱唱を聞いた大崎は特別審査を行う事にした。対戦相手は―― 幼なじみの舞美!
大崎はレモンと舞美、責任者他スタッフを数名連れ、控え室で説明をしていた。

「勝った方はオレがプロデュースする 負けた方は徹底的につぶす 審査基準は『拍手』だ
 ボーズにはハンデをやろう、一人からでも拍手をとったらお前の勝ちだ」

「たった一人でも拍手したらオレの勝ち… いくらハンデでも、甘すぎじゃあ?」
「ボーズ、客はみんな舞美のファンだ 勝算はあるかな?」



―舞美の控え室―
大崎の提案にスタッフは愚痴っていた。
「一体何を考えてんだか、こんな勝手な事やってばかりいるから敵が多いんだ、あの人」
「他の審査員は怒って帰っちゃったし」
「大崎さんなんかに頼まなきゃよかったんだ」
「――でも、あの人の本物を見る目は確かだからな…」
ブツブツ文句を言うスタッフに対し、レモンと競う事になってしまった舞美は内心複雑だった。

。oO(――もしかしたら、レモンくんのデビューをジャマする事になっちゃう…
   わたしが放棄すれば… 放棄なんかしたら、やっぱり大崎さんが黙ってないだろうな
   レモンくんのあのきれいな歌声、他にあんな高い男の人の声は聞いた事ない
   わたしが負ける事だって十分考えられるわ)

その時、レモンが詰め所に入ってきた。
「レモンくん!」
思わず椅子から立ち上がってレモンに見つめる舞美。
。oO(勝つにしろ、負けるにしろ、憎みあう事にでもなったら……)
――――だが、舞美の不安をよそに、レモンは意外にもにっこり微笑み舞美の肩に手を置いた。

2172/6:2010/04/10(土) 21:14:16 ID:fcro3KG2
「大崎さんに世話してもらいたいけどさ、勝ち負けなんか気にしないでやろうよ!
 歌、歌えりゃいいじゃん!  ――それだけさ」

その一言で舞美の緊張は解けたようだ。舞美はレモンに今度はどんな歌を歌うのか尋ねる。
「そいつはお楽しみに オレの数えきれないレパートリーの中から、すげーの一発かますぜ!」
にこやかに答えるレモン。   …ん? レモン、お前 前回のラストで何て言った?


レモンは控え室のドアをそっと閉め退室すると―― いきなり頭を抱えてヘコみ始めた!
。oO(ああ〜 ホントはオレ『男の道』しか知らないんだよ〜
  違う局ったって、何歌ったらいいんだァ )  どーしよー…
――――案の定、舞美を困らせないようにと見栄を張っていたレモンだったw
自分でもなぜ舞美の所に言ったのか分からず、精神分裂を疑いつつ、トボトボ廊下を歩く。

…レモンが衣裳部屋の前を通りかかった時、ドアがスッと開き何者かに引きずり込まれた!!
「し〜〜…」
何者かはレモンに騒がないように指示する。…匂いからすると、どうも女性のようだ。
「だ 誰だ!?」
「わたしはね、昔っからあんたのファンなの 広川舞美なんかに負けちゃダメよ
 ――でも、その着物じゃちょっとダサいから…」
『うわ! 何すんだ!!』
「イメージってもんが大切なのよ、もっとこういう衣装で…」
『そ そこは! ヒィ〜〜〜〜!』  
…な、何が起きているのだろう… レモン、おねーさんに貞操を奪われるのか!? (*´Д`)ハァハァ 



―特別審査ステージ―
《お待たせしました、突然の都合により特別審査を行います
 まずは、広川舞美ちゃんの新曲『水色のシャポー』》
大崎の都合に振り回され、観客は怒って全員帰ってしまうと思いきや、観客席は超満員!
きっとみんな舞美の歌を聞きたいだけだろう。

2183/6:2010/04/10(土) 21:14:40 ID:fcro3KG2
ステージに舞美が登場し、ファンや親衛隊は歓声を受けつつ、歌い始める舞美。

         ♪あなたとハズんだあァの日ィ 空は ブル――スカーイ♪

…その頃、おねーさんに弄ばれていたレモンは…演歌歌手とは違うステージ衣装を着せられていた。
「一体さっきのは何者なんだ、こんなヘンな服着せやがって」   オレはピーターパンか
ステージの舞台袖で舞美の人気に改めて感心するレモン。

「負けた者は徹底的につぶす みんな舞美のファンだ、勝ち目があるかな?」

――レモンの脳裏に大崎の言葉がよみがえる。
「拍手ひとつでいいんだ …でも、『男の道』を歌わずにそれができるだろうか…?」
不安になるレモンだったが、逆に舞美はイキイキと歌っていた。
。oO(ああ レモンくんのおかげでこんなにリラックスして歌える…)

       ♪テュッテュッテュッ ラァ  みィズ イィろの シャ ポ―――♪

ちょっと失敗してしまい、ベロをちょこんと出して愛嬌を振りまく舞美。
「なんだァ? すげー音程がはずれたぞォ、これじゃファンもガッカリ」
苦笑するレモンだったが、予想に反して観客席はさらに盛り上がる!!
「う うそ 一段と客の声援が大きくなった…」

「あの娘は自分自身の事をよーく知ってるのね」
――突如レモンの背後から女性の声が聞こえた!
「あんた、さっきの!」
振り向こうとするレモンだったが、女性は振り向かせず人のステージを見るのも勉強、と諭す。
「うまく歌えないとこも、堂々と歌っちゃう 高望みはしないの
 その結果、かえってファンは音がはずれたりする所がカワイイとか思っちゃうのよ」
女性のアドバイスを受けるが、まだレモンにはその事が理解できないでいた。

そんな中、準備担当スタッフから声がかかる。
「沢口くんは何歌うの? カラオケ用意するから」

2194/6:2010/04/10(土) 21:15:11 ID:fcro3KG2
《はい、舞美ちゃんでしたァ さぁ、続いては先程飛入りで『男の道』を歌った沢口麗紋くんです》
舞美が歌い終わり、司会のアナウンスが流れる
――が、この時点ですでに観客席からもっと歌わせろだの、帰ろうだのブーイングが飛ぶ!
「ごくろーさん」
「今度はちゃんとしたマイクで歌いなね、はい」
舞美からマイクを受け取り交替するレモン。

《――曲は……  ?    水色のシャポーです》

『ええ!?』
『 な ん だ っ て !? 』
まさか今発表したばかりの舞美の新曲を選んだ事に、舞美と舞美のファンは驚く!!
。oO(『男の道』以外で知ってる曲っていったら、今聞いたこの曲しかないんだ
   歌詞がわかんないけど―― 歌うしかない!)
一か八か決意するレモンをよそに、水色のシャポーの前奏が流れ始める――――

         ♪キミとォ シロォミィの 日の丸ベントー ブースカー♪

Σ( Д )    ゚ ゚ ななななななんじゃこりゃああああああ!!!???
思いっきりメチャクチャな歌詞に、当然ファンは 大・激・怒 !!!!
。oO(ゲゲッ いきなりまずい反応! やっぱりこういう時は広川のように踊りながら歌うべきだな)
作戦を変更し、メチャクチャな歌詞に加え、メチャクチャな振り付けで踊るレモン!
――もちろん、観客席は全員、今にもレモンに襲い掛からんとするほどの大ブーイング!!

…しかし、その大ブーイングの中、たった一人… あのそばかす少女だけ真面目に聞いていた。
。oO(――さっきの演歌より、声が合ってるみたい なんで最初からポップスにしなかったのかしら)

            ♪チンチンチン ア―― 水色ォーのシャポー♪

「ひどい、ひどすぎる!音程が狂う所までマネして!」
「やめさせろ!バカにするのも程がある!!」
大激怒しているのはファンだけではなかった。あまりにひどさにスタッフまで激怒している!

2205/6:2010/04/10(土) 21:15:33 ID:fcro3KG2
観客とスタッフを敵に回してしまったレモンは、スタッフに強制的に退場されていった…
「す すごい…」
…しかし、当のマネされた舞美は―― レモンの才能に驚いていた。

「勝負あったな、ボーズ お前の負けだ」

拍手の一つももらえなかったのを確認した大崎は審査員席を後にする。
『待ってよ、大崎さん! ひどいですよ、オレ『男の道』しか知らないのに!
 どうして『男の道』で勝負させてくれないんですか!?』
「歌を一つしか知らねーでプロになろーってのがあまいんだよ」
「う… せめて『男の道』の、オレの『男の道』の感想を聞かせて下さい!」
「――確かに桃次郎にひけを取らない『男の道』だった
 …だがな、オレは同じものには二度は感動せん!
 言っておくぞ、ボーズ 芸能界に出てこれても… オレがつぶしてやるからな」

大崎とレモンのやり取りを物陰で聞いていた舞美。
「ちがう… みんな分からないの? この曲は新曲よ、レモンくんは今日初めて聞いたはずなのに
 メチャクチャなダンスだったけど、ちゃんとリズムにのってたし
 なにより メロディーを完璧にコピーしていたのよ、一度しか聞いてないのに
 あのきれいな高い声 あのリズム感 レモンくんが水色のシャポーをちゃんと覚えていたら…
 わたしは完ペキ負けていたわ」

レモンの隠れた才能に戦慄を覚える舞美はレモンに駆け寄ると泣きべそをかきながらお詫びする。
「ごめんね、わたしがレモンくんのデビュー ジャマしちゃうなんて」
うつむいていたレモンは急に舞美に振り向くと――――
  んべっ☆
アカンベーして舞美のウケを狙うが… 当然、受けない。
「泣き虫だなァ、またみんなの前でハジかく気か?
 喜ばなきゃ、大崎さんにプロデュースしてもらえるんだからさ
 ――オレはさ、また一からやりなおせばいいさ  じゃあな、また芸能界で会おうぜ」
ウインクし舞美の前から立ち去るレモン。そんなレモンを泣きながら見送る舞美だった。
「レモンくん… あなたって人は」

2216/6:2010/04/10(土) 21:15:50 ID:fcro3KG2
――レモンは何事もなかったかのように会場から出ると… やっぱり凹んだ!! 見栄っ張り!
「あー 拍手の一つくらい、取れるとおもったのになァー」 _| ̄|○lll

   パチパチパチパチ
――拍手だ!! それもすぐ目の前で!
凹んでいたレモンは突然の拍手に顔を見上げると、そこには女性が立っていた。

「おもしろかったよ、レモンくん」

レモンはこの声に聞き覚えがあった。衣装を強引に着せたり、アドバイスしていた女性だ!
開口一番、怒鳴りそうになるが、女性のスカートに気がつきレモンの手が伸びるッ!!
『毎日パンツかえてるかーい!』
   が し 
――しかし必殺のデルタ・エn …もとい、スカートめくりは腕をつかまれ未然に防がれた!!
Σ(;゚д゚) そんなバカな!誰だ、このおねーさんは!?

「何から何までお父さんにソックリなんだから…
 ある時はナゾのスタイリスト またある時はかげの声 しかしてその実体は――――」

キューティーハn …ではなく、元アイドル歌手の 秋 野 こ の え だった!
「キミをスターにしてあげる」
レモンの腕をキリキリと締め上げつつ、微笑むこのえだった。   イタイイタイ    <続く>

2221/4:2010/04/11(日) 21:00:46 ID:x5IJd6tA
STAGE6:レモンの大切なもの


10年ぶりに秋野このえと再会したレモンはこのえから説明を受けていた。
「そーか、あんた とうちゃんの初ステージの時いた、アイドルの… よくオレの事おぼえてたね」
このえは10年前、レモンが桃次郎の変わりに歌った事をきっかけに注目していたのだ。
「あんただけだ、オレの才能わかってくれるの!」
喜びのあまり、このえの手をがしっと握り、無駄足にならなかった事を喜ぶレモン。

「見てなさい、広川舞美なんか足元にも及ばないよーな 売れっ子アイドルにしてあげるわ」
――次に出たこのえの言葉に思いっきりスッ転ぶレモン! ちょ、ちょっと待て!!『アイドル』!?

『デェ――――!? なんでアイドル!?』

オーバーリアクションで驚くレモン!
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「ジョーダンじゃない、とうちゃんのように演歌歌手になるんだ!」
大波荒れる海をバックに意気込むレモンに、演歌を歌って楽しいか問うこのえ。
「楽しい? なんでオレが楽しくなきゃいけないのさ!
 みんなが喜んでくれれば、それでいいじゃないか!」
レモンの答えに思わずレモンのオーバーリアクションをマネしつつ驚くこのえ!
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「――ナンチャッテ そんな事だと思ったわ
 今のままじゃ、スターはムリね あんたにはとっても大切なものが欠けてるわ
 何が欠けてるか、わかったらここに来なさい 答えはこの街の至るところに転がってると思うよ」
そう言ってこのえはレモンに『オータムプロ 秋野このえ』と書かれた名刺を差し出した。



父のステージ衣装に着替え、会場をあとにしたレモン。
「大切なものが足りない」…この言葉をずっと考えながら歩くが意味が分からない。

2232/4:2010/04/11(日) 21:04:58 ID:x5IJd6tA
みんなに喜んでもらい、一生懸命歌うだけではダメなのか?
意地悪しないで教えてくれりゃいいじゃねぇか… そう心の中で愚痴りながら歩くレモン。
…とりあえず、演歌の道はは諦めないが「大切なもの」を探してみようと決意するレモンだった。



―原宿駅・歩行者天国―
――時間はあっという間に流れ、もう夕日が沈み始めていたが…「大切なもの」は見つからない。
多くの通行人が派手な着物(ステージ衣装)のまま歩くレモンを横目で見ている。
しかし、レモンは…
「…東京は さすがに 広い」 もう、バテバテだった。

――ふと、近くから何やら音楽が聞こえてきたので覗いてみると、竹の子族が踊っていた。
少々驚き、戸惑いつつも良く見ようと近寄ると… いきなり道端の変な格好の男が音楽を奏でた!
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「なにやってんの?」
「……悪いが、カツラ取って頭を掻いてくれないか」
怪訝に思いながらも言う通りにするレモン、気持ち良さそうにする男。しかもシンバル鳴らしながら。

「おまえ、変な奴だな」
『どっちがだ!』

わざわざボケに付き合ってくれたのにそう言われ、思わずツッコむレモン!
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「オレのジョーダンにつきあってくれる奴なんて、滅多にいないぜ
 あ、そーそー 何やってるかだったな  ――音楽スケッチさ
 ここには色んな人がいる、その様々なイメージを音で表現するのだ
 例えば、カワイイコが通ったりすると…(甘いムードの音を出す)
 そして、キミみたいに時代感覚メチャクチャな奴は、さっきのように(激しい音を出す)
 それを録音して、後で聞くわけだ たくさん集まったら、個展を開くつもりだ
 フッ、アクティブかつクリエイティブ………
 その上、人生の苦み・甘みを感じさせるいいシュミだろーが」

2243/4:2010/04/11(日) 21:05:21 ID:x5IJd6tA
「…暗いなぁ」
レモンの呟きに反論できなくなる男だった。――だが、一声高く大笑いすると――
「ほっといてくれ(´・ω・`) 人がどう思おうと、オレは楽しいんだ 音楽ってのはそーいうもんだ」
レモンは男の言葉を変なの、と一蹴し立ち去ろうとする。
自分が楽しくなくたって、他人が楽しんでくれればそれでいいのに…それがレモンの思念だった。

「自分が楽しくないのに、本当に人を楽しませる事は出来ないんじゃないかな」

――途端、男は今までと違った真面目な顔で意表を突いた言葉を吐いた。
その言葉を耳にしたレモンは一瞬足を止め、真顔で男の方を振り返る。
……だが、男は再びカツラを被り、パフォーマンスに戻っていた。
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ふと、背後から声をかけられ、振り返ると舞美がいた。変装の為眼鏡をかけてるが。
二人は誰もいない公園の丘に行き、夕日を見つめながら雑談にふけった。
「――でね、それが音楽スケッチなんだとさ」
「ああ、そーいえば、そーいう人いたいた おもしろーい」
「変だと思わないか?」
「楽しそーじゃない、音楽の表現方法なんてその人の好きにすれば。
 何より楽しけりゃ音楽だと思うわ」
舞美の言葉に、レモンの脳裏に先程の男の言葉がよみがえる。
『自分が楽しくないのに、本当に人を楽しませる事は出来ないんじゃないかな』

…ところで舞美はなぜここに来たのだろうか?
「わたしね、落ち込んだりするとあそこに行くんだァ
 レモンくんも見たでしょ、みんなキラキラしててすっごく楽しそーじゃない
 見てるとわたしもガンバローって元気が出てくるの」

2254/4:2010/04/11(日) 21:05:40 ID:x5IJd6tA
。oO(楽しそうか… オレはこの10年間、歌ってて楽しいなんて思った事、一度もなかったなぁ
   ただ、とうちゃんのようになりたいって…
   とうちゃんのかわりに夢をかなえるんだって、それだけでガンバってきた
   マイクをへこませ、声を壊して女みたいな声になっちゃうまで練習したのに…
   楽しくなけりゃ、音楽じゃないなら…オレの歌はなんなんだ?
   あ〜〜〜〜 くそ、こんがらがってきた!)

レモンは自問自答に陥り黙り込んでしまう。そんなレモンをどうしたのかと不安になる舞美。
よく考えたらこんな所に連れて来るなんて…ダイタンだなとドキドキする舞美。
ふと、急にレモンが立ち上がりビクッとして見上げると……笑顔で踊っている!?
「どうしたの?」
「え? なんか悩むのやめたら、体が軽くなって体が勝手に動くんだ
 広川の歌、歌った時にくせになっちゃったかな?」
「プッ、相変わらず変なダンスだけどノッてるじゃない 音もなしによくそれだけ…」

「音? あるじゃないか、聞こえないか? ――この東京が音楽だよ
 車のクラクション、人のざわめき… 色んな音が重なり合ってリズムになってるじゃないか!」

レモンの意外な感性に感心した舞美は一緒に踊る事にした。
――夕日をバックに、丘で楽しそうに踊るレモンと舞美だった――       <続く>

2261/6:2010/04/12(月) 21:32:35 ID:VfYnAu36
STAGE7:ライバル宣言


―イソベプロダクション・社長室―
そこには社長に直談判中の舞美がいた。
「だめですか ――レモンくんは絶対才能あるんです、イソベの力になると思います、だから…」
「キミもダイタンな事するねー、直接わたしに言いに来るとは しかし、なぜその男にこだわる?
 ひょっとして、その男の事が――」
口ごもる舞美に社長は言葉を続ける。
「アイドルに恋愛は禁物だよ、スキャンダルの種になる
 それに… うちに引き取る必要もないようだし、
 噂ではこのえがその男を売り込もうとやっきらしいからな」
「なんですって あの、秋野このえが…」



―大通り―
通行人をかきわけ、嬉しそうにひた走るレモン。
『キミをスターにしてあげる』
このえの言葉を思い浮かべ、レモンはひた走る!走る!走る!走れメロス…もといレモン!
『絶対してくれよ! ボクはアンタに賭けた! 今行くぜ――――!!』



―薄汚れたビルの一室、オータムプロダクション―
「――そうですか、はい わかりました
 …ダメですよ、このえさん 沢口麗紋の名前聞いただけで、どこも断ってくるんですよね
 これで全てのテレビ局から沢口麗紋は締め出されちゃいましたよ、どうします?
 ――大体、半月前にできた事務所に架空のタレント、社員はボク一人…
 これじゃ、テレビ局が相手してくれる訳ないんだよなぁ」
電話担当をしていたおかっぱ頭の青年が半ばあきらめモードで愚痴をはいていた。

2272/6:2010/04/12(月) 21:32:58 ID:VfYnAu36
『ハハハッ そうくると思ったわ! みんな大崎のしわざよ、あの人手回しが早いから』

…しかし、社長であるこのえは意外にも対策があるかのように大声で笑い飛ばした!
「笑い事じゃないですよ、もし本当に沢口麗紋ってのが来ちゃったら、どう言い訳するんですか?」
「言い訳なんかしないわよ、こっちにだって考えが…」

『 沢 口 麗 紋 、 や っ て ま い り ま し た ァ ! 』

――噂をすれば影が差す!ちょうどいいタイミングでグリコポーズでレモンが到着!!
『待ってましたァ!』
ぶりっこポーズでレモンを歓迎するこのえさん、来てしまった事に驚く青年!
『今日からよろしくお願いしまーす』
このえに挨拶しつつ、イメチェンしたこのえと軽く雑談するレモン。
だが、青年は和やかに会話する雰囲気ではなかった。
。oO(どぉすんだァ、あいつやたらハリキッちゃって… あやまるなら今のうちだァ)
青年はすばやくレモンの前に飛び出て、デビューさせられなくなった事をひたすら謝った。

『余計な事言うんじゃない!』  ボカッ

…社長に殴られますたorz
「お おれ デビューできないんですかァ スターにしてやるって言ったじゃないか…
 だからオレ、あんたの言う通り『足りない物』を探してきたし!
 ポップスを試しに歌ってみる気になったのに!! これじゃ詐欺だ、ペテンだ、大ウソツキだァ!!」
事務所に来る早々、期待を裏切られたレモンは困惑しながらも怒鳴り始めた!
「お願いです、オレ何でもします! だからデビューさせてください!
 一年でも、二年でも待ちますから!!」
「『なんでも』するのね だいじょーぶ、まかせなさい!約束は守るわ!」
やたら自信ありげなこのえの態度に不安になる青年。
「フッ 一年? チッチッチッ」(* ̄∀ ̄)"b"
親指で後ろの看板を指差すこのえ。
そこには <デビューまであと 3 0 日 > と書かれたボードがあった。

2283/6:2010/04/12(月) 21:33:18 ID:VfYnAu36
「一ヶ月か……… え え ーー 一 ヶ 月 !? 』 ( Д )    ゚ ゚

いくらなんでもこれは早すぎる!さすがのレモンも読者も驚くぞこれは!
社員の青年もさすがに一ヶ月はムリだと耳打ちするが、このえの考えは断固変わらない!

「一ヶ月、これは変えられないの! モタモタしてたら大崎に本当に潰されるわ!
 今だってすでにジャマされてるのに!」

「じゃあ、デビューできないってのは 大崎さんが…」
「そうよ、くやしいでしょ 大崎をギャフンと言わせるには、一ヶ月でデビューするしかないのよ
 その為にはレモンくん、キミ何でもするって言ったんだから、私の言う通りにしてもらうわよ」


―場面は変わって、オータムプロのビルの下―
「ここだわ」
なんとそこには舞美がいた。
。oO(秋野このえ、元イソベのタレント 歌手をやめるまでは大崎さんと組んでいたという…
   我が強くて、自分の為ならまわりの人間を踏みつけてまでも生きてゆく
   ――その為に芸能界を追われた、この噂が本当なら…
   レモンくんはいいように利用されてボロボロになっちゃう!)
不安になった舞美はひたすらビルの階段を駆け上がった。



―再び場面は事務所に戻る―
「この人、知ってるでしょ」
この絵は1枚の女性の写真をレモンに見せるが…レモンはあっさり「知らない」と即答。
「ふ 不安だわ、こんなコが芸能界にデビューしていいのかなァ
 こいつ、今や知らない人がいないくらい有名なのよ」
困惑した顔であらすじ書きや読者に問いただすこのえさん。自分もアイドルには疎いですが何か?

2294/6:2010/04/12(月) 21:33:41 ID:VfYnAu36
    バキッ☆
…とりあえず説明とあらすじを続けよう。あー痛ぇ…
「矢頭真琴 超人気の若手女優。こいつがね、今度レコードを出す事になって…」

『レモンくん!』

ちょうどその時、舞美が事務所に乱入したきた!
「あ、広川舞美だ!」
「これはめずらしいお客様」
「あれ―― 広川、おまえ何しに来たの?」
「レモンくん、行こう」
理由も言わずに強引にレモンの腕を引っ張る舞美。
「ちょ、ちょっと待ってよ 何言ってんだァ、やっとオレここでデビューできそうなのに」
「デビューする前に潰されちゃうわ、この人に」
「潰そうとしてるのはあなたでしょ、広川さん」
「ど どうしてわたしが…?」
「そうだよ、どうして広川がそんな事を…」
「いいえ、この子絶対レモンくんの妨げになるわ だってバックに大崎がいるんですもの
 ――大崎はあなたを使って、レモンくんを潰すに決まってるじゃない
 『そのために』あなたをプロデュースしてんだから」
「それじゃあ、まるで わたし――…」
「そう、大崎のレモンくんを潰すための  道  具  ね」
このえの言葉に一同、静まり返ってしまい―― しばしの沈黙が流れた。

「…そう… いかにもあなたが考えそうな推測ね
 それじゃあ、あなたは何をする為にレモンくんを利用するつもりなの?」
今度は舞美がこのえに反論を始めた。

「変な事言う娘ね、聞いたわ
 イソベのコンテスト、すでに書類審査で落ちてたレモンくんを
 あなたがムリヤリコンテストに出場できるようにしたんですってね
 こうなるのも、全てあなたの筋書きどおりなんじゃないの?」

2305/6:2010/04/12(月) 21:33:58 ID:VfYnAu36
レモンはこのえの言葉に一瞬耳を疑った。
「――どう思おうと勝手だけど、そうやって勝手に動き回って、昔のわたしみたいにならないよう、
 気をつけなさいね」
「どういう意味?」
舞美がこのえを問いただそうとした時、突如レモンが舞美を呼び止める。

「広川! お前イソベに帰れよ、オレも一ヵ月後にデビューしたら、お前とはライバルなんだぜ
 ライバルの事務所にいちゃ、まずいだろうが」

一ヵ月後にデビューする事を聞き、舞美も驚きを隠せなかった。
「一ヵ月後? 一ヵ月後って、まさか…」
「そう、あなたの新曲が出る日にレモンくんはデビューする ――この意味、分かる?」

「わたしを・・・・つぶす気ね」

「そう」
ここに来て、レモンもようやくこのえが一ヶ月にこだわった理由を悟った。
「もう…… 仲良くしてられないな」
「もう…いいわ 幼なじみのよしみで、色々なアドバイスしてあげようと思ってたけど、
 もういいわ、勝手にしなさいよ ――そう思ったら気が楽になったわ
 お互いガンバローね、それじゃあ――」
レモンの言葉に一瞬舞美はうつむいたかと思うと、プイとそっけなく答えて事務所をあとにした。

「エライ、よく言ったぞレモンくん!」
「――広川をこのえさんのようにしたくないから…
 あんた、大崎さんに潰されたんだろ? 昔のわたしのようにって、そういう意味なんだろ」
「へぇー、するどいじゃない
 …でも、あの娘が言うように、キミをただ利用しようとしてるのかもよ?」
レモンに対し、意地悪く微笑むこのえ。しかし、今のレモンはこのえを信用するしかなかった。
「あの会場にいたり、オレがここに来るのが当然のようにデビューの計画を進めてたり、
 偶然とは思えないけど… さぁ! オレはまず何したらいいのかな!」
決意を固め、意気込んで社長の指示を待つレモンに対し、秋野社長の最初の命令は――

2316/6:2010/04/12(月) 21:34:16 ID:VfYnAu36
「キミには  『  女  』  になってもらうわ」

…一瞬、あっけにとられつつも息を飲み込み――「やろうじゃない、おもしろそーだ」と返す。



―大通り―
。oO(――フン、何よ レモンのバカ! せっかく心配してやってんのに… 人の気も知らないで…
   わたしが、こんなに こんなに… 好きなのに…… レモンのバカ!!)
涙をこぼしながら自分の事務所に戻る舞美だった。             <続く>

232名無しさん:2010/04/13(火) 21:22:04 ID:ryOzyOWk
STAGE8:天使の声


――やる気になったレモンに降りた秋野社長の最初の命令はこんなものだった。
「キミには  『  女  』  になってもらうわ
 この矢頭真琴の代わりに、歌を歌ってもらうの
 発売が半月後に迫っているの、明日早速レコーディングよ、いいわね」
「・・・・・・・・・・・OK」
。oO(…てな訳で、オレが女になる事になった
   これがオレのデビューとどういう関係があるのか分からないけど、とにかくやるしかない
   ――たく、このえさんは何考えてんだか… デビューまで28日しかないってのに)



 ―レコーディングスタジオ―
「ここだけの話だけどね、  ド  ヘ  タ  !!   …もう聞けたもんじゃないんだから
 ムリしてレコードなんか出さなきゃいいのにねー」
「そーねぇ(こっちには都合いいけど)」
打ち合わせしているのは責任者とこのえだった。
「ところで替え玉の娘は?」
「フフ… 見ておどろくなよ、入ってらっしゃい」
また髪型が変わったこのえが合図すると、ゆっくりとドアが開き―― 可愛い女の子が入ってきた!

「は はじめまして」

恥しそうに挨拶する女の子。これにはあらすじ書きも見事にハートを射止められた!( ゚ω゚)-3 フンス
「か かわいいじゃないか! このえちゃん!こりゃ、替え玉なんかに使うのもったいないよ!」
責任者は大絶賛だが…このえは浮かない顔だった。
「冷たいものどうぞ」
ふと、別の女の子がドリンクを持ってきてくれた。 すると――

233名無しさん:2010/04/13(火) 21:22:34 ID:ryOzyOWk
「毎日パンツかえてますゥ?」

――いきなりスカートめくりする女の子! …って、ま、まさか!? (;゚д゚)
「あ あら わたしとした事が… ホホホ」
『こ こ こ この  ど  バ  カ  !! だれがこんな! こんな!!
 何ででっかいバッグ持って来たのかと思ったら、まったく! 脱がしてやる!!』
本当に超ものすごい形相で女の子に怒鳴り散らし押し倒し、服を脱がし始めるこのえさん!
。oO(このえちゃんにこんなシュミがあったとは…)
…鼻の下を伸ばし、よだれを垂らして傍観する責任者は――

『ん!? お、男!?』

案の定、女の子はレモンの女装だった!!!!!!!!!!!!!!!! ( Д )    ゚ ゚
『誰が女のカッコウなんかしろって言ったのよ! あーキモチわるい!!』
「女になれって言ったじゃないかァ」

                 (しばらくお待ち下さい)

…さて、レモンは普通の服に着替えて責任者に挨拶した。
「女になってもらうって言ったのはね 言葉のアヤ!
 女の子の代わりをやってもらうからそう言ったのよ、バカ!」
…いや、このえさん、どう考えてもあなたの説明不足です。本当にあり(ry
当然、責任者は男をつれてきたこのえにふざけてんのかと大激怒!! 男が女の歌歌えるもんか!
――しかしこのえは至って冷静だった。
「10分だけ時間くれる? とりあえず、彼の歌聞いてよ それでもダメだって言うなら帰ります」
「10分…? 昔のよしみだ、キミがそこまで言うなら10分だけだぞ」
責任者はしぶしぶ承諾し、レモンにヘッドホンを渡す。
「大体、曲のメロディーも知らないんだろ?『お遊び』は10分だけだぜ 本当に 一応聞いてみるか」

レモンが歌を聞いている間も責任者の愚痴は止まらなかった。
「現実的に考えて、無理に決まってるだろ、真琴ちゃんの音域(キー)って結構高いんだぜ
 裏声のきもち悪いのはカンベンしてよ」

234名無しさん:2010/04/13(火) 21:22:57 ID:ryOzyOWk
「覚えました」
「え!? だって、まだ…!」
「一度聞けば十分でしょ、こんなの」
あどけない笑顔であっさりと答えるレモンだった。

…という事で、一応音楽をかけながらレモンの歌を聞いて見る事に。
。oO(矢頭真琴さんになったつもりで歌おう、今更おろされるのいやだからな)

                ♪恋をうらなう花びらを♪

レモンの第一声を聞いた責任者は驚きのあまり持っていたペンをポトリと落とす。
『す すごい! ヤツは天使なのか!!』
その歌声は他のスタッフまで真琴のイメージにピッタリだと太鼓判を押した。
しかし責任者はそれだけなのかとスタッフの襟首を掴んで叫ぶ!

『わからんか! この声だよ! オレが今まで捜し求め、夢にえがいていた声!!
 この世には存在しないのかと諦めていたが、この声はまさに『それ』だ!!
 友達感覚のアイドルに飽きつつあるこの時代に、
 夢の国から抜け出たような中性的な声はもろに「はまる」ぞ、売れる!!』

異常なほどまでに興奮し豪語する責任者だったが、このえは声は彼の魅力にすぎないと言う。
このえに言われるまま、責任者はレモンの方を振り返ると―― 曲に合わせ踊るレモンがいた。


 ―同時刻、スタジオ廊下―
『…ったくもう、どうして「吹き替え」なんか使うのかしら、許せない!』
「真琴より下手な奴だったらただじゃすまないからな」
自分のジャイアン並の音痴を棚に上げて怒る真琴と、ガラの悪い男…多分マネージャーがやって来た。
マネージャーはスタッフにもうレコーディングしているのかと尋ねる。
「あ、おはようございます ええ、男の人が歌ってますけど」
『男! 真琴の代わりに男だと!?』
――当然、怒ったマネージャーはどういう事だと録音室に殴りこむ!

235名無しさん:2010/04/13(火) 21:23:17 ID:ryOzyOWk
…しかし、録音室では責任者がレモンの歌にのめりこんでいた。
「ダンスを始めた途端、歌のイメージがいっそう膨らんで、情景が見えるようだ」
「シカトかよ、どこまでバカにしてるんだ」
だが、真琴は流れてきたレモンの声を耳にし、これが本当に男の声か疑問に感じていた。
どんな男が歌っているのか気になった真琴は録音室のガラスを覗き込むと――
踊っているレモンのバックに、花園で踊る女性のイメージがありありと見えていた!
女性がこちらを振り向くと、その顔は…

『わ わたしが! わたしがいる!!』

『おい!!』
突然のマネージャーの大声で我に返る真琴や責任者達。
「あ、こりゃどうも! 町田さん、いらしてたんですか」
「どうでもいいけど、出迎えも無しかよ」
そんなやり取りの中、真琴はレモンと話がしたいので呼んで欲しいと言う。
「なんだぁ、話って
 …『歌お上手ね、わたし感激しちゃった チュッ』…なぁんてされたらどうしよう
 ども、初めまして 沢口麗紋です」
録音室から出てきたレモンを見つめ、真琴はにっこり微笑むと… いきなり強烈なビンタを1発!!
その光景を呆然と見る責任者とこのえ、憎たらしい顔で見るマネージャー。

『目立ちすぎなのよね!』

プリプリ怒ってスタジオを後にする真琴を、レモンは叩かれた頬を押さえただ呆然と見ていた。
「みんながキミに気を取られたのがシャクにさわったのよ」
このえがレモンを慰めようとするが―― レモンは全然こたえていなかった!
「いやー! なんかプロの迫力って感じだなァ!! やっぱりあの位気迫がなくちゃな、うん!」
「めげないコ」
涙までうっすらと浮かべているのに前向きなレモンにちょっと呆れつつも、本番へと移行する。

236名無しさん:2010/04/13(火) 21:23:34 ID:ryOzyOWk
 ―数日後、オータムプロ―
世間では矢頭真琴の新曲『花ことば』のレコードが発売されていた。
「デビューまであと15日ですよ、あの替玉がなんかトクになってるの?」
「なってるわよ、あのディレクターなんか、キミの事気に入って今度もぜひ、って言ってるのよ」
その時、あのおかっぱ頭の社員が血相を変えて事務所に飛び込んできた!

『すっごいですよ、『花ことば』の売れ行き! 特に声がいいって、そりゃもうすごい評判!!』

「そーこなくっちゃ」
「ふーんだ、直接オレがうれしい訳じゃねーもん」
――レモンの投げやりな態度にこのえは鼻で笑って作戦の説明をする。
「そんな事ないわよ、その 評 判 の 声 が あ な た だって、皆知ったらどうなる?」
                                    <続く>

237名無しさん:2010/04/14(水) 21:14:32 ID:tQHidf1o
STAGE9:天使の声    <表紙:レオタード姿のセクシーなこのえさん>


              <『花ことば』いきなり初登場第一位!>
               <テレビ出演拒否 ナゼの声高まる>
              <新作映画のハードスケジュールの理由>
            <中学時代の友人語る、真琴の音楽X(ダメ)の事実>

『花ことば』発売後、あらゆるメディアでは↑こんな事ばかりの見出しでいっぱいだった。
そして、レモンのデビューまであと5日と迫っていた…。


 ―オータムプロ―
このえとレモンはレオタードに着替え、ダンスの練習をしていた。
そんな中、相変わらず名前の不明な社員が冒頭のスポーツ新聞を持って駆け込んでくる。

「替玉の事バレそうですよ!このラリホースポーツ! 真琴ちゃんの中学時代の友人って奴が
 『真琴は音楽はまるでダメであんなにうまい訳ないわ!あのレコードはデタラメだ!!』
 …って、ホラ!!」

「――で?」 動じることなくあっけらかんと答えるこのえ。
「で?じゃないッスよ! レモンくんが替玉してるとか、色々バレたらまずいでしょ!」
「別にいいのよ、バレちゃっても ――だって、その記事はね、わたしがでっちあげたの」
『どわー! やっぱりそうだったのか! こんな事したら真琴さんがかわいそーじゃないか!!』
いきなりレモンがこのえに向かって豪語してきた!
「わかってないなァ キミはまともにデビューできないのよ、大崎のせいで…
 この世界は喰うか喰われるかなの、カワイソーなんて言ってられないのよ
 作戦はうまくいったわ、これで真琴があの記事がデマだって事証明する為に、TVで歌う事になる
 ――その時、真琴のかわりにキミが出るのよ!」
「そんな事したら、大騒ぎになるぜ」
「大騒ぎ、大いにケッコウ それだけキミは有名になるじゃない」
…とりあえず、レモンは真琴の居場所をこのえに聞きだした。何をするつもりだ?

238名無しさん:2010/04/14(水) 21:15:00 ID:tQHidf1o
 ―某スタジオ―
『真琴さん!真琴さん! どこですかァ!!』
大声を出して真琴を探すレモン。そんなレモンをマネージャー・町田が冷ややかな目で気づいた。
スタッフの1人がレモンに話しかけるが、レモンは真琴に会わせてくれの一点張り。
そのやり取りに町田が歩み寄ってきた。
「おめーか… 真琴なら、右を奥に行った休憩室にいるぜ」
『町田さん! いいんですか!?』
レモンは町田にお礼を言い、その場をあとにする。
しかし町田の手には、冒頭のラリホースポーツが握られていた――



 ―休憩室―
真琴はシャワーを浴びていた。これは予想もしなかったサービスシーン!( ゚ω゚)-3-3 フンス フンス
ドアをドンドンと叩く音に、真琴はバスローブを着て訪問者を出迎える。
「まことさん!いないんですか! 大事な話が… あっ!」
ドアを開けた途端、湯上りの真琴のセクシーなおっぱいの谷間に一瞬釘付けになるレモン。
「大事な話があるんだけど… 服を着るまで待っています」
「何テレてんのよ、純ねェ いいわよ、入りなさいよ」
一瞬後ろを向きつつも、真琴に言われるまま休憩室に招かれるレモン。
…しかし、レモンの手は『例の必殺技』を発動させようとムズムズしていた。

。oO(た 耐えろ!「パンツかえてるかーい」をやったら、大変な事になりそーだ)

…湯上りだから当然なのだが、今真琴は明らかにノーパン状態。
理性を超機動員… もとい、総動員させてグッと耐えるレモンだったw いや、やってくれ、ぜひ!

239名無しさん:2010/04/14(水) 21:15:22 ID:tQHidf1o
撮影がすぐなので用件を手短に話してもらう真琴。
レモンの用件はもちろんラリホースポーツの件のお詫びだった。
「あー、あれどこかの誰かのインボーだわね
 わたしは逃げたりしないわ、こうなればテレビに出てやるわ
 例え日本で『口パク』は禁止されてても、ステージに立ってやる!
 ――あんたとはレコードっきりだと思ったけど、また『声』を借りる事になったわね
 歌っているようにみせるなんて、わたしにはたやすい事 全国民をだましてみせるわ」
「いつ出るつもりなんですか?」
「すぐにでも出てやりたいけど、一番早い歌番組が9月1日のベストヒット10なのよ、
 だから、それ」
――9月1日は5日後… それはこのえの計画通りの、レモンのデビュー目標の日だった!

。oO(スキャンダルを流すタイミング、真琴さんの性格、歌番組の目標、全てを計算して…
   このえさん、あんたって人は…)

今更ながらレモンはこのえの策略を改めて思い知るのだった。
「実はここに来たのはね、だまってるのってフェアじゃないと思って… その
 あの…   んー  実は! オレのデビューの為に真琴さんを利用したんだ!
 テレビ出演の時、俺が出ていっちゃう計画でね
 …あと5日ある、その間に手を打つなら打てばいい オレは人を踏み台にしてまで…」
「――バカよ… 話しちゃったら計画がパーじゃない
 …でも、その正直なところがあなたの魅力なのかもね キミに…ホレたのかな」
困惑してレモンは真琴に近寄るが、突然泣きながら抱きつかれた!

『キミの好きにしなさい! それでキミがいいんなら!』

そんな真琴にレモンは優しく肩に手をかけ、歌番組に出るのをやめようかと言おうとした時…
今度はいきなり突き放された!?
「フン、すっかりその気になっちゃって 今のがわたしの武器よ
 この演技があればわたしは生きてゆける フッ、スキャンダルなんか血とし、肉としてやるわ
 見てなさい、人気を下げるどころか上げてみせるわ
 出るなら出ればいいわ、しょせん歌手なんて そんな小細工しなけりゃ、売れないもんね」

240名無しさん:2010/04/14(水) 21:15:39 ID:tQHidf1o
――その一言にカチンと来るレモン!
「別にィ、――でも 今、わたしの演技でキミは確かにドギマギしたでしょ
 そこにリアルなドラマがあるからよ
 歌にもドラマがあると言うけど、あの時 わたしがラブソングを歌っても、キミあんな反応した?
 百の恋の歌を歌ったところで、ほんの一秒の恋の演技にはかなわないって事よ」
『そんな事ないよ! とうちゃんの歌にはしっかりとしたドラマがあった!
 聞く人によっては映画に負けないくらいのすてきなドラマが!!』
「ふーん 聞く人によっては…ねぇ」
挑発的な態度の真琴にレモンは歯を食いしばり、『花ことば』で真琴の心を動かそうと決意する。
「それは楽しみね」


――話を終え、休憩室から退室するレモン。
レモンは気づかなかったが、休憩室の前には町田がいて会話を全て聞いていた。

 ―時代劇スタジオを通るレモン―
「くっそー 歌をバカにしやがって… もうようしゃしねーぞ!」
プンプン怒りながら進むレモンの前に、セットによりかかってにこやかに呼ぶ町田がいた。
「あれ、あんた真琴さんのマネージャー さっきはどーも」
「よ レモンくんだっけ? ちょっとつきあってくれよ」



『おちょくりやがって!!』
人気の無い所にレモンを連れ込み、暴行を働く町田!
「オレらを利用しただとォ?
 真琴が何て言おうと、事務所としてはスキャンダルの種を見過ごす訳にいかねぇんだ
 てめぇみてえな奴は、二度と・・・・・・ 歌 え な く し て や る ぜ !! 」
倒れたレモンの喉に何度も拳をたたき付ける町田!

241名無しさん:2010/04/14(水) 21:15:54 ID:tQHidf1o
 ―オータムプロ―
飛び出していったっきり、なかなか戻ってこないレモンを気づかうこのえと社員。
「まったく何考えてんのかしら」
「ホント、何しに言ったんですかねェ 真琴さんのところに」
  ガチャ
「来た」
ドアが開く音に振り返る二人。 そこには――――

「ゼー ゼー ただいまガ〜」
『ど どうしたのよ、その声!!』
ボロボロになった上に、声までつぶされてしまったレモンがそこにいた!

『へへ… づぶされぢゃったァガ〜 ぞ ぞれより花ごどばの歌詞教えでよ おぼえでないんガ』
                                     <続く>

24229話6:2010/05/19(水) 21:46:23 ID:???
…それからどれ位の時間が経ったのか…
母親が帰ってきた直後、倒れていた惣一を見て助け起こす。
『お母さん!! 妖精が…妖精が僕を殺そうとしたんだ!! ほら!!あそこで死んでるのがそうだよ!!』
「まさか… これが妖精だなんて…」
母親は妖精の死体をつまみ上げ、トイレに流す。これでもう大丈夫…



翌日、惣一は美沙里を訪れ報告していた。
{…だから妖精の姿を見ちゃいけない、って言ったじゃない}
「ご… ごめんなさい…」

{別にあやまる事はないわ
 でも… 昆虫採集用の薬なんかで、その妖精が…死ぬとは思えないけどね…}

ミザリィの言葉にまたしても顔面蒼白になる惣一だった…



 ―その夜・住宅街―
マンホールのふたがゆっくりと開き、中から息も絶え絶えな妖精が這いあがってくる。
『クソォ… アノガキ 今ニ見テロ…  必 ズ 復 讐 シ テ ヤ ル !! 』
夜空に妖精の声が響く。その夜は不気味なほどに見事な満月だった…



次の日、惣一が学校から帰ってくるが、まだ母親は仕事でいない。
ゲームでもしようかと自室へ戻ると、なんと部屋がめちゃめちゃに荒らされている!
「こ… これは… 誰がこんな事…」
『俺ノ仕業ダヨ! コノ前ハヤッテクレタジャネェカ…ドウナルカ、ワカッテルダロウナ コゾウ?』
妖精が復讐しに現れた!
惣一はたまらず逃げ出すが、妖精はすぐに殺そうとせずじわじわ殺そうと後を追う…

24329話7:2010/05/19(水) 21:46:45 ID:???
――しかし、外に出た妖精の前に女性の足が立ちはだかった!ミザリィだ!!
{あらあら、面白い生き物がいるわねぇ}
姿を見られた妖精はミザリィも殺そうと飛び掛るが、ミザリィは妖精を叩き落した!
叩きつけられ弱った妖精を拾い上げると、{いい商品になりそうだわ}と観察する。
『ナ!? ドウイウ意味ダ!? ハ…離セ、苦シイ!!』
必死の抵抗も空しく、妖精はそのままミザリィに連れ去られていった――――



一方、惣一は美沙里に助けを求めにやってきた。
『お姉さん、お姉さん!! 妖精が… 妖精が生きてたんだ!!』
{あら、そんな事より新しい商品が入ったのよ 見せてあげるわ}

そう言って取り出したのは、連れ去った妖精の『 剥 製 』…もちろん本物の!!

{君のコレクションに加えてみない?}



{…皆さんも身の回りで物がなくなった時は注意して下さい…
 あなたのそばに、妖精がいるのかもしれません… 恐ろしい妖精が…}


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